江の島でオリジナルアニメーションなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの江の島でオリジナルアニメーションな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月07日の時点で一番の江の島でオリジナルアニメーションなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.5 1 江の島でオリジナルアニメーションなアニメランキング1位
TARI TARI(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (4473)
20680人が棚に入れました
「TARI TARI」今夏放送開始 制作:P.A.WORKS、キャスト:高垣彩陽、瀬戸麻沙美、早見沙織 ほか

声優・キャラクター
高垣彩陽、瀬戸麻沙美、早見沙織、島﨑信長、花江夏樹、浜田賢二、大原さやか、木下浩之、能登麻美子、田中敦子、宝亀克寿
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

想いは潮風に乗って…

・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:

原作 - EVERGREEN
監督・シリーズ構成 - 橋本昌和
脚本 - 橋本昌和、佐藤梨香、横手美智子
キャラクター原案 - tanu
キャラクターデザイン・総作画監督 - 関口可奈味
美術監督 - 東地和生
美術デザイン - 塩澤良憲
色彩設計 - 井上佳津枝
撮影監督 - 並木智
3D監督 - 平田洋平
編集 - 高橋歩
音響監督 - 明田川仁
音楽 - 浜口史郎
音楽A&R - 吉江輝成
音楽制作 - ランティス
アニメーション制作 - P.A.WORKS
製作 - tari tari project
放送期間 - 2012年7月〜9月
話数 - 全13話

(以上Wikipediaより引用)

・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:



泣いたり、笑ったり、怒ったり、想ったり。
そして、歌ったり。

青春時代、その中でもとびっきり大切な高校3年生の夏を
中心に豊かな心情描写を美しい背景の中で描いた作品です。

舞台は神奈川県のとある海辺の街。

OPアニメーション最初の方に出てくる景色に、
「おぉっ」って思われる方も多いと思います。
私も東京での学生時代、海に囲まれた鹿児島が恋しく
なった時に幾度となく訪れた場所でした。

そんな潮風の香りが漂う街の高台にある高校。
合唱部での活動をメインに友人、親、先生、商店街の人々
との人間関係が繊細なタッチで描かれていて、つい笑って
しまうシーンもあれば、心の琴線に触れる様なシーンも
沢山あります。

中でもあまりアニメでは取り上げられる事の少ない合唱部
での活動シーンはその素晴らしい友情と素敵なハーモニー
に何度も熱い感情が込み上げてきました。

歌を通じて築かれるそれぞれの友情、愛情、信頼関係。
「音を楽しむ」
音楽の素晴らしさが心に響きます。

作画もP.A.WORKSさんらしい硬そうなのに優しい線使いと
独特な配色の背景。
キャラクターの豊かな感情表現の描き方はTARITARIの世界
に私達を優しく誘ってくれます。

特に「花咲くいろは」が好きな方にはとても馴染みのある
感じに仕上がっているのではないでしょうか。
制作スタッフもほぼ一緒なので。

青春ドラマ仕立てのTARITARIを盛り上げる魅力の一つ
としてOP、ED、劇中歌を含めての音楽の素晴らしさも
大きなポイント。

合唱部が題材という事もあり、器楽の「合奏」とはまた
ひと味違う魅力に溢れた楽曲で構成されています。

楽器がなくても音楽は楽しめる、誰でも音楽は自由に
楽しめるんだよっていう事の素晴らしさがストーリー共に
優しい合唱のハーモニーで伝わります。

人それぞれが持つ大好きな事、大切な事。

形や色は違うけれどそれが一つになった時、人を動かす
大きな力になるんだ、想いは繋がるんだっていう事を
改めて感じさてくれます。

人生の中でも一際キラキラとした輝きを放つ青春期。

挫折、葛藤、希望、情熱、友情。

そして笑顔。

潮風が運ぶ素敵な青春の輝きを
是非ともこの作品で感じて頂けたらと思います。


【mio’s café】
これが私のTARITARizm♪
視聴済みの方限定ですよぉ
一応…ね♬
{netabare}

鎌倉から稲村ヶ崎、江の島、湘南海岸。
もう少し足を伸ばせば烏帽子岩とサザンビーチ茅ヶ崎。
素敵なロケーションの国道134号線。
七里ヶ浜で食べた美味しいパンケーキ。
シーキャンドルから見渡す水平線と海岸線。
車で江ノ電との並走も今では楽しい思い出です。

そんな素敵な町並みを舞台に繰り広げられるTARITARI。
まず私の目を虜にしたのはOPアニメーションで描かれた
雲でした。
「うわっ、綺麗!」
冴え渡る青い空に白い雲。
元気一杯に駆け抜ける彼女達が印象的。
これから視聴する作品のイメージを大きく膨らませて
くれるスタートでした。

第1話登場する5人のメインキャラクター。
監督の橋本昌和さんによると5人全員が主人公のこと。

でも私、ウィーン(CV:花江夏樹さん)が登場した時は
「絶対この子がこのお話の主人公だっ!」
って思っちゃいました。
だってオーストリアからの帰国子女でニックネームが
ウィーンなんですもの…
ウイーン少年合唱団を連想しちゃいますよね。
絶対歌が上手いんだとか…本当にもう…

でも最初の土下座で儚くもこの子の役所がわかっちゃい
ましたけど…。
来夏(CV:瀬戸麻沙美さん)の「土下座っ?」
笑っちゃいました。

お話の序盤から高倉教頭先生(CV:田中敦子さん)と
和奏(CV:高垣彩陽さん)が頑なに来夏を拒絶する姿。

教頭「人の心を動かすには特別な何かが必要なのです。
あなたにはそれが無い。」

「楽しむ事と楽しませる事。その両立あなたには出来は
しません。」

和奏「楽しく歌いたいだけならカラオケでも行けば!」

私的にはいきなり2人の言ってる事があまりにも無茶苦茶で
「はぁ?」
ってなっちゃったけど、後で分かるんですけれど、まひる
という大きな歌を無くした2人にとって、歌を楽しもうと
している来夏という存在は認めたくても認められない存在
だったのかな。

来夏「何もしないで後悔したくないから!」

第1話でこのお話の道筋というか大きなテーマが見えてくる
素敵なセリフでした。

とにかく登場するキャラが魅力的。
来夏は前向きで純粋で、でもどこかとぼけてて天然。
これって決めたら周りを考えずに進むタイプの女の子。
歌う事が大好きで時折見せるツッコミも可愛い。
表情や仕草がいちいち可愛くて仕方無いです。

紗羽(CV:早見沙織さん)は世話好きで困っている人を放って
おけないお姉さんタイプの女の子。
健康的で魅惑的な容姿とは裏腹にサバサバした性格の
ギャップが魅力的。
何かとみんなの間を取りもち陰で支えてくれました。
来夏とのやりとりはいっつも楽しくて大好きです。
乗馬が趣味で騎手になるのが夢。

和奏はお母さんの事もありなんとなく気持ちが後ろ向きで
内に秘めるタイプだったけど、お父さんにお母さんの
和奏に対する本当の気持ちを聞かされてからは皆んなと
前向きに笑顔で接する様になれましたね。
気持ちが徐々に変化していく姿がとても良かった。

男性陣はウィーンと大智の青春期独特の男の子の爽やかで
酸っぱい感じが凄く良かったかな。
ウィーンは5人の関係の中でワンクッション安らぎを与えて
くれる存在。
ガンバレッドを介してのヤンとのやりとりにも心が温まり
ました。
花江夏樹さんの柔らかな声も相まって優しくてちょっと
天然な感じが可愛い男の子。
でもここぞという時は強い信念とこだわりを持つギャップ
も良かった。

田中大智(CV:島崎信長さん)は本当、いい男の子。
ナイスガイ!
一言で言うなら「爽やか」。
紗羽と似て面倒見が良くて断れないタイプ。
何事も前向きに取り組む姿勢と徐々に変化する紗羽への
気持ちの変化が初々しくてとても良かった。

2人には高校生男子独特の異性に対する関心や抑えきれない
様な感情の色づき感が足りない感じもしたけど、この作品
ではこれくらいの純粋さや青々しさが良かったかも。
2人のコミカルな役どころと爽やかな感じが素敵です。

5人のキャラに共通しているのがとにかくみんな頑固。
良い意味での頑固なんです。
だからこそその壁を越えた時、素敵な人間関係が形成され
るのも頷けるキャラ設定でした。

第1話から心にスッと入ってくる感じで色んな素敵なお話が
あり過ぎて困るくらい。
お話の冒頭で流れるそれぞれのキャラの幼少期や過去の
思い出が印象的。

中でも私的には第2話と第5話、第6話、最終話が特に印象
に残りました。
全て語ると大変な事になりそうなので6話と最終話の感想を
中心に。

2話では自分の気持ちに正直に生きたいと思う来夏。
そんな来夏がほっとけなくて応援する紗羽。
まだまだ距離感はあるけど気持ちが動かされていく和奏。

来夏と紗羽。
2人だけのハーモニー。

「心の旋律」

初めて聞く歌だったのに凄いです。
序盤にしてこんなにも鳥肌が…
瀬戸麻沙美さんと早見沙織さんの歌声の清らかさと
ハーモニーの美しさに自然と込み上げてくるものが…
これが歌の力なんですね。
素敵なエンディングへの流れでした。

和奏がお母さんの本当の気持ちを知る事になった第5話。
お母さんからのメッセージ。
そして後悔する和奏。
「言えなかった。
行ってきますも…ごめんなさいも…ありがとうも…」

そして物語が大きく動き出した第6話。
全体の中でも1番大好きな回です。
ひょっとしたらこれが最終話でも良いかもって思える
くらいのお話でした。
6話だけでも何度も見ました。

登場する1人1人が明らかに和奏を応援するのではなく
そのさりげない1つ1つの言動が和奏を優しく包み込む様に
立ち直らせてくれるきっかけになる演出が見事。

お母さんとの約束を果たせなかった事に罪悪感を持ってい
た和奏に、同じ様に祖父との約束を果たせなかった来夏の
思いがけない言葉。

来夏「でも私ね、今は約束叶わなくて良かったって思う」
「叶ったら終わっちゃうでしょ?
約束があったからいつもおじいちゃんのこと思い出すの。
くっそぉっ。叶わなかったぁって。これも大事な思い出
だから」

トラウマを抱えていた和奏に別の視点を与えてくれる
私的にも予想外でもあり素晴らしいセリフでした。

紗羽ちゃんは母と娘の良き関係性。
そして和奏を馬に乗せる事により今までとは違う、
気持ちの上で1つ階段を登った世界を見せてくれました。

紗羽「景色が全然違って見えるでしょ。」

和奏の何か1つ吹っ切れた様な表情が素敵です。

大智、ウィーンはコミカルな役どころながら和奏の硬かっ
た心を柔らかく解し、和奏に再び声を出すきっかけを与え
てくれました。

お母さんとの発声練習を思い出す和奏。

まひる「遠くに和奏の大好きな人がいて、その人に私は
元気だよぉって楽しい気持ちを届けるつもりで、ねっ」

今は遠くにいる大好きな人、それは「お母さん」。

自分に言い聞かせるように声を出す和奏の穏やかな表情
が嬉しくなりました。
そしてまた和奏の声を聞いたウィーンと大智の爽やかな
表情も良かった。

高橋先生は赤ちゃんを和奏に触れさせることで子供の可愛
いさと愛おしさを和奏に感じさせている様に思えました。

高橋先生「いいのよ、素直じゃ無くても。
ただ元気で大きくなってくれれば。」

親の子供に対する想い。
自分の子供はこんなにも可愛いんだよ、あなたのお母さん
もそう思っていたんだよって事を間接的に教えてくれてる
みたいで。
初めて高橋先生の赤ちゃんを見た和奏のくだけた表情が
たまらなく素敵でした。

そしてお父さん。
まひるの本当の気持ちを知るただ1人の人。
ピアノに込められた想い。
そして和奏が初めて知るお母さんの優しくて温かくて
大きな愛情。
その愛情に触れる事により、和奏がやっと「歌」に
お母さんにそして自分に向かい合ってくれました。

「まひる、ありがとう…和奏、ありがとう…」

そんな言葉が聞こえてくる様なお父さんの涙でした。
お父さんの背中にもう私も涙が止まりません…。

ここもエンディングへの流れが最高に素敵。
和奏も加わり5人での初めての合唱。
和奏の澄み渡る歌声。
来夏、紗羽、大智、ウィーンの清らかで優しくて強くて
伸びやかな歌声も重なりここでも心が熱くなりました。

悲しいわけではないんです。
この5人のあまりの清々しさに…。
もう、泣いてばっかり…です。

最終話は最後の「白祭」
来夏の相変わらずのコミカルな感じと紗羽のツッコミに
最後まで癒されます。

雨が上がり雲の切れ間から射し込む光。
思わず見惚れてしまう作画です。

ミュージカルでの最後のセリフがこの作品の大きなテーマ
でもあった気がします。

大智「闇に覆われた世界にただ1人。道は見えない。」
ウィーン「心配ない歌声のする方へ歩き出せばいいんだ」
和奏「ならば私達は歌いましょう。互いのささやかな道標
として。」
紗羽「たとえ奇跡は起こせずとも、ただひと時の憩いのために。」
来夏「それぞれの想いを歌に乗せて今、」
全員「私たちはまた歩き出す。」

ここからの「radiant melody」への流れがもう言葉に
出来ないくらいです。
まひると和奏が作った曲。
それを指揮するのは高倉教頭先生。
先生の何かを取り戻した、或いは何か新しい物を得た様な
優しくて楽しそうな笑顔が心に響きました。

学校の生徒、先生、保護者、街の人々。
全てが1つになった瞬間。
それぞれの心の中に大切な繋がりが出来た瞬間でもありま
した。

新たな希望を胸にそれぞれの道へと進む5人。
やっぱり最後の曲は「潮風のハーモニー」。

「本日は娘が帰省するためお休みします」
の張り紙と共に料理をして和奏の帰りを待つお父さん。
玄関にちょこんと座り和奏の帰りを待つドラ。
最後まで心が温まります。

「ただいまぁ!」
ちょっと大人になった和奏の笑顔と共に私の心の中にも
爽やかな風が吹き抜けました。


お話の中では大人と子供の関係性(ある意味では現実と理想)
を極端に描いてる部分もあるかもしれませんが(特に理事長
や廃校の件…)、これはこれでドラマとして分かりやすくす
る為のコントラストとしての必要悪の様な感じで良かった
と思います。

そんな中でも子供の気持ちを信じて優しく見守る和奏の
お父さん。
娘が可愛いくて仕方なく将来が心配でつい厳しい言葉を
かけてしまうけど影では応援している紗羽のお父さん。
厳しくも深い言葉で彼女達の背中を押してくれるコンドル
クインズのメンバー。
最後は自分の職を掛けて生徒達の自主的な行動を守り抜い
た校長先生。
それぞれの素敵な大人の描かれ方も良かったです。

最近、監督さんや脚本家さん、アニメーターさんといった
スタッフの方々にも興味がわいてきて、まだまだにわか
な私ですけれど、それなりに特徴とか好みが少しわかる
様になってきたかもしれません。

まだアニメの専門的な言葉の理解度や知識は少ないです
けれど、作画、キャラクターデザインは私にとって作品を
視聴する上で興味深い要素の一つなんです。

TARI TARIに関しても色々書きたい事がある中で一つだけ
取り上げるとするならキャラの表情に関して。

キャラデザはお馴染みP.A.WORKS関口可奈味さん。
元Production I.Gでフリーを経て現在はP.A.WORKSで
活躍中のアニメーター、デザイナーさんです。

主な作品では「true tears」「花咲くいろは」
「TARI TARI」「SHIROBAKO」「Charlotte」の
キャラデザ、総作監を担当。
この作品群だけでも私的に凄いです。

京都アニメーションの堀口悠紀子さん(元京アニかな?)、
池田晶子さんと同じくらい私が好きなアニメーター・
デザイナーさんです。

その独特な線の特徴はどことなく硬くて今流行りの
デザインとは一線を画す、それでいて優しくて甘酸っぱく、
実在するかの様な女の子の生々しさや青春期のゴツゴツ
した複雑な感情を表現するのにぴったりな感じがします。

そんな関口さんのデザインで私が一番気になるのが
キャラクターの目と眉の間の窪み?の線と影。
(わかる方がいらしたら嬉しいです。)
他のアニメのキャラデでもたまに見かけるのですが、
関口さんのデザインはひときわ特徴があって特に悲しい
時、辛い時、憂いの時の表情を表現する時に凄く効果的な
感じがします。

true tearsでは影を多用、花いろでは線(弱め)+影(強め)
TARI TARIでは線(強め)+影(弱め)

と私は感じたのですが、同じアニメーターさんでも微妙な
デザインの変化が感じられて面白いですね。

最近視聴した「SHIROBAKO」ではかなり線が強いと思い
ます。
ついおいちゃんや絵麻ちゃん、矢野さんといったキャラの
表情にも目がいっちゃいました。
2015夏アニメの「Charlotte」でもキャラデ、総作監を
担当。
今までとはまた微妙に一味違うデザインがとても魅力的
です。

P.A.WORKSが面白おかしい作品だけではなく、青春期の
葛藤や恋愛感情を表現する作品を多く作っている関係上、
関口さんの絵が求められていくのはある意味必然なのかも
しれませんね。
これからも楽しみです。

TARI TARIを語る上では使用された楽曲も大きな要素。

まずビックリしたのが第1話での
「リフレクティア」合唱ver.

これはP.A.WORKSファンにとっては素敵なプレゼント。
言わずと知れた「true tears」のオープニングテーマ曲。
サビの部分だけだったけどもうちょっと聞きたかったか
な。
でも素敵な演出でした。

オープニングテーマ曲の「Dreamer」
TARI TARIの世界に私を誘ってくれる大好きな曲です。
沢山の元気と希望をもらえるような歌詞とメロディー。
そしてオープニングアニメーションとのシンクロ率が凄い
と思います。

特に私が好きなのが、
「♪いつも不安はすぐそばで
駈け出す思いを締め付けるけど〜♪」
のところの女性3人の表情のデザインなんです。

もうこれぞ関口可奈味ワールド全開!
あの3人の憂いの表情が私的に関口さんのキャラデの最大の
魅力の1つだと思います。

そこから明るいサビの部分への弾ける様な流れがこの
TARI TARIのストーリーを凝縮したような感じですね。

オープニングテーマ曲「Dreamer」がストーリーを凝縮
したような曲だとしたら、エンディングテーマの「潮風の
ハーモニー」は爽やかな曲に合わせてお話が進むにつれて
近づいていく5人の関係性がアニメーションと共にとても
良く表現されていると思います。
自分でもつい口ずさんでしまうくらい大好きな曲。
「新しい風が吹いて〜♪」
本当、出だしから素敵な曲です。

その他の挿入歌、BGMもお話のシーンにあった素敵な曲
ばかり。
「心の旋律」「goin' my way!!」「Amigo! Amigo!」
「Hau'oli♪」「熱闘ヒーローガンバライジャー」
「白浜坂高校校歌」「radiant melody」

作曲家・浜口史郎さんの曲は私は花咲くいろはで初めて
聞きましたけれど、色んなバリエーションに富んでいて
楽しかったり、心に染み渡る曲が多くて大好きな作曲家
さんの1人です。



「TARI TARI」〜たり〜たり
青春期において試行錯誤しながらも希望を持って前に進
み、出会った仲間と素敵な経験を分かち合うこの作品に
ピッタリの言葉。

大人になってあの頃の気持ちを忘れたわけでは無い。
大人になっても夢や希望はあります。

だけど背負い込むものが多すぎて大きすぎていつの間にか
自動安全ブレーキ搭載車になってしまっている自分が
います。
でもやっぱりこの様な作品に触れる事で

「進路クリア。オールグリーン!」

な気持ちになれる事が一番大切な事だと思います。

P.A.WORKSさんのオリジナル作品ではtrue tears、花咲く
いろはをはじめ若者の青春期の葛藤や恋愛感情をドラマ
仕立てで表現する作品が多いのでとても好きです。

そんなの実写ドラマでやればいいじゃんって思われる方も
いらっしゃるかと思いますが、どちらにもそれぞれの良さ
があります。
アニメでしか出来えない豊かな表現力で描かれる素敵な
ドラマに巡り逢える事をこれからも楽しみにしています。

いつの日も歌おう
この心のまま
悲しみも越えて行く
強い声

君がその勇気で
一歩進む時
思い出してほしい
煌めく瞳で過ごした日々を

いつの日も歌おう
この心のまま
響くよ 空の向こう
彼方まで

そしてまたどこかで
君に届いたら
思い出してほしい
煌めく瞳で過ごした日々を

輝く笑顔で過ごした日々を

「心の旋律」

素敵なハーモニーをありがとう。

長々とした感想、最後までお付き合い頂きまして有難う御座います。



【主要登場人物・出演者】

坂井 和奏 - (CV:高垣彩陽)
宮本 来夏 - (CV:瀬戸麻沙美)
沖田 紗羽 - (CV:早見沙織)
田中 大智 - (CV:島﨑信長)
ウィーン / 前田 敦博 - (CV:花江夏樹)
広畑 七恵 - (CV:赤﨑千夏)
上野 みどり - (CV:種田梨沙)
宮本 誠 - (CV:松岡禎丞)
教頭 / 高倉 直子 - (CV:田中敦子)
校長 / 池崎 頼 - (CV:宝亀克寿)
教師/高橋 智子 - (CV:木村亜希子)
坂井 圭介 - (CV:浜田賢二)
坂井 まひる - (CV:大原さやか)
沖田 正一 - (CV:木下浩之)
沖田 志保 - (CV:能登麻美子)
田中 晴香 - (CV:川澄綾子)
ヤン - (CV:小松未可子)


【主題歌】

オープニングテーマ
「Dreamer」
作詞・歌 - AiRI / 作曲・編曲 - 宮崎京一

エンディングテーマ
「潮風のハーモニー」
作詞 - micco / 作曲 - 杉森舞 / 編曲 - 渡辺和紀
歌(第1話) - 白浜坂高校合唱部[宮本来夏(瀬戸麻沙美)&沖田紗羽(早見沙織)]

歌(第3話 - 第5話) - 白浜坂高校合唱部[宮本来夏(瀬戸麻沙美)&沖田紗羽(早見沙織)&田中大智(島﨑信長)&ウィーン(花江夏樹)]

歌(第7話 - 第12話) - 白浜坂高校合唱部

「心の旋律 」(第2話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 宮本来夏(瀬戸麻沙美)&沖田紗羽(早見沙織)

「心の旋律 」(第6話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 白浜坂高校合唱部

「潮風のハーモニー 」(第13話)
作詞 - micco / 作曲 - 杉森舞 / 編曲 - 菊池達也 /
歌 - 白浜坂高校合唱部

【挿入歌】

「白浜坂高校校歌」(第1話、第13話)
作詞 - 橋本昌和 / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 田中大智(島﨑信長)、白浜坂高校生徒一同

「リフレクティア(合唱版)」(第1話)
作詞 - riya / 作曲 - 菊地創 / 編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 白浜坂高校声楽部

「goin' my way!!」(第1話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 宮本来夏(瀬戸麻沙美)

「goin' my way!!(合唱版)」(第2話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 白浜坂高校声楽部

「Amigo! Amigo!」(第2話、第4話)
作詞 - ヒカルド・クルーズ / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - コンドルクインズ(ヒカルド・クルーズと仲間たち)

「心の旋律」(第2話、第13話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 白浜坂高校合唱部

「白浜坂高校校歌(ラテンver.)」(第3話)
作詞 - 橋本昌和 / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 宮本来夏(瀬戸麻沙美)&沖田紗羽(早見沙織)&
田中大智(島﨑信長)

「Hau'oli♪」(第4話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 白浜坂高校合唱部[宮本来夏(瀬戸麻沙美)&
沖田紗羽(早見沙織)&田中大智(島﨑信長)&
ウィーン(花江夏樹)]

「熱闘ヒーローガンバライジャー」(第9話、第10話)
歌詞 - 原田謙太 / 作曲・編曲 - 浜口史郎 /
歌 - 西之端ヒーローショウテンジャー

「radiant melody」(第12話、第13話)
作詞 - riya / 作曲・編曲 - 浜口史郎 / 歌 -
白浜坂高校合唱部&声楽部
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 94
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

誘われたり、喧嘩したり、怒ったり、笑ったり、戦ったり、負けたり、可笑しな事を言ったり、いい仲間にあったり。

凄くテンポがいい作品ですね。
物語に無駄がなく凄く沢山の大切が詰まったような作品であり毎年夏になると見たくたる作品てす。
今年の夏も見たくなりBlu-rayを出してきて見直してみました。

来夏は去年のコンクールのミスで教頭であり声楽部の顧問から部活で歌わせて貰えませんでした……高3であり歌が大好きな小夏は最後のコンクールに出たくて顧問に訴えるもやはり歌わせて貰えなくて……部活を辞めて合唱部を立ち上げようとするのだが……

確かにコンクールでミスをしたのは致命的です。
ですが、音楽科の生徒の進路が掛かってるのも解るけど1年以上そのミスを理由に歌わせないのは酷いです。
次のコンクールもミスするかもしれないなんて可能性の話しで歌わせないのは絶対に違うし、そんな横暴は許されませんよね。


そこで、来夏は合唱部を設立してますが部員を5人集める条件で、その1人を音楽経験のある和奏を誘うも彼女には否定されてしまう。

{netabare} でも、来夏は「何もしなくて後悔して諦めたくない」と言います。
そうですよね。
何かをしないで後悔するなら何かをして後悔する方が絶対に良いし、そしてなにより何もしなければ道は開けない。
それが、自分が好きな事だったり、やりたい事なら尚のことです。{/netabare}

和奏は来夏の親友の紗羽の説得で合唱部に名前だけを貸すと約束して居たのですが、何だかんだで振り回される和奏www
この子は凄く面倒見がよくて優しい子だなぁ〜と感じます。

コンクールの日に彼女達に様々なトラブルが降りかかります。

{netabare} 諦めそうになる小夏に紗羽が喝を入れます。
諦めそうなときに喝を入れてくれる人が傍に居ると言うのは有難い事です。

きっと、紗羽が居なければ、小夏のコンクールは苦い思い出しかなくなって居ました。
誰かが居てくれたから後悔しない道を選べる事ってありますよね。 {/netabare}

こうして、コンクールを何とか乗り換えた彼女達でしたが……

{netabare} コンクールが終わり「母さんにエロ本の隠し場所を教える」と脅迫されて居た来夏の弟がエロ本を処分して部を辞めると言い出したのです。
その後も何だかんだで、部員が減り3人にまで減ってしまう合唱部……

そこで廃部になりそうな合唱部と同じ境遇のバドミントン部……
バドミントン部は部員は田中が1人で頑張って居ましたが後に帰国子女のウィーンと2人でバドミントン部を続けようとするも2人……

合唱部3人とバドミントン部2人
両方部員が足りない……そこでおこなわれたのが吸収合併を兼ねた合唱部VSバドミントン部のバドミントン対決で3対2で、しかも合唱部3人の同時サーブに羽×3つと言うルール無用のバドミントン対決が始まりますww
結果、合唱部時々バドミントン部が発足されます。{/netabare}

商店街のイベントで歌う場所をコンドルクイーンズと言うバンドに譲ってしまう来夏……それに納得できない表情の紗羽
紗羽は来夏が本気だと思うから合唱部に入って力を貸してくれていたのに……

{netabare} とでも、来夏は自分からプロには勝てない、プロの演奏を見たいから部活を休む。
そんな彼女を見て信じていた紗羽が見たらどう思うでしょうか?
紗羽の気持ちって凄く解る。
相手がプロだとか上手いとか凄いって理由で手は抜きたくない。

格上に勝てるなんて自信満々に思ってるわけじゃない……でも決して勝てないとは思いたくない!
格上の人達と何かを競う時は私はそんな感じに考えてるたりします(*/∇\*)キャ
だから、紗羽の言いたい事って凄く解る。{/netabare}


さて、田中はバドミントンに真剣に向き合う男子です。

{netabare} 1人で部活も頑張って来たし本当にバドミントンに熱意を持っていて大会もベスト8……ベスト8って凄いよね。
でも、ベスト8って多分だけど本人からみたら凄く悔しいって思う。

だって、本人は優勝目指してる訳じゃん?
それでも8位……周りから凄い結果でもかなり悔しいと思う。
でも、紗羽と話して元気が出たみたいで良かった(*^^*)
で、彼は紗羽を好きになるから告白するのですが {/netabare}



さて、和奏は昔は音楽科の生徒でしたが、彼女は音楽から離れて居ました。
その理由が、和奏の母の死……死因は病気
彼女の母は音楽が好きで……

{netabare} 病気のお母さんは和奏に心配掛けたくなくて、一緒に曲を作ったり、歌ったりしたいって思ってたけど、和奏はお母さんが心配だったり受験が心配で、そんな母に当たってしまう……
そうして、残ったのが後悔……が「一緒に曲を作って居れば元気になったのかな」

和奏は母との思い出のピアノを処分する事を父に話す。
ピアノと一緒に母が作ってくれたクジラ……金魚……間を取ってイルカのストラップと一緒に……

学校から帰るとピアノもストラップもなくて……処分を頼んだのは和奏だったけど、やっぱり寂しそうに。
嵐の夜、和奏は受験の日を思い出す。

母が雨具を用意してない事を怒鳴りつける和奏……きっとこの日は多分、凄くお母さんは体調が凄く悪くて……
だから、準備出来なかったんだと思う。
私も経験あります。
今、思い返せば、しょうもない事で酷い事言ったって思うし自分の事くらい自分でしろよって思うけど、当時はそんな風には考えなかっし和奏と似た反応でした。

雨の中、受験の為のに和奏が忘れたお守りを持って着てくれた、お母さんに「こんなのいいのに!濡れるから早く帰って!」と辛く当たってしまう。

これは、体調を心配した和奏の優しさが強い言葉で出てしまった言葉です。
でも、そんなやり取りが最後になってしまった……
最後がこんなやり取りだからこそ後悔が残る。

母が倒れたと聞き駆けつけた病院のベッド。
横になった母は、揺すっても話しかけても目を開けてくれないし、言葉は返って来なくて、手を握ってもくれなければ、歌ってもくれない。

だから、2度言えない、伝えられない言葉「いってきます」「ごめんなさい」「ありがとう」2度と出来ない事「一緒にもぅ歌えない」…………彼女の心に残した後悔……{/netabare}

実は和奏は母が病気をしてる事を知らされてませんでした。

{netabare} 娘には病気の事を明かさなかった……
だから、結果としては後悔をする事になった。
知っていれば沢山話しが出来たのに、曲を作ったのに、一緒に歌ったのに、優しく出来たのに……

でも、数年前の今、和奏は父からその事実を知らされて母の愛情に気が付いた。

母の「いつか自分が居なくなっても、大事な宝物(娘)だから絶対に1人にしない!」
カッコイイ決意だと思います。

「一緒に和奏の歌を作る」お母さんとの約束……母は多分、知っていたのだと思います。
自分が、そう長くない事を……

彼女は和奏が身体に気をつけてねと言うと「和奏が一緒に曲を作ってくれたら元気になる」と言ってました。
和奏にはそれが母が悪ふざけを言ってる様にしか聞こえなくてキツい言葉になったけど……
お母さんは、きっと、残してあげたかった。

病気で自分が居なくなる事を話して曲を作ると
悲しい曲に……思い出になる。
娘と作りたかった曲は母としての優しさや強さや愛情を奏でる様な曲でありたい。

その曲を聞いて和奏が辛い時や悲しい時に元気になれる曲、新たな事にチャレンジする時に勇気を出せる曲、寂しいときにお母さんはここに居るよって解る曲じゃなきゃいけない。

お母さんが居なくなるから作る曲は悲しみが強くなる……母が居なくなって母を思い出して涙する曲にしてはいけないのです。

曲として娘にずっと、寄り添えるそんな曲を一緒に作りたかった。
だから、完成するまでは言えなかった。
いゃ、完成したとしても……

実は、私の友達も病気で亡くなりました。
その人は家族にも周りの友達にも、病気の事を話してなくて……私にも……数年前に健康診断に引っ掛かったって聞いてたけど、それからは元気そうだし大丈夫だって言うから私も安心してて……その後に友達のお兄さんから友達のアカウントから私にメッセがきて知りました。

私も和奏の様に何で病気の話しをしてくれないのかとか考えたけど、やっぱり解らなくて……
でも、和奏の母の「私は和奏に優しくして欲しいわけじゃないの」ってセリフを聞いた時に、病気になった人って凄く不安だと思う。
それでも、和奏のお母さんは、やっぱり娘が大切で娘の事を1番に考えてくれる。

病気だからって気を使われて優しくされても、やっぱり心配させちゃうし不安にさせちゃう……大切な娘にそんな顔させたくないよね。
お母さんだもん……自分の事で悩ませたくないよね。
そんな顔をさせて娘の傍にいるより、普通の親子として最期まで母として在ろうとしたのかな?と思いました。
本当に母として人として強い人だと思うし。
和奏が居るから強く有れた人だと思います。


でも、和奏が母の優しさに気がついた時には、母との約束も思い出のピアノも母の残したストラップも母との思い出の音楽も全て捨ててしまった。

だから、凄く後悔してしまう。
でも、お父さんが全て取って置いてくれた。
ピアノもストラップもそして……半分母が作った楽譜…残り半分を和奏が作る。
そうして、いつの日か2人の曲は完成する{/netabare}


この作品の5と6話が和奏のエピソードなのですが、親子の関係性をリアルに捉えていると思います。
和奏目線に立つと子供の気持ちに寄り添えるし、母目線に立つと母の気持ちに寄り添える。
凄く感情移入しやすくよく出来てると思います。
この辺りは何回見ても涙ががボロボロ出て来ます。



紗羽には夢がある騎手になるそれが彼女の夢だけど、両親に反対されてしまう。
彼女の夢は遊びだと…………

{netabare} 私は思います。
夢は遊びで語れないと……
本気じゃないと、あそこまでは出来ません。
親としては心配なのも解るけど、誰であろうと遊びだなんて言葉で夢を否定していい訳がないのです。

彼女は夢を叶えたくて騎馬の専門学校に応援したけど、細かな規定があり体重や身長制限は自分でもどうしようもなくなって……
それでも諦めて、無理なダイエットをしたり沢山無理をしてしまい最終的に流鏑馬の大会で怪我をしてしまう。
体重や身長制限が自分でもどうしようもなくなって

それでも素敵だと思ったのが、あれだけ遊びだと反対してた父親が、騎馬の学校に掛け合い説得するエピソードです。 {/netabare}

正直、ここまでしないと本気って伝わらないのかとは思うけど、やっと本気の夢だと気付いて応援してくれるのは、やっぱり嬉しいと思う(*^^*)


ウィーンはHEROが大好きな男の子

{netabare} HERO回は中々にギャグぽい?感じ?に仕上がっていましたね。
ただ、このHEROのバイトのエピソードでは合唱部が上手く纏まるのを感じました。
教頭先生にバイトの件でイチャモンつけられた後のやり取りも良かったです。
後、ひったくり犯捕まえるのもカッコよかったですね٩(ˊᗜˋ°ᵖⁱ)وヤホッ♪
しかも、ちゃんと音楽要素も入れてましたし(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝) {/netabare}

さて、学園の文化祭である白祭が中止に……
その理由として……廃校のお知らせ(*꒪꒫꒪)
彼女達は白祭の為に準備してきたけど……

{netabare} それでも、そんな中、和奏が歌を作りあげる!
そうして、お母さんと作った曲を皆で歌いたいと言う。
学校が無くなるからって歌ってはいけないなんて決まりも法律もないのです!
だから、「やろうよ!白祭!」和奏の一言で諦めかけていた 皆の心に火がついた{/netabare}

卒業してバラバラになっても、この曲を皆で歌う事で思い出す。

{netabare} 歌う事て思い出す……彼の青春、
誘われたり、喧嘩したり、怒ったり、笑ったり、戦ったり、負けたり、可笑しな事を言ったり、いい仲間にあったり。した事を……

TARI TARI のたりは〜したりのたりですよね。
和奏達の紡いだ言葉をレビューのタイトルにしてみました(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

だから、小夏は訴える。
クラブ会議で、文化祭をしようって。
でも、そんな中、合唱部時々バドミントン部にトラブルが発生する!
回収業者に小道具を回収して破壊されてしまう……そんな中バラバラになりそうな仲間を繋げたのはウィーンだった。
小道具はウィーンが作ったからウィーンに言われたらねw

文化祭をやると言っても簡単ではありません。
それでも、5人しか居なかった白祭をしようとする5人を見て時には説得してお願いをして、少しづつ友達が大人達が先生達が力を貸しくれるようになってきます。

廃校は覆せない……
アニメで廃校を覆せたのはスクールアイドルくらいしかパッと思い出せないww

それでも、文化祭くらいの少しの時間くらいくれたっていいと思う。
理事長は工事が遅れるとか馬鹿な事をいい文化祭を阻止してこようとする……
お客さんが入れない様に、生徒が入れない様に学校の立ち入りを封鎖されてしまう。

この理事長は本当にクズです。
生徒の将来を脅してくるし。
コイツは理事長でしょう?学校の代表でしょう?
廃校するとは言え今は学校の理事長でしょう?
生徒の事を1番に考えるべきじゃないの?って思う。
お金の事しか頭にない人です。

でも、校長先生は凄く良かったです。
校長先生はクビが掛かってても生徒の為に立ち上がってくれた。
結構、カッコ悪かったけど先生としてはカッコよかったです。

教頭先生は校長先生を見て冷たかったけどw
合唱部時々バドミントン部の指揮者をしてくれて、声楽部が全面サポートしてくれる事になります。 {/netabare}

声楽部とは色々とありましたが最後には協力関係として一緒に1つの舞台を作りあげる。

{netabare} 紗羽は騎手になる為に留学する事を選ぶ。
留学して夢を叶える為に……諦めない道を選ぶ為に……
私は、紗羽が留学する事を決意した時に迷いなく、小夏と和奏は背中を押す。

これって凄いなぁ〜って私なら多分、寂しいなぁ〜とか弱音吐いちゃうけど、迷いなく背中押せるのはホントに凄いなぁ〜ってw {/netabare}

そうして、彼女達は自分達の道を歩き出す。

田中の告白編

{netabare} これ当時はフラれた、フラれてないで意見が割れてました。
当時の私はフラれたのだと思ってましたが多分保留にされてる?気がします。
告白された時の紗羽の表示は少し困り顔の様な感じがしました。
でも、少し表情が柔らかくなって、飛行機で旅立った後に皆が、離れて田中が1人見送りながら涙を拭うシーンがありしましたが、多分「今は目の前の夢を叶える事しか考えられないから」とかで保留にされて……卒業式で、小夏が田中を茶化してたかは多分、保留されてるんだから伝えて好感度上げておきなのサインかな?ってw{/netabare}

いつ見ても楽しむる素敵な作品ですね(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

仲間と奏でる、歌と夢のハーモニー

2012年、個人的最優秀作品。実は以前書いてたあのレビューは、私のあにこれデビュー作でした。あれから 2年半の月日が流れ、この作品に対する私の想いもより強いものとなりました。いつも以上の長文で恐縮ですが、「 TARI TARI は素晴らしい!」という想いを込めて精一杯書いたので、最後まで読んでいただけたらと願います。


◆この作品で伝えたかったこと◆

この作品で描きたかったことは、「歌のもつ魅力」と「夢を追いかける高校生たちの青春」だと思います。

主人公の少女は、ある約束を守れなかったことから大切なものであるはずの音楽を辞めてしまおうとします。

しかし、高校3年生の夏、彼女も含めて5人の素敵な仲間に出会います。

今を懸命に楽しく生きる少女。夢をあきらめまいとまっすぐに頑張る少女。恥ずかしがりながらも夢に向かって歩む少年。正義にあこがれ自分のやりたいことを探す少年。

そんな5人の高校生たちが、歌を通して出会い、心を重ねて仲間となって、時にはすれ違い支え合いながら、それぞれの、そして5人の困難を乗り越えて行く。その過程の中でそれぞれが、それぞれの夢を抱き、江ノ島の街に夢と希望を届けていく。

そんな江ノ島を舞台に奏でられる夢と希望の音楽と、歌で出会ったあたたかい仲間との青春物語。

5人の歌が私たちにくれたのは、かけがえのない思い出と感動だったのかもしれません。



◆大好きなキャラ紹介~高校生編~◆

TARI TARI はたくさんの魅力が詰まった作品ですが、その一つに「高校生らしさ」があると思います。迷いつまずきながらも、夢に向かって走り続ける。そんな高校生らしい魅力を紹介したいと思います。


☆坂井和奏(高垣彩陽さん)・・・本作の主人公。過去に対する後悔から音楽を辞めようとしますが、それは誰よりも真面目な人だから。ちょっとツンデレな所がかわいい。

♪好きなセリフ {netabare}「やろうよ!白祭」

第11話。いよいよ和奏が主人公らしくなる時です。合唱部の仲間と父がいたから、過去に対する後悔を乗り越えて未来に向かって歩み出す勇気がもてた。だから、今度は私がみんなを引っ張っていく。そんな和奏の成長を感じられる素敵なシーンでした。{/netabare}


☆宮本来夏(瀬戸麻沙美さん)・・・本作もう一人の主人公。歌えない。けど、歌いたい。そんな想いを叶えるために一生懸命伸びやかに頑張る所がかわいい。

♪好きなセリフ{netabare} 「でも私ね、今は約束叶わなくってよかったって思ってる。叶ったら終わっちゃうでしょ。約束があったから、いつもおじいちゃんのことを思い出すの。」

第6話。これ、来夏のセリフですが、私の中では 今作品一の名言です。約束は果たせなかったからこそ、思い出として残り続ける。それはまるで、胸に刺さった細くて長い針のよう。そんな悲しくてやさしい痛みは、決して忘れることはないのです。{/netabare}


☆沖田紗羽(早見沙織さん)・・・本作のヒロインにして、俺の嫁(四代目)。仲間と馬のことが大好きで、自分の夢をあきらめないまっすぐな所がかわいい。

♪好きなセリフ{netabare} 「好きなだけじゃダメなんですか?そんな半端な気持ちじゃありません!」

第7話。紗羽らしさが伝わってくるいいシーンです。大好きなものを、夢を追いかけたい。でも、実際はうまくいかないこともある。そんな現実に、まっすぐに立ち向かおうとする紗羽の表情がとても魅力的でした。来夏の勘違いもいい味出してます。{/netabare}


☆田中大智(島崎信長さん)・・・本作のメインキャラの一人(モブではないよ)。バドミントンが大好きで、将来の夢はプロ選手。照れ屋で女子にいじられてしまう所がかわいい。

♪好きなセリフ{netabare} 「沖田。~以下不明~」

第13話。何度もリピート再生を繰り替えして口の動きを読み取ろうとしましたが、結局わかりませんでした。ささやかだけどいっしょに過ごした時間の中で、心が触れ合い惹かれ合う。そんな恋愛、私は嫌いじゃないですよ。いや、むしろ大好物です。{/netabare}


☆ウィーン(花江夏樹さん)・・・本作のメインキャラの一人(僕もモブじゃないよ)。ウィーンからやって来た日本人です。明るい性格で、少しずれている所がかわいい。

♪好きなセリフ{netabare} 「ヒーローは、挫けない。なぜなら、地球を回しているのは俺たちだから。」

第10話。ウィーンたちが引ったくり犯を捕まえるシーンです。正義のヒーローに対する憧れを胸に、自分たちも商店街のヒーローとして奮闘します。そんなウィーンの情熱と一生懸命さが私は好きです。まあ現実に、戦隊ものが好きな男子高校生がいるかは謎ですが。{/netabare}



◆大好きなキャラ紹介~大人編~◆

この作品のもう一つの魅力は、「大人が大人として魅力的」であることだと思います。これもP.A.WORKS のお家芸なのですが(SHIROBAKO や花いろなど)、この作品では「親のもつ愛情」と「音楽を愛する人」という視点で描かれていると思います。

☆和奏の父(坂井圭介)・・・和奏と妻であるまひるのことを理解し、あたたかく見守るお父さん。私は将来、こんな父親になりたいです。
☆和奏の母(坂井まひる)・・・愛する我が子に、大好きな歌を大好きになってほしい。そんな純粋な想いがまぶしくて、愛おしいです。
☆紗羽の父(沖田正一)・・・紗羽のことを大切に思うが故に、無謀な夢に反対する娘想いのお父さん。愛情の深さが伝わってきます。
☆紗羽の母(沖田志保)・・・紗羽や和奏たちのことを理解し、やさしくフォローしてくれるお母さん。時には、厳しく接することもあります。

♪教頭(高倉直子)・・・真面目な性格で、音楽が大好きだからこそ厳しい指導をする教頭先生。後半の変化はキャラ崩壊ではなく、悲しみの痛みを知る音楽家だからこそです。
♪校長(池崎頼)・・・音楽をこよなく愛するちょっと頼りない校長先生。「何が教育だ。人の弱さも、その弱さを癒す歌の素晴らしさも知らないくせに。」は名言です。

ちなみに、{netabare}理事長だけ極端に人間的弱さが描かれていないのは、「音楽の魅力を理解しない人」であることを強調するためだと思われます。{/netabare}



◆忘れられない思い出◆

この作品は私にとって、とても大切な作品です。

{netabare}この作品が放送されていた頃、私は私の人生に対して後悔をしていました。だから、和奏には強く共感しましたし、とてもまぶしく見えました。

和奏はいっしょに歌をつくるという約束をお母さんとしていましたが、叶わぬまま会えなくなってしまいました。そして、そのことに対する後悔はずっと和奏を苦しめます。

でも仲間と出会い、お父さんの支えによって立ち上がり、お母さんとの約束の歌をつくり始めるのです。

そんな和奏の姿に、私は勇気をもらいました。私もきっと後悔から立ち直り、前に向かって歩み出せる日が来ると。{/netabare}

TARI TARIは私が初めて自力で見つけた、心から出会えてよかったと思える作品です。忘れることのない思い出とともに、これからもずっときっと愛し続けていくでしょう。



◆それでも TARI TARIは素晴らしい◆

この作品は本当に素晴らしい作品だと思いますが、二つほど弱点があります。しかし、この弱点も見方を変えれば素敵な魅力になると思うで、必死に弁明させていただきます。

弱点その1、爪の甘いストーリー。

この作品を冷静な目で見てみると、ストーリー展開で少し無理があったりツッコミたくなるような箇所がたしかにあります。

でも、私はそれでいいと思っています。この作品は、技術的には未熟かもしれないけど、高校生たちが懸命に心を重ね合唱することによって素敵なハーモニーを生み、まわりの人たちの心も動かす、といった感じで描かれています。

だから、ストーリーも荒削りでいいんです。一生懸命伝えようとする想いが、少しでも伝われば。もしストーリーが完璧だったら、彼女たちがもつ高校生らしさは薄れてしまったかもしれません。

弱点その2、モブ扱いの田中とウィーン。

メインキャラは5人のはずなのに、男子二人の扱いがまるでモブキャラのように、雑に感じられる所もたしかにあります。

でもこれ、もしかしたら「あえて」かもしれません。

TARI TARIの魅力の一つに、「ユーモアさ」といいますか、クスッと笑わせるような上品な笑いが挙げられます。だから、あの二人の扱いも、そのユーモアな表現から来ているのではないでしょうか。

また、これは私の完全な妄想ですが、この作品は「女性優位」的な視点で描かれていると思います。決して女尊男卑というわけではなく、合唱のもつ特性よりこうなっているのかなと。

みなさんも中学生の時などに合唱された経験があるかと思いますが、なぜだか男子の方が声が出ない。しかも、指揮者や伴奏者はだいたい女子がやりますから、余計に男子は立場がない。(あくまで私の主観です)

そんな視点をストーリーの中に取り入れて、ユーモアあふれる作品に仕上げているのだと私は解釈しています。

このように「合唱」という文脈から好意的に捉えれば、弱点も魅力に変わります。

ああ、TARI TARIはなんて素晴らしい作品なんでしょう。



◆まとめ◆

それでも実はユーフォちゃんが完結した頃、ちょっとだけTARI TARIのことを心配してました。「あれ?すごい音楽作品が出てきたぞ。TARI TARIは大丈夫かな?」って。

でも、これはただの杞憂でした。TARI TARIにはちゃんと、TARI TARIだけの魅力がありました。

素敵な音楽ときれいな絵、かわいい高校生と魅力的な大人たち、そしてあたたかさとユーモアあふれる爽やかな青春。私が心から愛する、大切な「七神」の一つです。

仲間と奏でる、歌と夢のハーモニー。

そんなやさしくて清々しい高校生たちの青春を、夏の終わりに味わってみてはいかがでしょうか。


いつも以上の長文でしたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。



◇余談 1 ◇

『TARI TARI関連 CD の紹介』

{netabare}♪サウンドトラック
「TARI TARI ミュージックアルバム 〜歌ったり、奏でたり〜」

TARI TARIは音楽系作品ということもあって、そのBGMも素晴らしいです。ユーフォちゃんと僅差で、No.1だと思います。Disc1がサウンドトラックで、本当に素敵な音が詰まっています。Disc2には「心の旋律」や「潮風のハーモニー」などの素敵な合唱曲が収録されています。


♪キャラソンCD
「TARI TARI キャラソンミニアルバム 空盤 〜見上げたり、はばたいたり〜」
「TARI TARI キャラソンミニアルバム 海盤 〜潜ったり、たゆたったり〜」

私はOP&EDや劇中歌以外のアニソンは、正直あまり聞きません。つまり、キャラソンはあんまり好きではないのです。でも、この作品のそれはまったく違います。各キャラの性格や想いがうまく表現されている名曲ばかりです。自信をもってオススメします。


♪ドラマCD
「TARI TARI ドラマCD 旅立ちの歌」
~収録内容~
1.音楽劇 美女たちと蛙 〜Beauties and the frogs〜
2.第13話 冬だったり 立ち止まったり
3.第13話 歩き出したり 春だったり
4.合唱曲 旅立ちの歌

これこそが、TARI TARIの本当の最終回です。TARI TARIが好きな方は、必ず聞かなければなりませんよ。収録内容が上記のように、第13話の音楽劇の全容と、第13話を補完するストーリーとなっています。和奏たち5人の未来が語られているので、ぜひお聞きください。また、最後の「旅立ちの歌」も至高の合唱曲です。声優さんたちの気合いにも素晴らしいものがあり、涙なしでは聞けません。感動です。ぜひぜひ、ご試聴ください。{/netabare}


◇余談 2 ◇

『人はなぜ、歌を歌うのか?』

※完全におまけです。でもここに、この作品の本質があると思うので、最後までお付き合いいただけたらと思います。

{netabare}
人はなぜ、歌を歌うのか。それは、「人生をより豊かにするため」だと思います。

まず、人はいつ歌のでしょうか。

それは、嬉しい時、悲しい時、つらいことがあった時。そして、幸せな気持ちであふれている時。

自分の高まった感情を表現するために歌う。自分の気持ちを誰かに届けるために歌う。今の自分の想いを未来へとつむいでいくために歌う。そんな風に、私は思っています。

また、人は誰のために歌を歌うのでしょうか。

それは、自分のため、ともに同じ時間を過ごしてきた仲間のため、愛する人に大切な気持ちを伝えるため。そして、世界がやさしい気持ちであふれるように、私たちは歌うのだと思います。

そんな歌は、私たちにたくさんのものを与えてくれます。思い出や感動、ひと時の憩いの時間。

それらはきっとかけがえのないもので、人と人とをつないでくれる。そんな心の重なり合いは、大切な仲間を与えてくれる。そして、仲間とつくった大切な歌と音楽が、次の未来へと歩み出す勇気となって、夢へと変わる。私はそう、信じています。

歌の持つ一番の魅力、それは「いつでもすぐそばにある」ということ。

歌は他の音楽とは違って楽器を必要とせず、自分の身体一つでさまざまな音を奏でることができます。そして、そこに人が集まれば、より豊かな音楽となって輝きます。

歌はいつも私たちのそばにいて、うれしい時には幸せを、悲しい時には安らぎを与えてくれる。また、誰かといっしょに歌を歌えば、音と音が重なり合い、心と心が通じ合い、そこから愛や希望、そして夢が生まれてくる。それらはきっと、明日に向かう力となる。

和奏たちも歌で出会い、仲間となって、ぶつかり励まし合いながら、ともに困難を乗り越えてきた。そんなかけがえのない時間は、それぞれに夢を与え、未来へ踏み出す勇気となった。

そして、歌は一人ではつくれない。仲間がいて、色んな想いがぶつかり合って始めて、心動かす音楽が生まれるのです。

人はなぜ、歌を歌うのか。それは、より幸せな毎日を生きるため。

みなさんの日々の生活が、歌を、そして TARI TARI という作品を通して、より豊かなものなることを願いつつ、終わりの言葉としたいと思います。

最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。


{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 74

71.8 2 江の島でオリジナルアニメーションなアニメランキング2位
つり球(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1000)
4464人が棚に入れました
舞台は湘南・江の島。懐かしさと瑞々しさの同居した町。他人とのコミュニケーションが異常なほど苦手なため、これまでの人生でまともに友達がいた試しのない高校生・ユキ。ユキに釣りをさせようとする自称宇宙人・ハル。生まれも育ちも江の島の地元っ子、周囲のいろんな事になんだかムカついているらしい少年・夏樹。つかず離れずの距離から彼らを見つめ続ける謎のインド人、アキラ。青春をこじらせてしまっている4人が出会い、釣りをして、小さな島は、大きな物語の中心となり――。ここから始まる、SF(=青春フィッシング)物語!

声優・キャラクター
逢坂良太、入野自由、内山昂輝、杉田智和、加藤英美里、冨永みーな、小倉唯、山本希望、平野文

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

友情が成長させる人間性 えの、しま、どーーん♪

オリジナルアニメということもあり、先が見えてない分、
途中で断念してしまった方々も多かったようだけれど、
僕個人としては、すごく楽しめたし、いい作品だったなと思っている。

対人恐怖症っぽいユキ。彼とは真逆に相手が誰であろうとお構いなしに
どんどん入り込んでいくハル。
彼らをやさしく、あたたかく見守るケイトおばあちゃん。
彼ら3人の暮らしを描いたシーンも楽しくて大好きだったが、
やはり、夏樹を交えての釣り特訓シーンや、迫力ある海釣りでのシーンは
とても見応えがあったし、ぐいぐい惹き込まれた。

さらに、釣りをきっかけに4人の男子たちの友情は固く結ばれ、
それゆえにか、序盤の頃の面影も消えるほどの成長振りを見せた
ユキのたくましい姿といったら。。
ケイトおばあちゃんじゃなくても、嬉しくて仕方ないって。。

家庭にちょっとした事情を抱えていた夏樹も明るくなったし、
あるひとつの謎を最終回まで残しつつ、盛り上がっていく展開も良かった。

映画館で観たら大迫力であっただろうラスト近くの釣りシーンは
手に汗握る緊迫感も加わり、久しぶりに子どもの頃に戻ったような
心躍る感覚があり、EDに登場する夏休みの宿題で作ったような貼り絵の魚も
夏らしくポップでかわいかった。

好き嫌いはハッキリ分かれるのかもしれないけれど、
なぜ釣りなのか、そしてなぜ彼らの釣りが地球を救うのか、
これからいったい何が起きるのかがハッキリしてくる8話以降は特に、
音楽も作画も、演出も物語りも、けっこうバランスよくまとまっていたと思う。

ワハハっと笑って観終えることのできたラストシーンも
この物語のすべてを集約したようなさわやかさがあって好感持てた。

登場人物のそれぞれ、モデルがいそうなほどすごく細かく描かれているので、
今回のような大きな事件を用意しなくとも、釣りを楽しむ男子たちの
日常系な部分だけでも2期3期と作れそうな雰囲気はあるけれど、
実際のところ・・どうなんだろうね~

------------------------------------------

<6話まで視聴>

ケイトおばあちゃんが退院してくるというので
お祝いにマグロを釣ってごちそうしたい!というユキ。
1話の頃からしたら、日焼けもして随分と逞しくなった彼。
ひょうきんで無邪気な変わり者、ハルと出会って素直な心を引き出され、
夏樹と出会い、釣りを覚え、そんな3人を微妙にコントロールするアキラ。
ケイトの大きな愛に包まれて、ユキがどんどん成長を遂げているのが
とても嬉しく、微笑ましい。

マグロ釣りに大切なこと。
キャスティングとチームワークと、場所。との言葉通り
見事、力を合わせた4人。

伝説の神隠しにも少し触れ、アキラの調査内容も少し明らかになり、
今後はそのあたりに焦点を絞っていくのかな?

この物語は釣りという行為をベースに友情、コミュニケーション能力、
アイデンテティなど、さまざまな要素で少年達の心の成長を描いていると想う。

カラフルポップな作画も夏っぽくて可愛いし、僕はこの作品がとても好き。
なので今後もますます見逃せない。

------------------------------------------

<3話まで視聴>

意外と真面目につりを始めている面々。
3人の3拍子揃った「えの しま どーん!」が良かった。
レクチャーしてくれる、クラスメイトの夏樹がまたいい♪
真剣に取り組むユキの悔しさが、達成感に変わった瞬間、
もらい泣きしてしまった。

中盤から謎のインド人や、宇宙人ことハルの妹が登場したり
まだまだ話は大きく動いていきそうな気配。

また、ユキのおばあちゃんのセリフが素敵いっぱい。
「いずれ死ぬ花でも、生きてる間に精一杯綺麗に咲いて欲しい」
ユキにその想い、考え方が伝わるといいなぁ。





<以下は初回視聴すぐの感想>
===========================================
江の島を舞台にしたSF青春フィッシングストーリーということで、
中村健治監督によるアニメオリジナルストーリーなのだそうだ。

転校を繰り返しているからか、それとはまったく関係がないのか、
人とのコミュニケーションが異常に苦手な真田ユキという男子高校生。
ユキと同じ日同じクラスに転校してきた、自称 宇宙人というハル。
釣りにはプロなみの腕前を持つ、ちょっと不機嫌な宇佐美夏樹。
望遠鏡からユキとハルを監視している?謎のインド人 アキラ。
この4人を中心に物語が展開していく模様。

1話しかまだ観ていないから、不思議な登場人物ばかりで
どういう物語になっていくのか、まだ見当がつかないけれど、
ユキの祖母であるフランス人のケイトが、おしゃれで魅力的だった。
そして、海のような寛容さで物事を受け入れてくれる優しさと、
彼女から滲み出るポジティブな雰囲気がとても良かった。

ハルが何のために江ノ島に来て、ユキにくっついてくるのか、
アキラはいったい何を目的に監視をしているのか。
これから先の物語が、とても気になる。ということで、掴みはOK。

なんだけど・・・

EDのスピッツのカバー この曲大好きなのですが。。
あえて素人っぽさを出した感じが好き嫌い分かれそう。
釣りとSFをどんな比率で見せてくれるのか・・・
個人的にはあんまりSF配分多くしないで欲しかったり。

とりあえず、子どもの頃から学生時代まで、度々出かけた江ノ島界隈が
リアルなままに登場するのは、懐かしくて嬉しいです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 62
ネタバレ

いしゆう さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

コミュ障が釣りで世界を救う? もう意味が分からない・・・。 

あらすじはあにこれを参照ください
放送時期:2012年4月~6月

タイトル”つりたま”って呼ぶんですね 
意味分からないからネットで検索♪

”野球で打者が振ってくることを期待し 
打つ気を誘うような投球を すること”らしいです・・・ 
へー 勉強になりました♪。

作品の舞台は神奈川県 湘南/江の島

〇江島神社 〇岩屋 〇商店街の街並み等を彩る
POPでカラフルな作画は独特ですね 色の主張がハッキリしています。

 
〇物語
コミュ障(緊張すると般若の面になる)の高校生ユキが 
宇宙人のハルに選ばれたところから始まります 
釣り王子の夏樹 そして謎のインド人/アキラと出会い 
釣りを通して成長していく物語です。

宇宙人/ハルの願いは ”あるもの”を釣って欲しいこと
その目的は ”自分では達成できない” 
そこでユキに目を付けた! ここから物語がはじまります。

ただ ユキは釣り初心者 しかもコミュ障なので自ら人に頼めません・・ 
そこで ハルが釣り王子の夏樹たちとのパイプ役になり 
ユキと共に釣り方を指導して貰います そして二人は徐々に釣りの楽しさ
人と人との繫がりの大事さを覚え 成長していく物語です。

そんな日常ファンタジー系に忍び寄る世界の危機 
突然出てきたワード”世界の危機”これは
ハルの ”あるもの”を釣って欲しい からきています

世界の危機になるほどの”あるもの”とは?
そして コミュ障が 世界の危機とどうやって向き合うのか
この先の展開は その目で確認して下さい。

ファンタジー要素ありの 青春日常系釣りアニメ
まとめると 不思議な作品ですね。
 
*:,.:.,.*:,.:.,.*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.*:,.:.,.。

ただ正直いうと 一回断念しました 主な理由はキャラクターです

主人公のユキの性格が 終始オドオドしてイライラ
死んだ魚のような目がカラフルで爽やかな作画に合わない・・・ 

ハルも 都合が悪くなると {netabare}能力で人を操る{/netabare}
その自分本位で無茶苦茶な所が苦手でした
(個人的な好き嫌いの話になるので 参考になるかどうかアレですが) 

ハル 夏樹 アキラ ユキ 季節の様な名前の主要人物たち
ただ正直 夏樹は活躍したけど アキラはチラッと登場くらいで断念

これでは全体が分からないので
少し時間を空けて 皆さんのレビュー拝見させていただき思った事
結構評価割れてますね でも共通するところは成長物語ってところでした

皆様のレビューで 興味が沸き再度視聴 今回はラストまでいきました

〇観終わって
世界規模の危機 釣り 友情 家族 
成長 青春 ファンタジーなど沢山の要素が入ってました。

全部ごちゃ混ぜにしていると 頭疲れてきます 
そこでポイントを絞りました 友情 成長 家族 釣り です

ユキ 夏樹 アキラ の三人を釣りで繋いだハル
この作品は この三人が揃ってから 面白くなりますね
共通の目標を掲げることで 友情を深めていく過程は熱かったです。

断念した理由も {netabare}理由があり解決したのでスッキリです{/netabare}

ユキと祖母のケイト 夏樹とその父親の保 
この二つの家族の物語は 心に沁みました 
特にケイト カッコ良かったです。

夏樹がユキとハルに釣りを教える場面は 
釣り初心者でもわかる丁寧な解説で助かりました。
あと すっごく釣りしたくなります

後日 釣具屋に立ち寄ってみたのですが
初心者ツアーとかあって 凄いですね こんな世界あるんだって思いました
エサのキモイ虫を見て あえなく断念しましたけど・・・

そして残りの ワード 
まずは世界の危機 ファンタジー
ここは 主人公たちが成長するための障害だったのかなぁって今は思います

そして ラストのユキの表情 
これは 最後まで観た人へのご褒美なんじゃないですか
わたしは とっても とっても 嬉しかったです♪

*:,.:.,.*:,.:.,.*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.*:,.:.,.。

〇最後に
"元祖しらす亭"の”生しらす丼” とてもおいしそう♪
観ていて お腹が空いてきます○o。.。 

それと 一度見たら忘れられない 
謎の”江の島音頭”も 不思議な魅力でクセになりました♪


以上 最後までお読み下さりありがとうございました。 
  

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26
ネタバレ

雪だるま* さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

江の、島、どーーんっ!

◎放送時期:2012年4月~2012年6月(全12話)
◎ジャンル:釣り、青春

●原作:なし ●シリーズ構成:大野敏哉
●キャラクターデザイン:宇木敦哉 ●監督:中村健治
●アニメーション制作:A-1 Pictures


■あらすじ■
江の島に引っ越してきた対人恐怖症の男子高生・真田ユキは、ある日突然 自称「宇宙人」を名乗る少年・ハルに強引に釣りに誘われる。
それがきっかけとなり、徐々に釣りの楽しみや仲間の大切さを知っていく。
そしていずれ世界の危機に関する「ある現象」について知ることになる。


■感想■
ストーリーの基本はほのぼの日常系ですが、その中にちょっとしたSF要素も織り込まれた独特な作品でした。

キャラ絵、可愛いですね。
でも、演出のクセがわりと強いので好き嫌い分かれそうかも?

登場人物は男子キャラが多いけど腐要素は全然なかったです。(ちゃんと可愛い女子キャラも出てきますw)


メインキャラのユキ・ハル・夏樹は、最初のうちは
ウジウジキャラ・不思議ちゃんキャラ・そして不機嫌キャラなので、その時点で不快になる方もいるかもですが、どうか温かく見守ってあげて欲しいですw


「釣り」を扱った作品ではありますが、どちらかというとメインキャラの3人を中心とした登場キャラ達の人間ドラマを主に描いた作品でした。

「友情」「家族の絆」。
双方とも描き方が丁寧で温かくて、自然と涙を誘う場面もありました。

{netabare} とくに8話のユキとケイト婆ちゃんの対話シーンはめちゃくちゃ温かくて、2回くらい繰り返し観ても泣けました><{/netabare}


1話の時点では唐突かつ電波チックなストーリー展開で物語の主旨がなかなか掴めなかったですが、3、4話目以降から徐々に面白さを増していきました。

中盤辺りで物語の軸となる謎も一気に解き明かされていき、ラストに向けてはとにかく怒涛の展開で目が離せなかったです。

ところどころにシュールで笑える場面もアリで、シリアスなはずのシーンなのに何故か和んでしまいましたw


物語中ではとくに主人公・ユキの成長っぷりは観ていて非常に微笑ましかったです。

最初はコミュ障のウジウジ君ですが、様々なトラブルを乗り越えながら周りとうち溶けて明るくなっていく姿は目に見えて分かりやすく、共感できる面もありました^^

また、釣りの場面もとても楽しそうにやっていて、そんなユキ達を見てると釣りをしたことのない私でも『釣りって楽しそうだなぁ』と自然に思えました。


声優さんの演技も良かったです。
とくにハル役・入野自由さん。

あのトーンでの入野さんの演技は初めて聞いたので意外でしたが、しっかりハルの感情表現をされていて素晴らしかったです。


少し惜しかったなぁと思う所は、後半が急ぎ足で少しばかり展開の雑さがあったところです。
それ以外は(細かい伏線回収の点などを除けば)特に気にならなかったです。


「釣り+SF」といういかにも難しそうなテーマの割には構成も丁寧だったし、1クールのオリジナル作品としてはなかなかに出来のいい作品だったと思います。
まぁ最終的に釣りはあまり関係なかったような気はしますが…w

「青春+温かい人間ドラマ」を描いた作品が好きな方は、1度視聴してみるといいかもです(`・ω・´)


●OP:「徒然モノクローム」/フジファブリック
●ED:「空も飛べるはず」/さよならポニーテール

両方とも良曲でした
OPを歌っているフジファブリックは前ボーカル・志村さんの時から大好きなアーティストさんなので非常にテンション上がりました。
ついついユキ達と江の島踊りをしてしまいますw

EDはスピッツの名曲のカバーですが、もともと青春ソングなので この作品の世界観とマッチしていて違和感なくて良かったです^^


■好きなキャラ■
ケイト婆ちゃんです。
ユキやハルの成長におけるキーパーソン的な役割で、どんな人でも温かく包み込んじゃうような優しい雰囲気が大好きです^^
平野文さんの声と演技もハマってて良いですね><

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

81.7 3 江の島でオリジナルアニメーションなアニメランキング3位
Just Because!(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (894)
3614人が棚に入れました
高校三年の冬。
残りわずかとなった高校生活。
このまま、なんとなく卒業していくのだと誰もが思っていた。
突然、彼が帰ってくるまでは。
中学の頃に一度は遠くの街へと引っ越した同級生。
季節外れの転校生との再会は、
「なんとなく」で終わろうとしていた彼らの気持ちに、
小さなスタートの合図を響かせた。

声優・キャラクター
市川蒼、磯部花凛、村田太志、芳野由奈、Lynn、櫻庭有紗、貫井柚佳、近藤玲奈、千本木彩花、天﨑滉平、山本祥太、柳田淳一、小林大紀、大川透
ネタバレ

るるかん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

気持ちの揺らぎを感じとりつつ・・・

好き、嫌いの感情の白黒じゃなく、そのときどきの感情の揺れや移り変わり・・・、卒業間近の高校3年生達が恋をあきらめたり、恋が芽生えていく過程や揺れ動く心情・心理の方に命題を置く本作は非常に秀逸な作品です。登場人物はみんな高校3年生としては真面目で賢い一般的な生徒達で、かなりリアルな設定となっている。ラブコメのようなバカっぽさや面白さは全然ないので、好みじゃない方も多いでしょうが、私には今年一番の作品であり、傑作と断言できる作品です♪
{netabare}
メインヒロインである夏目美緒と泉瑛太は割と似たようなタイプのように思える。 二人とも共に不器用で自分の気持ちを想う相手に率直に表せない。想いを明確に表すことで心地よい関係が無くなってしまうことも避けたかったのだろう。この切ない想いを抱いたまま中学・高校生活を送ってきた二人の心がどのように変化をしていくのか、そしてどのように気持ちを近づけていくのか、その『なんとなく』近づいていく二人の距離(恋)をどのように捉えるのかが視聴する側に大きく委ねられているように思う。だからいろいろな見解があっていいと思うし、良否も分かれる作品だと思う。的外れなレビューは相手にしないが、恵那や葉月推しのレビューがあっても然りだと思う。恵那ルート&恵那エンドを望む方がいても全然意外には思いません。
 
メインキャラクターそれぞれに、その性格に見合った恋愛観があって、優劣がつけられないように気を配ってあったと思う。美緒は陽斗への好意を自分のこころの中で大切にし過ぎて、決着(告白)をつけることから逃げていた。自分の中から『陽斗への想い』が無くなってしまうことや、告白をして実らなかった時の怖さもあったのでしょう。普段は活発そうに見えても実は臆病で繊細な子のように印象付けた。そして、陽斗が森川葉月のことを好きだということを、なんとなく陽斗の行動から分かっていたから自分の気持ちを自分の心の中にしまい込んでいたのだと思う。私はこういうタイプの子が好きなんだろうねw・・・切ないけど、美緒はかわいいなって思いました。
 
瑛太は柏尾川高校に転校して来てから再会した美緒がまだ陽斗への想いを引きずっていることにすぐに気付き、そんな美緒を前に進めようとする。しかし、瑛太自身も美緒への想いを抱き続けていた為に、心から美緒と陽斗がうまくいくことを望んではいなかったのだろう。もうただただ切なく地味なシナリオを鴨志田氏は序盤から丁寧に表現していたと思う。
二人とも想う相手の気持ちを考えて行動するが、結局それは自分のためになっていない・・・ただの『いい人』になっているところを、本作では『不器用』と表現しているのでしょう。
 
陽斗と葉月の関係ももどかしいものになったが、陽斗は想いを告げて葉月の答えを待つことになる。葉月は恋愛経験も無く、しっかりとした地味で真面目な女の子だったことがJBを綺麗に輝かせた一因でもある。葉月は陽斗の気持ちをしっかりと受け止め、考える時間をとって答えを出すわけだが、その答えも、堅実で真面目な彼女らしい内容で良かったと思う。高校卒業間近のしっかりした女の子らしい答えで終始葉月のままで物語が終わったことも評価できる。変わらなきゃいけないということも自覚し努力していた所も可愛かった。(明確な陽斗への返事は10話)
 
葉月は陽斗の告白を断った後に美緒に相談を持ちかける場面があったが、そこはとても大切な場面でした。美緒は、真剣に陽斗の気持ちを受け止め考えている葉月と話をして、女性として自分よりも葉月の方が上だと感じ、『自分の想いは叶わない』と感じたのではないかと思う。だからこそ、陽斗の告白を断ったにもかかわらず、真剣にもう一度考えようとしている葉月の気持ちを受け止め、アドバイスができたのであろう。自分(美緒)はこんなことはできないと痛切に感じながら・・・。葉月が陽斗のことを話している時に葉月をチラリと見る美緒の目が全てを物語っていた。美緒の気持ちを考えるとほんと切ないシーンでした。
 
自分の好きな陽斗が告白した相手から相談を受けるなんて、ちょっと冷静になれないと思うが、美緒は真剣にその相談を受けとめ、精一杯の助言をする。女子高生の切ないながらも、そのホスピタリティには感動せざる得ない。美緒の魅力の一端を垣間見た気持ちになりました。いい場面でした。
 
初詣の時に、陽斗に対する気持ちを引きずり続けて苦しんでいる美緒に対し、瑛太は強く咎めるような口調で美緒に現状の可否を問う。しかし、これは瑛太にとっても当てはまることで、彼自身も傷ついたであろう。核心をつかれた美緒は逆切れするわけだが、瑛太の指摘を痛感したに違いない。そして、瑛太じゃなかったら言えないことだったことも美緒は自覚したのではなかろうか・・・。後日瑛太に謝罪に行く場面があったが、美緒にとって、厳しくも温かい指摘であることに彼女自身が気付き理解したからだろう。美緒は素直で賢いいい子なんだな・・・って強く印象づけられた。
 
瑛太の美緒に対しての想いは、陽斗への劣等感に苛まれていたように思う。陽斗は親友であったが、中学の野球部では常に陽斗の方が檜舞台にあがる人気者で、瑛太は逆だったのだろう。瑛太が美緒への気持ちをハッキリさせるためには、陽斗との勝負に勝たなければならないという自分なりのプライドと意地があったように思う。野球の一打席勝負に込めた強い想いが瑛太から滲み出ていたところ(6話)も彼のこだわりが感じ取れて切なかった。瑛太と陽斗は中学の時の親友だったから、野球勝負以外では男同士の友情が描かれていて見てて気持ち良かった。男の友情と恋は全くの別物として描かれていたところも好きでした。
 
6話くらいまで、瑛太には陽斗、美緒には葉月という高いハードルがあり、飛び越えることができなかった瑛太と美緒の心情はただただ切なかった。瑛太は密かに美緒と同じ大学を受験することを志したわけだが、自分の気持ちを受験にぶつけ合格をして告白をしようと考えていたのでしょう。それはそれで彼らしい自分だけの美緒への愛情表現だったのかもしれません。高校在学中に美緒に告白しても陽斗のハードルを越えられないと思っていたのでしょう。後半はもう両想い状態だったので、見ている方も胸が苦しかったです。

もう一人重要な人物は後輩の小宮恵那ですね、彼女のファンは多いのではないかと思う。自分の気持ちを率直に表現できる恵那は依子(葉月の親友)の言うように男子から人気があったでしょうね。美緒を「会長」と言って慕い、コンテスト用の写真の件で瑛太と親しくなり、瑛太が美緒に気があることも察知すると、最初は応援する気持ちでいたが、美緒に対して一途で不器用な瑛太を気になりだし、彼の不器用な中にある優しさや思いやりに惹かれていく。彼女の天真爛漫さは地味な本作の清涼剤のようでした。小宮や依子の存在はJBの潤滑油になっていて、楽しく見ることができた理由でもあります。ペットのプータはなかなか主思いの粋な奴でした(8話)^^
 
6話は瑛太、美緒、陽斗、葉月の心が揺れ動いた大切な話でした。瑛太と陽斗はそれぞれの想いを懸けて校庭で一打席勝負をする。陽斗が勝ったら葉月のLINEに躊躇していた返事をする、瑛太が勝ったら(美緒への)気持ちをハッキリさせるという勝負だった。この勝負を美緒と葉月も遠くから見ていた。小宮もカメラを構えながら見ていた。瑛太は1球目に陽斗めがけて悪球を投じる。それは美緒の想いにひとつも気付かない陽斗に対しての怒りの投球のように私には思えた。2球目はスローボールを投じた。どんなことをしても陽斗に勝って、美緒への想いをハッキリさせたい(告白するということだと思うけど・・・)と思う瑛太の気持ちが伝わってくるようだった。そして、3球目からは全力の直球勝負で陽斗から三振を奪いにいく。

自分の気持ちを美緒に伝えるには陽斗に勝つことが瑛太にとって最重要なことだったからだろう。美緒は全力で投げる瑛太を見て、葉月は、懸命に打とうとする陽斗を見て、心を動かされるのである。延々とファールで粘る陽斗を見ていた葉月は突然吹奏楽部の部室へ走り出す。陽斗が好きだったトランペットを吹く姿を捨ててしまってはいけないと感じたのだろう。陽斗の気持ちに対して如何に真剣に向き合おうとしているかが分かる葉月の所作でとても感動した。恵那はファインダー越しに陽斗に負けた瑛太の姿に、何か違う想いを感じ取ったのだろう。「なんだろう・・・この感じ・・・。」と呟いた恵那の一言が、瑛太の負けたこと以上に、色々な感情がこもった悔しさを表現していたように思う。

一方美緒は、瑛太からの想いの欠片(初詣の時に気付いていれば・・・)を持っている状況で、陽斗に懸命に勝とうとする瑛太を見て中途半端な自分の気持ちに踏ん切りをつける決心をする。中学の時に陽斗にもらった消しゴムを返す時に、陽斗と一緒にいた瑛太は美緒が陽斗に告白をするのかと勘違いして先に帰ろうとしたが、その刹那に美緒から「ダメ、すぐ終わるから居て。」と言われる。そして消しゴムを返した後、最後に瑛太に視線を向ける(ここは見逃してはならない!)。ここの解釈が難しいが、瑛太に『ハッキリさせたからね!』という物言わぬ視線のように私は捉えた。
しかし、たまたま通りかかった葉月はその場面を見て美緒が陽斗を好きなのではないかと思ってしまう。ただ物語に大きな影響を与えたわけではなく、葉月は、あくまでも自分の気持ちと真摯に向き合った方に重点が置かれていた。(そこもとても良かった所です。)

美緒のアドバイスを受けていた葉月は、野球勝負の後、陽斗へもう一度考えてから答えを出すと告げる。葉月の真面目で真剣な姿勢はとても好き。ラストは瑛太が小宮に抱きつかれている所をたまたま目撃した美緒が動揺するところでED曲へ・・・。6話はそれぞれの想いが交錯した内容の濃い回で唸ってしまいました。
 
7話は恵那にとっての写真部存続の重要性を瑛太は知り、瑛太がコンテストへ写真を出すことを承諾するところから始まる。男心をくすぐるような普段とは違う恵那の真剣な言動が瑛太の承諾を引き出した。恵那は瑛太が真剣な自分の気持ちを理解してくれたことで、『人として好き』から『瑛太が好き』に気持ちが変化し、ここから瑛太を恋愛の対象として強く意識していくことになる。ただ、律義なのは、会長(美緒)とのことを応援すると言った約束は決して忘れてなくて、その後も会長との仲を恵那なりに気にかけるが、そんなことが上手くいくわけがなかった。恵那の心の移り変わりや応援から自分の気持ちを優先する過程の表し方がとてもリアルで、10話のラストで恵那が告白するというアニオリ引きで終わる。小説を読んだ人ですら、ひょっとしたら恵那エンドもあるのか・・・?と思わせる本当にうまい演出でした。

センター試験当日(7話)は雪で交通網が麻痺し、美緒は会場に行く手段を失くし路頭に迷う。瑛太はその状況を察知し駅まで全力で走る。半ば受験をあきらめかけていた美緒を見つけ、瑛太なりの激励と応援をしてセンター会場まで美緒を送る。ここまでやったら、「好きだ!」って言ってるのと同じようなもんだと思うけど、中学時代から困った時に助けてくれた瑛太のことを美緒はまだこの時点では恋愛感情としてみることができていなかったのかもしれないし、センター試験が優先でそこまで考えられなかったのかもしれません。

でも「聞きたいことあるかも」「ある!」と言ってた所から察するに、瑛太に対して今までとは違う感情が生じたということは十分理解できた。帰りの電車の中で、瑛太との中学時代のエピソードを回想する場面で、困ったときにいつも自分を助けてくれたのは瑛太だったことを美緒は振り返り、瑛太が大切な存在だったことの記憶と共に、気持ちは恋へと傾きかけていく。
引きの作画は残念だったけど、ラストの小宮に語りかけながら階段を降りる美緒の横顔の描写は気持ちのモヤモヤが吹っ切れたようなとても綺麗な表情と演技(CV)でした。一連のBGMも抒情的で良かったです。
 
そして誰もが唸ったであろう名場面7話最後の『・・・・・・ダメ』は衝撃的過ぎるラストでした。まだこの時点では瑛太のことを恋愛の対象として意識していなかったはずなのに、反射的にイヤだと思った美緒の素直な感情表現でほんとに胸に響きました。「・・・ダメ」と明確に意思表示させたラストは本当に素晴らしかった。シナリオのセンスはこの場面だけじゃなく、全体的に本当に秀逸でした。この7話のラストで感動できなかったら、もう見る必要はないんじゃないかな。「・・・ダメ」までに至った経緯とその重みすら分からないのではJBを楽しむことは無理だと思う。
 
もう一つ、センター試験の帰りの電車の中で、美緒が回想し終えた後に「損な性格はどっちよ・・・肝心なことは何も言わないんだから・・・」と呟くシーンがあった。
肝心なこととは・・・『告白してくれてれば・・・』ということなのかちょっと分からなかったが、陽斗への想いに区切りをつけた今だからこそ言える美緒の素直な気持ちなのだろうと解釈した。
 
8話の美緒の行動はとても重要。6~7話では小宮の言動に揺り動かされ、小宮とのデートに向かう瑛太に偶然会った美緒は、予備校へ行くと言いながら、わざわざ遠回りとなるモノレールまで瑛太について行く。この行動が意味するものは、美緒の瑛太に対する気持ちが恋へと発展したことを表現している。ただ、美緒は、その気持ちを完全に自覚できず、瑛太に対して冷たく接してしまう。そして自己嫌悪する。小説にはこのシーンで本気モードで瑛太のことを想う自分を嬉しく思った・・・と表現してあったが(アニメでは10話)、8話では嬉しい様子まで表現されてなかったですね。美緒の予備校までの遠回りは、瑛太のことが好きな自分の気持ちをかなり自覚できた行動だったわけです。

もう一つ、小宮に会う前に美緒に会った瑛太は、小宮に抱きつかれた場面に遭遇したことを美緒から遠まわしに告げられるが、彼は言い訳も否定もいっさい言わなかった。美緒もそれ以上の理由を聞かなかった。センターの時に聞きたかったことの一つだったはずなのに聞かなかった。この場面は二人が似た者同士で不器用であることを表現していたように思った。お互いに好きだと言ったわけでも言われたわけでもない。中学時代の友人同士という状況で、言い訳したり、問い詰めることは自分が『好き』であると告げることになると思ったからだろう。そして、そうすることで関係が疎遠になることを恐れていたのでしょう。なんか面倒くさいなぁ・・・と思う人がいるかもしれないが、『なんとなく』続いているいい関係を保つため、二人とも好きな人に好きと言えず数年間心の中で想い続けたわけだから、これくらいのことで自分の気持ちをあからさまに表現するようなことはしないだろう。地味だがよく考えれば二人の不器用さをよく表したシーンだった。こういうところに不合理な点が無い所も、細部までよく練られてあるなぁ~と感心しました。
 
「ダメ。」と言ったにもかかわらずデートに誘った恵那に対する美緒の視線はちょっと怖かったですが、美緒に許可を取りに行った恵那は、行った理由を「なんとなく」とあっけらかんと答えた。(美緒は怒るわな・・・)
美緒は恵那のような天真爛漫さを持ち合わせていないので、自由に感情表現をする恵那を羨ましく思っていたに違いない。これはパーソナリティの違いとはいえ、この時期の女の子にとっては、かなり辛いことだったのではないかと思う。

陽斗の時には葉月が越えられないハードルになったように、今度は恵那がそうならないか心配で・・・且つ、なんで自分は素直になれないのか・・・という自己嫌悪の渦に美緒は巻き込まれてる感じが可哀想でした。恋するって苦しい時もあるけど、美緒はずっとその状況ばかりで、報われて欲しいと思わずにいられなくなりました。

瑛太は恵那と一緒にいる時には素の自分を出すことができていた。それは、美緒に対する気持ちを恵那が知っていて、応援すると言われていたからだろう。瑛太も美緒への想いを隠し続けていることに辛さを感じていたことの証しで、後輩である恵那には利害関係は無いと思い気を許していたのだろう。親友である陽斗は、瑛太が中学時代から美緒のことを好きだったということを知っており、且つ、美緒の意中の人だったわけだから、親友とはいえ自分の気持ちを吐露できなかったのであろう。
しかし、8話後半でコンクールで賞を取ったら告白すると恵那に言われて驚く。そもそも瑛太は恵那に対して恋愛感情は無かったと思うので驚いたのでしょう。(照れてちょっと頬を染めてましたが・・・)美緒だけでなく、瑛太の鈍さも天下一品なので、美緒の気持ちにいつ気が付くのかヤキモキしました。
ラストの葉月の変身登場で終わる演出も絶妙でセンスの良さを感じました(笑)。ただ変身前の方が、私は好きでしたけど・・・w 葉月はどっちでも普通にモテますよ。女子力は本作中1番だし、文句なしの素敵な子です!!

10話はほとんどアニオリで、しかも恵那、美緒、葉月それぞれのシナリオにそれぞれの固まった気持ちが表現されていて、文句無しの出来栄えでした。美緒が瑛太のスマホの壁紙(待ち受け変えとけよ!!)となっていた小宮の画像を見て走り去るときの切なさ・・・せっかく思い切って自分の想いのまま頑張って行動したのにVデーのチョコも渡せず、涙を見られたくなくて走り去るシーンは胸が痛かった。でもここで、美緒は瑛太への想いをしっかりと確信できた自分が嬉しくて、泣きながら笑うシーンでしたが、抜群の改編でした。相当考えたね、この大切なシーンの入れどころを・・・。

その場面をこっそり見ていた恵那は瑛太のスマホ画面を直しただけで、手作りチョコを渡せず走り去る。も~モヤモヤがいっぱいでしたが、写真部の男の子二人が面白くて悲壮感を和らげてくれましたね。(この鉄マニの二人はいつも笑わせてくれました♪)
葉月と陽斗の話もほぼアニオリで演出も綺麗で良かった。堅実で真面目で思慮深い葉月の返答も表情も完璧でした。
恵那のお守り集めも最後の告白もアニオリで、ラストシーンの作り方は本当にうまかったです。

他にも作中で、相手の真剣な告白に対して難聴になったり、はぐらかしたりしなかったこともJBの優れている所です。
4話で陽斗の告白に『ごめん。付き合えない。』とはっきり答えた葉月や、7話ラストの美緒の『・・・ダメ。』とか10話の葉月の返事や恵那の告白も、すべていい加減にはぐらかさなかった。こういう作品を作りたかったのだという意識が多分に感じられたし、とても良かった。 
 
美緒のお姉さんは美緒にとって、とても大切な存在であることも見ていて感じました。お姉さんは美緒と違ってさばさばとした素敵な人物で瑛太と美緒が中学時代からいい関係であったことも知っていたのでしょう。(11話)女友達との間でも自分の気持ちを隠し続けた美緒が素を出せる存在が瑛太であったことは、潜在的な『好き』が美緒の心の中に宿っていたことも表している。美緒が陽斗から瑛太に心変わりすることの整合性も充分でした。

美緒は葉月に瑛太が好きであることも告げている。美緒にとって葉月は心底信頼できる素敵な女性としての位置づけであることも11話で描かれていた。何から何までしっかりと作られている。感服です。
受験の前日の夜に、美緒と瑛太はベランダに出てお互いの家の方を眺める。二人の『受験に込めた万感の想い』が伝わってくる静かないい場面でした。(11話)
 
JBのラストを私はどう捉えたかというと、二人とも想っていても決して言えなかった『好きだ!』という言葉を、ようやく言える自分になった・・・つまり成長し大人になったということと、本当に人を好きになるということは喜びであるということ。最後は美緒と瑛太が笑顔でお互いの距離を詰めて終了とは美しいエンドだと思いましたよ。物足りないと思う方もいるでしょうが、あそこで涙流して抱き合ったんじゃ、リアルを追求してきた鴨志田氏のシナリオに泥を塗ることになりますからね。

もし、転校先で突然美緒と恵那が目の前に出てきたら、恵那を選ぶ人の方が多いかもしれません。それくらい恵那はいい子でしたよね。だけど瑛太は恵那を選ばなかった。それは美緒と過ごした中学時代の数々のエピソードと不動の恋心があったからです。恵那の告白に微塵も美緒への恋心を揺さぶられることはなかった瑛太の強い想いは分かる人にしか分からないかもしれないですね。美緒の気持ちは卒業式の答辞が全てでしょう。なんか凄く懐かしい光景を見せられているようで私は感動しました。リアリズムってのはこうでなくちゃいけないんです。最後まで徹底した小林監督と鴨志田氏の姿勢がこの作品の品性をとても高めていました。『君じゃなきゃダメなんだ!!』っていう気持ちをここまで地味に熱く表現されると感服の域に達しますね。{/netabare}

==================================

葉月には親友の依子がいて、美緒には大好きな姉や友人たちがいて、陽斗には猿渡や陸生、そして瑛太がいて、瑛太には陽斗や恵那がいて、恵那には清水や山口(写真部の二人)そして瑛太がいて、周りを取り巻く友人たちにも案外重要な役割があって、作品の質をあげてくれました。アニメ版の素敵な学園ドラマを見せてもらいました。人間が演じるよりも、もっと人間らしい感覚を得られたのは、それぞれの演技(キャラクターや声優)・演出・構成が素晴らしかったからでしょう。こういう作品は年に1回は見たいですね!!

陽斗と葉月、瑛太と美緒の恋の分岐点となった5話と、神回だと思った10話はプラメモの林直孝氏が演出を担当したようで、彼の演出はここでも冴えていました。この系統の作品なら彼は間違いなく素晴らしい演出家だと私は思っています。特に10話はとても良かったです。7話もやって欲しかったなぁ~。
 
原作・シリーズ構成・脚本の鴨志田氏はアニメありきで小説を書きおろしたことは間違いないでしょう。小説は美緒と瑛太の視点のみのストーリーで、アニメでは読みとりにくい二人の心情をしっかりと書いてあります。

アニメの肉付けに不合理な点や不可思議な点が一切なく、むしろ小説以上の出来栄えである構成と脚本になっていたと思うので、鴨志田氏はアニメの方に力を入れていたのだろうと思われます。そのあたりも大いに評価できる。美緒と瑛太以外のキャラクターが活き活きと描かれていたことからも、そもそもアニメで全てを語ろうという意図があったのでしょう。

気持ちのすれ違いの多い地味で味わい深い人間関係を、まとまりのあるシナリオにできていたことも、小説執筆以前にアニメ視点でこの作品の構成を考えていたからだと思う。美緒と瑛太に関してはアニメでは描ききれないから、小説で読んで下さいと言われているように感じました。読む価値は十分にありましたよ!
 
私が見た今年のアニメの中では一番内容の詰まっている美しい作品です。こういう地味な傑作にはなかなかお目にかかれないだろうなぁ・・・って思います。人を選ぶ作品だと思うので誰にでもお薦めできる作品ではありませんが、私にはどっぷりと嵌れる作品でした。円盤は作画が良くなってることを期待して絶対に買います♪
プラメモ以来、久々に円盤買うぞ!!と思った作品でした♪
 
卒業間近の17~18歳(高3)の若者たちの数カ月のドラマをリアルにアニメで再現したようなシナリオは、そこいらの実写学園もの映画とは比較の対象にならないほど完成度が高く、アニメだからこそのリアルさ、面白さがありました。鴨志田氏が描きたかった美緒と瑛太のリアルな物語に膨大な味付けと、きめ細かいキャラ設定を施し、全話が連鎖している構成・脚本の完成度の高さは、もはや圧巻としか言いようがないです。微細な感情の変化をこれだけ綺麗にまとめあげた優秀なスタッフの皆様にも拍手と感謝です。本当にありがとうございました。私の3作品目の5.0作品となりました♪

==================================

評価は5.0なので、全て5.0評価にしていますが、作画は4.0程度の評価が妥当だと思います。しかし構成・脚本が秀逸な作品で総合評価が5.0相当なので、5項目を5・0評価にしてあります。
 
==================================
各話のエピソード♪ 

12話{netabare}
最後まですれ違う二人。それでも二人の気持ちは赤い糸で結ばれていた。
美緒は本当の恋を知り、瑛太は好きな人に告白する強い気持ちをもてた。それは、友人たちの力でもあり、人が生きて成長していく上で大切なものは何か?・・・というこの作品のメッセージでもあったと思う。
好きな人と気持ちを分かち合うまでの過程を、微細に美麗に描いた素敵な作品でした。最後の二人の笑顔が二人の始まりなのです。感動しました。続きがあったら是非見たいものです。{/netabare}
 
11話{netabare}
私の中で絶対に必要なシーンがもう一つあったのだが、それがしっ
かり入っていました。それは、美緒のお姉さんと瑛太による車内で
の会話です。
ここで美緒の姉は、美緒は瑛太の前ではかなり素を出すということ
を話している。瑛太はそれをネガティヴに受け止めていたが・・・。
この部分も瑛太と美緒の関係がとてもフランクであったことを表す
大事なシーンでした。そして、美緒のお姉さんは二人の関係がいい
ことをかなり以前から感じ取っていたことも分かった。
美緒の姉は、とってもいい人だなってしみじみ感じる場面でした。
 
グループラインでの友達の応援シーンも心温まるシーンでした。
 
試験問題を解いている時に今までの二人の気持ちを表す各話の印象
深い会話が流れた。
この二人がどんな気持ちで試験を受けているのかを伝えるための
いい演出でした。
原作のいい所はしっかり入れてあり、改編も文句なし。ここまで
完璧に作られてるシナリオは本当に感動的です。約70%くらいは
改編で構成も変えているのに、原作の遥か上をいくアニメ作品なん
てなかなかお目にかかれないです。早いうちから傑作だと言いまし
たが、間違いなく傑作です。最後はどういうシナリオと構成で魅せ
てくれるか楽しみにしたいと思います。
美緒、合格おめでとう!!{/netabare}

10話
これは神回だな。
ほとんどアニオリで、素敵なシナリオです。これ以上の形容はない。
絵コンテと演出にプラメモの林直孝氏の名前がありましたね。
10話の演出の妙に納得しましたね♪彼が絡んできたことはとても
光栄で嬉しいことです♪
しかし、ほぼアニオリなのでラストはどうなるか分かりませんね。
アニメオリジナルなラストも十分あり得る展開だし、どうなるか
最後の2話は必見です!!
{netabare}終わり方がさ・・・ほんと心憎い。 
瑛太、美緒だぞ!美緒じゃなきゃいかんぞ!!
「がんばれ!!美緒!!」・・・と言いたくなる話でした。

葉月と陽斗のシーンも良かったよ。葉月らしい陽斗への返事で、
この二人は、きっとうまくいくんじゃないかな・・・。

美緒が自分の本気に気付いて笑顔で涙するシーンがしっかりあった
ので感動しました。この場面は絶対に必要だと思っていたので、ここ
できたか~って感じです。

小宮さんも、本当にいい子なんだよね・・・。瑛太にチロルチョコを
渡す時の心境を思うと胸が締めつけられます。
シナリオも構成も一級品です。JBを見て本当に良かったよ。
来週も楽しみです♪ {/netabare}

9話{netabare}
美緒が自販機でコーヒーを買った。森川が髪形を変えたように、
美緒も飲み物を『なんとなく』変えてみたのだろう。誰にでも
経験のあることではないだろうか・・・?鴨志田氏の構成・脚本
は、本当に素晴らしい。小説はアニメの為に書いたものだろう。
これだけ肉付けが完璧な作品は賞賛しかないよ。紛いなき傑作を
私は見ていると感じています。
美緒と葉月の陽斗に関する会話は、美緒が葉月に陽斗に対する好
意があったことをしっかりと話した。
美緒は一歩でも前進しようと葉月に話したのだろう。そして本当
に好きな人がいることも葉月に告げた。大学も自分の気持ちを率
直に汲んで瑛太が推薦で合格している大学を受験しようと決めた。
瑛太と美緒はやっぱり、好きな人に対しての姿勢が似ているよう
です。二人とも合格したら、一体どうするんだろうね・・・。
 
JB待ちの木曜日の夜中はとても楽しみですが、あっという間に
終わってしまって、はやく次が見たいです。シナリオは完璧に鴨
志田氏の思った通りに仕上がっているのでしょうね。鴨志田氏の
アニメ用のシナリオとストーリー構成は練りに練られてあること
が小説を読むと分かります。安心して残りのシナリオを堪能して、
監督はじめ、他の優秀なスタッフを称えたいと思います。
 
皆さんは、小宮派でしょうか?美緒派でしょうか?葉月派でしょ
うか?私は美緒派になりました。最後に幸せな美緒を見て終われ
ればいいのですが・・・。{/netabare}

8話{netabare}
絵コンテや原画の人数を増やしたようですね。かなり画がまとま
って全体的に綺麗でした。8話を見て確信しました。この作品は
素敵な作品に仕上がると思います。やはり、アニメの脚本は原作
にほどよい脚色を加えてより良い作品になっています。
今回は小宮と夏目の気持ちと森川の気持ちをほどよく表していま
した。JBは人物のアップ画はとても繊細で心情を表している場
合が多く、各話の随所で目を中心とした表情の構築に気を配って
いると思います。小宮は気持ちをストレートに表す子なので分か
り易いですが、夏目は胸の内に秘めた感情を表に出さないので、
その表情がとても大切な言葉になっています。全話見たら、その
あたりも含めてレビューを書きたいと思います。
夏目は、泉に対する自分の気持ちを自分の行動で再認識して、う
まく気持ちを表現できない自分に葛藤しつつ受験勉強に取り組む
という苦しい状況なんだと思う。そのあたりも上手く表現できて
いました。やっぱり小説はそのあたりの夏目の気持ちを理解する
為の補完本となりますね。
全体的に原作のいい所を残し、邪魔をしないような脚色を加え、
見応えのあるシナリオになっています。8話も良かったです。
後半に向けて作画も安定しそうですし、次週以降も期待できる
と思います。ほんと楽しみです。JBは円盤買おうと思います。
こういう作品はまたしばらくお目にかかれなそうだし・・・。
小宮のペットのプータはいい味出してましたね♪{/netabare}
 
7話{netabare}
最後の『ダメ・・・』の一言に至るまでの過程がとても綺麗でし
た。この一言に集約されている想いや記憶、そして夏目が泉に対
して抱いていた中学時代からの感情が全て込められた一言。この
二人の気持ちが徐々に近づきつつある今、中学時代に遡った場面
を挿入し、今思えば・・・と思える数々のエピソードが二人には
もっとあるのだろうと推察できるストーリー構成で大いに意味が
あり、刹那的な感情ではないことを印象付ける丁寧なシナリオで
した。
6話まではため息の多いジリジリとした内容でしたが、後半は
微妙にズレていた夏目の想いや気持ち、森川の想いや気持ちが微
妙に変化していく過程を、どのように見せてくれるのか楽しみで
す。夏目は泉の想いに気付いていたんだろうね。そして今回、そ
れが確信に変わって、小宮のデートの申し出を拒絶したのだろう。
夏目も泉のことを大切な存在として認めた『ダメ』の一言で終わ
るところが心憎い演出です。いい作りをしています。
半信半疑で見始めた作品でしたが、こんなに次回が待ち遠しく思
えるなんて、嬉しい誤算でした。小宮と待ち合わせた駅での夏目
の作画がちょっと荒かったのは残念でした。{/netabare}
 
6話{netabare}
個人的に感慨深い場面がありました。森川の演奏を相馬が聴いて
いる場面。好きな人が自分だけの為に演奏してくれるって凄く感
動するんだよね。だから相馬が「やっぱり好きだわ・・・」って
森川に言う場面が心の底から共感できました。
なんか自分のとても大切な想い出のシーンと重なってしまい、こ
の二人を応援したくなっちゃったなぁ・・・。この場面は相馬君
の心の中に一生美しく残る、そんな素敵な一幕です。
受験が終わったら夏目はどうなるんだろう・・・。なんか切ない
気持ちに覆われそうですね。胸が痛くなるシーンもあったり、
素敵なシーンもあったり、とっても構成がいいです。もう早く次が
見たいです。森川の性格を考えると、夏目の気持ちに気をつかって
またジリジリ展開になりそうな気もするけど、要はそれをどう見せ
るかが大切。でもこのシナリオを作っている方のセンスは何気なさ
を上手に表現されているので期待できそうです。ここまでは、とっ
てもいい作品ですね!!{/netabare}

5話{netabare}
森川と夏目の心の動きをゆっくりと進めていて気持ちの交錯部分を
丁寧に表現しているように感じます。こういうシーンはきっと何か
につながる大切なシーンなのではないかと思います。夏目の友人3
人(佐藤・鈴木・高橋)は相馬と夏目を応援しているが、その気持ち
に素直に喜べない夏目の気持ちの揺らぎを感じるところまでストーリー
にハマっちゃいました。森川の相馬に対する気持ちもまだ明確では
なく、自分の本当の気持ちに鍵をかけたまま泉と接している夏目と
相馬が障壁となって夏目にあと一歩踏み込めない泉の微妙な気持ち、
どれも繊細で微妙な思春期の一幕で、どう展開していくのかとても
楽しみです。不思議なことに、この作品にはご贔屓キャラがいない
のです。でもそれがこのストーリーに没頭できる一因になってる気が
します。どう終われば納得がいくのか、自分でも分からない状況な
ので、中盤の核になる事象を見逃さずに堪能していきたいです。{/netabare}

4話{netabare}
夏目と泉、森川と相馬、夏目と相馬、どの組み合わせも成就しない
恋愛感情が交錯しててなかなか良い。これをどうまとめていくのか
とても興味深いです。森川が誰を好きなのか??・・・・もともと
恋愛気質って感じじゃないキャラに仕立ててあるものの、なかなか
な思わせぶりを発揮し、あっさり相馬の告白を賺すあたりは森川
の気持ちの中により強い何かがあるのだろう。それが何か気になる。
恋愛が成就しない話はよくあるが、リアルにありそうな状況でなん
か見てるこっちの気持ちも切なくなる。ここまでは妙な暗さで話が
澱んでいて、個人的に感情移入もできている。今後の展開がとても
楽しみです。今の所、今期で一番興味深い作品になっています。 {/netabare}

3話{netabare}
ストーリーとキャラクターに派手さがないおかげで独特の雰囲気と
世界観が伝わってきて心地いいです。夏目さんと森川さんの女心を
どう描くのか・・・そこはとっても重要な気がします。
この二人に共通する所は、前向きなように見えてネガティヴさが
根本にあるので、それが今後どのように変わっていくのかも見どころ。
また、物事に冷めた感じがある泉がどのように変わるのかも見どころ。
いい作品に化ける要素は十分にある作品だと個人的に思っています。
CGと作画のバランスは微妙なところもありますが、ストーリーで
魅せてもらいたいです。まだそれぞれの環境の中での個人的な感情
にしかタッチしていない段階なので、今後のメインキャラ達の心模様
をどう表現していくのか、期待したいと思います。
雰囲気や色合いはとっても好みなので感動して泣きたいなぁ~  {/netabare}  

1~2話{netabare}
入口は平凡な学園青春ラブストーリーっぽい感じでした。
画は若干雑かなぁ・・・って思うけど、夏目と泉のフワフワ
した関係をどう深めていくのかがこの作品の肝だろうね。
制作者のセンスに共鳴できるかどうかが、視聴者の賛否に反映
しそうだから、意見が分かれそうな作品です。
夏目も泉も真面目な賢い子って感じなので、イライラ系の
話になりそうだけど、感慨深い作品になるといいな・・・と
期待しつつ継続視聴したいと思います。{/netabare}

==================================
追記
Blue-R 1枚目は特典もあり良かったです♪

そうそう・・・美緒の口癖のような、「ほんとにほんと」には肯定文と疑問文があるんですよね!そこが可愛いです。
それに育ちのよい女の子って感じで、ちょっとしたことでも「ありがとう!」って言える子でしたね。そういうとこも美緒のいい所でした!!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 54
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

高校生活の終わりに始まるストーリー…スタンダードな青春恋愛物語が心地良い作品

恋愛の名作(になったと思う)「月がきれい」の放映中に情報が流れたこの作品。キャラデザインも設定も好みです。青春ものとして名作になる予感がします。が、ハードルを上げすぎるのも良くないです。じっくりと見てみたい作品です。

1話…高校3年冬の始まり、みんな微妙なのだ
{netabare}高校3年の終わりに転校してきた瑛太。そこは中学2年まで過ごした町そこで中学の同級生だった陽斗とばったり。何かが動き始める…という内容。

どこにでもあるような高校、どこにでもあるような3年生後半の一場面がとても新鮮に感じてしまいます。そういや、この時期は受験生もいれば、就職活動している生徒もいれば、もう先が決定している生徒もいたな…もううん10年前のことだけど、よく覚えています。それと、陽斗気持ちというか、なんかやり残しもあったような感覚ね。

期待感が高まる始まりだったように思います。メインの登場人物を少しずつ出し、その子達がどんな様子なのかを描いた感じです。瑛太と陽斗、美緒と葉月と恵那、この5人がどう絡んでいくんでしょうね。楽しみです。{/netabare}

2話…再会と思い
{netabare}陽斗が告白しに行ったのは葉月だったが、へたれやがった…。結局は瑛太と美緒も巻き込んだ日曜デートになる。
瑛太は中学の時の美緒を思い出す。美緒は陽斗が好きだったのだ。美緒はその事を隠した。瑛太だけが知っている話だった。
日曜、水族館には瑛太と陽斗、美緒と葉月、葉月の親友の依子、そしてなぜか葉月の弟たちが集まった。陽斗の思いとは裏腹に弟に好かれる陽斗。美緒はなんか複雑そう。そして葉月は陽斗の気持ちに気づいていない。
水族館を出るときにみんなでLINEの交換。高校生みたいだと葉月は言う。帰り道、瑛太は恵那につかまる。

まだまだ序盤でハッキリしないところがあるけど、思い交錯系の恋愛ものっぽいな。交錯系の恋愛ものって、落としどころ間違えると物語全部がガタガタになるので難しいんだよね。うまく繋いでいってほしいな…。
主人公の瑛太の気持ちがいまいち分からない。美緒も今はどう思っているのか分からない。葉月は苦労人ぽい鈍感系の娘(プラスして卑屈)だけど、こういう子がモテたりするんだよね、なぜか大人っぽく見えるし。陽斗は真っ直ぐだけどヘタレ系。たった3ヶ月の物語だけど、まだまだ先は長そう。{/netabare}

3話…すれ違い
{netabare}恵那から付きまとわれる瑛太。撮影した写真をコンクールに使いたいから許可がほしかったようだ。瑛太は当然のごとく断ったが、恵那の押しのつよさにLINEを交換した。
陽斗と葉月は進まない。陽斗の思いに気づかない葉月を依子が取り持ち、散歩に呼び出すが…犬の苦手な陽斗は顔面蒼白に。

恵那の、良く言えばフレンドリー、嫌な言葉だと「押しが強くてしつこい」は好き嫌い別れるかもしれない。ここから恵那と瑛太の物語も始まるんだろうな。瑛太の気持ちは美緒だし、どうなることやら…。
陽斗と葉月はちょっと厳しい感じ。あまりにも葉月が陽斗に感心無さすぎて…。{/netabare}

4話…勢い
{netabare}陽斗の犬嫌いを克服するためになぜか巻き込まれる瑛太と美緒と恵那。帰りに陽斗との会話で複雑な思いになる美緒…
初詣でとうとう陽斗の告白。が、爆死…。
美緒の心情年吐露に思わず告白しそうになる瑛太。

思いがあっち、こっちそれぞれ絡まりそうで絡まない。どう転ぶからないのがとても面白いけど、ちょっとイライラします。にしても陽斗の告白からの「お断りします」、けっこう早い回できたな。これで二人の話が終わるとは思えないがはたして。
思わず告白しそうになる瑛太だったけど、たぶん自分なら勢いで言ってしまうかもしれないな。だって、中学の時からの思い引きずって、会えることもないかもというところからまた出会って、しかも変わらないし、奇跡だと思っちゃうもん。{/netabare}

5話…交錯
{netabare}冬休み明け。一人で別教室に席を置く瑛太、告白断られ無理に普段を装う陽斗、気まずい雰囲気漂わせる葉月、瑛太に言い過ぎたことを悩む美緒、写真の許可がほしい恵那。
美緒は瑛太に謝りにいくも、恵那と仲良さそうにしているところを見ていらっする。告白が爆死だった陽斗。草野球で少しは前向きに。葉月は告白に戸惑い断ったが、陽斗のことをゆっくり考えたいという。美緒と瑛太がバス停でばったり。初詣の時のことを互いに話す。

初詣がひとつのヤマになっていたので後日譚という感じでした。
美緒は陽斗のことが好きだったのだろうけど、現時点では思いが別の方向に。瑛太と恵那を見ていらっとしたの見て、瑛太を考えているんだろうという感じがした。二人の微妙な距離感がたまらなく好き。{/netabare}

6話…前へ
{netabare}葉月のLINEを受けた陽斗は返事できずに瑛太に相談。ホームランを打ったら返事したら良いと勝負に誘う。真剣勝負の二人を見て動く美緒と葉月。恵那は心の微妙な変化を感じる。
美緒は消しゴムを返してスッキリさせ、葉月は陽斗に今の気持ちを伝える。
恵那が警察沙汰になっているところを瑛太が見つけて…。

依子のキューピット力が高すぎる。
葉月が陽斗に正直な気持ちを伝えていたけど、美緒のことが気になるんだろうな、美緒が陽斗を好きだということに感づいて。陽斗のニブチン力の高さよ…。
美緒の告白というか、思いを絶ちきる場面を瑛太に立ち会わせたのは瑛太に陽斗のことは終わったことなんだと伝える意味のあったのかもと邪推しました。{/netabare}

7話…確信
{netabare}恵那が撮影していて警察沙汰に。偶然通りかかった瑛太に救われ(たかどうかは分からない…)、なぜか八つ当たり。瑛太は恵那の真剣さを知り写真の許可を出す。嬉しさのあまり抱きつくところを美緒に見られた。
センター試験当日、センター試験名物(?)の雪による交通障害で試験会場に向かえない美緒の元に駆けつける瑛太。美緒を落ち着かせ、会場まで連れていく。安心した美緒は試験に望む。
モヤモヤする恵那は美緒を呼び出す。瑛太をデートに誘っていいか?と伝えた恵那に「…ダメ」と言う美緒だった。

おぉ、すごく動いた回だ。
瑛太マジイケメン。いつも一言足りない瑛太だけど、行動で示すんだよね。恵那も気持ちに気づいたし、美緒も思わず「ダメ」って言っちゃうし、もう3人の関係がどうなるのか分からない。恵那と瑛太の相性良さそうだし、恵那の真っ直ぐで、小悪魔的で、明るいところとか、普通にヒロイン像だよ。
でも、この物語の主人公とヒロインは瑛太と美緒なんだよね。どうしてもこの二人を中心に見ているので、何とかこの二人で決着してほしいと思う。
にしても、最後の「…ダメ」は破壊力抜群の演出だった。思わず壁叩き壊しそうになったではないか!{/netabare}

8話…思い
{netabare}葉月の家に瑛太、陽斗、美緒、依子が集まり美緒のセンター試験の慰労を兼ねた鍋パーティー。美緒の素顔を見て葉月と依子は親近感を覚える。
恵那が瑛太をデートに誘う。当日、瑛太は美緒と遭遇。恵那とデートと悟り、思わず付いていく美緒。恵那と対面して駅に降りる。
恵那の行動力に戸惑いながらも付き合う瑛太。気が気でない美緒だったが…。
瑛太の気持ちが美緒から揺るがないことを悟った恵那は「コンクールで賞を取ったら告白する」と事実上の告白。

恵那の揺れても真っ直ぐな感情がすごく良く伝わる回だった。この子が人気あるのはキャラデザインが可愛いのもあるけど、喜怒哀楽の表情がとても豊かな点ではないかと思います。他のキャラが表情をあまり変えないのとは対照的です。それと、ギャップ。ツンデレではなく、恋する乙女心に至った時の可愛さは特筆もの。それでも美緒に行ってほしいんだよね…。
それと最後の〆、本当にこの作品は上手です。次が気になる。葉月の髪切ったあとに瑛太と遭遇シーン、面白い。{/netabare}

9話…繋いで
{netabare}髪を切って綺麗な感じの葉月にざわつく教室。心ここに有らずな美緒。瑛太を変に意識してしまう恵那。
葉月と話す美緒。葉月は美緒に陽斗のことを聞く正直な感情を話す美緒。美緒は今は好きな人がいるという。恵那は瑛太に不器用ながらもまっすぐに向かう。
葉月は陽斗が声をかけてくれないのが寂しい。陽斗は髪を切った葉月をわいわい言うことにモヤモヤだった。気持ちを伝えた陽斗に葉月は嬉しそうだった。
美緒は進路を迷っていた。しかし、決断する。それは瑛太が推薦決めていた大学を受験することだった。

今回も引きが良い…。美緒の決断と対照的に美緒の大学を受験しようとする瑛太。なぜすれ違うんだ…もう互いに気持ちが交わっているのに…。気になるではないか‼
葉月がどんどん陽斗に向かっているのが伝わります。この二人の決着もすごく気になります。就職する陽斗と遠くへ行く葉月。どうなるんだろう…。{/netabare}

10話…涙の理由(わけ)
{netabare}美緒は瑛太が合格している大学をじゅけんすることに決めた。一方で瑛太は美緒が受けるといっていた大学を受験しようとしていた。
2月の登校日、その日はバレンタインデーで美緒も恵那も瑛太にチョコを渡そうと考えていた。美緒が先に瑛太に会ったが瑛太のスマホを見て愕然、その場を立ち去る。恵那はそのシーンを見ていて瑛太に謝るが…。美緒の気持ちは本気になっていた。
陽斗は葉月に誘われグラウンドに。そこで葉月から付き合えないと伝える。葉月は本気でこの先を考えてのことだったが、その先まで好きでいてくれたら付き合ってくださいと告白する。
恵那が瑛太を呼び出す。恵那は合格祈願のお守りを瑛太に渡そうとしていた。ぶっきらぼうな瑛太だったが、恵那の頑張りを認めて優しい言葉を掛けた。恵那はやっぱり瑛太が好きだと伝える。

青春してるなぁ…。とても良い感じで進んでいる。
葉月と陽斗の話はこれで決着かな。葉月はちゃんと陽斗のことを考えていたんだな。髪切ったあとの葉月の陽斗への表情や態度見ていたら、まんざらでも無さそうな感じはしていたけどね。現実的な回答も葉月らしくて良いかもしれない。
瑛太と美緒、互いに気持ちを伝えられるのか? 気持ち伝えても付き合うことにならない感じがするんだよね…この流れで行くと。こういう話って、大抵は切ない〆をしたがるものだし…。
恵那が健気すぎて瑛太は罪作りなのだが、凪あすの美海を思い出してしまう。恋して大人になるパターンで締めるのか…。
とにかくあと2話、どうまとめるのかです。まとめ方によっては最高の作品になるし、ドン引きにもなるし(個人的にだけど)。{/netabare}

11話…春の始まり
{netabare}受験が迫る。瑛太と美緒は互いの受験のことを知らなかった。瑛太と陽斗、美緒と葉月がそれぞれ心境を話し合う。
受験当日、瑛太と美緒はそれぞれの会場に向かう。学校でばったり出会う陽斗と葉月。そこで瑛太と美緒がすれ違いだったことを知る。
受験結果、恵那のコンクール結果の日になる。帰宅した美緒が封筒を開けると「合格」の文字。恵那はコンクール会場で写真を見て微笑む。瑛太は掲示板で口が緩む。

瑛太のニブチンめ!美緒をずっと見てたら気持ち気づくだろうに…いや、ずっと好きだったし、普段どおりだったら自分に気持ち来ているとは思えないかも知れないな。くそ、この構成にやられる。

ラスト、ハッキリと結果出したのは美緒だけなんだな。恵那、瑛太は笑っただけ。普通ならあの笑顔は良い結果だろうけど、持ち越すとは…くそ、やっぱりこの構成にやられる。

いよいよラスト。3人の結末が気になってしょうがない。OPの歌詞がかなり意味深。フルコーラスだともっと意味深なんだな。楽しみなような、寂しいような、ドキドキするような…{/netabare}

12話…卒業(たびだち)、そして…
{netabare}瑛太の受験、失敗だった…
卒業式、そこには卒業生代表で答辞を読み上げる美緒の姿があった。答辞の言葉が瑛太に響く。卒業式後の教室は別れを惜しむクラスメートで賑わう。
それぞれの別れ。そんな中、美緒は瑛太を探す。LINEを送るも瑛太からの返事はない。
瑛太は恵那を尋ねる。そこには写真コンクール金賞の盾が。しかし、それは恵那のものではなく、同じ部員のものだった。その写真は瑛太を撮影している恵那を写したもので、表情が素晴らしいとの評価だった。
瑛太が恵那に答えを出す。それは恵那にとってツラいものだった。
美緒は瑛太に会いたいことを伝えるが、瑛太は答えられないでいた。陽斗が瑛太をバッティング勝負に誘う。瑛太は打ち返す、あのときの陽斗のように。意を決して美緒のもとに走り出すが…
一ヶ月後。瑛太は推薦で合格していた大学に入学していた。しかし、どこか気持ちは晴れない。美緒にLINEを送る。すぐに返事が返ってきた。瑛太が後ろを振り向くとそこには少し髪が伸びた美緒が立っていた。瑛太は告白する、美緒が好きだと。美緒も答える、瑛太が好きだと。

収まるところに収まったという感じです。山場は恵那に答えを出すシーンだったかもしれません。切ないシーンだった…。恵那が良い娘だっただけになおさらね。
卒業式からクラスメートたちとの別れを惜しむところが良かったです。懐かしい雰囲気を存分に感じる、とても良い場面でした。
これで終わりなのか…4ヶ月の間の話だったけど、内容は2クールやっても申し分ないくらい濃かった気がします。{/netabare}

とてもスタンダードな青春恋愛ものでした。卒業間近の高校生たちの心の動きが分かりやすく、捻りはないけど、それがかえって物語を締めていて好感が持てました。
惜しむらくはそれぞれの気持ちの描写、特に主人公である瑛太とヒロインである美緒のそれぞれが互いに思っている心理や心の移り変わりとか薄い。恵那の気持ちは痛いほど伝わるのに、肝心の二人が繋がっていくところが伝わりにくい感じです。ここが残念ながら「月がきれい」には及ばないと思います。
主人公がぶれない、二人の間に割って入る女の子、気持ちは繋がっている、LINEが重要など、似ているところは多いです。でも、陽斗と葉月のことや、本編(二人の恋愛模様)に入る前段が無駄に長いなど、実にもったいない感じです。

それでも高校生の恋愛ものとしては十分に楽しめる作品だったと思います。特に7話のエピソードはキュンキュンします。最後の締め方は特筆です。それと、毎回の引き方、上手に思います。

高校生の恋愛模様。青春と恋愛、ともに楽しみたいというh方にお勧めできる良作です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 52
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

タラレバばっかり言ってたら高校生活が終わってしまった

PINE JAM制作オリジナルアニメーション。
イマドキの高校生たちの姿を飾らずに描く青春ストーリー。
タイトル「Just Because」の意味は「ただ、なんとなく」。

【Just Becauseらしさ】
さて、本作でまず褒めるべきは雰囲気作りが非常に良くできている所だと思います。
おそらく写真を加工していると思いますが、
舞台となる鎌倉の深沢周辺の風景をふんだんに使った背景の上に、
歩く、走るといったキャラクターの日常芝居を丁寧に書き込むことで
空気感や生活感を出すことに成功しています。
劇伴も控えめで、冬の校舎の静かな雰囲気もうまく演出できていたと思います。

また演出も凝っています。
例えば第4話の初詣のシーンでは
画面に映される焚火で燻っている二人の恋心を表現したり、
第9話の冒頭、お気に入りのイチゴ牛乳ではなくコーヒーを選ぶところで
夏目の心境の変化を表現したり。
こういった細かな仕掛けを様々なシーンに忍ばせ、
少ない台詞でキャラクターの微妙な心情を引き出そうとしています。
モノローグを使わないのもこだわりなのでしょう。

キャラクターやストーリーに派手さはありませんが、
現実にいそうなキャラ、起こりそうな出来事で話を組み立てる。
いわゆる「生っぽさ」出すための気遣いが随所に感じられます。
Just Becauseらしさというものが、この作品にはありました。

僕がJust Becauseで一番感心したのが友達の描き方ですね。
野球部のバカ3人組、写真部の冴えない男2人、リア充感漂う美緒の友達、
それぞれが気の合う仲間でつるんでいるときの楽しさや居心地の良さを自然体でうまく出せている。
依子と葉月の気心の知れた関係、奥手な葉月をさり気無くフォローする感じも好印象でした。
物語上それほど大きな要素ではないのですが、文句なしに素晴らしかったと思います。
ぶっちゃけ恋愛よりも友情の方がうまく描けているような気がします。

【タラレバ高校生】
{netabare}
本作は恋愛物です。恋愛物で大切なのは雰囲気よりも登場人物への共感。
「ああ、その気持ち分かる」と思わせることが何よりも大事だと思います。
思いっきり個人の好みが出る要素ですが、ここが弱く感じました。

部活引退したら…
ホームランを打てたら…
消しゴムを返せば…
センター試験が終わったら…
コンクールで入賞したら…
お互いの新生活が落ち着けば…
志望校に合格したら…

このアニメの登場人物は誰もかれも思い切りが悪い。まるでタラレバ高校生です。
リアルといえばリアルなのかもしれないが、そこに対して作り手が無自覚なのはいただけない。
無自覚ゆえに、それぞれが自分自身の臆病さを克服するという成長感を感じられる場面を作れない。
また、せっかく高校3年生の最後の冬という舞台を用意し、
主人公に季節外れの転校生という興味を引く設定を与えたのに
「今やらなければもう時間はない」という切迫感や
「あの時ああしておけば良かった」という後悔が表現されていない。
結局最後もLINE頼み。既読がつかなければそこから行動に移せない。
類似点が指摘されるアニメ「月がきれい」の最終回で
主人公はLINEでヒロインと連絡を取ろうとして思い止まり走りだす場面がある。
対照的な主人公の行動、どちらが視聴者の共感を呼ぶかは言うまでもありません。

というか、この主人公が両ヒロインに好かれる理由がいまひとつ分からないのです。
意外と付き合いが良い所もあるけれど、基本的に不愛想で痛い所を突かれると不機嫌になる癖がある。
決して心象が良いキャラとは言えない。別に容姿が優れているわけでもない。
何か秀でているものがあるわけではなく、人を惹きつける要素は見当たらない。
意味なくモテる、まるでライトノベル主人公のようだ
…と思ったら原作者はライトノベル作家だった。
{/netabare}

【負けヒロイン】
{netabare}
登場人物たちの煮え切らない行動が目立つ中、自分の気持ちに一番素直なのが小宮なんですね。
「私もコンクールで賞取ったら先輩に告白する」という事実上の告白だったり
合格祈願のお守りを渡して自分は身を引こうとしたのに
「私…やっぱり瑛太先輩が好き」と言ったり。
彼女は、気持ちを邪魔する障害物があったとき、遠回りせず飛び越えられる
たった一人の人物です。
だからJust Because!のキャラで圧倒的一番人気なのでしょう。

しかし残念なのは小宮をただの負けヒロインにしてしまったことです。
せっかくの良いキャラクターをあまり物語の中で活かせていない。
彼女のひたむきさに心を動かされ、美緒や瑛太が積極的になる…という展開にもならない。
要するにこのアニメは群像劇の体をなしていないのです。

美緒に関しては、陽斗と葉月の現在進行形の恋を見て、
中学生の時から前に進めない自分の恋が馬鹿らしく思えてきて、
片想いを終わらせるという流れが一応あるのですが、
小宮については話のつながりがあまり感じられず、
もったいない使い方をしてしまったなぁという感想です。

「本作は型にはまった物語ではなく自然体の恋愛描写を志向している」という反論もあるかと思う。
それにしては推薦を蹴るとか最終話の1ケ月LINE放置とか不自然な話運びが目立ちました。

結局、受験勉強で主役の二人をあまり動かせず受け身な印象を拭えなかったように思います。
これを解決するには受験が終わってから卒業するまでの期間に
話の山場を持ってくるべきだったのではないでしょうか。
{/netabare}

【総評】
ライトノベルと少女漫画を足して4で割ったような薄味の内容。
演出は上々、作画もリソースが足りないなりに頑張ったとは思います。
でも繰り返しになりますが恋愛物で一番大切なのは雰囲気ではなく、共感できるかどうか。
私は脇役以外にあまり共感できるキャラがいなかったので評価が低くなります。
ストーリーも作り込みが足りないように感じました。
残りわずかの高校生活、季節外れの転校生という設定をもう少し活かして欲しかったです。
合格点(3.5以上)はギリギリつけられないかな…


【各話コメント】
毎週各話コメントをつけていましたが、
本文がそれなりの長さになったので大幅に削ってあります。
{netabare}
第1話「On your marks!」
恐ろしく地味な立ち上がり。
恋愛物の第1話で主人公とヒロインの顔合せすらないというのは前代未聞じゃないだろうかw

第2話「Question」
どうも相関図的には
瑛太(主人公) → 夏目(メインヒロイン) → 陽斗 → 葉月
という一方通行パターンのようですね。
OPアニメーションで駅のホームに登場人物が並ぶカットがあるのですが、
この時のキャラクターの目線に注目すると
小宮 → 瑛太⇔夏目 陽斗⇔葉月
という関係に進んで行くのではないかと思います。

第3話「Andante」
アンダンテの意味は「歩くようにゆっくり」
しかし第1話の「On your marks=位置について」から始まって
陽斗は勢いよく飛び出したけど、主人公カップルは全然動かんよな。

第4話「Full swing」
この回は犬と猫を使った演出が面白かった。
犬が飼い主を案ずるような表情をしていたり、猫もジト目で瑛大のことを見ていたり。
実写でも十分な内容だけど、こういう表現ができるのは漫画やアニメならでは。

第5話「Rolling Stones」
うーむ退屈なエピソードでした。
このアニメの欠点は色々あるけど、「キャラが薄い」のが一番いただけないね。

第6話「Restart」
ヒロインが昔に消しゴムをくれたことをずっと忘れず大切な思い出にする、
という話は「恋と嘘」でもあったんだけど、ジャスコの方が上手く使えていると思う。
このエピソードってはっきり言ってガキくさいじゃないですか。
第2話の台詞を使えば「高校生っぽい」感じではない。
だから夏目がここで片想いを終わらせるという選択が自然にみえる。
彼女の恋心はあの神社の焚火のように燃え尽きる間際だったのだろう。

第7話「Snow Day」
夏目と小宮がライバル関係になることで、話は盛り上がる。作画は完全に崩壊。

第8話「High Dynamic Range」
1週間の総集編を入れて作画は回復。内容は平凡。

第9話「Answer」
やっぱり話に大きな動きはないけれども、
この素朴さがJust Becauseらしさなのかもしれません。

第10話「Childhood's end」
このあたりでキャラクターの恋の行方にあまり興味を持てなくなってきた。

第11話「Roundabout」
受験本番でのカットバック演出はなかなか良かったです。

第12話「Get set, go!」
LINEに依存しすぎだろ君たち!!
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 49

69.3 4 江の島でオリジナルアニメーションなアニメランキング4位
きみの声をとどけたい(アニメ映画)

2017年8月25日
★★★★☆ 3.6 (115)
517人が棚に入れました
湘南・鎌倉の海辺の町を舞台に繰り広げられる、少女の悩み、葛藤、夢、そして届けたい“声(想い)”の物語。
将来の夢が見つからず少し焦っている16才の少女・行合なぎさは、幼い頃に祖母からきいた「コトダマ」言葉には魂が宿るという話を、ある出来事により信じている。
ある日、なぎさは何年も使われていないミニFMステーションに迷い込み、軽い気持ちでDJの真似事をする。すると、放送されたコトバは 思いもかけない人に届いていて―。

声優・キャラクター
片平美那、田中有紀、岩淵桃音、飯野美紗子、神戸光歩、鈴木陽斗実、三森すずこ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ユニゾンする声

2017年8月25日公開の劇場アニメ。
海辺の街を舞台に女子高校生たちの青春を描くオリジナル作品です。

この映画は御覧になられた方が少ないと思いますので、
ネタバレにならない範囲でストーリーを紹介しておきます。

~あらすじ~
海辺の町、日ノ坂町に暮らすなぎさはごく普通の高校1年生。
主人公なぎさには3人の幼なじみがいる。3人は全員ラクロス部。
かえでは同級生でスポーツが得意。はっきりした性格で気が強い。
雫もなぎさの同級生でお菓子作りが得意。こちらはおっとりした性格。
夕は別の名門学校に通うラクロス部の時期キャプテン。部活では3人のライバル。
特にかえでは夕に対してライバル意識が強く、最近は関係がギスギスしてきている。
夕のことを悪く言うかえでに対して、なぎさは快く思っていない。
でもかえでもなぎさの大切な友達なのでその思いは口に出せず、それがストレスになっていた。
ある時、何年も使われていない喫茶店アクアマリンに迷い込み、
その一角にあるミニFMステーションの設備を見つけたなぎさは、
ちょっとしたいたずら心でDJの真似事をする。
その放送を偶然聞いた少女、紫音との出会いから始まる夏休みの物語。

本作は極めてオーソドックスな青春アニメです。
将来の夢が見つかならず悩んでいるごく普通の女の子が新しい物に触れ、新しい人と出会い、
時にぶつかりながらも仲間たちと共に成長し、今まで気づかなかった自分の強みを見つける。
…という王道そのものの少女マンガ系ストーリー。展開も本当にベタ。
「誰」の声を「誰」に「どうやって」届ける物語なのか、
あらすじをもう少し先まで書くと勘の良い方は最後の結末まで読めてしまうんじゃないだろうか。
ただベタなのは別に悪いことではないですね。奇を衒ったものが良いとは限らない。
(べ、別に打ち上げ花火の映画の話とは言ってないからね)
青春物のツボはきっちり押さえてあるので安心して見れると思います。
いやー映画館で思いましたもん。「こういうのでいいんだよ、こういうので」って。
ほんとバカみたいにまっすぐなお話です。
ちなみに恋愛要素はありません。
「百合は?」あるわけないだろそんなもの!

少し目新しいのは言霊(コトダマ)というテーマでしょうか。
なぎさは幼い頃に祖母から聞かされた言霊の話を今も信じています。
願い続ければきっと叶うし、悪いことばかり口にしているとそれが現実となって自分に返ってくる。
なぎさの目にはその言霊が実際に見えるといいます。
電波な少女…ではなく、彼女は少し夢見がちな女の子なのです。
言霊信仰はなぎさの人当りの良さに作用している反面、
言いたいことがあって言えないという彼女の悩みにもなっています。
「思春期における葛藤」という青春物の大事な要素につながっているわけです。
この言霊の映像表現が平凡で拍子抜けするかもしれません。正直シャボン玉にしか見えない。
おっと、悪く言うと自分に返ってくるんだった。

でも「きみ声」がビジュアル・バリユーに優れた作品とは言い難いのは確かです。
背景等十分きれいなレベルですが、深夜アニメの中でも本作を超えてくる作品は多々あるかと。
僕が良いと思ったのはキャラクターデザインですね。
今の萌えアニメの主流とは明らかに違う"かわいい"というよりは"かわいらしい"デザイン。
言霊という少しファンタジックな要素と相まって、なんだか懐かしい「青春のおとぎ話」
といった雰囲気を作り上げています。

音楽には非常に力が入っていて、どれも良い曲です。
音楽担当は「響けユーフォニアム」の楽曲等を制作された方だそうです。

でもまぁ、中盤まで見た僕の感想は「悪くない。全然悪くない。でもフツー。」という感じでした。
この映画、ベタな話だと書きましたがストーリー構成も超ベタ。教科書通りの三幕構成。
物語の終盤に楽しい日々が終わってしまうような出来事があり、そして映画のクライマックスでは…
お約束。お約束すぎる展開だ。でもなぜだろう?僕の目が涙で滲んでいるのは。WHY!?

これはもう、なぎさちゃんの言う通りかもしれないね。

*。*。 奇跡も、魔法も、コトダマもあるんだよ *。*。

「そんな台詞なかっただろ!!」と怒られそうですねスイマセン。
(実際のキャッチコピーは「コトダマってあるんだよ」)
このアニメは新世代の声優を発掘するオーディション「キミコエプロジェクト」で選ばれた6人を
デビューさせるという声優アイドル企画ものです。
「きみの声を届けたい」は新人声優(=きみ)の声を観客に届けるための物語でもあるわけです。
そう考えると青春物の面白さを表現しつつ、デビューしたての声優のフレッシュな魅力を最大限に活かした
非常によくできた脚本のように思えます。
言葉のチカラ、声のチカラ、音楽のチカラ。それは決して陳腐ではない。
彼女たちの歌声から、声優企画と青春ストーリーのシナジーを確かに感じられたのです。

夏から秋の始まりにかけての時期には爽やかな青春物が見たくなるもの。
そんな要望にきっちり応えてくれると思います。
この作品、欠点はいくつかあれどイヤなところは一つもないんですね。それが大きな長所です。
あまり宣伝されなかったためか認知度が低く、すでに公開を終了している所も多いようですが
青春アニメが好きな方にはお勧めできる内容です。
きっと見終えた後は気分良く映画館を出れるはず。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 27

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

言葉には、魂が宿っているんだよ。ちゃんと声に出せば、その願いは叶うの。

たまたま手に取った作品だったので
高い期待はしていなかったのですが、

見てみると、
個人的な好みにハマった作品♪

新人声優発掘育成企画
「キミコエプロジェクト」と連動していて、

本作のメインキャラ7人のうち6人が
プロジェクトのオーディションでの合格者で、
この作品がデビュー作です。

だけど、下手だとか素人っぽいとか、
そんなマイナスな印象はまったくありませんでした。

90分ほどの作品でした。


● ストーリー
高校2年生の行合なぎさ(ゆきあい なぎさ)は、
言葉には魂、“コトダマ”が宿っていると信じている。

たまたま雨宿りをした喫茶店。
閉店して誰もいない店内にあったのは、ラジオスタジオ。

ラジオDJの真似事をしたつもりが、本当に電波が飛んでいて、
ラジオ番組「アクアマリン」のDJの娘・矢沢紫音(やざわ しおん)と出会う。

「アクアマリン」の元DJであり、紫音の母である朱音(あかね)は、
12年前に事故に遭い、それ以来昏睡状態が続いていた。

ラジオを通して朱音さんに呼びかけることを提案したなぎさは、
仲間と共に「アクアマリン」を復活させる。


言葉には魂が宿っている。
“コトダマ”を信じ、言葉を大事にしている主人公・なぎさ。

なので、
自然と“言葉”がテーマとなっています。

どんな気持ちでも、
言葉にすると、それは力を持つものになる。

いい言葉も、よくない言葉も…。

友だちが友だちの悪口を言う、
そんな姿を見たくない。

どうせ口に出すなら、
叶えたい願い事を。

そんな前向きななぎさの言葉、
私にはたくさん響いたよ^^


≪ みんなでラジオ番組を作る! ≫

ラジオ番組でトークしたり、
オリジナル曲を流したり…。

そういうのが新鮮で、わくわくしました♪

女子高校生のひと夏の物語としては、
十分な展開と盛り上がりでした!


● キャラクター
キャラの作画は少しクセがあるかな?
あまりかわいいとも、きれいとも言えません。笑
(作画が悪いわけではないのだけど…。)

口がωとなっているのも、好き嫌いがあるかも。

なぎさのキャラには合っていたと、私は思いますが♪

メインキャラの声優さんはほとんど新人さんということでしたが、
皆さんお上手だったと思います^^

特に主人公のなぎさ役の片平美那さんの演技が自然体でよかった♪

なぎさの台詞には、
何度かうるっとさせられました(´;ω;`)


● 音楽
メインキャラによる挿入歌が
たくさん使用されていました。

どれもいい曲でした♪

特に山場の挿入歌がよくてですね…(´;ω;`)

音楽担当は松田彬人さん。
BGMは優しい曲が多く、印象に残ったものが多かったです♪

映画で聴いて惚れたので、
すぐにサントラ手に入れました(`・ω・´)


【 挿入歌「Wishes Come True」/ メインキャラ7人 】

山場で流れました。

曲もいいし、
曲に合わせて涙をこらえながら歌う紫音にこちらが涙(´;ω;`)

クライマックスの盛り上がりは、
間違いなくこの曲の力が大きいです!

音楽の強い力を感じました。


【 ED「キボウノカケラ」/ NOW ON AIR 】

メインキャラ7人のうち、
新人声優6人によるユニットです。

明るくて、この作品のEDにふさわしい曲だと思います♪

この曲好きだな~^^


● まとめ
90分という、やや短い時間だからか、
展開に無駄がなくて思い切りがあり、よかったです♪

まっすぐななぎさに引っ張られて、
重い話も重すぎず。

正直ストーリーはベタな流れで、
展開もありきたりではありますが、

挿入歌がとてもよかったのも手伝って、
私はこの作品の雰囲気好きでした♪

映画公開時にはそれほど話題にならなかったけれど、
知らない人が多いのはもったいない作品です!

言葉にできる強い想いは、きっと叶うはず。

言葉の力を信じて、
前に進む勇気をくれる作品でした^^

投稿 : 2024/05/04
♥ : 30

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

高2の夏休みの小さな出来事を描いた良作も、映画としては…

 なぜ、アニメの世界ってミドルティーンを中心に置くんでしょう?10代中盤と言う年齢からは「発展途上」「未成熟」「可能性」そういった言葉が思い浮かぶからでしょう。つまり「成長」を描くことができるからでしょう。
 その中でも高校2年生は、大学受験もない高校生活もおっかなびっくりじゃない。一番安定して何でもできる1度しかない「思春期」の真っただ中です。悩むこと、泣くこと、チャレンジ、好奇心、そして失敗が許される年齢というのが高校2年生なんじゃないでしょうか。

 この作品の主役が例えば18歳の大学生ならまだ通用したかもしれませんが、ここまで仲間に対していろんな葛藤があったでしょうか?地元という地域性に由来した人間関係でしょうか?大学生は少なくともある種の選別が終わって、多様性が無くなる時期です
 20歳ならどうでしょう?ちょっと幼い感じがしないでしょうか。20歳や社会人になるといった切れ目を超えると大人でならなければならない、完成系でなければならないという気がしてしまいます。

 だから本作は高校2年生でしか成立しないのでしょう。

 江ノ島はアニメのみならず文学でも舞台になる場所です。行ったことがある方はわかると思いますが、関東近郊であれほど「青春」という単語がぴったりくる場所はありません。長い海岸線とそれに沿って走る134号線。そして江ノ電、モノレールに鎌倉、水族館。低い山に張り付くように広がった街。何よりも江ノ島とその上の塔を見ると、唯一無二の場所感が、ものすごい詩情となります。

 ストーリーです。言霊と歌とFM…ついでにお寺の鐘の叫びですね。言葉に発する、それが気持ちになって人に伝わる。また、人に伝わると同時に自分にも帰ってくる。単なる情報ではなく、実体を持って伝わるのが言葉なんだよ、と。

 だからこそ、友人同士の諍いがあって、劣等感や優等生の胸の内があって…でもそれは伝えていないからで、言葉にすることによってどんどん収束してゆきました。
 言霊はオカルトではなくて、自分も含めて言葉を発することで、言葉は実体を持つ。だから、大切に扱わないといけないし、止めてもいけないということかもしれません。

 母親のところも昔きいた子守歌の記憶と、目を覚ましてほしいと歌う歌の対比が良かったですね。想いがFM放送を通じて時を超えて伝わっていました。
 
 作品全体は、100Mの範囲に届くFM局の話で小さな出来事ですが、シンプルながらいい話だと思います。言葉の持つ力を、いろんな考えや状況の人を配置することでうまく描き切っています。

 2度と戻らない高校2年生の夏休みのちょっとした成長が、その後の人生に多分影響したんだろうなあという余韻を残してくれました。
 アニメ的には、江ノ島の夏の雰囲気がしっかりと画面から伝わって来て、作画も美術もキャラデザも良かったと思います。

 感情に訴えかけるものがある良い映画でした。ただ、映画としては満足度は低いかもしれません。サブスクで見たから私は素直に良いと思えましたが、映画館まで行くかなあ。

 点数をつけるなら4.2点は盛ってないし、見て損はないと思いますけど、劇場映画かあ。短編小説を読んだような視聴後感なので、名作というよりも良作という感じでしょうね。


 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6
ページの先頭へ