ジャンプ作品で家族なおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのジャンプ作品で家族な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月17日の時点で一番のジャンプ作品で家族なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.0 1 ジャンプ作品で家族なアニメランキング1位
SPY×FAMILY 第2クール(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (498)
1828人が棚に入れました
人はみな 誰にも見せぬ自分を 持っている―― 世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。 東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)は、十数年間にわたる冷戦状態にあった。 西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉所属である凄腕スパイの〈黄昏(たそがれ)〉は、東西平和を脅かす危険人物、東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため、ある極秘任務を課せられる。 その名も、オペレーション〈梟(ストリクス)〉。 内容は、“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入せよ”。 〈黄昏(たそがれ)〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作ることに。 だが、彼が出会った娘・アーニャは心を読むことができる超能力者、妻・ヨルは殺し屋だった! 3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。 ハプニング連続の仮初めの家族に、世界の平和は託された――。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

たのしいアニメあざざます!

原作コミックは7巻まで購読中。

【物語 4.0点】
前半1クール目はアーニャのキャラ受けに全てを賭けた構成。
アーニャ回は1パート分のエピソードもアニオリ演出も追加し1話分に長尺化。
原作ではアーニャも、もう少しマスコット、コメディリリーフ寄りのポジションとの印象でしたが、
アニメでは作品の顔として前面に押し出し、シリーズ成功の地歩を固める。

対して後半2クール目に入ると、二本立ての回も交えて、他キャラも掘り下げ。
家族の運営、学園生活攻略に苦慮するプロのスパイたちを笑う日常キャラアニメとして、軟着陸を目指す。
とは言え、{netabare}ロイド&フィオナの地下テニス回{/netabare}などアーニャメインじゃない話でも、アーニャの出番は必ず用意。
1週1アーニャ。ウリの供給は怠りません。


せっかくの本格的な東西対立構造の世界観。
もっとビシッとスパイ、アクション決めてくれという要望もごもっとも。

ただ、フォージャー家はまだまだ任務のための、かりそめの家族の感が強い私。
誰もがフォージャー家の日常こそが真実と安心しきった所で、
有事へのシナリオ転回や、家族を破壊する暗殺指令などの導火線に火をつければ、一層良い味が出るはず。
この観点から見れば、この日常も退屈ではなく、着実な伏線の積み重ねだと感じます。

あんまり急かしちゃもったいない。
だって私もまだまだ可愛いアーニャちゃんやイヌさんたちと戯れていたいしw
{netabare}ボンドの上で寝落ちしたアーニャ。{/netabare}これは間違いなく天使です。


【作画 4.0点】
キャラを引き立てる演出が得意なCloverWorks。
描き込みの作画カロリーが豊富なWIT STUDIO。
必勝タブルスのコンビネーションにより、
中毒性の高いアーニャの顔芸と、迫力のアクションたまにスポーツの両立が実現。


OP・荒木 哲郎氏&ED・平尾 隆之氏。
一線級のアニメーターが絵コンテ・演出を手掛けた主題歌アニメーション。
フォージャー家の団らんに向けて家族3人+1匹と料理が踊る映像もワクワク。
MISSION:16{netabare}「ヨル's キッチン」のヨルさん&毒味係?{/netabare}の苦闘を経た後だと、また違った味わいが出てきます。


【キャラ 4.5点】
独特の幼児語や、人間の心の闇も含むエスパー解説&リアクション芸で作品を制圧したアーニャ。

アーニャを愛でているとつい忘れそうになりますが、
東西戦争回避のための極秘任務「オペレーション梟(ストリクス)」で、
偽装家族による重要人物への継続的関係の構築を主導する主人公は一応ロイド・フォージャー。

さらにこれも忘れそうになりますが、ロイドさんは姓だけじゃなく名も偽名。
エージェント〈黄昏〉(たそがれ)の出自は謎に包まれ、心が読めるアーニャでも読み切れず。
ロイドの過去は関連するサブキャラ回で断片が示されるのみ。
偽りの家族を真実にする上で、本性を幾重にも覆い隠すロイドの演技力は一番の難関になり得る。

こうなると展開の起点として期待できそうなのは妻役の暗殺者ヨルさんでしょうか。
後半2クール目は自分に良妻役が務まるのか悩むヨルの掘り下げを通じた、
フォージャー家の真実味の深化に力点が置かれた面もありました。

ヨルさんも、これまで数多のアサシンが苦悩してきた裏表の顔の使い分けを、天然で済ませてしまう凄いお方w
ですが、ロイドと旧知でヤンデレな?妻役乗っ取り志望のフィオナさん、
管理官(ハンドラー)のシルヴィアさんと、諜報組織・WISEは濃い女キャラばかり。
ヨルさんでも油断すると埋没してロイドさんを奪われかねませんw

このある種の緊張関係?もヨルさんとフォージャー家の試練として機能していたと思います。


【声優 4.5点】
アーニャ役・種崎 敦美さんによる、読心術に裏打ちされたわざとらしい棒読みによる子供のフリなど、
緩急も交えた中毒ボイスは言うまでもなく。

エージェント〈夜帷〉(とばり)ことフィオナ・フロスト役の佐倉 綾音さん。
「すぅ――きぃ―――♡」の怪演も期待通り?でしたw

アーニャの日常と能力を未来予知により拡張したイヌさんのボンド・フォージャー役はナレーション・松田 健一郎さんが兼任。
巨体に似つかわしい、野太く、こもった鳴き声でモフモフ感アップに貢献し、こちらも期待通り。

こもり声で緊迫感をもたらしたのはエージェント〈黄昏〉の標的ドノバン・デズモンド役の土師 孝也さん。
つい最近まで『ダイの大冒険』大魔王バーン役でも場を曇らせていた悪役。
終盤。ロイド役・江口 拓也さんとの、顔の皮が分厚い者同士の腹の探り合いは、
ゆるい日常の中でも忘れちゃいけない戦争の火種を想起。


【音楽 3.5点】
音楽プロデュースは制作ユニット・(K)NoW_NAME(ノウネイム)
サックスが咆哮する一級品のスパイBGMやアクション挿入歌等も提供するが、出番は少な目。
むしろ、とぼけたスパイBGMの笛の音程が外れる「Crisis of my home」などコメディ曲の方が重宝。
(K)NoW_NAMEの無駄遣い感がある内はせかいはへいわw

OP主題歌・BUMP OF CHICKEN「SOUVENIR」
ED主題歌・yama「色彩」
時に痛切な青春ソング等で心をえぐって来る両アーティストも、作品の日常感を受け息抜きムード。
正直この歌い手なら、もっと刺しに来て欲しいという願望はありますが、
せかいはへいわだから、これもこれで良いのでしょうか。


【付記】
2023年。TVアニメ2期放送&劇場版制作も決定した本シリーズ。

2期については引き続き家族の価値を高める日常の醸成を。
アニオリになる劇場版についてはスクリーン映えするアクションにより、
もっとスパイをとの声に応えるガス抜きエンタメ作でたのしいおでけけを。
今年も顔とメディアを使い分けるスパイ✕日常の益々のコンテンツ繁栄を期待しております。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 36

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

フォージャー家の日常

【感想】
アーニャがかわいくて最高でした!
EDアニメのはしゃいでいるアーニャかわいすぎ!

メインストーリーはほぼ動きがなくてフォージャー家の日常が中心になっていてますますホームコメディ色が強くなりました
ほっこりするエピソードが多くて安心して見ていられるけど、2話にわたって長々引っ張った面白くないテニス回やデズモンドへの復讐のエピソードなど微妙な回もいくつか見られ、話がほとんど先に進んでないのが残念

テニス回はとばりさんの紹介がメインで八百長テニスなんてただのスパイスなので試合はもっとあっさり終わらせて良かったと思います

ロイドさんも2クール目でだいぶ好きになりました
アーニャが作品の顔なのは変わらないけど、ロイドさんのカッコ良さがしっかり描けていたのが良かった

かなり進行はゆっくりでじっくりホームコメディを楽しめてとてもいいですが、話がほとんど進まないのが退屈な人もいそう
主題歌は一期に続いてOPもEDもとてもいいですね、OPアニメEDアニメが楽しいので毎回飛ばさずにじっくり堪能してました

【好きなエピソード】
ボンドとの出会い、ペンギンのエピソード、ヨルさんのお料理、テスト勉強、忘れ物を届けるエピソード、お買い物回が好きです。

特にいいエピソードはどれもアーニャやヨルさんが話の中心でした

【キャラクター】
みんないい感じでした。
フォージャー家以外のキャラクターは出番が多すぎるとくどいキャラクター多いけどちょっと出てくるだけならすごくいいキャラクターが多いですねー
トバリはテニス回が微妙だったけど今後はいい感じに盛り上げてくれそうです

デズモンドさん得体が知れなくて怖いけど、こういうキャラクターもいないと話が締まらないので、これからどう活躍するのか楽しみです!

投稿 : 2024/05/11
♥ : 36

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ヨルさん、凄すぎ!

どんなスピードでテニスラケットを振っても、インパクトでボールが賽の目に切れることはないと思います…。

オペレーション<ストリクス>とそれに従事するロイド・フォージャーという設定はありますが、基本的にはコメディーを見せるための舞台装置でしかありません。

そもそも東ドイツをモデルにしているっぽいオスタニアですが、名門イーデン校があったり財界がけっこう大きな力を持っていそうだったりと、真面目に考え出すと謎な設定になっています。

ということで真面目な「スパイ物」と考えずにエンターテインメント的なコメディー寄りのアニメと思って観た方が良いのでしょう。

続編制作がアナウンスされているので、ここまでさほど活躍がなかったヨルさんの弟ユーリの活躍に期待しましょう!

とはいえ、「アーニャ役の種﨑敦美さんの演技が凄いよなあ」などと思いつつ惰性で観ているようなところも多くてそんなにハマって観ているわけではないかも…。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 35

69.2 2 ジャンプ作品で家族なアニメランキング2位
約束のネバーランド(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (413)
1573人が棚に入れました
「約束のネバーランド」は、白井カイウさん原作、出水ぽすかさん作画による、「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)にて連載中の人気マンガを原作としたアニメ作品。「週刊少年ジャンプ」28号(2020年6月15日発売)にて完結。コミックス1巻(2016年12月2日発売)から20巻(2020年10月2日発売)までの全世界での累計発行部数は2,500万部以上。第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門2位や、宝島社「このマンガがすごい! 2018」オトコ編1位など、国内の数々のマンガ賞を受賞。TVアニメ化に際し監督は神戸 守さん、シリーズ構成は大野敏哉さん、キャラクターデザインは嶋田和晃さん、音楽は小畑貴裕さん、アニメーション制作は、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」「PERSONA5 the Animation」のCloverWorksが担当する。

声優・キャラクター
諸星すみれ、茅野愛衣、林鼓子、伊瀬茉莉也、日野まり、久遠エリサ、植木慎英、森優子、白城なお、Lynn、青山吉能、神尾晋一郎、石上静香、河野ひより、種﨑敦美
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

姑息な俺は連れて行かないだろう

原作未読 続きもの全11話

鳥籠の鳥が籠を出てから、もとい牛舎の牛が鎖を断ち切り外へ飛び出してからを辿る第2期。
1期は自身クールトップ評価かつ滅多に出さない4.5点と非常に高く評価をしてます。
その際「農園出るまでがピークだよん」の声もあったりで冷静に期待値は控えめで迎えた今回の2期。
籠やら牛舎の中と外と舞台が変わるのに合わせて物語がどんな変化を見せるのか期待というより不安が先行してました。

だからでしょうか。評点は大幅に下げますがそれなりに楽しめた私。
「愛してたのに裏切ったわね?」の気分無きにしもあらずとはいえ許容範囲内に収まった感ありです。
そのへん後述するとしてダメだったとこ↓

構成ですね。全11話・短尺・駆け足・端折り過ぎでした。
やや外野の話。10話までシリーズ構成を原作者の白井カイウ氏が担当。なんで最終話やらんの?で邪推がはかどりそうです。
原作未読のためアニオリどうこうには無頓着ながらそれでも説明不足と感じろところ多々。ただしそれは最終盤に顕著だっただけで、それまではややご都合はあって好き嫌いあるかもねぐらいのレベル。
最終話至る前にやや好意的な評価を固めていたこともあって、飛ばし過ぎスピード違反の最終盤に戸惑いつつもまあこれはこれでいっかぁという感想です。

さてこれからの方に向けたおすすめポイントをば。
ヴィルク(CV上田敏也)なるアニオリキャラクターの醸し出す雰囲気がすこぶるよかったです。あの「小鬼だ…小鬼がおる」で有名な『ラピュタ』のポムじいさん感抜群で常田富士男さんが蘇ったかのよう。中の人上田さんも御年88歳と凄味が伝わる演技でした。
良くも悪くもトータル2クールで完結(たぶん)する手に取りやすいパッケージであることと、やや斜め上から見た「努力・友情・勝利」を楽しめる作品になってると思いますよ。

 

※ネタバレ所感

ここからあえて褒めるターン

■ベストセラー確約

『マム・イザベラの頭脳明晰/強い意志を持つ子供の育て方』

育児本出したら売れそうです。特に日本で。
{netabare}良い意味で引っかかったのは彼女の孤独。子供たちそっちのけで彼女の半生に想いを馳せると目から汗がでてきそう。
エマたちと違って仲間がおらず悲しみも苦悩も一人で受け止めるしかなかった彼女。友がいるからこそ乗り越えられる少年少女らのジャンプらしい“友情”を前に出しながら、むしろ一人で抱えてなお意志を貫いた大人の彼女に亡き友や息子(たぶんレイね)へ抱く強い愛を感じる。他のマムも同様に一人一人がイザベラだったことも想像に難くない。
やや駄々っ子、もはや鬱陶しさすら感じるエマの子供っぽさよりも深みのある情と聡明さを感じる傑出キャラでした。
最終話では“なぜそうしたの?”の説明は省かれてます。私は“そこまでしてでも守りたい一線だったのね”という角度から捉えております。{/netabare}


■エマへ相反する評価

{netabare}「今、日本の会社は、みんな失業者をかかえとるのや。私どもでも一万人は遊んでいる」

松下幸之助の弁。従業員を家族のように扱っていた在りし日の経営者の考え方がよくわかる一言です。
エマの選択で思い出したのがこれ。稼ぎ頭の幹部候補生がノーマンやレイなら平凡なサブリーダークラスがドンやギルダ。遊んでいる社員はちびっ子たち。
実際私だったらレイが言ってたちびっ子たち切り捨て案に乗るんだと思います。効率/生産性や利益確保を考えての合理的判断ってやつです。
しかしながら自身も就職氷河期世代の身。いまさら氷河期世代のリーダークラスいないって言われてもそこを育ててこなかったのお前らじゃん(怒)ってルサンチマンは正直あるんですね。
はっきり言ってエマは理想主義過ぎるのと、掲げる以上提示してほしい具体案に乏しいので苦手です。むしろ嫌いなタイプといってよい。
それでも理想と情熱が合理的判断の壁を越え良い結果をもたらすってのは匙加減間違えなければ大丈夫なわけでして、本作についてはOK組。なにもしないで転がり込んだ幸運ではなく、意思をもって動いたことで幸運の女神が微笑んだものと捉えてます。{/netabare}

お花畑と紙一重なのが悩ましいところですね。ここの線引きは“当事者として振る舞ってるか?”で分けてます。たとえ主義主張が真逆でもケツを拭く覚悟があればついていくのも選択肢。


■そう簡単ではない

なにが正義でなにが悪かわからなくなるモチーフは物語に深みを与えるものです。
こちら二方面から迫っていて良かったですね。

:其の一 正義を標榜し残酷をなす
{netabare}十字軍なんかそうですけど、正義を掲げた時に人は最も残酷になりやすいとか。
ノーマンプランは薬を利用した民族浄化計画でした。
ラートリー弟は品種改良しての食用児大量生産/供給を企ててました。
なかなかの鬼畜の所業。対立する立場の双方えげつないことやってる描写はもちろん、随所で“正義を標榜する”セリフを両陣営に散りばめてました。筋を通してます。{/netabare}

:其の二 主従の逆転
{netabare}圧倒的な人<鬼の格差社会かと思ってたところへの貧しき鬼たちの登場はファインプレーでした。
農園を頂点としたヒエラルキーの存在。上位に位置する人間(ラートリー家のことね)もいれば、そんなとこからのわずかな供給にすがる貧しい鬼たちがいるという仕組み。そしてその仕組みを維持するために汲々とする既得権者としてのわずかな人間。
搾取する側に抵抗する民衆の構図って一歩間違えると赤に染まるわけですが、ここでは善悪の逆転、主従の逆転、そして価値の逆転を提示されて得た驚きを評価したく。{/netabare}

とってつけた“人間が悪い”はむしろ浅さが悪目立ちして逆効果になるところをそうならずに、ここだけはきちんと時間かけて描いてたと思います。


■いやこれ異世界っしょ?

{netabare}同じ地球上で全く異なる価値観をもった世界(文化圏)が棲み分けできてるって…ありえないよね(笑)
最終話のネタバレになるのでさらに閉じます↓
{netabare}現代の超高層ビルが立ち並ぶ人間の世界{/netabare}

大航海時代とかやるメンタリティを持つ欧米列強だったり、版図拡大に余念のないCHINAが鬼の世界をほっとくわけないです。軍事格差すなわち力の不均衡が生じた時に軍事衝突起こるもので、こちら人間を捕食する危険な生命体をほっとく理由がありません。つい数年前の協定を破る同じ生命体が近くにいるくらいなのに1000年前の約束?なんて律義に守ったりはしませんよ。ただしそこにツッコミ入れるのは本意ではありません。{/netabare}

{netabare}エマらの人間世界への憧憬に楔を入れるラートリーが吐き捨てたひと言。

「だって人間同士で残酷なことやってきたんだぜ?」

そこから間もなく場面が現代に飛んだところが示唆に富むメッセージだったんじゃないでしょうか。
火が垂れると書いてホタルと読む某映画の演出同様、なんか問いかけてないかなー?って思うのです。
ま、繰り返しになりますけど、そうだと説明する箇所がほぼないのが玉に瑕です。いやここまで挙げてきたあれやこれやも説明ないですからね。いち視聴者の妄想の域を出てないとご承知おきください。{/netabare}



さて実写版が公開されます。演じるは現在二十歳の女優さん。大人の事情は考慮するにせよ現実問題として演じられるローティーンの役者を揃えるのは不可能です。
そんなえげつない制約はアニメはないはずでして尺がないならないでなんとかやりようはあったでしょう。これしっかり拾ってたらというのはもちろんありますが、足りない尺での取捨選択においてギリ伝わってくるものがあったので私は良しとします。



■最後にもう一点

インド洋に北センチネル島っちゅう、上陸を試みるとそこの部族に殺されちゃう島があります。近接するインド含め現在この島はノータッチ状態になってます。もちろんかの部族も外には出てこない。この物語もそんな感じと思えばいいのかしら。

{netabare}たしかちょい前にアメリカの宣教師がここに渡って消息を絶ちまして、渡航理由聞かれて「ここはサタンの最後の砦」と答えたそう。
この感覚を多くの日本人には理解しづらい。ほっときゃいいじゃんとつい思ってしまいます。

作品に戻って、鬼が人を食わなくてもよいように数年現地に残って奮闘したエマたちって、みかたを変えれば史実のピサロ/コルテスみたいなコンキスタドレスと変わらんし、いくらしんどかろうがラートリー家は秩序を保つ役割を果たしていたわけでして、どうにもこうにも立ち位置の違いで異なる正義の落としどころって答えがないのよね。といつもながら思ってしまうのです。{/netabare}



視聴時期:2021年1月~3月 リアタイ視聴

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2021.04.03 初稿
2022.01.30 タイトル修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 49
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

すべるバー

CLOVERWORKS制作。

自由は尊い、美しい、そして厳しい。
農園からの脱出と逃走、
ミネルバの暗号に導かれて、
子供たちは鬼の住む夜の森を駆け抜ける。

世界の成り立ちが早々に開示され、
分断された世界の輪郭が覗き始める。
{netabare}人を食用として家畜化する文化は、
もう随分と長い歴史を持つらしいが、
子供たちはまだ望みを捨てず、{/netabare}
人だけが暮らす理想郷に思いを馳せる。

ミネルヴァ探訪編、
個人の感想に過ぎないのですが、
おそらくピークは1期にあると思う。
さてどうなることでしょうか。

全力疾走、夜にすべり込む。
突破口は動いたものにしか微笑まない。

7話視聴追記。
脈々と続く鬼と人との歴史が語られる。
{netabare}知性を得る鬼とその利益、家畜の反乱、
エマの意見には共感が出来ない。{/netabare}

最終話視聴追記。
構成に苦心惨憺なのが良くわかる。
終盤は演出も制限され厳しい展開が続いた。
{netabare}許すこと、受け入れることの尊さが語られ、{/netabare}
ひとまずは形にはしたということでしょう。

世界観が好みなのでこのぐらいで。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 37

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

孤児院から世界へ

アニメーション製作:CloverWorks、監督:神戸守、
シリーズ構成:大野敏哉、白井カイウ
キャラクターデザイン、総作画監督:嶋田和晃
原作:白井カイウ、出水ぽすか

グレイスフィールドハウスから脱出した
エマやレイ一行は、ノーマンが残した
ペンの地図を頼りに救援者がいるであろう目的地に向かう。
その道中で野良鬼に遭遇し、危ういところを
ムジカとソンジュというふたりの鬼に助けられる。
世界の成り立ちについての昔話を鬼から聞いた
エマたち一行は、「鬼の世界」から「人間の世界」への
脱出を試みることが目的となるのだった。

狭い世界で何人もの子供たち、大人たちの
抱える想いを丁寧に描写しつつ、
最後まで、仲間3人の絆と夢を表現した1期。
ラスト2話の展開は圧巻で、1本のお話として、
完璧な締めと思えるほどの高い完成度だった。
それだけに、物語が世界へと広がり、
2期へと続くことに不安があった。
視聴後の感想としては、予想を大きく下回るものだった。

原作未読なので分からないが、
原作者もシリーズ構成に参加させて
ストーリーを大きく変更し、原作組からすると
ほとんど別物の作品になっているようだ。
1期までの緻密で丁寧な描写は微塵も見られず、
エマの理想論を世界でも振りかざすだけの
陳腐なストーリーになってしまった。
新たな登場人物が現れたせいもあり、
レイの役割がほぼなくなり、
エマに追随するモブキャラに近い存在となった。

制作会社のCloverWorksはこの時期に
複数の作品を抱えていたようで、
終盤の作画面も大幅に質を落としてしまい、
より残念感の漂う作品となった。

鬼と人間が二分する世界の設定は面白いと思うが、
孤児院という飼育場から世界へと飛び出したはずが、
展開される物語は、孤児院以下のスケールダウン。
狭い世界でも通用しないような事柄が、
世界規模で簡単に解決していく。
例えるなら、プロットをそのまま物語にした印象。
話の流れはよく分かるが、そういう流れになるための
積み重ねがほとんど描かれていないため、
観ているほうは何の感慨も湧かない。

3人の少年少女たちが子供たちを守る。
そういう構図から始まった物語が、
世界を救うためのものに変化する。
短い話数で視聴者を納得させるためには、
解決させないで終わらせる選択肢のほうが、
まだ説得力があったのではないだろうか。
(2021年4月3日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 37

84.7 3 ジャンプ作品で家族なアニメランキング3位
劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(アニメ映画)

2020年10月16日
★★★★★ 4.1 (566)
2423人が棚に入れました
蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、《無限列車》に到着する。そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く《無限列車》の中で、鬼と立ち向かうのだった。

声優・キャラクター
花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔
ネタバレ

takato さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

◯西先生「まるで成長していない…」。◯◯◯の目にも涙には爆笑。

 いやあ〜笑わせてもらいました、泣かせ演出がクドいなぁ〜と思ってたらまさかのダメ押しにおもわず吹き出しました!。まぁ、笑わせよう?としてるシーンはテレビの頃と変わらずビタ一笑えませんでしたが…。


 今回はシンプルに本作のレビューになります。そして、時間が経ったら外的要因以外の本作のヒットの要因分析をしたいと思います。まぁ、そちらは当て推量もいいとこですので話半分に読んで頂ければ幸いです。


 結論から申し上げると「上手くない」の一言に尽きると思います。別に高度で複雑なことをやれ!とは言いません。単純にエンタメとして、物語という名のジェットスターに乗せて上や下への大興奮をさせるが下手。


 バトルの作画は確かにスピードはあるし、一コマずつ止めても崩れていないんじゃないかってくらい整っています。しかし、バトルにロジックが薄いし、形勢が二転三転したり、こちらの想像の上をいくという点があまりにない。そもそも整ってる作画が良い作画なのか?。バトル作画はそうではあるまい。そこまで大好きじゃないが、同社のHfの方が凄かったような。


 技もエフェクトが凄くなったりするだけで何をしてるのかそもそも分かりづらいし、この技はこうだから相手の上をいった!とかがないので、ひたすらテンションとエフェクトとスピードだけで押している印象で、結果なんか凄いんだろうけどこちらのテンションは全然上下しませんでした…。


 バトルには、敵役が味方と同じかそれ以上に大切ってことが見落とされてるのもテレビと変わってないように思えました。下弦はサディスト、アカザはバトルマニアという類型的な印象を超えるものが何もない。


 夢を扱うキャラなんだから下弦はもっと人間に対して色んな想いや信条を持つキャラにもできたろうし、アカザもバトルマニアなら敵味方を超えた友情のような何かを煉獄さんとの間に築くキャラにもできたろうに…という感じです。例えば、「ジョジョ」のワムウとか、「ジャイアントロボ」の衝撃のアルベルトとか。


 最後もあれじゃあ…格好つかないし、スッキリしない終わり方ではないでしょうか?。前述の衝撃のアルベルトと戴宋の闘いのように、二人は因縁のライバルだが、最後の最後で煉獄さんが決着よりも炭治郎を守ることを優先して…みたいな展開ならグッときましたが…。初対面なのになんでアカザはそんなに煉獄さんに惚れ込んでるの?って感じですし。


 それ以上に本作で問題なのは、キャラ同士の関係性や感情の変化の過程をスッ飛ばし、やたらエモさと勢いだけでなんとかしようとしているところだと思います(キング・クリムゾンかな?)。キャラがやたらエモければこちらもエモくなるわけじゃないので…。


 キャラクターの感情もストーリーも、盛り上げるにはピラミッドを築くように一段ずつ積み上げていく必要があります。ピラミッド作りには建築学が、ひいては数学の基礎が必要ようなように視聴者の感情を動かそうと思ったら心を打つ物語を作るための技術に基づいた丹念な構築が不可欠です。優れた作画も音楽も築き上げた感情の爆発の助けにはなるけど、それがないんじゃ砂上の楼閣である。



 それが、本作では煉獄さんと炭治郎達の間に、更には敵たちとの間でも関係性を十分に築けているとは到底思えません。煉獄さんと、亥之助や善逸や禰豆子の間にどんな絆が出来たというのか?(善逸に至っては普通に出番少な過ぎ)。顔を少し合わせたぐらいで、禰豆子に至っては本作の中で煉獄さんと絡む瞬間すらなかったような…。


 炭治郎も、背中と背中を合わせて共闘したりして、この人の生き様に覚悟に惚れる!みたいな展開がないからやたらメソメソされてもなんで?という感じでノレない…。


この中の話では、炭治郎にとって強くて優しい先輩くらいにしか煉獄さんのことは思えないような…。熱い絆をこちらも感じられれば、そりゃあこちらも泣きますが、あんたら出会ってそんな経ってないし、そんなに心通わせ合う展開なかったやんけ…という。



 百歩譲って炭治郎が泣くのは良いとしても、亥之助、況してや善逸は泣くほど付き合い欠片もねぇだろ!とツッコミたくなる。炭治郎が泣いてるから泣いてるくらいにし見えないんですよねぇ…。



 別に泣き演出が嫌いなわけではないのです。むしろ私は泣き上戸で、好きな作品見てればもれなく泣く方です。ただ、十分なセットアップなしに、泣け!泣け!ってやられてもシラケるだけなんですよねぇ…。 {netabare} その上、まさかカラスの目にも涙って…。そんな演出ねえだろ!とひっくり返って吹き出しました{/netabare}。


 煉獄さんも「大いなる力には、大いなる責任が伴う」みたいな、スパイダーマンで何度も見たような話を回想でお母さんに説教されても…という。それは物語の中で煉獄さんの行動や生き様で見せてきてこそ効いてくるもので、あそこで急に出てきても…。


 その部分もただセリフで言うんじゃなくエピソードや具体的な行動で見せた方は良かったと思いますし。そもそもなんでお母さんは、あんな説教を煉獄さんにしたの?という感じが…。


 他にも、「夢」という能力はいくらでももっと面白いバトル展開(インセプション的な)が出来たろうとか、せっかく眠ってる時に強いという善逸の設定…とか、下弦に協力してた乗客たちをもっとドラマに絡めればいいのにとか、言いたいことは山ほどありますが、最後に一言。


 あたしゃあ、この列車には乗れないねぇ…。


 コロナはやはり拡大傾向でえらいことになりそうですし、子供たちが見たがってるからって映画館に連れていくのは鬼よりずっとヤバイと思います。くわばらくわばら。


 宮台真司さんの本作評は実に良かった。煉獄さんの生き方に関するギリシャ的な倫理の在り方は実に興味深い!。ただ、それが上手に表現出来ているとは思わない。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 73
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

列車と流行は乗るものです

長いものには自ら巻かれにいきます。プライドはありません。


全23巻で完結するだろう原作漫画の7巻ぐらいまでを2クール26話でアニメ化。この劇場版は8巻の内容に相当、TV本編からの続編を意味します。

2期やるならゴールデンタイム放送も荒唐無稽な話ではなく。
しっかりバンダイさんが日輪刀を発売してますし、物販で円盤以外の武器があることは強み。原作が完結しているとはいえ暫く商売にはなりそうです。
そしてこの劇場版。老若男女巻き込んで記録的ヒット中なわけですがなんか様子がおかしい。初見の方が楽しんでるのです。「続編だからTV版観といてね」というわけでもなさそう。整理します。

1.原作を読んでいる。読んでない。
2.アニメを観ている。観てない。
3.観た人はリアタイの頃?それとも最近?

一見さんお断りというわけではないのでそれぞれ立ち位置だけ確認。
自分は原作未読でアニメ視聴済み。かつ公開直前の部分一挙放送でおさらい済み。もしも準備したいなら第21話以降最後までをおさえておくとよいかもしれません。
{netabare}※劇場版メインキャラ:煉獄杏寿郎(CV日野聡)と魘夢(CV平川大輔)が顔出しするのと、無限列車編に向けた先出し情報がけっこう含まれてます。{/netabare}


【社会現象】
様々な角度から分析されてるでしょうから細かくやらんけど、もたらされた興収で一服つけた映画館が数多くあったと聞きます。上映作品の弾数少なくスクリーンに空きができたコロナ禍の特殊事情なんてのを数年後に思い返すことでしょうね。流行り病を鬼の仕業とみなす伝承になぞらえ、経済循環の一翼を担うことで現実世界でも鬼退治してるようなもんに思えました。


そして本編。
冒頭の1カット。え!?実写ですか?というところから始まります。TV版の第1話は、え!?劇場版ですか?という入りだったのでなんとなく既視感みたいなのを感じますね。
美術はTV放映での神回と呼ばれる第19話の気合が最初から最後まで続くと思っていただいてよし。
117分の上映時間のうち一部を除いて列車の中での出来事です。殺陣や空間を使った演出など狭い列車空間ではスケールダウンするかもという不安は杞憂となってます。梶浦由記さんの劇伴も物語を盛り上げ、作画/音楽の良さは太鼓判を押せましょう。まさに劇場で鑑賞すべき作品ですね。

ストーリーはいかんせん途上なのでなんとも言えじ。全体でどうこうはひとまず置いといて1エピソードとしてみるなら申し分なしではないでしょうか。家族愛との結びつきで“強くなれる理由”を知った本編なら、その強さを何のために使うのか志(こころざし)の領域、メインキャラ煉獄さんを通して“闘う理由”が劇場版でははっきりしてきます。感動するとしたらここ。個人的にはむしろ家族愛に囚われちゃうと見落としかねないとすら思ってます。

キャラはもちろん炎柱の煉獄さんがごっそり持ってくんですけどTV本編からの進展もある。炭治郎の同期、特に伊之助との絡みにそれは顕著でした。TV本編では兄と妹の絆に焦点あてていて友情プレイは控えめ。「努力」「友情」「勝利」の「友情」部分が希薄だったと言えましょう。そのため「友情」の中核たる善逸や伊之助についてキャラ立ちの良さを認めつつも別角度から見れば三人いることの相乗効果は感じられず、またギャグテイストな二人は一歩間違うとガヤ扱いでうるさい。炭治郎の“やさしさ”で繋ぎとめている関係に見えなくもなく、このへんが子供向けと断じてしまう要因だったように思えます。それが劇場版では幾分緩和されてました。段階が一段上がったとも言えるかも。
そして余力あるか2回目でもいいですけど“煉獄さん”“炭治郎”“善逸”“伊之助”“禰豆子”誰が欠けてもラストステージには届かないという細い糸を手繰り寄せるような作業を各々がしていたことを見逃さないでほしいです。

公開中なら映画館の迫力映像&音響を楽しめるのはもちろんのこと、例え機を逸して自宅鑑賞となったとしても、ストーリーやキャラの関係性がTV本編に上乗せされてるので見応えはあります。
それに事ここに至ってはなんだかんだ鑑賞のきっかけをはかるレビューの意義をあまり感じないのが本音。これだけメディアの露出がある作品ですのでお祭りに参加する感覚でよろしいのでは? 

ちなみに泣こう泣こうと思ってもそうはならないと思います。感動したーのインタビュー映像は一切無視。期待値のコントロールは各自しっかりして、無駄にハードルを上げ過ぎないようにしましょう。





※ネタバレ所感

■これはデカい!共通言語を獲得

「それにしても素人使うのはちょっと…」
劇場版が公開される度につぶやかれてきた常套句ですね。プロモ兼ねて世間認知度の高い俳優さんを起用するいつものアレ。ふとしたことで気づきます。このメガヒット作にその不満が一切ないことを。
このことはアニメファンにとって二重の意味で幸せなことだと思います。一つは文字通り棒演技を我慢することからの開放。二つめは共通言語の獲得。

 普段アニメを観ない人と声優さんの話ができる!{netabare}…かもしれない{/netabare}

「あー○○さんね。鬼滅で△△の役やってた人だよ」というテンプレがこの度誕生した衝撃はもの凄いものがあります。

「あー○○さんね。××で△△の役やってた人だよ」の××の選択肢がほぼジブリ/ディズニー/他夕方ご長寿アニメ独占状態だったところに近年『君の名は。』がやっと追加された今日この頃。
鬼滅はキャストが脇役含めて深夜アニメオールスターと言ってよく、TV本編を視聴してる層も一定数いることも考慮すると△△に入る人たちがめっちゃ多い。
竈門家だけでも父:三木眞一郎、母:桑島法子、子供たち:大地葉、本渡楓、古賀葵、小原好美とかいう水準。皆なにかしら代表作持ってる方々なのに一般の人からみれば誰も知られてない。
それが此度の一件で「鬼滅の煉獄さん役の人が主役はってるオーバーロードってのが…」みたいな発展が容易にできちゃう世界になってしまいました。
応用パターンも。スラダン世代だったら鱗瀧さん役の芳忠さんは仙道やってて、炭治郎が初めて遭遇するお堂の鬼役緑川光さんは流川楓だぜー!みたいなツカミもできるわけです。


実力のある制作会社。本職がもたらす声の演技の凄み。作品に寄り添って製作された主題歌の余韻。
よくよく考えると深夜アニメ王道を行くタイプの作品としてこれだけのメガヒットは史上初では?
訓練されたアニオタには常識でも一般人には未知なるフロンティア。今回初めて“深夜アニメ”に触れた多くの方々が泣いたり笑ったり楽しんでいるこの状況が喜ばしいのです。
あらためて思います。日本のアニメは素晴らしい。


■「家族愛」と言うけれど…

“覚悟”と“責任”のお話ですね。だから人々の琴線に触れるのだと思います。
“家族愛”があまりにもプッシュされてるんですけど少しばかり疑義が有る。行動や考え方の根っこに家族の存在は根付いてるけれども登場人物たちはその想いを大切にしながらそれより先。志を持ち責任を全うする覚悟を携えている。いわば未来を見据えております。むしろ鬼側の諸事情が家族止まりという対比にもなってますね。
愛郷心とでも言うべきでしょうか。家族より広範囲な+αの共同体を守らんとする物語となってます。

{netabare}TVの第2話で鱗瀧さんが炭治郎に覚悟を迫り禰豆子が人を襲った時に自害すると即答できなかったことを詰問するところから始まり、柱門会議の御前において禰豆子が人を襲えば腹を斬る主旨の書面をしたためていた鱗瀧さんと富岡義勇の凄みがまさにそれかと。三人とも実際の家族ではないのです。{/netabare}

{netabare}煉獄さんが守ったのは200名の乗客の生命。それと己の生き様でした。

劇中で炭治郎が叫んだ「勝利」の定義を受け入れられるかどうかは作品の評価に直結します。
野暮と承知しつつ、引き換えにしたものと天秤にかけて敢えて損得勘定したとしても、後進(炭治郎、善逸、伊之助)の心に炎を灯したことでお釣りが充分とれたよねと私は思ってます。
これが唯物論的に捉えるとまったく景色が変わってくると思います。物理的な勝利ではなく「え!?これでなんで感動するの?犬死じゃん」となっちゃうかも。{/netabare}








※マジで無駄話…しかも長くてゴメン

■つまりこういうことね

鑑賞済みの方向け。そのわりには全く踏み込んでないただの妄想のため閉じとく。

{netabare}国際関係に少しばかり踏み込むネタなため不快にさせちゃうかもしれません。たいした話ではありませんが念のための注意喚起。ブラウザバック推奨です。
ちなみに弊社は彼の当該国に事業所があり取引先も存在し、同僚もそこそこ多国籍でわりと喧々諤々楽しくやってます。そのため実地をそれなりに把握してると自負しつつ放言しますのでご容赦を。{/netabare}

{netabare}鬼 「鬼にならんか?14億の市場で儲けさせてやる!」
人 「一度鬼になれば利益の再投資は鬼界に限定され人間界には戻ってこれない」
鬼 「人口減少や低水準待遇の人間界に未来はない。鬼はいいぞ!バスに乗り遅れるな!」
人 「弱い鬼たちを浄化してふんぞり返るなんて俺とは考え方が違うということだ。断る!」

という既視感。{/netabare}

{netabare}代々蓄積されてきた肌感覚なんですよ。
菅原道真公がなんで大宰府に流されたかって遣唐使廃止で利権をごっそり潰したことへの報復でしょう。左遷先の大宰府で客死しそのあと都で人死にが続く。祟り扱いされたのは飛ばした連中に後ろめたさがあったからでしょうね。

となるとそんなリスク背負ってまで遣唐使廃止する必要なかったのになんで?となるのが普通の感覚です。そこで出てくるのがマルコ・ポーロの『東方見聞録』、玄奘三蔵の『大唐西域記』と並ぶ世界三大旅行記とされながら現代日本人にとってはドがつくマイナー書『入唐求法巡礼行記』(円仁)。刊行年は遣唐使廃止の50年くらい前。大陸の人肉食習慣その他悪習がこれでもかと書かれていて国内の東洋史学会ではウケない内容っすね。なお書店で販売されてるのは肝心な唐での体験部分がごっそり抜けたもの。

そもそも遣唐使は行って戻ればアホみたいに儲かる。交易あらば交流あり。文化は良し悪し関係なく流入してくるのは当たり前ですよね。巷では悪習が入り込んですこぶる庶民には評判が悪かったという土台があって、それを唐が滅亡する13年前に鎖国を断行。悪習の流入阻止ばかりではなく大国滅亡の混乱に巻き込まれることをも防ぐファインプレー。

そんなこんなで道真公は神社of神社ともいえる『天満宮』の御祭神であらせられますからね。亰で頻発する祟りを鎮めるために大宰府の庶民が詣でますかって話です。神童でならし出世が早かったなんて人は他にもたくさんいるでしょう。

 きっぱり関係を絶ったからです

そして別にこの時も後の江戸時代だって彼の国と敵対してたわけじゃないんですよ。付く時期と離れる時期の見極めは歴史に学んで良いと思います。隣り近所なんてそんなもんなんですから。
そもそも人食ってるところに利益ぶら下げられたからってホイホイついていくか?ってのが問われているのです。ズブズブになって「生殺与奪の権を他人に握らせる」前に道真公は撤退したのですよ。おそらく自分の身にふりかかる災難を見越した上でです。
そんな菅原道真公を祀って顕彰し続け御社に足を運ぶ1000年前の日本人の感覚と“煉獄さん拝みに劇場に足を運ぶ”僕らの感覚とでそんなには変わらんのだろうよと勝手に妄想している私です。大ヒット神社と大ヒット映画!うーん…このへんで止めとかないと罰が当たりそうなのでお終い。

{netabare}そういえばいつのまにか聖地化してた竈門神社も大宰府でしたね…{/netabare}


作品に戻って“正しく生きること”を考えさせられます。煉獄さんの母はこう言いました。

 「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です」

これはお侍さんの基本的な考え方だったかと思います。
思えば伊之助が乗客省みず猪突猛進しかけた時も乗客の安全を確保してからだったし、
火の呼吸は知らんので話はお仕舞だとぶった切ったと思いきや、煉獄家のヒントを指し示したり、
後輩の話を聞き流してんじゃなくて留めて心を砕いてくれてたんだなということがわかります。

そして正しいことをやるためには強くならないとね。子供に見せたいという声があるのも分かる気がします。子供に見せる名目で大人が見るのももちろんご随意に(笑)

{netabare}大事小事関係なく、私たちは常に「鬼にならないか」と誘われる日々を過ごしているといえます。人と鬼双方に事情があることは作中で示されており巷でも作品の魅力によく挙げられてますよね。そんなんで鬼にも同情すべき点があるなぁと呑気に構えていたら、この劇場版で煉獄さんに「鬼の倫理」と「人の倫理」は明確に違うことを突きつけられたわけです。{/netabare}

映像と音楽が突出して良くて、あとは良くも悪くも少年JUMP的作品。これはTV本編の私の評価です。その基本的な考えは変わってないのだけれどもちょっとだけTV本編よりも評価高めどす。{/netabare}



視聴時期:2020年10月 劇場にて 

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2020.11.15 追記

別に予言でもなかったのだがさっそくの教訓。

「お前も鬼にならないか?」 ⇒ 「はあいよろこんで~」

を地でいくNEWSが飛び込んできた。炭治郎の耳飾りのデザインを変更して某半島で配給するとのこと。長くなるので止めとく。



2020.11.01 初稿
2020.11.15 追記
2021.08.11 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 65
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

一つ期待したいのです

<2020/11/3 初投稿>
昨日ようやく観に行けました。
原作未読。
テレビ版全26話は視聴済みです。

凄いですね。
ついこないだまで、今年日本で1番話題になった映像コンテンツは半沢直樹だろうなと思ってたのですが、あっさり上書きする勢い。

興行収入も3週目で既に150億円超え。
千と千尋の神隠しの300億円超えも現実味を帯び、どこまで行くかもうわからん感じです。

なぜこんなに売れたのか?
は自分にはよくわかりませんが良い作品であることは間違いないと思います。

ただ一つ期待したいな、と思ってることがありまして。
それは本作の爆発的なヒットでアニオタと非アニオタの垣根がなくなる、まではいかなくともかなり下がるのでは?という期待。

この20年くらいで、例えば「けいおん」ブームなどを経て垣根はかなり下がってきました。
それでもその垣根はまだまだ高さを保っています。
その証拠が深夜アニメ。
お子様向け作品を除くと今のアニメはほぼ100%ド深夜の放送です。

結局「アニメを好きな層は深夜でも見る視聴欲求が極端に強いマイノリティ」とテレビ局は認識してるのだと思います。

ところが本作の文字通り「空前」の大ブーム!
元々はどちらかというとアニオタ向けの深夜アニメ。
そんな本作が、老若男女小さなお子様/アニオタ・非アニオタ全ての層に受け入れられたという奇蹟。
この世の空気感まで変わってくれると嬉しいのですが。

と、ここまでは前置。
以下、本作鑑賞の感想です。

まず第一印象としては、テレビアニメ版見てるか、そこまでの原作を読んでないと十分楽しめない。
当たり前なことなのですが、人気が出過ぎて「いきなり観に行っても大丈夫じゃね?」と錯覚する人も出てきそうなので。
つまり予習は必要。

そして、映像美。
予想はしてましたが、それを超える美しさと迫力。
始まってすぐ、最初のシーンの映像で一気に飲み込まれてしまいました。
例えば「君の名は。」なども映像が至高レベルなのですが、それは「絵画」「フォト」としての美しさ、つまりそこだけ切り出して成立するような美しさなのではないでしょうか。
本作は「アニメ」としての美しさが際立っている。
それは動きの滑らかさや力強さ、迫力を伴った美しさだったり、背景であってもあくまでアニメの一部として調和した美しさだったり。
特に戦闘シーンは特筆もの・さぶいぼものです。

声優は実力と人気を兼ね備えたプロで固めてます。
特に今回は日野聡さんのよく響くテノールの力強さと突き抜け感が◎。
もちろんレギュラー三人組+禰豆子もさすが良い仕事をされている。
ややサプライズだったのは{netabare} 猗窩座の石田彰さん。{/netabare} やはりこの方はスペシャル・ワンですね。


そしてキャラクターと物語について、ですが
ここからはネタバレなので未視聴の方は開かないでください。

{netabare}
三人組+禰󠄀豆子、みんな活躍してました。

伊之助が存外とかっこよかった。
敢闘賞クラスの活躍
被り物が役に立ってよかったね。
女性ファンからしたら被り物脱いでほしいのかもしれないけど。

善逸は相変わらず煩いけど、笑えるしいざとなると強い。
いきなり霹靂一閃はびっくりしたけど、そっか。
こいつは寝てるから出せるのか 笑。
やはり結構好きなキャラ。

禰󠄀豆子は可愛らしさと面白さに磨きがかかった印象。
あと久しぶりに日本語喋ってた 笑。
善逸の夢の中だけど。
最後の朝日をバックに禰󠄀豆子を箱に詰めようと慌てる善逸ときょとんとする禰󠄀豆子には感動してる最中に笑かされました。
でもバトルでも頑張ってましたよね。
頭突きは笑ったけど。

主役の炭治郎。
無意識のイメージがまさかのウユニ塩湖!
ここでピアノでバライチを弾く炭治郎をつい思い浮かべたり。
花江さんはウユニ塩湖に縁があるんでしょうか。
と、それはさておき。
やはり本作の主役は炭治郎なんだな、とあらためて思いました。
その優しさや誠実さ、濁り一つない真っ直ぐさ。
当然、その強さも活躍ぶりも。
彼のキャラクターは本作の方向性の中心にあると思います。
どんなジャンルであれ良い作品というのは主役がそのキャラクターと行動で作品全体を支えてますよね。
その典型だと思います。

そして炎柱・煉獄杏寿郎さん。
本作では炭治郎超えましたねえ。
というか全部持っていきました。
強い、優しく、熱く、まさに燃えるようにかっこいい漢。
それでいて心のうちに葛藤も抱える。
最初の登場シーン、大量の駅弁を一口食べるごとに馬鹿でかい声で「美味い!」「美味い!」「美味い!」
「うみゃーうみゃー」言いながらキャットフード食べる仔猫動画を思い出しました 笑
声デカすぎてうるさかったけどw
普段、目がどこ見てるかわかんないし大丈夫かこの人?と思ってましたが、いざ鬼を前にするとカッコ良い。
加速装置みたいなものもついてるみたいだしw
猗窩座との一騎打ち痺れました。
ufotableの映像力が遺憾なく発揮されていたと思います。
煉獄パパのやさぐれてしまった理由が気になる。

猗窩座は出た瞬間「フリーザ様?」とか思ったけど、声が石田彰さんなもんだから「色っぽいフリーザ様」w
上弦の強さがよくわかりました。
彼は最後の炭治郎の叫びをどのように受け止めたのでしょうか?
たいして気にしてないのかな。

ストーリーは王道というかシンプルというかわかりやすいシナリオ。
元々が話をこねくり回して複雑にするタイプの作品ではないので、そこを期待してる方は残念な気持ちになったかも。{/netabare}
テレビアニメ版のレビューでも書きましたが「王道なストーリーを腕の良いクリエーターがしっかりと肉付け練り上げると素晴らしい作品になる」
それだと思います。


というわけで。
まだまだまだまだ勢いの止まらない本作。
本当に面白いし、未見で本作が気になってる方は、映画館に足を運んでみてはいかがでしょう。
あ、予習してから、ですよ。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 61

74.7 4 ジャンプ作品で家族なアニメランキング4位
終わりのセラフ Seraph of the end(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (1345)
7813人が棚に入れました
ある日突然、未知のウイルスにより世界は滅びた。生き残ったのは子供だけ。そして、その子供たちは地の底より現れた、吸血鬼たちに支配された。百夜優一郎は、家族同然の絆を持つ百夜ミカエラら孤児たちと、吸血鬼に血を捧げることで生きていた。家畜同然の扱いに耐えかねた優一郎は、ミカエラや幼い孤児たちと共に、外の世界へと脱出を図るが……。時は4年後。百夜優一郎は日本帝鬼軍の吸血鬼殲滅部隊「月鬼ノ組」に入隊。恐るべき吸血鬼たちとの戦いに、その身を投じていく…!!

声優・キャラクター
入野自由、小野賢章、中村悠一、櫻井孝宏、早見沙織、岡本信彦、石川界人、井口裕香、前野智昭、鈴木達央、悠木碧、鈴村健一、種﨑敦美、石川由依、小野大輔、嶋村侑、山村響、永塚拓馬、梅原裕一郎、古木のぞみ、日笠陽子

westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

第1話はめまぐるしい物語の展開だが、それ以降は起伏が少ない展開が続く。減点する部分も少ないが、加点する部分も少なく感じる平均点な作品☆

本作はジャンプスクエアで連載中の漫画を原作とした作品です。原作者の鏡貴也はライトノベル作家であり、代表作としては「いつか天魔の黒ウサギ・伝説の勇者の伝説」などがあります。漫画の作画を担当する山本ヤマトはイラストレーターと漫画家の2つの顔を持ち、代表作は「紅kure-nai」です。コンテ構成を担当する降矢大輔は漫画家であり、代表作は「猫又マタムネ」です。累計発行部数は2014年に180万部を突破した人気シリーズです。

あらすじ…突如、世界中のほとんどの人間が致死性のウイルスにより死亡する。しかしウイルスに感染するのは14才以上の人間であり、子供たちは世界に取り残される事になった。人間に代わって世界を牛耳る事になったのは‘吸血鬼’彼らは生き残った子供たちを「血を吸うための家畜」として捕え、地下の施設に収容していた。主人公の「百夜優一郎・百夜ミカエラ」は捕えられた人間の子供たち。ある日、吸血鬼が支配する地下生活から脱出しようと目論むが…??

総評として…「第1話はめまぐるしい物語の展開だが、それ以降は起伏が少ない展開が続く。減点する部分も少ないが、加点する部分も少なく感じる平均点な作品」と言った感じです。
視聴を続ける中でストレスに感じる事は全くありませんでしたが、逆にハラハラする事も少なかったように感じます。物語が進む中でいくつか見せどころがありますが、予想どおりと言いますか…仮に予想を裏切ったとしても‘予想できる範疇の予想外’とでも言いましょうか。なので予想外というよりはもう予定外といった言葉がしっくりくるかもしれません。とにかく意外性が少なく、王道アニメの部類に入れても差し支えないでしょう。
ワクワク・ハラハラ出来ないもう一つの要因としては「戦闘作画の手抜き加減」が挙げられます。1枚絵を上から下にスクロールさせて「うぉー!」って言われても…と感じる部分がいくつかありました。全体を通して動きが少ないですね。これは王道バトル漫画のアニメとして致命的に感じます。これならマンガを読んでいる方が良いのかもしれません。

キャラクターデザインとしては高評価です。どのキャラクターもカッコいい&可愛いキャラばかりで、また人間側の‘吸血鬼殲滅部隊’の制服もカッコいいですね。軍服と学ランの中間デザインと言いますか、女性ウケしそうな‘耽美系’のデザインですね。キャラクターの設定としましても優秀です。男性キャラとしては「俺についてこい」という強引な雰囲気を出しながらも情に厚そうな「君月くん」や「グレン中佐」は確実に女性ウケしそうなキャラクターですね。その2人が拾い損ねたファン層も放っておけない系の「百夜くん」と「早乙女くん」がガッチリとキャッチする、まさに安心の2重構造ですw
そう考えると、やや女性キャラクターの方が弱い印象ですね。ツンデレの「三葉ちゃん」や感情の起伏が少ない系の「シノアちゃん」の2人が安定して可愛いので違和感としては少ないのですが、やはり男性陣のバリエーションの多さには一歩譲っている気がします。

この違和感に関しては「最近のアニメの女性キャラの多さ」に慣れてしまっている環境が大きいのではないかと考えます。昔は「力仕事は男の役目・支えるのは女の役目」というのが2次・3次を問わず世間一般の常識でした。しかし最近の2次作品では「戦うのも女性、支えるのも女性、何だったら戦艦まで女性」といったように何もかもが女性化しており、男性キャラクターの居場所が減ったように感じます。もうここまでくると「男女雇用機会均等法」どころの騒ぎではありません。作品によっては男性キャラが一切出ない作品までありますからね。ハーレム系の作品が多い昨今のアニメ事情から見れば仕方ないのかもしれませんが、こういう男女比が普通の作品を見ると「もうむしろ女性向けなのか?」と錯覚してしまいそうです。それでも昔の作品に比べれば十分女性キャラも多いハズなんですけど…慣れって怖いですねw

‘アニメなんだから女性キャラが多い方が売れる’という風潮はまだまだ続きそうです。しかしある意味、2次元でも3次元でも女性に活躍の場を奪われ続け、それを良しとする男性が増えているのか…と考えると少し怖くなってしまうのでした。

さて少し話は脱線してしまいましたが、まとめますと‘登場キャラクターの魅力が光る’所が印象的な作品です。個人的な好みとしてはもう少し意外性が欲しかった所ではありますが、王道系の作品が好きな方なら安心して視聴できる作品と言えるでしょう。2期も予定されておりますので、これからの展開に期待です。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 40

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

迎えるENDは吸血鬼か人間か・・・

鏡貴也(原作)、山本ヤマト(漫画)、降矢大輔(コンテ構成)

による漫画を原作とする作品です。全24話(予定)のうち

1クール目の12話です。原作未読


突如謎のウイルスによって人類は滅亡すると告知された。しかし

そのウイルスは13歳以下の子供には感染しないとのことで

百夜優一郎らがいる孤児院が存在する地区の子供たちを謎の部隊

による保護を開始するのだった・・・


第1話で迎えた人類滅亡の危機と第二話以降の時の流れの飛びっ

ぷりはものすごかったです。2クールすることが既に決まって

いるようだったのでかなりスロー展開でもあり、その二つのお陰

で序盤の鬼呪装備を手に入れる辺りまでは耐えれたもののそこ

からはなんか遅すぎて退屈だなぁと感じる事が多くなっていました。

バトルシーンも止め絵をうまく使うのは場面転換に効果的なので

間に上手に挟むのならそれも効果的なのですがそれがちょっと多す

ぎる様に思いました。なんとなくそういう場面の動かし方をしたい

のは分かりますが迫力には欠けるかなという感じでした。


2クール目ありきの作品なので中身の方はそっちも見てからかなと

思います。過度な期待はせずに見たいと思います。

点数評価もそちらの方も合わせてとしたいと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 40
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

はじめのブラフ

J-COMの再放送での視聴です。続編や劇場版にあわせて地上波再放送するのが一般的でしょうに、そんな空気を読まないラインナップいつも重宝しております。

さて、ラノベ原作ものですね。
既刊物も2ケタ超えており人気のほどが伺える「終末世界」を取り扱った作品になるかと。
吸血鬼(となんかのウィルス)によって多くの人間が死んでしまった世界を描いてます。

 第1クール:2015年4月 - 6月
 第2クール:2015年10月 - 12月

分割2クールです。残念ながら1クール終了時点では面白みが伝わってきませんでした。
小説は「月鬼ノ組」グレン隊すなわちアニメの主人公らのお兄さんポジションだった人らが主役の立ち位置です。そこでいろいろあったらしいので2クールで解明されてくればおもしろそう。
キャラは好みでしょうが、シノア隊のメンバーがパンチ不足。12話あったのにね。

ゆうちゃん○:前半のイキリぶりが頭おかしい。成長見せたいのだろうが起点が基地外ではだめ。
柊シノア○:家柄の良さや謎を小出しにする設定。謎ばかりか本心も小出しにするあたり良い。
君月くん△:普通。主人公とムダに喧嘩するでも実は…な人。それ以上以下でもない。
三宮さん×:妹キャラぶっこんどけ!とアニメ製作陣の手によって犠牲者となったようなもん。

{netabare}三宮さんとゆうちゃんが次第に分かり合えてって、という流れは良いのに、スタート地点が「自己中/猪突猛進/いやお友達としてはちょっと」の拗らせ少年と「見た目ロリ/声ロリ」のため、悲劇的な設定が全く入ってこない少女。自分はイマイチと感じましたね。{/netabare}


単なる道半ば。2クール目に明らかになってくるとこが全てでしょう。
分割の短所がそのまま出ました。3か月待たせるのならブラフでもハッタリでもいいので強烈に引き付ける何かが欲しかったところですね。
続きを観るかは微妙なラインですので優先順位は低めに。



本作の良いところを載せといて再試聴時の備忘とします。

{netabare}「力を得る」「強さを維持するためにも心持ちをしっかりと」
その力の代償となる対価をしっかり示したところ。{/netabare}

{netabare}それとドーピングしても埋まるかどうかわからないぐらいの吸血鬼との実力差。
その横で人間側がなにかやらかしてることを匂わせる素振りも。物語の引力もキープしてます。{/netabare}



視聴時期:2019年10月~2019年12月 再放送  

------


2019.11.21 初稿
2020.02.19 タイトル修正
2020.09.28 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 37
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