2020年度の野球TVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の2020年度の野球成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月02日の時点で一番の2020年度の野球TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.9 1 2020年度の野球アニメランキング1位
球詠(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (251)
668人が棚に入れました
埼玉県、新越谷高校。この春入学した武田詠深(たけだ・よみ)は、そこで幼なじみの山崎珠姫(やまざき・たまき)に再会する。中学時代、受け止められるキャッチャーがいないために鋭く変化する「魔球」を投げられず、野球への気持ちをあきらめかけていた詠深。だが、強豪チームで実力を磨いていた珠姫は、詠深の変化球を受け止めることができた。幼い頃の約束を果たし、再びめぐり逢った二人は、クラスメイトの川口姉妹や仲間たちと共に停部中の野球部を復活させる。目指すは全国!新生・新越谷高校野球部の挑戦がここから始まる――。

声優・キャラクター
前田佳織里、天野聡美、野口瑠璃子、橋本鞠衣、永野愛理、北川里奈、富田美憂、宮本侑芽、本泉莉奈、佳村はるか、白城なお
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

背番号10の功罪

原作知らず。昨今の事情により、いろいろ制作にしわ寄せがあったことは容易に想像できますが、それはそれとして(勘案せずに)感想を。


(おそらく)野球が女子のものである世界。プロも甲子園も女子球児のもの、という世界線で展開される、高校球児たちの青春ストーリー。野球を諦めたはずの幼なじみの再開、ある事情により活動停止となっていた野球部の再起動、徐々に集まるメンバー、そして甲子園を目指す戦いを描いています。女のこたちの物語ということで、ときに百合百合しい描写も見られます。

このサイトの評価基準に沿うと評定点が低くならざるを得ないのですが、作品を通しての満足度という観点に立てば、4.0/5.0くらいにはなると思います。誰にでもお奨めできるかと問われれば、No。もう一度見たいかと問われれば、微妙にYes。作品に対して文句はあるかと問われれば、はっきりとYES。

僕にとってそんな作品です。文句の向く先は作画ではなく人物描写ですが・・・


作画面{netabare}に関しては評点を上げる要素が見いだしにくいです。
キャラデザはそこまで悪くないと思っています。ガチでスポーツやる女子は、一部の例外除けばどうしたって丸っこくなるのです。僕は彼女たちのぶっとい太ももに描かれた筋肉の陰影を、スポーツ女子の勲章として評価します。でも、野球やるなら短パンやめろ。せめて試合中は髪の毛まとめよう>#1,4,5。
アニメーションとしは、比較的最近放映された別の女子野球ものよりは遙かに良いと思います。ちゃんとボール投げてる、バット振ってる、走ってる。でも2Dアニメと3Dとのギャップが気になりました。顔がある程度以上の大きさになると、どうしても3Dモデルの表情は厳しいですね。うまく顔を半分くらい隠すような構図をとるとか、背面からにするとか、工夫の余地があったと思います({netabare}この観点からみると、ガルパンは実にうまく2D-3Dのトランジションをこなしていたんだな、と感心すること頻りです{/netabare})。
全体として作画が安定しなかったのが痛かったかな。終盤の極端なコマ数削減も気になりました。
{/netabare}

声の演技{netabare}は、正直今ひとつと思いました。新人の方を大量に採用しているのだと思いますがなんとなく違和感を感じました。
おそらく演出・音響監督さんの領分になるのだと思うのですが、もう少し何とかできなかったのかなと思います。単純な音圧あわせのレベルで雑に感じました。最終話はまとまっていたと思います。

音量・音圧あわせがうまくできていない中で、#10の声が悪目立ちをしていたように感じます。言葉を選ばず言うなら、耳障りでした。中盤あたりまで#10が全台詞の半分近くを持っていたのも、悪い方向に働いたかもしれません(声優さんに対する批判ではなく、音響監督・演出に対する批判です)。{/netabare}

OP{netabare}は、結構好きです。OPの女性ボーカルは、僕にとってものすごく「気になる声」です。歌詞はいろんなことに投影できる前向きな詩と思いました。
12話の最終局面で感じたのですが、スポーツの緊迫した場面でのストリングスって、凄く盛り上げてくれますね。ハイキューとか。{/netabare}

物語と人物描写{netabare}は、王道も王道の野球ものです。

人物配置からして王道と思います。挫折を経験し野球から離れようとしていた主人公たち、過去があるチームと野球を捨てきれない先輩たち、最初はそこまでモチベーションがない選手たち、取っつきにくいエリート、可能性モンスターな初心者たち。。。

ほかの野球漫画・アニメで思い当たるものしかないと思いませんか?Clichéですが、スポーツもの、こと野球ものに関してはこのうえなく「機能する」構成だと思います。

物語としても、12話構成としては十分な展開(おそらくそれなりに上手な取捨選択)がなされていて、いい区切りで最終話を終えていたと思います。物語の主軸となる#1,2、および、#3,10の物語に加え各選手がそれぞれにちょっとずつ見せ場をもつという展開も、まさに王道。#9のホームランは、初登場時点で確約されていたようなものです。それでいいんです。

最終話の展開は、正直うるうるしちゃいました。でもね。でもね。{/netabare}

#10の人物像{netabare}、描かれ方に大きな不満があります。終盤でぶれたことが不満です。

9話まで、#10はデータDrivenに冷静な判断を下しつつ、勝負勘も持ち合わせた指揮官候補生として描かれていたと思います。判断に際しては無感情で、むしろ気味が悪くもある。それがこのキャラの「売り」だと思っていました。

それが9話終盤から12話まで、ただのうじうじキャラへと豹変します。指示は遅れ、出せなくなる。これに加え、ひたすら内なる逡巡を台詞として語り続けます。うざ。あまりにうっとうしく感じたので11話はいったん視聴を止めて数日放置したほどです。

自身の判断に自信が持てなくなることや、判断に対する後悔それ自体はかまわないのです。自信のなさが顔に出ても(ない方がいいけど)、それは仕方ない。最悪、顔真っ赤にして半べそかきながらでもかまわない。でも、指揮官・指示を出す立場のものって「求められたタイミングで指示を出す」ことが全てです。「何も変えずにそのまま」も、ちゃんと指示として出さなければなりません。

なのに、あれだけ無感情系監督候補として描かれた人物が、その場面場面で逡巡し、判断を迷い、遅らせ、あげく逃げる。指揮官としてのあり方からも、キャラぶれの面からも、これは許されないと考えます。これは事前の想定が不十分なだけで、判断を下すものとしての能力不足。#10内面の苦悩を表現する方法はほかにもあったと思います(#6,9あたりや観客に、悪意のない戦術批判をさせる(たらればを言わせる)→うつむく#10とか)。

#3とのやりとりも、ベンチ裏ではなくベンチ内でやってほしかった。求めすぎでしょうかね。でも、序盤の描かれ方からみて、「不安にえづきながらも指示は出す」くらいのキャラかと期待したのです。

#3ホームラン後の、相手ピッチャーの台詞も「?」でした。#10をさして「あれだけ有能な指揮官が・・・」って、この試合で#10完全無能だったのだが・・・

それでも、#3のホームランは凄く良かった。それは認めます。その分、その後が間延びした感じがしました。
{/netabare}

主人公は誰だったんだろう。 {netabare}最終話の盛り上がりは、間違いなく#3と#10の物語に支えられていました。でも、この作品の真の主人公は誰だったのか。
原作の、もっと長い物語の中では問題がなかったのだと思います。ですが、12話構成という「原作の部分抜き取り」の中で#10の立ち位置が相対的に大きくなり過ぎてしまったのでは、と思います。
{/netabare}

#10の功罪、どちらも大きいと思いました。

[2020/06/23 v1:背番号10の功罪]

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

何気に真面目に野球してる(笑)

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
ジャンルは、スポーツ(女子野球)・やや百合。

わりとスポ根というか、ちゃんと野球してるな~と。作画は大分怪しいとこもあったけど、なかなか普通に面白かったです。

もし途中で飽きたとしても、最終話までちゃんと観ることをオススメしますね♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
序盤は、仲間を集めて野球部を創部する、かなり王道の展開。

中盤は、一人一人の成長にスポットを当てながら、チームの成熟を魅せていく。サブキャラにもきちんと光を当てたのは偉い(そして影森戦で目立った稜、息吹、白菊などが、梁幽館戦では完全に消えているのはバランスが良い)。

終盤の梁幽館戦は、試合を、競技をしっかりと魅せていた。

全体的な構成は非常に王道。野球アニメの中でも、こんなに1つ1つのアウト(ストライク)をちゃんと見せるのはそんなに多くなく、「おおきく振りかぶって」に近い要素が多い。

特に梁幽館戦の希のホームランは熱くて、きちんと伏線が効いていて良かった。思わず単話での☆5をつけてしまった(ちょっと高い評価つけすぎたw)。

ただ、本作は、「果たして女子野球である意味があるのか?」と思ってしまう。

男子の野球と女子の野球の最大の違いは「飛距離(パワー)」だろう。調べてみると、イニングが7回になるだけで、後は男子と同じ球場を使うようだから、ランニングホームランならまだしも、柵越えは多分無理。ピッチャーの球速にしても、女子プロですら、日本人最速は128㎞らしい。

例えば女子サッカーの場合、男子と比べて圧倒的に少ないのが、大きなサイドチェンジ。そこまで飛距離蹴れないからね。あと、意外とロングシュートが多い。キーパーがちっちゃいから、山なりシュートでも結構決まる。

ようは、そういうを「リアル」をしっかり表現するのか、それともその競技の面白さを最大限に描くのか。

本作は後者、つまり、「女子野球アニメ」ではなく、「野球アニメ」を女子にやらせてるだけ、となるわけです。

そこが、マイナスと言えばマイナス。せっかくリアルが売りの作風にしているのだから、女子野球をきちんと取材し、女子野球ならではの戦術や駆け引きを魅せてくれた方が、他の作品との差別化もできて良かったと思う。

もっとも本作は、「女子野球が一般的(メジャー)になった世界」を舞台にしているため、実はファンタジーとも言える。

気になって(全国高等学校女子硬式野球連盟サイト)調べたところ、現実の女子硬式野球部(加盟高校)は、わずかに31校。アニメ内では、埼玉県だけでも、それ以上の高校があったようだった。

そういう点では、「ガールズ&パンツァー」や「咲」に近い設定のアニメともいえるので、「柵越えできる女子」も「ファンタジーの住人」として許容できるねかな?

あと、「初心者なのに上手すぎ」は、もはやお約束なので、言わないこと(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
女子野球。なんか、この間もあったな。1話目から、動かないな~(笑) 初心者系ではなく、経験者系なのは、なかなか好印象。それぞれにツラい時間を過ごし、再会。分かり合える仲間と共に、再び野球を始める。実に王道だな。作画は怪しいけどね。

2話目 ☆3
つか、双子が上手いな、初心者?なのに。綺麗にセンターラインが揃ったな。クラブチームで、というわりと真っ当な感じ。どっちが勝っても野球部入部。あと3人か。この顧問、絶対に裏があるよな(笑)

3話目 ☆3
後ろティーで流し打ちとか、レベル高い練習してるな。ここで「野球上手い」の伏線回収。それは、剣道続けようぜ(笑)

4話目 ☆3
全国で会おう。めっちゃ目が怖い(笑) 剣道部は、やたらバッティング飛ぶよ。引っ張るしかできないけど。全中1位かい。百合特有の、嫉妬?

5話目 ☆3
試合も王道。カットはムズいよ。振り逃げ、ファーストの内側走るなや。

6話目 ☆3
ノクバ使わんのね。控えピッチャー大事。チーム内の練習で毎回エースに投げさせると、壊れるし。女子野球の県ベスト4は、凄いのか? 魔球、デスサイズ(笑) 作画、大分苦しくなってきたな。コマ数が足りない。

7話目 ☆3
なんとなく気になったので、女子硬式野球連盟のホームページ見たら、31校しか加盟してなかったな。アニメだからいいけど、埼玉だけでやたら学校あるな。そりゃ、試合中誰か怪我した時のために、10人目は登録するよな。過去の振り返りは、なかなか良い。

8話目 ☆3
個人的には、剣道は間合いの競技というより、機会(タイミング)の競技だと思ってるけど。白菊がやってたのも、間合いというよりタイミングだし。1話でこんなにちゃんとアウトをとる野球アニメも珍しい(笑)

9話目 ☆


10話目 ☆


11話目 ☆3
満塁からの敬遠。なかなかちゃんと野球していていいね。

12話目 ☆5
ここでのスリーランは、熱いな~。伏線も効いてるし。色んな立場での勝負があって、かなり面白かったな。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 29
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

【失敗作の典型例-1】(作画崩壊w)制作ガチャの悲運!→「引き」が良ければ超名作にも成り得た逸材

【レビューNo.28】(初回登録:2023/2/8)
コミック原作の2020年作品。全12話。
もともとの動機は、純粋にスポーツもののレビューもひとつ入れたかったから。
【失敗作の典型例】は今期の某アニメをその方向で下書きしてたのですが、制作ガチャでここまで
評価を下げた作品を今後扱う機会もなさそうなので、栄えある1号にしておこうかと。
(本作を失敗作認定するのは個人的には気が引けるのですが・・・)

(ストーリー)
武田詠深(詠)は鋭い変化球を持つ優れた女子中学生投手だったが、捕手に恵まれずその才能を発揮
できずにいた。高校に進学した詠は、幼き日の野球仲間だった山崎珠姫(珠)と出会う。彼女は強豪
チームで捕手として実力を磨いていた。
「超高校級の変化球投手」と「それを捕球できる実力派捕手」・・・2人の時間が再び動き出す!!

(評 価)
・制作ガチャの悲運!→作画崩壊はネタレベルw
 この作品の問題は本当ここだけなんですよ!「いもいも」「DYNAMIC CHORD」「おさまけ」等と
 同列に語られるほど、ネット民のおもちゃにされている作品のひとつですね。正直脳死じゃない
 と結構話の興を削がれるレベル。だからまともな作画でアニメとして魅力ある演出のできる制作
 会社を引いていたら・・・本当に惜しまれます。

・きららとは思えない!本格派野球作品
 これってきらら作品だったんですね、知らなかったw確認してみたらたしかに珠詠コンビはイチ
 ャイチャしてる感はあるのですが、内容はかなりガチの野球モノですね。{netabare}主役2人は実は高校で
 野球を続けるつもりはなかったのですがその物語だったり、この高校も実は不祥事で活動中止で
 部員がどんどん部を去っていく中、2人の先輩が陰で部を守ってくれていて、そこから部員が集
 まってきてというドラマ性もしっかりしてますし、もちろん真面目に練習もします!しかも練習
 試合は勝ち負けよりも課題の克服優先とかどんだけガチやねんw
 他にも「ここぞ!という場面以外はフォームが崩れるからホームラン狙わない」強打者・中村希
 (博多弁がかわいいw)や珠の試合中の配球など、本当に本格的に野球してるんですよ。
 「男子野球」に比べスピード・パワーといった描写は格段に劣りますが、「女子野球をどう面白
 く魅せるか」原作はかなり考えられてるなという印象を受けます。また1クールという尺の都合
 もありますが、男子野球にありがちな「過剰な引き伸ばし演出」がないのが好印象ですね。{/netabare}

・「川口芳乃」とかという超有能な野球オタw
 この作品を格段に面白くしているのが彼女の存在。
 {netabare}・体を触るだけでどれだけ練習してきたかや選手の特徴を把握できる。
 ・県内の有力選手は全てチェック済み。(珠や先輩のことも知っていた)
 ・もちろん野球に対する造詣も深く、練習メニュー立案や技術・メンタル面のアドバイス、試合
  では作戦等の采配を振るい、ちゃんとノックも上手い。それにオタの真骨頂・データ分析も。
 ・トドメに栄養管理から手際よく雑務まで担当
 ってどんだけ有能やねん!って感じで、彼女を見ているだけでも全然飽きません。
 だって「場面ごとに守備のシフト変更」サイン出すとかwこの娘どんだけ野球好きやねん!!
 上述「本格派野球作品」は彼女の存在によるところ非常に大きいです。{/netabare}

ただ「スポーツアニメはこうあるべき」という固定観念の強い方から見ると、迫力や熱量といったも
のが足りてないという評価になるかも。でもそういうのって絶対「男子野球」に敵わないと思うんで
すよ。だから同じ土俵では戦わず「女子」を活かしたうえで、別角度から野球の魅力を伝えていく。
「何故野球を『女子野球』で描くのか?」
個人的には、この命題にひとつの答えを提示した良作かなっと。
それだけに作画だけでなく、演出面でもこの作品の魅力をもっと引き出しようがあったのでは・・・
「制作ガチャ」が!!!!!!! 本当に勿体ないです。
それ以外はよくできた作品なので、作画耐性がある方には是非観てもらいたい作品ですね。

(追 記)
作画がアレで1クールで終った(多分2期はないでしょう)なので、原作を買うか迷ってる作品です。
正直「娘に引かれるかも?!」ってとこで躊躇してるんですが(笑)
制作ガチャのせいで原作の興味を引いたのなら、ある意味アニメ化は成功といえるのか(皮肉w)
「制作会社を変えて1から作り直して欲しい」こういう作品は誰もが1、2つ持っているのでは。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

70.6 2 2020年度の野球アニメランキング2位
メジャーセカンド第2シリーズ(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (98)
392人が棚に入れました
主人公・茂野大吾は、かつてメジャーリーグでも活躍した茂野吾郎を父に持ち、同じくメジャーリーガー佐藤寿也を父に持つ佐藤光や、佐倉睦子と共に少年野球チーム・三船ドルフィンズで快進撃の一翼を担った。そして時は流れ、大吾は私立風林学園中等部に進学。中学2年生になった大吾をキャプテンとして新生・風林中野球部が始動!どこまでも熱い王道野球物語…いよいよ「中学生編」開幕!!

声優・キャラクター
藤原夏海、花澤香菜、山下大輝、佐倉綾音、河瀬茉希
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

無情に立ちはだかる『性』の壁

僕が大学時代に知り合った、ある女の子の話。

その子は高校時代、軟式テニスで県のベスト4までいったそうです。
で、キャンパスで一緒に歩いてるとき、
ふつうに感心して「すごいね」と言ったら、

  ん~、でもまあ『負けて終わった』ことには変わりないしね。
  結局さ、『勝って終わり』たかったら、一番になるしかないんだよ。
  負けて終わったら価値がない、なんて言うつもりはないよ、もちろん。
  でもさ、やっぱやる限りは、勝って終わりたいんだよ。
  少なくともわたしはそう思ってやってきた。勝手な言い草だけどさ。

なんてことを言われました。
ちっこくて可愛い顔してるくせに、すげえやつだなあ、と。
照れくさそうにそんなことを語る横顔が、とても眩しく見えました。

卒業して何年かたち、久々に再会して彼女にその話をすると、
  わたし、そんな偉そうなこと言ったっけ?
なんて、OLさんらしい、少し疲れた顔で笑っていました。

  言ったんだよ。
  俺、猛烈に憧れたんだよ。
  だから、そんな何かをあきらめたような顔で笑わないでくれ。


閑話休題。

本作はあの大ヒット作『メジャー』の新シリーズで、
最初のシリーズで登場したキャラの息子さんだの娘さんだのが、
ごちゃごちゃ悩みながら青春する野球アニメです。

第一期は小学生編でしたが、
第二期にあたる本作からは中学生編となり、
女子が大勢を占める男女混成野球部の悪戦苦闘ぶりが描かれています。

そしてその『男女混成』であることが、
この第二期からのキモ的な位置づけになっています。

女子野球をモチ-フにしたアニメはこれまで何本も制作されていますが、
僕的な感想としては、ろくなものがありません。
  ど素人の寄せ集めが、あたりまえ程度の練習をしただけで強豪とタメ。
  運動部とは思えないキャッキャウフフのオンパレード。
  仲間・友情ワ-ドのたたきうり。
  少年野球レベルの考察・戦術がなぜかどハマり。
などなど、野球なめとんか展開がてんこもりなんですもの。

要するに、これまで女子野球というのは『色モノ枠』だったんです。

その点において本作は、
男女混成チ-ムでありながらも過剰な『萌え』に走らず、
生理学的ハンディにめげず野球に取り組もうとする女の子の姿が、
おおむね真面目に描かれています。

その『生理学的なハンディ』については、
長くなりすぎるのでネタバレで隠しておきますね。
興味のある方だけ、どうぞ。

{netabare}
女の子と言っても、小学生までは男子とそんなに性差ありません。
少年野球でも女子エ-スだの四番だのをたまに見かけますし、
うちのバカ息子が三振とられたこともあります。

チ-ム内で太鳳、弥生、アニータ、千里の四人は、
名門のリトルチ-ムでレギュラー格だった設定になっています。
それって、小学生時代は並みの男子より遥かにうまかった、ということなんです。

ですが、第二次性徴がはじまると男子は筋肉が大きく発達し、
生理学的に大きなハンディがついてしまいます。

  男子の第二次性徴が始まるのは平均で11歳6か月ですから、
  小学校五、六年生あたりですね。
  ただし、筋肉の発達は12段階ある性徴の9番目ですから、
  もちろん個人差はあるものの、
  やっぱり中学生時代というのが性差のつく分水嶺になります。

作中で太鳳が「シンデレラの魔法は解けちゃってる」と言いますが、
そう自虐的になってもおかしくないぐらい、
体力・筋力に差がついてしまうのがこの頃なんです。

技術力や経験値で並程度の男子チ-ムには勝てても、
ガチでやっている男子チ-ムにはボコボコにされてしまいます。

  ちなみに、日本女子プロ野球選手の遠投平均は72mちょいぐらいです。
  中学男子だと下位チ-ムでも80m以上投げるのが普通にいますし、
  強豪チームだと90m投げても「おっ、いい肩してるね」程度の評価。
  女同士の戦いに置き換えると、
  たとえ地域の二~三回戦程度であっても、
  身体能力的には中学生がプロ野球チームと試合するようなものなんです。

しかも、強い男子チ-ムにはしっかりした指導者がいて、
理論的にも強度的にも充分すぎるほどの練習を重ねていますから、
技術的にも相手の方が上、というのがほとんどです。
{/netabare}

対戦する相手チームも、
こちらの先発に女子が六人もいることから、
最初はなめきって試合に臨みます。

そこをひっくり返して勝つところが「ざま~みろ」なのですが、
強豪相手にはそう上手くいきません。
{netabare}
  リトル出身者が四人(うち一人は女子)いる大尾中学には逆転負け、
  名門と言われる辻堂中学が相手ともなると、
  10点ものハンディをもらいながら逆にコールド負け。
{/netabare}
そのあたり、女子が男子と混成でやるリアルな姿が描かれています。
ガチな男子チ-ムに10年に一人の天才女子がぽつんと混じる、
という構成なら話は別ですが、
先発の6~7人が女子のチ-ムなら、それでも「よくやっている」方なわけで。


物語は、いまのところ、
そうした『男女の壁』に悩みながらも部活に励む、
思春期男女の群像劇として進行しています。

チ-ム内女子の考え方も一枚岩ではなく、
  負けたくない、絶対に勝ちたい、というアニータ、
  男子には勝てないけど同じ女子には負けたくない、という弥生、
  『適当でいいじゃん』と『熱血』の間をふらふらしている太鳳、
  あまり深く考えてないけど一所懸命、のその他、
など、まさにバラバラという感じですね。

さらに、彼女たちを引っ張るキャプテンの大吾が、
あの滋野吾郎の息子とは思えないぐらいメンタル弱いです。

ふだんはわりといいこと言ってるのですが、
いったん躓くと、すぐ自分の殻に入ってヒッキ-化してしまいます。
部活の先輩が一斉退部でキャプテン指名された時も、
いきなり猛練習はじめて一部の部員からそっぽ向かれた時も、
しっかりせいよおいこら的な。

最悪なのは辻堂戦で光と再会したとき。
{netabare}
光が後遺症でピッチャーができないと聞かされて上ずってしまい、
  凡フライをピッチャーとお見合い、
  リ-ドが小さいだけで初見の相手の盗塁ノ-マ-ク、
  ショ-トからの牽制サイン見落とし、
  肩に力入りまくりのピッチャーに声掛けもなし、
  楽々ダブルスチール決められ、送球も甘々。
というていたらく。

光が「まあ女子会がんばって」などと突き放すような皮肉を言ったのは、
チ-ム全体を揶揄したのではなく、
再会を楽しみにしていたのに甘々プレイ連続の大吾個人に言ったのですが、
伝わるわけもなく、またまたヒッキ-化。
しっかりせいよおいこら。
{/netabare}

そうしたメンバーが「とりあえず頑張ろう」と一致団結したところで、
第二シリーズは終わります。
原作はまだまだ続いているので、長期作品になりそうですね。


おすすめ度といたしましては、
テ-マに共感・関心が抱ける方にはAランク、
ガチ野球アニメが好きな方や、逆に萌え萌え野球大好きっこにはBランク、
野球なにそれおいしいのという方にはB~Cランクといった感じです。

映像はけっこうきれいで、野球の動作フォ-ムもそれなりです。

監督は映画『ドラえもん』で有名な渡辺歩さん。
この方は『グラゼニ』の監督やったりもしているのですが、
いまいち野球には詳しくないようです。
{netabare}
  完全補給してからゆっくり腰上げても二盗なんか刺せね~よ。
  その角度で上がって中学生の外野ポジションならフェンス際は背走キャッチだよね。
  全投手に対して同じグリップ同じスイングってなに。

みたく、思わずツッコミたくなる演出が散見されます。
心情を深く描くため原作にないエピソードを色々と追加しすぎて、
物語の進展にドライブ感が薄かったりもしますし。

最悪なのが前半ク-ルのED映像で、
そんなのどこで売ってんだと言いたくなるようなワンピースを女子が着て、
お花畑のなかで楽しく『球遊び』。
べちょっとしたボーカル曲がそれに重なって、痛いことこの上ありません。

もはや『色モノ扱い』以外の何ものでもなく、
このEDを見て、
  あ、要するにこれってそういうアニメなのね
と判断した方が少なくないと思います。
{/netabare}

というわけでいろいろと難ありの本作ですが、
僕は個人的に応援しています。
こんな難しいテ-マをどう転がすのか、ぜひ、続きが見てみたい。

野球というのはすごいバッテリーがいて縦の守備がしっかりしていれば、
ある程度は何とかなる、という側面があります。
だから、女子が多いからといって、
最初から『絶対』あきらめなきゃいけないという決まりはありません。

  そしてなにより、
  同じ球技で彼女たちが本気で男子と張り合えるパーティは、
  これが本当の『ラストダンス』なんです。

大人になった彼女たちはこの時のことを思い出し、
  いや~、あの頃は若かったねえほんと
なんて、照れくさそうな苦笑いをすることでしょう。

本気で笑い、泣き、汗を流して挑めるのって、この時しかないんです。
だから目一杯がんばって欲しい。
たとえ未来の自分がどんな言葉を語るようになるのだとしても。

  そして、結果に関わらず、
  胸をはって笑って生きて欲しい。

それだけが、偉そうで恐縮ですが、僕の身勝手な、切なる願いであります。

  この作品に対しても、
  いま何かにがんばっている、すべての方々に対しても。
  

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

キミとまた、野球がしたいんだ!

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版の第1シリーズは視聴済です。
物語の内容に繋がりがあるので、第1シリーズ未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

個人的に、この作品の前作に位置付けられる茂野吾郎を主人公とした「MAJOR」を完走していないのが気にかかっています。
しかも視聴したのは最初の方の少しだけなので、ほぼ未視聴に等しいかもしれません。
「MAJOR」を視聴してからの方がもっと作品にのめり込めるとは思うのですが、6クール全154話という壁に阻まれどうしても手が出せませんでした。
いずれ攻略したいとは思いますけど…


「いつか必ず、2人で最強のバッテリーを組もう!」
光との再会を誓い、風林学園中等部に進学した大吾。

大吾がキャプテンを務める野球部は、上級生が抜け睦子をはじめとした女子ばかり。
クセのある新入生を迎え、新生・風林中野球部始動!

野球女子の実力やいかに!?
どこまでも熱い王道野球物語、「中学生編」開幕!!


公式HPのあらすじを引用させて頂きました。

そう、風林中学の野球部の男子部員は3名で、そのほかは全部女子なんです。
でも女子だからと言って侮ってはいけません。
小学校の頃からリトルリーグで徹底的に自分を磨いてきた猛者が女子の過半を占めているのですから…
そして三船ドルフィンズ時代から一緒に頑張ってきた睦子も一緒ですし…

そして、この作品のもう一つの醍醐味…それは起用されている声優さんが超が付くほど豪華なことです。
女子部員が多いということは必然的に女性の声優さんが多く起用されることに直結します。
顔ぶれ…凄いですよ^^

こちらが風林中学女子野球部員です。
佐倉 睦子(CV:香菜ちゃん)制球力バツグンのエースピッチャー
相楽 太鳳(CV:あやねる)鉄壁の守備力を誇る俊足のショート
沢 弥生(CV:河瀬茉希さん)攻守バランス抜群のクールビューティー
椛島 アニータ(CV:りえしょん)猪突猛進関西弁キャッチャー
藤井 千里(CV:すみぺ)風林中学校の切り込み隊長
関鳥 星蘭(CV:高垣彩陽さん)謎のサウスポーキラー
藤井 千代(CV:渡部紗弓さん)風林ナインを支える恋するマネージャー

そしてライバル校にも頑張っている女子部員がいます。
眉村 道塁(CV:ほっちゃん)

どうです、この顔ぶれ…毎週耳が喜ぶのも仕方無いですよね^^;

第1シーズンの三船ドルフィンズの時には香菜ちゃん演じる睦子一択でしたが、第2シーズンでは、すみぺ演じる藤井千里が、完全に頭一つ抜きん出ていました。

千里一択になったきっかけもはっきり覚えています。
睦子の牽制練習の時、ランナーは俊足の千里だったのですが、実際に千里が盗塁した時の言っていた「ズサー」の破壊力が半端無いんです。
たった一言の台詞なのに「ズサー」に色々と持って行かれてしまいましたよ…^^;
今年の夏から始めた「お気に入りヒロインBEST10」にどう絡んでくるかが楽しみです。

物語は、規定人数ギリギリの部員しかなく満足な指導者も不在という、高みを目指すにはお世辞にも有利とは言えない状況の中、それでも試合で勝ち進むことを望んで野球漬けの日々を送る…という王道のストーリーが分かりやすく、そして物凄く険しい道であることも同時に分かってしまう、そんな展開でした。

順風満帆なんかであるはずがなく、少し進んでは躓き、迷って立ち止まって、それでも試合に負けたらやっぱり悔しくて…
彼らの成長を気持ちよく見ていられる作品だったのではないでしょうか。
みんなには「逃げる」という選択肢がありましたが、導き出した答えは「茨の道を突き進む」でした。
これからまだまだ面白くなっていくと思います。

オープニングテーマは、家入レオさんの「Answer」と、上白石萌音さんの「白い泥」
エンディングテーマは、SHE'Sさんの「One」と、雨のパレードさんの「IDENTITY」

2クール全25話の物語でした。
尺と原作のストックの関係上、物語としては一旦終わりましたが、NHKの番組ですし原作のストックが貯まったらきっと続編を制作して貰えると信じています。
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

タイトルなし

1話の感想 ★★★★ 4.0
スポーツ推薦組
{netabare}
中学生編スタート!!
絵柄が変わりすぎて、驚き。
まるで進研ゼミ。キラッキラしてるな~
野球部のメンバーが女子の方が多いってのが凄く今風。
吾郎なら、野球舐めんなとかいって女子追い出しそうw
{/netabare}

2話の感想 ★★★★ 4.0
新入生2人、追加
{netabare}
ブラジル人で関西弁の金髪褐色新入生。キャラが濃い!!
そして、またも女子!
今時はサッカーの方が人気かも知れんが、そんなに男子は野球をしないのか。
スポーツ推薦組にしろ、今回の新入生にしろ、口が悪い奴が多いな。
反骨精神、なのか?{/netabare}

3話の感想 ★★★★ 4.0
アニータの焦り
{netabare}
アニータの気持ちは分かるが、なんでそんなに焦ってるんだ??
まるで吾郎。
なんか過去にトラウマがありそうだな。
それが試合中に出て、大吾と捕手を変わって、惚れると予想する。{/netabare}

4話の感想 ★★★★ 4.0
キャプテン
{netabare}
メジャーセカンドの特徴として、回想シーンが多い!
早く進んで欲しいのに。
まぁ、今回の話は大事だから許そう。
こうみると、大吾って大人になったよな。
吾郎の方がよっぽど子供だ。
吾郎はキャプテンしたことあったっけ??{/netabare}

5話の感想 ★★★★ 4.0
初試合
{netabare}
睦子の緊張は当たり前だよな。
しかし、睦子は大吾にガチ恋だな。
女性向け恋愛アニメでありそうなキラキラ具合。
{/netabare}

6話の感想 ★★★★ 4.0
トラウマ
{netabare}
アニータの前に生徒会長が崩れた!?
ただ一人の三年なのにそこまで上手くないか。
メンタルやばそう。絶対、自分なら耐えられないわ。
でも、大吾のおかげでなんとか克服していけそう。
{/netabare}

7話の感想 ★★★★ 4.0
直前特訓
{netabare}
大吾って優しそうに見えて、Sだな。
プール埋めてグラウンドにしてるの、財力を感じた。
絶対、プールの方がいいやん。
恋愛要素入ってて、キュンとした。{/netabare}

8話の感想 ★★★★ 4.0
脚のチーム
{netabare}
走塁されると気が散るだろうな。
アニータは悪い奴ではないんだが、腹が立つよね。
大吾はいろんな奴をまとめられて凄いな~
先制2点は痛いぞ。{/netabare}

9話の感想 ★★★★ 4.0
アニータの挽回
{netabare}
ミスしたら落ち込むし、躍起になっちゃうよね。
でも、その後はしっかりとプレーできてたな。
ただ、怪我をしてしまった。
やっちまったな。
この試合が勝てたとしても、次の試合は大吾が捕手をすることになるのかな。{/netabare}

10話の感想 ★★★★ 4.0
大吾の活躍
{netabare}
ついに大吾が捕手に!!
確かに、小学生よりかは上手くなったのかも知れないけど、飛び抜けて凄いって訳ではなさげ。
やっぱり、吾郎と比べるとオーラがないよね。
{/netabare}

11話の感想 ★★★☆ 3.5
最終局面の激闘
{netabare}
大吾のバッターセンスが向上してたな!
見事?、勝つことができた。
ちゃっと、ご都合主義が強いかな。
ここで、負けてもよかった気がするな~{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5
ページの先頭へ