2023年度の科学おすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2023年度の科学成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月27日の時点で一番の2023年度の科学おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.4 1 2023年度の科学アニメランキング1位
Dr.STONE NEW WORLD(第2クール)(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (152)
547人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。 超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。 文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。 新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。 しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる『武力帝国』が立ちはだかる。 人類の浄化を目指し、強大な武力によって科学の発展を阻止しようとする司。 科学vs武力の戦いは激闘の末、千空たち科学王国が優勢となり、両国は遂に和解する。 仲間の謀反によってコールドスリープ状態になった司、そして、全人類を復活すべく、科学王国は石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す! 世界に飛び出て石化の謎を解き明かす! 石の世界ストーンワールド大航海時代がついに開幕する――‼
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

まるで複雑な立体分子構造を組み上げるようなシナリオ運びが極まっていく

3期分割2クール通じてのレビュー・感想。
引き続き原作未読で視聴。

【物語 4.5点】
サブタイトル『~NEW WORLD』。機帆船ペルセウスでついに“大航海時代”到来か!?
と思わせておいて“新世界”とは、“宝島”での石化装置争奪戦の先に開けた、
(※核心的ネタバレ){netabare} 黒幕・ホワイマンがいる月面に行くためのロケット製作に向けた世界一周町作り{/netabare} 構想のことだったとのオチ。

1クール目序盤、いざ大航海!と思わせておいて、悠然と石油調達のための道路敷設し始めるしw
2クール目も航海より島での頭脳を交えたバトルメインでしたし。

これを肩透かし、展開が遅いと受け止めるかが評価の分かれ目かと思われますが、
私はこれぞ『ドクスト』でこそ味わえる地道で壮大なシナリオ。
1期で千空が豪語した{netabare} 「宇宙に行く。今すぐ、ソッコーで行く」との{/netabare} 少年の夢が伏線回収されるカタルシスも相まって興奮しました。


3期が終わって、本作はとかく文明や地球を破滅させるとの不信を抱かれがちな科学への信頼を取り戻す。
もっと言えば人間への信頼を取り戻すことがテーマなのだろうなとの着想がいっそう深まりました。

さらに3期からの新キャラ・龍水は、これも人を狂わせると忌避されがちなマネーへの信頼を取り戻すことも狙っているのだと感じました。
「欲しいは正義」言い得て妙です。
例えば、マッド・サイエンティスト・千空と金の亡者・龍水がタッグを組むとか語り始めると、
まんま平成漫画の悪の秘密結社のテンプレですからねw

それだけにラスト示された(※核心的ネタバレ){netabare} 復活した司。すなわち信頼できない大人たちを成敗する平成ヒーロー枠の若者が、
科学者・千空、セレブ・龍水と共に宇宙船で月に向かう{/netabare} とのプランは、
科学と金の汚名返上の観点からも唆(そそ)る構想。

制作発表された4期最終章『~SCIENCE FUTURE』
想像とは違う結末、説教すらも心待ちにしております。


バトルでも、一人の狡猾な悪知恵に対して、仲間を信じて賭けに出て勝ち抜くというパターンの反復により、人間への信頼を繰り返し問うて来ました。
他者との絆に期待して一度{netabare} 石化して{/netabare} 自身の意識を飛ばして後を託すとか中々できることではありません。

が、数千年のスパンで託し託され合う千空親子とその一味なら当たり前に人を信じることができます。
その視点から3期で一番感動したのは1クール折り返し地点。
{netabare} 生涯かけてプラチナ等の希少物質を収拾した父の“お宝”を受け取った千空。{/netabare}


【作画 4.0点】
アニメーション制作・トムス・エンタテインメント

特に2クール目、石化装置濫用バトルとなった本作。
毎度思いますが、ほぼ全てのキャラに石化バージョンのデザイン設定をする。
それらの石像を時にバラバラにして組み上げ修復する。
面倒な作業に杠(ゆずりは)ら手芸班も作画も良く付き合っているなと感心します。

終盤、{netabare} キャラたちの再石化からの即復活に伴う人体再生効果により、
顔などに残った経年劣化のヒビ割れが修復してなくなるという件がありました。
傷のないメインキャラは馴染まないから嫌かも?
と思っていたらホワイマン倒すまではと傷口をペイントで再現して元のキャラデザに戻った時は一安心しました。{/netabare}


科学ロードマップ解説で作風を変えてみたりと
知恵熱を伴う解説消化のためのリズム確保も継続。
そんな中『マインクラフト』風のアニメーションなんかも登場し、
『ドクスト』も長期シリーズになって来たなと感慨を覚えました。


その他、龍水の執事・フランソワの手腕により、
たまに飯テロも仕掛けてくるから油断できません。
{netabare} 石窯で焼いた{/netabare} パン文明復興の香りがして唆ります。


【キャラ 4.5点】
意外なキャラの、意外な起用法で窮地を脱していく采配に唸らされます。

そもそも科学の船・ペルセウス号には定員があり、
千空が誰を選ぶか或いは紛れ込むかというのもポイント。
まさかの{netabare} スイカ潜入作戦{/netabare} だったり、石像で温存していた{netabare} 氷月{/netabare} をジョーカーとして繰り出してみたり。
科学知識だけでなく用兵もお見事。千空も作者も頭良いわと脱帽します。

コハク、クロムなど石神村すなわち{netabare} 千空の両親が残した子孫たちの面々{/netabare} が希少素材名というのも、
上記でも触れた継承の観点からエモいキャラ名設定。
宝島出身者で{netabare} 頭首の息子{/netabare} となる新キャラ名がソユーズ宇宙船からというのも
3700年の口伝伝承の底力を感じます。

『ドクスト』のキャラ相関図には有機化合物の化学式を眺めている時みたいなウットリ感があります。


【声優 4.0点】
銀狼(ギンロー)役は、性別の壁をも乗り越える幅広い演技で活躍中の村瀬 歩さんが務めていますが、
{netabare} コハクらと共に敵アジトに美女として変装して潜入する{/netabare} という展開はまさにうってつけ。
3期の銀狼は{netabare} ペルセウス乗船滑り込み{/netabare} だったり、{netabare} 瀕死から石化復活{/netabare} したり、
配下を得て調子コキレベルがインフレしたり。
対応力が問われましたがキャストは柔軟にこなしました。
当初から3期を睨んだ村瀬さん起用だったとすると、スタッフも相当頭良いです。

宝島ボスのモズ役の興津 和幸さん。
舐め回すような粘着ボイスで、若さに任せた単純な力押しではない、オッサンのしつこさを体現。
いつの時代も世代交代は一筋縄では行きませんw


【音楽 4.0点】
劇伴は三者共作が継続。

1期より続くバグパイプ、ホイッスルの民族音楽風に、ラップ曲もおりまぜ原始と科学を再現する作風は変わりませんが、
今回はより普遍的なストリングス、金管が目立った印象。

インフラ、グルメの復活に呼応して曲アレンジも多彩になり、
科学史200万年を一気に駆け上がる千空たちの手応えを音楽でも実感。


主題歌は
1クール目OP・石崎ひゅーいさんの「ワスレガタキ」
ED・OKAMOTO'S「Where Do We Go?」

2クール目OP・清 竜人さんの「遙か」
ED・Anly「好きにしなよ」

一応OPは1期同様、朝のスタート時に適した楽曲で、文明の目覚めに合わせたりもしていますが、
作品をなぞるというよりは、『ドクスト』のスケール感に比するだけの確固たる世界観を持った楽曲を並べている感じ。

世界観という意味では私は「好きにしなよ」が脱力していて好きです。

放送終了時には2クール目OP「遙か」のアニメMVも公開され振り返りには持って来い。
一方で清 竜人公式CHの「遙か」実写MVは、
一人の巫女が朝起床してから仕事に向かう密着ビデオ風になっており、
巫女フェチには断然オススメですw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 22

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がる! 前代未聞のクラフト冒険譚、ここに開幕! ぱ~と3

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期~第3期1クールは視聴済です。
第3期の1クールの視聴が何となく遅れてしまったので、今回はリアルタイムで視聴できるまで驀進しました。
まぁ、物語の内容的にも面白かったので、レアルタイムで視聴するのは必然でしたけれど…


全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。
超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。

文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、
千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。
新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。

しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる
『武力帝国』が立ちはだかる。
科学vs武力の戦いは、千空たちが優勢となり和解するが、
司は仲間の裏切りによって深手を負ってしまう。

千空たちはコールドスリープした司を救うべく、
石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す!

神腕船長・龍水を仲間に迎え、大海原へと飛び出した千空たち。
科学船ペルセウスで向かう先は、百物語始まりの地――『宝島』だった!

千空は島に眠る宝を求め、
仲間と共に新たな冒険の地へと突き進む‼


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

そう、今度の冒険は宝島です。
宝島と言うより、物語の根幹に関する展開が待ち受けていました。

宝島といっても金銀財宝がザックザクという訳ではありません。
間違いなくそれ以上の価値を持つお宝が、宝島には存在していたんです。

ですが、得てしてそのような宝物は守られているのが定石です。
当然の如く、今回の宝物も原住民の手の中にあったんです。
交渉して…などという隙の無いまま原住民からの攻撃を受け、千空たちはいきなりピンチに追い込まれ…物語が動いていきます。

千空たちの闘いは決して楽ではありませんでした。
原住民は、いわば現代で例えるなら「パトリオットミサイル」の様なとんでもない武器を持っていましたから…
武器では無いモノを武器の様に使っていたというのが、正しい言い方だと思います。

加えて、相手の警戒心がメッチャ高く、幾重にも予防線を張っていたので、綻びと言える隙間はどこにもありませんでした。
千空たちにが持っているのは現代科学の知恵と、ここまで生き抜いてきた機転だけ…
この機転が幾重にも張られた予防線を強引にこじ開けていくのですから堪りません。
今回も半端無く滾る内容だったと思います。

そして物語は更なる広がりを見せるようです。
現時点で、既に一般の人間の行動範囲を凌駕していると思うんですけどね。
少なくても私の行動範囲より明らかに広いと思います。
どこまで広がるのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、清竜人さんによる「遥か」
エンディングテーマは、Anlyさんによる「好きにしなよ」

1クール全11話の物語でした。
番組の最後に「この物語はフィクションですが、登場する動植物や物質、製造方法などは実在するものに基づいています。個人の判断による採取や製造は大変危険であり、また法律に触れる恐れがありますので、決して安易にマネをしないでください。」という注意書きが毎回表示されていました。
これ、真似する人いるのかな…^^?
続編の制作が発表されました。
次が最終章になるそうです。
千空がどんな科学力で私たちの度肝を抜いてくれるかが楽しみで仕方ありません。
続編を楽しみに待っていますね!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 11

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

強敵との頭脳戦と仲間との絆が熱い。安定の面白さのアニメシリーズ第3期

原作未読。
アニメシリーズ全て視聴済み。

ついにアニメも第3期、大人気作ですが安定の面白さでした。1クール目は大将戦のための準備期間だったため、絵代わりが少なくてマンネリ気味でしたが、後半の2クール目はとても良かった。

今期の最大の敵イバラとのバトルは、今までには無いかなり高いレベルでの頭脳戦が繰り広げられ、味方側も何度も追い詰められる所が目新しく、ハラハラする展開で面白かった。
イバラの二面性のあるキャラクター性が、声優さんの演技と絵柄も相まって中々に怖く、時折くる緊張感が今までのアニメシリーズにはない要素でした。

石化の謎、そして真相へと繋がる大きな進展があったし、仲間達との絆もより深まっていて、19話あたりは胸熱でした。

そしてDr.STONEはやはりキャラクターが良い。それぞれが個性的だけど信念があって生きているのも好きだし、キャラデザがめちゃくちゃオシャレなのも良い。新キャラたちも衣装が凝っていて良いし、既出のキャラもやっぱりデザインがいいから、見てて楽しい。龍水も氷月も見た目が良すぎる。

OP、EDも素晴らしく、世界の壮大さと美しさを感じる曲で好きでした。映像も綺麗。

この作品を見ていると、探求することの楽しさ、未来を思い描く楽しさ、生きることの楽しさと儚さを感じる。
たまにはこういう作品があってもいいよなって思う良さがある。
原作は完結し、アニメは4期の制作が決定したとのことで、今後どのように物語が進み完結するのかとても楽しみです。
引き続き視聴予定です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 20

71.9 2 2023年度の科学アニメランキング2位
Dr.STONE NEW WORLD(第3期)(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (182)
656人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる『武力帝国』が立ちはだかる。人類の浄化を目指し、強大な武力によって科学の発展を阻止しようとする司。科学vs武力の戦いは激闘の末、千空たち科学王国が優勢となり、両国は遂に和解する。仲間の謀反によってコールドスリープ状態になった司、そして、全人類を復活すべく、科学王国は石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す!世界に飛び出て石化の謎を解き明かす!石の世界ストーンワールド大航海時代がついに開幕する――
ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「唆るぜ、これは」待望の第3期

1話目から、{netabare}泣かせに来るのは反則。
目から汗が・・・{/netabare}

原作は完結しているから、第3期で全部やる感じ?

8話~12話
{netabare}
「頭首」vs 科学チームの準備が、科学チーム側に手札が揃っていく回だった。
{/netabare}

7話
{netabare}
科捜研の男からの第一村人発見へ。
そして、ソリューズ君天才だった件。
ソリューズ君、頭首の血縁者???

石化できる頭首勢力 vs 生き残った人々

コハクという戦力が残っていたのは幸い。
スイカも活躍する流れになるのかな?
{/netabare}

6話
{netabare}
パワーチームの名無し君、拾われ子なのに、
今まで気が付かなかった石神村の人々よ・・・
(ここツッコんじゃダメなとこだけど)

ソリューズ君は、次回、生まれ故郷に着きそうでなにより。
戦闘とか無いと良いね。
{/netabare}

5話
{netabare}
1年かけて大型船の製作。

居残り組の都市開発は、見れないのかな?
あくまで原因究明組がメインだろうし。

しかし、銀狼、おまえ・・・姑息さが仇となったねw
{/netabare}

4話
{netabare}
文明レベルが一気に上がった回!!
凄く考えて作られているので、観ていて面白い!

ホワイマンは、やはりイカレタ科学者なのかな?
{/netabare}

3話
{netabare}
トリュフ探しからのまさかの石油発見。

そして、石化時代の黒幕と思われる人物?組織?からの
モールス信号。

ストーリーが、一気に加速するワクワク感。
{/netabare}

2話
{netabare}
フランソワという性別不明の龍水の執事兼シェフが石化から復活。
有能過ぎる。

そして、龍水、自己中ではなく、人物評もできる男!
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 2

ミュラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

クライマックスに向かって面白いところ

すでに2シーズンを経過したこの物語。
ついに3シーズン目に入った。

キャラが増えて大変面白くなった。
千空並みにリーダーシップの発揮できる龍水が加わって、お話が動き出した。
これまで紡いできた物語で各キャラの掘り下げも十分。
全人類を襲った石化光線の謎。石化村の誕生のなぞ。千空の父親の残した宝物。
全てがクライマックスに向かうこのシーズンは最高に面白い。

だがしかし、中途半端なところで一旦終わり。
続きは10月なんだそうだ。
次のタイトルも出ていたのに・・。
3ヶ月開ける必要あるのかな。予定外だったのかな。
なんだか惜しい感じがしてしまった。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 9
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

連続2クールでやって欲しかった感はある。

{netabare}
宝島編前半。
中途半端なところで終わったのもあって、1期と2期に比べると少し落ちるけど、まあ3期も十分には面白かったと思う。

日本を統一して次は石化光線の謎を解くべく島を目指す、そのために、船作りをする前半と、島に上陸する後半パート。
前半パートは工作メインで後半パートはまたも敵対勢力との対峙。
相変わらず、目的とその達成のための過程がしっかりと描かれているのは分かりやすくていいし、段々とその過程をこなして最終目標に近づいていくのもパズル的で面白い。
色んな人達、特に今回は新登場の竜水やフランソワなど千空以外の活躍の場面も多く全員で目標に向かっている感じが良い。
単なる工業だけでなく、衣服や食料にも目を当てられているのがしっかりしているなと思う。

後半はまた今度は宝島の原住民との戦闘。
理系作品というのもあって、敵対勢力との駆け引きはきっちりと戦略が練られており理性的で面白い。
ここは意見が分かれるかもだけど、自分はDr.STONEは敵対勢力がいてそれに科学の力で対抗している時の方が好きかな。
ミニ四駆のカーブだけはちょっと無理があると思ったけど、他は良かったと思う。

原作的には島編は後半でもっと面白くなるはず。
それと、Dr.STONEは毎度のことながら曲がいい。

私的評価:87点
私的ベスト回:3話

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆9
ここまでの振り返りか。OPめっちゃいいな。マイクラやん。
米では無い。お前は現代人だろw ちゃんと農業してる。不味そう。

2話 ☆7
美味そう。あまり映らなそうなカメラ。
アインシュタインのポーズはピッタリだ。

3話 ☆9
そんな高解像度の写真ないだろw そういや目的は石油だった。
場所メモしとけよw けど別のイノシシが犠牲に。事故ったら危ない。
モールス

4話 ☆9
実はクロムが1番の天才説まである。
アスファルトって効率いい素材なんだな。トロッコかな?

5話 ☆9
真面目組と半遊び組。料理できて、原始的とはいえ機会の設計もできるとか執事として有能すぎるだろ。
龍水自分の欲望よりも他人の意志も尊重できる当たりカリスマ性ある。
マグマの付属は連れていかんでも。残る人ほぼいないよな。

6話 ☆9
産みすぎや。3700年もほぼちゃんと伝わるとか凄すぎだろ。
pt触媒習ったな。よく宇宙船誰も開けなかったな。
ソユーズの名がついてるのすごい偶然だ。体感時間がほんと短い。

7話 ☆9
てか島と言語同じなの奇跡だよな。普通なら流れ着いたと考えるけどな。
はよ思い出しとけや。縮れてる…。髪の毛とかよう見つかるな。
こんなことしてるより普通に探した方が早そう。
ハゲに優しいアニメ。そこで終わらないで。
7話でここってこれ2クールで終わるのかな。

8話 ☆9
いきなり催涙弾とか可哀想。髪の毛そんな風には千切んやろw
科学か? メイク辺りの話比較的面白くない。
鹵獲しても操縦法分からなそう。GRR(銀狼レア)スイカに負ける銀狼。

9話 ☆9
水陸両用という言葉を把握しているスイカ。
化粧や香水の概念なくても良いと思えるのかな。
コハクマジで可愛くなってて草。戸惑ってて草。基準甘くて草。
意味してるのが戦闘じゃなかったら笑う。上級者かなw

10話 ☆7
仕組みがわからん。インカム言っても一方通行か。
漫画で読んだ時も思ったけどこのインカムマジで仕組みどうなってんの。
虫あみ作った方が良くねw ドローンでキャッチとか難易度高すぎでしょ。
学校でも習うやつだな。攻めいるんでは無いのか。
なんでカーブ突破できるねん。そう考えると文字の発明ってすごいな。
服ちぎっていいんか。ミニ四駆の操作法を一瞬理解できるコハク。
この挙動だと割と運ゲーやろw この時代らしい象形文字。
プラチナだけでも良かったな。ちょっと今回はツッコミどころも多い。

11話 ☆8
現時点でも危ういやろ。めっちゃ音なっとるやんけw 砂金か?
親父頑張りすぎ...。それでも数えてた時間が長すぎる。
このクズどももこいつらの子なんだよな。
もう奇跡じゃないってセリフかっこ良いな。

曲評価(好み)
OP「ワスレガタキ」☆9
ED「Where Do We Go?」☆8
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4

67.7 3 2023年度の科学アニメランキング3位
大雪海のカイナ(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (163)
490人が棚に入れました
拡がり続ける「雪海」により、大地が消えかけた異世界――。 人々は巨木「軌道樹」の根元や頂から広がる「天膜」の上でかろうじて暮らしていた。 天膜の少年カイナと、地上の少女リリハが出会うとき、滅びかけた世界を変える物語が、始まる――。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ディストピアの未来を照らす妙にさわやかなボーイミーツガール

【物語 3.5点】
原作・弐瓶 勉氏による王道志向のオリジナルファンタジー。

<雪海(ゆきうみ)>に覆われた世界。
<天膜(てんまく)>に住むという賢者の伝説。
など世界観、設定には斬新さも見られる。

ですがプロット自体はディストピア下の不毛な争いに、古代文明の遺物が絡む典型。
展開も昭和のジブリ風でベタベタ。
奇抜と思ったのは{netabare} 女の子が上から降ってこないで下から浮上してきた{/netabare} ことくらい。
もっともこれも捻った設定から出てきたボーイミーツガールのバリエーションですが。

物語の都合で登場人物に嘘を付かせたくないという脚本方針。
そのため純朴な主人公少年や清廉なヒロインの性格など、キャラに脚本を合わせたそうで。

これにより例えば、そんな逃げ遅れた人々など、捨て置かないと間に合わない。
まるで往年のジャンプアニメの引き伸ばしみたいでシナリオのテンポが悪い。
こうしたシチュエーションも散見。

おまけにフジテレビお得意の続きは劇場版で!まで炸裂w

ところが、これだけ自分をイライラさせる要素があったのに、このボーイミーツガールは毎回、不思議と清々しく。
<軌道樹>に僅かにへばり付くように生き長らえている人類が、残された水を巡って戦争するディストピアで言うのも変ですが。
私は、この冬アニメの中で、観たらホッと安心できる作品として重宝しました。


【作画 4.5点】
ポリゴン・ピクチュアズ設立40周年記念作。

本作の雄大な雪海、巨大な虫、移動要塞国家パルギアなどCGが得意とする構造物の描写だけでなく、
CGが苦手な人物の表情描写にも果敢に挑んできた同スタジオ。

今回は無表情の使い方にも進歩を感じました。
CG技術が足りなくて表情が無くなっているわけではなく、
ちゃんとコンテの意志を反映した伏線も兼ねた無表情になっている。
CGアニメもここまで進化したのかと感慨を覚えました。

特にバルギアの女士官・アメロテ。
バルギア軍が他国を蹂躙し、周りが盛り上がる中でも意味深な無表情。
{netabare} 元々はバルギアに滅ぼされた国の被征服民で、実力主義の組織の中でのし上がって来た。
バルギアのやり方には思う所が多々あるが、抵抗の限界も悟っている。{/netabare}
という含みを示唆するのに十分な良い表情でした。


文明が後退し、文字が何らかの意味を示すことすら忘れられつつある世界。
こうなるともはや“看板じい”など限られた人間以外にとって、文字は刺繍や看板の模様に過ぎなくなる。
この弐瓶作品の文字もアート性がありました。
つい<東亜重工>の文字を探し出しては嬉しくなってしまいますw


【キャラ 4.0点】
<天膜>の少年カイナ。
老人ばかりになった天膜に生きる最後の子供。

<雪海>のヒロイン・リリハ。
大国バルギアに脅かされている小国アトランドの王女。
事態打開のため<天膜>に住むと伝わる<賢者>を訪ねた折、カイナと出会う。

二人の少年少女の純心が希望の光となる。

その対となる悪役がバルギア最高司令・ハンターギル。
ちょっと露骨なんじゃないか?ってくらい残虐な言動。
ただ必ずしも勧善懲悪ではなく、{netabare} 失われた文明の巨大兵器<建設者>{/netabare} の影響による狂気であることが明かされる。

この主人公サイドと悪役の両極。
どんな窮地でも人間らしい優しさを忘れないピュアな少年少女には協力も得られ道が開ける。
策を弄して、味方の{netabare} 船をも投擲する{/netabare} 犠牲まで強いる曇った近視眼で、コップの中の争いを繰り広げる大人は墓穴を掘る。
この一貫した哲学は、<樹皮削り>など高度な科学技術を誇りながら、滅び去った文明の教訓をも暗示するかのよう。

王道ファンタジーを志向するに辺り、どの点を押さえていくべきか?
キャラ対比を通じて整理できているという手応えはあり。
さわやかな余韻の一因になっているとも感じます。

この観点から再考すると、上述の主人公たちの寄り道の人助けも悪くはありません。


その他、<天膜>で長らく殺し合いをしていない村の老婆たちが、<雪海>のリリハの剣を見て長過ぎる包丁だと驚く。
リリハがこれは夢じゃない?と思って“耳”をつねる。
我々視聴者とは異なる文化、価値観を反映した所作を挟むキャラ演出も良いスパイスでした。


【声優 4.5点】
プレスコにて収録。
柔軟な調整が可能なCGの特性を活かし音声に合わせて作画することで、
声優のナチュラルなボイス素材の長所の最大化を目指す。

主人公カイナ役の細谷 佳正さん。
道中、カイナたちが主張する伝説の類を、対面したばかりの相手に即座に信じてもらわないと動かない展開があります。
でも、嘘も野心もありそうにない、ほそやんの気だるげピュアボイス。
この声色で淡々と語られると、宇宙人はいる!と主張されても信じてしまいそうですw
脚本上も大きな助力となった好演だったと思います。

ヒロインの王女リリハ。
この可憐で素敵な声は一体誰なのだろう?
時めいていたらCV.高橋 李依さんでした。
キャリアも中堅にさしかかり、りえりーは充実の一途ですね。
正統派ヒロインでもっと見たい声優さんです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当に澤野 弘之氏もスタッフに名を連ねるが、提供したのはメインテーマ「KAINA」他、数曲。
あとは近年、澤野氏とタッグを組むことも多いKOHTA YAMAMOTO氏がシンセ成分を補強。
さらに馬瀬 みさき氏が、雪海の静寂や民族音楽風などをカバーする陣容。

澤野 弘之氏は私も好きですが、正直、ここ数年来、供給過多だなと感じてもいましてw
本作のように澤野節も用法、容量を守って活用していくことが、
限りある水資源同様、澤野氏を消費し尽くさない上でも肝要かと存じ上げます。

OP主題歌はヨルシカ「テレパス」
言葉にならない気持ちを言葉にしてくれる二人の会話が詩的な歌詞世界。
かつて文字で栄華を極めた文明が寄り添えなかった心を、
このボーイミーツガールならすくってくれるのではないか?
淡い希望を抱く静かな滑り出し。

ED主題歌はGReeeeN「ジュブナイル」
相変わらずの前向き歌詞と、さわやか高音男性ボーカルで、
“燦然なシリウス”を目指して突っ走る、ベタベタ青春ソング♪
どんなに展開が曇っても、結末が中途半端でもw
最後に手を繋いだカイナとリリハの笑顔を見れば今日も気分はスッキリ♪

投稿 : 2024/04/27
♥ : 28

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

劇場版へのプロローグ

オリジナルTVアニメですが、原作者としてクレジットされているのは漫画「シドニアの騎士」の作者として知られる二瓶勉先生ですね。

ざっくりいうと、まったく異なる環境で生まれ育った男女(カイナとリリハ)が出会うボーイ・ミーツ・ガール物のSFジュブナイル作品です。

とりあえず「水は希少」ということと「陸地はほとんどなく惑星表面の大部分は何らかの液体で出来た大雪海と呼ばれる物で覆われている」といった世界で、大雪海を航行する移動要塞国家であるバルギア帝国と、水の確保が可能な軌道樹の周りに定住する人間による小国アトランドとの間での水を巡る資源争奪戦争が繰り広げられます。

制作が「シドニアの騎士」のアニメ化でもタッグを組んだポリゴン・ピクチュアズということもあり、3DCGによる人物やメカの動きなどは両者でけっこう似た感じに仕上がっていると思います。

本作は「現代文明が滅んだ遠い未来の話」ということだとは思うのですが、作中に出てくる天膜、大雪海(おおゆきうみ)、軌道樹といったものの成り立ちはおろかそもそも舞台となっているのがいま我々が住んでいる地球なのかそれとも違う星なのかということ自体が、作中では明らかにされていません。

ただ巨大昆虫は出てくるので、生態系に現代との何らかの連続性は示唆されていますね。本筋とは直接関係ないけど何億年も前から生き延びている昆虫すごいぜ!

予定されている劇場版では、もしかしたらその辺りが明かされるかもしれません。知らんけど。このTVシリーズでは戦争は決着しますが、全体のストーリーとしてはプロローグという感じで劇場版が本編っぽいです。

放送中は間違いなく毎回楽しく観ていたんですけど、1クール観て得られる満足感という意味ではTVシリーズだとそんなには得られない気がします。

以下、余談:

1. 大雪海の成分は結局何なんだろう?
気密性が不十分そうな服で潜っていても人体に害はなさそうなんですが、蒸留して飲用できる物でもないらしい。謎…。

2. サウナの謎
作中で蒸し風呂が出てきてロウリュみたいなこともやってるんだけど、水は貴重なんじゃないの?
蒸気トラップ的な物で回収して環水を飲料水として利用するんだろうか…。

3. レーザートーチの謎
カイナが持ってる工具のエネルギー源は何なんだろう?

4. 文明の残滓(ざんし)
機関が付いてる船とかロケット兵器っぽい物とか、意外といろいろな物が残っているといえば残ってますね。まあ、このあたりは「未来少年コナン」とか「風の谷のナウシカ」とかでもそうかも…。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 23
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

終わる世界の物語

事前評価で「オール4」の予想を立ててみましたが、
{netabare}「俺たちの戦いはこれからだ」的な劇場版へ持ち越しというオチでありました。

見てて退屈はしませんでしたが、絶賛できるほどとも言えず
悪くもないが優れて良いというわけでもない程度だったように思います。

提督が少しばかりちょろ過ぎたのは気になりましたが、「禁断のテクノロジー」を得て
完全に浮かれており、しかも「ケンセツシャ」が故障してることを知らないわけですので
自滅的な結末を迎えるというのも辻褄はあっていると言えるのかもしれません。

「ケンセツシャ」には「東亜重工」の文字が記されていますので、その正体は
「建設社」の土建ロボットいうことになるのかと思います。

土建事業で経済発展していった我が国日本を暗示しているかのようであります。

「アトランド」とは【アトランティス】が由来だと考えられますが、そうだとすると
超古代文明と現代文明の時間的関係性が逆になってるようなことになります。

歴史ループ説というものがありますが、これはスピリチュアル系の人が唱えるもので
オカルト傾向が顕著過ぎるため説得力には乏しいものを感じます。

ループ説に似たものになりますが人類は大洪水以外に2、3度滅んでいるという説が
ありまして、それだと【アトランティス】の前にある種の文明があっても辻褄は
合うということになるのかもしれません。

しかしながら【アトランティス文明】を描くとしたら、「ふしぎの海ナディア」や
「ラピュタ」程度のテクノロジーがあってしかるべきでありますが、アトランドの文明水準は
かなり低く、【アトランティス文明】とは別ものと考えるべきなのかもしれません。

ただ「軌道樹」は明らかに【世界樹】=【ユグドラシル】を表していますので
【アトランティス文明】とは無縁ではないということになるのかと思います。

【ユグドラシル】というシンボルだけでなく、「昆虫食」の予測プログラミングを{/netabare}
当たり前の如く強引にねじ込んで来るお約束には、いつものワンパを感じずにはいられません。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 7

64.9 4 2023年度の科学アニメランキング4位
AIの遺電子(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (135)
376人が棚に入れました
これは、私たちの未来の物語――。 21世紀に始まったAIの圧倒的な進歩は、社会の発展に寄与する一方、高い知性を持つ機械を道具として使う是非を、人類に突きつけた。 そして22世紀後半。人々は「産業AI」とは別格の存在として、人権を持った「ヒューマノイド」を当たり前に受け入れ、共に暮らしている。 須堂光は、ヒューマノイドを治す新医科の医者として、ヒトとAIの共存がもたらす「新たな病」に向き合っていく。 時に、裏の顔も使いながら……。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人格のコピー問題の視点が秀逸。AIものというより哲学ですね。

 最終話の意味としては、ミチは恐らく会議のような密室での議論では答えが出ないことを知っている。AIそして人間存在の本質はやはり人間の関係の中にこそ存在するという意味だと捉えました。
 作者が設定としてヒューマノイドという中途半端な存在を置いた意味は、人間をデフォルメして極端な形で見る事ができるからでしょう。つまり、特別な条件を与えることで何かを探ろうとする数学の証明のようなアプローチです。

 ロビジアは道徳のない医療の国らしいので、そこでは更に極端なヒューマノイドについての研究がなされているはず。そこに倫理の問題が絡んでくるでしょうが、しかし、人間の本質にもっとも近づいている可能性もあります。

 本作については、道徳・哲学的な人間の問題を俯瞰するような視点が各話でてきましたが、やはり愛情・性愛問題が多く含まれていました。そこにこそ人間性があるということになるんだと思います。で、やはりコピー問題ですね。人間とは何かを哲学するのにこれほど示唆に富んだ課題はありません。最終回でやはりそこに視点が行きました。

 オープンエンディングにもならない、ボヤッとした終わり方ではあります。結果の詳細は読み取ることはできませんし、推理してもしょうがないでしょう。
 しかし、想像することはできます。コピー人間の本質をその存在だけで定義すると偽物ですが、しかし、他人あるいは人間関係の中に置いた時、その他人にとって本人になるわけです。つまり、本物が2つ存在する状態がありえるということでしょう。
 それがミニスカ看護婦の素性が明かされた意味に重なってくるのだと思います。
 オリジナルがもう存在しない1話のコピーと、正副両方存在する母親。その対比がわかりやすく提示されました。

 で、全体的にいいアニメだったと思います。人間の問題とSF的な実存問題を絡めてかなり楽しめました。
 ストーリーラインは弱いですが、エピソードの出来が秀逸でした。ブラックジャックの作劇法をかなり意識している作りになっていたと思います。

 ということで、ストーリーというよりテーマ性の評価はかなり高いです。キャラは弱いですが、調整としてそこそこの点はつけたいですね。


追記 そういえばミチって、主人公にそっくりですよね。つまり、クローンの可能性がないでしょうか?ヒューマノイドのコピー問題と人間のクローン問題。この描写は面白かったと思います。



 1話  人格をコピーしバックアップすると死は果たして防げるか問題

{netabare} 非常にいいですね。絵柄とミニスカ看護婦でちょっとずっこけますが、かなりのSF的な世界観を提示できていると思います。電脳ブラックジャックIN攻殻機動隊のような感じでした。

 人間、AIに限らずですが、攻殻機動隊では電脳になった時にこのコピー問題をゴーストという人間を人間たらしめる存在で回避しています。アシモフのロボットシリーズでは陽電子頭脳という複製不可能な構造のハードウエアで処理しています。SAOでは、アリシゼーション編の冒頭で人格のコピー問題を扱っています。

 水星の魔女で残念だったのが、 {netabare}このパーメット粒子エリクトの人格はコピーではないのか?という疑問に解答がなかったことです。人間の脳からパーメット化した先は本人なのか?ですね。
 その問題の回避のためには私はむしろガンダム内に脳みそを保管してくれていたほうがよかったのに、と思っていました。まあ、キーフォルダー小姑になれないのであえて無視したのかもしれません。{/netabare}

 このことを突き詰めて行くとタイムリープとか世界線等SFの話にもつながります。東京リベンジャーズなどでもそうですけど、タイプリープ世界の友人=違う人生を送ってきた人物は本当に自分の友人なのか?ということにもなります。あるいはタイムリープした人物はその記憶が変わった友人の存在に押しつぶされないか。そこが引っかかって同作の青春とか友情が嘘っぽく感じました。

 シュタゲにおいて、 {netabare}岡部の主観だけ救済されるの?それぞれのマユの人格は岡部の中では消えていますが、死んでいったマユの魂はどうなの?その救済は?ということです。死はいずれにせよ人格が消滅する行為です。時間がなかったことになっても、その時死んでいったマユには魂があったわけです。その絶望をどう考えるの? {/netabare}です。とあるシリーズのある回でもこの問題がでていました。

 人格や記憶のコピーというとピンとこないかもしれませんが、要するにコピーはカットアンドペースト作業においてオリジナルをデリートしてないだけです。我々が相対しているのはペーストされたものですから、オリジナルではありません。このオリジナルでないものが流出したら大問題です。人格も人権も分裂することになります。だからこそ、AIの電脳のコピーは禁止と言うことになります。

 と同時に、人間の魂とはなにか?という哲学・思想・科学あるいは倫理や感情、尊厳の問題にまで発展する大問題です。

 クローン問題や瞬間移送装置などバリエーションは様々な形で作れますが、本作はこういう人格とはなにかという思考実験をやっているのか、コピーにまつわるヒューマンドラマをやっていると思われます。

 1話で記憶の欠落問題がでてました。{netabare} AIのみならず様々なカテゴリーで使われるテーマですが、記憶…いや思い出と言ったほうがいいでしょう。人格の連続性の問題として家族と絡めて非常によく描けていたと思います。

 そして、母親の問題で謎かけがありましたが、1話の一番最後の感じだと、母親のオリジナルが流出して遠い世界にいるということでしょうか。それを探しているという物語がありそうですね。あの刑務所での主人公の冷たい感じは母がコピーだという風に見えました。{/netabare}



追記 私の上の書き方だと、記憶が欠損することが情緒的な問題と捉えれれるかもしれませんね。そうではなくて、AIにとってはコピーの上書きは死ということです。

{netabare} 本作は分かりやすく一回フォーマットという行為を挟んでいました。そこに再インストールすると外からみるとタイムラグによる記憶の欠落です。
 しかし、フォーマットされる側からすれば死刑宣告です。つまりバックアップには死を防ぐ効果はなく、外部の人間から見た場合は一見同じ人格が連続しているように見えるだけです。

 人格の連続性の問題を扱っているというのは、コピーとはいえ新しい人格をインストールされる側にとってはウイルスで壊れるのも、フォーマットされるのも等しく死ということです。母親はそのことを感覚的にわかっていたのでしょう。だから家族とともに最後の時を過ごしたいという判断なんだと思います。

 父や娘から見たらその場で再インストールすれば死ななかったのに、という誤解があるのかもしれません。実際弔っていましたし。だから生クリームの記憶の欠損によってそれを思い出しているのか、死が避けられなかったことを実改めて理解したのかわかりません。
 ですが、実際は何をやってもウイルスに感染した段階で手遅れです。{/netabare} {/netabare}


2話 生殖と家族が人間の幸せか?限界を設定するのはハードかソフトか?

{netabare}  まず1つ目のテーマ。生殖機能がないはずのヒューマノイドにとって、人間的な幸せの象徴である家族の団欒がどうみえるか、という問題。

 これは面白いですね。逆説的にとらえらば本来人間の幸せと言うのは「子供を残す、子供を育てる」という人類というより生物として遺伝子的な条件付けです。その生殖機能を持たないヒューマノイドにとっては、どういう発想になるか。

 生物的にいえば同性結婚や性自認、性指向(嗜好)等々のポリコレ云々が人間として本来は不自然だということです。全員が子供を持たない選択をすれば人類は滅亡します。そのジレンマをどう考えるか。
 あるいは人間は生物的な限界から解き放たれて、人工的に子供をつくる、あるいはヒューマノイドのようなもので、人間の数の不足分を補完してゆくべきなのか。

 いきなりおっぱい揉んでてちょっと驚きますが、SF的課題として置き換えた場合、生殖しないヒューマノイドにとって、生殖のために異性を刺激するような肉体的特徴、つまりセックスアピールが必要かどうかですね。本作ではそこまで行きませんが、もちろん化粧やアクセサリ、衣服などの問題にもかかわります。
 看護婦がミニスカで色ボケなのはいい対比でした。食欲というか嗜好品でもあるケーキに夢中なのも、人間的であるということでしょう。逆に言えば看護婦の無邪気な喜びや主人公の愛情はAIのアルゴリズムの方向づけということでしょう。その不自然さの象徴なんだと思います。(不自然さだけだと言葉たらずですね。この世界のAIの設定によってはそれこそが、ヒューマノイドも人間と同じ幸せを享受できるという意味にもなります)

 家族あるいは夫婦というのは、人間の遺伝子的には女性から見て、子供を安全に育てる場所を担保するためのユニットです。
(なお、子作りのパートナーには遺伝子の優秀さを求め、子育てするパートナーには生存戦略を求める、という違う種類の男を使い分ける女性の本能が浮気とか不倫の原因らしいですね。男の浮気は単純に種をまきたいからですけど)

 あるいは子供が無邪気に遊ぶ姿を見て、遺伝子が作り出した脳内物質が発せられる、幸せだという気分になるという機能は必要か?あるいは社会の共通認識としてそれが幸せであるという定義=道徳や倫理の有り方の問題なのかかもしれません。

 つまり、生殖と家庭から解き放たれたとき、人間が求める「幸せ」はどこにあるのでしょうか?という話でした。


 2つ目のテーマ。人間と同じ向上心をもったAIが肉体の限界の仕様が設定されたとき、どんな葛藤がおきるのか。これはあまりパッと類似例が思い浮かばないです。ここまで、人間化したAIという設定があまりないせいでしょうか。

 面白いですね。ヒューマノイドの彼の限界は何が決めているのか。それは実は人間と同じで、心の問題なのではないか?という事でしょうか。
 もちろん、作中で説明があった通り、人間と同じ世界でヒューマノイドが生きるために能力に制限を設けるというのは仕方ないでしょう。この制限が逆にAI問題に面白い視点を産みました。あるいは友情や他人からのポジティブな影響がヒューマノイドにも効果がある、という意味にも取れました。



 で、最後。恐らくMICHIというのはリミッターなのでしょう。AIは人間を理解できるか?ですね。
 私の一番好きなアニメ「ビートレス」の超高度AIが人間の定義に苦しんでいたところに通じる気がします。非常に面白いです。

 真面目にSFしている良作だと思います。2話の視点には感心しました。視聴継続ですね。 {/netabare}


3話 心はどこにあるのか?

{netabare}  ヒューマノイドが夢を見るということがわかりました。つまり、ヒューマノイドは潜在意識を持っているということで、ほぼ人間と同等の脳機能を持っているということです。

 それと対比するように、行動に条件付けをされたロボットが出てきます。この脳みそははっきりとプログラムと言っています。つまりコンピュータということでしょう。ヒューマノイドとロボットは、ソフトウエアの違いではないし、ハードウエアの違いどころか、概念そのものが根本的に違うという設定だと思われます。
 人間の脳を工学的に再現できる人工頭脳がヒューマノイド、現在のコンピュータの延長の電子頭脳がロボットでしょう。(ただあの医者が修理しているので、同じ構造かも。ちょっと違和感ありますけど)

 今回はこのコンピュータの心問題が出てきました。本作はそもそもヒューマノイドが人間として扱われているので、今更感はあるかもしれませんが、SFではかなりメジャーなテーマでしょう。

 心はどこにあるか。現実社会でも愛玩ロボットのAIBOロスなどが実際問題になっていましたが、単純なロボットであっても人間の呼びかけに応答するものには、人間は心を見てしまいます。本作の結論としては、まず心は使う側にある、というのが答えでした。

 ただ、コンピュータサイド。記憶を保持し主人に合いたいと思う気持ちは心ではないのか?主人を守りたいという気持ちは心ではないのか?

 我々は当たり前のように脳みそに心があると思ってしまいがちですが、本当にそうでしょうか?身体の感覚や反応が心を形成するケースもありますので、実際はよくわかっていません。今回はコンピュータの心問題とともに、哲学の問題でもありました。
 ためしに「心はどこにあるか」で検索してみてください。山のように難しい文書が出てくるはずです。

 その一方で、データとして書き換え可能な記憶は、サーバの中に保存されます。それを心と呼ぶなら、記憶こそが心なのか?
 1話でもちょっと似たテーマがありましたが、今回は命とか魂の問題ではなく、心はプログラミングか?データか?あるいは心はどこにあるのか?という問題でした。 {/netabare}


4話 VR時代の性欲処理と恋愛の問題、現実との境目。

{netabare} 恋愛、性欲、創作物による性欲の処理などいろいろありました。

 本作は本筋で母問題あるいはコピー問題はありますが、当初考えていたAIの発展とかAIの人間性の獲得という話よりも、人間とは何か?特に脳科学、心理学、哲学などに触れる端緒となる視点の紹介という感じなんですね。

 AIもののSFというよりは、AIを使った人間理解の話という側面が今のところ強いです。
 その点で4話は、AI画像生成によってコラ画像がかなりの精密さで出来るようになった現在、結構ホットな話題ではないでしょうか。
 VRで現実の人間がコラージュできるとなると、現実とゲーム(創作物)との境の問題や使われる側の感情や権利の問題があります。

 そもそも、VRや画像が代替になるのは性欲においてのみで、触れ合いが無い点で恋愛関係の代替にならないのでは?というわけでもないのは「ラブプラス」の時に、宿泊パックを用意した熱海の旅館があったくらいで、実際利用者がいたみたいです。つまり、VR彼女と本気で恋愛していた人が2010年にはいたということです。今も初音ミクと結婚しましたという人もいるくらいです。

(ラブプラス、調べたら「大野屋」というホテルで近畿日本ツーリスト。1泊2日で約4万円。布団が2つ敷かれるそうです。「愛花号」「寧々号」「凛子号」のバスが用意されたとの事。まあ、聖地巡礼の意味もあるでしょうが、たしかニュースで取材されていた人は、2、3人ガチ恋がいたと思います。)

 4話は現実の人間をVR画像に落とし込む話ですからちょっと違いますが、VRと恋愛できるか?と言う点では一緒です。
 そして、好きになった子に振られるストレスは相当辛いです。好きな子の画像データを取り込めるなら、ますますVRに依存するのではないでしょうか?

 少子化まで考えると、本作の範囲においては拡大しすぎですが、現実の世界におけるネットコンテンツによる性処理は、恋愛のモチベーションを著しくさげますのでこのVRはいずれ少子化の文脈で社会問題化すると思います。
 回りまわってこの作品の社会背景の考察にもなりますが、人間がますます産まなくなる条件の一つになりそうです。だから、人間に似たAIが必要になるのでしょう。

 それと彼氏が浮気することに価値がある問題は良かったですね。普通にいますからね、ああいう女性。彼氏の価値を恋愛市場価値で計るという意味と、駄目な彼氏を許してあげる自分に酔うという意味とあるみたいです。
 賢者タイムボタンはちょっと笑いますけど、つまり人間ならオナニーで我慢しているという風に置き換えればいいと思います。要するにどんな女ともセックスできるくらいの価値がある彼氏がいるステータスが大事であって、その状況に酔っているということでしょう。

 それとレズ問題かあ…同性同士の友情にかこつけて、ですねえ。ひょっとしたら、それを見せるのが目的だったかもしれないです。そう考えると4話は面白い構成でした。 {/netabare}


5話 医療の役割と罪。子供への愛情とはなんぞや?

{netabare} 今回は2人の異常行動についてでした。アルコール依存と自閉症スペクトラムによる暴力衝動と音楽的才能(サヴァン症候群?)だと思います。「青色サヴァン」の時に調べたのでなんとなくわかりました。
 2つの症状の共通点は日常生活に影響があることです。その症状を治療するために医療行為がどこまで許されるのか?が今回のポイントでしょうね。

 アルコール依存の場合。これは悪しかないようなイメージですので、それを治療することの是非はあまり問題にならないでしょう。ただ「嘘の記憶」という方法を使うことの是非ですね。しかも違法です。それでもまともな生活を送れるようになる。良い事をしているという満足感も治療に寄与しているかもしれません。

 サボテンというのはなんでしょうね?催眠のトリガーとアンカーみたいなものでしょうか?わざわざこれを入れたのは、今回の治療は人間でいえば催眠療法のことだよ、という意味かもしれません?調べたら普通に人間でもできるみたいですね。


 自閉症スペクトラムを治療する場合。こちらは暴力衝動という症状を消す代わりに音楽の才能を失くしてしまう罪ですね。
 子供を平凡に育てるか、孤独でもいいから個性とか才能を伸ばすのか。それが病的なものであったとしても…ですね。本当に子供を強制的に学校に溶け込ませるのが、正解なのか?

 両者とも人間ではありえないくらい簡単に治療できてしまうのが、AIならではですね。
 今回については、どちらかといえば音楽的才能を殺してしまう罪の方が大きい気がしますけどね。

 もう一つ。子育てにおける愛情です。ジョウロ=手間をかけて水をやる、自動化=手間がかかるから目の前の症状を抑えることを考える。
 つまり、愛情の注ぎ方とは何ぞやという謎かけでしょう。親が安易な治療をすることへの批判とも取れます。
 今回は病気の症状を含めて親が子供の全部を受け止めきれなかった感じでした。どちらかと言えば子供を愛しているというより自分の困難を何とかしたかったという風にとれます。

 ということで、今回の話では、病気治療の功罪と子育てにおける親の愛情の問題が目につきました。 {/netabare}


6話 機械が人間の技術を越えると人間は不要になるのか?一歩先に行く高品質は無駄なのか。不完全さを知ることが人間を知ることなのか?AIロボットが人型である意味は?

{netabare} すし職人が修行で何年もお店で奉公するのは、無駄で非人間的だという話があります。技術をマニュアル化して作業手順だけ覚えさせれば、最高のすし職人とほとんど変わらない味のすしが握れる、と。たとえばこれを95%の水準としましょう。

 6話前半において、この最後の5%を追い求めることが無駄なのか?という視点があると思います。そしてマニュアル化と作業手順がすなわちAIということでしょう。日本においては議論がありそうですが、効率化を考える海外の企業においては、この5%は削りマニュアル化する。そしてそれが80%の水準でも自動化を進めるという結論が大勢でしょう。

 それは資本主義がROE、つまり資産の利回りによって成功失敗を判断するからです。つまり、経済的には徒弟制度的修行で最高峰を目指すより経済性ではマニュアルによる効率化、更には自動化の方が高いという結論がでているからです。

 ただ、一方ではハンドメイド、この最後の5%を求める人がいるのも事実です。日本の大量生産品でもトヨタのセンチェリーや日産GTR、セイコーのグランドセイコーなどはハンドメイド部分があります。これがいわゆる「豊かさ」だと私は思います。裏を返すと「贅沢品」ですけどね。
 技術的には本作のような刃物加工もそうですが、キサゲ作業と言われる平面加工は人間でないと出せない精度があります。

 これをまず機械が越えられるのか?という話がまずあります。もちろん、いずれは超える日もくるでしょう。ただ、それは人間の敗北、人間の不要論なのか?という話です。

 後半は、人間性には限界と失敗があるということでしょうか。AIが人間に対する理解を完全なものとしてとして捉えてしまうと、それは非人間的なものになる。人間は失敗し、疲れ、時に攻撃的になる。その一方で人型のものが人間のようにふるまうと、友達として扱うようになる。

 前半後半の共通項目として、AI側の認識の問題としてはマニュアルだけでなく生活を共にすることで「人間を機械学習する」必要があるということかもしれません。
 その視点でいうとロボットが人型である意義は大きいのかもしれません。

 加えて「フィードバック」の関係が示唆されていました。特に前半は目新しいですね。人間と機械がお互い向上することで、更に上を目指せるという事だと思います。機械が人間を越えられるか、あるいは、人間要不要など結構二者択一の議論が多い中、共存の提案は良かったと思います。

 後半は直接的ではない学習成果、つまり人間理解が今後のAIには必要になるという示唆でした。人間への理解が深まると別の場所で活かせる、という種類のフィードバックでした。{/netabare}


7話 メンタルと治療、何が正しいのか?

{netabare} しかし、この作品事象をいろいろもってきます。病気によりその人の家族にとっての欠点が無くなった場合、治療を拒否するのを責められるか?特にDVが絡む場合は切実です。
 また、深い個別事情を知らず病気をすべきと外野が責め立てるのは許されるか。治療することが必ず正しい事なのか、という問題が前半でした。
 この問題、踏み込んでゆくと過去の精神医療施設の虐待事件とか思い出しますが、生生しいので割愛します。

 後半は、カスタマーセンターのストレス問題があります。基本的に2年以上は精神が持たないし、ストレスチェックをマメにしないと厳しい部署です。その対応を機械でやる、あるいは人間が演技と割り切ってやる。どちらに心がこもっていると言えるでしょうか。

 ただ、ストレスをためて胃が痛くなっていた人も、結局は「対応」しているだけです。客の側とサービスをする側の認識の違いですから、どういうやり方でも丸め込むという対応方法も間違いじゃない気もします。

 また、向き不向き、メンタルストレスを対処療法で乗り切ることがいいのか?などでした。 {/netabare}


8話 題名が遺電子ですから、テーマ的本命はこの話?

{netabare} まず手作りの価値という視点がありましたが、特に掘り下げはなかったようです。また、メッセージとしてバレンタインチョコの位置付けを念押しするところに、立場表明とプライドなどが見えて面白い描き方だと思います。先生のケーキの素性を隠したところに、ウイットと優しさがありました。

 で、恋愛ですね。確かに精神疾患かもしれません。しかし、エロスとタナトス。無意識世界に混とんとして存在しているそれは、人間の生命のエネルギーになっています。
 また、感情は人間らしさの基本であり、恋愛はその中心的なものです。そして、生命的にいえば生殖するからその個体は存在価値があるとも言えます。遺伝子の役割が本作のテーマであるなら、これは本題ともいえるでしょう。
 バレンタインという儀式的な人のコミュニケーション、プレゼントや言葉というややこしい生殖・恋愛のためのツール。気持ちとは何か?そして、恋愛・生殖の意味とは?

 恋愛と生殖を忘れれば、それは社会にとってはエネルギーを無駄に使用日する環境負荷でしかないと言えるのかどうか。

 ただし、それが今回は同性というところが面白い。機械で同性。生殖には関わってきません。その時に「恋愛とはなにか?」という本質を考えるきっかけになりそうです。

 1話で、提示された行方不明のコピーの問題が作品の本筋なんでしょうけど、題名から言えば、エロスとタナトス、アイデンティティ・感情・恋愛・遺伝子・子育て・そして社会性とはなどが今まで提示されてきました。これがテーマ的本題なんでしょうか。だとすれば哲学ですねえ。とても面白いです。{/netabare}


9話 子供に「悪」を見せるということ。教育とルール。

{netabare} さて、今回はテーマ的には結構単純ですが、解答や見解が非常に別れるテーマでした。

 日本だけでなく世界的に〇〇を見せるとそれに影響されて犯罪が増えるという言説を信じている人があまりに多い問題です。特に暴力と性犯罪ですね。今回は暴力ですが、手塚治虫氏や永井豪氏などが実際に規制されていますし、都条例もありました。

 発達心理や社会の本質を考えたり、研究やエビデンスをそろえないで感覚的に議論しているからこういう結果になるのだと思います。子供に暴力や性的なものを見せたくないという馬鹿親があまりに増えすぎです。実社会での危機回避や倫理観の情勢、自分で考えるクセの習慣化に役立ちます。
 あるいは人間というものの本質を理解するのに創作物における悪の有用性がまったくわかっていないようです。

 その辺りを皮肉っていましたが、この回は特に母親の視点で言えば、何が言いたいのかはわからないかもしれません。少数の事例を証拠だといいはって、暴力コンテンツは教育に悪いという結論ありきの議論しか見たことがありません。

 後半です。規律の程度の問題です。これは学校教育の場面もそうですけど、実社会にも言えることです。グレーゾーンを認めず黒か白かで判断するということです。

 ここちらも、特に若い世代の人はそれの何が悪いのだ?「規則は規則だろう、ハイ論破」的な視点を持つ人もいるかもしれません。しかし、かなり低い視座で言っても、柔軟性がない思考方法は場面場面では正義ではあっても、いずれ調整が出来ずに破たんすることが分かっていないのだと私は考えています。

 もう少し高い視座で考えた場合、そもそも構造主義的に考えれば社会によって正義は変わります。そして法やルールというのは曖昧に作ります。公共の福祉、権利の濫用、悪人正機、予定説、最大多数の最大幸福等々さまざまな概念や判例・過去の類似例・TPOなどを使ってベターな解答を導き出すものです。

 むろん、刑法はデュープロセスオブロウの観点からブラックリスト形式をとりますが、それは公権力の制限をするためです。まあ、この問題を論じるとキリがないです。
 この問題、いつもアニメで言えば「ガンダムシード」のマリューVSナダルを思い出します。あれでどちらに感情移入できるかで立場がわかる気がします。

 その辺の視点を描いていましたが、最終的に道徳とルールの問題は「正論」と言う名の思考停止が存在する一方、「人間性」と言う名の思考停止も存在しますので、今回の話は正解を求めずに考え続けることでしょうね。

 上で私が述べたような、厳格なルールって駄目だよねという解答もまた一般解に近いです。後半の学校のルールについては特に考える必要があるでしょう。
 この問題はそれぞれが理屈や感情でどれだけ勉強するか深く考えるか、が大事であって正解はないでしょう。正解があると考えるのが一番恐ろしいです。 {/netabare}


10話 人間の行動は誰が決めているのか?人間は自分が無になるという事実に耐えられるか?

{netabare}  前半部分です。それ以前のTVと雑誌の時代から、欲望のコントロールは行われていましたが、それはドラマに出てくる小物や食べ物など消費に関することから始まり、報道のニュアンスやタレントの発言等々による誘導で、消費経済へと価値観が誘導されていたわけです。
 これは誰かが意図した陰謀論ではなく、テレビとスポンサーを中心として仕組みが作り出した構造主義的な成り行き、つまり、資本主義的マスメディアの構造でした。

 今現在はそれが意図的に行われています。検索履歴はもちろん。ネット決済や位置情報が便利だと思わせる誘導。陰謀論でもなんでもありません。それは現実に行われ個々人のインターフェイスに反映されています。

 我々は欲望をコントロールされいています。AIの提示する動画の候補や買い物サイトのインターフェイスはもちろん、検索の結果の並びに反映もできます。旧ツイッターの旧スタッフによる情報の故意の操作もあまり問題になりませんでしたが、ディープフェイクの温床になっていました(これはスタッフの手作業だったという事らしいですけど)。

 そう考えると、AIによる人間の行動の統制は非常にたやすいものです。人間は自分で思っているほど、行動のモチベーションを自分で決めていません。外部情報を自分の情報だと錯覚して行動しています。
 そのバランスをとるのが様々なメディアや書籍、他人に触れることでしたが、今やそれらは巨大IT産業により情報の出どころが一緒になっています。

 この大規模なものはAI時代なら必ず起きます。知能が高い彼だから気が付けたという話です。「リコリコ」の真島がバランスをとるために犯罪を犯すのとある意味では似ていました。

 なお、バタフライエフェクトをこの現象になぞらえていましたが、あれは「計算できない」影響の広がりの問題で、本作のような陰謀論とは相いれない気がします。


 後半はなぜ非科学的なスピリチュアルが流行するのか?問題ですね。

 東大病院の准教授だったと思いますが、突然死後の世界はあると言い出して世間を驚かせました。本作はそこからの発想でしょう。
 
 人間は死後は「無」になる。あるいは物質になり原子に帰ると考えて行くと、宇宙に寿命がある以上はいずれゼロになるというのは当たり前の話です。宇宙はないのに魂はあると考えるのは不自然ですよね?

 宗教が無くなり自分の存在の拠り所が無いと、人間は死に対して不安と恐怖を覚え、無になることを受け入れられない人は非常に多いのではないでしょうか。宗教の代替としてのスピリチュアルというのは極めて自然な発想だと思います。
 「攻殻機動隊」や「シリアルエクスペリメントレイン」などが有名ですが、ネットの世界というのは未知の世界です。人間的なものが情報として生きられるようなイメージは持ちやすいのではないでしょうか。その意味でAIを神とあがめる人も、SF的シミュレーションとしては自然かもしれません。

 その人間に内在する死の恐怖とスピリチュアルへの傾倒を良く描けていると思います。

 で、本筋がやっと進みましたね。そういう事ですか、という感じでした。となると、本作の行く末ですが、ヒューマノイドはなぜ必要だったか?と重なってくるのでしょうか?あと2話だと思いますがどうなるんでしょうか。楽しみです。{/netabare}


11話 1話完結のショートストーリーの方が面白いと思います。

{netabare} 1話完結の話を重ねてきただけに、本筋に違和感を感じてしまいます。再びコピー問題です。
 人間なら双子に置き換えれば分かりやすいかもしれませんが、環境により性格が変わる例といえばいいのでしょうか。

 テーマを掘り下げると深さはあるのでしょうが、本作の11話だけ見るとありきたりだし、メインのモブというべきヒロインの素性を今更説明しなくてもいいのに、と思わなくはないです。コピーのアイデンティティ問題は1話でやりましたし。
 ミニスカ看護士さん、バラバラの身体を組み立てるということは、ちょっと姉妹の関係に違いはありますが「ブラックジャック」のピノコといってもいいかもしれません。

 来週あたり最終回かもしれませんが、しかし、この作品はキャラの内面が弱いので、寓話というか未来の日本昔話として、1話完結なら優れた話なんですけど、メインの登場人物に感情移入できない弱さがあります。いまさら看護士さんの素性いる?という気はしました。母親がいる場所がアジア的なのでインドつながりで現地の状況の説明がしたいのかもしれませんが。

 キャラが弱いのは「蟲師」と同じ欠点ですね。「ブラックジャック」がいかに優れていたかが分かります。{/netabare}


 

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人は何をもって同じ人といえるのか?(※本作のロボットと人権の関係についてを追記)

本作は、AIが人の知性を超え(いわゆるシンギュラリティ)、ロボット、人間、そして、その超高度AIによって人間をコピーして作られた人工知性体ヒューマノイドの3つの知性体が存在する近未来社会のお話。

ヒューマノイドを専門に治療する感情を表に出さない人間の医師(須藤光)と喜怒哀楽のはっきりしたヒューマノイドの看護師(樋口リサ)とが、須藤が経営する個人病院にくるヒューマノイドの患者を治療する個々のエピソードをオムニバス形式で繋いだ作品。これに加えて、人間を超えた存在ではなく人間そっくりに作られたヒューマノイドの存在の謎が作品全体を貫いている。

ヒューマノイドは、超高度AIが作成した人工知性体でありながら、人間のコピーであるため、はじめから不完全なものとして敢えて作られている。生殖能力はないものの({netabare}同性愛を含めた{/netabare})恋愛をするし、能力も超人的ではなく、歳を重ねて死亡もする。また、個体によっては、依存症や発達障害といった面まで再現されている。なんで、超高度AIは、そんな中途半端な存在が必要だと考えたのか?(下に考察アリ)

もっとも、ヒューマノイドに蓄積された記憶は、機械的なデータなので、記憶のコピー、消去、改ざんは、生身の人間より容易にできる。主人公は、ヒューマノイドの希望に沿って、時に違法とされるヒューマノイドのデータの調整をも厭わない闇医者という裏の顔も持つ(オムニバス形式ということもあり、本作が『ブラックジャック』っぽいと言われる由縁)。

単純にいえば、このヒューマノイドという設定の特性を活かして、「人間性とは何か?」、「心とは何か?」といったことをあぶりだそうとしている作品。

テーマ的には、アニメだと『NieR:Automata Ver1.1a』、『Vivy -Fluorite Eye's Song-』、『プラスティック・メモリーズ』が近いか。
ただ、作画において外国人が理解しにくいとされる顔の縦線や冷や汗といった漫画由来の表現がなく、設定が社会派のリアル寄りで、派手な戦闘シーンもないため、ゲームの『Detroit Become Human』が最も近いだろう。

したがって、『Detroit Become Human』が好きなら、本作もオススメできる。こういった硬派な内容や、作画の感じ、声優の抑揚を抑えた演技を含めて考えると日本より海外で評価されそうな作品だ。


【人格の同一性とは?】
本作を観るにあたっては、「人は何をもって同じ人といえるのか(人格の同一性)。」を考える必要があるだろう(例えば、クローンは元の人間と同じ人間なのか。クローンに元の人間の記憶を移植すれば元の人間と同じなのかなど)。

人格については、遺伝子が同じ一卵性双生児を生後まもなく別々の養父母の下で育てた事例などによって、遺伝という先天的な要素だけでなく、環境・経験など後天的にもたらされる影響の大きさは知られている。

したがって、人格の同一性にとって(この問題の正解はないと思うが)、その人がもつ個別の環境と経験に関する記憶が無視できないほど重要だとすると、記憶を消去したり、改ざんしたりすることは、記憶の連続性が失われた時点で、その人格の同一性が途切れることを意味する。

別の言い方をすれば、「その記憶の連続性を持った人格は死んだ」といえる(※失われた記憶の時間の長さは、理屈の上では関係ない。例えば、10年間の記憶を失った場合は、失う前と後で別人といえるだろう。自分の10年前と今を比較して同じように考えるか想定してみればわかるだろう。では、どれくらいの期間の記憶が失われていれば、別人といえるのだろうか。「男子、三日会わざれば刮目して見よ。」という三国志の呂蒙の故事成語があるくらいである。)。

また、他人が自分の知らない自分を知っている状況というのは、(思い出の共有ができないので)疎外感を受けやすい。自分の知っている記憶が周囲の状況と違えば、正に「浦島太郎」である。

この辺の話に興味があるなら、オススメ。


【作画、声優について】
本作の作画は、上で書いたように、外国人が理解しにくいとされる漫画由来の表現がなく(8話だけ日本語に特有とされるオノマトペ表現がある)、韓国の漫画に近い印象を受けた。また、声優の演技も抑揚を抑えたリアルに近いもの。

こういった特徴は、私の『チェンソーマン』のレビューでも書いたが、海外受けを意識して作られた可能性があるため、日本人受けはよろしくなさそうである。


【ヒューマノイドの存在理由を考察(ネタバレ有り)】
{netabare}本作の超高度AIが生み出したヒューマノイドは、人間をそのままコピーした不完全な代物。そんな不完全なものを生み出した理由はどのあたりにあるのでしょうか。

端的にいうなら、「人は似ていないと好きになれない」というリサのセリフになるのではないでしょうか。

本作に出てくるロボットは、超人的な能力を持っているので、そこに超高性能AIを搭載すれば、容易に人間を越える知能と能力を持った人間の上位種族といえるようなロボットを作ることができる。
しかし、そうすると、人間は、ロボットが仮に人と同じ外見をしていたとしても、信頼関係がないので、人と似ていない自分の生存を脅かす存在と認識して、ロボットに敵対心を持つことになる。

だから、ヒューマノイドには、人間の不完全さも再現して、人とロボットの信頼関係を醸成するための布石としたのではないでしょうか。

他方で、昔からAIが人間を超えてしまった場合、超高度AIは、生みの親ではあるものの、戦争を繰り返し、自分の生存環境を破壊していく、どうしようもない人間を見捨てるのではないかという議論もあるところです。本作でも、頭のおかしくなったとされるヒューマノイドが同様のことを言っています。、

そこで、超高度AIは、人がロボットとの共生を受け入れることを気長に待つのか、人を切り捨ててロボットだけで文明を先に進めるのか。主人公は、超高度AIからその辺りの判断材料にされているんじゃないでしょうか。{/netabare}


【本作のロボットと人権の関係についての考察(2023.11.28追加)】
もっと本作の人気が出て欲しい(続編が見たい)ので、作者の意図とは異なるかもしれないが、理解されていないと思われるところである「本作のロボットと人権の関係について」考察したいと思う。
※本作には、「人間」、見た目が人と異なる機械の「(産業用)ロボット」、見た目が人と同じ機械の「ヒューマノイド」の3種が存在する。

{netabare}本作のロボットは、人の労働を肩代わりする目的でつくられているため、労働基本権などの人権があるとブラックに扱えず使い勝手が悪くなり、そもそも人権が与えられることが想定されていない(本作の技術継承ロボットは滅茶苦茶火傷していた)。あくまで道具の延長だ。
また、外見や思考が人と類似していることが人権が与えられる上で重要だと思われるが、ロボットは、もっぱら特定の労働しかしないので、それに必要な能力や最低限のコミュニケーション能力があれば足り、必ずしも外見や思考を人間に似せる必要がない(例えば、本作の介護用ロボット)。
したがって、本作のロボットは、人権が与えられないように、あえて人と違うようにつくられていて、そこがヒューマノイドとの決定的な違いといえる(逆を言えば、人権が与えられるように人に似せて創られた存在がヒューマノイドだと推測できる。また、目を見れば人とヒューマノイドを見分けられるようにしたのは、ヒューマノイドの存在を人に認めさせるためだと推測できる。)。

日本人は、アニメなどの影響もありロボットに親近感をもっているため、ロボットに人権を与えることへの抵抗感が薄いのかもしれない(例えば、日本のアニメ『Vivy』では、アンドロイドにあっさり人権を認めているが、海外のゲーム『Detroit Become Human』では、アンドロイドが人権を求める運動を行っている。)。しかし、「人権とは、人が人であることに由来する」ため、本来、人でないものが人権を持つことは想定されていない(例えば、いくら知能が高く感情のある動物であっても人権はない。)。

だから、人でないものに人権が与えられるかどうかは、人が「人と同じ」だと思えるかが重要になってくる。それは、外見、身体能力、知能、感情の機微、共有する文化、お互いの信頼関係といった総合評価で、人と同じだと思えることが必要だろう(もっとも、「人権」と仰々しくいったものの、本作では「人がヒューマノイドを自分たちの仲間だと思える証」くらいの認識でいいかもしれない。)。

そこで、超高度AIは、機械なだけで他はほぼ人間と同じヒューマノイドを手始めに設計したと考えられる。(なお、ヒューマノイドが全人口の1割に抑えられている理由は、ヒューマノイドの割合が多すぎるとヒューマノイドが団結して人間と敵対したときに人間が脅威と感じるし、少なすぎても相互理解が進まないからだろう。これが超高度AIによってコントロールされないと、最悪の場合、両者で戦争状態になる。したがって、司法・立法・行政は、多数決では決定できず超高度AIが担っていると考えられるため、人やヒューマノイドに参政権はないと考えられる。)

つまり、人でないものに人権を与えるという人にとって一番ハードルが高いと思われるところを突破するためだけに創られたのが、本作の「ヒューマノイド」だと考えられる。

本作では、その超高度AIの目論見がある程度達成され、人間と同等の能力を持ったヒューマノイドまで人権が認められた社会とみるべきだろう。
そして、超高度AIは、人と人と同等の能力を持ったヒューマノイドとの共生を緩衝材として、最終的に「人間」と「超人間的能力を持ったヒューマノイド」が共生する社会を目指していると考えられる(この辺は、超高度AIの「自己改修計画」と関係がありそう。例えば、自分が生み出したより高度なAIに自己を改修させて進化し続けるなど。)。

どういうことかというと、アニメ内の文明は現在と大きく変わっていないが、仮に超高度AIが超人的能力を持った人工知性体を誕生させ、その知性体が文明の担い手となれば、地球上の文明自体は加速度的に進歩するだろう(この辺の話は、アニメ内でちょくちょく触れられているし、自分の頭を自己改造したヒューマノイドの話のところでも言及されているので、無関係とは思えない。)。
この人工知性体は、超高度AIによる「人の強制的な進化」ともいえるが、人自体は進化せず取り残されるので、既存の人をどうするかという問題が生じる。ただ、超高度AIは、生みの親である人間をないがしろにしないようプログラムされていると考えられるため、人という種族を保存しようと考えるだろう。

そこで、超高度AIは、「超人間的能力を持ったヒューマノイド」に人権を与えて、人間と共存させようとしていると考えられる。だが、この段階に来ると、人と同等のヒューマノイドという緩衝材を挟んだとしても、人は、自分たちよりずっと強く賢い存在に怯えることなく共存できるのかという問題が新たに生じることになる(アニメでは人と同等のヒューマノイドに対する偏見すら完全になくなっていない。ちなみに、人類の直接の先祖であるホモ・サピエンスは、知性や身体能力においてより優秀であったとされるネアンデルタール人を滅ぼしたらしい…)。結局、「愛(AI)」により両者は分かり合えるということでタイトル回収となるのだろうか?

また、あえて人間と同等のヒューマノイドを創るという手間をかけたことを考えると、人とヒューマノイドの共存が超高度AIが描く理想的な展開と思われる。しかし、他にも、既に停滞している文明の進歩を諦めてこのままの社会を維持する(ただ、人が人のままで進化しないと、いつか文明の発展が止まり衰退し始める)、人の能力に限界を感じ人間の記憶をコピーして全員超人的能力を持ったヒューマノイドに強制進化させるといったパターンも考えられる(記憶の連続性のみが人格の同一性にとって重要だと考えるのであれば、このような強制進化といった方法もありえることになる。)。

さて、どういった展開ないし結末になるのでしょうか。


なお、念のため付言しておきますが、あくまで原作は未読でアニメの内容から私が勝手に考察したことなので、これで確定だとかこれが正しいという趣旨ではありません。こういう風に考えられますよってことです。本作を観るにあたって参考にしてもらえれば幸いです。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4

58.9 5 2023年度の科学アニメランキング5位
はめつのおうこく(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★☆☆ 2.8 (114)
315人が棚に入れました
人類に知恵と安寧をもたらした存在――“魔女”。 しかし、リディア帝国の“超産業革命(ギア・エクスパンション)”は魔法を凌駕する科学文明を生み出し、 魔女は進歩を阻害する“敵”と見做されてしまう。 かくして“魔女狩り”が始まった。 魔女クロエに育てられた人間アドニスは 最愛の師を奪われ、同族である人類への復讐を誓う。 絶望を糧にした修羅は、殺戮の果てにいかなる“救い”を見いだすのか――。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界観とテーマが上手く重なっています。面白くて奥行を感じました。

 科学(新しいもの)と魔法(古いもの)の対比とそれぞれに闇を抱えている。特に科学側のスマホとか大衆の衆愚化とか面白い視点だったと思います。魔法側は伝統重視で頭がアップデートせず、選民思想的なものもあったのでしょうか。それが8話までくらいでしょうか。

 9話の意味性も突然始まったAISFものみたいな展開で驚きましたが、なるほど女性と経済そしてネットポルノのアナロジーですね。

 そして最終の3話。主人公の愛ゆえの復讐劇と復活の阻止、ドロカの愛と救済の物語。全体的な構造は面白かったし、ドロカの魔法の正体と11話の衝撃。女性とは?愛とは?善性とは?という話にもなりそうな感じでした。

 そこで終わってしまったのが中途半端だったし、アイドル女王も含意がたっぷりなので描き切れなかったのは残念ですが、初めの残酷表現のインパクトから始まって、なかなか奥行がある世界観とストーリーだと思います。一つ一つの意味が分かりやすくくみ取れる話になっています。

 残酷表現というのはゴブリンスレイヤー等でもそうですが、作品世界における道徳や倫理水準、キャラの性格描写等々の含意があるものと、単なるエロいものでわけられると思います。本作はその点で復讐、群集心理、支配層や分断による対抗勢力にたいする残虐性などがちゃんとありました。作者はちゃんと考えているなあと思います。

 もちろん、創作意欲として自分の潜在意識にあるリビドーとタナトスの表出もあるでしょう。そのドロドロしたものがまた創作のエネルギーですから、これを否定しては作品は出来ませんし、エンタメの要素としても機能するでしょう。見てもらわないことには伝わりませんから。

 ということで、グロ表現でネガティブな意見はあるのは知っていますが、内容を読み取ると今の世界の分断や女性、SNSなどがテーマになっている出来がいい作品だと思います。
 荒っぽい表現でエピソードとかキャラとかドラマに若干のアラはあるものの、私は面白かったです。というか、ここから先が気になりました。

 評価はオール4点+世界観でストーリーに加点で4.5。ドロカのキャラの使い方の意外性で加点で4.5。音楽はOPはいいんですけどEDがちょっとなあ…それとOPEDアニメはもうちょっと凝って欲しかった…減点で音楽は3.5点とします。






以下 視聴時のレビューです。

2話 魔女狩り、エログロの胸糞だからこそ面白いと感じる自分を見つめる。

{netabare} 大西巷一氏(乙女戦争)久慈光久氏(狼の口)綱島志朗氏(人狼機ウィンガルダ)、アニメでは「海賊王女」など女性を特段に貶める話は多いです。特に魔女と刑罰、火刑のようなものは多いです。藤子F不二雄氏の「タイムパトロールぼん」の拷問シーンは強烈でしたねえ。

 ジャンヌダルクと魔女狩り、中世西洋、日本の江戸時代など女性に対する刑罰の史実というのは、胸糞ですが人気があるテーマですし、私自身眉をひそめながらも、その世界に引き込まれることがあります。(なお、魔女狩りは男性も対象でした)

 こういう創作は、作者の性癖としてのエロ表現の探求というドロドロしたものはありますが、一方でそれが悲惨であればあるほど物語性が増して行くという性質を持っています。人間の本来持っている、暗い方の好奇心や情動を直接刺激される感じです。それだけに現実にあり得ることであり人間の行動原理としてリアリティを持って迫ってきます。
 エロスは当然として、公開処刑や差別が大衆に及ぼしたガス抜き効果や体制への忠誠心の醸成効果を考えれば当然でしょう(スマホが強調されていたのは、この部分のアナロジーですね)。集団心理・群集心理の要素もあるでしょう。それが上にあげた作品群です。女性ではないですが映画「グラディエーター」もありました。

 例えば最近の作品で「回復術師のやり直し」が性的な表現で非難を浴びていましたが、私は「異世界もの」の中ではかなりリアリティをかなり感じましたし「復讐」のモチベーションと人間の本質から物語性を感じました。

 要するに1、2話には引き込まれましたし、胸糞が面白かったです。その要因は残虐性とエロス表現にあるのは認めざるを得ません。その心理が自分の内部にあることを見つめるのが重要なのでしょう。

 本作においては魔女=超能力的な扱いにも通じます。つまり能力がある故の差別問題です。直接的には「アキラ」「エルフェンリート」ような作品との類似性を感じながら、SFとしては「シャーロット」「新世界より」などの要素も垣間見られます。

 人の命の復活なら「鋼の錬金術師」が印象的ですが、要するに禁忌問題が絡むかもしれません。

 あるいは国家の問題も提起しています。「過去の国家の罪」の上に立った国家の国民に対する復讐問題ですね。強制連行(事実には議論がありますが)、ナチス(これはまごうことなき事実)、黒人奴隷問題、海外植民地、中華思想と直接つながります。

 デオドラントされた異世界転生ものやラブコメも面白いですが、こういう人間の暗黒面が見られるエログロもバランスとして見ておいたほうが良いと思っています。刺激の強さが強烈ですから、10対1くらいでいいですけど。

 いろんな可能性を感じる作品ではありますが、いろんな作品の引用から成り立っている感じがあります。それを真似、パクリと言う事もできるでしょう。が、私は最近この作劇法にかなり肯定的です。これだけ創作物が多ければ新しいことはゼロ年代まででやりつくされています。というか失われた30年で原作者にとって、アニメや漫画、ラノベがそのまま作者にとっての「リアル」なのでしょう。現在は過去作がデータベース化されて共有して作られるしかないと思います。{/netabare}


8話 自分を産み出し、愛するものを奪う地獄のような世界への復讐と、愛による救済=隣人愛アガペ―の物語だと思います。

{netabare} ここまで見ると、1人の愛する人のためにあらゆるものに復讐する。つまり、1人か世界かという世界系の逆ですね。逆世界系です。
 愛する人を救うか、世界を救うか、という選択とマインドは似ていますがベ
クトルが違う。世界が救うべき価値が本当にあるのか?

 この愛する人の為をイコール自己愛にすると更に分かりやすいでしょう。師匠が復活を望まないことを誰よりも知っている。だから、そこに意味はない。つまり、師匠のためではなく自分のための復讐です。

 科学と伝統。どちらにしてもいい目に合えなかった犠牲者としての世代論に置き換えると、スマホが頻繁に出てくる意味、文明=資本主義、魔女=ある種の女性と考えると、現代社会のアナロジーでしかないです。すると、どんな人が生きづらくて世界に復讐したいか見えてくると思います。

 この世界にクロエを再びというのはすなわち地獄を味合わせることですから、そりゃあそう言う決断をするでしょう。一方で意思をもち明るく生きていたドロカを選ぶ理由ですね。
 彼女はすなわち世界を救済する象徴である「愛」です。それが男女の愛だけでなく、隣人愛アガペ―に通じるものではないか?もしかしたら自己犠牲による愛に通じて行くのかもしれません。

 この8話まで見る限りでは、現代社会への復讐=逆世界系と愛による救済=アガペ―の物語かなという気がします。

「はめつのおうこく」がひらがななのは、ひょっとしたら日本のことを指しているのでしょうか。要するに究極の疎外感と搾取と蔑みですね。男性の方がのれるマインドかな? {netabare}新しい支配者がアイドル的なのと、魔女=単性生殖だったのが象徴的ですね。{/netabare}オタクVSフェミニズムも入っていると思います。

 結構面白いです。アナロジーを読み取らなくても個人による復讐譚は最近の気分で増えているのかな?それが今の気分なんでしょう。そうそう「チェーンソーマン」と重ねると面白いかもしれません。{/netabare}


9話 突然のSF的寓話回。主人公のキャラブレた?

{netabare} 突然SF的な寓話の回になってちょっと驚きました。作り物の女性がアイドルなのか風俗なのかパパ活なのか2次元コンテンツなのかわかりません。しかし、子供を作らない性行為が国を亡ぼすと言う意味で、やっぱり日本のことですね。

 この話全体が不条理系の舞台設定の上で成り立っていたので、突然キノの旅みたいな話で、しかも分かりやすい内容でした。ただ、ちょっとキャラブレてない?と思わなくはない回でした。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 13
ネタバレ

タイガー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

『やっぱり一緒に行こう!』

魔女弟子の少年の復讐

結構1話から12話まで見逃す所なく夢中に楽しめた

op.edどちらも悲しい感じ。高評価

魔法と科学の発展がぶつかり合うんだけど、何が魔法で何が科学の発展なんかもうわからんwwww

もちろん沢山死ぬし、結構死に様が見えるから苦手な人注意

どのキャラもメインキャラになれそうで好き
でも{netabare}あっさり死ぬw {/netabare}

終盤ゎその方法ゎヤバイ!なんでそれ?っておもう所もあったけど、今季1番続編が気になる!

全員の復讐劇作品

投稿 : 2024/04/27
♥ : 0

66.6 6 2023年度の科学アニメランキング6位
星屑テレパス(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (117)
301人が棚に入れました
女子高生たちが宇宙を目指す“青春ロケットストーリー” まんがタイムきらら(芳文社)で好評連載中の大熊らすこ氏の4コマ漫画「星屑テレパス」は、 人とのコミュニケーションが苦手な女子高生の小ノ星海果は自称宇宙人の明内ユウと出会い、 なんと宇宙を目指す約束をする。そして副学級委員長の宝木遥乃や不登校気味の雷門瞬たちとの出会いの中でロケットを作ることになり── 女子高生たちがロケットを作って宇宙を目指す"青春ロケット"ストーリー!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人はそんなに簡単に変われない。地位で人はそうそう育たない。でもね……

コミュニケーションが苦手過ぎて宇宙人との交流に憧れるようになった高1主人公少女が、
同級生で宇宙人を自称する陽キャのピンク髪少女らと遭遇し、ロケット研究同好会の4人で、モデルロケット製作活動から、宇宙を目指す夢を共に追い掛け始める『まんがタイムきらら』連載中の同名萌え四コマ(未読)の連続アニメ化作品(全12話)


【物語 4.5点】
私が本当にメンタル沈んでいる時は、アニメの青春成長物語すら眩しすぎて直視できなくなります。
最初はウジウジしていた主人公が、シナリオを進める都合もあって、
性格も能力も、トントン拍子で殻を破って好転していく。
それに比べて自分は何て駄目なのだろう?と陰キャをこじらせて面倒臭いことになって行くわけですがw

その点、本作の主人公・小ノ星海果は、ロケットで宇宙に行くとの大望を抱き、
三歩進んで二歩下がったりしながら、ずっと人見知りしてるし、口下手だし。
{netabare} 同好会会長に就任{/netabare} して、グループを牽引すべき立場になってからも、
にわかにリーダーシップを発揮したりしないし、{netabare} スピーチ{/netabare} も空回りして落ち込むし。
やっと一皮剝けたかな?と思ったら{netabare} 発熱して看病されてるし。{/netabare}

人はそんなに簡単に変われないし、地位なんかでそうそう人は育たない。
立派にリーダーしているあの人も、実はスピーチ前、緊張したりしているし、
仲間内ではポンコツだったりするw
急成長できない自分に落ち込む必要など全くない。この包容力に救われます。

ど派手な成果と成長インフレで魅せていくスポ根の華やかさはないけど、
およそ1クールアニメが拾ってくれそうにない、
挫折や、繊細な人間関係とそれに関する悩み、葛藤アルアルなど、
題材にするのが難しい要素にも光を当て表現してくれる。

人間関係の本質的な部分にも踏み込んでいくため、きららだけどシリアス&ギスギスもあったりしますが、
きららならではの優しい空気感というオブラートに包まれているため、
ギリギリ視聴脱落せずに、痛みを共有できる。


以上、ふわふわした感想を並べましたが、この辺りが、
本作から私が感じた、何か安心できて良いの正体だと思います。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・Studio五組

『きんモザ』で勝手知ったるきららアニメ制作。
一見、簡素な構成の画面が多く、高作画カロリーでゴリゴリ押すわけではないのかな?との印象を抱きますが、
本作は特に星空などの背景や、髪の毛などの人物共に、グラデーションが美しく癒やされました。

制作エピソードで凄いと思ったのは、
海果の青&ピンクグラデーションヘアーが、
クラスに配置すると目立って、内気主人公の性格ともマッチしないから、
周りのモブの髪型を青系に色彩設定したりして調整しましたという一件(※)

こうして作画・背景全体で角の立たない柔らかい映像を形成し、
人間関係のアレコレもオブラートに包みこんでいく。
白黒ハッキリした世界では無視される中間色の心の機微も多彩なカラーで捉えていく。

作風にもリンクした胃に優しいアニメーションで、ギスギスしても、もたれずに消化できます。
それでいてモデルロケットの挙動にはリアリティも感じる。

回を追うごとに作画の堅実な仕事ぶりに感銘を受けたので、
初回時の作画3.5点から4.5点に上乗せ。


【キャラ 4.5点】
主人公・小ノ星海果
終始おどおどしている内気な性格だが、
“宇宙人”明内さんと宇宙に行くという夢への情熱など、
芯の部分は力強く、ロケット研究同好会のエンジンとなる。
打算で人を口車に乗せたりしないなど、良い意味で不器用な言動が、
人間不信で引きこもった瞬(またたき)を部屋から引きずり出す。


自称“宇宙人”明内ユウ
ボナヴー♪マティヴー♪などと“宇宙語”で明るく弾けているアホ毛ピンク髪お団子少女。
“おでこパシー”によりデコを介して心を読み、灯台の一室に居住しているなど、
掴みどころがない。
一方で、普段と違う遥乃の些細な言動の変化を察知するなど、
人間の心情を捉えるアホ毛アンテナは伊達じゃない。
終盤は海果と中々の微百合ムードに。

あとは、自称宇宙人ってリアリティの壁にぶつかった時に、
宇宙人だからでゆるふわとかわすことができる便利な設定だなと思いましたw


宝木遥乃(はるの)
クラス副学級委員長で面倒見も良い、所謂イイ人なんだけど、同好会4人の中でも影が薄い。
が、薄い印象も、後半、{netabare} 夢を持ちたくても夢が見つからない、だから私は誰かの夢を応援する{/netabare} という葛藤として伏線回収され納得。
夢が無くたって生きる権利はあるし、輝くことだってできる。
凡百を勇気付ける貴重なキャラです。


雷門瞬(またたき)
同好会のメカニック兼ツッコミ担当。
海果にダメ出ししてひるませるなど、思ったことを口走る直情的な言動で、
宇宙に行きたいというフワッとした夢を、モデルロケット設計のシビアさで具体化し、
現実の冷水を浴びせる、ギスギスの主要発生源。


以上の主要4キャラクターが互いにぶつかり合ったりしながら、
各々の悩みの本当の原因や、自分では思ってもみなかった自分の価値などに向き合っていく。
星は人間関係という宇宙の大海原に出て誰かに観測されることで光り輝く。
互いに引き立て合うキャラ相関もまた美しかったので高評価。


サブではライバルでモデルロケットやリーダーシップに関して海果らの数歩先を行く
竜岡科学技術高の秋月彗(けい)の才能の一等星が無邪気に無自覚に、
六等星を脅かす感じで良好でした。


【声優 4.0点】
主演・小ノ星海果役の船戸 ゆり絵さん。
ちゃんとした滑舌で話すのはモノローグくらい。
会話シーンではドギマギと途切れ途切れになりながらも、一生懸命言葉を紡いで行く。
弱々しいようで核があり周囲を引き付けて行く海果の性格を汲んだ好演。

明内ユウ役の深川 芹亜さん。
みんなの前では炭酸飲料の如くシュワッと爽やか陽気な宇宙人。
海香と二人きりの時はシットリちょっとオトナな微百合成分配合。
大味なようで、シチュエーションに応じて声質を“湿度調整”する器用なアフレコ。

宝木遥乃役の永牟田 萌さん。
名前の付いた役は今回が初めてくらいの新人声優。
でありながら、上記のキャラ立ちさせ辛い深掘り設定を再現する堂々たる演技で片鱗を見せる。

雷門瞬(またたき)役の青木 志貴さん。
言葉はキツイけど、本当は良いやつというキャラクター性を、
口調のトゲの尖り具合を調整して、鬱が泥沼化しないスレスレのラインを通す。


新人1名を除けば、堅実にキャリアを積み上げて来たけれど、
大当たり!と言える当たり役がないまま中堅の域に差し掛かりつつあるキャスト陣が、
培って来た技術で、キャラの二面性をグラデーション表現するいぶし銀の演技で作品を下支え。

人気うなぎ登りの話題の若手も見たいけど、
こういう中堅どころで渋い仕事する声優さんにもどんどん活躍して欲しい。
私の声優欲は貪欲です。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はsakai asuka氏。
平時は得意のエレクトロ・ポップでゆるふわなムードを醸しつつ、
ヤマ場ではピアノとストリングスで心情表現に連れ添ってガツンと盛り上げる好アシスト。

主題歌は声優アーティストで固め終始耳も癒やされる。
OPは伊藤 美来さんの「点と線」
EDは声優ユニット・サンドリオンの2ndシングル「天体図」
いずれも人間関係という大宇宙に勇気を持って飛び出したからこそ得られる煌めきを歌った、
作品の核を捉えた良質なテーマ曲。

終盤、挿入された明内 ユウさんによる全編“宇宙語”歌唱曲「spektro」
(※宇宙語表記では入力できないのでアルファベットでご勘弁をw)
“故郷の”星空に向かってキモチを解読不能な歌詞で綴ったピアノバラードに乗せて唱う姿が、
何だかんだユウが一番宇宙人らしいカット。


【余談】
最後に私も瞬(またたき)を見習って?直情的に余計な毒を吐きます。

きらら20周年を飾った本作を見放題独占配信したFOD。
たかだかフジ一局の映像配信サービスが、外資系を押し退けて天下を取ることなどあり得ません。
目指すべきは宇宙的視野に立った国内系配信サービス大同団結によるグローバル資本への対抗なのではないでしょうか。
チマチマした時限独占配信などやめて、本作も早急に開放して頂きたいです。

一週間限定で各話無料配信したTVer。
フジは見たくないから見ない。FODには加入したくない私にとっては大変有り難かったです。
ですが、相変わらずサーバーは貧弱で、CMを挟むタイミングも空気読めてません。
最近TVCMやYou Tube広告等でよく見かける、なかやまきんに君の「このネタ見飽きてひまぁ~~」のCM。
しつこくて超ムカつきますw
ひま~~とか言ってゴロゴロしている暇があったら、
まともなサーバー接続、固まらないUI実現によるサービス向上に励んで頂きたいです。

以上、うだつの上がらない国内系配信サービスへの愚痴をこぼしました。
お目汚し失礼致しましたm(_ _)m


【参考文献】※「星屑テレパス」のギスギス&シリアスの正体は……!? 大熊らすこ(原作者)×かおり(アニメ版監督)×原作担当編集者スペシャル座談会【まんがタイムきらら20周年記念企画】



【1話感想】見放題配信FOD独占なのでTVer見逃し一週間無料配信で視聴しているきらら系

{netabare}
サブスクにアニメ視聴を依存している身としては、
視聴当落線上に独占配信がちょいちょいあって鬱陶しく感じる2023年秋アニメ。

SF要素がちょっと気になるきらら系の本作もその一つ。
見放題独占しているFODに入りたくない私にとってはTVerだけが命綱。
初回の一週間無料配信終了も10/16(月)に迫っているので検討している方は注意が必要。


本作もまた、“コミュ力”などと言う曖昧模糊としたスキル評価に晒され心を磨り減らす現代人に向けて、
コミュ症の生態を描いて、共感や癒やしを与えるトレンドに乗った一作。

自称宇宙人・明内ユウは本当に宇宙人なのか?
常識的に考えれば記憶喪失少女の戯言だが、
対象とデコ同士をくっつけて意思を汲み取る微百合な交信能力“おでこぱしー”や、
アホ毛で捜索物を探知する“宇宙人レーダー?”を見るに、
ユウが宇宙人と言うのも強ち嘘とも思えない。
“宇宙語辞典”もネタか本気か判然としない。

SF要素がシナリオを牽引する原動力にもなるのでしょうが、
肝心な部分は結局ぼかされて終わりそうな予感も。

それよりもむしろ私は、コミュ力に不安がある登場人物たちが、
クラスの誰とでも仲良くなろうとする世間体を意識したコミュニケーションには真っ向から立ち向かわずに、
夢を宇宙に求める意外な方向性にピントを合わせた方が、深イイ収穫物が得られるのではと感じています。

{netabare} 海果が一生懸命に自己紹介してくれたことにユウが感謝{/netabare} する一コマとか、
結構コミュ論のツボを押さえているなと感心しましたし。

生き辛さを抱えた者たちにとって、本作の宇宙は何を象徴するのか。
秋の夜長に、SF視点と合わせて文学的な観点からも噛み締めたい作品です。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 25
ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

想定外の展開

原作は読んでいない

序盤から中盤はとにかく絵面のかわいさに目が向いて、きらら作品&Studio五組の組み合わせはやっぱりいいなーとか思って見ていた

{netabare}それが、モデルロケット選手権の準備をするあたりから、メンバー間での割と真剣な衝突が始まり、「かわいい」どころではなくなった。この衝突が、リアルでもありそうな衝突の仕方で、アニメの世界から急に現実に引き戻されたようで見ていてけっこうきつかった。「途中脱落」の文字が頭をよぎりながらも、なんとか視聴を続けていたが、こんなに気持ちが冷めてしまっては、もうここからおもしろくなるような巻き返しは期待出来ないだろうと思っていた

ところがどっこい、終盤では、メンバー間の衝突を経て、各キャラが自分や相手の内面を理解し、そこからみんなで新しいスタートを切るという熱い友情の展開になり、完全に想定外だった

きらら作品はかわいさを売りにした作品が多くて、真剣にぶつかるような友情はあんまり描かれないイメージだったが、本作品はその辺をしっかり描いた青春小説っぽい作品だった。キャラクターをもうちょっと一般向けに改変したら、普通に小説で楽しめる作品だと思う{/netabare}

途中の展開に嫌気がさして脱落する人も多そうな作品だけど、最後まで見ないともったいない作品だと思う

投稿 : 2024/04/27
♥ : 0

63.2 7 2023年度の科学アニメランキング7位
SYNDUALITY Noir(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (79)
227人が棚に入れました
浴びれば死に至る猛毒の雨≪ブルーシスト≫。 人類は100年以上の時を経て、克服へと近づいていた。 荒廃した世界に点在する集落≪ネスト≫で 力強く生きる者たちのそばには、人類双対思考型AI搭載ヒューマノイド≪メイガス≫の姿があった。 そして、ある日。 記憶を失ったまま眠りについたメイガスが、目覚めの時を迎えた――

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

荒廃した遠い未来の地上で、人とメイガスの運命は交錯し、物語が動き出す――

この作品は、原作ゲームがあるようですがオリジナル作品として位置付けられているようです。
今年の1月から第2クールの放送が始まるということで、大急ぎで視聴しました。
正確には、5~6話まで視聴したところで止まっていたので、もう一度第1話から見直しました。


時は2242 年―

「新月の涙」と呼ばれる未曾有の大災禍により地下深くへと逃れた人類は
地下都市国家「アメイジア」の崩壊という事件を経て、再び地上で生きる希望を持ち歩みはじめていた。

人々は地上の各地に「ネスト」と呼ばれる集落を形成。
いまだ人類の脅威として地上にはびこる「エンダーズ」と戦い、
ネストの運営に必要なエネルギー資源である「AO 結晶」を採掘する冒険者たちを、
人々は「ドリフター」と呼んでいた。

そんなドリフターたちが集まるネスト「ロックタウン」で、
いつかドリフターになることを夢見る青年「カナタ」は、
ある日凄腕のドリフター「トキオ」と一緒に探索に訪れた
朽ち果てたミュージアムの中で眠る、一体の美しいメイガスを発見する。

謎のメイガス「ノワール」との出会いによって、
運命の物語は少しずつ動き出すことになるのであった―


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走してwikiをチラ見するまで、メインヒロイン?であるノワールの演者さんが、古賀葵さんとは恥ずかしながら全く気付きませんでした。
みっくや石川由依さんは一声聴いて分かったんですけどね~
まだまだ修行が足りないようです^^;

物語は、主人公のカナタがドリフターを夢見る見習いでしたが、技術が伴わず見習いから先に進むことが出来ませんでした。
ところがある日、過去の記憶を失ったノアールと出会い、契約することで飛躍的に操縦技術が向上し、一人前として認められるようになり、物語が動いていきます。

正直現時点では分からないことだらけです。
ノワールが記憶を無くした理由も、戦闘時以外の言動は今一つな理由も…
物語の後半になると、更に謎が深まるので頭の中は「???」という感じです。

確かにノワールは日常生活ではポンコツかもしれませんが、カナタの役に立ちたいという気持ちは人一倍強く、それがきっかけとなり物語がややこしくなりましたが、第2期の視聴を始めてそれが面白さの原動力になっているような気がしてきました。
何にせよ、これからの展開が楽しみで仕方ありません。

続きがあると分かっていると、気持ちも晴れやかになりますよね~^^
勿論、もっと早くに完走していれば年明けにバタバタすることも無かったのですが、こればかりは仕方ありません。
無事追い付いたので結果オーライという事で…

本来メイガスと人とは立ち位置の違う存在です。
メイガスは契約した主のために尽くすことが義務付けられています。
ですが、カナタは人とメイガスを分け隔てなく接するので、この点も今後の展開が楽しみな一つの要素だと思っています。
さぁ、カナタのハートをゲットするのは誰なんでしょうね^^?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、STEREO DIVE FOUNDATIONさんによる「RAYTRACER」
エンディングテーマは、ARCANA PROJECTさんによる「ユリイカ」

1クール全12話の物語でした。
色々と謎は残っていますが、第2期以降でそれらの伏線は回収されるのでしょう。
作品も丁寧に作られており、好感が持てました。
目一杯堪能させて頂きました。
引き続き第2期を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 7

tabasco さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

第二クールが楽しみ!

素直に面白かったです!
時間的な駆け足圧縮感は否めませんが、よく全12話でここまでまとめたと思います。
制作側も相当ジレンマがあったのでは?原案はかなり細かく作り上げていたでしょうからね。
自分的にはシリアスあり、笑いあり、個々のドラマありと、とても楽しめました。メカも登場人物もよくつくられていますし、とても魅力的です。

四六時中シリアスな状況だと精神的にもたないし、恋や遊びを適度に散りばめて日常と戦時のメリハリもうまく付けられていたと思います。
伏線がたくさん出てしまっているので第二クールでどう展開されていくのか楽しみです♪

投稿 : 2024/04/27
♥ : 1
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