宇宙戦艦でメカニックなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの宇宙戦艦でメカニックな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月04日の時点で一番の宇宙戦艦でメカニックなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

76.0 1 宇宙戦艦でメカニックなアニメランキング1位
機動戦艦ナデシコ(TVアニメ動画)

1996年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (786)
3766人が棚に入れました
22世紀末。突如として木星方面より現れた謎の兵器群木星蜥蜴(もくせいとかげ)は、圧倒的な戦闘力で火星、月の裏側を次々に制圧。今や、地球各地にもチューリップと呼ばれる母艦を多数降下させるに至っていた。2196年。そんな中、木星蜥蜴の支配下に置かれた火星に残された人々を救うべく、民間企業ネルガル重工は「スキャパレリプロジェクト」を計画し、その要となる実験戦艦 ND-001 ナデシコの艤装を終了させていた。クルーには「能力が一流なら性格は問わない」と言う方針の下、一癖も二癖もある人物ばかりが揃えられた。ナデシコ発進の日、火星生まれの青年テンカワ・アキトは、偶然再会した幼なじみミスマル・ユリカを追って出港直前のナデシコに乗り込む。アキトはコックとしてナデシコのクルーに採用されるが、IFS処理をしていたため、人型機動兵器「エステバリス」のパイロットとしても戦っていくことになる。

声優・キャラクター
うえだゆうじ、桑島法子、伊藤健太郎、高野直子、岡本麻弥、南央美、飛田展男、関智一、小杉十郎太、小野健一、真殿光昭、一城みゆ希、田中信夫
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

シナリオには余り期待せず、ヒロインズのキャラ・アニメとして楽むのが正解かも?

「ナデシコ」と聞けば「大和撫子(やまとなでしこ)」という言葉がすぐに思い浮かびますが、ここで同じく、「戦艦」と聞くと「ヤマト」という言葉がすぐに思い浮かぶので、この『機動戦艦ナデシコ』というタイトルは、有名アニメ『宇宙戦艦ヤマト』のオマージュもしくはパロディとして付けられたものなのかも知れませんね?(ちょっと気になる・・・)

本作は、あの『新世紀エヴァンゲリオン』より少し遅れて制作・放送され、その後、続編となる劇場版も公開された90年代後半の人気作の一角ですが、終盤のシナリオが意味不明すぎて・・・色々と細かい設定があるので、資料集を読み込んで考えながら何度も見ていくと面白くなるのかも知れませんが、そこまでする気が余り起こらない作品でした(※そこが設定をどんどん調べたくなる『エヴァ』との差か)。

一般的にはホシノ・ルリ(愛称ルリルリ)が本作のヒロインズの中で一番人気ですが、個人的には「アキトは私のことが好き、好き、好き、大好き!」と満面の笑顔で口ずさむ艦長ミスマル・ユリカ嬢(20歳)が、かなり好印象でした。
主人公(テンカワ・アキト)もトラウマ持ちではあるものの『エヴァ』の碇シンジ君よりは前向きな性格で悪くない印象。
・・・ということで、シナリオには余り期待せずに、主人公とヒロインたちのキャラ・アニメとして楽しむのが正解の作品と思いました。

あと、OP「YOU GET TO BURNING」はやはり名曲だと思いました。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1話視聴終了時点
コメディ調だけど展開が早くて掴みはOK
・第8話視聴終了時点
ボソンジャンプによって空間&時間が歪む現象がナデシコ・クルーにはっきりと自覚される回
・第9話視聴終了時点
強引な三角関係の進展はイマイチだけど、メイン・ヒロイン(ユリカ)のキャラが割と好感が持てて楽しめる感じで◎
・第14話視聴終了時点
1クール目の総集編と見せかけて、制作側の工夫が楽しめる注目回
・第16話視聴終了時点
木星蜥蜴の真実がようやく明かされる。
・第17話以降
シナリオが散漫で余りはっきりしない終わり方となってしまって残念。
但し、主人公とメイン・ヒロインの恋だけはそれなりの決着がついた点は◎
{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
監督           佐藤竜雄
助監督         桜井弘明(13話 - )
ストーリーエディター 會川昇
脚本           會川昇、荒川稔久、首藤剛志、あかほりさとる、川崎ヒロユキ、堺三保、佐藤竜雄
キャラクターデザイン 麻宮騎亜(原案)、後藤圭二
SF設定         堺三保
音楽           服部隆之
アニメーション制作  XEBEC{/netabare}


◆作品別評価

TVシリーズ  ☆ 3.5
劇場版    ☆ 3.9
---------------------------------
総合     ☆ 3.6


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============== 機動戦艦ナデシコ (1996年10月-1997年3月) ===========
{netabare}
第1話 『男らしく』でいこう! ★ 西暦2195年火星壊滅(木星蜥蜴来襲)、1年後(ネルガル重工のクルー選抜、機動戦艦ナデシコ発進)
第2話 『緑の地球』は任せとけ ★ 連合軍のナデシコ拿捕作戦、火星への出発
第3話 早すぎる『さよなら』! ★ 地球防衛圏突破作戦、ジュンの挑戦、ダイゴウジ・ガイまさかの・・・
第4話 水色宇宙に『ときめき』 ★ 隕石コロニーからのパイロット3人娘、通信士メグミ&アキト進展
第5話 ルリちゃん『航海日誌』 ☆ 艦内放送「なぜなにナデシコ」、艦長の任務と心構え、火星空域突入
第6話 『運命の選択』みたいな ★ 火星基地到着、アキトの故郷、イネスとの出遭い、艦長の辛い決断
第7話 いつかお前が『歌う詩』 ★ 火星北極冠へ、護衛艦クロッカス自爆・フクベ提督自決?、ネルガル本社の思惑
第8話 温めの『冷たい方程式』 ★ 月周辺宙域へ、ナデシコ2番艦コスモス、新クルー(ナガレ、エリナ、ムネタケ新提督)、3人(明人・ユリカ・メグミ)の遭難の危機
第9話 奇跡の作戦『キスか?』 ★ 某国親善大使救出任務、3人のヴァーチャル・デート
第10話 『女らしく』がアブナイ ☆ 南の島の休日(迷惑な令嬢アクア・クリムゾン) ※リューコも加わって明人ハーレム化で笑
第11話 気がつけば『お約束』? ☆ クルスク木星蜥蜴拠点攻撃任務
第12話 あの『忘れえぬ日々』 ☆ ナデシコ中枢コンピューター「オモイカネ」の不具合&記憶修正 ※初のルリ注目回
第13話 『真実』は一つじゃない ★ X'mas、ヨコスカベイ入港、アキト退鑑命令、生体ボソンジャンプ実験、ゲキガンガー出現?、アキト時空転移(2週間前の月へ) ※脚本の分かりづらさは×
第14話 『熱血アニメ』でいこう ★ ※前半は総集編だが、途中から劇中劇(スーパーロボットアニメ「ゲキガンガー」)の世界とクロスオーバーする面白回
第15話 遠い星からきた『彼氏』 ★ 艦内侵入者(白鳥九十九)、月のアキト、木星連合の戦士、白鳥・メグミ・ミナト脱走、ナデシコ月へ
第16話 『僕達の戦争』が始まる ★ 100年前の秘密(木星蜥蜴の真実)、ナデシコYユニット搭載、アキトvs.白鳥
第17話 それは『遅すぎた再会』 ☆ ウリバタケの新機開発、ムネタケ提督暴走・自爆(第3話のエピソード回収) ※作画乱れの酷さは×
第18話 水の音は『私』の音 ☆ 天才オペレーター(ホシノ・ルリ)の過去、ルリの居場所
第19話 明日の『艦長』は君だ! ☆ 艦内アイドルコンテスト、エースパイロット(スバル・リョーコ)の夢(自分の一番星を見つけること)
第20話 深く静かに『戦闘』せよ ☆ 生体ボゾン・ジャンプ実験進展、和平か継戦か
第21話 いつか走った『草原』 × ポゾン砲実験成功、クルーの記憶混交 ※脚本が破綻している
第22話 『来訪者』を守り抜け? ★ 木連からの来訪者(白鳥ユキナ)の処遇、ネルガル会長の正体、天河夫妻死亡事件の真相 ※脚本の分かりづらさは×
第23話 『故郷』と呼べる場所 ☆ ナデシコ・クルー解散、ナデシコ奪還
第24話 どこにでもある『正義』 ★ 白鳥九十九来訪、明人&ユリカ進展、和平交渉決裂、白鳥九十九死亡
第25話 『私らしく』自分らしく × 機動戦艦カキツバタ&ナデシコ共同作戦の齟齬、火星遺跡を巡る戦い、ボゾンジャンプの説明
第26話 『いつか逢う貴女のために』 × イネスの過去(アイちゃんとの再会)、明人&ユリカの結末 ※脚本が残念、ED「いつか…信じて」{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)14、☆(並回)9、×(疑問回)3 ※個人評価 ☆ 3.5

OP 「YOU GET TO BURNING」
ED 「私らしく」

※西暦2201年(TVシリーズ完結から3年後)の物語


======== 機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness- (1998年8月) ======

全1話 ☆ 3.9 {netabare}火星の叛乱、ナデシコ新クルー結集、ユリカ救出{/netabare} ※1時間20分

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

SFロボットアニメながらコメディ色を強く感じさせる…そして時々胸がキュンキュンする作品でした^^

この作品についてタイトルを知っているくらいの知識しかありませんでしたが、先日友人がソースを貸してくれたので視聴しました。
この作品が制作されたのが1996年…今から20年も前になります。
そのため作画に関しては現在における技術の進歩を感じましたが、内容については今でも十分面白さを感じる作品だったと思います。
それにキャラデザ…特にヒロイン達の可愛らしさは、今でも十分通用するレベルだと思います。

物語は「木星蜥蜴」と呼ばれる未知の敵と宇宙で戦っている真っ最中…しかし、戦局は芳しくなく敵の圧倒的戦力で火星と月が制圧されており、地球にも攻撃が仕掛けられ始めた…という状況です。

そんな中、火星に取り残された人々を救うべく民間企業であるネルガル重工が立ち上がり、「機動戦艦ナデシコ」を火星に向かわせることになるのです。
軍に属さなない民間企業の戦艦…ナデシコを発艦させる日に主人公である火星生まれのテンカワ・アキトは、ナデシコの艦長である幼馴染のミスマル・ユリカに出会い、テンカワ・アキトもナデシコのクルーの一員となって…物語が動いていきます。

完走後に振り返ってみると…幾つかのテーマに分類できる作品だった様に思います。

SFロボットアニメの部分は「正義とは何ぞや?」を描いていたと思います。
それは敵との攻防におけるセリフであったり、作品の中で何度も登場した熱血巨大ロボットアニメ「ゲキ・ガンガー3」の内容だったり、それに感化された登場人物の一挙手一投足そのもの…

でもこの作品のテーマってこれだけじゃないんですよね…
遺伝子操作によって生まれた11歳のホシノ・ルリ…表情を出すことが殆ど無く無口な少女…
そしてナデシコのメインコンピューターである「オモイカネ」の操作に長けている…
そんな電脳美少女が他のクルーの影響で少しずつ変化していく姿に彼女の成長が感じられる…

そして、何気に女性クルーから人気のある主人公のアキト…最初は幼馴染だけでしたが、少しずつ…だけど着実に包囲網が広がっていくのを目の当たりにする事になります。
今ではお約束ですけれど、鈍感な主人公には羨ましさを感じてしまう訳ですが…
それも愛の形の一つだと思いますが、本作で描かれている愛の形はそれだけではありません。
コメディ路線で進んでいたかと思えば、まさかの急転直下の展開…この世には戦争より正義より大切なモノがあるから人は必死になれる…そんな悲痛の叫びを目の当たりにした時には、私も痛みを感じずにはいられませんでした。

ナデシコに搭載されているメインコンピューターの「オモイカネ」の立ち位置も重要でした。
普段の「オモイカネ」は茶目っ気たっぷりで、とてもコンピューターとは思えない反応を示してくれます。
何より、ナデシコの歴史そのものである自分を必死に守ろうとする様には感動すら覚えました。
だってナデシコの歴史は、乗組員みんなで紡いできた時間と記憶なのですから…

色んな設定のごった煮…だけどそれぞれのバランスが絶妙な作品…といえると思います。
登場するキャラが魅力的だったのも作品の面白さに拍車を掛けています。
私は推しのキャラを見つけて作品を視聴する事が多いのですが、この作品に限ってはイチオシのキャラを絞り込む事ができませんでした。
なぜならどのキャラもここぞという時に放つパワーが半端無かったから…

メインヒロインであるミスマル・ユリカは、CVが桑島法子さんである事も相まって言うに及ばず…
頬を赤らめるホシノ・ルリを見た時には、心を一気に持っていかれた気がしました。
大人の魅力溢れる美人さん…苦しみからも見事立ち直ったハルカ・ミナト…
積極的な性格の人が多い中、奥手で不器用な性格が可愛らしかったエステバリス隊隊長のスバル・リョーコ…

でも一目で心を鷲掴みにされたのはオープニングアニメの一コマ…
荒廃する前の花咲き乱れる火星の草原に二人の子供が座っています…
一人はテンカワ・アキト…バツの悪そうに正座している姿が特徴的です。
その彼の隣でもたれかかりながらチョコンと座っているのがミスマル・ユリカ…
花で編んだネックレスと冠に身を付けた彼女は目を瞑って静かな笑顔を浮かべています。
その表情…女の子は男の子に全幅の信頼を置いているのが手に取るように分かるその笑顔が堪らなく可愛いんです。
ホンの一瞬しか映らなかったのが唯一残念だと思った点でした。

オープニングは、松澤由実さんの「YOU GET TO BURNING」
エンディングは、桑島法子さんの「私らしく」

2クール全26話の作品なのですが、気が付いたら完走していた…そんな感じで一気見してしまいました。
2016年10月1日にBlu-ray BOXのアンコールプレスが決定したとの事です。

「2010年発売、期間限定版のために現在プレスが終了しているBlu-ray BOXを、ファンの皆様からの熱烈な要望を受けて、放送20周年のメモリアルイヤーにあたる今年2016年秋に、仕様等一切変えずにアンコールプレスすることが決定致しました!
発売日は第1話が放送された記念日10月1日!
これが最後のチャンスとなりますので、是非お見逃し無く!!」

…だそうです。
TV放送から20年…仕様を一切変えずにアンコールプレスされる…それだけ根強いファンに愛され続けている作品、という事なんですよね。
でもこの様な事態が発生するのも理解できるほど面白い作品だったと思います。

引き続き、劇場版を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

大和をかける撫でし子のように

花の名であります撫子は女子供を例えた「撫でし子」から来ていて、時には清楚な日本女性を「大和撫子」と
表したりと様々な意味合いを持つものでございます。和歌や雅語を昔は「大和言葉」と呼んだとか。
文脈や人の立場や感情にも左右される日本語の妙。つまり「込められた意味」は読み取るのが楽しいもんで。
――――――――――――――――――――――――
「目の上のたん瘤(こぶ)」1.あって邪魔なもの 2.非常にうっとうしいという意味だそう。
「目上」の方に対して使うことが多いでしょうか。
――――――――――――――――――――――――

テラフォーミングやワープ航行があるSF世界で問いかけられるのは「大人や社会の嘘」と、反抗する若い世代。

内容を表面的に点で捉えると本作はパロディとギャグ多めのロボットアニメにしか見えませんが、
時代を切り開いた先人に対するアンチテーゼとして考えるとカチリとハマる気がします。
SFを構築したアニメ界に対する、初脚本であった「佐藤竜雄」他、若いスタッフ達と重なるものでありました。

放送されていた1990年代中盤は時代の移り変わりとともに各々の人気シリーズが変化を求められていた時代で、
ガンダムシリーズ「機動武闘伝Gガンダム」、マクロスシリーズ「マクロス7」勇者シリーズ「黄金勇者ゴルドラン」
たまたまですが、ナデシコと同じ年1996年で戦隊シリーズに「激走戦隊カーレンジャー」というのもありますね。

共通するのが「ギャグ路線とパロディ」でした。

シリーズ化された人気作が若年層を取り込む意識と変化をつけて往年のファンも呼びこむ工夫だった訳です。
近い年に「新世紀エヴァンゲリオン」や「マクロスプラス」などシリアス路線な屈指の名作もあるため、
すべてがそうでないにしろ、今でもシリーズの異色作と謳われるタイトルは1990年代半ばに集中していました。
前時代からの脱却を図りながらも名作を踏襲しオマージュする形式はシリアスなタイトルにも共通点が有りますし、
歴代の名作アニメに憧れ業界入りした若いスタッフ達らしいカラーを出した結果、生まれた作品のように思います。

宇宙戦艦ヤマトと対になり(ヤマト・ナデシコ)女子供を乗せた異色の戦艦をナデシコ(撫でし子)と呼ぶような、
重なったいくつかの意味を持つ設定過多を全ては回収出来ず、スタッフさえも忘れた複雑な設定があり、
劇場版も良い出来だが小説版の補完ストーリーを見なければTV版から繋がらないという声もある。
あと何故モテるのかわからない主人公(一応、ヘビーな人生で背負った影と母性本能をくすぐられる事が理由)

賛否ありますが「自分に世界に酔える作品」とはまた違った明るさを持つ独特なシリアスさが魅力です。

若さや推進力をエネルギッシュに描く荒々しさと、
火星・木星・地球の社会構造と隠された謎。

作中でキーとなるスーパーロボットアニメ「ゲキガンガー3」は
作品内外で意味を持つ懐古的な作品で、前述したことを踏まえると作中の台詞が向かう先を納得できる気がします。

カッコつけてますが私らしく言えば、
人気キャラ、ホシノ・ルリの「あなたの一番になりたい」を何度もリピートした萌え豚(私)が当時ハマったアニメ。


90年代に輝くSFアニメの寵児、機動戦艦ナデシコ。大和を駆ける撫でし子は、今なおファンに愛され続けています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28

69.3 2 宇宙戦艦でメカニックなアニメランキング2位
宇宙戦艦ティラミス(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (215)
787人が棚に入れました
人類が生活領域と欲望を宇宙まで拡大した時代、
自由を求めた人々が宇宙へ流れ住むようになり、彼らの叡智は文明を育み、
いつしか地球を脅かす存在へと変貌していった。

宇宙暦0156年、地球連邦政府が祖母星グランマースから
史上4度目のコンタクト(4th note)を受けたその年、
【メトゥスの民】との抗争は本格化していた。
終わらない戦い、増え続ける犠牲……。

そんな戦況を打開する為、颯爽と一人の青年が戦場に降り立った。
彼の名は、スバル・イチノセ。
宇宙戦艦【ティラミス】の眉目秀麗・成績優秀な若き天才エースパイロットである。

全人類の希望は、彼に託された。

――だが彼の真の姿は、ティラミス艦内の集団生活に馴染めず、
いつも専用機デュランダルのコックピットにひきこもってばかりいる青年で……。


声優・キャラクター
石川界人、櫻井孝宏、諏訪部順一、江口拓也、大塚明夫、新井里美、中田譲治、桃井はるこ
ネタバレ

dbman さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

クソ笑った超絶ギャグアニメ

原作:漫画/放送期間:2018年4月-6月/全13話/制作:GONZO

キービジュアルやタイトルからしてロボ系かと思い込んで敬遠していたけれど、ちょっと調べたらショートアニメ&ギャグ作品ということで視聴したところ、ロボ系苦手とかそんなもんまったく関係なしに楽しめる超絶ギャグアニメでした。

あらすじをちらっと見るには、宇宙戦争やロボ系かと思ってしまうので、私のように端から敬遠されている方も多いと思われますが、約7分ほどのショートアニメなので、とりあえずご覧になって頂きたい。(もちろんギャグには合う合わないがありますが)

視聴開始したらすぐさま毛色が違うことが解かります。正直、第1話は微妙だと思っていたけれど第2話からハマってしまいそのまま一気に観てしまい全13話があっという間に終了。寒いネタのハズレ回もあったけれど私としてはほとんどがツボってしまうアタリ回だらけでした。

ちなみに涙が出るほどクッソ笑ったのは {netabare}「すぐ絶対って言うな」のくだりw くだらなすぎるけど、{/netabare}こういう奴ホントいますわなw

登場するキャラクターも主人公のスバルをはじめ、イカしたキャラばかり。紅一点の爆乳美女・リージュ(声:遠藤綾)も捨てがたいけれど、{netabare}やはりスバルの兄・イスズ・イチノセの残念なイケメンキャラが最高すぎる。{/netabare}

声優さんもナレーションの大塚明夫さんなどそれぞれがいい味を出し作品を盛り上げており、なかでも中田譲治さんと能登麻美子さんがよくこんな役どころを引き受けたものと感服してしまった。

この第一期を逃していたことで先日放映を終えたばかりの続編となる『宇宙戦艦ティラミスⅡ』もノーマークだっただけに遅ればせながら面白い作品に出会えて嬉しい限り。続けて第二期も視聴したいと思っております。


▼キャスト
スバル・イチノセ:石川界人
イスズ・イチノセ:櫻井孝宏
ヴォルガー・ハマー:諏訪部順一
ヴェンチュリー・ルロワ:土師孝也
リージュ・ルロワ:遠藤綾
シゲルコ・ホンダ:新井里美
パッカー(PAC2-AR):桃井はるこ
ナレーション:大塚明夫

▼制作
原作:宮川サトシ/漫画:既刊7巻
作画:伊藤亰
監督:博史池畠
シリーズ構成・脚本:佐藤裕
キャラクターデザイン・総作画監督:横山愛
アニメーション制作:GONZO

▼主題歌
オープニングテーマ「Breakthrough」歌:スバル・イチノセ(石川界人)
エンディングテーマ「DURANDAL」歌:スバル・イチノセ(石川界人)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 27
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

自己満、ボッチ嗜好主義の成れの果て?(笑) ナレの渋い大塚ボイスがさらに笑いを誘う!

「人付き合いはそれなりに折り合いをつけましょう」という教訓アニメ(?)。

OP:30秒 本編6分15秒 ED:15秒のショート(コント)アニメ。
ショートなので見易いです。

宇宙歴0156年。膠着状態が続く地球連邦とメトゥスの民との宇宙戦争。
地球連邦・宇宙戦艦ティラミス所属、汎用人型兵器(ロボット)デュランダルの若きエースパイロット「スバル・イチノセ」少尉。イケメンでそれなりの仕事(戦闘)をこなすのだが・・・チョット残念な「性格」だった。

集団生活においては決して自分の思うようにはいかないもの。或る程度は妥協を覚悟しなければならないのは世の常。
しかし、スバルはそんな妥協を許さない!潔癖気味な性格で人の忠告を素直に聞かない。「ガサツでデリカシーの無いクルー(戦場だからしかたないヨ)」を快く思わず、仕方なく同席・同艦していることに「ストレス」が溜まりまくる。そんな彼の唯一の「避難場所」はデュランらダルのコクピット(操縦席)。そこだけが変に人に干渉されない(絡まれない)安らぎの聖域・・・・なので、当然「人とのコミュニケーションがとれないヒッキー」の症状が出てますし、友達(親友)とかも居なさそうです。だから自己満足&(間違った)自己解釈することが多く、一般良識&常識が欠如し、当然「素っ頓狂」な行動をとってしまう。そんなスバルのティラミス艦内での奮闘劇(コメディ)。

「ガチの宇宙戦争中に何をやっとるんだ貴様!」と、思わずツッコミを入れつつ笑わせてくれます。
実社会でもこんな人がいる分、悲しいやら、可笑しいやら・・・と言いつつ楽しく見てます(笑)


2016.06.27【2018年10月 Ⅱ(ツバイ)に続く!】
「銀魂」とは違った感じの「中・高生あるある」や「ツッコミ」の数々。
スバルも残念だが、敵の兄・イスズもかなり残念。(笑)
常に行動の優先順位が周りの状況(戦闘状態など)より「自身のコンディション」が『最優先』され、ガマンを出来ないお子ちゃま状態。未来SF設定なのに現代日常テイスト(コンビニ・世話好き関西オバチャン・コクピットの自室コーディネイトなど)を熱弁するところがさらに笑いを誘います。
{netabare}ラストは「不朽の問題作」と言われるロボットアニメみたくに地球の大気圏突入。(笑){/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13
ネタバレ

sunnyday さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

笑いのスーパー機動兵器、デュランダル

あのエンディングテーマが頭から離れません。
たった15秒の奇をてらった訳でもない普通の曲なのに、なぜか頭から離れないのです。
10分間の短い作品なのに、だからこそ、インパクトが凄まじいアニメでした。
仕方がないので素直に2期を見ることにします。

以下観点別レビューです。
<物語について>
1話冒頭の、誰が見てもスターウォーズのパロディだとわかる高速字幕から物語は始まります。スバル・イチノセが串カツに悪戦苦闘する様子は、まさにベッドにスナック菓子をこぼした時のよう。そこには僕の想像したような、クールでストイックな戦場はありませんでした。ロボットアニメに現実味を持たせるとここまでカッコ悪いとは思わなかったw
そして終盤の急展開、{netabare}まさか保護フィルムのせいで大気圏に突入するなんて、{/netabare}最後の最後まで意表をついて来られました。

<作画について>
作画も本物の(?)ロボットアニメと遜色の無い凝りようです。10分のショートアニメだからこそのクオリティなのかも知れません。

<声優について>
声優の方々も豪華で、キャストの無駄遣いと言われるくらいの顔ぶれです。
特にナレーターの大塚明夫さんがホントに良い味出してる!良いナレーターがいるギャグアニメは名作ですね。

<音楽・OPEDについて>
OPEDについては前述した通りですが、BGMの管楽器のシュールな笑いをさらに引き立たせています。

<キャラについて>
どの人物もキャラが立ちすぎていて、ここで紹介するには余白が足りません。かいつまんで紹介する事にします。
主人公、スバル・イチノセは戦艦ティラミスのエースパイロットだがコックピット{netabare}と陰毛{/netabare}だけが友達の引きこもり体質な人間。彼の聖域である専用機デュランダルのコックピットがメカニックのシゲルコに荒らされる所は、まさに思春期の親子のようです。
また、ウザいオヤジキャラのヴォルガーや、腐りきった性格をしたヒューマノイドロボットのパッカーなど、挙げればきりがありません。

1話10分で気軽に見れますのでみなさんも是非見てみてはどうでしょうか〜。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

79.5 3 宇宙戦艦でメカニックなアニメランキング3位
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争(OVA)

1989年3月25日
★★★★☆ 3.9 (770)
3583人が棚に入れました
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』は、ガンダムシリーズの1989年製作のOVA作品。一年戦争末期、地球連邦軍が新型ガンダムを開発しているという情報を掴んだジオン公国軍の特殊部隊「サイクロプス」は、機体を奪取すべく北極の連邦軍基地を襲撃する。しかし作戦は失敗、目標物は宇宙へと飛び立ってしまう。
その後、偶然入手した情報により、新型ガンダムが中立コロニーのサイド6に運び込まれていると知ったジオン軍はサイクロプス隊をサイド6に送り込み、再び新型ガンダムの奪取の任務に就かせるルビコン計画を発動するのだった…。
サイド6のリボーコロニーに住む小学生アルフレッド・イズルハ(アル)とサイド6に潜入したサイクロプス隊の新兵バーナード・ワイズマン(バーニィ)を軸に物語りは展開する。

声優・キャラクター
浪川大輔、辻谷耕史、林原めぐみ、鈴木健、丸尾知子、吉田小南美、秋元羊介、島田敏、島香裕、稲葉実、増岡弘、折笠愛、榊原良子
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ガンダム初心者でも大丈夫でした

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。全6話。
 ファーストガンダムは雰囲気を知っている程度です。連邦とジオンが戦争をしていたとか、一部のキャラクターの名前とか、本当にその程度。設定に不明な部分はもちろんありましたが、それが大きな阻害要因にはなりませんでした。むしろ、そのおかげで謎の描写も割り切ることができて、物語にどっぷり浸かれたのかもしれません。もちろん知っていれば別の楽しみ方があったのでしょうけどね。

 全6話の構成ですが、序盤中盤終盤とメリハリがあるので、連続した1本の2時間作品である必要もなかったのだと感じました。
 この構成のおかげで価値が出たポイントの一つとして、サブタイトルがあると思います。第1話のサブタイトルは「戦場までは何マイル?」、そして、第6話のサブタイトルは「ポケットの中の戦争」です。途中のタイトルは「戦」の文字が入っておらず、各話の場面を描いたものだと思われますが、最初と最後だけは「戦」に関連させた主人公アルの精神性を示しているようで、とても印象に残りました。

 終盤は、自分の感情処理に追われて、あまり描写に注目することが出来なかったのですが、この作品をどう見るかという方向性はオープニングで既に定まっていました。オープニングだけでここまで見方が定まる作品は珍しいので、その辺について少しだけ述べておきます。


全体構造:{netabare}
 オープニングは奇襲から始まります。最初にインパクトを持ってくる作品というのは、実写映画も含めて結構多いですよね。これは視聴者を飽きさせない工夫でもあるのですが、ここの構造でその後の展開の骨子を作るという狙いもあります。この作品で提示されたのは「奇襲=失敗+犠牲」でした。

 中盤、再度奇襲が計画されます。決行直前に視聴者に与えられたキーワードは、「クリスマス」「シドニー」「夏」でした。この矛盾した言葉によって強烈に嫌な予感を感じました。敵兵士によってご丁寧に解説が加えられた時点で予感はほぼ確信に。結果、予感が実現し「奇襲=失敗+犠牲」という構造が繰り返されることになりました。
 終盤、バーニィは一人での奇襲の実行を計画します。単騎では成功の可能性がほぼ見えませんでした。同じ構造が繰り返される予感に再度襲われ、私のメンタルはここをピークにしてエンディングまで高止まり状態でした。
 一番きつかったのは、アルとバーニィのケンカシーンですかね。エンディングにおいて、アルが二人の友人に慰められるシーンもきつかったですが、そのシーンが長く続く感じですね。子供の無邪気さと残酷さが本当に辛かった。あまり先読みし過ぎなければ幾分楽だったとは思うのですが、こればっかりは性分なんで仕方ないですね。
 アイキャッチも序盤中盤終盤と全く違う印象でした。特に5・6話はアイキャッチにもダメージを受ける始末。サブタイトルと同じく、戦争に対する無知から現実への転換を見てしまいました。同じアイキャッチのはずなんですけどね。
 まぁ個人的な感情はともかく、三段階で繰り返される構造美はあったと思います。この構造美が感情を揺さぶったのも間違いありません。{/netabare}


キャラクター:{netabare}
 この作品は、キャラクターに注目すべき作品だと思うのですが、これを意識させてくれるきっかけのシーンも、オープニング直後にありました。
 それはアルのお父さんが登場するシーンです。このシーンではなかなかお父さんの顔が写らない。早く写してよと思うのですが、ひたすら手元で遊ぶ落ち着きのないアルの所作が写るのみです。そのうちアルの成績に会話が移って、お父さんのやさしさを垣間見れるのですが、アルのお願いの直後に厳格なお父さんの顔が唐突に写ります。つまり、会話から想像するイメージと実際のイメージがかなり違う。顔を早々に写していたら、表情の変化しか描けません。この特異なカメラワークからも、「キャラクターに注目」というメッセージをもらった気がしました。

 そうは言っても、個々のキャラクターは結構ステレオタイプに描かれている。バーニィの上官に当たる3人の人物は、女・酒・煙草と「大人の男、三種の神器」を携えています。翻って、アルとバーニィは稚拙なウソを繰り返す子供感が徹底的に繰り返されます。大人と子供の対比構造がしっかりしている。アルとバーニィの成長も嘘において描かれますからね。嘘の付き方とか、嘘の内容とか。この作品は、アルとバーニィの成長譚が中心に据えられていたと見ていいと思います。

 で、クリス。まごうことなきヒロインポジションですが、大人と子供の対比に加えられるのは結構終盤なんですよね。序中盤はやさしいお姉さんくらいにしか描かれていなくて、終盤に突如として強い大人感をアピールしてきます。
 この描き方からは2つの狙いが見て取れました。一つ目は、アルとバーニィの成長譚であることを視聴者に理解してもらうため。二つ目は、バーニィとクリスを大人と子供で対比させたくなかったため。どっちかなぁと悩んでいたのですが、おそらく両方ですね。
 前者の狙いは、もちろん作品のテーマを明確にするためです。クリスの主張が強くなり過ぎないようするためには、彼女のキャラクターの固定化を遅らせる必要がありました。クリスはストーリー上は超重要キャラクターですが、テーマ上の重要性は高くなかったと思います。成長も描かれませんからね。
 後者の狙いは、バーニィとクリスの恋愛を前面に出すためです。大人と子供で早々に対比させては恋愛感が乏しくなって、違和感が残ってしまいますからね。

 最後に。どうでもいいことなんですけど、日常風景を写すために同じカットを使っていますよね。3回だったかな?同じ街並みを写していたと思います。そこで、カフェかお店か分からないのですが、おじさんが出てきていたと思ったんですけど、最後は出てこなかったですよね?あのおじさん亡くなっちゃったんですかねぇ。日常が壊れる描写は、がれきの捜索シーンがあるんですけど、それ以上におじさんがいないのがズシンと来ました。いないと思うと突然、日常の全てを背負っていたかのような重量を感じてしまいました。見間違いだといいんですけど。せめて怪我くらいで済んでいれば。。。{/netabare}


 ガンダム作品の宿命としてか、戦闘シーンを描かなければいけないという制約はあると思います。ただ、それを感じさせないほどの卓越した構成力とキャラクター描写で、非常に楽しめました。特に上で述べたクリスの描き方は、非常に興味深かったです。

対象年齢等:
 やや分かりづらいのですが、思春期以上ですかね。恋愛要素もありまし。
 必ずしもガンダムファン向けってわけではないと思います。ガンダムという冠を気にせずに、多くの人に見て欲しいです。大人にもおすすめです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

戦争の実感

中立地帯で生活しているからなのだろうか、本当に純粋にモビルスーツへのあこがれ・好奇心、また戦争に対するエンターテイメントくらいにしか思えない主人公アル。人が死ぬことは頭ではわかっていてもリアルを知らないから実感が全くわかない。
親や教師には怒られ、退屈なテストや宿題・父親のいない生活・同級生の女の子に対する負の感情もあって戦争が起きて日常をぶっ壊してほしいくらいに思っている。

コロニーに侵入して内部の人間に成りすまそうとするジオン軍の兵士バーニィと出会ってから物語が動き出す。
ジオンの階級章をもらって彼らの偵察を手伝うことに。ジオン側としては任務としてやっていることだけどアルにとってはワクワクする楽しい遊びみたいなもの。危険だと理解はしても行動が伴わない。

急に勃発した戦闘で粉々に破壊される建物、銃撃であっさり死ぬ人間を目の当たりにして自分がしてきたことへの罪悪感や戦争の凄惨さを実感することになる。
{netabare}しかも、クリスが連邦側のモビルスーツを操縦してバーニィを殺してしまうところを目撃してしまう。相当な衝撃。核攻撃が未然に防がれたことを知って戦う必要なんかないことをアルは悟ってが、バーニィは死に場所を求めて戦闘しているようなものだし、止めるのは困難。仮に伝えることができても戦闘回避できなかったと思う。あれだけ逃げるのは卑怯だなんて言ってたのになあ。{/netabare}

最終話ラストで{netabare}泣いているアルとまた戦争あるよと謎の励ましを送る同級生が対照的で{/netabare}印象的。

ガンダムシリーズの中では割と好きな作品だなと感じた。ポケットの中とあるように些細な出来事なんだろうけど、脚本の意図というか主題がはっきりしている感じがあって良い。


OP
いつか空に届いて 椎名恵
ED
遠い記憶 椎名恵
作詞・作曲は全て椎名恵。伸びやかなOPとは対照的にノスタルジックな雰囲気溢れるED。心の琴線に触れちゃいます。涙出そう。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
「機動戦士ガンダム」初のOVA作品。一年戦争末期、サイド6に新型モビルスーツ・NT-1アレックスが存在することを察知したジオン軍は、サイクロプス隊に機体の奪取か破壊を命じる。新米兵士バーニィは、コロニーで暮らす少年アルやクリスと知り合い心を通わせるが、物語は悲劇的な結末を迎える。


1. 戦場までは何マイル?
宇宙世紀0079年12月、ジオン軍のサイクロプス隊は連邦軍の新型モビルスーツ「NT-1アレックス」を奪取するため北極基地を襲撃。連邦軍はアレックスをシャトルに乗せて打ち上げ、サイド6に隠す。サイド6で暮らす少年アルは、偶然アレックスが積まれたコンテナをビデオカメラに収める。

2. 茶色の瞳に映るもの
アルはコロニーに侵入して撃墜されたザクを発見し、パイロットのバーニィと知り合う。何も知らないアルは、自分が撮影したコンテナのビデオと引き替えにバーニィからジオンの階級章をもらって大喜び。バーニィはグラナダ基地に帰還し、サイクロプス隊に転属となり、再びサイド6へ向かう。

3. 虹の果てには?
バーニィの姿を発見したアルは、彼を追跡してサイクロプス隊のアジトを突き止めた。サイクロプス隊の隊長シュタイナーは、アルを仲間にするのが安全だと判断し、彼に標章を与える。アルの見張りを命じられたバーニィは、アレックスのテストパイロットのクリスと知り合い、2人は互いの素性を知らぬまま恋心を抱く。

4. 河を渡って木立を抜けて
シュタイナーは自分たちがオトリであり、サイド6への核攻撃が迫っていることを知らされる。一方、アルはバーニィに手柄を立ててもらおうとアレックスの隠し場所を突き止め、サイクロプス隊はアレックスの奪取・破壊を目指す「ルビコン作戦」を開始する。

5. 嘘だと言ってよ、バーニィ
「ルビコン作戦」は失敗に終わり、サイクロプス隊は全滅。ただひとり生き残ったバーニィは、アルにコロニーへの核攻撃が迫っていることを伝えて、コロニーから脱出しようとする。だが、アルやクリスのためにもアレックスを破壊して核攻撃を中止させようと思い直す。

6. ポケットの中の戦争
バーニィはアルの助けを借りてザクを修理し、アレックスと戦う準備を進める。作戦当日、サイド6に向かっていたジオンの艦隊が連邦軍に降伏したことを知ったアルは、バーニィに戦う必要が無くなったことを報せようとするが、すでにバーニィは出撃した後だった。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

戦争を知らない無邪気な子供

戦争もなくモビルスーツもない平和な中立コロニー。
子供たちはもちろん戦争の悲惨さなんて知らない。
モビルスーツやパイロットをかっこいいヒーローのように憧れている。

物語は、そんな平和な場所が突如戦場となる。
戦闘で街も破壊され犠牲者もでている。
でも、子供たちは凄いもの見たと喜んでいる。薬莢を集めている。
子供たちにとって武器は、まるでポケットの中のおもちゃと同じだ。

子供にとって、戦争は敵に勝ったか負けたか。
勝つとはどういうことか。それは、相手を殺すこと。
負けるとはどういうことか。それは、自分が死ぬこと。
でも、子供にはそれが分からない。
そんな子供がどんどん戦争の悲惨さに巻き込まれていく。
そして、自分の身近な人が巻き込まれて初めて事の重大さに気づく。


戦争の悲惨さを伝える難しさがよくわかる作品です。
悲惨さをちゃんと伝えられれば、今頃歴史は繰り返すことなく平和です。
でも、本当の悲惨さって、自分がまきこまれて初めて気づく部分は多いです。
これは、物語の中だけの話ではなく、現実もそうです。
例えば、三国志のような過去の物語を楽しみ、戦国武将ゲームを楽しむ。
戦闘機や戦艦のプラモデルに熱中し、モデルガンを集めサバイバルゲームを楽しむ。
未来のロボットや宇宙戦艦に憧れる。
全て戦争の話や道具なのにすっかり娯楽になっています。
もし、自分が実際に戦争にまきこまれて手足の1本でも吹き飛ばされていたら…。
それらを娯楽として楽しむことはできないでしょう。
やはり、どことなくよそ事のように感じてしまっています。
戦争の道具は、人類の英知の結晶でもありますから、憧れるのは仕方ないことです。
でも、そんな状態で、戦争の悲惨さなんて伝えられないんじゃないかって思います。
難しい問題だと言うことがよく分かりました。
それをラストシーンがよく物語っていると思います。


「ポケットの中の戦争」このサブタイトルは、とてもすばらしいと思います。
このサブタイトルだけで、涙がでてきそうになります。

この物語の無邪気な子供にとっては、戦争はまるでロボットヒーロー対戦です。
それは、いつも持ち歩いている「ポケットの中のおもちゃ」と同じです。

この物語は、一人の子供が戦争の片隅で体験した1つのドラマです。
でも、その子にとっては、とても大きな出来事だったのです。
しかし、その子以外は事の顛末を知りませんし、その子も周りに語りません。
静かに自分の「心のポケットにしまった戦争」なのです。

そして、このドラマは、戦域の中では、ほんの一点にすぎません。
戦史の中では、ほんの一瞬の出来事でしかありません。
それは、まるで「ポケットの中に入る程度の些細な事」でしかなかったのです。

いろいろ解釈ができるタイトルです。
しかし、この「ポケット」と言う子供を連想させる響き。
それは、子供が戦争に巻き込まれていると言う事実の暗喩です。
どんな解釈であっても、とても切ない気持ちになることには変わりありません。


この作品に出会ったきっかけは友人でした。
「ガンダムを知らなくても、これだけは読んでおけ。」と進めてきたのが小説版。
描写がすばらしく、確かにガンダムを知らなくても面白かったです。
その後、アニメを観ましたが、その面白さには変わりないと思いました。
なお、小説の後にアニメを観ると最後だけ「あれっ」って思います。
最後が若干異なっているのです。
自分としては、どちらの最後もありかなと思っています。

小説版では気にならなかったところが、映像にすると気になるところもありました。
結構、脚本が甘いなって思うところがちらほらあります。
また、小説版は、物語としては終始、重い感じが結構出ていました。
一方、アニメでは、音楽は軽快、演出はあっさり気味のため、軽く感じられました。
もしこれが戦争を軽く考えていた子供の心理描写にあわせたものだったとしたら…。
演出家はかなりの手練れです。

この作品は、子供目線で戦争を描いている貴重な作品です。
いろいろ考えさせられることも多く名作と言えるのではないでしょうか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11
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