不死で嫉妬なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの不死で嫉妬な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月30日の時点で一番の不死で嫉妬なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.8 1 不死で嫉妬なアニメランキング1位
ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1070)
4665人が棚に入れました
遠い未来。人類が荒廃した地上で生き抜くために作り上げた巨大移動要塞都市では、名前のないコドモたちが戦うことだけを教え込まれながら、毎日を過ごしていた。コドモたちの1人であるヒロは、角が生えた謎の少女ゼロツーとの出会いを機に彼女のパートナーとなり、命を懸けた戦いに身を投じることとなる。

声優・キャラクター
上村祐翔、戸松遥、梅原裕一郎、市ノ瀬加那、田村睦心、山下七海、後藤ヒロキ、早見沙織、市川蒼、石上静香、小西克幸、井上麻里奈、堀内賢雄
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

男と女

環境汚染が進み、土地が荒廃した終末的な世界。
人類は万能なマグマ燃料に頼り、地上移動要塞都市の
プランテーションと呼ばれる街で暮らしていた。
しかし、突然、巨大生命体である叫竜が
現れるようになり、コドモの男女1組で起動できる
フランクスというロボットで対抗していた。
主人公のヒロは、ある日、鬼の女の子のゼロツーと出会い、
一緒にフランクスに乗って叫竜と戦うことになる。

アニメーション製作:TRIGGER・A-1 Pictures、
監督:錦織敦史、シリーズ構成:錦織敦史、林直孝、
キャラクターデザイン:田中将賀

個人的には、視聴中に評価が乱高下する作品だった。
回によっては感動的な話もあったし、
雑といえる設定や人間関係にうんざりすることもあった。

そもそも始まりから「オマージュ」というよりは
「コラージュ」と言ってしまえるほど
過去作を引用した設定のオンパレード。
世界観からロボットのデザイン、呼び名に至るまで
徹底的に引っ張り出している。

ロボットの造形は、「STAR DRIVER」にそっくりで、
物語の世界観はエヴァに似通っている。
「ダーリン」と「鬼」というのは、うる星やつらだし、
各キャラの関係性は、これまでの岡田磨里作品と酷似している。
新海誠を彷彿とさせるところもある。
なんとなく観ていると、そういう既視感や共通項ばかりが
目についてしまう。

ただ、ヒロとゼロツー、ミツルとココロに視点を置けば、
分かりやすく収斂していくようなストーリーになっている。
SF要素や背景、群像劇についても、
全て、この2組のカップルを補うための
要素でしかない気がする。

{netabare} ヒロとゼロツーの関係性が明らかになった13話から
物語は心象風景の世界へとシフトしていく。
「まものと王子様」という絵本をイメージさせながら、
ふたりの心の交流が中心になっていくのだ。

ここからは上手く物語が紡がれていき、
ひとつの方向性で落ち着いたように感じた。
作中絵本の展開も『MONSTER』などで
使い古された感はあるものの
デザインや物語がしっかり作り込まれていて、
一定の世界観を構築している。
ヒロとゼロツーのつながりが強固になっていくさまを
絵本の物語を通じて感じられるとても良い演出だった。

そして、ミツルとココロによって、
この世界でタブーとされていた
生殖が描かれたのも大きなテーマのひとつ。
男と女が存在し、その繋がりが
未来に向けた力になっていく。
現在の日本に対するメッセージでもある。
安っぽいと感じる人もいるだろうが、
私はこの2組のカップルを話の中心に据えたのは、
良かったのではないかと思っている。
物語の序盤から中国の伝説上の生物である
「比翼の鳥」によって、男女のつながりを
繰り返しイメージさせた。
男女の関係性を描く部分は、とても力が入っていて、
話に引き込まれることが多かった。

叫竜との戦いからVIRMとの争いに移行して、
スターエンティティが、ストレリチア・アパス、
ストレリチア・真・アパスに変貌していくさまは、
超展開といえるが、個人的には驚きと楽しさがあった。
進化にはいつもヒロとゼロツーの
心のつながりが重要なポイントになっていて、
そこではカタルシスを感じさせてくれた。
また、地球からゼロツーの入れ物だけを残して
旅立っていくのも個人的には好きなアイデアだった。 {/netabare}

永遠の時間が続く凪のような快楽。
限りある時間内での燃え上がるような煌めき。
どちらがより幸せな生き方なのだろうか。
作品のテーマは、今の時代をよく反映している。

音楽はエンディングや挿入歌を
レコード大賞・作曲賞の受賞経験もある
杉山勝彦が担当しており、物語の躍動感を増幅させる
良質な歌謡曲を聞かせてくれた。
これは作品の質を一段引き上げたといえるほど、
良い仕事をしていると思う。

色々な欠点があるものの、それを補って余りあるだけの
作り手のこだわりや執念が滲み出ている。
2クール分を存分にやり切り、
心に確実に何かを残してくれた作品だった。
(2018年7月14日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 83
ネタバレ

s__masa__ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

評価の分水嶺はストーリーの3/4以降にあるような...

全話視聴後の感想
『うーん。結構面白かった。グレンラガン※と関連のある制作会社「トリガーの作品です!!」というカラーがよく出た作品ですね。それにA-1ピクチャーズとの合同制作のため「あの花」「WORKING!!」などの恋愛群像劇が加味されたような作品。まぁ、何となく例えるとエヴァ+アクエリオン+グレンラガン+あの花、な作品でしょうか。配分はエヴァ:アクエリ:グレン:あの花=1:3.5:5:0.5な感じです。20話以降は特にグレンラガン色が濃くなっていましたねー。{netabare} 20話目以降のいきなりスケールがデカくなる急展開からの結末が本当にグレンラガンで、だいたい結末も読めてくるのが少し難点でした。{/netabare}
キャラデザが魅力的なので、ロボものでありながら人間ドラマも心に入って来やすかったです。」

トリガー関連作品(キルラキル、リトルウィッチアカデミア、グレンラガン※)に、キャラデザ+総作画監督に田中将賀(あの花、君の名は)を迎え、今風なキャッチーなテイストを加えたSFロボットアニメ。
テーマは「愛」でしょうか。ロボ+男女複数キャラ+恋愛群像劇、そこんところがアクエリオン・シリーズっぽい所です。ロボにも男女1組で搭乗します。
しかし、アクエリオン・シリーズにはない{netabare} 愛の始まりから出産までの流れや、子供って?という問いかけも取り込んでるので、さらに深い「愛」がテーマのような気がします。まぁ、深くはあるが薄味な感じです...。{/netabare}
ストーリー的には、グレンラガンをベースに思春期・ラブ成分多めで、今風テイストを加えた感じです。
世界観設定や主人公たちの人間関係の説明も1話使って回想したりするので、話の流れも段々分かってきて、引き込まれていきます。
ただ、{netabare}全体像が全て見えてきた20話目ぐらい以降に超展開があり、この超展開以降がこの作品の評価の分水嶺になっているような気がします。
そしてその評価において、グレンラガンを観てる(まぁ、良いんじゃないの?)観てない(何この展開?結末も微妙!)が、大きく影響すると思います。だって、最後の真アパスはグレンラガンで免疫付けてない視聴者には意味不明でしょ、とんでも展開で置き去りにされると思います。{/netabare}

個人的には、この話どうなるの?とはなりましたが、それほどキャラに感情移入していけず「感動!!」まではいけませんでした。...が、まぁ良くできた作品だとは思います。20話目以降がもっとわかりやすくハッピーエンドの方が「比翼の鳥」を表現できて評価は高かったと思います。

グレンラガンを楽しめた方にはお勧めいたします!

※グレンラガンはガイナックス作品ですが、監督の今石洋之氏がその後にガイナックスを退社しトリガーを立ち上げており、フランキスの監督(ガイナックス系)もグレンラガンの作画監督なので、後のトリガー作品に大きく関連しているのです。

◆追記◆
ダリフラ、賛否が分かれる作品ですね~。酷評も目立ちます。
なので、もう少し掘り下げたいなー、と思います。

≪個人的に良かった点≫
「作画」
これは良かったです。本当に。ロボバトルに多少癖はありますが。

「キャラデザ」
売れっ子の田中将賀さんですから、まぁハズレなし。特に002は良かったです。幼少期も込みで。

「ストーリー上の主要キャラの魅力」
ヒロインの002が特に良かったです。幼少期も込みで。
主人公のヒロも{netabare}015の誘惑に負けず一貫性があって {/netabare}好感が持てました。
13部隊の面々もそれぞれ良かったと思います。(この辺が[あの花]的好感度)

「ベースのストーリー」
{netabare} ①不条理な攻撃に抗う人類存亡をかけたロボバトル ②比翼の鳥(二人で一つ)、まものと王子様(愛はあるが相いれない)などを踏まえた主人公カップルの展開 ③主人公カップルを取り巻く社会の特異さ(13部隊、パパ支配の社会、子供と大人、性の隠蔽)など、基本的な環境設定はありきたりかもしれないが、悪くないと思う。 {/netabare}

≪個人的に悪かった点≫
基本的に本作品に限らずアニメ全作品に言える事だとは思うのですが、「アニメにツッコミどころは満載してる」と思っているので、ツッコミたくないのですが、あえてツッコミ入れさせて頂きます。

「ストーリー構成」
{netabare}特に20話目以降の超展開は不要だったと思います。そもそも、メインテーマはストーリー冒頭の「比翼の鳥」や中盤の「まものと王子様」がらみ→ヒロと002の恋物語だと思うので、バトルや世界観は盛り上げるための舞台装置で良いはずなのに、主張しすぎて邪魔してるんです。例えば広告ではワンメッセージが基本です。売りたい商品には良い所がいっぱいある、だから全部伝えたい、良い所なんだから買い手に得する情報、こんな事もあんな事も伝えたい!、...だと買い手にとってはごちゃごちゃし過ぎて、そもそも広告自体を見てくれなくなる。そんな感じです。恋の邪魔ものは13部隊という社会、パパ支配社会、異種族間問題、叫竜、ぐらいで良いでしょう。それらとも上手く決着がついておらず問題の全体像が見えてきたところで新問題VIRMとかいらんでしょ。ごちゃごちゃし過ぎ。{/netabare}

「世界観設定への愛情のなさ」
{netabare}20話までに織りなしてきた2人の恋を邪魔するための世界観、13部隊という社会・パパ支配社会・異種族間問題・叫竜などの個々の問題が、VIRMの出現で全部ミキサーの中に入れてごちゃ混ぜに。最後は[宿命]が恋の邪魔もの??、じゃ、丁寧に織り込んできた20話までの蓄積は何だったの??上記の[良かった点]の[ベースのストーリー]でも述べていますが、基本的な世界観設定は悪くないのに、それをスキなく磨き上げる前に、さらに大きな別の世界観を持ってくる。これ、グレンラガンやキルラキルのような最初からリアリティーのないコミカルな作風だったら許せるけど、リアルの延長を感じさせる作風の本作では致命的なダメージのような気がします。ココがアンチスパイラルならぬアンチダリフラの最大発生源な気がします。{/netabare}

「周辺キャラへの愛情のなさ」{netabare}特に叫竜の姫。超重要キャラなのにすぐに退場。ナインズ、新007もあまり効果的に働いてないし。{/netabare}

≪個人的にどちらでもない点≫
「ロボのデザイン」
カッコカワイイのでしょうか。ロボに執着心がないのでプラマイゼロ。

「他作品のオマージュ」
個人的にロボアニメはあまり見ないのですが、僕が知ってるだけでも上記の作品が見て取れるので、詳しい方はもっと色んな作品が入っている事に気付くのでしょう。
まぁ、でもそこは良いです。楽しませてくれるなら焼き直しでもなんでも個人的にはOKです。(あまりにあからさまな場合は、そもそも楽しめないので。)


長々と駄文を失礼いたしましたが、結論。
≪良かった点≫≪悪かった点≫のバランスで評価が決まると思うのですが、≪悪かった点≫はグレンラガン注射を先に打っていたので、毒性を半減させてくれたため、≪良かった点≫が上回りました。楽しめました!!
たぶん見てなかったら≪悪かった点≫が上回っていたと思います。

なので、視聴を考えている人は「グレンラガン」を先に見ましょう!
とにかく熱い物語です。おススメ! グレンラガンを楽しめない人は本作も楽しめないと思います。たぶん...。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 16
ネタバレ

〇ojima さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

観終わりました。

最後まで観ました
最後は {netabare}宇宙情報思念体と地球との戦い
ヒロとゼロツーが溶け合って一つになって最前線へ
残った仲間は地球でヒロ達の帰りを待つ
そして時が流れヒロとゼロツーは再び出会う。

結末はあまり好きではありません。
二人は繋がったけど、戦いをするために繋がったようなもの。
思念体がアパスになぜ物理攻撃でむかえる理由
地竜と人間が解り合えなかったこと
ヒロとゼロツーが直接戻れないこと
敵であった思念体のように地球に戻ってきたところ。

特に何年後設定は個人的には好きではありませんので、
私としては二人が思念の戦いを終えて
地球で二人の子供を育て種族間の壁を超えて欲しかった。{/netabare}と思ってしまいます。
{netabare}二人には最後の最後まで幸せでいてほしかったです。{/netabare}

以下途中レビュー
1話見て、この作品エロ作品かと思いました。
でも、3話以降観ているうちに物語が気になってきましたよ。
7話は水着回だけど、しっかり物語をすすめていていますので、
最近は次週が気になるアニメの一つです。
TRIGGERのロボットは反返ったり踏ん張ったりしてあんまりカッコよくないけど、ロボット要素少な目作品なのでしょうか。
やはりそれぞれの恋が基礎になるのかな。
それと別れ {netabare}(パートナーや仲間の死) {/netabare}との向き合い方。
子ども達の知らないところで大人たちの不気味な本流が動いているところに興味を惹いています。さて、どんな物語へとなるのでしょうか。

「ダーリン・イン・ザ・フランキス」 表題も意味深ナリ。

キャスト
ヒロ   ・・・じんたん
ゴロー  ・・・ゆきあつ
ココロ  ・・・めんま
フトシ  ・・・ぽっぽ
ミク   ・・・あなる

なぜか「あの花」に見えてしまいます。。。(笑)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 51

64.0 2 不死で嫉妬なアニメランキング2位
キャシャーン Sins(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (66)
382人が棚に入れました
荒廃した世界にて、長い眠りから目覚めたキャシャーン。目覚める前の記憶を失っていた彼は、何故か襲い掛かってくる敵と戦いながら自らの記憶を取り戻さんとする。荒野をさすらうキャシャーンは、やがて様々なロボットや人間と出会い、自身の背負った“罪”を知ることになるのだった……。

声優・キャラクター
古谷徹、宮原永海、皆口裕子、チョー、矢島晶子、森川智之、小山茉美、内海賢二

ウィラード さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

荒廃した世界を放浪するアニメ

無印のキャシャーン見てる人には低評価なのかもしれない
キャシャーンsinsはキャシャーンの名を借りただけで
やる事は別の作品だと思った方が楽しめる

世界が荒廃していて
キャシャーンは世界を放浪して旅している
そんな感じのアニメ


哀愁感たっぷりで話が進み続けるから雰囲気も相まって良さげだった
そして蒼い影とかいう漢らしさのある13話のEDである
「君よ 怒れる風になれ やさしく瞬く星になれ」
うむ キャシャーンのようだ
一話だけ特別なEDだったけど良かったな

境界線上のホライゾンがプログレッシブアニメとして評価を得ているなら
キャシャーンsinsは雰囲気アニメとして評価を得れると思った

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

knightgiri さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

死があるからこその生

オススメです。
24話でちょっと長いので一気にとはいきませんが。
意外に評価されてないんですね。

70年代のアニメ「人造人間キャシャーン」のその後の世界が舞台。人類との戦いを制したブライキングとそに配下のロボット達。永遠に続くロボット達の繁栄かと思いきや謎の腐食がロボット世界を滅びへと導いていく。

その世界を旅するキャシャーン。滅びゆく世界で様々なロボット達の死が毎話続きます。全体的に暗〜い世界観、リーマンショック直後のどん底の世の中を反映したものなのか。

救いは、ヒロイン役リュズとの恋バナ。姉の仇としてキャシャーンを憎む心が、キャシャーンと旅を続けるうちに揺れ動く。やっとキャシャーンに心を開いた時には、リュズの身体にも腐食が・・・・・

不治の病がヒロインをよりヒロインたらしめています。

追伸:登場してくる女性キャラがエロいんです。ビジュアルにエロいんじゃなくて、メンタルにエロイというか・・・・まあ、好みにもよりますが。(´・ω・)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 2

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

雰囲気だけで御飯3杯はイケる?!傑出したダークな世界観

【レビューNo.100】(初回登録:2023/12/24)
オリジナルアニメで2008年作品。全24話。
「レビュー100本記念」はこれでいきたいなと。
他のレビュアーさんとやりとりして、昭和のアニメ「ガッチャマン」や「キャ
シャーン」を知らない世代に軽くショックを受けたので。
(冷静に考えるとウチの娘たちも絶対知らんわwww)
なので、その辺りのアニメも取り上げてみようと。
とはいえ、今更昭和の作品そのものを取り上げるものいかがなものかと思い、
平成にカムバックしていた本作を紹介しようと。

(ストーリー)
長い眠りから目覚めるも、それ以前の記憶を失っていたキャシャーン。
しかしその間にロボットを含む全世界は「滅び」が進む荒廃した世界へと変わ
ってしまっていた。
「キャシャーンを食らうと永遠の命が手に入る」
そんな噂に群がり、キャシャーンに襲い掛かってくる「滅び」に冒されたロボ
ット達。そして
「お前が犯した『罪』を思い出すまで許さない!!」
と、キャシャーンに付きまとう女ロボットのリューズ。
荒野をさすらうキャシャーンは、襲い掛かってくる敵と戦いながら自らの記憶
を取り戻さんとする。やがて様々なロボットや人間と出会い、自身の背負った
「罪」 を知ることになるのだった。
※ロボットの「滅び」
 → 体中に錆が発生し、部品交換も適わず朽ち果てていく現象。
   (それまで不死身に存在だったロボットに訪れた「死」という概念)

(評 価)
・昭和の名作を大人向けに見事にブラッシュアップ
 ・「キャシャーン」は昭和アニメで、ブライキング・ボス率いる「アンドロ
  軍団」に立ち向かうべく、東博士の息子の鉄也が「新造人間キャシャーン」 
  となり、人類を守るために戦う子供向けのヒーローもので、私も子供の頃
  お世話になった作品です。
 ・その「キャシャーン」から、主要キャラや終末期という世界観を引き継ぎ
  ながらも、単純な「懲悪もの」から「死生観」や「罪」といった哲学的な
  要素を取り入れ、大人向けにストーリーを一新したものが本作になります。
 ・主要キャラも前作から下記のように変更。
  ・キャシャーン
   悪を倒すヒーロー
   → 記憶を失った放浪者。唯一「滅び」から逃れた「不死身」の存在
  ・ルナ
   キャシャーンの相棒(ヒロイン的存在)
   → 他者に「生」と「死」を与える力を持つ存在
  ・ライキング・ボス
   アンドロイド軍団を率いる悪玉ボス
   → 狂言回し的な存在。(「滅び」のきっかけを作った張本人ではある)
  あと前作のような変身機能はないですが、ロボット犬フレンダーも引き続
  き登場するのは嬉しいですね。

・誉め言葉としての「雰囲気アニメ」
 元々キャシャーンは前作から、
 「終末感漂う荒廃した世界で繰り広げられるシリアスなストーリー展開」
 というダークさが漂う作品ではあるのですが(一応子供向けだったので強く
 は押し出してはいないですが)、本作では上述に加え
 ・「滅び」という「死」の概念が蔓延した鬱々とした空気感
  またそれから逃れられないという閉塞感やぺシニズム
 ・キャシャーンが犯したとされる「罪」という十字架の重さ
 ・大人向けの辛口な演出
 ということで、重厚でダークな世界観がホントたまらない!!
 そしてすべてを明確に語らず、ミステリアスな余韻が残る演出も相まって、
 本作が纏う「傑出した雰囲気」を創り出してるって感じですね。
 この雰囲気を味わうだけでも、本作を視聴する価値はあると思います。 

・秀逸なメカデザインと戦闘シーン
 前作から引き継いだ戦闘用量産型ロボットに加え、ならず者(?)のロボッ
 トのメカデザインはどこかレトロ感がありホントに秀逸です。
 また戦闘シーンでキャシャーンに破壊される際の部品が飛び散る作画や金属
 音など、メカ好きには堪らない描写も多いです。
 それにキャシャーンと同タイプで同等の戦闘能力を有するライバルキャラも
 登場しますが、この辺りの戦闘シーンスピード感や迫力があり熱の籠ったも
 のに仕上がっています。
 人間タイプのロボットも登場しますが、幼女のリンゴ以外はどこかにロボッ
 トと分かるデザインがなされており、それでいて人間らしい感情のセリフを
 吐き出したりとギャップも上手く作用しています。

・「生」と「死」を扱った割と重い作品
 前作が「懲悪的ロボットバトルモノ」ということもあり、そういう描写が多
 いですが、本作の本質は「滅び」というロボットに訪れた「死」の概念がも
 たらす、各ロボットの「死生観」にあります。
 ・「死」から逃れるためあがく者
 ・「死」受け入れる者、そしてそれにより気付きを得た者
  → 「他者と限りある時間を過ごすのが愛おしい」と感じる恋愛感情っぽ
     いもの
  → 「死があってこそ生がある」という生きている実感etc…
 しかし一度は死を受け入れたものの、キャシャーンという「蜘蛛の糸」が目
 の前に現れた時その者は・・・といった結構エグイ描写もあり「生」と「死」
 というテーマに対し、ロボット達は様々な答えをみせてくれます。
 そしてそれと対比しての「不死身」の存在となったキャシャーンの苦悩。
 
 またテーマから少しそれますが「ロボット軍団」を率いて一時頂点に立って
 いたライキング・ボスが目指した世界とは・・・
 哲学的な要素を含む面白い作品に仕上がっていると思います。

昭和の「ヒーローもの」だった子供向けだった作品を、「大人だからこそ楽し
める」作品にブラッシュアップしてきたタツノコプロの手腕は賞賛に値すると
思います。それに何といっても傑出したダークな世界観!!
それをしっかり24話で魅せてくれるという・・・
もう15年位前の作品となりますが、今なお十分楽しめる作品だと思います。

あとOP「青い花/カラーボトル」はかなりの名曲です。
(私の記憶が確かなら多分最後に買ったCDになるかな)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 10

56.1 3 不死で嫉妬なアニメランキング3位
悪偶 -天才人形-(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★☆☆ 2.8 (66)
213人が棚に入れました
平凡な少女、愛はどこにでもいるダンサーである。親友である町とのダンサーとしての才能を見せつけられ落ち込む日々であったが、ある時彼女の才能の「秘密」を知ってしまう。それは、邪な術方により掌サイズまでされた天才たち「悪偶(あぐう)」の存在である。悪偶(あぐう)を持っているものは誰でも天才になれるのだ。悪偶を作る「裁縫師」となってしまった町を救うべく、愛は裁縫師と代々対立してきた「救済者」となる。



声優・キャラクター
芝崎典子、松井恵理子、高木渉、安元洋貴、井上喜久子、M・A・O、水野理紗、内田彩
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

原作を読んでみたくなる

2018年夏アニメ。全12話。
中国のウェブ漫画のアニメ化。
独特だけど不思議な魅力がある作品です。

「悪偶」とは、生まれ持った才能ごと人間を小さな生ける人形にしたもの。悪偶を体内に縫い込めば凡人でも仮初の天才になれるという代物です。この世界では、残酷な手段で悪偶を作る「裁縫師」と悪偶を救う「救済者」の戦いが繰り広げられていました。
主人公であるバレリーナ候補生の愛は、親友・町が悪偶を持っていたことからその戦いに巻き込まれ、「救済者」となる決意をします。

全体のクオリティは高いとは言えないものの、独特の設定と世界観はなかなか魅力的で、一風変わった異能バトルものとしても興味深いアニメ。
ビジュアルが特徴的で肌に合わないと視聴が辛いかな、という印象です。原作の魅力をアニメにするのは難しかったのかも。クリスティ・ロスのキャラクターデザインめっちゃ好きです。
放送直前特番で少しだけ原作コミックが見られたんですが、ちょっとグロテスクなんだけど美麗な作品のようですね。原作読みたいなあ。

{netabare}
原作者が中国人故かもしれませんが、キャラクターの行動の動機付けが面白いと思いました。人間関係の基礎である「情」と契約の基礎である「論理」とのバランスが特徴的で、独特の雰囲気を醸し出してますね。理解しにくい部分もあるし、命のやり取りの中で交換条件の話がいきなり出てきたりして結構シュールでもあるけど。
ですがどのキャラクターも「何のために戦うのか」がかなり明確でした。

私は愛と町の友情がどこに行きつくのかが一番気になっていました。
主人公の愛が能力も思考も凡人であることがこの物語の肝なのだろうと思います。愛と町はお互いに無いものを持っていて、考え方も正反対。普通に生きていく上ではそれがいい刺激になるのでしょうが、「悪偶」によって二人とも人生が変わってしまい、最終的には道を別つことに。二人の関係性の変化は割と王道で心理描写も納得しやすかったです。
そんなに重要なキャラじゃないだろうと思っていた人物に意外な秘密があったり、重要人物だったりすることもあって予測できない面白さもありました。

ただ残念だったのが、物語を切りのいい所まで進められなかったこと。色々な伏線を回収できていませんし、今後活躍しそうなキャラクターも顔見せにとどまっていたり、今後の成長が見られそうなキャラクターが再登場せずに終わっていたり。{/netabare}

続きが見たいけど…どうなんでしょうね。
ちょっとだけ期待してみたいと思います。(2018.11.12)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 13

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

天才の能力を得られる人形「悪偶」を巡ってバトルする、中国原作アニメ

天才人形「悪偶」を巡る戦いを描く、中国原作のファンタジーバトルアニメ。全12話。
これは面白かったです。
悪偶とは、偉大な才能を持つ天才を拉致し、邪悪な術によって、生命を維持したまま手の平サイズの人形に変えたもので、それを体内に縫い込むと誰でも天才になれるという設定。
ストーリーは、平凡なバレエダンサーである主人公・愛が、優れたダンサーである親友・町の才能が悪偶によるものだと知ったことをきっかけに、悪偶を作り出す「裁縫師」と、悪偶を開放する「救済者」の戦いに巻き込まれていく、みたいな流れ。序盤を観た段階では、安直に有名な偉人の名前を借りてきて「これは誰々の能力!」みたいな異能バトルになったらつまらないな、なんて心配したのですが、観続けてみると、悪偶の能力自体よりも、それに関わる人間のほうをメインに、親友、夫婦、親子、師弟など、いろいろな関係性で描いていて良かったです。また、先の展開がなかなか読めなかったり、真面目なのに観ていて笑ってしまうようなシュールな場面があったりなど、中国原作ということでのセンスの違いのようなものも感じられて、それが新鮮味に繋がったという面もありそうです。
作画は、キャラデザがシンプルすぎることもあり、どうにも適当というか、あまり力を注いでいないように見えます。全体の色彩感覚などは嫌いではなかったので、せめて主要キャラの顔だけでも、もう少し見栄えのするデザインであれば、印象はだいぶ変わったかもしれません。音楽は、主役を演じた芝崎典子の歌うED曲がとても好みでした。
最後まで観終わっても、物語はまだまだ途中というところで終わっていて、続きが気になります。普通ならば2期など絶対に作られそうもない不人気作品だと思いますが、中華アニメということで何か別の原理が働いて続編があったりするんでしょうか。もし2期があるなら嬉しいです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 10
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