阿紫カービィ さんの感想・評価
4.5
美徳 悪徳
可愛い?作画なのに
毒のある作品…良心が悲鳴をあげた!
好きなエピソード順に
感想を。
『迷惑な国』
これは…見事な風刺に 開いた口が塞がらなかった。
巨大なキャタピラで、移動をし続ける国と
「通せんぼの国」のお話。
移動を続ける国は
動力炉からでるエネルギーを発散させる為に移動をせざるを得ない、
国民が 色々な景色を楽しみながら旅をしたい、その2つの理由で移動を続けている。
豊富なエネルギーがあるからなの?
この国の民は皆笑顔。
無邪気で 大きな声で挨拶をする子供達、
生活に全く不満がない故、おおらかな大人達、
その皆の笑顔が…とにかく奇妙。
目の前に「通せんぼ」の国が現れる。
通せんぼの国の将軍は、移動する国に当然反発するのだが…
「皆さん 退いてくださーい!怪我をしますよ。」
と普通に注意をするのです。
笑顔の国と怒れる国
どちらが「迷惑な国」なのでしょう…
たとえ「通せんぼの国」が、
他国にとって、キノにとって不都合な国だとしても、
そこで生活をし 農作物を作っている人達も いるのです。
『嘘つき達の国』
とても哀しく あたたかい。
人の心は一体 何なのでしょうか…
心に傷を負った元革命家と
彼を「大切」に思う 人々、身分を隠して「彼」のお世話をする女性のお話。
皆が それぞれの想いを持ち
「彼」を護る為に 嘘をついている
優しさや愛に溢れている嘘つきの国
普遍的でなくとも 幸せというのは容を変えて存在している。
自分にとっての幸せとは何か を考えさせられました。
『羊たちの草原』
いく通りにも考察できて、面白い!
羊を擬人化させての風刺に胸がスカッとします。
「君たちは 何故…そうまでして闘う?」
ほんとだよね。
そして人間はいつから…都合良く勝手に自然を壊し始めたんだろう。。
後始末もろくに出来ないのに。
『雲の中で』
これは「奴隷の少女」と 一人の男性のやりとりで物語が始まり、終わりを迎えます。
「奴隷の少女」の言葉に何を思うか。
{netabare}「私は 人を恨んだり憎んだりしません。人を殺そうと思う事は 悪 です。その様な事を思ってはいけません。それが 真理 ですから。私は今、将来を試されているのです。」{/netabare}
腐った世界で
人でなしだけが 生き残れる世界で
少女はその言葉を心から信じて 守って すがって 生きてきたのでしょう。
しかし
人の心には…どうしても迷いや矛盾が生じる時がある。
辛いけれど…
『人を殺す事ができる国』
1話目に このお話をもってくるとは…凄いと思います。
「屁理屈」に クスッとなる、ある意味、爽快なお話。
瞬時に 心、掴まれました。
全体を通して思ったのは…
謎を少しだけ残して『ん?』と思わせ
後にその謎が解る、というミステリー的な要素もあり、軽く笑えるお話もあり。
「伏線回収」がきちんと成されています。
これは私の我儘なのだけど
「キノの正体」「キノの過去」のお話…
知りたくなかった…です…まだ。
私も旅をしたい!
ブラフ・シューペリアに乗りたい!無理だけど…
人は
いつだって自分の特別な場所を探してるもので。
自分の「国」を作ろうとしてる。
私も頑張ってみようか…な