ギクシャクで嫉妬なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのギクシャクで嫉妬な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月05日の時点で一番のギクシャクで嫉妬なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.3 1 ギクシャクで嫉妬なアニメランキング1位
となりの怪物くん(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (2540)
13601人が棚に入れました
成績にしか興味のなかった冷血女子・水谷雫は、プリントを届けたことがきっかけで問題児・吉田春に気に入られてしまう。そして、それをきっかけに雫の人間関係が著しく変わっていく。

声優・キャラクター
戸松遥、鈴木達央、種﨑敦美、逢坂良太、寺島拓篤、花澤香菜、中村悠一、樋口智透、阿部敦、小野友樹、ささきのぞみ
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

<最終回まで視聴完了> いつもの彼ら いつもの日常

全13話ということで、1クールだったから仕方ないかもだけれど
最終回には最終回らしい感動が欲しかったっていうのが
真っ先に浮かぶ感想ではある。

何度もくっついたり離れたり、心は行ったり来たりだった雫と
思い返せば実は一途だった春の2人が、穏やかに笑えていれば
それで幸せなのかもしれないけれどね。
視聴者的には、もう一歩か二歩踏み込んでも良かった気がするし
なつめちゃんの告白も有耶無耶なままだし、
優山がなぜあれほどまでに春以外の人からも恐れられてたのか
描ききれていなかった。

これで終わってしまうなら、数話前のほうがよほど最終回に
ふさわしい内容だったと思うんだよなぁ・・
でも、これが彼ららしさだと言われれば頷ける部分もあって。
逆に、2期へ期待しちゃってもいいのかな?なんてことも感じたり。
あぁそうか、春と雫がどうなるかを描くのが目的じゃなく
何らかの問題をそれぞれ抱えた高校生たちが関わり合って
少しずつ「本当の友達」になっていく話だったのかもだね。
それならちょっと納得できる。

まぁ何だかんだ言いつつも、共感する想いや、
リアルな自分と現在進行形で重なる部分もあったりで
毎週楽しめたのだから良しとしよう。
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<9話の感想>

なつめちゃんが、春や雫たちを見てひとりで心配してるのが面白いし可愛い。
方向音痴の秀才ヤマケンは立ち位置的に、ライバルと言うよりは
協力者だと思っていたが、今後の動き方次第では、さらに面白くなりそう。
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<8話の感想>

文化祭、楽しそうだった。
学校舞台にした作品観ていていつも楽しみなのが文化祭編だったりする。
そんなことは置いておいて(笑)
やっと自分の本当の気持ちに気づけたらしい雫が
戸惑いながらも今後どういう変化を見せてくれるのか楽しみ。
一歩踏み込んだ内容で面白かったけれど、確かに悩むよね。
今まで友だちも彼氏もあえて作ってこなかった彼女なのだし
自分に素直になりたくても怖いから、再び勉強に逃げ込む。
それは彼女にとって、勉強が将来の夢を叶えるためという以前に
心の鎧であり、自分の居場所だからなんだろうね。
でも、今のままじゃ、一途を通してきた春が哀れ。
じれったいけど両者の気持ちが痛いほどわかるので、見守ろう。
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<7話の感想>

(仕事や勉強)>(恋愛)って決心を孕んだ距離って難しいよね。
このままどうなってもアリっていうのとは全然違うから。
難しいというのは自分だけの想いと決心だけで成り立つわけではなく
相手にも想いや考え方があるからね。
両者とも同じ意見なら問題ないのだけど・・
影響力の強い相手だったり、自分の中に少しでも迷いがあれば
足元をすくわれてしまう。
「こぼれた水は戻らないから大事にする」のか「鉄は熱いうちに溶かせ」か。
{netabare}
答えが決まってるのに期待させるのは良くないって言って
勉強を優先して打ち込む雫にはすごーく共感するものがあるけれど、
進展させなくても、傍にいられる喜びを楽しもうとする春の気持ちも
ものすごーーくわかる(笑)
{/netabare}
で、ここで第1話を思い返してみると、2人とも人との距離感や態度が
随分変化したよねぇ。互いの影響力たるやすごいものがあることは確か。
彼氏彼女の関係にならなくたって、同等の影響は与え合えているのだよね。
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<6話の感想>

原作読んでいないからわからないのだが、
2人が無事相思相愛を認め合って、ちゃんとつきあうっていうのが
ラストではないような気がしているのだけれど違うのかなぁ?
それまでの間に紆余曲折、一進一退を繰り返しつつ、
でもそれだけで終わってしまったら平凡だし。
底が見えそうで見えないラインを保ってる感覚。
純朴通り越して鈍感な2人なのに妙な部分が敏感で、なんだかおかしい。
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<5話の感想>
{netabare}
春がお兄さんを避ける理由、お兄さんの言い分が判明。
でもまだ何かありそう。
そして前回から登場している新キャラの女の子。
学級委員だったんだね。すごくわかりやすいタイプ。
彼女の気持ちに雫がいち早く気づいた模様。 {/netabare}

次回からしばらく「起承転結」の「転」突入かな?
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<4話の感想>

春のブレイクが可笑しかった。
可笑しかったけど、人間の印象は笑顔ひとつで変わるんだ
ってことだよね。と、あらためて思った。
雫の家でスイカ割りしてる時、彼女のタンクトップが
グリーンと黒のボーダーで、それはまるでスイカみたいで、
なんとなく、彼女の心をだいぶ開いたのを揶揄してる気がした。
それにしても春の兄弟関係が気になる。何があったんだろう?
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<3話の感想>

人物が増えて話に奥行きが出てきた。
春も第一印象からすると随分落ち着いてるし
雫の微妙な心の変化もわかりやすく描かれていると思う。
個人的な好みを言ってしまうと、雫のモノローグはもう少し
抑え気味にして、仕草や表情(頬を赤らめる以外で)心理描写を
してくれるともっと好きな作品になる気がするのだけどね。
でもコミカルに描きたいようなので、これはこれでアリかも。

ところで・・・
{netabare}
新しく登場した優山くんって、春にそっくりだったから
たぶん兄弟なのだろうけれど、春になぜあれほど避けられているのか
雫との恋愛の行方なんかより気になった(笑)
しかも声が中村悠一さんではないか~
今後の楽しみが増えたw
{/netabare}
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1話はさすがにハイテンションで、一時はどうなるかと思ったが
実際あそこまではいかなくても、春や雫に近い人っている。
頭に思い描いたことが即座に行動に出てしまったり、
相手がどう思うかより自分がどう思ってるかだけで物事を進める人も、
頭に何か浮かんでも自分には無関係、と冷静かつ冷淡に遠巻きでいる人も
結局は、人間関係においての距離感をうまくコントロールできずに
心の殻に閉じこもってしまうタイプ。
だけど、そんな人にも理解者とみなせる相手が現れた場合は
自分を変えていけるほどの影響力があるわけで・・・

まだ2話までしか観ていないけれども、この作品はおそらく
そういう部分を友情や恋愛を絡めながら描いていくのじゃないかなぁ?
それに春も雫も本当はすごく優しい子っていうのが観ていて心地良い。
周囲からはいろいろ誤解を受けやすいタイプかもしれなくても、
真剣に怒ったり、純粋な涙をこぼしてみたり、優しく微笑んだり
顔を赤らめ照れてみたり、そんなふうにコロコロ変わる表情が、
とても素直でいいなと思う。

とりあえず、このままベタベタアツアツモードになるのではなく、
乙女な想いを自覚した雫が今後しばらくは
振り回されるのだろうけれど
まだまだ面白く個性豊かなクラスメイトが登場しそうなので
今後も引き続き、楽しみに見守っていこうと思う。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 88
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

Q&A リサイタル!の印象強い

不器用な女の子と不良?少年とのラブコメみたいなやつ。時折、ドキドキさせられて面白かったけど、その時は原作が終わってなかったからしょうがないだろうが最終話が個人的に謎すぎていまいち評価しにくい。

{netabare}勉強できて滅茶苦茶けんか強いっていうのは凄い。そんな春のキャラクターをあまり好きにはなれてない。{/netabare}

なんかOPの印象は凄く残っているけれど、内容のインパクトはそこまで強いというわけでもなさそう。

OP
Q&A リサイタル! 歌 戸松遥
ED
White Wishes 歌 9nine


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. となりの吉田くん
となりの席の問題児、吉田春にプリントを届けたことがきっかけで、友達認定をされ懐かれてしまった水谷雫。目標のため、他人に構わず勉強一筋で過ごしてきた雫は、春のペースに巻き込まれたじたじ…。そんな2人の前にヤマケン達が現れる。春のことを友達だと言う彼らの行動に対して、正直に思ったことを口に出した雫だったが、その言葉に春は怒ってしまって……!?

2. 変
ニワトリを拾ってきたり、急に逃げ出したりする春の奇行には慣れてきたものの、露骨なアプローチにどう対応していいか困り果てる雫。しかし、一緒に過ごす中で確実に春を意識していると気付き始めていた。そんなある日、下校途中に同じクラスのあさ子から勉強を教えてほしいと頼まれる。事情を知った春は、あさ子に勉強を教えることになったが、勉強会での2人の様子を見て、雫は思うところがあるようで……。

3. やっかい
正直に自分の気持ちを伝えたのに、春からの思いもよらない返事に戸惑う雫。そんな雫をよそに、春が拾ったニワトリ「名古屋」を学校で飼うことが決まり、あさ子、ササヤンと共に鶏小屋を作ることになった。休日に集まった4人はホームセンターへ向かうが、そこでヤマケン達と再び遭遇。予期せぬ再会に逃げ出す雫だったが、ひょんなことから一緒に鶏小屋を作ることになり……。

4. 夏ブレイク
相変わらずクラスメイトから怯えられている春。しかし、雫からのアドバイスを実行したことにより、女子達の間でまさかの人気急上昇!!そんな状況下でむかえた球技大会当日、春は女生徒が上級生に詰め寄られている現場に遭遇する。割って入ったことにより絡まれてしまい、キレた春は相手に殴りかかるが、気が付くと周囲は距離を置くように春を見ていて……。

5. 吉田くんちの事情
春の中学時代や、実の兄・優山の話を聞いた雫は、その話題になると“詮索するな”と言う春に、どこまで踏み込んでいいのか思いあぐねていた。そんな時、ふたりの前に突如現れた優山は、雫に用事があると言い彼女を連れ出す。一方、一瞬にしてその場から逃げ隠れた春は、偶然居合わせた球技大会の一件で見知った同級生・大島に優山の様子を探らせるが……。

6. 彼女達の憂鬱な日々
優山との話し合い以降、春を失いたくないと自覚した雫。しかし、思わしくない模試の結果や、急浮上した大島の存在に動揺を隠せない。ある時、大島を巻き込んだある作戦会議の場で口ゲンカしてしまう雫と春。それをきっかけにして話し合いを始めたふたりだが、どうにも会話がかみ合わない…。間で聞いていた大島は、その状況にやきもきして、ついにはあらぬ事を咆哮してしまう。

7. 2人の距離
自分の気持ちの整理をつけた雫と、雫への想いを自覚した春。すれ違ってしまった気持ちにへこんでいた春だが、大島との会話やあさ子の喝により、昔ある人に言われた言葉を思い出し、改めて雫に告白する。雫の答えは決まったものでも、気持ちが溢れてしまった春は、いつも以上に雫に付きまとうように…。そんな中、松楊高校では文化祭の準備が着々と進んでいた。

8. おいでませ!松楊祭
雫は文化祭に遊びに来て迷子になっているヤマケンと出会う。彼を案内しようと連れ出すがふたりが一緒にいたことを知った春は不満を隠せない。そのころ、春の知らぬところでは文化祭を満喫している優山と、それに付き合わされている満善の姿があった。

9. 0と1
朝、雫が目覚めるとなぜか自分の部屋に春の姿が…。話しをするうちに、父・隆司の店がまた潰れたと知った雫は、最初こそ驚いていたものの冷静に店の整理をし始める。追い出された春は勉強会に合流。あさ子に聞かれ、雫との現状の関係を報告していた。

10. クリスマス
あさ子企画によるクリスマス会が開催されることになった。買い出しに付き合う雫は、最近、いつも以上に自分の傍で怯えるように周囲を警戒する春に、伝えたいことを言えずにいた。そして、店でヤマケン達とばったり再会する春、雫、あさ子。警戒心むき出しの春はヤマケンにパーティー参加拒否を付きつける。その理由が雫に惚れているからということをみんなの前で言い放ってしまい…!?

11. 山口さんちの賢二くん
ヤマケンこと山口賢二は、自らをエリートと言い切る自信家。予備校の冬期講習に雫と一緒に通うことになり、さりげなくアピールしようとするも、プライドが邪魔して素直に自分の気持ちを表せないでいた。一方、雫はヤマケンからのアドバイスで春に向き合う決心をしたのもつかの間、春はヤマケンの存在を意識しすぎて……。

12. 年は暮れゆく
みっちゃんへの想いを自覚し始めたあさ子は、本人とうまく話せないことをササヤンにこぼすと、“好きだからでしょ”と一刀両断。否定をしつつも、恋心は大きくなるばかり…。冬休みに入り、いつもの様に雫たちに会えない日々が続いていたが、ある電話で寂しさが爆発したあさ子は水谷家にお邪魔することになり!?

13. 春遠からじ
みんなで迎えた騒がしい年明けも終わり、平穏な日々が戻ってきた。雫は元旦以来会っていない春を気にかけていると、突如部屋の窓から春が現れた!異様な格好をしている春は、何か“さがしもの”をしているらしいが……。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4
ネタバレ

メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

(2期、3期希望)ジェットコースター感覚の恋愛模様――キャラ配置の妙、美しい作画にまいりました。

あー、続きが観たい。
放映と並行して追いかけてから時間が経過して、さらにその思いが強くなってきました。1クールの限界だったのですね。

わたしにとって、文句をつけようがないほどすばらしい(前半)でした。作画は好みというか、びっくりするほど。主役ふたりのキャラデザ最高。

本作については入れ込みが強すぎるので未だに冷静になれません。よって、断片的に記述していきます。

■冒頭から;自分の中で傑作になりそう。いきなりはまってます。(結果、そうなりました)

恋愛物が好きな方には特におすすめしたいし、ぜひ一度ごらんください。やめるのはいつでもできますから。捻りのある恋の話かな、と。

いい意味でのもどしかさ100%。いらいらします。どきどきさせてくれる序盤エピソードのいくつかで、となり怪物くん「ハル」君のすこし謎めいた生活がすこしづつがあきらかになってくるのです。

油断しているとヒロイン雫とハルの関係性の変化を見逃してしまいます。じっくりご覧になることをおすすめします。微妙な言動を集中することで味わえるかもしれません。

ヒロイン主人公・水谷雫(シズク)は、成績上位を維持することにに関心が強い、{netabare}2番あることには耐えられないほど屈辱を感じるし、全国レベル模試で、上位30位になったとことで満足しない上昇志向の強い女の子である。はっきり言って日本の大学で入れないところはないのだし、現実的にはアメリカの有名大に行けばと突っ込みたくなった。ごめんなさい。

また、勉強などしなくても学年トップの成績をらくらくとってしまうハルには{/netabare}複雑な感情をいだかざるをえない。うまい設定だ。また、この少しだけ不自然な背景設定を乗り越えてしまえ。物語はそれからだ。

そして、{netabare}ヒロインが奪われるいきなりのキッス、これは普通ないですよね。最近では当たり前のストーリーづくりなのかもしれませんがわたしには衝撃でした。物語のラストが冒頭で「解決」と。{/netabare}

その後、友だちと恋人の境界線のはざまでふたりの葛藤、少年期にありがちな心のズレが繰り広げられる。微妙なすれちがい、タイミングの悪さ、いつのまにかふたりを応援する立場になってしまう。

すでに、ここでハルとシズクに目を離せない。相性120%どこにも文句のつけようのない設定。

理想的ともいうべき背景処理のうまさ、パースも狂うことなく時間予算が限られた中で、よくここまでやっているとほんとうに敬服します。キャラクターデザインも同じく好みで、背景との関係や撮影処理、溶けこむように考えられた色彩計画もとてもうまくできています。

■ネタばれではないけど{netabare}散発的に

※はじまり

シズクが、始業式早々、先輩にからまれていた同級生を救うことで停学処分を受けたハルが停学処分あけになっても登校しないために、担任の依頼でプリントを届けることになる。理由は吉田くん隣席であるというだけで、特に必然というわけではなかった。

ハルは、真の友達{netabare}がいないことがを気にしている面が伺える。ハルもシズクをともだちとして気に入る。雫の存在はハルの心を溶かしたのか、しっかりと登校をはじめることになる。この変化を解くのは笑えるほどの{/netabare}ハルの友達願望がある。

物語は続くのだろう。アニメの句切りとしての終わらせ方も悪くありませんでした。最初の数話のもっていかれる感覚はなかった全体でしたが。

※過去を遡るシーン

うさぎの死に対する悲しみもなく、周囲から「ドライアイス」と呼ばれたものの、決して残虐性を持った性格でもないことが観る者には、伺える。彼女はアイスドールではなく、家族の事情などをくみとれるほんとうは優しい女の子なのだ。他の生徒、児童たちとは価値観と行動が異なるだけの話で、実は誠実な生き方をしているといえる。

ドライアイスとたとえられるほど冷徹なキャラクターように見せながら自分の立場がわるくなることを厭わず、ハルの「軽い友人たち」に思い切った反論、意見を伝えることのできる、勇気のある女性でもある。

もともとの彼女であれば、こうした変化は想像できなかったものだ。彼女は、ハルとの関係性の中で変化をはじめたのだろう。{/netabare}

そして、2人の感情に友情以上のものが芽生ことはたしかなのだが、導入話でいきなり{netabare}ハルはシズクにキッスをするなど、恋愛感情をいただいているのはないかとも思える行動に出る。やがてハルはきちんと登校を始め、シズクの助言で、他のクラスメートなどとの関係も変化し、人間関係が大きく変わっていくなかで、恋敵の出没{/netabare}などで、シズクの気持ちは新しいステージへの突入していくのであった。

やっぱり今後もアニメ化希望です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 53

85.7 2 ギクシャクで嫉妬なアニメランキング2位
リズと青い鳥(アニメ映画)

2018年4月21日
★★★★★ 4.1 (551)
2292人が棚に入れました
北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当している鎧塚みぞれと、フルートを担当している傘木希美。

高校三年生、二人の最後のコンクール。
その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。

「なんだかこの曲、わたしたちみたい」

屈託もなくそう言ってソロを嬉しそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。

親友のはずの二人。
しかしオーボエとフルートのソロは上手くかみ合わず、距離を感じさせるものだった。

声優・キャラクター
種﨑敦美、東山奈央、藤村鼓乃美、山岡ゆり、杉浦しおり、黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、桑島法子、中村悠一、櫻井孝宏
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

優しく繊細に描かれた人生のアイロニー

(末尾に【追記】を加えました)

【総合評価:☆☆☆☆☆】
 高校の吹奏楽部で、それぞれオーボエとフルートを担当するみぞれと希美。ふたりは(一見)とても仲が良い。しかし、コンクールで演奏する自由曲「リズと青い鳥」での掛け合いが、どうもしっくりしない。その原因はどこにあるのか…?
 アニメ『リズと青い鳥』は、青春期の戸惑いや心の揺らぎを、優しく繊細に描き出す。声高な主張はない。わずかな仕草や言い淀んだ沈黙を通じて少しずつ明かされる真実は、切なくやるせなく、人生は見かけ通りではないというアイロニーを感じさせる。

【みぞれと希美】
 みぞれはひどく内向的で他者とのかかわりを避け、めったに感情を表さない。一方の希美は外向的でいつも取り巻きに囲まれ、感情豊かに会話する。表面だけ見ると、人付き合いが苦手で立場の弱いみぞれが、希美に庇護されているようでもある。しかし、制作した京都アニメーションのアニメーターたちは、そんな単純な関係でないことを画面にきちんと描き込んでいる。
 作品冒頭、みぞれと希美が校門から部室へと向かうシーン。石段の上で青い羽根を見つけた希美は、太陽にかざして「わっ何これ。めっちゃ青い。きれい!」と声を上げ、「あげるよ」とみぞれに差し出す。みぞれは、ぼおっとした表情のまま「ありがと」と微かに語尾を上げて受け取り、「なんで疑問形?」と突っ込まれる。二人の関係性が凝縮され、見ているだけで切なくなる名シーンである。
 そのまま先に立ってずんずんと進み、軽くターンしてから一段飛ばしで階段を上る希美は、常にどう見られているかを意識し自分を演出する。一方、希美の行為をなぞりながら数メートル後ろを付いて行くみぞれの姿は、外界との距離感を確認しつつ慎重に立ち位置を見定めているようだ。希美にとってのみぞれは、自分の演技を見つめる観客の一人。みぞれにとっての希美は、外界とのつながり方を示す唯一の指標で、それ故に強い思慕の対象でもある。相手への思いに、「親友未満」と「親友以上」という格差がある。
 もっとも、みぞれが頼りないのは外面だけ。{netabare}そのことを示すのが、中盤でみぞれが独りオーボエを練習する場面から始まる(私好みの)シークエンス。オーボエ担当の後輩が「ダブルリードの会(吹奏楽部に4人しかいないダブルリード楽器担当者の茶話会)」に誘っても、「わたしが行っても楽しくないから」とすげない返事。確かに、みぞれが希美のように「朝ご飯に何を食べるか」といったテーマで会話を弾ませる姿は、想像もつかない。ところが、同じ後輩がリードを自作するみぞれに「あたしにもできますかね~」と擦り寄ると、すぐに「今度教える」と答えて、後輩を感激のあまり泣かせる(後輩が何か言うのだが、涙声で聞き取れない…)。
 みぞれは、社会のさまざまな側面に対して適切に対応する柔軟性を欠き、そのせいでいかにも頼りない。しかし、自分には何ができるかをはっきり自覚しており、役割を果たせるとわかれば能動的に行動する。
 これに対して、希美は多くの後輩に慕われ楽しげに振る舞うものの、明確な上下関係が生み出す雰囲気を好んでいるだけで、その言動はあまり主体性を感じさせない。みぞれとの付き合いも、そうした上下関係の一つと捉えているようだ。みぞれをプールに連れて行こうとしたとき、「ほかの子も誘っていい?」と予想外の返答をされ、心底驚いた表情を隠せなかった(映像では、人が前を横切った瞬間に取り繕う)。他の同期生とは対等な会話を避けており、みぞれとの件で部長に責められたときには、まともに返答できない。{/netabare}精神の内奥においては、みぞれの方が希美よりも遙かに勁(つよ)い。
 {netabare}希美の弱さが表に現れるのは、木管楽器の指導者がみぞれだけに音大のパンフレットを渡したと知ってから。音大進学を表明したものの強い決意があったわけではなく、周囲にふと「あたしさぁ、本当に音大行きたいのかな」と問わず語りに口にする。主役のつもりで演じていたのに、スポットライトが傍らを通り過ぎただけと気が付いた---そんな役者を思わせる情けなさそうな表情で。何度見ても、私はこのシーンで泣いてしまう。泣かせるシーンではないのに。{/netabare}

【人生のアイロニー】
 物語が進むにつれて、みぞれと希美の間のひずみはしだいに大きくなる。一見、とても仲が良さそうなのに、相手に対する思いのベクトルは微妙にすれ違う。社交的な希美が孤立したみぞれを庇護しているようで、精神の強靱さも気遣ってくれる友人の数も、希美よりみぞれの方がずっと上である。こうした外見と内実の乖離が前提となって、クライマックスの演奏シーンが強烈なエモーションを生み出す。
 この作品は、人生のアイロニーを強く感じさせる。アイロニーとは、表面的な意味と隠された内実が相反することを表す用語で、主に物語芸術に関して、登場人物の認識と現実の状況が食い違う場合に使われる。例えば、ギリシャ悲劇『オイディプス王』では、己を正義だと信じるオイディプスが前王殺害の真相を追究するうちに、真犯人が誰で自分は誰と結婚したのかという恐るべき事実を突きつけられる。まさに悲劇的アイロニーの極北である。『リズと青い鳥』も、これに似たアイロニカルな状況を描いた作品である。ただし、ギリシャ悲劇のように深刻なカタストロフはない。現実の人生でごくふつうに起こり得る、ささやかなアイロニーである。そんな事態を前にして、人は寂しそうに笑うしかない。

 ところで、この物語の後、みぞれと希美はどうなるのだろうか?{netabare}アニメのラストはハッピーエンドと呼んで良いものだが、二人の性格と置かれた状況を考えると、幸せな状態がいつまでも続くとは思えない。みぞれが「ハッピー・アイスクリーム!」と声を上げたときも、希美はそれがゲームだと気づかない。親友同士のように振る舞いながら、互いに相手のことをよく理解していない状況は、大して変わっていないのである。想像するに、それぞれ別の大学に進学して疎遠になり、その後の人生ラインが交わることは、もはやないだろう。もっとも、それは必ずしも悲しむべきことではない。人生の一時期に、生涯の宝となる貴重な体験をしたという事実は揺るがないのだから。{/netabare}

【アニメにおける人間描写】
 『リズと青い鳥』は、みぞれと希美の内面を深くえぐった心理劇である。アニメは、小説や演劇に比べて心理描写に向かないメディアだと見なす人もいるが、そんなことはない。むしろ、言語による抽象的な観念に束縛される小説や、生身の俳優が持ち込む身体性を排除できない演劇に比べて、純粋に心理だけを描き出せるメディアである。
 アニメの強みは、個人が創作する小説などと異なり、人間が持つさまざまな側面を、各分野の専門的なクリエーターが磨き上げられる点にある。私は、プルーストやヴァージニア・ウルフの心理描写が好きだが、それでもこんなアニメを見せつけられると、言語表現の限界にいやでも気づかされる。クライマックスの演奏後にみぞれと希美が行う対話を使って説明しよう。
 台詞は、言語に対して鋭い感性を持つ脚本家が彫琢する。{netabare}希美は、妙に冷めた見方でこれまでの経緯を振り返り、「違う」「希美」と言葉を挟むみぞれを無視して話を続けるが、途中でみぞれが強い語調で「聞いて!」と遮り、思いの丈を語り始める。「希美の笑い声が好き、希美の話し方が好き、希美の足音が好き、希美の髪が好き、希美の…希美の全部」。希美がそれに応えるように「みぞれのオーボエが好き」。{/netabare}
 声優は、台本だけではわからないニュアンスを言葉に付け加える。過去を振り返る際の、冷静さを装いながら端々に心のざわめきが現れる希美の口調。一方のみぞれは、口数が少なく自分の内面を説明しないが、かすれそうでかすれない口吻は、意外と粘り強い性格を感じさせる。
 劇伴となる音楽も、心理描写に欠かせない。対話シーンでは、当初、バックで音楽が鳴っていることにほとんど気づけないほどかすかな音の連なりが続くが、少しずつ明瞭になり、ほんのわずかな期間、明るく心躍るメロディを奏でたかと思うと、次の瞬間にはスッと消える。まるで、いつも揺らいでいる少女の心のように。
 何よりも素晴らしいのが、表情や仕草に魂を込めた作画。それまで意図的にこしらえた微笑ばかり見せていた希美なのに、ここでは視線が定まらない。一方のみぞれは、まっすぐに希美を見つめる。{netabare}「大好きのハグ」をするときの、二人の手の位置、体の傾げ方、そして、感極まったようなみぞれとどこか曖昧な表情を浮かべる希美の対比。そのすべてが、二人の心の内を照らし出す。{/netabare}
 『リズと青い鳥』は、静謐なアニメだ。長広舌よりも途切れた言葉、目的を持った行動よりもちょっとした仕草の表現が素晴らしい。例えば、希美にもらった青い羽根を、みぞれが両手で包み込んで口元に寄せるシーンのような。シャープペンの持ち方、髪のいじり方、地面を蹴るときの足の動き---そんな些細な描写にも、アニメーターの思いが籠もる。
 アニメとは、間違いなく、日常の奥深さを描けるメディアである。

【監督・山田尚子】
 当然のことながら、アニメの人間描写が優れたものになるには、スタッフの意思が統一されていなければならない。そのために重要なのは、中心的なリーダーの存在である。アニメの場合、通常は監督がリーダーとなり、スタッフと綿密な打ち合わせをすることで、作品世界を明確に設定し、人物像に一貫性を与える。こうしたリーダーの役割は、制作現場の状況を伝える断片的な報告に示される(例えば、イアン・コンドリー著「細田守、絵コンテ、アニメの魂」では細田守、『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』DVDの特典映像では神山健治、第6回文化庁メディア芸術祭における『クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦』上映前のトークショーでは原恵一が、それぞれスタッフとどんな議論をして作品世界を作り上げたかが紹介された)。
 『リズと青い鳥』がどのような状況で制作されたかはわからないが、監督・山田尚子のインタビュー(『リズと青い鳥』公式サイト liz-bluebird.com に掲載)を読んだ限りでは、テレビアニメの制作を通じてスタッフが原作に馴染んでおり、作品の方向性が自然と一致したようだ。インタビューから引用すると、「「少女たちの溜め息」のようなそっとした、ほんのささやかなものを逃すことなく描きたい」とのこと。
 山田尚子は、監督に抜擢されたテレビアニメ『けいおん!』(2009)で人気作家の座を獲得した。この作品はギャグ中心の4コマ漫画をアニメ化したものだが、アニメでは、話数が進むにつれて、ギャグが薄まる一方で物語の流れが滑らかさを増しており、監督の技量がストーリー重視の方向に成長したことを伺わせる。『けいおん!』の第2期と劇場版、テレビアニメ『たまこまーけっと』とその劇場版も評判を呼んだ。ただし、私の見る限り、話を淀みなくまとめるのはうまいものの、心理描写はそれほど深くない。クリエーターと言うよりは職人に近いという印象だった。
 (私の個人的な)評価が変わるのは、劇場用アニメ『映画 聲の形』(2016)から。聴覚障害者を主人公に人間のつながりを描いたものだが、イメージショットを多用し、流れよりも観客に何かを考えさせることを重んじる。アニメ作家として一皮剥けた感があった。
 続く作品が『リズと青い鳥』で、これまでのところ山田の最高傑作である(一般的な評価とは少し違うが)。『けいおん!』以来、多くの作品で協力関係にあった名脚本家・吉田玲子と、トップクラスの職能集団である京アニ・アニメーター陣の力が大きいとはいえ、山田が着実に成長を続けていることを示す。今後の動向に注目したい。

【『響け! ユーフォニアム』との関係】
 ここで、本作とテレビアニメ『響け! ユーフォニアム』の関係についてコメントしておこう。一言で言えば、まったく別の作品である。
 京アニは、武田綾乃のライトノベル『響け! ユーフォニアム』シリーズを継続的にアニメ化しており、2015年と16年にテレビアニメ第1、2期が放送(いずれも放送翌年に総集編が劇場版として公開)された。これらは高校吹奏楽部の人間模様を描く群像劇で、まじめに作られたウェルメイドな作品である(ただし、私好みではなく退屈した)。さらに、2017年のトークイベントで、石原立也監督による「2年生になった久美子(シリーズの実質的主役)たちの物語」(2019年公開)と、山田尚子監督によるの「みぞれと希美の物語」(2018年公開の本作)という完全新作映画2本の制作が発表された。この2本は、いずれも、トークイベントのすぐ後に刊行されたシリーズ第4長編『北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』を原作とする。
 京アニは、決して大きな会社ではない。同じ原作の(したがってファンがかぶる)劇場用アニメを並行して2本制作するというのは、かなり無謀な企画である。なぜそんな決定をしたのか、私のような部外者は憶測に頼るしかない。おそらく、2016年に、興行収入250億円という超特大ヒットアニメ『君の名は。』が出たほか、興収50億以上のアニメが3本、京アニ制作の娯楽性の乏しいアニメ『映画 聲の形』も興収23億(興収額は日本映画製作者連盟発表のデータによる)に上ったことから、経営陣が劇場用アニメ制作に前のめりになったのだろう。
 原作小説『波乱の第二楽章』は前後編2分冊で、1本の映画にするには少し長すぎるため、2本に分割したと考えられる。ただし、前後編に分けるのではない。1本は、テレビアニメで登場人物の成長を描いてきた石原立也が担当し、久美子らが2年に進級してからコンクールに出場するまでを経時的に描いた。不思議なのは、もう1本が、かなり地味なみぞれと希美のエピソードを取り上げた作品になったことである。
 山田尚子は、『聲の形』に先立つ『映画けいおん!』でも、それまでの京アニ記録だった『涼宮ハルヒの消失』の2倍以上となる興収19億円を達成しており、京アニ最大のヒットメーカーである。経営陣が彼女に大いなる期待を寄せ、その希望を最大限に受け入れたことは想像に難くない。こうして、山田が原作にとらわれず、自分の思うままに作ったのが『リズと青い鳥』なのである。
 近所の図書館にあった原作の一部を読んでみたところ、控えめに言って、本アニメとはかなり趣が異なる(…って言うか、「全然ちゃうやん」というレベル)。原作の北宇治高校は男女共学なのに、アニメでは男子生徒の姿が見えず、完全に“女の園”になっている。目を凝らすと、全体練習の際にちらほら男子が映っているのだが、後方でぼかされた姿に。廊下や下駄箱周りにもモブのように現れるものの、巧みに別の箇所へと視線誘導される。おそらく、本アニメだけを見た人の大部分が、女子校の話と思ったはずだ。敢えて「男子はいない」と錯覚させるような演出がなされている。
 原作には、部員たちの(擬似)恋愛の描写が過剰気味に現れるが、これもほとんどが省略された。それほど、みぞれと希美の関係に集中したかったのだろう。まるで、アンリ・ヴェルヌイユやエリック・ロメールら名匠の手になるフランス映画のように、二人の心理をじっくり描き出す。
 石原立也が監督した『響け! ユーフォニアム』は、原作にかなり忠実なようだが、『リズと青い鳥』は、登場人物が共通するだけで、作品全体の方向性が全く異なる別作品だと思った方が良い。それぞれのキャラも、かなり大きく変更された。部長の優子は、頭の大きなリボンがいかにも不釣り合いな、真面目で他人思いのリーダーとして描かれる。
 ただし、山田には原作から離れているという意識がなかったらしい。公式サイトに掲載された山田のインタビューでは、「原作の持つ、透明な、作り物ではない空気感を映像にしてみたいと思いました」「原作から受けたこの二人の物語の印象をそのままフィルムに落とし込んでみたいというのがまずありました」とある。原作に没入するうちに、行間を深読みしイメージが勝手に膨らんでいったのだろう。脚本の吉田玲子とも見解の相違はなかったようで、「あまり窮屈に打ち合わせるような感じではなかった」と語っている。
 本人に「原作とは違うものを」という気負いがなく、思うがままに作ったため、壊れやすい少女の内面を丹念に描いた、アニメ史上に残る傑作が誕生したと言える。もっとも、山田の感性は『ユーフォ』ファンと少しずれがあったようで、興行的には惨敗に終わった。

【おまけ---オーボエという楽器】
 本アニメでフィーチャーされるオーボエは、2枚のリードを向かい合わせに固定し、その間に息を吹き込むことで音を出す楽器。高音成分が多く震えるような切ない音色が特徴で、それに心惹かれる人も多い。ただし、本格的な演奏をしたければ毎回リードを自作せねばならず、やたらに手間がかかるのに、フルートのような華麗さに欠ける。希美がフルート、みぞれがオーボエを担当するのは、それぞれのキャラに見事にマッチする。
 オーボエの名曲と言えば、モーツァルトやリヒャルト・シュトラウスの作品が有名だが、私は、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのオーボエ・ソナタ ト短調が好きだ。派手さはないが心に沁みる曲で、みぞれのテーマとして使えそう。

【も一つおまけ】
 作中でアニメ内アニメとして描かれるのが、コンクール曲のベースにもなった童話「リズと青い鳥」。大写しになった本の表紙に「ヴェロスラフ・ヒチル著」と明記されていたので、実在する童話かとおもって検索したが見つからない。ネットの情報によると、映画監督のヴェラ・ヒティロヴァをもじって、武本康弘(京アニ所属の監督で放火事件で亡くなった)が考案した名前らしい。ヒティロヴァには『ひなぎく』というぶっとんだ快作があり、私は30年ほど前、これ見たさに唯一の上映館がある吉祥寺まで遠征した。武本監督とは、そんな趣味も一致していたのか---ちょっと涙。

【追記】
 上のレビューを執筆した時点では、原作となる『北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編/後編』のうち、近所の図書館にあった前編しか読んでいなかったが、その後、別の図書館から後編を借りて読むことができた(文庫本くらい買えって言わないで!金欠なんだから)。
 アニメが小説と趣を異にすることは前編と同じだったが、それが心理描写の深化にとどまらず、原作における客観的記述ともかなり食い違っていることに、少々驚いた。出来事の時系列や希美を諫める人物を変更したほか、みぞれと久美子の会話や、みぞれがオーボエソロで名演を示した後の指導者の対応など、ストーリーの上でかなり重要な部分をバッサリ切り捨てている。その一方で、原作では触れられない童話「リズと青い鳥」の細かな内容を、本編とは異なる技法を用いた映像によってたっぷりと見せる。ここまでくると、山田尚子がかなり確信犯的に原作を変更したのではないかと思えてくる。おそらく、原作(前後編)のプロローグ部分に記された希美とみぞれの関係に心打たれ、その部分をどこまでも拡大してアニメ化したのだろう。
 そう考えると、本作が『響け! ユーフォニアム』シリーズの一編として制作発表されながら、公開時にそのことを示す副題がなかった理由も見えてくる。京アニの経営陣は、完成間近になって、原作や(原作に忠実な)テレビアニメとかなり異なると知って驚いたのではないか。「響け! ユーフォニアム」と冠すると、これまでの路線を大きく逸脱したことに対して、ファンの批判が高まりかねない。そこで、独立した作品としても楽しめるという言い訳をしながら、スピンオフ作品として扱わない方針を固めたと推測される。結果的には、それが大爆死と言える興業成績につながったようだが。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

山田尚子監督が目指していたものをやり切った、実写的表現の到達点

アニメーション制作:京都アニメーション、
監督:山田尚子、脚本:吉田玲子、
作画監督・キャラクターデザイン:西屋太志、
音楽:牛尾憲輔、美術監督:篠原睦雄、
色彩設計:石田奈央美、原作:武田綾乃。

揺れるポニーテール、廊下を歩く足、瞬く瞳。
静かな劇伴が流れるなかのふたりの情景。
絵柄は滲んだブルーを基調とし、透明感のある色彩。
響く足音、キャップを開ける音、楽器を組み立てる音。
様々な生活音を拾い上げていく。
細部まで徹底的なこだわりを感じさせる。
思わず息を詰めて観てしまうような静謐感が作品全体に流れている。

私は冒頭のシーンを観たときに、この感覚はどこかで味わったような気がすると、
鑑賞中にずっと考えていたのだが、
それは岩井俊二監督の『花とアリス』だった。
岩井俊二監督のなかでいちばん好きな作品だが、
それを初めて観たときのような鮮烈な印象を受けた。
眩いばかりの透明感を重視した絵作りだ。

『リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム』シリーズの続編に位置づけられる。
田中あすかや小笠原晴香たち3年生が引退した後の
春から夏にかけての一部分を切り取った物語。
しかし、シリーズ名がタイトルに入っておらず、
単体で観られることも意識して制作されている。
私は原作を全巻既読で、TVアニメも映画も過去作品は
全て鑑賞済みなので断言はできないが、
初見の人でも十分に楽しめるのではないかと感じた。
人間関係は観ていれば、ほとんど理解できると思うし、
基本的には鎧塚みぞれと傘木希美の関係性についてのストーリーのため、
それほど分かりにくくはないと思う。
ただ、もしかするとみぞれと希美の依存といえる関係性が理解できず、
物語に入り込めない人がいるかもしれないが、
そんな友人同士の繋がりもあると考えてもらうしかない。
これは、いびつな形ですれ違い続ける愛と嫉妬の物語だ。

アニメ的な手法よりも実写的なカメラワークを
意識しているシーンが多く見られる。
足の動きや手の動き、会話の「間」などで、心情を表現している。
また、感情を表すような目元のアップシーンが多い。
アニメではなく、実写ではよく使われる手法だが、
この作品では重視されている。
そして、被写界深度を意識した絵作り、
つまりカメラの焦点とボケを意識している点はシリーズと同様だ。
物語にはそれほど大きな起伏がないため、
好き嫌いが分かれるタイプの作風だが、
映画としての完成度はかなり高い。

{netabare} 特に素晴らしいと感じたのは冒頭のシーン。
何かの始まりを予感させる童話の世界から現代の世界へ。
まだ人があまりいない早い時間の学校に鎧塚みぞれが到着して、
階段に座り、誰かを待っている。自分の足を見る。不安げな瞳。
誰かがやってくる。
視線を向けるが、期待した人ではない。
そして、待ち人がやってくる。いかにも楽しそうで快活な表情、
軽快なテンポの歩様、揺れるポニーテール。
それに合わせて流れる明るいメロディ。
フルートのパートリーダーである傘木希美だ。
鎧塚みぞれは、それとは逆に表情が乏しく、口数も少ない。
彼女なりに喜びを表現して希美と一緒に音楽室へと向かう。
途中で綺麗な青い羽根を拾った希美は、それをみぞれへと渡す。
戸惑いながらも希美からもらったものを嬉しく感じるみぞれ。
この青い羽が、閉じられた世界の始まりを予感させる。

校舎に入り、靴箱から上履きを取り出すときのふたりの対比。
廊下に彼女たちの足音が響くが、その音のテンポは全く合わない。
完全な不協和音。ふたりの関係性が垣間見える。
みぞれは少し距離を置いて、希美の後に付いていく。
階段の途中の死角から希美が顔を覗かせてみぞれを見る。
希美は少し驚いたように、目を何度か少しだけ動かす。
教室に着いて鍵を開け、椅子と譜面台の並んだ誰もいない室内に
2人だけが入っていく。
吹奏楽コンクールの自由曲は、「リズと青い鳥」。
この曲を希美は好きだという。
そして、ふたりで曲を合わせてみるところで、
タイトルが映し出される。

この一連のシーンだけで気持ちを持っていかれるだけのインパクトがある。
とても丁寧で実写的で挑戦的な作風だと感じ、
私は思わず映画館でニヤついてしまった。

物語はみぞれと希美のすれ違いを中心にしながら、
それに劇中曲である「リズと青い鳥」の物語がリンクしていく。
童話のほうの声優にちょっと違和感がある。
ジブリ作品を見ているような感覚だ。
みぞれがリズ、希美が青い鳥の関係性として観客は見ているが、
最後にふたりの立場が逆になる。
みぞれの才能が周りをなぎ倒すようにして解放され、
美しいメロディを奏でる。
同じように音楽に真摯に取り組んでいたみぞれと希美の差が
明らかになる瞬間だ。

二羽の鳥がつかず離れずに飛んでいくシーンが映る。
左右対称となるデカルコマニーの表現。
そして、ふたりの色は青と赤。
心があまり動かずしんとした雰囲気のみぞれが青、
情熱的で人の中心になれる希美が赤だろうか。
このふたつの色が分離せずに混ざり合っていく。

みぞれが水槽に入ったふぐを見つめるシーンが度々出てくる。
おそらくみぞれは、水槽のなかのふぐを羨ましいと思っている。
仲間だけでいられる閉じられた世界。
そこが幸せで、ほかは必要ないと考えている。

この作品は意図してラストシーン以外での
学校外のシーンを排除している。
鳥籠=学校という閉じられた空間を強調しているのだ。
閉じられた学校という世界のなかにあって、
さらに閉じられた水槽内にいるふぐ。
それをみぞれが気に入っているというのは、
みぞれの心情を示している表現だろう。

たくさんある印象的な場面でいちばん好きなのは、
向かいの校舎にいる希美がみぞれに気づいて手を振り、
みぞれも小さく手を振って応えるシーン。
そのとき、希美のフルートが太陽に反射して、
みぞれのセーラー服に光を映す。
それを見てふたりがお互いに笑う。
言葉はないが、優しく穏やかな音楽が流れるなかで、
(サントラに入っている「reflexion, allegretto, you」
という曲で、1分20秒と短いがとても美しい)
何気ない日常の幸せをいとおしく感じさせる。

ラストシーン。歩く足のアップ。
一方は左へ、一方は右へと進んでいく。
希美は一般の大学受験の準備ために図書室で勉強を、
みぞれはいつものように音楽室へと向かう。
帰りに待ち合わせたふたりが歩く。
足音が響く。
ふたりの足音のリズムは、時おり合っているように聞こえる。
お互いに別の道を歩くことを決め、そこでようやく何かが重なり始めたのだ。
ふたりの関係がこれからどうなるかは分からない。
しかし、最後に「dis」の文字を消したところに、
いつまでも関係がつながっていて欲しいという作り手の願いがこめられている。{/netabare}
(2018年4月初投稿・2020年5月5日修正)

大好きのハグから続くラストシーンについて
(2018年5月11日追記・2019年3月15日修正)

{netabare}みぞれは希美の笑い方やリーダーシップなど、
希美自身のことを好きだと告白するが、
それに対して希美は「みぞれのオーボエが好き」だと言い放つ。
このやり取りは一見、ふたりの想いのすれ違いだけを
表現しているように感じるが、実はそれだけではない。

友人として以上に希美のことが大好きなみぞれにとって、
とても厳しく感じる言葉だが、これは希美自身にとってもキツイ言葉。
みぞれの才能を見せつけられて、ショックを受けているときだから尚更だ。
それなのに、敢えて言ったのはなぜか。
この言葉には、自分は音大には行けないが、
みぞれには、音大に行ってオーボエを続けて欲しいという
願いがこめられているのだ。
「みぞれのオーボエが好き」という希美の言葉がみぞれに対して
どれだけ大きな影響を及ぼすのかを希美自身は自覚している。
単に希美が自分の想いを吐露しただけではない。
「みぞれのオーボエが好き」は童話における、
一方的とも思えるリズから青い鳥への
「広い空へと飛び立って欲しい」と言った想いと同じ意味を持っている。

それは、帰り道に希美が「コンクールでみぞれのオーボエを支える」と
言ったことからも分かるし、それに対して、
みぞれが「私もオーボエを続ける」と宣言をしていることからも明らかだ。
しかし、このやりとりはどう考えても違和感がある。
つまり、希美はコンクールの話をしているのに、
みぞれは、コンクール後のことについて語っているからだ。
会話がすれ違っているように聞こえる。
ところが、そうではない。
つまり、ここでは希美が音大に行かず、
フルートを続けなかったとしても、
みぞれは音大に行く決意をしていることを示している。
これは希美の「みぞれのオーボエが好き」に対して
みぞれの出した答えなのだ。

実は原作では、音大を受験するかどうかの話を
みぞれが希美に問い詰めるシーンがあるのだが、
映画では、完全にカットしている。
その代わりに、左右に分かれていく足の方向と
図書館での本の借り出し、楽譜への書き込み、
最後の会話によって表現している。
「みぞれのオーボエが好き」という言葉が
みぞれの背中を押したという、別の意味を持たせているのだ。
そのあとの「ハッピーアイスクリーム」で
ふたりの感覚が足音のリズムとともに、ようやく一致したことを描いている。
また、みぞれが校門を出るときに希美の前を歩いたり、横に並んだりする。
切なさはあるが、やはりこれはハッピーエンドといえるのではないだろうか。

音楽については、フルートが反射する「reflexion, allegretto, you」と
ラストシーンで流れる静かだが心地良いリズム感の「wind,glass,girl」、
そして、字幕の時の「girls.dance,staircase」、
「リズと青い鳥」、Homecomingの「Songbirds」が印象的だ。{/netabare}

コメンタリーを視聴して(2019年2月14日追記)

{netabare}昨年発売された脚本付きBDを購入して、
本編とインタビューは手に入れてすぐに観たのだが、
脚本やコメンタリーは後回しになってしまっていた。
脚本を読んでみると、「リアルな速度の目パチ」など、
とても細かい指示がなされていて驚いた。
目を閉じ切らないまばたきも指示されている。
また、作画については「ガラスの底を覗いたような世界観」という
指南書が配られていたという。
映像では山田尚子監督の意図を確実に実現している。

そしてこの作品には3つの世界観が表現されている。
学校、絵本、そしてみぞれ(希美)の心象風景だ。
絵本は古き良きアニメを再現させるよう
線がとぎれる処理を行っている。
心象風景は、よりイメージ感の強い絵作りを意識したという。
希美が走る水彩画のようなタッチ。
左右対称の滲んだ色の青い鳥など。
これら3つの世界観が上手く活かされていて、
物語に彩りを与えている。

それに加えて、BDで解説を聞かないと気付けないのが、
生物学室のみぞれと希美のシーン。
最初から何段階かに分けて色合いを変化させている。
夕方の時間の経過とともに初めは緑っぽかった室内から
オレンジ系に少しずつ色を変えるのと、
カットごとに順光、逆光でも変化させている。
確かに言われてみて確認すると、
生物学室での色合いはとても繊細だ。

髪を触る仕種については山田尚子監督自らの発案。
曰く、みぞれがそうやりたいと言っていたから。
キャラが監督に下りてきていたそうだ。
また、「ダブル・ルー・リード」も監督のアイデア。
これは映画館で観ていたときから、
洋楽好きな監督が考えたことだろうと予想していたので、
インタビューを観たときは、あまりにもそのままで可笑しかった。
印象に残ったのが、スタッフのいわば暴露話で、
内面を描くよりも映像(ビジュアル)で見せたいと
昔に語っていたことがあったそうだ。
監督は昔の話だと恥ずかしがっていたが、
まさにこの作品はその方向性を貫いたといえるだろう。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 122
ネタバレ

藍緒りん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ふたりということにまつわる衝撃的な傑作。

今までで観た映画のなかで一番か二番か、くらい凄かったです。
少なくとも五本の指には入ります。凄まじかったです。
ほんとうに、見終えてからどんどんもどかしさが膨らんでいくというか、
映画の意味が分かっていくというか、本当に切ないんですよ。

あまり劇場には見に行かないのですが、
山田監督の「たまこラブストーリー」が良かったことと、
本編ユーフォニアムが良かったことから、見に行くことにしました。
予想していたとおりですが、ユーフォニアム感はまったくなかったです。

精神的な意味での甘酸っぱい「青春もの」を求めている方にはぜひお勧めしたいものでした。
というよりも、ほろ苦い、のほうが近かったかな。
ジブリで喩えるならば、
同監督の「映画けいおん」や「たまこラブストーリー」を、宮崎駿っぽい作品だと喩えるならば、
本作は高畑勲っぽい作品だなと思いました。
人間の心の機微やずれなどのテーマを丁寧に描いている作品で、
エンターテインメント映画の性質は弱いと感じました。

以下猛烈にネタバレですので本編をご覧になった方だけ。

{netabare}

 劇場を出てから電車の中で、なんて悲しい終わり方だ、って思いました。
 希美にとって、みぞれは謎だったんですね、何を考えているのか分からない。
 劇中で、希美はふっとみぞれに距離を置いてしまうのに、
 自分が距離を置かれているという感じ方になってしまう。
 相手のことが分からないとき、自分のこともわからなくなってしまう、
 そういう混乱みたいなものがすごく生々しかったです。

 みぞれにとって希美は唯一無二の親友だったわけです。
 でも、希美からしてみればそこまで思われる根拠がない。
 なんとなく気になって、吹奏楽部に誘ってみて、友だちになった。
 するとみるみる上手くなって、置き去りにされちゃった、という感じ。
 分からない存在ではあっても、大親友という感情ではないんですよね。
 後輩に仲良いですよね、って聞かれたときも、
 「たぶん、そうだと思う」としかいえない。
 このときも自分がみぞれのことをちゃんと友達として思っているかさえも、
 曖昧になってしまっている、謎へ向かう時の混乱を感じます。

 関係的にはふたりとも相手のことがわからないんです。
 みぞれからしてみれば、なんで希美ほどの人が自分と仲良くなってくれるのかわからない。
 希美からしてみれば、なんでみぞれは自分のことをそんなに大切に思っているのか、
 それでいて、どうしてあまり感情を出してくれないのか、謎になってしまっている。
 みぞれからしてみれば、向こう側から来てくれた希美に、自分を出すのはすごく怖いんですよ。
 それでも希美はみぞれの謎のなかに、嫉妬が絡まってすごくややこしい感情を抱いている。
 嫌いなところなんてないのに、でもなんとなく遠ざけたい気持ちになる、
 それが「みぞれは私のことを遠ざけてるんじゃないか」っていう違和感になる。
 ほんとうは、自分が遠ざけてるんですけどね。その理由がわからないから相手が遠ざけてるから、っていう理由に逸れてしまう。

 それでも、関係のなかでの自分の立ち位置はちゃんと分かってるんです。
 みぞれは「私は希美にとって友達のうちの一人でしかない」
 希美は「私はみぞれが思っているような人間じゃない」
 それは的確なんですね。それぞれ相手に別の意味で過剰な感情をいだきすぎている。
 それが結局ずれたまま終わるということが、すごく切ないな、と思ったんです。

 でも映画を観てから一晩寝て、やっぱりこの映画はハッピーエンドなんじゃないか、って思い直したんですよ。
 結局この二人はまだ関係の途上にすぎなくて、作中ではけして平行線を辿っていたわけじゃなくて、
 ずれたままとはいえやっぱり距離は縮まっている。
 希美はみぞれに「大好き」っていう明らかな感情をぶつけてもらった。
 みぞれは希美に自分の感情を曲がりなりにも受け入れてもらえたわけです。

 どうして二人があんなにずれてしまっていたのか、自分に精一杯だったんですよね。
 ふたりとも進路提出表を白紙のままで出していましたが、
 関係に詰まっているのより先に、人生に行き詰まっているような状況の中にいた。
 優子や夏紀はそういう点で根本的に安定感があるんですよ。
 だから関係も「ずれ」の中でも、割合すんなり過ごしていくことが出来て、
 優子は人の感情にすごく敏感で、ちゃんと気にかけることができるし、
 夏紀なんか適当なこといって希美を慰めてみたり、
 そういう二人のようにはすんなりいけない素質が、関係以前に希美とみぞれにはあって、
 それがずれていることをひどく残酷なものにしていたような。
 その意味合いで、アニメ版ではなんで優子が部長?って思っていたんですが、
 映画版ではもう完全に部長の器でしたね。

 自分に精一杯だと、関係の中での問題も、全部自分の問題になってしまう。
 希美はみぞれが何を考えているのか、ってことを考える余裕がなくて、
 みぞれは希美が何を考えているのか、って考える余裕がない。

 それでもみぞれは新山先生との「リズと青い鳥」についての対話の中で、
 逆の立場だったらどう思うって聞かれてふっと視線が変わるわけです。
 物語と現実の関係もずれていて、そのまま適用できるようなものではない。
 どちらもリズでも青い鳥でもなくて、ただ相手のことを見る余裕の違いがあると思うんです。
 リズはずっと自己完結ですよね。相手のことを見る余裕はない。
 相手のことを思ってはいるけど、でも自分で勝手に決めて勝手にさよならしちゃう。
 青い鳥にはすごく余裕があるんです。別れるのは嫌なのに、リズがそう決めたなら、って
 ちゃんと受け入れて飛び立って行くんですね。
 みぞれはリズの立場だったら絶対離さないぞってところで演奏に身を入れられなかったけれど、
 青い鳥の立場から、希美が言うんだったら別れだって肯定できるよ、っていうすごい大きな愛を羽ばたかせてあのオーボエの演奏を披露するわけです。
 それでも希美の立場からはいままでは手を抜いたんだ、っていうだけのことになる。
 それでガツンとやられてひとりはぐれてしまうわけです。もう希美とは無理だというような追い詰められかたをする。
 物語の構図を使うならば希美は別れを告げられたのに受け入れられなかった青い鳥なんですよ。
 みぞれは自分こそ青い鳥だという自覚で吹いていたけれど、
 希美の立場からみれば別れを突きつけられてしまったんです。
 そこで何も解けないまま理科室へはぐれてしまう。

 理科室で再会しても希美からしてみれば、みぞれから試練を突きつけられているだけなんですよ。
 わたしは本気を出せばこれだけ吹けるんだよ、と。そこでついて行けないことの罪悪感と恨みとが心の中を巡るわけです。
 それでもみぞれからしてみればあれは「愛の告白」なんですよね。そこが決定的にずれている。
 ずれているけれど、希美が自分で精一杯だってことを受け入れるだけの余裕がみぞれには生まれていたんです。
 大好きのハグ、なんて希美からすれば唐突で、すごくびっくりしていましたよね。
 あれはいままで受動的だったみぞれが希美に対して始めて能動的になるシーンであるとも言えます。
 希美はみぞれが積極的になったことの中にあのオーボエソロの凄まじさも含めて考えることができて、少しみぞれのことが分かったはずだと思うんです。
 それでも根本的には愛の告白は唐突に感じられたでしょうね。
 今まで自分をどう思っているのか分からなかったみぞれから、感情を明らかにしてもらって、それは紛れもなく嬉しかったと思います。
 それでも希美の頭の中にはやっぱり「みぞれのオーボエ」が残り続けていた。
 「みぞれのオーボエが好き」って漏らしたのは、作中では「希美のフルートが好き」って言ってもらうための呼び水として漏らしたわけですが、
 どちらにしろあのシーンでの希美の返答はそれしか考えられない。みぞれのオーボエの演奏が凄いという事実を受け入れることだけが、希美にとっては愛の告白でありえたんですから。
 その意味でみぞれは希美の愛の告白に応えなかったわけですよね。そこで散々ずれていたお互いの関係が一致したところで決まった、つまり両方があのシーンで「失恋した」ってことだと思うんです。

 ラストシーンではみぞれが「ハッピーアイスクリーム」なんて言って、今まででは考えられなかった積極性を見せるわけですよね。
 それでも希美は「アイスクリーム食べたいの?」なんて誤解をしている。
 普通「ハッピーアイスクリーム」なんて言われたら「え?なにそれ?」ってなりますよね。
 まだ理科室での唐突な告白も希美にとって謎の中にあるし、希美にとってみぞれは未だ「不思議」な存在のままなんです。
 それでもみぞれは笑ってみせる。はじめて観たときは、その笑いが二人の誤解を象徴しているものだとおもって残酷だとおもったんですが、
 それはみぞれが希美の誤解を受け入れている、分かっていることの笑いだと思うようになりました。
 それならやっぱり二人はこれから仲良くなれるんじゃないかという希望の描写だと思うんですよね。
 というのが大まかなこのストーリーの自分の解釈で、大まかには捉えられてるつもりです。
 それでもインタビューで述べられているような「互いに素」であるような決定的なずれというよりも、
 自分に必死であることが生んだずれで、もしそういう必死さがなくなったところであれば、
 ふたりはもう少し一致できるような気がします。
 
 リズと青い鳥のことを希美は結末はハッピーエンドだと思うと言って、
 そのことをみぞれはすごく気にするんですが、
 希美は子供の頃読んだ童話のひとつとして、そこまで切実に考えていないんですよね。
 他にもたとえば希美は「一緒に音大行こう」なんて言ってないのに、
 優子に「音大行こうって言っといて辞めるって何!?」と責められる。
 そして希美もそれを否定しない、そういう過去が曖昧なものになっていく感じとか、
 そういうずれの描き方が、格段にすごいと思いました。
 上にも書きましたが、自分で相手を避けておいて、
 相手が自分を避けてるんじゃないかって思う感覚とか、
 人のせいにするってわけじゃないけど、自分の感情も曖昧になってくるんですよね。
 そういうことの描き方の濃度が異常なほど高いと思いました。

 さりげない描写でかつ印象深いシーンが多いのがアニメシリーズもそうでしたが、特徴だと思います。
 フルートが照り返す光に気がついて笑ったりするシーン、
 ああいうシーン描かれるとそれがあまりにさりげなすぎて泣けますよ。
 あのシーンだけでももう大傑作ですよ。
 あらすじじゃもはや語れないんですよね。細部が充ちているという感じがすごいです。

 もうひとつだけ、黄前久美子ちゃんと高坂麗奈ちゃん、ほとんど出てこなかったですが、
 二人でセッションしているあのシーンはほんとやばかったですね。最高だったです。
 ほんとうにあの二人はかわいい。自分たちの世界を作り上げている。
 普通に考えて先輩がうまくいかないパートを堂々と部室の裏で吹くなんてあてつけ、
 あまりに性格悪いですよ。
 みぞれと希美もやっぱりちょっとむっとしてますし。
 でも許されるようなところがある。
 あの二人はつんけんしているところもあるけど、基本的に人間が好きなんですよ。
 その愛情が感じられるからこそ、多少きついことを言っても受け入れられる、
 つまり周囲から信頼されている、その感じがたまらなく可愛いし、羨ましいですよ。
 キャラクターとして最高です。ほんと。

 終わります。

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

68.7 3 ギクシャクで嫉妬なアニメランキング3位
宇宙のステルヴィア(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (305)
1668人が棚に入れました
西暦2167年、地球はみずへび座ベータ星の超新星爆発によって引き起こされた強力な電磁パルスと放射線によって壊滅的な打撃を受けた。だが人類はそこから見違えるほどの復興を遂げた。そして、かつての災厄より189年後に訪れるとわかっていた第2の災厄、すなわち超新星よりの衝撃波の到来に対し、全人類を挙げての防御体制を築き上げていったのである。
そして2356年。遂に衝撃波セカンドウェーブが太陽系に到達しようとしていたその年、人類の生活圏を守る大計画グレート・ミッションのため作られたファウンデーション(宇宙ステーション)の1つ「ステルヴィア」内の宇宙学園に主人公たちが入学するところから本作は始まる。


声優・キャラクター
野中藍、水島大宙、松岡由貴、折笠富美子、田中理恵、斎賀みつき、うえだゆうじ、陶山章央、広橋涼、豊口めぐみ、岸尾だいすけ、檜山修之、進藤尚美、藤原啓治、堀勝之祐、田中正彦、根谷美智子、屋良有作、小杉十郎太、笠原留美、朴璐美

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

心地よい余韻に浸れるアニメ…

はっきりとした色使いのアニメだなぁ…この作品の第1印象はこんな感じでした。
作画もキャラデザも嫌いじゃなかったこの作品の視聴を後押ししてくれたのが野中藍さんの初主演作品だった事です。
野中さんの愛称である「あいぽん」もこの作品の主人公である「しーぽん」が由来になっている事からもお互いに結びつきを強く感じます。

この作品の物語の舞台は西暦2356年…約189年前に地球はみずへび座ベータ星の超新星爆発によって壊滅的な打撃を受けました。
そしてその超新星爆発から189年後の今年…セカンドウェーブと呼ばれる衝撃波が太陽系に向かって到達しており、全人類は総出で未曾有の危機に対処を進めていたのです。

人類はセカンドウェーブに対処すべく宇宙ステーションの一つであるファウンデーションを建設していたのですが、この物語はそのファウンデーションの一つであるステルヴィアにある宇宙学園に新入学制が入学してくるところから始まります。

ここで入学してきた新入生の一人が片瀬志麻…通称しーぽんと呼ばれる女の子…
彼女は宇宙パイロットを夢見てこの学校に入学してきたのですが、最初のうちの成績はほぼ底辺…
それでも色んな人々との触れ合いの中から学び…知って…そして成長していく様が描かれています。

この作品…兎にも角にもしーぽんが輝いている作品だと思います。
顔は可愛らしいですが、スタイルは人並み…口数は多くないのですが時折テコでも自分の考えを曲げない頑固親父の様な一面を持っていて…
人に相談する事は決してなく口を開く時にはもう自分の中で決定している事を告げるだけ…
何より人に対して素直になれない意地っ張り…

こんな風に彼女の性格だけを列記すると、あまり良いところが見当たりません。
それでも彼女は輝いているんです…

それじゃ何が彼女をそんなに輝かせるのか…
それはいつも一生懸命頑張っているから…

必死で考えて…誰よりもたくさん計算して…
負けた時には悔しいといってポロポロ泣いて…
大切な人と同じ目線で物事を見るために歯を食いしばって頑張って…
有事の時には自分の事など厭わず身を挺する事のできる彼女…
そんな彼女の一生懸命に何度も胸を打たれて…何度も涙で前が見えなりました。

間違いなくしーぽんは良い子だと思います。
でもこの作品の良い子はしーぽんだけではありません。
しーぽんを取り巻く同じ予科生の仲間たち…
みんなの立ち位置が抜群なんです。

同じ予科生…という事は仲間であると同時にライバルでもある訳です。
特にこのステルヴィアでは成績の優秀な人とそうでない人との格差がどんどん開いていくんです。
優秀な人は学生であるにも関わらず大切なミッションに参加させて貰えるのですが、そんな選ばれる人間はほんの一握りだけ…
難しい授業にも厳しい訓練にも耐えられるのはそのほんの一握りになりたいから…

でも人って気付いてしまうんですよね…
どうしても越えられない壁がある事に…
どんなに頑張っても絶対追いつけない人がいるって事に…
もう心の中はグチャグチャです…

確かに予科生の仲間同士…全てが順風満帆ではありませんでした。
でもここで彼らはまた気付く事になるのです…
仲間の存在が何より大切である事に…

この作品で繰り返し使われた台詞も印象的でした。
「自分にできる事をやるだけ…」
「ここを次に世代に残すのは我々大人の役目…」
しっかりと見据えるべき物事が眼中に入った台詞だと思います。

この作品は2003年に放送されたものなので、もう14年も前の作品ですがそんな古さを微塵も感じさせない作品だたと思います。
SFというジャンルの好きな方…或いは好みの声優さんが出演されているなら是非チェックして頂きたい作品だと思います。

オープニングテーマは、「明日へのbrilliant road」
エンディングテーマは、「綺麗な夜空」「The end of the world」「Dear my best friend」
全てangelaさんが歌っています。
この作品のオープニングを始めて聴いた時、恰好良すぎて鳥肌が立っちゃいました。
挿入歌としても使用されているのですが、この曲が流れた途端テンションも上がりまくりでした。
絶対に覚えたい曲です。

2クール26話の作品でした。
物語としては綺麗に纏まっていたと思いますが続編があってもおかしくない
展開だったと思います。
この作品もしっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15
ネタバレ

ガムンダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

リトル アストロ アカデミア

22世紀半ば過ぎた頃、人類は太陽系に進出し、予測された超新星爆発による宇宙風に備える為「ファウンデーション」と呼ばれる宇宙ステーションを多数運用していた。
ファンデーションにはそこで働く職員を養成する為の学校があり、その予科生に進学した主人公と仲間たちのお話。
SF(風)設定の、学園もの、恋愛もの、成長もの、と言ったところです。
尚、戦争ものではありません。


結論から書くと、惜しい!
SF考証が甘い。学園ものとしても甘い。シナリオが甘ーい!!
企画として良かったのに詰め切れなかった印象です。

【SFとして】
「ファウンデーション」とかもろアシモフだし、全体にハインラインの「宇宙の戦士」にも似てますし、作者はSF好きなのかな?
にしては宇宙で起こる現象が全然リアリティがありません。
{netabare} まずおよそ200年前(丁度現代ごろ)超新星爆発による宇宙線で地球は壊滅的な影響を受けたんだそうで、そこから予測された第2波に備えるのが前半の話なんですが、第2波は宇宙線のみならず、物理的に隕石も多数飛来するそうです。
まず超新星爆発したのがどの星なのか言及ありませんが、太陽に最も近い恒星アルファ・ケンタウリですら、近いと言っても4光年離れています。
そこから何かが放射されてこの密度で降り注ぐって…有り得ないですよね。

第2波処理の「グレートミッション」を概ね計画通り成功させたファウンデーションですが、今度は土星付近に謎の脅威が現れこれが後半のストーリーとなりますが、これが科学考証が全っ然で、対処として一体何をやっているのかが全く分からないので入り込めないんです。

クラークの名著「宇宙の旅」シリーズは科学現象としての宇宙航海と、未知の脅威への対処を楽しむ作品ですが、それは科学的に合理的だから読んでいて楽しいんです。

「ステルヴィア」はそこの所全然及びません。
結局謎の宇宙蝉の正体も不明なままですし、
子供騙しのオカルト現象を描いているだけです。 {/netabare}

まあシンプルに「SFビッグ3」に迫る力量あるアニメ作家などそうそう居ないって事なんでしょうね。残念ながら。


【学園ものとして】
前半はまぁまぁ良かったが全体としてまず凡庸。
それからミッションに私情を持ち込むな!(笑)
{netabare}後半は酷いもんです。
主人公女子と彼氏くんに人類の存亡がかかりますが、そんなストーリーにしなくても良かったと思うんです。
正直地球人類のトップ2がコレかよ!と嘆きたくなります。
2人とも個人の悩みで任務に支障を来しています。
結果的に乗り越えたし、そういう成長ものなんでしょうが、高校生と言うより小学生みたいでした。
話し合おうとするたんびに「もうほっといて!」とか言いながら走り去るの何回やるねん。
ガンダムもそうですが、お子様に人類の命運背負わすのやめて欲しい。
{/netabare}

キャラ評価4にしましたが、これは実際居そうな深みのあるキャラを多数配置してくれた事への評価で、正直ウザキャラが多めでした。


訓練生が成り行きで活躍しちゃう似たストーリーに「ストラトス4」がありますが、そちらの方が成り行きに説得力がありますし、活躍の度合いや任務に注ぐ情熱の点で見応えがあります。
キャラもサバサバしてて魅力的ですし、ビジュアルも迫力ありました。
まだでしたらコレより先にそちらをお勧めします。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

ぽぽたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

旧作の魅力を話したい(長文)

野中藍さんの出世作
舌足らずな独特な声は幼さのなかに芯がありますよね
あいぽん演じる片瀬志麻とその仲間たちが、助け合いときにぶつかって
宇宙規模の災害にむかっていく壮大なストーリーでした

今後視聴される方のために
舞台設定についてかみくだいて記します

地球圏からはるか遠くで星が爆発。
その爆発衝撃波が地球に到達して過去に壊滅的被害をもたらします
しかしこの災害はおわっておらず
爆発の第2波がくることが観測されており
対策として地球圏にバリアを建設しております
そのバリアのメンテナンスや、バリア通過した隕石の回収をする人材育成施設が
ファウンデーションと呼ばれる宇宙ステーションにあるんです

ステルヴィアとは第2ファウンデーションのなまえです。
西暦2356年のお話なのですが途方もない未来というより
生活の描写からごくごく先の未来の物語の印象をうけます。

では見所について語ります
まずはキャラクターの魅力
脇役が光る作品です。名作とされる条件は脇役が個性的であること
脇役の心理描写がしっかりなされていることが必須かなって考えております

主人公志麻の親友4にん
志麻の理解者であり、ステルヴィア入所から一緒のアリサ
ほんわかした人柄ながらくらい影のあるやよい
ツンデレ担当優等生ながら努力の人晶

ふだんは仲良くたわむれているんですが心に秘める
「嫉妬」「焦り」「不安」「孤独感」などがしっかり描写されています
高まった感情をぶつけあって喧嘩に発展することもありますが
罵りあえる仲間こそ本物の仲間であろうし
そして彼女たちのわだかまりが解消されて
真のともだちになって行く姿に感動を覚えます

学生を見守る側である教官のおとなたちも味があります
大人が重要な役どころである点はポイント高いです
やるときはやるって大人らしい姿にしびれます
子供しかでないアニメだとどうしても出せない味ってありますよね

ストーリーの魅力
登場人物が同じ目的にむかっていますので
一本道なシナリオで破綻がないんです
主題としてあるのが少女達の成長を描くことでありますので
別の方向をみていた子たちの心が一つになってく過程が
ストーリーをなぞりながら伝わってきます
結末をうやむやに終わらせず納得のできる〆かたにしたのも
気持ちよいですね

ものたりない点
①キャラデザは正直太いな・・・って肉感的ともいえるのでしょうか
丸顔で首もふとい。萌え絵の部類ですが
SFアニメなので、求めるところが違うんでしょうか

②最大の見せ場で迫力に欠ける
史上最悪の災害に立ち向かう過程の描きかたは手にあせにぎるんです
確実性にかける高出力レーザーに最後をたくして
それを発射。
まっすぐ飛んでいって
命中。消滅

こういうシーンって一回回想いれたり
お願いって祈ったりしてたりするメインキャラのカットとか普通
いれませんか?
だらだらひっぱるのもどうかと思いますが
あっけないのもさみしいのです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
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