脱出で友情なおすすめアニメランキング 12

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの脱出で友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月06日の時点で一番の脱出で友情なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

92.5 1 脱出で友情なアニメランキング1位
約束のネバーランド(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1117)
5360人が棚に入れました
母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。ここグレイス=フィールドハウスは親がいない子ども達が住むところ。至って平穏なこのハウスでささやかながらも幸せな毎日を送る三人の主人公エマ、ノーマン、レイ。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた…

声優・キャラクター
諸星すみれ、内田真礼、伊瀬茉莉也、甲斐田裕子、藤田奈央、植木慎英、Lynn、河野ひより、石上静香、茅野愛衣、日野まり、森優子、小澤亜李
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

心臓バクバク

{netabare}忘れ物のぬいぐるみを届けに行ったらコニーが死んでいて{/netabare}びっくりした。鬼ごっこは遊びでしかしていなかったのに、急に命をかけるはめになるのはしんどそう。{netabare}頭が良い子の出荷を先延ばしにするのは知能が高い子供の脳が美味しいかららしいけど、知能が高いと秘め事がばれる確率は高いよね。ばれても今までは制御できてたんやろうな。{/netabare}ノーマン天才すぎ。{netabare}完全にレイ騙されてるし、自分がいなくなった後のことまで考えてる。{/netabare}でも、レイも中々策士。{netabare}生まれた直後の記憶を持ち合わせているからずっと計略を練っていたし、自分を燃やそうとするなんてクレイジー。エマも耳を切り落として発信機を外すのはクレイジー。諦めたふりで幼い子供に計画を吹き込んでいたのはさすが。フィルは無邪気なふりして全てを悟る天才少年。心強い。{/netabare}

原作未読だから演出と相まっていちいち心臓に悪い。ドキドキしながら見てた。期待以上の面白さだった。
クローネ悪い奴とばかり思ってたけど、可哀想。{netabare}生存し続けて選別されただけあった{/netabare}イザベラも賢いし、強い。大人にパワーは勝てん。{netabare}エマの足をいとも簡単に折ってしまうのはびっくり。彼女自身もただの悪人ではなく、幼少時はエマと同じ境遇にいたわけで好きだった男の娘は出荷されるし、そのことがきっかけで脱獄を試みたこともあったけど、当時は壁の向こうの崖に絶望し、生き残るためにママになっていた。衝撃を受けたのはレイが実の息子だったこと!!父親は明かされるのかな。エマがしんがりで崖を渡った後に髪をほどいて寂しげな表情になったのを見るとこっちまで切なくなった。恐らく、子供の頃を思い出してた。そして、逃げた子供たちを見送るときには完全に子供の幸せを願う親の顔でした。イザベラのことは胸糞悪い不幸になれとずっと思ってたのに、ロープを回収して、残された子供たちの元に戻ってきて寝かしつけるまでの表情を見てたら、彼女にも幸せになってほしいなんて思えてきた。{/netabare}

2期も見るぞ。

OP
Touch off 歌 UVERworld
UVERworldって結構アニソン歌ってらっしゃる。これからもお願いします。
ED
絶体絶命 歌 Cö shu Nie
Lamp 歌 Cö shu Nie
くしゅにえと読むらしい。知らなかった。

以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
突然終わりを告げた、グレイス=フィールドハウスの幸せな日常。ハウスは農園。子どもたちは、鬼に飼われる食用人間。大好きだったママは子どもたちの監視役。「これ以上、家族が死ぬのは嫌だ…!」そう願ったエマ達は、日常に潜んでいたあらゆる意図を解き明かしていく。鬼vs子ども、命をかけた脱獄計画が始まる

EPISODE.01 121045
グレイス=フィールドハウスは親の居ない子供たちが住むところ。血の繋がりはなくても、ママと38人の兄弟はささやかながら幸せな日々を送っている。11歳のエマ・ノーマン・レイはハウスの年長者であり、毎朝のテストでそろって満点をとる優秀さをほこる。 ある夜、里親のもとへ旅立つコニーを見送った子供たちだが、忘れ物に気付いたエマとノーマンは近づくことが禁じられている門へ向かう。そこで2人は衝撃の真実を目撃する---

EPISODE.02 131045
子供たちは鬼に食べられるために育てられている。大好きなハウスは農園。優しかったママは敵。ハウスに隠された真実を知ったエマとノーマンは、脱獄を計画する。だが、イザベラはコニー出荷の夜に子供2人が門に来たことに気付いているようで……。

EPISODE.03 181045
新たな大人、シスター・クローネが現れ、監視の目が増えたハウス。レイも加わり3人で脱獄の方法を模索するなか、エマは自分たちの身体に埋められている発信器の場所を特定する。そして全員での脱獄に向けた訓練のため、全力の「鬼ごっこ」を始めるが、そこにクローネが鬼役として参加する。

EPISODE.04 291045
子供たちの中に内通者がいる。それは誰なのか、兄弟の動向を気にするエマたち。内通者を特定するため、ノーマンはあることを仕掛ける。一方で、外に出てからのことを考え、ドンとギルダには事情を話すことにする。残酷すぎる真実。そのすべてをありのまま話すことはできなかったものの、新たな協力者2人を引き入れることに成功し、また脱獄計画は進んだと思われたのだが……?

EPISODE.05 301045
内通者がレイであることを突き止めたノーマンは、二重スパイになるよう提案する。レイは脱獄の準備をするために自ら志願して内通者になったことを明かし、全員での脱獄を諦めること、そのためにエマを騙すことを協力の条件とする。翌日、レイが内通者だったことを知り、改めて全員での脱獄を決意するエマ。そしてイザベラの隠し部屋を見つけたことを報告するが、ドンとギルダはエマ達には告げずその部屋に侵入しようとする。

EPISODE.06 311045
ウィリアム・ミネルヴァという人物から贈られた本にはモールス符号で子供たちへのメッセージが隠されていた。ハウスの外に味方がいるかもしれないと希望を持つエマたち。一方、イザベラの隠し部屋に侵入成功したドンとギルダは、エマたちのついた嘘に気付いてしまう。今度こそ真実を語った彼らに怒りをぶつけるドンだったが、自らの無力さを嘆くその姿に、エマは兄弟を信じようと思い直す。しかし翌日、そのやりとりを見ていたクローネが手を組むことを持ちかけてきて……?

EPISODE.07 011145
イザベラからママの座を奪いたいという目的とともに、ハウスの管理システムについてクローネから聞かされたエマたちは、彼女と手を組むことにする。その夜、情報収集のためクローネの部屋を訪れたエマとノーマンだったが、逆に発信器の場所や壊し方に気付いていたことを知られてしまう。子供たちの脱獄計画を本部に訴えるための証拠として、発信器を壊す道具を探すクローネだったが、そんなクローネにイザベラは本部からの通達を突きつける。

EPISODE.08 021145
イザベラに見送られたクローネは、グランマに彼女のミスを訴える。しかしグランマはそのことを全く意に介さず、クローネは鬼に殺されてしまう。その日の午後、エマとノーマンを塀の外の下見へと向かわせたレイは、偽の情報を流しイザベラの注意をひこうとするが、それに気付いていたイザベラはレイを部屋に閉じ込めてしまう。そしてエマとノーマンに対峙したイザベラは、ノーマンの出荷が明日に決まったことを告げるのだった---

EPISODE.09 031145
ノーマンの出荷を阻止するため、逃げたふりをしてハウスの敷地内に潜伏するよう提案するエマとレイ。自分が逃げることでエマたちの脱獄が失敗してしまうと拒否するノーマンだったが、二人の必死の説得を受け入れる。 出荷当日である翌日、逃げるために塀へと向かったはずのノーマンだったが、計画に反して夕方にはハウスに戻ってきてしまった。戻ってきたノーマンから明かされた真実に、エマとレイは驚愕する。

EPISODE.10 130146
ノーマンが塀の上から見た景色によって農園全体の構造が明らかになった。 しかし彼は、自分は逃げることはしないと出荷の覚悟を決めていた。必死で引き止めるエマとレイだったが、ノーマンはトランクに糸電話だけを入れて旅立ってしまう。 ノーマンを失い絶望するエマとレイ。遂に脱獄計画を諦めたかに見えたが……?

EPISODE.11 140146
諦めたふりをしながら、脱獄の準備を進めていたエマとレイ。レイは出荷前夜、用意していた道具で火事を起こし、その隙に逃げ出すことを提案するが、それはレイ自身を火の中に残すことまでも組み込んだ計画だった。しかしすんでのところでそれを阻止したエマは、レイの行動を予期していたノーマンからの手紙のこと、そしてハウスの子供たちと進めてきた準備のことを明かすのだった。イザベラを出し抜き、炎に包まれるハウスを背に塀に向かうエマたち。脱獄は成功するのか---!

EPISODE.12 150146
必ず迎えに来ると約束し、4歳以下の子供たちを残していくことを決意したエマ。そして5歳以上の子供たちは訓練の成果を発揮し、ぞくぞくと崖を渡っていく。一方イザベラは本部に通報し脱獄を阻止しようとするが、崖の向こうにいるエマたちを目にし、ついに追うことを諦める。自分もかつてハウスで育った子供であったイザベラは、遠ざかっていく子供たちの背中を静かに見送るのだった---。脱獄が成功し崖を渡ったエマたちは対岸の森を駆ける。自由を手にした喜びとこれから生きていくことへの決意を胸にしたエマが森を抜けると、そこには彼らを祝福するような朝陽が輝いていた。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

生きていくんだ それでいいんだ

それは田園 こちらは農園 ・・・ふっ

・・・あ、ちょっと待って、{netabare}いやっ、行かないで~、、、{/netabare}な全12話。


原作も未読であれば、ジャンプももう何年も読んでませんね。週刊少年ジャンプの人気連載作品ということで、子供とTV前で待機。
第1話を観終えて彼らは静かに去っていきました。お子様と一緒に視聴するにはご注意ください。我が家でR12指定となった “ほんとに少年向けなんかいな?” な世界観です。


いやぁ毎週面白かったですね。なにせ間髪入れずもう一周しましたから。
導入良し→つなぎも良し→締め最高、、、と1話1話退屈せず、連載継続中ながら12話の尺で綺麗にまとめたことも好感です。結末を知って価値に気づきがちな序盤~中盤を面白く仕上げてもらってほんとにありがとう。2018年冬期の作品群の中でもトップクラスの出来でありました。
続きのある物語に対し早々に2期が決まったことで、今後の楽しみが一つ増えた幸福感もあります。


幕明けの舞台はグレイスフィールド(GF)ハウスと呼ばれる孤児院から。ママ・イザベラのもとで上は11歳までの子供たち30余名が一緒に暮らしてました。
ロケーションは大草原の小さな家。孤児院と聞けばあしながおじさんや若草物語のようなものを事前には想像してました。違うんだけどね。
そこの子供たちのうちエマ(CV諸星すみれ)、ノーマン(CV内田真礼)、レイ(CV伊瀬茉莉也)の3人が物語の主役。・・・それと彼らのみならずハウスの子供たち全員が主役の物語だったのでは?と思えるお話。
6歳から12歳までの間に里子に出されるとママから聞かされている子供たち。うち一人コニーとのお別れの日。別れを済ませた後、ぬいぐるみを忘れてることに気づいたエマとノーマンがコニーに届けようと後を追って。。。

そこから物語は一転。第1話ラストから最終12話までノンストップな子供と大人の心理戦?サスペンス?スリラー?またはホラー?が展開されます。
詳しくは本編で。農園の意味は早々にわかりますので、そこからハラハラドキドキを楽しみましょう。私的今期(2019年冬)のベストでした。


以下、思ったことを五月雨に。※ネタバレ

■ホラーやスリラーではなく心理戦でした
猟奇的な世界観で色濃く印象的だったのは、エマら子供たちとママ・イザベラ(CV甲斐田裕子)、シスター・クローネ(CV藤田奈央)の大人らとの駆け引きです。この腹の探り合いに集中できたのは不要なホラー演出を削いだからなんじゃないかと思ってます。
{netabare}例えば、子供らが謀議している最中に物陰からニュッとママやシスターが登場するような演出は皆無でした。双方に企みを盗み聞きしたり直接知るような描写がありません。状況証拠や間接的な言動からの探り合いに絞ってました。{/netabare}
{netabare}ママもシスターも元はと言えばフルスコア。さらにトレーニングを積んで派遣され実地で鍛えられた猛者です。直接でなくてもなんでもお見通し、一筋縄ではいかないラスボス感を十二分に引き出す効果がありました。{/netabare}


■絶望からの分岐
絶望を知った後にどう分岐していったか?の対比が好きです。
{netabare}言うまでもなくエマ、シスター・クローネ、ママ・イザベラの3名です。
エマ:抗う人。もちろんそこは主人公。けっこう身も蓋もない世界なのにエライよこの子!
シスター:堪えられなかった人。躁鬱の躁。壊れてましたね。選ばざるをえなかった道もイバラの道。自分♂ですがシスターやママやってたら正気を保てる自信がありません。
ママ:受け入れた人。ってまんまですが、シスタークローネが壊れてた分余計に底の知れぬ深い絶望を受け入れたことがわかり、そのことが最終盤効いてきましたね。{/netabare}
{netabare}一周めはノーマン、レイ、エマの3人を中心に観てました。最終回を見届けて今度はエマ、クローネ、イザベラの3人に焦点をあてて。けっしてクローネはネタキャラではないのです。{/netabare}


■イザベラ
{netabare}マンドリンの少年(レスリー)の曲が印象的な本作。イザベラにとってどういった意味を持つのか?
第1話コニーを門まで送る時の鼻歌が初出。第10話ノーマンとの別離。第11話でレイが火をつけた時。せめてもの手向けなのかレスリーの記憶を留めておきたかったからなのか。
ハウスで過ごした記憶の欠片を手離してなかったことに意味があったんじゃなかろうかと思います。{/netabare}

{netabare}「絶望に苦しまずに済む一番の方法は諦めることよ。抗うから辛い。受け入れるの。楽になれるわ。簡単よ。」

{netabare}かつてのイザベラが現在のエマだっていうのが、これまた切ないのでした(語彙力)。頼れる仲間がいたかどうかの差なんです。{/netabare}{/netabare}


■声優さんの演技
あらためてやっぱり声優さん凄いな~と思いました。
ノーマン役の内田真礼さん。ギルダ役のLynnさん。演技の幅って無限に広がるんですね。
それと短いセリフに込められ感情の豊かさでしょうか。※特定シーンのため閉じます。

{netabare}・「うん」エマ
ノーマンと別れの際、絞り出した「うん」その数8回。その短い言葉一つ一つどれも違っていて、ないまぜの感情が伝わってきた名演です。{/netabare}

{netabare}・「いってらっしゃい 気をつけてね」イザベラ
絵と音の力ではないと思うんだよな~。憑き物が取れた嘘偽りない「私のかわいい子供たち」に聞こえました。ダメねこういうの(T_T){/netabare}



次が気になる展開、裏をかいてまたその裏をかいての緊張感の続く化かし合い。
その根底で「絶望」との向き合い方で道の別れた3人に強いメッセージ性も感じました。
OPEDも作品に合った良いチョイスですね。


{netabare}・識別番号は連番ってことはなさそう。意味はあるのか?
・2期は頭脳戦からサバイバルみたいになるんだろうね。趣きはだいぶ変わりそう。
・イザベラ処分されるんだろうな。
・てかノーマン{/netabare}

きちんと謎や伏線は残したまま2期へと繋がるわけですが、もやっとした感情は無く、終わり方含めなんともすっきりした全12話でした。


それにしても、、、
{netabare}ヒーロー願望というか、男は死にたがるというか諦めが早いというか自意識が強いというか。女性の胆力の強さをまざまざと見せつけられた気分になりました。{/netabare}



視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴

-----
2019.09.17追記
《配点を修正》 +0.1

その後他のレビュアーさんとのやりとりでもやっとしたとこが解消しました。あざまーす!
2期前提ではあるものの、そこへの繋ぎ方と一作品としてのまとまり具合に嫌みがないこと。他の作品とのバランスを考慮し加点しておきます。



2019.04.13 初稿
2019.09.17 追記/配点修正
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 83

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

抗え。この世界の運命に。

この作品の原作漫画は未読です。
最初の視聴の理由はノイタミナ作品だったから…
ですが気が付いてみると2019年冬アニメの中でもトップクラスの面白さだったと思います。

母と慕う彼女は親ではない。
共に暮らす彼らは兄弟ではない。
グレイス・フィールドハウスは、親の居ない子どもたちが住むところ。
血の繋がりはなくても、ママと38人の兄妹が幸せな毎日をすごす、かけがえのない家。
しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた…

公式HPのintroductionを引用させて頂きました。
本当は2ページに渡ってこの作品の概要が記されているのですが、2ページ目はネタバレ要素を含むので1ページ目の紹介にとどめておきます。

レビューのタイトルは公式HPのトップページに記載されている文言なので、きっとキャッチコピーなんだと思います。
このキャッチコピーとintroductionを踏まえると、何等かの事情でこれまでの幸せが無くなってしまう事に対して38人の兄妹が運命に抗おうとする物語…と読むことができます。

言葉を額面通りに受け取ると物事の本質に辿り着けない…そんなミスリードが含まれています。
これもアニメ本編を盛り上げる作り手の配慮なんだと思いますけれど…

確かに、子供たちが背負った運命は過酷という台詞が陳腐に感じるほど、絶望にまみれています。
でも、その絶望は昨日今日に始まった話じゃないとしたら…?
でもXデーは何の前触れもなく突然訪れるんです。

誰もが信じて疑わなかった…
里子としてこのハウスを出たら幸せになれるんだと…
だから手紙の返事が来ないのも幸せ過ぎる日々を過ごしているからだと…
それは本作品の主人公で、ハウス最年長の一人であるエマも一緒…

このハウスには最年長者…11歳の子どもが3人住んでいます。
抜群の運動神経と高い学習能力を持ったムードメーカーのエマ(CV:諸星すみれさん)
優れた分析力と冷静な判断力を備えたハウス1の天才のノーマン(CV:まややん)
ハウスの子どもたちの中で唯一ノーマンと渡り合える知恵者のレイ(CV:伊瀬茉莉也さん)
この3人の学習能力は高く、毎日のテストで度々フルスコアを叩き出している逸材です。

ハウスから里子に出されるのは年功序列という訳ではありません。
もし、年功序列だったら導き出される結末は全く異なっていたと思います。
その日はコニーが里子に出る日でした。
可愛い服でおめかしして、肌身離さず持っている兎のぬいぐるみ…リトルバーニーを抱きしめて明るくみんなとお別れの挨拶を交わしています。

そりゃそうです…
これからのコニーの人生は幸せで満ち溢れているのですから…
きっとこれからの期待で小さな胸を膨らませていたからなのか、コニーはリトルバーニーを忘れてママと一緒にハウスを出て行ってしまったんです。

いつも肌身離さず持っていた大切なぬいぐるみです。
追いかけて届けたいと普通思いますよね。
きっとこれがなきゃ、コニーが困ることもあると思うから…
エマとノーマンが走ってぬいぐるみを届けようとして偶然目にしたのは衝撃の事実…
思えばこれが運命に抗おうと決意した起点…
そしてここから様相が一変しながら物語が動いていきます。

エマたちはフルスコアを叩き出しているとはいえ未だ11歳。
我々の世界では小学5年生という年端のいかない子どもたちでしかありません。
そんな子どもだけの集団において、大人の存在は一際大きいと言えます。
事実、38人もの子どもの面倒を見ているママの存在は絶大でしたから…

でもママは大人…というだけではありません。
頭が切れ、とても慎重…やること全てにおいてソツがなく決して手を抜かない…
加えて幼い子どもたちはママに対して全幅の信頼を置いていますから…
しかもこのハウスがどこにあるか…それすら子どもたちは知らないんです。

この様な四面楚歌の中で、子どもたちはどのような一手を打ってくるのか…
辿り着いた答えは「奇跡の綱渡り」みたいでしたけれど…
正に「神の一手」と言っても過言ではありません。

ここで大切なのは、そこに至るプロセスです。
子どもたちは何を乗り越えてその思考に至ったのか…
勇気、優しさ、信頼に厳しさ…どれかが一つ欠けても神の一手には至らなかったでしょう。

物語ラストのママの顔が印象的です。
ママだってハウス育ち…
幼い頃に思い願ったことに接点の無い筈がありません。
そこに立ちすくんでいたのが幼い頃のママ一人じゃなかったら…
なんて考えてしまいますけれどね^^;
感覚の全てを注ぎ込んで視聴できる作品です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、UVERworldさんの「Touch off」
エンディングテーマは、Cö shu Nieさんの「絶体絶命」と「Lamp」
どの曲も痺れ要素満載なんですけど…
今期のアニソンBEST10のどこまで上位に食い込むかが楽しみです。

1クール全12話の物語でした。
性別・年齢関係なく堪能できる作品だと思います。
でも物語は一つとても大きく大事な伏線を残していますよね。
来年放送される続編でその伏線がどこまで明らかになるのか、正直気になって仕方ありません。
原作を…とも思いましたが、続編の視聴に余計な雑念を入れたくないので我慢…
と思っていたら、いつの間にか我が家に原作全巻揃っているじゃありませんか!
直ぐ手に取れる場所に無いから我慢できると思っていたのに…
まぁ、これも試練なんでしょうね^^;
続編の放送を超楽しみにしています!

だから願わくば原作により忠実であって欲しいと思いますし、極力端折ることなく描き切って欲しいと願っています。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 36

86.0 2 脱出で友情なアニメランキング2位
監獄学園 - プリズン スクール -(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (2204)
11517人が棚に入れました
男子生徒5人、女子生徒1000人の学園を舞台に、女風呂を覗いた罪で、裏生徒会の手により懲罰棟に投獄された5人の学園生活を描くコメディ。

声優・キャラクター
神谷浩史、小西克幸、鈴村健一、浪川大輔、興津和幸、大原さやか、伊藤静、花澤香菜、橋本ちなみ、大地葉、藤原啓治
ネタバレ

ココ吉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

囚人はじめました☆

原作漫画既読◆全12話◆J.C.STAFF制作

懲罰棟(プリズン)がある共学化したばかりの
元女子高・私立八光学園に入学した男子5人の
視点で描かれた学園ギャグコメディ作品


◆感想◆
{netabare}
まず始めに、本作品は劇画調タッチの作画に加えて
お下劣ギャグ&エロを「コレでもか!」というぐらい
取り扱っている作風なので下ネタがお嫌いな人には
まず合わない視聴者を選ぶ作品だと思います。

でも好きな人には「コレでもかぁぁッ!!」というぐらい
がっつりハマれる魅力を備えた作品でもあります。


僕の場合は声を大にして言いましょう。

後者側の人間であると・・な!


簡単にですが、作品の魅力にふれてみます。

女子風呂を覗いた罪で懲罰棟行きに
なってしまった男子達の監獄生活を
描いたストーリーでお下劣ギャグやエロに
目がいきがちになりますが、
物語は意外にしっかりしています。

キヨシとガクト、それぞれ自分達の願いを成就させる為の
緻密に練られた脱獄へのプロセス、そしてドキドキ感は
昔好きだった海外ドラマの【プリズン・ブレイク】を
彷彿とさせてくれました。
坊主頭にした自称「練馬イチの知将」ガクトが
マイケル・スコフィールドに見えてしまったのは
僕だけでしょうか?(ぇーw)


その他にも
■裏生徒会の策略と駆け引き。
■男子高校生特有の女子に対する葛藤。
■囚人同士で仲違いするも絆を再確認。
■退学阻止に向けて一致団結する様。

などなど..

見所はたくさんありますが、
シリアスな展開や熱い展開を用意しつつ
それらを払拭するギャグとエロで
重くなりすぎないのが良いところ。


そんなバカなようで実はしっかりしていて
「でも…思い返せば結局は充分バカだったw」
それが本作品の最大の魅力にして最大の売りです♪

ストーリーも原作に沿ってほぼ忠実に描かれていて
変にアニメオリジナルを入れない姿勢は結果的に
大正解だったと思います。

と、言うのも
ギャグアニメ作品を面白く感じられるかどうかの
決め手は“テンポ”と“間”が命(ココ吉主観)
これら二つが少しでもズレてしまうとコレジャナイ感が
出てきてしまい笑いが薄れてしまいます。

ここに変なアニオリを入れてしまうとストーリーが繋がらなくなったり、当初のキャラ設定がおかしくなってしまう大惨事になりかねません。

アニオリの難しさたる所以とでも
言ったところでしょうか。

これらの点をよく踏まえて巧く演出と構成しつつ、
アニメならではのエロカメラワークとカット割りを駆使して作られているなと感じました(流石は水島監督)


声優陣の熱演も見事の一言。
おかげで原作とはまた違った面白さを
見出だせた箇所がいくつかありました^^
特に、キヨシと花ちゃんの
おしっこイベントとか…かなり好き(小声)


最終話では表生徒会(ケイト・別当さん・みつ子)の
3人が登場して裏生徒会の3人はプリズン行き。
そんな続編を匂わせる終わり方をしましたが、
この展開でもし2期が無かったら中途半端もいいところ。


この後のストーリーも果てしなくお下劣極まりないギャグとエロ極まりない展開が待っているので是非ともアニメで続編を観てみたいものだ・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・なっ!!
(タメ過ぎですよねわかりますw)



本作品がお気に入り棚行きになったぐらいハマッて
「この後の展開が気になる!」という方であれば
原作はかなりオススメですよ^^

この作品の原作者は「アゴなしゲンとオレ物語」の頃から
お気に入り作家の一人だった平本アキラ先生。
(アゴゲンは現在でも僕のルーツ作品です)

異才にして、奇才にして、糞外道(褒め言葉)な氏が
生み出す渾身のギャグはアニメと変わらないクオリティで
楽しめると思いますので機会があれば是非♪



   ◆お気に入りキャラ◆

     『緑川 花』

見た目のガーリーな可愛らしさとは裏腹に
男子生徒からは“暴君花”と恐れられている空手の
実力者にして裏生徒会書記の花ちゃん。

普段の様とブチギレした時の様、
そして意外にウブな女のコの一面に
僕の心はわしづかみされました♪
(ギャップ萌えキマシタワー)


キヨシに野ションを目撃された事によりソコから数々の
執拗なおしっこイベントに発展していくわけですが、
その中の一幕でも取り分け僕の琴線に触れたセリフがコレ。


『チ〇コ出したくらいで偉そうに
してんじゃないわよ!バカキヨシ!』


むぅ…

何なんでしょうこのアホ可愛いセリフは?

感想の方でも前述した漫画で読んだ時とは
また違ったアニメならではのインパクト、とでも
申しましょうか? とにかく印象に残ったセリフ。


まったく、やれやれだぜ!
花(ざー)さんにナニ言わせてんだって話ですよ・・。

【本音: ありがとうございます(;´Д`)ハァハァ♡
     30回程リピート再生させて頂きました】


赤面しながらこのセリフを言ってのける
花ちゃんみたいなおにゃのコとは是非とも
お友達になってみたいもの!

そんでもって・・
是非とも当方のエリン…
もとい、エノキでも頬を赤らめて頂きたい!

そんでもって・・
是非ともトゥーキックでみぞおちを…(自重でゴザル)


キヨシがチン〇を出したから自らもシュバッと
豪快に脱いで相手と同じ土俵に立つという姿勢も
フィフティー・フィフティーの精神にのっとり、
大いに評価できます(ココ吉主観)

二人のおしっこイベントを観ていたら
ついつい下半身がムズムズしてしまった殿方は
意外と多いはず、、ですよね!?
(えっと…石化ではゴザらん。尿意の方でゴザルよ?)

何だか、キヨシの想い人である
千代ちゃんの存在が霞んでしまうような。。

それぐらいにインパクトとアホ可愛らしさを
併せ持つ凄まじくお気に入りキャラです♪

{/netabare}

◆OP曲 『愛のプリズン』
   歌 : 監獄男子
(神谷浩史・小西克幸・鈴村健一・浪川大輔・興津和幸)

◆ED曲 『罪深き俺たちの賛歌』
   歌 : 監獄男子

OPとEDともにキヨシ、ガクト、シンゴ、
ジョー、アンドレを演じた男性声優さんが歌っています。
特にOP画とサビの「ぷりぷり~ずん、愛のぷりずん♪」は
インパクト大で耳と記憶に残りますw

それとは打ってかわってEDの印象は少し薄め。

「WORKING!!」みたいにOPとEDで男性声優と女性声優それぞれに担当させてみる、ぐらいの趣向が欲しかったところ。
例えばの話ですが、EDを女性陣のターンにして男子達(囚人達)を皮肉る歌詞を軽快なメロディにのせて可愛く歌っているのを想像するだけで面白くて話題になる気がしました。



     ◆ココからは超余談◆

少しのネタバレと下ネタを交えて当方の過去エピソードを一人語りしているだけなので色々とご理解がある方のみ読んでいって下さいまし♪
※かなりの長文なのでお時間があるときにでも^^

{netabare}
本編第10話にて退学の延期をかけた理事長からの
「尻or胸」の問いかけに対してキヨシは胸好きを隠し、
理事長と同じ尻をチョイスして熱弁をふるい見事に
退学の1日延期を勝ち取る一幕がありましたね。

そのシーンでのキヨシの様はまさに男・・
いや、漢そのものです。


仮に僕がキヨシだったらどうするのだろうか?
そんな自問自答をしてみる事にしました。


普段から“お胸様に貴賤なし”や“巨乳っ娘、ペタン娘、つるぺた娘全てのお胸様に幸あれ!”などと謳っている自分としては当然、胸一択です(キリッ)

でも、僕が胸を選んでしまうと男子達は退学に…
まぁ、いわゆる一つのバッドエンドまっしぐら。
この作品が第10話で最終話になってしまいそう…

悩みに悩み抜いた末、やはり自分は胸を選ぶと思います。
(男子達からのフルボッコは確定事項でしょうけどw)


何故なら、好きなものを好きだといえないのなら
そこで変態紳士終了を意味するのだから。

己のありのままをぶつけて儚く散るバッドエンドは
バッドエンドじゃなくて、ほろ苦いビターエンド。
これもまた漢の決断なのかなって。。。
我が生涯に一片のなんちゃらです。



んっ!?

そもそもの問題で...
自分は何でお胸様が好きなのか?
自分は何で変態紳士になったのか?
(また自問自答が始まりますw)


自らの発言に対しては常に説明責任が伴うというもの。
そして、それにしっかりと対応できるのが大人だと
僕は思っています。


ふぅ…

どうやら語る時が
来てしまったようですね(唐突)


ココ吉という人間が、ココ吉という僕が、
いかにして(お胸様好きな)変態紳士の道に
足を踏み入れたのかというお話を。。。


しばしの一人語りをお許し下さいまし。



  タイトル 『小さな変態紳士誕生☆』


夏休みになると、よく泊まりに行っていた祖父の家。
釣りが大好きだった祖父と料理上手で優しい祖母は
僕が遊びに行くとマゴ可愛がりしてくれたものです。


そう、これは
僕のショタ時代…もとい、小5の夏の思い出話。


いつものように祖父と釣りに行った帰りの車中でのこと。
釣りを終えてほどよい疲労感からウトウトしかけていた僕に彼は唐突に話しかけてきました。


おじぃ『ココ吉はもう5年生だから女のコの
    胸の一つや二つ揉んだ事あるんだろう?』


ココ吉『・・ぃや、ないけど。』

【本音:はぁ?いきなり何言ってんだこのエロジジイ】


小5と言えば、誰もが通る道であるところの
反抗期にそろそろ入るかどうかの繊細なお年頃。
修行さえすれば自分も波動拳やカメハメ波が
本気で打てるようになると思っていた危ういお年頃。
(ちなみに昇龍拳はこの頃既に修得済み)

そして、異性の事がちょっぴり気になり出して
色気づくおませなお年頃でもありますよね。
そんな矢先に祖父のセクハラ発言には
結構ドン引きした記憶がありますw


おじぃ『まだだと!? ワシがお前ぐらいの時は
   揉んで揉んで揉みまくっておったというのに…』


ココ吉『へー、そーなんだー(棒)』

【本音:なに本気で悲しそうな顔してんだよ!?
 だいたい、小5で女子のおっぱい揉んだ奴なんて
 いねぇーよ! いたらクラスで「おっぱい星人」とか
 変なあだ名つけられてるわ!!】


おじぃ『揉んでみたい、とは思うんだろう?』


ココ吉『・・・・・』

黙っていた僕に対して、おじぃはニヤケ顔で
「やれやれ」と言いながら後部座席に手を伸ばす。
どうやら黙秘は肯定と捉えたみたいです。

いや、実際間違ってないけど・・・
おじぃ、ちゃんと前向いて運転してね?

後部座席からおもむろに何やらブツを取りだし
僕に渡してくる。見ればティッシュペーパーの箱。
これを一体どうしろと?


おじぃ『それを1枚手の平にのせてから
    窓を開けてかざしてみ?』


ココ吉『??? あっ、でも運転中は窓から
    手ぇ出しちゃ、いけないんじゃ・・』


おじぃ『構わん!今はワシが法律だ♪』 


ココ吉『う、うん。やってみるね。』 

【本音:え?何でキラキラした目してんだよ。
    おばぁに言いつけるぞクソジジイ】

色々と思う事はあるけれど、おじぃの事が大好きなので
言われた通りに車窓を全開にし、ティッシュを手の平に
のせて外へかざす素直な僕。


夕方とはいえ季節は夏まっさかり。

昼の熱気の余韻を残した生温い潮風が
“ティッシュ on the 手のひら”を
ビューッと乱暴に駆け抜けていく。


そこで、ついに、気づいてしまいました。
風と一体化した“ティッシュ on the 手のひら”から
伝わるどこか愛おしくもエロスな感覚に。。。


ココ吉『これって・・・・もしかして
    ・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・おっぱい!?』


おじぃは(超ニヤケ顔で)コクリと頷く。



ココ吉『うわー♪うわー♪コレがおっぱいかぁ~♪
    ティッシュをのせてるからまるで体操服の
    上から揉んでるみたいな感じが・・するっ!』


人生初の(疑似)おっぱいとのファーストコンタクトで
否応無くテンションMAXな僕はティッシュを夢中で
揉みしだく。


多分、僕はこの時、この瞬間に
変態紳士の扉を開いてしまったのでしょう。


おじぃ『ガハハハ!そうだろそうだろ!』

豪快に笑うおじぃ。。。マジかっけぇ!! 

 
そんな楽しそうな孫を横で見ていたおじぃは
自らの手にもティッシュをのせて運転席側の窓を開ける。


おじぃ『今のお前にはちょうど良いかもしれんな。
 が、ワシはこの程度の胸では満足できん。どれ!』

そう言うと同時に車は勢いよく加速し始めました。
スピード狂なおじぃ。。。マジかっけぇ!!


速度が上がるにつれて、手のひらのおっぱいも
かなりボリューミーな揉み心地になってきました。
まさに文字通り「手に取るようにわかる」ってやつ。

でも、そんな倖時間(ハッピータイム)は
長く続かないのが世の常。


ココ吉『あっ、おじぃ! この先ってたしか、
 ピカーッて光るやつ(オービス)があるんじゃ・・?』


おじぃ『おっと! いかんいかん・・。』

慌ててブレーキに足をかけて減速するおじぃ。
何とか減速が間に合って事なきを得ましたが
我にかえったおじぃの表情が一気に…
(´・ω・`)ショボーン ←こんな感じに。。。

まぁ、今思えば
これは“賢者タイム”の亜種だったのかなって。



ココ吉『・・・・・』

【本音:あ、あれ?さっきまで自分が法律だ、
    とか何とか言ってたような・・・?】

また色々と思う事はあったけれど口には出さない。
空気をしっかり読む事ができた小学5年生の僕。


そこから家に向かう帰路は互いに会話を交わす事はなかったけれど、ガレージに車を停め終えたおじぃが一言。


おじぃ『ココ吉よ、今日の事はカミサン(おばぁ)には
   絶対内緒だからな?男と男の約束だからな!?』


ココ吉『うん、わかってるって』


何ともまぁ、やんちゃなおじぃではありますが
この日を境にもっと仲良くなれた気がしました。


それからというもの、おじぃは僕を色んな所に
遊びに連れて行ってくれて色んな事を教えてくれました。
自らの体験を元にした女のコとの接し方や口説き方、
そしてここで書くのもはばかられる内容の
アレやコレやetc...

よく「早く一緒に酒が飲みたいわ~」とか
「彼女ができたら紹介しろよ。絶対なっ!?」
とか言ってましたが、
会話の最後に決まって言うセリフがコレ、、


『男はスケベなくらいが丁度良い。
 でも、、、最後は紳士であれ。』


まだ幼かった僕には言葉の意味が正直よくわかりませんでしたが、大人になった現在はおじぃのケンゼンでミダラ~な教えがよくわかります。(わかってるつもりですw)


そんな師匠的存在だった偉大なる祖父は
天国に旅立ってもういないけれど..

現在の僕と変態紳士論を語り合いながら
酒を酌み交わす事はもう叶わないけれど..

いつか、自分にも可愛い孫ができたら
おじぃのような存在でありたい!

そう願ってます。。。


それまでは自分の道を1歩1歩邁進するのみです。



今回は久しぶりのレビューという事もあったので
ギリギリアウトな感じを狙って書いてみましたw
※もちろんノンフィクション
(ご不快な思いをされたのであれば申し訳ないです)


老若男女、年齢問わず、このレビューをお読み頂いている
紳士淑女の皆様がユーモアと遊び心を兼ね備えた素敵な
変態紳士&変態淑女にパラダイムシフトしてくれたとしたら、それはとっても嬉しいなって(*´ω`*)♪


そう、これはいわば将来を見越した先行投資の一つ。
アベノミクスならぬココキチノミクス。

そして、、、ガクトの言葉を借りるとするならば
これこそまさに“僕の乱世”と言うやつなのです。


最後までお付き合い頂き
ありがとうございました♪

{/netabare}

               

投稿 : 2024/05/04
♥ : 50
ネタバレ

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

さぁ男たちよ! いざ尋常に奮い勃て!! ぁΣ(ノ)゚Д゚(ヾ) 奮い立てッヾ(`Д´*)ノ!!!

原作コミック 原作未読 全12話

~ズンズンズン~プリズンプリズン♪~プリプリズン愛のプリズン♪~

男女比1000:5の学校(←大体 もちろん女子1000♡)
に通う男子生徒たち5人は、ある日よからぬ悪事を強行する|ョω♡)ジィーッ

大勢の女子に囲まれた勇逸無二の不純な男子ぃが
考え、やることは大抵一つに決まっている!!!

男って本当や~ね(。艸ε<*)もぉ~~!!

やっている事は実にバカバカしく下品で下らないが
男のロマン溢れる抱腹必死の超絶変態ギャグアニメ♪
(↑私的に本作を最大限に賞賛した上での褒め言葉↑)

そう…それは男の永遠のテーマ
誰がなんと言おうが、結局「男」とはみなバカな生き物なのである!!


よし! あらすじはこんな感じで(o´Д`)Фフゥ


さて、まず始めに本レビュー_((Ф(・ω・`)カキカキにあたって
以下より私が卑猥で下品な表現や、言い回しを多用することになる点を
予め先んじてここにお伝えさせて頂きます((。´・ω・)。´_ _))ペコリ

そのような内容に、気分を害される心配のある方はくれぐれも
ご注意頂くようお願い申し上げます(∩´。•ω•)⊃スマソー

なんとかレッドカードを出さない程度に心がけつつ
ギリギリまで攻め込んでいきたいと思っています(つ・ω・)≡つ))シュシュッ♪


さて、前もって釘を打っておいたから大丈夫でしょう!!
本作の感想を先走り○タラタラでお送りしたいと…( ̄ゝ ̄)/□ピピー

え∑(((((゚д゚;ノノ さっそくもって警告1枚ですと…Σ(lliд゚ノ)ノ ンヵ゙ぁッ!!!


失礼(`・ω・´)ゝ でわ気を取り直して!!!

まず本作始まってすぐ、
何を隠そうにも隠しきれない程の胸…、じゃなくて下ネタギャグの応酬に
この手の作風、ノリ、ネタ好きの方々には堪らない作りになっておりまして

笑いこけては涙がとまりません(。 ノ∀<)σぁ~お腹痛いw

不純な目的の為に同じ志を掲げては…なぜか
そーいう時ほど男子って無駄に団結力を発揮しますよネ(。→ˇ艸←)ププッ

はい! バカなんです(*ゝ`ω・)b

お決まりのあるあるネタからちょっぴしマニアック(アブノーマル)な
ネタまで随所に散りばめられては見るものを飽きさせません!!

元の原作コミックが大人気で私も名前は知っていましたが
正にその原作の持つ面白さ、持ち味が存分に描かれ
大成功したアニメ化と言うべきでゴザろう♪


それにしても”アンドレ”くんには深く深く同情致します(´Д⊂
ぁのような環境で…あのような仕打ちを受けるとは…
正に”生き地獄” 全くもって生きた心地がしなかったことでしょう!!

おなじ性癖の主として誠に謹んでお悔やみの意を申し上げます((๑-人-。)

とあるK氏の妄想日記(๑꒪д꒪๑).。oO
{netabare} 副:「誰だぁ!!! こんなとこに鍬をさしっぱなしにした奴はぁ~ヾ(`Д´*)ノ」

私:「はーいヽ(*´∀`)ノ♥ 私です~♪」
「 副会長様こんなダメダメな私にどうかお仕置きをε“ε”ヽ((;´Д`)ノハァハァ♥」

副:「そーか( ‘ω’) 早くかたしておけよ( ‘ω’ヾ(・ω・`)」


私:「щ((´>д<`;щ)…」 {/netabare}


とこのようにあのシーンにはとてもズムズムしてしまいました(;´Д`)ぅぅ


それにしても副会長殿の一所懸命さには敬意を評するでゴザルよ♪
歩く18禁ことダイナマイトでグラマラスな肉体を武器に男子諸君を
悩殺しては一掃するその姿、その存在だけでご飯が何杯でもイケちゃう
いいおかずになります(人´∀、`〃)
↑大人な皆さまは変な詮索をしないこと(ヾノ・∀・`)w

{netabare}汗で体をビショビショにしてヒンズぅスクワットぅーーーヾ(`Д´*)ノ {/netabare}


花ちゃんの空手クレイジー強さに反してこと”性”に至ってはウブな一面も
見所の一つでゴザろう(´―`*)ウンウン
花殿のメデューサについつい…私のブナシメジも∵(ε゚((◯`Д´*)o♪ 
↑大人な皆さまは変な詮索をしないこと(ヾノ・∀・`)w


それでも本作一のMVPに挙げたいのが
自称、練馬一の知将こと「諸葛 岳人」 通称「ガクト」

彼の並々ならぬ三国志への愛…
実は偶然にも私めも三国志にちょっとばかし精通しておりまして
赤兎馬に股がる関羽殿をパカランパカラン♪と走らせては
戦場を駆け巡っていたモノです(´―`*)ウンウン

(↑すいません(´。・д人) 三國無双なるものをプレイしていただけですw
勿論、お気に入りは小喬殿で、CV釘宮理恵 くぎゅぅぅ~です♡)


あッ! まったく話がそれて…私の悪い癖です(ヽ´ω`)トホホ・・

とにかく、副会長殿が赤兎馬にパカランパカラン♪ ヒヒィーン♪
している姿はもぉ可笑しくって(。 ノ∀<)σ
で、その後の「ガクト」の…姿に胸打たれましたッ!!!

とにかく!! 「ガクト」は本作きっての一押しキャラであり
もぅその姿に思わず「クソったれ~、最高にイカした奴だぜ」と
心が叫びたくなるほど男気がぷんぷんと溢れた香ばしい男でしたGOLD☆( ゚Д゚)b

うん♪これはもう本作のお気に入りキャラは「ガクト」と言っても過言では
ないでしょう(ヾノ・∀・`)

うん♪こーいうノリ、熱いキャラは見ていて気持ちがいいでゴザルよ♪

うん♪個人的にはキヨシ殿との絡みが最高でゴザルよぉ|ω♡)

うん♪この不味いバ○タ飯はなんでゴザルかぁ~( ゚∀゚)・∵.グハッ!!

うん♪これはなんだかやばい雰囲気だじぇ(○゚д゚)ャバィカモ・・・

うん♪これは作為的な…なんだか明らかに文章の並びに悪意を感じるのは…
き、気のせいでゴザルよ(´―`*)ウンOウンO← ( ̄ゝ ̄)/□ピピー


ぬぅぁああ…結局累積2枚で退場ですとーヾ(`Д´*)ノ
それは困る…絶対困るでゴザルよ(>人<;)
小生まだまだ_((Ф(・ω・`)カキカキせねばならぬ内容があるのでゴザルから…



すいません(´。・д人) 大変おふざけが過ぎましたが、

本作は私的に豊作だった夏期作品の中でも頭一つ飛び抜けるほど
大変面白くギャグだけでなく、物語性としても実に巧みで
一見何してるか、わからないよ-なバカげたことにも意味を持っていて

様々に練りこまれたその計画や策略の一つ一つがネチョネチョ絡み合う展開が
見るものを惹きつけては所々に小気味良いテンポでギャグがふんだんに盛り込まれる
という至高のエロターテイメント作品に仕上がっています(`・ω・´)キリッ

最初の数話で本作のノリ、バカさに笑いのツボをガシッと掴まされ
気づけば練りこまれた○○作戦や、巧妙に仕組まれた陰謀といった
物語の展開に引き込まれ夢中で一気に見入ってしまった*゚Д゚)*゚д゚)(オォォ…
というべきでゴザろう!!

ある種の緊張感に観ているコチラも思わず手に力が入り(๑˃̵ᴗ˂̵)و ՞
興奮しては、股…、ゴホンッ!! 胸が熱くなってしまう!!

見事に面白く、思わず奮いたたずにはいられない作品でした!!

いやぁ~実にエロ♡、ゴホンッ!! いや実に面白い♪

とにかく私はもういっぱいでギュウギュウでキツキツになってしまった
私のお気に入り棚にエリン… ゴホンッ!!
本作を突っ込みたくてしょうがない気分になりました♪

下ネタOK☆( ゚Д゚)b で”真の漢”の姿をご覧になりたい方は
ぜひ一度拝見して頂くべきでゴザろう♪

ちょッと私…TVドラマも気になっちゃうので覗いてみちゃいます|д♡)
続編も楽しみにお待ちしてるでゴザルよ♪

さぁ行こう… 我らが目指す夢の高み…  {netabare} 濡れ○コンテストぉぉε“ε”(ノ´♡д♡)ノ {/netabare}



それでは、本レビュも切りがいいところで
私も残った諸用をかたずけてから眠りにつくとしよう…  

ん( ‘ω’) …何をするかって|д・)?

      
それはもちろん、 ”雑務”・・・・      だ!!!

んむぅ… (;゚Д゚)ハッ!!

ブラインド… カーテンを閉めておかねば・・・・      {netabare} な!!!{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 94
ネタバレ

アレク さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

説明できるっ!面白さ

もともと変に理屈っぽくて好きになったアニメを自分はどういった所が
いいと思ったのかその高揚なり感動なりが一時の感情ではない、
いわば存在証明みたいなものを残したく、いつしか自分が感じたそのアニメに
対する魅力というものを言語化するようにしていて、
また巷で人気だったりアニコレ内での評価が高かったりするアニメでも
自分にはピンと来なくてもここが魅力を感じるポイントで今の時代は
こういう価値観が受けるのかとぼんや~り思ったり
(嫌味ったらしい書き方してすいませんm(__)m)

そんなものが積もり今ここでレビューを書かせてもらって今に至るわけですが
レビューをいくつか書いて感じたことなんですがストーリーに重きを置いたアニメだと
ここの伏線があーだとか演出の意図がこーだとか第三者がいるとして
その魅力を自分なりに説明できるんですけどギャグ中心のアニメだと
自分が感じた魅力を客観的に説明するのが非常に難しい、
ここのボケがどーだとか言っても面白さの神髄が霧散するように感じるし
「ゆゆ式は哲学」なんて言葉がいみじくも言い表すようにその場のノリや
空気とかもあるのでそれを踏まえての言語化というのが非常に厄介。

またアニコレなどの評判と自分の評価のぶれも普通のアニメ以上にあり
絶賛されていても自分のツボに入らないなんてざら
逆に片隅でやってたギャグアニメが好きで仕方ないなんて
しょっちゅうあるわけでいずれも客観的説明が難しいというのは同じです
自分がどうして気に入ったか気に入らなかったのか整理しようとしても
ノリとしか言えなくて自分の語彙の少なさに困惑することもしばしば
リアルの会話だと相槌や愛想笑いも含め大事な会話の潤滑油だと思いますが
ここでは気を遣う必要もなくだからこそ好き嫌いが如実に出ちゃうのかなと。

前置きが長くなりましたね、要はギャグって作り手の感性に拠るところが大きく
それが受け手の感性にフックするかしないかなので面白さの第三者視点の説明って
難しいよねっていうお話、最近は不条理路線やキララ系に見られる
かわいさを加味したゆるふわな落ちがないのがオチみたいなのもあって
ますます説明が難しく感じます。

{netabare}そこでこの監獄学園
好き嫌いは非常に分かれるとは思いますが面白さ、
可笑しさをなぜ感じるかというポイントは説明できます。

まずは動機の単純さ素直さ、健全な学生生活を送った男子諸君には一度は頭によぎる
煩悩を隠さずストレートに表現している所、そしてそんな彼らの奮闘を描く作画が
書き込みが多く一貫したシリアス調、この絵柄で「デスノート」みたいな重々しい
緻密なストーリーアニメをやっても何ら不思議でないタッチ。
(例外はいや~乱世乱世のとこくらいかな、あれはおもろかった)
そして投獄されてからの脱出劇という古典的題材ですが脱出の策略とか
監視役の目を盗んでの逃避行とかもう少しで見つかりそうなハラハラ感とか
ぶっちゃけめちゃくちゃ面白い、投獄の経緯を省いて単純な脱獄物にしても一級品の
演出とストーリーです。

しかしこの作品をギャグアニメたらしめているのがさっき書いた脱獄の原動力が
健全な煩悩であるところ。
八話で男子たちの退学が決定するがもう少し先にある臨海学校のスケベイベントに
参加するため生徒会の陰謀を暴き退学を撤回させるため再び一致団結する
ふつうは一人ぐらいは突っ込みそうな場面ですがシリアス調な作画とアホらしい動機の
温度差がおまえらそれでいいのかよと視聴者を笑いに誘う
いくつになってもスケベなことがよくバレる理事長然り要所要所に
練りこまれたストーリーとシリアスな作画ハラハラする演出との
アンバランスな高低差が視聴者を不思議な笑いの世界にいざなってくれるのであります。
私たちを突っ込み役にし笑いを誘う、視聴者の反応まで想定し
笑いの成立するファクターとしてその世界に引きずり込む
計算された職人芸が作り出した空間が見えるようです。

またEDの入り方も毎回秀逸で手を叩きながら見終えた後続きが予想できない
ギャグだからといってストーリーに手を抜かない志の高さがそこにある。

欠点が共感を誘う愛すべき男子たちの友情物語も見所
共犯関係的連帯感も手伝い気安いが強固な絆といったものが演出されている
自分が特に印象に残ったのはガクトの戦国武将のフィギュアの下り

 ちくしょう・・・こんなの卑怯だよ・・・ギャグアニメだと思って見てたのに
 こんなシーン見せられちゃ涙が出ちまうじゃねえか(´;ω;`)

漢の友情に貴賎なしということですかね、例えそれがどんなに下らないことでも。
少なくともあいつらは大真面目でやってんだ!(それがよけい面白いんだけど)
野暮を承知で冷静に見るとあのシーン、ガクトにとってあのフィギュアが
どれだけに大切か、それが今にも壊されそうな懊悩が短い時間ながらもこれでもかと
濃密に描かれてるんですよね、だからこそ自らフィギュアを壊す彼の
義侠心が一層光り輝く。

シンゴが反発していたのも友情が裏切られたという信頼の裏返しだし
今回は性癖の紹介だけで終わったキャラもいますがとにかく
そんな彼らが画面狭しと駆け回る姿には清濁併せ含め人間的魅力が横溢しています。

一貫してシリアスな絵柄演出、檻の中での極限状態での
脱出ゲーム、裏生徒会の陰謀と彼らの友情との綱引き
そのすべてに通底して流れている純情エロス、自分が感じた面白さはこんなところかな。

もちろん他のギャグアニメも計算して作っていて感性だけに任せたものではなく
視聴者にどう落とし込んで伝えるか腐心していることはわかってますが
自分の感度の低いアンテナにも受信できる作り手が笑いどころのポイントを
意識的に作っているというのが監獄学園に対する自分の印象です。

OP「愛のプリズン」     歌詞テキトーすぎんだろ("゚д゚)、いい曲なのがまた腹立つ
ED「罪深き俺たちの賛歌」異性を気にしないふりしてるがやっぱり気になって仕方ない
                苦悩多き思春期の賛歌
{/netabare}

以上まとまりのない文章ですが最後まで読んでいただきありがとうございました<m(__)m>

投稿 : 2024/05/04
♥ : 49

69.2 3 脱出で友情なアニメランキング3位
約束のネバーランド(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (411)
1573人が棚に入れました
「約束のネバーランド」は、白井カイウさん原作、出水ぽすかさん作画による、「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)にて連載中の人気マンガを原作としたアニメ作品。「週刊少年ジャンプ」28号(2020年6月15日発売)にて完結。コミックス1巻(2016年12月2日発売)から20巻(2020年10月2日発売)までの全世界での累計発行部数は2,500万部以上。第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門2位や、宝島社「このマンガがすごい! 2018」オトコ編1位など、国内の数々のマンガ賞を受賞。TVアニメ化に際し監督は神戸 守さん、シリーズ構成は大野敏哉さん、キャラクターデザインは嶋田和晃さん、音楽は小畑貴裕さん、アニメーション制作は、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」「PERSONA5 the Animation」のCloverWorksが担当する。

声優・キャラクター
諸星すみれ、茅野愛衣、林鼓子、伊瀬茉莉也、日野まり、久遠エリサ、植木慎英、森優子、白城なお、Lynn、青山吉能、神尾晋一郎、石上静香、河野ひより、種﨑敦美
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

姑息な俺は連れて行かないだろう

原作未読 続きもの全11話

鳥籠の鳥が籠を出てから、もとい牛舎の牛が鎖を断ち切り外へ飛び出してからを辿る第2期。
1期は自身クールトップ評価かつ滅多に出さない4.5点と非常に高く評価をしてます。
その際「農園出るまでがピークだよん」の声もあったりで冷静に期待値は控えめで迎えた今回の2期。
籠やら牛舎の中と外と舞台が変わるのに合わせて物語がどんな変化を見せるのか期待というより不安が先行してました。

だからでしょうか。評点は大幅に下げますがそれなりに楽しめた私。
「愛してたのに裏切ったわね?」の気分無きにしもあらずとはいえ許容範囲内に収まった感ありです。
そのへん後述するとしてダメだったとこ↓

構成ですね。全11話・短尺・駆け足・端折り過ぎでした。
やや外野の話。10話までシリーズ構成を原作者の白井カイウ氏が担当。なんで最終話やらんの?で邪推がはかどりそうです。
原作未読のためアニオリどうこうには無頓着ながらそれでも説明不足と感じろところ多々。ただしそれは最終盤に顕著だっただけで、それまではややご都合はあって好き嫌いあるかもねぐらいのレベル。
最終話至る前にやや好意的な評価を固めていたこともあって、飛ばし過ぎスピード違反の最終盤に戸惑いつつもまあこれはこれでいっかぁという感想です。

さてこれからの方に向けたおすすめポイントをば。
ヴィルク(CV上田敏也)なるアニオリキャラクターの醸し出す雰囲気がすこぶるよかったです。あの「小鬼だ…小鬼がおる」で有名な『ラピュタ』のポムじいさん感抜群で常田富士男さんが蘇ったかのよう。中の人上田さんも御年88歳と凄味が伝わる演技でした。
良くも悪くもトータル2クールで完結(たぶん)する手に取りやすいパッケージであることと、やや斜め上から見た「努力・友情・勝利」を楽しめる作品になってると思いますよ。

 

※ネタバレ所感

ここからあえて褒めるターン

■ベストセラー確約

『マム・イザベラの頭脳明晰/強い意志を持つ子供の育て方』

育児本出したら売れそうです。特に日本で。
{netabare}良い意味で引っかかったのは彼女の孤独。子供たちそっちのけで彼女の半生に想いを馳せると目から汗がでてきそう。
エマたちと違って仲間がおらず悲しみも苦悩も一人で受け止めるしかなかった彼女。友がいるからこそ乗り越えられる少年少女らのジャンプらしい“友情”を前に出しながら、むしろ一人で抱えてなお意志を貫いた大人の彼女に亡き友や息子(たぶんレイね)へ抱く強い愛を感じる。他のマムも同様に一人一人がイザベラだったことも想像に難くない。
やや駄々っ子、もはや鬱陶しさすら感じるエマの子供っぽさよりも深みのある情と聡明さを感じる傑出キャラでした。
最終話では“なぜそうしたの?”の説明は省かれてます。私は“そこまでしてでも守りたい一線だったのね”という角度から捉えております。{/netabare}


■エマへ相反する評価

{netabare}「今、日本の会社は、みんな失業者をかかえとるのや。私どもでも一万人は遊んでいる」

松下幸之助の弁。従業員を家族のように扱っていた在りし日の経営者の考え方がよくわかる一言です。
エマの選択で思い出したのがこれ。稼ぎ頭の幹部候補生がノーマンやレイなら平凡なサブリーダークラスがドンやギルダ。遊んでいる社員はちびっ子たち。
実際私だったらレイが言ってたちびっ子たち切り捨て案に乗るんだと思います。効率/生産性や利益確保を考えての合理的判断ってやつです。
しかしながら自身も就職氷河期世代の身。いまさら氷河期世代のリーダークラスいないって言われてもそこを育ててこなかったのお前らじゃん(怒)ってルサンチマンは正直あるんですね。
はっきり言ってエマは理想主義過ぎるのと、掲げる以上提示してほしい具体案に乏しいので苦手です。むしろ嫌いなタイプといってよい。
それでも理想と情熱が合理的判断の壁を越え良い結果をもたらすってのは匙加減間違えなければ大丈夫なわけでして、本作についてはOK組。なにもしないで転がり込んだ幸運ではなく、意思をもって動いたことで幸運の女神が微笑んだものと捉えてます。{/netabare}

お花畑と紙一重なのが悩ましいところですね。ここの線引きは“当事者として振る舞ってるか?”で分けてます。たとえ主義主張が真逆でもケツを拭く覚悟があればついていくのも選択肢。


■そう簡単ではない

なにが正義でなにが悪かわからなくなるモチーフは物語に深みを与えるものです。
こちら二方面から迫っていて良かったですね。

:其の一 正義を標榜し残酷をなす
{netabare}十字軍なんかそうですけど、正義を掲げた時に人は最も残酷になりやすいとか。
ノーマンプランは薬を利用した民族浄化計画でした。
ラートリー弟は品種改良しての食用児大量生産/供給を企ててました。
なかなかの鬼畜の所業。対立する立場の双方えげつないことやってる描写はもちろん、随所で“正義を標榜する”セリフを両陣営に散りばめてました。筋を通してます。{/netabare}

:其の二 主従の逆転
{netabare}圧倒的な人<鬼の格差社会かと思ってたところへの貧しき鬼たちの登場はファインプレーでした。
農園を頂点としたヒエラルキーの存在。上位に位置する人間(ラートリー家のことね)もいれば、そんなとこからのわずかな供給にすがる貧しい鬼たちがいるという仕組み。そしてその仕組みを維持するために汲々とする既得権者としてのわずかな人間。
搾取する側に抵抗する民衆の構図って一歩間違えると赤に染まるわけですが、ここでは善悪の逆転、主従の逆転、そして価値の逆転を提示されて得た驚きを評価したく。{/netabare}

とってつけた“人間が悪い”はむしろ浅さが悪目立ちして逆効果になるところをそうならずに、ここだけはきちんと時間かけて描いてたと思います。


■いやこれ異世界っしょ?

{netabare}同じ地球上で全く異なる価値観をもった世界(文化圏)が棲み分けできてるって…ありえないよね(笑)
最終話のネタバレになるのでさらに閉じます↓
{netabare}現代の超高層ビルが立ち並ぶ人間の世界{/netabare}

大航海時代とかやるメンタリティを持つ欧米列強だったり、版図拡大に余念のないCHINAが鬼の世界をほっとくわけないです。軍事格差すなわち力の不均衡が生じた時に軍事衝突起こるもので、こちら人間を捕食する危険な生命体をほっとく理由がありません。つい数年前の協定を破る同じ生命体が近くにいるくらいなのに1000年前の約束?なんて律義に守ったりはしませんよ。ただしそこにツッコミ入れるのは本意ではありません。{/netabare}

{netabare}エマらの人間世界への憧憬に楔を入れるラートリーが吐き捨てたひと言。

「だって人間同士で残酷なことやってきたんだぜ?」

そこから間もなく場面が現代に飛んだところが示唆に富むメッセージだったんじゃないでしょうか。
火が垂れると書いてホタルと読む某映画の演出同様、なんか問いかけてないかなー?って思うのです。
ま、繰り返しになりますけど、そうだと説明する箇所がほぼないのが玉に瑕です。いやここまで挙げてきたあれやこれやも説明ないですからね。いち視聴者の妄想の域を出てないとご承知おきください。{/netabare}



さて実写版が公開されます。演じるは現在二十歳の女優さん。大人の事情は考慮するにせよ現実問題として演じられるローティーンの役者を揃えるのは不可能です。
そんなえげつない制約はアニメはないはずでして尺がないならないでなんとかやりようはあったでしょう。これしっかり拾ってたらというのはもちろんありますが、足りない尺での取捨選択においてギリ伝わってくるものがあったので私は良しとします。



■最後にもう一点

インド洋に北センチネル島っちゅう、上陸を試みるとそこの部族に殺されちゃう島があります。近接するインド含め現在この島はノータッチ状態になってます。もちろんかの部族も外には出てこない。この物語もそんな感じと思えばいいのかしら。

{netabare}たしかちょい前にアメリカの宣教師がここに渡って消息を絶ちまして、渡航理由聞かれて「ここはサタンの最後の砦」と答えたそう。
この感覚を多くの日本人には理解しづらい。ほっときゃいいじゃんとつい思ってしまいます。

作品に戻って、鬼が人を食わなくてもよいように数年現地に残って奮闘したエマたちって、みかたを変えれば史実のピサロ/コルテスみたいなコンキスタドレスと変わらんし、いくらしんどかろうがラートリー家は秩序を保つ役割を果たしていたわけでして、どうにもこうにも立ち位置の違いで異なる正義の落としどころって答えがないのよね。といつもながら思ってしまうのです。{/netabare}



視聴時期:2021年1月~3月 リアタイ視聴

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2021.04.03 初稿
2022.01.30 タイトル修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 49
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

期待通りではないが、叩くほどでもない

原作とは話が違うようで。
原作大好きな人からは批判あびがち。
確かに原作中の重要人物をカットしているけれども、ifストーリーとして見るとそこまで叩くものでもないかと。
期待しすぎていたからかノイタミナで話数が少なく、物足りない。
一応、完結させているのは良いんじゃないかな。

大筋を合わせた感じはする。でも、別物かな。
{netabare}鬼は絶滅させたくない。鬼は人を食べて人型になり、知能を保っているが、ムジカとムジカの血を飲んだ鬼は問題ない。あとはイザベラが裏切って守る側につくところ。{/netabare}


OP
アイデンティティ 秋山黄色
ED
魔法 Myuk


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
EPISODE1
ハウスからの脱獄に成功し、ノーマンが残してくれたペンが示した目的地へ向かうエマたち。しかし、その道中で巨大な野良鬼に遭遇してしまう。レイは野良鬼を自分に引き付け罠にかける為、エマ達とは別行動をすることになるが、さらなる窮地へ陥ってしまう。一方、野良鬼から逃れたエマたちだったが、エマの耳の傷が開いてしまい、出血と高熱から意識を失ってしまう。一同の危機を救ったのは、全身を布で包んだ人間らしき謎の少女と大男?だった。

EPISODE2
エマたちを救ったのは鬼だった。名前は「ムジカ」と「ソンジュ」。二人は宗教上の理由から、人間を食べないのだという。エマとレイは、他の子供たちが眠っている間にソンジュの元を訪れ、30年前人間に何があったのか。この世界が今どうなっているのかをソンジュに訊ねた。そしてソンジュはこの世界のこと、そして「昔話」と称し、鬼と人間の世界で交わされたとある「約束」について語り始めた。そして、この世界の真相を知ったエマたちは「鬼の世界」からの脱獄を決意する。

EPISODE3
この世界で生きていく術を学び、ペンが示す目的地への道案内をしてくれたムジカ、ソンジュと別れたエマたちは、ウィリアム・ミネルヴァが居ると思われる「B06-32」を目指し荒野を進む。目的地であるはずの「B06-32」に到着するが、そこは見渡す限り何もない荒野だった。しかし、ペンに新たにパスワードを入力すると、現在地周辺の地図が表示され地下シェルターへと続く入り口が現れた。シェルター内には充実した設備があり、子どもたちは、久しぶりの安息を得るが、生活していく中で、いくつか不思議な点に遭遇する。

EPISODE4
唐突に鳴り響く電話の音。エマは恐る恐る受話器を取ると、それはウィリアム・ミネルヴァからの連絡だった。しかし、その音声は録音されたもので、ミネルヴァから告げられた事実を噛みしめる一同。子供たちは人間の世界を目指すため、ミネルヴァが用意してくれたシェルターで生活基盤を築き、その後GFハウスに戻り、フィル達を救出する計画を立てるのだった。一方、農園本部の地下室には、イザベラの姿があった。脱走者を全員連れ戻すことを条件に、農園からの開放を提案された彼女は、決意の表情とともに、「必ず連れ戻します。」と答える。

EPISODE5
シェルターの襲撃から逃れたエマ達は、鬼の集落から少し離れた廃墟の神殿を拠点としていた。しかし、シェルターやGFハウスの時とは違い食料も限られ、生きていくのがやっとの状態だった。エマは妹弟たちの寝顔をみながら、この状況を打開しなければいけないと思いつつも、その方法が見つからず責任を感じてしまう。そんな中、エマたちと一緒に食料調達へ行っていたトーマとラニオンは、帰り道、鬼の集落で人間だと発覚してしまう。

特別編「道標」
エマとレイの目の前に現れた、出荷されたはずのノーマン。ノーマンが残してくれたプランによって、グレイス=フィールドハウスから脱出できたこと、そして脱出後、今に至るまで何があったのかを、エマとレイは語り始める。

EPISODE6
エマとレイの目の前には、出荷されたはずのノーマンがいた。もう叶わないと思っていた再会に涙し、ノーマンに抱き着くエマたち。神殿に戻り、他の子供たちとも念願の再会を噛みしめる。その後、ノーマンは出荷の日からこれまでに、何があったのか語りだす。自分が移送された「ラムダ7214」のことや、そこで知った「なぜ鬼が人間を食べる必要があるのか」その真実を。そして、エマの望んだ「食用児が笑って暮らせる未来」を作る為、ノーマンは、鬼を絶滅させ、鬼の世界で食用児が安全に暮らせる世界を作る、と伝える。その作戦を聞き喜ぶ子供たちの中で、エマだけは浮かない顔を見せる。

EPISODE7
ノーマンから「邪血の少女」である、ムジカの伝承を聞いたエマとレイ。ムジカの持つ力に驚きつつ、エマはその力に希望を抱く。しかし、ノーマンは自分の作戦に対する危険要素であると考え、ムジカとソンジュを殺すという。エマは、「鬼たちを滅ぼしたくない」と、ノーマンに告げるが、ノーマンも引かず、淡々とエマを説得する。完全に対立してしまった二人だったが、エマは、ノーマンにある取引を提案する。

EPISODE8
発作により血を吐くノーマン。ノーマンがラムダで実験をされていないというのは嘘だった。ノーマンは自分に残された時間の中で、生きてエマ達と再会し、エマ達が安心して暮らせる世界を作ることを望み、戦っていた。一方で、エマ、レイ、ドン、ギルダの4人は、ムジカとソンジュと再会を果たし、二人に助けを求めるが、突如爆発音が聞こえる。ノーマンの作戦が実行されたと考えたエマ達は、集落へ急ぐ。

EPISODE9
エマたちの帰りを待たずして、作戦を実行したノーマン。ヴィルクとその孫鬼を殺すことを躊躇している中、ノーマンの前にエマとレイ、そしてソンジュが現れた。ノーマンは、「作戦は実行され、もう手遅れだ」と告げる。エマは、今からでも絶滅を止めるようノーマンを説得するが、ノーマンはエマの言葉を聞き入れない。そんなノーマンにエマは、彼の本心を見透かすように声をかける。一方、農園本部では子供たちがシェルターの無線を使い、農園の定時連絡を傍受していると気づいたイザベラは、GFハウスの食用児全員を出荷するという情報を流す。

EPISODE10
気球を使い、上空から農園に侵入する作戦を漏らすヴィンセント。その報告をうけピーターも農園の警備を変更、来たる脱走者たちの侵入に備える。しかし、ヴィンセントの裏切りもエマたちの作戦の一つで、気球を陽動につかい、農園への侵入作戦を開始する。一方ハウスでは食用児たちの出荷作業が進み、フィルは既に門へ到着していた。そこへジェミマが現れ、エマの伝言を受け取る。エマはハウスの子どもたちに合図を送り、シスターから子どもたちを引き離すことに成功。ハウスの子どもたちと合流し、みんなで人間の世界へ通ずるエレベータに乗り込むが、グランマとなったイザベラ率いる武装した大勢のシスターとピーターに行く手を阻まれる。

EPISODE11
ピーター・ラートリーは、ラートリー家の前当主である兄ジェイムズを幼い頃から尊敬していた。しかし、約束を守ることが一族の使命であると信じるピーターは、ジェイムズが、「ウィリアム・ミネルヴァ」と名乗り、食用児を救うための支援者となった事が理解できず、兄を犠牲にしてでも、世界の秩序を保つ道を選んだ。自分の運命を悟ったピーターは、「自由になろう」と彼に手を差し伸べるエマに穏やかな表情を向け、自ら命を絶った。そして、遂に人間の世界へ繋がる門に到着した一行は、ミネルヴァのペンを使い、その扉を開け先へ進んで行く。しかし、エマ、ノーマン、レイ、シスロ、バーバラ、ザジは鬼の世界に残り、全食用児の救出を目指すのであった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

なんだか切ない。。大人の都合で成り立つ世界 

 
塀の外はどんな場所なのか・・こんな大勢の子供達を抱えてどうなるのか・・この世界はいったいどんな成り立ちなのか・・

1期終了後、気になって仕方がなかったのはこれらでした。
評判はイマイチっぽい印象ですが、果たして・・・

 原作:週刊少年ジャンプの漫画
 制作:CloverWorks
  ダリフラ、青ブタ、FGO・・
  A-1系列。さすがです。
 放送:フジのノイタミナ枠
    第1期 2019年1-3月(全13話)
    第2期 2021年1-3月(全11話)
 視聴:2021年4月(Amazonプライム)

へー、なんか、雰囲気は好きです。
間もいい。会話やシーンを詰め込もうとする余り、演出や会話を感じ取って余韻を楽しむ時間を削られる作品も多い中、作中の人物の想いや世界の雰囲気を感じる「間」を有難く感じました。
またEDがいい。絵が写実的でありながら曲と溶け合っててとてもエモい。

■キャラ/キャスト
キャラの声が良かった(演技は言うに及ばず)。
~{netabare}
 エマ  :諸星すみれ
 ギルダ :Lynn
 アンナ :かやのん
 レイ  :伊瀬茉莉也
 ムジカ :種﨑敦美
 ノーマン:内田真礼
 ナット :石上静香

子供キャラが多いせいか男役の女性声優が多かったですねえ。
子供だからってこうまでいつもいつも笑顔でいられるか・・
なんてふと、そんな想いも湧き出てもきますが悲愴感オンリーよりいいアクセントなのかもな、とも思ったり。
{/netabare}~

■ストーリー
今回ツッコミたかったのは・・
~{netabare}
第4話・・追ってきた人間に捕まるも、都合よく野良鬼が出て来て敵だけを食い、銃が効かなかった鬼に弓矢1本がたまたま当たって撃退。。一人も欠けないって、たまたま過ぎるっしょやw
あと例のペン・・どんだけ電池が持つんだらうw

第6話「道標」・・いるの?それとも万策尽きたの?
この回自体は悪くはないけど、そのせいで終盤駆け込みになり過ぎたとしたら、惜しい、惜しすぎる。。いい作品だけに。

脱獄モノはその後はどうしてもテンション下がりますよね。そこは予想していたので残念感はあまりなく、それなりに楽しめたと思います。

でも、次期の可能性を消すような形での無理やり感満載の終劇・・
モヤモヤ感ない終わり方は好きだけどこれじゃ劇場版やるとしても外伝ぽくなるじゃん・・鬼滅みたいに、ちゃんと順を追って丁寧に世に出して欲しかったよフジテレビさん。。
(まさか資本どころか社内が既に外資に乗っ取られてないですよね)

原作未読ですが、アニメを観終わっただけでの感想は・・
塀の外の世界はソマリの世界じゃんってこと。
「ソマリと森の神様」に人間を飼育する農園の設定を追加したインスパイヤ・・といった印象になってしまいました。
(そういえば知性ある敵との共存みたいなテーマはダンまちⅢとも似てますね)

<参考:原作発表時期>
 ソマリと森の神様 :2015年~
 約束のネバーランド:2016年~

企画陣は脱獄編だけがアニメ化に耐え得ると考えたのでしょうか。。
確かにこれだけでも物語としてまとまっているとは思いますが。。
{/netabare}~

せめて・・

~{netabare}
 続きあるかもね?的な終わり方の方が、原作組の怒りを買わなかったかも知れませんぜ。。

 もったいない。。
{/netabare}~

でも・・

 生死の危険を考えず生活できる世の中。。
 それは人類が求めてきた社会。
 今では当たり前なもの。
 でもそれは、たまたま得られるものではない。
 そんな先人の悲願に想いを馳せるのもいいかも知れません。

機会があれば原作を読んでみたいですね。全20巻ならいけそうかな。
 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28

71.6 4 脱出で友情なアニメランキング4位
NO.6 ナンバーシックス(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (1082)
5991人が棚に入れました
2013年、理想都市『NO.6』に住む紫苑は、9月7日が12回目の誕生日であった。だが、その日は同時に彼の運命を変える日でもあった。ふとしたことから、『矯正施設』から抜け出してきた謎の少年、ネズミと出会う。彼を介抱してあげた紫苑だが、それが治安局にばれてしまい、NO.6の高級住宅街『クロノス』から『ロストタウン』へと追いやられてしまう。それから4年、謎の事件をきっかけに彼は様々な事件に巻き込まれ、いろいろな人々と出会う。そして、理想都市が成り立っている裏側にある現実・『理想都市 NO.6』の隠された本質と意図を知っていく・・・。

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

理想郷のような都市の、真の姿と闇に立ち向かう少年たち。

「バッテリー」で有名な
あさのさつこさんの小説を原作とするアニメ。

「NO.6」は児童文学の中でも
青年前期の子どもを対象とした小説だったと思います。

なぜこんなことを覚えているのかと言うと、
中学生の頃「バッテリー」にドハマリし、
あさのあつこさんの小説を読み漁っていたからですw

当時の私は「バッテリー」のような
爽やかな純文学をよく読んでいたので、

この「NO.6」を初めて読んだときは
スリル満点で刺激が強い作風に、もう大興奮でした。

さらに中学校の図書館司書の先生に誘われ、
あさのあつこさんと直接会って話せる機会もいただき!

緊張と口下手さゆえ、
この作品をいかに好きかということをきちんと伝えられなかったこと、
今でも悔やんでいますww


さて、そんな思い出があるもので、
このアニメを見るのは正直かなりためらいました。

小説を読んで傑作だと思った当時の想いを大事にしたくて。
自分が読んで感じた世界観を大事にしていたくて…。

今でも覚えているあの時の興奮や、
なんとなく抱えている登場人物たちの像を
壊してしまうことになるのではないか…。

そんな不安があったからです。

結論としては、
見て後悔はありませんでした。

もちろん、初めはキャラデザに違和感ありありでしたけど。
印象的だと思っていたシーンもあっさりで拍子抜けでしたけど。

だけど、久しぶりにストーリーに触れて
あの時感じた面白さは本物だったと確信が持てましたし、

やっぱりこの作品が好きだな、と改めて思えました。

原作より簡略化されている印象だったので、
今度原作も読んでみよう♪
(中学卒業後は本から離れてしまったため、
 この原作も読むのを途中でやめてしまっていたので…^^;)


前置きが長くてすみません^^;

全11話です。


● ストーリー
NO.6(ナンバーシックス)と呼ばれる近未来都市。

都市の英才教育を受け、何不自由ない生活を送ってきた紫苑(しおん)。
しかし、そんな生活にどこか満たされない気持ちも持っていた。

ある嵐の夜、
犯罪者として追われていたネズミと名乗る少年を部屋にかくまう。

その出会いが、
自分に足りない何かを満たしてくれた気がした。

そして数年後、
紫苑はネズミと再会を果たす。

この都市の謎、迫る恐怖に対する真実を求めて
ネズミと共に歩む道を選ぶ。


小説全9巻に対して、11話と話数が短いので、
きちんと終わりを迎えられるのか、とても不安に思っていましたが、

11話できれいに収まっていました。
もちろん、省略されているエピソードもたくさんありますが。

それでも十分面白かったと思います♪
引き込まれたし、続きが気になって仕方がありませんでした。

毎回、EDの曲を使った引きも上手だったしなー。


≪ 友情を越えた感情 ≫

あさのあつこさんの小説は、
男の子2人が主人公な作品が多い気がします。

この「NO.6」もそうです。
紫苑とネズミ。

みんなが幸せに暮らせる理想論を大真面目に語り、
ネズミと分かり合いたいと願う紫苑と、

現実の厳しさと理想論だけでは生きていけないことを知っているが、
紫苑という人物に惹かれてしまうネズミ。

天然で素直な紫苑と、
紫苑を大切に想う気持ちを認めたくないツンデレなネズミw

あさのあつこさんは
ただ単に男の子の友情が好きなだけかもしれませんが、

私はいつもBLな空気を感じ取ってしまうんだよなー。笑

今回も友情を越え、親友を越え、
さらなる強い絆を感じました。笑

とても自然に世界観に取り込まれているので、
違和感はないのですけどね。

むしろ、
2人の強い絆を強く感じられるのですけどね。


≪ NO.6という都市 ≫

NO.6は徹底した管理社会。

少しでもNO.6に対して忠誠がない思われる存在は、
処分の対象となる。

一見あらゆることに満たされているような生活だけど、
裏では精神的な束縛がある。そんな社会です。

日本もいつかこんな社会になってしまうかも…と
ゾッとするようなところがあります。

原作の1巻が刊行されたのは15年ほど前ですが、
その時から日本の社会情勢も変化しています。

例えば共謀罪法案。
例えば道徳の教科化。

「ここにはこんな恐怖が…。」という話を聞きますが、
結局私には難しいことはよくわかりません^^;

だけど、考えることをやめ、政治への関心がなくなり、
何でも思うようにさせていると、

気が付いた時にはNO.6のような社会になっているかもしれないな、
という恐怖は感じました。


● キャラクター
原作を読んだとき、
私はキャラクターに強く惹かれました。

それは恋とか、ときめきとか、
そういう惹かれ方ではなく。

紫苑には柔らかさの中の強さ、
ネズミには影の中の信念と優しさ。

それは、アニメの中でも感じることができました。
そしてやっぱり、2人に惹かれました。

紫苑(cv.梶裕貴)とネズミ(cv.細谷佳正)というキャストもよかった♪

ネズミの歌声、
とてもよかったわー♪


● 音楽
【 OP「Spell」/ LAMA 】

嫌いではないけれど、
特別好きでもありません。笑

作品の世界観には合っているかな。


【 ED「六等星の夜」/ Aimer 】

私はこちらの方が好きでした♪

毎話、切ない終わり方が多かったので、
その切なさをより引き立てていた曲だと感じました。


● まとめ
やっぱりストーリーが面白いなと再確認。

アニメだと展開がさくさく進むので、
むしろ見やすくてよかったかも♪

最終話を観終わった後は、
なんともいえない余韻でいっぱいでした。

いい作品だったとは思う。
だけど物足りないもどかしさもある。

その物足りなさは、もっともっと、
最終話で感じた余韻に浸っていたかったからかもしれない。

後日談があればよかったのになー、と思っていたら、
どうやら後日談はアニメ化の後に刊行されていたのですね。

気になります!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

外部から内容を補完しないと感動できないって・・・(>o<")

■NO.6ってどんなアニメ(*゚・゚)ンッ?
「NO.6」ってなんの事だろう・・・っと思いつつ見始めました!
ジャンル的には近未来SFという事でしたね♪
そして背景はというと、世界が荒廃した後に、人類は6つの理想都市でやむなく生活することになったのです。
そんな6番目の都市「NO.6」では住民を完全管理して住民に安全で不自由のない生活を与える反面、少しでも疑問を持った住民に対しては非人道的な処置を行うような裏の顔を持った都市でもあったのです。
そんな管理社会に疑問をもったNO.6の外に住む住民とNO.6の治安局との対立と、殺人蜂の事件から愛するものを守るために立ち向かう主人公のシオンと、NO.6に憎悪の念を向けるネズミという少年との出会いからお互いに変化する心情を描いた壮大な世界観の物語なのです♪
 
 
■前半までみた感想なのですよ(*^o^*)
1話はプロローグって感じなので、2話でいきなり4年後のお話になっちゃうので本格的な本編はここからですね(>o<")
なので、1話で切ってしまうというのはやめたほうが良いような気がします♪
 
印象的には近未来SFという事で、設定自体はありふれている感じですよね♪
なので、力で押さえつける社会に立ち向かう構図に「またかっ!」って思う人もいるかもしれませんけど、アタシσ(゚-^*)は嫌いじゃないですし、ベタとも言う設定の中でどれだけの個性を表現できるかに注目していきたいと思っています♪
 
そしてこの作品でよく耳にする「BL」やら「ホモ」についてはまったく当てはまらないと思います!
もともとアタシσ(゚-^*)自身が「BL」苦手なので、この作品を後回しにしていた原因だったのですけど、いざ見始めたら何てことはありませんでしたよ♪
シオンとネズミの出会いが、お互い自分では今まで気付いてなかったけど、心の奥底で求めている物を持ってると感じたから惹かれあって、それが「性的な愛」ではなくって「家族愛」的な感情だったのではないかと思いました。
なのでそんな愛を表現した描写がちょっとそれっぽく感じられるのかもしれませんけどね♪
*** 追記 start ***
って思ったのですけど・・・最終回を観て前言撤回です♪
キスシーンの手の添え方は・・・ゾクッと鳥肌が・・・私的にアウトー!!でしたΣ( ̄ロ ̄lll)
*** 追記 end ***
 
とにかく、ちょっとダークで壮大な世界観と、その中で自らの運命に抗うように行動を起こすシオン達の心理描写が丁寧に描かれている印象なので、後半に向けての展開にも大いに期待が持てますね♪
 
ネズミが「シェイクルピア」の『マクベス』が好きだっていう設定もちょこっと注目してみたいです♪
宿命の名の下に自らの野心と罪を正当化して、責任を免れようとしたマクベスの弱さから、自ら悲劇を招いたような内容の物語なので、ネズミがどのように感じて好きになったのかも何気なく注目していこうと思ってます♪
 
後半に向けて、殺人蜂の謎が何なのか、サフちゃんはどうなるのか、そしてシオンとネズミの関係は今後どのような方向に向かっていくのか、見所が多いだけに楽しみですね♪
 
 
■総評(最終回を観終えて♪)
作品としても・・・物語としても・・・残念な結末になっちゃいまいたね(>o<")
全体的に感じた印象は自ら課した壮大な世界観や設定を生かしきれずに終わってしまった感じです!
そもそも、1クールで纏められる内容ではなかったって事でしょうね。
特に最終回を見終わって、(゚Д゚) ハア??って思ったので、色々内容を見直し補完した上でもう一度最終回を見直しました∑(; ̄□ ̄A アセアセ
その上で、パチッ☆-(^ー'*)bナルホドそういうことかって、やっとジーンと感じることができました!
 
この作品の肝でもある、『ネズミ』と『森の民』と『エクステリア』と『NO.6』の関係や、と『サフちゃん』と『エクステリア』の間で結ばれた約束など・・・その他たくさんの大切な部分の描写がごっそり抜けているような気がします!!
それと、シオンとネズミの関係も、最後の結末に行き着くまでのプロセスでそんなに力をいれて描く必要があったのかも疑問です、微BL臭と言う中途半端な描写をするならもっとクローズアップするところがあるでしょって“(`(エ)´)ノ彡☆ プンプン!!しちゃいました!!
途中まではよかっただけに・・・あぁ~もったいないって印象です♪
 
それと、原作は読んでないですけど、おそらくこの作品は原作小説で楽しむべきなんだと悟っちゃいましたw
原作小説を読んだことのある人のレビューを読んでみたいですね(>o<")
 
 
■MUSIC
OP曲『Spell』
 歌:LAMA
 ナンバーガール・SUPERCARを知ってる人には嬉しい曲ですね。
 シンセの音色が心地よいオルタナ・ロックでこの曲を聴いてNO.6を観る決意をしましたw
 
ED曲『六等星の夜』
 歌:Aimer
 Aimerさんって1st singleがこの曲だったのですね♪
 ちょっとハスキーなボイスが切なさを感じさせるしっとりしたナンバーです♪
 
2011.09.04・第一の手記
2011.09.17・第二の手記(追記:総評/MUSIC)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 61
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

目に映るものは記号に過ぎず、それだけではその真意まではわからない。

長い時間をかけて行われた戦争による被害と損失は大きかった。残った大地は六つに分けられ、初めから立て直された。
その一つである「NO.6」。
そこは徹底された管理社会を築かれ、思想が制限された「平和」のはびこる理想的な秩序正しき街だった。
その街で突然人が変死する事件が相次ぐ。しかし、その事件はまったく世間に公表されない。
数日前にその変死体を発見したシオンはそのことを疑問に思い仕事の先輩に口にする。
なぜだろうと。もしかしたら治安局には公表できないような何かがあるのかと。
その疑問に端を発し、シオンの身の回りは急変する。
揺らいだ忠誠を追われ、ネズミという少年に再会する。
今まで身を委ねてきた社会に良からぬ影を見たシオンは、この社会に一体何を見るのでしょうか。

こういうの大好きです。ディストピア。
この作品は低評価を受けています。僕はとっても面白かったのですが。

この作品の主人公はシオン。
彼は芯が通っていて自分の弱いところも認められる柔軟な思考をしていてる。
とても頭が良いけれど、どこか抜けていてそれで損をしているような人。
けれど、その利害に囚われない性格はある種、人を落ち着かせてあげられるような温かい精神の持ち主とも言えます。
そんなシオンが好きです。とっても良いです。力を貸してあげたくなる感じがいいのかな。サフは良い人を選びました。

そのシオンとネズミの友情は形容し難く、でも決して同性愛ではありません。
言うならば、信用の基に成り立った愛だと僕は思いました。その根底には互いの尊敬があるのでしょう。
それに、そんなにBL、BL言うほど気になるものでもないし、性的な感じは一切ありませんでした。
まあ確かにやり過ぎた描写ではあるけれど、どういった意味なのか見定める必要はあるし、
過剰に反応するよりかはふーんと見逃して、話の方に集中する方が良いと思います。作品自体は面白いのだから!
そこに流されて作品が伝えようとしているものを受け取らず、映ったままを間違った意味として
理解してしまうと作品を自分でダメにしてしまうことも少なくありません。BL作品ではないことは確かです。
まあ読んだことないからそれがどういうものかもわかりませんが。
話は反れるけど『マリみて』が百合というのも、百合好きな僕なのだけれど理解できません。
その辺は見解の相違ですね(大蛇丸風にw)。


ストーリーも凝っていて非常に見ごたえのある作品でした。
特に人間の描写はとても上手でした。彼らの話す会話の内容も、また行動も興味深く観ていて面白かったです。
完璧に整備された「綺麗な」街がだんだんと奇妙に見えてくる感じはとても好き。サフがベンチで疑問を持ったシーンは特に良かったです。

なにかに疑問を持つ。なんにでも「うんうん」頷いてちゃいけない。
「正しさ」は曖昧で、「正義」は捨てるほどに掲げられる。
そこに全ての意識を預けてはいけないし、奪われてもいけない。
目に映るものは単にそれであるだけ。
限りなく知ることだけが真実に近づける(もちろん真実というのはひとつではない)。

{netabare}

ラストは確かにちょっとアレでした。
確かに訳のわからない力で無理やりにストーリーを追い進めたけど、その意味は分かるので
僕は問題なかったかなとも思います。というか、それまでの話は良かったのだし、
人々の描写、特にシオンとネズミに関しては描き切れていたので個人的には満足でした。
生き返っちゃうのは僕も、えーと愕然としましたが、終わり方が良かったのでまあいいんじゃないかな。

最期、シオンとネズミは別れてしまいました。
あれ歯がゆい!一緒にいてほしかったなあ。
別れる意味があったのかな?そのまんま一緒にいてもいい気がしたんだけど。
まあお話としてはその後の再会の日がきっと新たなNO.6の誕生なのでしょうね。
別れで終わっておきながら「再会」の尊さを僕は感じました。

作中ではたくさん人が死にました。
どうしてサフは死ななくてはならなかったのでしょう。生きていてほしかったです。
僕はとてもサフが好きでした。
自分でちゃんとものごとを考えて生きているとことか、シオンのことを切に想うところも好感が持てます。
それもサフは恋愛における人の行動を知りながらシオンのことが好きというのもなんだか不思議です。
サフがシオンに言った「私とセックスして。」というのも別にこれといって嫌な感じはなかったです。
なぜでしょう。なんかそういうのってありますよね。殺すにはあまりにみ惜しかった。


目に見えているものが全てではない。これに気付くのは難しいです。
それを見ている自分だって怪しいのだし。
でもその危険性は本当に計り知れないと思います。知らぬ間に騙され、どんどん蝕まれていく。

なにかに囚われず、身を委ねることなく、たとえ砂嵐の中でも自分の足で歩いていけるように努めていきたいものです。

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

74.9 5 脱出で友情なアニメランキング5位
終末のイゼッタ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (795)
3900人が棚に入れました
西暦1939年、帝国主義国家ゲルマニア帝国は突如隣国に侵攻を開始した。その戦火は一気に欧州全域へと拡がり、時代は大戦の渦に巻き込まれていく。そして1940年、ゲルマニアはその矛先を美しい水と緑に恵まれたアルプスの小国エイルシュタット公国に向けようとしていた。

声優・キャラクター
茜屋日海夏、早見沙織、内田彩、東山奈央、花澤香菜、諏訪部順一、高橋広樹、花江夏樹、KENN、細谷佳正、遊佐浩二、置鮎龍太郎、間島淳司、平川大輔、森川智之、山寺宏一
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

愛が恐れているのは、愛の破滅よりも、むしろ、愛の変化である。終末に咲き乱れる美しき死生観にこそ我々は魅了されるはずだった。

■Staff
{netabare}監督:藤森雅也(代表作品:トライブクルクル)
脚本・構成:吉野弘幸(代表作品:マクロスF、ソ・ラ・ノ・ヲ・ト、マギ他)
キャラクターデザイン:BUNBUN(原案)、山下祐
アニメ制作:亜細亜堂{/netabare}

■Cast
{netabare}イゼッタ:茜屋日海夏
フィーネ:早見沙織
ビアンカ:内田彩
ロッテ:東山奈央
エルヴィラ:花澤香菜
ジーク:高橋広樹
ハンス:KENN
トビアス:間島淳司
ヘルマン:置鮎龍太郎
ベルクマン:諏訪部順一
リッケルト:花江夏樹
バスラー:細谷佳正
オットー:山寺宏一
他{/netabare}

グロス請のイメージが強い亜細亜堂制作のWW2を背景とした「魔法+ミリタリー+美少女」のオリジナル作品です。

(設定関係)
軍事関係の設定考証は戦車雑誌で有名な月刊PANZERがクレジットされていましたので、まず間違いないでしょう。
本作の軍事設定詳細は下記の雑誌で特集されています。
興味のある方は御覧になるといいでしょう。
なお、同誌の記事はまとめサイトへも転載されているようです。
『PANZER 2016年11月号/PANZER Nov.2016』

12月22日最終稿
12月22日文字数オーバーの為更に6話、7話メモも削除編集
【総評】
{netabare}美学なき物語は道標を失い、WW2の世界観を使い熟すことなく軽薄なストーリーとなった残念作品。期待倒れでした。
※本作は期待が大きかったばかりに、リアルタイムでの感想で長文が多かったゆえレビュー文字数がとうとうオーバーとなりました。
本来は残したいのですが、遺憾ながら個人的に盛り上がっていた6話までの感想を削除いたします。{/netabare}
(1)作画
{netabare}秀逸な3DCGによる、兵器の精密描写と圧倒的な迫力は認めざるを得ません。
しかし、空母ドラッヘンフェルスを2Dとしたことから、3Dとの繋ぎに違和感を感じてしまったことは少々残念です。
それと、ゲール軍の鉄兜シュタールヘルムの作画はいただけません。
側面の折り込みが分からず、ノペーとした感じとなっていることと、光沢感が表現されていない点が残念です、仕上げがべた塗りではいけません。
8、9話で一部、キャラの崩れもありましたけど、難易度が高い戦闘描写の高クオリティを維持していたことは、評価に値しますし、ミリオタ視点からも十二分に納得がいくものです。{/netabare}
(2)声優
{netabare}声優さんは熱演されていました。概ね満足です。
特に、フィーネ役の早見さん、ゾフィー役の雨宮さんの演技は頭一つ突き抜けていました。
しかし、肝心のイゼッタ役の茜屋さんの感情表現には課題が残りました。
イゼッタは設定そのものにも問題があるので、声優さんが役に成りきるに当たり感情移入へのネックとなっていたのかもしれません。{/netabare}
(3)キャラ
{netabare}ここでは、各キャラの私見を交え物語を振り返ります。
各話でも記述をしている通り、主人公イゼッタの設定が致命的にチープなので、評価は辛めになります。
本作はイゼッタとフィーネに共感が出来ないと、物語として楽しむことは出来ません。
私は10話まで終始イゼッタへはイラつきました。
その理由は各話で述べている通りですので、イゼッタについてはここでは省略します。

次に準主役のフィーネです。
大公の崩御で指導者の地位につきましたが、指導者というものは私情より先に国家、国民がが優先されるものです。
しかし、フィーネの公私混同は国家指導者となっても改るところがなく、私が懸念したようにイゼッタとの友情を超越した愛情関係(以後、百合と表記)が本作のストーリーを歪めてしまったと思います。
百合路線で行くのなら、そう割り切ったキャラ設定や現実を揶揄しないようにファンタジックな世界観の設定が必要です。
いくら国名を架空設定としても、ゲールはドイツ、アトランタは米国、ブリタニアは英国、テルミドールはフランスとWW2の当事国であり実在する国家がモデルとなっているのは一目瞭然。
事実として少なく見積もっても全世界で5千万人以上の死傷者を出したWW2のリアル史実を世界観とした場合、巫山戯た百合とフィーネの愛情ゆえにイゼッタの歪んだ大義との取り合わせは、アニメのみならず文芸作品にも精通し目が肥えている層には当然不評乃至顰蹙を買う取り合わせです。
本作の場合、大義を貫く凛とした君主のフィーネを設定し、その姿に魅せられたイゼッタの成長物語と合わせ、祖母の言い付けを破るだけの信念をイゼッタが自らの意思で構築し、自発的にエイルへの愛国心や忠誠心を抱くに至ったのであれば自然なストーリーでした。
または、大公を崩御をさせず、責任の軽い王女のままの方がよりフィーネらしい役所となり、世間知らずの王女の戯言としてなら、多少の百合展開には目を瞑る事も出来ました。
イゼッタの設定と合わせ、フィーネの設定も稚拙であったことが、本作を救いようがないB級アニメにしてしまったことを、監督の藤森氏、脚本構成の吉野は特に反省をして頂きたいと思います。

ゲール側のキャラを必要以上に邪悪に設定したのもいけません。
設定の都合で、邪悪に描くのはゲールの指導者皇帝オットーだけで十分であり、SSを登場させ、そのキャラでもゲールの邪悪さを強調し、他国のキャラは真っ当に描くことで、相対的にゲールへの敵愾心を煽る手法は、ハリウッド製B級映画と同じ手法で感心いたしません。
戦争というものは、開戦動機の如何に関係なく、ゲールに限らずも交戦国全てを狂気にします。

オットーのモデルは紛れもなくヒトラーですけど、それを皇帝としたことで、特に海外ではヴィルヘルム2世とも解釈できる誤ったメッセージにもなっています。
そも、ゲールを帝政設定にした理由は何だったのでしょう?
帝政であれば、近隣諸国の王家には養子や婚姻で血縁親族が必ずいます。
野望だけで他の王制国家への侵略などは起こせません。
WW1までは欧州王室会議が欧州の安全保障に大きな役割を果たしていた歴史を研究すべきですし、ゲールの隣国であり、同じ言語圏(ドイツ語)であり、かつ、王室があるエイルと王室間の繋がりがないとする方が不自然です。
制作側は欧州王室のことを何も理解をしていないようなので、野望を抱いた軍事大国が小国を侵略する程度の稚拙さで、本作のような設定を考えたのでしょうけれど、その図式を成立させるのであれば、ゲールは11月革命を経た後の共和国として設定し、史実の通りオットーはVerfassung(全権委任法体制)を達成した擬似皇帝"Führer"とすべきです。

さて、ゲール側の人物描写ですが、不足や矛盾はありますけれど、ベルクマン、リッケルト、バスラーを掘り下げていたことは評価いたします。

リッケルトは貴族の家庭でなに不自由なく素直に育てられた国家エリートであり、ウブで女(の恐ろしさ)もよく知らない真面目な人物であり、本来汚れ役の特務に向いている資質ではないでしょう。
貴族の威光に依らず、自らの実力で国家に貢献すべく志願してエールに潜伏した折、あろうことか、エールの近衛指揮官ビアンカに一目惚れをしてしまいました。
この安直な設定を批判する向きもありますけど、私はビアンカとの恋は、無自覚で意図しないハニートラップだったのかとも思い、自分を納得させて、このエピソードを流しました。
総じてサブキャラの掘り下げが少ない中で、リッケルトとビビンカ双方を描きキャラを立てたこのエピソードに一定の評価をします。

最終回でバスラーがベルクマンの言い分に対し怒りに任せてワルサーの引き鉄を引きましたけど、バスラーはベルクマンの自己中心主義をどう思ったのでしょうね。
情けなくなってトドメを刺さなかったというところでしょうか。
戦局が極度に悪化したなか、バスラーがBf109で飛び立つシーンがありますけど、超展開戦史でV1、V2まで登場したのですから、ミリオタサービスも込めてMe262で彼に花を持たせても良かったのではないでしょうか。

ベルクマンに関しては「最終回」メモに記述をいたしましたので省略します。

エイルの近衛兵であるビアンカ、ルイーゼ、アデーレ、クリスタですけど、近衛部隊が全て女性編成というのは非現実的であり、かつ、この中でキャラが立ったのは、リッケルトととの束の間の恋と悲劇的な結末を描いたビアンカ程度で、他のキャラは百合要員にしか思えないような過大設定です。
近衛という大風呂敷よりも、シークレットサービスや、SPのようなフィーネの護衛官程度で設定べきだったでしょう。
それであれば、女性だけの設定でも不自然ではありません。

エルヴィラ・フリードマンですけど、折角花澤さんを起用しながら後半は殆ど空気となっていました。
フィーネが指導者としての自覚が足りない部分をエルヴィラがフォローするなり、フィーネが国政を顧みず百合を満喫できる為の環境要員として、活用すべきだったと思います。

ジークハルト・ミュラー、白き魔女ゾフィーを死に追いやった家系の末裔。
最後はイゼッタの秘密を守る為に射殺した自国の兵士ヨナスと出合い頭のゲール兵が脳裏で重なり、油断した隙に射殺されますけど、ゾフィーに対して責任を取ったとも思えます。
国に殉じた彼の最後と国を裏切りなお生き延びているベルクマンの運命と対照的で、好印象を抱いたキャラの一人です。{/netabare}
(4)音楽
OP曲『cross the line』、ED曲『光ある場所へ』とも良曲です。
私事ですけどDLします。
{netabare}『エイルシュタット国歌』は疑問ですけど、『魔笛』他劇中曲はハイセンスです。
しかし、曲のセンスに物語が追いついていないのが残念です。
でき得れば『ゲール国歌』を原曲『皇帝讃歌』(ハイドン作曲)で聴きたかったものです。{/netabare}
(5)物語
{netabare}「終末」には様々な意味、解釈があるようですけど、本作の舞台ドイツ語圏から考えると、とってつけたようなこじつけかもしれません。
ストーリーから考えて素直にドイツ語タイトルの「最後の魔女イゼッタ」が本作のタイトルとして相応しかったと思います。
内容ですけど、百合と魔法と戦争群像の三兎を追った結果、物語の焦点がばらけて全てが中途半端に終わった感は否めません。
戦略でもそうですけど、焦点の拡散は各個撃破され敗北の道を歩みます。
妙に現実的な設定と百合を含めたファンタジーの接合が悪く、現実とファンタジーの振幅の激しさに多くの視聴者がついて行けなかったという印象です。
視聴者は雑多な福袋よりも一点豪華を求める傾向にありますので、このシナリオの失敗は如何ともしがたいでしょう。
また、1クールの尺であれば、WW2ではなく架空の地域紛争程度のコンパクトな世界観にするべきだったのではと思います。
なお、制作スタッフ(主として監督、脚本、設定制作)は当時の政治や世相の深淵を咀嚼せず、戦史中心でストーリーの時系列を組み立てています。
したがって、本作からは政治的なメッセージは得られません。
本作の詳細な問題点は各話メモに記述をしていますので、ここでは俯瞰的な意見のみとします。

物語本筋だけでしたら「2」が最大限の評価ですけど、本作は本筋以外に圧巻な3DCG戦闘シーンなど傍系の見所がありますので、下記のように項目を細分して評価をしています。
《物語評価の内訳》
・軍事考証4.5(史実に対し、兵器、軍装、軍事付属物のレイアウト設計、描写など主としてハード部分)
・戦史考証3.5(史実に対し、作戦のフローチャート、作戦の時系列的整合性、作戦の背景など主としてソフト部分)
・政治考証1.5(史実に対し、軍事作戦以外の政治、外交、インテリジェンスの設定など)
・物語の基軸2.0(物語独自の設定における脚本・シリーズ構成)
・演出、効果4.0
・Ave.3.1≒3.0{/netabare}
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【考察】「ドイツの核兵器について」
もう、本作のレビューを書く機会はありませんので、各話メモで未稿でした「ドイツの核兵器について」に触れたいと思います。※長文なので畳みます。
{netabare}現在、先端科学の中心地は米国ですけど、戦前、先端科学の中心はドイツでした。
これは、自然科学部門のノーベル賞受賞者を御覧頂いても、お分かりを頂けるかと思います。
ドイツの科学研究は19世紀後半に設立された「帝国物理工学研究所」から「カイザー・ヴィルヘルム研究所」、現在は「マックス・プランク物理学研究所」(現在は研究項目ごとに分立している)と変遷をしていますけど、国家を挙げて科学技術の育成に取り組んできた古い歴史があります。
なお、我が国の「理化学研究所(理研)」と「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の設立はほぼ同時期で、後身の「マックス・プランク研究所」と研究連携協定を結んでいます。
特に、戦前期の「カイザー・ヴィルヘルム物理学研究所」の所長にはM.スブランク(前期量子論の父)、A.アインシュタイン(相対論)、F.ハーバー(毒ガス化学兵器の父)、W.ハイゼンベルク(量子力学)など全てノーベル賞受賞者である、そうそうたるメンバーが就任しており、量子論を確立したN.ボーアなどドイツ人外の欧米の一流科学者の多くが本研究所で研究に携わるなど、世界最高の研究機関でした。
当時、戦前ドイツの科学技術はナチス時代で突然開花したものではなく、19世紀から国家を挙げて積み上げてきた成果です。

さて、ドイツにおいて核兵器の開発はどういう状況だったのでしょうか。
まず、核兵器には核分裂エネルギーを利用した「原子爆弾」(*1)と、熱核反応エネルギーを利用した「水素爆弾」(*2)があります。
※1核爆発の爆風には「マッハステム衝撃波」という特性があるが、これは原爆の放射熱で周囲の空気がプラズマ化し生じるもの。
『オカルティックナイン』11話でアヴェリーヌ(稜歌)は電磁波を用いたプラズマ爆発によるマッハステムを暗示しているものと思われる。
※2中性子爆弾は水爆に含まれる。
核分裂エネルギーを効率よく取り出す為には「連鎖核分裂反応」を生じさせる技術が必要です。
「連鎖核分裂」は「原発」でも用いられており、ゆっくりと反応させる制御をしているのが「原発」、制御せず一気に連鎖核分裂をさせるのが「原爆」です。
「核分裂」により、膨大なエネルギーが放出されることは「特殊相対論」で既に示されております。
世界初の核分裂実験は「カイザー・ヴィルヘルム研究所」でO.ハーンにより濃縮ウランを用いて成功しました。
(原爆に必要な「連鎖核分裂反応」は後のマンハッタン計画で成功します。)
O.ハーンによる実験成功の事実が、「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の実力を知り尽くしているアインシュタイン他米国亡命科学者の顎を外したのは、理学者の立場では容易に想像できますし、ナチスによる原爆開発の現実的な脅威と危機感から、ルーズベルトへの原爆開発の提言へと繋がります。
実際、アインシュタイン達の懸念通りドイツにおける核兵器開発は1939年「カイザー・ヴィルヘルム研究所」が中心となって開発に着手、プロジェクトのリーダーは戦中の所長であったハイゼンベルクが就任し、ハイゼンベルクはヒトラーの腹心で後の軍需大臣となるシュペーアに条件が整えば2年以内に兵器化可能と回答します。
しかし、種々陰謀論めいた怪しげな話も存在しますけど、技術的な可能性はあったものの、結果的には以下の理由で完成には至っていません。

1.ユダヤ人の大量追放と科学者の戦時召集で原爆開発に必要な科学者が手薄であったことから計画に遅延が生じた。

2.原爆開発方針を巡り、高濃縮ウランか天然ウランかで意見が割れ、結局、膨大なエネルギーを消費するU235の純度を高める高濃縮は取りやめ、ハイゼンベルクの重水炉案に則り天然ウランを用いることとなり、その為にドイツ国内では製造をされていない重水の確保が急務になった。
しかし、当のハイゼンベルクはこの決定で、兵器化にはウラン濃縮が必要で、重水炉は発電施設として考案したものであり、天然ウランでは小型化し、兵器としての原爆の実用化は困難と判断している。
※重水炉と旧共産圏で使用された黒鉛炉の燃料は天然ウランをそのまま用い、現代の原発の主流である軽水炉は高濃縮ウランを用いる。
なお、当時、高濃縮ウランの製造には膨大なコストがかかることを考えれば、天然ウランの使用もあながち非現実的とは言えない。
※天然ウランの成分の殆どは核分裂を起こさないU238で、核分裂を起こす同位体U235は天然ウランの中に僅か0.7%程度しか存在しない。
また、当時、天然ウランから核分裂物質のU235を抽出する最も効率が良い方法はサイクロトロン技術を応用したローレンツ力を利用する「電磁濃縮法(Y12P)」、ついで手間がかかる「ガス拡散法(K25P)」が主流だったがどちらも膨大な電力消費が課題であった。
マンハッタン計画ではウラン濃縮の為に専用発電所まで建設をしており、潤沢な資金に恵まれた米国以外は選択出来ない方式だろう。
我が国では、理研が「ガス拡散法」、京大が「遠心分離法」でウランの濃縮を試みているが成果が出る前に終戦となる。

3.英国でもドイツの核開発を知るところとなり、原爆の研究に着手をしているが、ドイツが重水を求める理由に二通りの解釈を持っていた。
※原爆の性能向上(小型化)と水爆の可能性
どちらも英国にとっては破滅的な脅威であり、重水製造プラントがあったノルウェーの工場を攻撃し、更に重水を積んだ運搬船を攻撃して沈めドイツ核開発の息の根を止めている。
なお、重水プラントの確保はドイツがノルウェーを占領した大きな理由でもある。

4.ヒトラーは原子物理学をユダヤの科学として忌避しており、原爆開発へは予算や人員などの政治的な支援が行われなかったこと。
結局、軍需大臣シュペーアは1944年2月、原爆は本戦争には間に合わないと判断し正式に開発を中止する。

5.ヒトラー、シュペーアの会談録でヒトラーは核開発について、ハイゼンベルクチーム以外にも研究を指示していると述べている。
これは国防軍のE.シューマングチームのことであるが、この詳細はシュペアーやハイゼンベルクにも知らされていなかった。
E.シューマングの研究については現在もなお不明な点が多く、物証もなく陰謀論的な憶測も多いが、特に以下の二点が注目されている。
★広島に投下された原爆と同様「ガンバレル型起爆装置の開発」
(マンハッタン計画では現代の原爆に採用されているプルトニウム爆縮型起爆装置の開発が主軸であり、世界初の原爆実験も爆縮型で、ガンバレル型起爆装置について米国は一切非公表としている。)
★重水素を用いた水爆理論構築。ただし、水爆を起爆する為には原爆級の膨大なエネルギーが必要であり、原爆の開発を断念したドイツでの完成は不可能。
なお、戦争末期、我が国に向かって出航した潜水艦U-234号は、ウラン鉱石の他「ガンバレル型起爆装置」の設計図も搭載されていたとする証言もあるが証拠はない。
なお、U-234号は大西洋上で米海軍に降伏したが、その際乗艦していた日本海軍士官2名は自決している。{/netabare}
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※第1話から第7話までのメモは文字数制限の為削除。

第8話メモ
{netabare}各論
今回は軍事考証の必要はないので物語のみ。
吉野氏はソラノオト気分で脚本を書いているのか、戦時と平日の区別すらついていないようだ。
それにしても、戦時下の防諜対策とはどういうものかがマトモに考証がなされていない酷い回だなコリャ。
古城→重要機密施設の警備体制にしては甘過ぎるし、近衛兵が女性だけという設定も含めて非現実的。
非現実的に加え、ゲールの特務リッケルトをビアンカ達が偶然に拾い、伏線なしで痴情展開を設定してカタルシスを押しつけるご都合主義にはいい加減辟易する。

まぁ現実と非現実のギャップはあってもいいが、その折り合いのつけ方が子供騙しで既に物語のチープ化は避けられない状況と思う。
この物語の課題点は5話、6話でも散々指摘をしたし、改善の意欲も感じられないので言葉を費やすだけ無駄だろう。

アトランタが都度登場しているが、この国が欧州情勢に関与する動機が描かれていないのは致命的なミスだ。
つまり、アトランタがゲールとエイル両国を排除する「国益」は脅威の排除などという上辺なものではないだろうし、また、その程度で軍を動員出来るほど史実の米国事情は単純ではない。

米国の正義は常に攻撃された被害者の事実から始まるのがお約束。
現に史実では被害者になるように我が国だけではなく、ドイツに対しても策謀していただろう。
なぜ、そうまでして欧州情勢に介入したいのか。
史実を追い、アトランタのドロドロとした野心を見せないと視聴者をジンテーゼに誘導出来ないだろう。
ストーリー構成に参加している戦争屋にとって史実の米英同盟関係は空気のように感じているのか、設定そのものすら考えていないかもだな。

ドイツのポーランド侵攻から大西洋憲章締結に至るまでの両国の外交史を全く調べていないのが見え透いているし、戦史には詳しくても背景の歴史に音痴だと本作のように薄っぺらい脚本になる。{/netabare}

第9話、第10話一括メモ
諸般の都合により第9話のレビュー時期を逃したので一括します。
{netabare}しかし、この作品のレビュー少々書き難くなった。
{netabare}理由は余りの物語の陳腐さに我慢しきれず7話視聴後に制作会社ヘメールを入れた訳です。
他にも似たような意見があったのか、誠意のある回答を頂いた。
端的に言えば「まあ観ていて下さい。期待は裏切りません。」とのこと。
なお、今後のネタバレについては一切返信には含まれていない。{/netabare}
いや、確かに9話でマトモな流れになったが、尺も詰まった段階では少々遅きに逸した感もする。

さて、本作を視聴して戦争を感じさせないとの意見もあるようだが、想像力を欠いているのではないか?
本作を好む層は概ね実写戦争映画や実戦記録フィルムを鑑賞している層も多いと思う。
イゼッタやゾフィーのチート能力で多くのゲール兵やロンデリアン(ロンドン)市民が死んでいることを黙殺出来るとは、平和ボケな我が国の一端を窺わせ、とても憂鬱な気分だ。
一度、実戦の記録フィルムでも鑑賞してみたらよかろう。

本作では『魔法少女育成計画』のように生々しく凄惨な殺人描写がされていないだけで、実質的に多くの戦死者が出ているし、実写記録フィルムと重ね合わせれば死者累々の悲惨な状況は想像出来る。
東京空襲やサイパン、硫黄島、沖縄の玉砕戦、ドレスデンやロンドン空襲などの実写記録フィルムをしっかり鑑賞するのがよかろうが、グロいから見たくないとか言いそうだな。
しかし、それが戦争というものの現実なのだ。

戦争に対して背を向けてきた教育の歪みも問題だが、死体が少ない戦争アニメだから見易いなどと宣えているから、今般、尖閣のみならず、九州でも我が国の領海に堂々と浸入してくるシナの脅威など微塵とも感じない有難い感覚なのだろう。
シナ空軍の挑発で沖縄上空のスクランブルも異常事態だし、命を削りながらも国防に勤しみ我が国の平和を守っている自衛官諸氏の苦労を少しは考えてみたことがあるのだろうか。

某フィギュアアニメを無条件で讃えている層にも言えることだが、戦争が身近に来ているかもしれない現実は逃避して、戦争の悲惨さを感じさでないと本作を讃えながら、シナの良いように国土を蹂躙されてから後悔をしても遅いのだがな。

ガルパンオヤジの怒りはこの程度にして、物語はどうなのかに移ろう。
8話でその存在を暗に知らしめる伏線の通り、9話で白き魔女のクローンゾフィーが登場し、イゼッタに対し圧倒的な力量差で打ち負かす。
この種はイゼッタが魔力を地理的条件に依存していることに対し、ゾフィーは魔石を利用して地理的条件に左右されず魔力を発揮出来る設定だ。

この設定は上手く考えたと思うが、ゾフィーの存在を匂わせたり、古城への浸入目的が魔石の取得であったのも今後に向けての伏線で必要な尺だったのだな。

あと、ゾフィーがクローン技術で生まれた設定に対する批判もあるようだが、遺伝子操作によるクローン技術の思想的な始点はナチスの優生学からであり、実際に「レーベンスボルン」という交配で人為的に優れたヒトを作る実験が行われている。
ユダヤ人絶滅収容所ではその為の基地外じみた実験に囚人が利用されてもおり、その意味では可能性の範囲で荒唐無稽な設定ではないと言える。

次に、10話で登場したV1であるが、これは時系列的に無理があるだろう。
寧ろV2の方が現実的だ。
なぜならば、V2の原型であるA型ミサイルは1940年には既に発射実験が行われている。
フォンブラウンで調べてみるといいだろう。
対し、パルスジェット搭載のV1の開発はバトルオブブリテンの終了後であり、今回の設定はどう考えても可笑しいだろうな。

まぁ戦史を完全に無視をしているのなら、大戦初期でタイガーやパンサー、Me262を登場させてもいい訳だが、大戦初期の定石通りに3号、4号戦車、Bf109を登場させているし、また、本作が戦史準拠である事はPANZER誌でも述べられている。

しかし、設定に細かくイチャモンをつけても「魔女」の設定が荒唐無稽なので目を瞑っているのも必要か。
それでも、あまり無茶な設定をすると全てで陳腐になるので、止めた方がいいのだがな。

8話でも記述したが、アトランタ(米国)がたかが一駐ブリタニア大使の一言で軍の動員を図ったとするのはご都合主義もいいところだ。
アトランタは現実に攻撃されないと軍は動員しないし、ゲールのような独裁国家とは違い、この国は動員が正義となる確固たる理由が必要な国だからな。
でも今回ゲールがロンデニオン攻撃に踏み切ったことで、アトランタ軍動員の正当化を図るのだろうな。
史実では、ロンドン空襲時点でも米国は対独戦線布告はしていないのだけど。

10話の作画だが、2Dの爆発シーン、MS406の墜落爆発シーン、MS406vsBf109の3D空戦シーンは圧巻だった。
航空機と戦車、火砲の作画(3D含む)はパーフェクトなのに、空母の作画に課題を残したのは惜しまれる。

また、捕られたイゼッタ救出の為に、エイルの陸軍部隊と近衛が突撃の準備をしているところ、絶対装備数が少ないMS406が地上部隊との連絡もなく唐突に出現したのは、よくあるご都合主義に思える。

シナリオに厚みを加えるなら、突撃→撃退後退→空軍支援→再突撃の尺を取るべきだろう。
特に名機関銃MG34(WW2最高傑作機関銃MG42の前モデル)の連射で、エイル兵がなぎ倒されるシーンが見たかったが。
この、イゼッタ救出は重大局面で見せ場なのだから、もっと救出に苦労をするよう工夫をするべきだった。

陳腐な設定を残したまま、物語は進んだが、もう本作では誰もハッピーエンドは期待していないだろうし、バッドエンドをどのように迎えるのか焦点はそこだろう。
10話でも十二分に分かることだが、ゲールは帝政に置き換えたナチスそのものだ。
皇帝オットーはヒトラーの置き換えと見た方がいいな。

海外評価サイトでは現実の国家にするべきだとの意見もあったが、もろにヒトラーを出すといろいろと面倒臭いことになるし、この設定は仕方がないだろう。
それと、何故か10話では不可侵条約を反故にし史実通りヴォルガ連邦(ソ連)侵攻を目論んでいるが、局面はヴォルガ連邦との戦いで何か変化があるのかな。
ゲールはゾフィーを使いこなせるのか?不安な一面を見せる描写もあったが、史実通りの予定調和やオレタタ終了は避けて欲しい。{/netabare}
もうクールも残り少ないし、11話は相当詰め込んでくるだろうな。

第11話メモ
{netabare}うーん、どこまでも御都合主義で物語を進めるのかな。
しかし、親衛隊(SS)を登場させてゲールの邪悪なイメージを増幅させ、相対的にエイルへの同情を誘う演出は稚拙過ぎる。

10話で伏線が張られたベルクマンの失脚の理由も暗喩を含めて説明不足である。
一般に重大な国家機密を握っている人物を何かの理由でパージするのなら、国内に軟禁して行動の自由を制限するのではなかろうか?
したがって、寝返る必然性を含めて今話の展開は首を傾げたくなる内容だし、更に輪をかけて核兵器もどきとV2のセットか…

ベルクマンが寝返るにしても、これだけの超兵器を取引に使えば、エイルを降伏させる流れの方が自然だろうな。エイルから情報に見合う膨大な金と身の安全の絶対的な保証でも取らぬ限り。
常識で考えれば裏切り者は裏切った国のみならず、国を売った事実だけで保護国でも信用はされない。
場合によっては保護国側が取引の材料に使うだろうけど、安直に信用して行動の自由を許すなどエイルは子供が運営している国なのか?
ベルクマンをゲールに手渡してはならないだろう。

魔石の持つ裏の現実を突きつけてもイゼッタには全く感情移入をしない。
寧ろ、フェーネの危機に都合良く間に合わせる御都合主義には辟易してきた。
本作のキャラの誰にも感情移入が起こらないのは、ゴルゴ13ほどのシビアさは求めないが、現実とファンタジーの接合が悪い上に振幅が激しいことと、間の悪い百合描写と御都合主義の展開が余りにも多いことに尽きるな。
国家の命運を背負った会議に向かうシーンが、フィーネの緊張感ではなく百合なら誰でも呆れるぞ。

もう、子供なら喜びそうな話にまで劣化してしまったな。

イゼッタの出撃シーンは特攻に飛び立つような雰囲気だが、緊張感も悲壮感も中途半端で全く共感しないな。
イゼッタへ感情移入が起こらないのはストーリーの拙劣さもだが、茜屋さんの演技力にも問題がある。

イゼッタのおっぱいアップのカットはサービスとして捉えておこう。{/netabare}

【最終回】
{netabare}結論から述べる。
最終回も残念賞。
粗を探せば多々あるが、しかし、広げた風呂敷の回収はしっかり成就させている点は認める。
そこに至るプロセスや、設定の甘さは除き、イゼッタは平和への対価としての犠牲とさせたが、あくまで救われない形で幕を引くということは、イゼッタの死か消滅であることを意味する。
戦争という苛酷な現実を世界観に設定したのであれば、一つの使命を果たしたイゼッタの殉死こそ世界観に見合った彼女の最後だろう。
ゲールという国家の滅亡とイゼッタの命の取り引きで物語は醍醐味あるバランスは取れるのだけれど、脚本は本質的に履き違えてしまったようだ。
2期を考慮していないのだから、視聴者に平和の使者イゼッタを印象づける意味でもバッドエンドにすべきだった。

幕引きに至るまでについては、以下の各論でこの作品の課題点を指摘する。

(アトランタについての軍事考証)
アトランタにとってはゾフィーもイゼッタも「戦略兵器」として捉えていた脚本は評価するが、派兵(動員)に関してはモデルとした戦前の米国の政治、とりわけモンロー主義をもっと研究するべきだ。
アトランタを物語の正面へ出す場合、ゲールの潜在的脅威のみならず、具体的な脅威がアトランタにあった事実を描写すべきだろう。
史実のWW2では我が国の真珠湾奇襲後にドイツは米国へ宣戦布告をしている。
つまり、民意が国家運営の土台である米国は、仕掛けられない限りは兵を動かせない、厳密に言えば(当時は)海外派兵のような大規模な陸軍の編成は戦時状態が生じた上での戦時動員が必要な国である。
国家の成立上、地方自治が高度に発達している米国における陸軍の平時編成は州知事に統帥権がある現役州兵が主体であり、ベトナム戦争以前までは、平時における州兵の動員は治安維持等法律の緊急限定事項を除き大統領統帥の範囲外にある。
州兵、予備役の動員は戦時状態が必要十分条件であり、大統領統帥権に基づく戦時動員をする為には「攻撃された」という既成事実と大統領判断のみならず、戦時状態(宣戦布告を含め能動であっても受動であっても)の議会承認が不可欠なのだ。
つまり、当時の米国のシステムでは戦時状態を認識し、陸軍の戦時動員を完成するには1年近くかかるはずだし、動員編成に関しては軍事マニアの基本的な常識。
余談だが、太平洋戦争においてガダルカナルから反攻を開始し、太平洋戦線で終始戦闘を繰り広げたのは海兵隊である。
現在は第4軍として独立した地位にある海兵隊だが、当時の海兵隊は海軍の指揮下にあり、海軍は陸軍とは異なり平時から大統領の統帥下にある。
海兵隊は有事発生の際に速やかに編成動員可能なメリットがあるが、戦術使用は可能でも一国家を軍事的に降伏させるのには戦力不足であり、戦争終盤では陸軍の役割となる。
太平洋戦争も終盤の海軍主導の中部太平洋戦線の硫黄島、沖縄では米陸軍も戦闘に参加しており、陸軍のマッカーサーが率いる南太平洋戦線が膠着気味であったのは、動員編成が複雑な陸軍の特殊性によるものだ。

ノルマンディーにしても、あれだけの大部隊を編成する為に宣戦布告から2年半近くの準備期間を要している。
本作では大使の進言から数ヶ月でブリタニアに派兵をしているが、アトランタの政治システムや軍事常識外の陳腐な設定であったことが窺い知れよう。
各国の政治や、陸軍の性質をもっと研究した脚本でなければダメだな。
特に米国は正当な理由に基づく徴兵拒否を認めている国でもあり、戦前の我が国のように赤紙1枚で簡単に頭数を揃えられない複雑な事情もある。
完全志願制の我が国自衛隊の悩みは予備役の不足であるが、いざ戦争となれば現役の員数ではなく、予備役や後備役の動員がどれだけ可能かで、その国の軍事力が決まる。

登場国家こそパロディではあるが、史的事実関係に沿った脚本を評価していた折に、アトランタ参戦プロセスの端折り方は軍事設定において致命的とも言えるミス。
WW1のように、ゲールのUボートがアトランタの民間船舶を攻撃したシーンでも挿入しておけば、アトランタの派兵には現実味が帯びたのだが、残念だ。

(ベルクマンに見る脚本の底の浅さ)
まず、ベルクマン失脚の動機が曖昧なのは前回にも記したが、単に知りすぎた人物というだけではなく、もっと具体的な説明が必要であっただろう。
結局、ベルクマンはゲールへ引導を渡した物語のキーパーソンなのだが、その描写が雑過ぎたのが頂けない。

フィーネとイゼッタの百合百合しい関係の尺を、ベルクマンという人物の掘り下げに当てればまた違った評価となっただろう。
愛国心より個人の命が優先するとした利己的なベルグマンの人物像の描き方は、倫理的な抵抗はあっても、ある意味では真理だ。
しかし、それをゲールの国民の一人として描いたことに、脚本の政治的な意図が感じられなくもない。

脚本が、史実として祖国敗戦後でもゲールのモデルとなったドイツ人気質とはとのようなものであったかは、シベリア抑留記で記述されているドイツ人捕虜だが、ソ連に屈せず最悪の環境を甘受してドイツ人としての誇りを抱きシベリアの土になった事実を知っていればベルクマンのような描き方ができたのであろうかな。
ドイツ人捕虜の高貴な態度に胸を打たれた著者は、自分可愛いさに次々と祖国日本を裏切りソ連へ忠誠を誓っていく周囲の日本軍捕虜の節操のなさを憂いていた内容だった。
これは、15年程前に『丸』が特集していたシベリア抑留記に書かれてあった。
おそらく、ヒムラーやゲーリングのような往生際が悪かったナチス高官や、連合国に脚色されたドイツ人のイメージでベルクマンの人物像を設定したように思う。
ドイツ人であれ、アメリカ人であれ、日本人であれベルクマンのような人物は確率的に存在するのは認めるが、ネガティブな人物であればこそ、人物描写を掘り下げなければベルクマンがドイツ人代表のような間違ったメッセージを与えかねない。
そう考えるとやはり脚本の底の浅さは拭いきれない。

危険人物として暗殺の対象とされたにも関わらず行動の自由を許したゲールの対応や、売国人物と知りつつエイルがベルクマンを利用した浅はかさは「国家」というものを脚本が理解をしているのか甚だ懐疑するお粗末な展開だった。
ベルクマンとミュラーは同じ情報を扱う者として、国家への忠誠に関しては対極的に描かれている。

ミュラーがエイルへ絶対忠誠を誓う背景には彼が貴族であることが挙げられよう。
爵位は国王から授けられるものであり、国家(というより君主)に対し絶対服従を誓う根拠ともなり得る。
ベルクマン部下のリッケルトも貴族家系ではあるが、彼の国家への忠誠心もミュラーと通じるところがあるだろう。
脚本はミュラーをリッケルトの隠喩としても表現し、ベルクマンとの応酬を通してベルグマンの性格を掘り下げたかったかな。
更に、バスラーの愛国心を強調し、ベルクマンという人物像を確立したかってのかもしれないが、これだけ物語のキーパーソンとして活用した以上、ベルグマンの直接的な掘り下げをしなかったことは脚本の怠慢としか評価が出来ない。
最後は生き延びて、アトランタへ魔女の力で得た核兵器を売却したようだが、この人物の生き様は、百合や他のサブキャラの描写を減らしても尺を取るべきだった。

(ゲールがヨーロッパ征服を試みた動機が意味不明)
さて、本作はWW2を背景とした世界観だが、ヒトラーが何故欧州大陸で戦火を拡大させたかを理解しているのかが甚だ疑問なストーリー展開である。
そも、ヒトラーは全欧州の覇権を握る意図があった訳ではない。
ヒトラーの目的はWW1で喪失した旧帝政時代の失地回復であり、ポーランドを占領したのもWW1の結果でポーランドが独立し、飛び地となった東プロイセンとケーニヒスベルクの回廊復活が目的だ。
ヒトラーの政策の第一目的は「ベルサイユ体制」の破壊であり、当時のドイツ国民が支持したのもこの政策を掲げたナチスに対してである。
ヒトラーとて、それ以上のことはドイツの国力を考えても出来ないことは重々承知をしていた。
したがって、ベルサイユ体制の守護者である英仏と本格的な戦争状態となることはヒトラーの本意ではなく、ポーランド侵攻までには相当の外交努力が行われていることは注視をすべき点である。
当時の英仏もWW1の後遺症から抜け出せてはおらず、可能な限り外交交渉で決着を図る姿勢でドイツの要求を呑んでいた。
ヒトラーはポーランド侵攻にあたり、ソ連と不可侵条約を締結し、モロトフ=リッペントロップ秘密議定書に基づき、西からポーランドに侵攻、東からはソ連が侵攻しポーランドは消滅した。

勿論、ソ連との不可侵条約は後に明らかになるようにドイツ側の欺瞞工作である。
東プロイセン回廊の確保でヒトラーの目的は達したが、ポーランドと軍事同盟を締結していた英仏は「集団的自衛権」に基づきドイツに宣戦布告をする。
ヒトラーはポーランドに関する英仏の感触や、ソ連もポーランド侵攻に同意したことで英仏との対立は避け得ると判断したが、英仏はソ連は黙殺しドイツのみに宣戦布告を行う。
ヒトラーとしては不本意な結果を招いている。
実際宣戦布告をした英仏もポーランドを直接助けることはせず、ドイツとの軍事衝突を避けていたのだが、ヒトラーのタイムスケジュールには第二段階としてソ連侵攻があった。

しかし、フランス侵攻をヒトラーが考えたのは、対独英仏宣戦布告が明確な動機であり、隣国であり大国であるフランスが宣戦布告を放棄しない限りは、常に軍事的な脅威に晒せれることとなり、今でいう「先制的自衛権」という考えから軍事侵攻に踏み切ったものだ。
フランス侵攻と同時に英国のチェンバレンが辞職し、対独強硬派のチャーチルが首班となり、これでヨーロッパでの全面戦争が不可避となった。
つまり、ヒトラーのフランス侵攻はドイツにとっては防衛であり、彼が描いていた大ドイツの図版には含まれてはいない。
中央ヨーロッパや東ヨーロッパには傀儡政府を樹立せず、ドイツ直轄の軍政であったが、フランスには傀儡政府(ビシー政府)を樹立した点、南ヨーロッパにはヒトラーの盟友ムッソリーニがおり、イタリアの勢力圏をドイツが奪う意思はなかった。
スペインは中立国だがフランコ体制の同国も、ポルトガルに対しても領有の意思は見せてはいない。
ただ、イタリアがあまりに軍事的に情け無い戦いを続けムッソリーニがヒトラーに泣きついてきたことから、南ヨーロッパやアフリカへも派兵をせざるを得なくなり、イタリアの降伏で南ヨーロッパ戦線の維持をドイツ一国が背負うこととなったのは、ヒトラーの意図以外の不確定要素から生じた出来事である。

ダンケルクでの詰めの甘さは、ヒトラーがなお英国との和平を切望していた証しでもある。
しかし、チャーチルの強硬姿勢に結局、対英問題解決は軍事的な勝利しかないと悟ったのでろう。

ソ連侵攻の目的は『我が闘争』にもあるように、ユダヤ人の抹殺とスラブ人種の奴隷化と天然資源の確保であり、これは政権に就く以前からの思想であるので、ソ連がどのように下手に出ても戦争は不可避であったと思う。
『我が闘争』を読んでも、また、現実のヒトラー政策を考えても、彼の大ドイツ構想は東方拡大であり、全欧州にまで野心があったものではない。
フランスが対独宣戦布告をしなければ、フランスへの迂回路であるベルギー、オランダの軍事占領が行われたかも疑問だし、フランスを含む、南ヨーロッパは元来、彼の図版の外にある。

本作ではゲールがヨーロッパ征服の野望を如何なる動機で抱いたのかが不明瞭であり、かつ当時のドイツを巡る欧州情勢や史実は上記のとおりであり、ゲール(ドイツ)を無条件に悪者とする姿勢は、ハリウッドB級映画のテンプレや、ニュルンベルク裁判史観や侵略者ゲールを設定したのは、安直かつ幼稚に思えてならない。
WW2の設定を用いるのであれば、ゲールの国家戦略も政治的に詰めて設定すべきであろう。

(フィーネ発言の真意)
アトランタの意見では魔女を抱える国は戦略的に絶対的な優位を誇ることとなるが、それはアトランタが述べるようにゲール亡き跡の安全保障に直結する課題だ。
アトランタがこの会議に参加した経緯には大きな疑問があっても、発言趣旨そのものは妥当だろう。
フィーネはここで、イゼッタ個人の死ではなく、レイラインの魔力を吸い上げた結果は魔法そのものがこの世から消え失せるとした発言をした。
しかし、フィーネの最後の涙はイゼッタは死ぬかもしれないとの絶望のメタファーであり、その死を以ってしてアトランタの懸念は取り除けるとした大義と私情の狭間で大義を取った指導者の意見であると私は考える。
反面、フィーネの本音は魔女イゼッタではなくイゼッタとなっても愛情には些かの変化がないことと、自らの力量不足をカバーしてくれたイゼッタへの感謝の涙でもあろう。
私情と大義の狭間に揺れるフィーネは、指導者としては未熟だが、人としては共感を得るものと思う。
このフィーネを描いた脚本は評価できよう。

(イゼッタとゾフィーの対決)
イゼッタとゾフィーの属性については「(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)」で述べるので、ここではラストの対決に的を絞る。
パリ上空を舞台に繰り広げられた、白熱のバトルシーンの描写に関しては、圧倒的な作画で十分に楽しめる内容だ。
イゼッタがエッフェル塔を折るところは凄い迫力だが、迫力においてはゾフィーも負けてはいなかった。
しかし、命が惜しいゾフィーに対し、イゼッタは自らの死を厭わずに最大魔力で応じている。
イゼッタの気迫勝ちだが、イゼッタが死をも辞さない覚悟を抱くプロセスがお粗末である為に、本来は十二分に感動するべきシーンなのだが、私には50掛けとなってしまった。

(オットーの自殺)
史実でヒトラーは自殺をしたが、その状況に合わせたのかな。
しかし、史実のドイツの末期はとても悲惨であり、ヒトラーはソ連兵が闊歩するベルリンの地下壕で自殺を図っている。
本作のノイエベルリンの描写では末期ベルリンの断末魔の悲鳴が伝わらない。
私は実際、壁崩壊直後のベルリンと壁の緩衝地帯にあった空き地のまま放置されていた、総統大本営地下壕跡を訪れているから、余計に陳腐に思えるのかもしれないが。
ノイエベルリン市民が参加している地上戦を描いた方が、追い詰められたゲールの直喩にもなったろうし、オットー自殺にも説得力があっただろう。
オットーにずっと付き添っていた側近エリオットは架空設定だが、自殺を確認したという意味ではボルマンがモデルだな。

(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)
本作で最も問題となるのは、イゼッタの立ち位置だろう。
本作では執拗にイゼッタとフィーネの過去の出会いを描写し、イゼッタはフィーネへ恩義を感じていることを強調している。
また、フィーネは一国の君主の立場を超えてイゼッタを大切にすべき友人から愛の対象として描いている。
本作も多くの視聴中断者を招いたが、その原因の多くは百合展開である。
世界観と百合のミスマッチが視聴者の嫌悪感を招いたと思うが、それには十分同意を出来る。
脚本の吉野氏には戦時と平時の見境がついていない旨の指摘を散々してきたのだが、平時が背景での百合展開ならば、そうとも割り切れる。
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は平時における兵士達の日常を描いた内容であるから、百合要素もエピソードの一つとして受け入れることは出来る。

しかし、国が危機に際している状況で百合でイゼッタの忠誠心として描くのは、戦争という無慈悲で凄惨な現実を余りに茶化してはいないかな。
イゼッタはフィーネの存在がなくても、戦争を終わらせる為にはゲールと対決する心構えがあれば、平和の使者としての彼女に大きな共感が生じただろう。

しかし、フィーネという個人に陶酔する余り、彼女の理想を現実化したいという利己的な理由でゲールと対峙させても何も共感は生じない。
戦争というのは一個人の理想ではどうにも出来ない過酷な現実であり、魔法というチート能力の設定を用いるところを錯誤し、現実とは大きく乖離してしまったことは本作最大の失敗であろう。

魔法と兵器の対決はエンタメ的には間違えてはいない。
『ストパン』もそういうファンタジー設定で人気を博したのだから。
しかし、本作は『ストパン』よりも妙にリアルを追求しているが故に、ファンタジー設定をよく練らずに用いると、世界観との齟齬や乖離が生じるリスクと裏腹の関係となることも指摘済みである。
軍事オタが本作を評価しない点はこれに尽きる。

更に、イゼッタの理想は大義に立脚したものではなく、フィーネの理想の具権化であったこともWW2という大きな器に対しては説得力がないものとなった。
海外評価が辛辣なのは、イゼッタの正義はフィーネの借物の正義であり、百合感情で得た極めてストイックに反する俗物的で許容しがたい点にあることだ。
ゲール討伐という大風呂を広げず、フィーネとの愛情物語に路線展開をすれば、また別の評価を得られたであろう。
最後、イゼッタが生き残る点も、殺したくないスッタフの御都合主義だと思うが、殺した方が殉教者となる訳だし、魔女というキリスト社会においては極めてアグレッシブな存在に対する明確なメッセージとなったはずだ。

逆に、エイルで過去に魔女裁判にかけられ、命を落としたゾフィーに私に共感を抱いた。
だってそうだろう。
ゾフィーは本気で愛したかつてのエイルの国王の遺言によって異端審問の上処刑された。
異端審問が吹き荒れ、魔女狩りが横行していた当時の欧州情勢を考えると、この国王の判断こそ、フィーネが見習わなければならない、私情を捨て大義を守る指導者としての矜持だが、大義には犠牲が生じ、多くの私怨を招く。
その意味でも私怨でエイルを滅ぼしたい気持ちは正直で嘘偽りはないだろうし、イゼッタの偽善よりも遥かに自然な感情だ。
更に、感情移入はゾフィー役に雨宮さんの熱演もあったのだが、対しイゼッタ役の茜屋日さんの演技力には課題を残している。

イゼッタが述べた「みんなの命を預かる人はたった一人に拘ったらダメ」はそのままイゼッタへのブーメランとなり、このセリフを吐かせながら生き延びるのは余りに矛盾が過ぎるのではなかろうか。
更に、回想でフィーネが百合私情を振り切り涙ながらにイゼッタへ戦いを命じた描写を感動として活かし、イゼッタがゾフィーに語った大義(私情に揺さぶられた偽善的な大義だが)を衝突させたのであれば、ジンテーゼは視聴者へ判断を委ねる、双方生死不明のメタファーとして結論付けなかった方が良かったのではないかな。
よって、最終回でイゼッタも消えていれば良作ではあったと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 76
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

終末のおとぎ話

【視聴完了して追記と改稿】 *2016/12/19再追記

架空のドイツ(と言ってしまっていいだろう)がヨーロッパ侵攻を開始した、架空の第二次世界大戦初期、侵略にさらされる架空の小公国が魔女の力を借りて抵抗する世界。

近代兵器と戦う魔法の面白さが主眼のようだが、序盤の近代兵器vs.魔法のビジュアルは良く工夫され、臨場感にあふれている。
特に、アンチマテリアル・ライフル(この時代なら対戦車ライフルと呼ぶべきだろうか)に跨った魔女と戦闘機の「空中戦」は、一気に視聴者を世界観に引き込む巧妙な描写に満ちた秀逸なものだ。


作中でも何度も言及されている「20世紀」的な近代戦と「世界」の非情に、時代錯誤的なおとぎ話の魔女が対抗する対比が狙いのようだが、これに相応しく、魔女と手を携えるのが「お姫様」であるのは、物語上の整合性が、一応はある。

国民の生命と安全を守るために一身を投げ出そうという宣言が、選挙で選出された政治家のものではなく、尊い血の宿命から発せられた「お姫様」のセリフである皮肉は、20世紀的非情に「おとぎ話」性がいずれ敗北してしまうであろう悲劇性を予感させるのだが、しかし、それにしては背景の設定が突き詰められた印象が無い。

国民、というより「臣民」を守ろうとする「お姫様」だが、無辜の臣民を守る盾である「兵士」それ自体が、徴兵されて銃を持たされている「無辜の臣民」の一員であるという20世紀的な事態に自覚的ではないようだ。
祖国防衛に「進んで」臨む徴兵兵士は、国家と自分が連続しているという「観念」を教育された民主社会の市民の姿であって、残念ながら「公女」に所有される「臣民」の姿ではない。

同様の無自覚は、全国民を恐怖政治で支配したのが、議会工作で成立させた法律によって「独裁者」となった「選挙で選出された首相」であった現実のドイツを、オカルト的な野望を持つ「至尊の」「皇帝」に統治される架空のドイツに無造作に置き換えた、敵の設定にも表れている。

そんな理屈に興味はない視聴者が殆どで、ただビジュアルを楽しめばよいのかもしれない。

が、そうもいかないのは、この「理屈」が、ビジュアルの眼目である近代兵器や、その運用を生み出している原動力であるからだ。


この「理屈」の根本は、「世界にも等しい無限の内面を内包した、理性的で完結した個人」という人間像が崩壊した、20世紀的な事態にあるようだ。

第三帝国を自称してはいても、法制度上では「帝国」に移行したわけではなく、立憲民主国家のまま「首相」が「法律」によって全体主義独裁国家を支配して「世界制覇」に乗り出したのが現実のドイツだった。
作中では描かれてはいないが、同じく民主革命から生まれた「ボリシェビズム」という全体主義と、アメリカニズムという全体主義が立ちふさがったのが第二次世界大戦だったと言えるだろう。
(アメリカの全体主義は、全国民を「消費者」として組織化したところにある。貧乏人=金銭が支払えない=消費者になれないものを社会の外部に排斥して野垂れ死にさせるのは、「収容所」に収容することと意味的に等しい)

民主制のこのような不調は、民主制を担う自律的で理性的な「人間」の崩壊に関係している。

この、自律性を失った壊れた人間=半ばモノになってしまったような、機械のパーツのような人間観は、政治だけでなく様々な文化芸術に影響し、戦争それ自体に対しても例外ではない。

意味性や精神性と断絶した物質的「科学」の技術性を体現する工業化が、ライン作業に代表される、歯車化した「人間」と生産設備のコンビネーションを実現する。

最新兵器の量産は、こうした「歯車」人間の全てを部品として配置する全体主義国家の「総動員体制」によって推進された。

大戦初期で圧倒的な戦果をもたらした「電撃戦」の要諦もまた、通信機と時計でコントロールされた「機械」と「人間」のシステマティックな連動であり、何よりも「システムの部品」化した人間を前提として実現される。

機甲部隊に代表される〈マン-マシン系〉として統合されたシステムは、「鋼鉄のロマンチシズム」といった美的表現として文化的にも受容されたが、このような機械融合的人間を「美」と感じる感受性は、今日でも多くのミリタリーファンを生み出す一要素でもあるだろう。

近代兵器の戦闘を、アクションとして「カッコよ」く「面白い」と感じる感性は、このように、必ずしも軍国的主張と直結しているものではなく、一つの時代精神の文化的要素の一側面でもあるのだ。

こうした、複雑で巨大な「理屈」である時代精神は、何が原因で何が結果なのか判然としない程に絡み合い、眩暈さえ誘発する。

その「理屈」を十分に見据えることなく、一要素である「カッコよさ」や「面白さ」だけを抽出しようとすると、「作品」という構築物が大きくゆがむことになって、肝心の「カッコよさ」が十分に発揮されなくなる懸念を抱かせる。



あの大ヒットアニメが、戦車から「おぞましさ」や「禍々しさ」を完全脱色し、「楽しさ、面白さ」だけを蒸溜抽出するために、「戦車道」という言語道断の大ウソを土台に「世界」を丸ごと創造したことは、本作と好対照をなしている。

「カッコいい」玩具としての戦車を、可愛らしい少女が「楽しく」操る「大ウソ」の「世界」は、「戦争」映画ではない「戦車」映画という、誰も想像しなかった形で見事に成立した。

通常はミリタリズムとは切り離せないはずの戦車から「楽しさ」だけを取り出そうとする娯楽への徹底した意思が、常軌を逸したディテールの追及によって逆説的にミリタリズムそのものを作品外へ放り出す批評性に突き抜けるまでに至ったのだが、「現実」を引きずる本作の設定は、逆に兵器の「カッコよさ」が危うくなる危険をはらむことになってしまう。

異様に拘泥したディテールの蓄積が、戦車の存在のリアイティを一切の現実的「背景」から切り離して問答無用に成立させていたのに対し、「20世紀」というセリフが作中で頻出するように、本作においては兵器のリアリティを現実の時代性に依存しているからだ。

しかし、上述したように、民主制の不調として現れる全体主義国家の「独裁者」の代わりに、血統によって「所有」する「皇帝」や「お姫様」に単純に置き換えたことによって、総動員された全体主義国家の国民によって生産される「20世紀」の「近代兵器」が、足場を取り払われたような不安定さを呼び込んでしまう。


はたして、近代兵器に対決するものとして持ち込まれた「魔法」は、新しい何かを語ってくれただろうか。



{netabare}冒頭に記したように、現実の歴史性などを描写する意図はなく、単に魔法vs.近代兵器のビジュアルの面白さを描くのが主眼だったという観方もできなくはない。

が、全体としてみると、架空の国家という設定に寄りかかりすぎて、肝心の近代兵器が、全体主義国家同士が、世界をおのれの全体性に組み込もうとして激突した第二次大戦と強固に結びついてしか存在できないという「理屈」を、やはり軽く考えすぎているようだ。

例えば、チャンバラの面白さを描くための時代劇があるとして、登場人物が「身分の差に阻まれて自由に恋愛できないなんて人間の尊厳を傷つけている」と発言すれば、強烈な違和感を感じるだろう。
同じ人物が「殿の無念を晴らすため」クライマックスのチャンバラを引き起こすとなれば、違和感どころか肝心のチャンバラ自体の面白さそのものが「あり得ない」と感じられるに違いない。

全体主義の「首相」を「皇帝」に変え、究極の全体性が争われた世界大戦を「悪い王様」と「健気なお姫様」の戦いに変換する作為は、こんな例え話の陰画と言える。

「理屈」に合っているいるかどうかは、アラ探しの言いがかりではなく、チャンバラ=魔法戦が面白くみられるのかという印象をダイレクトに支配するものだ。
「理屈」っぽい議論が嫌いであっても、「印象」の違和感からは、やはり逃れられそうもない。


現代人が戦争の悲惨として想起する「戦場や都市を埋め尽くす無数の死体の山」は、世界大戦の記憶に由来している。
大量死=悲惨=戦争は悪、の連想は、「お姫様」の忠実な「騎士」が首級を争う戦争とは全く異質な20世紀性=部品化した人間が戦争の資源として総動員される全体性の「理屈」に深く結びついている。

戦場を埋め尽くす「廃棄物のような」兵士の死体は、壊れた兵器の部品が散乱している戦場の光景とパラレルだ。
ミリタリーファンを喜ばせる整列した兵器という「工業製品」が並ぶ光景もまた、部品化して整列させられる「人間(のかけら)」と同根源であって切り離すことができない。

20世紀の戦争の「悪」は、人が死ぬこと自体ではなく、部品化した人間を戦争の「歯車」として「例外なく」強制的に配置する、支配の非情な全体性にある。
全体主義が「悪」を生むのではなく、「悪」の政治的表現として全体主義が現れる。
大量性に埋没する廃棄物のような死もまた、「悪」の原因ではなく、結果だ。

「死」そのものが問題であるのなら、廃棄物としての「死」もまた、「王様」が聖性を保証する忠実な「騎士」の名誉ある固有の「死」と同一視して賞揚してやれば済むだろうし、現実にもそう作為されている。
が、それは歯車化の強制の隠蔽として、欺瞞的に称賛されている「嘘」に過ぎない。
「嘘」はどう言いつくろっても「ウソ」であると直観されているからこそ、現代の「戦死」や「兵隊」を美化する言説は、正しさを強調すればするほど、胡散臭さもどこまでも増す。


このように、登場人物が口にする「20世紀」の戦争という「背景」には、「お姫様」や「皇帝」はどちらも矛盾して、落ち着き場所が無い。

作中では、魔女の秘密を知った徴兵兵士が密殺されたり、ドイツの情報将校が任務中にあっさりと落命するエピソードで、部品として廃棄される20世紀的非情性を意識しているように見せかけてはいる。

が、廃棄物のように量産される匿名の屍者の群れを描きながら、ドイツ情報将校の墓を見せたり、魔女やお姫様の宿命的な苦悩を描くといった形で、特別な「固有の人間性」を無造作に持ち込んで並べてしまう描写は、この「背景」の「理屈」に対して、真剣に考慮したり、そもそも視野に入れているのかと疑わせる程に無頓着だ。
それは、それぞれのエピソードの「唐突感」と「ご都合感」という「印象」として現れる。


別に、現実の歴史性に矛盾しているからよくない、という話ではない。

問題は、「ファシズム」や通俗的な「戦場の惨劇」を「舞台」から排除した安易な「政治性」などではなく、設定した「舞台」と「理屈」の突き合わせを欠いている、という単純なことだ。

置き換えられた「皇帝」では、大量生産される兵器の「美」と「世界大戦」を支える「背景」を持ちこたえられない。
その裏返しとして、「お姫様」も「世界の救済」を持ちこたえられない。

終盤で、戦術行動に組み込まれて発動する「魔法」は、現代の巡航ミサイル技術のような形で描写され、魔法という異質な力ではなく、現代的な「オーバーテクノロジー」が大戦兵器を凌駕しているに過ぎないようなビジュアルに落ち着いてしまうが、「20世紀」と魔法との対立を、真剣に「理屈」にわたって考察することを怠った結果に思える。

さもなければ、原爆に似た「決戦兵器」やミサイル状の攻撃を、「魔法」でひとくくりにはしまい。
近代兵器を支える20世紀性と魔法が対立するものならば、20世紀科学による「原爆」という非情な「大量死」兵器を、「魔法」によるミサイルで精密誘導する方が相応しいだろう。

結局、「架空の国」と「魔法」に寄りかかった「理屈」の軽視が、ビジュアルやストーリーの緊迫を削いで、安易に流れたという印象を拭う事が出来ない。
「善い魔女」と「悪い魔女」の戦いに収斂してゆくストーリーからは、登場人物の語る「20世紀」という「言葉」は意味を失ったただの音声と化して、兵器の存在感と共に霧散してしまった様だ。

戦争を没歴史的に「人の戦い」一般に解消してしまっては、「20世紀」戦争の「悪」に指一本すら触れることはできないだろう。
ラストで、「理屈」を軽視した一般化を語るのが「お姫様」であるのは、本作の必然と言っていいものだろうか。
無内容な「一般論」に「20世紀」が解消されると同時に、視聴者のいる「21世紀」へと繋がる通路もまた霧散した。

「おとぎ話」を駆逐した近代という時代が決定的に揺らいだ「世界大戦」に「おとぎ話」を対決させるトリッキーな構成は、結果的に土俵すら成立できない不発に帰結してしまったようで残念だ。


【追記】

ラストに登場するイゼッタの顔の見えない描写は、生きていたというよりも「半ば廃人化した余生」と読み取れた。

「戦死」よりもなお悲惨な印象を与えるが、時代の「悪」を「魔女」が単身で引き受けて破滅することで「浄化」する、という展開こそが、「理屈」の軽視を示しているように思われる。




とはいえ、この破綻は、いささか興味深い側面がなかったわけではない。

おとぎ話のような「現実的でない」お話を近代が駆逐していくとき、勃興してきたのが「SF」というジャンルだった。
それこそ「非科学的」な戯言と鼻で笑われる「おとぎ話」を、それならば「科学」を土台にして創ってやろうという倒錯した意思が、SFというジャンルを定義している。
「現実」が「おとぎ話」を鼻で笑う事など許さない、という倒錯した意志が。

浮き沈みはあるにせよ、「あり得ない」おとぎ話を「科学」的な土台の上にでっちあげる、サイエンスとフィクションのエッジの上に構築物を築き上げる強固な意志が、今日までSFを継続させている。

が、近年のライトノベルやアニメでは、構築の意思が著しく後退しているようだ。

何らかの異世界や超常能力を描くとき、「科学」の土台を作り上げる〈サイエンス/フィクション〉の構築性は放棄され、「魔法」や、さらに説得的な設定のない「異能」で済ませてしまう作品ばかりが目に付くようだが、「科学」のみならず、土台に何かを構築して「おとぎ話」性を支える「理屈」の必要性までも、ここでは放棄されている。
それは同時に、「現実」から鼻で笑われることへの無感覚でもあるだろう。

本作もまた、20世紀的科学性に対抗するモチーフを持ち込みながら、疑似科学の構築ではなく「魔法」の導入を選んでいる。

リアリティというものが「現実」に対するフィクションの反抗であるとするならば、それはガジェットの導入「だけ」で実現できるようなものではないのだろう。

製作者や作家だけではなく、視聴者や読者も積み上げられる「理屈」に耐性が無くなっているのかもしれないが、「理屈」の軽視がビジュアルやストーリーをどう貧しくするのか、本作が一つの指標となるかもしれない。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

第二次大戦を下地にした魔女と王女の物語…信じ尽くす大切さを問う物語

この秋、ユーフォ二期とともに期待した作品でした。第二次世界大戦のヨーロッパをモチーフに、小国の皇女が大国に立ち向かう。それに加わる魔女、これは面白そうだし、1話で引き込まれてしまいました。展開しだいではそうとうな作品になる予感がしました。

1話…あっという間に引き込まれてしまいました
{netabare}小国の皇女(モチーフはスイス?…ではなくリヒテンシュタインだったようだ)フィーネが、大国で戦争しかけているゲルマニア(どう見てもドイツ)の脅威から自国を守るために、同盟を求めてイギリスっぽい国にいく話でした。
道中で敵から逃れるために奮闘するフィーネ。従者は倒れ、自国はとうとう戦争に巻き込まれ、自らも囚われとなっても信念を曲げないフィーネがカッコいいです。それからキャラデザインも良いです。最後に主役のイゼッタが登場してフィーネを救う場面で次回へ。箒でなく銃に乗った魔女のイゼッタ、こんな設定もありかと。

1話があっという間に終わった感じです。これは面白そう。最後までこの面白さが持続しますよう祈ります。{/netabare}

2話…二人の絆
{netabare}フィーネのピンチを救ったイゼッタ。国にたどり着いたは良いけど、フィーネは重傷。イゼッタとフィーネの関係が深いものだった事が分かり(1番肝心なところは後回しみたいだが)、イゼッタはフィーネの国を救うことを決意する。

魔女狩りのピンチをフィーネが体を張って救ったのかなと思いますが、イゼッタがどうしてゲルマニアに連れられそうになったのか、興味がありますね。とにかく深そう。まだ2話か、先が楽しみで仕方ないです。{/netabare}

3話…最終兵器魔女
{netabare}大国に攻められる小国、兵士たちのフラグたちまくりのなか、戦闘は圧倒的不利な状況。大国の軍は余裕降りまくり、これフラグだよな?
そこにイゼッタが参戦、なんだこの魔女は?圧倒的ではないか!ランスのファンネル?楯?おいおい、つえぇぇぇぇぇl!
ピンチはたった一人の魔女によって救われた。という展開。それと、フィーネの心の強さと王的資質いったら…惚れます。これは思っていた以上に面白い。つかみはすごく良かったです。でも、鬱な話も有るんだろうな…{/netabare}

4話…魔女の秘密
{netabare}魔法が使えるのは特定の場所のみ。そこから外れると使えないという。
フィーネの父、つまり王が亡くなり、フィーネが王位へ。そこでイゼッタを登場させて白き魔女の再来を告げ、他国への牽制も狙うという。
イゼッタとフィーネの過去が明らかとなり、イゼッタが忠誠を誓う理由が分かりました。それにしてもフィーネがカッコいい。

白き魔女の裏切り、気になります。イゼッタがゲルマニアに捕らえられていたこともあり、再び捕らえられて洗脳させられ…なんてことないよね? あまりにもフィーネとイゼッタの絆が強いから、イヤなフラグに感じます…{/netabare}

5話…探り探られ
{netabare}フィーネの王位継承式でイゼッタを面前に披露。その能力を世界発信して、他国を牽制させる狙いだ。
白き魔女の末裔の存在はやはり影響が大きく、小国を無視できなくなっていた。が、ゲルマニアはその存在を見透かし、イゼッタに弱点が有ることを察知する。
ゲルマニアの侵攻が再びはじまるが、そこは魔法が使えない場所。フィーネ達は策を練り、その侵攻を食い止める。という展開でした。

大国対小国の心理合戦、なかなかの筋書きでした。ただ、ゲルマニアの諜報部員が入り込み、イゼッタの弱点がバレそうな気配、眼鏡君も加わりそうな気配が…眼鏡君、いっぱいフラグ立てているからなぁ…。

ここに来て、ちょっと粗が見えてきた気が…。近衛が全員女子というのはさすがにないかと。しかも、先祖伝来って言うからね。近衛師団の女子団っていうことにしていいのかな? ま、細かいことだけど。{/netabare}

6話…貴重な眼鏡君
{netabare}小休止の日常回…と思ったのは前半だけ。ゲルマニアには何か研究施設があったり、新型戦闘機が製作されていたりと着々と準備始めてます。研究ってまさか核じゃねぇよな?
ブリタニアで会議が行われるためイゼッタ、フィーネが向かうことに。その頃、スパイの報告が入り、ジークが向かい、イゼッタの秘密を知っている眼鏡君を射殺…そうだ、この話は戦争の物語だったね。ジークの決意を聞いたときに、そういう役目を負う人間が必要だよねと思った。

バチバチ戦う以上に緊張感あるストーリーだったように思います。前半の日常も良かったですけどね。フィーネの可愛い部分が見えて。ただ、パイを食べているフィーネがどうしても小鳥ちゃんに重なったのは何故だろうか…。{/netabare}

7話…いっしょにおいで
{netabare}ブリタニアに到着したフィーネとイゼッタ、そこにはゲールに対抗する諸国のお偉いさんが会議をしていた。ゲールは空母を完成させ、さらに強力な力を手にしていたという。フィーネはイゼッタが空母を蹴散らすと告げる。
魚雷を従えて空母に向かうイゼッタ。しかし、空母はすでに出航、敵に動きが読まれていたのだ。待ち構えていた敵兵に狙われるイゼッタ。4発あた魚雷は2発失い、しかも海に墜落。魔法使える地場からずれたのだ。魔力使えるポイントには空母が、そこでイゼッタは空母の隙を狙い、魚雷をぶち込む。見事空母を撃破。しかし、その動きでベルクマンに弱点がばれてしまい、しかも、なぞのカプセル登場で次週。

ゲルマニアはイゼッタのほかにも魔女を捕らえていたようだ。ということは、イゼッタを逃してものうのうとさせていたのは、魔女の力がどんなものか、弱点は何かを探っていたということなのかなと思う。ゲルマニアも実際に魔女の力がどんなものか計りかねていたのではないだろうか。
イゼッタが戦っているシーンは痛快なんだが、服の汚れぐあいとか、一生懸命さとか見ていると、なんか切なくなる。不幸な話にならないでほしいと心から思います。{/netabare}

8話…スパイと近衛の小さな恋物語
{netabare}エイルシュタットに潜入したリッケルト。目指すは旧城、その途中で出会ったのがビアンカとロッテだった。ロッテの実家の宿屋に宿泊し、ビアンカとも仲良くなるが、目的である旧城に潜入。そして発見した白き魔女の秘密。その証拠を持ち帰る途中に近衛に見つかり、ビアンカに撃たれて絶命するリッケルト。ビアンカもまさかの展開に呆然とするしかなかった。リッケルトに証拠を託されたローレンツもまた、近衛に狙撃され死亡する。証拠は謎の住民に引き継がれ…
一方、ブリタニアでは仮面舞踏会が開かれ、フィーネとイゼッタが外で踊ろうとしたところに現れたベルクマン(なぜお前がここにいる?)と謎の少女。謎の少女はイゼッタの唇を奪い、口を切らせて血を吸う。その瞬間、謎の少女は白目を剥き気を失う。
イゼッタの力を知ったアメリカ…アトランタ合衆国ではこの戦争に本格参戦を決定した。それはゲルマニアとともに、脅威となってきたエイルシュタットも撃ち滅ぼすために…

後半の伏線を張った回でした。ゲールの魔女は何なんだろう?人工物?となると、イゼッタを捕まえていたのはイゼッタの魔力を抽出するためだったのか?
アトランタの本悪参戦で戦局ががらりと変わるんだろうな。エイルシュタットはどうなってしまうのか…。
なんだか悲しい結末待っているのではないかとハラハラします。ED物悲しいし…{/netabare}

9話…展開急変、あぁ…ヤバい…
{netabare}ブリタニアの会談から3ヶ月、包囲網が築かれつつあり、ゲールの動きが鈍くなっていました。イゼッタは世界から注目されるようになり、エイルシュタットも束の間の休息感に浸っていました。
そこから一転、ゲールが西を囮に東から攻めてきました。イゼッタは新兵器とともに向かいますが、打ち込んだミサイルが何者かに撃退されてしまいます。なんと、ゲールが送り込んだのは魔女。しかも、伝説の白き魔女(のクローン)なのです。クローン技術使ってきやがった! 伝説の白き魔女はイゼッタに止めよう説得しますが、フィーネのために戦うと言う。イゼッタは白き魔女と戦うけど、魔法使える場所なのに墜落、白き魔女はアンチ魔法の道具使えるものと思われます。敗れたイゼッタは鎖に吊るされ…
イゼッタの敗北により、空ががら空きとなり、ゲールはエイルシュタットに突入。首都がぼろぼろ…

急展開でした。どうなるのか気になって仕方ありません。いちおう、これまでの伏線を回収しつつ、次の展開に入ってきてますが、一気に重い展開になってしまいました。白き魔女の過去に何があったのか、戦争はどうなるのか、イゼッタはどうなってしまうのか…。

これ、一期で終わるのかな? どうせなら丁寧に描いてほしいので、二期までいかないかな? このままだと半端になってしまう気がします。面白いだけに、丁寧にいってほしいです。{/netabare}

10話…絶望か、希望か、どっちに進む?
{netabare}イゼッタが捕らえられ、エイルシュタットは首都が陥落。イゼッタを命がけで救うエイルシュタットの兵士たち。イゼッタはなんとか救われ、首脳陣たちが避難した防空壕兼秘密基地で療養。
そのころ、ゲルマニアはゾフィーの力を使い、ブリタニアに大量のミサイルを撃ち込み、ロンドン…ロンデニアを木っ端微塵に。ゾフィーがゲルマニアの兵器として確立したことにより、ベルクマンがお役ごめん。ほぼ捨てられて状況に。ゾフィーの量産化が図られ、さらにはどう見ても「核爆弾」を開発したゲルマニア。もはや怖いものなしとばかりに各国に講和の条件を突きつけ、さらには東の大国ソ連…ヴォルガ連邦と不可侵条約結んで(当然表面だけ、侵攻する気満々)、最後はアメリカ…アトランタを攻める気でいる。

ジークから白き魔女の秘密が語られ、その力の源になっている魔石の半分を見せられたイゼッタは…で次週。

フィーネがその先をどうするのかを迷い、イゼッタは姫を助ける決意は変わらない。どう転んでも魔石を使うんだろうね…となると、イゼッタの命は…。
ゲルマニアの先も見えてきたようです。二次大戦をトレースしているので、ゲルマニアは連合国から逆襲され、首都陥落、皇帝自殺(もしくは暗殺)という全体の流れなんでしょう。しかし、イゼッタ対ゾフィーの決着はどうなることやら…なんとかイゼッタが生き残れる決着にならないだろうか…イゼッタがあまりにもけなげ過ぎて、見ていると切なくなるんだよね…{/netabare}

11話…そういう展開になるよね…
{netabare}秘密の基地がゲール軍に発見され、急襲される。フィーネは投降を覚悟し、絶体絶命のピンチ。そこに魔法を使って救出するイゼッタ。魔石の片割れを使い、魔法を使えるようになったのだ。それはつまり、命を削ること。フィーネが弱気になっているのを檄するイゼッタ。フィーネも覚悟を決めて最後まで戦うことに。
ゲール軍に付いてきたベルクマン。ベルクマンは自分が生き残るためにゲールの情報を伝えた。その内容は国の終末を意味し、それを阻止する必要があり、フィーネとイゼッタは最後の決戦に向かう。

かなりすっ飛ばしましてつじつま合わせがスゴいのですがが、内容は濃かった回でした。ベルクマンとジークの会話が良かったです。
えっ?もう終わり?…やっぱり一期では短い…イゼッタ、生き残って幸せな結末になってほしい…。{/netabare}

12話(最終回)…「地球のみんな!ちょっとずつ元気を分けてくれ!」
{netabare}ゾフィーとイゼッタの最終決戦はこんな感じでした。
ゲールが主催する会談に向かうフィーネ一行に立ちはだかるバスラー。これを振り切り会場へ向かうが、その途中、ジークが倒れる。彼が最後に観たのは眼鏡君の幻だった…。
一方、ゾフィーとイゼッタの最終決戦は魔石の力を全解放した激しいものとなる。二人は信頼する者のために戦い、一方は裏切られ絶望し、一方は最後まで信じ抜くことで戦った。ゾフィーがイゼッタとの戦いから離れられないことに、ゲールの部隊はミサイルを発射する、クローンの力を使って。
ゲールと諸国の会談に現れたフィーネ。フィーネはイゼッタがゾフィーと戦っていることを伝え、終息させると宣言する。しかし、魔女が残ると同じことになると憂慮する首脳たち。それに対しフィーネは言う、すべての魔力をこの世から無くすと。これはイゼッタからの提案だった。
イゼッタはすべての力を使い、この世にある魔力の全てを吸い上げる。ゾフィーの魔力もゾフィーのクローンの魔力も、ミサイルに搭載された爆弾の魔力も…。
これによってゲールの力は弱まり、大戦の流れも変わり、3年後にはゲールが敗れる。フィーネはとある森にあるコテージを訪ねる。そこには成長したロッテに車イスを押される赤い髪の女性が待っていた。

終わっちゃった…どんな終わり方するかと思ったら、あるあるな感じでした。イゼッタが全てを背負い、最悪をを除去する。よくある。生きていたことを示唆する終わり、あるある。
ゾフィーが救われなかったのは可哀想かな。最後に何かしら笑顔にできるシーンがあってもよかったように感じます。{/netabare}

第二次世界大戦をトレースしたこの物語。キャラは本当に良かったです。イゼッタは最後の最後までブレませんでした。とにかくフィーネのために戦い、やり遂げました。綺麗な衣装着てボロボロになるイゼッタの姿は切なかったです。フィーネは小国ではあるが国王として苦労と悩みを抱えながらも国のために戦いました。エイルシュタットの幹部、ゲールの幹部、それぞれ曲者揃いだけど個性強くてそれが絡んで物語を盛り上げました。

ストーリーは12話でギリギリまとめた感じは否めません。世界観が大きいのに、こじんまりとテンプレのようなまとめ方です。これだけのキャラと内容なら二期とは言いません、せめて5話くらい余裕があったらもっといい作品になったと思います。映像は好きでした。特に戦闘の場面は滑らかで迫力ありました。

魔女と王女の世界を変えるための戦い。戦争をモチーフにしてますが、人間の物語が強くなってます。期待分のものは見れたように思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 53

69.0 6 脱出で友情なアニメランキング6位
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)

2017年8月18日
★★★★☆ 3.3 (462)
1771人が棚に入れました
物語の舞台は、夏休みのある一日。花火大会をまえに「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」の答えを求め、町の灯台から花火を見ようと計画する少年たち。一方、クラスのアイドル的存在・なずなに想い寄せる典道は、時間が巻き戻る不思議な体験のなかで、なずなから「かけおち」に誘われることに……。何度も繰り返す一日のなか、なずなと典道を待ち受ける運命は? そして、果たして花火は下から見ても、横から見ても丸いのか?

声優・キャラクター
広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子、花澤香菜、浅沼晋太郎、豊永利行、梶裕貴
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

視聴者をタイムリープさせる映画

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
中学生の恋愛をテーマにしている。青春アニメって感じ。

原作は、1993年にフジテレビで放送されたドラマで、その後1995年に実写映画化。そして本作は、2017年にシャフトによってアニメ映画化。米津玄師さんの作った歌が、かなり耳に残ります。

シャフトらしさは残しながら、一般受けするように演出は控えめにしている印象。作画は流石の劇場版クオリティ。

私は本作の評価を☆3(普通)にしましたが、☆3の中でもやや低評価です。良さもある作品だと思うので、レビューでは、その両面に触れたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
つまり、「可能性はたくさんあり、自分の行動、言葉選び、そういう選択によって変化する可能性があるのが、未来」であることと、「それでもどうしようのないこと、変えられないことはあって、その現実の中でどんなかたちであって前に進んでいくこと」を表現したかったのだろう。

それは、相反することではあるけれど、人生というものは、そういう矛盾を孕んでいる。

それを、少年少女が実感し、体得するための装置が、あの丸い球。

人が、なぜこれほどまでに花火を愛するかというと、花火には華やかさと儚さがあるから。パッと咲いてサッと散る。その美しさが心の中に残るから、また観たい、また感じたいと思う。求める。

でもそれは、完全なかたちでは叶わない。

同じ様な花火はまた見られるけれど、全く同じ花火はもう二度と見られない。それは、青春時代(思春期)にも似ている。

美しくて、儚くて、もどかしい。「あの時ああしていれば、ああしなければ、今、どうなっていただろう」というある種の後悔はつきものである。丸い球が砕け散ったとき、様々な「あったかもしれない未来」を見ることで、ようやく一歩を踏み出した少年少女。ある者は長年伝えられなかった愛を叫び、ある者は海の中でキスをして別れを伝える。

アニメという美しい世界の中で、そんな眩しい青春時代を擬似的に追体験できるのは楽しい。

でも、どんなに美しい花火も、常夜灯のようにそのまま一年中夜空に開きっぱなしなら、逆にウザくなってくる。クソ、眩しいんだよ、と。だから多分、実際は思春期なんて、大人が回顧するほど美しいものではないのだろう。アニメで懐かしむくらいでちょうど良い。

「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」という印象的なタイトルは、「恋」の捉え方なのだろうか。

美しい「花火」=「恋愛」を、「下から見る(見上げる)」のは、「恋に恋する」状態を指す。ようは、1周目の状態。好きだけど、素直に言えない。好きだ好きだと言いながら、いざ実際に付き合うことになると、ビビって逃げてしまう。駆け落ちとか無謀なことを言う。「横から見る」は、恋を自分の現実として受け止めている状態。最後はみんなこの状態になった。うまくいかないことも含めて、相手との付き合い方を考えられる。

少年少女達は、下から見上げるだけではその正体を掴めなかった花火を、高い位置から見る(自分が成長する)ことで、その全貌を掴んだのだ。

シャフトの幻想的な演出、美しい映像、米津玄師の印象的な歌によって、こういう切なさを表現したかったのだろう。それは、ある程度は成功していて、挑戦的だ。

と、ここまであえて、詩的で難しい言葉を連発しながらも、あまり中身のない、「この作品のような」誉め言葉レビューを書いてみたが、要約すると、「綺麗だけどつまらない」(苦笑)

クオリティ的には悪くなかったが、作品全体を俯瞰すると、やはり失敗している部分が目立つ。

まず第一に、この物語には「ドラマ」がない。

シャフトの演出を抜き、タイムリープという装置を取っ払うと、ただ単に、「好きな人が転校しちゃう」というだけの話だ。中身が空っぽなのを、どれだけ華美に装おうと、かえって虚しく見えてしまうものだ。

中身、というのは例えば、二人がお互いを好きになる過程や理由だ。二人は小学生からの付き合いのようなので、まあ、きっとなんか色々あったのだろう。でも、映画の中だけで分かることは、典道はナズナの「顔」が好きだということくらい(まあ男子中学生なんてそんなものだが)。ナズナに関していえば、典道のどこをそんなに好きなのかが全く分からない。他の男友達に比べ、典道が何か特出しているわけでもないし。あれだと、「母親への反抗」の為に、「好きでもないのに好きになった」感じすらする。(実際は純愛なのだろうが)そう感じさせてしまうこと、視聴者が典道を好きになれないことが、この作品の「無理矢理盛り上げてます感」に繋がっているように感じる。

てか、両思いで、ただ転校するだけなら、LINEでもテレビ電話でも、毎日繋がれる。90年代の中学生なら、転校なんて「永久の別れ」に近いものを感じたかもしれないが、今時の学生なら、「そんなにおおごとか?」と思うのではないだろうか。

また、映画のターゲットが誰なのかも不明。

主役の2人に、旬の若手俳優を使う時点で、我々のようなアニメ好きに照準を合わしたわけではなく、一般受けを狙ったのだろうが、だとしたら世界観が複雑で、演出も(シャフトにしてはシンプルだとしてもまだ)クドすぎる。あれなら、小学生には理解できず、中高生なら中身の空っぽさに気付く。親子で見るにしては、ちょいエロもあって、気まずい。

ちなみに主役の2人は、俳優の中ではマシな方で、特に広瀬すずさんは頑張ってた(菅田将暉さんは微妙)と思うが、当然、プロの声優には及ばない。普通に、花澤香菜さんと宮野真守さん(か、梶 裕貴さん)がやってれば、これだけアニメ好きに叩かれはしなかっただろう。

あと、走って電車に追い付く中学生集団には噴飯し、ちょっと絡まれたくらいでよく知らない中学生に顔面パンチし放置して帰る、ナズナの義父と、それを咎めない母親にはドン引きした。あんなクソ親の下で過ごすなら、そりゃナズナも家出したくなるわな。むしろ、あのクズ義父と暮らすナズナの身を案じてしまう。

本作、私は正直、3回寝落ちして、その都度巻き戻した。もしこれが「視聴者をタイムリープさせる演出」だとしたら、脱帽する(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26
ネタバレ

YwJje43950 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

打ち上げ花火 ”もしも玉”

{netabare}”もしも玉”というものが時系列的に一番最初に確認されたのは、なずなの、死んだ父が海で手に持っていたところだったと思うんです。
取り敢えず1回観ただけなんだけど、この”もしも玉”とは何だったのか、というのが掴めない。メタファー的な意味でね。
それがあると、最後の方の、歪んだ、されど理想的なあの空間と、その崩壊・消失に意味を持たせられる気がするんだけれど。
頭良い人に何かしら、良い感じのをこじつけて貰いたいところだ。皮肉じゃないよ。
より良い解釈を示して欲しいという、頭の良い他人の頭で感動したいという、楽したいという気持ちです。いちから解釈するには、少々難解な部分の多い作品だからね。

岩井俊二が脚本の会議段階で提案した”もしも玉”というアイデアは、元々のオムニバステレビドラマにおいて前提とされた『If もしも』という、物語の基礎の説明という役割を担わせるという目的があったようだ。
パンフレット内の”もしも玉”に関しての言及といえば
『いろんな人たちの”もしも”っていう思いが凝縮された何かなんだろうっていうところに固まっていって、玉ということで花火と対極としてひとつのシンボルにもなる...』
というものと、他には劇中のあらゆるキーワードの紹介をしているページ。
私としては、最終的に2人が行き着いた閉鎖されている感のある例の歪んだ世界では、まるで”もしも玉”の中にいるかのようではなかったか?と思ってたんですけど、その【キーワード集】を読むと、制作側もやはり、なずなと典道の行き着いた歪んだ空間のデザインは、”もしも玉”の中に居るようなイメージでコンテを描いたとのことだ。
ただ、『(そうすると)きれいかなと思って、...』という、文脈なんですけど。
花火と対極的な玉の形をもって、”もしも”という思いが凝縮された、”もしも玉”。
なずなの父は、生前使っていたのかな。
それとも、父の思念的なものが生んだのかな。
劇中、これに関してヒントはあったのだろうか。
ここまで書いておいてなんだけど、1回観て分かるほど私は頭よくないよ?


ところで、あの歪んだ空間は、まるで”もしも玉”の中であるかのようだったけど、あの町を囲うドーム状の歪んだ壁は、典道の空想・妄想の限界なのではなかろうか。
言い換えれば、典道の”もしも”の限界だったのではなかろうか。
町の外の事を、子供の彼らはまだ何も知らないからね。
そういうふうに意味付けるとどうだろう。
出来事の順番を忘れたけど、どこかのタイミングでドーム状の歪んだ壁は消失した。
彼は、周りより一歩先に大人に近づいたという事かな?
だから最後のシーン、クラスに典道は居なかったのかもしれない。
追記:海中のシーンで、2人の顔が大人になってるというツイートを見まして、確かめたい気持ちが強まりますよ〜。
あと、コレうろ覚えだったもんで書かなかったんですけど、劇中、電車に乗って、海の上を走って、結果何処へ行きましたっけ?
何処にも行けずに戻ってきたと記憶しているのですけれども...。
これってやはり、上で書いた”もしも”の限界によるものではないかなと思うのです。
”もしも玉”が砕けて、彼らに降り注ぐのは外へ飛び出していった彼らの可能性。
やっぱりあの夜って、彼らが大人になる劇的な瞬間だったのでは?
あぁ、記憶力よ。もどかしい。
追記2:”打ち上げ花火”と同じくシャフトの作品である、”まどかマギカ”の、劇場版、”叛逆の物語”ってあるでしょう?
{netabare}劇中の、ほむらの生んだ魔女空間と、”もしも玉”の空間とは似てるっていうレビューを読んで、正直、あまりピンときてなかったんですけどね、コレの意味が遅ればせながらようやく分かりました。
そういえばアレも、バスに乗って街の外へ行こうと試みて、行けなかったんですよねぇ。
何故なら、ほむらはその行き先の街並みを知らないから、再現のしようもないという。
たしかに、”もしも玉”空間とそこは同じですよね。
{/netabare}

打ち上がった”もしも玉”が花火のように破裂して、その欠片に、選択によってはあり得た”もしも”の世界が映り込む。
その一欠片を手にした事で生じるのは何だったか。
海の中での一連の出来事の意味は?
今作品の最初のほうのシーンで、なずなが玉を拾ったのと、歪んだ空間内のラストとが同じ場所であることは何を意味するか。
あの脱ぎ捨てた服だって、思い返すと最初のほうに伏線があった気がするぞ?
いやぁ、うろ覚えだ!1回観て語れるようなものではないわ!

追記:あにこれのレビューを改めて読んでいたら、ストライクさんの、今作のラスト、典道がクラスに居ない事についての解釈、良いなぁなんて思いました。
”男の典道は、願望の世界に浸るロマンチストなのかもしれない。”
でも、それだとハッピーエンドでは無いよなぁ...
典道のほうはその夏の恋に囚われちゃうって事でしょう?
"秒速5cm"的な関係でしょう?言いたいこと分かります?
やはり私としては、”もしも玉”空間の壁が砕けて外の世界へ飛び出していった彼らの可能性が降り注ぐあの演出を思い出すと...
でもね、いずれにせよ私の中で正直、未だに完全に納得いく解釈は得られてないんですよね〜。
まぁ、このよく分からない感じも好きですけどね、夢見心地で。

グダグダと書きましたが、この作品について簡単な感想としては、
シャフトには向かない題材ではないか、という事。
これは正直観る前から思っていた。
だからある程度、滑る覚悟はしていたりもした。
実際、賞賛するようなものでは、たしかに無かったと思う。
話が難しい以前に、例えば不自然なCG。冒頭の自転車等の動きなんか気になってしまった。
元の作品の人気、アニメとしての粗もところどころ見えてたし、また、分かりやすい感動!の物語を求めていた、脳の動かない人の多さも、大衆に向けた広告があっては仕方なく。
批判の多さも妥当かと思う。
でもね、ネット上のこの作品に対する批判はどうも(この作品に限らないけど)誠実でないものが多い。
後半の展開が原作と違うという点がお気に召さず、ただ叩きたいだけの価値のない批判をしてるブログが、少なくとも今、私がこの文を書いている時は検索上位にあったりして、嘆かわしい限り。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

蠱惑の球面

元ネタである岩井俊二監督のスペシャルテレビドラマは視聴済み。

球とは実に不思議な形をしています。
どの角度から見ても見える形は同じですが、
見えてる面は視点によって全部違う。

その上、光の加減まで考慮すると球はさらに神秘的。
特に例えばガラス玉のような透過性の高い球体ともなれば、
光の屈折まで加味されて見る視点によって輝き方が目まぐるしく変わる……。
そして、その透き通った球体は、あらゆる光を集めると共に、
球の境界を隔てた人々の視線や思念、願望をも惹き付け誘惑するのだ……。


本作は原作にもあった花火の見え方のウンチクによる好奇心刺激に加え、
シャフト作画によって全編に散りばめられた円柱、球形への違和感、興味。
それらが心を浮つかせる夏の空気、ヒロイン少女の魅惑的な美しさ等により加速され、
常識や倫理の壁をも超越して行く、真夏の青春アニメ映画。

主人公少年らと共に気持ちよくジャンプするには、
映像全体が醸すムードに憑かれることが必須で、ハードルはやや高めですが、
私としては夏に劇場鑑賞チャレンジした甲斐があった作品でした。



本作は単純に興味を持って観る。のとは別に色々な動機での鑑賞があり得る作品ですが、
以下、それぞれの立場からの見え方を想定してみると……。


①岩井俊二監督作のリメイクを期待して本作を観る。

……これは正直かなり失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}私が思うに原作ドラマは脚本、シナリオ等により賞賛されているだけでなく、
90年代当時の子供の世界。その再現性によるノスタルジーにより、
年々、思い出としても美化され続けている作品。

(例えば{netabare}本アニメ映画だと少年宅でプレイされるゲームは『キラキラスターナイトDX』という
2016年発売のファミコン用新作レトロゲームという恐ろしく懐古狙いなマニアックぶりですがw
原作ドラマではスーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』という大衆向け定番作 {/netabare})

それら当時の流行も取り込みつつ、しょーもない冗談や下ネタを言い合うw
ガキの会話あるあるな掛け合いが醸す、子供の世界にリアリティや説得力があります。
こうした子供の世界に背伸びしてる感を纏わせつつ、
大人の都合と対峙させることにより、物語の推進力と共感度をアップ。
さらに当時15歳の美少女だったヒロイン役・奥菜恵さんを画面に閉じ込めた希少性と相まって、
今なおタイムカプセルのような輝きを放ち続けている原作ドラマだと思います。

対して本作は後世、思い出となり得るような同時代性の強調は控えめ。
(例えば{netabare} スマホが出て来ない時点でタイムカプセルにはなり辛いですし、
松田聖子さんだの観月ありささんだの叫んでいる時点で
原作の時代に対するオマージュの方が勝っています{/netabare})

むしろ本作は花火の見え方というSFファンタジー世界展開の着火点により注目し、
そこからオリジナル要素も広げていくシャフト作品。

加えて本作では何故か主人公少年らを原作ドラマの小6から中1に設定変更していますが、
原作の掛け合いの流れも引きずっているためでしょうか?
少年少女たちの言動が今風でない感じがするだけでなく、
微妙に小学校卒業してない感じが、
原作ドラマ視聴後だと目につきやすく、それらがストレス要素になりかねません。{/netabare}

いずれにせよ、リメイク期待組とのキャッチボールは波乱含みのようです。

もしも原作ドラマ未見で、ドラマ観てから本作観に行こうと検討されている方がおられたら、
私としては是非、そのまま、よそ見をせずに映画館に直行することをオススメします。


②『君の名は。』川村元気氏のプロデュース作として、前年の感動再現を期待して観る。

……これも大分、失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}特に『君の名は。』を気軽なエンタメ作品として楽しんだ方は、
それを期待して本作を観ると事故る可能性がいっそう高まると思われます。

『君の名は。』は何となく観ていても状況は説明してくれるライトな作品でありつつも、
深読みしても得るものがあるコアな作品でもあった、
間口の広いヒット作だったと私は考えていますが、

本作の場合は作画や表情、ちょっとした台詞の違いなどを深読みしに行かないと、
状況すらも把握し難く、物語の迷宮入りと共に、失意の途中下車に追い込まれかねません。

逆に些細な違和感から考察を巡らすことができる方なら価値を見出せると思います。{/netabare}


③シャフト、新房昭之監督のファンとして本作を観る。

……これはまだ割と期待できそうです。

{netabare} そもそも背景絵等が醸すムードが作品を牽引する構造である以上、
まず本作でも相変わらず癖がある作画、構図等に興味を持って鑑賞し続けることが、
作品と折り合うための必須条件。

何じゃ!?このワケわからん絵は~~wとなるか、
あっこれやっぱりシャフトだ(笑)イヌカレーだ(笑)とニヤニヤできるかは、
本作でも満足度を左右する重要な分岐点になると思われます。

但し作画レベルは背景画等については良好ですが、
人物描写、特にキャラ造形の安定度等については標準レベルなので、
至高の劇場版作画を求める等の過度なハードル上げはオススメできないと思います。{/netabare}



以上、色んな角度から長々と書いてしまいましたがw

簡潔にまとめると本作は普段あまりアニメを観ない層にはあまりオススメできませんが、
コアなアニメファンや、あにこれユーザ等には、
合う合わない、好き嫌いも含めて、是非、感想、考察を聞いてみたい作品だと思います。

例えば核心部分について、私見を述べると……

{netabare}あの夏、最後、典道は平行世界に飛翔したまま戻って来なくなった。
なずなは元の世界に戻って転校し、典道を待ち続けている……。
というのが私の解釈と言うより願望?ですが、如何でしょうか?

典道も平行世界から一応、戻っては来たけど……という見解が多そうかつ、
妥当性も高そうなラストではあったのですが……。
「もしも玉」と平行世界の妖しさに取り憑かれた私としては、
あっさり元の世界に戻って来るのは何か勿体ない感じもするんですよね……。{/netabare}

みなさんの評価、感想……お待ちしております♪

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41

65.0 7 脱出で友情なアニメランキング7位
FREEDOM フリーダム(OVA)

2006年11月17日
★★★★☆ 3.7 (267)
1328人が棚に入れました
23世紀、人類は月に移住していた。「科学技術の研究の自由」「地球の渡航への自由」が奪われた月共和国「EDEN」(エデン)では、高度の放射能によって地球文明は崩壊したと伝わっている。一方的に与えられる自由に不満を持つタケルは、本当の自由を求める中で、EDENがひた隠しにしていたある真実に触れてしまう。
ネタバレ

PeachFly さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

やっと観終った^^;

前々から観ようとは思ってはいたものの、何故か気持ちが進まず後回しになっていましたが、6+1話のOVA短編でもあり、この機に観てしまいました。うん、やっぱり…というか、想像が当たってて、それで今ひとつ積極的に観れなかったのかな、とつくづく思いました。
{netabare}

話の流れとしては…
時は23世紀、地球は放射性物質に満ち人が住めない環境となり、(実はこの事実は嘘だった) 人々は火星探索の前哨基地であった月の都市化を進め、エデンと名づけてそこで暮らす一方、火星の探索は放棄されてしまった。 その都市に住む少年タケルは地球の本当の姿を見たくてロケットで地球に向かう。 地球に降り立ったタケルは美しい地球を目の当たりにし、月の仲間にもこの事実を知らせようと2年半後に再度地球から月に向かいロケットを飛ばす。さて、月の対応は…

…といったところですが、OVA 7話分というと、140分。劇場版1本作るより尺の長い設定ができるはずなのに、なんだか中身が薄いような…。 
主人公が活躍する場が月と地球の2手に分かられたから? それともバイクのアクションシーンに時間を取られたから? (実際結構長い時間費やしてます) 迫力はあるのですが、物語全体のストーリーからするとちょっとちぐはぐな感じもしました。

カップヌードルのCMで宣伝もされており、スポンサーでもあるからでしょうが、1話の中で必ず2回くらいはロゴ鮮明のカップヌードルが出てきます。^^;; 話の中で他にはこんなロゴ付き食品とか無い中で、このカップヌードルを食べるという1シーンは異常であり、その度に現実に引き戻される感じがして、せっかくの場の雰囲気が台無しです。(う~ん、残念^^;)

作画自体は緻密な描写とリアルな動きが相まって、臨場感はばつぐんです ! ずいぶんお金がかかっているんだろうな~と下衆な想像もしてしまいましたが、ストーリーの展開がいまひとつ「キリッ!」としてなくて、ちょっともったいないな~とも感じました。


…と、ここで思い当たるフシが… 

このアニメは出発点がしっかりした原作で人気を博してアニメ化されたのではなく、あくまでCMの延長。関係スタッフも、キャラ/メカデザインに大友克洋、歌は宇多田ヒカル、宣伝・バックアップは電通、サンライズ、バンダイ…と有名所が集まっていますが製作に当たってそれらが一枚岩になってない感じがします。(ファンの方、気を悪くしたらごめんなさい^^;)
なので、「とりあえず作っちゃえ!」的な雰囲気が漂ってます。

それと、キャラクターは… まぁ独特ですよね。「アキラ」にも通じるものがありますが、女性の描き方が明らかに日本人向けではない。主人公が想いを馳せて地球まで行く美人があれでは…^^; なんだか、OVAのプロモが成功したらUSにも展開しようとしたのでしょうか? 話の全部が海外受けするような作りになっています。

{/netabare}
…と、まぁ、ここまで酷評ですが、メカニックの作りと、背景作画の美しさは評価できます。
ただ、如何せん、キャラクターとストーリーがあれでは…。アニメは各要素の総合バランスで良くも悪くもなるので、まぁこの作品は上手くいかなかった例でしょうか。



<<PeachFlyの「また観るかな~」判定>> : 1

0:途中で挫折、 
1:もう観ない、
2:もしかしたらもう1回くらい観るかも、
3:たぶんもう1回は観るかな、
4:もう2~3回は観るつもり、
5:ベスト10に入る逸品!。きっとこの後何回も観ることでしょう^^

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

自由を求める一途な物語

世界観:6
ストーリー:6
リアリティ:5
キャラクター:4
情感:5
合計:26

<あらすじ>
23世紀、人類は月に移住していた。「科学技術の研究の自由」「地球への渡航の自由」が奪われた月共和国「EDEN」(エデン)では、高度の放射能によって地球文明は崩壊したと伝わっている。一方的に与えられる自由に不満を持つタケルは、本当の自由を求める中で、EDENがひた隠しにしていたある真実に触れてしまう。
(ウィキペディアより)

たまたま視聴したYouTubeの動画でおすすめされていたので視聴しました。以下、FREEDOM SEVENも含めての感想となります。

発売から35周年を迎えたカップヌードルの新たなブランディング・プロモーションの一環として、大友克洋を迎えて制作したアニメーションを軸に展開されたプロジェクトのため、食事は全て日清のカップヌードル。久しぶりに食べたくなりました。

大友克洋氏と言えばAKIRA。キャラクターやメカはそれと思わせるデザインでした。{netabare}彼のキャラクターデザインの特徴として、男性は格好良くなく、女性はかわいくない(等身大といった感じ)のですが、本作の柱がボーイミーツガールの王道展開にあるところ、タケルがアオに惚れることの説得力がやや弱いのがもったいないと思いました。別に萌えは必要ないのですが、物語に工夫があるわけでもないので全体的に評価が低めとなってしまいました。{/netabare}

一方、本作を視聴したシーズンではフェアリーゴーンを断念してしまったのですが、それもあって、わかりやすいストーリーはそれだけで評価できると感じました。宇多田ヒカルの歌うOP(くるくる回るアニメーションも)も良かったです。

ツッコミというか、気になったところとして、月の生活空間は地球と同じ重力が働いているようでしたが(タケルらも地球に行って全くその点自然に対応していたので)、月で地球と同じ重力を発生させるのは結構難易度が高そうに思います。スペースコロニーは回転することによって重力を発生させる理論ですが、EDENは月の地表に張り付いているので別の方法になりそうです。

子供の頃は、宇宙の開拓が進んで旅行なんかもできるようになると思いましたが、コンピューター技術はかなり進歩しているはずなのに、月すらも長期間行けていないのですよね。空気なしに生きられない人間にはハードルが高いです。
未来の乗り物と教わったリニアには乗れそうなので、そちらを楽しみにしつつアニメで未来を想像しましょう。

(参考評価推移:3~7話3.3)
(2019.6視聴)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

カミタマン さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

浅間山荘事件にはおよばないけど

日清のカップヌードルの三十五周年記念CMとして作られたとか。たしかに,作中やたらとカップヌードルが主張してきます。日清の主力商品であろうカップヌードルシリーズのアニバーサリー企画とブランディング戦略を担うべく作られた本作は力の入り方が格別です。


最初に,この作品FREEDOM だけでは完結しません。FREEDOM SEVENまで見ないと全く話が終わらずかなり残念な感じになってしまいます。従って,この感想もSEVENを含めての感想です。

ストーリーはシンプルで力強くそしてテンポ良く訴えてきます。

管理された社会の息苦しさ,自由や地球の自然の素晴らしさ
そして行動することの大切さと腹が減ったらカップヌードルを食べれば良いことを(笑)

率直に言えば,自分は主人公のタケルが鬱陶しいと思います。もうちょい考えて行動しろと・・・w

後先考えずに,写真で見ただけの女の子に会うために,実際に居るか分からないどころか人類が絶滅していると言われている地球に行っちゃう。(正当化する言い分けを考えずに行動に移す)そんな,常識外れの行動力が大切なのかもしれません。
でも自分としては,タケルはやはり鬱陶しく,共感出来るキャラはアランとかカズマ,ビズ,タイラなど周りの人間なのですが^^;
めちゃくちゃな行動力を持つ人間がいて,それを支えたり,巻き込まれながらも自分の役割を果たす者が居る。おそらくこれが社会を変える力になるんだろうな,なんて感じるとともに,カップヌードル食べたいとも思いました。カップヌードルという商品の販売促進・ブランディングにとって,予期せず絶大な効果を発揮した,浅間山荘事件の中継の次くらいに歴史的価値の高い作品と思います。

カップヌードルのCMといえばこの作品以降,気になるアニメをときどき作ってきます。できたら「青春編」「ONE PIECE」編も長編にして欲しいなんて思っちゃいます。

音楽的には
OP「This is Love」やっぱり宇多田ヒカルはすごい!天才しかもアニメやゲームのテーマソングとの合性が抜群だなと改めて感じました。オープニング始まった瞬間の高揚感たるや!
EDはボーカル無しですが癖になるいい曲です。でも池さんエルゴプラクシーのEDと同じに聞こえるんですけど・・・^^;

大友克洋キャラデザインなので女性キャラに萌え要素は全くないです。(特別な趣味の人は分からないけど・・・)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

76.3 8 脱出で友情なアニメランキング8位
Dr.STONE(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (394)
1673人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。文明が滅んだ石の世界(ルビ:ストーンワールド)を前に、千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。新たな仲間を集め『科学王国』をつくりあげる。火、鉄、電気、ガラス、ケータイ……石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がる千空たち。しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司が率いる『武力帝国』が立ちはだかる。人類浄化を目指す司は、強大な武力によって、科学の発展を阻止しようとするのだったーSTONE WARS、いざ開戦!

声優・キャラクター
小林裕介、古川慎、市ノ瀬加那、沼倉愛美、佐藤元、前野智昭、村瀬歩、上田麗奈、高橋花林、河西健吾、麦人、中村悠一、石田彰、豊崎愛生、小野賢章、中島ヨシキ、種﨑敦美
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

獅子王は何王になりたいのだろう?

原作未読 続きもの第2期

下仁田ネギを擬人化したら大槻ケンヂだった件の続き。
もとい…全人類が石化しちゃって早幾年。大方の説明は省略しますがちょうどよいところで2クール終了したこともあって続きが楽しみだった作品の第2期11話です。うーん…コンパクト。
連載中の作品の場合、初出の1期においてはアニオリで畳むか続きを匂わせるかの2択となりますが本作は後者。さらにそれを受けての2期でも1期同様匂わせエンドであったため、踊り場の2期という位置づけになります。
そうなりますと本作に限らず経験則上評価は下がる傾向に。「終わってないじゃん」が最たる理由なのは当然として、継続前提の2クールならよっぽどでない限り“尺不足(説明不足)”とは無縁なわけですし、初物ならではの目新しさに引っ張られ満足しちゃう1期の存在がハードルとなってしまうからです。
そして高くなった期待値というハンデに加え、目新しさだけでの牽引力は賞味期限を迎え、と作るほうはたまったもんじゃなかろうというのが実情ですよね、と。

本作においての評価も自分の場合は4.2点を献上した1期からは下がります。
たぶん作品どうこうは今後にかかっているので暫定評価ですね。某『進撃の巨人』みたいに2期で目先を変えたらネガティブ評も目立っちゃったけどその後の展開で再評価された作品もありますので今後も見届けたいと思います。


…ってと自分に必死に言い聞かせてます。どういうことか?
食い気味で視聴した1期ほどの熱量が自分になかったんだなぁこれが('◇')ゞ
本作のコア部分の魅力は崩れてないため総じて低くない評価だったとは前置きしつつ、そのへん1期のレビューで書いちゃったし、じゃあ差分を書こうとするとネガティブになっちゃうという現在地。
よって

 ちょっと失速したかしらん?

差分を備忘に留めて置いとくかぐらいの心持ちで以下

1.ドラえもん化
ゼロからのモノ作りがおもしろおかしい魅力だった1期。2期ではプロセスを省いて“テッテレー”と文明の利器が登場するイメージ。
当然、最初に作ったものを利用して二次制作するなど初期段階から変わっていくのは仕方ないですけど、慣れたのか飽きたのかゼロベースのモノづくりで唸る場面はなくなりました。


2.敵役の矮小化

“霊長類最強の高校生”
このワードにツッコミ入れてない方が継続視聴されてるかと思います。原始共同体ならそりゃ軋轢は血なまぐさいものになるわなと許容範囲の1期。2期ではとある変遷{netabare}“獅子王司の良い人化”{/netabare}をどう評価するかが鍵なのかと思われます。
良くも悪くもジャンプらしい展開でした。こういう物言いする時は良く思ってない時なんですけどね。

{netabare}世迷い言。司ってゴールポスト動かすし知識階級(汚い大人ってくくりでしたが…)粛清するしポルポトみたいだねって放言した1期レビュー。ついでにコップの中で粛清始まるぞとも言いました。
案の定、反乱分子が出てきて路線対立していって、との流れは悪くないんだけど、バラモスの次はゾーマだ!みたいな流れができちゃったので今後インフレしていくしかないなこりゃと諦観してます。まさにTHEジャンプなのです。

さはさりながら“踊り場”2期で新敵役はさわりだけだったことは情状酌量の余地あり。千空と対立する理由が不透明のため煮え切らないのですが徐々に明らかになるにつれて物語は締まってくるでしょう。{/netabare}


3.野性味はどこへ?

象徴的なのがOP。1期のOPって土臭かったでしょ?
あれ好きだったのに、文明の夜明け的なノリが薄まっちゃったかしら。


3期は決定してるらしく要経過観察な2期になるのだと思います。
先のネガティブポイント3点も単純に飽きてきただけなのかもしれませんが今のところ自分でもよくわかりません。
追い打ちかけるように私が面白いと感じた部分が薄まったことで蓋をしてたことも悪い意味で顔を出してきとります。
例えば千空くんの「○○億なんちゃら」「超絶なんちゃら」「そそるぜ」等のイキリワード連発がしんどくなってきたとかね。科学の申し子設定だったらこんな非合理的な修飾語を連発しないだろうに…等々。いやあ不安です。


※余談

■どうせ実力あるんだから

様式美ってあると思うんです。
それがわかってくる醍醐味は重々承知していて、趣味なんてだいたいそんなもん。今回は声優さん。

子安さんが出てくれば「あ、変態だな」
杉田さんが出てくれば「あ、むっつり系の変態だな」
松岡さんが出てくれば「あ、女の子寄ってくるな」

{netabare}石田彰さんが出てくれば「あ、敵ね」{/netabare}

爪痕残しまくるせいかその役の印象が強いってのもありますけど想定の範囲内で終わってしまうことが寂しい気もしてます。



視聴時期:2021年1月~2021年3月 リアタイ  

------


2021.04.17 初稿
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 37
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

兵も科学も詭道なり

【物語 4.0点】
千空“科学王国”VS“司(つかさ)帝国”の戦いを描く第2期(全11話)

“STONE WARS”と打ち出している割に戦闘シーンは少な目。
煽った割に地味?と感じる方もいるとは思います。
が、私は本作は少年漫画原作ながら、
ちゃんと“戦争”している稀有な作品だと感服しました。

例えば孫子の『兵法』の観点から見ても……。
・戦争は消耗戦なので、準備に時間をかけ、短期で決着を付ける。
→千空が何ヶ月もの準備を重ねて、天王山と目した{netabare}奇跡の洞窟攻防{/netabare}戦は僅か{netabare}20秒{/netabare}の電撃作戦。
・百戦百勝が最善ではない。戦わずして勝つのが最善である。
→千空が極力、流血を避けたのも安直な正義ではなく、その後の国家運営も見通した政治的にも上々な判断。

他にもケータイを切り札にする辺り情報の重要性もわきまえていますし、
狡猾にスパイも使うし、敵陣営からの切り崩しもシャープだし。
感心のあまり思わずレビュータイトルも『兵法』の「兵は詭道なり」からひねっちゃいましたw
千空はハッタリ戦術も決まってました。

千空も、司も、やり方は違えど、より良い世界を目指す志は同じ。
互いに一目置いている者同士がぶつかり合ったナイスファイトでした。


【作画 3.5点】
アニメーション制作は引き続きトムス・エンタテインメント(8PAN)

千空のからくり発明品の再現も手慣れたもの。
スチームゴリラ号には進化の過程も含めて漢のロマンを感じました。

雪解け前の先制攻撃を目した作戦とあって、背景美術にも雪景色が残る。
ラストの(※核心的ネタバレ){netabare}司と千空が“無駄話”に花を咲かせたコールドスリープ{/netabare}のシーンと合わせて、
寒い季節のアニメとして思い出されそうです。


【キャラ 4.0点】
“司帝国”を率いた獅子王司。
精鋭の若者たちによる新世界を目指すと豪語するだけあって、
部下にも体操選手・ほむら、柔道選手・ニッキー、記者、
驚異の聴力を誇る潜水艦ソナーマン・羽京(うきょう)とタレントが揃う。

司のようなヒーローが、才能溢れる仲間を集めて、腐った大人たちを打倒する。
あとは自由だ。だが代案はこれから……。おしまい。
前時代、こんなプロットの作品をよく見かけた気がします。

『ドクスト』には上記のようなテンプレートを克服する意図もあるのでは?と改めて思いました。


司帝国にスパイとして潜入していた大樹&杠(ゆずりは)
これほど長い期間メインキャラを離脱させるのは
作戦展開上も作品展開上もハイリスクだったのでしょうが、
千空も、作者&スタッフも粘り強かったです。
{netabare}ホットライン開通{/netabare}のシーンは感動しました。

大樹に、2期でも科学使いの意地を見せたクロムと合わせて、
熱血成分増量で体温が上昇しそうです。


【声優 4.0点】
司帝国の槍使いでリーダーと双璧を成す氷月(ひょうが)役の石田 彰さん。
キャスティングだけで嫌な予感がしますがw
「ちゃんとしている」だけじゃない、不穏なボイスで緊張感を与える。

ニッキー役の種崎 敦美さん。
{netabare}4文字目を喋ったら殴るw{/netabare}凶暴な柔道女のドスの効いたボイスと、
{netabare}リリアンを青春のバイブルとする{/netabare}乙女ボイスとの落差が強烈w
つくづく器用な声優さんです。

浅霧 幻役の河西 健吾さん。
声真似も得意とのキャラ設定ですが、流石に{netabare}リリアン{/netabare}のコピーはリームーだったらしく、
{netabare}Lynnさん{/netabare}のリリーフを仰ぐw
それで、{netabare}表現したリリアンの真似が55点って、ガチファン・ニッキーは手厳しいですねw{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴も引き続き、加藤 達也氏、堤 博明氏、YUKI KANESAKA氏による共作。
原始風アレンジを中心に新曲も投入しサントラも早くも3枚目がリリース。
2期ではマッチアップに合わせて高揚感のあるジャズ風、ラップ曲も目立つ。

OP主題歌・フジファブリック「楽園」
クールな作風の中に熱い歌詞が込められた、
千空VS司を想起させるオール日本語歌詞曲。

ED主題歌・はてな「声?」
こちらは、そこそこ熱唱して、生と解答を追い求める千空の意志と共鳴するオール日本語歌詞曲。
人類文明史の上に成り立つ千空の科学を示唆する横スクロールなEDアニメーションも印象的。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

科学 VS 武力、いざ開戦

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版第1期は視聴済です。
第1期は2019年の夏から2クールで放送されました。
私の2019年秋アニメのBEST10において第5位を獲得しました。

本当に面白かったので、本来であればもう少し順位が上でもおかしくない作品なのですが、放送されたタイミングに難があったと個人的には思っています。
何故なら、上位にはそれだけ素晴らしい作品がひしめき合っていましたから…

因みに私の2019年BEST10のうち、第1位~第4位は以下の通りです。
第1位:この音とまれ! 第2クール
第2位:慎重勇者 ~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~
第3位:ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld
第4位:ハイスコアガール II

やっぱり振り返ってみても、どれもその順位に相応しい作品ばかり…
だから第1期の準備を第5位にしたことに後悔はありませんが、この第2期を視聴してより一層この作品が好きになった気がします。


全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年——。
超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。

文明が滅んだ石の世界を前に、
千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。

新たな仲間を集め『科学王国』をつくりあげる。
火、鉄、電気、ガラス、ケータイ……
石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がる千空たち。

しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司が率いる『武力帝国』が立ちはだかる。

人類浄化を目指す司は、強大な武力によって、科学の発展を阻止しようとするのだったー

STONE WARS、いざ開戦!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。


番組の最後に「この物語はフィクションですが、登場する動植物や物質、製造方法などは実在するものに基づいています。
個人の判断による採取や製造は大変危険であり、また法律に触れる恐れがありますので、決して安易にマネをしないでください。」という注意書きが表示されています。

まぁ、マネをする人はそうそう居ないと思いますが、科学文明が一歩ずつ前進している様には大きなロマンが感じられるんです。
それを物語っているのが千空の会話に登場する数値の単位なのではないでしょうか。
「100億パーセント」とか「1億倍」とか…
なんか想像を絶する単位に最初は戸惑ったものの、最近は全く気にならなくなりました。
改めて人間の順応性の高さにビックリです^^;

今期はレビューのタイトル通り科学王国と武力帝国の真っ向勝負が描かれています。
拠り所とする力、思想に至るまで全てが真逆の科学王国と武力帝国には正直接点が見い出せませんでした。
ただし物語の中盤まで…ですけど。

完走して思ったこと…
科学には思想を捻じ曲げる力があると痛感しました。
「捻じ曲げる」というのは悪い意味ではありません。

思考領域を限りなく広げられる…
限りなく広がられたその先の着地点を選択できるという意味での捻じ曲げるです。
人間が実行に伴って思考する際、思考の枠内には限界が設けられるのではないでしょうか。
自身の遂行能力に対する限界や、周辺状況や物資の有無などによる限界などが挙げられると思います。
ですが、科学の力は限界を限りなく押し広げてくれる可能性があるんですよね。
この作品は、その可能性を如実に感じさせてくれました。

この作品のタイトルである「Dr.STONE」の意味は、ストーンワールドにおける科学力のことだと思っていました。
ですが第2期を完走すると、もう一つの可能性が浮かび上がってきた気がしてなりません。
ネタバレ要素を多分に含むので記載は割愛しますけれど…
今後の展望に大きく寄与する可能性なんじゃないかと個人的には思っています。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、フジファブリックさんの「楽園」
エンディングテーマは、はてなさんの「声?」

1クール全11話の物語でした。
この作品も尺の短さを感じましたが、続編の制作が発表されたので文句なしです。
乗りかかった船です。
原作は未だ連載中のようですが、最後までお付き合いさせて頂きたいと思っています。
しっかり堪能させて貰いました!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21

63.0 9 脱出で友情なアニメランキング9位
COPPELION コッペリオン(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (771)
3787人が棚に入れました
西暦2036年、「コッペリオン」と呼ばれる遺伝子操作により生まれた3人の女子高生が無人の東京を歩いていた。彼女達は、お台場原子力発電所で起きたメルトダウンにより、死の街と化した東京から生存者を救援する自衛隊の特殊部隊だった。捜索をする彼女達に、突如銃声が鳴る。そして・・・残留放射能あふれる無人の廃墟であり、緑あふれる野生の王国でもある、異界と化した東京都内が主な舞台となっている。
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

禁未来のサービス精神。なんで争ってたんや〜(全13話)

総評
積極説教応援隊長イバラ先輩のテンションが突っ走って吹っ切れていそうで気弱なときもあり、その抑揚にどこまでのって行けるか試される。opとedの歌にはその感情の激しさがよく表現されていて、特徴のある歌だった。

面白くなりそうな舞台づくりや
皆で工夫をして乗り切ろうと動き出す辺りはドラマチックな部分もあったけれど
人物達の心の動きがだいたい急なテンションで表現されるので突飛な印象を受ける。
そのため、感動に繋げたいんだろうなって所がステレオタイプなドタバタ劇となっていた。感動させるには、もっとズルく綿密にしないといけないんじゃないかな。ある意味、いい人過ぎる話の進め方だった。
あまり深く考えずに自分でいろいろ不毛なツッコミを見つけていれるのは楽しかった。
ラストは、そんなことで仲良くなれるなら争わないでほしいってオチだった。


原発の被害にあわれた方には、どういう要素を足しても引いてもキツイと思う。じゃあ原子力のお話はタブーなのか?というと、はだしのゲンや風が吹くときの例があるよね。
やっぱり、テーマと舞台に対していい人過ぎる軽い進め方だったんじゃないかな。




各話レビュー

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初回
カラーだけどセピアに見える色合い。
BGMが無くて、尚更ジリジリ感が出る。
今の時代、だから生きて来るテーマかな。
関西弁…関西人でなくてもたぶん違和感あるのはわかるけど、気にしないようにしよう。髪型とメガネでしかキャラが見分けられないのも、気にしないようにしよう。
次回気になる。

2話
「万能薬エーテルです!」
1話でも言ってた。なんでもオ○ナイン軟膏つけるおばちゃんみたいな。コレ効くから。ええで。うっときー!{netabare}エーテルやでー、エーテル!ちょっこしチクッとするだけやから、な?うごいたらあかんて、がまんしぃ、うごいたらブスッといくでー?いくでー?、とかなんとか

動物が悪者でなくてよかった…凶悪化した犬の惨事かと思うような、一回めの引きだった。でも違った。
二転三転する状況で、今わかっていることと、信じたいことは、どれ?ってスリリングな捜査だった。

「あたしの18年間を否定しないで…」
そうか…18か。学校の制服着られる期間、ギリギリなんだ。放射能よりも、なんでこんな瓦礫だらけの場所に乗り込むのに膝当てもない無防備な姿なんだと思ったら、そういうことか!!君の気持ち、理解した‼
え、違う?

いや、泣き落としにグッときたよ。そんなに素直に心情を吐露しちゃうんだ…とても「人形」とかには見えない。
与えられた任務を頑張れば、たくさんの人を助けられる、そのために造られて生まれて来たのだから。そう信じてきたのだから。
この先も、現場と想定の差にどう動くか試されるのかな?

人形、コッペリアの説明のときの人形の絵が味わいなさ過ぎて驚いた。目がどこみてるのー。腹話術の人が持つ類い?ネジ外れたコロ助みたいやでー。もっとこう…せめてコピーロボットくらいの奥ゆかしさにしといてやー!{/netabare}

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3話
毎度出るエーテル。ちょっとツボ。
あんたこれメーカーモンやから。つこうときー!
{netabare}防護服にぷすっとしたあとの穴はどうなってるのか、科学の力で、シールでもペタッと貼っとくのかな。

廃墟に残って暮らす人達にせっせと配給し続けていた配達屋さんを保護。

老人ホームに置き去りされたおばあちゃん。嫌な話じゃー
東京を廃墟にいたらしめた施設の開発者曰く「私があんなものを開発したせいで、(おばあちゃんまで)不幸になった…」
非常時に老人をわざと置き去りにするような家族とは、日常時でも幸せだったのだろうか。
不幸にしたのはまた別の話では…

いばら「みんなが必要としたから、開発されたんでしょう!!」
みんな…経済とか商売とか利害とか…みんな?
「わたしは科学が大好きです!!科学が私のお母さんだから!!」
わあっ
そんなすごいザックリと作文的な事を言っちゃうのか。言い切っちゃうのか。
科学が私のお母さん。頭の中でエコーかかるわー。
廃墟の窓辺で見知らぬ故郷の匂いを探したり、数少なそうな生存者に尽くすことに生きがいを見出そうとしたり…。たどたどしい関西弁とハキハキした言い切りが、明るいような健気なような気もするけど、支えになってる希望がなかなか危ういような。

とりあえず落ち込んだ奴は励ます応援団長、いばら先輩。(ついでに自分の心情も発散してヤル気出す)
「泣いたらスッキリした」的な脳内物質がバシバシ出てそう。
エンディングの歌がミュージカルみたいに早口で謳いあげているのは何だろう。いばら先輩のテンションと重なる。{/netabare}

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4話
あかん!エーテル品切れやー!?の巻
もう本当、今んとこエーテル頼みな…。
今回もイバラ先輩のテンションが高い。
{netabare}メモ、メモ!ってくらいののイバラ語録、ダダダダっとすごい勢いで。
色々自己肯定してかなきゃやってられない!
あたしは世界をあきらめない!
OPとEDもそんなノリが反映されてるね。

でっかい武器抱えて「(扱いは)体育で習いましたー!」どんな体育^_^;

高濃度廃棄物投棄地を発見。{netabare} どうせ汚れてるから世界からもってくるの?ヤメテー!!××ものだけを世界から。イエローケーキです。ステルス機で来るって相当儲かってる。
漏れたけど雨水で濃度薄まったから大丈夫って海に流してる現実の汚染水処理のニュースがどうにも思い起こされてハラハラ…。…。{/netabare}

2話の脱獄犯や今回の博士、もう疲れてしまっている大人達に檄を飛ばし続けるイバラ先輩。ひとりで背負い込み過ぎないでって仲間の声。
腹ペコキャラの子の、花澤香菜さんのノンビリ声。(時々わたモテのゆうちゃん風)いばらっちのテンションをなだめるのに丁度良い。

それにしても、人間じゃないという前提で教頭たちが彼女らを「彼女たちこそ、人間らしい。」と認識しなおしたり、本人達も引け目を感じたりしているようなんだけど、防護服いらない以外は、まだあんまり非人間的な点は感じないんだけどなぁ。
次回予告、妊婦や不思議なロボが見えた。SF風味が強くなるのかな?{/netabare}

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5話
ついに 今回はエーテル打たなかったん…



気をとりなおせ!
しかし今回は3人娘の表情や動きに差があって、見分けやすかった。
うん、イバラ先輩以外も名前おぼえられた。(え、ようやく?)(ハイ…)
それにしても「荊」「葵」は植物で共通の名づけ価値観を感じるんだが、
「タエ子」って。
どこの昭和な科学のお母さんが名づけたんや!!とイバラ先輩に叫んで欲しい。

{netabare}カメラワークに目を惹きつけるところが色々あったな。
妊婦連れを、攻撃してきた旧自衛隊第一師団から保護。
第一師団の人は、「成長したな」的なことを言ってた…?
コッペリオンに対してなのか、自衛隊全体についてなのか。
第一師団、名前こそ自衛隊を名乗ってるが今は正式連隊ではなく、過去の散々さを知っているドロップアウト愚連隊ってことだよね?
教頭のそばについてる、カジさんみたいな皮肉中年キャラがいい味出してる。声優さんの口調いい。

ちっこい首相。ウルトラマンみたいな防護マスクつけて。
あんなオールドタイプの白髪首相…現代だったら指示されなそうね。この物語の国、人口内の年齢分布が特殊そうだからそんなんなっちゃう?しかしもっとましなお年寄りがいるだろう。

不思議な取り残されたユートピア施設に避難。
「水力だけで安定するもんか…」なにお?!ダムなめんなよ!
まだ何か厄介なもん使ってるんですかー {/netabare}

次回は妊婦イブキさんの手料理とアオイちゃんの食べっぷりがみられるのか?「掃除係」の登場。

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6話
アオイちゃんのコミカルさと、ハルトの優雅さがやっぱりコミカルで面白かった。

第一師団に連れ去られたアオイちゃんを奪還すべく、泳がせて誘導作戦に出るが…。
掃除係・ハルトがおいしいとこ持ってったね。
{netabare}
( ̄+ー ̄)「横になって寝ていても構わんよ。寝ている間に身体をくまなく調べさせてもらったんだが…」とか

☆*:.。. ( ´θ`)ノ.。.:*☆「こんなに星が多く美しいのは文明が滅んだから…」とか酔狂なこと言いながら、

射程距離長そうなスコープ付きの銃で狙ってたのに、いきなり飛び出して突っ込んでって、クルッとターンして撃つ、とか…おーまーえ何だ。楽しみになってしまうじゃないか。ピッタリな言葉を思い出した。「キザな奴」。
気障と書いてキザ、イバラ先輩の気に触っちゃうのかな〜ワクワク。

今回はイバラ先輩のウェットな共感浸透テンションが通用せず、ボコられまくり。第一師団、脱ぐとすけきよ。年期入った気のおかしな輩。そんな日もある、不憫なイバラ。

装甲車の中でクロベエ親方が
「救助救助っていうが、今の俺にはわずらわしいしがらみもねェ。ムカシのクソ社会にゃ戻りたくはねェや」てなことをくだまいていたら
源内が「あの子らは、生まれつき重い宿命を背負ってやってきた。その呪縛は、与えられた任務を終えるまで、解けんじゃろう」
時代の負の責務を意識した大人なセリフ。

それにしてもいぶきさんの赤ちゃんは誰の子なんだろう?{/netabare}

***************
7話
今回のハルトは、お留守番役になったので、あんまり面白いことをしてくれませんでした まる
{netabare}
イバラ先輩を人工呼吸するサービスカット?や、第一師団のすけきよへの拷問はしていたか。
サービス…サービスってなんだろうね、この世界にて。
スッカリエーテル打たなくなってしまって。エーテルサービス。
あれやこれやあり得ないシチュエーションでエーテルを打ちまくる話かと思ってたのに!!ある時はウィリアムテル式に。ある時は天井裏から吹き矢で。
イバラ先輩がブルマー?になってるのはサービスの一貫に分類していいのか?
今回、イバラ先輩の顔がかわいかったよ。重箱ツツツ_φ(・_・

第一師団の破滅思考からくる放射性物質の拡散活動を行うにはコッペリオンの体質が必要。それで狙われてた…
それでおにぎりもらって生かされてたんだね。ひきこもり協会入りした葵ちゃん…
ドアから離したところにごはん置いたら出てこないかな…


産気づいた、いぶきさん。
政府からの助けヘリが来ず、旧都市の病院へ行くことに。
おおざっぱでいいから地図を見たい…
どこらへんまで人が住めて機能しているのかイメージがわかない。
{/netabare}
次回へ、なんかまた気のおけない登場人物が出てきましたよ。
シスターズ。

*****************

8話
オズ姉妹は、怪力ギャルとビリビリ高校生。
眉の薄い締まりのない顔が怖いよー
{netabare} コッペリオンは遺伝子操作されたクローン。
犯罪者の遺伝子ご利用は計画的に。
電気うなぎの遺伝子も使っちゃったの。そりゃあ恨みたくもなるかも。マフラーしてカイロ持ってるビリビリは、寒がりなのか。

この不良2人と絡むと、イバラ先輩の優等生ぶりがわかる。
自分の与えられた命と任務に納得と慰めを見出しているイバラに対し、
「あんたは自分が不安だから、言い聞かせようとしてるだけだっ!」吐き捨てるような否定をむき出しにするオズ姉。
「コッペリオンは寿命が短く、いずれ突然死するらしい。使い捨てられるなんて許せない!」と憤るオズ姉に対し
イバラ「動物には、みんな寿命があるでしょう」 {/netabare}

その歳まで生きられない命もある。比べられないけれど。
憤るほどに、欲しているのは?
単に貧乏くじひかされた気分で、全てぶち壊したいだけかな。
「ベッドの中で死ねるわけじゃない」
オズ姉が想像する最期。本当は、どんな人生を欲してるの?
{netabare}
言葉の通じなさそうなオズ妹とイバラ先輩のすったもんだが見せ場ですね。
電柱投げ合ってた…イバラ先輩も、やりますな。戦車乗っ取るの手早いですな。ふとももで乗っ取った。ブルマーこんなとこで役に立った。

また丸腰で優雅に散歩するハルト。そういうの、ほんと似合うね。捕まったらどうするつもりなのか、しかしカナリヤに助けられた。ハルトが一体どうやってオズ姉妹をまとめてたのか(?)気になります。 {/netabare}

***************

9話
取り囲むように危ない濃縮ゾーンの風が迫る。動物たちもバタバタと逃げ出して…
って野生化した動物、いろいろいるのね。

{netabare} あやめ婆さんの保護施設に子供が多少いる。
どれくらい離れたところなんだろう?「ナゴヤのあやめだよ!」→名古屋のこと?名古屋はまだ人の住めるところなのか。
昔取った杵柄でお産の手助けを無線でしてもらうことに。

コロニーはいつまでも持たない。
オズ姉妹を引きつける陽動班と、電車を復旧させて動かす工作班に別れてヘリの着く場所まで脱出の計画。
工作班コジローさん、いやに電圧に詳しく、過去の仕事を聞かれて口ごもる。ダム電力に愚痴ってたし、原子力のお仕事ですか?
ノアの箱舟のように動物たちを乗せて貨物機を準備。
いぶきさん「もう1人助けて欲しい人がいるの」ついに赤ちゃんの父親の存在発覚。
葵ちゃん出てきた。調子取り戻したけどオズ姉妹の名を聞いてへにょへにょ化。いじめられてたのかな。

おまえは味方なのか?とイバラに確かめられて
ハルト「正直なところ、君たちが何故彼らを救うのか、それが何になるのかは分からない。あえていうならば、そうだな…もう少し知りたくなったのかもな。人について。」
宇宙人じみた境地かい…? {/netabare}
ハルト、同じ釜の飯を無理やり食わされてた。まあ、晩餐の席で栄養補助剤チャッとだして d( ̄  ̄)「僕はこれで…」なんてパフォーマンスしてたら突っ込まれるだろう…
「おにぎりは誰が作っても同じ」いやいや、料理漫画「おせん」で違うって言ってたさ!ラップで握っちゃったら同じかもね。

対戦型に改造されたノーセンスは、腕が飛ぶパンチなんかをかましてくれるんでしょうか。

10話
葵ちゃん、あ、やっぱり…^^;
でも今回は葵ちゃんが主役。
{netabare} 陽動部隊としての役割を泣く泣く果たし、能力の片鱗を見せ、白鳥ボートでの逃走劇が楽しい。ノーセンスも期待に応えてくれた。

ハルト面倒見いいな。イバラの考えなしを徹夜で作っといた武器でサポートし、人質になったイバラを助けて電撃を受け…
あれ?イバラさん何してたっけ

いぶきさんのダンナさんをみつけて、なれそめや事情を聞いていた。カウンセリング的保健係になってます。始めからそうだったといえばそうだったね。とにかく励ます‼て人だったね。10話にして初心に帰る。
「なんでイバラが委員長だったのか」と疑問なハルト、それはほれ、まとめるには声の大きい人じゃないと。

やっぱり電力業関連のコジローさんが腕まくりしてくれてるので、きっと電車は動く!のかな。
加えて次回、葵ちゃんの能力がさらに覚醒するのでしょうか?! {/netabare}


11話
葵ちゃんが隠し球っぽく….ビカーン!

{netabare} 第一師団長の言ってることとやってることが今までに増して理解できない。国に絶望した!ので目の前のハルトを撃つ、のはなんでだ??…コッペリオンが国の手先だから気に食わない、かつての自分を思い出させてちゃんちゃらおかしいので目障り、ということ?亡霊だから過去の妄執に囚われてて筋通ってなくてもいいのか…

ハルト〜口の両端から血が垂れてて、初期に出て来たコッペリオンの説明の時の腹話術人形みたいなのは、わざとなのかー
あいつを呼べ…昔流行った腹話術師の名前が…思い出せない…


「イバラ、科学には表と裏の顔がある。おまえはきっと表だ。だからそんな顔をするな。」
いいセリフなのかもよくわからないが…
イバラにキュン…とさせてる?
科学の子的にはロマンチックセリフなのかな。
意訳すると「おまえには明るい未来を目指していて欲しい。おれたちの希望を見出してくれるのは、おまえだ。今、おれがどんなことになっても。」ってこと?科学の子的には「アタシがアイツの未来なんや…」(超訳) {/netabare}


12話
オズ姉妹潰される。うーん。もっと心に迫るやり方あったんじゃないかな…原作はどうかわからないけど、すごく喋るわりには薄い。
{netabare} とくに「痛いのに…なんで終わらないの?」「本当の、痛みが欲しい。」という個人の感覚の苦しみの差を見せる内容は、一言がズンとくる空気感があると思うんだよ。今までギャーギャーつるんでたギャルだけに、こういう時にポツンと静かに感じさせるべきなんじゃないのかな。素人考えだけど。終始ギャーギャー。

タエ子さん頼れる女。きちんと手術の授業受けてたから大丈夫です!てかっこいいぞ。
お産は助産師さんの励ましがすごく心強いからね。よくダンナがそばで励ますとか、邪魔なだけだから。医者は普通分娩だと後からへその緒切りに来るだけだから。しかし帝王切開までしてみせようというタエ子。電車揺れないといいね。

次回最終回。葵ちゃんのビカーンがもう一回みたい。
{/netabare}


13話
ついにこの時が…味わい深いオープニングともオサラバの時がきた。などと書くと感慨深いけども

第一師団同様、オズ姉妹も
そんなことで改心して仲良くなれるならケンカしないで…っていう…

オズ妹がやけにキラキラして目の色素薄くて可愛くなって胸はだけてるしか弱げでお姫様みたいでしたよ。(お姫様ってそんなイメージか?)

ハルトは死亡する意味あったの…?
赤子の描写が繭みたいでオデコ毛が生えとる…父上のことをちゃーん!って呼ぶ子になりそうな。

みんな撤収した後も、コッペリオンは街に残って校外活動。オズ姉妹も加わって。
この後のほうが話が、面白そうな気はするけども。

* 総評は一番上に。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 36

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

空の青さを察してください。

 全13話の中途まで、私にとって「COPPELION」の鑑賞時間は作品に対するツッコミtimeであり、展開も台詞も薄く、物語も大雑把で、大切な物事を語らない、世界観からのみ訴えて説く、全てが「惜しい物語」でしかなかったのだ。しかし、(上から目線なのだが)劇終盤に歩みを進めるに連れて「許してしまう」という思いが現れ、遂に最後には感服にまで至っていた。それは本作のテーマ性や、またそれを(一定の人々に批判されようと)描こうとする著者の意欲への脱帽感から来ているのだろう。
 原作漫画本が始まったのは2008年。東日本大震災及び福島第一原発事故をあたかも予言したような物語が話題を呼んだ。舞台は、東京。お台場原発事故の影響で放射性物質が都心を覆い、都民9割が被曝死し、20年間隔離され荒廃した旧都市・東京である。原子力発電は都心ではなく地方に押付けていたが、エネルギー生産は地方自治の道理を持って行うという世論からの推進派と反対派との意見が対峙する中、遂に推進派の意見が勝利し尊重された結果、企業や科学者の「危険性はないし、絶対に安全だから」との言葉を信じて、お台場に原子力発電所が建設された。それでもいつかのように万が一が起きてしまう。
 「コッペリオン」(人形とイオンを合わせた造語。そのまま人形という意味合いを持つ)と呼称される、遺伝子構成変換技術により体細胞に抗放射線能力を持ち生まれた3人の女子高生が、20年分の雲が流れてもなお高濃度汚染のために時間が失われている無人と化した東京を、制服身形で歩いている。自衛隊特別工科学校の教頭・三島鬼兵の指令により保険係の3名・成瀬荊(いばら)深作葵(あおい)野村タエ子は、死の街・東京に少数点在する20年の月日を汚染から逃れた生存者の救助の為、都心にて探索活動を行う。防護服なくとも活動可能な彼女たちの他に、放射線が薄れない荒廃した旧都市にいるのは分厚い防護服を纏った人々や耐性を纏った昆虫・虫や動物だけだ。果のないコンクリートの迷宮。空は限りなく青く透明だが、対照的に地上は腐り果てて醜い。悲しい世界に人が生きている理由さえも不明瞭で未来が見えない。そんな世界を造り上げた人への、コッペリオンを造り出した人へと人名救助することの複雑な疑問。小洒落て言えば、止まった時、失った時間を人々との関わりを通して取り戻していく物語でもあり、またその中で、彼女たちが何の為に生きているのかという一つの問を描いた物語でもあります。※今綴った事をもっと緻密に表現して欲しかった。大雑把過ぎな作中の時間の遣い方。鑑賞者の感情が入るまで尺と言葉を取らず、ずんずん進行。なのでとても「惜しい」一作。

 しかし「惜しい」と言っても、それなりの理由(わけ)もある。本作は2013年秋期にBSでのみ放送されたが、実は2010年夏頃に既にアニメ化の決定が発表されていたのだ。しかし放送予定枠を控えていた頃の2011.3.11に・・・もう解るだろう。現実とフィクションの相似点が生じ、その後アニメ化に関する情報は開示また公表されなくなっていた。放送期間が延長されたのだ。(ここで愚痴るけど、この時アニメ化遅い~とかインターネット上で呟いていた人は島流し) 2013秋のアニメ化に際しては作中の時代背景は「西暦2036年」から「西暦20XX年」へ、舞台設定は「東京」から「旧首都」へ、「放射能汚染」は「汚染」、「お台場原発での炉心溶融」が「事故」へと変更或いは簡略化され意味合いが曖昧となり、上記の現実情勢を考慮としたアレンジが加筆された。実質、「放射能」「原発」の言葉は一語も語られない。加え、13話に物語を纏め上げる為、状況進行模様は原作から大胆に短縮されているとのこと。(第一師団の目的など不明瞭なままに終了) また原作では描かれていた政治、外交、企業への社会風刺の描写も(どうでもいいが、女性陣のお色気描写もまた)極力の限定、或いは控えられている。 以上から、アニメ化は原作を忠実に再現出来ず、+放送枠の縮小化に伴い、小規模な噂程度しか発展しなかった。


な の で、上記の点から本作品の矛盾を若干受け流し。
 コッペリオンが高校の制服を着用し(時に体育用ブルマで戦闘になろうが)、それは腐敗した東京が彼女たちにとって危険のない日常的な情景のためだと判断しておいて。ステルス機とカラスの速度が同じだろうと、ステルス機が「化けガラス」と呼称されるに因んだための飽くまで表現だと判断し、そのステルス機がハンド・アロウ(RPG?)やらなんやらに一撃で墜落に至ろうと、それは委員長の攻撃能力に感心してみよう。第一師団のマスク兵が、漫画家・鳥山明のイメージキャラに思えても、はっきりどうでもいい。陣痛中の妊婦を乗車したトラックが急発進と急停車を繰り返し、最後には建物に激突し壁面に風穴が空くぐらいの衝撃を受けようと、陣痛中の妊婦がまさか走って倒れて銃弾を避け、流産もなく、出産時になぜか双子がふたり同時に産まれても母親は死なず、その後すぐに母親が立ち歩いていたとしても、それは全てまさに「生命の神秘」とでも感じておけばいい。(恐らく原作者は男性だ笑)

 「実はあの子たちは・・」最終回での伏せられていた教頭の発言。原作で言葉が続いていた。「実はあの子たちは、コッペリオンの体細胞には抗放射線能力が備わっているのですが・・生殖細胞にはそれが機能せずやむなく子宮に処置を施しました。つまり、・・あの子らは子どもを産めないのです」
 
 そしてその異様な”生命の神秘”を後にして、物語が一度幕を閉じることも晴々しいじゃないか。授かり産まれた「りく」と「そら」が「生まれてきてよかった」と思わせられる未来を築こうと、悲しみに黄昏た旧都市に誕生した産声色の希望を無くさんと、二人の大人が心を引締める。COPPELIONの彼女たちは、これから自分が知らなかったであろう感動が渦巻きながら、またコンクリートの迷宮へ潜ってゆく。「And their field trip goes on...」


 彩りが腐蝕した旧首都のビル群の間から、虚空の蒼穹が美しい。その碧天が私に必死に訴えようとする。「世界はこんなものか?」 「そうなんです」と率直に答えることに少しばかり悄気てしまう。「だってそうなんです」この世界はけっして慈悲深くはない。身体を仰け反らせ、逆天した見えるだけの世界を仰いでみる。「世界はもうだいぶそちらに傾いてきています」知識を得れば得るほど、この世の醜さに嘔吐する。

 作中で、金と命の選択を間違えた人間。しかし現代人は縄文人じゃない。金をなくして地球は回れど世界は回らぬ。金があれば救える命もある。愛国者達は国を潰すのか栄えさすのか、人を殺すのか救うのか。発展途上の暗雲な国の革命に対し、60年以上戦争を知らない精密な経済大国の先に佇む闇印。またそれが倒れることによる、社会情勢の乱れから投げ出される命もある。平和な日本国民の欲心の強さ。電気は欲しくて、CO2は減らしたくて・・。連結しない、或いは連結部分が存在しない不条理な世界。そういった全てが、悲哀な世界を追い詰める。
 しかし登場人物の深作葵は「世界は気持で変わる」と言う。正論なのだが、言い直す。「大勢の気持が一つに集中し、主張して、世界は変わる」。さて、世界の人口は70億を上回り2年半ほど経過しました(2014.3頃)。服従する権力者は在さず、自由な環境で、人の脳はこれまですくすく発達し、十人十色にございます。一つの国が、他国に連鎖的に一つの方針を巡らせて変えていくとしても、世界が相当な切羽詰った状況でなければ、迎える先戦争ですか。戦争あって資本主義が終わるか、体質量隕石でも落ちてくれれば、人の数は減り絶望的で団結しやすく、良くなるかもしれません。
 では日本は?一国ならまだ変えられる?痛みを受け、良い方向へと船の舵をきった?しかし東日本大震災でも日本は変わらなかった。一部の人はボールを投げ続けているが、国民の心境の変化は一時的なものだった。政府の対応も嫌悪だっだが、政府の対応に全てををなすり付けようとする人も人だ。終いには、政府は学生の教育で「原発の安心の安全性」を説き始めた。正体を現さないアベノミクス。こそこそ裏で、アメリカの戦争に関わる為、法律、憲法まで改正する始末。そしてアメリカに断られ(笑)
 今の日本は羅針盤をどこかに落としたようだ。もしかしたら明治あたりからそれはないのかもしれない。遺失物係に届け手はいない。もしかしたら遺失物係まで大戦までに消えたのかもしれない。西日本も津波に呑まれるか、それこそ作中のように都内に建設されたお台場原発がメルトダウンし、都民9割被曝死など、そんな「痛み」がなければ舵は動かないのかもしれず。 
 様々な分野で博士号を持つある学者が、完全なる社会構成を編み出した。それまで誰にもできなかった事をやってのけた。しかしその学者は、人間という者たちの事だけを学ばなかった。心理に無知だった。そんな完璧な事を人間はやり遂げることができないのだ。問題とは、最初から人間という形態そのものにあるのかもしれない。人は結局、己らが形成した世界に呑まれてゆくのか。
 「世界は気持で変わる」その気持の集中が何よりの難題であり、困難であり、それは果てしない。痛みの犠牲以外での改革の理想図を探し求め、(しかも舵は切りにくく)、図面の入る宝箱を開けてみれば、結局それは大きな犠牲。この世は不条理。世界は絶望と喪失の掃溜めだからこそ、一縷の希望を捨てたくはないし、宗教なんてどうでもよくて、唯一人の人として、多くの人々が一つの主張に向かって祈る世界を、絶望なくして探したい。
 そして「私たちはこの世界をあきらめない」と、タグライトで彼女たちはそう公言している。その言葉を自分にどう宛てるかは己次第。

 しかしその地方へ越した友人は、まだ海から帰らない。それは果てのない絶望に見える。

 作中の虚空な蒼穹が私に、大きな訴えを小声で弁舌している。「どうしたい?」 世界革命への成功の道、なんて誰が知るものか。しかし、語られた主張に一歩近づこうと努力はできる。さあ、まだ進化する人々をどうしたい?私たち人間は、

 泥濘に嵌る人の脚。薄汚く、思っていたよりも深い。そんな楽しむことができなかった物語です。


第二、四段落、Wiki内容情報、参考及び引用。
2014.3.20投稿。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

天使と人形

原発のメルトダウンにより死都と化した東京。
クローン技術と遺伝子操作で生み出された、放射能への耐性を備える
「コッペリオン」と呼ばれる、JKたちの特殊部隊。
汚染下に取り残され、死と隣り合わせの極限状況を生きる人々との出会い・・・

こんな概要を聞かされれば、いかにもクールかつダークな
ディストピア風世界観が想像されるだろうし、あるいは
科学文明への懐疑をテーマにした社会派路線だって期待されるだろう。

ところが、いざ蓋を開けてみて現れたのは、
テーマ性がせいぜい1割で残り9割はエンタメ志向、
アクション・バトル主体の、異能も兵器も取り混ぜたサバイバル活劇。
しかも並行してめっぽう熱い、情味あふれるヒューマンドラマが展開される。
ストーリー、キャラクター、さらに作品全体を包む空気はどことなく懐かしい、
「昭和的」とでも呼べそうなもの。一言でいえば、すごく人間臭い。

素人目には充分過ぎるほどの内実が備わって見えるにもかかわらず、
本作の評価が顕著に低い理由はおそらく、期待外れ、ということではないだろうか。
つまり、題材から予期されるものと実際の内容との乖離。
とめどなく湧き上がる「何でこうなった?」感に応えるべく
以下、しばし小考に入るので、興味のある方のみどうぞ。


{netabare}
原作コミック4巻の巻頭に、作者のこんなコメントが載せられている。

「どんな最悪の情況でも道はきっとあるはず。
 コッペリオンのキャラクターに毎回はげまされながら描いてます。」

うん成程、作者本人がかなり熱い人なのだということがわかる。
キャラクターへの深い思い入れが先行する物語だと見れば
ほぼ納得がいくのだが、作者をこれだけ引っ張るキャラクターというものが
具体的にどんなものかは興味が湧くところ。

兵士、ロボット、産婆・・・やたらに多種多様なキャラが目白押しのなか、
頭抜けて凄いのは何といっても本作の主役、成瀬荊(いばら)。
のっけからCV戸松遥さんのなんちゃって関西弁に度肝を抜かれるが、
そんなの気にしてたら、このぶっ飛んだ激アツキャラにはついていかれない。
例えば、こんなセリフ。

「科学者なら胸張ってください! みんなが欲しがった、
 だから技術者が頑張ってその需要にこたえた、何も間違ってない。
 私は科学が好きです。だって、私のお母さんやもん。」

お母さんって・・・まさに昭和の科学観を地で行くオプティミズム。
彼女もまた「心優しい科学の子」、つまり鉄腕アトムの妹になるわけだ。
さらにこんなことも言う、

「この街であの事故がなければ、うちらはこの世に生まれてなかった。
 だから、こんな所でもうちらには縁のある土地なんです。
 もしかしたらここが私のふるさとなのかも・・・」

驚くことに、彼女は原発事故を自身の存在の根拠として受け容れ、
廃墟となった旧首都を、自らを世界と結びつけるよすがとしているようなのだ。
このセリフこそが多分、本作が選び取った独自の方向性を示すものなのだろう。



最先端の生命工学によって生み出されたコッペリオン。
ともに科学の精髄として、原子力技術ともパラレルな関係にあり、
しかもその存在が原発事故に直接由来しているという紛れもない事実。
ここから、彼女たちの葛藤と苦悩に焦点を当てた一つの心理劇が容易に構想できる。
ところが、作者が描きたかったのはそれとは別の方向性だったのだ。

生存者の救出という、唯一の存在理由となる任務にすべてを賭け、
救出を拒まれれば涙を流して懇願するほどの、異常な情熱を傾ける。
過酷なミッションを屈託もなく「修学旅行」と言ってのけ、
決して人間を憎まず、科学を告発せず、運命を呪わず、
ただ信じ、一切を受け容れてひたすら前に進もうとする荊の鬼気迫る姿。
背負わされた残酷な宿命とか、それへの抵抗とかを定石どおりに描くのが
むしろ平凡なものに思えてくるほどの、比類のないユニークな造型だ。

撤退作戦の捨て石にされた第一師団の兵士たちの怨念。
反逆のコッペリオン、小津姉妹を駆り立ててやまない人間への憎悪。
行く手に立ちはだかる、世界に対する絶望の念が荊の信念と激突する。
バトル展開の必然性は、絶望との闘いという本作の主題からの自然な帰結である。
そして、荊の執念が彼らの中に人間性の回復、あるいは覚醒を生じさせる結果、
救出というミッションは、心の「救済」へと変化していく。

人間によって造られ、使い捨てられるだけの「人形」であるはずだった
その彼女が、人間性の極致とも言うべきものを具現し、
あるいは人間をも凌駕する「天使」へと変容を遂げる。
そのアイロニーこそが、この物語のエッセンスなのではないだろうか。



終盤にかけ、コッペリオンたちの悲劇的な宿命が徐々に明かされてゆく。
それは「生命」への、「生きる」ということへの省察を私たちに促すものだ。

ラストで描かれる、「死」が支配する廃墟の中での新たな生命の誕生。
もちろん、本作が月並な感動エンドで終わるはずもなく、
そこにコッペリオンたちの悲劇が重ねあわされ、深い余韻が醸し出される。
以下のセリフは何かに抵触するらしくミュートされているが、別サイトから補った。

「コッペリオンの体細胞には抗放射線能力が備わっているのですが、
 生殖細胞にはそれが機能せずやむなく子宮に処置を施しました。つまり・・・
 あの子らは子供を産めないのです。」

コッペリオンたちから奪われているものは、実はそれだけではない。
ある日突然、全機能が停止して最期を迎えるという残酷な運命が彼らを待っている。
その突然死がいつ来るかは誰にも予測できない。
つまり彼らの未来は最初から与えられておらず、予め失われている。
だからこそ、荊のようにすべてをこの「今」に集約して生きるしかできないのだ。

「わたし、そういう難しいことがよく分からないんです。
 でも、分かっていることが一つあります。
 それは、今日も空がきれいやってことです。
 だから別に悲しくありません。」

夕空を仰ぎ見ながら荊が、実にさばさばとした調子で語った言葉だ。

今日も空を美しいと感じていられる―、ただそれだけのことが
世界の中にあること、生きていることの最もシンプルな感覚なのかも知れない。
そんなことを考えずにはいられない気持ちにさせられる。

あるいは逆に、ある人の死とは、その人が日々見ていた空と
ずっと慣れ親しんできたその人の周囲の世界が、すべて消え去ってしまうという
取り返しのつかない喪失を意味しているのだと、
そんな厳然たる事実に、あらためて気づかされるのだ。
{/netabare}


キャラクターの一人一人を愛情をこめて丁寧に描こうとする
作者の愛着が、ストーリー進行を停滞させてしまうという皮肉。
前半の4話までが第一部、後半が第二部と、
全13話が二部構成になっている本作の視聴では、
テンポが遅く、退屈に感じられる第一部を乗り切れるかが鍵になりそうだ。

個人的な評価として、キャラクターの他にもう一個の満点を作画、
とりわけ驚くべき創意に富んだ背景美術に贈りたい。
全編を通して舞台となる廃墟の景観を細密に、
さらにテクスチュア風の処理を加えて大胆に再現し、
画面には虹のグラデーションのような滲みやぼかしを用いて
ユニークな色彩処理を施すことにより、リアルでありながら同時に幻想的な
変質した異空間を見事に表現している。

荊たちのプロポーションのデフォルメも凄い。
異様に細長く引き伸ばされた、エル・グレコの宗教画の人物のような姿。
それも、背景を流れ続ける雲と、吹き続ける風の動きが映像に通わせる
野性味を帯びた生気の中で、まるで原野に揺らぎ立つ陽炎のように見え、
いつしかしっくりと風景に馴染んで来る。今もなおどこかで
彼女たちの「修学旅行」が続けられている、そんな気さえしてきそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

制作が発表されたのは2010年の秋。
放送開始は2013年10月。この間にあの大震災と事故とが発生している。
このあたりの経緯についてはよく知られているので詳述しないが、
本作の評価の低さに影響を与えていることは間違いないと思われる。
架空の「題材」であったものが、現実の「問題」に変換される、
つまり、現実がフィクションを追い抜いてしまうような事態が生じた時、
本作の内容があまりにも牧歌的なものに感じられるのは自然だろう。

目下のコロナ・パンデミックを引き合いに出すまでもなく、
現実感覚の変容によって、これまで以上にストーリーのリアリティーと
踏み込んだ強烈なメッセージ性とがフィクションに要求される時代になった。
世界についての私たちの常識のパラダイムが大きな転換を余儀なくされる、
そのような混沌の時代に、すでに私たちは足を踏み入れている。

(初投稿 : 2021/07/05)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

63.7 10 脱出で友情なアニメランキング10位
Go!プリンセスプリキュア(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (75)
324人が棚に入れました
ごきげんよう!わたし、春野はるか!『ノーブル学園』に通う中学1年生!!わたしには大切な夢があるんだ。それはズバリ「プリンセスになること」!!大好きな絵本に出てくるプリンセス…そんなステキな人に絶対なりたいの!昔『カナタ』という男の子とも、夢はあきらめないって約束したんだ。新しい生活、がんばっちゃうぞ~~! と思っていたら、人々の夢を「扉」の中に閉ざし絶望に染めてしまう悪いやつらが目の前に現れて……!!『プリンセスパフューム』と、『カナタ』にもらってお守りにしていた『ドレスアップキー』で、わたし、なんと『プリンセスプリキュア』に変身しちゃった!!「つよさ・やさしさ・美しさ」をかねそなえた真のプリンセスとなり世界を救うこと…それが『プリンセスプリキュア』の使命なんだって。夢のためにも、みんなを守るためにも悪いやつらに閉ざされた夢の扉はわたしが開いてみせる!!

声優・キャラクター
嶋村侑、浅野真澄、山村響、東山奈央、古城門志帆
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

夢を追い求めることは理想の自分を追い求めることでもある

2015年2月~2016年1月放送のTVアニメ。プリキュアシリーズの12作目。
遅まきながら、録画をやっと全部視聴できました。
全キャラに描写の偏りもなく、設定や世界観もテーマに綺麗にリンクしていて最初から最後まで素晴らしかったです。

プリキュアのデザインも良かったですし、作画は不安定な時もありましたがいつも可愛らしく、大切な回にはしっかり力を入れていたので安心して見ていられました。欲を言えばイルカなどの動物がもう少しリアルなら良かったかも。
声優さんの演技もそれぞれ素晴らしかったです。クローズにベテランの真殿さんという配役は最後まで見てなるほどと思わされました。

途中からOPが2番に変わりますが、Aメロの歌詞に抵抗があったなあと…それなりに注目して見ていたのでちょっと気になりました。
まあストーリーには影響しない部分なのですが。

テーマは夢そのものではなくて夢を叶えること、理想の自分を追い求めること、そのためにどう行動するかということだったと思います。
子ども向けなので厳しい描かれ方ではないものの、長期的な目標を持ってそれを叶えるために今何をするかという描写が多く、その点は結構現実感がありました。
夢を叶えて終わりではないところも好印象でした。

【4人の夢への向き合い方】{netabare}
きららは夢(目標)がはっきりしていて、時には避けられない失敗をどうフォローするか、そして一つの夢を叶えたら次はどんな夢を描くか、という現実的かつプロ意識を感じる描写が一貫していて素晴らしかったです。

トワは自分の過去を払拭し、責任を自覚し自分の願いと真剣に向き合う姿が印象的でしたし、みなみは真剣な思いから夢が変わることもあるという描き方はリアルでしたし優しい展開で良かったと思います。

はるかには少し驚かされました。
プリンセスになりたいという夢は夢なのか?とは最初から思っていましたが、理想の自分になる、つまり「人間性の追求」だとは思いませんでした。
これは最も身近で最も難しい目標です。作中で語られた通り、命を終える時まで叶えられたかわからないものをフローラは追い求めることになります。
作中でもレッスンを続ける姿が最後までコンスタントに描かれ、辛いバトルを乗り越える描写も多く、精神的な成長にも説得力があり素晴らしかったと思います。


ちなみにプリンセス4人の中ではみなみが一番好きですね。
はるかに対する厳しさが優しさとして序盤と最終話に描かれたのが凄く好きで、「失敗しても良いから、思うとおりにやってみなさい」と言ってあげられるのは格好良いと思います。一人だけ年上っていう設定が効いてて素敵!自分の悩みが解決したら本来のみなみに戻りましたね。
変身シーンもヴィーナスや人魚姫などのモチーフの取り方も効果的で綺麗で一番好きです。マーメイドラインのドレスはこういう作品でメインで扱われることは少ないので地味に嬉しかったり。
{/netabare}

【男性キャラ】{netabare}
男性キャラクターの役割と活躍のさせ方は素晴らしかったです。

カナタは扱いの難しい立ち位置だったと思います。
戦える男性キャラは戦わないと「女の子に戦わせるなよ!」と思うし、戦えばプリキュアの活躍の妨げになるしで批判の対象になりやすいのですが、カナタはそういうストレスが一切ありませんでした。状況の変化にあわせて立ち位置を柔軟に変え、恋愛面でも最初からはるかのお相手役で一貫していてよく考えられていたと思います。
ラストで国王夫妻とトワの再会にはるかの隣で号泣してるのが和むと同時に、カナタ自身の苦労も偲ばれて良いですね。

クローズははるかに対して酷い事をし続けていましたが、倒して終わりというのはなんだか胸が痛いなと思っていて、最後どうなるかとひやひやしていましたが、良い落としどころが用意されていて感心させられました。
はるかが夢に向かう上で乗り越えるべき具体的なハードルを一身に背負いすぎw

あと、本作のMVPはある意味シャットじゃないですかねw
シャットというキャラクターのおかげで、美しさは内面から来るものと明示されたのは一番評価すべき点ではないかと思います。
衣装やキャラクターの美しさが必須となるこういう作品でそこを曖昧にすると、テーマが誤解されかねません。
コメディリリーフとしても、絶望の中から生まれて夢を追い求めるキャラクターとしても、テーマの一翼を担う存在としても存在感を維持していました。{/netabare}


【テーマについて】{netabare}
夢を叶える学園という無茶にも感じる設定が、ラストで自分の力で絶望の檻を壊すシーンで説得力になっているのは良かったと思います。ノーブル学園の先生と生徒は常に自分の夢と目標に向き合っていて、プリキュアを助けたいと願う流れも自然でした。
その代表としてゆいの立場や頑張りもしっかり描かれましたし、何度も絶望の檻に閉じ込められるうちにどんどん強くなっていって、最後の活躍ぶりは頼もしかったです。

そして絶望を消し去って終わるのではなく、夢と絶望を裏表としたことでより深い作品となったと感じます。
以前のプリンセスに会い、ディスダークとの決着を託されたのはこのエンドのためか!と唸らされました。
序盤でクローズを一度倒したことやその後の敵幹部の顛末を見ていて、敵の扱い方のバランスが悪いと感じていたのですが、ラストでそのモヤモヤが完全に払拭されました。良く考えられていると思います。
ラストのフローラの「ごきげんよう」は、“さようなら”ではなく“またお会いしましょう”なのですね。クローズを倒した時とは違い、笑顔でお辞儀するフローラはとても素敵でした。
{/netabare}

キャラクターのことばっかり書いている気がしますがw
テーマにキャラクター、ストーリーがしっかりリンクしている証拠だと思います。
色んな年代の人にお勧めできる名作です。(2016.8.4)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

nk225 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.3

キャッチコピーは「つよく、やさしく、美しく!」。

「プリキュアシリーズ」の通算12作目にして、10代目のプリキュアに当たる。

本作品ではタイトルのとおり女の子が憧れる「プリンセス」をテーマに取りあげ、全寮制の学園を舞台にストーリーが展開されている。

プロデューサー陣には、前作『ハピネスチャージプリキュア!』から引き続きABC朝日放送からは土肥繁葉樹、東映アニメーションの柴田宏明に加えて、神木優が新たに起用されている。シリーズディレクターには数々の「プリキュアシリーズ」で演出として参加していた若手の田中裕太が、シリーズ構成には『ドキドキ!プリキュア』などの各話脚本を担当した田中仁が務めている。また、キャラクターデザインは「プリキュアシリーズ」初参加の中谷友紀子が起用されている。

本作の企画には、「プリキュアシリーズ」の生みの親である鷲尾天が『Yes!プリキュア5GoGo!』以来約7年ぶりに復帰しており、制作現場はプロデューサーに任せているが、主にサポート、監修、スーパーバイザー的な立場として脚本の打ち合わせには立ち会っており、アドバイスなどを担当している。

音楽は『ドキドキ!プリキュア』『ハピネスチャージプリキュア!』に引き続いて高木洋が担当、エンディングダンス振付も前2作同様MIKIKOが担当する。主題歌は、オープニングテーマの歌唱を礒部花凜が、エンディングテーマは北川理恵が歌うこととなった。

なお、タイトルにアルファベット表記が入るプリキュア作品は、2008年に放送された『Yes!プリキュア5GoGo!』以来となる。

作品の随所に盛り込まれているフリルやレース状のパターンや、放送中に表示される画面左上のデジタル時計の表示(ワンセグでは表示されない)など、本作品独自の演出も散見される。オープニング前に約15秒間のナレーションが挿入されたため、前作『ハピネスチャージプリキュア!』と同様、アイキャッチはBパートスタート時のみとなっている。

文字多重放送を実施しており、はるかの台詞を黄色で表記している。また、データ放送やそれによるゲーム(じゃんけん)に勝って電話(テレドーム)することでプレゼントに応募できる企画やスマートフォン用アプリとの連動のほか、前作から導入された時刻のオーバーレイ表示や視聴者からのプリキュア似顔絵投稿も継続されている。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

夢VS絶望のプリキュア12作目

プリキュアシリーズ12作目。全50話。
「夢」が作品のテーマになっており、プリキュアたちが皆の夢を守るため、また自分自身が夢に向かって進むため、世界を絶望に染めようと企てる敵と戦う、といった正統派のストーリー。
4クールの長丁場なので、途中やや中弛みしているように感じるときもありましたが、終盤の展開はとても盛り上がり、最後も綺麗に纏まっていて、1年間観てきて良かったと満足できる作品でした。
キャラは、明るく元気いっぱいの主人公・春野はるか(キュアフローラ)、お嬢様で優等生タイプの生徒会長・海藤みなみ(キュアマーメイド)など、普通に好感が持てます。個人的にいちばん好きだったのは、スーパーモデルの母を持ち、自身もトップモデルを目指している天ノ川きらら(キュアトゥインクル)。さばさばした性格で、ややツンデレっぽいところもあり、とても魅力的なキャラでした。
作画は、通常の場面に関しては、いかにも普通の子供向けアニメといった絵柄で、特に綺麗というわけではないのですが、戦闘シーンの動きや見せ方はスピード感や迫力があって良かったです。また、プリキュアたちが歌って踊るEDのCG映像は非常に華やか、煌びやかで、素晴らしい出来でした。特に後半のED(第26話~)では、曲の途中のソロパートの担当キャラが週替わりになっていて、毎週楽しみに観ていました。とても完成度の高いEDなので、プリキュアに興味のない人でも、EDだけでも一度観て欲しいです。
音楽も、OP、EDともに作品の内容、雰囲気と完璧に合っていて、とても良かったです。子供向けアニメの主題歌というのはこうあるべし、というような文句なしの出来だったと思います。
夢があって、爽やかで、バトルは熱く、仲間や家族の絆は暖かい。そんな安心して楽しめるプリキュア作品でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

73.9 11 脱出で友情なアニメランキング11位
逆境無頼カイジ 破戒録篇(TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (942)
4682人が棚に入れました
伊藤開司=カイジは、帝愛グループとのスターライトホテルにおける争いに敗れ、借金はついに約1,000万円に膨らんで、逃亡生活を送っていた。そこでカイジは、金融会社社長でヤクザの遠藤に接近し、新たなギャンブルを紹介してもらおうとする。しかしそれは実現せず、結局地下の奥深くにある帝愛グループの強制労働施設へ送り込まれてしまう。なんとか地上に戻ったカイジは、元ゼネコン現場監督の坂崎孝太郎と知り合い、その紹介を受けて帝愛が経営する高レートの裏カジノへ案内されるが、そこでカイジは1玉4,000円のパチンコ「沼」で一攫千金を目指すことになり……。

声優・キャラクター
萩原聖人、内田直哉、津嘉山正種、立木文彦、浪川大輔

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

箴言は全然覚えてないですよーだ(^ー^* )フフ♪

■逆境無頼カイジ 破戒録篇ってどんなアニメなのΣ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!
本作品は『逆境無頼カイジ Ultimate Survivor』の続編のアニメなので1期を見ていた方がカイジ自身の事とか、石田親子との関係が解ってより一層楽しめると思いますよ♪
 
さて、内容の方は借金によって命をかけた闇ギャンブルに挑み人生のやり直しを計るカイジ達と、人の不幸を愉悦とする闇ギャンブルを運営・主催する帝愛グループ側との命を削る勝負を描いたストーリーなのです♪
 
2期の本作品では、「チンチロリン」と「パチンコ」で生き死にの勝負を挑んでいくわけですけど、人間臭い心理描写や表情の豊かさと、緊張感・臨場感を煽るナレーションの立木さんのコラボは見所ですよ♪
 
 
■総評
ずばり主役はカイジではなくってナレーションの『立木文彦』さんだと思ってますw
最終話のカイジのオーラの無さを見て核心しました≧(´▽`)≦
命の削りあいの勝負で、立木さんの熱の入れようはすごいの一言です♪
間の使い方から声の強弱のつけ方まで神懸ってますよね!
一度アフレコ現場を見てみたいなぁって思っちゃいました!!
その一方でカイジ君は極限の勝負では天才的なのに、普通のパチンコで有り金を全部つぎ込むあたり、やっぱりダメダメ人間のお人好しは相変わらずでしたね( ´△`)アァ-
 
しかしながら、「沼」での勝負はちょっと引っ張りすぎでしょ・・・って思ってしまいました♪
ドラゴンボールZを思い出すようなスローなストーリー展開でしたねw
緊迫感とか伝える為に必要な演出だとは思うのですけどね(>o<")
 
それと言っておきたいのが・・・このキャラデザで女の子を描いちゃダメでしょ♪
しかもEDで堂々と使っちゃうあたりどんだけ「ドS」なんですか!!Σ\( ̄ー ̄;)
坂崎の娘の美心ちゃんも別に何か悪い事したわけじゃないのですけど、このアニメに登場させられたってゆうだけで・・・不憫で不憫で可愛そうですよ(。・w・。 ) ププッ
 
1期に較べとる仲間の死の描写がなかったので、あまり恐怖感は感じませんでしたけど、重苦しい空気感はアップした感じですね♪
キャラデザに癖がありますけど、((((o゚▽゚)o))) ドキドキ♪((o(^∇^)o))わくわくしたい人は是非視聴をお薦めしますよ♪
 
 
■MUSIC
OP曲『Chase the Light!』
 歌:Fear, and loathing in Las Vegas
 キャッチーなメロディーとハードコアを融合させたスクリーマなナンバーです♪
 ACCEPTのウド様を思い出しちゃったのはσ(^_^)アタシだけ・・・ですねw
 
ED曲『CからはじまるABC』
 歌:忘れらんねえよ
 ブルーハーツを意識したと思われるパンクロックバンドのナンバーですね♪
 今後の活躍に期待です♪しぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーー!!
 
ED曲『未来は僕等の手の中』(26話)
 歌:カイジwithレッどぼんチリーず
 1期OP曲でTHE BLUE HEARTSの名曲のカバーですね♪
 カイジ役の萩原聖人さんも良いけど、ヒロトさんの声がやっぱりいいなぁ♪
 
 
2011.10.02・第一の手記

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

エンディングの気色悪さは強烈

クズがクズを陥れて、落ちぶれたクズ同士が結託してクズを倒す。
クズ!クズ!クズ!クズ!クズ!
まさにクズ!           ざわ・・・
クズの巣窟!           ざわざわ・・・
圧倒的なクズの戦いここに極まる!  ざっわー
(立木文彦の熱のこもったナレーションの声でお読みください)

というわけで、至高のギャンブル漫画、カイジのアニメ化作第2期です。


1期と同様、話の内容や絵柄については原作に忠実です。
ギリギリの状況においては不屈精神力と神懸り的な発想をする主人公カイジですが、それ以外の面では自堕落で意思も弱く、社会的な底辺に居るべくして居るダメ人間。
ダメ人間が悪魔ような金の亡者を相手に、騙し騙され金を奪い合う頭脳戦。
相変わらずゲームとしてのギャンブル楽しむなんて綺麗事は微塵もなく、とにかく金!
どんな手を使っても、相手から金を巻き上げた方がヒーローとなる薄汚い世界がなんとも魅力的です。
仲間とか、信頼とか、そんな1円の価値もないものに執着すると絶対足元をすくわれる・・・という、誰も教えてくれない素晴らしい教訓を与えてくれる社会派アニメ。
真理だとは思うけど、認めたくないなぁw

2クールありますが、今作でのカイジの戦いは2種類のみ。
底辺社会で行われる労働者同士のサイコロ賭博「地下チンチロ」。
そして、原作でも人気のある1000倍パチンコ「沼」の攻略です。
他のレビューでも指摘されているように、ちょっと沼で引っ張りすぎの感じは否めません。
オリジナルを入れていないので、やらた時間の進行が遅く感じてしまうのがイタいですが、引き伸ばし方としては上手にやっている方だと思います。
名ナレーションの煽りで、強引に雰囲気を維持してますw

まぁとにかく、面白いのは太鼓判です。
歯軋りするようなドン底のピンチからの逆転に次ぐ逆転の攻防戦。カッコ悪くうろたえたりした挙句、逆転勝利に至るときの爽快感がハンパない快作。
どんな大勝しようが、手痛い教訓を得ようが、相変わらずクズのままなのもお約束。
「しょーがねーな、この男は」
って気持ちで、お楽しみください。



-----以下、余談。(毒吐いてます)----

このTVアニメの放映後、実写映画「カイジ2」が公開されました。
商業的な意味で、当然といえば当然なのですが、このアニメを呼び水にして映画を宣伝しようとする動きが顕著でした。
番組冒頭で原作者を登場させて、
「作者が一番すきなカイジの名勝負ベスト3~」
とかやってます。馬鹿ですねぇ
1位に選ばれるのが映画のオリジナルエピソードで、2位が「沼」、3位が「地下チンチロ」・・・モロに映画でやる内容を、そのまま連ねているだけ。

何?この清清しいぐらいの茶番劇。
福本先生、「大人の事情で・・・」って漏らしてますケド?w


金に意地汚いという点において、TV局は時折、カイジ以上のドラマを見せてくれます。
クソも面白くないドラマですがね。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アニメ史上、最も美味しそうな ビールと焼き鳥いぃ!

 カイジ『キンキンに冷えてやがるっ・・・・!』

 こちらは二期ですので、一期の『逆境無頼カイジ UltimateSurvivor』からどうぞ!

 1話は、缶ビールと一緒にどうぞ!きつい仕事の後のビール…「犯罪的」ですよね!!
 班長(Cv.チョーさん)の誘惑が巧すぎて…ただの鬼です。こりゃ、常人なら豪遊してしまう…。1話だけでもかなり笑えます。


 チョーさんの演技が最高なこともあって、班長のセリフって好きなもの多いんですよね…。暗記しちゃったレベルで好きなセリフ2つ

①つまみは安い柿ピーでごまかそうとするカイジへの班長の誘惑のセリフ

『フフ…へただなあ、カイジくん。へたっぴさぁ…! 欲望の解放のさせ方がへた!
カイジくんが本当に欲しいのは...焼き鳥(これぇ)!これをチンして、ホッカホッカにしてさ…冷えたビールで飲(や)りたい、だろ…?
 フフ…。 だけどそれはあまりに値が張るから、こっちのしょぼい柿ピーでごまかそうって言うんだ…。
カイジくん、ダメなんだよそれじゃあ! せっかく冷えたビールでスカッとしようって時にそんなんじゃ、かえってストレスがたまる!
食えなかった焼き鳥がチラついてさ…全然スッキリしない!心の毒は残ったままさ!
 贅沢ってやつはさ…小出しじゃダメなんだ!やる時はきっちりやった方がいい....!それでこそ次の節制の励みになるってもんさ!
 自分へのご褒美さ!!』

 そして欲望に勝てないカイジ…かわいい笑
 猛省してるカイジのジタバタ…かわいい笑

➁そして班長の痛い名言

 『明日からがんばるんじゃない…

  今日…今日だけがんばるんだっ…!

  今日をがんばった者…今日をがんばり始めた者にのみ…

  明日が来るんだよ…!』

 ぐう正論…耳が痛い…。「今日だけ頑張る」って言葉、良いですね…。

 そんな班長とのチンチロバトルめっちゃ面白いです。
 『ノーカン!ノーカン!ノーカン! はい ノーカン!』のシーンも好きだなぁ…。

 「地下チンチロ」の後の「欲望の沼」も面白いです。

 パチンコをここまで熱く、深く描いた作品も無いのでは?

 間延びしたものの(似た展開で、途中で飽きました…。)、クライマックスからエンディングへの流れが凄く好きです。「未来は僕らの手の中」が流れた時の爽快感に鳥肌。

 カイジの「お人好し」は弱点ですが、「お人好し」だからこそ、気づいたら周りに仲間ができるんでしょうね…。

 音楽では、EDの「CからはじまるABC」が好きです。なんか2人とも?幸せそうで、ほっこりします笑

 声優については、やっぱりチョーさんと立木さんが最高でした!

 一期好きなら絶対に二期を観るべきです。期待に応えてくれる作品。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

67.3 12 脱出で友情なアニメランキング12位
銀河漂流バイファム(TVアニメ動画)

1983年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (71)
385人が棚に入れました
地球から遙か四十数光年。イプザーロン系宇宙にある人類の植民惑星が異星人ククトニアンに攻撃され、護衛の守備隊は全滅、13人の子供達が取り残されてしまう。彼らは異星人に囚われた家族や友人達を自分達の力だけで救出するために、人型兵器ラウンドバーニアンで異星人と戦いながら、地球軍の練習艦ジェイナス号で旅をする

声優・キャラクター
難波克弘、鳥海勝美、竹村拓、野沢雅子、菊池英博、冨永みーな、笠原弘子、羽村京子、原えりこ、千々松幸子、佐々木るん、滝沢久美子、あきやまるな、古田信幸

やまだ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

🏅戦火を生き残る、ただそれだけのお話

過去の名作回顧シリーズ
15少年漂流記+ロボ

ロボアニメ乱造時代、どうやって子供をロボに乗せるかに苦心する中で、宇宙船に取り残された少年たちのサバイバルというアイデア。戦時下ではあるが軍属ではない避難民たちの奮闘記。ガンダムが揃いも揃って老け顔だったので、今作は素直に子供っぽいキャラデザ。漂流記ということなのであまり逞しい感じは出せないですからね。現在ほど洗練された感は無いものの萌えも可能な範囲なような気もするのですが、絵柄の古さから豚の餌にはならないでしょう。

お話
通年アニメなのでエピソードには事欠きません。感動、別離、喧嘩なんでもあり。大人もたまに登場しますが、基本的には子供たちの内輪劇。といっても13人いるので群像劇と言えるかも。青年から幼児までの年齢差、国家や種族の違いまで取り揃えながら宇宙船内という狭い世界。発生する様々な問題からは逃げ場も無く、否が応でも彼らは成長していきます。バトルが主題ではないので宿命のライバルもいないし、序盤はロボはチラ見せ程度。ほぼ戦闘描写がないまま話が進みます。派手なドンパチムービーを求めると退屈でしょうが、ロボをあえて見せないことで作品の方向性を序盤から提示しています。現在のアニメでよくある「掘り下げが足りない」「キャラが成長しない」という不満は通年アニメでは感じられないと思いますが、そこをじっくりやったらやったで退屈って言うなら知らんがなとしか言えん。


ロボ
ガンダム以前のスーパーロボットアニメは地球外からの侵略者を迎撃する作品が殆どで地上戦メイン。ガンダムはコロニーありきの話なので宇宙空間での戦闘は不可避。人型である必要性は地上よりも苦しい。しかしプラモ販促である以上人型でなければならない。「手足を動かした際の慣性によって姿勢制御することで推進剤等の使用量を抑える」という苦し紛れの言い訳設定でお茶を濁していたガンダム。

今作の機体…ラウンドバーニアン(RV)
機体の各部バーニア噴射によって俊敏な姿勢制御が可能ッッ

自ら言い訳を放棄した潔い決断である。

ガンダムの成功でロボアニメが市民権を得た状況ではどうでもよくなったんでしょう。でもRVって特にバーニアをフィーチャーしたデザインでもなく、目立つのは裾の大型バーニアくらい。要するにジオン系と大差ない。でもガンダムが地上で高く飛んだり合体したりしてたのに比べればまだリアルに近づけてはいたのかな。

バイファムが量産機であったのもポイント高い。エースパイロット同士が専用設計のワンオフスーパーマシンで戦い個人間の決着で戦局が左右されるような作品ではないです。バイファムは設定は量産機といえど脱出ポッドまで搭載の主役機っぽいデザインですが本当にロボデザインまで量産機にしてしまったエガオノダイカは酷評の嵐(笑)。ロボデザインというよりもガンダムのようなヒーローもの、英雄譚では無かったのが不人気の原因だと思いますが、こっちはヒーローものの爽快感っぽさは一応あるので、まだガンダム寄りだと言えるとは思います。昨今のロボというかガンダムはやたら情報量の多いデザインが人気ですが、宇宙空間ならやたらめったらハッチを開けるわけにもいかず、ツルっとした外装のシンプルなデザインは好きです。


サンライズ作品ですが、ガンダムを求めると退屈かと思います。自分は回顧シリーズとして最初に持ってくるくらいに好きだった作品。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

け~・える・い~ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

等身大の物語

個人的には、サンライズのロボットアニメの中でも一番の良作だと思ってます。
{netabare}
この作品には、ニュータイプも、他を圧倒するような新兵器も登場しない。
人類が滅亡の危機に瀕するような事態も起こらない。

主人公たちは、どこにでもいる普通の少年少女たち。
目的は、ただ生き残ること、そして家族と再会すること。
登場する兵器は、主役メカのバイファムも含め完全量産品ばかり。

今のアニメにあるような派手な要素はなにもない。

年上の女性にほのかな憧れをいだき、エロ本を見つけて喜んで、女子に見つかりそうになって慌てふためく。思慮足らずで相手を傷つけ、けんかして、落ち込む。自分勝手、わがまま。落書きをする。
そんな年相応で、見ている誰にでも当てはまりそうなキャラクターたち。
自分たちの手の届く範囲にあるものを守りたいという当たり前で、誰にでも理解できる行動原理。
変に大風呂敷を広げることなく、一貫して家族との再会を目指すというシンプルにまとめられストーリー。

等身大のキャラクターの等身大の物語、それが銀河漂流バイファムなのだと思う。
等身大だから、分かりやすく、素直に共感することができる、物語の世界に入っていける。
主人公たちが、旅のなかで仲間と協力し合い、時には反発をしながら経験を積み、思い悩み少しずつ成長していく姿に引き込まれていく。
地味かもしれないが、すごくいい作品だと思います。

音楽もよいです。
オール英詩のOPもいいですが、番組後半から使用された挿入歌「君はス・テ・キ」は、作品にすごくあっていて名曲です。この曲の流れるラストシーンは・・・是非、見てください。
同じく番組後半の挿入歌「THE ASTRO ENEMY ミューラァのテーマ」も敵のテーマなのに、哀愁漂う感じでかっこいいです。

※古い記憶に基づいて書いてるので、思い違い等が含まれているかもしれません。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

kakizaki さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

子供というイメージ  それだけで観ないというのは惜しい作品

どうしても、この作品が観れなかった。


中心キャラが子供で、自分勝手にやってそれがまかり通ってしまうそんなアニメになってしまうと感じたからだ。


実際このアニメを観てみて、現実的に不可能というか、そのアニメの設定を入れても、そうなるのってホールインワンより確立低いだろというものがいっぱいあったが、


少年や少女達がゆっくりと成長していく姿やほんとに小さい子達がまったく成長しない姿は、結構リアルだった。



そしてロボットものには、よくある主人公一人で、敵の軍隊を一掃してしまうチートのような卑怯な設定は、このアニメには、なく皆で協力して、
{netabare}
皆で協力して、自分たちの目的を達成した。そこが素晴らしくメッセージ性があった。

普通ならば、この争いが終息するところまでをアニメにするが、彼らの目的は、そこにはなく両親に会うためという一つの目的のために動いた。その目的が達成したところでアニメが終わらせるのは、このアニメの主要キャラをとても若い世代にした意味でもあるように感じた。

また、最後のラストシーンは見ものである。
{/netabare}


普通80年代アニメは、ここまで長い作品は、打ち切りされるのが多いが、この作品は、その当時の中高校生などの署名によって2クール打ち切りを逃れ、当初の通りの4クールになったらしい。

その当時の署名した人たちに感謝して、この名作をぜひ観てほしい。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
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