女子高生で百合なアニメ映画ランキング 3

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月28日の時点で一番の女子高生で百合なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

74.9 1 女子高生で百合なアニメランキング1位
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(アニメ映画)

2024年3月22日
★★★★☆ 4.0 (24)
78人が棚に入れました
東京で女子高生ライフを送る小山門出と中川凰蘭。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日から、突如現れた巨大な宇宙船「母艦」が浮かんでいた。異様な光景は日常に溶け込み、当たり前となっていたが、ある夜、東京で悲劇が起こる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

クソやばい地球人の青春に遭遇した宇宙人には同情を禁じ得ません

3年前“8.31の悲劇”以来、宇宙からの“侵略者”の巨大<母艦>に覆われる東京。
その下でハイテンション女子高生ライフを送る主人公少女らの日常と、
<母艦>という非日常が混ざり合う中で、やがで開示されていく真相と共に、日常と世界の破滅が示唆される同名コミック(未読)の劇場アニメ化作品の前半部。


【物語 4.5点】
作風は青春の一頁が世界の一大事とシンクロするセカイ系の再生産。
2014~2022年連載作ということで東日本大震災後、コロナ禍の世相も取り込んだ人間&世界模様が描かれる。


大抵のセカイ系でイタいのは主に思春期主人公の周辺になりますが、
本作の場合は災害、事故での犠牲者ニュースをも、スマホゲーのイベントと並行してコンテンツとして高速消費して、飽きたらもうオワコンだと使い捨てていく情報過多社会の病理。
マスコミを不信する余り、ネット上の陰謀論界隈に沼る母親。
個体ごとの正義を絶対化し、SNS上でマウントを取り合うまででも十分イタいのに、武器を持って傷つけ合うまでエスカレートする人類の異様。
など、東京及び日本、地球全体がイタくて終わってる感が、痛いトコロをマシンガンのように撃ち抜く台詞回しによって醸し出されています。

大体、宇宙からの“侵略者”として<母艦>に防衛利権の匂いをプンプンさせながら、大仰なレーザー兵器で攻撃を仕掛けているわけですが、
彼らの目的が侵略かどうかなどは真剣に議論されることはなく。
そもそも実は{netabare} “侵略者”が直接手を下した犠牲者はゼロなのでは?とすら思います。
8.31の被害は<母艦>を<A爆弾>により攻撃した米軍によるものですし、
作中での犠牲者も小型&中型船への“防衛行動”の巻き添えを食ったものなのではないでしょうか。{/netabare}
リスクをあると決め付けた人間社会のおぞましさ、滑稽さの炙り出しも上々です。


人間視点のSFとして挑むと、全体に日常がとっ散らかった感、
後半、主人公少女2人の青春が事の発端と結びついた回想という、世界がひっくり返るシナリオ転換などに振り回される危険性もあります。

が、私の場合は冒頭から、これは地球人を観察する宇宙人の視座で俯瞰した方が折り合えると割り切って観たので何とか付いて行けました。

特に産業革命以後、200年程度という宇宙から見れば瞬きする間に、
文明を急発達させ、爆発的に増殖し、地球を壊す勢いで戦争や大量虐殺(ジェノサイド)を繰り返して来た人類。
この原爆を持ってしまった猿の如きキモい地球人。
果たして心の成熟は伴っているのだろうか?
ちょっと“イソベやん”の“内緒道具”を渡して裁定してみよう。

前章終わった段階で世界は一層波乱含みですが、
後章に向けて、命綱となるテーマは提示されていると思うので、
手応えを感じながら後半戦に挑みたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ Production +h(プラスエイチ)

個人的に、初代『ガンダム』、今敏監督の方の『パーフェクトブルー』など、
人間の顔ってちゃんと観察すると美形一辺倒ではなく、
時に昆虫の如く気持ち悪くもある。
そこを再現できている人物デザインに対しては点数を盛る傾向にありますが、本作も同様。
私は特に、おむすび顔に円な瞳のメガネ娘・出元亜衣のデザインが好きです。

<母艦>周辺に揺らめくレタリング?が、
ゴシック体で打ち出される作中テロップの生成、解体過程でも垣間見えるのも意味深。

観察者視点に一歩引かせる地球人デザインと、テロップのレタリングが、
私を冒頭から宇宙人視点に誘導した主因。


細部の背景美術にも社会風刺などを含んだ表現が散りばめられ情報量は多め。
私の脳裏に焼き付いているのは、8.31以降は数える程しか出ていない“侵略者”への防衛行動での民間犠牲者。
それをトップニュースで大騒ぎする傍らで映し出される交番の看板。
<母艦>関連を遥かに凌ぐ数の交通事故死傷者数。
この辺りも騒ぐと決めたニュースばかり取り上げるメディアと、
反発して陰謀論に囚われるネット民という両極端を想起させられジワジワ来ます。


総じて巨大<母艦>の大技だけではない、地球人のイタい所を表現する小技も効いた刺激的な作画です。


【キャラ 4.5点】
主人公の眼鏡っ子・小山門出(かどで)
ロングツインテールの中川凰蘭(おうらん)こと“おんたん”
メイン2人に、恋愛リア充を目指す栗原キホ、出元亜衣、
無口な長身黒髪ロング・平間凛。
JK5人グループが頭のネジが外れた掛け合いを繰り広げて、
<母艦>の非日常に対峙する日常世界を構築。

例えば門出は担任教師の渡良瀬を慕っていますが、
この教師と生徒2人の会話も、ちゃんとした型に収まり切らない人間と青春を示唆していて不謹慎で面白い。

あとは、おんたんのイケメンメタボな兄で“ネット監視員”(ニート)のひろしが挑む、
SNS空間に広がる“情弱”どもの“総意”とか。

全体に、情報社会に監視されることを前提として、
火を点けられないように社会が強いた役割を仕方なく演じてやってる倦怠感が滲み出ており、
これもまた地球人のオワッてる感を濃厚にします。


【声優 4.0点】
主演・小山門出役にはYOASOBIのボーカルとしても活躍する幾田 りらさん。
相方の中川凰蘭役には、あのさん。
メイン2人にアーティストをオーディション選出して周りをアニメ声優で固める布陣。

“ナチュラル”なボイス素材を求めてのアーティストの主演起用。
確かにおふた方とも、地声が高音スウィートなアニメ声で天然素材としては上質。
ですが、私はやはり自然体を求めるにしても、演技力を磨き上げた声優にナチュラルな演技をさせるのがベストと考えるので、この点数が上限。

ただアーティスト2人でと決めた以上は、
下手に声優の枠にはめずに、2人の表現者としての感性に任せるという判断は、素材を活かす上ではベターな選択。
掛け合いシーンでは同じ歌手ならではの波長が合い、
仲良く喧嘩する良いリズムが生まれていたそうで。
声優陣も交えたJK5人組のバカ騒ぎの空気感もスムーズに出ており心地良かったです。

原作者いわく、アフレコ時は、主演おふた方とも作品世界に入るための準備はしてくれていたとあって、
宣伝目的で起用した俳優・タレントを“お客様”扱いする劇場アニメ作品よりは良好な仕上がりだったと感じました。


EDクレジットの最後には、
門出が愛読する作中漫画でシナリオにも深く関わる黒い『ドラえもん』?wこと「イソベやん」にて、
イソベやんに“内緒道具”をせびる自堕落女子・デベ子を演じたTARAKOさんへの追悼コメントが表記。
『ちびまる子ちゃん』のさくらももこ役など、だらけた演技も天下一品の楽しいお方でした。
ご冥福をお祈り致します。


【音楽 4.5点】
情報過多な東京の日常社会に溢れる生活音、
そこを切り裂く<母艦>絡みの非日常の異音、放たれるレーザー兵器の発射音など、
立体的に表現された音響は、本作劇場鑑賞の一番の意義と言っても過言じゃありません。

主題歌は主演アーティストのお二人が担当。

前章はano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」
作編曲を凛として時雨のTKが担当。

曲調はテンション高めの無邪気な作風ですが、
歌詞世界は“地球オワタ”“地球が壊れたよ”などとシッカリ病んでいるので油断は禁物ですw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 17

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

意外と新しい感覚? かな!

先ほど観終わりました。
原作は未読です。
先ずは、前半部分まで。

面白かったです。ワクワク。
少しも飽きませんでした。
必ず、後半も観ます。

あ、EDの後も観てくださいね。





あんまり面白いので、原作コミックに手を出しています。
なるほど、この絵を動かしたのか。
あ、アングルが少し違ってる。
間の取り方の計算が絶妙。
そんな発見がいくつもありました。

でも後半部分の購入は手控えます。
私的には、やはり映像から入りたい気持ちです。
ぜひ、前章(本作)をご覧になってみてください。
そして後章をご一緒に楽しみませんか?

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

衝撃作です。青春と正義と災害を描いた壮大な日常系本格SF。

 インデペンデンスデイ、ニーアアンダー7、ヒドゥン、デスノート、マイケルサンデル、ゴジラ、時をかける少女、311、機動戦艦ナデシコ、タコピーの原罪、ドラえもん…の要素が入った日常系です。
 他にもあるでしょうが、要するに要素が多いです。それぞれの視点で分解する難易度は高くないです。

 いや、すごかったですね。上映時間120分らしいですが、体感時間は80分くらいかな。情報量は180分くらいのが圧縮されている感じです。ジェットコースターの様でいてのんびり女子だけ(ではないですが)青春ものでもあります。

 浅野いにお氏の作品は「うみべの女の子」が好きで何度も読んでいますが、それ以外はどうも性が合わず本作も1話を試し読みかにかをして切っていたと思います。ただ、本作を見てやはりマインドは一緒かな…と。読んでみたくなりました。結末は違うと公言されているみたいですし。

 大人になる意味、現実社会に生きる思春期の精神の中身といえばいいのでしょうか。進路、恋愛、性、親、天才と凡人、いじめ、正義、友人…そういうものが襲い掛かってくる小学校から高校時代の生きづらさをSF的表現で見せたような感じです。

 災害のオマージュとして、日常と非日常のシームレス感あるいは断絶感が同時に存在するような作品ではありますが、一方でこの思春期に襲ってくる精神的なクライシスのオマージュとも見えます。

 テーマは結末を見ないと何とも言えませんが、ストーリーとしての結末は分かりませんけど、思春期の落としどころになるのかなあ、という気はします。

 特筆すべきは映像がすごい…というと語弊がありますかね。2次元アニメ的なアニメ表現ですが明らかに3DCGですよね。見やすいのなんの。エフェクトだよりでなく、戦闘シーン頼りでもないです。それでいて構図はいいんです。

 脚本も詰め込んだなかに映像表現で上手く補完しているので、結構頭を使わなくても話の筋は素直に読めます。伏線とか考察とかそういうのを無理にする必要がない分かりやすさです。考察系とエンタメ系の要素のいいところが上手く組み合わさっています。演出も面白さと迫力と緊迫感と上手く表現できていたと思います。

 むしろ頭を使うのは別のところですね。頭がクラクラします。SFと書きましたけど表題がデーモンなので…まあ、それは後半ですね。

 稀にみる名作になる可能性を秘めています。後半次第ですけど。私は絶対に行きます。
 で、映画で一儲けした後でいいので、120分×2で240分です。つまり20分×12で1クール行けますよね?広く世間に公開してはどうでしょう?

 私平日に見ましたが、サービスデイなのに2人しかいませんでした。この作品が埋もれるのはもったいないです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 9

69.0 2 女子高生で百合なアニメランキング2位
フラグタイム(アニメ映画)

2019年11月22日
★★★★☆ 3.6 (101)
372人が棚に入れました
誰とも関わりたくない、関われない。人付き合いが苦手な森谷美鈴は、3分間だけ時間を止められる高校生。ある日彼女は、時間が停止している間に、クラスいちの美少女・村上遥のスカートの中を覗いてみたが、なぜか村上には時間停止の力が効かず、秘密がバレてしまう。お詫びとして森谷は、村上の願いを何でも聞くと約束するが…

声優・キャラクター
伊藤美来、宮本侑芽、安済知佳、島袋美由利、拝師みほ、梅原裕一郎、田所あずさ、高橋未奈美、佐倉綾音
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

上辺だけの人間関係に疲れたあなたへ→ここに尊くて深イイ百合の沼がありますぞ♪

原作コミックは未読。


3分間だけ時間を止める能力を獲得してしまったJKが、
クラスいちの美少女のスカートの中を覗こうと企てるも、
彼女だけには時間停止が通じず、バレてしまい、
二人だけのヒミツの時間が始まって……。


などと言うトンデモない百合設定の外面に惑わされず、
是非、普遍的なテーマを扱った良作青春アニメとして観て欲しい!
と言う百合の沼に浸かった賢者たちの猛プッシュに気圧されて、
期間限定劇場鑑賞の沼に引きずり込まれた私。
因みに周り、見事に成人男性しかいなかったですw


上辺だけの人間関係に辟易している優等生少女の心の闇に、
他人とのコミュニケーションに立ち向かえない、はぐれ者の少女が踏み込んでいく……。
確かに、多くの人が抱える心の問題に切り込んでいくテーマは王道でした。

百合という事で微エロシーンもある本作。
勿論サービスシーンとしての性格も帯びるのでしょうが、
それ以上に人間関係とか青春の諸問題の鬱屈からの
解放感をより強く帯びている印象。

{netabare}作中、村上さんは時間停止を良いことに下着ストリップをかまして来ますが、
観ていてふと映画『台風クラブ』(1985 日)の中学生下着ダンスの解放感何かを思い出しました。
(一方でやはりムラムラもしましたがw){/netabare}

森谷さんの時間停止能力も人間関係からの逃避に由来する物と思われ、
村上さんとのヒミツの3分間にはスクールカーストの歪み故の病理が凝縮されていると感じます。


じゃあ別に百合アニメじゃなくても良いのか?
というと決してそんな感じでもなく、
学校での同性カップルという秘め事が醸す禁断ムードを上手く濫用することで、
並の物語じゃ取り払い切れない、上辺や互いの心の扉を剥ぎ取って、
心の深淵まで踏み込んで、人間関係の本質について語っていたと私は感じます。

だからこそ、何度も問われて来たテーマでも、掘り下げ深度が半端なかったですし、
鑑賞後は、俺も明日から、この映画を糧に人の輪を取り持つ苦行に立ち向かおう
と勇気を貰える程のパワーが宿ったのだと思います。

これが例えば男女間恋愛で、同性の親友止まりのプロットで、
果たして、本作のように、ここまで心を丸裸にして、
赤裸々に本音をぶちまけることができたのかな?
と考えると、百合が人間関係に迫ったことで打ち出されたムードに
捨て難い魅力を感じてしまいます。


よって、私は本作を堂々と百合アニメ映画の良作としてオススメしたいです。
勿論、鑑賞者がほぼ百合を愛好する男性のみで終わるのは本当に勿体ない作品だと思います。
ただ、百合映画鑑賞くらいの禁忌を犯す位じゃないと、
世間体やしがらみを気にせずに、心の奥底まで分け入って、
本当の自分を曝け出すことなどできやしないと天邪鬼な私は思うのですw


いずれにせよ、期間限定上映も間もなく終了すると思われる本作。
特に人間関係に悩む方には是非、設定への抵抗感等も乗り越えて
より大勢の方が勇気付けられて欲しいと願います。
人と関わって社会で病んでいる人はきっと、本作のヒロイン二人がEDでカバーした
ELTの「fragile」を聴いた人よりは、ずっと多いと思いますから……。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 23

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

この六花凄いよぉ!、流石は「シュタゲ」や「加瀬さん」の佐藤監督!。

り、六花や…。ビジュアルもCVもグリッドマンの六花。しかも、私の見たかった弱さもミステリアスさもある最高な六花や…。


「シュタゲ」で時間を、「加瀬さん」で百合を扱った佐藤監督が二つを合わせたような作品で更に先に逝ってしまわれた…。


影なし作画で彩られる百合の甘さ、ピュアさは「加瀬さん」由来。しかし、本作は甘いだけではない。


60分という短い時間を一つの問題に絞り純化することで、ブヨブヨとした無内容な大きい作品にない小気味良さを成功させている。


本作のテーマはシンプルで、現代すべての人に通じる問題、即ち人間関係における針ネズミのジレンマである。


傷つくのが嫌だから殻に籠る


でも、本当は誰かと繋がりたくて、自分を知って欲しくて傷つけない優しい「誰か」を待っている。


「誰か」からも愛されるように仮面を被ってみても、仮面を本気で愛する人も、切実に求めてくれる人もいない。


故に、本当は仮面ではなく、その下の自分の顔を愛して欲しい。しかし、仮面を被り過ぎた者には、もう自分の顔が見付けられず、そんな不可解な物を求めてくれる人が現れると信じられないのに待ち続ける…。


甘さと苦さが見事に調和し、ラストには救済の和音が響く。


もう待ち続けない!。


二人が痛みも弱さも共有できる関係、愛に辿り着いた時。


「わたし」と「あなた」の止まった時間ではなく、「わたしたち」の時間が動き出す。


単なる百合アニメを超えた傑作ここにあり。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 26

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

淡い百合映画を観に行ったつもりがガチの青春SF大作で我らアニヲタ同盟から絶賛の嵐です!!!

2013年から2014年にかけて秋田書店の女性向け漫画雑誌とWEB誌で連載された、さと先生の青春ガールズラブコミックを『あさがおと加瀬さん。』の佐藤卓哉監督率いるスタッフと元A-1Picturesから独立したティアスタジオが制作した59分の中篇映画


森谷美鈴はコミュニケーションが苦手な女学生
何故かは自分にも解らないが3分間だけ周囲の時間を止めて自由に動ける能力を有しており、バツの悪い事が起こるとすぐ時間を止めてしまう逃げ癖があった
ある日、時間を止めた世界でふとした気の迷いから優等生で人気者として有名な村上遙のスカートの中をこっそり覗いてしまう
しかし止まっているものだと思っていた村上は実は停止した時間の中でも動く事が出来た
森谷を「変態」とからかった村上は秘密を共有する仲となった森谷と彼女の時間停止能力に興味を示しだす…


『あさがお』のヒットで味を占めたぽにきゃんが同じ様に60分で出来る百合モノを模索していた中、何故か5年も前に完結したマイナーなマンガを原作に持ってきた
まず一番に驚いたのは何よりも原作者のさと先生本人でしょう
「何故?今アニメ化?」と
60分で纏めるにはちゃんとした起承転結のドラマが必要でしょうし、わざわざ劇場に足を運んで貰う為にもキャッチーな導入が欲しかったというのがプロデューサーの寺田さんの思惑
佐藤監督と『あさがお』スタッフで組む事が前提だったので、監督は初め難色を示しつつも、ご自身が得意とするSF路線でドラマチックに仕上げる方向で脚本をお書きになられ、それを勝手知ったる『あさがお』スタッフが丁寧に丹念に映像化したという印象です


今作には青春SFとしての主軸が存在します
具体的に申し上げますと“時間停止能力”と“停止時間の中で動ける能力 ”が彼女らに発現した理由が明白に描かれている事
そしてそれが思春期の少女特有の悩みや葛藤から発現に繋がるモノである事です
ここからは仮に停止時間を「フラグタイム」と呼称させて頂きますね


何が言いたいのかお判りいだだけますでしょうかw
つまりこの作品のフラグタイムって『青ブタ』の思春期症候群と同じと言って良いはずなんです


原作と同じニュアンスなのかは原作未読の為、よく分からないのですが、少なくともアニメではフラグタイムの中で動けるのが村上だけである理由と、物語後半で森谷のフラグタイム能力が薄れ消えゆく理由、がハッキリとしていますし、その原因が彼女達の内面にある事も描かれているのです


『あさがお』の様に百合を丁寧な【恋愛感情】として描いた作品もアリですが、今作は【思春期の少女達の繊細な感情と傷の舐め合い】を、百合というシチュエーションで描いているというワケです


だから『あさがお』の多幸感を求めて劇場に足を運んだ方は後半の鬱屈とした展開に期待を裏切られる事でしょう
逆に僕の周りのSFファンからは大絶賛されております


特に『あさがお』と同じレベルの映像美やrionosのしっとりとした劇伴に加え、森谷を演じた伊藤美来と、村上を演じた宮本侑芽の耳触りが良くて等身大の少女を感じる芝居が載った状態は素晴らしい


今作のシナリオ、別に百合じゃなくて普通に男女カップルやBLでも成立しますし、なんなら『初恋ロスタイム』ともシナリオが似ているので実写でやってのける事も普通に可能で、特に偏って描かれてはいない普遍的なテーマ性を感じます
ですが【あえてソレをアニメで百合にした】という所に美しさを感じます
そういった意味で『あさがお』と同等かソレ以上に上品な作品であると評したいと思います


佐藤監督とぽにきゃんは来年初夏には遂に志村貴子作品の劇場アニメ化に着手した様で、こちらにも俄然期待が湧きますね

投稿 : 2024/04/27
♥ : 7

56.3 3 女子高生で百合なアニメランキング3位
音楽少女(アニメミライ2015)(アニメ映画)

2015年3月22日
★★★★☆ 3.3 (55)
256人が棚に入れました
――その日、少女は音楽と出会った。謎のハイテンション転校生、千歳ハル。スーパーインドア派少女、熊谷絵里。その邂逅は二人の日常を変えてゆく。踏み出したその先に、少女たちが見い出したものとは……。絵里の歌が大好きなハル。歌う事が大好きだった絵里。2人の好きがいつか重なり、すれ違う。ひと夏の高校生活を2人なりの青春を燃やす事に費やした2人。青春のこんな素敵な1つの形「音楽少女」のグランドフィナーレ。

声優・キャラクター
沼倉愛美、瀬戸麻沙美

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

シャフト演出と若き才能達の共演!“超作画萌えアニメ”の爆誕!!これは本当に歴史的傑作!!!【普通の女子高生がネットアイドルしてみた】

アニメミライ2015の一作
アニメミライは新人アニメーター育成の為の国家プロジェクトです
詳しくは公式サイト他を是非ご参照ください


はぁw
なんていうかこれはやってくれましたね
良い意味で溜め息すら出ます


制作はスタジオディーン
監督はシャフト出身、『D.C.Ⅲ』や『桜Trick』の石倉賢一
キャラ原案は『天体のメゾット』や『ガールフレンド(仮)』のqp:flapper
そしてキャラクターデザインは僅か25歳というホンモノの天才、『ゆゆ式』や『ばらかもん』のまじろ


謎の言動が多い転校生ハルに付きまとわれる大人しめなインドア派少女、絵里
実は絵里の歌声に惹かれたハル、彼女を歌わせようと必死に誘うのですが極度のあがり症の絵里は頑なに断り続ける
しかし絵里の正体はネットで話題をさらった歌ってみた動画の投稿者だった
ハルは絵里とユニットを組んで二人でデビューする思い出を作りたいと願うのですが・・・


内容は石倉監督らしいコテッコテの青春コメディ、萌え萌え、キマシ系、美少女動物園
演出も監督らしい所謂シャフト演出で、パース無視の奥行き感の無いレイアウトの背景、首を傾ける仕草、ぬるぬるズーム、が一杯出てきます
大それた内容では無いというか、中身自体は【クソアニメ】として楽しめる方しかオススメは出来ません、残念ながら


ところがこれまでの石倉監督作品とは違って、【めちゃくちゃ作画イイんです!】
なぜならそう!まじろさんだから!
ああ、この30分が(作画的に)どれだけ凄いのかわからない人はちょっと可哀想;
そんぐらいオイラは感動しました!
だってほら!ずっと動いてる!
止め絵とかそーゆー省エネ、小細工、一切無しの芝居作画です!
アニメミライ2015はどの作品も大変素晴らしい作画だったのですが、作画だけに限ればこの作品がブッチギリです!
いやマジで!


音楽、というか歌唱シーンを題材にしているだけあって全体的な音響面もgood
本格的にキャラソンも作ったらしく、今後は商業展開させていくようです
だってメインキャストに沼倉愛美、瀬戸麻沙美ときといて、なぜかサブキャラに早見沙織がいるぅ~と思ったらやっぱりキャラソン出たかw


いや、ホント内容は萌え萌えなだけで山も谷も浅いようなクッダラナイお話なんですが(爆)
そこを許していただける方!
是非ともお時間許すときにご鑑賞を!
オイラは歴史的傑作だと思いますよ?




投稿 : 2024/04/27
♥ : 19

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

音楽ベースの友情物語。早見沙織さんが癒し系地味役でした。

アニメミライの宿命か。
30分だと短過ぎ。
ストーリーがダッシュなので、じっくり観たい作品です。

なんといっても、少女のキャラ配分が絶妙。
周囲無視、完全マイペース躁少女、ハル。
周囲気にし過ぎ、実は強気な鬱少女、絵里。
微エロ・微百合、漫才チックなコンビに拍手です。

ハルは超音痴、絵里は超あがり症。
でも二人で歌うと、あらあら不思議・・・。
ほんの少し笑って、ちょっとだけ感動しました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 27
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