兄妹で友達なTVアニメ動画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の兄妹で友達な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月30日の時点で一番の兄妹で友達なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.7 1 兄妹で友達なアニメランキング1位
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (727)
3244人が棚に入れました
過去のトラウマと、独自のひねくれた思考回路によって「ぼっち生活」を謳歌しているように見える比企谷八幡は、ひょんなことから生活指導担当教師、平塚 静に連れられ「奉仕部」に入部する。同じ部に所属する息を呑むほどの完璧美少女・雪ノ下雪乃や、クラスの上位カーストに属するギャル・由比ヶ浜結衣とともに、クラスメイトの人間関係の問題の解決から生徒会の手伝いに至るまで、数々の案件をこなす毎日をすごしていた。季節は移ろい、春。雪乃から最後の依頼を受けた八幡と結衣。3月の卒業式を控えた中、いろはからブロムの協力を求められ…。― 本物を求めた八幡は3人の関係を変えていく。果たしてこの先、彼の高校生活はどんな結末を迎えるのか!?

声優・キャラクター
江口拓也、早見沙織、東山奈央、佐倉綾音、悠木碧、小松未可子、近藤隆、檜山修之、柚木涼香、中原麻衣、井上麻里奈、ささきのぞみ、小清水亜美、堀井茶渡
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

正三角形の三角関係

原作未読


うむ終わった。3期相当『俺ガイル・完』は全12話。1期からの続きもんで足掛け計38話で完結です。
ラノベはやたら長いタイトルが跋扈していて『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』例外なく長いやつです。たいていはツカミだけのタイトルで中身は別物ですが、本作は看板に偽りなし。

2期で 「お~青春ラブコメだね~」
3期で 「う~んまちがっているね~」

となることはお約束できますのでうっかり1期2期未視聴の方はぜひ振出しに戻ってここまで楽しみながら歩いてきてくださいね。
ラブコメが大きく動き出した2期最終話を受けての3期はこれまでの群像劇っぽいところからより主人公ら個々人の関係性にフォーカスされます。もう奉仕部+αで三角関係しかやらない勢いですね。
人となりは2期までで明らかになりました。ざっと、理性と感情の化け物が揃っていて理性カテゴリに八幡と雪乃。感情カテゴリに結衣となります。理性の化け物二人の緩衝材としてガハマさんは機能しており、彼女がいなければ早晩奉仕部は崩壊していたことでしょう。では似たもの同士八幡と雪乃の決定的な違いは自意識の有無。面白いのは結衣で1期の頃から成長して自分というのを持てるようになった。自意識それあるーカテゴリでは2期終わる頃には八幡と結衣が入ることになります。
ちなみにこの組み分けは陽乃の「理性の化け物」あらため「自意識の化け物」だね、と八幡を評したことに由来します。

    理性   感情   自意識   {netabare}気持ちを言葉にすること{/netabare}
八幡   ◎    ×     ◎    {netabare}  下手{/netabare}
雪乃   ◎    ×     ×    {netabare}  下手{/netabare}
結衣   ×    ◎    △→○   {netabare}  下手{/netabare}

中庸の△や○が無いといいますか、スキルチャートを作れば歪な五角形ができそうな三人組とみてよさそうです。だからこその面白さが本作の持ち味です。
登場人物もめんどくさいですけど抽象的な会話劇は同じかそれ以上にめんどくさい。自分は物語を紐解くのに登場人物相関図を頭に描きながら楽しむクセがあるんですがこの物語ではこんな感じ。合ってるかどうかはわからんです。違ってたらごめんなさい。

もう一つ。言ってることがわけわかんない時は言ってることよりもやってることを重視してます。言動より行動ってやつ。見当違いも多いですけどね。
{netabare}※漫画喫茶!?では隣同士肩にもたれかかる距離感だったのが、後日公園のブランコでは距離を取って座ってる…みたいなそういうとこ。{/netabare}

さらにもう一つ。概念として面白かった“本物を知りたい”について。
互いを出し切っても崩れることのない関係性みたいなものでした。
自己の欲求を追求すると壊れてしまう関係。これすなわち偽りの関係。
自分を偽って維持できる関係。これもすなわち偽りの関係。
大人であればあるほど、『本物』は遥か遠く手の届かないものであることを痛感させられます。若者も直感的には気づいてる。それでも求めてやまない、やはりこの年代ならではの心情の吐露なんです。

こちらを希求して止まないのが主人公比企谷八幡でした。どうやら折り合いをつけそれっぽいものを手に入れそうなところまで来ています。
同じく希求して止まない(…のだと思う)のがおそらく雪ノ下姉の陽乃。なんとなくこじらせたまんま大学生になっちゃった感ありでこれまで同様にちょっかいを出してきます。


まーあくまで一解釈ではありますが軽くおさらいでもしてから楽しんじゃいましょうという作品。
終わってみて思ったのが八幡、雪乃、結衣の関係って各自二方向に等分のきれいな好意の矢印が出ている正三角形のかたちをした三角関係だというのに気づきました。だいたい矢印は片方だったり短かったりするものを三角関係だと思ってきた人生だったのでこういう関係もあるんだなあと思った次第です。

もしかすると『本物』の関係ってこういうことなのかもしれない。
そんな錯覚を覚える青春ラブコメの秀作です。
別の作品でめんどくさい女性は魅力的だが男性の場合はただただめんどくさいみたいなこと書いて今の今も基本的な考え方は変わりませんが、男女ともにめんどくさくても面白いと思わせてくれた作品でもありました。


なお作中頻繁に出てきた3期のキーワード{netabare}“共依存”{/netabare}は結果的に無視しとります。

{netabare}「うがった見方をすればそう受け取ることもできなくはないくらいの話だ」
「君も雪ノ下も由比ヶ浜もそんな関係性ではないよ。共依存なんて簡単な言葉で括るなよ。君の気持ちは言葉一つで済むようなものか?」

絶好のタイミングでその時に1番欲しい言葉をピンポイントで投下する平塚先生についていけばよし。{/netabare}




※軽めの余談

■平塚センセから浮気しそうになりました

いろはすを凌駕するほどあざとかったのが作り手さんだった気がします。

あざとい?:{netabare}ガハマさんに肩入れしてしまう仕様{/netabare}
CASE1:{netabare}表情の作画カロリー消費っぷりは登場キャラ屈指{/netabare}
CASE2:{netabare}モノローグの度に締めつけられましたよ{/netabare}
CASE3:{netabare}ヒッキーとのデートする時間長かったよね{/netabare}
CASE4:{netabare}CMでまで白無垢着させた上に「わたし今が一番幸せだよ」とか言わせちゃダメ{/netabare}


■めんどくさかったです(褒め言葉)

1.{netabare}1期:「どうせ何を言っても伝わらないし関わらない」と卑屈さが全開
 2期:何を言っても壊れないor何も言わなくても通じ合う関係こそ本物だと信じる
 3期:ごちゃごちゃ言ってないで“伝える”“関わる”努力をする

 こんな若者の成長をこねくり回しながら描いたシリーズといえましょう。{/netabare}

2.{netabare}いろはすの「○○です。ごめんなさい」が段々YES寄りに。周囲の人たちも充分めんどくさい。{/netabare}

3.{netabare}結局「スキ」と言ってたのは我らが平塚静先生だけだったぞ。あーめんどくさ。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 

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2020.10.01 初稿
2021.08.01 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 65
ネタバレ

tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

比企谷君、本物は見つかったかな?+裏バージョンレビュー

1期、2期のレビューを更新するうち、3期には裏バージョン(ネタバレ本音バージョン)のレビューが必要と思い。加筆、評価替えしました。
見ていない方は絶対開かないでください。

ここから裏バージョンレビュー
{netabare}
3期通しで見ると、雪乃と八幡の間の関係は、そのセリフ通りに受け取れず、見た目と実態がかけ離れているのではないかと思える部分が多々あります。
見た目は最後にやっと恋人同士ということですが、これも、実質的には婿養子決定と取れなくもないです。以下の1-3期通して二人の関係変化ポイントと“本当の”状態を考察したものです。

1期1話の奉仕部での初対面会話が弾む(見た目は弾んでいないが)時点:
⇒友達承認(セリフは速攻却下だが)
1期、普通は男子と一緒に絶対行かない雪乃が自ら誘って八幡とモールに買い物に行くシーン
⇒友達以上の存在であることを承認(ただ買い物しただけににしか見えないが、一緒に買ったエプロンはずっと使い続ける)
1期12話で再び奉仕部で友達承認を求める八幡を拒否るがウインクで返す雪乃時点:
⇒好意(好き)の表現(再び友達承認さえ拒否ったように見えるが、雪乃のウインクは相当な勇気が必要)
2期設定ディズニーランドのスプラッシュマウンテンの降下ポイントで袖を指で摘まんだ時点:
⇒雪乃からの恋人認定(単に恐怖から摘まんだようにしか見えないが、その写真は枕元にずっとしまっている)
3期10話でプロム後片付けから帰る八幡の袖を“握って”離さなく、ウルウルした瞳で見つめる時点:
⇒雪乃からのプロポーズ(言葉では別のことを言わんとしているように見えますが、行動は真逆の意思を示している)しかし八幡は優しく立ち去る
3期11話で八幡の5分間告白を受諾時点:
⇒八幡からのプロポーズ受諾(これは言葉と行動にしているので明白)
3期12話のほぼ無双している雪乃
⇒婚約・結婚式(八幡の婿養子入り)と新婚状態(雪乃を束縛する問題は全て解け、素の彼女が出ている、言葉と行動の乖離は消失)

これらは、ハッピーエンドに向かう、ポジティブ面を中心にシナリオを追ったものです。この見た目と本音の乖離が物語を面白くしているのですが、同時に難しくしている面もあります。その難しさの源泉がこの乖離でもあり、ネガティブ面のシナリオです。それを解く鍵が雪乃と陽乃の心理状況にあります。

・雪乃はなぜ、こんなに分かりづらい(面倒くさい)のか?
多分、これが、この物語の最大プロットであり、面白さの源泉です。その割には暗く、苦しいプロットではあります。
家族との関係性に問題があることは陽乃や平塚先生の会話などに1-2期にも表れますが、雪乃の口(特に海浜公園からの帰り道)から語られるのは3期になってです。また、陽乃の口からも語られます(海浜公園の夜、八幡を待ち伏せて)。ここから雪ノ下家の家庭環境、そこから来る、雪乃の心の問題が見えてきます。

・家業は姉が継ぐとなっており、自分はほったらかしで、重要視されていない、期待されていない(と思っている)
・期待されていない人生を過ごしていたので、強い承認欲求があり、期待される姉を後ろ姿を追っていた。
・自分は父の職業に興味を持っている。でも、家族に言ったことはないか、言っても取り合ってもらえなかった(しかし、これも承認欲求から来るもので、ほんとに姉、父と同じ方向に行きたいか微妙)
・結局、子供のころからの、ある意味“ネグレクト”で、普通持っているべき最低限の、「家族からの承認、信頼と安心」をもらっていない。心のよりどころがないため、自我が、とても弱く、攻撃されないための鎧をかぶっている。
・姉のコピーを目指すことでしか「自我の鎧=アイデンティ」を保てなかった。それでも満たされることはなく、常に自分(自ら納得したアイデンティティ)を探している。承認不足から自信がなく、これまで作りえなかった。
・これが、対人恐怖や、恐怖から逃れる(自分を守る)ために心とは裏腹の言葉(論理的、攻撃的ストレートトーク)でしか話せなくなった。
・軽度の解離性同一性障害ともいえる。「言葉として出る対人恐怖からの防御をつかさどる」人格1と心の中の本音としての「強く承認、信頼、安心を求める」人格2が同時に存在している。
・本来は一つになって(最終話の雪乃)、感情と言葉が一致し、強固な承認、信頼、安心に基づいてアイデンティティ作りを始める必要がある。最終話の段階でのアイデンティティはまだ形成されていないが、二人で作ってゆく準備はできている。
・そのため、雪乃の反応が劇中で非常に分かりづらい。言葉と心情が別なので、見たまま、聞いたままで理解すると、本音を見誤ることになる。
・一方、正直でストレートな対人関係(=本物)を探し続ける八幡にとってはとてもフィットし、最初の会話で好きになっていた。しかし、だんだんと、雪乃の心の喪失を知り、恋ゆえに、それを埋めて、助けたいと思うようになった。
・初めての相手からの好意を受け取った雪乃は、人格1だけで普段は過ごすのですが、八幡との間では人格2が出て来るようになります。「それが楽しかった。生まれて初めてだった」と3期で述べます。一方、乖離現象が明確になり、これがこの物語の理解を難しくします。3期の乖離は激しく、かつ分かりづらい。
・この乖離現象が端的にでるのは3期最初のプロムの終了後、帰ろうとする八幡を雪乃が追い、袖を掴んで止めるシーンに現れます。言葉では、「だから。。(わたしたちの関係を絶って、結衣の願いをかなえて、自分は大丈夫だかから)」と言うのですが、心の反映である手は、八幡の袖を掴んで放しません。八幡に腕を触られてはっと気づくのですが、それでも放しません。八幡はこの段階ではまだ、自分を何をすれば、雪乃を救えるのか分からないのでそっと指をほぐし、振りほどきます。八幡にゆっくりほどかれた腕を抱えて呆然と立ち尽くす雪乃。もう少しで人格2だけで言葉が出そうでしたが、それでも無理でした。八幡は問題の根深さを強く再認識し、最終章へと向かいます。
・結局、人格が統合されることは八幡の告白までないのですが、人格2を八幡には出せるが故に、返って言葉と心の乖離が頻発するシーンがこの物語には多い。それが2期で関係がどん底まで下がった時に雪乃の言葉「(自分を)分かってくれていると思っていた」に集約されます。人格2が出ているのに、信頼する八幡には理解されていない、やはり自分の心の喪失は埋めてもらえない。しかし、この後も八幡に期待し続けます。このような関係修復と関係破綻を繰り返しが物語を作り出します。
・八幡にとって、雪乃との単なる関係のみが本物ではなく、雪乃の心の喪失を埋め、助け、助けられる関係になることまでが、彼の求める本物であることに、周囲の助けもあり徐々に気づき、ラストの告白へとつながるということを、観衆に伝えたかったのではないかと思います。
・本来、家族が普通に埋めているはずの心の基盤となる承認、信頼、安心を彼が埋めなきゃいけないので、彼は「全部やる」と告白する必要があった。つまり、雪乃の家族になる覚悟を見せる必要があった。
・そして合同プロム終了後の「好き」発言は、八幡の長い長い告白により、雪乃の基本的承認、信頼、安心が満たされ、人格が統合され本当の雪乃になれたことを意味します。

陽乃“も”、なぜ、こんなにめんどくさいのか? ~平塚先生の最終講義、八幡の告白内容の理由へ続く~
・既に分かるかと思いますが、アイデンティティを強固に持っているように見える陽乃もそれは母親から強制されたモノで、自分のモノではありません。そのようにした母親を憎んでいます。
・「いろんな事を諦め、大人になる」と自分に言い聞かせ、雪乃ほど解離性同一性障害にはなっていないように見えますが、症状は同じです。
・葉山との会話で葉山が「そんなに(母親)を憎んでいるの?」と問い「いえ、大好きよ」と言い返します。言葉と心が乖離していることを陽乃は認識しているのでしょうが、一致させられません。
・1-2期では、雪乃に自己・自我の形成の問題を指摘し続ける嫌な存在です。3期では共依存に基づく八幡との関係を絶ち、自己・自我を作りなさいと脅迫します。これらは全て母親との関係における陽乃自身へのメッセージです。八幡を母親と言い換えればよいだけです。妹は自分と同じになってほしくないと思いながら、結局、自分と同じなるよう強要し続けます。ですが彼女も解離性同一性障害です、言葉と本音は違うはずです。
・そんな陽乃を平塚先生は高校時代から知っていて、お互い強い信頼があるようです。海浜公園の夜、タバコを吸う誰かと深酒していますが、これは平塚先生だと推測されます。平塚先生は雪乃と同様に陽乃も救いたいと思っています。劇中でほぼ描かれませんが。平塚先生と飲んだその夜、八幡との会話ではお姉さんとして、「雪乃の考えを尊重してほしい」と言います。同時に「八幡のようなお兄ちゃんが欲しかった」ととも言います。「君は私と同じで酔えない」とも言います。平塚先生との深酒により、いつになく本音をしゃべっています。
・この三つの陽乃の言葉は、「雪乃の心の喪失を埋めようとしているのを理解してほしい。」「自分も同様に喪失している」「君なら私同様、この状況を理解できるよね」と読み替えることができます。
・この後、陽乃はいつもの調子に戻り、「共依存から逃避を辞めるため八幡との関係を絶つべき」と言う論調に戻ります。しかし、最初のプロムの終了後の八幡との会話では、「本物の関係になるため、共依存を乗り越えろ、それが人を傷つけることでも」と言うトーンに変わります。そして最後の言葉は「本物なんて、ほんとにあるのかな?(私も本物が欲しかったな)」です。やっと陽乃の言葉と心情は一致し八幡にメッセージを伝えます。辛うじて、陽乃の本音は「自分みたいな共依存の中でいろんなものを諦め、偽物になっちゃいけないよ」だと取れます。
・この直後、平塚先生による八幡を告白へと誘う最終講義がバッティングセンターであります。八幡は共依存を乗り越える言葉(「全部やる」ことで雪乃の基本的承認、信頼、安心を作る=家族になる)を紡ぐことになります。長い長い告白ですが、言葉のほとんどは、雪乃の心の喪失を埋めるため、自分の全てをささげると、何度も何度も繰り返します。ひたすら“渡す”ことだけです。普通に考えれば、恋愛や家族関係は渡し/渡される関係にも関わらず。それは満たされてからでよいと八幡は思っています。雪乃は普通の「好き」と言う言葉を求めているように見えますが、八幡はしません。何が必要なのか、100%分かっていたのだと思いますし、それには覚悟を見せる必要(何度も繰り返し、雪乃に自分の本心であると安心させる)があることも理解していました。
・劇中では、分かりにくいですが、陽乃と平塚先生の連携プレイです。二人はこの事を事前に話していたのだと思います。

言葉と心の乖離がこの物語のメインプロットであり、それが故に、観衆は、なんで、そう言っていたじゃん?と混乱する。なんとなく、だんだんに素直になってきたねと喜び、最後の八幡の告白と雪乃の幸せそうな笑顔で救わるのですが、背景を深堀すると、中々に重たいものがあることが分かり、物語の理解を深め、また別の面白みを感じることができます。
{/netabare}
”裏”終わり、表バージョンレビュー開始

随分と、時間差で見てしまいました。1期、2期が中々に心に残り、3期は少し嫌な予感というか、2期の感想でも書いたのだけど、完結編は、ただのラブコメかもと思ったと言うのもあります。

結論から言うと、3期はただのラブコメではなく、”表題通り”のエンドロールのような、でもこの物語の主題に忠実なラブストーリーでしたね。悪い意味ではなく。

「本物が欲しい」と告白した主人公。1期、2期にわたる逆説的主人公の動機と行動という伏線があるからこそ、観衆の心に響きます。別に高校生だからでもなく、どの年齢でも、その”本物とは?”と言う問いは人生において、様々な場面で引きずり続けるから。

この完結編では、一気に登場人物たちの恋愛関係に焦点が移ります。ただ二人、この”本物”というものに強く引っかかる、主人公とヒロインたちの中の一人を除いて。

既にオジサン真っ只中の私も、少しの家族のことを考えました。物語中「共依存」というキーワードが出てきます。この共依存、Wikiによると。「アルコール依存症患者とその面倒を見る近親者との、相手がいなければ生きてゆけない、自分が必要とされている事の証、アルコール中毒という病でさえ、その状況を作り出してくれた必要なこと」と言った良くない事として説明されます。例えがアルコール依存症を題材にしているのでこうなるのですが、そうでは無いポジティブな事柄だったらどうでしょう?「共依存」と「恋愛、家族、夫婦、深い友人の間の関係」との違いは実は曖昧です。実際、Wikiでも精神的な病とは述べておらず、そう言う言葉・状況があると、それだけです。自分と家族の関係も「共依存」と呼べばそうだが、そんなに悪いものかねと、自問自答した次第です。(まあ、このワードも逆説的な引っ掛けではあるんですが)

主人公とヒロインの一人は「本物」と言うことを劇中、最も純粋に捉えようとします。なので、「共依存」という言葉にも強く反応してしまう。本物であるためには共依存から脱しなければならないと。

主人公が頬を自分で引っ叩くシーンがあります。そこで彼は、自分の本物の感情を吐露します。この感情は共依存といった”ラベル”を付けて納得する事じゃないと。(このきっかけを作ったのが、劇中、他のキャラから投げかけられた共依存という言葉なのですが。逆説的だな、これがまた。)

「言葉では伝わらない、言葉にしても伝わらない」と言う言葉が劇中頻出するのですが、一方、言葉は人の意識を支配する道具でもあります。「共依存」と言う”ラベル”を貼れば、そして最もらしい傍証が揃っていれば、本当はそうでなくても「共依存」であると信じてしまいます。知識と知恵があるからこその誤解です。今回は、こうした誤解を逆に活用、「ラベルを剥がす」という行為により主人公を一皮むけさせます。彼らしくない、言葉を尽くして、自分の感情を語らせる原動力とします。

さあ、ラベルをはがした主人公は、ヒロインの一人に向き合います。

実は、その前の回のシーンに、ヒロインは、主人公に図らずも接触してしまいます。その時、言葉ではこれまで通り、「関係を終わりにしよう」と言おうとするのですが、(実際は具体的なことは言ってなくて、「だから・・・」と止めている。両義的に取れるのですが。これまた面倒くさいですが脚本と演出の妙技でもあります。)実際のところ、彼女は、行動と表情で「本心=本物」を表してしまうシーン(作画、妙に気合入ってました。まさに両義的な顔をしてました。)があり、主人公は、多分、表情や行動で本心を分かっていて、それでも、その時は優しく拒絶します(この演出も中々!)。これまた、純粋に本物を追求し、ロジカルモンスターならではの反応(共依存を断ち切ることが、彼女のためである。自分は実のところ納得していなくても)で、非常に興味深いシーンです。

さて、ラベルを剥がした主人公のターンです。今度は、主人公がそのヒロインがやったシーンを上書き(これまた憎い演出です)します。しかし、今度はちゃんと言葉にして。でも「共依存」というラベルワードではなく、彼らしい、不器用で、何故かロジカルな言葉を尽くして(都合5分に及ぶ告白シーン)。ヒロインはちゃんと、ラベルワード(共依存ではないですよ。お互い共依存と言う呪縛を解いたからこそ効果を発揮する別のラベルワードです)を言ってと頼むのですが、本質追求&ロジカルモンスターの彼は言いません、いや、言えませんでした。彼には、このラベルワードを使うことに強い抵抗があります。自分の想いはラベルワードでは語れないと。まあ、ここはヒロインが折れるのですが、ヒロインはヒロインで負けず劣らずのパワフルな言葉で返します。

表題通りのエンドロールと申しましたが、物語はその主題に忠実です。主人公の彼らしい、とても誠意を尽くした告白でした。いやはや、自分(私のことです)の時はここまで言葉を尽くしたかな?主人公に負けず劣らずめんどくさい性格と自負していたのですが、反省しきりでした。でも、この物語らしい、「本物の告白」でした。

{netabare}
まあ、告白は、ほとんどプロポーズみたいでしたが、本物追求主義者の彼からすれば、そうなるのは避けられないかなと。そしてそれに返したヒロインもプロポーズ受諾でした。まあ、本物の告白って、やっぱりこれですかね。

追伸:
比企谷君、雪ノ下さんは、ちゃんと「好き」とラベルワードを言ったのだがら、やっぱ、君も、ラベルワードが嫌いでも、ちゃんと言わんとね!
{/netabare}

世の中がコロナですさんだ感じになっている今、ハッピーエンドの物語は良いもんです。

最終話のヒロインのその一人の”破壊力”が凄まじく、もう既にOver50ですが、かなり心と自らの切ない記憶を揺さぶられました(笑い)。思わず、再視聴。少し加筆し、評点を上げた次第です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 27
ネタバレ

lumy さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

めんどくさい。でも、そこがいい。

原作未読、1期&2期視聴済みです。
アニメは、7年の時間をかけて完結しました。
しかし本作は、本当に理解するのが難しい。
ぼんやり見ていると何となく良い作品で
終わってしますのですが、
ぜひ知恵熱が出るまでかみ砕いてほしい。
そのためには、1期から3期までの一気見が
おすすめですよ。


【賛否両論】
俺ガイルに対する皆さんのレビューは、
サイコー派とワカラン派で分かれているようです。
特に3期は、少なくとも1期・2期の視聴は当たり前で、
原作を読んでいることが強く推奨されているように
思います。

ワカラン派の主張はごもっともで、
とにかく視聴者に解釈を強要する内容となっていて、
特にセリフ中の主語・目的語の省略がハンパないです。
たださえ、ほとんどの登場人物が普通の考え方をする
JKではないのに、セリフ省略に加えて行間読みの
スキルまで求められると、おそらくただの暗い作品で
終わってしまうと思います。


【おすすめ解釈法】
というわけで、私も当初はワカラン派だったのですが、
たまたま以下の考察サイトを見つけて考え方が変わりました。

サイト名:やはり俺の俺ガイル考察はまちがっている
U R L:https://mythoughtsonimguileiswrong.web.app/

まず先に言っておきますが、この考察サイトを見終わるまでに
5時間以上かかりますw
しかし、このサイトの素晴らしいところは、
原作の該当箇所を引用しながら、
先ほど言ったセリフ中の主語と目的語を明らかにし、
語られない行間を提示してくれるという仕様になっており、
原作未読でもアニメだけで俺ガイルのことを理解できるように
なります。


【私の考える俺ガイルのサイコーなところ】
上記の考察サイトを見ていただくと分かるのですが、
俺ガイルの登場人物は、1巻から14巻まで、
一貫した意思をもったキャラクターであることがよく分かります。

俺ガイルは、名前がいかにもラノベちっくであったり、
画像検索するとイロモノ画像がいろいろと出てきたりして、
誤解されやすい作品かもしれませんが、
これほどキャラクターメイクが初期の段階から完結しており、
最後までキャラクターがぶれない作品は
他に類を見ないと思います。

そんな彼ら(彼女たち)が紡ぐストーリーは、
やっぱり回りくどくて、めんどくさくて、少し辛い部分も
ありますが、彼らならそのように行動することが、
ちゃんと納得できる形で提示されているように私は感じました。


【最終話で渡航さんが伝えたかったこと】
実質的な最終話は11話ですが、
その後の12話の評価が特に割れているようです。

特にBパートにおける物語の締めくくり方は、
なんというか、やっぱりモヤモヤするんですよね。
いや、すごい良い終わり方なんですよ。
たとえば、{netabare}1期の1話の伏線を回収していたり、{/netabare}
また、{netabare}小町が加入した新奉仕部が誕生したり、 {/netabare}
俺ガイルの世界は、「完」が終わっても続いていくという
ことがきちんと分かるんですね。


【でも、俺はそれを納得していないんだわ】
そう、俺ガイルの設定はすごいので、
どうしてもまだ裏設定があるのではと勘ぐってしまうんです。

たとえば、{netabare}なぜ雪乃が家業の承継を唐突に依頼したかとか{/netabare}
どうして、{netabare}比企谷母だけ登場していないのかとか(ちなみに、もし登場するならCVは田中敦子さんだと勝手に思っているw)。{/netabare}

そして、日本の青春群像作品であれば、
やっぱり卒業はきちんと描くべきだと思う。
じゃないと、私が俺ガイルから卒業できませんw

ということで、ヒッキーの本物探しの旅を
もう少し紡いでもらえませんか、渡先生!!


【追記】
今さらですが、OPを担当したやなぎなぎさんの歌詞も
良くできています。
というか、これこそ俺ガイルダイジェストじゃね、という感じ。

ちなみに、それぞれ以下のとおり。
1期OP「ユキトキ」 :{netabare}雪乃 {/netabare}目線
2期OP「春擬き」  :{netabare}ヒッキー{/netabare}目線
3期OP「芽ぐみの雨」:{netabare}結衣{/netabare}目線

というか、けっこう歌詞でネタバレしてるよねw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 42

67.0 2 兄妹で友達なアニメランキング2位
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (339)
1093人が棚に入れました
「君は真の仲間ではない──」最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦⼒外を⾔い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。「──はぁ、あんときは⾟かったなぁ」レッドが抜けた事で賢者達が⼤パニックになってるとは露知らず、当の本⼈は辺境の地で薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが・・・・・・「私もこのお店で働いていいかな︖住み込みで︕」突如かつての仲間であるお姫様が⾃宅まで訪ねてきて!?"のんびり楽しい薬屋経営"、"お転婆姫とのイチャイチャ⽣活"、報われなかった英雄による素晴らしき第2の⼈⽣がはじまる︕

声優・キャラクター
鈴木崚汰、高尾奏音、大空直美、雨宮天、八代拓

カミタマン さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

心地いい音楽

2022/01/29 投稿
  同日  加筆・訂正
2022/02/03 評価訂正(間違えて0.5高くつけてたため…f(^^;)

タイトルがダメなやつですw
9文字✕5行(笑)
こう言うのに限って,実は面白かったりする場合が意外と多いのです。
いざ視聴!


結論から言うと,かなり良かったです!
ツッコミどころは満載なのですが・・・
不思議に気にならない
何でだろう?


考えてみた


おそらく,最もいいと感じた要因は音楽ではないかとおもいます。

OP ゆいにしお「息を吸う ここで吸う 生きてく」
あまりにスローライフイメージぴったりのテンプレ的な曲調だけどそれがいいw

EDJYOCHO 「みんなおなじ」
相変わらずの見たこと無いような不思議なギター奏法から生み出される絶妙なギターサウンド

自分としては珍しくどちらも毎回しっかりと見ました。ホントに一度も飛ばしませんでしたw

BGMも曲としての主張は弱いものの,スローライフ感が有ってほとんどいい曲に感じました。

ここら辺は,現在の自分の音楽の好みにマッチしたというのが大きいかなと思います。
具体的に言うと,音の隙間があって一つ一つの音がハッキリしている,アコースティックサウンドが現在の好みなのです。楽器の質感が音から感じられるような曲が好きです。
そういった意味で,この作品の音楽はかなり好みにぴったりと合っていました。

音と言えば,自分は叫んだり怒鳴ったりといった声の演技もうるさく感じることが多いのですが,この作品はそこら辺も押さえられていました。
なんと言っても勇者が無口で無言で超絶攻撃を繰り出す設定ですからw
音的にうるさく感じたのは,あの「賢者」くらいのような気がします。
全体的にこの作品,音だけ聞いていてもなんかいい感じになれると思います。




以下はツッコミ所に関する系


自分はアニメに関しては基本的に「反エロ」を自称しています。(あくまでアニメに関してです^^;)
なぜかこの作品のエロに関しては気になりませんでした。
ヒロインのリットはかなり胸が大きいキャラデザインで普段着ている服も胸元が大きく開き胸が強調されているデザインなのですがなぜか気になりませんでした。
むしろ気になったのは,服の腕の部分に穴が開いているのですが,その穴の位置からは絶対に見えないだろう,脇の下部分が度々描かれていることでした。「たぶん描きたかったんだろーなー」と送り手の性癖が透けて見えるように思いました。
二人のいちゃいちゃも気にならないというか,むしろ心地よく見ていました。最終回も含めてw
なんだろう?二人のお互いを好きなのが前面に出てきているからなのでしょうか?


ストーリー的には「追い出された」エピソードは初回とストーリーが進行してからの整合性がとれていないように感じました。

勇者がらみのエピソードはすごくいい話になりそうで,設定を生かし切れなかったように感じました。色々思いついて突っ込んでみた感・・・自分のレビューと同じ臭いがしますw


作画はわりとひどいですw
リットとルーディーの止まっている絵は割としっかりかけているのでそれほど印象は悪くないですが,動きはひどいです。限られた予算で最善を尽くした結果なのかも知れません。


もしかしたら,音楽に癒やされて優しい気分で評価したのかも知れません(笑)



加筆部分
書き忘れていましたが,「辺境」のイメージが視聴前のイメージとかなり違っていました。
勝手なイメージでアリューシャン列島とかグリーンランドとかシベリアとか極寒の地にある小規模集落のイメージだったのですがかなりの規模の都市が近くにあったりなんかイメージと違いました。
気がついたのですが設定が辺境の「村」とかではなく辺境の「国」でしたw
ヨーロッパの人間が極東と言われる地域にある日本に来た的な設定ですよねw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

いつも傍にいて欲しい

(初投稿2021年5月2日)

 略称「真の仲間」。原作は『小説家になろう』に2017年10月から投稿開始されたが、本編は2020年11月17日の第163話で中断。2021年5月時点で依然更新停止中。

書籍は2018年6月から刊行され、2020年11月時点でシリーズ累計発行部数100万部を到達した。

❬あらすじ❭
{netabare}
 主人公には、天より勇者の加護を与えられた妹がいた。そして彼には、勇者のサポーターとして相応しい加護を与えられた。
 彼はそれを己の宿命と捉え、己の加護を最大限に高める努力を怠らなかった。裏方の縁の下の力持ちに徹することを甘受した。

 しかしその加護は、どんなに努力して磨こうとも伸びしろには限界があり、勇者パーティーの中での戦闘において、いずれ自分が足を引っ張る存在になることは明白だった。

 そしてとうとう、仲間の一人からお前は足手まといで邪魔だ、と責められる日がやってきた。

 そのとき彼は、妹はもう一人前と思い込んだ。妹はもう自分の助けなどいらない、自分は妹離れしなければいけない、と。

 しかしそれはとんだ誤解で、妹にとっては兄はいつまでもずっと傍にいて欲しい存在だった。

 仲間たちも文句を言った者以外は、彼は必要不可欠な大切な存在だった。

 結局彼は誰にも相談せず、行き先も告げず、こっそりと一人でパーティーを去った。そして辺境の地での薬草採取を主とする冒険者になった。

 そこで彼は今までの修羅の日常とは真逆の、穏やかな日々を望む。新天地では偽名を使い、目立つことを避け身バレを防ぐ。しかし隣人に助力を望まれたなら、暗躍してでも持てる自分の能力は惜しみ無く使う、やさしさと包容力がある彼。

 そこで早々に良縁の恋人と歩む新たな生活がスタート。

 最高の二人、強運は彼らと共にある。そして二人の人生は、地に足が付いた彩り豊かなものになった。
{/netabare}

 私はアニメ制作発表前から本作の書籍を読んでいた。刊行開始からまだ3年弱、2021年4月時点で既刊本編8巻+前日譚1巻と、同時期放送の他のなろう系アニメなどと比べると原作の巻数は割と少ないが、個人的にこれからますます楽しみな作品。

 僅か2年半で100万部超えるほど。慌ただしい日々で様々なストレスにさらされがちな現代日本において、スローライフで心穏やかな平穏な日々を求める主人公に共感する読者が、自分を含めて多いのだろう。

 アニメがどんな作品になるかは現時点では未知だが、期待を込めてアニメ評価は最初はオール4.5からスタート。視聴後に適宜修正するつもり。

 本作は当初、2021年7月からの放送予定だったが、同年10月からの放送に延期された。
 2021年夏クールは、大好きなラノベ原作アニメが大量に放送されるので、延期はむしろ個人的には好都合。秋の放送が今からとても楽しみだ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5

Sat さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

テレビ小説のような雰囲気のアニメ

息を吸う ここで吸う 生きてく
オープニング曲がとても心地よく朝のテレビ小説のような雰囲気があり、このアニメとぴったりですね。

漫画も大好きでしたが、しっかりとアニメに落とし込まれていて大変観やい丁寧な造りだなぁという印象です。

リットの声はもう少し高いイメージでしたが、慣れてくると不自然さは無くなりました。

KADOKAWAのアニメは毎回この作品ほど丁寧に造ってくれたらいいんですけどねぇ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 1

67.1 3 兄妹で友達なアニメランキング3位
白聖女と黒牧師(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (120)
402人が棚に入れました
とある教会。そこには可愛いけどだらけグセのある聖女さまと、真面目で過保護で料理上手な牧師さまが住んでいました。 穏やかな日々の中で、密かに恋する聖女と鈍感な牧師が繰り広げる、"無自覚いちゃラブコメ"。 もどかしい二人の関係が行きつく先は――!?

たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

nuclear self

きららライクでやさしいせかいなゆるふわほっこりほんわかメルヘン。
恋愛モノというより擬似家族モノの比重が強めな少女漫画。

もともとTwitter4コマ漫画らしいがなかなかうまく再構成されてる。

はわわロリがはわわするやつ。健全なお花畑仕様でお子様にも安心。役職上からの絡みで距離感にも嫌味がないうえ、同居のサクサク展開でタイパに優れ、背景CGのさりげなさもグレイト。OPはクラリスのゆるふわ感が最高にマッチ。EDはキャラソンにして欲しかった。

キャラデザは原作より萌え度ダウン。ヘーゼリッタは2ランクダウンな印象でセシリアを立てる役回りへ。きららっぽい見た目に反してそこまで内輪に閉じてるでもなく程々に外部が絡むことでTwitter漫画らしからぬ奥行きが出ててなかなかお見事な仕事。各キャラの役割分担はきららレベルにわかりやすい配置だが、ブッコミ要員小僧のエリックや明言装置姐さん占い師ミルなどもあまりしゃしゃり過ぎない塩梅が絶妙でいいバランス。

12
なるほどこういう落とし所ですか。原作未完だしな。

アニオリで無理矢理白黒つけないところに原作愛を感じる実にいい仕事。最終回でのミル姉さんとエリックの会話はこの作品に向けられる的外れな難癖に対する皮肉のようで微笑ましい。触れ合いによる機微を細やかに描き各々のささやかにみえてたくましくもある成長加減にほっこりする少女漫画らしい繊細な味わい。ハードコアを好むジロリアンには薄味過ぎるかもだが、たまにはこういう箸休め的なやさしい味も悪くない。Twitter漫画原作のアニメとして見れば完成度は高いと思われる。

ラブコメアニメ=メンヘラバトルは今や昔。時代は変わったのでしょう。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5

タイガー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

『ちまよったんッスかぁ〜』

恋する聖女様と鈍感な牧師様の優しいラブコメ

キャラデザ◎可愛いしかっこいいし。
声優さんも◎優しい声質で溢れて口角上がる
op.edも作品らしいし◎

でもこれ聖女と牧師である必要性あったか?w
牧師以外の前でゎキラキラした聖女様って設定どこいった?ってくらいずっとオドオドしてたw

牧師様鈍感通り越してもうきっと男でゎない。w
女に興味なさすぎるし、聖女様をウサギさんの人形とでもおもってんのか!!と思ってしまうレベル。

イベントも少なめでキュンシーンも少なめで優しい感じで、終わりもぽいな。って感じでw

ツッコミどころ多いけど穏やかに視聴した作品

投稿 : 2024/04/27
♥ : 1

うぐいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

動画工房得意のほのぼの日常系優しさマックス癒し系ラブコメ

働き者の牧師と一緒に暮らしている聖女のお話。

ストーリーが特別面白いかというとそうでもないが、それぞれのキャラの個性とその関わり方に癒される。

キャラ絵は動画工房らしく丸みのある可愛い絵。

実は暗い過去を背負ったりしているキャラもいるのだが、ネガティブさが全面に出ないように作られており、見ていて安心。

牧師の方が超が付くほど鈍感だが、わざとらしさもないので温かく見守りながらの視聴。
もう一度は見るかもしれないが、何度も見るって感じではない。
それでも良いアニメだった。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 2

78.4 4 兄妹で友達なアニメランキング4位
お兄ちゃんはおしまい!(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (609)
2069人が棚に入れました
引きこもりのダメニートな緒山まひろは、ある日目覚めると“女の子”になっていた!? 鏡に映る美少女が自分だと分からず混乱するまひろのもとに、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れ、飲み物に怪しげな薬を盛られていたことが判明する…! もう2年も外に出ないで いかがわしいゲーム三昧… たまには働いてもらわなきゃ! みはりによる“女の子になる薬”の経過観察として、突如女の子として暮らすことになったまひろにとって、トイレやお風呂、スカートやブラジャーなど“女の子の生活”は知らないことばかり…。 さらに、みはりの中学時代の同級生である穂月かえでやその妹・もみじ達とも知り合い、 まひろの日常はどんどん賑やかさを増していく。苦難の連続に、果たして“元”お兄ちゃんの運命やいかに…!?
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

灰色の青春もおしまい!

私はあまり好みじゃないけど、とても素晴らしい作品でした

美少女になってかわいい女子達と仲良く女子中学生生活を過ごしたいっていう夢を形にした癒し系ゆる百合コメディアニメ
ゆるふわ癒し系百合アニメで、引きこもりの成長物語なところもあっていろいろ楽しめます
可愛らしいふわっとしたキャラデザと温かみのある色使いとぬるぬる動く作画がとても良い
女の子達の日常を見るアニメだから話の面白さはないけど、最終回はとても良かったです!

ダメなところなんてないけど、女子同士の会話のやりとりとか私生活があまり女子っぽくないかな? 
みはりが女子女子したものにあまり興味ない設定にしたことで話は作りやすくなったかもだけど、性転換のテーマ性は薄くなったように思います
そこがちょっと残念で、せっかく性転換させるならもっと深く女子コミュや女の子の生活とのギャップに切り込んで欲しい

あと男が美少女になって生活する作品はいっぱいありそうだけど、女が美少年になる作品ってあまりなさそうだからそっちも見てみたいです
中身が女の美少年とか、女子にモテすぎてやばそう

【最終回】{netabare}
まひろがせっかく男に戻れそうなのに、もみじ達との絆を選んで女の子になる薬を飲む展開が良かったですよねー!

もみじ達は「まひろちゃん」の友達であって「まひろくん」の友達ではない、ウソからできた友達
薬を飲めば友達でいられる時間がのびる、でもいつかはどちらか選ばないといけない時がくる
男に戻っても引きこもってゲームするだけなら、女の子のまま友達と楽しく過ごしたほうが幸せなんじゃないの?って部外者だから思っちゃうけど、
ずっと男として生きてきたから、なかなか割り切れるものじゃないですよね

でも、まひろはもみじ達と一緒にいることを選びました
まひろはこのまま続けたら本当に心まで女の子になって戻れなくなっちゃうかもっていう恐怖はあったでしょう
でも薬を飲んだってことは、それだけみんなとの楽しい日々を失いたくないって気持ちが強かったんだと思う
魔法がとけたら終わりになる「嘘の関係」だとしても・・・

みはりはお兄ちゃんを女の子にしたいわけじゃないと思うので
2期があるなら男を捨てて女の子になる決断をするまひろちゃんと、男に戻って欲しいみはり・・・とかもあるかも?
{/netabare}

【体が女の子だからセーフ?そんなわけない】{netabare}
まひろは身体が女の子で、心もちょっとずつ女子っぽくなっていてもベースがエッチな本やゲームが好きな男性って思うと受け入れづらい
たぶん、身体が女子になったけど心は男のままな人と一緒にお風呂入れる女子はそんなにいないし、女子トイレで隣の個室に入るとかもっと無理でしょ
だってそれ、女の子の身体に男が憑依してるのと一緒ですよね?

完全に心も女の子になってしまったなら元男性でもいいと思うんだけど、男の気持ちが残ってるならお風呂も更衣室もお手洗いも別にしないと
生まれつき女の子の身体だけど、心は男性っていうなら気にする子あまりいないと思うけどね、似てるようで全然違うと思う
{/netabare}

【細かいこととかどうでもいいこと】{netabare}
にゃんさんが感想で書いていたけど、私も同じところが気になりました
3話でまひろがおかゆ作っているシーンではケガなんてしてないのに、直後の看病して疲れて寝てるシーンでは右手の指にたくさん絆創膏が・・・
いつの間にケガしたの?
後から人参かタマネギでも切って投入したんでしょうか?
右利きっぽいのに右手ケガするのも不思議 {/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 25
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

重層的で面白い優れた物語。それを支える隙の無い高度な技術。

 あまりの高水準過ぎる作画・美術でかえってストーリーの印象が記憶に残っていないので、初回から半年ほど経過した23年9月、再視聴しました。

 今回も作画に心を持っていかれそうになりましたが、なんとか頑張って内容を理解しました。

 男であること、優秀な妹に対する劣等感に潰されそうになっていた「兄」が「妹」になることで「がんばらなくていい」立場を手に入れたことで、心を取り戻して行く話です。こう書くと重く感じるし、そういう描写もところどころありますが、しかし、全体的にはライトで緩い感じで、面白かったです。
 逆に言えば、面白いTS日常系としての作りになっていますが、その根底から読み取れるものがある、浅いようで結構奥行がある話だったとも言えます。

 そして「女子になること」よりも「女子であること」を丁寧に描写していました。下着・ファッション・洗髪・洗顔・トイレ・生理・化粧・振舞などの生活習慣から始まり、友達との付き合い方・中学生男子を女子の立場から見る・バレンタイン・学校のルールと化粧など様々な視点を描いていました。
 その生々しいペルソナ作り・排泄としての女性のするべき事が、コミカルな描写であまり嫌悪感やエロを感じさせず、軽妙にエピソードに落とし込めていました。

 男性の目からは、しかしそれがリアルなのかどうかは分かりません。ただ、リアリティはあります。女性と同居していても男性であれば気が付かない、むしろ積極的に男性からは隠しているような部分が丁寧に拾えていた…のではないでしょうか。それすら想像するしかないのが男から見た女だと思います。

 原作者は男性だそうですが、脚本・シリーズ構成に女性を置いているので、エピソードは、多分男が女を知ると言う点で、ある程度信頼してもいいのではないかと思っています。
 また、EDのクレジットで、プロップデザインというのは多分小道具のデザインだと思いますが、これが8名ですか。つまり、女子のアイテムは相当作り込んだのではないかと思います。
 化粧品やアクセサリー、下着にはホックやタグまで丁寧に作画されていました。つまり、女性がこの辺はちゃんと入り込んでいる証拠だと思いますので。

 そして、この作品を支えていたのが作画技術です。ヌルヌルというのもありますが、立体感です。3DCGに手書き修正をしたんだと思いますが、止め絵の横移動だけでなく回転させる手間を惜しんでいません。また、回転にも耐えられる優れた技術・デザインでした。
 髪の毛を立体としてモデリングしているのを逆手にとって、表と裏の色合いを大胆に変える手法。
 構図が凝っていて、俯瞰・あおりを含めて難しい視点で人物を描いています。
 背景美術に常にフィルターというかエフェクト(ひし形、丸、4角・5角の星型等)をいれることで背景と人物をなじませる一方、人物が見やすく浮き上がって見えます。

 その技術の頂点がEDだと思います。目がクラクラするようなヌルヌル感と立体感はすごかったです。OPEDの歌詞はちゃんと作品の意味になっていましたし、隅々まで手を抜いてません。

 これらの結果、ヒロイン?にちゃんと感情移入ができるというか没入感がすごい作品だったと思います。2回目なのに12話、OPED含め隅々まで堪能できました。というか、1話見るのに行きつ戻りつして、40分くらいかけてしまいました。

 ということで、2回目視聴して作品の内容まで入り込むと、単純な日常系の面白さと、男子が見る女子の世界というドキドキ感あるいは未知の世界を覗き見た感動、そして、兄妹感のコンプレックスや男として生きる意味という重い部分がほんのりと含まれている重層性がある優れた作品だったと思います。

 男子を選択する未来がくるのだろうか?という部分が特に考えさせる部分です。

 それが普通に面白いのですから大したものです。評価は…オール5でいいかなあ。名作かと言われると、テーマ性の薄さがいいところではありますので秀作という感じです。ですが、隙が無い優れた作品だったと思います。

  


以下 23年3月に書いた1回目のレビューです。


{netabare}1話 異次元のハイスペックTS。京アニの後継者はここかな?

{netabare} 開始数分であまりの画面のハイスペックに引き込まれます。すごすぎるだろう、と思って会社確認したら「無職転生」のところです。2期つくらないで何やってんの?と思いましたが、ひょっとしたらCG技術の蓄積のための習作でしょうか?

 カメラ(視点)の移動(パン、クローズアップ)は最小限で、構図も単純、人物の動きも少ないなので、そう予算をかけているようには見えません。
 が、とにかく人物の作画と動きが綺麗です。人物の動きというか輪郭線の感じがMMD(ミクミクダンス)の高級版という感じなので、3DCGモデリングだと思うのですが、2Dアニメエフェクトのせいか非常にナチュラルなアニメ絵になっています。
 ぼっちざろっくのライブシーンがずっと続いているような感じといえばいいのでしょうか。

 EDの動きを見ればわかると思いますが、これは人間の原画マンだと無理…というか不自然です。一方でその不思議な動きがコミカルな演出になっているので、独特の効果を生み出しています。

 あと着替えの頻度が尋常じゃないです。何回着替えてるの?これどうやってるの?キャラデザすごすぎでしょう?

 それともう1点。失礼ながらあまり話題になっているとも言えない本作の原作を拾ってきて、アニメ作品に仕上げるのは京アニっぽいですね。このままいけば京アニの後継者はここかな?

 内容はTSもの微エロ日常系という感じです。話に展開があるかどうかは不明です。劣等感についての深掘りとか、男と女の間の葛藤とか気付きがあれば面白いですけど、あまり期待しないでおきます。
 1話目はちょっと画面がすごいというか面白過ぎて話に集中できてませんけど。 {/netabare}


11話と現状までの総評 特に前半の女子体験と覗き見感覚がいいです。

{netabare} 作画というより画面全体のアニメ表現としてのシンプルで伝統的な感じがするけど新しい感じが本当にすばらしい。技術に詳しくないですが、本作のアニメ表現の技術は各社マネをして今後の日常系にもっと取り入れて欲しいです。

 初め構図が単純だと思いましたが、じっくり見ると特に2話ですが、魚眼レンズ的歪みや人間が入り込めない視点から映すことで覗き見的メタ視点などを上手く使っていました。人体のパースのデフォルメも含めて非常に視点を意識しているのが印象的です。

 この作品、主人公がJCの世界を覗き見るような感じです。それを我々は覗き見る。この2重のピーピング感を作画で表現したのは素晴らしかったと思います。
 すずめを多用することで間というか雰囲気を感じさせる演出も面白かったです。パステル調の色彩感覚もいいですね。

 下着のタグとか小物とか非常に細かく作画されていましたが、このこだわりが将に「魂は細部に宿る」ですね。
 また、制服のデザインがスカート長めのちょっとダサイ感じなのもいいですね。リアリティがあります。

 前半は女子というものを体験するようなストーリー展開でした。下着、洗髪や髪の手入れ、生理、化粧に買い物などによって、男性からみた「女子の秘密」を疑似体験できました。この部分がTS設定と覗き見視点と合わさって、興味深く見ることができた要因だと思います。

 後半は友情・日常系で男子が女子の視点になった話になり、男子中学生の行動にも切り込んできました。前半ほどのインパクトはないですが、ちょっとコミカルな日常系という感じでそれなりに楽しめています。

 何度見てもOPEDは素晴らしい作画で特にEDの動きは本当に面白いです。 {/netabare}


 最終話まで。日本のアニメの方向性はこの作品のコンセプトでお願いします。

 作画が異次元なのはもちろんですが、キャラデザが本当に素晴らしかった。2次元と3次元モデルの間にある「不気味の谷」というか「可愛さの谷」を解消する一つの方向性が提示された気がします。

 アニメ・マンガがなぜ優れているのか。それは「可愛いさ」の「記号化」が非常に高度だったからです。美少女キャラと言いますがああいう人間が現実にいたところで不気味なだけです。
 手塚治虫的マンガ記号からあずまひでお的ロリキャラやあだち充的美少女表現を経て、アニメ絵としての完成度を高めついにCGアニメキャラの完成系の一つとしてここに到達したか…という感じです。

 最終話12分くらいのところの超作画もアニメ的可愛さを「磨き上げた」感じで技術の進化に感動すら覚えました。そう…最終は思いっきり技術で悪ふざけをした感じです。料理や背景も謎の湯気もすごかった。奥行きや構図も旧来の日常系では考えられない出来でした。

 そしてジェンダー論やフェミニズムを論じるよりも「女性であるとはどういうことか」を考える一つのきっかけになるテーマ性が内包されていることも良かったです。それが非常に薄ーく入っているので初めは面白くて、少したつと何かを考えさせる一粒で2度おいしい感じです。
 その薄さがエンタメにおいては大事で、視点やエピソードの面白さと深掘りできる奥行きが両立していました。

 欠点があるとすると、2つです。1つはもうちょっと女子の世界しかわからない生々しいエピソードがあるといいかなあと思いますが、ストレスレスを目指しているのでしょうか。そこはチューニングなのでやむを得ない気もします。
 それともう1つ。画面が凄すぎて話に集中できませんでした。おかげでなんど戻ったことか。

 ということで、正直「無職転生」よりも作画という点では驚きは大きかったです。そして話も面白いし、キャラはデザインはもちろんキララ的キャラ造形のチューニングも良かったと思います。

 名作ではありませんが、何かの転換点を感じる作品でした。

 なお音楽の評価はEDのアニメも含めてです。本当は作画に10点くらい入れたいです。 {/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 20
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

私が知る中で過去最高レベルの人生やり直しゲー

原作未読。
タイトルと絵の感じからして変態ロリアニメだろうと
勘違いしててあにこれなかったら観てなかったかも!
エロ+ロリ系が好きじゃない人の中には
私と同じ勘違いしてる(た)人きっと少なくないと思うw

そして観てよかった〜楽しい作品ですね(*´˘`*)

{netabare}1度目の性転換に関しては自分の意思とは関係なく
妹のみはりが勝手に薬を仕込んだことで仕方なく
女の子として生活をし始める兄のまひろ。

そのままハッピー環境が続いた状態で終わらせず、
最終話の旅行中に男に戻りそうになった時
"女の子としての生活を続けるか男に戻るか"
という選択肢がまひる自身に与えられ、
2度目の薬は自ら望んで飲んだのが良かったです。{/netabare}

こういうフワフワしたストーリーでも
しっかり主人公に責任を持たせた展開は好印象。

男→女でありがちな問題点や女子あるあるも
存分に盛り込まれていてまひろも可愛いもんだから
リアルに近い感覚で楽しめました。

だからこそ、
表現として非常に気になる点が1つ。

{netabare}まひろに初めて女性の月一のものが来る時の
みはりの反応や教え方が私には納得できませんでした。

みはりの年齢を考慮したとしても、
恥ずかしがったりゴニョニョとなかなか教えないのは
月一のものは人に言いにくいもの聞にくいもの
という印象を与えてしまうシーンなのではないかと。

もっと異性同士の大変な面を知って支え合う
という今の世の流れに水を指している気がしますね。
アニメなのにお固く考えすぎということは
重々承知の上で敢えて書かせてもらいました。

わざわざ取り入れなくても
ストーリーへの影響が出ないようなそのネタを
作品に入れるからにはちゃんとしてほしかったなと。{/netabare}

それ以外の話はフランクに観ることができて
女の子たちの楽しそうな姿が微笑ましかったです。
(だが男だ。という言葉が逐一浮かぶのはシュタゲ病)

主人公まひろの声が
とても特徴的で可愛らしくて癖になる話し方だから
どんな声優さんか気になりまして、、

その高野麻里佳さんはノーマークの声優さんだったので
他に誰の声を〜と調べたらウマ娘のサイレントスズカ!?

お、、恐ろしい、、
もうそれが分かっただけで凄い声優さんだと認識。
今まで意識してなかった事に申し訳なく思いました。


#08でみはりの「晩ご飯できたよ〜」の横顔が
突然チンパンジーにしか見えなくてツボりましたwww
気のせいかと思って戻して見直しちゃった!
全体的にも横顔の作画は気になりがちでしたね。

でもこれはきっと
そういう描き方にしてあるのでしょう。
これは個人の好みの問題ですかね(*´˘`*)

主題歌はOPもEDも癖になるタイプの楽しい曲ですね!
どちらも私のアニソンリスト入りさせました♡

投稿 : 2024/04/27
♥ : 17

72.8 5 兄妹で友達なアニメランキング5位
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (489)
1480人が棚に入れました
片思いした相手にバッサリ振られ、ヤケ酒をした帰り道、26歳のサラリーマン・吉田は路上に座り込む女子高生・沙優と出会った。べろべろに酔った吉田は、前後不覚のまま行き場のない沙優を一晩泊める。…翌朝、ふわりと美味しそうな香りに目覚めると、食卓には味噌汁が。「おはよう」「なんだお前!!なんでJKが俺ん家に!」「泊めてって言ったら泊めてくれたじゃん」「…味噌汁」「昨日“毎日味噌汁を作ってくれ~”って」「ハァ!?絶対言わねェ!!」家出をして行き場のない沙優を追い出すわけにもいかず、吉田は家事を条件に彼女の同居を認めることに…。こうして、家出女子高生とサラリーマンの微妙な距離がもどかしくもあたたかい、不思議な同居生活が始まった―。
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヤバいこれ。。とてもセンシティブでハートフルな家出少女の物語 

 
さて・・何から書いたものか。。

まず、センシティブな内容であろう事は予想してました。

ちなみに、センシティブとは・・・
(作品と直接関係ないので畳みます)
~▼{netabare}
直訳 :繊細な、敏感な
使い方:扱いに慎重さを要するコンテンツなどを形容
Twitterでの定義:
 ・写実的な暴力表現
 ・成人向けコンテンツ
 ・強姦及び性的暴行に関するコンテンツ
 ・グロテスクなコンテンツ
 ・ヘイト表現を伴う画像
{/netabare}▲~

この作品、賛否あるようですね・・
同じものを見るのでも食べるのでも、好みや観点が異なれば、評価や好き嫌いが分かれるのは当たり前ではありますが、この作品については極端な傾向があるように思います。きっと、センシティブな部分や犯罪誘導的な側面など、人によって受け入れ難いツボを含んでいるのかな、と思います。
自分は、物語としては肯定的です。

最初に作品タイトルを見て思い出しました・・
昔、家出少女が宿探しするための掲示板があるのを知り、驚いたことを。
(個人的な回想なので畳みます)
~▼{netabare}
もっとも、当時は法に触れる行為とは知らず、いい思いをする輩がいるんだ的な感覚だったと思います・・
この問題の本質、保護すべき対象を見失っていました。大いに反省しなければなりません。無知にも程がありますね。
{/netabare}▲~
今ではさすがに犯罪行為であることは承知しています。
最近ではSNSを使うんですね・・益々発覚しにくくなりゆゆしき状況かと。

そんな訳で、自分にとっては非常に興味深い題材でした。

 略称:ひげひろ
 原作:KADOKAWA系の投稿小説
 制作:Project No9
 放送:2021年春
 視聴:2021年夏 Hulu

=視聴前=

家出少女を拾う?警察に届けんとあかんでしょ・・・
お金を渡してネカフェに泊まらせるとかでもいいし。
しかるべきところに相談してもいいし。
ま、それじゃ物語にならんだろうけど。
文学性や話題性を考えれば、発想は悪くないかな。
ま、ゲスな内容じゃなければだけど。

=視聴中=

ヒロインのキャラは、めっちゃ、ストライク。
カバネリの無名に似ているような。。
妹属性も娘属性も恋人属性も感じる、稀有なケース。
声もいい。高めの声を想像してたので、最初は落ち着いた感じの声に違和感ありましたが・・好きな声優さんなので更にさらにテンションはアップw
北海道出身なら「サイカノ」みたいに「~でしょや」を使って欲しかった。。

~▼{netabare}
cv市ノ瀬加那さんはダリフラのイチゴが印象的でした。
今回のキャラは「色づく世界~」のあさぎにも似てる感じですね。
ヒロインは初かな?ようやくですね。おめでとう!

初見で惚れたと言ってもいいくらいヒロインを気に入ってしまいました。
チョロくてすみませんが、もう感情移入しまくりです。
きっとこんなコ泊めたら・・自主規制は無理でしょうね。

そんなお気に入りのヒロインが放つ、衝撃的なセリフが胸に刺さる・・
(かなりセンシティブなのでさらに畳みます)
~▼▼{netabare}
『やらせてあげるから泊めて』
『ね、やらなくていいの?』
『え?普通にやるけど』
『今までの人は・・私とHしたがったよ』
『色んな男の人の家を渡り歩いてきました・・カラダを使って』
『数日の宿のために簡単にカラダを許してました』
『男性から求められる事に少しだけ喜びを覚えるようになったり』
『前にあの人とやったの。何度も。何度も。いっぱい、いっぱいしたの』
『初めての相手の名前も覚えてない』
『一度受け入れたら後はその繰り返し』

頑張ってるなあ・・ベッドシーンまで・・
でも静止画で良かったマジで。

しかし数日で捨てられて半年間ってことは、いったい何人と・・
憧れのヒロインが意に反して寝取られる、この感覚・・

くやしさ・・?
いくら同意であるとはいえ・・
そうせざるを得ない状況に追いやった大人たちや環境がやるせない。
そういう思いは吉田に共感。

でも・・
ぶっちゃけ、こんなS級美少女と毎日・・そんな状況に妬ましさすら覚えて・・
{/netabare}▲▲~

うぐ・・これはキツい。胸が・・胃が・・ココロが・・
くるしい・・
せつない・・

●キャスト
後輩の三島ユズハ・・どんなキャラ。
イケイケかと思えば一歩引くとか。。
cv石原夏織さんは主役級もそれなりにやってますが「色づく世界~」では市ノ瀬さんと共演してましたね。
今回ED曲も担当。カラオケでの泣きシーンはグッときました。。
ユニット解散は・・触れない方がいいかな(触れとるやん)
その後のご活躍、なによりです。

上司の後藤さん・・なんてキャラww
好きな男に告られて引き延ばすとか、こんな美人で未経験とか。
(ユズハの「後藤さんはブキミです」が言い得て妙w)

バイト先の井口・・憎いけど・・でも・・いややっぱ憎い。
サユはお金なくてあまり遠くに行けないだろうから、過去の男とバッタリなんてこともあるんじゃ?とツッコもうと思ってたらすぐ出てきた。
ヤサ男なワリに「バラされたくなければ・・」でカラダを条件としないところとか変にズレてる・・というか作者の良心?

ヒロインの親友、結子・・また石見舞菜香さんとお会いできました。
泣きのセリフはもうなんとも。。(フルバを観たばかりだもんで)

●展開
花火回、フラグでなく無事に終わってホッとした・・アニメの観過ぎかな。。

終盤、風呂敷の畳み方が気になったけど、北海道について行ったこと、良識的なところに着地したことは良かった。

ただ母親を説得するくだりは、山場のワリに期待ほど盛り上がらず。
セリフがあまり響かず。
特に母親の猛省を促せずモヤモヤ。

吉田、後藤さんをフッたんかい。。サヤを待ってんじゃん。

そして高校を卒業したサヤが電柱の下に・・うぐぅ

でもさ、「今度はあなたの家に泊めてよ❤」・・・
コレはないでしょや。。
無理やりこれ差し込んだ感が満載。
{/netabare}▲~

終盤はちょっと意外性に欠けたけど、いい終幕だったかと。
(まさかEDで視聴終了してないですよねw)

友人たちが本当にいい人。
(犯罪加担者とのご意見はごもっともですがw)

展開や演出も意外とハートフル。
声や演技も相まって胸に刺さりました。。


=視聴後=

やはりセンシティブではあったかと・・

性欲というものは、古今東西、良くも悪くも歴史や社会や文化に影響を及ぼしてきたワケですが・・理屈だけでは語れない、欲情も含めた人情をうまく描いたように思います。(チョロいと言われればそれまでですが)

「下半身だけは別人」とか、「女は子宮で考える」などの言葉があるように、地位や知識や見た目がしっかりした人でも、色欲が絡むと人が変わるなんて事もあるのが世の中。
~▼{netabare}
どう考えても、サユをそのまま街に解き放つのは、自分の中ではあり得ません。

連れ帰ってしまったら・・手を出してしまい、捕まるかも。
でもサユをスルーorリリースしたら・・助けられなかったことや、矢口のような輩にいいようにされてしまうことをモンモンと考え、一生後悔するでしょう。それよりは捕まるリスクを賭してでも保護した方がいい。
そうですね・・サユのためというより自分のためかも。

でもそれは、あくまでサユの場合。
可愛いからというのももちろんあるけど、立ち直る可能性を大いに持っている。可哀想と思った時点でブレーキは効かないかも。

あ・・これはあくまで物語上の妄想ですのであしからずw
実際には、サユのような家出少女との遭遇はまず起こり得ないでしょう。
起こってしまったら?ワタシヨクワカリマセン。

てか、この物語通りの展開になったら後藤さんを選ぶかもw
でも、もし後藤さんにOKしていたら電柱の下でのラストシーンは・・
後藤ルートはなしですねw
{/netabare}▲~

いや~筆が止まらないですね。
色んな考察、妄想など全て書いたらキリがないw

これ、ただゲスな物語ではなかったですね。

それどころか、色々考えさせられるし、楽しさもある。
胸をギュッと掴まれるような切なさ、やるせなさもあるけど、
繊細な問題を重くなり過ぎずに絶妙なバランスにして慎重に物語を紡いでいる感じがします。。

う~ん・・なんか褒めすぎ?w
少なくとも冷静に観られなかったのは確かですね。

いい話じゃないですか。


それでも、やはり・・

■言いたいこと
作り話であることは重々承知。
けど吐き出さないと精神衛生上よくないのでw
~▼{netabare}
<さゆ>
 親とうまく行かないだけで生活投げやり・・ってどうよ(設定的に)。JKを拾ったらデメリットしかない?なにそのズレ感。拾った方は超ラッキー感覚だと思うが。女性にも性欲があるのはわかるけど自分を安く見過ぎでしょや。
 衝動的に家を出るのはわかるけど・・いい家のお嬢様で頭良くてこんなにカワイイのに体を使ってまで放浪続けるやつがあるかー!しかも優しいお兄さんが支援してくれてるのに絶望感て。。担任はなにしてる!(ちなみにここで北海道の実際のいじめ事件のニュースが。。)
 母親への説明でサユ「本当は自分のしてる事がイヤでイヤでたまらなかった」。きっと・・サユは、少しは相手を選んで泊まっていたんだよね?育ちはいいワケだし根っからのビッチでもないし頭も悪くないから。そうだ、そうに違いない。精神衛生上、そう思うことにしよう。。
<吉田>
 えらい。本当にサユがキミに出会えたのはまさに僥倖(ぎょうこう=偶然に得る幸福)。サユファンとしては手を出さなかったのもエライけど(ある意味、揶揄)、何よりサユを立ち直らせてくれたことは大賞賛、大感謝。
しかも犯罪行為であることを知り、危険を賭してまで。
 これが、初めからサユに魅力を感じて鉄の意志で手を出さなかったという設定だったら、どうだろう・・ギャグアニメになるかw
<結子>
 親友の前で飛び降りるってなに・・抗議や腹いせのために恨む人の目の前で、が普通じゃないかな。ここは特に設定上の無理やり感が否めなかった。
<いじめ>
 またそれ・・フルバ視聴直後なので食傷気味。
<必要とされてるのが嬉しい>
 またこれ・・もうさ、その辺のメンタル面、つまり、「アナタは生まれて来て良かったんだよ」とか、「存在していいんだよ」とかを、義務教育内でしっかり植え付けた方がいいんじゃないかな!(大真面目)
<サユの母親>
 手を上げちゃダメでしょや。。と言っても通じないんだろうな。その歪んだ性格、ヒステリー、一体あんたナニを失ったん。言わなきゃわかんないでしょや。んでもって「親はあんたしかいない」の一言だけで改心?薄いわー。バカなの?
 ま、サユの家出のきっかけだから中途半端な嫌われ役にはできないのはわかるけど。悪役ごくろうさん。
{/netabare}▲~

子供を愛せない実の親ってよく見る設定だけど、実際にもあるみたいですね。
なんだかやるせないです。親やその関係者によるDVや性犯罪も絵空事ではない現実で、感受性が強く精神的に未熟な未成年は逃げ出すのも一つの解決策であるべきですが、その最良の方法は家出ではないはず。。

■家出について(作品とは関係ない実社会の話)
(説教くさいので畳みます)
~▼{netabare}
作中でも触れてますが現実では主人公の行為は犯罪です。
羨ましいとかいい出会いだったとかいうのは、現実の世界に持ち込んではいけません。
でも、現実でも家出があるのは事実・・
つまり、それを救う必要があるのも事実。

物語としては吉田は結果的に人を救い、褒められてしかるべきと思います。
でも現実ではそんな人間がめったにいないことも、そんな人間と会える僥倖が見込めないことも、真実。

児童センターがあるように青少年の相談先もちゃんとあります。

<家出のデータ>
10代の家庭を原因とする行方不明届者はH29年で約1.5万人とのこと。
行方不明者全体の男女比から推察すると、その内女性は4500人程?
さらにその内可愛い女性は適当に見積もって1000人位?
(とある調査では自分を可愛いと思う10代女性は4割らしい)
まあ、可愛い家出少女自体は実際存在するだろう事は想像に固くないかと。

いえね・・主人公を見習いましょうとか言うつもりではないです。
むしろその逆です。
こういう娘たちを狙う輩は、実際いるんでしょうねって話です。
{/netabare}▲~

ヒロインのような娘はそれなりにいそう。
けど、主人公のような人は、めったにいないでしょう。
まして、実際には善意であっても犯罪。

で、保護対象を守る方法は既に用意されている。
ならば広く周知し運用しましょうよって話です。

大人も子供もそれを広く知っていれば、一人でもその悲劇を減らすことができるのではないかと。

この作品を機に、そういった機運が高まって欲しいものです。。

<知識として>
■16歳少女を家に泊めて逮捕・・・「善意」でも犯罪なの?
http://news.line.me/issue/oa-bengo4com/qy4h1cjnubfm

■本人の同意があっても「未成年者略取」になる? 誘拐との違いを解説
https://shinjuku.vbest.jp/columns/criminal/g_other/4472/

■都道府県警察の少年相談窓口
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/soudan.html

■厚労省、児童相談所虐待対応ダイヤル。
「いちはやく」=189(キャッチさんありがとう)

=最後に=
物語では、石川五右衛門のように犯罪者がヒーローたり得ないなんてことはないかと。

でも、現実社会ではいくら家出娘が可愛くても可哀想でも連れ帰っちゃダメ。寄り添い、相談に乗ってあげましょう。惚れたんなら立ち直ってから恋愛すればいい。家族が守ってくれないなら、社会で守る。そんな世界であってほしいですね。

なんだか熱くなってしまいました・・
それほど、自分にとって心に残る作品となりました。

【追記】
1点、視点を忘れていました。
『この作品は、家出少女の家出ハードルを下げる』のではないか・・
正直、そう思います。だから、最後のテロップはあり得ない。
ラブコメだからって「てへ」では許されない。
そこはちゃんと、大人として189紹介などのメッセージを出すべきでした。少なくともR指定はすべきかと思います。
 

投稿 : 2024/04/27
♥ : 31
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

拾うか?届けるか?正直悩む

原作未読

物か人かで事情が変わるのよね。

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』

指摘するまでもなく釣りタイトルでしょう。そしてパクっと釣られる私。
セクシャルな要素入れ込むとわりと賛否別れるのよね。そんな作品です。

神待ち女子高生荻原沙優(CV市ノ瀬加那)を26歳IT企業勤務の吉田(CV興津和幸)が酔った帰りに拾う出だし。そこからの同居生活すったもんだを描くラブコメ。
沙優役一ノ瀬さんのこれまでって、気弱さの中に芯がある配役が多い印象でややビブラートかかり気味な発声が好みの役者さんです。『色づく世界の明日から』あさぎ役と『キャロル&チューズディ』チューズディ役の人って感じ。大事に育てられてるお嬢さん、決してお姉さんにはなれない声です。
それがトーンそのままなのに設定はもろセクシャル。このギャップでおなか一杯になる変態は私だけでしょうか。とどのつまり

 それ(市ノ瀬姐さん熱演)だけでよくね?

と釣られたまま完走です。異論は受け付けます。

そして本題。

 おー未成年略取か…そうかそうか

犯罪の匂いどころかこれあかんやつです。保護するでも児相ならOKで一個人ならNGな法律の建て付け。結局、ここでリリースしたらこの子にとってあかん!と吉田が思ったわけで古き良き昭和のお節介みたいなもんでしょう。それを良しとするか否か。
基本的に家出娘なんて頭のネジぶっ飛んでたりするもんなのに、けっこうな常識人に見えるところがむしろリアリティに欠けるのでツッコミどころはそこでした。設定そのものが許容範囲の内か外かで出だしの評価は分かれるでしょう。

私はわりと寛容的です。
法律を守るのは前提。さりとて現状に則してない法律がわんさかあるのはどこの法治国家だって一緒。近々のコロナでは、ロックダウンして私権制限しようにも法律がその建て付けになってないし、それゆえ制限と引き換えの補償も根拠薄弱で運用でカバー。法の整備を待たずに「主権制限しろ!」と主張してる方々と吉田の行為との根っこは同じ。「現状を良くするための具体的な方策はこれ」という意識なんだと思います。良し悪しは別としてですよ(笑)

 見ず知らずの他人に手を差し伸べるか否か

ぶっ壊れそうな娘を放り出せるか?って自問したのでしょう。
この最初のハードルをクリアできればそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか。“違法行為”に目くじら立てるよか“違法行為しちゃう心の動き”に焦点を当てたい。そこはまずまず。拾う動機はわかるんだけど吉田は拾うにあたってもっと葛藤して良い。

その上でセクシャルなの取り扱う作品っておおむね3択だと思います。

1.『D×D』や『エグゼロス』みたいなアニメらしい能天気なやつ
2.とりあえずおまえら○○見たいんだろ?なあからさまなやつ(僧侶枠あたり)
3.山本直樹的な文芸作品(希少)

意外や意外。3.の雰囲気を感じました。全体の展開は中途半端な箇所も散見されますが時折光る部分があるんですよね~。私好きですよ。
1クールでスッキリまとめてラブコメらしい帰着をしており、手の出しやすい良作だと思います。
主人公が娘に出を出すかどうかは見てのお楽しみではあります。



※ネタバレ所感

■その時折光るやつ

・{netabare}バイト先で沙優と再会した矢口くんの一挙手一投足

 ややモブ的立ち位置な彼。これ普通のアニメなら嫌な役回りのキャラにしてお終いでしたよ。そうはなってません。登場からフェードアウトしてくまでの一連の所作が腑に落ちる感じがするのは私だけでしょうか…{/netabare}

・{netabare}自殺しちゃった娘と沙優との関係

 沙優の何もできない感じと自責の念とで堕ちていく感覚はわかるよね。{/netabare}


あっ!でも…
 {netabare}社内でマルチタスクする気にはなりません。こっちが真のリスクかと。{/netabare}



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.07.03 初稿
2022.05.28 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 49

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ま、いろいろと、ツッコミどころはあるものの、です。

なるほど、この作品も感想、評価の振れ幅の大きい作品の一つと言えそうですね。

曰く、
タイトルからして気持ち悪い。
主人公は犯罪者→犯罪者は認められない→不快、キモイ・・・。
犯罪を犯しているのに、主人公:吉田がいい人のように描かれている、きもい。
他に方法があったのでは?
体と引き換えに、泊るところを提供してもらうなんて考えられない、受け入れられない。
沙優の考え方が受け入れられない。
主人公:吉田含め、周囲の人がいい人過ぎて逆にきもい、ありえん。
現実にはありえん設定、ファンタジーとしても納得できない。
何を伝えたいのかメッセージが解らん。
そもそも倫理観が欠如している!!

などなど。

なるほど、なるほど。
「個人の感想(感情)です」なので、どれも一理あるとは思います。

さて、私はどう思ったかと言うと。
ふっつうに観れました。
沙優の行動に対して「おぃおぃ、やめとけ」とも思いましたし、後々明かされる境遇をみて、気の毒にもかわいそうだとも思いました。
倫理観のぶっ壊れている表現には不快感も覚えましたし、率直にかわいらしいと思えるシーンもありました。
「頑張れ」と思うシーンも「バカ野郎」と思うシーンもありました。
吉田についても「普通に言ったら犯罪だよなぁ」という思いももちろん浮かびましたし、他の方法もあるっちゃあるだろ、とも思いましたが、吉田がそれを選んだんだから仕方がない、とも思いました。
別の方法を選んだとして、この作品の様な結末にたどり着いたかどうかは解りません。

・・・と言うように、人間らしい矛盾と迷いに満ちた思いを巡らせた訳ですw。
自分としては、とっても人間らしくていいと思っているんですがwダメでしょうかね。
そして、結論としては、アニメとしてちゃんと見れたし、思うところもあった、となっているんですが。

ところで、先日の「スーパーカブ」でも交通法規がどうの、沢に落ちた友人を助けるシーンでの振る舞いがどうのという騒動があったわけですが・・・。

現実世界の理想と理念が100%反映されたアニメを求めておられる層ってそんなにいるんですかね、そして、そんなアニメを観たいんでしょうかw
もちろん、私にも確かに許容できない表現のラインや許せない、不快に思う表現は思考は確かにあります、そしてそれは明らかに私の好みが反映されたラインかもしれませんし、他の人はなんとも思わないものもあるかもしれません。
それらを踏まえた上で「そんなクソ真面目なアニメをお好みで?」。。。

以前にも絵画を例に「作品」についてのウンチクをたれたことがありましたが、仮に写実主義の画家だったとしても、その画家の生み出す「作品」は画家の心象風景なのです。
不要なものを削ることもありますし、無いものを足すこともあります。
「作品」に思いを乗せるために、善を際立たせるために、悪を極悪に描くこともあれば、死を際立たせるために命を軽く表現することもあります、当然逆もあります。
表現したい事の為に「作品」というフィクションの中で法律も消し、飛び越えることだってあります、その代わりに吉田に他の大人が持っていなかった別の倫理観を与えているじゃあないですか?私の言ってること違います??

女子高生とサラリーマン(大人)。
これが、社会人と社会人だったら、この話が成り立つのか?っていう話です。

「そもそも、こんな話でしか表現できないのならそんなものやるな!」って?
おっと、それはアナタが言う事ではないですよw
表現者は自分の裁量、出来る範囲で自己の思いを表現するものですよ。

なーんて、またいらない主張をしてしまいましたねぇ、ゴメナサイ<(_ _)>。

でもね。
毎日、毎日ニュースで流れてること観てみてよ。
不快な事、クソみたいなヤツの話ばっかり(あらお下品、失礼)
こんなアニメで描かれている事より、そっちの方にケチつけて改善したほうがよくない?

この物語、
26歳のサラリーマンが家出女子高生を拾い、自分ちで養ってあげる話。
ってなれば、「!?なんやそれ」ってなりますが。

傷ついて家出して自分を見失っていた女子高生が偶然出会ったリーマンと一緒に暮らす中で、自分を取り戻し前向きになっていくお話。
ってなれば、ちょっとマイルドに・・・、なりませんかw
まぁ、一緒に暮らすってポイントが許せない人にはダメかw



でもねぇ。
この物語、主人公は吉田なんでしょうが、スポットを当てるべきは沙優の物語ですよねぇ。
沙優がどう変化し、どう傷を乗り越え、どう前向きになっていって、最後にどうなったか。
そこにしっかりとスポットを当ててみれば、傷ついた少女に何が必要だったか、どんな環境が、どんな人間が周囲にいて欲しかったか。
そして、そういうモノが満たされた時、人はどうなるのか、が見えると思うんですけどねぇ。
これもきれいごとですかね。


沙優にとっては、消せない傷もたくさん残ったけど、友達もできたし、吉田とのこの期間は一生忘れない記憶になるでしょう。
最後に、好きって告白していたけれども、それだって、いい思い出的なもので終わるかもしれない。
もしかしたら、時間をおいて二人がもう一度ってこともあるかもしれないし、お互いにいい人が出来て別々の道を行くかもしれない。
これは余韻として残しておけばいい所なんだろうけど、どっちでもいいよね。


オジサン世代の私としては、
何やそれ!!って言われるのを承知で言うとすれば、
これって、999のメーテルと鉄朗だよね。
吉田は沙優の「青春の一時にいた幻影」になるのが吉かと。

「そして、少女(女子高生)は大人になる・・・」

う~~~わ、きもーーーーーーーー。


さて、この評価を読んだ人がいたとしたら・・・。
この作品を観たいって気が失せるかもしれませんが・・・w
好き嫌い、快不快が分かれる作品ではあるでしょう、ご自分の目でご判断ください。



でも、最後の「こんどはアナタの家に泊めてよ(ハート)」
は「んな訳あるかーーーーーーーぃ!!」って言うツッコミを受けることで、この作品はフィクションですよwって言っていると解釈したんだが・・・。


・・・・・・もしかして、ガチで視聴している野郎どものハートをざわつかせれると思っているんなら「舐めんな!」ってグーパンチだな。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21
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