Kalafinaでシャフトなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのKalafinaでシャフトな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月11日の時点で一番のKalafinaでシャフトなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

90.9 1 Kalafinaでシャフトなアニメランキング1位
魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)

2011年冬アニメ
★★★★★ 4.1 (10568)
37378人が棚に入れました
市立見滝原中学校に通う普通の中学2年生の鹿目まどかは、ある日不思議な夢を見る。そこは少女が魔法で戦う異世界。その少女の戦いを目撃する自分と、謎の白い生物に「僕と契約して魔法少女になってほしい」と告げられる夢であった。翌朝、見滝原中学へ転校してきたのはなんと夢で見た美少女の暁美ほむらだった。ほむらは、まどかに「魔法少女になってはならない」と警告する。
放課後、親友の美樹さやかとCDショップへ行ったまどかは謎の声に呼ばれ、ビルの一角へ迷い込む。そこで見たものは夢の中で見た生物キュゥべえの傷ついた姿と、それを殺そうとするほむらの姿だった。まどかとさやかは戸惑いつつも、当たり前の優しさからキュゥべえを助けるが、直後に今度は本当に異世界へ迷い込んでしまう。魔女の使い魔と称される化物達に囲まれた2人を救ったのは、同じ中学の3年生でキュゥべえと契約した魔法少女の巴マミだった。事後、改めてキュゥべえに「魔法少女になってほしい」と告げられたまどかとさやかは、思いがけない好機に興奮する。だが、それは2人が直面する様々な苦難の始まりであった。

声優・キャラクター
悠木碧、斎藤千和、水橋かおり、喜多村英梨、加藤英美里、野中藍
ネタバレ

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

わたしの、最高のアニメ(95点)

全12話。
シャフト制作のオリジナルアニメ。

個人的満足点:95点
アニメ系統:ハートフル魔法少女物

可愛らしいキャラデザ。
王道の魔法少女物。
暖かい日常風景。
女の子達がキャッキャウフフする物語。

以下のネタバレは上から順にひらいてください。
いきなり下から開くと壮絶なネタバレになりますのでw

{netabare}

だと思って、とある事情のもと視聴し始めた本作。

しかし、3話以降いままでの魔法少女ものとは、
全く別物と思い知らされることになった。
とある事情など、どこかへすっ飛んでいた。
まずは3話までは見てほしい。
そして6話まで見ればもう引き返せないだろう。

オリジナルアニメの先の分からないドキドキ感を十二分に発揮
そして堪能させてくれた。
全ての要素において製作者側の策略を感じることができる。

こんなにも次回が気になって仕方がなかったアニメを他に知らない。
リアルタイムで見ているときは1話終わるごとの喪失感が半端なかった。
毎週、放送終了後そのまま3周するのはもはや日課と化していた。

この秀逸な脚本は虚淵氏が書いている。
ハッピーエンドを書けない作家と言われている氏だが
果たしてどんな結末を描いてくれたのか
そこにも注目していただきたい。

キャラデザは蒼樹うめ先生がつとめ、なんとも可愛らしい。
キャラデザに好き嫌いが出そうで、
実際私も始めは好きではなかったが、
終わってみればこのキャラデザ以外考えられない。
それほどこの世界にマッチしていた、そう思わずにはいられない。

オープニングも「こんなの絶対おかしいよ」と思っていたが
観ていただければ、本当の意味を本編の中で知ることになるだろう。

作中の音楽も秀逸で物語の1つ1つのシーンを盛り上げるのに
大いに役にたっている。
物語にのめり込むほどに、音楽だけでぐっときてしまう。
お気に入りは9話の音楽であるが、是非本編で確認して欲しい。

アニメーションはシャフトが
バトルシーンは劇団イヌカレーが手がけ、
独特の演出で観るものを虜にしてくれる。
あの何ともいえない独特の空間。
そして迫力ある戦闘シーン。
シャフトならではの光と影の演出。

全ての要素が絶妙に絡み合いこのアニメを最高の物にしていると思う。
どれか1つが欠けていても、この作品は成功しなかったのではと思う。
新房監督によくぞこのメンバーを集めてくれたと感謝したい。

最終話に賛否両論あるのだが、2,3度観ていただければ
感動が増すことは間違いないだろう。
私も1度目は正直ポカーン状態だったのだが
結末を分かった上で、あらためて見直した時の感動は今でも忘れない。

2度3度見直すのがこの作品の正しい見方だと個人的には解釈している。
皆様も繰り返し見ていただければ、きっと新しい発見があるはず。

ここまで見直してもさらに面白いアニメはなかなかない。
初めてブルーレイを購入&終わる前に全巻予約したほど。
またスピンオフ漫画、CDも全て購入。
「後悔なんて、あるわけない」

BD1巻特典のドラマCDは本編の補足的でよかった。
まさかそうくるとはと思わず鳥肌がたった。
3巻特典のドラマCDはアナザー的位置付けだが
これもまた非常にいい出来だった。
思わずニンマリしてしまうほどにw
5巻特典のドラマCDでは杏子の過去が語られる。
本編の1年前ぐらいの話のようだ。
これは杏子ファンにはたまらない。
是非ともすべて映像化をお願いしたい。

私はこれまでフル5点など付けたことなどないのだが、
総合力であえてフル5点を付けさせていただいた。
自信を持ってお勧めできるアニメ。

是非、観ていただきこの感動を共有できればと
魔法少女まどか☆マギカのレビューとさせていただきたい。


と、まあかなーり色々書いてきたが
つまりは何が言いたいかというと

このアニメを気に入ってくれたなら
「それはとっても嬉しいなって」



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上記はネタバレにはなっていないかな。

以下、ややネタバレかも


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{/netabare}

{netabare}

本編中、伏線回収していなと思われる点を3点。

OPの黒猫。
杏子の特殊能力。
杏子の食料調達方法。

その内、黒猫は1巻特典ドラマCDにて回収される。
興味のある方は特典CDを聞いてみてくれ。
思わずそう来たかと思ってしまった。

杏子の特殊能力はDB5巻特典のドラマCDで回収。
杏子の食料調達方法は雑誌インタビューにて回収された。
ちゃんと設定があったのである。
決定稿には記載があるが、演出上省略されているようだ。


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★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


■まどか自己満足考察的レビュー

以下で超自己満足考察的レビューを書いてみようと思う。
『完全にネタバレ』のため、視聴していない方はくれぐれも読まないでいただきたい。
まどかの面白さは先が読めないという部分にあると思っている。

それでは、お時間許す方は読んでくれたら嬉しいな。

{/netabare}

{netabare}
まず、この魔法少女まどか☆マギカは
「ミスリード」と「希望と絶望」で出来ていると思っている。

魔法少女という少女向けのタイトル及びタイトルロゴ
うめ先生による、可愛らしいキャラデザ
そしてOPの可愛らしいアニメーション
ほとんどの方がこの時点でだまされていたのではないだろうか。
この時点でこのような展開になると誰が予想できただろうか?

ただ、完全なミスリードでは無いと私は思っている。
ミスリードの中にもどこか不自然さを残している。
そもそも私はOPアニメに違和感を感じていた。
「どうしてまどかは泣いているのか」
「悲しげな表情で雨の中を走っているのは」
「そして、曲の歌詞が意味するものとは」
この違和感が埋まるのにはもう少し時間がかかるのではあるが、
この時点では私も少しの違和感程度であった。

そして、1話に突入するのだが、ここでもミスリードが生かされる。
まどかの平和的な早朝風景、学園生活
タイトルから想像する魔法少女風の導入である。
そして、異様な雰囲気を出しているほむらの登場。
ただ、このほむらの言動にも何か違和感を感じずにはいられなかった。
これから魔法少女になるまどかのまわりで異変が起こっている、そんな印象だった。

そして、1話終盤、その異様な雰囲気のほむらが
魔法少女ご用達のマスコットキャラ「キュウべえ」を殺そうと追いかけているのである。
この時点で完全に、「ほむらは敵」「キュウべえは魔法少女の味方」的構図を作り出した。
そして、本来の魔法少女的役割としてマミが登場する。
そう、この1話は視聴者をミスリードするために存在するといってもいい。

2話へ突入し、魔法少女が何なのか、当然、表向きの意味ではあるが、それが明らかになってくる。
一般的な魔法少女の設定である。悪者を倒し、皆を守る。
危険なことではあるが、その魔法少女への憧れをマミを通じてまどかとさやかが感じていくのである。
そして、この時点での違和感、それは「魔女」という言葉であった。
私自信、何で敵が「魔女」なんだ?と疑問だった。
魔女ってどちらかというと魔法少女側では?とも思った。
魔女っていうと一般的にいって大人の女性をイメージするであろう。
魔法少女が大人になったら魔女っていうのなら分かるがと。
しかし、本作の魔女はそんなイメージとはほど遠い。
グロテスクでモンスターと言った方がよほどしっくりくるデザインであった。
ここでも少しの違和感を残しつつ物語は進むのである。

そして、運命の3話である。
いよいよマミを通じてまどかが魔法少女になりたいと気持ちを最高潮にしていく。
そして、これからマミとまどか2人の魔法少女による話が始まるとそう思わせる運び。
だが、しかし、ここで物語りは大きく方向転換する。
ここまで引っ張ってきたミスリードを覆すのである。
衝撃の走ったマミった事件。
私のこの時の率直な感想は「おい、これどうなるんだよ」
「魔法少女まどかって魔法少女になれないのじゃないか?」
中学生の少女が希望あふれていた時に目の前で絶望を味わった。
まどかは命の危険があるとは認識していただろうが、
いや、本当の意味では理解していなかったはずである。
現実で残酷な死に方を見せられたのである。
この状態で魔法少女になるなんて考えられない。

願いでマミを生き返らせるという選択肢もあったかもしれないが
どんなにいい人でも出会って1週間ほどの人の命のために
自分の命を投げ出すなんて出来るのか?
しかも、その人の死に方を目の前で見せ付けられている状態で。
もはや、この時点で先の読めない展開に数々の妄想を膨らませるようになった。
そういう意味で3話はキーポイントと言える。
また、3話後に初めて流れるEDは秀逸。
いよいよ、物語が本性を表しはじめた感じがした。

そして4話からではあるが、これはさやかを通じてもう1人のまどかを表現したのでは無いかと思う。
さやかはもし、まどかが魔法少女になる道を選んでいたらを描いたのではないか。
そういう意味では中盤の主人公はさやかであろう。さやか☆マギカである。

人を助けるために魔法少女になる。従来の魔法少女的位置づけである。
好きな人の怪我を治し、親友を救い、魔法少女として順風満帆な滑り出しといえるさやか。
まさに希望あふれる展開である。
しかし、ここから徐々にさやかを絶望へと追い込むストーリーは圧巻。

まずは、ライバルとなる杏子の出現。
さやかとは正反対の考えをする杏子と対立する。
そして、自分は違うんだとより正義に向かうわけではあるが
それが、結果彼女を追い込んでいくことになる。

そして、衝撃の6話を迎える。
さやかと杏子が戦うのは間違っていると、まどかの直向な思いと行動から衝撃の事実が発覚する。
この時のほむらの行動にはぐっときてしまう。
唯一真実を知っているほむらは全力でソウルジェムを追いかける。
この辺りで完全にほむらに釘付けであったのは言うまでもない。

7話以降のさやかの絶望への落ち方はなんとも言えなかった。
自分が人間では無くなってしまった事実に悩み。
そして、大好きな人を親友に取られてしまうかもしれない悲しみ。
それでも、自分は正義の魔法少女として戦うことを諦めないさやか。
また、この辺りからキュウべえの本性が徐々に明らかになってくる。
いままで正義のマスコット的位置にいたように感じたが何かが違う。
この辺りの見せ方も秀逸といっていい。

そして、さらなる衝撃の8話。
ついにさやかが壊れ始める。
魔女との戦いで痛みを感じないことを実感し同時に人間では無いと自覚する。
そして、その想いをまどかにぶつけてしまう。
自分の言っていることは的外れだと分かっていながら親友にぶつけてしまう。
なんとも切ない。
そんなさやかに追い討ちをかける仁美。
仁美もさやかの状況を知らないからこそ、運命のいたずらにやるせない気持ちになる。
そして、ついにさやかが魔女化する衝撃。
最後に残したさやかの言葉はなんとも言えない。
「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。
  私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね」
希望と絶望は差し引きゼロ。
7話で杏子が言っている
「希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる」
「そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ」
の本当の意味を理解して、そして、魔女になってしまう。

最後のキュウべえのセリフには寒気がした。
そう、私が2話で違和感を覚えた「魔女」の本当の意味である。
ここから怒涛の伏線回収がはじまる。

9話は涙無しでは語れない。
ここの杏子の行動に賛否あるのは分かる。
序盤かなり敵対していたさやかをそこまで救う理由が見当たらない。
確かにその意見は正しいと思う。
だが、しかし、私は杏子が言っている
「アタシだって、考えてみたらそういうのに憧れて魔法少女になったんだよね」
「すっかり忘れてたけど、さやかはそれを思い出させてくれた」
に集約されていると思っている。
昔の自分に重ね合わせて、そして、なんとか救ってやりたい、そう思ったに違いない。
そして、さやかを取り戻すために戦いに向かう杏子とまどか。
しかし、まどかをも殺そうとする魔女についには杏子も希望を失う。
そして、さやかとともに自爆の道をたどる。
杏子の最後のセリフはかなりぐっときてしまった。
このシーンはとても美しくそして悲しすぎる。
この時のバックミュージックが無くなる演出にもしびれる。

そして、ほむらの真実が明かされる10話。
1話からのほむらの行動の謎が全て解き明かされる。
ほむらが何故、あれほどまどかにこだわるのか。
バラバラだったパーツがしっくりはまってくるのである。
1話からずっと続いていた違和感が無くなっていく気持ちよさ。
それと同時にほむらの切なさが伝わってきた。
何度も何度も繰り返してきたはずである。
ほむらの心情を考えると胸が熱くなる。
後半のまどかのソウルジェムを打ち抜くシーンは鳥肌ものだった。
この千和さんの何ともいえないうめき声は圧巻。
本当はSEを入れる予定だったらしいが、演技を生かすためにSEをなくしたらしい。
ナイスジャッジであろう。
涙が止まらない。

そして1話アバンに繋がる。
そう1話のアバンはこのシーンだったのだ。
10話は鳥肌たちまくりだった。
タイムリープものではよくある手法ではあるが、色々な思いがめぐって相当やばかった。

そして、ここでのOP曲。
OP曲の違和感がここで解消するのである。
10話は本当に圧巻だった。

リアルで見ていた時は、ここで1ヶ月待たされることになった。
この1ヶ月はほんと長かった。
無事に放送となった時はどれだけ歓喜したことか。

そして、待ちに待った11話12話連続放送。

まどかの強さの秘密がここで明かされる。
そして、ついにほむらがワルプルギスに挑む。
圧巻だったのは戦闘シーン。
この戦闘シーンの迫力はすごかった。
ほむらのこれまでの想いをぶつけるがごとく怒涛の攻撃。
あれだけの準備をしてきたのを想像するとまた胸が熱くなる。
しかし、それでもまったく歯が立たない。
そして、ついにはほむらも絶望しそうになる。
繰り返せば繰り返すほどまどかの魔女化はひどくなるのではと?

また、まどかはキュウべえから過去の魔法少女のことを聞かされる。
そして、思い悩む。
ほむらの想いも聞かされる。
この時のほむらの語りは相当やばかった。
今までのほむらの想いが伝わってきて泣けてしまう。

その後のキュウべえの追い込みがすごい。
まどかを何とか魔法少女にしようとほむらの所へ向うようにしむける。
そんな、まどかはついに決心してほむらの元へ向う。
私はこの時点ではあまり深く考えていなかった、まどかの考えを。
それを理解したのは12話を見た後であった。
このときの母の制止を振り切って出て行ったまどか。
後になってこのシーンがあまりにも切なく感じてしまう。

そして、賛否両論の12話。
まどかがついに魔法少女になるのであるが
その願いがあまりにも大きすぎ、また、ハッピーエンドぽくもなく
バッドエンドともいいがたい微妙な印象を受けた。
私も正直1度目はポカンとしてしまった。
しかし、もう1度11話から見直して、そして、自分としては満足できた。

11話の母を振り切るシーンに戻るが、あの時点でまどかは
自分がいなくなってしまうことを覚悟していたのである。
それでも自分の母を振り切っていくまどか。。。
どれだけの想いでほむらの元へ、そして、全ての魔法少女の想いを救うために
出て行ったのかと思うと、母を振り切るシーンで涙が出てきてしまった。

そして、まどかの願いだが、全てを無くしてしまう事はできない。
それは、これまで魔法少女が築き上げてきた歴史までも無くなってしまうから。
魔法少女のシステム自体はなくせ無い。
それでも皆を救いたいという想いから、魔女にならないようにする願いにしたのだと思う。
その代償は自分が人間として存在できなくなるとしてもだ。

そのため、救われなかったのが、ほむらであろう。
結局ほむらはまどかを救えなかった。
そういう意味ではハッピーエンドではないとは言えそうだが
完全なハッピーエンドにしようとすればかなり無理が生じる気がする。
アニメに無理とかいっても始まらないかもしれないが
私としては絶妙の落とし所だったと思っている。
まどかの命は救えなかったかもしれないが、まどかの想いは救えたのだ。

こんな感じで私は非常に満足してしまっているのである。
これは大筋の部分で書いてきたが、このアニメのもう1つの楽しみ方は
それぞれのキャラ視点で物語を観ていくとさらに面白い。

1話からまどか視点で見たとき、ほむら視点で見たときで見え方が違ってくる。
さやか視点、杏子視点、さらにはキュウべえ視点でも非常に面白い。
それぞれのキャラ視点にたって物語を観たときにどのキャラにも愛着がわいてしまう。
悪役だと思われるキュウべえでさえ、自分の信念に基づき行動している様は好感が持てる。
結局のところ悪いキャラなどいないのではないかと思える作りは素晴らしい。

そして、私が個人的にこのアニメのすごいと思う所は
どの話も秀逸で6話以降の展開など甲乙つけがたいできではあるが
本当にすごいのは1話ではないかと思っている。
これだけ暗い話であるにも関わらず、1話の段階でそんな感じをまったくださず
ミスリードを誘発してくれて、それでいて、見直したときに
衝撃を受けるように作りこまれている1話にこそ賞賛を送りたい。

と、なんかまとまりが無くなってきてしまったが
とりあえずはこの辺りにしておきたい。
また、気が向いたら追記修正を行うかもしれない。

ここまで、読んでくれた方、本当にありがとうございます。


■2011/10/15追記

ふと、恐ろしいことに気がついたので追記。
仮定の話だが、もしほむらがワルプルギスの夜を倒して、
まどかが魔法少女になることを阻止できていたらと考えた。
そうすると、ほむらは設定上、時間停止はできない、時間も巻き戻せない。
設定上、最弱級の魔法少女ということになる。
もはや武器の調達も出来ない。
そんな状態で魔女に勝てるわけもなく、ソウルジェムを浄化もできない。
ただただ魔女への道を進むしかない。
恐らく、ほむらはその事は分かっていたはずである。
それでも親友を助けようとしていたほむら。
まどかを救った後、恐らくだが自ら死ぬつもりだったに違いない。
胸が締め付けられる想いだ。
それと同時にこのアニメの深さに痺れる。


■2012/1/18追記

ラストCパートの英字を記載しておく。

Don't forget.
Always, somewhere,
someone fighting for you.

As long as you remember her,
you are not alone

忘れないで。
いつも、どこかで、
あたなのために戦う誰かがいることを。

彼女を思い出す限り、
あなたは一人じゃないよ。


まどかとほむらの想いが上手く表現できていると思わずにはいられない。

{/netabare}

■2/12英語版プチ感想追記

ニコ生で英語版の1話が放送された。
声優陣にかんしてプチ感想を。

まどか:まずまずの印象
QB:英語でもなかなかの営業w
パパ:渋いwww
たっくん:可愛い
ママ:ちょっとかっこよくなった?
さやか:ちょwwwキタエリ英語喋ってるんじゃねえの?
ひとみ:いい感じ
先生:迫力あったよw
ほむら:もう少し影があるとGOOD
マミさん:あぁぁぁぁぁぁマミさんががががが、老けたw
     ティロフィナーレがどうなるのか気になるw

投稿 : 2024/05/11
♥ : 254
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

まどか☆マジか!?

世界観:9
ストーリー:10
リアリティ:9
キャラクター:8
情感:10
合計:46

思わず、タイトルのような衝撃を受けました。
自分はこのテの絵柄を敬遠してしまうタイプですので、この作品を見たのは、友人に面白いアニメを聞いた時に「これはストーリーが凄くて、驚く展開となるから是非見てほしい」と言われていたから。
アニメというジャンルの魅力自体、最近(2014.12当時)気が付いた者ですが、思った以上に苦も無く第3話の壁を突破できたということは、単純に食わず嫌いをしていただけで、適性はきっとあるのだと思います。
(ネタバレの類は全く知らずに視聴できたのも良かったです)

絵は馴染むまでは好みではありませんでしたが、それも後になってみれば意図的なものとわかり、まさに「驚く展開」と伏線が効果的に仕組まれたストーリーの完成度が半端ではない。アニメオリジナルストーリーの強味だと思いますが、この点、元々クリエイター精神を持つことを自負する自分は、作者・関係者の情熱を感じられてとても満足することができました。

{netabare}序盤、3話の中盤までは自分が想像もしていた魔法少女もの(昔、セーラームーンのアニメを1,2話見たことがあるし、親戚の子供がプリキュアの塗り絵をしていたのを見たことがあります)。でも、敵が「魔女」であり、その空間の表現がこの作品の当初イメージからずれるほどダークであり、また、ほむらの不可解な発言から、ざらざらとした感覚を受けていました。

マミさんの件が、一つ目のマジか!? でした。これで絵柄的に魔法少女が5人揃って悪と闘うというような正統派ルートがなくなります。そして、まどかは魔法少女としての凄まじい潜在能力があると言われつつも、魔法少女にならない(なれない)展開。魔法少女が仲間になるどころか、争いを始めます。

このあたりはさやかに共感しつつ進むパートですね。魔女、使い魔、グリーフシード、ソウルジェムを巡る設定も、物語を深めていき…。

ゾンビの件が、二つ目のマジか!? そしてさやか、杏子が退場していきます。キュウベエの外見のかわいさは悪意を感じます。よくよく見ると気持ち悪いというのも出来すぎ。シリアスなメソですね。でも、このキャラクターからの視点でも、ある程度理解できるように作られています。

魔法少女アニメのお約束を現実に置き換えて逆手に取っていく(激しい攻撃を受けても平気なのは、もはや人間ではないから)設定は、見事と言うしかない。魔法少女(魔法使い)に憧れる子供は多いでしょうが、命をかけて一生戦わなければいけない、しかも人間でなくなる、という条件でなりたいとは…思わないですよね^^;

6話にある母の、間違ってみて新しい道が見つかるという言葉もとても深く、だから大人は酒飲んでいいってことになっているというオチがまた良い。母の台詞では、1話の隠れファンのくだりも好きです。家族が描かれているのは好感ですね。

で、このストーリーのクライマックス、第10話が三つ目のマジか!? ほむらの過去が明らかになり、そのキャラクターを理解でき、ここまで疑問だった伏線が回収されます(若干、知り合って1か月の友との友情にこれだけ賭けられるかっていう思いもあるんですが、思春期かつ初めての親友が相手なら、あるかもと納得しました)。

伏線回収が美しい10話ももちろん良いのですが、更にまどかの潜在能力の理由が明らかになって(ここも回収!そもそもキュウベエがまどかを狙ったことも明白ですね)、それがほむらの危機に繋がる11話が秀逸。ラストは完全なハッピーエンドじゃありませんでしたが、まどかの選択に納得ができる、美しい終わり方でした。

無駄な回やストーリーはほとんどなし。序盤から雰囲気が良く、中盤からの厳しい展開もキャラクターの心情が伝わってくる作りで、この時点で佳良な作品と言える上、9話から1話ごとにその評価を更に押し上げていくというパワフルさ。魔法少女という歴史あるジャンルにおいてその設定で革新を起こし、衝撃的なストーリーラインでありながら緻密なプロットに支えられ、頭で考えて楽しい内容でもあり、願わずにはいられない人間の希望、絶望、代償、自己犠牲といった普遍的なテーマが描かれ、最終話は感動パートの連続。歴史に残る作品だと思います。

あと、取り上げたいのは、さやかが上条君の演奏を聴くシーン。単なる驚きの展開を試行する作品(このストーリーで言う消耗品)ではない、作者・スタッフの、物語とキャラクターへの愛情を感じさせてくれる一幕に映りました。
{/netabare}
(参考評価推移:3話4.1→4話4.2→6話4.5→9話4.6→10話5.0→11話5.1→12話5.3)
(2014.12視聴)

<追記2015.1>
まどマギを見て、アニメの底力を感じ、ここに参加するようになりました。これを超える作品が見つかるか、引き続き楽しんでいきます。

<追記2015.3.18>
SUGOI JAPAN 2015のグランプリ受賞、おめでとうございます!
自分が(現時点で)やや抜けた最高評価をしている作品なので嬉しいです。
簡単にこれを超える作品は見つからなさそうというのが、最近わかってきました。
今でも英語版や外人さんのlive reactionなどを見て楽しんでいます^^

<追記&修正2015.6.18>
評価微増。私の得点は独自評価点/10+0.7なので、本来5.3点と突き抜けています。
いまだに通勤はまどマギのlive reactionを聴く日々で、英語吹き替え版の声優のほうが馴染んできてしまっています(特にDTさんのが聴きやすく、理解力があってお気に入り)。

<追記2016.2.10>
先日、外国人のYoutubeから、シャフト40周年記念MADOGATARI展で放映されたという新作コンセプトムービーを見ました。新作が作られる方向ということでよいのでしょうかね。ストーリーとしては叛逆で完結でも満足でしたが、叛逆にも間に合わなかった身なのでそうであれば嬉しいです^^未視聴の方は絵柄で敬遠せず、是非追いついてください。
すっかり1年経ってますが、外国人のlive reactionは依然増えているので飽きずにリピート(数十回?)できています。

<追記2017.1.21>
この作品は本当に何度見ても面白い(いい加減、まだ見てるのかよって感じになってきましたが)。後出しですが参考評価推移を追加しておきました。最近の外国人live reactionは、SUBですがJunkPuttyさんのが良かったです。

<追記2017.6.23>
自分をアニオタに引き込んだ作品で、脚本が素晴らしく、ストーリー10点を付けた唯一の作品となっています。
他の作品を低評価にされる方がいてもあまり気にならないのですが、この作品を低評価にされている方とは相容れないと思ってしまうほど自分の中で存在感があります。
最近見つけた良レビューを紹介させていただきますので、視聴済の方はどうぞ↓

<追記2019.6.7>
リンク切れのため取りあえずの差し替えをしておきます。
早くまとめ直してくれるとありがたいですね。
https://kurigoto.hatenadiary.com/entry/20120825/p1

投稿 : 2024/05/11
♥ : 146

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

あらすじも言い方次第だよね

オリジナルアニメーション。全12話。


鹿目(かなめ)まどか14歳は、ちょっぴりのろまな夢見る女の子。
ある日、キュゥべえっていうかわいいマスコットに出会って、「魔法少女」になろうって誘われちゃう。
まどかには秘密の力が眠ってて、すごい魔法少女になれるんだって。
魔法少女になったらお願いも叶えてくれるみたいだけど、何がいいかな? ケーキかな?
ちょっと怖いけど、先輩の巴(ともえ)マミさんや、親友の美樹(みき)さやかちゃんも一緒だからきっとだいじょうぶ☆
みんなで力を合わせて、悪い「魔女」をやっつけて、困っている人を助けてあげよう!

という、ダークSFファンタジーです。


よく「3話まで見ろ」と言われる本作。
ただ、そういう紹介ばかりされてしまうのもどうかなーと思ってます。
身構えている人には通じませんし、「そこが一番の見どころなの?」と思われるのは問題。

ギャップを売りにするだけなら、エグい話に可愛いキャラデザを使えばいい。
でもそれじゃ、ここまで有名にはなれません。

感受性に左右されにくい、非常に優れた演出・構成がポイントだと思っています。

* メルヘンと不気味さを両立した映像
* 「そういう意味だったのか!」と言いたくなる音楽の使い方
* キャラが語るのではなく、視聴者が勝手に感じるような違和感の与え方
* テンポを落とさず、山場を何度も作り出す技術

ストーリーは唯一無二ではありませんが、過不足がないし、やはり見せ方がすばらしいです。
伏線もきれいに回収していて、手に馴染みますね。
また、設定に理論付けがされていますし、登場人物にも葛藤が描かれ、ほどよい難易度で語りたくなる魅力もあるでしょう。


まあ、まどマギは色んな所で語られている作品です(あにこれだけで9000件て……。
私ごときがわーわー言ってもしょうがないですし、「絵がきらい」と言われたらそれまでです。
前のレビューを消したかったのと、詐欺あらすじを書いてみたかったというのがホントのところです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 129

86.6 2 Kalafinaでシャフトなアニメランキング2位
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(アニメ映画)

2013年10月26日
★★★★★ 4.2 (1954)
9923人が棚に入れました
人気アニメーション「魔法少女まどか☆マギカ」の新作劇場版。TVシリーズを再構成した「前編 始まりの物語」「後編 永遠の物語」に続く新たな物語が描かれる。

声優・キャラクター
悠木碧、斎藤千和、水橋かおり、喜多村英梨、野中藍、加藤英美里、阿澄佳奈
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ほむほむ祭り★

■BD買いました~
{netabare}
ANIPLEX+で買って、前後編&新編収納BOXに早速
収めました^^
もちのろんで、ほむほむを正にして飾ってます♪

魔女化後の戦いがアツイ!

魔法少女まどか☆マギカ』×『〈物語〉シリーズセカンドシーズン』コラボレーション劇場マナー告知短編映像も面白かったです^^
{/netabare}



DVD発売まで、あと半月!
楽しみすぎる♪^^



DVD発売日が4月2日に決まりましたね~♪
「描き下ろし絵柄 【前後編&新編】収納BOX」付きの限定版を買おうかと思います^^
前後編も限定版を買ったのですが、専用の収納BOXがあったのでそれごとまるっと収まってくれるかな。。。
⇒ANIPLEX+のページを見たら、前後編を三方背BOXに入れた状態で収納できるっぽいですね!

まどまぎの劇場版をついに観てきました~ヽ(*´∀`)ノ

■劇場版
{netabare}
ほむほむが魔女化するシーンは圧巻です^^
そしてまどかシステムに則って、魔女化したほむほむを救済して完結かと思いきや、どす黒い百合的感情により、ほむほむ祭りが一気にボルテージマックスに!!

「だ・ま・り・な・さ・い」のシーンがお気に入りです^^

特典のフィルムですが、魔女が出てくるときのワンシーン(ちっちゃいのがちょこちょこ動いたり)でした^^
{/netabare}


■コミック版
3ヶ月連続でコミック版も発売されるとか^^
早速コミック版も買ってしまいました~
{netabare}
第1巻を買いました。
劇場版に忠実に台詞もほとんどそのままです。
第1巻は風見野に行けず、ほむほむが本格始動したところまで^^
続きが楽しみです。
{/netabare}


■初回限定パンフレット
遅ればせながら、初回限定パンフレット購入しました^^
{netabare}
初回限定版はこの表紙だけでも買う価値ありますね♪
とっても凝ってます。

インタビューが面白いです。SSでもネタになっていますが、
やっぱり、ピュエラ・マギ・ホーリークインテットのキメポーズや、「お茶会」は絶対マミさんの厨二特性に違いない、とインタビューでも言われています(笑)

マミさんの広い部屋できっと練習しているんでしょうね。
まどかがノートに描いて振付とか決めてたりして(笑)

個人的にはデビほむのイラストがもっと見たかったです。
それはまたの機会に、ということでしょうか^^
{/netabare}


■コミック版全巻買いました♪
{netabare}
コミック全巻買いました~
1巻以外は発売日に購入。今月で最終巻でした。

映画の再現度がぱないです!
ナイトメアにお菓子を上げるシーンも
魔女ほむ戦闘シーンも
QB解説シーンも
すごい細かく描かれています♪

そして絵もかわいい^^
1巻のメガほむイイネ♪

カバー絵裏のショートマンガも面白いです^^
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 126
ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ほむら、君の幸せはどこにあるんだろう?

 朗報です!私に朗報です。やっと、やっと入手いたしましたBD再生機器!拝受の儀以来2か月ぶりに完全生産限定盤BDを開封し、例によって厳かなる視聴の儀を執り行ったのち、初視聴と相成りました。
 いつでも好きなときにこれを視聴することができるのかと思うと、自分自身の身に余る幸福に戦慄すら覚えてしまいます。
 また、一部変更・加筆してます。私の戯言にお付き合いいただける寛大な方は是非お立ち寄りください。かなり、いや、完全に、ほむらに特化した内容ですので予めご了承ください。
 一回目(10/28)は来場者特典は品切れ、物語シリーズとのコラボマナー喚起は忍野扇(少し残念)。二回目(11/18)はフィルムゲット!しかも半月の下に佇むほむら!!神様ありがとう!!!しかもマナー喚起は戦場ヶ原ひたぎ!私的2大ヒロインそろい踏み!斉藤千和ありがとう!!!

 いろんな意味で裏切ってくれちゃってます!
 このラストは読み切れなかった!
 ますますほむほむへの愛が深まった!
 BDを買うことはもう決定した。
 泣けるんじゃないかと勝手に想像してハンカチを手にしていたのだが、ずっと握り締めていた。泣けるところもある・・・と思うのだが、私は泣けなかった。泣いている場合じゃなかった。泣くには衝撃が大き過ぎた。
 視聴からまる4日ぐらい脳のほてりがとれなかった。
 気が付くと反芻し考察していた。
 強烈な作品にぶつかったとき特有の何とも言えない虚無感・無力感に苛まれていた。

 ネタバレしないとこれ以上の感想書けないので、以降はネタバレ満載で行きます。
  {netabare} 本作は3つの部分に分けることができる。
 第一部 オープニングからほむらが秘密に気づくまで
 第二部 秘密に気づいてから円環の理に導かれるまで
 第三部 堕天し円環の理を改変し、そして・・・ {/netabare}
 オープニングから残酷である。 {netabare}TVシリーズのオープニングをほぼなぞらえたものであり、時間軸としてはTVシリーズのスタートよりも少し進んだところといった感じである。これだけで、この物語が誰かの妄想・願望・夢想であることを予感させる。 {/netabare}それでも、第一部は幸福感がある。予告編でも明かされていた新たな敵ナイトメアとの戦いでは、魔法少女5人(最初は4人)が共闘するシーンがあり、見所のひとつである。みんなが仲良くしているところを見られただけで幸せな気持ちになれる。 {netabare}正直に言って第一部は展開が遅めであり、なんともいえない違和感とヌルイ感覚があった。これも後半への大きな伏線であるのであろうが。 {/netabare}第一部後半では、これまた予告されていたほむらとマミのガチバトルが見られる。これも見所ですね。かっこよかったです!このあたりから物語が加速度的にその展開を早めていく。
  {netabare} この世界(見滝原市)が自らが作り出した結界であり、自身が魔女化しつつあることを知るほむら。その状態を厳重に管理し、円環の理の秘密を暴こうと観察を続けるインキュベーターの野郎ども!円環の理(まどか)を守るために、円環の理による救済を拒み、自ら魔女化を促進し、ついには完全に魔女となるほむら。そのほむらに円環の理による救済を与えるために戦うかつて魔女であった魔法少女「さやか」と「なぎさ」。ここでは初めての「魔女」対「魔女」の戦いが見られる。その戦いの果てに、ついにたどり着いた円環の理による救済、まどかとの再会。ほむらの魂にも真の安らぎ、真の救済が訪れる・・・ {/netabare}
 このシーンには心底驚いた!!落としどころをどこに持ってくるのか予測不能に陥っていたので。 でも、一晩考えてなんか納得した。むしろ当然の帰結と言えるかもしれない。うんうん、ほむらちゃん、君は間違っていないよ。それは人として当然の気持ちだ。そのせいで世界がどうなろうと、それは仕方がないことじゃないかな。
  {netabare} インキュベーターの想定を超えた存在となったほむら。希望よりも絶望よりもはるかに強い「愛」によって堕天したほむら。その力で円環の理となった「まどか」の一部を人に戻したほむら。その力によって「神」を人へと貶めた(少なくとも一部を)ほむら。新たに再構築されたこの世界はどうなっていくのか?ほむら自身が予言したように、まどかと敵対する時がくるのか? {/netabare}
 しかし、今は、まどかとの時間を、まどかのいる世界を楽しんでほしい。ほむら、君にはその資格がある。

 二回目の視聴を終えて
 {netabare}オープニングテーマのカラフルが心に突き刺さる。全てを知っている者には聴くに堪えない美しい歌詞、涙がこぼれる。これでもかと描かれる幸せな世界、ほむらが、みんながこうありたいと望んだ世界。完全な茶番、茶番の中の茶番。観るに堪えない。イライラが募り、むしろ怒りさえ湧いてくる。わかっている、わかっている、これは後半へ向けての伏線なのだ。マミとの戦闘までは苦痛であった。もはや苦行であった。こんな幻想はいらない!
 ここからは早かった。結末へ向けての伏線を確認しつつ、ストーリーに、ほむらの心に気持ちを合わせて突き進む。決断を下した後のほむらの美しさ!妖しさ!魅了される。私みたいな「ほむらバカ」にとっては、前半はなくていい。ナイトメアとの戦いなんていらない。マミも杏子もさやかもなぎさもいらない。ほむらとまどかだけでいい。
 ほむらに堕天を決意させたまどかの告白、あれは紛うことなき本心であろう。素のまどかの人としての正直な気持ち。それを真正面から受け止めてしまったほむら。やはり、彼女たちは少女なのである。私なら、大人である私なら、受け流せるかもしれない。あの時の、まどかの祈りもまた本心である、と理解できるから。まどかの祈りは、無理をしているかもしれないが、間違いなく心から出た真の願いである。彼女たちがもう少し大人であれば、違う結末を迎えることもできたのかもしない。とはいえ、大人だったらそもそも魔法少女にならないか。くそっ、インキュベーターの目の付け所には恐れ入る。こんな危うい年頃の少女を標的にするなんて!
 新たに改変された世界、ここは本当に君が望んだ世界なのかい?この世界の君はあまりに美しく、妖しく、そして痛々しい。君を救うにはどうすればいい、ほむら?私はこれからその答えを探すよ。 {/netabare}
 

 『劇場版公開記念 2時間でわかる!大ヒットアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」』について(6/5)
  {netabare} 完全生産限定盤特典BDに収録。
 なんと、劇場版2作品「前編と後編」を再編集して2時間に圧縮した映像である。
 さすがに2時間では説明不足は否めず、これを補うために斉藤千和によるナレーションが適宜挿入されている。
 濃厚すぎる2時間である。
 エッセンスがぎっしり。常にクライマックス。
 TVシリーズ及び劇場版2作品を既に観た人間であれば楽しめる。
 省略されたシーンも脳内補正しながら観れてしまうのでつながりに違和感も感じない。
 そういう意味で既に2ループ程度済ました人であれば、時間が無い時のおさらいとして利用することが可能であろう。
 だが、初めて観る人には全くお勧めできない。
 むしろ、これを観ることを断固阻止しなければならない。
 ストーリーだけわかってキャラや世界観への想い入れが生まれないこと請け合いである。
 「魔法少女まどか☆マギカ」に初めて触れようという人には、出来ればTVシリーズから、それが叶わないのなら劇場版2作品を視聴することを強く勧める。
 間違ってもこの2時間圧縮バージョンから入ったりしてはいけない。
 ダメ!ゼッタイ! {/netabare}

 
 「カラフル」について(2/15微調整)
 {netabare}・・・これは、かつて魔法少女であったモノの夢の名残なのか?
 
 世間では「君の銀の庭」の評判が高いようである。確かに「君の銀の庭」は素晴らしい。聴く者の心を優しく包み込み内側から狂気で蝕むKalafinaの歌声と音楽は名曲と言っていい領域にまで達している。それは否定しない。それでも私は、「カラフル」を押したい。
 リスアニ!のインタビューで読んだのだが、「君の銀の庭」はシナリオに目を通したうえでの作品なのだが、「カラフル」はシナリオに目を通さないで作られた作品ということである。「コネクト」「ルミナス」と同様に、この条件下で奇跡のコラボレーションを期待された作品であった。
 果たして、「ルミナス」はもちろん「コネクト」すら凌駕する、まさに奇跡のコラボレーションとなったのが「カラフル」である。必ずフルコーラスで聴いて欲しい。劇中のオープニングバージョンでは魅力の半分しか伝わらない。
 
 これまでに過ごしてきたすべての時間軸において選択した行動とその結末。これまでに過ごしてきたすべての時間軸で選択しえたかもしれない行動とその結末。繰り返される時間軸の中で数えきれないほどした後悔。もはや、どの記憶が本当にあったことで、どの記憶が後悔の産物なのかさえ分からない。すべての可能性が存在し、かつ、なんの可能性も無いかもしれない世界。それでも、僅かな可能性を信じ、信じるふりをして、絶望の淵で彷徨いながら旅を続けた、そんな魔法少女が最後の瞬間に見た夢、走馬灯のように流れ去った儚い夢。ソウルジェムがカラフルに輝いた刹那にそんなことがあったのではないか・・・魔法少女としての一生を終えるその時に、彼女の脳裏をよぎったのではないか・・・それが、「カラフル」なのではないか、そう思えるのである。 {/netabare}
 
 まどかへの手紙
{netabare} あれは何回目の時間軸だったか、ワルプルギスを倒し力尽きた二人。グリーフシードもなく、このまま魔女になるのをなすすべなく待つ二人。このまま二人で魔女になって世界を滅茶苦茶にしちゃおうかという私のソウルジェムを浄化したあなた。ほむらちゃんにしかできないことをして欲しい、バカな私を救って欲しいと。それからどれだけの時間軸を超えてきたのか。あなたを救う、それだけを目的に旅を続けた。でも、出来なかった。救えなかった。私を救うため、過去・現在・未来の全ての魔法少女を救うために「円環の理=神」となったあなた。私の記憶以外の全てから抹消され、誰にも会うこともできない。それでもいいの?でも、それがあなたの望みというなら受け入れるわ。いつか必ずあなたに会えるというのなら。

 ・・・あなたがいない世界は私には辛すぎる。私の中にしかいないあなた。まどか、あなたは本当に存在したの?私にはもう耐えられない。もう戦えない。あなたはどこにいるの?

 ・・・それは、あなたの本当の望みではなかったの?誰にも会えなくなることは、耐えられないことだったの?そうだったの。あなたは救われてなかったのね。私はあの時の約束を守らなければ!そう、私にはまだやらねばならないことが残っていた。だから、あなたに救われるわけにはいかない。私があなたを救わなければならないのだから。 {/netabare}

 叛逆について①
{netabare}過去・現在・未来の全ての魔法少女を救うことを願ってなされた祈り、これはまさに「神の愛」、博愛といってもいいだろう。
 まどかを救うことを願ってのみなされた祈り、これは「人の愛」、あえて言うのなら偏愛ということになるのか?いや、これはもはや祈りですらない、願望、いや、欲望というべきなのか。
 欲望によって神の威光を傷つけること、これは、神への「叛逆」としか言いようがないのでは?しかし、神ならぬ私としては、この欲望のほうにこそ共感できるのである。
 愛とはかくも業深きものなり。 {/netabare}

 叛逆について②
{netabare}円環の理に支配される世界においては、魔法少女いう存在は神に従属する立場、神の御手先、すなわち「天使」ではないだろうか。そして、あまた存在する魔法少女の中にあって、神の正体を知る唯一の存在であるほむらは、かつての大天使長ルシファーに比類する存在ではないか。この観点からも「叛逆」の意味が解釈できると考える。 {/netabare}
 
 叛逆について③(11/30追加)
  {netabare}もう少し視野を広げて考えてみる。
 神の御業である「円環の理」の秘密を暴こうとするインキュベーターの行動、これも叛逆である。
 また、これまでのほむらの生き方そのものも、叛逆ととらえることが可能かもしれない。魔法少女となった動機そのものからして「まどかとの出会いをやり直したい」であり、その後の時間軸を超えた旅の全てが「まどかの運命を変えたい」であった。本作での堕天シーンも含めて、ほむらは一貫して運命を受け入れることを拒否している。この生き方そのものが、宇宙の摂理、若しくは、神とでも呼ぶべき存在への叛逆行為と言えるのではないだろうか。ほむらには「悪魔」というよりも「運命に抗うもの」という称号の方が相応しいのかもしれない。 {/netabare}

 円環の理について(11/30小幅追記あり、これで完成)
{netabare} TVシリーズ、劇場版前編・後編視聴時における私の理解では、絶望により魔女と化す魔法少女を魔女になる前に救済すること、つまり、魔法少女は魔女にならないというのが、「円環の理=まどかによる救済」であった。しかし、どうだろう?叛逆の物語で判明した事実に照らし合わせると、少し異なるようである。
 一つは美樹さやかと百江なぎさの存在である。彼女らは、暁美ほむら魔女化中の時点で既に「まどかによる救済=円環の理」を受けた身である。そして、彼女らは、まどかの存在を認識しており、実際、ほむらに「まどかによる救済=円環の理」を受けさせるために奔走している。しかも、魔女としても能力を有している!そのうえその力を正気を失うことなしに使いこなしているのである。
 二つ目は暁美ほむらの魔女化の過程である。インキュベーターによる厳重な監視のもとという特殊な環境にある影響もあるのであろうし、あくまで心の内面での出来事という事情もあるので現実世界との時間進行が全く異なるという可能性もある(ほむらの仮想世界の中での1日は現実世界の1秒よりも短いのかもしれない)が、それにしても、絶望してから「まどかによる救済=円環の理」に至るまでにある程度の時間がかかるようである。このタイムラグの間に仮想世界(絶望した魔法少女の心の内側)において魔女化が進行するようである。
 この二つの事実から、次の事が推測される。
魔法少女の魔女化のプロセス、
①絶望し内面において魔女化が始まる。
       ↓
②内面において完全に魔女となる。
       ↓
③魔女として現実世界に具現化する。
そして、「まどかによる救済=円環の理」は②と③の間において行われる。つまり、魔法少女はいったんは完全に魔女となって、そののち救済される。この救済によって絶望から解き放たれ、希望ある魔法少女としてこの世から消滅する。この際には
、魔女としての能力・今までの記憶も失わないようである。だから、美樹さやかと百江なぎさは魔法少女としての記憶も能力も有したままほむらの仮想世界に入り込めたのであろうし、魔女としての能力を使うこともできたのであろう。
 ー2回目視聴後の補足ー
 上記の仮説は本編において真っ向から否定されている。結界の内部において完全に魔女化してしまうと、「まどかによる救済=円環の理」を受けることができない、と。ただ、ほむらのケースが特殊であるがゆえの特例なのか、一般的に当てはまるものなのかは、判然としない。私自身としては、自身の仮説の方がより説得力があると考えるが。  
 ー3回目視聴後の補足ー
 はやり、ほむらのケースが特殊であることを確認。上記の「結界」とは、「インキュベーターによる結界」であることが判明したため。
 
 さらにもう一つ、実は、「まどかによる救済=円環の理」は絶望した魔法少女の側に選択権があるのではないか?絶望しきった魂への救済の要否を問う問いかけ、本来であれば形式的な、問われる前から答えの決まっている問いかけ、「汝、救われたいか?」の問いに唯一「否」と答えたのが暁美ほむらではあるまいか。
 この仮説はほぼ間違いないと意を強くした。インキュベーターが「円環の理に救いを求めよ」とほむらに促す場面を確認できた。 {/netabare}

 ほむらによる改変後の世界(1/3追記)
  {netabare} ほむらによる改変後の世界について語る前に、まず、まどかによる世界改変について確認しておきたい。
 まどかによる世界改変は、「改変」というよりもむしろ「書き換え」又は「上書き」という表現が相応しい。まどかは、インキューベーターが作り上げた魔法少女システム(希望から絶望への相転移からエネルギーを得る)をそもそもの最初から無かったことにした。よって、世界が書き換えられてしまったことを知っているのは、まどかのみである(唯一の例外がほむら)。あえて言い及んでおけば、まどかによる改変前の世界と改変後の世界は断絶している。
 ほむらによる改変後の世界をどう位置づけるか、類型を3つ提示してみる。
①まどかによる改変時と同様に、以前の世界を完全に書き換えたもの。
②まどかによる改変後の世界と同時に存在する平行世界(パラレルワールド)。
③まどかによる改変後の世界の内部に設けられたある種の閉鎖空間的な世界。
 そもそも、ほむらによる世界改変とはいったい何を改変したものなのか?もっとも重要かつ最大の改変は、言うまでもなく、切り取られた「まどか」が存在する世界への改変である。円環の理による救済を受け世界から消えたはずの「さやか」と「なぎさ」が存在していること、烏っぽい禍々しい生き物が存在していること、ほむらが強大な力を持っている(と思われる)こと、等も改変の産物であろう。逆に改変されなかったこととしては、インキュベーターの存在、魔獣の存在がある。まどかによる改変時との相違点としては、改変の事実を認識しているものが存在していること(インキュベーター・さやか)が挙げられる。
 以上の事実から推測するに類型③が最も有力ではないかと考える。①だと仮定すると、まどかの存在が怪しくなる。人としての部分を引き剥がした結果として存在する「まどか」は、引き剥がされる前の本体が存在しないと成り立たない。引き剥がされる前の本体が存在するということは、「円環の理」が有効に存在していることを意味し、これは、すなわち、まどかによる改変後の世界が、ほむらによる改変後にも存在していることに他ならない。つまり、①だと「まどか」が存在していることと矛盾が生じてしまう。
 ②ならどうか。平行世界であれば、まどかの存在に矛盾は生じない。しかし、平行世界間の干渉という側面から考えると、少し無理があるように思う。ほむらによる時間軸の旅は、まさしく、数多の平行世界を渡り歩くものであった。それぞれの平行世界においては、ほむら以外の人物は違う平行世界についての知識も認識もなく(インキュベーターでさえ!)、相互干渉は皆無であった。ほむらによる改変においては、インキュベーターとさやか(時間の経過とともに忘れていくようだ)が改変を認識しており、まどかは「円環の理」の力(少なくとも一部)を保持しているようである。異なる平行世界の間で、ここまで干渉があるというのは、無理があるのではないだろうか?
よって、③が最も有力となる。③であれば、上記で述べたことが全て矛盾なく成立する。{/netabare}
 
 ほむらの幸せのありか(12/1かなり加筆)
  {netabare}そもそもまどかと出会わなければ・・・という議論は未来永劫封印。
 魔法少女にならなければ・・・というのも、まどかと出会ってしまった以上、必然ととらえる以外あるまい。
 そうなると、私が考えるターニングポイントは三つ。
 一つは、まどかと二人でワルプルギスの夜を倒した後である。ほむらは、この時、まどかと一緒に魔女になってもよかった、または、死んでしまってもよかった。二人で一体の魔女になったりなんかしたら、それこそ本望だったんではないだろうか。なのに、まどかはほむらに過酷な運命を強いる。自分が魔法少女にならない未来をつくれ、しかも、魔女になるのは嫌だから殺せ、と。こうやって考えると、「まどか、我儘だぞ!お前のせいでほむらは何回時間軸を超えたと思っとるんじゃ!」と恨み言の一つでも言いたくなる。
 二つ目は、もちろん、本編のあのシーンである。おそらく、まどかがあの泣き言(本人は泣き言を言っているつもりはないだろうが)を言わなければ、ほむらは「まどかによる救済=円環の理」を素直に受け入れていたであろう。それは、本来ほむらが望んでいたことなのだから。
 もう一つある。それは、まどかによる宇宙再構築時である。あのとき、まどかはほむらを一緒に連れて行くべきであった。「こんな場所にまでついてきてくれた」ほむらの気持ち、「私のために頑張ってくれた」ほむらの気持ち、その真意を理解することができたのならば、ほむらを一人残していくべきではなかった。まどかの一部、若しくは、眷属として「円環の理」に取り込まれることを、ほむらが拒むであろうか?いや、これこそ、ほむらの至福であったろう。
 いずれにせよ、既に過ぎ去ったことである。では、この新たな世界における「ほむらの幸せ」とは?
 つまるところ、ほむらの幸せとは「まどかと共にあること」。生死も問わない、ただ共にあること。
 翻って、まどかの幸せとは?まどかは何を望むのか?少なくとも「ほむらと共にあること」ではないことは明らかであろう。
 この二人の愛情の間には大きな隔たりがある。まどかのほむらに対する愛情は、いうなれば「仲のいいお友達の一人」。どんなに好意的に解釈しても「お友達の中で一番仲のいい子」程度であろう。それは、まどかによる宇宙再構築時のおいて、神となったまどかが言い放った「あなたは最高の友達だったんだね。」に集約されている。全ての時間軸のおける全てのほむらの戦いを理解してなお、これである。万感の思いが込められているにしても、ほむらの行為に対する労いとして充分とは言えない。それに対して、ほむらのまどかに対する愛情は、自身の言葉にあった通り「この世でたった一人の私の友達」に対するもの。しかも、この気持ちは膨らむ一方である。超えた時間軸の数だけ、踏み越えたまどかの屍の数だけ大きくなる。いつしか「私の存在の全てをかけた愛」の対象へと昇華されていた。
 この隔たりはどこからくるのか。なぜ、ほむらはここまで「まどか」に執着するのか?なぜ、ほむらの心は孤独なのか?その秘密は、未だ謎のベールに包まれた「ほむらの過去」にあるのではないだろうか。「心臓の病気で長く入院していた」「どうも一人暮しをしているようだ」この二つのみが現時点で提示されていることである。
 ここで一度まどかへと視点を移してみよう。まどかは優しいパパと頼れるママに愛情をたっぷりと注がれて育った。タツヤの年齢からすると10歳ごろまでは一人っ子として育っている。また、鹿目家の朝の様子から、出勤前の「パパにちゅ、タツヤにちゅ、まどかとハイタッチ」は日課であろう。つまり、まどかは愛に慣れている。愛情を受け取ることにも、愛情を表現することにも慣れている。
 ほむらはどうか?ほむらは愛への耐性がないのではないか。愛情を受け取ることにすら躊躇を覚え、ましてや愛情を表現するなんてどうしていいやら皆目見当がつかぬ・・・。病院での長期入院、どうやらいないらしい両親・兄弟姉妹、そんなほむらにとって、まどかは初めてできた友達であった。その友達と過ごしたあまりに濃密は1カ月、そして、死という衝撃的は別れ。全てが、ほむらにとってまどかを唯一無二な存在にならしめている。
 つまり、まどかは普通の友達にするようにほむらに接しただけなのに、ほむらの方ではまどかのことを唯一無二の大親友と思っていた。この認識の違いは小さくない。
 さて、どうすればほむらは幸せになれる?
 魔法少女でなくなってしまった以上、円環の理による救済はもうありえない。神となったまどかの腕に抱かれる幸せはもう望めない。
 一緒に死ぬ?かたや神、かたや悪魔、その二人が心中?よしんば、悪魔の方でそれを望んだとしても、神の方では良しとはすまい。だったら、無理心中?あなたを殺して私も死ぬわ!もしかしたら、それはあるかもしれない。でも、そんな結末は見たくない。
 やはり、現状維持なのか。籠の中の鳥として「まどか」を飼いつづけることが幸せなのだろうか?もはや人ではない「ほむら」と「まどか」であれば永遠の時を過ごすことも不可能ではないであろう。これは、確かに一つの幸せの形なのかもしれない。ほむらにとっては理想郷ですらあるかもしれない。まどかを偽り続けることに耐えられるのであれば・・・
 ほむら、君の幸せはどこにあるんだろう。



 ・・・・・・・・・・・・・普通の、ただの少女として出会い、退屈とも言えるようなありふれた日常を過ごし、当たり前に年を取り、いつしか大人へと成長する二人、穏やかな、それでいて、親密な、変わらない友情で結ばれた二人、そんなありふれた光景こそが、君たちにはふさわしい。ほむら、君に、まどかとのこんな未来を贈りたい。
 さあ、インキュベーターよ、今こそ我に問え!
 「その魂を対価にして、何を願う?」
{/netabare}

インキュベーターのお仕事(2/23)
  {netabare}1.地球における効率的なエネルギーの回収
 2.前号に付随する一切の業務
 インキュベーターの目的はただ一つ「エネルギーの効率的な回収」のみである。この目的のために構築されたのが「魔法少女システム」といえよう。念のため、ここで魔法少女システムをおさらい。
 ①少女
   ↓
 ②願いを叶える
   ↓
 ③魔法少女
   ↓
 ④絶望する
   ↓
 ⑤魔女
 普通の少女(①)の願いを一つ叶える(②)ことによって魔法少女へと変換(③)そののち絶望(④)により魔女となる(⑤)。
 インキュベーターは②で何らかのエネルギーを投下することにより少女を魔法少女へと変え、④の際に放出されるエネルギー(主たる成分は感情)を何らかの方法で回収している。
 インキュベーターの言うところの「エントロピーを凌駕した」の真意は何とも掴み難いが、ここでは、「魔法少女を作るために必要なエネルギー < 「魔女化により回収されるエネルギー」ということと考えておく。つまり、②で投下されたエネルギーを超えるエネルギーを④で回収できるということを意味する。②で1のエネルギーを消費したとすると④で少なくとも1.1以上のエネルギーを回収できる見込みがあるということである。だが、単純に②<④でいいのかというとそうでもない。魔法少女が魔女になるまでのサポートにもエネルギーを消費するし、何よりも「ロス」が生じる可能性があることが大きい。
 魔法少女システムにおける「ロス」とは、魔法少女が魔女にならないで消滅することである。このロスは意外と多く発生しているのではないだろうか?我々が知るだけでも、マミ・杏子がこのロスに該当している。よって、インキュベーターはこのロスも込みでエネルギー回収効率を計算しているはずで、④で回収されるエネルギーは②の少なくとも数倍にはなるであろう。
 インキュベーターは予めその少女から回収できるエネルギーを推定することができる。あたかも石油の埋蔵量を推し量るように。現に暁美ほむらを魔法少女へと変換する際に、エントロピーを凌駕したので君の願いは聞き届けられました、という趣旨の発言をしている。つまり、ほむらの願いを叶えるために消費されるエネルギーを、ほむらが魔女になる際に回収されるであろうエネルギーが超えるということを、その時点で把握しているということである。
 しかし、そうだとすると、鹿目まどかのケースをどう考えればよいのだろうか?まどかの願いは、魔法少女システムを根底から覆すものであった。にもかかわらず願いが叶えられてしまうというのは、どういうことであろうか?単純に、願いを叶えるために消費するエネルギーを推定回収エネルギーが上回ったから機械的に発動してしまったのだろうか?これは、もう少し考察を進める必要がありそうである。
 魔法少女が魔女になるまでに要する期間の統計的な資料が手元にないので何とも言い難いが、「さやか」の例から推測するにおおむね1カ月以内というのが相場ではなかろうか。マミや杏子の例は異例なのではないかと思う。「さやか」のような例がバンバン発生するのだとしたら、魔法少女システムは効率的なシステムと言ってよいであろう。
 さて、有史以来(もしかしたら以前)人間(地球)を観察していたインキュベーターとて、「魔法少女システム」を構築するまでに紆余曲折があったことは間違いあるまい。おそらく、人間以外の生物、男性、女性、大人、老人、それこそ老若男女問わずいろいろ実験を重ね、その末に行きついたのが少女を標的とする「魔法少女システム」なのであろう。そして、我々が知るあの姿、何とも愛らしい愛玩動物のような外観をしているのも、少女を標的にするが故であろう。
 だが、奴らが人類に仕掛けた罠は「魔法少女システム」だけであろうか?感情をエネルギーに変換できる奴らにとって、効率的にエネルギーを回収しうる機会はたくさんある。
我々のまだ知らないそんな罠がこの世にはあるのかもしれない。
 それにしても、インキュベーターは何故にエネルギーの回収をしているのか?それは、宇宙の崩壊を一秒でも遅らせる為である。では、そのような使命を担っているのは何故なのか?そもそもインキュベーターとは何者なのか?この点については、機会を改めて論じてみたい。 {/netabare}
 
 史上初の魔法少女の末路(3/2)
 {netabare} 歴史上初の魔法少女が誰であったのかについての記録は既に失われている。しかし、歴史上初の魔法少女が歴史上初の魔女となったことは99.99%間違いのない事実である。
 魔法少女が魔女にならないということは、魔法少女が魔法少女として死ぬことを意味する。魔法少女として死ぬということはどういうことであろうか。魔法少女は「ソウルジェム」を破壊されることによって死を迎える。逆にいうと「ソウルジェム」を破壊されない限り死を迎えることは無い。歴史上初の魔法少女には戦うべき敵である魔女はいない。ということは、よほどのアクシデントでもない限りソウルジェムを破壊されることはありえない。
 ソウルジェムを破壊されることなく存在する魔法少女は必ず魔女になる。なぜなら、ソウルジェムの穢れを浄化する「グリーフシード」が存在しないからである。
 魔法少女はソウルジェムが穢れを規定量を超えてため込んだ時に魔女となる。では、「穢れ」とはなんなのか。
 「穢れ」は以下の理由によって蓄積されていく。
 ①魔力の消費
 ②希望の喪失
 ①については、魔法少女が魔法少女として存在しているだけで魔力を消費することになるので、日々確実に蓄積されることになる。②については、個々の魔法少女の心のありようであるので個体差が大きいが、これによる穢れの蓄積はかなり急速に進む傾向がある。
 いずれにせよ「グリーフシード」による浄化をしない限り「穢れ」を減少させることは不可能であるため、最初の魔法少女は間違いなく魔女になったはずである。{/netabare}

 「魔法少女は魔女になる」を考える(4/18)
  {netabare}3人の魔法少女を例に考えてみよう。
 ①美樹さやか
 まずは、美樹さやかの魔女化の過程を振り返ってみたい。
 グリーフシードの使用を拒否したこと、これがさやかの魔女化の決定的な要因である。グリーフシードを使用しないことには「穢れ」を浄化することが不可能である以上、至極当然の話である。では、さやかの急速な魔女化の要因はなんであろうか。一つは、魔力を浪費する戦い方の選択である。半ば自暴自棄になったさやかは肉体へのダメージを顧みない戦い方を自らに課す。感覚の遮断、ダメージの回復、いずれにも魔力を消費する。もう一つは、希望の喪失である。恭介と結ばれる希望・人間として生きる希望・友達と共に歩む希望、次々と潰えてゆく希望。最後に残された希望、善良な人々を守るために戦っているという希望(幻想)が打ち砕かれたとき、さやかは魔女となった。
 ②巴マミ
 巴マミは魔女になっていない。マミはどん底で契約を交わしている。自身の生死の間際で生きるために契約を交わした。おそらく、その際に親・兄弟を失ったのではないだろうか。人生のどん底から魔法少女としてのスタートを切っているのである。簡単に絶望なんてするわけがない。ただ、自身も魔女になるという受け入れがたい事実への嫌悪、強烈な拒否反応から希望を喪失するという可能性はある(実際にパニックから杏子を殺している)が、マミの場合自死を選ぶであろう。ソウルジェムが濁りきる前に自身で破壊することを選択するはずである。
 ③佐倉杏子
 佐倉杏子も魔女になっていない。が、これは俄かには信じ難いことである。佐倉杏子が自ら語った物語を思い出してほしい。杏子は父が多くの信者に慕われることを願って魔法少女となった。その願いはカラクリが父に露呈することによって崩壊する。この崩壊は家庭の崩壊をも導く。父は杏子を残し一家無理心中を遂げてしまう。世界に一人取り残された杏子。これで絶望しないとしたら、何で絶望するというのだ!これだけの経験をして、どうして魔法少女のままでいられるというのか!たとえ、グリーフシードを百個持っていたとしても追いつかない速度でソウルジェムは濁るのではないだろうか。杏子はどうやってこれを乗り切ったのであろう?私にはちょっと想像がつかない。
 魔法少女は絶望によって魔女になる。本当にそうなのだろうか?暁美ほむらの例に先立って、実はこんな特殊な先例が存在しているのである。インキュベーターの想定外の事例は思ったよりもあるのかもしれない。{/netabare}

 ホントの戯言(2/15)
  {netabare} ほむらが複数のインキュベーターによって監視されているシーンを観ていたら思い出した小説の一節があります。ダン・シモンズの傑作SFハイぺリオンシリーズの最終巻「エンディミオンの覚醒」におけるシーンです。
 磔刑に処され、ある行動をとることを期待されつつテクノコアに厳重な監視を受けているアイネイアー。このシーンとシュチュエーション似ているのです。もしかしたら、虚淵さんも意識していたのかもしれないな、と思ってみたり。{/netabare}

 

投稿 : 2024/05/11
♥ : 103
ネタバレ

cross さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

個人的には作品の特色を貫き通した最高の出来だった。劇場に足を運んででも観る価値があったと思います。【総合評価:95点】

公開日初日、時間を作って劇場に足を運んでしまいました。
個人的には大満足の内容、作品のタイトルである叛逆の物語がピッタリでした。

{netabare}
最初の30分はTV放送同様に王道感のある魔法少女ものの雰囲気で進みます。
先生と中澤君のやり取りなどの小ネタも挟みつつ、雰囲気としてもTV版の序盤を思い起こす展開でした。
そして、劇場版での見所の一つとしては、この序盤の展開ではTV版では見る事の出来なかった、五人の魔法少女に敵対関係が無く、手を取り共闘していてファン必見ですね。

そんな展開で繰り広げられる序盤でしたが、それよりも気になるのは設定の違い。
まず、この新編は まどか が円環の理となってからの物語。
にも関わらず、まどか が存在し、且つ、魔法少女が戦う敵が魔物では無く、『ナイトメア』と言う名称になり、従来の魔女に誓い姿になっていた。
TV版のラストとは違う設定に戸惑いを感じていましたが、この設定の違いに対する視聴者の疑問を、ほむら が世界に対しての違和感と言う形で感じ取りその謎の解明に動き出します。

唯一、まどか の存在を知る者であるほむらが、記憶を改竄されていた中、真の記憶が戻った事で物語は一気に動き出します。
自分達の陥っている状況を魔女の仕業としたほむらが事の収集に動き出し、ある意味で一番の見所とも言える、ほむらVSマミの戦闘シーンに発展。
この戦闘シーン、時間操作の能力を持つ ほむら に対し、火力手数共に優れた遠距離攻撃のマミが一歩も退かずに激闘を繰り広げてくれます。
スピード感あふれ、緊張感もMAXの戦闘シーンはTV放送の魔女との戦闘では見られない大迫力でした。

※↓のネタバレタグの内容は、物語の核心に触れていますのでご注意ください。
{netabare}
二人の戦闘が打ち切られ、TV版では結構可愛そうな役目を担った さやか がこの現象に言及
都合の良い世界ではあるが、この世界を願った者がそんなにも悪い事なのかと問う。
確かに魔法少女五人がいがみ合う事も無く手を取り合い、更に ほむら にとって何よりも救いたかった まどか と過ごすことの出来る世界。
しかし、この世界で まどか の想いを知り、自ら円環の理となった彼女の決意が以下に重く苦しかったのかと言う事をもう一度深く心に刻んだ ほむら はその決意を無駄にする事は出来ないと、世界の違和感の謎の解明を続ける。
この流れが ほむら にとって まどか が自分の中の幸せよりも大事だと言うことを再び感じさせられました。

そして、ほむら の感じた世界の違和感、魔女の所業と思われる事象の真実、『ほむら=魔女』はまぁ細かな設定の説明こそ付かないが、想定通りの展開でした。
元の世界でほむらに、まどかと言う概念、魔法少女のソウルジェムが消え去る仕組みを聞かされていたキュゥべえが円環の理の上では成し得ない魔女とする。
その上で円環の理である、まどか を誘い込み、まどか を観測する事で円環の理を制御して、従来の効率の良い感情エネルギーの採取を目論んでいた。
その真実に辿り着いたほむらは、円環の理の救済、つまり まどか との再会すらも拒み彼女を護る為に一人閉じ込められた空間の中で魔女として死ぬ事を決めます。。
そんな決意を固めた ほむら をまた別の形で策をめぐらせていた円環の理が救う。
この展開だけでも十分過ぎるぐらいに面白いと思ってしまいましたが……

ここから更に物語が加速!!
魔女となった ほむら を まどか救済しようとした瞬間
ほむら が まどか をも超える概念として覚醒、円環の理から まどかの人間としての人格のみを抜き取ってしまう。
今まで自分を捨ててまで まどか を救おうとしていた ほむら そんな彼女が一転して自らの欲望で理すらも捻じ曲げて、まどかを救う。
神となった まどか に対して、神すらも欺く存在である悪魔と成り果てた ほむら は神である まどか を手中に収めようとしていたインキュベーターすらも超越してしまう。
そして、ほむら が円環の理すら超越する概念となり まどか を欺いてでも彼女との日常を創り出す。

円環の理が完全破綻した訳でも無く、まどかの人格のみ救い、且つ、今まで人間を消耗品の様に扱っていたインキュベーターすら超えた事で後顧の憂いもない。
完璧な世界ながら、結果として何よりも大事だった まどか の決意や意志を蔑ろにした、ほむら の望んだ世界
やはり 悪魔となっても まどか の想いを蔑ろにしている事に憤りを感じてか、最後に自らの創り出した日常の中で、世界の尊さと自らの欲望の為に理を捻じ曲げる事が悪なのか的なニュアンスの問いを まどか に投げ掛けています。
まどか は当然の様に世界は尊く、理を曲げる事についても否定。
真実を知らないとは言え、自らの行いを過ち言われながらも、自らの欲望で まどか を救う事を曲げなかったほむら。
自らの欲望を貫き悪魔となってでも まどか を救う事を選んでくれたのは非常に良かった。{/netabare}

土壇場の展開は正直、 想像の遥か上を行き、あっぱれの一言に尽きます。
これぞ『叛逆の物語』のタイトルの由縁だったんですね。
正直、最終的にはスッキリとした終わり方ではなく、少し暗い展開で物語を纏めてしまう辺りも流石です。
単純明快なハッピーエンドよりも作品の持ち味を活かしていたように思えます。
更には今までのほむらの想いを考えると、これをバットエンドと言うのは憚られます。
{/netabare}

まぁ、結末は賛否両論かも知れませんが、自分としては物凄く良かったと思えます。
続編も可能な感じで落としているんで、無いとも言い切れませんが、自分としてはここで終幕でも納得できます。
非常に面白いのでファンの方はぜひ劇場まで足を運んでみてはいかがでしょうか?

投稿 : 2024/05/11
♥ : 87

66.2 3 Kalafinaでシャフトなアニメランキング3位
戯言シリーズ クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い(OVA)

2016年9月18日
★★★★☆ 3.9 (38)
199人が棚に入れました
日本海に浮かぶ孤島、鴉の濡れ羽島。そこに建つ屋敷には、島の主の赤神イリアによってあらゆる分野の天才たちが客として招かれていた。だがある朝、屋敷の中で、首斬り死体が発見される。そして事件は、それだけでは終わらなかった。

声優・キャラクター
梶裕貴、悠木碧、嶋村侑、川澄綾子、浜田賢二、遠藤綾、池澤春菜、伊瀬茉莉也、桑島法子、桑谷夏子、後藤邑子、甲斐田裕子

三毛猫メリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

クビキリサイクル

過去に視聴済み。

このアニメを見てから戯言シリーズの原作を読破しました。
(人間シリーズ、最強シリーズも読破)
だから、見ている時は事件のトリックや犯人が
わからなかったので、けっこうワクワクでした。

是非このシリーズの続きもアニメ化してほしいです。
個性的なキャラが多く面白いので。

いーちゃんの梶裕貴さん、
玖渚友の悠木碧さんはキャラに合っていて最高です。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 7
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「戯言遣い」の「ぼく」が魅せる「西尾節」の真骨頂

【レビューNo.51】(初回登録:2023/4/19)
小説原作のOVAで2016-2017年作品。全8話(最終話のみ45分)
「物語シリーズ」を観て「西尾維新」の作品を読みたいと思ったが、今更「物語シリーズ」
を読む気にもなれなかったので、本作品の原作を選択。読み終えて
「これアニメ化されてたらいいなあ」
って思ってたら、既にアニメ化されてたんだなあ~これが(笑)
ちなみに本作が「西尾維新」のデビュー作らしく、後続の作品と合わせ「戯言シリーズ」と
呼ばれてるようです。

(ストーリー)
大学生である「ぼく」は、友人「玖渚友」の付き添いとして、日本海に浮かぶ孤島「鴉の濡
れ羽島」を訪れる。そこには、画家・料理人・占い師といった各界の天才やその関係者が招
かれていた。
やがて1件目の密室殺人が起こる。事態を収拾しようと「ぼく」は1つ提案をするも、2人目の
被害者を出してしまう。犯人を探すため「ぼく」は本格的に動き出す。

(評 価)
・「西尾維新」×「シャフト」の安定のクオリティだが・・・
 ・西尾維新といえば「言葉遊びの暴力」ともいうべき、独特の言い回し・無駄に(笑)湾曲さ
  れた表現で、含蓄に富んでいるようでそうでもないような口上をひたすら展開いくという
  スタイルですが、本作も例に漏れずで、冒頭3分程ですが「イントロダクション」ともいう
  べき部分で早くも「西尾節」がさく裂します。
 ・またキャラクター紹介も兼ねて序盤は「ぼく」と(玖渚友を除く)「4人の天才たち」と会話
  を交わすことになりますが、彼女たちがまた個性的で個々の価値観や天才の定義について等
  「西尾節」が始まります。
  これらの冗長的な会話劇を、シャフトお得意の「あの演出」で魅せるという・・・
 ・ただ難しいのは「化物語」では「怪異」がテーマであったため、この魅せ方がドンピシャだ
  ったこと、また「怪異の解説」という必要情報でなので「西尾節」にも意義があったのだが、
   「それってあなたの感想ですよね」 byひろ〇き
  ってことで、本作の「西尾節」は、ある意味世界観の演出以外あまり重要な意義があるわけ
  じゃないんだよな。だからその点で評価は分かれると思います。シャフトの演出が「化物語」
  より劣ると評されるのもその辺りが原因でしょうね。
  個人的には「西尾維新」の世界は嫌いじゃないし、
  「『西尾節』をシャフト以外の演出でどう魅せるのか」
  は難しい命題だと思いますので、そこは評価していいのかなっと思います。
  まあ原作読んで改めてアニメを観ると、「元々映像化の難しい作品」という評判はあながち
  間違いではないように感じますね。

・ただの謎解きミステリーだけじゃない
 ・ストーリーとしては「孤島」「クビキリ連続殺人」「密室」とまさに本格的なミステリーと
  しての舞台が整えられており、「ぼく」が探偵役となり殺人事件を解決していく流れとなり
  ます。「本格的な推理モノ」という見方をすれば、率直にいえば面白いが粗が目立つって感
  じですかね。
  {netabare}(ぶっちゃけ荒唐無稽って感じが強いですがw){/netabare}
  でもクライマックス等シャフトの演出を含め、見せ場はしっかり用意されています。
  それにこの作品はこれで終わらない!
 ・{netabare}「哀川潤(人類最強の請負人)」が最終話に登場することで、これまでの景色は一変します。
  (「鴉の濡れ羽島」に招待されていた天才の1人だが、合流が遅れ事件解決には間に合わず){/netabare}
  この最後のピースが埋まることにより、
  「ムムム西尾維新、デビュー作でこれとは・・・やはり只者ではない!」
  という満足感が得られるって作品ですかね。
 ・物語には、上述「ぼく」「玖渚友と5人の天才」の他に「館の主とメイドたち」等10人強の
  キャラが登場しますが、皆しっかりキャラ立ちしており各キャラ同士の絡みは面白いです。
  また西尾維新自身いろいろと伏線を張りまくるのが好きな方なので、「推理モノ」以外の
  仕掛けも楽しめる構成になっています。

・「戯言遣い」の「ぼく」が魅せる「西尾節」の真骨頂
 彼自身も「ER3システム」(世界中の頭脳という頭脳が集結し、『学術のさい果て』と呼ばれる
 機関)に在籍していた経歴もあり凡人ではないはずですが、自己評価が低いというか・・・
 「玖渚友」を始め周りの天才たちが規格外すぎるのと、その「玖渚友」の付き添い人と立場で
 参加しているので、いろいろと難しいところはあるんですよね。
 「ぼく」もいろいろと「西尾節」を語るのですが、最後に「それは『戯言』」で片づけてしま
 う習慣が身についているようで、その辺はちょっとイラっと感じるところはありますね。
 しかしラストで「ぼく」が語る「渾身の『戯言』」はまさに本作の真骨頂とも言えるでしょう。
 上述した通り、本作の「西尾節」は「化物語」のそれとは意味合いが異なり、本当に「戯言」
 でしかないんですよ。それを「作品の味」として楽しめるか否かというところでしょうか。

「西尾維新」×「シャフト」というと、どうしても「物語シリーズ」を期待しハードルが上がり
気味になりますが、「美少年探偵団」という例もありますので、「西尾節」や「シャフト演出」
に嫌悪感がなければ、同氏のデビュー作として気軽に楽しんでもらえたらと思います。

個人的には結構OPも好きだったな。「三月のパンタシア」の唄う綺麗なサビから「クビキリ」
をイメージするような上下分割スライドで、順次キャラを紹介いく印象的な演出がピッタリで。

(追 記) 
他の「戯言シリーズ」にも興味があるのですが、本作もP562あり他もそんな感じや上下があった
りで、しかも「西尾維新」作品となると結構覚悟がいるので、尻込みしてる状態ですね(笑)
(図書館のラノベコーナでも、ここだけ(分厚さの)存在感がハンパないんだよなw)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 7

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

クビキサイクル感想

OVAとして作られていますが、おそらく予算はほぼTVシリーズと同じくらいでしょう。作画もいたって普通です。

全8巻の中のなかで気になったのは、過度の引き伸ばしでしょう。ミステリー作品としてはまあまあのトリックでしたが、演出が化物語をそれまた劣化させたような演出で、解決編から永遠と続く説明ゼリフを手練手管使って観せるモノにまで仕上げるのは至難の業なんだなと改めて気づかされました。

西尾維新さんの原作は、その小説の内容からして映像化には不向きなタイプなのです。見せ場のあるアクションがあるわけでもないので難しいんですね。

アニメーションは「動き」の連続なので、確かに作画としては非常に楽ですが、演出家のみ際立って、アニメーターの出番がないのは痛いのです。

なので、内容はともかくアニメとしては非常にイマイチな作品でした。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 5
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