ラノベ原作でシリアスなアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のラノベ原作でシリアスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番のラノベ原作でシリアスなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.3 1 ラノベ原作でシリアスなアニメランキング1位
ノーゲーム・ノーライフ ゼロ(アニメ映画)

2017年7月15日
★★★★★ 4.1 (852)
5131人が棚に入れました
それは一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる
《盤上の世界(ディス・ボード)》が
創造されるはるか以前の出来事。
世界を統べる唯一神の座をめぐり、終わりの見えない大戦が続いていた時代。
天を裂き、地を割り、星さえも破壊し尽くさんとする凄惨な戦争は、
戦う力を持たない人間たちに理不尽な死を撒き散らしていた。
強大な力を持つ様々な種族に追いやられ、
存亡の危機に瀕する人間を率いる若きリーダーの名はリク。
一人でも多くの人間が明日を迎えるために心を砕き、
擦り減らす日々が続くある日、リクは打ち捨てられた森霊種(エルフ)の都で
機械仕掛けの少女・シュヴィと出会う。
機械には持ち得ぬ心に興味を持ってしまったことでエラーを起こしてしまい、
仲間たちから廃棄されてしまったシュヴィは、エラーを修正するため、
リクに《人間の心》を教えてほしいと頼むのだが……。
これは六千年以上もの昔に紡がれた
《最も新しい神話》へと至る《最も古き神話》。
記録にも記憶にも残らない、誰にも語られることのない物語が今、幕を開ける——。

声優・キャラクター
松岡禎丞、茅野愛衣、日笠陽子、田村ゆかり、井口裕香、能登麻美子、沢城みゆき、釘宮理恵
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

私の「感動したら負け」クリード(信条)を易々とクリアされてしまった!

この劇場版を見るまでは、異世界ファンタジー/異世界召喚ものジャンルで一番出来の良い作品は、『ソードアート・オンライン』シリーズで、対抗馬は『Re:ゼロから始める異世界生活』、そして『ノーゲーム・ノーライフ』は3番手かな、と何となく思っていたのですが訂正します。

①キャラクター&世界観設定の練り込み具合
②シナリオ自体の面白さ&作品から受ける感動ないし感銘の度合い

・・・を総合して考えると、同ジャンルでは、劇場版までを含めた『ノーゲーム・ノーライフ』が№1と考えます。

なお、上記3シリーズはいずれも原作未完(※アニメももちろん未完)であり、今後の展開次第で私の個人的評価もまた変わってくると思いますが、現時点で制作・放送(ないし配信・上映)されたアニメ作品を視聴した限りでは、個人的には本シリーズの今後に一番のポテンシャルを感じました。
というのも・・・

◆《トンデモ異世界ファンタジー》の顔をした《想定外の感動作》

本作は榎宮祐氏のラノベが原作ですが、アニメ制作スタッフは本年(2018年)の話題作『宇宙よりも遠い場所』(略称『よりもい』)とほぼ同じ方々です(監督・シリーズ構成・アニメーション制作会社が同じ)。
以前レビューした通り、その『よりもい』は“感動する”作品と事前に何度も聞いており、それなりに期待して視聴を始めたのですが、途中から「あれ?これハズレだな・・・」と気づき始めて、結局そのまま視聴し終えてしまいました。

因みに、英語表現だと“楽しむ”は have fun もしくは enjoy と能動態ですが、“感動する”は be moved と受動態となるのが通例で、私の場合も、アニメ作品は確かに大いに「楽しみたい」(※能動態)のだけれども、「はい、ここ泣くところですよ」みたいな制作側の誘導に簡単に引っかかって「感動させられ」(※受動態)たくないな・・・という拘(こだわ)りが以前からずっとあります。

⇒個人的に、これを「感動したら負け」クリード(信条)と呼んでいます笑。

私がアニメを見るときに一番大切にしている信条で、この「感動の壁」を超えるシーンに思いがけず出くわしてしまうと、その作品の個人評価が ★★ 4.5 を超えてきて、私の「お気に入り」作品の座に昇る可能性が出てきます。
(※実際には、この後さらに、その感動が「一時的なもの」に過ぎないのか、それとも「今後も継続的に感動できるもの」なのか、という厳格審査を実行するので、結局 ★ 4.2~4.4 程度の個人評価に留まる作品が大半ですが)

・・・で、本作なのですが、TVシリーズの時の視聴経験から、「はっちゃけた面白さには十分期待できると思うけど、感動できるタイプの作品ではないだろう・・・」と、さほど期待せずに見始めたところ、全体の2/3くらいを見終えたところで、思いもかけない《こころの震え》を覚えてしまい、「え?こんな作品に感動しちゃっていいの?」とビックリして、見終えて直ぐに、それが果たして正当な感動なのか、更に数回繰り返し視聴して自分に問いただしてみました。

結論からいうと、やっぱり本作は、

<1> よくあるような、音楽や演出などの技巧を凝らして視聴者の一時的な感動を喚起するタイプの作品(=一過性の感動しかない作品)ではなくて、
<2> 一見フザケた装いにも拘わらず、視聴者の感動が一時的なものでは決してない(=繰り返し見てもやはり確りと感動出来るくらいに)緻密に計算された設定&シナリオを備えた作品である、

・・・と思いました。

※なお、この「感動」には、前作であるTVシリーズ『ノーゲーム・ノーライフ』(※但し時系列的には劇場版の6.000年前の話)の事前視聴が、絶対必要とはいわないまでも、やはりある方がずっと良いと思うので、以下、併せて同TVシリーズの各話も再評価します。

《まとめ》
とにかく本作については、前作となるTVシリーズの、とくに第2-3話で、主人公たちの悪フザケに閉口して視聴を打ち切ってしまう方が多く発生している感じですが、そのTVシリーズが急に面白くなるのが第6話(ジブリール回)で、そのあとは最終話まで休みなしに駆け抜ける痛快さをもった《面白作》、そしてこの劇場版までくれば、視聴前は思ってもみなかった心の震えに出遭える《感動作》と思うので、これから初めて本シリーズを見始められる方は、何とか我慢してこの劇場版迄たどり着いて欲しいです。


◆制作情報
{netabare}
原作ラノベ      榎宮祐(『MA文庫J』2012年4月-刊行中)
監督         いしづかあつこ
シリーズ構成     花田十輝
脚本         花田十輝、あおしまたかし、下山健人、榎宮祐
キャラクターデザイン 榎宮祐(原案)、大舘康二(TVシリーズ)、田﨑聡(劇場版)
音楽         SUPER SWEEP(TVシリーズ)、藤澤慶昌(劇場版)
アニメーション制作  MADHOUSE{/netabare}


◆作品別評価

(1) 『ノーゲーム・ノーライフ』(TVシリーズ)  ★ 4.4   (2014年) ※計12話
(2) 『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』(劇場版) ★★ 4.7  (2017年) ※約1時間45分(4~5話相当)
----------------------------------------------------------------------------
  総合                    ★★ 4.5         ※計16~17話相当


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= ノーゲーム・ノーライフ (2014年4-6月) ==============
{netabare}
第1話 素人《ビギナー》 ★ 対テト戦(チェス)
第2話 挑戦者《チャレンジャー》 ☆
第3話 熟練者《エキスパート》 ☆ 対クラミー戦1(チェス)
第4話 国王《グランドマスター》 ☆ 続き
第5話 駒並べ《ウィークスクエア》 ☆
第6話 一手《インタレスティング》 ★★ 対ジブリール戦(具象化しりとり)
第7話 死に手《サクリファイス》 ★ 希望の鍵
第8話 起死回生《フェイクエンド》 ★★ 種の駒、※特殊ED
第9話 解離法《スカイ・ウォーク》 ★ 対クラミー戦2(オセロ)
第10話 指向法《ブルー・ローズ》 ★★ 対いづな戦(テレビゲーム)
第11話 誘導法《キリング・ジャイアント》 ★★ 続き ※OP「おねがい☆すにゃいぱー」
第12話 収束法《ルール・ナンバー・10》 ★★ 続き、対巫女戦(コイン・トス){/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)5、★(良回)3、☆(並回)4、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4

OP 「This game」
ED 「オラシオン」


============= ノーゲーム・ノーライフ ゼロ (2017年7月) ===========

全1話 ★★ 4.7 {netabare}TVシリーズより6,000年前に星杯(スーニアスター)を巡る古き神々&15種族の戦争を終結させた人類(イマニティ)の少年(リク)と機械種族(エクスマキナ)の少女型個体(シュビ)の物語{/netabare} ※1時間45分

主題歌 「THERE IS A REASON」

投稿 : 2024/06/01
♥ : 29
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

苦手だった人への劇場版

原作未読


略称がそこそこ知れ渡ってる数少ないやつのひとつ。“ノゲノラ”の劇場版106分でございます。
TV版の当方評点は3.6点。説明するとやや“つまらない”寄りの“普通”な出来と評価しました。あにこれでの高評価と比して低めです。元ネタ好きかどうかは指標の一つとなるためご参考まで。

棚ぼたでTV版と少し空いての劇場版を再放送しててそのまま流されてみました。「TV本編より劇場版のがいーよ」とのご推薦も念頭に。やや視聴にあたっては前のめりではなく、往々にしてこういう場合いざ試しても上方修正することは稀なんですよね。

結果、、、TV版から上方修正します。
理由は後述するとしてまずは概要から。一言でTV版の“前日譚”です。『○○(作品名)ゼロ』と銘打たれると鼻の利く方はタイトルだけで察することが出来ましょう。前の話か後の話かだけでもイメージ湧いてれば迷子にはなりづらい。ただ『 』(くうはく)兄妹らのではない別の昔話というのは少しばかりやっかいです。

次に中身。これも端的に“創世記”ということになるかと。前日譚としての創世記ということになりましょうや。あのゲームでなんでも決まる独特な世界の成り立ちのお話。
{netabare}盛大なる勘違い。主役二人リクとシュヴィの声がそれぞれ松岡さん茅野さんで、キャラ見た目の違いはアバターだからかなくらいかと、しばし『 』(くうはく)兄妹がまた違った世界で奮闘してるのかしらん?と思ってました。どうやら違うと気づいたものの終盤のネタばらしまでもやっとしてた私です。{/netabare}

TV版との繋がりはあるけれど独立したエピソードとして起承転結しっかりしてる106分です。そのため視聴順がTV版と前後してもそれほど弊害はないと思われます。
そしてこの起承転結しっかりした独立エピソードというのが上方修正の理由となります。なお

 ヒキコニートが謎の万能感で無双するのが苦手

いかんともしがたいTV版での苦手要素が一切ありませんでした。ヒキコ兄妹出てこないので当然ですね。当方の偏屈なバイアス抜きで作品に向き合えたのが大きいです。雑味が無くなれば物語に没入できますし映像など演出面では実績あるわけで問題ありません。
ヒキコ云々は作品評価というより自分の趣味志向みたいなもんで、こんなん堂々と言うのもアレでしたが、数少ない!?TV版イマイチ勢でも大丈夫じゃね?な良作だったと思います。



※ネタバレ所感

■感想
 マイナス要素が無いからといって面白いとは限りません。もちろん加点要素ありましたよ。
{netabare}“心を知りたい”シュヴィは欠陥AIみたいなもんという理解でいいんですかね? 
その後2018年冬クールで“愛してるを知りたいのです”なのと仲良く覇権を分け合った化け物アニメを制作したスタッフらの作品というのもなかなかパンチが効いてます。
さておき、本作での欠陥AIが心を知っていく作業って全く空(カラ)の容器に学習内容を入れてくことではなく、概念がない/演算できない状態から適正化していくことを意味してたわけですが、これ似てるようで全く違うんですよね。前者だとカウンターパートは教師役となります。後者だとパートナーと化します。パートナーであるから互いにすれ違いも生じるわけで、当然感動を生むとしたら後者となります。そして前者で同じことやろうとして失敗する作品は枚挙にいとまがありません。本作はきちんとお作法をわきまえており失敗とは無縁でした。{/netabare}

{netabare}それでもって長寿命のほうが先に果てる展開が個人的にはツボでした。驚きと言い換えても良い。
長寿命側が見送るからこそ両者の埋めがたい溝に心千々に乱れる!みたいな様式美を踏襲しなかったのです。しかもコンピューター的彼女が不合理な選択をしたというのが味わい深い。ご存知プログラムは演算できなければエラーとなります。彼女の最期って本来エラーとなるところに解を見つけて無理やりにでも動かしきった感がありました。Y or N の高速演算しながらの“らしい”描写から揺らぎが生じ処理しきれなくてABEND起こすか?と思ったところを突破するの胸アツです。そこで「リク。私“心”を知ることができたよ」的なセリフは一切なし。
セリフではなくバトルの中身で雄弁に語らせる。{/netabare}

無機物と人間との関係性ではお作法を守りながら、オチで変化をつける見事なお手前でした。
バイアスで迷子になりかけたことを除けば文句はありません。
松岡さんの苦悩する演技はもはや名人芸の域ですね。作品をしっかり底上げしてました。
あ、映像について抜けてました。えーと、、、良かったです。


■ビール好きヲタクに捧ぐ

{netabare}命名タイムでリクから「長いから短くしろ」とダメ出しされた素案“シュヴァルツァー”。短くまとめて“シュヴィ”に落ち着いたのでした。
まとめる前の“シュヴァルツ”と冠した海外銘柄ありますよね。なんなら国内地ビールでもたまに見かけます。えぇ黒ビールのことです。広い世の中ギネスだけではありません。でもむしろ馴染み深いのはヴァイスビア(白ビール)だったりするのかしら?
いずれにせよ黒ときたら「あー白ね」と11歳不登校児を想像するのに時間はかかりませんでした。配信専用勢ではなく地上波でもアニメ観てるならブシロードCM『ヴァイスシュバルツ』を一時期ヘビロテしてたの覚えてるヲタさんも多いことでしょう。よって馴染み深い。対する男も空(ソラ)に対してリク(陸)ってことねと早合点するのにこれまた時間はかかりませんでした。{/netabare}

空と白の話だと思ってたんだよなぁ(しつこい)。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

願ったのは、共に生きること…。

テレビでアニメ本編が放送されたのが2014年の春アニメ…
当時、この作品を視聴した際、続編の制作を激しく渇望したのを覚えています。

ただその時、著者である榎宮祐さんが手術後の予防治療中とのことだったので、無理はできないなぁ…と思っていましたが、しっかり復活されていたんですね。
小説版、漫画版ともに既刊の数が着実に伸びているのが実感できるのは嬉しいことです。

だから、頭の思考回路は続編のことばかりでしたが、まさかこんな形でこの作品と再会できるのは思いませんでした。
劇場版の上映は2017年の7月で、アニメ本編の放送から約3年が経過しています。
それでも、この物語は全てがゲームで決まる現在よりはるか昔の出来事が描かれているんです。

その頃のこの世界は、世界の唯一神を決める争いの真っただ中で、絶対に殺生が行われない今とはまるで真逆の世界…
それだけじゃありません。
その争いを行っているのはエルフやドワーフ、或いはフリューゲルといった圧倒的破壊力を持った種族たちなんです。
そんな中、人類は立ち向かう力どころか自分の身すら守る力もなく、次々に仲間が命を落としていました。
どんなに身をすり減らしても人類の圧倒的劣位の立場は揺るぐことが無く生きる事に疲弊していた、と言っても過言では無かったと思います。

だから人類の残された選択肢は一つだけ…
小さな穴ぐらで身を寄せ合いながら、悩んで迷って苦しんでの堂々巡り…
だって人類が選択するということは、仲間の命の犠牲に直結していたから…

そんな人類を統率していたのは、リクという若き青年でした。
きっと一番心がすり減っていたのはリクだったでしょう。
みんなの安全を…人類の明日を守るために彼は周りに対して非情であり続けなければいけませんでしたから…
でも、そんな心の底から非情になり切れるほど、リクは人間が出来ていませんでした。
当たり前です…もしそんな人がいたら、きっとその人は人間の皮を被った何か…なんでしょうから。

そんな中、リクはエルフの領内で「機凱種(エクスマキナ)」の少女・シュヴィと出会います。
彼女は人の心を知りたいという好奇心から機械で居続ける事ができなくなり、仲間から廃棄された少女だったんです。
リクたちは人類以外のあらゆる種から蔑まれ、奪われ続けてきました。
だからこの少女も当然敵…の筈だったんですが、あまりにも機械っぽくない言動と、リクの思惑とが交錯し、物語は意外な方向に転がっていくことになるのです。

最初は接点なんてどこにも無かった…
だから言葉も頭の理解もすれ違いばかり…平行線の一途とはきっとこういう事を言うのでしょう。

でもこの作品の本気はここからです。
最初の兆候は平行線の一途に変化が訪れたこと…
片方は機械で片方はにっくき敵であることに変わりありません。
それでも変化が訪れた…
相手の気持ちを汲み取り素直に思いを伝える機械と、どんな時でも寄りかかれる場所の存在に人が気付き、その結果互いの中で互いの存在が昇華したから…
どちらか一方だけの変化じゃ絶対に平行線は交わりません。
ここに行き着くまでに時間は必要でした。
でもお互いが接点に辿り着いたこと…これこそが二人にとってとても重要なことだったんです。

そしてここからは…もう涙無しでは見られません。
二人の選択したゴールは遥か彼方…
そのゴールに向かって共に歩んでいくことを誓った二人…
だから決めた通り二人で手を取り合いながら一歩ずつ進めば良いのに…

だけど相手を思う気持ちが先行して…良かれと思ったのに…こんな思いってきっとみんな経験していると思います。
だって、例えば最愛の人が風邪で熱を出したら心配するし、何か出来ることを率先しようとするじゃないですか…
二人の出発点もこんな感じで始まったんですけどね…

シュヴィのなりふり構わない様相と心の叫びが胸に突き刺さります。
リクと交わした約束を心の中で何度もなぞりながら忠実に守ろうと懸命なシュヴィの雄姿に私の涙腺は全く抵抗できませんでした。
ホント…シュヴィ…凄かったですよ。
ここまで思えたのも全てはかやのんのおかげ…流石としか言いようのない完璧な熱演だったと思います。
そして凄いのは、その後のリクも…でしたけどね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

キーワードは、エメラルド色に輝く石…
記録にも記憶にも残らない、誰にも語られることのない物語の正体が隠されているかもしれませんよ。
どこまでも儚くて…でもとても優しい物語に昇華してくれた大切なアイテムだったと思います。

テーマソングは、鈴木このみさんの「THERE IS A REASON」
この作品の余韻に浸るにはこれ以上ないマッチングだったと思います。

110分弱の物語でした。
いやぁ…月並みですが視聴して良かったと本気で思える作品でした。
いしづか監督並びに制作スタッフの皆さま…メチャメチャ堪能させて頂きました。
本編も勿論大好きでしたが、この劇場版を見てこのシリーズを「お気に入りの棚」の一作に加えさせて頂きたいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24

75.9 2 ラノベ原作でシリアスなアニメランキング2位
続・終物語(アニメ映画)

2018年11月10日
★★★★☆ 3.8 (334)
1870人が棚に入れました
高校の卒業式の翌朝。顔を洗おうと洗面台の鏡に向かい合った暦は、そこに映った自分自身に見つめられている感覚に陥る。思わず鏡に手を触れると、そのまま指先が沈み込んでいき……。気がついたとき、暦はあらゆることが反転した世界にいた。

2018/11/10より全国劇場にてイベント上映開始!

声優・キャラクター
神谷浩史、斎藤千和、加藤英美里、沢城みゆき、花澤香菜、堀江由衣、喜多村英梨、井口裕香、早見沙織、井上麻里奈
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

僕達と,育ち続ける物語。

こちらは「こよみリバース」。
高校の卒業式の翌朝から始まる物語です。
終わりの,続きの物語ということらしいです。
今回もあらすじに沿ってレビューしていきたいと思います。

阿良々木くんが朝,顔を洗って洗面台の鏡を見ると,鏡の中の阿良々木くんが動いていないことに気付きます。
鏡に手をのばすと彼は鏡に引きずられるように入っていってしまったのでした。
{netabare}気がつくと,そこは洗面所でした。
鏡の中の反転した世界です。
そこに現れたのはお風呂から上がった背の低い火憐ちゃん。
いや。お兄ちゃんの前で裸で平気ってなんなのこの妹。いつものことだけど…。
女としては地味にブラの着け方が気になる。。
これじゃ綾波レイの二の舞じゃないか!!
それより気になったのはパンツよりブラの方を先に着けるの!?
まぁ,火憐ちゃんの好きだけどさ。
「って言うか兄ちゃん,出てけよ。妹が下着姿なんだよ。」って。
あのぉ。裸は良いのに下着姿はダメなのですか??
なにそのダブルスタンダード。
その後月火ちゃんに会うのだけど,彼女の浴衣が左前になってることに阿良々木くんは気付きます。
そして斧乃木ちゃんにも会います。
いつも無表情な彼女がいつもと違う。
そしていつものひらひらスカートじゃなくてパンツスタイル。
八九寺に会おうと北白蛇神社まで来た阿良々木くんはお賽銭を投げて八九寺を召喚しようとします。
ここで内心「オリジナリティーあふれるアイディアが出てくるかどうかがあいつと僕を分ける壁だと言えよう。」とか言って貝木をディスってるけど,恋物語観た視聴者さんはみんな「(o-∀-)σオマエ…」ってなってるよね(笑)。
投げ入れる金額も違い過ぎるし。。
なんとか八九寺は現れます。でも21歳の八九寺お姉さん!!
「阿良々木くふぅん♡」って(笑)。
それで八九寺お姉さんに相談にのってもらいます。
そして阿良々木くんは思いつきます。
暦物語「こよみウォーター」での出来事を思い出したんですね。
神原の家のお風呂が元の世界との通話口になるのではないかと。
でもそこでレイニー・デヴィルに出会ってしまうのです。
「憎い」を連呼して追いかけてくるレイニー・デヴィルだったけど,ブラック羽川に救われます。
羽川の乳房の左右差まで把握してたとか,変態すぎるんだけど阿良々木くん!!
確かに右胸の方が大きいのは珍しいけど!!
家に帰ると,女の子が居ました。
どうやらこの世界の阿良々木くんは老倉育と一緒に暮らしてるらしい。
この世界の老倉さんは幸せそうだなぁ。
現実がこうだったら良いのにな。
真宵お姉さんが召喚したのは先代神様のクチナワさんこと千石でした。
口調がクチナワの兄貴っぽくなってる(;´・ω・)
千石との会話の中で阿良々木くんは鏡は左右逆に反転するのではなく裏返っているのだと気付くのです。
そして,元の世界に代わりに行った阿良々木くんは扇ちゃんではないかと考えるのでした。
寝ようとした阿良々木くんのところに斧乃木ちゃんが来ます。
いつもの無表情の斧乃木ちゃんです。
うん。こっちの方が落ち着くなぁ。
「深淵を覗く者は,また深淵からも覗かれている」
有名なニーチェの言葉ですね。
阿良々木くんが斧乃木ちゃんのパンツを脱がさずに去ったことを訝しんでの行動だったようです(笑)。
“パンツ”がパンティーの方のパンツなのかトラウザーズの方のパンツなのか聞く阿良々木くんだったけど,「さあね。自分の胸に聞いてみたら?」って教えてくれない斧乃木ちゃん…好きです。
それに加えて「僕の胸を使ってやるいつものやつ」とかいうパワーワードまで飛び出します。
大事なことなので2回訊ねる阿良々木くんだったけど,それは華麗にスルーされます。
斧乃木ちゃんはブラック羽川に阿良々木くんを助けるように依頼した人が居ると考えます。
そして,学習塾跡に向かいます。
でもそこにあったのは廃ビルではなく豪華絢爛なお城でした。
そして,そのお城に住んでいたのは人間のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードだったのです。
姫様に謁見している阿良々木くんは,その余りの高貴さに自然と自殺したくなってきてしまいます。なにその謎設定(笑)。
阿良々木くんはこの世界に長く居続けちゃいけないらしい。
翌朝,月火ちゃんに顔を洗われます。
その水が流れていく瞬間,その水に映ったのはにやりと笑う阿良々木くんの顔でした。
自分とは違うその表情に驚く阿良々木くん。
どうでも良いけど,阿良々木くんの妹たちは何でいっつも裸で登場するのよ!?
神原の家に向かう阿良々木くんと斧乃木ちゃん。
レイニー・デヴィルは斧乃木ちゃんが何とかしてくれるらしい。
結局,お風呂につかる阿良々木くん。
そこに現れたのは神原駿河のお母さん,臥煙遠江でした。
何故か一緒にお風呂に入って話します。
いや。どんだけ裸の女が登場するの!?このアニメ。
臥煙遠江は何でも知っちゃう人らしい。
彼女から背中にスティグマという名のヒントをもらう阿良々木くん。
そのヒント通りに直江津高校に行くことにしました。
制服を着て行こうとしたけど,制服が男子用から女子用になっていました。
女子用の制服を着て高校に向かう阿良々木くん。
いくら鏡の中の世界だからってメンタル強すぎるよ,阿良々木くん。
扇ちゃんが北白蛇神社に行くと真宵お姉さんと千石と羽川が酒盛りをしていました。
羽川は幼女バージョン。
羽川は何でも知っているなぁ。
阿良々木くんが直江津高校のかつての一年三組の教室に向かうとそこに待ち受けていたのは扇ちゃんでした。
洗面台に見えた顔が笑ったように見せたのは扇ちゃんでした。
扇ちゃんは鏡の世界の住人ではなく,阿良々木くんの扇ちゃんらしい。
扇ちゃんは阿良々木くんに,阿良々木くんが鏡の世界に来たのではなく,鏡の世界には削られているはずの20%を引っ張ってきたと教えます。
ん~。何だか分かったようで分からない。。
斧乃木ちゃんは懐から吸収率100%の鏡を取り出します。
それを北白蛇神社に奉納すればいいのだそう。
そうすれば残りの2割を吸収してくれるらしい。
結局,阿良々木くんの心残りが今回の事件を引き起こしたってことらしいです。
元通りになった世界に現れたのはピッグテールの戦場ヶ原さん。
阿良々木くんは今回の事件について彼女に話します。
心残りは何だったのか彼自身にも分からないらしい。
最後は戦場ヶ原さんといちゃいちゃして終わり☆{/netabare}

全体的になんか退屈でした。
今までのヒロイン達総動員だったし,会話で面白いと思った所はもちろんあったけど,相変わらず無意味な会話やだらだらとした説明がとにかく長くて,途中で観るのがしんどくなっちゃいました。
こちらはテレビアニメとして6話に分割して放送されたらしいので,それならまぁ観れるかなと思うけど,一気見は集中力がもちません。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

僕達と、育ち続ける物語。

この作品の原作は未読です。
化物語から始まる一連の「物語シリーズ」ですが、物語の難易度が段々上がっている気がするのは私だけでしょうか?

元々は、私立直江津高校三年生の阿良々木 暦が春休みに吸血鬼であるキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会て吸血鬼の眷属となります。
そして、暦の周囲の友達や家族に取り憑いた「怪異」に纏わる物語でした。
この頃は話が分かりやすかったんですけどね…
個人的には「終物語」くらいから、物語の構成や登場人物の設定が複雑で難しくなった感があります。

だから恥ずかしながら本作では怪異は微塵も登場しなかったと思っていました。
高校を卒業したから…?
それとも暦の周囲の怪異は出尽くしちゃったからとか…?
などと考えていましたが、結論から言うと私が忘れていただけでしっかり怪異は登場していたんです。
でも、その怪異に関しては全てがシークレットなんでしょう。
重要なキーパーソンである筈なのに、公式HPのどこにも見当たらないのですから…
もちろん、ストーリーには出てきますけれど…
つまり物語が放送されるまで、そのキーパーソンに関する情報が皆無だったんです。


阿良々木暦の物語は終わった。
地獄のような春休みから始まり、
いくつものめぐり合わせを経て、
阿良々木暦の高校生活最後の一年間は終わった
…かに思えた。

だが卒業式を終えた翌朝、思いがけない事態が起こる。
暦は、鏡の世界に迷い込んでしまっていた。

これは、高校生でもない、大学生でもない、
そんな時期に阿良々木暦が体験した
終わりの、続きの物語。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

「阿良々木暦の物語は終わった」と書かれていますが、見た時にどうしてなんだろうと率直に思いました。
何故なら、原作ではまだ阿良々木暦のの物語は大学生編として続いているから…

確かに高校生としての阿良々木暦の物語は終わったかもしれません。
ですが、阿良々木暦自身の物語は終わっていませんので…
でも、物語を完走して理解しました。
この物語を成立させるには、ここで一旦を終わらせる必要があったんです。

でもこの伏線は正直分り辛いです。
最後の最後までチンプンカンプンでしたから…

でも、難しいながらも視聴を進めていくと、この鏡の世界の設定は実に面白いです。
特に化物語から欠かさず視聴してきたファンの方には堪らなかったのではないでしょうか。
かく言う私もその一人ですけど…

この鏡の中の世界…文字は裏返り右と左が逆になるんですが、これは見た目の話だけで本質ではありません。
この世界の面白さの本質は、設定そのものが裏返ることなんです。
設定が裏返ることの面白さは、登場人物のこれまで見れなかった一面が見れることに尽きると思います。

例えば八九寺 真宵は永遠の小学5年という設定でした。
ですが本作では「傾物語 第閑話 まよいキョンシー」でお目見えした真宵お姉さんになっていたり…
この設定で色々持っていかれたのは、やっぱり余接ちゃんで決まりでしょう。
普段無表情の余接ちゃんが裏返ると…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

人生には進学、就職、結婚など様々な節目がありますが、節目を迎える時にはこれまでを振り返る大切さを、この作品に教えて貰った様な気がします。
今回暦も高校を卒業するという節目を迎えた訳ですが、節目を迎えた人ならではの物語だったのではないでしょうか。
だから物語を終わらせて節目を迎える必要があったんです。

きっと優れた人は節目を迎える前に自分自身を振り返るんでしょうね。
だから第2、第3の暦になる可能性は格段に低いのでしょう。
まぁ、それが出来たら苦労しないんですけどね^^;

物語はちょっぴり切なくて…やっぱり戦場ヶ原ひたぎは可愛くて…
〈物語〉シリーズ・ファイナルシーズン最終巻をアニメ化したこの作品…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、阿良々木暦の「07734」
エンディングテーマは、TrySailさんの「azure」
オープニングは不思議な感じの曲でした。
TrySailさんの「azure」は安定感抜群の曲だったと思います。

0.5クール全6話の物語でした。
多少、難しさを感じましたが気合いと根性で乗り切りました。
もちろん堪能させて貰いましたし、視聴して良かったと思っています。

でも、この〈物語〉シリーズの終着点ってどこになるんでしょうね。
終わらない作品は決してありませんが、この作品にはまだまだ広がりを見せて欲しいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

不思議な世界

原作未読 上映時間 約150分

テレビアニメ放送(未定)に先駆けて6話分を劇場版としてひとつに纏めて公開した作品です。

阿良々木 暦が私立直江津高校を卒業して、大学入試の合格発表前の出来事を描いています。朝、洗面所の鏡に映る自分を不思議に思ったあと、その鏡の中に引き込まれたお話です。

キャラデザは、テレビアニメ版と同じなので違和感なく観れました。

いつもの阿良々木暦の一人語りがメインで、色々なキャラとの会話劇もたくさんありましたね。{netabare}(まさか神原 遠江(臥煙)さんまで出てくるとは思いませんでしたw){/netabare}

女性キャラがほぼ登場しますが、いつもと違った面が観れました。
{netabare}
成人になった八九寺真宵、レイニー・デヴィル姿の神原駿河、クチナワ口調の千石撫子、ブラック羽川や少女姿の羽川翼、背が低くなった阿良々木火憐、人間の時の忍野忍、ツインテールの戦場ヶ原ひたぎ、表情や仕草が豊かな斧乃木余接、学ランを着た(男性?)忍野扇、そして老倉育さんだけは最初誰だか分からないくらい容姿や性格が変わっていましたねw
阿良々木暦の女子制服姿で真剣に語っているところは、ちょっと笑ってしまいました。
{/netabare}
PG12作品ということで、やたらと下着姿や裸のシーンが多かったですw

化物語の世界を満喫しました。この作品の特徴として、アクションシーンが少なく会話する時間が長く、150分もあるので退屈するかもしれませんね。

テレビ放送はいつになるのでしょうか? 早く観たい方で、化物語シリーズが好きな方は観てもいいのではないかと思います。

ED TrySailさんが歌っています。

最後に、原作の物語シリーズはまだ続いているにゃ~。またTVアニメか劇場で続きを観たいシャシャシャ~。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28
ページの先頭へ