東京で超常現象なおすすめアニメランキング 2

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早速見ていきましょう!

64.3 1 東京で超常現象なアニメランキング1位
真夜中のオカルト公務員(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (202)
670人が棚に入れました
フツーの公務員になったはずの新宿区役所職員・宮古新が配属されたのは、東京23区すべての区役所に人知れず存在する「夜間地域交流課」だった。そのお仕事は、人ならざる者が関与するオカルト的事象の解決。先輩で課のリーダー榊京一、オカルトマニア姫塚セオに連れられて人の世の理を超越した存在と対峙しに、夜な夜な出勤する。

声優・キャラクター
福山潤、前野智昭、入野自由、遊佐浩二、櫻井孝宏、土岐隼一
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

レッツ!異種間コミュニケーション(笑)

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
妖怪、精霊、神々、などを「アナザー」と呼称し、彼らの起こすオカルトな事案を専門に処理する公務員達の物語。

男ばっかり出てきますが、特にBLってことはないし、安心安全の当たり障りのない作風。、、、だって、公務員ですから(笑)

これといって際立った良さはないのですが、なんとなく、普通に最後まで観られるアニメでしたね。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
扱うテーマは、「価値観」。

それぞれの種族にはそれぞれの価値観があり、他種族(人間)には理解できないものだったりする。

そこで、アナザーと言語によるコミュニケーションをとることができる唯一の存在、宮古新 を中心に物語は動いていくのだが、、、

う~ん、飛び抜けた良さがない。

これはしょうがないけど、「アナザーならではの価値観や発想」も、所詮、「サイコパスではない普通に善良人間(作者)」が考えたものだから、視聴者にも納得できる枠内に収まってしまった。理想を言えば、「そんなん思い付きもしませんがな」という、予想のナナメ上をいくような「意味のわからなさ」が欲しかった(そういう意味では、宇宙人との交流を描いた冨樫さんのギャグ漫画「レベルE」は凄い)。

強いて、上記のような「異種間」ならでは軋轢がしっかり描けていたのは、7話のアザゼルに復活させられた少女の苦しみ、叫びくらいかな。あれは聞いてて胸が痛くなった(心に残った)。

キャラクターとしては、やはりウェウェコヨトルがよくできていただろうか。つかみどころのないフワフワしたキャラクターだが、だからこそ、一番の「異種」を感じさせてくれた。8話のお散歩回は、妙なコメディタッチながらも、美しく切ない話。なかなか素敵だった。

ラスト12話に、1話完結の「良い話」をもってくるのは、作品に対する制作の愛情を感じた。ヘタに2期に含みを持たせるよりも、よほどスッキリする。

あぁ、あと、東京各所の風景がわりとちゃんと描かれていたし、新国立競技場が使われたのは、なんだか感慨深かった。リアルタイムで良いなと思った。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
普通は、あのスプレーがヤバい薬品で、幻覚を視ていると思うよな(笑) いや、わりと面白い。新人、神の耳(笑) 超エースになれるじゃん。アナザーと言語コミュニケーションをとれる奴が一人いれば、文字を教えて、種族間のコミュニケーションがとれるだろ。

2話目 ☆3
なんかちゃんとストーリーアニメになってきたな。

3話目 ☆3
妖怪の怖さ。愉快犯。思い、、、出した(笑) 神様か。

4話目 ☆3
神様と酒盛り。ハイエナ、渋い。

5話目 ☆2
言語が理解できても、文化や思考を理解できるとは限らないしね。パンドーラーとは、これまたメジャーどころを。

6話目 ☆2
ストーリーに戻ったね。人間は、圧倒的弱者、なのかな?


7話目 ☆4
なんか、ありがちな動機に、がっかり。もっと、発想の外側の動機が良かったな。なんて迫力のない、逃走劇(苦笑)

ただ、復活を喜ばない、少女の、泣き叫び。あれは良かったな。人間として、何が幸せなのか、アナザーとの価値観の違いが出ていた。

ラストは、まあ平和だけど、目が見えないままにしておくというのも、展開としてはアリだったかな。

8話目 ☆4
後楽園から上野、そして、浅草、押上。歩いて歩けない距離じゃないけど、かなりキツいな(笑)

妙なコメディタッチながらも、美しく切ない話。なかなか素敵な回だった。

9話目 ☆3
踏み潰して、一閃。人間の方が、複雑怪奇。

10話目 ☆3
新国立競技場、ある設定なんだね。繭を作るアナザー。アナザーと神の境目は、格なのか?

11話目 ☆3
アナザーと人間の協力、は分かるし、アナザーの支援は嬉しいけど、アナザーの能力はほぼ使わず、人海戦術、か。

12話目 ☆3
ラストに、ちょっと平和な話をもってくるのは、作品に対する制作の愛情を感じる。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

妖怪、精霊、神々といった超常的存在との平穏を図りながら、都内でのオカルト事件に対応する夜間公務員の物語。

この作品の原作は未読です。
事前情報一切無しで視聴を始めて、気が付いてみたら完走していた…私にとってそんな作品でした。


フツーの公務員になったはずの
新宿区役所職員・宮古新が配属されたのは、
東京23区すべての区役所に人知れず存在する
「夜間地域交流課」だった。

そのお仕事は、
人ならざる者が関与するオカルト的事象の解決。

先輩で課のリーダー榊京一、
オカルトマニア姫塚セオに連れられて
人の世の理を超越した存在と対峙しに、
夜な夜な出勤する。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。
公務員の中でもオカルト的な相手との接触を生業とするのは、普通に考えると物凄くリスキーです。
同じ給料しか貰えないのなら絶対配属されたくない部署だと思いますが、新が配属されたのはある意味必然でした。

それは、新たにしかない…かどうかは分かりませんが、少なくてもこれまで登場したキャラの中では新だけが「砂の耳」を持っていたから…
妖怪、精霊、神々、これら一般の人間には感知されない超常的存在を、この作品では「アナザー」と呼んでいるのですが、砂の耳の持ち主はアナザーと対話することができるんです。

アナザーが何を言っているかを理解することができ、アナザーにこちらの意思を伝達することができる…
確かに凄い特殊スキルだと思います。
でも、見方を変えて考えると、アナザーが何を言っているかが全く分からない状態で、これまで超常的存在と対峙してきたことの方が遥かに凄いと思います。
下手したら、相手を怒らせてしまうかもしれない…
そうなったら、相手がどんな手を打ってくるのやら…底が知れません。

何故、新が砂の耳を持っていたかは、彼の出生に秘密があるようなのですが、結局のところ、この件については真相に辿り着きませんでした。
そこは完走しても少しモヤっと感が残るかもしれません。

だから…なんでしょうね。
アナザーに近づきすぎるな…と新が先輩たちから警告を受ける場面を何度も見ました。
そりゃそうです…アナザーと呼ぶ位、人間とは在り方から異なっているのですから…

彼らと対話する以上、ある程度寄り添う必要があります。
それは先輩たちからすると、十分過ぎるくらい危険領域に踏み込んだ行為…
でも対話が、解決に向けた一番の近道ですから…

慎重さを無くして良い訳じゃありません。
新の加入をきっかけに、仕事の仕方が変わりました。
例えば人間とアナザーで酒盛りするとか…

お互いの意思疎通が図れなければ、絶対実現できないことです。
人間とアナザーは共生していかなければいけない間柄である以上、交流は欠かせません。

もちろん、新の仕事のやり方を否定する同業者も存在します。
誰もが砂の耳を持っている訳じゃない…
持たざる者には勝てない…?
特にエリートなら真っ向から否定するでしょう。
じゃないと、これまで積み上げてきた自信を、きっと失ってしまうから…

だれもが能力者ではないんです。
選ばれなかった者は、自らに努力を課すことしかできませんから…
私も選ばれなかった側なので、否定する人間の気持ちは良く分かります。
この作品がスルっと完走できたのは、そんな視聴者に寄り添う視点で物語が描かれているからかもしれません。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、福山潤さんの「dis-communicate」
エンディングテーマは、土岐隼一さんの「約束のOverture」

1クール全12話の物語でした。
物語は綺麗に纏まっていたのではないでしょうか。
作画も特に崩れや乱れは感じませんでした。
設定も良かったからでしょう…しっかり堪能させて貰った作品でした。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

『発想』は良かった。でもあまりにも『不完全で不十分で不器用』!

2019.07.01
主人公・宮古新(みやこ あらた)22歳。
東京都の公務員採用試験に受かり配属されたのは「新宿区役所夜間地域交流課」。ここは都内の闇に存在するアナザー(妖怪・心霊・神々などのオカルト案件)を監視・調査・被害が発生すれば対処する部署。人間とアナザー、お互いに深く干渉して(傷害)事件性を起こさないように対処するのが目的。
しかし会話や意思疎通が双方ともまったく出来ないので「行動」で推測するのがかなりの難点。そんな折、新人・新は「砂の耳」と言われるアナザーの「声や会話が聞こえる・理解できる」能力に開眼。こうして新は闇世界に関わっていくのだが・・・

【簡易感想と若干の指摘(?)】
●国家事業(?)としての灰色なオカルト対策部署という設定は面白いと思います。惜しむらくは、もっと組織ゆえの複雑すぎてダメなトコロが見たかった。

●人の都合とアナザーの都合。双方思惑が食い違うテーマはイイですね。実際、野猿や野生のシカ等がが里山の畑や民家に入って食い散らかす被害が出ても、人間様の社会生活事情なんて知った事じゃないから食料があれば本能的に漁るのが当たり前でしょうし・・・そこでどのように共存するかが悩みどころ。そういう着眼点は良かった。


しかし!

●アナザーのデザインは、やはり「(創造が)出来ない人」特有の「人間素体」が基準になっているようで『奇抜』さが無かったのが残念。 むしろ、それぞれの「縁や関係性重視」でストーリーを組み立てる主義なのかもしれませんね。

●宮古新が『(砂の耳を)持ってる』のに「ボンクラ」過ぎるのが見ていて腹立たしくもあり、不愉快でもありました。見事に「平和ボケ日本」で育った青年です。(笑)
公務員としての仕事はそつなくこなすものの、配属されたオカルト専門の部署にも関わらず、
・オカルトに関する「造詣・知識無し」。
・オカルトに関する「興味(あまり)無し」。
・なので、すすんでオカルト知識を学ぶ「意欲無」し。
・平和ボケしてるのでアナザーの危険性に対して悲しい程「無警戒(スキだらけ)」。
・「砂の耳」という常人がうらやむ能力が有りながらも「自覚無し」。(凄腕ネゴシエーター=交渉人になりうる素質がありながも凡庸すぎ)
『才能』があるにもかかわらず、まったく伸ばそうとしない「ボンクラ」ぶりに苛々苛々苛々苛々苛々苛々苛々・・・・・・・。
・安倍晴明と縁があると知っても、まったく「自覚無し」。(え?誰ソレ?偉い人?)
など、なんかポヤ~~ンとしすぎ。
良い面としては、
・基本優しい善人
・対話解決主義
なんだけど・・・・・アクティブさが無い分、なんか観ていて苛々させられました。(表情も固かったしネ)

●自由本舗なウェウェコヨトル=琥珀。性別は無いだろうけど、女性のようにしなやかな肢体で優男声。相手をまったく気遣わない自分主義。その結果周りを混乱・争乱させるトリックスター。う~~ん、何か気持ち悪かったです。(笑)


そんなわけで、「オカルト面」に関しては、何かと「ニワカ知識」で浅く、面白味がいまひとつ。
ストーリー・ドラマに関しては、もう3~5工夫すれば面白くなるように思えました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

65.4 2 東京で超常現象なアニメランキング2位
BLOOD THE LAST VAMPIRE -ブラッドザ・ラスト・ヴァンパイア(アニメ映画)

2000年11月18日
★★★★☆ 3.6 (185)
846人が棚に入れました
『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(ブラッド ザ ラスト ヴァンパイア)は2000年から展開された、Production I.G制作のメディアミックス作品群。少女と怪物が繰り広げる戦いを描いたホラーアクション作品。
【ストーリー】1966年ヴェトナム戦争のさなか、日本の横田米軍基地内のアメリカン・スクールに、ひとりの日本人少女・小夜が転校してきた。彼女の正体は、闇に生き暗躍するヴァンパイア・キラーであった…。
ネタバレ

おなべ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

セーラー服を着た少女が日本刀で怪物どもを斬り殺します

少女、怪物、日本刀を題材として製作された上映時間48分の短編映画。製作会社はProduction I.Gで企画協力に押井守、キャラデザ寺田克也、脚本神山建治、作画監督黄瀬和哉、音楽池頼広、監督に北久保弘之って、油が乗りに乗った超豪華メンツで申し分ない。見る前からとてつもない期待をしてしまいます。


ベトナム戦争最中の横田基地内のアメリカンスクールに転校しに来たセーラー服を身にまとった謎の少女「小夜」が、謎の男達の監視下の中、怪物をぶっ殺すべく探索するというのがあらすじ。
また、舞台がベトナム戦争中の横田基地であることから、キャラクターがほぼアメリカ人で、作中は英会話が多めです。


パッケージの陰鬱さ具合から「一見さんお断り」なコアな雰囲気が漂っていますが、話は至ってシンプル。例え英会話の場面で字幕ナシで聞き取れなくても、話の支障は然程なく見れます。わかりやすい展開なので、今何がどうなっているか意味不明な状況には陥りません。その分物語やキャラクターに掘り下げは少なめなので、予想してたよりも味気なく感じてしまうかもしれません。


怪物を日本刀で斬る一瞬を、美しく格好よく映してあるのが本作の美点なので、これは物語を楽しむというより、レビューの題名の通り、日本刀を使って化物共をぶった切るセーラー服を纏った小夜さんの実験的映像作品及びプロモーションビデオとして捉えた方がいいでしょう。

BLOODシリーズは今や様々な作品がありますので、一応今作は初代BLOODと称させて頂きますが、初代の小夜さんはめっちゃくちゃ強いです。近頃の細腕のか弱いヒロインとは打って変わって、筋肉質でたくましい。アンジェリーナジョリー並の厚めの唇が個性的で、寺田克也氏の癖の強いキャラデザは好みが別れる所です。
私は最初は躊躇していましたが、勇ましい小夜さんを見ている内にすっかり虜にされましたね、ええ。戦う強い女性はやはり素晴らしいですね。cv工藤夕貴さんのクールボイスは文句ナシです。
{netabare} 劇場版BLOOD-Cの小夜はツンデレ具合がとても宜しかったですが、初代BLOODの小夜さんは常に不機嫌そうなんですよねえ…。口元をへの字のようにキュッとつむっているからかもしれませんが。驚いたのはセーラー服に「何だこの服は」と不満げな台詞を洩らす事。好きで着用していたわけではないようです。 {/netabare}


アクションシーンは今見ても全く劣らない動きの滑らかさです。特に序盤の地下鉄のシーンは不気味な音楽も合わさって、非常に緊張感があります。また、全体的に背景美術はもちろんキャラクターのデザインもリアルを目処にされています。陰鬱とした作風も素晴らしいです。
{netabare}「地下鉄=初代BLOOD」のイメージがある通り、地下鉄で斬り殺すシーンはホラー映画のように恐ろしい。後半デビットさんに「ソード!」と叫び、日本刀を投げ渡されてその刀で怪物を回し蹴りのようにスッパリ斬るシーンは痺れました。{/netabare}


話の物足りなさも残念な所ですが、もう一つ私が気になった所は、台詞が陳腐なこと。前述した通りこの作品は比較的リアルな世界覧を表現しているのに、キャラクターの喋る事がいかにもアニメらしいのです。リアルなキャラと台詞の粗雑さがイマイチ噛み合ってない。英語で台詞の簡略さをカバーしているようにも感じてしまいます。台詞回しには何らかの工夫が欲しかったですね。
{netabare} 特に序盤のデビットさんの「上からの指示だ」「本当に何も知らんよ!」はマシな言い方がないものかと。あまり裏組織の人間には見えないですね。
無愛想な小夜が神に対して嫌悪感丸出しにする描写は中々良かったです。小夜が吸血鬼であることを暗示させる描写は多めにあった方が、感情移入しやすかったかなあなんて思いました。
また、BLOODシリーズには巻き込まれ系キャラが大抵います。今作は保健医がそのポジションであるものの、小夜との交流が薄い。2人の関係は淡々として味気ないのもちょっぴり残念です。{/netabare}



映像面の表現法や構図には圧巻されるし、上映時間の少なさからいろいろストーリーは物足りない面もありますが、それもご愛嬌といったところ。セーラー服を着た少女が日本刀を使って怪物を倒すコンセプトの映像作品としては充分完成していると思います。この物語と小夜さんの続きを見たいです。
別作品の「BLOOD-C-the last dark-」は初代BLOODをリスペクトしたシーンがあるので見比べてみると面白いです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

小夜

BLOODシリーズの原点にして、ProductionIGの初オリジナル作品です。
第4回文化庁アニメ芸術祭アニメーション部門大賞の他、色々な賞を受賞してます。


<物語>
アニメ映画史上最高水準にあると言っても過言ではないでしょう。
開始2分も見れば、この作品が秘めたポテンシャルを嫌でも痛感すると思います。
"怪物と戦う少女"というベタなジャンルでありながら、圧倒的なまでの展開力と重厚な作画で、至高の作品に昇華させています。
舞台がベトナム戦争中の横田基地周辺のアメリカンスクールということもあって、最初はほぼ英語で展開していくのも質感を増している要因でしょうか。
作品全体を包み込む雰囲気が何しろ尖っていて、始終圧巻されました。

<作画>
まず、この作品はIG内で発足した"押井塾"と呼ばれるチームで企画が誕生しました。
この"押井塾"は、押井守さんが新人クリエーターを集め、週一でテーマを決めて企画立案させて、それを押井さんが評価するという、内輪の倶楽部のようなものでした。
"押井塾"には神山健治さん、藤咲淳一さん、荒川真嗣さん、岡村天斎さんなどが在籍して、それはそれはタフネスな現場だった様子です。
元々内輪向けの作品で終わらせるはずが、IGが自社版権の作品を欲していたという事情もあり、長編映画として発表された経緯があります。
作画は当時にしても群を抜いていて、井上俊之さん、西尾鉄也さん、小池建さん、磯光雄さん、松本憲生さん、中村豊さん、吉成鋼さん、沖浦啓之さんなど豪華な顔ぶれで、一人一人の担当パートが多いことも特徴です。
作画への評価は正直天元突破しています、間違いなく本作一番の魅力でしょう。

<声優>
小夜を演じられたのは女優の方ですね、悪くなかったと思います。
英語で会話するシーンが多いという事で、外人声優を起用してたのが斬新でした。

<音楽>
主題歌のようなものはありません。BGMは申し分ないです。

<キャラ>
BLOODシリーズでは、キャラの名前は同じでも、それぞれの世界観は断片的で繋がりはありません。
本作の小夜は、達観したかのような超サバサバ系で、冷たく人間的な感じがしないですね。
そこが良いんだよと思われる方も多いかも。


テレビ版に比べてかなりマイナーな気がします、が化物のような迫力のアニメ映画です!
見られる機会があったら是非。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

瞬間消灯とクリフカット、そして日本刀

非常に懐かしい。
その昔、地下鉄銀座線に乗ることが多かった。
駅近くになると、車内の明かりが壁の非常灯に切り替わった。

後で知ったのだが、線路横を走るサードレールから集電する方式で、その時まだ旧車両の走る銀座線では、設備上の都合でレールが途切れる区間に差し掛かると、いわゆる瞬間消灯していたのだ。
戦争映画が好きな種族にとっては、脳内でサブマリンバトルの妄想が始まる瞬間である。・・・、アホである。

冒頭、この説明をワンシーンで描き、先頭車両からバチバチと消灯してゆく刹那、一瞬にしてBLOODの世界に引き込まれる。

そして、福生の街を横田基地に向かう一台の車。
これがまた良い。
逆に傾斜したクォーターピラー、クリフカットが特徴のマツダ・キャロルではないか。
RR横置き水冷四気筒、モノコックボディ、小さな高級車と呼ばれた軽自動車である。

カットつながりの小道具を持ってきたセンスの良さ。

主人公である“小夜”のキャラデザがまた素晴らしいのだ。
相手を射すくめる鋭い目としっかり結ばれた厚い唇。
セーラー服のスカートは普通丈、スケバンロングでもパンチラショートでもないのだ。

少し前に、マーベルの“ブレイド”が映画化されてはいるが、断然こちらの方がカッコいいのだ。
ハリウッドに与えた影響も非常に大きいそうだ。
タランティーノの話は有名であるが、近年観た中で、バンパイア・ハンター物では出色の面白さであった、ギレルモ・デル・トロの“ストレイン”や、ゾンビ物の“ウォーキングデッド”のメインキャラ、日本刀使いの“ミショーン”あたりにも影響を与えていることは間違いなかろう。

内容についてはあまり触れずにおこう。
なにせ僅か40分余りの作品である。

それでも、強弱を付けたアクションの間合いに個性のある登場人物を配し、一気呵成にラストへなだれ込んでゆく展開が気持ち良い。
さらには横田基地の中での“命のやり取り”と、ベトナム戦争という“不条理な死”が対比され、全くもって心憎い演出となっている。

棒読み感のある英語での台詞回しには幾分不自然さを感じるのではあるが、海外作品で辟易させられる、チャイナ訛りの日本語よりは余程マシではある。

通産省も一枚噛んで、Production I.Gと押井塾の執念と遊び心がつまった作品である。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11
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