巫女で高校生なおすすめアニメランキング 10

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの巫女で高校生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月27日の時点で一番の巫女で高校生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.0 1 巫女で高校生なアニメランキング1位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2499)
11411人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界はきっと美しい

新海誠監督作品。

希望が持てないとき、漠然と不安なとき、
繰り返し見たくなる前向きで素敵な物語だ。

売上や動員数ばかり話題になりますが、
映像クリエイターからすれば、
思春期というものは創作の大きな源泉です。
初々しくも華やかな青春を、
美麗な風景とともにまとめ上げた手腕は、
評価に値すると思います。
多くの大人達もどこか自分に合わせ、
追体験できたのが大きかったのでしょう。

少年少女は生きる上で、
きっと喜怒哀楽の純度が高い。
強く生きること深く愛すること。
その一瞬をフィルムに収める。
少女の全力疾走はいつだって感動しますね。

糸守町の歴史と組み紐の教え。
宮水神社に伝わる伝統儀礼と御神体。
{netabare}夢の中で入れ替わった2人は、
不思議な体験を通じ心の距離を近づける。{/netabare}
古来より継承されてきたものが引力となる。
素敵な出逢いが訪れますよう願おう。

留めておくのが難しい、
儚くて透明なその美しい一瞬を、
まだ美しいと感じれる自分がいて良かった。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 168
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 134

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

空前の大ヒットも頷ける完成度を差し置いて劇場で笑い転げるヲタクとはオイラのこと~ぼくらタイムフライヤー_時を駆け上がるクライマー~IMAX観ました

新海誠監督が手掛けた5本目の長篇作品


東京の大都会に住む男子高校生、立花瀧
山深い田舎町に住む女子高校生、宮水三葉
1200年振りに地球を訪れるという巨大彗星の到来を一ヵ月後に控えたある日、瀧が目覚めるとそこには見知らぬ自分と知らない天井、見知らぬ家族と知らない町があった
同じように三葉もまた、想像すら出来ていなかった大都会で朝を迎える
ただ一つ確かなことは、自分の身体が見知らぬ異性のものだということだけ
瀧と三葉は全く原因がわからぬまま不定期にお互いの身体と心が入れ替わってしまうことに気付いた
お互いの生活に干渉しないよう、日記で連絡を取り合うことにした二人
田舎育ちの三葉は憧れの都会に想いを馳せ、自由気ままに過ごす
一方の瀧も他人のそれも異性の身体だということを忘れ好き勝手してしまう
周りからはまるで人が変わったようだ(笑)と思われ少しずつ人間関係に変化も起きる
瀧が好意を抱く先輩との仲を、三葉が瀧に変わって取り持ったことで瀧には良い事尽くめの大団円かに思えたが、次の日の三葉はある決心をしていた
そして彗星到来の10月4日、瀧は記憶から消えていた重大な事実に気付く・・・


『言の葉の庭』が全国東宝系で大きく展開し成功を収めたことから、遂に全国約300館での上映となった新海誠監督にとって最大の大作となった今作
キャラデザはZ会のCMでタッグを組んだ田中将賀
作画監督は元ジブリの安藤雅司
音楽は挿入歌から劇伴に至るまでオイラが中高生の頃に(ごく一部ではあるがw)一世を風靡したバンド、RADWIMPSが担当


声優陣には瀧役に声優経験豊富な若手演技派、神木柳之介
三葉役には『舞妓はレディ』の上白石萌音
その脇を固めるのは長澤まさみ、市原悦子といった豪華俳優
さらに悠木碧、島崎信長、石川界人といった豪華声優
そして『I LOVE スヌーピー』でいい芝居をしてくれた谷花音、とキャスティングにもかなり力が入っているのがわかりますね
身体が入れ替わった時の芝居は聴きどころですb


単純に少しアニメに詳しい人なら、将賀さんのキャラデを見て『あの花。』の絵だ!観に行こう!という気持ちになってくれるでしょうし、本編が始まるとすぐ「夢灯篭」という楽曲に合わせてOPアニメみたいなのも流れる
オイラは初見観た時このOPが「めちゃくちゃダセェ!」と思ってしまったのですがwやはり深夜アニメなどに慣れ親しんだ世代にとっては心を掴む取っ掛かりになっているのでしょう
ああ、ちなみに今は「夢灯篭」もOPも好きですよ?w


そして序盤はそれこそ深夜のラノベアニメのラブコメタッチで物語が進む
キャラの表情もコロコロ変わり、身振り手振りの作画も非常に丁寧
中身が入れ替わった男女の微妙な違いを作画で表現する、言葉にすれば簡単ですがこれを見事にやってのけた作画陣には最大級の賛辞を贈りたい
ジブリが崩壊し、『攻殻機動隊ARISE』と『アニメ(ーター)見本市』が完結した等、作画スタッフの足並みが綺麗に揃ったのが大きかったでしょう
尚且つ、新海作品お得意の美しい光と色と街並みが、このアリエナイ話にリアリティと説得力を醸し出す
制作中は当然完成していなかったバスタ新宿がちゃんと描かれてるのも凄い


後半はミスリードで張ったミステリアスな伏線をスペクタクルと共に回収しつつ、所謂新海節が炸裂する内容なのですが、まあとにかくメジャーかマイナーかで言えばメジャー路線な作品に作ったことです
今日までの大ヒットがソレを裏付けてますね、明らかにこれまで新海のシの字も知らんかった人たちが劇場を訪れているのです
実際オイラが鑑賞オフ会を開いたら半分の参加者は新海作品初体験でした
こうなると昔からのファンは遂に資本主義の犬となったか新海よーとかワケのワカランことを言い出す輩が湧いてくるもんです
まあ、言いたい事はわからんでもない


ただオイラはこう考える
【新海ファンこそ、この映画は10倍楽しく見れる】


そう、今作が初見でもなんも問題無い
でも今作、新海誠がこれまで積み上げてきたものがほぼ全て詰め込まれたいわば集大成なのです


『彼女と彼女の猫』から続くゆっくりとしたモノローグでの幕開け
『ほしのこえ』では恋人達が時間差で引き裂かれていく様を描いていました
『雲の向こう約束の場所』では田舎町と都会に分かれて物語が交錯していましたね
これを同時並行させたのが『クロスロード』
「何も無い」という田舎風景を印象付ける画作りは相変わらず上手い、これは『桜花抄』
2時間に1本しかない電車はまさに『星を追う子ども』
朝食と通学風景から始まるのもそう
真っ二つに裂ける彗星は『コスモナウト』のH2Aロケットの発射ですね、意味合いは逆だけど
挿入歌に合わせて映像を積み上げていくのは『秒速5センチメートル』や『クロスロード』で魅せた技
コミカルなタッチで進む前半は『猫の集会』のお茶目な演出を思い出しました
東京、特に都会の象徴として新宿を描きたがるのは『言の葉の庭』が顕著
同じく、途中での雨描写は秀逸でした
主役二人の生活感の違いを描写する様子は『大成建設』や『だれかのまなざし』の経験が大いに生きてるでしょう
いやしかし瀧くんが面接を受けてるのが大成建設だったのには笑いましたね
宮水神社のご神体がある湿原を見下ろす描写は、さしずめ地下世界アガルタのフィニス・テラですね
瀧くんのお父さんが井上和彦だったのでもしやおまえは森崎なのか?
そもそもファンタジーかSFかと思えば途中からロードムービーになってしまう辺りはまさに『星を追う子ども』のソレ
『ほしのこえ』で膝を抱えるミカコ然り、『雲の向こう、約束の場所』で足の指にてんとう虫がとまるサユリ然り、靴の型取りに足を差し出すユキノ然り、美女の足に拘る新海作品、今作では東京で歩きつかれた三葉に注目したい
思えば新海映画とはずっと男女のすれ違いを描いてきましたが、今作は「顔も名前も身体も私生活すらも知り尽くした二人がまるで会えない」という究極的なすれ違いをしてるのが面白い


ほんとそう、新海映画を知れば知るほどこの作品にのめり込んでいけるのは間違いないでしょう

“花澤香菜が演じる古文の先生”が恐らく別の世界線なんでしょうが「ユキちゃん」という名前だった時、周りが静まり返っている劇場でオイラは一人笑ってましたさーせんw
良い映画か否かという以前に、ある種のネタ映画として最初から最後まで笑いながら(時に笑い泣きしながら)観れましたねb


まあ強いて言うならラストシークエンスはちょっと引っ張りすぎたようにも思いますが、「なんでもないや」という楽曲の持つエピックなキックのリフレインとウィスパーボイスのボーカルに思わず感極まってしまう
なにより『秒速』を知っているとあのすれ違い方は辛いものを思い出させる(笑)
そう、この厨二病全開な内容に対して厨二病をこじらせてしまったバンドの日本代表とも言うべきRADWIMPSの音楽が見事に調和してるのが今作の評価を押し上げてるポイントでもあります
まさにクサイ内容にはクサイ音楽
『ここさけ』でも言いましたが単体では正直目も当てられないような詩の主題歌が、割とすんなり入ってきてしまうまさに映像マジックですねこりゃ


今作を受け入れられない人、良い意味で厨二病を卒業出来たんだと思います
誇らしく思ってください
オイラ?は、駄目ですね
この映画を面白いと思ってしまったのでアラサーになっても心はまだティーンエイジャーのようです(笑)

























~TOHOシネマズ新宿のIMAXデジタル版観ました~
IMAXというのは実にビル三階分ほどの高さと20メートル以上の横幅を持つスクリーンに二台の映写機で投影する現代における最大級規格の映像フィルムです
人間の視覚を上回る大きさのため観る、というより観回す感じになります
さらに劇場によっては12.1chの音響システムもそなえており音の迫力も通常の規格とは異なります


そもそも普通の規格で作られた作品をIMAXにするってことは拡大して引き伸ばす、ってことですからオイラは最初この『君の名は。IMAX版』は反対の立場でした
それにアニメって視覚的情報量が実写より多いので単純に疲れそう、だとも思いましたし


しかし実際鑑賞してみると新海作品特有の美麗背景が大きく引き伸ばされてるにも関わらず全く精細さを欠いてないんですよ
むしろ画面の中に描かれる糸守町や新宿の風景に吸い込まれていくようでした
だから鑑賞、というよりはむしろ体感、に近い感じでした


音響の方ですが意図的に音圧を上げてるようでしたがどちらかと言うと山びことかそういった反響音がクリアに聴こえるようになったという印象です
挿入歌がやたらデカイ音で、それもどっか独立した別chから出てるっぽくてやたら大きく感じたのですが、肝心の挿入歌より手前にいるはずのセリフが少々聴き取り辛くなった気がしましたので、これはちょっと好み分かれそうです


初見の方にはあんまりオススメしません
先にも言ったとおり、情報量に加え目で追う作業が加わるのでストーリーに集中し辛くなります
ただリピーターには一見の価値があることでしょう
アニメにIMAX不要、と言いたいところですが新海作品のIMAX化に関しては歓迎できますねb

投稿 : 2024/04/27
♥ : 42

85.7 2 巫女で高校生なアニメランキング2位
Dr.STONE(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (753)
3292人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚める。「石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がってやる!」。絶体絶命の状況で、千空は仲間を探し、世界を取り戻すことを決意する!

声優・キャラクター
小林裕介、古川慎、佐藤元、中村悠一、市ノ瀬加那、沼倉愛美、前野智昭、村瀬歩、上田麗奈、高橋花林、河西健吾、麦人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

はーすげー!へーすげー!の連続

原作未読


JUMP案件全24話。
謎の石化ビームで人類が活動を止め3,700年。いにしえの時を越えて石化が解けた一握りの人類が科学の途絶えた地球でその科学の知識を駆使して失地を回復していく物語。
主人公はどんだけ幅広く深く網羅してんのよ!なスーパー理系高校生の石神千空(CV小林裕介)。見た目は下仁田ネギを擬人化してオーケンのメイクをしたような感じ。ジャンプっぽいデザインです。そして同級生の高校生ら数名。

『戦国自衛隊』だと現代兵器を信長時代に持ち込んで大暴れとなりますがこちらは持ち込み不可。3,700年ほったらかしだとさすがに文明は絶えて石器時代以前の原始時代かのよう。
同期の『本好きの下剋上』のように現代の頭脳を持ったまま後進文明に乗り込んで「無ければ作ればいい」を試行錯誤するのに似てます。『JIN』も同系統でしょう。そしてさらに文明がないところからスタートするのが本作なわけですからこのテのものでは最難関ハードル。ちょっとワクワクします。

それと自分幼稚園の時でしょうか。世界名作劇場『ふしぎな島のフローネ』から漂ってきた匂いと同じものを感じます。OPもEDも覚えてます。木の上の家は憧れでした。
つまりあぁそういうことか。原体験からくる刷り込みがどうやら自分にはあるようです。
イキリ主人公が教育上どうかとは思われど、少年少女が“科学の面白さ”に触れる良い機会になるやも。


 {netabare}オイラ文系でラッキー?{/netabare}


化学ならびに物理の理系科目に不案内なため、アニメで描かれている試行錯誤の産物が乾いたスポンジに水が浸み込むようにすーっと入ってきます。

{netabare}パクチーとライムなんかでコーラ作れんの?マジでスゲー!{/netabare}

信じるかどうかは俺次第 キリッ なんす。

そして前半のOP「Good Morning World!」がすこぶる良い。なにが良いかって作品にばちっとハマる感覚。久しぶりです。ピストルさんっぽい声質もしっくりくる良曲です。


障害ももちろんありますよ。
文明を起こそうという主人公らを妨害するのは野生の肉食動物や自然の猛威だけかと思いきやそう簡単ではありません。
アンチ文明の敵対する勢力もわりと序盤から登場し、主人公らの前に立ちはだかります。まあバトル要素ですね。


 科学の試行錯誤+バトル要素


このバランスが崩れず2クール完走でした。原作が続いているので続編期待な感じでの終幕。
大袈裟でしょうが“人類の叡智”の触りを感じるのにちょうどよい良作です。ごちそうさまでした。



※オマケ

■“霊長類最強の男”獅子王司ってどうよ?

あらためてこうして見るとすごい名前ですね。さてこの方について
好きですか?嫌いですか?どんなキャラだと思いますか?
私はちょっと受けつけないですね。作者の術中にはまってるのかもしれません。

1.{netabare}動くゴールポスト

敵視する対象が最初は“我欲にまみれた汚い大人”。ピュアな若い連中のみ石化解除しようともちかけ、それを千空に拒否されることで対立の芽が生じました。描かれてませんが、「お前らが年くったらどうすんだ?」と疑問符が浮かびます。
それがいつの間にか“科学を信奉し文明を起こそうとする者”へと。考えが深化したとみるよりゴールポスト動いてんじゃんとみてます。でさっそく作中でツッコミが入りました。途中出会った集落の科学?青年クロムについて千空が言及「俺を殺しても次が出てくる」と。まさにその通りなんですよ。
そのため獅子王司の目指す未来は破綻が約束されてるようなもんです。{/netabare}

2.{netabare}ポル・ポトと変わらん

毛沢東と迷うところですがこっちかな。最初は知識階級だけだったのが順次粛清対象が拡大して…
力で押さえつけるしか方法がないので、この世界で肉体での戦闘力に秀でた司が首領ポジションにいるのがしっくりきます。原作未読の戯言ですが、司陣営でそのうち粛清が始まることでしょう。{/netabare}



■スイカ役の高橋花林さん

超個人的なつぶやきです。
この方1年前の迷作『ソラとウミのアイダ』で主役張られてた方です。すでに多くの方の記憶から消え去っているかもしれない作品ですね。
新人でおそらく初めてゲットした主役級の配役があれでと。そのことをもって高橋さんの今後を案じる旨をレビューで書く、という余計なお世話極まりないことをした記憶があります。
こうして、再会できたのはなによりです。ぜひ頑張ってください。



視聴時期:2019年7月~2019年12月 リアタイ  

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2020.02.07 初稿
2020.07.19 修正
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 68
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

悠大で悠久な物語

<2019/12/22 追記>
全24話見終えました。

面白かったー!

科学の蘊蓄だけでなく、
文明がほぼ原始の世界というだけでなく、
現代に在る科学の凄みだけでなく、
逆転の発想で「今は過去からつながっていて、そして未来に続いていく」ことまでも実感できてしまう。

『悠大で悠久の物語』

ハリウッドが狙ってきそう 笑。

ここは無理があるんじゃないの?という部分ももちろんありますが、そこは架空のお話。
気にしないで見れたモン勝ちです。

二期があるとのことで今から楽しみです。

<2019/7/11 初投稿>
観始めなので評点はデフォルトの3.0です。

原作未読。
あにこれのあらすじ紹介だけで期待値上げてた作品ですが・・・面白いやんけ( ・∇・)

ざっくり言うとタイトルの通り
「ララーシュタインのような髪型した少年が科学でファンタジーに挑む」
と言う感じかな。

ララーシュタインってなに?と言う方は是非、画像検索してみてください。
ついでに言うとこのララーシュタインさんが登場する作品。
OP曲はグラムロックの名曲ですよ。

閑話休題

さて本作、ちょっと変わってる印象です。

普通、物語の分類で
ファンタジーと言えば「科学的裏付けの全くない空想」作品で。
SF(Science Fiction)と言えば「科学的裏付けがあったり、あるように思わせる空想」、 つまり科学と空想が入り混じった作品なのですが。

ところが本作はどちらとも言い切れない。
強いて言えば
「Science(科学) &(そして) Fantasy(空想)」
で「SF」かな

科学的裏付けが全く感じられない現象に対して
めちゃくちゃ地味な科学的考証の積み重ねで立ち向かう。
ScienceとFantasyの二つが融合せず、お行儀よく隣り合ってる印象です。

地味なウンチクも多い。
そう言うの好きな人にはぴたっとハマると思います。

例えば理系のアニオタの私とか( ・∇・)♪

自分は今期、「ヴィンランド・サガ」「炎炎ノ消防隊」「コップクラフト」と並んで注目しております。

<2019/7/15 追記>
2話目観ました。

炭酸カルシウムの4番目の使い道が意味ありげで気になるー笑。

そして新キャラ登場。
獅子王さん。
濃いですねぇ。
{netabare} 空飛んでる鳥を木の上から飛びかかって捕まえちゃったよ、この人 笑。
チート武力{/netabare} 担当だそうです。

さあこれで3人。
人間、3人集まると派閥が生まれるというような言葉がありますが、もしかしたらこれからはそんな展開なんでしょうか。

獅子王さんの発想は昨今の{netabare} 世代間の断絶{/netabare} のようなものを表してて面白いです。

でも、それを是としたら{netabare} ジャンプのような商業誌には載せられなくなってしまいます。
というわけで主役のララーシュタイン、もとい千空さんはかっこよく反発して、{/netabare} 引きへ・・・

でもですよ。
ちょっと思うんです。
もし{netabare} 獅子王さんの考え方に千空さんが同調して物語が進んだら・・・
結局、若い世代同士が新しい利権を奪い合って理想郷なんてできないってことがわかってEND{/netabare} とかSFっぽくてそれもありかなーなんて 笑。


ところで全く話は変わりますが。
他の方のレビュー拝見してて{netabare} 「石化してるのが表面だけならなんで中身の生物は何千年も生きてるの?」{/netabare} というような疑問を複数見かけました。

そこはファンタジー部分だから、と私は飲み込んでおります。
それ言い出したら、{netabare} 石化したら息できなくて数分で死ぬじゃん、という話だし。
仮に呼吸できたとしても水も食料もなければ一週間ももたないし。{/netabare}
そこら辺はファンタジーなんじゃないですかね。

<2019/9/3 追記>
9話まで観ました。

アニメでも映画でもドラマでもなんでもそうですが。

登場人物に対して「なんでそこ気がつかないの?」とツッコんでる自分いませんか?
それは俯瞰して見てる視聴者だからこそのツッコみな訳で。
物語を進める上での重要な部分ほど気がついてくれない。
それが物語の面白み。

ところが、たまにそういうのが極端に少ない作品もあります。
デスノートとかそうですよね。
登場人物が賢いので先の先、裏の裏まで読む。
ところがそれでも裏かかれちゃう。
で、そこが面白かったりする。

本作もデスノと同じ匂いがします。
千空さんはもとより、獅子王さんもかなり思慮深く用心深い。
お互いに裏の裏の裏を掻きあってもう痒いところもないくらい。

もしかしたらデスノの系譜と言える作品なのかもしれないですね。

デスノのようなイケメンいないので女性人気は覚束ない感じですが、理系男の私はハマってます。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 53
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

紡がれ、途絶え、繋がる

[2019/12/15 V1]
[2019/12/16 V2 追記・修正]

原作については、週刊少年漫画誌連載であるということ以外何も知らず。
こんな物語が、いま、少年漫画誌に掲載されていることに安堵を感じる。


最初の3話でいったんDropしていました。ですが、よく見る海外Reactorさんたちがこぞって応援していたのを見て視聴を再開しました。最近は本当にReaction動画を見るためにアニメを見る傾向が強くなっています。

6話以降は本当に楽しかった。23話は、どうしたのそれっていうくらい走った感じを受けましたが、それ以外はおおむねよいペースだったと思います。回の跨ぎ方が秀逸で、どうしても次の話が見たくなる構成になっていました。キャラデザは最初のころは違和感を感じていましたが、すぐに慣れました。後半に入って少々作画が荒れる場面もあった感じがしましたが、崩壊までは程遠く、十分な質が維持されていたと思います。

本当に楽しめました。


最初に数少ない難癖(?)からやっつけたいと考えます。

{netabare}
===スタート時点ですでに老害・司
{netabare}
正直、敵役としては魅力が薄いなぁ・・・・少年誌の悪いところがここに出たかな。

ま・・・僕自身も社会にでたての若い世代からは老害認定されていてもおかしくない程度には年取ってるんですがね。とはいえ「ケッ、あの老害が」と思う側でもあるわけですよ(強硬に主張する)。

以下、老害予備軍(候補生?)の悪あがき

{netabare}いろんな形で「老害」ってあらわれると思っています。そんななか、僕自身が気を付けようと心掛けていることがあります。それは「自分とは異なり、かつ、それを理解することも共感することもできない考え、思い、感じ方をする人が必ずいる」と考えることです。「いるかもしれない」ではなく、「必ずいる」です。同時に、自分自信が他の誰かにとっての「理解し得ないもの」だとも考えるようにしています(大事な一文忘れてた。。。)。

僕が見てきてしまった老害ライクな方々に共通していたのが「自分の視点・思考・嗜好がすべてであり、人間共通であると思い込んでいる」ように見えたからです。同じ我を通すでも、自分と違う視点を意識しながらのそれと、そうでないものとでは軋轢の大きさが段違いだ、と思っています。
{/netabare}

で、だ。司くんよ・・・・・きみの「気持ち」はわからんでもないがよ。
なにより君も年は取るんだろ?その時どうするの?
{/netabare}

===唆るのは勝手にしろ、だが、100憶パーセントはやめろ。
{netabare}
癖の強い千空の言い回しは、最初のころは面倒に思っていました。でも、慣れました。次の一点を除いて。

何かとの比較において100憶%はありうる。が、千空がいうそれは可能性や確率として絶対=全体であることを意味している。なので「100%」を超えることはない。千空ほどのものがなぜこんな言い方を・・・・。ま、後半に入るあたりではどうでもよくなっていましたがね。
{/netabare}

===ご都合・・・いや、いいよいいよ。
{netabare}
おそろしくご都合展開。だけどこれは仕方がないかな。
村民も復活人も、とんでもない奴らしかいない・・・いや、いいよいいよ、少年誌だし、楽しかったし。
3700年カウントし続けた(想い続けた)わけだが、脳はそんな長い間エネルギー補給なしで保てるものなのかな。それとも、これが「石化」の謎につながるのだろうか。ここがだるい言い訳にならないことを願う。
[追] っていうか、文字どうした。創始者たちもなぜ「文字」「読み書き」を早々に諦めた?まぁ、その場合は創始者の面子からして日本語って選択肢は消えるなぁ・・・妥当な線は英語かな。創始者の子供たちの主言語がいつ日本語に切り替わったのかも不確かだな({netabare}白夜が百物語の構想をしているシーンで「日本語で良い」「あなたの母国語を知りたい」的な話があることから、その時点で白夜たちが交わす言葉は英語もしくはロシア語だったはず。{/netabare})。ちょっと「言葉」「文字」に関するところが甘い感じはする。何か理由があるのかな。
{/netabare}

{/netabare}

まぁ、こんなところです。



以下、僕なりの推しポイント。

「一歩一歩問題解決へとくさびを打ち続ける、揺らがぬ信念」。

6話でコハクが千空に対して言った言葉です。
多分これを聞いた時点でこの作品を気に入っていたんだと思います。

===科学の1側面(だけ)を描いている。だからこその描かれ方。
{netabare}
さて、この物語ですが。。。口悪くいうならば千空による「コロンブスの航路確認」の連続です。もちろん、足りない設備、材料を補うための試行錯誤はあるのだと思います。しかし、基本的には科学史をたどる道程であり、石化前に得た科学知識に基づく再発見・再発明です。

科学を正しく知り、用いることは重要ですが、科学にはそれまでになかった知を紡ぎだす役割もあります。

学生時代に「巨人の肩の上」という言葉を教わりました。科学・研究に携わる者の心得(?)だそうです。曰く、巨人とは人類の積み上げてきた知識・技術の全体を指し、その肩の上に当代の科学・研究者がちょこんと座り(立つ?)今までより少し遠くを見渡しに行く。そしてその科学者もまた巨人の一部となっていく。これが人類200万年の知の発展をあらわすメタファーなのだそうです。

この物語の主人公である千空も、巨人の肩の上に乗って少し遠くを(あるいは、だいぶ遠くを)見渡しに行く、つまり、新たな知を紡ぎだす側に立つはずだった人物なのだと思います。残念ながら謎の石化によって、千空がその肩の上に乗るはずだった巨人が消えてしまい、千空自身が「起き上がる巨人そのもの」になってしまった。彼の死はそのまま人類の200万年の知が瓦解することを意味する状況の中で、彼はどう思って日々を過ごしたのか、少し気になります。一人の少年に押し付けるには、たとえそれがあんな人物だとしてもあまりに荷が重い。

あくまで僕の主観ですが、この点はきっと原作者も気を付けて描いているのだと思います。凄いのは「科学」「人類200万年」であって、千空自身がすごいものであると称賛されることはなかったと記憶しています。コハクが千空を褒めるのは、千空自身の判断、考え方や行動であって、千空と「科学」は別物として描かれているように感じました([追]{netabare}とはいえ、千空の考え方、判断の仕方こそが科学の賜物だともいえる。その点では千空=科学も成り立つ部分があります。{/netabare})。また、千空含め自らを「科学使い」(科学者ではなく)と称しているのもその表れなのでしょうか。

この描かれ方は、とてもよかったと思う。


これを踏まえて、あえて物語全体に難癖をつけるなら「科学」とともに「哲学」も巨人の根幹をなすものなんだよ、と言いたいです。

{/netabare}

===だからこそのクロム
{netabare}
途中から主役がすげ変わったのかと思うほどでした。

200万年の巨人が倒れたとしても、3700年の巨人の肩の上に乗るものがちゃんといる。この描写、というより構図に痺れました。彼がなしたものは、我々から見れば「コロンブスの新大陸発見」に等しいものですが、3700年の巨人の視点からなら間違いなくコロンブスの卵であり、発見だったのだと思います。当代の科学者であり、エンジニアであるクロムが中盤以降は本当に頼もしく見えました。

{/netabare}

===サポートキャラのサポート力の高さ
{netabare}
コハクはもっとヒロインヒロインしていくのかと思っていましたが、全然そんな感じではなかったですね。それが良かった。科学の応援者、千空の理解者として機能していたと思います。

スイカはお役に立ったんだよー。千空のお役にも、物語のお役にも立ったんだよー。

ゲンはお話を通して僕の中で大きく育ったキャラクターでした。現代科学・工学を見知っているが故に状況説明役として完璧な立ち回りができたと思います。彼自身の心の動き、行動もかっこよかった。彼がいることで、千空・クロムだけでは生み出せないドラマを引き出したし、千空の内面を代弁することもできたと思います。

カセキの爺様は、出オチレベルでキャラ設定が見えてしまいましたが(OPのおかげもある)、クラフトマンシップはいつも人の中にあるのだな、と素直に思ってしまいました。まぁ。。。舞台装置としては最重要キャラですけどね。この人いないと中盤過ぎてからの工作はもうどうにもならない。

親父の話は、、、とてもよかった。くそう、よかったよ。

{/netabare}

===いずれもよかった OP/ED x 2
{netabare}
特にOPが印象に残りました。

曲もですが、OP映像が前後半ともに凄くよかった。
構成としては、作中のキャラクター像が見て取れるカットと、作中のキーポイントとなるシーンでつながれていました。
クール開始時点で、キーポイントのシーンがあそこまで形になっている(転用元がOPかもしれないけど)制作工程のゆとりが、作品にも表れていたように思います。
最終話で、ようやくOP構成が全部明らかになったときはちょっとしびれました。

前半OPはただ不気味に描かれていたゲンが後半OPでは一転してかっこかわいらしくなっていたり、後半OPのクロムが千空と対等に描かれていたり、前後半間の変化も楽しめました。

カセキの爺さま、ばかかっこいい。

{/netabare}


2期、楽しみに待ちたいと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 50

84.0 3 巫女で高校生なアニメランキング3位
天気の子(アニメ映画)

2019年7月19日
★★★★☆ 3.9 (703)
3028人が棚に入れました
「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――

声優・キャラクター
醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人の命は何事にも代えられない尊いものであると言い切った映画

この映画を一言で言い表すのは、とても難しいです。
しいていうならば、人の命は何事にも代えられない尊いものであると言いきった映画だと感じました。
ここまで言い切る新海監督は凄いです。尊敬しました。

物語は、
あるきっかけで、雨天を晴れに変える能力を身につけた少女、陽菜(ひな)。
離島から飛び出し、都会へとやって来た少年、帆高(ほだか)。
この二人が、都会で雨の日に出会います。
そして、帆高と陽菜は、雨天を晴天に変えるための仕事を始めます。

世の中には晴天を望む人が沢山いることを、二人は知ります。
そして、晴天を望む理由も、人それぞれで違うことを知ります。
その理由は、それぞれの依頼人にとって、とても大切なことなのです。
だから、空が晴れ渡ると、依頼人の顔が皆、笑顔になる。
二人は、依頼人の笑顔を見るのが好きでした。

仕事は一見、順調に進みますが、無理をして天気を変えると、それなりの『みかえり』があります。
そのみかえりとは・・・


作画はこの上なく美しい。
但し雨のシーンが多いので、美しさを感じる場面が少ないですが、だからこそ、晴れたときの青空は格別に綺麗に見えます。
音楽も大変すばらしい。
そして、帆高が陽菜をとても大切にしているのがわかるので、思わず応援したくなります。

ぜひ、映画館で鑑賞してください。良い思い出となります。

{netabare}
ところで、
陽菜(ひな)は、子供なのに、弟と二人で暮らしています。
都会で、子供だけで生きるのは、とてもつらいことです。
帆高も、都会で暮らし始めて、子供が一人で生きることの厳しさを知りました。

皆さんは、毎日三食を食べていると思います。
でも、子供が都会で一人で生活をすると、仕事にありつけず、食事もまともに食べられません。

おそらく、皆さんの中には、将来都会で暮らすことを計画されている人がいると思います。
都会は、お金を持っている人であれば、快適な生活が送れます。
但し、都会でお金を稼ぐためには、とても厳しい現実があることも、覚えておいてください。
そして、安易にお金を稼げる悪の道に入ることが無いように、切に願います。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 69
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

作品<商品の視点はそれなりに重要

オリジナルアニメ劇場版 114分


興収250億円。日本歴代4位の記録を打ち立てた『君の名は。』から3年。新海誠監督2019年の新作。
良くも悪くも『君の名は。』以前と以後で語られてしまうのはしかたないでしょう。
立ち位置もこの大作を起点にして、

 1.変わらず好き
 2.以前よりもっと好き
 3.昔のほうが良かった
 4.これを機に新海誠を知った
 5.一貫してネガティブ評価

ニワカな私は4.です。『君の名は。』で知って、『秒速…』や『言の葉…』に流れていった人。
余計なお世話は承知の上で放言しますけど、3.のスタンスの方、ヲタ村から一歩出た実社会では注意が必要です。メガヒット作品だと普段アニメを観ない一般国民の関心が低くありません。しかも好意的に作品を捉えたケースが当然ながら多い。それを事情を聞かずぶった切ってる方の多いこと多いこと。私はドトールで実際に遭遇しました。本人の狙いはともかく地下アイドル好きのキモオタ扱いされ撃沈するのが関の山です。5.も似たようなもんですが「一貫してるのね」と傷は少ない。
『けもフレ』の前と後がどうだ!とか、○○(制作会社)の新作があーだこーだとかは一般人にはどうでもいいことなんで彼らも他人事として聞いてられるのですがこのテの作品はその一般人のテリトリーに入ってることを十分意識しておきましょう。

声優を例にすると分かりやすいかもしれません。先日、民放ゴールデンタイムでの『聾の形』放送に際し、知り合いの非ヲタ一般人に出演声優を説明するにあたってはこうでした。

 主役→『千と千尋』のアシタカ役
 永束→ハリーポッターの中の人
 妹→『君の名は。』のさやちん役

彼らがイメージ湧くのはここまで。ヒロイン役の早見さんは残念ながら「誰?知らん」です。興行収入の多さと一般認知度は比例します。ハリポタは違いますが基本的にはディズニーかジブリ強し!という勢力図の中に割って入ってきた新海さんは凄いと思いますよ。

一般人と共有できるアニメ作品は貴重であると思うので、いつも以上に盛大に脱線しました。
作品単品での評価も気になりますが、マーケティング視点も少しばかり導入しつつ興収含めた一般社会での受け入れられ方も気になるそんな作品という前提で以下。

メガヒットの次に何をもってくるか?

『CROSS ROAD』でミリオン達成。シーンに認知されたMr.Childrenは次に年間チャート1位となる『innocent world』、その次にバンド史上最も売れた『Tomorrow never knows』をリリースしました。答えは簡単。名曲を出し続ければ良いという結論です。もちろんおいそれと真似は出来ません。
次にやらかしがちなパターン、特にここ最近顕著なのがヒットしたものをそのままなぞらえた模倣品を作ること。短期間に消費されること前提であり飽きられるのも早いのでクリエイターには不評。こればかりは会社だったりプロデュース側の方針に依ります。
というわけで最後。目先を変えてくパターン。すなわち王道な売り方。成功事例だとX JAPANが分かりやすい。『紅』でシーンに躍り出てからの次回作が『Endless rain』。前曲の激しい曲から一転してピアノのイントロが美しいバラードです。振り幅で勝負!人気を定着させました。
なお現在の音楽シーンはメディアミックスが複雑すぎて音楽単体評価が難しく該当事例ナシです。


そしてやっとこ作品そのものについての言及になるわけですが、
本作はだいぶ模倣品リリースに傾いてたと思われます。パッと見た感じは「模倣品」。中身は「異物」なんですけどおおむねパッと見た感じで判断しますもんね。別に「俺たちの新海戻っておいで」でもいいのですがせっかくドがつくほどのメジャーに踊り出たんでしばらくは居座っていて欲しいです。、
私は『秒速…』以降しか知りませんが、少なくとも全てボーイミーツガールです。お家芸となってる過去作品のキャラ登壇は本作に限らず伝統芸能といって差し支えないでしょう。実写より美しいともされる作画やモノローグを多用する心情描写は作家の色なので模倣品とまで言うのは酷ですが既視感あることは致し方なし。RADWIMPSの再起用はやり過ぎな感もあり。といったところでしょうか。

『ナウシカ』『ラビュタ』と連発。『未来少年コナン』以降の監督の得意分野である冒険活劇あるいはファンタジーを2本続けてから第3弾では2本立てにトライ。『火垂るの墓』で原作有り&別監督と目先を変えてきたジブリを無条件に賛美する意図はありませんが、早くチームか会社設立しちゃったほうが良い気がします。需要に対しての供給力が足りてないというか今のままでは監督への負担が大きいのではないかと思われます。
ボーイミーツガールの完成系を目指して試行錯誤しているクリエイター!? 技術的には積み重ねを感じる。例えば『言の葉の庭』で培った雨の表現をトレースしてたり違うものを見せたりと。そんな持ち味を楽しみにしているファンも大勢いるためガラッと変えるのは実際難しいところなんでしょうね。


して映画の肝心の中身は?

良いです。ボーイミーツガールは好物だしこの監督の演出する男女の営みも自分には合います。
特にツボにハマったのが新宿の繁華街の裏通りの雰囲気。終電逃してさあこれからって空気や、朝を迎えた時点での気だるさを感じさせるあの雰囲気がよく出ています。

これが家出少年の目にはどう映ったか?

宿無しの不安とおそらく束縛からの解放がないまぜになった心理状態。そんな者すら受け入れる街。“ここではないどこかへ”来た感がこれでもかと出ております。
ウチの中学生の倅が劇場で鑑賞し「面白かった」と感想を言ってましたが、メインストーリーとは別にこのちょっとした淫靡な空気に吸い寄せられたのかもしれないなぁ、と実際の作品を観て思いました。朝オープンしたてのカフェに昨晩オールした若もんがぐったりしてるでしょう?そういうところです。

そして不穏な街には不穏な物語が良く似合う。
当人たちの問題がそのまま世界の危機に直結する“セカイ系”に分類されそうな物語でした。


 “ボーイミーツガール”

 “怪しい街新宿”

 “セカイの危機”


難点はキャラの行動原理がわかりづらいところ。その点はけっこう狙っていたらしく、例えば主人公穂高の家出理由はわざとぼかしているとのこと。自分はあまり好きではないです。
総じて“良い”と感じてますが、行動原理に納得感がないからか主人公らがやや低年齢だったからかは定かではありませんが、結局キュンキュンしなかったので評価爆上がりには至らずでした。

マーケ視点としては合格。メガヒットの次という超絶難易度をクリアしてます。「あー結局アノ作品だけの監督だったんじゃん?」という声がない。充分でしょう。
これで次回作も一般人巻き込んでみんなで楽しめますね。ぜひデートの誘いに新海映画を!
ボーイミーツガールは不滅です。



※閑話休題

■人身御供

ちょいちょい日本文化のわりとコアな部分を突っついてくる作風は今回も。
本質的には巫女さんの役割のお話なんだと思います。

{netabare}現代版の卑弥呼{/netabare}

僕らの血肉に息づいてる感覚をモチーフにしているので賛否はともかくイメージはしやすい。
{netabare}※自然の怒りを収めるための人身御供という概念のことです。
相方が人身御供となることを良しとするか否とするか?本作での結論は観ての通りでしたがあの結論はアリだと思います。{/netabare}

↓ネタバレ
{netabare}今のこの時代に社会正義を捨ててヒロインを取ったる!とやったのは痛快でした。
公の精神は大切です。ただしポリコレ棒をぶん回しての昨今コロナ禍での自粛警察みたいなのとは似て非なるもの。{/netabare}



■東京

{netabare}「街の風景を自分の手で・・・」
「東京だっていつ消えてしまうかわからないと思うんです」{/netabare}

建設会社希望の某就活生の志望動機をふと思い出しました。
もしやこの伏線回収か!?と思いきやところがどっこい消えずにたくましく東京の人達は生きている。
むしろ「埋め立てる前はもともと海だったしね」のセリフにお台場はもちろん江東区あたりもイメージしてそりゃそうだと膝を打ちました。

{netabare}「東京だっていつ新しいものが生まれてくるかわからないと思うんです」にバージョンアップ{/netabare}

自然災害を無視できない風土。だからこそ生まれた“もののあはれ”なる概念。そんな諦観だけに留まらず対となる進取の気性との両輪でここまで続いてきた国なのにどうやら後者の気概が最近弱まっている模様。もう一度取り戻して前を向いて歩いてく。
なんだかんだそんな前向きさを感じるのはエンタメの良い部分が出てるのかもしれません。



視聴時期:2020年7月

-----

2020.08.22 初稿
2020.10.25 タイトル修正
2021.05.30 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 64
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

もう少し器用な賛否の割り方があるのでは?と思ってしまいました……。

主人公に共感できない人もいるかもしれない……。
もっと叱られる作品を目指す……。

事前にこうした新海監督の決意表明も拝見していた私にとっては、
賛否が分かれる内容も評判も想定内。

むしろ、国民的な大ヒットとなった『君の名は。』の次という
王道大衆娯楽作への期待と、
前作から制作スタッフが倍増し、工程がさらに大規模化し、
監督の個性を出し辛い体制が続く中、
よく怯まずに作家性を発揮して下さった。

ウリとなった天候の描写も、
人々の都合など知らずに天の気分でゲリラ豪雨を浴びせる、
監督らしい狂気も戻って来たように感じ、何だか嬉しくなりました。

ですが、それでも鑑賞していて、私は、
にしたって、もう少し一般大衆との折り合いも考えても良いんじゃないか?
などモヤモヤした感情が沸いてきてしまいました。


以下、ストーリーの重大なネタバレを含む辛口コメント
{netabare}
結局、主人公少年は東京や文明社会の安定より、少女を選択した本作。

そもそも新海作品においては大抵、
人間社会とは残酷で、大人たちは頑固で分からず屋で、
こんな人間たちや世界なんて知らない!と登場人物たちが青臭く思ったとしても許される。
こうしたムードが一つの形……と言うより前提であることが多い印象ですが、

今回の人間社会。すなわち東京は、
少女か皆かの天秤にかけるにはリアルで生々しかった印象。
SoftBankに、日清食品に、マクドナルドに、ヤフー知恵袋
とスポンサーの物量が凄まじく、
目に付く物の多くが実名で他人事とは思えませんでした。

だからこそ、東京に対する大した弁護もなく、ほぼ少年少女だけの秘密の内に、
東京を劇的に変えてしまう決断が成された点には、
審理不足の裁判を見せ付けられたような不条理さも感じてしまいました。

加えて、東京があんな風になってしまったら、
例え直接、被災して死ななくても、経済的損失等で、
きっと万単位の死者や自殺者が出てしまうと思うんですよ。
その辺りの描写が飛ばされたのもアンフェアだと感じました。

こうした不公正な刺々しさも新海作品らしいと言えばらしいのですが、
本作における圧倒的な東京の存在感故なのか、
私の嗜好が擦れたオッサン化してきているからなのか……。
今回はスルーしきれませんでした。

それでも、天への感謝も、天と交信する伝統も忘れ、世界の仕組みを知ろうともせず、
ちょっとした気候変動を“異常気象”と大騒ぎするのは
人間たちの身勝手と言えば身勝手と言うことなのでしょうが、
それにしたって世界の理を二人だけの秘密にされちゃ分らないでしょう。
与えられた常識に従って職務を遂行する警官たちが、
分ってない大人の代表格にされているようで少し可哀想に思えました。

一応、主人公少年は晴れ女ビジネス……晴れを願う東京都民への利他などを通じて、
捨てたもんじゃない人間社会の一端も知りはしますが、
家出少年らに審判を委ねたら、そりゃ人間社会の安定より大切なあの娘を取るでしょう。


少女か人間社会か世界か……これほど大きな決断を、
一人の主人公少年に背負わせ自己完結の内に結論を迫る。
このプロット構造にも、そろそろ限界を感じます。

これだと、主人公の拒絶が、作品の否定に直結しかねません。

私は代案として、少女に与する少年主人公に敵対する、
人間社会や“天気の巫女”の伝統を背負った側に
ラスボス役、ライバル役のキャラクターを確立し、
アンチの心情を代弁させ溜飲を下げさせる。
こんなパターンもあっても良いのかなとも思いました。

これなら、例え主人公に反感を覚えたとしても、
対立軸は作品の可否ではなく、主人公派かライバル派かに帰結し、
作品への支持は保たれると思われます。

いやいや、青臭い少年の心に諸々のジレンマを混在させてこそ新海作品。
心の葛藤を他のキャラクターとして外部化させるなど、
それこそ、大衆迎合による新海監督らしさの喪失だろうとお叱りも受けるかもしれませんが、
私は制作が大規模化しても個性を失わなかった新海監督には、
人物相関のパターンを変えても尖った表現ができる引き出しはあると思っています。{/netabare}


プロモーションについて……

スポンサーの物量に比例してコラボCMも盛りだくさんな本作。
これも、作品だけでなく、宣伝も評価も自分が完璧にコントロールしたい!
と言う新海監督の強烈な意志の賜物なのでしょうが、
今回、私は流石にしつこいと感じてしまいました。
私も危うく、みんなが観るゴリ押し作品は観たくないと言う天邪鬼が発症する所でしたよ。

特に本作みたいに賛否を割りに行く尖った作品では、
事前のメディアへの露出を敢えて控えて、
観たい欲求を煽ってみるのも有効な宣伝方法だと思います。

新海監督はもう既に黙って作品出しても観に来て貰える存在でしょうから。


色々と批判的な感想を書き連ねてしまいましたが、
作画、音楽などクオリティは高い本作。
劇場で体感する価値は十分にある映画だと思います。

今回、擦れた大人である私なんかはモヤモヤしてしまいましたが、
大人は分ってくれないとささくれ立っている青少年なんかには、
スッキリと背中を押してくれる勇気を与えてくれる作品になるのかもしれません。

是非、色んな人に体験してもらって、賛否を聞いてみたい一本です。


最後に、そう言えば、昨年の盆、墓参りをサボってしまった私……。
天や、先祖の方々にお叱りを受けないように、
今年は線香を上げて、行き帰りの道を確保して差し上げようと思い直しました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 45

57.6 4 巫女で高校生なアニメランキング4位
M3 -ソノ黑キ鋼-(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (347)
1780人が棚に入れました
歪で、どこまでも濃い黒。黒が全てを飲み込み、全てを奪い去ったその場所は、無明領域(むみょうりょういき)と呼ばれるようになる。人間の絶望と混沌をそっくり引き写したかのような異形のものたち。彼らはこう呼ばれた。イマシメと。
ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

痛々しい鬱屈感

プリンセスチュチュとかカレイドスターの監督のロボット鬱アニメってどんなやねんということで視聴。
まあ、結構面白かった。
既存アニメで例えるなら、電脳コイルの世界観的要素や、無限のリヴァイアスのキャラ造形を思い出させる。
私は痛々しいモノが好物なので、前半が特に好みだった。後半も良い部分は度々あったけど、ちょっと話の大筋に重点が行ってしまっていて、私はそこに興味がなかった。無限のリヴァイアスに似ているというのは確かに当たっていると思う。ただ、思い出補正もあろうけど、あっちの方が好きだな。こっちは主人公が出来すぎというか。モテすぎというか。その上主人公に重点を置かれすぎなところがある。そこが群像劇もどきという感じで、個人的にはせっかくそこそこピーキーにキャラ造形しているんだから、もう少し主人公以外にスポットを当てて欲しかった。

好きなキャラクタは結構多かった。ナツイリとか、ヘイト、マームとか、エミルとか。(どんだけコジレてるかって感じの選び方だなこりゃ。)
例えば {netabare}ナツイリのパスワードがナポリタンという絶妙さ {/netabare}とか好きですね。
個人的に大きな難点は{netabare}エミルとヘイトの捨てられ感。エミルはせめて回想とかで出番作ってもいいじゃんけと思った。マーム以外みんな忘れてそうだ。このハナシで一推しはエミルだった俺としては大分ツライ。
そして、エミルはまだ死前の盛り上がりがあったけど、まじでヘイトは何のためのキャラかわからん。申し訳程度に最終盤にチラリと見せ場?を用意しているのが哀愁を誘う。あんなピーキーな設定にしといて何が目的だったんだ、という。終盤はサイコが残らず消えて個人的にこの作品の面白みがほぼ消失した。あとミナシの形成についてはもうひと押し丁寧に描写が必要だったかなと思う。{/netabare}全般的にキャラクタの材料は結構いいけどもう少し料理してほしい感じが割とあった。

まあともかく、タイプ的には結構好きな作品だな。個人的にはあにこれの評価よりかなり高い評価を下したい。少なくともクオリティの低いアニメではないし。暗いと言われたらそうかもしれないけど、これくらい暗いアニメはまあ昔はたくさんあったと思う。別に展開が停滞して退屈するみたいなアニメでもないし。でも世評は違うみたいですね。ともかくアタリなひとにはアタリだと思うので、試しに見てみても良いかなと思います。

個人的には特色はむしろ前半だと思っているので、普通に1,2話見て合わなければ切ればいいと思います。終盤の盛り上がりは平易なモノなので頑張ってまで見つづける必要はないと思います。

蛇足
噂では、制作が前倒しになって、進行させながら、設定練ったりハナシ作っていたということ。それで全体の文脈が(キャラの回し方とか)ちょっと弱いのかな。御愁傷様です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 1

mkanime さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

人はすれ違いを繰り返す

 評価の低さに驚きですが、低評価される理由はなんとなくわかる。しかし、そこまで暗い、テンポの悪いアニメではない。ただし、終盤は微妙。全体としてはおもしろかったし、観てよかったと思える作品ではある。

 評価の分かれ目はキャラへの理解度。1話から5話くらいまでをどれだけ注意深く観たか、ということになろう。言葉の端々まで気を配っていれば、キャラの本心を読み解くことができる。ちなみに、もとから異常な人間は登場していない。全員、根は普通の人々である。ヘイトに至っては分かりやすいったらありゃしない。「俺の恐怖ぅ...」が何を表しているのか、考えてみれば核心にたどり着ける。分かりにくいのはミナシか。現実ではこういうタイプが一番厄介な人間。あ、狂気の夏入さんはあそこまでひっぱらんでも序盤で人間性が出ちゃってますよね。なのでわざわざ後半でみっちり描写しなくても、とは思いましたが。
ともかく、細部まで見落とさずに1話から5話あたりまで観ればキャラのまともさが(ミナシを除いては)分かるはずです。なので毛嫌いしないで!

 個人的に好きなのは、キャラ同士で対比や鏡のようなかたちでキャラの心理が掘り下げられていくところ。リムという仕掛けも良かったです。

 少し残念だったのは、伏線が簡単に拾い上げることができ、展開が読めてしまうこと。テンポが悪い、というわけではないのですが(必要なシーンなので。)、なんというか、「うん、知ってたよw」という事態が頻発しますwww

22話以降の展開。製作者の意図はわかるんだが、結論がそれ以前で出てしまっている以上、なんだかなぁという感じがします。まぁ面白いのは面白いのですが。ちょっと乱暴?という印象は受けます。そこだけがこの作品の欠点かな。

 この作品を観終わって感じたのは、「複雑な仮面をかぶる事にも意義はあり、それ故その人の核を信じることが、本当の"つながる"ということなのだろう」ということです。

 ロボアニメというよりは人間を露骨に描いたアニメです。それゆえ好みは分かれるかもしれませんが、良い作品と胸を張ってお勧めできます。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

karinchaco さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

私は好き。ただこうも作風が暗くては…。

14年春から2クールにわたって放送されたオリジナル作品。一応原案とされている漫画もあるみたいですが・・・。

作品としてすべてが暗いです。ストーリーも作画も演出もキャラ設定も何もかもが暗いです。唯一明るいのは坂本真綾さんの後半OP位でしょうか。w
展開としては前半は伏線を張っておいて中盤以降から少しずつ真実を明らかにしていきます。この真実のばらし方は実に絶妙で、2話に一度ぐらいの割合で大きな伏線を回収していきます。ここら辺は脚本と演出が実によく練られているなあと感心してしまいます。

キャスティングは結構豪華ですね。主人公は今を時めく若手実力派松岡禎丞さんを起用しています。

2クール目からは話が大きく動いていくので1クール目よりは面白く見れると思いますが、それでも救われない展開が続いていくため、この重たい鬱展開に耐えられる人のみお勧めしたいです。

そう考えると急に2クール目から放送し始めたBSフジは優秀かもしれません。どれだけ見ていた人がいたかはわかりませんが・・・。
しかし、なんで2クールも尺とっていたんだろうね。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 7

60.7 5 巫女で高校生なアニメランキング5位
レンタルマギカ(TVアニメ動画)

2007年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (221)
1695人が棚に入れました
人が思うより、少しだけ世界には魔法が多い人が思うより、少しだけ世界には神秘が多い。臆病で弱気な高校生・伊庭いつきが父の失踪を機に継ぐこととなった魔法使い派遣会社「アストラル」。慣れない社長業に悪戦苦闘するいつきが、個性的な社員たちと共に迫りくる敵と戦う異種魔法戦闘ファンタジー。

声優・キャラクター
福山潤、植田佳奈、高橋美佳子、諏訪部順一、釘宮理恵、伊藤静、小野大輔

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

社長命令だ!

ラノベ原作で、原作はいっぱい売れた。タイトルの台詞が主人公の決めセリフ! 2007年のアニメだから、ちょっと古い。魔法使い派遣会社の2代目社長(主人公)とその社員(魔法使い)、魔法結社が絡んでくるというお話。ケルト魔術にソロモン王の秘術、神道や陰陽道となんでもありの魔法バトルが展開されちゃいます。気弱だけどすっごく優しい主人公と、やや強気なヒロイン達の恋の行方もお楽しみ要素。可愛いんだよね、このヒロイン達がまた。私的にはすっごく好きなアニメなんだけど、イマイチ売れなかった印象が・・・。これ多分主人公のXXXが直接的にXXXじゃないからだな。あ、でもヒロインの1人、”アディリシア”さんは人気あったな~。金髪に縦ロール(ドリル)ヘアーと言う典型的なお嬢様。私も憧れたもんだ・・・。オープニングの”宇宙(そら)に咲く”は日本語版の方をお勧め。とっても良い曲です。っと言う訳で、もちょっと評価されても良いアニメかな~と思うので、今更ながらレビューなぞ書いてみました。お時間ある人は観てみて下さいませ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

視ろ!見ろ!

オカルティックファンタジーアクション?全24話。

人が思うより、少しだけ世界には魔法が多い。
人が思うより、少しだけ世界には神秘が多い。

ケルト魔術・ソロモン王の魔術・錬金術・陰陽道・神道
神楽・祓魔式・死霊術・ルーン魔術・密教・禁呪等様々。

其処に所謂「魔眼(妖精眼)」を持つ主人公を軸に展開する。

如何にも和洋折衷で方程式的魔法や神話的なものや伝承
のような曖昧なものも含めたオカルト風の魔法ものです。

主人公他メイン登場人物が高校生位の年齢ということで
学園ラブコメ要素も可也強く盛り込まれている。

序盤は謎展開の伏線張り以外はドタバタなギャグ展開も
あったり、友情や仲間意識やライバルとしての確執など
人間関係中心のエピソードや個々の掘り下げ回想も多い。

メインキャストがひと通り掘り下げられる頃には大きな
伏線が陰謀として露呈して、其々の想いに信念を持って
精一杯立ち向かうという解りやすいストーリー。

其処までのエピソードが結構面白かった。
正直馬鹿にしてた魔眼(眼帯もの含む)で初めて楽しめた。

福山さんが開眼する時の「ルル」と被る台詞の言い回しで
この後逆にルルを視ることになったのだけど・・笑った♪
諏訪部順一さんも掴み所のない雰囲気が良い感じでした。
猫いっぱい纏わりついてて可愛いしw
釘宮さんはどの作品も釘宮病全開ですねw
伊藤静さん・・何でも熟すね・・
植田佳奈は大阪出身か・・

その他の声優も結構良かったです♪
OP/ED他音に関しては可也好みでした。
キャラデザも男女平均のデフォで見易かった。

眼が・・眼が・・の呪力テンプレネタは結構好き。
時々啀み合いの仲裁に使うとかw結構知能犯w


臆病で弱気な高校生・伊庭いつきが父の失踪を機に継ぐ
事となった魔法使い派遣会社「アストラル」。
慣れない社長業に悪戦苦闘するいつきが、個性的な社員
たちと共に迫りくる敵と戦う異種魔法戦闘ファンタジー。


伊庭 いつき(福山潤/大浦冬華※幼少時)
呪力を見る事が可能な魔眼「妖精眼(グラムサイト)」を持つ。
「アストラル」2代目社長。勇花という義妹が居る。
異常なほど恐がり。特徴は右目にある大きな眼帯。

穂波・高瀬・アンブラー(植田佳奈)社長秘書兼教育係
「アストラル」ケルト魔術・魔女術課正社員であり魔法使い。
眼鏡をかけ関西弁(神戸弁)を話す。古びた箒で空を舞う。
大きな帽子に闇色のマント、片手には樫の木の杖。

Adilisia=lenn=Mathers(高橋美佳子)
魔術結社「ゲーティア」首領。名門貴族メイザース家の娘。
ソロモン王の魔術によりソロモン72柱の魔神を行使できる。
胸には五芒星のペンダントを下げた少女。典型的なお嬢様。

猫屋敷 蓮(諏訪部順一)猫をこよなく愛する陰陽術師。
「アストラル」専務取締役兼陰陽道課課長。情報収集が得意。
4匹の猫の使い魔(式神)は青龍、白虎、朱雀、玄武。

葛城 みかん(釘宮理恵)神道系魔術結社本家直系の生まれ。
「アストラル」神道課契約社員。血族から落ちこぼれ扱い。
千早に紅袴という巫女装束に身を包むツーテールの少女。

黒羽 まなみ(伊藤静)事務所の掃除やお茶くみをする見習。
「アストラル」幽霊課契約社員。魔法使い以外には見えない。
自我認識により、ポルターガイストを念動力のように使う。

隻蓮(小西克幸)布留部市にある竜蓮寺の住職で放浪癖。
「アストラル」真言密教課契約社員。武術と武具の手練れ。
常に虚無僧の格好をしており、10代で密教を修めている。

影崎(小野大輔)「協会」における「アストラル」担当者。
中肉中背であまりにも普通すぎる顔他特徴がないのが特徴。
禁忌を犯した魔法使いを裁く「魔法使いを罰する魔法使い」

オズワルド・レン・メイザース(中村秀利)
アディリシアの父で「ゲーティア」先代首領。

ダフネ(甲斐田裕子)「ゲーティア」の徒弟。
石動 圭(櫻井孝宏)「協会」の監査員
ラピス(名塚佳織)12歳くらいに見える謎の少女
フィン・クルーダ(宮野真守)チェンジリング。
城 桔梗(田中理恵)‎鈴香の娘であり、香、みかんの母親

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5

71.2 6 巫女で高校生なアニメランキング6位
うる星やつら(TVアニメ動画)

1981年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (305)
1532人が棚に入れました
世にラプコメブームを巻き起こした高橋留美子の代表作を、押井守ら才気ほとばしる若手スタッフが自由闊達に映像化。地球をかけた鬼ごっこに勝利したものの、勘違いから異星人の娘ラムにベタ惚れされてしまった好色少年・諸星あたる。やきもち焼きのラムが発する電撃にもめげず、目の前に現れた美女にしつこくアタックを繰り返すあたるだが、じょじょにふたりの気持ちは近づいてきて?

声優・キャラクター
平野文、古川登志夫、島津冴子、杉山佳寿子、永井一郎、鷲尾真知子、神谷明、小宮和枝

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あんまりソワソワしないで♫

アニメーション制作:スタジオぴえろ、スタジオディーン
1981年10月 - 1986年3月に放映されたTVアニメ。

高橋留美子先生の初アニメ化であり、スラップスティックコメディとして名高い作品。
観たことが無くても名前だけはご存知の方は多いと思います。

宇宙一の浮気者、『世界中の可愛い子ちゃんは俺のものじゃ!』諸星あたるくん。
『浮気は許さない!電撃でお仕置きだっちゃ!』鬼娘の宇宙人ラムちゃん。
この2人を中心とした、SF・ファンタジー・幽霊・不条理・日常なんでもありの学園ラブコメです。

今のラノベやアニメに多大な影響を与えているエポックメイキング的な作品と言っても過言はないですね。

とりあえず、思ったこと!

・物語の評価
 1回の放送で2話構成の頃は軽妙なテンポで、ちょうど良い長さでした。
 初代監督の押井守は最初の頃は原作ファンに叩かれながらも真面目にやってましたけど、
 2年目には、独自色を出そうとして原作を軽視した感じでしたね。
 そこがウケたりしてたんですけど、局プロに呼び出されて大説教されたり、
 いろいろ大変だったらしいです。
 自分の趣味で面白くもない立ち食いそばの話をオリジナルでやったり、
 原作にあった高校ミスコンの話がアニメオリジナルの選挙話に内容が差し替えられたり、
 当時にネットがあったら賛否両論で炎上スレスレだったと思われます。
 ただ、このフリーダムさが押井時代の魅力だったのかもしれません。

 第123話 「大金庫!決死のサバイバル!!」
 第124話 「マル秘作戦・女湯をのぞけ!」
 原作にない話でもこの2本は珠玉ですけどね!

 でもやっぱり一番素晴らしいのは、第067話「君去りし後」
 これを観れば分かる通り、原作を大事にして良い話も作れるのに、
 独自の路線を追い求めたくなるのは作家性の悪癖なのでしょうかねえ?

 3年目の春の放映から製作がスタジオぴえろからディーンに変更。
 監督も、やまざきかずおに交代。
 実はこの人、作画監督&演出家としては評価されてたのですが、
 お笑いの才能がないのですよね!交代直後は頑張ってたのですが、
 原作準拠 &各話スタッフに丸投げ &お話のテンポがトロすぎる
 笑えない、うる星やつらに変わり果ててしまった感じです。
 時期や話によってストーリーの面白さの差が大きいので点数をつけにくいですね。

・作画の評価
 押井監督の時は、タツノコプロっぽさが残る当時のTVアニメの標準って感じで今の人には物足りないかも?
 やまざき監督の時は、当時の萌えアニメの最先端作画ってかんじですね!今見ると流石に古いですけど。
 
・声優の評価
 これは文句なしでしょう!
 平野文、古川登志夫、島津冴子、神谷明、杉山佳寿子、永井一郎、田中真弓、千葉繁 etc.
 今見ると超豪華メンバーですね。

・音楽の評価
 押井時代は、OP/EDがアニソンとして珠玉ですね。
 『ラムのラブソング』『宇宙は大ヘンだ!』『心細いな!』『星空サイクリング』
 『I,I,You&愛』『Dancing Star』『夢はLove me more』
 やまざき時代。
 『パジャマ・じゃまだ!』『CHANCE ON LOVE』『OPEN INVITATION』
 などは良かったですが、
 全部英語のOP/EDとかもあって、そこは趣味じゃなかったような!
 作中のBGMは、風戸慎介、安西史孝、西村コージ、星勝、ミッキー吉野
 と5人も担当しており、良かったと思います。

・キャラの評価
 昭和50年代当時にラムちゃんを作った高橋留美子先生は、天才だと思います!
 『うちのお腹の中にはダーリンの子供がいるっちゃ~!!』(狂言)とか凄いです。
 実のところ原作の高橋留美子は女が精神的に強くて男が弱い作風。
 対して初代監督の押井氏は女心がわからない人(ラムを理解できないと言ってました)
 異なる個性がぶつかってその結果アニメがヒットしたのかもしれませんね。
 (結果、作風とやりたいことの違いで監督降板になってしまいましたが)
 ただ原作も後半はキャラが淡白で小綺麗になってしまったのが残念といえば残念。
 やまざき時代にアニメのパワーが右肩下がりに落ちていったのも原作に起因してるのかも。 

 アニメ版うる星やつらを象徴する存在として、
 原作初期で早々と消えたもののアニメでは個性が肉付けされ、
 半ばオリキャラ化して最後まで残ったあたるの友人・メガネの存在は欠かせないでしょう。
 性格は、監督・押井守+声優・千葉繁のキメラみたいなもので、
 そう言うだけで、どれだけ濃いキャラか想像がつくかと!
 酸欠を引き起こしそうなほどの千葉繁の怪演が凄いですね。
 押井節はモラトリアム全開で、あんまり好きじゃないですけどねw

  
アニメ版うる星やつらは、作画監督によって人物の顔が違ってたりしていますし、
スタッフによってやりたいことが結構バラバラなんですが、
全部包み込んでしまう懐の深さが原作にあったかな?と思われますね。

と、いろいろ比較的好意的に書きましたが、
『ちゅど~ん』『だっつーの』など今の時代に、うる星のノリが合わない人が多くても仕方無いです。
後期なんて尺の長さとか会話のテンポとか今の自分には合いませんでしたし、アクビの出るアニメでしたし。

アニメの歴史を語る上での過去の作品として思い出にした方が良いのかもしれませんね。
2010年?の障害物水泳大会を観て苦しい物を感じましたしね(苦笑

これにて感想を終わります。読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 88

ゆきちゆき さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

個人的には最高傑作

 今のアニメに比べると作画もバラバラ(今のもそういうときあるけど)脚本もあれー?なときがあるけど(今も(ry )それらを超越して面白い作品だと思う。
 逆にすばらしい作画、脚本がほとんどなのでそれを若い人にも楽しんでもらいたいです。
魅力的な登場人物たちは観てて楽しくなるしそれを後押しする声優人の演技は秀逸です。
 また、当時これだけOPやEDが変わったアニメも珍しかったんじゃないかと記憶しています。当然それぞれが良い曲なのでぜひ聞いてもらいたいものである。

最近のアニメとはまた違った趣の楽しさを感じてもらえればうれしい限りである。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5
ネタバレ

01oinaris さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

萌えアニメの原点!アニオタ文化の起点!押井守の出発点!

エポックメイキングな作品は概して、10年後20年後見返してみると古臭く、新鮮味にかけることが多い。
それはその作品を嚆矢とし、後の漫画家が感銘を受け、それをモデルにして新たな作品が生まれてきた証である。
結果、大元の作品はその新鮮さを失い、「既視感のある展開、ありきたりで面白みのかけるストーリー」となってしまう。
(ToLOVEる第一話と本作第一話の類似性にも着目されたし。)

うる星やつらは日本の漫画・アニメ界において、「萌え系」ジャンルの原点、すなわち視聴者が可愛い女の子キャラにのめり込む文化を作った作品であり、アニオタ文化発祥となった作品でもある。
(当時はオタクという言葉そのものが無かったが)
それまでのアニメが1主人公+1ヒロインが大半であったことを鑑みると、ラムちゃんを始めしのぶ、ランちゃん、弁天、お雪、さくら先生、クラマ姫(ちょっと出番少なめ)、竜之介と、ヒロインキャラを何人も生み出したのは画期的。
「見れば好みの女の子が必ず見つかる」とも評されたと聞く。
その意味ではハーレム系に近いが、ラム以外に主人公が全くモテないことから、厳密な意味でのハーレム系ではない。
(厳密にはハーレム系の元祖はらんま1/2;本作と同じ高橋留美子作)
本作はハーレム系の嚆矢…といったところか。

チーフディレクターは、当時30歳の奇才・押井守(途中降板してスタジオぴえろも退社)。
本作の成功を機に独立し、今や世界的な映画・アニメ映画監督となる。
本作は押井守の出発点でもある。
{netabare}
第一話からのおπポロリ、子どもに聞かせられない下ネタ(終わるまで向こう向いたるからさっさと済まし〜 なんや、おまえ女の扱いも知らんのか〜 byジャリテン)…etc
{/netabare}
時代背景を考慮しても、これを子ども向けアニメ番組として放送した英断に感心させられる。
(上層部の削除要請を押井が無視して押し通したとも聞く。)
PTAからはかなりのクレームが来たそうだが…

ストーリーは基本的に「おバカ男子と利口な女子が繰り広げるドタバタギャグラブコメ」。
本作の男キャラ(あたる・面堂・レイ・テン・メガネ・錯乱坊・竜之介父...etc)はみんなバカかスケベか変態か変人。
「おバカ男子に利口な女子が振り回されている」ように見せかけて、実際は「女子の掌で男子がうまく転がされている」ストーリー展開が多い。
とにかく女子キャラがかっこいい、男子キャラがバカでかっこ悪い。
このあたりは、少年誌に寄稿する女性漫画家ならではの作風だろう。
男性漫画家だと、どうしても男はカッコよく、女は可愛く描きたいものだ。
当時は、少年誌に女性漫画家が作品を出すのは異質であった。
それが当時の漫画・アニメの常識を破壊し、エポックメイキングな作品となった所以のひとつだろう。

OP/ED曲も秀逸。主題歌を「歌手」に歌わせたこと(ステファニーとか懐かしいよね…)、
数カ月ごとの短期で主題歌変更という冒険(今では当たり前のことですが…)、OP/ED/劇中歌をまとめたレコード(CD)の発売…
現在は普通なことも、当時は斬新だった。
ラムのラブソングとか、今でも口ずさめる、メロディーラインにインパクトがある名曲揃い。
(小生は「OPEN INVITATION」とか「殿方ごめん遊ばせ」がお気に入り)
また、全話コンプリートBOXセットの発売も本作が初の試み。
LD(レーザーディスク)で、価格は33万円!
(しかも即完売!ちなみに親戚の叔父が持ってましたが、箱に手を触れただけで大激怒されました…懐かしい思い出です。笑)

本作が放送されていた時代を(物心ついた頃ですが)生き、現場を(幼少期ながら)見てきた一人として、本作の時代背景を踏まえ、思い出補正+アニメ歴史補正値込みでの評価&感想になったことをご容赦いただきたい。
現代アニメを見慣れている若者にとっては、古臭くて視聴に耐えないだろう。
ただ、日本アニメ史の金字塔として、一度は見て欲しい作品。
現代の萌え系アニメが、いかに本作の影響を受けているかがわかって面白いですよ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 16

69.2 7 巫女で高校生なアニメランキング7位
あまんちゅ!~あどばんす~(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (211)
825人が棚に入れました
 伊豆の町で生まれ育った小日向光と、東京から引っ越してきた大木双葉。ともに夢ヶ丘高校に入学した二人は、スキューバダイビングと日常の何気ない出来事の中に、たくさんの幸せを見つけてきた。かつては何事にも消極的だった双葉だが、明るく前向きな光のおかげで一歩前に踏み出す喜びをいくつも経験。さらに、双葉は念願だったオープンウォーター・ダイバーの実習にも合格し、次はアドバンスド・オープンウォーター・ダイバーを目指すことに。一度きりのかけがえのない高校生活は、まだまだこれからが本番。素敵な日々は終わらない、二人でともに歩む日々が続くかぎり、ずっと。

声優・キャラクター
鈴木絵理、茅野愛衣、大西沙織、梅原裕一郎、伊藤静、久保ユリカ、井上喜久子、山本亜衣、加隈亜衣、洲崎綾

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

日常、ときどきダイビング。(たまに、オカルト風味(笑)。)

『ARIA』で有名な天野こずえ先生作の漫画原作『あまんちゅ!』のアニメ化作品です。

伊豆の海にある海の家兼ダイビングサービスの「あまんちゅ屋」と静岡県立夢ヶ丘高校周辺を主な舞台とする「日常、ときどきダイビング」なお話です。

タイトルに「あどばんす」が付かない『あまんちゅ!』というのがアニメ化の1期目で、「あどばんす」は2期目ですね。1期目からのキャラの関係性の歴史の積み重ねを踏まえた上で2期目である本作を観た方が良いでしょう。

「日常、ときどきダイビング。」は原作についていたキャッチフレーズ的なもので、アニメでもダイビングの描写よりは日常パートに時間が割かれている気がします。それでもたぶん「あどばんす」の方が1期目よりはダイビング描写は増えたかも。

というのも1期目では主人公のてこ(本名: 大木双葉(おおき ふたば))がもう一人の主人公ぴかり(本名: 小日向光(こひなた ひかり))に誘われてダイビングに興味は持ってオープンウォーター・ダイバーの資格取得を目指す期間のお話であるため、取得に必要な実習の描写はあってもなかなかダイビング描写に尺が割かれない展開だったのに対して、「あどばんす」では初級ながらも一応「ダイバー」であったということが大きいと思います。

とはいえやはり多くの尺が日常描写、それもお祭り的なイベント事などに割かれて、またそれに係わって新キャラなども登場し、賑やかなお話になりました。

そんな中でてこの意外な能力(?)も披露され、ちょっとオカルト風味というか不思議体験的な出来事もあって、1期目以上に幻想的な要素のある作品になっています。

なお1期目同様にキャラのデフォルメ描写は健在で、私は気にならないのですが一部の不評を買っているのは相変わらずのようです。

「日常の全てが大切」みたいな、思春期特有の煌めきのようなものがまぶしく感じられる作品です。幸せな青春を過ごした人には共感を、過ごせなかった人には羨望をもたらすのではないかと思います。

合う人には合うと思いますが、退屈に感じる人もいるかも。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 29

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

新たな出会いの予感に満ちた再出発…さぁ、"素敵んぐ!ワールド"の続きを始めましょう。

この物語の原作は未読ですが、天野こずえ先生といえば「ARIA」
「ARIA」といえば、私のお気に入りの棚序列第1位の「ARIA The ORIGINATION」(第3期)
2012年に本格的にアニメの視聴を始めてから不動の1位に輝いている作品…

その先生の書かれた漫画のアニメですもん…「視聴しない」という選択肢がある筈がありません。
もっとも、今期は「あまんちゅ!」の続編に位置するので、前期未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

公式HPのイントロダクションを拝見しました。
「美しい伊豆の海と豊かな自然、そしてあたたかな仲間たちに見守られて、二人の少女の絆が紡ぐ"蒼の物語"が、新たに始まります…」

…もう興味しか湧いてこないんですけど!

かやのん演じる大木双葉…中学までは東京に住んでいましたが、高校に入ると同時に伊豆に引っ越してきました。
もともと恥ずかしがり屋で引っ込み思案な彼女でしたが、ぴかりと…そしてスキューバ・ダイビングとの出会いが彼女を大きく変え始めていました。

中学までの彼女の面影を今はもう見る事はできません。
何せ大木双葉…いいえ、でこはもう「楽しいの達人さま♪」なのですから…
伊豆に引っ越してきてまだ1年も経っていないというのに…

この作品を見ると出会いの大切さを痛感します。
良い出会いほど心を豊かにしてくれますし、良い意味で自分を変えることができます。
この作品のでこが良い例です。

でも、出会うだけじゃダメなんですよね。
一番大切なのは、どんな風に同じ時間を共有できるか…
どれだけ素直のありったけでいられるか…
そして相手のありったけにどれだけ浸れるか…

きっと当たり前のやり取りで良いんだと思います。
そこに自分らしさと相手を思う気持ちがあれば十分及第点なんだと思います。

でこは前期でスキューバ・ダイビングとの出会い、ぴかりと一緒に海に潜りたい理由から、バディと一緒にダイビングできる「PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コース」の資格を取得しました。
そして今期はもう1ランク上の「PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コース」の資格取得を目指すことになります。

この作品の素晴らしいのは、言わずもがなですが温かいという単語が陳腐に思えるほどのアツアツの人間関係です。
でもこの作品はそれだけじゃないんです。
題材にしているスキューバダイビングの表現が堪らなく素敵なんです。

海から上がったあとのやり取りでこんなのがありました。
こ「あの、でこさん。」
で「なに?」
こ「やっぱり、怖かったですか?」
で「全然…全然だよ。ライトのおかげで地上と同じ色だから、魚も人も空を飛んでいるように見えるんだよ。」
こ「…。」
で「海の劇場にキラキラのスポットライト…その中で空を舞う水の妖精ウンディーネたち。まるで異世界ファンタジーだよ。」

この台詞だけでも情景が浮かんできそう…
でも、みんなの目の前には、本当に異世界ファンタジーが広がっているかのような神秘的な空間が広がっているんです。
だからこの作品は、きっとスキューバダイビングの魅力を専門誌とは切り口を変えながら余すことなく伝えてくれているのだと思います。

そして絶対に忘れてはいけない人が二人…
水無 茜と姫野 ちずるです。
CVがそれぞれ葉月絵理乃さんと、斎藤千和さん…
もうピンと来た方もいらっしゃると思います。

そう…水無 茜はARIAの主人公・水無灯里にそっくりで声優さんも一緒なんですよ。
苗字は一緒ですしね…
そして姫野 ちずるはARIAの藍華・S・グランチェスタと声優さんが一緒…
苗字の「姫」はARIAの「姫屋」にも通じているのでは…?

この二人のやり取りを聞いていると、いつか定番の台詞が飛んできそうな気がしてなりません。
姫「恥ずかしい台詞禁止!」
水「えー。」

個人的な勝手なお願いですが…葉月絵理乃さんの活躍がもっと見たいです。
きっと仕事にもペース配分があると思うので無茶は言えませんが、改めて葉月さんの台詞が耳に入ると、その次が聞きたくて堪らなくなるんですよね。

オープニングテーマは、鈴木みのりさんの「Crosswalk」
エンディングテーマは、坂本真綾さんの「ハロー、ハロー」
こ、これは甲乙付けられないです^^;

1クール全12話の物語でした。
今期も素晴らしかったです。もう何も言う事はありません。
ですが、個人的にはARIAの構成を踏まえてもう少し先までアニメ化されると嬉しいです。
原作未読なので、予想でしかありませんけれど…
この2期はもう1クール後編があって、ことりたち下級生の成長に目を向けつつ、卒業する姉ちゃん先輩らを送り出す感動のストーリーが2期の後半。
これでARIA2期の「The NATURAL」と構成が合いますよね。
そして集大成となる3期はでことぴかりの高校生活最後の年…
きっと楽しいの達人さま♪らの残り1年を全力全開で過ごしながらお互いの進む道を見つけるんだろうなぁ…
でもこれじゃ「The ORIGINATION」の焼き直しになってしまう…?
そんな事ありませんよね。
それでも涙腺は決壊、破壊、壊滅するんでしょうけど…^^;

投稿 : 2024/04/27
♥ : 17

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ぴかりの定理

天野こずえ先生は、元々ファンタジー漫画を描いていたようです。
道理で「ARIA」に唐突なファンタジー回があったわけです。

「あまんちゅ!」(1期)ではファンタジー要素が全くなかったので、
このシリーズはファンタジー無しなのかな?と思ったら違いました(笑)

っていうか、ファンタジー回があまりにも多すぎて、ダイビングは何処へ・・・と言いたくなるほど脱線しています。

学園祭×ファンタジーの定番「ビューティフルドリーマー」的な話があったり・・・あと「ARIA」でも思いましたが、先生は「魔女の宅急便」大好きですよね絶対。空からの風景、ほうき・・・さらにデッキブラシまで出てくるし(笑)



「ARIA」を見ていて最も疑問だったのが"藍華がアルに惚れた理由"でした。しかし、今作の岬こころの登場で納得しました・・・先生の趣味なのですね(笑)何とは言いませんが。



1期でも思っていたのですが、声優陣で最も存在感を示しているのは梅原裕一郎さんではないでしょうか。女性陣の黄色い声が響く中で、場を締める役割を果たしているような気がします。改めて好きになりました。



いわゆる"崩し顔"は、「ARIA」シリーズではそこまで有効な手段に感じていませんでした。しかし、今作の・・・特にぴかるの(⦿▽⦿)は最高でした。キャラクターグッズとしても最高のモチーフなのでは。



原作も続いているということは、3期も期待して良さそうですね。





P.S.「こころちゃん言うな~!」

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5

62.3 8 巫女で高校生なアニメランキング8位
円盤皇女ワるきゅーレ[ワルキューレ](TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (111)
816人が棚に入れました
この地球で宇宙人の存在が珍しくなくなって、数年が経っていた。
ある日、時の湯の清掃をしていた高校生の時野和人はUFO墜落事故に遭遇する。時の湯を直撃したのはヴァルハラ星からやってきた高貴なプリンセス、ワルキューレのUFOだった。ワルキューレは墜落に巻き込まれた和人を救うため自らの魂を分け与えたために幼児化してしまう。
幼児化したワルキューレ(わるきゅーれ)に、幼馴染の七村秋菜、侍女長の真田さんや同じくヴァルハラ星プリンセスのハイドラも加わってのドタバタコメディ。
4度にわたってアニメ化されており、アニメでは原作から離れての独自のストーリー展開を見せている。

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

どこにいても二人は魂でつながれているから離れることはない。魂で愛し合っているのだ。

ストーリー

地球で宇宙人と普通に生活している地球で、ある日高校生の時野和人が経営する「時の湯」と呼ばれる銭湯に突然UFOが墜落し、和人はその事件に巻き込まれて死亡してしまいました。けれど、UFOの持ち主のワルキューレは自らの魂を使い和人を行き返しましたが、ワルキューレは魂が不安定になってしまい、幼児体系のワるきゅーレとなってしまいました。これは、魂で繋がりあっている二人の物語。

私の感想。

古さが結構感じられる作品でしたが、逆にこの古さがこの作品をもっとよくしてくれました。この作品には今のグラフィックではあまり楽しめないような良い所があるのです。たとえば戦闘のシーンや変身のシーンです。戦闘のシーンはどれも同じ動きをしていて、今のグラフィックでは飽きてしまいますがこの作品のように古いですと逆に何度も見れてしまうのです。けれど、どんなに字で説明しても想像ができないと思うので是非見てみる事をお勧めします。

そして、この作品は古い作品にしてはかなり萌える作品だと主しました。今まで見てきた22002年の作品はどれも10年から今に至る画質の萌えキャラに負けてしまってまったく萌えないのが事実だったのですが、この作品には結構萌えさせてもらいました。特にキャラクターの表情の表現方法は非常によかったです。

Ssoulのワンポイントピックアップ!!
「このコーナーではこの作品のおもしろい所、注目してほしい所などをピックアップし、説明したいという事です。」

この作品の代入曲である「Agape」は非常に魅力的で私が超大好きなタイプな曲です。この曲は本当に聞いている私たちまdみみが よくあるような曲でそして、この作品に非常に合っているのです。私的に何故この曲はエンディングにならなかったのかが不思議でしょうがないです。

オープニング

「愛しいかけら」
このオープニングはキャラクターの説明結構良かったですし、結構良いオープニングでした。

エンディング

「セーブ♥」
このエンディングは正直この作品になっていると思えませんでした。この作品の萌えとキャラクターのよさが出ていないのです。このエンディングはなんだか謎の生物が左下で踊っているだけのなんdか謎のエンディングです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 10

らめええええええええ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

名曲「Agape」はこのアニメの曲

キャラ萌えだけの空っぽアニメではなく
むしろ
個性溢れるキャラクターたちによるっ・・・!ラブコメ、ギャグ...!ヒューマンドラマ、バトルアクション...!エロ、萌えのごった煮アニメ
どんな回も上手く描かれていて構成がすばらしいではありませーんっ...!ゼロゼロゼロっ...!。運否天賦ヒロインモノでもあるんだっ・・・!分かれよっ・・・!微エロ描写はありますが下品でなく
抑えオレには生涯・・・ あんな目はできないだろうから・・・です...!
中身が濃密、奥深い話もありません
ただ安定感が尋常でないです
感動させられる回まであります
神曲とされる「Agape」の挿入の入れ方が秀逸で、この曲が流れてしまうと
無理やり涙腺スイッチが入り感動などないっ・・・・・!させられてしまうのです
素直に評価できるかどうかじゃない!やるんだっ…!名作…!!んだっ・・・!分かれよっ・・・!1度ご視聴いただきたい…!!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

どどる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ワルちゃんは和人が大好き

ちびのワルQがかわいい。

ヒロインが子ども。
ちょっと逃げ道はありますが、ちゃんと恋愛関係のあるアニメでヒロインが子ども。
アニメ的な肉体だけが幼いロリータじゃありません。
まあまあ写実的な甘えた子どもです。
それが良い。

おおざっぱな内容はこの頃のコメディアニメ。
ギャラクシーエンジェル、ナースウィッチ小麦ちゃんなどと同年代と言えばわかりやすいのかわかりにくいのか。
どたばたが強かった頃のようです。
このアニメはそこまでは騒がしくなく、子どもヒロインに合った明るい内容。
なかなか良いものです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 2

60.1 9 巫女で高校生なアニメランキング9位
シキザクラ(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★☆☆ 2.9 (71)
207人が棚に入れました
紅葉と共に桜が咲き誇るシキザクラの地―現世と異界の交わる特別な場所で、人の世を救うための儀式が行われようとしていた・・・高校生の『三輪 翔(ミワ カケル)』は、異界から現れ人を喰らう『オニ』と、パワードスーツとの争いに巻き込まれる。人に取り憑き、現世に顕(あらわ)れようとするオニ。人々をオニから守ることができるのは、古代の秘術と最新技術が融合したパワードスーツ『ヨロイ』のみ。翔は、ひょんなことからパワードスーツを身にまとい、オニと戦うチームのイレギュラーなメンバーとなる。ヒーローになる決意をした翔は、世界を救う宿命の巫女『明神 逢花(ミョウジン オウカ)』を守りオニと戦う。シキザクラの季節。紅葉と桜吹雪の中で、逢花は巫女として舞う。過去と未来、現世と異界、想いと願いが交差する、活劇英雄譚(ヒロイックアクション)、ここに開幕!

声優・キャラクター
野田雄大、茉白実歩、中元大介、水上翔斗、坂崎絵理、落合菜月、米山伸伍、矢方美紀、新井ユウト、イヲリ

65.7 10 巫女で高校生なアニメランキング10位
幻夢戦記レダ(OVA)

1985年3月1日
★★★★☆ 3.7 (33)
136人が棚に入れました
朝霧 陽子(あさぎり ようこ)は、17歳のごく普通の女子高校生。彼女には一途に憧れ続けている男子がいた。想いを告げられぬままの1年5ヶ月に決着を付けるべく、自らの想いを込めたピアノ曲を完成させ、カセットテープに録音する。 そして、ヘッドホンステレオでその曲を聴きながら、いつもすれ違うだけだった並木道で彼に声を掛けようとする陽子だったが、結局できないまますれ違い、肩を落とす。すると次の瞬間、陽子は突然異様な空間に飛ばされてしまう。そこは異次元世界アシャンティで、陽子はレダのハートを狙う総統・ゼルによって引き込まれたのだった。見知らぬ生き物が徘徊する森の中、陽子は世界を旅する犬・リンガムと出会い、自分が異世界に来たことを知る。もと居た世界へ帰りたいと願う陽子は、自作の曲が帰るためのカギであることに気付くが、いきなり襲いかかってきたゼルの兵士たちによってヘッドホンステレオを奪われ、さらに命を狙われる。

声優・キャラクター
鶴ひろみ、池田秀一、坂本千夏
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

往年のビキニアーマー戦士に会いたくて……

先日発売された4KリマスターBlu-ray買っちゃいました♪

80年代半ば頃から90年代にかけて、
二次元世界では数多くのビキニアーマー美女戦士が活躍していました。

ビキニアーマーは何も本作みたいに、
マニア向けOVAに登場するお姉さんだけではなく、
一部の一般子供向けコンテンツの女の子にも浸透していたように思います。

実際、私とビキニアーマー戦士との初遭遇は、
アニメ『ドラゴンボール』のチチ(幼少期)でしたし。
当時ゲームショップに行くと、『ドラクエ3』パッケージ裏の女戦士を始め、
ビキニアーマー戦士のビジュアルがやたら目に付いた記憶があります。

ビキニアーマー戦士と言うのも、何とも摩訶不思議な存在で、
各種ハプニングシーンや恋愛、ラブコメ展開には恥じらうクセに、
己の際どい装備にはさほど恥じらわずw
堂々と胸を張り、その身一つで世界を救う戦いに挑んでいく……。

これは幼い頃の私が、女の子は露出することでパワーを発揮するなどと、
勘違いしても、仕方ありませんねw


そんな私にとって、本作主人公の朝霧 陽子は、
日本におけるビキニアーマー戦士の源流を形成したレジェンドとして、
一度、相まみえてみたかったヒロイン。

けど、映像ソフトのプレミア化などに阻まれて中々機会がなくて……。
今回のBlu-rayリマスター企画は千載一遇の好機でした。


とは言え、ただビキニアーマーと言うだけで、諭吉一枚差し出すほど、
尊氏の守銭の砦は脆くはありませんw

ダメ押しとなったのは、本作キャラクターデザインが、いのまたむつみ氏だったから。

いのまた氏と言えば、個人的に筋肉の造形が素晴らしいと尊敬しているイラストレーター。
特に脇腹!脇腹が良いんですよ~♪

後のゲーム『テイルズオブデスティニー』(PS)の筋肉担当・コングマン辺りの、
ムキムキに割れてる腹筋を描くのは当たり前として、
いのまた氏の場合は華奢な美少年や可憐な美少女。
一見して筋肉無さそうなキャラの腹も、決して寸胴みたいにスンナリ描かず、
ちゃんと内側に筋肉があることを意識して、くびれを描き込んでくる。

今回のリマスター企画で書き下ろされたジャケットサンプルの陽子の腹を眺めていて
かつて小説『宇宙皇子』の挿絵で描かれた美少年が見せた上半身裸体の肉体美を目の当たりにして、
筋肉に関するフェチズムに目覚めた宿命を思い出しましたw

いのまた氏は還暦間近になっても、肉体描写は衰えないなぁ~。
特典でアートブックも付くのか~。と密林で色めき立っている内に、
私の右手は、自動的に購入ボタンをポチっていましたw


とは言え、いくらキャラデザが頑張っても、
アニメーターが意図を汲まなければ意味がありません。
が、本作は作画監督も、いのまた氏、御自らが務めているので、問題ありません。

ビキニアーマー戦士のボディーラインや肢体の躍動感が、
好センスのアングル、作画構成で見事に表現されていました。
陽子の脇腹には確かに筋肉と夢が詰まっていましたw


ストーリーもある朝、告白に躊躇してしまったヒロインが、
召喚された異世界で戦い抜くことで、自らの心の弱さに向き合い、
元の世界で、幸せを掴むためのほんの少し勇気、成長を見せるのか?
と言う王道展開。

そんなメインテーマを“レダの心臓”即ち、
{netabare}ヒロインが意中の彼に告白するために、
作曲、録音したピアノ曲の収録テープが入ったカセットウォークマン。{/netabare}
と言うキーアイテムを活用し、異世界の危機と、揺れる乙女心を同列に語ることで、
王道を盤石にしていく脚本、演出が実にいじらしいです。

相変わらずヒロインは、恋には時めき恥じらうクセに、
異世界での大胆な露出には恥じらわずw
“レダ”のパワーか何かで、各種武器、乗り物の超人的な運用も、
学習なしで適応してしまうテンポの良さ。

朝霧 陽子は、まごうこと無きビキニアーマー戦士でした♪


ビキニアーマーだけでなく、ヒロインが冒険する、、
奇怪な生物が巣くう荒涼としたファンタジー世界と、
過ぎ去りし文明の機械、可変対応のビークル、飛空艇、巨大ロボ、空中要塞の異様。
CV池田 秀一氏の狂気を孕んだラスボスの言動。
異世界へ誘う、鷺巣 詩郎氏の高揚感溢れる劇伴。

80年代、気鋭の若手スタッフらによる“魅せたい”
アニメファンの“観たい”がギッシリ詰まった……。
OVA黄金期の解放区としての気風が存分に感じられる快作です♪

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21
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