剣道で暴力なおすすめアニメランキング 2

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68.7 1 剣道で暴力なアニメランキング1位
今、そこにいる僕(TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (283)
1451人が棚に入れました
 50億年後の未来の戦争に巻き込まれてしまった平凡な少年のサバイバルを描く、少年冒険SF。「おじゃる丸」「こどものおもちゃ」の大地丙太郎が監督、助監督は宮崎なぎさ、則座誠。松谷修造(通称:シュウ)は、ある日、ララ・ルゥという水色の瞳を持つ少女と出会う。彼女は、地球の未来を左右する力を秘めたペンダントを持っており、それを狙うハムドという50億年後の未来の独裁者から逃れるため、現代にタイムトリップしてきていた。だが、すぐに追っ手に見つかり、ララ・ルゥと共にシュウも未来に連れ去られてしまう。そこは、海が干上がり、地表も9割が砂漠と化している、まさに死に瀕した地球だった。そのうえ、その少ない水と星の覇権をめぐって起こった戦争によって、殺戮と略奪が日常化していた。否応なく戦争に巻き込まれてしまったシュウは、同じくこの時代に連れてこられたサラとなんとか生き残る道を探るが…。

声優・キャラクター
岡村明美、名塚佳織、仲尾あづさ、今井由香、小西寛子、陶山章央、石井康嗣、安原麗子
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

不条理な現実に対するせめてもの抵抗

あまりにも衝撃的過ぎる作品。
ジブリ作品のような可愛らしいキャラデザでボーイミーツガールものが始まるかと思いきや、
主人公の少年シュウがタイムトリップした先は、悲惨な戦争の世界だった。

ファンタジー要素を含みつつも、戦争を真正面から、ドキュメントタッチで描いている。
画面から血の臭いが漂ってくるような、生々しい描写の数々。止まらない憎しみの連鎖。
どうしようもなく理不尽な世界に対して、人は何ができるのか?どう生きるべきなのか?
色々考えさせられる内容であり、人間の愚かさや醜さ、そして無力さを痛感させられる作品。

シュウの明るく前向きな性格は一貫しており、戦争が日常の世界において際立っている。
主人公補正で活躍する場面は多いが、結局のところシュウもこの世界では無力でしかないと
否が応でも思い知らされる。根拠のない無責任な言動で人を傷つけるシーンが何とも痛々しい。

他のキャラに関しては、やはりサラのインパクトが凄い。
アニメ史上最も不幸なヒロインと言っても過言でないくらい、あまりにも悲惨な境遇。
殺したくない、けど生きるためには・・・そんな少年兵ナブカの葛藤も見所。
狂王ハムドのイカれっぷりも凄まじい。ハムドによる次回予告は必聴。
ただ、ハムドが何故狂ったのか、側近のアベリアを始め何故こんなハムドに反旗を翻さないのか、
その辺りの描写が不足している点は不満。

・作画
キャラデザに古臭さはあるものの、背景絵はきっちり描き込まれている。夕日の美しさに感動。
・声優
モブの幼い子供キャラにリアルの子供を配役するなど、リアリティに拘っている。
あとは何と言っても狂王ハムドを演じる石井康嗣の怪演。
・音楽
ラテン調で物悲しいOP(インスト)が実に印象的。岩崎琢による劇伴も作風と絶妙にマッチ。

{netabare}
物語の都合上、ララルゥの不思議能力でヘリウッドは水没し、戦争は終局を迎えるわけだが
多くの人が犠牲となり、残された人々が今後生き延びられる保証もない。
結局のところ問題は何も解決せず、悲惨な現実を前に人はどうしようもなく無力なのだ。

だが、無力であっても希望を見出して生き続けることが、本作の伝えたい事であると感じた。
シュウがサラに対して投げかける「大丈夫だ、生きてりゃ良いことだってある!」という台詞は
根拠のない希望であると同時に、不条理な現実に対するせめてもの抵抗のように思える。
最終話で、水没するヘリウッド内で「大丈夫だから!」と子供達を励ますサラは
シュウの言動に少なからず理解を示したと言えるだろうし
女性として、人間としての尊厳を踏み躙られ続けたサラの成長・力強い生き様を感じ取れる。
{/netabare}

終始陰鬱な描写が続くので、欝に耐性のない方には勧めづらいのだけれど、
戦争を題材にした作品として一見の価値はあると思っています。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 39

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

別に鬱と身構えなくてもいいような

 鬱アニメの最終到達点みたいな強烈な奴だと思って観始めたんですが、意外と普通にイイ話なような(汗)

 多くの方が書かれてる様に、確かに主人公の言動がアレ過ぎて違和感ありますけど話自体は王道展開だと思います。
裏を返せば、ほ~そう来ましたか!!的な捻った展開の面白さは無いです。
ただ、何時の時代・どの国の戦争の背後にあったであろう残酷さや無慈悲さ、抗いようの無い各個の立ち位置をストレートに話に織り込んでいるので鬱作品と言われてるんだと私的には思いましたです。

 キャラクターデザインに古さは有りますけども当時の作画レベルとしては特段レベルが低い訳でも無いですので、この作品が観たくて観ると言う方ならば特に気にならないんでないですかね。

 ただホント、主人公のシュウの考え方と言動が気持ち悪いと言うかw
そのこいつ聖人か?とも思えるほどの発言がハマるシーンも無くは無かったですが、チョットいまいちには感じました(汗)
意図したキャラ造りではあったんでしょうけど、感情移入できる程度の普通に近い人物像の方が良かった気はします。
ヒロインに関してはララ・ルゥなのかサラなのか?という微妙さは有りますが、この世界でのララ・ルゥの立ち位置の特殊性からやっぱサラの過酷な運命には同情せざるを得ないというかメインと言いますか。
主人公が普通じゃないから、サラは気の毒ではあるけど彼女の部分があるから観てられたとも言えますけど。
サラの脱走のシーンは、全然似て無い話なんですけど何故か映画のミッドナイトエキスプレスを個人的には思い出しちゃいましたです。

 私も他の方のレビュー読んだ印象からして絶望しか残らない作品と勘違いして観てましたが、ラストの締め方は絶望一色では無い作品ですので特に鬱だろうと敬遠せず観てもイイんではないかと思いましたです。

 ところで太陽がシュウの世界に比べて大きくなってるのは、太陽の膨張を表してたって事すよね?異世界モノだと思って観始めたんで、未来の話かと気付いたの終盤に近づいた頃だったんすよね。お恥ずかしい(汗)
作中ではっきり説明はしてないですけどね。

それにしてもコレを19:00から放送してた某BS局って、結構チャレンジャーだなとw
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ごちうさを見ながらこれ見ると、とてもバランスの良い精神状態を得られるのでは?というナイスアイデアを思いつき観始めたんですけどね。
コレ6話まで観ときながら、ごちうさは1話しか観てなくて思惑通りにいかないモドカシサw

人・集団の業を描きながらも、無垢な少年とはいえ人間臭さのない主人公が人によっては共感出来ないのかもですね。私もそう思ったんだから心底この作品には共感してはいないのでしょう。バランスが悪いんだと思います。
でも、続き見たくなるんですよね。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 9

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今、そこにいる僕…今、ここにいるあなた…そして今、そこにある危機

前回、とあるレビューで私はこんなことを口にしていました。
「とりあえず、今度は鬱アニメ探訪でもしてみるか…」
※Q.鬱アニメとは?
 A.世間一般におけるアニメの中でも、特にハッピーエンドで終わらない、とことん暗く重い作品を主軸、もしくは一部の展開とした作品の総称

勿論、これを書いた事は決して忘れてなどいません!
何を観ようか悩み、観てみたは良いものの、ストーリー展開の余韻に悩み、どう言葉にまとめればいいかで悩んだ事等、語る必要もありません。
という訳で、私の中で新たな可能性の扉が開いてしまった成果を今こそ、皆さんにお見せするとしましょう。
さて、今日ご紹介する作品は先日、どこぞの動画サイトで鬱アニメランキング1位を獲得していた物です。
昨今流行りの異世界転生モノの流れを見事になぞっておきながら、その残酷で無慈悲な展開は、現代の地上波で放送するには到底不可能な内容
○○○が暗喩的に描写されたシーンや主人公や他の子供達に対して行われる○○の横行には当時でも目を覆った人、見てられないと投げ出した人も多かった事でありましょう。
これをその時のテレビジョンではゴールデンタイムに放送していた事を考えると、改めて時代の寛容性、そして時代の移り変わりと言う時の流れの深刻性を肌身に感じてしまいます(これがたとえ、WOWOWのノンスクランブル放送(無料)であったとしても驚きです)
しかし、こういった情景が夢幻でないと断言出来てしまう情報化社会の今だからこそ、私達は最後までこの作品を語り継いで、教訓として生かしていかなければなりません。
そういった点において、今作は第1回目の紹介として最も相応しい作品と言える事でしょう。
『今、そこにいる僕』
今回はこの作品について存分に語っていくと致します。


まずはあらすじを簡単に説明しましょう。
ごく普通の中学生、松谷修造(通称、シュウ)
彼は自信を持っていた剣道の試合に負け、尚且つ相手のいけ好かない真面目イケメン君に好きな娘を奪われてと、意気消沈
しかし、何事にも前向きなのが彼の良い所
気を取り直して明日からまた頑張ろうと思っていた矢先、いつも自分の秘密基地として利用している煙突の上に見知らぬ少女が座っているのを発見する。
夕日を見ながら黄昏る彼女、同じように黄昏るシュウ
無口な少女と少し話してみて分かった事と言えば、名前をララ・ルゥと言う、ただ、それだけ…
ララ・ルゥに興味を抱いたシュウ
もっと彼女について詳しく知りたいと思った彼
再度話しかけようとしたその時、突然見知らぬ機械と人間が姿を現し、彼女を何処かへ連れ去ろうとする。
必死に助けようとした彼はその戦闘の最中、彼女と共に何処かへ飛ばされてしまう。
たどり着いた先は、未来の地球にある領域の1つ、「ヘリウッド」
シュウはそこで、ララ・ルゥを巡る過酷な戦争とその世界での圧倒的な現実を目の当たりにする事となる……

ここからは私の個人的感想に移っていきたいと思います。
さて、こういった暗い作品を観るにあたって、私は1つの取り決めを自分自身に課しておりました。
それは、このような暗い作品は必ず、毎日深夜に拝見していく事
鬱アニメは静かな、誰しもが寝静まった夜に観てこそ、最適な効果がもたらされると思っているのが私の持論です(笑)
今作もそのご多分に漏れず、1番影響力の強いであろう、その時間帯に視聴した次第
しかし、幸か不幸か…
私が全13話を観て思った事は、衝撃的な展開が多くあって驚いたものの、それによって私が鬱屈した感情に見舞われると言うのは終ぞ無かったな…と言う事です。
いや、この表現はあまり正しくないですね…訂正します。
実は、この『今、そこにいる僕』と言うアニメは1話毎に生じる「余韻」と呼ばれる感傷が実に凄まじい作品です。
普通のアニメだったら最終回を観終わった直後に、何とも言えない余韻が精神を侵して、何も手につかなくなると言う事がままあります。
このアニメはそんな、普通のアニメであったら最終回限定で起こるだろう「余韻」が毎話毎に生じてしまう…と言えば分かりやすいでしょうか?
暗い気持ちになる事は無かった物の、毎回、1話ずつ観る毎に「今日はもう、良いかな…」といった倦怠感、疲労感、達成感を感じさせる作品
しかし、それが決してつまらないと言う訳ではありません。
寧ろ、先の展開は気になってしょうがない類のアニメです。
これは終始、絶望的なストーリー運びのオンパレードで観ているだけでも暗い展開が次々と起こって来る事
しかし、それでも先が気になってしまうと言う引きの良さ
この2点に集中して依る事によって起こった事態と言えるでしょう。
そういった「余韻」と呼称された感傷的な気持ちを多くの方々が「鬱」と解釈しているのなら、これは文句なしの鬱アニメNO.1です(現時点)
はっきり言って凄まじい…
アニメの展開にハラハラしてどうなるのかと見入っていた所に、EDの子守歌
あれでどれだけ自分の心が落ち着いた事か…
これを観て、その歌を聴いた後はもう、早々と眠りにつきたくなります。
それはもう、嫌な事を眠って忘れる赤子の如く……
そういった訳で、1話1話の詰まった内容、そして、最後に訪れるEDで、この作品は唯一無二の不思議な空間を作り上げたと言えるでしょう。

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私達は踏み慣れた生活の軌道から放り出されると、もうダメだ…と思います。
しかし、実際はそこに、ようやく新しい良い物が始まるのです。
生命のある間は幸福があります。
レフ・トルストイ
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今作の主人公、松谷修造
良く言えば楽天的な熱血少年、悪く言えば後先を考えない馬鹿
このアニメを観た方なら彼に対しての印象は人によっては実に正反対で、2つの概念に分かれてしまうかと思います。
ここのサイトも見てみると、彼については評価が見事に二分していました。
その点を踏まえた上で、次にシュウに対して私が感じた個人的印象を書き連ねるとしましょう。
私はどちらかと言うと、好評、すなわち、楽天的熱血少年としてシュウを高く評価しています。
しかし、それ以上にこれが他の希望的作品であったなら、彼の様な主人公では駄目だったとも思っています。
それはこの物語におけるシュウの無力さ、無邪気さ、無謀さが及ぼした影響にこそ、今作の全てが委ねられていたからです。

詳しく説明するとしましょう。
そもそも、こういった「物語」と言う概念において「主人公」とは、その作品の写し鏡である事が多いです。
私達は主人公の眼から見た世界で物語を自然と認識し、知覚しています。
例えそれが感情移入できる代物でないとしても、自然に私達は彼の行動、働き等から架空世界を視認し、判断していくのです。
それは、感情の問題でなく、感性と悟性の共同作業
この絶望的なまでの世界観を表現するには、主人公自体が無力でないと話が成立しないのは最早、明白
この世界観で主人公が何でも解決してしまったら、他の数多ある異世界転生モノとの明白な隔離が出来ず、したがって製作者側の真意が視聴者に上手く伝わる事は無いでしょう。

上記を踏まえた上で改めて、この作品のテーマは一体なんだろうかと考えてみた時、私が感じたのは
「圧倒的な現実における人間の無力さ」「人間の真の強さは馬鹿にある」
と言う事でした。
「戦争」
それはちっぽけな「人間」と言う生物には到底背負う事の出来ない概念存在
こういったあまりにも大きすぎる物事に対して、それぞれの人々がどう向かっていったか、今作には全てが描かれています。
巨大な理解不能を受け入れる人々、受け入れずに抗う人々、扇動して利用する人々、受け入れる受け入れないの前によく分からない人々、全てが終わった一歩先の未来を見ている人々
この全13話において、そういった人物全てが巧みに描写され、最後の帰結まで見事に行われている…
これを終わりまできちんと描いた事については、もう、「よくやってくれた」と言う物です。
さて、その中でシュウと言う人間は徹底的なまでに抵抗し、そして、無常的なまでに何もできません。
しかし、ここで忘れてはいけないのが、彼が立ち向かう事を決して止めないと言う過程
普通の良識ある一般人ならもう無理だと諦めたり、自分が生きる為に媚び諂ったりするのに対し、彼はそんな事はしません。
何回も立ち向かって、その度に酷い目に遭います。
この行為自体にこそ、アニメスタッフの伝えたい意図、テーマがあったのだと私は感じます。
それこそ最初に言った
「圧倒的な現実における人間の無力さ」「人間の真の強さは馬鹿にある」
見事に体現していると言えるでしょう。
「愚直」とは「愚」かな位、「直」ぐと言う事
そんな馬鹿だからこそ見えている、見えてくる景色がきっと或る。
それこそ、『イワンの馬鹿』を書いたロシアの文豪、レフ・トルストイのように…
シュウもまた、抵抗する事によって、そこに全てが終わった一歩先の未来を感じ取っていたのかもしれません……
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社会には、人のうねりには勝てないのだと。
世の中には、どうあがいても覆せない理性があるのだと。

社会のちっぽけな詐術など、人の真の強さの前では無力に過ぎる。
『車輪の国、向日葵の少女』より
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今作を観終えた後で、私はある1つの短編について思い出しました。
そのタイトルは『さあ、きちがいになりなさい』
書いたのは、著名なアメリカの作家、フレドリック・ブラウン
交通事故で過去の記憶を失った新聞記者のジョージ・ヴァインが、自分自身をナポレオン・ポナパルトだと思いこんでいる偏執病患者のふりをして、精神病院に潜入すると言う物語です。
その話の中で、彼は、自分がジョージ・ヴァインなのか、ナポレオン・ポナパルトなのか分からなくなります。
しかし、人間と言うのは、そもそも彼のように弱い存在なのでしょう。
人間における「正常」という観念は、社会や共同体に固執した人達によって理性化された産物
自分がいかに能力がある人間かと言う妄想を語るハムド
自分の事を何の疑いもなく正常だと思い、やっている事がおかしいとまるで感じていないタブール
利己的行為の為ならば、反乱とはいえ手段を択ばないエランバ
私達はそういった害悪存在をこそ、きちがいなのではないかと解釈します。
しかし、そう思う心も安全圏にいる私達だからこそ、普通に認識出来る事
『今、そこにいる僕』の様な崩壊した世界で、自分は気が狂っていないという保証が一体何処にあると言えるのか?
そういった問いを私は自然と感じてしまったような気がします。
もしかすると我々の世界も、視点を変えれば「ヘリウッド」と同じ…
私達は少なからず狂気の中に生きていて、それを「信念」等と言う、聞こえの良い言葉に言い換えている…
そんな気味の悪い想像が浮かんでしまったのは、恐らく私だけでしょう……

シュウはあの後、どうなったのだろうと今になって私は考えます。
自分が世界を救ったと吹聴して回っていくのでしょうか?
自分の胸の内に閉まって、限りある大切な人生を生きていくのでしょうか?
彼がジョージ・ヴァインの運命を辿らず、ララ・ルゥの想いを胸に生きている事を願っています。
シュウと、このレビューを読んでいる方、そして今、ここに生きている事の幸せを偏に感じたくなる…
そんな冬の一時なのでした……

投稿 : 2024/05/25
♥ : 6

67.4 2 剣道で暴力なアニメランキング2位
ストレンヂア 無皇刃譚(アニメ映画)

2007年9月29日
★★★★☆ 3.9 (280)
1322人が棚に入れました
天下を統べる者を失い、度重なる果てに下克上がまかりとおる戦乱の時代。中国から身寄りを亡くした一人の少年、仔太郎が、僧である祥庵に連れられて海を渡り日本に上陸して来た。仔太郎の体内に"隠された秘密"を求め、明国の謎の武装集団が日本へ上陸して来た事から物語は始まる。祥庵の庇護も失い天涯孤独となった仔太郎は愛犬・飛丸ととある荒寺で自らの名と共に刀を捨てた男、"名無し"と出会う。武装集団の襲撃に居合せたのを切っ掛けに仔太郎の用心棒として雇われた名無し。初めは互いに対し反感を覚えるが、徐々に絆を深めてゆく名無しと仔太郎。 一方、追手の武装集団の頭目・白鷲は赤池城の領主と追撃の連携を取りながら、怪しい儀式の準備を着順と進めていた。

声優・キャラクター
長瀬智也、知念侑李、竹中直人、山寺宏一、石塚運昇、宮野真守、坂本真綾、大塚明夫

なめこん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

スピード感溢れ、引き込まれる!

まず作画がとっても綺麗でした!
個人的に刀や着物が好きなのでこのアニメ映画はツボでした!
るろうに剣心が好きな人は好きかもですw

キャラクターの過去がちらちらと見え隠れするあたりがシリアスさを感じさせました。シリアスの中にも、わんちゃんとこたろうのほんわかした雰囲気があり重くなりすぎないあたりがとっても良かったです♪描写は過激だと思われるかもしれませんが、ストーリー性はそれを勝るものがありますwwこたろうと名無しの絆にも感動…‼

投稿 : 2024/05/25
♥ : 3

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

死闘を繰り広げる2人の漢

舞台となるのは戦乱の世の日本。
大陸(明国)からの武装集団が中国語を使うので字幕になり
そこからくるオリエンタルな雰囲気も、なかなか良かった。

はじめて視聴した時はまったく予備知識もなく、期待もなかったのだが
キレのあるアクションシーンに思わず身を乗り出した。
観終えたあと調べたら、監督は安藤真裕氏。
劇場版『カウボーイビバップ 天国の扉』での人物アクションを
中心としたアニメートを得意とする演出家でもあり、この作品が初監督だったらしい。

物語の細かな設定部分は、あまり多くは語られず、
それが納得できるか否かで評価は分かれそうだが、
アクションシーンの迫力と緻密さ、メインキャストの男っぽさは最大の魅力!

主人公は、ある戦乱をきっかけに刀と自分の名と過去を封印している名無しと、
両親と死に別れ天涯孤独な少年・仔太郎。
2人の反発し合った出会いから、行動を共にして少しずつ信頼し合い、
絆を深めていく様子には、思わず笑みがこぼれる。
そして武装集団の1人、金髪碧眼の羅狼(らろう)もまた、
独自の視点と信念を持って闘っているところを見ると
メインキャストと呼んでいいのでは・・と思う。

唯一、難点を言えば・・武装集団が日本に来ている理由や、仔太郎が
なぜ彼らから付け狙われるのか、そのあたりは物語の中盤以降になって
ようやく明かされるので、衝撃よりは、じれったさのほうが先立ってしまった。

アクションシーンはいささかグロ気味だけれど、作画はとても美しく、
雨の中、雪の中、それぞれの殺陣がお見事。
天候の特徴を生かしつつ、各人の持ち味を存分に出せていたのではないかな。

一番の見せ処は、やはり後半のクライマックス。
迫力はダントツに増し、アニメ映画ならではのアクションに心躍った。
もうね、「アクション」なんて生易しい言葉じゃ物足りないくらい
「死闘」・・・これですよこれこれ!
そしてそのクライマックスには、佐藤直紀氏による
スケールの大きさを感じさせる音楽も相まって、
なんとなくアメリカ映画『ラストオブモヒカン』を思い出した。

余韻の残るラストに、続編を作ろうとしていたような気配を
感じたけれど、単独作品としても納得はできる終わり方だった。

ちなみに「名無し」の声はTOKIOの長瀬智也。
竹中直人演じる僧侶、祥庵も控えめな演技が光っていた。
俳優を声優として起用するのは悪評が立ちやすいが、このお二人は
すごく役にピタリと合っていたし、違和感はまったくなかった。

どういうわけか、知名度の低い作品だが、もう少し評価されてもいいと思う。
寒さとか雪、決闘シーンっていうとこの作品を必ず思い出す、
個人的には大好きな作品の1つだ。

投稿 : 2024/05/25
♥ : 45

半兵衛♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

【ネタバレ有】『息をのむ“圧巻の作画”―!! 名も無い一人の剣客の、儚き“生き様”の美しさ―!!』

 
 「ボンズ」が制作を担当した、“安藤真裕(あんどうまさひろ)”監督の時代劇アニメ映画―。

 人物アクションに定評がある安藤監督に加え―、緻密で堅実なシナリオで知られる“高山文彦(たかやまふみひこ)”が脚本―、「ALWAYS 三丁目の夕日」で日本アカデミー賞(最優秀音楽賞)を受賞した“佐藤直紀(さとうなおき)”が音楽を手がけ―、声優初挑戦の“長瀬智也(ながせともや)”らを主役に起用しつつ、“山寺宏一(やまでらこういち)”や“大塚明夫(おおつかあきお)”といった実力派声優陣が脇を固める―。


 ボンズ作品には、何かエネルギーのようなものを感じる“力強い”作品が多く―、どの作品にも、作画の“統一感”や細部への“こだわり”を感じる―。

 それには(上記のような)、作品ごとに上手く組み合わせたスタッフ構成によって、それぞれの“長所”を引き出させるという確かな裏付けがあり―、(監督を中心に)スタッフに“任せる”気概が、逆に彼らに、
“やり切らせる”方向に繋がっているからだろう―。

 本作でも、観終わった後にこのメンツを見てみると―、それぞれの特徴が上手く出た、力強い作品だったなと改めて感じさせられる―。



 (では少し内容を見ていくと―)、戦国時代の架空の国を舞台に―、戦での経験によって自らの生き方を“拒絶”した浪人“名無し”と―、“強さ”にのみ魅了され、故に充たされぬ思いを抱く金髪碧眼の剣士
“羅狼(らろう)”が―、両親を失い孤独に生きる少年“仔太郎(こたろう)”をめぐって激闘する姿を―、超絶ハイクオリティ(な映像)で描く戦国時代劇である―。


 “虎杖将藍(いたどりしょうげん)”の時世にのし上がらんとする姿や…、明国の刺客たちの不老不死という大欲…、(他にも)虎杖の家族との描写や、“重郎太(じゅうろうた)”の“萩姫(はぎひめ)”に恋する姿を描く事で―、(形は違えど)世間一般の人々の、“普通の”欲や望み(に生きる姿)をちらつかせる―。

 そうする事で、同じ時代を生きてきたにもかかわらず、“俗世間(の考え)”という枠組みから外れてしまった彼らを、(タイトルにもある)「ストレンヂア」(=奇妙な男)として描いているのである―。


 大流から外れ、孤独に孤高に生きる姿は、こうも儚く美しい…。

 この作品は、100分足らずのストーリー自体ではなく―、その物語を作る男たちの、冷めた表情や生き方の中に隠れた、“一縷(いちる)の魂の輝き”こそを描いた作品なのである―。



 (本作の本当の良さは、(前述した)男たちの“生き様”にこそあるのだが…、これを語らずして本作は語れないので書かせてもらうと―)、この作品の最大の特徴は、(何と言っても)、息をのむあの圧倒的なまでの“作画”だろう―。

 特に、(ラストの)“名無しと羅狼の剣戟(けんげき)のシーン”は圧巻である―。

 “荘厳で心震わすBGM”と―、“一粒一粒の汗にまでこだわった完璧な作画”―。瞬きする事すら忘れ名無しが息を吐き出すまで自分の呼吸も止まる…。“1シーンの美しさ”を完璧に理解したあの圧巻の戦闘シーンを、一瞬たりとも見逃したくない…にもかかわらず―、そのBGMによって心を揺さぶられ…その作画によって心を奪われ…、涙が勝手に溢れてくる―。

 本当に美しいものに出逢った時、人は自然と感動し涙が流れてくる事を、改めてあの瞬間気付かされた―。


 また、カメラワークが非常に良く―、常に“視点”がどこになるか分からない(戦場での)“臨場感”が、観ている視聴者への“緊張感”として伝わる―。

 例えば、“飛んでいく矢の視点”や“斬られる武士の視点”…、“遠距離と近距離を上手く組み合わせた剣戟のシーン”など…、アニメーション以外の撮り方を知っている人だからこその、(実写映画によく見られるような)演出に、魅了される事間違いない―。


 リアルではなく“リアリティ”を追求した本作だからこそ―、“未来”に希望ある人間の、虚しき死に様が
“儚さ”として…、“今”を生きる男達の、必死な生き様が“美しさ”として表れる―。



 本作は、物語自体に“厚み”は無い―。

 けれども、登場人物の生き方には(一言では言い表せない)“深み”があり―、地位や名誉…、野望や愛を捨て…、ただ“今”を生きる彼らの人生のこの瞬間が、“生き様”として、この作品に重みをもたらしている―。

 全体としての完成度や総合力よりも、その“一片”を優先し、その一つをテーマに“徹底的に描き切っ
た”スタッフたちは素晴らしいし賞賛したい―。それが、万人受けせずとも“半端ではない”この作品の、
“他とは違う無二の魅力”に繋がっているのだろう―。



 最後に―、こんな傑作が埋もれている事こそ、“奇妙な”話である―。


  (終)


 

投稿 : 2024/05/25
♥ : 3
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