願いで孤児院なおすすめアニメランキング 2

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69.2 1 願いで孤児院なアニメランキング1位
約束のネバーランド(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (411)
1573人が棚に入れました
「約束のネバーランド」は、白井カイウさん原作、出水ぽすかさん作画による、「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)にて連載中の人気マンガを原作としたアニメ作品。「週刊少年ジャンプ」28号(2020年6月15日発売)にて完結。コミックス1巻(2016年12月2日発売)から20巻(2020年10月2日発売)までの全世界での累計発行部数は2,500万部以上。第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門2位や、宝島社「このマンガがすごい! 2018」オトコ編1位など、国内の数々のマンガ賞を受賞。TVアニメ化に際し監督は神戸 守さん、シリーズ構成は大野敏哉さん、キャラクターデザインは嶋田和晃さん、音楽は小畑貴裕さん、アニメーション制作は、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」「PERSONA5 the Animation」のCloverWorksが担当する。

声優・キャラクター
諸星すみれ、茅野愛衣、林鼓子、伊瀬茉莉也、日野まり、久遠エリサ、植木慎英、森優子、白城なお、Lynn、青山吉能、神尾晋一郎、石上静香、河野ひより、種﨑敦美
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

なんだか切ない。。大人の都合で成り立つ世界 

 
塀の外はどんな場所なのか・・こんな大勢の子供達を抱えてどうなるのか・・この世界はいったいどんな成り立ちなのか・・

1期終了後、気になって仕方がなかったのはこれらでした。
評判はイマイチっぽい印象ですが、果たして・・・

 原作:週刊少年ジャンプの漫画
 制作:CloverWorks
  ダリフラ、青ブタ、FGO・・
  A-1系列。さすがです。
 放送:フジのノイタミナ枠
    第1期 2019年1-3月(全13話)
    第2期 2021年1-3月(全11話)
 視聴:2021年4月(Amazonプライム)

へー、なんか、雰囲気は好きです。
間もいい。会話やシーンを詰め込もうとする余り、演出や会話を感じ取って余韻を楽しむ時間を削られる作品も多い中、作中の人物の想いや世界の雰囲気を感じる「間」を有難く感じました。
またEDがいい。絵が写実的でありながら曲と溶け合っててとてもエモい。

■キャラ/キャスト
キャラの声が良かった(演技は言うに及ばず)。
~{netabare}
 エマ  :諸星すみれ
 ギルダ :Lynn
 アンナ :かやのん
 レイ  :伊瀬茉莉也
 ムジカ :種﨑敦美
 ノーマン:内田真礼
 ナット :石上静香

子供キャラが多いせいか男役の女性声優が多かったですねえ。
子供だからってこうまでいつもいつも笑顔でいられるか・・
なんてふと、そんな想いも湧き出てもきますが悲愴感オンリーよりいいアクセントなのかもな、とも思ったり。
{/netabare}~

■ストーリー
今回ツッコミたかったのは・・
~{netabare}
第4話・・追ってきた人間に捕まるも、都合よく野良鬼が出て来て敵だけを食い、銃が効かなかった鬼に弓矢1本がたまたま当たって撃退。。一人も欠けないって、たまたま過ぎるっしょやw
あと例のペン・・どんだけ電池が持つんだらうw

第6話「道標」・・いるの?それとも万策尽きたの?
この回自体は悪くはないけど、そのせいで終盤駆け込みになり過ぎたとしたら、惜しい、惜しすぎる。。いい作品だけに。

脱獄モノはその後はどうしてもテンション下がりますよね。そこは予想していたので残念感はあまりなく、それなりに楽しめたと思います。

でも、次期の可能性を消すような形での無理やり感満載の終劇・・
モヤモヤ感ない終わり方は好きだけどこれじゃ劇場版やるとしても外伝ぽくなるじゃん・・鬼滅みたいに、ちゃんと順を追って丁寧に世に出して欲しかったよフジテレビさん。。
(まさか資本どころか社内が既に外資に乗っ取られてないですよね)

原作未読ですが、アニメを観終わっただけでの感想は・・
塀の外の世界はソマリの世界じゃんってこと。
「ソマリと森の神様」に人間を飼育する農園の設定を追加したインスパイヤ・・といった印象になってしまいました。
(そういえば知性ある敵との共存みたいなテーマはダンまちⅢとも似てますね)

<参考:原作発表時期>
 ソマリと森の神様 :2015年~
 約束のネバーランド:2016年~

企画陣は脱獄編だけがアニメ化に耐え得ると考えたのでしょうか。。
確かにこれだけでも物語としてまとまっているとは思いますが。。
{/netabare}~

せめて・・

~{netabare}
 続きあるかもね?的な終わり方の方が、原作組の怒りを買わなかったかも知れませんぜ。。

 もったいない。。
{/netabare}~

でも・・

 生死の危険を考えず生活できる世の中。。
 それは人類が求めてきた社会。
 今では当たり前なもの。
 でもそれは、たまたま得られるものではない。
 そんな先人の悲願に想いを馳せるのもいいかも知れません。

機会があれば原作を読んでみたいですね。全20巻ならいけそうかな。
 

投稿 : 2024/04/27
♥ : 28
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

端折ったなぁ(笑)

原作既読。最終話まで視聴。

週刊少年ジャンプは40年近い愛読書です(笑)。
連載開始当初から、緊張感満載のこの作品はお気に入りの作品でした。
お気に入りの作品のアニメ化なので、本作も、とても注目していました。
ところが・・・。

{netabare}序盤、シェルターで『ユウゴ』が出てこないから『???』てなって・・・。
その後、『ゴールディ・ポンド』に行かないから、『ルーカス達』も出てこない。
って思ていたら、『あれ?もうノーマンが出てきちゃった!?』

原作では、グレイス=フィールドを脱獄してからノーマンと再会するまで様々なエピソードがあったから、ノーマンが他の食用児と協力して『Λ7214』を壊滅させるだけの時間的な余裕があったのに、これではちょっと・・・。{/netabare}

言いたくはないけど、『台無し』と言わざるをないですね。

エマの『ありがとう、ママ』が聞けたことだけは良かった。
ただ、原作では泣けたんだけど、アニメでは泣けなかった。

無理矢理に2期に収めるのではなく、3期、4期と息の長い作品にする選択は無かったのだろうか?

ただ、原作にも、ちょっと『???』な展開があったので、そこを回避したのは高評価しても良いかも。
結果的には、だけどね(笑)。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 27

百日紅カラク さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

あちこちで一気にメディア化しすぎるとこうなる

海外(ハリウッド)でドラマ化。
日本では実写化。
原作はすでに終了。

で、アニメの二期・・・。

「ユーゴの部屋(壁の落書き)」「あの方(原作では文字にならない呼び名)」
気づいただけでも数個の伏線。
そんな伏線を散らかした1期と二期中盤までは、3期を期待できるだけの収益を見込んでいたのかもしれない。

だがしかし。
ハリウッドでのドラマ化、日本での実写化がコケる見通しにより、資金源が取れず、伏線は放置のまま最終的に強制終了…。

ハリウッドでこれをドラマ化する‥‥って、正直エグイ企画に取り組んだもんだと正直「だめだこれは」と思った。あちらの「子供に対する規制の多さ」を考えると、ガンガン引っ掛かるはず。

まぁブッチャケコケる可能性が大きな内容で、日本のアニメで本作を知った人がアメリカ版ドラマを見ると、視点も内容も大きく変わり、別物になって放映されているのではないかと思ってしまう。

個人的にこの現象を「ゴジラ現象(マグロ食ってる奴・イグアナ)」と呼んでいる。

ユーゴとその仲間たち、王家・貴族とのあらすじまで描き上げようとすれば、登場人物があまりに多く、声優陣を揃えるだけでもかなりの金額がかかるだろう。

見込み違いが顕著だったってことかな。

そんなわけで、散らかした伏線回収は無視して、アニメオリジナルに変更→強制終了したのは、大人の事情…ということかな。

全てを知りたければコミックの大人買いを推奨しますww

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4

87.2 2 願いで孤児院なアニメランキング2位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形‐(アニメ映画)

2019年9月6日
★★★★★ 4.3 (517)
2554人が棚に入れました
……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。良家の子女のみが通うことを許される女学園。父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。

声優・キャラクター
石川由依、寿美菜子、悠木碧、子安武人、内山昂輝、遠藤綾、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

シリーズ最高傑作 ※当社比

「届かなくていい手紙なんてないのです」

 そして

「私は…愛を知りたいのです」

作品を紐解くキーワード。
TV本編は一話完結型。一話一話の質は高いが全体の繋がりに欠ける。アラカルトだったら美味いのにコース料理になるとまとまりが悪い。私の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』評です。

裏を返せば、事前に劇場版に対する不安はありませんでした。なぜか?

 本編と切り離した外伝だし
 一話完結なら得意領域でしょうよ

作品のファンならまだしも、アニメファン全般いや普段アニメを観ない層の方でも劇場に足を運ぶ理由ができてしまった作品です。もし仮にTV本編がかみ合わなかったことを理由に躊躇っている方でもあまり心配しなくてよいでしょう。

本編と独立していることは初見さんいらっしゃいでもあります。人物背景を知らなくとも楽しめると思われます。ぜひご家族・ご友人誘って一緒に劇場でガン泣きしましょう。

私が鑑賞したのは平日夜の時間帯ということで、半分ちょっと上回るくらいの入りだったでしょうか。ソロの方以外でも、娘さんと一緒のお父さん。学生同士。年配の方は少ないようでしたが万遍ない層が足を運んでおりました。なんかいいですよね、こういうの。女性もけっこうな割合。作品の持つ美しさのなせる業だとブランド力も感じたところです。



さて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形』であります。
TV本編で何回かあった良回をさらにその4倍以上の尺を貰ってじっくり描いたと言うべき劇場版でした。
映画全体はAパートBパート構成でもあり、TVっぽさを感じもしました。
前半の主役はキービジュアルにある眼鏡をかけた女性イザベラ・ヨーク(CV寿美菜子)。
後半はテイラー・バートレット(CV悠木碧)。
豪華ゲスト声優のお二人とも当たり前のように作品に馴染んでおります。もう凄いのに慣れてしまって麻痺してますね。

実際観ていたら、前半部分だけでも話としては纏まっており、「あれ そろそろ終わりかな?」と軽く勘違いしそうでした。
この前半部分。公式にもある通り、良家の女子ばかりが通う寄宿学校を舞台に物語は進むわけですが、イザベラの心象を表すかのように沈鬱な雰囲気で統一されてます。
それとは対照的なときおり差し込んでくる光の表現がとても印象的でした。窓から差し込む太陽の光。木々を通り抜けた光の筋。月明りに照らされた夜。こういうのこそまさに「劇場に足を運ぶ価値がある」作品ということになるんだと思います。

後半以降は劇場でお確かめくださいませ。※視聴済の方用にネタバレ感想を後述


細かいところでは、エンドロールで流れる茅原実里さん作詞・歌の主題歌『エイミー』が物語に合っていてかつ物凄く良い曲だったのが嬉しかったです。プレッシャーもあっただろうに。そう、物凄く良い曲だったのが嬉しかったのです。
※注 これでも私、『みちしるべ』は作品の世界観に合ってたと思ってる人です。

キャストのどなたかが言ってたと思うのですが、この作品はTV本編後を描いているとのこと。
戦後の混乱から復興。新しい時代の息吹を感じながら、いつものそして新たな一面を見せるヴァイオレットちゃんにあなたも会いに行ってみませんか?


観終わってひとこと・・・

{netabare}「やっぱ届かなくていい手紙なんてないよなあ」{/netabare}




※ネタバレ感想~軽め~

{netabare}■動かしたヴァイオレット 繋げたベネディクト(CV内山昂輝)

起床時間。昔の夢を見たエイミーは寝ぼけ眼で目の前に佇むヴァイオレットにテイラーの姿を重ねる。
また別の場所、別の時。過日のエイミーと同じように今度はテイラーがヴァイオレットにエイミーの姿を重ねる。

一方は心の奥に閉じ込めた想いを、また一方はおぼろげな記憶に小さく留まってた想いを手繰り寄せるきっかけをくれたのはヴァイオレットちゃん。

「手紙を書いてみてはいかがでしょうか?」

エイミーに両の手を握られたヴァイオレットは初めて人の手の温もりを知る。巡り巡って今度はテイラーがヴァイオレットの両手をその小さな手で握り満面の笑みを見せる。

自動手記人形が心と心を結ぶ装置なんだなあ、をあらためて気づかされる場面でした。
物理的に繋ぐのは郵便配達人のベネディクトさんだったりするわけで、ドールと配達人の両輪あってやっと手紙が届くわけですね。

同じ目的「届かなくていい手紙なんてない」を共有している仲間という感じがして、ちょっとばかりお仕事アニメ風な展開にぐっときました。{/netabare}


{netabare}■二人ともよかったね

公式サイトではイザベラとテイラー表記だったのが、エンドロールでは

 エイミー・バートレット 寿 美菜子
 テイラー・バートレット 悠木 碧

と仲良く並んでいました。キャラクターへの気配りが行き届いているところにいつも感心します。{/netabare}




■藤田春香監督

初監督作品とのこと。
TV放送当時にたまさか石立太一さんと藤田春香さんへのインタビュー記事を拝見しました。
冠は石立さんですけど、作業の大半を権限移譲している印象をその記事から受けました。
そして今回。人材育成というキーワードが飛び交っていた制作会社で一つの具体例を目の当たりにした気分です。
調べてみたら別作品ですが、『響け!ユーフォニアム』1期の第8話の演出を担当されてもいますね。言わずもがなファンの間では語り草になっている記憶に残るエピソード回です。

こうして新たな才能が出てきたことはファンにとっても喜びです。と言いますか、初監督作品でこのクオリティはないわー(褒)

外伝は好評のうちに期間限定上映を終えるでしょう。次は正規ルート石立監督の続編です。

 {netabare}“ 鋭意制作中 ”

 座席の下で小さくガッツポーズ!{/netabare}



視聴時期:2019年9月 劇場

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2019.10.09追記

二回目行ってきました。三週間期間限定の当初予定が延長されたのです。
初見より、“手紙に込められた想い”を見逃すまいと作品に集中できてよかったです。

{netabare}髪の束は二つでは結べない、と三つ編みをテイラーに施してあげるヴァイオレットが素敵でした。

想いを結ぶ人(配達人やドール)の重要性がわかる演出です。
ふむふむ、なるほど、と。さすが二回目はいろいろと見えてくるものです。


そしたらエンディングで

「編み続けた 願いが 叶いますように」

と詞が耳に入ってきてあえなく撃沈しました。
こんなん泣くやろが(T_T)

二重三重に攻めてこられると防衛しきれません。{/netabare}



2019.09.11 初稿
2019.10.09 追記
2021.08.09 タイトル修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 84

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

幸せを運ぶ人と幸せをつくるお手伝いをする人

この映画には良い意味で2回裏切られました。

一つ目は、外伝なのに、これほど感動するとは思ってもみませんでした。
それならば本編は、どれほどのものだろうか…。今から期待しまくっています。

二つ目は、前宣伝でヴァイオレットが教育係になると知らされたので、手紙は今回無しなのか…と、諦めていたのですが…、
途中から手紙がメインの物語に変わったではありませんか。

やはり、この映画は手紙に込められた愛情を伝える物語でした。
私は、これを待っていたのです(^_^)。


この映画では、貴族の娘であるエイミー(イザベラ)と孤児のテイラーが主人公です。
ヴァイオレットは脇役に徹しています。

エイミーとテイラーは昔、姉妹のように仲良く暮らしていました。
生活は貧しくとも二人は幸せでした。
だが、ある事情で二人は離れ離れになります。

でも数年後、手紙により二人は再び心を通わすことができたのです。

テイラーは郵便配達人を『幸せを運ぶ人』といい、憧れます。
その言葉だけで、テイラーの気持ちが良くわかります。
幼くしてエイミーと別れたテイラーが、エイミーからの手紙をどれほど嬉しく感じたのかが伝わってきます。

今回、幸せを運ぶ人はヴァイオレットの友達のベネディクトでした。
そして幸せをつくるお手伝いをしたのがヴァイオレットです。

ヴァイオレットがいなければ、エイミーは手紙を書くこともなかったし、テイラーがエイミーに返事を書くこともなかったでしょう。
ヴァイオレットの仕事である自動手記人形サービスは、まさに幸せをつくるお手伝いです。
それはとても素敵な仕事だと思います。

エイミーの手紙もテイラーの手紙も、一行か二行の簡単な文章でした。
でも、愛情がこもっています。だからお互いに幸せを感じることができたのです。



昔、私が家を離れて一人暮らしを始めたとき、母へ感謝の手紙を送ったことがあります。
それはつたない文字で書いた数行の手紙でした。
でも、母はその手紙をとても喜んでくれて、ずっと大切にしていました。


今ではLINEやe-mailがあるので手紙を出す機会はあまりありません。
たまには自筆で遠く離れた人へ手紙を送るのも良いと思います。
ときとして、手紙は宝石よりも大切な宝物になる場合があります。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 62

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

なぜ『外伝』を謳いながらも90分の長尺を与えられたのか?それは彼女が歩んだ道が世界を広げ続けて、人が繋がり続けてるから、君が自動手記人形としてしてきたことは、消えないんだよ

原作小説の中で未アニメ化だった短篇を扱いながらも、原作とは全く異なる方向へ膨らませた『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ初の劇場版です
今作とは別の長篇映画が2020年1月10日に公開予定でしたが2019年9月現在、公開日未定に訂正されました


貴族の子女とその侍女だけが入学を許された男子禁制の寄宿学校へ派遣されたヴァイオレット・エヴァーガーデン
本職は代筆業だがテレビシリーズ第5話で縁を持ったドロッセル王家からの紹介で、名門貴族ヨーク家の跡取り娘イザベラ・ヨークの家庭教師を依頼される
女学院でイザベラの侍女として身の回りの世話をするが、イザベラは名門貴族のお嬢様とは思えないほど粗暴で無愛想、一人称は何故かしら「ぼく」
周囲に溶け込めないイザベラをフォローするヴァイオレットだったが、むしろ立ち振る舞いが完璧なヴァイオレットはミステリアスな麗人として生徒達から人気が出てしまう
初めはヴァイオレットを疎ましく思っていたイザベラも、同世代のヴァイオレットが実は孤児出身だと知ると心を許す様になる
そしてイザベラは自身の出生の秘密とテイラーという名の妹の存在を打ち明けるのだった…


劇場版でありながら今作の構成はテレビシリーズのソレと特に変わっていないのが特徴です
ヴァイオレットに関わった人々の群像劇、というテンプレートが決まっているのが『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』というシリーズの基本なんです
お話の序盤では必ずその話の主人公になる人物のモノローグから始まります
今作は前半と後半で時代背景が大きく変わるのですが、前半は先述の通り女学院が舞台でイザベラのモノローグから始まります
つまり前半は“イザベラの物語”です


“イザベラの物語”では女学院の耽美な世界やイザベラをエスコートすべくパンツスタイルの正装で、さながら姫騎士の様なヴァイオレットが登場するという、一種の百合モノの味わいを堪能できます
この麗しいヴァイオレットの姿は、第4話ラストの回想シークエンスで亡きギルベルト少佐が名前の無かったヴァイオレットに名前を与えた時に掛けた一言「君はその名が相応しい女性になるんだ」を体現していると考えると感慨深いものがあります


さて、“イザベラの物語”はテレビシリーズの時系列で言うと
【ヴァイオレットがドロッセル王家やシャヘル天文台との関わりを経ている】
【「逢いたい人はいますが、逢えないのです」のくだりからヴァイオレットがギルベルトの死を自覚している】
【ヴァイオレットの感情表現の起伏がそこそこに浅い】
このことから9話以降、12話以前と考えると自然だと思います


そして後半、いよいよテイラーというキャラが登場するのですが、この後半の物語、実はヴァイオレットの同僚で郵便配達人のベネディクトのモノローグから始まります
ですのでテイラーの物語でありつつも、前半と後半を結ぶキーパーソンである“ベネディクトの物語”なんですね
前半と後半の物語を手紙が繋いでるのですが、2つの物語を手紙の配達人であるベネディクトが結んでいるので必然的に“ベネディクトの物語”となるわけです


これ、手紙という題材を上手く用いた上で世界観を広げていると思います
手紙を書く人と読む人の間に、手紙を配達する人が介入するわけです
人間が絡む限りそこに物語が生まれるんだ、というわけです


ちなみにこの“ベネディクトの物語”はテレビシリーズ13話よりさらに先を描いたお話となっています
エリカとアイリス、髪形も変わってさらにめっちゃ可愛くなってますw
あとルクリアも登場します(最高かよw)


さて今作は円盤発売かNETFLIX配信の絡みの関係かと思いますが【9月26日までの3週間限定上映】と銘打っており、おそらくセカンドランは一切ありません
そしてこの機を逃すと恐らく今後一切今作を劇場で鑑賞する術は皆無となるでしょう
テレビシリーズのファンなればこれを劇場で観ない理由は無いと断言出来る作品となっておりますが、描かれているテーマは非常に普遍的なモノなので、テレビシリーズを全く知らない方でも話題の種に1つ騙されたと思ってチェックしてみても良い思うのです
オススメです!
(とか言ってたらありがたいことに一部劇場では4週目以降も上映することが決まったそうです、もう観に行かない理由はありませんね!)


奇しくも第1スタジオで起こった悲しい事件の前日に完成したという今作
京アニでは作品に従事して1年未満の方はクレジットされない慣例があるそうですが、藤田春香監督の意向で作品に携わった全てのスタッフがエンドロールに掲載されます
あの事件は今となってはもう消せない
でも、彼等が作った作品もまた


消えないんですよ

投稿 : 2024/04/27
♥ : 35
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