埼玉県で漫画原作なTVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の埼玉県で漫画原作な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月05日の時点で一番の埼玉県で漫画原作なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.4 1 埼玉県で漫画原作なアニメランキング1位
その着せ替え人形は恋をする(TVアニメ動画)

2022年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (732)
2473人が棚に入れました
雛人形の顔を作る、「頭師(かしらし)」を目指す男子高校生・五条新菜(わかな)。 真面目で雛人形作りに一途な反面、同世代の流行には疎く、中々クラスに馴染めずにいる。 そんな新菜にとって、いつもクラスの輪の中心にいる人気者・喜多川海夢(まりん)はまるで別世界の住人。 けれどある日、思わぬことをきっかけに、海夢と秘密を共有することになって……!? 決して交わるはずのなかった2人の世界が、動き出す――! 『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)にて連載中・福田晋一による大人気原作を、CloverWorksが待望のアニメ化! 豪華スタッフが贈る、コスキュン? ストーリー!
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

メタモる者は幸いである。天国は彼らのものなればなり。

もうずいぶん前にアメリカに住む友人から聞いた話なので、
いまはひょっとしたら事情が変わっているかもしれないけれど、
アチラの方々はコスプレをするに際して
  『自分のなりたいキャラになって楽しむ』
という信念をお持ちの方が、かなり多数おられるようであります。

大きなイベント会場に足を運ぶと、
ビヤ樽みたいなおなかを突き出したキラ・ヤマトなんか可愛い方で、
ケツあご筋肉もりもりのおっさんがセ-ラ-ムーンのコスをして、
嬉しそうに『OSHIOKI YO!』とか叫んでポ-ズとってるとか。
いやもう、サバトっすよマジで、心から嫌そうにその友人が言ってました。

  最近は日本でもそういう方がおられるようで、
  まあ、やりたいようにやればいいと思うのですが、
  いやはや、なんだかなであります。

ちなみに、若い頃からいろいろやらかしているワタクシではありますが、
コスプレは経験ありません。
やれと言われたらたいがいのことはやる性格なので、機会がなかっただけですが。

その代わりと言っちゃなんですが、女装は十代後半のときに経験あります。
ただまあ、正直、作品にまるっきり関係ない話なので、
ネタバレで隠しときますね(開く必要ありません、マジで)
{netabare}
男女六人ぐらいで宅飲みしているときに、
部屋主の女の子が「フリは女装したら絶対かわいくなる」と言い出し、
じゃあまあやってみましょうか、みたいなノリになりまして。

  出来の方は、なんと言うかその……
  シャレにならなかったというか、
  『リアルことりちゃん』みたいになっちゃいました。

自分が『女の子顔』をしていることは薄々気づいていたんですが、
(小学校卒業するまで時々女の子に間違われてた)
いやまさか『かわいこちゃん』になるとは……
笑いをとるはずが、怪しげなチェキ会みたいな空気になってしまい、
ノリノリでポ-ズをとってみたり、翌朝、酔いがさめて恥ずか死んだり。

もちろん、それで何かに目覚めることもなく、
いたって平穏かつノーマルに今日を迎えております。
てか、僕のタッパ(180)で女装癖あったらアウトではないかと。
{/netabare}

マクラが長くなってしまいました(自分語りが多い男ってやだわ)。
さて、本作はそんなメタモルフォーゼ、コスプレを題材にした、
ウンチクありいのお色気ありいのといった、ラブコメであります。

人づきあいが苦手なジミ夫くんがクラスのリア充花形女子に引っ張られ、
という感じの作品はかなりたくさんありますが、
この作品はそのなかでも出色のできばえではなかろうかと。

  なんと言っても引っ張られるきっかけが
  『お裁縫の技術目当て』
  というのが、わかりやすくて良き。

コスプレがしたくてたまならいけど自分も周囲にも裁縫力がないヒロインが、
ひな人形職人見習で縫製技術のある同級生(新菜=わかな)と知り合い、
コス衣装をお願いして作ってもらう、というのが物語の骨子であります。
{netabare}
ひな人形が好き、という自分の嗜好を恥ずかしく思っていた新菜が、
そのことをあたりまえのように認めてくれたヒロインに感動し、
彼女の『好き』を叶えてあげたくて奮闘するうち、
自分もコスプレの楽しさにハマりだし、
共同作業を重ねるうちに二人の距離も縮まっていく、という展開ですね。

  この『二人の距離の縮まり方』も、
  なかなか繊細で良き。

新菜には、恋愛感情だの下心だのはありません。
自分の『好き』を初めて認めてくれた『いい人』のお役に立ちたくて、
一所懸命にやっているだけ。
(えっちな夢や妄想はあるけれど、そこは若い男の子だからお目こぼし)

最初に恋愛感情を抱くのはヒロイン、海夢(まりん)の方です。

ただし、最初はほんとに、クラスメイトに無理なお願いをしてるだけ。
 ・参考に渡したエロゲーを真剣に、最後までプレイしてくれた。
 ・めちゃくちゃ細かい三面図を作り、買い物にも付き合ってくれた。
 ・軽く言った言葉を真に受け、寝る時間も削って衣装を作ってくれた。
 ・その衣装が素晴らしい出来で、夢が叶った。
なんてことがあっても、気持ちは『感謝』『いい友だち』のままなんです。
ほんと、全12話のうち5話の終わりまでそんな感じ。

まりんって見かけは「学校にそんなパンツ穿いてくんなよ」的バカ女なんですが、
このあたりの身持ちの堅さ、良きです。
ちょい助けられたとか秘密を守ってくれたとかでホイホイ惚れてしまう、
そのへんのご都合ラブコメヒロインとは一線を画しています。

……が、

新菜が大切にしていた『きれい』という言葉を自分に向けてくれた途端、
彼を異性として意識し始め、
それまでの感謝や友情だった気持ちのベクトルが一斉に恋愛感情へと方向転換することになります。

この『身持ちの堅さ』と『チョロさ』の同居が、実にリアルで良き。
てか、いかにも女の子っぽい。
体温の感じられる、いいキャラクター設定ですよね。

  ただ、ですね……実をいうと新菜くん、
  ウィッグ屋のスワローテイルを訪れたとき、
  わりと簡単に『きれい』とか心の中で思っちゃってるんですよね。

  脚本家は同じ人だから、ミスではなく確信的な演出として。

  だからまあ、それほど深刻に『重い』言葉でもないわけなんですが
  そこはほら、モノローグだから、まりんにわかるわけもなく。
{/netabare}

ちなみにこの作品、メインとなる登場人物は、
主人公の新菜とヒロインのまりん、
そして先輩コスプレイヤーのジュジュと妹で撮影担当の心寿(しんじゅ)の四人のみ。
新菜の師匠であるおじいちゃんとかも出てくるものの、
あくまでも物語を成り立たせるためのサブキャラなんですね。
(いやあ、音響費が安くあがって制作大助かり)

そのジュジュと心寿が登場するのも六話以降。

それまでの丸々五話、ほとんど100分を費やして、
若菜とまりんの人間性やコスプレ、衣装づくりに関する蘊蓄が、
けっこうえっちなイベントやギャグを織り込みながら楽しく語られていきます。

   へえ、コスプレイヤーさんってこんなふうに衣装作ってるんだ、
   そういうニッチな知識が得られるのも良き。

お話的には、六話にジュジュと心寿が登場してきてからは、
さらに深いコスプレのウンチクと写真ウンチクなんかも散りばめられて、
見る人を飽きさせない作りになっています。

  さすがにネタが尽きてきたのか、
  十一話以降はふつうのラブコメに落ち着いてきた感があり、
  もしも二期があるんならどうやって引っ張るんだろうといらん心配もしてみたり。



おすすめ度としては、お気軽ラブコメとして堂々のAランクです。

なんと言っても『大真面目にコスプレをやっている』というのが好感度大。
妄想ラブコメのモチ-フとしてコスプレを拝借するのではなく、
コスプレが主軸で、ラブ要素はそこから二次的に派生しているんですよね。
はあ? コスプレって何なん?
という方にも是非ご覧いただきたい、楽しい作品です。

惚れ要素のないダメ夫に美少女がいきなり寄ってきてキャッキャウフフ、
という『妄想アニメ』に辟易している方も、
この作品ならば、ある程度は納得していただけるのでは。

そもそも新菜くんって、実は『ダメ夫』じゃないんですよね。
性格は確かに地味で内向寄りですが、
『高身長』『明確な夢をもって努力』『真面目で誠実』と、
なにげに高スペックだし、顔も悪くないし。
ゲ-オタと違い、将来設計もきちんとしている優良物件ではないかと。

ヒロインのまりんも、見てくれはバカ女っぽいアレですし、
エロゲ好きだの読モだの既視感ばりばりな設定もナニなんですが、
中身の方は『さばさばしてて、行動力のあるヲタク』に過ぎません。
料理・裁縫などはポンコツですが、
家の中は一人できちんと片づけてますし、女子力がないこともなし。
{netabare}
  ツ-ショットでのエロゲト-クやラブホはOK、
  同じくツ-ショット、しかも室内できわどい水着や衣装、ノーブラもOK。
  全身のサイズをくまなく知られるのもOK。

  いやあんた痴女でしょと思いきや、下着見られるのは恥ずかしいとか、
  破天荒な線の引き方も、一周回って個性としてアリかな、と。

  ナウシカ的な高度清廉性を求める方には無理っぽいけれど、
  一般的には「いやあいつバカだから」の一言でたいてい済まされる、
  わりとどこにでもいる『親近感の持てる女の子』設計なんですよね。
{/netabare}

ジュジュ姉妹、ロりっ子と巨乳美少女も登場しますが、
二人ともオトコよりコスプレ、という『狭い方々』ですので、
変なハ-レム展開にならず、安心して見ていられます。


映像も、時々乱れるものの、全体的にはかなり良き。
ヒロインのまりんのキャラデ、斬新です。
下品と感じる方がいるかもですが、こういう思い切り、大切ですよね。

  ボディラインだの襟足だの、
  オトコゴコロをくすぐりたいところはしっかりくっきり。
  アニメ-タ-さん、魂込めてます。
  かと思えばひな人形の顔がものすごく精緻に描かれていたり、
  要所要所をきっちり締めて、物語に芯を通しています。


お芝居についても、
キャリアの少ない役者さんが多いのに及第点。
みんながんばってます。

  新菜役の石毛翔也さんは、ゴジラSP以来、ほぼ二本目の主演作。
  ただし、劇団四季出身でいまは鈴村さんの事務所に所属するなど、実力は充分の方。
  事務所移ってから確実にお仕事増えているみたいだし、
  スターダスト離れたのは正解だったような。

  まりん役の直田姫奈さんは、アニメではこれが初主演ですよね。
  バカっぽいのびのびした演技が印象的でした。
  ただ『静』の部分の表現は若干の改善余地があるような。
  これからいい役を引ければ、化ける可能性があると思います。
  芸を磨きたいなら、バンドリと縁を切った方がいいんじゃないかしら。

  心寿役の羊宮妃那さんは、セレプロ以来、二本目の主演。
  青二ジュニア所属、期待の若手さんですね。
  上田麗奈さん同様の、ブレス多めのウィスパーボイスが印象的。
  表現力はまだまだ上田さんに遠く及びませんが、
  この基礎声質は需要が多く、研鑽を積めば、重宝されると思います。

  ジュジュ役の種﨑敦美さんは、この中では『別格』かなと。

  あと、劇中劇の『フラワープリンセス烈!!』で、
  桑島さんと宍戸さんという『時代に合わせた』キャスティングに拍手。
  画面アスペクトも4:3だし、いやあ、芸が細かい。


音楽は、劇伴・OPは楽しくて、世界観にも合っていて問題なし。
EDはちょっと甘々に振りすぎたかな、と。
演出もいささか『狙い過ぎ』と感じられたので、評価がちょい低めです。
ベタ甘にしない方が、作品に芯が通ったと思うんだけど、
まあ、そこはあくまでも好き好きの話で、良し悪しではありません。


ちなみに本作の原作マンガって、
えっちいシーンがやや多めで基本は男性向けかなと思いきや、
女性ファンが三割もいて、さらに増え気味なんですってね。日販調べ。

  もちろん『服飾』がメインモチ-フというのもあるでしょうが、
  決してそれだけではなく、
  やっぱ『共感できる人物造形』ができていることがミソなのでは。

  以前レディコミの編集者さんに教えてもらったのですが、
  女の子にだって性欲も好奇心もあるし、どきどきもしてみたい。
  だけどそこに至るには、結果だけを求めるオトコと違い、
  ちゃんとした『プロセス』と『理由』、
  つまり『エクスキューズ』が必要なわけであります。

  この作品は、そこをしっかり押さえています。
  だから「はあ? このオンナなに発情してんの」的評価にならず、
  一緒にどきどきしたりゲラゲラ笑ったりできるわけで。
  (この辺、さすが原作者が女性だなあ、と)

そんなわけで、本作は性別問わず誰にでもお勧めできる逸品であります。
いささかお下品な部分がないこともないですが、
そこも含めて実に楽しい、お気楽に見て笑える仕上がりになっております。

  ラブコメという名のオタ妄想に食傷気味なあなた、
  コスプレという名のあやしい趣味に懐疑的なあなた、
  洋裁の実習や宿題にトラウマをお持ちのあなた、

  そんな方にもご覧いただきたい、素敵な娯楽作品なのでありますよ。


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ええと、ここからは本編に関係ない洋裁のウンチクをば。

作品では、ひな人形の衣装づくりをしている新菜くんが、
ドレスみたいな制服を仕上げますが、
和装と洋装では縫製技術が根本的に違うんですよね。

リアルに考えると『ムリ』『できたら奇跡』みたいなものなんですが、
そこはほら、アニメだからできちゃうわけで。
それにしても新菜くん、ほんとよくがんばった。

で、何がどう違って難しいのかを、簡単に解説してみようかな、と。
本編にはあまり関係ないのでネタバレで隠しておきますね。
ほんとムダ知識なので、興味のある方だけ、どうぞ。
{netabare}

 和服って、畳んだらぺたんと平面になるけれど、ドレスはなりませんよね。
 (だからハンガーで吊るすわけですが)
 これは、服そのものが立体的になるよう縫われているからなんです。

 具体的には『いせ込み』という技術。
 (ギャザーやタックについては、ややこしくなるから除外します)
 わかりやすく言うと、
 長さ10㎝の布Aと9㎝の布Bを、
 始めと終わりがぴったり合うようにAを押し込みながら縫う技法です。

 これ、ひきつらないよう縫うのは初心者レベルだとかなり大変です。
 この技法というか、概念そのものが和裁にはありませんから、
 新菜くん、縫い合わせるだけでも相当苦労したことと思います。

 そして、ただ縫うだけでも難しいのに、
 その何倍も難しいのが、縫う前のパ-ツ、パターン(型紙)の作成です。

 世間では『立体裁断』なんて言葉が使われていますが、
 平面である布地を立体的に切ることなんか、もちろんできません。
 要するに『縫い合わせたときにきれいな立体になる』よう、
 各パ-ツのいせ込む量を計算して型紙を起こし、裁断することなんです。

 単純なタイトスカートでさえ、狙ったシルエットを出すためには
 プロのパタンナーでも、何度も別布で仮縫いを繰り返して調整します。
 ドレスというのはその何倍もパ-ツ数が多く、
 おまけに分量感の強弱が極端でシルエットも複雑なため、
 初めて手掛けるパターン作成がドレスって、ほとんど死亡フラグなんですよね。

 もう一つ、和装と洋装が決定的に違うのが『地の目』の概念です。

 布地というのは基本的に縦糸と横糸で織り込まれているのですが、
 これがどの部分でどの方向に走っているかによって、
 身体を入れたときにできるドレープ(布の自然なたわみ)が全く変わってきます。

 和裁は基本的に『使う布地量を最小にする』よう各パ-ツを切り出しますが、
 洋裁、特にドレスなどエレガントさが求められるものは、
 いかに自然で優雅なドレープを作るかを考えてパ-ツを切り出します。
 (求められるレベルによって、パ-ツの数も布の用尺も全然変わります)

 他にもクセ取りアイロンによる繊維の調整技術など、
 細かい違いを言い出したらキリがありません。
 要するに、そういうことをまるで知らない和装職人の新菜くんが、
 まともな道具も教えてくれる先生もなく、
 素人向けの本を一冊読んだだけでああいうドレスを作るっていうのは、

          かなりの『無理ゲー』なんです。

 特に最初のドレスは、
 トルソー(胴体だけのマネキン)もないから
 シ-チング(別布による仮縫い・型紙チェック)もできないわけで、
 それであんな難しいもんよく作ったなあ、と。
 まあ、そこは正直、アニメだからとしか言いようがなく。

   ちなみに『明日ちゃん』のお母さんによるセ-ラ-服作り、
   かなり正確な描写になっていました。
   洋裁慣れした人でも、ああしないと作れないんですよ、ほんとは。
   (気になる人は一話Aパ-トをチェック)


 もちろん、どこまでいってもコスプレ衣装。
 あくまでも趣味の範疇なわけですから、
 なにをもって『よし』とするかは人それぞれなわけです。

 僕が言ってるのは『製品レベル』の話であって、
 個人が作って個人が楽しむだけなら、極論、何だっていいわけで。

 本編でジュジュが出来栄えにほれ込んだという設定だから、
 『ある程度以上の出来だった』ということで、
 いやそれは洋裁初心者さんには難しいですよ、というお話に過ぎません。


 たださあ……

   お金を取って売ってる出来合いのコスプレ衣装って、
   正直「なにこれ?」ってレベルのものが多いんですよね。
   袖がペンギンとかフラップがひきつってるとか、マジありえない。

   個人が趣味で作るものと、
   企業が製品として市場に出すものは、
   やっぱ明確な違いが必要なのではと思うワタクシでありました。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 35
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ギャルの定義は、「己を貫く生き様」 byマツコの知らない世界

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
純粋なラブコメでここまで面白いのは久しぶりですね。

ギャル系のヒロインは苦手なのですが、喜多川さんは、ギャル系のヒロインの中では、過去作で一番好きになりました。1800作品以上観てきて、記録更新です(笑)

そういうこともあり、久々にアニメを心から楽しめたので、「青ブタ」以来のお気に入り棚にinです♪ 当然、今期の覇権ですね♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
レビュタイですが、「マツコの知らない世界」という番組に、伝説のギャル雑誌『egg』を復活させた、ギャルのカリスマみたいな方が出ていて、「白ギャル」「黒ギャル」「清楚系ギャル」等紹介し、マツコさんが「今のギャルって幅広いのね」と言い、「ていうか、マツコもギャルだよ。ギャルって、周りが何を言っても、自分の好きなファッションとか生き方を貫いている人のことだから」という趣旨の発言をしていて、マツコさん(も私も)「なるほど」と腑に落ちていたことからとりました。

作者がそういう定義を知っていたかは分かりませんが、本作の作風とヒロインの設定がバチっと合っていて、それだけでも素敵なアニメだと思いました。

本作は、ラブとコメディのバランスがすごく良かったのが印象的です。

恋愛面では、「好きになる過程」がしっかり描写されていて、これは女性作家っぽいな~と感じました。男性作家の場合、「好かれる過程」を描いてる感じがしますし、なんなら「好かれた後」「どんな風に愛着表現されるか」がメインで描かれることが多いと思います。一方、少女漫画とかは、ちゃんと尺とって、納得感のある「好き」が生まれます。

特にそれを感じたのは、4話。池袋コスイベ前、喜多川さんの為に自分を追い詰めて衣装を作ったが、「実は焦らなくても良かった」と分かった時、全く怒らず、喜多川さんを責めず、即座に「良かった~」と言って安心した五条くん。彼の人柄、優しさがうまく表現され、ああいうところから好きになっていくのはとても自然だし、女性らしい視点だと思いました(そういう「さりげない素敵シーン」が随所にあったのが凄い)。

2人は全く真逆に見えて、「好きなものをちゃんと好き」で共通しているし、何より、他人の好きを否定せず、先入観を持たずに、相手の好きに興味を持つ。とても素敵な関係だし、2人が次第に惹かれ合っているのが納得できた。

一度好きになると、何でも好意的に捉えられ、「お祖父ちゃんとならめっちゃしゃべるじゃん、可愛い」とかは、ホント、男にはない発想だよなと感心した。

そして、恋愛が深まりそうになると、、、鮮やかにコメディでかわす。

しゅきーー!は、笑ったな~(笑) あれが似合い、ちゃんと萌えに繋がるのは喜多川さんだけな気がします。

凄く質の高いコメディを積み重ねてきただけに、ラストをシンプルな青春恋愛モノにし、美しい花火をしっかり魅せる演出が効いたのだと思いました。

基本、ラブコメはキャラが良ければストーリーは並でも良い、というのが私の持論です。私はとにかく、喜多川さんも五条くんもとても好きです!

今年のスタートで、お気に入り作品に出会えたことに感謝!
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
人形職人の話? 凄いところに目をつけるな。岩槻、埼玉県にある人形の町なんだね。ごめん、痛くなかった?(笑) ラブコメ、良いね。どんなタイトルだよ(笑)

2話目 ☆4
初心者に凌辱系のエロゲを薦めるなや(笑) なんかこう、良いカップルだな(笑) 普通のラブコメ、楽しいな~。水着と下着は違わない(笑) 流石に恥ずかしい(笑) お祖父ちゃん、衝撃(笑)

3話目 ☆5
エロをちゃんとギャグに昇華しているのが良いですね。影から光へ手を引く。池袋駅前にこんな店あるのか。まあ、乙女ロード出来たしな。原作理解度(笑) バイトで金ためたとか、小さな好感度積み重ねるよな。既製品やプロに任せるところは任せる五条、それに素直に言うこと聞く北川さんも、んで、ラーメン食って帰るあたり、共に好感度高い。メトロポリタン口近くの地下通路w お互い、本音の言い合い。

4話目 ☆4
忙しいな~。キャパオーバーする経験も大事。俺も初めてそこで、人に頼ること覚えたし。人間、自分の為だけなら、100%までしか頑張れないしね。そこで他人を責めないのが、優しい人間。こういうのから惚れていくのは、説得力あるよな。その笑顔で、全て報われる。

5話目 ☆4
サンシャインのとこだよな。コスプレの世界は分からないけど、撮りたい人と撮られたい人の要求がばっちり合うわけだな。五条君が好きになる過程も良いよな。からの、「服脱げそう」(笑) 熱中症対策もエロくなる(笑)

6話目 ☆5
不意打ちにより、北川さん、惚れてまうやろ~(笑) からの、揺さぶり笑えない。シュキー(笑) からの女子力のなさ(笑) 「お祖父ちゃんとならめっちゃしゃべるじゃん、可愛い」の発想はないやな。やっぱこれ、原作者、女性? ライバルかな? そこでツルツル思い出すなや(笑) 所々の赤べこが良い(笑) そこで北川さん呼ぶのが五条くんの良さだよな~。ジュジュも良いキャラしてるな(笑)

7話目 ☆4
ちゃんと本業に跳ね返ってるの良いね。カラコンを気にする乙女心(笑) 幻滅してる(笑) こぼしてるのがリアル(笑) まあ、チキンライスまでは誰作ってもそこそこ旨いしな。そして、チャーハンだった(笑) 中学生で178cmは、スポーツ界も注目なんだけどな。

8話目 ☆4
真珠ちゃん、これまでいない、真っ直ぐなピュアキャラか? ちょい闇キャラか? ジュジュ様、いつもストレートだな。一目惚れ、大事だよな。ジュジュ様、ウブ(笑) え? え?(笑) 五条の世界が広がっていく、北川さんの行動力。超ワカメ(笑) そこでギャップの縞パンとかにしないで、黒レースなのが逆に良い。波の作画も頑張ってる。北川さん、勇気出したな~。

9話目 ☆3
水着をみて、色々あった(笑) 見せブラとの違いは、未だによく分からん(笑) そうか、中学生だったな(笑) そうでもない(笑)

10話目 ☆5
姉としての、正しい素敵な対応。好きになるポイントが、妹を大切にしてくれたから。本当は誰にでも色々ある。ホント、その通りだよな。焼きもち焼く北川さん可愛い(笑) 行動力!(笑) 男のロマン(笑) 健康的な下乳を見ると、健康的になれる(笑) 全部大好き過ぎる(笑) 恋は盲目(笑) めっちゃ普通にデートしてるな(笑) 北川さん、嬉しそう(笑) 

11話目 ☆5
シンプルに自分を認めてくれ、自分の可能性を広げてくれ、自分の背中を押してくれる。ちゃんと好きになる過程を見せた直後の、コメディのバランス。そこで、電マに反応するんだ、五条くんも(笑) ゴリゴリのノリツッコミ(笑) ナイスなボケとツッコミ(笑) あれだけ押しといて、乗っかるのが恥ずかしいとか、声出たのが恥ずかしいとか、この辺、北川さんだよな(笑)

12話目 ☆5
最終話は。あえてギャグを廃して作画に力入れ、恋愛面、青春面をフォーカスか。意図は分かるから、アリかな。花火綺麗だったし。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 47
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

五条と海夢の凸凹コンビが絶妙で「コスプレ」も面白く魅せていた

【レビューNo.98】(初回登録:2023/12/10)
コミック原作の2022年作品。全12話。
リアタイで視聴してましたがこれも2期決定分ということで、2期に備えてレビュー
しておこうかなっと.

(ストーリー)
祖父の家が雛人形屋で、幼い頃から雛人形の頭師を目指す高校1年生・五条新菜は、
男子ながら雛人形が好きという趣味のためか、小学校からずっと友達がおらず、
ひたすら雛人形と向き合う毎日だった。
そんな五条の秘密の趣味を、クラスの喜多川海夢に知られてしまう。彼女はスクー
ルカースト上位に位置し、五条とは真逆の存在。しかし彼女は
・そんな五条の趣味を素直に肯定。(彼は初めて他人に認められた)
・彼女も実は重度のオタクでコスプレに挑戦中。でも衣装を作れる技量がなく行き
 詰っていた。
そして五条に衣装を作れる技量があることを知ると、「私のコスプレ衣装を作って
欲しい」とお願いしてくるのだった。
(五条は(人の着る衣装を作った経験はないが)雛人形の衣装作りで技術を磨いて
 いた)
突然の展開に戸惑いつつも、五条は海夢の依頼を了承。
こうして凸凹コンビによるコスプレ衣装制作が始まるのだった。

(評 価)
・五条と海夢の凸凹コンビが絶妙
 {netabare}・本作の魅力はやはりヒロイン・喜多川海夢の存在でしょう。
  (ギャル全開なところは好みが分かれそうですが)
  ・美人でスタイル抜群(しかもいろいろとエロいw)
  ・陽キャで皆の人気者。それでいてそれを鼻にかけることなく、五条のような
   陰キャにも分け隔てなく接してくれる。
  ・好きなことには正直で行動力もある。そして重度のオタク。
   (なので他人のオタク度にも理解がある)
  ・それでいて大雑把さや思い付きで軽率な行動を取ってしまうなど、愛すべき
   短所も兼ね備えているw
  と、ある意味「オタク男子の理想」を全て具現化したようなキャラ造形です。
  しかし個人的には、彼女の魅力の本質はそこではない。
  「相手に対し(一人の人間として尊重し)しっかり向き合っている」
  なんというか彼女をみてると、相手に対する親愛や敬意といった人間関係構築
  の本質的な部分がさりげなく描写されてるなあって感じるんですよ。
  これってある意味、原作者さんの人柄や卓越したセンスなんだろうなっと。
  ここにクローバーワークスのレベルの高い作画や「ギャル全開」の直田姫奈さ
  んの熱演も加わり「動いている喜多川海夢」はかなり魅力的です。
 ・一方の五条ですが、主人公ながらもどちらかといえば「動の海夢」をしっかり
  支えるサポート役的な(「静」の)描写が多いという印象ですね。
  ・自己評価が低く、引っ込み思案で自己主張も苦手。でも内にちゃんと秘めた
   るものを持っている。
  ・相手に対し真面目で優しく真摯に対応。そして細やかな気配り。
  ・コスプレという未知の分野にも研究熱心。加えて随所に垣間見れる職人気質。
  ・そして海夢のボケに対する完璧なツッコミw
  この正反対のキャラが絶妙に噛み合って、相乗効果を生み出している様は本当
  に素晴らしい。
 ・物語の構図としては
  ・陰キャのオタク男子のもとに突然ギャル天使が舞い降りた!
   → 自分の世界に閉じこもっていた五条の扉を海夢が開いてくれた
   という感じではあるのですが、むしろ1期では
  ・オタクギャルの夢を叶えてくれる王子様が現れた!
   → 海夢が輝くために五条が最強のサポート
   という色合いの方が強いかも。
  お互いにとって相手がきちんと意義のある存在になっている点が、観ていて微
  笑ましい関係性だなっと。{/netabare}
  
・「コスプレ」もちゃんと面白い
 {netabare}作品の題材となっている「コスプレ」もちゃんと面白く魅せてくれてるなっと。
 ・1-5話が最初のコスプレ衣装作成になるのですが、
  ・採寸
  ・図面起こし(三面図)
  ・素材選び
  ・縫製(はちょっと物足りなかったが)
  ・メイク
  ・初めての試着
  ・初めてのイベント参加
  までを意外と丁寧に時にはコミカルにエッチに、そしてトラブル発生の描写に
  加え、2人の関係性が構築されていく様を交えながら(見直してみたら思わず
  一気してしまう位に)面白く仕上がっているなっと。
 ・6話以降は「ジュジュ様」こと乾紗寿叶と妹でカメラマンの心寿が登場。
  ・「ジュジュ様」のコスプレ衣装作成
  ・コス併せ
  ・本格的な写真撮影
  等また新たなコスプレの魅力を紹介しつつ、新キャラとの関係構築を描きなが
  らストーリー展開に幅を出していくという感じですね。
 ・コスプレ=「究極のキャラ愛」という、オタクのこだわり的なことを語りつつ
  もあまりオタク道に寄り過ぎることもなく、一般ウケする範疇に上手くまとめ
  ている点もやはり原作者の技量の高さを感じますね。{/netabare}
   
・「ラブ」「コメ」「エロ」を上手く描き、テンポもいい
 {netabare}・「ラブ」については明確に恋心が芽生えた描写があるのは海夢だけですが、紗
  寿叶も五条とのやりとりで何か思うところがあるようで・・・
  この辺りの流れもご都合主義ではなく、丁寧かつ自然な感じで上手く描写され
  ているのかなっと。
  また五条はそういうことに疎いのか明確な恋心の描写はありませんが、海夢と
  の2人のシーンは「青春しててエモいなあ」って心に刺さるものがありますね。
 ・「エロ」は結構ぶっ込んできますwでも大体は「コメ」で落とすという形で上
  手く処理されるので、この辺も媚びた作品に成り下がらずにきちんと仕上げて
  いるなという印象ですね。
 ・実はかなりコメディ色の強い作品ですね。そしてこのコメディが非常にテンポ
  がよく、それが作品の面白さや視聴しやすさに繋がっているという印象ですね。{/netabare}

「『コスプレ』を題材にしたラブコメ」ということで、「どんな作品なんや?!」
って感じでしたが、
・丁寧な人物描写やテンポのよいラブコメ展開など基本事項はしっかり押さえつつ
・コスプレの面白さも一般ウケするレベルに上手く調整して乗せてきている
という非常にバランスの取れた作品だったかなと思います。
随所に原作者のセンスのよさを垣間見ることができたかなっと。
そしてクローバーワークスの作画のレべルも高く、作品の魅力を十分に引き出して
いたと高評価ですし。

2期制作も決定しており非常に楽しみですが、ただ「コスプレ」の部分は今後どうみ
せていくのかなっと。
1期で結構やり切った感もあるのでどう上積みしていくんだろうと。
(大きなイベント、新キャラ、ハロウィンで五条もコス挑戦とか?)
まあラブコメ展開はこの先が非常に気になりますし、五条の(人間的な)成長物語
にも伸びしろが十分あるので、作品全体としては期待大ですが。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29

67.9 2 埼玉県で漫画原作なアニメランキング2位
球詠(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (251)
668人が棚に入れました
埼玉県、新越谷高校。この春入学した武田詠深(たけだ・よみ)は、そこで幼なじみの山崎珠姫(やまざき・たまき)に再会する。中学時代、受け止められるキャッチャーがいないために鋭く変化する「魔球」を投げられず、野球への気持ちをあきらめかけていた詠深。だが、強豪チームで実力を磨いていた珠姫は、詠深の変化球を受け止めることができた。幼い頃の約束を果たし、再びめぐり逢った二人は、クラスメイトの川口姉妹や仲間たちと共に停部中の野球部を復活させる。目指すは全国!新生・新越谷高校野球部の挑戦がここから始まる――。

声優・キャラクター
前田佳織里、天野聡美、野口瑠璃子、橋本鞠衣、永野愛理、北川里奈、富田美憂、宮本侑芽、本泉莉奈、佳村はるか、白城なお
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

背番号10の功罪

原作知らず。昨今の事情により、いろいろ制作にしわ寄せがあったことは容易に想像できますが、それはそれとして(勘案せずに)感想を。


(おそらく)野球が女子のものである世界。プロも甲子園も女子球児のもの、という世界線で展開される、高校球児たちの青春ストーリー。野球を諦めたはずの幼なじみの再開、ある事情により活動停止となっていた野球部の再起動、徐々に集まるメンバー、そして甲子園を目指す戦いを描いています。女のこたちの物語ということで、ときに百合百合しい描写も見られます。

このサイトの評価基準に沿うと評定点が低くならざるを得ないのですが、作品を通しての満足度という観点に立てば、4.0/5.0くらいにはなると思います。誰にでもお奨めできるかと問われれば、No。もう一度見たいかと問われれば、微妙にYes。作品に対して文句はあるかと問われれば、はっきりとYES。

僕にとってそんな作品です。文句の向く先は作画ではなく人物描写ですが・・・


作画面{netabare}に関しては評点を上げる要素が見いだしにくいです。
キャラデザはそこまで悪くないと思っています。ガチでスポーツやる女子は、一部の例外除けばどうしたって丸っこくなるのです。僕は彼女たちのぶっとい太ももに描かれた筋肉の陰影を、スポーツ女子の勲章として評価します。でも、野球やるなら短パンやめろ。せめて試合中は髪の毛まとめよう>#1,4,5。
アニメーションとしは、比較的最近放映された別の女子野球ものよりは遙かに良いと思います。ちゃんとボール投げてる、バット振ってる、走ってる。でも2Dアニメと3Dとのギャップが気になりました。顔がある程度以上の大きさになると、どうしても3Dモデルの表情は厳しいですね。うまく顔を半分くらい隠すような構図をとるとか、背面からにするとか、工夫の余地があったと思います({netabare}この観点からみると、ガルパンは実にうまく2D-3Dのトランジションをこなしていたんだな、と感心すること頻りです{/netabare})。
全体として作画が安定しなかったのが痛かったかな。終盤の極端なコマ数削減も気になりました。
{/netabare}

声の演技{netabare}は、正直今ひとつと思いました。新人の方を大量に採用しているのだと思いますがなんとなく違和感を感じました。
おそらく演出・音響監督さんの領分になるのだと思うのですが、もう少し何とかできなかったのかなと思います。単純な音圧あわせのレベルで雑に感じました。最終話はまとまっていたと思います。

音量・音圧あわせがうまくできていない中で、#10の声が悪目立ちをしていたように感じます。言葉を選ばず言うなら、耳障りでした。中盤あたりまで#10が全台詞の半分近くを持っていたのも、悪い方向に働いたかもしれません(声優さんに対する批判ではなく、音響監督・演出に対する批判です)。{/netabare}

OP{netabare}は、結構好きです。OPの女性ボーカルは、僕にとってものすごく「気になる声」です。歌詞はいろんなことに投影できる前向きな詩と思いました。
12話の最終局面で感じたのですが、スポーツの緊迫した場面でのストリングスって、凄く盛り上げてくれますね。ハイキューとか。{/netabare}

物語と人物描写{netabare}は、王道も王道の野球ものです。

人物配置からして王道と思います。挫折を経験し野球から離れようとしていた主人公たち、過去があるチームと野球を捨てきれない先輩たち、最初はそこまでモチベーションがない選手たち、取っつきにくいエリート、可能性モンスターな初心者たち。。。

ほかの野球漫画・アニメで思い当たるものしかないと思いませんか?Clichéですが、スポーツもの、こと野球ものに関してはこのうえなく「機能する」構成だと思います。

物語としても、12話構成としては十分な展開(おそらくそれなりに上手な取捨選択)がなされていて、いい区切りで最終話を終えていたと思います。物語の主軸となる#1,2、および、#3,10の物語に加え各選手がそれぞれにちょっとずつ見せ場をもつという展開も、まさに王道。#9のホームランは、初登場時点で確約されていたようなものです。それでいいんです。

最終話の展開は、正直うるうるしちゃいました。でもね。でもね。{/netabare}

#10の人物像{netabare}、描かれ方に大きな不満があります。終盤でぶれたことが不満です。

9話まで、#10はデータDrivenに冷静な判断を下しつつ、勝負勘も持ち合わせた指揮官候補生として描かれていたと思います。判断に際しては無感情で、むしろ気味が悪くもある。それがこのキャラの「売り」だと思っていました。

それが9話終盤から12話まで、ただのうじうじキャラへと豹変します。指示は遅れ、出せなくなる。これに加え、ひたすら内なる逡巡を台詞として語り続けます。うざ。あまりにうっとうしく感じたので11話はいったん視聴を止めて数日放置したほどです。

自身の判断に自信が持てなくなることや、判断に対する後悔それ自体はかまわないのです。自信のなさが顔に出ても(ない方がいいけど)、それは仕方ない。最悪、顔真っ赤にして半べそかきながらでもかまわない。でも、指揮官・指示を出す立場のものって「求められたタイミングで指示を出す」ことが全てです。「何も変えずにそのまま」も、ちゃんと指示として出さなければなりません。

なのに、あれだけ無感情系監督候補として描かれた人物が、その場面場面で逡巡し、判断を迷い、遅らせ、あげく逃げる。指揮官としてのあり方からも、キャラぶれの面からも、これは許されないと考えます。これは事前の想定が不十分なだけで、判断を下すものとしての能力不足。#10内面の苦悩を表現する方法はほかにもあったと思います(#6,9あたりや観客に、悪意のない戦術批判をさせる(たらればを言わせる)→うつむく#10とか)。

#3とのやりとりも、ベンチ裏ではなくベンチ内でやってほしかった。求めすぎでしょうかね。でも、序盤の描かれ方からみて、「不安にえづきながらも指示は出す」くらいのキャラかと期待したのです。

#3ホームラン後の、相手ピッチャーの台詞も「?」でした。#10をさして「あれだけ有能な指揮官が・・・」って、この試合で#10完全無能だったのだが・・・

それでも、#3のホームランは凄く良かった。それは認めます。その分、その後が間延びした感じがしました。
{/netabare}

主人公は誰だったんだろう。 {netabare}最終話の盛り上がりは、間違いなく#3と#10の物語に支えられていました。でも、この作品の真の主人公は誰だったのか。
原作の、もっと長い物語の中では問題がなかったのだと思います。ですが、12話構成という「原作の部分抜き取り」の中で#10の立ち位置が相対的に大きくなり過ぎてしまったのでは、と思います。
{/netabare}

#10の功罪、どちらも大きいと思いました。

[2020/06/23 v1:背番号10の功罪]

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

何気に真面目に野球してる(笑)

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
ジャンルは、スポーツ(女子野球)・やや百合。

わりとスポ根というか、ちゃんと野球してるな~と。作画は大分怪しいとこもあったけど、なかなか普通に面白かったです。

もし途中で飽きたとしても、最終話までちゃんと観ることをオススメしますね♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
序盤は、仲間を集めて野球部を創部する、かなり王道の展開。

中盤は、一人一人の成長にスポットを当てながら、チームの成熟を魅せていく。サブキャラにもきちんと光を当てたのは偉い(そして影森戦で目立った稜、息吹、白菊などが、梁幽館戦では完全に消えているのはバランスが良い)。

終盤の梁幽館戦は、試合を、競技をしっかりと魅せていた。

全体的な構成は非常に王道。野球アニメの中でも、こんなに1つ1つのアウト(ストライク)をちゃんと見せるのはそんなに多くなく、「おおきく振りかぶって」に近い要素が多い。

特に梁幽館戦の希のホームランは熱くて、きちんと伏線が効いていて良かった。思わず単話での☆5をつけてしまった(ちょっと高い評価つけすぎたw)。

ただ、本作は、「果たして女子野球である意味があるのか?」と思ってしまう。

男子の野球と女子の野球の最大の違いは「飛距離(パワー)」だろう。調べてみると、イニングが7回になるだけで、後は男子と同じ球場を使うようだから、ランニングホームランならまだしも、柵越えは多分無理。ピッチャーの球速にしても、女子プロですら、日本人最速は128㎞らしい。

例えば女子サッカーの場合、男子と比べて圧倒的に少ないのが、大きなサイドチェンジ。そこまで飛距離蹴れないからね。あと、意外とロングシュートが多い。キーパーがちっちゃいから、山なりシュートでも結構決まる。

ようは、そういうを「リアル」をしっかり表現するのか、それともその競技の面白さを最大限に描くのか。

本作は後者、つまり、「女子野球アニメ」ではなく、「野球アニメ」を女子にやらせてるだけ、となるわけです。

そこが、マイナスと言えばマイナス。せっかくリアルが売りの作風にしているのだから、女子野球をきちんと取材し、女子野球ならではの戦術や駆け引きを魅せてくれた方が、他の作品との差別化もできて良かったと思う。

もっとも本作は、「女子野球が一般的(メジャー)になった世界」を舞台にしているため、実はファンタジーとも言える。

気になって(全国高等学校女子硬式野球連盟サイト)調べたところ、現実の女子硬式野球部(加盟高校)は、わずかに31校。アニメ内では、埼玉県だけでも、それ以上の高校があったようだった。

そういう点では、「ガールズ&パンツァー」や「咲」に近い設定のアニメともいえるので、「柵越えできる女子」も「ファンタジーの住人」として許容できるねかな?

あと、「初心者なのに上手すぎ」は、もはやお約束なので、言わないこと(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
女子野球。なんか、この間もあったな。1話目から、動かないな~(笑) 初心者系ではなく、経験者系なのは、なかなか好印象。それぞれにツラい時間を過ごし、再会。分かり合える仲間と共に、再び野球を始める。実に王道だな。作画は怪しいけどね。

2話目 ☆3
つか、双子が上手いな、初心者?なのに。綺麗にセンターラインが揃ったな。クラブチームで、というわりと真っ当な感じ。どっちが勝っても野球部入部。あと3人か。この顧問、絶対に裏があるよな(笑)

3話目 ☆3
後ろティーで流し打ちとか、レベル高い練習してるな。ここで「野球上手い」の伏線回収。それは、剣道続けようぜ(笑)

4話目 ☆3
全国で会おう。めっちゃ目が怖い(笑) 剣道部は、やたらバッティング飛ぶよ。引っ張るしかできないけど。全中1位かい。百合特有の、嫉妬?

5話目 ☆3
試合も王道。カットはムズいよ。振り逃げ、ファーストの内側走るなや。

6話目 ☆3
ノクバ使わんのね。控えピッチャー大事。チーム内の練習で毎回エースに投げさせると、壊れるし。女子野球の県ベスト4は、凄いのか? 魔球、デスサイズ(笑) 作画、大分苦しくなってきたな。コマ数が足りない。

7話目 ☆3
なんとなく気になったので、女子硬式野球連盟のホームページ見たら、31校しか加盟してなかったな。アニメだからいいけど、埼玉だけでやたら学校あるな。そりゃ、試合中誰か怪我した時のために、10人目は登録するよな。過去の振り返りは、なかなか良い。

8話目 ☆3
個人的には、剣道は間合いの競技というより、機会(タイミング)の競技だと思ってるけど。白菊がやってたのも、間合いというよりタイミングだし。1話でこんなにちゃんとアウトをとる野球アニメも珍しい(笑)

9話目 ☆


10話目 ☆


11話目 ☆3
満塁からの敬遠。なかなかちゃんと野球していていいね。

12話目 ☆5
ここでのスリーランは、熱いな~。伏線も効いてるし。色んな立場での勝負があって、かなり面白かったな。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

【失敗作の典型例-1】(作画崩壊w)制作ガチャの悲運!→「引き」が良ければ超名作にも成り得た逸材

【レビューNo.28】(初回登録:2023/2/8)
コミック原作の2020年作品。全12話。
もともとの動機は、純粋にスポーツもののレビューもひとつ入れたかったから。
【失敗作の典型例】は今期の某アニメをその方向で下書きしてたのですが、制作ガチャでここまで
評価を下げた作品を今後扱う機会もなさそうなので、栄えある1号にしておこうかと。
(本作を失敗作認定するのは個人的には気が引けるのですが・・・)

(ストーリー)
武田詠深(詠)は鋭い変化球を持つ優れた女子中学生投手だったが、捕手に恵まれずその才能を発揮
できずにいた。高校に進学した詠は、幼き日の野球仲間だった山崎珠姫(珠)と出会う。彼女は強豪
チームで捕手として実力を磨いていた。
「超高校級の変化球投手」と「それを捕球できる実力派捕手」・・・2人の時間が再び動き出す!!

(評 価)
・制作ガチャの悲運!→作画崩壊はネタレベルw
 この作品の問題は本当ここだけなんですよ!「いもいも」「DYNAMIC CHORD」「おさまけ」等と
 同列に語られるほど、ネット民のおもちゃにされている作品のひとつですね。正直脳死じゃない
 と結構話の興を削がれるレベル。だからまともな作画でアニメとして魅力ある演出のできる制作
 会社を引いていたら・・・本当に惜しまれます。

・きららとは思えない!本格派野球作品
 これってきらら作品だったんですね、知らなかったw確認してみたらたしかに珠詠コンビはイチ
 ャイチャしてる感はあるのですが、内容はかなりガチの野球モノですね。{netabare}主役2人は実は高校で
 野球を続けるつもりはなかったのですがその物語だったり、この高校も実は不祥事で活動中止で
 部員がどんどん部を去っていく中、2人の先輩が陰で部を守ってくれていて、そこから部員が集
 まってきてというドラマ性もしっかりしてますし、もちろん真面目に練習もします!しかも練習
 試合は勝ち負けよりも課題の克服優先とかどんだけガチやねんw
 他にも「ここぞ!という場面以外はフォームが崩れるからホームラン狙わない」強打者・中村希
 (博多弁がかわいいw)や珠の試合中の配球など、本当に本格的に野球してるんですよ。
 「男子野球」に比べスピード・パワーといった描写は格段に劣りますが、「女子野球をどう面白
 く魅せるか」原作はかなり考えられてるなという印象を受けます。また1クールという尺の都合
 もありますが、男子野球にありがちな「過剰な引き伸ばし演出」がないのが好印象ですね。{/netabare}

・「川口芳乃」とかという超有能な野球オタw
 この作品を格段に面白くしているのが彼女の存在。
 {netabare}・体を触るだけでどれだけ練習してきたかや選手の特徴を把握できる。
 ・県内の有力選手は全てチェック済み。(珠や先輩のことも知っていた)
 ・もちろん野球に対する造詣も深く、練習メニュー立案や技術・メンタル面のアドバイス、試合
  では作戦等の采配を振るい、ちゃんとノックも上手い。それにオタの真骨頂・データ分析も。
 ・トドメに栄養管理から手際よく雑務まで担当
 ってどんだけ有能やねん!って感じで、彼女を見ているだけでも全然飽きません。
 だって「場面ごとに守備のシフト変更」サイン出すとかwこの娘どんだけ野球好きやねん!!
 上述「本格派野球作品」は彼女の存在によるところ非常に大きいです。{/netabare}

ただ「スポーツアニメはこうあるべき」という固定観念の強い方から見ると、迫力や熱量といったも
のが足りてないという評価になるかも。でもそういうのって絶対「男子野球」に敵わないと思うんで
すよ。だから同じ土俵では戦わず「女子」を活かしたうえで、別角度から野球の魅力を伝えていく。
「何故野球を『女子野球』で描くのか?」
個人的には、この命題にひとつの答えを提示した良作かなっと。
それだけに作画だけでなく、演出面でもこの作品の魅力をもっと引き出しようがあったのでは・・・
「制作ガチャ」が!!!!!!! 本当に勿体ないです。
それ以外はよくできた作品なので、作画耐性がある方には是非観てもらいたい作品ですね。

(追 記)
作画がアレで1クールで終った(多分2期はないでしょう)なので、原作を買うか迷ってる作品です。
正直「娘に引かれるかも?!」ってとこで躊躇してるんですが(笑)
制作ガチャのせいで原作の興味を引いたのなら、ある意味アニメ化は成功といえるのか(皮肉w)
「制作会社を変えて1から作り直して欲しい」こういう作品は誰もが1、2つ持っているのでは。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
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