色気でトラウマなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの色気でトラウマな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月04日の時点で一番の色気でトラウマなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.4 1 色気でトラウマなアニメランキング1位
その着せ替え人形は恋をする(TVアニメ動画)

2022年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (732)
2473人が棚に入れました
雛人形の顔を作る、「頭師(かしらし)」を目指す男子高校生・五条新菜(わかな)。 真面目で雛人形作りに一途な反面、同世代の流行には疎く、中々クラスに馴染めずにいる。 そんな新菜にとって、いつもクラスの輪の中心にいる人気者・喜多川海夢(まりん)はまるで別世界の住人。 けれどある日、思わぬことをきっかけに、海夢と秘密を共有することになって……!? 決して交わるはずのなかった2人の世界が、動き出す――! 『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)にて連載中・福田晋一による大人気原作を、CloverWorksが待望のアニメ化! 豪華スタッフが贈る、コスキュン? ストーリー!
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

メタモる者は幸いである。天国は彼らのものなればなり。

もうずいぶん前にアメリカに住む友人から聞いた話なので、
いまはひょっとしたら事情が変わっているかもしれないけれど、
アチラの方々はコスプレをするに際して
  『自分のなりたいキャラになって楽しむ』
という信念をお持ちの方が、かなり多数おられるようであります。

大きなイベント会場に足を運ぶと、
ビヤ樽みたいなおなかを突き出したキラ・ヤマトなんか可愛い方で、
ケツあご筋肉もりもりのおっさんがセ-ラ-ムーンのコスをして、
嬉しそうに『OSHIOKI YO!』とか叫んでポ-ズとってるとか。
いやもう、サバトっすよマジで、心から嫌そうにその友人が言ってました。

  最近は日本でもそういう方がおられるようで、
  まあ、やりたいようにやればいいと思うのですが、
  いやはや、なんだかなであります。

ちなみに、若い頃からいろいろやらかしているワタクシではありますが、
コスプレは経験ありません。
やれと言われたらたいがいのことはやる性格なので、機会がなかっただけですが。

その代わりと言っちゃなんですが、女装は十代後半のときに経験あります。
ただまあ、正直、作品にまるっきり関係ない話なので、
ネタバレで隠しときますね(開く必要ありません、マジで)
{netabare}
男女六人ぐらいで宅飲みしているときに、
部屋主の女の子が「フリは女装したら絶対かわいくなる」と言い出し、
じゃあまあやってみましょうか、みたいなノリになりまして。

  出来の方は、なんと言うかその……
  シャレにならなかったというか、
  『リアルことりちゃん』みたいになっちゃいました。

自分が『女の子顔』をしていることは薄々気づいていたんですが、
(小学校卒業するまで時々女の子に間違われてた)
いやまさか『かわいこちゃん』になるとは……
笑いをとるはずが、怪しげなチェキ会みたいな空気になってしまい、
ノリノリでポ-ズをとってみたり、翌朝、酔いがさめて恥ずか死んだり。

もちろん、それで何かに目覚めることもなく、
いたって平穏かつノーマルに今日を迎えております。
てか、僕のタッパ(180)で女装癖あったらアウトではないかと。
{/netabare}

マクラが長くなってしまいました(自分語りが多い男ってやだわ)。
さて、本作はそんなメタモルフォーゼ、コスプレを題材にした、
ウンチクありいのお色気ありいのといった、ラブコメであります。

人づきあいが苦手なジミ夫くんがクラスのリア充花形女子に引っ張られ、
という感じの作品はかなりたくさんありますが、
この作品はそのなかでも出色のできばえではなかろうかと。

  なんと言っても引っ張られるきっかけが
  『お裁縫の技術目当て』
  というのが、わかりやすくて良き。

コスプレがしたくてたまならいけど自分も周囲にも裁縫力がないヒロインが、
ひな人形職人見習で縫製技術のある同級生(新菜=わかな)と知り合い、
コス衣装をお願いして作ってもらう、というのが物語の骨子であります。
{netabare}
ひな人形が好き、という自分の嗜好を恥ずかしく思っていた新菜が、
そのことをあたりまえのように認めてくれたヒロインに感動し、
彼女の『好き』を叶えてあげたくて奮闘するうち、
自分もコスプレの楽しさにハマりだし、
共同作業を重ねるうちに二人の距離も縮まっていく、という展開ですね。

  この『二人の距離の縮まり方』も、
  なかなか繊細で良き。

新菜には、恋愛感情だの下心だのはありません。
自分の『好き』を初めて認めてくれた『いい人』のお役に立ちたくて、
一所懸命にやっているだけ。
(えっちな夢や妄想はあるけれど、そこは若い男の子だからお目こぼし)

最初に恋愛感情を抱くのはヒロイン、海夢(まりん)の方です。

ただし、最初はほんとに、クラスメイトに無理なお願いをしてるだけ。
 ・参考に渡したエロゲーを真剣に、最後までプレイしてくれた。
 ・めちゃくちゃ細かい三面図を作り、買い物にも付き合ってくれた。
 ・軽く言った言葉を真に受け、寝る時間も削って衣装を作ってくれた。
 ・その衣装が素晴らしい出来で、夢が叶った。
なんてことがあっても、気持ちは『感謝』『いい友だち』のままなんです。
ほんと、全12話のうち5話の終わりまでそんな感じ。

まりんって見かけは「学校にそんなパンツ穿いてくんなよ」的バカ女なんですが、
このあたりの身持ちの堅さ、良きです。
ちょい助けられたとか秘密を守ってくれたとかでホイホイ惚れてしまう、
そのへんのご都合ラブコメヒロインとは一線を画しています。

……が、

新菜が大切にしていた『きれい』という言葉を自分に向けてくれた途端、
彼を異性として意識し始め、
それまでの感謝や友情だった気持ちのベクトルが一斉に恋愛感情へと方向転換することになります。

この『身持ちの堅さ』と『チョロさ』の同居が、実にリアルで良き。
てか、いかにも女の子っぽい。
体温の感じられる、いいキャラクター設定ですよね。

  ただ、ですね……実をいうと新菜くん、
  ウィッグ屋のスワローテイルを訪れたとき、
  わりと簡単に『きれい』とか心の中で思っちゃってるんですよね。

  脚本家は同じ人だから、ミスではなく確信的な演出として。

  だからまあ、それほど深刻に『重い』言葉でもないわけなんですが
  そこはほら、モノローグだから、まりんにわかるわけもなく。
{/netabare}

ちなみにこの作品、メインとなる登場人物は、
主人公の新菜とヒロインのまりん、
そして先輩コスプレイヤーのジュジュと妹で撮影担当の心寿(しんじゅ)の四人のみ。
新菜の師匠であるおじいちゃんとかも出てくるものの、
あくまでも物語を成り立たせるためのサブキャラなんですね。
(いやあ、音響費が安くあがって制作大助かり)

そのジュジュと心寿が登場するのも六話以降。

それまでの丸々五話、ほとんど100分を費やして、
若菜とまりんの人間性やコスプレ、衣装づくりに関する蘊蓄が、
けっこうえっちなイベントやギャグを織り込みながら楽しく語られていきます。

   へえ、コスプレイヤーさんってこんなふうに衣装作ってるんだ、
   そういうニッチな知識が得られるのも良き。

お話的には、六話にジュジュと心寿が登場してきてからは、
さらに深いコスプレのウンチクと写真ウンチクなんかも散りばめられて、
見る人を飽きさせない作りになっています。

  さすがにネタが尽きてきたのか、
  十一話以降はふつうのラブコメに落ち着いてきた感があり、
  もしも二期があるんならどうやって引っ張るんだろうといらん心配もしてみたり。



おすすめ度としては、お気軽ラブコメとして堂々のAランクです。

なんと言っても『大真面目にコスプレをやっている』というのが好感度大。
妄想ラブコメのモチ-フとしてコスプレを拝借するのではなく、
コスプレが主軸で、ラブ要素はそこから二次的に派生しているんですよね。
はあ? コスプレって何なん?
という方にも是非ご覧いただきたい、楽しい作品です。

惚れ要素のないダメ夫に美少女がいきなり寄ってきてキャッキャウフフ、
という『妄想アニメ』に辟易している方も、
この作品ならば、ある程度は納得していただけるのでは。

そもそも新菜くんって、実は『ダメ夫』じゃないんですよね。
性格は確かに地味で内向寄りですが、
『高身長』『明確な夢をもって努力』『真面目で誠実』と、
なにげに高スペックだし、顔も悪くないし。
ゲ-オタと違い、将来設計もきちんとしている優良物件ではないかと。

ヒロインのまりんも、見てくれはバカ女っぽいアレですし、
エロゲ好きだの読モだの既視感ばりばりな設定もナニなんですが、
中身の方は『さばさばしてて、行動力のあるヲタク』に過ぎません。
料理・裁縫などはポンコツですが、
家の中は一人できちんと片づけてますし、女子力がないこともなし。
{netabare}
  ツ-ショットでのエロゲト-クやラブホはOK、
  同じくツ-ショット、しかも室内できわどい水着や衣装、ノーブラもOK。
  全身のサイズをくまなく知られるのもOK。

  いやあんた痴女でしょと思いきや、下着見られるのは恥ずかしいとか、
  破天荒な線の引き方も、一周回って個性としてアリかな、と。

  ナウシカ的な高度清廉性を求める方には無理っぽいけれど、
  一般的には「いやあいつバカだから」の一言でたいてい済まされる、
  わりとどこにでもいる『親近感の持てる女の子』設計なんですよね。
{/netabare}

ジュジュ姉妹、ロりっ子と巨乳美少女も登場しますが、
二人ともオトコよりコスプレ、という『狭い方々』ですので、
変なハ-レム展開にならず、安心して見ていられます。


映像も、時々乱れるものの、全体的にはかなり良き。
ヒロインのまりんのキャラデ、斬新です。
下品と感じる方がいるかもですが、こういう思い切り、大切ですよね。

  ボディラインだの襟足だの、
  オトコゴコロをくすぐりたいところはしっかりくっきり。
  アニメ-タ-さん、魂込めてます。
  かと思えばひな人形の顔がものすごく精緻に描かれていたり、
  要所要所をきっちり締めて、物語に芯を通しています。


お芝居についても、
キャリアの少ない役者さんが多いのに及第点。
みんながんばってます。

  新菜役の石毛翔也さんは、ゴジラSP以来、ほぼ二本目の主演作。
  ただし、劇団四季出身でいまは鈴村さんの事務所に所属するなど、実力は充分の方。
  事務所移ってから確実にお仕事増えているみたいだし、
  スターダスト離れたのは正解だったような。

  まりん役の直田姫奈さんは、アニメではこれが初主演ですよね。
  バカっぽいのびのびした演技が印象的でした。
  ただ『静』の部分の表現は若干の改善余地があるような。
  これからいい役を引ければ、化ける可能性があると思います。
  芸を磨きたいなら、バンドリと縁を切った方がいいんじゃないかしら。

  心寿役の羊宮妃那さんは、セレプロ以来、二本目の主演。
  青二ジュニア所属、期待の若手さんですね。
  上田麗奈さん同様の、ブレス多めのウィスパーボイスが印象的。
  表現力はまだまだ上田さんに遠く及びませんが、
  この基礎声質は需要が多く、研鑽を積めば、重宝されると思います。

  ジュジュ役の種﨑敦美さんは、この中では『別格』かなと。

  あと、劇中劇の『フラワープリンセス烈!!』で、
  桑島さんと宍戸さんという『時代に合わせた』キャスティングに拍手。
  画面アスペクトも4:3だし、いやあ、芸が細かい。


音楽は、劇伴・OPは楽しくて、世界観にも合っていて問題なし。
EDはちょっと甘々に振りすぎたかな、と。
演出もいささか『狙い過ぎ』と感じられたので、評価がちょい低めです。
ベタ甘にしない方が、作品に芯が通ったと思うんだけど、
まあ、そこはあくまでも好き好きの話で、良し悪しではありません。


ちなみに本作の原作マンガって、
えっちいシーンがやや多めで基本は男性向けかなと思いきや、
女性ファンが三割もいて、さらに増え気味なんですってね。日販調べ。

  もちろん『服飾』がメインモチ-フというのもあるでしょうが、
  決してそれだけではなく、
  やっぱ『共感できる人物造形』ができていることがミソなのでは。

  以前レディコミの編集者さんに教えてもらったのですが、
  女の子にだって性欲も好奇心もあるし、どきどきもしてみたい。
  だけどそこに至るには、結果だけを求めるオトコと違い、
  ちゃんとした『プロセス』と『理由』、
  つまり『エクスキューズ』が必要なわけであります。

  この作品は、そこをしっかり押さえています。
  だから「はあ? このオンナなに発情してんの」的評価にならず、
  一緒にどきどきしたりゲラゲラ笑ったりできるわけで。
  (この辺、さすが原作者が女性だなあ、と)

そんなわけで、本作は性別問わず誰にでもお勧めできる逸品であります。
いささかお下品な部分がないこともないですが、
そこも含めて実に楽しい、お気楽に見て笑える仕上がりになっております。

  ラブコメという名のオタ妄想に食傷気味なあなた、
  コスプレという名のあやしい趣味に懐疑的なあなた、
  洋裁の実習や宿題にトラウマをお持ちのあなた、

  そんな方にもご覧いただきたい、素敵な娯楽作品なのでありますよ。


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ええと、ここからは本編に関係ない洋裁のウンチクをば。

作品では、ひな人形の衣装づくりをしている新菜くんが、
ドレスみたいな制服を仕上げますが、
和装と洋装では縫製技術が根本的に違うんですよね。

リアルに考えると『ムリ』『できたら奇跡』みたいなものなんですが、
そこはほら、アニメだからできちゃうわけで。
それにしても新菜くん、ほんとよくがんばった。

で、何がどう違って難しいのかを、簡単に解説してみようかな、と。
本編にはあまり関係ないのでネタバレで隠しておきますね。
ほんとムダ知識なので、興味のある方だけ、どうぞ。
{netabare}

 和服って、畳んだらぺたんと平面になるけれど、ドレスはなりませんよね。
 (だからハンガーで吊るすわけですが)
 これは、服そのものが立体的になるよう縫われているからなんです。

 具体的には『いせ込み』という技術。
 (ギャザーやタックについては、ややこしくなるから除外します)
 わかりやすく言うと、
 長さ10㎝の布Aと9㎝の布Bを、
 始めと終わりがぴったり合うようにAを押し込みながら縫う技法です。

 これ、ひきつらないよう縫うのは初心者レベルだとかなり大変です。
 この技法というか、概念そのものが和裁にはありませんから、
 新菜くん、縫い合わせるだけでも相当苦労したことと思います。

 そして、ただ縫うだけでも難しいのに、
 その何倍も難しいのが、縫う前のパ-ツ、パターン(型紙)の作成です。

 世間では『立体裁断』なんて言葉が使われていますが、
 平面である布地を立体的に切ることなんか、もちろんできません。
 要するに『縫い合わせたときにきれいな立体になる』よう、
 各パ-ツのいせ込む量を計算して型紙を起こし、裁断することなんです。

 単純なタイトスカートでさえ、狙ったシルエットを出すためには
 プロのパタンナーでも、何度も別布で仮縫いを繰り返して調整します。
 ドレスというのはその何倍もパ-ツ数が多く、
 おまけに分量感の強弱が極端でシルエットも複雑なため、
 初めて手掛けるパターン作成がドレスって、ほとんど死亡フラグなんですよね。

 もう一つ、和装と洋装が決定的に違うのが『地の目』の概念です。

 布地というのは基本的に縦糸と横糸で織り込まれているのですが、
 これがどの部分でどの方向に走っているかによって、
 身体を入れたときにできるドレープ(布の自然なたわみ)が全く変わってきます。

 和裁は基本的に『使う布地量を最小にする』よう各パ-ツを切り出しますが、
 洋裁、特にドレスなどエレガントさが求められるものは、
 いかに自然で優雅なドレープを作るかを考えてパ-ツを切り出します。
 (求められるレベルによって、パ-ツの数も布の用尺も全然変わります)

 他にもクセ取りアイロンによる繊維の調整技術など、
 細かい違いを言い出したらキリがありません。
 要するに、そういうことをまるで知らない和装職人の新菜くんが、
 まともな道具も教えてくれる先生もなく、
 素人向けの本を一冊読んだだけでああいうドレスを作るっていうのは、

          かなりの『無理ゲー』なんです。

 特に最初のドレスは、
 トルソー(胴体だけのマネキン)もないから
 シ-チング(別布による仮縫い・型紙チェック)もできないわけで、
 それであんな難しいもんよく作ったなあ、と。
 まあ、そこは正直、アニメだからとしか言いようがなく。

   ちなみに『明日ちゃん』のお母さんによるセ-ラ-服作り、
   かなり正確な描写になっていました。
   洋裁慣れした人でも、ああしないと作れないんですよ、ほんとは。
   (気になる人は一話Aパ-トをチェック)


 もちろん、どこまでいってもコスプレ衣装。
 あくまでも趣味の範疇なわけですから、
 なにをもって『よし』とするかは人それぞれなわけです。

 僕が言ってるのは『製品レベル』の話であって、
 個人が作って個人が楽しむだけなら、極論、何だっていいわけで。

 本編でジュジュが出来栄えにほれ込んだという設定だから、
 『ある程度以上の出来だった』ということで、
 いやそれは洋裁初心者さんには難しいですよ、というお話に過ぎません。


 たださあ……

   お金を取って売ってる出来合いのコスプレ衣装って、
   正直「なにこれ?」ってレベルのものが多いんですよね。
   袖がペンギンとかフラップがひきつってるとか、マジありえない。

   個人が趣味で作るものと、
   企業が製品として市場に出すものは、
   やっぱ明確な違いが必要なのではと思うワタクシでありました。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 35
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ギャルの定義は、「己を貫く生き様」 byマツコの知らない世界

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
純粋なラブコメでここまで面白いのは久しぶりですね。

ギャル系のヒロインは苦手なのですが、喜多川さんは、ギャル系のヒロインの中では、過去作で一番好きになりました。1800作品以上観てきて、記録更新です(笑)

そういうこともあり、久々にアニメを心から楽しめたので、「青ブタ」以来のお気に入り棚にinです♪ 当然、今期の覇権ですね♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
レビュタイですが、「マツコの知らない世界」という番組に、伝説のギャル雑誌『egg』を復活させた、ギャルのカリスマみたいな方が出ていて、「白ギャル」「黒ギャル」「清楚系ギャル」等紹介し、マツコさんが「今のギャルって幅広いのね」と言い、「ていうか、マツコもギャルだよ。ギャルって、周りが何を言っても、自分の好きなファッションとか生き方を貫いている人のことだから」という趣旨の発言をしていて、マツコさん(も私も)「なるほど」と腑に落ちていたことからとりました。

作者がそういう定義を知っていたかは分かりませんが、本作の作風とヒロインの設定がバチっと合っていて、それだけでも素敵なアニメだと思いました。

本作は、ラブとコメディのバランスがすごく良かったのが印象的です。

恋愛面では、「好きになる過程」がしっかり描写されていて、これは女性作家っぽいな~と感じました。男性作家の場合、「好かれる過程」を描いてる感じがしますし、なんなら「好かれた後」「どんな風に愛着表現されるか」がメインで描かれることが多いと思います。一方、少女漫画とかは、ちゃんと尺とって、納得感のある「好き」が生まれます。

特にそれを感じたのは、4話。池袋コスイベ前、喜多川さんの為に自分を追い詰めて衣装を作ったが、「実は焦らなくても良かった」と分かった時、全く怒らず、喜多川さんを責めず、即座に「良かった~」と言って安心した五条くん。彼の人柄、優しさがうまく表現され、ああいうところから好きになっていくのはとても自然だし、女性らしい視点だと思いました(そういう「さりげない素敵シーン」が随所にあったのが凄い)。

2人は全く真逆に見えて、「好きなものをちゃんと好き」で共通しているし、何より、他人の好きを否定せず、先入観を持たずに、相手の好きに興味を持つ。とても素敵な関係だし、2人が次第に惹かれ合っているのが納得できた。

一度好きになると、何でも好意的に捉えられ、「お祖父ちゃんとならめっちゃしゃべるじゃん、可愛い」とかは、ホント、男にはない発想だよなと感心した。

そして、恋愛が深まりそうになると、、、鮮やかにコメディでかわす。

しゅきーー!は、笑ったな~(笑) あれが似合い、ちゃんと萌えに繋がるのは喜多川さんだけな気がします。

凄く質の高いコメディを積み重ねてきただけに、ラストをシンプルな青春恋愛モノにし、美しい花火をしっかり魅せる演出が効いたのだと思いました。

基本、ラブコメはキャラが良ければストーリーは並でも良い、というのが私の持論です。私はとにかく、喜多川さんも五条くんもとても好きです!

今年のスタートで、お気に入り作品に出会えたことに感謝!
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
人形職人の話? 凄いところに目をつけるな。岩槻、埼玉県にある人形の町なんだね。ごめん、痛くなかった?(笑) ラブコメ、良いね。どんなタイトルだよ(笑)

2話目 ☆4
初心者に凌辱系のエロゲを薦めるなや(笑) なんかこう、良いカップルだな(笑) 普通のラブコメ、楽しいな~。水着と下着は違わない(笑) 流石に恥ずかしい(笑) お祖父ちゃん、衝撃(笑)

3話目 ☆5
エロをちゃんとギャグに昇華しているのが良いですね。影から光へ手を引く。池袋駅前にこんな店あるのか。まあ、乙女ロード出来たしな。原作理解度(笑) バイトで金ためたとか、小さな好感度積み重ねるよな。既製品やプロに任せるところは任せる五条、それに素直に言うこと聞く北川さんも、んで、ラーメン食って帰るあたり、共に好感度高い。メトロポリタン口近くの地下通路w お互い、本音の言い合い。

4話目 ☆4
忙しいな~。キャパオーバーする経験も大事。俺も初めてそこで、人に頼ること覚えたし。人間、自分の為だけなら、100%までしか頑張れないしね。そこで他人を責めないのが、優しい人間。こういうのから惚れていくのは、説得力あるよな。その笑顔で、全て報われる。

5話目 ☆4
サンシャインのとこだよな。コスプレの世界は分からないけど、撮りたい人と撮られたい人の要求がばっちり合うわけだな。五条君が好きになる過程も良いよな。からの、「服脱げそう」(笑) 熱中症対策もエロくなる(笑)

6話目 ☆5
不意打ちにより、北川さん、惚れてまうやろ~(笑) からの、揺さぶり笑えない。シュキー(笑) からの女子力のなさ(笑) 「お祖父ちゃんとならめっちゃしゃべるじゃん、可愛い」の発想はないやな。やっぱこれ、原作者、女性? ライバルかな? そこでツルツル思い出すなや(笑) 所々の赤べこが良い(笑) そこで北川さん呼ぶのが五条くんの良さだよな~。ジュジュも良いキャラしてるな(笑)

7話目 ☆4
ちゃんと本業に跳ね返ってるの良いね。カラコンを気にする乙女心(笑) 幻滅してる(笑) こぼしてるのがリアル(笑) まあ、チキンライスまでは誰作ってもそこそこ旨いしな。そして、チャーハンだった(笑) 中学生で178cmは、スポーツ界も注目なんだけどな。

8話目 ☆4
真珠ちゃん、これまでいない、真っ直ぐなピュアキャラか? ちょい闇キャラか? ジュジュ様、いつもストレートだな。一目惚れ、大事だよな。ジュジュ様、ウブ(笑) え? え?(笑) 五条の世界が広がっていく、北川さんの行動力。超ワカメ(笑) そこでギャップの縞パンとかにしないで、黒レースなのが逆に良い。波の作画も頑張ってる。北川さん、勇気出したな~。

9話目 ☆3
水着をみて、色々あった(笑) 見せブラとの違いは、未だによく分からん(笑) そうか、中学生だったな(笑) そうでもない(笑)

10話目 ☆5
姉としての、正しい素敵な対応。好きになるポイントが、妹を大切にしてくれたから。本当は誰にでも色々ある。ホント、その通りだよな。焼きもち焼く北川さん可愛い(笑) 行動力!(笑) 男のロマン(笑) 健康的な下乳を見ると、健康的になれる(笑) 全部大好き過ぎる(笑) 恋は盲目(笑) めっちゃ普通にデートしてるな(笑) 北川さん、嬉しそう(笑) 

11話目 ☆5
シンプルに自分を認めてくれ、自分の可能性を広げてくれ、自分の背中を押してくれる。ちゃんと好きになる過程を見せた直後の、コメディのバランス。そこで、電マに反応するんだ、五条くんも(笑) ゴリゴリのノリツッコミ(笑) ナイスなボケとツッコミ(笑) あれだけ押しといて、乗っかるのが恥ずかしいとか、声出たのが恥ずかしいとか、この辺、北川さんだよな(笑)

12話目 ☆5
最終話は。あえてギャグを廃して作画に力入れ、恋愛面、青春面をフォーカスか。意図は分かるから、アリかな。花火綺麗だったし。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 47
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

五条と海夢の凸凹コンビが絶妙で「コスプレ」も面白く魅せていた

【レビューNo.98】(初回登録:2023/12/10)
コミック原作の2022年作品。全12話。
リアタイで視聴してましたがこれも2期決定分ということで、2期に備えてレビュー
しておこうかなっと.

(ストーリー)
祖父の家が雛人形屋で、幼い頃から雛人形の頭師を目指す高校1年生・五条新菜は、
男子ながら雛人形が好きという趣味のためか、小学校からずっと友達がおらず、
ひたすら雛人形と向き合う毎日だった。
そんな五条の秘密の趣味を、クラスの喜多川海夢に知られてしまう。彼女はスクー
ルカースト上位に位置し、五条とは真逆の存在。しかし彼女は
・そんな五条の趣味を素直に肯定。(彼は初めて他人に認められた)
・彼女も実は重度のオタクでコスプレに挑戦中。でも衣装を作れる技量がなく行き
 詰っていた。
そして五条に衣装を作れる技量があることを知ると、「私のコスプレ衣装を作って
欲しい」とお願いしてくるのだった。
(五条は(人の着る衣装を作った経験はないが)雛人形の衣装作りで技術を磨いて
 いた)
突然の展開に戸惑いつつも、五条は海夢の依頼を了承。
こうして凸凹コンビによるコスプレ衣装制作が始まるのだった。

(評 価)
・五条と海夢の凸凹コンビが絶妙
 {netabare}・本作の魅力はやはりヒロイン・喜多川海夢の存在でしょう。
  (ギャル全開なところは好みが分かれそうですが)
  ・美人でスタイル抜群(しかもいろいろとエロいw)
  ・陽キャで皆の人気者。それでいてそれを鼻にかけることなく、五条のような
   陰キャにも分け隔てなく接してくれる。
  ・好きなことには正直で行動力もある。そして重度のオタク。
   (なので他人のオタク度にも理解がある)
  ・それでいて大雑把さや思い付きで軽率な行動を取ってしまうなど、愛すべき
   短所も兼ね備えているw
  と、ある意味「オタク男子の理想」を全て具現化したようなキャラ造形です。
  しかし個人的には、彼女の魅力の本質はそこではない。
  「相手に対し(一人の人間として尊重し)しっかり向き合っている」
  なんというか彼女をみてると、相手に対する親愛や敬意といった人間関係構築
  の本質的な部分がさりげなく描写されてるなあって感じるんですよ。
  これってある意味、原作者さんの人柄や卓越したセンスなんだろうなっと。
  ここにクローバーワークスのレベルの高い作画や「ギャル全開」の直田姫奈さ
  んの熱演も加わり「動いている喜多川海夢」はかなり魅力的です。
 ・一方の五条ですが、主人公ながらもどちらかといえば「動の海夢」をしっかり
  支えるサポート役的な(「静」の)描写が多いという印象ですね。
  ・自己評価が低く、引っ込み思案で自己主張も苦手。でも内にちゃんと秘めた
   るものを持っている。
  ・相手に対し真面目で優しく真摯に対応。そして細やかな気配り。
  ・コスプレという未知の分野にも研究熱心。加えて随所に垣間見れる職人気質。
  ・そして海夢のボケに対する完璧なツッコミw
  この正反対のキャラが絶妙に噛み合って、相乗効果を生み出している様は本当
  に素晴らしい。
 ・物語の構図としては
  ・陰キャのオタク男子のもとに突然ギャル天使が舞い降りた!
   → 自分の世界に閉じこもっていた五条の扉を海夢が開いてくれた
   という感じではあるのですが、むしろ1期では
  ・オタクギャルの夢を叶えてくれる王子様が現れた!
   → 海夢が輝くために五条が最強のサポート
   という色合いの方が強いかも。
  お互いにとって相手がきちんと意義のある存在になっている点が、観ていて微
  笑ましい関係性だなっと。{/netabare}
  
・「コスプレ」もちゃんと面白い
 {netabare}作品の題材となっている「コスプレ」もちゃんと面白く魅せてくれてるなっと。
 ・1-5話が最初のコスプレ衣装作成になるのですが、
  ・採寸
  ・図面起こし(三面図)
  ・素材選び
  ・縫製(はちょっと物足りなかったが)
  ・メイク
  ・初めての試着
  ・初めてのイベント参加
  までを意外と丁寧に時にはコミカルにエッチに、そしてトラブル発生の描写に
  加え、2人の関係性が構築されていく様を交えながら(見直してみたら思わず
  一気してしまう位に)面白く仕上がっているなっと。
 ・6話以降は「ジュジュ様」こと乾紗寿叶と妹でカメラマンの心寿が登場。
  ・「ジュジュ様」のコスプレ衣装作成
  ・コス併せ
  ・本格的な写真撮影
  等また新たなコスプレの魅力を紹介しつつ、新キャラとの関係構築を描きなが
  らストーリー展開に幅を出していくという感じですね。
 ・コスプレ=「究極のキャラ愛」という、オタクのこだわり的なことを語りつつ
  もあまりオタク道に寄り過ぎることもなく、一般ウケする範疇に上手くまとめ
  ている点もやはり原作者の技量の高さを感じますね。{/netabare}
   
・「ラブ」「コメ」「エロ」を上手く描き、テンポもいい
 {netabare}・「ラブ」については明確に恋心が芽生えた描写があるのは海夢だけですが、紗
  寿叶も五条とのやりとりで何か思うところがあるようで・・・
  この辺りの流れもご都合主義ではなく、丁寧かつ自然な感じで上手く描写され
  ているのかなっと。
  また五条はそういうことに疎いのか明確な恋心の描写はありませんが、海夢と
  の2人のシーンは「青春しててエモいなあ」って心に刺さるものがありますね。
 ・「エロ」は結構ぶっ込んできますwでも大体は「コメ」で落とすという形で上
  手く処理されるので、この辺も媚びた作品に成り下がらずにきちんと仕上げて
  いるなという印象ですね。
 ・実はかなりコメディ色の強い作品ですね。そしてこのコメディが非常にテンポ
  がよく、それが作品の面白さや視聴しやすさに繋がっているという印象ですね。{/netabare}

「『コスプレ』を題材にしたラブコメ」ということで、「どんな作品なんや?!」
って感じでしたが、
・丁寧な人物描写やテンポのよいラブコメ展開など基本事項はしっかり押さえつつ
・コスプレの面白さも一般ウケするレベルに上手く調整して乗せてきている
という非常にバランスの取れた作品だったかなと思います。
随所に原作者のセンスのよさを垣間見ることができたかなっと。
そしてクローバーワークスの作画のレべルも高く、作品の魅力を十分に引き出して
いたと高評価ですし。

2期制作も決定しており非常に楽しみですが、ただ「コスプレ」の部分は今後どうみ
せていくのかなっと。
1期で結構やり切った感もあるのでどう上積みしていくんだろうと。
(大きなイベント、新キャラ、ハロウィンで五条もコス挑戦とか?)
まあラブコメ展開はこの先が非常に気になりますし、五条の(人間的な)成長物語
にも伸びしろが十分あるので、作品全体としては期待大ですが。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29

82.7 2 色気でトラウマなアニメランキング2位
グリザイアの果実(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1856)
11088人が棚に入れました
──その学園は、少女達の果樹園だった。
外敵から隔離された学園にやってきたのは、生きる目的をなくした一人の少年。
守るべき物を見失い、後悔と贖罪のみに費やされる人生の中で、
その少年に残されたのは首に繋がれた太い鎖と、野良犬にも劣る安い命。
そして少年は、その学園で少女達と出会い、新たな希望を見つけ出す。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、田中涼子、田口宏子、水橋かおり、たみやすともえ、清水愛、やなせなつみ、鳴海エリカ
ネタバレ

北山カオル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

待ってましたぁ!

原作プレイしてる時からずっとアニメ化しないかなぁと待っていた作品でした。
恋愛ゲームの中でも特に好きな作品なので期待大です(≧ω≦)
どう構成していくのか分かりませんが、アマガミやフォトカノみたいに全ルート観てみたいとは思うけど特に幸ルートか由美子ルートを観てみたいです。
あと天音ルートも。
個人的な注目する点は蒔菜と幸のコンビの絡みが楽しみです(*`・ω・)ゞ
前半の雄二の濃いキャラと周りのヒロインの掛け合い、後半のグリカジ独特のシリアスな展開どれも他にはない感じです。

このストーリーの主題は罪と贖罪です
主人公の通う学園、美浜学園は生徒が主人公風見雄二を含め6人。
しかも、 そこに 通う生徒は共通して過去に決して許されることのない罪を犯しているという何とも不思議な学園。
例えば生き残ってしまった罪
逆らった罪
生まれてきた罪など…
そんな所に雄二たっての願い「普通の高校生活を送りたい」という願いを学園長の橘千鶴が聞き入れて通うことになる。
ここまで見ると鬱要素満載そうですが序盤はギャグ要素多めだし、ヒロインとのハッビーエンドはどれも感動です。

1話感想
{netabare} 一話目から結構な伏線が色々あり、後がとても楽しみ。
雄二役の櫻井さんはとても難しいキャラをイメージとぴったりに演じてくてたので安心して観れました。
BGMは原作と同じだったので違和感なく観れた。
蒔菜の舌っ足らずな喋り方やみちるのツンデレ?は原作のまま再現されてたので満足です。あと雄二の肉体美が観れてよかったw
2話目 スクールキラー由美子楽しみです!
{/netabare}

2話感想

{netabare} 2話目は主に榊由美子、で入巣蒔菜のさわり程度にックアップしたお話でした。
雄二と由美子とのカッター対決が動きありで観れたのは良かったですそして何よりも掃除屋さんの上司JB、ジュリア春寺の登場でした。
意味深な発言の事故死w
少ししか出ていませんけどあのパツキンは印象が大きかったのでは?
後は、ヒロインの転校シーンですかね。
バイクに乗り華麗に登場の天音ぇ、高級車で登場のチルチル、どでかいトラックで登場の蒔菜、最後に何故かチャリ登校のさっちんw
色々と個性的な登校の、仕方で面白かったです。
特に幸の発言は最高でした。初見のひとに舐めろって流石さっちんw
最後は由美子と雄二の和解?みたいなシーンでしたけどカッターは引き出しに閉まったし様子見なんでしょうかね。
3話甘い食生活に続きます! {/netabare}

3話感想
{netabare}
今回のストーリーはちょっとえっちなお姉さんことな天音が主役です。
見事なキーピック裁きでユージの部屋へ侵入し身悶える淫乱ビッチ。
エクストリームスポーツ?で足をくじき
ユージに保健室へ連れてかれ突然の告白をするも流され、何だかんだでお姉さんとしてユージの世話をする事に。
注目する点としては由美子がちょっと語った過去の天音。曰く交通事故が原因だとか……(1話参照)
にしても、幸のもの凄い勘違いっぷりとモノすっごい正直っぷり、みちるの空回りっぷり、蒔菜の何かすごいキャラがやっと観れた!
蒔菜とユージの合唱、すお~あ~まね~はいんらんだ~……good for you!
good for me!
この歌は名曲ですね!あとはヤブイヌでのそれほすぃー!
みちるではついに登場!ねこにゃー!
アルファ、ブラボー、そしてチャーリー!
見事に撃沈!どうやらねこにゃーにはかなわないようですね。
サメさんポーチではあのみちるがユージを救いましたね
幸に関しては飲み物、サメさんポーチでメイドの本領発揮でした。
一番美味しい=搾りたて
ヤブイヌポーチ=20分
これに関してはさすがのユージも驚きでしたね。
あと、幸の大好物であるサメさんが出てきました。
ユージは急に凄い喋りましたね。ポーチの所でなんて
「睡眠の重要性!睡眠の重要性!」
あの魂の叫びはゲームでは味わえない凄さ……
そして、今回一番の目玉。出ました師匠こと麻子さん!
きっと思い出の詰まったどっかの家の椅子に座って、顔はよく見えませんでしたが青髪と口元は見えましたね。どこか懐かしい目をしていたユージ。
一体師匠とは……
4話銀の弾丸で狙う場所です {/netabare}

4話感想
{netabare} 今回は偽ツンデレチルチルこと松嶋みちるです。
高台でにゃんメルと戯れるみちる。
「人って死んだらどうなるの?」
と突然問いただすみちる。
学園では宇宙人と交信したり、ビタミンCを摂取しいつか雄二より頭が良くなると誓ったり、由美子に喧嘩売ったり……
突然体調崩すかと思ったら、
好きな場所と言っていた高台でにゃんメルを撫でるみちる。
雄二が話しかけると
「あぁ、ユージくん」
と呼び方が変わっていて、
「どのみちるだっていいじゃない」
と自分はまるで違うみちると言い張る彼女。
しかも、
「ねぇねぇ、キスってどんなの?」
と軽い会話からのキス。
それに応じる雄二www
再び学園みちるに問いただすも覚えていないようで。
寮で謎のお菓子?を食すみちる。あれは一体?
みちるお得意のビタミンC?(違いますので悪しからず)
そして、何と言っても突然のにゃんメルの最期。
自分の行動が原因だと考え必死に探すみちる。
「野良猫、じゃないよ。にゃんメルだよ」
と真面目な顔で反論をするみちる。
にゃんメルを見つけるも最悪の形で再開。
あの時の悲痛の声は悲しかったですね。
どれだけにゃんメルを大事にしていたかが分かるシーンです。
しかも、ゲームですと午後くらいだけど、アニメだと夕方なのでより切なくなりました。
タクシーを止め病院へ向かうも間に合わず。
「あたしのせいでこんなことになって……」
あの泣きながらビスケットをあげるシーンは印象的でした。
このシーンは何度見ても悲しいですね。
この切なさ、悲しさがグリカジの醍醐味でしょうかね。
個人の意見ですが。
ストーリーに関係無い所では
遂に!少し登場ですマグロマン!蒔菜大ファンのマグロマン!
遂に由美子に弱点!怖い話、まぁドッキリ系ですね。
余談ですがにゃんメル、名前の由来としてはみちるの猫にゃー、雄二のロンメルでにゃんメルです。
ちなみにロンメルは確かロンメル将軍から来てるとか。(この話はストーリーに一切影響ないので大丈夫です)
次回はVOX IN BOXです
{/netabare}

5話感想
{netabare} さぁ、何と急展開!
エチゾラムを大量摂取し倒れた次の日には、いつものみちるではない!?
しかも、二度と現れないともう一人のみちるはと言った。
何かを失う恐ろしさから逃れるためにみちるは死を望むが、
雄二に用意された箱(殻)の中で生きること、前を向いていく決意をする。
雄二に告白……しなかった。
そして、もう一人のみちるのために故郷であるアメリカに渡り母親と再開。
何だかんだで共存する事になったみちるとみちる。
んー、何だか今回は随分と急ぎ過ぎな展開かなぁ。
過去の話はあっという間だったし、もう一人のみちるの話もなかったし……。
箱の中での話とかもサラッと終わったし。
ここは二部構成の方が良かった気がするなぁ。
みちるの過去と親友との日々、最後何故親友が自殺することになったか。
そして、美浜学園に転校することになった経緯がないじゃないか!
もう一人のみちるとその母親の会話が泣けるのにそれを省くなんてなってこった!
しかも、このもう一人のみちるの過去が本当に切なくて泣けるのに省くなんてなってこった!
夢の中で、学校の屋上で親友と決別して出ていく時のにゃんメルは感動したね。
前を向いていくって感じが出ててよかった!
あと黒髪みちるが観てれたからいっか。
グリカジだとまだ出てこなかったからね。
というわけでみちる編完結です。
話では断片的にしかやっておらず最後のくだりは駆け足で感動できるシーンが結構省かれてしまってましたが、無事完結です!
次回はレーゾン・デートルです。
{/netabare}


6話感想
{netabare} 今回は美浜の常識人、クーデレ由美ちゃんです。
やったぁー!由美子ルート楽しみにしてましたぁ!
何と由美子のとっつぁん、東浜グループのボス榊道昭登場!
裏で何か企む道昭とJB。
何故掃除屋さんが東浜の社長と……?
そして、掃除屋の仕事で由美子の護衛。
果たして雄二の本当の仕事とは?
護衛として、サクッと悪党さんを倒した雄二。
つっよーい!
そして、由美子の過去。
トレードマークのカッターが出て来ましたね。
カッターを持つ由来は出て来なかったけど。
若干みちると似通った箇所がありますね。
みちるの両親は出来ると信じてましたが。
由美子の両親は信じる以前に、望まれなかった。
その点が大きいですね。
それはさておき、今回はオリジナルルートですね。
拳銃、手榴弾。
さすが、伊達にネットサーフィンしてるだけあります。
サラッと横で解説してる幸。
しかも、トドメの自殺。
まぁ、生きてる事ぐらいは原作をやりこんだ人としては分かりましたけど。
ちょっとヒヤッとしましたw
しっかり、墓までつくり道昭さん騙したし。
雄二はスナイパーで社長銃撃つし。
掃除屋さんってスナイパーいる?シールドいる?チョッキいる?
「死体用意するの苦労したんだから~」
えっ!?死体用意って何?
ねぇ、アサヒクリーンさんどうなの?
…………
感想としては、
何だかサラッと由美子ルート終わったなぁ。
護衛の戦闘シーンも一回だし、
由美子ルートが最も格闘戦が多いとこなんだからそこを生かさないと。
雄二のストーカー疑惑の件もないし、
何か道昭がいい奴的な感じで終わったし。
お母さんも悪い感じで終わったし。
過去編が雑な作りになってるし。
由美子ルートはしっかり作って欲しかった!
ほんとに!
てか、アニメで由美子END見てみたい思った。
あの遊園地のシーンを観てかんどうしたかった。
一番感動できるから。
あと雄二のスナイパーシーンは興奮した!
一瞬だけど観れたからまんぞく!
次回は幸せの手紙です。
来ました!サッチン!
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

いろいろと惜しかった

◇簡単にまとめると

普通の学校に通いたいと望む少年が過去に大きなトラウマを抱える少女との学園もの。


◇物語構成

物語は3話までは恋愛シミュレーションゲームでいう共通ルートでラブコメ。4話以降は個別ルートになっていて、基本はヒロイン達の過去のトラウマの解決となってます。(ちなみに、みちる→由美子→幸→蒔菜→天音の順です。)
ヒロイン達の過去は全てが悲劇となっていて、中にはなかなかエグイ内容の物も。この悲劇のおかげでラストの感動が増すのですが、エグさに抵抗のある人には厳しいかも知れません。


◇ シリアスが多い分、ギャグが光る!

私がこの作品で最も気に入った所は、合間合間にある裕二とヒロイン達との掛け合いですね。無表情キャラの裕二からでる、いろいろと際どいセリフや心の声が面白くて笑ってしまいました。


◇エロゲ原作としてこれはしょうがないのかな?

私がこの作品でマイナスに感じた部分は、物語進行の早さです。尺の都合上仕方が無いのかもしれませんが、尺が短いため個別ルートでの展開が早く、少々おいてけぼりにされた感が否めません。その為、あまり感動できず、「可哀想」といった印象しか残りませんでした。


◇エロゲーの魅力はやはりヒロイン!

当たり前と言えば当たり前ですが、ヒロインはみんな可愛いです。ちなみに、私は定番ですが天音がイチオシです(笑)
少し絵は変わっていると感じましたが、数話見れば慣れました。18禁エロゲ原作ということで、一部Hな描写やグロ描写が含まれてます。Hな描写は裕二のフォロー(?)で見ていられましたが、グロはそのままグロでしたw苦手な人は要注意!


◇綺麗な音楽

物語の内容とは裏腹に、OP・EDは思った以上にどちらも綺麗な曲で良かったです。特に、EDの方は画像の影響とマッチしていて、とても良かったです!!


↓↓各話の感想↓↓

{netabare}1話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}普通の高校に転校!

みんな、何だか危ない人っぽい。
エロゲ原作だからパンチラとかは仕方が無いかもだけど、僕的には微妙…{/netabare}

2話の感想 ★★★ 3.0
{netabare}学園生活

ダークな物語の予感がするけど、音楽は明るくていい感じ。
ゆうじはみんなと仲良くなっていくのだろうか?{/netabare}

3話の感想 ★★★★☆ 4.5
{netabare}学園生活ぱーと2

普通のラブコメだ~o(^o^)o
最初の「ただのHなお姉さん」ってところは吹いてしまったよww
今回はめっちゃ面白かった!{/netabare}

4話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}二重人格なのか!?

エロゲというだけあって、展開早いな。
もう、接吻とは… ゆーじ、恐ろしい子!!{/netabare}

5話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}みちるが前を向く

エロゲで言えば、これがみちるルートなのかな?
内容はいいんだけど、分からないところがあったり、演出だったりが原因で感動は出来なかった。
あと一歩!、って感じた。{/netabare}

6話の感想 ★★★★☆ 4.5
{netabare}由美子ルート!

騙された~!!本当に死んだと思った!
今回は感動できた。
お父さんは自業自得だけど、かわいそうだな…{/netabare}

7話の感想 ★★★★☆ 4.5
{netabare}幸ルート

両親が目の前でトラックに引かれるとか、トラウマ確定やな(;´Д`)
幸には幸せになって欲しいな~{/netabare}

8話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}蒔菜ルート!

今回はバトルに成りそう!楽しみだ!
この作品って、本当に謎が多い、多過ぎるよ。{/netabare}

9話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}蒔菜ルート パート2

蒔菜のお母さん、すんごい美人やな~
けど、腹黒過ぎっ!!
綺麗な人には要注意やな!
ゆーじは最後は暗殺者の目をしててカッコよかった٩(´✪ω✪`)۶{/netabare}

10話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}バス遭難!

重そうな話が始まったな~
この作品は基本、みんな不幸になるんだな~{/netabare}

11話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}サバイバル…

本当に過酷なサバイバルだ…
虫を食べ、犬を解体し食べる…
本当にこんな事になっちゃったら、生きて行ける自信ないな…{/netabare}

12話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}鬼…

一姫って、すごくいい奴やな(╥ω╥`)
どうすればあんなに強くなれるのだろうか?
あと、何となく地下にいる天才の囚人ってのが一姫なんじゃないか~と思う。{/netabare}

13(最終)話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}復讐者現る

このおっさん、めっちゃこえぇぇぇ!
背筋がぞわっとした!
無理やり終わらせた感が強いですね。{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

面白くないとは言いませんが、ちと雑だと思う。

観終わりました。
 絵も綺麗だと思うし出て来る子もかわいい。榊さんが某蕩れキャラになんとなく似てるのも私的には嬉しかったw
天音もお姉さん設定というのはツボでした。
エロ要素も有りますが、正直無くても勝負できる内容には出来たと思いますね。もっと丁寧に人を掘り下げてたら、もっと気に入ってたかも。
話の軸となる部分も嫌いじゃないです。元は人気エロゲの様ですが、使いでの良い設定の主人公ですから話の拡げようも如何様にでもなるでしょうね。
個人的にはこの手のアニメあまり見てない私ですら食傷気味な設定が伺えますが。

 個人的には銃の描写がイマイチなのが気になります。別に話の筋には影響無いけど、この作品は話の転換の重要点に武器が絡む。主人公の大事な商売道具でも有る訳だし。
たまに出て来る程度だからこそキチンと書いとくべきだと思うんですよね。そこがおざなりの作品って薄っぺらく感じるというか説得力に欠ける。
由美子の手からグリップはみ出すバカでかいPPKって何だよって話です。
ペットボトルが妙にデカかったりとか、小道具の説得力は二の次って感じのアニメ多い気がします。

んで此処からがこの作品に対する私の不満点です。
{netabare}
10~12話が天音と雄二の姉が巻き込まれた山中の遭難事故とその顛末ですが、ここで食人の話が出て来る。
本来、倫理的に扱いが大変難しい内容です。
食べるものが無くて生きる為に死体に手を付けねばならない過酷な状況って、古今様々な分野で題材になってきた難しい話ですよね。
アンデスの聖餐、ひかりごけ、ゆきゆきて神軍。そして私としては一番感銘を受けた戦争文学「野火」。他にも色々あるでしょう。
このアニメでは、その行為に至った顧問や部長達を鬼と化した人でなしとして醜く表現してます。ここに至るプロセスが短絡的過ぎて嫌です。

一姫は頭が切れるから鹿肉と聞いた時点で気づいてますね。生還した後に後悔したくないと言ってるので。
ここで既に顧問達が正気を失って襲って来るとかの危機的状況の表現があるなら別に私も受け入れたんですが。

そして日が暮れてから天音に逃げようと誘う。
自分達だけ?と戸惑う天音に一姫は「鬼は連れていけない」と告げます。

ここが私見ですがマズイと思う。この作品は死体を食べてしまったという点のみを判断基準として鬼と断罪してるのと同義だと思いますが如何ですか?
私には顧問達を鬼とする場面は無かったように思います。

 極限に追い込まれた状況で、生きる為に死体を食べざるを得なかったという事象は現実に存在し、その是非は簡単に答えられる類の話では無い。
日本にも戦後そのことを悔い続けて黙して語らなかった帰還兵の方がいらっしゃる。先述のアンデス山脈でのチリ機墜落の被害者の方々のような存在もある。究極の選択の上、食べて生還することを望んだ彼らは皆鬼なんですか?

だからこのシチュエーションを物語の劇的シチュエーションに使うのならば相応の配慮、もしくは顧問達が「明確に鬼となった」状況からの脱出にして欲しかったと思います。

知らずしてその行為に運良く加担せずに済んだ天音も、事後に社会の好奇の視線に苦しめられる。そこはいいです。現実に生き残った方々の苦しみでもあったし、事実理不尽に苦しめられてるわけですから。それを食っても食わなくても責めるのは残酷であるという事の表現としてあって然るべきシーンと思います。

どうも、この作品の作り手側の死生観とか倫理が大変薄っぺらに思えちゃうんですよね。
もし今後の展開で、実は一姫が悪魔的利己主義者であり天音を扇動する為に顧問達を鬼として扱い状況を利用したという事ならば見方も変わるでしょうが。
ただ、個人的な感想としてはちと扱う題材に対して無神経過ぎやしないかと思ってます。
{/netabare}


まぁそういう話は兎も角という事であれば、そこそこ面白い作品だったと思います。

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7話まで視聴
ちと演出雑じゃねぇですかね。泣かせ要素は十二分にあるのに。
セリフの言葉選びもちと不満。
13話で予定内容終わらせるのに詰め込み過ぎだったんでしょうか。
なんか勿体ない。

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なんか評価が徐々に上がってきてるので、試しに見てるのですが正直苦手な感じw
終盤が面白い様なので頑張って見てみるつもり。
でも、ぶっちゃけた話あにこれ上の評価と私の好みって噛み合ってないので不安です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

76.7 3 色気でトラウマなアニメランキング3位
グリザイアの迷宮 & グリザイアの楽園(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1222)
7479人が棚に入れました
美浜学園5人の少女たちの心を救った風見雄二。しかし、彼自信の心の闇は、いまだに晴れぬまま重く立ち込めていた。雄二は自らの生い立ちを振り返る。自らを育み、形作っているものが何なのか。そして、それらとの邂逅の中で何を得、何を失ったのか――。忌まわしいくも、かけがえない時間をたどる旅路の果てに、雄二は自ら心の奥底にしまいこんだ闇の正体と対峙する。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、田中涼子、田口宏子、水橋かおり、たみやすともえ、清水愛、鳴海エリカ、友永朱音、瑞沢渓
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

いざ!グリザイアを彩る楽園へ

2015年春より放送。
「グリザイアの迷宮」は、1時間放送の全1話。
「グリザイアの楽園」は、通常放送で全10話となります。
(※2014年秋に放送された「グリザイアの果実」の続編であり完結編となります。)


【前置き】

原作であるPCゲームは未プレイですが、秋に放送された「グリザイアの果実」は(多少の不満はあれど)最期は楽しんで視聴出来たので、本作も楽しみにしておりました。
ただ、原作ファンからはシナリオの描き方への不安の声もあったようですね、あの長い原作をどうまとめるのか…と。

私的には初っ端の「迷宮」で一気に惹き込ま…と言うより、文字通り迷い込まされちゃいました。
えぇもう、ホント参っちゃうぐらいに…。

さてさて、このレビューではその作品に登場する魅力的なキャラクターを中心に語っていきたいと思います。



【あらすじ】

「周防 天音(すおう あまね)」を狙った美浜学園の立てこもり事件以降。
「CIRS(サーズ)」の二課情報室長である「春寺 由梨亜(はるでら ゆりあ)」は、部下である主人公『風見 雄二(かざみ ゆうじ)』の調査報告書を作成し始める。

風見雄二という男について。
そして、その姉との関係について。

彼女は「貴方の姉の死については、幾つかの不審点があるわ。」と口火を切る。
彼女の部屋に呼び出された雄二は、気だるそうに溜息をつきながらも、改めて自身の過去を振り返り語り始めのだった…。



【語ってみる】
{netabare}
前作である「果実」は、それぞれ一癖ある(どころじゃないか?)ヒロイン達に焦点を当てられたストーリーが、連鎖的に続くシナリオ構成でした。
本作のような作品は、アニメ版を制作するにあたり各ヒロインパート毎に時系列をリセットする、いわゆるパラレルワールド的な構成も多用されています。
しかし本作は、各シナリオが全て過去として物語が繋がっておりましたね。
本作でも、その上からシナリオが展開していきます。


まず「迷宮」に関してですが、1クール空けての続編として、満を持して1時間の特別放送となりましたね。
本作は、世間を巻き込むような圧倒的な知名度を持つ作品とは決して言えませんが、このインパクトは中々効いたのではないでしょうか。
その内容としても、やはり前作である「果実」を知っていてこそ楽しめる内容ではありましたが、とにかく過激で濃いので非常に楽しめましたから。
流石は18禁のPCゲームのシナリオと言えるでしょう。

18禁ゲームは、えっちぃアダルトシーンにより18禁とカテゴライズされるケースもあれば、内容の過激さにより18禁となるケースもありますよね。
本作は、この2ケースを上手に合成し出来たシナリオですが、ちょぃと過激さの部分が優っていたのではないでしょうか。


この「迷宮」では、主人公である『風見 雄二』の過去が語られていきます。
そう、前作を視聴した方なら誰もが「一体何者なんだコイツ!」と思った、その彼です。
ヒロイン攻略系の主人公は、プレイヤーの分身として無色透明なキャラであることも多いと思うのですが、本作の彼はかなりのキャラ立ちをしていましたもんね。


天才と呼ばれた姉『風見 一姫(かざみ かずき)』と比べられた辛い幼少期。
その姉との、姉弟以上の関係。(ドキッ!!)
しかし一姫が、前作でも語られた壮絶なバス事故により、帰らぬ人となってから起こる家庭崩壊。
そして何より、両親がいなくなってから引き取られた謎の人物「ヒース・オスロ」からの、異常な寵愛とテロリストとして育て上げる為の非人道的な訓練の数々。
普通なら小学校へ通っていたであろう年頃に、彼はその生活により廃人同然の状態だったことが、作品を追うことで垣間見えてきましたね。

この出口の見えない雄二の「迷宮」は、オスロ邸を襲撃した「CIRS」の部隊に所属する『日下部 麻子(くさかべ あさこ)』と出会うことで終わりを迎えます。
彼女こそ、前作で雄二が幾度となく「師匠」と言って皆に語って聞かせた人物であり、雄二の育ての親となってくれたのでした。
この師匠が、また格好良い女性なんですよね。
雄二が慕うのも分かります。
以降は、アニメ版では「楽園」の第1話へと続き、引き続き雄二の過去が語られていく構成となっておりました。


雄二は麻子と暮らしながら、これまで経験出来なかった人として生きる上での物事や、世界の理を学びます。
(あっそうそう、初体験もね。)
しかし麻子さえも雄二は、その彼女の死によって失ってしまうのでした。
ただ彼女自身は、雄二を救ったことで自分も救われ「死を許された」と言い安らかに逝きました。
自身と同じく、日の当たらない仕事をしこむ育て方しか出来なかったとも彼女は言いましたが、その時の雄二の涙を見る限り、そんなことは決して無かったでしょうね。
雄二が人になれたのは、間違いなく彼女のおかげでした。

そんな彼女の最もシビれたシーンと言えば、雄二に教えた言葉『一人十衛(いちにんじゅうえい)』の台詞のところですね。

「貴様は国民十人の命を救うことと引き換えに、初めて死を許される。

 と言いたいところだがオマエは半人前だ、五人にまけてやる。」

この言葉を聞いた時は、その格好良さもさることながら、後に出会うことになるであろう五人のヒロイン達を思い出して、なんだかニヤけちゃいましたね。
ただこれは後々、雄二は「だから俺はもう死んで良いんだ」って考えるんじゃ……って伏線にもなっちゃいましたけど。


しかし本作グリザイアシリーズの最後として満を持して語られたのが、どのヒロインよりも壮絶な過去を持つ男主人公とは…。
可愛い各ヒロインよりも、何より男を魅せる作品だったワケです。
いやはや、「果実」を視聴し始める前は思いもしませんでしたよ。
これは良い意味で、裏切られました。
{/netabare}


【脇役であるからこそ引き立つ、癖のあるヒロイン達】
{netabare}
最終章で、敵の手に落ちた主人公を救う為に立ち上がった、5人のヒロイン達。
雄二の過去を知った彼女らは、
「それでも雄二と一緒にいたい、彼が好きだから…。」
と意思疎通し、一致団結して雄二奪還作戦を開始するのです。

本作のヒロイン達は、決してただの可愛い女の子達ではありません。
ただの女の子でないから、あの美浜学園にいたのです。
前作「果実」では、各キャラ毎に壮絶な物語のヒロインを務めた彼女達。
その物語で現れていた癖を、本作では存分に【活かして】くれました。
(まぁ一部そうでない娘もいたような…、でもないような……チルチル…。。。)


この5人の中で個人的に好きだったのが、この2人。
高スペックな『入巣 蒔菜(いりす まきな)』と『小嶺 幸(こみね さち)』でした。

蒔菜と言えば、ヒロインの中でも一際小さな体格です。
…でありながら、雄二直伝のスナイパー技術。
アニメではあまり披露されるシーンが無くて残念でしたが、一姫同様の圧縮記憶法による丸暗記能力など。
5人のヒロインの中でも、実は抜きん出たスペックだったのではないでしょうか。
時に幼く…時に反社会的で、そして時にキメてくれる台詞の数々も印象的でしたしね。
色んな意味で、私の「ストライイィィクンバッタァナッッ!!」でした。
そうそう、「果実」のDVD第5巻の特典映像は眼福の限りでしたね。(やべぇよ登り棒…。)

キャラ立ちでは、常にメイド姿で視聴者サービス旺盛な幸も良かったですね。
過剰なまでに礼儀正しく、常に優等生であろうとする彼女。
……の、たまに笑顔で吐く毒がたまりません。
とあるシーンでの「殺すぞ^^」発言の連発は、かなりセンセーショナルでしたよね。
あんな可愛い「殺すぞ」聞いたことがありません。
まさに『よく気の利く糞メイド』でした。
そう言えば、彼女の戦闘シーンでの「メイド姿+ガスマスク+ナイフ」ってのも、またインパクトがありましたね。
「シャチではありません、幸です、そしてサメです。サメは獲物で遊びません。」
ってトコは、かなり痺れましたよ。

してこの2人、深い信頼関係にあるところも好きなんですよね。
同学年でもある蒔菜にだけは唯一、幸も敬語を使いません。
その幸が、蒔菜が自分の側からいなくなることを恐れ不安を口にするシーンがありましたが、その時の蒔菜が

「心配なら、ずっと私を追いかけてくれば良いのよ、私がパパ(雄二)を追いかけるみたいにね。」

って返してくれるんですよね。
ここで幸が、「だね。うん…そうだよね、私そうする!」と言って笑顔を見せるシーンは、こっちまで微笑んでしまいましたよ。
ただ…、言葉通り地の果てまで追いかけるんだろうなぁ…、…ハハ……。

そんな微笑ましい彼女らが、いざ好きな人を救う時となると、シナリオとしてあぁも活躍するとは…。
前作と今の彼女達を知っているからこそ、ワクワクさせてくれる構成でした。


ただ、その各ヒロイン達が持ち前の能力を駆使出来た背景に存在する、『タナトスさん=風見一姫』を忘れてはいけないでしょう。
はい、先に2人のヒロインが好きと述べましたが、作品を通して一番好きなキャラはと問われれば、間違いなく彼女ですね。
実際、原作での人気投票でも一位なのだとか…。
5人のメインヒロインを押しのけての実姉トップとは…、ホントなんて作品だ。(褒め言葉)
私は趣向的に、どちらかと言えば全く逆を突き進むタイプの人間であり、この姉属性には嫌悪感すら抱く方ですが、この一姫は珍しく大アリでした。
何故でしょうね。(ニッコリ)

でも実際、先のように高スペックで例えても、このお姉ちゃんは紛うこと無き「天才」と呼ばれる人間であり、記憶力、知識量、判断力、絵画の才能、小柄で貧乳、小柄で貧乳などなど…、もぅ快挙に暇がありませんからね。
色素欠乏症による銀髪で赤い目も魅力的ですし。
アルビノって、なんでこう厨二臭くて格好良いかなぁ…。

前作の最終章でも、存分に彼女の魅力が描かれていましたが、本作の最終章はそれ以上でしたね。
タナトスシステムとしての再登場。
そして、各ヒロイン達を誘導し、世界を股にかけての作戦遂行。
あの計画は、一姫ナシで進めることは間違い無く不可能だったでしょう。

物語的に、事故の後に脳だけ摘出されて的な「マモーなパターン」を連想していましたが、まさかの本体ありだったのは嬉しかったですね。
そのタナトスが一姫として、浮き上がってきた潜水艇から参上し、

「こんばんは、タナトスです。ンフ♡」(ウィンウィン)←義手の音

と言い、ヒロイン達と対面する場面は、作品を通して一番テンションが上がったシーンでした。
あのなんともアナログな義手も、あれはあれで魅力的でしたし。
……と思っていたら、最終話のCパートでしてやられました……。
もぅ最後の最後まで、一姫は一姫でしたね。
最っ高に魅力的なキャラクターでした。
{/netabare}


【総評】

私的には、前作「果実」以上に見応えのある作品として仕上がっておりました。

ただ、かなり端折っていた箇所もあるようで、実際に原作未プレイの側からしても展開早いなって部分もありました。
特に「迷宮」や「楽園」の最終話は顕著です。
しかし、それでも説明不足で話についていけなかったり、内容が大味で薄っぺらくなるようなことは無いように感じました。

作画に関しても、前作同様の「シネスコサイズ」に多少の不満はありましたが、前作同様こういうものだと思ってしまえば特には…。
ただスタッフさんは大変だったようで…、本当にお疲れ様でした。
私のような素人からすれば、黒で上下塗り潰してるから作画減らせてラクじゃん!などと言ってしまいそうなものです…、オソロシヤ…。


本作を見始める前のこと。
原作を耳にしたことがある程度だった私の視聴のキッカケはと言えば、「なんかエロいんじゃねコレ…ムフフ」という不純な動機であったことを正直に告白します。
ただ作品を全て視聴し終えた上で振り返ると、思いの外愛着あるキャラクターが出来てピュアに楽しむことが出来ていました。

現実世界に擬えて設定の矛盾を考えてしまったり、必要以上に厨二的な要素や萌え要素に嫌悪感を抱く方にはオススメ出来ません。
本作は、可愛いだけではない癖のある5人のヒロインと、実姉やその周りのサブにするには惜しいキャラクター達。
そして何より、主人公補正を抜きにしても格好良い「風見雄二」を存分に楽しむ作品なのですから。
万人にはオススメ出来ませんが、ご興味がある方は是非。

ではでは、波瀾万丈の先に辿り着いた雄二の楽園が、幸せであり続けることを祈りつつ。
読んでいただき、ありがとうございました。

………いやまぁ、あの楽園が幸せじゃないワケがないか……ハハハ…ハァ…ウラヤマシイ…。。。


◆一番好きなキャラクター◆
『風見 一姫』声 - 友永朱音さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『入巣 蒔菜』声 - たみやすともえさん



以下、どーでもいい駄文なので〆ます。
{netabare}
前文で、一番テンションが上がったシーンとして私は、「こんばんは、タナトスです。ンフ♡」(ウィンウィン)を上げました。

ですが実は、そのレベルでテンションの上がったシーンがもう一つ。

どのシーンかは…あえて口にしませんが、幸が笑顔で


『シャブ落ちしたOLが、チンピラのアレにしゃぶりつくような勢いですね。』


『一本の羊羹を奪い合っての【ダブル☓ェ☓状態】です、エロいですね。』


と言い放ったワンシーンです。

余りにも唐突で目が点になった私は、思わず手が滑って巻き戻しをしてしまいました。
全く、ホント勘弁して欲しい。

すうぅぅぅ…………。


ありがとうございました!!!!!!
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 42
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

エロスの身体性

【2015/06/22視聴完了して改稿。少し長くなりました】


アダルトゲーム原作のアニメは、世界が独特に歪んでいる印象がある。

ゲームの性的なシチュエーションのための(一般的には)不自然で人工的に「造り上げた」感を隠さない設定がそのまま全世界に拡大されたようで、自生的に「生成した」物として描出しようと努めることが多いアニメの物語世界を予期した視聴態度の前では、世界の基準となる座標軸が目盛の不均等な曲線で出来上がっているかのような、すわりの悪い落ち着かなさを感じさせる。
良し悪しではなく両者の「文法」の違いなのだろうが、違いに十分に自覚的でないままアニメ化することが、「歪み」という違和感を生むようだ。

アダルトに限らずゲームというものをやらないのでなおのこと、前作の『果実』でも、この「歪み」の感覚に馴染めないものを感じていたのだが、本作で、やや唐突に、あからさまな形で挿入されている性愛の描写が、印象を変えた。



{netabare}『迷宮』を含めた前半部を通じて、廃人寸前であった主人公の再生が描かれるが、世界から「承認」が得られず自己を肯定できない主人公は、当初、「軍隊」(と保護者による軍隊的教育)に、救いの糸口を見出すことになる。


アニメに限らず、軍隊に「承認」の調達先を求めてアイデンティティを得ようとする設定はありふれたものと言えるが、かなり安直な作劇手法だと日頃から感じている。

単に「承認」の調達先としての「組織」を求めるのであれば、別に軍隊でなくとも会社であってもいい。
「軍隊」という全生活的に支配する性格がより効果的に作用するのだと言い訳しても、それならば会社と過剰に一体化する「社畜」でも同じことだ。
承認の調達において、「軍隊」に殊更に疑似家族性を見出して特権化するのは、マッチョ・コンプレックスを裏返した観念的倒錯だろう。
徹底して現実的である「軍隊」の、本質的に使い捨ての歯車である「兵隊」に一体化して、空想的に全能感や肯定感を感受するところまでいけば、妄想の領域と言っていい。
「社会の歯車」というごく普通の生き方よりも「軍隊の歯車」を上に置くのは、脳内の抽象的な価値観による恣意的な序列だ。
このような妄想的な価値観への迎合として、安易な作劇は生み出され続けている。


そんな作品群の中、本作を特異に感じさせたのは、保護者の女性(たち)との性交渉の描写だ。

いささか唐突に挿入されるこの性愛の描写は、奇妙な、としか言えない肉体性を作品内に持ち込んでくるのだ。

指導教官=保護者の女性との具体的な性行為の性愛描写が、何故か不思議に、倫理という「観念」の束縛を受け付けない身体性を強く想起させて、「軍隊=疑似家族」に象徴されるいかにも人工的な「脳内」妄想性を、批判的に相対化して見せる作用を生じさせる。
この批判性がなければ、主人公が保護者の死に取り乱したり、敵を射殺するたびに嘔吐したりする描写において、「創られた」進行台本が透けて見える人工感が気分を白けさせることを、押しとどめることはできなかっただろう。

どれほどの計算があっての性愛描写であったか定かではないが、性的な興味の「くすぐり」としてのエロを超えて、奇跡的に(性的、に収まりきらない)「エロス」として昇華した奇妙な身体性が、本作の位置を独特なものとしている。

性行為を描写すれば自動的に身体性が生まれる、というほど単純なものではないだろう。
他作品を引き合いに出すのは不適切かもしれないが、例えば『School Days』にそのような身体性は生じていないように感じられる。
本作の「何か」が、いわゆるエロ描写を超えて、「エロス」としての身体性への化学反応を生じさせていると思うのだが、(文字通りの意味で他意はないのだが)性体験のない視聴者であれば同じように感受するのかどうか、ちょっと確信が持てない。

が、こうしてみると、『果実』でも具体的な性愛描写を挿入した方が「TVアニメとして」説得力が高まっていたのではないか、という気さえしてくる。(後述)


その『果実』で、それぞれに「世界」から排除されかけ、主人公によって「世界」に引き戻された少女たちが、本作の後半では、主人公を「世界」へ取り戻すために行動する。


これも偏見じみた印象だが、「世界」から排除されようとする「悲劇」的な運命への抵抗を主題としたアニメ作品の中には、その「運命」性に疑問符が付く作品は少なくない。
現象としての「悲劇」をもたらすものが「不運なめぐり合わせ」等である場合はさておき、「特定の人間」の行為へと還元することができる「人為」までも抗えない「運命」として了解しようとするそれらの作品の世界観は、やはり「歪み」の感覚をもたらす。

例え「悲劇」の担い手が大きな「組織」や「集団」の場合であっても、原理的には構成している個々の人間達の行為に還元できる。
にも関わらず、時には「神」を持ち出してまで「運命」として曲解し、原因を問うまなざしが欠如した世界把握は、精神病理学的な「認知の歪み」を思わせて、同調しない視聴者には全く意味不明に映ってしまう。


だが、本作の主人公のまなざしは、これとは真逆に見える。

少女たちを「世界」から排除する「もの」を問い詰めてゆく主人公のまなざしは、「不運なめぐり合わせ」でさえも、関わる人間たちの中に特異点として特定の個人を見出そうとする。
「もの」が組織であれば、「意思決定者」や「実行者」といった個々人を「敵」として選別し、個人への攻撃、排除を行うことで、少女の「世界」における「無力化」を完遂することになる。

奇矯なキャラ設定や状況に対して、この問題解決の「理路」や「方法論」は、ひどく平明な常識性を感じさせて、あたかも曲線座標軸の世界の中で、この部分だけ座標軸が直線で構成されているかのようだ。

この「落差」が、エロスとしての身体性を生じさせる「何か」と、深く関わり合っている気がしてならない。

エロスが喚起する身体性による批判性が、人工的に座標軸が歪んだ「世界」に、錘か或いは足場の様な物として説明しがたいある種のバランスを与えて、「歪んだ」なりに簡単には転倒しない安定感を生み出す事に、本当に不思議なのだが、結果的に成功しているように見える。

主人公を「世界」に取り戻すために「敵」への「攻撃」を敢行するエキセントリックな少女たちのアンリアルな行動を支える主人公への強い執着は、反対側にこの身体性と常識性とを引きずり、いかにも人工的な「あり得なさ」が物語世界を転覆させることを免れている。


終幕で、主人公たちが最終的にたどり着く「楽園」は、世界から承認を与えてもらって所有を許された私有地ではなく、「敵」を排除することによって「世界」から切り取った自分たちだけの「領土」だ。


新人類世代が、全共闘世代に対する過剰な反発からプロパガンダした価値相対主義は、すべての対立を、互いに等価な「価値観の違い」に過ぎないという。
対立を裁く絶対的基準はなく、互いに承認し合うことで解消することが「正しい」と宣伝されるが、クレーマーやバカッターの登場、さらには反知性主義の台頭は、「価値観が違う」ですべてをやり過ごしてきた価値相対主義に限界を突きつけているようだ。


終幕に至って、「承認」を「与えてもらう」ことを放棄して、「敵」を「絶対的」に排除して得た楽園に立てこもる主人公たちの行動は、空想的な逃避や撤退ではなく、このような限界性の暴露と突破を目指した闘争であると鮮やかに示している。

第三者からの赦し=承認と正当化を放棄して、「自分自身のための」殺人を決行する主人公は、最終的に「歯車」性からの脱却を果たし、「絶対性」へ向けて跳躍したといえるだろう。

この飛躍がご都合性を感じさせないのは、絶対性を呼び込む個々人の「かけがえのなさ」が、やはり「身体性」の錘を引き摺っているからこそだと、最後に改めて気付かされる。

歪んだ世界軸を透かして、全く新しいリアルが立ち上がってくるようだ。



本作を視聴することで、『果実』への評価も変わったように思う。

シリーズとして全体を振り返ると、食人や臓器移植、肉親の生死、と身体性を窺わせるモチーフがちりばめられている。
その「身体性」が強く前景化して立ち上がってくるのは、やはり性行為という、互いの身体を全面的に受け入れ合う営みの描写を契機とした、本作における奇跡的な「エロス」の発生においてだろう。

この描写によって、『果実』単体で視聴したとき、少女たちの「身体性と不可分な」悲劇に深くコミットする主人公の行動から人工的なアンバランス感が抜けきらないのは、『果実』内では性行為が欠けているからではないか、という印象が逆側から照射されてくる。{/netabare}


『果実』 『迷宮』 『楽園』の3つからなるシリーズは、単一のまとまった作品として、通して視聴した方が良いのかもしれない。


最後に一つトリビアを。

狙撃手にとって「眼」は生命線であり、主人公が頻繁に目薬を使用したり、師匠が視力の衰えから現役狙撃手の引退を決断する描写が本作にもあるのだが、昔むかし、実際の射撃手の間では、射撃前に射精すると照準の際に視力にいい影響がある、という迷信があったそうだ。
初期の『ゴルゴ13』で狙撃の前にベッドシーンの描写が多かったのは、この迷信を踏まえての演出だった、という説を聞いたことがある。

本作の「師匠」と主人公の性行為にそのような理由があるとは思わないが、そんな事を念頭に置くと、性愛描写を敬遠して視聴をためらっていた人も、ちょっと違う観方ができるのではないだろうか。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

Pay it forwardの精神なのよさー

2015年4月~ AT-X、TOKYO MX他にて放送
全11話(迷宮1話、楽園10話)

前作のグリザイアの果実を見てたから一応見るかくらいの気分で視聴。
果実の方は正直やたらパンティラしてたなっていうのと
一番すけべボディの子が何か非道い目にあってるっていう印象しかなく
明らかな尺不足も手伝って個人的にかなり微妙な評価。
今作もはじめはかなり期待薄な状態からスタートしましたが
中々どうして、最初からすげー面白かったです。
相変わらずなんじゃこりゃ設定に超圧縮の脚本なんだけど
主人公の凄惨な過去とバックボーンをしっかりと描き
それを元に前作のヒロインたちを絡めながら1本軸のあるストーリーを展開させていました。
面白くねーなと感じても前作「果実」はしっかり視聴することを推奨します。
私はかなりいい加減に見てたので途中で分からなくなることもしばしば。
それでもすごく楽しめたんですけどね。


【グダグダと雑感】
{netabare}タイトルのPay it forwardは日本語で「恩送り」
誰かから受けた恩は、直接その人に返すのではなく、別の誰かに送ること
そうして「恩」はぐるぐると世の中を回っていき、善意の連鎖は世界を良くするよね。みたいな感じ
雄二の姉、風見一姫は恩を返すことを種を蒔くと表現し、種は果実になり再び種を蒔く。
その繰り返しこそが雄二が渇望しながらも諦めていた未来=楽園だと語っています。

歪ながらも表面的な平和があった家庭が姉の事故から崩壊し、醜い大人に利用され心が壊れるような体験をする
そんな状況から救い出してくれた日下部麻子。麻子に多大な恩を感じ、それを返そうとする雄二。
そんな折、麻子が亡くなってしまい彼女の残した「死を許されたかったら5人救え」という言葉で生きる意味を見出す。
それが「果実」でやたらめったらヒロインを救っていた伏線だったのも面白かったし
死を許されるためにやった行動の全てが結果として雄二への生の肯定に帰結してしまうっていう矛盾なんだか皮肉なんだかも面白かった。

本来、生きるだの死ぬだのを決めるのに神如きの許しを請うんじゃねえよ。
そんくらい自分で決めろや、ふにゃチン野郎が!っていうメッセージを感じました。
そういうテーマだったらいいなっていう妄想みたいなものです。

もっとシンプルに物語を捉えるなら
雄二「俺の大切な女の仇をぶっ飛ばすぜ!」
ヒロインズ「あたいの惚れた男がピンチなら命懸けで助けるぜ!」
っていう直球で熱い展開にスピード感のある進行がすごく痛快でした。

ヤブイヌ小隊の面々や敵であるヒース・オスロまで
極限まで無駄を省いた脚本であってもキャラの個性は抜群で
無駄に消費される登場人物がほとんどいないのも印象的。

一番好きなキャラはJB。ほとんどボンド・ガール的な立ち回りしてた人でしたけど。
金髪ロングにタイトスカートのスーツスタイル、オマケに爆乳っていう
まるで全身ポルノ女のくせにウブな性格がツボでうひょーって感じでした。


終盤から締めまでの場面
タナトスシステムとかいう唐突なチートお姉ちゃんから始まり
デザインソルジャープロジェクトだのキュポーン計画だの固有名詞が多くなり
怒涛すぎる展開も重なり、やはり詰め込みすぎた感は否めないけど
日下部麻子との描写は必要十分にやったおかげで最後の麻子の「生きろ」というメッセージに強いカタルシスを感じたし。
強引な力技でもハッピーエンドな展開はやっぱり好きです。
これで雄二が命は取り留めたものの視力を完全に失い、足の負傷で車椅子生活を余儀なくされ
「これが俺の罪か。まだ許されなかったよ、麻子。。」とか言ってたら後味悪いってレベルじゃなかったゾ。


最後のお姉ちゃんの義手のオチもナイスでした。
これってアレですよね。コブラに出てくるクリスタル・ボーイ 意識しちゃった感じですよね。
お姉ちゃんは人知れずクリボーごっこで遊んでたんでしょうね。かわいい
よっしゃ!今日は一姫でオ○ニーだッ!!
{/netabare}

【総評】

アダルトゲームに限らずテキストベースのゲームに往々にして起こる「尺不足」に対して
製作陣が見せたい物を取捨選択し、きっちりと脚本を叩き上げてやれば
多少、無理のある展開であってもアクションや演出の魅せ方で十分面白くなるじゃんっていう好例。
その「尺不足」に悩まされた前作の話が土台としてしっかりあるおかげでギリギリ破綻しなかった感じですが。
「果実」のほうを見てキャラが気に入ったなら、まず間違いなく面白く見れる作品。

あと歩く名言発生機である日下部麻子の人生訓はどんな立場、状況の人でも思わずハッとしてしまうような
そんな力のあるセリフばかりで原作のテキストの魅力の片鱗を垣間見ましたね。

セリフといえばB級アクション映画のようなダートな言い回しが妙にハマってたのも印象的でした。

特にクソメイドの
{netabare}「シャブ落ちしたOLが、チンピラのアレにしゃぶりつくような勢いですね。」ってセリフには吹きました。まるでシャブ落ちしたOLを知ってるかのような言い方でしたけど実際に会ったことあるんですかね。シャブ落ちのOLなんてすごいレアケースだと思うんですけど。きっと日々の仕事のストレスを抱え、代わり映えしない鬱屈した毎日に嫌気が差していた。そんな日常に一時の刺激を求めたOLの良子は縁もゆかりも無かったCLUBという所に行ってみた。そこで出会ったここのCLUB常連のシゲル。最初は少し怖かったけど話してみたら意外と話は弾んでしまって。お酒の力も手伝ってすっかり楽しい気分になった良子に急に強烈な眠気が襲い・・・




よく分かんなくなってきたので終わりまーす{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 31
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