2014年度の爆弾TVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の2014年度の爆弾成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月08日の時点で一番の2014年度の爆弾TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

82.0 1 2014年度の爆弾アニメランキング1位
残響のテロル(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (2152)
11373人が棚に入れました
ある夏の日──突然、東京を襲った大規模な爆弾テロ。平穏なこの国を眠りから覚ました事件の犯人は、たったふたりの少年だった──。〝スピンクス〟と名乗る犯人たちの、日本中を巻き込んだ壮大なゲームがいま、始まる。

声優・キャラクター
石川界人、斉藤壮馬、種﨑敦美、咲野俊介、潘めぐみ
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

テロルチョコ

二人の高校生がテロを起こし女子高生が一人巻き込まれていくお話。


1話目から早速テロを起こしたわけですが
今の所、悲しい過去とトラウマは持っていそうだが
彼等なりの正義が描かれていないので賛同しようもない。
テロという重罪を背負う覚悟や認識があるのかも不明。

新宿という実在の街で犯行し現実味のある雰囲気を作ろうとしているようだが
死傷者の描写が無い。だから衝撃や驚き、恐怖もなかった。
テロを正面から描くなら犠牲者も描くべきだと思う。

もし避難してみんな無事というのであれば余りにもヌルく
ご都合主義で嘘くさく感じてしまうし
女子高生に死か共犯かを迫るシーンも殺す気がないクセに…と説得力を失う。

どちら転んでも甘さが残る納得行かないスタートだった。

爆弾に関しても納得行かない。
ぬいぐるみが燃える描写があったが爆発力は感じなかった。
威力があったとしてぬいぐるみ爆弾を置くだけでは爆発の力が逃げ
コンクリぶち抜けやしないだろうし、ビルを綺麗に崩落させられる訳がない。

ぬいぐるみで火災を起こし人を避難させ
ビルに埋め込まれた爆薬で崩落させたのだとも考えられるが
そうすると女の子に渡したぬいぐるみ爆弾が説明が付かない。
電話で誘導した位置の壁に爆薬が仕掛けてあり誘爆したと解釈するしかないが
その様な描写も見られずやっぱり謎。

あの高さから舗装された地面へ怪我無く飛び降りる女子高生も忍者なのか?
そもそも死か共犯かって脅迫で選択肢じゃ無いじゃん…。
とか他にも色々あって、少々口うるさくなってしまった1話でしたが
作画やキャラ、音楽関連はなかなか良さそうですし
全体的なストーリーは楽しめそうではありますから視聴は続けます。

注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

※2話感想{netabare}
爆弾が納得行かないと言っていたら解決編が来た。
3000℃だから溶ける&水蒸気爆発との事。
いやいや、爆弾自身が3000℃でも
柱内部までその熱を持続して伝えないと溶けないのでは?
とか言いたくなるけどここは深く追求せず、そういう事にしておこう。

新宿テロは軽傷者のみとやはり甘々な決着となった。
六本木のテロもモニターチェックしケガ人出ない様にタイミング計って爆破。
ドレもコレも計算尽くの「安全なテロ」らしい…
大分ご都合主義でツッコミたいけどコレも追求すると
作品自体アホらしくなりそうなので勘弁しておこうと思う。
(ただ現時点で緊張感も削がれている…だって核持っても人殺さないんでしょ?)
…でもオカモチごと置いて行く豪快な出前にはツッコんでいいよね!?

スピンクスの神話は聞いた事ある人も多いと思う。
アニメだと「絶対やれるギリシャ神話」で紹介されているので
気になる人は観てみるといいかも。
しかし、4-2-3と2-4-3間違えて行動しちゃうとは情けない…。

ストーリーとしては「VON」や「柴崎の過去」など、謎めいてきて面白くなってきた。
居場所のない女子高生もいつ爆発してしまうのか? テロの爆破よりも興味が出てきた。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
柴崎さんが一本返した回。

高いレベルの頭脳戦は好みだし楽しめるのでウェルカムなんだけど、
今回のなぞなぞはマニアック過ぎて全く分からなかった。
メガテンやペルソナかじった位の知識じゃ付いていけないらしい。
付いていける方が怖い気もするけども…。
故に柴崎さんはその過去や正義感も含め色々な意味で恐ろしい気がする。

今後の対決は楽しみではあるけど余り極端に神話の知識の比べ合いには
成らないで欲しいかな。
高いレベルの頭脳戦=マニアックな知識では無い訳だし。

今後の展開は…【予想】{netabare}
犯人を追う敏腕刑事が真相を突き止める『逃亡者』パターンに成りそうな感じ。
スピンクスは計算して「理解力のある優秀な刑事」が現れるように仕向けていそうで
いずれは間接的な協力関係に成るのではないでしょうか。
{/netabare}{/netabare}

VONについて【予想】{netabare}
床や爆弾に記されていて天地が判らないのがミソ。
多分、逆さで「NOΛ」=ナンバーラムダなのだろうと考えている。
Λ(ラムダ)はギリシャ文字の第11字なのでイレブンという意味かな?
ともかくΛは施設から逃げる時に亡くなった子(?)を表している様に思う。
今の段階では施設関係者だけに理解できる復讐や警告のメッセージだと解釈している。
{/netabare}

カラスについて【参考】※ネタバレ無し{netabare}
OP、EDでやけにカラスのイメージを押してくるので意味がありそうですよね。
ギリシャ神話でもカラスは登場しますので参考までに軽く触れて置きます。

元々姿は真っ白で美しい声を持ち言葉も話せアポロンの下僕として仕えていました。
アポロンにはコロニスと言う恋人がいましたがなかなか会えない為
このカラスを遣いとして交際していました。
そんなある日、コロニスは人間の男と親しく話をしていました。
それを目撃したカラスが「コロニスが浮気をしている」とアポロンに告げます。
怒ったアポロンはすぐさま弓矢でコロニスの胸を射ってしまいますが
死の直前にコロニスは妊娠していた事を告げ、変わらぬ愛を示しました。
勘違いだと知り後悔するアポロンはカラスを許せず
声を潰し、体を黒く染め喪に服させました。…とさ。

カラス気の毒な気もしますが…。(笑)
この作品ではどんなメッセージが込められているのでしょうか?
{/netabare}

※4話感想{netabare}
今回のなぞなぞは柴崎さんが解き明かすも警察の余計な動きにより防げませんでした。
戦闘で勝っても戦局で負けては意味がなく
スピンクスの掌の上で踊らされてしまいました。

今回爆発したのは警察の内部資料で「VON」と言うメッセージと共に世に拡散しました。
意味する所、計算尽くのスピンクスが本格的に『施設』に対し
宣戦布告したと捉えています。
「父親殺し」「なぞかけ」「寒い国の音楽」「爆弾」「プルトニウム」等々
ヒントも散らばって来ましたし、どう繋がるのか引き続き予想しながら楽しもうと思います。

また行き場の無くなったリサがとうとうスピンクスの元へ。
風を浴びる表現とか窮屈な日常から解放される描写が美しかったです。
スピンクスの綿密なテロ計画の中でイレギュラーな存在の彼女が何をもたらすのか
足引っ張りそうだけど救いにもなりそうで興味津々です。
白から黒へ変わるカラスのイメージは彼女を表しているのかな。
{/netabare}

寒い国の音楽について【予想】{netabare}
演歌だったら笑えるけどね…。
寒い国と聞いて太っちょ刑事さんは国内をイメージしてたけど
個人的には「ロシアや北欧諸国」と言った海外が思い浮かぶ。

神話をモチーフにするなら北欧かな? 
北欧神話で歌と言えば、英雄ジークフリートの死とその妻の復讐劇を描く物語
『ニーベルンゲンの歌』が思いつく。
…ってか他にもあるかも知れないけど知らない。
楽曲ではワーグナーの『ニーベルングの指環』という長い事で有名な
クラッシックオペラがあるので、それを聴いてたんじゃないかな?
イヤホンで聴くようなものでも無いし
ギリシャ神話から離れている時点でもう違う気もするけど、
根底には復讐が絡んでいそうなのでこういう推測にしておく。
無理矢理だけどね…。もうちょいヒント出ないかな。
{/netabare}

「タイムリミット」からの推察【予想】{netabare}
4話で「俺たちには時間がない」と言う発言があったので何故なのか推察。

普通に考えて二人の寿命がそろそろって可能性もあります。
優れた知能と引き替えに何かリスクがあってもおかしくないですが
元気そうなのでとりあえず次点。

本当にテロを計画しているのは『施設』で、
スピンクスはそれを止めようとして急いでいるのではないかとも考えられます。
その為に優秀な刑事(柴崎)を利用し暴こうという計画なのではないかと。

施設は子供たちに遺伝子操作や薬なども使った超能育成をし
その子供達を使ったクーデターの様な事を目論んでいたのではないでしょうか?

4話での爆破により施設に「VON」と言うメッセージを突きつけた事もあり
そろそろ施設が動く事を予想し「時間がない」と言ったのだと思います。
{/netabare}

「オイディプスと父親殺し」からの推察【予想】{netabare}
この作品のオイディプスは誰なのかと考えると「柴崎」なのだと思われます。
となると父親は「警察庁」。左遷は捨てられたと捉えられます。
スピンクスの二人がいた『施設』が「警察庁」と深く関わっていたなら
事件を追い解決していくうちに「父を殺す」ことに繋がっていくのかも知れません。
警察上層部の不透明性が引っかかるのであり得そうな気はします。

…うーん。そうすると、子供達は警察の犬として育成されていた可能性も出てきて
上記のタイムリミットの考え(施設がテロをする)が怪しくなるな…。(^_^;

今の所『施設が警察機関説』が本命、『施設がテロリスト説』が対抗って感じかな。
複合の可能性もあるけど、次回以降また推察して行こうと思います。

プルトニウムはコレと言ったものが思い当たらないので保留。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
リサの居場所探しとハイブ登場回。

居場所のないリサは何とかスピンクスの元に残ろうと苦闘中。
何をやっても鈍くさく仲間に入ってもスピンクスの弱点になりそうな訳だが、
何かの「鍵」となりそうで興味深く観察中。

一方警察側には「ハイブ」という少女が登場。
アメリカから来たと言うのが意味深げで『施設』とも関連があり能力も高い様子。
スピンクスの存在を確認する為に非人道的な解決策を取ったりと新たな強敵となりそう。
ナインが思い当たる人物なのか、はたまた…。人間関係や想いが複雑に絡んで来ました。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
ハイブの掌で踊らされるスピンクス、そして独自に動き出す柴崎。

ナインとハイブは仲の良い友達かと思いきや因縁もある様子。
今までの柴崎VSスピンクスの直接対決の構造から一転し
ハイブの土俵で互いにどう動くのかという構造に。

ただ『空港でチェス』は意味不明で置いてけぼりなのですがね…。
ヒントになってるって言っても序盤多くの最善手あるし、
座標は互いに伝えられても、どの駒なのかはどう伝えるのコレ!?
神話問答よりポカンとしそうなんですが。

柴崎は骨のある所を見せ渋カッコイイ。果たして意地が観られるかな?
リサは相変わらずドジだけど今回は切り札。
次週はこの二人に注目&応援!面白くなってきました。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
どうやってチェス対決していたのか凡人には良く解らなかった。
走り回らず監視カメラに向かって筆談とかじゃダメなのかな?

ハイブ達の行動がテロリスト同然なのですが
何故ここまでしてしまうのか出来てしまうのか理由が気になります。

ともあれスピンクスが先勝。
盤外の駒を巧みに使ったことが勝因でしたが、リサは今後弱点になっていきそうです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
警察からは見放されつつもアテネ計画の真相に迫る柴崎。
後輩くんも衝突はあったモノの結構いい奴なのが判ってきたですが、
理解にいたる描写やエピソードがもう一押し欲しかったかなって気もします。
柴崎の若い頃、学生の反政府運動があった話が出ていたのでアテネ計画の首謀者は
これとも絡んでくるのかな。

リサは足手まといを察してスピンクスから離れようとしましたが捕まってしまいました。
どんくさいのもあるんだろうけど、この娘のやること裏目裏目に出て
ちょっと可哀想かなと同情してしまいます。
無事助かるといいのですが…。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
ついに、アテネ計画の全容が判明!…そしてスッキリ!ってなるかと思ったけど
「優秀な人材を作っる計画」ってのはここまで観た人ならもう判ってる事なので、
驚きはなかったです。
知りたいのは優秀な人間を「何に使うか」って事だったんだけどな…。
ちょっと微妙な回答でした。

まだまだスピンクスの活動の目的や動機、そして原子爆弾との関連も判らないし
ハイブの思惑も謎なので期待はしてますが、
予想を下回り尻すぼみになりそうな気もして来ました。どっちに転ぶかな?

ハイブ倒れちゃいましたが彼女にも残された時間が僅かって事なのでしょうか?
{/netabare}

※10話感想{netabare}
アテネ計画の内容が更に判明してこれで全容の様です。
前話で知りたかった「何に使うか」という疑問には答えてくれました。
具体的に何に使うかという事ではなく「力の保持」政治や軍事的な圧力強化目的で、
核保有と似た論理でした。
判らなくは無いけどここまで引っ張った割には意外性に欠ける気はします。

ついでに核も兵器として持っていた様ですがこちらも驚くには至らず。
アテネ計画の目的と被ってますしね…。
色々と想像膨らまし過ぎだったのかな?普通の人はこれで驚くのかな?

ハイブの方は愛憎劇がある様ですが何があったかコチラの想像任せ?
それとも最終回に判明するのかな?
急に「私の分まで生きて」と言われても
寿命を与えるとかそれなりの事象みせるか、ちゃんと心境ブツケてくれないので
現状では心は動かないないです…。
もう一週、最後の締めがあるので期待してますが、
このままだと描写不足で独りよがりな作品という評価になってしまうかも。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
甘いテロに始まり甘いテロで終わる事になりました。
電子機器イカレたら飛行機に限らず死者は出ます。
他の乗り物もあるし、入院・治療中患者なと電子機器で生きながらえてる人もいる。
更に二次的な事故や事件も考えられるし、放射能の影響だって全部宇宙へ
って訳ではないのに都合の悪い事は無視。

もうちょっとテロを正面から捉えて、それでも覚悟を決めて決行して
観ている側にも善悪を考えさせる内容であって欲しかったです。
こんなご都合主義のヒロイックなテロでは納得し切れません。
(ノイタミナ枠って事もあるけど)

他にもこの最終話は都合の良いことばかり起きてちょっと辟易でした。
「米軍はEMP対策で大丈夫」の一言で
通信や命令系統の混乱無く一介のヘリまで問題なく運用されているし
ヘリのモーター音関係なく会話しているし
ボタン持ってない方のツエルブ先に撃つしで、
うーん…ちょっとありえんなというシーンが矢継ぎ早。
普通にナイン撃たれて死ぬ間際に柴崎と会話で良くない?

あと、彼らの最期にはリサへのメッセージとなる描写が欲しかったかな。
言葉でなくとも彼らの生き様が伝わる描写があれば
彼らとの関わりが立ち直りの一助となったと納得できるし
感動のひとエピソードになったと思う。
彼女の『居場所』というのもこの作品で大事な部分なのに
何もないまま時間も彼女の思いも一年飛ばしてエンディングを迎えるのは勿体ないです。
前話のハイブの最期もそうだけど心に残るかどうかの所での描写不足で
結構勿体無い事しちゃってると思います。
{/netabare}

【総評】
個人的にはもう一段、深い謎が隠されていると読んでしまっていたので
観終わった時に意外とシンプルだったなと思ってしまいましたが
1クール物で締めるには丁度良い落とし所だったと思います。

ただ、謎解きに関しては視聴者が推理する隙のない作りで
一方的に見せられている感じを受けますし、
ハイブが何故あそこまで敵対心を燃やし憎むのかも描写不足でこちらの想像に丸投げ
だったりと不親切な点も目立ちました。
施設脱出やハイブがアメリカに行く事になった経緯とかはもう少し知りたい所。
他にも描写不足で損しているなと思う事の多い作品でした。

一話から感じていた都合の良すぎる「甘いテロ」への違和感も最後まで続きました。
(詳細はネタバレになるので11話感想他で)
被害者が居らず何だか良いテロみたいに表現されているけど、
やっぱり卑劣な行為だという事もちゃんと表現して欲しかった…。
この辺りは作品への不満として大きかったです。

スピンクスはあれだけの能力がありながらテロに頼らなければいけなかったのだろうか?
という思いが観終わって暫くしても残響しています。

作画についてはほぼ満点。
キャラはもう一つ掘り下げてくれれば好きになれたかな…って所です。

描写不足やヌルいなと思う所が多々あり、期待よりは下回って色々と書いちゃっていますが
1クールでまずまず楽しめる大人アニメにはなっています。
強くは勧める程の作品ではないですがお暇ならどうぞ!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 51
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

テロより恐ろしいもの

【総合評価:☆☆☆☆☆】
 「核テロ」というきわめて難しい題材に果敢に挑戦した、野心的な作品である。
 日本アニメには、テロリストに焦点を当てた傑作が多い。テレビアニメに限っても、本作をはじめ、『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』『GUNSLINGER GIRL』『RIDEBACK』『FLAG』『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』『輪るピングドラム』『PSYCHO-PASSサイコパス』などがある。特徴的なのは、どの作品もテロリストを悪人として断罪するのではなく、「彼らはなぜテロに訴えるのか」「無差別テロを防ぐためなら何をやっても許されるのか」といった重い問いを投げかける点である。
 これは、かなり奇妙な現象と言える。『ダイ・ハード』シリーズに代表されるように、ハリウッド映画では、無差別テロリストはナチスと並ぶ絶対悪として容赦なく処断され、彼らを殺害する者が英雄視されることが多い(もちろん、そうでない作品もある)。日本でも、実写映画やテレビドラマならば、「テロリスト=悪」という図式の下に制作されるのが一般的である。ところが、アニメになると、なぜかテロリストに対する見方が一変する。
 その理由を解明するのは容易ではないが、一つの推測を述べるならば、90年代後半、テレビアニメが急激な変貌を遂げる時期に制作を任されたのが、子供の頃に学園紛争の終焉を目にした60年代生まれの世代だったからではないかと思われる。核テロがどのように表現されたかを中心に、この推測を跡づけてみよう。
 核兵器を利用して政府を脅迫し、いざとなればその使用をも辞さないという核テロが作品のテーマとして日本で本格的に取り上げられた最初の例は、長谷川和彦監督の実写映画『太陽を盗んだ男』(1979)だろう。1946年生まれの長谷川は、東大在学中に政治に関心のないノンポリ学生として学園紛争(1960~70年代半ば)を間近で体験した全共闘世代である。おそらく、多大な犠牲を伴った紛争が結局は何も生み出さなかったという暗澹たる思いがベースにあるのだろう、『太陽を盗んだ男』は、原爆の製造に成功し政府を脅迫できる立場にありながら、実のある要求を思いつかない中学教師の空虚さを描き出す。
(以下、OVA『機動警察パトレイバー』、劇場版『機動警察パトレイバー 2 the Movie』のネタバレがあります)
{netabare} 全共闘世代後期になると、武力闘争のむなしさがより強烈に意識される。押井守(1951年生まれ)が監督したOVA『機動警察パトレイバー』第5~6話「二課の一番長い日(前後編)」(1989)では、核兵器を入手した組織がいかにクーデターを実行に移したかがリアルに描かれながら、クーデターが成功した暁に何をしたいのかという将来のビジョンは語られない。こうしたビジョンの欠如は、劇場版第2作『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(1993)で、「クーデターを偽装したテロ」という象徴的なテーマとして改めて強調される。{/netabare}
 長谷川や押井ら全共闘世代が提示した「目的の曖昧なテロ」という問題は、90年代後半から00年代にかけてテレビアニメの革新を主導した60年代生まれのアニメーターに多大な影響を与えたと考えられる。
(以下、『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』『GUNSLINGER GIRL』『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』『輪るピングドラム』のネタバレがあります)
{netabare} 神山健治(1966年生まれ)が監督・シリーズ構成を務めた『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(2004)では、「難民が核テロを画策している」というフェイクニュースを流すことにより、強権的な立場を確保しようとする政権中枢の動きが取り上げられる。状況を演出するゴーダは、元官僚らしい緻密さで計画を立案しており、ニュースのリアリティを増すためには、核兵器の使用をもためらわない。
 この作品に代表されるように、00年代以降のテロリストアニメでは、テロ行為の持つ社会的機能に目が向けられ、社会がテロと対峙するあり方が考察される。
 浅香守生(1967年生まれ)が監督した『GUNSLINGER GIRL』(2003)は、テロリストを抹殺するために身寄りのない少女を殺人サイボーグに改造する寓話的ストーリーを通じて、テロ対策の許容限界を問題とした。反米的活動家を暗殺する任務を帯びた米軍秘密部隊を、恩人を殺された凄腕の元テロリストが血祭りに上げる『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』(2010)で、片渕須直(1960年生まれ)は「人殺しが許されるような正義はあるのか」と問いただす。オウム事件をベースにした『輪るピングドラム』(2011)で幾原邦彦(1964年生まれ )が取り上げたのは、無差別テロに対する憎悪が憎しみの連鎖を生み出し、新たなテロを引き起こす過程である。{/netabare}
 『残響のテロル』(2014)の原案・監督を担当した渡辺信一郎(1965年生まれ)は、これらの先行作品を参照しながら、核テロが社会に与える影響を改めて熟考したと思われる。目的の曖昧さに目を向けた長谷川・押井の作品に対する返答として、彼は、ほぼ同期の神山と同じく、テロへの恐怖が持つ影響力に目を向け、国家権力との関係性を物語の軸に据える。「テロこそが社会にとって最大の脅威であり、核物質はテロリストの手に渡らないように特定の国家が厳重に管理すべきだ」という国際的な常識にあえて異を唱え、「この世にはテロよりもずっと恐ろしいものがある」と訴える。

【物語の構図】
 『残響のテロル』は、テロリスト-市民-国家権力という3項対立の物語として、図式的に読み解くことができる。
(以下、本作のネタバレがあります)
{netabare} それぞれの対立項は、性格の異なる二人の人物によって代表される。ネットで予告しては爆弾テロを繰り返す二人組のテロリスト・スピンクスの正体は、怜悧なナインと子供っぽさの残るツエルブ。彼らを追跡するのが刑事の柴崎で、警視庁という国家組織に所属しながら、人々を守ることに徹する市民側の存在。逆に守られる立場の市民として登場するのが、学校にも家庭にも居場所のない女子高生のリサ。権力側には、NSAもかくやという監視網を駆使してナインとツエルブを追い詰めるエージェント・ハイブがいる。もう一人、国家権力の黒幕として間宮なる人物も登場するが、私が思うに、実は彼は手駒となる小者に過ぎず、真の黒幕は、それ自体が人格的存在となった国家理性ではないだろうか。{/netabare}
 ストーリーの前半は、テロリストと警察の頭脳合戦として娯楽色豊かに展開されるが、ハイブが強引な動きを見せる第7話辺りから、深刻な社会派ドラマの様相を呈する。人によっては、痛快さが失われるため後半はつまらないと感じるかもしれない。しかし、渡辺が最も言いたいことは、後半に集約されているので、この部分をしっかりと見つめてほしい。
 注目すべきは、柴崎とハイブの差違である。どちらもテロリストを捕まえる立場にありながら、柴崎の言動が常に豊かな人間性に溢れているのに対して、ハイブは、高い知性を持ちながら、いかにも酷薄で感情を見せない。市民と国家どちらの側にいるかが、象徴的に示される。
 ちなみに、柴崎が最も人間的な姿を見せるのは、大学で応用物理学を勉強中の娘に、一般人にプルトニウム原爆が作れるかと訊ねに行く第8話Aパートのシーンである。{netabare}体のラインがあらわな薄着姿の娘(一番上のボタンを留めていない)を前に、ずっと目を背けたまま会話し、後で奥さんに「子供ってのは、いつのまにか大人になるもんだな」としみじみ述懐する。お父さん、カワイイ!{/netabare}
 最初に視聴したときには、警察を手玉にとるナインとツエルブに惹かれたものの、二人の心情が充分に表出されておらず、やや物足りなさを感じた。しかし、二度三度と繰り返し見るうちに、二人の外面ばかりが描かれるのは、その行動を柴崎とリサに見せるために設定されたキャラだからだとわかってきた。ナインとツエルブ(あるいは、ハイブを加えた三人)は、対立的な構図を客観視させるための要員であり、それ故に内面が理解しがたい天才として描かれる。その一方で、柴崎とリサという感情移入しやすい普通人を、天才たちの行動を見る立場に配置することにより、事件の全体像が浮かび上がるようにしたのである。そう考えると、柴崎とリサこそ真の主人公であり、この二人の立場に身を置くことが、作品を深く理解する鍵だと言えよう。

【音楽について】
 『残響のテロル』の音楽は、これまで、『マクロスプラス』『カウボーイビバップ』『坂道のアポロン』などで渡辺監督と組み、優れた作品を生み出してきた菅野よう子が担当した。特にEDの「誰か、海を。」は、聞くたびに胸が締め付けられる名曲である。
 作中で重要な役割を果たすアイスランド音楽は、渡辺監督の方から事前に菅野に聴かせたものらしい(TVアニメ『残響のテロル』公式サイト「INTERVIEW 04:菅野よう子」より)。北の音楽を聴いて育ったことを手がかりに、主人公たちの「体感温度を表す音」として、「緊張感があり、研がれていて、冷たい響き」をイメージしたという。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

jcnEu08058 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

つまんねえ長文

つまんなかったなー
率直な感想です
俺がつまんないとおもった理由が知りたいなら以下を読んでください
長過ぎるのでタグで囲っておきました
偏見と差別意識に塗れたレビューなのでご注意ください
内容に関する苦情等はあにこれ宛にお願いします
既にこのテキストはあにこれのものですので

{netabare}
何がザンキョーのテロルじゃw
何で残響?意味わからん

無駄に頭いい連中の成れの果てがはた迷惑なクソ爆弾魔かよ

今回は、テロる(テロってるw)連中サイドの視点から物語を描いてみました
そんなスタンスなのかな?
従来の警察ドラマなんかの構図をとりあえず反転させてみたってわけか


スッピンのクズだっけか?
つーかお前らが死ねって感じ
クズどもがチョーシこいて真面目に働いてる人間の経済活動全般めちゃくちゃにしておきながら「僕たち被害者なんです〜、かわいそうなんでぷ〜」ってか?
いっぺん死んでこいよw

中二病もここまで拗らせれば歴史に名を残す大犯罪者になれるって話だろ?これ
脳や身体の機能にこれといったハンデもないクセして人並みのことすら満足にできねえ、やろうともしねえカスがニヒル気取って上から物言ってやりたい放題やってんじゃねえっての

甘ったれんな!w


【シナリオがクソ】
精神疾患っぽい症状を都合良く利用するシナリオが酷い
トラウマ持ち出せばデタラメやっても誰も文句は言えねえだろう、非難しにくいだろう、という便利な近代魔法に頼りすぎ
弱者()の目線導入して意義深い作品性とやらを演出してるつもりかw
それやるなら、いろいろあっても自分にできる範囲内でそれなりにやってる連中のことも併せて描いとけ
そんで両者をそれとなく作品内で比較せい
その方が視聴者も手応え得られるじゃろうが
トラウマって脳が物理的なダメージ負ってるってことでもあるんでしょ?
もっと慎重に扱うべきなんじゃないの?
ファッションでトラウマ扱うのとか流行ってんの?
それとも伝統なわけ?

そもそも都市部で無差別爆弾大爆発ゲリラパーティー決行って人々の暮らしに著しい実害と悪影響を及ぼす凶悪な犯罪行為じゃん
やってることだけ見たらあんな連中間違いなく死刑だろw
てめえらが街ぶっ壊してくれたおかげで一時的にでも仕事できなくなった人らの給料は誰が保証してくれんだよ
てめえらボンバーマンは誰のおかげで道路をバイクで疾走できると思ってんだ

いい加減にしなさいw
スピンクズには憤りしか湧いて来ないわ

自分「だけ」が特別、自分だけが犠牲者被害者とか思えちゃってる中2系ナルシストコンビの爆弾オナニーの被害者のこともちっとは丁寧に扱えっての
無論、あんだけのことやっといて「一般人は死んでませんのですぅ」なんて都合のいいことは言わせねえからなw
(事や経緯の真相はどうであれ)例のアメリカのビル倒壊では実際に人が死んでるわけだ
パロディやるならそこも踏んどけ
やるからには気概を見せてみろってんだよw
ネタ重視の姿勢もいいけど、少しは実害にも重きを置いたらどうなんだ
そういうとこしっかりやらねえからいつまで経ってもアニメは舐められ続けんじゃねえの?w
これじゃコミックに勝てないでしょー、ダサいよ、手応えナイヨ
勝つ気ないなら別にいいけどね
そもそも勝ち負けとかじゃねえし、ってか?w


【娯楽失格作品】
過去になんかあったことと現に起きてることは別の問題で後者の方が圧倒的に重要
捜査段階で犯行動機の解明を急ぐとかいう流れに違和感はない
でもやった奴の犯行動機と犯行の事実は直接的には関係ない事柄じゃん
それらの評価は別個になされなきゃ気持ち悪いんだわ
そこんとこをウヤムヤにして、個人的な問題を公の場に持ち込んだ挙句やってることに意味持たせようとする安易な発想には呆れる
そういうのは仇討ちストーリーかベタベタな復讐劇でやればいいんじゃない?
もしかしてこれ、復讐劇なの?
だとしたら「街壊して可哀想な僕らの心の叫びを聞いてくれ的アピール」なんてやらせてねえで、ストイックに目的遂げるためにキャラ動かせっての
その過程で障害となる倫理観をキャラに無視させると、娯楽として気持ちいいもんになったりもするわけじゃん
回りくどいことやってる奴らは「僕たち目的意識が希薄です」って周囲にアピールしてるようなもん
容疑者も刑事もこの点では同じ働きぶり
締まりが無い
こんなことじゃ話が盛り上がらんのも無理はない
つまんねえんだよ!w

シナリオがクソ、否、クソは新たな生命の糧にもなるからクソの方が上だな
よってシナリオがクソ以下に確定


【娯楽失格作品・とにかくシナリオがゴミ】
容疑者と公開謎解きゲーム合戦開始
これで見せ場、山場のつもりかよ
雑学自慢大会じゃん
しかも普段全く役に立たないタイプの雑学
一晩寝たら確実に忘れる内容
演出もショボいから面白味が全くない(ここが一番ダメ
喋りメインにすれば作画方面で労力軽減できるメリットがあんのかもしれないけど、ぶっちゃけ観てる人間にはそんな事情なんて知ったこっちゃない

それにあのキャラデザがありえねえ
ロン毛で髭面の小汚ねえ教祖みてえな公務員なんざ普通表舞台に出てこねえだろ
そういう場違いな奴をぱっと見シリアス風のドラマ内で表舞台に引きずり出して違和感醸して作中にアクセント付けようってやり方がガキ臭い、痛々しい、嘆かわしい
ジャリ向けのアニメかっての

なぞなぞ大会とか下らねえお遊びをメインに持ってこなくていいよ
そんな暇あったら動画投稿してちゃらけてる人殺しの爆弾魔なんざさっさと逆探してとっ捕まえて半裸にして拷問にかけろ(逆探できません!じゃねーっての、ケーサツを無能に描くなw
色男の服ひん剥いて適度にいたぶった方が女性ユーザーも喜ぶだろうがw
もっとサービス良くせんかい

本当に観てる人を楽しませようって気があんのか疑わしいわ
じゃなきゃ何のためにあんなキャラデザにしたんだよw


主人公が序盤でとっ捕まっても別に何の問題もない
誰かが救出すりゃ済むし、救出劇は絵になるし、それなりに盛り上がる
なんつっても
・スノーモービルでヒト轢き殺した主人公が逮捕されないシナリオ
・地上4階(だったか?)から飛び降りた小娘を華奢な青年が地上で素手で受け止めても双方怪我ひとつしないシナリオ
これほどのアメイジングな展開が作中で許容されるなら警察の手から仲間奪取するくらい余裕だろーが
要するに
・リアル路線気取ってるクセして端々でファンタスティックなことを躊躇なくやってるシナリオ
つまりは「なんでもアリ」の系統に分類しちゃっていいトンデモ作品なんだよな
個人的にはお世辞にも真面目な社会派作品なんて呼べる代物では無いww
もちろん、何をどう呼ぶかは個人の勝手だけどね


【ソウヒョウ】
甘えたカス共を意味ありげにのさばらせるシナリオで世間から注目浴びようって魂胆がキモい
いい大人がこんな寒いシナリオ書いて妄想膨らましてんのもかなりキモいわ(いい大人がアニメに的外れなマジレスすんのもキモいって言われりゃ返す言葉もねえけど、その指摘こそアニメが舐められてる証
でも体裁がネタアニメってんなら、アリです
ただし残響はネタアニメとして観てもつまんねえことに変わりはない
ほんと面白くない

ハッキリ言いましょう
視聴者に作品の魅力を引き出してもらおうって腹が見え見えです

甘えんなってw


絵や声、音方面はいい仕事してたから、そこは否定できないし、したくない
あくまでも悪いのはシナリオ、雑だし、楽しくねえし、笑えねえし、つまんねえ
キャラもダメ
主人公らの身勝手で甘えた態度には虫唾が走る
甘えた態度を肯定するだけの展開も気に食わん
連れの女も意志薄弱で無能なクズでしかなく秀逸なのはツラだけって、喧嘩売ってんのかw
虐められてる設定追加しとけば誰も文句言えねえだろってノリがウザい
小賢しいテクばっか使って何やってんだか
作品の顔でもあるキャラに何の魅力も感じねえ
思慮深い視聴者に同情してもらう主人公のあり方が昨今のトレンドなのか?w

為にも毒にもならんわ

とにかく話がつまんねえから俺は第4話で観るのやめたよ
正直このレビュー書いてる時の方が楽しかったね
そういう意味では本作のシナリオも高く評価できる
楽しい一時を提供してくれたことにかわりはないから

ケツマツ知らねえけど、どうしても観たいって気分にならない
結果にたどり着くまでの過程がつまらな過ぎる
とりあえず、凶悪な中二病の主人公らとその付属品でしかないクズ女が最後に死ねば及第点ってとこかな
因果応報ってことで一件落着
ネーとは思うけど、ラストでヒゲ刑事がヒゲ剃って短髪にすればなお良し
皆さんもご承知の通り、人の生き方は面構えや風体に滲み出るでしょ
アレは公務員のナリじゃねえよ
アーティストかオマエはw


{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0

61.8 2 2014年度の爆弾アニメランキング2位
RAIL WARS!(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (671)
3387人が棚に入れました
超巨大優良企業・國鉄に就職し、安定した将来を夢見る平凡な高校生、高山直人。そんな俺が研修で配属されたのは、男嫌いの桜井をはじめヤバい奴だらけの「鉄道公安隊」だった! しかも、國鉄の分割民営化を企む過激派「RJ」まで暗躍し…… どうなる? 俺の人生設計!
國鉄が分割民営化されなかったもう一つの日本を舞台とした、夢の鉄道パラダイス・エンタテイメント! 出発進行!

声優・キャラクター
福山潤、日野聡、沼倉愛美、内田真礼、五十嵐裕美、中原麻衣、堀江由衣
ネタバレ

見ルンです。 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

微妙な原作の改変

自分は鉄道がまあまあ好きなため、レイルウォーズの表紙の絵を見て「面白そうだな」と思い原作を初めに買いました。原作の方は若干無理な設定もあるものの、それを考えても十分満足できる程のマニアックな鉄道ネタが出てくるため、ニヤニヤしながら読めました。また、あくまで「鉄道公安隊」のテロリストとの対立や戦闘を描いていたため、鉄道にあまり詳しくない人にも楽しめる作品でないかと思いました。

そのため、アニメ化にもかなり期待をしていました。

しかしながら、できたアニメは原作を、大した意味も無く改変した微妙なものでした。RJ(テロリスト)が話から外されることや、鉄道の作画に関してはある程度の妥協は必要だと思っていたのですが、それを考慮しても無駄にストーリーを変えてしまったせいで、原作では矛盾の無かったストーリーが、アニメでは矛盾ができてしまったところもありました。鉄道に関してアニメのスタッフがあまり詳しくないのは当たり前のことであるのは分かるのですが、ならばもっと原作参考にして、あるいは用いて作るべきだったと思います。

また、中盤頃からエロに方向転換したようですが、そのエロもあまり上手く描かれていない(揺れ方があまりにも変)ようにみえます。

原作がまだ良かっただけに、「二兎を追うものは...」みたいな結果に終わりそうな製作方針は残念に思いました。

ではでは、ここから下は鉄道描写について、無駄であることを百も承知の上で、一応まじめに批評させていただきたいと思いますが、内容が長く、しかもつまらないものですので、興味のある方以外は飛ばしてしまって下さい。


第一話
{netabare}
・一番最初のシーンで主人公がスマホを見ている時は、外の風景が画面右側(右側が運転席側)から流れているので、『先頭車両』となる。ところがその直後、主人公がドアの窓から外を見るシーンに移ると、車両の傍を流れた電柱のようなもの(架線柱)が、画面右側から画面左側(今度は左側が運転席側)に流れていったので、『最後尾車両』となる。主人公が瞬間的に先頭車両から最後尾車両に移ったとは考えられないので、つまりミス。

・『寝台列車 はやぶさ号』を牽引する機関車(EF68型)の連結器がない(あるいは連結器に見えない程描くのが下手)。

・寝台列車の中で天井の蓋のようなものを開けるシーンがあるが、流石に工具一つも無しで開くとは考えられない(というか、実際の車両にあのような『天井裏』のようなスペースがあるかすらも怪しいレベル)。
{/netabare}

第二話
{netabare}
・OPの後に出てくる機関車(EF82型)の『ジョイント音』(ガッタン、ガッタンという音)が軽すぎる。実際の機関車は、特に低速時の場合「ガッタン」というより「ゴットン」というような相当重い音がする。

・上に加え、上記の機関車のジョイント音が、描かれている速度より少し速めに感じる。

・さらに、継ぎ目で鳴るジョイント音が、継ぎ目のあるはずの『トラバーサー』(レール の向きに対して90度の向きに移動していた緑のアレ)と車庫線のレールとの間で鳴らず、少しズレた所で鳴っているように感じる。

・いくら何人かの人がテコを使っているとしても、あの速さで100tもある機関車を持ち上げるのは不自然。(というか、あのように車両を持ち上げるトラバーサーがあるか自体、微妙なところ)
{/netabare}

第三話
{netabare}
・やはり、機関車のジョイント音が少し軽めに感じる。ただ、その後の車両(客車)は実物も割と軽めなジョイント音なので、そちらはOK。

・OPの後に青い電車(201系)がカーブを曲がるシーンがあるが、そこに出てくる『架線』(電車の上を通っている線)も、それに沿って曲がっている。しかし、この『架線』は正確にはそれを支える『架線柱』のあいだに強い力で張られる線なのでこの描き方は間違っている。つまり、カーブに沿って「円」のように描くのでは無く、頂点が『架線柱』の所にくるように「多角形」のように描かれなければならない。

・ちょう架線がしなっていない。

・同じシーンについて。電車の上のパンタグラフがいくらなんでも多すぎる。

・海の傍の駅で出てきた黄色い電車。これは103系という電車で、その中でも『低運転台タイプ』となる。このタイプは他方の『高運転台タイプ』に比べて運転窓が天地方向に長いのが特徴だが、アニメではこの天地方向の長さが、『低運転台タイプ』にも関わらず、『高運転台タイプ』並みの短さしかない。逆に天地方向の長さから『高運転台タイプ』と仮定しても、今度は運転窓が『高運転台タイプ』としては、かなり低くなってしまう。つまり、どの道作画ミス。

・同じく、その後のシーンでの上記の黄色い電車の窓の描かれ方が、カットによって形状が変わるなど滅茶苦茶すぎて、閉口するレベル。

・犯人は最初に出た『海芝浦駅』でなく、そのとなりの『新芝浦駅』周辺にいたとされるが、アニメにもあった通り、その間は私有地となっていて、外からの行き来ができない。いくら誘拐犯とはいえ、わざわざ危険を冒してまで私有地を通るかという疑問が出てくる。
{/netabare}

第四話
{netabare}
・最初から二番目のシーン。橋を渡る列車が少し速すぎる。
{/netabare}

第五話
{netabare}
・最初のシーン。鉄道模型、あんなにバウンドする程、力ねーぞ!!(# ゚Д゚)/しかもあんなに派手に脱線もしねーぞ!!(# ゚Д゚)/鉄道模型を乳○にぶつけるのは、流石に度が過ぎるぞー!!(# ゚Д゚)/

・レールの幅が広すぎ。

・拳銃でワイヤーを切ろうとするシーン。赤毛が撃っとる間に主人公が手を振るなりして列車を止める方が何倍もマシだろう。
{/netabare}

第六話 特になし ただ、冒頭のシーンはやはり、ちょっと....


第七話 特になし 比較的作画が良い回だと思う。


第八話
{netabare}
・脳筋がトロッコで漕ぐのを止めるシーン辺りのトンネル。少し大きいように思える。

後、臓器輸送のあの女、いくらなんでも「不通の鉄道を使わせろ」って無茶が過ぎて、見ている側が腹立つレベル。まだヘリコプターを使う方法を考えた方がマシだろ....
{/netabare}

第九話 特になし


第十話
{netabare}
・ホームに停車する北斗星が急停車すぎ。機関車にいる運転士は先頭が見えない状態で、しかも終点に入るのだから、もっと慎重に入るはず。

・寝台列車内の通路が少しばかり広すぎ。
{/netabare}

第十一話
{netabare}
・寝台列車内の通路が前回よりも、さらに広くなってしまっている。

・青森駅で、赤い機関車同士で付け替えを行った際、連結するために走る機関車の角度が背景と合っていない。

・函館駅を出発する北斗星を空から描いたシーンでの、北斗星の加速率が良すぎる。

・伊達紋別駅に止まっていた、オレンジ色の列車(キハ40)の側面窓の形状が、アニメでは『日日日日日日』のように中央を横断するよなサッシが入っているが、実際にはこのタイプの窓を有する車両は本州向けののみで、北海道向けの車両では『口口口口口口』のように、そのようなサッシが入っていない。

・伊達紋別駅から北斗星が発車するシーンで誘拐犯側を映しているカットと、主人公側を映しているカットでの、機関車の加速率があまりにも違う。

・伊達紋別駅を発車した直後のシーン。機関車が客車に比べて、大きく描かれすぎている。
{/netabare}

第十二話
{netabare}
・相変わらず機関車のジョイント音が軽い。

・エンジンベルトの代用品にパンストは流石に無茶でないか?
 
・ブレーカーが落ちたのに、それを無理やり繋げるのはショートの危険があるだろ!!!
 (どうやら鉄道の小ネタから持って来たらしいが、いまさら.....)
{/netabare}

大体このくらいです。

正直、これを鉄道アニメと呼んで良いのだろうか.....
鉄道好きより、むしろ一般の人の方が純粋に楽しめるのではないでしょうか。

特に、最近はメカものの中でも精密な作画で人気を博しているアニメもある中で、この程度の詰めの甘い描写では致命的な痛手になってしまいます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

ココ吉 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

ツッコミ所満載のギャグアニメとして観れば結構楽しめちゃうかもよ?

原作未読★全12話★

視聴のきっかけはキャラデザが
自分好みだったのと,「鉄道」を
テーマにしたアニメ作品は珍しく
自分の触れた事のない分野だった
ので興味を持ったからです。

国鉄の運転士になる事を目指している
主人公の高山直人が研修生から学生OJT
として認められ,同じく研修生の頃から
の同僚3人と共に鉄道公安隊に配属されて
様々なトラブルに巻き込まれつつも問題を
解決していくストーリー。

第1話を観た感想は自分が知らない未知の
分野の組織形態に車両の名前,専門用語等が
あって多少は難しく感じられたものの印象的
には新鮮で面白くもあり物語の滑り出しと
して上々だと思いました。


しかし!

第2話以降は苦笑いが出るのを抑えきれ
ないぐらいの話の展開になってきて,その
流れは悪い意味で最終話まで終始一貫性を
保ったまま。

この作品…ガチな鉄道ファンにかなり
怒られるだろうなと途中下車しようか
一度ならず二度は思いましたが、

「どんな作品でも一つくらいは良い所がある」
と言う持論が僕にもあるので,この作品に
関してキャラデザ以外に褒められる箇所は
どこだろうと考えた結果…

「ツッコミ所満載アニメとして楽しもう!」

という決断に至りました。

すると…どうだろう♪
ストーリー性を全く重視しない
ギャグアニメとして切り替えて
観ていれば…

なかなかどうして,面白いじゃないか!

「出るわ出るわツッコミ所がw」という
感じで思いの外,楽しめている自分に
気づきました。


◆ツッコミシーン紹介◆

※ここからは個人的にツッコミを入れず
 にはいられなかったシーンの紹介です。
 ネタバレを伴いますので興味がある方
 のみ見ていって下さいね。

さぁ,ツッコむぜぇ~超ツッコむぜぇ~★

{netabare}
ツッコミ所①
【全話にかけての微エロ】
妙に微エロな描写を放り込んできてます。
まぁ,これは男性視聴者を取り込む為の
重要なファクターだから理解できます。

僕だって至って健康な男子。
「エロが好きか?」と問われれば…

「はい,大好きです♪」と
間髪入れずに答えちゃいますw

でもね,唐突&あざと過ぎやしませんか?
毎回,投げやりとしか思えないような
エロを取り敢えず出しときましたでは
僕は到底…納得できないんだからねっ!

エロを舐めてるとしか言いようがない。
やり直しを要求するw


ツッコミ所②
【主要キャラ達の独断専行と
周りの上司達の対応について】

主人公達はあくまでも研修が終わって
学生OJTとして参加を許可されただけの
一介の高校生です。
正式採用された職員ではありません。

国鉄クラスの大きな組織ではまず最初に
仕事のホウレンソウ(報告・連絡・相談)が
徹底的に叩き込まれているはず!


なのに第2話からいきなり
独断で爆弾解体ときましたかww

正直、開いた口がふさがらないが
まだココまでは良しとしましょう。

決定的だったのは桜井が爆弾解体の知識を
『お父さんに聞いた事がある!』と言い放ち,
果敢に爆弾を解体しようとするくだり。

↑ちょww 待って待ってww
爆弾解体は,その道のキャリア20年のプロでも
解除できない爆弾だってあるんだよ。
聞いた事がある程度の生半可な知識でどうこう
できるシロモノなんかじゃないんだからねっ!

極めつけは…
爆弾の解除コードの選択についてのくだり。

『桜井だからピンク色を
 切ればいいんじゃないか?』

↑オマイラ…いい加減,僕を笑い殺す気かww
このくだりは不覚にも爆笑させられました!

笑うシーンではないのだけれど,
コレはもう明らかに…
笑いをとりにきてますよね!?


続きまして

第4話,アイドルの鹿島乃亜を
付け狙う暴漢から高山君が身体を
張って守るシーンのくだり。

胸をナイフで刺されたものの胸ポケット
に入れていたスタンプ手帳のおかげで
助かった高山君を心配する一同の中に
明らかにおかしな人物が1人いましたね。

そう、K4班長の飯田奈々さんである。

彼女の態度には正直、ドン引きでしたw
暴漢が現れた所から助けに入ろうともせず
終始,ニコニコ顔で血の通ってない無感情な
人間に映りました。

↑オイオイ…部下(高校生)が刺されたんだよ?
結果的に運良く助かったものの下手すりゃ
懲戒免職モノだよ?

もしかして飯田さんはこういうキャラなのか?
と思って,この話以降の彼女を観察していたが,
どうやらこの描写だけおかしいみたいで,後は
至って普通の常識人でした。

なので,このシーンの飯田さんが謎で仕方がない。


続きまして

第7話終盤,小さな小屋みたいな教会での
唐突なシリアスなハーレム展開のくだり。

高山君が小海さんと桜井さん,
そして以前に助けたアイドルの
鹿島さんの3名から言い寄られる
構図になってますが…。

↑オイオイ…構成さん。肝心の前置きは
ドコに置いてこられたのでしょうか?
いきなりのハーレム展開で正直、
ついていけないんだがw

個人的にハーレム物は大好物の部類ですが、
ストーリーの流れもキャラの心理描写も無視した
ハーレムは愚の骨頂レベルだと再認識しました。

これではニヤニヤできないし,萌え豚になって
高らかにブヒる事もできないじゃないか!

ハーレムを舐めてるとしか言いようがない。
やり直しを要求するw


続きまして

第9話の臓器を学生OJTだけで列車で
運搬しようとするくだり。

↑そもそも何故,列車で届けなければ
ならないのかが不思議で仕方がない。
ドクターヘリを使えば3倍は早く届けられ
ると思った方はどれぐらいいるだろうかw

「暴風雨が凄くてヘリが飛ばないのか?」と
思いはしたが、その考え方なら列車も動かせ
ない道理になるはずだが。
(でも,よくよく考えると鉄道アニメなので
そこにツッコミを入れちゃうと本末転倒に
なってしまいますよねw)

何と言っても一番の疑問は列車を押しがけ
してエンジンを掛ける時点で大人達が3人
いましたよね?

何で大人が一人も付き添わないで無免許の
少し知識があるだけの高校生に運転させて
いるのだろうか!?
昼間アレだけ偉そうに講釈たれてた大人達が
なんと付き添い同行ゼロなのですよw

臓器運搬中も車体の揺れと称して無理やり
エロを放り込む描写があり、もう流石だね
と呆れてきちゃますw

あとは,皇子を敵から守る時のスタンガンの
シーンも色々とおかし過ぎて笑いが出るが,
このカテゴリーのツッコミはこの辺りで
割愛させてもらって次に行きたいと思います。


ツッコミ所③【作画について】

綺麗な所もアリ,雑過ぎる所もアリで
お世辞にも安定しているとは言えません。
綺麗な画(特に列車の作画は頑張っていた)
があるからこそ,雑な画の印象が際立って
残ってしまいます。

目に余るぐらいにひどかったのは2ヶ所。
まず一つ目が
第9話終盤のショッピングモールでのシーン。
明らかにキャラの顔がおかしくなっていて画が
繋がっていません。
一瞬、「え?新キャラかな?」と思ったぐらいに
キャラの顔が違います。

そして、最もひどかったのは最終話の高山君と
飯田さんが暗い部屋で話すシーン。

↑キャラの口が開いてないのに声優さんの
声が聞こえてきます。
このシーンは「ん?TVがバグったのか?」と
思うぐらいにヒドイですw
最早,いっこく堂の腹話術ですww
放送事故ですww お手上げですww

アフレコ現場でこのシーンを録音している
福山潤さんと堀江由衣さんが苦笑いされて
いる姿が容易に想像できてしまいました。

本当に心中お察し申し上げます。


◆総評◆

僕がここ3~4年で観てきた作品の
中で一番のバカアニメだと自信を
持って言い切れる作品です。

ストーリー構成,作画,シナリオの全てが雑!
「本当にアニメのプロが作っているの?」と
疑ってしまうレベルの作品。

「原作も果たして,アニメと同じクオリティー
で刊行されているのだろうか?」と少々興味が
湧いて確認したい衝動にかられてはいるが
その思いを実行に移す事は無いんだろうなぁ。



{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41

tao_hiro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

こんなの国鉄じゃなーい

【視聴前の気分】
「国鉄」っていう言葉には懐かしさとともに強烈なマイナスイメージがあります。私が子供の頃の話なので大人たちが「国鉄は客の事を何も考えていない」と憤慨していたのは覚えていますが、記憶があいまいなので、以下の文章はwiki等を参考にして書いてます。(国鉄職員関係者の方に不快な思いをさせたとしたら申し訳ありません。)

1970年代、国鉄は労働組合が猛威を振るっていました。国鉄職員は公務員なので労働条件改善要求のためのストライキができません。なので順法闘争といって、一見正当な理由がたつ(安全速度の遵守とか線路の点検とか)名目をつけて、その実大規模なサボタージュで意図的にダイヤを乱し、列車の運行を混乱させることで当局に圧力をかけるという戦術を開発しました。

例えば、鳥が線路の上に居た場合「障害物を発見したから」と言って列車を停車させたり、一斉に休暇を取ったり、緊急職場集会とかをしていました。

挙句の果てには「スト権スト」といって、ストライキ権を認めさせるためのストライキって冗談のような事を本当にやったりしました。

組合員の雇用を守るために、経営陣が打ち出した合理化策をことごとく反抗しました。そのうえで「運転手二人の復活」とかを要求しました。その根拠はなんと蒸気機関車が主流だった時代に運転手とボイラー手が必要だったから電車でも必要、というものでした。

組合員には「三ない運動」という教育を施していました。管理者に対しては「何も教えない・何も聞かせない・何も知らない(知る必要は無い)」。
行動指針として「三ず主義」というのもありました。「休まず・働かず・無理せず」です。

その結果、国鉄職員は、ヤミ休暇、ヤミ超勤、服装規定違反、食事をしながらの運転行為、業務放棄及び横柄な接客態度、酒気帯び勤務などが常態化しました。

・・・こんなトンデモナイ会社が現代まで存在したら!?
私の妄想は膨らみました。

例)
・客にタメ口をきく駅員
・金髪、ピアス、タトゥー、腰パンの運転手
・ホームには乗客よりも駅員の方が多い
・いつ到着するか、いつ発車するかわからない、無意味なダイヤ
・通勤電車で検札
・運転手4名、車掌4名のエイトマン列車
・膨大な人件費のために運賃がめちゃ高い
etc...

どんなデタラメな会社になっているか期待しまくって、この作品を
視聴しました。

【視聴後の気分】
ふざけるなぁ~!国鉄、むっちゃ普通の会社になっとるやんけぇ~

「お客様の安全が第一」だとぉ!「組合員の生活が第一」じゃないのかぁ~
服装も接客もキッチリしているじゃないかぁ~
さらにいえば鉄道公安が増強され、多発・凶悪化する犯罪や国際テロにも備えているじゃないかぁ~

かろうじて国鉄らしさを描写しているのは、改札がいまだに自動改札じゃないとか(雇用確保)、職員が昼食を高級レストランぽいところで食べられるとか(福利厚生)、異常に巨大かつ高性能な訓練場とか、主人公たちの無茶苦茶な活躍ぶりとかだけじゃないかぁ~

「RAIL WARS!」なんてタイトルつけて、なんとなく「図書館戦争」みたいな緻密な設定を期待させといて・・・

がっかりだよ!(笑)

【鉄道公安について】
主人公たちが実習で配属された「鉄道公安隊」は、実在した「鉄道公安職員」がモデルになっています。鉄道公安職員は国鉄の施設内においてのみ警察権を有し、拳銃を含めた武器の携帯が認められていました。民営化された現在では各都道府県の警察組織に組みいられています。

余談ですが、鉄道公安職員の中には国民体育大会のけん銃競技に出場し、警察官よりも高い得点を取って金メダルを獲得した者も存在したそうです。

この作品では、高校生かつ実習生がガンガン銃をぶっ放しますが、国鉄の事です。たぶん、「凶悪犯罪抑止力強化のため」とかの理由をつけて法的に問題ないようにしたんでしょう(笑)

【作品の感想】
私は若い頃は「乗り鉄」でした。青春18きっぷなどで各地を貧乏旅行していました。この作品の各所に挿入された国鉄時代の車両や風景にはとてもノスタルジーを感じました。

とくに感動したのは「タブレット交換」のシーンでした。単線区間で列車が正面衝突しないように、通行許可証として大きなリングを駅員さんと運転手さんが交換するっていうものです。ん~40代以上じゃないとちょっと分からないでしょうね~(笑)

さてこの作品、中盤までは一話完結ですので気軽に観れます。ただし、ちょっとストーリーの作りこみが甘いので、油断しているとサービスシーンばっかりが印象に残ってしまいます(笑)

ところが後半の二つのエピソード(臓器の運搬・王子護衛)は、すごくよくできています。ハリウッドのアクション映画を彷彿とさせるスリルと興奮が味わえます。

一番の見せ場は、臓器を送り届けるために軌道自転車で爆走するシーンでしょう。次々と襲ってくる危険を、あらゆる操縦技術を駆使し、主人公たち4人が力を合わせてクリアしていきます。

極めつけが、まるでサイドカーレースのパッセンジャー(同乗者)のような体重移動によるコーナーリングという荒業です。

ちなみに軌道自転車は線路の保安員さんが使う乗り物で、実物はフレームだけで作った二人乗りのゴーカートみたいな簡素な作りです。ところがこの作品で登場した軌道自転車はやけに重装備で、ほとんどトロッコ列車状態です。

主人公たち4人を乗せなきゃいけない事とか、いろいろな操縦技術を見せなきゃいけないとか、体重移動によるコーナーリングがギリギリ許せる程度の軽量感を出すとかのために、相当苦労してデザインしたんでしょう。

「車両鉄」の皆さん、「こんなゲテモノあるか!」とかいう野暮はやめましょう。国鉄です。なんでもありです。保安員さんが趣味で作ったんでしょう。もちろん会社の金で(笑)

使命感に燃える主人公たちの姿は爽やかさを感じ好感が持てます。キャラの絵柄も好みのタイプでした。

人情派の気弱な主人公班長代理高山くん、感情派のツンデレ桜井さん、頭脳派の巨乳小海さん、肉体派の防刃チョッキ岩泉くん。それぞれの個性を活かしたチームワークで事件を解決していきます。

彼らの上司はこれまた巨乳の飯田班長。ほんわかふんわりだけど決めるところは決めるって感じがお気に入りです。

そして最後は、同僚の桜井さん・小海さんに加えて、國鉄のイメージキャラクターのアイドル乃亜ちゃん、高山君の同級生の札沼さんでハーレム展開を示唆して終わります。

十分面白い作品でした。2期があれば観たいです。
でもな~多分無理だろうな(笑)

【蛇足】
このレビュー、元鉄ちゃんの血が騒ぎ、自己最多文字数を記録しちゃいました(笑)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24
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