ミステリーで英国なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのミステリーで英国な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月09日の時点で一番のミステリーで英国なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.5 1 ミステリーで英国なアニメランキング1位
R.O.D THE TV[リードオアダイ](TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (375)
1975人が棚に入れました
本作は、OVA版R.O.Dから5年後の設定。\n作家菫川ねねね(すみれがわ ねねね)は、読子・リードマンが行方不明になってから作家活動をやめてしまっていた。日本ではほとんど忘れ去られたねねねは、作品が香港で映画化されることになったため現地でのサイン会に向かう。\nそこで彼女は紙を自在に操る「三姉妹探偵社」の長女ミシェール、次女マギー、三女アニタと出会う。身辺警護をすることになった三姉妹との日々の触れ合いの中でねねねは執筆意欲を取り戻す。だが、映画の完成を記念してねねね達が再び香港に渡った際、ねねねが読仙社に拉致されてしまう。三姉妹はねねね奪還のために読仙社のビルに侵入し読仙社の紙使いと死闘を繰り広げる。\n一方、同じビル内で大英図書館特殊工作部のジョーカーとウェンディが騒ぎをよそに悠々と秘密資料を持ち出し、恐るべき陰謀が実行されていたのだった…。
ネタバレ

いっき さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

OVAから新要素大追加のTV版

主人公スポットは読子・リードマンからアニタ、マギー、ミシェールの三姉妹に変更。しかし読子ものちに登場、活躍する。

読子の親友にして大ベストセラー作家の菫川ねねね。そこから巻き起こる大英図書館の陰謀とそれに関連した読仙公司と三姉妹と元特殊工作員たちのお互いの''正義と世界''を賭けた勝負。

当時フジテレビ深夜放送で見た時はあまり入っていけなく、改めて見返してみました。

2クールとあってOVA全3話の前作と違い時間の余裕はあるが改めて見て展開の広げ方や説明回がちょっと中だるみ感というか沈黙回?葛藤回?の見せ方が退屈でした。

物語は先のOVAの物語とリンクした+αの要素が大きい話ですので結構壮大で物語要素は好きなのですが、話数をこう言ってはなんですが''無駄に消費した感''が否めませんでした。

それに少し風呂敷を広げすぎたような。。。アニタの学園要素は必要だったのか、とか。。。もちろん、あったからこそのこのTV版の展開なのですが。。。アニタとマギーとミシェールの過去も壮大な分、あまりちゃんと描けていない。。。ただでさえ、主軸の大英図書館の陰謀が壮大なので。。。少し雑に風呂敷を包んだ感が否めません。

最後の畳みかけの展開は見入るものがありましたが、全体的に惜しい作品という自分の位置づけです。

しかし近年あまり見ないアクション要素が主軸のアニメですので一回見て損はないと思います。斉藤千和さんの出だしのアニメでもありますで斉藤千和さんの演技も楽しめた作品でもありました。

特に、このアニメには面白いシーンもありますので、葛藤による鬱展開だけではありませんので見て面白いアニメでもあります。



{netabare}
中だるみ感を感じたのは読子の実家の埼玉のあたりの話でアニタが絶望する回から姉妹と自分の正体がわかる回のアニタの葛藤シーンです。

要素的に重要なのですが2~3話で十分じゃないかというくらい淡々とアニタの葛藤を見せられて退屈感が強くなってしまいました。

そしてこの回からアニタの暴走や身勝手な言動が見られるのですが、すみませんアニタにすこしイラッとしてしまいました。

中学生で事情があるにせよ、ちょっと身勝手感が強い描写だなと思ってしまいました。

元々読子に嫌悪感を抱いているにせよ、ねねねーマギミシェールが死んでしまったと思ったヘリ墜落の時の読子の当たり様にイラッ。

自分の正体が試験管ベビー、姉達が読仙公司が用意したものと分かった時の言動にイラッ。

最終作戦遂行時の身勝手な行動に言動にイラッ。

自分はあまり怒りを覚える体質ではないのですが、このアニタには感情移入できませんでした。

しかしこのアニメは話の要素が多くて。。。大英図書館の陰謀、読仙公司、クローン、洗脳、人間培養、風呂敷を広げすぎ感が半端なく終わりも強引でした。

アクション要素も断片的な話数でしか発揮していませんでしたのでアクションアニメというよりかは人間模様とそれを解決する物語アニメ要素が強いアニメかもしれません。

ちょっと叩きすぎたかもしれませんが、OVAからこのTV版を見て総じて楽しませてくれたアニメに間違いありません。見てよかったと思っています。

面白かったセリフのシーンは22話のナンシー

ナンシー「横でドレイクさんが寝てたから、起きてって蹴飛ばして」←www。そのシーンを見てみたいですw

和んだシーンは15話の読子とねねねの再会シーン。

お互い頬を赤らめた顔と沈黙の間が絶妙でその後の展開がほんわかしました。


新作アニメでまたこういうビバック系というかアクションアニメ(ぬるぬる動くやつ)を見たいです。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

ひな@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

世界はそういう風に出来ているんだから

失敗して落ち込んでいる時に誰かに「次頑張ろうよ」と励まされたり…
悩みを聞いてもらってる時に「苦しかったんだね」と慰めてもらったり…
一年に一度の特別な日に「誕生日おめでとう」と言ってくれたり…

声を掛けた人にとっては何気ないものでも、言われた方にとっては何にも代え難い”贈り物”が”言葉”なんじゃないかな??

その言葉次第で人は気分が良くなったり逆になったり
感情を大きく動かされたりすることがありますよねっ。

でも言葉だけじゃなくて、文字でも人は他人に想いを伝える事が出来るんです。

只の文字だけでは何の感動もないけれど、それが2つ3つ4つ5つと重なって
最終的にそれはその人だけの”言葉”になっていくから素敵ですよね。

1つの文章だけとってみても全く同じ感想を抱く人はいないですし。
極端な事を言えば「世界に1つだけの」ってフレーズがついちゃうくらいw

その感動が味わえる、色んな想いが自分の中で弾けていく…

だから、その文章が詰まった”本”はどの時代でも人を惹き付けてやまないものとして多くの人に長く愛されてきてるんだとそう思います。

♪このアニメはそんな本に魅せられた人達のお話です♪

日本を代表する人気若手小説家として活動しているけど今はある出来事がきっかけでスランプ状態になっている菫川ねねね。

ちょっと天然可愛い所があるけど何よりも本と妹が大好きな三姉妹の長女ミシェール。

体格の割に気が弱いけど実は三姉妹の中で一番バトルに強い次女のマギー。お姉ちゃんに負けず劣らず本大好き。

我侭だけどどこか憎めない元気印の三姉妹末っ子の弾丸娘アニタ。
この子も本が好き…と思いきや、この子は本が大嫌いなのです!

三姉妹の中で何故アニタちゃんだけ本が嫌いなのか??

それは…

見てのお楽しみデース(*^O^*)

私のレビューはとにかくネタバレなしでアニメを紹介して色んな人に興味を持ってもらいたいな、それで見て欲しいなって思ってもらう事が大前提なのでそこまで内容に踏み込んで詳しくは書きません!

でもですね。こういう人にはこのアニメ最後まで楽しんで見てもらえるかなって思うのでそこだけピンポイントで紹介します♪

皆さんはアニメを観ていて(…あ、今の台詞心に響くな)って思う事ないでしょか??

さっきも書きましたけど、このアニメは本がテーマです!

本の存在…文字と言葉が人に与える影響の大きさ。これが無限大の可能性って感じで物語の中ですごくすごく重要視されてます。

んでんでーその無限大の可能性を秘めていると考える根拠がさっき書いた「その人だけの特別な言葉になりえるから」って所ですね。

言葉・文字が与える影響って本当に大きいです!

今まで何とも思ってなかったものが、誰かのとても素敵な言葉・文章とかで興味を持っちゃったり好きになっちゃったりとかあると思います。

このアニメも言葉・文字というのを大切にして登場人物の台詞が1つ1つ丁寧に作られているのです。それはもちろんその重要性を知ってるから。

中にはギャグに走ったのもあるけど面白ければ全部オーケー!

音楽はメロディよりー歌詞派だ!
アニメはキャラよりストーリー派だ!
愛したいより愛されたい派だ!(それはあたしだ!w)

そんな言葉と文字とあたしの魅力に魅せられたダメ人間共に是非是非オススメしたいアニメです♪

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

読書狂の詩

<2019/11/3 初投稿>
確か本放送で観ました。
原作は多数のアニメ脚本・シリーズ構成と重度のオタクっぷりで有名な倉田英之御大(笑)のラノベ小説。
(ちなみに私は脚本・倉田英之と聞くとそれだけで少し安心します)

ちなみに本作視聴後に原作を5巻ぐらいまで読みましたが、原作とアニメはどうも違うようです。
アナザーストーリーなんすかね。

また2001年にOVAが出てまして、2003年放送の本作はOVAの続編に当たります。
ですがいきなり本作観ても大丈夫。
私がそうでしたから。

さてストーリー。

タイトルが「読まずに死ねるか!」の通り読書狂のお話。
異能の力を持つ読書狂達が紙を武器にバトルを繰り広げます。
なんだそれ?
と思った貴方は常識人。
まさに、なんだそれ?の世界です。

主人公は一般人の小説家・菫川ねねねと「紙使い」の三姉妹


「紙使い」とは紙でバトルできる異能な人たちのことです。
「紙」とは字書いたり、鼻かんだり、尻拭いたりするあれ。

作中、紙使いは敬意を込めて「The Paper」と呼ばれたりします。
直訳すると「紙」「新聞」
本作がアメリカで上映された際、「The Paper」って台詞のたびに「おいおい新聞屋かよ」って感じで笑いが巻き起こって困ったと倉田御大がオーディオコメンタリーで嘆いてました。

でも「紙使い」かっこいいんですよ。
よくある剣や魔法のバトルとは違う、よくこんなこと思いつくなーと感心するような紙の使い方。

紙がね、
カチーンってなったり、
シュッってなったり、
ペローンってなったり、
シュルシュルーってなったり、
ペペペペってなったり。
厨二心をこちょこちょとくすぐられます。
第一話のインパクトはかなりなもんです。


敵はなんと"あの"大英図書館の特殊工作部。
初めて見たとき笑っちゃった。
というのも当時少しだけ大英図書館と仕事のやりとりあって、それがいきなり悪の組織で出てきたもんだから。
「そっかー。あの人たちは悪の組織の人なのかー 笑」とか思って一人で笑ってました。

そういやシュタゲのSERNでも笑っちゃったな。

ついでに日本の国会図書館も出てきます。
なんでも製作にあたり国会図書館に取材に行って特別に地下8階まである書庫を見せてもらったのだとか。
そのせいか書庫の様子はめちゃくちゃリアルでしたね。

とまあこんな感じなんですが、
バックグラウンドには壮大で悠久な世界の秘密があり、
スパイものの要素もあり、
逃避行の要素もあり、
家族愛だったり、
途中、世に言う鬱展開もある

そんな異能アクションバトルです。

あ、そうそう。
OP、インストゥルメンタル曲なんですがカッコ良いですよ。
「カウボーイビバップ」や「ガン×ソード」と同じくらい好みでした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16

74.1 2 ミステリーで英国なアニメランキング2位
憂国のモリアーティ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (271)
1044人が棚に入れました
19世紀末。産業革命が進む中、着実に勢力を拡大し栄華を極めたイギリス。しかし技術の進歩と発展とは裏腹に、古くから根付く階級制度によって、人口の3%にも満たない貴族たちが国を支配していた。当たり前のように特権を享受する貴族。明日の暮らしもままならないアンダークラス。人々は生まれながらに決められた階級に縛られて生きている。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティは、そんな腐敗した階級制度を打ち砕き、理想の国を作り上げるために動き出す。シャーロック・ホームズすら翻弄した“犯罪卿"モリアーティ。犯罪による革命が、世界を変える――

声優・キャラクター
斉藤壮馬、佐藤拓也、小林千晃、日野聡、上村祐翔、古川慎、小野友樹
ネタバレ

fluid さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

貴族社会で差別されたり、復讐したり、弱者救済系アニメ

よくある差別社会の不満を晴らす系のアニメ。推理もの。探偵もの。
大筋はなかなか楽しめる仕上がりになってますが、目新しい展開は無く、どこかで見たことあるストーリーがほとんどですし、細部におかしな点が目立ちます。沢山あるので各話ごとに感想として書きます。

■倫理観がおかしい、教育に良くないアニメ
被害者が復讐して加害者を殺すのは理解できます。でもモリアーティ自身は被害者でも何でもない、まったく関係性の無い相手を殺してるわけですが、この点は【倫理観】がかなりおかしいですね。Aから見て悪人に見える人でもBから見ればかけがえのない家族や恋人だったりするわけですし、善悪というのは視点を変えれば簡単に切り替わるあやふやなものです。
例えば、仮に、モリアーティが女の子と親しくなって好きになり、ある日、おじいちゃんが殺されたのと泣きついてくるとします。そのとき、自分が殺した相手の孫だと気づくモリアーティはどういう反応になるでしょうか?そういうことです。ただの人殺しでしか無いのに、このアニメは綺麗に描きすぎてる。

■いじめや差別と同じ
これ見て悪人が殺される展開がおもしろいと感じた人は倫理観がおかしいので善悪について学んだ方が良いと思います。そのおもしろいと感じる感覚はいじめや差別する人と同じ感覚です。それが、いじめや差別じゃないと思ってるのは本人だけ。調子乗っててムカつくとか、何で気付かないの?とか、性格がすごく悪いとか、いじめや差別をする側にもそうするだけの理由があります。本人にとってはそれが正義なんです。でも他人から見ればただの差別やいじめでしかない。それが正しいわけないだろ!と思えそうなことでも実はそうだったりします。人の価値観の違いというのはおもしろいですね。

そもそも悪役に見える貴族ですが、彼らにも殺人をするほどの何か理由があるかもしれませんし、殺された貴族の親や子供からすれば、復讐した側もただの復讐の対象でしかない。そういう冷静な視点で見ればモリアーティもやってることは同じ、ただの人殺しです。

本人に直接関係の無い相手への復讐や殺人や犯罪をアニメで描く際には、それは「悪いこと」だという印象付けが重要になります。悪いことだが国をよくするために成し遂げるみたいな、大義を目指しつつも殺した相手やその親類に申し訳ないと感じる気持ちを表現したり、自分はただの人殺しだと自虐的な重苦しい表情を見せるとか。それがこのアニメには一切ない。善悪を何も理解せずに、ただ人を殺してるだけの頭の弱い人にしか見えません。

■人物を悪く見せる描写が安っぽい
悪役を用意 → 解決 という展開が多いですが、人物を悪く見せる工夫が単純すぎて物足りない感じがします。汚い暴言や見下す発言を見せるだけだったり、殺人現場を見せるだけだったり。なんというか、善悪の基準が小学生レベル。もっと人の暮らしや悩みにどう影響を与えてるのか、実際にどんな被害が発生してるのか具体的な問題を描かないとおもしろくならないです。それモリアーティと何の関係があるん?という感じの悪人しか出てこない。自分に関係の無い所に首を突っ込んでへーいい人ですね、くらいにしか共感できないです。おもしろく無くは無いけど微妙な感じ、中身が薄いです。もっとモリアーティ本人に関係するような展開を描いてくれないとおもしろく無い。1話で消えて居なくなるモブキャラのドラマ見せるくらいなら、名探偵コナン見たほうが何倍もマシですね。

人間ドラマや感情の変化を楽しむアニメでもないです。

■貴族社会が悪いという作者の考えは間違ってる
社会に無くてはならないシステムが【貴族】です。その特権を悪用する一部の貴族が悪いだけですし、現代社会はその権力が集中しづらい構造に作り変えられたという点しか違いはありません。昔と今の違いはたったそれだけ。(詳細は6~7話感想に書きます)
というか、貴族を悪く描いてるけど、モリアーティさん、あなたも貴族じゃないんですか、とツッコんだら負け?貴族社会を無くした後は自分も平民に戻るのかな?

■以下、各話感想。
{netabare}
■1話、殺人犯をつきとめるモリアーティ
子供を殺された父親が最後に犯人を殺すのは理解できますが、被害者でも何でもない無関係のウィリアムたちが手を貸すのは何か違うと思いました。その点だけ見ればむしろウィリアムの方が悪人だし、ただの人殺しだし、まったく共感できなかったです。父親には共感できますがストーリーがテンプレすぎてふつうに面白いかなというレベル。
あと、証拠を残さない完全犯罪と口で言ってるだけで、何をどうやって完全に消してるのかが描かれてない。
静かな早朝にどうどうと表でタバコを吸うって、それ動いてるの自分だけで目立つし、タバコの煙も目立つし、犯行現場でそれはダメでしょう。

■2~3話、モリアーティの過去と秘密
まず、長男のアルバートがなぜ平民に肩入れするのかが分かりませんでした。最初からその違和感が頭から離れず、終わってみてもその理由が一切描かれていない。
例えば、小さいころから平民の子供と遊び、その友達や恋人が差別や虐待される様子を描くことで視聴者を共感させる、みたいなのがセオリーですが、そういった理由付けは一切ない。
貴族が貴族に囲まれて育つだけでは、平民との違いに気付くことも無ければ、嫌悪感を抱くこともありません。そもそもなぜ、孤児たちの住まいに訪れるようになったのか。
しかも家族を殺しますかねふつう?まったく理解できない。家族を殺すほどの理由付けが無いのにこの展開は無理があると思いました。
よくあるテンプレ設定をまねたのは良いけど肝心な部分が抜けてる感じですね。おもしろく無くは無いけど、微妙な感じ。

■4話、子爵とグレープフルーツ
助けなかった子爵は確かにひどい人間ですが、子供が死んだこととは直接的な関係は無いですし、命まで取りますかね?ただの逆恨みにしか見えませんでした。
例えば、1000万で助かる命があるとして、1000万くれないお前らは人殺しだ!と言ってるのと同じ。
子供が死んだのは村の医者が出かけて居なかったことが原因。もっと言うなら24時間医療体制の整っていない時代に病気にかかってしまったことが原因んですよね。
医療を受けられるのがあたりまえ、助けてもらえるのがあたりまえという考え方は、ぬくぬくと育った現代人だけの発想ですね。
それに復讐したところで子供が死んだ悲しみは消えませんよね。なのに、すべて解決したみたいな描写も不自然です。人の感情が単純に描かれすぎですね。全然違います。
人目に付く酒場で目立つ貴族の格好で屋敷の関係者と会話したり、茶会で殺人したり、どこが完全犯罪やねん!とツッコみたい。

■5話、貴族と平民の恋、騙されアヘンで錯乱して死亡
4話までは普通に面白かったのですが、今回は特にひどい。
おそらく元ネタは、貴族と平民のあいだに障害が沢山発生して乗り越えさせる様子を描き、視聴者を共感させる系の展開なのでしょうけど、このアニメにはその描写が一切ない。共感要素ゼロ。酒場の女がチラっと二人の出会いを語って終わり。これはひどすぎる。メインに描くべき部分を省略してどうでもよい部分を表に残した感じ。

■6~7話、ノアティック号、劇場殺人
「この国の歪みの原因は階級制度そのもの」これは全然違いますね。
貴族は民を他国から守ったり、国の経済を担ったり、人が住める環境に整えたり、社会に無くてはならいシステムが貴族です。その特権を悪用してる一部の貴族が悪いだけですね。

そもそも、昔の階級社会よりは権力が一か所に集中しづらいというだけで、現代の社会構造にもその名残はありますし、権力が集中しないわけではないですし、それを悪用することも可能です。「貴族」みたいな、一目で分かる目印が無いから表面化しづらいだけです。あるいは、それをあたりまえだと感じてしまっているだけです。昔の人たちにとってもそれは同じですね。生まれた時からあるシステム(貴族)に違和感を感じる人の方が少なかったと思います。一部の悪い貴族に対して嫌だなという感情があったとしても、それは具体的に何が悪いのか言葉にしたり、形にして表すのも難しかったんじゃないでしょうか。昔の人にとってはまだ存在しない新しい概念でしたから。人々にその新しい概念を理解してもらうのにもかなりの時間を要すると思います。「制度は変わりづらいけど、人の心は変わりやすい」いや、むしろ逆ですよ。人の考え方や常識ほど変えづらいものはありません。人の考え方を変えることに成功さえすれば、制度や法律なんてものは簡単に変えられます。

「可能性を一つ一つ潰せば真実にたどり着く」これも全然違いますね。
哲学や概念の話になるので説明は省きますが、そもそも可能性というのは次から次へと増え続ける際限のないものですから、一つ一つ潰したところで答えが一つには定まることはありません。どこまで突き詰めても絶対はなく「おそらく」としか言えません。

そういうのを上手くストーリー展開に時間をかけて丁寧に組み込んでる名作は結構ありますが、このアニメは一言二言で済ますだけだったり、理解が間違っていたり、ちょっと安っぽい感じがします。無理してカッコいいセリフとか使わない方が良いと思います。

■8~9話、シャーロック・ホームズ
シャーロック・ホームズというよりは、頭の悪いチャラチャラしたイケメンという感じ。
何でも見通せる人間はあんな風に表情豊かにならないと思います。起こる前に知ってるわけですから、起こるタイミングで表情が変わるのはおかしいです。すべてがあたりまえという表情やポーカーフェイスの方が似合うんじゃないかな。

■10~11話、列車殺人、モリアーティとホームズが協力して事件を解決
敵対関係なのか、仲良しなのか、二人の関係がちょっとおもしろいですね。
今回は、純粋な探偵アニメという感じ。被害者の状況から推理し、順に順にと筋道立てて分析し、どちらが謎を解決するのかという競争のような展開が良かったです。でもこういう展開、他でもよく見ますね。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

目的は手段を正当化する

原作未読 そういえば原典も未読


 これはかの名探偵シャーロック・ホームズをすら翻弄した
 犯罪狂モリアーティ教授の物語


海外ミステリだとアガサ・クリスティは読んだことあるけど超有名なシャーロックホームズは未経験です。おおむね三毛猫ホームズ止まりな私。
その赤川次郎氏の連作『三毛猫ホームズ』だって数多あるオマージュ作品の一つ。アニメでも“家頭”と書いてホームズと読ませる京都の骨董品屋のお話をついぞ最近やってたり。ホームズの冠をつけなくても『ミシシッピー殺人事件』たしか助手の名はワトソン、と匂わせグレーゾーンを漂ってみたり。この二人の名前を出しとけば謎解きものであることを万人に共有せしめる現代用語の基礎知識。

とどのつまり説明不要な名作をモチーフにしてるわけで。そしてこの私。ホームズとワトソン君とベイカーストリート何番は知っているものの本作の主人公モリアーティは初耳。
知っていれば視聴前にもろもろ脳内整理できたかもしれません。あ、そういう人がいるのね~とニワカ全開で本編突入しました。

原典の挿絵みると禿茶瓶なおっさんですが、本編はそのおっさんの若かりし頃ということでブロンドイケメンになってます。こういうの元ネタ知ってると差分を楽しめそうですね。

 主人公の敵役で稀代の悪党の前日談

STARWARSのepisodo1であのダースベイダーの幼少期をかわいらしい少年が演じたのと同様に、人は無垢で生まれ何かのきっかけや積み重ねで進んではいけない分岐へと歩を進めた物語になってそうです。「なってそうです」と推定なのは分割2クールの前半だから。断定するにはちと早いのでお預け。
彼(モリアーティ)にとってのきっかけは『階級制がもたらす不条理』ということになるのでしょうが、そこの描かれ方を好意的か否定的かどのように捉えるかによって作品評価が分かれそうな印象です。私はやや好意的に捉えた側。来たる後半戦も観るつもり。

原典をご存じの方はその差分を探ってもよし
私みたいなニューカマーは100年前の英国の空気を浴びにいく心持ちでよろしいかと。

ちなみにタイトル『憂国のモリアーティ』。
どこらへんが憂国かをなんとなく理解できる仕様になってるのは好感です。
リスクを丁寧に潰していき真相に迫らんとする探偵ホームズと、完全犯罪をもくろむモリアーティ。方向や立場は違えどアプローチは似たようなもんだというツボもおさえておりますね。
奇抜さよりも丁寧な仕事。作中のライバル二人の仕事ぶりよろしく、アニメ制作もなんやら怪しいとこありますが少なくともきっちりやろうという姿勢はうかがえた手堅さを感じる一品となってます。


なお、CVさん歌唱の主題歌は映像含め楽しめました。
{netabare}ゴールデンカムイ尾形弟の役をされてた方ね。いい声だわ。{/netabare}



※ネタバレ所感

■目的は手段を正当化する

謎解きよりも稀代の犯罪者の生成過程に興味が向いた本作。スパイスとなるはイギリスの階級制度。

 なんでこの人そうなったん?

共感はできませんが説得力はあったかなぁ…。

{netabare}貴族階級の傲慢さへの怒り。それを許してる社会への怒り。根本となる階級制度の破壊を志向していくことになります。階級制度そのものについては長くなるので割愛。

受け取ったメッセージひとつは破壊志向、アナーキズムの限界といったらいいでしょうか。とある不満があったとして「それを破壊orガラガラポンしちゃえ!そしたら万事ハッピー」って発想は規模が大きくなるほど難易度が増し国家規模ではまず不可能。やらかしたら歴代とてつもない混乱を経て落ち着く以外に例外はなし。フランス革命もギロチン送りしてすぐ革命勢力は瓦解したでしょ? 明治維新だってガラガラポンに見えて禅譲だし、それでも鳥羽伏見や戊辰戦争が起こるくらい急激な変化には相応のハレーションがつきものです。現実は粘り強く改善するのが近道だったりします。
それ(地道な改善)を放棄したらこうなりました!がモリアーティだったかと。起点は“憂国”で理想をぶつ姿に魅力を感じるやもですが、実際の行動は崇高(仮)な目的と合致してません。しまいには目的そっちのけに見えてしまってるところが“あるある”だなぁと思って眺めてました。そのうち“貴族”だけがターゲットだったところから“労働者”に刃が向くんじゃねーの?と予想してます。手段が目的化することで本末転倒になる。その時のモリアーティ一派の心情の機微に注目したい。{/netabare}


{netabare}ふたつめは善意の思考停止。来たる後半ではモリアーティ家の義憤にかられたお兄ちゃんにも注目したい。冒頭、モリアーティと共謀し自分の家族をポアしちゃった少年です。高貴なお方がもつ富める者特有の後ろめたさからのダークサイド突入。西園寺公一や近衛文麿なんかそんな感じでしょ? 前者は意図的、後者は無自覚に国家を破壊へと導いたってのが一般的な見解です。ヘタに力があるだけに悪影響は絶大なのよね。
だからこのお兄ちゃんに「で、英国の階級制はどうなったん?」と当初の目的に関しての結果報告を求めたいですね。きっと答えられないか「道半ば。俺たちの革命はこれからだ」的回答になることでしょう。彼らが軌道修正する可能性はゼロに等しく、常に搾取されていると自己肥大化させ続けているのです。犯罪を正当化する理由なんてないのにね。

あくまでモリアーティ視点なので貴族階級層の人間が持つ良い点、ノーブレスオブリージュみたいなのに作品では触れてません。目が曇り見えないのかあえて蓋をしてるのか、おそらく両方あるのでしょう。
ノーブレスなんちゃら“持てる者の責任”と言われてピンとこないかもしれませんが、直近なら鬼滅の煉○さん思い出していただければよろしいかと。あれがノーブレスオブリージュの好例です。
さすれば少しは貴族層に好意的な視線も注がれそうですが、彼らがそうなることはなく、支配構造を終わらせるには、敵を倒し、社会を変えるしかないとの思考から抜け出せません。妥協したら引きずりおろされますからね。そもそも支配者階級と彼らが考えている層を“支配を維持・強化することしか考えていない悪人”と捉えています。となれば耳を塞ぎ純化の道まっしぐら。
そして倒した後のことは考えてません。“倒せば良くなる”それだけ。
後に控えるさらなる受難そっちのけで○獄さんに向かって「偉いんだからてめーが責任取れ!タヒんでこいや!」が基本姿勢の彼らに一般人はドン引きすることと同じです。{/netabare}


{netabare}最後みっつめは犯罪コンサルタントというポジション。いいですよね姑息で(笑) 当事者にならず批評家のポジションに安穏とする。ここはシンプルに“四列目の男”。モリアーティその人は、お遍路好き元総理のものすごく頭の切れるバージョンにしか見えなかった私でした。
だってすでにブロンドイケメンな若い頃にホームズと交錯していて、禿茶瓶になる程の年月を重ねるまで逃げおおせたわけでしょ?(適当) 改革を口では標榜しそれでいて矢面に立たない。いくらイケメンで弁が立とうが私は信用しません。

そこはしっかりと悪人に嫌悪感を抱かせる仕上げをしていたともいえ、キャラ設定よい感じでした。{/netabare}



階級社会へのアンチテーゼはまあよいとしてその解決に導く方法論が間違ってると思わせる一品。
だからこそキャラの口からあちら界隈の用語でいう“総括”を聞いてみたい。

 アンチ貴族社会の理念のもとに行動した結果有効打を打てたのだろうか?

そしてそのしどろもどろの言い訳をニヤニヤしながら「まあそのへんがきみらの限界だよね」と侮蔑する未来を想像しながらSっ気全開で待機します。
{netabare}…とここまで煽ったところで語られることはないでしょうね。逃亡/責任回避は彼らの常套ですから。{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

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2021.02.28 初稿
2021.09.30 修正
2022.06.02 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 42

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もちろん、あのモリーアティです。「憂国」は、なるほどそういうことなんですね…。<シャーロック・ホームズ>シリーズのメインキャラクターが軒並み登場!

[総評]
お話は<シャーロック・ホームズ>シリーズのジェームズ・モリアーティが何を同期に事件を起こしたかという観点の二次創作ものです。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティのやっていることは「毒を以て毒を制す」じゃないですが、素直に「ダークヒーロー物」と思うのか、それでも「社会秩序を破壊しようとしているテロリスト」と思うのかは視聴者の価値観にもよりますよね。

「貴族がやっていることが横暴だから民衆のために制裁する」というのは崇高な理念とも捉えられますし、単に彼が楽しみたいだけのお題目なのかもしれません。

もっともシャーロック・ホームズの側も、名探偵ではあっても必ずしも人格者であったり正義の味方であったりはしないわけで、謎に挑みたいという欲求を表に出しているぶん正直な人だとは言えます。

とりあえず二人の関係については、才能を持つ者同士が違う立場に立った結果として対決するというまさに「ライバル関係」といえるんだと思います。

物語は必ずしも勧善懲悪である必要はないので、フィクションをフィクションとして楽しめるのであれば本作を面白いと思える素養は充分にあると言えそうです。

== [下記は第4話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
第4話まで視聴時点でこのレビューを書いています。

コナン・ドイル作の「シャーロック・ホームズ」シリーズにおいて、「犯罪卿」として名を馳せるジェームズ・モリアーティ。

本作はそんな彼が「犯罪卿」となる動機として十九世紀末のイギリスにおける階級格差の解消を掲げる、異色のクライムサスペンスです。

ジェームズ・モリアーティに兄弟がいるという設定は「シャーロック・ホームズ」シリーズから引き継がれたものですが主人公ウィリアム、兄アルバート、弟ルイスの名前は本作オリジナルのものですね。

当然ですが主人公ウィリアム・ジェームズ・モリアーティは犯罪を仕掛ける側です。基本的には特権階級に属さない「被害者」がただ揉み消されてしまう悲嘆に明け暮れているところを「クライム・コンサルタント」としてウィリアムが復讐をサポートするというストーリーであるようです。

第1話ではストーリーのテンプレートとして労働者階級や貧民の少年たちが巻き込まれた猟奇事件の犯人の特定と、被害者の父親による復讐をウィリアムがサポートする様を見せてくれました。

第2、3話の前後編ではクライム・コンサルタントとなるに至ったジェームズ・モリアーティ三兄弟の生い立ちが描かれ、第4話では使用人に恨みを買った子爵が復讐される様が描かれました。

ということで作品との相性は概ね第3話か第4話まで観れば判断できると思います。私は結構面白いと思っているので、このまま視聴継続予定です。
== [第4話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2020.12.3追記:
第8話まで視聴終了。サブタイトルは「シャーロック・ホームズの研究 第1章」で、これは元々の「シャーロック・ホームズ」シリーズの第1作『緋色の研究』へのオマージュなんでしょうか。

第6話でのシャーロック・ホームズに続いて、ついにジョン・H・ワトソン登場です。人名は小説準拠のようですが、事件自体はいろいろとアレンジされている模様。

2020.12.8追記:
第9話まで視聴終了。ラストのカットでのワトソンの日記(?)の開かれたページの左上には「A STUDY IN SCARLET」の文字(原作のタイトル: 邦題『緋色の研究』)が書かれていましたね。

2020.12.29追記:
最終2話(第10、11話)で前後編を持ってきました。ウィリアムとシャーロック・ホームズが直接対面するストーリーでしたね。

二人が互いに興味を深めて、さらにストーリーには王室関係の何かがありそうな描写で2021年4月から予定されている第2クールへの良い助走だったと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 35

66.2 3 ミステリーで英国なアニメランキング3位
宝石商リチャード氏の謎鑑定(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (162)
590人が棚に入れました
正義感の強い大学生・中田正義はある夜、酔っ払いに絡まれていた美貌の外国人・リチャードを助ける。彼が宝石商であることを知り、祖母が死ぬまで隠し持っていたいわくつきの指輪の鑑別を依頼した正義。リチャードの鑑別により明らかになったのは、彼女の過去、真実、そして想いだった。それをきっかけに、正義はリチャードが店主を務める銀座の宝石店「ジュエリー・エトランジェ」でアルバイトとして働くことになる。エトランジェに日々持ち込まれる様々な“謎"を紐解く中で、少しずつ変化していくリチャードと正義の関係性。 しかし2人には、それぞれ誰にも明かすことのない秘密があった―。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、内田雄馬、花澤香菜、井口祐一
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

途中まで「ホモーやん」と思っていましたが、ギリで違って、最終話で、逆転「ホームラン」を打たれましたw

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
ジャンルは、ライトミステリー。

基本は1話完結で、様々な宝石に関わる謎を解いていきます。

出だしはなかなか良く、期待が持てましたが、中盤以降飽きがきます。しかも、(直接的な描写はありませんが)ホモーな感じもするし、途中で切る寸前までいきました。

でも、終盤にガッと盛り上がり、最終話を終え、「観て良かったな~」と思えました。

なんとか最後まで観てほしい作品ですね。シリーズを通した、伏線回収が美しい。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
1話は良かった。

スリの祖母。それを恨む母。正義という名前。いじめと家族愛。石言葉。

これららがしっかり絡み合い、活かし合い、原作者の力量の高さが伺える。俳句のような作品。二物衝撃というか、モチーフの使い方が上手い。

相当期待して始まりましたが、次第にトーンダウン。宝石との絡みが無理矢理に感じてしまい、飽きがきました。

そして何より、「中田正義」という人物に対する苛つき。

「ジュエリー・エトランジェ」に来店するのは、大きな悩みや困難な事情を抱えた人間ばかりです。そんな彼らの心に、中田正義はズガスガと踏み込んでいきます。「善意」という旗を振りかざし、土足で、遠慮なく。

リチャードもその都度苦言は呈しますが、基本的には容認の姿勢。

それが、「惚れた弱味か?」と、ホモーな雰囲気を加速させ、視聴を困難にしていきました。

しかし、まさかそれが最終話でカッチリ綺麗に回収されるとは。

12話では、「中田正義」の父、「染野閑」が登場します。家庭内暴力を正当化し、別れた息子をストーキング、金の無心ばかりする、「星合の空」ばりのクズ親です。声優の塾一久さんの声、演技も絶妙で、マジでイライラします(笑)

ここで、「正義が正義ぶろうとしていた」理由が示されます。つまり、自分のルーツの否定。自分が大嫌いな、でも血の半分を受け継いでしまった父親を否定するために、父親と真逆の生き方を選んでいた正義。つまり、彼の正義感は「意図的な、後付けの、偽者の正義感」であり、彼自身もそれをコンプレックスに感じていて、だからますます「正義の押し売りをする」という悪循環に陥っていたのです。

それが、私が中盤以降感じていた、「中田正義」という人物に対する苛つき、違和感の正体。

でもその「偽りの正義」に対し、「それが貴方の良さだ」と言ったのが、中田正義の「偽りの正義」に救われた、リチャードでした。

リチャードは宝石商で、審美眼を持っています。そんなリチャードが、「貴方の正義は、本物です」と断言したのです。

つまり、リチャードはこれまでも、「中田正義の中にある本質を見抜いていた」「だから黙認していた」ことになります。

私の好きな漫画、「魔法先生ネギま」に、こんな言葉があります。(他作品ネタバレ)「{netabare}誰かを恨んだり、何かから逃げたりして手に入れた力でも・・・それは立派な貴方の力です。{/netabare}」

正に、この時の正義に贈りたい言葉です。

そして、過去(実父)と対峙しようとした正義に、更なる援軍が。義父であり、「中田さん」こと「中田康隆」です。彼は堂々と、「正義は自分の息子だ、手を出すな!」と言います。義父が義理の息子を守るシーンとしては、これまでのアニメでも屈指の名シーンだと思います。格好良かったです。

ここで正義は完全に過去(実父・自分のルーツ・コンプレックス)と決別し、今を生きる決意をしました。

最後にこの作品らしく、「転生(生まれ変わり)」の石言葉を持ち、「父」(と正義が呼べるようになった)からプレゼントされた、タンザナイトが登場。めちゃくちゃ綺麗なラスト。(余談にも書きましたが、私が一番好きな宝石がタンザナイトだということもあり)胸にズガンと響きました。

途中までこの作品の総合評価を☆3と☆2で迷っていましたが、最終話で☆4とすることにしました。最終話を生かすためには、中盤のグダグダイライラも、リチャードを救うエピソードも、やっぱり必要だと思ったからです。構成が素晴らしいアニメでした!
{/netabare}

【余談~ 実はちょっと、宝石に興味ありw ~】
{netabare}
私は少し、宝石に興味があります。オッサンだけど(照)

きっかけは、さくらももこさんのエッセイ「ももこの宝石物語」を読んでから。あのさくらさんの軽妙な文体で、あれだけ熱く語られたら、そりゃあ興味ももってしまいます。オッサンだけどw(ちなみに、さくらの好きな宝石は、パライバトルマリン)。

私は(絶対買えないけど)「コーンフラワーブルーサファイヤ」みたいな、深い青色の宝石って、格好良いな~って思います。オッサンだけど(苦笑)。

多分、恥ずかしいから生涯(少なくとも自分用には)買わないだろうけど、一番好きな宝石は、「タンザナイト」ですかね。あの微妙な青紫色が好きですね~。オッサンだけど、、、。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
上場の滑り出し。スリの祖母。それを恨む母。正義という名前をつけて育てる。いじみと、家族愛。ちゃんと設定を組んでいるな。石言葉。551の肉まん(笑) これも何かの縁。これらで十分、原作者の力量の高さが伺える。俳句のような作品ですね。二物衝撃というか、モチーフの使い方が上手い。

2話目 ☆3
同性愛。適当なら、結婚か。1話完結で良いね。

3話目 ☆3
キャッツアイ、これは全体的に正義が悪いな。んで、ちっちゃい事件だな。資産運用。

4話目 ☆3
宝石と人生、うまく絡めてきたな。しかし、不用意な正義にはホント、イラッとするよな(苦笑)

5話目 ☆3
格好つけアルアルw 巡り合わせ、、、これ、裏切られるかな。やたら、しっとり終わったな。

6話目 ☆2
ターコイズは、全く欲しいと思わない宝石だな。リチャードの英語の発音が酷いのは、マズイよな。これは、殴り込みとして、成立してるか? 警察に通報しようぜ。

7話目 ☆2
翡翠。これも欲しいと思わない宝石だな。リチャードの過去が。ちょいとBL感が増したな。

8話目 ☆2
アクアマリンは、少し色がな。安っぽく感じてしまう。もう、あそこまでいったら、告れやな。

9話目 ☆2
なんかこう、もはや宝石に呪われてるんじゃ(笑)

10話目 ☆4
正式にホモじゃないと言うアニメも珍しい(笑) ダイヤじゃなかった。きちんとリチャードを救えたね。でも、あれはもうプロポーズでは?(笑) いやいや、すぐにいるしw

11話目 ☆3
リチャードの家庭教師。どんどんトラウマを解決していくね。じゃあ、最終回は正義の話かな?

12話目 ☆5
この話は、かなり良かった。正義の、これまでの「正義ぶろうとしていた違和感」にちゃんと答えがあったとは。つまり、自己のルーツの否定。そして、否定から始まろうと、自分のホンモノになることもある。美しい伏線回収。タンザナイト自体が、私の一番好きな宝石だし、石言葉もキチッと決まっていた。お見事、満点評価!
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

今観てる

3話までの感想{netabare}
リチャードは宝石商を生業としてて「足がつかないようにブツを高値で売りさばきたがる連中(盗人や詐欺の類)」を何度も見てきたっぽい。
で、正義もそういうヤツか?と最初疑ったけど予想外に良いヤツで、ついでにピンクサファイア絡みで縁もあることだし雇う事にした、って感じかな?
リチャードが今までどんな人間の汚い部分を見てきたかが気になるなぁ──ってことでヒキは上々かと。
ただ、ホモホモしい展開が来たら切るけどねーってのが1話感想。
ということで身構えつつ2話見たら、まさかのホモじゃなくてレズネタw
えっそっち!?と思わせるのを狙ったのかも?やるじゃな~い。
同性愛生活に疲れて「ごく普通」の結婚をしようと思ったら、婚約相手から贈られたルビーが超レアモノ(大抵は加熱処理されてるが、それをする必要の無い特別な産地のモノ)で「そんな特別な想いはされたくない」ってことで破談した、でいいのかな?
「普通」に憧れてたのに「特別」扱いされて逃げ出したというか…愛が重かったかー。
3話はキャッツアイ。
妻が妊娠して入院してる最中、旦那は元野良猫の飼い猫のトキソプラズマを警戒して同僚に預けた…のだけど、それを息子に説明しなかったことで息子が暴走しかけた、って話。
それとリンクして正義の生い立ちに迫るって感じか。
祖母がスリ師で母はそれに反発して飛び出した先で正義を生んだっぽいので、家族間のイザコザには過敏らしい。
リチャードの言った「愛情と相性は別ですけどね」は、正義の祖母と母のことを指してたのか、リチャード自身なにかあったのか、他に思うことがあるのか…引き上手いねぇ。
一方、谷本サンが鉱石ヲタで吹いたw、スイッチ入るとヤベーな、ヒロインがこれでいいのか?w
高校ん時の同好会ってまさか天文部と併合してたりしないよね?

ってことで結構面白いかも?
正義がちょっと差し出がましい気がしないでもないけど、生い立ち的に仕方ないのかな?と今のところ許容範囲、これを超えちゃわないことを祈る。{/netabare}

5話までの感想{netabare}
正義の差し出がましさは許容範囲といいつつ結構ギリギリで、4話はさすがにオイオイと呆れかけた…ところでリチャードから遂に「ちょっと黙っててくれ」キターw
とはいえやり口が遠回しでいかにも女性作家っぽいノリ。
というか店であの服装ってどうなん?急な来客じゃなくて前もって予約入れてたお客なんだよね?
あれじゃあチンピラが出入りするヤクザの事務所みたいでなんか怖いって。
しかも客の前でリチャードの容姿を褒め称えるって…タレント事務所じゃないんだからさぁ。
今後正義がダメ出しされて反省して成長する展開なのなら構わないし、それっぽい雰囲気はするので悪くはないのだけど、う~ん…って感じの4話でした。

でもって5話。
ある意味愚直とも言える正義の「正義の味方マン」っぷりが揺らぐ話。
先輩が落ちぶれたのを隠すのは悪い事かも知れんが、かといって正義の前だけでも憧れの先輩であり続けようとすることは責められるのだろうか?
多分素直に包み隠さず全部話しても正義なら失望しないと思うけど、先輩本人にとってはプライドが許さない。
で、そういう虚勢を張らなきゃイカン奴(正義のこと)を相手にするのはもう疲れた、または正義を見てると自分が惨めになる、として先輩は正義の前から去ることに。
うわぁ、何も悪い事をしたつもりの無い正義にとっては堪ったモンじゃないw
なるほどね、こういう事態に直面した時に心がポキリと折れそうな危うさを感じてリチャードは近くに置いたのか。
下種な勘ぐりすれば、心の弱みに付け込むチャンスを伺ってたホモ。
しっかしこの方向性(正義の中の正義が揺らぐ現実に直面する)で話しが続くとしたら、谷本サンはトンでもない地雷を抱えてる可能性ががが。

ところで5話、作監の名前に川村敏江が!
どこのパート手がけてるか全く分からんwけど、なんでこんな仕事してるのさ…って言うと失礼か。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

宝石は輝く。誰かの想いを秘めて…

この作品の原作は未読ですが、香菜ちゃんが出演されると知り視聴を決めた作品です。
香菜ちゃんも今期は大活躍ですね。
「マギアレコード」「空挺ドラゴンズ」「うちタマ!?」にも出演されていましたから…


正義感の強い大学生・中田正義は
ある夜、酔っ払いに絡まれていた美貌の外国人・リチャードを助ける。

彼が宝石商であることを知り、祖母が死ぬまで隠し持っていた
いわくつきの指輪の鑑別を依頼した正義。
リチャードの鑑別により明らかになったのは、彼女の過去、真実、そして想いだった。

それをきっかけに、正義はリチャードが店主を務める銀座の宝石店
「ジュエリー・エトランジェ」でアルバイトとして働くくことになる。

エトランジェも日々持ち込まれる様々な"謎"を紐解く中で、
少しずつ変化していくリチャードと正義の関係性。
しかし2人には、それぞれ誰にも明かすことのできに秘密があった…。

美しき宝石商と正義感溢れる大学生が紡ぐ
ジュエル・ミステリー、開幕


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

この作品のアニメーション制作は朱夏…
これまで「デュラララ!!×2」や「夏目友人帳」などを手掛けてきた会社だけあって、作り込みがとても丁寧で好感の持てる作品に仕上がっていると思います。

宝石…こちらも私の普段の生活とは最も縁遠い存在なので、知識に関してもほぼ皆無…
私にとって宝石を一番身近に感じたのは、2017年秋アニメで放送された「宝石の国」を視聴した時くらいです。
ですが、この作品は宝石に対する知識が無くても十分に楽しめる内容だと思います。

この作品を視聴して思ったこと…
それは宝石を知ることは、その宝石の歴史を知ることと同義だということです。
それはどの地域で採掘されたのか…というところから始まり、何処を経由して今ここに存在しているのか…
これって宝石の歴史そのものだと思うんです。
だから宝石の種類で括ることは出来ても、一つひとつ全部違う顔を持っている…
それが宝石なんだと思いました。

宝石と言ってもその種類は沢山あるみたいですね。
「宝石のはなし」(1989年刊)では「宝石は約70種ほどあるとされるが、よく知られた宝石は20種程度である」と記述されており、wikiでは110種余の宝石が取り扱われているそうです。

希少価値の高いモノなので、個々の宝石の歴史の中には人間の欲望が渦巻いたモノがあるのかもしれません。
でも決してそんな石ばかりじゃない、という事をこの作品は教えてくれています。

ですが私が個人的に感銘を受けたのは、宝石自体よりそこに関わる人々の想いの方でした。
宝石が人から人の手ににわたる時、そこには明確な意思が存在するのですが、この作品で取り扱う物語は総じて優しいんです。
寧ろ、「石が勇気をくれる」そんな局面だってゼロじゃありませんでした。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、やなぎなぎさんの「宝石の生まれるとき」
エンディングテーマは、Da-iCEさんの「Only for you」
どちらもこの作品同様、優しさの感じられる楽曲です。
特にやなぎなぎさんの楽曲は聞き惚れてしまいました。

1クール全12話の物語でした。
作り込みの丁寧で優しい作品…萌える要素はありませんでしたが、作風が真面目なだけに無くて良かったと個人的には思っています。
しっかり堪能させて貰いました^^

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
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