2020年度のドラゴンTVアニメ動画ランキング 9

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の2020年度のドラゴン成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月07日の時点で一番の2020年度のドラゴンTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.8 1 2020年度のドラゴンアニメランキング1位
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (772)
3200人が棚に入れました
ステータスポイントをVITのみに捧げた少女メイプル。その結果得たのは、物理・魔法攻撃・状態異常無効に強豪プレイヤーも一撃死のカウンタースキル!? 自らの異常さに気づくことなく、今日も楽しく冒険に挑む!

声優・キャラクター
本渡楓、野口瑠璃子、早見沙織、新井里美、加隈亜衣、諏訪ななか、杉山紀彰、佐藤聡美、小野賢章、山崎たくみ、竹達彩奈、神奈延年、佐藤利奈、山口勝平、石田彰、皆口裕子、丹下桜
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

メイプル超合金w

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルは、ゲーム世界、バトル、主人公最強系。

という分かりやすい、ありがちな設定。

でも、実はこのアニメはかなり面白く、中盤までは個人的覇権にしようかと思っていたほど。

ストレスフリーにストレスを感じる人以外には、オススメできますね♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
勿論、超ご都合主義とか、ゲームバランス悪いとか、まあ、色々マイナスはあるでしょう。

でも、このアニメで抜群に素晴らしいのは、「ゲームをゲームとして楽しむ」という姿勢が徹底されていること。

例えば、釣りや水遊びを楽しんでみたり、星空を眺めたりするだけじゃなく、朧やシロップが仲間になったとき、イベント中に関わらず無駄にレベルを上げてみたりとか。

「その時、メイプルが楽しいと思うこと」をやるというのが基本線にあるので、観ているこちらまで楽しくなる。

ゲーム世界に飛び込む系は、「SAO」に代表される、リアルとのリンク(実際に死ぬとか)があって、だからこそ、ゲーム世界でも真剣に戦うものが多いが、「防振り」は、「所詮はゲーム」ということが徹底されていた。

例えば、ゲーム世界で無双するメイプルが、学校に戻れば相変わらず鈍臭く、ドッヂボールも避けられない。ゲームにハマりすぎて危機を感じ、3日間ゲームを離れる。最終話でも、勉強の大切さに触れる。

ゲームで相手を倒すことにも一切躊躇なし。だって、所詮はゲームだから。

なんか久々に、「ゲームをやりたくなる」アニメだった。

それに、様々なスキル習得が、あくまでゲームの範囲内に留めているところが素晴らしい。

特に、序盤。

スキルの習得条件が、「普通はやらないけど、絶対にあり得なくはない」という良いラインをついていて、まずまず納得できた。ゲーム素人&天然のメイプルならではの手段でスキルを獲得していく過程が面白く、「ただのチート」ではなく、「正しいチート」だからこそ、応援できる。

あと、作画ね。こんなにふざけたアニメなのに、作画が良いから、格好良さまで得ている。

本当に、良いバランスだった。こんな手垢がつきまくった世界観でここまで面白く出来るのかと脱帽。

してたんだけどね、途中までは。

きっかけは、メイプルがガンダム(フリーダム)になった辺りから。

「盾の勇者の成り上がり」でもそうだけど、盾役が攻撃手段を手に入れてしまうと、途端に魅力が半減する。

本作で上手かったのは、攻撃手段をヒドラ(毒による状態異常)に止めていた点だったのに、攻撃力まで最強クラスにしちゃだめでしょ。もっと、スキルの組み合わせとか、仲間との連携とかで敵を撃破してほしかった。

それから、第4回イベントも、少し長かったかな。この作品の良さである、「ゲームを楽しむ姿勢」がやや弱り、皆が真剣すぎて、ちょっと引いた。SAOなら、いくら熱くても良いんだけどね。

てなことで、後半にやや失速はしたものの、十分に面白く、2期が楽しみな作品ですね♪
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆5
変な行動で、使えないスキルゲットしてる(笑) たったこれだけで、こんなに耐性スキルゲットできるの? ありそうなレアアイテムゲット(笑) 大物食いのスキルは、攻撃力とかに全振りしてれば、結構ゲットできてる人多いかもね。壁役のスキルを大量にゲット(笑) このユニーク装備の達成条件は結構キツいけど、情報さえあれば、やってやれないことはないよね。

2話目 ☆4
運営の会話入れるなや(笑) あれ? スキルの取得条件開示しなくしたの? アレが良かったのに。麻痺と毒と防御力。さらに、盾での攻撃(悪食スキル+シールドアタック)。回避盾、、、スパロボなら、オーラバトラー(笑) 歩く要塞(笑) ゲームを楽しむ姿勢は、気分が良い。作画も悪くないね。初戦闘&単独でボス撃破。んでレアアイテムかな。

3話目 ☆3
悪食スキル回数に、防御貫通。運営の露骨な修正はヒドイ(苦笑) ネトゲの凄い人、、、リアルの金持ちか、廃人か(笑)? バトルに星空。何気に作画良いのが、ズルいアニメだよな(笑)

4話目 ☆4
朧とシロップ、可愛いし、イベント中にこの子達を鍛える辺りが、この作品の良いところ♪

5話目 ☆4
集められなかったら、それはそれで良い。う~ん、歌と止め絵でガッツリとばしたな(苦笑) 綺麗な海を、毒の海に~♪(笑) サリーのPK能力の高さよ(笑) 最後は暇つぶしで終了(笑) このまま楽しくゲームをプレイしてくれたら、個人的には、覇権かも。

6話目 ☆3
お、珍しく現実世界。現実の楓の残念さ(笑) また音楽流しか。あんまり多用しちゃだよだよな。今度は攻撃極振り×2ね。

7話目 ☆4
味方がどんどん強くなる(笑) 台詞の辻褄(笑) たまにあるね、イベント前にアイテム持っている時(笑) もはや、ショートコントやん(笑) 見捧ぐ天使、やべぇな(笑)

8話目 ☆3
だから、食うなや(笑) グロいグロい(笑) エヴァかい(笑) デンドロビウム、いや、フリーダムか。ここまでやると、ちょっとやり過ぎな。

9話目 ☆4
ホントに要塞になってきたな(苦笑) これ、ザコギルドを刈りまくった小規模ギルドが一番稼ぐな。最後は、直接対決で相手のマイナスを狙いにいくか。炎帝、可愛いな(笑) これ、スキル使う相手か?

10話目 ☆4
笑えるくらい、メイプル強ぇな(笑)

11話目 ☆3
段々と、メイプル攻略方法が成立してきたな。

12話目 ☆4
暴虐で、お茶を飲むなや(笑) もはや、パニック映画(笑) 勉強、大事(笑) 全ステータス5%upって、トッププレイヤーにはでかいよな。そろそろ5桁(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 32
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

メイプルちゃんを好きになれるか、見守りたいか。

僕は。。。。。

原作知らず。第9話までを見た段階での感想です。

近未来の超没入型・感覚没入VRゲーム内での主人公たちの活躍をのほほんと描いていく、おきらくごくらくファンタジー。本作の主人公、メイプルちゃんは通常のゲームプレイヤーがとらない行動、ゲーム運営が想定しないような行動をとり続けるがゆえに、バグめいた形で常軌を逸した強さを身につけ続けることになるわけですが。。。「俺TUEE」転じて「わたし超TUEE」な世界が展開されます。ストレスフリー。ゲーム内イベントという起伏はあるものの、基本的に平坦。深く追ってはいけない、気楽に、そこにあるまま流しておく。僕にとってはそんな感じの作品。

音楽にEasy Listeningというカテゴリがあるが、それの動画版という感じ。劇中歌の「Good Night」という曲が、けっこうよい雰囲気を醸しています({netabare}歌詞すべて英語。。。それっぽく歌おうとしているのだけど、口先発音なのがかえって気になる。LRぐちゃぐちゃだし、Aboveを思いっきりアボブとか発音しているし・・・{/netabare})。ふと、Yashiki Gotaとかゴンチチなんかを思い出す、そんな感じの曲です。なんかもっとダイレクトに「近い」のがあった気もするんですが。

アニメーションとしての作画は及第点と思います。エフェクトガリガリではありますが、近未来ゲームという世界観からすればちょうどよい。キャラデザインはよいほうなのではないかと思う。少なくとも女性陣は可愛らしい。ゲーム内アイテム、装備品が少々簡素に思えるところもあるが、それはご愛敬か。

主人公をはじめとする可愛らしい女の子たち、なんかカッコいいおっさん(?)のゲーム内の活躍を、のほほ~んと眺めていられるなら、特に損はしないのではないでしょうか。

さてメイプルちゃん。
僕自身は、もう・・・いいかな。っていうか嫌いだし。Easy Watchingとして流すことはあるかもしれないが、鑑賞という形にはならなさそう。なぜならこの作品、本質的に「賢者の孫」と同じなんだもん。


― 多くの方が指摘される「そも、ゲームとしてこれダメだろ」
{netabare}いやほんと(笑)。主人公たちにとってのEasy-Peasyな世界を演出するという点では、これでもいいのかなと思う。でも、オンラインゲームとして長くはもたないでしょうね。こういうゲームって、Money・Time・Player Skill(賢さ、要領の良さ含む)の総和・総乗に対して平等公平というのが原則。ガチャ運だって最終的には投入資金によって収束していくわけです。システムとしてそれを崩してしまっていては、プレイヤーはたまったもんじゃないですね。

さも「バグ挙動」のように言われていますけど、結果としてそのままにしている&プログラムとして挙動が安定しているのなら、それは仕様です。{/netabare}

― ファンタジーとはいえ、あの没入型ゲーム機すげえな。
{netabare}どんな仕組みで「味覚」「嗅覚」「触覚」を再現しているのか。いやすげえな。狂四郎2030(徳弘正也)を思い出します。むしろそっちのコンテンツが先だろう。きっとそっちのコンテンツはひと段落してしまった後の世界なのだろう。{/netabare}

― 形を変えた「主人公礼賛之図」
{netabare}すでに3話だったか4話だったかのあたりでその片鱗が見え始めています。大意としては「メイプルがどんな変なことをしでかし、結果として強くなったとしても、もう驚かない、諦める」旨の発言が出始めます。これって、主人公を異質な存在として棚上げし、そのままそれを諦観とともに受け入れるということに他ならないと思います(そう感じてしまいました)。なんだかよくわからないけど主人公スゲー、主人公サスガーの礼賛と何ら変わらない扱いです。

いや、もう、いいよそういうの。おなか一杯。{/netabare}

― たちの悪い「やっちゃいました?」
{netabare}作者としては、主人公・メイプルを「永遠の初心者(最強)」として描きたいように思えるのですが、まともな女の子としてそれを成立させるのは無理があるでしょう。結果として「天然ちゃん」というキャラ付けをしているのだと思いますが。。。。いい加減、鼻につきます。

{netabare}最序盤における、ゲーム世界の常識からかけ離れた行為・行動は許せます。一緒に遊ぶはずのサリーが現れず、あまりよくわからないゲーム世界で一人行動をしていたので。

冒頭に述べた通り、メイプルは「通常のゲームプレイヤーがとらない行動、ゲーム運営が想定しないような行動をとり続ける」が故にどしどし強化していくわけですが。。。。問題は、いつまでそれが自然に成り立つかだと思います。僕としては、その後のメイプルの行動、物言いがおかしく感じられます。

あんなにギルドメンバーや他ギルドのプレイヤーと交流をしていながら「その社会」に入れないのでしょうか。空気読むではありませんが、他者を見、共に行動していれば、次第に理解していくもので、そういう社会性を持っているのが人だと思います。それが獲得できないということは・・・と、思ってしまうのです。

その一方で、「ゲームのことをしっかり理解し、ゲーマーになっている」描写も見受けられます。双子のプレイヤーを引き連れて階層ボスと対峙するシーンでの発言は完全に「わかっている」ものの口ぶりです。

結果としてメイプルが、Theバカ(あるいは、コミュニケーションに結構ガチめな問題があるタイプの子)か、あるいは、極めて性悪な子かのどちらかに見えてきました。
{/netabare}

これ、、、賢者のお孫さんと同じに思えるのです。ただ、見た目かわいい女の子というだけで。男女関係なく、こういう人物が物語の中心にいるのは好きになれない性分でして、見ていて辛くなってきました。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゲームは遊ばれてナンボ(笑)

VR-MMORPGを舞台に、とある女子高生ゲーム初心者とその仲間たちの
楽しいゲームライフを描いた同名小説(web版、ラノベ版共に未読)のアニメ化作品。

【物語 3.5点】
テンポ良好。見やすい。

1クール内でイベントや新エリア実装などの新要素を切れ目なく打ち出して来るゲーム運営。

局地的には主人公メイプルの予想外の奇行によりグダグダな印象ですがw
トータルで見たら、優秀な運営なのかもしれません。

その土台の上で、メイプルが
トントン拍子でヘンテコスキルや装備や仲間を獲得していく様。
ノンストレスな展開にスルスルと誘い込まれる。


いわゆる異世界転生物でもデスゲーム物でもないため、
ゲームからログアウトすれば普通の高校生活が待っている。

ゲームでクセになった言動が、
リアルで飛び出してしまう描写は微笑ましいです。

リアルに影響が出ると懸念したら、ちゃんとゲームはお休みする。
人間やめたネトゲ廃人たちのアンダーワールドではないので安心です。
(もっともメイプルはネトゲ廃人とは別の意味で人間やめていきますがw)


【作画 3.5点】
ゲームならではのスキルが飛び交う戦闘描写など人物作画はまずまず。

こだわりを感じるのは、ゲーム内の背景描写。
例えば、{netabare}星空が広がる絶景を眺めながら、
飲むと瞳の色が変化するドリンクで浪漫に浸る{/netabare}
など、戦闘だけではなく、
ここでしか味わえない景色やグルメを演出し、VRゲームを美化。


【キャラ 4.0点】
話題の“超大型初心者”メイプル。
防御特化を軸に多彩なトンデモスキルを乱発するが、
その基本プレイスタイルは
{netabare}絶対的な防御力によりダメージをシャットアウトして、
後は、麻痺→毒のコンボで、息絶えるのを待つ{/netabare}
などという鬼畜の所業w

それでも彼女が仲間と人気を集めるのは、
その愛嬌、ひとえに可愛いは正義の濫用と言う他ありませんw


周りの仲間もライバルも、
みなチョットずつ変ですがw心はピュアな良い人たちばかり。
PKして死体蹴りするような人格破綻者に遭う心配もなく、
視聴者もノーダメージで完走可能です。


【声優 4.0点】
主人公メイプル役は本渡 楓さん。
天然成分配合のポジティブモンスターを演じさせたら破壊力抜群ですw

メイプルをゲーム沼に引きずり込んだサリー役は野口 瑠璃子さん。
名のあるキャスト陣の中でも臆せず経験豊富なゲームプレイヤー役を好演。
今後、エンカウント率が上がりそうな若手声優さんです。

「がお~」と告知してくるドラぞう(CV.丹下 桜さん)や
CV.玄田 哲章さん等で編成された管理者たちなど、運営陣も鉄壁。


【音楽 4.5点】
OPは純情のアフィリア「究極アンバランス!」

如何にもMMOのCMなんかで流れてきそうな明るい曲調。

“胸騒ぎ次元転送 可能にするVR ゴーグルの向こうは
光に包まれ 飛び込んでくるアナザーワールド”

などと売り文句も決まる。
(こうして、また廃人が生まれていくのですねw)


EDは佐々木 李子さんの「Play the world」
こちらも明るいリズムで、一生懸命前に向かって歩いていくポジティブソング♪


劇伴は増田 太郎氏。
古き良きゲームミュージック風だけでなく、多彩な作風で愉快なゲームライフを演出。

運動会徒競走風の?ほのぼのBGM「あたふた突撃」をメイプル無双シーンに起用するなど、
音響でも、腹筋を攻撃してくるw

白眉は佐々木 李子さん歌唱の挿入歌「Good Night」
ボサノバ調の軽快なリズムに乗って、
経験値やポイントを積み上げる苦行をポジティブに転換する。
コツコツ行きたい時にチョイスしたい応援歌です♪


【感想】
ゲームクリエイターのインタビューなどを読むと、
狙い通りのプレイをしてくれるのも良いのですが、
制作者も思いも寄らなかったプレイをされて遊びの幅が広がった時こそ、
クリエイター冥利に尽きるんだ。
という主張をしばしば目にします。

実際のゲームでも、こんなん絶対誰もやらないだろうw
という隠し要素が必ずと言って良い程、仕込まれている物。

マニアがセオリーと決めたゲームプレイだけに硬直化したらジャンルは縮小するばかり。
クリエイターは常にプレイヤーの奇想天外なプレイによる
破壊と創造を待ちわびている。


だから、本作にてゲーム運営をもひっくり返すメイプルを
“大魔王”などと愚痴っている管理者たちも、
内心ではきっと、ゲームの新たな遊び方を開拓してくれて
嬉しくて堪らないんですよ。きっと!(←暴論w)


このVR-MMOが今後メイプルにどう玩具にされていくのか?
制作が決まった続編でも、しっかりと見届けたいと思います♪

投稿 : 2024/05/04
♥ : 40

76.0 2 2020年度のドラゴンアニメランキング2位
ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld 2nd(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (500)
2303人が棚に入れました
「最終負荷実験」という名の、アンダーワールド全土を巻き込んだ「人界」軍と闇の軍勢の戦争。戦局は、「光の巫女」アリスの奪取をもくろむ「ダークテリトリー」軍ガブリエル一派と、アンダーワールドを守ろうとする「人界」軍アスナたちとの戦いへと様相を変えつつあった。未だキリトが精神世界の奥深くで眠り続ける中、「闇神ベクタ」ことガブリエルは、現実世界から幾万もの米国プレイヤーたちをログインさせ、「人界」軍の一挙殲滅を狙う。対するアスナたちは、アンダーワールド創世の神の名を冠する3つのスーパーアカウントで抗戦する。この大戦の行く末は、今は深く眠る一人の少年――「黒の剣士」が握っている。「アリシゼーション」編 、ここに完結!

声優・キャラクター
松岡禎丞、戸松遥、茅野愛衣

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

眠り姫キリトは再び黒の剣士として剣を手に取る

さて、盛り上がりをみせる後半
キリトとアスナを助けて欲しいとユイが繋いでくれた希望で集まるキリト勢力がバンバン集まる総力戦が始まります。

クラインの「待たせたな」から始まる反撃への狼煙にアスナだけではなく視聴者も上がる⤴︎ ⤴︎
見せ場としてはやはり多い。

ベクターvsベルクーリ
この戦いはね……人界人のスーパーアカウントベクターに英雄ベルクーリは引き分けます。
正直、ここまで健闘するとは思いませんでした。
背負うものや護りたい人や助けたい人がいる人は強いですね。

シノンの説得も良かったですね。
アリスの気持ちも解るか……ユージオを失い、アドミニストレータに利用された事を知り、キリトが精神崩壊、戦場で失われる命、自分がこの戦争の1つの引金になっている。
沢山の気持ちを抱えて精一杯だった。
そして、師匠ベルクーリの死が彼女の気持ちを爆発させた。
ベルクーリは生き返らないのに、ベクターは再び舞い戻るなんてね……理不尽だよ。

けど、シノンの言う事はもっともだよね
ベルクーリの作ってくれた時間を無駄にしちゃいけないし、アリスは「茶番ではないですか」と言うけど、シノンの言うアスナを含めキリトが傷ついてまで守ろうとした世界、彼がそこまでする理由に「なんで?」って気持ちを持ってるのも解る。

例えばアスナはキリトを救い、アリスを目的地まで送り届けるだけが目的だった。
けど、相手が自分と同じでリアルワールドの世界の人間である事や、ここで生きようとする人の気持ちやキリトが守りたかったものが本物だと感じたから力を貸してくれたんじゃない?かな。
キリトの気持ちもアスナが感じた気持ちが本物だから沢山の人も駆けつけてくれた。

リーファをみた時に私は「まったくこの兄妹はw」と思いましたwww
そう言えばキリトもフェアリーダンスでログインしてきた時に着地に失敗してたなぁーってw

ただ、リーファだけ恥ずかしめられたり、グロい傷を追ったりと可哀想になるんだけどリーファの扱い可哀想じゃない?
この世界ってリズの想定では「痛覚はダイレクトに感知する」って話してませんでしたか?
眼が痛々しい( ᵕ̩̩ ᵕ )

ただ、リーファのこの世界の事情を解るまで、この世界の人を傷つけないって気持ちは優しいね。
キリトも優しいけどやっぱり似た者兄妹ですよ。


アスナはクラインを軽くディスってるw
アスナの「いつものクラインさんのくだらないギャグ」のセリフが笑ってしまうけど気を張っていたからこうしたクスッと笑えるシーンいいよね。

中韓国プレイヤーが意外に理解者で話が解る人達だった。
結構冷静だし偽動画や情報にも違和感を持ったり、しっかりシュウメイの声が届く人が居て良かったです。

プウが無抵抗なキリトを痛ぶるシーンは最低だね……何も出来ない無抵抗な人への暴力程反吐が出るものはないよね。


エイジ&ユナ登場
これは当時も私は気分が上がりました。
オーディナルスケールのオリジナルキャラクターの2人なんですが、劇場版を知っている人は敵だったエイジがあの戦いを得て何を感じ何を思ったのかその答えになっている気がします。

劇場版では関係ない人を自分勝手に傷つけていた彼が今作は守側につく。
前の垢はチートだから次は新しく作りレベルを上げた垢なんでしょうね。
次は守側として彼はだ立ち上がる。


アスナvsプウはアスナの演出は良かったですね。
戦闘の臨場や迫力よりも演出が素敵でユウキと共に戦う演出は良かったですね。
しっかりユウキの意思が証明としてアスナとの会話で演出されたりとかっこよかったですね。
このSAOの命を失われてもキリトとアスナの相棒のユウキやユージオが2人に寄り添う描写にキャラ愛を感じる


キリトの復活は、これは痛々しい。
自分の心臓抉っていくのはね…………
まぁ、キリトも沢山の事があったからね……
けど、最後は「俺が死ねば良かったんだ」って結論になるんだね。
結構、ネガティブだったキリト君。

私はこのエピソードを見て気付いた事がありました。
それはキリトは英雄なんて呼ばれたりするけれど本当は…英雄ではなく…本当は…

それはキリトの精神世界お話。
恐らく彼が一番悔やんで悲しんで永遠に忘れる事の出来ない少女「サチ」キリトがSAO時代に彼女を失ってクリスマスイベントのボスサンタを倒すまでに原作にひたすらレベルを上げると言う話がありました。
サチを救いたい一心で力を付けたキリト、彼の強さには誰かを救いたい気持ちやら罪悪感などが入り乱れている。

そして失われて行く命を思い出す、自分がしてきた戦いの中で奪われ奪った命
そんな中で彼は涙を流し苦しむ……
そして、自分が死ぬべきだと自分を傷付け始める…目の前にアスナ達が現れても先に進めないキリト…それだけに自分が許せなくて許されなくて…

このシーンを見て私はキリトは英雄なんて言われてるけど、ただの高校生の男の子なんだと感じました。
どれだけ強くても、どれだけ救えても彼は英雄である前に普通の少年なのです。
だから、誰かを失うたびに傷ついてそれでも必至に踏ん張って仲間に支えられてここまで歩いてきたんだと感じました。

でも、そこに彼の親友とも呼べるパートナー…ユージオ…彼がキリトを救い出してくれる。
思い出と気持ちは永遠に繋がり続けるから。
そして、彼は歩き出す。
次に進む為に…彼は目覚める。
キリトの原動力は周りの支えだと思います。
1人だと心が壊れてしまう。
それでも歩み出せたのはやっぱりユージオやアスナを始めとする仲間達。
そして彼は守る為に剣を取る。

ロニエがキリトの元に訪れる人達をみて「女の人ばかり……」ってセリフがありますが、ユージオ先輩もいるよ。って教えてあげたくなるシーンですw


キリトvsプー

これはね。
キリトの勝利と言うよりキリトとユージオですね。
キリトもユージオもホントにいい所だけ持っていくよねww
クラインにも言われてましたけどww
後、キリト君の垢ってスーパーアカウントじゃないのにめちゃくちゃ強いよねww

キリトvsガブリエル

コレはあまり盛り上がらなかった気がするww
思ったよりもかなりかなり呆気ない気がしましたね。
ゲームも最新作でボスとして登場するんだけど余裕で倒せちゃいました。
アニメでもアドミニストレータの方がまだいい戦いしてた気がしますww
あっ、アドミニストレータ……最後にキリトに力を貸したみたいな感じで居たけどさ……最後の最後までキリトと敵対してたのにwww

アンダーワールドで200年暮らすキリトとアスナですが、アスナが泣くキリトの前でサプライズで登場する。
誰も居ないと見せかけて隠れていたアスナは演出に拘ってますね。
物陰から泣くキリトを観察していたのかと妄想したらアスナさん策士www
キリトの好感度が限界突破しますね。

「君と一緒なら200年なんてあっという間にだよ」
ってセリフがあるけど何か解る。
時間って普通に早く進む気がします。
私は中二くらいまで1年間はすごく長いと感じていて中二の大晦日の日の「365日が1年間って事は365回寝たらまた年末がくるんだなぁ〜」って考え初めてから1年間が物凄く早く感じてしまって……
……この事実に気づいた事に後悔しましたね。

けど、普通に1年間も早いし、大切な人といる数時間って早いじゃないですか。
充実した時間ですね。
友達や恋人や家族とかだからアスナとキリトは更に早く感じる気がしますね。

で、やっぱり凄いなぁ〜と感じるのがアスナとキリトの愛ですよ。
200年……200年経っても変わらぬ愛ですよ!
200年も一緒にいたらマンネリ化してお互いに気持ちも落ち着いて下手したら覚めると思うけど冷めないのなら本物の愛ですよね。

キリト「アンダーワールドでの200年の記憶を消してくれ」にアスナと不仲になったとかリアルな事情があったら嫌だなぁwwww
この2人はずっと仲良くして欲しいよねw

アリス、リアルワールドに登場する話は2026年8月1日なんですよね。
つまり、私達の世界でも3年後にアリスが来ると思っていたのですが2022年の11月6日にナーヴギアが出来てるはずなのに私達の世界にナーヴギアすらないので無理ですねww

2023年はやっとPS5が店舗販売が当たり前になったレベルの私達の世界ではまだキリト達の世界に追いつけませんねww

昔、噂で二十二世紀までにドラえもんを作るのを目標にしてるとか聞いた気がします。
その話が生きているのか、そもそも本当なのか解らないけどww

なら、2026年までにアリス誕生も目指して欲しいですねww
Vivyならどうかな?2056年でしたっけ?

話がそれてきました……ごめんなさい

キリトの200年生きた人格のコピーは何か怖いなぁ……キリトだから悪いことにならないとは思うけど声のトーンが怖いし、アンダーワールドの為に生きる事を選んだキリトの決意が逆を言えばアンダーワールドの為なら何だってするって取り方も出来るから少し怖くも感じるんですよね。


キリトのユージオとの記憶を消してもらわなかった事を後悔してましたが、多分消さなくて良かったよね。
確かに、忘れるってのは便利だと思う。
嫌な事は忘れたいし、忘れたら悲しまなくていいとは思うけど、忘れるってのは自分の心の中から、その人の存在を消しちゃう事になるし、そんな事をしても死者の死はなくならない。
辛くても悲しくても……それを無かった事にしちゃいけないし、もしかしたら消した事を後悔する日がくるかもしれないから。

コレは生きてる側の勝手な気持ちの押し付けなんだけど、誰かの死を忘れたくて記憶を消してたら悲しいと思う。
だって、その人と過した時間も気持ちも忘れて無かった事にしちゃったらユージオが可哀想だよ。
その苦しみもきっと自分とその人が生きた証だと思う。
それが解っているからキリトは消さなかったんじゃないかな?と思います。

アリスがあるメールを受信しキリトがアリスを連れてアンダーワールドに戻る手がかりを掴みます。
キリトの「その時はアスナも一緒にいいかな?」と質問するとアリスは怪訝な顔をするも許可をします。

アスナに黙ってアンダーワールドに行くと後々アスナが怖いからねww
これ以上、アスナに心配掛けたら黒の剣士を一撃で貫くマザーズロザリオがクリティカルヒットする勢いですからね。
ユージオも助けてくれなさそうww

私がアスナの立場なら多分置いていったらブチ切れるし、キリトの立場なら怖くて黙っては行けないwww

再び戻ったアンダーワールドはSF世界です。
宇宙空間で飛行船が出てきてモンスターを撃破するよく解らない世界ww
若干、ゴッドイーターとかのイメージが浮かんだけど……SAOって元々こんなのよね。
対人戦が続いてたから忘れがちになりましたが……
……


さて、久々に見返したSAOは面白かったです。
SAOのラストの最後は最後の様な締め方をされて居ましたね。
でも、昔何かで書いてあったけどSAOは原作のラストまでアニメさせたいって監督が話してたって聞いたのですが、どうなのでしょうか?
割と、シャナ、とらドラ、ストブラ、俺妹、など電撃文庫作品ってラストまで描かれるくらい人気作品は多いし、SAOも電撃文庫が誇る人気作品ですからね。
SAO、86、禁書目録の3作品は私は電撃文庫では大好きな作品だから是非、続編をして欲しい。

SAOに関しては……ね?
こんな意味深な終わり方をしちゃって、まぁ〜
まぁ〜まぁ〜こんな視聴者を生殺しにさせちゃってww罪な終わり方ですよww

原作を読めよと思われるかもしれませんが、文字だけの本を読むのは苦手なんですww
え?www

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

Underworldの開発目的は何処へ?

 「てめぇらの血は何色だーーっ」 

今は亡き塩沢兼人さんの名演から早30年

 「魂の色は何色ですか?」

生まれたところや皮膚や目の色ではなく、はたまた人間か人工フラクトライトも関係なく、個々人の在り方が大事だろうよ!と普遍的なテーマを投げかける…はずだった名作になり損ねた大作。寸評だとそうなっちゃいますね。
放送開始前の期待はこういったところでした。↓

・あのSAOの集大成
・アリシゼーション壮大だぜ!の原作既読組の声
・4クールと力の入れようがすごいな
・むしろその尺で収まるのか?

『Ⅱ』も『GGO』も楽しんだ私は期待しかありませんでしたが、『アインクラッド』を頂点に下り坂と捉える一定数のファンですら軒並み期待をもって迎えられた『アリシゼーション』でした。
どうでもいい細かいこと言っとくと、今回のUW第2部期間のCMで新章「ユナイタルリング」の存在を知り「え!?アリシゼーション最後じゃなかったっけ?」とやや興ざめした情報弱者の私です。
“これが最後”のプレミアム感が消えた瞬間でした。

『アリシゼーション』24話と『Underworld』第1部12話を通じて大絶賛とはいかず、様子見でこの最終章全11話に突入した視聴者が多い情勢でもありました。

技術的なのはようわからんので他の方の読んでください。
自分の考えるSAOの魅力は以下2つ。その予実がどうだったかを残しときます。


【SAOの魅力①】様式美と化したキャラクター

“ハーレム”“俺TUEEE”の代名詞的なところがあって、純粋に楽しむファンはもちろんのこと、「またかよ」と苦笑しながら楽しんじゃう“文句言いながらワイドショー観てる”ようなニーズも相当数いる作品。私個人はあまり重きを置いてないですけど、この文脈で語られることが多いため“お約束”の出来が作品評価に直結するといっても過言ではありません。
脇役も脇役然としておらず、脇役で複数話回せるくらいの実力者揃いだったりもしますね。リーファちゃんをAパートの4分の1くらいだけ見せ場を作って次に移るみたいな贅沢な使い方ができてしまう。

⇒結果

やることやるってこと以上に大盤振る舞いしてたと思う。リソースを過剰投入していて、おかげで後述の“魅力②”に割く時間がなくなった。もしくは中途半端にせずにバッサリ切ってバトルに全フリしたとも考えられる。これは逆効果で途中から飽きちゃいました。

{netabare}スターバーストストリームは一回こっきり。譲れない線みたいなのはあるらしい。{/netabare}

困った時の○○を連発したら、ありがたみがなくなるよねって至極真っ当な感覚だと思われ、
キリト→{netabare}ピンチでユージオ。そして撃破の繰り返し。もはや正妻としての安定感すらあるほど。{/netabare}
アスナ→{netabare}2回以上ユウキ使うのはちょっと。しかも得意の連撃ではなく一撃必殺的な締めだったような…{/netabare}

集大成らしく過去キャラ絡ませる展開は劇場版のようでもありました。胸アツなやつも1つありましたよ。でもどうなんでしょうね。メインストーリーに絡むキャラじゃないとこういうのってカンフル剤以上の効果を期待できないものです。せいぜい離したところでスポット投入。どうしても本作は劇薬を複数回投与して本体が弱っちゃった感が否めません。

{netabare}それでも1か所。#17エイジとユナ降臨は胸アツでした。SAOサーバーからのアクセスだからこそできた共演。なによりチートな悪手だった『オーディナルスケール』の彼ではなく、しがない“血盟騎士団のノーチラス”として勇気を振り絞ったのがエライ。そこで想い人ユナからのパフ(バイキルトみたいなもの)サポートがかかっての生前果たせなかった共同作業。まさに魂の色はなにか?の問いに胸を張って答えられるだろう彼の立ち居振る舞いに心が震えました。{/netabare}


【SAOの魅力②】ありえそうな科学技術

後述の魅力②です。私にとっての本丸。
“VRMMO”って面白そうだしありえそう。そんな近未来を想像できるSF設定が良いです。『Ⅰ』『Ⅱ』そして『アリシゼーション』と都度かたちを変えながら、といいますか茅場晶彦の残した“種”をベースに毎回違ったテーマを我々に提供してくれることを楽しみにしてた感じです。茅場が大量殺人を犯した狂人というのも設定に深みをもたらしてますしね。

そしてこの『アリシゼーション』です。これまで以上に仮想と現実の垣根が取り払われてきたこと。そのことで現実国家の関係にも影響を及ぼしてきたこと。一気に風呂敷を拡げてきたことにワクワクしました。詳細は過去の『アリシ24話』『UW第1部12話』のレビューに書いてるので余力あればそちらまで。このシリーズを捉える基本的な考え方になるので迷子になった時はそこに立ち返ることにしてます。
そんな楽しみしていた風呂敷の畳み方についてほぼゼロ回答。うーん…正直しんどい。

⇒結果

↓一応回答らしきもの
{netabare}人間も人工フラクトライトも一緒だよ…です。{/netabare}

{netabare}米軍の特殊部隊?に急襲作戦すらさせておいて、軍事利用はおろか民生利用に関する未来予想図の回答がゼロ。私が先のレビューで危惧していた世界線“無かったことにエンド”でした。魂の色が濁らなければOKというのだけだと物足りなさが残ります。浅い。{/netabare}



とどのつまり、楽しみにしていた【魅力②】はゼロ回答。それほど重きを置いてない【魅力①】は過剰サービスだったということです。
尺が足りないって意見が出てきそうな締め方ではあったのですが自分はバランスの問題かなと捉えてます。シリーズものの強みは作品のなにがウケていたか強みをあらかじめ分かっていることが挙げられるでしょう。目の前に原作があって、予算やら製作側の供給能力その他を考慮しながら決められた尺で視聴者が喜びそうなポイントをおさえた取捨選択をしていく。それが下手くそでした。
パワプロのサクセスモードで広島菊池選手みたいな守備職人を作成しようとして守備にパラメータ全フリしたものの、肩が弱くてゲッツーできなかったり足が遅くてかえって守備範囲狭くなったりと

 結局何したかったんだろうね~

と突っ込み待ち作品と化しました。画や音は低水準ではないし、オールドファンが喜びそうな仕掛けもあるためポッと出の凡庸な作品よりはマシ。でもほんとそれだけ。誠に残念です。




※ネタバレ所感

■【魅力②】作品からの回答

ゼロ回答としたのは先述の通りです。

{netabare}作品用語“ボトムアップ型AI”すなわち“自身で考える意思を持った人工知能”は軍用/民生用問わず用途は無限です。一例で軍事だったら無人機に搭載するすることを真っ先に考えるでしょう。民生用だったら小規模なUnderworldを作ってテストマーケティングに代わるシミュレーション利用でしょうか。地域限定させ卸や流通に頭下げて試作品置いてもらうコストを考えれば時間/費用どちらも短縮できそうです。クラウド利用して各国の企業にSaaSでサービス提供すれば独占状態ぼろ儲けでしょう。

しかし物語ではこれらの可能性には触れず。最後は“Underworldを守る”と手段が目的化しちゃいます。たしかにUWに住まう者は人間と遜色ない存在として全編通して描かれてきました。そしてそこに生きる人たちの環境そのものが消されようとしている。それはUWの中で生きてる人工フラクトライト達の死を意味してます。そうはさせじと彼らを消す理由を取り除くために考案されたのが“人権を認める”ということでした。そうなると消去は非人道的行為になりますからね。

申し訳程度に抑止力への言及もあるにはありました。“ウォーポテンシャル”そのまんま戦争を遂行出来る能力の意味を指しますが、“世界で唯一AIを軍事転用できる可能性のある”国のポジションを得たとのこと。たしかに間違ってはいませんね。


 アリスも人間と変わらんからみんなで仲良く生きていこうよ


これで納得できるならOKってことです。{/netabare}
ただこれだと全俺からのツッコミ必至で

{netabare}軍事利用も産業利用もしないんだったらなんのために?
税金使ってまで維持運用する必要ある?
原発あるから核抑止力働いてると強弁するのに近いよ?{/netabare}

という至極真っ当なものから

{netabare}重村教授(劇場版)、茅場(アインクラッド)、須郷(フェアリーダンス)と問題ばかり起こしてる研究室の一員だった神代凛子で記者会見するのは逆効果じゃないか?
世間一般の人にとっては新手のバーチャルアイドルデビュー会見となんら変わらんと思われる。{/netabare}

いらぬ心配まで焼きたくなります。やや整合性なんぞ怪しくてもワクワクする未来が見たかった。


■別れた世界線

2012年~2016年。4年越しで原作は刊行されてるようですね。
時代背景の写し鏡みたいなところは強く感じました。

A儲かるし中国との関係大事。いざとなったらドル締めりゃいいので楽勝
B韓国もセットで考えればいいし浮上の芽なさそうな日本はスルーでよくね?
C厳罰ないからどんどん機密情報持ってきな
D沖縄は国内分断の震源として使えるし北海道もいい感じ
E日本人同士やりあわせときゃコントロールしやすい

主語は米国だったり中国だったり、今は違ったりそのままだったりしますがAtoEは当時の情勢です。
米国にとって日本は対中国の防波堤ぐらいになればいいやというのが特に第1期オバマ政権(2009年~2013年)の頃は顕著でした。

{netabare}米中韓3か国同盟で日本を攻撃(AとB)し、柳井がさくっと機密を米NSCに持っていき(C)、PoHヴァサゴが手を下さずとも同士討ちさせときゃいいや(DとE){/netabare}

冗談でもなくこんな世界でしたよ。ご存知2020年の日本を取り巻く環境は違います。AとBは劇的に変化したところかも。基軸通貨握ってるからと高をくくってたのが本格的にヤバいと気づいたのが2015年。あちらさんの基本政策が変わりました。日本も賛否はあれどCにメスいれたり、DとEはそのままだったりと変わるものは変わってきてます。

“今”だけをみると見落としますが、時系列での積み上げで見えてくる部分はあるのです。


作品自体の評価は低くしましたけど、たった10年もしない少し前の日本の置かれた情勢が色濃く出てたなぁと時代の切り取り加減のリアリティという意味では価値あるのかもしれません。
裏を返せばこうしている間も時代は変化してるわけですしね。


昭和日本の「血は何色だ?」と令和日本の「魂は何色ですか?」の本質の部分は一緒です。
それでも微妙に変化しているものがある。

{netabare}もしかすると、茅場憑依のニエモンが“我が人生に一片の悔いなし”ポーズで事切れてたのもそんなことが言いたかったのかもしれませんね(遠い目){/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 

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2020.09.20 初稿
2020.11.12 タイトル修正
2021.08.04 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 61
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

やっと復活キリト君

復活までが長かった~。
それまでキリト君のお友達が続々とゲームに入場して奮闘するも負けそうな状態が続く。

復活して早々にチート級の能力発揮とはさすがです。
あんなに苦戦してたのに、一気に解決しちゃって今までのは何だったんだ?という気持ちに。
正直、惰性で見ていた感は否めない。
{netabare}いきなり茅場晶彦の思考というか意識がインプットされたロボットが出るし、ゲーム内に侵略してきた相手がいつの間にか無残な死に方してるし、もう分からない。{/netabare}

ラスト2話に現実世界に戻るもアンダーワールドに戻っていきなり宇宙空間で繰り広げられる謎のバトルに参戦。
あれは記憶のコピーだから一応一段落ついているということだろうか。
正直、現実世界でもないし、隔絶されたアンダーワールドを守る必要ってあるのかなあ?
原作を読んでいないので、知らないです。アリスはもう出ないのかな?4クールかけた壮大な物語だっただけに少し切ない感じもする。


OP
ANIMA ReoNa
ED
I will... 藍井エイル
挿入歌
longing ユナ(神田沙也加)
ANIMAって魂って意味らしい。ReoNaさんの歌声って独特で凄みがある。
藍井エイルさんはSAOに欠かせない存在。今回も素敵な楽曲をありがとう。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ
#12.5 レミニセンス
最高司祭・アドミニストレータとの激戦の後、言葉と感情を失ったキリトを連れて故郷のルーリッド村に身を寄せるアリス。戦う目的を見失い、思い悩みながら暮らす日々の中で、彼女がなした決意とは……。そして、始まる《ダークテリトリー》軍との大戦。アスナはキリトを救うためスーパーアカウント《創世神ステイシア》としてログインし、《人界》軍と共に戦うことに。しかし、その戦いは熾烈を極め、身も心も消耗し絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼女を救ったものとは……。

#13 アンダーワールド大戦
スーパーアカウント《太陽神ソルス》でログインしたシノン。彼女は、米国人プレイヤー軍に包囲されたアスナたちを間一髪で救援した。ソルス・アカウントの固有アビリティ《無制限飛行》を使い、ベクタにさらわれたアリスを追う。一方、《地神テラリア》のスーパーアカウントでログインしたリーファも《アンダーワールド》へと降り立つ。

#14 無限の果て
押し寄せる米国人プレイヤー軍に対し、少数ながらも勇猛に戦う《人界》軍とアスナ。だが絶望的な戦力差を覆すことは叶わず、《人界》軍の兵士たちは次々と倒れていく。満身創痍となったアスナもいつ倒れてもおかしくない状況だった。アスナが状況の打破を狙い、決死の覚悟をしたそのとき、《ALO》からの援軍を率いてログインしてくるリズベットの姿を目撃する。

#15 扇動
アリスを連れ去ったベクタを追うベルクーリ。そして長い死闘の末、ベルクーリは秘剣・裏斬を繰り出し、ついにベクタを討ち倒す。だが、深手を負っていたベルクーリもまた、アリスの胸の中で息絶えてしまう。アリスは彼の死に胸を痛めつつも、《果ての祭壇》へと向かうことを決意する。

#16 コード871
《ラース》の中の裏切り者は、柳井という研究員だった。かつて須郷伸幸の元で働いていた彼は《ラース》に潜入し、アメリカ国家安全保障局に情報を流していたのだった。柳井はキリト復活を試みる比嘉に銃を突きつけ、覚醒オペレーションを妨害しようとする。一方《アンダーワールド》では、《ソルス》シノンが、再ログインしたベクタことガブリエルと対峙していた……。

#17 悪魔の子
《ALO》増援軍による攻勢も息切れし、ついにアスナたちはヴァサゴと中国人・韓国人プレイヤー軍に敗北してしまう。廃人状態のキリトを見つけ出したヴァサゴは、車いすを蹴り倒して挑発するが、キリトの意識は戻らない。その状況に激怒したクラインはヴァサゴにつかみかかるが、敵プレイヤーに押さえつけられてしまう。クラインをせせら笑いながら《友切包丁》を振り下ろそうとするヴァサゴ。そのとき、思わぬ人物が現れる。

#18 記憶
かつてのキリトの仇敵だったエイジの善戦も虚しく、ヴァサゴに敗れる。《アンダーワールド》のはるか南では、シノンがガブリエルに重傷を負わせはしたものの、力尽きる。《アンダーワールド》中央部で死闘を繰り広げるリーファは、米国人プレイヤー軍を全滅させたあと倒れてしまう。そしてアスナは絶望的な状況下で、地面に横たわるキリトを見つめ……。誰もが彼に最後の望みを託す。しかし《黒の剣士》は、いまだ夢の中を彷徨い続けていた。

#19 覚醒
《アインクラッド》の悪夢から抜け出し、ついにキリトが意識を取り戻す。右手に《夜空の剣》、左手に折れた《青薔薇の剣》を握るキリトは、死者のリソースを吸収し巨大化した《友切包丁》を持つヴァサゴと対峙する。憎悪の心意を増幅させるヴァサゴの剣撃に、キリトはじりじりと押し込まれていく。そして《友切包丁》がキリトの身体を両断しようと迫ったそのとき、金色に輝く手が《夜空の剣》に添えられる。

#20 夜空の剣
アリスとともに、フラクトライトをイジェクトするためのコンソール《ワールド・エンド・オールター》--《果ての祭壇》へと向かうアスナ。キリトは2人がその場所へたどり着くまでの時間を稼ぐため、虚無と漆黒の化身となったガブリエルと対峙する。限界加速フェーズが始まるまでにガブリエルを倒し現実世界に戻らなければ、キリトはその後200年もの間を《アンダーワールド》で過ごすことになる。焦る気持ちを抑えながら、奇怪な姿へと変貌したガブリエルと剣を交える。

#21 時の彼方
ついに限界加速フェーズが始まった。アリスは《アンダーワールド》からのログアウトに成功する。しかし、キリトはガブリエルを倒したものの、ログアウトには間に合わず、《アンダーワールド》に取り残される。絶望するキリトの前に、自らの意思でここに残ることを選択したアスナが現れた。現実世界では比嘉と菊岡が緊急加速フェーズを解除するため、ケーブルダクト下層に赴きSTLをシャットダウンしようとするが……。

#22 アリス
アメリカ国家安全保障局が裏で糸を引く、《ラース襲撃事件》は終わりを告げた。新たに発足した海洋資源探査研究機構の代表に就任した凛子は、アリスを真正人工汎用知能として世間へ公表する。集まった記者たちの質問に答えていくアリス。そして、シノンやリーファたちはダイシーカフェでその映像を見ていたが、しかしそこにはキリトとアスナの姿はなかった……。

#23 ニューワールド
凛子から和人へ、アリスが失踪したと連絡が入る。焦る和人はラース六本木支部へと向かおうとするが、家を出ようとした矢先に玄関のインターホンが鳴る。慌ててドアを開けると、ひとつの大きな段ボールをもった配達員。段ボールの送り状には「海洋資源探査研究機構」と明朝体でタイプされ、宛先欄には和人の住所と氏名がぎこちない筆跡で記されていた。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

66.3 3 2020年度のドラゴンアニメランキング3位
八男って、それはないでしょう!(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★☆☆ 3.0 (413)
1501人が棚に入れました
――ある日の朝、目を覚ますと……平凡な若手商社マンである一宮信吾(25)は、僻地に領地を持つ貧乏貴族の八男ヴェンデリン(5)という存在意義さえ怪しい子供に憑依していた。信吾は、家門と領地継承もなく、内政無双の知識もないこの身と己に絶望するも、魔法の才能に恵まれたという一点を突破口に独立を目指す。この物語は、そんな若造が魔法で金を稼ぎ自由に生きる(もちろん世界なんて救わない)、当面は脱ボッチのお話である。

声優・キャラクター
榎木淳弥、西明日香、三村ゆうな、小松未可子、M・A・O、山根雅史、石上静香、ゆかな
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

観終わった

1話感想{netabare}
ん?末子が跡目争いで兄達を謀殺してく話…じゃないのか。
下手に目立つと兄達の面目潰しかねないので昼行灯を演じる…ってことでもない?
貧乏貴族で長男(予備で次男も?)以外は家を出るって、もう既に「八男」設定が死んでるような…まぁこれからか。
ってか兄達の振る舞いを見るに職業選択が制限されてもなさそうだし、主人公は何で不満げなのか分からない。
これが“盾の勇者”だったら想像してたゲームのお約束と違ったという一応の説明があったが、こっちは…あれ?
血縁主義?血統主義?正しい言葉が出てこないけど血筋を重んじる貴族(実際は結構いい加減とも聞くが)である一方、魔法の才能に血筋は関係ないんだそうな。
じゃあ主人公はこの2つの価値観の板挟みになってどうこう…って話なら面白そうだが、どうなんだろう?
最初の方、ハーレムみたいなの築いてたけど、どんなに子供をこさえても魔法が使えるとは限らないんだよね?
まいっか。

それよりも気になるのが…なんか雰囲気が“毛玉のゴンじろー”っぽい。
OPがデーモン閣下だから(ゴンじろーではEDを歌ってた)ってことも関係してると思うが、それだけじゃない気が。
スタッフも制作も全然違うのに、妙にキッズ向けっぽいというかナンというか。
後半のイノシシとか、実は悪い毛に汚染された毛ノシシなんじゃね?とさえ思えたり。
どーなんだろ?“高木さん”でキッズ臭さ抜きを習得したと思ったんだが、なんだかんだでカラーって出ちゃうもんなのかね?{/netabare}

7話までの感想{netabare}
突っ込みどころ多くて何から書いて良いやら…。
「主人公ヨイショがキモい」というのはこの際忘れるにしても、「主人公ヨイショするにしてももうちょい書き方あるんじゃない?」と思ったり。
例えば、エリーゼは竜が退治されるまで被害者の世話をしてたんだよね?
じゃあ聖女と呼ばれる働きっぷりを見せる回想シーンでも入れて、竜の被害の規模や犠牲者の無念とか映せば良いのに。
そうすりゃどれだけ感謝される行いをしたかも視聴者に実感が沸くじゃん?
治療魔法が追いつかず目の前で死んだ被害者を思い出して「あの方々も浮かばれます」とか、遺族から「家族の仇を討ってくれてありがとう」みたいなさ。
作中では「なんとなく成り行きで竜を倒した」ってだけですっごく軽い、これじゃ報酬もあぶく銭みたい。
多分「ボクまた何かしちゃいました?」を演出しようとしたんだと思うけど、な~んか「そうじゃないだろ」と思ってしまう。

「お前タダ者じゃないんだから振る舞いには気を配れ」みたいなことは師匠の師匠から言われてるし、それに気付いてく(成長してく)話なのかね?
だとしても、転生前は成人だったじゃーん?
なんかイマイチ意図が分からんのよね。
アニメスタッフも、原作見て「これのどこがウケたんだ?」というのを理解しないまま手探りでアニメ作っちゃったような感じ。
あくまで感じ、実際は知らん。{/netabare}

最終回までの感想(これだけ読めばいいかも){netabare}
これはこれは…上級者向けというかナンというか。
原作がどうあれアニメの監督や脚本がマトモならどうにかしようと知恵を絞るハズ、という前提で最後まで耐えて見てたのだけど…。
「耐えて」と書いた通りかなりアレな内容で、これを見た後だと耐えられずに途中で切った“防振り~”や“本好き~”が随分マシに思えて来る。
防振りは少なくとも主人公は楽しそうだったし本好きはこの世界の住人ではないと疑われる、これがあるだけ全然マシじゃん、と。
つまりは“八男”はそれらが無い。

誰も転生者を疑わないので師匠すら馬鹿にしか見えない。
そしてとにかく辛かったのが主人公に意思が無い。
いや、意思はあるか、あるのだけど心の中でツッコミを入れるだけで態度に表さない、主張しない。
一番酷かったのは政略結婚を迫られ、心の中では「恋愛結婚じゃないのか」と突っ込んでおきながらこれといって難色を示すことなく言われるがまま婚約を結ぶ。
全部が全部そんな感じで周囲に無関心、ただ流されるだけ周囲にお膳立てしてもらうだけ、それでいて一人前に心の中では突っ込みを入れるので心証が悪い。
せめて心の中で折り合いをつける葛藤とかでもありゃいいのだが、それも無い。
人形というか屍というか、生きてるのがつまらなそうで、死ぬのが面倒臭いから生きてるだけで作中出てくる「語り死人」とは主人公のことなのでは?とさえ思えてきたり。
同期放送の他作品、記憶を失い感情を無くして、それでも何か芯のある“プリコネ”のユウキと対極だなぁ、こっちはコレで健常者だぞ、と。

例外的に自発的な行動はあるにはあるが、それは味噌や海苔、マグロ等の食べ物に関してなだけで、味噌開発などが失敗しても被害らしい被害が出るものでもない、責任を取るまでもない軽微なモノ。
でもってそんな食べ物関連がストーリーに絡むことも、ほぼ無い。
辛うじて海苔がキャラ弁に繋がったくらい?

いっそのこと主人公は画面に一切映さず、「そういうヤツが居る」って体で周囲の人間が右往左往する話にした方がよっぽど面白かったのでは?
と思うくらいの出来だったのだけど、ここまではあくまで10話までの話。
11話からは流れが変わります。

11話で遂に、主人公が自発的に、自分の意思で、行動を起こす

遅ぇw
けどこれ、渡された原作をどうにかマトモに見れるモノにしようとしたアニメスタッフの苦労の結果なのでは?と思ったりしてしまうのだけど、どうなんだろう。
11話は決意をして最終回の12話でその結果どうなったかが描かれ、上記の突っ込んだポイントを主人公が反省する内容になってました。
笑ったのが12話でカタリーナ(婚約者)に「俺のことどう思う?」と尋ね、「近くに居るのに、遠くに居るよう」と答えられた時。
もうこっちとしては「そうそうソレソレ、全部他人事www」と指指してゲラゲラ笑っちゃうちゃうレベル、そういう意味ではそこまでに当てはまる出来事がよ~く描写されてた、むしろ描写しすぎ。
また、12話の王とのやりとりも、アームストロングはじめ「主人公の意思で予め味方の貴族と根回ししてた」ってことなんだけど、それ以前が余りにも周囲が都合よくお膳立てしてくれるシーンが多かったため、その流れのままで解釈しそうになる。
意地悪な言い方しちゃえば10話までの酷い内容はスタッフも分かっててやってたんですよ意図的だったんですよと、そういった言い訳みたいなものに見えなくもない。
10話までのフラストレーションがあったから11話以降にカタルシスを得られただけ(不良が捨て猫に餌やる程度)かも知れないし、フラストレーションパートがアレすぎて、ちょっと上級者向けな気が…。


と、以上が主人公について。
11話からはソコソコ見れた内容だったが、そこに至る10話までは話も演出も酷い。
ストーリー自体、主人公が何をしたいのか分からないのでパっとしないのは当然だけど、パっとしないものをパっとしないまま見せられる。
「巻き込まれ型」とも何か違うんだよね。
3話で舞台が冒険者学校へ移るのだけど、主人公は既に魔法が凄いと周囲に認められちゃってて。
あれ?それ知られるとヤバいから実家住まい時代は隠してたワケで、上京してからバレるまでのイキサツはひとつの見所だと思うのだが…カット?
主人公にとっては興味のない部分だから見せる必要が無かったってこと?だったら10話まで全部カットになるような…。
仲間が増えるのもあくまで「なんとなく」、言い寄る奴らは人柄ではなく力が目当てで、中身空っぽの主人公に対し「きっとヴェンデリンは私のことを○○と思ってるに違いない、○○すれば気に入られるハズ」と疑心暗鬼というか、自分自身の価値観を当てはめて想像・対処するだけの一人芝居を見せられる、何度も。
また8話では、ようやく正式の冒険者となったところで王から書状が来るのだけど、書面には「王国強制依頼」と書かれてて…これどういうこと?
画面には一部しか映ってないけど本文には「○○想定ニヨリ、下記ノ依頼ヲ命ズル」とも書いてある。
「強制」なのか「依頼」なのか、「依頼」なのか「命令」なのか分からない。
王からの命令なんだから「勅」や「上」や「下」って漢字一文字の方がインパクトありそうなものだが…歴史とかよく知らんのだけど、そういう表現ってあったりするもんなのかね?(「自粛要請って言ってるけど命令だよね?」みたいな)
もしくは「冒険者」と「貴族」を両立させてる相手に対してだからこんな表現になったのか?
でもって冒険を達成して多額の報酬や地位を手に入れても冒険者を続けるつもりで、単に他にやることが無かっただけにしか見えない。
報酬額に関しては、本来軍隊がやる規模のものを少数の冒険者で成し遂げたため軍事費(国家予算)レベルの報酬が個人に支払われることになった、と納得できなくはないが、だったら軍と冒険者って何が違うのかもうちょい見せて欲しかった。
そしてヴィルマは…登場する意味あった?何か活躍するシーンってあったっけ?
しかも「食いしん坊キャラ」で、ここでも“プリコネ”と被って「うわぁ」、実際は“超人高校生”の銭勘定大好き幼女奴隷と被る(つまり要らない)。


ってことで総評。
11話まで耐えればそこそこ楽しめるかも知れないけど、とても人にそこまで勧める気は起きない。
物凄く好意的に言えば、「冒険者にさえなれば貴族のしがらみから抜け出せる」を信条に、日本食のみを心の拠所として個人の主義主張を徹底的に抑え、周囲に流されるままやり過ごそうとしたが、実際に冒険者になっても結局貴族のしがらみからは抜け出せないことを思い知らされ一念発起する、という話を目指したのかなぁ?
ただ一念発起するまでの描写がやっぱりどうにも…空虚で抜け殻のような、それでいて心の中では突っ込みを入れる、色盲でもないのに世界が灰色に見えてそうな息をするのも面倒臭そうな主人公とか見ても、ねぇ?
恥ずかしながら私は11話からは「遂に、遂に主人公が立ち上がったぞ!」と結構好きだったりするんだけど、そこまでが辛すぎる。
なんというか、凡庸な異世界転生モノとはちょっと違う部分を出そうとした意思は感じるんだよね。
だけどそのために必要なお約束まで省いちゃったような…。
できれば10話までの「人間未満時代」のツケはもっとデカいものにして欲しかった。
それと貴族だ八男だって要素はそこまで意味のあるものではなかった気がする。
「魔法の才能は遺伝しない(個人主義)」と「親族主義の貴族」がいま一つ噛み合わなかったような?
11話以降の内容から10話までの空虚感はスタッフが意図したものだと解釈してるけど、じゃあなんであそこまで空虚にしたのか真意を探る・考察すると面白いのかも知れない、私はお断りします。
あ、それと主人公がため息をする回数をカウントすると面白いかもしれない、私はお断りします。


余談
アニメ本編がアレだったことの原因として挙がる「OPに予算かけすぎた」って説。
え?逆の可能性は?
「デーモン閣下を使うことを条件にレコ社から出資してもらった」ってことは?
まぁ違うかも知れんけど。
要は予算を出すのと使うのは曖昧な関係で外部から分かるものではない。
他の作品では深夜アニメに対して視聴率を気にしてる人なんかも居て…あのぅ、それ無いから。
どこからそんな発想が飛び出してくるのか私にはちょっと分からない。
あくまで“かぐや様~”の鈴木雅之の様に、「よくアーティスト本人が了承したな」って所が注目ポイントだと思うのだけど、デーモン閣下に於いては“けだまのゴンジロー”やってるし“sin七つの大罪”もそうだし(テラフォーマーズリベンジは知らんかった)、もっと昔なら“MAZE爆熱時空”だったり“うろつき童子”だったりあるワケで、そこまで驚くようなことでもない…ような?{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

憎みきれない好敵手(いせかいてんせい)〈~八男である意味がわからないって、それはないでしょう!~追記あり〉

2020年春アニメ。
原作未読。ウェブ小説原作であること以外事前情報は無しで見始めました。
※レビュータイトルは少々マイナーな90年代ラノベの副題からで、異世界転生物が自分にとって鬼門気味だからぴったりだなと(笑)

【第1話感想】
とりあえず無難な滑り出しでしたね。
{netabare}
アバンで女の子達に囲まれた15歳の姿を見せるのは妥当かと。第1話では子ども時代をある程度は描きたかったのでしょうね。5歳のヴェンデリンが可愛らしいのが良かったです。お兄ちゃんの「怠けていると苦労するよ」って台詞も結構好き。
転生前の一宮信吾がまめまめしくて印象悪くないのは意外だったかな。これで魔法の修業もきちんと描いてくれると嬉しいけど、はしょられるかなw残念だけど。
ハーレムは苦手なので、メインヒロインが婚約者らしいのは期待しています。{/netabare}


【EDの話】
ED良かったです。余韻も楽しめる曲ですし、歌唱の華やかさも引き立っていました。
{netabare}
…OPの奇跡のコラボに隠れがちだけどEDも奇跡のコラボなんですよw
ウェブニュースでこのコラボ知ったときは、方向性も年齢も違いすぎるAKINOさんと新居昭乃がどうなるかと…w
聞く側を圧倒するAKINOさんをメインボーカル、コラボ経験の多い新居昭乃をリードボーカルという感じで合わせているのが上手いです。明らかにこの二人の個性を生かす曲を作ってる。プロデューサーの功績ですね。
個人的には、新居昭乃を久しぶりにアニメで聞けて感謝しかない。しかもこういう華やかな曲を提供されるのは珍しいんですよ。

以下、新居昭乃のことを何となく書いとくよ。
長いので暇つぶしにでも。(以下、恐れ入りますが敬称略。)

新居昭乃はデビュー30余年となる女性歌手。歌唱もコーラスも作詞・作曲・少数ですが編曲も自身のグッズなどのデザインやイラストレーションもする、独特なクリエイターであります。(ちなみにタッグ組んでる編曲家・保刈久明はやなぎなぎ「未明の君と薄明の魔法」(『色づく世界の明日から』ED)が記憶に新しいですね。)
ソロでアニメのOPやEDを作って歌うのはもちろん、90年代には菅野よう子の曲を歌っていたり、ZABADAKや谷山浩子とコラボしていたり、手嶌葵や三重野瞳や悠木碧に楽曲提供していたり、どこかにコーラス参加していたり。
一部の人々を独特の世界に引きずり込み、コアなファン層を作り上げています。
もうお分かりだと思いますが、ファンです。20年来のw



これまで新居昭乃が担当した主なアニソンはこんな感じ。
「星の木馬」…『地球防衛企業ダイ・ガード』ED
「覚醒都市」…『東京アンダーグラウンド』ED
「ユメミル雨」…『ハンドシェイカー』ED
「キミへ ムカウ ヒカリ」…『ゼーガペイン』OP
「金の波 千の波」…『ARIA The ORIGINATION』ED
「Unknown Vision」…『まおゆう 魔王勇者』ED
「花数え」…『魔法使いの嫁』挿入歌
他にもあるので、それなりにアニメを見る人ならどこかで出会っているかも。私は見れてない作品も多くて恐縮ですが…

数は少ないですが編曲もしてます。
『ガサラキ』ED「LOVE SONG」(歌唱・作詞/種とも子)は作曲・編曲が新居昭乃。
映画『西の魔女が死んだ』ED「虹」(歌唱/手嶌葵 詞曲/新居昭乃 編曲/保刈久明)のセルフカバーでは自身の声に合わせて編曲しなおしていたり。なので、新居昭乃版「虹」は珍しく歌唱・作詞・作曲・編曲全てを本人が行っています。

興味があれば何か聞いてみてください。最新のミニアルバム「ツバメ」は新居昭乃らしさとキャッチーさのバランスが良いのでおすすめです。{/netabare}
(2020.4.8)

【最終話まで視聴感想】
出来が良いとは言いにくいけど、個人的には「憎めない作品」でした…って、それはないでしょう!
{netabare}
色々と端折ってるんだろうなとか、側室に立候補する女性パーティーメンバー(しかもヴェルは承諾しちゃうし)ってどうなんだろう?とか、最後に参入したよく食べる女の子は見せ場があまり無くて勿体なかったとか、それなりに引っ掛かりはあったものの無事完走。

とりあえずアニメではヒロインがエリーゼ一強だったので良かったです。2期があるかはわからないけど前提として貴族の社会制度があるわけだし、他の女子は恋愛感情を見せてないし今は細かいことは気にしないでおこう(笑)。

全体的に人情噺としては悪くなかったかと。亡くなった師・アルフレッドの存在がヴェルを支え、エルヴィンにワンエピソードと見せ場があり、賑やかしかと思っていたローデリヒに役割が用意されていたことなど、好印象を残した点がいくつかありました。

私が意外と楽しかったのは主人公が料理上手で、前世から持ち込んだ知識が料理のことしかなく、それが周りの人達を喜ばせることにしか使われていない所(笑)。原作だともう少し色々あるのかも知れませんが、少なくともアニメでは前世の知識が大きなアドバンテージとしては描かれていないのが落ち着いて見られた理由だったと思います。
単純にわいわい食事を囲むシーンを見るのが好きなのに加え、新しい世界での食事シーンを繰り返し描いて、主人公の置かれた環境の変化を見せてくれたのは良かったと思う。

ヴェルは前世のモラルや感覚に振り回されて、兄との直接対決に至るまで新しい生を歩むことに積極的になれずにいました。
貴族という強い立場と足枷を背負って血生臭い肉親との争いを経験して、最後にこの世界で生きる覚悟を決める物語だと考えれば、私はこの作品悪くないと思います。

兄嫁の様子から最後に一波乱あるのかな?と思っていましたが、二人の甥に貴族としての生を保証することでヴェルは彼女との衝突を回避します。この甘さが後々大きな問題になる可能性はありますが、ヴェルが肉親の情を捨てれば兄嫁もまた同じ選択をしたでしょう。兄のせいで疲弊した領地・領民の現状を考えれば必ずしも悪い采配ではなかったと思います。それにヴェルが意図していなかったとしても、彼女を敵に回さないことは足場が固まっていない状況では結構大切じゃないですかね。
何より、子を守ろうとする母は追い詰めると怖いから…。

今季の大変な状況で最後まで予定通りに見られて良かったと思います。最初に感じていたよりも色々考えさせてくれる作品でした。{/netabare}
(2020.7.12)


【八男である意味がわからないって、それはないでしょう!】
結構皆さん疑問に思ってるんですね、八男である意味…。
色々と感想漁ったりして「『八男(=貴族)って、それはないでしょう!』ということだと思う」というような感想があり、ああその通りだなと。
転生当初は貴族に期待したものの自分は跡取りになれない八男で、しかしだからこそ約束されていた冒険者としての自由は、結局貴族の末っ子であることにより失われていく。
それがこの作品の骨子なのだと思います。

個人的に考えたことなど置いておきます。
{netabare}
まず、転生した時点でヴェルは貴族なら良い暮らしができるかも!と期待してますが、食事シーンに見られるように実家は貧しく、貴族の現実を見せつけられます。その時にヴェルは家督を継げないことや見栄を張って暮らさなければならないことを知り、貴族でいるよりも魔法使いとして身を立てることを選びます。
独立したときに日々の食い扶持を稼ぐ技能を身につけておきたいという考え方は、転生前に社会人であったことも影響していますし、家を出る兄に「遊んでいると後で苦労するよ」と言われたことも理由です。野山を駆け回るときの方がヴェルは生き生きしていましたから、家を出る頃には貴族に嫌気が差してもいたのではないでしょうか。
王都に出てからも、王命には逆らえずしがらみも多く、兄弟の結婚式に実家から祝いの品も届かない、そもそもそんな見栄を張らなければならないことにヴェルはうんざりしていました。
それでも、転生前からのサラリーマン気質が抜けないヴェルは波風を立てるようなことはできません。

パーティーを組む時も身分に関わらず「面白そうな子たちだから」という理由でメンバーを選び、パーティーメンバーもヴェルの能力や肩書よりも人柄を見ていこう、と反省している。競技大会でのエルヴィンのエピソードからしても、本当はヴェルは彼らを仲間・友人と思って付き合いたいんですね。なのに結局爵位を与えられて仲間を部下や未来の側室として受け入れることになる(まあ側室の件はヴェルも男の子なんだなあと生ぬるい笑いがこみ上げてきましたけどw)。前世でのサラリーマン気質のためか、本人が優柔不断なためか、貴族の不自由さばかり募っていく。ヴェルの性格からして、楽しく安定した生活が送れれば命懸けの仕事はあまりやりたくはないでしょうし。

極めつけが兄との家督争い。本人は家督を継ぐつもりなど全く無いのに、上からお膳立てされ下からも突き上げられ、外堀ばかり埋められていく。下手に抵抗して自分が処罰されるような事態になれば、自分の仲間達も危険にさらしかねない。
クルトが何故ヴェルに敵愾心を燃やしたのか不明なので私は同情的にはなれないのですが、あれほど領地・領民を蔑ろにしていては国としては他の当主を立てざるを得ないと思います。二人の息子がもう少し成長していれば、長男が継ぐことになったかもしれませんが…。

結果、ヴェルは領民のために家督を継ぐ覚悟を決めますが、それでも出来る限りクルトとその妻子を守ろうとします。一家皆殺しになりかねない貴族の慣例に対して抵抗を試みるわけです。ヴェルにとっては彼らは疎遠になっても肉親なのですから。
ヴェルは一貫して前世の感性…優柔不断さと情が捨てられず、貴族社会に翻弄されているんですね。

結局兄を死なせたヴェルにとっての最後の抵抗が、兄嫁と二人の甥を守ることだったのだと思います。
周りの人達に臭い芝居をしてもらい王に具申して二人分の貴族の任命権を奪い取ったのは、甥二人が成人した暁に貴族に奉じるためです。それは兄嫁が「息子達が貴族として生きていけるなら自分は何でもする」という内容のことを言ったからです。そうでなければ兄嫁は肉親の情を捨て、ヴェルを害してでも二人の息子を守らなければならなくなる。
命が助かっても母子三人で平民として生きていくのはかなり大変な世界だと思いますし、ヴェルが守ってくれなければ住み慣れた土地では恨みを買って酷い仕打ちを受ける可能性もありますからね。貴族であることは酷いしがらみでもありますが、少なくとも私刑からは守ってくれるでしょう。

八男だから面倒くさい貴族をやめて好きなように生きられる!と思っていたのに、結局貴族として生きて行かざるを得なくなる。ヴェルがその覚悟を得るまでの物語だったのだと私は思っています。{/netabare}
(2020.7.23)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

貴族社会の悲哀をアニメで垣間見れる作品

原作小説は、既刊19巻(2020年3月現在)の内6巻まで既読。
この手の異世界転生のなろう系の作品は、沢山ありすぎて食傷気味な今日この頃ではあるものの、
魅力があるキャラが比較的多く、割と好きな作品のひとつ。

お話は、もうお約束と言っていい。
この手の話に飽き飽きしてる視聴者の1話切りも多いだろう。

個人的に主人公に対し残念に思うのは、同ジャンルの
「転スラ」リムルの、ゼロから国を興すカリスマ創建者としての魅力や
「デスマ」サトゥーの暗躍系最強主人公の魅力には及ばない所か。

本作の主人公は、
類まれなる魔法の才能(ギフト)に恵まれ、
貴族社会に取り込まれ成り上がっていく。
冒険者として自由に生きたいという願望はあるものの
結局、貴族社会の枷から逃れられないのは悲哀とも愛嬌ともいえる。
根っこが商社マンなので、環境への適応力が高いのだ。
そんなサラリーマン的世知辛さ(1話でのアバンタイトルでその片鱗が出ていた。)が漂う作品なので
英雄譚と呼ぶのは憚れる。末子成功譚が適切だろう。

レビュー書きたくなったのは1話を観てアニメの構成に興味が湧いたから。
アニメは全12話しかない中で、原作の忠実な流れを潔く放棄し、アニオリな展開も躊躇せず
最終話に向けて起承転結のある流れに再構成している。

本作は、小説、コミック、アニメそれぞれが独自の流れで話が進むよう。
それぞれの味を楽しむのも一興だと思う。
キャラデザ、OP&EDも好 みでアニメ本作は最後まで完走したい。

<今作の異世界舞台設定>
{netabare}
リンガイア大陸の二大大国の一つ人口約5000万人のヘルムート王国が主人公の国籍。
大国のもう一つは、仮想敵国のヘルムート神聖帝国。
両国は、ここ200年戦争がない平和な状況。

ドイツ語読みの固有名詞が圧倒的に多いのに文字はなぜか日本語。
しかも一部英単語も交じり、ローマ字表記も存在するなど、ご都合主義全開。

人類の天敵の魔物、竜などは存在するが
エルフやドワーフと言ったファンタジーお約束の種族はいない。
社会構造は中世ヨーロッパの封建貴族世界に近い設定。

魔法は存在するものの、それなりに使える魔法使いは5000万人中多くて5万人くらいで
その中でも国家戦略級の上級魔術師は超貴重。
さらに魔法の遺伝性もないので魔法使いの家系など存在しないそうな。
{/netabare}

★第1話「八男って、それはないでしょう!」
{netabare}
初回は原作知らずとも非常にわかりやすく構成されていたと思う。

アニメのアバンでサブ&本タイトル早々に回収。
また初回のアバン冒頭は、小説1巻から5巻の半ばから3分の2までの話をアニメで描きますよ
と予告しているようなもの。

原作では普通にベッドで寝て、目が覚めたら異世界の別人のベッドに寝ていたという流れを、
夜遅くの会社からの帰宅後の食事準備中に居眠りしたら、
長男の結婚披露パーティーの食事中に覚醒に変更。
これは、転生状況を「本好きの下剋上」と被らせない工夫としても有効だった。

さらにアニメ独自に、転生前の豚バラ自炊飯、
転生後のパーティ限定貴族メシと日常の貧乏ゆえの粗末メシを
対比させ主人公の環境変化と置かれた状況を演出。
プラス、兄弟紹介と主人公の状況を短時間で説明するための構成。
このダイジェスト化は、視覚重視のアニメではとても意義があったと思う。

多くの兄弟の存在は、封建的な貴族社会の環境で成り上がっていく話の上ではとても重要だ。
子孫繁栄のため、一夫多妻が貴族では常識の世界。
一夫一婦制の日本の現代常識とは倫理観が根本的に違う。

主人公の父親(45)は、下級貴族で正妻と妾の二人の間に10人の子供がいる。
側室がいないのは、人口800人程度の農業主体の辺境領地では経済力が乏しいから。
以下、()は主人公がヴェンデリンとして覚醒時の年齢

正妻(44)の子
長男(25)、次男(23)、三男(19)、四男(17)、五男(16)、八男(5)(主人公)
妾の(31)子
六男(14)、七男(13)、長女(11)、次女(10)

愛人がいてもそれは周知事項。
妻公認であり、後ろめたいことはない。
以上の内、貴族社会で生きていけるのは、正妻の子6名のみ。
愛人の実家は地元名主ではあるが貴族ではないのでその子たち4名は、
貴族と同じ土俵には立てないし、ヴェルと一緒に生活することもありえない。

以上を台詞と登場キャラで初回の内に
視聴者になんとなく理解させようという工夫があった。
そして尺の残りで、師匠との出会いまで描く。

原作既読者にとっては、声優の配役(ベテラン声優の配置)や
公式HPで登場予定のキャラ表をチェックすれば
アニメでは全12話で何をメインイベントに置くのかは明白だろう。

今回は、ダイジェストではあってもアニメ独自の構成が光り、
導入として良好な回だった。
次回も原作の素材をどう料理するのか楽しみになった。
{/netabare}
★ 第2話「お家騒動って、それはないでしょう!」
{netabare}
どうやらアニメのサブタイトルは「○○○って、それはないでしょう!」で統一されそう。

才能は偉大なる先達に導かれてこそ花開く。
主人公ヴェルにとってわずか2週間とは言え、師匠との修業の日々は一生を決めるものとなった。

原作では、ヴェルは師匠から卒業した後、
12歳で冒険者予備校に入学するため家から旅立つまで
家族は完全放任、アニメのように長男から監視される描写もない。
毎朝食事もそこそこに、書庫で読書、読み書きや計算の勉強。
さもなくば、遠出して人里離れた領地内での魔法の独学の鍛錬。

その成果として、狩りの獲物や採集した食料などを家族に提供。
家の仕事をほとんど手伝わずに済んだのはそんな事情もあった。

師匠に出会うのはそんな鍛錬時で、その時彼は中級魔法も使えるほどに。
師匠との2週間の修業後は、一人黙々と
5歳から12歳になるまでの長きに渡り師匠の教えをベースに
魔法の技を発展応用開発。
攻撃魔法以外にも飛翔、瞬間移動、精製、熟成など様々な魔法の技を磨く。

そのかいあって通常は山越えで片道一か月位以上かかる
人口約20万人の大商業都市ブライヒブルグを
瞬間移動で一瞬で往復できるほどになる。

そして人知れず都市で魔法で採集した素材、狩りの獲物などで商売したりと逞しい日々だった。

以上、今回まるまるカット。
尺の都合とは言えそこはちょっとでも描いたほうがいい。

今後、そんな修業プロセスが見えないと視聴者は、
ヴェルのあまりの成長が唐突過ぎて
話に付いていけなくなるかもしれないからだ。
そこら辺を次回以降どうフォローするんだろうか?

また、師匠から物質的に相続されたもの(今後必要になるものも含まれる)は
アニメ今回ではスルーされた。
別れをドラマティックに、そして生臭いものにしないために必要な演出だとは思うのだが、
次回以降そこらへんどう扱うのか?そんなところも興味深い。

話のテンポはとてもいい。
{/netabare}
★ 第3話「ボッチって、それはないでしょう!」
{netabare}
ボッチだったヴェルに冒険者パーティの仲間が出来る。

辺境のバウマイスター家にとって寄親(保護者)のブライヒレーダー辺境伯家に目を付けられたヴェル。
早速、貴族社会の柵に絡めとられる。

<キャラが原作から微妙にずれてきた>

今回は特に、パーティ結成の流れが原作と大幅に違う。

【原作小説】
ヴェルとエルは入学早々既に気の合う友人に。攻撃の連携も相性がいい。
→二人で組んだ狩りの最中に偶然ルイーゼとイーナを大量の狼から救出
→ルイーゼとイーナはそこで初めてヴェルたちを意識
→皆で食事したりと、四人の交遊が始まる。
→ルイーゼが、ヴェルとエルに無断でちゃっかりパーティ申請書提出
→学校側は4人の実力バランスが良好だと認め申請は問題なく受理される
→ヴェルとエルは「二人とも悪い奴じゃなさそうだし、様子見と言うことでいいか」と事後承諾

【アニメ】
ヴェルは入学後、友達作ろうにも不器用に空回りでボッチのままを気にする。
→エル、ルイーゼ、イーナは既に交友関係があり学内でヴェルに目を付ける
→ヴェルをパーティに組み込むことを目論む
→ヴェルに認めてもらうための狩りの最中、エル、ルイーゼ、イーナは大量の狼に襲われる
→偶然その危機を察知したヴェルは、当然助けに赴くが、友達作りの下心もあった。
→なぜかヴェルからパーティ結成を申し出る

以上、前回からの流れからは無難な改変とは思えるものの
アニメでの弱気なヴェルにどうもしっくりこなかった。

自己紹介で失敗とか、ヴェル特製の山椒を学友に勧めるとか、
アニオリ描写も気に入らない。

原作でのヴェルはボッチであることの自虐感を醸しつつもそこは中身が大人。
ボッチ上等的に達観。淡泊で飄々としていた。

原作では前世の商社マンのセンスで出稼ぎ商売も良好。
相当な蓄財も出来るくらいの駆け引き上手なヴェル。
マイペースで強かな逞しさの魅力があったがアニメではそれが無くなった。

今までの地道な修業プロセスを描かなったこともあり、
シャイな優等生キャラに見えてしまった。
中の人の声質が草食系なのも一因か。

さらにエル、ルイーゼ、イーナの実力の横並び感が増し
ヴェルも認めるエルの剣士や弓士としての実力描写もなく
三人一様に原作より実力が下方修正されてしまった感があった。

元から真面目キャラのイーナはまだいいとしても、
ルイーゼのマイペースで強かな個性までも薄まってつまらなくなってしまった。
原作のルイーゼは、ヴェルを初対面でいきなりヴェル君と愛称で呼ぶような図々しさがあったのに...

今回で物語3.5→3.0、キャラ3.5→3.0に下方修正。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

76.4 4 2020年度のドラゴンアニメランキング4位
プリンセスコネクト!Re:Dive(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (400)
1342人が棚に入れました
穏やかな風が吹き抜ける美しき大地・アストライア大陸。その一角で記憶を失った少年・ユウキは目を覚ます。彼を世話する小さなガイド役・コッコロ。いつも腹ペコな美少女剣士・ペコリーヌ。ちょっとクールなネコ耳魔法少女のキャル。運命に導かれるまま、彼らが立ち上げたギルドの名は「美食殿」。今、ユウキと彼女たちの冒険の幕が開けるーー

声優・キャラクター
M・A・O、伊藤美来、立花理香、阿部敦、高橋李依、沢城みゆき、洲崎綾、日高里菜、諸星すみれ、小倉唯
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

スパイスが効いたオムライスみたいなアニメ(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
レビューでは、本作にちなんで料理に例えて書いていきます(笑)

ソシャゲ原作アニメ。原作というより、メディアミックスなのかな。

「このすば」の監督だけあり、可愛い子がなんかアホみたいにワチャワチャしている雰囲気は非常に楽しいです。

また、ソシャゲ原作だけあり、「金かかってんな~」と感じる部分もあり、非常にレベルの高い作品に仕上がっています。

ちなみに、私はリアルタイムではなく後追い視聴でした。その理由は、タイトルだけみて、「プリンセスコネクトというアニメの2期」と勘違いしたからです(笑)

私は、1期を観ずに2期を観始めることはほぼないので、意図的にスルーしましたが、あにこれのレビューから、勘違いに気付きました(笑) まあ、「プリンセスコネクト」というゲームの続編アニメ、ということで、当たらずも遠からずだったわけだけれども。

ということで、私のように勘違いしている人(いやいやいないってw)、安心してください、1期ですよ(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ギャグや会話のセンスは原作由来だから、「このすば」程ではない。でも、作品の織り成す雰囲気・空気感やテンポなどは監督の力なんだなと思った(つまり良かったということ)。

基本はとてもライトで楽しい作風。日常回が良い。美食殿的にイメージするなら、男なら女の子に作ってほしい料理の代表格、オムライスみたいなアニメ。

そこに、キャルという「裏切りのスパイス」が効く。

ペコリーヌの明るさはケチャップかな。ただ、「忘れられた王女」という「深みのあるケチャップ」。

コッコロの優しさは、もちろん「ふわふわ卵」。視聴者を癒してくれた。

これらが、あまり味のしない「白米」である主人公を「おいしくしている」。それが、このアニメかな(ちょっと無理矢理かもw)。

「このすば」と違い、主人公(ていうかキャラ全員w)がゲスくない時点で、コメディ全振りではなく、王道ファンタジーの要素を組み込んだのは良かったと思う。ふざけた感じで油断させといて、バトルはガチで格好良く仕上げる緩急の付け方は、「このすば」の監督だよな~と思った。

また、作品を彩るOP「Lost Princess」は、個人的には2020年で1番好きなアニソンになった。イントロからすでに、「ゲキテイじゃん」となったが、調べたら、サクラ大戦を手掛けた田中公平さんが「ゲキテイっぽい曲で」というオーダーを受けて制作したとのことで、納得した。私がサクラ大戦好きというのもあるが、可愛さと格好良さが同居した、ワクワクする楽曲になっていると思う。テンポを落としてバラード風にアレンジしてもちゃんと素敵だしね。流石だと思いました。

これから「本当の2期」を観るので、楽しみです(笑)
{/netabare}

【余談 ~プリコネをイメージしたスパイシーオムライスレシピを考えてみたw~ 】
{netabare}
わりと料理好きなんでちょっと考えてみました(笑)

レビューでも書きましたが、

白米(ユウキ)、ケチャップ(ペコリーヌ)、黒胡椒(キャル)、卵(コッコロ)のイメージですね。

材料
ご飯・卵・ベーコン・玉ねぎ・ピーマン・マッシュルーム・クミン・カルダモン・黒胡椒・チリソース・ケチャップ・コンソメ・生クリーム・有塩バター

下ごしらえ
ご飯は少し固めに炊きましょう。べちゃべちゃライスは全部を台無しにします。アニメだって、ユウキが女の子とイチャイチャしてたら台無しだったでしょ?(笑)

また、全ての材料をあらかじめ一口サイズに切っておくと楽です。

作り方
①ベーコンを炒めて油を出し、玉ねぎのみじん切りを炒めて、ピーマン、マッシュルームを加える。
(ベーコンはわりと燻製強めな方が個人的には好みです。野菜はお好みで良いと思います)

※よりプリコネ感を出したい人は、イナゴの佃煮でもみじん切りにして入れて下さい。責任はもちませんw

②ケチャップ・クミンパウダー・カルダモンパウダー・コンソメを入れ、やや水分を飛ばす。
(ご飯を入れる前にケチャップに火を通すと、酸味がやや飛び、味に深みが出ます。ペコリーヌは、深みがあるケチャップのイメージなのでw)。

③ご飯を入れ、炒める。最後に、ユルい作品に刺激を与え続けたキャルをイメージして、黒胡椒で味を引き締め、別皿に盛っておく。
(スパイス類で一番よく使う胡椒ですが、これだけは挽きたてに勝てませんので、ミル付きがオススメです)

④卵に生クリームを入れ、空気を含ませるようによく混ぜます(コッコロの優しさを出すなら、やはり生クリームとバターは使いたいですね)。

※よりプリコネ感を出したければ、ハチノコでも裏ごしして入れて下さい。クリーミーになるかもしれませんが、責任は取りませんw

⑤有塩バターを入れたフライパンで卵を焼きます。卵はケチらず、たっぷり使いましょう。スクランブルエッグみたいにしてかけても良いですし、別皿に入れといたチキンライスを戻して包んでも良いです。
(オムレツを作って乗せたい場合は、スクランブルエッグを1度ラップにあげ、包んで成形したあとフライパンで焼き直すと誰でも綺麗に作れます)

⑥最後にケチャップとチリソースを混ぜたものをかけて終了です。辛いのが苦手なら、ケチャップだけかけても良いと思います。ちなみに、私はハインツのケチャップを愛用しています。(スパイシー路線でいくなら、カレーピラフ作って、デミグラスソースかけても旨そうかなと思いましたが、プリコネの可愛い感じではなく、ちょっと大人になりすぎる気がしたので、見た目でも可愛いケチャップ系で考えてみましたw)

一応、昨日作って食べてみましたが、なかなか旨かったです。ヒマな人は作ってみて下さい(笑)
{/netabare}



【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ゲーム系? このすばみたいだな。すげぇ初期からの設定。最弱だな、本当に。作画はちゃんとしてるな。

2話目 ☆4
いや~、本当にサクラ大戦だな(笑)

3話目 ☆4
なんかワチャワチャしてて楽しいかな。

4話目 ☆4


5話目 ☆3


6話目 ☆4


7話目 ☆3


8話目 ☆4


9話目 ☆3


10話目 ☆4
プリン昇天(笑)

11話目 ☆4
頭突き(笑) バトルシーンはちゃんと格好良いんだよな(笑)

12話目 ☆5
佳境に向けての盛り上がりが素晴らしい。



{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「どう見せるか」がこの作品の魅力

『神撃のバハムート』『ウマ娘プリティーダービー』『ゾンビランドサガ』
 これらは Cygames が運営しているアプリゲームのアニメ化作品で、私がちゃんと全部見た3作品。
 そして、今回『プリンセスコネクト!Re:Dive』で4作品目になる。実際には Cygames からはほかにもいくつかアニメ化しているのだけれど、どれもちょっとみてやめてしまう。
 バハムートとゾンビランドサガは MAPPA ウマ娘は P.A.WORKS そして、このプリコネは CygamesPictures が製作を行っている。名前を読んで分かる通り、Cygames の子会社で2016年に設立されている。

 この Cygames の作品群はどれもクオリティーがグンバツに良く資金力があるのかなんなのか知らないけれど、映画並みのクオリティーに仕上げてくる。
 でも、その中でも見なかった作品もあってじゃあ、どう違うのよって話をしたいと思ったから今回はつまらない前置きからのスタートをしてみた。

 アプリゲームに限らず、原作のある作品をアニメ化するにあたり、一番のポイントはどもまでアニメ化するかである。
 どこまでかを決めたら、じゃあ12話だか24話だか分からないけれど、どこに山や谷を作っていくか決める。その次に、原作の内容に合わせて各話にどのエピソードを入れていくのかを考えていく、これがシリーズ構成ってやつ(たぶん)。
 つまり逆算してどの話を入れてどのキャラクターを登場させて、どうやって見せていくのかを考えていくんだと思われる。
 それが上手くいっていると、全体像が少し掴めてくる3話辺りから(12話の場合)物語として楽しく見れるようになってくる。そこまでに支離滅裂感が出ているとどうしても見るのをやめてしまう。
 特に、こういったアプリゲームでプレイしている人も楽しめる想定にすると、色々なキャラを出して話があっち行ったりこっち行ったりと、しっちゃかめっちゃかにしてしまうケースもたまみ見かける。
 しっかりこの辺りはシリーズ構成と脚本のがどれだけ頑張れるかによる所が大きい。今回のプリコネでは物語として、どこまでエピソードを入れるかが上手かった。
 例えばアプリが最長で10話あったとして、その全部をやろうとすると薄っぺらくなってしまう。丁度いいところが5話目位だったとしたら、今回は3話目位だ。そうなると、かなり厚くエピソードを入れる事ができるようになる。
 ただし、その分物語としての動きは少ないし、テンポも悪くなる。
 その問題解決能力がメチャクチャ高いのがこの作品。

 見せ方が素晴らしいのだ。キャラの魅力を前面に出しつつ、あえて主人公の存在を希薄にさせて、他のキャラにスポットを当てる。
 スマホゲームをアニメ化する際に問題点を見事にクリアしてみせた。
 この問題点というのはノベルゲームではプレイヤーと主人公が同じ視点をもっているものがあり、これらはアニメの中に登場するとプレイヤーの視点から離れてしまう。ゲームをやってる人からすると違和感が出てしまう。
 これを解消したのが原作のストーリーもあるけれど、うまくクリアした感じがする。

 敢えて日常系を取り入れる事で、キャラを存分に引き出し、スローテンポなストーリー展開に違和感を出さない脚本が良い。
 最終話に向かいちゃんと今までの日常会で築き上げた関係性を上手く絡めて物語に落とし込み感動させるテクニックまで盛り込んであるから素晴らしい。

 原画が美しく本当にこだわりを感じる。キャラの書き方が丁寧で、動画にしてもちゃんと崩れずにいるのもうれしい。
 最終回とかかなり良くて、表情の微妙な変化が内面の機微を読みとらせようとする意図が感じられ、ここまで書かれたら好きになるだろ。こだわりが詰まってる。

 監督は金﨑 貴臣『これはゾンビですか』『東京レイヴンズ』あたりから監督をやりはじめていて、名前を知っていたけれど『この素晴らしい世界に祝福を!』であー面白いの作るようになったなってなって。
 その系譜としてのプリコネだったのだと感じた。
 エヴァの時は動画担当だったみたいで、順調にキャリアアップしてるんだなーとか、あんまり関係ない事に感心してみたりする。
 今回はシリーズ構成と脚本、絵コンテと重要な部分を結構やっている監督なので色が強く出た感じするけれど、とっても良かった、2期もまた楽しみだ。
 さて、プリコネのデイリー消化しないとな、主初心者は大変だわ。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

もう一度、キミとつながる物語

この作品の原作ゲームは未プレイですが、Cygamesさんの名前を見て視聴を楽しみにしていた作品です。
「プリンセスコネクト!Re:Dive」は「プリンセスコネクト!」の続編に位置する作品ですが、「プリンセスコネクト!」はアニメ化されていないので、この作品を隅々まで堪能されたい方はゲームをプレイするしかないようです。


穏やかな風が吹き抜ける美しき大地・アストライア大陸。
その一角で記憶を失った少年・ユウキは目を覚ます。

彼を世話する小さなガイド役・コッコロ。
いつも腹ペコな美少女剣士・ペコリーヌ。
ちょっとクールなネコ耳魔法少女のキャル。

運命に導かれるまま、彼らが立ち上げたギルドの名は「美食殿」。
今、ユウキと彼女たちの冒険の幕が開ける…


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走後に公式HPのキャラ紹介欄を見てビックリ…
登場人物が何と39人もいらっしゃったんです。
その登場人物の中には、食堂の常連さんのような所謂モブキャラは一人もいません。
勿論、第5話で千葉繁さんが演じられた、往年の名セリフと共に登場するブライも含まれていませんよ^^
流石原作ゲームだけのことはありますね。

そのキャラ紹介欄に記載されている、それぞれのキャラのイメージを定着させる一言と、声優さんがそのキャラの記憶を呼び戻す大きなきっかけになっていました。

例えば、あすみんが演じた「リノ」の一言は「ズルいですよ、お姉ちゃん! 抜け駆け禁止!!」と記載されています。
中盤以降に登場した「リノ」を思い出すには十分すぎる情報量だと思います。

ちゃんりな、すみれちゃんに唯ちゃんが演じていた、ギルドごっこをしながら遊んでいた「リトルリリカル」3人組は、物語の中で大冒険をしたのではっきりと記憶に残っていました。

キャラが多くても物語の中にしっかり溶け込んでいたので、キャラの多さによる圧迫感は感じなかったかな。
寧ろ、よく1クールの尺の中で圧迫感を感じさせず、これだけのキャラを登場させたと感心しちゃいました。

キャラデザも可愛いし、作画もしっかり動いていましたし、作画の乱れも殆ど感じられなかったのもどっぷり浸かって視聴できた要因だと思いますが、何といっても一番の功労者は主要キャラを演じられた声優さんたちです。

ペコリーヌを演じたM・A・Oさん…「やばいですね!」の破壊力、半端無いんですけど^^!
コッコロを演じたみっく…コッコロちゃんの魅力を最大限引き出されていましたね!
キャルを演じた立花理香さん…揺れ動くキャルの心情がバッチリ伝わってきましたよ!
今期の中で、相当堪能させて貰った部類に入る作品でした。
BEST10の作成が楽しみです。

一方、物語の方はラストの展開が駆け足だったと思いましたが、主要キャラの声優さんを思いきり満喫できただけで満足しちゃったみたいです^^;
でも、39人のキャラを目一杯引き立てるには1クールの尺はあまりに短すぎですよね。
より堪能したい方はゲームで…ということなのでしょうか^^;?

1クール全13話の物語でした。
思い返すと、監督に金崎貴臣さんを起用したのが、この作品の面白さを助長したのではないでしょうか。
金崎監督と言えば「このすば」…ノリと勢いが作風にピッタリでしたので^^
しっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

73.7 5 2020年度のドラゴンアニメランキング5位
空挺ドラゴンズ(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (301)
1229人が棚に入れました
空の覇者、龍<ドラゴン>。その存在は多くの地上の人々にとっては脅威・災害であり、同時に薬や油、そして食用としての価値がある“宝の山"でもあった。その龍<ドラゴン>を狩る存在がいた。捕龍船を操り、空を駆け、龍を狩り、旅をする。彼らは「龍(おろち)捕り」。これはその中の一艇“クィン・ザザ号"とそのクルー達の物語である。

声優・キャラクター
前野智昭、雨宮天、斉藤壮馬、花澤香菜、諏訪部順一、関智一、櫻井孝宏、鳥海浩輔、釘宮理恵、熊谷健太郎、古川慎、松山鷹志、武内駿輔、上村祐翔、赤﨑千夏、榎木淳弥、井上和彦、佐々木啓夫
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

龍(オロチ)取りを題材にした『情熱大陸』

アメリカへ海外番販に行って一番げんなりさせられるのは、
なんと言ってもレーティングの厳しさです。
なんせ「首が飛ぶから残酷」という理由でアンパンマンに年齢制限かかっちゃうお国柄ですから。

おじさんが女の子見てにんまり笑う、なんて演出も、
性犯罪を助長する危険があるとかで年齢制限の対象になります。
けんか売ってんのかこんにゃろ。

子どもの誘拐なんてもってのほか。
暴力表現や流血も基本的にご法度と考えた方がよく、
もちろん、ナイフだの日本刀だの、
武器を使ったバトルものは軒並み年齢制限の対象になります。

ただし、スターウォーズのライトセーバーはOKなんです。
なぜかというと『現実に存在しない武器』だから。

いやいや、トイザらスで
プラの日本刀とライトセーバー並べて売ってんじゃん、
とか言っても、指をちっちっちっと横に振られるだけです。

だけどまあ、それをひっくり返すと、

    捕鯨はダメだけど捕龍はいいよね

という理屈が成り立つわけで。
言うことあるなら言ってみろ、シーシェパ-ド。


さて、本作『空挺ドラゴンズ』は、
ポリゴン・ピクチュアズ制作のフル3Dファンタジー作品です。
その内容を簡潔に、身もふたもなく言ってしまうと

   商業捕鯨を『捕龍』におき変えた日常もの

ということになります。いやほんと身もふたもないな。


もちろん『捕龍』だから、見た目の感じはかなり違います。
{netabare}
この世界の龍は空を飛んでいるので、
捕龍船は海を渡る『船』ではなく『飛行船』ですし、
その関係で船体部を大きくするわけにもいかず、
龍を仕留めるたびにいちいち地上に降りて解体しなければなりません。

獲物を求めて仲間たちと大空の旅を続け、
龍を見つけると銛を打ち込み、追いかけ、仕留める。

地上に降りて、乗組員総出で解体し、バラした部位を積んで再び大空へ。
脂肪の部位は船内で煮込んで『龍油』を摂る。
点在する街へ降りて肉や油を換金し、物資を補給したらまた大空へ。

ほんと、その繰り返し生活です。

もちろんそれだけでは物語にならないので、
大小さまざまな事件が起こってメリハリがつくのですが、
事件が終わったらまたみんなして元の生活へ。

楽しみと言ったら食うことぐらいなので、
『龍料理』の描写やバリエーション作りにはかなり力が入ってます。
けっこう丁寧にレシピの解説もしてくれていますが、
素材がアレなので誰にも作れません。
ただ、食べてみたくなるほどおいしそうに見えることは確かです。
{/netabare}

正直、地味なのか派手なのかよくわからない作品なのですが、
少なくとも僕は、
二つの点で、最後まで楽しく観ることができました。

一つめは、物語の根幹となる龍(オロチ)取りの生活が、
緻密に、生き生きと描かれている点。
このあたりは『情熱大陸』のノリではないかと。

もう一つは、群像劇の中でとりわけフォーカスされる新米乗組員、
タキタの成長譚としての魅力で、
こちらは『情熱大陸』に加えて『銀の匙』入ってます。

『銀の匙』なんか知らね、という方のために補足しておきますと

  原作は荒川弘さんで、制作はA-1 Pictures。2013年OA。
  受験ノイローゼになって農業高校酪農科に進学した優等生が、
  第一次産業の実情や『命を食らう』ことの意味を知り、
  新たな夢に向かって仲間とともに駆け抜けていく青春群像劇。

という感じですね。大名作なのでご存じの方が大半かと。
ちなみに、どうでもいいことですが
同作のヒロイン御影アキは、僕にとって、これまで視聴してきた全アニメの中で、
ダントツ、ぶっちぎりで『理想の女の子』NO.1です。
いやほんとどうでもいいな。


酪農でも捕龍でも『生命を奪って、食らう』という本質は同じです。
{netabare}
ごく一部のベジタリアンなどを除き、
日本などの先進国に生きている方の多くは、
  屠畜場の映像を見るのは御免だが、お肉を食べることはやめられない
という『業』を背負っています。

そして酪農を学んだり捕龍船に乗ったりすることは、
否が応でも、その『業』と向き合うことに直結してしまいます。

最初はタキタも、そのあたりは曖昧に考えていました。
しかし、仲間の話を聞き、いくつもの経験を重ね、
十一話では泣きながら母龍の猟師鍋を食らい、
ついに決意を固めて、誇りある言葉とともに子龍を群れに返します。

そこに大層な蘊蓄や哲学はありません。
ただ『あるがまま』です。
永遠のように繰り返される人々の営みの、ごく一部の意味を、
すとんと肚のなかへ落としただけのことです。

日頃はパックでしか食材を手にすることのない僕たちにとって、
一度は直視しておくべき『あたりまえ』のことを、
タキタは疑似体験させてくれているんです。

よく見とけよ、シーシェパ-ド。
{/netabare}


おすすめ度としては、Aランクに位置すると思います。

いやオレは手書き以外はアニメと認めん、とか、
ジェットコースターみたいな起承転結こそが物語だ、とか言う方には、
あまりおすすめできません。

あと、細かいところが気になって仕方ない方にも難しいかな。

捕龍船の甲板って、空を飛んでいるくせに安全柵がありません。
そのくせ常に命綱をつけているわけでもなく、
  いやそれ落ちるだろとか思ってたら、
  案の定、タキタが落っこちたりしてるわけで。
そういうツッコミどころは、けっこうたくさんあったりします。

だけど、龍取りという未知の世界、
そしてそこで奮闘する若者たちを描いた群像劇として見るならば、
他のロ-ファンタジーと比較しても出色の出来です。

タキタ役の雨宮天さんが、きゃんきゃんしたアニメ芝居ではなく、
リアルな元気ムスメに寄せているのも好感度大。
バニー役の花澤香菜さんも、やさぐれたいい味出してます。

前野智昭さん、諏訪部順一さん、関智一さんなど、
豪華男優陣のがらっぱちな感じも、リアリティきっちり仕上げてますし。
ワケありふうの男が大勢乗っているというのは、
捕龍船というよりも
なにやら『マグロ漁船』っぽい気がしますが、それは置いといて。


視聴後には、東欧の田舎カフェに座って一人で街を眺めているような、
どこか不思議な気分にさせてくれる逸品です。

見知らぬ世界で営まれる人々の暮らしに思いを馳せ、
ライ麦パンなぞかじりながら、
『生命と食』みたいなものを改めてじんわり考えてみるのも一興かと存じます。


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本作のED楽曲を提供したバンド『赤い公園』の津野米咲さんが、
昨年10月、お亡くなりになりました。
表現力あるギタリストであり才能あふれるコンポ-ザ-でもあった彼女の、
あまりにも突然で、早すぎるお別れでした。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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投稿 : 2024/05/04
♥ : 22
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

開店!タキタ食堂

原作未読 +ultra枠

さて問題です。
「テロ等準備罪」を新設した『改正組織犯罪処罰法』が2017年7月11日に施行されてからの変化について次の選択肢より妥当なものを選べ。

1.居酒屋で政権批判をすると逮捕されるようになった
2.“共謀罪”という呼称が浸透し一般化した
3.{netabare}シー・シェパードが和歌山県太地町から退散した{/netabare}

答えは3.穏やかな海が戻ってきたようです。
もともと捕鯨問題を知ったのは『美味しんぼ』。小学生の時だったかなぁ。捕鯨国日本と国際包囲網との理不尽な関係に憤りを覚えたものでした。
本件に限らず、「原発問題」その他社会問題に鋭く切り込む原作者雁屋哲氏もきっと法案成立とその後の動きを喜んでいらっしゃることでしょう(鼻ほじ)。

「龍を守れ~」な愛護団体や環境活動家を登場させても面白かったかもしれませんがそれをしませんでした。英断だったと思います。舞台を穏やかな海から空に移し、喧しい外野の声を極力排除して人間と龍との関係からなにかしらを伝えたかった力作。

本作『空挺ドラゴンズ』についての視点の置き方。

狩猟対象を鯨から龍に置き換えてみて何かを訴えたいのかしら?
タイガーモス号ばりのイカした飛空船で龍の巣に突っ込む冒険活劇を見せたいのかしら?

 前者だったかと。

ポリゴンピクチュアーズさんのごりごりな3DCG眺めて感心することも一興。美術は流麗。
メインテーマ『捕鯨』or『ラピュタ』どっちなんでしょう?
“龍捕り(オロチとり)”“捕龍船(ほりゅうせん)”とネーミングセンスいい感じ。
対して…“空中海賊(くうちゅうかいぞく)”。ラピュタ寄り案件のネーミングにやる気とセンスを感じなかったのが『ラピュタ』を後方に置いた理由です。そこは“くうぞく”でよかろうに。
別に「両方だよ」ってのでかまわないんですけど、主人公らと龍だったり、人間同士だったりの闘いに視点の重きを置いてしまうと後々に見誤ってしまいそうです。
そしてお待たせしました本題。露骨ともいえる捕鯨の比喩で訴えたかったもの。


 いただきます と ごちそうさま


生命をいただくこととは?をシンプルに感じること。
捕獲した龍を解体する場面がよう出てきます。肉・内臓・皮・脂、と余すことなく解体利用されます。
ウチの母親はウナギを捌いてるところと牛の解体を見たかなんかで両方とも食べられなくなったと言ってまして、半世紀くらい前まではそこらで見物できてた風景も町中から消えて久しい昨今。架空の龍を通して生命をいただくさまを拝める機会を得られたってことになるのかな。

主人公である龍を捕る人たち。龍を購入し潤う町の人々。そして狩られる龍。捕食する側される側。食料問題もさることながら、経済問題にも直結するのっぴきならない世界での持ちつ持たれつな関係を自然に描いております。
自然かつシンプルで根源的なテーマのためカタルシスには程遠い。つまり地味ったら地味。だがしかしけっこう後からジワってくる仕様。物語の地味さとバランスを取っての見ため担当は捕龍船“クィン・ザザ号”のデザイン、いろんな顔を見せる空特に雲や風を感じる背景美術、そのへん頑張ってる3DCGということなんでしょう。
原作はまだ続いているようで、それでも全12話で一定の結論を提示してくれたことも親切。

なんか『老人と海』の読後感だったり、『密着ドキュメント!大間のマグロ漁師』の視聴後感にも通ずる捕食者と被捕食者との対話の物語。地味であり滋味に溢れてる感じ。良作だと思います。
日々の営みを切り取っただけのシンプルさを評価してます。



※ネタバレ所感

■+ultra枠ということで

海外向けですから(笑)
レビュー冒頭で「テロ等準備罪」に触れてますが、そのような好戦的な煽りは一切ない本作ですのでご安心ください。
捕鯨で有名なネタだと、油目的髭目的で乱獲してた西欧と余すことなく利用してた日本との対比なんかありますよね。

{netabare}クオーン市で出会う別の龍捕りらの所業がその悪い意味での西欧趣味で興味深い。

 ・生態不明な龍への畏敬の念が薄い
  ⇒傲慢になる
 ・毒を盛って屠る
  ⇒ピンポイント利用の経済目的
 ・町への被害想定への無配慮
  ⇒共存共栄より略奪文化の反映

食文化を理由に捕鯨続行を訴える日本に対して「鯨は人間の次に賢い生き物」の謎ロジックで対抗してきたり、調査により生態系を犯すくらい鯨の頭数が増えていても捕鯨再開にストップかけたりするくらいに感情で動く人たちに向けた作品に期せずしてなってます。{/netabare}

さりげなく毒を仕込んでるくらいでちょうどよい。


■町娘カーチャ

{netabare}唯一といっていいラブ要素良かったです。波止場の娘みたいな。

 「見たかったな、ジローが龍を取るところ」

この世界においては漱石で言うところの「月がきれいですね」ばりの I love you . だと思ってます。{/netabare}



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.03.27 初稿
2020.10.07 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 60
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

空挺ホエールズ

8話までの感想{netabare}
最初見た時はまたグラブルのスピンオフかと思ったらそうじゃなかったw
放送時期が放送時期ならコトブキ飛行隊を連想してたかも?
そうはいいつつ1話見た段階では結構好印象だった…のだけど、回が進むにつれあれ?あれれ?って感じに。
つまらないワケじゃないけど何か物足りない。
メインとなるストーリーが無いのも関係してるだろうけど、それ以上に…緊張感が無い。
キャラ達の態度もさることながら画面は妙にのほほんとしてて、命を張ってドラゴン狩りをしてる割にはなんかのどかな気分。
じゃあなんでここまで緊張感が無いのか考えてみたら…ああ、強風が吹きすさばないんだ。

更に6話以降、巨大な竜が町を破壊するという、巨大怪獣モノ好きには垂涎の内容だったにも係わらず…全然迫力が無い。
ドカーンと巨大質量が落っこちたらミニカー吹っ飛ばさせよう、ビルのカラス割れさせよう、あの世界でそういうのが無いにしても変わりの何かでそういうことしよう。
咆哮したら肌をビリビリさせよう、ドラゴンが頭上を低空で飛んでいったらその後突風起こそう、町に火の手が上がってる様子も無いのもどうなんだ。
兎に角「空気」を感じない、あの世界は真空なのかも?
なんなんだろう、CGだから出来ないってことじゃないよねぇ、宮崎駿フォロワーかどうか知らんけど宮崎に見せたら全カットリテイクになりそう。

と妙に辛口になっちゃったけど、だってねぇ、空挺といいつつ風を感じないのは非常にマズい気がして。
バイク乗りが風を感じなかったらバイク乗らないと思う。{/netabare}

総評{netabare}
苦痛を感じることなく最後まで見れたから悪くはないハズなのだけど、飛び抜けてダメという部分も無ければ飛び抜けて面白い部分も無い。
何でこんなにのっぺりしてるんだろう?と考えると、画面から伝わる緊張感の無さなのかな?
危険な仕事をやってる感がしない、死んでもペナルティなく復活して続行できるゲームのプレイ動画の様。
キャラに緊張感が無いのはまだいいんだ。
肝心なのはあんな開放された飛空挺の上なのに「一歩でも足を滑らせたら大変・ちょっとでもバランス崩したら死ぬ」を予感させるものが無く、もしそれを満たしてれば「そんな中で飄々と歩き回るオロチ捕りの連中スゲー」にも繋がったのだろうけどそんな感じもしない。
各話感想の時に「そう思うのは風(空気の重量)を感じないせいかな?」と書いたけど、これはフルCGだからってことでは無い…と思う。
例えば飛んだ帽子が果てしなく落下し続けるとか、CGでも描けるでしょう。
で、空賊の回なんて…もうなんなんだろう、お遊戯回?
これって意図的?だとしたらどうして?ってことになるけど、その意図は分からない。

余りにも細かい部分で恐縮だけど私程度でも気付いた一例として、7話最後と8話冒頭、話を跨ぐ“引き”のシーンで結構重要だと思うのだけど、ジャイロから爆雷?を落とす描写。
ジャイロに乗ってる人からは真下に落としたことでも、地上から見たら進行方向に向かって斜め下に飛ばした様に見えるハズ、慣性があるから。
けどそういう「おっ」と目を引く描写はされず、特徴のない構図ばかりで淡々と出来事が進んでくだけ。
ジャイロの件以外でもそういった「おお、ここ拘ってるねぇ」と関心を引くシーン・絵的に目を引くシーンが全話通して…私には無かった。
無機質っていえばいいのかな、そこにフルCGが被さって安定した並クオリティで、こんなんだったら作画崩壊してる方が面白い。

話に関しても盛り上がるとことはこれといって無く、食べ物に対する考え方、哲学や宗教観も…これみよがしに他作品挙げるのは悪いと思いつつ“ゴールデンカムイ”のアイヌのソレの紹介に比べると非常に弱い。
ドラゴンの乱獲云々も、“ヴィンランドサガ”のバイキングみたいな価値観(欲しいものは力で奪い取るもの、より多く戦争(殺し)をした者にはバルハラ(天国)への門が開かれる)なんじゃねーの?と思うと大して何とも思わない。
娯楽で龍狩りしてる貴族でも出して対比させれば印象も違っただろうけど、作中の描写だけでは単に貧乏臭いだけ。
最終回も鮭の稚魚の放流みたいな感じかな?と、分かるっちゃあ分かるのだけど「だから何?」って感じで、う~ん。

と、辛口めいたことばかり書いてしまったけど、退屈なだけで不快感は無い。
ボケーっとダラーンと環境ビデオを流す感じで見る分には良いのかも知れない。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16

65.0 6 2020年度のドラゴンアニメランキング6位
100万の命の上に俺は立っている(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★☆☆ 3.0 (332)
1066人が棚に入れました
合理的で単独行動が好きな中学3年生四谷友助は、ある日ゲームじみた異世界に転送された――。すでに転送されていたクラスメイトの新堂衣宇、箱崎紅末とともに3人目のプレイヤーとなった彼は、命を懸けたクエストに挑むことに。感情論を廃してすべての要素をフラットに、時には仲間の命すら駒として扱う冷酷な四谷。襲い来る魔物、厄介な事件、そして暗躍する強敵からパーティの全滅を防ぎ、このゲームをクリアすることができるのか?

声優・キャラクター
上村祐翔、久保田梨沙、和氣あず未、小市眞琴、斎藤千和
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ネット社会における少年少女のリアリティ

アニメーション制作:MAHO FILM、
監督:羽原久美子、シリーズ構成:吉岡たかを
キャラクターデザイン:小島えり、舛舘俊秀
音楽:伊藤賢、原作:山川直輝、奈央晃徳

『別冊少年マガジン』で2016年7月号より連載開始。
講談社の漫画原作だけに、仮想現実のゲームを
物語のベースにしながら、他作品とは一線を画す、
練り込まれたストーリーが大きな特徴になっている。
キャラクター全員の作り込みと
物語全体の構成は見ごたえ十分だ。

しかし、いらすとやを使用したわけアリ版の1話や
ゲームマスターに豪華声優を配して毎回変えるなど、
枝葉ばかりに無用なことをして悪目立ちしてしまった。
公式ホームページを見れば、予算が少ないのが瞭然で、
奇抜なことをやって注目を集めようとしているのは、
理解できなくもないのだが、それが完全に裏目に出てしまっている。
しかも、VRMMORPGの作品を普通に想像していると、
クエストの内容が地味なことに加え、キャラに共感できないため、
評判を落とす原因となってしまった。
しかし、この作品が目指しているのは、
そういう部分ではないだろう。
全話を観た限り、かなりきちんと考案された世界観で、
やりたいことも明確に見える。

子供のころに田舎に住んでいた四谷友助は、
仲間とともに木の根元に埋めた
友情の証としての宝物が工事で消失する様子を目撃する。
そのことが大きな心の傷となり、
一瞬にして大切なものが破壊されるという
世の中の不条理に対して、諦めにも似た境地を抱えることになる。
弱者たちの大切な友情は、
簡単に踏みにじられてしまうものだと。
その後、田舎から東京に引っ越したことも重なり、
友だちのいない、ぼっちのゲーマーとして日々を過ごす。
ゲームが現実世界の楽しみの全てとなってしまった友助にとって、
どのようにすれば合理的に問題を解決できるのか、
ということだけが重要な価値観になる。
それによって現実の学内でも、物事の全体像を把握したり、
クラスメイトの特徴や周りからの評価について
正統に判断する能力を身に付けることになった。
強者だけが生き残るべきだし、
命の価値は対等ではないと思っている。
そのため、現実世界でも人の気持ちを考えることがない。
反面、ゲーム世界での住人に対しては、
より自分の「素」を見せるという倒錯した心を抱えている。
都会に引っ越したことが、今の自分を形成したことを自覚しており、
自分の住む街が破壊されても構わないとさえ思っている。

ある日、ひとりで日直の当番をしているときに、
教室にいたクラスメイトの新堂衣宇と箱崎紅末とともに
異世界に飛ばされる。
{netabare}この世界で勇者という存在になった彼らは、
死んでも30秒で生き返ることができる特権を持つ。
しかし、仲間全員が同時に死んだ状態になると
現実でも全員が死亡するという
一蓮托生の過酷な運命を課せられることになる。
彼らは、与えられた課題をクリアするために奔走する。{/netabare}

作品にはいろいろな仕掛けがあるが、
いちばん面白いのは、一人ひとりの人間が
生きているということだ。しっかりとした
キャラ設定によって全員がそれぞれの想いを抱えている。
しかし、お互いに協力しなければ、「死」が待っている。
しかも、課題をクリアするごとに
仲間がひとりずつ増えていくという設定。
最終的には10人の勇者が生まれることが決まっており、
それぞれのキャラを深掘りしなければ物語が進まない。
キャラ同士の相互理解は、時おり道端に表れる
「ログ」によって、重要な場面や自身の気持ちを
語ったときなどに残されていることがある。
これがどのようなルールで残されるものかは、
明らかにされていないが、キャラ同士の理解について、
重要な役割を果たしている。つまり、他人が何を考えているのかを
知ることで、相手に対する意識も変化する。
また、ゲーム世界は、ある部分で現実ともつながっており、
ゲームで身に付けた体力などのステータスが
現実世界にも作用するようになっている。

私は原作未読なので、これは想像でしかないのだが、
このゲームは現実で災厄が起こったときに、
どのようにして力を合わせて危機を乗り超えるか、
ということを学ぶためのテスト的な
位置づけになっているのではないだろうか。
人間同士の関係性が希薄になりつつある現代社会で、
一人ひとりがどのようにして協調していくのかを
選ばれた人類が学んでいく構図。
最終的には現代に超能力者として降臨する
10人の勇者たちが、力を合わせ、知恵を絞って、
災厄に対抗するのではないかと想像している。

おそらく、そのためだと思うが、
キャラの背景や描写はとても緻密。
最初に勇者になった学内で人気者の新堂衣宇(いう)は、
かつての暴走族のリーダーの娘で、
そのことが原因で多くのマイナス面を抱えて生きてきた。
父に対して恨みを持つ教師から厳しく当たられることもあった。
また、幼年期に知り合いの優しいお姉さんが
友だちがいないことが一因となり自殺してしまうという
残酷な現実に直面する。そのショックは計り知れなかった。
父の問題もあり、衣宇は、自分を守るためには、
信頼できる仲間をたくさん作ることが
最も大切だという考え方に辿り着く。
それが生き方の基礎になった。
友だちづくりを達成するために人一倍努力を続けたことで、
ある意味、上昇志向の強い性格となり、
友助が「自分より上」と認めるほどの
存在感を手に入れたのだった。

一方、箱崎紅末(くすえ)は、体育の授業をいつも休むほど体が弱い。
職業が戦士になるが、重い剣を持ち上げることさえできない。
ゲーム内では、実際の体が基本となっており、
紅末はいつも仲間から助けられる立ち位置にいる。
そんな紅末を、全員が死なないための保険くらいにしか
考えなかった友助だったが、トロールが現れたときの
ログを見たり、過去の言動を振り返ったときに
紅末という女の子の真の強さと生きる目的にふれたことで、
「自分より上」の存在として考えるようになった。
その後、友助は紅末という人格を理解し、
彼女の行動までも俯瞰して物事を見られるようになる。

1期のなかで異質な存在が、4人目の勇者となった
時舘由香という女子高生。
友助たちよりも1つ年上ながら、思考は偏っていて子供。
友助と同じゲーマーで、こちらは男性アイドル育成ものや
魔法少女マジハシリーズの大ファン。
現実世界では、空気を読むことに長けていたが、
ネットでの書き込みが原因で、
裸の写真を撮られそうになったところを友助に助けられる。
ところが、その後、いじめを行っていた女子たちと
一緒になって友助の悪口を言うという行動に出る。
いじめに遭ったのは、自分に否があると思っていて、
空気を読んだり、強い者に従うことは当然だと思っている。
一方、理由もなく集団で弱者をいたぶる奴らは最低で、
自分が手を下さなければ、殺されてもいいと思っている。
ある意味、一般的な女子高生代表のような立ち位置。

1期では、ゲーム内の女性戦士・カハベルとともに
課題をクリアすることになる。
そこでは、大国の論理や宗教という要素が現れ、
人殺しや戦争についての哲学も垣間見える。
今後の展開にも大きく関わってきそうだ。
1期の終わりには、現実世界でほかの勇者たちよりも
さらに大きな問題を抱える5人目の勇者も登場する。

現実とネット世界。
突き詰めれば、それほど大きな違いはない。
しかし、未成熟ともいえるネット世界において、
常識や非常識の感覚には個々で大きな隔たりがある。
ネットでは平気な顔で殺人予告をする者が多数いても、
現実では殺人者でない場合がほとんどだ。
ただし、なかにはネットの殺人予告がエスカレートして、
実行するものが現れる。
動物を殺していたものが人を殺したくなるのと
同じような論理だろう。

ネットの世界は現実にリンクする。
ゲーム世界にも現実の人格は表れる。
異世界に転生しただけでは、ヒーローにはなれない。
力を得るためには、自分が変わらなければいけないし、
他人のことを理解して協力しなければならない。
ネットであろうがどこであろうが、生まれ変わるためには、
現実の自分が変わるしかない。

私たちのリアル。
それは結局、自身のなかにある。
(2021年1月23日初投稿)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 40
ネタバレ

fluid さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

よくある異世界アニメ、物足りない感じ

異世界ファンタジー系は好きですが、何かが足りない感じ。
おもしろくなりそうな感じはあるけど、印象が薄すぎて数か月~1年後には記憶に残ってないと思います。

マスターに指示されたクエストをこなすだけで主人公たち自身には目的も何も無い。目標が無いので達成感も無い。旅や冒険ならワクワクしてもおかしくないはずなのに、絵が動いてるだけにしか見えなかったです。

主人公が人見知りでパーティーの女性たちと様々なずれが生じるネタですが、それほどおもしろく無いし、繰り返し使いすぎだし、正直しつこい。しかも、この設定のせいで女の子たちとの関係がいつまで経っても深まらない。ずっと見続けてもほぼ他人のまま。なんじゃこりゃ。

以下、おそらく小説書きなら知っててあたりまえと思われる常識をいくつか

■回想シーンが多すぎる
なんでも回想シーンで済ませるところが良くない。
作者が頭の中で描いた情景をそのまま作品にすれば良いだけなので、回想シーンで済ませるのが一番楽な見せ方ではあります。でも設定書に声を当てて棒読みしてるだけと何ら違いが無いし、おもしろくない。過去シーンとしてではなく、現在の登場人物にどのように関係しているのか、細かく絡ませて次から次へとつなげて展開させる方が何倍もおもしろい。

■言葉による説明だけで済ませるシーンが多すぎる
「いじめ」とか「戦闘の心得」とか「キス」とか、視聴者の興味を引く概念を組み込むところは評価できますが、それを【言葉による説明だけで済ませてる】ところが良くない。人物の感情や行動に絡ませて、いくらでもおもしろく展開させられるネタを数秒しゃべって終わらせる。

■同じネタを何度も繰り返して使いすぎ
全体的に同じネタを繰り返す傾向がありますが、とくに「肉を斬るのが好き」ネタは何回やるんだよという感じ。
例えばこのすばの「ドMクルセイダー」ネタは何度使われてもおもしろいですが、あれは毎回、絡む相手や状況が変わるから飽きないだけです。むしろ面白い。それに対してこのアニメは毎回同じパターン、肉切り娘を単品で見せるだけなので微妙。人物におもしろさがあると勘違いしてる人が作る作品。一人芝居。そのおかしなキャラを冷静に見つめる【他のキャラとの絡み】があった方が何倍もおもしろくなります。アニメ銀魂の新八みたいに。ちなみに銀魂はおもしろく見せる工夫とか苦労とかゴリラ作者の体験談をたまに語るので勉強になります(笑)

■なぞ系アニメ
仮想世界なのか?未来なのか?なんなのか?クエストとは?マスターは何が目的なのか?
【謎】はお手軽に視聴者の好奇心をくすぐることができる【強力な手法】ですね。強力すぎるので、それと見劣りしないくらい釣り合う面白さを他で用意する必要がありますが、このアニメにはそれが無い。なぞなぞを見せるだけのアニメという感じ。

例えば、人物にはっきりとした【目的】を与えたり、それをこなした後に得られる【満足感】を表現したり、【恋愛】に伴う感情の変化を描いて視聴者を共感させたり、手も足も出ずに親を殺された【怒りや悔しさ】を表現したり。この作品にはそういった記憶に残る描写が無い。名作と呼ばれるアニメは分単位、秒単位で感情が切り替わりますし、1秒という短い時間に4つ~5つの表情を見せるという描写が細かすぎるアニメすらあります。このアニメははて?その場のノリで表情が変わるくらいでしょうか?感情の変化を描くために用意されたと感じられるストーリー展開が一つも無かったように思えます。回想シーンで感情を表現する展開が非常に多いですが、それは【変化】とよべるものではなく、たった一つの感情を表現してるだけですし、薄い。

具体性の無い「いじめ」られてるシーンをチラ見せするだけだったり、体力が無くて部活でしかられるシーンをチラ見せするだけだったり。なぜチラ見せで済ませるのか。その時どう感じたのかとか、その後どんな行動に移ったのかとか、細かく掘り下げていくらでも展開させられると思いますが、何も無い。キャラが薄い。細部まで作り込まなければ登場人物はただのモブキャラと同じ、ただの他人です。共感できないし、おそらく数か月~1年後には忘れて思い出せないと思います。

■人見知りキャラ設定
SAOの流行りなのか何なのか分かりませんが、この人見知りキャラ設定が逆効果になってると思います。SAOの場合はキリトが人見知りで一人でいることが多く、自分には無い仲間との絆や触れ合いにあこがれたり、そこから優しさが生まれたり、失敗してまた一人になったり、新しい出会いや別れ、旅をしながら感情の変化と物語が連動して次から次へと展開していく。
それに対して、このアニメはキャラ設定が有効活用されることなく、ただ一瞬一瞬の人見知りネタとして登場するだけ。浅い。

■9話でやっと恋愛っぽい展開になったけど、無関係な第3者が二人の関係をワクワク詮索する様子が描かれて終り。なんじゃりゃ。本人たちの感情の変化も無ければ物語として展開もしない。

■11話、この世界の秘密が明かされる{netabare}
じつは平行世界の地球だったという真実が明かされ、今まで殺してたのはゲームのNPCではなく生きた人間だったと知る主人公。ちょっと面白くなってきたかな?でも、よくあるネタなので序盤からうっすら見えてた展開ではありますね。問題は今後そのネタをどう描いていくのかですが、これまでの展開を見る限りうーん。
{/netabare}

■12話、主人公の前に現れるマスター、君の正義は何処?{netabare}
未来人?の女の子が登場し、主人公が殺人についてどう思ってるのか質問します。
おそらく主人公の判断次第で未来が消えてなくなるとかそういう話なのかなと思いました。
{/netabare}
善悪の概念について語るシーンがちょっと安っぽいですね。
今さらそんな使い古されたネタを、しかも言葉で説明するだけ。

主人公「自分が間違ってるということは知ってるが自分の信じる正義のために戦う」
何を?という感じですね。
目的がはっきりしてるアニメでは輝く言葉ですが、このアニメは目的が不明ですし、マスターから何も伝えられてない状況でいったい何を正義として戦おうとしてるのか。意味が分かりませんでした。
ピンチになるたびに自分の判断で行動するという意味?それ自分のやりたいようにやると言ってるだけですよね。浅い。

そもそも「間違ってる」なんて言葉を使ってるあたりが善悪を理解して無さそうです。分かってると言うけど分かってない。
たった一つの正しさなんてありませんし、人の数だけその答えはありますから、「間違ってる」ではなく「他の人とは正しさが違う」が正解。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 10
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

評価持ち越し

2話までの感想{netabare}
原作未読。
2話まで見た限りでは…おお、懐かしいな。
作中で本当かどうかはまだ不明だけど「PT全員同時死亡で本当に死亡」はかつてやってたネトゲのインダンを思い出す。
(誰かがインダン内に居ないと自動リセットされる設定で、リスポーンポイントがインダン外なので復活タイミング誤ると大変なことに)
そしてゾンビアタックも本当懐かしい、デスペナゼロイベントがあった時はお祭り騒ぎだったなぁ。
って…ん?今でこそ低レベルだからデスペナが30秒待機なだけだけど、レベル上がったら重いデスペナ課されるようになったりしないのかな。
2話のような攻略方法が今後も続くようには思えないのだが。
まぁそこら辺は今後に期待。

と褒めるところは以上で、以下ツッコミ。
なんといっても「ワケあり版」やっちゃったねぇ。
いらすとやネタは“フェアリーゴーン”がもう先にあるのでどうしても二番煎じ感が…。
https://www.youtube.com/watch?v=ou6O_GvqNuA
しかもそっちの声優は芳忠一人のみ、こっちは若本が一人で全声当てる位のことをしないとインパクトに負けるような?
最後に「アフレコに挑戦」ってのをやったせいで余計にそう思ってしまう。
なんでこんなことをやっちゃったの?と言いたくなるけど、コロナっていう異常事態のせいで通常の判定がし辛いのも事実。
これもなにかやんごとなき理由があったのかなぁ?
頑張って好意的解釈をすると、主人公の目には「他人」はこんな風にしか映ってないということを表した…とか?

って、そうそう、主人公は中二全開で斜に構えてる状態なのか、2話でログ見て反省した状態なのか、どっちなんだ?
昨今は、あとで手痛い目に遭うことが予想されても「勘違い主人公が生意気な態度を取る」話って、その期間が長いと滅茶苦茶叩かれる傾向が強い気がする。
それを意識しての2話のログ見て反省だと思うのだけど、完全に反省しちゃうとそれはそれで早すぎるだろう。
どっちというよりは両者を行き来する話になるのかな?だとしたら「感情の変化」に私はついていけるかどうかチト不安かも。{/netabare}

4話までの感想{netabare}
OPで「仲間」っぽいのは主人公含め5人居るけどEDは4人しか映ってないのでどういうことなんだろう?と思ってたら、5人目の騎士はドラクエ4でいうホフマンやパノンみたいな「仲間になるNPC」ってことなのね。
転移者ではないっぽい。
ついでに言うと2話まではED最後のカットは3人で、由香が加入した3話で4人に。
じゃあ4話は?と思ったら…増えてなーい。
NPCに思わせといて実は…ってトリックもあるかも?と疑ってはいるのだけど、その可能性は低いかな?
でもってその仲間になるNPC、馬車入手と同時に加入なのでホフマンポジだと思うのだけど、頼もしさ的にはオーリン?

で、3話と4話見てやっとこの作品のノリ?が掴めた感じ。
主人公は「なにあいつ信じられない」って言動取るけど、最終的にはそれが正解だった…ってのを続けるのかな?
一見不正解を引いたと思わせてからの正解するカド。
4話も情報の順番を変えれば「オレ達だけで盗賊のアジト突っ込んでも勝てっこない。次の町へ行って警備隊の協力を仰ごう」と言えば何も問題無い。
まぁあの段階では町に警備隊が居るかどうか分かりようもないので仕方ないのだけど、後から「そそそ、そうそう、こうなることを予想してたんだ(あせりながら」と言い訳が立つ感じ。
あんまりやり過ぎるとご都合主事感が強くなってしまうので今後の匙加減ぶりには注目か。

しっかし、警備隊に盗賊退治の話を通してエネミー認定した後なら、コロコロしてもペナルティ無い気がするんだがどうなんだろ?
私もそんなにゲーム詳しくないので…ってか善人プレイを強いられるのね、結構自由度低そう。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
原作由来になる本編とは別の、アニメ側独自によると思われる「お遊び」がかなり辛い。
まずのっけ1話の「ワケあり版(いらすとや版)」が“フェアリーゴン”に遅れをとり、GMの声優が毎回違うネタは“これゾン”と被り、11話で作中作の魔法少女が妙に出張ってくるのも見飽きたモノで…えっとなんだっけ“プリンセスラバー”とか“充電ちゃん”とか、他にもあったハズだけどいちいち覚えてない。
特殊OPも、せめてバカみたいに気合を入れるなり本家東映のスタッフを使うなり作曲を渡辺宙明にする(“チアフルーツ”ネタ)なりしない限り目を引くものではない。
なによりその回のGMの声がよりにもよって中尾隆聖で、だったら“魔法少女サイト”の10話OPの方がよっぽどビックリだったワケで見劣りが著しい。
いやもうホント、滑りまくりでお寒い。

でもって肝心の本編の方も、最初の頃は「主人公のやることはなんでもかんでも上手く行って賞賛されるだけの所謂なろう系」を皮肉った内容になることを期待したのだけど、そこに至るにはなんか一歩足りないというか…ただこれは続き次第なのか?
どうやら2期が2021の7月からやるそうで、結論ないし見所はそっちに引っ張っちゃった予感。
とりあえず1期だけで判断するとどうにも物足りない。
それとゲームに詳しい主人公がシステムの裏を突くのかと思えばそんなことも無くご都合主義がまかり通り、「実はこの世界は~」を明かされた時は脱力を覚えた。
所詮ゲーム(データ)だと思ってコロコロしたのが実はしっかり生きてたと知って愕然って…デジモンカイザーかな?
それよりなによりパラレルネタなんて何度目だ?
それ自体はまだ良いのだけど如何せん説明が…「右に進んだ未来と左に進んだ未来が~」ってヤツね。
確か“バトルガールハイスクール”や“インフィニティフォース”でも懇切丁寧にパラレルワールドの説明をしてて、「その説明って必要なのかな?今年アニメ見始めたって人も居るだろうから必要かぁ」と思うようにはしたけど、やっぱりクドい。
仕方ないんだろうけど、上記のアニメ側のネタも含めて、やってることが何年も遅れてる気がする。

ま、まぁ、最終的な評価は2期を見てからになるでしょうか。
とはいえ1期でかなり視聴者は篩にかけられた様な?“フェアリーゴーン”や“ノーガンズライフ”並の敗戦処理になると思うのでスタッフのモチベが心配。
特に作画が…吹雪の中毛むくじゃらのモンスターと対峙するシーンがあるのだが、強風吹きすさんでるハズなのにモンスターの毛が一切なびかないのがも~気になって気になって…。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

66.7 7 2020年度のドラゴンアニメランキング7位
モンスター娘のお医者さん(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (194)
731人が棚に入れました
ここは魔族と人が共に暮らす街“リンド・ヴルム"。新米医師のグレン先生、今日もキワドイ診察中――!?マーメイドのエラを奥まで診察したりフレッシュゴーレムの太ももを縫合したりハーピーの産卵をお手伝いしたりドラゴンの鱗を隅々まで触診したり見た目も構造も性質も異なる彼女達を救うため、全力で診察しているだけなのに、なぜかいつもアブナイ♥雰囲気に……?でも大丈夫、100%医療行為だから問題なし!ラミア族の助手・サーフェの尻尾の締め付けに窒息しかける時もあるけれど、今日も診療所は開かれる!史上初!モンスター娘の生態に迫る、メディカルファンタジー開幕!!

声優・キャラクター
土岐隼一、大西沙織、ブリドカットセーラ恵美、藤井ゆきよ、嶋村侑
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

モンスター娘のお医者さんのいる日常

1話感想{netabare}
まずタイトルからして“モンスター娘のいる日常”の続編かスピンオフか?、もしそうだったら“ブラッククロ-バー”から赤坂&砂川ペアを呼んでこないとイマイチじゃね?
なーんてことを思ったりしたけど、直接は関係無い?
徳間書店でもないしふでやすかずゆきでもないし。

そして本編を見てみたら…まず絵の印象からして制作は“異世界チート魔術師”のエンカレッジフルムズかと思ったら別のところらしい。
こういった解像度低そうな画面(原画が小さい?)にソフトフォーカスかけたようなのってたまにあるけど、何か共通した事情があるのだろうか。
そこら辺考えると“神之塔”って作画に関してはホントよくやってたんだなぁ、と痛感。
で、スタジオは一端置いといて、スタッフを見たら監督とシリ構は岩崎良明と白根秀樹。
あれ?この組み合わせ見覚えがあるぞ…と思ったら“ラストピリオド”だ!
えええ、その組み合わせでこんな作品を?
いやこんなって言っちゃ失礼だけどさ…絵はアレだけど内容は期待していいのかな?
実際1話見た限りでは悪くもない…のか?
そもそも“モン娘の日常~”の方も序盤の生態観察系の話は好きだった、中盤からデュラハンやゾンビやドッペルゲンガーが出てきて「生き物感」が無くなってガッカリだったんだけど。
そこら辺のガッカリ感を汲み取ったような生態観察話だけで最後までやってくれるなら嬉しいのだが、どうなんだろう?
ケンタウロスって心臓2つあるんだろうか?が実は気になってるのだがそっち方向には触れてくれなかったけどねー。

とはいえ、それにしたってキャラ編成が“モン娘日常~”と被る、ラーミアとケンタウロスって…そして次回は人魚って、定番なのか?
しかも公式見てみたらハーピーとアラクネが控えてるみたい、スライムは居ないっぽいけど。
…あれ?これ結構マジで“モン娘日常”への当てつけの様な作品だったりするのか!?
だったらもっと作画頑張ってくれないと返り討ちに…劣化コピーと呼ばれる結果になりそうな予感。
砂川&赤坂に勝てるアニメーターってどんだけ居るんだよって話になっちゃうけどさ、こりゃあ岩崎&白根に頑張ってもらいたいトコロ。
ふでやすはどうでもいい。

そして肝心の制作、アルボアニメーション、何作ったとこ?と調べたら“ぼくたちは勉強ができない”だって。
あはは、数話見て切っちゃったところだwと思ったら更にそれ以前には“花咲ク絆ノ浪漫譚”だって。
ああ!そこかあ!!
モンストアニメ3期の本編の中休み的に作られた外伝作品なんだけど…へぇ、今期はモンストアニメと縁があるねぇ、“ラピスリライツ”の横浜アニメーションラボもモンストやってた所だよ。
ってかX-FLAGが新興スタジオを支援でもしてたのかね、モンストと一言で言っても色んなスタジオに作らせてるので(“パンドラとアクビ”はかなり謎)。
そして“花咲ク絆ノ浪漫譚”は…うん、やっぱり作画はちょっと…うん…。


ところで序盤街中を映すシーン、背景にラテールってネトゲのセルキーが居たんだが!?
セルキー自体はスコットランドの伝承・伝説キャラでこういうのに出ること自体はおかしくはない。
アニメだと“魔法使いの嫁”にも登場してるし(調べたら“ヒロアカ”でも出てるみたい)…ただ、こっちの作中に出てたデザインはどう見てもラテールのソレ。
これ伏線でメインキャラにでもなるのか?と思ったが、公式見る限りではレギュラーではないっぽい。
なんだよ出そうぜー、チョーキー込みで。{/netabare}

2話感想{netabare}
うおっ、前回指摘したセルキーまた出た。
ひょっとしてこれ毎回画面の何処かに登場するってやつかな?

そして内容。
サーフェはアルビノだったのか、改めて言われて「ああそうか」と…アニメでこの手のは見慣れすぎてて気にしてなかったw“はめふら”でも居たなぁそういや。
でもって人魚の生態を紹介して…って、あれ?
前回の感想、「一体誰向けの作品なんだ?」って声があったので「実在しないけどもし実在したらどんな生態だろう?と思う生態観察好きな人向けでは?」という旨を書いたのだけど、これはちょっと訂正しないといけないかも。
生態観察ちゅうても設定の羅列じゃなくて、それを土台にしたドラマが見たい訳で…2話はドラマらしいドラマは無かった気が。

「ルララは医者にかかる金も惜しむほどに困窮してて、人魚にはキツい環境で働き続けてる」という問題に対し「中央広場で歌えるようになってまとまった金が入るようになった」という解決で終わったワケだけど…。
あれ?主人公の働きは解決に何も貢献してないような?
一応既に中央広場での活動は内定貰ってるようなことは語られてたが、一番の問題は「体調崩しても仕事が減らせない」であって「中央広場で歌えるようになる“まで”どうやり過ごしたのか」に主人公の関わり・働きを見せるのがドラマちゃう?
そうでないなら安静にしてろで終わってしまうし、それが出来ないからあんなことになったって話じゃん。
主人公の口添えでいち早く中央広場で働けるようになったとか、出世払いでいいよと中央広場デビューするまでツケにしてくれたとか、主人公の働きじゃなくなるけど助けた少年が街の偉い人の息子だったとか、ルララが思ってたほど診察代・薬代は高くなかった(知るキッカケとして主人公の貢献は成立するだろう)とか、そんなのは無い。
中央広場デビューするまでの医療費は銅貨3枚でいいってことじゃ…ないよね?
もっと言えば序盤にサーフェのために買った薬、UVクリームだけど、別の薬にでもしてルララへの応急処置として分け与える(そこで親交を深める)、なーんて話にも出来ただろうにそれも無い。
そんなんで最後の方「妹みたいに思ってる」と言われても…えっ?
結局、医療行為にかこつけてキスしましたってだけの設定の羅列にしかなってないような?

あと、まず少年が溺れてルララが引き上げるシーン、心配して水面を覗き込んでる連中とは別の場所から助け上げてた。
そこは結構「おっ」って思ったんだ、水が濁ってて水面からでは中で何が起きてるか全然見えないことを表現したんだろうナと思って。
で、その流れだったら、その次の主人公がルララを助けるシーンでは何が起きたのかサーフェには見えてないんだろうと思ったら…見えてたらしい。
あれ?
ってかサーフェは泳げないの?

ドラマ始まる前のキャラ紹介回だと解釈しようにも、もうちょっとやり方あったような気がしてならない。
私自身も、これ誰向け?という疑問が…。{/netabare}

3話感想{netabare}
公式ページには紹介されてなかったスライム娘出たー!
やっぱこれ“モン娘日常”をすっごい意識してない?
一方でセルキーが居なかった、見落としてるだけかも知れないけど。

で、今回はフレッシュゴーレムのクナイの当番回。
賊はどうして足を切った段階でトドメを刺さなかったのか、緊急でもないのに病院に連れて行かず縫合をあの場でする必要はあったのか、謎は深まる。
縫合が終わった後謎の人影がそれを見ててニヤリとする描写があるので、前者は賊が腕のいい医者を探すためにわざとそうしたということかも知れない。
一方の後者は何だろう、立場上賊にやられたなんて市民に知られたくなかったとか?
でもそれだったら主人公が足を持って街中をウロついてる時点で矛盾するし、う~ん。
主人公は謎の人物に監視されてるのに気付いてて、ワザと腕前を見せつけようとしたとか?
手術中襲われたらどうするつもりだったんだ?という疑問があるので、凡その見当はついてたのかなぁ、と。
どうなんだろうねぇ次回が気になりますなぁと言いたいトコロだったのに、次回へのヒキとなる最後の場面がそれまでと全く関係の無いサーフェ妊娠?えっ、そっち!?
次回予告も「不治の病のラミア」で賊や謎の人物に迫る感じではなくなんかモヤっとする、いや迫ると思うけどね。
または主人公の腕前披露&それを監視してる誰かって構造が当分の間続くのかな?{/netabare}

4話感想{netabare}
はぁそうですかー、とガッカリ。
前回、次回に続く「引き」に使われた自称妊娠のタネ明かしがアッサリだった…ことではなく、クナイの縫合を終わらせた後で賊がニヤリとしてたの、あれが無意味だったこと。
賊の視点で普通に考えたら賊はあと一歩でクナイにトドメを刺せるところまで追い詰めたのに、医者がやってきて全回復されてしまったというシチュだよね?
ニヤリどころかスゲー悔しがると思うのだが…というか手術を妨害しようとすると思うのだが。
じゃあ、賊のボスや監禁してた奴隷が病気になって、だけど立場上正規の病院へ行くことができず治療できる人材を探してて主人公がお眼鏡に適ったってことかな?(クナイは探し出すために餌)、と予想してたんですよ。
よくあるじゃん?医療系のドラマでヤクザ絡みの話とかで。
けどそんなことは無かったらしい。
拾ったらしいハーピーの卵とやらもなにかの罠かも?と思ったがそれも違うみたいだし。
あっれー?
そもそも前回クナイの腕や足を落としたのは誰だよ?
賊の中に腕利きの奴が居て「先生お願いします」で出てくるんじゃないのか…そして再対決になって、クナイは主人公の治療のおかげで前よりも体がよく動くとかで勝つって展開じゃないのか。
単に縫合しただけじゃなくて密かに秘密武器を仕込んでたでもいいじゃない、骨にバッファローマンの角を使ってたとかさ。
あっれー?
賊の視点でといえば、ケンタウロス相手にはどうして弓を使わなかったのかも謎、直前で撃ってたのに。

そして主人公の性格もブレブレ。
ルララを賊の摘発に参加させたのを異常に怒ったり、例えあの毒がラミアには効かないと看破してようがナイフで刺されたのは事実だと思うのだが何とも思ってなさそうだったり。
「昔私の身内がアンタに毒を盛ったんだ」というのを事も無げに言ったり。
ルララの件なんて「貧困が悪い」と言っただけで、その貧困からの脱出には何も手を貸してない(詳しくは2話感想にて)のが明らかになったワケで、お前にとやかく言える筋合いは無い様な?
そんな目先の正義に酔ってるキチガイかと思ったら看病の優先順はわきまえてる・凄い・賢い!とかやられても、な~んか気持ち悪い。
まぁ要は、その瞬間瞬間のシナリオの都合で動かされてるだけでキャラクターには心が無いように感じる。

これが中韓のアニメだったら「こんなものか」で気にしないのだけど、う~んう~ん…。{/netabare}

7話までの感想{netabare}
5話馬のブリンカー、6話鳥の…げぇっ関羽…ってことで換羽ネタ。
この種族はこういう性質ってのは、グレンがどうこう言うまでもなく常識として知られてそうな…。
ってことで現象を紹介しただけでドラマは大して無い、はぁそうですかって感じ。
むしろこれらのエピソードはスキュラがグレンに試練を課したってとこが重要なのかも?

そして7話、まだ山下りないの?ってところで謎な展開。
フェニックスの末裔が居るという噂を聞きつけたアラクネは捕獲しようと罠を張ってた。
そしてハズレのハーピーが罠にかかった時は姿を現さずにそのまま放置だったのに、グレンが掛かったら登場したのはよく分からない。
ま、まぁグレンもフェニックスと並ぶ「当たり」だったんだろう。

それより不思議なのは、ケンタウロスがアラクネにグレンをどうしたいかについて詰め寄られて答えに窮した部分。
普通に「先生の気持ちを尊重して振り向いてもらえるように努力してる。気持ちを無視したあなたとは違う」みたいなこと言えば良いんじゃねーの?というのが気になって…。
というか元々グレン自身の考えは蚊帳の外で話が進み、だったらせめて画面の端で「ボクの気持ちは無視か、トホホ…」くらいさせてくれないと、その…グレン自体が意志薄弱に見えて仕方ない。
実際んトコ、ハーレム系は主人公が意志薄弱の方がシナリオ書き易いんだろうけど、それに甘えられてもちょっとねぇ。

そして最後、巨人が現れたーってことで次回へ引き…唐突だなぁ、村長めっちゃ早口。
これもシナリオ手を抜いてるようなそうでもないような…?
これで次回そんな大騒ぎ──騒ぎの規模ではなく、今までの描写とどこまで係わりがあったか──ではなかったとかだったらどうしよう。
私覚えてますぜ、3話の引きとして使われた妊娠騒動=ハーピーの卵、シナリオ的に唐突というか都合が良すぎて、実は何者か…スキュラか竜頭が仕組んだんじゃね?って疑いはまだ持ってまして。
巨人の発生も、それを見越してスキュラが派遣させた…ってことに、なってくれんかな?{/netabare}

8話感想{netabare}
やっと面白くなってきた?…いやそうでもないのかなぁ?
巨人が村にやってきたのは医者が居ると聞いて診てもらおうとしたから、でした。
一応の理由にはなってる…か?
グレンをハーピーの村へ出張診療に行かせたのはスキュラで、しかも巨人は10年以上風邪ひいてたらしくて、じゃあスキュラはこうなることを見越して寄越した?
巨人の服を作るのに都合よく居合わせたアラクネも、元はフェニックスの末裔が居ると聞いて村へやって来たワケで、グレンが村に来るタイミングに合わせて意図的にフェニックスの件を吹聴したヤツが居たとすれば「ご都合主義感」は払拭できる、かな?
やっとドラマらしい展開になって来たというか…単に私の悪い癖で、釈然としない展開でも黒幕が居てそいつの手引きってことなら納得しちゃう部分がありまして、まぁそんな感じ。
ただ、本当にスキュラが何か企んで仕向けたって話なのかどうか、現段階ではあんまり信用できないのが辛いトコロ。
描写がねぇ…巨人が来たー逃げるぞー説得するぞーって時に「なんでこのタイミングで村に来たんだ?」とキャラに不思議がらせないとなんか物足りない。

一方で主人公グレンの性格の気持ち悪さには磨きがかかってきた、ケンタとの食事にラミア参入で云々って時にあの言動はもはや精神異常者じゃないかな。
同期放送に──本来は時期違ったハズなんだけどコロナのせいで同時期になってしまった──“天晴爛漫”があるせいで余計にそう感じるのかな?
あっちは主人公が「常日頃メカニックのことばかり考えてて他に注意が向かない」という設定で、人の心がどこか欠けてるって描写がちゃんとされてる。
こっちの主人公もそれと同じくらい医療に没頭してて他に気が回らないってことなら気にはならないのだけど、そこら辺の描写がどうにも弱い。
異常者として描きたいのか健常者として描きたいのか、どっちかよく分からないというか…。

因みにどうしても比較してしまう“モン娘日常”では、巨人(じゃなくてドリアードだったけど)登場の時はスライムとで怪獣バトルめいたことをしてた記憶。
こっちでそういうアクションシーンを期待するのは…作画レベル的に無理か?無理なのか?{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
「え、なんであれやんないの?」という疑問と不快感が募るばかりの作品でした。
後半、全部スキュラの陰謀ってことにすればまだ救われるかな?としてそうなることを願ってたけど、結局そうではなかった。

例えばの話で私の妄想になるけど──
スキュラは竜頭女を救うため色々試したり文献漁ったりしたが全くダメで、古代より生きてる巨人が何か知ってるかも?と一縷の希望に賭けるしかなくなってた。
で、それを聞き出すためにグレンをハーピーの里に向かわせようと目論み、前準備としてサーフェに卵を持たせて奴隷商摘発に係わらせた。
思惑通りグレンはハーピーから人望を得ておもてなしとして里に迎えられ、そのタイミングを見計らってアラクネにフェニックスの末裔の情報を流して里に向かわせた。
で、思惑通り医者が近くに居ると聞いてやって来た巨人の病状をグレンが診察し、療法としてアラクネが服を仕立て、お礼に巨人からヒント(伝承なり)を聞き出すことに成功。
それでも手術成功率は0から50%になったくらいで、合意を得る最後の一押しとしてサイクロプスやアラクネやその他諸々手術に向けてのプロジェクトを始動させて断りにくい状況に追い込んだ、とか。
アラクネは巨人の服を仕立てるという栄誉に預かれた恩でスキュラの頼みなら喜んでする、というのも計画の内、とか。

これくらいのことはやっても良かったのでは?
というかやらないと個々のエピソードが独立しちゃってて、しかもそれが毎回上手く行き過ぎててつまらない。
一話完結モノの作品と捉えようにもハーピーの里の滞在話数が多くてそう思うのも難しい。
同期放送の“ノーガンズライフ”といい、個々のエピソードに繋がりがないのってどうなんだろう。
また、こんな妄想を抱いたのはグレンが感情の無い人形キャラでシナリオに動かされてる感バリバリで、じゃあそのシナリオ書いてるのは「メタ視点で作者」ではなく作中キャラにやらせりゃ問題ない、という意思が働いたのかも。
じゃあなんでグレンは人形キャラに見えるかって言うと、医者ならではの矜持や葛藤が作中に…無い。

また例え話になっちゃうけど──
明日処刑が決まってる罪人が急病患って、果たして救う意味はあるのか?と悩むとか。
自分を殺しにきた敵が急病患って「何故助ける、あの時見殺しにしとけば良かったと後悔することになるぞ」となじられながらも治療を施すとか。
一人分しか特効薬無くて、そこに金持ちだけど老い先短い老人と、貧乏な若者が担ぎこまれてきてどっちを助けるべき?と悩むとか。
またはそういった価値観?哲学?が主人公と違うライバル医者が登場するとか。

こういったものが、無い。
単純に“ブラックジャック”読めって話なんですけどね…実際は別に読まなくてもいいけど、医者を絡ませてのドラマ展開をしたいの『なら』お手本集として目を通しておくべき。
但し「医者を絡ませてのドラマ展開」が無いと、セクハラをするための言い訳として医療行為があるだけにしか見えない。
…。
まぁ本音「セクハラをするための言い訳として医療行為がある」なんだろうけど、その…もうちょっとオブラートに包んでくれませんか?と。
建前もうちょっとしっかりしてくれませんか?と。

自分語りになるので畳んでおきます{netabare}
生物…生き物についてちょっとでも突っ込んだ話をしようとすると「生殖」については避けて通れません。
かくいう私も園芸が趣味で、植物も生き物ですので、どうしても生殖についいて話さないといけない状況ってのが、ある。
ぶっちゃけ花は性器だぞ?
けどねぇ、その度にねぇ、下ネタに繋げてクスクス笑う・真面目な話を茶化されるのは非常に不愉快。
劣勢ホモとか重複受精とかいちいち反応すんなよと、真っ当な生物学用語だっての。{/netabare}

で、そういった嫌な思いを体験してきた人間にとって、医療行為をセクシャル方面で茶化すだけの内容というのは…どうにも快くない。
また、1話感想で触れたけど“モンスター娘のいる日常”という作品が別にありまして、そっちは序盤は生態観察系なノリで楽しめたけど後半からは「空想過ぎる生物」が登場してイマイチでした、個人的には。
ということで“モン娘日常”の不満を晴らすような内容を期待したのだけど、蓋を開けたら…

グンレン医師というオリキャラ(作者の投影、メアリースー、俺くん)を主人公に据えた“モン娘日常”の二次創作

でしかなかった。
今にも「くぅ~疲れましたw」と言いそうなアンソロにも収録されない素人作品。
いや、言ったらまだマシか、中身がある分。
グレンは本当に中身空っぽ。
原作はいいんだ、知らんし。
ただアニメ化する際もうちょっとどうにかならんかったの?ということで上記ダラダラ書いてきた訳ですが、いやぁホントなんでこんな出来に?


ということで長くなったけど総評…というかスタッフに言いたいこと。
やりたいことは分かるけど医療行為を茶化すだけだと不愉快なのでオブラートに包むためにドラマを入れてくれ。
「ドラマって何?」と分からないのだったらブラックジャックを読んでくれ、“モン娘日常”を読むのはその後でいい。
いや実際は知らない訳無いんだけどね…ハナから真面目に作る気が無かったってことなのかなぁ?{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

エロ蛇足

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
人間の医師であるグレンが、様々な異種族の(なぜか女性ばかりを)治療し、いや~~役得役得、というアニメ。

ただ、実のところ「医療」と「エロ」なら、7:3で、「医療」を魅せるアニメなんだと思います。それが、全然上手くいっていなくて、もったいないな~と思ったことと、本作の良さについて、レビューに書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作で一番好印象だったのが、「キャラを使い捨てないスタンス」。

本作の作風であれば、1~2話使って、一種族の治療をやり、ハイ次ハイ次と、どんどん新たな種族を出していくだけで、お手軽にストーリーを作っていくことができます。

しかし、本作は、一度メインとして扱ったキャラクターを、以降はサブキャラとしてきちんと活かしているのが、「作者の人間性」を表すようで、だからなんとなく、「温かい」雰囲気が生まれているのだと思います。最終話は(アニオリっぽい?けど)正にそんな感じ。凄く温かで、エロなんて入り込む隙がない雰囲気。あれこそ、この作品に似つかわしいものだと思った。

医療も、架空のものとはいえ、結構キチンと(普通に)やっていて、これまた好印象。まあ、モンスター医師というか、ほぼ獣医だよなと思うこともあったけど。

これだけを観れば、かなり硬派にちゃんと作っている作品。それだけに、「なぜエロ要素を入れた?」というのが、疑問で疑問で。

まっっったくいらないでしょ、エロ。完全に蛇足(ラミアだけに)w。

むしろ、もっとちゃんと架空の医療を追求し、もっと硬派に作っていけば良かったのに。まあ、「売れるため」なんでしょうけど、作者の得意なことや、やりたいことに対して、ミスマッチだなと思いました。

だって、この作者、エロ下手だよ? 異種族の女性を治療して、「あ~、先生、そんなところまで、ら、らめ~」の一択じゃないっすか(苦笑) 異種族レビュアーズの多彩かつ論理的なエロを見習、、、いや、だから見習わなくていいんだって(笑)

つまり、「向かないことはやらなくて良いよ」ということ。ドラゴンボールだって、最初はギャグマンガだった。途中から作風変えたって、良いじゃない。硬派にいこうぜ。

あと、これはまあ好みの問題だろうけど、サーフェの年齢が19歳っていう設定にちょい違和感。24歳くらいかと思ってた。てか、個人的には30手前で、「もぅ、グレン先生! いつまで待たせるんですか! 私には時間がないんですぅ~。」みたいな、「基本大人で」「ずっと年下のグレンを好きになってしまった」「からグレンの前だけでは可愛くなっちゃう」方が、萌え度が高いんじゃないかと思った。19歳であのヤキモチじゃあ、なんかちょっとメンヘラっぽく感じるというか、うまく言葉に言葉に出来ないけど、19歳ならもっと爽やかに恋してほしくなってしまう。屈折した恋愛は、20代後半からが似つかわしい(個人の見解)w
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
モンスター娘のいる日常、と関係あるの? ただのエロアニメになるか、どこまで医者要素を貫けるか。氷のクダリ、なんか良いな。

2話目 ☆3
色々と背景があるわけだね。デート回。水路の買い物は一期一会ってのは良いね。エラでエロいことやるなや(苦笑) わりとちゃんとしたドラマをしてるよな。

3話目 ☆3
フレッシュゴーレムなんてジャンルがあるんか。感覚繋がってるのね(笑) 痛覚はないのに、触覚はあるのか。

4話目 ☆3
登場キャラを使い捨てにしないのは良い。

5話目 ☆2
空輸部門は良いけど、取り分だよか。パーピーが独自で運送会社やることより、メリットがないとね、パーピーにとって。ただの変態じゃねぇか(苦笑) 所属によって偏った考え方や趣向があるのは良いけど、これは微妙。

6話目 ☆3
不死鳥の羽。特に何をしたわけでもなく。

7話目 ☆3
風邪の巨人。

8話目 ☆3
エロいらんというか、スカディはあの程度であんなに感じるのか?

9話目 ☆
サイクロプスは遠近感をつかみにくいってのは、単眼ならそうだろうけど、なんか進化しなかったのかな。なんでそんな半人前に、街の代表者の手術針を? 

10話目 ☆


11話目 ☆3
かなり拗らせているな~。わりとあっさり説得に成功。まじで街の英雄だな。

12話目 ☆3
スカディ、急にデレたな。かなりライトな作風になった。これはこれで良いかな。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

わたしを治して? お医者様。

この作品の原作は未読ですが、大西さん、セーラちゃんが出演されると知り視聴を決めた作品です。
舞台設定は異なるものの他種族が混同して生活を営むとなると、「モンスター娘のいる日常」でも感じた種族を超えた馴れ合いが必要不可欠なんでしょう。
寧ろ、誰にでも分け隔ての無い感じが個人的には好印象でしたけれど…


ここは魔族と人が共に暮らす街“リンド・ヴルム”。
新米医師のグレン先生、今日もキワドイ診察中――!?

マーメイドのエラを奥まで診察したり
フレッシュゴーレムの太ももを縫合したり
ハーピーの産卵をお手伝いしたり
ドラゴンの鱗を隅々まで触診したり

見た目も構造も性質も異なる彼女達を救うため、
全力で診察しているだけなのに、
なぜかいつもアブナイ♥雰囲気に……?
でも大丈夫、100%医療行為だから問題なし!

ラミア族の助手・サーフェの尻尾の締め付けに
窒息しかける時もあるけれど、
今日も診療所は開かれる!

史上初!モンスター娘の生態に迫る、
メディカルファンタジー開幕!!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

視聴する前は声優さんの情報は殆ど得られませんでしたが、蓋を開けてみると、ゆかなさん、種崎さん、M・A・Oさんにひーちゃんと、豪華声優陣が声を当てていたのにビックリです。

「モンスター娘のいる日常」を視聴している時にも思ったことなんですけど、様々な種族と交流が可能になったとしても、モンスター娘にもちゃんと選ぶ権利がある筈なんですが、どうして人間の男性がモテモテになるのでしょう。
でも、様々な種族の女の子から好意を寄せられるって、どんな感じなんでしょうね^^;?
ワンちゃんが尻尾を千切れんばかりに振って近寄ってくる感じ…?
それともネコが膝の上で丸まって寝ているのを見ている感じ…?
いやいや、会話が成立する上、感情もあるので人間に近い感じ…?
まぁ、リアルの自分には一生縁の無い話なんですけどね^^;

加えてグレン医師の相棒であるサーフェ(CV:大西さん)はラミア族…
「モン娘」で、一番最初にやってきたのもラミア族のミーア(CV:天ちゃん)だったんですけど…
それに、ハーピー、ケンタウロス、マーメイド、アラクネなどの種族も毎度お馴染みという感じ…

だから、この作品においても設定としては「ありきたり」の域は出ないものの、一つの作品として捉えるとこの作品も十分に面白い作品だったと思います。

それは、グレン医師が仕事熱心で色事に疎かったからにほかならないと思います。
それに、性格的に嫌みが無かったのもポイントが高かったのではないでしょうか。
まぁ、この設定はハーレム作品における常套なんでしょうけれど…

公式HPのキャラ紹介欄に面白い記載がありました。
魔族はすべて脊索魔族門に属し、背骨が存在します。
またすべての魔族が人間と交配可能ですが、生まれる子供は基本的に魔族の血を受け継ぎます。
(アラクネは例外的に女のみアラクネ、男は父親に似ます)

上記がアニメの公式HPに記載されている理由って何なのでしょうね。
少なくても今回アニメ化された範疇とは全く無縁の設定だと思うんですけど…
全ての種族にグレン医師とゴールインできる可能性がある、ということなのでしょうかね^^;?

ただ一つ言えるのは、グレン医師の周りが騒がしいだけで、グレン医師本人は至って真面目に仕事をしていますので…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、ARCANA PROJECTさんの「カンパネラ響く空で」
エンディングテーマは、鈴木愛奈さんの「やさしさの名前」

1クール全12話の物語でした。
グレン医師のモテっぷりに羨ましさを感じつつ、モンスター娘ならではの愛情表現を目一杯堪能できる作品だったのではないでしょうか。
私には総じて楽しませて貰った作品になりました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16

59.8 8 2020年度のドラゴンアニメランキング8位
魔術士オーフェンはぐれ旅(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★☆☆ 2.9 (121)
488人が棚に入れました
「見ないで、お願い・・・」「彼女は必ず俺が守る!」義姉のように慕い《天魔の魔女》と呼ばれるアザリーや仲間と共に、魔術士養成機関《牙の塔》で修行をするキリランシェロ―。ある日、彼は見た。異形の姿に変容するアザリーを。そして、運命を変えるという一本の剣を奪い失踪した彼女を救う為に、キリランシェロはオーフェンと名を変え、《牙の塔》を出奔し旅に出る。それから五年……、ついにオーフェンはアザリーとの再会を果たす―。一方、かつての師であり、大陸最強と謳うたわれる黒魔術士チャイルドマンとかつての仲間、ハーティア、コミクロン達は姿を変えたアザリー討伐に向かっていた―。様々な思惑が交差する中、おしかけお嬢様クリーオウ、弟子の少年マジクとの旅の中でオーフェンは一体何を想うのか。

声優・キャラクター
森久保祥太郎、大久保瑠美、小林裕介、水野麻里絵、渕上舞、浪川大輔、日笠陽子、伊藤静、坂泰斗、安田陸矢、前野智昭、津田健次郎、吉野裕行、岡本信彦

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

時を取り戻す

この作品の原作は未読です。
実はこの作品のことはなにも知らずに視聴したのですが、完走後にwikiをチラ見して色んな事を知りました。

原作の本編は全20巻で完結していること、そして1998年10月から1999年の3月までと、1999年10月から2000年3月まで「魔術士オーフェンRevenge」というアニメが放送されていたんだそうですが、完全にノーマークだったので未視聴です。
まぁ、物語としては「完全新作」として今回放送されるので、過去作未視聴でも問題ないと思い…たいです^^;


大陸最高峰の魔術士養成機関《牙の塔》で暮らしていたキリランシェロは、
大陸最強の魔術士・チャイルドマンの下で、 彼の持つ戦闘技術と暗殺術のすべてを受け継ぎ
サクセサー・オブ・レザー・エッジ《鋼の後継》と称されるエリート魔術士だった。

ある実験により異形の姿となって失踪した義姉・アザリーを探すため
《牙の塔》を出奔したキリランシェロは過去を捨ててオーフェンと名乗り、
トトカンタ市でモグリの金貸業に身をやつしていた。
そこで出会ったおしかけお嬢様クリーオウ、弟子の少年マジクという
新たな仲間と共にアザリーを救う旅が始まる。

いっぽうアザリー討伐に向かうかつての師チャイルドマンやハーティア、
コミクロン、学友たちと運命的な再会を果たすも思いは交錯し、再び袂を分かつことになる。

旅はフェンリルの森を抜け、タフレムへ。
そう、かつてオーフェンが修行を積んだ《牙の塔》が存在する街へとたどり着く。
そこでオーフェン達を待ち受けていたのは、想像を絶する巨大な敵だった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

本作品は、「魔術士オーフェン」シリーズの生誕25周年プロジェクトとして制作されたんだそうです。
そういえば、INTRODUCTIONにはこんなことも記載されていました。

~伝説は、新たな伝説へ~
1994年に第1巻が発売され、 シリーズ発行部数は 累計1,400万部(電子書籍を含む)を突破する
シリーズ生誕25周年を迎えた ダークファンタジーの ライトノベルマスターピース!

独特の世界観と魅力溢れるキャラクター、 軽快な語り口ながらも重厚なストーリー展開が
今もなお多くのファンの心を魅了している。

主人公オーフェンは、 1998年と1999年のTVアニメに続き、森久保祥太郎が続投!

オーフェンの詠唱が、 新たな伝説の幕開けを告げる――。


…だそうです。
1994年に発刊された作品が今もなお多くのファンの心を魅了しているなんて凄いとしか言いようがありません。

原作はきっと上記の通りなんだと思います。
ですが、今回のアニメ化が原作の相乗効果を生むかと問われると…正直答えは微妙かもしれません。
テンポの問題…だけじゃ無かったように思います。
キャラの動かし方や作画には、正直もう少し力を入れて欲しいと思ったかな…

うーん…作品の世界観や嫌いじゃないんですよね。
しかもアザリーのCVは日笠さんですから、登場するたびに耳が喜んでいましたし…
少しアザリーの性格が強引過ぎる嫌いはありましたけれど…

それと、キリランシェロはもう少し強い設定でも良かったのではないかと思いました。
最強の魔術師を集めたチャイルドマン教室のエリート候補生という設定なのですが、ちょいちょいピンチに陥るんですよね。
最強の称号を持つ教室のエリートなんですから、もう少しだけでも無双っぷりを発揮して貰った方が視聴者的にはより楽しめたかなと思いました。

そして、キリランシェロの旅に同行するクリーオウとマジク…
今まで魔術とは縁遠い世界で生きてきたのに、あっという間に魔術が上手になっちゃって…
まぁ、クリーオウはディープ・ドラゴンの子供に懐かれた影響が大部分ですけど、もう少し紆余曲折があっても良かったかなぁ、と思いました。

きっと原作とアニメの尺の差なんだと思います。
予め尺の短いアニメでこの作品の魅力を伝える難しさは多分にあるんだと思いますが、プロの作り手として、そこは頑張ってほしいところです。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、buzz★Vibesさんの「Calling U」
エンディングテーマは、渕上舞さんの「予測不能Days」
渕上さん…作詞もなさるんですね♪

1クール全14話の物語でした。
きっと起死回生の第2期がやってくるんだと思います。
そんな第2期が視聴できるのを期待しています。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

序盤と終盤でキャラちがくない?

序盤 うーん

中盤 えぇw

終盤 なるほどねw

この話は魔術師にとある噂が流れてきた話
ジャンルはバトル・主人公強・魔術
1999年にアニメ化してたそうですね。軽い放送事故があったと聞いていましたが何があったかまでは把握してません
とりあえず本作について書かせていただきますが、まず言わせてもらいたいのが結局何がしたかったん?ということです。
アニメ二期がもう決定してるということは分割2クールということなのでしょうが、これは2クールの展開次第ですよ。この作品だけで判断することは難しいですが、まぁこの調子で最終話まで突っ走ったら間違いなくクソアニメですよ。
ていうかんじです。序盤から走っていますが展開になんの中身もなく、ただ形式的な展開(ありふれたテンプレ)を繰り広げてるだけです。中盤ではもはやキャラが変わっています。主人公、お前誰やねん状態です。思わず先週分を振り返ってしまうほどです。終盤になるとヤケになったのか減速という言葉を知らないまま地面に墜落しています。無理やり着地させたのでほぼ撃沈といっても過言ではないでしょう。「さてこれから主人公はどうする!?」的なことを言いたいらしいのですがミリタリとも主人公に共感できない上に、全然続きが気にならないという分割2クールでかなりやってはいけない終わり方です。
作品全体としてもつかみにくいものです。結局主人公は何がいいたく、相手は何がしたいのか、世界はどの方向に傾きだしてるのか、全く見当がつきません。規模を大きくしてるくせに全くその感覚が伝わらないせいでただ本人たちがギャアギャア騒いでるだけの茶番にしか見えなくなってしまっています。原作はしりませんがすくなくとも本作は見る価値のすくない作品であることはたしかですね
キャラについてですが、先ほども言った通りキャラの思想が把握できないので好感度もなにもありません。キャラデザもあまりすきじゃないので好感度をどうやってつけようか。
あと声優さんも何故そのまま(1999年版とおなじ)森久保祥太郎さんをつかったのか。違和感というか森久保さんの声って他の作品のイメージ(チャラい、バカっぽくて何も考えてなさそう)が強すぎキャラにあっていないような感じがします。まぁそれで別の声優さんにしたときのファンの苦情が怖いんでしょうね

原作は秋田禎信さん。血界戦線のノベライズを担当された方らしいですね
監督は浜名孝行さん。図書館戦争などの監督をされた方ですね
シリーズ構成は吉田隆彦さん。弱虫ペダルや働く細胞のキャラデザをされた方ですね。残念
劇伴はShinnosukeさん。opを歌っているbuzz★Vibesのキーボードだそうですね
アニメ制作はスタジオディーンさん。数々の名作を作ってきた大御所ですね

作画は普通でしたが、キャラデザがあまりすきじゃないので残念です
opは森久保祥太郎さん作詞、Shinnosukeさん作編曲、buzz★Vibesさん歌唱の「Calling U」作詞できるんですね
edは渕上舞さん作詞歌唱、土田拓郎さん作曲、福富雅之さん編曲の「予測不能Days」
声優さんは主人公もふくめて全体的にキャラと合っていないようなきがしました


総合評価 2クール目次第だけで期待はしない

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

アニメを好きな人には絶対合わない気がする

ご都合展開や整合性が絶妙にズレていて、しっくり来るものがしっくり来ない展開が多い。

このしっくり来る展開ってのは、「悪い奴はとことん酷い目に合う」とか「悪い奴はとことん悪い奴として描写される」とかそういう整合性もの等である。

例えばこの作品でアザリーを救おうとする話に至っては、主人公の私情が死ぬほど絡んでいて、全貌を描写するのは難しいと言う。
アザリー自身にも凡そ多くの思いの丈、自分では気づかない自分の事、その他多くの私情についてなど、恐らく原作者の考えた設定の胸の内にしかないようなものも多いと思われる。
故に視聴者的には何故こんなクソ女救おうと思うのかという消化不良や矛盾を感じるだろう。

勿論充分説明はしているが、主人公が極度の姉萌え性癖という特殊な男なのでまた投影しにくいとも思われる。典型的パターンから外してるのも理解を得にくいポイントだが、本来アニメのスタンダードと違い、人の数だけ考えがあるという柔軟性もここで要求される。

そう、そもそも他人の筈である一個人の実情を全部を理解するというのも考えてみれば短絡的というか、人物像に安さを感じられるのがアニメという逆説も考えられるのだが。
アニメキャラを理解して自分を投影して冒険や女の子にモテモテな自分を妄想、基い楽しむ事こそがスタンダードな楽しみな今、初っ端からこういったアニメの面を被ったファンタジードラマを見せつけられては視聴者は恐らく満足しないだろう。
各キャラクターの気持ちをいちいち汲み取らなければいけない辺り、他人に気を遣ったり、相手の気持ちを考える必要のないというスタンダードアニメの長所を失ってしまっているのだ。

俺は凄くツボだが、言った通りガワがガワなので好きな人が近寄りにくいのも問題。
原作だともっとわかりやすく丁寧に出してくれる分、もっと多くが楽しめるように出来てるとは思うが、これはあかん。

とは言え、原作のレビューでもやはり多くは人間模様について心理的な問題に言及している事が多く見られる事からわかるように、人について考えるのが一番の楽しみと謎を孕んでいる作品と思われる。

とにかく意外にもこのアニメは典型的量産アニオタには薦められない失敗作。
基本席で待っていれば豪華な料理が出ると思っている調理方法がわからない客に豪華な生の食材を渡しても意味がない良い例。

こうなったらもう原作を読むしかない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

62.5 9 2020年度のドラゴンアニメランキング9位
シャドウバース(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (27)
78人が棚に入れました
天青学園に通う少年・竜ヶ崎ヒイロは、ある日謎のスマホを手に入れる。そのスマホには、大人気デジタルカードゲーム「シャドウバース」(通称・シャドバ)がインストールされていた。ゲーム・シャドバを通じて、ヒイロはライバルと出会い、大会へ挑戦し、仲間との絆を深めていく。

声優・キャラクター
梶原岳人、榎木淳弥、本渡楓、田谷隼、種﨑敦美、小倉唯、井口祐一
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

シャドバは世界を救うじゃんね

 一番最初のシーンを終盤まで覚えていられるか?です。竜ケ崎ヒイロが、謎の声をきっかけに蔵に導かれ、シャドバのインストールされたスマホを手に入れて喜ぶ先に何があるかな?な始まりです。

 親友のカズキ、ミモリをはじめクラスではやるシャドバです。事件が後に起き、いきなり始めたばかりのヒイロの無敗記録が始まるのです。
 不思議に思うのは、ルールやカードを始めたばかりなのにヒイロが熟知しているところです。
 最大のライバル、夜那月ルシアをはじめ、カイ、黒羽アリス、マウラといった相手、面白ライバルも含めて戦うことで、成長するヒイロを描いていたです。

{netabare} シャドバの全国大会、シャドーグランプリと白熱するカードゲームイベントと進むと思っていたです。謎の黒装束仮面が登場してバトルしたり、なぜか?世界の命運をかけた使命を仲間と共に背負うのです。

 話の進行に合わせてタイミングよく、世界が危険にさらされシャドバが戦いの手段になってしまうのか?だったです。また、作られたスマホのカードゲームなのに伝説のカードなんていつから伝説になっていたのか?遺跡だかそんな場所にあって、敵が待ち受けるところも
話に流されなければ、謎の設定であるです。{/netabare}

 なぜシャドバで危険の付きまとう戦いの巻きこまれのだろうか?シャドバに勝利すると、操られた人を開放できたりと、どうなっているのだろうか?です。

 ヒイロ個人だけでなく、仲間の活躍、内面に触れる場面も面白いかもしれないです。
{netabare} 待ち受けるヒイロにとってまさかな相手、今回の事態を引き起こした黒幕も明らかになって、戦いは熾烈を極めるです。{/netabare}まぁ、乗り越えられなければ、話にならないわけだけれど、見事、仲間も駆けつけ勝利し、世界を救うことができるのです。

 ずっと見てきていて、未だにルールや出てきたカードを全部覚えられなかったです。イグニスドラゴンはよく出てきたので、覚えられたです。
 カードゲームなのに、とくに終盤近くになるとリーダーと呼ばれるプレーヤーが、人間でない物になったりしたです。演出がある意味、凄いと思ったです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
ネタバレ

ほろりん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

バトル!シャドウバース!

ゲームやっていました。3話まで視聴
スマホデジタルカードゲーム「SHADOW VERSE」(以下シャドバ)を題材にしたカードゲームアニメ。主人公のヒイロは学校でみんながシャドバが流行っている中、ヒイロだけスマホを持っておらず、ある日自宅の蔵を入るとスマホを見つけシャドバを始めていく…
このアニメは全体的に見ると中の下のような作品だと感じました。
まず蔵にスマホがあるのが謎だと感じました。なぜ蔵にスマホがあるのか…しかもなぜそのスマホの中にシャドバが入っているのか…今後明らかになってほしい点です。
次に思う事はシャドバをしている人やしていた人しか気にしない事だと思いますがこの世界はどの弾までのカードが出ているのかという事です。これに関しては「細かい所を気にしすぎるのでは?」と思いますが、シャドバをしている人やしていた人の中には気にする人がいるのではないのかなと感じました。ただ、イグニスドラゴンなどのオリジナルカードを出してくれるのは嬉しいと思いました。
ただ、このアニメにも良い点はあります。それはストーリーが良い事です。しかし少し現実感がない部分がある所もあります。例えば第一話で{netabare} ミモリがタクマ(一話ででくるキャラ)にスマホを取られたというシーン。現実なら犯罪に悪用されるレベルだろ笑とツッコンでしまいました。{/netabare}でもそれがアニメシャドバらしさが出てきてるのかなと思いました。
まだ3話までしか放送されていないので今後明らかになる事があるため、気長に見てみようと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0

おめが さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

販促以上のものを感じられなかった

キャラが大勢いるのに掘り下げが全然なされず1クールずっとトントン拍子に主人公が勝つ試合ばかり見せられて飽きてしまった
特に攻めた設定や話やキャラや描写はないので極端に嫌いなところは少ないが好きなところもない
キャラクターやストーリー展開よりもカードゲームシーンがメインなのかと思えば作画が良いだけで見応えがなかったと思う
2クール目に何か仕掛けてくる可能性はあるがこの方向性なら正直もういいかな
黒羽アリスが可愛かった

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0
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