2022年度の忍術おすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2022年度の忍術成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月05日の時点で一番の2022年度の忍術おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.4 1 2022年度の忍術アニメランキング1位
くノ一ツバキの胸の内(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (193)
567人が棚に入れました
人里離れた山の奥深くで、とあるくノ一集団が暮らしていました。その集団の名は、あかね組。個性豊かなくノ一たちが複数の班に分かれ、互いに切磋琢磨しながら己の術を磨いていたのです。そんなあかね組には、“男性との接触禁止”という、絶対に破ってはならない鉄の掟がありました。 あかね組・戌(いぬ)班の班長である見習いくノ一のツバキは、組の長(おさ)も認める忍術の使い手で、周囲からも信頼を寄せられる筆頭格でした。 しかし、ツバキにはどうしても気になることが。それは、これまで見たことも、触れたこともない“男”のこと。一度、お会いしてみたい――考えれば考えるほど、止まらない胸のうずき。あぁ、このキモチ、どうしたら良いのですか!? 『からかい上手の高木さん』の作者・山本崇一朗が送る、“男子禁制”くノ一コメディ漫画が、待望のアニメ化! 純情可憐なくノ一たちの、ほのぼのキュートな日常、はじまります。
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ツバキちゃんのニンジャー服

最近知った衝撃の事実なんですが、
みんな大好き『くノ一=女忍者』というものは、
史実的に「まったく存在していなかった」そうであります。

  え? いや、ほら、だって時代劇にもしょっちゅう出てくるじゃん、

とかなんとか言っても、時代劇そのものがフィクションですしね。
実際のところ、間諜(スパイ)として送り込まれる女はいたらしいけれど、
それは今でいう女ニンジャとはまるで別物でありんす。
オンナを武器にして敵方に入り込み、機を見て忍法で標的をパンしちゃう、
みたくかっこいいものではありんせん。

ちなみに『くノ一』という言葉そのものは江戸時代からあったのですが、
それは『オンナ』を意味する隠語であって、
言葉そのものに『女忍者』という意味はこれっぽっちもなかったのだとか。
(くどいようですが、江戸時代に限らず日本に女忍者、いません)

じゃあなんで女忍者がドラマやアニメにガンガン出てきたり、
彼女らのことを『くノ一』なんて呼んだりするのさ、
というと、実は、山田風太郎先生の忍法帖シリ-ズの影響なのだそうです。

  1959年に出版された『甲賀忍法帖』にはじめて女忍者が登場し、
  それが翌年からの『くノ一忍法帖』シリ-ズにつながって大ヒット。

  山田先生は最初、女ニンジャは『女忍者』としか呼んでおらず、
  同シリ-ズのタイトルも『オンナ忍法帖』という意味でつけたのだけれど、
  作品が映画化されてこちらも大ヒットし、知名度が急上昇。
  
  で、みんなが「くノ一って女忍者のことなんだ」と誤解し、
  その誤解に基づいて類似作が次々とリリースされ、
  あ~もう、それじゃそれでいいです、となったのが『くノ一』誕生秘話なのだとか。


さて、このアニメのお話です。
舞台は人里離れた山奥にあるくノ一(女忍者)の里。
まあ、里というよりは、全寮制の女忍者養成所みたいな感じです。
時代的には江戸時代風ではありますが、時代考証はするだけムダかと。
(会話でも『リーダ-』とかのカタカナ外来語、ふつうに使っております)

で、その『オトコから隔絶された女ばかりの里』で、
思春期をむかえ、まだ見ぬオトコに興味津々の主人公ツバキを中心に、
くノ一見習い女子のわちゃわちゃした生活を描く日常系です。

いわゆる『忍びの掟』とか『生死を賭した忍術合戦』みたく、
どきはらシリアスな要素は何もなく、
はっきり言っちゃうと、くノ一をモチ-フにしたゆる系萌えアニメ。

登場人物の年齢設定は公開されていませんが、
身長や体型から察するに小学校中学年から、せいぜい中二ぐらいまで。
おっきいお友だちみんな大喜びの『非実在児童』満載でお送りいたします。


原作は『からかい上手の高木さん』の山本崇一朗さん。
制作はアニプレ子会社で『青ブタ』なんかで有名なCloverWorks。
山本さんの原作をアニプレがアニメ化したらどうなるのか、
みたいな意味での注目作です。
(主題歌も『青ブタ』と同じくthe peggies。リキ入ってます)
監督は、これが初監督作品となる角地拓大さんですね。


  で、ええと、最初に結論から言っちゃうと、
  面白いか面白くないかは『けっこう微妙』です。
  ほんと『人による』としか言いようがなく。

まず、女の子が三十人以上も出てきて、
どれが誰だかいちいち名前まで覚えていられないのがつらいです。
こんだけいりゃ誰にでも一人ぐらい刺さるだろ、
そういうアキモト的大雑把なのは、
もうほんとに心の底からお腹いっぱいなんだってばよ。

そして最初の数話は、主人公のツバキは変に発情しちゃってるし、
劣化版クロコみたいのが「ねえさまぁ~」なんて言って追いかけてるし、
なにがやりたいアニメなのか一向にわかりません。

  二話、三話あたりで脱落した方、けっこういるんじゃないかしら。

で、心折れそうになりながらしぶとく見続けているうちに、
これひょっとすると『やりたい/言いたいことは、特にない』アニメではないか、
ということに、はたと気づくわけです。

  あの『からかい上手の高木さん』では、
  それまでほとんど存在しなかった『からかい萌え』を徹底追及するぞ、
  みたいな気概が感じられたのですが、
  本作にはそういう目新しい要素が何も見当たりません。

  強いてあげればツバキの『発情萌え』かしらんと思うのですが、
  だとしたらけっこうニッチなところを狙ってきたなあ、と。
  条例的にもアレな臭いがぷんぷんいたしますし。

  それに、ツバキにしたところで常に発情しまくっているわけでもなく、
  やっぱ『女児ばっかの里の日常』がメインストリーム。

  つまるところ、明日ちゃんの通う女子校の制服をニンジャ服にして、
  ついでにJCだけでなくJSも詰め込んで、
  みんなで『非実在児童』を愛でて楽しもう、という作品ではないのかと。
 
もちろん、そのこと自体を『あかん』と言うほど僕は立派な人間ではなく、
あとはもう『実際に愛でて楽しめるか』という、
個人の感性みたいなものに評価が帰結してしまうわけであります。

僕的には「楽しめる回もあり、そうでない回もあり」みたいな。
{netabare}
  主人公のツバキ率いる戌班に最初からいる二人、
  劣化版クロコのサザンカと昭和的腹ペコキャラのアサガオは、
  どこが面白い/かわいいのか、僕にはちょっと難解です。
  (しかもこの二人、出番がけっこう多いんだ)

  この二人に限らず下級生キャラは、おおむね脳天気で騒がしく描かれており、
  アニメ的には『無邪気で純粋』なのかも知れませんが、
  リアルにいると『うるさくてはったおしたくなるガキども』に他ならず。
  (もちろん心の中だけの話です。スマイル、スマイル)

  それを率いる班長・上級生たちは『しっかりめ』に描かれてますが、
  上下関係はゆるゆるで、バランス的には
  小学生を率いる中学生ガ-ルスカウト、みたいな感じになってます。

    子どもたちの『天真爛漫さ』とツバキたちの『幼い母性』の対比を楽しめ、
    ロリっ子と思春期女子という二大需要をカバ-したグリコ設計。
    いまならもれなく発情女子もついてきますぜお客さん。

  というような主旨・目的の構成なんだろうけど、
  幼女を愛でたいと思わない僕にとっては、いささか過剰サービス気味。

  下級生にメインスポットがあたる回は頬杖をつき、
  ツバキたち上級生がメインの回はそれなりに楽しく見られるという、
  なんとも中途半端な感じになっちゃってます。
{/netabare}

個人的な作品のおすすめ度は、いいとこB+ぐらい。
ほんとうに『言いたいことは何もない』萌えアニメですので、
ぼ~っと見ていて好きになれるかなれないか、ぐらいしか分水嶺がありません。

  ナルト的な忍びの世界を期待している方は豪快にうっちゃられ、
  『私に天使が舞い降りた』あたりがお好きな方には、
  大谷翔平もかくやのど真ん中剛速球はあるまいかと愚考いたします。


映像は、かなりいいです。さっすがCloverWorks。
若干あざとさの残るキャラデは好き嫌いが分かれるかも知れませんが、
ぐりぐりとよく動くし、作画もきれいに統一されてます。

  ただし、忍者バトルみたいなアクションシ-ンはめったにありません。
  かなりOP詐欺の香りがしてたのですが、最終話でなんとか持ち直しました。
  いったんバトルになると、構図もいいですし、迫力も十分かと。

  あと、忍術の描写、けっこうかわいいです。
  どこがどうかわいいかは本編をごろうじろ。


キャラクターは、可もなく不可もなく。
主人公のツバキと中盤から参加するリンドウ以外、
テンプレに毛をはやしたのをずらり並べているのでお好みでどうぞ。
{netabare}
  優等生だけど思春期ゆえオトコに興味津々というツバキは、
  けっこう、というか、かなりかわいいかもです。
  発情時とふだん自分に課している『しっかりおねえさん』とのギャップが良き。
  最終話のバトルシーンもかっこよかったし。
  九話『ヘビと男』でリンドウの話をきくワクワク顔なんか、
  僕個人としては、きゅんです。

  そのリンドウは、登場時は「はあ?」だったのですが、
  恥ずかしがり屋を克服してお面を外してからは、いい感じです。
  オトコを知ってる分、ツバキの『逆センパイ』的位置づけで、
  幼さと余裕がうまく同居している、
  これまでにいそうでいなかったキャラになっています。
{/netabare}

音楽は、OPと劇伴には文句のつけようがなし。
とりわけOP、the peggiesの『ハイライト・ハイライト』は絶品です。
世界観もドンピシャだし、映像とのマッチングも最高レベルかと。

  かたやEDの『あかね組活動日誌』は、なんだかなあ、です。

  『くノ一ツバキの音合わせ』という制作プロジェクトの元、
  毎回、別々の班が、それぞれに合わせた歌詞・編曲で歌うのだけれど
  僕の耳には『かげきしょうじょ』の劣化版、
  それもあざとさ増し増しバージョンにしか聞こえてきません。

  サントラ作るとき、いちいちキャラソン起こさなくていいっしょ、
  みたいなソロバン勘定なのかも知れないけれど、
  たぶん、よっぽどディ-プな人しか買わないと思うよ。


で、役者さんのお芝居なんですが、
僕の耳にはツバキ(夏吉ゆうこさん)とリンドウ(小原好美さん)が、
『キャラ立ち』という観点で突き抜けちゃっています。
他のメンバ-は、正直、適当にシャッフルしても作品は成り立つけれど、
この二人だけは『替えが効かない』レベルにあるなあ、と。

この点については、
言いたいことが多くてけっこう長くなりそうなので、
こっから先はネタバレで隠しておきますね。
(読まなくてもぜんぜん問題ありません。興味のある方だけ、どうぞ)
{netabare}

ぶっちゃけ、僕がなんでこの作品のレビュ-を書いているかと言うと、
このお二人の芝居を語りたいがため、
というのが偽らざるところであったりいたします。

  あの『からかい上手の高木さん』は、
  高木さんと高橋李依さんのマリアージュ(奇跡的邂逅)によって、
  爆発的な支持を得られた作品だと僕は思っています。

  え? めぐみんの中の人? うそでしょ?

  そう思った方もけっして少なくなかったのでは。
  まさにどハマり。そして高木さんのキャラ、立ちまくり。
  作品においてキャスティングがいかに大切かを示す好事例ではないかと。

で、その『高木さん=高橋李依さん』のマリアージュに匹敵するのが、
本作の『ツバキ=夏吉ゆうこさん』だと僕は思っています。
今期だと『スパイ&ファミリー』のアーニャ(種﨑敦美さん)並みのマリアージュ。

夏吉さんじゃなかったら、ツバキのキャラはここまで立たなかっただろうし、
たぶん『そのへんに転がっている萌えアニメ』の粋を出ず、
おそらく僕も三話あたりで切っちゃっていたのではないかと思います。

  その夏吉さんですが、基礎声質は高めのハスキーで、
  声自体には、特徴らしい特徴はありません。
  だけどお芝居が『おそろしく丁寧』で、役作りが見事にできているんです。

  ツバキは『おねえさん』じゃないんですよね。
  正確には『おねえさんであろうとする思春期の女の子』なわけです。
  かといって、幼い弟妹を世話する苦労人でもなく、
  基本は山奥育ちで性格のいい、素直でまじめな思春期女子。
  胸ちらでヘソまで見える、心身ともに発展途上の女の子であるわけで。

  夏吉さんはそこのところをよく理解してうまく咀嚼し、
  実に心地よいツバキ像を創り上げています。
  怒っても、慈しんでも、発情しても、ぜんぶ『思春期女子』。

  だから、発情しても『いやらしくならない』んですよね。
  ヘンな意味での『オンナ』が匂ってこない。
  体幹の強いスポーツ選手みたく、どんな動きでも『軸』がぶれないんです。
  これ、下手な役者が演っていたら
  エロキャラか精神分裂症みたいなキャラになっていたところです。

  たまたまこの役がハマったのか、
  それとも、もともとべらぼうに良い資質をお持ちの方なのか、
  今の段階ではまるでわかりません。
  ですが『光るものがある』役者さんであることだけは確かなので、
  夏吉ゆうこさん、要チェキです。

  ただし、声質に特徴がないので、
  しょうもない役をあてたらすぐ埋没しちゃいそうなんですよね。
  (過去作いくつかチェックしましたが、そんな感じです)
  今期の出演作品もアイドルもの一本とトホホな環境なのですが、
  本作を足掛かりに、なんとかいい役を引いて欲しいものであります。


小原好美さんの演じたリンドウは、サブキャラの中では『別格』でした。

といっても設定的には、
単なる恥ずかしがり屋で、ただ男を見たことがあるだけのキャラなんです。
それをあそこまで際立たせたのは、
やっぱ小原さんの『芸』の力に他ならないなあ、と。

  先にも書いたけれど『幼さ』と『余裕』の配合が絶妙なんです。
  しかも『実際に余裕がある』わけではぜんぜんなくて、
  本人はふつうに話してるつもりなのに、見る側が勝手にそう感じるだけで。

  だから『あざとさ』がまるっきりないんです。
  それがゆえに、ワクワクしたり赤面したりするツバキとの対比が絶妙で、
  ツバキのかわいさ/面白さを引き出しつつ自分も生きるという、
  理想的な掛け合いになっているんです。

  小原さんは、ご自身の演技力も素晴らしいのですが、
  この『相手の魅力を引き出すキャラづくり』が本当にうまい役者さんです。

   『かぐや様』の藤原千花による、四宮かぐやとの対比、
   『やがて君になる』の叶このみによる、小糸侑との対比、
   『からかい上手の高木さん』日々野ミナによる、高木さんとの対比。

  いずれも同じ役者とは思えないぐらい声もキャラも違うのですが、
  きっちりとヒロインの魅力を引き出しつつ、
  ちゃっかり自分のキャラを立てて作品に奥行きを持たせています。

  おまけに『まちカドまぞく』みたく自分がメインになると、
  周りの役者さんをグイグイ引っ張るだけのパワーがあるんだから、
  そりゃあ音監さん、みんな使いたくなるわな、と。

その他にも、本作にはいい役者さんがたくさん出演してるんですが、
先生役の内山夕実さんとM・A・Oさん以外は
ほとんど『豪華声優の無駄遣い』になっちゃってますね。

  僕が将来を期待している羊宮妃那さん(モクレン役)は、
  今回も、上田麗奈さんの代役みたいな扱われ方。
  まあ、いまをときめく早見沙織さんも最初はそうでしたし、
  青二のサンプルを聞く限り、ポテンシャルあるのは確かなので、
  いい役引けるまでがんばれっ!
{/netabare}

ちなみに、タイトルにも書きましたがツバキの忍者服、かわいいです。
俗にいう忍び装束とは天と地ほどかけ離れたデザインなのですが、
なぜかちゃんと『くノ一』に見えるんですよね。不思議ふしぎ。

黒のピタピタT半袖シャツと、同じく黒の三分丈スパッツがあれば、
あとは誰でもわりとカンタンに作れそうだし、
コスイベントなんかでけっこう出てくるんじゃないかしら。

  なお、Tシャツもスパッツも俗にジャ-ジと呼ばれる丸編み素材で、
  江戸時代には影もカタチもありません。
  いわゆる『横編み』は水戸光圀の時代からあったらしいけど、
  丸編みは明治42年にスイス製丸編み機が和歌山に5台輸入されたのが
  最初だと言われています。

ただし、そもそも『くノ一』の存在そのものが時代考証ぶっちぎってるので、
本人さえ良ければそれでよし。
おへそとおでこに自信のある方、よろしかったらお試しあれ。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

終わってロスになりそうですが、再視聴は?一期一会アニメ。

 本作は女の子が可愛いことは可愛いですが、相当デザイン化されていましたので、あまり生々しいエロスは無かったです。ただ、キャラ造形は良くて、個々のキャラがかなりしっかり立っていましたし、エピソードはそれぞれそのキャラを活かして上手くできていました。

 もちろん、主人公ツバキは素晴らしい出来だったと思います。強い可愛い人望があって性格もいい。何より落ち着いた丁寧語のしゃべり方が最高でした。絵に描いたようなキャラですが、完璧ではありません。巻き込まれ型の天然要素はありましたし、オトコって何?という秘密に翻弄される様子が非常に良かったです。

 花鳥風月が丁寧に描写されていました。これも良かったです。画面の美しさに癒されました。

 女子だけの日常系の変形ということで、くノ一というのは単なる設定であり、殺伐さはないです。しかし、それでもくノ一ものとして戦闘シーンに迫力がありました。もうちょっと男の要素を直接見せてきて、ラブコメだったらなんか違うなあ、という懸念も数話見ている内に無くなりました。

 日常系の変形として癒し系として機能していた上に、個々のエピソードが面白く、かつ、ツバキの男への好奇心という要素を組み合わせたかなりのストーリーだったと思います。
 それを美しい作画、美しい背景美術で楽しませてくれました。これはマンガ版の絵も確認しましたが、アニメの方がいいですね。マンガ版だと面白さはあっても癒し要素はもっと薄いです。綺麗なアニメと声優さんがいてこその癒し要素でした。

 OPは曲もアニメも素晴らしかったです。スキャットの入りがなかなか胸の内のタイトルと合って思春期っぽかっただす。瞳のクローズアップとか髪がほどけるところとか、花吹雪とか、作品内容とマッチしていていました。
 22年春のOPは出来が良い作品が多いですが、その中でもかなりの出来だったと思います。
 EDのキャラソンはすごかったですけど、私の好みだとアニメは固定のEDの方が印象に残って好きです。たまに遊びが入るくらいならいいですけど。

 最後のエピソードの{netabare} 先生の男の絵は墨で塗りつぶしたのはわかったんですけど、リンドウのはどういうことでした?12話でリンドウが下手かもっていってましたけど…単に下手だったからってこと?13話でリンドウがやっぱり下手だって確認できたから安心できたっていう理解でいいのでしょうか。ちょっとわかりづらかったですね。ツバキに下手なんだ、と言わせても良かった気がしますが…そこは読み取ろうよ、ということですか。{/netabare}


 総評ですけど、上記の通り、女子だけの日常癒し系でありながら、エピソードの一つ一つが面白い。加えて、素晴らしい出来のアニメに花鳥風月が美しい、声優さんも良かった。非常に楽しませてもらいました。

 ただし、です。この1クール楽しませてもらって終わってしまうとロスになりそうなくらい寂しいですが、かといって、再視聴するかと言えばわかりません。テーマ性や奥深さはほぼ無いからです。コミックはちょっと1巻を確認しただけなので確定はできませんが、アニメ版の方がかなり良いですので、コミックはわざわざ買わないと思います。この作品との付き合いは、一期一会になるのかなあ、という気がします。

 作業用にBGMとして流す可能性はあっても、初回のようにじっくり見るかどうかはわかりません。




1話 ダークホース登場の予感ですね。

{netabare} それにしても作画が奇麗ですね。ちょっと感動するくらいです。キャラデザ、作画はもちろんですが、背景がいいですね。線の感じからいってキャラはCG??なんでしょうか。お腹のラインとか生生しくてすごいですね。
 花鳥風月が美しいので画を見ているだけで楽しめます。EDの出来もいいし。

 ダークホース登場の予感ですね。それともコミックとかは人気作なんでしょうか(横顔が高木さんの感じにそっくりと思って調べたら同じ作者でしたね。前情報はアニメがつまらなくなるので、これ以上は調べていませんが、キャラが活き活きしてますので、こっちのほうが作者の本質なのでは?)。

 思春期の男への興味が出始めた少女の話…ガールミーツボーイものでしょうか。性の部分までいくのか。ツバキちゃんが可愛いし、話も面白いです。
 男の話をしているときにナスを出したのが演出として意図しているんでしょうか。だとすれば演出のレベルにも期待がもてます。

 なお男はアホで臭くて股間が弱いらしいです。だいたいあってるかも。{/netabare}


2話 週1で見る分にはかなり面白いです。

{netabare}  これを一気見すると内容は今のところ薄いので不満が溜まりそうですけど、エピソードというかキャラの行動が可愛いし、先週今週と1話ずつ見る分には結構面白いです。ただ、3話目で男について今後展開があるかもしれませんね。それともしばらくはキャラ紹介かなあ。

 思春期前の少女ですので、露骨な性表現になっていないのも見やすいです。露出は多いですけどガードするところはしっかり隠れているし、マインド的に性消費を狙っているように見えません。

 忍者走りがいいですね。最近女子マラソンとかでも話題のいわゆるナルト走りですがこだわってますね。可愛くていいし、アニメの作画もやりやすい? {/netabare}



3話 アニメが美しい、話も面白い。キャラデザもいい。

{netabare} かなり高レベルのアニメだと思います。とにかく基本となるキャラデザのクオリティと作画、背景、動きというか絵コンテが素晴らしいと思います。

 そして一貫した「男」に対するストーリー展開もそれぞれのキャラ付けも面白いし、テンポがいい。なんというか微笑ましい雰囲気もいいです。1話で前後半でストーリーが違うので飽きません。

 なにより自然を表現した背景美術が素晴らしいので、本当にレベルの低いアニメが多い中、癒されます。EDのキャラソンの背景もいいです。
 

 少年向けなんでしょうけど、大人が見ても面白いですよね。金をかけた超高品質ではないですけど、毎週見るアニメとしては秀作だと思います。視聴継続はもちろんですけど次話が楽しみと素直にいえるアニメですね。{/netabare}


4話 癒し系の日常モノ…でいいんですかね。

{netabare}  ストーリーも若干ありますが、癒し系の日常モノということでいいんでしょう…今のところは。くノ一ということでしたが、殺伐としたり戦闘があったりという方向にはどうやらいかない様です。

 キャラたちの紹介で1クール終わってしまいそうですけど、それはそれで面白いのでいいと思います。

 男と言うテーマがありますし、男の具体的キャラが出るかどうかは気になります。その場合は癒し系としては機能しなくなってラブコメになると思いますが、現段階で登場させていないなら癒し系で行ったほうがよさそうですね。2クールとかの長尺ならその限りではないですけど。

 OPの冒頭の花びらが散って、瞳がクローズアップするシーンにはまってしまいました。非常に美しい映像ですね。音楽もいいし、ここ最近でみたOPの中では一番秀逸な気がします。{/netabare}


9話 癒される原因がわかりました。

{netabare} さて、本作がかなり気に入っている理由がわかりました。それはしゃべり方ということに気が付きました。ヒロインの丁寧語と普段の落ち着いた話方ですね。これが非常に心地がいいです。
 過去、一番リピートしたアニメが「幸腹グラフティ」ですが、ヒロインリョウちゃんが丁寧語で少しゆったりしゃべるところが共通しています。

 丁寧語…いいですよね。特に大人としゃべるときの壁ではなく、内面の知性とか人間性がにじみ出るような品がある場合は最高ですね。本当に日本の偉大なコミュニケーション文化だと思います。

 声優さんの美しい声で、目下や友達に対して落ち着いた丁寧語でしゃべるのが本当にいいと思います。

 あとやっぱり思ってたよりジェンダー論がテーマとしてあるわけではなく、万能ツバキの弱点になっているのもキャラ作りとしていいですね。

 ということで、今期のお気に入りが本作、幼女幽霊、阿波連さん、舞妓さんなので、うーんどこか疲れているのかなあ…

 あとOP曲の冒頭のスキャットがなんとなくツバキの性の目覚め直前な感じと非常にマッチしていいです。今期は幼女幽霊、骸骨騎士、本作のOP曲がいいです。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

忍術あり。男を知る術なし。

この作品の原作は未読ですが主人公のツバキを、「おなつ」こと夏吉ゆうこさんが担当すると知り視聴を決めた作品です。
彼女との出会いは、「SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!」のマシマヒメコでしたが、「魔王学院の不適合者」のサーシャ・ネクロン、そして「アサルトリリィ BOUQUET」の白井夢結役を経て、私の中での人気は不動のモノになりました。

「おなつ」という愛称は、「とのぴー」こと遠野ひかるさんが命名したそうですが、お二人は「SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!」と「アサルトリリィ BOUQUET」で接点がありますからね。
愛称を命名する間柄になっても不思議ではないかと…。
とのぴーは、本作にも出演されていますよね。

競争倍率が高い声優業界の中で、こんなにも同じ作品に出演するなんて…
この偶然は、もはや奇跡なのでは…!?


人里離れた山の奥深くで、とあるくノ一集団が暮らしていました。
その集団の名は、あかね組。

個性豊かなくノ一たちが複数の班に分かれ、
互いに切磋琢磨しながら己の術を磨いていたのです。

そんなあかね組には、“男性との接触禁止”という、
絶対に破ってはならない鉄の掟がありました。

あかね組・戌(いぬ)班の班長である見習いくノ一のツバキは、
組の長(おさ)も認める忍術の使い手で、周囲からも信頼を寄せられる筆頭格でした。

しかし、ツバキにはどうしても気になることが。
それは、これまで見たことも、触れたこともない“男”のこと。

一度、お会いしてみたい――

考えれば考えるほど、止まらない胸のうずき。
あぁ、このキモチ、どうしたら良いのですか!?

『からかい上手の高木さん』の作者が送る、
“男子禁制”くノ一コメディ漫画が、待望のアニメ化!
純情可憐なくノ一たちの、ほのぼのキュートな日常、はじまります。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

ここで初めて知ったこと…
この作品の作者って、「からかい上手の高木さん」を手掛けた山本崇一朗さんだったということです。
高木さんは時折クスっと笑えたり、真剣な言動に心を打たれたりしましたが、この作品はどちらかというと「クスっとしっ放し」だったような気がします。

そっか、笑いの質は高木さんと同じだったんですね。
そしてもう一つビックリしたことが…
現在絶賛放送されている「それでも歩は寄せてくる」の作者も山本崇一朗さんだったということです。
作品のアニメ化される確率の高さにもビックリですけど…^^

ツバキの暮らす忍びの里では、3~4人による班が複数構成されており、その班自体がメッチャ個性的なんですけど、ツバキが班長を務める戌班の構成が堪らなく面白すぎ…
以下に班員を紹介します。

ツバキ(CV:おなつ)
サザンカ(CV:根本京里さん)
アサガオ(CV:鈴代紗弓さん)
リンドウ(CV:ココちゃん)

根本さんは、私にとって今回が初お目見えですが、他の3人は既に何度も出演されている作品を視聴していますし、おなつやココちゃんはイベントやラスバレ放送局などを通して素の部分を見ているので、声優さんを思い描きながら視聴することができました。

個人的にはこの視聴スタイルが一番大好きです。
今後、少しずつ他の声優さんにも広げていければと思っています。

忍びの里の日常も十分に面白いのですが、こと「男」が絡むとツバキがポンコツになる様には、しっかり笑わせて貰いました。
きっと演じているおなつは真剣そのものだったと思いますが、ポンコツっぷりのギャップが、そのままツバキのもう一つの魅力として感じることができたのも、おなつの演技があったからだと思います。

あとは、アニメーション制作会社であるCloverWorksさんの力によるものが大きいんでしょうね。
22年はCloverWorksさんの勢いが止まりません。

冬アニメで「明日ちゃんのセーラー服」と「その着せ替え人形は恋をする」を同時に手掛けたんです。
そして春アニメでは、本作品と「SPY×FAMILY」を…
この間、2クール作品として「東京24区」も制作しているんです。
旬…というか巷を騒がせている作品がここに集結しているんですよね。
そう考えると、凄いとしか言いようがありません。

これが日本のアニメの底力だと思えるのが心底嬉しいです。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
「キュート」という言葉がピッタリの可憐な乙女たちの日常が堪能できると思いますよ。

オープニングテーマは、the peggiesさんによるハイライト・ハイライト」
エンディングテーマは、各班ごとのエンディングテーマが1話ずつ使用されていたと思います。

1クール全13話の物語でした。
しっかり堪能させて貰いました。
円盤が全7巻と聞いていたので2クール作品かと思ったら全13話でした。
1クールの作品で円盤が全7巻という構成は、最近では久しぶりなのではないでしょうか。
もし、続編が制作されるなら心して視聴させて頂きたいと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16

63.2 2 2022年度の忍術アニメランキング2位
忍の一時(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (103)
284人が棚に入れました
忍者は、存在しない。…と、我々は思っている。 仮に忍者が存在したところで、忍者はその姿を我々に晒すことはない。だからこそ、忍者は『表向きには』存在しないのだ。 主人公、櫻羽一時は、我々と同じく忍者は存在しないと思っている、普通の男子。彼には普通の、幸せで輝かしい日々が約束されている…はずだった。 ある日、一時は命を狙われ、それが甲賀忍者の仕業であると聞かされる。 なぜ一時は命を狙われたのか? それは…彼が由緒正しき、伊賀忍者第19代正当後継者だったからなのだ! 伊賀と甲賀は長年対立しており、甲賀は伊賀を侵略しようとしている。一時が生きるためには…自らも忍者になるしかない! こうして、誰も知らない忍者の世界に身を投じる一時。一人前の忍者となるべく学び、戦い、苦難に立ち向かう。だがそれは、一時が辿る過酷な運命の、ほんの序章でしかなかった…。 『アルドノア・ゼロ』『アイドリッシュセブン』のTROYCAが放つ、先の読めないオリジナルニンジャアクション、2022年放送開始!
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

【持続可能な社会】実現のために、「人類補完計画」は動き出す…

●解釈難易度が高すぎの糞アニと紙一重の問題作?
友情物語としては最低限の要素は描けていましたが、終盤戦で詰め込み過ぎのためか
風魔忍者の友人の活躍{netabare}を描く尺が不足しやや期待外れ感があったためキャラ評価を下方修正、
最終評価はオール3.5に落ち着きました。

本作は所謂「忍者もの」を期待する人には全く理解できない作風になっているように思います。

どうやら本作には、台詞などで示される重要なキーワードを抽出し分析しないと
何を意味してるのか分からないという厄介な特徴があるようです。

こういう面倒な傾向は本作に限らず他の作品でも頻繁に確認できるものですが
そのクセが特に強いのが本作であるようです。

甲賀という大企業がヤクザもの集団として描かれていましたが、
主人公の最後の台詞にあるように「忍者」なんてものは存在しません。
ただ世を「忍ぶ」得体の知れない組織は当たり前のように暗躍しています。

日本に限らず今時の大企業と言うのはある意味ヤクザ組織と同じようなものなのです。
企業がヤクザ化する理由それは、株主がリアルのマフィアであるからです。

米国にはロビイストというネゴシエーターおり、日本には選挙にめっぽう強いと評判の
伝説的剛腕代議士がおりましたが、その背後にいるのは莫大な資金を持った
資本主義経済のメインプレイヤーと呼ぶべき存在であります。

銀行法改正など規制緩和によって外国企業に利益があるような法案は特に野党の反発もなく
マスコミも素知らぬふりの完全スルーであっさり成立します。

嘘つきの風魔忍者の如く生き残り第一線で活躍する者には「秘訣」があるわけであります。

水道事業民営化法案やら、スーパーシティ法案やら、防衛費倍増計画やらの類は
「ハンドラー」による「ゴーストハック」に導かれるかの如く糸を紡ぎ
確定的な「未来」を規定するものであります。

一度決まった法案や予算案、国家計画の類の必然的「定め」を後から嘆いたところで
無意味で虚しいものでしかなく、そういう意味で自分の運命を呪い復讐を果たそうと目論んだ
鬼道という存在は「未来」というステージには立てない役どころの
象徴的キャラであったように思えました。

異質な考え方を持つ甲賀との融和を目指し直談判に行く主人公が見事に大団円のフィナーレを
達成するのかと考えてもみましたが、話し合いだけで平和的にすべて終わるのは流石に
ご都合主義過ぎるので、運命に執着する者に対しては和解ではなく否定するという
対比構造により、「未来」を生きる主人公たちとの違いを明確に描き分ける
形にしたのかもしれません。

そんなわけで我々=庶民の「未来」には試練が、避けられぬ運命、「定め」として
立ち塞がっております。

異質なものを拒む者は「未来」に進めず、滅ぶ「定め」であると
まるで警鐘を鳴らしてようにも思えます。

「忍具」や「忍核」などのテクノロジーが示す「未来」と我々が生き残る道について
{/netabare}(例え暗示的にであれ)もしかしたら本作はご丁寧にご教示して下さっているのかも?しれません。

●「ステルスモード」全開で、大団円目指して超加速する物語

この終盤戦に至るまではグダグダ気味で、恐らく一般のアニメファンにしてみると
何がしたいのかさっぱり見当つかない??本作が、最終局面に向けて急加速!?
どころか、あらゆる視聴者を振り落とすが如く超加速して参りました。

理解し難い原因は詰め込み過ぎということもありますが、本作は単独では
{netabare}意味が伝わらない作風になっているからではないかと推測いたします。

何が描きたいのか理解し難い時はキーワードを抽出をしてみましょうということで
以下のものをピックアップした次第でございます。

「(伊賀と甲賀の)対立」
「家族」
「裏切り者」
「友情」

このような事柄がなんとなく描かれていたわけですが、
要するに「対立」からの「和解」がテーマの物語なんだとざっくり掴めるわけです。

風魔忍者の友人も「裏切り者」の立ち位置であり、幼馴染の紅雪も
甲賀頭首代行の隠し子でありました。

過去のしがらみ、憎しみ、対立を乗り越えて和解の大団円を目指すというオチは
ある意味「エンキス」のような展開でありますが、本作の厄介なところは
一見してシンプルな表面上のテーマに被せるようにして裏テーマ的な非常に見えにくい要素を
ある意味絶妙なブレンドで織り交ぜてくる手法にあるように思います。

本作は忍者もの作品ではありますが、
「忍者」とは言っても一般のイメージとは全くかけ離れたハイテク装備でありまして
甲賀忍者にしても大企業を経営していますから、研究開発の方も最先端を行っているのは
当然ということになるわけであります。

現段における大企業、最先端技術を研究開発してる企業と言えばどこでしょうか?
それは「GAFA」であります。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンと言った
これらのメガ企業、噂によれば中国で人道的にはかなりやばい研究を行ってきており
結果、その恩恵を中国が受け急速な発展を遂げたものだから、これに危機感を感じた米国
当時のトランプ政権は「GAFA」と中国との濃厚接触関係を断つべく、中国に圧力をかけ
それが米中貿易戦争となったというお話であります。

「深圳」と言えば世界最強のハイテク都市、
近未来的な「スマートシティ」であり、「スーパーシティ」であります。

攻殻機動隊やその他SF作品で背景に「中華街」が描かれることがやたら多いような気が
していましたが、これはどうやら実現可能な「伏線」を示していたようです。
「サイコパス」のEDで映し出される未来都市の情景とは、深圳であり
近い将来実現可能なスーパーシティを示していたというオチでございます。

「GAFA」のやばい研究とは何か?と言うと個人的な予想では
要するに「攻殻機動隊」で言うところの「電脳化」とか「義体化」とかに関する
テクノロジーのことではないかと考えています。

「忍具」が暗示するパワードスーツ=「義体化」が障害者や高齢者にとって有益であるのは
間違いないですから、【アップル】であれ「甲賀」であれ「株式会社ガンダム」であれ
「ポセイドン・インダストリアル」であってもこの研究に投資するのは当然でありましょう。

さり気なく描写されていた伊賀の里の高齢化問題とその解決法も最先端テクノロジーに
つながる話であり、伊賀に伝わる「秘伝忍核」も平和目的に利用する限りにおいては
有益なサイバーパンクライフを実現可能としてくれる「文明の光」というものでございます。

「頭の中で【鈴】が鳴った」というとても意味深な発言をした紅雪の脳内には
【マイクロチップ】が埋め込まれており、マインドコントロールの作用により
主人公の母親を殺害したわけであります。

主人公の母親は「敵対」する甲賀者の紅雪を自分の娘として、家族として受け入れ
そしてその息子である主人公も脳内に【マイクロチップ】を埋め込まれた紅雪とその罪を
許し受け入れ、更には甲賀との対立を解消すべく「和解」の道に突き進みます。

伊賀にとって「甲賀」とは「敵対者」であり「脅威」であり「異質」なものであります。
敵を許し、恐れに臆することなく、異質なものとの融和しましょうと
そのようなメッセージが込められているように思えます。

恐らく結末は伊賀と甲賀の和解、大団円に向かうのでありましょう。
本作が何故「忍者もの」である必要性があったのかと言えば、
「忍具」と「忍核」に秘密があるということなのかもしれません。

「融和」や「和解」、そして「融合」、
本作に込められた裏テーマとは
【トランスヒューマニズム】であると個人的には強く感じました。
【トランスヒューマニズム】とは「人間と機械の融合」を目指す思想のことを言います。

早い話が「攻殻機動隊」{/netabare}を忍者で再現したというオチであります。

今時マイクロチップの{netabare}埋め込み実験などは当たり前の話であります。
我らがカリスマ経営者兼中共とズブズブの関係性を誇る「イーロンマスク」は
豚の体内にマイクロデバイス装置を埋め込む実験にて見事に有意義な成果を
出したとのことにございます。

マイクロチップの件は猿や豚などの研究に限った話ではなく、我が国においても
今年6月からマイクロチップにより管理するためにペット全般に埋め込まれる
ということに相成りました。

動物で一定の成果を確認した後には、いよいよ本命の人間にこれ試すターンが
来たというお話でございます。

「持続可能な社会」{/netabare}実現のためにテクノロジーは日々進歩し続けます。
キーワードは「融合」であります。


今期の中で「ブルーロック」「ヒューマンバグ大学」そして本作は
「ダークホース枠」候補と考えていましたが、かなり遅れて
いよいよ本作、その隠された実力を発揮しだしたような気配を強く感じました。


本作の最大の見どころは家族愛や{netabare} 友情などといったベタな人間ドラマの適切な描写と
心理描写の丁寧さ、そして主人公や主要キャラの葛藤の描き方が中々に
優れている点でございます。

特に「輝麗」という名の風魔忍者の心理描写はとても優れていると感じたわけですが
演じているのはどうやら実力派人気声優であるらしく、なるほどといったところであります。

「忍者もの」と聞いて派手な「忍者アクション」を期待する人たちには
当然の如くお勧めできない、地味系物語であります。

一般的「忍者もの」のレッテルからすると学園生活は意味がないということになるのかも
しれませんが、本作においては友情や共存共栄的なテーマこそが重要なため
学園生活や生徒間の交流こそを力をかけて描くのは当然の結果であると感じました。



「歴史修正主義」というものを考えた時、そこには思想的なヤバイさを感じずにはいられぬものの
その一方で間違った事実認識に対して修正を加えようとする衝動は必然である
ということを認めないわけにはいかないように思う次第であります。

漫画やアニメに関わらず過去の忍者もの作品は、総じて荒唐無稽なフィクションであり
かつて実在したであろう「忍者」を {/netabare}極端なまでにデフォルメしたただの幻想
でしかなかったわけであります。

そのような100%フィクションの虚像を修正しようという衝動に身を任せ
よりリアル志向の高い「忍び」の本質を斬新な切り口から描いたのが本作で
あると確信するものでございます。

要するに「忍び」とは何であるかと言えば {netabare}「情報工作員」や「諜報員」のことを
いうわけあり、現代で言えば「CIA」や「KGB」、「MI6」や「モサド」であり
「八咫烏」であり「陰陽師」であり、そして史上最凶の工作部隊「イエズス会」も
似たような存在であると言えるわけであります。

悪名高いこれらの組織が世から恐れられる理由それは、彼らが極めて高度な「情報力」を
持つからであり、だからこそヤクザチンピラ、新興宗教団体、秘密結社であれ
この高度な情報ネットワークに繋がれば、力を持ちこの社会に対してもの凄い
存在感を示すことが可能となるわけであります。

今となってはあまりに昔の話になりますが、「輪るピングドラム」において描かれていたような
某新興宗教団体がテロまがいの事件を引き起こしただけでなく、彼らのアジトに
戦闘武装ヘリが配備されていたという衝撃的な出来事がありました。
(そのヘリがシュタインズ・ゲート展開を暗示するものだったいう話は今はやめておきます)

某政権与党が特定の新興宗教団体と親密に結びついたり、与党連立政権の背後に
宗教的な某学会がその存在を誇示していたりというのは当たり前すぎる話で、芸能界にしても
ヤクザチンピラとずぶずぶどころか、そもそもその起源がヤクザチンピラであるわけですが
この社会で力を持ち存在感を示すことができる集団、組織とはすべてこの情報ネットワークで
繋がっているものたちというのが真相であります。

政界・財界・裏社会は癒着し、利権は絶えず作り出され、税金という名目で
庶民の財産は吸い取られ、合法的に収奪されて格差社会はどんどん惨くなっていきます。

情報を持つ者と持たざる者の格差こそがすべての元凶でありましょう。

「商社マン」最強伝説というものがあります、「ヒューマンバグ大学」の主人公や
「ブラクラ」のロック(←このあだ名…ある意味苦笑が止まりませんが)も
商社マンであるため、もの凄いタフガイとして描かれてますが、
要するに高度な情報を持つ商社マンとは{/netabare}「モサド」に匹敵するくらい強大な
存在であるという表現なのだと邪推いたします。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

学園編が要らなかった

{netabare}
FOD独占のオリジナル作品。
このクソダサキービジュ・原作なし・FOD・地上波MXのみの四要素。
放送する前から分かり切ってる空気枠でちょっとかわいそう(笑)

忍とタイトルにつくけど、舞台は現代。
姿はどうみても忍ではないけど、忍も当然当時のままでは通用しないから、時代に適合するために最新化したということで受け入れることにした。
忍が理系的なプレゼンやってたり、現代の機器を使いまくってるのはイメージとのギャップがあってちょっと面白かった。
抗争編を見るに、忍と言う存在は言ってしまえば現実で言う暴力団の勢力拡大版みたいな立ち位置なのかなとも思う。

構成は学園編・伊賀甲賀の抗争の大きく二つ。
前者は微妙で後者(特に最終回付近)は良かったかな。

学園編はやってることがラノベやなろうにありがちな展開(分かりやすい噛ませなど)で、オリジナルアニメと言う感じが全くしなかった。
関係が危うい甲賀と伊賀が同じ学校で何やってんだとか、そもそも忍者学園って何で認められてるんだよとかツッコミたくなるところも多々あり・・・。
結局全編通しても学園編で何をやりたかったのかも曖昧でグダグダ感も強い。
伊賀甲賀抗争以外での忍の活躍を見せてくれた方が良かったように思う。

その点、伊賀と甲賀の争いになってからは話の終着点が見えてきたので面白くなったように思う。
主人公の味方まで騙しての伊賀のための行動には当主たる覚悟が感じられて、序盤のやむを得ず忍をやっていた頃からの成長が見えて良かった。
主人公の母への供養や紅雪に対する励まし等、最後の方になって主人公に魅力が出てきた感がある。
肝心の抗争自体も作画は悪いものの、戦闘シーンはそれなりにかっこよかったし、お互いの戦術面での面白さはあった。
ここまで出てきたキャラ達全員に見せ場があり、集大成感が良かった。

環境が変わった後の後日談を描いてのエンドは個人的にかなり刺さる・・・。
この作品も例にもれず余韻ある終わり方。
紅雪に関しては序盤からもう少し絡みが欲しかったなとも感じたけど、当主殺しで絶望していた紅雪への支えだけでも十分二人の関係性にはグッときた。
ただ、一時・紅雪以外のキャラに関しては見せ場はあったものの掘り下げ不足感はやや否めない。
ED好き。

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆2
ビジュアルが死ぬほどつまらなそう。これ何アニメなの?
不誠実とは。マジで面白くねえぞ。
方向性すら見せないの思いっきりつかみ失敗してるでしょ。
クソアニメ臭がすこい。何も惹かれない設定。

2話 ☆4
ニンジャ!?ニンジャナンデ!? 逃げろよ。学園モノ始めるんかよ…。
甲賀SAで草。通ったら絶対寄るわ。
試験したいんか甲賀との戦闘したいんかぐらいハッキリしてくれ…。
普通に試験した方が面白いと思うんだが。巻き込んどるやんけ。
一般人に危害加える気の奴おったか? 金曜深夜面白いアニメひとつもなくね?
ステレオタイプな忍者設定ではなちのはいいけど。ED名作感あるな。

3話 ☆5
なんかラノベでありそうな学園だな。噛ませ、訓練含めほんとに。
全然忍者感がないなこれ。主人公有能かよ。

4話 ☆6
筆記試験(筆記とは言ってない)主人公無能か? よう実で見た。
忍核? 櫛田さぁ…。

5話 ☆5
このアニメ本気で誰得なん…。学園で殺し合いするなよ。
怪しさ満載の老人。
人間の限界を超えた動きはできない現実的な忍者ものって実は珍しい?
魔法科っぽさがちょっとあるな。
ガバガバ管理すぎんだろこの試験w
変な器具の持ち込みとか、殺し合いとか起こらないようにちゃんと運営しろ。
逃げちゃダメだ

6話 ☆3
水着回か? しょうもない回やめろ。街のクソ設定。
主人公の父って殺されてんだっけ。鮎の取りすぎ良くない。
伊賀は今日も平和です。忍者大会議というワードのあほくささ

7話 ☆5
こんなに忍者出してどうするんw
ビジネス忍者描いた方がなんか面白そうだな。
平和的な解決を望むみたいな、忍者の現代への適応みたいな話はちょっと面白いかもしれない。
理系的なプレゼンする忍者、ギャップある。
これ序盤の学園モノパート必要だった?
あんま忍者っぽいことやってないよなこいつら。

8話 ☆5
津田健次郎 誰だよこの女。
証明できたとして甲賀に攻め入ったことに対しては別件で罪に問われそうだけど。この世界警察とかどういう扱いなの? 忍者が銃使うなw
あいつの存在意義なんだったん、今回メインキャラみたいなムーヴしてたのにw そうはならんやろ。

9話 ☆6
こいつ誰だっけ? 未だに伊賀か甲賀どっちがどっちだっけ?ってなるw
これは果たして忍者なのか…?w
いや、紅雪キャラ薄いからそんなに洗脳を乗り越える展開されてもw
これもインストEDかw

10話 ☆8
誰だよそのタレントw 甲賀の子か。
だからEDで主人公面だったのねw いや、甲賀のくせに来んなや。
煽っていくスタイル。あいつ、こいつの父親だったんかよ。
こいつ特にライバル感ないせいで、特に熱くもない共闘展開。
前回のやつでは無いのか父親。独り言聞かれてるの恥ずいな。
最後の母への語り掛けが良かった。今回面白かったな。

11話 ☆10
傀儡不可避だろ。親の敵討ちせんでええのか。ほぼ屈服じゃねーか。
悠木碧に特に印象ない。絶対王政から民主主義に。
反抗しないとマジで母無駄死にじゃん。
まあ反抗が現実的でないなら仕方ないか。本拠地囲まれてて草。
誰だよ。演技か。包囲突破しろって無茶なw 面白くなってきた。
主人公の決断にちょっと感動させられた。

12話 ☆8
精神回復した? 3人でいけんのか? なんか増えたw 戦っとるやん。
警備ガバガバかよ。結局自分の考えを他者に押し付けてるだけじゃんそれw
忍者辞めたい言ってる人そんないないしw ただの悪人だった。
ほんと忍者じゃないw 作画解放。
こういう落ちにするならここまででもっと紅雪との関係性を丁寧に描いて欲しかった。
そこは置いといて、いい最終回だった。忍辞めたんか?w

曲評価(好み)
OP「光」☆6
ED「おぼえたて」☆9
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

忍者学園に行く意味が無かった。テンプレなろうを超えるのは難しいようです。

追記的レビューです。

 私がこの作品で一番疑問なのは、前半で描かれた鉄板の学園編がなぜグダグダで機能不全なのか?という点です。

 他のテンプレラノベやテンプレなろうでも、とりあえず学園へ行けば物語が成立するのに…。

 おそらく、大して意味の無かった主人公が高校生になるまで一般人だった設定が悪いんだと思います。

 一般人から忍者の頭領としての成長を描きたかったんでしょうが、上手くいっていません。

 本来的な意味で、現代の学校は封建的世襲制を否定する形で運営されています。

 誰でも能力に応じて入学出来、モラトリアム期を通して社会の一員になるためのものです。

 教育費を沢山出せる金持ちの方が有利と言われても、建前では勉強や訓練を通して鍛えられた後天的な能力至上主義です。

 テンプレなろうのナーロッパ的似非封建制度下で、現代的な学園を設定出来るのは、魔法の存在を前提にいているからです。

 貴族は魔力を持っていて、庶民で持っている人は少ないとか言うアレです。

 この設定で、かなり自由な教育機関としての学園があっても世襲社会が揺るがないという便利な言い訳になっています。

 本作品の忍者学校の駄目な所は、忍者能力が魔力のように遺伝的なものではなく、一般人の参入の余地があることでしょう。

 主人公からして、最初は運動能力の高い一般人に過ぎないし、忍者パワーに覚醒するという描写もありません。

 忍者の能力は遺伝なので、一般人の社会とは隔絶しているのだ!と、思い切った方が物語としては上手くいったと思います。

 忍者が重火器やロボット等の工業力に頼っているのも悪い設定でした。重武装の一般人で攻めても里の攻略が可能なので、伊賀甲賀で争う意味が分かりません。

 学校一つの設定でも、オリジナルシナリオでテンプレなろうを超えるのは大変なようです。
 …………………………………………………………………

 主人公の所属する現代忍者は、里を中心とした義理人情と地縁血縁にがんじがらめの家父長制的封建組織のようです。血統だけで高校に行くまで一般人だった主人公が正統後継者として扱われて、周囲の忍者や女の子達にチヤホヤされています。しかも、忍者は社会の裏に潜む非公然組織です。
 
 その割には忍者を管理する役所(安忍 機能不全)があったり、色々な里の子供を忍者に養成する学園(高校)があったりと、無理のある設定があります。一般人を入れないで忍者の血縁者だけで学園を維持出来るなんて、日本に何人忍者がいるんでしょうか?

 忍者組織にリアルティが全く無いのも大きな問題です。重火器を所持し、科学的な兵器を運用出来る高い能力を持っている一方、当主の個人的カリスマで運用している任侠組織として描かれています。収入源については、作中サラッとしか触れられていませんが、犯罪組織では無いようです。里の住民を実効支配して、税金でも取っているのでしょうか?どう考えてもやっていることは軍閥で、現代社会にとっては暴力団やマフィアといった犯罪組織より悪質な集団です。武装集団が、社会の裏で群雄割拠しているなんて、ディストピアですね。里の規模も詳しく作中で言及されていませんが、情報操作で忍者の存在を隠せる規模では無さそうです。

 主人公が高校生になるまで一般人だったのも、世襲制の組織では悪手としか言いようがありません。命のやり取りをする組織のトップは時間をかけて組織の論理を内面化しないといけません。当主として家や組織のために死ぬ覚悟も無いヘタレな主人公に手下がついて来ないでしょう。異常な組織に一般人の視点があったら盛り上がるんじゃね?とかで入れた設定でしょうが、上手く機能していません。まだ、忍者が公然組織だった方が話に説得力があります。
 
 また、後半結構人が簡単に死ぬため、前半の学園編は何だったのか状態になっています。学園在学中の高校生も平気で前線に出てくるので、忍者学校の存在意義が不明です。前半後半の雰囲気が違い過ぎて、観ていて戸惑います。一般人を巻き込んでいないとはいえ、明らかにやりすぎです。軍閥同士の内戦状態を国は放置しているのでしょうか?
 ラストどうなるのか、目が離せません。

 11話終了!最終決戦に向けて盛り上がってきました。これまでに死傷者が膨大に出ていることが作中示唆されていますが、裏社会のことなので世間一般では話題にもなっていないようです。局地的な事件だったことにして一気にオチを、つける気でしょうか?最後まで目が離せません。

 最終話観ました!いや〜なんですかこれは!?主人公は最後まで一般人でした。いや、これからも一般人です。グダグダ里や忍者がどうしたとか言っていたのに、出入り自由ですか?あんまりです。

 皆さんのレビューの方が面白い作品でした。オリジナルとはいえ、もう少しなんとかならなかったのでしょうか?

 日本のエンタメ業界は、脚本家の育成に全力で取り組まないとやばいことがよく分かる作品でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ページの先頭へ