侵略で覚醒なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の侵略で覚醒な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月14日の時点で一番の侵略で覚醒なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

72.1 1 侵略で覚醒なアニメランキング1位
パプリカ(アニメ映画)

2006年11月25日
★★★★☆ 4.0 (830)
3940人が棚に入れました
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか?事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。

声優・キャラクター
林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

バイキャメラルマインド

今敏監督作品、原作筒井康隆。

他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー、
{netabare}DCミニが研究所から盗まれる。
人々は奇怪な夢を見始め暴走する。
夢が現実世界にも影響を及ぼし始めた。{/netabare}
夢探偵パプリカの追跡が始まる。

夢を共有し分析する精神治療の新地平、
誇大妄想患者の夢、壮大なブリキのパレード。
アニメ史に残る平沢進の狂乱のパレード。

やがて恐るべき未来が来る、
君の安易な行動のために。
いちいち気にすることはない、
既に手遅れなのだから。

コンラッドは「闇の奥」に記し、
マーロンブランドーはそれを恐怖だと震える。
フロイトが語った、心の底にあるものを、
エドガーポーはその50年も前から知っていた。

本当の悪夢とはどんなものだろう。
{netabare}心が2つに割れ、2つが4つに割れ、
やがて砂粒のようになり流れ落ちるが、
粒1つ1つにも意識が宿っているのならば、
いったい、いつ人の意識は死ねるのだろう? {/netabare}

今こそ凱旋の時だ、勇敢にも進軍の時だ。

外にも内にも、豊潤な物語である。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 60
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

Don't think . Feel .  …でいってみよう

そういえば原作既読。内容はうろ覚え。


地上波でたまたま流れた『東京ゴッドファーザーズ』を皮切りに~の今敏監督アニメ映画視聴マラソンもこの『パプリカ』でひとまず完走。物理的にもこれ以上これ以外走り続けることはできません。

゛難解な作品” ゛人を選ぶ作品“ ゛芸術性の高い云々”

氏の作品には枕詞のようにこれらの修辞表現が付き纏います。うむ。確かにそんな面はあるかも。でも敢えて私はこうも思うのであります。

{netabare}いいんだよ。そのまんま感じればいーじゃん。テヘッ{/netabare}

絵画におけるレゾネやクラシック音楽の解釈やらもそう。一枚の心奪われる絵を目の前にした時、情感揺さぶる音に触れた時、言葉は蛇足となることがあります。
私のような素人目にもわかる映像表現。強烈なインパクトを残すキャラクター達。{netabare} そして現実世界でのハッピーエンド。{/netabare}
とかく難解だと敷居を上げなくても、娯楽作品として観たまんまで楽しめるアニメ映画だったと思います。凝ろうが凝らまいがあとは受け取る側の判断でしょう。面白いか?面白くないか?それが全てです。

なぜ?そんな当たり前のことを?

氏の作品の多くはどれも90分程度と視聴にあたってのどっこいしょ感がなく、とりあえず4作品鑑賞してどれも粒揃いだったので、できれば多くの方に触れてほしいですし、下手な先入観は持っていただきたくないなというのがその理由です。


さて本作『パプリカ』です。
゛虚構” と ”現実” が入り乱れる秀作を次々と輩出してきた監督の遺作です。今回は 《夢》 。
他人と夢を共有できる゛DCミニ”というデバイスがある。心理療法の次の一手であると臨床試験を重ねていた矢先、DCミニが研究所から盗まれて、という導入。研究所員であるサイコセラピスト千葉敦子/パプリカがヒロインです。
キャッチコピーは「私の夢が、犯されている―」「夢が犯されていく―」。新たな試みはメリットと同様に副作用が付き纏います。DCミニもご多分に漏れず欠陥がありまして、その隙をついてあれやこれやが巻き起こる物語です。

夢の言葉上の定義は

1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。
2 将来実現させたいと思っている事柄。
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。
4 心の迷い。

と辞書にあります。 夢って何だろう?と突き詰めた形跡が見て取れます。

根幹となる部分はもちろん1。そこに2~4を想起させるキャラがもう一つもう二つとストーリーラインを重ねていくような物語でした。誰がどうかはネタバレ直結なので隠します。

2は{netabare}ヒロインの敦子さんが代表格。もっとも奥にしまってた感情に気づいたということですが。。{/netabare}

3は{netabare}乾精次郎理事長が代表格。現実から逃げ妄想に囚われました。{/netabare}

4は{netabare}粉川刑事。そしてストーリーのもう一つの柱。トラウマに向き合って克服します。{netabare}映画からは前向きなメッセージを受け取りました。{/netabare}{/netabare}
他の登場人物たちも多かれ少なかれこの類型に分類されるのかな~という見立てです。


処女作『PERFECT BLUE』では《劇中劇(虚構)》と《現実》
二本目『千年女優』では《劇中劇(虚構)》と《回想》と《現実》と場面が増えて入り乱れました。
三本目『東京ゴッドファーザーズ』は置いといて(笑)
本作『パプリカ』では《夢(虚構)》と《現実》に夢をモチーフにした登場人物たちが入り乱れました。

作品を重ねる毎に表現の幅を広げていき、本作で集大成、または集大成にならざるを得なかった良作でした。

概念的な話なのでどちらかというと視聴済みの方向けの私の見解となります。
新たに鑑賞される方は先述の通り、そのまんま観ていただければよろしいのかと思います。


そして、゛ならざるを得なかった” の理由。
それは本作のラストを見届けるとその思いが強くなります。


※ラストのネタバレ有
{netabare}映画ラストで監督の過去3作品が背景で流れて粉川刑事が映画館に入っていく。タイトルは『夢見る子供たち』です。

{netabare}なんかの予言だったのでしょうか?
《虚構》と《現実》行ったり来たり。そして溶け合う今敏監督がこれまで手掛けた作品をイメージさせて未来へと繋がるであろう to be continued。{/netabare}
{netabare}次の作品で夢うつつシリーズの完結を構想してたのかもしれませんね。これは私の妄想です。いわばホップステップジャンプのステップ段階で早世されたのかと。{/netabare}{/netabare}

最後の演出は、客観的に作品を楽しむ現実世界の観客を、虚構の世界にいざなう監督の最後の大仕掛け。といったら感傷的過ぎるでしょうか。

例えが妥当かは知りませんが、過去作を上手いこと継承しながらエンタメ作品として爆発的なヒットとなった2016年の映画のようなのが次回作品で来てたかもしれませんね。
それで「俺たちの○○はどこへ行ったんだ?」とオールドファンをやきもきさせたり、一方で新規のファンが出来てたり。
そして、作風をガラッと変えてまた新たな実験を試みたり、と。


夢にはもう一つ。5番目の意味があります。

5 はかないこと。たよりにならないこと。

冒頭でひとまず完走と述べましたが、気分としてはハーフマラソンを走り終えた感じでしょうか。まだ半分、もっとイケる。なんならウルトラマラソンでも構わないのに!

少し、クールダウンしてからいつの日か『妄想代理人』を堪能することにしようと思います。


■雑感
一周しかしてないので、もう一回観たら感想変わるかも



-----
2019.08.04追記

二周めいってみた!
たまに触れたくなるクセになる感じがありますわ。



2019.02.19 初稿
2019.08.04 追記修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 47
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

誰かの夢に自分の夢が入り込んだら・・

原作である筒井康隆氏の同名長編小説を、
故 今敏監督が映画化した2006年の作品です。

まず、原作と違う点は多々あるようですが、元々かなりの長編ですし、
90分以内のシナリオに収めるというのは大変な作業だったと思います。

主人公であるパプリカというのは、
千葉敦子というサイコセラピストが使用する、
夢を共有する装置DCミニの中での呼び名なのです。
そのDCミニを発明したのは同僚である時田浩作という巨漢の男性で、
彼は凄まじい大食らい・・・というところが実はミソだったりします。

ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、
それを悪用して他人の夢に強制介入し、
悪夢を見せて精神を崩壊させる事件が発生。
研究所内部の人間達が次々襲われていく中、犯人の正体と目的は何なのか?
また、この悪夢から抜け出す方法はあるのか? というお話です。

本来、夢というものは自分自身でさえ把握できないもので、
目覚めた後、記憶に残っている断片でさまざまな心理分析はできるものの、
他人の夢の中に入り込んで直接的に何らかの問題を治療する、というのは、
現実的にはまだ実験段階なのですよね。

でも、この作品ではそれをやってくれちゃう。
しかもその夢をあんなにも鮮やかに、映像化してしまった。
サーカスの空中ブランコからいきなりターザンになって、
ジャングルをすり抜けたと思ったら列車の中のギャングになってたり、
カップルを撮影するカメラマンになったと思ったら、どこかのホテルの廊下で。
場面と場面は鮮明なのに。繋ぎ目が定かじゃないところなんて
まさに実際の夢そのもので・・・もう、お見事としか言いようがありません。
今監督の映画はこれまでも、こういった手法を得意とされていたけれど、
この映画内容には特にピッタリでした。

数々の人形やぬいぐるみ、おもちゃのロボット、古びた冷蔵庫や招き猫、
家電製品から鎧を身に着けた武者人形やどこかの国のお土産品まで、
カラフルな紙ふぶきの舞う中、ゾロリゾロリと練り歩く、
奇妙でノスタルジックなパレードの光景も圧巻です。

また、いつもながらの数々の映画のパロディも健在。
さまざまな夢の中だけでなく、今回は、映画街のシーンでも、
今監督作品である『東京ゴッドファーザー』や『千年女優』
『パーフェクトブルー』などの看板をチラッと見ることができ、
思わずクスッと笑わせてくれます。

他にも、パプリカが孫悟空やピノキオ、人魚姫、
果てはピーターパンに登場する妖精ティンカーベルに扮したり、
研究所の同僚に監禁される蝶の標本だらけの部屋のシーンでは
ウィリアム・ワイラー監督の古い映画『コレクター』のパロディが・・
さらにポスターや雑誌の表紙、部屋の壁に貼ってある写真などにも
ビックリするくらい細かな演出がされており、
映画好きの自分は、これだけでもう嬉しくなってしまったほどでした。

さて・・・黒幕など後半のことはネタバレになるので
あまり詳しくは書けませんが、
黒幕が言う言葉も、ちょっと考えさせられました。
{netabare}
「夢たちは慄いている。科学によって安住の地が奪われてしまう。
 非人間的現実世界にあって、唯一人間的なものの隠れ家が夢だというのに」
{/netabare}

確かに、科学のめざましい進歩は喜ばしいことである反面、
どんどん人間の内面が暴かれていくという複雑な想い・・・
そこだけは、ちょっと共感できる部分でした。
{netabare}
さて、黒幕を倒すための最終手段ですが・・・
見ようによってはかなりお粗末にも感じてしまいますが、
あれはおそらく、パプリカと誰かさんの想いが合体し
夢=願いを共有したことで可能になったのかなと。
そして赤ちゃんが夢を食べながらみるみるうちに大人へと変貌していく
あの光景は、人間の夢そのものを感じさせてくれました。
{/netabare}

夢の中の、またその夢の誰かさんの夢の中を垣間見て、
パプリカである千葉敦子はきっと決心できたのかもです。
何を決心したのかは、しっかりラストで描かれているので、
観た人だけのお楽しみです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 43

66.3 2 侵略で覚醒なアニメランキング2位
劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子(アニメ映画)

2016年11月4日
★★★★☆ 3.8 (71)
294人が棚に入れました
宇宙に進出を果たした人類は、数多の資源小惑星を手中に収め、その未来と繁栄は約束されたかに思えた。しかし、汎銀河統一帝国を名乗る謎の勢力“ウルガル"が襲来し、地球は存亡の危機に。遺伝子操作によって戦うために生まれた5人の少年少女、イズル、アサギ、ケイ、タマキ、スルガの「チームラビッツ」は、最新鋭の戦闘デバイス「AHSMB(アッシュ)」で戦いを挑み、最終決戦においてウルガルの部隊を退ける。その戦闘によりイズルは…。そんなチームラビッツを、新たな外敵、新たな戦いが待ち受けていた―。

声優・キャラクター
相葉裕樹、浅沼晋太郎、日笠陽子、井口裕香、池田純矢、渡辺明乃、沢城みゆき、伊藤静、東地宏樹、藤原祐規、三瓶由布子、杉田智和、斉藤壮馬、代永翼、雨宮天、鈴木愛奈
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

TVシリーズ以来3年ぶり、完全新作の劇場版だよ!お兄ちゃん!

待ちに待った劇場版でしたが、期待通りの出来栄えでした。
敵ウルガルとの最終決戦ではなく、太陽系に取り残された残存部隊との戦いなので、
スケール的には小じんまりした印象は否めませんが(上映時間が約80分しかない時点で嫌な予感はしてた)
実際見てみるとこれぞマジェプリといった感じで、TVシリーズを視聴した時の熱がこみあげてきましたね。

マジェプリの魅力は
・シリアスな設定や描写を引きずらずにギャグで落とすところ
・視聴者目線でなく保護者目線で見守りたくなる危なっかしくて愛らしいキャラ
・オレンジCG班による超絶メカ戦闘

特に本作は劇場版だけあって戦闘作画はとんでもないレベルに達してますね!
アニメにおける「高速の動き」って光がビュンビュン飛び交うだけの誤魔化しがよく見られるんですが、
マジェプリの戦闘は精密な動きまできちんと描写されてる点が素晴らしい(しかもそれが長時間続く)。
更に本作は「緩急」の織り交ぜも効果的で、絵の動きのみならず「魅せ方」にも拘りを感じました。

{netabare}覚醒したブルーワンの殺陣シーンは格好良すぎでしょうよ。
のっしのっし・・・からの超ダッシュで上空へ駆け上がり敵機を薙ぎ払う一連のシーンは何度見ても痺れる。
終盤の戦いの舞台がTVシリーズでも好評だったラベンダー畑なのも個人的に良かったです。
美しい空と雲と花畑の中での激しい戦闘ってのが、コントラストが映えに映えて思わず見惚れてしまう。{/netabare}

本作をもってTVシリーズから続いた第1期が終了したって感じですかね。
まだ物語的に消化しきれてない部分や伏線もあるので、続編に期待したいです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 14

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

蛇に足を描いちゃイカン。

 タイトルに尽きます…。TV版は続きができなくもない終わり方だったから少し期待していたのですが、正直彼等の戦いをもう一回描くためにでっち上げたストーリーとしか言いようがない。


バトルの基本は敵役にあると何度も書いてきましたが、グリリバさんで良かったじゃん…くらいしか残らない新キャラでした…。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 11
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

超高速巨大ロボバトルをスクリーンで堪能できる至福

まずは、本日で予定された二週間の限定上映期間が終わっていく
極めてザンネンなタイミングで、
劇場鑑賞レビューを投入する尊氏の間の悪さをお許し頂きたいですw
二週間限定だと照準を合わせるのが難しくて(汗)


物語はそんなに緻密で濃密な内容があるわけじゃありません。
大体、ロボットアニメのプロットなんて元来、
イズルのヒーロー漫画並みにお約束のテンプレート。
そこを捻り出すと、ロボットアクションアニメとは異なる哲学アニメになってしまう。
勿論、ロボの皮を被ったハードコアSF作品や詩的で青春文学的な作品も魅力的で、
そういう味付けは私も大好きですが、
私が『MJP』に求めるのはソレじゃないです。

……と言うより『MJP』のバトル以外のシーンは
八割方、味付けの濃いキャラたちによるネタで出来ていて、
それこそが本シリーズの個性だと私は思っていますのでw


よって、私が映画館にギリギリ滑り込んだのは、
リアリティ等に過度に束縛されない、
むしろネタに押し流されるまま、フルスイングされた痛快ロボバトルに放り込まれていく。
『MJP』の作風の極致を体感したかったから。

そして、その欲求は十二分に満たされました。
小難しいことは考え過ぎず、ネタとロボットを堪能したい人にとっては、
大満足できる劇場版だったと思います。


果たして…… {netabare}急造リーダーに祭り上げられたアサギの胃腸は持ち堪えられるのか?
宇宙レベルのパティシエ?ケイによる戦慄の新作スイーツは何をもたらすのか?{/netabare}


ネタとロボの覚醒をもっと大勢の保護者やアニメファンの皆さんに味わって欲しいから、
私は上映期間延長を是非とも望みたいわけですが、
私が行った上映回、観客動員数がザンネンファイブじゃ厳しいことは分かっていますw

……いや、それでもオレは例えばロボット兵器は莫大な予算食うから無駄遣いだとか、
このアニメは円盤売上が二期可能ボーダーに達してないから続編はないとか、
そういう野暮なことを言う経済評論家になどなりたくはない。

帰還を待ち望む熱い想いこそが奇跡を起こす。そう信じたいのであります!


……と、無駄に熱くなった所で、ここでさらに余計な一句をw


 ロボットは 算数じゃない 情熱だ!
               #ザンネン五七五


マジェプリ二期……決まるといいな……。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 11
ページの先頭へ