成長で泣けるなアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の成長で泣けるな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月31日の時点で一番の成長で泣けるなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.8 1 成長で泣けるなアニメランキング1位
花咲くいろは HOME SWEET HOME(アニメ映画)

2013年3月30日
★★★★★ 4.1 (1282)
7234人が棚に入れました
美しい北陸の四季を背景に、祖母の経営する温泉旅館に住み込みで働くことになった東京生まれの女子高生の成長を描いたTVアニメ「花咲くいろは」(2011年4~9月放送)の劇場版。温泉旅館「喜翆荘(きっすいそう)」での住み込み生活にも慣れた松前緒花は、次第に変化していく自分に気づきはじめていた。そんなある日、緒花のクラスメイトでライバル旅館「福屋」のひとり娘・和倉結名が、女将修行のため喜翆荘にやってくる。自由奔放な結名に振り回されながらも、面倒をみていた緒花だったが、物置の中であるものを見つけて……。監督の安藤真裕、脚本の岡田麿里、アニメーション制作を担うP.A.WORKSほか、TVシリーズのスタッフが再結集。

声優・キャラクター
伊藤かな恵、小見川千明、豊崎愛生、戸松遥、能登麻美子、梶裕貴、本田貴子、久保田民絵、浜田賢二、間島淳司、山口太郎、恒松あゆみ、諏訪部順一、チョー
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

佃煮プリティ~!

時系列はTV版20話~21話の間の話。

この劇場版では緒花の母・皐月の過去話が主軸として描かれます。
「花咲くいろは」という作品は
皆が何かに向かって一生懸命、悩んで迷って成長していく物語であるわけですが
皐月に関しては、TV版ではそういうキャラとして描かれていなかったので
今回あの皐月にもこんな過去が・・・といった感じで掘り下げてくれたのが良かった。
初登場となる父との馴れ初めや、緒花の名前の由来なども明らかに。

{netabare}偶然発見した業務日誌を通じて、皐月の過去を知ることになる緒花。
そして興奮を抑えきれず夜中にジャージで全力疾走ww{/netabare}
本作の象徴とも言える「走る」シーンは、劇場版でも健在でしたね。
上手く言葉にできない感情の発露。見ていて気持ちがいいし、テンション上がります。

皐月-緒花の話と並行して描かれる、ミンチや菜子のエピソードも良かったです。
66分という短い尺の中で多くのキャラの見せ場をしっかり作って
それぞれ中途半端になることなく、きっちり纏め切っています。
各エピをリンクさせて最終的に一大テーマへと昇華させていく構成も見事。
ラストでTV版のOPのシーンが出てくるとこも良かった。こういう演出には弱いですホントw

生々しいエロネタも健在で、冒頭シーンからやってくれました。
良くも悪くも岡田麿里脚本。そういう意味でやはりTARITARIとは違いますねw

TV版をリアルタイムで観て以来、久々に本作の雰囲気に触れたことで
「花咲くいろは」ってこんな作品だったよな~って見ながら思い出しました。
パンフにも書いてあったけど、それがスタッフの狙いでもあるようです。
というわけで、本作は完全にTVシリーズのファン向けに作られていますが
ファンなら観て損はなし!非常に満足できる内容に仕上がっていると思います。


※余談
上映前の「変態仮面」の宣伝うぜええええええ
劇場マナーCMでも迷惑行為や違法行為の禁止を訴えていたけど
まずはお前の変態を禁止するべきだ、と突っ込みたくてしょうがなかった。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 65
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

親の心子知らず 

本編 67分

アニメ版を観てからの視聴をオススメします

総集編ではなくて、緒花の母 皐月が高校生だった頃~のエピソード等を含む、完全新作です。



ネタバレ感想
{netabare}
この作品を見る以前から、この作品のCMで「うっせーババア!」って言う、多分 緒花の母だろう?女の子が 凄く印象に残ってました
んで、この本編を観始めたら、導入から「うっせーババア!」ってセリフから始まり・・・
案の定 緒花の母が高校生だった時の皐月でした  ^^;
直ぐにスッキリでしたw


それぞれのキャラも、いい演出してましたね!

緒花は、皐月と同じで「輝きたい」と、もっとぼんぼる決意を!

今時の軽くて天然の結名は、相変わらず悩みなんかないだろうな~って感じだったし 
以外と仲居の神様がついている!? ^^

みんこは、結名の天然に触発され「佃煮 プリティー」とかで、一人ハズイwww ^^
それに、久しぶりに「ホビロン」聴けて満足でした

菜子は・・・
ほんと良い子やな~(〃ω〃)
お母さん代わりに妹達の面倒みて、
麻奈を探し見つけたデパートの屋上でのシーンは、油断してて思わず泣いてしまった
(yTДT)y  

巴さんは、おばさんキャラでギャグ担当にされてて ちょっと不憫でした^^;
(かかとの角質 硬くなるよね~ ^^;)
巴さんには幸せになって欲しいです。
癒しボイスの能登さんでしたが、お笑い担当キャラだったので、癒し成分が少なかったのが残念でした><

緒花の母の皐月は、自分が親になって初めて女将の生き様に気づきます
「自分に負けられないんだ」と・・・
親の心、子知らず でしたね。。。
「うっせーババア!」と「負けられっか くそババア」のセリフが忘れられません ^^
{/netabare}


自分が この作品を見終わって感じたのは、「家族愛」

自分は子供もいるので、どうしても親目線でした
女将の気持ちも分かるし、
菜子と、菜子の妹が泣く所は 堪らなく切なかったです 
(仕事も大切だけど、家庭が第一だよね)

観る人によって、見方、感じ方は様々だろうけど、
自分はTV版も良かったけど、こっちの話のが好きかな・・・?


心が暖まり、ぼんぼりたくなれた作品でした。(@´ー`@)
オススメです!


主題歌
「影踏み」 歌 - nano.RIPE


PS:喜翆荘の様な、お客を大切にする老舗旅館なら行ってみたいですね!
(*´ー`*) 

投稿 : 2024/05/25
♥ : 76

PPN さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

HOME SWEET HOME ( ,,ÒωÓ,, )

P.A.WORKSによる、TVアニメ『花咲くいろは』の劇場版。
アニメ本編をチェックしてからの視聴をオススメします。

キャッチコピーになっている『私、もっと輝きたいんです……!』
これを約60分でギュッとまとめた作品です(´ー`)
本編と変わらずの丁寧で綺麗な風景、背景をバックに
いつものキャラクターが生き生きと描かれていました。

メインストーリーは母娘愛。
緒花が母・皐月の過去を知ることからお話が展開します。
緒花と皐月、皐月とスイ、それぞれの母と娘の想いが
交差していく様子が描かれています。
親の心、子知らずとはよく言ったものですが
親も子供の本心を理解できている訳ではありません。
そんな揺れる母と娘の想い、関係が上手に描かれていました。

また、メインヒロインの1人である押水菜子の家族愛を
扱った作品でもあり、見所の一つになっています。

それにしても60分は短か過ぎると思いますw
よくまとまってはいるものの、せめて90分でしょ( >_<)
というのが1ファンのワガママ、正直な感想ですかねw
若かれし頃の綾人と皐月の出会いや緒花の出生に関わる
お話が見れたのは良かったです♪


本編を視聴済みの方にはぜひ視聴して貰いたい1本です。
視聴後、温かい満足感を得られると思います!


《キャスト》

松前 緒花(CV.伊藤かなえ)
鶴来 民子(CV.小見川千明)
押水 菜子(CV.豊崎愛生)
和倉 結名(CV.戸松遥)
輪島 巴(CV.能登麻美子)
四十万 スイ(CV.久保田 民絵)
四十万 縁(CV.浜田 賢二)
宮岸 徹(CV.間島淳司)
助川 電六(CV.チョー)
次郎丸 太郎(CV.諏訪部順一)
松前 皐月(CV.本田貴子)
松前 綾人(CV.竹内良太)


《主題歌》

『影踏み』/nano.RIPE


【2014 08/17 レビュー投稿】
【2017 05/12 レビュー加筆】

投稿 : 2024/05/25
♥ : 65

73.6 2 成長で泣けるなアニメランキング2位
ラブライブ!The School Idol Movie(アニメ映画)

2015年6月13日
★★★★★ 4.1 (692)
3546人が棚に入れました
スクールアイドルたちがパフォーマンスを競う大会「ラブライブ!」。
前回優勝者のμ&#39;sは、3年生の卒業をもって活動をおしまいにすると決めていたが、
卒業式の直後、μ&#39;sのもとに飛び込んで来たひとつの知らせを受けて、新たなライブをすることに!
見たことのない世界とふれあい、また少しずつまた成長していく9人。
スクールアイドルとして、最後に何ができるのか——。
限られた時間のなかで、μ&#39;sが見つけた最高に楽しいライブとは——!?

声優・キャラクター
新田恵海、南條愛乃、内田彩、三森すずこ、飯田里穂、Pile、楠田亜衣奈、久保ユリカ、徳井青空

らいむぐりーん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

日本アカデミー賞 アニメ部門優秀作品賞受賞。おめでとう。

ラブライブ二期 「サンシャイン」が始まりました。
期待値が高いかどうかなんて議論することすら辞めた昨今。
先代があるからこその二期。
やりきってほしいの一言。

てか
。。。。海街DIARYってそんなによかったのか?
キャストの顔面偏差値高めなのはめっちゃ分かる。
けどラブライブと公開日被って
興行収入、観客動員数ともに惨敗せんかったか?
アニメと実写枠の評価基準が差別化されすぎとる。

確かに
単純に作品が稼ぎだせた金額だけが見られるって訳でもないやろうけど、
それ抜いて考えても、同時展開のμ’sも紅白初出場。
さらにゴールドディスクも獲って
さいたまスーパーアリーナからの東京ドームでファイナル。
2015年はμ’sが日本カルチャーのトップアイコンだったのは明らかやろ。
アニメ界を賑わせたのは誰が見てもラブライブやったやろ!?
そもそも、日本アカデミー賞の審査基準ってなに?
信憑性まぢ皆無。
これだから八百長だの出来レースだの叩かれるったい( 一一)

すまそ熱くなりました( 一一)

それはさておき、
日本アカデミー賞アニメ部門優秀作品賞受賞おめでとうございます!
最優秀作品賞は「バケモノの子」でした。


タイトルの通りです。
そして
劇場の最高音響空間で観るえりちに完全に魅了されました。
えりち初センター曲。



話の内容は、、、
ラブライバーやなかったらたぶん面白くないと思います。

あまり話の起伏もなく、所々PV垂れ流しです。
いきなりの自己形成異次元。
モブアイドルたちの違和感。
2期後半の掘り返し?
あの人は?つまりフェードアウト?
物語に関しては意見てんこ盛りのモリエスタ



しかし、
作画が綺麗で作中挿入歌も完成度高いので
何の先入観も持たずに、鑑賞されるのも有りかと。
だってかわいい!!
なにより可愛すぎて元気をもらえます。
キャラ立ちの秀逸さは相変わらず抜群です。



あくまで自分はラブライバーです。
最終的にかなりワンサイドなレビューですんません。
(いいやん。だってラブライバーやもん)

ラブライブで得た{可愛い}のヒントを
仕事に活かすため(。。あと乗せ感ハンパない)
3回劇場に足を運びました。
強者は10回っていうひとも。。。|д゚)

 
えりちセンター曲もあり、
お決まりのドヤ顔もあり、
おなか一杯の時間でした( ^^) _旦~~



次期プロジェクトの
LOVE LIVE!サンシャイン 「Aqours~アクア~」に
期待が溢れて溢れて。。。


総括すると、
何の引き出しもなくいきなり映画に行くと、
感情移入する間もなく不完全燃焼→爆死の可能性有です。


でもやっぱえりちやばい

まきちゃん頑張れ!

投稿 : 2024/05/25
♥ : 67
ネタバレ

チャコあっとまーく さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

とにかくキャラと曲の良いアニメ映画

※多少ネタバレを含みます
まず、一言

全員可愛いいいいいいいぃぃぃぃぃい

これに尽きます

キャラに関しては最高でしたね。
あと、曲もいつも通り良かったです。

しいて言うならば内容が少し薄っぺらかったです。
海外に行った意味も正直よく分かりませんでしたし。
{netabare}謎の女性は真姫ちゃんのお姉さんじゃないのかと思いました{/netabare}
モブの存在意義について考えさせられました(笑)

総合評価は

ラブライブ一期≧映画>ラブライブ二期

こんな感じでしょうかね( ´∀`)

投稿 : 2024/05/25
♥ : 8
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

内容B級、人気S級のモンスター。本当に感動した人いるんですか??

アニマスが内容A級、人気もA級と、内容と人気のバランスが非常に良かったのに比べると、このラブライブ!は、どう見ても内容B級にしか私には見えないのですが???この異常人気は一体????

作画は物凄く良いかも?と最初は期待していましたが、別にそうではありませんでしたよ。
演出は流石に物凄く良いのだろう!と少し期待していましたが、こちらも全然そうではありませんでした。
{netabare}NYの街角で謎のフリーシンガーが登場するシーンだけは作画・演出とも力入ってる!と思いましたが・・・他のシーンは全然普通(つまり並の出来)でした。{/netabare}
ストーリーは言わずもがな(最初から誰も期待してないと思うのですが・・・)。
あ、音楽だけは相変わらず良かったです。

おそらく数年後には、劇場公開当時の人気の凄まじさだけが記憶されていて、内容自体はほとんど忘れ去れている作品になるんじゃないですか???

・・・とりあえず第一回のナマ感想は、こんなところでした。
近いうちに二回目行きたいな^^

投稿 : 2024/05/25
♥ : 44

74.2 3 成長で泣けるなアニメランキング3位
ARIA The AVVENIRE[アリアジアッベニーレ](アニメ映画)

2015年9月26日
★★★★★ 4.3 (265)
1680人が棚に入れました
capitolo1 その 逢いたかったあなたに・・・先輩の灯里に同乗してもらい、今日もゴンドラの練習に励むアイ。そのさなか、灯里は運河を行き交うゴンドラの中に藍華とアリスの姿を見つけます。プリマ・ウンディーネになってからというもの、忙しくてなかなか会うことができないでいた3人。ほんの短い時間とはいえそれが叶った“みらくる"に、灯里は過去のある出来事を思い出し、アイに語り始めます。capitolo2 その 暖かなさよならは・・・ある日のこと、アイは興奮気味に灯里に話し始めました。練習中にとっても“みらくる“な体験をしたというのです。見慣れぬ路地の奥で目撃したケット・シーの影…そして、ゴンドラを降りてその影を追った先で出会ったのは、姫屋支店とオレンジぷらねっとで修業中の二人のシングル・ウンディーネだったのでした。capitolo3 その 遙かなる未来へ・・・今、再びの未来をご一緒しましょう。

声優・キャラクター
葉月絵理乃、斎藤千和、広橋涼、大原さやか、西村ちなみ、皆川純子、水橋かおり、川上とも子
ネタバレ

kochiro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

その、永遠に会えない人は…

季節は“冬”

これは水の3大妖精のひとり、セイレーンと呼ばれるウンディーネが若くして急死した後のお話。

{netabare}
アテナ・グローリィの急な訃報から一週間が経過して、ネオベネチアにはもういつもの穏やかな日々が流れているのですが、アテナの指導を受けた唯一の後輩であるアリス・キャロルだけはずっと部屋に引き籠ったまま。びっしりと埋まっていた予約をすべて断って、後輩のアーニャちゃんを指導する役目も会社に返上し、もうゴンドラに乗ることすらできなくなっていました。

カツカツカツ。

「晃さん、ちょっと待ってください。」

ドンドン!

「アリス、いるんだろ。早く開けろ!」

ガチャガチャ、ドンドンドン!

「ちょっと、まだ早いって言ってるじゃないですか。もう少し待ってからでも。」

「ええい、離せ藍華。こんなドアなんてぶち壊してやる!」

ドカドカドカ!ババン!

「晃さん、無茶しないでくださいって、あ~あ。本当に鍵を壊しちゃった…。」

晃が扉を開けると、部屋の隅にはただ呆然と座っているアリスの姿がありました。

「おい、こんな暗い部屋に閉じこもって、おまえ何やってるんだよ。」

「…」

「…、覚えているか?オレンジプリンセスのゴンドラに3か月も前から予約して、お前のゴンドラに乗ることをすごく楽しみにしていたお客様がいただろ、今日な。代わりに私のゴンドラへ乗ってもらった。…、私のとっておきの場所をたくさん紹介したけれど、結局、帰り際にお前の長期休業中ってのが本当に心配だって言われてな、とても不安そうな顔をさせてしまったよ…。」

「…」

「アリス、私達の仕事はただの観光案内じゃない、お客様に喜びを感じてもらうことが仕事だ。わかっているだろ?」

「…」

「…そうか。お前はウンディーネ失格だ。」

「…」

「私からNo.1の座を奪うのはお前だと思っていたのだが…。見込み違いだったようだな。………残念だ。」

そう言って部屋を出る晃さん。扉の隙間から、ぴょこぴょことまぁ社長がアリスの部屋に入って扉が閉まります。
部屋の外にいた灯里と藍華は、アリスの部屋に入ろうとしますが。

「もうほっとけ、ほら行くぞ。午後のお客様、二人とも予約入っているだろ。」

「でも。晃さん酷すぎます。」

「そうだな。…だが、酷いのはあいつの方だ。ほら行くぞ。」

灯里と藍華は心配な顔をしつつも、この場は晃さんの言葉に従います。
扉の前には部屋に入ることができず、扉を見つめるアーニャちゃんだけが残されました。

部屋の中では、まぁ社長がアリスに優しく寄り添います。

「まー。 まぁー。」

「…、まぁ社長。」

「私。もっとアテナ先輩に恩返しがしたかった。なのに。まだ私なんにも返せてないのに。もう二度とアテナ先輩に会えないなんて……。う。ううう…。」

「…、まぁー。」

その頃、アリシアさんはゴンドラ協会でアリス・キャロルの今後の対応を話し合っていました。その場でアリシアは晃がアテナとアリスの二人が抜けてしまった観光案内の穴を埋めるため、代役として朝から夜中まで休みなくびっしりと働いていることを知ります。
このままでは晃の健康状態が心配です。そこで、多過ぎる仕事量をゴンドラ協会加盟の各社で協力して分散させることとなりました。

その会合は夜までかかり、アリシアは晃のこと考えながら帰宅している途中で偶然ゴンドラに乗っている晃を見かけました。
晃は疲労困憊でゴンドラを漕ぐ手も体も震えていました。うつむいている晃にアリシアは声をかけようとしましたが・・・震えていたのは疲労のせいなんかではありませんでした。

晃の頬には涙が見えました。

「……。 なんだ、アリシアじゃないか。」

「晃ちゃん…」

「変なとこ見られちゃったな。仕事に夢中になっている間は全然、大丈夫なんだ。でも、こうして気が抜けるとすぐ悲しみに負けちまう…。今日な、仕事を放棄しているアリスを怒鳴りに行ったんだが、どうやら私もっ… 私も偉そうなことを言えるほどまだまともじゃないみたいだ。何かしていないとダメみたいでな。…本当に情けない、情けないよな・・・・。」

「…晃ちゃん。」

二人とも、何も言葉が出てきませんでした。ただ、お互いの姿が涙に滲み、アテナのことを思い出していました。

次の日、プリマとして自由な時間が取れない灯里や藍華に代わって、まだシングルの後輩3人組がどうすればアリス先輩がまたゴンドラに乗れるようになるか、アリア社長、姫社長も協力して作戦会議を行います。
そして、アーニャちゃんの意見からまずは笑顔を取り戻すことが重要だということになり、作戦指揮はあずさが担当、アーニャはアリス先輩のお気に入りなどの情報収集を担当、アイは素敵なことが起きる予感にさせる素敵担当、兎に角、どんな素敵でもいいからアリス先輩に見せて笑顔になってもらおうとしました。作戦名は、「アリス先輩を笑顔にする大作戦」。そして、作戦が開始されました。

しかし、打ち合わせ通りにはうまくいかず、空回りばかり・・・。

「ふいにゅ~。ふいにゅ~。ぶい、ぷいにゅ。ぶいにゅ~~!!!」

アリア社長がまぁ社長に自ら“もちもちポンポン”を噛むように仕向けるという体を張ったとっておきも、かじられ損に終わりました。

もうダメかも、と弱音を吐くあずさに、どうしてもなんとかしたいアーニャ。仕事を終えた灯里先輩と藍華先輩も加わってアリス先輩に兎に角、ゴンドラに乗ってもらおうと皆でアリスの腕を引きますがついに振り払われてしまいました。

「もう皆さん、私のことなんかほっといてください!」

アリスもみんなの気持ちがわかっているのに、どうしようもできない自分が許せなくなっていました。

「アリスちゃん。でも、そんな悲しそうな顔をされたら放ってはおけないわ」

「え?」

と、そこにやさしい声がしました。

「久し振りね。アリスちゃん。」

「・・・グランマ」

グランマの後ろにはアリシアも立っていました。
憧れのグランマに今の姿を見てほしくない、アリスはその場から逃げようとしますが晃が逃げ道を阻みました。
「お前からグランマに何も言わなくてもいいのか?」

晃にそんな言葉をかけられて、アリスは重い口を開こうとしました。

「…グランマ、あの…もう…私…」

アリスちゃんがグランマに打ち明けることができずにいると
グランマがアリスのゴンドラを眺めながらゆっくり話しはじめました。

「このアリスちゃんのゴンドラは何人乗りかしら?」

「え、あの…。最大で7人です…。」

グランマは頷いて話を続けます。

「ゴンドラは乗れる人数が限られるから沢山のお客様と出会ってばかりではいられないわ。出会う分だけ、お別れしないといけないでしょ。お別れした後、後悔もしたりするわね。でも、そのお客様と一緒に過ごしたかけがえのない時間を失うことは絶対にないの。」

藍華や灯里は頷いていますが、ちょっと難しい話なので後輩3人はついていけていない様子。アリスはしっかりグランマの目を見て話を聞いています。
(そんなアリス先輩の姿をアーニャちゃんはじっと見つめていました。)

「アリスちゃん、永遠の別れは何時訪れるか誰にもわからないものなの。だから、もしかすると明日、急にグランマがアリスちゃんたちみんなとお別れしないといけなくなってしまうかもしれないわ。」

「え、そんなの絶対嫌です!」

「それは誰にもわからない。でも、グランマはね。今、アリスちゃんと一緒に話しているこの時間を絶対に失うことはないの。だから大丈夫。」

グランマは不安そうなみんなの顔を見回してからまた問いかけます。

「アリスちゃん、もうひとつ聞いてもいいかしら?アリスちゃんにしかわからないことなの。」

「え、は、はい…、なんでしょうか?」

「もしも…、アテナちゃんが今のアリスちゃんに言葉を掛けるなら、なんて言うかしら?」

「アテナ先輩が、今のわたしに…」

「アテナちゃんと過ごした時間が一番長かったあなたですもの。わかるんじゃないかしら。きっと、アリスちゃんの心の中にはアリスちゃんしか知らない、アリスちゃんだけのアテナちゃんがいるはずよ。」

アリスちゃんはしばらく考えてから、不安そうな顔をしている灯里先輩や藍華先輩、後輩のアーニャ、みんなのことを見回します。

「グランマ。私…」

グランマはそっとやさしく微笑みます。

「私…、またアテナ先輩に心配ばかりかけてしまっていたみたいです。」

アリスちゃんの潤んだ目を見てグランマは頷きます。

「そう、でも、これからは大丈夫みたいね。ほら、アリスちゃんはもうアテナちゃんを見つけることができたのだから。」

「グランマ。・・・はい。 あ、あの、みなさん、ご迷惑をおかけしてでっかいすみませんでした。」

涙目の灯里と藍華が笑顔でアリスに抱きつきます。

「おかえり、アリスちゃん」

[newpage]

そして、季節は“春”。

花咲きほこるサン・ミケーレ島にあるアテナ先輩のお墓には、お花を手向けるアリスの姿がありました。

「アテナ先輩、今、私、会社から改めて後輩を指導してみないかって話を受けているんです。落ち込んで、みんなに迷惑かけてばかりのダメダメな私にはもう無理なんて思ったりもしたけれど……。」

と、アリスは木陰からずっとこちらを見つめていたアーニャちゃんの姿に気が付きました。

「でも、私にはアーニャちゃんっていう先輩想いのかわいい後輩が既にいるからでっかい無理です。って、断ろうと思っています。アテナ先輩から教えてもらったこと、ちゃんとアーニャちゃんに伝えたいって思うから・・・見ていてださい。・・・アテナ先輩。次はプリマに昇格したアーニャちゃんと一緒にまたここにきます。でっかい楽しみにしていて下さい。」

アリスは立ち上がるとアーニャちゃんに声をかけました。

「でっかい盗み見禁止です。合同練習はやってないんですか?」

「ごめんなさい。でも私、アリス先輩のことが気になって。」

「仕方がないですね。ほら、行きましょうか。今日、夜は予約が入ってないから練習に付き合ってもいいですよ。」

「はい。お願いします。」

アリスはゴンドラに乗ります、手にはアテナ先輩が愛用していたナンバー「36」のオール。オレンジ色に染まった夕暮れのネオベネチアの街並み。飛び立つ鳥たち。アリスちゃんは優しく微笑み明日へ漕ぎ出します。

アリスのカンツォーネ「ルーミス エテルネ」が春風に乗って町中に広がり、歌声に気が付いた晃さんが笑顔でゆっくりと空を見上げ呟きます。

「そうか・・・、私にもついにゴンドラから降りるときがきたのだな。」

灯里や藍華達にもアリスちゃんの歌声が届きます、そして・・・本当の笑顔がネオベネチアに戻ってきました。

そうそう、気になるアリスちゃんが元気を取り戻したアテナさんの言葉。

{netabare}

それはARIAのことが大好きなファンの心に残っているアテナさんの言葉そのものです。

恥ずかしいセリフ禁止!

アテナさん、あなたの言葉にはたくさん助けられました。ありがとうございました。

また今日も平和な日常を過ごせたことに感謝しつつ、現実世界にしかないたくさんの素敵を見つけながら楽しんで生きていきましょう。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/25
♥ : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「その 素敵なカーテンコールに」泣かないって方が無理!『ARIA』を知る全ての人へ

もはやサトジュンにとってもコミックブレイドにとっても伝説の作品である『ARIA』シリーズのアニメ10周年を記念したオリジナル完全新作
美麗な世界観、ヒーリング系というジャンルの確立をしたあの伝説の『AQUA』そして『ARIA』の続編ですよ!社長!


始まって5分もしないうちに流れる映像と共に『ウンディーネ』ってもうそこで泣いていたオレガイル・・・
こんな映画初めてでした、こんな速攻を仕掛けてくるなんて反則過ぎる・・・;


短編×3本=上映時間計60分の作品でパッケージングの際はテレビシリーズBD-BOXに1話ずつ収録されるとのことでまとめて観れるのは映画館だけ
水無灯里がプリマに、アイちゃんがARIAカンパニーの新人シングルとなった未来を舞台に、回想などで時系列が前後するエピソードが中心となります


1本目は多忙のアリシアの裏誕生日を祝いたいという晃の願いを聞いて奮闘する灯里
そして早速我々は「アクアがくれた奇跡」を目撃するのですよ!
だって!だって!!水の!!!水の三大妖精ががががが!!!!!!
ありがとうございます!本当にありがとうございます!
いやだって!川上とも子さんが!河合英里さんが!そこに!そこにいらっしゃるぅ!
もうホント、泣くしかない
泣くしか出来なかった、無理や
こんなんズルい


2本目の短編はなんとあの“ケット・シー”が出てきちまったwww
これもすっごくイイハナシダナー(´д`)
もういいwもうこれ以上オイラの涙腺を刺激せんどくれぇ


って思ったら3本目のラストォォォォ!
これっwこれはもう予定調和の範疇なんだけどwわかってても泣いてしまう;;;;;;;


いやはや;これは『ARIA』っていう作品とそのバックボーンを知る人にとっては最高に幸せな時間であると同時に最高に切ない時間ですね


最初に述べた通り、3本の短編のOPはテレビシリーズと同じ演出でして、3本それぞれに牧野由依の『ウンディーネ』『ユーフォリア』『スピラーレ』が流れるっていう心を抉る妄執のようなサプライズがやべぇ


思えばこの10年で『ARIA』に携わった人々の色んなことが変わったわけです
この世を去った方もいた
会社が潰れたりもした
ROUND TABLEも解散した
でもこうしてオイラ達の前に、『ARIA』は帰ってきたんですね・・・しみじみ


『ORIGINATION』の頃にやっとHD制作になったこのシリーズ、時は経ち技術も進歩し、今回はCGを用いた背景でより美しくネオヴェネチアが描かれてるのも注目したいところ


新キャラのあずさとアーニャも新世代のウンディーネとして各々が藍華やアリスのエッセンスを受け継いでいてとても味のあるキャラになってる!
それにアーニャ役が茅野愛衣で、今作を観て思いましたが新世代の広橋涼、或いは川上とも子=茅野愛衣なのでは!?ってぐらいキャスティングがマッチしていて面白かったですb
(そもそもかやのんが声優を志すキッカケが『ARIA』でしたね)


まさにファンの大きくて重い期待に応えてみせたカーテンコール
心はまさしくスタンディングオベーションでしたよ

投稿 : 2024/05/25
♥ : 23

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

監督や制作スタッフの優しさを感じました

この映画は灯里の後輩であるアイちゃんたちが登場する三話編成の物語です。
とてもほのぼのとした温かい内容でした。

でも、物語の内容よりも、もっともっと感動したものがありました。
それは・・・
この映画で、監督や制作スタッフの人達の優しさを、充分に感じることができたことです。

この映画の制作のとき、アテナ役の声優である川上とも子さんやアテナの歌声を担当した河井英里さんは、既にガンの病気で亡くなられていたのです。

でも、この映画の第一話と第三話の最後で、河井英里さんの美しい歌声を聴くことができます。
回想シーンでは、川上とも子さんの声も聴くことができました。
そして、エンディングでのスタッフ紹介字幕には、お二人の名前が記載されています。
お二人は、この作品の中で活躍している。この映画に参加しているのです。

亡くなられた後もこのように周りの人達が大切にしてくれる。
この映画を制作された皆さんは、なんて優しい人達なんだろう。
まさにARIAの世界のようです。

それだけで私は嬉しくなってしまいました。


2021年の春、ARIA完全新作が劇場で公開され、アテナ役として佐藤利奈さんが担当されました。
その際、飯塚プロデューサからは「もちろん川上さんも引き続きARIAファミリーです」との言葉をいただきました。

ARIAは人と人との絆を大切にしている物語。
映画をつくる人たちの絆も 大切になさっているのですね。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 48
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