年の差で友情なおすすめアニメランキング 2

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早速見ていきましょう!

81.3 1 年の差で友情なアニメランキング1位
恋は雨上がりのように(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (713)
3162人が棚に入れました
ある事件がきっかけで走ることを諦めた元陸上部エースの女子高生・橘あきらと、彼女のバイト先のファミレス店長であるさえない45歳男性・近藤正己の恋物語が描かれる。

声優・キャラクター
渡部紗弓、平田広明、宮島えみ、福原遥
ネタバレ

ostrich さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

恋はことの始まり

「女子高生が中年男性に恋心を抱く」という程度のあらすじだけ流し読みしてから視聴した。

■近藤店長の造形

あらすじを読んだ際、もっとも気になったのは中年(近藤店長)のキャラクターデザインだった。こういう物語は中年がイケメンじゃ絶対にだめだが、最低限、「女性に惚れられる可能性はある」程度の容姿でもなければならない。どういうバランスなのかという関心を持って臨んだのだけど、なるほど後藤隊長(機動警察パトレイバー)か。

もちろん、たまたま本作とデザインが似通った可能性も否定できないが、原作者の年齢的にパトレイバーはギリ引っかかる。加えて後藤隊長は近藤店長とデザインだけでなく、職場での立ち位置や二面性を持ったキャラクター像も似通っているので、ほぼほぼ、元ネタだと思う。

話は若干それるが、私は小学生のころ、パトレイバーに熱中していて、後藤隊長は一番好きなキャラクターだった。私は後藤隊長と同性(つまり男性)なので、彼のキャラクター像は自分が大人になった時の理想像のようなものになったのだが(そして、ある面においてはその通りになってしまったのだが)、異性(女性)からみた場合、恋愛の対象になるのかもしれない。なお、ご存知の方も多いと思うが、原作者は女性だ。

私が小学生のころはパトレイバーを観ている女子なんて周囲にいなかったが、どこかにはいたのだろうし、今でもいるだろう。原作者もそういう女子の一人で、私とは違うベクトルだが、同じキャラクターに魅力を感じていたんじゃないかと想像し、視聴のかなり早い段階から親近感を覚えた。

■自分との約束

パトレイバーあたりを引き合いに出せば、最早、明白なことだが、私自身は近藤店長に親近感を覚える年齢で、それゆえ、彼の諦観や閉塞感は息苦しいほど身近に感じる。特に、「寝かせたままの自分との約束」という言葉は非常に重かった。私にもそういうものは確かにある。

だから、 {netabare}本作が物語の進行とともにそちらのテーマに向かっていったのは、私としては非常にありがたかった。ていうか、すべての「寝かせた約束」を持つ中年を代表して言わせてもらえば、こんなことを描いた挙句、そこに決着をつけずに女子高生とイチャイチャして終わらせ{/netabare}たら、マジ許さん。

われわれ(前述の特定の中年)は生きていくために{netabare}「約束を寝かせている」わけだが、時間の経過とともに自力で「約束を起こす」ことが困難になるし、だからと言って、そこを他人に触れられるのも困る、{/netabare}という状態にある。
だが、本作は{netabare}「約束」に触れてくる。そういう意味では主人公あきらは作品そのものだ。グイグイ来られるのは困るが、だからと言って、拒むこともまた難しい。
私には作中、近藤店長があきらを拒めない理由がよくわかる。それは彼女が女子高生で美人だからとかそんな理由では断じてない。彼の中で「約束」が死んでいないからだ。彼女に触れると「約束」が蠢くからだ。{/netabare}

本作は、正直なところ、原作ものの宿命か、すべてのキャラクターが掘り下げられて、決着がつくシナリオにはなっていない。
でも、少なくとも私にとってもっとも肝要なテーマはきっちり描いて決着をつけてくれた。おじさんは安心したよ。{netabare}私の「約束」が蠢いてちょっと困ってもいるが。{/netabare}

■恋愛

映画評論家の町山智浩さんが「本当に恋愛映画と呼べるのは『恋愛について』の映画だ」というようなことを言っていた。加えて、イケメン男女がイチャイチャするだけの映画は「恋愛ポルノ」だ、とも言っている。

で、本作がどちらに該当するかといえば間違いなく「恋愛映画」だろう。もちろん、映画じゃないから「恋愛アニメ」ということになるが、呼び方はどうでもいい。「恋愛について」の作品であることが肝心なことだ。

本作は当然、恋愛的な状況を何度か描くけれど、かなり控えめ、かつ、店長とあきらには一定の距離感があって、多少の間合いの変化はあるが、{netabare}最後まで消えることはない。何しろ、店長からあきらに何かを持ちかけることはほとんどないのだ。{/netabare}

しかし、主人公2人の中では大きな変化が起きている。この変化が性別と年齢差を超えて相似しており、{netabare}2人とも恋愛を通じて「寝かせていた約束」が蠢き、結果、店長は小説、あきらは陸上に向き合いなおすことになる。
そして、2人は同じ変化を共有した強い「点」で結びつくことになるが、おそらく物理的には離れていくことが{/netabare}暗示されて物語が終わる。

この点の関係を何と呼べばいいのかよくわからないが、私の感覚でいえば、「戦友」が最も近い。語義的にはおかしい部分もあるとは思うが、いわゆる「友達」では括れない、人生の大きな変化や特異な状況を共有したが、今は離れている存在という意味で当たらずとも遠からずかな、とも思う。そういう人は私にも何人かいる。

さて、2人は恋愛を通じて{netabare}変化して、最後は「戦友」{/netabare}になった。

これは恋愛の一つの側面を端的に描いている。恋愛は人を動かし、変化をもたらすものなのだ。たとえば、その帰結として、恋人になり、結婚して家庭を持ったりすることもあるだろう。いわゆる「成就」と呼ばれるものだが、しかし、それらは恋愛がもたらす結果のいくつかに過ぎない。本作のように{netabare}「成就」せずとも、「寝かせていた約束」と向き合うことになったり、「戦友」を得ることもある。{/netabare}
そして、それらの結果よりも肝心なのは、先に書いたとおり、恋愛により衝動と衝突が生まれ、動きが生まれることだ。

主人公2人が出会う前、{netabare}彼らは閉塞的な状況にあった。あきらは怪我により陸上を奪われ淡々とした学校生活を送っていたし、店長は小説家になる夢のために家庭を失い、長く小説をまともに書くことができずにいた。

それがファミレスでの出会いで生じたあきらの恋心によって動き出す。
出会いのシーンの手品が象徴している。恋はマジック。
動かないと思っていたものが、あら不思議、動き出す。
あるいは、雨上がりの晴天のように人を内から外へ突き動かす。{/netabare}

もちろん、恋愛の結果としてひどく傷つくこともあるし、作中のあきらのように{netabare}胸が苦しい{/netabare}こともある。でも、どんな結果になろうとも、動くこと、動けること、それ自体がとても貴重なことなのだ。私は店長寄りなのでよくわかるが、どうしたって、年齢を重ねるごとに動機や衝動を失っていく。
{netabare}そこに衝動を持ったあきらがぶつかって、店長も動き出す。{/netabare}
私自身は正直なところ、恋愛とかもう面倒だなあ、と思ってはいるのだが、それでも、店長の状況はちょっとうらやましいとも思った。
これまた、相手が女子高生だからでも美人だからでもない。自分を突き動かしてくれる、変化をもたらしてくれる存在がいることがうらやましい、ということだ。
もっとも、そういう相手は恋愛じゃなくても存在しうるとは思うけど、恋愛のマジックは強力だから。

もしかしたら、人がいくつになっても、程度の差こそあれ、恋愛を(あるいは恋愛をしていた時代を)忘れないのは、それが何かが動き出す始点だってことを知っているからかもしれない。

本作はこういったことを考えさせてくれる作品で、「ポルノ」じゃない。「恋愛について」の作品だ。


■年齢差

あらすじを読んだときに、ちょっとコメディタッチなのかな、と思った。
年齢に限らないけれど、立場や性別など様々な「差」を使ったコメディは多い。

実際は、たしかに多少、コメディっぽい部分もあるけれど、そこは添え物みたいなもので、年齢差は上記の「恋愛について」の諸々をより明示的に描くために活かされていたと思う。

本作を端的にいえば、{netabare}時間の重みで動けなくなったおじさんと、怪我によって動けない(走れない)女子高生が出会うことで、2人が動き、変化していく{/netabare}物語ということになるのだけれど、実はこの話は「おじさんとおばさん」でも、高校生同士でも全然成立する。
ていうか、恋愛物は一言で言ってしまえば「誰かと誰かが出会って恋をして変化する」フォーマットになるので、それだけに登場人物の設定と関係性にいかに特色を出すかが肝になる。

本作は年齢差を設けることで、{netabare}年齢とは反対に女子高生がけん引役になったり、年齢通り子弟的な関係になったりする状況を生み出していて、もちろん、これらは大きな魅力になってはいるけれど、最終的に2人は「約束を果たす」ことを誓い合った「戦友」として、同列になっている。少し乱暴かもしれないが、「恋愛(と、それがもたらすもの)には年齢差はない」{/netabare}という着地だ。
ちなみに、これは「だから、どんな相手でも恋愛しようぜ」みたいなことではない(もちろん、そう思う人がいてもいいけれど)。
実際、物語の終盤になると{netabare}恋愛色はどんどん薄まって、主人公2人は各々、自分の「約束」のために動き出して、恋愛は{/netabare}ことの始まりに過ぎなくなっている。
つまり、先の言葉をより正確に言うなら、「恋愛がことの始まり」であることに年齢差はないということになる。

年齢差によって様々なシチュエーションを生み出しつつ、最終的には{netabare}それを超えた普遍に至る構成には、ラストで2人が「戦友」となったこととも相まって、{/netabare}とても清々しい印象を持った。
これもひとつの成就のかたちだと思う。

※蛇足

本レビューを書いているうちに思い出した恋愛ものの作品を挙げてみました。
関心があれば、ぜひ、ご覧くださいませ。

・年齢差恋愛

「ハロルドとモード」
アメリカ映画。親子どころではなく、祖母と孫ほどの年齢差の恋愛もの。
本作との共通点はあまりない。というか、部分的には正反対のベクトル。

・「おじさんとおばさん」の恋愛

「恋愛ものはおじさんとおばさんでも成立する」みたいなことを書いているときに思い出した作品。若い人には想像が難しいかもしれないが、自分がおじさんになると、きっちり、おばさんが恋愛対象になってくるから不思議。

「コキーユ」
日本映画。おじさんとおばさんの恋愛もの、かつ、不倫ものでもある。
と書くと嫌悪感を抱く人もいるのかな。
私はそれなりに若い時に当時の彼女と観た。彼女は「浮気、ダメ絶対」な人だったが(まあ、普通はそうだと思うが)、号泣していた。
少なくともそういう作品ではある。とても切ない純愛もの。

「レスラー」
アメリカ映画。落ちぶれたプロレスラーが再起をかける話で、恋愛が中心ではないが、恋愛要素はある。もちろん、おじさんとおばさんの恋愛。
おじさんとはもちろん、再起をかけたプロレスラーなのだが、メンタル的には近藤店長(と後藤隊長と、認めたくはないが私)と共通したものを持っている。
「恋雨」とも「コキーユ」とも違うのはおばさんもまた、似たようなメンタルを持っていることで、そんな2人が出会うとどうなるかが見所といえば見所。想像できると思うが亀よりも遅い発展速度。残念ながら個人的には本レビューに挙げた作品の中でもっともリアリティがあった。
最後にこんなことを言うのもなんだが、あきらのようにグイグイ来てくれるのは、男としては楽だよな、とちょっと思う。こういう場合に「嬉しい」よりも「楽」が先に立つのが(一部の、だが、それなりの数の)おじさんのメンタルである。女子のみなさまは覚えておくといつか役に立つかもしれない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5
ネタバレ

るるかん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

夢への扉を開く鍵

 女子高生とおっさんがどういう恋愛を展開していくのだろう・・・?という興味からこの作品を見始めたわけですが、最終話に近くなるにつれて、これってそういう話じゃないのか・・・?{netabare}と感じてきたのです。・・・で結局付き合うとか、そういう結末には至ってないと思うのですが・・・。だめだね~俺のような下衆なおじさんはモテないわけですねw
 
 『あきらめかけていた夢の扉』をもう一度開けるための鍵みたいな存在としてアキラと店長の恋(?)が描かれていました。だから当然、恋人同士というわけじゃない終わり方でしたが、二人にとって『夢』の扉を開いてくれた大切な存在として、潜在的な恋が成就したとみるべきなのでしょう。悪くない話でした。{/netabare}
 もちろん、続きがあるのでしょう。原作ファンの方はこの終わり方をどのように捉えているのか、みなさんのレビューを拝見したいと思います。
 
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11話~12話{netabare}
11話のお話を見た後に、これって・・・恋の話が決着する話じゃないのかな?・・・という疑問が湧いて、11話を見た後に最終話を見てからレビューをまとめようと思いました。12話を見て、アキラの恋を通じて、店長とアキラ双方があきらめかけていた自分の夢を追いかける決心をする。お互いの距離が詰まっていくのは、自分がやり遂げたと感じた後になるようですね。その決心をするのに、親友の大切さを11話に加えて、揺らいでいた気持ちに区切りをつけ、12話でお互いの道を進んでいこうと励まし合って終了。原作は続きがあるのでしょう。ここで終わりだったらあまりにも中途半端ですからね!!・・・ってことで、なんともしっくりしないまま終わってしまいましたが、恋が進展したのはユイと吉澤君でしたねw あきらめかけていた夢への扉を開くような恋ってことですね~。悪くない話です。{/netabare}
10話{netabare}
あきらと店長の共通項が、『道半ばで夢をあきらめざるえなかった』ということみたいですね。自分の夢の為に家庭を壊してしまった店長のトラウマをあきらが払拭できるかどうか・・・。
二人は今、同じ土壌に立ち、無意識にお互いの言って欲しい言葉のやり取りを繰り返す。『こんな俺の・・・』に対し、『そんな店長だから・・・』で返す言葉のやりとりは強烈に店長の胸に響いたでしょう。よく分かります。恋が成就するには必要な心理的高揚を促す言葉のやりとりで、とてもいいシナリオでした。これなら店長もあきらのことを好きになるかな・・・って思えるシナリオがやっときたって感じです。いい話でした!!
はるかとの関係はどうするんだろう・・・?このままだと友情より恋の方が重要ってことですが・・・それでも構わないんだけど・・・。今のままだと中途半端すぎると思うのです。{/netabare}
9話{netabare}
退屈でありきたりな『いい話』でした。この回の必然性が今一つ分からないが、最後の店長の一言であきらの気持ちが軽くなり・・・店長ありがとう~大好きよ~的な余韻を残すということなのかな?九条ちひろって男の同級生だったのね。原作読んでないから、てっきり奥さんだと思ってた・・・w話の辻褄は合ってるし、必要っちゃ~必要な話なのかもしれないけど、それほど大切なエピソードには思えなかった。{/netabare}
8話{netabare}
店長とお友達関係になってメアドもゲットしウキウキな感じでしたが、内容としては一頓挫って感じで、恋の進展は一休みって感じでした。
アキラにとって大切な友人はるかを夏祭りに誘い、離れかけていた友情関係を引き戻そうとした行動はアキラのはるかに対する優しさと謝罪の表れでしょう。それほどの内容ではなかった回でした。でもやっぱり、EDはいいよね!{/netabare}
7話{netabare}
『・・・・この感情に名前をつけるのはあまりに軽薄だ。それでも今彼女が抱えている不安を取り払って救ってやりたい。たとえ自分にそんな資格があるとは思えなくても・・・この感情を・・・この感情を・・・この感情を恋と呼ぶにはあまりにも軽薄だ。・・・・・』純文学が好きな店長らしい思いの丈で素敵でした。相手が女子高生だから、『この感情を恋と呼ぶにはあまりに軽薄だ・・・』と思いたい店長の気持ちも分かる。しかし、店長はもう恋だと意識していることの証しともとれる。ハグの場面と店長の感情を表す心のつぶやきは、なかなかいい場面でした。さて、これからどうなるのか楽しみです。{/netabare}
6話{netabare}
今回の話は後半への繋ぎかな・・・。何らかの意図を感じるストーリーで次回以降にどう繋がりを持たせるのか楽しみです。{/netabare}
5話 {netabare}
好きという気持ちだけで突進してくる女子高生を、離婚して子供と離れて一人暮らしをしている店長がどう受け入れて、自分を納得させていくのか、その辺の心理描写があるかどうかが私の期待する所です。今後のシナリオ・展開がこの作品の質に関わる部分だと思うので楽しみにしたいと思います。{/netabare}
4話{netabare}
加瀬みたいな男は反吐が出るくらい嫌いだ。ぶん殴るくらいして良かったと思うが・・・。店長の『俺が傷付きたくないだけだ・・・』という気持ちは分かるね。デートといっても実感は湧かない感じが出ていてお互いの想いの強さの違いが鮮明に出ていた。あまり見所のない回だった。{/netabare}
3話{netabare}
あきらの告白は直球だが、年齢差を考えると『真剣さ』を伝えるには直球しかないだろう。強引なくらいの押しやリードもあきらくらいじゃないと店長は動かなかっただろう。でもまぁ、あきらにとっては、第1段階突破ってとこですかね?真剣さが伝わればあとは店長次第だし・・・。これからお付き合いが始まるのかな?次回も楽しみです!!{/netabare}
2話{netabare}
女子高生に『好き』って言われたら、店長の年齢なら恋愛ごととは思わないよな。単刀直入に『好きです』って言ってしまうあたりが若さと勢いって感じで初々しくていいと思う。店長を好きになった理由は1話が全てなんでしょうか?まぁ、今後どんどんその想いが膨らんでいくのでしょうね。ただ、この年齢差で女子高生がおっさんを好きになる理由としては1話だけでは重みが無い感じがします。あきらがしっかりして落ち着いた女の子だから尚更不可解に感じます。面白そうなシナリオだし、そこだけちょっと残念ですけど、あまりこだわらず続きを楽しみたいと思います。店長はいつマジになるんだろう・・・。ED曲はいい曲ですね。買いたくなっちゃいます!!{/netabare}
1話{netabare}
あきらの雰囲気は割と好きだな~。女子高生らしい可愛らしさは表現されていると思う。だけど、シャツの匂いまで嗅ぐかな?そのあたりの描写は謎です。女性陣のレビューに書いてもらいたいところですw
バツ1子持ちの店長の哀愁の中にある優しさに惹かれるのでしょうかね?謎です。あきらがどうして店長に惹かれたのか、もう少し説得力のある理由がないとシックリこないなぁ・・・。これから分かることなのかな?
1話目は微妙な感じですが、気になるので見ていこうと思います。謎が多くて逆に面白かったしねw{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 34
ネタバレ

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

演出&構成の妙、ただひたすらに美しい 

☆物語&感想☆

女子高生が45歳の冴えない中年男性に恋をする、ジャンルとしては恋愛になるんでしょうが、
この作品は純粋な恋愛モノかと言われれば、そうとも言えるし少し違うとも言えるかもしれません。
よくある恋愛作品では、その多くが告白をクライマックスに持ってくるものが多いものの、
本作ではそこまでの過程はあまり描かれず、むしろ告白してからの物語。
恋が成就する、しない、と言った結果に重きを置いて本作を観るなら肩透かしを食らうかもしれません。

設定として店長と従業員、女子高生と45歳でバツイチ、子供有りという立場上、
その想いにどう向き合っていくのか、グイグイと来る橘さんに対する店長の行動は、
常に思慮深く理性的でしたが、揺れ動く心情はとても繊細に描かれていて、
本作の象徴的なシーンとして、7話台風の日の場面は最大の魅せ場だったと思います。
まぁ自分だったら絶対抱いてしまうでしょう、犯罪やけど笑

店長に想いを寄せる橘さんの恋、という序盤からの流れでは、
{netabare}7話の店長が橘さんをハグして「友達」として、と伝えたところで一旦落ち着いて、
それ以降橘さんもある程度それを受け入れたのかな、とも思えました。{/netabare}
で、お互いの関わり合いの中で自分の中に仕舞っていた、忘れていた思いを呼び覚まし、
一歩歩き出す。。ラストは少々唐突かなとも感じましたが、
将来的な可能性に含みを持たせた想像の余地を残す終わり方で、タイトルも回収、綺麗でした。
この物語は毎話と言っていいほど雨の描写が有りましたが、
店長と橘さんの関係、二人の胸に押し留めていた想いは、
言ってみれば降り続く雨の中の雨宿りだったんでしょう。

後半の店長と旧友の友情、描かれ方もノスタルジックで味わい深く、
また橘さんとハルカの関係も瑞々しく青臭い青春を感じさせる、こちらも同様に上手く描かれていたので、
純粋な恋愛だけじゃない、もう一つのアナザーストーリーとしても楽しめ、
結果的に上手くまとまっており良かったと思います。

☆声優☆

この作品が成功するかどうかは、ぶっちゃけ店長のキャスティングと演技に掛かっている、
と言えるぐらい重要だったと思いますが、平田広明氏は見事期待に応えてくれましたね。
冴えない間抜けな中年男性の一面と、逆に含みを持たせじっくりと聞かせる演技は圧巻。
最近観た「B:THE BEGINING」では圧倒的な凄みと渋さでしたが、
今回は演じ分けが凄い、またしても名優の演技を堪能させてもらいました。

橘さん役の方もイメージ通りで良かったですが、
それ以上に意外な発見として驚いたのは、西田さん役の福原遥さん。
初めて久野美咲さんの声を聴いた時くらいの、特徴的な萌えボイスが衝撃的でした笑
ノイタミナによくある芸能人のゴリ押しキャスティングながら、
普段女優メインでも子役からやっていて声優経験もあるだけあって演技も全く違和感なく良かったです。
あの声は今の声優界でもなかなかの逸材だと思うので、今後声優としても是非活動してもらいたいですね。

☆キャラ☆

店長の台詞がとにかく平田広明氏の演技によって抜群の説得力を持って響いてきました。
作者は女性ながらヒロインの橘さん以上に、中年男性の店長の描写が優れていたのは驚きました。
橘さんとハルカは店長とは対照的に自身の独白は殆どありませんでしたが、
キャラの思いを汲ませるには充分。
橘さんの店長への想いが一点の曇り無く真っ直ぐで純粋で美しい...ほんま店長裏山過ぎる。。
脇役ながら西田さんが癒しの存在で好印象、彼女の涙には思わずもらい泣き。

☆作画☆

まずキャラデザインが今風のアニメにありがちな感じじゃなく、
どことなく昭和っぽいところに惹かれましたね~橘さん何頭身?...スタイル良すぎ。
WIT STUDIOの安定感は最後まで保たれ、1カット1カットの見せ方が印象的なシーンが随所に見られました。
橘さん、ハルカ、西田さんの表情、横顔が何とも美しかった。

☆音楽☆

OPはそんなに好みでもなかったですが、
底抜けに明るくファンシーかつポップなアニメーションとの相性は良かったと思います。
対照的にしっとりと聴かせるAimerのEDが抜群で毎話素晴らしい余韻を与えてくれました。
そして何と言っても作中BGMが良い仕事してましたね、曲数はそこまで多くはなかったようにも思いますが、
とても印象的で胸に響く良い曲だったと思います。


最後に...物語の展開や出来事だけを見ていくと、
恋愛作品としては単純に劇的さや面白さはそこまで無いかもしれませんが、
この作品は各キャラクターの心の機微の描き方や演出面が見事で美しかった。
雨の背景、表情の見せ方、間の取り方、聴かせるBGM、
そこに重なる平田広明氏の圧倒的な演技と含蓄のある台詞の数々...
情感の豊かさ、趣きは芸術性すら感じさせる、大人の感性に訴えかけるノイタミナらしい秀作だったと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21

68.1 2 年の差で友情なアニメランキング2位
恋と呼ぶには気持ち悪い(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (191)
663人が棚に入れました
ある雨の日、駅で見知らぬ女子高生に助けられたサラリーマンの天草亮は、その女子高生が妹の親友・有馬一花だと知る。女癖の悪い亮は一花に対し、お礼にとキスやデートを提案するが「気持ち悪い」と一蹴されてしまう。だが、それは亮の中の新たな扉を開いてしまい、亮は彼女に狂信的な恋をする。その日以来、直球すぎるアプローチと愛情表現を毎日のように繰り広げる亮。それをひたすら気持ち悪がる一花は彼を容赦なく罵倒するが、いつも愛情表現の裏返しとして受け取られてしまう……。

声優・キャラクター
有馬一花:小坂井祐莉絵
天草亮:豊永利行
天草理緒:長谷川玲奈
多丸快:榎木淳弥
松島有枝:花澤香菜
益田:木村良平

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

愛に溢れている

モテすぎて女性を物扱いするはっきり言ってクズ男が妹の親友に気持ち悪いと拒絶されたことから始まる物語。

急に開花するM。今まで女性に拒絶された経験がないだけに受けた衝撃が大きくて今まで芽生えたことのないような恋心が芽生える。
普通に考えると初対面で女性に対してお礼のキスをしてあげるとか言ったら、かなりのイケメンでも気持ち悪いとは思うんだよなあ。それが通用する男も少なからずいるのだろうか。
そこのあたりに関しては全く共感できないわけだが、天草亮は兎に角振る舞いがスマートでこれはモテるに決まっていると納得の連続だった。現実にここまでできればモテないはずがない。その分女性慣れしすぎてて不誠実ぽいけども。

ラブストーリーらしくそれぞれに想ってくれる異性が出てきてドラマチック。
そういったものを乗り越えて最初は嫌がりつつも最終的には…という。
勝手に想いを募らせておいて勝手に身を引くとかいう身勝手さにイライラしつつも見ていて飽きなかった。

散々女性を泣かせていそうなので、天草亮は悔い改めてほしいと思うのと同時に一花には幸せになってほしいと思いつつ見ていた。最後のほうは想いが一気に溢れたなあ。

個人的に2021年春アニメの中ではオッドタクシーと同じくらい気に入った作品でした。


OP
モノクロシティ ACE COLLECTION
ED
リナリア まるりとりゅうが
EDの映像とこの作品で初めて知ったまるりとりゅうが良いなあと思った。歌声が綺麗。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
ある雨の日、エリート社会人・天草亮は、階段から落ちそうになったところを、見知らぬ普通の女子高生・有馬一花に救われる。朝食を食べておらず、ふらつく亮を心配した一花は、とっさに自分のお弁当を差し出し、その場を去ってしまう。その夜、亮が帰宅すると、リビングに一花がいて、彼女が妹の理緒の同級生であると判明する。亮は、命を助け、自分の弁当を渡してくれた一花に、お礼のキスをしてあげると突然提案するが…。

第1話
ある雨の日、エリート社会人・天草亮は、階段から落ちそうになったところを、見知らぬ普通の女子高生・有馬一花に救われる。朝食を食べておらず、ふらつく亮を心配した一花は、とっさに自分のお弁当を差し出し、その場を去ってしまう。その夜、亮が帰宅すると、リビングに一花がいて、彼女が妹の理緒の同級生であると判明する。亮は、命を助け、自分の弁当を渡してくれた一花に、お礼のキスをしてあげると突然提案するが…。

第2話
仕事から帰宅した亮を待ち受けていたのは、エプロン姿の一花だった。疲れて白昼夢でも見ているのではないかと錯覚する亮だったが、一花はクラスメイトの五月、瑠璃とともに、理緒の家に遊びに来ていたのだった。スーツを着こなし、大人の余裕を見せる亮に、五月と瑠璃はキュンキュンしてしまう。一方、亮の旧友でカメラマンの益田は、風の噂で亮が女子高生に手を出していることを知り、亮に直接確かめようとするが…。

第3話
体育の授業中、バレーボールを同級生・多丸快の顔に当ててしまった一花。休み時間にひとり読書している快に謝りに行くと、その本は一花が大好きなアニメの原作本だった。快は一花に原作本を貸す約束をする。その夜、コンビニで買い物中の一花を家まで送ろうと亮が駆けつけると、たまたまそこに快もいて、亮は快が一花に本を貸すことを知る。「明日学校でね」と会釈して去ろうとする快を亮は呼び止めて…。

第4話
クリスマスや修学旅行が近づく中、一花は理緒たちと恋バナに花を咲かせていた。好きな男性のタイプを聞かれた一花は、亮のことを思い浮かべながら、亮と正反対のイメージを口にする。五月はその特徴が快にぴったり当てはまることを指摘するのだが…。一方、会社で一花に電話していた亮は、「一花さん」と下の名前で呼んでいることや、「好きです」と電話越しに告白したことを部下の女性に盗み聞きされてしまい…。

第5話
修学旅行で沖縄にやってきた一花と理緒たち。そこには、先輩の手伝いで同行することになった益田カメラマンの姿もあった。こっそり修学旅行中の写真を理緒から送ってもらった亮は、快のことを思い出し、心配になる。そんな時、会社の同期・松島有枝が落としたアニメのキーホルダーを拾ってあげた亮は、有枝から「会社では趣味のことを秘密にして欲しい」と頼まれて、優しい言葉をかけてあげるのだが…。

第6話
隠れオタクの同期・有枝は、アニメという共通の話題で、亮と話すようになり、少し距離が近づく。有枝は軽く肩がぶつかっただけでも、自分が亮を異性として意識し始めていることに気づき、意を決して、亮を同期の飲み会に誘う。一方、亮は、一花の家にお泊りをすることになった妹・理緒を一花宅まで車で送る。礼儀正しく、花束や菓子折りを一花の母・百合子にプレゼント亮を、百合子は家に上がるように誘うのだが…。

第7話
新刊発売日に「フォアワード・ワールド」の初回限定版を買いに来た快は、亮の姿を見て、とっさに避けようとする。亮についての理緒からの警告を思い出し、ひるみそうになりながらも、最後の一冊を買おうとした時、快と亮の手が重なる。その頃、別の店で無事新刊を手に入れた有枝は、一花と出会う。推しキャラが同じであることに二人は気づき、意気投合する。帰宅後、有枝は亮のことを考えながら、あることに気づく…。

第8話
バレンタインの朝、亮は飼い主を待つペットの如く、玄関前で正座して一花を待っていた。しかし、やってきた一花は、「数日色々考えて、結論が出ないまま、今日になってしまった」と吐露し、その手にチョコレートはなかった。その後、登校した一花は、理緒や五月たちに友チョコを配る。快のスマホには、一花から「昼休みに少し時間あるかな?」とのメッセージが届いていた…。一方、会社では有枝もチョコを用意していて…。

第9話
先日の告白の返事を伝えるために、土曜の昼に駅前で待ち合わせすることになった一花と快。そこに偶然通りかかった亮は、一花が最近悩んでいたのは、快から告白されたからだと知り、悔しがる。一方、有枝は、自分の気持ちを伝えるため、亮をディナーに誘う。有枝は、一花と亮が付き合えたとしても、年の差で二人が苦しむことになるかもしれないと忠告し、自分の手を亮の手に優しく重ねて…。

第10話
「片想いの相手がいても、自分を好きになってもらう努力をしたい」と健気に自分の想いを亮に伝えた有枝。亮は、世間から見れば有枝と付き合った方が現実的で、年の差のせいで一花が苦しむこともなくなるのではないかと気持ちが揺れる。しかし、珍しく亮から宅飲みに誘われた益田は、「覚悟もなく、自分のことしか考えていない。誠意ある行動をするべきだ」と亮を諭す。その頃、亮の父が久々に家に帰ってきて…。

第11話
春休みが終われば受験生になる一花たち。理緒が弁護士になるため法学部を志していることを知った一花は、自分の進路に悩み焦っていた。一花から、どうやって大学を決めたのかを聞かれた亮は、高校時代、父・善次に進路の件で叱られたことを思い出し、「親に敷かれたレールをただ辿っただけ」と自嘲気味に笑う。久々に家族全員で食卓を囲む亮だったが、一花に好意を寄せていることが善次にバレてしまい…。

第12話
お花見をしてから数日間、亮から電話がなく、不安でいっぱいの一花は、理緒に相談する。理緒は、一花から電話をすることを勧めるが、一花は戸惑うばかりだった。そんな一花に理緒は、好きかどうか、はっきりした態度を見せないと亮がかわいそうだと言う。なんとか勇気を絞り出した一花は、亮に電話をかけるのだが、亮は「仕事が忙しく、しばらく会うことも電話をすることもできない」とあからさまに距離を置こうとして…。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

この男の新たな扉は開かれた…「なに、いまの音!?」

この作品の原作は未読です。
視聴を1話みて決めようと思っていましたが気が付いたら完走していた作品です。


ある雨の日、駅で見知らぬ女子高生に助けられた
サラリーマンの天草亮は、
その女子高生が妹の親友・有馬一花だと知る。
女癖の悪い亮は一花に対し、 お礼にとキスやデートを提案するが、
「気持ち悪い」と一蹴されてしまう。

だが、それは亮の中の新たな扉を開いてしまい、彼女に狂信的な恋をする。
その日以来、直球すぎるアプローチと愛情表現を毎日のように繰り広げる亮。

それをひたすら気持ち悪がる一花は彼を容赦なく罵倒するが、
いつも愛情表現の裏返しとして 受け取られてしまう……。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

主人公の有馬一花ちゃんは17歳の女子高生。
そしてもう一人の主人公である天草亮は、一花の親友である理緒の兄で御年27歳。

確かに世の中には「年の差カップル」はたくさんいらっしゃると思います。
ですが、どのくらい年齢が離れたら年の差カップルに該当するかが分からなかったので、
「年の差カップル」「定義」でググってみました。

検索したら出てくるモノですね^^;

私が普段使っているGoogle先生によると「一般的に、年の差カップルの定義は「11~15歳以上」と言われています。
... 中には1歳~2歳でも年の差カップルと思っている人もいますし、5~10歳以上と考えている人もいます。
また、男女によって年の差カップルの定義は微妙に異なってきますので、自分たちが年の差あるなと思ったら年の差カップルであると考えていいのです。

だそうです。
一般的に11~15歳以上を年の差カップルというなら、一花と亮は年の差カップルにはならないのでは…!?
だって、10歳しか年の差がありませんし…

ですが、現実的に27歳の成人男性が17歳の女子高生に恋心を抱くかは正直微妙だと思います。
自分に置き換えて考えてみると、その可能性は限りなくゼロに近いかと…
まぁ、自分が27歳の頃は仕事に忙殺されており、女子高生との接点なんて微塵もありませんでしたけどね。

でも、27歳の成人男性と17歳の女子高生の関係って、犯罪の匂いがプンプンするのですが、両想いの場合も犯罪になるんでしょうか。

そんなことを考えながらインターネットを見ていたら興味深い記述を見つけました。
現在の民放では、男性が18歳、女性が16歳になったら結婚できると定められています。
これが2022年に民放改正によって、成人年齢が18歳に引き下げられると共に、男女の結婚最低年齢が18歳に統一されるそうです。

これまで未成年で結婚する場合には親の承諾が必要でしたが、18歳になれば親の同意なくても結婚できるようになるんだとか…
一般的に早婚すると生活の経済面に不安がありますが、一流企業の課長代理である亮にはそんな心配はいりませんよね。

ですが、17歳から見た27歳って頂の見えない山の様な印象があるのではないでしょうか。
上ってきた大人の階段の段数だって桁違いですし…
人としての余裕だって全然違うことでしょう。
だから釣り合いを考えてしまうのは仕方ないことなのかもしれません。

でも、だからこそ自分の気持ちに正直になって欲しいと思います。
「好き」という気持ちだけで事を急いてしまうと、きっと色々失敗します。
この気持ちには周りを見えなくする魔性の気持ちなんですから…

でも絶対に蔑ろにはして欲しくない気持ちだと思います。
その気持ちが、きっと自分の帰結する終着点になると思うので…
だから一花ちゃんには自分の気持ちと正直に向き合い、貫いてほしいと思います。

オープニングテーマは、ACE COLLECTIONさんによる「モノクロシティ」
エンディングテーマは、まるりとりゅうがさんによる「リナリア」

1クール全12話の物語でした。
原作も完結しているみたいなので、アニメもラストまで描き切ってくれていたのでしょう。
個人的にはここからの展開も見てみたい気もしましたけれど…
でも、しっかり堪能させて貰いました!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17
ネタバレ

すがさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

プライドよりも重要な気持ち

2021年春期の個人的ナンバーワンアニメ。

初回5分で視聴継続が決定できるようなインパクトがあり、展開を動かしつつも作風は一貫していて中だるみ等せず、最後まで次週を楽しみにできた良いラブコメだった。

{netabare}「男はプライドの生き物」と言われるように、男って基本的には自分のポリシーを曲げない厄介な種族なのだが、
稀に、他者から予想外の感銘を受けてしまい、これまで信じてきたことが覆ってしまう瞬間がある。

考え方が変われば世界の見え方も変わり、新しい世界を見せてくれた“運命の人(女性)”に拘泥する──なんてことは、
声優さんのSNS投稿に日々張り付く熱狂的ストーカー(ファン)や、Vtuberに高額スパチャして思いの丈をアピールしようとする限界オタクたちを見れば、
そんなに珍しい事例ではないのだと解る。

天草のアプローチにもそれらと同様の気持ち悪さがあるものの、
「イケメン(イケボ)で高身長で有能で女性慣れしている」という基盤がある上でするアプローチはやはりどこか違うものがあり、特有の“惨めさ”は何故か無くなってしまうのだからズルい。

比較対象?としては一花のクラスメイトである「多丸くん」というキャラが用意されており、彼もまた、顔が良くてスポーツもできて良い人なんだけど、
良い人なんだけど……なんだろう、すごーく高校生というか、奥手男子の情けない感じが絶妙に出てるんだよな。

ちなみに、「あの人遊んでるから止めといた方がいいよ」みたいな“忠告風分裂狙いアプローチ”は、
相手の気持ちに火を付ける要因になって逆効果になるみたいなので止めといた方がいいらしいです:)

あと、ラブコメ名物「主人公の恋愛にめっちゃ断定調で口出す親友」みたいなのって大体不快なんだけど、本作の益田は別に嫌じゃなかったな。

天草が正式に恋愛相談をして、益田が「は〜やれやれ、、、お 前 は 馬 鹿 か ! ?」みたいな形式を徹底していたのが良かった。

文章繋げるの下手すぎて箇条書きみたくなってきたけど最後!!
ED曲『リナリア』、良すぎてYouTubeで鬼リピートしている。
Bメロに入りそうなテンションでいきなりサビ行く感じがとても好き。

{netabare}【余談】※閲覧非推奨度5〔5段階評定〕
{netabare}イケメン陥落……私が実際に目撃したことがあるのは専門学生時代。

同学年に見るからに遊んでそうな「チャライケメン」がいたんだけど、
私と同クラスで“みちょぱ”みたいな喋り方をする魔性の「黒髪ギャル」と付き合い出してからは教室で膝枕とかされるようになってしまった。

個人的見解だが、「黒髪ギャル」の側は単にノリが良い人という印象で、
「チャライケメン」がただひたすらに甘え倒す、「黒髪ギャル」がそれに付き合ってカップルライフをそこそこ楽しんでいる、というような構図が見て取れた。

基本的に、人間関係というのは心の熱量に差異があると上手くいかないため、「黒髪ギャル」は数ヶ月で別の男に乗り換えたっぽい。

当時、私はそのさまを「まあ自業自得だよな〜」なんて思いながら冷ややかな目で見ていたのだが、今ならその「チャライケメン」側に同情できる気がする。

大人になっていくにつれて、何かとプライドを傷めつけられる環境が充実していく現代社会。
そんな中、「冷静な態度で構ってくれる女性」というのは、
自己同一性を守ることに必死になるあまり偏ってしまっていた自身の浅はかさを自覚させてくれる。

一花はその「黒髪ギャル」とは全然タイプは違うんだけど、
天草の気持ち悪い行動に対し、“嫌がる”というリアクションを一回一回ちゃんと取ってくれていたし、罵倒する時もしっかり顔を見て罵倒してくれていた。

何だかんだ言いながらも、自分を“赦してくれそう”な女性に依存してしまうのは、現代に生きる男の性なのかもしれない。{/netabare}{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17
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