戦闘でSFなアニメOVAランキング 4

あにこれの全ユーザーがアニメOVAの戦闘でSFな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月05日の時点で一番の戦闘でSFなアニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

82.6 1 戦闘でSFなアニメランキング1位
トップをねらえ!(OVA)

1988年10月7日
★★★★☆ 4.0 (778)
3410人が棚に入れました
人類が宇宙に進出するようになった時代、地球は宇宙生物群(通称・宇宙怪獣 (STMC))による激しい攻撃を受けていた。その脅威に打ち勝つため、地球はマシーン兵器の後継機であるバスターマシン「ガンバスター」を製造。その搭乗員に選ばれたトップ部隊隊員の一人であるタカヤ・ノリコの双肩に人類の未来がかかる。

声優・キャラクター
日髙のり子、佐久間レイ、川村万梨阿、若本規夫、渕崎ゆり子
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

軽いかと思ったら重かった!

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。全六話のSFロボットもの。
 ワクワクさせてくれる非常に面白い作品でした。熱血ロボットものに見えるのですが、主題自体は熱血とはかけ離れたところにあるようです。物語の展開の仕方自体が特殊なので、王道とも言い切れないように思います。第一話は、「エースをねらえ」を基礎としたスポ根ものとして始まるのですが、後半になるとガラッと様相を変えてきていました。
 最終話を見てから、第一話を思い返すと、「こんな話だったっけ?」というような違和感みたいなものを感じてしまうでしょう。一言で言えば、話を徐々にスライドさせていく構成力の上手さなんですが、時間の概念を使っているところにこの作品の特殊性があるのだと思います。

 一気に見ても面白いのですが、個人的には各話ごとに何が描かれていたのかを丁寧に整理したほうが良いように思えます。各話でどんな要素が発生し、何が消されていったのかを見ていくと、この作品の方向性が熱血ものとは違うところにあることが実感できると思います。
 少しずつ変化していくSFの部分と、変わらないアナログ的な部分も非常に面白いので、注目してみてください。

 ロボットやSFの部分を説明できるほどの知識はないので、以下のレビューでは構成と人物に関することだけ書いていきます。


風呂敷の広げ方と畳み方:{netabare}
 この作品は、風呂敷の広げ方とその畳み方が異常に上手いです。
 第一話は、カズミの天才性を否定した上で、ノリコが努力の末に必殺技を会得し、それをもってライバルを倒す、というように綺麗にまとまっています。これは、「努力の大切さ」を軸としたスポ根ものの構造です。
 当初の「努力の大切さ」は、校庭50周や鉄下駄での階段のぼりという肉体的かつ精神的な根性を含んだものとして描かれています。これは、「人間における努力」です。しかし、第一話の後半では、「ロボットにおける努力」へとすり替えられています。ロボットがボクサーさながらに砂浜をトレーニングする姿などがそれです。このすり替えのフラグ自体は、冒頭から描かれている「ロボットの擬人化」にあります。つまり、「人間が努力すればロボットが強くなる」わけですが、「ロボットが擬人化されている」ために、「ロボットが努力すれば良い」となるわけです。ロボットが強くなる様を描いておけば、その裏にある人間の努力を描く必要がない、ということです。スポ根ものとして始まったものをロボ根ものにシフトさせているわけです。

 第二話では、必殺技を使ってくる天才型のライバル、ユングが登場します。スポ根ものを軸としてこの作品を描くのであれば、ノリコ達は、新たな必殺技を努力により会得し、ユングを撃破しなければいけません。ですが、ユングとの決着がつかないばかりか、ユングのライバル属性すら早々に消されます。さらには、第一話で否定した「天才」ゆえの強さを許容してしまっています。
 つまり、第一話では、スポ根ものを意図的にロボ根ものに仕立てておきながら、第二話ではそのロボ根ものを続けること自体を否定しているわけです。風呂敷のたたみ方が非常に速い。
 第三話ではさらに速くなります。オープニングで「男と女のラブゲーム」というカラオケが始まり、実際にノリコとスミスの恋愛が描かれますが、第四話を待たずにこの方向性も否定されます。つまり、恋愛ものへの展開が否定されているわけです。

 第一話で広げた風呂敷を、第二話で早々に畳み、第三話では新たな風呂敷を広げてかつ畳んでいるのが分かります。この流れで第四話に描かれているのは、第一話のやり直しです。

 第四話の冒頭では、仲間から陰口を叩かれるノリコ、ノリコの努力、ライバル(ユング)との戦いまでが短時間に描かれています。この流れは、第一話の流れを圧縮したものです。第一話も第四話も、ノリコが精神的に未熟なところからスタートしていることすら共通しています。ロボットの擬人化のシーンが再度描かれているのも特徴的です。作中内リメイクのようなものです。
 異なるのは、ライバルと戦えなかったことです。戦えなかった理由は、直接的にはノリコのトラウマなのですが、物語の構造上は、ユングがノリコのライバルではなかったからだと思います。カズミはユングに「ノリコをどうしたいの?」と問い詰め、ユングはそれに対して「別に」と答えています。これはライバルでないユングを乗り越えたところで、ノリコの成長は望めないという意味が込められているのでしょう。ノリコの望みは、パイロットになることから乖離し、父やスミスの仇である敵を倒し、カズミに並べるような存在になることへとシフトが完了しています。

 そして、ノリコはガンバスターに乗って、敵を倒しました。最強と称されるガンバスターは強さの象徴ですから、これを手に入れたノリコは、努力とは無縁の存在となります。第一話で提示されたロジックが逆方向から用いられ、「ガンバスターは強い」から「ノリコは強い」と言い換えられるわけです。強くなるためには努力が必要ですが、強くなってしまうと努力の必要性がなくなってしまうのです。これ以後、ノリコが努力をするシーンは出てこなくなります。

 以降で描かれるのは、第一話から第四話までの話とは全く違う話です。第四話は、第一話をリメイクする形で目的の全てを達成していますから、一般的な作品であれば最終回と同等のポジションに位置しています。一方で、第五話と最終話では、ノリコのポジションは強いものとして固定されています。この概念にカズミが到達するまでの物語となります。
{/netabare}

ノリコとカズミ:{netabare}
 ノリコの対比先はカズミです。ノリコとカズミの精神的な強さの差が、二人の時間の乖離の中で表現されています。

 ノリコは、先輩であるカズミを「お姉さま」と読んでいます。ノリコとカズミは、第二話で他の乗組員と6ヶ月のズレが生じますが、ノリコとカズミの間にズレは生じていません。このノリコがカズミを「お姉さま」と見る関係性は、ノリコが第四話で敵を倒すまで継続されます。

 第五話の冒頭で、地球との10年の乖離が語られます。ここでも二人は同時にズレていますから、「お姉さま」であることは変わらないはずでした。しかし、ここで描かれているのは年齢差があるはずの二人に同時に訪れた「卒業式」です。二人が同時に卒業を迎えることで、トラウマを克服し戦えるようになったノリコが、カズミと同等の位置まで到達しているということが表現されています。正確に言うならば、ガンバスターを手に入れたノリコは、カズミの上位概念へと到達しています。ある意味ノリコにとっては、カズミからの卒業式でもあるわけです。
 このあとで語られるのは、カズミの弱さです。後輩であるノリコに対して弱さを見せてこなかったカズミが、自分の上位の存在であるノリコに対しては弱さを見せるようになりました。ノリコとカズミの関係が逆転しているわけです。

 ここでもう一人対比される人物が登場します。子供を持ったキミコです。キミコは、自分の子供であるタカミに「未来を見せたい」とノリコに言っています。
 繰り返しますが、ノリコはガンバスターのパイロットとして、努力の果てにある「強さの象徴」へと到達しています。この象徴化の弊害として、努力と成長から隔離された「永遠の少女」にも固定されてしまっているということを忘れてはいけません。
 キミコの「未来を見せたい」という願望は、「強さにすがる弱きもの」であると同時に「成長できる弱きもの」という二面性を有しているのです。弱きものの象徴である子供のタカミは、未来を見ることができるのです。ノリコは「強きもの」になってしまったがゆえに「成長」から取り残され、未来を見れなくなってしまいました。この置き去り現象は最後まで変わりません。

 最終話では、15年が経過した後になります。この15年は、ノリコは固定されたままに、カズミが年をとった15年です。
 カズミは生徒たちからコーチと慕われています。大きくなったタカミからも慕われています。これが意味するところは、象徴として固定化されていなければ、自身が成長し、かつ他者の成長を見守ることができるということです。未来に向かって歩く側にいれるのです。
 ノリコとユングはガンバスターのパイロットとして到達「点」に固定化されています。ここに固定されているために、これらの「経過」を見れなくなってしまっています。
 ノリコはタカミからのメッセージを受け取って泣いています。この涙は懐かしさだけではありません。ノリコ自身の時間の経過を踏まえたとしても、タカミはノリコと同世代になってしまっているのでしょう。ノリコの涙は、四ヶ月しか高校生活を経験していないままに高校を卒業し、六ヶ月しか経っていないのに友人の子供が自分と同世代になってしまったという、、取り残された涙だと思います。このシーンの前では、艦長が人類の進歩に驚いたセリフがありますが、こちらも置き去りにされた側の発言で、ノリコの実情を補強するものです。

 このタカミのメッセージというのは、おそらく写真というべきものでしょう。このタイプの写真は二回出てきます。一回目は、ノリコが父に送ったもので、二回目はタカミ(キミコ)がノリコに送ったものです。これらに違いは作中で非常に効いていました。
 一点目は、人類の進歩の表現としてです。一回目は動画、二回目は立体動画になっています。艦長と同じように、ノリコも人類の進歩をおそらく感じたことでしょう。
 二点目は、子供から親へのメッセージです。一回目は言わずもがなですが、二回目は、タカミから自分の母の同級生であるノリコおばちゃんに宛てたものです。地球時間上では、親になっていてもおかしくない年月が経っているのに、受け取っているのは少女のままのノリコでした。
 いずれも置いて行かれたノリコを表現しています。

 ノリコはカズミのことを「お姉さま」と呼ぶことに戸惑っています。これは、相手が「お姉さまと呼ぶには相応しくないくらいに年を取っている」というよりは、「自分よりも下位の存在をお姉さまと呼べない」ということのほうが正しいと思います。カズミが「今まで通りでいい」というのは、ノリコと同じポジションに立つためにこの計画に志願したためです。

 カズミとユングはパイロットを交代しました。これにより、ユングは未来を作っていく側に回帰し、カズミは固定化される側になりました。結果、ノリコとカズミは一万二千年後という「経過」を飛ばした「点」に到達するしかなくなりました。この一万二千年後は二つの事柄を指します。
 一つ目は、カズミとノリコの時間差の圧縮です。カズミは、地上で15年を過ごすことで、結婚生活を送り、自身がコーチとして成長し、また生徒たちの成長を見守ることができましたが、象徴化されるまでには至っていませんでした。ガンバスターのパイロットになることで、象徴化へと至るわけですが、ノリコに先んじた15年という時間を消すことはできません。ですが、一万二千年という膨大な時間を二人にスキップさせることで、この15年という差が相対的に縮小化されています。つまり、20歳手前のノリコも、30歳過ぎのカズミも、一万二千年という時間の前では、大差がないということです。
 二つ目は、ノリコとカズミの孤立化です。「オカエリナサイ」というメッセージが地表に浮かんでいますが、このうち「イ」の部分が反転しています。これは、単純ミスの類ではなく、カタカナすら再現できない時代になっている、つまり、日本語自体が古典になるほど時間が経過していることを意味しているのだと思われます。「沖縄が確認できない」というセリフから、日本自体がなくなっている可能性すら考えられます。つまり、英雄として帰還する二人を迎えてくれるのは、見知った人も土地もないという極めて孤独な場所なのです。

 この時間差の圧縮と孤立化により、ノリコとカズミは同じ概念を共有しすることとなり、カズミはノリコに追いつくことができた、というわけです。
{/netabare}

 この作品は、物語の序盤では努力の大切さを謳っておきながら、終盤に至ると努力の到達点における孤独が描かれるなど、一般的な作品とは異なる視点を持っていました。エンディングはかなり泣けるのですが、冷静に見てみると非常に残酷な物語であったと思います。この残酷さは、宇宙を舞台にした作品でありながら、軸足は地球から離さなかったことによる、この作品自体の意図的な歪みからもたらされたものだと言えます。序盤の熱血もののような雰囲気から見ると、非常に落差の大きい作品でした。


対象年齢等:
 高校生以上の男性ですかね?テーマ的には性別を選ぶとは思えないのですが、無駄なサービスシーンが結構多いので、女性は倦厭するかもしれません。気にさえしなければ楽しめると思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

普段の日常生活とは全くかけ離れたデカいスケールの「ものさし」。(7年ぶりに追記あり)

タイトルは明らかに「エースをねらえ!」のパロですよね。
実際、1話ではいろいろ遊び心たっぷりな明るくかつシュールな話になっていますが、
1度最終話(6話)まで見終えてから見ると、1話冒頭でもいきなり涙あふれてしまいます。

さっきひさびさにレビュー書き直そうと思って2話まで見返してたのですが、
2話まで見た時点で、もう既に涙ボロボロになってしまいました・・(TдT) 。

もし、パロディっぽい感?がイヤで敬遠して見ていない方がいるならば
だまされたと思って1度ぜひ視聴してみてください。
話数も6話と短いので、時間のない方でもサクッと見れて、なおかつ感動できるハズです!!。
自分はDVDBOX持っているのに、BDBOXも買ってしまった者です。

ロボットもののくくり?として、今自分が人に最も自信を持ってすすめられるアニメです。
自分は実際はロボットが出てようが出てまいが全く関係なくて、
ストーリーや登場キャラに共感して感動できればどんなジャンルの作品でもいいんです^^。
今作品は、あえてジャンルは?と聞かれたら、SF・友情・感動ものといったところかな?。


普段の日常生活とは全くかけ離れたデカいスケールの「ものさし」で、
今の自分ってどうなの??って思わせてくれるアニメです。

よく空を見上げたり、すごく高いところから景色を見下ろして
「自分ってなんて小さい存在で、世界はどれだけ大きいことか」と思うことがありますが、
今作品では、そのスケールがさらに無限の宇宙の広さだったり、
失ってしまったら永遠に取り戻せない程大きな時間の壁だったりします。

失ってしまう恐怖、不安、悲しみ。
取り返せない時間、人とのつながり。


やっぱり最終話のことを思い返してしまうだけで涙がどんどんどんどんx∞出てきてしまいます。

自分にとって庵野監督の作品といえば、まちがいなく今作品です。
あと酒井さんの歌も今作品に合っていて、何気にかなり好きなんですよね♪。


「トップをねらえ!」単品作品でも十分楽しめますが、
「トップをねらえ!2」も最後まで見ていただけると、さらなるでっかい満足が待っていることと思います!!。


1人でも多くの方に知って味わってほしい作品ですね(∩.∩)/。


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7年ぶり?にレビュー追記です^^。

このコロナ禍で世の中の先行きが不安な中
まさかの本作劇場公開のお知らせ!!!!!。
これにはホンっト勇気付けられますね~。激・胸アツです!!。


それだけにとどまらず、さらにさらに!

岡田斗司夫ゼミで本作について語られるなんて!!!(驚愕っ)

1,3,5話は無料コンテンツですが
2,4,6話は会員限定(有料)コンテンツなのですね。

こんな機会がまさか令和になって訪れてしまうのであれば
もう当然、これ見たさだけに会員限定有料コンテンツ登録しちゃいましたw!!。
 (SHIROBAKO解説も継続中で、こちらも最高!!!。必見です!!)

たしかに現在のゼミ生の方々の大半は本作未見なのかもしれませんが
それでも本作の影響の大きさ・偉大さを考えれば

1話10分程度・・ってのは短すぎじゃないかなあ・・・・。
個人的には1話につき1時間以上かけてほしかったです!!!。

でも、それでもやはり製作の中心で携わっておられた方の裏話が聞けるというだけで
やっぱ結果的には大大満足させられてしまいました!!!。
感謝感謝ですね。

岡田さんが心底楽しそうに話しておられた姿が、やはり一番の収穫でした。
(こちらも笑顔にさせていただきました^^)


2点だけ、個人的に言わせてほしいことがありますw。


それは、例の合体シーンで使用された「♪fly high」。
まさか、そんな経緯の曲とはwww。

でも、自分にとってあれほど響いた楽曲は、他にはなかなか見つかりません。

岡田さんは「へにゃへにゃの~(以下略)」と語っておられましたが
たしかに立場が逆だったのかもしれませんが
それは表裏一体のものであり
その時点でどっちがどっちかなんて関係ないんです!!。
あっちが基本形なので、視聴者的にはあれでいいんです!!!。


それと、5話ラストのノリコのセリフが変だという指摘ですが

たしかにノリコが目の前の人物に対して発した言葉であるのならば
それはたしかに頭お〇しいのかもしれませんが
あれはその場にいない、もしくはもうこの世にすらいない大切な人々に対して
ノリコがココロの中で報告した場面なので
何の違和感も問題もなく
見事に成立してる名セリフなのだと思います!!。
日高さんの感情込め方が素晴らしく
本当に本当に胸をうたれたセリフでした^^。


ああ~、全然書ききれないけど
とりあえず取り急ぎ、これだけは書いておきたかったw。

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さらに追記。

レビュー追記ついでに、5話・6話を再視聴したのですが
もうずっと泣きっぱなしでした。。

やっぱキミ子とユングの描かれ方が素晴らしすぎます!!!!!。

キャラデザの美樹本晴彦様も素晴らしすぎます!!!!!。
とにかくキャラの瞳が多くを語っていて最高!!!。


岡田さんも、これほどの作品を作り終えたのであれば
その達成感はとてつもなかったことでしょう。


今、この時代になってもなお時空を超え続ける本作品に
めぐりあえて本当に幸せでした♪。

もし未見の方が多くいらっしゃるのであれば
ぜひとも何らかの形で本作を視聴されることを、切に切におすすめしたいです^^。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 33

kororin さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

『イナーシャルキャンセラー全開・・・よーし、やってみる!!』「死ぬ気?!」「うっ!」「やめてぇぇぇ!」  『パパ、スミス・・・私を守って。』

光速を突破したした宇宙船を作り出した人類は星々を食いつくす宇宙怪獣群体と遭遇。地球人類の存亡をかけて「時」を越える戦いが始まった・・・・


発表(発売)当時、1巻2話収録のOVA3巻全6話作品。
今更どうこういうモノでもない高評価作品ですが、「ロボットオタク(スパロボ系)」なら『一度』は見ておかなければならない『聖典』です。(大層かな?)

本作は色々と逸話のある代物。
・発表された時分は「世間」では全然騒がれてなかったけど、オタクの内々では注目株だった「庵野秀明」氏の初監督ということで期待があったということ。(今じゃもう・・・ネェ)
・その仕事ぶりは当時のチープワンパターンな他作品と比べて「どこか一味違う・こだわりが面白い」というもので(オタクの内々では)定評がありました。
・当時の宣伝コピーは「『トッ〇ガン(ト〇・ク〇ーズの出世作)』と『エースをねらえ!』が一つになった!」というふれこみでしたが、
庵野監督は「エースをねらえ!」は見ていても「トッ〇ガン」は一度も見たことがなかったそうで、本作を見て判るように「エースをねらえ!」の特色が濃厚に出ていますね。
・主題歌は「酒井法子(ノリピー)」、主人公は「タカヤ・ノリコ」、中の人は「日高のり子」と、何かと『ノリコ』づくしなアニメ。
・「トップ」を狙うつもりはなかったのに、口コミ定評でOVAビデオ(VHS)の売上(アニメ部門)も「トップ」になったとか、ならなかったとか・・・etc、etc
・キャラ設定は「超時空要塞マクロス」でお馴染み、「目」が特徴的なキャラの「美樹本晴彦」氏。

SF考証も世界観も、古典SFの引用・1960年代の人間が創造したような未来。1988年に発表された当時から見て所謂「レトロフューチャー」な世界。
・宇宙空間も「真空」ではなく「エーテル」で満たされいるという設定。小難しい物理用語が多数出てきますが、これで宇宙物理学や古典SFに興味を持った人も少なからず多かったのでは? 私?私はサラっと流しましたヨ(笑)ウラシマ・エフェクトは多少判りましたが・・・
(後の太陽フレアが原因で発生したプラズマ雲「ゲドゥルトの海」に覆われた宇宙空間を漂流するハメになった少年少女の葛藤物語『無限のリヴァイアス』なんかを思い出します)
・敵対する「宇宙怪獣」も今まで我々が認識する動物の様な形態概念ではなく知性は無い様で生体本能のみで活動する「デッカイ珊瑚」のようなモノ(最小でも数十メートルの多足昆虫型のモノもある)。そんなモノが数えきれない群体で(体当たりで)襲ってきたらもう・・・ヤッパリ怖い!
・対する人類は「マシーン兵器」と呼ばれる「8m程のロボット」で対抗準備。日々特訓の続くノリコ達。しかしこのマシーン兵器(RXシリーズ)、恐ろしく視界が悪い上にアナログな計器類を読み取ってと勘と予測で動かす効率の悪い兵器。最大の立役者「ガンバスター」が出るまでの「かませ犬」みたいな存在でした(笑)

ドラマの方は主人公・ノリコの(戦いと)成長の物語。
憧れの先輩お姉さま「アマノ・カズミ」、トップ部隊に選抜し冷徹な猛特訓を強いるが信頼厚い「(オオタ)コーチ」、ライバル「ユング・フロイト」、地球に残した親友「ヒグチ・キミコ(名前の由来は周知の通り)」、華と散った初恋の相手「スミス・トーレン(ヤぁってやるぜ!)」、
様々な人と出会い、別れ、時間のズレた世界で再会したりして、ノリコは人類の運命を背負う覚悟を決める!
所々に庵野監督が気いった邦画の演出(「パクリ」じゃないよ「引用」だよ)が使われてたり、庵野監督が好きそうなオマージュがあったりと、思わずニヤリとしてしまったらあなたは間違いなく『オタク』です。

初めて見る方はチョット地味目なストーリーが淡々と続いて飽きるかもしれませんが、とにかく4話「発進!! 未完の最終兵器!」迄は我慢して、我慢して、我慢して~~見て欲しいものです。一気に目が覚めると思いますから。
それで本作を見直す(チョイと気に入った)気になれば後は怒涛の第5・6話に引き込まれることでしょう。

特に第5話「お願い!! 愛に時間を!」は・・・緊迫するドラマと早い展開もさることながら、スパロボ好きには鳥肌が起つ演出!今までの地味目な伏線を吹っ飛ばすような勢いです。(テーマ曲が流れる「アノ」シーンの虜になった人は多いハズ!)
そして第6話「果てし無き、流れのはてに…」は・・・スペクタクル大河ドラマの雰囲気を醸し出した構成。ワザと画面を「アレ」にして最後に・・・・もう涙と鼻水無しにはいられない締め方です。

とにかく「面白く見せる(エンターテイメント)」という意味で「伝説」、又は「教典(大袈裟?)」的な作品だと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

71.2 2 戦闘でSFなアニメランキング2位
マクロスプラス(OVA)

1994年8月25日
★★★★☆ 3.9 (246)
1368人が棚に入れました
2040年、人類の移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、統合宇宙軍の次期主力可変戦闘機の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていた。競合メーカー2社のテストパイロットは、かつて親友同士であったイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマン。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに袂を分かっていた。そして二人は、偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、ミュン・ファン・ローンと再会し、彼女を巡る三角関係でも火花を散らす。しかしミュンは、絶大な人気を誇る人工知能のヴァーチャル・アイドル、「シャロン・アップル」の秘密に深く関わっていた。
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

マクロスとしては珍しい《青年パイロット2×美女1》の変形△関係もの

『初代マクロス』放送10周年記念として販売されたOVA『マクロスⅡ-LOVERS AGAIN-』(1992年)の売上好調を受けて、「それならば」と意気込んで制作された1994年制作のマクロス・シリーズ続編2作のうち、『初代』とは直接的な登場キャラクターの繋がりのない外伝的OVAの方です。
(※もう一本は『マクロス7』で、そちらは『初代』の重要サブキャラの何人かが、引き続き重要キャラとして登場します。)

で、肝心の内容なのですが・・・

本作の発表された1994年当時としては、戦闘機同士のバトルシーンの格好良さは特筆すべきものがあったのではないか、と想像しますし、そのために本サイトでの評価も高くなっているのではないかと思います。
但し、私の場合は、たまたま本作を視聴する直前に、2002-4年に制作された、同じくマクロス・シリーズの外伝的OVA『マクロス・ゼロ』を視聴してしまったために、本作に関しては、作画面でもシナリオ面でも、取り立てて「凄い」とは思えませんでした。

・・・ということで、『マクロス・ゼロ』の方の個人評点を ★ 4.1 としていることとの釣り合いを考慮して、本作の個人評点を幾分下の ☆ 3.8 とします。
(※作画で-0.1、シナリオで-0.1、あと私個人の好みとして、パイロット1×ヒロイン2の三角関係の『ゼロ』の方が、パイロット2×ヒロイン1の三角関係の本作より好きなことから更に-0.1 して、併せて-0.3)

※なお、本OVAの発表後に、そのシナリオを再構成し一部改変、そして新規シーンも一部追加された劇場版の方は ★ 4.0 とします。

《まとめ》
上記のとおり、1994年という本作の発表当時に直に視聴した層からの評価が非常に高く、それが本サイトでの本作の高評価につながっていると推測しますが、マクロス・シリーズのOVA作品では、『マクロス・ゼロ』の方が『初代』や『F』との直接的なキャラクターや設定の繋がりが多く、また「板野サーカス」と称される戦闘機同士の格闘シーンも『ゼロ』の方が制作時期が新しい分、公平にみてずっと迫力があると私個人は判定します。
従って、マクロス・シリーズ初心者の方は、本作より先に『ゼロ』を視聴し、それが気に入ったならば、その次に本作に挑戦、という順番で良いと思います。

※なお、上にも書きましたが、本作はマクロス・シリーズ恒例の

「パイロットの少年×ヒロイン2人」という三角関係が、
「パイロットの青年2人×ヒロイン」という三角関係に変形している

・・・ので、もしかしたら男性よりも女性視聴者の方に受けが良い作品なのかも知れません。


◆制作情報
{netabare}
原作         スタジオぬえ、河森正治
監督         河森正治(総監督)、渡辺信一郎(監督)
脚本         信本敬子
キャラクターデザイン 摩砂雪
メカニックデザイン  河森正治
音楽         菅野よう子
アニメーション制作  トライアングルスタッフ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

=============== マクロスプラス (1994年8月-1995年6月) =============
{netabare}
第1話 ★ 西暦2040年、惑星エデンの次期VF開発競争、AI仮想アイドル(シャロン)、星の丘(ミュンとの再会)、YF-19(イサム搭乗)vs.YF-21(ガルド搭乗)、墜落とダウンフォース ※約39分
第2話 ☆ シャロン惑星エデン公演、不審な予告電話と火災(ガルドのミュン救出)、格闘戦演習(イサム重態) ※約39分
第3話 ☆ イサム回復、二人の喧嘩とシャロンの本心吐露、AI完成、シャロン地球公演へ、プロジェクト中止、YF-19&21地球へ、シャロンの自律意思・暴走開始 ※脚本やや雑×、約41分
第4話 ★ 地球マクロスシティ公演(シャロンのMC乗っ取り)、ガルド記憶回復・戦死、シャロンの誘惑、AI筐体破壊 ※同上、約37分{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)2、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.8

※全4話で計156分=2時間36分=約6.5話分


============ マクロスプラス MOVIE EDITION (1995年10月) ===========

全1話 ★ 4.0 ※1時間54分、OVAの一部映像をカットし再構成・改変

主題歌 「VOICES」
ED 「After, in the dark」

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ヴァーチャルアイドル

今作では地球外からの敵による攻撃に対抗することはない。マクロスの肝心の歌はVOICESとEDのAfter,in the dark。どちらも菅野よう子が携わっている。特にVOICESが重要な場面でよく流れ、鍵を握る曲である。歌の力に関しては一貫している。

近年よく見かけるヴァーチャルアイドルが登場するが、{netabare}そいつがこの作品の敵である。{/netabare}

一応、マクロスシリーズだが、単体で見ても分かりにくいということはないと思われる。ほどほどに楽しめた。

マクロスは女性2人、男性1人の三角関係が多いが、この作品では逆の三角関係である。初めは{netabare}ミュンとガルドのカップリングだったけど、最終的にはイサムとのカップリングに至ったかな。{/netabare}

以下は備忘録
{netabare}
地球とゼントラーディによる宇宙戦争「第一次星間大戦」の終結から30年後の2040年、人類初の移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、統合宇宙軍の次期主力可変戦闘機の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていた。競合メーカー2社が開発した試作可変戦闘機YF-19とYF-21のテストパイロットは、かつて親友同士であったイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマン。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに袂を分かっていた。そして二人は、偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、ミュン・ファン・ローンと再会し、彼女を巡る三角関係でも火花を散らす。しかしミュンは、絶大な人気を有する人工知能のヴァーチャル・アイドル、「シャロン・アップル」の秘密に深く関わっていた。かつて歌手を目指しながらも夢を諦め、不完全な人工知能のシャロンを裏で操る役目を担っていた。
シャロンの公演が終わり、ミュンは新たな興行のため大戦終結30周年記念式典が行われる地球のマクロス・シティへと向かう。一方、上層部の意向により、統合軍は有人可変戦闘機に代わる無人戦闘機の制式採用を決定し、スーパー・ノヴァ計画は中止となる。これに不満を持ったイサムは無断でYF-19を持ちだし、新型戦闘機の採用発表が行われる地球へと突入する。ガルドがこれを追撃し、二人は大気圏内で激しいドッグファイトを繰り広げる。その末にガルドは自ら封じていた7年前の記憶を思い出し、非が自身にあったことを認め、イサムと和解。そこに、人工知能を偏愛するエンジニアの手によって自我に目覚め、マクロス・シティを支配したシャロンが操る無人戦闘機ゴーストX-9が襲いかかる。ガルドはゴーストの相手を引き受け、イサムはシャロンに捕らわれたミュンの救出に向かう。ガルドとゴーストは激闘の末に相打ちとなり、イサムはシャロンの歌に取り込まれかけながらもミュンの歌で意識を取り戻し、シャロンの制御コンピュータを破壊してミュンとの再会を果たす。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

テーマと世界観は素晴らしい。面白さは?キャラ暗すぎです。

 三角関係と歌が話の中心ということでマクロスフォーマットは踏襲しているとは思います。主要キャラの年齢層が高めなのは、物語の内容からいっても無理がない設定かと思います。

 世界観・設定はテーマとあいまっていいです。脳と機械の直接リンクやAI歌姫の学習と暴走。無人機と有人機の問題など、1994年の作品ですが、2023年の今まさに我々が直面しようとした問題です。

 ストーリーは、ガルド…ですよね。彼に正義があまりにも見出せません。そしてミュンにしてもちょっと感情的になりすぎています。この2人がAIというか脳科学の犠牲者…と見ることもできます。が、年齢の設定もあいまってあまりに子供過ぎる気がします。むしろ、ハチャメチャな生活に堕ちてしまったイサムに同情しますし、その点では金髪の彼女の言い分が一番正しい気がします。
 短い枠ですので、深みも出し切れなかったのはストーリーとしては不満足が残りました。

 で、本作をメジャーにした戦闘シーンなんですけど、確かにすごいのかもしれませんが、いわゆる板野サーカス…苦手なんですよね。「愛おぼえてますか」くらいのレベルなら素直にすごいなあ、と思いましたが、ちょっと過剰です。例えばマクロスゼロの雰囲気に比べると下品です。
 むしろ、キャラデザのリアリティが凄くてそっちに関心しました。まあ、ハリウッドの模倣ではあるんでしょうけど、人物は非常によく描けていたと思います。

 ということで。テーマ性はいいですし、バーチャルアイドルという存在をAiと絡めてよく考察してこういう物語にしたなあ、と感心します。それはガルドやドローンも同じです。
 ただ、積極的にすごい面白かったというエンタメが足りなかった気がします。

 エンタメといえば歌…ですね。ミンメイを越えられないですね。彼女は唯一無二なんでしょうか。

 作画は満点でしょう。ただ、キャラも設定は感心しますが愛着がわくキャラがいないのがマイナスポイントですね。ストーリーはあまり評価できませんが、世界観とテーマは評価します。音楽は…普通…よりはいいかな。でもあまり極端な高評価にはできません。





 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

72.7 3 戦闘でSFなアニメランキング3位
攻殻機動隊 SAC_2045(Webアニメ)

2020年4月1日
★★★★☆ 3.7 (143)
613人が棚に入れました
2045年。全ての国家を震撼させる経済災害「全世界同時デフォルト」の発生と、AIの爆発的な進化により、世界は計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー"へと突入した。だが人々が、AIによる人類滅亡への危機を日常レベルで実感できるまでには衰退の進んでいない近未来――。内戦・紛争を渡り歩き、廃墟が横たわるアメリカ大陸西海岸において、傭兵部隊として腕を奮っている全身義体のサイボーグ・草薙素子とバトーたち元・公安9課のメンバー。電脳犯罪やテロに対する攻性の組織に所属し、卓越した電脳・戦闘スキルを誇っていた彼女らにとって、この時代はまさにこの世の春である。そんな草薙率いる部隊の前に、“ポスト・ヒューマン"と呼ばれる驚異的な知能と身体能力を持つ存在が突如として現れる。彼らは如何にして生まれ、その目的とは。大国間の謀略渦巻くなか、いま再び“攻殻機動隊"が組織される――。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子、潘めぐみ、津田健次郎、林原めぐみ
ネタバレ

hoku-sai さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

攻殻2045をガチめで考察してみた

【ポストヒューマンは人類の敵では無い】


逆転する認識、価値観の変容による再解釈

ポストヒューマンは悪ではなく
公安9課も正義ではない
そして戦争とは平和である

劇中の描写や、神山健治氏の発言、SACが貫いてきたコンセプト等から新らしい攻殻機動隊を再解釈する

時代に追いつかれた攻殻機動隊という世界から見る現在はどんな姿をしているだろうか。

あなたが悪いと思っているものは本当に悪いものなのだろうか。

※↑noteに書いた記事の転載
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こんな感じで始まる考察レビュー記事をnoteに書いたのでこちらにも転載しときます。
ただ元記事は画像使ってたりクソ長かったりするのでリンク貼って途中まで転載しとくよ。

もし考察が当たってたらシーズン2のネタバレになるかもしれないのでご注意を。


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以下転載


記事その1{netabare}

転載元:https://note.com/individual2045/n/n9df25605db91

攻殻機動隊SAC2045シーズン1をネタバレ全開で考察:ep01 ~ポストヒューマンは人類の敵では無い~

【軽薄で残酷な「顔無し」たち】
画像4

(画像引用 : https://www.netflix.com/ 攻殻機動隊 SAC_2045 ep10 より)

まず最初に今回の攻殻機動隊に対してはこんな声が目立つ

・一般向けになりストーリーが解り易くなった
・話の流れが単純で内容がスカスカ
・敵もただのインフレで薄っぺらい
・前作のまでのような深みがない
・使い古された陳腐な題材を使った○番煎じであり、新しさが無い
・攻殻機動隊は終わった

本当にそうだろうか?
我々としては今、ストーリーがとても重厚で多面的な為、書きたいことが多すぎて吐きそうになっているぞ。

↑の箇条書きのような事を言ってる方はこれから示す前提など当たり前に理解し、考えた上で言ってるのだろうか?そうじゃなければ彼らはシンクポルの「顔無し」や、プリンが遭遇したブヒブヒいってる豚と同じような存在だ。

このような易きに流れる「大衆」という存在は今作でも大きなテーマの一つになっているが、その事を語る為にもまずは

そもそもの前提を掴むために重要な描写がある1話(ep01)と6話(ep06)を主に参照して考えてみたい。




【主人公勢力は正義という思い込みに始まる間違い】
画像2

(画像引用 :www.ghostintheshell-sac2045.jp/ 攻殻機動隊 SAC_2045 公式サイト より)

攻殻機動隊SAC2045の世界ではサスティナブルウォー(持続可能戦争)により世界が混乱していることが最初に示されている。ではこのサスティナブルウォー(以下SWとも表記)はそもそも正義であろうか?ここでは正義ではないという向きが一般的として話を進めよう。そもそも本当は正義も悪も無いのだけど、そうしないと話が進まないのでそうしよう。
 SWが悪であるならばSWに積極的に参加し、戦争という産業の一部となっている9課の面々は全くもって正義ではないという事になる。
ただSWという概念が示している戦争とは皆が思っている戦争でない。戦争という概念もまた逆転しているのだ。なぜそう言えるのかついては別に記そうと思う。

シーズン1の時点で公安9課メンバーは、常にサスティナブルウォーという民衆を統制する体制。の側にある存在だ。






【サスティナブルウォーはポストヒューマンが起こしたものでも無ければ運営しているものでも無い】
画像3

(画像引用 : https://www.netflix.com/ 攻殻機動隊 SAC_2045 ep01 より)

SWを起こしたのはポストヒューマン(以下PHとも表記)ではなくG4であり1A84であることが上記のOPでも本編でも語られている。しかしアニメを見ているとSWを仕掛けているのがPHであるかのように見えてくるのではないだろうか?しかしはっきりと違うのである。

戦争(SW)を起こし、運営しているのは1A84だ。
PHが起こしたのは2044年の世界同時デフォルトであって、2042年に始まったSWでは無いのだ。(この点は次項を参照)
そもそも2042年にはポストヒューマンは存在していないと思われる。

 にも関わらずPHがSWの媒介者かのように見えるのは、確実に制作側の意図でそう見えるよう見事に演出されているからだ。
 ここまで明確にSWの首謀者を示しているのに、見ているうちに1A84の存在を忘れ、いつの間にか戦争を起こしているのはPHだと錯覚してしまう。

画像7

この点に関しても目を盗まれた方が多いのでは無いだろうか

「ポストヒューマンは人類の敵である」と言う思い込みが、
SWを起こしたのはポストヒューマンではない。
と言う当たり前の前提を忘れさせる。

続きは転載元
https://note.com/individual2045/n/n9df25605db91
{/netabare}



記事その2{netabare}

転載元:https://note.com/individual2045/n/n0470a531c146

攻殻機動隊SAC2045シーズン1をネタバレ全開で考察:ep02~ジョン・スミスの正体と9課再結成の裏にあったトグサくんの大活躍~

【ジョン・スミスの正体は1A84である】
画像2

(画像引用 : https://www.netflix.com/ 攻殻機動隊 SAC_2045 ep08 より)

 正確に言うとジョン・スミスとはサスティナブルウォーを持続可能にするためのAIである1A84の端末だ。

 ジョン・スミスとはマトリックスのオマージュである以前にそもそも「誰でもない誰か」という意味を持つ言葉だ。AIの端末だから誰でもない。という意味以上に、誰でもない誰かという名の「ジョン・スミス」は「顔無し」の代表ようなの存在なのである。

なぜ代表的な存在なのかという話は次回以降に譲り、
今回はなぜスミスは1A84の端末だと言えるのかという話をしたいと思う。

 この事がハッキリと分かるのがep08だ。トグサを認識出来ていないスミスを覚えているだろうか。あれが証拠である。スミスはトグサ殺そうとした事をお茶目に素っ惚けてるわけじゃない。本当に分からなかったのだ。
 このシーンでトグサを覚えていないスミスに違和感を感じた方も多いのではないだろうか。

 まず表題部分の画像を見て欲しい。これはスミスの視界だ。見て分かる通りトグサのプロフィールが表示されるべき場所に「No Data」と表示されている。
 これはおかしい。ぜったいおかしいぞ。おかしいので考えてみた。

 「No Data」となっている以上。なんらかの理由でスミスからトグサの情報が消去されいる事は間違いない。ならばその何らかの理由があるはずだ。
 スミスがトグサの事を「こいつなんか普通だな使え無さそうだしとりあえず消しとこ」なんてマネをするだろうか。絶対しませんよね。はい。
ではトグサがスミスにハッキングを仕掛けて自分の情報を消したのだろうか。いや。それも違うだろう。そんな描写はどこにもないからだ。

ならばこういうのはどうだろう。
スパイからの情報を元にトグサが死亡したものと判断したシステム=1A84が、照合リストから削除した。もしくは死者は照合適用外だったため。
こう考えると説明がつくはずだ。

続きは転載元
https://note.com/individual2045/n/n0470a531c146
{/netabare}



記事その3{netabare}

転載元:https://note.com/individual2045/n/n0470a531c146

攻殻機動隊 SAC_2045 s1 ネタバレ全開考察:ep03~1A84の正体【前編】 ジョン・スミス更なる正体が示唆する物語の核心~

【1A84とはユートピアを実現する存在】
画像5

関係ない話に見えるかも知れないが、今回の攻殻機動隊SAC2045は
脚本;神山健治
監督;荒牧伸志
という作品だ。

神山健治氏は「攻殻機動隊」SACシリーズの監督
荒牧伸志氏は映画「アップルシード」の監督

「士郎正宗氏による原作」をそれぞれ監督しアニメ化した二人である。
そして原作者も同じなので世界観も地続きなのが「攻殻機動隊」「アップルシード」の二作だ。

画像1



想像してほしい



警察の出動が極少なく、軍はあるけれど影響力を行使しない。
貧困も存在せず、銃声の代わりに音楽と笑い声に満ちたユートピア。

こんな国があったら住みたいと思うだろうか?

我々は住みたくないが、住みたい人はとても多いだろう。
このユートピアの名をオリュンポスと言う。
22世紀の未来に世界を統一した勢力だ。巨大な人工島の上に都市国家を築き、地球全土の統一管理保全を目的としている。

一方オリュンポスの外側の世界はどうなっているかと言うと、

画像7

・かつて日本だった企業連合国家ポセイドン(大日本技研)
・アメリカが分裂した姿である米ソ連(SACでは米ロ連)
・もうひとつの米帝(SAC2045でも日本と同盟関係)
・イスラム圏に新しく立国した宗教国家ムンマ
・廃墟となった無人都市郡地帯

などなど、各勢力の思惑が入り乱れ陰謀が渦を巻いていそうな今と大差ない世界が広がっているが、銃弾の飛び交う地域が多く、無人の廃墟となった都市郡があるなど、この世界の22世紀は2020年現在の人間界より少しだけ荒廃した世界のようだ。

画像6

そんな未来で、オリュンポスは人類が実現した理想郷とされており、人口の半分以上を占めるバイオロイドが人間同士の仲介者として機能している都市だ。
バイオロイドとは人為的に作られた人間であり、ヒトに奉仕することが根幹にある。しかし安心してほしい。バイオロイドがヒトに奴隷の如く扱われているわけではない。むしろ幸せに暮らしていると言っていいだろう。オリュンポスはバイオロイドにも人権がある素晴らしい国なのだから。

荒廃した世界を他所に
貧困も銃声も存在せず
音楽と笑い声に満ちたユートピア
それが理想社会オリュンポスだ

画像8

そして1A84こそ、このオリュンポスの原型となる存在なのだ

そして地続きの二作を繋げる存在が1A84であり
「攻殻機動隊SAC2045」≒「APPLE SEED 0 IF」
と言うのが我々の考えだ。

なにを言っているか分からないかも知れないがこの先の話はもっと分からねぇ気もするけど最後まで話せばきっと分かる気もするのではりきって先に進もう。すでになにを言っているかわからねぇがとにかく進もう。

続きは転載元
https://note.com/individual2045/n/nc39d4705b507
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

浮世絵と漢字の国で完全3DCGは無理。中身は攻殻機動隊の出がらしです。

 3DCGがなぜ日本ではうけないか。それは浮世絵と漢字でしょう。

 浮世絵は、線で区切られ単色で塗られていて、その本物とは程遠いモノに我々は現実を投射します。また、我々は擬人化が好きです。これは漢字というキャラクターがあるからでしょう。その漢字は平仮名によって命を与えられます。つまり動きだします。カタカナによって、われわれは音ですら文字により命を持たせることができます。

 のっぺりとした2次元の絵に我々は生命を宿すことができます。それが浮世絵であり、マンガであり、アニメです。現実から遠いからこそ我々はそこに表現されているもの以上、どころか現実以上のリアリティを投射できます。また、リミテッドアニメ表現は俳句につながるかもしれません。現実に近ければ近いほど優れたものだ、という西洋の感覚とは全く違います。
 能は同じ仮面の中に表情を見ることができます。日本人は文脈やシチュエーションで脳内で何を読み取るべきかを瞬時に判断します。必要なのは記号としての目鼻でありリアリティなど全く必要ありません。

 この差を理解しないで、3DCGでほらすごいでしょ?というアニメを作ると本作のようになります。ピクサーが日本で盛り上がらないのも同じでしょう。本作のEDのレンダリングならまだ受け入れられる余地はありそうです。

(追記 お互いが理解できないと言っているのではなく、本作のような日本アニメ的キャラの中途半端な3DCGが見苦しいという感じかもしれません。あるいは鑑賞して感動はできるけど、ピクサーアニメは日本人には作れないし、日本的アニメはディズニー的3DCGは無理だという事です。本作はその悪いところ取りをしている感じです。また、フルアニメーションだと魅力が出せないのも日本の特徴でしょう) 


 で、本作については、3DCGというアニメの作り方として間違っている上に、攻殻機動隊をリメイクするためのストーリーです。SNS時代の本音とか、監視社会とか、何か作家が表現したいものを表現しているという感じではありません。攻殻機動隊っぽいテーマって何だろうと後付けでくっつけたような感じです。

 タチコマ芸もお決まりの出来の悪いコントでしかありません。そもそも3DCGのソフトの関係か知りませんが、タチコマが人間サイズしかありません。なんか、創作物を命を削ってとまではいいませんが、出来ることはキチンとやろうという意欲が見受けられません。
 
 アクションシーンがいたずらに長いし、それっぽいセリフはいいますが、少佐が矮小化されてしまっています。攻殻芸を見せつけられて、下手をすると共感性羞恥が発動しそうなくらい、カリカチュアライズされてしまっていました。

 まあ、はっきり言えば攻殻機動隊の出がらしを、ほら今グローバル市場ではこんな3DCGでやってるんだよ?すごいでしょ?と一生懸命みせられているような感じです。
 一応、3DCGの研究としていい素材なので見ましたが、本気でつまらなかったです。

 本作でアニメの将来を思うとかなり落ち込みました。評価はまあ適当です。オール1というより、アニメとして見られませんでした。


 なお、ネトフリの順位が日本だけなぜ違うか、についても同様に日本人と西洋人の文化の違いがあると思います。宗教と権利の話なのでここでは述べませんが、もうちょっと日本のマンガ、アニメに造形が深いヒトをスタッフに入れてほしいなあ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

やまだ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

かなりの悪口。いいか読むなよ、絶対読むなよ。

なんだこの人形劇。スマホゲームのムービー?ネットフリックス製なのに低予算なの?酷い本当にヒドい。日本製CGムービーは本当に何も進化してないな。静止画の紙芝居ならまあいいよ。でもモーションが昔の家庭用ゲームでも出来たレベルのゴミ。キャラも車両も何もかも。キャラデザは好みだろうがタイトル画面とかフォントとか小物や車両のデザインとか何もかもセンスが古いしオープニングも何アレ?全身義体ってのが甲殻のアイデンティティなの?だったら何故義体の硬さとか重さとか動きで表現しないの?初代ロボコップみたいにしろとは言わんけどサスの沈み方とか足跡とか色々出来るでしょ?せっかくのCGなのに。タチコマですら重量感を全く感じない。やっぱりそこはどうでもいいの?大人キャラしか出ないシリアスな雰囲気だけがいいの?甲殻機動隊でなんで戦争なの?甲殻機動隊キャラが揃ってるだけでいいの?"ぼくの考えた甲殻機動隊"をCGでやりたかっただけとしか思えない。

国内製の国内向けの作品ならそれでいいんですよ。昔から日本製CGゲームは静止画はキレイだけどモーションがすこぶるヘンでも売れていたので。でも海外製ゲームはその当時の物でさえ慣性や重さを感じる事が出来た作品しかなかった。勿論制作費が違い過ぎるという理由もあるから、そこは自分が好きな物だけプレイすればいいだけなんだけど。でもコレってネットフリックスの予算なので国内製よりは予算あるはずですよね。ネットフリックス製という事で海外も意識して製作しないといけないですよね。で、このザマはなんなんですか。

日本のアニメ業界は衰退していく未来しかないですね。現在でさえ安い賃金でこき使われて手書きで死にそうな思いで絵を書くだけの重労働。将来的にはそんなもの衰退してCGメインに置き換わるでしょう。AIで動画すらも出来るようになる。手書きアニメは手書きというだけで価値がある昔ながらのこだわりの伝統技術というふうになっていくだけ。ただの芸術作品に成り下がって庶民の作品は海外製のクソみたいなものに侵食される未来。テレビの"日本は凄い"みたいな番組でとある町工場なんかが海外の方から絶賛されてたりする。そりゃそうだ。海外の職人は安月給で働かないからだ。スイスの時計産業を日本が潰したように、イタリアの自転車産業を台湾が潰したように、日本のアニメ産業もまた潰されていくのだろう。クリエイターを引き抜くだけでいいのだから1番簡単。製作に日本人が関わったとしても結局センスは海外準拠。今と同じ物が作れると思うか?

日本にはディズニーみたいなIP戦略が必要だった。ディズニーもたまにはいいよ。でもディズニーに支配されたサブカルなんかゴメンだ。マーベルやルーカスまで買ったディズニーは世界統一でもめざしてんのか。ディズニーとまでは言わんでも国策としてでもなんとかすべきだった。でも多分もう遅い。せっかく上手くいきかけてたブランドIPの数々をハリウッドに買い叩かれてばかりで何が"ジャパニメーション"だ。何が"クールジャパン"だ。バカか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

67.2 4 戦闘でSFなアニメランキング4位
ULTRAMAN(Webアニメ)

2019年4月1日
★★★★☆ 3.4 (107)
370人が棚に入れました
かつてこの世界には〈光の巨人〉と呼ばれる存在がいた。やがて〈光の巨人〉はその役目を終え、遠い宇宙にある自らの故郷へと帰還し、同化していた地球人はそれまでの記憶を失うことで自らの在るべき場所へと戻っていった。ウルトラマンの存在は過去のモノとなり、科学特捜隊日本支部もその役割を終えて、光の巨人記念館へとその姿を変えていた。早田進次郎は多感な思春期を過ごす高校生。だが彼は、自分が驚異的な跳躍力や頑丈な肉体といった人間離れした“普通"ではない力を持っていることを自覚していた。そんなある日、進次郎は父・早田進が、かつてウルトラマンであったことを知る。そしてウルトラマン無き地球に暗躍する宇宙人たちの存在も。進次郎は、秘匿組織として健在する科学特捜隊の井手によって開発されたウルトラマンスーツを着用できる数少ない適合者だった。「単刀直入に言おう――キミにウルトラマンになってもらいたい」

声優・キャラクター
木村良平、江口拓也、潘めぐみ、田中秀幸、諸星すみれ、魚建、牛山茂、竹内良太、花輪英司、関戸博一、津田健次郎、白石稔、曽世海司
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

和洋折衷ウルトラマン

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルはアクション。3Dアニメです。

私は、高評価。でも多分、それは私に「ウルトラマンに対する特別な思い入れ」がないからだと思います。

このアニメ、「ウルトラマンが好き」な人は戸惑うかもしれません。その辺を、レビューに書きたいと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「これはウルトラマンなのだろうか?」という疑問を、私は一切抱きませんでした。なぜなら、そもそもウルトラマンをちゃんと観たことがないからです(何回かは観たことあるよ、名前は知識として知ってるよ、レベル)。

だから私には、「普通に格好良いアクションアニメ」でしかなくて、別に「ウルトラマン」という冠は必要ありませんでした。

「ウルトラマン」というよりは、「アメリカのヒーロー」や、「平成の仮面ライダー」に近いような作風。だから、「和洋折衷ウルトラマン」にしました。

本作の良さとしては、まずアクションの格好よさ。なんか、プロレスみたいだなと思いました。

プロレスの必殺技の中には、「それって効くの?」と思うものが散見されるが、「客はちゃんと盛り上がる」。それは、「粋」という感覚に近く、「効かないとか避けられる」なんて言うのは、「無粋」。

本作も、空手やカンフーアクションのような実用的な動きの中に、いきなり「ウルトラマンらしい攻撃」が入るのが、なんか「ダサ格好良い」。そこは、3Dによる独特のカメラアングルや動きが良い働きをしていて、「ダサ」「格好良い」にしていたと思います。

次の良さとして、ストーリーの面白さ。縦軸として貫くのは、「主人公がヒーローであることを悩み、受け入れるまで」を描くということで、なんか「仮面ライダーっぽい?」と思いました。そこに横軸として、「主人公とアイドルの恋愛」や「星団評議会の暗躍」などがある構成。

特に、「星団評議会の暗躍」は面白くて、誰が黒幕なのか、味方なのかをワクワクしながら観られました。ここは、今後は縦軸になるでしょうし。 

と、私が誉めている部分は、多分、ウルトラマンファンからすると、「邪道」なのでしょう。

プロレス的なアクションは、「ウルトラマンを茶化してる」とも受け取れるし、複雑な世界観は、「爽快さの打ち消し」になるのかもしれない。そもそも、巨大化しないウルトラマンは、もはやウルトラマンじゃないという怒りもあるかもしれません。

私も、もし自分が好きな「ロードス島戦記=キャラがロボットに乗ってモンスターと戦う」とか「ガンダム=モビルスーツ同士でラブコメ」とかやられたら、「ふざけんなよ」「俺の思い出汚すなや」って思うでしょうしね。

賛否両論ある本作。どちらの評価にするかは、やっぱり、観て自分で判断するしかないように思います。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ウルトラマンのその後として、しっかり面白い。オッサンが格好良いアニメは、良い。

2話目 ☆4
バトル、急に地味になったけど(苦笑) 地面に投げても効かねえだろ。なんかちょっと、ハリウッドだな。変身のところは日本っぽい。トータルて、面白い(笑)

3話目 ☆3
なんか、ヒーロー願望で戦う、某大介を思い出すな(笑) グロのギリギリラインでちゃんと止めてるあたりが偉い。

4話目 ☆4
なんか、やたらプロレス技が目立つ。オスプレイみたいな戦い方だな(笑) 迫力のバトルを満喫。

5話目 ☆3
異星人街。セブンが意外と好意的? 民族差別をするタイプではないのかな。ジャック。帰ってきたウルトラマン?

6話目 ☆4
セブン、強いな。彼は、ただの人間なの?

7話目 ☆3
バトルは流石に格好良いわ。ヒーロー願望か。

8話目 ☆4
なんか、随分とひねくれた話になってきたけど、かなり面白いな。

9話目 ☆4
エース登場。さらに状況が混迷してきたな。

10話目 ☆4
エース。天才技士。本当に、色んな人の思惑が複雑に絡んでる。

11話目 ☆3
なんか、ややコメディタッチ。めっちゃ簡単にバレてるw これはセブンに殺される案件(笑)

12話目 ☆4
星団協議会、ゼットン。誰が敵で誰が味方か。

13話目☆
セブン強い。エース熱い。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

このCGに魅力を感じないので辛い…話は前半は面白いです。

 まずCGです。IGはどうしちゃったんでしょう?なぜ、この方向でいいと思ってしまったのが分かりません。新しい「攻殻機動隊」もそうでしたね。「ガメラ」とか「ヤキトリ」とかもこういうテイストなので、ネトフリ仕様?なんでしょうか?
 SOLA DIGITAL ARTSというところが共同制作でこっちがCGなのかな?まあ、ただIGということで話を進めます。

 こういう作品って結果的に日本でもアメリカや中国でもあまり話題になってない気がするのですが。アメリカの3DCGって「トイストーリー」とか「ミニオンズ」とか「モンスターズインク」とか結局「デザイン化されたキャラ」なんですよね。それかアナ雪みたいな従来の2Dアニメを立体化した感じといえばいいのでしょうか。

「シドニアの騎士」というかMMDというか、なんかそっから進化した(いや進化が感じられない)みたいな3DCGっていつまで使うんでしょう?これは不気味の谷でもあるし、安っぽくもあるし、手塚的な記号にもなってないし…正直なんでこの系統にこだわるんでしょうか。「楽園追放」がそう言えばこの系統かな?あれが結局一番見やすかったりして。

 結局ヒットした「鬼滅の刃」も「ワンピース」も2次元アニメだったし「スーパーマリオ」は「デザインキャラ」系統です。今、やっているちょっと人気のTV作品…例えば「フリーレン」「陰実」「薬屋」辺りと比べて、どっちが魅力かとか考えないんでしょうか?

 このネトフリが推しているのかIGの技術なのかどうも本作のような3DCGは好きになりません。「PLUTO」みたいなの作れるならそっちで行って欲しいなあ。「PLUTO」の話は評価してませんが、画面は最高でした。

 それと演技ですね、CGの。変身後のウルトラマン等は、人間のCGよりはカッコ良くて見られるんですけど、動きというか演技がカリカチュアライズされすぎたハリウッド映画の役者を物まね芸人が大げさに真似ているような動きです。共感性羞恥が発動するレベルで、ひどいです。

 で、本作のストーリーです。面白いです。初めのうちは。ウルトラマンが去った後に残された地球の話です。メンインブラックの黒メガネをウルトラマンがやっていて且つシリアス版という感じです。アイドルが絡むのでちょっと雰囲気とか世界観は「鉄腕バーディー」も思い出しました。

 アイドルとの絡みがご都合主義だったりしますが、ウルトラマンとは?という定義の問題とか、スペシウム光線の設定とか、ウルトラマンだった早田隊員の呪いと血の話、連続殺人犯、懐かしの怪獣○○○○の立ち位置などで、かなりドキドキワクワクする話でした…途中までは。

 ただアイデンティティ問題とか正義の問題とか、言葉ではなぞっているんですけど、なんか軽いんですよね。SF的なメカの設定も結局なんなのか謎の提示もないまま未来メカで来ちゃったし。セブンとかエースもいいんですけど簡単に登場させすぎて軽ーい感じだし性格造形がありきたりというか…

 CGに拒否感が無ければ、前半はかなり面白いと思います。ただ、後半はほぼドンパチです。
 2期以降で主人公のアイデンティティ問題をやるのかどうかと、アイドルちゃんと恋愛しちゃうのかどうか、は気になりますけど…どうしようかなあという感じです。

 まあ、せっかくネトフリ加入期間なのでこの後、23年の作品の3期まではチェックしたい気もします。が、画面が辛い。2Dアニメ好きにはハードルが高すぎる…

 ストーリーは前半評価で3.5(前半4、後半2.5の辛うじて四捨五入)。ビックネームのウルトラマンの名前を借りてますが、その名前を使った導入は面白いのでいいと思います。
 キャラは…うーん、アイデアはいいです。アイドルの出番が無理やり感はありますが唯一魅力があるキャラとも言えます。4かなあ。
 作画は評価できません、1と言いたいですけど最後まで見た作品なので1.5にします。
 声優と音楽は正直CGが気になりすぎて楽しめません。評価なしの3で。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

俺たちが、ウルトラマンだ

この作品は、あのウルトラマンのフル3DCGアニメです。
グリッドマンがアニメ化された時も驚きましたが、これにはホントにビックリです。
円谷プロの看板作品でこれまで特撮にこだわってきたウルトラマンが、アニメ化されたのですから…

でもウルトラマンの設定が大きく異なっていました。
まず、今回登場するウルトラマンはM78星雲光の国から来る訳ではありません。
物語の舞台は、ウルトラマンが異星人の侵略から地球を守り、使命を終えて地球を去ってから40年後の世界…
そして40年の年月をかけて人類は繁栄の時代を築き上げてきました。

ですが、それは表向きの平和でしかなかったのです。

かつてウルトラマンと同化していた科学特捜隊の早田進は還暦を迎え、今では一人の息子を持つおじいちゃん…
早田進の一人息子である早田進次郎は、生まれながらに特殊な力を秘めていました。
進次郎が高校生になった頃…これまでの平和を揺るがす一大事が起きたのです。

考えてみると、その事件が全てのきっかけでした。
突然謎の敵に襲われた進次郎を助けたのは父である早田進…
早田進は自分がウルトラマンだと告白し、ウルトラマンスーツを纏って進次郎を守ろうとします。
ですが、還暦を過ぎた人間がウルトラマン本来の力を引き出せるはずもなく、あっという間に劣勢に…
父親が傷付いていくのを目の当たりにして、子どもの心が動かないはずがありません。
進次郎もウルトラマンスーツを身に纏い、何とか謎の敵を撤退させることに成功するのですが…

これがこの物語の序章…
進次郎は進に代わる「新たなウルトラマン」になることを要請されるのでした。
これまで秘密裡にしてきた異星人の襲撃から地球を守るため…
こうして進次郎の物語が動いていきます。

生まれながらに秘めた特殊な力…
このフレーズだけ見ると魅惑の塊のようです。
だって、誰もが一度憧れた能力なんですから…

一睡もしなくても疲れを知らない身体…
自宅と行きたい場所とを瞬間的に繋いでくれる能力…
一度覚えたら絶対に忘れない記憶…
こんな能力があったら良かったのに…なんて考えたり?

でも、自分の能力に見合った責任や使命が課せられるのも世の常ですが、進次郎に任せるのは時期尚早だったのかもしれません。
そもそも自分の能力に見合った責任や使命って、高校生に理解できるかと考えると正直難しいと思います。
だって、その頃って自分の事だけで精一杯だから…

能力が高いからウルトラマンを要請される
ウルトラマンは正義の見方だから、悪い敵から地球や人々を守らなくちゃいけない
正義の味方は守るのが当たり前…
そこに落ち度があったら徹底的に責められる…
正義の味方に自ら志願した訳じゃないにも関わらずです。

だから、この作品は進次郎の成長を見守る物語…
彼の正義の貫き方…悪くなかったと思います。

進次郎の事が気になる女の子…すみれちゃん演じる人気急上昇中のアイドル 佐山レナの存在は大きかったです。
地球外生命体とは全く無縁の彼女が、どうして進次郎と知り合い騒動に巻き込まれていくのか…
彼女の出生に関する時期的な矛盾はありましたが、すみれちゃんの熱演に圧倒され気付いたのは後からでした。
物語が面白ければ、結果オーライという事なんでしょう。

現代に蘇ったウルトラマン…フル3DCGの旨味を全てつぎ込んで作られた作品は、往年の名作とはまた違ったテイストが感じられました。
ウルトラマンスーツを身に纏った彼らの格好良さは半端ありませんでしたよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、OLDCODEXさんの「Sight Over The Battle」

クール全13話の物語でした。
毎週の視聴が溜まっていますが、面白くて思わず一気見しちゃいました。
物語としても中途半端なところで終わっているので、続編制作前提なんだろうなぁ…なんて考えています。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
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