2020年度の友情おすすめアニメランキング 8

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2020年度の友情成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月15日の時点で一番の2020年度の友情おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.7 1 2020年度の友情アニメランキング1位
かくしごと(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (772)
2953人が棚に入れました
ちょっと下品な漫画を描いてる漫画家の後藤可久士。一人娘の小学4年生の姫。可久士は、何においても、愛娘・姫が最優先。親バカ・可久士が娘・姫に知られたくないこと。それは……自分の仕事が『漫画家』であること。自分の“かくしごと"が知られたら娘に嫌われるのでは!?“愛と笑い、ちょっと感動のファミリー劇場がはじまる――"

声優・キャラクター
神谷浩史、高橋李依、花江夏樹、八代拓、安野希世乃、佐倉綾音、村瀬歩、内田真礼、加藤英美里、浪川大輔、小澤亜李、本渡楓、和氣あず未、逢田梨香子、古城門志帆、原由実、小山力也、沼倉愛美
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

爽快なエンディングに、お見事!!

久米田康治原作、制作亜細亜堂。

父のかくしごとは下品なエロ漫画家、
娘の生誕を機に一生職業を隠すと決めた。
父と娘のちょっと愉快な日常風景。

原作のポップな絵柄と色彩に、
思わず手に取り見惚れた経験があります。
久米田デザインにはどこか魅了される。
思えば軸がぶれず美少女たちを、
コミカルに描き続ける作家でしょう。

定番であろう神谷浩史の声。
場面がジャンプを重ねイメージだけが、
色彩豊かに記憶に残る演出の数々。

大瀧詠一の「君は天然色」が流れる、
EDの爽快さはアニメ史に残る仕事である。

まさに思い出はモノクローム、
いったいどんな色が付くのでしょうか。

最終話視聴追記。
テンポの良い良質なコメディで、
時にほろりとする優しさも持ち合わせている。
オンとオフの差が情感を生んでいますね。
{netabare}母の存在が演出上効果的であろう。{/netabare}

父のかくしごとは慈愛に満ち溢れ、
心躍る音楽が僕たちを健やかに清らかにする。
制作会社の頑張りに称賛を贈りたい。

ひめごとはいつも夏の匂いがする。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 68
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

かくしごとは楽しいですか?

アニメーション制作:亜細亜堂、
監督:村野佑太、シリーズ構成・脚本:あおしまたかし、
キャラクターデザイン:山本周平、
総作画監督:西岡夕樹・遠藤江美子・山本周平、
音楽:橋本由香利、原作:久米田康治

これまで久米田康治の作品は、
何度も手に取る機会がありながら、
結局1度も親しむことなくここまで来てしまった。
週刊少年サンデーを長年読んでいたので、
『行け!!南国アイスホッケー部』や『かってに改蔵』が
連載されていた頃は、雑誌を定期的に読んでいたのに
いつも飛ばしている漫画のひとつだった。
そして『さよなら絶望先生』や『じょしらく』は
アニメを録画したのにちらりと観ただけで、
ずっと放置したまま…
大人になってからは、ギャグ漫画と縁遠くなったのも
大きな理由だが、今回ようやく目にすることができた。

漫画家の後藤可久士は、小学4年生の娘、
姫とのふたり暮らし。
いつも娘の姫のことを第一に考えて懸命に仕事をしていた。
仕事はちょっと下品なギャグ漫画家。
姫から嫌われたくないために、漫画家であることを
ひた隠しにして、家を出るときはネクタイをして
会社員を装っていた。
可久士は、漫画家であることを「隠しごと」にしていた。
それは「書く仕事」だというわけだ。
{netabare}それ以外にも「隠し子と」という意味もあり、{/netabare}
タイトルにいくつもの意味を持たせている。

話題になったのはEDの『君は天然色』。
大滝詠一が同じはっぴいえんどのメンバーだった
松本隆に作詞を依頼した1曲。
はっぴいえんどとは、当時の日本語ロックの先駆者で、
細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂という面子。
全員が長年、日本の音楽業界をリードしてきた大物だ。
大滝詠一はアルバム『A LONG VACATION』の制作にあたり、
わざわざ松本隆の自宅を直接訪れて依頼したという。
作詞を快諾した松本隆だったが、
幼少から仲の良かった病弱な妹が心臓発作で倒れてしまう。
とても創作活動ができる状況になかった松本は、
大滝に断りの連絡を入れたたそうだが、
大滝は、レコードはいつリリースしてもいいので、
書けるようになるまで気長に待つと言った。
その後、数日で松本の妹は亡くなってしまう。

「思い出はモノクローム 色をつけてくれ」という詩は、
松本隆が妹の最期を看取った病院からの帰り道で、
沈み切った心情のなかで見た渋谷の街並みのイメージだという。
ラブソングでありながら、大切だった妹への想いがこめられている。
そういう意味では、作品にぴったりの曲といえるだろう。

EDアニメーションも当時のジャケの雰囲気を再現するなど、
こだわっており、80年代当時、
この曲が大好きだった人は歓喜だっただろう。
実際、現在耳にしても全く色褪せてないように感じるのは、
アメリカン・ポップスを自分のなかに取り込んで、
日本語の曲に昇華させているからだと思う。
この曲が面白いのはサビの部分。
何度聴いても違和感を感じるのだが、
それは大滝詠一の声の音域に合わせるため、
イントロで入っていく音が歌詞に入ったところで、
キーが下がるため。サビが低く感じて、特殊な印象を受ける。
カラオケで歌うと、さらにそれを感じることになる。
また、エフェクトのかかり具合で好みが分かれるが、
イントロから最後まで、とても洗練されている。

本編は可久士と姫のコメディが中心。
小学4年生の娘に漫画家であることを
ひた隠しにする様子に加え、アシスタントや
出版社の担当編集とのやり取りが描かれる。
個人的には素直で可愛らしい姫の様子に
癒されるのが楽しみな作品だった。
細かく挟まれる漫画家ネタや担当編集との
コメディにはそれほど食指が動かなかったが、
クスッと笑える楽しさがある。
そして、1話から高校生になった姫が
可久士の漫画が保管されていて、
姫のために用意された年齢ごとの箱がある
鎌倉の家を訪れるシーンが毎回挿入され、
その秘密が最終回に明かされる。
個人的にはこの構成はあまり好みではないが、
作品自体が地味な内容なので、
視聴者を引っ張るためには一定の効果があっただろう。

声優が参加して漫画のコマで展開される
マンガアニメがdアニメストアやニコニコ動画で観られる。
ピックアップした話を1時間ほど。
これを観ると作品の面白さや魅力が
より分かるので、視聴可能な人はぜひどうぞ。

子供を持つことの喜びがあふれていて、
女の子の子供が欲しくなる。
「かくしごと」で笑って泣くことで
大切な感情を思い出させてくれる。

※マンガアニメで気づいたタイトル
{netabare}原作でも有名な漫画をもじったタイトル付けをしていた。
ほかにもたくさんあると思うが、気づいたものだけ。

多重人格担当再呼→多重人格探偵サイコ
ハイケェー→ハイキュー
君はベッド→君はペット
徐々に奇妙な防寒→ジョジョの奇妙な冒険
僕だけがいないアシ→僕だけがいない街
七色インク→七色いんこ
レジャー→メジャー
レジャー2nd→メジャー2nd{/netabare}
(2020年6月27日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 67
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

可久士は姫に嘘

原作未読 久米田作品初体験


東北新幹線仙台駅からさらに盛岡方面へ下ること4駅。“水沢江刺駅”の発着メロディを{netabare}『君は天然色』{/netabare}にしようという具体的な動きがございます。おそらく早晩実現することでしょう。言わずと知れた本作のEDに採用された日本のスタンダードソングです。大瀧詠一氏は江刺の出身。


{netabare}『君は天然色』
作詞 松本隆 / 作曲 大瀧詠一

 くちびるつんと尖らせて
 何かたくらむ表情は
 別れの気配をポケットに匿していたから

 机の端のポラロイド
 写真に話しかけてたら
 過ぎ去った過去(とき)しゃくだけど今より眩しい

 想い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ
 もう一度そばに来て はなやいで
 美(うるわ)しの Color Girl{/netabare}


大瀧氏が松本氏に作詞の依頼をしてすぐに松本氏の妹さんが倒れたため、依頼を固辞しようとしたのを発売予定そっちのけで待ってくれたという有名な話があります。残念なことにほどなく妹さんは亡くなられるわけですが、看取った後に歩いた渋谷の街が色を失ってモノクロームに見えたとのことでした。そんな松本氏が立ち直るきっかけになったのがこの曲の創作に向き合うことだったそうです。
レコード会社から代役立てろ!と急かされるのを突っぱねた“はっぴいえんど”以来の友情話もさることながら、明るくポップなジャケットの裏で、透き通った哀しみが伝わってくるとしたらそんな事情があるのでしょう。

作品に戻って『かくしごと』とこの曲。
とある理由でモノクロ世界の住人に堕ちてもおかしくない主人公後藤可久士(CV神谷浩史)とそんな彼にカラフルな色をもたらす娘さん後藤姫(CV高橋李依)との関係性が曲制作往時の秘話とシンクロします。

また前述の制作過程をどっかで覚えてたこともあって
大笑いとまではいかずクスッとできる塩梅のギャグだったり、
テクニカルな大瀧の曲みたいな詰め込みすぎちゃう?くらいの小ネタ投入だったり、
そして作品全体のポップさに隠れてる中で毎話顔を覗かせる哀しみのようなものだったり、
曲と作品との関連がよく出来てるなぁと感じた私です。
小ネタといえば毎度のサブタイもそうですね。漫画作品のタイトルをもじっていて、そのチョイスがど定番というより知ってる人は知ってる良作ばかり。あにこれやってる人は全部わかりそうなやつ。


なんだろなぁ…
すごいバランスがいいんですよ。過去作知ってると笑えるギャグ、わかりやすいボケ、通好みでマニアックなやつ、とベースとなるギャグのパターンが豊富だと感じます。そしてどれ一つ腹を抱えて笑うような破壊力はなし。
これは褒め言葉です。作品の主題が“お笑い+たまにいい話”でも“お笑い+最後にいい話”のどちらでもないから。一定レベル以下に抑えたギャグにしてるんでしょう。作品の早い段階でシリアス展開を想定できる演出だったのでギャグに全振りしたような中盤だと後々白々しく感じてたかもしれません。
それに“下ネタ漫画家”という本作の設定も絶妙だったかと。これが仮に“エロ漫画家”だったとすると一気にばれるばれないのサスペンス色が強くなって同じくバランスが悪くなってたと思います。


不満らしい不満はないかも。つまり満足。
作品の具体的なことあまり語ってない感想で恐縮ですがお察しください。それと自分は『絶望先生』含め過去作品を一切知らずに突入してますが充分楽しめたことを申し添えておきます。お薦めの一品です。




※余談

■永井博、鈴木英人、わたせせいぞう

夏のリゾート感たっぷりなイラストというジャンルがあるとしたら始祖にして御三家なんでしょう。オマージュ利いてるなぁと感じる場面多数でした。
あと細かいところであの人のモデルは東山魁夷ですよね。東山ブルーで有名な人。御三家もそうでしたし、イメージカラー“青”で統一されてました。


■刺さった父親の一言

愚直に娘が一番で最優先。素敵な父親じゃないか。

{netabare}第一話
アシ「いつも、俺は世間には迎合しないって言ってるくせに!」
父「はー?俺は姫に迎合してるだけだ」{/netabare}


■刺さった娘の一言

そう受け止められる娘さんに育ったことがもう…

{netabare}第六話
《ただ…父・母・娘の3人の家族が、平凡な日常を暮らすお話でした》
「つまらない日常こそが。一番の…夢物語だったのです」{/netabare}



さて、発着メロディ『君は天然色』に送り出されて上京する若者はその後の人生でどんな色をつけていくのでしょうか。
よく東北の人は寡黙だとか我慢強いとかいいますが、ことこの駅を使ったであろう著名人はごちゃごちゃ前に出てくるような人はいなさそう。職人気質な方ばかりな気がします。
例を挙げると「吉田戦車」「大谷翔平」「桑島法子」あたりw

だいぶ見劣りはしますが、約20年前にまさにこの駅から東京へと向かった10代の私もそのうちの一人。どんな色をまとうに至ったのか少し気になります。



視聴時期:2020年4月~6月 

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2020.12.19追記
《配点を修正》-0.1

その後無事に採用されたようで、2020年10月1日から導入されたとのことです。

東北新幹線の発車メロディー導入は、郡山(キセキ)、福島(栄冠は君に輝く)、仙台(青葉城恋唄)、一ノ関(夕暮れ時はさびしそう)、盛岡(ダイジョウブ)、新青森(青森ねぶた囃子(ばやし))に次いで7駅目。


2020.06.21 初稿
2020.12.19 配点修正/追記

投稿 : 2024/05/11
♥ : 65

66.0 2 2020年度の友情アニメランキング2位
神之塔 -Tower of God-(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (212)
607人が棚に入れました
塔を登れば、全てが手に入る。塔の頂上にはこの世のすべてがあり、この世界を手に入れる……神になれる。これは、ただ星空を見たくて塔を登る少女・ラヘルと、そんな彼女がいれば何もいらない少年・夜の、始まりと終わりの物語。

声優・キャラクター
市川太一、早見沙織、岡本信彦、三宅健太、本多真梨子、興津和幸、関根明良、江口拓也、深町寿成、末柄里恵、津田健次郎、吉野裕行、小野大輔、伊藤静、大塚芳忠

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

いのちを懸けて登れ。

久々にハオライナーズ枠の作品到来かと思いきや、韓国発の作品だったみたいですね。
国は違えど、作風は似ていると思いますけれど…。


「神之塔」とは、2019年から韓国のNAVER WEBTOONにて連載を開始し、
2018年からLINEマンガを通じて日本でも連載している冒険ファンタジー作品。
現在までに28ヶ国語に翻訳され、全世界累計閲覧数が45億回を突破。

少年「夜」は大切な女の子「ラヘル」を探すために伝説の塔に入り込み、
新たな仲間とライバルと出会い、階層ごとにある過酷な「試験」をクリアしながら、
塔の頂点を目指して行く。
少年の成長ストーリーと、その裏に隠された塔と少年の秘密は読者を魅了し続けています。

2020年春、NAVER WEBTOON初のTVアニメシリーズ「神之塔 -Tower of GOD-」として、
ついにアニメ化決定!
日本、韓国、アメリカで同時展開予定。


塔を登れば、全てが手に入る。

塔の頂上にはこの世のすべてがあり、

この世界を手に入れる……神になれる。

これは、ただ星空を見たくて塔を登る少女・ラヘルと、
そんな彼女がいれば何もいらない少年・夜の、

始まりと終わりの物語。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

そういえば、中国の作品と似ている点といえば全世界累計閲覧数を前面に押し出している点でしょうか。
28ヶ国語に翻訳されて配信されているので、数が伸びるのはある意味当たり前だと思うんです。
勿論、アニメ化される決め打ちの一つとなったでしょうから意味が無いとは思いませんが、だからといってアニメが面白いとは限らないのがこの世界の常套なんですよね。

日本の作品でも原作の魅力や良さを表現しきれなかったアニメはゼロじゃないので…
だから最初は視聴するか悩みましたが、第1話目ではやみんが出演しているのを知り、視聴継続を決めました。
後から関根明良さんも出演されていると知ったのはうれしい誤算でしたけれど。

普段私の使っているアニメサイトに、この作品自体が掲載されていなかったので完全にノーマークな作品でした。
なのでググってみたらアニメーション制作はテレコム・アニメーションフィルムという日本のアニメ制作会社だったみたいです。
興味を持ったのは音楽担当に、ケビン・ペンキンさんというオーストラリアの作曲家が起用されていた点です。
こういう組み合わせも中々珍しいのではないでしょうか。

完走しました。
アニメーションとしてみたら及第点だったと思います。戦闘シーンもそれなりに動いていましたし…
難があるとするなら、展開とキャラでしょうか。
まず展開については、塔の中という極めて限定された場所で起きている試験であるにも関わらずスケール感が合わないので、まずそこが気になりました。

途中、砂漠の様な場所が出てきましたが、地平線が見えそうなほど広い空間が広がっていましたけれど、それって、本当に塔と言えるのでしょうか^^;?
何より一番気になったのは塔を登っている感覚が得られなかったといことです。
例えばSAOのアインクラッドだったら階層ごとに景色や発生するイベントなどが異なっていて、重層構造感は感じられましたけれど、本作品ではあまりそういう感覚は無かったかな。

あとはキャラ…でしょうか。
気になったのはデザインより、寧ろ魅力の方かもしれません。
ザ・ハードの姫の人間臭さと、徹底的な対抗心は嫌いじゃありませんでした。
終盤の掛け合いも悪くありませんでしたし…
ですが、どうにも魅力の感じられないキャラが居たのも事実です。

一番魅力が感じられなかったのは、個人的に主人公だったかな…
塔を登りたいという気持ちは分かりますが、行動が伴っているとは思えなかったんですよね。
すごくフワッとしていて地に足が付いていない感じが気持ちをより助長させたのかもしれません。

原作既読組はもっとたくさんの情報を持っているので印象は違うと思います。
ラヘルの終盤の行動だってアニメ組からすると完全に意味不明でしたから…
この印象の差がきっとアニメ化の難しさなんでしょうね。

オープニングテーマは、「TOP」
エンディングテーマは、「SLUMP」
どちらもStray kidsという韓国のボーイズグループが歌っています。
日本、韓国、アメリカでは、それぞれの放送地域に対応した言語版の楽曲が使われるそうです。

1クール全13話の物語でした。
「俺たちの旅はこれからだー」的な感じで終わりましたが、ここで終わっても仕方無いのかもしれません。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 15

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

韓国の人気漫画が原作のファンタジーバトル

頂上に登れば全てが手に入るという塔を舞台にした、ファンタジーバトル。全13話。
物語は、ラヘルという少女を追って伝説の塔に入った主人公の少年・夜(よる)が、多くのライバルたちと戦ったり、協力したりしながら、頂上を目指していく、みたいな流れ。予備知識ゼロで観始めて、ちょっと経ってから知ったのですが、原作は韓国の漫画で、結構な人気作品らしいですね。設定的には、かなりありふれたものという印象だったので、どのあたりにそんなに人気になる要素があるのだろう、なんて考えながら観ていました。いちおう、参加者に課せられる試練には、運や戦略なども必要になるようなゲーム性の高いものもあったりして、単純な力勝負だけじゃないのは良かったのですが、内容自体は特に面白いとは思いませんでしたし、ちょくちょく挟まれるギャグのセンスもあまり感心しませんでした。今回描かれた全13話は、どうも全体のストーリーからするとまだ序章だったようで、もしかしたらこの先のほうが本番なのかもしれませんが、個人的にはそれほど興味が湧かないというのが正直な感想でした。
作画は綺麗。音楽は、好きな系統ではなかったですが、曲自体は悪くなかったです。キャラは、主人公の夜にこれといった魅力を感じませんでしたし、その他のキャラたちも、総じて普通という感じでした。ただ、エンドロシなど、女性のキャラデザは良かったと思います。
最後まで観終わって、コロナの影響で放送されるアニメの本数が減ったこともあり、とりあえず完走しましたが、ぶっちゃけ観ても観なくてもどっちでもいいかな、くらいの感覚でした。原作が人気ある理由は、結局いまいちよくわからなかったです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 10
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「旅立ちの物語」から「反逆の物語」へ

2020年春アニメ。全13話。
原作は、10年以上連載を続けている韓国のWEB漫画。日本の制作会社がアニメ化しています。先日無料公開されていたので第2部ラスト(180話ほど)まで読了。
設定・世界観は不明な点が多いものの、人間ドラマの一貫性や全体的なクオリティが良かったです。

{netabare}
作画が非常に好みでした。
シンプルなキャラクターデザインと彩色はとても見やすく、動画の印象も私の肌に合っていました。
キャラクターの演技とバトルの両方に拘っていたと思います。
背景見ていると、壁の模様とかテクスチャ張り込んだりはあまりしていませんでしたね。なるほど、シンプルで見やすくなっています。

キャラクターも変に媚びていないのが良かった。
特に女性キャラクターの品の良さ、言葉遣いはキツイけど芯があってそれも味になっています。チーム内の人数が多くて名前が覚えられない(笑)のですが、キャラクター自体は立っていたので混同したりはしなかったです。
声優さん達も、皆さん演技がとても良かったですし、新人・中堅・ベテランとバランス良く配役されており、ちょっとしたアドリブも聞けたりして好きでした。
音楽もとても良かった。OP、EDも好きですが特にBGMが素晴らしく、音楽の掛け方も雰囲気を壊さなくてとても良かったです。{/netabare}

【総評】
{netabare}作品テーマとキャラクター描写の一貫性が良いですね。
主人公・夜のラヘルへの思慕故の旅立ちというイントロダクションに始まり、塔への反逆の物語のイントロダクションに終わる構成がお見事。
淡々と並べられた言葉と描写が最終話までに繋がっていくのが楽しかったです。
物語がシンプルに進行するので人間ドラマがスムーズに展開しており、じわじわ良い所が見えてくる作品。

アニメは原作の第1部ラストまで。
原作を第2部まで読んだのですが、アニメは人間関係の構築を補足して上手に描いています。
夜とラヘルの内面もだいぶ印象が違うし(特にラヘルは是非原作を読んで違いを知ってほしい)、どちらも好きだけどアニメの解釈やシーンのカット・追加には一貫性がありました。

クンが第1話で発言した「お前も塔のルールに縛られる側なんだな」というのが全てに通底するのですね。

最初の試験で顕著ですが、殺し合いしていた相手とすぐにチームを組むことは心理的に難しい。それでもそれが出来るのは精神・能力が強靭な実力者や、塔のルールを絶対視していない者。

実力も無くルールに縛られる者は、塔にとって扱いやすい取るに足らない存在。塔に上る中でルールに縛られ、人間らしさを失っていく者がほとんどなのでしょう。

塔に登るために人間性が失われていくラヘル。
ラヘルは塔にとって取るに足らない者であって、あくまでも夜を釣るための餌に過ぎない。
夜を裏切って、本気で笑うことも泣くことも出来なくなります。

一方で、塔に登ることが新しい世界を知ることであり、人間らしさを獲得していく夜。
塔にとって無視できない存在であり、塔に上り始めてから笑うことが多くなり、裏切られて初めて激情の断片を露わにします。

ルールに従順なラヘルへの激情は、すなわち塔そのものへの反逆です。
ラヘルの内面を第13話で描いたことで、二人の対称性が浮かび上がる構成は秀逸でした。

第1話、蝶ウナギの試練のシーンでは、横からのカメラワークが何度かあり、奥行きのない不思議なシーンでなんだろうな?と思ったんですけど。それが実はラヘルの視点であることに、再視聴で気が付きました。
ラヘルに早見沙織さんを起用したこと、13話でとても納得しました。
{/netabare}
独特な雰囲気があり面白いので、興味があれば見てみても良いと思います。


【設定に関する個人的な予想というか妄言というか】
支離滅裂なので暇つぶし程度にどうぞ。
{netabare}
「塔」と言うけれど、公式サイトで見ると建造物というより広大な一つの世界の呼称(空間概念)であるとされています。「塔を上る」とは自身を鍛え上げていくこととも解釈できそうかな?
塔を上るとどんな願いも叶うと言われているのは、もしかしたら後から付加されたものなのかも。
「ザハード王」は塔に文明がない時代に現時点でわかっている最上階まで踏破し、現在の塔の社会を築き、試験方式等を決定した者とあります。
そして塔の試験は塔に仇なす者をあぶりだすためにある、とユハンは言っている。
だから、本来ルールに抵触する行為をしてもバレない限り気づいていても指摘しないし、塔に致命的な行為だと思えばさっさと処理してしまうのかも。
塔の世界は明らかにデストピアですよね。
個人的には2期が見たいなあ…{/netabare}
(2022.1.30)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 8

83.9 3 2020年度の友情アニメランキング3位
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (793)
3050人が棚に入れました
公爵令嬢、カタリナ・クラエスは、頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻す。ここが前世で夢中になっていた乙女ゲーム『 FORTUNE LOVER 』の世界であり、自分がゲームの主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢であることを!ゲームでカタリナに用意されている結末は、良くて国外追放…最悪、殺されてしまう…そんな破滅フラグはなんとしても回避して、幸せな未来を掴み取ってみせる!!勘違い?人たらしラブコメディの幕が上がる。

声優・キャラクター
内田真礼、蒼井翔太、瀬戸麻沙美、柿原徹也、雨宮天、鈴木達央、田村睦心、松岡禎丞、M・A・O、早見沙織、岡咲美保
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

内田真礼劇場

原作未読。最終話まで視聴。
ジャンルは異世界転生ほのぼのラブコメになるのかな(笑)。

早々に第2期決定とは、めでたいことです!

【こんな作品、皆さんにもありませんか?】
特に何が優れているって訳じゃないけど、お気に入りな作品って、皆さんにもありませんか?
上手く理由を説明できないんだけど・・・って作品。
『波長が合う』とか、『心地良い』とか、そんな感じの作品。
私には、そんな作品がいくつかあります。

このはな綺譚
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-
つくもがみ貸します
・・・etc
何がハマったのかよく分からないけど、リピート視聴が止まらない作品。

この作品も、私にとってそんな作品の一つです。
ヤバイくらい、リピート視聴が止まりません(笑)。

【特筆すべき、背景の美しさ】
第2話。
メアリが育てたハント侯爵家の庭の花の、思わず息をのむような美しさ。

第3話。
7年の月日の流れを上手く表現した、カタリナのマル秘ノート。
文字のかすれ具合とか表紙の傷み具合とか絶妙です。

序盤から、圧倒的な背景の美しさに感銘を受けました。

私が一番感動したのは、第5話。
マリアの家を出てカタリナの自宅へと向かう、カタリナたちを乗せた馬車の後ろ姿。
車体の揺れ方がとても自然で、このシーンだけでも、何度も見返してしまいます。
物語と直接関係のない、何気ないシーンにも一切手を抜かない制作陣のこだわりが伝わってくる、地味だけど名シーンだと思います。

最終話の背景も力が入っていて、とても良かったです。

【的確なBGM】
物語の随所随所で見られた的確なBGMが、物語を盛り上げます。

私が一番好きなのは第3話。
8歳から15歳へ、物語の舞台が大きく展開する場面のBGM。
いよいよ乙女ゲームの舞台である魔法学園へ行かなければならない年齢になったカタリナ。
そんなカタリナの不安と決意が伝わってくる、良いBGMだと思います。

このBGMは第11話でも使われます。
カタリナが{netabare}目覚めた、{/netabare}とても大事なシーン。
そして、最終話のエンディングでも・・・。
この作品を代表する、とても素敵なBGMだと思います。

【豪華な声優陣】
まず、内田真礼さんの好演は特筆すべきだと思います。
特に、母親とのやり取りはお気に入りです。
脳内会議の演じ分けもお見事の一言。

あと、以前から思っていたんですけど・・・。
早見沙織さんと水瀬いのりさんが揃って出演されている作品は間違いなく面白いなって・・・。
本作も、間違いありませんでしたね(笑)。

【もちろん物語も秀逸】
スティアート王家ジオルド・スティアート
        アラン・スティアート
クラエス公爵家 カタリナ・クラエス
        キース・クラエス
ハント侯爵家  メアリ・ハント
アスカルト伯爵家ニコル・アスカルト
        ソフィア・アスカルト
平民      マリア・キャンベル

主要な登場人物を身分順に並べるとこんな感じでしょうか?
ひとえに貴族といえども、ジオルドの婚約者でもあるカタリナの身分の高さは別格です。
第2話。ハント侯爵家のお茶会で、他の出席者から挨拶の集中攻撃を受けるのも当然と言えます。

ところが、カタリナに好意を寄せる面々は、そんなカタリナの身分や肩書には全く興味がなく、カタリナの人柄に魅かれているという設定がとても良いです。
元々低かった魔力が15歳になっても低いままというのも良い。

異世界転生で得た身分も肩書も魔力も、この物語ではさほど重要ではないというところが、他の異世界転生・転移物と一線を画す部分だと思います。

カタリナの身分や肩書が気になる登場人物は、揃ってモブか敵役というのも面白い。

【あとは雑談的な・・・】
《以下、重大なネタバレを含みますので、未視聴の方は飛ばして下さいね》
{netabare}《以下、重大なネタバレを含みますので、未視聴の方は飛ばして下さいね》
{netabare}
8歳の頃、あれだけオドオドしていたメアリが、15歳になると王子相手にもドS発言連発!
本当に同一人物か?(笑)

ソフィアは自分の気持ちを殺しつつ、兄の援護射撃。
腐女子でブラコン。何気に濃いキャラ(笑)。

第7話後半のダンジョンの話と8話の不思議な本の話は、アニオリらしいですね。
どうりで他の話と毛色が異なるな、とは思ったんですよ。
原作既読の方にはとかく不評なアニオリ回ですが、私は好きでしたよ。
特に第8話に関してはメアリが面白すぎ・・・。

この作品の陰のMVPはカタリナの母ではないでしょうか。
この母とカタリナの関係がとにかく笑える。
{netabare}個人的に一番のツボだったのは第9話かも(笑)。
カタリナの専属メイドのアンの回想シーンに登場する母は・・・?
『カタリナに王子様のお妃は務まりません!!』って。
第1話序盤。
ジオルド王子から求婚された時にはあんなに喜んでいたのに(笑)。{/netabare}

第11話は、かなりの感動回でしたね。
ほのぼのコメディと感動は、本当に相性が良い。
改めて痛感させられました。
{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 64
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

他者の世界観を大きく変える魔法

アニメーション制作:SILVER LINK.、
監督:井上圭介、シリーズ構成:清水恵、
キャラクター原案:ひだかなみ、
キャラクターデザイン・総作画監督:大島美和、
原作:山口悟

そもそも乙女ゲームをやったことがない。
何となく『ときめきメモリアル』みたいなもの
だろうということは想像できる。
とはいえ、ときメモもプレイしたことはない…
手探り状態での視聴になったが、
序盤からの勢いはそんなことは関係なく引き込まれた。

主人公のカタリナ・クラエスは、由緒正しい家柄の令嬢。
幼年時代を我儘放題に暮らしていた。
ある日、貴族のジオルドと遊んでいる最中に
転んで頭を打ったことが原因で前世の記憶が蘇る。
現在自分が生きているのは、
乙女ゲーム「FORTUNE LOVER」の中の世界だと。
このまま何も考えずに過ごしていると、
良くて国外追放、悪いと婚約者のジオルドに
殺されることを思い出し、破滅フラグを折るために
計画的に生きていくことを決心するのだった。

シルバーリンクのなろう系だが、
今回はかなり趣向が違っている。
現世で命を落とし、ゲーム内に転生するのはいつものことだが、
そこで、主人公ではなく、不幸になる悪役令嬢に生まれ変わる。
ゲームの破滅フラグを折るために脳内で会議を行いつつ
方針を決めていく。それが周りの皆を
幸せにすることにつながっていく

物語の始まりから3話までは、とても爽快。
自分と関わりのある子どもたちの
鬱屈した感情や悩みを理解し、
持ち前の明るさや得意の木登り、
路頭に迷ったときの備えの農業、
大好きなロマンス小説などをきっかけに、
同い年の子どもたちの心を掴んでいく。
「悪役令嬢」という役柄の顔を
微塵も見せないほどの天真爛漫な姿。
そんなカタリナの立ち居振る舞いに
婚約者や周りの男子はもちろん、
女子までも心の底から魅了されていく。

他者から分かってもらえない、
承認されない立場は苦しい。
自分らしく生きようと思っても、
自らの出自や外観、性格、特徴などを
周りの人から否定されると、
自分自身を暗い内面に閉じ込めることもある。
他者の存在自体が、自分の中だけの
狭い判断基準で規定される。
そうなると、社会全体に対する憎悪につながる。
理解してくれる人がいることを想像できなくなり、
悲劇を生むことになってしまうのだ。
カタリナがやったことは、他者を受け入れ、
認めることに過ぎないのだが、相手にとっては、
世界観が大きく変化するほどの劇的な出来事。
現実世界は、とても広くて懐が深いものだが、
経験したことがないと、そのことを理解できない。
ご都合主義といえど、作者が孤独感や
他者の痛みを理解しているからこそ
生み出された作風なのだと感じた。
いつの時代でも通用する普遍的なテーマ。
そういう意味ではとても好感を持った。
カタリナが行ったことは、
人の心を和らげる魔法のようなものだった。

魔法学園に入学してからは、
すでにカタリナの地位が確立してしまっているので、
幼年時代ほどの面白さは感じられず、
途中で挿入したアニオリ展開も今ひとつだったが、
幼馴染編と生徒会長編で上手くまとめたと思う。

{netabare}特に現世での親友あっちゃんと
ゲーム内でのソフィアが同一人物という設定は
とても良かったと思う。
ゲーム内に転生してから、また現世へと戻る展開は、
ほかの異世界ものでは、あまりなかった気がする。
中だるみしていた物語を再度浮上させた。{/netabare}

この作品で好感を持てるのは、
主人公が異世界に転生しても基本的には変わらないことだ。
特別な力は持っておらず、
役に立つのはゲームの展開を知っていることと、
現世で得意だった木登りやロマンス小説の趣味、
甘い物が大好きだということ。
しかし、他者のことを考えてそれを上手く使えば、
まるで魔法のような効果をもたらす。
設定に異世界を持ってきているだけで、
自分の才覚で周りの世界を幸せにしていく。
ほかの異世界ものとは一線を画す部分だ。
2期制作が決定したが、今後も基本方針は変えずに
多くの人々を幸せにする物語を紡いでもらいたい。
(2020年7月12日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 62
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ゲラゲラ笑って感動する物語 人生のバイブルになるかも

この物語はゲームの世界へ転生した主人公カタリナが、自分の運命を変えるためにおバカをしたり見当違いなことをしたりする物語です。
カタリナの一挙一動にゲラゲラ笑ってしまうのだけど、気がついたらいつの間にか感動していました。心が温かくなっていました。
この物語は優しさに満ちています。(^_^)


交通事故で死亡した主人公は、ゲームの世界に転生します。ここではカタリナという名前の悪役令嬢のキャストとなっていました。
彼女には、良くて国外追放、悪ければ斬殺される運命しかありません。ほかの選択の余地はないのです。
このゲームの内容や結末を詳しく知っている主人公(カタリナ)は、自分の運命を変えるべく、あらゆる努力をします。

彼女はまず、{netabare}畑を作り野菜を育てます。
上流家庭の侯爵令嬢が農耕用の服に着替えて鍬をふるい、庭に畑を作ります。汗まみれになりながら土を耕{/netabare}します。
その姿は、周りの人の目には滑稽としか映りません。気が狂ったのではないかと思われます。
でもそれは、国外追放された際に一人で生き延びるための準備でした。

そして次に彼女は、{netabare}自分を斬殺する可能性がある{/netabare}男性たちに優しく振舞います。
彼らが悩んでいたら、悩みを聞いてあげたり、励ましたりします。そして彼らの特技を褒めてあげたりします。

さらにカタリナは、{netabare}このゲームの主人公である{/netabare}マリアにも優しくします。
心無い人達から虐められているマリアを守り、彼女がいつも笑顔でいられるように奮闘します。

カタリナの願いは、斬殺だけはされないように、国外追放されても生き延びられるように、その二つしかありません。
でも、人間って不思議ですよね。
自分が生き延びるための行動が、いつの間にかみんなを笑顔にしていました。そしていつの間にか、みんなから慕われていました。


このアニメは見方を変えれば、私たちが生きていくためのバイブルにもなりえます。
自分の環境、境遇には関係なく、周りの人たちを笑顔にするために自分ができることを精一杯する。
ただそれだけで、人生は楽しくなります。(^_^)

ちなみに、これからの日本では年金だけでは生きてゆけない人が大多数になります。破滅フラグがついているようなものです。
カタリナのように今のうちから畑を耕して農作物の作り方を学んでおいたほうが良いかもしれません

投稿 : 2024/05/11
♥ : 55

84.0 4 2020年度の友情アニメランキング4位
とある科学の超電磁砲T(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (569)
2743人が棚に入れました
総人口230万人を数える、東京西部に広がる巨大な都市。 その人口の約八割を学生が占めることから、「学園都市」と呼ばれているその都市では、世界の法則を捻じ曲げて超常現象を起こす力――超能力の開発が行われていた。特殊な授業カリキュラムを受け、能力を得た学生たちは、定期的な『身体検査システムスキャン』によって、『無能力レベル0』から『超能力レベル5』の6段階に評価されている。その頂点に立ち、最強と謳われるのが、7人の『超能力者』たちである。そのひとり、御坂美琴。電気を自在に操る『電撃使いエレクトロマスター』最上位の能力者にして、『超電磁砲レールガン』の異名を持つ彼女は、名門お嬢さま学校・常盤台中学に通う14歳の女子中学生。後輩で『風紀委員ジャッジメント』の白井黒子。その同僚でお嬢様に憧れる初春飾利と、都市伝説好きな彼女の友人、佐天涙子。そんな仲間たちとの、平和で平凡で、ちょっぴり変わった学園都市的日常生活に、年に一度の一大イベントが迫っていた。『大覇星祭』。 7日間にわたって開催され、能力者たちが学校単位で激戦を繰り広げる巨大な体育祭。期間中は学園都市の一部が一般に開放され、全世界に向けてその様子が中継されるにぎやかなイベントを前に、誰もが気分を高揚させていた。その華やかな舞台の裏側で蠢くものには、まったく気づくこともなく――。

声優・キャラクター
佐藤利奈、新井里美、豊崎愛生、伊藤かな恵、浅倉杏美、河西健吾、富田美憂、藤井ゆきよ、種﨑敦美、峯田茉優、鈴代紗弓
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ジャッジメントですの!!

J.C.STAFF制作、原作鎌池和馬。

学園都市、人口230万人、
東京都西部に広がる巨大な都市。
その人口の約八割を学生が占めるている。
世界の法則を捻じ曲げ超常現象を起こす力、
超能力の開発が行われていた。

黒子や初春、賑やかな中にも日常がある。
学園都市内での限定された物語こそ、
待ち望んだものである。

複数の敵対組織が同時に暗躍し、
手に負えない量の登場人物が生成消滅する。
物語の舞台は世界規模に至り、
着いていけないのが昨今の現状でしたが、
やはり限定された空間だと、
超能力が様々な日常用途で活かされ楽しい。

学園が誇る大体育祭「大覇星祭」
その華やかな舞台の裏で蠢く不穏な輩たち。
魅力的なシリーズの帰還でしょう。

13話~15話視聴追記。
事件の真相が表面化し、
黒幕であろうものの思惑が露呈する。
{netabare}真の狙いは失敗したレベル6計画の再実験。{/netabare}
食蜂・削坂とレベル5の能力が炸裂する。
{netabare}歪んだ科学者の欲望が刹那とはいえ、
神の領域へ到達するのか…。{/netabare}

最終話視聴追記。
天賦夢路編、期待した通りだ。
美山写影、操歯涼子と、
またどこかで描いて欲しいキャラクターです。
涼やかな後日談、楽しい。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 60
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

クライフイズムとバルセロナB

相変わらず原作は未読


禁書目録1期→超電磁砲1期→禁書目録2期→超電磁砲2期→そして今ここ。
今年(2020年)になってレールガン3期に合わせるべく視聴着手してから放送時期順にリレーしてましたが、禁書目録3期と一方通行は一旦スルー。どれも2クールで100話分経過したあたりで力尽きました。虫食いを懸念した視聴前夜ではありましたがついて行けなくなるほどの痛手は無かったと思われます。


面白かったです。
いいかげん3期ともなれば飽きが来るかと思いきや…面白かったです。

この作品は魅力的なキャラクターが湧いてきてる感じがします。
落合監督時代のドラゴンズでどんどんいい投手がファームから輩出される、またはカープでは生え抜きが次から次と活躍するのに似てます。
サッカーだったらバルサのカンテラからメッシやイニエスタが出てくるのを想像いただければよろしいかと。え?何言ってるんだこいつは?と。すみません。


常道パターン、主力の4名(御坂美琴、白井黒子、初春飾利、佐天涙子)にゲストキャラ迎えるだけで余裕で試合を回せるんですが、この作品特に3期ではそうはしない。

 梅:キャラに魅力がない
 竹:主役に魅力がある
 松:主役含めて周辺キャラも魅力がある

紛れもなく松作品であり、それは積み上げてきた実績でしょう。常道のキャラ回し、主力を軸にゲームを組み立てることも可能だったはずなのになぜそうしなかったのか。

1期では主力を掘り下げ魅力を引き上げることに成功しました。
2期では主力の結束を描き不動の地位を確立しました。

そして3期では…

 1.既存キャラの再生{netabare}:婚后さん、絹旗最愛(超…が口癖)、フレンダ(爆弾人形の金髪)、屍喰部隊の面々{/netabare}
 2.新キャラの活躍{netabare}:食蜂操祈(LV5第5位…記憶操作)、削板軍覇(LV5第7位…根性){/netabare}
 3.{netabare}主力の温存{/netabare}

冒険します。2期のメインどころ麦野沈利(メルトダウナー)を触りだけしか使わず、彼女のグループの一員だったメンバーで1話丸々使うみたいな芸当をやってのけてました。{netabare}さらに雑魚チームだったスカベンジャーズに光をあてて後半ラストバトルの美琴パートナーに仕立てたりしてるのです。{/netabare}

要は人材豊富なのですよ。これは禁書目録があることの利点であるかもしれませんよ。キャラの出し入れというべきかレンタルでちょっと出場しそれなりに爪痕残して戻ってきてから活躍するみたいなのもよく目にします。合法ロリ月詠小萌先生なんてまさにそうでしょう。
さらに主力を温存しているってことは、逆に言えば揃った時に「待ってました!」とファンの期待が爆発することにも繋がるわけです。

人気シリーズ3期めのレビューを読むともなれば、視聴後感想読んで答え合わせしたいか2期までは視聴したもののさあこの後どうしよう?という方のどちらかでしょう。
後者の方向けに「主力4名ちょい稼働でも面白いってどういうことか興味ありませんか?」が回答です。


主力の魅力やバランスは言わずもがな。取り巻く面々個々の魅力の高さと思い切った起用方法を評価し久々にキャラ5.0点を献上する作品となりそうです。あたかもどこからでも攻め手があって頻繁なポジションチェンジを繰り返すクライフのオランダナショナルチームが登場した時のインパクトと等価値ではないかと! …生まれる前の話だし適当に言ってます(^_^;)
相変わらず2クール全25話と量はあります。それでも手を出して後悔はないだろう良作です。



※ネタバレ所感

■物語は深化してる

本稿ではほぼキャラについて。もちろんそれ以外の要素。例えばストーリーラインも私好みでした。
2期で学園都市が持つ狂気をシスターズのエピソードで掘り下げてました。その本質はきちんとそのままにしっかりアレンジを加えてきた3期です。

{netabare}#1~#15大覇星祭と#16~#25天賦夢路編の2本立てでした。このへんの構成は2期と一緒。

悪役が前半巨悪で後半小者というのにも物語上の必然性はある。前半はアルティメット御坂の派手さに隠れているもののドリーを巡る食蜂と警策看取(みーちゃん)の人情話。後半はそのまんまドッペルゲンガーの魂の存在に関する話。と人工的に作られた生命体にまつわるエトセトラと共通してます。
もとを辿れば御坂シスターズですもんね。クローンだと割り切れず良心の呵責に苛まれた御坂美琴だったわけで、ドッペルゲンガーすなわち実験で勝手に造られた命がよりによってそんな御坂美琴に「もう生きたくないから殺してくれ」と頼む残酷さったらありゃしません。けっこう突きつけられるもんがあります。

そしてシスターズも実験体であるがゆえ自意識ゼロだった当初と比較し+αが顔を覗かせる機会も増えてきました。2期における朝焼けのビル屋上での御坂妹の一言が忘れられません。

「世界とはこんなにもまぶしいものだったのですね」

軽妙な日常劇の裏でけっこう絶望的な世界が流れてる超電磁砲の世界でクローンが放つこの一言。
3期前半締めではよりパーソナルな自我の芽生えみたいなのが出てきて

「なぜかはわかりませんが大切な人との胸踊る約束が欲しくなりました」
「と、ミサカは不思議なデジャブを覚えて感傷に浸ります」

ミサカネットワークの干渉により、ドリーら3名海へ行く約束をいいなと思いはじめ本編最後には

御坂美琴「私の妹よ」

と婚后さんに紹介されるに至る綺麗な流れでした。独立2本立てながら繋がってるのがいいですね。{/netabare}


■キャラ作りは丁寧に/設定は大切に順守

{netabare}佐天「踊ってくれますよね?Don’t you?」
御坂「い…Yes I do…」
覚えたての付加疑問文を使ってみました的な中学生っぽさを忘れてないところ{/netabare}

{netabare}食蜂を女王と紹介され色めき立つ佐天さんと初春さん。
ミーハーが高じて他校の黒子や美琴と繋がったこういった初期の設定を忘れてないことも好感。{/netabare}

{netabare}通りすがりのキャラもきっちり作りこんであげてるのもね。
BLAUなんて一瞬黒幕かと思っちゃいましたもん。ただのピエロでしたが。

「第3位の御坂美琴ちゃんは気ぃ強そうやけどな。逆にそれをピ-してネコミミと尻尾着けてからピーしてピーし放題!」
「食蜂操祈ちゃんはスク水にピーしてな。中学生離れしたすごいピーがレベルピーになってもうて!」{/netabare}



■コロナ延期

うちの地域では1/11スタート。2020年冬クールで2クール予定でした。
そして延期での中断を挟んで9/26最終回と足掛け9か月でのフィニッシュです。

延期については3月以降いっきにいろいろ決断しなければいけないものが増えたのでしょう。
クール突入前の延期発表がいくつかあり、追って2話3話以降放送延期が数タイトル続きました。政府緊急事態宣言(4/7公布)に合わせるかのように4月第2週までの決断が大半です。納品期限を考慮すれば3月下旬には安定して製作できる環境は無くなっていただろうと考えるのが自然です。
延期or貫徹。外注その他要因あるので一律判断はできかねますが、本作も延期せざるを得ない体制下での作品だったわけです。それが物語の区切りのよいところまでやってくれました。確かめてみたら5/23放送分までです。スキップ週もあったけど他の作品から粘ること4週分頑張っていただけました。ご時勢がご時勢ですので途中ぶつ切りでも誰も文句言わんだろうに区切りのいいところまで。

本当に有り難いことです。



視聴時期:2020年1月~5月…9月 

-------

2020.10.06 初稿
2020.11.10 タイトル修正
2021.07.25 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 56
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

美琴は世界一の幸せ者(^_^)

とある科学の超電子砲Tでは、主人公の美琴を助けるために多くの友達が奮闘します。
こんな多くの友達に恵まれている美琴は、世界一の幸せ者でしょう。

物語の最初は、学園都市の大運動会である「大覇星祭」で美琴や美琴の妹が活躍します。和気あいあいとした内容です。
しかし、ここで美琴の妹が、ある機関に捉えられます。
そこから話は急展開。またしても学園都市の闇の部分が描かれます。

妹を今すぐにでも救出したい美琴ですが、行動を制限されます。
しかも親友の白井 黒子(しらい くろこ)、初春 飾利(ういはる かざり)、佐天 涙子(さてん るいこ)は記憶を操作されてしまい、美琴と友達であることを忘れてしまいます。
全くの他人のように美琴にふるまうのです。

そのとき困り果てた美琴のために、婚后 光子(こんごう みつこ)が頑張ります。
美琴に代わり美琴の妹を捜し始めます。
しかし、美琴の妹を捜すことは学園都市の闇の人たちと戦うことを意味しています。とても危険な行為なのです。
{netabare}
婚后 光子は危険を顧みず敵に立ち向かい手がかりをつかみますが、返り討ちにあい大怪我を負ってしまいます。
せっかく光子がつかんだ手がかりがここで消えてしまうのかと思われたとき、
今度は日頃おとなしい湾内 絹保(わんない きぬほ)や泡浮 万彬(あわつき まあや)が、光子のために奮闘します。
彼女らは、人と争うことを極力避ける人たち。それでも婚后 光子のために不慣れな戦いをあえて行います。
そして、黒子や初春、佐天さんも、美琴との記憶は戻らなくとも美琴のために頑張ってくれます。
{/netabare}
みんなの頑張りで少しずつ敵の正体が明らかになりますが、今度は美琴自身が敵に捕まります。
{netabare}意識をコントロールされてしまい、美琴は怪物のように変わり果てます。圧倒的な力で学園都市を壊滅しようとします。まさに暴れ狂うのです。
{/netabare}
すると今度は上条 当麻(かみじょう とうま)や 削板 軍覇(そぎいた ぐんは)が、命の危険を顧みず美琴を救うために奮闘します。
もちろん黒子や初春、佐天さんも、記憶にない美琴のために懸命に頑張ります。
そして、日頃美琴と犬猿の仲であるはずの食蜂 操祈(しょくほう みさき)も、命を懸けて美琴のために頑張るのです。

幸せの基準は人によって異なりますが、困っているときに次々と友達が助けてくれる美琴は、おそらく世界一の幸せ者だと思います。


この物語で最も私の心に響いたのは、温和な湾内絹保や泡浮万彬が婚后光子への侮辱や暴力に対して怒りをあらわにしたシーンです。
今まで穏やかだった公園の池に、急に高波が打ち寄せ始めるのです。
それは、彼女達の怒りの表れでした。
友達のためにここまで怒ることができる、それは素晴らしいことだと思います。

もちろん、美琴のために血まみれになりながらも頑張ってくれる食蜂や黒子たちにも感動しました。

そして最もショックだったのは、黒子や初春や佐天さんの記憶から美琴との楽しい思い出や日々の出来事が消去されたこと。
誰だって親しい友達から自分が忘れ去られたら凄く悲しい。忘れられるということは死んでしまったことと変わらない。
このときの美琴の悲しみや怒りが私の心にしっかりと伝わってきました。


最後に、食蜂 操祈の甘ったるい話し方が実に魅力的でした。
あんな話し方をされたら、超能力を使わなくとも多くの男の人はハイハイと従うでしょう。(^_^)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 51

76.6 5 2020年度の友情アニメランキング5位
イエスタデイをうたって(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (477)
1730人が棚に入れました
大学卒業後、定職には就かずにコンビニでアルバイトをしている"リクオ"。特に目標もないまま、将来に対する焦燥感を抱えながら生きるリクオの前に、ある日、カラスを連れたミステリアスな少女―“ハル"が現れる。彼女の破天荒な振る舞いに戸惑う中、リクオはかつて憧れていた同級生“榀子"が東京に戻ってきたことを知る。

声優・キャラクター
小林親弘、宮本侑芽、花澤香菜、花江夏樹、鈴木達央、坂本真綾、寺島拓篤、洲崎綾、名塚佳織、堀江瞬、小野友樹、喜多村英梨、前川涼子、遠藤大智、大塚明夫、小形満、川島得愛、小林千晃、田中宏樹、西山宏太朗、藤原夏海、本田貴子、諸星すみれ、天海由梨奈、村井美里
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ゆらぎ(※配信限定エピソードを再視聴して)

アニメーション制作:動画工房、
監督・シリーズ構成・脚本:藤原佳幸、
副監督:伊藤良太、脚本:田中仁、
キャラクターデザイン・総作画監督:谷口淳一郎、
総作画監督:吉川真帆、原作:冬目景

作品タイトルと同じ、10話からのED主題歌が印象的だ。
ブルージーなギターからは60~70年代の薫り。
調べてみるとRCサクセションの
初期の曲のカバーだった。
発売はやはり1970年。
『イエスタデイをうたって』は、
ビートルズの『イエスタデイ』を歌って欲しいと
せがむ少女についての曲だ。
ちなみにビートルズの『イエスタデイ』は、
母を失ってしまった今の自分は、
失ってしまう前の昨日の自分とは
全く変わってしまったという深い哀しみの曲。
『イエスタデイをうたって』という作品のタイトルは、
原作の冬目景が最初に考案したものを
編集者にダメ出しされて思いついたものだった。

主人公は、大学を卒業しても自分探しのために、
モラトリアムな状況を続けている魚住陸生。
いかにも、ひと昔前の人物像だ。
ある日、鴉を連れた少女・野中晴(ハル)と
アルバイト先のコンビニで出会ったことで物語が始まる。

1話ずつの完成度がとても高い。
感情の機微を丁寧に掬い上げていく。
まるでオムニバス形式に感じるほど、
序盤は余韻を残しつつ完結し、次の物語へと続いていく。

ひと昔前の年代を感じさせる時代背景。
携帯電話がなく、黒電話やカセットテープなどの
グッズが懐かしい。コンビニに外人がいない。
若者の思考にも時代性を感じさせる。
自分自身が青春時代を過ごしたころなので、
余計に感慨深くなる。
視聴すると昔の感情が呼び覚まされる。

振り返ってみると、舞台となっている02年ごろは、
バブルがはじけたといえど、
経済的にはまだ安定していて生き方の自由度が広がり、
価値観がより多様化した時代だった。
私たちは自分に正直に生きることを望み、
本当に大切なものを手に入れようとあがき続ける。
自身の心に問いかけ続けるあまり、何もできなくなる。
でも、欲しいものが必ず手に入るとは限らない。
人はどこかで、その望みに折り合いをつけて
いかなければいけないが、それをできる人と
できない人にはっきりと分かれていく。
なぜかと言うと、いつまでも追い続けることが
可能なほど自由度が高いから。
だから、動き出しても、またすぐに
立ち止まってしまうことになる。

そんななかでも人は年を取るごとに
何かを得て、何かを失いながら変わっていく。
2度と戻ってこないものもある。
懸命に生きているときはそれに気づかない。
何かが終わっても、ただ寂寥感だけが積もっていく。
でも、私たちは進み続けていくしかない。

主要人物はほぼ4人だけ。
彼らは皆、長い時間をかけた行き場のない心を抱えている。
物語が動かないため、退屈だと感じる人も多いだろう。
しかし、停滞しているようでも
登場人物の心は、いつもゆらいでいる。

空気感の演出が抜群に優れている。
桜の儚い美しさ。一方通行の想い。
「死」を身近に感じる状況。
哀しみがこみ上げる瞬間。
二度とは戻ってこない日々。
そのときのシーンに応じた劇伴も効果的で、
観ている者の心を動かす。
繊細で大切なものが零れ落ちていく。
目や手の動き、仕種、ちょっとした沈黙。
心を映しているような描写だ。

彼ら4人はずっとゆらいでいるが、
周囲の人々は、決意して前に進みだす。
ハルの同級生の湊航一や陸生の元恋人の柚原チカ。
決着をつけて自身のなかに何かを見出す。
陸生自身も少しずつではあるが前進しようとする。

軸は4人のラブストーリー。
とはいえ、この作品の核の部分は、
陸生と榀子の心情のゆらぎにある。
自分の心の在りかをずっと探っている。
似たもの同士、受け身気質のふたりが
歩んでいく方向を見つけるために
真剣に迷い続ける物語といえるだろう。
そう考えると、納得感のあるラストだった。

陸生の気持ちのゆらぎは、
世田谷線の車内での独白に集約されている。
自分で自分の心が分からない。
正直さ、誠実さを突き詰めようとすると、
自分の本質がゆらいでいくように感じる。
それでは、どうしたらいいのか。
物事を論理的に考えるのではなく、
感覚的に捉えることだ。
自分の心がどこにあるのか。
もっとシンプルに考えるべきだ。

{netabare}ひとつ残念だったのは榀子の心の動きを
描き切れていないこと。
2話からずっと榀子の心模様を
繊細な描写で追ってきたのに、
最後の段階では、井の頭公園での陸生の言葉に
全て任せきりになってしまっている。
アニメを観ているだけだと、榀子がどのように
自分自身に決着を付けたのかが理解できない。
もちろん、想像することはできるが描写不足は否めない。
だから榀子だけが身勝手な女性に見えてしまうが、
個人的にはとてもリアリティがあるし、
現実の人物像もひとりふたりは思い浮かぶ。
作者がどのように捉えているのかは関係なく、
情の深いキャラクターだと思う。
原作は未読なので分からないが、
単純に尺が足りなかった可能性もある。
ラストに向けては、2話分くらいかけて
ふたりのやり取りを突っ込んで欲しかった。{/netabare}

タイトル面から作品を考えると、
ハルが主人公のようにも思える。
そもそも作者が最初に考案していたのは
「ハル」というタイトル。
{netabare}ハルは陸生に近づいたことで、
以前よりも臆病になってしまい、
自分が変わってしまったことを自覚する。
これは『イエスタデイをうたって』の詩にもつながる。
だとすると、この作品はハルや浪の変化を
目の当たりにした陸生と榀子が
それに押し出されるようにして
一歩踏み出そうとする物語とも言えるだろう。{/netabare}

原作の量からすると、1クールでは厳しかった感はある。
ショートアニメ&ラジオドラマで補完しているが、
若干の消化不良感は残った。
ただ、作品は全話を通して、とても丁寧な仕上がり。
それぞれの動きや言葉にリアルを感じる。
懸命に生きている人間の息遣いが聞こえる。

4人が歩み出す先にささやかな幸あれ。
(2020年7月4日初投稿)

原作を読了して(2020年8月9日追記)
{netabare}ここのレビュアーさんから、アニメとは大きな違いがあり、
とても良い作品であることを聞いて原作購入。
つい先日、読了した。

漫画を読んで再認識したのは、
アニメの完成度がとても高いことだった。
漫画を読んだ後に自分のレビューを再読したのだが、
この作品に対して感じたことは、
原作読了後も基本的には変わっていないし、
大切な部分は、ほとんどアニメでも
表現しているのではないかと改めて思った。
もちろん、漫画とアニメとは表現方法が違うため、
コマで感じることのできる微妙な「間」や
心情のゆらぎは、圧倒的に漫画のほうが優れている。
11巻も巻数があるので、登場人物も多いし、
人間関係も複雑になっている。
最初のレビューで書いたように榀子の心情について、
アニメでは圧倒的に描写不足。
しかし、それにも関わらず、私のアニメに対する感想は、
漫画を読んだ後でもほとんど変わりはなかった。
それは、凄いことではないだろうか。
アニメでは、漫画で登場する重要なふたりの人物を
完全にカットして物語を短くしているにも関わらずだ。

例えば同じように原作を短くしたアニメを視聴してから、
原作を購入した『はねバド』という作品がある。
放映時には原作が未完だったので、
全く同じ状況ではないが、原作を大幅にカットして
物語を再構築したことは同じだ。
こちらもアニメは、なかなか面白かったが、
作品としては全くの別物といっていいほど
原作とは違ってしまっていた。
再構築とは普通はそういうものだろう。
しかし『イエスタデイをうたって』は、変わっていないのだ。
作品をじっくり咀嚼して大切な部分だけを残して
アニメとして作り上げている。
スタッフの多くは原作のファンという話を
どこかで読んだが、それは原作とアニメを
両方味わってみれば、とても納得できる。

漫画とアニメにおける大きな違いは「時間の流れ」だ。
この物語のひとつの軸は、陸生と榀子が出会って
別れていくまでの話になる。
長年、片思いしていた陸生が榀子を手に入れながら、
そこで葛藤して別れを決意するまでには、
劇的な出来事でもない限り、それなりの時間や葛藤が必要だ。
ところがアニメでは、付き合ってから、
大した理由もないのにすぐに別れてしまう印象。
じっくり物事を考える陸生の性格からすると、
あり得ない展開ともいえる。
それは榀子についても同様だ。
榀子は、自分の感情と理性の間でずっとゆらいでいるわけだが、
アニメを観ていると、それまでのスローな時間が
最後になって急加速して自身も納得するという
どう考えても受け入れがたい流れになっている。
ただ、これは尺の問題であって、
限られた時間のなかで、スタッフは最良の仕事をしたと
漫画を読んで感じた。

それでは漫画はどうなのか。
アニメ同様、繊細な心情描写を
時おりオーバーアクションを挟みながら独特のリズムで
紡いでいく。バックボーンとして私が感じたのは、
冬目景が大ファンだったという高橋留美子だ。
高橋留美子は、80年代に女性漫画家が少年誌に
連載するという画期的な立ち位置を確立した人物。
同じ女性漫画家として目指す人だったようで、
冬目景も当初はギャグ漫画を描いていたそうだ。
だから、この作品でも若い巻数のころは、
ギャグテイストに共通点のようなものを感じさせる。
それと、何人かの人も指摘していたが、
榀子=響子さんというのは、影響しているだろう。
私が感じたのはハル=ラムだった。
作者は意識していないかもしれないが、
やはり自分の好きな作品の影響は
どこかに出てくるものだ。

また、これは私の勝手な想像だが、
高橋留美子が自身を投影していたのは、
しのぶであり、響子さんであり、あかねであり、
かごめであるのだが、『イエスタデイをうたって』でも
自身を投影して、思い入れが深いのは、
榀子ではないだろうか。
作者自身はインタビューで榀子を「毒」と呼んでいるが、
これはある意味、自虐だから言えるコメントであって、
自分のなかにある「面倒臭い」部分を
抽出した人物像ではないかと思っている。

榀子の「純粋な無自覚」が相手を傷つけるのは、
多かれ少なかれ、人間関係のひとつの形だ。
榀子は世話焼き女房のような性格で、
自分の近しい人の部屋を掃除したり、
料理を作ってあげることを全く厭わない。
それが浪の父親にいつまでも頼られる
原因にもなっているが、
無意識に人の世話をすることで、
相手から好意を持たれてしまう。
しかし、その気持ちに最終的に応えることはない。
確かに考えるとなかなか厄介だ。
陸生が榀子を好きになった銀杏のエピソードも
そういう榀子らしさがよく出ている。

漫画とアニメとの最大の違いは、
陸生と榀子が関係を解消することになった
心情描写だ。漫画のほうが積み上げる
エピソードが長いので、
読者の心にも同じように積もっていく。
陸生がハルを想う気持ち。
榀子の場合は、ライバルの莉緒が登場してからだが、
その複雑な心情は繰り返し描かれる。
しかも、その対比として雨宮とみもりという
幼馴染の関係性もクローズアップされる。
徐々に焦点が合ってくる感覚がある。

決定的な出来事は、陸生の兄の結婚祝いに
まつわる部分で、陸生がキスをしようしたとき。
陸生の手が紙切れにふれることで
ハルに対する気持ちのゆらぎが表現される。
榀子は、表情や仕種によって
我慢のようなものが描かれる。
そういう意味では、陸生の決断は納得できるものだった。
そして、リアクションや表情、
自宅に戻った後の描写によって
榀子の気持ちも明らかになる。
このシーンはよくできているが、
時間的な理由でアニメでの表現は難しかっただろう。

ここまで、ハルのことをほとんど書いてこなかったが、
私が思うに、ハルはラムであってファンタジーなのだ。
どちらかと言うと、こういう子がいたら可愛いなと
思わせるキャラクターで、あまり実在感はない。
高橋留美子は最後までラムのことを
自分では理解できないキャラクターだったと語っている。
それは冬目景にとってのハルと
似たようなものではなかっただろうか。

表向きの主人公はハルだが、
やはり真の主人公は榀子だったのだろうというのが
漫画を読了したときの感想だった。
漫画本編のラストは、榀子が桜を眺めながら
穏やかな表情で歩く姿なのだから。{/netabare}

配信限定エピソードを再視聴して(2023年4月16日追記)

{netabare}放映当時にアニメを補完する物語として
配信限定で観ることのできたエピソードが
改めてdアニメストアで再配信された。
それを観ていて感じたことがあったので追記したいと思う。

この作品のアニメ本編は、分かりやすくするために
原作とは違ってほぼ4人の登場人物に絞っており、
いろいろなことを内省することをメインに構成されている。
私は、この作品を観ていて、
時代背景などから懐かしさを感じていたのだが、
別の側面から捉えると、多くの人々が「常識」と考える
男女関係の在り方そのものが
硬直化していた時代でもあったのだと思った。

この作品の時代背景は2002年ごろだと先のレビューで記したが、
それは作者がインタビューで答えていたもので、
実際にこの作品に通底している時代は、
70年代から80年代ごろではないかと感じる。
そもそも『イエスタデイをうたって』という
古い曲をタイトルにしていることだけ考えても
作者の心のなかにある時代が想像できる。

だとすると、この作品に対する見方も少し変わる。
陸生と榀子は、お互いのことが好きだと思って
付き合い始めるのだが、それは陸生がハルという
年下の少女のことを好きだという感情を
封印するためだったと考えることもできる。
榀子の場合は死んだ恋人の弟で、学校の生徒でもある浪に
特別な感情を抱くことは、社会の常識から外れた行為だと思ったために
陸生からの告白を受け入れたともいえる。
ふたりの男女が「時代の常識」に囚われた結果、
最初から「愛」というものを勘違いしていたのかもしれない。
個人的には、これが2002年という年代なら納得ができないが、
70年代~80年代の時代背景なら妙にしっくりくる。

そのことを象徴しているといえる
配信限定エピソード内にある陸生の独白を紹介しよう。

男女の友情は存在するのか。
そんな答えのない永遠の謎に
大人になれないオレは、自分の感情を誤魔化しながら
自分の都合のいいように生きてきた。

これはオレの悪い癖だ。
自分の好きなカメラだって、諦めるわけでもなく、
ただその欲求をずっと抱えていた。
答えを出すのが怖くて、答えが出るのが怖くて、
結末が怖くて、ずっとこのままでいいと、
いつか忘れてしまうことを待っていたんだ。
それは居心地がいいようで、息苦しい空気が漂っていて。

何かに変化を求めていた。
何かに期待していた。
変化を求めながら、自分から変われない自分が情けなくて、
そんな後ろ向きな動機でしか頑張れない自分を変えようとした。
その結果、自分のことしか考えていなかった結果、
傷つけてしまった。

失ってから気づくような愚か者で、
これからも同じような過ちを繰り返すかもしれないけど、
オレにできる限り大事にしますので、
これからもよろしくお願いします。

ハル:60点。
陸生;え!?
ハル:前半、榀子先生とのことじゃん。
言い訳ばっかじゃん。
大事な私と具体的にどうなりたいかが明確じゃない。
やり直し!

先ほどの独白は、陸生のラブレターなわけだが、
アニメオリジナルの部分。
しかし、このアニメをとても上手く表現している。
今さらこんなことをまた書いてしまう私は、
やはり、この作品のことが好きなのだと思う。
これまで、お気に入りの棚に入れるのは、
自分の総合点が4.6点以上の作品と決めていたが、
この作品は、例外としてお気に入り作品にすることにした。 {/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 87
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

(音無響子+関口さとみ)÷2ってどう?

原作未読 18年かけて完結した名作らしい


つくづく携帯電話というツールが青少年の恋愛模様に与えた影響は計り知れないものがあると思う。
コミュニケーションの取り方が今とまるで違う。

 『ポケベルが鳴らなくて』とその主題歌のヒットが93年
 初期費用10万円越えだが携帯電話が小型化したのが94年
 PHSのサービス開始が95年
 それに引きずられて携帯初期費用の下落が起きたのが96年
 契約台数200万台から一気に10倍規模へと拡大した97年
 99年に11桁化へ

私の場合、世の女子はポケベルかピッチ(PHSのこと)かなにも持ってないかみたいな時期に大学入学し卒業年次には皆さんおおかた携帯電話を持ってたかなぁという過渡期に学生生活を送ってます。振り返ってみると移動端末を持ってない女子には独り暮らしでもしてない限りアタックすることは無かったような… 逆もしかりで「携帯持ってない」はひとつの断り文句として通用するようになりもしました。

 “チャンスが失われる”

若者にとっては死活問題。端末が手に入れやすい価格帯になってあっという間に10倍以上の規模となった裏には下心あり。かようにわずかニ、三年で恋愛のルールに大転換が起きたのです。


本作の連載開始が98年1月。構想期間などリアルタイム反映は難しいにしてもすでにNO携帯な恋愛劇はやや時代遅れ感なきにしもあらずなタイミングです。
作者冬目景の生年は1970年。物語の主役が大卒直後のフリーターであって作者とリンクさせるなら92~93年頃と携帯端末勃興前夜の計算になります。原作者が自信をもって世に送り出せる恋愛劇に携帯というガジェットは辞書に載っておりません。単純に消化して落とし込むことができなかったのではないかと思われます。
ディスりではなくて、なんとはなしに肌感覚でNO携帯な恋愛劇を描いた最終世代の作品として貴重なのでは?と思いながらの鑑賞でした。推定'96大卒くらいまでがリアルに感じる恋愛物語と言えましょう。

現在でもやってやれないことはないでしょうが20年も経てば、当時を知る若者は中年/壮年になり恋愛する感覚が追いついていかない部分あるだろうし、リアル若者は取材した上で落とし込む作業が必要なんだろうなあとぼんやり考えてました。
肌感覚でイメージしづらい若人の皆さんでも手っ取り早くどんなものか知る方法はございます。動画とかで『JR東海 X'MAS EXPRESS』のCMをいくつか見てみたらいかがかと。60秒でNO携帯時代の恋愛のクライマックスを垣間見ることができると思います。


時代背景の前フリが長くなりました。作品に戻ります。

 『49%うしろ向き、51%まえ向き』

水前寺○子がニコニコしながら歩いてきそうな大きなテーマがまずはそこにあります。
繰り広げられるのは主要メンバー男2名女2名計4人の恋愛劇で登場人物はこちら↓

魚住陸生(CV小林親弘)
野中晴(CV宮本侑芽)
森ノ目榀子(CV花澤香菜)
早川浪(CV花江夏樹)

主役は大卒フリーター魚住陸生(リクオ)♂。その同級生、新卒で高校教諭の榀子(シナコ)♀。シナコの教え子だったが高校中退した晴(ハル)♀。シナコの実家金沢からの縁、浪(ロウ)♂。で、この狭いコップの中でいろいろやり合うわけでございます。
主役はなんとはなしに“陸に住み生きる魚”よろしく居場所がなく所在もなさげな青年。それでも“野”中や“森”ノ目と陸の上に安住の地を求めてるからなのか苦しんでしまう。そんな印象を受けた序盤です。
{netabare}※早“川”ならラクじゃんと腐女子が鼻血出しそうな展開を想像しかけたがあえてスルーしとく。{/netabare}

作品のキャッチコピーから
主役名からの類推(妄想)から
そして作品タイトル“イエスタディ”から

すっきりせず停滞しそうな物語を約束されたようなものであり、事実そんな感じの全12話でした。12話分を俯瞰するとやや途中の説明不足や強引な終幕を残念に感じる一方で、

{netabare}よくもまぁこの短尺で“恋愛の停滞感”を出せたなぁ…{/netabare}

むしろポジティブに受け止めたい。感心することしきりでした。約束された“停滞”はおそらく原作でも鍵になってるんでしょう。そのへんをアニメスタッフが大事に扱っていることを伺わせるような作り方をされてたと思います。

この褒め言葉としての“停滞”を生んだのは明らかに二点。
7割方は主人公らのパーソナリティ。これはネタバレで各人個別に後述します。こっちがやきもきするような優柔不断な二人が中軸なので話が進みません。
残り3割はツールの不備。先述の携帯端末がないことに起因してます。即時そして直接のやりとりが減るためすれ違いが生じやすくなり、当人らの性格もあいまって話が進みません。


 2%前に進んだ(かもしれない)恋愛群像劇


“即断即決”の2020年代を生き抜く私たちにとって、“すれ違い”や“空白”。行ったと思ったら戻ったりのもどかしさを楽しむタイプの作品です。
現実においてはアニメ作品も放送延期が連発したこの時期。
立ち止まって一呼吸したのは作品や業界だけでなく我々もでした。
奇しくもそんな2020年春クールにて、視覚に頼れず音と想像で空白部分を埋めるラジオという媒体を扱った作品だったり、本作だったりが生き残ったのは偶然ではないのかもしれませんね。
例えば空白部分。画面にも映らなかった会えない時間に彼女らがどんなこと考えてたんだろう?とかを想像しながら、深まってく想いだったり徐々にズレてく想いを堪能できる良作だったと思います。



※ネタバレ所感
以下、当方ゲスモード全開でいきます。Wヒロイン評いってみよー!
不快な表現があるやもなので純粋レビュー止まりならここでブラウザバックすることを推奨します。


■(音無響子+関口さとみ)÷2

誰のことかすぐ頭に浮かんだあなたは立派な大人です。そう榀子センセですね。

{netabare}想い人を亡くしたことが重しになってこじれちゃってるのが共通項。気立てが良くて恋愛経験少ないのも似てるかしら。めんどくさいけどかわいいのが響子さんで鬱陶しいのがシナコさんです。{/netabare}
{netabare}そのかわいいと鬱陶しいを分かつものは関口さとみ成分の有無でしょう。関口さとみ自体の説明は割愛。どうぞ『東京ラブストーリー』をご覧くださいませ。シナコは天然というか自分に素直なだけなんですが、リクオを完全にキープ扱いしてますよね。外形だけみると地雷女以外の形容詞が浮かばない彼女の特徴は以下↓

・過去を引きずり過ぎ
 ⇒まだなにも始まってない相手への一方的な恋心だぜ?
・浪を甘やかしすぎ
 ⇒自分の居場所確保のために彼に言うべきことを言わない
・リクオを都合よく利用し過ぎ
 ⇒そのくせ「私が甘えてるだけなのよ」と本人に言ったりする
・自分からフッたのに怒る
 ⇒そのくせ「私たちそんな関係じゃないから別に」と言わずにいられない
・自分から告ったのに優柔不断
 ⇒なんだかなぁ{/netabare}

この上なく強烈な印象を残すキャラクターさんとなってしまいました。ロクなもんではありません。
…と言いながらかくいう私だったらホイホイついていくと思います。

{netabare}そして、「そんなつもりじゃないの…」とフラれる未来を想像して打ちひしがれるまでがワンセット。
普通の男…と言っても自分基準ですがなんといいますか口説けそうだと勘違いしてアタックしかけるでしょう。作中でも複数回チャンスありました(キリッ)。そこを全く行動を起こさないリクオだから良かったかと思いきやところがどっこい。断言してもいいですが「冗談、ゴメン忘れて」という態度をこちらが取ることができればリセット可能とふんでます。そしてこのテの方々は“まだ脈はある”と匂わせる行動を繰り返します。理由は

 考えてそうでなにも考えてないから

前後の行動の因果関係や会話で投げかけられた言葉の意味を理解できていません。他者への想像力の不足。これまで言い寄ってきた男もいたでしょうが亡者バリアが発動し見切りをつけられたいていの男は彼女の元を去っていって久しい。そのくせ異性の気配がないのはそれはそれで淋しいというのが露骨であり、その感情を整理なり処理できてるようには見えません。バリアをくぐり抜けた親族ロウと優柔仲間リクオくらいしかストックがない。逆にくぐり抜けさえしてしまえば言葉悪いけどちょろいです。あとは「こんなに思われてるんだからしゃーない」と自分を納得させたいだけでしょう。

要は“一線越えて上書きしてしまえばいーじゃん”という思想です。作中でもシナコ本人が自分で決断する怖さから判断をリクオに委ねる意思表示をしてましたがそこに乗ることのできないリクオというのがまた作品の味となってました。

と、これまでボロクソに言いつつされど惹かれてしまうやっかいな女性だと思われます。原作者の方女性と聞いて納得したのですが、シナコは女性のめんどくさい部分を詰め込んだような人。そこが良く描かれてます。このめんどくささってそのまんまめんどくさいんですけど一方でめんどくさいのが好きな人もいるでしょう。私なんかそのうちの一人ですよ。
そんな「いいですよね~めんどくさいの」と言い切れちゃうような某アニメに言わせれば南極向きな性格をしている男性陣はおおいに楽しんだらいいと思います。{/netabare}


■少女漫画に描かれた文脈でしか男を知らない人

誰のことかすぐ頭に浮かんだ人は残念なことに私と思考回路が似通ってるかもしれません。
そう晴ちゃんのことですね。

{netabare}まだJK年代だからいいけど早いうちに軌道修正してねという娘さん。カラスを手籠めにしている女性は古今東西、魔女しか私は知りません。{/netabare}
{netabare}家庭環境から妄想する偏見ですけど男女交際のロールモデルを想像できてないんだと思います。自分の“好き”という感情に直面した時に、まがりなりにも次の段階を想像できているのがシナコだとして、ハルにはそれがありません。
それでいて臆病なシナコとは対極的にハルは行動的です。想像してみてください。イメトレなしで試合に臨んだ時の惨状を。もしくはゴールや落としどころを描けずに商談に臨んだらどうなるかを。ハルのやってるのがまんまこれ。下手に行動力のある分ズレたらズレたであさっての方向に行ったまま帰ってこれない怖さがあります。

 一緒にいるだけで幸せ

彼女の好きになった理由が希薄なこともあるかもしれません。高校中退理由もなんだかよくわかりません。シナコに輪をかけてなにも考えてなさそうなのが彼女の危なさ。地雷臭しかしないでしょ?普通。

と、同じくボロクソに言いつつされどこちらも惹かれてしまうやっかいな女性だと思われます。
ただし理由はしょうもないところ。

 {netabare}好意もたれて嫌いになれるわけねーじゃん{/netabare}

ストレートな愛情表現を“素直”であると好意的な勘違いをしかけますが、彼女と一緒に描く未来が見えません。でも見ため可愛い子に好意もたれたらホイホイついていくスケベ心を私は隠さないですよ。
そんな抗えない下心を是とされる男性陣はおおいに楽しんだらいいと思います。{/netabare}



男二名のめんどくささも書くつもりでしたが息切れしました。野郎二人は中学生です。学校で教師を呼び捨てにしてマウント取ろうなんて高校三年生としては稚拙。黙って○○へ行け! …以上です。

ということでもう一度戻って女子二人。要は二人ともめんどくさくて二人とも魅力的なのです。
出来れば両方ともおつきあいしたいとゲスの極みなことを考えているのは私だけでしょうか。皆さんどの子がいいなぁという視点で観てるんでしょうか。その場合誰が人気あるんだろう?
最後に本作で自分だったらこの娘さんが一番いいなぁと思った人と理由をネタバレで挙げときます。
ズバリ当てたらすごいかも(笑)


{netabare}その子はリクオと4か月付き合ったという同級生の子{/netabare}

{netabare}迷わないですね。キタエリさんが声あてしてた娘です。次点はハルのバイト先のお姉さん。理由は↓

・言い寄られると弱いという自分の弱みを理解している
・そしておそらく経験を踏んで対処の仕方も心得ている(はず)
・育ちが良いので本人が遵守してるかはともかく社会常識の判断基準に世間とのズレはなさそう
・職能を理解しなんだかんだ生活するための目途をつけている
・例えばピアノできるのよ、のドヤ感が一切ない。わきまえてる
・居候先にリクオを選んだ選球眼と行動に移せるメンタリティ
・シナコやハルの様子を瞬時に察してフォローにまわれる観察力
・そしておそらく「一線越えてから考えよう」の割り切りの良さに聡明さを感じる


たぶん付き合ってて退屈しないし、結婚したらしたでしっかりするであろうと思われる。{/netabare}



この物語を鑑賞して思ったのは女のめんどくさいはかわいくて男のそれはどうでもいいということ。
次に主役四人組以外の登場人物はわりとまともだったこと。
あと言い忘れてたけど榀子センセなんかの比じゃないくらいこいつはダメだと思ったキャラがおります。さっき最後と言っといてすみません。断トツでした。

{netabare}そいつは早川父。

「いい加減解放してやれよ」

突き放してあげるのも大人の役割です。

携帯電話のない恋愛劇を懐かしむことのできた方々はこの父親と同年代くらいではないでしょうか。
どこかしら欠落した四人組にあーだこーだとマウントを取ろうとする前に、はたして自分がこんな早川父みたいな大人になってはいないか自省してみるのもよいのかもしれません。{/netabare}



視聴時期:2020年4月~6月 

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2020.07.04 初稿
2021.03.07 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 68
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

曇り空ばかりだ

冬目景原作、制作動画工房。

新宿にほど近い私鉄沿線の小さな街で、
悩み、迷いながらも懸命に生きる、
4人の男女の恋愛模様、そして人生。

大学卒業後に定職には就かず、
コンビニでアルバイトをする陸生の前に、
以前から彼を知るという少女ハルが現れた。

美麗なOPから役者の静かな演技まで、
とても引き込まれる演出である。
音楽も好印象で、リアルな空気感は、
とても実写ドラマに近い印象を持つ。

4話視聴追記。
過去は美化される。
前向きに生きるしかない。
{netabare}不安と逡巡を抱えながらより前向きに、
それがいかに難しいのかを知っている。{/netabare}
等身大の役者の演技が冴えますね。
人はどこまで人を思いやれるのだろうか。

最終話視聴追記。
{netabare}ドラマのように上手くはいかない、
どうして例外なくボタンを掛け違えるのだろう。
考えすぎて、思いやって、どこかで逃げて。{/netabare}
煮え切らないものが良く描けていると思う。

主人公、ヒロイン、2人の関係を、
劇的に前へ進めるたった1つの方法は、
{netabare}さっさと男女の関係になることだろう。{/netabare}
ただそれが安易に選べないからこそ、
人の不完全な美しさと脆さがここにあるのです。

夜と曇り空ばかりだ。
それでもどこか美しいと思う。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 61

72.5 6 2020年度の友情アニメランキング6位
マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (421)
1602人が棚に入れました
願いの成就とひきかえに、人知れず戦い続ける魔法少女たち。しかし環いろはは、自分の願いを忘れてしまっていた。『魔法少女になった時、私は何を願ったんだっけ?』日常の中にぽっかりと空いた穴。失われてしまった大切ななにか。理由もわからないまま、戦いつづける毎日……。そんなとき、魔法少女たちの間で噂が流れはじめる。『神浜に行けば、魔法少女は救われる』魔法少女とウワサの集まる街、神浜市。失われた願いを求める、環いろはの物語がはじまる――。

声優・キャラクター
麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜、佐倉綾音、小倉唯、小松未可子、大橋彩香、石原夏織、花澤香菜
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

はじまりのいろは

まどマギ外伝。制作シャフト。

魔法少女として魔女と戦う少女いろは。
命を賭して戦う代償に願いが1つ叶うという。
少女はたった1つの願い事を思い出せずにいる。

シャフトらしい遊び心満載の演出の数々、
劇団イヌカレー空間が謎多き物語を牽引する。
キャラクターデザインも見やすくなっている。
また違った少女の崇高な救済の物語。
時は過ぎ全ての色眼鏡を外す頃合いとなった。
ソウルジェムは透明でなければならない。
当時を取り戻すべく楽しもうと決めている。

中盤視聴追記。
本編の物語を重層化させる世界を提示すること。
これが最も重要であり全てなのだ。
変わってしまった世界、異空間の表現、
様々な噂が心を身体を縛り付け闇に堕ちる。

最終話視聴追記。
結論から先に書けば、
ここしかない場所で物語を紡いだ。
{netabare}つまり因果を解き魔女化から逃走すること。
運命の楔から解き放たれるための革命を描くこと。{/netabare}
マギウスの真相、その意義は理解した。
当時の記憶がよみがえる。
いかにキュゥべえが苦手かを思い出した。

本編の物語を、魔女の立ち位置を、
整理したい方に一定の可能性は示しています。

しかしキャラが覚えられず…えっまだ!?

投稿 : 2024/05/11
♥ : 49
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

角が取れたホームベースのまろみ

ゲームはしてない


校庭の倉庫に入った経験は誰でもおありだろう。体育用具が積まれてあって、ライン引きやメジャーなど取りに行かされたものであります。
これがアニメだとヒロインと一緒に入室した拍子に閉じ込められる展開が待ってるみたいな。
現実はそう甘くはない。たいていは古びた用具類の匂いとともに脳裏に刻まれてるものでしょう。
ゴム製のホームベースもそこで見つかる用具の一つ。
年季が入ったものは白さが抜け土気ばっていて、五角形の角部分は削れて丸みを帯びていたりもする。

五角形の角がとれたホームベース。キャラ原案は変わらず蒼樹うめ先生とはいえ、顔の輪郭から受け取る印象はかつて見知ったものと微妙に違っています。
きっちりかっちりな五角形だった本編デザインからのややマイルドな改変。デザインのみならずマイルドにいろんなとこが変わっているのが今回のマギレコといってよいでしょう。

監督は新房さんから劇団犬カレーに。総監督兼シリーズ構成とのこと。
ディレクター宮本氏は今回は副監督に。
梶浦氏は音楽“協力”というかたちでの関与です。
ClariSはOPからEDへスライドし、代わってOPを担うTrySailに『コネクト』作詞作曲者である渡辺翔さんが曲をおろしてます。

社会現象を起こした本編のスタッフの役回りはそのままスライドしたわけではなさそう。それに『まどマギ』といえばこの人虚淵玄氏は今回ノータッチ。
イビチャ・オシムの言を借りれば『ポリバレント』を求められるような配置でしたが結果は如何に?


 {netabare}『外伝(がいでん)』{/netabare}


シンプルで当たり前なところに落ち着きます。本編ではありません。

「魔女」「魔法少女」「ソウルジェム」「グリーフシード」「キュゥべえ」「耳馴染みある劇伴」

かつて知ったる名作モードのスイッチが入りそうになるところをぐっとこらえて俯瞰してみます。


 {netabare}魔女がいるのね{/netabare}

 {netabare}お!マミられていないんすね{/netabare}


まどか登場以前の世界であることが伺えます。ほむらの能力を考えれば違う世界線との見立ても可能。
{netabare}※マミさん、杏子、さやかが登場しました。マミと杏子ならまだしも魔法少女さやかが登場した以上、ほむらがぐるぐるしていたよりも以前の世界とは考えにくく、TV本編での並行世界/パラレルワールドと見たほうがよさそうです。{/netabare}

ゲームをしてない私がどのへんを観てたか?

※本編のネタバレ有なので一応隠します。

{netabare}本編の最終話で描かれたありとあらゆる魔法少女たちをまどかが巡ったあのカット。
絶望の中で生命を終えることから解放された彼女たちの安堵の微笑み{/netabare}

まどかがアレする前の世界に生きる魔法少女たち。{netabare}そりゃあ絶望の中でみんな斃れていったんでしょうよ。{/netabare}それを想像するだけで泣けるくらいには調教されてる私です。
話はもう第一話からしてずーっと不穏な空気をまとい嫌な予感しかしないわけで、きちんとファンがこの作品に期待する最低限の部分を制作スタッフは守ってくれてるわけです。
それにTV本編のファンが喜びそうなネタをいちいち仕込んできてました。『叛逆』の前半部分の視聴感と類似してるかも。{netabare}例えば“さやかと杏子の共闘”“幸せそうなマミさん”のように、{/netabare}我々が見たくても叶わなかった魔法少女たちの姿を拝める幸せに与かりつつも、常に不穏な空気が流れていたアンバランスさ。映画『叛逆の物語』前半部分です。

※喜びそうなネタ?
{netabare}・3話Cパートでマミさん。代名詞となった3話での堂々登場に震える
・さやかと杏子が対峙した時のまどかのセリフ「こんなの絶対おかしいよ」が前作と同じ6話で登場。
・その6話でなにか食いながらあの方が登場。フェリシアの境遇が杏子と酷似しているのもせつない。{/netabare}

幾分妄想も入ってきますが

{netabare}・さやかはちょい怪しいけど見滝原の魔法少女たちは実は精鋭揃いだったことが伺えます。
・だからこそあらためて“ワルプルギスの夜”になすすべなかった彼女たち(というよりほむら)の絶望の深さが味わい深くなってきます。

・大学生やちよさんもよくぞ生き残ってきた感あって注目です。だって、

{netabare}「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?」
「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」

少女と呼ぶには成長しちゃったんじゃないか説が全俺に流れてました。
井上喜久子さんや田村ゆかりさんのようには現実の世界では通用しないのです。あれっ!?{/netabare}{/netabare}


前作の恩恵(貯金)を活かして突飛に見える世界観の飛躍はなし!個人的にはこれで充分ですかね。
少なくとも“外伝”である事実を忖度して同列に扱わないことが肝要なのかもしれません。


と、すっかり忘れてましたがこれゲームが元ネタでしたね。
キャラクターの多さを彷彿とさせる場面にはよく出くわしました。案の定覚えきれないし、キャラ絞って物語を魅せた本編にはこの点では遠く及びません。


ゲームものらしいわちゃわちゃした感じはマイナスなものの、懐かしのメロディーなあれやこれやは迷うことなきプラス。
そして外伝での新要素{netabare}(うわさ、マギウスの翼){/netabare}はいい感じのスパイスとなりました。やや横広から面長になったキャラを楽しむのも悪くありません。佳作です。
中途半端な終わり方でしたが2期製作中とのこと。完結してからの参戦でよいかもしれません。



※ネタバレ所感

■巴マミは巴マミ

{netabare}叛逆での暁美ほむらより

「巴マミ 私はあの人が苦手だった 強がって、無理しすぎて、そのくせ誰よりも繊細な心の持ち主で…」
「あの人の前で真実を暴くのはいつだって残酷すぎて…辛かった」


TV版本編10話で「ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない! あなたも、私も…」とご乱心したマミさんです。
ソウルジェムが魔女を産むという真実を暴かれた上で、救いの道があるよと典型的な宗教勧誘に引っかかるのは既定路線だったとしか思えないですね。
これをもってマミさんが雑魚っぽいというか弱っちいとかを言いたいのではなく、典型的な善良なる人間の代表格みたいな扱いがマミさん。そんな彼女が堕ちていく悲しさを本作でも味わえたと思います。{/netabare}



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.04.04 初稿
2020.10.22 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 48
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

劇団イヌカレー劇場

原作未プレイ 全13話

主人公 環いろは(たまき いろは)は、神浜市を舞台に妹の行方を捜しながら様々な魔法少女と出会い「噂」について謎を解きながら成長していく物語。

本編では異空間設計のスタッフとして参加していた劇団イヌカレーさんが総監督となっていますので、イヌカレーさんの世界が沢山描かれていましたね。

魔法少女がたくさん出てきますので全然覚えられません。 {netabare}ドッペルは{/netabare}反則でしょうw

本編と同じ世界観で内容は違う展開になっています。懐かしいキャラも出てました。

お話は途中で終わっています。2期が発表されましたね。全然解決していませんので、出来れば早めに観たいです。

OPはTrySaiさん、EDはClariSさんが歌っています。

最後に、ClariSさんはこの前地上波初登場で「コネクト」を歌ったところ観たら「魔法少女まどか☆マギカ」を思い出して感慨深かったですね。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 28

67.7 7 2020年度の友情アニメランキング7位
ネコぱら(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (153)
527人が棚に入れました
水無月嘉祥は伝統ある老舗和菓子屋である実家を出て、パティシエとして自身のケーキ屋『ラ・ソレイユ』の開店準備を進めていた。そこに送られてきた荷物の中に、実家で飼っていた人型ネコのショコラとバニラが紛れ込んでいた。追い返そうとするも二匹の必死の嘆願に嘉祥が折れ、いっしょにソレイユをオープンする。妹の時雨やショコラとバニラのお姉さんネコであるアズキ、メイプル、シナモン、ココナツといった実家ネコたちもお店に手伝いにきてくれ、楽しくもにぎやかな生活を送っていた。ある日、ショコラはおつかいの途中で見知らぬ仔ネコに出会う…。どこか気になる仔ネコとの出会いから始まるハートフルネコストーリーがここに開幕!

声優・キャラクター
八木侑紀、佐伯伊織、井澤詩織、伊藤美来、のぐちゆり、水谷麻鈴、M・A・O、立花慎之介、森嶋優花

ローズ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

結構毛だらけ猫灰だらけ

洋菓子店のウェイトレスとして働いている猫、ショコラとバニラ。
ある日、買い物に行ったショコラだが、迷い猫がついてきてしまった。

内容は『猫を愛でる』
ただ、これだけです。
少しハードルが……
それは擬人化とメイド服。
猫のまま働くのは無理があるので、擬人化は仕方が無いです。
メイド服はお店の制服。
フリフリがついた姿よりも清潔感のある服装のほうが良いと思います。

問題なのは人間側。
嘉祥は真面目に仕事に取り組んでいますが、問題なのは時雨の方。
一見、優しそうに見えますが、写真をバシャバシャ撮る変態な一面も。
和装で清楚に見えますが、要注意人物です。

新登場の子猫・カカオ。
おとなしいのですが、予測不能の行動を。
人間の子供も同じ。
目を離せません。
”いりこ”が大好物なのはいいのですが、肝心な画が雑。
佃煮がキャットフードにしか見えませんでした^^;

緩い内容を許容できるかどうか。
猫に対する愛情があるかないか。
猫を愛でる愛情があれば、乗り越えられるはず。
まさに、猫の踏み絵状態。
あなたも挑戦してみませんか?
【内容が変わらないので、同じ事を繰り返し書いています>< 御免なさいm(_ _)m】

投稿 : 2024/05/11
♥ : 16

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ネコ耳ネコ

原作未プレイ 全12話

ネコの擬人化作品、ネコをウェイトレスとした洋菓子店と主人公の実家に住む妹とネコたちの日常のお話。

外見は耳と尻尾と仕草はネコですが、その他はほぼ人間と変わりません。

お話は、迷い子猫と遭遇して一緒に生活したり、勘違いで暴走したり、喧嘩して対決したり、身体測定?したりと人間2人とネコの7匹生活を描いています。

お話としては色々なエピソードがあったものの30分枠としては長いように思えました。ショート(5分枠)アニメか15分枠だったら良かったかもしれませんね。

OP ネコたち全員で歌っています。EDメインのネコ2匹(人)で歌っています。

最後に、冬期は動物の擬人化作品が多かったですね。「うちのタマ知りませんか?〜」、「群れなせ!シートン学園」、「SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!」などなど

投稿 : 2024/05/11
♥ : 15

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人型ネコとご主人様が織りなすハートフルな物語を召し上がれ…^^

この作品の原作ゲームは未プレイですが、「ネコぱらOVA」と「ネコぱらOVA 仔ネコの日の約束」は視聴済です。
思い返すと、OVAは私にとって「一目惚れ」的な作品でした。

擬人化された猫ちゃんの可愛らしさが半端無い点は言わずもがななんですが…
OVAのレビューにも記載しましたが、キャラの可愛らしさだけなら「ごちうさ」と良い勝負になると思っています。
思わず「あみあみ」でショコラとバニラのチャイナドレスeditionフィギュアをポチってしまいましたよ(*ノωノ)
そんな作品が満を持してTVアニメ化されるんです。
しかも、M・A・Oさんやしーちゃんが出演されるとあっては視聴しない訳にはいきません。
私の中で視聴の楽しみな作品でした。


水無月嘉祥は伝統ある老舗和菓子屋である実家を出て、
パティシエとして自身のケーキ屋『ラ・ソレイユ』の開店準備を進めていた。

そこに送られてきた荷物の中に、
実家で飼っていた人型ネコのショコラとバニラが紛れ込んでいた。
追い返そうとするも二匹の必死の嘆願に嘉祥が折れ、いっしょにソレイユをオープンする。

妹の時雨やショコラとバニラのお姉さんネコである
アズキ、メイプル、シナモン、ココナツといった
実家ネコたちもお店に手伝いにきてくれ、楽しくもにぎやかな生活を送っていた。

ある日、ショコラはおつかいの途中で見知らぬ仔ネコに出会う…。

どこか気になる仔ネコとの出会いから始まるハートフルネコストーリーがここに開幕!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。
OVAからTVアニメになって、声優さんも総入れ替えされていたんですね。
最初に少しだけ違いを感じましたが、違和感は感じませんでした。

TVアニメ本編の物語はOVAからの続きになっています。
ですので、この作品を徹底的に堪能されたい方は、是非OVAからの視聴をお勧めします。
現状に至るまでのネコちゃんたちのいきさつがOVAには描かれているので…

キャラは相変わらず可愛らしく、とても丁寧に作画されているのが好印象…
アニメーション制作が気になってググってみると、「FelixFilm」という会社でした。
2014年からアニメーション制作に参画していますが、共同請負や制作協力という形が多く、制作全般を初めて請け負った作品が「ネコパラOVA」だったようです。
きっと作り手の皆さまにも思い入れのある作品なんでしょうね。

会社をググっていて1点ビックリしたことがあります。
それは本作に3DCGが用いられていたことです。
3DCGって独特な雰囲気があるじゃありませんか。
でも、この作品にはその独特な雰囲気が微塵も感じられませんでしたから…
技術が進歩し続けるモノであるのを改めて実感しました。

きらら枠の作品ではありませんが、癒しポイントが随所に散りばめられています。
でもこの作品の魅力は癒しだけじゃありません。
INTRODUCTIONに記載されている通り、ハートフルな物語もしっかり用意されているんです。
まぁ、ストーリー的には王道で、直球で先読みできる展開…でも涙腺にガツンと来るときってありますよね。
この作品のハートフルな部分もそんな感じです。

キャラの推しはショコラとバニラ…
OVAではどちらかと言うとショコラに気持ちが傾いていましたが、本作品でバニラがまさかの大逆転…
でもこの2匹がOVAを視聴していた頃より好きになったのは間違いありません。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、猫ちゃん総出演による「Shiny Happy Days」
エンディングテーマは、ショコラとバニラによる「陽だまりの香り」
ポップなオープニングとメロディアスなエンディング…
どちらもこの作品にピッタリだったと思います。

1クール全12話の物語でした。
途中作画が崩れることもなく、総じてクオリティが高いレベルで推移した作品だと思います。
擬人化ネコちゃんの無双っぷりをしっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 13

65.0 8 2020年度の友情アニメランキング8位
啄木鳥探偵處(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (98)
349人が棚に入れました
時は、明治の末――金欠に苦しむ天才歌人・石川啄木は、とある殺人事件をきっかけに下宿で探偵稼業を始めることに。その名も、「啄木鳥探偵處」。「浅草十二階の幽霊騒動」「雪降る夜に街を徘徊する人食い人形」……奇怪な事件に次々と首を突っ込む啄木の助手を務めるのは、同郷の先輩・金田一京助。文士仲間の野村胡堂、吉井勇、萩原朔太郎、若山牧水らを巻き込んで、人たらしの天才歌人・石川啄木が文明開化の東京を駆け抜ける!

声優・キャラクター
浅沼晋太郎、櫻井孝宏、津田健次郎、小野賢章、斉藤壮馬、梅原裕一郎、古川慎、林幸矢
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

岩手県民にとって必携アニメ…かも

原作小説未読


石川啄木を探偵に、同郷の先輩金田一京助を助手に。1996年発表の小説が元ネタのようです。
クズな逸話に事欠かない啄木をどこか憎めない人間に仕上げてて面白いのですが、そもそもピックアップしたのが啄木とはマイナーじゃないですかね?教科書の副読本『文学史』にちらっと出てくる人じゃなかったかしら。知名度は漱石や芥川にはもちろんのこと歌人としても与謝野晶子や正岡子規には言うに及ばずで、おおむね二葉亭四迷だったり河東碧梧桐程度のシャドウストライカーみたいな位置付けだった気がします。

と言いながら当方の視聴動機は石川啄木です。岩手出身の身としては断る理由がありません。他県の方への訴求力のあるお名前かは心配。

もう一つの心配事。こういった文豪ものは先駆者がいてたりで、それがまた美形男子逐次投入と腐向けの臭いがするため嫌気されがちです。私も先駆者作品は只の一度も観たことありませんし興味もありません。太宰の深淵も知らずにとりあえずアンニュイにしてみました、みたいなことして見繕っているんでしょ?くらいの小馬鹿にした先入観を持ってます。


 {netabare}視聴前ハードル高杉{/netabare}


県民以外に誰得なんよ?なツカミと思いきやなかなかどうして…味のあるお話でした。わりと私好きです。それに腐向けではないと断言できますな。厳密にはどうか知らんけど表向きは皆無なのでその点はご安心頂ければと。啄木なんかもそうですが文豪たちの人となりや人間関係なんか現実のそれを踏襲してたんじゃないかしらと思われます。
ハードルと事前に想定してた要素はさほど気になりませんでした。


だがしかし諸手を挙げてお薦めは出来ません。『きつつきたんていどころ』その名の通り探偵謎解きものです。それなのにミステリーの解に膝を打つような気持ち良さがあるかというとまるでない。
主人公の啄木もなかなかのクズっぷりで金を借りて遊ぶわ返す気配なしで悪びれることもないわなかなか共感を得にくい人物です。才能と人格は同居しないとはいえ支持される性格とは程遠い主人公。
コナン君や金田一少年がゲスな性格をしていて謎解きも普通な感じ、と誰得な気配濃厚であります。


自分は郷里アドバンテージなのか、いまいちミステリやゲスの極み主人公はさほど気にならず。
いや観ているうちに「気にならなくなった」が正しいですかね。完走してみるとわりと謎解きは副次的要素に追いやられて金田一との友情話が主旨だとわかります。
そもそも石川啄木が夭折した明治期の歌人であります。


 {netabare}命短シ恋セヨ乙女{/netabare}


きちんと初回からメッセージを発してます。短い生涯を精いっぱい謳歌するという点で啄木自身も実践していたように思えますし、金田一の視点も限りなく優しい。
それに現実の啄木が詠んだ歌だって故郷を追われるようにして出てきて郷里を懐かしむ歌が多い。二度と戻れぬ時間や場所への追憶が創作の原点ならば、きちんと懐古上等な物語に仕上がっております。


振り返って“悪くはなかった”としたのは事実ですし、なんだかんだ序盤からけっこうジワる小ネタで刺激されたこともあり完走するにあたって特に苦労は無かったですよ。

・{netabare}第1話から複数回名前が挙がってた軍医森林太郎。屋号の“鴎外”をおくびにも出さないところ{/netabare}
・ライデンフィルムも天災で『はねバド!』1話分飛ばしてたのに今回のコロナ禍では貫徹。感謝!
 ※{netabare}そして同作品の羽咲綾乃役だった大和田仁美さんが登場。お久しぶりです{/netabare}
・石川啄木/金田一京助に続いて野村胡堂(CV津田健次郎)も岩手出身。しかも同世代
・石川啄木(CV浅沼晋太郎)。浅沼さん出身盛岡だし。ますます岩手県民必見な気がする
・金田一京助(CV櫻井孝宏)。挙動不審な櫻井さんの演技は初かもしれない
・名義貸しで名探偵に仕立てられ挙句には「名をかけて」じっちゃんにされた言語学者が探偵ものに
・{netabare}書生が活躍!?の人情話第3話。書生の名は平井太郎。小道具に銅貨出てきたのがなかなか渋い
 ※{netabare}江戸川乱歩の処女作が『二銭銅貨』ってなかなかの伏線です{/netabare}{/netabare}

{netabare}個人的にはこの3話がミソ。遊女の悲恋といいますか、金田一を恨みながらも真相を知らせない啄木の優しさ。言ってどうなるものでもないしね。{/netabare}



※ネタバレ所感

■元服って…

齢十五歳で昔は大人扱いだったとか。

『不来方のお城の草に寝転びて空に吸はれし十五の心』

“こずかた”と読みます。不来方は盛岡の雅称。東京にて当時を思い出し詠んだ歌と言われてます。無限の可能性がありそうな若かりし頃ってやつ。

{netabare}加世の年齢を聞いた時から予感はあって、さすがに最終回で岩手山の遠景から石垣の見える草むらに寝ころぶ加世(CV大和田仁美)を見てこの歌を詠まれるだろうとその通りでした。加世は十五歳です。{/netabare}
{netabare}少し前の回の同じ場所で今度は身を投げようとして金田一に止められた二十代半ばの啄木の姿がありました。その加世との対比が物悲しい。{/netabare}

 命短シ

花の命は短いって意も当然あり。しかしあらためて、兄弟五人も入れば一人くらい乳幼児死亡や死産など当たり前でこれらが平均寿命を40歳代くらいに下げてた明治時代。70歳を超えて生きてれば長老もいいところ。平均寿命が上がったのはたかだかここ50年くらいの話です。文字通り命短し。
人生の折り返し地点だったり、今でいうところの『終活』を考える年代が現代より早かったわけで、短い人生なら己の好きなようにという力学が働くのはその通りで、「どうせあの世に持っていけないし」と生活が回る銭があればって感覚も理解できなくはない。啄木に限らず蓄財より使ってナンボみたいな当時のエピソードには事欠きません。

{netabare}もちろん金田一京助以外の友人たちは啄木への異議申し立てをしっかりしてますので彼がクズなのは前提なんです。ただし微妙にお金の捉え方が現代に生きる我々とずれている気がします。啄木の無心に付き合う京助の金の使い方に対しても友人たちはあまり口出ししません。たぶんそういうところ。{/netabare}

{netabare}人生が短いのであれば十五歳といっても現代の十五歳とは背負うものが違う。そんなことが透けて見えていたのが加世でした。同じく夭折の天才歌人も似たようなもんだったかと。{/netabare}



いたずらに昔を懐かしみたいわけではありませんよ。

『教室の窓より遁(に)げてただ一人かの城址(しろあと)に寝に行きしかな』

心を空に吸われる前段階で、授業をサボって教室を飛び出し、一人になれる場所に向かってます。
あーこの感覚は変わらないのでしょうね。何十年後かの夜に自由を求め続けて盗んだバイクで走りだしてる十五歳と心根は一緒だと思います。今の十五歳にもぜひ悶々としててほしいものですね。



■啄木と私
 ※アニメ関係ないので畳みます

{netabare}『ふるさとの 山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな』
『石をもて 追はるがごとく ふるさとを 出でしかなしみ 消ゆる時なし』


離れて暮らす故郷を想って詠んだ歌が心に響く歌人という位置付けです。
{netabare}だからこそ東京で絶望した本作の登場人物らが、ある者は自ら命を絶ち、またある者は故郷へ帰っていくこの物語に意味を与えます。{/netabare}


故郷を離れて壁にぶつかるなり抱えるものが増えたりするなりしてくると響いてくる短歌でしょう。
家内からの指摘で、新幹線駅を降りて自宅へ向かう途中に北上川にかかる全長500Mくらいの橋を渡るんですけどその景色が岩手に来たぞって感覚らしいのです。

『やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに』

北上=北上川のこと。指摘されて初めて気づく感覚でした。それと、第1話ボソッと呟いてたこの歌。

『ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく』

ずうずう弁聞きたいがために上野駅に向かうという設定だったかと思います。そんなん実家戻れば勝手にそうなるしわざわざ花の都大東京で地元訛りを聞く感覚とはなんぞや?と思ってました。
{netabare}不幸なことに東日本大震災の時に痛烈に掻き立てられました。“停車場”から“TV”へとモノは変わってますが、遠く離れた地で聞く身体の奥底に根付いた言語。それを話す人たちが苦境に立っているのに帰るに帰れない。多くは語りませんが故郷への想いが強くなるとともに思い出したのが地元の歌人のこの歌でした。{/netabare}

こうみると意外と覚えてるもんです。{/netabare}



全くもってミステリがどうでもよくなった事情はこれまで書いてきたようなことでした。
この作品の一番の謎は、原作者の方はもうお亡くなりになられて久しくあまりプロモーションの必要性も感じないのになんでアニメ化したのかしら?ってことでしょうか。

あとEDは最初から最後までアカペラで貫徹したらよかったのに、と思ってます。
{netabare}大正時代のヒット曲が原曲です。明治時代の物語で大正浪漫かよ!と思いかけましたが、物語が繰り広げられた明治後期を金田一京助が振り返る頃合いが大正時代なのだと理解して納得してます。{/netabare}


あまりお勧めではないけど自分は評点高めにしとくタイプの作品。
ふるさとっていいもんですね。


視聴時期:2020年4月~6月 

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2020.07.14 初稿
2021.03.07 タイトル修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 34

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

命短し恋セヨ乙女

原作未読 全12話

時代は明治または大正時代、歌人の石川啄木と仲が良い金田一 京助の2人が「啄木鳥探偵處」を作り、数々の事件を解決するお話です。

推理ものとして興味があったので観て観ましたが、主人公の石川啄木が捉えようのない難解な性格で、余り魅力を感じませんでした。

この2人で幾つかの事件を解決して行きますが、2人の関係性や石川啄木の理解できない行動に振り回されて、どんな事件でどんな解決をしたのか余り記憶に残りませんでした。

名のある文学者が出てきますが、飲んでいるシーンが多く、あまり文学者という感じはしません。

お話はきちんと終わっています。主人公の石川啄木は、私には合いませんでした。逆に合えば面白いかもしれませんね。

OPは古川慎さん、EDはNOW ON AIRさんが歌っています。EDの「ゴンドラの唄 」は、印象深くて歌詞の一部をタイトルにしましたが、大正時代の曲なのですね〜現代風にアレンジしていました。

最後に、この時代の作家さんは破滅願望があるのかというほど、メチャクチャな生活をしていますね。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 20

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

明治末期の日本文学関連の人名くらいは知っている人向け?

私よりは、どちらかというとかみさん(英文科出身)が観ていたのに付き合って観たという感じです。悪しからず。

録り溜めていたんですけど、全話観終わったのは昨日(2021/1/11)なのでまったく時期外れのレビューですね。

本作は歌人として有名な石川啄木が主人公です。りあえず「はたらけど はたらけど猶(なお) わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」という歌はこのレビューを読んでいる方も教科書とかで見たことあるかもしれません。

ということで、石川啄木の「貧乏」と、そして病弱で肺結核で早死にしたというのは世間的な定評のあるところかと思われます。

そしてそんな啄木にいろいろと世話を焼き助けてくれる金田一京助も、まあ主人公と言って良いんじゃないですかね。

<シャーロック・ホームズ>シリーズに例えると主にいろいろやってるのはホームズ(啄木)だけど、それについて語っているのはワトソン(京助さん)みたいな感じです。別の例えだと、ハルヒが啄木でキョンが京助さんみたいな。あ、この場合は主人公はキョンか…。

啄木が探偵をやっていたなんていう史料は残っていないと記憶しているので、原作小説のフィクションだと思います。作中には同時代の日本文学界の人がたくさん出てきて啄木や京助さんと親しい飲み友達くらいの親交があるように描かれていますけど、これも特に史料的な根拠はないんじゃないかと思われます。

作中の事件は、「日常の謎」とかじゃなくて普通に人が死んでるような事件です。

とにかく原作は読んでないんでアニメ化でどのくらい改変されたのかは知らないんですけど、作中の啄木はだらしなく、かつ貧乏であるくせに人からお金を借りては飲み食いあるいは女遊びなどで使い果たしてしまい、いっこうに返済しないクズみたいな人物に描かれています。

ここの嫌悪感で視聴を打ち切ってしまう人も多そうですね。

萩原朔太郎とか芥川龍之介とかも出てきていて、作品や有名エピソードなどを知っていると「なるほどね」といった感じのキャラクター描写もあるのですが、何にも考えない・知らないという態度で観ていると特に面白くもなんともない作品だとは思います。

ただ、「容疑者X」なるトピックが出てきてラスト2話までたどり着けば「ああ、そういうことだったのか!」みたいなストーリー全体としてのカタルシスは得られます。

ということで、私個人の感想としては「付き合いで観てみたらまあまあ面白かったけど他人に視聴を進める気持ちには全然ならない」といった感じです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 19
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