コミカルで笑いなアニメ映画ランキング 7

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のコミカルで笑いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月08日の時点で一番のコミカルで笑いなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.2 1 コミカルで笑いなアニメランキング1位
バケモノの子(アニメ映画)

2015年7月11日
★★★★☆ 3.8 (637)
4205人が棚に入れました
原作・脚本 細田守監督。


舞台となるのは、人間界のほか、動物のようなバケモノが住む「渋天街」が存在する世界。

人間界「渋谷」から「渋天街」に迷い込んだ一人ぼっちの少年が、強いけれど身勝手なために孤独だったクマのようなバケモノの剣士・熊徹と出会うことで物語が展開する。

少年は熊徹の弟子になり、九太という名前を与えられ、彼と共に修行や冒険の日々を送ることになる。


声優・キャラクター
役所広司、宮﨑あおい、染谷将太、広瀬すず、山路和弘、宮野真守、山口勝平、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、諸星すみれ、大野百花、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【ネタバレ無し】熊徹と共に吠えろ!!

2015年7月より劇場公開
本編119分


【前置き】

細田守監督の長編映画第4弾。
(ONE PIECEの映画を除くと。)
「時をかける少女」の頃は、原作を上手くアレンジし名作に仕上げた監督の手腕が高く評価されておりましたが、「サマーウォーズ」以降、その評判は一般層をも巻き込むカタチで大きくなり、今やポスト宮崎駿とすら呼ばれるまでとなり、その観客動員数も他のオリジナルアニメとは一線を画すレベルとなりました。
それに従い、批評する側の目線も高くなったり、偏った意見も多くなっていった印象を受けました。

私的には、監督の作品はどれも大好きです。
大手を振って褒められるかどうかはともかくとして。
なので、評判が上がるのは勿論嬉しいのですが、批評の中には闇雲な感情論による悪態でなくしっかり的を得ている意見も多くあり、色んな意見から新たな視点を得る機会に恵まれたことに楽しさも覚えました。


前置きが長くなりましたが、そんな監督の第4作目。
普段はあまり映画館へは足を運ばないのですが、知名度の高い細田監督の作品だけは評判が出尽くす前に見ておきたいと思い、前作品らと同様に出向いて来ました。



【あらすじ】

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街(じゅうてんがい)」という、通常交わることのない二つの世界。
ある日、とある事情から渋谷で途方にくれていた少年「蓮(れん)」は、渋天街の熊のような風貌のバケモノ「熊徹(くまてつ)」と出会います。

蓮は、熊徹から強くなるため弟子になるよう説得され、渋天街で「九太(きゅうた)」という名を貰い、日々修行に明け暮れるのでした。

8年後、成長した九太は偶然渋谷へ戻ってしまうのですが、そこで高校生の「楓(かえで)」から新しい世界や価値観を吸収することで、自身の生きるべき世界を模索するようになります。

そんな中、両世界を巻き込む事件が起こるのです…………。



【(劇場公開中なのでネタバレ無しで)語ってみる】

監督の他作品と比べて、本作はどこが優れていたか。
それは、この少年漫画的なシナリオからくる『熱さ』にあると、私は思いました。
サマーウォーズでもあった、「キングカズマVS人工知能ラブマシーン」の徒手空拳の格闘シーンが好きな人なら、本作でもまず燃えられるでしょう。
徒手空拳の格闘技だけでなく、本作はバケモノ達(と言っても怪獣ではなく熊男や猪男のような人型)による格闘技で、非常に力任せであり泥臭いところもあるのですが、迫力は満点でした。
作画は前作同様、映画であることを差し引いてもしっかり描ききれており、そこから上記のような魅せるシーンの更なる力の入れようは視聴者を大いに湧かせてくれます。
約2時間とアニメ映画としては少々長い部類ですが、私は一度も退屈させられるようなことはありませんでした。


ただ、映画のテーマとしては少々監督の引き出しが少ないと感じてしまったのも正直な話。
本作は、異種間を含めた「親子の絆」を描いた作品。
それこそ、前作「おおかみこどもの雨と雪」でもそうでしたし、広く家族と捉えれば「サマーウォーズ」でもそうでした。
細かく分ければ「おおかみこども」は完全に親の視点である為、本作とはまた少しテイストも対象となる年齢層も違うのですが、端から見れば一緒である時点で、多くの視聴者に既視感を与えてしまう点は残念です。
加えて、「熊男」「狼男」というのもまた、ニアミスしてると言わざるをえません。
舞台設定こそ監督の作品の中では新しい「渋天街」も、それこそ他作品で言えば見慣れた世界観であり、新鮮味には欠けてしまいましたね。


キャラクターに関しても、主人公の「九太」は、幼少時代は横着な熊徹のもとで子供なりに必死に学ぼうとする(加えてコミカルな)様に心打たれ愛着を持てたのですが、8年後のスマートになった青年「九太」は少々魅力に欠けました。
なんと言うか、見た目も含めて格好良過ぎたんですよね。
これは、前作でも主演声優を務めた「宮崎あおいさん(幼少期の九太)」と「染谷将太さん(青年期の九太)」とのキャリアの差も大きかったのかもしれませんが。
彼の見せ場のシーンも、そこに至るまでの過程や肝心の敵が少々腑に落ちなくて、首を傾げながらということもありましたしね。

何より、九太の師匠である『熊徹』が非常にキャラ立ちしている為、主人公の九太の活躍が、どうしても霞んでしまうんですよね。
私的には、青年九太が頑張るどのシーンよりも、熊徹が無骨に挑みかかる格闘シーンのほうに目を奪われてしまいました。

まず「役所広司さん」の演技が抜群に良いんです。
声をヘンに作っているわけではなく、でも役所広司さんの地声とも少し違う、まさに「熊徹」というキャラクターを自身で作り上げて演じ切った感じでした。
横柄で、人の話を聞かず、短気で、ぶっきらぼう。
そして、たった一人で自身を鍛え抜いて、自分の力で強くなった…、…強くなってしまった熊徹。
そんな男が、世界の違う人間の子供に目をかけ、なんだかんだで必死に育て上げていく様。
泣くには至りませんでしたが、やっぱり心に訴えるものがありましたよ。

この作品の評価は、この熊徹が好きになれるかどうかが大きな分かれ目となると思いますね。
私は、こういう男臭くて人情的なヤツ大好きなんです。
弟子になりたいかと言われれば、それはまた別の話なんですけどね……(笑)

勿論、魅力的なバケモノは熊徹だけでありません。
やはり見た目もインパクトのあるバケモノ達が中心となるのですが、中でもその熊徹の元で九太に目をかける豚顔の僧侶『百秋坊(ひゃくしゅうぼう)』は魅力的でした。
度々の彼の諭しがあってこそ、九太も…そして熊徹も、道を違えず成長出来たんでしょうね。
視聴後に声優さんが「リリー・フランキーさん」だと知りましたが、とても落ち着いて演じられていて、あの声だからこそここまで好感を持てるキャラになったんだと感じました。


主題歌であるMr.Childrenの『Starting Over』も非常に作品に合っている名曲でした。
いつぞや、ONE PIECEの主題歌を担当された時の曲は個人的に好きではなかったのですが、今回は自分にとっても大当たりでした。
このレビューも、この曲を何度もリピートしながら作りました。
聴くと自然と作品の良いシーンがフラッシュバックする、そんな1曲でしたね。



【総評】

映画館で見る価値があったかと言われれば、私的には十分ありました。
ただ、やはり初見且つ映画館というインパクトも含めて、評価が上乗せされた感はあるので、そういう意味では少し抑え気味な評価となるかもしれません。
まだ前評判の無かった「サマーウォーズ」を公開初日に映画館で見た時のインパクトと比べると、視聴後のテンションはかなり違いましたし。

ですが、やはりシナリオからも分かる通り王道ながらしっかり見せ場のある熱い作品なので、ファミリー層を中心にまた興行収入としては成功の作品となるでしょう。
勿論、変に偏り過ぎでなければ大人も十分楽しめる内容ですので。
私は同じ作品を映画館で二度見ることはまずないので、また足を運ぶことはないでしょうけど、早くBlu-rayでもう一度見直したいです。


ただ、やはり次回作以降の引き出しには不安を感じさせるものであったことは確かです。
アニオタ界隈では「ショタ好き」「ケモナー」等の名誉?なレッテルを貼られている細田監督。
そこが真実かどうかはさておき…この監督は、しっかりと面白いところが分かっていて且つ視聴者の目線にも立てる、そして「ショタ」等の偏った需要を上手く一般層向けに紛れさせ商業作品へと仕上げるセンスを持つ、数少ない実力のある監督だと私は思っています。

と言うわけで、次回作は
『ブッキラボウな男+そんな彼を慕うロリ少女』
という私の大好きな設定を是非、一般層にも受けるような作品へと昇華させ仕上げていただきたい。

……最後の一文は忘れて下さい。

読んでいただきありがとうございました。

◆一番好きなキャラクター◆
『熊徹(くまてつ)』声 - 役所広司さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『チコ』声 - 諸星すみれさん



以下、声優を務めた「広瀬すずさん」について。
(低俗な文章を含みますので、〆ます。)
{netabare}
本作のヒロイン「楓」を務めたのは、女子高校生ながら話題の女優『広瀬すずさん』。

とある番組での、悪質に切り取られたかのような彼女の言動が世間の反感を買い、謝罪騒ぎにまで発展したのをご存じの方もいるでしょう。

そう言えば以前にも彼女は、「明星一平ちゃん夜店の焼きそば」のCMで、一部言動が誤解を招くとして差し替えとなる騒ぎも起こりましたね。
これも謝罪騒動同様、私的には少々解せなかったんですよね。

全く………、


『ぶっちゅ~~~~~~~~~~、全部出たと?』


という言動の、一体どこに誤解を招く要素があったと言うのでしょうか。

しっかり口をすぼめ(ソースを)絞り出す様の、一体どこに何の誤解が生じていたのでしょうか。

広瀬すずさんには、これからも逆境に負けず作中の「楓」と同様に、自身の信ずる道を邁進していって欲しいものです。




………………………………ふぅ。

シュッシュ、フキフキ
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 27
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

“新冒険活劇”の意味は分からずじまいでしたが・・・

2018.08.11記


「時をかける少女」に続き「未来のミライ」公開記念で地上波で放送していたのを鑑賞。
細田監督作品は「おおかみこどもの雨と雪」「時をかける少女」に続き3作目の鑑賞となります。


今日も渋谷駅周辺は外国人で溢れ、きょろきょろしながら歩いたり、めいめい写真を撮ったりして楽しんでますね。これだけ多くの作品で取り扱われる街ですからなんの聖地巡礼かはさっぱりわかりません。ハチ公前交差点は都会の雰囲気を描写できる上、空間を広めにとれるため引きのカットをいろんなアングルから撮れることが作り手にとって魅力なんじゃないかと勝手に思ってます。

で、その渋谷の街とその渋谷に隣接する異世界「渋天街」が舞台のお話です。
お約束のハチ公交差点前もしっかり出てきますので、渋谷ファンは要チェックです。


家族関係で闇落ちしている少年“蓮”の視点から物語は始まります。夜の渋谷を走り回ったりするのですが、この時の背景しかり通行人の描写、防犯カメラを使った数枚のカットなどの工夫はさすが劇場版といえる作画です。ひょうんなことから迷い込んだ渋天街もプチ千と○尋の幻想的な作りだったりと導入はバッチリでした。ただプチ神隠し感が出たことで、否が応でもポスト宮○駿を無駄に意識させちゃったかもしれないのは余計だったかも。

物語は、作品タイトルやポスターの絵柄からバケモノ(熊徹)と蓮(または九太)の親子関係または師弟関係を軸とした展開が予想され、実質その通り進んでいきます。ただそこに焦点を絞り過ぎると中盤以降の追加要素に混乱してしまうかもしれません。《詰め込み過ぎだよん》という評はしかりで、父子愛というメインテーマを補足するための追加要素がわかりづらいです。父子関係に加え蓮の成長も描こうとしてますので尺を考えればギリギリ、劇場版の宿命とはいえ、多くを観客の解釈に委ねてます。


じゃあ自分はどうだったかというと、、、普通におもしろかったです。
ただもうちょい脚本はわかりやすく出来なかったかと注文はあります。
テーマは普遍的なものを扱ってますので、その一点突破で感動するかもしれない佳作と良作の中間と言っていいでしょう。


熊徹はいい味出してました。大正生まれか昭和一桁世代の佇まいです。イメージは星一徹(大正)か銭形のとっつぁん(昭和一桁)あたりでしょうか。頑固親父かと思いきや猪王山から子供のようと指摘されてる通り、がきんちょのようでもあります。このへんのイメージはLEONっぽい気もします。子供(っぽい大人)と子供の組み合わせもなんとなくLEON。


なにかと評判の悪いリアル俳優が声優を務める劇場作品の例に漏れず、本作もそうなのですが、全く違和感のない方がお一人いたと思います。
うさぎの宗師さま役津川雅彦さんです。 
{netabare}「お前という奴は迷いなど微塵もない眼をしおってぇ」{/netabare}
合掌…


細田作品のおおかみこどもの雨と雪では母子の愛を、本作では父子の愛ということになるんでしょうが、なかなか難しいのかもしれませんね。母と子の組み合わせが物語を作りやすいのかもしれません。であれば父と子の関係を扱った本作は意欲作ということでいいんだと思います。

{netabare}「君は俺と同じだよ。バケモノに育てられたバケモノの子だ」{/netabare}
蓮が初めて言葉にして父親と認めた瞬間、親父冥利に尽きるなと感じた瞬間でした。目の前で言われるかいなくなってから言われるか、男にとってはどうでもいいことかも。
多少のご都合展開は目を瞑って親父の自分が自己投影できたので評価が甘くなったことは認めよう(笑)


ちょっと気になったところはネタバレで隠します。

■白鯨の処理
{netabare}蓮と楓を繋いだメルヴィル著の『白鯨』。たしか船長さんが船もろとも鯨と運命を共にした話だったことは覚えていて、本編では一郎太が鯨に化けたあたりから嫌な予感しかしなかったのですが。。。
{/netabare}

以下ほぼ私見かつ妄想です。

■楓の役割って
{netabare}主人公と同年代の女の子だからといってヒロインではありません。九太が蓮に、彼が人間界に戻るための触媒と思えばたぶんすっきりします。
序盤、多々良と百秋坊が触媒となって蓮と熊徹を結びます。楓はもともと蓮が持っていた好奇心を現実世界に落とし込む存在として役割を果たします。
途中から出てきたのもあって恋愛要素を前面に出すと話がぼやけるため、あのくらいの按配で良かったことでしょう。{/netabare}

■女よ、GOMEN
{netabare}虎徹への弟子入り直後、剣士としての成長きっかけとなったのは母の幻影「なりきる。なったつもりで」の一言。宗師さま巡りを経て『大事なことは自分で見つける』と気づきがありました。これまで他人のせい、自分の殻に閉じこもっていた蓮が一皮むけるために母は必要でした。
楓もそう。8年ぶりに人間界に戻ってきた蓮は楓がいなければ路頭に迷って野垂れ死にしてたかもしれません。一郎太とのバトルでも早まって差し違えて終わってたかも。
父子愛がテーマの作品で、といいつつも結局女がいなければ何もできないのが男だったりするような。こうゆうこと言うのは女性に言わせれば男の甘えだそうです。{/netabare}



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2019.01.19追記
《配点を修正》


「おおかみこどもの雨と雪」で母子の愛、本作は父子の愛。
私は昭和の人間なので、父と子ってペラペラ話し合う印象が薄く、その延長線上、エンタメとして成立しづらいのでは?と邪推。
「クレイマークレイマー」のようなのも良いが、頑固一徹親父とその息子の物語をこの時代にこそ観たいとぞ思う。そういう意味で本作は及第点です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 40
ネタバレ

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ぼくはケモノもオッサンもすきなので熊鉄のこと可愛いとおもいました(まる)

月曜メンズデーの夜に行きましたが客の少なさにビビりました。
3週連続細田作品地上波放送で、宣伝にも力入ってるのに……。
先が不安になりましたが、平日の夜だし、単に山形がアニメ過疎地ということ、なんですかね。

ケモナー細田の真骨頂!!
バケモノの造形が可愛らしく、現代的です。
どっちかというと人間に近い。もののけ姫のそれとは大違いです。
まさしくケモナーが好む、ケモナーのための映画といっていいでしょう。

本作を見て一番に感じることは、広い意味で男の子が好きそうな映画だな、ということ。
(話と関係ないのですが、「おとこのこ」を変換したら普通に「男の娘」というワードが真っ先に出てきたw 打ったの初めてなのに。なんという時代……)

主人公の男の子が、熊鉄というバケモノに出会うところからはじまり、ともに成長していくお話で、子供の目線、子を育てる男親の目線、どちらからも楽しめるんじゃないかと思います。
今までの細田作品では珍しいくらい激しいアクションシーンが多いのもポイントです。
個人的には、どっちの目線にも共感できたなと思います。
熊鉄の乱暴でぶっきらぼうな接し方が、自分の父親と似ているせいかもしれません。
だんだん、顔まで父親に似て見えるもんだから不思議。バケモノにもかかわらず、です。
でも、それくらいリアリティのあるキャラクターだったと思います。
熊鉄を演じた役所公司さんの演技が素晴らしかった、というのも大きいですね。
違和感なさ過ぎてエンドロールまで気が付きませんでした。
「ああ、俺の父親もこんな感じだったよな……」なんて、少し懐かし気持ちに。

先週「おおかみこども」が放送していましたが、それと比較するのも面白いですね。
熊鉄と花のキャラクター性の違いは、父親と母親の子どもへの接し方のスタンスの違い、とも言えそうです。
本作パンフレットの細田監督インタビューでは、
「最近、うちに男の子が生まれまして。父親として何ができるかなって、考えたんです。」
と、綴られており、作品には男親としての理想がやはり込められているんだな、と感じました。
確かに、父親だったら男の子が生まれたら、一緒に体を鍛えたり男としての強さを教えてあげたいって気持ちになるかもw

前作に比べると、キャラクターのセリフでメッセージ性となる部分をはっきり伝えるから分かりやすい。
その分かりやすさに徹しているぶん、想像の余地が少なく、物足りなさを若干感じるところが欠点。
なので、ふわふわした映画の余韻を好む人には不満があるかもしれません。説明不足の部分もあります。
が、それでも完成度は高く、この作品の評価はほぼ好みの問題になるんじゃないかと感じています。
お涙頂戴なくカラッとしていて、後味爽やかで笑いがある作品は個人的には大好きです。

見ているだけで高揚感を得られる、しっかりと作られた王道ファンタジー映画は本当に久しぶりです。
宮崎駿が引退したらしたで次世代の監督が良い作品を作ってくれる……。素晴らしいですね。
会社は違えどバトンは受け渡されていくものなのかな、と感慨深くさえあります。
この幸福な循環がずっと続くといいですね。


P.S. バケモノの子展行きたいです。一郎彦の帽子欲しいです(大人サイズ)。2015/7/17

【追記】
{netabare}
ひとつ気になったのは、ケモノらしさについてです。
作中、「ニオイ」に触れられませんでした。ケモノ臭いだとか、人間臭いだとか。バケモノとは言っても、獣人なんできっとケモノ臭がすると思うんです。

バケモノの子を見て後、もののけ姫が無性に見たくなって見てみると、その部分において明らかに違います。
バケモノの子に出てくるケモノたちは臭いも無ければ、見た目以外ほとんど人間と違いが無い。
文明も発達しており、異国風と思わせといて玉かけご飯を普通に食うくらい、生活にも違いが無い。
もしかしたら、生活型が日本人と同じで無臭になってしまった・・・という裏設定が(!)
なんて妄想したりw
熊とか、体臭すごいですし、ニオイの演出も加わるとより面白くなってたんじゃないかと感じました。
九太が人間界に戻ったときに、九太に染みついたケモノ臭さに楓が鼻をつまむシーンとか見たかったんですけどね(笑)
でもニオイに突っ込むと、一郎彦の正体がすぐばれてしまい話がややこしくなるから、なんて事情が見え隠れするのであえて入れなかったのかなー、なんて勘ぐったりしてw

仮に、ニオイがあったら熊鉄のオヤジらしさに、より一層リアルさがあったのかもしれない。
一方で、ニオイなど生臭い要素をなくしたことが、マスコット的な愛らしいオヤジキャラの演出に一役買っているんだろうなとも思うので、結局この作品には「無臭」のバケモノが正解だったんでしょうね。
熊鉄のことを「可愛い」と感じる背景に、実はニオイも深く関係してるんじゃないかと、一人納得しましたw
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

77.9 2 コミカルで笑いなアニメランキング2位
東京ゴッドファーザーズ(アニメ映画)

2003年11月8日
★★★★☆ 4.0 (666)
3438人が棚に入れました
自称・元競輪選手のギンちゃん、元ドラァグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキ、三人は新宿の公園でホームレス生活を送っていた。クリスマスの晩、ハナちゃんの提案でゴミ捨て場にクリスマス・プレゼントを探しに出かけた三人は、赤ちゃんを拾ってしまう。赤ちゃんに「清子」と名付け、自分で育てると言い張るハナちゃんを説得し、三人は清子の実の親探しに出かけるが、行く先々で騒動が巻き起こる。

声優・キャラクター
江守徹、梅垣義明、岡本綾、飯塚昭三、加藤精三、石丸博也、槐柳二、屋良有作、寺瀬今日子、大塚明夫、小山力也、こおろぎさとみ、柴田理恵、矢原加奈子、犬山イヌコ、山寺宏一
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

さて第九でも聞きますか

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。90分のハートフルコメディ。
 今敏監督作品は、千年女優→パプリカ→パーフェクトブルーに続く4作目になります。
 今敏監督の特徴である厚いシナリオそのままに、笑いあり涙ありの正統派ハートフルコメディに仕上がっていました。シナリオ面に関しては今敏監督作品の中で最も良かったのではないでしょうか。

 今敏監督作品は、映像表現を使って主題を隠すのが非常にうまいという印象を持っていたのですが、この作品では映像表現ではなく、セリフとコメディを使っていたようです。重要なセリフでは、「誰かが誰かに」の「誰かに」の部分が別の人であるのが基本となっていますし、主題となる部分はシリアスにならないように、その後のコメディシーンであっという間に打ち消されたりしますからね。「パーフェクトブルー」も「千年女優」も「パプリカ」も、テーマは前向きなものだと思うのですが、描き方は斜に構えたものでした。クサいことを正面切って言えない監督の照れみたいなものが、この作品ではセリフとコメディに出ていたんだと思います。
 ホームレスを主人公に置いているのに、悲壮感みたいなものがあまりなく、むしろ力強さを感じたりもしますから、あえて言うならそこが映像表現として隠された部分なのかもしれません。

 シナリオの良さ、つまりフラグ回収の巧みさは見れば分かるものですので、細かい部分は省略して、私が注目した部分を少しだけ述べておきます。


オープニングと奇跡:{netabare}
 シナリオの一つの特徴として、徹底したご都合主義があると思います。いわゆる「奇跡」の連続でストーリーが進んでいくのですが、これを許容させる基礎はオープニングにありました。
 オープニングでは劇中劇を使って、奇跡を起こすことが宣言されています。視聴者は、監督が用意した舞台に上がってくることをある意味強要されるわけです。こういう監督側からの主張というのは、個人的には結構好きです。そもそもパーフェクトブルーも千年女優も、劇中劇からスタートしていますし、パプリカは夢の世界からスタートしています。一つのステップを用意してから実際のストーリーに入っていくという「視聴者に対する段階的な意識付け」は、監督自身が狙っているところなのかもしれません。

 こういうオープニングの作り方は、ファンタジーやSFに近いと思います。
 ファンタジー等では、架空設定を視聴者に説明する必要があります。例えば、ラピュタでは「石が浮く」ことをオープニングで説明しているから「城が浮く」ことを受け入れられるわけです。
 一方、時代劇や現代劇などリアルを前提とした作品は、架空設定の説明が不要なため、オープニングでは時代や舞台、キャラクターの紹介が中心となることが多いです。風立ちぬみたいな作品ですね。
 これらに対して現代ファンタジーは、現実の中にファンタジー要素を押し込めるのが基本です。日常の描写の中に魔法の存在を描いている魔女の宅急便などがこれに当たります。

 この作品は、現代劇であるにも関わらず、劇中劇から入っています。つまり、作り方としては、現代劇よりもファンタジーに寄っていて、現代ファンタジーの枠内に入るものだと思います。オープニングを見逃したり、現代劇への先入観が強すぎたりすると、ご都合主義が鼻につくかもしれませんが、オープニングの作り方からすれば、キキが「空を飛ぶ」のと同じ感覚で、「奇跡が起こる」ことを許容出来るようになっていたと思います。あくまでもオープニングの作り方の問題で、この作品がファンタジーだと言っているわけではないですよ。
{/netabare}

ハナと家族観:{netabare}
 ストーリー展開上の重要キャラクターは、間違いなくオカマのハナだったと思います。母親役である彼女(?)がなぜオカマでなければならなかったのかという理由については、消極よりも積極のが多いように感じました。

 まずは、コメディ要因として。オカマというキャラクター自体が非常にコメディ要素が強く、失礼な話かもしれませんが、「いるだけで笑える」という部分は少なからずありました。前2作と異なり、コメディを追及する上でオカマの特異性に白羽の矢が立ったのだと思います。

 次に、ステレオタイプ化です。男性の女性化というのは、大きく分けて二つの方向性があるように思えます。一つ目が、現実の女性に近づく方向で、いわゆるニューハーフのような「綺麗な」タイプです。二つ目が、ステレオタイプ化された女性に近づく方向で、いわゆるオカマのような「汚い(←失礼)」タイプです。この作品では二つ目が採用されていました。
 オカマというのは、誰が見ても女性を目指していることを認識するわけですが、現実の女性にこのようなタイプの人を見たことはないはずです。つまり、オカマというのは、女性を目指していて、かつ女性をイメージしているにも関わらず、現実の女性からは乖離していった存在なのだと思います。ある意味ステレオタイプ化された有り得ない女性像を持っているわけです。
 この作品では、家族というのが、ハナ・ギン・ミユキというキャラクターによって偽装されたものとして登場します。彼らを見ると誰もが家族だと認識するにもかかわらず、実際には家族たり得ないという構造を持っていました。これも家族のステレオタイプの活用であり、ハナの概念と一致します。ハナというステレオタイプ化された存在によって、ステレオタイプ化された家族を演出するという二重構造を作り出したのではないでしょうか。

 最後に、ギンとの関係です。ハナはギンへの恋愛感情を否定しています。実際にどういう感情を持っていたかは分かりませんが、作中では偽装化された家族でなければならなかったというしがらみが確かにあったはずです。つまり、男と女が並んだ際に、恋愛要素が前面に出てきてしまっては、不都合があったはずです。恋人ではなく、あくまでも偽装された家族であり続けるために、現実の家族ではありえない夫(男)と妻(男)という構図が必要だったのだと思われます。

 実際に監督がどういう意図をもってこのキャラクターを採用したのかは分かりませんが、私は好意的に受け止めました。近敏監督のキャラクターは現実感が強すぎるために、突出したキャラクターは存在していなかったように思います。没個性に基づく現実感と言い換えてもいいかもしれません。この作品で初めて突出したキャラクターであるハナが登場したわけですし、描けるキャラクターの幅の広さは確かに感じました。
{/netabare}

ただいまとエンディング①家族関係の成立:{netabare}
 「ただいま」という挨拶は、家族ものにおいては重要なキーワードだと思います。「おはよう」のように誰に対してでも使えるものではなく、家などの「自分の帰る場所」に帰った時のみに使える、家族を象徴する挨拶であると考えられます。
 そんなわけで結構注目していたのですが、この作品で「ただいま」が使われるシーンは、二か所しかありませんでした。一つ目は中盤で、赤ん坊(キヨコ)の自宅である「べき」場所に全員で到着した「廃墟への到着シーン」です。そして二つ目は終盤で、「偽の」母であるサチコの手にキヨコが戻った「疑似母子成立シーン」です。
 いずれにも言えることは、超重要シーンだったということです。どちらのシーンも、「本来であればエンディング」という節目のシーンです。一つ目は廃墟になっていたため、二つ目は、偽の母であったために、念願叶わずでしたが、仮のエンディングという役割を持っていました。

 で、どちらのシーンがより重要かと聞かれれば、迷うことなく一つ目だと答えます。後述しますが、どちらも仮のエンディングであって、重要なのは変わりません。ただし、一つ目のシーンだけは、もう一つの意味を持っていたと思われます。それは4人の「家族関係の成立」です。
 家族関係の成立が描かれたシーンは、この前にもありました。ミユキの夢です。この夢のシーンの前では、言葉の通じない女性を前に、父親を刺したというミユキの告白が入ります。女性はやさしい母親像を持っていますから、母親への懺悔に等しいのものです。ミユキは言葉が通じないからこそ本音を言える環境にいました。このときミユキが見た夢が4人の家庭ですから、ミユキの深層心理上は確かに家族関係が成立していたのだと思います。しかし、あくまでもこれはミユキ個人のものですし、現実における家族としての儀式が不成立であり、片手落ちという状況でした。

 廃墟への到着シーンを整理してみます。4人で廃墟に到着し、ギンだけが家を出て、改めて鍵を使って家に入り、「ただいま」という流れです。ドアが壊れるコメディシーンでぼかされていますが、父親が家に帰ってきて「ただいま」ですから、この時点で、実質的な家族関係の成立を見るべきだと思います。ホームレスが家を獲得しているというメタファーもあります。
 夢のシーンでは、ミユキの心理上の家族関係の成立に過ぎなかったものが、廃墟の到着シーンによって、実質的な家族関係へと昇華されたのだと思います。この後には、ミユキが自宅に電話するシーンが待っており、これは疑似家族からの離脱フラグの訪れです。つまり、このタイミング以外に家族関係の成立を描けるシーンはありませんでした。

 ここで、ミユキの重要性を述べておきます。ストーリー上の重要キャラクターはハナだと思いますが、テーマ上の重要キャラクターはミユキです。
 ギンとハナは、やや短期的にフラグ回収がされていきますが、ミユキのフラグ管理は長期的です。なかなかストーリーが進まない割に、進む時にはかなり前進するのが特徴です。また、帰宅のフラグ成立が最も早いのもミユキです。エンディングもミユキのためのものですし、間違いなくテーマを背負ったキャラクターです。東京ゴッドファーザーズというタイトルからも察することが出来ます。主要キャラクターにも関わらず、ファーザー要素が皆無なミユキは、意味を持ったキャラクターであったはずです。

 で、先に述べた廃墟への到着シーンというのは、ミユキのストーリーが大きく前進する手前、つまり、フラグ的には最も拡散した段階にありました。それゆえに、この時点で家族関係が成立し、あとは徐々に疑似家族が解消していくという流れになるわけです。
{/netabare}

ただいまとエンディング②ミユキのエンディング:{netabare}
 ここで、前述の二つのシーンで「ただいま」を言っているキャラクターに注目してみます。
 「廃墟への到着シーン」はギンです。妻と娘の元に戻りたいギンが、ハナとミユキ(とキヨコ)という妻と娘に対して言っています。
 「疑似母子成立シーン」はハナです。出生(母子)を知らないハナが、キヨコとサチコという母子の間に立って言っています。
 ギンとハナは、この「ただいま」のシーンを通じて、ある意味本懐を遂げていることが分かります。だからこそ、この二つの「ただいま」のシーンが仮のエンディングだと言えるのです。実際、ギンは娘に、ハナはバーのママに再会出来ています。
 唯一言っていないし、再会出来ていないのはミユキだけです。帰宅のフラグが一番早く、受入先が確実にあるミユキだけが「ただいま」を温存したまま、エンディングを迎えてしまいます。
 そして、エンディングで描かれるのは、ミユキと父の再会です。あの後にミユキがどんなセリフを言うのか、描かれていないとしても想像に難くありません。

 ちなみにですが、ミユキの帰宅が確定するのはエンディングではありません。その前の、ビルの階段を駆け上がるシーンです。
 このシーンでは、手すりにコートをひっかけたミユキがそのコートを脱ぎ捨てています。その後は帽子を自分で投げ捨てています。これは、急いでいるという描写でもあるのですが、それより重要なのは、「偶然にホームレスの衣がはがれ」その後「自らの意志でホームレスの衣を捨てた」ことにあります。
 ミユキは常に受動的でした。ハナに引きずられ、事件に巻き込まれ、父親との電車での再会も偶然の産物です。能動的に起こした行動は電話くらいのものですが、予定通りに実行できませんでした。
 このミユキが、階段のシーンでは、受動態から能動態へと一瞬で変貌し、その後母子を救うまでに行動力を見せています。
 つまり、この階段のシーンでは、ミユキの問題が既に解決されていることが再度遡及され、自ら解決のために行動を起こせることが明示されているのです。エンディングにおいてミユキは偶然父に再会していますが、自分からあのセリフを言うだろう、という予測が、階段のシーンから成り立つのです。
{/netabare}


 この作品は、フラグが次々に立ち、次々に回収されるという性質上、他の今敏監督作品に比較すると、エンディングにおけるカタルシスというのは、非常に弱くなっています。最後のミユキのセリフはあった方が良かったんじゃないかなぁとは思うんですが、やはり説明しすぎるのを好まない監督なのかもしれません。とはいえ、そんな私の感想などどうでもいいくらい完成度の高い作品だと思います。
 特に次々に回収されるフラグの中で、回収されないフラグのみでエンディングを作る構成力は、他のどの作品に比べても特筆すべきものだと思います。

 最後に。過去作品とのオープニングの類似性を前述しましたけど、エンディングも前2作と同じ病院エンドですからね。なんかあるんですかね?たまたまだとは思うんですけど。ちょっと驚きましたw


対象年齢等;
 家族ものですし、10代からでいいと思います。奇跡をご都合主義よりはやや柔軟に受け止められる姿勢があれば、確実に楽しめると思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ドブネズミは美しかっただろうか?

劇場版オリジナル


それは年の暮れのこの物語と同様に全くの偶然でした。
・・・ともったいぶる必要はなく、年末に録り溜めてたものを観忘れていたのを思い出してついぞ最近観ましたというやつです。

私にとっての初“今敏”監督作品になります。
タイトルだけは記憶にあって、とはいえ氏の作品とは知らずにOPクレジットを見て気づいたくらい。
その氏についても早世したアニメ監督らしい、程度のニワカ全開、先入観なし状態で鑑賞突入です。

絵は独特。このタッチはけっこう好き。
ん?劇伴がたまに邪魔してセリフが聞き取りづらい。
声は職業声優さんではないのね。劇場版あるあるなのでそのへんはスルーしよう。


≪クリスマスの奇跡≫タイプの作品、と使い古されたモチーフながら、主人公がホームレスの三人という面白い組み合わせ。
ひょんなことから捨てられてた赤ん坊を拾った三人が、赤ん坊の親を探しにいく道中で、ハプニングが起こりすったもんだしながら、自身の過去にも向き合い、最後は≪クリスマスの奇跡≫タイプらしい、ちょっと心温まる終幕を迎えた良作でした。

おそらく監督も狙ってたのかもしれません。
多少のご都合主義は“クリスマスだしね”で私の場合納得しました。基本、ちょろいんです。
それで手に入れたのがテンポの良さ。92分あっという間です。すったもんだは一つや二つではありませんでしたが、ありえない都合の良さで見事に収束していきます。エンタメはこれくらいでいい。


そしてテンポの良さと相性がいいであろうドタバタコメディやアクションムービーといった方向にあまり舵を切らなかったのがこの監督のすごいところなのかもしれません。
ホームレス三人の主役たち。ギン(CV江守徹)、ハナ(CV梅垣義明)、ミユキ(CV岡本綾)の過去を掘り下げます。赤ん坊という家族の幸せの象徴みたいな存在を媒介にして、宿無しに身をやつした経緯とそれぞれの家族への思いが明かされていく中盤以降がなんとも心に沁みるのです。
本作とそれほど変わらない時期に公開されてる実写映画『ホテルビーナス』とも共鳴するような

{netabare}“社会の底辺から愛を叫ぶ”{/netabare}

心の繋がりを描いた物語でした。社会の繋がりの最小単位である“家族っていいよね”が根っこにあるので、クリスマス映画としての評価が高いのも頷けます。

{netabare}それぞれ三人に帰ることのできる場所を用意してあげたのもクリスマスらしくて良いですね。{/netabare}

なによりそれぞれの家族がいるのと同じいやそれ以上に、このギン、ハナ、ミユキの三人もひとつの家族でした。っていう家族愛をちょっと斜めから捉えた視点もけっこうお気に入り。

社会の最底辺から社会の最小単位を見つめた本作。
監督の他の作品にも興味をそそられますし、テーマや絵柄、そして先述のテンポの良さとクリスマスムービー的な立ち位置を鑑みると、非ヲタ一般人の敷居も低そうな作品です。



■この声あてなら不問
・その1 ハナちゃん
 梅ちゃんの起用は卑怯。そのまんまですやん。
 {netabare}「ろくでなし」熱唱。いつ鼻からピーナッツ飛ばすかワクワクしてたぞ!{/netabare}

・その2 ミユキ
 岡本綾さんがキャスト名に出てきてビックリ。
 当時めっちゃ好きでした。活動期間短かったのも「あの時期の人!」って感じがして懐かしさを誘う。


■日本のホームレス
諸外国と比較し恵まれてます。残飯にはありつけるしダンボールハウスを敷設できる材料や場所に事欠かず、共○党に頼めば党にほぼピンハネされますが生活保護にもありつけます。
ガチで底辺ではあるものの日本社会は優しいし、働けとは思いますが、それはそれでいいと思ってます。海外はそうはいきません。まぁ悲惨の一言です。
また、そういう環境からなのか文化の土壌の違いからなのか、私は後者の影響が強いと思うのですが、日本のホームレスは“良心”が残ってるほうでしょう。

この物語はホームレスが人として大事なものを失ってないよね、が土台となってる話になるので、そもそもその設定を受け入れられる背景がなければ成立しなかったんじゃないかなあ、と感じます。



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2019.08.03追記

視聴時期:2019年2月初頭
その後、今監督の作品を3作立て続けに観てどれも面白かったです。
そんな素敵な出会いのきっかけを与えてくれたのが本作でした。
ご都合主義なところはクリスマスが免罪符ってことで良いと思います。
今度は12月に観ることにしようかしら(^^)



2019.02.10 初稿
2019.08.03 追記

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

リアリティと奇跡

今敏監督ってこんな大衆的な作品も作られていたんですね

クリスマス、三人のホームレスがゴミ捨て場で赤ちゃんを拾ってから
正月、親元に戻すまでの壮絶な1週間がコミカルに描かれます。

日本の12月25日~1月1日と言う期間は、ホームレスにとっては厳しい寒さに堪える季節、一般の人も家族や親戚に会いに行こうかなと考える時期ですね。

人々の流れ、人々の動き、音楽の節々に日ごとの変化が読み取れ
ただの詰め込み過ぎとは違う濃厚な作品になっていたなと感じました。

どこをとってもホント最高の出来でどうにか表現できないかと思ったのですが、どんな言葉も薄っぺらいなと思ったので、

ざっくばらんにリアリティと奇跡という言葉を置いておきますね。

リアリティ(英訳reality)
説明するまでもありませんが、現実性、真実性、実在という意味ですね。
アニメですからもちろん演出として現実から離れた表現も行いますが、風景、背景、音楽、出来事どれをとっても現実的でありそうな範疇でありながらそれを突き詰めているのがこの作品のおもしろポイントです。
要はあるあるネタです。
あるあるネタは知っていた方が当然面白いですよ。
大衆的でありながら視聴者を試しているなんて挑戦的ですよね。

奇跡(英訳miracle / marvel / wonder)
この作品のテーマです。
ですが、この作品でホントにあり得ないことはちょっとした偶然が重なり続けたことと、最終局面{netabare}のビルから落ちて助かったこと{/netabare}だけなんじゃないかと思います。

起こったイベントを時系列でまとめてみました
{netabare}
25日
協会の配給を手に入れる
ゴミ捨て場にて赤ちゃんを拾う
ビルの屋上から落ちてきたペンキを回避する
交差点にて交通事故を回避する
赤ちゃんを清子と命名する

26日
母親を探す旅に出る。
母親が働いていたと思われるクラブの名詞と母親と思われる写真をを入手する
ミユキ、電車内で立ち往生中に別の電車に乗っていた父と遭遇し、逃げたところでミルクを落とす
墓場にてミルクとオムツを入手する
道で車に押しつぶされていたやくざのオッサンに出会う
母親と思われる写真の女性の名前が幸子と判明する
オッサンに連れてきてもらった結婚式場で発砲事件が発生、ミユキと清子が犯人に人質として連れ去られる
ハナとギンが喧嘩
発砲事件の犯人の奥さんが清子に母乳を与えてくれる
ギンが路上に倒れていたホームレスを介抱し手がかりを入手する
ギンがホームレス狩りに合う

27日
ハナがミユキを発見する
ギンが天使に助けられる
ハナが昔働いていた店でギンと再会する

28日
ファミレスで一夜を明かす

29日
泊まった空家が幸子の家の写真と一致する
現住所の手がかりが手に入る

30日
コンビニで酔っ払いのサラリーマンともめる
店を出たところで救急車が店に突っ込む
ハナが倒れる
運ばれた病院でギンと娘のキヨコが再開する

31日
幸子と清子が再開する
清子は幸子に連れ去られた子だと判明する

1日
初詣にてギンとハナ、ミユキが再開する
幸子の乗ったトラックが横転もけが人なし
幸子が清子を連れてビルの屋上から飛び降りようとする
落ちた清子を助けようとしたハナと、清子は風によってゆっくり降りてくる
ミユキが病院で父と再会する

クリスマス・大晦日・正月はちゃんとした描写があるので間違いないのですが、27日から30日は日が立つのが早かったのでもしかしたらずれがあるかも。

いかがでしょうか、銃撃と最後のトラック横転で死傷者が出なかったことと、ビルの屋上から落ちてハナさんが無傷だったことは、ちょっと盛りすぎたなと思いましたが、単体ならどれもあり得そうだとではありませんか。
{/netabare}


印象に残ったシーンは
{netabare}最初のミユキとギンのバトルロワイヤルシーン、連れ去られたミユキを取り戻すためにギンとハナが式場をかけるシーンです。{/netabare}地味なシーンなのに動きが良かったのでなおさら印象に残りました。
節々でも手を抜かない監督の力量を感じました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

69.9 3 コミカルで笑いなアニメランキング3位
クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡(アニメ映画)

1997年4月19日
★★★★☆ 3.8 (179)
957人が棚に入れました
愛犬シロを連れて散歩していたしんのすけは、オカマのローズが落とした光るタマをこっそりと持ち帰った。それは、伝説の魔人ジャークを封じ込めた埴輪の鍵となる一対のタマのひとつで、ローズをはじめとするオカマ3兄弟は慌ててしんのすけの行方を探し始める。一方、もうひとつのタマを持っているホステス軍団も、オカマ3兄弟を追ってしんのすけをマークし始めていた。ローズはしんのすけに接触し、タマを取り返そうとするが、しんのすけが持ち帰ったタマをひまわりが飲み込んでしまっていたことから、やむなく野原一家全員を新宿2丁目のオカマバーに連れ去る。
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

『頼んだぜ…、お兄ちゃん』

劇場版クレヨンしんちゃんの第5作。
1997年公開。


劇場版シリーズ第5作は、しんちゃんの妹ひまわりが遂に登場。
シリーズ中でも群を抜いた徒手空拳の格闘が盛り込まれながらも、しんちゃんのお兄ちゃんとしての行動が光る快作で、こちらもまた大のお気に入り作品です。


本作から、これまで脚本を担当されていた原恵一さんが監督も兼任。
ここから、シリーズ引退作となる第10作「アッパレ!戦国大合戦」まで続投されています。

くわえて本作は、原作者の臼井儀人さんが制作に参加(タイトルを付けた)最後の作品となっております。
そう思うとちょっと寂しい気持ちになりますが、以降もシリーズの色を変えず名作を生み出し続けた原恵一監督に、精一杯の感謝を送りたいですね。



【あらすじ】

魔神ジャークの復活を目論む「珠黄泉族(たまよみぞく)」と、それを阻止する「珠由良族(たまゆらぞく)」の抗争をメインに、

その復活の鍵となる「珠(タマ)」をひまわりが飲み込んでしまったことにより、野原一家がその激しい戦いに巻き込まれていく、というストーリー。



【論じてみる】
{netabare}
本作の特色としてまず上げたいのが、そのオリジナルキャラの多さですね。
ただ多いだけでなく、これまた印象値が強い面々が揃っているのが高ポイント。

野原一家と行動を共にする、珠由良ブラザーズの(オカマの)3人。
加えて、千葉県警の「凶悪犯罪特別分室」(←本当はただの資料室)に属する、東松山よね(グロリア←自称)。

敵キャラである珠黄泉族の面々も、中村玉緒さん風の頭領や、パワーファイターながら子供好きなサタケなど、コミカルさは抜群。

そして何より!!!
珠黄泉族と行動を共にする、金髪碧眼の外国人。
恐らく『劇場版シリーズ最強』の格闘術を持ち、更に特異な能力も持ち合わせている【Mr.ヘクソン】。
彼の強さは、もう圧倒的でした。

このヘクソンが、(七人の侍の如き)珠由良七人衆と呼ばれる銃刀法違反集団を一人で武器も無しになぎ倒し、野原一家に迫って来るシーンは、

「私は一体、なんの映画を見ていたのだっけ?」

という錯覚にすら陥る程、緊張感のある戦いを魅せてくれました。
コミカルな一面もあるのですが、ひまわりを投げ殺そうとしたりと基本的に冷徹な悪人なので、作中でも異彩を放っていましたね。



あと、原作者の『臼井儀人さん』が、そのまま出演されているのも印象強いですね。
今では決して叶わない貴重な声ですし。
ちなみに、劇中によると
『好みの女性=松たか子』『趣味=便座観賞』
だそうです。

ただ、この臼井儀人さん。
以降の作品でも度々登場されるのですが、そのどれもが(褒め言葉として引用します)どーでもいい&しょーもないシーンなんですよね。

特に本作終盤、ひまわりを攫われた野原一家達が、怒りの余り劇画タッチとなり、敵陣へ立ち向かうシーン。
ここが非常に面白くて好きなのですが、その途中、この怒りの集団をタイミング悪く引き止めた臼井儀人さんが、


「ちょっと~、すみません。

 全日本 心の演歌カラオケ大会の予選会場は、どちらでしょうか。」


と本編と全く関係無いことを聞き、ひろしに


「知るか~~~~~~~~!!!!!!!」


と、思いっきり右ストレートを頬に入れられちゃうのです。
ここはシナリオ上では全く必要の無いシーンなのですが、私は劇中でも一番笑ったかもしれません。

テレビ放送時、もしこのシーンがカットされて放送されていたら、私はグレて非行に走っていたのは、まず間違い無いでしょう。
ちゃんと放送されていて良かったです、臼井儀人さんお疲れ様でした。


ぞんざいな扱いと言えば、「東松山よね」のイジられっぷりも面白かったですね。
警察という肩書を持ちながら、全く当たらない射撃の腕前を披露してからは、その信頼は一瞬にして地に落ち、以降全てのキャラクターからイジり倒されます。

こういう扱いは、基本的に本編のメインキャラが張ることが多いのですが、「東松山よね」にはそれを覆すキャラクター性がありましたね。
美人なんですけどね…、ホント残念な人でした。
{/netabare}



【ひろしが伝えた、しんちゃんへの言葉】
{netabare}
今作は面白さだけでなく、ひまわりという存在が周囲に「守る」という共通の意志を付与してくれるので、シナリオも分かりやすく非常に盛り上がります。

それに、ひまわりの登場で初めて「お兄ちゃん」という肩書きを得たしんちゃんが、(ヤキモチをやきながらも)ひまわりを必死に守ろうとするシーンは、後の感動路線を彷彿させる雰囲気があります。

このしんちゃんの成長は、中盤の ひろしとしんちゃんの、このやりとりから培われたものでした。


「しんのすけ…。父ちゃんに何かあったら、ひまわりのこと守ってやってくれよ。」


「う~ん……、考えとく。」


「頼んだぜ…、お兄ちゃん。」


私は、このひろしの最後の台詞の「お兄ちゃん」という言い方が、優しさに溢れていて大好きなのです。
藤原啓治さんの声は、どうしてこうも格好良いのでしょうね。

ひろし自身、劇中で弱音を吐いたり人間らしい脆さも見せているのですが、こういうところはキッチリと決めてくれるのが良いですね。

……その後、ヘクソンに(あっさりと)やられて屁をこく始末でしたけど(笑)

ただ、そこからヘクソンに対し、しんちゃんが


「母ちゃんとひまわりに近付いちゃダメ~~~~!!!!!」


と言うシーンは、ちょ~っと目頭が熱くなりました。

ただその直後しんちゃんも、守る相手である筈のひまわりにチ○チ○を引っ張られたりして、汗だくで消え入りそうな声を出す目にあうんですけどね。
アレは痛いでしょうねぇ…。。。。
うん…、よく頑張ったよ…しんちゃん、存分にフーフーしていいよ。
{/netabare}



【総評】

ファンタジー路線は非常に抑えめとなりましたが…。
個性溢れるオリジナルキャラ、徒手空拳の格闘技、そして…しんちゃんの初めてのお兄ちゃんっぷりが本作の魅力。

シナリオ的に見ても伏線の回収もキッチリされており、大勢のキャラの後日談もエンディングで挟まれるので説明不足も特にありません。
特に、ひまわりの泣き顔を見て敵から寝返ってくれたサタケが、珠由良ブラザーズの店で笑顔で一緒に働いている絵は、嬉しくなりましたね。

総じて、後味も非常に良い作品です。
あっ、モチのロンで、笑いのクオリティも「東松山よね」がいるのでシリーズ内でも高水準。

90数分程、お時間に余裕がありましたら是非!!

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


次回作は、第6作「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」です。


◆一番好きなキャラクター◆
『東松山よね(グロリア)』声 - 山本百合子さん


◇一番可哀想なキャラクター◇
『臼井儀人』声 - 臼井儀人さん




以降、『オカマ』について、どーでもいい見解をワリと真面目に語ります。
興味の無い方はスルー推奨。
{netabare}

本作は、劇場版シリーズ中一番「オカマ」が全面に登場するのも魅力の一つでした。

ただ、本作がテレビ放送された際は、言葉として不自然になるほど完全に「オカマ」というワードを排した構成になり、以降のシリーズでもオカマキャラが消されていった傾向になりました。


この「オカマ」というワードが、人によっては傷付いたり不快な思いをしたり、偏見を与えてしまうことにもなりかねない、というのは十分に分かります。

ただ、本シリーズを文字通り擦り切れるほど見た私としては、決して一部の人を小馬鹿にして中傷するような内容では無いと思うのですけどね。

むしろ、作中で登場するオカマ達は総じて、好感の持てる良いキャラですし。
(まぁ…、4作の「マカオ」と「ジョマ」は強烈過ぎるかもしれませんが…。)
それも、人それぞれなのですけどね。


こういった傾向として、やはり致し方ないとは思うのですが、

『面白いと思ったものを思う存分、描けない、言えない』

そんな世の中にドンドンなっていくのは、とても嫌ですね。
えぇ…はい、ポイズンです。

……と、言うわけで、


「たまゆら♪ たまゆら♪ たまゆら♪ ゆ~~ら♪

 振れば力が、わ・い・て・く・る♪」


これは劇中の歌ですが、素晴らしい程ストレートな歌詞で良いですね。

えぇ、湧いてきますよ勿論。

これは、「ぷるんぷるん」というより、濁点の方の「ぶるんぶるん」って感じですが。

はっはっはwww



………反省してます、本当にすみませんでした。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

セレナーデ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

構成が飽きない

改めて見ると構成力の高さに驚かされました。野原一家が平穏な日常から追われる立場にさらされ、そのあと今度は追う側に立場が切り替わるメリハリの利いた構成が見事です。新宿のクラブ、健康ランド、スーパー、辺境地と舞台を次々と変えていく流れも面白く、それぞれの場所に立ち寄る目的や状況も「事情説明」「休息」「アクシデント」「防衛」と各々に変化をつけているので飽きが来ません。

キャラクター描写もすごくよくって、白眉はラスボスのヘクソンの見せ方。途中までは表立った活動はせず謎めいた人物像だったヘクソンを、野原一家が追う立場になる話のポイントで「野原一家にとって最大の障害である」と強烈に印象付けた計算高さには軽くうなりました。話の流れをガラリと変えるためのポイントを象徴した屈指のシーンと思います。

たまにギャグのクドさがストーリーの疾走感を殺してしまってること、女刑事がタマユラタマヨミ両族の因縁と特に関係ないため賑やかしキャラに落ち着いてしまってることがやや残念。あとみさえがヘクソン討伐のアイデアを提案したけど、脈絡がなかったので何か伏線が欲しかったです。

保護者向けのネタは本作くらいのさりげなさが丁度いいです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 1

はまち さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

映画クレしんの最高傑作は実はこれです

オススメです!!! 



オトナ帝国、ヘンダーランドの影に隠れている気がしますが、僕はこれが一番だと思います。


 まずオカマですよね。最近では少なくなっている見たいですがそれでもクレしん映画といえばオカマでしょう。
 クレしん映画のオカマってオネエ系オカマが多いと思うんですけど。この作品のある一人のオカマはクールビューティ的なかっこいいオカマが登場します。そこが今までと違ってまた良かったですね。

 ストーリーは勿論ギャグばかりなんですけど戦闘シーンは中々迫力あったのではないでしょうか。
 そして途中感動するしんのすけのシーンが本当に良かった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 1

68.5 4 コミカルで笑いなアニメランキング4位
映画 クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(アニメ映画)

2014年4月19日
★★★★☆ 4.0 (177)
925人が棚に入れました
原作:臼井儀人(らくだ社)/「月刊まんがタウン」(双葉社)連載、監督:髙橋渉、脚本:中島かずき、矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、、、

声優・キャラクター
矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ

ninfami さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

映画館で泣いてしまいました。

ここ10年、クレヨンしんちゃんはパッとする作品がありませんでした(3分ポッキリ以降)。その10年の中で一番面白い作品と言えば私の中では花嫁だったのですが、今作でそれは塗り替えられました。これは長い目で見ても、オトナや戦国に劣らない名作です。脚本はグレンラガンで有名な中島かずきさんということで、元より期待をしていたのですが、見事その期待に応えてくれた作品です。

最近のクレしん映画は「子どもしか楽しめない」作品が多かったのですが、これは昔のクレしんらしく「大人も子どもも楽しめる」作品に仕上がっています。とにかく作りが巧かったですね。ロボットという要素で子どもたちは楽しめるし、ストーリーは結構大人向けになっているので、物語で大人も楽しめるし、尚且つ久しぶりに「クレヨンしんちゃんらしい」映画を見た気がします。そうです、クレヨンしんちゃんはやっぱり大人が見ても笑えるギャグアニメじゃないと。今作はひろしがロボットということで、非常にギャグがシュールに仕上がっており、結構レベルが高いです。

名探偵コナンを見ている人なら分かると思いますが、今作のひろしはコナンでいうところの「水平線上の陰謀のおっちゃん」です。つまり、ひろしがとてもカッコいいです。クレしんの中ではひろしが好きだという人は、きっとのめり込むことの出来る作品です。私はひろしが主人公の映画が見たいなーと思っていたので、この作品はまさにそういう人のために造られた作品だと思います。

ラストは大体予想はついていましたが、分かっていても涙をこらえられませんでした。中島さんならではのラストシーンだったと思います。余韻がもう半端じゃない・・・・。今作については、クレヨンしんちゃんに興味が無くても、見に行く価値は十分にある作品です。グレンラガンが好きな人や、「男の生き様」を見たいという人に特におすすめしたい作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

しんちゃん×グレンラガンのアバンが熱い

{netabare}カンタム「超超超超超カンタムロボ参上!」
    「超超超超超カンタムドーーリル」
ジョン 「ドリルが尖ってない!?(CV檜山修之)」
カンタム「今の掘削ドリルはこうなのさ!」

からの板野サーカス!

オタク的には最高の掴みでしょ!!
その後のお話でもカンタムが関わってくれたら最高だったれど、それは欲張り過ぎか…

強くて、家事も仕事も出来るロボとーちゃんの生身にはなれない辛さ。自分がコピーであると知れたときのやりきれない想い。
そんなロボとーちゃんの心情を考えるとやりきれないよ。

コピーとわかった後で「どっちも父ちゃんだぞ」って言ってくれるしんのすけ。
ロボとーちゃん的には、嬉しいような、いっそ選ばないでいてくれば踏ん切りがついたような感じがした。
一方しんのすけは、本当にロボとーちゃんを一人の父親として見ていたから別れるなんて在り得ない訳で…{/netabare}

家族でもちょっとずつロボとーちゃんへの想いが違うのは当たり前だけど切ないね。
そして、そんな当たり前のことが伝わるように出来ているこの作品は凄いなと思う。

近年のクレヨンしんちゃん映画の中でもダントツに好きなタイトルになった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

テングタケ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

平凡

割と評判が良いようなので鑑賞しました。
戦国大合戦は良かったし、オトナ帝国は号泣しました。
ですが、本作は全然その域に達していないです。どちらかと言えばウンコクサイとかケツだけ爆弾とか、そっちの方の作品です。
本作を見て、人間のアイデンティティがどうとか言う人もいるみたいですが、全然そんな作品じゃないです。ただ記憶がコピーされただけの単なる工業製品ですよ。ロボとーちゃんがヒロシ本人だと言うのなら、ヒロシの記憶を詳細に綴ったノートもヒロシ本人です。そんなアホな。
ラスボスの巨大ロボも馬鹿馬鹿しかったです。敵ボスも全然かっこよくなかったし。オトナ帝国の敵とか哀愁あってカッコよかったじゃないですか。
子供たちが鉄骨上でピンチになるシーンはハラハラしました。でもよく考えれば、なんでロボットがそんなことしたのか意味不明。ダメな脚本だなあ。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0

69.7 5 コミカルで笑いなアニメランキング5位
シュガー・ラッシュ(アニメ映画)

2013年3月23日
★★★★★ 4.1 (129)
846人が棚に入れました
アクション・ゲームの悪役キャラクターのラルフの願いは、みんなに愛されるヒーロー・キャラになること。ある日、ついにラルフは我慢ができなくなり、自分のゲームを飛び出してしまう。迷い込んだのは、お菓子の国のレース・ゲーム“シュガー・ラッシュ”。そこでラルフが出会ったのは、不良プログラムであるためにレースに出場できない少女ヴァネロペだった。嫌われ者のラルフと、仲間はずれのヴァネロペ──孤独な2人は次第に友情の絆で結ばれていく。だが、ラルフの脱走はゲームの掟に反し、このままではゲームの世界全体に災いをもたらすことになってしまうのだ。ゲーム・キャラクターたちがパニック状態に陥る中、ラルフは“シュガー・ラッシュ”とヴァネロペに隠された恐るべき秘密を知ってしまう。はたしてラルフはヴァネロペを救い、ゲーム界の運命を変えることができるのだろうか? そして彼は、“本当のヒーロー”になることができるのだろうか…?

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ヒーローになりたい悪役のラルフが壊したいものってなに?

80年代のアーケードゲーム「※1Fix-It Felix」の悪役ラルフと映画オリジナルゲーム「※2シュガーラッシュ」の仲間外れの女の子キャラ"ヴァネロペ"が主人公の映画。

古きよき80年代ゲームから近年発表されたゲームのキャラに至るまで、多数の※3ゲストキャラが端役で登場します。

久し振りにディズニーアニメを見ましたが、特徴的と思った点をあれこれ。

第一に挙げられるのは、子供と対等な立場の大人が登場するという所。これはアメリカのホームドラマとかでもそうですが、大人が子供に合わせて"あげている"のではなく、あくまでも自然に、友達に話しかける様に子供と同じ目線になって会話するのです。日本のアニメでもこの様な光景をたまに見かける事が出来ますが、ジャンルが限定されていて、ギャグアニメに集中している傾向がある様です。この場合、大人は往々にして子供よりも劣った存在として描かれます。シリアスなドラマにおいては尚の事そうですが、日本のアニメでは大人と子供の役割に明確な線引きを設けている事に気付きました。

もう一つは子供を決して素直な良い子に描かない点が挙げられます。子供は子供らしく、ちょっとワガママに描かれているのです。何かと大人と競争したがって勝って喜んだり、説教染みた事を言われると鸚鵡返しをして反撃したり、無視したり、命令したり‥。作中でラルフの被った様な愉快?な災難は子供と係わった事のある人なら多分一通りお馴染みのもので、あるある話として納得する事が出来るのではないでしょうか? 威圧感の無い大人を前にした時の子供の尊大な態度(子供にもよると思いますが)をよ~く表現出来ていると思いました。国は違えど子供の行動って似てるんですね~(笑)

日本のアニメでも以上の2点を概ねクリアーしているものはありますが、このアニメを見た後だと、何となく子供の描写がきれい過ぎて、理想化されている傾向がある様に思い返されます。もっともキャラ表現が現実のものと近ければ近いほど良いとは言い切れないので、どちらが正解という話には出来ませんが、子供の感情表現の精密さについては目を見張るものがありました。

それとCGについて、一昔前の不自然な光沢感のあるキャラ表現とは一線を画しており(わざと古い表現を採用しているキャラもいますが)まるで実写のクレイアニメを見ている様で、柔らかで落ち着いた色彩、造形には親しみを覚えました。現在放映中の日本のアニメ「にゃんぼー」を見た時にもびっくりさせられましたが、こういった技術は日々目まぐるしく改良され、長足の進歩を遂げている様ですね。"CGアニメ"と一括りに出来ない時代がやって来ていると感じました。

全体的に見ると、子供でも容易に理解出来る内容の物語でありながら、伏線の張り方や演出に隙が無く、非常に細やかな作りのアニメという印象でした。表層は単純そのものですが中身は高性能。持てる物をさらけ出すのではなく封じ込める作風、こういうのをcoolという言葉で表現するのでしょうね。‥多分(笑)

子供ならヴァネロペを通して共感を、ラルフを通して大人の不器用な優しさを、大人ならラルフを通して自分の立ち位置を、ヴァネロペを通して子供時代に置き去りにしてきた純粋さを見つめ、自分の中に欠けているものに気付かされるのではないでしょうか? この映画を通して子供も大人もほんのちょっとでも成長出来て、優しい気持ちになれたらいいですね。


人は大人になるに従って自分にとって必要な知識を取捨選択して、思考すべき事の優先順位を決めてしまう事があります。その序列の下へ下へと追いやられていく知識は知らず知らずの内に印象をおぼろげにし、いずれ忘却の彼方へと隠れてしまいます。そうしていかめしい大人が一丁出来上がりという訳です(汗)

でも子供にとって、えばっているだけの大人というのは怖くてつまらなく見えるもの、そこには対等な関係は生まれません。わたしとしては、なるだけ子供と同じ目線で考え、喜びも悲しみも共有出来るラルフみたいな大人でいたいものです。大人の威厳? まぁ二の次ですね‥そういうのは(笑)

ゲームというテーマは大好きですが、CGがあまり好きじゃなかったし、ディズニー映画からも長らく離れていたので、視聴前、今のわたしに楽しめるのかな?とかちょっとばかりの不安はありましたが、杞憂でした。‥でもまさか泣かされてしまうとは!!

ところでこの「シュガーラッシュ」原題が「Wreck-It Ralph」となっており、邦題とまるっきり違うんですが、スラングのWreckは"破壊する"延いては"ぶち壊す"というちょっと乱暴な意味があり、悪役である自分の立場に不満を抱いているラルフが、煮え切らずうじうじしている自分自身をぶち壊すというニュアンスも込められている様に私には感ぜられました。

古典的ゲームというのは大体の場合、勧善懲悪ストーリーを活劇を通して面白おかしく擬似体験するものが多いわけですが、当然の事ですが、ゲーム内ではヒーローもヒール(悪役)も等価値で、いずれも欠けてはならない存在です。むしろプレイヤーの分身たるヒーローはただの器に過ぎないので、没個性キャラでも何ら問題はなく、悪役にこそ確固とした魅力のあるキャラクター性が必要だったりします。

正義役とか悪役とか現実の世界では存在しませんが、人の個性は多種多様、どっちが上だとか下だとか、良いものとか悪いものとかで人を分けず、それぞれが何かを担っているという事、個々の持つ掛け替えの無さを見据える目は大切ですね。ヒーローになりたい悪役のラルフがどうやって変え難く替え難い自分の立場と向かい合ったか、羨望にしがみついていては到底行き着けないヒーロー像がそこにはありました。是非ご自身の目でご確認下され。ディズニーアニメを食べず嫌いしている人にこそお勧めの映画です。

山寺宏一さん、諸星すみれさんなどが熱演する日本語吹替え版もイイ!

親しみ深いゲームキャラが画面内で喋っている風景は結構楽しいもので、芋づる式に「ピクセル」も観てしまいました(笑)


※1:この映画を見るまで、このゲームの事知らなかったのですが、日本のゲームで言うと画面を見る限りでは「クレイジークライマー(1980年)」+「ドンキーコング(1981年)」+「レッキングクルー(1984年)」という趣のゲーム。(レゲー好きでないと全部知っている人あまりいないと思うけど)作中の説明に従えば1982年に稼動が開始された「Fix-It Felix」は、先に挙げた3つのゲームの発表のちょうど真ん中くらいの時期に当たります。当時の日本とアメリカのゲーム業界がお互いに強く刺激し合っていた事が伺える面白い発見でした。因みにこの映画の原題はゲーム内のラルフの台詞"I'm Gonna Wreck It!"から一部引用した「Wreck-It Ralph」であり「Fix-It Felix(直せフェリックス)」と対になっていたりもします。芸が細かい‥。

※2:映画オリジナルゲーム「シュガーラッシュ」の元ネタは多分「マリオカート」。赤コウラみたいなアイテムとか、レインボーロードとかもあって、かなりまんまな印象でした。でもフィールドもカートも全てお菓子で出来ています(笑)カート工場でマイカートを作るシーンとか、実際のゲームにあっても面白そうだな~とか思いながら見てました。他ゲームネタもちょこっと入っていて、上上下下‥とかいい所ついてくれます。

※3:「ストⅡ」ネタでは、ベガはともかく何故かザンギエフまで悪役に‥。ぐぐってみたらネットでも話題になっていました。スタッフ間でもザンギエフを悪役扱いするかどうかは意見が分かれていたそうですが、全体的に観るとザンギ擁護の声が圧倒的に多い様です。

確かにザンギエフは悪人ではないですが、初期のシリーズでは「ロシアの大地をお前の血で染めてやろうか!?」とか「腕をへし折ってやるぜ!?」とかヒドイ台詞言ってるし、噛み付き攻撃とかもするので冤罪とは言えない気はします。エンディングではゴルビーと一緒に楽しそうにコサックダンスに興じてましたが(笑)実写映画で悪漢として登場していたのも影響したのかも‥。

日本語吹替え版の「君は悪役かもしれないけど、悪い奴じゃないでしょ?」とラルフに問いかけるザンギの台詞は自問の様にも聴こえ哀愁が漂っていました。(英語版では実際に「ザンギエフ、お前は悪役だが、悪い奴という意味ではない」と自答した事になっている)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

今年観た作品で一番でした。

結論を先に言っちゃいます
…めちゃくちゃ好みでした♡
うん。約2年ぶりにお気に入りの棚に収納しようと思える1作に出会えたので、この思いの丈を書き綴っておきたくてレビューを書きました。

※ストーリーには触れていますがネタバレしないように書いている紹介&感想レビューになります。

舞台はとあるゲームセンター 私たちの知らない裏側 感情があるゲームキャラクターたちの世界。
実はゲーム内のキャラクターは人間を楽しませるために自分の役を演じるというお仕事をしていたのです。

誰だって一度は憧れのヒーローやヒロインになりたいと思った時があるかと思います。

悪役だって皆に感謝されたいし!
悪役だって皆に愛されたいのです!!

ゲーム世界でずっと嫌われ者の悪役を演じてきた男が
『自分だって皆に愛されるヒーローになりたい!!』
という夢を叶えるために他のゲームへと冒険に旅立ちます。そんな男の運命…は?
また悪役がいなくなってしまったゲームに待っている運命…は?

ディズニーらしい愛と夢にあふれたファンタジーの中に現代に通じる悩みを抱えたキャラクター達がおりなすストーリー。
深みがあるシナリオは私の心に届きました。

カラフル、ゴージャス、ファンタジック等の言葉で表現されるディズニー映画の世界を象徴するような映像と多彩なキャラクターに思わず笑顔になるほど
色とりどりの世界 どこを見てもワクワクがいっぱいなんです。
とくにシュガーラッシュという お菓子の国のレースゲームでは「うわぁ♡」と嬉しい声をあげたくなるような驚きの甘くてかわいい(?)セカイが広がっていました。
ここで開催されるレースゲームがまるで任天堂のゲーム マリオカートみたいなんです。
カートのパーツがお菓子だなんてどうカスタマイズしたら速いカートになれるのかな?

私だったらクッキーのフレームにオレオのハンドル、オレンジを輪切りにしてチョコをディップしたタイヤを装備して、仕上げにはポップでカラフルなカラーのシュガーをたっぷり振りかけておめかし
はい、これで私のオリジナルカートの完成!
そしてシートクッションにはふわふわマシュマロを使いたいんだけど…美味しそうなカート。速いかな?♬*

ゲームキャラクターも可愛くて可愛くて、現実のゲーム世界のキャラクターに、そこらじゅうで出会えます
(お気に入りはスーパーマリオのクッパさん)
観ているうちにあの重要なマル秘キャラ{netabare}(アクションゲームの美人な大佐){/netabare}にゲームでお会いしたくなってしまいました。

音楽とセットになっている挿入歌も頭の中でずっと流れています
『Shut Up And Drive』はリアーナさんの中で好きな曲の一つだったのですがここで使われていたのですね。

冒険の中での心の苦しみや葛藤がとても丁寧に描かれていました。
言葉以上に物語るキャラの表情がとっても繊細で、ついついつられて画面の前で私も同じような表情になってしまっていたかも…
{netabare}
主人公を初めて見た時は好きになれそうもないゴリラさんみたいなキャラクター?(ゴメンナサイ!)と思っていたのですが
観終わった今は筋骨隆々な体型もビルを壊すためのショベルカーみたいな大きな手も、そして笑顔も本当に可愛くて仕方ないのです。

私の胸に響いた一番 大好きなセリフがあります。
『ヒーローになるのにメダルはいらなかった、あの子が俺を好きでいてくれるなら悪役も悪くない!』

大切な女の子のたった一人のヒーローになったことで悪役の居場所に戻っても今の自分を受け入れ毎日の時間を心豊かに過ごす様子には本当に心が温かくなりました。
気がついたらゲームをこえて皆を惹きつける存在になっているんですもの!
{/netabare}
こんなにも優しい気持ちになれる作品 なかなか出会えないかも…
お気に入りの棚へと収納しました。

12月になりどんどん寒くなってきましたが
是非シュガーラッシュを観て
…心を温めてください*❁*⋆ฺ。*

投稿 : 2024/05/04
♥ : 65

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

悪役だからなんだってんだ!

公開当時映画館で観ました。結末にちょっと不満があって、そのせいでアナ雪も観るまでに躊躇ってしまったけど、
もう一度観てみたら解釈も変わり良い映画だったなあと思いました。
でもまあ不満があったとはいえ、2回目を観ようと思ったのだからそんなにイメージは悪くなかったんです。

この映画は、レトロゲームの世界で悪役を演じる、ヒールであるラルフを主人公としたお話です。
ヒーローは初めから決まっていて、みんなから好かれるのも、尊敬されるのも、ゴールドメダルを貰えるのもヒーローだけで、
悪役はのけ者扱いです。役でやっているのにも関わらず、優しくしてくれる人はおらず、ずっと孤独でした。
30年。ラルフは悪役をつとめてきました。
でもほんとうは自分だって友達が欲しいし、みんなと一緒に踊りたい!
ラルフはついに決心し、自分を証明するためにゲームから飛び出して行きます。
何やかんやあり、辿り着いたのがSugar Rushというレースゲームの中。そこでヴァネロペと運命の出逢いを果たします。
ラルフとヴァネロぺの笑いと涙にあふれた友情とキャラクターとしての権利を取り戻す物語です。

作品の世界観が独特であり、ゲームの中という利点を最大限に使っていて常に目が離せませんでした。
アニメーションの質も高いので、とにかく迫力があるし、レースカーの疾走感もあり、Sugar Rushのお菓子の世界もとてもステキでした。

ストーリーも全体的にも細かい部分も良くできています。これは実際に観ると良く分かる。当たり前だけど 笑

ラルフとヴァネロペと心理描写は絶妙で巧妙です。引くとき、押すときが上手い。
互いに孤独によって心を傷つけられ、少しばかり捻くれてしまい、不器用な言い方しかできない彼らの友情には涙を我慢できませんでした。
ヴァネロペが手作りメダルを渡すときと、ラルフが自分の命を顧みずに飛び込んでいったシーンはドバドバ泣きましたw
名誉や英雄の称号なんかより、もっともっと大切なものを見つけたラルフが、悪役の心得を言葉にしながら
落ちていくところはもうダメでした。涙腺が切られましたwここは脚本も上手いです。
悪役の心得はゲームのために役を生きる自分たちを慰める言葉のはずなのに、ラルフが口にした心得は同じ言葉なのに違う意味で自分に言い聞かせています。ああ、すごいなあなんて感心しながら涙ボロボロですw


君がいるから頑張れる。僕の生きる意味になる。
この結末が僕は最初受け入れることができませんでした。結局人に依存しているじゃないか、と。
人がいなきゃなにもできない。自分という1人の人間の中で答えは出ないのかと。
理解が浅かったです。依存ではないです。自分1人の中で答えも出ています。
彼女はきっかけに過ぎず、どんなに良くても彼の一番の親友でしかありません。ちゃんと答えは見つかりました。
孤独を強いられ、その強烈な毒に侵されたあの環境では見つかりませんでしたが、
人との関わりを通し、理解し理解され、自分のことを受け入れてくれる存在の温かさを知って、今のラルフになれました。
なにが不満なんでしょうね、良い映画じゃないですか。ほんとバカだったなあ 笑
そんなこと言いつつも、当時サウンドトラックをすぐにツタヤで借りましたがw

何度も見返したいステキな映画です。アナ雪にだって負けませんよ!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

68.5 6 コミカルで笑いなアニメランキング6位
ファインディング・ドリー(アニメ映画)

2016年7月16日
★★★★☆ 3.9 (50)
400人が棚に入れました
ドリーの秘密は、≪人間の世界≫に隠されていた。

忘れん坊のドリーが、ただひとつ忘れなかった<家族の思い出>。
その謎を求めて、ニモとドリーの奇跡の冒険が始まる。

声優・キャラクター
室井滋、木梨憲武

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

みんなとの出会いは、計画通りじゃなかった。最もすてきな事は、偶然に起こるものなのよ。

ファインディング・ニモの続編。

ファインディング・ニモに登場した、
なんでもすぐに忘れちゃうドリーが主人公。

ファインディング・ニモを観てから
この作品を観るのをおすすめします。

ドリーのキャラクターをわかっているほうが、
より世界観を楽しめますので^^

90分ほどの作品です。
同時上映作品は「ひな鳥の冒険」(6分)。


● ストーリー
故郷に帰ってきたニモたち。
壮大な冒険から1年が経った。

幼いころから
なんとなく何かを探している気がしているドリー。

それは“家族”だ!と気付いたドリーは、
マーリンとニモと一緒に、両親を探す旅に出た。

手掛かりは“カリフォルニアモロ・ベイの宝石”だ!


幼いドリーが、
家族とはぐれてしまって一人海をさまよう寂しい過去。

前作では能天気なムードメーカーだったけれど、

本作ではドリーというキャラが
より深く掘り下げられています。

忘れっぽいということは、
自分の過去や生い立ちさえも忘れてしまうということ。

今回はそんなドリーの寂しい一面も
たくさん描かれていました。

様々な困難にもめげずに突っ走るドリーの明るい魅力も
たくさん描かれていましたけれど^^

ドリーと両親は再会できるのか…
その結末は必見です!

当たり前のように涙が(´;ω;`)


● キャラクター
ラストまで息つく暇がない大冒険。

今回も海の生き物たちが
たくさん登場します。

タコのハンク、
ジンベエザメのデスティニー、
シロイルカのベイリーなど…。

生き物たちの個性の使い方がうまい!

このキャラ達に触れれば、
海の生物が大好きになること間違いなし!^^

DVDに収録されている解説は
途中までしか観ませんでしたが、

・キャラクター
・観客が物語の世界に入り込めること
・海の世界を忠実に再現

これらをとても大切にして
製作されたことはわかりました。

ドリーというキャラクターを大切にし、
感情移入しながら楽しんでもらうこと。

それは大成功だと思います♪

物語の世界とキャラクターに
どっぷりと惹きつけられました。


● 作画
作画がとても美しい。

表情だけでキャラクターの心情がとても細かく伝わってくるし、
背景は美しいし。

ニモ達が水面に体を出したときの、
ぬめった表面の描き方もリアル。

それ以上に今回私がうなされたのは、
カメラワークの工夫。

スタッフは魚の気持ちになりすぎです!笑

特に印象に残ったシーンは…

◆◇ タッチプール ◆◇

水族館によくあるタッチプール。

人間にペタペタ触られたり、
持ち上げられたり、

生き物にとってはストレスだろうなあというのは、
人間的な目線。

これを魚目線にすると…

次々水中に襲い掛かって来る無数の手。

それはまるで空から無数の爆弾が降ってくるかのよう。

この迫力…恐ろしい。笑


◆◇ ショックを受ける心情表現 ◆◇

両親に会いたい一心で
数々の冒険を乗り越えてきたドリー。

だけど両親に会うことは不可能…。

そう思ったドリーは
ショックのどん底に叩き落されます。

ここからカメラは
ドリー目線に変わります。

ドリーはただショックを受けてしまって、
何も考えられない。

しかしその間にも周りの状況は
急激に動いていく。

対してドリーの心は、
何も考えることができない。

激しい環境の変化と、
停止してしまったドリーの心。
その2つのギャップの描き方がすごい。

観ている人がまるでドリーになったかのように見せるカメラワークは、
何よりも私たちをドリーの心に近づけてくれます。


作画の美しさも当然評価したいけれど、

あれこれと工夫されたアングルや表現方法に
何よりも称賛を送りたいと思いました。

逃げ回ったり、空を飛んだり、
まるでアトラクションを体験しているかのような、

目まぐるしくてスピード感のある作画も、
こちらのドキドキ感をたくさんくすぐりました!


● まとめ
おもしろかったです♪

時間いっぱいいっぱいのストーリーでした。
パンパン。笑

描きたいエピソードが
たくさんあったのでしょうね。

だから最後まで見ごたえ十分。


何でもすぐに忘れちゃうドリー。
それは大きな短所。

大きな短所を持っていても、
それをマイナスに思って引っ込み思案にならず、
堂々と自分らしく振る舞えばいい。

そうすれば、自分らしい何かが、
いつか誰かを助けることにつながるはず。

そして自分も、
どうしようもできない短所を誰かに助けてもらえばいい。

ドリーの姿は物語の登場人物たちを通り抜けて、
大切なことを教えてくれました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ピクサーが贈る【リマインドムービー】・・・と見せかけてアドベンチャー?

ディズニー・ピクサーの17本目の長篇映画
2003年の『ファインディング・ニモ』の続編でもあります


前作でニモの捜索に一役買ったナンヨウハギのメス、ドリー
健忘症なドリーだったが実は彼女にも家族と帰るべき故郷があった
ふとしたキッカケで両親との思い出を思い出したドリーはいてもたってもいられず両親探しの旅に出てしまう
故郷への手がかりは「カルフォルニアモロ・ベイの宝石」という言葉だけ・・・
記憶を保てないドリーはニモやマーリン、そして海の仲間達の手助けを得ながらも少しずつ記憶を取り戻しては忘れ、を繰り返す
偶然も重なり遂に「カルフォルニアモロ・ベイの宝石」に辿り着いた
が、そこは海の生き物達を保護する目的で人間によって作られた海洋レジャーセンターだった・・・
果たしてドリーの両親は無事なのか?ドリーとの思い出は残っているのか?


前作『ニモ』のセルフオマージュが溢れているものの、基本的に気にしない方が楽しめると思います
と、いうより今作最大の魅力はやはり“記憶を保てないドリーがあらゆる手段を用いて記憶をサルベージしていく”という『メメント』、『ペイチェック』、『ジェイソン・ボーン』シリーズなどと同じ【リマインドムービー】であることです
この手の映画はどれも傑作ばかりですよね
国産アニメだと『東のエデン』とか『僕だけがいない街』とかですかね


大事な手がかりを思い出してはすぐ忘れ、その度に心優しき仲間たちがフォローしてくれる
基本的に悪いヤツが誰も出てこない映画になっています
ドリーと海の仲間達の絆が染み入る一本と言えるでしょう
ただ偶然に偶然が重なって進展してるシークエンスも多々あり、脚本の練り込み不足も感じました
特に最後の方は・・・;
ですので“冒険モノ”としては評価出来ても“リマインドムービー”としてはB級止まりかな、という感じです
『カウボーイ&エイリアン』を観終えた後の気持ちに似ていました(笑)


ドリーを助けるサブキャラ達はみな個性的かつ憎めない愛らしさをもってるのですが、特に足が七本しかないタコのハンクはニモやマーリンを差し置いて準主役級の活躍をみせます
地上を這いまわれる、という彼の万能ぶりは物語の世界を一気に広げた上に、その滑らかな動きやスピーディーな擬態は映像的にも観どころ
海の中の美しい描写が売りだった『ファインディング・ニモ』に対し、今作の映像美はほぼこのハンクの活躍に集中してると言っても差し支えないですね


キャストには吹替版も含めて極力前作と同じ配役が採用されています
ドリー=室井滋
マーリン=木梨憲武
は、もちろんのことですが
子役のアレクサンダー・グードルを使っていたニモ役に新たにヘイデン・ローレンスが起用されたことを受けて、吹替でも新らたなニモ役が菊地慶に交代してます
ちなみに成長したアレクサンダー・グードル自身は脇役として登場するため、彼が演じる役をこれまた前作のニモの吹替を担当していた宮谷恵多が演じる、というところには強い拘りを感じますねw


それと原語版でシガニー・ウィーバーが本人役で登場する海洋レジャーセンターの館内放送ですが、これは日本語版ではなぜか八代亜紀が起用されています
ドリーが館内放送相手に掛け合いを始めるシークエンスで「ありがとう!八代亜紀さん!」と話す様は実に滑稽ですw
八代亜紀は原語版ではsiaが歌っているソウルフルな主題歌のカバーもしています
これに関しては流石の八代亜紀でした
本家のsiaに全く退けを取っていません
ですのでご安心を
こんなに吹替版のエンドロールが心地よいディズニー映画は至極久しぶりな気がしますね(笑)
気のせいですか、そうですか

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6
ネタバレ

NANA さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

とても重いテーマ。試されているのかも。

個人的には第1作目の『ニモ』はそれほど好きではなかったので、本作も期待せずに観たのですが、良い意味で期待を裏切られました。この映画って障害がテーマになっていたのですね。出てくるキャラクターが何かしらの障害を抱えている。そう言えば『ニモ』も身体の障害を抱えていました。ただ、前作は冒険物語の印象が強かったのであまり意識していませんでした。
『ドリー』は障害そのものがテーマだと思います。それも重度の記憶障害。

記憶障害を扱った洋画と言うと、『メメント』を思い浮かべます。こちらはサイコ・サスペンス映画(?)で鬱しかないやつです。救いようがない映画で、よくあんなもの公開出来たなと思います。社会的に批判浴びなかったのかな?
話が逸れましたが、それだけ重いテーマだと言うことです。

重度の記憶障害者をアニメの主人公にするなんて日本のアニメでは考えられない(自分が知らないだけかもしれませんが)、流石ディズニーだと感心させられました。
通常、アニメは主人公視点で見ることが多いですが、『ドリー』は主人公がもっとも共感し辛いキャラクターなのです。中には同じ失敗を繰り返すドリーに苛つく人もいるでしょう。それこそ、健常者が障害者を理解することがいかに難しいかの表れだと思います。

最近のディズニー映画は社会問題を描いたものが増えているように思いますが、『ドリー』でもとても重いテーマを正面から描き切った、真摯な姿勢に拍手を送りたいです。
重いテーマでありながら、暗くなり過ぎずコミカルに描いて冒険物として楽しめるところも良かったです。ご都合主義でも面白ければOK,。現実はもっと厳しいかもしれませんが映画の中ぐらいは皆幸せになって欲しいですもんね♪

『ドリー』のキャラクター達は皆障害を持っていますが、皆で協力してそれを乗り越えていきます。それは個性の一つとして描かれ、最後は海(社会)で生きる選択をします。他人よりちょっぴり個性が強いだけ。健常者と何も変わらない、障害が普通に受け入れられる温かさがこの映画にはあります。
最近、障害者施設の痛ましい事件があったばかりなので余計に考えさせられます。障害と向き合うということはどういうことなのか?
貝殻のシーンでは鳥肌が立ちました。助け合える仲間や信じて温かく見守ってくれる家族の存在が、ドリーに障害を乗り越えさせたのですね。

障害とどう向き合うかがこの映画のメインテーマだと思いますが、冒険物としても十分楽しめます。障害の部分をカバーするためのご都合展開は多いですが、そこは娯楽映画ですし。あと、水族館みたいな施設の内部構造の描写が興味深かったです。(正確には水族館ではなく、むしろ水族館の存在を否定するような研究施設ですが)突然の{netabare} 八代亜紀{/netabare}には笑いました。ストーリーとは直接関係ない部分での小ネタなので自分は許容範囲でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5

62.5 7 コミカルで笑いなアニメランキング7位
ホーホケキョ となりの山田くん(アニメ映画)

1999年7月17日
★★★★☆ 3.4 (74)
301人が棚に入れました
たかし・まつ子の結婚から、のぼる・のの子の誕生と成長、山田家とそれを取り巻く人々の日常茶飯事やよしなしごとが、折々に松尾芭蕉や与謝蕪村、種田山頭火の俳句を挟んで歳時記としつつ、暖かく緩やかに描かれる。

声優・キャラクター
朝丘雪路、益岡徹、荒木雅子、五十畑迅人、宇野なおみ、矢野顕子、中村玉緒、ミヤコ蝶々、柳家小三治

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

家族の幸せを追求するとアニメは面白くなくなる!

制作費約20億円を使い込み、収入はたったの7.6億円だったジブリの黒歴史を飾る作品。

物語がとてつもなく面白くなく、映画館で見たら確実に睡魔が襲ってくるであろう。

キャッチコピーは「家内安全は、世界の願い。」

そのキャッチコピーに相応しく誠に家庭を的に絞った作品内容になっていた。
だからこそ、こんなにも面白くない作品ができてしまったのだろうw

私はこの作品が嫌いな訳でもない。
アメリカに移住する前は新聞の四コマ漫画でののちゃんを毎日読んだものだ。
日常のちょっとした面白い話を組み込んでいて「クスッ」と笑えるシーンも多々ある。

どこか懐かしくて、優しい気分にさせてくれる作品なのだが、原作が四コマだけに無理がある。
せめてらき☆すたやけいおん!の様に30分で区切ればそれなりに面白いものが出来たのかもしれない。

しかし、残念ながら萌えとも疎遠のこの作風で1時間40分はかなりキツいw
まるで何かの苦行をしてるように思える程だ。

ただ、そんなつまらん作品でも目を見張る点はある。

作画だ。

20億というもののけ姫をも越す作成費が使用されたか作画を見れば理解出来ると思う。
水墨画風に作品を統一するというなんか意味の分からんテーマが掲げられた為大量の時間と制作費が必要となったらしい。

その成果あってか、作画だけを評価するなら5.0をあげられるレベルに仕上がっている。
ある意味ジブリの底力を体感できる。

個人的には自分が結婚した時にでも見直したいと思っている。
確かに面白く無いが、家族というテーマを追求しまくっているということに変わりはない。

人によって家族の形がどうあるべきか、なんて違ってくるだろう。これは価値観の問題であって、他人に押し付けるものでも無いと思うからだ。

ただ、今作品の様な家族環境を築けたら、それはそれは幸せなことなんだろうな、と思わずにはいられない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

まみあな さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

「ののちゃん」を知っていて、他に借りるものが無ければ。

朝日新聞の連載四コマ「ののちゃん」は連載途中で「となりの山田くん」から改題されたものなので、「ののちゃん」を知っているなら、キャラに親しみは持てる。
 が、期待していたほどには面白くなかった。特に、暴走族とおばあさんがにらみ合う場面が、腕力的にはおばあさんは適うわけないのに、そして実際おばあさんは如何に逃げられるかを考えていたように見られたが、それなら最初から強気は見せる必要もないし、なんか意味が分からない場面で観ていてイライラした。この場面は絵のタッチが異なっていたので、その技法を見せたかっただけなのではないか。
「ケセラセラ」の音楽に乗せて山田さん一家が舞っているシーンが長ったらしくて如何にも時間潰しで、宮崎ジブリの冗長さがそこにも表れていた。四コマ漫画の内容をオムニバス形式にして埋めればよかったものを。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

老いを感じる邦画

宣伝は結構してたのですが、全然期待感がなかった映画。
そもそも四コマのほのぼの家族を映画で見たいという人はそんなにいない。
にも関わらず大金をかけて作るという無謀な試み。

「おもひでぽろぽろ」みたいに感傷に浸れるものでもなく、ちょっとおかしな家族のほのぼのとした日常をそのまま映像化した、ぐらいの印象しかなく、ヒットする要素も皆無。
良いところも確かにあったが、根本的に方向が間違ってた・・・・
若々しさが全く感じられず、ただ退屈で老いを感じるような映画だった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
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