会話劇で百合なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の会話劇で百合な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月30日の時点で一番の会話劇で百合なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

76.6 1 会話劇で百合なアニメランキング1位
ゆゆ式(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1288)
5893人が棚に入れました
この春、女子高生になった、ゆずこ、唯(ゆい)、縁(ゆかり)の3人組はいつもいっしょの学園生活。
放課後は部員3人、パソコン2台とホワイトボード1代の「情報処理部」で、てきとうに決めた単語をググってその結果でまたおしゃべり。
なんでもない日常は、たまにイベントも発生するけど、やっぱり女の子がいちゃいちゃするだけ。でもなぜか目が離せない新世代女子高生コミュニケーション。
ゆとりかわいい学園生活は、遊びtお部活とところにより百合要素。
ノーイベント・グッドライフ!それがこの三人の”ゆゆ式(ルール)”

声優・キャラクター
津田美波、種田梨沙、大久保瑠美、茅野愛衣、潘めぐみ、清水茉菜、堀江由衣

お茶 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんでもないようなことがおもしろかったとおもう。<改稿>

まずは正直ゆゆ式すげーってのが感想。日常系の枠に入る事は確かなんだけど、日常系にも、ある程度の非日常と言うか、パロネタとか不思議な世界観とか、それなりに魅せる要素があるのが定番なんだけど、本作は無いんですよね。日常を描いた日常系。

ギャグって程ボケたワードでもないし、どこかに出かけるとかイベントも少なく、出かけたとしても、そこをネタにする気が全くない。ゆるいとか、ほんわかとかそんなんじゃない何かがこやつにはある。

学生の時ってノリって大事じゃないですか。無茶振りされても必死で面白くさせなきゃいけないみたいな。そんな強制されたものじゃないんだけど、程よく楽しめる関係性で築き上げられた、とりとめのないJKの単なる会話で、これが何でこんなに虜にさせる毒を持つのか、、

日本語って面白いなって改めて感じる作品。日本語に潜むちょっとヘンな部分や、間違って使っているフレーズへの気づきとか、ゴロの響きとか、そんなありふれた会話を、ありふれた女子高生でひたすら見せる。これが何気なく心地いい。

電話かければ誰かと話せるみたいに当然で、そこには何もかけた理由なんてないんだけど、いざ会話を始めると楽しいみたいな感じでしょうか

投稿 : 2024/04/27
♥ : 40

祭理@クソアニメ好 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

まさに『何もない』アニメ

原作既読


タイトルの通り『何もない』アニメである。

……というのは言いすぎですが、とにかく全話通してストーリーが乱高下するようなイベントもない、女子高生の日常をただただゆるゆると描いています。
他の日常アニメと違うのは、それを徹底していること。
観ることにストレスを感じない。それでいてキャラが可愛い。
正にベストオブ日常モノ。
それでいてやたら細かい表情やら仕草やらをきっちりと画面に入れ込んでいて、スタッフさんの苦労を思うと頭が上がりません。

それとあまり評価にあがってませんが、作画の安定感は近年のTVアニメの中でも屈指の出来ではないかと思います。
お母さん先生の部屋で行う鍋だったり、ジャムをかけて食べるアイスクリームだったり、ハムレタスサンドであったり、やたら食べ物の作画が凄いです。

音楽の面でも、ネット界隈で有名な様々なクリエイターさんを起用していて、どの曲も色が違っていて聞いていてとても楽しいです。



結論としては、おもしろい!!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 11
ネタバレ

やまだ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

★4/ 無形のカレイドスコープ

萌えではない日常会話劇

縦横無尽な推進力で燃料投下していくスターターゆずこと機知に富んだ多彩な展開力のエキスパンダー縁と俊敏な判断力で応答するリアクター唯。それぞれの役割は秒単位で流動しボケとツッコミも時に1対2、2対1と華麗に変化し絶妙なバランスの上に広がるリアリティ溢れるユートピアを眺める至福を味わえる本作は唯一無二という言葉すら生ぬるい。

これは断じてただの女子高生に萌えるアニメなどではない。メンタルサプリメントであり思考実験であり現代を生き抜く為の極意であり本質であり真実であり本物であり真理でありもうなんかアレだよアレ。

世の中にクソリプを撒き散らす○○どもに限らず我々全国民はこの作品を姿勢を正して手をグーにして正座して腹に力を入れて目を見開いて口を閉じて定期的に周回する義務を課していくべきである。

それはなぜか。
では以下に記述しておく。

例えば縁がゆずこと唯の2人に対してこう呼びかける場面がある。

「みんなは〜」

2人を結べば線となり、3人結べば面となる。団体という概念の最低単位は3である。多分。理想的な家庭環境であれば自分と母親と父親とでこの構造が最初に形成されることになる。

自己が多数派にも少数派にもなり得る流動的かつ不安定な構造の安定を計るには実に多彩で高度な判断が他方に許される範囲内での応答速度を持って求められる。そう、バカには"場"を維持することは難しい。この作品を1話だけチラ見しただけの者から見ればゆずこはただのバカキャラにしか見えないだろうが最後まで視聴した者は成績もそれなりに優秀で他人に対して常識的な対応も出来る人物だと知っているはず。血統の良い縁は言わずもがな。唯も縁と幼馴染であるので家柄も悪くないはずであり、その2人相手の対応を見てもそれなりの判断力を持ち得ている事に疑いはない。

この作品はたとえば繊細なアクセルワークで沈黙を破って進入してきたゆずこの速度と強度を即座に参照算出、適正な戦略と戦術で迅速に適応的な対応を選択し快適なリズムを崩さずに"場"に展開、その後も同様に柔軟な対応を当意即妙に続けていくというとても高度な技能のケーススタディなのである。

これはどんなにスーパーでスペシャルなコンピュータの高性能AIでも実現不可能な芸当である。今後いくら技術が発達しようとも。絶対と言い切れる。何故か?

コンピュータには身体性が無いからだ。

人間の脳は無意識領域であっても周囲の様々な要因に影響される。温度湿度光量音量臭い壁の色人間の数など。身体的にも空腹度疲労度などの体調面。凄まじい数の要素がリアルタイムで次々と変化する。パラメータを計算するだけならAIが得意だろう。だがそれらを測定するセンサ自体が存在しない。彼女らはそれらの複雑なパラメータを瞬時に読み取り計算し時には修整しつつ"場"を整えていく。

では何故"場"を整える必要があるのか。
 
続きは有料となります(嘘)
この作品見たらわかりますよね。

以下各話メモ。
{netabare}
1日1話の勢いレビュースタイル。けいおんとの2本立て。思ったことそのまま。

1話
こりゃスゲェ。ほんとに何も起きない。けいおんがほんとにゴージャスに感じる。なる程これは唯一無二なのかもしれん。じっくり彼女らの生活を覗き見することにしよう。

2話
リズムにハマることあるよね。わかるわかる。胸の話題は流石にわからんが切実なのかもな。男は見せ合いとかしないからどうなんやろ。お母さん可愛い。全く教師感がないがコレはコレでいいのか?先生から何か教わることくらいは無いのかな。2回目にしてオープニングエンディングがいい曲に感じて来た。アレ?ハマってきた?
3話
夏休み。水って何だ?何なんだろ。部屋に何もイジる要素がないのな。けいおんと比べて物凄く濃度が濃いような気がする。何だこれ。女子高生のリアリティとかはわかる訳ないのだが。一応プールなんか行くけどあっさりしててイベント感がまるで無い。なんか凄いものを見てる気がする。展開も何もないのに次が見たくなってる不思議。
4話
何これ凄い。メチャクチャ面白いんだけど。絵柄はもう全く気にならない。他の子との絡みも増えてきた。オープニングエンディング両方落とした。2曲ループで数時間聴いてる。コレはヤバイものを知ってしまった。いや、コレ本当に凄い。マジで。何故かとかは浮かんでは来るが考えたくない。語彙力無くしたままでいい。今は身を任せて味わおうと思う。
5話
いきなりターン制が始まりすぐに終了。様々な口火から不意に急展開しては元の話題に着地したりとアドリブのような会話が楽しいのか。2週目はどんな感想になるのかな。カイザー…、懐かしいなアレ。記憶無くして見たいって最高級の賛辞だと思うけど、だからといって勧めたりはしないのね、なる程。なんか物凄いヒントが沢山詰まってる気がする。ああ、またくだらない長文書きそうだ。
6話
ポテトは木曜日に決まってんだろ。コート姿もいいです。学校指定品に種類あるのか。歳とるとビックリのダメージが大きくなるな。クリスマスの身内お泊り回すらない潔さ。男子の話題が出ないのは新鮮。帰り道の横並びのポジションが度々スイッチするのなんかいいですね。
7話
1クールの作品で後半から急に雰囲気変わるのは何故なんですかね?2人だけの絵面は新鮮。下ネタはちょっと残念。ただ見てるだけで幸せな気持ちになる不思議な体験。時間が経つのが、凄く早い。
8話
やっぱ演出変わってんな。腹とか胸とか足とか要らんのに。胸触っていいよ一回だけ、てのはお返しのつもりなのか。これショートアニメだった?ってくらいにもう終わり?ってなる。え?あと4回しかないの?嘘でしょ?
9話
ふみの後ろ姿から始まり佳と合流して2人で話しているところに縁登場。何なのかわからんが貫禄を感じる。教室に入るとゆずこと唯が話している場面。何この安心感。場面が切り替わるたびに残り時間を確認している。下校時6人並びの絵が新鮮。でもやっぱり一緒に遊ぶ描写はない。
10話
会話の内容を絵で表現するのは普通だけどココではやらなくていいような。でもメンドイ魔物のデザインは好き。グッズあればちょっと欲しい。戦うべき感情を可視化するのは割といいアイデアなのかもしれない。自分との戦いに勝利する為にはやはり他者の存在が必要なのだ。人は1人では生きていけない。いわゆらないって言った事ある。EDの神様は少し笑った。油断してるとすぐ終わる。あと2回。
11話
いやあと1回で終わると思うとなんか身が入らんというかどうせ周回するだろうしと思っていたらあっと言う間に終わってた。少し真面目な青くさい話も。いやでも次が最終回なの?信じられない。本当に?
12話
いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ終わったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 19

81.5 2 会話劇で百合なアニメランキング2位
花物語(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (1682)
11004人が棚に入れました
神原駿河は幼い頃に死別した母から干からびた猿の手のようなミイラを譲り受けていた。曰く、その手に願えば、どんな願いでも三つだけ叶えられるという。しかし、その猿の手は、願いを叶える代償として最終的に身体と魂を乗っ取る怪異「レイニー・デヴィル」だった。駿河は二度まで願をかけてしまうが、先輩の阿良々木暦・戦場ヶ原ひたぎ達の助けによって怪異に取り込まれることは避けられた。しかし、後遺症として左腕が怪力を発する毛むくじゃらの猿の手となり、駿河はそれ以来左腕を包帯で隠して日常生活を送ることになる。
それからおよそ11ヶ月が過ぎ、駿河が三年生になった春のこと、駿河は奇妙な噂を耳にする。なんでも「悪魔様」に相談をするとどんな困った悩みごとでも解決してくれるという。悪魔の左手を持つ駿河は因縁めいたものを感じ、「悪魔様」の正体を突き止めようとする。そして「悪魔様」がいるという学習塾跡地へと向かうのだが、そこに居たのはかつての駿河の宿敵だった。
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「変態の阿良々木暦」の意志を、「変態の神原駿河」が受け継いだ物語。

2014年8月一挙放送。
全5話。


【前置き】

元々本作は、2013年に放送された「物語シリーズ セカンドシーズン」の中の一章として組みする作品なのですが、本作だけ時系列的に大きな違いのある作品ということで、別枠での放送が決定しておりました。
当初の放送予定は、2014年に放送された同じくシャフト制作のアニメ「ニセコイ」の後枠である6月中。
……が、制作上の都合で予定が変更となり、同年8月に一挙放送と相成ったワケです。

結果として蓋を開けると、セカンドシーズン放送開始から計1年以上も待たされたことになり、ファンとしては中々辛い思いをしました…。
(でもまぁ、傷物語の延期具合に比べれば……ね。)

ただ、視聴し終えた今となっては、本内容を別枠にした理由や、放送を延期しただけのクオリティに関し、全て納得のいくものでしたので、総じてとても満足しております。



【あらすじ】

かつて、どんな願い事も魂と引き換えに叶えてくれる怪異の左手を手にした女子高生『神原 駿河(かんばる するが)』。

阿良々木君との一件でその怪異は去ったものの、後遺症としてその左腕は怪力を発する毛むくじゃらの「猿の手」だけが残り、彼女はそれ以来、左腕を包帯で隠し日常生活を送っていました。

それから11ヶ月、彼女が高校3年生になった春のこと。
神原は、奇妙な後輩「忍野 扇(おしの おうぎ)」より、なんでも願いが叶うという「悪魔様」の存在を聞きます。

「願いの叶う悪魔」に因縁めいたものを感じた神原はその正体を突き止めますが、そこに居たのはかつてバスケットボールで彼女と競い争っていた相手『沼地 蠟花(ぬまち ろうか)』だったのです……。



【論じてみる】
{netabare}
本作は、セカンドシーズンの多くと同様に、主人公である阿良々木君の視点ではなく、各ヒロイン(今作では神原)を視点に物語が進みます。

そして、時系列で言えば阿良々木君が高校を卒業した後が舞台であり、アニメ内では本作のみ飛び抜けて一番新しいエピソードであることが分かります。
登場人物こそ少ないものの、劇中で一番新しいエピソードということで、時が経った各キャラクターを見れることは、それだけで十分新鮮味があり楽しかったですね。
この時系列ならば、別枠での放送にも納得でした。

まぁそれ抜きにしても、「レズ」「露出狂」「BL好きの腐女子」「ロリコン」「マゾヒスト」「欲求不満」等々……。
メイン個性を重ね着したような型外れなキャラクター『神原 駿河』を主軸に話が進むだけで、もう既に非常に面白いのですけどね。
シナリオとしてはシリアス方面の色が強いので、その個性も(少し?)抑え気味に描かれてはいましたが。


作画に関しても、セカンドシーズン以上に目を見張るシーンが多く、時間をかけただけの出来であったことは間違い無いでしょう。
水しぶきが上がるシーンや、以前にもあった神原家の本のドミノ倒し、それにお肉の生々しくも美味しそうな様(これは夜に見てはイケない!!)など、紙芝居の中にも趣向を凝らした絵が沢山あり、非常に見応えがあって退屈させられませんでしたね。



さて、本作で登場する、神原のかつてのライバル『沼地 蠟花』。
彼女は、疲労骨折で足を故障し、松葉杖での生活を余儀無くされてから、新しい趣味として「願い事を叶えてくれる悪魔様」を名乗り、不幸な相談事に乗っていました。
しかしそれは、「他人の不幸は蜜の味」という名の下で、その不幸話を収集するでしか無い、とても褒められたものではない悪趣味な生業だったのです。

『私に…、悪魔様に相談してくる高校生達の手紙は、それに録音した通話記録は…、私の何よりのコレクションだよ。』

淡々と、とても下卑た台詞を並べるものだとは思いましたが、実際に彼女のような状況下に置かれたら、そのような不幸話でも聞いて笑っていないと、自身を保てないのかもしれません…。
それが本当の解決策で無かったことは、「本人の真実」を聞いて分かりましたが…。

声を担当した阿澄佳奈さんは、基本的に見た目も内面も可愛らしく(加えて小さい)キャラクターを演じることが多いので、このような立ち振る舞いをするキャラクターは新鮮でしたね。(あっ、やっぱり小さいですけどね。)
ただ、やはり低音を意識していたとはいえ素の声は可愛らしいので、同じくシャフト制作の「魔法少女まどか☆マギカ」の佐倉杏子(声.野中藍さん)のように、基本的に可愛くて素直な子だったのが、あるキッカケによりちょっとムリをして悪ぶっている感じに思えましたね。
実際、この「沼地 蠟花」も、そういう子だったんだろうなと、私は思っています。


趣味敵とも呼ぶべき、神原の左手に宿る「願うを叶える悪魔」を、神原から奪った沼地。
ひょんなことからこの怪異の存在を知った彼女は、神原だけでなく、色々な噂を元に数々の悪魔の部位を見つけ出し、自らに取り込んでいたのでした。
それは、いつか自らが怪異そのものとなるのも同じ……。

それを本人は可哀想とは微塵も思っていない、そして誰に迷惑をかけているわけでもない。
それでも神原は、それを放っておくことは出来なかったのです。

偶然出会った阿良々木君(←服装もうちょぃなんとかならなかったの?)の助言の元、神原は彼女に、バスケットボールでの対決を挑みました。
彼女の趣味を止めさせる為…、そして彼女に真意を突きつけ…救う為に……。

「一番良いのは、やって後悔しないことだ。」

この時の神原の台詞には、グッときましたね。

この勝負での神原のプレーは、同作者の「刀語」を彷彿させる奇策そのものでしたね。
ただ私的には、この勝負自体は重要でなく…プレーの中で「負ケタクナイ」「私モダヨ」とお互いに人間味ある意思疎通が交わせたことこそが、物語の全てだったように思います…。
最後に阿良々木君が、神原に


『オマエは、正しいことをしたわけでも、間違ったことをしたわけでもないんだから…。

 オマエは……、青春をしたんだ…。』


と言ったように…。

こう、またなんとも綺麗な締め方をするところが、阿良々木君の格好良さですね。

「オマエくらいだからな、僕のトークのアンダーグランドに付いて来られるのは。」

と互い認め合うこの2人の関係は、時が経っても寸分も変わること無く、これからもこうあり続けることでしょう…。


エンディングは物語シリーズ定番、各ヒロインが歌う新作主題歌
『the last day of my adolescence』「神原駿河(沢城みゆき)」。
これも定番通り作詞「meg rock」に作曲「神前暁」…とはいきませんでしたが(神前さんが療養につき活動休止中の為)特に違和感無く、というより映像にグイグイ惹き込まれるカタチで、とても魅入ってしまいました。
(ラップの部分は、少し虚をつかれましたが。)

その映像というのが…、もし沼地と神原が中学時代にバスケットボールを通し仲良くなっていて…、悪魔なぞに出会うこと無く、高校時代をお互い過ごしていたら…というパラレルワールド。
そこでも沼地の足は怪我を負ってはいたようですが、同じ直江津高校のユニフォームを着てせめぎ合うラストシーンは、作中とは違ったカタチですが、ちゃんと沼地が救われていることが窺え嬉しかったですね。

泥沼ディフェンスで知られる「毒の沼地」と「神速天使 神原」の大勝負。
その勝敗は誰にも分かりませんが最後、ハーフラインから飛んでいた神原に…、軍配が上がることはあったのでしょうか……(笑)
{/netabare}



【吉報であり凶報でもある第2話】
{netabare}
そうそう、吉報であり凶報としても忘れてはいけないのが、本作第2話。

セカンドシーズン最後の物語『恋物語』のラストで、衝撃的な最後を迎えた『貝木 泥舟(かいき でいしゅう)』の生存が確認されたのは、非常に嬉しかったですね。
(と言っても、霊的な者が存在するこの世界観では、安心は出来ませんが…。)

詐欺師として、人を信じず、金に汚く、非人道的で、息を吐くように嘘をつく男、「貝木 泥舟」。
しかし、こと神原に対してだけは、

「本来そんなことは、天変地異が起ころうともありえないのだが、今日に限りお前が相手に限りっ!!

 …………特別だ……、お茶くらい奢ってやる…。」

と、優しく手厚く?接してくれるのでした。
なんだかんだで、予約までして焼き肉を奢ってくれてましたしね…。

しかし初顔合わせでの、あの神原をも出し抜く貝木の異常な脚力(というか走り方)には、思わず吹いてしまいました。
素で泣いてる神原も、可愛かったですしね。


貝木は、昔まだ神原の母親が神原を生む前…、まだその母親が「臥煙 遠江(がえん とおえ)」と呼ばれていた大学生時代…。
彼女に、淡い憧れの感情を抱いていたと告白します。

この貝木が、そのような過去を正直に?吐露するのは、これまた新鮮でしたね。
そんな昔話をしながら、「肉を食え肉を」と促しつつも、その憧れの人から「駿河を気にかけてくれ」と頼まれたことも告げたのです…。
もうここまでくると、ホント神原の思った通りの「無愛想だが親切な親戚のおじさん」みたいな立ち位置でしたね。


『俺はお前を騙さないし、俺はお前に害を成すつもりはない。

 だからお前は、俺を嫌いになれない。

 好きな奴がお前のことを好きなってくれるとは限らないのと同様…、

 嫌いな奴がお前のことを嫌いになってくれるとは限らないんだよ。』


彼が最後に差し出した『ゴーストバスター(←削除)貝木 泥舟』の名刺からも、この台詞の本心ぶりが窺えた気がしましたね。
しかしコイツはやっぱり、ほんと
「どーしようもない小悪党の癖に、言うことだけは格好えぇ。」
ですね。(↑誰の台詞かピンとキタ人は、通ですね♪)

「恋物語」以降、彼の人気はウナギ登り気味な感じを受けますが、何を隠そう私は(←誰も興味ねぇよ)彼の初登場時「偽物語」での小悪党でしかない頃から、メチャクチャ大好きなのです。
いやはや…、私は非人道的なキャラクターが好きなのかもしれません。
最も、それ故の強烈なアイデンティティーが、そのキャラクターにあってこそですけどね。
{/netabare}



【総評】

シナリオも良し、作画クオリティも申し分無し、サプライズもあったりと、私的には待たされただけの面白さは十分味わえた内容でした。
沼地の過去回想に関しては、かなり尺をとっていて長くは感じましたが、私的には絵のギミックを見るのも楽しみの一つなので、それ程気にはなりませんでしたしね。
総じてセカンドシーズンの物語の中でも、非常に見応えあり楽しめた作品でした。
(一挙放送だから印象値も違うので、後々どう変わるかは分かりませんけど。)

ただ、なにぶん長編の物語となってきた「物語シリーズ」なので、時系列や各々のキャラクターについて前情報は必須。
故に、初めての人の敷居が高くなってしまっているのは残念です。

それでなくとも、この演出も含めて合わない人は合わない作品だとは思いますし、見れば見るほど味が出る作品でもありますので、初見では今の評価程の楽しみを味わえない方が多くなっているように思えました。
全シリーズアニメ化を謳っているので、これから映画「傷物語」や「ファイナルシーズン」へと、まだまだ継続して制作されていく作品になるかと思いますが、その頃にどれだけのファンを獲得しているか、そしてどれだけのファンが残っているかも、作品の評価の別れ目となっていくことでしょう。

まぁ私は、このキャラクター達の良い意味で無駄な会話劇にトコトンハマった人間ですので、最後の最後まで付き合うこととなるのでしょうけどね。
そんな私には、この新作一挙放送の2時間は、とても贅沢なものでした。


さて、次は「傷物語」ですよね。
聞いた限りでは、2012年公開と耳にしていた筈……。

……………。

どこで世界線を間違えたのだ私はっ∑(゚д゚lll)!!


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
{netabare}『貝木 泥舟』声 - 三木眞一郎さん{/netabare}


◇一番可愛いキャラクター◇
『日傘』声 -日笠陽子さん



以下、どーでもいい駄文なので〆ます。
{netabare}

作中、神原と阿良々木君とがメールで、

神原【昔の知り合い(女の子)に、おっぱい揉まれた。】

阿良々木君【僕も混ぜて!】

と、やりとりする場面がありました。
(返事がなくて阿良々木君は、焦っていましたがwww)


なるほど……。
女子高生に対しては、こういう卑猥な返事がウケるということでしょうか……。

よし…よし………うん…、…今後はこう対応してみよう……グヘヘ。

………………。

…………。

……。


……あぁ、そうか…。


貝木の言葉を借りるなら……

「この件から俺が得るべき教訓は、今の自分には…女子高生から連絡が来ることなぞ、一切無いということだ…。」
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 60
ネタバレ

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ときはなつ ダンクシュートに この想いЮ へ(д・` ✿)

<物語>シリーズ セカンドシーズン 「花物語」全5話

化物語、「するがモンキー」にて描かれた

バスケ・全裸・ひたぎラブ♡・爽やか美少女『神原駿河』の
左腕にとり憑いた怪異、“猿の手”もとい、モフモフ毛むくじゃらアームが

その後どーなったのか?というお話し―


始まってすぐは気付きませんでしたが本作、
物語シリーズの中でも時系列がかなり進んでいるようで
『阿良々木』くんや『ガハラ』先輩はもう高校を
卒業してしまっていて、『神原駿河』が
3年生に進級した頃のお話しのようであります_((Ф(・ω・`)

黒髪(紫?)ロングを二つに結わえた
制服の下にスパッツをはいたお馴染みのスタイルが
すっかり板についている『神原』選手!!

シリーズ通して久々の登場、再会に気分もわくわく(o>ω<o)

しかしながら、本作は物語シリーズの数あるお話しの中でも
特に、シリアスな描写が多めの印象!! を受けました―

〇〇先生…バスケが…バスケがしたいです。゚(゚´Д`゚)゚。

との思いが頭の中を駆けめぐってしまう
そんなお話しの展開でありました(つω・`。)ヾ(・ω・`)ドーイウコト?

何かと申しますと
中学時代に『神原』選手のライバルだった
『沼地 蠟花』というバスケ少女 (本作のキーパーソン)
が”とある出来事”がきっかけでバスケをやめてしまう…

その後、彼女がどうなってしまったのか…
さらには『神原』選手の左腕にとり憑いた怪異、“猿の手”
がその後どーなったのか…? という点においても
その『沼地 蠟花』が大きく関わってくる事に…!?

彼女と再会することになった『神原』選手がかつての盟友へ
向けて”バスケットボール”という会話劇を舞台に
その想いをぶつける!!

その度々交わされる会話の中において、
名言とも言えるべき台詞、考えさせられる言い回しの数々…
正義とは!? 悪とは!? 願いとは?…逃げるとは?… 後悔とは…?
などなど実に深いお話しが散りばめられていて
興味を惹きたてられます|ョω・)ジィーッ

うん、とりあえずもう登場人物ほぼ2人っきりの物語♡

あ、でもでも、『阿良々木』くんが後半
ちょぴっとだけ、頼もしく登場なのです!

って髪長ぁぁぁぁ川゜Д川ww

あれは…、高みー(※1)とかアルト君(※2)…、
いやもう貞子レベルですなッ(`・ω・´)キリッ!!

※1 THE ALFEEのメンバー  ※2マクロスFの美少年主人公


ん|д・)? 何なに? 早く…
✿・д・)-<アンリミテッドルールブック…ブツブツ

『斧乃木』ちゃんが早くボクのレビュー(憑物語)へ
アンリミテッドルールブックするよ! イェーイ! ピース(๑・ω・>)ピース
との催促が半端じゃないので本作のレビューは…

ここまでにして_((Ф(・ω・`)

続けて「憑物語」のレビューに移らせて頂きます!


まとめて―
相変わらずのシャフト演出と巧みな会話劇にプラスして
本作ではちょぴりシリアスモードと原作を知らない私にとっては
意外な展開|д・)にこれまた、ハッとさせられ、そして…

『神原』選手の… {netabare}胸を…鷲掴みにドキッ {/netabare}(*/ω\*)♡ヾ(・ω・`)コラコラ
と、今作も楽しんでしまったことは言うまでもないだろう( ・´-・`)



さてさて、そろそろアンリミテッド…
ちょ、『斧乃木』ちゃん…弱めの低空ルールブックにしてネ(*´-`*人)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 56
ネタバレ

fluid さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

あれこれ予想するのが大好きな人にとってはかなりおいしい作品!

今回は、猿の手に取り憑かれた女の子が「自分で勝手に助かるだけ」なお話。
一見するとするがの物語に見えますけど、、【怪異】が何なのか? 視聴者にネタバレしてるように見えなくもない物語でした。

物語シリーズってホント、ミスリード&逆転ネタが多いですよね。
一緒に会話してるのに実は全然別の物が見えてたり、思い込んでたものが実はそうじゃなかったり、まるでパズル(笑)

普通に見てたら聞き流しそうな重要なキーワードが大量に盛り込まれてて、もう一度見直してみると全然違うドラマに見えるところが面白いですね。

分かりにくいダメなアニメという感想もありますが、このアニメの分かりにくさって視聴者に考える楽しみを与えるための演出なんですよね。
本当にスタッフの腕が悪くて分かりにくいアニメもありますけど、それと一緒にされちゃってるのがちょっと残念。

分からないからこそ面白いのにね・・・それが好奇心。
すべて把握できないとすっきりしないという視聴者には向かないアニメかもしれないですね。
個人的には、全てが明かされて終わるよりは終わりが無い終わり方のアニメの方が好きです。この世界はまだまだ終わらない的な(笑)


■感想
まず思ったのが、、、あれ? あの人が!{netabare} 生きてるじゃん!
前回、ジーパン刑事殉職みたいな終り方したのに(笑)
貝木ファンとしてはかなり嬉しい展開。

ゴーストバスターと競争して負けるするが・・・泣いてる表情が可愛かったです。
ていうか、あの化け物みたいな足の速さは何!?

ヒゲ生やしてさらにキャラが濃くなってるし(笑)
意外と貝木って登場回数多いんですよね。
この作品に込められた主張を貝木に語らせてるようなシーンも結構ありますし、作者はぜったい貝木のこと好きでしょ(笑)


それにしても阿良々木くん不在のするがってホント普通の女の子なんですね(笑)
人間って相手によって話し方とか性格変わりますけど、するががあららぎ君と話すときに被る仮面は変態仮面だったってことですね。

そしてするがと話すときに貝木が見せる振る舞いは、親戚の普通に優しいオジサンみたいな性格。
悪人のような貝木、善人のような貝木、恋する貝木、優しい貝木、
これまでいろんな性格を見せることで視聴者をビックリさせてきた貝木ですけど、今回の物語はその見る人によって相手の振る舞いが変わるっていうところを作者が主張してるように感じました。おそらく!

しかし、貝木の言葉はいつも深いですね。なんなんでしょうね、このカッコいいおっさんは(笑)
というよりはこの作品に登場する大人ってみんな深いですよね。
現実にこんな大人いないでしょ!ってくらい何かを悟ってる感じの大人ばっかり。

貝木「どの方向から見ても同じ性格のやつはいないし、どの時点でも同じ性格のやつもいない」
深い!
人は人をどう見るのか。
人が真実だと思って見てる他人なんて幻想でしかない。沢山ある側面の一つでしかない。

でもこれって、分かっててもやっぱり主観視点で見てしまうのが人間の面白いところ。


阿良々木くんいわく、
「僕らしさっていうのはお前が決めていたのかもしれない」→するが
「好かれたいやつに好かれたいキャラをみんな演じちゃうものなのかもしれないな」
「そんな演技をしているうちに見失うものも、失うものもあるんだろう」
髪、短い方がよかったなぁ。。
大学生になって深い話が得意になった阿良々木くんなのであった(笑)
あの髪の長さは伊達じゃない!

このアニメって見る人によって見え方が違うネタがかなり多いですよね。
この花物語はとくにこの主張が濃い感じがします。
しかも今まではドラマ仕立てにして雰囲気で主張してたのに、今回は直接言葉にして決定的に伝えてるところが今までと違うところ。


沼地さん幽霊でしたね。。。
八九寺も幽霊でしたけど、今回は幽霊に遭遇するまでの流れがやたら丁寧に描かれているところが、ん?もしかして?
元々存在した幽霊を探し出したように見えますが、するがが悪魔様のうわさをかき集めるうちに思い込んで作り出した怪異にも見えます。

・怪異は周りの期待通りに振る舞う。
・人間がそこにあると思うからそこにある。
そして今回、本人は自分が怪異だと気づいてない。←ここ新しい!
それに気づいて怯えるするがの表情がかなり印象的でした。
え・・・?あの幽霊、、、自分が幽霊だってことに気づいてないじゃん・・・、みたいな。

今回、シリアスな話が続いてあまり面白くないっていう感想が多いみたいですけど、こんな複雑なパズルみたいな物語を書く作者のことですから・・・逆になにか意図があるんじゃないかと考えちゃいますね(笑)
どんなに面白い物語も視聴者に見えてもらえなければ何の意味も無いわけで、そのためには視聴者を作品に引き込む要素が必要となるわけですが。
このアニメではあららぎ君がその役割を担ってる、というわけですね(笑)

逆にこの点が全く理解できてない悪い例が、最近のタイトルの中ですと「グラ◯リップ」ですかね・・・
頑張って我慢して見続ければ面白いかもしれない作品Σ 理解できるかどうか挑戦させてるんだ、という感想もありますが、、、それって、例えるなら、客商売なのに物凄い態度の悪い定員さんと同じ原理ですからね・・・
仮にもプロのアニメーターなら他のアニメ作品と同じくらいの最低限の努力は見せてほしいものです。どんなにおいしい料理も接客が最低だと味を試す気にもなりませんしね。

その点この物語シリーズはよく理解できてると思います。
面白い話を作る能力だけでなく、視聴者の引きを作るテクニックもしっかり押さえてるところが素晴らしい。
つまりそう、、あららぎ君ありがとう!そういうことです(笑)

にも関わらず、なぜ今までみたいにあららぎ君を使って引きを作らないのか?
これまでの実績があるので、そんなに引きを作らなくても視聴者は見てくれるっていうのもあるんでしょうけど、他に何かないか注意してみてみると、、、
怪異に遭うまでの流れをこんなに丁寧に見せるのは初めて?かもしれないんですよね。
怪異の秘密をチラつかせてる?? 今後の展開のための下ごしらえ?

うーん、分からない(笑)絶対何かあるはずなんですよね・・・
{/netabare}

■怪異ってなんだろう?
{netabare}
幽霊なのか妖怪なのか、神様なのか伝説なのか、思い込みなのか、何なのか分からない。
というよりは意図的に何なのか分からない見せ方をして視聴者に予測する楽しみを与えている。
むしろ、どういう見方をしてもつじつまが合うように作られている、そんな作品なんだと思います。
どんな風にも見える世界観、それがこのアニメの重要な魅力の一つなのでしょう。

とあるレビューは怪異のことを幽霊のように解釈してたり、妖怪のように解釈してたり、
そう考えてみると、どんな見方をしてもつじつまが合うんですよね。
想像が現実になる人間原理ネタが一番近いような気もしますが、それは視聴者への見せ方・トリック・誘導ということで全部思い込みとか夢落ちでしたってパターンもありそうですし。
どんなエンディングになってもおかしくないところが面白いですね。

物語シリーズってある意味、視聴者の【期待通りに振る舞う】作品ですよね(笑)
見る人によっていろんな見え方(解釈)になるあたりが。


↓怪異関連のセリフ
忍野「人間がそこにあると思うからそこにある物、それが怪異だ。」
忍野「怪異は周囲の認識通りに現れる。周囲の期待通りに振る舞う。そういう物だ。」
撫子「怪異にあえば怪異にひかれる」
撫子「怪異を知ることで怪異を信じることになってしまう」
貝木「スズメバチ → あれは瞬間催眠というやつだな」
貝木「怪異など俺は知らない。しかし、怪異を知る者を知っている。」
貝木「正確には、怪異を知ると思い込んでいる者を知っているだけなのだがな。」
貝木「お前たちの思い込みに俺を付き合わせるな」
貝木「嘘だろうとどうだろうと、所詮この世に真実など無い。」


1、人の思い込みが怪異ということらしいですね。

じゃあ、ただの想像がなんで現実に影響を与えるのか?
人間原理ネタ的に実際に現実に影響を与えてるという設定の可能性もありますし、
現実に影響を与えてると思い込んでるだけという可能性もありますよね。
例えば、自分が見ている怪異が周りの人にも見えてるというシーンは、単に周りの人にも見えていると観測者が思い込んでるだけの可能性もあるわけです。

そもそも、怪異が見えるキャラが中心で展開していくアニメなので誰にでも見えると錯覚しがちですが、八九寺のように見える人が限定される怪異やシーンもありますしね。
起きているときに夢を見ているような状態と言えばしっくりくるかもしれないですね。正気の人間には想像しづらい状態ですけど。
夢の中ではこれが夢だと気づかなかったり、現実離れした現象にも違和感を感じなかったり、そんな状態に近いのかも。

現実に影響を与えているのかいないのか?
どちらでもつじつまが合うように作られた物語。
視聴者に予測する遊びを持たせるようなスタイル。上手いですね。。。

2、周囲の期待通りに振る舞う

たとえば、しのぶが体だけでなく性格まで子供っぽくなってるのは、あららぎ君がそういう風に見ているからそういう振る舞いをしているということらしいですし。
八九寺にしたって自分で考えて行動してるように見えますけど、あららぎ君がそういうリアクションを期待してるから思い込みでそう見えているだけという可能性も。

3、暗闇

400年前しのぶが暗闇に追われたとき嘘をついてたのはしのぶなのに住人まで消滅するのはおかしい、という感想もありますけど。
そもそも怪異は周囲の住人の思い込みなんですよね。
住人が消えたと思い込むか忘れるかしない限り存在し続けるもの。
ですから、住人が先に消えるのは必然なんでしょうね。
まあ、この現象にしたって住人が消えてると観測者が勝手に思い込んでるだけとか、あるいは元々別の理由で消滅した住人達にもっともらしい観測者の理由づけがされたという可能性もありますよね。

暗闇ってひょっとすると周囲の認識のずれなのかも?
吸血鬼が神様になるというのが誰かの思い込みだとすると。
本当に神様だと思ってる住人と吸血鬼だったことを知ってる住人とで認識のずれが生じますよね。
話を照らし合わせるとつじつまが合わなくなって信仰=思い込みが薄くなり消滅する。みたいな。

4、貝木はどちら側?

貝木にはおそらく怪異は見えていないんでしょうね。
ただし、見えないから、信じてないからといって他人を信じ込ませることが出来ないわけでは無いですし、見えてるか見えてないかはどちらでも良いわけです。
そして忍野達とつながりのある貝木のことですから同じ技術を持っていても不思議じゃないですし、相手を思い込ませることで怪異を見せる、なんてこともできちゃうんでしょうね。

例えば、スズメバチは瞬間催眠だと言う貝木ですが、掛けられる側がそれを怪異だと思い込めば怪異なんでしょうし、
貝木がどちらなのかに関係なく見る側がどう思い込むかの問題。
貝木の目には勝手に思い込まされて一人芝居をしているような相手の姿が映ってるんじゃないかな?

貝木がなでこの説得に失敗しかけて蛇に縛られてたシーンがありましたけど、
何も見えてないのに縛られてる感覚があっただけなのかもしれないですし、
痛がる一人芝居をすることでなでこに思い込ませてただけなのかもしれないですし、
なでこが勝手に痛がる貝木を想像していただけなんて可能性もあるんですよね。

でもそう考えると実は忍野も怪異が見えて無いのかもしれないですね。
見えなくても退治できないってことは無いでしょうし。
ひたぎのカニのときも怪異をつかんだり投げ飛ばしたりしてましたけど、その前のシーンで「僕にはまったく見えないがねぇ」と言ってましたし、少なくともカニは見えてないはずなんですよね。
あのカニはひたぎの思い込みで、カニをつかんだり投げ飛ばしたと一人芝居をすることでひたぎに思い込ませていただけ、、、という可能性もあるんですよね。

貝木と忍野、二人には怪異が見えてないかもしれないですし、見えてるかもしれない、
怪異を信じてないかもしれないですし、信じてるけど見えてないなんて可能性もありますよね。
たとえ本人の口から告げられたとしても本当のことを言ってるとは限らないですし、
視聴者としてはすっきりしないところですが、、、それが色々予測できる面白い要素にもなってますし。
どちらなのかに関係なく見る側が何を信じるか、ということなのでしょう。

そう考えると、この二人って表向きの言ってることが違うだけで実際には同じような人物っていう可能性もあるんですよね。
{/netabare}

■ここからは推測なのですが・・・
先がつまらなくなる可能性があるので見るかどうかはご注意下さい。
{netabare}
貝木は怪異かもしれないですね。
色も白いですし、かいい と かいき という名前も・・・
作者の力の入れ方からしても、何かあるんじゃないかなと考えざるを得ないキャラクター。
忍野達と知り合いという割には2ショットで並んでるシーンが無いのも少し奇妙なんですよね、偶然かもしれないけど。


↓ここからは貝木が怪異だったらという前提で過去のシーンを思い返してみます。

飽くまで複数の人が共通認識する詐欺師という振る舞いはそのままで、
性格が毎回違うのはおそらく見る人の期待がそうさせてるんでしょう。
というよりは、自分の認識に周囲からのすりこみが混ざってるという感じかな。

・ひたぎ にとっての貝木
助けてくれる人なら誰でも好きになってたでしょうねと語るひたぎの前には、ひたぎに片思いしてるように見える貝木。
ひたぎってファザコンだからあの父親の無口キャラが貝木に影響してるのかも。
母親と別れたくはなかったけど、その重さをカニに丸投げしたところを見ると深層心理では別れたいとも思ってたでしょうし、
その別れるための汚れ役を引き受けてくれるキャラを期待して貝木がそれに答えたという風にも見えますね。
誰かのせいで分かれることになったと思い込む方がひたぎにとっては楽だったってことなんでしょう。
そもそも言うとおりに謝ったり、町の中に入らなかったり、悪人がそんな都合よく動くところが不自然ですよね(笑)

・委員長ちゃんにとっての貝木
ほとんどこの二人のカップリングは無いですね。だから、委員長ちゃんだけに見せる振る舞いは無し。
おそらくこれにも理由があって、誰かに頼るような弱みを絶対見せられないあの性格を考えると、貝木に期待することが何もなかったということなのかな。
周囲には影響与えていないけど、あの性格のせいで逆に自分の中に怪異を生み出しちゃったパターンですね。

・ファイヤーシスターズにとっての貝木
悪人ではなく悪役を求める期待に応えてものすごく悪い印象の貝木。
結局、殴っても何も解決しないとか子供のようにあしらわれて勝てなかったのも、かれんの心がそうさせたのかな。
心の底では正義なんて何の役にも立たないということに気づいてたんじゃないかな。

・するがにとっての貝木
猿の手の解決方法を教えてくれる優しいオジサン。
猿の手に取り憑かれ、競走で絶対に負けられないという苦しみを抱えるするが。
あのゴーストバスター貝木の異常なスピードはおそらく・・・
心の底では苦しみから逃れて競走で負かしてくれる相手を望んでいたということなのでしょう。
悪魔パーツのコレクターの話は猿の手から逃れたいするがの期待がそうさせたんでしょうね。


最初、貝木はものすごい詐欺師の悪人として登場し、次にひたぎの命を救う正義マン、そして今回は優しいオジサン。
変わり具合が凄かったですよね。
でもそれって人間なんだしいろんな側面あるのは当然なのかな。
と思いきや!
実はいろんな性格を見せてたのは人間ではなく怪異としての振る舞いでした。
みたいな展開になるかもしれませんね。

人間だったとしても怪異だったとしても、同じふるまいを見せる・・・

貝木も自分で「どの方向から見ても同じ性格のやつなんて居ない」としつこいくらいに言ってますし。
今までもあったこの主張が、花物語になってしつこいくらいに濃くなってきたところを見ると何かあるんじゃないかと考えちゃいますね。


偽物語の時に、ひたぎからあなたは偽物だと言われたときの台詞
「そう、その通り俺は偽物だ」
これって詐欺師として偽物だという投げかけなんですけど、ひょっとすると存在自体が偽物だという返事だったのかも・・・・
偽物語というタイトル、貝木そのものが偽物の物語という意味も含んでたのかもしれないですね。
ゴーストバスターっていうかお前がゴーストだったんかい!みたいな(笑)

貝木じゃないにしても誰か重要なキャラクターが怪異だったみたいな展開はありそうなんですよね。
あららぎ君が彼女だと思ってるひたぎが実は怪異っていうパターンもあるかも。
前から不思議だったのが、しのぶって女の子に嫉妬する割に一番バッティングしそうなひたぎとの2ショット見たことないんですよね・・・
たまたまなのか、嫉妬してるから影から出てこないのか、それとも何か別の理由が・・・?

さすがに全部夢落ちでしたっていう展開は無いでしょうけど、
ひょっとしたら、居ないことにされてる自虐ネタで笑われてたあららぎ君が実は本当にいなかったって展開だったらちょっとウケますね(笑)

これだけ緻密に構成された物語を書く作者ですから何かビックリするトラップを仕掛けているに違いない!と期待しちゃいますね。

以上、ただの憶測でした!
{/netabare}


■主観って(アニメに関係ないので哲学や物理が好きな人だけ見てください)
{netabare}
見る人によって違った見え方になる。

主観ってそもそも物理法則レベルで仕方がない話。
宇宙に絶対が無くすべてが相対的であるようにその物理世界に存在する人間の脳、シナプスの活動が絡み合った人の思考にも絶対が無い。

・脳
人間の脳は情報を蓄積し新しく入って来た情報と蓄積された情報を【比較】する装置みたいなものなので、この【比較】する作業が思考の正体ですね。
なので、自分が自分で考えて行動してると思ってることも、実際には蓄積された膨大な情報=無意識と何かを比較している機械的な作業に過ぎないということです。
そして、比較対象がなければ人は考えることが出来ないということです。

絶対的な比較対象が無いのに人は何を基準にするのか。
脳に蓄積された膨大な情報これを仮に深層心理と呼ぶなら、人は何かを考えるとき無意識のうちに深層心理から比較対象を選び出します。
これが主観の正体ですね。

選び出すというよりは、あみだくじに近いかもしれませんね。
ものすごく複雑なので運任せに見えますが、実際には判断する前に答えは決まっている。
脳に情報が入る前にその情報が処理されるルートが決まっている。

「言葉にした時点で脚色が入る」と言いますが、むしろ、
人が何かを見たり聞いたり、得た情報が脳内に格納され理解した時点ですでに脚色が入ってる、ということなのでしょう。

なので、こればかりはどんなに経験を積んでも少なからず主観が入ってしまう。
まあでも、主観が入ることを前提に考えられるならほとんどの場合問題わけですが。

そして人物の見え方だけでなく、正義や悪、倫理観、好き嫌い、人が見てる世界は全てが主観ということです。

いきなり宇宙空間に放り出されると精神が崩壊しそうになると言いますけど、これって何もない空間には比較対象が無いから自分を見失って思考が狂うってことなんでしょうね。
普段どれだけ無意識に比較対象を選び出してるかというのを実感できる良い例。

・人が作り出す絶対
この世に絶対は無いのにあるように感じるのは何故でしょう?

それは、絶対的と平均的を区別できてないというのが一つ。
絶対はないけど、多くの人がそう思うであろう平均値は実際にあるわけで、人間が人間社会で生きてくにはこの平均を基準にしていれば大抵上手くいくわけです。
飽くまで平均は平均、この平均が通用しない人がいるということは忘れないようにしたいですね。

そして、勘違いの二つ目が定義された絶対。
これはこうなのだ、あれはああなので、という絶対的な環境パラメータが定義されたグループの中に限定されますが、絶対的な基準をもとに間違えようのない判断をすることが可能となります。
噛み砕いていうと、りんごはりんご、りんごは赤い、とか。
1+1=2
のようなものです。
りんごが赤いのは当たり前でしょ?と思うかもしれませんが、別の生き物から見たら赤くないかもしれませんよね。
そもそも犬みたいに景色が白黒で見える生き物もいますし、赤が赤く見えない生き物もいるかもしれません。
1+1=2、これは間違えようもない、宇宙共通でしょう?と思うかもしれませんが。
この時空とまったく異なる物理法則のパラレルワールドがあるとしたら、そちらの宇宙ではこの数式が全く通用しないかもしれません。
{/netabare}


▲ファーストシーズン
2009.07 → 15話 【化物語】
2012.01 → 11話 【偽物語】
2012.12 → 4話 【猫物語(黒)】
▲セカンドシーズン
2013.07 → 26話 【猫物語(白)→傾物語→囮物語→鬼物語→恋物語】
2014.08 → 5話 【花物語】
▲ファイナルシーズン
▲ネクストシーズン
▲劇場アニメ【傷物語】※主人公のエピソード → {netabare}こよみが吸血鬼になったストーリー。2012年公開予定だったのに延期され、現在は未定。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 31

79.7 3 会話劇で百合なアニメランキング3位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (602)
2244人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 72
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「みだらな和紗ちゃんは月がきれい」

<2019/7/16 初投稿>
原作未読
観始めなので評点はデフォルトの3.0です。

文学部の女子高生たちが文学で性の知識にあれやこれや荒ぶる話です。

自分で書いてて何言ってるかよくわかんねえ٩( ᐛ )و

「月がきれい」に「みだらな青ちゃん」を叩き込んだ感じ・・・なのかな


1話を観て
・THE BLUE HEARTSをそのまま流したのは素敵
 「見えない自由が欲しくて、見えない銃を撃ちまくる♪」
 まあ彼は銃を撃ちまくってたわけです。
・どうみても和紗さんより泉くんの方が傷は深いだろう。致命傷だよ 笑
・これまでずーっと「爪(つめ)」だと思ってた。「瓜(うり)」だったとは・・・でもなぜ瓜(うり)?
・総じて面白かったよ。でもマリー原作・脚本なので最後まで信用はしません 笑。

<2019/8/26 追記>
第2〜8話の感想です。

第2話
{netabare} 「S◯Xの別称」{/netabare} 大喜利大会
青春シーンだとへっぴり腰になる曾根崎さん。

第3話
強い子のミロ先生。{netabare} →「おまわりさん!この人です!」{/netabare}
泉くんの災難その2ですね。末広ひかるってありそう。

第4話
原稿用紙50枚の{netabare} ラブレター{/netabare} 笑。それもう原著論文だろ 笑。天城くんは立派。

第5話
{netabare} ロリコン{/netabare} 演出家登場。{netabare} →「おまわりさん、この人です!」{/netabare}
原稿用紙50枚の{netabare} ラブレター{/netabare} に{netabare} 校閲{/netabare} でお返事って。ありそうで絶対ない、もはやSF 笑。でも可愛らしいね。

第6話
合宿で第2回大喜利大会。
「この恩は絶対に軀で返す」あんま聞いたことない台詞出ました 笑

第7話
菅原さんは全身凶器だな
そして{netabare} 「おまわりさーん、現行犯です」{/netabare}

第8話
寸劇→内紛勃発からの{netabare} 告白大会{/netabare} であります。
菅原さんと百々ちゃんにはがんばれと言いたい。

マリーさんは本作、自分の書きたいこと自由に書いてる感じして良いですね。
和紗も菅原さんも曾根崎さんも本郷さんも百々ちゃんもホントに良いキャラしてる 笑

中間評価、付けてみました。

<2019/8/31 追記>
バトル展開の第9話(ウソ)

前回の盛り上がりから良い感じでお話が転がってます。

曾根崎さんのチョロいこと 笑
菅原さんはがんばってますね。つかあれはなんのプレイだ 笑。
あの引きだと本郷さんは次回、まさかあのシチュエーションで笑いを取りに行くのでしょうか 笑

<2019/9/7 追記>
第10話「穴」
「穴を覗くとき、穴もまたこちらを覗いているのだ」

いや、そういう話じゃないです 笑。
穴もいろいろありますが、パンツだったり股間だったり心だったり。

本格的に荒ぶってきました。
起承転結で言えば「転」の回かな。

あと2話でどうまとまるか楽しみです。

<2019/9/14 追記>
11話
最近のアニメではあんまり見かけない展開かな。

マリーさんと言えば広げた風呂敷をきれいに畳めず微妙な感じになること多い印象ですが・・・

今回の笑いのツボは{netabare} 「和紗のキス顔」{/netabare}
なまじ真面目な分笑えました。

あとあの体勢からの右フックは体重が乗らないと思う。

最終話はどうなるんでしょうね。

<2019/9/21 追記>
最終12話

マリーさんらしい変な着地だけど一応ちゃんと決まったと思います。
個人的にはもっと荒ぶって欲しかった人もいたり
{netabare}菅原さんとかもっと粘って欲しかった 笑。{/netabare}
つか結局{netabare}菅原さん{/netabare}の気持ちはどうなった?
あれ?

それは置いといて最終話の笑いのツボは{netabare} 泉くん{/netabare}のアホなカミングアウト 笑

Q.恋愛感情と性欲は切り離すことができるのか?
「恋愛感情に伴って概ね性欲も湧いてくる」
「恋愛感情がなくとも性欲を感じることはある」
「恋愛感情が強すぎたりすると相手を性の対象として見れなくなることもあったりする」
「性欲から恋愛感情に発展することもある」

いずれも性別や個々人の性格によって程度の差はあれ、多くの人はこういう感じなんじゃないでしょうか

全話通じていろいろ笑わせていただきました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 61
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

純潔の染まる色

アニメーション制作:Lay-duce
監督:安藤真裕、塚田拓郎、
原作・脚本:岡田麿里、音楽:櫻井美希
キャラクターデザイン・総作画監督:石井かおり、

少年少女たちの心をざわつかせる季節。
思春期特有の性的な悩みや思考を、
文芸部に所属する5人の女子高生の視点を通して
鮮やかに切り取ってみせた岡田麿里作品。

一人ひとりのキャラクターの心情を
女性脚本家らしい視点で論理的に解き明かしていく。
繊細な心理描写のリアリティは、
真似のできないオリジナリティがある。

昔は岡田麿里作品といっても、どこかぼんやりとした
「キャラに寄り添った作風」くらいに考えている人が
私も含めて多かったと思うが、自叙伝の出版によって、
作風の裏にある独自性の由来が明らかになったことで、
より作品が理解しやすくなったかもしれない。

岡田麿里の脚本は、徹底的な「他者に対する視線」と
でも言うべきものから成り立っている。
言わば、最近ブームの「なろう系」とは対極にある。
「他者」を客観視しながらも、集団のなかにあるときの
思考や交わりを丁寧に描くことで、アニメの世界にあっても
圧倒的なリアリティを感じさせる。
それは、小学生時代に「他者」になろうとした
経験によって形作られたもので、脚本家としての彼女の
原点のひとつなのだろう。

前置きが長くなったが、この作品もそういう岡田麿里の
視線が随所に感じられる。
しかも、アニメのためというよりは、
漫画原作がスタートだったため、最初から最後まで
しっかりと構成された物語となっており、
完成度は抜群に高い。
私にとっての岡田麿里作品は、細部はとても面白いのだが、
最後の締めになると、いつも何か物足りなさを感じさせたが、
今作は、ラストまでとても上手くまとめられている。

いちばんの特徴は女子高生5人全員が大人に向かって
変化する心の動きをつぶさに見せている点だろうか。
ストーリーの中心は小野寺和沙が「男子」を
受け入れられないと感じつつ苦悩し、最後にはその感情が
変化するというもの。そんななかで5人全員の
心の動きを追いながら、感情の変化を視聴者に
しっかり見せている。

例えば、文芸部部長の曽根崎り香が恋をしたことで、
眼鏡を外して、男に対する考え方が大きく変わるところや、
菅原新菜が大人ぶりながらも徐々に本心を表現していく
過程をコミカルにしかも丁寧に見せてくれる。
心の変化の機微をしっかりと描いている。

{netabare}キャンプファイヤーの影踏み、
り香に対する天城のレポート、
百々子の男を嫌いになる過程、
新菜の歪んだ感情と素直な感情、
ひと葉の野望から生まれた恋、
和沙の恋と友情の間で揺れる思い。{/netabare}
女子高生たちの心模様を実に上手く表現している。

{netabare}り香の退学を撤回させるために起こした
文芸部たちの人質立てこもり事件。{/netabare}
和沙たちは、自分たちが「青」の世界に
いることに気づく。
そこは、心地良いものだった。
「青」の中にいる少女たちは、大人になるために
自らの色を求めて必死に生きる。
時が過ぎ、環境が大きく変化したとしても、
彼女たちがこの季節を忘れることはないだろう。
(2019年11月3日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 81
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