諸刃の剣おすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの諸刃の剣成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2019年12月14日の時点で一番の諸刃の剣おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.5 1 諸刃の剣アニメランキング1位
ねこぢる草(OVA)

2001年2月21日
★★★★☆ 3.5 (117)
479人が棚に入れました
本作が制作される前に他界した漫画家・ねこぢるによる『ねこぢるうどん』の各場面をモチーフに、幻想的かつ暴力的な世界観を表現したアニメがオリジナルビデオアニメーションになって登場。ある日、ねこのにゃっ太は、病に臥せっていた姉のにゃーこが死神に手を引かれて家を出て行ってしまうところを目撃する。にゃっ太はにゃーこを連れ戻そうと奮闘するも、にゃーこは魂の半分を死神に奪われてしまった。それ以降、にゃーこは生気が抜け、腑抜けたようになってしまう。そんなある日、何気なくでかけたサーカスのテントで、2匹は現実と妄想が入り混じった不思議な世界に巻き込まれてしまう。こうしてにゃっ太は、偶然にも元気なにゃーこを取り戻すための冒険に繰り出すことになったのだった。

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

幻想的な狂気の世界

漫画にしろアニメにしろ商業ベースの作品は
読み手なり、視聴者なり作品を受け取る相手がいて
その相手に受け取ってもらうことを前提に作られるものです

難解であったり、抽象的であったり、舌足らずであったり
どういう意図でその描写がされているのかわかりにくい
というようなことは少なくないですが
どんなコマでも受け取り手に何かを感じ取ってもらうために
コマを割いているわけですから
そこには作る側の意図が見え隠れするものです

そういった中でも非道徳的なシーンや残酷なシーンというのは
性的な描写と並んで受け手側に与える刺激が非常に強いため
うまく使えば受け手の心をぐっと惹きつけることができますが
そこにどんな効果を狙っているのかという制作サイドの下心が
とてもはっきりと露見しやすい部分でもあり
その見え透いた意図に逆に受け手が醒めてしまったりと
いわば諸刃の剣でもあるわけです

ねこぢる作品には非道徳的だったり残酷な描写だったりが
あちこちに散りばめられているわけですが
この漫画からはなぜかそういったあざとさのようなものが
全くといっていいほど感じられませんでした

読み手に媚びているという印象を受ける受けない以前に
むしろ、本当に読み手に向かって発信されているのかすら疑問で
この漫画は誰かに読ませるために作られたのではなく
まるで小さな子供がクレヨンを片手に
自分の思うがままに画用紙に書きなぐった落書きのように
ただ自分の書きたいものを書きたいように書いた
そんな作品のように思えます

この漫画を初めて読んだ時に得体のしれない寒気を感じたのは
作品を彩るいわば狂気とでも呼ぶべきものが
計算され尽くされた演出としての見世物の狂気ではなく
作者のありのままの内面が無添加でさらけ出されているだけ
ということを直感的に悟ったからだったように思います

さて、長くなりましたがここからが本題

このアニメは原作の中でも特に象徴的なエピソードを詰め込んだ
いわば総集編的な内容になっており
原作とは真逆になんだかメッセージ性の高い作品に見えます
しかしアニメ化されたシーンを見ていても
原作のもとになっているエピソードが頭にあると
アニメのシーンから伝わってくるものとは
かけ離れているような気がしてなりません

といってもそれは別に悪いことだけでは無く
映像作品の方向性の一つとしては
間違っていない選択であると思います

例えば父親の描写
アニメの中では昼間からごろ寝して
酒をかっくらってるシーンが少し出てきますが
思いっきり好意的に解釈すれば
今際の際にいる娘につきそうために
仕事を休んで家にいるが
やりきれない思いから酒ビタリになってしまっている
なんて風にもとれますね

でも原作に出てくる父親は
ただのアル中で常に酒を飲んでいて
機嫌が悪いと誰彼構わず暴力を振るい
場合によってはそのまま殺してしまう
という感じでした

この作品で原作をそのまま再現するというのは
強烈な異臭を放つ食材を
生でそのまま客に出すようなもの
本作はそのグロテスクな食材から丁寧に灰汁を取り
クオリティの高い映像美と音楽という
オリジナルのスパイスで味付けされて
大変マイルドな仕上がりになっております

しかしそれは原作の狂気に取り憑かれた
いわば「通」の方からすれば
だいぶ物足りないのではないでしょうか?
この「ねこぢる」を作ったのはだれじゃ!(AA略
となってもおかしくありません

「ねこぢるの湯浅風味」は
見ていても「吐き気がしない」という時点で
大成功でもあり大失敗でもあるのだと思います

-------------------------------------------------------------------

おそらくは原作を読まずにアニメだけを見てこのレビューを読んだり
あるいはこのレビューを読んだあとアニメだけを見ても
このレビューの言わんとするところがよく理解できないと思います
原作者の夫、山野一氏がHPにて1話分だけ無料公開されているので
そちらの方も是非合わせてお楽しみ(?)下さい
ttp://nekojiru.net/kabutomushi1.html

投稿 : 2019/12/07
♥ : 15
ネタバレ

にゃんた さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

なん・・・だ・・これ・・は

ラブリーなニャンコ姉弟が大活躍!
「にゃっ太」は姉の「にゃーこ」を救うため、冒険の旅へ。
そこで出会う様々な生き物達。緊迫感がありつつも、ホッコリするやりとり。
そんな雰囲気の中でも、しっかりとメッセージが込められていて意外と深みも感じられる!
心癒される、ハートフルニャンコ萌えアニメ!

・・・と思って視聴を開始した私が愚かでした。

エグい。グロい。悪夢。もうカンベンしてくれぃ・・・でも柔らかい。
地上波では放送できない内容。いや、OVAでもアウトじゃないだろうか。
宇宙の隅っこでならOKが出るかもしれない。

もう、どうレビューしていいもんか・・・。
象徴的なシーンのオンパレードで、これすぐには解釈できません。
人間社会への強烈な風刺、価値観の多元性・・・
などが描かれているシーンはいくつか拾えたのですが、
おそらく他の7~8割くらいは見逃している気がします。
エンディングまでメッセージ性の塊です。

制作はJ.C.STAFF。
くぎゅーくぎゅーアニメ作ってる方がよっぽど健全ですよ。
精神に風穴あけられるわよ!
そのふざけた幻想・・・に取り込まれる!!
・・・あーもう何書いてるか分かりません。
2周目に突入すれば解釈もできそうな気がしますが、
しばらく無理です。


「2001年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門にて優秀賞を受賞」(wiki参照)だそうです。
しっかり芸術作品として高評価されております。
あぁ文化庁。日本ってすごい国です。

・・・もうレビューになってない?
ごめんなさいごめんなさい。
気楽なニャンコ萌えアニメだと思って観た私が間違っていました。
あとは、皆さんに丸投げします。宜しくお願い致します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★以下、2周目視聴後の感想を。ネタバレ要素を含みますので、視聴後にお読み頂ければと思います★
{netabare}
色々と救いの無いようなことがあるけれど、まだ半分。
引き返せるかもしれない。いや、方向を修正して進めばいい。
とはいえ、それでも、すべて正しい結果になるとは限らない。
私達の見ているものは、一方向からのものに過ぎないのだから。

2周目を観終わった時点で感じた、本作品の主張です。
でもまだ半分くらいしか消化していない気がします。
グロ表現に目を背けたくなりますが、背けてはいけない。
直視して初めて見えてくるものがあり、それを見るべきなのです。
{/netabare}
本当に深い作品。
初回視聴とは違う意味で
「なん・・・だ・・これ・・は」
という感想を持ちました。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 28

お寿司ちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

不条理でシュールでサイケなカタストロフィ

10年位前に見ようと思って、そのまま放置してしまっていた作品。
アニコレの棚見ていて他の方のレビュー読むと、
30分くらいのショートアニメでサクッと見れそうなので早速。

原作者のねこぢる死後の作品にもかかわらず、
過剰で不条理なねこぢる節はしっかり描ききれていた。
その上、単なる輪廻転生ではなく人間存在の宿業までをも、
サイケデリックでダウナーなテンションで紡いでいく映像に圧巻。

とにかく、鬱、グロ表現が過剰。
主人公が、人ではなく動物におきかえることで、
さらに凶暴さを加速させている。

元々、鬱で救いようのないカタストロフィーの連鎖の世界感は、
アニメにすることで、原作漫画以上に、
夢の深淵のようなシュールで幻想的世界観をつくっていた。
(ガロの逆柱いみりとかの漫画をロードムービーに仕立に
したような感じ?)

どうやら、四畳半神話体系でも有名な湯浅政明が、
監督を手がけているようだ。
かなり特殊なものの、映像は本当に素晴らしい。

ただ、技術的な面を除いて、この手の作品は、
気難しく構えてみるのでもなく、
シュールなサイケデリックの文脈で観るべきだと思うので、
「何でこれが、こんなことになるの?」とか、
「なんでこれが、こんな形してるの?」とか、
ゲラゲラ笑いながら面白さを見つけるべきだと思う。
なので、映像自体も、日本より海外の方が需要がありそう。
アングルやレイアウトなどの演出も、10年前のアニメにしては、
かなり先を行っていたんじゃないかと思った。

当時、2001年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で
優秀賞を与えた審査員の審美眼は、色んな意味ですごいと思う。

こういった点から、アートよりのシュール作品が好きで、
サイケな映像を楽しめて、尚且つ、鬱グロに耐性ある方以外は、
面白くもなんともない作品ではないかと。

自分的には、たまたま思い入れもあったので、大当たり。


重症の鬱グロ作品を求めている方なら、
ねこぢるの夫(現ねこぢるy)の鬱グロの最高峰漫画家 山野一
の漫画が最凶なのでオススメです。
「四丁目の夕日」「夢の島で会いましょう「混沌大陸パンゲア」」など、
生きていくのが嫌になるほど人間の負を見せつけられる大名作。

絵もえげつなくて汚いし、人生のトラウマになる悪書なので、
読まないほうがリアルに支障をきたさないと思われます。
山野氏の漫画は、所持してるだけで人格を疑われるレベル(笑)

投稿 : 2019/12/07
♥ : 18

56.4 2 諸刃の剣アニメランキング2位
銀色の髪のアギト(アニメ映画)

2006年1月7日
★★★★☆ 3.3 (65)
355人が棚に入れました
300年後の未来、遺伝子操作の失敗によって意思を持った森が、人と都市を襲うようになってしまった世界で、その中でも森と比較的友好的な関係を築けている中立都市でアギトは暮していた。そこには、そのような世界であっても力強く愉快に日々を生きる人々の姿があった。アギトは、友人・カインと遊んでいる最中、偶然、ステイフィールド(永久生命維持装置)の中で眠る300年前の少女、トゥーラを目覚めさせた。運命的な出会いを遂げたアギトは、彼女に一目惚れをしてしまう。トゥーラは中立都市に滞在することとなる。彼女とアギトは愉快な仲間達と過ごしていくうちに、互いが互いに特別な感情を抱いている事に気付く。

声優・キャラクター
勝地涼、宮﨑あおい、古手川祐子、濱口優、布川敏和、遠藤憲一、大杉漣

offingbook さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

世界は、眩しい

2006年に公開されたアニメ映画。約1時間半。

遺伝子操作の失敗により森が意思を持って人や都市に
襲い掛かるようになってしまった300年後の未来の世界。
森との中立都市で明るく元気に生きる少年・アギトは
ある日、300年の眠りから目覚めた少女・トゥーラと出逢う。

少年と少女が世界の理に直面して、それでも自らの意思を信じ成長していく物語。

普段の生活では見ない、まるで想像もつかない未知と幻想にあふれた壮大な世界観と映像美。

そんな作品をKOKIAさんの歌声がやさしく彩る良いファンタジー作品でした。とても面白かったです。

もう一度観たいと思える作品でしたし、子どもの頃に観たかった、
子どもの頃の感性で出会ってみたかったような…そんな作品でもあります。

ただ、ここまで評価しておいて何ですが、あまり人には自信を持ってオススメできないし、
あまり楽しめないだろうと思える自信と確信もあります。(笑)

(自分はさほど期待せずに観たから面白かったのかも?)

理由の一つは、作品からナウシカやもののけ姫などのジブリの雰囲気が漂うこと。
(ちょっと宮沢賢治の作風も入ってる?)

ただこれはもう長編アニメーションが作られる度、永遠に付き纏う問題なんだと思うし、
観たら誰だって気付く所を批判してもしょうがない。オマージュととるのが礼儀かな。

あと部分部分の描写が足りない・説明不足な気もするけど、例えばそれらを全部描写して
この映画が2時間半とかだったら絶対飽きてた気がする。少なくとも僕は。(笑)

約1時間半でこれだけの世界観を描いたのは本当にすごいと思います。

声優陣も本職の方々ではなく芸能人起用。
自分は気にならなかったけど、耐えられない人は耐えられないかも。

…何かフォローしてばかりですね^^;

でも本当に良い作品だと思います。これはこれで。

100点満点のアニメばかり求めてもつまらないし、こういう貴重なジュブナイルファンタジーを
良いと思う気持ちはずっと持っていたい。…でもオススメはできないような…もどかしい気持ちです(笑)

投稿 : 2019/12/07
♥ : 26

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

銀色の髪は森を護る証

あらすじはあにこれで良いと思います。
それに追記。

人間が遺伝子操作を誤ったことで、意思を持った森は大きな力を盾に
主導権を握っています。
水の量をコントロールすることができるので、人間が怒らせると
「水やらんぞー!」って感じで。
それに限らず自然の力ですから人間が勝てる訳ないですね。

そんな状況の中、主人公のいる中立都市の民は森と対話をしながら
共に生きています。
方や、それを良しとせず元の世界を取り戻そうと準備を進めるラグナ
(国?でいいのかな。)

そこへ300年の眠りから覚めた少女、トゥーラが現れたことでストーリー
が加速していきます。そう、彼女には今の状況を作り出す前の人間主導
の世界に戻すという使命があったのです。

トゥーラとラグナの民が目指す元の世界は実現するのか?
また主人公と中立都市の民の共存生活はどうなってしまうのか?

こんなとこです。


現代社会への警鐘としてはよくあるテーマですね。
この作品では自然に意思を持たせたというのがおもしろい表現だったと
思います。また、その自然の力を人間に与えるというのも、、、。
その証が銀色の髪なんですね。(詳細はネタバレにつきスルーします)

ストーリー展開は王道的なものでしたが、テーマを考えるとあれこれ
脇にそれるより一直線な方が感情移入できますし、良かったのでは。

ストーリー良し、作画良し、声優は俳優さん中心でしたが脇は文句なし!
主役の2人は、、、、ちょっと不満。(すいません)

テレビドラマの演技と舞台演技は、はっきりとした違いがありますよね。
この作品観てて思ったのがアニメって後者側の演技のほうがしっくりくる
のかなぁと。
特にトゥーラは盛り上がるところでもうちょっとテンション高くても、、
って感じてしまいましたので。

まあ、総じて良い作品だったと思っていますので。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 19

藤乃 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

銀色の髪のアギト

2006年公開のGONZO制作の長編劇場アニメ作品。
KOKIAさんが歌う民族音楽風のOP「調和 oto~with reflection~」は好きな作風で、とっても気に入りました。
オープニングの音楽と映像が良かったので期待していたのですが、その期待は大きく裏切られます。

登場人物の人間関係や心理描写が少ないため、キャラクターの行動原理が全く理解できず苦痛です。
設定もめちゃくちゃ突っ込みどころばかりで物語も浅く、本当にプロの脚本家が書いたのか疑問に思うレベル。
個人的には主要キャラの俳優陣の演技も不自然に感じました。

優しさあふれるED「愛のメロディー」も素晴らしいですし、KOKIAさんのミュージックビデオだったと思うことにします。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 0

70.6 3 諸刃の剣アニメランキング3位
最終兵器彼女(TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (656)
4194人が棚に入れました
北海道の田舎町で暮らすシュウジとちせ。
ちせは以前から興味を持っていたシュウジに度胸試しとして告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まった。
そんなある日、謎の敵に札幌市が空襲される。攻撃から逃げるシュウジが見た物、それは腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やした兵器と化して敵と戦うちせの姿であった。
国籍不明の軍隊との戦争が激化していくにつれちせは兵器としての性能が向上していくが、故障をきっかけに肉体も精神も人間とは程遠いものとなってしまった。
二人のクラスメイトのアツシは、以前から想いを寄せていたアケミを守る為に自衛隊に入隊。戦場へ赴いていた。
TVアニメオリジナルエピソードで、ちせの親友四人組の一人のゆかりは自警団の白人兵狩りに参加。銃を持ってタケの仇を討つ為、山狩りへ向かう。
そんな中、アケミは大地震に巻き込まれて大怪我をし、シュウジの目の前で死んでしまう。歪んでいく日常。シュウジは再度姿を見せたちせを連れて町を出るが…。

声優・キャラクター
石母田史朗、折笠富美子、三木眞一郎、伊藤美紀
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

君と出会った奇跡がこの胸にあふれてる

東京MXで放送されている『ニッポン・ダンディ』という情報番組があって、金曜日に特集で『映画批評』がありまして、毎週楽しみにしているんですけど、3週間くらい前のが、恋愛映画特集だったんですよ。そこで一般人が選ぶ恋愛映画ランキングとかあったりしまして、『タイタニック』やら『アメリ』やら『ローマの休日』やらが順当に紹介されていました。しかし映画評論家の高橋ヨシキに話が振られたとたん、何を思ったか、このオッサンはオススメの恋愛映画に『BUG』という、グロ作品を持ち出しまして、ドン引きするスタジオを尻目に意気揚々と自身の恋愛観を述べたわけです。『BUG』という映画は、自分の体の中に『虫』がいると信じて疑わない男性が段々狂って行く様を描いた作品なんですが、途中からその男性に魅了されてしまった女性も出てきて、そのうち2人で奇妙な共同生活を始め、最終的には2人の世界に閉じこもってしまい、笑いながらガソリンを浴びて、炎の中に消えていくみたいな終わり方なんですが、1組のカップルが世界からどう思われようとも、2人の生き方を貫く、というのが恋愛の1つの形ではないか?という事をヨシキは言いたかったそうで、所謂『共依存』を愛と見なした解説をしておられました。『俺たちに明日はない』(これはまだ分かる)も取り上げられていたので、数多の恋愛観として、そういうのは認める人も、恐らく少数派だろうけど、居るって事の証明なんでしょうね。

前述した、共依存恋愛作品に『最終兵器彼女』もそのカテゴリーに当てはまるアニメだと思います。こちらはスタートの時点で、2人の恋愛物語をなるたけ初々しく描いていっていますので、最初のうちはまあまあ登場人物に感情移入しやすいけども、展開が進んでいくに連れて、視聴者の共感からは離れていき、完全にシュウジとちせの2人の物語になっていってしまう所にちょっと癖を感じはします。のっけから、主要キャラを視聴者についていけない性格にするとかすれば、違和感は多分無かったでしょうね。そういう意味では隙があって勿体無かったなとは思うんですけど。

好印象なのは、2人の描写に視点を置いているので、いちいち細かい説明をしない所、{netabare}正体不明の敵?世界?どーなろうといいじゃねーか、そもそもシュウジとちせの話だろ?それ以外詳細にやる必要あるの?って、{/netabare}ある種の開き直りが個人的には素晴らしかったですね。投げっぱなしじゃないんです。2人の視点の世界のお話なんで、その他大勢の人間の事なんか、アウトオブ眼中なんですよ。エキストラにしか過ぎないんです。視聴者も只の傍観者にしか過ぎません。といっても途中でそれ以外との絡みが案外あったりするんですよね。これもちょっと勿体無い。

綺麗事もちせとシュウジは言わない。心の底ではあくまで自分達を第一に考えて、発言し行動していく。ちせが戦局を左右できる存在に選ばれてしまっただけで、人間の本質としては、自分と自分が大切に思っている人が一番なわけで、ある意味人間の生々しさを、最後まで妥協しなかったのは、この作品のテーマを表しているとも思いました。

しかしまあ、こういう自分達の事しか考えないカップルは他人事だから、それなりに肯定的に見れるのであって、現実世界だと絡んで欲しくない輩だったりしますねw

投稿 : 2019/12/07
♥ : 32
ネタバレ

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

この星が終わったとしてもあなたと二人でこのままずっと

2002年放送のテレビアニメ 全13話

原作 高橋しん 監督 加瀬允子 構成脚本 江良至 音楽 見良津健雄
制作 GONZO OP「恋スル気持チ」ED「サヨナラ」作詞作曲歌 谷戸由李亜

セカイ系というジャンルを代表する作品。
J・G・バラードの初期作品のような残酷なテーゼ。
命も愛も願いも星の最後、破滅に向かって燃やし尽くす、世紀末の炸裂ラブストーリー。

自分が見たあらゆる映像先品の中で最も大量の涙を流したと記憶します。

感想は書く必要は無いと感じました。
あらすじこそが個人の感想無くしては構成できないものだからです。

第1話

アケミに背中を押されたちせがシュウジに告白、シュウジは受け入れますが、
ちせが望んだ交際とは交換日記だった。
体の弱いちせは体育会系のシュウジについて行くのが精いっぱい。
シュウジはちせを可愛いと思い、恋するための儀式としてのキスを要求。
小樽市を見渡せる展望公園で二人はキスをする。ここから始めるために。

{netabare}札幌に買い物に出かけたシュウジ一行。
その時、謎の爆撃機隊による大空襲が起こる。
シュウジの目に映ったのは小さな物体が次々と爆撃機を撃ち落としているシーン。
シュウジの命の危機を救うために飛び込んできたその物体は、
カゲロウのような羽と殺戮兵器を搭載したちせだった。

第2話

高校の屋上でちせはシュウジに最終兵器になったことを告げる。
シュウジは「それ治るんだろ」と気軽に聞くが、ちせは言葉を濁す。
ちせはシュウジに自衛隊のヘリに監視されていると伝える。
シュウジは逃げようと促し、二人は自転車で走るがちせの体に異変が。
ちせの背中からミサイルが生成されヘリを撃ち落とす。
ちせの体を抱きしめるシュウジに向かって、ちせは静かに語った。
「人を殺さない兵器なんて無いんだよ」
シュウジは理解を超える現実の前に凍り付いた

第12話

世界の終わりが近づいている日、シュウジは小樽の展望台にたどり着きます。
そこには、ちせの交換日記が。ここで第一話のアバンにつながります。
ちせの日記にはシュウジには伝えられなかった滅亡への運命の日々が拙い文章で書かれてあった。

静かにシュウジの前に現れるちせ。
そして二人はSEXします。
存在しない子宮で子供を作る幻想を追って。
何度も何度も虚空に向かって、愛が注がれていきます。

最終話

シュウジとちせは展望台での情事を済ませると、迫りくる崩壊を見る。
地球で最後に残った人が生きられる空間、それは小樽周辺だけだった。
世界中の人工衛星を組み合わせて作ったと思われる、雲の上数百キロにわたるちせの本体。
それが破滅から小樽を守っているギリギリの存在だった。
事情も知らずに生き残りの諸外国の軍隊はちせを殺して小樽を奪うために攻め寄せる。
EDで毎回流れた雲の上空にあるちせの顔はこの物体の姿です。
雲から垂れ下がった髪の毛で戦闘機を払い落とすちせだが、
シュウジに別れを告げ自らも戦場へと飛ぶ。
ところが、ちせの崩壊が始まるとともに地球規模の大災害が小樽に迫る。
すべては終わる。

目覚めた(?)シュウジはちせの体内で繰り返す日常を夢見る。
始められなかった二人の触れ合いを取り戻すために。
それは永遠に続くとも思われる幸せの通学路。 {/netabare}

もう一人のヒロイン「アケミ」について

本当にシュウジのことが好きだったのはアケミであり、照れ隠しのためにちせを押し込んだ模様。
思春期にありがちな行為であり、それがもとでシュウジとちせに恋が芽生える。
そしてアケミの恋は彷徨い・・・ブランコに託されることに・・・


ほしのはて 折笠富美子 より抜粋

あなたと離れているだけで私 心が消えてしまいそう
他には何も要らないあなただけいれば 空も雲も街も 花さえも

愛している この地球(ほし)が終わったとしても
あなたと二人でこのままずっと
二人だけで 二人だけの地球(ほし)でいつもいつも永遠に二人で

投稿 : 2019/12/07
♥ : 38
ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

一刀入魂の諸刃の剣

もしも、アニメにセカイ系というジャンルがあるとしたら
それは本作の影響によるところが大きいのだろう。

本作のヒロイン、翼をもったその様からして、綾波レイがモトネタである
ことは容易に察しがつく・・・{netabare}のだが、主人公のシュウジは
誰がモトネタなのかについて、最近判明した。
あの眼鏡がそれを示していた。結論は、エヴァの碇司令。
原作者は、綾波とゲンドウの純愛?パラレルワールド展開を描きたかったのかも?

エヴァの主人公はゼーレの下部機関ネルフに所属していて、だから結局
ざっくり言うと、国連に匹敵するくらいの超国家的組織ゼーレによって
コントロールされているネルフ、そこに属する一人の兵隊というのが
エヴァの主人公シンジの立ち位置。
表向きのネルフは民間の組織?ということらしいが、ある種の地球防衛軍に
シンジが所属しているのは間違いない。

それに対して本作の主人公は、これらの国家的組織には属さない、普通の高校生。
というのが、本作主人公シュウジの立ち位置。社会人でもないただの学生。

所属意識が希薄な個人による、恋愛至上主義の物語。
そんな個人にとっては、戦争も地震も同じレベルの現象、世界の終わり
を表現するための単なる背景でしかないのだろう。
恋は盲目というくらいだから、恋愛至上主義の物語において
戦争の仕組みが見えなくてもなんら問題はないのかもしれない。

世界の中心に在る自分という存在と世界の事象の描写
たぶんそれがセカイ系というやつなんだと思う。
{/netabare}

{netabare}
例えていうなら一撃滅殺のドラゴンスレイヤーのような作品

切れ味というか破壊力はあるが、その反面好き嫌いが極端なまでにわかれる。
「等身大の高校生の気持ち」を荒技を使って上手いこと表現できた?が
その青すぎる表現形式から始まり、設定・キャスティング・細かいアイデア等々
すべてが空回りしてるように感じ拒絶反応を引き起こす人も少なからず・・・
ある種、純愛をテーマに、それだけに特化した、思い切りの良い斬新な作品だが・・・

GONZO作品も、鬱系も大好物な自分もこれだけは合わなかった模様。

過去の遺物であり、時代の先駆者だった本作
細かい設定やストーリーが意味不明なのはあまり重要な要素ではないのだろうし
作者が描きたかったことでもないだろう。
高校生が主人公の恋愛というものをより先鋭的に描くため様々な工夫がなされている。

世界の終りと悲劇的戦争と最終兵器と方言と平和すぎる日常
青臭さについても意図的な演出ならば声優も計算通りであれでOKなのかもしれない。
音楽の素晴らしさも考慮に入れると上手いこと整合性はとれているようにも思える。

かくして、一刀入魂の諸刃の剣が快心の一撃を発動させるために振り下ろされる。
が、全くもって主人公とその彼女に感情移入できない人にとっては
大振りの空振り!?ダメージゼロな結果になってしまう。

一刀入魂の諸刃の剣、その破壊力は凄まじい。
かつて時代の先駆者であった本作がアニメファンやアニメ関係者に与えた影響力が
多大であったことは、それ以降の色々な作品を見ても容易に想像はつく。
しかしその一方で、今となってはこの剣があまりにもナマクラ過ぎると興ざめする人も
少なからずいるだろう・・・残念ながら・・・

設定やストーリー展開のリアリティ云々よりも彼氏の彼女の感じたこと、
思ったことをすべて素直に受け止め、疑いの余地も差し挟めない
そうしないと話についていけないという作風
これはなかなか厄介であると言わざるを得えない。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 7

69.2 4 諸刃の剣アニメランキング4位
ピアノの森(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (215)
885人が棚に入れました
 森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公の一ノ瀬海が かつて天才ピアニストと呼ばれた阿宇野壮介や 偉大なピアニストを父に持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき やがてショパン・コンクールに挑戦するまでを描く、感動のストーリー。

声優・キャラクター
斉藤壮馬、諏訪部順一、花江夏樹、白石涼子、大地葉
ネタバレ

isislove さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

セ カイ イチノ ピアニスト

<第1期(第1話から第12話)までの総評>
同期の「ひなまつり」は、スタッフの原作愛がアニメを
原作以上にしていたと感じたのとは対照的に、
本作は、スタッフに原作愛がたりないと感じました。

特に人物の作画レベルが低いのと、
内容の不用意なカットで原作キャラの魅力が
時に半減している場面が多かった。

尺の制約の中で原作の構成を上手くアレンジして
面白い所をより面白くしたり、
簡略したとしても、本来の感動を損ねないような工夫が
十分に足りていたとは思えなかった。
以上から結局、ダイジェスト感ばかりで12話以外は、
ほとんど盛り上がれませんでした。

第1期全12話で、カイのショパンコンクールデビューまで描くには
尺がどう考えても足りない。
せめて、もう半クールでもいいから話数を加えて、カイの修業時代と
誉子のエピソードを丁寧に描いて欲しかったです。

<物語とキャラについて>
{netabare}
最終話視聴直後は一度物語1.5、キャラ評価2.0にしました。
その後、映像抜きでオーディオドラマとして再度鑑賞して評価上げました。
物語評価は、原作を5.0とするなら最終的に3.0に修正。
脚本的には12話が一番良かった。

キャラ評価が2.5なのは以下の理由。
カット多いため誉子と阿字野、レイ、佐賀先生の魅力が描き足りない。
特に誉子は、個人的に一番好きだったのでアニメでのキャラ評価は厳しい。
カイの恋人、サエの存在カットもマイナス。
サエは、やはり存在すべきキャラ。
恋人がいる方が、カイが17歳でも精神的に成熟してるように見える。
カイの精神年齢の高さに説得力を与え、
人間的魅力もアップしたように思います。
{/netabare}
<作画について>
{netabare}
背景を除く作画が、話の没入まで妨げる珍しいケースと思った。
映像ない方が、話が何倍も面白く感じる。
滅多に評価を1にすることない私ですが、
本作の作画はあまりにも不快で、個人的な許容範囲を遥かに超えてました。
原画担当の多くの技術が低く、粗が素人目にもはっきりわかる。
CG部の作り込みも甘い。その結果、全体が調和していない。

人員が足りないのかもしれませんが
原画などを安易に、日本人以外の外国人へ大量外注するのはどうかと。
文化や感性、価値感の異なる近隣国のスタッフは
日本人の美徳の融和の精神に欠け、統制が取りづらいんだろうと思います。
そのため監督さんは、納期との兼ね合いもあり
作画上の妥協点を低くせざるを得なかったかもしれません。
そんなことが完成されたアニメから滲み出ていると感じました。
{/netabare}
<その他>
{netabare}
音楽面は、番宣でアピールしてただけのことはある。
とても素晴らしかった。そこは非常に救い。
オーディオドラマとして再度鑑賞して4.5→5.0に評価アップ。

声優キャストの皆さんは、全員素晴らしかった。
しかし、デッサンが別人のように場面場面で目まぐるしく変わる
滑稽な顔で、いい声でいいこと言われても閉口します。
作画の酷さが、キャストの演技の魅力まで台無しに。

2期(第13話から第24話)は半年間の準備期間を与えられた以上、
今期の反省を踏まえ、作品の質の大いなる向上を望みます。

第9話で、この物語の肝になる部分に繋がる
原作第13巻の伏線のエピソードがカットされましたが、
2期では原作第21巻に描かれる別な伏線の丁寧な描写を外さず、
一番感動したポイントを、的確に味わい深く演出して欲しいものです。
{/netabare}

1期までの詳細は以下へ。
視聴前&視聴中レビュー。かなりの長文です。
{netabare}
主人公である「ピアニスト 一ノ瀬海」は、
アナグラムで「世界一のピアニスト」になります。
作者さんはネーミングセンスいいですね。

※ 以下は、放送前に投稿したもの。長いのでタグで閉じます。
{netabare}

<はじめに>
2015年末に発売されたばかりの原作コミックの最終話を読み終えた時、
感涙するほど大感動!!

以来、テレビアニメ化を熱望していた作品です。

2年4ヶ月経ち、その想いもようやく実現。

放送6日前に、全26巻の原作を読み返しましたが、
読み始めたら止まらず一晩の一気読みとなりました。

原作の紹介は、2007年公開のアニメ映画版のレビューに
投稿済みなのでここでは割愛します。

久しぶりに放送中での全話レビューをしたくなりました。

物語やキャラの評価を事前に満点としたのは、原作基準によるもの。
作画と音楽だけは、実際観るまで評価できないのでデフォルトのまま。

過去に、TVアニメ全75話で
単行本全20巻の「バクマン。」を描いたNHKが本作を制作。

既に、メインキャラのみならず、
13巻以降登場のライバルキャラのキャストも公表済み。
そのキャラの演奏担当の様々な国籍の新進気鋭のピアニストも
個別に決定してるようで
音楽面でも予算を十分掛けてるようで期待は大きい。

最後まで描く気満々と思われますが、本作の実尺が非常に気になります。

NHK総合の番組予定表には本作は全12話と記載。
(ピアノの森のアニメ公式番組サイトには、現状話数の記述はなし)
これだけの情報では、全26巻分すべてをここに詰め込むのか、
また別に2期を企画してるのかが不明。

放送倫理上問題あるところの改変や省略はある程度は仕方ないにしても、
納得のいく構成になるかは未知数で、視聴中に物語評価はかなり変動するかもしれません。

以下は4月放送予定分のみのサブタイトル。

第1話「選ばれた手」
第2話「ショパンを弾くために」
第3話「モーツァルトの遺言」
第4話「一番のピアノ」

放送前の現時点では、公表済みの以上のサブタイトルの流れから
4話で少なくても5巻最後までは確実に消化の模様。
6巻1話目までの映画版と同じ所まで進むかもしれません。

5話、もしくは6話までには小学生篇を終え、
カイの成長期(高校生)篇に移ると個人的に予想してますがどうなることか。

やはり、このペースと1クールで原作のすべての旨味を引き出すのは不可能と思われます。
小学生篇後は、ごっそりカットもしくは大改変の簡略化で、
ショパン・コンクール篇突入とかは勘弁してほしいけど...。

NHKは、ショパン・コンクール篇の華やかさを売りにして、
演奏者や声優も決定して番宣してる半面、カイの恋人、冴(サエ)のキャスト発表がない。

なので、ポーランドに旅立つまでの日本でのドラマを
なおざりにする可能性が大のような気がします。

仮に、原作改変して冴のエピソード抜いたとしても
全体としての話は成り立つとは思います。

しかし、カイが性格の明るい天才ピアニストという魅力だけでなく
ハイティーンの、清廉なだけでない等身大の人間としての魅力も大切で
そのために、彼の成長過程を丁寧に描くことがとても重要です。
冴の存在や日本での出来事を軽視すると
きれいごとだけの物足りない話で終わってしまう懸念があります。

ところで、発表された声優キャストの中では、
特に諏訪部順一、坂本真綾、悠木碧、花江夏樹の起用に拍手を送りたい。

諏訪部さんの主人公のピアノの師匠役は、イメージドンピシャ過ぎ。
坂本さんの、芯の強い包容力ある主人公の母役もきっと嵌ることでしょう。

個人的に本作で一番好きなキャラは丸山誉子。

彼女には、人間の弱さと強さ、幼稚と成熟を幅広く演じ分けられる声優が必要不可欠。
そんな誉子を、幼女から可愛い女性、強い女性と
なんでもこいの演技の幅が広い悠木さんが演じてくれる。

以上3名のキャストだけでも声優評価は満点です。

花江さんと言えば、名作「四月は君の嘘」で
ピアニストの主人公、有馬公生を演じました。
本作では、「君嘘」で言えば主人公のライバル、
相座武士にあたる雨宮修平(高校生)を演じます。

「君嘘」を2014年冬からのリアルタイム放映を視聴したとき、
ピアノに熱く青春を捧げるキャラたちに共通点を見出し、
この映画版をすぐに思い出したのも今では懐かしい。

修平のキャラデザは、優男風メガネ男子。
見た目で既に公生と被って見えます。
さらに性格上も似てるキャラと思いますので、高校生篇になると、
花江ボイスに「君嘘」との類似性の話題が飛び交うかもしれません。

いずれにせよ、主役の一ノ瀬 海(高校生)役の斉藤壮馬さんや
後半登場のパン・ウェイ役の中村悠一さんも含め
どのキャストも繊細で深い演技が期待出来そうで非常に楽しみです。
{/netabare}

全24話 (分割2クール。2クール目の13話以降は2019年1月より)
※ 放送前のNHK番組表には全12話とありましたが、第1話終了後、全12話表記は削除。
そしてHP公式の紹介文が改訂され、そこに話数が盛り込まれました。
その改定前と後の2つの全文を以下に転記します。
{netabare}
(改定前) 森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った一ノ瀬海。
過酷な境遇にも負けず、師との運命的な出会いを経て、
ショパン・コンクールで世界に挑む姿を描く感動の物語。

(改定後) 森に捨てられたピアノをおもちゃ代りにして育った主人公の一ノ瀬海が
かつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や
偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき
やがてショパン・コンクールで世界に挑む姿を全24話で描く、感動のストーリー。
{/netabare}
本作の原作(漫画)は、2年以上前に全26巻で完結済なので
旬とは言えないタイミングのTVアニメ化。
個人的には、アニメにしてもらえただけでも有り難い作品と言えます。

<アニメーション制作:ガイナックススタジオ>
wikiによると、エヴァンゲリオンなどで有名なGAINAXの関連会社として
2014年に設立された福島ガイナックスの、2016年に東京都内に設立したアニメスタジオ名。
しかしGAINAXとは、2015年から資本関係が無くなっており、
企業的な協力関係は残るものの、今ではGAINAXとは別経営の別会社なので誤解なきよう。

連続テレビアニメ作品の制作は、この「ピアノの森」が初めてらしい。
----------------------------------------------------
<「ピアノの森」の魅力>
{netabare}
アニメ映画版がきっかけで原作を読んで、
ピアノに興味なく習ったこともない自分が、
生まれて初めてピアノって素晴らしいなと思えた作品。

アニメ化された漫画原作、クラシック音楽のピアニストの主人公の音楽もので
既に観たことのあるものは「ピアノの森」(映画版)以外では
「四月は君の嘘」「のだめカンタービレ」が頭に浮かぶ。

音楽は時に、人の一生を180度変えることがある。

そんな音楽の素晴らしさと、音楽が与えてくれた奇跡を
ストレートに雑味なく描かれている「ピアノの森」が一番好き。

「ピアノの森」には、調味料として、
悲劇は小さじ少々、恋愛はほんのひとつまみ程度含まれている。
その隠し味が、絶妙な風味を醸し出す。

この物語を原作で最初から最後まで味わえば、

音楽って素晴らしい、音楽は偉大だ、音楽は神様だ、
音楽抜きの人生なんてあり得ない、音楽は人生を豊かにする...

人により言葉は違えど、そんなポジティブな感想を持つのが自然じゃないだろうか。

音楽に限らず、きっと何かに打ち込みたくなるだろう。

このTVシリーズもそんな作品になって欲しい。
{/netabare}
<物語の主人公>
{netabare}
海(カイ)は、まっすぐで性格の明るい若き天才。
男だが、色白で綺麗な容姿でよく美少女に間違われる。

彼自身の成長と共に、作中で出会う多くの人に大きな影響を与え、
最高のライバル、希望、目標、ヒーローのいずれかに当て嵌まる存在になっていく。

主人公は一人だけではない。

本作は、ピアニスト以外も含め、魅力あるキャラクターたちがいっぱい。

登場するピアニストたちは、純粋でストイック。
地獄に落とされるような挫折やどん底の幼少期を体験した者もいる。

中でもコンクールの優勝を目指す者は、一人一人が胸の内に
苦しみ、悲しみ、悩み、葛藤、焦燥、嫉妬など様々な想いを抱きながらも、
夢や希望のために、ひたすら音楽に身を捧げる求道者ばかり。
この作品に出てくる皆、他人の足を引っ張るような愚かなことはしない。
自分自身とライバルとの真っ向勝負に命を燃やす。

そんなキャラクターたちがポーランドで邂逅。
その群像劇は最高のスパイスとなり物語に彩りと深みを与える。
{/netabare}
----------------------------------------------------
<各話レビュー>
小学生篇では、2007年の映画版(日本テレビ他制作 小島正幸監督作)との比較もしたいと思います。
(酷評あり。本作を素直に楽しめてる方は閲覧要注意)

以下、NHK総合にて月曜(日曜深夜)放送
0:10 - 0:35 近畿地方を除く日本全域
0:50 - 1:15 近畿広域圏

(以下、各話を~篇で分類したのは公式のものでなく、独自な解釈の便宜上のものです)
◎ 小学生篇
★ #01:「選ばれた手」(2018.4.9放送)
{netabare}
原作第1巻から第2巻半ば(第1話-第12話)までの内容。

<主人公カイと修平の出会いと、カイとピアノ師匠との繋がりの始まり>
今回の最後で使われた、サブタイトル関連の
「この手は選ばれた手だ」という台詞は、映画版では28分/100分にも出てくるが
キャストの演技の個性が全く違うので聴き比べると面白い。

映画版の作画に馴染んでしまったせいで、TV版が見劣りしてしまいます。
出来ることなら京アニか、CGのレベルが高いufotableあたりで制作してもらいたかったです。

製作予算を、メインイベントのショパンコンクールの音楽と演奏シーンなど、
華麗なステージ再現に注ぎ、それ以外の小学校時代などは、
エコノミーな作画でお茶を濁すつもりでしょうか。

背景は問題ないが、フル3DCGのピアノ演奏シーンと
普段のキャラクターの作画のギャップが大きすぎる。

普段はのっぺりした子供向けアニメキャラっぽく
CGになるとゲームのアバターのように見える。
動きも、ぬるぬるとガクガクの違いが極端で気持ち悪い。

また最後の方、月明かりの下、夜の森でピアノを弾くシーン。
いかにもCGな作画に変わって、カイの指使いが映し出されると、
カイの指が軟体の宇宙人の指に見えてしまった。

冒頭以外は、映画版より原作に近い形でのスタート。
キャラクターデザインも原作準拠のもの。
初回で既に、掛け足でコンクール篇になってしまう予感。

<映画との違い その1>

映画では、今回の話に該当する部分は、
色々とアレンジされており原作とは違うシーンが多い。
冒頭は、修平が母親と共に車で引越し先へと向かうシーンから始まります。
全体的に、阿字野先生と修平の内面をしっかりフォーカス。
キャラデザも顔の輪郭がすっきりしており原作よりスマート。

また、原作に拘らない映画の方が、
カイと修平の人間関係の親密度が増す様が自然に感じられます。
カイは、映画の方がいじめには決して屈しない、
メソメソしない人間的逞しさがあって好感度が高い。

音楽面では、特にピアノ演奏に関して、冒頭は素晴らしかったがそれ以外で、
映画版のウラディーミル・アシュケナージ(20世紀後半を代表するピアニスト)が演奏した、
ゆったりと余韻たっぷりな、幻想的な格調高さが染み付いてしまってるので物足りなさが残りました。
TV版の方が原作に忠実。好みだけの問題です。

<1話総評>

色々と不満も書きましたが上を見ればきりがありません。
今回は、原作ファンの自分としては100点満点なら70点の満足度でした。

映画版でもそうでしたが、さすがにTV版でも原作でキンピラが使った「淫売」という言葉は避け、
カイの母親初登場時の、百聞は一見に如かず(何のことかは察して下さい)シーンは丸々カット。

原作は他にも、森の端がいかに酷い所か解る、
年齢制限付きOVAにでもしなければ描けないような場面があります。
興味があったら読んでみてください。
{/netabare}
★ #02:「ショパンを弾くために」(2018.4.16放送)
{netabare}
原作第2巻半ばから第4巻半ば(第13話-第28話)までの内容。
映画版では経過時間28-60分のシーンに相当。

<カイ、ピアニストへの旅立ち>

カイは、ショパン『小犬のワルツ』との出会いがきっかけで、
全日本ピアノコンクール地区予選に不本意ながら出場することになってしまう。
課題曲は、モーツァルト『ピアノソナタ ヘ長調 K.280』
カイと修平はこの時点から完全なライバルとなった。

<映画との違い その2>

原作通りなら、カイと修平は一旦、友人関係が決裂、
そしてライバル関係としての再構築の流れが、今回の話に盛り込まれます。
TV版は、その点で非常に物足りません。

以下は、TV版ではカット。

映画では原作通り、キンピラとカイが再び喧嘩するシーンが描かれる。
そこに「この手はもう、喧嘩なんかする手じゃないんだよ」と
必死にカイの腕を掴み、喧嘩を止めようとする修平。
余計なお世話と、ピアニストとして心配する修平の気持ちを全く汲み取れないカイ。
そこで生まれた不協和音で修平は、カイを忘れようと必死に練習に打ち込む。

そんなドラマがあればこそ生きる最後の二人の真剣勝負の約束でしょう。
このシーンは外してほしくなかったですね。

また、ピアノレッスンの見返りに関する
阿字野とカイの取引は、映画の方が原作に近く丁寧。
そのため、主導権をがっちり確保した、やり手の先生感が映画の方が良く出ています。

TV版では「森の端」の描写が、ごっそり消滅。
森の端は、そこを牛耳る裏社会の人間達が、住人をそこに一生縛り付けようとする厄介な場所。
カイと母親の会話から、それを伝える努力は認めますが、
そんな森の端のエピソードが、あまりにもなさ過ぎて説得力が弱い。
原作を知らないと、TV版のカイは、ただの貧乏な境遇に見えてしまうかもしれません。

一方映画では、原作の持つ生々しさは最小限に抑え、短いながらも
カイが手伝う店内の様子や、修平がカイを訪ねた時のトラブルを描いてくれた。
そのおかげで、森の端という地域の問題点をある程度は伝えてくれました。

<手描き作画について>

唯一の救いは背景の綺麗さ。

普段、全体での統一感さえ、ある程度維持していれば、多少の作画崩れはそんなに気にしません。
しかし今回は1話以上に、キャラクターの作画に一貫性が無く統一感のないものでした。

その他のキャラはそんなに気にならないのですが、
阿字野先生の顔つきの、別人のような変化が見苦しい。

ナイスミドルになったり、冴えないおじさんになったり、
時には左右の目の高さが変わったり、額が広く顔長になったり…
映像から露骨に滲み出てくる原画担当の個々の技量の差が気になって話に浸りきれません。

<蛇足>
※ 以下は、あくまでも個人の邪推と偏見です。
現場を見てきたわけではないので勝手な妄想の戯言と思って下さい。

今回で、本作の演奏シーンのCGと止め画のOP&EDは、
アニメーターの実力不足をごまかすために採用された気がします。

手描きとCG双方が、相手を尊重して歩み寄る姿勢を感じられません。
演奏シーンのCGの不自然さは、1話と同様。
カイがピアノを弾き始めCGに切り替わった途端、別次元の住人に変身。
手のCG感も相変わらず。自然な手先に見せる加工も工夫もなく雑です。
せめて髪の毛の質感だけでも何とかならないものでしょうか。
CGになると、カイの髪の毛が人間のものから
鳥の羽の質感に変化するので違和感が非常に大きい。
さらに演奏中も手描きとCGが切り替わり、
手描き班とCG班の統制が全く取れていない映像に酔いそうになりました。

監督の中谷学氏は、アメリカでCGアニメの現場で叩き上げられた実力者であっても、
ドリームワークスの劇場アニメでの、ライターとCGスーパーバイザーとしてのキャリアのみ。

様々な部署を統制しなければならない日本のTVアニメ監督は初体験なはず。
手画きの多い日本のアニメの、過酷な制作現場で下から叩き上げられた方ではないよう。
特にCGとは畑違いゆえ、手画きスタッフに対して、発言力が弱くなってるかもしれません。

また気になるのは、日本人以外の、
自己主張の激しい国民性を持つ2か国のスタッフが大勢いること。

半島系(原画6名中4名、動画4名中2名、作画監督2名全員、美術5名全員)、
大陸系(CG制作20名中8名、CG美術2名全員)とエンドロールで一目瞭然の参加比率。
手画きとCGで、2カ国真っ二つに分裂。

これでは、手画きとCGが調和するのは絶対不可能な気がします。
管理する日本人スタッフは、納期に間に合わせるため
多くの問題に目を瞑らざるを得ないのかもしれません。
監督と総作画監督の苦労が偲ばれます。

以上、完成映像から、制作現場での余計な人間ドラマを想像してしまいました。

モーションキャプチャでの見応えあるピアノ演奏に拘るなら
いっそのこと全作画を3DCGにして、キャラクターも、
原作から離れたとしてもCGとの調和を優先したデザインがいいと思います。
その点、映画のキャラデザの方がよほどCGと調和しやすそうです。

<2話までの総評>

個人的には、2話単独の満足度は60点。
大筋のまとめ方としては無難とは思います。
原作未読者にとってはこれでも十分かもしれません。

2話まで観て、物語の評価は、5.0(原作基準)→4.0、作画を3.0→2.5に下げました。

原作にある以下のポイントが、映画版ほど十分に描けていないのがその理由です。

・カイの育った境遇の悲惨さ。
・学校でのいじめや大人からの虐待に、勇猛果敢に立ち向かう野生児カイの魅力。
・阿字野先生が、カイと出会うことで生まれた人生の迷いと葛藤。
・修平の、カイを知れば知るほど増幅する苦悩、葛藤、焦燥。

とは言え、次回からの原作上のエピソードが大好きで期待してます。
一番好きなキャラも初登場しそうで楽しみです。
{/netabare}
★ #03:「モーツァルトの遺言」(2018.4.23放送)
{netabare}
原作第4巻半ばから第5巻途中(第28話-第35話序盤)までの内容。
映画版ではおおよそ経過時間60-76分のシーンに相当。

<誉子、人生を変える出会いを体験する>

カイは阿字野に指導を乞い、修平との誓い通り、
万全の準備でピアノコンクール地区予選に出場することなった。

予選当日、参加者の一人の丸山誉子は、会場の控室でカイと出会う。
彼女は極度のあがり症で、いつも本番で実力を発揮しきれない。
成り行きで、カイはそんな誉子を励ますことになった。
修平は、コンクール本番のパーフェクトな演奏で確かな手応えを得る。
果たして誉子は、そしてカイは…。

<映画との違い その3>

今回もTVは原作を尊重してるが、それが必ずしもいいとは限りない。

今回のエピソードは、映画では16分でまとめていた内容を、
TVでは約22分でまとめていました。
プラス6分の余裕で一層濃いものになりそうなものなのに、
結果的には単なる原作のダイジェストになってる気がします。
それは脚本の問題で、キャラクターの心情と言動の描写に
繊細さが欠落しており、すべてが上っ面な感じがする。
それに加え、作画の拘りの不足がもたらした結果と思われます。

・TVでは、映画では登場しなかった修平の父、
雨宮洋一郎が原作通りコンクール会場に登場。

・TVでは、阿字野の模範演奏カセットテープ(原作準拠)をCD-Rに変更。
現代に沿うよう改変したかに見えて、作画の難易度を下げる意図が見え隠れ。
映画では、テープを本体から引っ張り出し、
カイに二度と聴かせないようにするシーンまであり、手間暇かけてたのに少々残念。

阿字野の調律シーンも、阿字野の手元を全く描かず。
ピアノの内部構造も遠景で誤魔化し、チューニングハンマーも描かず清々しいほどエコノミー。

・モーツァルトの幻影の映画以上な大幅な簡略化。
今回の見どころだったモーツァルトの幻影を簡略すると
サブタイトル詐欺と言われても仕方ないような…。

エコノミー作画の影響をここでも感じる。
オバケのモーツァルトが、おまけのモーツァルトになってました。

映画では、短いながらも最高のアレンジが加えられ、一人から日に日に増えて、
大小男女合わせて11人で、カイの後ろをぞろぞろ付いてくシーンが可笑しかった。
様々な声優で「楽譜を返して」と、カイに語りかけるのもまた愉快でした。

・TVでの、カイが服を汚され、それをガソリンスタンドで水洗いするシーンは原作にあったが映画には無かった。
このシーンは、もっと丁寧に描かないと中途半端。
原作通り、カイと母との仲睦まじい姿に感じ入る阿字野の心のモノローグを入れるべきです。
そうすれば、このシーンは非常に生きたと思います。

<3話までの総評>

3話単独の評価は55点。

上記不満点に加え、誉子に振り回される、表情豊かなカイが描き切れてないのも不満です。
声優、白石涼子さんの荒っぽい声質のせいもあり、カイが偉そうで可愛げがありません。
映画では誉子に抱きつかれた時の、困ったような、照れたような
カイの表情と仕草に子供らしい可愛さがあって好きでした。
映画でのCVも、女優の上戸彩さんの繊細な演技が意外なほどに嵌っていた。
そして、穏やかさと力強さを併せ持つカイの優しい人間性もよく出ていました。

TVでの小学生のカイを演じる白石さんは、プロらしい上手さがあるけど、
子供向けアニメによく見られる、画一的で繊細さが足りないテンプレ演技でつまらない。
これは彼女の演技力が問題というより、脚本と演出の問題だと思います。

以上、次回以降の描き方に期待して、物語の評価は保留にしますが、
その代わり、声優の評価を5.0(事前発表のメインキャスト基準)→4.0に下げます。
また、作画は手抜きがさらに増量した感があり、今回で2.5→2.0に下げます。

作画班は、日本人スタッフが相変わらず少数派。
作画の大雑把感が大きいのは、そこにも問題がありそう。
ガイナックススタジオの少数派の日本人スタッフは
多くのアジアの異人に囲まれ気苦労が絶えなさそうです。
{/netabare}
★ #04:「一番のピアノ」(2018.4.30放送)
{netabare}
原作第5巻途中から第5巻末(第35話続き-第40話)までの内容。
映画版では経過時間76-89分のシーンに相当。
(今回は、構成の違いのため今までのように単純に切り取れませんでした。
89分とは単なる目安です)

<誉子、ピアニストとして脱皮する>
<カイ、多くの観衆の前でピアノを演奏する悦びを知る>

楽譜通り、模範演奏、という呪縛を解き放った二人のピアノは観衆に大きな感動を与えた。

修平と誉子はコンクール予選に合格した。
カイは減点方式の審査基準により予選落ち。

しかし、心に深く響くカイの規格外な演奏に、
修平は音楽上の大きな敗北感を味わう。

カイと修平、世界に向けてのそれぞれの第一歩が始まった。

<映画との違い その4(終)>

映画の89-96分(96-100分はエンドロール)に相当するシーンは
次回に入ると思われますが、今回で比較を終了します。

今回の内容も、原作に拘らない映画と原作準拠のTVは、
大まかな流れは同じでも細かい所でかなり違います。

一番分かりやすいシーンだけあげると、審査員の選考会議シーン。
TVは原作通り存在しましたが、映画では丸々カットされました。
TVでの選考シーンは今後の伏線として重要なものでしょう。

映画は、今回のコンクール予選の顛末迄で話を終える必要がありました。
そのためこのカットで、審査員の中で、
今後のカイや誉子の関係者となる人物の存在感を無くしても問題ない。
尺としても、ラストに向けた予選後のシーンを優先したのでしょう。

原作第6巻第41話迄の内容で終了した映画。
一つの区切りで終わっても非常に感動的でした。
映画は、カイの住む町から車で去っていく修平のモノローグで終了。
原作にはないシーンですが、その余韻はとてもいいものです。

<4話までの総評>

やはり本作の作画は自分にとって受け入れがたく、粗ばかり見えてしまいます。
背景はとてもいいのに残念です。

一番の理由は、無意識に映画と比べてしまい要求水準が上がってるからでしょう。
次回以降は、映画では存在しないエピソードに入っていきますので、
なるべく大らかになりたいと思います。
ただ、手描きとCGの整合性の無さだけは、ずっと気になりそうです。

ところで、今回の手描班は、背景は別として日本人しかクレジットされてませんでした。
スタッフの増員がされたわけではないので原画3人、動画2人に激減。
個々の負担がヤバそうです。

手描きで今回特に印象に残ったのは、21分31秒あたりから数秒、
誉子は予選突破に歓喜してる途中で口が閉じられましたが声は続いてます。
台詞と作画があってません。誉子、君はいっこく堂か、と…。
また23分05秒あたり、会場外に出て雨空を見上げるカイは、
キャラデザそのものが変わったかのようでした。

今回は、一度視聴した後でCDドラマのつもりで試しに音声のみで鑑賞してみました。

そのほうが、普通に話に入っていけます。
音声のみの方が、脚本が良く出来てると思えます。
ピアノ演奏も一層楽しめます。劇伴の優秀さも実感できます。
キャストで、前回気になった白石さんの声質も今回は全く気になりません。

以上、4話単独の満足度は、映像込みだと65点。映像抜きなら90点。
映像抜きで初めて本作の音楽の良さが伝わりました。
今回、音楽評価のみ修正して3.0→4.0にします。

なんとも皮肉な話ですが、少なくとも4話までは、
自分にとって映像が邪魔なアニメだったと言えそうです。

そのうち、もう一度1話から3話まで、音声のみで鑑賞してみたくなりました。
物語の印象が全然変わりそうです。
{/netabare}
★ #05:「コンクールの神様」(2018.5.7放送)
{netabare}
原作第5巻末から第6巻半ば過ぎ(第40話続き-第47話)までの内容。

<カイ、阿字野との約束を果たして森のピアノに戻ろうとする>

阿字野はカイを世界に羽ばたかせようとカイと母レイを説得。
森のピアノさえあればいいとカイはそれを辞退。
しかし森のピアノは、まるでカイを拒絶してるかのように音が出なくなった。
ピアノが弾けない欲求不満が日々溜まる。
観衆の前で演奏する快感も忘れられない。
カイは、今なすべきことを見出せず一人悶々となった。

<修平、阿字野から貴重なアドバイスを貰う>
修平は、コンクール後まもなく東京に転校してカイから離れていった。
カイと共に過ごしたのはわずか3か月間。

阿字野の別れ際の修平へのアドバイス。
「君はもっと自分のピアノを好きになった方がいい。そうすればきっと解る。誰かと比べる必要なんてないんだ。」
それは、誉子はクリアできたテーマ。
しかし修平にとってはそれをクリアするのはまだ先になりそうだった。

<誉子、迷いなく音楽家への道へ>
カイの演奏に恋した誉子。”便所姫”の称号をカイから授けられピアノ界の勇者の道を選ぶ。
それは、コンクールの勝ち負けより自身が納得できる、カイのような音楽性豊かなピアニストを目指すこと。
そして、今回のコンクール本選で審査員特別奨励賞を受賞することで自信を得た。

<5話の感想>
ほぼ原作通りの話の進め方でした。

今回の一番の見せ場は、誉子のコンクール本選シーン。
誉子役の悠木さんの演技がさすがです。
ピアノ演奏もとても良かった。
その点だけでも今回は80点の満足度。

カイの理解者で協力者でもある亜理沙が、今回ようやく登場。
本来は2話から登場させて、原作のようにカイとの人間関係を丁寧に描いた方がいいと思います。
アニメでは、「森の端」の存在を曖昧にさせる都合上、致し方ないのでしょう。

今回は、動画のぎこちなさもあまり気にならなく、
前回よりは安定した作画のように感じました。
原画スタッフを、日本人で統一して増員(前回+9人)させたためか、
制作陣のゆとりが作画に滲み出ていたように感じられます。
キャラが柔らかく人間的温かみが増した気がしました。

また今迄と打って変わって、CGを極力排除していたのも好印象です。
これからも違和感あるCG作画でピアノ演奏の技巧を見せびらかすよりは、
多少誤魔化してでも全体の作画の調和を重視してもらいたい。

審査員の佐賀先生は、顔の作画に笑える所も若干ありましたが、
話の上では、今回一番かっこいい役でしたね。
{/netabare}
★ #06:「森のピアノ」(2018.5.14放送)
{netabare}
原作第6巻半ば過ぎから第7巻末(第48話-第58話)までの内容。

<カイ、森のピアノから卒業する>
既にカイですら音が出なくった森のピアノは落雷で焼失した。
心の拠り所を無くし、自らの進退をどうするか決めあぐねていたカイ。
そんなとき、偶然街中で出会えた楽器店のアクリル樹脂製の透明なピアノ。
多くのギャラリーに囲まれた久しぶりの演奏で涙が止まらくなった。
そしてカイは悟る。
「そうなんだ。ピアノは俺の生命(いのち)なんだ。」と。

カイはプロを目指し、阿字野に師事することになった。

<6話の感想>
今回の一番の見せ場は、透明なピアノでのカイの初めての他者との共演シーン。
原作では味わえない実際の音楽はとても魅力的でした。

今回は原作のおおよそ1.2巻分を1話に詰め込みましたが、
ポイントを外さない上手いまとめ方だったと思います。

しかし、作画が相変わらずチープなのは大きなマイナス要素。
原作既読で話は熟知しているので、
作画と音楽の出来が作品の評価に大きく影響してしまいます。
なるべく気にしないように心がけてもやはり気になる。

全体的に、作画は前回より不安定になった印象でした。
特に気になったのは、透明のピアノ本体の作画は頑張ってたのと対照的に
ヴァイオリンなどの弦楽器の作画が雑過ぎ。
ヘッドやネックは長いし、指板は広すぎるし笑うレベル。

今回、カイの演奏時のCGは手先と上半身の一部のみ。
頭部は手描きのみにしてましたが、このほうがまだいいですね。

以上で、今回は75点の満足度。

今回の原画チームは半島系外国人のみ。
前回は日本人のみと、回毎のチーム分けが明確になってきた印象。
日本人との混成は、出来るだけ避ける方向にしたのでしょうか。
{/netabare}
◎ 高校生(日本)篇
★ #07:「再会」(2018.5.21放送)
{netabare}
原作第8巻(第59話)から第9巻(第71話)までの内容。

<カイと修平、16歳>
カイは、日本の一流進学高校の特待生。
母親から離れ一人暮らし。
学業と、修業を兼ねたピアノ演奏のアルバイトの日常

修平は、カイと別れてすぐに海外留学。
5年後、スランプでピアノが弾けなくなる。
そして、カイに再会するために一時帰国。
それはカイの圧倒的な才能から逃げることを止めるためだった。

<7話の感想>
カイをライバル視する修平。
彼は恵まれた境遇なのに真面目すぎ。
凝り固まった性格で、ある意味不自由。

対して、修平をピアニストとして尊敬するカイ。
彼は自活し、学業と生活で手一杯。
しかし、経済的豊かさからはほど遠くても、
よき師とよき理解者に恵まれ、
伸びやかにピアノの道を歩み続け、ある意味自由。

お互い正反対ゆえ、5年経っても親友同士になりきれない二人。
修平さえ変われば、ピアノで結ばれた親友以上の真友になれるのに...。

今の修平は、カイから与えられるばかり。
カイに与えるものができるのはまだ先になりそう。
カイは素直で年齢以上の人格者なので、
これからの修平の成長物語に期待です。

修平が16歳になって、中の人が花江さんに代わり、
君嘘の有馬公生14歳の2年後のようでした。

今回は、原作の話のまとめ方としては好印象なものの、
作画について、カイの、リスト「ラ・カンパネラ」の演奏シーンで
カイの全身CGと手描きの修平が、一部同一フレームに収まってました。
これは違和感ありまくりでドン引き。
CGと手描きの融合の難しさを感じます。

音楽は、良く配慮されており今回も素晴らしい。
特に今回は、「ヤツらに捧げるバラード」にメロディがついてうれしかった。

以上で、今回はトータル70点の満足度。
今回で音楽評価を4.0→4.5に、作画評価を2.0→1.5に修正します。

次回は、原作の大幅な簡略化がありそうで不安です。
{/netabare}
★ #08:「挑戦状」(2018.5.28放送)
{netabare}
原作第10巻(第83話に87話を一部合成),第11巻(第89話)から第12巻(第100話)までの内容。
(※ 第9巻(第72話)-第10巻(第82話),第11巻(第84-88話)はカット)

<カイと誉子の再会。そしてマエストロとの出会い>
カイは、阿字野の指示通りアルバイトをすべて辞め、5年ぶりにコンクールに出場。
それは遠方の九州大分での「JAPAN ソリストコンクール in 別府」だった。

誉子は師事するピアノの司馬先生に導かれるまま飛行機に搭乗。
始めは訳も分からず、急遽会場に出向きそれを観覧することになった。
5年間、逢いたくても逢えなかったカイと思いがけずそこで再会。

コンクールでソリスト賞を得たカイは、日本の一流オーケストラと共演。
それは、阿字野の手配によるジャン・ジャック・セローという
超一流のマエストロとの出会いの場でもあった。

ジャンのショパン・コンクールの推薦状を貰え、
いよいよカイは世界に飛び出す時がきたようだ。

<8話の感想>
一気に3巻分を駆け抜けた今回は、原作ファンの多くに不評を買ったのではないでしょうか。

以下、原作のネタバレあり
{netabare}
カイの恋人の岸上 冴(キシガミ サエ)は、アニメではいないことにされました。
それは、原作の第72-82話のエピソードをカットすることでキャラも自然消滅。
事前のサエのキャスト発表もなかったので予想通りでしたが残念。
サエは母親と離れた孤独なカイの心を埋めてくれる存在。
彼女の存在は、カイの心の支えの身近な家族として重要なキャラと思います。
出来れば彼女も描いて欲しかった。

サエは才能豊かな18歳の彫物師。未成年でも自立した努力家。
アパート一人暮らし。軽自動車も持ってます。
気立ても良く、技術もセンスも評判高く刺青のオファーは絶えません。

そんな忙しい彼女ですが、マリアのピアノの大ファン。
どんなに忙しくても、クラブに日曜の夜の週一で通い続けるほど。
ある日のクラブ閉店後、サエはマリアが女装の男性カイと知らぬまま
一緒に飲みに行き、酔っぱらったカイはサエのアパートに泊まることに。
そして、酔った勢いのカイに押し倒され男女の仲になります。
そんな二人が初めて結ばれるシーンはエロくはない。
むしろカイもごく普通の若者なんだと伝わる微笑ましいシーンでした。

当初、カイと恋愛関係になることにまんざらでもないサエ。
その後、カイが2つも年下の高校生であったことを知ってショックを受けたり…。
クラブの女の子たちの嫉妬から、遊び相手のつもりで抱いたと誤解させられたり…。

そんな紆余曲折を経て、最終的には
カイの真剣な愛の想いを受け止めカイの家で同棲するようになります。
そして家族の一員として、阿字野やカイの理解者たち公認の
かけがいのないパートナーになりました。

またそれは、誉子とカイは恋愛関係に決してしないという
原作者からの読者へのメッセージとも受け取れました。

NHKでなくても地上波のテレビアニメでは、
未成年の同棲(しかも片方は高校生)と飲酒を描くのは
倫理上ハードルが高いと思われます。

サエは、あくまでカイのプライベートな存在でピアノとは無関係。
この先のメインイベントのショパコンにおいて、
存在しなくても問題ないキャラでしょう。

以上から、サエのエピソードの全カットは諦めがつきます。
しかし今回、一番納得できないのは以下です。

<誉子の5年間の想いの描き方が不十分>
誉子の腱鞘炎をめぐるエピソードまで全カットされました。
原作上、本作で個人的に誉子が一番好きなキャラ。
そうなったのは、今回カットの原作第84-88話のエピソードがあればこそ。

アニメでは、大分に向かう機上の誉子の回想で、
彼女の5年間の出来事のほんの僅かな部分は描かれます。
しかし彼女のピアニスト人生の挫折に繋がりかねない試練は全く描かれず。

誉子は5年前の、たった5分だけのカイのピアノ演奏で
ピアノに対する価値観が180度変えられた。
以来、完璧よりも感動優先。
プレーヤーからアーティストへの脱皮。
5年間、勝ち負けに拘らない個性豊かなピアニストであり続ける。

そして、カイのピアノに恋焦がれ
再び彼と出逢うためだけにコンクール荒しを続けてきた。
優勝が目的ではない彼女が得られたのは特別奨励賞の類ばかり。
そして誉子は、人の何倍ものピアノへの努力が仇で腱鞘炎になりました。

コンクールが唯一のカイとの再会の場と信じ込んだ誉子。
腱鞘炎が周りにバレてもなかなかコンクールへの執着から離れられない。

しかし彼女の執着は、カイの5年ぶりの演奏に逢えたことで一瞬で氷解。
そして改めてカイのようなピアニストになるべく心機一転、
ようやくコンクールから一時離れ、手の治療を最優先することに。

そんな彼女のエピソードは、カイと誉子のドラマにおいて最重要。
尺の問題とは言え、そこを描かないシリーズ構成には失望です。
そこを端折ると、今回の誉子の涙も安っぽく見えてしまう。
原作では大感動でしたが、アニメでは全く感動できません。

また、誉子の5年間の想いを丁寧に描くことは、
カイの才能に信憑性を与えてくれる意味においても重要でしょう。

<原作での隠れたヒーローは、アニメでは消えたヒーローへ>
また、佐賀先生絡みの描写の大幅カットも大きなマイナス。
原作にある佐賀先生の、有能さとユーモラスで人間味の豊かさが共存した
魅力あるキャラ像が、今回の描き方では十分に構築できませんでした。
佐賀先生も、誉子の手の故障を最初に発見する者として重要な役。
実は、佐賀先生抜きでは語れぬ誉子の復活劇が原作ではあったのです。

ついでに書かせてもらうと、
第9巻の71話と72話の間に位置する番外編もアニメで観たい。
誉子留守中の彼女の家に、偶然カイが調律師として派遣され、
誉子とは逢えずとも愛犬ウエンディと逢うエピソード。
これは最高でした。

本作が人気作になればOVA化も期待できると思いますが、
こんな構成で妥協してしまうような制作者と
CGと手描きの融合レベルの低いままで良しとするような
アニメ制作会社の力量ではOVA化実現は期待薄な気がします。
{/netabare}
今回はダイジェストとしても残念な点が多い。
人間ドラマを軽んじている印象で、今迄で一番がっかりです。
悩み多きが青春時代。きれいごとばかりではないのです。
せめて、今回の内容は最低でも3回に分けて丁寧に描いてもらいたかった。
その内1回は誉子に焦点を絞り、カイがほとんど出てこない内容で。

ゆえに今回はトータル30点の満足度。
音楽の素晴らしさを考慮すれば40点。

物語評価を4.0→2.5に、
キャラの描くべき原作上のポイントを外してるため
キャラ評価を5.0(原作基準)→3.0に大幅修正します。
非常に残念です。
{/netabare}
◎ ショパン・コンクール(ポーランド ワルシャワ)篇
★ #09:「ワルシャワの胎動」(2018.6.4放送)
{netabare}
原作第12巻(第102話)から第13巻(第111話)までの内容。
但し、第13巻(第107-110話)はカット。

<カイ、ポーランドへ。そして新たな友との出逢い>
阿字野はまだ日本にいて、カイ一人渡欧してワルシャワへ到着。
話し相手もない孤独な状況のカイは、ショパン・コンクールの予備予選に参加した。

修平は、楽勝で予選通過。
カイは思わぬプレッシャーでかろうじての予選通過。
カイは修平との再会を喜び、素直に修平の技量を褒めたたえたが、
敵愾心丸出しの修平は、カイを拒絶。カイの孤独感を煽る。

一方、同じ予選参加者の日本人、平田光生(こうせい)。
彼は、カイや修平と同学年。ワルシャワに5年留学中。

予選会場で出逢った初対面のカイに気軽に話しかける光生。
同年代のうざいけど気のいい彼。彼は予選には落選。
その結果、カイとはライバルにはなり得ず。
その代わり、気楽に話せる初めてのカイのピアノ仲間になった。
現状のワルシャワでは、親しい友人がいないカイにとって
貴重な存在になりそうな予感。

<重要な伏線を描かず。この物語は何を結末にするつもりなのか?>
原作の第107-110話は結末に向けての重要な描写。
アニメではそれを省きました。これは大いに不安。
このままでは、原作で一番感動したポイントが、
とって付けたような感じで終わってしまうかも。
もしくは、そのポイント自体省かれる可能性もあります。
それは、この作品の魅力を半減するほどの省略となるでしょう。

今回の満足度は音楽込みで40点。
最早この時点で、私にとってこのアニメは
音楽だけを楽しむために観続けているようなものです。

それにしても光生ってキャラ名。
「君嘘」の主人公、公生の名前と読みが一緒とは…。
君嘘は、2011年から発表されました。
当時、ピアノの森の単行本は少なくても19巻まで出版済。
連載前のリサーチで本作を参考にした可能性が非常に高いですね。

今回も相変わらずの作画のトータルバランスの悪さに閉口。
特に今回は、CGと手描きの不自然な融合に加え、
背景の、歴史の重みが滲み出る欧州の格調高い街並みやホールの綺麗な画と
人物の、原作準拠に拘った庶民漫画風の拙い画を
強引にミックスした動画にものすごい不協和音を感じました。
これはもはやギャグ。真面目な話には合いません。
{/netabare}
★ #10:「ショパン・コンクール」(2018.6.11放送)
{netabare}
原作第13巻の第112-117話、第14巻の第124話の内容。

<コンクール第一次審査スタート>

フランス人、ソフィ・オルメッソン
中国人、パン・ウェイ
ポーランド人、カロル・アダムスキ

次々と登場する様々な国のコンテスタントたち。
予備予選をクリアした彼ら第一次予選参加者は
一人45分の持ち時間の中でショパンの名曲を自由に選び演奏して競い合う。

ソフィやパンの魂のこもった演奏を聴き
様々な思いを抱くカイや修平だった。

<10話の感想>
今回の満足度は20点。
今回で物語評価を2.5→2.0、作画は1.5→1.0に更新しました。

今回のカットは、第13巻の第118話と第14巻の第119-123話でした。

修平とカイの人間関係に関わる部分以外は、基本バッサリカット。
特に、コンクール会場以外での
カイと地元の人々との交流を省略したのが今回の一番の不満点です。
具体的には、カイがポーランド滞在中のアルバイトでの出来事。
とある酒場でのエピソードが中心。
マエストロのジャンもカイを支える者として魅力的に描かれます。
これを描かないとカイの人望、魅力が十分に伝わってきません。
さらに光生がピエロのように描かれる部分もあり、
ちょっと和む話だったのに…。

このように、カイと彼の身近な人々を丁寧に描かない点が致命的。
そのため、阿字野をはじめとする人々の存在感が希薄でつまらないです。

手描きとCGを無節操に混ぜ込んだピアノ演奏シーン。
止め画とぬるぬるCGの不自然な融合。
特に、ソフィ(手描き)とパン(CG)の演奏シーンに
大きな格差を生みました。
これは非常に不快。素直に音楽を楽しめません。
CGに拘るならフルCGが無理でも
せめてピアニスト全員の演奏はCGで描画すべきです。

さらに人物の作画乱れも一層酷くなりました。
おかげで話も音楽も素直に楽しめず、
せっかくの予算潤沢?のピアニストたちのピアノ音源も台無し。

総じて、原作は音楽が従で人間が主だったのに対して
アニメでは、それが逆転しまった印象でした。

今回、唯一いいなと思えたのは、パン ウェイ役の中村悠一さんの声。
クールな役は実に嵌ります。さすがお兄様な存在感でした。

さて次週は放送はお休みで、次回は再来週。
そしてNHKは結局12話で一区切りして、
残りの12話は仕切り直して放送する様子。

13話以降をいつ放送するのか不明。
思った以上に期待外れだった本作の詳細なレビュー投稿は
13話以降は止めるかもしれません。
{/netabare}
★ #11:「ポーランドの新星」(2018.6.25放送)
{netabare}
原作第14巻の第125-129話、第15巻の第132-134話の内容。
第130,131話はカット。
[レフとカイの初対面シーンは第118話,第129話よりアレンジして簡略化]

<修平、さらなる闇の世界へ>
カイにコンテストで勝つことが、
自信を回復するための唯一の手段と信じる修平。
一次予選の演奏は大成功と思えたものの、
その凝り固まった考え方で神経過敏になってしまった。

一方、自分に勝つことを信条として、
他者をライバル視することと無縁のカイ。
他者の優れた演奏は、自分と比べることもなく素直に称賛する。
そんなカイは、息抜きに訪れたワルシャワの広大な公園で
自分と波長が合いそうなコンテスタントの一人と遭遇する。

<11話の感想>
今回の満足度は30点。
(話としては50点ですが、作画で-20点。)

もう1次審査最終日。
原作未読者にとっては、
全く気にならなく普通に面白いかもしれませんが、
自分には今回も、なかなかのスカスカな展開でした。

<今回までの話の流れで、原作で出てきたコンテスタントたち>
韓国の双子は、台詞無しでちらりと登場してましたが、
豪快な魅力があったアレグラ・グラナドス(アルゼンチン)は出なかった。
他にもアメリカのダニエル・ハントも未登場。

アレグラはピアニストというより
ワンダーウーマンのようなパワフル系の濃いキャラ。
このキャラを省くのはもったいない。
せめて彼女だけでも登場させて欲しかった気がします。

そしてアニメでも、重要なキャラとして今回初登場は、
ポーランドのレフ・シマノフスキ。

一見人当たりのよさげなレフ。
しかし彼も修平のような闇がありそう。

修平もレフもCG作画で演奏をアピールしてました。
今の所、CG作画を用意されてるピアニストは、
カイ、修平、パン、レフのみ。
少なくてもこの四人は、コンクール篇でのエピソード上
欠かせないキャラと言えそうです。
{/netabare}
★ #12:「fff(フォルティッシッシモ)」(2018.7.2放送)
{netabare}
原作第15巻の第135-138話、第16巻の第139-142話の内容。

<カイ、オンステージ>
1次審査最終日、レフの次の出番はカイだった。
カイは、予備予選の時とは打って変わって萎縮することなく、
自由に伸び伸びと自分のピアノの世界を観客に伝える。
それは、師弟(阿字野&カイ)の、社会との戦いの歴史であり、
カイを育んだ森と、森のピアノのドラマ…

森のピアノは物理的には焼失したが、
カイの心の中に確かに存在し続けていた。

<12話の感想>
カイが全世界にその存在を知らしめるターニングポイントで一区切り。
今回で第1シーズン終了。第2シーズンは半年後スタート。

今期の〆回ですので、作画は今までで一番力入ってた気がしました。
まあ、割と丁寧にカイの演奏の魅力を表現できてたから
作画の粗を普段より感じずに済んだだけかもしれません。

いつの間に阿字野はポーランドに来てたの?
カットが多いせいで、阿字野の扱いが雑な点はマイナス。
しかし、ピアノ音源が素晴らしかったので今回の満足度は70点。

1期は12話で原作15.5巻分を消化。残りは10.5巻分。
2期は1期ほど駆け足にはならないと思われますがどうなることか。
{/netabare} {/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

音楽ものとしてはわりと底辺 残り12話に期待

2018.07.04記


原作未読 ※すごい良いらしい

全24話の触れ込みですが、いったん12話まで放映されたものを視聴。
原作者一色まことさんの作品はスピリッツを毎週読んでいた頃お世話になりました。この原作もすごい良いらしいです。

直前スペシャルで、期待値上がってました。
なんでもコンサートホールをキャプチャ取ってCGで再現し、ダイナミックな演出を可能にしたとか。実際ピアノを弾いてる人のキャプチャ取って演奏シーンに反映させたとか。キャラに合わせた演者を用意したとかとか。
ストーリーか演奏シーンかどちらかで魅せてもらえればOK!の心持ちで視聴開始です。


あらすじは天才肌の主人公一之瀬海とサラブレット努力型の雨宮修平という二人のピアノ少年が出会い成長し、という物語になります。
努力型は置いといて、森に捨てられたピアノを鳴らしているうちに音の感覚や人の心を揺さぶる演奏力を身に着けた主人公という設定は興味深いものでした。


結局、、、

『意欲作』といったところでしょうか。
{netabare}子犬のワルツ(ショパン)のインパクトがある種きっかけになって、ショパンコンクールでクライマックスを迎える流れは筋が通っていて好感ではあります。{/netabare}


物語が駆け足で、ここが盛り上がりどころなんだろうなという場面でもそれまでの人物の背景描写が薄くて感情移入しにくい。
声優さんは安定したいい演技をしている。
OPEDも物語に沿った良い内容。出演もされてますが、悠木碧さんの落ち着いたED曲なかなか良かったです。
途中で切るほどではないけど、おそらくいろいろ端折ったんでしょう。話が飛んでいるように見えることで、起伏が生じずやや平坦な印象を持ちました。


さらに演奏シーンの多用は諸刃の剣になってしまったとも思います。
 ※劇中の演出に触れてるのでいちおう伏せときます

{netabare}たしかに指や体の動きはなめらかでした。・・・だがCG・・・
手書き部分とCC部分が見た目違い過ぎて違和感がはんぱない。止め絵やモノローグを多用するよりは指の動きを見せたい、という製作側のサービス精神の発露と受け止めたいところですが全体のバランスでみるとどうだったんでしょうね。{/netabare}

それと演奏の描写について

美しい音色なんですが、残念ながら私には違いがよく分からない。
{netabare}特にコンクール入ってからはみんなうまい人たちばかりなので曲の解釈はどう演出されてるかにかかってたのですが、ほぼ聴衆の反応(セリフ)のみ。心象描写や背景演出そしてモノローグなど使ってても印象が薄い。曲数も演奏シーン自体が多いという作品の特色を考えれば、いかんせん単調になってしまいました。心象描写や背景演出で印象に残ったのは一ノ瀬海演奏時の森の風景が立ち現われたのとか、パンウェイの革命のエチュードのシーンなど。これは良かった。{/netabare}
もう少し、曲の背景や持つ意味だったり、その曲を何故選択したか?のストーリー性など絡めても良かったんじゃないかと思います。


残り12話待ちですね。今のところイマイチです。



■余談 ※本作と四月は○の嘘のネタバレ込み

【ショパン バラード第1番ト短調 作品23】

この曲名でピンと来た人はそれはそれですごいですよ。

{netabare}雨宮くんの声は花江夏樹さんが担当してます。
その花江さんが誰か一人を想ってこの曲弾いてます。
演奏中、モノローグががんがん流れます。

四月は君の○を視聴済の場合はこのシーンだけ切り取っての視聴をおすすめしたいかも。
聴衆は感動で涙を流してましたが、こちとら苦笑を禁じ得ない状態でした。{/netabare}



-----
2019.09.04追記


視聴時期:2018年4月~6月 リアタイ視聴

2期と言うべきか後半と言うべきか残りも視聴完了。
期待の急浮上とはいかなかったもののやや盛り返した感あり。
ピアノの音色は文句なし。



2018.07.04 初稿
2019.09.04 追記

投稿 : 2019/12/07
♥ : 51
ネタバレ

ezo さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

作画と尺に泣かされた名作

1話目感想
{netabare}
1話で主人公が大舞台に立ってから小学生時代の回想へ。

これは主人公がピアニストになるまでの物語なのかどうなのか。

今期は続編、リメイク、スピンオフ、ショートアニメが強くて新規タイトルの30分アニメが軒並み今一つな印象だったけどこれは良さそう。

欠点を挙げるとすれば演奏シーンのCGの違和感かな。

そこのクオリティがもっと高ければ完璧な1話になっていたと思う。

{/netabare}

2話目感想
{netabare}
子犬のワルツを弾くために練習曲をひたすら弾く海。

ピアノを教えてもらった取引としてコンクールへ出ることへ。

演奏シーンの引きのCGがまだ違和感があるけど内容は文句なしに面白い。

やはりこの作品が今期のトップ候補になるのか。
{/netabare}

3話目感想
{netabare}
コンクール開始。誉子は今作のヒロイン的なキャラなのかな。

雨宮の演奏は完璧だったけど海はあの演奏を超えることが出来るのか。

続きが気になる引きで次回が早く観たい。
{/netabare}

4話目感想
{netabare}
海のピアノは確かに凄いけど型にはまった演奏が評価されるコンクールでは評価が難しい。

4話目にして少し泣いた。
{/netabare}

5話目感想
{netabare}
海は予選落ちだったけど誉子や修平を含め、多くの人に影響を与えた。

それでも修平はコンクールに勝つ為のピアノを弾ききった辺り彼もまた凄い。

天才と秀才、人の心を動かすのは天才だけどコンクールに求められているのは秀才なのだろう。
{/netabare}

6話目~8話目
{netabare}
小学校編から高校生編へ。

高校生編になってからはやや面白さが落ちるもののそれでも安定して楽しめている感じ。

{/netabare}

9話目感想
{netabare}
舞台はワルシャワへ。

作画は厳しいし展開は早すぎるし色々気になる点はあるけどそれでも面白いのはそれだけ原作が秀逸ということなんだろう。

光生は予選敗退だけど良い奴だった。
{/netabare}

10話目感想
{netabare}
有力候補が続々登場。

雨宮の演奏も楽しみだけどカイの演奏も早く聴きたい。

作画とかは相変わらず良くないけど話はとても面白い。
{/netabare}

11話目感想
{netabare}
雨宮は流石だが精神的にかなりキツそう。

周りからの期待が大きいレフもプレッシャーが凄そう。

皆が色々なものを抱え望むショパンコンクール、次回はいよいよカイの出番。来週が楽しみ。
{/netabare}

12話目感想
{netabare}
観るというよりはカイの演奏を聴く回という感じだった。

1クール目の締めとしてはキリの良い回だったと思う。

続きは2019年の1月から。これからも楽しみ。
{/netabare}

総評
{netabare}
個人的には小学校編はここ数年のアニメでも最高クラスに楽しめていました。

高校生~ショパンコンクール編も面白さはやや落ちたものの春アニメの中では一番シナリオは面白かった。

もったいないのは2クールで終わらせなければいけないが為のカットの多さ。

そしてなんといっても手書き部分の動かない作画(特に高校生編以降)とCGの違和感。

この作品に限らずCGモデルを各所に使用するアニメ作品は多いが、この作品は常時の作画のクオリティ、CGの出来共に完成度か他の作品と比べ低く、慣れるまでに大分時間がかかりました。

内容だけ見れば名作なのは間違いないだけに非常にもったいないアニメ化に感じました。

とは言っても2018年春アニメでは一番続き楽しみにしていた作品だったので2019年1月から始まるシーズン2も楽しみに待っています。

それまでには少しでもクオリティが上がることに期待。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 10
<< 前へ 次へ >>
ページの先頭へ