2024年度の歌い手おすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2024年度の歌い手成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月06日の時点で一番の2024年度の歌い手おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.7 1 2024年度の歌い手アニメランキング1位
ゆびさきと恋々(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (105)
295人が棚に入れました
この手で「好き」って伝えたい…。 累計発行部数360万部突破(電子含む)、各種賞にランクインし、SNS などでも多くの反響を集める森下 suuが描く『ゆびさきと恋々』。 女子大生の雪は、ある日困っているところを同じ大学の先輩・逸臣に助けてもらう。 聴覚障がいがあって耳が聴こえない雪にも動じることなく、自然に接してくれる逸臣。 自分に新しい世界を感じさせてくれる逸臣のことを雪は次第に意識し始めて…⁉ 聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリーがはじまる。
ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

Be about it

"頭ポンポン" 。
それはいきなり天上から舞い降りた、未知の世界の扉を開けるメッセージ・・。
雪にはそんなふうに感じられたんじゃないかな。

主人公の雪は、女子大生。
先天性の聴覚の障がいがあります。
補聴器を付けているので、全く聞こえないわけではなさそうですが・・?
手話、ゆび文字、読唇、筆記などを駆使するマルチリンガル?です。

相手の逸臣は、若くして海外を旅する長身バックパッカー。
コミュニケーションに困っている雪をさり気にサポートするのはノブレスオブリージュ?
おまけに英語とドイツ語がこなせるトリリンガルで、中国語もイタリア語も勉強中ってどんな内面性なのかな?



3話。
{netabare}
What is your life about?

中学英語で直訳すれば「あなたの人生に関しては何がある?」。
(間違えていればご教示くださいませ。恥・・ )
でも社会人や大学生なら「あなたが生きる目的は何?」、「君の人生の本分は何?」が "スマート" です。

be about it

自分の意を尽くそう。
自分の行動で世界を広げていこう。
そんなパッショネートを作品のコアに据えている雰囲気です。

lingual

元々の意味は "舌" 。
雪は喋れないから、ゆびさきがその代わり。
キモチを指先で伝える感覚、それが恋ならなおさら手話は難しいかも知れません。



逸臣が雪に "頭ポンポン" したことで「いくらなんでも初対面でそれは失礼すぎるでしょう」と話題になったみたいです。
私としては、二人のプロフィールを深読みすれば、十分うなづけるシチュエーションじゃないかなと思うのですが・・。

雪の補聴器を見て、すぐにコミュニケーションに難しさがあると推測できた逸臣です。
それにジェスチャーやボディトークでコミュニケーションが十分成り立つことは海外生活で体得していたものと受け止めました。

くだんの "頭ポンポン" 。
「マナー違反にも感じられる強い違和感」ですが、実は本作にアプローチするための重要なヒントになっているのでは?と思います。
例えば、健常者意識に由来する常識的尺度は、障がい者への合理的配慮とは大きなズレがあるのではないだろうか、という観点です。

そもそも雪はそういう世界で生きてきたのですから。
そして逸臣もそういう世界を開こうとしているのですから。



左手の小指を立てて、その爪先を右手のおなかで軽く撫で回す。
女性への「かわいいね」を伝える手話です。

爪先は「女性の頭」を指し、撫でるのは「愛」を表現しています。
逸臣の「頭ポンポン」は「君はかわいいね」をストレートに伝えているわけで、雪にしてみればそれは直感的に理解できますし、勘違いするのも当然なのかもしれません。

ちょっとカッコイケメンな男の子が、危機に陥った女の子をスマートに助けたんです。
だから、そんな "勘違い"、いいえ "思い込み" が出逢いのきっかけにあってもいいんじゃないかなと思います。

にしても、別れ際のアピールが「君はかわいいね」だなんて、雪の世界にだけ通じるスキンシップ・・・。
う~ん、やっぱり「憧れない理由はない。」でいいんじゃないでしょうか。

(頭ポンポンの意味は、3話で説明されています)。



「人は見た目が9割」なんて俗説があります。
コミュニケーションにおいて "非言語的要素" がいかに大きな影響を及ぼすか、相手に対する好感度や信頼感は "言葉以外のファクター(見た目や態度、声のトーンなど)で決まりがち" というものです。

「メラビアンの法則」というのが出自らしいです。
1960年代の心理学者ですが、彼が提唱したのが「三つのV」、「7-38-55ルール」。

それぞれの数字は、言語(Verbal)の7%、聴覚(Vocal)の38%、視覚(Visual)の55%という、感情を伝達する際の寄与性の割合を表しています。

心理学では「初頭効果」というそうですが、初めて会った人に抱く印象は "たった3秒" で決すると言われるそう。
このような瞬時に形成される印象づけの効力を「初頭効果」と呼ぶみたいですね。

雪は言語と聴覚に障がいがあるので、視覚的効果(55%)がぐんと増幅しちゃったんですね。
100%かな? それとも200%かな?

(メラビアンの法則については、誤解のないように、詳細は、Wikiを参照してくださいね。ネタバレにはなりませんから)。



ハンドルネームに一文字重なるので軽い気持ちで視聴し始めましたが、案外と楽しめそうな予感です。

雰囲気の良い恋バナと青春群像劇に魅せられたいなって期待しています。
{/netabare}


6話。「恋々」ってどんな意味?

1話めから、恋々ってどんな意味合い?って思っていましたが、6話めにして展開したのは、雪と逸臣の "相思相愛する姿" でした。
え?一目ぼれ同士だったってことなの?

恋々(れんれん=恋い慕って思いきれないさま)。

"思いきれない" というなら、ナイーブでセンシティブで、感傷的なお話になっていくのかな。
近づいたり、離れたり、途切れたりする心にうまれる "思いきれなさ"。

都会的でも、大学生でも、知性や教養があっても、恋は全くの別ものなんだから。

ハッピーエンドかな?
それともビターエンドかな?

be about it.





観終わりました。

思っていた以上に二人の距離感はステディでした。
いわゆる運命的な出会いから始まる恋愛王道一路です。

雪には、ものすごく真摯な気持ちで向き合おうとする姿が見られます。
それはそれで人として好印象なのですが、一つポイントを上げるなら雪が極めて狭い世界で生きているからで、身の回りの雑音がほとんど入らないからだと思います。

彼女にとって、人と接するに音声言語を媒体としません。
それは、脳から遠いゆびさきに意思を預けること、思考をゆびさきに行き届かせることです。
音がないからこそ、より思考を深め、反駁し、昇華させるのだと思います。

例えはおかしいかもしれませんが、私は、落語や漫才の舞台で手話通訳を見たことがありません。
言語表現が高度に発達した日本の国で、ニュース番組はともかく、伝統的文化や時事の漫談、流行りのくだけた俗語がスポイルされた日常は、健常者の方には思いもしない世界なはずです。

そのなかで出会った逸臣の人柄は、雪にはどう映ったでしょう。

逸臣の雪に対するスタンスは、彼自身が海外での言語的ディスコミュニケーションの難しさを痛感しているからであり、その体験があっての出会いだったのだと私は得心しています。

二人を引き寄せ合う、惹かれさせあう十分な背景が、雪と逸臣の生い立ちにはあった。
それぞれに自らが求めていたコミュニケーションがそのゆびさきの振る舞いに感じられた。

二人が持ち合わせている異世界、異次元、異体験が、本当にひょんな出来事から扉を開けあった1話め。
それぞれの生き方が一つにまとまる道、同じ世界の伴侶としての未来を手繰り寄せる最終話だったと思います。

それにしても・・・主人公が大学生設定という強みもあったのかなと思います。
甘いばかりじゃない、激しいばかりでもない、いくらか塩対応もあるし、略して語らずもある。

頭の賢い人の恋愛脳って、こんなシーン、こんなヒストリーを積み上げていくのかなって思いました。

あと、OP、EDは、"耳に心地よくて" 好きでした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

周囲と違った魅力を持つ人はモテる!

『日々蝶々』などの森下suuによる原作漫画は、『デザート』(講談社)にて連載中(既刊10巻、原作未読)。
アニメは、全12話(2024年)。監督は、『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』、『かくしごと』などの村野佑太。制作は、『北斗の拳 イチゴ味』、『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません(1期と3期)』などの亜細亜堂。
(2024.4.19投稿、4.27「周囲と違った魅力を持つ人はモテる」を加筆)

【あらすじ】
生まれながら耳が不自由(ろう者)な大学生・糸瀬 雪(CV.諸星すみれ)は、見知らぬ外国人から外国語で話しかけられていると思って困っていたところを同じ大学の先輩・波岐 逸臣(なぎ いつおみ:CV.宮崎遊)に助けられる。イケメンで「初対面でも私と会って戸惑わない」逸臣に興味をもった雪は、次第に逸臣との距離を縮めていくという恋愛もの。美男美女カップルなので、それぞれの恋のライバルとの絡みもあります。


【ろう者との一種の「異文化」交流】
予めタイトルの「異文化」に誤解が生じないよう断っておきますが、日本のろう者が日本人と異なる文化をもっているという趣旨ではありません。

私は、ろう者を受け入れる体制が整った中学校にたまたま通っていたので、ろう者のクラスメイトや後輩がいました。その実体験もふまえて、完全な異文化交流ではないけれど、異文化交流と似た側面があるという趣旨で使っています。


まず、彼らは、聴覚障がいの程度にもよりますが、補聴器から聴こえてくる不鮮明な音と相手の唇の動きを読む読唇術の組み合わせによって、相手の言ってることを「概ね」理解します。

したがって、ろう者と「十分な」コミュニケーションをとりたい場合は、指文字や手話を使った方が望ましい(ただ、周囲のちょっとした工夫、例えば、口をちょっと大げさに動かしたり、筆記を用いたりすれば、日常会話で困ることはほぼありませんでした。)。

指文字や手話は、日本語ベースなので完全な外国語ではないのですが、相手とより十分なコミュニケーションをとりたいと思った場合に必要になってくるので、外国語の習得と似たようなところがある。

本作でも、外国語を習得するにはその言葉を話す人を恋人にすればいいとよくいいますが、逸臣は雪に対する興味に比例するかのように指文字や手話に次第に興味を持ち始めていきます。


次に、ろう者は、当たり前ですが聴覚からの情報がないか少ない。これは、もちろん不自由な点ですが、彼らはそれを補うための独特の感性をもっている。

現在の補聴器の性能は私が学生だった数十年前と比べて相当上がっているようですが、補聴器の補助と読唇術による会話は完全ではありません(本作では、さらに文脈や過去の経験をあわせて考えて、ちょっと素敵な聞き間違い(「ギ」と「キ」)をしていますが、こういった勘違いはよく生じます。)。

また、当然、相手の口が見えないと何を言っているのかわからないので、横を向いて他の人と話したり、(一人の口しか見れないので)大人数で話したりしていると結構不安みたいです(本作にも同様のシーンがあります。)。

そういった場合は、本作の主人公である雪もモノローグがすごく多いのですが、断片的な情報からものすごく色々なことを考えているようです。

なので、勘違いを正したり状況の説明をしたりせずにいると想像がどんどん膨らんでいく場合があるため、できるだけ確認していく必要がある(本作では、逸臣が自然にそれをやってましたね。)。

確かに、煩わしいと思うかもしれませんが、本作のりん(CV.本渡楓)もそうでしたが慣れてしまえばそうでもないし、音のない(もしくは少ない)世界にいる彼らの感性は、音のある人と少し違う面がある。

特に彼らは音以外から得ている情報量が多い。相手のちょっとした手の動きや顔色などから、そんなことまで感じているのかとよく驚かされた(的外れすぎて驚いたこともありましたが(笑))。
当時はそんなつもりはありませんでしたが、今思えば、それがちょっとした一種の「異文化」交流みたいな感じだったなあと。

本作でも、逸臣は海外旅行好きで異文化交流も大好きなのですが、海外旅行と同様に違った感性を持った人と出会った驚きや喜びが表現されていると感じました。


最後に、日本の聴覚障がい者は、40万人(300人に1人)らしいので、極めて珍しい存在ではないはずです。しかし、日本では、「特別支援学校」に通うことが多いため、ある意味、一般社会から隔離されている面がある。

それが、上のあらすじでも書いた「初対面で私と会って戸惑う」といった「心理的な壁」を生んでいる原因でもあるのですが、そういったところで大切にされて育ってきた彼らは、本作で逸臣も言っていましたが、すごい純粋だと私も感じました。

そういった雪のもつ純粋さに逸臣が惹かれていくところも本作の魅力の一つだと思います。


【「周囲と違った魅力を持つ人はモテる」(2024.4.27加筆)】
私が本作を「異文化」交流と評した一番の理由は、例えば、日本に来たフツメン留学生が可愛い日本人の妻と結婚して帰国したり、その逆もまたよく見ていたりしたので、「周囲と違った魅力を持つ人はモテる」という実感があって、本作がそれと同じだと思ったから。

本作の雪と逸臣が惹かれあった理由って、お互いの外見というより(外見ならエマ(CV.東山奈央)でもいいわけで)、私は基本的にそこ(周囲と違った魅力)にあると感じたので、異文化交流と同じだなあと思ったわけです。

私の恋愛ものの評価基準は、容姿以外の恋に落ちた理由が納得できるかどうか。本作は、私のような経験のある人の方が共感できる部分が多いのかもしれませんが、異文化交流と同じように異なる境遇の人に対する想像力をもてば、雪と逸臣がお互いに惹かれあう理由が十分に納得できる作品だと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

聴覚障害の描写はよかったが・・・キャラ描写に違和感

【レビューNo.115】(初回登録:2024/3/24)
コミック原作で2024年作品。全12話。

(ストーリー)
聴覚障害を持つ女子大生糸瀬雪は、困っているところを波岐逸臣に助けて
もらう。実は逸臣は同じ大学の先輩で国際サークルに入っていて、バック
パックで海外を飛び回る学生生活を送っているのだった。
耳の聞こえない雪にも動じることなく接してくれた逸臣に、少しずつ雪は
惹かれていく。

(評 価)
・聴覚障害の描写はよくできていた
 ・主人公は聴覚障害を持つ女子大生・雪ということで、この聴覚障害の
  描写はホントよかったと思います。
  ・手話から始まり、最初逸臣のキャラデザをみたとき「唇」が特徴的
   で凄く違和感を覚えたのだが
   → 後に雪が「唇の動きを読む」という描写があり、そのために唇
     を細やかに動かす必要があるということで凄く納得できた。
  ・それから
   ・背後から不意に近寄り触れられると(足音が聞こえないので)ビ
    ックリする。
   ・聴覚障害がネックになって、なかなかバイトが見つからない。
  といった描写は、言われてみれば「なるほど!」なんですが、普段だ
  と健常者には気づかないわけで、特にバイトの話は個人的にかなり衝
  撃を受けましたね。
  それでいて、聴覚障害を前面に押し出した「感動ポルノ」的な創りで
  なく、「雪の日常の一コマ」的な自然な描写は好感が持てましたし。
 ・また逸臣の
  ・バックパッカーで感性が日本人離れしているところがある。
  ・「言語習得マニア」的なところがあり、「手話も言語のひとつ」と
   いう捉え方をして雪と関わっていく。
  というキャラ造形は自然さがあり、この辺りはよかったと思います。
 
・ラブストーリーというかキャラ描写に不満が残る
 ・主人公・雪が逸臣に少しずつ惹かれていく描写はかなり丁寧で納得感
  もあり、この辺りは上手く描けていたのかなっと感じました。
 ・しかし逸臣の方の描写が・・・
  「『雪』という名前のように『白く無垢な純心さ』に惹かれたのかな」
  と感じる部分はあるのですが、全体的に
  「はじめから都合よくイケメン男子に惚れられた」
  という唐突感が凄くて・・・
  まるで「わた婚:清霞様」を彷彿させるような女性原作者さんの妄想
  「『理想の王子様』を描きたかっただけなんかい!」
  という感じが拭えなかったんですよね。
 ・逸臣については、会って間もないのに「頭ポンポン」がネット上で物
  議を醸したらしいのですが、個人的にはこれより
  {netabare}「俺を雪の世界に入れて」{/netabare}
  の方が、「こいついきなり何言ってんだ?!」って感じで「ムリ!」
  って思ってしまいました。
  女性的にはこういうセリフがグッとくるのでしょうか?!
  上述したように逸臣は感性が日本人離れしているところがあるので、
  「こういう距離の詰め方が逸臣らしい」
  と言われれば、そうなのかなあとしか言いようがないのですが。
 ・それにこの2人以外の登場人物も「親友」「恋敵」等のサブキャラに
  魅力がなく
  「こういうキャラがいた方がエピソード創りやすいよね♡」
  みたいな原作者都合が透けて見えるというか・・・
  サブキャラの掘り下げなんかもあるんですが、それを見ても「とって
  つけたような」という印象の方が強いというか、こちらに積み重って
  くるものがないんですよね。極論でいうと
  「2人を引き立てるために、他のキャラが存在する」
  という構図に見えてしまうみたいな。

・雪というキャラへの思い入れが強すぎる?!
 こういう表現が適切かどうか分からないですが、感覚的には
 ・原作者はある意味雪というキャラへの思い入れが強すぎる
 ・それ故に「雪目線」で視点が固定されてしまい、物語を大きく俯瞰
  できていないようにも感じる
 という印象かな。なのでキャラの造形が
 ・雪:凄く共感できる「理想的な主人公」
 ・逸臣:雪からみた「理想の王子様」
 ・サブキャラ:雪からみた「都合よく関わってくる存在」
 という構図に見えてしまうみたいな。
 そういう意味では、雪にしっかり感情移入して視聴できれば
 (「雪目線」ではきれいな世界が構築されているので)
 「理想的なストーリー展開で凄くいい作品だった!」
 と感じられる反面、私のように1歩引いてしまうと
 「何だか歪な世界に感じてしまう」
 という評価になってしまうのかなっと。
 そういうところが少女漫画原作らしいといえばまま納得感もありますが。

「声」に頼らず「手話」「読唇」「筆談」で2人の時間を紡いでいく描写は、
美しく愛おしさを感じましたし、聴覚障害の描写はよくできていたと思いま
すが、ラブストーリーというか主人公以外のキャラ描写に違和感を覚えたの
は残念でした。
特に物語に厚みや深みを出すために、サブキャラを魅力的に育てるってかな
り重要だよなって感じましたね。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

67.2 2 2024年度の歌い手アニメランキング2位
夜のクラゲは泳げない(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (41)
269人が棚に入れました
“私”も誰かみたいに輝きたい。 明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、 全部スマホ(ルビ:トレンド)が教えてくれる。 何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。 活動休止中のイラストレーター“海月ヨル” 歌で見返したい元・アイドル“橘ののか” 自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス” 推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん” 世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。 自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。
ネタバレ

てぶくろ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

映像はキレイでよく動き、テーマ性や音楽の要素もある。だけど…

第4話視聴しました。

 {netabare} 今話は順当過ぎる程に花音についての掘り下げ回となりました。
 それと同時になんだかこの作品の底も見えてしまった、そんな一話でした。

 
 では、本編です。

 どうやら、前回発表したMVは再生数一万回を突破したようです。
 まひるは「一本目で一万いったら充分じゃない?」と事も無げに言いますが、充分どころの話じゃなくないか?
 チャンネル登録者数2人だったアカウントでいきなりオリジナル楽曲出して、一万回、充分すぎるって!

 個人的に、この一万回という数字はそれほど荒唐無稽な話ではないと思っています。
 なぜなら、この結果って竜ヶ崎ノクスによる宣伝効果の賜物ですよね?

 別に活動が順調な滑り出しをしていることは構わないんですが、ここでまひるが「さすが、キウイちゃんが宣伝してくれただけのことはあるね」とか、花音が「まぁキウイちゃんのファンが見てくれたからね…でもまぁまずは知ってもらう事が大事!」などの何故こうなっているかを自覚している台詞が必要だったと思います。

 
 その後、花音のサンフラワードールズに対するなかなか一言では言い表せない感情が露わになったなったり、プロデューサーがお母さんであることなどが明かされました。
 花音は第1話でまひるに対し「ヨルって結構普通なんだね」という印象的な台詞を残していましたが、この感じから察するに花音も結構普通そうですね。


 キウイちゃんと木村ちゃんが花音と帰ってくるとまひるが部屋の掃除をし、シチューを作って待っていました。
 自炊をしなそうな2人の家にシチューの食材があるわけねぇだろ、と考えてしまうと なんかとりあえず家事ができたらキャラの株があがるだろっていう安易な発想のもとこんな事しているんだろうなと邪推してしまいます。


 食後には互いに秘密の暴露大会が始まりました。

 キウイちゃんについては前回でも思っていましたが、中学デビューで失敗したなら高校は知り合いいなさそうなとこに行くとかは出来なかったんですかね?
 立北高校は中高一貫の私立校っぽいので、高校から心機一転としやすいと思うんですけどね。
 それも込みで虚栄を張ってしまったってことなんでしょうか。
 というか、そもそも高校デビューで失敗したで良かったような…。


 木村ちゃんの秘密は、歌が苦手なことだそうです。

 先生にまで止められたことがショックだったようで、「まるで、私が変だって世界に決められちゃったみたいで…」と語ります。

 …いや、音程が合ってないんだから、そりゃ変だろ。
 
 楽曲の理解や表現について食い違いがあるというならまだ分かりますが、音程が合っているか外れているかっていう段階の問題で個人の解釈なんか入ってこねぇよ。
 お前が外してるんだから、お前が変だよ。

 
 その後夜を徹して作業した結果、曲とMVが完成しました。
 1日徹夜して完成するなら、ちゃんとスケジュール立ててれば来週の水曜日までなんて余裕だったんじゃねぇの?ww
 全員満身創痍な感じでしたが、キウイちゃんは意外と健康的なタイプの引きこもりなんでしょうか。
 
 
 仮眠をして起きるとどうやらバズっているらしいです。
 どういう理由でバズっているかはまだ定かではありませんが、やっぱりなんか軽いですね。
 創作活動においての産みの苦しみも無く、注目してもらうための工夫もない、でも結果だけは転がり込む。

 非常に素敵なファンタジーだと思います。

 ファンタジーならファンタジーで大いに結構なんですが、一丁前に現代的なテーマ性がありますよ みたいな顔をしているのが問題なんでしょうね。

 次回に期待です。

            {/netabare}

第3話まで視聴しました。

 {netabare} 映像は文句無しにキレイでよく動いていて、キャラクターの可愛らしさを後押しし、共感性の高いテーマと音楽の要素で、全体がポップでキャッチーで取っ付きやすくなっていると思います。

 ですが…何故かこの作品を 面白い! 彼女たちのこれからに目が離せない! 彼女たちのやりとりをもっと見ていたい! とは断言できない妙なモヤモヤが残ります。

 非常に俗っぽい言い方にはなりますが、この作品はバズりたくて仕方が無く 世間が好きそうなものを集め 広いターゲット層に全力で媚びてみている そんな印象です。
 もちろん、オリジナルアニメなので世間ウケを意識することはとても重要なことだと思うのですが、その気持ちだけが先行しなんとなくの人物描写で進行してしまっているように感じます。

 
 個人的に一番引っかかっているのは、まひるです。

 第1話にて、主人公が行動を起こす際にセルフツッコミを多用するのは話作りにおいて弱腰であるように思います。 行動の一つ一つに保険を張っていると言いますか…。

 意図的にまひるはすぐに自分を客観視し冷めた言葉を自分にかけてしまう性格である と示しているなら別に構いません。
 ですが、その割にまひるってモーションがブリブリしてますよね?
 売り物の靴下に話しかけていたり、鼻をつままれ手をバタバタしていたり などです。

 なんというか、提示されているキャラ設定と画面内のキャラの動きに齟齬があるように感じます。

 他にも例をあげるなら
 まわりからどう見られるかに過敏な子が、電話しながら買い物したりしますかね? 
 対人関係があまり上手では無さそうなフリを作っておいて、初対面の花音相手にいきなりくだけた感じのジョークをかましているのはどういうつもりなん? とかもあります。

 
 それと、まひるの人格形成エピソードについて。

 壁画を自慢しようとしたら、友人から「変な絵」と言われてしまい、絵を描くのをやめてしまいとさ。
 悪くはないんですが、発想の1個目って感じがして弱く感じてしまいます。
 
 何気ない他人の一言が影響を与えたとしたいなら、その後の「上から落書きしちゃう?」とかの台詞はちょっとやり過ぎの欲張り過ぎだと思います。
 そんなにわざとらしくしなくてもw

 ていうか友達2人はまひるが絵を描くことこの時から知ってるはずなので、余計に言わされてる感が強いんですよね。

 
 あと、自分で黒歴史だと言っているのに 海月ヨル のアカウントを残しているのは何故?

 少なくともこの思いっきり顔が出ている投稿は削除するんじゃないのか?


 まひるは没個性なのに共感性が薄いキャラに仕上がっているように思います。


 他キャラについて。

 花音については、第1話で「ヨルって結構普通なんだね」と言っていて、小学生のときにちょろっと絵を描いていただけの子に何をそんな期待することがあるんや?とは思いましたが、彼女はそういう役回りなのでこれでいいと思います。
 それよりも、15歳の女の子のところに記者が突撃取材とかするかなぁ? 暴行って言ってもそこまで過激なものでもないやろうし、ちょっとしたことでも騒がれる程人気ならまひるが知らないっていうのも違和感よなぁとかそっちの方が気になりました。


 木村ちゃんについては、橘ののかと山ノ内花音の両方を推すことにしたそうですが、そのきっかけとなったものはよくわかりませんでした。
  昔した約束を覚えていてくれた というのはただファンとして嬉しいことでしかなく、別に表現者としての山ノ内花音に何か感銘を受けたとか、根っこの部分に橘ののかを感じたとかでもなかったのが非常に残念です。

 
 キウイちゃんはエピソードがまひると付随していることや順番で一番損をしているように思います。
 新しい環境で上手く馴染めず引きこもりへ…という気持ちは理解できるんですが、正直 まひる木村ちゃんと続くと、あぁはいはい また周りの所為ね と思ってしまいました。
 現実ならままあることなんでしょうけど、フィクションとしては面白味にかけます。

 踊りの部分とか感動的っちゃそうですけど、でも元はと言えば自己紹介でやらかして、その後自分の好みを相手に押し付けてばっかりのキウイちゃんの自業自得だしな…とか、まひるはこの2年間こっちの誘いは全部断るくせに友達とファミレス行った話とかをしてくるキウイちゃんを一度も不審に思ったことはないのか? とか色々考えてしまいます。


 キャラクターの内情を描くのが不得手な本作品ですが、この先関係性が深まっていき何か化学反応を起こすでしょうか次回に期待です。

           {/netabare}
 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 良い作品だし感情も動きますが、余韻がない気がします。

1話 内発的なものを描けるか友情感動ポルノどまりか。期待枠ですが…

{netabare} 平凡か特別な才能か、それは前提として才能があるのかないのか、特別になるための努力の過程、結果が出ない苦悩、周囲との軋轢、ライバルとの切磋琢磨、俺TUEEE、障害が降りかかってくるのを2人ではねのける、2人の間の熱いバトルと友情、シリアスの見た目のイチャイチャ日常もの、アイドルもの…どのルートにも行く可能性があります。もちろん組み合わせも。どれをとってもテーマ自体は平凡です。

 前提は説明的すぎて余韻も何もないのが欠点の様な気もするし、現代的で文学性よりも分かりやすさ重視で情報の処理がしやすいかもしれません。2話分を1話で説明しきった感じです。
 行間よりも感動という感じもします。どちらがいいかは作品の出来ですので今後の作品の質ありきでしょう。

 質は2話3話くらいまでで方向性を見たいですね。ただ、意外なテーマ…にはならない気がします。そして結論を見ないと評価はできないかもしれません。

 本作の価値はテーマ性よりもどんな「ドラマ」があるのかかなあ。テーマを伝えるメッセージ性が感情作りに落とし込まれているかどうかですね。本作の2人であれば「内発的」なものが描けるかが重要でしょう。
 いずれにせよ「感情」の作品になりそうな気がします。挫折や軋轢のカタルシスが、友情や成功ありきの感動ポルノにならなければいいのですが。

 オリジナル作品だけに秀作になりそうな期待値が大きい分、ひどいときはひどいでしょうからがんばってほしいです。

 作画はいいです。というか全体的にクオリティは高いです。音楽は作詞に40mPと出てましたが「タイムマシン」の人ですよね?作曲じゃないんだ…というのが意外でした。{/netabare}


2話 記号的な物語の進行で、誘導されている気分。解釈の幅が無いかな?

{netabare} この5年くらい、記号的な表現、データベース的なエピソードにライドして自分の中で感情を盛り上げて見る、という前提で作品が作られている気がします。いや、手塚治虫以来、マンガ、アニメは記号なんですけど、特にそれが強まっている気がします。

 本作は特にそれが顕著で、非常に記号的、情報的で感情の盛り上がり方を演出と音楽と合わせて、作品に全部指示されているような気がします。1話でもそういう感じが強かったんですけど、2話のめいのストーリーは、なんていうか記号の塊に感じました。

 彼女の2年前の状況から、なぜラストで花音を受け入れることができたのかが全く分かりません。それは内面描写が薄いからです。感情の描写はあります。状況の描写はあります。ですが、一番重要ななぜ花音に対する自分の感情が変化したか、その感情の移り変わりの理由が描けていない気がします。もちろん昔の約束というきっかけはあるんでしょうけど…その時の感情の動きが良くわかりません。

 その作り方が全部悪いかと言われると、理解しやすさや感動のしやすさなどで、いい面はあると思います。いたずらに難解にするよりは余計な考察に頭を使わない分、物語に集中できるかもしれません。ただ、解釈の重層性というか幅が少ないんですよね。

 それと本作はコンセプトとして、サブカル集大成みたいなところがあるんでしょうか。サブカルというものが現状で成立しているかは分かりませんが、ニコニコ的なクリエータを「使って」それっぽく仕上げている気がします。それがいい方向にも出ている気がしますが、これも作品の色付けが露骨に意図的なので、少し本作のコンセプトそのものが見えてしまい、冷める気もします。

追記 そうそう2話に関して言えば比較対象の「ガールズバンドクライ」の方が面白かったです。{/netabare}


3話 よくできているし感情も動きますが、余韻がない気がします。

 相変わらずアニメ作品としてのレベルは高いのですが、やっぱり一本調子かなあ。引きこもりについての深掘りがなくイコール不幸な状態、友情の力で…のようなデータベース的エピソードです。

「怪獣8号」でも感じましたが、この「型」を使った作品は感情は動かせるとは思います。ただ、やっぱりブレ幅が少ないテンプレートなので、行間も余韻もないんですよね。
 その高度な例が「ヴァイオレットエバーガーデン」だと思うんですけど、感情が動くわりに、見終わったあとすぐに違うことを考えれらる感じです。モヤモヤ、ザワザワ、イライラ、ムカムカ、ホノボノ、ポカポカ、ドキドキ…どんな余韻でもいいんですけどそういうのが欲しいかなあ。

 よくできた作品だとは思います。メッセージも伝わってきます。感動もできるでしょう。ですが、後に残らないなあという感じがします。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

大重 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

歌い手と絵師のペア。共感できる部分もあり、名作の気配。

本作もクオリティ高いですね。
今期も質の高い作品が多くて嬉しい悲鳴ですよ。本数がそんなに見きれないよ…。

まあ本作は視聴継続です。
作画クオリティは非常に高い。P.A.Worksかと勘違いしましたが動画工房でしたね。
何か動画工房は一時期おかしかったですが、ちゃんと復活しましたね。
おかしかった一時期の作品は、作り直してあげた方が良いんじゃないでしょうか。
最近その作者さんが嘆いていましたよ。本当に可哀想。
まあそれはさておき…。

主人公は絵師。
共感できる部分、共感できない部分もありました。
今どき絵をSNSでUPすれば、いいねがいっぱい貰えて、自己肯定感は充分高くなると思うのですが…。
ネットのいいねだと嬉しくないんでしょうかね? それともあまり高評価を貰えてないんでしょうか。
顔出しして私が描きました、とするだけでめっちゃバズると思いますがね。



でもまあ、才能が花開くかどうかは、人との出会いが本当に重要だったりするのですよね。

自分の作品を『こんなゴミ作ってんじゃねぇよ』と言われて破り捨てられて、それでも心が折れずに頑張れる人がどれだけ居るか。
大抵の人は無理でしょう。

まあ古い時代には作品をシュレッダーにかけられただのという、地獄のような話が美談として残っていたりして、こき下ろされながら鋼のメンタルを持った人だけが台頭できたこともあったわけですが…。

繊細な心を持った天才の素晴らしい作品は、ひどい環境からは出てこれません。
そうして折れてしまった天才というのは、実際にたくさん居るのでしょうね。

そのような心が弱い主人公が、自分一人では泳げないし輝けないクラゲに例えて、歌い手との出会いで輝いていくという話。

心が弱い主人公に対してちょっとモヤっとする部分もありましたが、基本的にはクオリティが高く、良いと思いました。
視聴継続は確定です。


…まあ、どうでもいいですが…。
ちょっとガールズバンドクライとも雰囲気似てますね。
似た感じの傑作名作が揃っていて、視聴者としては嬉しいですが、あちらの方が上かな、となっちゃうのは本作には不運でしたね。
でもまあ、本作も充分面白そうです。
これからどうなっていくのか、楽しみにさせていただきます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5
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