潜水艦おすすめアニメランキング 10

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの潜水艦成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番の潜水艦おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.5 1 潜水艦アニメランキング1位
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1400)
7044人が棚に入れました
2039年、人類は温暖化に伴う急激な海面上昇により、地上での版図を大きく失った。
それに呼応するかのように、霧を纏う謎の軍艦群「霧の艦隊」が世界各地の海洋に出現、搭載した超兵器で人類の艦を攻撃し始めた。
人類は持ちうる戦力を投入し、最終決戦「大海戦」に臨むも、「霧」の圧倒的な武力の前に脆くも敗れ去った。
すべての海域、運搬経路を「霧の艦隊」によって封鎖され、政治経済は崩壊、人類は疲弊の一途をたどっていた―――――――
「大海戦」から7年。
士官候補生・千早群像の前に現れた「霧の艦隊」の潜水艦「イ401」。
敵であるはずの「イ401」、そのメンタルモデル「イオナ」との出会いは群像に、そして人類に何をもたらすのか?
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アルペジオ2周目の感想 & 「艦これ」との比較

(※アルペジオ劇場版が公開された2015年当時の投稿内容です。)

①1月末から総集編映画が公開され、その後に完全新作の続編映画の年内公開が控えていること(10月3日封切り予定)
②本作と同様に旧日本海軍艦艇をモチーフとした話題の新作アニメ『艦これ』がTV放送中であること(加えて両作はコラボしていること)
③最近視聴した、本作と同じ監督(岸誠ニ氏)&シリーズ構成(上江洲誠氏)の組み合わせのTVアニメ『結城友奈は勇者である』(2014年秋)が、予想外の良作で、このコンビの作品に俄然興味を持ったこと

・・・以上3つの理由から、本作品について2013年秋のTV放送時以来、2周目となる全話視聴を行い、レビューを全面的に書き換え、併せて「艦これ」とのコア・コンセプトの違いを考察してみました。


◆各回の評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

========== 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- (2013年9-12月) =========
{netabare}
第1話 航路を持つ者   ★ 航海の目的、イオナとの出逢い
第2話 嵐の中へ     ★ 対タカオ戦
第3話 要塞港、横須賀 ☆ 軍との対峙
第4話 横須賀急襲    ★ 対キリシマ・ハルナ戦
第5話 人ならざる者  ☆ メンタルモデルと人の接触
第6話 ともだち    ★ メンタルモデルと人の接触(続き)
第7話 硫黄島      ★ コメディが面白い回
第8話 人形の家    ★ 兵器が「愉しい」という感情を持つな
第9話 決死の脱出行  ★★ 対コンゴウ戦1、ED後に急展開
第10話 その身を捧ぐ  ★★ イオナ・タカオに生まれる恋情
第11話 姉妹      ★★★ 対姉妹艦(イ400・402)戦
第12話 航路を拓く力  ★ 対コンゴウ戦2、余韻を残すラスト{/netabare}
----------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)2、★(良回)7、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.3


※上の★表記のように、本作は外れ回が少なく(全12話で☆は2回)かなり濃い楽しみ方が出来ました。
※特に終盤の第8話後半から第11話までの展開は見事だと思いました。
※最終回(第12話)は本作としてはイマイチの感がありましたが、それでも悪くない出来と考えます。
※まとめると、現時点では自分にまだ上手く表現し切れない特有の面白さがある作品と考えますが、以下のように考察を進めて、なるべく明瞭に本作の美点と欠点を抽出していきたいと思います。

◇各話内訳
{netabare}
バトル回=計5話(第2/4/9/11/12話)
メンタルモデルと人との交流回=計5話(第1/5/6/8/10話)
その他の回=計2話(第3/7話)
{/netabare}

◇登場するメンタルモデル
{netabare}
※全部で以下の9体

大戦艦コンゴウ ※他のメンタルモデルとの間に感情発生
大戦艦キリシマ ※蒔絵との間に感情発生
大戦艦ハルナ ※蒔絵との間に感情発生
大戦艦ヒョウガ ※他のメンタルモデルとの間に感情発生

重巡洋艦タカオ ※群像との間に感情発生
重巡洋艦マヤ ※感情プログラムは実装されていない

潜水艦イ400 ※他のメンタルモデルとの間に感情発生
潜水艦イ401(イオナ) ※群像および他のメンタルモデルとの間に感情発生
潜水艦イ402 ※他のメンタルモデルとの間に感情発生

※その他にメンタルモデルを持たない艦艇が多数登場(ナガラ級軽巡洋艦、アイオワ級などアメリカ方面の霧の艦隊)
{/netabare}


◆内容考察

(1)本作の他にない美点
{netabare}
・フル3DCGIによる迫力の艦隊バトル描写
・バトル描写と並行して、メンタルモデル同士の謎空間での緊張した対話を描出している点(非常に斬新な印象を受けました)
{/netabare}

(2)明白な欠点
{netabare}
・メンタルモデル同士の対話の描写が秀逸なのに比較すると、人間とメンタルモデルの交流の描写が
 ①余り洗練されておらず、少し古臭い(蒔絵とハルナ・キリシマの交流)か、
 ②感動できるが、初見では分かり辛く、ハイライト(第10話)に後述するようにせいぜい半分程度の理解に留まってしまい、非常に惜しい(群像とイオナ・タカオの交流)こと
・シリーズ構成が甘いこと、特に
 ①第1話が分かり辛く、余り後の話に上手くつながっていない点
 ②軍との関係の描写がストーリー全体から見るとほとんど無駄になって浮いている点
 ③さらに最終第12話の盛り上がり方・まとめ方がイマイチで期待外れだった点
・ナノマテリアルが万能すぎて(それさえあれば、どんな物体でも自由に再生できてしまう)、設定の縛りの無さに時々白けてしまう点
・タカオ、マヤのギャグ設定までは良いとしても、ヒョウガのギャグ設定が作品に不必要に安っぽい印象を与えてしまっている点(ギャグが滑っていてこれもかなり白ける)
{/netabare}

(3)現時点で評価保留の点
{netabare}
・《論理思考ルーチン》に過ぎないメンタルモデルに、《論理》を超越した《感情》や《意思》が生まれてしまう、という《心身問題》を本作はどのくらいの深度で描いているのか、その深さや意味合いが自分の現時点の知識では掴めない点

※興味はあるけれども現時点では私には確り調べる意欲が欠けています→詳しい方がいたら簡潔に教えて欲しいところです(以下は参考サイト)

¶心身問題(mind-body problem)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E8%BA%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C

¶心の哲学(philosophy of mind)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6
{/netabare}


◆本作のハイライト

※現時点では以下の2点と考えています(ただし今後、第12話も追加する可能性が高い)。

◇第10話『その身を捧ぐ』
{netabare}
10分過ぎ、艦内気温が低下し群像の呼吸が乱れているいることに気付いたイオナが、「私は擬似的に代謝機能を再現して体表温度を上げることは可能」といって自分の両掌(てのひら)を見つめて、その後、少し戸惑った表情で群像に視線を移し「だけど・・・」とつぶやくシーン
群像が、あれっと少し驚いた表情を浮かべて、それからフッと笑って「そうだな。エネルギーは節約すべきだ。救命キットからブランケットを持ってきてくれないか」

*つまり、イオナは自分が群像と抱き合えば、艦内気温を上げなくても群像の体を温めることが出来ることに気付くが、同時にそうすることを躊躇(ためら)う感情が彼女に生まれており、群像もそれに気付いて「ブランケットを・・・」と婉曲に彼女の行動を脇に逸らしている。
*イオナのこの躊躇(ためら)いは、メンタルモデルらしからぬ乙女の羞恥心ないし淡い恋情の発生と解釈できる。
*そして、これが、16分過ぎに来る「嫌(いや)。私は、私は一人になりたくない」というイオナの発言と行動につながっていく。

→しかし第1回目の視聴時は、私はそこまで気付かず、この後に来るタカオの群像への切ない恋情だけを認識できていた。

*タカオ「全く、本当にあんたってば。これじゃ・・・私の入り込む隙間なんて、どこにも無いじゃない」は、イオナの恋情のもたらした行動に気付いた彼女が意を決してつぶやいた言葉。
*「自らを犠牲にして他者を救う、それは本来、霧には有り得ない行動。まさかイオナ姉様がそんな選択をするとはね。そしてあんたも」(ヒュウガ)「それが艦長の、千早群像の望みならば」(タカオ)

→つまり、イオナに発生した群像への恋情(※但しイオナ自身はそれが恋情であるとは気付いていない)が彼女を自己犠牲へと向かわせ、そしてその行動がさらに、タカオの恋情を募らせて、その第二の自己犠牲をもたらした、と解釈できる。

*タカオの恋情はともかく、イオナの恋情は視聴1回だけでは分かり辛いと思うので、この回の評価を★★としました。
{/netabare}

◇第11話『姉妹』
{netabare}
20分近くで、イオナが姉妹艦を喪失してしまうシーン
*メンタルモデル同士の心理的なやり取りの描写が秀逸。
*ここの演出は第10話よりもずっと分かり易く優れていると思うので、この回の評価を★★★としました。
{/netabare}

※なお、第12話『航路を拓く力』は、現時点では残念ながら、第10話・11話に比べると内容が幾分雑で感動が少ないように感じてしまいました。
→本作の私の全体評価を、もう一つとした原因のひとつ。
→ただし、この回については、前記した◇(3)現時点で評価保留の点、に直接関係する箇所なので、時間を置いて再々視聴し、考えを整理したいと思っています(その際には評価が変わる可能性が高いです)。


◆『艦これ』とのコア・コンセプトの違い

・アルペジオの艦は、{netabare}
 ①旧日本海軍艦艇の艦容そのままの外形を保ちつつ、
 ②別に、メンタルモデルという人型の制御ユニットを持っている。{/netabare}
・このメンタルモデルは、{netabare}
 (1)「人間のような感情を持つことなど、兵器である自分には不要かつ異常である」と自己定義していたはずなのに、
 (2)人間ないし人間に感化された他のメンタルモデルとの接触によって次第に、「後悔」「恋慕」「憤怒」「愛惜」といった人間的な「感情」{/netabare}に目覚めていってしまう。
(※ここが本作の最大の注目点)

・これに対して、艦これの艦娘(かんむす)達は、
{netabare}その身にまとう艤装(ぎそう、船の装着物のこと)を別とすれば、最初から生身の人間と変わらない極めて豊かな喜怒哀楽の感情に溢れた存在{/netabare}として描かれている。
・ただし、艦娘たちは、
{netabare}あくまで「先の大戦当時に実在した軍艦の擬人化」であり、自身が軍艦であることを自明とする発言や行動をとっていて、なおかつ、先の大戦での個別エピソードに由来する悲劇的な運命を背負わされていること、{/netabare}がストーリーの端々(はしばし)から予感される描き方をされている。
(※ここがアルペジオとの最大の違い→アルペジオの艦は、{netabare}ただ単に日本海軍艦艇の外形を模倣しているのみであり、それとの内面的ないし運命的な繋がりは切断されている{/netabare})

・以上まとめると、『アルペジオ』も『艦これ』も、{netabare}
 ①先の大戦当時の日本海軍艦艇をモチーフとして、
 ②人間側ではなく、擬人化した艦側の《悲劇》を描き出す作品{/netabare}
と要約できると思いますが、
その描き出される{netabare}《悲劇》{/netabare}が
 ①『アルペジオ』の場合は、{netabare}艦(メンタルモデル)が人間的な感情に不可逆的に目覚めていく点{/netabare}にあるのに対して、
 ②『艦これ』の場合は、{netabare}艦(艦娘)が先の大戦でのエピソードを運命的に踏襲してしまう予感に満ちている点にある、{/netabare}
と考えます。

・このどちらに、より心惹かれるか(あるいは惹かれないか)、は個人の好みによると思いますが、私個人は現時点では、後者(艦これ)の側に、より強く心を惹かれています。

・いずれにせよ、1月末公開のアルペジオ劇場版総集編およびその後10月初めに公開予定の完全新作続編が楽しみです。


◆追記:続編映画の評価

(1)劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-DC   ★  4.0
(2)劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-Cadenza ★★ 4.5

※(1)は、約2/3がTV版の総集編、残り1/3(正味30分強)が新規の展開
※(2)は、フル新作で、TV版のコンセプトを引き継ぎつつ、この手の作品に求められる要件を十分に満たしてストーリーを完結させている。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 73

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

魅せる戦艦バトル作品

ジャンル:SF戦艦バトルアニメ
製作会社;サンジゲン
監督:岸 誠二

久し振りに何も考えずに カッコイイ!!! と褒めたくなるほど夢中で楽しく観れた作品。小難しいことを考えず4話まで観て判断してもらえると嬉しい。正直、1話は概要で不安要素たっぷりです(苦笑) 基本的に戦艦バトルがメインとなるドンパチ合戦の作風に加え、キャラを含めほぼフルCGの映像美になっている。さらに艦これブームも相まって期待値は上げられた。実際、BD売上も1万枚と好調なスタートとなっているようで私的ながら嬉しい限りである。超重力砲連射の勢いで2期作成して欲しい気持ちがいっぱいです(笑)

先ほど述べた艦これ(正式名:艦隊これくしょん~艦これ~)と比較される理由の多くは、萌キャラとの一体感ある構図が類似している。戦艦の名前と同じキャラ名に加えキャラデザの違いといった比較要素も多いと思います。実際、どちらのキャラデザが好みかはユーザー次第ではあるが、これはこれ、それはそれと楽しんだもの勝ちと感じている。

あえて区別するなら、
艦これ:萌キャラだけに留まらずミリオタ向けに作られており戦艦の名称・由来といった綿密さ、自分の戦術を楽しむ

アルペジオ:萌キャラどんぱちフルCG戦艦アニメ

という具合です。そもそもアニメとブラウザーゲームと路線が違うが、今年夏アニメ化される艦これの出来栄えに期待しつつアルペジオを超えるクオリティになるのか怪しいところではある。

ストーリーはシンプルで、霧と呼ばれる謎の艦隊から人類の危機を救う為に未来を模索する千早
群像と霧の裏切り者である401イオナの航海。その行く先を阻む霧の刺客達もイオナと群像に影響され自我を持ってしまう。戦艦に芽生えた感情という不確定な思考ルーチンは、何の為に獲得するのか未だわからない道筋となっている。

戦う萌キャラにしか見えないが、突如、人型に擬似化された戦艦AIという設定・人類を滅ぼす目的、アドミラリティ・コードとは何を指すのか?その意志はどこにあるのか?と伏線ばかりではあるが、最終的には人類と未知の人種(戦艦)を受け入れる共存を描く王道な作りを漂わせている。
その過程において、意思とは何か?人間とは何か? 個としての尊厳を問う哲学的な側面を描きつつ切っても切れぬ科学と人を結びつけたヒューマンドラマ性を植え付けている。
原作とアニメ版では改変されているらしいが、1クールで終わらすには勿体無い作品だと感じる。

それもストーリー展開はテンプレではあるが、戦艦バトルシーンは心熱くさせる絵の魅力が一番の見所となっていた。それだけに同じカットを無駄に観ていたら、気づくと2週目していた(笑)
最近はCGを使うアニメが多いなか違和感もなく目立った粗さもなく溶け込んでいたと感じる。
特に超重力砲発射シーンは圧巻。私の下手な文章で説明するよりPVを観る方が確実と思う(笑)
是非、観てから判断して欲しい。

ドンパチ合戦の構図が多いのだが撃ち合いシーンを盛り上げる要素として戦術の描き方がシンプルに魅せることで、ここから熱い展開が来るぞ! と観ている方も夢中になってしまう。
基本的に 潜水艦 VS 大戦艦 とのバトルで勝てる可能性はない。危機的状況から覆す博打勝負となる。王道ではあるがワクワクドキドキ感が絶えずズルズルと観てしまう中毒性がある。
相乗効果としてBGMの使い方もセンスも巧く一体感が生まれていた。

また、各話のシナリオ構成も戦艦バトルを見所にする尺の取り方にしている。
多くの作品は1話のバランスとして起承転結で物語運びをする構成にしている。視聴者に結にあたる次回への引きとして、来週も見て欲しい為である。要は気になる終わりにして来週も見てね と、モヤモヤ感を与える。実際、好きな作品ほどこれは効果覿面となるが、その続きに拍子抜け・期待ハズレといった感性を与えることにもなる。そこで打切る判断材料になる。

だが、アルペジオはどうだろうか。1話に結をいれない構成にしている為、起承転となり引きが弱くなっている。当然、単調な物語運びとなるのだが見せ場である戦艦バトルに1話まるごと使う構成にすることで見応えが生まれる。1話 起承転 2話 結 と2話セットにしている。
ただ、序盤の物語の掴みがわからない為に不安を抱くが、加速していく4話辺りから引き込まれる。
超展開要素もあるが展開として妥当だと思う。 ただ、戦艦同士の融合には唖然としたが、カッコイイから許してしまう気持ちとツッコミしかなかった(苦笑) この辺りは派手さを魅せる意味もあるが、危機感の装置にもなっており、最後の悪あがきを誇示している。特撮によくある敵の巨大化演出みたいなものと解釈するといいかもです。

また、政治・経済といった戦略的な深みとなる演出をほぼ省くことで、戦術の見せ場である絵を重視した見やすい作品に仕上げている。萌キャラに戦略的な深みを備えれば銀英伝に次ぐ作品・・・と無謀かな(苦笑)  ただ、このクオリティの高さでリメイクやこれから発信される作品に転用できれば、もっと充実する作品が増えることは確かだろう。

キャラ設定。
自我が芽生え意思を持つという共通事項をベースして個性を植え付けている。思考ルーチンが乏しい為、興味対象に沿った行動心理が優先になっており、全体的に単純だけど許せるバカという可愛げあるティスティングにしている。無機質な戦艦であると同時に成長段階の子供といったギャップがコメディ要素を膨らませ愛着を持たせている。あえて心情描写を掘り下げる展開はないので気楽に観れる。

私の好きなキャラは、ちょろインなあの子です(爆)
最近ちょろインな子がツボですね~某アニメではちょろインしかい出てきませんが(苦笑)

少し内容が逸れたが萌要素も過不足なく織り込んでいる。
ベタなキャラ設定と感じるかもしれないが、これぐらい良い案配と思う。
それも最低限のキャラ立ちすることでバトルに箔をつける意味を成している。

それだけにキャラ・序章に近いストーリー展開は全てはバトル演出を盛り上げる為に構成していたと感じる。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 46
ネタバレ

ほったっる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

留守番嫌いっ、お出かけ好きっ、一人はさみしっ、二人は楽しっ、私はマーヤ、友達コンゴウ!

原作未読

絶賛ハマっている「艦これ」のコラボイベントから興味を持って観たアニメです。

突如現れた圧倒的力をもつ霧の艦隊が世界の海を制圧し、世界が遮断されてしまう。(通信も妨害されている)陸に直接攻撃してくることはないが、人類も霧の存在に危機を感じている。
主人公の千早群像は霧でありながら群像に従う伊401と出会い、政府にも霧にもつかず、現状を打破する力を求め、霧に対抗するカギとなる兵器をアメリカへ届ける依頼を引き受ける。

とまぁ、話だけ聞いても「ん?」となるような内容ですのでつべこべ言わずに見た方が早いかと・・・笑

ざっくり言うと、人類の存続をかけて艦が擬人化した女の子と一緒に、これまた艦が擬人化した敵と戦うという感じですね。(適当)

つまんねーこと言わずに要点だけまとめていきます。
このアニメはとにかくかっこいいのです。

かっこいいところその1:音楽
OPからかっこよすぎます。特に蒼き鋼のクルーが海を眺めているシーンはしびれます。イオナがいつもの定位置でのそのそしているのもかわいいですね笑
OPだけではありません。戦闘中を始め、BGMが本当に最高。戦闘がBGMでより一層、緊迫感を増していきます。

かっこいいところその2:艦
すべて3DのCGで描かれているため、登場する潜水艦や重巡洋艦、戦艦がかっこよく描かれております。そのため、登場人物がかくかくしているように思えますが、そこに目を瞑らずともなおあり余る圧倒的な作画と言えます。潜水艦の修理シーンや補給シーンなどでそのすごさを体感できるはずです。特に霧の最強兵器とも言える超重力砲が出るシーンは圧巻です。

かっこいいところその3:専門用語
戦闘シーンではなにやら難しそうな言葉が飛び交っています。ATフィールドならぬクラインフィールドや、浸食魚雷や超重力砲、アクティブデコイ。戦闘中はとにかく忙しそうなので、聞いてるだけで「お・・・お、おお、なんかすげぇ」という感じになります。(結局稚拙な感想で申し訳ない)

かっこいいところその4:構図
ここはネタバレを含む私なりの考察なので長くなります。読むのは面倒だと思いますので、一応隠しておきます。
{netabare}
一見するとこのアニメはSFもののような気もします。
しかし構図で言えば現在の世界となんら変わりはないと私は考えます。

アルペジオでは「人類」と圧倒的力をもつ「霧」が対立しています。
その霧に対抗するために、人類は振動弾頭と言う最先端の兵器をデザインチャイルドという倫理的にも問題がある手法で開発に成功します。
そして主人公である群像はこういった旨の発言をします。
「振動弾頭が人類の未来であり、これがあれば霧と対等になれる」※原文ままではありません

これを聞いたときにすぐに連想したのが、現在の「核兵器」です。
核兵器が開発されて以来、どの国も核兵器をもつ国に対抗するために核の保有を行ってきました。最たる例がご存知、冷戦です。
一体、なんのために核の保有が増えていくのか。それはやはり「対等になるため」でしょう。

私は大学で中国人留学生と核に関してのディスカッションをしたことがありますが、彼ら曰く
「中国は核兵器を保有できたからこそ、アメリカのような先進国と初めて対等になり、外交ができるようになった」
との旨の意見をいただきました。
すでに力の差がある状態で外交なぞできないというのが彼らの言い分です。

実際、そうなのかもしれません。
例えば北朝鮮も核兵器を持っているということをちらつかせ、先進国に支援物資などをねだっております。つまり核兵器と言う力で他の先進国と対等になり外交を行えると考えていることが窺えます。
これがもし、北朝鮮のようなならず者国家が核兵器を開発できていなかったら、世界は大して相手にしていなかったでしょう。
これは外交と言うより一種の脅しに近いかもしれませんが、実際、核兵器をもったことで(あるいは持つように見せかけることで)世界は北朝鮮について真剣に考えるようになったのは間違いありません。
もちろん対極的な方法としては、核を放棄し、支援を真摯にお願いするという平和的な方法も行えますし、それも実現可能なのかもしれません。
このような素晴らしい方法がありながら、悲しいかな、人間は「抑止力」なる兵器を持たずには相手との議論を行うことができないという考えが一般的なようです。その考えも無理はないでしょう。過去の戦争などを見れば、人類は「力」に頼ってしまう弱さをもった生物なのだとわかるはずです。(あ、なんかキザだ)

それ以前に、そもそも交渉というのは立場が有利なものが有利に事を進めようとするのが、ごく自然のことなのです。

本作における千早群像も敵のメンタルモデルと和解するために最大限の努力はしますが、最終的には敵を沈めることを厭いません。
彼は振動弾頭を手に入れ、霧と人類が対等になり、そこで初めて霧と和解できると考えているかもしれません。
もし振動弾頭が量産されるようであれば、霧も容易に攻め込むようなことができなくなり、和解のためのテーブルに座ってくれるかもしれません。

まぁこれは全て私が勝手に考えたことなので、軽く流してください笑 正直、知識も乏しいので。
{/netabare}

見所は戦闘シーンに留まらず、ちょっとした日常パートのようなものもあります。
関連して言えば、このアニメの良いところとして、いちいち山場をつくろうとしていない所が挙げられるかもしれません。
日常系でもない限り、どうしてもアニメは1話で1つの山場を作りたくなりますが、本作品では話の最後に山場が来て、次週最初から最後までクライマックス!といった展開が結構あります。

日常パートではギャグ展開も見られ、和みもあります。
{netabare} どの艦も戦闘するまでは気難しそうな子ばかりですが、一度負けると一人残らずギャグ要員になっているのはおもしろいですね笑
コンゴウはさすがに除きますが{/netabare}

とにかくかっこいい本作品。ぜひご視聴ください。

原作も読みたいなー。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21

78.2 2 潜水艦アニメランキング2位
ふしぎの海のナディア(TVアニメ動画)

1990年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (580)
3130人が棚に入れました
西暦1889年、パリ万国博覧会中のエッフェル塔で、飛行機の発明を夢見るジャンは、サーカスの団員ナディアと、彼女の友達である赤子ライオン(キング)に出会う。彼女の持つ謎の宝石ブルーウォーターを狙うグランディス一味から逃げ、ナディアの故郷を目指す旅のなかで、悪の組織ネオアトラン(ネオアトランティス帝国)の首領ガーゴイルが占拠した島で生き残った少女マリーと出会う。しかし、マリー、キング、ナディアの3人は、ガーゴイルに連れ去られる。初めはブルーウォーターを狙っていたグランディス一味と共にナディア達を助けるうち、ジャンは万能潜水艦ノーチラス号のネモ船長とガーゴイルとの戦いに巻き込まれていく。

声優・キャラクター
鷹森淑乃、日髙のり子、水谷優子、滝沢久美子、堀内賢雄、桜井敏治、清川元夢、大塚明夫、井上喜久子
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ようやく見るに至る

再放送されていたのを見たことはあったが、追っていたわけではなく、話の内容はほとんど知らないも同然だった。
しかし、アマゾンプライムビデオにいつの間にかあったので、見ることができた。

何かと葛藤が多いし、割と人がばんばん死ぬんやなあ。思っていた以上にシリアス。潜水艦離脱からの中だるみしたのか無人島漂流。いつの間にかグランディス、サンソン、ハンソンが良い奴になってるし。キャラソン一挙放送みたいな謎回もあるし。ツッコミどころありすぎ。
さらに気づいたら、最終話に向けて一気にシリアス展開。僕の大好物である後日談も交えて、最終的にはしばらくロスに至る自分史に残る作品だと感じた。本当にずるいよ。庵野秀明。最後の脱出とか、あれだけで泣けてしまうよ。
{netabare}エレクトラがひっそりとネモとの間に子供まで作っているのはたまげた。サンソンはグランディスだと思っていたのに、まさかのマリーと結婚しているのもびっくりだわ。{/netabare}
褐色露出多めヒロインも当時も現在でも斬新でありですね。NHKも共同制作に入っているわりにはやりたい放題やっていたみたいね。なんにせよジャンとナディアがハッピーエンドを迎えられたのは良かった。

鷹森淑乃の声も良かったし、貞本義之のキャラクターたちみんな良かった。

人を殺すくらいなら殺されたほうがまし。とは言うけど、人殺しに自分だけで済むならまだしも、自分の大切な人が殺されても平気でいられるのだろうか?殺人は駄目なのは当たり前だけど、正当防衛というものがある。

23話には驚かされた。あれが例の嫉妬に狂った女エレクトラなのか!背筋がぞくぞくした。まじでとんでもないな。
{netabare}ナディアがネモの実の娘でそっちに愛を注がれるのは嫌だから殺そうとするなんて。清純で冷静沈着なお姉さんだと思ってたのに。挙句、自殺未遂ですよ。これじゃあ、単なるメンヘラですやん。ネモの圧倒的な漢気で全部解決。
嫉妬描写が多いグランディスのほうがやりそうなのに。あ、でも、グランディスのほうが気持ちいいほど分かりやすい性格しているから大丈夫やな。お嬢様育ちとは思えない。料理上手だしね。結婚詐欺の被害に会って、財産も勿論だが、ほぼ全てを失うという悲しい境遇を乗り越えているから強い。{/netabare}

ナディアが肉食を嫌う。科学、文明を嫌う。菜食主義って文明社会でないと達成できないよなあ。なのに、無人島に漂流したとき、自然と共に自分は生きていくだなんて矛盾を抱えている。食糧を盗むことでしか生活できないなら、自然と共生しているとはとても言えない。人間は自然の中では生活しきれないからこそ、文明を作りあげてきた。この便利さからは逃れられない。

子鹿を殺したことを責めるが、ライオンとかは子供を狙うじゃん。動物を殺すのは駄目でも植物は許されるのか?肉食動物が肉を食べることを知らないし、卵が動物の生まれる前の段階なのにそれは食べることができる。一見ヴィーガンのようだが、違う。そもそも僕はヴィーガンの思想自体理解しきれない。菜食主義でも肉を無理矢理食べると感動して菜食主義を辞めたくなるらしい。肉食には抗えない。人間も動物だからね。自分のポリシーとして貫くぶんには構わなくても、人に押し付けてはダメ。おいおい蚊は殺してもええんかーい!!過去のトラウマはそう拭えないもんだね。後日談でも断固として食べてないし。

ナディアは思春期特有かもしれないけれど、非常に面倒くさい。自分の過去を振り返ってもそう思う。なんでこんな面倒くさい思考回路してたんだろう?恥ずかしい。だからこそ、ナディアを見るとイライラしてしまうんだなあ。上手に描いているもんだ。腐った物を食べてお腹を壊したところを助けようとしたジャンに感動してしおらしくなったなあ。

ジャンもデリカシーがないなあ。女性の気持ちに鈍感。女性にキスを誰としたとか訊いたらまずいやろ。かくいう僕も女性の気持ち、ましてや人間の気持ちなんて分からない。努力はしているつもり。男子校生活は終わったはずなのに未だにおかわりしてるもんだから、なんだかんだジャンに共感できる。
キングがなんか可哀想。

そして、潜水艦から切り離されたあたりからシリアスからはほど遠いほのぼのとした生活。無人島とか部族とか。ナディアが浮気してしまえるほどの緩さ。いくらなんでもジャンが報われない。

マリーの声を聴くと水谷優子が忍ばれるなあ。

OP
ブルーウォーター 歌 森川美穂
ED
Yes, I will... 歌 森川美穂
この作品が放映されたとき僕は生まれていなかったけれども、曲は聞いたことがあって好きだった。どちらもいつまでもリピートできる気がする良曲。特にED。メッセージ性も強くて好きだな。
他にも大量のキャラソンやら挿入歌やらあるけど、見ている途中で僕もたるんできたので、あんまり印象に残ってない。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
時は、1889年。発明好きの少年・ジャンは、万国博覧会の会場で謎の少女・ナディアに出会う。ナディアに一目ぼれしたジャンは、ひょんなことからナディアとともに冒険へと旅立つことに―。


1. エッフェル塔の少女
パリの万国博覧会にやってきた発明好きの少年ジャンは、セーヌ川の岸辺で見かけた少女・ナディアに一目ぼれ。そこへ、ナディアの持つ宝石"ブルーウォーター"をねらう三人組があらわれる。

2. 小さな逃亡者
ジャンの活躍で三人組から逃れることができたナディアは、ル・アーブルにある彼の家で夜を明かす。ところが翌朝、三人組が万能戦車グラタンでふたたび襲ってきた。ナディアとジャンは、空を飛んで逃げることに。

3. 謎の大海獣
ジャンとナディアの乗った飛行機が故障し海に不時着。偶然パトロール中のアメリカの戦艦に発見され助けられた二人。しかしほっとしたのも束の間、今度は謎の大海獣が現れ、戦艦と激しい戦闘を始めてしまう。

4. 万能潜水艦ノーチラス号
謎の大海獣と戦艦の戦闘中に、海に投げ出され取り残されてしまったジャンとナディア。すると二人の前に最新の装備を持つ潜水艦が現れる。二人はエレクトラと名乗る女性から親切なもてなしを受ける。

5. マリーの島
ノーチラス号に別れを告げたジャンとナディアは、改良してもらった飛行機でフランスに向かう。ところが、突然攻撃を受け飛行機は近くの島に墜落、しかもその島は謎の侵略者たちによって占領されていた。

6. 孤島の要塞
侵略者にマリーが捕らえられてしまった。ジャンとナディアはマリーを救い出すため、島の中心にある秘密基地へ潜入する。二人はそこで、ノーチラス号と闘っていた潜水艦を目にする。

7. バベルの塔
ジャンをかばって囚われの身となったナディア。ネオ・アトランティスの首領ガーゴイルは、ナディアをなぜかプリンセスと呼び、マリーとキングを人質にして組織への協力を迫る。彼の狙いはいったい何なのか?

8. ナディア救出作戦
グランディスたち悪党三人組と再会したジャンは、ナディアを助け出すため力を合わせることに。ジャンと対面したガーゴイルは、ナディアたちの命と引き換えに、ブルー・ウォーターの在り処を聞き出そうとするが。

9. ネモの秘密
ネオ・アトランティスの基地が崩壊、グラタンで海へと逃げ出したジャンたちは、ノーチラス号に助けを求め、ネモの判断で救出されることに。そこで、初めてナディアに会ったネモは驚く。

10. グラタンの活躍
ネモの命令で部屋を分けられケンカをしてしまったジャンとナディア。一方、ノーチラス号はガーゴイルの飛行船カルカロドンを追撃するのだが、逆に地下水道で新型の浮遊機雷に囲まれてしまう。

11. ノーチラス号の新入生
ノーチラス号の窮地を救ったグラタンの活躍が認められ、グランディスたちは見習い乗組員として採用されることに。客員となったナディアも何か役に立とうと、船内の調理場でグランディスを手伝うのだが失敗ばかり。

12. グランディスの初恋
魚料理にあきて不満をもらすハンソンたちを見かねたネモは「狩りの日」をもうけ、ノーチラス号は無人島に上陸。次々島に繰り出す船員たち。その夜、無人島の浜辺でグランディスはナディアに自分の過去を語る。

13. 走れ!マリー
小鹿を狩ったことに激怒するナディアはジャンとケンカ、ほかの船員たちもみんな仕事が忙しく、かまってもらえないマリーはキングと島の探検に出かける。古い線路を見つけたマリーたちだが、迷子になってしまい。

14. ディニクチスの谷
ガーフィッシュを追い、再び海に出るノーチラス号。そんな時、マリーが灼熱病にかかってしまう。そしてナディアまでもが倒れてしまい、二人ともあと2日の命と診断される。病気を治すには特別な薬草が必要だった。

15. ノーチラス最大の危機
ノーチラス号の科学の力にますます感動するジャン、逆に反発するナディア。そんな折ノーチラス号は、ガーフィッシュとの戦闘の最中に損害を受けてしまった。修理をするため海上へ浮上すると、そこには。

16. 消えた大陸の秘密
全ての争いの元となっているブルーウォーターを持つ自らの運命に悩み苦しむナディア。一方、船体修理中に機関部で漏れた有毒ガスにより犠牲となったフェイトたちを埋葬するため、ノーチラス号は海底遺跡へ向かう。

17. ジャンの新発明
父の死を知りその敵を討つためノーチラス号の正式な乗組員を志願したジャンだったが、ネモに断られてしまう。すっかり落ち込むジャンに、ナディアは「またジャンの飛行機で飛んでみたいな」と、彼を元気付ける。

18. ノーチラス対ノーチラス号
度重なる戦闘補修によって資材が不足したノーチラス号は、補給のため南極にある秘密基地へ向かう。その途中、謎の物体に捕えられてしまう。それは何億年も前に生きていたとされる巨大なオーム貝・ノーチラスだった。

19. ネモの親友
南極大陸の地下に広がる秘密基地に到着したノーチラス号。ネモはジャンとナディアをつれてある場所へと向かう。その途中には遥か太古に絶滅した様々な生物たちが、氷で保存された氷の博物館があった。

20. ジャンの失敗
ガーゴイルは空中戦艦を建造し、ネモを倒すため再び動き始めていた。一方、ますます発明に没頭するジャンは、小型ジェット機を造り上げるが、実験に失敗し、その爆発によってガーフィッシュに見つかってしまう。

21. さよなら...ノーチラス号
ガーフィッシュの集中攻撃を受けたノーチラス号だが、逆にガーフィッシュを撃沈。ところが、空中戦艦からガーゴイルの新兵器・スーパーキャッチ光線が発射され、ノーチラス号は空中に引き揚げられてしまう。

22. 裏切りのエレクトラ
海底へと沈んでいくノーチラス号。ネモ船長は乗組員をメインブロックに集め、戦闘ブロックを切り離した。自爆した戦闘ブロックがガーフィッシュを全滅。ネモ船長は、船長室にナディアたちを呼び出し。

23. 小さな漂流者
ナディアたちを乗せた船長室は、ゆっくりと海中を進み、とある砂浜に漂着。しかし島はもう誰も住んでいない無人島。ナディアは、誰も、悪人もいない、この島で生きていこうと決心する。

24. リンカーン島
一夜明け、ナディアは島を"リンカーン島"、漂着した入江を"キャプテン湾"、砂浜を"ナマジャキビーチ"などと命名。科学文明と縁を切って生きていくと、森の中へと行ってしまった。

25. はじめてのキス
ジャンとナディアは、肉を食べるか食べないかで激しく言い争う。肉を食べない!と一方的に宣言し、意地を張るナディアはジャンに対して怒ってばかり。そして、腐ったホウレンソウの缶詰を食べ、寝込んでしまう。

26. ひとりぼっちのキング
人はひとりで生きていられないと感じ、ジャンにあらためて感謝し優しくなったナディア。その様子を見たキングは、激しく傷つき動揺。そして、仲良く寄り添いあうジャンとナディアを目撃し、ついに家出をしてしまう。

27. 魔女のいる島
リンカーン島を激しい台風が襲う。ジャンがせっかく作った小屋は吹き飛ばされ、発明した数々の装置も崩壊し、キングは強風に吹き飛ばされ行方が判らなくなる。台風が去った夜、見慣れない島が流されてきて。

28. 流され島
エアトンがおびえる「恐怖の大王」から逃げるナディアたち。重力異常でいつもより速く走り、高くジャンプすることが出来るのだが、やりすぎて島を一周してしまう。「恐怖の大王」の正体、それは。

29. キング対キング
新しい島での生活をはじめたジャンとナディアだが相変わらず言い争いが絶えず、グランディスはネモへの思いがつのるばかり。そんな中サンソンとハンソンはふとしたことから意見が対立、ケンカになってしまう。

30. 地底の迷路
グラタンの修理が完了する日が近づいていた。目指す場所はアフリカ東海岸だ。ところが蚊が大量発生し作業どころではなくなってしまう。一方ジャンとナディアは不思議な穴を発見する。その穴の中で目にしたものは?

31. さらば、レッドノア
地下にある遺跡で突然壁に吸い込まれたナディアは、島の中の大空洞に浮かんでいた。そこは衛星都市レッドノア――。そしてナディアの前に謎の巨人が現れ、アトランティス人の歴史を語り始める。

32. ナディアの初恋?
潜水をはじめた島からグラタンで避難したジャンやグランディスたち。だが途中でガーゴイルの空中戦艦に攻撃を受け、アフリカにある村に不時着する。ナディアはそこで出会った少年・ハマハマに一目ぼれする。

33. キング救助作戦
キングを捕らえて宝を要求してきたのは、グランディスの初恋の相手で、彼女から全財産を奪った男、ゴンザレスだった。その上、キングを助けに向かったグランディスとナディアまでもが捕われてしまう。

34. いとしのナディア(はーと)
ジャンはサンソンから、歌を作るようアドバイスされ、自分のすべての科学技術を投入して新しい発明に取り掛かる。ところが、発明に熱中しかまってくれないジャンにナディアは苛立ってしまう。

35. ブルーウォーターの秘密
グラタンが到着したナディアの故郷・タルテソス。何かに導かれるように大きな火山湖の中を進んでいくナディア。すると湖水が割れ、謎の地下遺跡が現れる。そこは古代アトランティス人の遺産「ブルーノア」だった。

36. 万能戦艦Ν(にゅー)-ノーチラス号
突如現れたネオ・アトランティスの空中戦艦。攻撃からジャンたちを守るため、ナディアは捕らわれの身となる。だがガーゴイルは約束を破り攻撃を開始する。ジャンたちは、間一髪のところを謎の小型艇に助けられ。

37. ネオ皇帝
ネオ・アトランティスの攻撃により消滅したと思われたN-ノーチラス号は、アフリカ大陸の地下トンネルを使って空中戦艦の攻撃を回避していた。一方、ネオ皇帝の力によりブルーウォーターが発動し。

38. 宇宙(そら)へ
パリ上空で、N-ノーチラス号とレッドノアの戦いの火蓋が切って落とされた。レッドノアの周囲には1億ボルトの電磁バリアが張られていて、内部に突入することができず苦戦を強いられる。

39. 星を継ぐ者
奇跡的に自らの意識を取り戻したネオは、命をかけてナディアを洗脳から解放する。ガーゴイルは見せしめに、エレクトラ、ジャンを次々手にかけ、悲しみに沈むナディアは、ここで最後の決断を迫られる。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

1度しかない人生、パーッと生きろ!! 良質な愛とJewelの冒険譚をあなたに…

最近、巷では特撮映画『シン・ゴジラ』が大変なブームとなっています。
ゴジラシリーズとしては通算29作目、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』から実に12年ぶりに日本純正で作られた映画だそうで、新作を心待ちにしてた特撮ファンの間では久しぶりのゴジラに歓喜の声が多数
また、ここまで一気に知名度が上がった主な理由の1つとしては、スタッフの豪華さが挙げられている事でしょう。
総監督および脚本を務めるのは『新世紀エヴァンゲリオン』で一世を風靡した、トップクラスの人気を誇る庵野秀明氏
特技監督には庵野氏と親交の深い樋口真嗣氏、音楽は鷺巣詩郎氏が担当し、他にも摩砂雪氏、鶴巻和哉氏など庵野作品ではお馴染みの顔である人達の作品を久しぶりに拝見出来るというのも、従来のアニメファンを取り込んだ相乗効果として人気に繋がっているようです。
残念ながら私は特撮については全くと言っていい程、知識が無く、その為スタッフの偉大さについてもイマイチピンときません。
そういった方面には些か疎いので、名前を出されても「聞いた事がある」「○○に関わっている」位の印象でしかなく、「何が凄いのか」「どういったディテールに凝っているのか」など、あまり詳しい説明は偉そうに語れない身なのですが…
しかし、そんな私でも彼らが作り上げた作品の中で1番心に残っている物があります。
それこそ、今日ご紹介するアニメ『ふしぎの海のナディア』です。
こうして私がレビューを書いているという事は、期待していた通りの素晴らしい出来だったという証明と言えるのは間違いありません。
と言う訳で今回は『シン・ゴジラ』放映記念と称しまして、愛と夢の詰まった冒険譚をじっくり語って、盛大に褒めまくっていきます!!
まずは簡単なあらすじから…

汝は冒険者か?
危険と言う名の滝を潜り抜け、その奥に伝説の正体を求める者か?
ならば、我を求めよ……

時に西暦1889年
世界中の海では謎の船舶遭難事故が相次いで起こっていた。
人々は古来より海にすむ怪獣の仕業だと噂し、各国首脳は新兵器による攻撃だと互いに非難し合い、緊張が高まりつつあったその頃…
産業革命以来の急速な産業と科学の発達の中で列強各国は、アジアやアフリカの植民地をめぐって対立し、衝突を繰り返していた。
19世紀末、心ある人々は、迫りくる世界大戦の翳に脅えていたのである……

そんな科学万能主義が世間に良い意味でも悪い意味でも影響を与えていた繁栄期のフランス
そこでは、その「怪獣」とやらが起こした被害によって父親が消息不明になってしまったジャン・ロック・ラルティーグ少年が日々を発明に費やしていた。
彼はめげずに「人生をパーッと生きる」と言う叔父の言葉を胸に、父の生存を信じて今日も健やかに生きている。
さて、ジャンは発明の成果を試す絶好の機会である飛行機コンテストに参加する為、辺境の町ル・アーヴルから大都市パリで開かれている万国博覧会にやってきた。
しかし、コンテストに向けて機体を整備していた折に、彼は自転車でセーヌ川のほとりを滑走する褐色の少女に一目惚れしてしまう。
その少女…ナディアとの出会いこそ、ジャンが大空に、地底に、海中に、そして宇宙へと旅立つ大冒険の始まりだった!!
彼は彼女の持つ宝石…ブルーウォーターを胸に秘め、大切な仲間達と共に壮大な世界の第一歩を踏み出していく…
どんな困難が待ち受けようと、ナディアの手をしっかりと握りながら……


ではここからレビューに入っていきたいと思います。
今作には基になった小説が存在しておりまして、原案はジュール・ヴェルヌ作『海底二万マイル』『神秘の島』と言う有名作品です。
恐らく幼少期に読んだ事がある方も多いのではないでしょうか?
そう、ジュール・ヴェルヌと言えば、子供の頃に読書好きだった方にとっては1度は読んだ事があるであろう作品を数多く手がけた有名人、私のようなSFファンにとっては元祖、始原、神様の如き存在なんです(笑)
なぜなら、彼がいなければSFが生まれる事もなく、空想科学なんて代物が実を結ぶこともあり得なかったかもしれないから…
1つのジャンルの興隆に大いに貢献したとして、SFを語る上では外せないとてもとてもありがたいお方なのです。
しかし、その有名なヴェルヌ先生の名前とその作品名をお借りしておいて大変言いにくい話なのですが、このアニメ、ストーリー展開だけ見るならまるで別物です。
所々、小説に出てきた登場人物がアニメの中で名前として登場して活躍する位であり、キャラ設定や物語はまるで別物
これは狂信的なSFファンからしたら違う箇所のオンパレードで発狂してしまいそうな程の代物ですね(笑)
まあ、「原作」ではないので間違ってないから無問題(日本語って難しい…)
しかし、個人的に作中の織り成す全体的な雰囲気は原案の小説を読んだ時と概ね似ている感じが致しました。
『海底二万マイル』は近代科学、『神秘の島』は自然科学を根底に置いたSF冒険小説であって、どちらも科学技術啓蒙小説である事には変わりません。
読む前の期待感、読んでいる時のワクワク感、読み終わった時の爽快感は計り知れない物であり、したがって登場人物が一部以外違えど、その雰囲気は『ふしぎの海のナディア』でも充分に通じるかと思います。

さて、この物語の概要は既にあらすじで述べた通り、発明好きの少年ジャンがサーカスの少女ナディアと出会う事によって始まるボーイミーツガールストーリーです。
しかし、一般的なこの手のジャンルと一線を画している所がこの『ふしぎの海のナディア』と言う作品にはあります。
それは出会い、仲良くなり、困難に陥り、喧嘩し、仲直りし、また困難に陥り、喧嘩し、ずっと喧嘩し…と、とにかく主人公とヒロインの仲違いがやたらと多い所(主に悪いのはナディア)
私はボーイミーツガールと言うジャンルが堪らなく大好きで、その手の類の作品は良く拝見しているのですが、恐らくいがみ合いの数に関してはこのアニメが1番です。
そして、この作品を観てとにかく感じるのはジャンが凄く良い奴だという事ですかね…
私が彼と同じ立場だったなら、アフリカ編(32話、33話での出来事の総称)でこのヒロインは見限ります(笑)
いやあ、ジャン君、あそこまでやられて大した聖人ですよ、君は……
とまあ、私の反応からも分かる通り、余程の人格者か聖人か、逆に人間の底を知った性格破綻者か狂人でない限り、ましてや一般人なら絶対に彼女の事を性格が悪いと感じるでしょう(勿論、それ=嫌いという訳ではありませんよ!)
しかし、その性格の悪さが上手い方向に作用したのは幸か不幸か、ヒロイン以外のキャラクターも軒並み魅力的に映ってるのがこの作品の大きな特徴です。
主人公のジャンは基より、誰よりも精神年齢の高い幼女マリーや誰よりも人間らしいライオンのキング、グランディス一味のリーダーで恋多き女のグランディス姐御、力持ちの熱血漢で名言宝庫のサンソン兄貴に機械工学の天才でジャンと気の合うハンソン兄貴と、その他にも揃いも揃ってかっこいい、可愛い、美しい、楽しい、面白い登場人物ばかり
また、当の本人であるナディアも島編(23話~31話での出来事の総称。細かく言えばさらに分けられるがここでは割愛)まではおかしくなる事もあれど、気がちょっとばかし強すぎて、多彩な我儘態度を持っていて、少しばかり意地っ張りだけれども、根は寂しがり屋(笑)の女の子と感じられたので、そこまで不快感を感じずに笑いながら観る事が出来ました。
まあ、冗談はともかく、皆を助ける為、自ら囮になったり、死んだ人に向けた墓を命掛けで作ったりと本質は悪い娘ではありません。
なので、だからこそ、アフリカ編が堪らなく惜しく感じるというジレンマ
もしかしたら初見はあの話を観ない方が良いのではないかと個人的には感じてしまいます。(事実、後のストーリーには全く関係ないんです)
まあ、観ても後悔、観なくても後悔の八方塞がりのような物なので、これはもう各々の自己判断で宜しくお願いします。
「一体ナディアは、何を考えて生きているのでしょうか…」
全くもって同感です(笑)

さて、本作は「生と死」「様々な形の愛」「運命のあり方」「異種間同士に交流は成立するか?」など私達に伝えている事が数多くあるアニメです。
そして今作の根幹を成す最大のテーマとしては「科学至上主義は平和を導くか?」という近代から続く科学万能思想に警鐘を鳴らした物
こういった問題について思いを巡らせると、常々、私が最初にレビューした『鋼の錬金術師』と言うアニメを思い出してしまうのです。
あのアニメで軸となっていたテーマも「錬金術という科学が作り上げた魔法のまかり通る世界で、紡がれる科学的探究は果たして幸福へと繋がるのか?」という『ふしぎの海のナディア』と同様の類の産物
科学者の持つ、いや、人間全体が持っている知識の探究の果てにある業を上手くテーマに組み込み、後々にはSF設定と絡めて救われない現実、報われない感情、そしてその「罪」に値する「罰」について赤裸々に、臆することなく、見事に表現したのが『鋼の錬金術師』でした。
それに対して、この『ふしぎの海のナディア』は『鋼の錬金術師』よりも幾分、希望、救いを含めたアニメとなっています。
倫理と科学がいつもぶつかる理由は正に両方が相容れない物
人間が良い心と悪い心を両方持っている以上、科学にも善と悪とができてしまう。
それ自体が世界を跪かせる神の光となるか、世界を滅ぼす悪魔の光となるかは未来を知る者にしかわからない…
しかし、科学を扱っている者は悪魔でも、ましてや神でもない、ただの人間なのだ。
ちっぽけな存在で、間違いを犯す存在で、狂おしいまでに、病的なまでに何も出来ない無力な存在
しかし、だからこそ、科学だけじゃなくそれを創り出した人間自体を信じたい、信じる事しか出来ない…
このアニメは絶望的過程が待っていても「もう少し信じてみてもいいんじゃないか?」と使う人間其の者を「信頼」する勇気を与え、ある観点において、『鋼の錬金術師』とは逆の意味で前向きに捉える事の出来た物だったと思います。

では、存分に語った所で総括を…
私は「スチームパンク」というジャンルをこよなく愛しており、実はそれ関連の物語だと言う噂を聞いて観始めたのが今作へと至るきっかけでした。
しかし、全話観終わった結果、これは「スチームパンク」に収まる話ではないなと断言できてしまいます。
19世紀~20世紀の時代、産業革命以降のヨーロッパが舞台と背景的にはばったり合致
蒸気機関は全く出てきませんが、その代わりに超科学兵器や古代秘密兵器が目白押しに登場してきて、最終的には現代科学も凌駕する発明品ばかりが登場するオンパレード
ライト兄弟が開発する数年前に飛行機を作り上げたり、南極到達を一歩先に登場人物達が行っていたりと歴史改変要素も数多くあります。
だから、どちらかと言うと、このアニメはヴィクトリア朝時代の感覚で見たレトロフューチャーSF作品と捉えた方が上手く実像を捉えてると言えるでしょう。
SF冒険活劇としてはとてもワクワクする、まさしくこれぞ「ジャパニメーション」と呼ぶにふさわしい作品
これが25,26年前、現在から数えて四半世紀前に作られた物だと考えると、いやはや、驚嘆の色しか出てきません。

ただ、これはレビューを書こうと思ったきっかけとはなりません。
なぜなら、それはあくまで「面白い」という範疇に留まる作品であり、私の書く条件となる「心に訴えかけてくる」作品とは少し違うからです。
上記で語ったテーマなども確かに書く理由とはなりましたが、中盤の展開などもあってか、後一歩、後もう少しなのに…という印象がずっとまとわり続けていたのを覚えています。
しかし、最終回になってようやく…
私はこのアニメのレビューを書こうと決めるに値するきっかけを見つけられました。
詳細はネタバレになるので省きますが、要するに、このアニメ、最終回の破壊力が凄まじいのです。
今まで観てきた人なら絶対に損させない、最高のエンディングがあなたを待っています。
製作者の方達は最後、ああいう風に締める事を想定していたんでしょう…
いや、もう、最終回でようやく分かるあの演出の真意は一言でいえばもう、「ズルい」領域です(笑)
私の書いている文章の意味は最後まで見た方なら必ず分かる物
未視聴組の方々にとっては、恐らく喪失感が物凄い事になるかと思うので、観る際には注意してください…

さて、この作品を観ていた最中、私は毎週決まった時間、テレビに噛り付くように観ていた幼少期を自然と想起してしまいました。
誰にでもあった、何かに夢中になっていた時代
ただ、ひたむきに好きな物を追い続けていたあの頃
当時は「追い続ける」事に対して全員が胸を張って応えていたような気がします。
まあ、自分は精神が未だに餓鬼なので、あの頃と全く、何も変わってないような気がするのですが(笑)
しかし、最近は子供でさえ、そういった事に正直でいられない時勢のようにも感じてしまいます。
他人に流され、世間に流され、未来に流され、自らの気持ちに素直でいられない…
ただひたむきに前だけを見つめていた時代とは、少し情勢も変わってしまったのかもしれません……
しかし、だからこそ、こういった昔の情景を思い出させてくれる、とても有意義に楽しめる時間を与えてくれる作品と言うのは貴重であると私は思うのです。
これを観て「好き」を追い続ける事に感化されるも良し!
元には戻れない、過ぎ去りし過去に思いを馳せるも良し!!
ただ、純粋に物語を楽しんで視聴を終えるのも良いでしょう!!!
『ふしぎの海のナディア』を観て楽しんでくれるならば、それで充分。
そして、このように様々な意味の籠っているこの作品は現代だからこそ、是非とも未視聴組の方々にはお勧めしたい作品なのです。

1度しかない人生、純粋な「好き」をこのアニメで追い求めてみませんか?
ここまで読んで下さってありがとうございました。

PS.
この作品ですが、調べてみると実に色々な内部事情に溢れています。
これをレビュー内で書いてしまうのは則さないかな…と悩んだりもしたのですが、他サイトで詳しく説明している記事を見つけたので、URLだけここに記載しておきます。
興味のある方はどうぞご覧になって見て下さい。
もう1つの制作陣が考えていた最終回や、制作現場の裏事情話が垣間見れるので、これを見れば『ふしぎの海のナディア』の見方も変わるかも…!?
http://blog.freeex.jp/archives/51334289.html
http://blog.livedoor.jp/thx_2005/archives/51803823.html

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

褐色の肌をもつナディアが、どうみてもベンガリ顔な件

ここのところ熱いレビューが何本も挙げられて気になっていた本作、取り敢えず完走したのでレビューを挙げておきます。

◆総評

庵野監督は、『エヴァンゲリオン』『トップをねらえ!』が割と好きなので、本作もどちらかというと贔屓目に評価したいのですが・・・1990-91年の制作アニメということもあって、流石にこの作画とシナリオでは、放送当時の評判はともかく、今見ても十分に面白いか?感動できるか?というフラットな評点を付けることにしている私の評価方針では、どうしても低めの評点となってしまいます。

もっとも、本作と同じくNHK製作・放送アニメで、本作よりもさらに古い1978年の作品『未来少年コナン』(宮崎駿監督)に私は ★ 4.1 というかなり高い評点をつけているので、本作に関して、まずそちらとの比較をしてみます。

(1) 作品内容としては、両作とも典型的な“ボーイ・ミーツ・ガール”型のストーリーであり、
{netabare}
 ①割と平凡そうな少年が、ある日偶然出遭った謎の少女に惹かれて、
 ②彼女に振り回されながらも、何者かに追われている彼女を懸命に守ろうと奮闘し、
 ③やがて彼女の信頼を獲得するとともに、周囲に次第に仲間が増えていき、彼女の素性・秘密も明らかになっていく{/netabare}

・・・という展開を取る点も共通しています。

(2) 但し、両作の視聴後の感想として、一番違うのは、

 <1> 『未来少年コナン』には第8話(※{netabare}少女が少年を救うために初めて身を挺する回{/netabare})という圧倒的な ★★★回(=神回)があり、それを境に作品世界にグッと惹き込まれてしまったのに比べると、
 <2> 『ナディア』には(※あくまで私個人の評価ですが)神回どころか、★★回(=優秀回)すら一度もなく、結局シナリオに思わず引きずり込まれる、ということがなかった点です。

はっきりいえば、私は宮崎駿監督の特に後期の劇場作品は、幾ら世間的には名声が確立していようとも、個人的には実は余り高く評価していないのですが、その私であっても、『未来少年コナン』の第8話の思いがけない展開には感嘆せざるを得ませんでした。
それで、本作に関しても、放送当時あれだけ評判が良く、現在でもファンが多い有名作品ということで、きっと『コナン』のような凄い展開があるのではないか?と期待していた部分はあるのですが、結局全39話を完走してもそういった展開には出遭えませんでした。


◆それでも、ナディアはやっぱり青春のヒロインなのかも?

上に、本作は作画/シナリオとも今の水準からみると出来が不十分で、思わず惹き込まれる凄い展開も見当たらない・・・と書きましたが、それでも褐色の肌を持つヒロイン(ナディア)には他のアニメ作品に余り類例のない不思議な魅力がある気がしたのも確かです。
というより、私のナディアの第一印象って「あ、これベンガリの女の子だ!」というものでした。

※ベンガリ(Bengali)←インド東部の西ベンガル州&ビハール州等とバングラデシュ国(旧東ベンガル州)の主要部族(ベンガル族)の人。

本作でも最初のうちは主人公のジャン少年はナディアのことを「インド人の少女」と勘違いしていたのですが、そのうちに彼女の素性が判明して・・・。
←って、ここ、シナリオにケチを付けるのは野暮とは思いますが、アフリカ系とか大西洋・カリブ海系だと、同じ褐色の肌でも、ナディアみたいな顔立ちにはなかなかならないんだよなあ・・・やっぱりどうみても彼女はベンガリ顔ですよ(断言)、何で「{netabare}古代アトランティスの末裔{/netabare}」とか変な設定にするのかなぁ(意味不明)。

・・・ということで、本作に関しては個人的に残念感が強く、余り高い評点にはなりませんでしたが、ナディアは'90年代初期のアニメヒロインとしては例外的にかなり記憶に残る素敵なヒロインである、という点には大いに納得しました。

シナリオの散漫さは・・・制作年代を考えれば仕方ないです。
これから初めて本作を見る方は、ヒロインを見て楽しむ作品と思って諦めましょう。


◆制作情報
{netabare}
原案          ジュール・ヴェルヌ 『海底二万マイル』(海底二万里)
総監督         庵野秀明
監督          樋口真嗣(第23話 - 第39話)
シリーズ構成     大川久男
脚本           大川久男、梅野かおる
キャラクターデザイン 貞本義行
音楽           鷺巣詩郎
アニメーション制作  東宝・KORAD{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============== ふしぎの海のナディア (1990年4月-1991年4月) ==========
{netabare}
第1話 エッフェル塔の少女 ★ 19世紀末のパリ、ジャンとナディアの出遭い、グランディス一味からのナディア救出
第2話 小さな逃亡者 ☆ ル・アーブルのジャン宅へ、ジャン自作飛行機発進・不時着
第3話 謎の大海獣 ☆ アメリカ軍艦エイブラハム号の2人と1匹救助、海獣捜しとナディアの猛反対、交戦・エイブラハム号大破、2人と1匹の再漂流
第4話 万能潜水艦ノーチラス号 ☆ 潜水艦の救助、水中の交戦、離艦(飛行再開)
第5話 マリーの島 ☆ 島への不時着、島への侵略者(ネオアトランティス(NA)仮面部隊)、マリーの父母の死・埋葬 
第6話 孤島の要塞 ☆ 仮面部隊のマリー誘拐、NA秘密基地潜入、ブルー・ウォーターの不意の反応、ナディア投降
第7話 バベルの塔 ☆ NA首領ガーゴイルの野望、殺人兵器「バベルの塔」発射実験
第8話 ナディア救出作戦 ☆ ジャンとグランディス一味の協力、潜水艦ノーチラス来援、ナディア救出・NA秘密基地壊滅
第9話 ネモの秘密 ☆ ノーチラス(NC)号船長ネモとの対面、二つのブルー・ウォーター(ナディア&ネモ)
第10話 グラタンの活躍 ☆ ノーチラス号への機雷攻撃、ガーゴイルからの入電、万能戦車グラタンの機雷排除成功  
第11話 ノーチラス号の新入生 ★ ノーチラス号のオーバーテクノロジー
第12話 グランディスの初恋 ☆ ノーチラス号の目的(NA討滅)、グランディスの過去話 ※空気読めないナディアが微妙・・・・
第13話 走れ!マリー ☆ ナディアとジャンの喧嘩、マリーのNA兵遭遇、ネモ船長のNA兵射殺 ※同上
第14話 ディニクチスの谷 ☆ マリー灼熱病発症、ナディア発症、進路反転(深海洞窟リーフ64へ、薬草採取)、発症者回復
第15話 ノーチラス最大の危機 ★ NA大型潜水艦ガーフィッシュとの海中戦、アメリカ連合艦隊&バラクーダ号の対潜攻撃、機関員フェイトの犠牲
第16話 消えた大陸の秘密 ☆ 海底のアトランティス廃墟、犠牲者の埋葬
第17話 ジャンの新発明 ★ 早く大人になりたいジャン、ヘリコプター開発成功、ナディアへの約束
第18話 ノーチラス対ノーチラス号 ☆ 南極大陸近海の海底の墓場、オウム貝撃退、巨大水中トンネル通過
第19話 ネモの親友 ★ 南極大陸地下大空洞へ、2万年前のアトラン人の超科学遺産、長寿クジラとナディアの対話(父・兄との再会の予言)
第20話 ジャンの失敗 ☆ ジャンとナディアの微妙な心模様、エレクトラへのやっかみ(ナディア)、エレクトラの復讐心
第21話 さよなら…ノーチラス号 ★ ガーゴイルの本格攻勢、エレクトラ副長の自爆具申・ネモ船長の躊躇、ノーチラス号轟沈の危機
第22話 裏切りのエレクトラ ★ 戦闘ブロック切り離し・爆破、ネオ皇帝登場 ※13年前の惨事と船長・副長・ナデイアの素性が明かされる注目回だが脚本・演出は年代相応に稚拙×
第23話 小さな漂流者 ☆ ナディア・ジャン・マリー・キングの孤島漂着
第24話 リンカーン島 ☆ 
第25話 はじめてのキス ☆ ※毒キノコにあてられたナディア
第26話 ひとりぼっちのキング ☆ 
第27話 魔女のいる島 ☆ 台風、エアトン伯爵との再会
第28話 流され島 ☆ グラディス一味との再会、ナディアの手料理
第29話 キング対キング ☆ 
第30話 地底の迷路 ☆ 万能戦車グラタン二号、孤島地下の秘密基地へ、ナディアの異変
第31話 さらば、レッドノア ★ M78星雲から来たアトランティス王家の血を継ぐ者(ナディア姫)、神聖大要塞レッドノア機動、ナディアの運命拒絶、タルテソスへの招待、流され島からの脱出
第32話 ナディアの初恋…? ☆ アフリカ大陸へ、ナディアの一目惚れ(村長の息子ハマハマ)、囚われたキング
第33話 キング救助作戦 ☆ グランディスの仇(悪党ゴンザレス)、ハルハルの許嫁(ナディア失恋)
第34話 いとしのナディア♥ ☆ ※これまでのナディア&ジャンの心情推移のまとめ
第35話 ブルー・ウォーターの秘密 ☆ ナディアの故郷(タルティソス)へ、ノアの箱舟、ナディアの真の力と自己嫌悪、ジャンと仲間たちの励まし
第36話 万能戦艦N-ノーチラス号 ☆ ガーゴイルへのナディア投降、エレクトラ副長・ネム船長との再会、N-ノーチラス号発進
第37話 ネオ皇帝 ☆ ネオ皇帝とナディアの対面、地球人の創造主、ネオの地球人への服従勧告、最終決戦へ
第38話 宇宙(そら)へ… ☆ パリ上空~宇宙空間の戦(レッドノアvs.N-ノーチラス号、グラタン号活躍、レッドノア突入、神前裁判の茶番劇)
第39話 星を継ぐ者… ☆ 続き(ネオの意識回復・犠牲、ナディアの意識回復、ジャン死亡・甦生、ブルーウォーターの力喪失、地球帰還とネモ船長の犠牲)、後日譚(12年後){/netabare} 
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)8、☆(並回)31、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.5

OP 「ブルーウォーター」
ED 「Yes, I will...」
挿入歌 「マーメイド・メモリー」

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18

69.1 3 潜水艦アニメランキング3位
劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-Cadenza(カデンツァ)(アニメ映画)

2015年10月3日
★★★★☆ 4.0 (227)
1184人が棚に入れました
劇場版第2弾。

今回は完全新作エピソードとなる。

声優・キャラクター
興津和幸、渕上舞、沼倉愛美、山村響、ゆかな、藤田咲、内山夕実、松本忍、宮下栄治、津田美波、東山奈央、原紗友里、M・A・O、福原綾香、佐藤聡美、三森すずこ、五十嵐裕美、木内秀信、置鮎龍太郎、釘宮理恵、中原麻衣、中田譲治
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

コンゴウ推しです。あの目が、目線がですね。。。

[2020/03/12 v1 コンゴウ推しです。あの目が、目線がですね。。。]

タイトル何にも思いつかなかったので、とりあえず自分に正直になっておきました。

原作知らず。

テレビ放送版、劇場版D.C.に続く、テレビシリーズとしての完結編(劇場公開)。テレビ版未視聴ならば、D.C.視聴はマストとなります。テレビ版視聴済みでも、D.C.のラスト3分の1が本作の下地となるので、いずれにしてもD.C.の視聴に続いて本作、と辿るのが良いと思います。

フル3DCGで描かれる迫力のハイパー艦船バトル(船である保証はない)を楽しむ。メンタルモデルと称する擬人化美少女美女艦船(艦娘とはちがうぞ)を愛でる。どちらの方向性でも楽しめる一作だと思います。

Cadenza(イタリア語らしい)ってどういう意味なのか分からなかったので調べてみたら、音楽用語で「即興的独奏・独唱」もしくは「和音進行」を指すらしい。んー。アルペジオ(分散和音・経時和音)からハーモニーへ。。。ってこと?あるいは、「独り立ち」?

テレビ版から続く物語としては・・・・(無駄に長いので畳みこみ)
{netabare}

― 物語全体について
{netabare}なんか、いろんなテーマがもりもりに盛り込まれてしまって、僕個人としては消化不良な感じ。

・ こころ・Self Identity・存在証明
・ 人とは何か。人とメンタルモデルの対比から。人が人たる要件。
・ 家族
・ 幸せの定義
・ 「生命体・地球」と人間
・ 種あるいは存在を超えた思慕・愛・ともだち・共生
・ 変化・進化・未来。その先の「可能性」
・ 為すべきことを為す
・ 規律・規範・守るべきもの

ざっと挙げるだけでもこれくらいは出てくる。
「こころ・Self Identity・存在証明」と「人とは何か」については、おおよその主張があったと思います。
が、残念ながら、のこりは中途半端に思える。いずれもそれなりの解釈の余地が与えられたという見方もできるが、ある程度の「回答」は欲しかったな。それにしたってもりすぎ。あるいは、なんかいい雰囲気のものを適当に詰めた、という感じなのかしら。{/netabare}

― D'où venons-nous? Que sommes-nous? Où allons-nous?
{netabare}ちょっとカッコつけてみました。
ゴーギャン[1897]のタイトルですね。"Where do we come from? What are we? Where are we going?(我々は何処から来たのか 我々は何者か 我々は何処へ行くのか)"。テレビ版のED入りに示され、また、作中でも繰り返された問い。残念ながら、この問いに対する回答も明確には示されませんでした。

「We=メンタルモデル」に限定するのならば、その回答は提示されています。
 何処から来たのか:
  霧自身が形成したもの
 何者か:
  人を模し、理解するために作られたもの。言ってしまえばSim。ただし機能拡張しすぎたっぽい。
 何処へ行くのか:
  自らの意思でこれから考えてくね。ばいびー。(本作Finale)

ですが、「We=霧」となると、最初の問い二つが未回答のままです。ガイア理論とか振りかざすのかな?原作あり、かつ、まだ終わっていないということなので明示は避けたのでしょうか。むしろ、原作の方(本作とは全然違うお話だとは聞いていますが)でどう問われ、こたえられているのかが気になります。{/netabare}

― 結局ムサシは何をしたかったのだ。
{netabare}メンタルモデルを破棄すれば即座に解決なのでは。でも、それをしたくないムサシ。「受け入れがたい感情とやらを打ち消すために、否定するために、何もかもを無に帰すの。」という感情(冒頭のセリフ)。出だしから自己矛盾の塊なわけで、その後のヒエイにぶちまけた「幸福論」とも相まって、何かのタガが外れた我儘ちゃんという方向性が見え隠れ。ちょっと、内面描写が浅かった感じがする。{/netabare}

― イオナの嘘とイ401のサブマリナー達
{netabare}ムサシによる事実上のハッキングを受けたイオナは、自身がヤマトのバックアップであると認識し、来るであろうムサシとの会戦において(ムサシの演算能力に対抗するためにはヤマトとならなければならないから?)イオナとしての自己を失い、ヤマトとなるであろうことを予想する。すべてを打ち明けることができず、群像に対して「嘘」をつく。

本作の中でも、重要な展開を持つシーンです。

この後ろめたさゆえか、あるいは、自己喪失の不安からかイオナ&イ401は霧の戦艦としての機能の多くを失い、「結構普通の潜水艦」になってしまう。。。。もう、ヒトそのものじゃん。それでいいじゃん。と、正直思ってしまった。

その状態で、無動力航行&隘路をぬける操艦をやってのけた副長とソナー。カッコよかった(直後にあれなんだけどねー)。{/netabare}

― 最終盤におけるイオナ:あれは必要だったのか
{netabare}ヤマト化したイ401、および、ヤマト化したイオナを指しています。
一つ上で書いた理由で霧としての機能を失ったイオナは、お茶会におけるコンゴウとの対話で「自己の存在証明」を得、霧の戦艦としての機能を取り戻したうえでヤマトど同化する。。。。のだが。

伊号四〇壱のままではだめだったのか。メンタルモデルの意識空間において、イオナとヤマトがオーバーレイするのは必要だと思う。けど、船までヤマトにする必要があったのだろうか。結局は、超弩級戦艦(ライクなsomething)同士の戦いになってしまう。こんなところにまで大艦巨砲主義持ち出さなくても・・・・

挙句にムサシ上空にワープして上からドカーンです。海江田艦長(沈黙の艦隊・かわぐちかいじ)がこれ見たら冷静で理知的な言葉で貶されるよ。海中直立下からドーンでもよかったじゃん(と、書いてから、それをやると丸パクリになるから駄目だったのかと思ったわけです)。

正直なところ、最後の戦いのシーンはエフェクト過多で見づらかった。{/netabare}

― 最終盤におけるイオナ:あれは必要だったのか・2
{netabare}ヤマト化したイオナの消失を指しています。
アフタークレジットにおいてイオナ生存(?)の含みを持たせる形で終わっているとはいえ。。。
イオナの消失を描く必要があったのだろうか。確かに、ヤマト・ムサシの対消滅という形がとられた以上、イオナを実質的に形作ってきたヤマトの演算能力も消えることになる。そちらのロジックを採れば、イオナの消失は必然とも思えます。が、人-霧共生の象徴たる群像・イオナの関係性を消してしまうことがこの物語に必要だったろうか。
感動シーンを演出したいということで(実際に良いシーンです。それは認める)このようにしたのだろうか。自らの問いかけに対する責任放棄なのではないだろうか。{/netabare}


以下、あまりまとまらない雑多な感想など。
―― 周辺情報:登場戦艦 ――
{netabare}知らなくとも問題ないとは思いますが、後付けでも知っておくと楽しめる幅が広がるかも。

大和型:ヤマト、ムサシ
金剛型:コンゴウ、ヒエイ、ハルナ、キリシマ
伊勢型:ヒュウガ
高雄型:タカオ
妙高型:ミョウコウ、ナチ、アシガラ、ハグロ
伊400型潜水艦:イ401

なお、金剛型のうちコンゴウだけは英国建造、なのでノリがちょっと違うのかな。
ヒュウガとタカオは、なるほどなんとなく(作中では)One and onlyな感じかな。
自信をなくした日向か。砲塔事故?失敗改造?

ヤマト・ムサシはそのまんま姉妹艦。生徒会はヒエイ以外は4姉妹。一方、蒼の艦隊はヒエイ以外の3姉妹が集結。
ヒエイさん、寂しい立ち位置に立たされていたのね・・・・

でも、どれとどれとってもそんなに似てるとか似てないとかわかんねーなこれ。{/netabare}

―― どうでもいいけどどうでもよくない細かいこと ――
{netabare}不満と疑問。気になっちゃうと、気になっちゃうんですよねぇ(笑)。

― 大海戦・・・前夜
{netabare}冒頭の話です。いえ、別に大したことではないのですがね。「大海戦」と字幕をだして4秒ほど。消して「前夜」。わかりにくいわ。いま目の前に映し出されたものが大海戦かそうか~と理解したあたりでひっくり返す。正直、出だしでこういう理解を妨げる情報の出し方をされると、残りを勘繰りながら観ることになるのでやめてほしかった。{/netabare}

― 渋谷駅前・・・・水没してないんだ。
{netabare}あと、タイムズスクエアとか。北極にあまり氷がない様子が描かれていたけど、極冠の氷がなくなった場合、60mほど海面が上昇するってのを読んだ記憶がある。渋谷って、高いところで海抜60mくらいで、駅前って谷地なので低めなはず。{/netabare}

― 演算リソースと代償(生徒会の面々の兵装)
{netabare}一応、僕もプログラムする人間なのですが。。。そりゃ、すべての演算を並列()でやるっていうのなら、演算リソースがボトルネックとなることはあるだろうけど。。プロセス切ればいいことでは?船体の維持にも「演算」が必要で、特殊な兵装と超重力砲を船体に組み込めないってことなら、そう言ってほしい。{/netabare}

― お、量子通信実装済みか?(振動弾頭のロック、および、ロック解除)
{netabare}なんかUSBメモリみたいな装置でロックとその解除が制御されているようなんだけど。
通信は霧に遮断されているんだよね?降伏勧告以降は解放されたとしても、それ以前にロック→装置を持ってイ401出航、の段階で通信制限に引っかかる状態になっているはず。ロックの実施と解除って可能なのだろうか。"コード"と言っているので、もしかしたらRSA秘密鍵みたいなものかもしれないが、だとしても以下は同じこと。日本でその装置に何かしらのアクションをしたとして、San Diegoに居並ぶ振動弾頭にどうやってロック解除が伝わるのだろう。電波に頼らない(その他媒質を必要としない)通信ってことなら、量子通信が実用化されているってことになるが。。それならそもそも霧による通信遮断が無効になるし。ちょっとこのあたりの理屈が入ってこなかった。まぁ、どこかの島にいるヒュウガ・タカオとイ401が通信できているので、霧由来の通信技術が応用されているということなんだろう。きっとそうだろうということで一応は呑み込んだけど。{/netabare}

― 群像、死ぬって、死んじゃうって
{netabare}ムサシ撃沈後、群像はイオナの無事を確認しに船外に飛び出す。。。おそらくは感情の盛り上がり最高潮・THE感動シーンのはずですが。。。僕は「減ったとはいえ氷山浮かぶ北極海に飛びこんだ」群像の命の心配しかできませんでした。{/netabare}

― なんで空母いないの?
{netabare}ま、船自体が戦闘力を持たない(ゼロではないが、他艦船に護られる対象)ので、ふさわしくないというのはわかる。が、最終的に船の形すら保ってないのだから、空母もいたっていいと思うんだ。なんでかな。{/netabare}{/netabare}

―― どうでもいいけど結構よかった細かいこと ――
{netabare}
― 頑張ったCG、惜しかったCG
{netabare}本当に細かいことで恐縮なんですがね。
開始20分少し手前の、とあるシーン。機関長・いおりが機関のなにがしかをチェックしているシーン。コンソールにあれこれ打ち込みながら、壁からポコポコと出るサムシングを目視確認しているのだが、この際の身体描写に「お・・」となった。左右を大きく振り返り、顔を向けるという動作をしているのだけど、上体の回転に伴う足の動きや、髪の毛の揺れ、胸の揺れなど、ほんの数秒のシーンだったけど妙に丁寧な感じがした。上半身がまだ固い印象は受けるが、よくやったもんだな―、と。
しかし、直後のシーンで「ん~」となってしまった。機関室に入ってきた群像・イオナと会話した後、いおりがイオナのおなかをくすぐる描写があるのだが。どうみてもくすぐってない(触れていない)。イオナのおなかの前で両手をうにうにしているだけで、イオナの体からいおりの手が浮いている。それでもOKっちゃOKなんだけど、イオナの反応からすると実際にくすぐっていてほしいところだった。これ、きっとすごく難しい&面倒なんだろうな。いや、あと少しだよ、きっと。

これに限らず、いずれもちゃんと「人物」が「演技」していたと思う。もちろん普通のアニメと比べたらいろいろ変な感じはするけれど、アニメと自称する静止画よりははるかにいい。でも、だからと言ってフルCGのほうが制作が楽ってわけでもないんだよね、きっと。
{/netabare}

― おい、双葉杏がいるぞ。
{netabare}おそらく多くの方が思っただろうけど。ハグロがまんま双葉杏(アイマスシリーズ)。僕でもわかる特徴的な発声に加え、キャラ付けも狙ってるとしか思えない。{/netabare}

― アシガラの水中シャウト
不覚にも笑った。イオナ通訳に対する副長・僧の「はぁ」にも笑ってしまった。その後も律義に通訳し続けるイオナに対しても、ふふってなった。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

キャッチコピーは「霧の風紀は 地球の風紀。」「これは、人類への降伏勧告である。」

完全新作として上映されたこの作品は、TVアニメ版と「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- DC」の続編に位置する作品です。物語に繋がりがあるので、見逃している作品があればそちらからの視聴をお薦めします。

TVアニメ版では「霧の艦隊」であるタカオ、ハルナ、キリシマと東洋方面第1巡航艦隊旗艦であるコンゴウとの激闘が描かれていました。群像に触れ徐々に変わっていくメンタルモデル・・・その変化に順応できるか否かがポイントになっていました。
変わることは決して悪いことではありません。でも、これまで変わることを「悪」としてきた霧の艦隊にとっては受け入れがたいのでしょう・・・
これまでと180度真逆の事を実行しろと言われたら私たちだって混乱します。

「劇場版D.C.」では、TVアニメ版の焼き直しに新作部分が追加されて上映されました。
その新作部分において、更なる戦いの広がりを目の当たりにしました。
「霧の生徒会」なぜ彼女たちの組織が生徒会なのかは正直分かりませんでしたが、そこの知れない強さと超戦艦武蔵の登場によって今回の新作がとても楽しみになったのを覚えています。

しかし・・・潜水艦、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、大戦艦に超戦艦・・・改めて見ると戦艦のバリエーションに脱帽です。
でも、これらは第2次世界大戦までに実際に作られた艦だと思うと、戦争は如何に多くのモノを失ってしまうか・・・そんな事実を突きつけられている気がします。

そして今作・・・これまでの集大成の様な構成と展開だったと思います。
「霧の生徒会」は執拗にイオナを沈めようと躍起になって攻めてきます。
そのしつこさには正直辟易しますが、何とも憎めないのが生徒会の皆さま・・・
この生徒会の凄いのは完全に分業していて、それぞれが専門に特化している事です。
いくらハイスペックでも単騎でできる事は限られています。
ありとあらゆる可能性を考えた上で構成された船隊なのでしょう。

もともとの潜在能力は決して低くはない生徒会の皆さんですが、思考回路がそれほど複雑ではないのかもしれません。
若しくは群像が素晴らしすぎるのかもしれませんが・・・^^;

イオナ vs 霧の生徒会が激しく戦火を交える一方、超戦艦である大和と武蔵にも動きがあります。
この動き・・・メンタルモデルであるが故の言動だったと思います。
違いは変化を望んだ大和と拒んだ武蔵・・・
本来であればこの違いは望ましい・・・と考えるべきなんだと思います。
異なる意見をぶつけて、そこから真実を導き出す・・・我々にとっての常套手段です。
でも、「霧の艦隊」となると話は別です。
彼らは変化を「悪」としてましたから・・・
この違いが巻き起こす動き・・・気になる方は是非本編でご確認頂きたいと思います。

一方で「霧の艦隊」が「人間」を制圧しようとする動きも活発化してきます。
そんな中、群像は総旗艦代理である武蔵との対話を試みようと動き出す事で・・・戦いの火蓋が切って落とされるのです。

ここから先は実際に映像と音声でお楽しみ頂くべきと思いますが、集大成という名に恥じない展開だったと思います。
やっぱり戦艦同士の戦いはアツい・・・迫力が半端無い・・・とにかく面白いの3点セットです^^

群像に合わせて動き出したのがタカオとヒュウガ・・・このタカオの群像に対する思いも相変わらずでGood!
学校での一幕には彼女の持つ可愛らしさを感じさせてくれます。
でも、タカオが本領を発揮するのは群像に頼まれたお使い・・・これだけ群像の狙い通り忠実に遂行できるのはタカオならではでしょう・・・

群像らに手を貸すのはタカオとヒュウガだけではありません。
刑部蒔絵率いるハルナとキリシマも参戦します。
もともと戦艦級である二人がタッグを組む・・・
このタッグは今に始まった話ではありませんが、ハルナとキリシマの融合した船体はお初にお目にかかるように思います。
そんな新たな艦で戦艦級の活躍が思う存分堪能できる・・・そんな感じです。

そして群像らの援軍は・・・ここから先が気になる方は、是非本編でご確認頂ければと思います。

戦艦同士のバチバチ・・・
この作品はこれだけでは終わりませんでした。
何か・・・物語の原点に帰ったような気がします。

自分の存在理由・・・
幾つかありますが必要だと認めて貰う事・・・
でも、それがが自分の思い描いていた理由と異なっていたら・・・^^;?

自我の覚醒・・・
自分が他人ではなく自分であると気付く事・・・
それじゃ自分が自分じゃ無くなってしまったら・・・^^;?

そもそもこんな有り得ない自問自答に何の意味が・・・^^;?
きっとこんな自問自答の先にしか答えが見いだせなかったから、終盤の展開に感動し涙したんだと思います。

約1時間45分程度の作品ですが、時間の経過があっという間に感じられるほどのめり込める作品です。
気になるのは今後の展開です・・・何より群像の最後の一言が気になります。
きっと想像通りの結末で間違い無いとは思いますが原作は未だ連載中の様ですし・・・
何が起きるかは分かりませんよね。
そんな奇跡が起こってくれることを期待しています^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22
ネタバレ

ホワイトマウス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

カメオが意味するもの、それはコピーじゃない、自分自身。

アルペジオCadenzaでロシアの港町で群像さまがイオナに買ってあげたもの、あにこれの男性はご存知かどうかわからなかったので気になって書いてます。これをご存知の男性の方はとっても素敵だと思います。群像さまがイオナに買ってあげたもの、それは単なるブローチではなく {netabare} 、カメオです。

カメオの説明のwikiです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%82%AA

私もそうですが、光るプレゼントを頂くと、きれいですし、とっても嬉しいです。でも、カメオの場合、私の気持ちとしてはちょっと違う。奥深い感じ。カメオはもともと、ローマとかギリシャの時代は、ハンコのような役割をもってて自分の分身というものでした。それにカメオは偽造されないようにとっても細やかに作られていて、きれいで芸術性もあるけど、それが本当じゃなくて、本来は自分自身を証明するもの、コードとか認証とか暗号とか、そういったものだったようなんです。群像さまが最初にイオナに出会った時、イオナは群像さまのコードがわかって動いたけど、今回、群像さまが自分でカメオをイオナに買ってあげたことで、それがとても強く感じました。でも、イオナはヤマトの偽物だと思ったときから、カメオを着けていませんでした。大事なものを身に着けないって、とっても悲しいこと・・・・。でも、ラストシーンで、イオナはコンゴウとのふれあいで、ヤマトという人格じゃない、ヤマトに託された自分自身、イオナはイオナなんだとわかって、最後にカメオを身につける。でも、結局、別れの時だったんですよね、その意味を私が理解した時って。
イオナが自分自身がわかったのに、消えていくなんて、あまりに悲しすぎて、つらくて・・・

この作品で、群像さまがカメオを買ってあげるシーン、私にとってすごく重くて、 {/netabare}このシーンはアルペジオCadenzaではとってもささやかなんだけど、重要なシーンだったと思います。


これまでのレビューです。


●2015.11.14 01:14 イオナ、あなたは・・・・

今日、お仕事が終わったあとにレイトショー、見てきました。

私、前回見た時はラストシーンでイオナが{netabare}艦長の前に戻ってきたんだと思ったんですけど、今日観た感想は・・・悲しいけど、イオナの魂だけが帰ってきたみたい・・・・。そう見えたんです。そう感じた途端、{/netabare} 艦長どうして笑っていられるの? どうしてお帰りって言えるの? 

悲しくて、でも素敵な作品だったと思います。

最後のnanoさんの歌、ほんとうに素敵でした。

でも、これでアルペジオは終わるのかと思うと、とても寂しいですね。

●2015.11.03 16:55
人間よりもなんて素敵なの、メンタルモデルって・・

アルペジオCadenza、見てきました。もう、涙があふれ出てしまって、最後のほうは、もう耐えられなくなって・・・・

ひどいよ・・・予告編やアルペジオのHPではCadenzaでnanoさんの曲が使われるなんて全然書かれていなくって、がっかりしてたんだけど、それがCadenzaのラストで、あんな素敵なnanoさんの曲が流れるなんて、もう、反則だよ・・・・
{netabare}

群像さまのおとうさん、心変わりしたんじゃなくてよかった。
ヤマトとの会話してるシーン、群像さまがタカオやハルナ、キリシマ、ヒュウガたちとお話ししているのと同じ雰囲気で素敵でした。結局、人類との戦いを混乱させたのは、群像さまのお父さんの暗殺だったのがすごい衝撃で、それでムサシにあんな行動をとらせたんですよね。ムサシの気持ち、とってもよく分かって、悲しかった。それにヤマトって、優しくって素敵。だからイオナが生まれたんだよね。
ヤマトとムサシのシーン、とっても悲しくって、見ていられなかった。人間と同じだよね。いえ、人間よりも純粋かも。メンタルモデルのほうが人間よりもとっても素敵に思えてしまう。

コンゴウとイオナのシーンも感動しました。TV版の最終回とは立場が逆転していて、でもコンゴウがイオナを励ます場面、とても自然でした。この時のコンゴウ、とてもきれいでした。

そして、イオナ、きれいでした。ラストは特に。それとロシアの街のシーンもすてき。特に群像さまがイオナにカメオを買ってあげるシーン、大好きです。そして、nanoさんの歌とともに消えていくイオナ、群像さまの絶叫。あの絶叫が、nanoさんの歌が、いまだに耳から離れません。

群像さま、ご両親のお墓の前で、再会できたのでしょうか。

あれ、なんかこのシュチュエーション、「結城優奈は勇者である」に似てなくもないかも。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 55

80.0 4 潜水艦アニメランキング4位
フルメタル・パニック! The Second Raid(TVアニメ動画)

2005年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (1010)
6251人が棚に入れました
世界中の紛争の火種を秘密裏に消して回る軍事組織ミスリル。その中でも選りすぐりの傭兵の相良宗介に与えられた今回の任務は、「ウィスパード」と呼ばれる特殊な能力を持つ日本人の女子高生・千鳥かなめを護衛すること。
長編の『終わるデイ・バイ・デイ』をアニメ化したものだが、第1話~第4話は、原作には無いエピソードとなっている。
シリアスが中心なためコメディ的な要素は抑えられているが、前作「~ふもっふ」同様、学園内のテンポの良いドタバタラブコメ要素は健在。グロテスクな描写がみられるので、R-15指定された。

声優・キャラクター
関智一、ゆきのさつき、ゆかな、三木眞一郎、根谷美智子、小山力也、大塚明夫、西村知道、田中正彦、浪川大輔、大塚芳忠、篠原恵美、沢城みゆき、木村郁絵、能登麻美子
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

シリアスさを前面に

シリアス展開ばかりが続き、ギャグは入る余地がない。姉妹の殺し屋が襲ってきたり、かなめそっくりの娼婦が出たりとこれまでと違ってのんびりして全年齢対象だなあという感じがない。
{netabare}倒したはずのあいつがまだ生きていたのはびっくり。{/netabare}

OPは南風。EDはあの日に帰りたい。下川みくには欠かせない。

以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 終わる日々
超国家的秘密組織ミスリルは、難民救助のため内戦中のバリク共和国に、宗介たちの部隊を派遣。世界でも最新鋭の装備を誇るミスリルだが、現地ではミスリルの介入を見越していたかのように、対抗できるだけの装備を持った政府軍の部隊が待ち構えていた。宗介の搭乗したアーバレストは、退路を断たれ窮地に追い込まれる。

2. 水面下の状景
千鳥かなめが、何者かに狙われている!? 風間信二から、ホームページのサイトに、無断で、かなめの写真が掲載されていることを知らされる宗介。早速、犯人を拘束すべく、学校内を調査することに。一方、そんな宗介たちの日常とは裏腹に、謎の中国少女他、敵組織らしき人物の存在が明らかになる。

3. 迷宮と竜
南北に分断された中国の南京で、和平会談に出席していた北中国の代表団を武装グループが拉致。中国が再び内戦状態になるのを防ぐため宗介たち、ミスリルの部隊が代表団救出に派遣される。しかし、代表団を拉致したのはゲイツ率いるアマルガムの部隊であり、拉致事件は宗介たちをおびき寄せるための罠だった。

4. デイライト
裏切り者、ブルーノの仕業により、ゲイツ率いるアマルガムの部隊にミスリル部隊の作戦行動が筒抜けとなってしまう。次々と敵に先回りされることをいぶかるテッサは、自分たちの作戦情報が漏れていることを確信する。追い込まれていくミスリルの部隊。万事休すと思われたその時、テッサの取った行動とは?

5. うるわしきシチリア
メリダ島基地会議室。ミスリルの高官たちに取り囲まれているテッサ。今回のブルーノの件でミスリル作戦部、情報部双方から責めを負う。一方、その当人ブルーノは、ミスリルの手から逃れるため、イタリアはシチリアの知人宅に身を隠す。そこで彼は、ある東洋人の美女と出会う。その美女の正体は!?

6. エッジ・オブ・ヘヴン
テストが始まっている中、なかなか姿を現さない宗介。このままでは、留年よ、と心配顔のかなめ。一方、オーストラリアのシドニーにあるミスリル作戦本部では、南京の事件でテッサたちを、撹乱させた裏切り者、ブルーノの尋問が行われていた。ブルーノの真意を聞き出そうとするのだが…。

7. とりのこされて
ミスリルへの帰還命令の出た宗介は、かなめのもう一人の護衛者、情報部のレイスとやり合う。重なる任務に、護衛の不備を突付かれ歯噛みする宗介。その翌日、宗介と二人の時間を過ごすことができたかなめは、ご機嫌! 登校途中、恭子との会話に興じる。まもなく、いつもの授業が始まる。しかし、宗介の席は空席だった…。

8. ジャングル・グルーブ
メリダ島。ミスリル西太平洋基地。着陸するC-17輸送機。輸送機を降りてきたのは、ベルファンガン・クルーゾー中尉。宗介たちの新しい上官である。その近くを早足で通り過ぎていく宗介。彼が向かったのは、戦隊長、テッサのオフィスだった。対面する二人。重苦しい雰囲気の中、テッサは厳しい姿勢で宗介に応待する。

9. 彼女の問題
宗介がいなくなり、急に恐怖心が湧き上がってきたかなめ。朝まで寝付けず、憔悴しきった顔で登校すると、待っていたのは、神楽坂先生のアナウンスだった。職員室に呼ばれたかなめに、手紙を手渡す神楽坂。その手紙の中身は、宗介からの、「退学届け」だった!

10. ふたつの香港
香港で所属不明のASによる大規模な破壊行為が発生した。北中国軍と南中国軍がにらみ合う香港が、火の海になることを防ぐべく、出撃するミスリル部隊。香港到着までの間、宗介は、格納庫のアーバレストに乗り込み、AIの「アル」と会話を始める。

11. 彼の問題
ASを積んで香港に向かうゲイツの部隊。その頃、宗介は当てもなく、玉芳によって破壊された香港の街中を彷徨っていた。香港を火の海にすることは避けたいミスリル。コダールの潜伏先を洗っていたヤンとウーは、上環にある建設中のマンションで死体を発見する。その死体にはあるメッセージが仕込まれていた!

12. 燃える香港
例のメッセージをいぶかる宗介。北中国軍と南中国軍との軍事的緊張感が高まる中、九龍半島に上陸するM9部隊。両軍の開戦までタイムリミットは後わずか…。メッセージに従い、ツィムシャツォイにあるアラブ人街を訪れる宗介。そこで宗介は、更なる行き場所を指示される。そこは、九龍公園だった…。

13. つづく日々
コダールの攻撃で燃える香港市街。「もはや限界だ…」と諦めのボーダー提督。それでも宗介を信じるテッサ。九龍城跡の市街、燃え盛る建物のそばで、蹲る宗介。そこに現れるヤンとウーの二人。かなめが死んだと吹き込まれ呆然とへたりこむ宗介に、ヤンは、銃を向ける!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4
ネタバレ

ガムンダ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

稀有な傑作 他にあったら是非教えて頂きたい

(レビュー更新します 評価変更なし)

「無印」「ふもっふ」の続編になります。
国際テロと戦う無国籍の私兵集団、ミスリルの傭兵相良宗介が日本の高校に通う要人、千鳥かなめの護衛の任に就く、というお話。

ロボットものが苦手の私がお勧めする傑作ロボットアクションです。
ロボットアクションと言いつつこの作品は派手なアクションより、丁寧な心理描写と緊迫感あるストーリーを楽しむ作品と言えます。

以下魅力を順不同で列挙します。

<アクションとラブコメの両立>
{netabare}護衛する兵士(戦争ボケ)と護衛される女子高生(度ツンデレ)との間に深い信頼関係が芽生え、また、ソウスケの上官であるテッサもソウスケに好意を寄せており、見事な三角関係のラブコメが成立します。
シリーズ通して単にラブコメとしても第一級の出来栄えと思います。
ただし「ふもっふ」はラブコメメインで存分に楽しめますが、こちらはシリアスパートになっています。 {/netabare}

<若者の挫折と成長 見事な心理描写>
{netabare} 幼い頃から兵士として訓練され、弱冠17歳で傭兵として働くソウスケがカナメへの好意を自覚し自身の在り様について葛藤します。
このプロセスをよくある厨二キャラの様に多弁を弄する事なく描いていく心理描写が見事です。{/netabare}

<キャラの魅力>
{netabare} ソウスケだけでなく、周囲のキャラの心情も実に見事に描いています。
直接的な台詞で語るのではないのですが、難解と言う訳でもありません。
そのバランス感覚がとても良いです。
カナメとテッサ、両ヒロインも甲乙付け難く魅力的です。
本命はあくまでカナメですがこれはソウスケ困ってしまいます。{/netabare}

<会話劇>
{netabare}キャラに心情を吐露させるのに多弁を弄するわけではない、と書きましたが、会話劇としてもこれまた見事なのです。
情報部レイスとの電話でのやり取り、基地に帰投したソウスケとテッサの問答、テッサとマデューカス副長の問答などがその代表的なシーンです。
凡庸な作品はあくまで作者の脳内での「出来問答」が見え透いて興を削ぎますが、この作品はかの「銀英伝」にも匹敵するキャラとキャラとの緊迫感あるぶつかりあいが楽しめます。
特にテッサとソウスケの問答のシーンでは視聴者もつい主人公であるソウスケに移入してしまいますが、テッサの完全に当を得た発言にぐうの音も出ません。
またこのシーンでのテッサ役ゆかなさんの熱演は特筆ものです。{/netabare}

<私兵組織の丁寧な描写>
{netabare}主人公が所属する私兵集団「ミスリル」について、謎が沢山残されますが、情報部や作戦部の縄張り争いや駆け引きなどが丁寧に描かれます。
また前線部隊だけでなく兵站や間諜などの描写も丁寧です。
対テロを掲げている様ですが、自身も非合法のテロ組織である認識も描かれミリタリー物として一応の説得力を持ちます。 {/netabare}



全体のストーリーや殺し屋姉妹の登場など、ご都合主義の部分も否定できませんが、その前提の下に丁寧に描かれているのでそれは意外と気になりません。
またラストも1クール作品として見事に纏まっています。
むしろこれほどのTVアニメには滅多にお目にかかれない傑作と言えます。

設定が荒唐無稽でも作りこみが丁寧でセンスが良いと名作になり得ます。
その点私にとってはあの「銀英伝」と楽しむ部分が似ています。
他にもこれ程の作品があったら是非教えて頂きたいです。



完全ゴミ余談ですが
{netabare}質問サイトで「カナメを香港に連れて来た女は誰か」「最後に寒空の下で監視する女は誰か」と話題になってるのを見かけた事がありますが、それ以前の伏線を勘案すれば彼女がおじさんの変装を解いたレイスである事は疑いありません。{/netabare}

完結編熱望します。



以下初回レビュー
2014.02.07 23:23
続編ですので前篇を先に観てください。

前篇では割と平和な日本と戦場がハッキリと分かれていましたが、The Second Raidではいよいよ敵の手がヒロインに伸び巻き込まれていくお話。
ラブコメの方も進展し、鈍感な主人公もヒロインへの好意を自覚し始めます。
戦いが二人の仲を引き裂き、それを乗り越え成長する物語も加わりドラマチックな良作でした。

つづきが有る様な終わり方でしたがアニメ化されていないのかな?

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「人間の本性は変えられない・・・」

この作品は「フルメタル・パニック!」の3期に位置する作品です。
3期とは言いながら2期が作品本来の主旨とは異なる位置付けになっている事から、1期を視聴していれば2期を視聴せずに3期を視聴しても物語的には通ると思います。

ですが、「ヒロインの登場頻度」という個人的な視点で切ってみると、かなめちゃんばかりでテッサの出番が殆ど無かった2期があったから、3期でテッサを見た時の喜びがひとしおだった事を踏まえると、私的には順番に視聴してきて良かったと思っています・・・^^;

1期と2期で物語の部隊が戦場から学校に移った時に感じたギャップ・・・
3期では物語の舞台がまた戦場に戻るので同様のギャップを感じるかと思っていましたが、1話目から一気に戦場に引き戻される感じ・・・ギャップとか余韻に浸る間もなくいきなり物語が動き出します。
この辺りの無駄の無い展開・・・流石京アニさんです^^

かなめちゃんの護衛とミスリル任務の「二足のわらじ」生活に逆戻りした宗介ですが、かなめちゃんと宗介の距離はこれまで以上に縮まってきており、最早「一緒にいるのが当たり前」的な雰囲気すら感じるようになりました。
宗介の言動における唐変木っぷりは相変わらず・・・むしろかなめちゃんの包容力の賜物なんでしょうけれど、少し前からみると劇的な進歩だと思います。

ミスリルでの仕事が忙しさを増し、授業への出席もままならなくなってきた宗介の進級を気遣うかなめちゃん・・・
でも彼を気遣っているのはかなめちゃんだけではありません・・・
任務の合間を縫って試験勉強に励む宗介の上官であるテッサも一緒です・・・
かなめちゃんとテッサの違いは両極端に位置するお互いの立場・・・

テッサにとっては苦渋の判断・・・
どんなに脳内シミュレーションをしても自分が恐れる最悪の結果がついて回る・・・となると、簡単に発言なんて出来ません。
元々テッサは聡明なんです・・・例え立案したのが自分じゃなくても容認した時点で矛先が自分向くことも分かっていたと思います。
それでも・・・勇気ある彼女の英断には脱帽するしかありませんでした。

でも・・・テッサの判断は決して間違っているとは思いません。
何せ彼女の階級は大佐・・・多くの命を預かる身なのです。
きっと私もテッサの立場だったら同じ決断をすると思います。
だって宗介とアーバレストこそが現在の苦境を乗り越えられる唯一無二の存在なのですから・・・

それでも決して非情になりきれないテッサ・・・
相手の立場になって物事を考えることくらい朝飯前の事・・・
そして自身が孤独である事も彼女は分かっています。
だからこそテッサの瞳から堰を切ったように流れる涙と悲痛な叫びには、心底胸が痛みました。

この局面において胸を痛めたのはテッサだけではありません。
当事者であるかなめちゃんも・・・です。
これまで当たり前の様に隣にいた宗介がどれほど大きいモノなのかを身を持って知ることになるのですが・・・正直この展開はかなめちゃんが可哀想過ぎでした^^;

そして物語の終盤・・・直面した部隊の危機に対して大活躍したのは・・・やはりテッサでした。
「人間の本性は変えられない・・・」
「強くて優しいんです・・・」
テッサは最後まで信じる事を諦めませんでした。
部隊の危機・・・気になる方は是非本編でご確認下さい。

1クール13話の作品でしたが、かなめちゃんとテッサ・・・二人のヒロインのこれまでとは違う一面が見れた作品だったと思います。
そして完走して振り返ってみると・・・どちらも甲乙つけがたいほど魅力的だったと思います。
私にとって両者に対する好きの度合いが着実に高まりました^^

これで俄然新作アニメの情報が楽しみになってきました。
でもその前に「フルメタルパニック! わりとヒマな戦隊長の一日」を視聴しようと思います^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 26

68.0 5 潜水艦アニメランキング5位
THE UNLIMITED -兵部京介-(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (558)
3241人が棚に入れました
風になびく美しい銀髪、何かを悼むかのようにその身にまとった漆黒の学ランを着た青年……彼の名は兵部京介。
エスパー犯罪組織パンドラを指揮し、超能力者の同胞たちのために革命を起こすまで、その黒い翼は闇の空を羽ばたき続ける。
椎名高志原作「絶対可憐チルドレン」に生まれた偽悪のヒーロー・兵部京介がオリジナルストーリーによるスピンオフ・アニメーションとなって登場!
刻(とき)の運命にあらがって、無限を解き放て…!
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

意外とイケましたがアクション映画のあるあるパターンでした。

絶対可憐チルドレンは小さい女の子が活躍するイメージが強くロリ系苦手な私は観ていません。
コレはそのスピンオフらしいですね。

第一印象はまた中2臭いエスパーバトルかー。

前期のコードブレーカーはあまり好きじゃなく、
コレもそんな感じかなっと思って観てたんですが、
エスパーバトルの演出が派手でアングルもよく迫力を感じました。
どうせ中2臭い事やるならここまでやってくれた方が
スッキリ割り切れるので良いかも知れません。

ん!?実はストーリーも大人っぽく好きな部類かも。
なんか色々組織が絡んで深みがでるかも。
ちょっとだけ期待して視聴継続してみます。

※2話感想{netabare}
パンドラのメンバーはなかなか個性的で各能力取り揃えていて
チームとしてバランス良く汎用性がありそうです。
いろんな組み合わせが考えられるので戦闘シーンの迫力と合わせ見所はありそうです。

アンディ君は能力キャンセラーみたいですね。
…なんか とあるアニメで観たことある様な…。
ストレスによって能力範囲が変わる様で…のちのちご都合主義が炸裂しそうな気がします。
今もキャンセラーなのにテレパシーが聞こえたりするのがイマイチ納得行かないのですが…自分の意識でオンオフできるのかな?

この後の展開としては、アンディ君はアレの所在を探しスパイ潜入しながらもパンドラの活動を体感する内に悪を倒す悪の存在意義を感じて葛藤していきそうですが、どこかで驚きの超展開が待っていて欲しいです。

兵部さん何か感づきながらもメンバーに加えた気もするのでその辺が鍵になりそう。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
モナークのソフィー王女誘拐事件のお話。
誘拐ではありますが実は保護でありパンドラの活動の一端が見えました。

絶チル知らないのでバベルの二人は良く分かりませんがライバルなのかな?
一人は残留思念が読めるみたいですが、楽しむために詳しく能力も知りたいです。

なぜか上着のポケットにUSB入れてたり、
私腹で動いていた犯人が人の目も気にせず強引に王女を殺そうとしたりと、
ミステリーとしては不自然さがあり引っかかりましたが、まずまず楽しめる回でした。

ユウギリの掘り下げもありました。掘り下げてくれると話に深みがでるので良い傾向。
今後もキャラを掘り下げつつストーリー進行となるんでしょうかね。

クイーンというキーワードも気になります。
絵で見るにはカタストロフィ号の別称か正式名称な気もしますが…。

追記:気になってアニメ公式ページの用語集を見ました。
「クイーン・オブ・カタストロフィ号」と言うそうです。
また皆本はノーマル、賢木は接触感応能力者だそうです。
本来はアニメの中だけで読みとりたかったのですが…。
絶チル知らない人にやや不親切な気がします。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
先週のクイーンの意味を教えてくれましたね。不親切と言ってすいません。(^_^;

チルドレンってもっと幼かったイメージでしたが中学生だったんですね。
ロリっぽくないなら絶チル観てみようかな。
皆本は若い女の子を飼い慣らすスケベ野郎にも見えましたが、
本編にはきっと絆が描かれているんでしょうね。

アンディ君の無効化能力はリミッターの影響だけでなく
高レベルの複合能力者には効果が薄いようですね。
テレパシーは距離があったから聞こえたのか…なるほど。
今更ながら納得できなかった部分が何かいろいろ理解できました。浅はかでした。

皆本の洞察力によりバベルにはアンディ君の正体がバレそうですね。
「アレ」って何なのかも気になります。エスパーが世間と絡むには必要な物っぽいですが。
結構おもしろい展開になってきました。

OPアニメとED曲が変わりましたね。なかなかカッコイイです。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
やはりアンディ君の正体バベルに割れてました。
アンディ君が兵部の殺人者とESP救済者の二つの顔を知る事になりました。
予想通り葛藤していきそうです。
もっとも兵部の場合は二面性というより裏切りや悪の道に進む理由がある様に思えますが。

ESPに対する偏見や差別も想像以上な世界なんですね。
もはや憎しみみたいでした。
人口の5%もいるならもう少し理解が進んでも良さそうなんですが。
能力がある人やチルドレンとかどうやって暮らしてるんだろう?
やはり本編も観ないと分からない部分がありそうです。

EDは戻りましたね、バベルの活躍度で変わるのかな。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
アンディ君にも兵部にも時間が迫っているようですね。

アンディ君は懐いているユウギリ達を気にし葛藤しながらも
任務を優先しパンドラを裏切ることに。
心苦しさがあったろうけど、立派は決断だと思います。

でも装置の前まで来て兵部に気付かれた…というか気付いていた事を打ち明けられました。
兵部は若い頃の自分とアンディ君を重ねている様だけど何をするつもりなんだろう?
「ここで死ぬ」の真意は? その意志を継いで欲しいのかな?

また次回が楽しみです。
{/netabare}

※7~8話感想{netabare}
兵部の少年時代のお話。
過去の時代も能力者は理解されず軍事的にも上手く利用されてきたようです。

裏切られて裏切ったり、ノーマルに遺恨があるのは分かったけど、
後半駆け足が過ぎて早乙女さんの気持ちがよく分からないです。
上層部の命令で泣く泣く処分とかでも無く自身のエゴなの?
それにまだその後のこと、不二子とどうなったのかとか、
髪の色とか話が繋がっていない所があるんで気になります。

少し半端な過去の回想に感じてスッキリしないけど、次回以降で分かるのかな。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
いつの時代でも胸ポケットには硬い物を入れておくべきです。
そしてアンディ君も上司に裏切られ結局B級映画さながらの展開ですが、
アクションも面白いしハラハラもしますので結構楽しめています。
兵部がアンディ君を味方に引き込んだ理由が分かってくるとますます楽しめるので、
次回はその辺りやってくれないかな。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
B級アクション映画の良いとこ取りのようなストーリーですが、
伏線もしっかり回収してますし非常に良く纏まっています。
ユウギリの出生も分かり成る程と思わせてくれました。
いよいよクライマックスという感じです。
ユウギリを助け出し、未来の為にこれからも戦う!的な
ラストだとは思いますが最後まで楽しめそうです。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
ユウギリも助ける事が出来てまずまずのハッピーエンド。
今後もパンドラの活動は続き、
アンディ君とも接点が生まれそうな予想通りの着地でした。

アンディ君が気持ちを込めて触り兵部の時間が止まってまだ生きられる感じなのですが、
この辺りは都合良すぎてまだ腑に落ちていないです。
絶チルとの絡みもあるので無茶な終わりには出来なかったようですけどね。
{/netabare}
元々大きな期待はしていませんでしたがまずまず楽しむことは出来ました。
当たりのB級アクション映画を観た様な気分です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22
ネタバレ

Etzali さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

UNLIMITED―闇でしか裁けない罪がある―

2012年秋アニメの『CODE:BREAKER』と似た印象の作品ですね。あと、キャラデザがあまり好みじゃないです。

(2013.1/12 1話:超常脱獄 -Schooler of deadlock-)
{netabare}憶測ですが、主人公の兵部京介は過去に受けた出来事に対する復讐を行おうとしているのではないか?これで違ってたら…ね┌|゚□゚;|┐ガーン!!

OPで兵部に撃ちこまれる銃弾、そしてUNLIMITEDモード時に顕わになった兵部の額の銃痕、さらに実験場での一枚の写真から、そう思ったわけですよwww


これは主人公・兵部京介の復讐の物語なのか?{/netabare}


(2013.1/19 2話:暗殺のメロディ -Ghost of WW2-)
{netabare}冒頭でアンディは兵部達、組織を裏切ったのか?と勘違いさせられてしまった^^;

というか元々スパイのようだが…

兵部京介、まさにTHE UNLIMITED(限界ない)ですねwww

それにしてもアンディは色んな能力持ってそうwww{/netabare}


(2013.1/27 3話:清楚と汚濁 -Queen not a princess-)
{netabare}「P.A.D.R.A参上!」って中学生かwwwヾ(・・ )ォィォィ

エスパーとノーマルの確執らしいものも垣間見られたが、やっぱり兵部はロリコンなんじゃ?(゚д゚){/netabare}


(2013.2/2 4話:絶対領域 -Children Territory-)
{netabare}OPが英語から日本語になってる(゚д゚;)
サビ:闇でしか裁けない罪がある。時よ、永遠に止まれ

アンディの任務はパンドラに積載されている、とある装置を探し出す事。


ザ・チルドレンが君臨する新しい世界を造る事が兵部達の目的か。
ただ、ここにきて「絶チル」観てないと関係性が分からなくなりそうな展開は、やめてほしいな^^;

どうやら、兵部の復讐の物語ではなさそうです(>_<)

絶チルで主役だった彼女達のキャストも当時のままなんですね。

明石薫(CV:平野綾)
野上葵(CV:白石涼子)
三宮紫穂(CV:戸松遥){/netabare}


(2013.2/11 5話:ストレンジャーズ -Portrait of the family-)
{netabare}マッスルwww まぁ、他のキャラの個性が立ちすぎて、こういうキャラじゃないと印象薄くなるからね。

ユウギリの「はじめてのおつかい」回ですね
予算は…国民の税金からですか?wwww

アンディは合衆国の捜査官?、二重スパイと成るのか。
兵部が能力者だけの世界を造ろうとしている理由は前の大戦で上官の裏切りで同胞を失い、B.A.B.E.L.に復讐を果たし能力者を保護する為。それと、兵部の命はもう永くはない?

警備員、ルパンかと思ったwww

大量殺人者とエスパー達の救世主、どちらも兵部の顔であり、そのどちらが欠けても兵部ではない。{/netabare}


(2013.2/17 6話:闇、走る-As true as a lie-)
{netabare}アンディ、船から降りるのか?

拾ってくれた人への恩義の為に、兵部達と戦うのか。
兵部も自身にとってはこれが最後の革命(もしくは復讐)となる?

やっぱ、絶チル観た方が良い^^;?
兵部、アンディに昔の自分を見ているようですね。

次回から、その兵部の過去へと遡る展開なので期待!{/netabare}


(2013.2/23 7話:超能部隊 前編-Generation ZERO PART I-)
{netabare}兵部の過去編と言う事だからOP映像もモノクロに。所々大戦後と思われる描写もある
幼い兵部が出会ったフジコは、兵部少年にとって初恋の相手?

「絶対に大陸での戦闘には超能力特務部隊は派遣させない」この言葉は守られるのか?
兵部の超能力は超能部隊の隊員達の能力と同じ?{/netabare}


(2013.3/2 8話:超能部隊 後編 -Generation ZERO PART Ⅱ-)
{netabare}誰にも負けないくらい強くなる事を願う事が、兵部自身の為になる。
あの模擬戦前の、兵部の目は何なんだ?

超能力を持った自分が自分である為に、信じた道を歩む事を決めた兵部少年

カタストロフィー号の心臓である伊ノ八號は、あのイルカの脳だったのか(゚д゚;)

兵部という化け物を生み出し消し去ろうとするのは「恥」の意識からくるものなのか、はたまた「罪」の意識からくるものなのか?
どちらかというと前者の方だろうな。日本人だし…

マドンナ・リリー(白ユリ):汚れのない心{/netabare}


(2013.3/9 9話:カタストロフ -Pandora's box opens-)
{netabare}兵部、囮の無人機に簡単に引っかかったなww
合衆国は伊ノ八號を使って、エスパー達を根絶やしにする事で世界の覇権を握ろうとしているのか。

伊ノ八號、カタストロフィー号を失った兵部達は、どうするのか?{/netabare}


(2013.3/16 10話:遠い楽園 -Original Sin-)
{netabare}蕾見不二子は兵部の姉なのか。
兵部の考えに違和感を抱く、薫(Queen)…

早乙女(兵部を撃った人物)は兵部達を徹底的に仕留めるつもりなんだな。

兵部は早乙女への復讐を果たすつもりか。巻き込みたくないんだなきっと兵部は、これからの未来を担うチルドレン達を。
エスパーのノーマルへの想い、ノーマルのエスパーへの思惑、それぞれの思いはどのような結果をもたらすのか?

それにしても毎話ごとにEDが変わるのは観ていて面白い演出ですね!{/netabare}


(2013.3/23 11話:あらしの中のふたり -OUTLAWS-)
{netabare}OPがサイケデリックな感じになってる(゚д゚;) 
OPの演出が面白い(歌詞が日本語→英語、映像がカラー→モノクロ)

エスパーをノーマルが管理する世界を造りあげる事が早乙女の目的
ユウギリが造られた存在!?

予知は予知でしかない。それが全て正しいという訳ではないのだから、根絶やしにするという発想はどうも…

アンディの放ったトンファーの一撃に差がありすぎww
チャフなら窓を破壊して空気の逃げ道造ってあげればいいんじゃ…アクセラさんみたいにww

まさかのユウギリがラスボス展開なの!?(゚〇゚;)マ、マジ...{/netabare}


(2013.3/30 12話:未来へ -LΛST RESOLUTION-)
{netabare}自分の死と引き換えに薫を守る兵部は、正にナイト(騎士)だな。
リミッターをも凌駕する、兵部の永年蓄えられた体内因子(無意識に発する超能力の残滓)

結局、早乙女を殺さなかった兵部。殺してしまえば、ノーマルとエスパーの確執は深くなる一方だろう…
だから、殺さなかった。そうする事で、エスパーとノーマルが互いに思いあって生きていける世界を望んだ。{/netabare}

絶対可憐チルドレンのスピンオフとなるこの作品。
絶チルは未視聴ですが、これだけでも楽しめる内容ではあります。
1クールなので、個人的には、ノーマルとエスパーどちらが優位に立つのか?と言う答えを出さないで終わったのは良かったです。

続編が期待できるか…というと微妙でしょうね^^;

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
ネタバレ

ワッキーワッキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

5話感想 あれっ?ルパン登場してなかった?

「絶対可憐チルドレン」スピンオフのオリジナルストーリー

絶チルは未視聴でしたが、視聴してみてついていけそうだったので視聴続行しました。

■世界観■
『Xメン』?のように、エスパー(超能力者)が自然発生して、迫害を受けて、いがみ合っている、また『とある禁書目録』のように能力の強さによってレベル分けされていて、固有の得意能力なども存在している世界、そんな中レジスタンステログループ「パンドラ」のリーダー兵部京介が活躍するストーリー

■登場人物■
兵部京介 声優 遊佐浩二
パンドラのリーダーで主人公、銀髪、常に学ラン、{netabare}額にトパレーションの痕(それで能力覚醒?)年齢は相当いっているが、呪力でテロメアを修復しているらしい(あれ?最近どっかで聞いたような?){/netabare}

アンディ・ヒノミヤ 声優 諏訪部順一
パンドラの新メンバー、長身赤髪、オッドアイ、物語は彼目線で進むことが多い、{netabare}能力はイマジンブレイカーで、どこかから送られたスパイらしい{/netabare}

ユウギリ 声優東山奈央
パンドラメンバー黒髪剛毛くせっけの少女、他人の心を読む能力らしい

桃太郎 声優 釘宮理恵
パンドラメンバー、人語を操るモモンガ、体の中心にオールフィクションを打たれている?

■各話感想■(途中で断念したらごめんなさい)

第1話 「超常脱獄」
{netabare}導入部分として、近代兵器の軍を一人で殲滅してみせ、強さと作品の方向性が物の5分もかからずに伝わりました。そして作為的に投獄されるところで、頭の切れも見せる演出と普通の人間にもある程度対抗策がある所を見せることができているので、序盤のスタートとしては良かったかなと思います。{/netabare}
第2話 「暗殺のメロディ -Ghost of WW2-」
{netabare}前回助けたアンディ・ヒノミヤが加わり、さらにパンドラのメンバーの紹介回でした。さらに京介の秘密が少しずつ分かってきて、気になっていたなぜリーダーなのに少佐なのかも説明がありました。そしてラストにパンドラの行動目的が表明され、次回以降明らかになってきそうなので引きとしてもよかったかと思います。

余談ですが、今期何か物足りないなーと思っていたら、モモンガの桃太郎で気づきました。釘宮成分が足りてなかったのですw成分補充のため視聴続行しようかなぁ
でも、モモンガってどうなんでしょ{/netabare}

第3話 「清楚と汚濁 -Queen not a Princess-」
{netabare}エスパー擁護派のモナーク王国の式典に、日本の捜査機関バベルとパンドラが居合わせ、ソフィ王女が誘拐された。
誘拐したのは、パンドラだったがそこには、理由がありユウギリからの提案だった。
そしてユウギリの過去が明らかに。
と言った今回、絶対可憐チルドレンのキャラが出て来たので、未視聴な私としては、観ておけばもっと楽しめたなぁとちょっと後悔です。そしてユウギリの過去が少しわかりましたが、今後ユウギリという名前が伏線になってくるかもと、密かににらんでいます。漢字表記だと夕霧とイメージすると思いますが、実は違ったり、英語だったりと色々、苗字が無いのも気になりますね。
そしてタイトルのプリンセスじゃなくクイーンも最後意味深に言っていたのが、引っかかりました。
色々気になる事が出て来たので、視聴続行しようと思います。{/netabare}

第4話 「絶対領域 -Children Territory-」
{netabare}日本上陸を目指したパンドラ一向だったが、待ち構えてたのは、バベルだったそしてバベルのチルドレンと交戦しクイーンの正体が明らかにと言った今回
アンディの能力もさらに掘り下げていましたが、この能力って使えるのでしょうか?強制絶状態にするのはすごいと思いますが、テレポート使える相手とは…通常スキルの周辺絶の範囲とコンボで使うんでしょうけど、能力バレたらあんまり使えないような気もしますね。そこらへんも今後どう戦っていくのか楽しみになってきました。

それとED変わったみたいですが、バベル登場の今回だけってことでしょうか?それとも数パターンあるんでしょうかこちらも今後の楽しみになりました。{/netabare}

第5話 「ストレンジャーズ‐Potrait of the family-」
{netabare}タイトルを訳してみると、「家族に見える他人たち」と言ったように、今回はバトルの無い日常回でした。
日本に上陸したパンドラが花見をして、浅草観光で何やら大量に買い物をしていて、ユウギリは自分で何か買いたいと一人で走って行ってしまう、そしてアンディがついていくことを任され、フラワーランドという遊園地に行くことにと言った話でした。
前半は和やかな雰囲気でしたが、遊園地ではエスパーが入園拒否されたり、ユウギリが能力で迷子の子供を助助けたのに、大人たちから白い目で見られたりと、この世界のエスパーに対する差別が克明に描かれていてエスパーにとって酷い世界なのがわかりました。

そして京介が病院で勝手に検査していたり、アンディがバベルから協定を依頼されたりと色々な動きがあってボリューム感も感じる事ができました。

おそらくタイムリミットが現在4月から1年以内に絞られたことで、今後の激動も期待できると思います。

余談ですが、15分28秒辺りの警備員完全にルパンに見えたのが笑えました。そしてラストの「初心者のための帝王学‐人は我の上に人を作らず‐」も中々笑えました。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

66.0 6 潜水艦アニメランキング6位
紺碧の艦隊(OVA)

1994年3月1日
★★★★☆ 3.5 (56)
202人が棚に入れました
 荒巻義雄原作の人気小説をOV化。監督は「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」で有名な神田武幸。第二次世界大戦を舞台に大日本帝国海軍が欧米列強よりも強い戦力を保持していたら……という架空戦記。太平洋戦争が勃発し、満を持して戦いを挑む高野五十六は連戦連勝の快進撃を繰り広げる。

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

仮想戦記の元始作

90年代、書店の新書版小説コーナーには「○○の艦隊」と名のつくものが、雨後の筍のごとく沢山並んでいました。
今でこそ廃れてしまいましたが、いわゆる「IF戦記」「仮想戦記」「空想戦記」と言われるジャンルです。
紺碧の艦隊は、その先駆けとなった小説。
小説のヒットにあやかって、徳間書店から、当時としてはまだ珍しいメディアミックス戦略が展開されました。
ゲーム化、コミカライズ、そしてこのアニメ作品化。
かなり刊行を重ね、アニメだけでも32話も作成されています。

ストーリーの大綱は、第2次世界大戦で戦死した英傑達が、パラレルワールド 『後世』 に記憶を持ったまま転生し再度歴史をやりなおすというもの。
これから起きる戦争の記憶があるわけですから後出しジャンケンも同然。周到な戦略&戦術と、新基軸の兵器で敵さんをボコボコにします。
国土を焼かれて無条件降伏という辛酸を舐めたあの戦争を、
もっとマシに戦うには?他にやり様が無かったのか? あそこで勝っていればどうなった? あの爆弾がなかったら?
と、政治的・軍事的にシミュレートするのがIF戦記と呼ばれる所以。
大国を相手に一歩も引かずに戦い抜いた先で、果たして日本は平和で秩序ある世界に貢献できるのか。
・・・・そんな事を想起して楽しむ作品です。
(そんな単純に上手く行くものか!って野暮な突っ込みはナシです)


で、このアニメですが、内容の半分は戦闘シーン。
第二次大戦当時の航空機、戦艦、巡洋艦、潜水艦の戦いです。
戦闘機が機銃をを打ち、戦艦が艦砲射撃を行い、潜水艦が魚雷で艦船を沈める、至極真っ当な戦争を描いています。
SFチックな超兵器はありません。(終盤は原作者がトチ狂って そういうのも一部出てきますが)
ちょとだけ優秀な兵器で、愚直に職業軍人として作戦行動を行うオッサン達の物語。ただそれだけです。

ちなみに、「紺碧艦隊」は潜水艦で構成される隠密艦隊。
噴進弾(トマホークミサイル)、酸素魚雷(航跡の出ない魚雷)、ワルター機関(電池を必要としない推進機関)など、色々な秘匿装備があります。
飛行艇も搭載できる潜水空母でもあります。・・・・・むむっ、結構超兵器かもw


反戦の倫理観や歴史的な正当性などを抜きして正直に申しますと
日の丸をつけた艦船や航空機が活躍するのは、やっぱりイイ!

万人には決してオススメしませんが、兵器好き、軍事モノ好きにはたまらない作品です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

大風呂敷 広げすぎたら 尻すぼみ

前半は、かなり面白かった。
しかし後半、調子に乗り過ぎた感あり。
転生し人生をやり直すはずだった帝国軍人たちが
結局、無間(むげん)地獄に嵌ってしまったかのよう。
終わり方が中途半端となってしまってがっかり。

以下は、未視聴の方は、観る気無くすような
読まない方がいいネタバレありますので注意。
(以下の流れを知ってたら、自分は最初から観なかったと思います)
{netabare}
強い日本軍で太平洋戦争を日本軍常勝で再現するのは
エンタメとして非常に楽しい。

しかし、対戦相手が米国ではなく、
ヒトラー率いるナチスドイツにした頃から先行き不安となった。

戦線は拡大し、全く史実にないドイツへの爆撃やら、
インドでのドイツ軍との陸戦、制海権争いなど
必要だとは思えない展開がマイナスな印象に。
また、英国を弱体化させたのはやり過ぎだし、
正史では、日独伊三国同盟だったイタリアは一体何してる状態。

そして最終話で、根本的な終戦にはならなかったという虚しさ。
一時停戦となったものの、史実通りヒトラーが歴史上で裁かれることもなく
世界の脅威のまま終了、となったことが一番いただけない。

途中までの痛快感を一気に吹き飛ばすラストでした。
結局、戦争は再開され長期化されるだろうと暗示のまま終了。

エンタメとして後味悪すぎです。
後味さえ良ければ、物語評価は4.0にしてたでしょう。

上手く戦争に負ける、というテーマはいつの間にか吹き飛び
兵器開発競争の負の連鎖から抜け出せなくなってしまった。

後半の兵器の開発スピードの不自然な異常な速さ。
後半からは、あっという間にジェット戦闘機が主力になり、
原子力に変わるエネルギーも開発され、
兵器の威力が短期間に現代レベルに近い所まできてしまった。

エンタメであっても、過去の戦争から学ぶべきものがあり
反戦のメッセージをどこかに期待していたのがことごとく裏切られました。

原子爆弾がどこにも投下されなかったは唯一良かった。
しかし、あのラストの先にあるのは
水素爆弾などの新たな大量殺戮兵器の脅威が待ってる、としか思えません。
{/netabare}
アイデアとしてはとてもいい話だと思います。
結末を知らない方が楽しめますので、ネタバレには要注意です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

架空戦記の決定版

某艦娘アニメが萌えアニメと悪魔合体させようとしたものがこちらです。

連合艦隊長官 山本五十六が後世と呼ばれる『照和』に転生します。
そこは『昭和』とまったく同じ戦前に日本。違うのは自分の苗字。
五十六さんは同じく転生者がいること知り同士を集め戦争回避に努めます。
しかし元乗艦の艦娘と同じように『逆らえないなにか』的なものの存在を感じながら開戦日を迎えてしまうのです。

ですが2週目の人生、前世の教訓を生かし電探開発、震電改的航空機、大和型の予算であのイオナ、しおいちゃんこと『伊400型』を大量に生産します。
通商破壊こそ正義!まさに『オリョクルいってこい』です。

その潜水艦艦隊の名前が作品名となっています。


前半は『戦闘機の制空権の取り合いは物量負けする』という長官の超理論の元、魔改造された戦艦比叡がレーダー+ショックカノンで米軍機を全滅させたりはしますが比較的『真面目な架空戦記』です。

後半になるとナチスドイツ、ヒットラーやフリーメーソン、ライフル協会みたいな悪の組織と戦うエンターテイメントに!


敵がドイツになるわけですので二次大戦潜水艦モノの傑作映画『Uボート』へのリスペクトみたいな演出があったりしますが、比べるのが失礼なブっとび具合。
馬鹿馬鹿しいと思うかこれくらい頭が悪いほうが割とありと思うかは視聴者様次第。

島田兵ならぬ飛田兵が大活躍します。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

67.2 7 潜水艦アニメランキング7位
沈黙の艦隊(TVアニメ動画)

1996年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (31)
177人が棚に入れました
日本の近海で海難事故が発生した。千葉県犬吠埼沖で、海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」がソ連(現ロシア)の原子力潜水艦と衝突し沈没、「やまなみ」艦長の海江田四郎二等海佐以下全乗員76名の生存が絶望的という事故の報道は日本に衝撃を与える。しかし、海江田以下「やまなみ」乗員は生存していた。彼らは日米共謀により極秘に建造された原子力潜水艦「シーバット」のメンバーに選ばれ、事故は彼らを日本初の原潜に乗務させるための偽装工作であった。
アメリカ海軍所属となった日本初の原潜「シーバット」は、海江田の指揮のもと高知県足摺岬沖での試験航海に臨む。しかしその途中、海江田は突如艦内で全乗員と反乱を起こし音響魚雷で米海軍の監視から姿をくらまし逃亡。以降、海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を名乗る。さらに出港時「シーバット」は核弾頭を積載した可能性が高い事が発覚。
アメリカ合衆国大統領ベネットは海江田を危険な核テロリストとして抹殺を図る。海江田は天才的な操艦術と原潜の優れた性能、核兵器(の脅威)を武器に日本やアメリカやソ連、国際連合に対抗してゆくこととなる。

声優・キャラクター
津嘉山正種、大塚明夫、徳丸完、麦人、中博史、稲葉実、飛田展男、塩屋翼、中村大樹、緒方賢一、加藤治、田中康郎、阪脩、渡部猛、若本規夫、村山明、仲木隆司、上田敏也、筈見純、藤本譲、中田和宏、小村哲生、小林清志、大塚周夫、秋元羊介

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

国会議員の教養になった作品。今はこの作品に注目せざるを得ないでしょう。

 本作について、潜水艦の設定や戦闘シーンが実際と違う、という批判はあります。映像シーンが映画のパクリという話もありました。が、そういう事では無いですね。

 大事なのは核武装し、かつ国際社会の枠組みから外れた存在は歯止めがきかない、ということです。しかも核を持っているかどうかがフェイクでも構わないということも同時に言えます。なにせ使ったらお終いですから。

 現実の今の世界で、ミサイルバンバン打ち込んでくる国が騒いでいる分には、なんとなく迎撃してくれるんじゃないか、という甘い期待があったでしょう。でも、今回の件で核もったら勝ちじゃんという発想になると思います。国連の機能はつまり核を持っている国の利害しだいということです。

 そして核爆弾についてはそういうことに気が付いた人が昔からいたのでしょう。1979年の「太陽を盗んだ男」という映画があります。学校の先生が核のテロを行う話です。そこで学んだのは、核爆弾を起爆させるのはそれなりの技術がいるみたいですが、実際のハードルは核燃料、つまりプルトニウムかウラン235が入手できるかどうかです(たしか核爆弾の燃料の部分に梅干しを入れて警察に送り付けるシーンがあった気が…うろ覚えです)。それさえ入手できれば核爆弾の製造は可能だそうです。もちろん、詳細な情報は出回っていませんが、一般的にはそう言われていますね。

 あとはアニメだと残響のテロルですね。評判良くないので見てないですが、ちょっと今回見るべきかなあと思ってます。「バックトゥザフューチャー」はテロリストがプルトニウムを盗んだといってますが、テロリストに盗まれたらおしまいですね。詳しくはマンガ「パイナップルアーミー」の最終回とか見てください。テロを起こすだけなら爆弾にする必要はありません。核廃棄物で十分です。

 で、言いたいのは、核は燃料の入手は難しいですが、技術は簡単に手に入る、そして、核武装=社会的な発言力がある国家というのは、あながち絵空事ではないということが、今の社会情勢からわかります。

 もう1つのテーマの専守防衛ですね。原作はこの部分で日本の護衛艦についてのドラマがありました。これは私が今回みたDアニメのVOYAGE3には含まれていませんでしたが、これも今や大きな話題です。敵基地破壊能力とかイージスアショアですね。地政学的にいって、現在日本は攻撃される可能性が極めて高い状況です。憲法問題と思想が絡むのでここでは持論は展開しません。

 ですが、この作品はそういったことを考えるきっかけになってくれるでしょう。細かい設定とかは置いておいて、その本質…つまり、防衛と国家なにより核について考える作品ということだと理解しています。

 で、作品ですけど、深町…じゃまですよね?初めは活躍しそうな雰囲気でしたけどね。つまり原潜とディーゼル艦ではお話も作れないということだと思いますし、潜水艦もので始まった本作が、いつのまにか国家論に変わって行ったということかもしれません。

 正直話として面白いのは、シーウルフ級との戦いまでかなあ…その後は海江田がちょっと概念化してしまい、エンタメとしては飽きます。なにより女っ気がないんですよね。私のような軟弱ものにはちょっと辛いです。いまなら女子高生艦長かなあ…フルメタルパニックのテッサだったらいいのに…ですのでアニメはvoyage3までで丁度いいと思います。

 本作の原作が一番盛り上がったころは国会議員も含めて、知識人は皆本作の原作を読んでいたらしいですね。ひとつの教養だったみたいです。今こそもう1度議論してほしいですね。

 なお、日本のバッテリー艦は短時間の作戦行動なら原潜より優秀なところも多いそうなので、近海の防衛についてはかなりの能力だそうです。

 そう…本作は潜水艦乗りたちがいかに「音」の世界に生きているのかが良かったですね。「音」がかなり主要な要素になっていましたね。
 耳という極めてアナログな部分が大活躍でした。ここがかなりゾクゾクしました。そういう世界があるのかあ、と感心しました。今はAIなんでしょうか。それとも相変わらず耳なんですかね。

 総評です。VOYAGE3まではエンタメ性も含めて、かなり面白い作品です。ただし、設定や実際の原潜のバトルのリアリティとか考えだすと本質を外すと思います。評価点は一応つけますが、本作の価値はそういうところではないと思います。

 あと原潜の船体ってナイフで削れるんでしょうか。また、削ったらそこから圧壊しそうですけど…そこだけ気になりました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

諸般の事情で埋もれてしまった感のある作品

原作コミック既読

dアニメで偶然見つけ、OVA2(voyage 2, voyage3)までの3作品を一気に視聴。大人な事情により制作打ち切りを喰らった作品。らしい(調べてみたら、結構しょぼい理由だった・・・)。OVA2本を含めても、原作の3分の1程度までしかカバーしていないですね。映像化に際し、すっ飛ばされた描写も結構ありました。あと、このアニメではロシアが最初っからロシアでした。

古きよきサンライズ感を全面に感じられる絵柄で、世代的には安心感のようなものを感じます。
既になくなられた方も含まれていますが、CV陣も豪華というか重厚にして堅牢。渋い男の世界が展開されます。彼らの演技を聴くだけでも十分楽しめるかも。

「日本人乗員(自衛官)が操船する、極秘裏に日米共同建造された原子力潜水艦。表向きは米軍属とされたままの処女航海において、突如その潜水艦は国家として独立すると宣言する。。。。」

原作を読んだときは「日本に原潜、しかも核武装の可能性あり」という設定にかなりの無理筋を感じたものです。

潜水艦が関わる海戦の(言葉の選び方が難しいんですが)おもしろさがよく描かれていると思います。映像化された部分の先の展開では、非現実的と批判される描写もありますが、もしも映像化されていたらそんなファンタジー含めて楽しめただろうなと、残念に思います。

政治に対して何らかの興味なり不満なりをお持ちの方は、本作品を導入剤として、原作に手を広げて見るのもいいかと思います。「国家とは」、「核を含めた軍事力とは」、「国家が軍事力を持つことの意味・意義とは」、「国家と国民とは」といったあたりのことを、自分なりに考え、解釈するきっかけくらいにはなるかもしれません。本作で語られているそれらが正しいかどうかは知りませんよ、どこまで行ってもアニメ・マンガの話ですから。あくまで、自分なりの解釈へのきっかけとして、です。ただ、マンガに関して言うと、結構タフな作品なので理解しながら読み切るにはページ数以上の時間を要すると思われます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

徳寿丸 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

絵空事ではなくなってきた?

原作未読・OVA視聴済(2022.3)
作品の原作はいつか読もうと思いながら結局読んでないままです。
この作品で色々影響を受けた方々も多いんじゃないでしょうか?
自分もかわぐち先生の作品は好きで「ジパング」も途中迄コミック持ってます。「空母いぶき」も新刊まで既読してます。
ただ、自分はどちらかというとお子ちゃまなので「紺碧の艦隊」シリーズみたいな御都合空想戦記のエンタメ性重視の作品に流れがちです。その点かわぐち先生はシリアス性?とエンタメ性の比率を非常に気を使っているように感じます。”あくまで漫画、されど漫画”そこは「ゴルゴ13」にも言える部分ではないでしょうか。
そして、”日本人として国とは民族とは”常に問いかける姿勢。異世界俺TUEEEで現実逃避も楽しくて良いですが、俺の人生クソゲーや親ガチャとか言ってても現実は変わらないのでこのような作品に触れてみるのも良いのではないでしょうか?
物語は日本初の原潜が独立国家”やまと”を宣言し、核保有国優位の世界情勢にその理不尽さや矛盾、偽りの正義を問う挑戦的な内容です。
近いうちに原作を読みたいと思っています。

私のツボ:果たして彼らはテロ組織なのか?

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

82.3 8 潜水艦アニメランキング8位
無限のリヴァイアス(TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (959)
5792人が棚に入れました
2137年、大規模な太陽フレアによって出現した高密度のプラズマ雲が黄道面を境に太陽系の南半分を覆いつくし、地球も南半球が壊滅、17億もの人命が失われる被害を受ける。このフレアは「ゲドゥルト・フェノメーン」、プラズマ雲は「ゲドゥルトの海」と名付けられた。2225年、地球の衛星軌道にあった航宙士養成所リーベ・デルタは何者かの襲撃によって制御不能になり、ゲドゥルトの海へ突入してしまう。しかしその時、リーベ・デルタ内部に隠されていた外洋型航宙可潜艦「黒のリヴァイアス」が起動した。教官たちは全員殉職し、リヴァイアスに避難できたのは少年少女ばかり487人。彼らはなぜか自分たちを救助してくれるはずの軌道保安庁から攻撃を受け、戸惑い、混乱しつつもこれと戦い、そして更には密閉された極限状態にある艦内では、艦の指揮権や物資の配給を巡り少年少女同士が陰惨な争いを繰り広げながら、火星圏から土星圏、天王星圏へと当てのない逃避行を続けていく。

声優・キャラクター
白鳥哲、保志総一朗、関智一、桑島法子、丹下桜、氷上恭子、檜山修之

アラジン♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【ネタバレ有】 「100人中1人が“100点”をつける名作!」

 
 100人中90人が、80点以上をつける作品は、間違いなく名作と言っていいだろう。

 しかしこの作品は、100人中1人が“100点”をつける名作である!


 (言いたいことが伝わっていないかもしれないが…)、普通は(自分もそうだが)―、物語がしっかりしていて、作画が綺麗で、声優の声が合っていて、音楽が良くて、キャラクターが魅力的で…、そんな作品を高評価にする、そんな作品を名作だと思うのが普通だろう…。
 
 そういう作品が、“大勢の人”から“高い評価を受ける”タイプの名作だと思う―。


 しかしこの作品は、(1999年制作ということもあって)作画には時代を感じ…、声優も、個性と言ってしまえば聞こえはいいが、実際のところ、最近の声優陣との力の差を感じずにはいられない。
 それでいて、物語やキャラクターからは“鬱要素”ばかり感じるのだから、この作品を高評価にする人はそれほど多くはないだろう…。

 けれどもこの作品は、この作品の“本当の魅力”に気付き、キャラクターの“弱さ”に共感し、声優の
“実力不足からくるリアルさ”を感じた人たち…、
 そんな“少しの人達”から“最高の評価を受ける”タイプの名作である―。



 (この作品を観たことがない人にも分かりやすいように、順を追って説明すると)、まず最初に、この作品には、他の作品とは絶対的に違う魅力が“2つ”ある。


 1つは、(この作品を観たことがない人でも知っているかもしれないが)、ここまでキャラを…、観ている視聴者を追い込むか…、と言わんばかりの、究極的なまでの“鬱展開”である―。


 (以下、簡単なあらすじ) ―主人公・“コウジ”たちは、航宙士(こうちゅうし)の資格を取るために、宇宙空間内の航宙士養成所:“リーベ・デルタ”で訓練に励んでいたわけだが―、目的不明のテロリストの襲撃により、養成所内の教官たち(=大人たち)は全員死亡し、残された訓練兵(=子供たち)487名だけが宇宙空間を(何か月もの間)漂流することになる…、という物語―。


 とまぁ、ここまで書いただけでも、察しの良い人なら分かると思うが―、
 ―大人たちのいない世界で…、救助はいっこうに来ず(というか、救助が来るのかどうかさえも分からず)…、確実に食料は減っていき…、長い集団生活でのストレスや不安…、そして理由もわからないまま敵の攻撃にさらされていく日々―。

 そんな追い詰められていく少年少女たちの精神状態に比例して、乱れていく“リヴァイアス”(=子供たちが乗っている宇宙船)内の秩序―。

 そうしてあらわになる極限状態での“人間の本性”や、ただ生きるために必死で、汚い人間、自分勝手な人間になっていく子供たちの“人間的な生々しさ”が描かれ―、そこに究極的なまでの“鬱要素”を感じるのだろう…。


 とにもかくにも、観ていてこんなに気分が悪くなったことはない。
 (後述もするが)、この作品に登場するキャラクターの中には当然、普通の環境下においては、頼りになる人、観ていて好感が持てる人など、多少の困難なら乗り越えていけそうなメンツがそろっている―。

 それでも、この絶望的なまでの困難な状況下においては、誰一人としてまともではいられない―。
 
 そうして一人一人が、徐々に壊れていく姿は、とにかく生々しくて…、リアルすぎて…、そこに、どうしようもない絶望感が感じられ、途中、観ているこっちもおかしくなりそうな“鬱展開”へと、ただひたすら進んでいくのである…(この気分の悪さは、観てみないと伝わらないと思う…)。



 また2つ目の魅力であり、この作品の一番の魅力が、何といっても主人公たち、キャラクターの“心の成長”である。

 まず何より―、ここまで深く、人々の“心理描写”を掘り下げて描いた作品は他にないだろう…(少なくとも自分が今まで観てきた作品にはない…)


 リヴァイアス内に閉じ込められ、宇宙を何ヵ月もの間漂流する間に、様々な困難に立ち向かいながら、信じられないほど一人一人が成長していく…、わけだが―、
 ―この作品の良いところは(というか、むしろ観ているこっちとしては、それが逆に、メンタル的にきつかった理由なのだが…)、
 全てが終わる(=全ての困難が解決する)のが最終話の一つ前の25話であり、その25話までは(本当は、一人一人が徐々に成長しているのだけれど)、主人公たちが成長しているかどうかが観ていて分からない、ところにある。


 それほどまでに、リヴァイアス内の状態は最悪で、一人一人が壊れる寸前(もはや壊れていたと言っても過言ではないが…)だったということなのだが…、
 最終回を観てみると、いかに一人一人が精神的に成長したのか(特に“コウジ”と“ルクスン”)を痛いほど感じる。


 最後まで観た人は分かると思うが、この作品のキャラクターの中に“正解”はいない。誰一人として“完璧”ではない。
 そこからくる(なんというか)“アニメっぽくなさ”、より現実の人間に近い“リアルさ”が、この作品のキャラクターからは感じ、そこに今までのアニメ作品にないタイプの、キャラクター達の魅力を感じる―。


 主要キャラだけでも20人以上おり、準主要キャラも合わせると、何十人ものキャラクターが物語に関わってくる、“超キャラ重視”の作品なのだが―、

 ―その一人一人が、必ずどこかで観ていてイライラする行動や考え方をする。そして彼らのする試みの、大半が上手くいかない…(観ている途中で、何度好きなキャラが変わったことか…、何度そのキャラに辟易(へきえき)し、見損ない、イライラしたことか…)。

 なのでこの作品を、“作品やキャラのことを好きなまま”観終えるには、とんでもない“労力”というか
“精神力”がいる…(つまり、ほとんどの場合、必ずどこかでこの作品そのものや、登場するキャラが嫌いになる…)。


 それでも最後まで観て、振り返ってみれば―、好きになっているキャラクターが数えきれないほどいることに気付く―。

 この作品もいわゆる、“一人最高のキャラがいる”というタイプのアニメ作品ではなく、その作品内の
“キャラクターそれぞれにファンがいる”というタイプのアニメ作品である。  

 現にこの作品は、他の作品とは比にならないほど、主要なキャラが多い。
 そして最終的には、そのキャラ一人一人が、最高に素晴らしい、“限りなくリアルに近い”アニメキャラだということに気付くだろう。

 例えば、最終回において、「コウジとアオイ」、「コウジとイクミ」、「アオイとイズミ」、「ツヴァイの面々」、「ユウキとブルー」など、リヴァイアス事件のその後を、ほとんど描いていない(ブルーに至っては本人が登場すらしていない)にもかかわらず―、
 ―皆が再会したときの少しのやり取りですら、心にグッとくるものがある…(それくらい、初めは嫌いだったキャラが最終的に好きになってしまっている…)。



 だが、(ここまで書いてきて、急な方向転換だが)、勘違いしないでほしいのは、この作品は決して“鬱作品”ではない(“鬱要素”は感じるのに“鬱作品”ではない…、というのは矛盾していると思うかもしれないが、そうではない(理由後述↓))。

 むしろ、我慢して最後まで観れば、最高に気分が晴れた状態で、この作品を観終わることが出来るのである。


 最終的にそう感じる理由には、“普通のハッピーエンド”が、“今までで最高のハッピーエンド”に感じるほど―、
 ―物語の途中で、(キャラだけでなく、観ている自分の)心理状態が、深すぎる“底辺のメンタル状態”を経験するからだろう…
 (今から振り返れば、あの頃(=20話あたり)は地獄だった…。早く観終わりたいという気持ちと、もう観るのをやめようかという気持ちが入り混じっていた…)。
 
 だからこそ、観終わったとき、その“振り幅”で、“最高のハッピーエンド”だったと感じる―。


 つまりは、(これは自論だが)、この作品は決して、“アニメ鬱作品”ではない(現実に、病気としての
“鬱”で苦しんでいる人がいる以上、あえて“アニメ鬱”と言わせてもらう…)。

 この作品は事実、このサイトの成分としての“鬱アニメ”でも上位に来ている作品であり、作品内のリヴァイアス内の空気感や状況は、物語内の“キャラからすれば”鬱状態、鬱環境であったと言えるだろう。
 
 しかし、それが本当に“アニメ鬱”だと言えるのか…(と疑問を感じずにはいられない)。


 あくまで、(自分の中での)“アニメ鬱状態”とは―、その作品を観終わった後も、その作品が…、キャラが…、そのシーンが…頭から離れない―。観終わった後、他のことがやる気にならないほど、アパシー的なもの(=無気力さ)を感じてしまう―。

 それこそが“アニメ鬱状態”であり、そうなる作品が“鬱作品”だと思う。しかし、この作品にはそんなことはなく、むしろ観終わった後の気持ちとしては、全くの逆である。

 なのでこの作品が“鬱作品”かと言われると、ただ作中内の空気感がそうなだけであって、決して観終わった後、“アニメ鬱状態”にはならない…。つまり自分が思う“アニメ鬱作品”とは違うのである。



 …とまぁ、ここまでかなり高評価をしてきたつもりなのだが…、正直なところ、今まで観てきたアニメ作品とは全く違うタイプの―、自分の中の価値観や世界観を変えてくれた、“名作”だと思う…。

 総括としては―、
 ―1つの“大きな経験”が、一人一人の心を強くする、成長させる―。
 逆に言えば、口で何を言ようと、頭で何を考えようと、“経験”しなくては何も成長しない、強くはならない―。
 
 この作品は、そんなことを痛いほど感じさせてくれる、まさに人の心が成長するための“人生のバイブル”のような作品だと感じた…。

 (終)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

『無限のリヴァイアス』にみる「鬱作品」と「秩序と現実」と「フランス史」についての考察

人間がもし秩序の無い閉鎖的空間に取り残されてしまったらどうのような行動を取るのだろうか。本作ではいつ終わるか分からない旅の中で織り成される人間模様の現実的な恐ろしさと残酷さを毅然と描写している。始めは穏やかだった人々の心境の変動は本作の醍醐味の一つであろう。群衆の狂気ともいえる情緒の移り変わりや主要人物達の葛藤を、二十六話をかけてじっくりと描き出している。艦内の秩序と統治方法の変遷は、まるで歴史の流れを見ているかのようだった。
また、本作は様々な人物が登場し活躍する群集劇である。登場人物の多様さと優柔不断の主人公が理由で、始めは余り感情移入することが出来なかったが、それぞれの人物の特異な背景を顧みると、少し遠くから眺め見る、客観的な鑑賞の楽しさがあった。

このアニメはもっと早くに見るべきだったと感じた。今まで私が敬遠してた理由は「作画の特性」と「子供が活躍するロボットアニメ」の二点なのだが、それらの苦手要素を凌駕する面白さであった。もしも同じような理由でこのアニメの視聴を避けている方がいたら、是非再検討を。「トラウマ」を考慮して、子供ではなく「大人」にオススメのアニメ。

■無限に続く秩序なき闘争状態
タイトルの「無限のリヴァイアス」は、ホッブズの「リヴァイアサン」が由来なのではないだろうか。ホッブズは人間が自然権を行使する自然状態は「万人の万人に対する闘争」の場であると表現し、平和と安全を達成するために人間は社会契約によって自然権を国家に移譲するべきだと説いた。そうしなければ、人々は永続的な危険と恐怖に苛まれると。そして権力の集合体である国家を指して、(怪獣)リヴァイアサンと呼んだ。タイトルの「無限のリヴァイアス」とは、「無限に続く秩序なき闘争状態」を言い表したかったのだろうか。

■「鬱作品」について ―「鬱と希望」と「秩序と現実」―
本作は「鬱作品」として周知されているが、本作には「鬱」に優る「希望」が包含されていると私は思う。それはこの作品の題材の一つでもあろう人々の成長物語に感化され共感を得たからだ。特に最終話の存在は鬱というより希望だと思う。寧ろ本作のモチーフであると言われる小説『蝿の王』の方が、悲惨な結末であったと私は記憶している。

この作品が鬱作品ではないと思う由縁はもう一つあり、私は今の現実の世界も「無限のリヴァイアスのようなもの」だと思う。
例えば日本。確かに日本は秩序ある安全な国だと評判だ。因みに「国」の存続に重要なのは「秩序」と「個人」の平衡だが、「力」がないと秩序は守れない。国内社会においては力は警察や裁判所などが有している。米国のように「個人」が銃を所持して自分の身を守る方法もあるけど、それは時には「秩序」を乱すこともある。そういった意味も踏まえれば、日本は世界の中でも「秩序」と「個人」のバランスが上手くいっている国だと思う。しかし日本でも殺人や暴行事件が全く無い訳ではない。それ故個々の事象に嘱目すれば、本作の人間模様も一概には「非現実的」だとは言えないのではないか。

また、国際社会においても同様なことが言える。殊に世界は「無秩序」だ。ヘドリー・ブルという人物が「主権国家から成る社会」の成立によって世界には一定の秩序が存在すると論じたが、世界には単一の中心的な権威が存在しないことは無視できない点である。それ故国際法を強制する主体は国際社会に存在しないし、国際司法裁判所の法的拘束力は「強制管轄権」を受諾した国にしか適用されない。世界の警察はいない。世界は未だ国家間の「力の体系」である。他国で不合理な出来事があったとしても内政不干渉の原則で我々は何も出来ないし現に何もしていない。国際連合は非民主主義的で、常任理事国は拒否権というあこぎな特権を有している。紛争、貧困、飢餓、テロなど、様々な悲劇もなくなる気配はない。世界は無秩序で暴力的で不条理だ。

所謂「発展途上国」でも同じだ。私は発展途上国で沢山の貧困者を見てきた。開発が原因で土地を追われ、物乞いをしながらも些細なモノを売って生活する人々。親に捨てられ住む家も靴すらもない子供たち、そんな子供たちも生きるために必死でなにか出来ることをして行動している。そんな世界では、鬱は死だ。鬱でゴロリと横になってる間に飢えで死ぬだろう。世界には彼らのような困窮な生活を過ごしている人が大勢いる。世界は不平等で残酷だ。

現実を見れば、世界なんてそんなものだ。世界は暴力と欲望と利己と不平等と言葉では言い表せないほどの卑しさで溢れている。そんな世界の中で、何かしらの「共通性」と「暴力」に拠って秩序は辛うじて保たれている。世界は「リヴァイアス」だ。この作品は鬱かもしれないけど、この作品の中の世界には鬱に優る希望がある。この作品を鬱だと思うことができるのは、相当幸せな生活を営んでいて、相当美しい世界を見ているのだろう。それを否定しないけど、この作品は現実に「当たり前に存在していること」を描いているにすぎない、ということだけは主張したい。

■フランス史との関連性と、統制する側の問題点
自学のために、無理やり「フランス史」を絡ませてもう少し考察
{netabare}
■【ルクスン政権】貴族制
ルクスン政権は貴族制だろう。成績をモニターに公表したのは能力主義、そしてエリートを集め、有能な少数の人たちで統制するのは貴族制。まさに合理的だった。(チャーリーへのハニートラップと、ルクスン政権の隠ぺい行為を口実にしたブルーの反乱が誤算だった)

■【ブルー政権】ルイ16世
ブルー政権は王政だ。ポイント制(貨幣制度)と監視制度は秩序をもたらした素晴らしい制度だと思う。ポイント制が資本主義でないのは、供給側が一元的だから。(社会主義的)
※戦況の悪化。そして、ハイぺリオンへ逃走しようとして失敗したブルーは、フランス革命の際にパリから脱出しようとして失敗したルイ16世さながらだ。

■【ユイリィ政権】フランス革命
民衆の反乱、王政の廃止、ブルー一派への集団暴行。まさにフランス革命だ。
(ブルーが逃げ切れたのは容姿が端麗だったからだろう)
政権については、「皆で決めたんだから」と、ユイリィが否応なしにリーダーにされた。この言葉から恐らく製作者側にとっては民主制(民主的決定)のつもりだったのだろうか。
しかし「無限のリヴァイアス」の元凶はここにあったと思う。
社会では、闇市場が出来、ポイント制は腐敗し、秩序も悪化する。結果は衆愚制(民主制の堕落形態)。民主主義が絶対の体制でないことがうかがえる。というより、民衆(残りの400人以上の大衆)の意見をないがしろにしたのだから、実際は寡頭制(貴族制の堕落形態)。民衆は醜い争いを見せるための脇役でしかなかった。ユイリィは総合的な決断力を求められるリーダーに適さなかったため辞任。リーダーがいない社会は混沌へ。

■【無政府状態】混沌
リーダーの不在により社会はほぼアナーキーとなり、治安は劣悪状態に。
実際のフランスでも革命後は恐怖政治などで、国内情勢は疲弊し不安定に。

■【イクミ政権】ナポレオン・ボナパルト
ここでナポレオンこと、イクミ登場。英雄兼、独裁者。イクミカッコイイ(?)
ナポレオンはフランス革命の理念を各地に「輸出」しようとした。
イクミも暴力によってイクミの思想を「輸出」して、社会に再び秩序が訪れた。
ナポレオンは、日本の旧民法の参考にもなったナポレオン法典を作った。
イクミも秩序のための公言をした。
「過ちを犯すな!もめるな!争うな!なじるな! 傷付けるな! 普通でいろ!」

イクミは頑張ったと思う。

■投降
イクミとリヴァイアスは投降し、リヴァイアス政権とフランス史の関連性は終り。

■【ルクスン・北条政権】
新たな船出のリーダーは、ルクスンに決まったけど、あまりにも適当な統帥の決め方に驚愕した。多分また暴動が起るだろう。でも結局、彼の政権が一番マシだったとも思う。

リヴァイアスを統制する側の権力の移り変わりは、まるで歴史の流れ(フランス史)を見ているかのようだった。そして、それぞれの「政権」がそれぞれの良さを持っていた。しかし、私はこの作品を見て「大衆の愚かさ」よりも「支配する側の愚かさ(統制の大切さと難しさ)」を感じた。支配する側は明らかに大衆を軽視していた。つまり、「リヴァイアス」はなるべくしてなったのだと思う。
とはいえ、私はどの政権も否定したくない。何故ならどの政権も前の政権を乗り越えて、より良い環境を築くために出来たものだからだ。既存の体制も法律も伝統も、そういった先人たちの積み重ねによって出来たものだから、何に対しても、その存在自体を悪だとは思いたくない。過去は捌け口にするためにあるのではなく、糧にして、その先を生きていくためにあるのだから。{/netabare}

{netabare}この作品の最後は、ゲドゥルトの海に覆われてしまった地球から、リヴァイアスが脱出するシーンで終わる。もっと未来の世界だ。その時代はきっと、昂治も祐希もアオイもカレンもブルーも、みんな死んでしまった世界なのだろう。それが何だか悲しいけど、彼らの希望が未来に繋がった事が嬉しかった。
私も、昂治が最後に言ったように、いつか滅びるこの世界と人類の未来のために、微力ながら何か力になって死ねれば本望だと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24
ネタバレ

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

登場人物の中から1人を新入社員として採用するとしたら

途中からずっとそんなことを考えながら観ていました。
リヴァイアス艦内における、各人の行動を前提に、「総合職:採用1名」と仮定した場合、自分だったら誰を採用するだろうか、と。
つくづくイヤな視聴者だと思う。

結果は、ルクスン・北条の一択ですね。
正直スキルは足りないし、プライドだけは高い。それでも、誰かひとりを採用するとしたら、彼が群を抜いて高評価なのです。

足りないスキルは習得させればいいし、高すぎるプライドは打ち砕けばいい。教育でどうにかなる部分なんてどうにでもなる。

彼の長所は、そのずば抜けたストレス耐性です。
あそこまで完膚なきままに打ちのめされ、なお自分というものを見失わず、心が腐らず、折れず、目先のTodoに専心できる、あの鋼のマインド。
これは訓練だけでどうにかなるものではなく、ある種の、長年の環境によって培われた楽天家気質がなければ不可能なことです。
ポテンシャル採用させていただきます。

足を動かせない頭でっかちの参謀クンや、お勉強は出来るけどストレスに弱いユイリィ・バハナさんは採用見送り。生きるか死ぬかの状況で胸キュンを優先させちゃうほとんどの女性陣もアウト。弊社が求める基準には達していません。ましてや相葉ユウキなど論外。旅人でもやっててください。

途中までは、コミュニケーション能力に抜きん出たものをもつ尾瀬イクミも候補に上がってたんだがなあ。結局、セルフコントロールに難があることを露呈してしまいました。
次点は、ツヴァイの女性クルーのランかな。リーダー候補としては厳しいけど、ルクスンが他社に決まってしまったら、彼女を採ります。


という雑談はさておき。
本作は、あまりにも多くの示唆を含んだ歴史的名作といえるでしょう。漂流モノを扱ったアニメの金字塔と呼ぶにふさわしい出来。


●これは『蝿の王』か?

この手の「漂流物」で思い出すのは、なんといっても『ロビンソン漂流記』。日本では子供向けの印象がありますが、もともとは完全な大人向け作品です。そして、馴染みの『十五少年漂流記』。極めつけは、世界的な評価を受けたゴールディングの『蠅の王』でしょう。

では、『無限のリヴァイアス』は『蠅の王』なのか。

違うと思う。
というか、違うからこそ価値があると思ってます。

『蠅の王』における人間の暗部は、「無垢」というキーワードと結びついてはじめてその残酷さに表現力を持ちうる類のもので、本作のように、就職を視野に資格試験を受けるような、一定程度成熟した若者たちによる極限の人間行動とはだいぶ趣が違います。
本作には『蠅の王』におけるサイモンのような、無垢を武器に暗黒と対峙できる人物はでてきません。あえて言うならコウジがそれですが、彼は無能でも無垢でもありません。弟のユウキから無能となじられますが、わかってねーなー、て話です。

大事なのは、皆それぞれ、ある程度「オトナ」であり、人が打算で動く生き物ということを、少なくとも頭では理解しているということです。ポイント制が導入されたあとの乗組員の行動を見れば明らかでしょう。
であるからこそ、本作では、その前提の上での「秩序の立ち上がり方」という、より実践社会学的なアプローチに、その照準を定めることに成功しているのです。
もちろん、社会的動物としての人間の在り方と、それに対する極限状況下での例外、という点では『蠅の王』と共通していますが、その手のテーマはけっこうありふれてるからなあ…。特に新鮮味もないわけで。

どちらかというと、『カイジ』の地下施設のアレが、実はいちばんこの作品との接点が多いのではないかと思っています。
むしろ、キーワードは「囚人のジレンマ」じゃないかなと。それも、いわゆる「無限回繰り返し型」のジレンマ。宇宙空間をまるで囚われ人のように流されいく主人公たちを思うと、なおさらそう思えてくるのです。


●統治の根拠
{netabare}
操船課ツヴァイによる一望監視的官僚支配。
エアーズ・ブルーによる独裁支配。
ユイリィ・バハナによる啓蒙路線の合議制支配。
尾瀬イクミ及びその憲兵による武力統治。

さまざまな体制が立ち現れます。

そのどれもに、長所と短所はあるけれども、前体制の至らなさを克服しようとする意気が感じられ、何よりも、「体制を立て直す」という若者たちの苦難と、工夫を凝らして秩序の運営を試みる描写が、本作品の素晴らしい見せ場となっています。もうこれだけで、このアニメには価値があるといっていいくらい。

正直、権力の分立やデュー・プロセスなんて戯言を、あの状況下で担保するのは物理的に困難だとは思います。主要スタッフに更迭がないのも、人材面での制約があるので仕方がないでしょう。
時間をかけて成熟した社会を作るより、当面の混沌を回避することに重きを置く判断は支持します。秩序が完全に失われてからではすべてが遅いですから。尾瀬イクミのような存在は遅かれ早かれ出てくるものです。

むしろ、この作品でいちばんゾッとしたのは、ユイリィ・バハナによる統治の機序。厳密には艦長就任に至る政権樹立のプロセスです。

ツヴァイの女がこんなこと言うんです。

「ツヴァイのみんなも納得してるし、生徒のほとんどが賛同してるわ」
「もう多数決で決まったことだし…」

これ。
これをさらっと言っちゃう感覚が怖すぎなんです。

・「ほとんど」って何?
・ちゃんと生徒全員が投票したの?
・ていうか、その「多数決」は誰が投票したの?
・ツヴァイだけじゃないの?
・その投票権は誰から付託されたものなの?

「多数決で決まった」で思考停止してるんです。その投票権が乗組員から付託された権利ではないにも関わらず。密室での多数決を、さも民主主義のように語る、あのセリフが一番怖いし、まさに子供だなあと。

どんな統治体制を採るにせよ、決定された事項が万人を満足させるなんてことは不可能なんです。絶対無理。そのときに重要なのは、満足できなかった人を納得させる仕組み、あるいは心理的な擬制があるかどうか、なんです(その仕組みに「武力」を選んじゃったのがイクミです)。

美女コンテストで乗組員の直接投票をやっていたでしょう。てことは、その気になれば、統治に対して直接投票ができるんですよ。でもしなかった。する気配がなかった。
直接投票が危険であれば、各部屋に班長をさだめて、彼らを集めて投票行動をとらせることだって出来た。乗組員の意思の抽出をする手段はいくらでもあったんです。

そこでの投票行動はぶっちゃけ形式的なものでも全然構わないんですよ。それでいいんです。大切なのは「プロセスを踏んで決定しました」ってことを明示すること。そうすることによって、もし決まった事項を遵守しない者が出た場合、「秩序に対する敵」として、乗組員の意思を根拠に糾弾できるのだから。

なんていうか、やれる努力をしないまま、早々に「イクミの変革」に至ってしまったことが残念であり、同時に若さゆえの想像力のなさであり、社会経験の無さなのかな、と。
{/netabare}

などと、いろいろ考えながら興味深く観ておりました。


●総評

自分の居場所の確保とかカインコンプレックスとか、情報管理とか、もろもろヘビーなトピックがたくさんあって、切り取りだしたらきりがないですね。おそろしく濃密な作品です。

とりあえず観る価値のある作品でしょう。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

76.5 9 潜水艦アニメランキング9位
ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1042)
5704人が棚に入れました
舞台は1987年の日本。100年の時を経て、ジョナサンの肉体を乗っ取ったDIO(ディオ)が復活した。それと共鳴するかのようにジョセフの孫の空条承太郎に、幽波紋(スタンド)という能力が発現する。DIOの影響によって危篤に陥った母の空条ホリィを救うため、承太郎はジョセフらと共にDIOの潜むエジプトを目指す。

声優・キャラクター
小野大輔、石塚運昇、三宅健太、平川大輔、小松史法、子安武人
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

タイトルなし

第3部ということで1989年のアジアとエジプトが舞台
主人公はジョセフ・ジョースターの孫・空条承太郎

前半の本作は送られてくる刺客を倒しつつ時には仲間にしてエジプトを目指していく

ポルナレフお調子者すぎて良いアクセント

OP
STAND PROUD 歌 橋本仁
ED
スターダストクルセイダース 作曲 菅野祐悟
Walk Like an Egyptian 歌 The Bangles
The Banglesは好きだなあ。エジプトじゃないのにWalk Like an Egyptianだ

{netabare}
原作セリフたち
「“悪”とはてめー自身のためだけに、弱者を利用しふみつけるやつのことだ!!」(承太郎、花京院に)
「フフ…やはりこのままいさぎよく焼け死ぬとしよう…それが君との戦いに敗れた私の君の“能力”への礼儀…自害するのは無礼だな…」(ポルナレフ)
「やれやれだぜ」(承太郎)
「アヴドゥルなにか言ってやれ」(承太郎)
「おれは“恐怖”を克服することが“生きる”ことだと思う。世界の頂点に立つ者は!ほんのちっぽけな“恐怖”をも持たぬ者ッ!」(DIO)
「ジョセフ・ジョースター!きさま!見ているなッ!」(DIO)
「これがおれの本体のハンサム顔だ!」(イエロー・テンパランス)
「弱点はねーといっとるだろーが 人の話きいてんのかァ、この田ゴ作がァー」(イエロー・テンパランス)
「ドゥー・ユゥー・アンダスタンンンンドゥ!」(イエロー・テンパランス)
「JOJO、そのチェリー食べないのか?ガッつくようだがぼくの好物なんだ…くれないか?レロレロレロ」(花京院)
「ア…アヴドゥル、これがインドか?」「ね、いい国でしょう。これだからいんですよ、これが!」(ジョセフとアヴドゥル)
「バ…バカな…か…簡単すぎる…あっけなさすぎる…」(花京院ポルナレフに)
「カモオ~ン、ポルポルくう~ん」(ホル・ホース)
「我が名はジャン・ピエール・ポルナレフ。我が妹の魂の名誉の為に!我が友アヴドゥルの心の安らぎの為に!この俺が貴様を絶望の淵へブチ込んでやる」(ポルナレフ)
「グピィーッ!」(ホル・ホース)
「あたいが『女帝』よッ!チュミミ~ン!!」(ネーナ)
「ジョセフ・ジョースターが闘いにおいて、貴様なんかとは年季が違うということを思い知らせてやる」(ジョセフ)
「“相手が勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北している”これがジョセフ・ジョースターのやり方。老いてますます健在というところかな」(ジョセフ、エンプレスに)
「たとえるなら!知恵の輪ができなくてカンシャクを起こしたバカな怪力男という感じだぜ」(ポルナレフ)
「勝ったッ!第3部完!」「ほーお、それで誰がこの空条承太郎の代わりをつとめるんだ?」(ズィー・ズィーと承太郎)
「穴がボコボコにあけられているぞッ!トムとジェリーのマンガに出てくるチーズみてーに!」(ポルナレフ)
「脳みそズル出してやる!背骨バキ折ってやるッ!」(エンヤ婆)
「そこの4人…お命ちょうだいいたします」(スティーリー・ダン)
「史上最弱が…最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も、最も恐ろしィィ、マギィーッ!!」※最も×22回!(ラバーズ→ハイエロファント&チャリオッツに)
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!オラアアアアアアアアァァァァァ、オラオラオラオラオラオラオ、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!!」(ラバーズのスティーリー・ダンに。総計オラX52回、オだけ1回)
「フハハックックックッヒヒヒヒヒケケケケケ、ノォホホノォホ、ヘラヘラヘラヘラ、アヘアヘアヘ」(花京院)
「俺と同じリアクションするなーッ!!」(ポルナレフ)
「さあ、お仕置きの時間だよベイビー」(花京院)
「モハメド・アヴドゥル!」「YES I AM!」(ポルナレフとアヴドゥル)
「に…にゃにお~んッ!そこまでやるか…よくもぬけぬけとテメーら仲間はずれにしやがって、グスン」(ポルナレフ)
「一度あんたの素顔を見てみたいもんだな。俺の好みのタイプかもしれねーしよ。恋に落ちる、か、も」(承太郎)
{/netabare}


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
時は1987年――ジョセフ・ジョースターと柱の男たちとの死闘から49年後…。ジョセフは「悪霊に取り憑かれた」という孫・空条承太郎に会うため、極東の地・日本を訪れる。そして承太郎に対し、悪霊――「幽波紋(スタンド)」が突如発現した原因を語る。

1. 悪霊にとりつかれた男
1987年、日本。ジョースター家の血を引く青年・空条承太郎の母・ホリィは「自分には悪霊がとりついている」と釈放を拒む承太郎を案じ、アメリカにいる承太郎の祖父・ジョセフに助けを求めることに。すぐさま来日したジョセフは、友人のアヴドゥルと共に承太郎のもとへ向かい、承太郎に対し「悪霊の正体を全て知っている」と告げる。

2. 裁くのは誰だ?!
ジョセフが語った“悪霊”の正体――「幽波紋(スタンド)」の力を隠しながら、日常生活に戻る承太郎。だがある日の登校中、不自然な現象で軽傷を負ったことをきっかけに、花京院典明と名乗る転校生と知り合う。医務室で傷の治療を行おうとした承太郎は、花京院からのメッセージに気が付く。

3. DIOの呪縛
覚醒したスタンド能力で、DIOの刺客・花京院を打ち破った承太郎。傷つき倒れた花京院の身柄を確保し、DIOの情報を得ようとするが、ジョセフは花京院の脳に「肉の芽」という、摘出不可能なDIOの細胞が植え付けられていることに気付く。

4. 灰の塔(タワー・オブ・グレー)
50日以内にDIOを倒さなければ、ホリィの命が危ない――。承太郎たちはDIOを打倒するため、彼が潜んでいると思われるエジプトへの旅を開始する。道中の飛行機内、承太郎たちは再びDIOの放った刺客と遭遇!それは、破壊と災害、そして旅の中止を暗示するという凶悪なスタンド「灰の塔(タワー・オブ・グレー)」であった。

5. 銀の戦車(シルバーチャリオッツ)
DIOからの新たなる刺客、ポルナレフに襲われた承太郎たち。彼のスタンド「銀の戦車(シルバーチャリオッツ)」の鋭い剣さばきに圧倒されるが、ポルナレフの挑発に応じたアヴドゥルが「魔術師の赤(マジシャンズレッド)」で立ち向かう。

6. 暗青の月(ダークブルームーン)
新たな同行者を加えた承太郎たちは、スピードワゴン財団の協力をうけて海路で次の目的地・シンガポールへと向かう。その道中、船内から密航者が見つかり騒ぎが起こるなか、承太郎が海中から敵スタンドに襲われてしまう。

7. 力(ストレングス)
ニセ船長の仕掛けで爆破された船から脱出し、救命ボートで広大な海を彷徨う承太郎たち。そこに姿を現したのは、巨大な貨物船であった。疑心暗鬼になりながらも、一行は助けを求め、貨物船に乗り移る。だが、船は正常に稼働しているにも関わらず、船内に人影はなく、いたのは檻の中のオランウータンが一匹だけ…。

8. 悪魔(デビル)
シンガポールに到着した承太郎一行は、宿泊先のホテルで別行動をとる。ホテルの部屋で一人になったポルナレフを待ち受けていたのは、「呪いのデーボ」として怖れられる新手のスタンド使いだった。

9. 黄の節制(イエローテンパランス)
「我々の中に裏切り者がいる、花京院に気をつけろDIOの手下だ―」ハーミットパープルで念写された奇妙なメッセージを前に、とまどうジョセフ達。一方、それを知らない承太郎は、花京院やアンとシンガポールを散策していた。

10. 皇帝(エンペラー)と吊られた男(ハングドマン) その1
シンガポールを出国し、無事インドに入国を果たした承太郎たち。文化の違いに驚きながらも、レストランで小休止をとる。そこで、鏡の中だけに見える謎のスタンドに襲われるポルナレフ。

11. 皇帝(エンペラー)と吊られた男(ハングドマン) その2
ポルナレフを庇い、敵スタンド攻撃の前に倒れたアヴドゥル。それを目の当たりにしたポルナレフは、ショックで冷静さを失っていた。そこにつけ込んだJ・ガイルはスタンド「吊られた男(ハングドマン)」で猛攻撃を始める。このままでは敗北必至と踏んだ花京院は、ポルナレフと共に逃亡をはかる。

12. 女帝(エンプレス)
ガンジス川のほとり、聖地ベナレスをめざす承太郎一行。その道中、ジョセフは自分の腕に奇妙な腫れ物があることに気付く。最初は気に留めていなかったものの、徐々に大きくなっていく不気味さもあり、医者に看てもらうことに。

13. 運命の車輪(ホウィール・オブ・フォーチュン)
インドからパキスタンへの道のりを四駆車で飛ばす承太郎たち。運転手を任されたポルナレフは、荒れた山道で前を走るボロ車を強引に抜き去ってしまう。しばらく快調に車を走らせる一行だったが、先ほど抜き去ったボロ車に後ろからあおられ、先を譲ることに。

14. 正義(ジャスティス) その1
承太郎たちは敵スタンド使いの妨害を乗り越え、ようやくパキスタンに入国を果たす。だが、周囲が濃霧に包まれてきたため、近くの町で宿を探すことに。一行が到着した町は、異様なほどに物静かで、住民もそっけない対応ばかり。

15. 正義(ジャスティス) その2
エンヤ婆がDIOの新たな刺客であることに気付いたポルナレフ。この事実を仲間に知らせようとするポルナレフだったが、エンヤ婆のスタンド「正義(ジャスティス)」に操られた多数の死体に襲われてしまう!町全体が、すでにエンヤ婆の支配下に置かれていたのだ。

16. 恋人(ラバーズ) その1
エンヤ婆を生け捕りにした承太郎たちは、パキスタンの首都・カラチに入る。その地で彼らを待っていたのは、DIOからの新たな刺客・鋼入りの(スティーリー)ダンと名乗る男だった。ダンはDIOの命令に従い、仲間であるはずのエンヤ婆をためらうことなく殺してしまう。

17. 恋人(ラバーズ) その2
ジョセフの脳内に入り込んだダンのスタンド「恋人(ラバーズ)」。ジョセフの命を握ったことで圧倒的優位に立ったダンは、承太郎に対して卑劣な行為を繰り返すが、逆らえない承太郎は怒りを抑えつつその命令に従う。

18. 太陽(サン)
アラブ首長国連邦に到着した承太郎たちは、砂漠を横断するためラクダで移動することに。移動中、仲間以外は誰もいないはずの砂漠で何者かの気配を感じていた。承太郎がスタープラチナで確認しても不審なものは見当たらず…。だが、気付けば午後8時を過ぎているというのに、太陽は沈むどころか西からのぼり始めている!

19. 死神13(デスサーティーン) その1
花京院典明は夢を見ていた。赤ん坊の泣き声が響く奇妙な遊園地で『死神』のタロットを見つける花京院。花京院はカードの中から飛び出した死神の大鎌をとっさにかわすと、鎌は傍らにいた犬を切り裂いた。叫び声を上げて目覚めた花京院だったが、悪夢の内容は思い出せない。

20. 死神13(デスサーティーン) その2
花京院の赤ん坊が怪しいという訴えを誰も信じようとはせず、逆に花京院の異常を疑う仲間たち。なんとか誤解を解こうと、花京院が夢の中で自ら傷つけた腕の傷「BABY STAND」を見せても、ますます誤解を深めるばかり。追いつめられた花京院はスタンド攻撃による強硬手段をとろうとするが、ポルナレフの当て身で気絶させられる。

21. 審判(ジャッジメント) その1
ある人物に会うため、紅海に浮かぶ孤島へ向かった承太郎たち。島に到着した一行が出会ったのは、白髪以外はアヴドゥルにうり二つの男――アヴドゥルの父親だった!男は承太郎たちとの対話を頑なに拒み、家に閉じこもってしまう。

22. 審判(ジャッジメント) その2
勢いで口走った自分の願いで復活した妹・シェリーに襲われ、傷を負ったポルナレフ。「審判(ジャッジメント)」の暗示を持つ敵スタンド使い・カメオは、ポルナレフの第3の願いを叶えると告げ、死んだアヴドゥルをも復活させた。シェリーとアヴドゥルは、2人がかりでポルナレフの肉体を食いちぎろうと襲いかかる。

23. 女教皇(ハイプリエステス) その1
新たな移動手段として潜水艦を手に入れた承太郎たち。紅海を抜け、アフリカ大陸――DIOのいるエジプトへの上陸を目指す。潜水艦のソナーで外部の反応を探りながら、静かに海中を進む一行。

24. 女教皇(ハイプリエステス) その2
敵スタンド「女教皇(ハイプリエステス)」の襲撃で、沈没寸前の潜水艦からの脱出をはかる承太郎たち。海中を自力で泳ぐためにスキューバ用の装備を着ける一行を、再び敵スタンドが襲いかかる!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

景禎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

パン・ツー・まる・見え

ジョセフ・ジョースターのお話である前作から約50年後。ジョセフの孫、空条承太郎(くうじょうじょうたろう)のお話し。すでに一般名詞化されるほど有名な「スタンド」と「スタンド使い」という言葉が、始めて使われた漫画史に残る作品のアニメ化。

100年前に死んだと思われていたディオがジョナサン・ジョースター(初代ジョジョ)の肉体を乗っ取って復活。ディオはスタンド能力を発現させるが、その能力はジョナサンの肉体を介してジョースター家の血を引く子孫にも影響を及ぼす。抵抗力のないホリィ(ジョセフの子・承太郎の母)は危篤状態に。ホリィを救うため、ジョセフと承太郎、そしてユカイな仲間たち(?)は一路デイオのいるエジプトへ。しかし、行く先々でディオの放った敵のスタンド使いが立ちはだかる。という設定。

続編なので、前作の「ジョジョの奇妙な冒険」を見ておいたほうがいいかどうかですが、ほぼ不要です。ボスキャラのディオがジョジョの家系と何か深い因縁がある・・程度の理解で充分。

2014年春~夏の2クール24話で、Part3「スターダストクルセイダース」の前半分部、ジョジョ御一行様が、東南アジアからインド中東を経て、ディオのいるエジプトへ入るまでのお話しが描かれます。後半のエジプト編は1クール休んで2015年冬クール開始ということらしいです。

一応、ジャンルはアクション・アドベンチャーということですが・・・Partを重ねる毎にシリアス要素がどっかへ飛んで行き、代わりにギャグ要素が降臨するという現象が起きております。Part3の現時点で、もはやギャグ要素はシリアル要素を凌駕したのではないか?と個人的には思っています。なので、わたし的なジャンルはムキムキマッチョ・ファンタジー・ギャグ・アドベンチャー。

日本を出てからエジプトに着くまで、各地で出会うスタンドとの闘いが、1話~2話構成で描かれます。その都度、新たな仲間が加わったり、別れたりの、ちょっとしたドラマもあったり無かったり。

スタンドとは、それを使うスタンド使いの精神的なパワーが具現化したもので、それぞれタロットカードに暗示された能力を持っている、という設定になっています。承太郎に現れたスタープラチナというスタンドは「オラオラオラオラ・・・」と言いながらひたすら殴るだけの能力(とは言っても精度は異常に高い、という設定)で、能力的にも姿形もオーソドックスな部類ですが、物語りが進んでくればくるほど、奇想天外な能力と姿かたちをもったスタンドが現れ、よくもまあ、こんなスタンドを考えたもんだなぁ、と関心させられたりもします。

登場人物のキャラは前作と同様濃すぎるぐらい濃いのですが、全体から受けるハードボイルドっぽい印象は前作に比べてかなりマイルドになっているように感じます。というか、物語の設定と登場人物の見た目からは想像できないことで、キャラのかっこよさとか追求する人にとっては認めたくないことかもしれませんが、・・・もうこれはほとんど「ギャグもの」と言い切っていいかもしれません。見るからにギャグっぽい登場人物はいないのですが、ポルナレフなんかはギャグキャラに近いですね。また、承太郎や花京院なんかはマジメな顔でニコリともせずにギャグるので、かえってウケる。

旅の途中に出会う敵スタンドと、そのスタンド使いからもギャグっぽい面白さが感じられますし、設定そのものがギャグとしかいえないようなスタンドがいたりもします。

静止画としての漫画の手法を幅広く積極的に取り入れているのは前作と同じですが、今作はけっこうよく動きます。つまり動く静止画。なんか、矛盾したような言い方ですが、つまり、完全に止まった静止画が映るのではなく、漫画のコマ割りのようなカットなのですが、そのコマの中の人物なりが動いている・・・みたいな感じ・・・って、何言ってるかわからないですよね。百聞は一見いしかず。一度見ていただければ、どういうことが言いたいのかが分かってもらえると思います。

昭和臭プンプンなのは前作と同じです。このレビューのタイトルにさせて頂いた「パン・ツー・まる・見え」、これは最終回に絶体絶命の状況でポルナレフがやるギャグです。これは実際、昭和50年ごろ、当時小学校で行われていたスカートめくりをした後にやったギャグです。現代ではスカートめくりは立派なセクハラ行為であり、たとえ小学生と言えども、やったら即訴えられるので、このギャグもろとも絶滅しました。(ほんまかいな?)

ジョセフ・ジョースターの声優は、今回は杉田さんではなかった。前作の最終回のラストシーンには、歳とったジョゼフが日本への旅立ち直前の空港のシーンがあり、そのときの声は当然杉田さんだったので、今作も引き続きジョセフの声をやってくれるものとばかり思っていいました。石塚さんは石塚さんで良いのですが、杉田さんの強いアクを引き継ぐのは無理っぽく、ちょっと残念。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

みんながいたから この旅は楽しかった

2014年4月~ TOKYO MX、毎日放送、BS11他にて放送
全48話(分割4クール) 原作未読


1部のジョナサンから4代にわたって続く因縁、宿敵のDIOを倒すため
日本からエジプトまでの道程と戦いを描く物語


{netabare}ホラー、ゴシックな雰囲気を強く持たせ正義と悪、誇りと野望の激突を描いた第1部「ファントムブラッド」
コメディ色を多分に含みつつ戦闘の規模、果ては人類の存亡をかけたスケールの大きい話に昇華した第2部「戦闘潮流」


そのどちらの要素を踏襲しながらもロードムービーの流れを全面に押し出した第3部「スターダストクルセイダース」

基本的には主人公、空条承太郎とその一行が
DIOの放つ刺客と戦いながらも目的地であるエジプトのDIOのいる屋敷を目指す

ただそれだけ!

40話までずーーーっとその繰り返しです
冗長、中だるみ、この敵と戦う必要あるの?
そんな気持ちを心の隅に抱えながらも後半「エジプト編」に入ったあたりから
さながらサザエさんを視聴しているような気分で見てました
「お、今週も承太郎たちやってんな」みたいな、妙な安心感が芽生える始末
だからこそ42話でヴァニラ・アイス登場以降の緊張感ある演出が良い対比となっているのもありますけど

個人的には34話 ダービー(兄)登場から加速度的に面白くなってきて
最終話まで一切減速しなかったのが印象的でした



~空条承太郎くんじゅうななさい~
本作の主人公。
鎖をつけて改造された学ラン、2重掛けのベルト、うしろ髪との境目が分からない帽子
見た目と気性の荒さから不良のレッテルを貼られているが
根は正義感が強く優しい性格で序盤はジョセフのことをおじいちゃんと呼ぶかわいい一面もある

魅力的なキャラが多すぎる3部の中で個人的に最初から最後まで一番好きなキャラ

承太郎って何が正義で何が悪かっていう判断基準が法律や倫理には無くて
自分の感情こそが絶対的な基準でそこに一切のブレを見せないんですよね
だからこそ母ホリィの危機、ジョースター家とディオの因縁を聞かされても
悩みや葛藤が一切なくエジプトへ旅立てたんだと思います
少々完成されすぎた人格だと感じたけど改めて俺強い主人公の魅力を再確認できたキャラでした

後はやっぱりやる時はやる所。それも徹底的に
受けた屈辱、言動はそっくりそのまま綺麗に包装して洒落たリボンを付けて殴り返すってスタイル
決め技がオラオララッシュくらいしか無い中でマンネリせず痛快さを保てたのも
悪を許せないっていう正義や激情的な面を持ちつつも相手をおちょくったり皮肉を効かせた言動による所が大きいのかも
その辺はジョナサンとジョセフ両者の性格を色濃く受け継いでいる証でしたね


そんな承太郎の個人的ベストバウトはイエローテンパランス戦
3部の中でも随一の口の悪さと自分のことをハンサムだと言い切っちゃうナルシストキャラがツボ
承太郎に対して「何がオラァだ!」というシンプルかつ的確な返しに声優さんの憎たらしい言い方が素晴らしい
そうとう口汚く煽ってたけど最後はプッツンされることもなく呆れられてぶっ飛ばされる小物っぷりが好きでした
ンドゥールとかダービー兄弟、DIOと名勝負は沢山あるけれどイエローテンパランス戦が一番ということで


ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ!


【総評】
原作未読で1部、2部のアニメもそんなに気合入れて見てたわけでもなく
正直ポルナレフの超有名なあの場面を見たくて視聴してたって感じでしたが
いやはやこんなにも熱くなれるとはッ!
中盤の面白いんだけど何か物足りなさをずっと抱えていて視聴断念しそうになったけど本当に見てよかったッ!
自分でも驚いたんだけど後半の引き込み具合というか引力の強さというか
いったい誰のどんなスタンド能力なんですかね?
25年以上コアなファンを生み続けている作品の1、2を争う人気エピソード
その魔力じみた魅力の片鱗を味わったぜッ…!

最終話まで手を加えていたOPやEDの演出、声優さんの熱演、音響のセンス
原作を読んでなくたって伝わるスタッフ陣のジョジョ愛
愛が強いゆえに完璧な映像化をしたくても出来ない場面が結構見受けられたんだけど


でも楽しかったよ。みんながいたから、このアニメは楽しかった!


ということで、なーーんのまとまりもないレビューでしたが
思った以上に自分の中で味わい深い作品になったので感想程度に書きました
また近々To Be Continuedしそうな感じですよね
自分の中ではものすごく大団円だったので4部がどう繋がってくるのか気になりますッ!!{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24

68.5 10 潜水艦アニメランキング10位
艦隊これくしょん -艦これ-(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (1275)
5676人が棚に入れました
人類がその制海権を失ってしまった世界。海を蹂躙する脅威、それが「深海棲艦」。その脅威に対抗できるのは、「艦娘」と呼ばれる在りし日の艦艇の魂を持つ娘たちだけ――。 深海棲艦に対抗する艦隊の拠点、「鎮守府」。そこは、多種多彩な艦娘が集い、そして日々の演習などで切磋琢磨しながら、共同生活をする場所。その鎮守府にある日、一隻の艦娘が着任する。彼女は、特型駆逐艦―-。その名を「吹雪」。 「吹雪です! よろしくお願いします!」 吹雪の、そして艦娘たちの物語が、今始まります。

声優・キャラクター
上坂すみれ、藤田咲、井口裕香、佐倉綾音、東山奈央、大坪由佳、日高里菜、洲崎綾、野水伊織、種田梨沙、谷邊由美、ブリドカットセーラ恵美
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

このアニメは艦娘の可愛さをお楽しみいただくため 邪魔にならない程度の差し障りのない脚本をお楽しみいただく番組です

2015年1月~ TOKYO MX BS11他にて放送
全12話

至誠(しせい)に悖る(もと)るなかりしか
(真心に反することはなかったか)

言行に恥づるなかりしか
(言葉と行いに恥ずかしいところはなかったか)

気力に欠くるなかりしか
(気力が欠けてはいなかったか)

努力に憾(うら)みなかりしか
(努力不足ではなかったか)

不精に亘(わた)るなかりしか
(不精になってはいなかったか)

海上自衛隊 第1術科学校ホームページより
http://www.mod.go.jp/msdf/onemss/about/gose/gosei.html

1話開始冒頭、古くは大日本帝国海軍兵学校にて唱和された訓戒である『五省』のナレーションから始まる
現在の海軍兵学校でも自分の一日の行いを確認・反省するという意味合いで使われているんだそうな

つまりこのアニメ、開始数秒ですでに反省モードだったのである

他にも冒頭のナレーションは大事なことをさらっと言っています


・海の底から突如として出現した謎の艦艇群が人類を襲い制海権が奪われたこと
・人類はそれら謎の艦艇を『深海棲艦(しんかいせいかん)』と呼称したこと
・その深海棲艦の脅威に対抗できる唯一つの存在が『艦娘(かんむす)』であること
・生まれながらにして深海棲艦と互角に戦える能力を備え、在りし日の軍船(いくさぶね)の魂を持っているということ


恐ろしいことにこのアニメの世界観の説明は以上です
本当にこの後一切の説明が無いまま物語は進行していきます
敵はなんなの?どこから来たの?艦娘ってなに?人間?
うるせぇ!細けえことはいいんだよ!!

視聴に際してはこんな感じの心構えが必要になってくるというのを予めご留意していただければと思います


【キャラクターデザイン】
原作ゲームでは実に20人以上のイラストレーターが艦娘のデザインを担当しており
それぞれの統一感などは一切なく絵師の個性のままにキャラクターは描かれています
それがプレイヤーの様々な需要にヒットしたことが今のゲーム人気の大きな一因となっています
そんな原作絵をアニメで動かすためのデザインにするのは非常に至難だったと思いますが
中々どうして、めちゃめちゃ可愛かったです
おそらく原作で大和や長門を担当した、しずまよしのり氏の絵をベースにしたと思われるキャラデザは
非常に高いレベルで見事にイコライズされてました
ぶっちゃけ原作より可愛かったキャラm…うわ何するやめろ


【戦闘シーン】
いいキャラデザで作画も概ね安定していたのだが戦闘シーンに関しては色々思うところあり
まず戦闘描写の際はキャラは3DCGで描かれていてCGの質は割とよく出来ているのだが
顔のアップや見せ場のシーンでは手書き作画に変わり
短い時間でCGと手描き作画が次々と切り替わるもんだからどうしても落ち着かない印象を持ってしまう
さらには同じ画面内でCGキャラと手描きキャラが会話してるのもなんだか…
そういった画面内の不統一感がいい得も知れない気持ち悪さを感じてしまいます
また敵味方とも棒立ちで攻撃を受けるって場面が多かったり
海の上という視界の開けた遮蔽物の無い状況が戦闘のバリエーションを減らしてしまい
正直、あんまり盛り上がらない戦闘でした
それでも爆発のエフェクトやSE、大量の艦載機の爆雷投射などで
まったく見れたものじゃない戦闘ではなかったですが

・海の上
・障害物なし
・空を飛べない

この条件で戦闘を面白くするには超機動で近接主体の戦闘が正解なんだろうけど
あくまで軍艦の連合艦隊が航空戦や砲雷撃戦をしているという大前提があるのでそれも出来ず
そうなるとやっぱり物量が足りなかったのかな?
敵味方ともに5~6隻のパーティじゃ画面がスカスカだったし
せめて敵側だけは圧倒的な大軍勢っていうのもありなんじゃないかと思いました

【ストーリー】
大まかに分けて1~3話は導入
4~9話は主人公以外のキャラのスポット回や掘り下げ
10~12話はラストに向けて主人公の特訓と最終決戦
一見オーソドックスな展開のように見えるが
ストーリー物の体なのに序盤と終盤でまったく繋がりが見えなかったのが大問題でした
中盤の日常回やあるキャラ同士の関係性に突っこんだ回は概ね評判が良かったので非常にもったいないという印象
また艦これ未プレイの人はもちろん
軍艦や歴史の知識に明るくない人に対して不親切な内容
初見置いてけぼり感が半端じゃなかったのも気になりました
『艦隊これくしょん』というコンテンツ自体に興味を持ってもらえるような作り
はたしてそれが出来ていたのか甚だ疑問です
またゲーム内セリフを前後の文脈に関係なく何度も挿入したり
原作には無いユーザー同士で盛り上がっていただけの二次創作設定をぶっこんできたり
既存ユーザー向けのファンサービス(と思っていただけ)もあまり受け入れられてはいませんでした
結果的に新規ユーザーには不親切、既存ユーザーには不誠実な描写が多々あったのが
ストーリーの評価を落とす大きな要因となってしまいました


【総評】
キャラデザも作画も良く
OP・ED・BGMも良く
声優さんは何役も兼役があったにも関わらず熱演していた
日常回やギャグでキャラを魅力的に見せることにも成功していた
良い要素が何個もあったはずなのにそれを集めても良いアニメにはならなかったという例
それでもキャラの可愛さに突出した日常回メインという安牌に逃げずに
ストーリー物に果敢に挑戦したという評価もできるが
それならそれで軸となる設定はしっかり固めてなくてはいけない
戦い物にするならそれに対する覚悟と矜持をキャラに持たせなくてはいけない

まったくの初見の人にオススメはもちろんできないですが
キャラ萌え要素、ちょっぴり百合要素、風呂・パンチラなどのえっちぃ要素にティンときた人
あとは何だかんだでネットではまだまだ影響力の強いコンテンツなのでとりあえず押さえておこうって人にはアリかと

あ、既に提督諸兄の方は視聴済みかと思いますが
まだの人は必修科目ですよ?
俺と同じ痛みを味わえ!!!
そして傷を舐め合おうではないか…

まぁまとめると

海の上では地に足の着いたストーリーメイクは出来なかったということですかね

以下、徒然なるままに書いた各話感想
初めて各話感想を(ほぼ)毎週書いてみたけど存外楽しかったので
来期も気になるアニメに出会えたらやっていこうかな~なんて思ったり

{netabare}【1話感想】開幕のナレーションで初手天元を打たれた感じ!
{netabare}原作ゲームをがっつりプレイしてる身としては色々言いたいこともあったけど開幕の「五省」のナレーションで封じ込められてしまったwwwとまぁ冗談はさておき、1話の感想としては可もなく不可もなく、でも概ね満足でした。

どうしたってキャラが多い分、顔見せに尺がとられて世界観の説明も不十分なまま初出撃、初戦闘で展開が急に感じちゃったけど戦闘シーンの艦載機のCGは迫力あって吹雪ちゃんが憧れてしまうのも納得。

ファンサービス的にゲーム内の決めセリフの言わせるのも嬉しいんだけど1話で使いすぎ感があった。何の脈絡もなく「不死鳥の名は伊達じゃない」って言われても響ちゃん痛い子って思われちゃうよ…

あとナレーションが榊原良子さんだったけどもし後半、満を持して提督顔出し、しかも女性提督(CV:榊原良子)で某アクシズの指導者ばりに「恥を知れ、俗物!」とか「還ってきてよかった…」とか言われたら私のテンションマックスになりますよ!!

2話以降も十分期待できる第1話でした(`‘ω‘´){/netabare}

【3話感想】予想外な予想通りで賛否轟々か!?
{netabare}さて、3話で睦月型駆逐艦の2番艦「如月」が轟沈という展開。ゲーム的に言えばデータ消失、人間的に言えば死亡・殉職と言った感じでしょうか。早くも「如月」でGoogle検索すると轟沈シーンの動画がトップに出てくるくらいには反響があったようです。
ネット上の反応を見ると賛否両論!非難轟々?様々な意見があります。

【肯定派。まぁこんな展開もありだよね。な意見】
・史実通りなんだからしょうがない
・緊張感が出ていい。まったり日常系だけじゃ物足りない
・轟沈展開はありだがキャラの掘り下げが足りないんじゃないか。
・こういう展開にするならやはり提督の存在は必要だったんじゃないか。
・どうせみんないなくなる

【否定派。許せねーよ。な意見】
・キャッキャウフフな日常が見たいんだよ。
・キャラクター人気が命の作品でこんな展開はありえない
・フラグ立てすぎ、展開が雑。
・如月押しの提督から無用なヘイトを集める。他の提督もいつ自分の嫁艦が轟沈するか分からないので安心して視聴できない。
・ぼくらの(艦これ)

どちらの意見もわかる。わかるのですが、やはり轟沈はしてほしくなかったなぁ…正直、如月には大した思い入れは無かったのですが思った以上にダメージがでかいです。来週は私の押し艦娘「金剛」回です・・・ビクビク

とにかく日常7割、戦闘3割と聞いているのでこれからも日常回はあると思うのですがどうやっていくのか気になります。吹雪はともかく睦月は立ち直れるんでしょうか。利根や赤城は口ぶりから察するに仲間を失った経験がありそうな感じでしたので上手くフォローするのかな。

あっ!重巡洋艦「高雄」ちらっと出てましたね!あの衣装アニメにすると破廉恥すぎワロタですね。愛宕がお守りを渡すカットで深いスリットからチラリズムしてました!やったぜ。{/netabare}

【4話感想】金剛 丸太は持ったな!!行くぞォ!!
{netabare}4話で金剛型4姉妹が本格的に出ました!4人それぞれの自己紹介もあって初見の人にも強いインパクトを与えたと思います。そして何より4姉妹が予想以上にポンコツ!もといギャグ要員!一番しっかり者であるだろう3番艦榛名までも天然ボケな感じでしたね。
金剛はやはり提督Love全開のキャラでよかった!出会い頭でだいしゅきホールドしてくるのか…(歓喜) 金剛さんが丸太を担いでる姿が妙に様になってて笑えたしBパートで吹雪を庇って戦艦の砲弾を裏拳で吹き飛ばすシーンはかっこ良かったです。なんで旗艦の金剛が護衛艦である吹雪を身を挺して守ったのかは気にしない!ブラボー!!やっぱ金剛最高や!!!


もう少しまじめに感想を

戦友であり姉妹を亡くした睦月を心配する吹雪だがかける言葉に詰まる。

吹雪は突然重要な任務を任され出撃するが轟沈=死の恐怖に足が竦んでしまう。

金剛に抱きしめられたことでみんな思いは同じなんだと気づく。

睦月としっかり向かい合い抱きあうことで言葉に出来ない思いを伝え、受け入れ、また明日がやってくる。

話の流れとしてはいいと思いました。ただ細かい描写不足やメリハリの無さが話の大筋を伝わりにくくしてる感はあります。(金剛姉妹が吹雪を励ますためにバカをやっていたりとか。あれ素でやっているわけじゃないですよね・・・?)
キャラクターにゲームセリフ言わせることに注力したりお決まりネタをやる前にしっかり演出なり描写で伝えてほしいです。セリフ一言足すだけで印象変わるのになぁという場面がこれまでいくつもあったように思えます。

気になるシーンがありました。
戦艦ル級の砲撃を被弾し吹雪が死の恐怖を実感する場面。
轟沈しかけたように見えましたがやっぱり艦娘が轟沈する要因は外的損傷ではなく精神的なものなんでしょうか…?
こういう艦娘の根幹の部分は説明されるんでしょうかね。おそらく無さそうですが・・・{/netabare}

【5話感想】お風呂これくしょん -風呂これ- 始まります
{netabare}提督からの命令で全艦隊は再編成され吹雪の所属する第三水雷戦隊のメンバーと離れ離れに。別れの夜は手を取り合い那珂ちゃんの「水雷魂で頑張っていくぞ」の言葉で締め。何だかんだで川内型はみんなしっかり先輩してたと思う。
吹雪は新たに第五遊撃部隊に配属。メンバーは

高速戦艦 金剛
正規空母 加賀・瑞鶴
重雷装巡洋艦 大井・北上

レズカップルの大井、北上 犬猿の仲の加賀、瑞鶴 まとまりのない部隊の中で吹雪の唯一のオアシスは金剛!天使かな?俺も金剛の胸で泣きたい!!
一人ひとり旗艦を務め誰が一番適任か決めることに、ここから怒涛の風呂タイム!!タオルを巻いた北上さんが非常にグッド!

吹雪はこの後の緊急任務で司令塔としての才の片鱗をみせました。筆記の成績は優秀だったおかげだったのでしょうか。一番前で敵を引きつける役をかって出たところで吹雪の成長を感じましたね。

今回戦闘は少なめでしたけど日常・ギャグのテンポも良く面白かったです。
これから数話は第五遊撃部隊の話が続いてまた再編成って流れ何でしょうか。史実では行われなかった「FS作戦」の名前も出ましたがどうなっていくんでしょうか。気になります。


そんなことより次回は第六駆逐隊の回だぜヒャッホー!!{/netabare}

【6話感想】また足柄か、壊れるなぁ
{netabare}鎮守府内で開催されるカレー大会で優勝するために第六駆逐隊が奮闘するまったり日常回でしたね。なんだか平和すぎて・・・うーん・・・













_三二≧x:::::::::::::::::::::....... _\}::::::|
 :::::::::/ 〃 > ミ:::::::::::::}_}:::`丶ノ
 ::::::/  { ′ ・ }≧<L;_::::::::::.\
 う;′'   ヽ-‐ ′   {'_・_Yト=-ァ'
  ;'   x‐   ´    _`ァ``厂   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
      「`ト、     ∠/  ,'^   < いいじゃないか  |
 ,,_    |:::ヽ{`ト, _  ′,  {/     \______/
  ''ミx  Vニ{⌒ヾー三ア゛ ん,
    ミx ヾ'^Yニ=v′ /   ',
 \   ミx_`二ニ ´ /777   ',
 、 \    ミx「「「{__////{: . . ',


暁、響、雷、電、どの子も魅力たっぷりに描かれていました。声優の洲崎綾さんすごかったです。この回の半分以上は彼女の一人芝居でした。
そして足柄さんが完全に壊れてしまいました。これはこれで面白いので割りきって楽しむのがいいと思います。
那珂ちゃんは以外に冷製で的確なツッコミが出来るのでそっちをお仕事にしましょう。


全体的に良かったけど尺配分ミスったのか?
この話のオチは特性鍋のせいでボーキサイトが無くなって赤城さんガックシと思ったんですが普通に終わってしまいました。

今後も主人公の第六駆逐隊の活躍に期待ですね!!
{/netabare}

【8話感想】せっかく海に来たんだから潮干狩りしようぜ
{netabare}まず一言、ふざけるな!!!!!!!




なんで金剛の水着が1カットもないんだお!!?!??!?!!?

でもでも、水着回よかったですよ!
駆逐艦は安定の鎮守府指定のスク水。長門さんは真面目な顔でやたら際どい水着着てたりで笑ってしまいました。

しかし、どうせ海で遊ぶなら定番の組み合わせじゃなくてもっといろんなキャラを絡ませてほしかった。
島風が暴走して第六駆逐隊の砂のお船破壊したり、北上さんがポロリしてそれを見てしまった吹雪たちに大井さんが怒りの酸素魚雷をぶっ放したり。
もう何やってもそれほど問題ないと思われるのでもっとはっちゃけちゃってもよかったかなと。

食事シーンではメイド服の妖精さんがシーツを敷いていました。
私が艦これアニメの妖精さんに求めていたものがこれでした!
日常生活とか戦闘の補助をどんどん妖精さんにやらせればいいのにとずっと思っていたんですよ。

常日頃、妖精さんたちが鎮守府内をあちこちウロウロしている

そういう世界観にしてしまえば艤装の装着シーンだの艦載機のシーンだのもっと違和感なく見せられたんじゃないかと思ってしまうんですよね。
某別作品の妖精さん並に便利に動かせるキャラなのに勿体無いなと感じます。


大和はいろいろと特大サイズで圧巻でした。
吹雪と並ぶと艤装の大きさがいっそう目立ってましたね
46cm三連装砲1門の重さが駆逐艦1隻分というのも納得のサイズ感でした。
長門が匂わせていましたが大和の戦場での活躍早く見てみたいものです。
{/netabare}

【9話感想】キャクホンの悪夢、見せてあげる!
{netabare}今回は夕立が改二になって実力も魅力もパワーアップ回っぽい
きっとドラマチックな展開が待ってるっぽい
あれれ?何か体が光ってるっぽい!?
工廠でカンカンやったら改二なれたっぽい
なんかあっさりすぎっぽい?
でも可愛いっぽい!!
夕立が第1機動部隊に配属っぽい!ここから夕立の大活躍が見られるっぽい!
うん…?なんか吹雪ちゃんすごい落ち込んじゃったっぽい?
あーだこーだやってるうちに鎮守府が襲撃されたっぽい!?
ついでに提督が行方不明になったっぽいけど気にせず鎮守府内の修繕と炊き出しをやったら何かみんなの指揮が上がったっぽい!
提督が作戦指令書を残してたっぽい

吹雪よ貝になれ

って先週の潮干狩りは伏線だったぽい!?

こんな締め方されてもお、おう…ぽい
しかし提督Loveな金剛さんのノーリアクションっぷりも酷いっぽい
生死も分からない行方不明状態なんだからさ…もうちょっと何かあるだろ!っぽい
もう一体なにがしたいのか全然わからないっぽい…
ぽいー……
{/netabare}

【10話感想】夢でもし逢えたら素敵なことね、あなたに逢えるまで眠り続けたい
{netabare}前回の提督の指令通り『改』になるため早朝から特訓を続ける吹雪さん
やっぱ吹雪のパーカー姿はいいなぁ~
寝間着姿もあったし駆逐艦勢は衣装の面で優遇されてますよね。
寝間着…はっ…!パジャマ!!
もっと色々な艦娘のパジャマ姿見てみたいゾ
3話で長門型は赤いガウンのようなもの着てましたけど
高雄型はきっとエッロ~いネグリジェ着てるし大井さんは北上プリントのパジャマを持っててもおかしくない。
素敵なパジャマパーティーしましょう!スタッフさんオナシャス

鎮守府を強襲した機動部隊を特定するためMI方面へ偵察に行く吹雪達
懐かしの第三水雷戦隊のメンバーです
川内の偵察機でも補足出来なかった敵艦載機をいち早く発見する吹雪
やはり吹雪は広い視野と観察力を持ってますね。
しかし戦果をあげ練度を高めることに頭がいっぱいで周りが全く見えてない状態になる吹雪さん
轟沈寸前になるまで大破 睦月ちゃんのトラウマスイッチもばっちり入りました。睦月ちゃんの泣き顔はこっちも胸にくるんだからやめろ!!

着任してすぐ司令官に言われた言葉を語る吹雪。1話終盤のシーンですね

司令官「夢で見た 君は一生懸命話かけていた だからここから始めていこう」

夢でもし逢えたら~素敵なことね~♪
名曲かっ!!大瀧詠一の名曲なのかっ!?!?

なんかウエディングドレスとか着ちゃってるし…
吹雪のイメージ映像なのか提督のイメージ映像なのか
ちょっと飛躍しすぎな映像だったけど面白かったです。

赤城の随伴艦に相応しいかテストをする二航戦
スポ根展開いいですねー
思わず手をゆるめてしまう加賀さんに優しさを感じたり
赤城さんは最後まで檄を飛ばし晴れて吹雪は『改』になれましたとさ
胸のサイズは据え置きでな!

単純だけど筋は通った良い回だったと思います。
だがやっぱり前回の展開が…
これって遅くても中盤までにやる話ですよね
鎮守府が攻撃を受けるほど敵に攻め込まれているのに駆逐艦一隻を鍛えたくらいでどうなるの?って思ってしまう。
ラストはMI作戦ですか…
やっぱ…あれがあれしてしまうんですかね…
{/netabare}

【12話感想】運命のくびきを断ち切り、希望の未来へレディ・ゴーッ!!
{netabare}前回からのMI攻略作戦遂行中
赤城をはじめとした機動部隊が敵艦載機の直上攻撃を受け絶体絶命のピンチに!
そこに颯爽と吹雪さん登場!
対空砲火で敵艦載機3機を見事撃墜!かっこEじゃん
随伴艦も続々合流し、いよいよ最終決戦の様相を呈してきました。
そこにはトラック島で傷を癒していた五航戦 翔鶴・瑞鶴の姿も
瑞鶴「高速修復剤がなんか急に手配されてさ」

な ん か 急 に 手 配 さ れ て さ ! !

大和さんも初陣で張り切ってます
三式弾の爆発はアニメにするとやはり絵になるなー
敵深海棲艦が初めて喋ったとき、このアニメ最大のサプライズがありました。
あの声おめぇーだったのかよ!!
北上さんの窮地に(やはり)駆けつけたのは大井っち
まさかのドロップキックからの背負投げで自身の2倍くらい体積のある物体を上空5メートルほど投げ飛ばし単装砲で撃ちぬくという荒技を見せていました
えぇ…艦娘がまさかの近接戦闘って…これは……
めっちゃ面白いじゃん!魚雷ってぶっちゃけ絵面地味だしインファイターになろうぜ!!
その後、瑞鶴が皮肉交じりに加賀に新しい弓矢を渡して加賀さんは戦線復帰
制空権も確保し形勢は一気に有利に
大和の46cm三連装砲が深海棲艦に炸裂してやったか!?となるが
また敵空母の増援が来て、さらに倒したかと思った敵もさらなる異形の姿に
かつてあったものをあったとおりにする力が働いているんだそうな
さすふぶ展開でもダメなのかと思ったその時…
今まで前線には出てこなかった秘書艦長門と陸奥が駆けつけ全艦の士気を高めます
この長門に続け!ってセリフはやはりカッコイイです。
大和はなんかびっみょーな顔してましたけど
ALに向かっていた第六駆逐隊やその他の艦娘も次々合流して全員で一斉射撃!
今度こそやったか!?と思いきや敵は自己再生をし何をやってもダメな状況
さすなが展開でもダメなのかと思ったその時…
大鳳型 1番艦 装甲空母『大鳳』が助っ人に参上!!
提督が裏で用意していた秘密兵器!しかも提督は生きていたぜ!!さすが提督!!!
このワンパター…いや王道展開で盛り上がりは最高潮に!
今度こそ全員の一斉射撃で敵を撃破!(カエシテ…)
艦娘たち奇跡の大勝利で過酷な運命のくびきを見事断ち切ったのです!!(カエシテ…カエシテ…)
なんか聞こえたけど気にしないぜ!!!
如月の髪飾りのような物が見えたけどぜーんぜん気にしないぜ!!!
そして世界に平和が訪れたのです。めでたしめでたし



んなわけあるか!これで終わり?こんな取ってつけたような展開で終わり??いやこれは夢なんだ…実はもう1話あるんだ!そうだそうに違いない!!



艦隊これくしょん -艦これ- 最終回予告

皆さん、いよいよお別れです
鎮守府を守る艦隊連合は大ピンチ
しかも、デビル深海棲姫最終形態へと姿を変えた如月が
吹雪に襲いかかるではありませんか!
果たして全艦娘の運命やいかに!
機動武闘伝Gカンムス最終回!
連合艦隊大勝利!希望の未来へレディーゴーッ!!
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 56
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

OP『海色』歌詞に示される核心テーマ。日本海軍の栄光と悲劇をモチーフとした人気ゲームのアニメ化

《各話タイトル&評価》

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に疑問を感じた失敗回
?は内容が微妙で現時点で評価保留の回

{netabare}【第1話】 「初めまして!司令官!」(1/7放送) ★★
【第2話】 「悖らず、恥じず、憾まず!」(1/14放送) ★★
【第3話】 「W島攻略作戦!」(1/21放送) ★
【第4話】 「私たちの出番ネ!Follow me!」(1/28放送) ★
【第5話】 「五航戦の子なんかと一緒にしないで!」(2/4放送) ☆
【第6話】 「第六駆逐隊、カレー洋作戦!」(2/11放送) ☆
【第7話】 「一航戦なんて、大ッッキライ!」(2/18放送) ☆
【第8話】 「ホテルじゃありませんっ!」(2/25放送) ★
【第9話】 「改二っぽい?!」(3/4放送) ☆
【第10話】 「頑張っていきましょうー!」(3/11放送) ☆
【第11話】 「MI作戦!発動!」(3/18放送) ★
【第12話】 「敵機直上、急降下!」(3/25放送) ☆{/netabare}

※以下、時系列での内容レビュー・感想+キーワード&解説
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【第1話】 「初めまして!司令官!」(1/7放送)視聴直後の感想

《とりあえず第1話は◎。方向性がまだ見えず期待と不安が交差するスタート》★★

原作ゲーム未プレイ。
作画は当然ながら良質で、キャラ設定・音楽も良い感じでした。
肝心のストーリーは、第1話では方向性も皆目分からないし、これからなのだけど、ちょっとワクワク感があって好感を持ちました。
ただし、先の大戦当時の日本海軍の艦艇名称が矢継ぎ早に出てくるので、予備知識がない人は視聴を続けるのは少し厳しいかも(※対策として以下のレビューに ◆キーワード&解説 を多数盛り込みました)。

◆キーワード&解説
{netabare}
¶鎮守府
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%AE%E5%AE%88%E5%BA%9C_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B5%B7%E8%BB%8D)

鎮守府(ちんじゅふ)は、かつて日本海軍の根拠地として艦隊の後方を統轄した機関。
横須賀(神奈川県)、呉(広島県※本作のモデル地)、佐世保(長崎県)、舞鶴(京都府)の4箇所に設置。

¶艦艇の種類
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E8%89%A6%E8%89%87%E9%A1%9E%E5%88%A5%E5%A4%89%E9%81%B7

※下段はネーミングルール(※艦名は本作品に登場したもの。§はセリフが多い重要キャラ、-は姉妹艦)

(1)戦艦
※旧国名が規則だが(例:長門§-陸奥§、大和§)、巡洋戦艦の場合は山岳名(例:金剛§-比叡§-榛名§-霧島§)
※長門は連合艦隊(旧日本海軍の合同艦隊)旗艦を最も長く務めた艦であり、本作でもそれを意識して{netabare}提督(司令官)の意を受けて各艦に指令を下す艦(秘書艦){/netabare}となっている。
※なお戦艦のうち、比較的小型で巡洋艦並の高速機動力を誇るが、主砲火力や艦体防御力が通常の戦艦に比べて弱い艦を、特に巡洋戦艦と呼ぶ(高速戦艦とも)。

(2)空母
※縁起の良い実在または想像上の飛翔動物名だが(例:翔鶴§-瑞鶴§、蒼龍、飛龍、翔鳳、大鳳§)、もともと戦艦や巡洋戦艦として建造開始されたのち空母に転用された艦はそれぞれ戦艦・巡洋戦艦のネーミングルールのままとなっている(例:加賀§、赤城§(主人公の憧れ))
※なお正規空母(軍艦として建造された大型空母)と軽空母(商船からの改造が多い。護衛空母とも)の区別あり。

(3)一等巡洋艦(重巡洋艦)
※山岳名(例:愛宕§-高雄§、足柄§-羽黒-那智、青葉)
※ただし当初軽巡洋艦として設計されたのち重巡洋艦に転用された艦は軽巡洋艦のネーミングルールのまま(例:利根§-筑摩、最上)

(4)二等巡洋艦(軽巡洋艦)
※河川名(例:川内§-神通§-那珂§、北上§-大井§-球磨-多摩、夕張、大淀)
※なお、二等巡洋艦は駆逐艦を引き連れて水雷戦隊を結成し、夜戦を仕掛けることが多い({netabare}「夜ならば・・・」というセリフが何度も出てくるのはそのため{/netabare})

(5)一等駆逐艦
※気象や時・音に関する名称(例:吹雪§(主人公)、夕立§、暁-響-雷(いかづち)-電(いなづま)、島風§)
※陰暦の月名称(例:睦月§(主人公の親友)-如月§-弥生-望月)
※なお、特型駆逐艦という呼称は吹雪型(特Ⅰ型)駆逐艦に対して最初に付けられたものだが、後継の綾波型(特Ⅱ型)、暁型(特Ⅲ型)もある。

(6)二等駆逐艦
※縁起の良い植物名称(本作には登場しないと思われる)

(7)水上機母艦
※縁起の良い抽象語彙(例:千代田、千歳)

(8)給糧艦(食糧補給艦)
※海峡の名称(例:間宮§)

(9)その他
※登場したら追加予定
{/netabare}

◆現状での違和感と期待

2013年秋に放送された『蒼き鋼のアルペジオ-ARS NOVA-』が、{netabare}軍艦形態そのものは確保しながら、その制御ユニットとしてメンタルモデルという擬人化艦娘を設定して、その感情変化を巧みに描き出した{/netabare}のに比べると、どうしても{netabare}少女の容姿のままの艦娘達が砲塔や盾を装着して海上で敵と戦闘する{/netabare}、というスタイルは、今のところ迫力不足なだけでなく説得力に欠けるものに見えてしまいます。
今後、ストーリーが進むにつれて、この違和感が解消されていき、終盤ではこの作品ならではの魅力に変わると良いのですが。

とにかく、多くの人が感動する名作・・・というようなストーリー面での大成功は要らないので(というよりアニメの設定上、無理だと思う)、去年のラブライブ!(※シナリオ構成が同じ花田十輝氏)のような感じで原作人気を一層盛り上げる手堅い成功を収める作品に育って欲しいものです。

あと史実に基づく艦の個別エピソードをどのくらい盛り込むのか(あるいは盛り込まないのか)、にも注目です。

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【第2話】 「悖らず、恥じず、憾まず!」(1/14放送)視聴直後の感想

《第2話でストーリーの方向性が少し見え始めた?嬉しい史実リスペクト》★★

悖(もと)る、とは「道理に背く、約束を破る、歪む」という意味。
憾(うら)む、とは「外的な刺激によって心に不満や残念を感じる」という意味。

◆キーワード&解説
{netabare}
¶特型駆逐艦(吹雪型駆逐艦)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%B9%E9%9B%AA%E5%9E%8B%E9%A7%86%E9%80%90%E8%89%A6

ワシントン海軍軍縮条約(1922年)で戦艦、空母および巡洋艦の建造制限を受けた旧日本海軍は、補助艦艇である駆逐艦に重装備を施して英米に対する海軍戦力の劣勢を補おうとした。
そのために新規に建造されたのが、吹雪を1番艦とする「特型駆逐艦」で、戦艦・空母クラスの巨艦をも撃沈できる61cm魚雷や、駆逐艦としては強力な12.7cm砲を装備したために、従来の駆逐艦よりも艦上部が重く、運航時のバランスを取るのが難しかった。

※本アニメ中で、吹雪が{netabare}「トップヘビーでバランスが悪い」と先輩の艦娘達から指摘されている{/netabare}のはそのため。
※しかし、提督(司令官)や赤城先輩、さらに軽巡洋艦の3姉妹(川内、神通、那珂)達が、{netabare}新入りの吹雪に大きな期待を寄せて、彼女の頑張りを評価しようとしている{/netabare}のは、上記のように特型駆逐艦にかけられた旧日本海軍の期待の反映。

¶酸素魚雷
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E7%B4%A0%E9%AD%9A%E9%9B%B7

本アニメの講義に登場する「酸素魚雷」は、先の大戦当時、旧日本海軍が世界で唯一開発に成功していた高性能魚雷で、圧縮空気を使った従来型の魚雷よりも、速度・炸薬量で勝るばかりでなく、水中で容易に二酸化炭素に溶解する酸素の特性から、ほぼ無航跡かつ長射程(従来型の数倍)を実現して、旧日本海軍の虎の子兵器となっていた。

※本アニメ中で、吹雪が所属する{netabare}水雷戦隊(軽巡洋艦と駆逐艦からなる、強襲夜戦を得意とする戦隊)にも、正規空母(赤城・加賀)を中心とする航空戦隊や戦艦(金剛・比叡)を中心とする支援戦隊と同様に、提督(司令官)や長門(秘書艦)から大きな期待が寄せられている{/netabare}のはそのため。
{/netabare}

◆迫力のOP「海色」から見えてきた?本作の方向性

第1話でラスト付近に特殊EDとして流れた「海色」ですが、楽曲1~2番のミュージッククリップが公開されています。
しかし正確な歌詞がまだ発表されておらず、肝心の英語部分がはっきりしません。
(2/18のOPシングル発売日までお預け→2/18確定)


OPもしくはEDに、その作品の制作者が視聴者に届けたい作品テーマやメッセージが篭められおり、それらを読み解くことによって作品テーマの理解が進むケースは、とても多いのですが(というより常識になっている)、この作品の場合でも、やはりそうなるのか?

特に、艦娘は先の大戦当時に実在した軍艦の擬人化であり、「その記憶をある程度有しており、それに因(ちな)んだ人格やトラウマを有している者もいる」という原作ゲームの設定を考えると、OP歌詞にある「私」=艦娘=実在した軍艦となり、意味深です。

これは相当ポレミカル(論議を呼び起こしがち)で刺激的な歌詞だと思いました。
今後のストーリー展開に注目です。

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【第3話】 「W島攻略作戦!」(1/21放送)視聴直後の感想

《第3話で史実回収イベントを敢行!物語は一気に悲劇性を帯びて、艦娘たちの行方が心配・・・》★

◆放送前の予想

果して、{netabare}駆逐艦如月(きさらぎ)の運命{/netabare}は・・・!

※W島は{netabare}ウェーキ島(ウェーク島){/netabare}を暗示。
※史実では、この島の攻略作戦で{netabare}駆逐艦如月と疾風(はやて)が轟沈{/netabare}している。

本作にシリアス展開があるのか否か、あるとしたらどの程度か、の指標となる注目回



◆放送後の感想

(´・ω・`) ヤッテクレタネ;;

今回、史実回収イベントが確認されたことにより、第2話放送直後から気になっていた事ですが・・・
OP動画の最初の部分に、{netabare}正規空母=赤城・加賀両艦娘の凛々しい上半身のアップ・シーンに一瞬赤いフラッシュがかかる{/netabare}箇所があり、動画を一時停止して確認したところ、{netabare}案の定ミッドウェー海戦で両空母が大破炎上している艦影の画像が挿入されていて、この感じだと両艦の悲劇回収はどう見ても必至と思います{/netabare}(いわゆるフラグ)。

⇒ここが本作のクライマックスとなると予想。

※私は、第1話の感想に書いたように、このアニメは原作ゲームの人気を維持し盛り上げることを第一とした手堅い作りになると思っていたし、最悪の場合、艦娘たちがキャハハ・ウフフするだけのギャグ多めの固定ファン向け日常ほのぼのアニメになっても仕方ないかな、くらいに見ていたのだけど、守りに入らず逆に、アニメはアニメとして果敢に討って出てきたことに驚くとともに、制作者側の心意気をちょっと応援したい気持ちになりました。

※原案ストーリー・コンセプト=田中謙介氏の2013年9月のインタビュー記事(田中氏の基本的な考えと共に、様々な艦娘の名前・絵柄が紹介されており参考になります)
http://www.famitsu.com/news/201309/07039658.html
http://www.famitsu.com/news/201309/08039659.html

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【第4話】 「私たちの出番ネ!Follow me!」(1/28放送)視聴直後の感想

《第4話は武勲艦・金剛四姉妹のターン。日本海軍の栄光と悲劇をモチーフとした人気ゲームのアニメ化》★
{netabare}
英国帰りの巡洋戦艦(高速戦艦)金剛と姉妹艦、さらに駆逐艦島風も活躍。
{/netabare}

◆キーワード&解説
{netabare}
¶金剛(戦艦)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%89%9B_(%E6%88%A6%E8%89%A6)

金剛は1913年(大正2年)に竣工・就役した英国製の巡洋戦艦(高速戦艦とも呼ばれる)。
英ヴィッカース社は日露戦争(1904-05年)で活躍した戦艦三笠の製造元で、日本海軍との良好な協力関係の下、金剛を設計・製造、なおかつ同社の強力な技術協力により、金剛型の姉妹艦(比叡-榛名-霧島)が国内メーカーにより製造されることになり、以降、日本海軍の主力艦は全て国産化されることになった。
金剛型より新しく主砲火力も強力な、長門型(長門-陸奥)さらに大和型(大和-武蔵)の大戦艦が、通常は司令官が座乗し艦隊の象徴となるフラッグシップ(旗艦)となることから前線への投入が避けられたことと対象的に、高速機動力を誇る金剛型巡洋戦艦は繰り返し最前線に投入されて活躍し、一番艦金剛は日本海軍の最高殊勲艦(他に空母瑞鶴、駆逐艦雪風など)となり、姉妹艦もそれぞれ赫赫たる戦績を残した。{/netabare}

◆第7話辺りに来る?次の山場に向けて、しばらくは人気艦の紹介回が続く気配
{netabare}
本作の核心的テーマが謳われていると雑誌で公式アナウンスのあったOP『海色(みいろ)』のシングルリリース&歌詞判明が2/18(第7話の放送日)であることから、第3話に続くシリアス展開が来るのはここが最有力と推測します。
それまでの溜め回として、しばらくは今回の金剛四姉妹など原作ゲームでの人気艦の活躍を描く紹介回が続くと予想。{/netabare}

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【第5話】 「五航戦の子なんかと一緒にしないで!」(2/4放送) ☆

{netabare}第三水雷戦隊は解散となり、吹雪は新たに編成された第五遊撃部隊に配備されることに。
同部隊は、①巡洋戦艦1隻=金剛、②正規空母2隻=もと一航戦(第一航空戦隊)の加賀・もと五航戦(第五航空戦隊)の瑞鶴、③軽巡洋艦(但し重雷装艦)2隻=北上・大井、④一等駆逐艦1隻=吹雪、の計6隻で、この個性派揃いの部隊のフラグシップ(旗艦)を誰にするかでひと悶着し、意外な結果となる。{/netabare}

◆キーワード&解説
{netabare}
¶瑞鶴(空母)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%91%9E%E9%B6%B4_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)

正規空母瑞鶴(ずいかく)は、初参戦となった真珠湾攻撃(1941年12月)からレイテ沖海戦(1944年10月)での轟沈まで日本海軍の機動部隊主力として活躍し続け、姉妹艦翔鶴(しょうかく)(マリアナ沖海戦(1944年6月)で轟沈)と共に歴戦の殊勲艦とされる名空母。
瑞鶴の轟沈により、日本海軍は事実上、航空機動力を喪失した。

¶重雷装艦(じゅうらいそうかん)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E9%9B%B7%E8%A3%85%E8%89%A6

日本海軍の虎の子兵器である酸素魚雷を重装備した二等巡洋艦(軽巡洋艦)で、具体的には北上・大井の2隻。{/netabare}

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【第6話】 「第六駆逐隊、カレー洋作戦!」(2/11放送)☆

{netabare}第六駆逐隊に配属の一等駆逐艦(暁型=特Ⅲ型)暁-響-雷(いかづち)-電(いなづま)4隻のインドシナ海域・インド洋方面での活動史実をモチーフとした話か。
※雷(いかづち)が轟沈した敵艦の乗組員多数を救助した史実は有名。
http://kancolle.doorblog.jp/archives/31667176.html

※放送後の感想

全然違うじゃないか(笑)。今回は{netabare}海軍カレーをモチーフとした完全なコメディ回{/netabare}でした。{/netabare}

◆キーワード&解説
{netabare}
¶海軍カレー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC{/netabare}

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【第7話】 「一航戦なんて、大ッッキライ!」(2/18放送) ☆

おおよそ予想通り、第7話から再び史実をモチーフとしたシリアス寄りのストーリー展開に突入か。

※FS作戦・MO攻略作戦は、ともに先の大戦初期(1942年春)に企画された日本軍の米豪遮断作戦の一環で、
①米豪両国を結ぶ海上補給線上にあるフィジー(F)・サモア(S)両島の攻略を目指したもの→FS作戦
②豪州北方にあるニューギニア島の要衝ポートモレスビー(MO)の攻略を目指したもの→MO攻略作戦

※このMO攻略作戦遂行のため派遣された日本海軍の空母機動部隊に対して、その暗号を密かに解読し作戦目的を把握していた米豪側も空母機動部隊を出撃させたため、史上初の空母機動部隊同士の海戦が行われることになった(1942年5月の珊瑚海海戦)

◆キーワード&解説
{netabare}
¶珊瑚海海戦(1942年5月)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%8A%E7%91%9A%E6%B5%B7%E6%B5%B7%E6%88%A6

この海戦の結果、米豪側は{netabare}正規空母1隻轟沈(レキシントン)・1隻中破(ヨークタウン){/netabare}、日本側は{netabare}軽空母1隻轟沈(翔鳳)・正規空母1隻中破(翔鶴){/netabare}となり、日本側の戦術的辛勝となったが、MO攻略作戦は中止され、米豪遮断は失敗したために、米豪側の戦略的勝利と評価されている。

※アニメでも、{netabare}史実どおり軽空母1隻轟沈(翔鳳)・正規空母1隻中破(翔鶴)という描写{/netabare}となっている(加えて{netabare}暗号も漏れている{/netabare})ため、この後間もなく実行された{netabare}MI作戦(ミッドウェー攻略作戦、1942年6月){/netabare}がアニメでも描かれる惧れが一層高まりました(第9話以降か)。{/netabare}

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【第8話】 「ホテルじゃありませんっ!」(2/25放送) ★

戦艦大和登場!(※艦内設備が充実し居住性も良かったので他艦の乗組員から「大和ホテル」と揶揄されていた)

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【第9話】 「改二っぽい?!」(3/4放送) ☆

{netabare}駆逐艦三人娘の中では影の薄かった夕立が、大規模改装を受けて戦力を大幅UP、吹雪の憧れの赤城先輩のいる第一航空戦隊に配属されることになります。
一方、第五遊撃部隊の旗艦として頑張ってきたはずの吹雪には、部隊解散の上、鎮守府に至急戻るように指令が下されます。
気持ちが折れそうになっていた吹雪に赤城先輩が掛けた言葉は「努力に憾みなかりしか」。
第1話冒頭のナレーションにも出て来た海軍兵学校・海自幹部候補生学校で継承されている五つの訓戒の一つです。{/netabare}

◆キーワード&解説

¶五省(ごせい)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E7%9C%81

===========================================================
【第10話】 「頑張っていきましょうー!」(3/11放送) ☆

{netabare}鎮守府に戻った吹雪たちが見たものは敵機の爆撃を受けて煙をあげる施設でした。
行方不明の提督から吹雪に託された指令は「改になれ」。吹雪の特訓が始まります。{/netabare}

◆キーワード&解説

¶ドーリットル空襲(1942年4月)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AB%E7%A9%BA%E8%A5%B2

米軍機による本土初空襲。
日本軍が南方に戦力を展開している隙を突かれたこの空襲は、被害は小規模ながら衝撃が大きく、敵機動部隊の脅威を取り除くことを目的としたMI(ミッドウェー)作戦発動の誘因となった。

===========================================================
【第11話】 「MI作戦!発動!」(3/18放送) ★

ラスト2話はOP映像にも予告されていた大詰めです。

◆キーワード&解説

¶ミッドウェー海戦(1942年6月)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6

史実では、日本軍が正規空母4隻轟沈(赤城/加賀/飛龍/蒼龍)・米軍が正規空母1隻轟沈(ヨークタウン)という日本側の惨敗に終わり、日米の形勢が逆転してしまった海戦として有名。
※空母赤城は、敵機の爆撃を受けて大破炎上し、総員退艦のあと護衛の駆逐艦により雷撃処分されて轟沈。

赤城先輩に憧れる駆逐艦吹雪の成長・奮闘物語として描かれてきた本作が、こうした史実を踏まえて、どのような結末を描き出すのかに注目です。

===========================================================
【第12話】 「敵機直上、急降下!」(3/25放送) ☆

{netabare}史実のミッドウェー海戦では、航空戦力としては

(1)日本軍は空母6隻参戦(うち4隻轟沈)、
(2)米軍は空母3隻参戦(うち1隻轟沈)+ミッドウェー島基地航空部隊

の対決となり、本作でも危うく空母タイプの艦娘4人が轟沈しそうになったのですが、主人公吹雪や提督の機転、そして艦娘たちの団結により「歴史の強制力」を打ち破って敵空母3隻撃破+敵航空基地破壊という勝利をもぎとることに成功しました。{/netabare}

1クールではどうしても消化不足感が強く残るラストだっただけに「続編 制作決定!!」のアナウンスは素直に嬉しく思いました。

◆キーワード&解説

¶大鳳(たいほう)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%B3%B3_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 92
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

あかんこれ・・・

有名ブラウザゲーム艦隊これくしょんのアニメ化です
オンラインゲーム原作のアニメって基本ハズレだよね・・・
コレもそのジンクスを覆すことなく終わった感じです

私自身はいわゆる七月十日組
つまりはゲームが一気にブレイクし
新規募集を停止したことが話題になり
ゲームがサーバーを新設する形で
新規受け付け再開した日に開始したプレイヤーです
佐世保鎮守府でしばらく大将やってました
しかし、アニメ観る裏でやるだけでいいとはいえ
階級維持に1日4~5時間拘束されるのがしんどかったのと
大型艦建造で貯蓄していた資源をごっそり摩って
お金の代わりに時間というリソースを使ってガチャを引いてるだけ
というこのゲームの本質に気が付いてしまい
それ以降はイベント時以外、遠征オンラインです

ゲームそのものへの情熱はだいぶ醒めてしまいましたが
キャラクターたち(と中の人たち)に関しては
今でも大好きなのでそれなりに期待はしていました

ギャグっぽいノリの日常パートなんかはすごく良かったと思います
中でも秀逸だったのが第6話ですね
ニコ生のアンケートでも
とてもよかったが唯一8割5分を超えていたので
私以外の目にもそう映ったようです
戦闘シーンもそれなりにいい動き
特に空母と艦載機の描写は凄く好きでした
日常パートも戦闘パートも
個別に観ればそんなに悪くない
じゃあどこが問題かっていうと
全体を統括するシナリオがあまりにひどい
萌アニメを思わせる日常シーンと
緊迫した戦闘シーンのギャップを演出しようとして
結果両方がちぐはぐでバランスが悪いだけになっています
最高級の食材ををごちゃまぜにしてそれぞれの持ち味を殺しているような
なんとも言えない台無し感
いったいどうしてこんなことになったのか?
いったい誰がこんなものを作ったのか!?
シリーズ構成:花田十輝
ま た あ い つ か !

まぁしかし沢山いる艦娘たちの中で
出すキャラの配分は悪くなかったです
全体的に人気の高い艦娘たちは出番が多いようになっていたように思います
個人的には推し艦の翔鶴さんが
戦闘に日常にと活躍させてもらえたことには
大変満足しています
ゲームを始めたての頃に
赤城さんゲットのフラグを立てるために空母レシピを回したら
なんか一発で翔鶴さんを引き当ててしまったおかげで
私ははじめて手に入れた正規空母が赤城ではないレアな提督です
そんな縁もあって翔鶴さんが一番愛着のあるキャラです
平常時のゆったりとした包容力のあるおねーさんキャラと
戦闘時の凛々しい翔鶴さんのギャップがたまらないですね

そんな感じで原作ファン目線でみて
評価できる部分も確かにありました
しかしこのアニメの最大の問題点はそこにあります
つまり、全体としての出来は最悪なのに
部分部分で見どころが沢山あるおかげで
2期もきっとクソなんだろうなと思いつつも
たぶんまた見ちゃって
たぶんまた絶望するんだろうなぁってことが
何よりもつらい・・・

おまけ
原作ファン目線の6話レビュー(長文)
{netabare}
全体として評価できる内容であれば
各話毎に補足つけても面白い作品だったと思うのですが
それをする価値のある作品とは思えないので
6話だけ補足つけておきます

サブタイトル:第六駆逐隊カレー洋作戦

ゲーム内の地名は実際の戦場の名前をもじった形のものが多いです
カレー洋というのは現実世界のインド洋にあたります
インド=カレー・・・なんとも安直ですw
そのカレー洋に出撃するのかと思いきや
途中で洋に×がついてカレー作戦になってしまいましたw
週に一度カレーの日が決まっていて曜日感覚を忘れないようにする
というのは実際に日本海軍で行われていた風習で
現在の海上自衛隊にもそれは受け継がれています

なお、第六駆逐隊は
暁(CV:洲崎綾)
響(CV:洲崎綾)
雷(CV:洲崎綾)
電(CV:洲崎綾)
で構成されています
彼女たちだけではなく
このゲームにおいて姉妹艦は同一声優が声を当てるようになっており
6話の中だけでも金剛型+高雄型や翔鶴型、妙高型・雷巡シスターズ
といったあたりでそれが見て取れます
同じ声優さんのセリフなのに
画面を観なくても声を聴いているだけでどの艦の発言かわかる
というのは声優さんたちの頑張りによるところが大きいのではないでしょうか?
ちなみに一人一人詳しくセリフの由来など説明しておくと

暁はナンバリングの上では特Ⅲ型の中で一番お姉さんです
しかし実際に真っ先に起工はしたのですが
進水も竣工も就役も雷・電のほうが先になってしまったので
お姉さんとしての面目が丸つぶれ
それをずっと気にしているのでしょう

響は何度も大破しながら大戦を生き延び
戦勝国への賠償艦としてソ連に移譲され
「信頼できる」という意味のヴェールヌイという名に改称されました
彼女がときおりロシア語をしゃべっていたり
「不死鳥」の異名を口にしているのはこの辺の事情から来ています

そのほか電の人命を貴ぶ優しい性格
雷の他人に頼りにされたがっている様子は
スラバヤ沖海戦の敵兵救助に由来します
救助活動や捕虜の扱いは艦ごとに大きく異なり
艦によっては敵軍の救援要請を無視したり
収容した捕虜を奴隷のように扱ったのに対し
雷・電は自らの危険も顧みず積極的に敵兵を救助し
捕虜となった英国兵とも良好な関係を築き上げました

また、電のどじっ娘属性については
度重なる僚艦との衝突事故に起因します
そのうち一回は艦首を損傷して(そして深雪を沈没させた)
それがお風呂シーンのおでこの怪我につながっているのだと思います

第六の入浴シーンに始まり
風呂上りには愛宕さんたちと遭遇
ちなみにこの愛宕さんの「パンパカパーン!」は
愛宕さんの象徴のような挨拶ですが
東山奈央のアドリブだったそうです

お料理パートに入って調理時間の短縮に使ったバーナーは
ゲーム内で数時間かかる艦娘建造を一瞬で終わらせる便利アイテム
しかし艦娘の建造用具はカレー調理にはハイカロリー過ぎたようですねw

現れた助っ人夕張さん通称メロンちゃんは
3000t級の船体に5500t級の武装を載せるという
無茶な設計から生まれた武装の鬼
ゲーム内でも他の軽巡よりも武装スロットが一つ多いことで
潜水艦キラーあるいはドラム缶4積みのドラム艦として運用されています
なお、お鍋を制作中の効果音は
ゲーム内で艦娘をスクラップにして資源に変える時の音です
特に駆逐は腐るほど手に入るので
彼女たちもダブってしまうとその妙にゾワゾワする音の餌食に・・・

Bパートでカレー大会開始

最初の脱落は金剛・比叡組
金剛さんはゲーム屈指の人気キャラ
まだ英国との関係が良好だったころに
英国の会社に作らせた日本の軍艦ということで
ハーフキャラ扱いになっています
これ以降きんモザだったりニセコイだったりと
東山奈央の元気いっぱいの似非外人キャラが定着していきます
特にきんモザ最終話のアニオリミュージカルでは
カレンが海戦をやり始めるという
どう考えても艦これを意識したとしか思えない流れ
今の東山人気の一端は金剛にあるといってもいいでしょう
それに対して四姉妹で最も不人気の比叡さん
アンソロや同人でもいつも不遇な扱いを受けていますが
アニメになってもひどい扱いでしたwヒエー

次は一航戦赤城・加賀組
なんだか赤城さんの大食いキャラが定着してしまっていますが
赤城さんが他の艦娘よりも資源を喰うというわけではありません
ゲーム内では初期にイベントで全員もれなく赤城さんをもらうことができます
終盤までエースでいられる赤城さんですが
ゲーム開始初期のまだ資源がカツカツな頃に正規空母なんか常用すると
一気に台所事情が苦しくなって却ってクリアが遠のくという罠が待っています
それに引っかかった提督たちがこぞって
なんだこの無駄飯喰らいは!?
と自分の杜撰な資源管理を棚に上げて赤城さんを叩いたのが始まりです
初期配布が加賀さんであれば加賀さんが大食い担当キャラになっていたことでしょう
実際燃費は加賀さんのほうが悪いので加賀さんのほうが大食いキャラに相応しく
試合後の山盛りカレーの描写でも赤城さん以上の量を盛っていました

そしてやってきました五航戦翔鶴・瑞鶴姉妹
慢心してはダメというのは本来赤城さんのセリフ
連戦連勝で慢心していた結果ミッドウェーの藻屑となった
赤城さんの口から出て初めて意味のあるセリフです
幸運艦として知られる瑞鶴
それと対照的に翔鶴さんに不幸が訪れるのが定番になっていますが
ゲーム内の運パラメータも標準ですし
史実を見ても翔鶴さんに不幸のレッテルを張るのは間違っている気がします
でも翔鶴さんのあられもない姿が見られるなら
史実とかどうでもいいんでどんどんやっちゃってください!!

最後の自滅組はしまかぜ
艦これNo1人気キャラで
艦これの枠を跳び越えてDMMの求人にまで使われる活躍ぶり
当時世界最速のしまかぜちゃんですが
島風型はそれ以降作られることがありませんでした
基本的に艦隊はチームの連携が要
しまかぜ一人で高速巡航が可能でも
残念ながら隊としては意味をなさないので
その速さを100%生かすのは難しかったようです
姉妹の絡みが多い中で単独で大会に出ているのも
そういったところが影響しています
だからこそかわりに連装砲ちゃんが相方みたいになっている感じかな?
姉妹艦ではないですが中の人的には
大会運営のの長門・陸奥、レポーターの那珂ちゃんが
CV佐倉綾音で一緒になっています
しまかぜと那珂ちゃんの1人漫才はちょっと面白かったw

そしてラスボス足柄・羽黒コンビ
お嫁さんにしたいランキング1位の羽黒さんと
お嫁に行かせてあげたいランキング1位の足柄さん
英国の観艦式で「飢えた狼のようだ」
「今日私は初めて軍艦を見た。今まで私が見てきたのは客船だった」
などと皮肉られて
武骨で品位に欠けると評されていたのを
なぜか日本サイド(そして足柄さん本人も)は
褒め言葉と受け取ってしまったようです
花嫁修業の一環として料理の腕を磨き
男を捕まえようとギラギラしている足柄さん
これじゃみんな逃げてくわなぁw

結局は料理の腕関係なしに
長門のお子様舌が駆逐の甘口カレーを推して
お約束なオチをつけて終了

実にいいギャグ回だった!
誰得シリアスとかほんと要らないから
全部この路線でゆるく作ってくれたら良かったのに・・・{/netabare}

おまけ2
アニサマtheGate初日会場で
AKINO from bless4の海色
西沢幸奏の吹雪
と二曲続けて聴いてきました
もともとどちらもいい曲だとは思っていましたが
熱狂する会場の中、生で聴いても色褪せない確かな歌唱力
後ろに流れるアニメ映像さえなければ本当に完璧でした!
客観的な数字を見ても
どちらの曲も5万枚以上売れており
冬アニメTOP2の奈々様やデレマスに迫る勢いです
奈々様やデレマス、あるいはAkinoさんには固定ファン層がいることを考えると
デビューシングルをこれだけヒットさせた西沢幸奏は本当に凄いですね
ちなみに幸奏と書いてしえなと読むそうです
これはいわゆるキラキr・・・いやなんでもないです
とにかくそういうことで音楽の点数を上げました
作品そのものへの評価は特に変わってません

追記

映画館で劇場版の告知映像を見ました
期待したらろくなことにならないとわかっていても
何だか惹かれてしまう・・・

投稿 : 2024/06/01
♥ : 35
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