てけ さんの感想・評価
4.1
おもしろき こともなき世を おもしろく
原作未読。
主人公は下鴨矢三郎(しもがも やさぶろう)。
タヌキの名家である下鴨一族の三男坊。
彼は「面白く生きる」ことをモットーに生活していた。
その言葉どおり、彼のまわりにはひとクセもふたクセもあるタヌキや人間やテングが。
そんな中、タヌキ鍋にされて亡くなった父、総一郎(そういちろう)の死の真相にせまっていく。
あらすじだとミステリーっぽく聞こえるかもしれません。
しかし、実際は「家族」を扱ったハートフルコメディ。
そこそこ笑って、ちょっとほっこりできるアニメです。
テーマ性はレビューのタイトルに書いたとおり。
OPの歌詞の中によく似たフレーズが含まれています。
これは、高杉晋作の言葉とされています。
下の句を含めると、
「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり」
世の中は望もうと望まないと無常に過ぎていくもの。
面白いどうかは、その人の心のあり方によって決まる。
それなら、楽しい方向にとらえないでどうすると。
どうでもいいことだって、見方を変えれば面白いものになります。
それを表現するように、随所にばらまかれた小ネタの数々。
やっていることはハチャメチャなのですが、それを面白く見せるマジックが効いています。
特にセリフの選び方が上手ですね。
面白さの半分は言い回しでできていると思います。
{netabare}
また、どうでもいいことに変に力が入っていたりしますよね。
赤玉先生の風呂のシーンでうまいこと前を隠したり、芸が細かいw
{/netabare}
キャラクターの存在感もポイントです。
下鴨一族はみんなそれなりに個性的で愉快です。
・子供思いの母親
・責任感たっぷりな長男
・ニートな次男
・通称アホだけど機転の利くの三男
・臆病でかわいらしい四男
敵役もどこか憎めません。
じいさんも妙にかわいい。
この「ほどほど感」がクセになります。
1~2話では見えてきませんが、回を重ねるごとに魅力が増してきました。
とにかく何事も深追いはしない。
おかげで疲れとは無縁です。
見ていて時間の経過を忘れました。
この「疲れない」ってのがポイントですね。
日常系ではないのにまったり見られます。
それでいて次回が気になるんです。
和やかな気分で笑いながら見たいけれど、日常系には飽きた。
そんな人に向いている作品だと思います。