感動で数学なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの感動で数学な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月04日の時点で一番の感動で数学なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.8 1 感動で数学なアニメランキング1位
一週間フレンズ。(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (2602)
14225人が棚に入れました
「私…トモダチの記憶、一週間で消えちゃうの──。」高校二年生の長谷祐樹は、人と一切関わろうとせずにいつも一人ぼっちでいたクラスメイト・藤宮香織の存在が気になり、彼女と友達になりたいと願う。しかし彼女の口から告げられたのは、大事な友達との記憶のみが一週間で消えてしまい、月曜日にすべてがリセットされてしまうという衝撃的な事実だった。しかし、それでも祐樹は香織と友達になりたいと願う。一週間の記憶を綴って、巡って、二人は友達になっていく。何度も、何度でも──。

声優・キャラクター
山谷祥生、雨宮天、細谷佳正、大久保瑠美、中原麻衣、間島淳司、浅沼晋太郎
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

とても繊細に描かれた、とある友達作りの軌跡

2014年の4月放送。
全12話。


【前置き】

スキマスイッチ初期のシングル「奏(かなで)」。
その曲がエンディングでカバーされると知ったことが、本作を視聴するきっかけでした。

当時から今も大好きな曲でしたので、カバーの雰囲気や作品自体が好みに合わないと、残念で歯痒くなることは間違いありません。
故に、録画するも6話ぐらいまで撮り溜めしてしまうぐらい、視聴する一歩を踏み出せませんでした。

今思えば、全くの杞憂でしたけどね。



【あらすじ】

高校一年生の長谷君が、いつも一人きりでいるクラスメイトの藤宮香織と仲良くなりたいと思い、勇気を出して、

『俺と、友達になって下さい。』

と、声をかけたところから始まります。

しかしその藤宮さんは、友達との記憶だけが一週間しか保たない症状を抱えていました…。



【論じてみる】
{netabare}
この記憶障害についてですが、現実的に考えてありえるかどうか…という見方は、本作においてはフィクションとして早々に受け入れた方が物語に集中出来ますね。
本作は、記憶障害を克服していくというストーリーではなく、その障害にもめげずに?、ただ純粋に相手へ抱いた気持ちを貫くストーリーですから。


高校生の男の子の視点で描かれる恋愛作品となるのですが、その内容は実に少女漫画らしい、いじらしさと甘酸っぱさに満ちていました。

作者の葉月抹茶さんは(2014年現在)23歳のまだ若い女性のようですが、恋に対し未成熟な高校生の男の子を描くのが非常に上手ですね。
作中の長谷君の葛藤は、いつか恋をしていた自分と重なる…という方も多いのではないでしょうか。

ただ…少々重なり過ぎるというか…。。。
気持ちには非常に共感するところもあるのですが、その気持ちが行動に出過ぎて自己中心的に成りがちで、周囲に迷惑をかけている点は好きになれませんでしたね。
男友達の桐生くんは、なんだかんだでそれを友達だからこそ受け入れてくれるわけですが、視聴者側としては少~し苛々する場面も…。
それぐらいの方が、リアリティはあるのかもしれませんけどね。


しかし長谷君の心を掴んだ、この【藤宮さん】の純真無垢さはたまりませんでしたね。
画のタッチも含めて、触れると割れてしまうシャボン玉を連想させるような、心から大切にしたいと思ってしまう女の子でした。

藤宮さんは、長谷君との交流を忘れてもすぐ一週間の記憶を埋められるよう、日記をつけていくことにしました。
やっと出来た友達を、ずっと大切にしたいという想いからですね。
裏表の全く無い藤宮さんの行動の一つ一つは、そういった感情がどれもストレートに描かれているので、見ていると応援したくなっちゃいます。

友達との交流にしても、障害ゆえにどうしても不慣れな面がある為、どこかズレてしまっているところも可愛いですしね。
個人的な卒倒ポイントは、第2話の初めてのカラオケで、いきなりマラカスを持ちだしたシーンですね。

藤宮さん「これって、使うものじゃないの?」

長谷くん「そーだけど、そーなんだけどっ! 今は…だいじょーーぶ…。。。」

藤宮さん「そうなんだ…、残念…。」

ニコニコと両手にマラカスを持ちながら、長谷君の言葉を聞きキョトンとする藤宮さんの表情は、今期の最萌ポイントだったかもしれません。



さて、長谷君の頑張りや周囲の協力もあり、少しずつクラスメイトと打ち解け、記憶のリセットにも少し変化が表れた頃…。
藤宮さんの小学時代の友達♂が登場し、そこで藤宮さんが

「この裏切り者」

と言われたところから、話は予期せぬ方向に進みます。

話の佳境であり、物語をまとめるにあたっても必要な場面展開だとは重々分かるのですが、やっぱり見るのは少々堪えましたね。
そして、長谷君に対し記憶を急に無くしたが故に、再び蔑んだ目を向けてしまう藤宮さんも…。
ホントは、誰よりも大切な相手なのにね…。


原作が連載中な状況で、それでも綺麗な着地点を見れた気はしましたが、それでも2人に大きな変化はありませんでした。
この記憶のリセットは、果たして永遠なのでしょうか…。

本作においては、ありきたりでもなんでも、藤宮さんが幸せになるハッピーエンドであって欲しいですね。
だからこそベタですが、藤宮さんが長谷君のことを、友達以上の存在と認識したことで変化する…、という終わりであると願ってやみません。
{/netabare}



【奏(かなで)について】
{netabare}
スキマスイッチの名曲を、藤宮さんの声を担当した『雨宮 天(あまみや そら)さん』がカバーされました。

若干20歳の若手でもあるので他の歌手のカバーと比べてしまうのは少々酷ですが、それでも作品のエンディングに相応しい綺麗な歌声で、私は何度も聴き込んでしまいました。
歌詞にしても、

「最後に何か君に伝えたくて、「さよなら」に変わる言葉を僕は探していた。」

のところなんて、まさに長谷君の気持ちを代弁しているかのような一節でしたしね。
(ただ、シングルに一緒に入っていた奏(長谷君ver)は、少々いただけなかったかなぁ…。)

映像としては、サビで挿入される藤宮さんの満面の笑みのシーンが、とにかく最高でした。
あれだけで御飯3杯イケます、はい。


あと、本作は奏のイメージが強いですが、オープニング曲「虹のかけら」(昆夏美さん)も、とても良い曲です。
琴浦さんのエンディング「希望の花」でもそうでしたが、作詞作曲をされた川嶋あいさんは、ホント良い歌を作りますね。

どちらも、『一週間フレンズ。』という作品には欠かせない楽曲だったと思います。
{/netabare}



【桐生君と沙希ちゃん】
{netabare}
作中の長谷君の行動には、少々やきもきとさせられることがあったのですが、この友達の桐生君がブッキラボーながら良いヤツで、良い世話役(ケツ叩き役)になっていましたね。
彼が長谷君に対しズバズバと言ってくれるからこそ、私は長谷君の行動にあまり苛々せずに済んだのかもしれません。
(どことなく声と喋り方にデジャヴを感じていましたが、調べたら刀語の鑢七花でしたね。)

当初は、その物事をストレートに言う性格からも藤宮さんとは隔たりがありましたが、日記を大切にしている藤宮さんを笑っていたクラスメイトに対し

「確かにこんなの見て一人で笑ってたら、気持ち悪いって思うかもな。

 だけど影で悪口言って、ゲタゲタ笑っているオマエらの顔もどうかと思うぜ。」

と言い放ったシーンは、格好良かったですね。
藤宮さんが一歩を踏み出す、きっかけにもなりましたし。


そんな世話役の桐生君が、どことなく手を貸してしまいがちの相手がもう一人。
それが藤宮さんの女友達、沙希ちゃんでした。

小柄な彼女は、記憶障害とは関係無く忘れっぽく間の抜けた性格をしていて、だからこそ藤宮さんのリセットも難無く受け入れてくれたのですが、それが原因で小学時代はイジメられていた経験も持っていました。
そんな彼女を実は桐生君は、以前からコッソリ世話を焼いていたんですね。
(当の本人は、桐生君の名前すら憶えていませんでしたが。)


あるきっかけで、その桐生君の手助けに気付いた沙希ちゃんは、桐生君を頼れるから旦那さんに…と言い、彼を怒らせて(照れさせて)しまいます。
ここから終盤にかけて、この2人の関係もメインの2人同様にギクシャクしちゃうのですが、最終話でこの2人が仲直りした時のシーンは、ハッキリ言ってメインの2人のシーンよりも涙腺に多大なダメージを与えられました。

「もし俺が嫌いとかなら…、こっちも今後話しかけないってことも出来るし…。」

なんて言っちゃう(ホントに出来るのか?)桐生君でしたが、そこで沙希ちゃんは涙し…こう言いました。


「違うもん…。嫌いだったら…こんな悩んでなんか…。

 桐生君なら旦那さんになってもらいたいって言った時、本当に怒ってる気がしたし…。

 先におかしくなったの…、桐生君だもん。

 上手く話したり出来なくなっちゃったのも、これ以上嫌われたくないって思ったからなのに…

 話しかけないことも出来るなんて、聞きたくなかったよぉ…。」


いつも呆けている沙希ちゃんのこの涙に、(珍しく)しっかり謝る桐生君でした。

沙希ちゃん「じゃあ、これからも頼りまくってもいいですか?」

桐生君「頼る気満々かよ…。いいけど、甘やかす気はないからな。」

沙希ちゃん「(満面の笑みで)ラジャーー!!」

ちょっと変わった2人のこの関係も、いつか良い方向に進むといいですね。
どちらも大好きなキャラクターでした。
{/netabare}



【総評】

本作は、シナリオ展開というよりは、藤宮さんを始めとした周囲の微笑ましい友達付き合いの描き方が、何より魅力的な作品でした。
加えて、この記憶のリセットが上手く噛み合い、抑揚の無い物語にもなっておらず、全12話中退屈に思ったことも一度もありませんでした。

ただ2期があるとすれば、この日常風景を再び描き続けるわけにもいかないかと思います。
この抑揚を次はどう動かすか…、日常にどう変化をもたらせていくか…。
ここの匙加減が、非常に難しいそうにも思えました。
主題歌にしても、奏を聴いた後にどの曲を持ってくるのかと…、中々のハードルになるかと思いますし。

原作はまだ続いているようなのでその内容次第かと思いますが。私としては難題な注文とは思いつつも、クオリティを下げることのない2期を願ってやみません。

いつか、満面の笑みを浮かべる藤宮さんや、頼り頼られの桐生君と沙希ちゃんに、再び会えますように。
(あと、ちょっぴり成長した長谷くんにもね。)


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


………あぁ、そうそう。
一つ本作の難点を上げるとすれば、私のような心が汚い人間には、この藤宮さんの純真無垢な立ち振舞を見ると、更に自身を卑下したくなってしまうかもしれませんので、そこは注意をば。

グヘヘ。


◆一番好きなキャラクター◆
『桐生 将吾』声 - 細谷佳正さん


◇一番可愛いキャラクター◇
(同率1位)
『藤宮 香織』声 - 雨宮天さん
『山岸 沙希』声 - 大久保瑠美さん

投稿 : 2024/06/01
♥ : 66
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

友達は歩いてこない。だから歩いてゆくんだね。1日1歩、3日で3歩。3歩進んで2歩下がる。

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
「友達との記憶が、1週間でリセットされる」女の子がヒロインの、純愛ストーリー。まあ、その愛が「恋愛」なのか「友愛」なのかは捉え方次第だけど、「純」であることは間違いありません。

作風に合わせた柔らかな絵柄、美しい音楽。とても素敵です。声優の雨宮天さんの、初めてのメインヒロイン作品としても、ファンならずとも必見だと思います。

後述しますが、実写映画観るよりは、アニメ観た方が良いと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
この作品が、なぜ「純愛」なのかというと、記憶がリセットされる=時間が巻き戻ることによって、「純粋」「純情」が持続されるからだ。

ヒロインの藤宮香織が、いつまでも天使のように振る舞うのに、あざとさや嫌みが出ないのは、この設定による。

それが恋愛であれバトルものであれ、物語である以上、進展や成長は必須である。もし、藤宮さんが記憶が消えないのに、あのような態度を取り続ければ、ただの気を持たせるだけの嫌な女である。

でも、一週間で記憶が消えるから、仕方ないと思うし、この状況に藤宮さん自身が苦しんでいるのだから、誰もそれ以上彼女を責める人間なんていない。

また、その状況を何とかしようとして奮闘する、長谷祐樹が良い。いじらしいよね、長谷くん。

まず、藤宮さんを気にかけるきっかけが、一目惚れっぽいのが、素晴らしい。ごちゃごちゃ理由つけるより、(外見が好きって方が)説得力がある。もちろん、それで終わらず、共に過ごす時間が長くなるにつれ、もっと深い理由で、彼女を愛おしく思っていくので、軽い感じはしない。

この場合、藤宮さんの記憶喪失の理由が、交通事故など、外的な要因だけではなく、ツラい過去のトラウマによる、内的な要因との複合的なことだから、「だったら治るかも」という希望があることがデカい。そうじゃなけりゃ、流石に心が折れる(長谷くんも、視聴者も)。やはり、人間にとって希望って大事だよな。

本作は基本的に、友達以上恋人未満のもどかしさを楽しみ、恋人以上どころか、友達以下になってしまう寂しさを味わうものだけれど、「1週間」「フレンズ(友達)」というのが絶妙だったと思う。

長谷くんが藤宮さんに異性として惚れているのは間違いないとして、それでも「恋人になろう」と言わないのには、2つの可能性があると思う(視聴者からすれば、「はよくっつけや!」なんだけどw)。

まずは、「1週間」という時間の短さがある。長谷くんにとっては出会ってからずいぶん経つけど、藤宮さんにとっては、(いくら日記を見ても、感覚的には)常に出会ってから1週間なのだから、それで恋人関係はムリだろうし、それやったら、藤宮さんの天使感が薄れる。ちょっと尻軽になってしまう。

この場合、長谷くん的には、「恋人に発展する奇跡を前提においた、友達」となる(実際に男女が友達になるとき、むしろこっちの方が多いとは思うけど。少なくとも、こんな可愛い子なら、高校生の男子だったら絶対に淡い期待、下心くらいあるでしょ)。

次に、「友達」に注目すると、「藤宮さんが本当に欲しいのは、彼氏じゃなくて友達」ということを、長谷くんが理解し、自分を抑えているということになる(正に、愛)。こっちの方が、長谷くんっぽいし、なにより物語としては美しい。

まあいずれにせよ、設定が良いということ。これが、「一ヶ月ガールフレンド」なら、それはそれで面白いとは思うけど(そういう作品は他にもあるしね)。

ラストは、原作未完の中で、よくまとめたと思う。いつも長谷くんからの一方通行だった「友達になってください」が、藤宮さんとの双方向の「友達になってください」に変わったのは、この作品らしい、ゆるやかな、でも、確かな「発展」「成長」で、感動的であった。勿論、いつの日かこの2人には、「恋人以上」になってほしい、いや、なるのだろうという視聴者の確信があるから、途中経過となるこのラストを、ニヤニヤと見守れるのだけれど。

と、基本的に絶賛なのだが、☆5にしきれなかったのは、前半に面白さのクライマックスが来て、中盤~後半が少しダレたのが大きい。

と、最後に難癖はつけているものの、良いアニメであることには、間違いない。今でも充分に、オススメできる。

ちなみに私も最近、1ヶ月前に見たアニメの記憶もほとんど残っていないんだけど、だからといって友達になってくれる人はいない(笑)
{/netabare}

【余談1 ~実写映画感想(映画ネタバレ)~】
{netabare}
映画とアニメの違いを一言で言うなら、

「アニメは友情。映画は恋愛」

だろうか。映画でも一応、「友達になってよ」は保っているものの、それはあくまで、「恋人の手前の友達」になってよ、である。

それはそれで、私は好きだった。

一番しっくりこないのが、映画の終わり方。

映画では、①「藤宮さんと長谷くんが友達になる」→②「藤宮さんと長谷くんは恋人直前までいく」→③「九条一登場」→④「藤宮さんは①②を完全に忘れてしまう」→⑤「九条一のことは完全に思いだし、忘れもしない」→⑥「長谷くんは、藤宮さんのことを思い、身を引く」→⑦「藤宮さんと九条一が付き合う」→⑧「2年半が経ち(劇中では省略)卒業式」→⑨「とあることで、藤宮さんが①②を思い出す」→「藤宮さんから、長谷くんに、友達になって下さい」

でEND。

もしこの作品が、「長谷くんは藤宮さんと、本当に友達になりたかっただけ」ならハッピーエンドなんだろうけど、映画では恋愛要素を押し出していただけに、長谷くんにとってはバッドエンドでしかない。

この映画、当時付き合っていた人と見に行ったが、映画を見たあとに上記の話をしたら、「自分もそう思うけど、だからといって長谷くんと付き合うのも違う」と言っていた。

つまり、(ラストシーンを卒業式にしたいがために)⑧を入れた関係で、「長谷くんとは半年の付き合い」「九条一とは2年半の付き合い」になっているから、ここで記憶を取り戻したからといって、九条と別れるのもダメでしょとのこと。

自分は完全に長谷くんに感情移入してたけど、相手は藤宮さんの目線で観ていたことが浮き彫りになって、面白いと思った。

同じ設定を使い、ほぼ同じストーリー、ラストシーンなのに、ちょっとした違いによってこうまで変わるかと、作品を作る難しさを感じた。とにかく、映画はオススメできません(苦笑)
{/netabare}


【余談2 ~このアニメが好きなら、マジで読まないで(苦笑)~】
{netabare}
なんか、アニメや原作好きな人からすげぇ嫌われそうだから、書くかは迷ったんだけど、、、昔、これとほぼ同じ設定のエロ本を読んだことがあります(笑)

以下、内容。

{netabare}
「かみちゅ!」や、今期の「A.I.C.O. Incarnation」のキャラデザをやっている、鳴子ハナハルさんの「明日のわたしにヨロシク」っていう話。

主人公とヒロインは、幼馴染み。でも、幼馴染みの女の子は、交通事故による後遺症で、記憶が1日でリセットされる。覚えているのは、事故以前の記憶だけであり、それ以外は、毎日書いている日記を読むことで記憶を補完する。

主人公と幼馴染みはある日、セッ○スをする。しかし、幼馴染みは、全然痛くないことに不思議がる。実は、主人公と幼馴染みはすでに10回以上している。

しかし、幼馴染みは、そのことをいつも日記には書かない。なぜなら、ようやく大好きな主人公と結ばれたのに、明日になれば忘れる事実が辛すぎて、書けないのだという。

では、なぜ主人公は幼馴染みとそんなにしているかというと、ただの性欲ではなく、「幼馴染みは記憶は毎回失うが、感度やテクは毎回向上しており、身体としては記憶が残っているため、これを繰り返していくことで、いつか頭の記憶も戻るのではないか」という、リハビリ的な観点から。主人公もツラいのである(でも全力でエロいことはするw)。

ある日、幼馴染みは、自分が主人公としていることを知る。それは、「実は、主人公は主人公で、幼馴染みとの日々を日記にしていて、その日記が、やってる最中に間違って幼馴染みのバッグに入ってしまった」から。んでヒロインから笑顔で、「明日のわたしにヨロシク」って言われる。
{/netabare}

っていう話。

この話が発表されたのが、2008年の1月であり、一週間フレンズが読み切り掲載されたのが2011年9月だから、鳴子ハナハルさんが話を寄せたってことはない。

とはいえ、葉月抹茶さんは女性漫画だから、鳴子さんをパクったて可能性も薄いだろうし。

つまりはまあ、「記憶喪失」「日記」なんてのは、古典的でよくある設定ってことで、それをここまで面白い話にしている、葉月抹茶が凄いって話です(無理矢理にまとめてみました笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

くそうくそう!・・・長谷くんを羨んでも仕方ないのだけれど、僕はそっと壁を殴った。

1週間フレンズ。

主人公が女々しいのが気になったけど、ああいう人柄と 真っ直ぐな性格だから藤宮さんと友だちになれたんだよね
 作品の絵柄とアニメでの色づかいの優しさがマッチしてて良いと思います。録画保存決定のいい作品だけど、何度も見返すと本気で藤宮さんに惚れてしまいそうで少し怖い

…久しぶりに、ってか初めてかもしれない。主人公に対してこんなに嫉妬心が芽生えたの。それほどに藤宮さんは可愛い!あにこれでもサムネにしてる方がちらほらいますよね。皆さんも同じく藤宮さんに魅了されたのでしょう。わかります!すごい可愛いもん。おそらく春アニメNo.1ヒロインです。いや、すでに2014年度MVPといってもいいかも?

そりゃね、桐生くんに女々しいって言われるくらい 長谷くんが嫉妬しちゃう気持ちもよくわかりますよ。
藤宮さんは見た目が可愛くて、でも中身はそれ以上に可愛らしくて本当にいい子で、穢れを知らないその純粋さはもう…まさに天使!
独占したくなるのはしょうがないと思います、ええ。
また、演じる雨宮さんの声が透き通るようにとても綺麗で、キャラクターにマッチしてるのも藤宮さんの魅力増大の大きな一因でしょう!
初めに雨宮さんの名前を知ったときは「美人すぎる声優」みたいなキャッチで、またそういう系の売り出しか…と思いましたが、本作を見て 彼女はしっかり実力が伴っているなと思いました。香織の日記とてもよかったし、EDの奏も良かったし。この曲はもともとスキマが歌ってるオリジナルから好きな曲でした。が、そういう場合って聞き慣れているのも含め、オリジナルのほうが断然良く感じることが多くないですか?
でも、藤宮さんver.は初めて聞いた瞬間に気に入ったんです!
アニメの終わりからEDへの入りの良さもあったんだろうけど、雨宮さんの声質とスキマの作る曲が合っているのかな?
 でもバラード系が合うタイプかと思ったら、夏アニメのアカメで歌ってるOPはめちゃカッコいいロックじゃないか!?こちらもCMで流れていたのを聞いて一聞惚れでした!最初聞いたときはLiSAかと思ったけど。
歌はバラードもロックもいける、演技もいい、そして可愛い…個人的期待の新人声優3人のうちのひとりです

いけない、話が逸れちゃった

藤宮さんがNo.1だと思うワケ
 ほかの作品でも、いやその前にこの作品内でも可愛らしいキャラはたくさん登場する。しかし、なにより藤宮さんが作品のヒロインであり、描かれる時間が圧倒的に多い。だからより魅力が伝わって好きになる。
それは 接した時間だけ、重ねた日々だけ、人と人が親密になっていくことと何ら変わりはない。
同じ1クールであっても、ラブライブならキャラそれぞれを描くため9分割されるところが、一週間フレンズはほぼ藤宮さんなのだ。さきちゃんも出るし、さきちゃんの友達もかわいいけど、やっぱり藤宮さんなのだ。見れば見るほど苦しいくらい好きになる、それが藤宮さんなのだ。



以下、それこそ日記のような感想

「新しい友達」{netabare}
さきちゃんと放課後遊ぶ藤宮さんの姿は微笑ましかった。
アニメに男は出てこなくていいとか言ってる人、前は理解不能だったけど5話を観てなんとなくわかった気がする。
そういうタイプの人は百合が好きって訳じゃなくて、めちゃくちゃ可愛いヒロインが主人公とくっついてくのに嫉妬しちゃうんじゃないのかなと。女の子同士で仲良くしてる姿なら微笑ましいだけで終わるから変にモヤモヤしなくていいわけだし。
まあ、それでも長谷くんはさきちゃんに嫉妬してたけど(笑)
 ラストを見て、藤宮さんがクラスの皆にも理解されていけばいいなーと真に願いました。教室で笑顔を見せたシーンは君に届けを思い出しましたよ。爽子といい藤宮さんといい、私はああいう健気で純粋な女の子に弱いみたいです。いや、男なら誰もがそうであるはず…!
風早くんも爽子のことを独占したがってたし
2人とも
おれが守りたい、誰にも渡したくないと思わせるタイプの女の子ですね
でも、あんな笑顔見せられたらみんな藤宮さんを好きになっちゃうって!!ピンチだよ長谷くん、クラスの男子みんな見惚れてたぞ!
そりゃ普段クールすぎておっかない印象のキレイ系女子が
あんなに素敵で可愛い笑顔見せた日にゃ……ねえ?{/netabare}


6話{netabare}
雨宮さんのお母さんが可愛すぎる!あかんでしょ!ファンタジスタドール、ラブライブなんかもそうだけどお母さんが可愛すぎるのはよくないよ、ヒロインの座が危うくなっちゃって。声も中原さんという圧倒的ヒロイン性だったし。藤宮香織でなければ喰われていてもおかしくなかった。
いや、藤宮家のお父さんは超絶勝ち組ですわ。でも、あんな可愛い良い娘がいつかはお嫁に行ってしまうとか…メンタル強くないと耐えられない{/netabare}

夏休み
{netabare} 藤宮さんには白が似合う。夏でも冬でも白が似合う。なぜか?彼女が色白だから?それだけではない。彼女は心も真っ白で純真、だから白が似合うのさ。
 個人的なおすすめポイントはプリクラを撮るところです。
ポーズをとる前のきょとんとした藤宮さんが可愛すぎて可愛すぎて、その場面だけ繰り返し5分くらい見てしまいました。画像があったら待ち受けにしたいレベルです。{/netabare}


チジョウノモツレ、なおみの策略{netabare}
「女って最低だな…」
香月くんがこの過去話を聞いたら間違いなくそう言うでしょう。
春アニメを観て、あらためて思い知らされましたよ…しょうがくせーであれ、中学生であれ女子は!もはや女なのだと...!!

前は
いい年した女が集まって女子会ってなんやねん!とか思ってたけど、けっきょく年や呼び方なんて関係ない…女子と女
そこに大差はないわけですよ、きっと。気分はいつまでもオンナノコ、だけど小さな頃からオンナはオンナ

現実はそんな世界で、囲みとか最低のように感じられるけど むしろよくあることで…だからこそ藤宮さんのような理想を!天使を!!…人は救いとして求めているのでしょう。アニメや漫画で聖人君子に近いような素敵な人が多いそのわけは、人々が心の底でそういう人間を求め、こういう人がいてほしいと願っているから。
そう考えると、清らかな教えを守ろうと努める宗教の信者もなんだか身近に思えてきます。…ン、ナニイッテルンダロウ?オレ {/netabare}

長谷くんの青い選択と藤宮さんの戸惑い{netabare}
 傷つけたくない、壊したくない、でも望まずともいつかそうしてしまうかもしれない、それが怖い、だから近づかないようにする。長谷くんがそうしたくなる気持ち、よくわかる。けど、その傷つけたくないって優しい気持ちが 実は相手を傷つけてしまっていた…そういうことってけっこうありますよね。
何もないときはがむしゃらに向かっていけるけど、一度何かを得てしまうとその何かを失うことが怖くなって足がすくんでしまう・・・。

11話の後半から
バカっ!それは違うだろ、長谷のバカー!!なに藤宮さんに悲しい顔させてんだよ!!と思ってた(ってかTVの前で叫んでた)けど
最後にようやく気づいてくれてね、藤宮さん泣かせちゃって自分の過ちに気づいて本音ぶちまけて。その後の藤宮さんの笑顔見ました?涙まじりだけどとてもとても素敵な笑顔で、私は思わずお外に走りに行きたくなりました。
神社に行く前から、もっと話したい 一緒にいたいって気持ちがお互い見え見えだったし。まだお別れしたくないなあってあの感じが初々しくて・・・ああ、もうホントによかったね!!!いつの間にか自分も
クラスメイトたちのように二人の仲を心配する心境になっていました

最終話はサブタイの「友達になってください。」で展開が想像できて その時点でうるっときたけど、やっぱりラストは感涙必至でした。友達になってくださいで物語が始まり、同じセリフで締める。しかも最後はお互いに言うと・・・素晴らしいじゃないですか!今期視聴したアニメだとごちうさとツートップでセンスある終わり方だったと思います。
{/netabare}

最後に
藤宮さんのような女の子がこの世に存在することを願って・・・

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19

88.1 2 感動で数学なアニメランキング2位
サマーウォーズ(アニメ映画)

2009年8月1日
★★★★☆ 4.0 (4182)
21256人が棚に入れました
世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界、OZ(オズ)。そのメンテナンスのアルバイトをしている高校生の健二は、憧れの夏希先輩から田舎に行くというアルバイトを頼まれる。気楽に応じた健二だったが、実は夏希の本家とは武家の血筋を受け継ぐ旧家、陣内家であり、曾祖母である烈女・栄のために夏希のフィアンセのふりをするというアルバイトだったのだ。さいわい栄は健二を認め、芝居は平穏のうちに終わるかに見えたが、その夜健二はケータイに届いた謎の数式を、数学の問題と考えて解いてしまう。しかしそれは、OZ世界を崩壊させ、現実世界をも混乱させる大事件の幕開けだった。

声優・キャラクター
神木隆之介、桜庭ななみ、谷村美月、仲里依紗、斎藤歩、富司純子
ネタバレ

◎TARGET さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

【残念賞】ストーリー構成が雑すぎて冷めた

❏総評

細田守監督作品。
前作の「時をかける少女」が面白かったので見てみたけど
う~んちょっと物足りなかった。何かイマイチだった。



❏作品テーマについて

テーマは以下の2つ
「コンピュータに依存しすぎる社会への警告」
「(大)家族の絆、人の絆」

そしてこの2つのテーマを交差させたものが、この物語の骨組み。
コンピュータに依存した社会で問題が発生したけど、
家族の絆、人の絆があれば乗り越えられるんだ。涙。(←でなかったけどw)

テーマと骨組みは別に悪くない。いくらでも面白くできそうなテーマだ。



❏何故イマイチだったのか?

・2つの作品テーマを結びつけて、物語を収束に導くために不合理で必然性がない設定を多用しすぎ

・問題を解決したのは「家族の絆」ではなく「個人のスキル」の度合いが強いのに、
 映画は「家族の絆」で解決したような印象操作をしている

上記の2点により冷めてしまった。

一旦冷めた気持ちは温まることなくラストまで継続。


以下、具体的にネタバレ込みでダメなとこ書きますね
{netabare}


1. OZシステムにリアリティがない。

 これは技術的にハードルが高すぎて現実的に不可能という意味ではない。
 仮に技術的に可能だとしても、このようなシステムを多くの人が利用し、
 ここまで人々の社会の隅々にまで入り込むはずがないという意味だ。

 ツッコミどころはたくさんある。

 ・仮想世界に店舗を出すメリット、必要性が見いだせない
  (アバターがアバターの服を買うなど仮想世界内だけで完結するものは別として)

 ・社会インフラと仮想世界がつながるメリット、必要性が見いだせない。
  しかも、OZシステムがハッキングされただけでこの大騒ぎって、どんだけ脆弱なのかw
  普通はセキュアなシステムとは外の世界と繋がらないようにするものだ。
  だからこんなこと100%ありえないと感じてしまう。

 ・AIはゲームをしたいんだみたいな感じだったが、
  何故AIはそう思うのか?米国政府が興味を持つようなものがそんなんでいいのか?

 ・AIがアバターとして視覚的な存在になって、
  戦闘行為とかするのは非効率じゃないのか。(AIさん遊びたかったの?)

 ・アカウント乗っ取るとAIの戦闘力が増す意味がわからん、ハッキング技術があるなら
  数値調整すりゃいいじゃんw

 ・衛星落とすのになんでAIさん2時間くれたの?そのまま落とせよw


 設定担当の人にITリテラシーが無いか勉強不足なのかもしれないし、
 視聴者はITリテラシーが無いという前提で、わかりやすくするためにこのような表現になったのかもしれない。
 いずれにせよ、もうちょい煮詰めて欲しかった。



2. 家族の絆のおかげで問題が解決したのか?

 映画では一生懸命そういう風に見せようとしてますが、
 問題を解決したのは結局のところ「個人のスキル」です。

 AIと戦闘できたのも、池沢佳主馬の「スキル」だし
 AIに花札で勝てたのも、篠原夏希の「スキル」だし
 最後に暗号解いたのも、小磯健二の「スキル」だし
 AIを制御できたのも、陣内侘助の「スキル」なのだ

 ちなみにAI作ったのが陣内侘助ってのもOZシステムに負けず劣らず都合が良すぎで閉口。

 栄婆ちゃんが、色んな人たちに電話かけてがんばってたり、
 陣内家の男性陣が、仮想世界内でアバターでちょびっと助けてくれたりして、
 家族が最後一つになって雰囲気はよくなってたけど、
 問題を収束させる役にたったのかというと残念ながらほど遠いw

 花札のシーンで世界の人が協力してくれたのは唯一スキルではなく「絆」が
 役に立ったシーンですが、設定に必然性がなく冷めながら見てたので
 ここも感動が薄まった。

 このシーンを活かすには、
 例えばもっと前の場面で非協力的だった傍観者を伏線として描いておいて、
 そしてラストのここにきてようやくなんらかのきっかけで協力させるとかしないと薄いです。
 唐突すぎて「あ、助けてくれてありがとう。ややジーンとした」レベルwです。


 映画製作者は
 家族が一つになって問題解決したよーやった!→感動
 って方向に持ってきたいのに、

 こちらはスキルで解決しただけじゃん って思ってるので
 正直終始興醒め状態ですw

 スキルを身につけるのに血の滲むような努力をして、
 最後、それでAIを倒すのなら感動できるでしょうが、
 スキルで解決しても「すごいじゃん」って一人ぐらい若い子が言うだけで
 大家族の殆どはスキルの凄さを誰も認知していない。

 なんかこのレビュー書いてて段々腹が立ってきたw

{/netabare}



❏ささやかなフォローをしてみる

物語の進行中にいちいち設定で冷めながら見てましたが、
人物の表情や心理描や声優さんの演技に救われて、
他の面に関しては楽しく見れた。

なので上記でダメ出しは多いけど、時間の無駄とかにはならなかった。

さらに言うと設定の部分や絆の描き方に何ら疑問を持たずに見れたラッキーな人に
とっては素晴らしい作品だったのではないかと思う。


❏世間一般の評価

・観客動員数123万人
・Blu-ray Discは初登場5.4万枚の売上げで週間ランキング1位
・初動記録としては当時のアニメ作品歴代1位
・BD総合歴代2位
・同日発売のDVDも総合ランキングで初登場5.5万枚で1位
・同一アニメ作品のDVD・BD両メディアダブル首位
・シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門 (Gertie Award) 最優秀長編作品賞(第42回)
・日本SF大会星雲賞メディア部門(第41回)
・『金曜ロードショー』での地上波初放送視聴率は関東地区で13.1%
・『金曜ロードSHOW!』2回目の地上波放送。視聴率は前回を上回る14.1%

↑自分の感覚との違いにびっくり。
 何でここまでの評価と実績があるのか疑問。
 作品のプロモーションにお金かけたから売れただけなのでは?と疑念を払えないw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

夏の清涼感たっぷりの作品です

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


 初見でした。
 時をかける少女と同じ監督の作品とのことですが、随分違う描き方をしていたので驚きました。あまりフラグや考察ポイントを作らずに、ストーリーとテンポでぐいぐいと引っ張っていくような作品です。時をかける少女よりはより子供向けを目指していたのだと思われます。顔が赤くなる、鼻血が出るなどアニメ独特の表現をふんだんに取り入れているため、荒唐無稽とも思える設定(設備とか才能とか)も許せてしまうようになっています。面白かったです。鬱になるシーンもないのでまだ見ていない方はぜひとも気軽な気持ちでご覧になるといいでしょう。

テーマ:
 人とのつながりでしょう。家族との対面でのつながりを描いたのちに、黒電話によるアナログ感たっぷりの人とのつながり、ネットによる架空での人とのつながり。話が大きくなるにつれてつながりの質も規模も変化していくところは本作における見どころのひとつになっていたと思います。
 主人公におけるつながりの表現も良かったです。一人で食事をし、友達も一人しか登場しない主人公。最初に、訳も分からずにおばあちゃんに認められます。そして、ある人を「よろしくお願い」されることになります。最後に、とある家族とつながりを持つようになりました。ストーリー展開の規模に比べて随分小さなステップですが、確実に踏み越えていくこの描写は、夏の背景と合わさって清涼感たっぷりのエンディングを迎えさせてくれました。


疑問点・不満点:
{netabare}
①探査機の名前
 探査機のモデルは明らかですが、名前はオリジナルですよね?探査機のニュースは随所に出てきますが、襲われることには唐突な感じを受けてしまいました。探査機の名前が、過去のいくさや野球の対戦相手、地名などと同じであったり模してあったりすると襲われることも腑に落ちたかな、と思いました。裏設定があるのでしょうか?それとも見落としたかな?

②探査機のターゲット
 ターゲットが犬なのか家なのか、どちらか分かりませんでしたが、「なぜここに!?」というのはありましたよね。まぁ敵と認識したところに落としただけなのでしょうが説明不足な感じもありました。
 ①と関連するのですが、探査機の名前か犬の名前でこの違和感を解消して欲しかったです。おばあちゃんと犬のエピソードを入れてその中でフラグを立てておくのも良かったでしょう。犬の名前は作中で出ていましたが、確かほとんど意味のない名前だったように記憶しています。いずれにせよ、当然ここに落ちてくる、と視聴者が気構えておけるような理由付けをして欲しかったです。

③花札
 最後の花札のシーン、決め札がはっきりとは確認できませんでした。バトルの締めのシーンなので、決め札を「思い出の札」にすべきだったと思います。視聴後に確認したところ、雨四光に桜を加えた五光でした。つまり決め札は桜。ここだけはやや強い不満があります。サマーとタイトルが付いた作品で、桜で締めでは納得しがたいものがあります。名シーンであるだけに心残りとなってしまいました。

 では、決め札は何にすべきだったのか。花札には種類ごとに月が決まっています。五光に限っていいますと、松に鶴は1月、桜に幕は3月、ススキに月は8月、柳に道風は11月、桐に鳳凰は12月です。夏に対応する五光はありません(8月は秋です)。適当な候補がないんですよね。

 ということでストーリー上に五光のどれかにふさわしいシンボルを用意しておくべきだったのでしょう。ここで注目すべきは家族の象徴である鳥型の家紋です。家紋はおばあちゃんの背中で強烈に印象付けられるのですが、その後使われたのは敵を閉じ込めるシーンだけです。家族の象徴なのにこれだけなんてもったいないように思えます。
 鳥を模した家紋なので決め札は鶴が妥当でしょう。作中の家紋の鳥(おそらく鶴ではない)を鶴に改編して、家紋の鶴の札で勝った(=家族の力で勝った)、という結末のほうがスッキリしました。このためのフラグとして、2回ある対人戦ではいずれも鶴の札で勝利させてあげるべきでしょう。おばあちゃんに鶴の札に関する思い出を語らせるのも良と思います。おばあちゃんは家紋と同じだから鶴の札が好き、ワビスケはおばあちゃんの好きな札だから鶴の札が好き。こうすることでワビスケからおばあちゃんへの愛情にも重みが増すと思われます。作中では手をつないでいるシーンくらいしか直接的な表現はありませんから。
 作中の家紋自体は実在のものを使っている可能性もありますが、前述したようにアニメらしく作っている作品です。山に船を運んでしまうくらいですから、鶴をモチーフに創作したオリジナルの家紋でも良かったのではないでしょうか。

 一度敗れた敵に、仲間とのきずなでリベンジする、という技法は少年漫画で散見されるものですが、この作品に採用しても上手く機能したと思えるのです。もっとテーマを露骨に表現して欲しかったです。
{/netabare}
 この3点を解消するだけで、物語の説得性と厚みが増すと思うのですが、いかがでしょうか。
 とはいえ、気になった程度であり、作品をダメにしているのでは決してありません。アニメ表現を利用したご都合主義を採用しているのですから、とことんやってしまえ、と思った次第です。現状でも十分な名作であることは間違いありません。

対象年齢:
 ただ見るだけなら小学校低学年くらいからでも大丈夫だとは思いますが、理解することを条件とするなら小学校の高学年くらいからでしょう。家族ものですのでそれ以上の年齢であればどなたでもご覧になれます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

7月と言えばサマーウォーズ。見る度に評価があがります。

 7月なのでサマーウォーズです。夏になると見たいアニメが沢山ありますが、その筆頭ですね。多分公開された翌年くらいから毎年見ている気がします。
 21年と22年の夏にレビューして、追記もありました。ごちゃごちゃになるのでまとめます。もう10回以上再視聴しているので、評価はオール5にしておきます。

 この映画の特徴はビジュアルの良さでしょう。バーチャル空間の見せ方と田舎の古きよき旧家の対比。クーラーの無い部屋で食事をする様子。扇風機やスイカなどなど。子供が走り回ったり、皆で風呂に入ったり。スダレとか縁側とか。それだけで見る価値があるくらい素晴らしい画面です。

 本作はバーチャル空間の描写が話題でした。また、その中で独自のアルゴリズムによって「悪意」を巻き散らかすプログラムが敵なので、あたかもそこにテーマ性があるように感じるかもしれませんが、それは舞台でしかないと思います。
 あまりバーチャル空間とAIにテーマ性を求めると矛盾もあるでしょうし、テーマも浅く感じると思います。
 あくまで「家族」が戦う物語の敵役として、人間ではない敵を用意した、という感じでしょう。侘助=ラブマシーンに見えてしまいますが、ミスディレクションです。ビジュアルが凄すぎるのでそっちに視点がどうしても向きますけど。

 本作で一番の見どころは、家族と言えば家族なんですけど、統一された意思の元で「自分の役割を果たす」というところだと思います。あのイヤな警官ですら自分の役割を自覚していました。

 そしてなんといってもこの映画の良さは、解決に沢山の人が寄与する、ということです。
 主人公が1人でなんとかするではなく、家族みんながハイスペックPCを用意する、VR格闘技で戦う少年とその師匠、氷をもってくる、電源の船を持ってくる。女たちはバーチャルではなく、現実で奮闘しています。葬式の準備やご飯の支度、甲子園の応援などなど。
 それがおばあちゃんの死後でも、ちゃんと機能しているところが素晴らしかったと思います。おばあちゃんの遺志を継ぐのは恐らく夏希で健二がサポートするのかなあと、キービジュアルを見ると想像してしまいます。

 そして、満を持してヒロインも戦います。これも力を合わせると言うところにつながっていきました。ここは今見ても恥ずかしいご都合主義ですけど。夏希も戦いに参加するにはここしかなかったんでしょう。ここにメッセージ性を求めるのは牽強付会かなあという気がします。
 映画としては、その後の健二の活躍があるので、それほど気にならないと思います。

 夏希が健二を田舎に連れ出す時、2人の候補者の中から健二を選んだシーンは見せてないですよね。これは夏希が迷ったフリをしながら健二になるような作為があったのだと考えられます。
 もともと叔父の侘助に似たところを健二に見ていたのかなあ、という想像ができます。
 人を見る目があるおばあちゃんが健二に夏希を託したところで、健二も家族になったととることができるでしょう。だから、最後は力を合わせて戦うシーンにつながったのでしょう。

 この映画の難点は、夏希の内面描写かなあと思っていましたが、今年見て気が付いたのは、健二の視点の映画なので、夏希の内面が分かるとつまらないですよね。健二への気持ちが本当はどうなの?というところとか、侘助への態度に嫉妬してしまうとか。
 声優さんの演技が棒という批判もあるみたいですけど、この子の不思議な感じによく合っていた気がします。と言ってももうサマーウォーズと言えばこの演技なので、気にもなりません。

 いろいろ批判も出来なくはないでしょう。バーチャル空間やAIに絡んで、いろいろ批判も見かけますが、上述の通りそれは舞台であり、エンタメとしての華やかさです。ド田舎の大家族という「点」と世界と言う広がりが同じ場所にある、という対比はある気がします。

 何より、批判するのが無粋な映画の筆頭かなあと思います。本作は話のつながりと、構成・演出が良すぎて、スーッと通り過ぎてしまいます。それだけエンタメとして出来がいいということでしょう。
 夏にみるのに、爽やかで面白く、感動もできる名作だと思っています。

 細田守氏の映画では一番好きな映画です。脚本や企画が本人じゃないし、今よりも案件臭が無いし、我儘もきかない立場だったころだから奇跡的に素晴らしいバランスの映画が生まれたのかなあなどと想像します。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
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