飛行船で組織なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の飛行船で組織な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月05日の時点で一番の飛行船で組織なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.6 1 飛行船で組織なアニメランキング1位
フラクタル(TVアニメ動画)

2011年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (815)
4298人が棚に入れました
舞台は世界を管理する“フラクタル・システム”が完成し、人類が働かなくても生きていける楽園に足を踏み入れてから1000年後の未来。システムはかろうじて稼働していたが、誰もシステムを解析することはできず、ただ維持し続けることが幸せの条件だと信じて疑わなかった。しかし、大陸の片隅ではフラクタルが崩壊し始めていた。漫然と日々を生きる少年・クレインは、ある日何者かに追われ崖の下に転落した少女・フリュネを助ける。少女との出会いに心躍らせるクレイン。だが、フリュネはブローチを残しクレインの前から姿を消した。ブローチに残されたデータには、少女の姿をしたアバター、ネッサが閉じ込められていた。ネッサとともにフリュネを探し旅にでるクレイン。そこで彼は“システム”の秘密を知ることになる―

声優・キャラクター
小林ゆう、津田美波、花澤香菜、井口裕香、浅沼晋太郎
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ヤマカンとあずまんと、時々、マリー

【概要】
 2011年冬。原作に思想家の東浩紀ことあずまん、脚本に岡田麿里ことマリー、監督に山本寛ことヤマカンという豪華制作陣で送るオジリナルアニメ。アイルランドを舞台に繰り広げられるSFファンタジー。放送前の期待値は高かったのだが、結果は撃沈。コミカライズを担当している漫画家から「こんなつまらない作品の連載を続けたくない」と愚痴られて揉めたり、原作のあずまんから「監督が耳を傾けてくれたらいいアニメになってた」と後日批判されたり、作品の内外問わず悪評高い作品でもある。

 駄作といえば「フラクタル」、「フラクタル」といえば駄作。2010年代の有名クソアニメとして必ず名前の挙がる不名誉な作品。クソアニメと言っても最近ありがちな「いもいも」「メルメド」等の作画崩壊系ではなく作画はむしろ良い。(特に第7話は凄いと思う。)でも作画が良いということは裏を返せばそれだけ製作費がかかっているということであり、事前の宣伝も力が入っていたらしく、放送後ヤマカンは最大の戦犯としてボロクソに叩かれたそうだ。

 評判的にもパッケージの売上的にも散々な結果に終わったフラクタル。原作のあずまんは「震災があったのにサブカル批評なんてやってる場合じゃねえ!」と早々に逃亡。マリーは同年「花いろ」「あの花」等のヒットで汚名返上できたのだが、「この作品が失敗すれば引退も辞さない」と事前に決意を語っていたヤマカンのダメージは大きく、カリスマ的な権威は失墜、その後は奈落に落とされるようにして、先日破産にまで至ったのである…

 フラクタルについて、ヤマカンはBLOGでこう語っている。(何を隠そう、僕はヤマカンBLOGの愛読者なのだ。)
 https://lineblog.me/yamamotoyutaka/archives/13018660.html

 この記事の後も「フラクタルは名作、ネットの評判に潰されただけだ」「フラクタルは必ず再評価される」など自己弁護的な発言を繰り返しているヤマカン。往生際が悪いにもほどがあるのだけど、彼はフラクタルが失敗作だとは絶対に認めたくないらしい。そこまで意地になるフラクタルとは一体どのようなアニメなのか、気になっていたので観てみた。

【感想】
 結論から言うと作画が良くて、音楽も良くて、世界観も深くて、声優さんも上手くて、それでいて心躍るものがないという、何とも残念な作品でございました。世間の評判と大差ない感想になってしまったんだけど、「つまらない」と言われる原因ははっきりしているように思う。

 1つはフラクタルシステムに関する設定が分かりにくく、最後まで見ても何を訴えたかったのか漠然としている点。もうひとつは主人公のクレインが受け身体質で、理不尽な出来事に巻き込まれながら淡々と話しが進んでいくため盛り上がりに欠ける点。見た目はジブリ風の冒険活劇で、特に「天空の城ラピュタ」を連想させる雰囲気を醸し出しているのにワクワク感や達成感、人物の成長を感じられる場面に乏しく見た目とのギャップが大きい。王道の冒険ストーリーを期待すると失望することになるだろう。

 フラクタルのストーリーのあらすじはこうだ。(公式ページから転載)

 “世界を管理する「フラクタルシステム」が完成し、人類は史上初めて、もはや働かなくても生きていくことができる圧倒的な楽園に足を踏み入れた。それから千年 ―― システムはいまだに生き残り稼働し続けていたが、もはや誰もそのシステムを解析できなかった。多くの人々が、その維持こそが、人類の幸せの条件だと信じて疑っていなかった。物語は、そんな「フラクタル」が崩壊し始めた、ある大陸の片隅の島で始まる。漫然と日々を生きる少年・クレインは、ある日何者かに追われ崖の下に転落した少女・フリュネを助ける。少女との出会いに心躍らせるクレイン。だが、フリュネはブローチを残しクレインの前から姿を消した。ブローチに残されたデータには、少女の姿をしたアバター、ネッサが閉じ込められていた。ネッサとともにフリュネを探し旅にでるクレイン。そこで彼はシステムの秘密を知ることになる”

 要するに典型的なディストピアものであり、ボーイミーツガールである。その定型に従えば、主人公のクレインが世界の危機に勇猛果敢に挑み、一目惚れした少女フリュネを助け出し、フラクタルシステムの再起動を阻止し、デカダンスに陥っている人々の生活に潤いを取り戻す…というストーリーが頭に浮かんでくる。ところがこのアニメは視聴者の予想を見事に裏切ってくれるのだよ。

 {netabare}主人公クレインはフラクタルを否定し昔ながらの生活を是とする集団「ロストミレニアム」と出会うが、彼らは暴力に訴えるテロリストという一面があり全幅の信頼を置ける仲間とはいえない。見続けると、フラクタルシステムに依存する暮らしが当たり前になった世界で、システムを停止させることが正義なのか段々疑わしくなってくる。システムの管理者であり存続を図る「僧院」とシステムの破壊を狙う「ロストミレニアム」の間で板挟みになったクレインは確固たる信念を持って行動できない。そもそも設定上、彼に人々を動かし世界を変えるだけの力は一切与えられていない。見ている側からすると非常にもやもやする。

 フリュネへの恋心はぶれないが、フリュネが「何を考えているかよく分からない」女の子で話も噛み合わず、勝手に行動するから盛り上がるはずの恋愛要素で全く盛り上がらないという状態。{/netabare}

 以上、ヤマカン自身も認めているように本作はエンターテイメント性が希薄で分かりやすい面白さがないんだよね。(そこは認めておきながら、なぜ名作だと言い張るのか…)これでは「退屈」「楽しくない」「何をしたいのかよく分からない」といった感想が並ぶのも致し方無い。僕は嫌いじゃないんだけどね。少なくともハルヒ1期より好きだ。(フラクタル以下ってどんだけハルヒ嫌いなんだよと突っ込まれそうですが)

【考察】
 この不人気アニメの考察を読みたい人がどれだけいるか疑問だし、見たことある人自体少なそうだけど、折角なので書いてみよう。

 ネット上のログを見るに、原作のあずまんは制作の途中で「あなたが入ると話がまとまらない」と脚本会議から追い出され、どうも後半のストーリーは彼の構想とは違うものになったらしい。したがって本来のフラクタルについては勝手に想像するしかないのだけど、あずまんがやりたかったのはトラウマを抱えた可哀想な少女を救うKEY的な物語だったんじゃないかと思う。東浩紀ことあずまんはポストモダンという視点でサブカルチャー批評を行い話題になった人だが、「動物化するポストモダン」や「ゲーム的リアリズムの誕生」を読めば分かる通りアニメよりも美少女ゲームに造詣が深く、とりわけKEY作品が大好きなんだよね。(いわゆる鍵っ子)

 それを踏まえるとフリュネの不幸な境遇、ネッサの純粋無垢な性格はKEYヒロインにありがちだし、フラクタルシステム自体は緻密な設定を構築しておきながら再起動の鍵になるのが16歳の少女という物語の核心的な部分について何のロジックもないというのもある意味でKEYっぽい。美少女ゲームの「運命」や「奇跡」って往々にして理由付けがなかったりする。

 「ゲーム的リアリズムの誕生」によればノベルゲームには「メタ物語的」な構造が見受けられるという。あずまんは自著で「ひぐらし」「AIR」「ONE」などの作品を取り上げ、これらの作品にはゲームのプレイヤーとゲーム内の主人公の視点を同一化させてしまう巧妙な仕掛けが施されていることを説明している。たとえば「ひぐらしのなく頃に」はストーリー自体は一本道で購入者はクリックして話を進めることしかできないのにも関わらず、各編は選択肢に失敗したがゆえのバッドエンドであるかのように錯覚し、プレイヤーは自分の力で物語を正しい在り方へと導くような感覚があるといった具合だ。

 フラクタルが「メタ物語的」な想像力を実践する作品だとすれば、わがままで自分の意のままにならず話の通じない一方、なぜか惹かれてしまうし性的な存在でもあるフリュネは現実の女性の象徴、人懐っこくいつも笑顔で自分の身近にいてくれる一方で、実存しないアバター「ドッペル」でしかないネッサは虚構のキャラクターの象徴だと思えてくる。

 ここに自分を愛してくれるのは実体のない二次元キャラで、本当に愛されたい三次元の女性とは分かり合えないという悲しい構図が見て取れる。あずまんは視聴者をこの皮肉な構図に嵌め込み、男性の不能感(フリュネを救えないバッドエンド)あるいは全能感(フリュネを救うハッピーエンド)をトコトン味わわせて泣かせようという魂胆だったのではないかと予想する。ヤマカンに没にされ小説版フラクタルもなかったことにされた今となっては想像しても詮無き事ではあるが…

 結局フラクタルはヤマカンが作りたいものを作ったことになるのだけど、「アニメ業界批判(藤津亮太)」、「80年代への回帰(宇野常寛)」といった評論家の方々の評価は少し外れているように思う。萌えアニメの台頭によってキャラクターが記号化・パターン化し、客に媚びた作品やストーリーを軽視した作品が増えているという問題意識は当然あるだろう。ヤマカンがBLOGやtwitter(問題を起こしすぎて現在はアカウント凍結されているけど)で度々言及していることだ。でも当時は批判一辺倒ではなく、もう少し前向きな気持ちで作っていたんだと思う。下記の対談記事で語っている内容が一番真意に近いのではないだろうか。

 http://www.billboard-japan.com/special/detail/99

 {netabare}最終回でフリュネはフラクタルシステムを再起動させるという道を選び、クレインもフリュネの決断を止めようとはしない。見せかけの虚構によって人々の心を支配するフラクタルシステムがアニメ業界のカリカチュアであり、仮に萌えアニメを業界から一掃したいという考えがヤマカンにあるならば本システムは唾棄すべきものであり、主人公たちに破壊する道を選ばせるはずなんだよね。でも、そうはしなかった。フラクタルの聖域でフリュネとクレイン、ネッサの三人は「神」なるものの姿を観るのだけど、スクリーンに映し出された神はただの女子高生で、彼女は「ネッサ」と名付けたウサギのぬいぐるみに愛おしそうに話しかける。この演出の意図するところは、アニメの視聴者とアニメのキャラクターの関係を女の子とぬいぐるみの関係にスライドさせ、キャラクターに抱く特別な感情(もちろん萌えも含めて)を人間らしい感情だと肯定しているように僕には思える。

 この後場面は一年後になり、クレインは自炊生活をしながらもドッペルの犬を可愛がっている様子が描かれる。要するにヤマカンは「萌え要素を残しつつも従来のストーリー重視でテーマ性も感じられるアニメを俺は作るから、お前らついて来い!」と言いたくて、これを作った当時はオタクと手を繋ごうという意志がまだあったんだと思うんですよ。だからこそフラクタルを批判されると反撥するし、このアニメを否定されると身を切られるようにつらいのではないだろうか。
 {/netabare}

 以上、長々と語ってきたけど、東浩紀のデータベース消費理論を知らない人にとって、人と社会の関係、消費者と創作物の関係に相似を見出すこと自体無理な話だと思う。(どうしてフラクタルのストーリーとアニメ業界の話が繋がるのか分からないはず)

 このアニメこそヤマカンが散々BLOGで言ってるスノビズムに冒されている作品のようにも見える。こんだけアニメについて熱く表現したところで視聴者からすると「そんなの知らんがな」で終わるような気がするのだけど、僕の思い過ごしですかね?やっぱりポタクの戯言ですか!?

 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

再視聴。やっぱりアニメ視聴にはメタ情報は入れない方がいいですね。

23年10月に再視聴。以前は22年5月に1回みてレビュー書いています。

 さて、バーチャル世界と自然回帰的なもの、ベーシックインカム、ボーイミーツガール、それと鍵となる少女の性的な話をジブリ風エヴァ煮込みにしました、という感じの作品です。

 そう考えると、内容それ自体はもったいぶってはいますが、難解ということもなく、描かれていること、事象とSF設定、テーマは分かりやすいです。

 ただ、やはりフリュネの性的な問題ですね。ここは何がいいたかったんでしょうか?1回目視聴の時は、アニメ創作の世界における少女の性消費の「歪み」のアナロジーとして一番気持ち悪い「父娘」性的虐待問題を持ってきたのかなあとも思いました。あるいはNTR的な演出もあったので、アニメ消費者の処女厨批判なのかとも思いました。つまり父(加害者)、NTR(被害者)=アニメ視聴者です。

 ですが、その解釈でいいのかこの作品では確信がまったくもてません。型で読み取ればそういう感じでいいと思いますが。で、東浩之氏が執筆した「フラクタルリローテッド」という雑誌連載の小説を手にいれようと思いましたが、無理でした。
 
 私は「アニメは情報をカットして見る」を信条としていますが、さすがに気になるので、当時の制作者の言説をある程度みました。
 いやー、もめたんですね。東浩之氏と山本寛氏。岡田麿里氏は東氏サイドみたいですね。醜い争いなのと外野の意見が品がないので、すぐに情報拾うの諦めましたけど。

 前半は東氏と岡田氏のシナリオ、中盤から山本色が入って、最後は山本氏が描いたシナリオっぽいですね。ですが、東氏と岡田氏は近親相姦をテーマに持ってこようとしていたみたいで、そこに着目してしまう仕掛けはあったみたいです。

 11話の少女のモノローグは感動的なんですけど、その達観が自己犠牲なのか、父娘の関係性なのかよくわかりませんでした。結論がよれているので含意が読み取れない…ような感じです。ただ、それにしては普通に面白いストーリーにはなっていました。
 ただ、なぜ鍵は近親相姦による多重人格じゃなきゃいけないか?が、メタ的な意味でわかりませんでした。つまり、含意が分かりません。ここまでややこしい感じにした以上は気になりますが…

 まあ、やっぱりメタ的な情報は入れないほうがいいですね。せっかくある程度高く評価していた作品なのに、ニュートラルな目で見られない感じです。ですので、評価は変えないでおきます。まあ、普通に面白いとは思いますし。




以下 22年5月 1回目の視聴時。


ジブリ模倣はミスリードで「2次創作」と「少女の消費」について?

 本作はストーリー原案に東浩紀氏がクレジットされていてました。OPで気が付きましたが、「動物化するポストモダン」で有名な評論家です。宮台真司氏、岡田斗司夫氏、堀江貴文氏などと対談している動画を見たことがあります。
 彼は本作の前提となる消費だけする社会、つまりベーシックインカム条件付き肯定だったと思います。
「動物化…」でデータベース理論とシミュラークルについて語っていました。

 本作の題名が、フラクタル=自己相似性です。そして、シミュラークル=オリジナルと模倣が逆転した或いは区別がつかない状態ですね。データベース理論はアニメなどの創作物はもはや模倣による萌えられる小さな断片の積み上げで作成されており、大きな物語が提示できていない、と言うものでした。(誤解があるかもしれませんので詳しくは原典をお読みください。)

 まず、本作で目に付くのはジブリ的な作画と飛行船=ラピュタ、悪役たちはナディアっぽいです。これで1話目で「んん?」となりますが、東氏の名前を見ているので、あえて模倣しているんだろうなあ、と思います。つまり作品というのは2次創作=MADアニメでも内容が入れられるんだぞ、ということが言いたい気がします。対してオリジナルに見えてもテーマ性もオリジナリティも無い物が氾濫しているぞ、と。
 ミスリードしてるんだろうなあ、と思います。なにせあのヤマカン氏のクレジットもありますのでゲンロン畑の人たちですからひねくれてるんだろうなあ、と思います。

「ザナドゥ」とかいかにも厨2な名前の付け方もちょっと意地悪な感じです。ここのくだりで、作品に対する批評とその批評に対する病的な反論とかもちょっと入ってましたね。
 生活の2重性がベーシックインカム以上の儲け=欲望と捉えていいのかはちょっと読み取れませんでした。結局滅ぼされていたので肯定的ではなさそうですけど、

 結果として最後はエヴァを想起させるシーンが出るし、マクロスだし、攻殻機動隊でした。レールガンの御坂シスターズの模倣はナンバリングとか個人の特定というそっくりなエピソードもありました。丁度レールガン1期が2010年なのでかなり意識したんでしょう。
 とにかく細かくはいろんなものを思い出しますが、そういう断片の模倣が意図的に散りばめられています。

 本作については、ベーシックインカムで生活がない、ネット社会で個がアバターであることと同義である、という社会を描いていました。表面上は。

 ただ、ヒロインのフリュネの性的な扱い方から言って、ヒロインは巫女であることを裏切ることにより、その点で現実の女というもの、つまり、萌えに対するアンチテーゼを言いたかったのかなあという気がします。途中の露骨な診察台の部分とかやりすぎなくらいでしたが、まあ、分かりやすくしたんでしょうね。
 14歳=エヴァではなく、あえて10歳から16歳まで成長させていました。14歳で少女たちは成長を止めるのではなく、大人になるんだぞ、という事かもしれません。ネッサ・中身=10歳、フリュネ・外見=16歳もちょっと意地悪くとると今の高校生なんてそんなもんだ、と言っているようにも見えますけど。

 シンエヴァがやった自然回帰・現実回帰と少女は女に成長するという現実を2011年時点でやったということでしょう。なお、2011年冬のアニメで震災前なんですよね。この後震災によってアニメの在り方に恐らくは隠れたパラダイムシフトがあったんでしょうか。本作のアニメへの提言的な部分は全然話題にならなかったですね。
 私は本作の存在すら知らずに、本当に最近見終えたところです。

 なお、自然回帰・現実回帰については1回しかみてないので何ともいえません。フラクタル社会そのものを全否定したかどうかは読み取れてません。ちょっとニュートラル、つまり価値観を保留しておきます。


 総評です。で、素直に言って普通に面白いです。模倣性は敢えてやってるんだろうなあ、と思ったのでかえって気になりませんでした。作画もキャラデザも奇麗ですし。11話1クール作品にしては、世界観があってしっかりと一つの世界を見届けた満足度があります。結末があるのもいいんでしょうね。

 あと、私みたいに屁理屈をこねなくても面白いと思います。特に模倣はワザとやっていると割り切ってみればなかなか冒険があって、出会いがあって、視点が移り変わる秀逸なストーリー展開でした。

 主人公も言ってましたが、登場人物の説明不足でイライラしますけどね。主人公の気持ちに乗れるという点ではうまい脚本だったのかもしれません。それと主人公の無垢性も演出なんでしょうけどちょっと作りすぎな気もします。

 1回目なので私の読み込みが甘いですが、仕掛けがないかもう1度見たくなる感じですね。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

こんなの間違ってる。

フラクタルシステム。
これにより、この世界の人間には一定額の収入が支給され、ある程度の自由が許されるようになった。
あくせくと働くことをしなくても手元にお金がある状況ができ、大衆は好きなことに好きなように時間の全てを使うことができるようになった。
まさにある種の理想が現実となった世界なのである。人々はその自由に心までどっぷりと浸かっていた。


その世界に生きる1人の少年クレイン。科学技術が進歩し全てがデータとなっている中で
彼はビンテージ(僕らが今使っているコンピュータ)をこよなく愛す、周りからしてみると一風変わった少年だった。
その日クレインはフリーマーケットの帰りだった。自転車に乗り風を切る。とても気持ちが良い午後だった。
あたりは芝生の綺麗ないくつかの丘によって小さな起伏の波ができておりとてものどかな眺めである。
砂利道はまるでフォークを手に持ち力づくに切リ分けたケーキのような崖に沿い、彼の家までずうっと続いている。
クレインは自転車を途中で止め本日の収穫を確認した。手には成り行きで持ってきてしまったデータが一つだけ。
中を調べてみるとそれは教科書のデータだった。期待外れの収穫にがっかりし、空を見上げる。
雲はまるで関係ないような顔をして去っていった。すると急に何かが視界を通り過ぎた。
彼にはそれが最初鳥に見えた。白い大きな鳥。それは何かに追われていた。
でもそれは白い大きな鳥ではなく1人乗り用の飛行機に乗った若い女の子だった。一目見て可愛いと思った。
クレインは急いで自転車に乗り追いかけた。頑張って並走しようとする。彼女とコンタクトをとろうとする。
けれど少女の飛行機は追跡者に撃たれしまった。そのまま飛行機と一緒に少女は崖に沿って下に落ちていく。
落ちていく、落ちていく。いや、すでに堕ちているのだ。



管理社会を扱った作品です。世界観や設定はとても良いです。すごく好きです。
でもあまり面白味がなかったのがとても残念でした。そして評判もあまり良くはありません。
1話から3話くらいまではとても良かったのにそれ以降は回を追うごとに悪くなっていく。
僕が一番感じたのは何人かの登場人物の魅力の無さでした。

まずクレイン。
彼にはフラクタルシステム下で生活していたせいか意志というものが欠落しています。
だから誰かを助ける!とか構うもんか!とならなければならないシーンで熱がない。足りない。ほぼみせかけでした。
他の面で良いところはあるかと探してみても特に見つからず、ぐだぐだとグラニッツというレジスタンスの中にいた印象しかありませんでした。
「彼が何かしたかい? いやいや、ただそこにいただけさ。」

次にスンダ。
彼はレジスタンスである「グラニッツ」のリーダー。しかし頭悪いし、リーダーシップないしで、魅力も0です。
彼とクレインが一緒になることで物語もどんどん面白さを失っていったと思います。
肝心なグラニッツ一家に関してもこっちには何も伝わってきません。やっと分かるのは名前くらいです。

彼らのテロ行為もおかしいと僕は思います。
フラクタルシステムに反抗し、自活することができていればそれはそれで十分に戦っていることなります。
それはジョージ・オーウェルが『1984年』で綴った一文、「抱擁は戦いである」と同義です。
社会のシステムに身を委ねず、魂を売らず、強いられた生活の営みの中に反抗を見い出し、
自らが打ち立てる強い意志を保つことでそれが意味を成し、心の最も大切な支えとなり、剣となるのです。
それを他の人に広めたいのなら他にも手段はあったはずです。もっともこれは例えばの話ですが。
しかし、それを飛び越えて人を殺すことを目的に襲撃するのがスンダの「抵抗」と言うのなら、それはただの殺戮でしかありませんでした。
まったくもって、ただの人殺しです。
それでは世界はなにも解決されなし、誰も救えない。愚か者め。

ストーリーもはっきりしないことが多いです。どこに焦点を持っていっているのかもあやふや。
観ていて状況は分かっても結局なに?だから何なの?という感覚でした。
基本観ていて分かることはあんまりない。理解しようとする努力も水を掴もうとするくらい無駄なものでした。

良いところもたくさんあったのに全て自分達で潰してしまっている、非常にもったいない作品です。


{netabare}

1話は本当に面白かったのに!すごくすごく惹かれました。
でもあのグラニッツの2人組もすごくよかったのに片方を襲撃で殺しちゃうし…



僕がさらにここで書きたいのはフリュネについてです。

彼女は本当に悲惨でした。
彼女が登場した1話から僕は非常に好感を持っていたのであのような状況にはひどく傷つきました。
あの椅子や、あのアホの頬ずりや抱きしめられる姿には本当に胸が引き裂かれる想いでした。
最終話のアホの語りの部分は聞いているだけで頭がおかしくなるかとも思いました。
観終わった後20分くらい体育座りで泣いてましたww 俺も俺で相当気持ちが悪いww
でも本当に傷ついた。泣いた。

どうしてアニメにあんな設定が必要だったのでしょう。なぜフリュネは汚れなければならなかったのでしょう。
悲劇的要素を含ませたかっただけなのであればこれほど悲しいことはないと思います。
生み出され、汚され、自由もなく、そして無に消えいく。
最後のフリュネの姿も見るに絶えません。あんなのありえないでしょう。
道徳観がどうかしているとしか僕には思えません。どうしてあんなに酷いことができたのでしょう。

僕個人の見解としてはフリュネが汚される理由は特に無かったと思います。
ではどうしてこんなことになったか。それは作る側がただただ悲劇を生み出したかっただけだろうと思います。
話(物語と呼ぶには決して値しない)の終盤に向けてなんとか大義名分やら目的やらが欲しかったのでしょう。
単発型の扇情的な描写でしか引く手がなかったのでしょう。筆舌に尽くし難いほど素晴らしい脚本です。
視聴者を傷つけるような雑なプロットに、話は簡単には分からないように作り少しでも好奇心を持たせようというだけを目的としたストーリーはもはや灰に等しいです。


決して現実と虚構が錯綜しているわけではありませんよ!その辺はまともな人間であると自分を信じたいw
ただフリュネに関してはもっともっと掘り下げることもできただろうし、
他のことを通してあの積極的で頑固な性格を生かす手段がたくさんあったのではないかと思うのです。
おそらくこの想像があることも悲劇的運命を受け入れられない一つの理由かもしれません。
どうしてかは分からないけれど彼女にはすごくすごく惹かれました。というか大好きですねw
それも最後まで観てしまった今ではもう。とても悲しかったです。

2度とこの作品を観ることはありません。偏見の強い文章ですみません。

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

69.8 2 飛行船で組織なアニメランキング2位
荒野のコトブキ飛行隊(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (320)
1046人が棚に入れました
一面に広がる荒れ果てた大地で、人々は物流・交易を行い、助け合いながら生きていた。雇われ用心棒の“コトブキ飛行隊"は、厳しいが美しい女社長、頼りない現場の指揮官、職人気質の整備班長など個性的な仲間とともに、空賊相手に大立ち回り!今日も“コトブキ飛行隊"は隼のエンジン音を響かせて、大空へと翔けてゆく――。

声優・キャラクター
鈴代紗弓、幸村恵理、仲谷明香、瀬戸麻沙美、山村響、富田美憂、矢島晶子、藤原啓治、吉岡美咲、岡咲美保、島袋美由利、古賀葵、川井田夏海
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

これ、僕にはちょっと無理→面白くなるらしい。再挑戦→(*°∀°)

[2019/03/17 v1]
[2019/03/18 v2 少し修正。少しトーンダウン。]
[2019/03/30 v3 少し修正。]
[2019/04/04 v4少し修正。]
[2019/04/08 v5 おそらく決定稿]

二話冒頭で断念決定。
→皆さんのレビューによると、面白くなるらしい
→現状10話まで追っかけ完了
→全話完了
→んー・・・→(大飛躍)→(*°∀°)アニメ見てる場合じゃねぇや

・結果論ですが、僕としては再チャレンジする必要が無かった作品でした。

==人物造形が嫌い。もう、これは好き嫌いの問題なので理屈じゃ無いです。嫌いな人物が画面いっぱいに叫んでいるのを好んでみる必要は無かった・・・
{netabare}結局のところ、主人公始め、出てくる人物のほとんどを好きになれなかった。と、いうより積極的Hateでした。キリエは変化・成長のない馬鹿のままでしたし(予想通り、猪突猛進をお話しの展開に使うし。最終話での豹変ぶりはむしろ気持ち悪い)、チカも同様。コトブキの面々でいうと、ケイトさん以外、あまり注目できなかったかな。キーキー系のお嬢様は他の作品で足りてるし、隊長さんは(も?)現状維持のヒトだし、、個人的にちょっと怖いな、と思ったのがザラ姉さん。彼女の行動原理はいったいなに(語られていたのかな?)?

周辺の面々に広げれば、マダム・ルゥルゥもちょっと気持ち悪い。というより、可哀想(←好きな言葉では無い)?彼女もまた、行動原理がよく分からない。まるで、「舞台」としてそこに居続けさせられているように思いました。

イサオ、邪魔。イサオの老執事、貴殿も邪魔。軽いノリを出したいだけに配置されてしまった。人としての厚みが感じられない。

「人」と書いてしまいましたが、登場人物が「人の形をしたサムシング」であると解釈した方が、お話しに入っていける感じでしたかね。
{/netabare}

==軽いノリ・・・・?
生き死にに関わりかねない(はずの。。。予想外に負傷率低いのも、なんだかなぁ。。)ことを、あんなノリで続けられるのは好かん(これも好き嫌いの問題)。
{netabare}
西部劇をイメージして云々、という記事をどこかで見ました。が、西部劇ねぇ。。。あれも広いジャンルだからねぇ。。。僕としては、粗製濫造期のカウボーイハットとリボルバーが映ればそれでOKだから四十分くらいでかたつけてね前座だから、の西部劇の印象を持ちました。理由の提示も無く、2名目兼3枚目の主人公がばかすか敵を打ち倒して行く感じ。
{/netabare}

==ストーリー
確かに、サブジーの件以降、戦う理由が見えてきたし、それに向かってお話しが収束していきました。でも、「この世界の住人が"あんなノリで"戦い続ける理由」の提示は無かったです。理由、必然不在の「軽いノリで殺し合い」って、字面だけ見たら狂気ですね。でも、イサオのノリはそれに近かった。以前のバージョンにちょろっと書きましたが、戦車道は見事なまでに設定だけでそれを乗り越えていたと思うのです。が、自らの妙味を見失ってしまったのでしょうか。。。

==空戦の描写
全話通して、空戦の描写は良かったです。ただ、これも以前のバージョンで書いたとおり「レシプロ戦を「見る」面白さと(Combat Flight Simとかで)「戦う」面白さを混同してないだろうか?」という懸念が、自分自身に大当たりしました。

で、この作品を考える上で、App Game「荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!」の存在は外すことができないと思います。BanNamからすると、ゲームの収益につながることが最大の目的でしょう。

だから、この作品の空戦の描きかたはこれで良かったのだと思います。
「戦う」面白さを画面いっぱいに展開している、最高の描写です。
だから、総合的に見ればこの作品は成功だと言って良いんだと思います。

途中からうずうずしてしまうのです。いや、1話見た後からですがね。我慢が効かず埃かぶったゲーム機出してAceCombat始めてしまうし、、、でもAceCombatは現代(&空想)の機材なので違うんだよな-。レシプロ機がよいのだよ。CombatFlightSimは現行PCでは動かないみたいだし。。。飛燕で飛びたいのだよ、わしゃぁ、飛燕が。。。あ、機材一覧に飛燕がいる。。。。


負けました。
ダウンロードしました。
もうアニメ見ている場合じゃ無いです。
デビューしました。


War Thunder。
(好きでは無いガールズでテイクオフはしないスタンス)







再チャレンジ前のVersionは下にカプセル化

{netabare}
==================

ソシャゲのタイアップらしい。が・・・
僕自身は空戦好きだし、Combat Flight Simにドハマリしていたくちでした。レシプロ機の空戦ものなんて本来はヨダレたらして見入ってしまうようなものなのですが・・・駄目でした。

以下、視聴を辞めた理由です。
伏せてる部分全部展開すると、ちょっと長いです。

前提として、これはリアルな空戦(すなわち、某戦車道とはことなり、撃墜は「死」に繋がりうる)である、としています。もしもそうじゃないなら、そりゃぁごめんなさいです(2話頭までにそんな説明はなかった)。

主人公の性格付けが僕には厳しい。{netabare} 一話終盤で謎の追撃特攻。ホウレンソウなし(無線は使えるという描写がその前にあるにも関わらず)。挙げ句返り討ちにあう。二話冒頭、その直情的な行動をたしなめられるも、それが「毎度毎度のこと」であると判明。直後にストリートファイト参戦。ステレオタイプな「行動力があって、成長・変化できない馬鹿」であり、この時点で主人公を好きになれない。脇役ならまだしも、主人公がこういう性格だとしんどい。お子様向け主人公に見える。きっとお話の展開に「猪突猛進」が使われることになるだろうし。なにより、そんなのが40+ marksのAce格なんていうのはありえない。{/netabare}

この飛行隊、およびこの隊をAce of Acesの飛行隊として存在を許す世界観が非現実的。{netabare} 迷惑をかけ続けるパイロットを、二機も前線に出し続ける隊が優秀な飛行隊であるというのは無理がある。傭兵なんだから、多少粗雑で、何人か跳ねっ返りがいても。。。という向きはあるかもしれない。が、それは、北斗の拳でいうところのひゃっはーしてすぐ既に死んでしまう末端までであって、「エリート集団」におけるそれではない。メンバーそれぞれが一騎当千無双モード搭載って訳でもない(なにかしでかして怪我している、あわや撃墜までやられている)以上、規律のない集団に戦果は望めないし、隊としての戦果を向上するための措置を講じないままというのは受け入れがたい。この点も、正直お子様向けに思えてしまった。{/netabare}

空戦のDetailに気を使っている割にはなんか中途半端。レシプロ戦を「見る」面白さと(Combat Flight Simとかで)「戦う」面白さを混同してないだろうか?{netabare} 前述のとおり、お子様向けなら許容できないことも無いのだが・・・その割にはDetailこだわる。それもなんか微妙。この作品のmain targetはどこらへんに設定されているのか?

偏差射撃なんてあてにならんから、限界まで近づいてからトリガー入れるってのは分かる(っていうほど偏差見越していないように見えるが)。
[あ、ところで、偏差をとる方向がなんか逆な気がしているんですが、アレでいいんですかね?]←勘違い。単に遅れているだけっぽい。

エルロンロールで相手をovershootさせて背後取るとかね、お見事ですよ。でも、この描写はどの程度の方に伝わるのか?そりゃ確かにパイロットにしゃべる余裕なんて無いでしょうから、無言のままってはわかる。でも、空戦好きとかCombat Flight simに嵌った人間くらいにしか伝わらないのでは。。。どれくらいいると想定されてるんですかね?

旋回中に空力に負けて機体から生じる軋み音とかね。僕は好きよ大好きありがとうだよ。[そんな空力設定あるにも関わらず、キリエ機は垂直に近い急降下からのv字上昇しちゃうのね。いえ、隼がそういう機体なのかもしれませんが、フラップもげませんかね?]←キリエ視点では先行機のダイブブレーキ(なのかフラップか)開いてるようにも見える。ぎりぎりOK?
{/netabare}

もしかしたら、2話の中盤以降、ここで僕が述べたような不満はすべて消えてなくなるのかもしれませんが、この時点ではそれが期待できないと判断し、視聴をやめました。


余談。{netabare}こうしてみると、某戦車道って奇跡的なバランスの上に成り立っていたんだなって思う。高校生の部活で、不思議安全設定があって、ひとつの(車体の)動作が一人の行動によるのではなく、車中のメンバーの総体として起こるもので、だからこそ、直情的な子も存在しえたし、その能力の無さや感情に任せた行為の結果としての「白旗ぽこん」もありえたし、車内や車々間でおこる人間ドラマも描けたし。。。{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26

kororin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

「ああ…第二次大戦中、南海の孤島を基地にした日本の航空愚連隊の漫画?」「それは『あかつき戦闘隊』や!(ってか、ジジイしか知らんがな!!)」

2019.04.10

「イジツ」という荒野が広がる世界。70年前、空に開いた「穴」から様々な物(文明品?)が落ちてきた。とりわけ「航空機(技術)」はイジツに交易の発展をもたらしたのだが・・・

「迷家-マヨイガ-」の不評(?)から3年。「水島努」監督ということでイヤガオウでも注目され気味な本作。(笑) 当初から賛否が飛び交いました。
西部劇風な世界観に異質なモノ(人型ロボット)が暴れまわった「戦闘メカ ザブングル」みたく、日本の第二次大戦中~戦後初期ぐらいの戦闘機が「馬&銃」の代わり。西部劇における銀行強盗・列車強盗の代わりに「空賊」が、駅馬車の代わりに「巨大飛行船」。
世界を統制する治安機構がなく、点在する街々はそれぞれ自衛の為「自警団」を作り、雇われガンマンならぬ「戦闘機乗り」が需要となる無法地帯。

「コトブキ飛行隊」は飛行船(空母)「羽衣丸(ハゴロモマル)」を所有する空輸業「オウニ商会」の契約用心棒。 飛行隊メンバーは、6人の女子。
キリエ(主人公位置):空間把握は優れているが直情なのがタマにキズ。パンケーキ大好き。モコモコパンツ着用(上空は冷えるからね)。性格は、やや「お子ちゃま」。

レオナ:コトブキ飛行隊・リーダーでまとめ役。性格や飛行スタイルも真面目。

ザラ:酒飲みでメンバーのお姉さん的存在。レオナの良き相棒。

エンマ:過去に財産を騙し取られた経歴があったのか、お嬢様な口ぶりで「お調子者・軟弱者」に対しては厳しい毒舌を吐く。戦闘スタイルはネチっこい。

ケイト:口数少なく、学者肌。(航空機の)博識を生かして的確に相手を撃ち落とす。

チカ:気の強い最年少。キリエとは良い喧嘩仲間。小さな体なのでG耐性を生かしたトリッキーな飛行が得意。

「コトブキ飛行隊」の機体は全員旧日本軍の「一式戦闘機 隼一型」。とりわけ詳しくありませんが、ニワカで思うのは・・・
・機銃2門はエンジン上部に設置→ペラ(プロペラ)の回転に当たりにくいように、ペラは2枚羽。
・ペラが2枚なので「推力」はヤヤ劣る(?)→その為に機体を軽量化→直線加速は特別速くは無いものの、ヒラリヒラリと旋回し近接戦(ドッグファイト)が得意。
・軽量化なので装甲が薄く撃たれ弱い→当たらない為にパイロット各自、「腕前(操桿テクニック)」が必要。(「G」も、かなりクルでしょうね)
・軽量なので重い爆弾は搭載出来そうもない。
といった印象。

空賊とやり合ったり、「穴」の恩恵を独占・独裁統治を企み、同調しない街は容赦なく爆撃する「トウワ・ブユウ商事」のイサオとドンパチ対抗したりと、隙を見せれば何時やられるかわからない日々と言うのが西部劇風な雰囲気。



(個人の)感想として、

[キャラの2D・3D]
私はそれ程気にはならなかったのですが、目ざとい方は「変」すぎる、違和感あると非難轟々。まあ俯瞰で見る数人の「気を付け立ち」は「変」に見えましたけど。(笑) でもヤッパリ3Dは「表情」が固かったような気もします。(でも「逃げられジョニー」のガンアクションはカッコ良かった。)


[1クールじゃ尺が足りなかった?!]
世界観設定はそれなりに準備してたようですが、「CG空中戦」に尺を入れ込んでるせいか説明不足な事案も多かった。ドラマパートではキャラの早口で進行。イサオに至ってはチャラい性格も相まって鬱陶しさ倍増!(笑)
コトブキ飛行隊面々のキャラ掘り下げもキリエのみしか出来なかったのが残念。 巻きが早かったせいでドラマ(内容)がやや薄ッぺらく感じてしまいました。 ユーハング(日本軍)との関りも判らずじまい。
やはり2クールぐらいは欲しかったケド・・・・おそらくCGにかけた『予算』の都合で1クールになったんでしょうかね?(笑)


[圧巻の空中戦!レシプロ機、好き?嫌い?]
レシプロ機(セスナのような機体上翼型でなく下翼型)は、死ぬ前に一度乗ってみたいものです。今では映像記録しか残ってませんが、75年程昔「確かに存在していた」悲運の名機のたち。
ヤンキーバイクよりデカく、ヤンキーバイクの下品なエンジン音より轟く轟音で、地べたをノロノロ走るヤンキーバイクより大空を自由に飛び回る。(ヤンキーバイク、ダサくてホント嫌い!)
操縦・操桿はオート(自動サポート)ではなく自身の腕前次第。現在、自由に飛べない分「飛行欲求(とでも言うべきか?)」が時たま沸き起こります。
そんなチョット憧れの(空に~あこがれて~・・・♬)レシプロ機によるドッグファイト。名前の通り「犬が自分の尻尾を追い回してクルクル回る」様子を模したように、相手(敵機)の後ろの取り合い、機銃を撃ち込むというのが基本。
飛行中に照準器を見て機銃掃射しても「空気抵抗で真っ直ぐ飛ばない曲がる弾道・じっとしていない敵機・数発当たっても落ちない敵機・撃墜するにはコクピットか燃料系統部を狙わなきゃならないが思い通りに当たらない」などで、なかなか辛気臭い感じがリアルで良かった。(イメージとしては『銃』が空を飛んでるようなものだから、そりゃ当てるの難しいわな。)
コクピット目線からの『画』も、大画面で見ればさぞ臨場感あったことでしょう。

しかし、各機体の見分けが判りづらかったり、昨今のミサイル・ビーム兵器・魔法弾など「撃てば必ず当たって『即』撃破するアニメ」を見慣れた「お子ちゃま」には、この「辛気臭い(やや)リアルな空中戦」なんて、とてもツマラナクてブーイングだったかもしれませんネ。(笑)

[商品展開]
キャラの魅力が定着もせず判らないうちに序盤からフィギュア製作販売宣伝CM流すのは、あまり賢くないと思うけどなぁ。(「ダグ&キリル」はどうだったんだろう?)


そんなわけで、「3DCG」による航空機に堪能(序盤のsaloonが実は「羽衣丸」の船内。しかも空中母艦など)し、ドラマストーリーがイマイチうやむやだったけど、割と楽しめたアニメでした。
今季の航空機アニメ「ガーリー・エアフォース」より(色んな面で)面白く思えます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

空戦が日常。

この作品はオリジナルアニメ作品だったみたいですね。
水島監督の作品とういことで視聴を決めましたが、これもパクっと食い付いて正解だった作品でした。
流石ガルパンとSHIROBAKOを手掛けた監督さん…今回の作品も伊達じゃありませんでしたね。


一面荒野が広がる世界、"イジツ"…
ある日、世界の底が抜け、色々なものが降ってきた。
中でも"ユーハング"がもたらしたものの影響は大きく、とりわけ飛行機の存在によって人々の生活は激変。
以降世界の潮流は空へと移っていった。

時は流れ、

空には商船とその用心棒、荒くれ者の空賊など、さまざな人々が飛び交っていた。
オウニ商会の雇われ用心棒"コトブキ飛行隊"は、空を飛ぶことが大好きな、女の子だけのスゴ腕パイロット集団。

彼女たちはお客様の大切な積み荷を守るため、今日も隼とともに大空を翔けてゆく。


公式HPのIntroductionを引用させて頂きました。

私は戦闘機には疎いのですが、水島監督のことなので飛行機を飛ばすことには拘るんだろうなぁ…と思っていました。
完走後にwikiをチラ見して知ったのですが、曲技飛行隊「ウイスキーパパ競技曲技飛行チーム」が制作に協力しており、飛行機の機動は実際に可能な動きのみで構成されているんだそうです。
やっぱり…というのが正直な感想です。

総撃墜数が200機を超えるエース集団であるコトブキ飛行隊を紹介します。
全員が一式戦闘機 隼一型に搭乗しています。
一式戦闘機といえば、第2次世界大戦の際に主力機として活躍した戦闘機です。
当時、日本の戦闘機の性能の良さに世界中が震撼しましたが、もしかしたらこの隼の事だったのかもしれません。

キリエ(CV:鈴代紗弓さん)主人公でパーソナルカラーは「赤」。パンケーキが大好き。
エンマ(CV:幸村恵理さん)キリエの幼なじみでパーソナルカラーは「青」。
ケイト(CV:仲谷明香さん)パーソナルカラーは「紫」。口数は少ないが、戦闘機に対する豊富な知識と天才的な才能の持ち主。
レオナ(CV:瀬戸麻沙美さん)コトブキ飛行隊の隊長でパーソナルカラーは「緑」。パイロットとしての経験が豊富。
ザラ(CV: 山村響さん)コトブキ飛行隊の副隊長でパーソナルカラーは「黄」。酒好きのチームのお姉さん的な存在。
チカ(CV:とみたん)コトブキ飛行隊の最年少パイロットでパーソナルカラーは「ピンク」。

恥ずかしながらこのレビューを書くまでキリエが主人公だったとは思いもよりませんでした。
言われてみると登場回数は多かったですが、それぞれのキャラがしっかり深掘りされていて、愛着も同じ様に湧いていたので6人全員が同じ立ち位置だとばかり思っていました。

でもなんか納得…
キリエはサブジーの事をずっと気にかけていました。
だってキリエに空を飛ぶことの楽しさを教えてくれた人なんですから…
キリエって結構怒りっぽいんですよね。
パンケーキへの執着だって人並み外れていますし…
でも物語終盤で見せたキリエの逆鱗…半端無かったですもん。

個性的な6人でしたが、個人的にはチカ推しだったかな…
この作品も週明け月曜日の出勤時の電車の中で見るのが日課でした。
憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれたのは、いつだってとみたんでしたから…

コトブキ飛行隊は、本来商船の積んだ積み荷を確実に目的地に届けるための用心棒…
序盤はそういうシーンも確かにありました。
でも、物語はイサオが登場してからややこしい方向に物語が進んでいった気がします。
物語の終盤では、本来の職務から凡そかけ離れた事態に巻き込まれていましたから…

でも、こういう言い方をしたら語弊があるかもしれませんが、戦闘機同士の空中戦…迫力満点でした。
遠近のカメラワークを駆使しながら、全体の動きと個々の機体の動きを同時並行的に表現されていたからだと思います。
3DCGの為せる技なんでしょうけれど…

実際の戦闘機同士の戦いでは、もっと多くの血が流れるんだと思います。
それに撃墜され方によっては致命傷を受けたり、ガソリンに引火して空中で大爆発…というのも珍しく無いんだと思います。
それでも人を殺さない…人の死を表面化させない作風は個人的に良かったと思います。
やっぱり月曜日の朝から血ドバドバとか見たくありませんから…
水島監督の渾身の一作だと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマはZAQさんの「ソラノネ」
エンディングテーマは、コトブキ飛行隊の「翼を持つ者たち」
どちらもZAQさんの楽曲だけあって完成度が高かったと思います。
勿論、どちらも通勤中に聞かせて貰っています。

1クール全12話の物語でした。
見応え十分でしっかり堪能させて頂きました。
でも今一番気になっているのは、公式HPに記載されている「フィギュア化決定!」情報です。
コトブキ飛行隊のメンバーの手のひらサイズの「フィギュアーツミニ」
「可動によるキャラクター表現の追及」をテーマにした「S.H.Figuarts」
でも私が一番気になった原因は「Figuarts ZERO」のキリエとエンマです。
そのうち残りの4人分も発売されると思うのですが、全高170㎜くらいなので1/10スケール程度でしょうか。
値段が税込み5,940円と破格なんです。
しかも、コトブキのみんなが登場している隼付きとはお得にも程があるという感じです。
是非手に取って出来を直に確かめたいフィギュアだと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 25

60.5 3 飛行船で組織なアニメランキング3位
NORN9 ノルン+ノネット(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (197)
1026人が棚に入れました
列強各国が海外に進出した時代。長らく続いた閉鎖された時は崩壊し、革命と自由主義が世界中に広がっていった。新しい価値観はやがて新たな衝突を人々の中に生むのか…。魂と大地が病めるその時、空に光る球体が現れ、世界の囲いを取り去る、あなたは自分という輪の内側と外側どちらが大切ですか?

声優・キャラクター
藤村歩、梶裕貴、下野紘、佐藤拓也、高垣彩陽、小野大輔、斎賀みつき、遊佐浩二、瀬戸麻沙美、杉山紀彰、杉田智和、吉野裕行、阿部敦、市来光弘、浜田賢二、やなぎなぎ
ネタバレ

空知 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

想像以上にスケールの大きな物語に圧倒されました

乙女ゲーム原作。原作未プレイ。

鑑賞を始めてから、話がなかなか見えてこないため、どうしようか迷った作品でした。
ゲームプレイ組でないと話が分からないのだろうかとも思いましたが、結果的に最後まで観てよかったと感じています。途中で視聴断念した方の気持ちもよく分かります。
視聴には集中力が必要ですし、観ようという決意がないと完走できないと思います。
未プレイ組には、一度観ただけでは分からないほど複雑です。私の場合、もう一度見直したくらいです。2度目には見落としの部分も発見し、ようやくストーリーが掴めたものの、今なお不明の部分があります。

作画は、キネマシトラス×オレンジ。とても綺麗です。

話自体が謎謎のようになっているため、私の場合は、全貌を知りたいという好奇心が視聴意欲に拍車をかけました。
ミステリーではないのですが、ストーリー構成自体が謎に満ちた仕掛けになっており、「最後まで観て話が分かるのなら、この謎解いてやろうじゃないか」という好奇心旺盛な方にはおすすめです。

乙女ゲームらしく、男子は当然イケメン揃いですが、女子3人がとても魅力的なキャラクターです。

本作では、メインヒロインが「こはる」になっていますが、ゲームでは七海、深琴ルートもあるようです。
個人的には、七海が好み。どことなく綾波的で、謎めいた感じがよかったです。
まあ、アニメ化するに当たっては、こはるをメインヒロインにするのが一番無難だったと納得。

絵も綺麗、音楽良しですし、実に丁寧に作られており、予算をかけているんじゃないかと思います。
ストーリーもしっかりしていて見応えのある作品です。

一点だけいただけなかったのは、{netabare}一組の男女がイチャイチャしすぎで、あれではバカップルです。ただ、孤独が長かった彼女には、それほど相手を深く想う気持ちのわけも理解できます。{/netabare}しかし、せっかくの壮大な世界観なのですから、恋愛を控えめにすれば観やすかったのにといういう思いが残ります。

ラストも恋愛で終わったのは仕方ない幕引きですが、もう一工夫あればと残念。ただ、全体的には良作だと評価は高めです。

OPは、やなぎなぎの「カザキリ」。謎めいた歌詞で、曲の雰囲気も幻想的でストーリーにピッタリ。
やなぎなぎは、作品の中で声優としても活躍しています。

EDは、織田かおりの「ゼロトケイ」。この曲にはハマリました。
素晴らしい曲で、この壮大なストーリーにピッタリの曲であり、2016冬のアニソンでは一番好きになりました。
ダウンロード版を購入したほどお気に入りで、個人的には、べた褒め状態です。


ストーリー:ネタバレ注意です!

!いつか視聴予定のある方は、以下を読まないでください!

【ノルン+ノネットは、ネタバレしてしまうと全く楽しめなくなるほどネタバレ厳禁の作品です】


{netabare}人類は世界大戦のような悲惨な戦いを防ぐためにリセットという操作を行ない戦争を回避してきたという歴史ループ作品です。登場人物たちが生きている世界は大正時代になっていますが、実際は3度目の歴史の中にあり、西暦8075年になります。リセットを行なうためには、愛音というアンドロイドが必要であり、そのアンドロイドがノルンという船に集められた9人の能力者の力を使う必要があります。船に乗っている能力者の能力は、

こはる:火で全てを焼き尽くす
久我深琴:結界を張る
不知火七海:記憶を消去する
結賀駆:緑を操り、植物の生育を促す
宿吏暁人:水を操る
遠矢正宗:過去を見る
二条朔也:未来を見る
加賀見一月:人に睡眠時の夢を見せる
乙丸平士:テレパシー能力

鈴原空汰という小学生は能力がないため、どうして船に乗っているのだろうかとずっと謎だったのですが、後半になってその謎が明かされます。彼は愛音を作った天才科学者のDNAを持った人物なのです。

歴史を操作する側の集団を「世界」といい、この「世界」がノルンに乗船している9人の能力者にリセットするかどうかを確認します。全ての能力者の同意があってリセットが行なわれるのですが、リセットに同意すると、自分の記憶が失われてしまいます。

ここで、「こはる」と「駆」の恋愛に絡んできます。
二人は船の中でお互いを想うようになるのですが、いざリセットを行なうかどうかにあたり、こはるはリセット後の世界がどんなものであるかを見ることになります(理由は不明)。

そのとき、こはるは、「駆くんのいない世界なんていやあーーーーー!いやぁ!!いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!」と絶叫し(ここは笑うところではないのですが、私は笑ってしまいました)、能力である火を放ち、なんと船を燃やしてしまうのです!
こはるの駆を思う愛のすさまじさに圧倒されてしまいます w|;゚ロ゚|w
可愛い顔して、こえーな ∑(゚□゚;)

船から能力者達は逃げることに成功するのですが、駆だけが不明となります。こはるは駆を探しに後日船に戻り、半年後に駆が無事帰ってきます。
駆が「俺の名前、もらってくれない?」という場面で話が終わります。

このほか、「旅人さん」という「こはる」を船に乗るように言って去っていった男性(実は、駆の父親)や、深琴がいるノルンの「世界」とは対立していた側の男子との恋?、宿吏暁人と弟の関係、そこにまつわる不知火七海との過去などは、話が長くなりすぎるので省きます。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

やっぱり女性&原作組向けかも

8話までの感想はそのまま残して、視聴後の物語の感想を続きに書きます。

やっぱり視聴途中でコメントを書くのは止めといた方が良いかも...と思ったり。。

この辺は今後どうしようか、難しいなぁ。



乙女ゲーム原作のアニメ化作品、ということで当然女性向けなアニメなんでしょうが、

とりあえず興味本位で視聴開始。

雰囲気は幻想的な感じで、悪くない。

こういう雰囲気はいわゆる「男向けアニメ」ではあんまり見られないですね。


☆物語☆

「能力者」と呼ばれるイケメン男子9人と、可愛い女子3人が「船」という球体型の空飛ぶ乗り物に乗って、

どこかに向かっている...というくらいしか分からないまま謎だらけ。「世界」とは何なのか?

キャラクターの過去、回想なんかもちょこちょこと出てきてはいるが断片的で、

いったい物語とどのように繋がるのか、人物関係含めてなかなか読み取れないまま、

男女がいちゃつき出したりして...こりゃぁ切る人続出だろ(男は)、と思いつつ観てましたが、

ようやく8話で世界観の説明があり、物語の本筋が見えてきた感じ。

なるほど、そう来たか、と。

後半一気に伏線が繋がって盛り上がってくるか、期待したいところ。


☆声優☆

女性向けアニメ、に相応しい男性人気声優たちの起用に抜かりはない感じだが、

なかなかバリエーション豊かなんじゃないかと思う。

OPを歌っているやなぎなぎさんが、声優としても参加しているのは興味深いけど、

最終話観て納得した。


☆キャラ☆

謎が多くあまり掘り下げも無いので、なかなか魅力が伝わりにくいところだと思うが、

女性からすればイケメン揃いの男子の中で、お気に入りが見つかれば良いのでは、と言う感じ。

主人公?のコハルはちょっとアホっぽいというか、ぽわっとした感じのキャラだが、

印象としては、うたプリの主人公とかとかぶる感じ。

女性向けアニメでの女主人公って、だいたいこういう我の強くない、

空気っぽい感じのキャラが多いように思うけど、これはある意味お約束なのかも。


☆作画☆

背景がなかなか味があって、全体的に淡い色使いが雰囲気を作り出すのに効果的に作用していると思う。

キャラデザインもクセがなく、男女とも綺麗に描かれているといった印象で平均以上かと。

CGはオレンジが担当、こちらも違和感のない作りでよくできてる。

正直あまり馴染みのない制作会社だなと思っていたけど、大手と何ら遜色ない出来で驚いた。


☆音楽☆

OP、ED共に本作の世界観によく合っていて、しっとりと聴かせる趣きのあるもの。

EDを歌う織田かおりさんは2007年の「バッカーノ」以来のアニメとのタイアップ曲みたいだが、

かなり良い歌い手さんですね、もっとアニメの曲歌ってもらいたいと思った。

EDの歌詞は8話を観た後だと、よく作品にリンクしているなと実感できた。

作中のBGMもムードを大事にした感じは好印象。



---8話以降の物語の感想---

なかなか物語の本筋が見えなかったんだが、8話でようやく目的が理解でき、

乙女ゲームっぽくないSF設定に良い意味で裏切られ、その後を期待したんだけど、

やっぱりと言うか、乙女ゲームの範疇の予定調和内に収まってしまったような展開には少々残念。。

簡単に言うなら、とにかくSFを恋愛要素で綺麗にまとめてみました、的な感じ。


男は過去の女に未練がましく囚われる、と言うのは、女性と違ってそういう生き物だから、

ある意味仕方ないし、自分もこれは共感できるところなんだが、

カケルのオヤジ...いつまで引きずってんだよ(笑)

これ、女性から見て嬉しいの?ヒクの?どっちなんだろう。。


で、人類の未来や大転換を左右する決断(リセット)が、能力者のさじ加減と恋愛感情で決まっちゃうって...

結果はああなったけど、これはちょっといくら綺麗に描いてるといえども雑かなぁ。。

ていうか、自分だけかもしれないんだけど、そもそもコハルがカケルにそこまで惹かれる理由が、

イマイチよく分からないんだよなぁ。。

これは女性なら共感できるところなんだろうか、自分が鈍いだけなのか。。


最後は恋愛モノとして綺麗過ぎる感は感じるものの、うまくまとめた感じだけど、

前半の解り辛さやリセット関連のくだりとイケメンキャラたちの掘り下げ具合などを観る限り、

原作やってる人向き、もしくはゲーム買ってくれってことなんだろうな、というふうに感じた。

まぁ原作ファン&プロモーション的な意味合いでは、決して失敗していないと思える仕上がりかと。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

綺麗で緻密・・・溜息しか出ないほどキャラデザに惚れ惚れしちゃました^^;

この作品の事で知っていたのはオトメイトさんの作品である・・・という事だけです。
オトメイトさんの作品は、これまでAMNESIA、BROTHERS CONFLICT、DIABOLIK LOVERSと視聴してきて、これが4作目の作品になります。これらの作品には共通点が2つあると思っています。
一つ目主人公は女性でたくさんの男性に囲まれている・・・しかも男性はみんなイケメン・・・これは所謂逆ハーレムというやつなんでしょうか^^;?
純情可憐で儚げ・・・風が吹いたら飛ばされてしまいそうな弱さと脆さを併せ持つ女性・・・
逆ハーレムの主人公は、ハーレム主人公の無双系とは対極に位置するんですね^^
男性を対象としたハーレム作品があるのだから、その逆もあって然るべきだと思います。
そして共通点の2つ目はどれもキャラデザが半端無く綺麗・・・という事です。
キャラデザだけで魅入ってしまいそうな作品・・・がオトメイトさんの作品に対する私の印象です。

でも、この作品は先の3作品とは少し異質です・・・なぜなら登場する女性キャラが一人じゃないので・・・^^
この作品では11人の少年少女が「ノルン」という空飛ぶお城の様な乗り物で世界を旅する物語です。
11人の少年少女はそれぞれ「特異能力」の持ち主でもありました。
彼らは同じ特殊能力の仲間を集めながら旅を続けてきました・・・まるで運命に導かれるように・・・
そして最後の一人である「こはる」がノルンに乗り込み・・・物語が動いていきます。

一つの場所に集まった11人の少年少女・・・彼らは見ず知らずの人達だけで構成されている訳ではなく、中には消えない確執をお互いの胸に刻みあった同士や、幼い頃に交わした約束を忠実に執行していたり・・・そのため、相手によってお互いの関係がとてもいびつに歪んでいるんです。
その関係が物語の進展と共にどの様に変化していくかが見どころの一つだと思うのですが、正直この作品は尺の足りない系の印象です^^;

主要登場人物が11人・・・それが3人の女性を軸に物語が回りだすという展開は悪くありませんでしたが、この展開で11人を描くなら間違いなく1クールでは短かったと思います。
制作側もそれを意図して特にスポットを当てるべきキャラを重点的に描いていたのは理解できます。
でもそれぞれ背負ってきた過去・・・そしてこれから紡ごうとしている物語は当然一つじゃないので、規模の拡大した物語をしっかりと受け止める事で物語が流れていくのだと思うのですが、この作品ではそこに尺の限界があったように感じました。

それに11人以外にも物語の中で鍵となるキャラも出てきてましたし・・・
こうして振り返ってみると、ゲームって物語の内容がアニメより深いんですね^^;
でも、ゲームでは3人の女性を攻略する内容の様ですが、アニメを見た限りだと攻略する・・・は個人的に路線が違うように思いました。
攻略って、相手から何かを攻め取ったり相手を打ち負かすこと・・・じゃないですか。
彼らの抱えていた確執は攻略したら払拭できる・・・そういう類のモノでは無いと思っていたので。

尺の足りなさによる説明不足は否めませんでしたが、それでも毎週結構視聴を楽しみにしていたのは、惚れ惚れするようなキャラデザと声優さんの演技・・・そしてサプライズがあったからです。
そのサプライズが気になる方は是非本編をご覧下さい。
エンドテロップを見たら・・・きっとビックリすると思います^^
一度知ってしまったら、もう気にせずにはいられません・・・^^;
毎週の出番が楽しみでした^^

オープニングテーマは、やなぎなぎさんの「カザキリ」
エンディングテーマは、織田かおりさんの「ゼロトケイ」
どちらも発売当日に購入しちゃいました^^;
やなぎなぎさんの曲は抜群の安定感・・・思い切り身を委ねながら聞いています。
今期のアニソンBEST10に入る事間違いなしです。
ゼロトケイも私のツボに入る曲でした。

1クール12話+総集編1話の作品でした。もし総集編ではなく本編として描かれていたら・・・とも少し考えましたが、この物語をしっかり描こうとするときっと+1話くらいじゃ足りなさそうですね^^;
こういう作品がしっかりと尺を取って制作されると視聴者としてはとても嬉しく思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16
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