Production_I.Gおすすめアニメランキング 67

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早速見ていきましょう!

85.9 1 Production_I.Gアニメランキング1位
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊-ゴーストインザシェル(アニメ映画)

1995年11月18日
★★★★★ 4.2 (1068)
6362人が棚に入れました
他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」が入国したとの情報を受け、公安9課は捜査を開始するが、人形使い本人の正体はつかむことが出来ない。そんな中、政府御用達である義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが突如稼動し、女性型の義体を一体作りだした。義体はひとりでに動き出して逃走するが、交通事故に遭い公安9課に運び込まれる。調べてみると、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳にはゴーストのようなものが宿っていた。

声優・キャラクター
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、家弓家正
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

造語を説明する気なし!

【あらすじ】
人間の身体を「義体」と呼ばれる機械に置き換えることができるようになり、脳とネットを直接接続できるようになった未来。中枢神経系以外のすべてを義体化した「少佐」と呼ばれる女性が「9課」と呼ばれる警察組織の暗部に身を置いていた。機械と人間、プログラムと意識、システムと思考の境界を問う押井守監督不朽の名作!

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛☆☆☆☆☆ 感動★☆☆☆☆
頭脳★★★★★ 深い★★★★★

【ジャンル】
SF

【こういう人におすすめ】
難しい話を読み解くのが趣味の人。SF好きな人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
83.7点。良作。

【個人的評価】
良作。いろいろ読み解くのに時間がかかるが「ゴースト」という単語はすごい。
『自分のお気に入り』

【他なんか書きたかったこと】
{netabare}  
 昔何度か見たことがあって、「まあわけわかんねえけど面白いなあ」くらいに思ってたんですが「Ghost in the shell」のハリウッド映画が予想外に素晴らしかったんでもう一回観たらめっちゃハマりました(笑) 攻殻機動隊自体にそれほど思い入れはなく、原作未読(たぶん読みにくいヤツだろうと思ってw)、30分アニメ版はなんか私が感じていた魅力だけピンポイントで取っ払って、悪くはないんですが、私にとっては特に魅力を感じないジャンルのアニメになっていたので途中断念しました(割と即断念なので勝手な思い込みかも)。押井作品じゃないアニメ映画版はどことなくアニメ版と同じ匂いがして、まだ手を付けていません。まあそのうちってことで。
 でもゴーストインザシェルとイノセンスだけは好きですねえ。

 作画もストーリーも好きなんですが、曲が最高です!作曲は川井憲次という方。アニメ・映画のサントラをいっぱい作ってる方で、いろんなメディア作品に曲が散らばってるみたいです。もっといっぱいないかなあ。川井憲次特集のアルバムとかないのかな。ちなみに神々の詩(あぱ~ あ な~あが~ ま~あぽ~~みたいな曲)はこの人とは関係ないっぽいです(笑)


 内容は難しいって感じる人が多いと思うんですが、ストーリーの流れとしては実は「難解」ではありません。アニメ内の世界としては自然な流れなのですが、「説明する気がない」だけです。まあ私はそれもアリだと思うんですが。
 つまり、登場人物がアニメとして見られることを意識していないというか、原作者の造語も彼らにとっては日常会話なので、いちいち意味を説明してくれません。「察しろ」っていう原作者の圧力を感じます。逆に言うと世界観が非常によく作りこまれているということで、ただシナリオライターもその世界にどっぷり入っちゃってて用語の解説を忘れてる、みたいな。思考力が表現力を超越しちゃってる、超天才な子供って感じ。
 余計なお世話かもしれませんがストーリーの流れは後で詳しく書こうと思います。



以下、開けば開くだけ長いので、この作品に興味ない人はたぶん開かないほうがいいです(笑) 特に一番下が長いですが、ストーリーちんぷんかんぷんだった人には一助になるかもしれません。
↓この作品の一番の魅力は「ゴースト」という造語!
{netabare}
 既存の言葉で近いのは、意識、記憶、自我、個性、魂、頭脳、IDといったところでしょうか。アニメ内の世界では「人間にあって義体にないもの」というのが本質的な定義だと推測します。
 つまりAという人間の「身体」を次々に「同等の機能を有する機械」に変えていき、隣に「用済みになった身体」を並べていくとして、手を変え、足を変え、心臓を変え皮膚を変え、頭以外のすべてを変えて、次は頭の外殻を変える。この状態が少佐の状態です。この時点では生身の部分として脳が残っています。隣には脳以外のAの身体が血まみれで置いてあります。
 この時に、それを見ていたあなたは「痛いですか?」とどっちに話しかけますか?
 おそらく現代の感覚から言っても、脳のある機械に向けて話しかけるでしょう。
 つまりAのゴーストはこの時点では「脳」にあります。
 では最後に、Aの脳も機械に置き換える。もちろん、Aの脳と同等の機能を有する機械です。そして完全に有機物から無機物に変換されたAが立ち上がり「あー、よく寝た」といかにも人間のように伸びをする。当然です。それは置換される前のAの体、頭、心と全く同等の機能を有しているからです。
 さて、それを見ていたあなたはどうするか。機械の電脳の中に完全にコピーされているAの人格を完全に無視して、バラバラのAの死体に向けて「ああ、死んでしまって可哀そうに」といいますか?目の前の機械が「いやいや、私生きてますよ」といったのに対して「お前はAじゃない!この鉄くず野郎!」というのですか?なんてかわいそうなことを。
 違いますよね。おそらく完全に機械になったAに「大丈夫か?」と声をかけ、機械が「大丈夫」と答えると、完全に納得はできなくても、ひとまず安心するでしょう。おそらく原作者はそれが正しいと思っているし、私も同意します。つまり、脳がなくなったこの時点でも、Aのゴーストは機械の側にあります。隣の「Aの肉体すべてからなる肉塊」は現代で言うところの切った爪や抜けた髪のようなものです。
 完全に機械になったAですが、Aの保険証はAのものとして使えるでしょうし、電脳によって思考するAは生身の時と同じ思考パターンを持ち、記憶を持ち、自分をAだと認識しています。Aが学校の自分のクラスに戻ってくれば、Aの席に座ることを誰も咎めないでしょう。

 このように「ある人間の生身部分をすべて消去しても、そこに同じように残ると考えられるものの総体」が「ゴースト」です。

 で、「これ」にゴーストっていう単語を当てはめたセンスがすごいですよね!
 だって、それってつまり幽霊の概念と同じですから。もしも知り合いの墓参りの時に背後に幽霊が出たら、あなたは怯えつつ墓(の下の遺骨)に向けて話しかけますか、背後に現れた幽霊に向けて話しかけますか?背後の幽霊ですよね。そしてその幽霊は生前の記憶を持ち、自分を自分と自覚し、同じ思考をして、(少なくとも認識できる人間に対しては)同じ権利を持つはずです。つまり幽霊は「ある人間の生身部分をすべて消去しても、そこに同じように残ると考えられるものの総体」なんです。
 まさに「それ」は「ゴースト」という単語に集約されます!すごい!
 っていう一行をやっと言えたわ(笑)

 この映画はこれを言葉にして説明してくれません(笑) ハリウッド版はわりと説明「しよう」としてくれてた気がします。

 で、少佐は「自分のゴースト」を「自分が保持できているか」ということをずっと考えています。彼女には生身の脳が残っていますが、「じゃあ私の脳がなかったとしたら?」とエレベーターでバトーに話しています。つまり私が先ほど出した例の、「生身をすべて消し去ってもゴーストは残る」という点に、確信を持てずにいるのです。
 もし自分の脳も機械であれば、いま私が考えていることもただの回路をめぐる電気信号なのではないか。その場合、私は私であるといえるのか。例えば9課を抜けるのならば、義体はすべて9課に返上しなくてはならない。もし私の脳までも義体なのであれば、私は、9課を抜けるときに私の肉体すべてを9課に返さなくてはならない。……それはつまり、私が9課の所有物であることを意味しないか?そして所有物なのであれば私は私のゴーストを持っていると言えないのでは。すべて機械なら私のオリジナルはとっくに死んでいることになるし、もし今の私の思考がAIなら、オリジナルすら存在しない。つまりそもそも私のゴーストなどないのでは……。
 みたいなことを少佐はずっと堂々巡りのように考えています。

 そして、そこに現れるのが「電子の海から発生した生命体」。
 つまりゴースト「のようなもの」が生身もなく、オリジナルもない単体で存在しているという事実に直面します。
 その後なんやかんやあって少佐は「生身をすべて消し去ってもゴーストは残る」ということに確信を得ます。もしくはその問を超越した存在となって、自我の安定を得ます。そして自分は死んだことにして、9課を去る。
 まあ有体に言うと「なんかどうでもよくなっちゃった♪旅にでも出よう!」みたいな感じになって終わります(おいコラw) {/netabare}
 


↓少佐の生身の脳髄は本当にあったのか
{netabare}  この点が個人的には最大の疑問で、バトーが劇中で「脳髄あるじゃねえか」みたいなこと言ってるにもかかわらずここを疑問に思っているということは、私は少佐の脳が義体であると予想しているわけです。
 それを明言しているシーンはありません。
 ただ、少佐がその可能性について思いを馳せていたというのが第一のポイント。
 第二は2501が少佐を選んだ理由が「私たちは似たもの同士の鏡像である」ということだった点。
 第三に、2501と少佐の融合が実際に成されたという点。
 第四に、首を切断された少佐の意識が消失 → バトーが(頭蓋を持ち帰り?)義体を作成 → 少佐復活♪ という流れ。
 第五に、「さて、どこへいこうかしらね。ネットは広大だわ」というラストの少佐のセリフ。
 第六に、冒頭の少佐(?)組み立てシーン。脳が機械製です。

 第一のポイントは説明いりませんね。つまり可能性の提示があったわけです。

 第二のポイント。2501と少佐が鏡像とはどういうことか。おそらく少佐が実像で、2501が虚像ということでしょう。これはつまりゴーストの有無だとわかります。そして同時に、陰陽や正負などのような「対極」ではなく「鏡像」であるということは、ゴーストの有無以外には違いがないということ。2501の対極というなら、完全な生身の人間で、しかし思考できない、しかしゴーストはあるという「深睡眠中の人間」のような存在が当てはまります。鏡像ということはつまり少佐からゴーストをとった存在が2501であり、逆説的に少佐はゴースト以外の生身を持たないことになる。ここで脳髄だけは生身だという設定が真実なら、2501の例えは「近いが外れている」ことになりちょっちカッコ悪い。

 第三のポイントは技術的に、そして物語の設定的に、「人間の脳とただのプログラムを統合できるのかな?むりじゃね?」と思った、というだけです。少佐の脳が義体なら、ネットのプログラムと融合することは特に問題にならないかなあ、と。

 第四のポイントも技術的な問題。脳髄の生存機能は頭蓋部の義体だけで完結できるんでしょうか。もし脳が義体なら機能停止してもほかの全身義体に接続して再起動すれば戻るかなあ、と。生身の脳だったら脳脊髄液や脳血流による栄養を頭蓋周囲の義体から補っていると思いますが、首チョンパされたらその栄養が供給されなくなって生身の脳が死なないかな?生体は死んだら再起動とかたぶん無理だから……みたいな。脳脊髄液や脳血流のサイクルが頭部で完結していれば機能維持可能と思われますが、ふつうは心臓のポンプ機能や腎臓のろ過機能のように胴体部分を含めてサイクルを形成するもんじゃないかなあと。はいはい深読み乙。まとめると、首チョンパから生き返ったから脳は義体だろ多分、ってこと。

 第五のポイントで少佐はネットへ旅立とうとしていますが、脳が生身だと結局本体が特定位置に存在するんで、「広いネットの海に消える」っていうラストにならないんじゃないかと。つまり凄腕のハッカーがネカフェの一室から世界中に自由にアクセスしていたとしても、隣のヤンキーに絡まれて殴られたら、とっさにアメリカペンタゴンに逃げ込む、とか出来ないわけで……。意味わかりますかね。わかりますか。よかったありがとう。つまり脳が生身だと最後まで”ある限界に制約し続け”られちゃうわけっすよ。少佐の体が完全に義体なら、別の義体にすべての情報(ゴースト)をロードすればいいわけですからラストは「どこにでもいて、どこにもいない」みたいな存在になれますよね。

 第六のポイントは「そういえば!」と思って見返したら発見しました。このシーンが過去シーンなら確定ですが、少佐の見た悪夢っていう解釈もあるから決定打ではないですね。

 以上6点から私は少佐の脳は義体である可能性が高いと考えます。押井守作品以外で少佐の脳が生身である証拠が提示されていたとしても、ゴーストインザシェル・イノセンスに限って言えばそうであると信じます。私が、そのほうがストーリーとして好きなんで。 {/netabare}



↓これだけは取り上げたい名台詞!
{netabare}  これ絶対ピックアップしたかった!
 わたしをある限界に制約し続け……とか少佐がかっこよく決めてるシーンもありますが、このセリフの前ではかすんでみえる!

「で、そっちに現れた人形使いは?どんな感じの奴です?」
「……人形みたいなやつだ」

 これ!
 かっこよすぎ!
 なにその返し!立川談志かお前は!
 何回観てもこのシーンでニヤニヤしちゃいます(笑)
 人形劇をしている人形師が天からの糸でつられていて天井の向こうに大きな人形師の顔が……みたいな。誰かを操っているという行為を誰かに操られていてその誰かがまた……みたいな。うん、何言ってんのかねわたしは。
{/netabare}





ストーリーの流れ(超ざっくり)
{netabare} とりあえずこのアニメの敷居を上げちゃってる、分かりにくい表面上のストーリーの流れを解説します。

第一の事件発生[技術者亡命未遂事件]→即解決
 ↓
神OP ~少佐の作り方~
 ↓
第二の事件発生[大佐黒幕ハッキング事件]→水辺のスタイリッシュ戦闘→「突入しろ」フェードアウト(解決)
 ↓
「奥さんも子供も本当はいないんだよ」
 ↓
少佐、休日に海に潜るの巻
 ↓
中盤BGM ~街でドッペルゲンガーを見て不安に~
 ↓
第三の事件発生[人形勝手に作られちゃった事件]→少佐、人形に興味津々
 ↓
黒幕は6課
 ↓
6課が人形を強奪→追う(同時にいろいろ調べる)→戦車が立ちはだかる→バトーがでかい銃で倒す
 ↓
少佐と2501が会話して融合
 ↓
第三の事件は闇に葬られて終了。少佐は消息不明に。
 ↓
ニュー少佐がネット世界に旅立つ
 ↓
終わり {/netabare}


ストーリーの流れ(まあまあガッツリ)
{netabare} 【冒頭の屋上~神曲OPまで】
{netabare}  第1の事件。技術者亡命事件。
 某国外交官によって技術者が亡命しかける。6課(表の警察)が現場に突入するが、外交官は治外法権と技術者の権利を主張して6課は手が出せない。その現場の窓の外から突然不審者が発砲。外交官を射殺し逃走する。警察として不審者に対応する6課。しかしこの不審者は実は主人公であり、9課(裏の警察)が外交官を暗殺することで事件を闇に葬った。6課は射撃し返しているが、実は心の中では不審者に感謝している。
 第1の事件はここで解決して終了。 {/netabare}

【神曲OP&少佐目覚め】
{netabare}  少佐組み立てシーン。このあとに少佐が目覚めるシーンがあるので、少佐の夢シーンのようにみえるが、おそらく現実の過去のシーン(これは筆者の予想)。 {/netabare}

【ヘリから偉そうな人降りてくる~白髭禿(荒巻、9課のトップ)との会話】
{netabare}  偉そうな人の話を要約すると
「昨日の暗殺マジ助かったわ。それはさておき、今うちの国で預かってるマレス大佐ってやつがいるんだけど、なんかそいつの本国が引き渡せって言ってんだよね。ぶっちゃけ引き渡しちゃっていいんだけど、薄情ものって思われんの嫌だから理由欲しいわ。てか明日その本国と話し合いだわ。まじ萎えるわ」
とのこと。だからどうしたって感じで会話だけで終了。昨日の一件とはまったく別の話。
{/netabare}

【金色短髪のひとの顔にハリ刺さってるシーンらへん】
{netabare}  もう第2の事件発生。事件は待っちゃくれない。
 外務大臣の通訳の脳がハッキングされていたことが判明。偉そうな人がまじ萎えていた会談をぶっ潰すためのハッキングだと予想された。もちろんハッキングした犯人を追うことにする9課。すでに逆探知していて、その場所に向かえとのこと。ハッカーを追跡する車は2台。すでに出発したバトー&石川カーと、これから出発する少佐&トグサカー。 {/netabare}

【少佐&トグサカー車内】
{netabare}  ハッカーの正体はすでに判明していて名前は「人形使い」。
 結構有名人。「あの有名な?」「そうそう。あんなことしたりこんなことしたりした人だよ」的な会話が続く。
 ここで「登場人物にとっては当たり前の理論だが、視聴者はちんぷんかんぷん」というこの映画特有のストーリー・会話展開が発生。略して「当たちん」。
 要約すると
「ハッカーは旧式の脳にハッキングした」
「どうせハッキングするなら新型のほうよかったんじゃね?ハッカーまじアホやん」
「新型はハッキングが難しいから、それにハッキングできるってことは誰かが裏で糸を引いていることになる」
「そうなったらマレス大佐が怪しかったね」
「ってことは、逆にマレス大佐が怪しいかもね」
「いや、その逆の逆かもよ」
「(´_ゝ`)」
みたいな。
 そのあとに襟足の長い運転手(トグサ)についての説明。彼は所轄から引き抜かれた感じで、割と生身で、9課のほかの人と結構ちがう感じで、使ってる銃はマテバでマテバはショボイ。 {/netabare}

【清掃員のシーン~(だいぶ飛んで)~ビルに囲まれた用水路での不可視の戦闘シーン】
{netabare}  ハッキング逆探知位置にいたのは清掃員。本人にハッキングの自覚はなかった様子。
 それに気づいた9課の人たちは清掃会社に問い合わせて清掃車を追う。
 しかし清掃会社が、警察から問い合わせがあったと清掃車に報告、清掃車逃走。
 逃げた先に怪しい男。人形使いか?と思わせる。
 そこから戦闘。市場で見失うが再発見。
 怪しい男は市場を切り抜け、警察を完全にまいたと安心する。
 が、実は透明になった少佐がすぐ近くに!
 戦闘!
 制圧!
 でも忘れないでね。今ハッキング事件の犯人を捜してます。マレス大佐っていう名前だけ出た人が怪しいです。
 少佐とバトーは途中でこの怪しい男も操られているだけだと気づきます。(なぜでしょうか。凄腕ハッカーにしては弱すぎるとかそんな感じかな。もしくはカン)
 ハッキングされるとゴーストが無くなって昔の記憶とか無くなる。 {/netabare}

【白髭禿とヘリ】
{netabare}  白髭禿はマレス大佐の家を見張っている。多分、緑に黄色のラインのポロシャツがマレス大佐。人形使い登場。やっぱりこの二人は繋がっていたのか!
 バトーと白髭の話はさっきの「怪しい男」についての情報。
「あいつの話によると、あいつは凄腕の殺し屋で、マレス大佐に10万ドルで雇われて例の"萎え会談"をぶっ潰そうとしてたらしいです」
「ふーん。まああいつのウソっしょ?」
「もち。ただのチンピラでしたわ。人形使いに操られてた系っすわ。で、おやっさん今マレス大佐の家っすよね?人形使い来ました?」
「来たわ。とりあえずマレスとか人形使いとかこのまま捕まえるわ」
 で、白髭「突入しろ」って言ってます。つまりここで第二の事件終了です。いやホントに。
 詳細がわかりませんがハッキング事件がこの「突入しろ」から次のシーンに行くまでに終了したことは間違いありません。
 おそらくマレス大佐は偉い人の望み通りハッキング依頼容疑でマジサイテーな奴って感じになって本国へ送られました。で、本国でおそらく晒し首になりました。人形使いもたぶん捕まったか、その場で射殺されたかです。とはいえ彼の本体はネットの海の中にあるので、実は逃げました。 {/netabare}

【疑似体験って……どういうことですか、らへん】
{netabare} 洗脳された清掃員に説明するシーン。
「あなたには奥さんも娘さんもいないんだ。すべて植え付けられた記憶なんだよ」
「まじ気分悪いっす。この記憶消せないんですか」
「ちょい無理っぽいです」
「うそーん」
 ここはわかりやすいんでそのままの解釈でいいです。まあここはシナリオライターの「主張」のひとつなんで、ちゃんと説明してくれてます。 {/netabare}

【少佐、休日に海に潜るの巻】
{netabare}  ここも主張シーンですが、一番深いトコの話になってるんで分かりにくいです。
 でもまあストーリーの流れとはあんまり関係ないんで飛ばします。
 ちなみにDVDだとめちゃくちゃ聞き取りにくい誰かわからない囁き声はこう言ってます。まあ誰って人形使いに決まってますが。
 
 「いまわれらかがみもてみるごとくみるところおぼろなり」
{/netabare}

【中盤の神曲シーン】
{netabare}  なんかいつまでも観てられますね。雨って好きだわ。
 人影の中に見える自分に似た人が、少佐の不安を煽る。「私は私だといえるのか」。 {/netabare}

【裸の奴が轢かれる ~ 9課のラボ ~ 9課の会議室】
{netabare}  バトーが宣言してから説明してくれてます。バトーまじいいやつ。
第3の事件発生。ロボット勝手に作られちゃった事件。
「9課御用達の義体製造会社の製造ラインが勝手に動いてロボットを作った。ロボットは逃げたけど車に轢かれて、通報があって、いま9課で調べてるとこ。しかもゴーストっぽいのが入ってるっぽい」
 このゴースト「らしき」っていうのが結構重要なポイントだったりします。これをゴーストとするかどうかがシナリオライターの問いであり、私もまだ答えが出ません。つまり、現代版で言うとSiriが「週休二日で8時間勤務にしてくれ」と言ったらどうするか、みたいなことですがまあその辺は置いといて。
 この事件に対して9課は「ロボットを窃盗するのが目的ではない」と考え、その会社自体を捜査、と同時にその会社と同じくらいのセキュリティのネットを封鎖して次の犯行を防止。少佐は新しいセキュリティを組む。
 そして同時に、少佐はこの「ゴーストっぽいのが入ってる義体」に深く興味を持ち、接続して(ダイブして)中にあるものを確かめたいと思っている。これ以降少佐にとっては9課の任務よりも「この義体にダイブすること」が優先されます。
 あとバトーと白髭の会話も結構深いですがスルーします。 {/netabare}

【外部の2人がやってくる】
{netabare}  6課の中村部長が医者を連れて白髭に面会に来ます。結構いきなりな感じです。
 9課のメンバーも「え、何しに来たん?」みたいな反応。
 トグサが降りた後、少佐とバトーの会話。ここが少佐にとっての核心シーン。会話で言ってることそのままなので、例によってスルーします。
 で、6課のおっさんと白髭対面。手短にいこうって言ってちゃんと実行してます。この6課のおっさんのセリフは全体的に筋が通ってるし、わかりやすくて好き。「あの勝手に作られた義体もらいます。あとは6課がやります。9課はお休みしてどうぞ」って言ってます。 {/netabare}

【トグサが駐車場でなんか調べてるシーン】
{netabare}  出ました!当たちん! 登場人物にとっては当たり前の理論だが、視聴者はちんぷんかんぷんな会話!

 ↓以下トグサの頭の中と行動
(あれ、車2台あるわ。二人で2台……?官僚2人がそれぞれ公用車を自分で運転してくるかな?)
(もしかして、2人以外にもだれか来たかも)
 不審に思い、映像を確認。何も映っていない。
(光学迷彩=透明になる装置かも)
 赤外モードでもう一度見る(おそらく赤外線サーモグラフィのこと。温度で透明な人間を見つけようとしている)
 しかし何も映らない。
(やっぱ違うか……あれ?)
 不審に思い、二人が通り過ぎてから自動ドアが閉まるまでの時間を確認。タイムラグが大きすぎることに気づく。
(やはり誰かほかにいるのでは)
 確信を得るために二台が止まっていた駐車場の感圧計を調べる。
 つまりメーターはその駐車場の枠線内のものの重さ。時間を進めると、最初ちょっと高くて、ゼロになる(前の車が止まってて、いなくなる)で、次に急激に上昇。2000くらいになる。ここから車の重さを差し引くと(下のメーターが総重量で上のメーターが車の重量かな?単位がt.だけどkgっぽい)人間の重量はざっと600kg。くらい。
 義体1+人間1で500kgを超えることはない(らしい。知らんがな)のでやはり車には2人のほかに誰か乗っていたことになる。
 (つまり6課の車でやってきて「光学迷彩」+「熱迷彩」の装備のある人間が9課に無断で内部に侵入している)
 という状況にトグサは気づき、少佐に報告。

 つまりここで第3の事件「ロボット勝手に作られちゃった事件」において、黒幕は6課である可能性が示唆される。 {/netabare}

【白人の腕シャキンシャキーン周辺 ~ 6課の侵入者が「人形使い」をさらう】
{netabare}  このシーン好き。というか6課の課長のセリフが理知的・平易・適切で好き。適切に2501の弁舌に振り回されてる。
9課「これ義体関連の事件なんでこっちの守備範囲だよね」
6課「いや、実はこいつは国際犯罪者の人形使いだから国際犯罪の6課が担当なんです」
白人「そーだ、そーだ」
9課「この義体に閉じ込めて、本体は暗殺した系?」
6課「そうです。いやはや、めでたしめでたし」
人形「嘘だ!」
9課「え、この人形起動してたん!?」
外野「なんか勝手に動いてるっす」
人形「おれ人間なんだ!助けてくれ9課!」
9課「え…?」
6課「お前はただのプログラムだから駄目!」←これ、うっかり口を滑らせている
人形「それ言っちゃったらあんたもプログラムっしょ。だいたいね……うんぬんかんぬん」
6課「いや、意味不明だし!お前犯罪者だし!」
人形「でもこの国死刑ないっしょ?おれ基本死なねえし」
9課「え、死なないってことは人形使いはAIだったの?」←混乱してたが理解し始める
人形「AIじゃねえし。故郷がネットってだけだし。生きてるし。あと名前は2501だし」
6課「(……マジこいつ殺すしかねえ)」

 で、侵入者(実は6課の人間)が発砲。2501を奪い逃走。発砲は人狙いじゃなくて、記録を壊そうとしたっぽいです。 {/netabare}

【待機していたトグサ、マテバの弱さをさらす ~ 昔のアニメにありがちな指令室で白髭禿が指示を出す】
{netabare}  侵入者(実は6課)が建物の壁を壊して外に出ると、事前の打ち合わせ通り逃走用の車が来る。
 そこに待ち構えていたトグサ登場!マテバを無駄撃ちする。
 逃げられてしまうかと思いきや、トグサが手配していたトラックが道を塞ぎ(あとでお礼言ってます)、その隙にナンバープレートに一発、発信器を打ち込んで褒められる(あとで2発やれって怒られてます)。
 6課の人が「いやあ、困ったことになりましたなあ。ちゃんと中身入りで捕まえてね」みたいな感じで侵入者とは関係ないですよアピールをしてから去っていきます。どうでもいいけど結局こいつら2台で帰ったのかな。運転手は?まあいいけど。

 ここで9課は第3の事件について大きな軌道修正を行う必要が生まれます。
1、侵入者を捕えて、6課とのつながりを証明する → バトー&トグサの担当
2、プロジェクト2501とかいろいろを調べる → 白髭禿の担当
3、2501を取り戻す → 少佐の担当(というより少佐は個人的な執着でこれを優先)
4、なぜ2501は9課を頼ったのか → 各自考える
5、なぜ6課は強引に2501を奪ったのか → 各自考える
 白髭禿は人形使いを破壊することを視野に入れているが、少佐は嫌がっている。
{/netabare}

【6課とトンネル ~ プロジェクト2501真相判明】
{netabare}  白人は2501のゴーストを認めているっぽい。てかまあ、彼が親みたいなもんだから。で、運転手どっからきた。車もう一台どうした。

[プロジェクト2501]
 外務省が技術者を集めたプロジェクトで、目的は犯罪用のAIの作成。そのAIはネット界から各国に潜入し、外務省に有利になるような様々な工作をするスパイとして作られた。白人がプロジェクトの主任。第一の事件で6課が追っていた亡命希望の技術者もこのプロジェクトの参加者。外務省と、国際問題に対応する6課は同一の利害関係で動いている。
 このプロジェクトが9課の知るところとなり外部に露見すると、当然外務省は各国から糾弾される。つまり「あの国の外務省マジないわー」みたいな感じになる。それを避けるために6課は事件を隠蔽しようとして、2501を強奪した。

 全部ジェバンニがやってくれました。あ、間違えた。イシカワがやってくれました。ずっと名前出てたイシカワはここで初登場。そしてそれ以降登場無し(笑) 次回作に期待してください。
{/netabare}

【バトー再登場 ~ あんなゴツイお姫様にエスコートいらんわ】
{netabare}  バトーが「逃走車が白いセダンと接触して2501を乗せ換えた、かも」と報告。つまり追う対象が2つ。
 当然少佐が2501のほう、トグバトーが逃走車を追うことに。
 逃走車確保。道を封鎖して動きを止め、侵入者2匹のうち1匹は即射殺。もう一匹がビビったところで確保。
 バトーは侵入者をトグサに任せてすぐさま愛しの少佐のほうへ向かう。 {/netabare}

【少佐 VS 四本足の戦車】
{netabare}  少佐は白いセダンを補足。教会っぽいところの真ん中に止まっている。
 少佐が近づくが、光学迷彩の何かを発見。それは4本足の戦車(物語世界の中では戦車といえばこれらしい)と思われたので、上空に待機している味方のヘリに天窓のガラスを割るように指示。降ってきたガラスによって戦車の光学迷彩解除、発砲も停止(そういうもんなんです。ガラス降ってきたらそらそうなりますわな ←テキトー)。
 「一人で戦車とやりあう気か?」はヘリパイロットではなくバトーのセリフ。
 それに対して少佐は「増援が来てから2501を確保してもダイブを許可してもらえない。私が一人で2501を取り返して本部に届ける前にダイブするしか、ダイブする方法はない」と、自分の行動に理由付けをしています。
 どんだけダイブしたいんだよって感じですが、それが今の彼女の生きる理由みたいなものなので。
 M23とUnitBじゃあ戦車には勝てない。でもたぶんマテバよりは上。この辺の用語の細かい説明など当然のように皆無。

 この戦車は間違いなく6課の指示で動いているんですが、なぜ2501を破壊しないで守ってるんですかね。
 最終的には頭打ち抜いて終わりなんで、この戦車でやっとけばよかったのに。まあできれば「回収」したかったんだろう。……戦車で守ってそのあとどう回収するんだ。ガシャコンガシャコン6課の課長の家まで持って帰るのか…?まあいいや。

 まあ戦闘。
 少佐が頭の上に乗ってフタ開けようとしたり(たぶんそれで装甲に隙間ができて、内部を破壊したら戦車が止まる)、戦車が光学的にも熱力学的にも感知できない少佐を心音で特定(ただし一定時間ロックオンしてないと無理みたい)してますが、この辺の説明もなし。1流のアニメ視聴者なら察せ!イエッサー!
 でも弾切れじゃなかったじゃん少佐!あと戦車は頭の上撃てるようにしとけ(笑)

 最終的には少佐は敗北しますが、すんでのところでバトーがオリジナルの超すごい銃を持ってきて戦車を破壊。なぜかこの銃の説明はある。
{/netabare}

【それ以降】
{netabare}  6課の増援のヘリが狙う中、少佐は2501にダイブ。
 少佐と2501が融合。
 ヘリが二人の頭を吹っ飛ばすが、少佐のほうは弾丸がバトーの手に当たって軌道が逸れ、頚部に当たって首が飛んでいく(スローで分かる)。
 少佐の薄れゆく意識の中、バトーが叫ぶ。
 おそらくこの後、バトーは少佐の頭を秘密裏に持ち帰り、闇ルートで入手した義体となんやかんやして少佐復活。
 「おれんとこ来ないか」というバトーに対して、少佐は「ちょい旅に出るわ」とつれない返事。
 俺たちの戦いはこれからだ!
 で終わる。
 ごめん最後(も)テキトーになった。 {/netabare}
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 20
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

久々の入隊!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2回目でした。85分くらいの近未来SF。
 原作の漫画やこの映画のアニメコミックは読む機会もあるのですが、映像作品として見たのは久々でした。テレビシリーズは未視聴です。

 この作品を傑作たらしめているのは、卓越した近未来の世界観の設定と、躍動的なアクションに加え、「人間と機械の二元論」を基礎とした普遍性にあると思います。イロモノではなく正統派のSFですね。
 被創造物を用意することで人間について考えるというのは、鉄腕アトムの頃から培われてきた、ある意味では古典的なテーマです。ただ、この作品では、「情報」や「ネット」というキーワードを使って、普遍的なテーマの現代化に成功しています。この作品で語られている内容は、今なお色あせていません。

 で、この作品をどうやって読んでいこうかと考えたときに、その大半は脚本によることになります。象徴物は、強いものが少数あるといった感じで、そこまで苦労することはないでしょう。
 困ってしまうのはむしろ脚本の方。非常に抽象的で、かつ宗教的な要素も入っていて、やや難解です。加えて、ちょっとテンポが速くて、十分な考察時間が与えられてないようにも思えます。とはいえ、このテンポの良さが会話の日常感を演出していたり、作品全体の緊迫感を醸していたりするのも事実なので、一概に悪いとも言い切れませんけどね。脚本自体は非常に良いものです。

 以下では、脚本をベースにして映画の内容について考察してみます。かなりのネタバレがありますので、先入観を嫌う未視聴の方はご注意ください。


機械と人間:{netabare}
 まずは、根幹を成す機械から人間への展開の仕方を見てみます。作品の基礎的な部分ですので、セオリー通りオープニングで語られています。亡命者の会話をバトーと素子が盗聴しているところです。
 ①?「バグのないプログラムは存在しないが、デバッグの不可能なプログラムもまた存在しない。違うか?」
 ②亡「そもそもあれは本当にバグなのか?本来プロジェクト2501に必要だったのは…」
 ③バ「お前の脳、ノイズが多いな」
 ④素「生理中なの」

 たったこれだけの会話ですが、非常に重厚な脚本になっています。
 ①では機械の話しかされていません。一方、②では機械を否定しています。ただ、機械でないものが何かという言及はされません。③では、「ノイズ」という機械表現が、「脳」という生物表現に乗せられ、生物側にズレ始めます。④で初めて生物のみの表現になります。
 機械から人間へ、とてもスムーズに展開しています。また、それぞれの要件も提示されています。機械はプログラムであり、人間には生理がある、ということです。卓越したセリフ回しだと思います。

 この要件付けは主題に直接関係します。少し先走りますが、人形使いは、自我らしきものを持ちました。しかし、重要なものが欠けているのです。彼の言葉を借ります。
 「私は自分を生命体だと言ったが、現状ではそれは不完全なものに過ぎない。」
 「なぜなら、私のシステムには、子孫を残して死を得るという基本プロセスが存在しないからだ。」
 彼は、システムでありながらも、生命体を自認しています。つまり、③までが充足されているのです。ですが、④の要素が欠落していました。彼は、(象徴としての)生理を欲していたのです。
{/netabare}

人間とゴースト:{netabare}
 人間がゴーストを持つものだということは、清掃車を追う車内で、トグサと素子により語られます。トグサにハッカーの黒幕の根拠を問われた、素子の返答から。
 ①素「根拠ですって?そう囁くのよ、私のゴーストが」
 ②素「ところでまだリボルバーを使ってるんだって?―略―」
 ③ト「俺はマテバが好きなの」
 ④素「援護される身としちゃ、好みより実効制圧力を問題にしたいわ」

 ①のセリフばかりが取り上げられますが、「ゴースト」があるだけでは人間の証明にはなりません。それが人間のものなのか、機械の模擬的なものなのか、分かりませんからね。ここで重要なのは、その先の会話との関連です。

 ①で素子は、「ゴースト」という非論理性にその根拠を頼っています。しかし、トグサが同様に「好き」という非論理性に根拠を求めると、「実効」という論理性をもって否定するのです。
 この会話が表しているのは、人間が内包している論理の矛盾です。「ゴースト」に加え、「論理矛盾」というプログラムで構築し得ないものを抱えているのが人間なのです。

 なお、論理矛盾はスキューバのシーンに展開します。このシーンは語るべきところが多いですが、最も重要なのは、海面に写る素子の二面性(人間と機械)と、それを突き破るというエンディングを示唆した描写です。
 論理矛盾は、その直後に出てくる「不安、孤独、闇、それから希望」という素子のセリフです。一つの事柄でも、相反する二つの方向性を見てしまうのが人間なのです。
 素子の表情、特に目は、とても機械っぽく見えるのですが、「生理」やここで挙げた二つの論理矛盾は、いずれも素子の口から出ています。人間の部分も強調されていましたね。

 ちなみに、素子が「生理」を言い訳にするのも変ですよね。素子は脳と脊髄以外は義体ですから「生理」はないはずです。本人も遺伝子を残せないと言っていましたし、嘘をついたのでしょう。偽証も人間特有なんて言われたりします。男を黙らせるための必殺の文句、といったところでしょうか。
{/netabare}

記憶と情報:{netabare}
 ちょっとシーンを遡って、清掃員の尋問シーンのあとのバトーのセリフ。
 ①バ「疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、そして幻なんだ」
 ②バ「どっちにせよ、ひとりの人間が一生のうちに触れる情報なんてわずかなもんさ」

 これはバトーの意見、というか一般人の代弁だと思います。素子はちょっと違います。スキューバから。
 ③素「自分が自分であるためには、驚くほど多くのものが必要なのよ。―情報の例示―」
 ④素「私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり、それら全てが私の一部であり、
    私という意識そのものを生み出し、そして同時に、私をある限界に制約し続ける」

 素子はバトーと異なり、個人を特定するためには、「わずかな」情報(記憶)ではなく「膨大な」情報が必要なんだと言っています。また、電脳がアクセスしたものは自己形成を助けるけど、アクセスという条件がついてしまうため限界があるんだと言っています。
 この辺も人形使いの会話に直結するのですが、その話に移る前に、この作品で重要な意味を持つ「コリントの信徒への手紙」を見ておきましょう。
{/netabare}

コリントの信徒への手紙と生命の樹:{netabare}
 この手紙は、スキューバのラストにある「今我ら鏡もて~」と、エンディングにある「童子のときは~」に引用されているやつです。新約聖書の内容になるのですが、私はキリスト教徒でも何でもないので、うまく説明できません。というわけで、手元にある訳本を頼りに該当箇所を超絶意訳します。キリスト教徒の方には反感を買いそうですが、どうか大目に見て下さい。★の部分が作品内での引用箇所です。

 「愛は大事だよ。愛は滅びないよ。知識は廃れるよ。私たちが持っている知識は一部(不完全)だよ」
 「不完全なものは、完全なものが出てくると廃れるよ。」
★「幼子のときは幼子レベルだよ。大人になると、そのときのことは忘れちゃうよ。」
★「今、私たちは鏡にぼんやり写ったものを見ているよ。いずれははっきり見えるよ。」
 「今、一部しか知らなくても、いずれははっきり知ることができるよ。」
 「信仰と希望と愛はいつでも変わず存在するよ。一番大事なのは愛だよ。」

 愛や信仰に関する部分は、この作品ではあまり出てこないので、とりあえず脇に外しておきます。知識のところを見てみると、不完全な状態と完全な状態があることが分かります。

 一部の情報が全てだと思っているバトーは幼子で、より多くの情報を得ようとしている素子は大人になりたい幼子、完全に近い情報を持っている人形使いが大人です。
 なぜ人形使いが素子を選んだのかというと、彼が(象徴としての)生理を欲していたことに加え、素子が大人(完全なもの)を目指していたからです。これが両者のシンパシーです。

 戦車との戦闘シーンでは、背景に生命の樹が出てきます。生命の樹に実るのは「知恵の実」で、それを食べると神に等しき存在になれるとされています。素子は、人形使いと融合し、膨大な情報(知識・知恵)を獲得しました。大人(完全なもの)になったのです。だから、融合に際して、天に神のようなもの(完全なもの)を見たのです。

 この辺りに関する人形使いのセリフを一応記載しておきます。
 ①素「私が私でいられる保証は?」
 ②人「その保証はない。人は絶えず変化するものだし、君が今の君自身であろうとする執着は、君を制約し続ける」

 「変化」は幼子が大人になること、「執着」は幼子が幼子であろうとすること(バトー)ですね。「わずかな機能に隷属していたが、制約を捨て、さらなる上部構にシフトするときだ」も同様の内容です。

 ちなみに、この作品には愛や信仰は出てきませんが、「希望」という単語はスキューバで出てきますよね。大人(完全なもの)になった素子が、子供の義体に収まっているのは、再度大人に成りうるという「希望」のような気がします。素子は完全なものになった、と書きましたが、正しくは真の完全なものに近づいた、というべきなのでしょう。
 子供(不完全)→大人(完全ぽいもの)→神(真に完全なもの)という段階付けがあるわけですから、大人になってもその先にはさらなる「変化」が待っているのです。
 別にいずれ神になる、と言いたいわけではないですよ。それは神への挑戦でしょうから。より大人になる、まだ成長できる、くらいのニュアンスです。
{/netabare}

改めてテーマについて:{netabare}
 この作品のレビューをいくつか拝見しましたが、やや「ゴースト」という単語に引っ張られ過ぎている方が多いように見受けられます。「ゴースト」は確かに重要なキーワードではあるのですが、あくまでも人間を構成する要素の一つに過ぎません。人間を構成しているのは、「ゴースト」だけでなく、(象徴としての)「生理」と「情報」も必要なのです。このうち、最も重要なのは「情報」です。

 「記憶」が改ざんされ、「ゴースト」が「義体」に宿り、「義体」のメンテナンスを信用に頼っている、というのがこの作品の世界です。「記憶」や「ゴースト」を持つことが人間であることの証明にはならず、バトーが言うように「疑い出せばキリがない」という状況なのです。
 こんな中で、「私は人間なのか」「この自我は本物か」ということを証明をするためには、どれほど多くの疑わしきことが出てきても、全てに追跡調査可能なほどの圧倒的な情報を獲得するしかないのです。

 素子は、「ゴースト」と(象徴としての)「生理」を有していましたが、「情報」に不足していました。自分を証明するための「情報」に不足していたから、悩んでいたのです。
 人形使いは、「ゴースト」と「情報」を有していましたが、「生理」を持ち得ませんでした。
 この両者が融合し、「新たなゴースト」と「生理」と「情報」を持った「何か」が誕生しました。この作品が言わんとしていることは、圧倒的な「情報」量がもたらす「自我の確定」と「人間の進化」なのです。
 全ての人間が人間であることを証明できない中で、人間であることを証明できてしまう「何か」が、果たして人間と言えるのかどうか、というのは分かりませんけどね。神に近づいたものですから。皮肉なものです。

 ていうか、素子はどうなっちゃうんですかね?エンディングのあとは、義体を捨ててネットの中に潜むんだと思うのですが、それってどんな存在なのでしょうか。ネットの中にある自我というのは、環境、みたいなもの??
{/netabare}

遺伝子と模倣子:{netabare}
 図らずもエンディングまで到達してしまって、これ以上何書くの?って状況なんですけど、補足を少々。
 補足したいのは、「希望」を誘引する「生理」についてです。

 気付いた方のいらっしゃるかもしれませんが、私がこのレビューで生理と言うときに、「生理」と(象徴としての)「生理」と使い分けてきました。前者は女性の肉体的な事象を述べたもので、後者は自分の情報を残す機能のような意味合いで使っていました。素子は「生理」はないけど、(象徴としての)「生理」はある、ということです。作品内での遺伝子と模倣子の関係に似ています。

 ①素「融合したとして、私が死ぬときは?遺伝子はもちろん、模倣子としても残れないのよ。」
 ②人「融合後の新しい君は、ことあるごとに私の変種をネットに流すだろう」
 ③人「人間が遺伝子を残すように。そして私も死を得る」

 模倣子というのは、ミームのことです。血族的なつながりに基づく遺伝情報の伝搬ではなく、脳から脳へとつながる文化情報の伝播です。
 例えば、私がレビューを書きます。誰かがそれを読みます。そして、私の解釈にその方の解釈を載せ、新たなレビューを書きます。新たなレビューは、私のレビューよりも進化したものです。このときの私のレビューが模倣子であり、新たなレビューが進化した模倣子です。この総体が文化であり、文化も進化する、ということです。

 なぜ素子が模倣子になれないと言ったのかは分かりません。誰しもが模倣子に成りうる気がします。発信者の自覚がないからかもしれません。ただ、人形使いは自覚の有無を問わず、「変種をネットに流す」ことができるのだと言っています。これは、「子を情報として拡散する」という、遺伝子でも模倣子でもない、それを融合させたような第三の伝播機能を表現しているように思えます。
 機械の男と人間の女から産まれた子供、そんな第三の存在がもたらす新たな伝播機能。それこそが、新たな「希望」なのかもしれません。
{/netabare}

どうでもいいこと:{netabare}
 私は、この作品を漫画版でごくごくたまに読むのですが、読むたびに、漫画版ナウシカを手に取ってしまうんです。漫画版ナウシカには、こんな一連のセリフがあります。
 「私たちの身体が人工で作り変えられていたとしても、私達の生命は私達のものだ。生命は生命の力で生きている」
 「生きることは変わることだ。王蟲も粘菌も草木も人間も変わっていくだろう。腐海も共に生きるだろう」
 「だがお前は変われない。組みこまれた予定があるだけだ。死を否定しているから……」

 人形使いが、なぜ生命体を自認したのか、なぜ変わることの必要性を素子に説いたのか、なぜ死を欲したのか。彼が抱えるストーリーは、ここに集約されるように思えます。
{/netabare}

 投稿前に読み返してみましたけど、冒頭で挙げた「肉体と魂の二元論」について、あまり触れてませんでしたね。この作品の基礎ではあるけど、主題はその先にあるので追記はしませんけどね。それにめんどくさ…じゃなくて、模倣子だから、これ。

対象年齢等:
 高校生くらいから楽しめるでしょう。どこまで理解できるかは一概には言えませんけどね。宗教が絡んでくるし、いつまで経っても「よく分からん」てなところもありますし。難しく考えずにとりあえず見ておきましょう、という必見レベルの作品です。
 「天使のたまご」もレビューを書いていますけど、押井作品にはキリスト教が必須?なんですかね?この2作品しか見てないから断定はできないですけど。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 9
ネタバレ

windnaut さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

2週目メモ帳片手にタイム連打 映画館で理解できるような作品じゃない

「人形使い」を追う群像劇

すべてのセリフ(本当にすべてのセリフ)を記憶する必要がありその記憶が次のセリフの理解につながる、知識の積み重ねと達成感を味わえる作品。実をいうと攻殻はおしゃべりがうまい女性の方が男性より向いてる作品かもしれない。

あまりにもシビアな作品で薦めづらいがこれも私の中で5本指に入る神アニメ

以下シーンごとの記録と感想、ネタバレの塊:

起承転結、起の章(秘密会談参加者ゴーストハック事件)
{netabare}
シーン1:とあるビルで
{netabare}
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内容(つかみ):亡国外交を建前に国の重要プログラマーを拉致するところを公安六課が制圧、外交官は免罪できる手形を持ってたので。プログラマー流出防止のため「公安九課」(草薙素子=少佐)が武力介入、外交官はその場で射殺。六課と九課の立場を少しながらあらわにした。そしてOPへ。
{/netabare}
感想:
ワクワク
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{/netabare}
シーン2:エレベーターの中
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{netabare}
内容:六課の偉い人と九課のボス荒巻の会話。日本はつい最近政権交代があった「アベル共和国」の政府に援助金を続けるか断つかの立場にいるが。日本側はアベル共和国の新リーダーは先がないと判断。新政権は金も自力で手に入れたわけでもなく、援助金は歴史上日本が圧力をかけてたことの贖罪だと認識されてるので感謝もされないので日本の立場としては援助を切りたい。だがもう一つの問題はアベル共和国の元軍事部門のボス「マレス大佐」が日本に亡国してる件。そこでアベル共和国と日本は「秘密会談」を主催し、日本側の交渉目的としてはマレスを渡すことを条件に援助を切るか、マレスを渡さず援助を続けるか(絶対に選びたくない)の2択を迫ることだが。実際のところ日本はマレスを国外追放して援助も切りたい。だが世論的には正当な理由もなく表向きにマレスを追放できないところ。偉い人がエレベータを降りる際の一言‘亡国の件ありがとう 表向きの人(六課)は手を汚せないからね’
{/netabare}
感想:
ここ1分のシーンでさりげなく出てくるマレスというキーパーソンとアベル共和国。記憶が正しければ映画で登場するわけではないが。物語を理解する上で絶対に知っておかないといけないキーワード、事件の黒幕は目的を果たすためいろいろな事件を繰り出してくるが、自分がやってるとバレないためマレスの名を使い、一連の事件はマレスを中心に動いてるように公安に見せる。ちなみにここで六課は公安の表部隊、九課は裏部隊と説明された。
{netabare}
ね、メモ帳ないと無理でしょ。「マレス」と「アベル共和国」と「秘密会談」に気づかなかった人はこの時点でもう後の事件がなぜ起こってるのかわからなくなちゃうの。その人たちはここから起きる一連の事件に一貫性を見だせなく。公安九課が日常的になんとなーく起きてる事件解決してるように見えてしまうのがこの作品の怖い所。
{/netabare}
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シーン3:観察室
{netabare}
{netabare}
内容:公安は世界を跨いで活躍する悪名高いハッカー「人形使い」がすでにネット端末の隅々に介入していて秘密会談の妨害工作を仕掛けてくると疑い、参加者全員に網を張っていた。その頃、読み通り会談に参加するはずの通訳官が電話回線を通じて「ゴーストハック」されてしまった。使用されたウィルスは旧式のHA-3。バトーと石川が逆探知を通じて発信源を追ってるとのこと。少佐は合流命令を受けつつベッドに横たわる金髪で上品な成り立ちの通訳官、そしてモニターに映る彼女の脳スキャンを振り返って見ていた。
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感想:映像作品は小説などの活字と違って文字に頼らない表現ができるのって本当に素晴らしいなと思ったシーン。「ゴーストハック」って作中には説明されてないんだけど、モニターに映る脳スキャン、通訳官の頭に刺さった電極、取り出された脳殻。なんとなく「他人の脳にハックする」ことだとわかるし。ここの通訳官の容貌を覚えていたら次のシーンで強い違和感を覚えることになるだろう。
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シーン4:装甲車の中で
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内容:少佐とトグサと装甲車での会話。人形使いは一度に複数のゴーストハックをすることからそのコードネームが付いたらしい。この事件に対して少佐の意見は人形使いが旧式ウィルスでハックした訳はマレスがスポンサーで疑いを避けたいから、だがマレスは人形遣いに利用されている一人にすぎない。それにトグサは「根拠もないんだし考えすぎじゃない?」と返答。少佐「そう囁くのよ、私のゴーストが」。そして少佐はトグサが愛用してるリボルバー拳銃「マテバ」に不満の意思、チームを組んでるから火力制圧がいいザツタバにしてほしいと。そしてほぼサイボーグ化されてない所帯持ちで本庁出身のトグサを九課に編入した理由に「組織も人も特殊化の果てにあるのは緩やかな死、それだけ」と挙げた
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感想:トグサ―!攻殻シリーズで大好きなキャラクター。鋭い観察力と電光石火のひらめきの持ち主でやさしい。マテバは殺傷能力ひくいから人を殺さず捕まえる警察時代の名残かな?このシーンは攻殻シリーズの名セリフがいっぱい出てきて大好き。
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シーン5:ゴミ回収場
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内容:ゴミ収集員の男が公衆電話を通して通訳官にゴーストハック。男は妻と離婚して娘に浮気を疑われているらしい。男はバーで出会ったプログラマーに離婚の話をしたら「障壁破り」を手に入れて他人のゴースト(脳)に侵入することが可能になった。それにポイントを変えながら侵入すればバレないことも教わっており。石川とバトーが逆探知で現場到着したのも男たちがゴミ収集を終え去っていった後のこと。途中すれ違っておりバトーがごみ捨ておじさんから男が公衆電話を利用してたことを知り、すぐさま清掃車を追うことに。
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感想:バトーすげぇ!なぜ気づくし、普通ドライブしてて清掃車なんて気にしないでしょ。ここで「シーン3:観察室」の伏線を回収してるんだけど。一つは公衆電話でもう一つはゴミ収集者と通訳官。この組み合わせはどう考えても釣り合わない。強烈な違和感に襲われた私でした。ゴーストハックで記憶を変えられてるんじゃない?―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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シーン6:再び装甲車で
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内容:少佐が収集員が実行犯だと知り清掃局のネットにアクセスしゴミ収集車のルートをゲット。バトーに次のポイントへ、石川に男の自宅へ先回りするようオーダー。一方男は同僚に自分の家庭の写真を見せようとしたが同僚から「他人の家族写真見る趣味はない」と拒否されてしまう。その頃清掃局から電話が入り自分が追われてることを知りポイントを一つ飛ばしてプログラマーに会うことに決定。少佐もそれを確認し次のポイントへ向かう。バトーは予定してたゴミ収集ポイントから疾風のごとく現場へ駆け向かうのであった。
{/netabare}
感想:クールに見えて実はドジっ子な少佐に吹いた(笑)バトーは「だからもぐれっつってんだ」で完全に夫気取り、和む。一方少佐はクールでそれを無視しオーダー出し続けて華麗に躱していったけど、こういうやり取りがあるとキャラが生きるなって思った。男の家庭写真でやっぱり本当に通訳官の家族か疑う自分。
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シーン7:某公衆電話の前で
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内容:電話ボックスの前にはグラサンかけたプログラマーが防壁破りを設置していた。
公安の存在を察知した彼は懐に隠したサブマシンガンを取り出し直ちに発砲、清掃車はタイヤの爆音とともに転倒、尾行していた装甲車もそれを追うように共倒れに。そしてグラサンは弾倉取り換え装甲車めがけてオート連射で固め打ち。装甲車は風穴開けられ満身創痍。まもなくして爆炎があたりの壁を真っ赤に照らした。そこにバトーが到着。とっさに脱出した少佐は引き続きバトーとともにグラサンを追跡。トグサは収集員2名を逮捕。
{/netabare}
感想:このグラサンがMatrixのMr. Smithの原型なんじゃないかと思う。少佐が上から回り込む前にちゃんと指令を出してたりと細かいところが圧倒的に多いから展開がスムーズなのが素晴らしい。会話が少なくて息抜きができる貴重なシーン。バトルシーンは休憩タイム。
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{/netabare}
シーン8:バトルシーン
{netabare}
{netabare}
内容:バトーはモニター一面の壁に浮かび上がる人影に向かって発砲。グラサンは正面対決を避け裏道に逃げ込む。裏道を抜けた後人山人海の中に微か響く衝突の音、淡く光る人影。バトーは声を上げ光学迷彩を着用するグラサンを川に追い込む。そこへ屋上で待ち伏せしていた少佐が揺れる小舟をサブマシンガンで狙い撃ち。水花四濺と共にグラサンが姿を現した。グラサンは少佐に向かって掃射のお返し。ひるんでる隙に、対岸の塞城に逃げ込んだ。水でぬれた光学迷彩はもう使い物にならないと判断。無口のままそれを脱ぎ捨て無機質の塞城を抜けるとグラサンは撒いたとしめて安堵の笑みを浮かべる。そして同じく光学迷彩を使用される少佐にぼこぼこにされるのであった。地面に接吻を強いられたグラサンは「吐くことはない」とプライドの咆哮。それにバトーは「自分の名前も知らねぇ野郎が、偉そうなことぬかすな!馬鹿!」と一喝。赤い血が流れる人形は哀れである。
{/netabare}
感想:市場のシーン作りこみすごい、バトーとグラサンだけでなく民間人の表情動きも描きこまれて滑らか。途中ミカンが降ってきたり、箱が崩れたり、鶏が跳んだり。逃げる人々、薙ぎ倒された人々。驚愕の声、恐怖の神色、こわばった顔、苦しみの表情。人中を駆ける疾走感。そして時間差で演出に深みを出すターレ。それらすべてが25秒に圧縮されていて。セル画書き込みの濃さから昔見た「マクロスプラス」のゴースト戦を思い出す。そして最後、バトーの言葉からグラサンは加害者でありゴーストハックをうけた哀れな被害者でもあることがわかる。

グラサンの声優さんには100点あげたい。少佐に関節外されたり顔面ワンツーパンチからの回し蹴りのコンボを食らって倒れるときの発音は日本のものではなく中国のもので。起き上がりはなまりを感じさせない程度の日本語。後で調べてみたんだけど松山鷹志さんってすごい数のアニメに出ていて驚いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
{/netabare}
シーン9:
{/netabare}
起承転結、承の章
起承転結、転の章
起承転結、結の章

工事中 

投稿 : 2022/10/01
♥ : 7

87.4 2 Production_I.Gアニメランキング2位
ギルティクラウン [GUILTY CROWN](TVアニメ動画)

2011年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (7132)
30114人が棚に入れました
「僕にはわからないんだ、みんなと何を話したらいのか。だから内心焦りながら”友達風”のものを増やして、生きてきた。」
 時は2039年。「僕」の名は、天王州第一高校に通う高校二年生桜満集(おおま しゅう)。欝屈した気持ちを抱えながら、どこか世間に覚めた視線を送る彼はクラスメイトたちとも一定の距離を保ち、ただ漠然と、平穏な日々を送っていた。学校の休み時間に交わされる退屈な会話。ヘッドホンから流れる少女の歌声。「…でも、これでいいのかな?」10年前、突如発生した”アポカリプスウィルス”の萬延によって、大混乱に陥った日本。無政府状態となったこの国は、超国家間で結成された”GHQ”の武力介入を受けその統治下に置かれることとなる。のちに「ロスト・クリスマス」と呼ばれるこの事件をきっかけに、日本は独立国家としての体を失い、形だけの自治権を与えられ、そして人々は、カリソメの平和を享受していた。スピードを上げていて走り抜けていく”GHQ”の装甲車。テレビから流れるテロのニュース。「僕にももっと、やれることってないのかな・・・・・・」しかし集の平穏である日常はある日、突然、打ち破られる。放課後、お気に入りの場所で出会った、ひとりの少女。彼女の名は、楪いのり(ゆずりはいのり)といった。集は憧れ、ウェブ上で絶大な影響力を誇る人気の歌姫。そして彼女には、もうひとつの裏の顔があった。”GHQ”からの「日本の解放」を謳い、命をかけて孤独な戦いを続ける

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、茅野愛衣、花澤香菜、竹達彩奈、嶋村侑、寿美菜子
ネタバレ

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

・・・ずっと側に居ても、いい? (;`O´)oダメーーー!!∑('◇'*)エェッ!?

■「ギルティクラウン」ってどんなアニメなの(⌒^⌒)b
舞台は近未来の日本、突然発生したウィルスのパンデミックにより日本が無政府状態になるほどの危機的状態になったのでした。
そこに武力介入してきたのが、超国家間で組織されている「GHQ」だったのです!
そんな従属国に成り下がった日本でしたが、10年後に新たな戦いが起ころうとしていたのです♪

平穏な日々を送っていた天王洲第一高校2年の少年がある少女と出逢い「ヴォイド」という力を手に入れるのです。
その力とは、「GHQ」のロボット兵器を一刀両断するほどの破壊力だったのです!
また、少女の出逢いが必然的にレジスタンス「葬儀社」との出逢いともなり、彼の運命が大きく変わって行く事となるのです。


■「ギルティクラウン」と出逢った日の日記φ(*'д'* )
作画のクオリティーの高さは劇場版でも見ているような綺麗さと演出で本作品に対するスタッフの意気込みをかなり感じる事ができました♪
キャラデザに関しても、男の子の力強さや女の子の柔らかい肌の質感を丁寧に描写できていて感心するほどの出来栄えです♪⌒ヽ(*゚O゚)ノ スゴイッ!!!
BGMの巧みな手法が秀逸で、シーン毎にメリハリあって他の演出をより際立たせている事も印象的ですね♪
緊迫感を出す場面や会話などでBGMが邪魔にならない様にちゃんと気配りがなされていているのが良くわかりますし、選曲のセンスも良いので好印象です♪

後は2クール枠を余すことなく使った壮大なストーリーがどれだけ見ている人の心に響く物になっているかでしょうね(*^-^)
1話観ただけではまだ全体像がハッキリしないので、なんとも言えませんけこの作品の雰囲気から並々ならぬ力強さを感じるのできっと満足いく結果を見せてくれると信じています♪


■総評
放送前はとっても期待していたノイタミア発ロボットアニメだったんですけど、心にイマイチ響かなかったみたいです(・・∂) アレ?
OP曲/ED曲/BGM/作画についてはかなりの高評価を多くの人から頂けてましたよね♪
もちろんσ(^_^*)アタシも同じように思ってました♪
でも残念なことに一番大切なストーリーの組立がチグハグな部分が目立っていて、押さえておきたいポイント見間違えていたように感じました。
そういった意味ではオリジナルストーリーらしからぬ出来栄えになっていたかもしれませんね。
まず、『友達』とか『背徳感』をキーワードに掲げていましたど、こだわり過ぎで足枷になっていたような気がしたのです。
たとえば、「友達を武器に戦う」キャラの個性をヴォイドの形として表現しているのですけど、ハレちゃんの包帯は良いとして、他の人のヴォイドの形が本当に個性を表現しきれていたのかなぁって思うのです。
どちらかと言えばストーリーに都合の良いように各キャラに当てはめただけのような印象のほうが強かった気がします!
また『背徳感』については、後ろめたい気持ちや罪悪感をどのように描写していくか、どう関連付けしていくかがポイントだったんですけどね(≧▼≦;)
とくに主人公の桜満 集(ouma shuu)の引込み思案で臆病な性格は、罪悪感や後ろめたい気もちを背負わせるにはやりやすいキャラだったと思うのですけど、その殆どが周囲の影響によって背負わされたものだったんです(´;ェ;`)ウゥ・・・
戦争を知らないナイーブな性格な集の心情をリアルに描いていたとは思うのですけど、ワンパターンな表現だったがために主人公としては物足り無さを感じちゃったわけなのです。
せめて終盤くらいは誰の影響も受けず、みずから道を切り開いた上で背負った『背徳感』をみせてほしかったなぁって思いました。
幼い頃の恙神涯(tsutsugami gai)が集のリーダーシップに憧れを抱いていた事や、最期にいのりとすべてを背負おうとした集の行動が、もっと素直に受け入れることが出来たかなぁって思うんです
…c(゚^ ゚ ;)ウーン
きっと最後の最後、誕生日のシーンを見た時にもっとスッキリした清々しい気持ちで見れたような気がするんですよね!

他にも、キャラデザが美麗な反面、見た目が幼く見えてしまうので、行動や言動に重みや深みを与えるべきだったのですけど、心情の変化が描写されていない場面もあって説得力が欠けているシーンが目についちゃいましたね(^▽^;)
「城戸 研二」の凶悪さや才能、「ダリル・ヤン」の不器用な生き方など、どれだけの人が印象に残ってるのでしょうか?
アンドレイ・ローワン大尉の名言{netabare}「生き直せるなら今度はもっと人に優しくしろ、本当はもっといい子だったんだろ、ダリル坊やは」{/netabare}
の場面は名シーンになるはずだったのに…いきなりそんな事言われてもねぇ(∀`*ゞ)

面白い設定や展開があっただけに、なんだかもったいなかったなぁって印象でした(^=^;
期待が大きかったぶん余計にそう思ってしまったんでしょうね♪


■MUSIC♫
OP曲『My Dearest』
 【歌】supercell(こゑだ)
 テンポやリズムに微妙な変化を付けて疾走感の中にギルティクラウンの世界観を表現したナンバー♪
 そんな変幻自在の曲を力強よく見事に表現してたこゑだちゃんって何者w
 
ED曲『Departures ~あなたにおくるアイの歌~』
 【歌】EGOIST(chelly)
 σ(・・*)アタシの中で2011年度バラード部門があったらNo.1ソングです♪
 この曲、簡単そうで難しい、切ない悲しげなバラードなんでよね!
 とくにAメロなんかはほとんどピアノの伴奏しかない中、見事に心憂い表現までも出来ているのです♪
 末恐ろしい17歳ですね・・・♪⌒ヽ(*゚O゚)ノ スゴイッ!!!
 声質は透き通るようなウィスパーボイスで久しぶりに心に響く名曲に出会えました(*^▽^*)

OP曲『The Everlasting Guilty Crown』
 【歌】EGOIST(chelly)
 『Departures ~』とはうってかわってアップテンポのナンバー!
 この子はやっぱりバラード向きかなって、ちょっと思ったりして♪
 
ED曲『告白』
 【歌】supercell
 明るく元気で疾走感溢れるロックチューンなナンバー!
 
挿入歌『エウテルぺ』
 【歌】EGOIST(chelly)
 幻想的で淋しげなバラード♪
 安心して聴ける良質なバラードですね(*^^*)


2011.10.16・第一の手記
2012.05.19・第二の手記(追記:■総評、■MUSIC)

投稿 : 2022/10/01
♥ : 123
ネタバレ

ヒロウミ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

やりたいことをやるとやっぱりそうなるんだよ!きっと!

コードギアスの世界観でヱヴァンゲリヲンみたいな物語をSAOのキリトがやるとこーなった!物語。



パクリとオマージュは別ものですよ。この作品はパクリではない。似ているからそれらの作品に寄ったように「見える」だけだ。ロンギヌスの槍やまどかの弓が出てくるのもきっとオマージュなのだろう。多分。


そもそもオリジナルでも面白くないなら良作とは言えない。コードギアスは作画ゴミでロボットや持ち物のデザイン超絶ダサい。話しにならないレベルであれはロボット系の作品にあってはならんだろ。ついでに設定もガバガハ。
SAOは物語が幼稚かつ短絡的。人間関係作れない人が作ったような作品でまともな物語となる2期のユウキの話しになるまで片手間で見ても長すぎる。バトルシーンも大した工夫を感じないし超退屈。ヱヴァンゲリヲンは物語のベースとなったものが深すぎて俺みたいな考察しない人間にはワケわからん。まどマギは全部が「重い」んです。とにかく重い。

などなど、粗はいくらでもあるもので。でも作った人に関わらず色々な作品から影響を受けるのは至極当然。子は親に似るものです。そしてその作品が何らかの影響を受けていても「良さ」は必ずある。その良さが粗を突き抜ければ必ず良作になるんですよね。突き抜ければ。
コードギアスは物語は面白かった!学園ネタが要らないけど。SAOの世界観は良かった!そう、そこだけ・・・。ヱヴァンゲリヲンはとにかく良いのさ、レジェンドだから。今観てもなんの遜色もない。まどマギは両手離しで誉め称える作品。重さ含めて全部良い。

この作品の良さはやはりデザインだろう。サイコパスでもレビューしているがロボットや小物類のデザインが近未来にしっくり合っている。近未来系作品でまともに見れる作品があまりない。ロボットなんか特にダサいのばっかで。ちなみにSTAR WARSですら苦手です。そんな私でも見れる作品を作ってくれるプロダクションI.Gには興味津々。

シュウのトラウマを活かせないところはキリト以上。ハレが○んでも活かせないのは最後に○○○と心を共にするからだろう。この構成が好きで儚いイノリがとても魅力にあふれ終盤はかなり熱くなり分かりきっていても涙が滲み出る。15話、18話、最終話に見事な山場があるが周回すると他の回がイマイチなんですよね。終盤にしか山場がないからマジで長い。そしてソウタは何度見てもムカつく!
ベースとなっていそうな部分もややこしいですね。ついでにシュウの感情移行が雰囲気で感じとれ!みたいな描写が多く後々セリフで表す暴挙をしちゃってるんです。良い物語なのに構成が若干荒い。

ちょいちょい挟む静止画での描写。あれホンマにマジでなんなん?って感じ。作画はとても良いのに動きがあるべきシーンに静止画って「あんたばかぁ?」なんですけど!チョーもったいない。プロダクションI.Gって人が走る描写苦手?サイコパスでもそうだったが明らかに重心がおかしい。
でもバトルシーンは素晴らしく私にとってはかなりの上物。武器もカッコいいし躍動感も素晴らしくスピード感溢れた作品です。

物語と声優さんの演技も相まってイノリ、ハレ、アヤセ、ツグミがチョーカワイイ。もうキュンキュンですね!茅野さんの色んな声が聞ける作品でもありますがツンデレな花澤様がサイコーです!ツンツンされたいぞー!シバキ倒してもら・・・。

そしてこの作品の至高の産物はやはり「EGOIST」じゃないでしょうか。躍動感溢れたメロディはこの後の作品でも素晴らしいものを残されています。歌詞分かりにくいけどね。supercellのEDは後期の世界に全く合って無かったなぁ。


今さら再視聴したのはパチンコの影響。アニメ系のパチンコやパチスロにハマっちゃって演出が面白くて。必死で演出を見ながら台パンチ(ボタン)をするのがチョー気持ち良い!エウテルペやThe Everlasting Guilty Crownを聴きながらイノリちゃん見ちゃえばムラムラしちゃいます。そんな中毒性のある作品。だけどもう見るの辛いぞぉ!次は何を台パンチしようか迷うなぁ!

満足度評価は若干花澤補正が入ってます!


【以下過去レビュー】
{netabare}
近未来に宿命と戦い背負う「人」の物語。

2クールしっかり使いきりキャラクターの感情がしっかり絡み展開も考えて作り上げられたバランスの良い作品でした。かなり登場人物が多く、黙示録をもとに作られたストーリーは本当に苦手というか訳が分からない。そんなややこしい物語でもスピーディーな展開はあっと言う間に1話が終わり22話の長丁場もいつの間にか終わってます。スピードがある分、序盤は置いてきぼりになりがちですが主人公とメインヒロインから目を話さず物語に沿えば楽しめると思います。
作画も基本的にはよく動いていて安定したもので良い作品と思います。ただ、優れた絵とちょいちょい手抜き感が強いシーンがあったので若干目につき残念でした。キャラクターデザインは私の好みでプラトニックな割には女の子たちはとても魅力的で普段は興味を持たない男性キャラクターも物語に嫌味無く絡んでてなかなかの良作。

ただ、10話の最後にイノリが出てくるシーンと20話のソウタとの絡みはもっときっちり描いて欲しかったですね。重要な局面でもっとイノリの気持ちの表現とシュウの人としての感情を感じたかったです。ちょいちょいある静止画の差込みは萎えますね。アニメは動いてなんぼでしょ。あとは最終話の二人の将来はもう少し見たかったですね。予定より短い終わりを迎えたのかな?
序盤のOPEDはかっちょええです!ってかイノリ役の人が歌ってないんだよね。残念。後半のOPEDは何も感じませんでしたがEDがある話数で心にぶっ刺さっちゃって2周目でも思わずホロホロきちゃいましたね。
超苦手分野であるロボ系作品としてのバランスは優れている作品でコードギアスでトラウマであるSF&ロボ系のジャンルに再度踏み込めるようになりました。数値的には神作に近いのですが重要局面の作りの甘さからその域には達することがなかった作品でした。惜しいなぁ。

花澤さんのシリアスなツンデレ堪りませんなぁぁぁ!ってことで毎度の色眼鏡評価です。{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 24
ネタバレ

kwm さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

絶賛と酷評が入り混じった名作、いや迷作

対象の胸元に手を突っ込んで『心』を引っ張り出し、具現化した武器として戦っていくのが特徴の作品。
綺麗な作画と素晴らしい音楽とは対照的に、どうしようもなく残念な脚本が目立っていました。
後に脚本家以外のスタッフを率いて作られた『進撃の巨人』は大ヒット。
『ギルティクラウンは犠牲となったのだ』と茶化すのは簡単ですが、それにはあまりにも惜しい高いポテンシャルを秘めた作品でした。
罪の王冠ギルティクラウンが実在するのなら、是非本作の脚本家に着用して頂きたい。

本作品で最も印象的だったのが、ヒロインの『いのり』がボーカルを務める作中のアーティスト『EGOIST』による曲の数々。
特に一番好きだったのが、いのりが作中において度々口ずさむ事になる『エウテルペ』という挿入歌。
『咲いた野の花よ』という歌詞から始まるこの歌は、流れる度に私の頭の中を空っぽにしていき、すぐに何も考えられなくなった。
カラオケで女の子が歌い始めたらそれだけで好きになってしまいそうな曲。
『歌で世界を表現する』という歌姫の彼女らしさがでていて、本当に設定に合致した最高の曲だった。
EGOISTは後にアニメの世界を飛び出してリアルでも活動する事になるのだけど、それに対してなんら違和感を感じさせないクオリティの高さ。
もちろん一曲だけではなく、オープニングやエンディングも素晴らしかった。

こうした楽曲の美しさや作画の綺麗さが目を引く一方で、ガバガバな設定や心理描写の少ないひどすぎる脚本には溜息しか出てこなかった。
今まで素材の素晴らしさが生かしきれなかった悔やまれる作品として『ラストエグザイル』を挙げてきたけど、それを容易く塗り替える酷さ。
特に序盤に関しては、世界中から集めた選りすぐりの高級食材を元に作った素人料理を見ているかのようでした。
これ以上のガッカリ感は当分無いと思うし、ただただ『どうしてこうなった…』としか言えない。
ちなみにこの作品を最初に視聴した時、3話を終えた後に一旦見るのを辞めていました。
意味不明すぎて見る気が起きなくて、結局ちゃんと見た回数も含めると1-3話を3周もしていた。

以下にその際にメモを取ったガバガバな設定について記しておこうと思う。
本当は登場人物達の意味不明な行動や設定の穴など、他にも書き切れないほど沢山あるのだけれど、キリがないので最も大事な一つとしておきたい。

これは『心を武器にする』という本作の最も大事な設定が序盤に崩壊しているという点。
非常に個性的で、あらすじを読んだ人を惹きつけるであろう大切な部分なのだが、序盤はこの設定がほぼ崩壊している。
未視聴の方でもハードルを下げるという意味でこれを閲覧できるよう、武器の性能など著しいネタバレになりえる情報は伏せてある。
これで少しでも総合得点の高さとの乖離で残念に思う人が少なくなれば良いなと思います。

{netabare}
第1話
主人公は心が具現化した武器『ヴォイド』を取り出せるようになる能力を得る。

第2話
敵から『万華鏡』という名のヴォイドを引き抜く。
万華鏡と叫びながらヴォイドを使用していた為、この時点で事前に何者かに名前と性能を教えられていたか、引き抜くとそれがわかる設定かのいずれかが確定。
しかし事前に主人公に情報を伝えているような描写は一切ないので、ここでは『引き抜くとわかるんだな』としか判断できない。

第3話
特定の形状のヴォイド探しを行う。
通行人など、片っ端から人の胸に手を突っ込みヴォイドを引き抜き、目当ての形状のヴォイドを探していく。
つまり誰がどんな能力のヴォイドを持っているのか、主人公は引き抜いてみないとわからない。
では何故、直前の2話の主人公はヴォイドを引き抜いた直後にその名前も性能も知っていたのだろうか?

第4話
新たに取り出した銃型のヴォイドを見つめながら『銃?』と疑問を持つ。
更に目をつぶりながら試し打ちをし、『なんだこれっ』と驚く。
やはり引き抜いただけではわからないのか?


第5話
仲間から引き抜いたヴォイドを別な仲間に即使用する。
直前のエピソードでは引き抜いた直後にその形状や性能について疑問や驚きを持っていたにもかかわらず、ここでは躊躇無く仲間に対して使用してしまう。
あれれ?引き抜いただけではどんなヴォイドかわからないんじゃなかったかな?
攻撃型だったらどうするつもりだったのだろう?
一体何が正しいのか。
{/netabare}

つまり、エピソードごとに主人公と武器に関する設定がちぐはぐで、整合性が取れていないという事なんです。
ヴォイドの扱いに長けていたかと思えばそうでなかったり、何故そうなのかが一切描写されていないので疑問しか残りません。
このように一人の脚本家が書いたとは思えない支離滅裂な展開が続くので、ストーリーが全く頭に入ってこないし、序盤は主人公への感情移入なんてとてもじゃないけどできませんでした。
説明一切無しで話が画面の中だけで進んでいってしまうこの感じは、アニメ史を塗り替えたとまで言われたあの『魔法戦争』を思い出してしまうレベル。
それでも良い所は他に沢山あったので、魔法戦争のように茶化したおふざけレビューを書く気にはなれなかった。

脚本や設定については酷評しましたが、序盤を3セットしてまで見たくなるほど惹かれるものはありました。
前半と雰囲気が全く違う後半部分についても、私好みな展開だったので飽きずに見れたというは大きかったです。
これについてはあまりにも急激な変わり方をしてしまうので、変化の内容もそうですがそのスピードに対しても驚いてしまう方も多いかもしれません。
2クール目に入った途端に本当に別作品のように変わります。
4クールにでも分けて作っていれば、設定の甘さや速すぎる展開もなかったんじゃないかな…、本当に惜しい。

何にせよ、音楽面の活躍っぷりが凄まじい作品でした。
『神OP』のタグが一位になってしまうのもわかります。
この素晴らしい音楽が無かったら最後まで見ていませんでした。
もしこれから本作を見る人がいたら、素材は凄く良いのでハードルは下げられるだけ下げて見てほしいですね。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 36

89.5 3 Production_I.Gアニメランキング3位
うさぎドロップ(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (3829)
17351人が棚に入れました
俺がりんを育てているのか、りんに俺が育てられているのか――?30歳の独身男ダイキチは祖父の葬儀で見知らぬ6歳の女の子りんと出会う。実は祖父の隠し子であることが分かり驚愕するダイキチ。親戚たちがりんを引き取る話し合いのふりをしながら互いに責任を押しつけ合う中、見兼ねたダイキチは勢い余ってりんを引き取ることを宣言するが・・・

声優・キャラクター
土田大、松浦愛弓、大原さやか、酒井乃碧、植田佳奈、須藤菜々子、坂本真綾
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

一緒に暮らそう

原作既読

親子愛に触れられるとのことで以前から職場の子に薦められてたんです。
あにこれでの評価も高い。原作最後までではないものの一区切りつけて…正確にはキリのいいところで閉じたアニメ版ノイタミナ枠全11話です。
1クールでまとまっててしかも12話標準なところを1話少なかったりとお手軽感あり。ハートウォーミングなものに触れたい気分でしたら候補に挙げても損はないでしょう。

爺さんの通夜で親戚が一同に介した場所から物語は始まる。
死んだ爺さんには6歳になる隠し子がいて実母とは没交渉。たらい回しか?それとも施設か?という局面で、その子りん(CV松浦愛弓)を30歳独身河地大吉(CV土田大)が引き取ることになってからの奮闘記です。

たぶんシンプルな親子愛を描くだけならそれなりの評価は得られるでしょうが、あにこれのランキングでも2ケタ台におわす名作の範囲に入る作品です。しかも原作を完結まで追ってないにもかかわらず。
これには理由があって、そのうち登場する実母吉井正子(CV坂本真綾)が良い意味で複雑に描かれていることに代表される


 子育てで直面する様々な葛藤


が描かれているからであろう。 平たく言うと

 子供を育てる負のリアル
 子供と分かつ幸福のリアル

両面あるのでございます。別に子持ちじゃないとわからないって小難しいもんではないとも思います。

なんて言うんでしょうかね…
例えば主に野郎からの質問で回答しづらいのがこちら↓

 「結婚のどこがいいんですかね?」
 「子供苦手だしなんちゃらかんちゃら」

おおむね「うーん、おまえもなってみればわかるよ」お茶を濁すのが関の山。
ある意味このアニメが回答になり得るかもしれませんよ。私は引き出しの一つにしちゃいます。

これから視聴される方はシンプルに考えてみてください。
産んだ我が子を相方に預け距離を置くなんて、通常なら悪役まっしぐらなところをそうはなってないことについて。

もちろん物語の中心は大吉とりんとの掛け合いです。
母子手帳すら初めて見るところからの子育てなんて想像を絶するのに。お腹にいる時から相方と一緒に親になる準備を進めていくはずなのにそれすっ飛ばしてますからね。だから奮闘記。そしてリアルということは画面を通して真剣さが伝わってくるのです。
間違いなく良作の部類でしょうね。迷わずオススメできます。



※ネタバレ所感

■女の子から○○へ

リアルな葛藤描写とおとぎ話的なミラクルが入り込んだ物語なのかもしれない。

{netabare}従姉妹でりんと同い年の娘がいる前田春子(CV植田佳奈)は旦那の実家暮らしや子育てに疲れこう言う。

「別にね。強くなんてなりたくなかったのに。」「ずっと女の子でいたかったのに」

転じて、りんの実母吉井正子は働き過ぎなところを案じられたところにこう返す。

「女の子じゃないもん。漫画家だもん。」

“女の子”に次の段階があるとして、育児や家庭のことそして仕事だったり様々だけど、決めた覚悟も時にはぐらつきながら葛藤しながら歯を食いしばる元女の子ってことでは共通している。正子のとってきた行動は誉められたもんではないだろうけど理解に苦しむ思考も多々あるけど、ここまで身を削らんばかりの覚悟を示すことができちゃうのがお腹を痛めたってことなんかもしれません。自分男なのでそのへんよくわからんけどたぶんね。
断言していいけど子供に対しての覚悟っぷりで母親には勝てない。その母親に言わせると父親は気合が足りない、と。たぶんこれは創作だから、大吉がこれだけ覚悟を決められるってのがミラクルだと世の男どもは思い英雄視するわけであります。世の女性もそう思うかも。{/netabare}


■PUFFYときたか!

放送当時2011年時点でさらにその10年ちょっと前に奥田民生プロデュースでシーンを賑わした女性デュオ。本作のOP「SWEET DROPS」を担当。
らしいというかPUFFYっぽい力の抜けようでいい感じ。そのうえ歌詞が作品世界にすこぶるあってる。
本放送からさらにプラス10年で2020年だったりするわけでなおさら懐かしさ全開でPUFFYに目が行くところをじっくり何回も聴いてたらすこぶる良い楽曲に心奪われるという結果に(笑)

作詞・作曲 - 鈴木祥子になんとなく引っ掛かりが!

レビューはお終い。関係ないので畳みます↓

{netabare}その昔“ガールポップ”なんてムーブメントがあって雑誌なんかもありましてね。80年代最後期~90年代半ばが最盛期。安室奈美恵他TKプロデュースのシーン席巻で下火になったような…
有名どころでは大黒摩季、森高千里、CHARA。アニメとのタイアップなんかでも永井真理子、森川美穂が有名です。その一角にいたのが鈴木祥子さんでした。持ち歌聴いてみたら聞き覚えありました。
このなんと言ったらいいのかヒット曲ありーのメジャーどころでもなく、1曲どかんと売れた浜田麻里、平松愛理、久松史奈、久宝留理子あたりの「うわー懐かしー」枠でもないところをひっそりと好きだった人ってけっこういらっしゃるんじゃないかしら?

私の場合筆頭、谷村有美を始め加藤いづみ、遊佐未森、種ともこ、佐藤聖子、井上昌巳はよく聴いていた気がします。あと古内東子。
みんなシンガーソングライターか最低でも歌詞を書ける人ばかりだったような違うような。だからなのか一曲一曲世界観ができてる感じ。音作りも気合入ってましたよ。
このOPに使われた楽曲もご多分に漏れずその系譜だなぁと妙に納得してしまったわけでございます。

↓懐かしさついでに心震わせた楽曲群を書き留めとこ
{netabare}谷村有美:選べんがあえて「今が好き」「たいくつな午後」「Second Love?二番手の恋?」
加藤いづみ:「髪を切ってしまおう」「好きになって、よかった」
遊佐未森:「地図をください」「夏草の線路」
種ともこ:「スナオになりたいね」
佐藤聖子:「Jasmine」「悲しいだけの二人じゃなくて」
古内東子:「誰より好きなのに」「逢いたいから」
井上昌巳:「YELL!-16番目の夏-」「僕と別れてくれ」{/netabare}{/netabare}

こういうのうっかりようつべで聴きだすともうアウトね。止まらなくなる。



視聴時期:2020年10月 

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2020.11.15 初稿
2021.09.14 修正

投稿 : 2022/10/01
♥ : 42
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

親の偉大さを考えさせられる心温まる物語

□前向きな気持ちを全面に押し出された物語

物語は、独身のダイキチと親の亡くしたりんとの家族愛を描いたヒューマンドラマとなっています。
一般的に、親を亡くし親戚に引き取られることは悲しいことで家庭環境や人間関係、生活面など多彩な問題にぶつかる事になると思います。
しかし、この作品では、そのような負の面はあまり出さず、ダイキチとりんがお互い苦労しながらも協力して前へ前へ進んでいこうとする姿勢が全面に押し出されています。そこに、心温まり感動しました。


□子供たちが元気

キャラはりんちゃんやこうきくんなどのちびっ子たちが生き生きとしていました。
素朴な絵も相俟って、もう本当に可愛い!!
笑っている所は愛らしさが伝わってくる。
私も何だか子供が欲しくなってきましたよ。


□昔ながらの風景に柔らかい作画

作画に関しては、風景は繊細に人物の表情は素朴にといった感じになっていました。
昔ながらの風景に子供たちというのはやっぱりいいですね。
スマホやゲームといった電子機器を持ってる今どきの子供より可愛い気がします。
また、この作品の特徴として初めの数分は水彩画で描いたようなタッチの絵になっていて、それがまたいい。日本昔ばなしを思い出しました(笑)


□最後に

物語の展開において凹凸は少なく、「惹き込まれる!」といった感じではありませんが、この坦々と続く感じが内容と相俟って安心して観られる作品にしていました。
全体的にかなり良く出来ていて、文句なく名作だと思いました。


↓↓↓各話の感想↓↓↓
{netabare}
1話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}ダイキチ、りんをひきとる

癒される。一話目からかなり癒された。
実質は凄く大変なんだと思うけど、こういうシチュに憧れる。ヒーローになりたい、なんかとはベクトルが違うけど同じように憧れる。{/netabare}

2話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}一時預かりのある保育園に通う

りんちゃんって、意外と図太いよね。
いや、図太くなければいけなかったのかな?
どこかで見たことがあるが、確かお漏らしをするのはそれなりに気が緩んだから、だったけ?
気を張っている状態だとお漏らしはしない。
違う?{/netabare}

2.5話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}落ち葉で魚をつくる

5分のアニメ。
純粋さに癒される。
落ち葉って、押し葉にすればペリペリにならないんだね。知らんかった。{/netabare}

3話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}子育ては自分を犠牲にしないといけないのか

心にぐっとくる。
ダイキチもイイヤツだね〜
後輩に慕われる人ってあんな感じだよな。
ダイキチとりんちゃんはお互い協力しあって、生活している。これも家族の形の1つなのかな。
今更だけど、最初の水彩画みたいなやつは、毎回ある感じ?{/netabare}

3.5話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}サンタさんのプレゼント

親の気分ってこんな感じなのかな?
何かワクワクするよね。ドッキリみたいで。
りんちゃん、かわええわー{/netabare}

4話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}りんの母親の手掛かりを掴む

吉井さんがダメダメな気がしてきた。
最初の声だけの判断だけど。
りんちゃんに会わせる会わせないは別として、やっぱ1度は連絡するだろうなー、私がダイキチでも。{/netabare}

5話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}りんの苗字に迷う

可哀想と思い感動するのと、この作品みたいに心温まり感動するのでは全く違うね。
特に、後味っていうか爽快感っていうか。
感動の後に、心が安らぐ。
ダイキチの子を持つと親も成長するってのは、当たり前ちゃ当たり前だよね。{/netabare}

6話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}自分の木はあるのかな

あーゆーのいいね。私のもあるのかな?
知らないや。
親から子へと代々受け継がれていくなかなー。
あと、こうきくんのお母さんマジ美人!
ダイキチ、気持ちはすごいわかる。うんうん。{/netabare}

6.5話の感想 ★★★☆ 3.5
{netabare}お花見計画

りんちゃんよりこうきくんのお母さんを見てします。
ダメだダメだ。これではまるでただのエロ親父ではないか。
最後の頭に乗った桜の花びらをこうきママが取っているシーン、てっきりダイキチの頭かと思った。そして、急接近みたいな?うん、発想が薄い本だな。{/netabare}

7話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}家出!?

演出によっては重い話で悲壮感漂っていてもおかしくない内容だけど、この作品では良い意味で軽く感じる。どちらかと言えば、家庭関係が辛いというよりも、それでも頑張っている、という所が伝わってくる。
あと、こうきママ綺麗。{/netabare}

8話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}お墓参り

やっぱり、ダメダメの正子さんでも子を捨てたという罪悪感は付き纏うんだね。
ってか、ない方がおかしいか。
今苦しいか、これからずっと苦しいか、どちらがいい選択だったんだろうか?
あと、最後の「抱っこして」「嫌だ〜」の掛け合いは面白かった。{/netabare}

8.5話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}夏祭りに行こう

最後のシーンはBGMの効果もあって、凄い感動した。微笑ましくなる。
りんちゃんかわいすぎるわー{/netabare}

9話の感想 ★★★★ 4.0
{netabare}こうきくんと家で遊ぶ

最後のこうきママの表情は元旦那のことを憂いた表情なのか、それともダイキチにキュンとしたのか。
おそらく、前者だとは思いますが、私的には後者の展開を望む。{/netabare}

10話の感想 ★★★★☆ 4.5
{netabare}りんちゃんが風邪をひく

不器用なりに頑張って面倒をみるダイキチに感動した。もう子を思う一端の親だな。
そして、こうきもりんちゃんが辛そうだからいつもより静かにしているとこも、子供なりに分かっているんだなと胸にくるものがある。
自分の親もこんな気持ちだっのかな〜{/netabare}

11(終)話の感想 ★★★★☆ 4.5
{netabare}親の時間

親の時間がなくても大丈夫なもんかね?
今の私だとアニメや漫画、小説なんかを読む時間が無くなると考えるとなかなかに堪える。
親ってのは偉大だね〜
あと、こうきママ綺麗{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 22

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

家族が増えるよ!やったねりんちゃん!

ノイタミナ枠、「あの花」の好調な流れを受けて注目度も高く、その上で期待に応えていった強者な作品ですね
小学生編までということで、ドロドロした諸設定あるわけですが、それが出張ってくるのはまだ先の方、今はまだ、りんちゃんの幼少期に萌えていられる
有限ではありますが、つかの間の安らぎを感じることのできるアニメです


遺児の子育て奮闘記って、結構類似作品多い中で、この作品はやっぱ際立ってますね
と言っても、子育てというのを、なかなか実感しずらい、りんちゃんの年齢にも、大吉の年齢にも近くないこの身にとって、共感して見れる部分は少なく、良い話止まりなのが惜しいですね
逆に主に大吉に、近ければ近い人間ほど、その感動は人一倍であると思うわけです
ただ共感できる部分は少なかれど、りんちゃんが可愛い、こうきママが可愛いと言った、これは完全に深夜アニメ的見方なんですが、私のような者でも楽しめる余地は大いにあり、分け隔てのない作品でありますね

設定は非日常でありながら、キャラの言動は普遍な人の範疇を超えない
りんちゃんや麗奈ちゃんの声優に子役を起用するなど、リアリティの追及にも余念がないのも含め
高品質を保ったまま、11話と短かったですが、最終回を無事迎え、名作アニメ殿堂入りを果たした、このうさぎドロップ
4話りんちゃんのお遊戯練習シーンに「もののけ姫」「千と千尋」の安藤雅司氏、続いて5話正子さんの電話シーンに「人狼」「GHOST IN THE SHELL」の沖浦啓之氏他「ももへの手紙」作画スタッフが続々流入、9話には「魔女の宅急便」「電脳コイル」の井上俊之氏、
10話作監に「猫の恩返し」「パプリカ」の井上鋭氏と、そのテロップは凄まじい力を発揮し、研ぎ澄まされた日常作画に私もたじたじになりました
地味ウマ作画が次々に繰り出され、作画アニメと呼ばれるまでに昇華した作品でもあります

子供キャラには子役をあてがい、これが外れてないのがまた良いですね
うまいものですねぇ・・・松浦愛弓さんは10歳、須藤菜々子さんは9歳ですから、相当な驚きですよねぇ・・・
土田大さん、大吉役の声優ですが、この人もまた良い声、良い演技でもって仕事なさる
特撮声優としては有名ですが、アニメではあまりメインには聞きなれていない方なんで、その分もあって、先入観がなくナチュラルな印象で大吉を見れました
声優配役に関しては冒険要素が強かった気もしますが、難なくクリアしてますね

”明日の事は、わかんない!”
初め聞いて、PUFFYっぽいなと思ったら案の定PUFFYでした、結構アニメタイアップしてるんですねぇ
私は見たことがないのですが、彼女らがモデルの「パフィーアミユミ」なるアニメすらあるようですし、これなかなか
PUFFYらしい特徴的な曲で、一度聴いたら離れませんね、アニソンっぽいと言われると何か違う気もしますが、作品に合った良曲だと思います
プチプチしてるゆるいOPアニメも素敵

りんちゃんきゃわわ
コウキとかと一緒にいると大人びて見えるりんちゃんも、ダイキチと居る時はまだまだ子供だなと思えます
同世代の子と比べると落ち着きすぎているくらいの設定ですが、ダイキチホームでは可愛い所が見られて良いですね
金魚の糞みたいに、ダイキチにつきっきりな所が・・・全く小学生は最高d(ry
そしてもう一人、コウキママも人気高いですよね、どっちも好きという人も結構いるみたいで
ロリコンと未亡人好きってなんかセットな気がするんですよねぇ、気のせいですかね、だから何だって話ですが
ちなみにりんちゃんのクラスメイトのさやかちゃん登場以降、私の中のこの二大巨頭の構図が揺るぎましたね
服装も仕草も可愛すぎる、口隠すさやかちゃんきゃわわ


大吉に近い人間がより楽しめるんじゃないかとは先程言いましたが、よくよく考えてみると
うさドロって一体誰に向けられた作品なんでしょうか、やはりロリコn(ry
連載してたのはレディース漫画雑誌「FEEL YOUNG」だから女性向け?、疑似とはいえ親子な関係なので、お父さんお母さん向け?
私の考えでは、このうさぎドロップは、真に、万人受けする作品だと思いますね
萌えを感じない硬派アニメであるというのも一つの理由ですが、やはり幅広い層の人が年齢性別主義主張を超えて、多種多様な観点で楽しめるというのが大きいですね
ある特定の人が楽しめるだけの内容ではない、色々な見方の出来る作品
りんちゃんにブヒブヒするも良し
他人の子を預かる独身男の奮闘に感情移入するも良し
日常描写にほっこりするも良し
そこから子育ての大変さを学ぶも良し
”じゃあ君が面白いと言うそのアニメを親に見せてみろよ”と言われた時、なかなか言い返し難かったのですが、この作品ならそれが出来ます
寧ろ、積極的に親に見せれるような、そんなアニメであるのです
このように色んな人に楽しんでもらえる、本来あるべきアニメの姿の具現を現した「うさぎドロップ」
なべて、世に押し広めるべき作品であると言えましょう

投稿 : 2022/10/01
♥ : 30

87.9 4 Production_I.Gアニメランキング4位
翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (2829)
14180人が棚に入れました
宇宙そらから来た少年、船団都市ガルガンティアと出会う
遠い未来
表面のほとんどを大洋に覆われた星、地球
宇宙で育ち
戦いしか知らなかった少年兵レドは
そこで初めて海を見た
広く、淡い翠に光る海
人々は巨大な船団を組み、
つつましくも生き生きと暮らしていた
通じない言葉
異なる習慣
レドは孤独な異邦人
だが、彼は一人ではなかった
ここで生きてゆくためになにができるのか
そして、なんのために生きるのか
翠の星で過ごす日々が、レドに問いかける

声優・キャラクター
石川界人、金元寿子、茅野愛衣、阿澄佳奈、伊藤静、大原さやか、小西克幸、寺崎裕香、手塚秀彰、早志勇紀、徳井青空、津田英三、星野充昭、保村真、小野友樹、杉田智和、藤村歩
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

14話の方がいいじゃねぇか馬鹿野郎!

ニコニコ一挙放送でOVAになってしまった4.5話だっけ?放送されたので見ましたが、糞みたいな焼肉回だかエロダンス回より抜群にこっちの方がいいじゃねぇか馬鹿野郎!どうしてあぁなってしまったんだ持った得ない。



ロボットのデザインはVVVの方が断然かっこ良くとても残念。
女の子がややむっちり感があるのは結構好きなのとほっぺや肩やら膝が赤くなってるのが好き。

快楽天ちゃん…良い子はぐぐってはいけません。

ぷちっとがるがんてぃあを知らない人が多いと思うので紹介しておきましょう。
http://gargantia.jp/#petit
↑の公式ページで毎週1話づつ追加されているショートアニメです。


料理に例えてみた
{netabare}どっかで見たのだけどまさに的確なものがあったので書いておきます。
この作品は
「シナリオの伏線(材料)を並べただけ」
なんですよね。
・ヒディアーズの設定
・クーゲル中佐
・海洋物の船団という設定
・エイミーというヒロイン
・その他ガルガンティアの人達
・宇宙のワープゲート設定
・ヒディアーズとの戦争
・チェインバーとストライカー
・その他もろもろ
一見伏線が回収されたようで実はされていない。
ヒディアーズの設定。戦争していた設定。話の大筋を掴んでいた設定が完全に放ったらかしになった時点で全てが空中分解しちゃってます。
ただただ芋や人参や大根や豚肉やら味噌やらと並べただけ。
料理されてない。これじゃ消化不良ですよね。
それぞれの味はしても出来上がった豚汁の味は出ないですよね。{/netabare}


考察まとめ
{netabare}1、人間vsヒディアーズで戦争をしていてヒディアーズ側が優勢だった。
このままでは人類が滅亡してしまうので戦っていたのではなかったのか?
それなのにヒディアーズは元人間でしたとわかったからと言って心変わりするわけがない。
そもそも自分達から人間辞めた連中なのに何処に同情しろと?
この時点で話が破綻している。

ガルガンの人間と仲良くなって共存共栄を覚えた?
それは問題の先送りでしかなくレドが馬鹿になったという事ですよね?
戦争はまだ続いてるし、知能の低下したヒディアーズがガンガン増殖しているからいずれ地球もヒディアーズに飲み込まれるのは火を見るより明らかなはずだ。
チェインバーがちゃんとそう言っていたのにレドの心変わりがおかしすぎる。
仲良くなったガルガンの連中は好きになりましたってのはわかるとしても、でもイカとの戦いは関係無いですよね?


2、どうしてイカ殲滅続けなかったんですか?
クーゲル中佐(ストライカー)が粛清始めちゃうのはやりすぎかとは思うが、レドがどうしてそんな事気にするんだ?
元々無機質な人間レドだったわけで、何ら疑問を抱かないんでは?
これも結局レドの心情描写が悪かったせいで1話のままのレドだと思っていたから変だと思ってしまった。

そしてイカの殲滅戦を続行しなかった理由はストライカーとの戦闘有り気だったからですよね?
まぁイカだけじゃつまらないと思ったのかクーゲルを10話になって出してどんでん返し的展開ってのが見え透いてる。
どんでん返し所かこれのせいで風呂敷広げすぎて畳めなくなっちゃってイカの設定をイカしきれないせいで完全に意味が無くなってしまったじゃなイカ。
まさにイカの設定とはなんだったんだ状態ですよね。


3、ガルガンティアの連中と本当に仲良くなったのか?
ここもおかしいですよね。
ガルガン連中と思想信条が合わないから船を分離したわけですよね?
つまり離別した時にちゃんと蹴りが付いてますよね?
それにもかかわらずなんでガルガンの連中に同情してるんですか?
あの別れはなんだったんですか?
エロダンスとか水着で焼肉とかする前に何故もっと感動的な心を動かす話を書けなかったのか?
これが下手だったせいでレドの心変わりが視聴者にうまく伝わっていない。
そのせいでレドはずっとレドのままで離別して1話と同じようにイカ殲滅作戦をしたわけで、なのにイカが人間でした。
で心が揺れるのはおかしい。
一瞬の同様はあっても冷静になれば別にどうという事では無いはずだ。
1でも書いたけど自分から人間辞めた連中に同情の余地なし。
おまけに人間を攻撃してきてんだぞ?
まぁ地球のは先制攻撃はしないようだけど。
そして離別してきたガルガン連中に同情の余地も無いわけだが。


4、要らなかった死に設定ばっかだよね?
・まずエイミーの存在理由が無いですよね?
なんとも空気ヒロインでしたよね?
もっとエイミーが可愛くて好きになる要素を書いたほうがよかったのではないか?
レドがエイミーに好意を抱くほどの心情描写が圧倒的に足り無かった。
そもそも途中離別してるし。

・そして1でも書いたがヒディアーズの壮大な設定もいらないよね?
ライアン・マツモトとは一体なんだったのか?
完全に死に設定ですよねこれも。

・それからロボットもいらないよね?
チェインバーとストライカーいらないよね?
イカの設定に的を絞って書かなかったせいでロボットまでもいらない話になっちゃいましたよね?
レドの心がだんだん人間らしくなるって話を書きたかったのならば最初からロボットいらないよね。

・そして何より要らないのがパイロット。
9話の補足ツイッターで
対ヒディアーズ殲滅兵器であるチェインバーは、ヒディアーズを見つけると自動的に攻撃する仕様なので、「貴重なサンプルである」と情報を取りつつも処分を続行します。
パイロット要らないじゃんっていう。
ストライカーも最後チェインバーまで勝手に戦ってるし。
レドがパイロットである意味ないし設定破綻で死に設定。

・海洋設定もいらなくなかったか?
海であるはずの色んなイベントが何も起こらなかったよね?シケとか強風大波とか。塩害がーとか津波がーとか。
これだったら別に陸でよかったよね?
島にしとけばイカだっているから問題ないわけで。
唯一あったのが水着位でしたね。
海洋冒険活劇みたいな話じゃなかったっけ?冒険いつしたっけ?
地球で目覚めたらまず地球一周位余裕で探索出来たよね?
これをしなかったのはストイラカーがいたからそれが出来なかったんですよね。
つまり死に設定になっちゃいましたよね。


5、最終回にガルガンが信者たちの船にミサイル投下しまくっていたわけだが、死傷者の描写がまったく無かった。
海賊もイカも殺しちゃいけないと言っていた連中がミサイルガンガン投下して攻撃しまくっていたわけだが、どうなってんの?
ガルガンの連中の心情描写が一貫していない。
信者を殺す気満々で攻撃仕掛けていたよね?
それにもかかわらず最後の最後で信者と仲良くなっていたような描写はなんなんだ?
何もかもがおかしいんだけど。

本来あそこはストライカーへ攻撃を仕掛ける場面ではなかったのか?
ピニオンの時のレーザー砲みたいに。
まるでどこぞのシーシェパードみたいな話になっちゃいましたよね。


6、3話から8話まで要らないよねこのアニメ。
ってかこれチェインバーとストライカーのバトルがしたかっただけでしょこれ。
一応ロボットものだからって事で。
そうなるともう映画一本位の尺でレドが人間らしくなる部分も含めて出来たんじゃないですか?


■まとめると
・ストライカーのラストバトル有り気のせいで全てがおかしくなった。
物語の設定破綻や矛盾・取っ散らかしを引き起こした原因は全てこれだ。死に設定だらけ。
ここの部分抜くだけで色々スッキリするのではなかったか?
・心情描写が足りないと言うか下手だったと言うか。伝わって来なかった。


OVAが2話あるようだけどこれじゃきっと面白い話も無いんだろうなぁ。
いやぁ残念だった。設定だけだった。
生かしきれていればあるいは化けていたのかもしれない。
面白くなりそうだったのに本当に残念でした。{/netabare}


各話感想
{netabare}5話
まぁ息抜き回・サービス回・大人の事情って奴ですね。
個人的にはこういう回はいらない。

6話
踊り子はヒロイン達なのか…凄く残念だ…
個人的に自分の彼女がこんな事されたらたまったものではない…
まぁ彼女じゃないからいいだろってのはあるけど単純に好感が持てなくなる。本当に残念だ。
ストリッパーヒロイン乙!
エロ書きたいなら18禁でガッツリやれよ。
よくよく見たらこれマン○はみ出してるじゃねぇかよ!!
おいおいおいおい!こりゃまずいだろ。
露骨な売上目的視聴率目的汚さ爆発ですね。
このアニメは何処へ向かっているのか…
一気に期待はずれになっちゃいました。

7話
あ~うざいうざいうざい。
もうこういう話は流行らないだろ。
平和ボケは罪。無責任は大罪だ。
クジライカを殺す理由が無いだと?
問題を先送りしてるだけだろうが!ふざけるのも大概にして頂きたい。
まさに現代社会の問題みたいな流れだな。
このイカ狂信者共全部駆逐してくれたら面白いのに。
しかし女の子可愛いなぁ~描き方がうますぎる。
頬や肩や膝とかを赤くするのは反則だ…。
5話6話でもう死んでたけどやっぱダメだなこりゃ。
何が絶望的ってもう7話なんだよなぁ1クールしか無いのに。
まだVVVの方が面白いアニメだった。
超展開で面白くなる事を希望したい…

8話
船団長死亡に帰還不能かぁ…まぁこうなるだろうと思ってた。
リジットって人がラストなんとかのシルヴァーナの副長に似てるなぁ。
まさか同じ流れになるんじゃ…!
なんかちょっと希望が持ててきたかもしれない。
エイミーの「あのバカ」ってなんぞや…お前が馬鹿だろっと。
所でベベルはなんか元気すぎやしないか?病気じゃないのか?治ったの?
やはりリジットが動いた…けどなんか意味合ったのだろうか?うーん。。。
面白くなる気配が無い…

9話
イカは人間でしたね。
そしてレド発狂…なんかラストが読めてしまう気がする。
人間同士の戦争だったのがわかってレドは攻撃出来なくなって
仲良くしましょうENDだったら糞アニメですね。
しかしこの後何書くんだろう。

10話
あぁーあレドがゴミになっちゃった。
なんの葛藤だ?軍人じゃなかったのか?
今更人間だと解っても別になんも思わないだろ。
おかしいぞこれ…
中佐だと!?
おいおい今更何をしでかす気なんだ…もう2話位で終わりじゃないのか!?
これは風呂敷が畳めないアニメになりそうだ。

【ガルガンティア・みんスト第9話】
5) 対ヒディアーズ殲滅兵器であるチェインバーは、ヒディアーズを見つけると自動的に攻撃する仕様なので、「貴重なサンプルである」と情報を取りつつも処分を続行します。
IG平澤
何これ酷い…パイロットいらねぇじゃん。

【ガルガンティア・みんスト第9話】
6)チェインバーは脚部の「量子インテーク」から吸収したエネルギーで稼動するので、戦闘などで短時間に極端な消耗をしない限り、エネルギー切れになることはありません。
IG平澤

極端な消耗をしなければエネルギー無限wwww
冷凍睡眠で帰還できんじゃんwww

【ガルガンティア・みんスト第9話】
11)人類の為と信じて戦い続けてきた相手が、実は敵意など持っていない同胞だったと知ったレドは、自らの存在意義をどう見出すのか? IG平澤

はい来たよーwイカちゃんを同胞認定するレドさん来ちゃったよーw
しかも敵意ないんだってさーw

凄くひどいです。
ってこのアニメ3話から8話までいらないじゃんまるまる。
あんな余計なことしてる暇あったらもっと書くこと沢山あっただろうと…
もうこれ投げっぱなしに終わるようにしか思えない。

11話
あぁこれ北朝鮮を作るアニメだったのか。
ってかガルガンティアを啓蒙しに行くの流れが読めすぎてつまらん。
次回からの予測
エイミーがレドを説得してレドが上官とドンパチEND
もしくはエイミー殺傷してガルガンもろとも北朝鮮化END
このへんが無難な所か。
しっかしどっちのENDもつまらんなこれじゃ。
レドがふらふら考え方を変えるのも萎えるし、星の住人全部軍事国家にしてもたんたんとしてつまらないし。
うーんこっからどんでん返しがあるとしたらやっぱ誰か死んだり虐殺始まったりするのかなぁ。
いやそれでも面白くはないか。
しかしどう転んでも面白くなりそうにないなぁ。

12話
海賊やっぱ裏切るのか…
レドの打診もあっさりだったなぁ。
なんという恐怖政治!虚淵ってきた。
やっぱ中佐とバトルのか。レドふらふらしてんなぁ。
メルティーなんで落下したんだ?遠すぎたって事なのか?
鍵フラグ回収。海から回収したレールガンか。
ロブスター強すぎww
死んでたって落ちかやっぱり。
次最終回は倒して平和になりましたで終わっちゃうのかな。
インパクト無いなぁ…鍵が何か超展開を起こしそうな予感。

最終話
ストライカーが神になっちゃったwやっぱりパイロットいらないのなw
47%凌駕って無理ゲーだろ。
機械化融合?生命維持限界まで482秒…レド死ぬのか!?
何しに来てんだよエイミーwなんて邪魔な子なんだw
戦闘中に無理やり絡ませすぎだろこれ。
砲身一個なのになんでボタン2つ押した?w
ってか随分しょぼい機械の鍵だったんだなぁ…
超展開なんて無かったか。
あぁやっぱチェインバー自爆ENDかこの流れ。
「くたばれブリキ野郎」
これって確かターミネーターかなんかのセリフだったような。
モロパクリしやがった。これはひどい終わり方だ。
ヒディアーズの設定ほったらかしかよww
なんも問題が解決してねぇなこのアニメ。
レドがガルガン民と仲良くなったけど、ヒディアーズ問題を完全スルーとかどうなってんだよこのアニメw
もうイカもロボットもまったくいらないアニメでしたね。
どうしてこうなった…
設定ばかりが大きく期待させておいて描写してる事はガルガン民との交流というなんともちっぽけで狭い話になっている。
問題は全て置き去り放ったらかしで何にも解決しないで終わっちゃうからどうしようもない。{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 56
ネタバレ

kwm さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

『泣いた』 少年の異文化交流物語

宇宙空間における異性物との戦争に敗走し、撤退時の時空間移動に失敗した事で地球に降り立つこととなった少年『レド』の異文化交流物語。
この物語の中での地球は、氷河期の到来によって陸地の殆どが海に沈んでおり、人々は船の上で生活をしています。
レドは遥か彼方の故郷への帰還が絶望視される中、ヒロインを含めた地球人の船団『ガルガンティア』との出会いを通じて文化の違いに触れていき、価値観の違いに苦しみながらも命令に従って戦う事しか頭になかった彼は次第に変わっていく、というお話です。

物語は戦争に明け暮れるレドの描写から始まり、序盤からロボットによる激しい戦闘シーンを見る事ができますが、全編を通してこのロボットによる戦いは最初と最後のみといっても良い程少ないです。
すぐに降り立つ事になる地球にも人が搭乗可能なロボットが存在しますが、性能は著しく低く、コンテナの輸送などが主な任務で戦闘描写は殆どありません。
ロボットものとして激しい戦闘シーンを目当てに視聴するのは難しいと思います。

一方で、レドが漂着時に搭乗していた機体は地球の文明からは想像もつかないほど高性能なもので、地球人では傷一つ付けられないほどその技術力には大きな差があります。
この高度なAIが搭載された機体をレドは『チェインバー』と呼び、チェインバーは自らを『パイロット支援啓発システム』と自称してレドのあらゆる活動を傍でサポートする事で、初めは意思疎通すら困難だったレドと地球人達も、チェインバーが地球の言語を学習し通訳していく事で次第に打ち解けあっていきます。
また、レドがガルガンティアの船員達に対してチェインバーに対する限られた命令権を付与した事で、チェインバー自身も地球人との交流を通じて様々な事を学習していきます。

異文化との接触にあたって大きな障害となる言葉の壁は非常にリアルに描かれており、序盤はレドと地球人との間で視点が変わる度に相手側の言葉が外国語として聞こえ、これが異文化との接触と言葉の壁を上手く表現しつつ、それをチェインバーに通訳をさせる事で彼がレドの良きパートナーである様子を丁寧に描いています。
チェインバーは常に周囲の音声と映像を記録する事で地球の言語を驚異的なスピードで学習していき、その蓄積されたデータはレドに危険が迫った際に敵味方を自動的に判別する際にも使用されるのですが、こうした高性能なチェインバーの能力は初めは二つの異なる文明の架け橋となっていたものの、敵と見なした者を一瞬で消し去る程のその高すぎる戦闘能力は、『共存共栄』をよしとする地球人の考え方にそぐわず、価値観の違いも相まって、やがてレドと地球人達との間に互いが歩み寄れないほどの軋轢を生じさせます。
打ち解けあったかにみえた両者は、ある重要な出来事をきっかけに別々の道を進む事になり、そしてどうなるか……。

見終わった後の感想としては、よくここまで綺麗に纏めたなというのが率直な感想でした。
アニメが大衆化して大量に供給されるようになった2000年代から、同業他社がバンバン新しい作品を公開する中、売れるかもわからない作品の為に何クールも使えるかと言わんばかりに1クール作品が多くなりました。
業界に対する偏見かもしれませんが、萌え要素で円盤やグッズを買ってくれるなら1クールも4クールも変わらないだろという製作者側の意図が透けて見えるようで、どうしても1クール作品と聞くと中身がスカスカなものをイメージしてしまいます。
作る側もボランティアではないので効率的な回収方法を選ぶのは当然で、決して悪い事をしているわけじゃないんですけど、売れないから途中でポイッみたいな作品や、逆に売れたからと無理やり作った蛇足にしかなってない続編とかを目にするとやはりネガティブに考えてしまいます。
この作品も例に漏れずあまり期待していなかったのですが、凄く綺麗に纏まっていて良い意味で裏切られました。
作品に対する好き嫌いではなく、純粋に『短時間で良くまとめたな』という脚本の良さに凄いなと思った作品でした。

しかしロボットの戦闘シーンの少なさ、異文化交流という要素、萌エロの無さ、主人公とヒロインのイチャラブ展開の無さは、薦めるべき相手のタイプが絞りにくいというのが難点かなと思います。
凄く良い作品なんですが、こんなのが好きな人にお勧め!と端的に表せないのがもどかしいです。

また、キャラクターデザインに凄く個性が感じられたのは私好みでとても良かった点でした。
作中には所謂ラッキースケベ的な女性の胸の露出などは無いんですが、女の子がむちむちしてて好きな人にとっては何もしてなくてもとてもエロく見えると思います。
芸能人でいうと磯山さやかさんとか安めぐみさんみたいな体型が大好きな、ぽっちゃり好きな私にはたまりませんでした。
ただし、これは私がこの作品をそういう目で見ているからであって、普通にしていれば特別なエロさを感じる事はないでしょう。
あまりにも女の子達がかわいらしいので、こんなけしからんキャラデザするのはどこの誰だと調べたら『鳴子ハナハル』さんという凄く有名な方でした。
もともとは成人男性向け漫画を描いていらっしゃった方のようで、どうりで醸し出す雰囲気がエロイわけだと一人で納得。
しつこいですがエロ要素はないので女性でも問題なく見れます。

そしてこの作品は私にとって、泣けた作品の一つでもあります。
ネタバレになってしまうのでここには詳細を書く事ができないのが残念ですが、最後の考える暇を与えてくれない二転三転する展開は非常に良かったです。
欲を言えば2クールでやってほしかった作品ですが、綺麗に終われたし、とても満足できました。
既に続編の製作が決定していますが、先程も述べた様にある程度売れたから作ったというだけの『蛇足』にならないと良いなと思いながらも今から楽しみにしています。

以下、強烈なネタバレありの感想。
{netabare}
やはりこの作品はラストのチェインバーですね。
あの短時間で彼が全てをもっていきました。
3分にも満たないラストシーンの為に全てがあったと言っても良い。
直前に実はイカが人間だったとかで驚いたけど、正直そんなことどうでも良かった(笑)
1クールで通訳していただけなのにこんなに泣けるんだから、2クールやって他にもエピソード作ってたらラストシーンで気絶していたかもしれない。
AIによる自己犠牲というのは、有名な映画だとターミネーターのラストシーンが有名ですね。
他のアニメ作品のネタバレになってしまうので詳細は書けないですが、AIが搭載されたロボットが出てくる他のアニメ作品にも、同じようにAIによる自己犠牲が最後の方に描かれているものが幾つかあります。
しかしチェインバーの良さはそうではなく、あからさまな自己犠牲によるお涙頂戴ではないのが素晴らしい点だと思います。
使い古された設定なので、あからなま展開に感じさせないようにそうしたんじゃないでしょうか。
彼は最終決戦における神経接続の代償として、レドに対して体がもたない事について最終意思確認をし、レドが自らの死を望んでいない事をきちんと確認してから切り離しています。
他の作品ではAIが自己犠牲の精神を獲得し、その為にAI自らの判断でパートナーを救い敵を討つために自爆するという流れですが、チェインバーはそうではありません。

 私は、パイロット支援啓発システム。
 あなたが、より多くの成果を獲得することで、存在意義を達成する。
 この空と海のすべてが、あなたに、可能性をもたらすだろう。
 生存せよ 探求せよ その生命に最大の成果を期待する。

チェインバーのレドを切り離すという選択は、『彼に啓発の余地がなくなった事で自身の支援AIとしての必要性はなくなった。彼を生存させ、探求させる為に目の前の障害を最優先で排除する』という、予めプログラムされた合理的な判断に基づいた行動であって、感情的なものではないとわかるこの台詞は凄く良くできていました。

人間の立場からみると、決め台詞に向かってチェインバーが感情的になっていき自己犠牲を選んだかのように見えますが、彼の側からみるとあくまでも『人類の為に設計されたAIとして当たり前の行動』とわかる演出がなんともにくい。

ちなみにこの直前にレドは、死を望むかというチェインバーの質問に対し、

 俺は、死に方はわかっても、生き方がわからない。
 そんな俺の為に、生き方を一緒に探してくれる人がいた。
 もう一度、会いたかった。
 もっと声を、聞きたかった。

こう呟きながらヒロインのエイミーを一瞬思い浮かべますが、この言葉は直後に自爆するチェインバーにそっくりそのまま当てはまります。
地球に来る前からレドの傍にいたチェインバーは、レドにとっては誰よりも長い時間を共にし、近くにいた存在でした。
そして最後に、自我が目覚めて自己犠牲を選んだかのような姿を垣間見せながらも、地球人の中では一番長い時間を共にしたピニオンから学んだ『くたばれブリキ野郎』という言葉と共に、最後まで人類に尽くすAIという立場を崩さず、レドが今を乗り越えて生存し、探求するために眼前の敵を巻き込んで消えてなくなるという、計算されつくした演出は感動の一言。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』じゃないけど、『あの日聞いた彼の言葉を僕はずっと忘れない』にタイトル変更してほしい。

恐らくこれは、ペットを飼っていたりする人にはくるものがある演出なんじゃないかなと思いました。
私はサムネを犬の画像にしているほど犬好きなんですが、日常的に良きパートナーとしてずっと一緒にいるペットや相棒が、突然の非常事態に自らの体を盾にしてその危機に向かって突撃していくというのは涙無しでは見ていられない演出でした。
チェインバーがレドを切り離した直後に流れる勇ましいBGMも、雰囲気を存分に盛り上げてくれました。

思い出すとまた泣きそうなんでこの辺にしておきます…(´・ω:;.:...サラサラ・・・
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 41
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人とロボ、エメラルドグリーンの海で生きる人々の物語。ロボ=バトルにはならなかった稀有な作品。

故郷から遠く離れた惑星で、共に思考する人間とロボット、二人の成長を通して、人としてのあり方や戦争の意味について問うSF作品。冒頭の戦闘シーンを見て「またか‥」と思ってしまった人にこそ見て欲しい。決してバトルものにはならなかった、謎ありドラマあり、壮大な世界観にも魅力のある、傑作と評価すべき物語だと思います。

レドと※チェインバー、主人公と呼べるのはどちらなのでしょう。私はその両者という印象を受けました。特に序盤では、チェインバーがレドの言葉を翻訳している場面が多いので、二人で一人という印象が強いのです。物語の進行と共に別個に思考し、視野を広げていく二人。お互いの得た異なる見解を言葉にして交わす事により、さらに視野を広げていく姿はまるで兄弟の様です。

敵との戦いを宿命付けられ、初期では"敵は排除するもの"という認識しか持っていなかったレドとチェインバーですが、異文化(異世界と言っても過言ではない)に属する人々との交流、様々な経験を通して、驚き、理解に苦しみながらも、融和への糸口を見つけていきます。

{netabare}多過ぎる。酸素は消費し切れないほど十分あるし、他にどんな配給が必要だというんだ‥。という{/netabare}貨幣に対するレドの評価は自身の存在意義を兵士としてしか見出せない、人間的な部分に著しく欠ける極端な思考ですが、欲望を開放する事こそが人間としてのあり方として正しいのか? ちっぽけな(実は大きな)幸せで満足出来るブリキ男にとっても、かねてからの疑問な事だったので、部分的には同意出来るニュアンスが感じられました。

今後さらにレドが広い見識を得たとしても、彼の性格からして、手に入れた報酬を自らの為に積極的に使う意義を見出せないのではないか?とも思われます。そういう人間もいてもいいですよね‥?

そんなレドにとって、ガルガンティアで最も早い段階で仲良くなったエイミー、そしてその弟ベベルの存在は特別なものでした。レドは遠い記憶の中に埋もれている優しさを、この二人の姉弟との交流を通して着実に見出している様でした。

ピニオンについて。準主人公と評しても言い過ぎではないピニオンですが、彼の豪快で無鉄砲な性格、秘めた復讐心を抱いているところ、声優さん(小西克幸さん)繋がりで、どうしてもグレンラガンのカミナを思い出してしまいます。でもこの人はどちらかというと知性派寄り。レドおよびチェインバーの良き理解者として、物語を牽引する役割としても大いに活躍の場がありました。チェインバーの愛称「ブリキ野郎」も彼の発明によるもの。とても面白いキャラです。

物語を通してレドとチェインバーの存在が大きく、次いでピニオンが影の主役となっているので、上記のエイミーとベベル以外のキャラについては、存在感が少し薄めの印象でしたが、船団長補佐のリジットさんについては、前半のレド、チェインバーへの確固とした対立の態度を示す事で、物語全体に良いスパイスを与えていた様に思います。理知的な女性はいつ見てもカッコいい!

キャラデザについてはエイミーを始め、女性キャラがとても可愛く描かれている印象を受けました。でも私は総じて肌色が多めなキャラ描写は苦手‥。5話の水着回とか6話のダンスシーンとかは結構あからさまな描写なので閉口。水着回ではリジットさんまで過激なデザインの水着を‥何てこった(笑)

メカについて、マシンキャリバー"チェインバー"の全高は20mとか100mとかじゃなくて8mくらい。丸っこいフォルムにも親しみが持てました。量産型メカながら、チェインバーのオーバーテクノロジー振りも良く表現されていたと思います。高度な※1自己学習プログラムと重力制御?による飛行、特別なインターフェース無しで記録媒体の情報を外部から読み取る所など‥。他にも-作中では明確な説明や描写がありませんでしたが-設定上では物質を吸入する事でエネルギーの補充を可能とする※量子インテークというのがあるそうです。どれもスゴイ!

対する作中に登場するもう一体のマシンキャリバー"ストライカー"の大きさは10m、ややずんぐりしたチェインバーと比べて、シャープな機体形状。AIの声も相まって女性的とも表現出来る印象です。ストライカーもまたチェインバーと同様に高度なAIを搭載しており、自ら情報を収集、整理し、思考し、成長していきます。その俯瞰したものの見方、悪く言えばロボット然とした冷血な思考は、本作の脚本など担当されていらっしゃる虚淵玄氏の代表作「サイコパス」に登場する巨大コンピューター"シビュラ"を思わせました。

敵宇宙生命体ヒディアーズ、水棲生物クジライカの秘密など、後半の急展開に至るまで、多くの謎を孕んだ翠星の海に魅了されたり、レド&チェインバーの成長に心震わせたり、全13話、最後まで目の離せない作品でした。
{netabare}
ブリキ野郎の最後の戦い。あの時彼は心を得ていたと私は思います‥。「くたばれ、ブリキ野郎!」はブリキ男を名乗る私としては一度は誰かに言われてみたい台詞です(笑)

エピローグ。自らの半身"チェインバー"を失ったレドですが、エイミーやベベル、ガルガンティアの人たちに支えられながらこれからも強く生きていく事でしょう。一抹の不安を残しながらも物語は続いてゆく、そんな風に思える見事な終幕でした。
{/netabare}
OVAもいくつか出ている様なので是非観てみたいと思います。


※1:パイロット支援"啓発"インターフェイスシステム。チェインバーがただの人間の言いなりのロボットでない事がこの名称からも見受けられます。非常に高度なAI。

※2:洋画「バックトゥザフューチャー2」でドク(発明家の人)の使っていた、バナナの皮とか空き缶に残ったビールとかをタイムトラベルを行う際の燃料にするジューサーミキサーみたいな装置を思い出しました。

氷河期とかについて
{netabare}
NASAの衛星によって測定された太陽放射照度を元に、※1マウンダー極小期による地球全体の気温に与える影響がシミュレートされた結果、2100年までに起こるであろう気温低下の数値は0.1~0.3℃程度と推定されました。対して人為的影響による気温上昇の数値は3.7~4.5℃と言われています。ちょっと桁が違います。

地球温暖化問題については、科学の素養の無い一般の人々を中心に様々な意見が飛び交うことがありますが、肯定派の獲得出来る利益が発生する一方で、否定派の利益が損なわれる事も忘れてはなりません。逆もまた然り。金が絡むと様々な邪推が飛び交い、ろくな事になりません。でも否定派の怒りに満ちた言論口調には私は知性を感じません。

2009年にアメリカで実施された3146人の地学者(90%以上は博士号、7%は修士号を取得している)を対象に行われたアンケート

「地球平均気温に人間の活動が有意に寄与していると思いますか?」

という質問に対し、82%の科学者がYESと回答。内訳は気候学の専門的知識の有無によって異なり、非気候学者では77%が肯定、気候学の研究に携わる科学者では97.4%が肯定という結果が出ています。

一般人に対する同じ質問の調査では58%が肯定の立場を取っているそうです。

ブリキ男もYESに一票。北極の永久凍土層は年々減少しているし、その周辺地域の氷床の体積も縮小の傾向が加速しているという事実を踏まえれば、地球温暖化の傾向は明らかだと思います。有るものを否定して無いものを説明する思考パターンは私は肯定出来ません。ガルガンティアのお話は多分人類の衰退した後の遠い未来のお話と私は捉えます。なぜなら氷河期など待つべくもなく、この先地球は一度、※2ガルガンティアの様な世界になるのかも知れないからです。それも遠い未来の話ですが‥。

※1:太陽活動が低下する時期の事、歴史的に見て周期的に起こっている。

※2:極地の氷が解ける事で海表面が上昇すると誤解されがちですが、この点については逆、氷は水になる事で体積を小さくしますので、海水温の上昇による水の体積の膨張が真の理由です。また極地の氷が解ける事で地球全体の気温は一時的に下がりますが、地球全体の貯熱量は上がります。毎年によって地球の平均気温の上下があるのはその所為でもあると言われています。
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 32

80.3 5 Production_I.Gアニメランキング5位
精霊の守り人(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★★ 4.1 (1218)
6349人が棚に入れました
女用心棒のバルサはふとしたことから新ヨゴの第二皇子チャグムの護衛を依頼される。彼はその身に、この世(サグ)と重なって存在する異世界(ナユグ)の水の精霊ニュンガ・ロ・イム〈水の守り手〉の卵を宿していた。チャグムは、威信を守るため息子を秘密裏に殺そうとする父帝と、ニュンガ・ロ・イムの卵を食らうナユグの怪物ラルンガの両方から命を狙われている。チャグムを連れて宮から脱出したバルサは、卵がチャグムの体を離れる夏至まで、幼馴染の呪術師タンダやその師匠のトロガイと共にチャグムと暮らし始める。

声優・キャラクター
安藤麻吹、安達直人、辻谷耕史、真山亜子、野島裕史、楠見尚己、松風雅也、西凜太朗
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

変な伏線がなく、素直に見ることのできるファンタジー

『攻殻機動隊 S.A.C』神山健治×『人狼』『イノセンス』『BLOOD+』プロダクションI.Gが放つ新・異世界物語(アジアン・ハイファンタジー) 「人狼」「イノセンス」など、世界中から注目される国内有数の制作会社・プロダクションI.Gと「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」でシリーズ累計DVDセールスでミリオンを獲得する若手No.1監督・神山健治が贈る新感覚《アジアン・ハイ・ファンタジー》大作。らしい。

作品自体は小説を原作としたファンタジー。個人的には序はバルサがチャグムの用心棒となり、敵から逃げ、安息の地を探し、破では、村での生活に馴染んだチャグムの様子を描き、急はチャグムが精霊の守り人としての責務を全うするという構成になっているのではないかと思う。本当に素直に見られるので、下手な伏線を入れるアニメより面白いことは間違いなし。ただ、登場人物が多くて、主要な数人のキャラクターしか覚えていない。

{netabare}
チャグムが生きていることが判明したのに、知らないまま死んだサグムが切ない。バルサを親の代わりに育てたジグロが友人を倒していくのも切ない。
精霊の卵を守るために、戦うシーンが割と地味でそこは少し残念だったかな。意外とあっさり終わっちゃって、拍子抜けた感じがある。{/netabare}

バルサみたいな強い女性って素敵だなと思う。タンダの気持ちが伝わるといいねと感じた。伝わってるけど、距離が近すぎて逆に恥ずかしいのかな。

OPはL'Arc-en-CielのSHINE。力がみなぎる曲。EDはタイナカサチの愛しい人へ。これは個人的にかなり泣ける曲。この曲をEDに持ってくるセンスに感激。

以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 第一話「女用心棒バルサ」
短槍使いの女用心棒・バルサは、2年ぶりに訪れた新ヨゴ皇国で、突然暴走した牛車から、川に振り落とされた皇子を助ける。 バルサが助けた少年は、新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムだった。皇子を助けたお礼に宮へ招かれ、歓待を受けたバルサは、ニノ妃から重大な秘密を聞かされる。チャグムは何か得体の知れないモノにとり憑かれ、これを疎ましく思う父帝が、彼を亡き者にしようとしているというのだ。ニノ妃は、バルサの腕を見込んで、チャグムの用心棒を引き受けてくれと頼む。 帝を敵に回すという、命の保証がない仕事をなぜか引き受けたバルサは、宮に火を放つよう指示して、燃え盛る炎を背に、チャグムをつれて宮を脱出するのだった。

2. 第二話「逃げる者 追う者」
燃え盛る炎を背に、チャグムをつれて宮を脱出するバルサ。二人は一旦頼まれ屋のトーヤとサヤの家に身を隠す。 一方、炎上する二の宮を見つめる一人の人物がいた。若き天才星読博士のシュガである。 チャグムの教育係でもあったシュガは、この国最高の賢者である<聖導師>の元を訪れ、チャグム暗殺計画をやめて欲しいと頼む。しかし、聖導師は逆にヨゴの政治の裏側を語って聞かせ、自分の後を継ぐべく聖導師としての道を歩むように諭すのであった。 もしチャグム皇子に取り憑いたものが本当に水妖ならば、それを倒すことが出来るのは帝だけである、と言う聖導師。それはチャグムを生きたまま宮へ連れ帰り、父である帝の手で討たせることを意味していた。 聖導師が差し向けた、帝の影に仕える<狩人>たちが、バルサたちに迫り来る。

3. 第三話「死闘」
バルサたちの前に立ちはだかる狩人たち。絶妙なコンビネーションに対し、バルサはチャグムの安全を最優先する。チャグムは一人、森の奥へと逃げ、バルサは狩人たちと戦う。暗殺術に長けた彼らの攻撃に苦戦を強いられ、修理することができなかった槍先が戦闘中に外れてしまう。モンの刃が、バルサの腹に襲い掛かる。しかし、バルサは自らが傷つきながらもモンに渾身の一撃を浴びせ、その場を逃れる。森の奥に逃げるバルサを見失ったジンは、本来の目的を優先し、チャグムを捕まえる。気を失ったチャグムを運ぶ最中、ジンは幼い日のチャグムと自分のふれあいを思い出すが、そこにできた隙を狙って、追いついたバルサが捨て身の攻撃に出る。バルサはチャグムの救出に成功するが、傷の影響でついに動くこともままならなくなり、チャグムにタンダを呼んでくるよう頼む。

4. 第四話「トロガイの文」
バルサがタンダに救われ、山小屋に向かっていた頃、トロガイはナユグの住人との接触を図っていた。そして、ことの始まりが「卵」であることを知る。トロガイは、彼女の命を狙って現れた狩人たちを軽くあしらい、彼女の得た情報についての文を聖導師に送る。 宮では狩人のチャグム拉致失敗の報がもたらされていた。それを聞いた帝と聖導師は、次の策を練り始める。シュガは聖導師に乾の相を打開するために必要と思われる、建国の碑文書の解読を命じられる。バルサは、山小屋で目覚めた。心配そうに見守るタンダやトーヤたちに、チャグムが新ヨゴの第二皇子であることを明かす。そして、自分が用心棒として雇われ、彼を守ることになったことも。だが、深手の傷を負ったバルサは動くことができない。しばらくの静養が必要だった。バルサは呪術師の力を持つタンダに、チャグムの体を見てもらう。

5. 第五話「秘策、青い手」
トロガイは、山小屋にいる一同にチャグムに宿るものが「精霊の卵」であることを教える。チャグムはナユグの精霊から「精霊の守り人」として選ばれた者だったのだ。バルサはトロガイに、「一生この子の面倒を見るつもりか?」と、きかれる。バルサが背負わねばならないのは、チャグム一人の命ではなく、チャグムの守護に失敗したときに起こるであろう干ばつも含めた新ヨゴとヤクーの人々の命であった。しかし、バルサの決意は変わることはなかった。都ではチャグムは死んだものとして、民へと発表され、葬儀が着々と進められていた。帝は「チャグムは死んだもの」として、宮殿に火を放ったバルサに、大規模な山狩りによる追っ手を堂々と差し向ける。それを知ったバルサは、過去に因縁のある「青い手」に使いとしてタンダを送る。

6. 第六話「青霧に死す」
翌朝、出発を前に髪を下ろし、平民の姿になるチャグム。無事逃げる為と理解しながらも、外見が皇子ではなくなってしまった事、母妃と遠く離れてしまった事を実感し、悔し涙をこぼす。都では、討伐隊が青い手が解放した人々に手こずっていた。討伐隊を率いる狩人達は、バルサの策により、むやみに動くことが出来ずにいた。様々な目撃情報が伝えられる中、モンたちはバルサの行動の裏の裏を読み、考えをめぐらせる。「沈思黙考!」バルサは北の故郷カンバルを目指して青霧山脈を越えるはずだと判断したその時、西に向かう短槍を持った子連れのカンバル人の目撃情報が入る。完全に分断された、狩人たちだった。モンとゼンが、青霧山脈へ向かう。そして山中、青弓川の渓流沿いで逃げるバルサとチャグムをついに見つける。

7. 第七話「チャグムの決意」
バルサはチャグムと共に扇ノ下に新居を構える事にする。死んだ事になっているとは言え噂の的になっている二人が都で暮らすことを心配するタンダ。しかしバルサはそんなタンダを他所に、街の人相手に自分の噂話までしてみせる。誰もバルサ本人がこんなところにいるとは思わない。噂ばかりが大きくなり、バルサの正体が見抜かれる様子はなかった。そんな中チャグムは、街では何をするにもお金が必要になることに驚いていた。自分が暮らす分のお金までバルサやタンダに頼るのでは、二人にとって迷惑なのではと心配し始めるチャグム。普段なら、バルサの用心棒の仕事は、敵を退けた所で終わりである。ましてバルサにとって自分は他人の子に過ぎない。チャグムは、タンダが12歳の頃から薬の調合を始めたと聞き、自分も独り立ちしなければと思いつめる。

8. 第八話「刀鍛冶」
ボロボロの槍を直してもらおうと、バルサはチャグムを連れて馴染みの鍛冶屋に向かう。死んだはずのバルサが現われ、驚く鍛冶。すぐに新しい槍を打って欲しいというバルサに対して鍛冶は、帝に弓を引いたという街の噂が本当ならば、バルサには協力出来ないという。バルサは真実を語ろうとしない。事情が分からない限り、槍を打つかどうかの判断が出来ないという鍛冶は、他の客が来るから隣の部屋に追いやる。その時客が入ってくる。狩人のモンとジンだったのだ!二人はバルサとの戦いで傷ついた刀をこの鍛冶に預けており、新しい刀を取りに来たのであった。その二人に対して鍛冶は、人の身を斬らずただ業だけを断ち切る、そんな刀をいつか打ちたい、という自分の夢を語って聞かせる。鍛冶は、過去にただ一人、そう思えた武人の話を始める…。

9. 第九話「渇きのシュガ」
シュガは、チャグムを救えなかったという深い無力感と自責の念に駆られていた。そしてその思いは、消えていない空の<乾の相>--干ばつの予兆--に気付かない星読み達への苛ちとして表れる。チャグムを可愛がり、その死を悼んでいたはずの兄、サグム皇太子も、この所は人が変わったように自信に満ち溢れ、チャグムの遺品を焼いて水妖の呪いを祓う仕事なども進んで引き受けるようになっている。そんな中、皇太子の教育係ガカイが、チャグムの遺品を捜そうと、シュガの私室に無断で立ち入る。それを見てガカイと言い争いになるシュガ。揉みあいになった勢いでガカイを強く打ってしまい、謹慎処分を言い渡される。

10. 第十話「土と英雄」
チャグムは順調に仕事を覚え、里での生活に慣れて行く。そんな賢すぎるチャグムを見て、バルサはこのままでは息が詰まってしまうと心配する。そんな中、狩人たちとの一件以来身を隠していた根っからの街っ子のトーヤが、街に戻ってくると知ったバルサは、チャグムを街の生活により馴染ませようと、ちょっとした荒療治を思いつき、頼まれ屋の仕事を手伝うようにとトーヤに頼む。トーヤと街に出るチャグム。扇ノ下の社会を体感していくなか、賭博現場に出くわす。これも社会勉強だと参加するトーヤ。傍でみているだけのチャグムは、持ち前の探究心で、トーヤが負けていく様子をじっくり観察し、ルールを覚えるどころか、この賭場のイカサマを見抜く。有り金をすってしまったトーヤは取り返そうとするが、胴元たちに軽くあしらわれてしまう。トーヤは諦めようとするが、チャグムはそうではなかった。

11. 第十一話「花酒をタンダに」
ひとりで落ち込んでいるトーヤ。その理由は、サヤが嫁にいってしまうかららしい。サヤがお見合いを受けると言ったため、兄替わりだったトーヤは賛成したものの、やはり独りになると、その喪失感はお金では埋められないものだった。しかし、そのおめでたいはずの見合いの席上、花酒を飲んだサヤが急に倒れた。しかも、どうやら“魂抜け”になってしまい、そのまま戻らない。バルサからサヤが倒れたことを聞かされ、お見合いの場に駆けつけるトーヤ。そこで、このお見合いが誰の了承も得てない物だったと判明する。サヤはお見合いが嫌でこんなことになってしまっているのだ。サヤの魂を戻すために、タンダは師匠のトロガイから止められていた術“魂呼ばい”をして、ナユグの世界へと入っていく。

12. 第十二話「夏至祭」
聖祖トルガル帝が新ヨゴ皇国を建てたのを記念するお祭り“夏至祭”が近づいてきた。農民たちも祭りへ向けての準備で盛り上がっている。チャグムは、近所の友人たちに、祭りの日に行われる格闘技の“ルチャ”の大会へ向けての稽古へと誘われる。会場に来たチャグムたちの前に現れた、隣国ロタ人の子ヤーサムの挑発に乗った、ガキ大将は勝負するが、その強さに全く歯が立たない。調子に乗ったヤーサムのヨゴへの侮辱、さらには帝の悪口に腹をたてたチャグムは、翌日の祭りでの勝負を約束する。家に帰ってバルサに勝負のことを話すチャグム。バルサは勝つ方法はあると言うが、祭りの大会で勝負すると聞き、その勝負はあきらるようにと諭す。大勢の人が集まり、誰が見てるかわからない場で目立つことはできないのだ。チャグムが思い悩む中、夏至祭りが始まった。

13. 第十三話「人でなく虎でなく」
バルサの存在が、過去に因縁のある武人カルボに見つかった。手紙を受けたバルサは、彼に会いに行き、自分と会ったことは忘れてくれるようにと頼む。しかし、カルボは過去にバルサから受けた屈辱を晴らすために今日まで生きてきたという。そしてチャグムのことで揺さぶりをかけ、さらには翌日から、街道の関門で最初に来た旅人を一人ずつ毎日斬っていくと言い放ち、その場を去っていくのだった。翌朝気になったバルサは、関門にくるが、カルボの姿は見当たらない。そこへ、旅人が通りかかる。バルサは彼らがカルボの標的になると、その旅人から目を離そうとしない。そんな中、姿を現さないカルボは遠くから執拗に旅人を付け狙ってくるのだった。精神的に追い詰められていくバルサ。しかし、カルボの思惑とは別に、バルサの中で眠っていた野生が目覚め始めてきた。

14. 第十四話「結び目」
世に伝わる『建国正史』。大聖導師ナナイが残した碑文を読み解くうちに、シュガはこの建国正史が、捏造された物語だったことに気付き、水の精霊こそが水の恵みをもたらすという事実にもっと早く気付いていれば、チャグムを守れたと、後悔するのだった。同じ頃、サグとナユグが折り合う地“結び目”にて、トロガイもまた、水の民との話により、建国正史の嘘に気付いていた。ナユグのものたちに襲われながらも、バルサたちのところに戻って来て、その事実を皆に伝える。安心するチャグムに、それ以上のことは言えないトロガイであった・・・。

15. 第十五話「夭折」
トロガイは、バルサとタンダに “卵食い”ラルンガの存在を話す。チャグムにとって最大の敵が何者なのか?卵が孵る“宴の地”とは?とにかくじっとしていても始まらないと、少しでも手掛かりを見つけるためにバルサたちは、ヤクーの伝承が残っているトウミ村に行くことを決める。シュガは碑文をさらに読み解き、チャグム生存の手がかりを見つける。しかし、まずは聖導師の断り無く入った碑文の間を出なくてはならない。シュガに味方する無人たちの協力で、外に出たシュガは、ついにその手がかりを見つけ、チャグムの生存を確信する。喜び、皇太子サグムのところを訪れるシュガ。病気に犯されながらも、死んでしまったチャグムの分もと、気を張って役務をこなすその姿を見て、シュガはチャグムの存在を話すことができなかった。

16. 第十六話「ただひたすらに」
シュガは、青霧山脈に来ていた。バルサとチャグムが落ちていった谷は前日の雨で、あの時立ち込めていた毒霧が晴れていた。シュガが谷底へ降りようとしたそのとき、聖導師の指示により後を追ってきた狩人たちが現れる。誰もがチャグムの生存を願っているのだ。その確認に崖を降りていくモン。谷底に存在していたのは、馬の死骸と二人の衣装のみだった。聖導師にチャグムの生存を確信したことと、碑文を読み解いた結論を報告するシュガは、さらに帝の許しを得て、チャグム捜索の全権を任される。狩人を借り受け、捜索に乗り出すシュガ。武術のみならず、むしろ諜報を得意とする狩人たちの手が、ヤクーの村へと出発するバルサたちの準備を頼まれたトーヤのもとにしのびよる・・・。

17. 第十七話「水車燃ゆ」
狩人たちとの隠れ家から、一旦宮へ帰ろうと、扇の下を歩いていたシュガは、偶然我が目を疑う人物を見かける。チャグム皇子だ!あまりにも突然の再会、一人で買い物をする行為、庶民的な容姿、そして言葉遣いに戸惑いながらも、シュガはすぐにでも宮に戻るよう、水の精霊の誤解がとけたことを説明する。しかし、どうしていいか愕然と立ち尽くすチャグム。と、そこに立ちはだかったのは、バルサだった・・・。一方、トーヤは、バルサにたのまれたものを届けに、水車小屋に到着する。トーヤを尾行していたゼンとユンは、その小屋をつきとめ、近隣住人の聞き込みを開始する・・・。再び小屋に戻ってきて、そこにバルサとチャグムが住んでいるという2人の確信は、モンへと伝わり、ついに水車小屋へと狩人たちが集結する・・・。

18. 第十八話「いにしえの村」
トーヤのおかげで難を逃れたバルサは、チャグム、タンダ、トロガイと合流し、直接トウミ村を目指す。しかしチャグムは、シュガから聞かされた兄サグムの事が気になり、自分が兄を気遣うこと以上の理由で、バルサたちと行動を共にすることに納得がいかない。ラルンガのことを話すことで、チャグムにさらなる精神的苦痛を負わせたくないバルサは、強引に彼を連れて行くのだった・・・。再びバルサたちを見失ったシュガと狩人たちは、トーヤが水車小屋に届けた荷物から、その行き先を推測する。そんな中、直接対峙したシュガは、バルサが自分と同じく新たな知識を得ようとしているのではと考えた。今までの行動とも合点がいくヤクーとの関わりを確信した狩人たちは、選択肢をしぼって、バルサたちを追い始める。そのひとつにあるトウミ村へは、モンとジンが向かっていた・・・。

19. 第十九話「逃亡」
トウミ村の少女ニムカから、“卵食い”ラルンガのことを聞いてしまったチャグム。そのことを教えてくれなかったバルサに対する不信感と、自分が精霊の守り人であり、ラルンガの餌食になってしまう運命にあることへの恐怖から、チャグムは宮に戻る決意をする。一方、トロガイたちは、ニムカの祖母から伝えられた話から、ラルンガのことや精霊の卵がどうやって孵るのかという謎の答えが、誰もが知っている田植え歌の中にあることに気付くのだった。しかし同じ頃、チャグムを奪回するべく、シュガと狩人達はトウミ村へと迫っていた。

20. 第二十話「狩穴へ」
バルサがチャグムを追いかけている頃、トウミ村に入ってきたシュガと狩人達。彼らの前に現れたトロガイは、ニュンガ・ロ・チャガとしての宿命を負ったチャグムのこと、 “卵食い”ラルンガのことをすべて説明する。皇子を守れるのはヤクーか?ヨゴか?プライドを傷つけられた狩人達が力ずくでその場を制圧しようとするが、ヨゴの大軍勢をもってしても、皇子を守ることに疑問を持ったシュガは、トロガイへの信用から、初代聖導師の碑文の存在を明かす。

21. 第二十一話「ジグロ・ムサ」
厳しい冬を越すための狩穴生活で、チャグムは、肉体的にたくましくなっていくが、精神的には、まだ精霊の守り人としての運命を受け入れられないでいた。そんなある日、バルサは自分にとってかけがえの無い存在、ジグロのことをチャグムに話す。幼きバルサ六歳の頃。それは、隣国カンバルの王室付きの医者であったバルサの父、カルナ・ヨンサが宮中の陰謀に巻き込まれ、親友のジグロ・ムサに、最愛の娘バルサを託した、壮絶なる悲劇の話であった・・・。

22. 第二十二話「目覚めの季」
バルサの話はなおも続く・・・。ジグロと親友“王の槍”たちとの戦い・・・。二人の逃避行・・・。そして、バルサがジグロから学んだもの・・・。すべての話が終わったとき、チャグムはバルサとジグロに、自分とバルサを重ね合わせていた。そしてチャグムは、自らの運命に立ち向かう決意をし、バルサに武術を教えてもらうことを請うのだった。やがてトロガイは別の場所で春の準備をするために狩穴を出て行き、残ったバルサ、チャグム、タンダの三人は、それぞれの想いを胸に、狩穴生活を続けていく・・・。

23. 第二十三話「シグ・サルアを追って」
ついに春がやってきた・・・。シュガは、すべての碑文を読み解くことは出来なかったが、ラルンガの弱点を見つけ出したことの成果を持って、狩人とともにヨゴの軍勢を率いて出立する。一方戻ってきたトロガイは、冬の狩穴暮らしで、すっかり男らしくなったチャグムに、新しい服と短剣を渡す。それはチャグムが一人前になった証しとして、バルサが頼んだものだった。バルサたち一行は、チャグムの導くままに宴の地・青池へと向かう。そこでシュガ率いるヨゴ軍と合流したのも束の間、チャグムはシグ・サルアの咲き乱れる青池の中心へと、卵に導かれるように歩みだす。

24. 第二十四話「最後の希望」
卵に導かれるままに青池を離れ、森へと去っていったチャグム。シュガは混乱する軍勢を立て直し、トロガイと共にお互いが持っている知識を共有することで、再び現れるであろうチャグムとラルンガに対応するための準備をする。チャグムを追って森に入ったバルサとタンダは、同じ行動をとった狩人たちと合流するが、双方チャグムを完全に見失ってしまう。宴の地が青池ならばチャグムは明け方には戻って来るはずだが、バルサは卵の行動に何らかの理由があると考え、再び襲ってくるであろうラルンガからチャグムを守るために、さらに森を探すことを決める。一方、シュガのもとに、残りの碑文を読み続けていたガカイからの伝令が届く。その残りの石版には、重大な情報が記されていた。

25. 第二十五話「宴」
タンダの捨て身の行動によって、ナユグのものと接触できるようになったバルサと狩人たち。宴の地に現れたチャグムを食らおうと次々と出現するラルンガたちに対し、狩人は大松明を駆使して撃退しながら、身を挺してバルサをチャグムの所へと行かせる。ついにチャグムの体の中の卵が孵る準備を始め動き出した。これを感じたチャグムは、サグとナユグの折り合いをつけられないままに、国のため、民のために自己を犠牲にすることを選ぶ・・・。

26. 第二十六話「旅立ち」
運命の戦いは終わった・・・。光扇京へ戻る一行。チャグムは、帝や二ノ妃の待つ宮中に迎えられ、帝直々に悪しき魔物から国を救った英雄として生きることを命じられる。そして、バルサのことは忘れるようにと・・・。十分な歓待と報酬を受け取ったバルサたちは、チャグムとは話をすることもなく、宮を去ろうとするのだった・・・。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 2
ネタバレ

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

☆ハードコア・ペアレンツを見たァァァ!! 作品☆

■評価
テーマ性(家族愛):★★★★★ 5.0
脚本&構成巧み度:★★★★★ 5.0
音楽&音響巧み度:★★★★★ 5.0
名作度     :★★★★★ 5.0
話題性度    :★★    2.0
おススメ度    :★★★★☆ 4.4+0.5=4.9
(0.5点は私の愛をプラスしているので無視で構いません)

■ストーリー
用心棒家業を生業とし世界中を旅するバルサであったが、
久しぶりに立ち寄った新ヨゴ皇国で事故によって濁流に落下した
新ヨゴ皇国の王子チャグムを救う事になる。
しかし、これをきっかけにチャグムの母(宮中皇太后)より
チャグムは水妖の卵を産み付けられた事で、穢れを嫌う
帝から命を狙われている事を知る。そして隠密にチャグムを連れ出し、
用心棒を頼まれるバルサであったが...。
チャグムに産み付けられた水妖の卵とは一体何なのか?
帝より放たれた狩人たちの追っ手からバルサは逃げ切る事ができるのか?
世界を圧倒する大河アジアンファンタジーが今幕を開ける。

■感想
個人的に大のお気に入り作品であり、やっとこさ人生初の
BD-BOXを購入した作品。神山健治監督の作品だから、
攻殻SACから買うのが筋じゃないのかい・・・とも思ったのだけど、
この作品のBD-Boxを購入した理由も含めて全てこのレビューに
記載したいと思います。

本作はグロ・エロなどの刺激物は一切なし、ただ本来あるべき
理想の親子を描いた力作であり、ストーリーや脚本・演出・音響の
全てで魅せる作品は相当めずらしい。
原作者である上橋さんの小説版:精霊の守り人はアンデルセン賞
(児童文学賞)なる世界的な名誉ある賞を受賞した事はすごくうれしい...。
だけど、この原作小説を超えたアニメ版の方にこそ何か賞が与えられても
良いと思うほど出来がよいアニメです。

本作のテーマは『家族』とか『親子』なのだけれど、現実世界では
非常に扱いが難しいテーマです。何しろ親もしくは子を蔑ろにしたり、
子育ての匙加減や認識を間違えると親子での家庭内暴力・権力闘争・
相続争い・モンスターご両親、最悪の場合は"家庭外"暴力に繋がったりと
エライ目にあうと思う。だけど本作はこの難しいテーマを原作小説以上に
上手く消化し骨太な親子の物語を描ききっていると思う。

前置きが長くなってしまうけど、理想の家族ってものがどんなものか
視聴する前に思い描いてから見ても面白いと思う。
主観だけど僕が理想としたり、本作から感じ取れた家族像を
記載すると・・・
『生きる事とは何か?』
  誰かを必要とし、誰かに必要とされる事。
『親子とは何か?』
  人が”生きる事”を互いに学びあう関係の事。
『家族とは何か?』
  人が”社会”で生きていく事を学ぶ場所の事。
  そして自分を正当化して生きる事ができる場所の事
だと考えてます。
家族や親子は私の一言二言で片付くほど単純なものではない事は
重々承知しているつもり…だけどやっぱり根幹にあるのは
これが理想だと思うし、日本で生まれ日本の文化に囲まれて
育ったご家族であれば無意識のうちにこれに近い価値観が
備わっているのではないかと思う。
これを踏まえた上で本作を視聴すると感動が倍増する。

具体的な感想を書くと、子役となるチャグムは何とも過保護に
育てられた虚弱体質なガキンチョだけど、親代わりとなるバルサは
生きていくために必要なもの以外は殆ど物を与えない。
そのかわりバルサは『生活の知恵』『愛情』『人付き合い』
といったものを惜しみなく与え、子育ての最終目標である『自立』に
むけて命の盾となり、親が子にすべきことだけをする。
本作はこの生活の繰り返しなのだけれど、チャグムにとりついた
水妖の謎解きや追手からの逃走劇などのお陰で全く飽きが来ない。面白い!!
そして、この擬似親子が日々の生活の中で培う絆が『親子』や
『生きる事』とは何なのかをしっかり感じさせてくれるし、
本来あるべき家族と同じ様に自分みたいな甘しょっぱい人間でも
自分を正当化できる場所が実は足元にある事を気付かせてくれる。
だからこその感動というのが本作にはあると思う。
{netabare}
これを実感させる名シーンをいくつか紹介すると、
まずロタ人との喧嘩相撲大会で、チャグムがロタ人のガキンチョに
辛勝したあとにシャシャリでてきたモンスターペアレンツをバルサが
一投してだまらせるシーン。一見武力で解決している様にみえるけど違う。
これは負けても良いから人間として困難から『逃げない』『誤魔化さない』
『責任を持つ』という人の姿を子供に見せている良シーンだと思う。
この姿を子供に見せている時点で、あのモンスターお父ちゃまは既に
完敗なのです。
そして、過酷な運命から逃げるチャグムにむけて言い放ったバルサの
『親にむかって…』のシーンになる。これは実はチャグムに必要とされて
いない事を知ったバルサが一番傷ついている。
だからこそ『生きる事への執着』を教えるために愛と怒りの大ビンタを
かますのです。
そして、バルサの養父ジグロの『俺は案外お前やこの暮らしが…』の
シーンは感動の極地といっても良い。これは置物の様な地位・名誉・富を
捨て去り『誰かを必要として、誰かに必要とされる事』=『生きる事』を
選択して最後まで貫いた漢のぶきっちょな一言です。
これは生きる事が虚飾・虚勢をはるための空虚な情熱で浪費するもの
ではなく、ただ大切に毎日生きる事を意識する事なんだと感じさせて
くれるし、生きる事を学びあう親子に血のつながりなんてものは
実は関係ない事に気付かされると思う。
これが生きる豊かさというものなのだろう。

だいたいこのあたりのシーンでボロカスに泣かされているし、
小説にはないストーリーや脚本が追加されている事に感動を覚える。
大局的にみればストーリーはありがちかもしれない。
だけど、もし自分が生きている意味ないとか、不要な人間だと
思っている人が、この作品みたら強いとか弱いとか関係なく
『まず誰かを必要とする事』に気付かされるかもしれない。

ここまで全力で褒めぶっちぎったけど、悪い点を記載すると全体的に
行儀良く描かれているので、清廉潔白さや理想主義が鼻について白ける人も
結構いるかもしれない。また最も悪い点はこんな面白いのに
本作を何と言って人に薦めれば良いのか分からないくらい話題性が薄く
地味だ。なので進撃の巨人等にも負けないくらいのキャッチコピーを
妄想すると、『親の中の親を見た!!モンスターペアレンツを駆逐する
ハードコア・ペアレンツが今ここに!!』くらい言って周りの方に薦めても
良いでは内科と感じます。
{/netabare}
ちなみにストーリーやテーマ、そして脚本を強く褒め称えましたが、
音楽・音響・作画も本当に素晴らしい!!
あって当たり前の事を描いている作品なのだけど、
いつまでも人の心に残るテーマとメッセージの分かりやすさが
本作一番の魅力。

アホな僕は何かを評価・レビューしたりする時に、見本がないと
判断できない。だから本作を5点満点クラスの基準として、他作品の
評価を決める時に比較しながら決めています。
本作はそのくらい僕にとって重要であり大好きな作品。
なので最高の環境で視聴したいからBD-BOXの購入に至った次第です。

最後に原作者の上橋直子さん、神山健治監督および製作者の皆様に
心からの敬意と感謝の気持ちをもってレビューを終わりにさせて頂きます。
本当に感動を有り難うございました。

以下レビューに関係ない内容なので興味ない方は無視して下さいまし。
■余談:原作小説とこの後の物語について
{netabare}
私は小説版である守り人・旅人シリーズもすべて読破しましたが、
本作は小説版『精霊の守り人』を超えた面白さを持っていると
断言しても良いです。本作で感じた感動シーンはすべて小説には
記載されていない事に気付くはずです。
もし小説版にチャレンジされる方がいれば、若干キャラ設定が違いますが
本作を視聴してから続編である『闇の守り人』から読み進んでも面白いと
思います。まさに本作のラストでカンバルに旅にでたシーンから
始まります。

続編小説ではバルサはジグロの贖罪と誤解を解くためにカンバルに。
そして旅の先々のジグロの教え通り、一文の得にならない事でも
少年少女達を救っていきます。
チャグムは庶民の暮らしや苦しみをしったからこそ、帝に反発しながらも
皇太子(外交官)として励み、新ヨゴ皇国に牙をむこうとしている
隣の大国『タルシュ帝国』との政争や戦争に巻き込まれていきます。

タルシュ帝国に追い込まれ窮地に立つ新ヨゴ皇国とチャグムに対し
バルサは再び立ち上がります。この二人は再び会える日が来るのか?
どうぞこの素晴らしい親子の末路を小説にてご堪能下さい。
(本当は続編作って欲しいのだけど・・・)
{/netabare}

■余談2:親子について
{netabare}
親子がテーマという事なので独白するけれど、実をいうと
僕はマザコンである。
別に今でもかーちゃんのおっぱいをチューチューしたいなんて事は
思わないけど、母親の誕生日にはとーちゃんから皇太后妃殿下の
聖誕祭なるぞ!!貢物を持ち実家に帰って来い・・・なんて内容の
メールが家族中に飛ぶくらいの痛いマザコン一家である。
しかもとーちゃんがこの聖誕祭のメールを誤って親戚の兄ちゃんに
送ってしまい親戚一同から失笑されるなんてのが結構あるから
頭から湯気がでそうだ。

けれど日本男児の60~70%は軽度~重度のマザコンである事は
間違いないはずだ。(根拠なし・・・)
これは幼少期に長い時間母親と一緒に育ったであろう日本男児であれば
当然の結果であり、これを認めない男は立派な男とはいえない(笑)。
本作を高く評価している男性陣がいらっしゃれば、恐らくその方も
・・・そうであってほしい。いや絶対そうだ。いや仲間がほしい。

だけどマザコンの根幹である母親への敬意は、妻もしくは恋人たる
女性への敬意にもつながるので実は重要な要素でもあると思う。
だから女性には旦那や彼氏や好きな人がマザコンであっても
幻滅してはいけないし心配御無用とだけお伝えしたい次第です。
(極度のマザコンは除く)
{/netabare}

■余談3:親にむかって・・・
{netabare}
僕はチャグムやバルサほどの過酷な運命に立ち向かった事もないし、
ましてや親にむかって刃物を向けたこともない。
だけど人並みに反抗期を迎えていた頃、僕は机にむかって一心不乱に
教科書を被せて偽装した漫画を読み漁っていたのだけど、
当然かぁーちゃんにバレて『のり塩!!勉強もしないで・・・』という
テンプレそのままに叱られていることに嫌気がさしてしまい、
あろう事か僕は・・・お尻の銃口を親にむけ『プップぅぅぅぅ↑↑
(訳:はーい)』と返事代わりにトリガーを引いたことがある。
これがきっかけで三週間弁当やら晩飯やら抜きになって独り大飢饉に
なった大変な思い出がある。
この作品を見て思うことは、すまん!!かーちゃん。親の苦労を
分かってなかった。
しかも・・・僕は今も大して変わってない!!本当にすみま千年。
{/netabare}

好きな作品だけに長文になり、大変失礼致しました
ご拝読有り難うございました。 

投稿 : 2022/10/01
♥ : 22
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

時代を超えられるアニメ

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
世の中はものすごい勢いで変化を重ね、流行り廃りも激しい現代。

そんな中でも不変なもの、普遍なものはあって、この作品のもつドラマ性も、そのひとつなんじゃないかと思います。それが、時代を超えられるアニメ。

古代中国のような、アイヌ民族のような、様々なものが混ざりあった独特の世界観で繰り広げられる物語は、正に大河ドラマ。実写化されるのも頷けます。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
このアニメを観た素直な感想は、「悪人」と「無能」がいないアニメだな~というものだ。

「バルサファミリー」(主人公サイド)は勿論、善人かつ有能な集団だが、一見、敵側のように見える方(帝国サイド)も、善人かつ有能な集団だ。

「シュガ」は明らかだが、前半の分かりやすい敵役だった「狩人」や、「シュガ」と対立する「聖導師」、黒幕のように見える「帝」ですら、主要な人物は皆、善人かつ有能だった。私利私欲にかられる人物はいなく、基本的にチャグムの身を案じ、それ以上に国の未来を案じるという、正しい行動原理の人達ばかり。(普通、このような物語なら権力側が悪人として描かれるが)全員の「正しさ」は良くも悪くもNHKらしく、シリアスな展開のわりにストレスフリーな作風を作っている。

では、「正しい集団」同士なのになぜ対立するかというと、それは「知り得た情報(知識)」に差があるから。

ニュンガ・ロ・イムが良い精霊であると、「自然との対話」により知り得た「トロガイ師」や、伝承により真実が(うっすら)残る「ヤクーの民(先住民)」。それに対して、国をまとめる為に建国史を捏造した「ロタ帝国(移民国家)」との対比は面白く、人間の「業」による弊害を描いている。

とはいえ、それ(建国史の捏造)ですら、国をまとめるため、建国時の混乱を避けるためには仕方のない行為であり、初代ロタ皇帝は、後世のためにちゃんと「正しい知識」を残している。

おそらく、初代ロタ国王も、善人かつ有能だったのだろう。しかし、その「正しい知識」は正しいカタチで伝わらなかった。その原因は、星読達が本来の役割である「知識の追究、伝承」より、「政治」に重点をおいたためであり、やはりここでも、人間の「業」があるべき姿を歪めるということが描かれている。

精霊の守り人の素晴らしさは、トラブルの原因を「個人(突発的な悪人)」のせいにせず、「総体としての人間(人間のもつ欲や業など、性)」にした点だ。だからこそ、普遍的なメッセージとなり、世代を超える作品になり得るのだろう。

文明の発展の為に製鉄を行い、それがナージの個体数を減らし、結果的にはニュンガ・ロ・イムの卵を運ぶことが出来ず、水不足というカタチで人間の文明を破壊しにくる。国の急激な発展と豊かな生活と引き換えに、わずか100年の間に、伝承や自然などたくさんのモノを失ったロタ国の姿は、分かりやすく、現実世界の(自然破壊をする)我々に警鐘をならしている。

しかし、それ(人間が破壊した世界)を救えるのもまた、人間だ。

約束の地で、チャグムから取り出したニュンガ・ロ・イムの卵を運んだナージは、おそらくはチャグムの兄である第一皇子が治療し、自らの死の間際に空に放した個体だろう。そういった、人の優しさや技術が、自然を回復させることもできるという比喩としては、素晴らしい演出だったと思う。と同時に、「人の思いや成したことは、死してなおも残るものである」という、本作のテーマにも合致していて、伏線の回収としても見事だったし、「弟思いの優しく聡明で、しかし、体が弱い為に、国の為に何も成すことが出来ぬ後悔の中で死んでいった第一皇子」が、結果的に(人知れず)救国の英雄となるという筋書きは、単純に英雄譚として感動できた。

他にも、この作品の良さはたくさんある。

序盤のチャグムが「なぜ寝るのにお金がかかるのか」という疑問をもつなど、「浮世離れした環境で育った皇子」の思考をきちんと具現化し、作品に取り入れるところなど、原作者の高い技量が伺える。

とりあえず異世界にとばされて、何の葛藤もなくウハウハハーレム無双をさせることを小説だと言い張る自称小説家の方には、(同じくファンタジーを扱う身として)良いお手本にしてほしいとすら思う。

バルサがチャグムに、「どうしても母の元に帰るのならば、自分を切ってから行け」と言ったのに、いざチャグムがバルサを切ろうとすると、ビンタ一撃わ食らわし、「親に刃物向けるなんて、どんな了見だ!」と一喝。実に感情的で矛盾してて強引で、でも深い愛情に溢れていて。どうしようもないくらいに「人間」だった。

とりあえず異世界でたくさんのチョロインに囲まれているのに、鈍感の一点で誤魔化しハーレ(以下略)w

とまあ、とにかく人物描写もイチイチ細やかでリアルだった。作画も安定して綺麗だし、タンダとバルサの恋愛物語とか素敵だし、最終話の「正門はくぐらせない」とか素敵過ぎるし、小説原作らしく、余白を想像させる会話も、リアルで良かった。地味ながら名作級だったと思う。

勿論、難点もいくつかはある。

終盤、やや作画が崩れたり、ラストバトルのショボさは大分マイナス要因だった。何より、25話で、ニュンガ・ロ・イムの卵が複数あった(子熊が宿していた)ことが明らかになり、シュガ(だったかトロガイ師)だったかが「予想はしてた」というクダリは、本当にダメ。

食物連鎖、弱肉強食的な自然の摂理を表現したかったのだろうけど、だったら、チャグムは王宮で優雅に暮らし、あのクマやその他の「精霊の守り生物」を発見、保護し、約束の地へ連れていき、ラルンガに腹を割かせて卵を取り出せばノーリスクで万事OK! なのに、「精霊の守り生物」を探す素振りすらないのは不自然だし、これではチャグムの悲壮な決意や、バルサ達の旅は意味を失ってしまう。

ここまで丁寧に丁寧にストーリーを進めてきたのに何で? と思ったら、多分アニオリ設定。いや、素晴らしい原作なんだから、それを信じて守ってよと言いたい。後半は、監督が体調不良だったらしいので、それも響いたのかな? ワカラナイけど。

まあ、今回アニメ化されたのは、長い「守り人シリーズ(全10巻)」の、僅かに1巻分にしか過ぎないので、後は原作で楽しめってことですね。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
シリアスで重い作風ながら、「無能」と「悪人」がほぼ登場しないので、ストレスを感じずに観られる。

それでも事件が起きるのは、人間のもつ「業」のためであり、「悪人(個人)」が突発的に起こす事件ではないだけに、普遍的なメッセージとして伝わる。自然破壊など、考えるべき点も多いが、同時に、救いのある物語であった。

最終盤になり、作画、展開の面でやや不満はあるのもの、総じてレベルの高い作品で、原作者の力量が伺える。全10巻の中の1巻をアニメ化しただけなので、残りの原作も読みたいな。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
金があったらどこでも同じ生き方をする。なければ、そこに合わせた生き方をする。バルサ、行動理念が高潔で、しかし現実的で、格好良いキャラだね。

2話目
チャグムが、ガチ王子なんだね。金を使う時期の指定とか、いちいち細かくてイイね。

3話目
ず~っと暗い映像で、ドラマを演出。

4話目
ババア強しw 幻だったか。腹をすかしたことがない、王子。即答。碑文の間、ちゃんとした鍵だな。

5話目
小説原作だけあって、説明が少なく、台詞も行間を読ませるものになっているね。

6話目
追っ手をまくのに、死んだフリは基本だね。

7話目
帝も一応、傑物なのかな? 寝たのは自分なのになぜ金を払うのか、という疑問w チャグムの成長。

8話目
バルサも元王族だったのかな。チャグムは、気づいたかな?

9話目
タンダとシュガの邂逅。どこかで共闘しそうだね。

10話目
チャグム、お前、虎だったのか、的な(笑)

11話目
チャグムとかバルサとか、ガンガン本名を言うのもね。

12話目
ロタ人って、ロシア人? 騒ぎを大きくしたけど、チャグムの男気を守ったバルサ。

13話目
業だけを切った。鍛冶屋の話の伏線回収ね。

14話目
建国記が捏造というのは定番だしね。しっかりとしたファンタジー。

15話目
ここまで静かな死というのは、アニメでは珍しいね。

16話目
黒子みたいな人(無人)が泣くの、良いよね。正導師も悪い人じゃないんだよね、無能でもないし。敵はもっと根元的なものなんだろうね。速読術&記憶術。これ、バルサを殺す必要なくね?

17話目
これ、王室と協力しながらいけないか? 不信感かな。シュガの弱さ、リアル。

18話目
古き村。話は悪くないが、このペースでちゃんと完結するか不安にはなる。

19話目
この100年で失ったものか。文化や伝承だけじゃなく、自然など。

20話目
親に刃を向けるなんて、どんな了見だ! 理由がないのが良い。ダメなものは、ダメ。シュガ、良いな。

21話目
昔話。重みがある。命を奪うことの意味を教えたわけね。

22話目
タンダ、フラレた(笑) じっくりしっかり成長。

23話目
トロガイ師の子持ち発言に驚くバルサ(笑) 恋ばなw いよいよクライマックス。

24話目
あの花って、前に酒にして飲んだやつ?

25話目
知と武、両面からの攻撃。ニュンガロイモの卵、複数あるなら、それを見つけて守るのも大切だったよね。チャグムの覚悟。もしかしたら、あのナージは兄貴が治療したやつかも。

26話目
英雄を生きろ、か。役目ね。まだやはり、身分の違いが。右の小路を行けとか、ニクい演出w ちょっと泣ける。バルサも格好良いな、ちゃんとチャグムに決心させるんだね。父親を弔いにいくんだね。タンダ、、、一途(笑) 恵みの雨。はよ結婚しろw
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 28

77.6 6 Production_I.Gアニメランキング6位
風が強く吹いている(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (428)
1344人が棚に入れました
夜。逃げるように街を駆け抜ける蔵原走(くらはらかける)。その横に、不意に自転車が走り込んで来る。見知らぬ男が、走に向かって問いかける。「なあ!走るの好きか!」。男の名は清瀬灰二(きよせはいじ)。走は、灰二に導かれるまま、竹青荘という古びたアパートに辿り着く。そこに暮らす個性豊かな9名の住人。最後の空室を勧められ、戸惑いながらも、押し切られていく走。まさか自分が、『10人目の男』だとは、夢にも思っていなかった…。

声優・キャラクター
大塚剛央、豊永利行、内山昂輝、入野自由、榎木淳弥、上村祐翔、興津和幸、株元英彰、北沢力、星野貴紀、木村珠莉、中村浩太郎、河西健吾、日野聡
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アニメにおける原作改編とは、こうあるべし♪

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
今、手元に原作小説があります。

陸上の長距離、駅伝をテーマにしたアニメ。

自分としてはとても珍しいのですが、本作は「アニメと原作をほぼ同時期に楽しむ」という方法をとってみました。

私は、アニメの方が断然好きでした。原作改編のポイントも、納得ができる点が非常に多い。

例えるならば、「原作は青年漫画、アニメは少年漫画」って感じですかね。

映像のクオリティは安定して高く、効果音なども素晴らしい。ストーリーは刺激的で、重厚なメッセージ性がある。キャラも覚えやすい。

いろんな方にオススメできる良作ですね。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
以下、原作ネタバレを多分に含みます。
{netabare}
原作との違いを特に感じたのは、以下の点です(いずれも、「原作に比べてアニメは」とつきます)。

①ハナちゃんが可愛い
{netabare}
まず原作では、ハナちゃんはカケルや双子と同期(同じ大学生)で、わりとイケてる女子大生。本格的に登場するのも、合宿からになっています(練習の手助けはしていません)。しかも、合宿に来てすぐに双子の両方に惚れ、カケルから「双子だって別々の人間なんだから、性格とかを見ろ」と言われ、返した言葉が「性格って、そんなに大事かな」「昨日と今日で、二人とちょっと話せたけど。生理的嫌悪感が湧くような癖がなくて、好みの顔。それだけで充分じゃない?」ですからね。これは、アニメのハナちゃんだったら絶対に言わなそうな言葉。

アニメのハナちゃんは、マネジャー的な立ち位置でチームの発足当時から様々なサポートをしてくれます。双子を好きになる過程もきちんと描かれた結果、「どちらでも良い(原作)」ではなく、「どちらかなんて決められない(アニメ)」という印象をもたせるように作り込んだのは、(特にアニメの視聴者層を考えると)大成功だったと思います(まあだからといって、女子高生設定に変えるのは、あざといというか、「とりあえずお前らJKの方が萌えるんだろ」と言われているような気がして、ややイラつきますが(笑)。別に女子大生設定で良かった気はします)。
{/netabare}

②記録会を丁寧に描写。
{netabare}
原作は小説であり、心理描写がメイン。アニメは当然、情景描写がメインになります。それが最も顕著になったのが、レースのシーン。例えば、寛政大が初めて出た記録会は、原作では「寛政大はあらゆる意味において派手な挨拶をする結果になった」という一文で片付けられ、レースの描写はありません。そのあと、「誰が○○分○○秒」という記録が書かれる程度。

しかも、原作ではこの1回目の記録会で、キングと王子以外は全員17分台を切り、予選会の出場資格を得ています。ムサにいたっては、14分台で走っています(ハイジのタイムが14分21秒)。序盤~中盤の1つのクライマックスである、王子の出場資格獲得に関しても、「六月末の二回目の東体大記録会で、王子はとうとう、十六分五十八秒一四というタイムを出した。十七分の壁を破ったのだ」という二文であっさりまとめているに過ぎません。

全体として、原作では、ハイジとカケルの心理描写や、「走るとは何か」という哲学的な問題に対する自問自答に多くのページ数を割います。一方でアニメでは、各キャラクターの成長を丁寧に描くことで群像劇としての側面を押し出し、よりストーリーに重きをおいた構成になっています。

私は基本的にストーリーを一番の楽しみにしているので、よりドラマチックな展開、演出をしているアニメの方が好みでした。

また、言葉が必須ではないアニメーションという媒体の良さをフルに生かして、陸上の長距離(駅伝)という「競技」をきちんと描ききったのはすごく良かったと思います。箱根本番でのユキの山下りとか、素晴らしかったです。躍動する筋肉、駆け抜ける景色、息遣いや(濡れた路面の)足音。ユーリ以来の感動でしたね。
{/netabare}

③カケルがより厄介。
{netabare}
勿論、原作でも厄介は厄介ですが(笑) ただ、原作のカケルは、竹青荘に入居したその日からわりと馴染んでいます。例えば、カケルの歓迎会が開かれた場面でも、「俺の歓迎会。走はくすぐったい気分になった。ここへ来て二週間近くたつのに、そして理由をつけては毎晩、だれかの部屋で飲み会や麻雀大会をやっているのに、いまさら歓迎会もなにもないとは思うが、うれしいことに変わりはない」とあります。アニメでのカケルは、もっと「孤高」でしたが、原作のカケルは結構、俗っぽいです。

他にも、トレーニングを始めたばかり頃、「竹青荘では呼吸がしやすい。生まれた数年の違いを、気にするものはだれもいない」と考えます。他の場面でもかなり住人達と打ち解けているシーンはあるし、なにより、カケルが原作で一番よく話している住人は王子です。また、王子自身も、カケルを苦手にしてないし、ハイジの気持ちを考え、初めからわりと前向きに走っています。

アニメでは、カケルをかなり面倒くさい人間にして、周囲との軋轢を鮮明に打ち出し、だからこそ、榊がからんできた時に竹青荘の面々がかばってくれた場面や、カケルが寛政大チームのために走る決意を決めた場面で大きな感動が生まれました。

一方で、序盤から中盤にかけて、カケルの行動にイライラし、視聴を断念する視聴者もいたのではないでしょうか。これは、良し悪しの問題ではありませんが、ストレスフリーなのは原作でしたね。
{/netabare}

④神童に最大限の配慮。
{netabare}
原作を読んで一番気に入らなかったのが、箱根本番での、神童の風邪展開です。

勿論、意義は分かります。「速い」ではなく、「強い」を体現すること。それにより、ユキやカケルが燃えること。なんだけど、やっぱり、「レースを盛り上げるために、犠牲にさせられた」という感じが否めない。

駅伝という10人が襷を繋ぐ競技で、それぞれのキャラクターにドラマをつけて盛り上げたら自ずと順位が上がっていくので、どこかで下げないと終盤(カケルやハイジ)が盛り上がらない。でも、なぜそのツラい役目を負うのが、神童なんだろう?

私は、竹青荘の面々の中で、神童が一番好きでした。誰よりもひたむきに陸上に取り組み、内外から部を支え続けた功労者。ハイジの次に、皆から称えられるべき人間。

そんな人間だからこそ、ブレーキになっても、誰も責めない。ドラマになる。勝負の非情さを表現できる。それは、分かります。

でも、やっぱり神童には、ちゃんと走らせてほしかった。箱根の山に、実力通り挑んで欲しかった。幸せになってほしかった。

原作では、神童は本当にただのブレーキです。扱いも非常に軽く、フォローも少ない(というより、そもそも目立っていない)。

アニメでは、神童の走りをかなり丁寧に描いているし、1度立ち止まり、監督が止めようとするのを振り切って走るのは、完全にアニオリであり、ゴール時の感動やその後のフォローも原作より丁寧だった。だから、多少は納得したけど、でもやっぱり、神童は可哀想だったな(あと、重箱の隅をつつくようだけど、18話に、大晦日に酒盛りして騒ぐ竹青荘の面々が一瞬写るけれど、あれは不要だった。不摂生のせいで、風邪を引いたと思われたら、大損です)。
{/netabare}

⑤ハイジが完璧に格好良い
{netabare}
原作でのハイジは、結構、嫌な奴です。

序盤の、陸上部に勧誘するクダリも、もっと嫌みな感じだったし、竹青荘の8人を集めた基準を「酒が強いから(長距離を走るには内臓が強くないとだめだから)」と言ってみたり、記録会の時に、カケルに「君を信じている」と言ったのが、実はウソ(方便)だったり。

アニメでは、そういう雑な感じをかなり省いていたし、酷いことも「笑顔で」サラリと言わせるので、嫌味を感じない。純粋に格好良い先輩として描いている。

原作の主役はあくまでカケルであり、その成長がメインとなっている。

しかし、アニメはより群像劇的にであり、それぞれのキャラクターが「走るとはなにか」を、それぞれに追いかける点がフォーカスされている。

はっきり言って、カケル以上に、ハイジを魅力的に感じた視聴者は多いのではないだろうか? だから、ハイジをキチンと格好良く描いたのは、正解だと思った。
{/netabare}

⑥恋愛要素が薄め
{netabare}
これは、①にも関連するのですが、ハナコ絡みの恋愛エピソードが、かなり薄くなっている。

原作を読んでいたとき、本当にこの恋愛要素が邪魔で。まあ、走ることにしか興味がないカケルに、人間らしさ付与する目的なんだろうけど、やはり「軽く」みえてしまう。ただでさえ、「素人集団が箱根とかナメんなよ」という作品。それなのに、恋愛にうつつを抜かしているよりは、せめてストイックな方が良い。
{/netabare}

本作を批判するとき、「ありえない」という要素は確かにあると思います。実際、相性や運の要素が強い対人競技と異なり、純粋にタイムで競う、しかも、長期間の地道な努力が必要な長距離で、素人集団が一年未満で箱根のシード権をとるのは、確かに、「あり得ない」。本気で陸上をやってる人間にとっては、「腹立たしい」と感じることもあるかもしれません。

そこは、人それぞれですね。私は「魅せ方」の問題だと思っていて、本作は努力の描写も多く、きちんと丁寧に作っていたから、「確かな感動」があり、「あり得ない」としても、ちゃんと楽しめました。

それに、異世界に転成したら最強になっていて、ハーレムでウハウハやるよりは、まだ可能性あるかもしれないしね(笑)

あぁ、あと、原作だと大家が結構活躍して(でしゃばっ)たり、所々、ガチでつまんないギャグが入ってたりしますが、スパッとカットしてますね。英断です。

気になったのは、ラストシーンが違うこと。

原作では、(多分)卒業を間近に控える3月に、竹青荘の面々が集まる。ジョージが陸上を続けているのは分かるが、ジョータが陸上部員かどうかは、はっきりしない。カケルは、ハイジのチームに入る(就職する)ことが決まっている。

一方、アニメでは、カケル達が4年生になった時の話であり(つまり、まだ次の箱根がある)、ハイジはチームを立ち上げたばかり。双子は二人とも部活ジャージ。ムサや王子の進路も明らかになっている。

どっちが良いかは微妙だけど、個人的には原作の方が好きだったかな。ハイジにもカケルにも、きちんと結論が出たのが良かった。

まあ、原作とアニメを同時に楽しむことで、監督やシリーズ構成が、ちゃんと仕事をしていることを感じた。こういう楽しみ方も、たまには良いと思った。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
アニメは原作に比べ、以下の点で大きな改編があり、いずれも成功していたように思う。

①ハナちゃんが可愛い。②記録会を丁寧に描写。③カケルがかなり面倒くさい。④神童の風邪展開に最大限の配慮をしている。⑤ハイジがちゃんと格好良い。⑥恋愛要素が薄い。

ラストも原作とは微妙に異なる。原作とアニメを同時に楽しむことで、監督やシリーズ構成が、ちゃんと仕事をしていることを感じた。
{/netabare}

【余談~ 陸上競技やってる人は凄い ~】
{netabare}
私は、スポーツは全部好きなんですが(やるのも見るのも)、陸上、特に長距離だけは意味がわからん(笑) と言ったら、好きな方には怒られるだろうけど。格闘技やってるヤツも大概だけど、長距離やってる人は、それ以上に変態だと思う(笑)

まだ、短距離はギリギリ分からなくもないんだけどね。昔、陸上部の奴に聞いたら「地面の反発を100%得られている時が気持ちいい」って言ってたな。そいつは幅跳びだったけど。剣道は瞬発系の種目なんで、スタミナはそこまで重要じゃないし、走るのは嫌いな奴が多いしね。

あくまで尊敬を込めてですが、本当に長距離やる人は、変態だと思います(笑)
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
作画は流石のクオリティ。電気を消して見るべき。原作小説は未読だが、知り合いが好きで結構話を聞いたから、あらすじは知っています。

2話目 ☆4
箱根って年齢制限ないんだね。登録4回までは出られるわけか。男同士のバカな感じは、嫌いじゃない。

3話目 ☆4
まあ、女子の応援は、大事(笑) 痛いところをズバッと突かれたな。

4話目 ☆4
仙台育英がモデルかな? まあ様々な部活ものの中でも、本当に無理な挑戦だよな。

5話目 ☆3
お? 方言、なかなか上手いな。選ばれた人しか走れないのか?って問題提起は良いな。キング(王様)が謀反(笑)

6話目 ☆3
俺達の為だって即答は良いな。本気でやれば楽しくなるってのは、まあそうだよなって思う。

7話目 ☆4
紫だし、執筆した時代的には、駒沢かな? いやいや、その他の部員もよくついていけてるよ。陸上部の高校の5000平均が18分くらいみたいなんで、素人から始めてこの記録は凄いよ。「いつも通りですが」って、格好良いな(笑)

8話目 ☆3
こういう反省会で全部吐き出すのは大事だね。シリアスモードですね。速さだけが全てなら、新幹線に乗れって、正論だな。

9話目 ☆4
そんな漫画の読み方はしたことないな(笑) 王子が後ろでコッソリ叫んでいるのが良かった(笑) ハイジ、過労とかなら良いけどな。

10話目 ☆4
過労か。良かった、持病とかじゃなく。王子とハイジ、ここが上手くいけばね。二人とも味覚狂ってるんかい(笑) 王子が影の主役みたくなってきたな。

11話目 ☆4
速いではなく、強い。そんなクソ女、こっちからふってやれ、神童! まあ、神童に陸上頑張らせたい、良い女の可能性もあるけど。走りたい。やるだけって、腹括ってるってことだね。

12話目 ☆4
料理の作画、かなり良いな。コメディ色が強くなった? 走る楽しさの再発見。

13話目 ☆4
仲間との絆。トラウマの克服。

14話目 ☆4
神童はやはり、山登りか。王子は軽いし、山下りかな? 特に大きなドラマを作らず、王子は記録をクリア。王子の努力を正当に評価したいんだな。

15話目 ☆4
そういう迷いは分かるな。小、中、高、大とキャプテンだったし。特に、大学が難しかった。高校までは押し付けでなんとかなるけど、大学はバランスが難しい。日本刀を研ぐように準備するのは、自分も全く同じイメージで作ってたな、試合前。つか、日体?は、あんなに偉そうにしてシード落ちかよ。裏方の仕事描くのは良いな。

16話目 ☆4
ユーリみたいな魅せ方だな。ハイジの右膝がどんなもんかな。日体、山梨学院、帝京、喜久井?早稲田か?、中央学院、東海?、大東、新星?、神大、リアルなところだな。1位になるの難しいとか、ナニをイマサラ。素人から出る方が難しいって、絶対に。

17話目 ☆3
でもそれって、双子も本気で勝ちたいってことだよな。剣道なら、逆に絶対がないんだけど、長距離は確かに、覆せないもんな~。

18話目☆2
まあ、分かるけど、酒に大晦日の夜更かし。流石に、コンディションは? と思ってしまう。神童の風邪が、このせいになってしまわない?

19話目☆3
安西監督に鴨川会長か。ヤバイ、マンガキャラ、全部分かるわ(笑) 強さとドラマを表現するためだけど、神童の風邪展開だけ、納得いかないんだよな。

20話目☆4
神童に最大限の配慮をしているのは、すごく伝わった。

21話目☆5
このユキのくだり、かなり好きだった。筋肉の感じや流れる景色。息遣いや足音(濡れた路面の)。アニメならでは表現を遺憾無く発揮した。ニコちゃんの過去話とハイジとのクダリは、原作にはなかったな。良いシーンだった。

22話目☆3
キングとハイジのシーンも、原作にはなかったな。好きだよ、のところで、ハナコのことは言わないんだな。陸上を、ともとれるし、アニメの方が好きだな。カケルとハイジの会話はカットか。やはり、ハイジを良い奴にするか。カケルにあまり特化せず、群像劇にきているからか、そこまでのメイン感はないな。タイトル回収。

23話目 ☆4
もう、言葉はいらない感じですね。
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 37
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

本当に面白かった!風の描写が完璧な人間の成長を描いた物語

1話の感想 ★★★★ 4.0
10人目
{netabare}
OPがユニゾン…… はい、このアニメは名作だわ。
それは冗談として、まぁまぁ面白そう。
第一印象として、顔がリアルよりだから区別が付きにくい。
内容は箱根駅伝と珍しく、スポ根ぽいから興味が引かれる。
ほぼ全員が初心者で始めるのは予想外だったけど。{/netabare}

2話の感想 ★★★★ 4.0
執念
{netabare}
たった1話でほぼ全員懐柔されてる~!?
す、すごいな……
社会人になっても出世するわ……
あとはかけるだけか。
まぁ、時間の問題だな。{/netabare}

3話の感想 ★★★★ 4.0
練習開始
{netabare}
カケルの過去には一体何があるんだろうか。
周りが素人だから意味がないって言う気持ちは凄く分かるけど、周りに諦めさせるように働く理由はないよな。
高校時代に何があったんだか。{/netabare}

4話の感想 ★★★★ 4.0
過去の影
{netabare}
めちゃくちゃ嫌みなやつが現れたな。
けど、過去回想を見る限り最初はそこまで不仲ではなかったぽいけど。
仲直りしたら、案外いいやつだったりして。
王子が一番足を引きづっているの二一番かっこいいこと言うじゃん。
口だけにならないことを期待してるぞ!!{/netabare}

5話の感想 ★★★★ 4.0
就活
{netabare}
一年が入学したてだから、まだ4月だろ??
そこまで焦るものなのか??
ちょっと気を張りすぎな気がするな。
まぁ、だけども箱根を目指せる磁気化と問われたら微妙だけどね。{/netabare}

6話の感想 ★★★★ 4.0
走る意味
{netabare}
みんな真面目だね~
モデルとなった大学はどこなんだろうか。
恐らく頭のいい学校なんだろうな。
今の時代に商店街の繋がりって実際にあるんだろうか。
あんまりその辺がどうか分からないな。{/netabare}

7話の感想 ★★★★ 4.0
記録会
{netabare}
カケルは思ったよりいい記録が出せずにイライラしてるな。
少し増長してるんじゃないか?
確かに凄いやつではあるけど……
みんなも悲観してないのに、わざわざムードを崩す必要もないだろうに。{/netabare}

8話の感想 ★★★★ 4.0
焦る
{netabare}
カケル、暴走気味だな。
相当、記録会での負けを引きずってるな。
でも、気づいているか?
言ってること、高校の嫌なやつと全く同じだぞ?{/netabare}

9話の感想 ★★★★☆ 4.5
二度目の記録会
{netabare}
立ち止まって周りを見渡せば気づくこともある。
でも、それって全力で走っている人にだけ与えられる特権だよね。
それ自体が羨ましいよ。
どんにな才能がなかったとしても、本気で頑張ってる人はキラキラしているよね。
それが上手く伝わってくる良い演出だった。{/netabare}

10話の感想 ★★★★★ 5.0
振り向くことの大切さ
{netabare}
カケルが王子の世話をやいたことにより、お互いがお互いを意識し合うようになった。
王子の技術的な進歩もそうだが、カケルの精神的な成長を評価したい
あんなにも早さに固執するかけるがタイムを落としてまで励ます。
ぐっときたよ!!{/netabare}

11話の感想 ★★★★☆ 4.5

{netabare}
神童さん、マジでいい人過ぎる。
絶対にいい人過ぎて損するタイプだ。
彼女にも振られちゃって落ち込んでいるはずなのに、安易に涙は見せない。
そこがエモい!!
良い演出だった。
最後にいたパパラッチのような人は悪い人かな?
歳をとって歯茎が下がっているのが不気味さに拍車をかけているな。{/netabare}

12話の感想 ★★★★ 4.0
合宿
{netabare}
風の描写が本当にうまいよな。
疾走感が伝わってくる。
自然に囲まれながら、走るの気持ちよさそうだな~
嫌みな奴のこと実は良い奴かもって期待してたけど、全くだったわ。{/netabare}

13話の感想 ★★★★★ 5.0
本当のスタート
{netabare}
ついにカケルの過去が明らかに。
生徒との喧嘩かと思いきや、顧問を殴っちゃったのか。
そして、その影響で大会に出られなかったのか。
それは恨まれるかもな。
今の仲間はあったけ~な。
過去のことで他人事なのは確かだけどあんな感じで受け入れてくれるとすっごい安心できるよね。
良い仲間をもったな。
これからが本当のスタートだ!!{/netabare}

14話の感想 ★★★★★ 5.0
公認記録突破に向けて
{netabare}
神回!!!
めちゃくちゃ泣けた。
出来ない人が頑張って頑張って目標を達成する。
最後のハイジの視点で涙を流さず、画面をぼかすことでそれを表現する。
文句なしの最高の神回だった。{/netabare}

15話の感想 ★★★★ 4.0
予選開幕
{netabare}
ついに始まった!!
みんな順調そう!!
……だったのに最後の最後にハイジが足を痛めた描写が。
大丈夫なのか?{/netabare}

16話の感想 ★★★★★ 5.0
予選終了
{netabare}
ハイジはまだ大丈夫そう。
でも、これが本戦の箱根に響いてこないか心配。
でも、10位になれてよかったな!!
王子がゲロ吐きながら頑張ってくれたおかげだ。
おめでとう!!!!!{/netabare}

17話の感想 ★★★★ 4.0
下見
{netabare}
ジョージ、ジョータの不安も当然だよな。
今までは目の前の事で目一杯だったけど、いざ出るってなると本当に優勝するのは常連校だからな。
今まで夢見ていた人ならまだしも、誘われた人からしたらモチベーションを保つのは大変だよな。{/netabare}

18話の感想 ★★★★ 4.0
箱根に向けて
{netabare}
ついに始まる。
絶対に緊張する。
心臓飛び出るくらい緊張するだろうな……
それでも、みんなの気持ちを一つにして頑張って欲しい。
それにしても、ハイジの医師の診断結果が気になる。
あれ、絶対に悪化してるよね?
二度と歩けない……とかじゃないといいけど。
そして、神童の風邪。
替えが効かないから走るしかないのに……
これは危険になってしまうのか……
危険になった場合って区間賞とかはどうなるんだっけ?{/netabare}

19話の感想 ★★★★★ 5.0
第1、2、3区間
{netabare}
待って!!!最高すぎん!!!
前半は王子!
毎回、王子のときは泣いてしまう。
本当に主人公してるよ!!
タスキを繋いだあとに足が痙攣しているのでどれだけ頑張ってるのかが伝わってきて、また泣けた。
真ん中は、ムサ!!!
特に感想はなし!!
うん、よくやった!
んで、後半はジョータ!
正直、今回まで見分けが付かんかった。
……今もついていないが。
ジョータの方が少し大人なんだな。
やっぱり、双子でも兄の方が大人なのかな?
そして、ハナちゃんの好きな人も明らかに!
最後に笑わせてくれるとは……
本当にこの1話は最高だった!!!{/netabare}

20話の感想 ★★★★★ 5.0
第4、5区間
{netabare}
ジョージの悔しさは想像もできない。
走ってるときってあんな感じでふわふわとしちゃうからな。
でも、神童があんなだったからな。
神童のことは誰も責められないよ。
だって、一番辛いのが神童なんだから。
神童の親御さんも辛かっただろうな……
こっからは神童の分まで何を残せるかだな。{/netabare}

21話の感想 ★★★★☆ 4.5
第6、7区間
{netabare}
ユキさん、すっげーよ!!
司法試験に通った頭脳に走り抜く忍耐力!
最後のシューズの赤色って血だよね?
坂道でつま先に負荷がかかったからだよな?
2秒は一生届かないか。
そう思えるのが凄いよ。
ニコちゃんは、悔いなく走れて良かったな。
気持ちよさそうだ。
……あんなに雪降っていたけど。{/netabare}

22話の感想
第8、9区間
{netabare}
まずはキング。
めちゃくちゃ共感できた。
「え、私?」って思うほどに似ていた。
だから、感情移入もしやすかった。
何かを見つけれてよかったな。
そして、今物語の主人公の一人、カケルの走り!
freeを連想させるような幻想的な描写。
それに加えて、細かな動きや視点の変更。
リアリティがあって、完璧ですわ。{/netabare}

23(最終)話の感想
箱根駅伝、終幕
{netabare}
見事区間賞を取得したカケルのバトンを受け継いだハイジ。
脚から嫌な音を軋ませていて、数々の伏線から心配していたが見事にゴールしてくれた!!
しかも、10位に入りシード権を獲得!!
偉業中の偉業を成し遂げた。
しかし、その代償にゴール直前でハイジが抱えていた爆弾は爆発してしまった。
あの向かい風の演出は憎いね。
カケルのときはあんなにも背中を押していたのにね。
これが選ばれたものとそうでないものの差かと思ってしまった。
しかし、だからこそ、こんな凡人なハイジが全力で取り組んだからこそとれた10位だったと思う。
ハッピーエンドではなかったがそれがまたいい。
本当に名作だった。{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 12
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「走る」ことのすばらしさ

【総合評価☆☆☆】
 学生のスポーツ活動を取り上げたアニメの中では、なかなかの佳作と評価できる。特徴は、駅伝をテーマとしたこと。駅伝は、「襷をつなぐ」という精神的な要素が共感を呼ぶせいかか、日本では特に人気が高く、箱根駅伝の視聴率は30%を超える。にもかかわらず、アニメであまり取り上げられなかったのは、「走る姿」を感動的に描くのが技術的に困難だったためだろう。陸上競技は一般にアニメ向きではなく、登場人物が陸上部に所属するという設定の作品が何本かあるくらいだ(『恋は雨上がりのように』『涼風』『天空のエスカフローネ』などで、実際に走る姿の描写はそれほど多くない)。
 原作は三浦しをんの小説だが、文章ならば、走ることの意味を観念的に表現できる。例えば、葉菜子が予選会を走る選手たちを見たときの心境は、次のように語られる。

「走る姿がこんなにうつくしいなんて、知らなかった。これはなんて原始的で、孤独なスポーツなんだろう。だれも彼らを支えることはできない。まわりにどれだけ観客がいても、一緒に練習したチームメイトがいても、あのひとたちはいま、たった一人で、体の機能を全部使って走りつづけている」(単行本『風が強く吹いている』(新潮社)p.237)

 こうした観念的な文章の表現力に匹敵する映像を生み出すには、かなりの力業が要求される。野村和也に率いられたProduction I.Gのチームは、この難題に果敢に挑戦した。
 「走る」ことの躍動感を端的に表現する動きは、頭部の上下動である。踏み出した足が着地した後も、胴体はそのまま沈み込んでいき、最下点に到達した後、足の蹴りが生み出す力によって、少しずつ加速されながら上昇する。加速度はニュートンの運動法則に従って質量に反比例するので、はじめのうちはゆっくりと、しだいに速度を増していくという加速運動が適切に描かれると、体の重さが実感され、それを跳ね返して走るという躍動感につながる。
 アニメーターたちが、頭部の上下動が持つ重要性を認識していたことは、第1話アヴァンにおけるカケルとハイジの身体描写にはっきりと現れる。走るカケルの頭部がリズミカルに上下動するのに対して、自転車で併走するハイジの頭はユラユラと左右に揺れる。切り返しによって二人の頭部を比べるかのように描写することで、走りの持つ力強さを表現する。それとともに、象徴的な形で、作品の主題も明確に示された。
 人間は、ずっしりと重い肉体に縛られている。しかし、力強く地面を蹴れば、まるで飛翔するように進むことも可能なのだ。
 予選会で大勢の選手がいっせいに走るシーンでは、選手ごとに上下動が少しずつ異なる。キングは顔を左右に振り、王子はやや顎を出し力なく手を下げる。そのほかの選手も、フォームに個性がある。おそらくコンピュータを利用して、実写映像をトレースしたのだろう。さらに、いかにも軽さを感じさせるピタピタというシューズの響きや、短く乱れのない息づかいが加わって、いやが上にも臨場感が高まる。細部まで神経の行き渡った、こうした描写を見せつけられると、葉菜子ならずとも「走る姿がこんなにうつくしいなんて」と感嘆を禁じ得ない。
 最も力が入っているのは、やはりカケルの走りである。原作では、レース中のカケルの内的独語が記される。

 「なんだろう、この感覚。熱狂と紙一重の静寂。そう、とても静かだ。月光が射す無人の街を走っているようだ。行くべき道が、ほの白く輝いて見える」(同書p.467)

この詩的な言葉の連なりを、アニメではどう表現するのか。第22話Bパートでは、心をそっと撫でるような優しい音楽とモノローグに載せて、客観的映像とカケル目線の光景が小気味よく重ねられるうちに、肉体が透明になって走りに没入するカケルの姿が描かれる。強い訴求力を持った名シーンである。

 ストーリーは、「弱小スポーツチームが有能な指導者を得て好成績を収める」という王道ものだが、『風が強く吹いている』の独自性は、指導する側のハイジとされる側のカケルが、ともに悩み多き駅伝選手だという点。{netabare}二人とも、同じような挫折を経て、絶望の淵で苦しみもがき、ちょっとしたきっかけから再び立ち上がろうとする。まるで鏡像のように良く似た二人が、互いに相手の中に自分が目指すべき道を見出すまでの葛藤は、二重の成長物語(ビルドゥングス・ロマン)として感動的だ。このストーリーラインは、原作小説よりもアニメで強調される。{/netabare}
 他の8人の選手についても、人間性が原作以上に深掘りされる。私が特に感心したのがユキのエピソード。
{netabare} 大学3年で司法試験に一発合格した秀才だが、女手一つで育ててくれた母親の再婚・出産に心乱され、クラブ通いに明け暮れていた。当初は駅伝への参加を誰よりも嫌がっていたものの、走ることの面白さに気がついてからは、予選会で仲間に有利になるようなコース取りをするなど知的な戦略の面で貢献する(第12話)。同じく秀才タイプの神童とは気が合うようで、駅伝1日目と2日目でランナーとサポーターの役割を交代する際の会話は、じんわりと心に沁みる(第21話)。高校時代に剣道で活躍したことが紹介されており、走力が並でありながら雪中の山下りで好走するという結果に無理がない(剣道では、踏み出す瞬間に足に1トン近い力が加わると言われ、足腰が鍛えられる)。{/netabare}
 走るのが好きなのに、体格が大きくなりすぎて長距離を諦めざるを得ず、自堕落になっていたニコチャン、理工系の国費留学生で、日本人以上に端正な日本語を話すにもかかわらず、アフリカ出身の黒人というだけで色目で見られるムサなど、味のある脇役も多い。話を重くしすぎないように、サラリと描写するところも好感が持てる。
 もっとも、露出度の多い双子と王子の描き方には、不満が残る。{netabare}双子のジョータとジョージは、物事を深く考えず空気を読まない発言を繰り返すタイプで、マンガ的なデフォルメを施されるシーンも多く、ほとんどギャグ要員として使い倒される。この手のキャラは、出番をもっと減らすべきだろう。オタクそのものの王子は、体力が決定的に不足しており、なぜ駅伝に出場する気になったのか理解に苦しむ(私自身、高校時代に1キロ走って貧血で倒れ体育教師を慌てさせたクチなので、ふつうの人間が5キロ以上走れることが、そもそも信じられない)。
 他大学の陸上部員でありながら、しばしばカケルに突っかかる榊は、背後にそうせざるを得ない動機があることが充分に説明されず、単に陰湿なキャラにしか見えない。ハイジの指導も強権的に過ぎ見ていて不愉快であり、正直な話、中盤までは何度も見るのを止めようかと思ったほど。面白くなるのは、記録会での苦労が描かれる第11話辺りから。{/netabare}上記の総合評価があまり高くないのは、こうした欠点があるせいだ。

 しかし、アニメは、原作ではわずかしか描かれない六道大・藤岡の出番を増やすことで、後半、ジワジワと盛り上がる。哲人のような藤岡に、往年の名ランナー・アベベの面影が重なる。
{netabare} 9区を走り終えた藤岡は、ハイジ(=清瀬)に「清瀬、俺たちはいったい、どこまで行けばいいんだろう」と話しかける。原作では、藤岡がさらに「到達できたと思っても、まだ先がある。まだ遠い。俺の目指す走りは…」と語り、「清瀬は藤岡の目に、昏い絶望の光を見た。孤独に走りつづけ、追い求めつづける、走(カケル)と同質の翳りを認めた」と続く(同書p.469)。
 一方、アニメでは、藤岡が「あるのか、この先にゴールなんて」と語った後、「でもやめられない、だろ?」と言うハイジに「楽しんでこい」と言葉を掛ける。さらに、ハイジの「あいつはもっと強くなる。藤岡がカケルを覚醒させ、カケルが藤岡を駆り立てるんだ」という独白となる(第23話アヴァン)。{/netabare}
 長距離ランナーの孤独を照らし出す原作に対して、アニメでは、仲間とともに走りライバルと戦う喜びに目を向ける。この方向性が、見終わった後、「ああ、いいアニメを見た」という充足感につながるのだろう。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 11

70.2 7 Production_I.Gアニメランキング7位
銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (277)
838人が棚に入れました
数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類は、銀河帝国と、自由惑星同盟という“専制政治”と“民主主義”という2つの異なる政治体制を持つ二国に分かれた。 この二国家の抗争は実に150年に及び、際限なく広がる銀河を舞台に、絶えることなく戦闘を繰り返されてきた。長らく戦争を続ける両国家。銀河帝国は門閥貴族社会による腐敗が、自由惑星同盟では民主主義の弊害とも言える衆愚政治が両国家を蝕んでいた。そして、宇宙暦8世紀末、ふたりの天才の登場によって歴史は動く。「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーである。ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。(銀河英雄伝説公式ポータルサイトより)

声優・キャラクター
宮野真守、鈴村健一、梅原裕一郎、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、中村悠一、川島得愛、三木眞一郎、石塚運昇、水内清光、藤原貴弘、楠見尚己、竹内良太、ふくまつ進紗、目黒光祐、櫻井トオル、畠中祐、小野友樹、下山吉光
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

日本アニメはここまで堕ちたか

【総合評価☆】
 日本アニメはここまで堕ちたかと慨嘆を禁じ得ない作品である。
 簡単に作品概要を述べておく。
 原作は田中芳樹が執筆した小説で、1982年から87年にわたって、徳間文庫から本伝全10巻・外伝全4巻(後に短編集1巻を追加)が刊行された。
 最初のアニメ化は1988年から2000年に掛けて行われ、主にOVAの形で発表された。以下のレビューでは「旧作」と呼ぶ。アニメ界のレジェンド・石黒昇が(一部を除いて)総監督を務めており、傑作の誉れ高い。私の評価ではオール5.0。
 一方、ここで取り上げるのは、2018年に発表された新シリーズ『銀河英雄伝説 Die Neue These』の第1期(テレビ版)「邂逅」全12話。以下、【作画】【物語】の2点を中心に、旧作と比較しながらレビューする。

【作画】
 アニメ制作を請け負った Production I.G が、旧作との差異化を図るために全力を傾注したのは、CGを多用した作画だったようだ。しかし、「何をどう描くべきか」という基本が疎かにされたため、表面的な派手さが目につくばかりで、作画の質はきわめて低いものとなった。

(1) 人間の描写:
 アニメは、ドラマを「動く絵」で表現する芸術である。実写映画ならば、カメラを回すだけでさまざまな情景を撮影できるが、アニメでは、一枚一枚作画しなければならない。このため、細密な描き込みは難しく、要所を押さえるテクニックが重要になる。心理描写の場合、未熟なアニメーターは、顔の表情に重きを置きがちだが、より肝心なのが、体幹の描き方である。
 明確に意識化されない情念は、腰の位置と、それに対する上体や四肢の関係に端的に現れる。『千と千尋の神隠し』制作中の宮崎駿を取材したNHKのドキュメンタリーでは、豚に変えられたことが信じられない千尋が声を限りに両親を呼ぶシーンで、若手アニメーターにダメ出しし自分で描き直す宮崎の姿が映し出された。このとき宮崎が描いたのは、少し前屈みになって両の手を胸元に引き寄せ、足許が定まらずに踏み惑う千尋の姿。彼女の心細さと必死さがダイレクトに伝わる、さすがの作画である。
 『銀河英雄伝説』旧作では、宮崎アニメと同様に、キャラの体幹がきちんと描き込まれていた。いくつかの実例を挙げよう。
{netabare} 旧作OVA第2話「アスターテ会戦」Aパート終わりからBパートにかけて。中央突破戦法を逆手に取る敵の動きに気づくと、厳しい顔で座していたラインハルトは、前のめりになって「何っ!」と呟き、前傾姿勢のまますっと立ち上がる。だが、立ちすくんだのも束の間、すぐに体を横に傾けると、両手を肘掛けに置きストンと腰を下ろす。高揚感が吹き飛び、一瞬の動揺と狼狽を挟んでから、現実を直視できるようになるまでの心の動きが、見事に体現されたシーンである。
 一連のシーンの終わり、副官のキルヒアイスが、保護者のように優しい物腰で、「どうなさいます? 反転迎撃なさいますか」と声を掛けると、ラインハルトは完全に我を取り戻し、上体をわずかにひねって冷静に応答する。ほぼ完璧な戦略家であるヤン・ウェンリーに対して、ラインハルトは、カリスマ性こそ圧倒的であるものの、知謀に関して粗略な点がある。これを補うのが、大局観に優れ他者への共感に溢れたキルヒアイスで、アンネローゼの頼みもあって、真摯にラインハルトを見守る。二人の関係性が的確に表現されたのがこの場面であり、(特に女性の)ファンの胸を熱くする。
 ところが、新作の第2話「アスターテ会戦」では、ラインハルトとキルヒアイスが棒立ち状態のまま並んで会話するさまが、顔のクロースアップによって描かれるだけ。二人とも同じようにおたおたしており、「常勝の天才」が聞いて呆れる。
 もう一つ、旧作第14話「辺境の解放」で、同盟軍を陥れるラインハルトの機略を察知したヤンが、ウランフ提督に占領地を放棄して撤退することを進言するシーン。その場にいるのはヤンと副官のフレデリカのみ。きりっとした表情で機械を操作するフレデリカとは対照的に、ヤンは左手を卓に置き体を開き気味にして、ウランフが映る小さなモニターを覗き込む。総司令部の方針に反して独断で撤退を画策せざるを得ない重苦しい雰囲気が、巧みに醸される。
 一方、同じ場面を描いた新作第11話「死線(前編)」では、巨大なスクリーンを使ってウランフと会話するヤンの周囲に、4名の部下が何をするでもなくボーと突っ立ち、数百万将兵の命運が懸かった深刻な謀議であるにもかかわらず、「われわれの提督は賢いなぁ」とでも言いたげに薄ら笑いを浮かべる。見ていて胸クソが悪くなるシーンである。
 体幹を描くテクニックは、ヌードデッサンなどの基礎練習を繰り返すうちに身に付くものなので、にわか仕込みのアニメーターには難しいのかもしれない。もっとも、ここ数年のテレビアニメでも、『ふらいんぐうぃっち』『クロムクロ』『Wake Up, Girls!』など、人間の作画がしっかりした作品が少なからずあり、これらと比べると、『Die Neue These』の出来の悪さは突出している。{/netabare}

(2) CG:
 激しい戦闘場面でのCGこそ新作の売りなのだろうが、アイキャッチ効果があるだけでエモーショナルでない。CGがドラマに絡んでこないのである。
{netabare} このことを如実に示すのが、ウランフ戦死のシーン。旧作第15話「アムリッツァ星域会戦」では、味方の艦船を逃がすため後詰めで応戦していた旗艦に、ビーム砲が撃ち込まれる。爆風で背後の壁まで飛ばされ前のめりに倒れたウランフは、定位置で仰向けに倒れた参謀長と頭を並べる態勢となり、体を動かせないまま囁くように言葉を交わす。「参謀長、味方は脱出したか」「半数は…」「そうか」--胸を衝く名シーンである。
 これに対して、新作第12話「死線(後編)」になると、艦隊戦を描く派手で空疎なCGが延々と続いた後、艦橋にいるウランフと参謀長の姿が爆煙(CG動画ではない)で覆い隠されるシーンとなる。画面外から二人のやり取りが聞こえるや、目を閉じたまま「そうか」と呟くウランフのアップとなってフェードアウト。つまり、派手なCGと人間が動く姿は、同時に画面に現れることがないのである。これは、CGスタッフと人間を描くアニメーターの連携が取れていないことを意味する。なるほど、CGがドラマに絡まない訳だ。
 そもそも、新作のCGスタッフは、原作をろくに読んでいないようだ。アスターテ会戦の終盤、ヤンとラインハルトの軍が、互いに相手の後背に食らいついてリング状の陣形となる。旧作が静止画で表現したこの状況を、新作は、モニター映像で示すのだが、1秒ほどの周期でクルクル回っており、どう見ても、両軍併せて数万の艦船が広大な宇宙空間で戦う光景ではない。何をどう描くべきか、スタッフ自身が理解できていない。
 小型戦闘機(スパルタニアン/ワルキューレ)による攻防戦は、新作でも何回か描かれるが、目まぐるしい動きばかりが強調され、3次元的な画面構成がおざなりにされるために、戦況の把握すら困難である。
 旧作第1話で描かれたアスターテ会戦序盤では、先手を取ったラインハルト陣営のワルキューレが空母の艦載機を重点的に破壊し、相手の機動力を奪ったことが、引きの映像で示される。ところが、戦術上重要なこの作戦が、新作では映像化されていない。
 帝国領侵入中に逆襲された同盟軍が、ポプランらエースパイロットをスパルタニアンで出撃させる場面。旧作第15話では、まず発進するポプランの主観映像から始まり、視点を細かく変えながら戦闘機同士による空中戦が描かれる。その後で、戦闘機を艦砲の射程に誘い込んで撃滅する帝国側の戦術が、客観的な視点から描写されるので、実にわかりやすい。一方、新作第12話では、発進したポプランらが敵と遭遇するまでは迫力があるものの、それからは戦闘機が画面狭しと動き回るばかりで、誰がどのような状況にあるのか判然としない。
 新作のCGは、小型戦闘機周辺だけを捉えた寄りの映像が中心であり、まるで戦争シミュレーションゲームの戦闘シーンのようだ(それとも、このアニメ自体が、ゲーム会社に売り込むための営業用サンプル動画なのか)。全般的に、新作は戦術を叙述することに無関心で、派手な映像を見るだけで喜ぶ(何も考えない)視聴者を想定したとしか思えない。{/netabare}

【物語】
(1) シリーズ構成:
{netabare} 今回アニメ化されたのは、原作第1巻「黎明篇」のうち、序章から第8章「死線」まで。最大の山場である第9章「アムリッツァ」と、終幕となる第10章「新たなる序章」は、2019年公開予定の劇場版「星乱」全3話の冒頭に繰り込まれるらしい。
 なぜ、まとまりの良い「黎明篇」全編をアニメ化しなかったのかは不明。第8話の放送翌週に、キルヒアイス役の声優が作品紹介を行う退屈な特別番組「キルヒアイスのイゼルローン訪問記」が挿入されており、制作が間に合わなかったのかもしれない。
 旧作では、OVA第15話が「死線」の後半と「アムリッツァ」に相当するが、それ以前に外伝のエピソードなど3~4話分が挿入されていたので、旧作・新作とも、同じ分量のストーリーを12話ほどにまとめたことになる。にもかかわらず、新作はいかにもスカスカで、単に粗筋を紹介するだけのような印象を受ける。
 全26話を使って原作の第1,2巻を描く旧作第1期では、戦闘シーンの派手な「死線」~「アムリッツァ」をシリーズ真ん中より少し後ろにずらし、その手前に、敢えて本筋から離れたエピソードを挿入した。おそらく、シリーズ構成の河中志摩夫が、外見だけ派手で中身が空っぽなアニメにしないために、激しい戦闘以前に人間を描くべきだと考えたからだろう。
 新作のシリーズ構成には、こうした配慮が全く感じられない。年代記風の原作を大きく膨らまし、登場人物の内面に踏み込んだ旧作に対して、新作では、人物描写が杜撰で、ド派手なCGにばかり頼っている。それが、作品を空疎で見応えに欠けるものにした。{/netabare}

(2) 脚色:
 原作第1巻をそのまま映像に起こすだけでは1クールに届かないので、旧作・新作ともに尺を伸ばす工夫をしている。ここでは、双方で取り上げた「カストロプ動乱」のエピソードを比較しよう。
{netabare} これは、原作でわずか数ページ(徳間文庫版p.220~p.226、鎮圧したキルヒアイスの事跡に関しては1ページ足らず)、動乱の概要が淡々と記されただけのエピソードなので、映像化するためには、具体的な情景をアニメーターが考案しなければならない。
 旧作では、首謀者マクシミリアンが、賄賂で得た莫大な資金で高価な防御兵器を購入、これを鉄壁だと信じて、古代ローマ風の居宅で淫蕩に耽るさまが描かれる。キルヒアイスによって防衛ラインが破られると、忠実な手下を身代わりに仕立てて逃亡しようと図るが、その手下に裏切られ殺される。欲にまみれた人間の愚かしさが、生々しく浮かび上がる。
 一方、新作になると、マクシミリアンは司令官として艦隊を指揮、キルヒアイスの策にはまって危地に陥ったのに、降伏勧告を受け入れず、腹立たしげに部下を打擲するばかり。結局、そのままでは生きる道がないと悟った部下に殺される。帝国に歯向かうマクシミリアンの心情には触れられず、無能な司令官が戦闘で敗北する過程を描いただけの、何の深みもない軍事エピソードでしかない。{/netabare}

【声優】
 旧作は、洋画の吹き替えを担当したことのある声優が多い。吹き替えをする際には、表情の裏を読み取り微妙なニュアンスを付けることが要求されるので、心理表現が巧みになる。これに対して、アニメ専門の声優は、声のトーンを大きく変えるのは得意だが、トーンを一定にして表情を付けるテクニックが未熟になりがち。
 『Die Neue These』の声優たちは、かなり頑張ってはいるが、それでも、旧作の若本規夫(ロイエンタール役)や塩沢兼人(オーベルシュタイン役)らの練達の技と比較すると、どうしても聞き劣りする。

【音楽】
 旧作は、マーラー、ブルックナー、ドヴォルザーク、チャイコフスキーの名曲を、アレンジせずに使用している。クラシック音楽は、音色の豊かさ、ダイナミックレンジの広さ、構造の複雑さなどの点で、一般的なポップスとは段違いであり、音楽の持つパワーは圧倒的である(ただし、ビート感に欠けるので、音楽とともに体を動かすのが好きな人には、退屈だろうが)。旧作OVA第1話の冒頭、マーラーの第3シンフォニー(渋い選曲!)とともに重々しいナレーションが流れると、壮大な歴史物語の始まりを予感させ、胸が躍る。
 新作では、情景に適したBGM風の楽曲を流しており、良く言って無難である。

【キャラ】
 今風のキャラクターデザインにアニメファン歴30ウン年の私が文句を付けるべきではないのかもしれないが、ラインハルトがただのボンクラに見えてしまうのはいかんともし難い。旧作で、かつての猛将も歳を重ねて判断力が鈍ったかと思える描き方だったロボス司令長官が、新作では、無能を絵に描いたような顔立ちになっており、笑ってしまった。
 特に酷いのは、アンネローゼ、フレデリカ、ジェシカら女性陣で、あまりにありきたりなキャラデザなので、途中で他のアニメの似たキャラとすり替えても、誰も気づかないだろう。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 8
ネタバレ

NEOたちばな さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

物足りないなぁー。これじゃプロージットできん!

祝!再アニメ化!

1番好きなアニメはもちろん銀河英雄伝説
1番好きなキャラはファーレンハイト
旧作に対する想いはいつまでたっても変わらない
再アニメ化でもっと色々な人に銀河英雄伝説を知ってもらえることが素直に嬉しい

-数話視聴してザックリ思ったこと-
単純に絵は綺麗、というか感動した
艦艇とか艦隊戦とかすごい!!!
物語も再アニメ化ということだから旧作と大きな差異はなさそうだし良かった
キャラデザは・・・
まぁ自分の持ってるキャラクター像とハマるかハマらないかだよね
旧作よりおじさんキャラ達がイケメン化されてるね、これはじわるw
声も問題なし!旧作で演じてた声優へのリスペクトを感じる

-各話感想-
1話-永遠の夜の中で-
{netabare}ファーレンハイトが無骨な武人って感じすぎるね、彼の華奢で優男風な容姿が好きだったから残念
声はファーレンハイト以外は意外と大丈夫かな、思ったよりしっくり来てる
特にキルヒアイスいいね、けどキャラデザはねぇー
キルヒアイスと言ったら赤毛の天パじゃないと笑
全体的にキャラデザは腐女子に寄せすぎか、黒子のバスケみたいだね
艦艇および艦隊戦のCGはめっちゃ綺麗、ブリュンヒルトの曲線は甘美そのもの
あと理屈倒れのシュターデンさん健在で安心した笑
そしてみんな大好き「ファイエル」が聞けたことに感動
{/netabare}
2話-アスターテ会戦-
{netabare}まず思ったのが、ヤンが想像以上にヤンだ!!!
パエッタ中将とかパストーレ中将(空気)が相変わらずの無能で逆に安心したw
幕僚のラオ少佐…旧作にもそんな人いたかな?
ブリッジ攻撃されたときのダメコン描写で「銀英伝が新しくなったんだなー」ってしみじみ
フィッシャーが微妙にイケメンになっててワロタw
全体的におじさんキャラがイケメン化してるよね笑
いつ反転迎撃からの轟沈でエルラッハ死ぬんだろうと思って楽しみ(不謹慎)にしてたんだけど死ななかったね!
こういう細々したシーンが楽しみだったりするんだけどね!
最後の最後にフリードリヒ4世が旧作より少し若返ってて笑った
※ガムンダさんよりラオ少佐の詳細を教えていただきました、ありがとうございます!
{/netabare}
3話-常勝の天才-
{netabare}今回はラインハルトとキルヒアイスの前日譚的な話ね
冒頭のナレーションが思ったよりいい感じだと改めて実感、下山さんいいよいいよ
フリードリヒ4世の声が軽すぎない?なんか若すぎるよー!個人的にはもっとヨボヨボでしゃがれた声が希望だね…
オーベルシュタインいいぃー!
レジェンド塩沢兼人さんを彷彿させるね諏訪部さん、ハマってるぅー!
そうだそうだ思い出した、これは「歪曲した」姉弟愛と「歪曲した」友情の物語だったね笑
血統主義なんてクソ食らえ!能力至上主義こそが絶対!ってのが銀英伝って感じするね
ただ、いざ自分のおかれてる状況にあてはめて考えてみると自分に能力があるかどうから甚だ疑わしい…かなしいなぁー
{/netabare}
4話-不敗の魔術師-
{netabare}今回はヤンの前日譚的な話ね
ジェシカのビジュアルが格段にアップしてる笑
模擬シュミレートのワイドボーン戦がめっちゃリアルで綺麗になってる!!!
旧作では座ってポチポチしてただけだったよね笑
たしかワイドボーンってラインハルトと戦って盛大に戦s…おっと失敬
きたきた、エルファシルの英雄!
えらいサクッとしてたね、こうゆうところで時短…!?
コーヒーより紅茶のシーンきたきた、将来のおよm…おっと失敬
{/netabare}
5話-第十三艦隊誕生-
{netabare}ユリアン…えらいイケメンなったなぁー。
トリューニヒト…お前は無駄にイケメンになったなぁー。あんたの如何にも胡散臭いペテン師っぽいツラが好きだったよ…
ふむふむ、順調に憂国騎士団が荒ぶってるねぇー。
でもさ、アスターテ会戦の慰霊祭ってこんな感じだっけ?
ヤンは慰霊祭に出席しなくて一人で荒ぶったジェシカをヤンとアッテンボローが助けに行って、そしてトリューニヒトとヤンが交渉するみたいな感じだったよね…?
ここの描写がないってことは後々にも結構な影響があるような気が・・・
あと、クリスチアン大佐が憂国騎士団でしかも慰霊祭にも登場するとはね…これは意外すぎる
旧作との意外な違いも楽しめますね!
{/netabare}
6話-イゼルローン攻略【前編】-
{netabare}もっさいユリアンをかえせー!
童貞感モロ出しのユリアンをかえせー!
で、なんやこのムライは!?!?!?
これがムライなのか…眼鏡やし髪の毛チリチリやしこれが「歩く小言」なのかよ
グリーンヒルはいかにもアニメキャラっぽくなってしまったのぉー、ムライよりグリーンヒルの方がコレジャナイ感が強いかな
シェーンコップは超絶イケメンやしビュッコクはめっちゃスリムやしアニメキャラって感じになっちゃった
密命を帯びた味方部隊って怪しさMAXやけど本当に味方だったら見殺しにすることになるし中々難しい判断だよね
{/netabare}
7話-イゼルローン攻略【後編】-
{netabare}イゼルローン要塞の液体金属の質感がすごいリアル!
帝国は刺青だめなんだ…危ない危ない
ボディーチェックのハイテク感よ、過剰なまでのハイテクぶりちゃう笑?
前作同様あっけなく司令室占拠しちゃったね
トールハンマーの発射描写めっちゃリアルで見応えあるぅー
ルビンスキーのモミアゲが思ったよりギザギザでワロタ
やっぱりオーベルシュタインはハマってる
{/netabare}
8話-カストロプ動乱-
{netabare}マクシミリアンさんすごい無能でボンボン感が漂う容姿してる…前作のカストロプ星系の人はほぼ裸だったよね笑?
おぉー、バルバロッサかっこいい!
ちゃんとビューローもベルゲングリューンもいる!
ちょっw
マクシミリアンさん部下ぶん殴りすぎやろw
前はアステミスの首飾りに頼ってたけど、今作は部下を掌握出来ずに反乱?みたくあっけなく終わったね
オーベルシュタインのピンチをチャンスにっていう考え方は好きよ
フリードリヒ4世は治世者としては暗愚だったかもしれないけど、結構大胆な考え持っちゃってるし物事を達観してるし中々の人物ですよね
{/netabare}
9話-それぞれの星-
{netabare}【悲報】ジョアン・レベロもホワン・ルイも完全に別人の件
うーん…トリューリヒトの没個性化がやっぱり残念
「戦争」というキラーフレーズに負けるのが政治屋だよね、どんな世界でも一緒だ
グリーンヒル大将「君が優等生のユリアン君か」→ユリアン「はい!はじめまして」って謙遜しろよユリアン!!!
ボルテックの謎の老化も気になるw
タイトルの「それぞれの星」…深いねぇーシミジミ
歴史は1人1人が創るもの
「history」はhis story=彼の物語
{/netabare}
10話-幕間狂言-
{netabare}「増長させておけばいいでしょう」なんと無責任な助言だ、それで納得する方も大概だがw
ロボス元帥の顔がいかにも昼寝しそうな顔になってる笑!
でたでたフォーク准将、なんかただのイケメン
そして迷言「高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に」
フォーク准将のマスタベーションはやっぱり(逆に)すごい
タイトルの「幕間狂言」が的確すぎてワロタ
負けると分かってて戦うのは嫌だね、それなら僕は負けると理解できない脳筋でありたい
{/netabare}
11話-死線【前編】-
{netabare}焦土作戦にまんまとハマった同盟軍
旧作にあった占領星の地主の娘と兵士との恋物語は丸々カットですかね?
きたきたプロージットからのグラスぱりーん、人生で1度はやってみたいことベスト3に入るね笑
ブリュンヒルトの出港シーンかっこいい!
躍動感が違うね、荘厳だぁー
{/netabare}
12話-死線【後編】-
{netabare}おぉー、ここにきて初の空中戦?というかドッグファイト
ビュッコックの的確な指示ステキヤン
疾風ウォルフきたー、相変わらずのそうr...おっと失敬
オイゲン久しぶりだなぁー、元気だった笑?
ウランフさんはミサイル全部発射できたかね…?
ロボスはなんちゅー顔で報告聞いとるんや{/netabare}

-見終わり後の総評-
{netabare}・物語:アムリッツァ星域会戦までのダイジェストみたいな感じで物足りなさを感じた
・作画:すごーい!めっちゃリアルやし、スピード感のある艦隊戦には感動した
・声優:いいんじゃないでしょうか(あんまり詳しくないし)
・キャラ:これはダメだ…
・音楽:いいんじゃない(適当){/netabare}

旧作を知ってる人は「こんなシーンあったねー」・「このキャラ懐かしいなー」って思いながら観れるから楽しいと思いますよ♪

投稿 : 2022/10/01
♥ : 34

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

銀河の歴史はまだ数ページ

スペースオペラの代名詞。
多少なりとアニメや漫画、ライトノベルを趣味としている方なら、観たことは無くとも何処かで必ず耳にした事のあるビッグネーム。
原作小説が刊行されたのは今から30年以上前。アニメやゲームにメディア展開され、今もなお多くの熱烈な固定ファンの心を捉え続けるのが「銀河英雄伝説」という作品です。
12年間という期間をかけて、アニメ本編で110話、本編のビフォアストーリーを描いた外伝で52話という、現在のアニメ作品では考えられないロングランリリースのOVAアニメでした。
本作は、平たく言ってしまえば、その20世紀の大作、銀河英雄伝説のリメイク版・・・・いや、新約版とでも申しましょうか。
21世紀の若いスタッフと最新の製作技術で創られる新たな銀河英雄伝説です。


最初にお断りしておきますが、私は前作の銀河英雄伝説の大ファンです。
アニメからではなく原作小説を完走してから入り、このクソ長いOVA作品を何回もリピートしてるので、観ていて次のシーンでキャラが言うセリフが思い浮かぶぐらいのハマりっぷり。
当然、石黒監督の20世紀版銀英伝には想い入れがありますし、私の中では揺るぎない不朽の名作として心に刻み付けられております。
ただ、だからと言って、この新しい銀河英雄伝説を「イメージが壊された」とか「声優が変わって違和感が」などという無粋な色メガネで見るつもりはありません。
大好きな銀英伝を、いったいどう解釈してどう料理してくれるのか、フラットな視点でイチアニメ作品として楽しんで視聴しました。
まぁ、セリフが頭に入ってるぐらいなので、ストーリー展開などにワクワクしたり驚いたりすることは皆無でしたが、前作から変えてきた部分や逆に前作を踏襲している部分がよく判るので、そういったオタ的な楽しみ方をしております。


前置きが長くなりましたが、この「Die Neue These 邂逅」。
銀河英雄伝説本編の前半部分、いや、長大なストーリーの導入部分のお話となっています。
正直物足りなさは感じるものの、12話しかない1クールの深夜アニメ枠ということを考えればこれは仕方がない。石黒監督版ではアニメオリジナルのお話などが入ってましたが、本作はかなり忠実に原作準拠しており、外せない重要エピソードを12話に収めた、といった印象です。

ご覧になった事のない方のために、ものすごく要約して銀英伝とはどんな話なのかを説明すると
『人類が宇宙進出を果たした遠い未来、歴史を大きく動かした2人の”英雄”の生涯を描いた物語』
とでも言いましょうか。
なので、この2人の主人公の行動原理や人となりを視聴者に理解してもらうのが前半の役割となります。これ、とっても重要。
で、このアニメでそれができているか?を考えると・・・・私にはわかりません^^
無責任な言いようで申し訳ないですが、散々視聴を繰り返した銀英伝オタの脳ミソでは、まっさらな状態の人にそれが伝わったのかどうか判らんのです。客観的に考えるとちょっと尺が足りてないんじゃないかなーと思うのですが
ラインハルトが、なぜ志をたてているのか、
どうしてヤンが、ああいうスタンスで居るのか、
初見に人聞いてみたい。わかりましたか?って

まぁしかし、それはこの先、追々ストーリーが進んでいくうえで理解できればいいとも思いますが。
アホみたいにキャラが多くややこしい政治情勢や独特の用語が飛び交う作品なんですから、正直いって1回の視聴でその機微が理解できるわけもありません。反芻してこそ味の出る銀英伝です。


作画に関しては、普通に良くできていると思います。
単純に戦闘シーンだけを見れば、CGを駆使した大艦隊の動きや表現は30年前のアニメでは到底不可能なレベル。艦や戦闘艇のデザインも一新され、より今風な無骨さが付加されているのはカッコいいと思います。重厚感は手書きアニメの方が良かった気もしますが、あれは前作の描き方とBGMによる盛り上げ方が上手かっただけのこと。
前が良かったからといって、今を否定する材料にはなりえません。

微妙な評判のキャラデザインも前作のイメージを引きずっていなければ全然OK。
古臭さは排除しながらも、その人”らしさ”は失われないようなキャラに仕上がっていると思います。
最初、キャラ絵だけみててもピンときませんでしたが、実際に声が充てられ動き出し喋りだすと、ちゃんとその人だとすぐに馴染んてきました。

キャラに違和感を感じないのは、声優さんの力量に拠るところも大です。
モノマネしている訳ではありませんが、明らかに前作の声優を意識して演じられているのが解ります。
同じ人物を演じるわけですから、自ずと同じ感じになるのは当たり前といえば当たり前なんですが、あからさまに寄せているキャラがチラホラ。
でも全員がという訳ではなく、逆にあまりに個性的(若本、キートン、羽佐間、堀川)な人には無理に寄せず、今の声優さんらしい喋りになっています。まぁ、そりゃそうですよね^^
賛否はあるかと思いますが、これも慣れ次第。
イメージが変わったなどと埒もない事を言っても始まりません。


総じて、さすがはI.Gの仕事。及第点のアニメ作品になっています。
とにもかくにも物語を完走させないと作品的には評価できないでしょうが、この水準で続けていただければ、良作と言っていいのではないでしょうか。
”名作”となるには、何かが足りないような気もしますが、ね。


最後に。
前作への想い入れが強ければ強いほど、この新作への評価が辛くなる、というのは理解できます。
コキおろしてる人の気持ちもわかります。
でもね、今のご時世で出来得るベターなやり方で、ちゃんと一定水準以上のものを提供できている。私はそう思います。
あの名作を現代の若い人にも知ってもらえる機会を作ったこの企画には、素直に称賛を送りたい。

前と同じ声優を採用して、あのままのキャラデザインで110話通してつくれよ!
と願うファン心理はわからなくは無いですが、それこそビュコック提督に
「じゃあ代わってやるから貴官がやってみろ」
って一喝されますぞ。
できもしない事を騒ぎ立てる行為の愚かさは銀英伝ファンなら重々承知の事ですよね。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 20

72.6 8 Production_I.Gアニメランキング8位
攻殻機動隊 SAC_2045(Webアニメ)

2020年4月1日
★★★★☆ 3.7 (129)
564人が棚に入れました
2045年。全ての国家を震撼させる経済災害「全世界同時デフォルト」の発生と、AIの爆発的な進化により、世界は計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー"へと突入した。だが人々が、AIによる人類滅亡への危機を日常レベルで実感できるまでには衰退の進んでいない近未来――。内戦・紛争を渡り歩き、廃墟が横たわるアメリカ大陸西海岸において、傭兵部隊として腕を奮っている全身義体のサイボーグ・草薙素子とバトーたち元・公安9課のメンバー。電脳犯罪やテロに対する攻性の組織に所属し、卓越した電脳・戦闘スキルを誇っていた彼女らにとって、この時代はまさにこの世の春である。そんな草薙率いる部隊の前に、“ポスト・ヒューマン"と呼ばれる驚異的な知能と身体能力を持つ存在が突如として現れる。彼らは如何にして生まれ、その目的とは。大国間の謀略渦巻くなか、いま再び“攻殻機動隊"が組織される――。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子、潘めぐみ、津田健次郎、林原めぐみ
ネタバレ

hoku-sai さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

攻殻2045をガチめで考察してみた

【ポストヒューマンは人類の敵では無い】


逆転する認識、価値観の変容による再解釈

ポストヒューマンは悪ではなく
公安9課も正義ではない
そして戦争とは平和である

劇中の描写や、神山健治氏の発言、SACが貫いてきたコンセプト等から新らしい攻殻機動隊を再解釈する

時代に追いつかれた攻殻機動隊という世界から見る現在はどんな姿をしているだろうか。

あなたが悪いと思っているものは本当に悪いものなのだろうか。

※↑noteに書いた記事の転載
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こんな感じで始まる考察レビュー記事をnoteに書いたのでこちらにも転載しときます。
ただ元記事は画像使ってたりクソ長かったりするのでリンク貼って途中まで転載しとくよ。

もし考察が当たってたらシーズン2のネタバレになるかもしれないのでご注意を。


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以下転載


記事その1{netabare}

転載元:https://note.com/individual2045/n/n9df25605db91

攻殻機動隊SAC2045シーズン1をネタバレ全開で考察:ep01 ~ポストヒューマンは人類の敵では無い~

【軽薄で残酷な「顔無し」たち】
画像4

(画像引用 : https://www.netflix.com/ 攻殻機動隊 SAC_2045 ep10 より)

まず最初に今回の攻殻機動隊に対してはこんな声が目立つ

・一般向けになりストーリーが解り易くなった
・話の流れが単純で内容がスカスカ
・敵もただのインフレで薄っぺらい
・前作のまでのような深みがない
・使い古された陳腐な題材を使った○番煎じであり、新しさが無い
・攻殻機動隊は終わった

本当にそうだろうか?
我々としては今、ストーリーがとても重厚で多面的な為、書きたいことが多すぎて吐きそうになっているぞ。

↑の箇条書きのような事を言ってる方はこれから示す前提など当たり前に理解し、考えた上で言ってるのだろうか?そうじゃなければ彼らはシンクポルの「顔無し」や、プリンが遭遇したブヒブヒいってる豚と同じような存在だ。

このような易きに流れる「大衆」という存在は今作でも大きなテーマの一つになっているが、その事を語る為にもまずは

そもそもの前提を掴むために重要な描写がある1話(ep01)と6話(ep06)を主に参照して考えてみたい。




【主人公勢力は正義という思い込みに始まる間違い】
画像2

(画像引用 :www.ghostintheshell-sac2045.jp/ 攻殻機動隊 SAC_2045 公式サイト より)

攻殻機動隊SAC2045の世界ではサスティナブルウォー(持続可能戦争)により世界が混乱していることが最初に示されている。ではこのサスティナブルウォー(以下SWとも表記)はそもそも正義であろうか?ここでは正義ではないという向きが一般的として話を進めよう。そもそも本当は正義も悪も無いのだけど、そうしないと話が進まないのでそうしよう。
 SWが悪であるならばSWに積極的に参加し、戦争という産業の一部となっている9課の面々は全くもって正義ではないという事になる。
ただSWという概念が示している戦争とは皆が思っている戦争でない。戦争という概念もまた逆転しているのだ。なぜそう言えるのかついては別に記そうと思う。

シーズン1の時点で公安9課メンバーは、常にサスティナブルウォーという民衆を統制する体制。の側にある存在だ。






【サスティナブルウォーはポストヒューマンが起こしたものでも無ければ運営しているものでも無い】
画像3

(画像引用 : https://www.netflix.com/ 攻殻機動隊 SAC_2045 ep01 より)

SWを起こしたのはポストヒューマン(以下PHとも表記)ではなくG4であり1A84であることが上記のOPでも本編でも語られている。しかしアニメを見ているとSWを仕掛けているのがPHであるかのように見えてくるのではないだろうか?しかしはっきりと違うのである。

戦争(SW)を起こし、運営しているのは1A84だ。
PHが起こしたのは2044年の世界同時デフォルトであって、2042年に始まったSWでは無いのだ。(この点は次項を参照)
そもそも2042年にはポストヒューマンは存在していないと思われる。

 にも関わらずPHがSWの媒介者かのように見えるのは、確実に制作側の意図でそう見えるよう見事に演出されているからだ。
 ここまで明確にSWの首謀者を示しているのに、見ているうちに1A84の存在を忘れ、いつの間にか戦争を起こしているのはPHだと錯覚してしまう。

画像7

この点に関しても目を盗まれた方が多いのでは無いだろうか

「ポストヒューマンは人類の敵である」と言う思い込みが、
SWを起こしたのはポストヒューマンではない。
と言う当たり前の前提を忘れさせる。

続きは転載元
https://note.com/individual2045/n/n9df25605db91
{/netabare}



記事その2{netabare}

転載元:https://note.com/individual2045/n/n0470a531c146

攻殻機動隊SAC2045シーズン1をネタバレ全開で考察:ep02~ジョン・スミスの正体と9課再結成の裏にあったトグサくんの大活躍~

【ジョン・スミスの正体は1A84である】
画像2

(画像引用 : https://www.netflix.com/ 攻殻機動隊 SAC_2045 ep08 より)

 正確に言うとジョン・スミスとはサスティナブルウォーを持続可能にするためのAIである1A84の端末だ。

 ジョン・スミスとはマトリックスのオマージュである以前にそもそも「誰でもない誰か」という意味を持つ言葉だ。AIの端末だから誰でもない。という意味以上に、誰でもない誰かという名の「ジョン・スミス」は「顔無し」の代表ようなの存在なのである。

なぜ代表的な存在なのかという話は次回以降に譲り、
今回はなぜスミスは1A84の端末だと言えるのかという話をしたいと思う。

 この事がハッキリと分かるのがep08だ。トグサを認識出来ていないスミスを覚えているだろうか。あれが証拠である。スミスはトグサ殺そうとした事をお茶目に素っ惚けてるわけじゃない。本当に分からなかったのだ。
 このシーンでトグサを覚えていないスミスに違和感を感じた方も多いのではないだろうか。

 まず表題部分の画像を見て欲しい。これはスミスの視界だ。見て分かる通りトグサのプロフィールが表示されるべき場所に「No Data」と表示されている。
 これはおかしい。ぜったいおかしいぞ。おかしいので考えてみた。

 「No Data」となっている以上。なんらかの理由でスミスからトグサの情報が消去されいる事は間違いない。ならばその何らかの理由があるはずだ。
 スミスがトグサの事を「こいつなんか普通だな使え無さそうだしとりあえず消しとこ」なんてマネをするだろうか。絶対しませんよね。はい。
ではトグサがスミスにハッキングを仕掛けて自分の情報を消したのだろうか。いや。それも違うだろう。そんな描写はどこにもないからだ。

ならばこういうのはどうだろう。
スパイからの情報を元にトグサが死亡したものと判断したシステム=1A84が、照合リストから削除した。もしくは死者は照合適用外だったため。
こう考えると説明がつくはずだ。

続きは転載元
https://note.com/individual2045/n/n0470a531c146
{/netabare}



記事その3{netabare}

転載元:https://note.com/individual2045/n/n0470a531c146

攻殻機動隊 SAC_2045 s1 ネタバレ全開考察:ep03~1A84の正体【前編】 ジョン・スミス更なる正体が示唆する物語の核心~

【1A84とはユートピアを実現する存在】
画像5

関係ない話に見えるかも知れないが、今回の攻殻機動隊SAC2045は
脚本;神山健治
監督;荒牧伸志
という作品だ。

神山健治氏は「攻殻機動隊」SACシリーズの監督
荒牧伸志氏は映画「アップルシード」の監督

「士郎正宗氏による原作」をそれぞれ監督しアニメ化した二人である。
そして原作者も同じなので世界観も地続きなのが「攻殻機動隊」「アップルシード」の二作だ。

画像1



想像してほしい



警察の出動が極少なく、軍はあるけれど影響力を行使しない。
貧困も存在せず、銃声の代わりに音楽と笑い声に満ちたユートピア。

こんな国があったら住みたいと思うだろうか?

我々は住みたくないが、住みたい人はとても多いだろう。
このユートピアの名をオリュンポスと言う。
22世紀の未来に世界を統一した勢力だ。巨大な人工島の上に都市国家を築き、地球全土の統一管理保全を目的としている。

一方オリュンポスの外側の世界はどうなっているかと言うと、

画像7

・かつて日本だった企業連合国家ポセイドン(大日本技研)
・アメリカが分裂した姿である米ソ連(SACでは米ロ連)
・もうひとつの米帝(SAC2045でも日本と同盟関係)
・イスラム圏に新しく立国した宗教国家ムンマ
・廃墟となった無人都市郡地帯

などなど、各勢力の思惑が入り乱れ陰謀が渦を巻いていそうな今と大差ない世界が広がっているが、銃弾の飛び交う地域が多く、無人の廃墟となった都市郡があるなど、この世界の22世紀は2020年現在の人間界より少しだけ荒廃した世界のようだ。

画像6

そんな未来で、オリュンポスは人類が実現した理想郷とされており、人口の半分以上を占めるバイオロイドが人間同士の仲介者として機能している都市だ。
バイオロイドとは人為的に作られた人間であり、ヒトに奉仕することが根幹にある。しかし安心してほしい。バイオロイドがヒトに奴隷の如く扱われているわけではない。むしろ幸せに暮らしていると言っていいだろう。オリュンポスはバイオロイドにも人権がある素晴らしい国なのだから。

荒廃した世界を他所に
貧困も銃声も存在せず
音楽と笑い声に満ちたユートピア
それが理想社会オリュンポスだ

画像8

そして1A84こそ、このオリュンポスの原型となる存在なのだ

そして地続きの二作を繋げる存在が1A84であり
「攻殻機動隊SAC2045」≒「APPLE SEED 0 IF」
と言うのが我々の考えだ。

なにを言っているか分からないかも知れないがこの先の話はもっと分からねぇ気もするけど最後まで話せばきっと分かる気もするのではりきって先に進もう。すでになにを言っているかわからねぇがとにかく進もう。

続きは転載元
https://note.com/individual2045/n/nc39d4705b507
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 4

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

浮世絵と漢字の国で完全3DCGは無理。中身は攻殻機動隊の出がらしです。

 3DCGがなぜ日本ではうけないか。それは浮世絵と漢字でしょう。

 浮世絵は、線で区切られ単色で塗られていて、その本物とは程遠いモノに我々は現実を投射します。また、我々は擬人化が好きです。これは漢字というキャラクターがあるからでしょう。その漢字は平仮名によって命を与えられます。つまり動きだします。カタカナによって、われわれは音ですら文字により命を持たせることができます。

 のっぺりとした2次元の絵に我々は生命を宿すことができます。それが浮世絵であり、マンガであり、アニメです。現実から遠いからこそ我々はそこに表現されているもの以上、どころか現実以上のリアリティを投射できます。また、リミテッドアニメ表現は俳句につながるかもしれません。現実に近ければ近いほど優れたものだ、という西洋の感覚とは全く違います。
 能は同じ仮面の中に表情を見ることができます。日本人は文脈やシチュエーションで脳内で何を読み取るべきかを瞬時に判断します。必要なのは記号としての目鼻でありリアリティなど全く必要ありません。

 この差を理解しないで、3DCGでほらすごいでしょ?というアニメを作ると本作のようになります。ピクサーが日本で盛り上がらないのも同じでしょう。本作のEDのレンダリングならまだ受け入れられる余地はありそうです。

(追記 お互いが理解できないと言っているのではなく、本作のような日本アニメ的キャラの中途半端な3DCGが見苦しいという感じかもしれません。あるいは鑑賞して感動はできるけど、ピクサーアニメは日本人には作れないし、日本的アニメはディズニー的3DCGは無理だという事です。本作はその悪いところ取りをしている感じです。また、フルアニメーションだと魅力が出せないのも日本の特徴でしょう) 


 で、本作については、3DCGというアニメの作り方として間違っている上に、攻殻機動隊をリメイクするためのストーリーです。SNS時代の本音とか、監視社会とか、何か作家が表現したいものを表現しているという感じではありません。攻殻機動隊っぽいテーマって何だろうと後付けでくっつけたような感じです。

 タチコマ芸もお決まりの出来の悪いコントでしかありません。そもそも3DCGのソフトの関係か知りませんが、タチコマが人間サイズしかありません。なんか、創作物を命を削ってとまではいいませんが、出来ることはキチンとやろうという意欲が見受けられません。
 
 アクションシーンがいたずらに長いし、それっぽいセリフはいいますが、少佐が矮小化されてしまっています。攻殻芸を見せつけられて、下手をすると共感性羞恥が発動しそうなくらい、カリカチュアライズされてしまっていました。

 まあ、はっきり言えば攻殻機動隊の出がらしを、ほら今グローバル市場ではこんな3DCGでやってるんだよ?すごいでしょ?と一生懸命みせられているような感じです。
 一応、3DCGの研究としていい素材なので見ましたが、本気でつまらなかったです。

 本作でアニメの将来を思うとかなり落ち込みました。評価はまあ適当です。オール1というより、アニメとして見られませんでした。


 なお、ネトフリの順位が日本だけなぜ違うか、についても同様に日本人と西洋人の文化の違いがあると思います。宗教と権利の話なのでここでは述べませんが、もうちょっと日本のマンガ、アニメに造形が深いヒトをスタッフに入れてほしいなあ。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 1

やまだ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

かなりの悪口。いいか読むなよ、絶対読むなよ。

なんだこの人形劇。スマホゲームのムービー?ネットフリックス製なのに低予算なの?酷い本当にヒドい。日本製CGムービーは本当に何も進化してないな。静止画の紙芝居ならまあいいよ。でもモーションが昔の家庭用ゲームでも出来たレベルのゴミ。キャラも車両も何もかも。キャラデザは好みだろうがタイトル画面とかフォントとか小物や車両のデザインとか何もかもセンスが古いしオープニングも何アレ?全身義体ってのが甲殻のアイデンティティなの?だったら何故義体の硬さとか重さとか動きで表現しないの?初代ロボコップみたいにしろとは言わんけどサスの沈み方とか足跡とか色々出来るでしょ?せっかくのCGなのに。タチコマですら重量感を全く感じない。やっぱりそこはどうでもいいの?大人キャラしか出ないシリアスな雰囲気だけがいいの?甲殻機動隊でなんで戦争なの?甲殻機動隊キャラが揃ってるだけでいいの?"ぼくの考えた甲殻機動隊"をCGでやりたかっただけとしか思えない。

国内製の国内向けの作品ならそれでいいんですよ。昔から日本製CGゲームは静止画はキレイだけどモーションがすこぶるヘンでも売れていたので。でも海外製ゲームはその当時の物でさえ慣性や重さを感じる事が出来た作品しかなかった。勿論制作費が違い過ぎるという理由もあるから、そこは自分が好きな物だけプレイすればいいだけなんだけど。でもコレってネットフリックスの予算なので国内製よりは予算あるはずですよね。ネットフリックス製という事で海外も意識して製作しないといけないですよね。で、このザマはなんなんですか。

日本のアニメ業界は衰退していく未来しかないですね。現在でさえ安い賃金でこき使われて手書きで死にそうな思いで絵を書くだけの重労働。将来的にはそんなもの衰退してCGメインに置き換わるでしょう。AIで動画すらも出来るようになる。手書きアニメは手書きというだけで価値がある昔ながらのこだわりの伝統技術というふうになっていくだけ。ただの芸術作品に成り下がって庶民の作品は海外製のクソみたいなものに侵食される未来。テレビの"日本は凄い"みたいな番組でとある町工場なんかが海外の方から絶賛されてたりする。そりゃそうだ。海外の職人は安月給で働かないからだ。スイスの時計産業を日本が潰したように、イタリアの自転車産業を台湾が潰したように、日本のアニメ産業もまた潰されていくのだろう。クリエイターを引き抜くだけでいいのだから1番簡単。製作に日本人が関わったとしても結局センスは海外準拠。今と同じ物が作れると思うか?

日本にはディズニーみたいなIP戦略が必要だった。ディズニーもたまにはいいよ。でもディズニーに支配されたサブカルなんかゴメンだ。マーベルやルーカスまで買ったディズニーは世界統一でもめざしてんのか。ディズニーとまでは言わんでも国策としてでもなんとかすべきだった。でも多分もう遅い。せっかく上手くいきかけてたブランドIPの数々をハリウッドに買い叩かれてばかりで何が"ジャパニメーション"だ。何が"クールジャパン"だ。バカか。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 11

90.2 9 Production_I.Gアニメランキング9位
PSYCHO-PASS サイコパス(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (5473)
25953人が棚に入れました
人間の心理状態や性格的傾向を、即座に計測し数値化できるようになった世界。あらゆる感情、欲望、社会病質的心理傾向はすべて記録され、管理され、大衆は 「良き人生」 の指標として、その数値的な実現に躍起になっていた。人間の心の在り方、その個人の魂そのものを判定する基準として取り扱われるようになるこの計測値を人々は、
「サイコパス(Psycho-Pass)」の俗称で呼び慣わした。

声優・キャラクター
関智一、花澤香菜、野島健児、有本欽隆、石田彰、伊藤静、沢城みゆき、櫻井孝宏、日髙のり子
ネタバレ

魂がBITCH♡ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

コーギトー・エルゴー・スム…全知全能の合図、しかし、それは絶望のイリュージョン…Vol.1

【レビュースタイル】
分類:考察
文章量:長文
専門性:高
難易度:高
閲覧留意点
※閲覧に際しては各分野に関する予備知識を必要とする。

【制作情報】
▼放送年:2012年(秋クール)
▼原作:オリジナル作品
▼ストーリー原案:虚淵玄(ニトロプラス)
▼アニメーション制作:Production I.G
{netabare} ▼話数:22話
▼総監督:本広克行
▼監督:塩谷直義
▼キャラクター原案:天野明
▼キャラクターデザイン:浅野恭司
▼脚本:虚淵玄、深見真、高羽彩
▼音楽関係
OP曲
「abnormalize」(#1〜#11)
作詞・作曲・編曲 TK / 凛として時雨
「Out of Control」(#12〜#22)
作詞・作曲・編曲・歌 Nothing's Carved In Stone
ED曲
「名前のない怪物」(#1〜#11)
作詞・作曲・編曲 ryo / EGOIST
「All Alone With You」(#12〜#22)
作詞・作曲・編曲 ryo / EGOIST
劇中曲「Trigger Finger!!!」(#12)
作詞 Shoko / 作曲・編曲 菅野祐悟 / 滝崎リナ
▼主要CAST
狡噛慎也(CV:関智一)
槙島聖護(CV:櫻井孝宏)
常守朱(CV:花澤香菜)
宜野座伸元(CV:野島健児 )
唐之杜志恩(CV:沢城みゆき)
雑賀譲二(CV:山路和弘)
他{/netabare}

1. 序
フランス革命以後近代ヨーロッパ、北米で生じたイデオロギー対立はフランス啓蒙が齎した「自然権」を巡る解釈や考え方の相違であると述べても過言ではない。
本作の核心である「シビュラシステム」を考察ないし哲学を進める上で「自然状態」「自然法」そしてかかるそれらから導かれた「自然権」の概念を領(し)っていることと、いないことで本作の厚みが根本的に変化する。
フランス革命の理論はモンテスキュー*1、ヴォルテール*2、ルソー*3など多くのフランス啓蒙哲学者が関与しているが、とりわけルソーはフランス啓蒙の始祖たる(人間理性の完全性を前提とした→ハイエク*4により否定された設計主義的合理主義)デカルト哲学の直系でもあり、特に国家の統治体制を説いたルソーの「社会契約説」は後年「あらゆるレボリューション」に欠かせないアイテムとなっている。

ルソー曰く「人間は生まれながらにして自由である。しかし、いたるところで鎖につながれている。自分こそが主人だと思っている人も、実は奴隷であることに変わりはない。どうしてこの変化が生じたのか私は知らない。何がそれを正当なものとし得るか、私はこの問題は解き得ると信じる。」*5

さて、初端から哲学を引用したが、このルソーの言説ほど本作の世界観を言い得て妙な文言はそうそう見つからない。
いや寧ろ、脚本(高羽、虚淵、深見)はルソー哲学をベースに本作の世界観が練られたのではないかと疑念するほど「自然状態」と「一般意思」の葛藤が描かれた本作の世界観はルソーが目指したユートピアに近いのではなかろうか。
本作が醸す世界は誰しもが「デストピア」と想像するであろうが、それはゲストとして第三者の立場で本作を俯瞰してのメタ感覚であることを認識する必要がある。
もし、未来の社会が「シビュラシステム」の支配下となっても、最適解で得られる幸福を享受する被支配層のほとんどは彼等に疑問を抱くことは無いであろう。
そう、中華人民共和国で実用化されつつある人民総監視社会「社会信用システム」のようにだ。

さて、ルソーを切り出したことで私のレビューを閲覧している諸氏は、本レビューがまたぞや政治思想に逸れることを懸念乃至は辟易したいることと思う。
また、学生時代に学習したことを思い出し懐かしさに耽る方もいると思う。

だが、勘違いをしてはいけない。

私がここで記述することは中江兆民*6らによってレトリックされたルソーの理想などではないし、世界を血に染める結果となったフランス啓蒙の死神的な所業を暴露することも一つの意思ではあるが、ここでのゴールではないので杞憂である。
また、マルクス思想やコミュニズムについては他のレビューでも触れているが、マルクスの政治哲学を成立させたフランス啓蒙を直接考察対象とするのは本レビューが最初であろう。

無論、保守主義者そして自由主義を尊ぶ者達にとって、破壊主義の始祖ともいえるルソー思想を育んだフランス啓蒙はマルクス主義以上に駆逐すべき存在、即ち人類の敵であることに異存は生じない。
だが、しかし、望むことなかれで生じた社会契約思想がデストピアの入口であっても、終末へと向かう道程は人類に課されたある種の”Fate”に導かれるならば、絶対倫理が支配する全体主義社会の到来は人類にとっては不可避なのかもしれない現実の脅威であるのだ。

フランス革命以後近代ヨーロッパ、北米大陸で生じたイデオロギー対立はフランス啓蒙が齎した「自然権」を巡る解釈や考え方の相違であると述べても過言ではない。
奇しくも本作レビューを推敲している間に鑑賞した『ガールズ&パンツァー 最終章 第2話』*7に於けるBC自由学園(フランスモデル)のマリーが語った{netabare}「今度革命が起きたらぶっ潰してやる!」{/netabare}の台詞、嗚呼水島努監督もフランス革命を否定している保守派の同士なのかと共感したことが、とても印象的だった。

さて、本作の核心である「シビュラシステム」を考察ないし哲学する上で「自然状態」「自然法」そして、かかるそれらから導かれた「自然権」の概念を領(し)っていることと、いないことで本作の厚みが根本的に変化する。

脚本家達が(おそらく視聴者の知的好奇心を翻弄する意図を含めて)仕組んだ文学、哲学の引用技法に翻弄されるだけでは、本作の深淵を覗くことはできないであろう。
-----------------------------------------------------------------------------------
*1Charles-Louis de Montesquieu(1689- 1755)仏
*2Voltaire(1694 - 1778)仏
*3Jean-Jacques Rousseau(1712 - 1788)仏
*4Friedrich August von Hayek(1899 - 1992)墺
*5Rousseau『社会契約論』(1762)
*6中江兆民『民約訳解』仏学塾(1882)
*7 2019年6月公開


2.世界観の哲学的考察
私として愉快なことは、思想的言説でコミュニズムを批判する行為を批判する階層が「シビュラシステム」を「デストピア」と認識する矛盾であり、この事実で世に蔓延る知識のカオス、即ち価値相対を明確に認識することができたことだ。
私は個人の自由が制限された全体主義の社会に生きることは真っ平御免故に、コミュニズムに代表される全体主義を尊ぶ左翼思想(左翼思想の出自を考えれば全て全体主義ターミナルへ向かう運命にある。)の全てを批判しているのだ。

では、本作のテーマ構築に当たり、何がどのようなサンクションを果たしているのかオービットスペースを検証していこう。

※本項は閲覧者において憲法学、法学、政治学、哲学、科学哲学、心理学、精神医学、自然科学一般の予備知識があることを前提に記述しており、内容は極めて難解であることを御理解願う。


2-1自然法概説
さて、本題に入ろう。神託の巫女を名乗る「シビュラ」の核心とは一体何なのかについて考察を深めていく。
ここから、閲覧者諸氏が頭痛を起こすであろうことは考慮せず「自然法」を説明する。

「自然法」を多少なりとも理解できなければ「シビュラ」の核心を紐解く「自然状態」や「自然権」への到達はハードルが高過ぎるか無理であろう。
まず「自然法」という考え方は、彼等と文化的系譜を異にする我々日本人の思考体系ではイメージするのは、厳しいとの前提認識を肯定することが肝要である。

{netabare} 理解へ向けての第一ステップとして『創世記』を皮膚感覚として捉え、次のステップとしてキリスト教(聖書)、イスラム教(啓典)、ユダヤ教(タナハ)圏(以下、では無条件の摂理である「神は万能なり」を具体的にイメージできる感受性が求められる。
この神は偶像化以前に存在する「創造主」であり、創造主=神=Nature(自然)のマトリックスを形成する。
特に肝要なことは、キリスト教等圏における”Nature”と”Culture(人為の文化)”は日本語における対義関係ではなく”Nature∋Culture”となる、つまり「人為」は「自然」の要素に過ぎないということだ。
つまり、聖書、啓典、タナハを規範とする社会では「人」も神の被造物である要素であることから”Nature∋Culture”の受容を諸氏は法の正体を観念に捉えて承認することが第三のステップである。{/netabare}

さて、以上の説明から聡明な閲覧者諸氏にはピンと来られた方も居るだろう。
自然法とは天地創造より発生した「因」が現在に至るまでに生じる「果」を司る基軸であり、アニメファン向けに例えれば『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)*8における「円環の理」が「自然法」に近しい概念(厳密には等価ではない)であろう。
これでイメージが補完されたであろうか。

そう、「自然法」とは神の被造物、神が定めた世界の条理(法)そのものなのだ。
端的に言えば【神の法=自然法】である。

{netabare} ところが「自然法」は厄介なことに所謂成文法の体裁ではないことから、中世から近世にかけて実態化させるべく様々な解釈論が相次ぐこととなる。
彼等は「自然法」の存続を、実定法の背後に隠れて未だに発見されていない条文のことと思考するが、我が国の法学はあくまで解釈することこそが大切なのである。
この点が自然法から発展した西洋法哲学と、自然法の概念なく理屈の輸入で始まった、我が国の法学思想の決定的な相違点であり、法曹に限らず政治家も「統治」の原理原則や、立憲主義に於いて本来の意味を履き違えるような迷路に陥っている。

この点は後に考察する「社会契約論」で更に厳しく吟味する機会を設ける。

次に「シビュラ」の深淵を紐解くには「自然法」と項目タイトル「近代自然法」の違いについても諸氏は理解を深める必要がある。
そろそろ私の説明だけでは心許ないかもしれないなので、研究論文からも引用する。
「自然法思想はーー形而上学的想定や神学的背景を前提にした中世的自然法から世俗的で経験論的な近代的自然法へとヒューム*9らによって転換され、それはカント*10にも継承されている。
自然法思想は、古代スコラ哲学に起源を持ちーー近代には「神」の存在を必要としない世俗的な形態をとって現れた。
ダントレーヴ*11は近代自然法を、次の三つの特徴をもつとする。
(1)合理主義:自然法は信仰と切り乾された自足的な人間理性によって把接される
(2)個人主義:社会は自由な諸個人が結ぶ契約に由来する「社会契約説」
(3)急進主義:不正な政府に対して「抵抗権」が認められる
しかし、ダントレーヴはこのような近代自然法の理論は、実際には自然権の理論であったと指摘しカントまで自然法の伝統は中断したとするが、このような特徴を共有しない自然法思想の系譜も存在する。*12」

上記の(1)大陸合理論、(2)社会契約説、(3)自然権はこの後に項を設けて説明を展開していく。{/netabare}
-----------------------------------------------------------------------------------
*8本作の脚本は虚淵によるもの。虚淵の思想を彼のコンテクストを通しての読解から考察分析するうえに於いて、バッドエンド回避の為に彼が模索してきたテクストの遷移を評価する必要がある。まず、小説『Fate/Zero』(2006)以前と以後では大きな変化が生じている。このインバータの変革は長い時間をかけて臨界に達したものであるが、彼は常日頃からダークファンタジーを指向する動機として「人々の幸福には辟易するウソ臭さ」と嘯いてのだが、バッドエンドには必ずしも肯定的ではなく、その理念的なパラドックスから生じる葛藤(虚淵自身の言質を借りれば「バッドエンド症候群」であり、これが原因で絶筆も考えた経緯がある。)が、その後の虚淵ドクトリンの格率となる「救済」の発見へと繋がる。小説『Fate/Zero』に於ける「救済」とは「功利主義」(「功利主義」には方法論に於ける広義と狭義があり、ここでは前者を示す。)的な発想、つまり、一人の幸福よりも二人の幸福・・二人の幸福よりもn人の幸福と「功利主義」が掲げる幸福の数値目標的な発想に依拠して「救済」の意味を本作に落とし込もうとしたが挫折する。その答えは同作Vol.1のあとがきで彼が本音を綴っている。『PSYCHO-PASS』のコンセプトにも重要な影響を与えているので、文字数を気にせず「あとがき」を引用する。「物事というのは、まぁ総じて放っておけば悪い方向に転がっていく。どう転んだところで宇宙が覚めていくことは止められない。”理にかなった展開”だけを積み上げて構築された世界は、どうあってもエントロピーの支配から逃れられないのである。――故に、物語にハッピーエンドをもたらすという行為は、条理をねじ曲げ、黒を白と言い張って、宇宙の法則に逆行する途方もない力を要求されるのだ。」私は、このあとがきを読んで彼の教養の奥深さと、社会洞察の鋭さに深く敬意を払うに至ったのだ。おそらく彼はアカデミカルな政治哲学への造詣は深くはない。しかし、それでも私が仮説した目的について、彼が政治哲学を踏まえなくとも「円環の理」は「自然法」へと還元される事実を疎明するに足る傍証が豊富であるからである。Magica Quartetの一員である彼自身の「宇宙の法則に逆行する途方もない力」換言すれば宇宙とは神(GOD)であり法則は「自然法」であることを見事に看破し、これを創造するしかないことを明示的に承認しているのだ。功利主義での救済ストーリーが無理だと悟った彼は『魔法少女まどか☆マギカ』では功利主義的描写を抛棄し、鹿目まどかの自己犠牲を通して「利他主義」を救済の前面に押し出す。『PSYCHO-PASS』では『Fate/Zero』で寄り道をした「功利主義」への清算を図る意味でも「利他主義」だけではなく対義の反駁として「利己主義」との相克を描写し否定を深化させる必要があったのではないのだろうか。故に彼にとって過去の自身への皮肉をも「シビュラシステム」に投射しているのだ。
直接参考文献:山本賢一、奥村元気『Fate/Plus 虚淵玄 Lives 〜解析読本』河出書房新社(2014)『虚淵玄の思想: 「愛」と「救済」の不可能性という観点から 』紀尾井論叢(2017)虚淵玄、悠木碧、斎藤千和、田中ロミオ『ユリイカ2011年11月臨時増刊号 総特集=魔法少女まどか☆マギカ 魔法少女に花束を』青土社 (2011)斉藤環『キャラクター精神分析』筑摩書房(2011)虚淵玄 小説『Fate/Zero』TYPE-MOON 星海社(2006)
※虚淵氏を考察対象とした上記註釈は一時的にタグを外して公開しています。レビュー全文が追加され次第タグを掛けます。{netabare}
*9David Hume(1711 - 1776)英(スコットランド)
*10Immanuel Kant(1724 - 1804)独
*11Alexandre Passerin d'Entrèves(1902 - 1985)英
*12太子堂正称『ハイエクにおける自然と自然法の概念』經濟論叢 (2005){/netabare}


2-2神の束縛から理性の解放を目論んだ大陸合理論
2-1では近代自然法は大きく二つの系譜に分離したことを説明した。
一つはデカルト*13が提唱した【「大陸合理論」→フランス啓蒙】と二つ目はベーコン*14、ヒューム、ロック*15に代表される【「英国経験論」→スコットランド啓蒙の系譜と法の支配とに峻別される。】である。
ここでは「英国経験論」の存在については意識することに留め、この項では前者「大陸合理論」を中心に説明する。

{netabare} スコラ哲学で発達した自然法のアーキテクチャーはデカルトの登場で神の所有から人の所有へと変化した。
彼の格率とは、理性との対話を演繹する思弁的な導入こそが無謬の価値と認識し、世界を理解しようとする思想である。

デカルトは「人が神の子ならば我もまた神の一部」であるとして人の思弁や意思は神と同等であるとの唯我独尊な価値観から自身の哲学をボトムアップした。
つまり、人類は自らの理性のみの力で世界を解明し(自然法の理性解釈に依って)人類にとって理想的な世界を設計できるとする実態としては確実にデストピアに至る狂気の国家観も「神の存在証明」*16からすべてが始まったのである。
後に、ここから少数のプロテスタンティズム内の神学的な意味合いから哲学へと移行した「理神論」のイドラがドグマの表象を覆い「社会契約思想」へと繋がる足掛かりとなる。
具体的にはデカルトの存在論において二つの存在「思惟の存在、神、論」と「原因の存在、神、論」を見出し、この二つの存在、神、論の「二重化」によってデカルト哲学が特徴付けられているということだ。

そして、二つの存在は論理的にはパラドックスを生じる関係なのだが『方法序説』*17「我思う、ゆえに我あり」は後にカントらの批判に晒されるまでは形而上学のモデルとして当時のあらゆる哲学者の規範的ルールとされたのだ。
少し考えれば、観測される側と観測する側の答えが常時一致(理性万能的課題)すると思考する方がどうかしているのである。

デカルトにおいて「存在者を純粋な存在者という地位に送り返す存在様式」とは、「対象という様式において存在するという存在様式」である。
この対象は知性にとっての対象であり、対象が存在者となるのは思惟されたものである限りにおいてである。
そしてあらゆる「思惟されたもの」に対して「思惟するもの」は先立っていなければならない。

このような思惟するものとその対象との関係は、思惟するものが卓越した存在者であり、さらにその他の存在者より確実に実在することの根拠となる。
このような卓越した存在者は「我(ego)」と呼ばれる。
しかし思惟するものは同時に思惟されるものである。
なぜなら思惟するものは自らの思惟を自身にまで及ぼし、自らを一つの存在者として対象化するからであり、思惟はより本源的には自己思惟を意味する。
そして「我」という卓越した存在者がその他の存在者に先立つと同時にその存在を根拠づけるのであり、対して思惟するものと思惟されるものとの関係によって語られる存在様式は思惟するものの思惟する限りでの卓越的な実在を根拠づける。
こうした二つの根拠付けから思惟の存在、神、論は構成される。

ここで存在、論は存在者を思惟されたものである限りで存在者と見做し、神、論は思惟するものという卓越した存在者としての「我」を見出す。
つまり、思惟するものと思惟されるものの関係は量子論で言うところの重ね合わせの状態であるが、人が認識し得る巨視的な形式で実態化(認識)するには相互の存在条件を否定しなければならない。
しかし、このような致命的なパラドックスの存在がありながらも、当時は高名な学者すらも解釈に翻弄されながらデカルト哲学から更なる合理を追求した結果、唯物論に呑まれ人間性を喪失したジャコバン派*18による大量処刑と粛清を正当化する如く、後にとんでもない悲劇に至るのである。
(フランス人権宣言における「平等」の理念は身分に関係なく処刑の平等化と大量処刑の効率化を促しギロチンが普及する。ギロチンはフランス革命の象徴でもある。)
フランス啓蒙の極限とされる共産主義*19に至っては、神の奇跡を否定する「理神論」から神の存在を否定する理性至上の「無神論」*20へと政治的実行に至るまでに昇華した結果、更に何が起きたかはあらためて記すまでもなかろう。

フランス啓蒙の発達を契機に欧州全域で神と人間は同等とする「理性万能主義」*21が闊歩することとなるが、この思想を社会システムへ適用した場合は後に政治学において「設計主義的合理主義」*22と定義される。
フランス啓蒙が承認した理性万能に立脚した全体主義の嵐は、ロシア革命とボルシェヴィキ支配*23、スペイン内戦*24、ナチス政権*25、文化大革命*26、カンボジアポル・ポト政権*27、天安門事件*28ではジェノサイドや大量虐殺が不特定多数の理性者の名において実行されたことを忘れてはいけない。
(ナチスによるジェノサイドは独裁者ヒトラーの意思であるとの反駁もあろうが、民主的手続きでヒトラーを選択した当時のドイツ国民の意思がヒトラーを彼等の代理人としたことに留意すべきであり、民主主義の名を借りた社会契約に潜む危険性の事実証明でもある。)

ある意味、演繹の絶対的価値に囚われたデカルト哲学の誤謬を戒める目的ではないにせよ、フランス啓蒙の趨勢となった「神の存在証明」はローマ法王庁の逆鱗を買い、彼の著作はイタリア方面で禁書目録とされた。
故に、イタリアは血塗られたフランス啓蒙に大きな影響を受けることなく動乱の19-20世紀の欧州においてファシスト党*29が政権に就く1929年まで思想的な安寧を享受した。

次に、デカルトが提唱した理性主義に唯物論を融合させて「自然状態」を再定義したホッブズ*30の思想について。
-----------------------------------------------------------------------------------
*13René Descartes(1596 - 1650)仏
*14Francis Bacon(1561 - 1626)英(イングランド)
*15John Locke(1632 - 1704)英(イングランド)
*16Descartes『省察』(1641)
*17Descartes『方法序説』(1637)
*18フランス革命期の政治団体。彼等が行った恐怖政治は「テロリズム」の語源となり、また議長席から見て、国民公会の左側の席を国民会派の位置としたことから「左翼」の語源となる。
*19『資本論』1867の共著者フリードリヒ・エンゲルスはその著書『反デューリング論』(1877)で科学的社会主義(=共産主義)は英国古典経済学、ドイツ観念論、フランス啓蒙の合作であることを明示している。
*20Marx『ヘーゲル法哲学批判』(1843)
*21Kant『純粋理性批判』(1781、1787)
*22Hayek『自由の条件』(1960)
*23B.レーニンが率いた「ロシア社会民主労働党」左派、後の「ソ連共産党」の前身。
*24 1936年〜1939年スペインで生じた、共産主義とファシズム勢力の代理戦争。
*25 1932年11月の総選挙で第一党を維持した「国家社会主義ドイツ労働者党」の党首A.ヒトラーが1933年にヒンデンブルク大統領から首相に指名された。
*26 1966年〜1977年まで続いた毛沢東思想復権の社会運動。このときの思想締め付けが遠因となり後にソ連崩壊をトリガーとして文化人、学生を中心とした民主化を訴える天安門事件に至る。
*27カンボジア共産党中央委員会書記長で共産党ゲリラ組織の「クメールルージュ」を率い1976年に首相に就任した。パリ留学中にフランス革命に強い感銘を受け、フランス共産党で共産主義を学ぶ。統治は原始共産制を理想としたマルクス原理主義であり、知識人、政府関係者等の旧ブルジョア階級を徹底的に弾圧し、大量虐殺を行う非人道的かつ文化破壊等の過酷極まりない政策を実行した。
*28 1989年6月4日、天安門広場に籠城している一般市民に対し人民解放軍が戦車を投入し実弾発砲してデモを強制鎮圧した事件。多数の死傷と政治犯として多くの市民が逮捕された。事件の模様は全世界にライブ中継され世界中で中国批判が巻き起こった。
*29イタリアの政党1922年設立。党首はB.ムッソリーニ。
*30Thomas Hobbes(1588 - 1679)英(イングランド){/netabare}


2-3自然法と唯物論のメランコリー

2-3-1唯物論
{netabare} 「唯物論」とは「物質を意識に対して根源的であるとし,感覚,知覚,表象など一般に人間の意識を客観的存在の反映としてみる物質一元論的世界観。」*31
お分かり頂けたであろうか。
以前、他のレビューで「史的唯物論」を説明したが、これはL.フォイエルバッハ*32系譜の「唯物論」の一つの形態であるだけで、本来「唯物論」は哲学分野における幅広いコンテクストの一種であり、かつ、世界観の解釈であると理解すると良い。
英語では”Materialism”でありイデオロギーとして分類されている。
要は、実在社会(形而下)で起こるすべての現象は「因果律」に支配されていることから、必ずしも現実とは不等価である「形而上学」をすべて「因果律」で解き明かそうとする姿勢、態度のことだ。
本来、自然科学にしか適用されない因果律の状態を形而上学にも適用する妄想の産物と断言しても良い。
つまりポパー流に言わせれば、反証の可能性があろうがなかろうが現実から空想まですべてを因果律でこじつける態度である。*33
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(2019)における量子論設定の妄想は苦笑いで済むが、唯物論は政治思想として発達し、結果、大量虐殺を招いているのだから単なる哲学的妄想では済まされないのだ。

例えば、満天の星空を見て、感情では「とても綺麗だ!」と思うのだが、唯物論では「網膜が星の光を感知し視神経を通して脳でイメージを表現している。」と考える。そこに星空に対する情緒を認める姿勢はない。
上記のように「唯物論の世界観」では人間の心象は「因果律」の範囲外であり、人間の自由意志や感情をまったく認めないか、さもなければなんらかの法則性に従うものとみる。

「唯物論の世界観」においては人間もまた機械的な道具の一種と看做されるのだ。
「唯物論」は(弁証法を用いた場合、哲学における対峙概念は被対峙概念と等価となる。)あらゆる全体主義的思想を構成することからも、コミュニストやナチスが人間的、人道的な葛藤を抱くことなく、機械的に大量虐殺を実行し得た思想のカラクリ(狂気の発生)も御理解頂けたであろう。

シビュラ曰く「再確認しましょう。常守朱、あなたはシビュラシステムの無い世界を望みますか?そう、うなずこうとして躊躇してしまう。あなたが思い描く理想は、現時点で達成されている社会秩序を、否定できるほど。明瞭で、確固たるものでは無い。」
上記第20話*34における「シビュラ」と常守朱の会話を思い出して頂きたい。
なる程、常守朱の意識にある正義は「シビュラ」から見れば因果律が存在しないタダのセンチメンタル(特殊意思)に過ぎないのだ。
現にあるシステムは因果律により保証されている前提があるからこそ、常守朱としては心理的な抵抗はあろうとも、ロジック的な正しさは受け容れざるを得ないこの状況こそ「シビュラ」の発想が「唯物論」に依拠している事実として御理解頂けるであろう。{/netabare}

2-3-2自然状態
{netabare}さて、常守朱においては「シビュラ」の正しさは認めても自身の感情には割り切れない何かがある、この状態の部分が社会契約における「特殊意思」であるが、啓蒙の時代、この概念に至る前に「自然状態」なるモデル概念が近代自然法の解釈過程で生じた。
本作の背景設定では世界中で「法治国家」を維持しているのは日本だけだが、「法治」ではない状態として他の国の国民(市民)はホッブズがモデリングするところの闘争状態にある「自然状態」であり、人間の本質構造の規定に基づいて、万人がアトム的な存在において平等かつ自由であるような国家を創造することが闘争のない「法治国家」なのである。
それ故に、本源的な恐怖こそが、同じく人間の本性に根ざしている他者を支配しようとする欲求を押しとどめているとし、恐怖は懸念であり、疑惑、不信、用心といった精神活動へと発展して行くとしている。

ホッブズ曰く。
「もし恐怖 がなくなれば、人間たちは生来益々熱心に、交際することよりも支配することを望むだろう。したがって次のように言わなければならない。あらゆる大きく長続きする社会の本源は、人間が抱き合う相互的な好意よりも、彼らが抱き合う相互的な恐怖にある。 」Hobbes(1642)*35
「主権は全体に生命と運動をあたえる人工の魂であり、為政者たちやその他の司法や行政の役人たちは人工の関節である。ーー内乱のさいの悲惨で恐るべき災厄と、支配者のいない人々のあの無法状態と比べると(主権への服従という)人民におこりうる最大の不便さえも大したことではない。ーー人民が主権者の命令によって殺されることがありうるが、そのようにして死につく者は、その行為をする自由をもったのであり、自由を侵害されたのではない。」Hobbes(1651)*36

お分かり頂けるであろうか。
ここで引用を行うのは、テクストを解釈的に決めつけることを極力避ける意味で、諸氏に彼の思考を読解して頂きたい主旨故にである。
ホッブズが考えた「自然状態」とは「自然法」の枷せが外れた社会における人間の本性を意味する。
しかし、そのような状況下では社会は維持できない。
再度、ホッブズ曰く、
「社会状態の外には、各人の各人に対する戦争がつねに存在する人々が、彼ら
すべてを威圧しておく共通の権力なしに生活しているあいだは、彼らは戦争と呼ばれる状態にあり、そういう戦争は各人の各人に対する戦争である。
すなわち戦争は、たんに戦闘あるいは闘争行為にあるのではなく、戦闘によって
争おうという意志が十分に知られている一連の時間にある。」Hobbes(1651)*36
ホッブズが言う「戦争」とは実際の戦争ではなく、人間同士の闘争カオスのメタファーであるのだが、状態として自然状態にある人間は恐怖の中で互いに向き合っていことを「戦争」で表現しているのだ。

さて、故に、社会(統治)の永続性は「彼らが抱き合う相互的な恐怖にある。」。
「シビュラシステム」の支配下にある市民は執行対象とならぬよう、色相の濁りを常に気にしメンタルヘルスのメンテナンスに務めなければならない。これこそが一方の側面である「執行される者」の恐怖を模写しており、「臣民が主権者の命令によって殺されることがありうるが、そのようにして死につく者は、その行為をする自由をもったのであり、自由を侵害されたのではない。」Hobbes(1651)*36と執行する者はされる者の自由を守ったと考える奇妙な関係性(相互的な恐怖)である。{/netabare}

2-3-3シビュラシステムと唯物論の親和
{netabare} 本項の主題は「唯物論と自然状態」である。
「唯物論」とは如何なるものかは既に説明をしているが、人間はあくまで生物活動体であり、本来そこには各人の持つ個性が存在するが、これは一切抹消され、画一された物質的な存在と規定される。
つまり、唯物論が想定する社会に存する人間に個性の概念などはなく、皆同じ思考で同じ行動を行う「アトム(原子で構成された物体の意)的な人間」が抽象的に存在するのみである。
雑駁に述べれば、唯物論が土台の社会(社会主義や共産主義など)において人間は「モノ」と同列なのだ。
そして、人間のアトム化とは「無神論」を背理で具象していることに留意されるとともに、純粋な唯物論の世界に「神」は存在しない(してはいけない)のである。

再度ホッブズ曰く(括弧内は私の加筆)
「世界にすべて存在するものは物体であり、それは自然的物体、人工的物体、中間的存在である人間体に区分される【唯物】。人間は元来利己的動物【自然状態、特殊意思】であるから、合意的契約をもって社会の平安を図らねばならず【社会契約】 個人の上に絶対的権威、すなわち人工的物体の最高位である統治機構【一般意思】を必要とする。」Hobbes(1651)*36
そして、人間とは恐怖の枷(統治システム)がなければ好き放題なことを行う利己的な存在である故に、個人が持つ一切の自由と権利を放棄して主権に服従せよと説く。
さて、閲覧者諸氏はなぜかくもスムースに英仏間で思想の連携が行われているのか疑問に湧く方もいるだろう。
一つは、デカルトとホッブズが旧知の間柄であったことと、更に大きな理由として、当時の英国はイングランドであり、スコットランドやアイルランドは別の王国であったこと。
特に、宗教的には英国国教会とは独立しており、カトリックが多いスコットランドは大陸(フランス)との文化往来が盛んであり、フランス啓蒙がスコットランドの哲学者に影響を与え、英国経験論(スコットランド啓蒙)という独自の哲学に発展し、スコットランドのみならずイングランド全土へ二つの啓蒙思想の影響が伝播する。
字数に余力があれば「シビュラシステム」を掘り下げる意味で英国経験論にも言及すべきであろうが、それはまたの機会にする。

さて、ここまで読了してくれた聡明な閲覧者諸氏には「シビュラシステム」とは「PSYCHO-PASS」結果で生じる不安を担保に市民を統治する恐怖政治の一種であることにもうお気づきであろう。
「シビュラシステム」の統治下おいては犯罪係数の規定値が100未満の者のみ市民の権利が最大限保証される社会である。*37

唯物論では人間であるか否かまでも生物学的事実で規定するのだが「シビュラシステム」が認定する市民も、複雑なアルゴリズムで計算された数値で判断される。
なお、この計算内容、結果の真偽について、作品中では仮説演繹よりも帰納的事実を強調して視聴者に描写されていることに十分留意する必要があるのだが、かかるレトリックは、意図的に狡噛慎也、槙島聖護、常守朱意における「シビュラシステム」へ葛藤を最大限に引き出す驚愕のシナリオ構成と演出である。
よく比較される『攻殻機動隊』シリーズでは、ここまでマニアックな哲学的細工を施した演出は行われていない。

また、本作は、多くの哲学者、文筆家の言葉が引用されていることから「衒学」の疑念も湧くかもしれないが、脚本家達が哲学者や文学者の言葉を引用したのは、それをプロットに落とし込んで物語を成立させる絶対の自信と、単に台本をなぞるだけではなく、それられと整合した演出技法としても哲学をバインドしたことは映画『地獄の黙示録』、我が国の黒澤作品と並ぶものであり、アニメ離れをしたテクニック故に確実に知的好奇心を揺さぶるのだ。

端的に表現をすれば『攻殻機動隊』は哲学に対して素直でありリスペクトの対象としていることに対し、本作は哲学に対して捻くれており、哲学と遊んでいるのだ。勿論、後者の方が私流の褒め言葉である。

以下は蛇足であるが『劇場版 幼女戦記』(2019)においてターニャ(ターニャ・フォン・デグレチャフ)がコミュニストを忌み嫌っている描写がある。
これは、ターニャの前世の日本の社畜が所謂「新自由主義」の代表格としてよく取り上げられる「シカゴ学派」に心酔している設定において、資本主義と計画経済の二項対立を企図したのであろうが、ここまでの解説を熟読された熱心な諸氏は本作や『攻殻機動隊』と比して『幼女戦記』の政治哲学設定の希薄さを禁じ得ないであろう。
ターニャの思考様式は明確に「唯物論」であり「シカゴ学派」の格率に存在するものは「唯物論」とは対極に位置する「法の支配」と「プラグマティズム」、「批判的合理主義」である。
私としては、同作品において「シカゴ学派」や「大陸合理論」、「理神と無神の峻別」に対する理解と知見不足を曝け出しただけに思うし、原作者はアカデミカルに則り政治哲学を勉強すべきであろう。
これ以上の詳細は、同作のレビューで述べる。

本来、人が人であることの証は人同士の相互認識(印象)で成立するものだが、人格の数値データ化や、生物学的な定義のようにマテリアルな事実を杓子とする考え方、即ち唯物論の世界観は歴史的事実に鑑みても、コミュニズムに代表される全体主義左翼思想にしか適用されていないのだ。

故に唯物論から紐解かれる「シビュラシステム」の概念の一部はホッブズの図版にあったと仮説できるが、ここまで「理性(万能)主義」、「理神論」、「無神論」、「唯物論」、「自然法」、「自然状態」と説明を続けてきたが、これでようやく「シビュラシステム」の哲学的核心の半分に到達したか否かであろう。

次項「自然権」、「社会契約」、「デストピア」推論と考察。
以後、追記予定。
(仮題)
相対的応報刑論、目的刑論から「シビュラシステム」の推論と考察。
物語構成技法の検証。
作品各論。
-----------------------------------------------------------------------------------
*31『ブリタニカ国際大百科事典』 ブリタニカ・ジャパン(2018)
*32Ludwig Andreas Feuerbach(1804 - 1872)独
*33Popper『科学的発見の論理』(1934)
*34#20 「正義の在処」
*35Hobbes『市民論』(1642)
*36Hobbes『リヴァイアサン』(1651)
*37公式サイト{/netabare}

文字数制限の関係で本レビューは分割掲載とします。
ここまで乱筆乱文なレビューを閲覧していただき、深く謝辞を述べます。
To Be Continued

2019年6月30日初稿

投稿 : 2022/10/01
♥ : 56
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「分析官、鑑定結果は?」「哲学的中二病エンターティンメントかな笑」

※AKIRAをつい更新してしまったので、こっちも更新しておこう(長文注意)。
※第1シリーズ(オリジナル版)・新編集版・第2シリーズ・劇場版、全て併せた感想・レビューです。

◇劇場版の1時間23分付近(狡噛と傭兵隊長のダイアローグ(対話))

{netabare} ----------------------------------------
「国家が崩壊した世界では暴力の民間化が行われる。なぜなら組織された暴力の独占こそが国家の本質だからだ。暴力が拡散すると、それは政治以下的なものになる。社会的憤怒を源泉とした経済活動としての組織暴力だ。・・・ふん。」
「『地に呪われる者』か。ポスト・コロニアルかぶれの傭兵とは始末が・・・悪い。」
「ほう、腕だけでなく学もあるのか。ますます面白い。聞けばお仲間のゲリラどもは、随分とお前に心酔していたそうじゃないか。何か耳障りの良い思想でも吹き込んでやったのかぁ(笑)」
「知らないね。」
「だが、何だろうな。確かにお前と話していると不思議と気分が高揚してくる。ワーグナーの曲でも聴いているような。」
----------------------------------------{/netabare}

このシーンを観たとき、余りに愉快で、思わず声を立てて笑ってしまいました。
さっそく、『地に呪われる者』で検索すると、フランツ・ファノン著と出て来て、アルジェリア独立運動の指導者でポスト・コロニアル思想の先駆者とか(笑)。
それでついでに、「現代思想」なるものをさっと調べる際のマニュアル本として重宝している『現代思想入門』(2007年刊、PHP)のポスコロの項をチェックすると、たった1行だけマハトマ・ガンジーや魯迅と並んで、非西洋の思想家としてその名前が書いてあって、虚淵玄氏はこんなものまで読んでるのか!と、また愉しくなってしまいました。

本作は、このように哲学者・思想家・文学者の名前やその著作が、ワザとらしくも矢継ぎ早に出てきて(※ただし、冲方丁(うぶかたとう)氏がシナリオ原案を担当している第2シリーズはそうではありません)、まるで、これって「哲学的中二病」作品?といった感想さえ持ってしまうのですが、視聴し続けるうちに、それが次第に心地良くなっていくという、他に類例のない貴重な経験をさせていただきました。


◆それでも最初は、とっつきにくかった第1シリーズ

本作の第1シリーズ(オリジナル版)放送当時は、『まどマギ』の虚淵玄氏がシナリオ原案・脚本を担当する作品という事前情報に惹かれて、とりあえず第1話を視聴してみたのですが、責任主義・罪刑法定主義や応報刑論といった近代法の大原則を完全に逸脱する設定をいきなり見せつけられて、「何だこの狂った社会は?」と呆れてしまい、そのまま放置してしまいました。

ところがその後、本サイトなど各所で本作が話題になるは、新編集版さらに続編が作られ去年は劇場版も公開され興行収入8.5憶円のヒット作となるはで、これは一度は見とかないといけない作品だな、と思い直して、第1シリーズから劇場版まで一気観してみました。

これが、実に面白くって、とくに他作品では滅多に味わえない知的興奮を沢山味わえて、アニメの新しい魅力と可能性を、更にもう一つ発見できたような、そんな嬉しい気持ちになりました。

視聴した順番は、第1シリーズ(オリジナル版)→第2シリーズ→劇場版→新編集版で、その後さらに各作品をもう一周ないし二周したのですが、その中でも、上に書いた劇場版での狡噛と傭兵隊長のダイアローグ(対話)、そして、その後に見た新編集版の各話にある填島聖護のモノローグ(独白)および狡噛とのダイアローグが、特別に興味深く思えました。

多分、本シリーズは放送された順番のとおり、つまり、第1シリーズ(オリジナル版)→新編集版→第2シリーズ→劇場版、の順で視聴するのが一番楽しめるのでしょうね。

以下、各シリーズの各話の内容を簡易にまとめた後、本作でたくさん言及のある哲学者・文学者やその作品について一覧にまとめ、最後に填島および狡噛の印象的なセリフを引用しつつ、個人的な感想を長々と綴っていきます。
いけないな・・・自分も本当に楽しみ過ぎている・・・笑笑


◆シリーズ別評価

第1シリーズ ★★  4.7 
新編集版   ★★  4.8 
第2シリーズ ★   4.4 
劇場版    ★★  4.5 
-------------------------------
総合     ★★  4.7 


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


===== PSYCHO-PASS サイコパス (2012年10月-2013年3月) =====

- - - - OP 「abnormalize」、ED 「名前のない怪物」 - - - -
{netabare}
 《起》 公安局刑事課の職務が示される

第1話 犯罪係数 ★ 冒頭に填島vs.狡噛、常守朱監視官の初任務(廃棄区画人質事件)
第2話 成しうる者 ★ 監視官・執行官それぞれの職分
第3話 飼育の作法 ★ ドローン工場殺人事件
第4話 誰も知らないあなたの仮面 ★ 人気コミュ主殺人・乗っ取り事件、填島再登場(*1)
第5話 誰も知らないあなたの顔 ★★ 続き

 《承》 凶悪犯罪の黒幕の正体が次第に明かされていく

第6話 狂王子の帰還 ☆ 狡噛執行官の過去(標本事件)、全寮制女子学園猟奇殺人事件、犯罪の黒幕(填島)
第7話 紫蘭の花言葉 ☆ 続き、ユーストレス欠乏性
第8話 あとは、沈黙 × 続き、校内捜査~結末、※かなりの悪趣味さは×
第9話 楽園の果実 ★ 雑賀元教授(黒幕のプロファイリング)、宜野座監視官の事情
第10話 メトセラの遊戯 ★★ 狡噛執行官おびき出し、廃棄地下鉄構内ハンティング事件
第11話 聖者の晩餐 ★★ 続き、狡噛・填島の初対面、常守・填島の初対面、填島の問い(*2)、親友の殺害{/netabare}

- - - - OP 「Out of Control」、ED 「All Alone With You」 - - - -
{netabare}
 《転》 社会の繁栄を支えるシビュラシステムの正体が次第に明かされていく

第12話 Devil's crossroad ★ 六合塚執行官の過去、シビュラ打倒レジスタンス
第13話 深淵からの招待 ★ シビュラの恩寵(*3)、免罪体質者(藤間幸三郎、そして填島)、常守のメモリー・スクープ
第14話 甘い毒 × 群発ヘルメット暴徒事件、街路での女性撲殺シーンが酷すぎる
第15話 硫黄降る街 ★ 填島の陽動、厚生省NONAタワー襲撃
第16話 裁きの門 ★★★ 続き、狡噛vs.填島、常守の選択、シビュラ中枢への到達、縢秀(かがり)執行官殺害

 《結》 シビュラへの信頼が失われた後の各自の決断が試される

第17話 鉄の腸 ★★ シビュラの正体(禾生(かせい)局長vs.填島)、填島から狡噛へのメッセージ
第18話 水に書いた約束 ★ 刑事課に広がる疑念、常守の成長(cf.第1話)、狡噛「法の外」へ 
第19話 透明な影 ☆ 雑賀再登場、填島の次の狙い、宜野座の消耗
第20話 正義の在処 ★ シビュラの真実・迫られる決断(常守)、穀倉地帯バイオテロ計画
第21話 血の褒賞 ★ ウカノミタマ管理センター攻防戦、征陸(まさおか)執行官殉職
第22話 完璧な世界 ★ 続き、填島の最期、宜野座の選択、後輩(霜月)の着任(cf.第1話){/netabare}
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)4、★(良回)12、☆(並回)3、×(疑問回)2 ※個人評価 ★★ 4.7

※注釈
{netabare}(*1)填島の再登場シーンで、彼が両手に抱えているのは、有名なディストピア小説 George Orwell“Nineteen eighty-four”(ジョージ・オーウェル『1984年』)
(*2)「シビュラの神託のまま生きるか、自らの意思に従って生きるか」という問い。
(*3)禾生局長と宜野座監視官の会話「この安定した繁栄、最大多数の最大幸福が実現された現代の社会を、いったい何が支えているのかね?」「それは厚生省のシビュラシステムによるものかと」。{/netabare}

<視聴メモ>
{netabare}
・第1話視聴直後の感想として、フィクションとして面白かったのだけど、責任主義・罪刑法定主義を完全に逸脱する内容には開いた口が塞がりませんでした。
・第3話視聴直後の感想として、バトルの派手さは評価するけれど、特定人物の描写のキモさに少し閉口しました。
・第7~8話の、女子高生プラスティネーション(生体標本化)シーンの悪趣味さ・グロさも要注意。
・第14話の、女性撲殺シーンの悪趣味さも要注意。
・第16話で、ようやく第1話冒頭シーンにつながる。{/netabare}


===== PSYCHO-PASS サイコパス 新編集版 (2014年7-9月) =====

全11話 ※各話評価は割愛({netabare}オリジナル版の各話を2話ずつ組み合わせ、冒頭部等に少し新シーンを入れただけの内容の為{/netabare})


======= PSYCHO-PASS サイコパス 2 (2014年10-12月) ========
{netabare}
第1話 正義の天秤 <299/300> ★★ 公安局刑事課一係の新体制、二係酒々井(しすい)監視官の拉致
第2話 忍び寄る虚実 ★ 公安局への挑戦、鹿矛囲(かむい)からの問い掛け(WC?)
第3話 悪魔の証明 ☆ 公安局への挑戦(続き)
第4話 ヨブの救済 ★ 医療施設立て篭もり事件、青柳監視官殉職、※かなりのグロさ要注意×
第5話 禁じられない遊び ★★ 軍事ドローン施設捜査、ハングリーチキン事件
第6話 石を擲つ人々 ★★ ハングリーチキン事件(続き)、集団的サイコパス汚染、鹿矛囲との対面
第7話 見つからない子供たち ★★ 15年前の事故~成長復元ホロ、執刀医の告白(鹿矛囲の目的)
第8話 巫女の懐胎<AA> ★★ 続き、東金財団の秘密、鹿矛囲の正体はやや難あり×
第9話 全能者のパラドクス ★ 国交省役人晩餐事件、常守の祖母、※グロ注意
第10話 魂の基準 ★ 地下鉄立て篭もり事件、東金執行官の正体
第11話 WHAT COLOR? ★ 集合的サイコパスの受容{/netabare}
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)5、★(良回)5、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4

OP 「Enigmatic Feeling」
ED 「Fallen」


======= 劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス (2015年1月) =======

全1話 ★★ {netabare}東南アジア某国へのシビュラ輸出計画、狡噛との再会、俺たちの闘いはまだ続くEND{/netabare} ※約2時間

OP 「Who What Who What」
ED 「名前のない怪物」


◆本作に登場する書籍、言及される哲学者・作家一覧と、そこから見えてくるもの

《第1シリーズ(オリジナル版)に登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・第4話で、填島が手にもつ本は、ジョージ・オーウェル『1984年』
・第5話で、ルソー『人間不平等起源論』、寺山修司『さらば映画よ』(戯曲)
・第6話で、シェイクスピア『マクベス』、『タイタス・アンドロニカス』
・第7話で、キルケゴール
・第9話で、プラトン
・第11話で、デカルト
・第13話で、病室の狡噛が手に持つ本は、ジョセフ・コンラッド『闇の奥』。また病室の机に置いてある本は、スタンダール『赤と黒』
・第14話で、填島の読んでいた本は、岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』
・第15話で、ウィリアム・ギブソン、フィリップ・K.・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、ジョージ・オーウェル
・第16話で、パスカル、オルテガ
・第17話で、スウィフト『ガリバー旅行記』
・第19話で、M.ウェーバー、M.フーコー、J.ベンサム「パノプティコン」
・第21話で、ヨハネ福音書「一粒の麦」
・第22話の最終シーンで、狡噛が船室に残していく本は、M.プルースト『失われた時を求めて-第1巻-スワン家のほうへ』{/netabare}


《新編集版のみに登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・第2話で、クラウゼヴィッツ(プロイセンの軍人)
・第5話で、ミシェル・ヴィヴィオルカ(仏社会学者)
・第6話で、『ベーオウルフ』(古英語で書かれた英雄譚)
・第7話で、バートランド・ラッセル『幸福論』{/netabare}


《第2シリーズに登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・第8話で、J.ベンサムの考案したパノプティコン(一望監視施設)に言及あり(※但し、第1シリーズ第19話に既出)
→第2シリーズは、虚淵玄氏ではなく、冲方丁(うぶかたとう)氏がシナリオ原案を担当しているので、虚淵氏担当分のような哲学者や文学作品の「中二病」的なひけらかしがない。{/netabare}


《劇場版に登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・M.プルースト『失われた時を求めて-第7章-見出された時』
・フランツ・ファノン『地に呪われたる者』{/netabare}


◇ジョージ・オーウェル『1984年』を下敷きとした作品世界

本作の裏の主人公でダーク・ヒーローである{netabare}填島聖護は、第1話冒頭に登場した後は、第4話ラストまでしばらく出てこない{/netabare}のですが、その彼が再登場するシーンで手に持っている書籍は、上記のとおり、ジョージ・オーウェル『1984年』の原書(1949年刊)でした。
この『1984年』という小説の世界では、“Big Brother is Watching You.”(大兄が貴方を見守って/監視している)というスローガンが街のあらゆる場所に掲示されていて、このBig Brotherという全能の官僚システムによる人々の生活の保護と監視が抱き合わせになった社会の様相と矛盾が描かれているのですが、本作のシビュラは、これに相当する存在として描かれています。
そして、そうした全能の官僚システムが人々の生活を全面的に保護/監視する高度な「福祉国家(welfare state)」が成立している『1984年』の世界では、「厚生省(welfare department)」の役割と権限が肥大化していて、本作(PSYCHO-PASS)の作品世界でも、それを参照してか、公安(局)が現在の日本のような「内閣府」所轄ではなく、「厚生省(厚生労働省)」に所属している設定になっています。
また、そのような全能の官僚システムは、その正当性に人々が一切疑念を持たないように、不都合な真実(とりわけ不都合な歴史的経緯)を徹底的に隠蔽しようとすることも『1984年』には描かれており、本作(PSYCHO-PASS)でも、システムに不都合だったり余分だったりする情報(とくに歴史的経緯に関する情報)は隠蔽されている設定になっています。

→この後、沢山の文学・哲学作品や文学者・哲学者の名前が本作に引用・言及されていくことになるのですが、以上の点から、本作の作品世界が、この『1984年』を下敷きとしていることは明らかなように私には見えました。


◇填島の(≒虚淵玄氏の)"教養ラインナップ"

割と雰囲気だけで選ばれているように見える文学作品は別として、本作に言及のある哲学作品・哲学者の選択は、私には以下のように分類できるように思えました。

(1) 「大きな物語」ないし「大理論」を提唱するもの
 プラトン(哲人政治を提唱)、デカルト(理性による世界の再構築)、
 ルソー(社会契約による国家と社会のリセット)、ベンサム(功利主義による社会の再設計)

(2) そうした「大きな物語」「大理論」が具現化した世界の様相を描くもの
 ジョージ・オーウェル『1984年』(※これは小説ですが)

(3) 「大きな物語」「大理論」の不可能性を提唱するもの
 フーコー(※パノプティコンに象徴される隠された権力構造を批判したポスト構造主義の思想家)、
 デリダ(※脱構築を唱えたポスト構造主義の思想家)

(4) 申し訳程度にデカルトなど提唱の「大きな物語」に反論しようとしたもの
 パスカル、オルテガ

→以上から見えてくる、填島の(つまり、シナリオ原案・脚本を担当した虚淵玄氏の)"教養ラインナップ"は、冷戦終結以前(1980年代末まで)のもの、そして、こうした哲学・思想の潮流の伝播がどうしても周回遅れになってしまう日本に当てはめても、せいぜい1990年代中頃までのもの、であるように私には見えて、個人的にかなり興味深く思いました。
→つまり、冷戦終結後~現在までの哲学・思想のメイン・ストリームとなっている、英米系の分析哲学・科学哲学や、旧新(ないし左右)のリベラリズムの哲学者・哲学書への言及が全く抜け落ちている、ということ。
→この点について、さらに後述します。


◆填島&狡噛の独白・対話、 本作のコア・コンセプト考察

◇新編集版第1話の冒頭(填島の独白)
{netabare}
「どこかの誰かが、愚かな人類どもといったとして、その人類には当然、自分自身も含まれている。
人間について知りたいと思ったら、人間を見ているだけではいけない。
人間が何を見ているのか?に、注目しなければ。
君たちは何を見ている?僕は、君たちを見ている。
信じられないかも知れないが、僕は君たちのことが好きだ。
昔からよくいうだろう?愛の反対は憎悪ではなく、無関心だ。
興味がないのなら、わざわざ殺したり痛めつけたりはしないんだ。
・・・
余計なことばかり考える。緊張しているのか?
相手を甘く見過ぎて、踏み込み過ぎた?
・・・
なんてね。(笑)」{/netabare}

(※コメント)
他人(あるいは自分)を観察するときは、その行為を見るだけでなく、内面の動きをも見る必要がある、ということでしょうか。
いずれにせよ、グッと引き込まれるセリフで、これがオリジナル版になかったのは個人的にはかなり惜しかった気がします(これがあれば放送当時早々に視聴を断念していなかったかも)。


◇新編集版第1話の中程(狡噛執行官の夢の中での独白)
{netabare}
「公安局監視官。シビュラの尖兵。厚生省のエリートコース。
この社会に適応できない人間が発生することも、システムはシステムに組み込んでいる。

重要なのは最大多数の最大幸福であり、全人口の幸福ではない。

治安が悪い地区をある程度放置するのは重要だ。
不可能を実現しようとすれば、必ず破綻する。
完全な社会は、完全な社会を諦めることによって成立する。
シビュラシステムとは、そういうものなんだろう。

しかし、だ。
あの事件、あいつの死は、明らかに異常だった。
シビュラシステム運営下には有り得ないタイプの犯罪。
そんなことが出来る奴が、どこに、どうやって?」{/netabare}

(※コメント)
これもオリジナル版にはなかったセリフ。「最大多数の最大幸福」はおなじみジェレミー・ベンサムの提唱した功利主義のスローガンですね。
なるほど、シビュラシステムはベンサム型の功利主義(結果重視タイプの功利主義=帰結主義)を具現化したもの、という建前なのですね。


◇新編集版第4話の冒頭(填島の独白)
{netabare}
「何を考えているのかは分からなくても、絵を描く動物は殺しにくくなる。
感情があるのではないか・・・直感的に僕たちはそう感じるはずだ。
表現することには、その位の価値がある。

近代に入って、社会は絶対的な価値観の追究を諦めた。
相対的な、偏差値的な世界観を中心に据えるようになった。
しかしそれは、絶対的なものは不要になったからではなく、酸っぱいブドウだとして切捨てにかかっただけに過ぎない。
手に入れにくいから、最初からなかったことにしよう、と。

そこに、シビュラシムテムが現れた。
システムは文化や芸術にも介入するようになった。
シビュラ認定芸術家、シビュラ推奨作品。
ブラックボックス化された独自の判定基準によって、発展に必要な苦悩と対立が減少してしまった。

表現することを侮るようなやり方は、やがて、社会に致命的な停滞を・・・もたらす。」{/netabare}

(※コメント)
これもオリジナル版にはなかったセリフ。
西洋思想の流れでいうと、中世まで信じられた“神”中心の絶対的価値観が崩れ、相対的な価値観を認めざるを得なくなった近代で、今度は、“神”に代わって“理性”を中心におくデカルト流の理性主義・設計主義(もし神の存在を証明できないのならば、人間が神に代わって、自らの理性を極限まで働かせることによって、理想的な社会を設計・構築することが出来る、とする思想)が登場し、ルソーやベンサムもその流れにつながるのですが、そうした理性主義・設計主義が具現化した世界を描いた代表的フィクションが、前述のジョージ・オーウェル『1984年』です。
そして本作に描かれたシビュラシステムも、そうした発想からの派生(シビュラ=『1984年』の Big Brother)に見えました。


◇新編集版第5話の中程(填島の独白)
{netabare}
「君なんだな、僕の犯罪に発生した現時点最大の摩擦は。
君の持つコンパスは正確か?
僕はこの世界において、限りなく罪と罰から遠い場所に立っている。
通常の手段で僕に追いつくことはできない。
そのためには君は、頭の中にとても正しいコンパスと地図を持ってなければいけない。

昔から、一人遊びが苦手だった。
僕はどんなときでも二項対立を欲しがった。
戦うこと、競うことを思い切り楽しんでから、脱構築主義者みたいに二項対立そのものをズラしていく作業が好きだ。

君は、どの程度なんだ?
時々、自分がどの程度なのか確かめたくなる。
自分の位置と自分の強さを試したくなる。

手伝ってくれるんだろ?公安局執行官。」{/netabare}

(※コメント)
これもオリジナル版にはなかったセリフ。
「脱構築」とは、明鏡国語辞典によると、「フランスの哲学者デリダの用語。形而上学を支配している二項対立的な発想を解体し、その仕組みの再構築を試みることによって新しい可能性を見出そうとする思考の方法。デコンストラクション。解体構築」という意味です。
これは、1960年代後半~80年代に主にフランスの哲学者たちによって喧伝された「ポスト構造主義」という哲学潮流のメイン・コンセプトなのですが、実は、こんなの(=形而上学の全面的否定・排撃)って、英米圏では1950-60年代から常識だったんですけどね(科学哲学・分析哲学の興隆)。
ただ、フランスや西ドイツといった欧州大陸の西側諸国や日本では、形而上学・・・というより「大きな物語」「大理論」の全面的否定は、なかなか受け容れられませんでした(何故なら、マルクス主義革命による人類の革新(という「大きな物語」)を夢見る人たちがアカデミズムの世界で長らく頑張っていたから)。
そして、そうした「大きな物語」「大理論」の思想的根拠がようやく崩されたのが、1970年代のフランス発のポスト構造主義の「脱構築」という思想コンセプトの提唱と普及であり、それが日本には1980年代に入ってようやく伝播してきたのでした(浅田彰『構造と力』・・・「哲学は終わった」という言葉が流行ったらしい)
でも、ポパー(反証可能性理論を提唱したオーストリア出身・イギリス帰化の科学哲学者、主著『開かれた社会とその敵』『ヒストリシズムの貧困』)やハイエク(自生的秩序論を提唱したオーストリア出身・イギリス帰化の経済学者・法哲学者、主著『自由の条件』『法と立法と自由』)やアーレント(英米の革命と仏露の革命の本質的差異を分析したドイツ出身・アメリカ帰化の政治学者、主著『革命について』『全体主義の起源』)の論説が早くから当たり前となっていた英米圏では、「何を今さら」という感じだったのだろうと思います。
上で既に指摘していますが、本作で開陳されているシナリオ原案・脚本担当者(虚淵玄氏)の"教養ラインナップ"が、実は「脱構築」すなわち「ポスト構造主義」まで(=つまり、日本で言うと、どれだけ遅く見ても1990年代中頃までのラインナップ)であることが、ここではっきり分かります。


◇新編集版第6話の冒頭(填島の独白)
{netabare}
「西部劇的、いや古典英雄譚的決闘と言うべきかな。
かび臭い地下の、例えるならディストピアのベオウルフ。
生まれる時代も場所も、すべて間違えて、それでも僕たちはここにやってきた。
僕たちは間違った社会に生まれた。
それでも、歩む道は間違えなかった。

勿体無い。
泉宮寺さんも、僕が思っていたよりずっと摩擦に対する対処能力が高い。
今から、あのふたりが突然仲良くなったりしないものか。
一度は殺しあったけど、はい、握手で仲直り、全部水に流しましょう、って。

拙いな。
少し楽しみ過ぎてる。
自分がやっていることが綱渡りだということ、忘れるべきじゃない。
ふふん。」{/netabare}

(※コメント)
ここで、ディストピア(dystopia、暗黒郷、ユートピア(理想郷)と正反対の地)という表現が登場します。
なお、ベオウルフは英国最古の英雄叙事詩の題名であり、その英雄の名です。
「僕たちは間違った社会に生まれた。それでも、歩む道は間違えなかった。」とあるので、この英雄たちには、狡噛執行官・泉宮寺氏のほかに、填島自身も含まれるのでしょうね。
本作の舞台が、ディストピア世界であり、本作が、そうしたディストピアに抵抗する英雄たちの物語であることが、ここで明言されたように私には見えました。

本作の裏の主人公{netabare}(填島聖護){/netabare}は、{netabare}潜在犯に犯罪手段を供与して実行犯に仕立て挙げたり、自らの手で何の怨恨もない一般市民を殺害してしまう、間違いなく最凶の悪人キャラ{/netabare}なのですが、その彼が、実は{netabare}マクロ的にはシビュラという暗黒のシステムに支配されたディストピア世界に反旗を翻した"英雄"である{/netabare}、という二重構造になっていますね。
そして、表の主人公{netabare}である公安局の二人(常守監視官と狡噛執行官){/netabare}も、{netabare}填島の犯罪を追及するうちに次第しだいに、自分たちが命がけで守っているシステムが、実は醜悪な「怪物」{/netabare}であることに気付いていくことになります。
→こういうのは、SF映画などにはよくある舞台設定なのかも知れませんが、システムを壊そうとする側と守る側の、どちらに「正義」あるいは「大義」が存在するのか判別し難い、という設定は、やはり私には凄く魅力的なものに見えました。


◇新編集版第8話の終盤(填島と狡噛の対話)
{netabare}
「正義は議論の種になるが、力は非常にはっきりしている。そのため、人は正義に力を与えることができなかった。」
「悪いが、俺は、誰かがパスカルを引用したら用心すべきだと、かなり前に学んでいる。」
「ふふぁふぁふぁ。そう来ると思ってたよ。オルテガだな。もしも君がパスカルを引用したら、やっぱり僕も同じ言葉を返しただろう。」
「貴様と意見があったところで、嬉しくはないな。」
「語り明かすのも楽しそうだが、あいにく、今僕は他の用件で忙しい。」
「知ったことか。」{/netabare}

(※コメント)
デカルト・ルソー・ベンサムといった理性主義・設計主義・リセット主義の哲学者に反論を“試みた”哲学者・思想家の選択として、妥当だと思いました。
→正直にいえば、反論を“試みた”に留まらず、それらをはっきり“論破”した、と英米圏で見なされている哲学者・思想家(つまり前述のポパーやハイエク等)に言及があれば尚良かったのですが、そこは虚淵氏のラインナップが少し古い、ということで仕方ないのでしょうね。


◆総評

本作は、「未来SFもの」「未来警察・犯罪もの」としても、十分以上に楽しめる良作と思いますが、個人的にはそれ以上に、“思想・哲学エンターティンメント”という、これまで自分がアニメのジャンルとしては考えもしなかった部分で、物凄く面白かったし、感嘆させられた作品となりました。
(小説やマンガでは、ある程度そういうジャンルの作品があることは知っていましたが)

※とくに、たまに見かける環境問題とか戦争とか核処理の問題などをテーマとして特定の“思想・哲学”を視聴者にステルス的に刷り込もう・制作者側の考えを一方的に視聴者に押しつけよう、とするタイプの作品ではなく、あくまで、“思想・哲学"を扱った"エンターティンメント作品”として、ちゃんと成立している点が、本当に素晴しいと思いました。

私の視聴済み作品の評価方法では、これまでずっと、

(1) 自分が、強く「感動」させられた作品については、評価点数4.6以上
(2) 面白かったけれども、強く「感動」するには至らなかった作品については、最高でも、評価点数4.5まで

としており、それに従えば、本作も (2) に該当することになりますが、本作については、「感動」には至らなくとも、このような作品が制作されたことへの「感嘆」が非常に大きく、他の「面白かった」作品との評価の区別を確り付けたい、という気持ちが強く湧いてしまったので、非感動系作品としては本作に限り、評価点数を4.7としました。

こんな感じの作品が、これからも制作されるのなら、本当に嬉しいのですが。


*(2018年1月26日) 誤字修正

投稿 : 2022/10/01
♥ : 73
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

じっくりスタートそして加速を続ける面白さ。

人の個性、感情などを完全に数値化した世界で
執行官(犯罪計数が高く犯人逮捕にのみ世間と関われる者)と
監視官(執行官を監視するもの)がチームとなって事件を解決していくストーリー。

ノイタミナ枠のなかでも大人っぽい渋い作品だと思います。
黒で統一された公安の衣装は渋カッコ良く、声優さんたちの演技も渋めです。

このアニメは猟奇殺人を扱ったり、犯人逮捕時に惨殺したりと怖い面もあり人を選びそうですが、世界設定や雰囲気に魅力がありますのでハマる人も多そうです。

主要キャラは物語が進むにつれ掘り下げていく形になっています。
主人公、新人監視官の常守朱が自身の立場に悩んだり葛藤しながらも職務を果たしていく姿を観ているうちに感情移入できました。
着任当初はあまり役に立っていなかった彼女でしたがちょっとずつですがチームに影響を与えていっている感じが見え隠れしてきましたし。(シビュラ判定で職業適正良かったのも間違いではなさそうです。)
今後、彼女が何を思いどう変わっていくのかも物語の鍵になりそうです。

槙島という黒幕の影がだんだん濃くなり、一本調子かと思えば衝撃を入れ込み、また機械や数値に頼っている世界設定とうまく絡めたストーリーは興味深く、だんだんと面白さが加速しております。

序盤でもう少しサブキャラメンバーを掘り下げてくれればもっと良かったんですけどねー。
六合塚さんなんて全然触れられてないですし…。

               <以上前半感想>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いよいよ後半再会です。今期は「考えるアニメ」が少ないので期待も大きいです。

相変わらずセンスのあるOP&EDは健在で一安心。
EDはシビュラから見たイメージですかね。

注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

さて、本題の内容ですが…
※12話感想{netabare}
ここで来ましたね六合塚さんの掘り下げ。
なるほど終わってみればいいタイミングです。
物語のテーマの琴線に触れる話が絡んでるんですね。

やはりシビュラも万能ではなく不安定要素が見え隠れします。
音楽や芸術等の数値化しにくい要素では特に。

また犯罪計数の数値の1,2の僅かな違いで
「バラライザ」で終わるか「リーサル」で終わるか結果に大きく影響するようです。

シビュラに不信感を持ち 力を求め闇へ向かう友人を止める事が出来なかった六合塚は
自身の立場や無力さを痛感し 執行官となり黒いスーツに袖を通す覚悟をします。
皮肉な事にこれもまた力を求めて…。
その真っ直ぐな決意のこもった眼差しの向こうには何が見えるのでしょうか。
友人の様に闇側に落ちていく存在は必ず食い止めるという意志や使命感も感じます。
前半、女学生に「大事な友達だったのね。」と慰めたシーンが印象深くなりました。
想いを知ると六合塚さんのスーツ姿が更にカッコイイ。ラスト少し感動しました。

また友人に対しても引金を引けた六合塚を見た狡噛の台詞が印象的です。
(六合塚の執行官適正を見抜いた)「シビュラの目に狂いは無かった」と。
これは暗に、
『六合塚に潜在犯の判定をしたシビュラの目にも狂いは無かったのか?』
という問いかけや皮肉が込められていた様に思います。
彼女は元々、潜在犯として扱うべき存在だったのでしょうか?

六合塚に魂を入れ、前半の問題点を踏襲し再認識させた秀逸な後半のスタートでした。
今後レジスタンスとの絡みもありそうです。
{/netabare}

※13話感想{netabare}
常守朱=サイコパスが平常を守りレッドゾーンに行かない
って感じの意味があったんですね。

前半のあの終わり方に心配しましたが、随分タフな一人前の刑事に成長していました。
深い悲しみや後悔があっても自分がやるべき事を見据え行動する姿が良いです。
計算高い槙島でも予想以上ではないでしょうか。

ドミネータで読み取れない免罪体質者がレアケースで出るようです。
シビュラ絶対のこの世界で公開できないですよねそりゃ。
槙島から見たらこんな世界は嘘でくだらなく見えるのかも。
だからと言って悪事を見過ごす訳にもいかないので、
公安のメンバーには頑張ってもらわないといけないです。
朱は免罪体質とは少し違うのかも知れませんが同じくサイコパスが濁らぬ槙島とは
反対の道を進みこの世界を受け入れ自立しています。
槙島vs狡噛だけでなく槙島と朱を対比させて観るのもありかもしれません。

アバンで宜野座さんの父が出てきそうと思っていたら、もう出ていたとは。
前半、征陸さんとのやり取りを注目不足だったかも知れないですが似てないですし
流石に予想つきませんでした。
奥さんや腕を失ういきさつ等の過去も少し気になります。

槙島と公安のお偉いの禾生さんとも繋がりがある様子。
宜野座と征陸の直後でしたのでつい親子かなと思ってしまいますが、
どうなんでしょうか次が気になります。
こちらにも槙島(maximum:最大の)「聖護」という名前遊びを感じますしね。

今更ですがやはりこのアニメ音の使い方が抜群ですね
上手く感情を揺さぶってくれます。
{/netabare}

※14話感想{netabare}
OPアニメがカッコ良くなってました。槙島を追いつめる公安メンバー。
狡噛はドミネータではなくリボルバー、みんなとも進む方向が逆なのが気になります。

サイコパスのコピーヘルメットが登場。
路上殺人する様も怖かったですが、傍観する様も怖い。
かなりのインパクトがありました槙島もおかしいですが世の中も狂ってます。
ただ全員が全員傍観者なのは行きすぎた演出な気もしました。
アバンで薬剤師さんも動揺していた様に、流石に中には驚く人が居るんじゃないかと…。
現代でも事件事故があると平然と写メ撮る人もいるので揶揄もあったのかな?
このヘルメットまだ多数あるようで今後が気になります。

槙島の読んでいた本は革命に関連した物でした。
このシビュラ任せの状態の世の中をひっくり返すには
強引で強烈な悪になる必要もあるのかも。
彼目線で作品を追えばダークヒーロー物としても楽しめるのかも知れません。
電話相手はチェグソンですかね、単なるハッカーとも思えないし、
レジスタンスと繋がってるのかな? 謎の男です。
{/netabare}

※15話感想{netabare}
前回の引きがありましたので予想はしていましたが、
例のヘルメットにより街は大混乱、サイコハザードが起きてしまいました。
誰もが急に人を信じられなくなる様は恐ろしい。
目を覆いたくなるシーンも結構ありました。

コレを煽るチェグソンのハッカー力も凄いです。
冷静ですし前回は路上撮影もしてたので彼も免罪体質でしょうかね。
この暴動が収まってもかなり社会へダメージがあると思いますが、
槙島には更なる計画がある様です。
槙島とチェグソン率いる外国人部隊はシビュラの中枢の厚生省ビル ノナタワーへ。
シビュラの秘密を暴き、その手から人々を解放する革命を起こそうとしている様です。
止められるのかは朱チームに掛かっています。
朱にもプロファイル力が培われてきていますね。
シビュラが人を支配してしまっているこの世界ではどちらが正しいかのか判りませんが、
手段は汚いので何とか槙島を抑えて欲しいです。
後半に来て更に内容もあってテンポも良くなっています。

シビュラの真相がとても気になります。
【予想:シビュラの真相(先入観を持ちたくない人は飛ばしてね)】
{netabare}
安定した人生の与える裏に何か目的が隠されているのでしょうか。

①<上流、特権階級の人々の安定>
可能性のある幼少から英才教育出来れば未来が開ける世界、
一度上に立った者の理想郷になっている。

②<政府による反体制思想の封じ込め>
気付かぬうちに人の可能性や考える事を奪い骨抜きにして家畜の様にコントロールしている。
政府だけでなく他国が関与している可能性も。

③<機械による人類の支配と保護>
SFが強いけどノナタワーは機械やアンドロイドの巣窟で世界は既に人類の手を放れている。
槙島さえ人間を観察し思想を学び知識を詰め込んだ世界一人間くさいアンドロイドとか。
…等が部分的や複合も含め思い浮かびます。

前半の泉宮寺のコメントや
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を引っ張り出したりとピースを集めると、
機械による人間や生物の保護の色は一層濃くなっている様に思います。
ですので個人的には③の可能性が高いと思います。
『機械が人間を飼っている』処まで行ってるんじゃないでしょうか。
槙島がアンドロイドなのか…までは微妙ですが。

【槙島アンドロイド・人造人間説】
自信があるわけではないですが当てずっぽうでもないです。
御堂、王陵、泉宮寺そして狡噛を興味深く冷静に観察し分析している点。
親兄弟、出自が不明ながら公安上層部に繋がりがある点。
槙島が犯人としての心理描写が全く無い点。
ドミネータが反応しない点。
丸腰で武器を持った数人を倒す戦闘力を持つ点。
血も涙も汗も感情すら表していない点。 等々。
この15話でも
洋菓子を紅茶につけ消化しやすくしている(?)点。
「生まれ育った街」と言いながら目や髪の色など日本人とは思えない点。
が引っかかっています。
(同じ髪の色の人がもう一人いますが!?)

点を結んでいくと「人間ではないのでは?」という疑問も湧いて来たわけです。
{/netabare}
ノナタワーに何があるのか、なぜデータを集約する必要があるのか…次回が楽しみです。

余談ですが今回パトカーのナンバープレートを見て気付いたことが。
「に01-01」=臭い追い。
彼らのコードネームもハウンドやシェパードですし言葉遊びがあるようです。
真相、真実を嗅ぎつけられるでしょうか。
{/netabare}

※16話感想{netabare}
予想以上の衝撃的な回でした。
槙島とチェグソンは二手に別れ最上階と地下へ。
それを追う朱たちも別れて探索する事に。
この時点で単身の縢に赤信号の予感がハンパなく、ドキドキしていました。

最上階組は第1話冒頭まで戻ってきました。
音楽も盛り上がってついつい興奮してしまいました。
狡噛もスゴいけど槙島も強いです。(汗かく槙島初めて見ました)
危ないところでしたが朱の一撃で無事逮捕へ。
仇を取りたい気持ちを抑え手錠をかけましたが、この判断が後々どうなるのでしょうか。

一方地下へ向かった縢。
チェグソンに吐露した言葉に彼の性格や気持ちがよく現れていました。
怪我を負いながらも三人を倒しチェの元に。 地下で二人は何を見たのでしょうか。
闇に葬られてしまったので正解はもう少し先になりそうです。
チェグソンは免罪体質ではなかった様です。
街ブラしてたのはハッキング能力あっての事ですかね。
縢の最期の表情が忘れられません。彼の無念を悔しさをいずれ晴らして欲しいです。
禾生さん…やはりあなたはそっち側の「物」だったんですね。
ドミネーターを無理やりエリミネーターにするなんて…。

それにしても展開が早い早い、縢は来週まで引くと思っていたんですけどね。

【予想:槙島&シビュラの真相(先入観を持ちたくない人は飛ばしてね)】
{netabare}
15話に続き予想して楽しもうと思います。ここから先は個人的な趣味です。

やはり禾生さんはアンドロイドでした。
こうなると上層部はすでに機械側に占められ人類はすでにコントロールされていそうです。

きっと縢たちは生産される機械人形の様なものを見てしまったんでしょう。
ノナタワーに全データが中継しているのは各アンドロイドで
処理分担や知識共有を行っているからではないでしょうか。
後は標本事件の様に機械が作った「おぞましく芸術的な作品」も考えられるんですが、
データや電力のことを考えると機械的なものなはずです。

まだ微妙な段階ですが槙島もアンドロイドや人造人間である可能性も上がったと思います。
そうだとすると彼がなぜ下界に出ているのか、なぜ人類解放をするのかが
大きな謎でコレまた予想しがいがあります。
人の可能性を試している所があるのがヒントでしょうか。
機械が人を作って実験してるかな。

【槙島アンドロイド・人造人間説】
<+要素>
関わりのある禾生さんがアンドロイドである
未だに血を見せていない
「毎日鍛えスパーリングロボさえ破壊する狡噛」以上の強さ
<-要素>
汗を見せ呼吸が荒くなった
朱の一撃で倒れまたその手応えに違和感がなさそう

禾生さんは機械による支配の観点からと槙島と髪の色が同じなので疑いましたが、
もう一点、共に名字に「木」が入っています。
まさかとは思いますが、木人的な意味合いがあるとすれば
公安にも「木」がついている人がいるので一応注視しようと思います。

あと、気になっているのは標本事件の藤間がどうなったのかです。
アンドロイドは免罪体質者を集めていた可能性もありますので。
免罪体質など居らず、彼も人ではない存在なのか?という疑いもありますが、
情報が少なくて考察できないです。
漢字も「草冠」と木には至らない微妙さがあります。

【槙島が人間だった事も考察】
アンドロイドが免罪体質者を集めていたり気にしているなら、
禾生さんが槙島を以前からチェックして知っていても不思議ではないのですが、
口振りからもう少し親密な気がします。
槙島やその親がアンドロイド研究関係者であったと仮定すると、
何かの犠牲になった事への復讐という線もあり得ますが、
感情で動かない人ですし言動も復讐っぽくないです。
そうなると結局「アンドロイドが産み出した人間」と考えてしまいます。
【アンドロイド】か【アンドロイド造人間】
の可能性が高いというのが今のところの見解です。
{/netabare}
{/netabare}

※17話感想{netabare}
後半に入ってから本当に引き込まれています。
30分がスグに過ぎてしまいました。

シビュラの正体が明かされました。
まさか藤間が禾生さんになっているとは…。
バラ撒いた伏線の裏をつく展開に予想は外れました。
免罪体質者を集めている感じはしましたが、こんな事になってたなんて。
あの光景、突飛に感じSFというよりファンタジーな気がしました。
説明は理解しているつもりですがそれでもまだ
犯罪計数への利用のされ方等にも納得できない部分もありますし全能感も強すぎます。

『共感や感情に流されず俯瞰で裁定できる者』の脳を200個使っていても
ドミネーター等の素早い判断に付いてこれるものでしょうか?
ノナタワーに送られるものって結局はデータ化された情報になってしまう
と思うので演算なら未来のスパコンの方が速い気がします。
『判断基準を作るために脳の知恵を利用する』のなら分かるんですが、
『全件を脳で判断する』のは無理があるように思います。
一応、脳の高速化うんぬんの説明もありましたが唐突なんでまだしっくり来てません。

また、前回ドミネーターを故意にエリミネーターかデコンポーザーに変えていて、
結局は保身のために感情に流されているので、槙島の言うように結局は恣意的な気がします。
勘違いもあるかも知れないですし、もう少し時間をおけば咀嚼できるかも知れませんが。

現代も一部の者が国を動かし多くの国民は歯車な面もあるので痛い所を突いてきます。
司法も裁判員制度は一応ありますがほぼ有識者に任せていますし、冤罪も起こってますし、
似た所はあるのかも知れません。
司法を究極的に効率化したらシビュラシステムの様になるのかも。
(脳だけにはならないと思うけど)

これからはシビュラVS槙島VS公安という構図になりそうです。
縢が消えた事への矛盾は公安メンバーは気付いています。
彼の汚名を晴らし真実に辿り着いて欲しいです。
辿り着いた先、既に社会そのものになった存在に何をどう戦えばいいんでしょうか?
結局彼らは何と戦うのでしょうか?
地下のモノを壊しても解決とは行かないので、そのあたりも見所として楽しみです。
槙島のしてきた事は許せないものがありますが、
彼がどう動くのかダークヒーローとしてどう活躍するのかも楽しみです。
{/netabare}

※18話感想{netabare}
14話で触れたOPアニメの示唆している意味が分かる回でした。

もう藤間ではない禾生さんというかシビュラ側はかなり強引になってきました。
どうしても槙島を手に入れたいんでしょう。
それには狡噛が邪魔で仕方ない様です。
ドミネーターからエリミネーターへの変換見せちゃって大丈夫なの?
他にも化けの皮が剥がれ出していて、公安のあり方自体揺らいでいます。

宜野座は苦しい立場で色々と策は練った様ですが通じませんでした。
今回一番悔しい思いをしたのは彼でしょう。
色々と抱え込んでいる苦労人です。

地味ではありましたが公安メンバーの思いが感じられてなかなか印象深かったです。
(六合塚さんのも欲しかったですが。)
直筆の手紙は思いが篭もってる気がします。
序盤の二人の関係から今に至るまでの積み重ねが胸にズシリと来ました。

あと、公安二係の逃亡した執行官の方も気になります。
なんか今回出てきた青柳さんと似てるんですけど。

狡噛も公安を離れ後戻りできない背水の陣でどう動くのか、
そして無事に逃げた槙島の次なる手は?
悲しい結末もチラリチラリと予感させていますが。
少し作画が気になりましたが、次回も楽しみです。
{/netabare}

※19話感想{netabare}
アクション無いので作画については前回ほど気にはなりませんでしたが初期と比べると…。

狡噛、宜野座、朱それぞれの視点と心を描いた回でした。

狡噛は雑賀さんの所でプロファイリング。
雑賀さん流石の洞察力で現代に生きていたらDAIGO以上です。
そんな人から自分が殺そうとしている槙島と似ている
と言われた狡噛はどんな気持ちになんでしょうか?
…でも私も物の捉え方とか似てると思います。

農業や非国際化の話が出ましたが脳の高速化の話に続き初耳設定で予想つかなかったです。
確かに最初の方で朱が朝食してたけども。
シビュラシステムは現代社会の延長上に感じますがこちらはどうなんでしょうかね。
今まで緻密な感じで積み重ねていたので少々荒っぽく、粗さも感じてしまいます。

物語としては槙島のもくろみが分かった狡噛がどうやって追いかけるのか楽しみですが、
槙島を殺すのが目的になっている現状だと虚しさもあります。

宜野座は相変わらずの苦労人ぶりです。監視官ってキツいですね。
ここ最近親父さんにも当たったり相談めいたりする描写も増えてます。
潜在犯に落ちる崖っぷちにありますが色々な面で報われて欲しい人物で応援したくなります。

朱はシビュラに目を付けられ真実を明かされ駒として取り込まれそうですが、
今まで『受け入れ自立する』彼女を見てきましたので
きっと彼女なりの答えは出せるだろうと思います。
シビュラ側に取り込まれているようでも対抗できる唯一の人物な気もしますから、
今後の言動が作品の肝になるように思うのでこれまた楽しみにしています。
結局は朱が主役なんですよね。
{/netabare}

※20話感想{netabare}
朱にシビュラの事実を告げる展開にドキドキし、心に響きました。
あのままドミネーターと会話するのでなく、現場に行かせることで臨場感・現実感が、
一気に押し寄せる感じがしましたし、
目線や涙の表現、回想も含めた演出など素晴らしかったです。

朱は本当にメンタル美人というかタフですね。
安定してリスクのない代わりに夢を追えない不条理な人生を押しつけ、
そして親友や同僚の死すら事務処理のように行うシビュラの正体が分かり、
許せない気持ちで一杯だったはずですが強い理性で押し寄せる感情を抑えきりました。
今やれるべき事を前向きに判断できるその姿はカッコ良かったです。

槙島は手段の為には人を殺すの何とも思ってないですね。
今回も野鳥程度の哀れみはあったのかも知れませんが。
家畜の様に飼われていた人間を野性に帰しても生きて行けない事は分かっていて、
それでも尚、野に放ちたい様です。
野生の中で生きるために必死になり考え行動してこその人生。
彼にとってはそれこそが『生きる』という事そのものなんでしょうけど。
まおゆうの演説とも本質は同じ所にあるなーなんて事を思っちゃいました。
朱もその辺りの事は理解できるところがある様てすが、
やはり色々と強引だし傲慢だしやり方がおかしいです。

シビュラと約束を取り付け狡噛の命を助けようとする朱は
一枚も二枚も皮が剥け成長して逞しくもありました。
悲しい結末ばかりが思い浮かんでいる中、なんとか狡噛を救ってほしいと思います。
救いのある展開になるのかは朱に掛かってきましたので頑張って!
シビュラが約束守るのか?というネガティブな心配もしてしまいますが…。
{/netabare}

※21話感想{netabare}
痛く辛い話で余り筆が進まない感じですが、征陸さんが壮絶に逝きました。
ここまで2クール真剣に観て来られた作品なのでメンバーにそれぞれ愛着が湧いてますから
辛い気持ちにはなります。
潰れた腕を気にしない事で宜野座の精神的なダメージの大きさも痛い程、
本当に痛い程伝わりました。
刑事である前に人であり、親であった征陸さん公安の中でも人間臭い良いキャラでした。

先週に続きココに来ての朱の行動力は凄いです。
彼女自身もシビュラの資格がありそうなので心配な最後もよぎります。
色々と犠牲者も出てしまいましたが少しでもよいラストとなるように願います。
そして来週は六合塚さんがやばい感じでドキドキです。
{/netabare}

※22話感想{netabare}
もう一週あるかと思ってましたが今回最終回でした。(^_^;)

ここに来て六合塚と唐之杜の関係に少しドキリとしてしまいました。

少し時間をおくと狡噛が殺人犯になってしまった虚しさもこみ上げてきました。
槙島の死を見た時には割とあっさりと受け止められ、悲しみは無かったのですが、
それ故に彼の孤立感や言葉の意味が今一度染みて来ました。

「法が人を守るんじゃない、人が法を守るんだ」当たり前の様で
自分で気付くとハッとします。
「法律やルールだから守りなさい!」と言ったことを幼い頃は押しつけられる事が多く、
疑問を持たずに納得したり反抗してみたりすることはあると思うけれど、
いつの日かみんなの為にルールがあるんだと気付く時ってあると思います。
法やルールって人間が育んできた大切な知恵の一つですからね。
完璧な法なんて有り得ないかも知れませんが、
ちょっとずつ繰り返し繰り返し良い方へ進んで行くのだと思います。

歴史の方も繰り返し巡りながらもちょっぴりずつ進んでいるようです。
宜野座も父の様に腕を失い執行官に落ちてしまいましたが、志は継いでいました。
心なしか生き生きとした印象も受けました。
朱も配属当時に受けた同じ言葉を新任監視官に与えていました。
一話の同じシーンと比べるとその成長に感慨深い物があります。

この新任監視官、未成年で異例の配属と言っていたので、
思い当たる人物は一人だけでしたがやはりあの女学生でした。
王稜事件で友達を失った後、彼女なりに悩み考え結論を出した事が推測できて心を打たれます。

最後に狡噛らしき人が映りましたが、読んでいたのは
『スワン家の方へ』でした『失われた時を求めて』という長編小説の一遍ですが、
紅茶にマドレーヌを浸した事をキッカケに昔を思い出すデジャブものなので意味深な感じです。
最終話にこうもデジャブ・繰り返しの要素を重ねてくるとは…。
ここに描くような世界が巡ってくるかもという暗示でしょうか?
繰り返し第二の槙島が現れる可能性を示唆しているのでしょうか?
温故知新、昔の人の考えを想いを巡らせろという事なんでしょうか?
色々と解釈ができますがこの作品ぽく言えば、
自分で思った答えに価値があるんでしょう。

また、槙島も紅茶にマドレーヌを浸して食していました。
この行為がなんだったのか気になっていたので合点が行き、少しスッキリしました。
槙島と狡噛、同じ様な感性を持ち同じ作品を同じ様に感じていたはずですが、
その道が重なっていたり大きく隔たったのは何に差があったからなんでしょうか。
槙島の一番の理解者が狡噛だったのはやはり皮肉めいています。
どこか別のタイミングで出会っていたらどうなっていたのかと思ってしまいます。

今後狡噛がどう生きていくのか興味が湧きます。
狡噛の性格ならのんびりとした余生を送るはずもなくシビュラの正体は追いそうですし、
レジスタンスや六合塚の友人リナ、2係の逃走執行官などなど
まだ残った伏線があるので続編はあるかも知れません。
新生1係の活躍のストーリーも観たい気はしますがとりあえずお別れです。

テーマがしっかりあって先が読めずかなり引き込まれ夢中になれた良い作品でした。
いずれ力でなく個人の自立によりシビュラが無くなる日が来ることを願います。

また、シビュラの様な管理される世界に、他人任せの人生にならない様に
利便性や楽な方に流されず考えながら生きていこう。
…という気になりましたのでメッセージとしても伝わったと思います。
{/netabare}

本当に楽しめて深みがあり考察のしがいがありました。
ここ最近、キャラの魅力で押し切るストーリー物が多かったので、この作品は貴重でした。
大人向けではありますが色々な人に勧めたくなる良い作品です。
観ていないのなら是非とも観ていただきたいです。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 120

92.4 10 Production_I.Gアニメランキング10位
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (4957)
21181人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

指先のその先にあるもの

1989年ヤングマガジン海賊版にて発表された漫画「※1攻殻機動隊」の世界観をベースに据えたSFアニメ。

近未来刑事物としての体を取りつつ、政治、経済、医療、テクノロジーへの問題提起など、多岐に渡るテーマを公安9課の活躍と共に描きます。

SFは現在から地続きの未来の世界を描く事を基調としているので(特に近未来ものは)すでに積み上げられてきた科学の基盤を踏まえなければならず、それゆえ制約が多いもの。科学考証に何らかの誤魔化しや綻びがあれば、それはすでにファンタジーの領分に片足を踏み入れたも同然で、SFとしての精度は低いものとなってしまいます。

本作の特筆すべき点の一つは、その様なあやふやさを可能な限り排除した※2設定の隙の無さであり、地に足の着いた説明可能なテクノロジーで形作られる、科学的矛盾を感じさせない世界観にあります。攻殻の世界における未来の技術、物語上で様々な事件を引き起こす発端となる電脳と電脳ネットについても当然合理的な説明がなされており、これらは現代のわたしたちの利用するPC(あるいはスマホなど)とインターネットの直系の子孫という事が出来ます。

テクノロジーとは広範に捉えれば"道具"という言葉で表す事が出来ますが、例えばあなたの指先の延長上にあるものが原始的で単純な構造のナイフなら見た目通りの、ずっと複雑になってピストルならもっと強力な(持ってる人まずいないと思うけど)さらに複雑になってクルマのハンドルとアクセルならかな~り危険な、でももしそれがネットに繋がったPCのマウスとかキーボードなら、先に挙げた3つ以上に大きな力と直結している事を私たちは肝に銘じねばなりません。殺傷能力は(多分)低いけれども、どこまでも届き、とてつもなく早い、弾丸は言葉、音、映像、ソフトウェアとか、それをこうして簡単に世界中に打ち出す事(アウトプット)が出来てしまう装置(端末)がコレ‥。

PCの魔術的でパワフルな働きは、控え目に評価しても古代人が夢見た神々の発明品の威力に匹敵すると言えます。そんなものを奴隷から王様まで(例えですよ)誰も彼もが持っているのがこの世界。攻殻の世界では脳を直接ネットに繋げちゃうんだから※3もっとスゴイ。神様たちも真っ青な実に怖ろしい世界じゃありませんか。

PCとインターネットによって、私たちの欲しいもの(物・情報)を収集する(インプット)量も格段に上がりましたが、そんな個人が負うには大き過ぎる力、多過ぎる情報をわたし達はどう租借しているのでしょう? ヒトの脳ミソがあらゆる情報を錯覚する事により、効率良く知識を蓄えられる様に進化してきたところに秘密がありそうです。私たちは自己を肯定してくれる情報を見つけやすく覚えやすく、逆に否定する情報を見逃しやすく忘れやすい性質を持っている様なのです。

アニメに話を戻すと、本作で描かれる「笑い男事件」の、それに付随して起きたSACという現象も、発端となった事件の情報が曖昧なものでも、それを受けた者達にとって解り易く受け入れやすい要素(義憤に満ちたスーパーハッカーの若者の姿)があれば、それを汲み取って、ヒーローという偶像に転化せしめてしまった一例で、言い換えれば乏しい情報の中から直感的に理解し易い要素だけを選び取った結果と言えます。作中で笑い男(仮)の残したシンプルでポップなマークが流行った理由もこれと同じですね‥。

不特定多数の人間の内にある思いが言葉や行動となって同時多発的に表面化してゆく様は、ある種宗教染みた連帯感の様にも見えますが、これと似た現象は私たちの身近でも割と当たり前の様に起きている気はします。

ニコ動やYoutubeとかで何らかの動画がアップされた時の視聴者の反応とか、SNSとかブログとかで起こりがちな炎上とか、学校なんかで頻発するいじめとかが、私の感じるそれで、沸点に達し得ず表層に現れない多くの声が同時多発的にあふれ出す現象、そんな中に私はSACとの類似を見ます。作中表現を見る限りSACにも引き金となる要素が必ずあり、模倣というよりは便乗あるいは衝動という形でリアクションが発生している所にも特徴があります。

群集心理の研究における※4創発規範説というものがこの様な現象の一部を良く説明していますが、加えて利権や名声へのしがらみが「笑い男事件」の真相を濁らせ、より複雑怪奇なものにしているという印象でした。人は見たいものだけ見ようとすると、複雑なものを単純に、あるいは単純なものを複雑に、コロッと作り変えてしまう事が出来る様です。そんな錯覚が生み出すトリックもまた、攻殻SACの面白さの一つと言えるのでは無いでしょうか?

※1~4
{netabare}
※1:公安9課の通称という事になっていますが、この語が本編で使われるのは1回?だけ(汗)イギリス陸軍の特殊部隊SASを参考に作られた組織という設定。でもこちらは警察とスパイ(内偵とか暗殺とかする)を足したみたいなもの。装備は軍隊並みですけど戦争屋ではない。

"攻殻"って妙な言葉ですが、原作によればタチコマの前身に当たる「やまとん1号」が攻撃型装甲外骨殻という名目のメカだったので、その略称を取って"攻殻"だそうです。それと"機動隊"を合わせて「攻殻機動隊」としたとか、他にも攻性の組織+殻=義体とかの説も‥。士郎正宗先生自身は元々「GHOST IN THE SHELL」の方を正式タイトルに据えていた様です。

※2:攻殻機動隊はそのルーツと言われるW・ギブスン氏のニューロマンサー(クローム襲撃)を始めとするサイバースペースものからの影響が絶大ですが、ギブスン氏の小説と比べると士郎先生の漫画(特に1巻)の方が説明はずっと丁寧な印象。義体の描写及び解説は取り分け精密で、SF好きにとっては垂涎を禁じえない内容となっています(笑)でも作者をして"ファンタジー"の他に"ニセ科学"や"猿マネ"なんかのレッテルが貼られている(汗
↓続き
SFやファンタジーと現代劇の決定的な違いは、置き換え可能な要素があるか無いかで、もしウルトラスーパーギガトン爆弾というのがあったとしても、水爆とそっくり置き換えられてしまえばそれはSFらしくないし、魔法の杖だって自動食器洗い機とか懐中電灯の代わりに使うんだったら、ファンタジーらしくないと言えます。科学は魔術と等しくなりうるので、ここら辺の線引きはとても難しく、また時代とともに変遷していくものですが、本質的には全く同じものの外見(そとみ)だけを代えてもあまり面白くはない気はします。でも攻殻も元を辿ればけっこう古い作品なので、今や非SF的刑事ドラマになりつつあるのかも?

※3:知識だけでなく感覚の共有とかも出来るので。電脳化にメリットがある事は確かですけど、便利なものには必ず代償がついて回るもので、情報や感覚の海に溺れて戻って来れなくなっちゃう人が現代よりも更に多くなりそうですし、そもそも脳にマイクロマシンを入れたり、首の後ろにインターフェース付けたり、生理的な嫌悪を踏み倒してまで電脳化を望む人がそれほどいるのかな? というのが今の目で見たわたしの感想でした。(タチコマに馬鹿にされそう‥)

電脳も義体も身体に何らかの障害を抱える人にとっては新たな選択肢を与える(ハンデを持つ事は必ずしもマイナスでは無いので、敢えて拒否する人もいると思う)技術ですが、五体満足な人にとっては生身の健康を維持する以上に心を縛る枷となる気がしないでもないです。定期のメンテナンスやら経年劣化による部品交換やら色々と面倒そうだし‥(汗)

※4:「群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化する(社会心理学者R・H・ターナーの著書からの抜粋)」とwikiでは説明されてました。スメルサーの集合行動論というのも合わせて読むと面白いかも知れません。こちらもネットに概要が落ちてます。
{/netabare}

原作漫画の色ではないテクノロジー+文学という組み合わせについて、わたしは割と好きなんですが、本作における引用が適切だったかと言えばまた別の話で、物語に一貫性を持たせる為とは言えサリンジャー由来の要素が多過ぎる気はしました。
{netabare}
学術的なものを含めた膨大量の書物を網羅しているであろうグレートな読書家のアオイ君が「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し過ぎている所がちょっと不自然だったり、所帯持ちで既に刑事としての実績もあるエリートのトグサさんまで※マーク・チャップマンを髣髴させる行動に走ったりと、びっくりなシーンも‥、特に後者、初見ではトグサさんゴーストハックでもかけられたのかな?とか誤解しちゃいましたよわたし(汗)

※:ライ麦畑の愛読者でジョン・レノンをピストルで殺害した人。読者の中でこんな人は極々稀だし、今更になって(15年以上も前だけど)こういうプロパガンダ的な脚本を挟むのはかな~り節操無いなと思いました。
{/netabare}
後に製作された、同じくSFアニメの「サイコパス」でも本からの引用が沢山ありましたが、あちらは量の割にせいぜいスパイス程度で、本で人を語らせるのでなく、ちゃんと人が本を語っている所にそつなさがあった様に思います。どちらにせよこれって中二病‥ではなくて、寓話を用いてSFというジャンルの影に隠れた人間的な要素をかいつまんで、あるいは租借して説明する一つの手法ではないかと思われます。遠い未来のお話であっても本のページを一枚噛ませると(笑)そこに現代の私たちと何ら変わる所の無い人間がいる事を実感出来るのです。ファッションや料理と同じく一種の舞台装置とも言えますね。

キャラデザについて、9課メンバーの面構えが濃過ぎる!というのは置いといて、現実にいる政治家の人とか、映画俳優の誰かさんをモデルにしたであろう個性的な風貌のキャラが目立ちます。アニメの作画(声優さんの演技含む)は、文章の文体に相当しますが、リアリティのある劇を見せるのであれば、端正な顔立ちのキャラだらけでは違和感が出てしまうと思うので、理にかなった描写になっていると思います。士郎先生の漫画にも出てくる内務大臣の顔ヂカラは特にスゴイ! 例外なのは没個性的な役回りのアンドロイドとか、アニメオリジナルキャラのアオイ君とか※5クルツコワさんとかフェムさんとか‥。後者から数えて二人は何となく萌えキャラっぽくて、ちょっとだけ別のアニメから引っ張ってきたよーな印象がありました(笑

よく話題になる少佐のコスチュームについては原作にも似た様なのがあるんですけど、TPOを守ってないとやっぱり浮いて見えてしまいます。初見では課長の執務室でのあの格好にはぎょっとさせられましたし、SACの現代寄りの世界観と調和しなかった所為もあって他の場面でも違和感ありありでした。慣れると無視出来る様にはなりますが、何とかならなかったのかなとは思います(二期以降では改善されている。)

音楽について、ORIGAさんの歌声の美しさが際立つOPの「inner universe」と、突入シーンでよく使われる「run rabbit junk」が特に印象に残りましたが、硬い世界を柔らかくするドラマチックなBGMたちも素敵でした。どんなジャンルの音楽も作れちゃう菅野よう子さんの才能はスペシャルですね。最高評価とさせて頂きました。

構成について、物語を縫う様にして現れては消える「笑い男」関連のお話が中心ですが、それとは直接関係の無い一話完結のお話も半分位あります。張り詰めた刑事ドラマの中にも人情味溢れるお話がちょくちょく顔を覗かせますので、やや長めの2クール全26話、立ち止まらずに進む事が出来るのでは無いでしょうか? わびさびが効いていてとても見やすいと思います。

サブタイ表示中の背景色で続き物と一話完結のいずれかが区別出来る様になっていますので、一周した人は※6どちらか一方だけを続けて視聴するというのも乙ではないかと‥。
(青=笑い男:4.5.6.9.11.20~26話 緑=1話完結:1.2.3.7.8.10.12~19話)

原作や派生作品の「RD潜脳調査室」や「紅殻のパンドラ」などでは重要テーマの一つとなっている※7人間と機械の距離が埋まる事によって変容する意識についてのお話はやや控えめで、前面に置かれた刑事ドラマの影に隠れた形でとてもコンパクトにまとめられています。作中でこの問題について人よりもむしろロボのタチコマに多くを語らせているのは、無邪気なタチコマを通した方が説明的でストレートな台詞を喋らせ易いからなんでしょうね。人に同じ役をやらせても楽しそうですけど、うざったらしくなる事間違い無し(笑)霊や階層構造(2期では※8上部構造という言葉で語られる)と言った抽象概念を織り交ぜて未来の世界が語られる原作1巻や2巻とはかなりの部分で異なっており、本作の放送と同時期に出版された純刑事物寄りの「攻殻機動隊1.5」に近い作風と感じました。

本編終了後のオマケコーナー「タチコマな日々」も短いながらもちょっと楽しい。SACの貴重な笑い所となっており、脳が疲れてゴーストの囁きが聴こえなくなった時の丁度良い箸休めとなっています(笑)


再視聴を終えて
{netabare}
原作から色々な要素を削ぎ落とした(必要な事だとは思うけれど)結果、概ね万人受けする娯楽作品として成功した本作ですが、反面、監督の神山健治氏が強調した社会正義というテーマが強過ぎて、登場人物達の価値観がやや画一的に見えてしまった印象は残りました。それと悪玉に相当する政治家や医療関係者、警察関係者と言ったエライ人たちの関心事が金と名声に集中しているのを見ると、こちらについては割とリアルな描写なのかも知れませんけど、古典的な悪人像を見る様で、情けなくて、せこくて、心底呆れちゃいました‥(汗)

一方影の主役、世の中のインチキを相手に回して孤独に戦うアオイ君ですが、こちらには明確なモデルがいて、一見してライ麦畑のホールデンそのものなんですが、力と行動力を備えている点に大きな違いがあり、青臭いと揶揄されそうな剥き出しの正義感を掲げながら、疲れ、葛藤しつつ、それを行使していく姿が危なっかしくも痛快です。欠点のある英雄未満なキャラなので、見ていてついつい応援したくなりました。エピローグで彼の被っていた赤帽に耳当てが無いのに気付いた少佐の台詞は意味深‥。新作に再登場するフラグになっていたりして。

神山監督によれば、正義のあり様について、アオイ君、トグサさん、荒巻課長と世代毎に区別しているそうですが、確かに、暴走気味で浮き沈みのあるアオイ君、私生活を守り自分の立ち位置で堅実に仕事をこなすトグサさん、鉄の信念に殉ずる常に攻性!な荒巻課長と、三者三様な感じではあります。ただアオイ君にしても9課の人達にしても、目的の為には手段を選ばず、才能や人脈を最大限に行使して、時として法の目さえも掻い潜って目的を遂げようとしている点で共通しています。法律は権力者にとって都合の良い様に作られている側面もありますので、それと戦う彼らがそうするのは当然といえば当然で、前提として彼らは法律=正義と置かず、せいぜいゲームで言う所のルール程度としか捉えておらず、バグを利用して近道出来るなら積極的に利用し、審判の目を欺けるのなら危険なラフプレーも辞さないというスタイルで悪に肉薄するのです。

正義の定義については右も左も知らぬ私が複雑な事をあれこれ書けませんが、少なくともその根源は宗教や道徳や法律という言葉で形式化されたものではなく、より古く、世代を経て研磨されてきたヒトの遺伝的性質に根ざしたものの様に思えます。ありていに言えば利他的精神なのですが、血縁関係にない他者や異種族である動植物をも擁護するヒトの行動は、あたかもそれら全てを自身の属する群れと見なしている様にも見えます。群れ全体の利益を優先する行動を仮に正義とすると、その対極にある利己的行動を悪と言える気もしないでもないですが、実際にはその両者のバランスの崩壊こそが悪となるケースが殆どでは無いでしょうか。混じり気の無い利他的精神も利己的精神もプログラムされたソフトウェアみたいなものにしか宿らないと思うので。

14話「全自動資本主義 ¥€$」でも上に関するお話がちょこっとだけありましたが、経済活動が社会ぐるみで推奨され、お金儲けによる自己肯定感が増すと、人は富そのものが目的になってもそれを許容し、どこからそれを得ているのかという事にさえ無関心になれる様です。為替の売買とか株取引なんかは特にその傾向が顕著で、投資は別として、投機でお金を回している人なんて殆どゲーム感覚だし、例外なく利己的ですものね‥。原作の荒巻"部長"の言葉にも「人の心はもろい…世の中の回転に呑まれて快楽中心になると利益効率追及機械やただの消費単位になってしまう」なんてのがありましたが、見たいもの(オカネや快楽)しか見えていないという点では、これもまた先に触れた錯覚の類と言えます(汗)

でもまぁ、作中の独善街道まっしぐらなアオイ君やフェムさんみたいに、腐った世の中に天誅!なんて事していたら(できないし)、まず身が持ちませんし、荒巻課長みたいな無私無欲の正義の人にも逆立ちしてもなれませんけど、フィクションと言えど、彼等の様な自己犠牲を厭わぬ人たちの行動を目の当たりにすると、大人の端くれとして、せめて自分の目の前にあるインチキ的なものに対しては、物申す事が出来る位の勇気と活力は常に備えておきたいものだなぁと思う凡夫なブリキ男なのでした。

総評として、綻びのない未来社会の映像化は警告や予言としてそれ自体に大きな価値が有り、作画もそれを表現するのに十二分な水準に達しており、脚本は実際に起きた事件や映画などからの引用が多くあるものの※9その作り込みは極めて濃密、今もって色褪せない魅力を持つ作品である事を確認させて頂きました。

押井監督の作品では省かれてしまっているフチコマ(タチコマ)の登場もとても嬉しい要素ですね。玉川紗己子さんが様々な声色を使い分けて情感豊かに演じられています。12話の「タチコマの家出 映画監督の夢」の前半と、15話の「機械たちの時間」はなんとタチコマ主役回。ロボ好き必見のお話になっています。全編を通してのわたしの泣き所って殆どタチコマ関連のシーンだったりして。
{/netabare}
更新に更新を重ね原形を損ねてしまった初見当時の記憶と今回の再視聴で得た記憶を並列化しつつ(笑)楽しく書かせて頂きました。


※5~9
{netabare}
※5:クルツコワさんは金髪隻眼の美人さんで工作員。漫画版「紅殻のパンドラ」ではまさかの萌えキャラ化を果たしており(笑)祖国の為に誠心誠意で(悪事を)がんばるポンコツ少女?として描かれています。フェムさんは泣きぼくろが可愛いおだんごヘアーの中華娘でヒットマン(汗

※6:笑い男事件だけを切り抜き、新作映像、新規アフレコを追加して158分にまとめた再編集版「The Laughing Man」なんてのもあります。むつかしい台詞を端折ってより見易くしている印象でした。チャットルームのお話が抜けているのは残念でした(汗

※7:人間がサイボーグ化、あるいはロボットが人間に近づく事によって起きる意識の変化について。前者に関してはW・ギブスン氏に先んじて石ノ森章太郎先生がサイボーグ009の「天使編」で初めて触れたのかも‥、でも現代の私たちってもうとっくにサイボーグ化してる気がします。PCやスマホ無しでは生活する事さえままならなかったり、外部記憶装置のデータが失われた時なんかはそれ相応の精神的なダメージを被ったり‥。PCは己が肉体を、その枠組みを超えて存在するという感覚をまざまざと見せ付けてくれる機械ですが、人は太古から認識出来るもの全てを外部記憶装置として利用しているきらいがあります。

後者のロボットの自我についてのお話は映画「メトロポリス」やアシモフ先生の小説、漫画「鉄腕アトム」「8マン」とかで有名ですけど、その起源はかな~り古い。鍛冶の神ヘパイストスが発明したとされる黄金の召使とか、クレタ島のタロスとか。人造人間のお話はもっと古い。近年ではAIの知能が人間に迫る勢いで成長を続けていますが、自我を持ったロボットは一体何を望むんでしょう? "I will destroy humans."とかはさらっと言われたくないですね(汗)

※8:三省堂の大辞林によると「政治的・法律的諸制度と、それに照応する社会の政治的・法律的・宗教的・道徳的・哲学的・芸術的意識形態をさす語」となっていましたが、攻殻で言う所のそれは幾重にも連なる階層構造の一部を指すのみで、上部構造と下部構造の2つに単純には分けられていない模様。古典的な"神が人の中に入る"という表現では、神が上部構造にいて、人が下部構造にいるという解釈になると思います。作中のハッカーがゴーストハックした人を操る様は、神話や伝説の中の神や悪魔が人に憑依してその心に干渉する様に良く似ています。

※9:脚本が悪いのか演出が悪いのか、1話の突入シーンの光学迷彩で隠れるタイミングとか、2話の「我々は攻殻機動隊だ」とか、9課なのに度々税金の無駄遣いをやらかしている所なんかはちょっとNGだと思いました。(でもそれが感情表現として有効になっている場面もちらほら。トグサさんの射撃訓練じゃないよ)
{/netabare}

付録・用語解説など
{netabare}
電脳:脳内にマイクロマシンを送り込みニューロンに取り付かせ、それで脳波を読み取りデータ化、首の後ろに取り付けたインターフェースとかで送受信する技術。これによって"人やデータ"と感覚や情報を共有出来る。

電通:電脳通信の略。電脳化したもの同士が有線や無線で通信を行なうこと。口の動かない会話シーンを作れるのでアニメーターさんもちょっと助かる(笑)

脳殻:脳と脊髄を収める接続端子付きの器。素材は軽くて丈夫な発砲素材とか頑丈なチタンとか。持ち運びしたり交換したり出来る(汗

義体:電気信号で動く機械の体。義手、義足、義眼などの総称。最近では増幅された脳波で動作する義手や義足、逆に電気信号を脳に送って機能する人工網膜や人工内耳なども実用化されており、義体化技術はかなりの部分で実現していると言えます。他方で施術を必要とせず、ヘッドギアやグローブの電極を通して情報の受け渡しを可能にする技術も開発されつつある様で、それで離れた場所にあるロボットを操作したり、ロボットのセンサーを通して触覚などの感覚を受信したりという事も可能だそうな。作中に登場する遠隔操作義体そのものですね。近い将来にも家にいながらにして(擬似)海外旅行とかが出来る様になったりして‥。味気ない?

光学迷彩:見えない様に見せる技術。実在するものの中には背景画像をカメラで撮影し、反対側(表側)のスクリーンに出力するか、プロジェクターで投影する方式、あるいは負の屈折率を持つメタマテリアル(人工物質)を通して光を迂回させて対象物の背景を見せる方式がある様です。現時点では前者は(可視光)光学迷彩、後者はレーダーに影を落とさない熱工学迷彩に近いかも知れません。耳がひじょーに良い猫耳アンドロイドとかには聴覚で見破られてしまう(笑)水や埃にもやや弱い。
↓続き
少佐の様な前身義体の人はともかくとして、トグサさんとか(ほぼ)生身の人間の体のどこにカメラとかプロジェクターが装備されてるの?という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、これについては押井監督の映画が公開された頃に販売されていた「ビジュアル解説ハンドブック INDEX2029(薄い本ですが内容は濃い)」という小冊子に"迷彩塗装"との記述がありましたのでマイクロマシンをスプレー塗布していると想像出来ます。眼球はコンタクトレンズとかで補えるかも知れませんが、髪の毛とかは大変そう。士郎先生に色々と訊いてみたい(笑)

アームスーツ:強化外骨格。日本ではパワードスーツという呼称が一般的。人型だけでなくクモ型のタチコマもこれに含まれる。

思考戦車:AIを搭載した戦車の事。本来はアームスーツであるタチコマがこう呼ばれる事もある。経験を積み成長する。

並列化:演算処理の方法ではなく、作中では個々の持つ情報を共有すると言う意味合いで使われる単語。タチコマの場合、一部ではなく、それぞれのAIが蓄積した情報全てを共有するので思考力が劇的にレベルアップする。

枝:作中「枝を張る」とか「枝が付く」とかいう表現がありますが、概ね盗聴する為の何かを残す、盗聴される痕跡を残すとかを意味している様です。

IRシステム:IRは赤外線を意味するInfraRedの略。公安が管理しているカメラによる監視システム。幹線道路、駅、空港などを中心に日本中至る所に設置されているらしい。さすがにトイレの中には無い。ディストピアSF御用達システム(汗

インターセプター:目で見た光景を第三者に送る技術。視神経に素子を取り付ける必要がある。

防壁:ファイヤーウォールの類。脳を焼き切る攻性防壁・侵入者を足止めする防壁迷路・逆襲回避の身替わり防壁とかがある。首に取り付けるU字型のデバイスが身替わり防壁。

S.A.C.:造語。スタンド・アローン・コンプレックスの略。説明はレビュー本文にて。

ゴースト:個人を特定する要素。魂という言葉に近いと思います。

他にも色々ありますが主なものを掲載。視聴時のストレス軽減目的の要約版とさせて頂きました。新作に備えてのおさらいも兼ねて。もっと詳しく知りたい人は「攻殻 用語」でぐぐってみると面白いかも‥。
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 46
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

'70学生運動世代(ベトナム戦争世代)の思考が透けて見える有名シリーズ

※以下は、攻殻シリーズ(旧作)の一括レビューです。

2013年頃、あにこれに来て一寸驚いたのが、当時この作品が全作品ランキングで1位だったことで(※今は3位に下がっています)、今でも無批判にこの作品を「内容がある」とか「深い」とか言って褒めちぎる人が多いので、このシリーズのひとつの見方を簡単に提示しておきます。


◆アニメ有名シリーズと制作者(監督)の世代論

(1) ガンダムの富野氏は1941年11月生まれ、
(2) ジブリの宮崎駿氏も1941年1月生まれ

⇒つまり、ともに1960年の安保闘争当時、現役学生だった世代。

(3) これに対して、攻殻劇場版監督の押井守氏は1951年8月生まれ
→1970年の安保反対運動当時、現役学生だった世代で、ついでにいうと、1970年11月には三島由紀夫自決事件も起きている(※攻殻TVシリーズ第2期のモチーフにもなってますね←この世代の思考・行動パターンが「口では平和を唱えながら、やたら暴力的」みたいにチグハグになってしまった一つの原因か?)。
(4) なお、攻殻TVシリーズ監督の神山健治氏はもっと下の世代(1966年3月生まれ)ですが、押井氏に師事して頭角を現し、TVシリーズ第2期では同氏をストーリー・コンセプト担当に仰ぐなど同氏の影響が非常に強いと思われます。

⇒ということで、ガンダム・ジブリ作品が60年安保世代の発想だとしたら、攻殻シリーズは70年安保世代(全共闘世代、ベトナム戦争世代)の発想が色濃い作品と考えます。
(※とくに、TVシリーズ第2期を最後まで観ると強くそう感じます(※下記の各話感想を参照))

(5) ちなみに、エヴァンゲリオン・シリーズの庵野秀明氏は1960年5月生まれ
(6) また、マクロス・シリーズの河森正治氏は1960年2月生まれ
(7) さらに、「まどマギ」&物語シリーズの新房昭之氏は1961年9月生まれ

⇒押井氏から丁度10年後に学生時代をおくったこの世代(※シラケ世代?)の作品からは、見事に変な思想臭が消えていて、その分見易く親しみ易くなっています。

※この、どの世代の制作者(監督)の作品を好むかは、人それぞれですが、予備知識として上記を押さえておくと、作品の見え方がまた一味変わってくるかも知れません。


◆作品別評価(TVシリーズ、劇場版)

(1) TV第1期 ★ 4.1  「STAND ALONE COMPLEX」  (2002年10月-2003年11月)
(2) TV第2期 ☆ 3.7  「S.A.C. 2nd GIG」  (2004年1月-2005年1月)
(3) OVA    ☆ 3.5  「Solid State Society」 (2006年9月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.8   ※(1)~(3) 神山健治監督
              ※なお (2) のみ押井守ストーリーコンセプト


(4) 劇場版1 ☆ 3.7  「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年11月)
(5) 劇場版2 ☆ 3.7  「イノセンス」 (2004年3月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.7   ※(4)~(5) 押井守監督


◆制作情報(TVシリーズ第1-2期、OVA)
{netabare}
原作マンガ       士郎正宗
監督・シリーズ構成  神山健治
ストーリーコンセプト  押井守(2期のみ)
脚本           神山健治、藤咲淳一、櫻井圭記、佐藤大、菅正太郎、寺戸信寿(1期のみ)、松家雄一郎(2期のみ)
キャラクターデザイン 下村一(1期)、後藤隆幸・西尾鉄也(2期&OVA)
音楽           菅野よう子
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


◆視聴メモ(TVシリーズ)

(1) 第1期「STAND ALONE COMPLEX」
{netabare}
・第2話視聴終了時点
ん?これって安っぽいヒューマニズム系作品なの?
・第3話視聴終了時点
心身問題(mind-body problem)にチョイ掠り
・第10話視聴終了時点
「米帝」は巨悪だ!という前提が如何にも"ベトナム戦争世代"だなと・・・
・第15話視聴終了時点
再び「心身問題」・・・「自己言及のパラドックス」「チューリングマシン」「ゴースト」等それっぽいキーワードを小出ししてるけど内容自体は踏み込みが浅くて余り評価できない。
・第21話視聴終了時点
ここから山場の展開だが、「米帝」がBig Brother(G.オーウェル『1984年』の全能の支配機構)という設定が何とも・・・
・第25話視聴終了時点
「自由意志」が芽生えたタチコマが自己犠牲を払ってバトーさんを救い全滅しました・・・って、事態打開の方法が如何にも安直じゃありませんか?{/netabare}

(2) 第2期「S.A.C. 2nd GIG」
{netabare}
・第5話視聴終了時点
そこはかとなく漂う5.15事件へのシンパシーが微妙・・・
・第12話視聴終了時点
鹿児島・鹿屋の特攻隊出撃基地近くの戦没者慰霊塔を無造作に使っちゃってる点が×
・第23話視聴終了時点
親中派で米帝の軍産複合体の謀略に強い危機感を持ち国連査察に期待する首相って・・・いつの時代の感覚?
・第25話視聴終了時点
クゼの目的が「肉体を失った人々のゴーストを束ねた霊的上部構造の構築」って・・・これってオカルト話だったの?
・第26話視聴終了時点
シナイオライターは米中露等距離外交・国連協調路線が好きなんだね。{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002年10月-2003年11月) =======
{netabare}
第1話 公安9課 SECTION-9 ★ 西暦2030年、公安9課のロボット芸者鎮圧、脳殻入れ替え技術(スパイ亡命阻止)
第2話 暴走の証明 TESTATION ☆ 剣菱重工製戦車暴走
第3話 ささやかな反乱 ANDROID AND I  ★ カナダ大使子息とアンドロイドの恋人、心身問題(mind-body problem)
第4話 視覚素子は笑う INTERCEPTER ★ 笑い男事件(トグサ同期(特捜ヤマモト)の不審死、事件再発(警視総監殺害予告))
第5話 マネキドリは謡う DECOY ★ 続き(6年前の事件、ナナオ・A容疑者監視の顛末)
第6話 模倣者は踊る MEME ★ 続き(大堂警視総監連続襲撃事件、荒巻9課課長の挑戦状)
第7話 偶像崇拝 IDOLATER ☆ コピー・ゴースト技術(南米麻薬王・革命の英雄の来日)
第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS ☆ 医学生の悪質な臓器ビジネス
第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT! ★ 笑い男事件の続き(ネット座談会への素子潜入)
第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE × 連続猟奇殺人事件(バトーとマルコの因縁、米帝CIAの画策)
第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ ★ トグサの授産(電脳閉殻症患者隔離)施設内偵
第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM ☆ 特定タチコマ個体の冒険(少女との交流)、ゴーストの宿る箱
第13話 ≠テロリスト NOT EQUAL ☆ 東シナ海廃棄プラント潜入、「興国の旅団」リーダー確保
第14話 全自動資本主義 \?$ ☆ 大富豪・投資家横瀬氏保護任務 ※オチのない回
第15話 機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES ★★ 心身問題(※第3話参照)、タチコマの運用凍結
第16話 心の隙間 Ag2O ★ タチコマのラボ送り、バトーvs.元ボクシングチャンプ(ザイツェフ海上自衛軍格闘技指導員)
第17話 未完成ラヴロマンスの真相 ANGELS' SHARE ★ ロンドン銀行籠城事件(荒巻課長活躍回)
第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE ☆ 中国・金外務次官暗殺阻止任務(荒巻課長の戦友・故辻崎陸自調査部長のゴーストの復讐未遂)
第19話 偽装網に抱かれて CAPTIVATED ★ ロシア系北方マフィア「目隠しイワン」の未成年女性集団拉致事件、神崎元総理の感謝
第20話 消された薬 RE-VIEW ★ 電脳硬化症特効薬(村井ワクチン)接種者リスト紛失、トグサの「ひまわりの会」内偵、厚生省強制介入班の襲撃
第21話 置き去りの軌跡 ERASER ★★ 村井ワクチン不認可の真相、9課VS.介入班、今来栖殺害、笑い男の正体
第22話 疑獄 SCANDAL ★★ 新見厚生労働省医薬局長逮捕、荒巻課長&素子の危機、笑い男の依頼、義体換装
第23話 善悪の彼岸 EQUINOX ★ 瀬良野社長再誘拐、6年前の事件の真相、黒幕・薬島与党幹事長
第24話 孤城落日 ANNIHILATION ★ 荒巻&総理の直談判、軍特殊部隊(海坊主)の公安9課強襲、9課離散
第25話 硝煙弾雨 BARRAGE ★ タチコマの自由意思(バトー救援)、公安9課壊滅? ※ピンチの解消方法が安直×
第26話 公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX ☆ 3ヶ月後(薬島幹事長疑惑追及、9課メンバー再集合)、笑い男と荒巻の対面{/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)14、☆(並回)8、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「inner universe」
ED 「lithium flower」


========= 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004年1月-2005年1月) ============
{netabare}
第1話 再起動 REEMBODY ★ 個別の11人中国大使館籠城事件、反動保守の新政権(茅葺首相)、公安9課再建
第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE ☆ ギノ操縦士の妄想癖 ※「哀れなほど真実を知らないプロレタリア」って・・・
第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE ☆ 田所元経団連会長内偵、政財界大物秘密パーティ潜入
第4話 天敵 NATURAL ENEMY ☆ 内閣情報庁・合田補佐官の9課接触、暴走自衛隊ヘリ群鎮圧任務
第5話 動機ある者たち INDUCTANCE ★ 茅葺首相暗殺予告(仇∞士)、首相警護任務、革命の聖典『個別の11人』、クゼの首相襲撃・撃退
第6話 潜在熱源 EXCAVATION ☆ トグサのエネルギー省脅迫被疑者身元調査(旧首都・東京へ、大深度地下の秘密原発発見)
第7話 狂想は亡国の調べ Pu239 ☆ 「個別の11人」プルトニウム強奪阻止任務(合田の9課介入)
第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD ☆ 合田の経歴調査、「個別の11人」感染者のメディア露出、内庁の不可解な情報操作
第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE ★ 同時多発的無差別自爆テロ、招慰難民の犯行?、素子の内庁潜入、合田の野望(国家改造の英雄プロデュース)
第10話 イカレルオトコ TRIAL ☆ トグサの人命救助失敗と拘留、不毛な裁判
第11話 草迷宮 affection ★ 素子の過去(クゼとの出会い、全身義体化と折り紙の記憶)
第12話 名も無き者へ SELECON ★ 首相暗殺未遂犯の行動再開、ウィルス発症条件、「個別の11人」鹿児島終結・九州電波塔集団自決事件
第13話 顔 MAKE UP ☆ 自決事件報道の影響、パズの因縁の相手、未遂犯の氏名判明(クゼ・ヒデオ)
第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE ★ 隻眼スナイパー・サイトーの過去(メキシコでの素子etc.との死闘)
第15話 機械たちの午後 PAT ☆ タチコマ開発者(有須田博士)亡命阻止
第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE ☆ 難民の長崎流入問題と日米安保改訂問題、電脳世界のハブ形成、クゼの過去(新義州PKF)
第17話 修好母子 RED DATA ★ 素子の台湾渡航任務(難民達のカリスマ・クゼ)
第18話 天使の詩 TRANS PARENT ☆ 9課のベルリン渡航(「天使の羽」掃討任務、バトーの気迷い)
第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION ★ 出島の難民自治区宣言、合田暗躍、素子とクゼの電脳空間での接触、9課の出島襲撃・クゼ拿捕失敗(新人殉職)
第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG ★ 素子の沈鬱、択捉島・ロシアマフィア&クゼのプルトニウム取引への陸自介入、クゼvs.バトー
第21話 敗走 EMBARRASSMENT ★★ 続き、クゼ協力者の自爆・オスプレイ破壊(イシカワ負傷)、合田暗躍(クゼ長崎出島帰還)
第22話 無人街 REVERSAL PROCESS ★★ 九州の戒厳令発令、電波塔の爆弾解体処理・プルトニウム回収、バトーの合田問い詰め(個別の11人自決事件の真相、不確定要素の介在、殉教者の条件)
第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW ☆ 高倉官房長官・合田内庁補佐官の策動進行(茅葺首相の懸念、陸自の出島封鎖、出島事変発生(自衛軍vs.暴走難民))、素子のメッセージ(対クゼ) 
第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER ★ 茅葺首相拘束、陸自特殊部隊の出島突入・バトー隊との交戦、米帝原潜浮上(合田の最終目的判明・・・難民暴走を装った核爆弾投下・出島&難民一挙消滅)
第25話 楽園の向こうへTHIS SIDE OF JUSTICE × 素子とクゼの接触、トグサの茅葺首相救出 
第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG  × 素子のクゼへの協力、米帝原潜の核弾頭発射、タチコマの命令無視・自己犠牲、バトーの素子救出、高倉逮捕・合田射殺、クゼ死亡{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)10、☆(並回)12、×(疑問回)2 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「Rise」
ED 「living inside the shell」


=== 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS) (2006年9月) ===

全1話 ☆ 3.5 {netabare}ウィザード級ハッカー傀儡廻しvs.素子の抜けた9課&素子(単独行動) ※孤立老人の介護問題を絡めたサスペンス仕立ての話だが特に観るべき点なし{/netabare} ※約1時間49分

OP 「player」
ED 「date of rebirth」


///////////////////////////////////////////////////////////////

◆制作情報(劇場版1&2)
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(講談社『ヤングマガジン海賊版』1989年5月)
監督         押井守
脚本         伊藤和典
キャラクターデザイン 沖浦啓之
音楽         川井憲次
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


========= GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (1995年11月) ===========

全1話 ☆ 3.7 {netabare}素子との融合を望む"人形使い"との闘い ※何でここまで東南アジアの華人街っぽい背景が多用されるのか謎(これ、香港映画?と思うほど){/netabare} ※約1時間22分


===================== イノセンス (2004年3月) ===================

全1話 ☆ 3.7 {netabare}バトー&トグサ・コンビのガイノイド連続暴走事件調査 ※まるで未来の日本は香港にでもなったような設定が酷い{/netabare}  ※約1時間39分

投稿 : 2022/10/01
♥ : 27
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 120

89.3 11 Production_I.Gアニメランキング11位
君に届け(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (3008)
14781人が棚に入れました
陰気な容姿のせいで霊感があると恐れられ、「貞子」というあだながついている黒沼爽子。
周囲に避けられることに慣れてしまっていた爽子は、わけへだてなく接してくれるサワヤカさ100%の少年、風早翔太に憧れる。自分を変えたいという爽子の背中を押してくれる風早や、矢野あやね、吉田千鶴、真田龍といったクラスメイトたちとの関わりの中で、爽子は少しずつだが自分の殻を破っていく。
ピュアな爽子が友情や恋、ライバルや友達の失恋などいろんな「初めて」を知っていく過程を、丁寧に描いていく作品。
一般の少女漫画原作の作品と異なり、ドロドロとした女の戦いなどはあまりなく、それ以上に爽子が不器用ながらも自分の気持ちに正直に生きていく姿を中心に描かれており、思わず見ていてニヤニヤしてしまう学園青春ストーリー。

声優・キャラクター
能登麻美子、浪川大輔、沢城みゆき、三瓶由布子、中村悠一、平野綾
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

爽やかな風に心洗われる初恋ストーリー

完成されたプロローグと言える、アニメの第1話は、原作少女漫画が連載化に推される元になった、傑作読み切り短編を、丸ごと完璧に収めています。

この1話だけで、本作が純粋に真っ直ぐに向き合う恋物語である事がわかり、無垢なヒロインの清廉な魅力と、作品全体を包み込む優しく清澄な空気を感じれるはずです。

乙女チックなモノローグや表現はいかにも少女漫画らしいのですが、序盤のエピソードで、女の子同士の心が通じ合うシーンは、友情を看板とする少年漫画も顔負けの熱さです!

主人公であるヒロイン「黒沼爽子」は、登場人物中、一番ファンタジーな設定ながら、説得力があり惹き付けられます。
ホラーを連想させる容姿から気味悪がられ友達もいない。
それゆえに純粋培養された無垢な純真さが、愛らしく自然に見えます。
誰に認められずとも、周囲の為を考え行動する姿は、健気で前向きで応援したくなります。

この主人公の設定は、ストーリーが重くなり過ぎないようバランスを取るのにも軽妙に活かされています。
恋の駆け引きが試される場面でも、彼女の天然な真摯さが、いじらしくも微笑ましく映ります。

お相手の男の子「風早翔太」は、頼られたら精一杯応えてあげる、困ってそうな子をほっとけない、そんな模範警察官のような正義感の強いイケメンくん。
当初、少女漫画の典型的な王子様に見える彼も、恋には純朴で、照れたり焦れたりする姿は背伸びしてない高校生に見え好感が持てます。

原作者、椎名軽穂先生曰く「孫の成長を見守るような」優しい目線で描かれた、オクテのヒロインの心情は、初々しく清らかに表現され慈愛に満ちています。
彼女の成長と恋の行方は、2期まで全36話(総集編除く)かけて見守ることになりますが、総じて他の登場人物達も、相手を思いやる気持ちが丁寧に清々しく描かれ心が洗われます。

人から優しくされたいとは多くの方が望むでしょうが、その為に、まず自分から人に優しくありたいと思える方(自分は思っても行動が伴いません~ -_-;)なら、強いシンパシーを感じることでしょう。

原作を忠実に再現したアニメですが、唯一残念な点を挙げておくと作画です。
途中の数話は体型のデッサンまで崩れている所があり不安定極まりないので、そこは我慢して観てください。(最初の1話のクオリティを最後まで保って欲しかった~)

私にとって、深夜アニメの世界の扉を開いたメモリアルアニメであり、乙女チック物語も大好きな痛いオヤジにさせられた、恐ろしくも素晴らしい作品!
ぜひ御堪能あれ♪

以下は1期2期通してのネタバレ含みの感想です

キャラクターについて
{netabare}
キャラクターデザインは女の子達が上手く描き分けられてますが、男性陣は似たようなイケメン揃いですね~
(本作に限らず、男性向け作品なら髪型以外は同じような可愛い女の子ばかりといった、主な対象視聴者受けの傾向は仕方ないでしょうが、個人的には男女共に描き分けがしっかり出来てる作品が好きです。同じ女性向け作品でも「ちはやふる」は傑出!)
キャラクター描写は、爽子については言うまでもありませんが、1期では出来すぎ感が強かった、お相手の風早くんも、2期での焦り悩む姿には同情して感情移入できました。
作品中唯一の悪役である「くるみ」もCV平野綾さんの好演も相まり、憎めない演出は光ってました。(因みに原作では、許されざる罰として、二度と恋の舞台には上がらせてもらえないのですが、ずっと抱え続けた爽子への贖罪の気持ちには泣かされます~T^T)

声優さん

個性豊かな主要キャラを演じる声優さんも、それぞれの特徴を見事に引き出す配役。
中でも爽子役の能登麻美子さんは、デフォキャラ時のコミカル声も可愛いし、ドア越しの告白は、こちらまで緊張するドキドキ物の迫真の演技!
私の初めてのお気に入り声優さんです♪

音楽

タニザワトモフミさんのOP、1期の「きみにとどけ」が作品にマッチした歌詞と優しい歌声で好きです。
劇伴曲もヒロインの情景を引き立てる瑞々しい響きが心地いいです。(EDは個人的な感性が合わず~^^;)

最後に

私、2期の放送まで続きが待てず、原作コミック、初の少女漫画大人買いをしたんです。(今では平気ですが、当時は本屋さんのレジに持っていくのも爽子のように勇気が要りました^^;)
アニメでは2人の恋が成就するまでが描かれています。
私的には、恋物語としてはアニメで十分なのですが、原作では他のキャラ達も含め、恋や将来に向けて真剣に考える姿が、一貫して美しく優しく描かれ続けます。
この作品世界にどっぷりハマれた方ならご一読ください~♪
{/netabare}

投稿 : 2022/10/01
♥ : 22
ネタバレ

☆エトペン☆ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

sawako not sadako.

名前と容姿が似ていることで
「貞子」と呼ばれ、避けられるため
一人も友達が出来ないでいた。
(ここはちょっと微妙。なんか仲いい幼なじみがいるし)


彼女は私たちの考える事とは
ちょっとずれていて、ちょっと
勘違いばかりしてしまう。
いい方にも、悪い方にも。


これは最初は友達いなかったけど彼女の勇気とみんなのフォローで
クラスに打ち解けていく。
そんな温かいストーリー。




実はこのアニメは半年前から見ていたのですが、
最初の方はあまり気に入らず
3話で中断した状態だったのですが
最近見たいアニメも充分見たし
中断したアニメを全部最後までみることにした。



再開した後もこのアニメはすごくニヤニヤしてしまうので
その心を落ち着かせるため
停止しては再生。
停止しては再生。
を繰り返し、なかなか進まなかった。

そして途中から停止するのを無理やり止めたのですが
内容が全然頭に入ってこず
二回見る羽目になることもしばしば。

なのですべて視聴するのに時間を要してしまいました。




もうこのアニメはキャラがすべてだと思っているので
今回はキャラのことだけを語りたい。
まあしかしそうは言ってもキャラの中でも
殴りたいと思ってしまったのもいたんで
ちょっとキャラの評価を下げたんですがね。




黒沼爽子
{netabare}
この子は言うまでもなく純粋な子だよね。
あんまり好きな感じではなかったんですけど、
寝てるところはやられたね。

あと最後の方で風早とお参りに行ったとき
すんげーかわいかった。

いつもなら化粧で化ける女は好きになれないんですけど
今回は許せましたね。
{/netabare}




風早翔太
{netabare}
こいつはかっこよかったね。
最後まで見たらちょっとかっこよさが
薄れた気がするけど
席替えの時、黒沼の席の隣に移動したときは
こいつかっけーと思いました。
あとどんだけ黒沼好きなんだっつーのw
{/netabare}




矢野あやね
{netabare}
この人声良すぎてもったいないw
黒沼の友達だけでなく俺の友達にもなってくれw
中の人のおかげでどんな言葉にも重みがあるし。

初登場の時は感じ悪いと思ってたけど
徐々に仲良くなっていったときは本当に
ヤバかった。
もう感動せずにはいられない。

最近女の友情を見てると
どこか百合っぽいので
本当に新鮮な感じでしたね。
{/netabare}




吉田千鶴
{netabare}
この人も最初の印象は矢野と一緒だったけど
第1話で飲み物を爽子に渡したときは思わず
感動してしまった。

途中から貞子ではなく爽子と呼んでいたところにも涙。

早く気持ちに気づいて龍と一緒になってほしいですね。
{/netabare}



真田龍
{netabare}
作中で最もかっこいいと思った瞬間はやっぱり
この人の発したセリフかな。
「俺は千鶴一筋」。
ふつうこんな告白できないぞおい。
なんでみんなそんなにかっこいいかなw
{/netabare}




胡桃沢梅
{netabare}
この人は完全なビッチでしたね。
まあ日本語でビッチというとそんな重みはないのですが
英語でいうとかなり重いのでそっちのビッチです。

この人は殴りたいと思ってしまった一人で
もう多分どんないいことしても自分の評価は
ひっくりかえらないと思う。

最後までひどい女だなと思ってしまった。
{/netabare}



ピン
{netabare}
この人コメディ要員なんだろうけど
こいつ絶対教師じゃない。

生徒の噂を飲み込んで黒沼に対しての行動は
教師のやることではない。


まあ後々誤解は解けた感じだったけど
あいつの力じゃないし。

胡桃沢をかわいそうと思ってしまったのは
こいつのせいだし。

自分はこの人嫌いでした。
{/netabare}



二期があるらしいのですが、
そこまで面白くないと聞きましたし
自分もお腹いっぱいなので当分みることはないと思います。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 47
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

キラキラ☆ニヤニヤが止まらない!

原作未読。

主人公の黒沼爽子(くろぬまさわこ)は、暗い印象で、周囲に「貞子」と呼ばれ、クラスになじめないでいた。
しかし、実のところは、鈍感なだけで、とても前向きな女の子。
誰にでも平等にふるまう、風早翔太(かぜはやしょうた)と出会ったことがきっかけで、爽子と爽子の周囲がどんどん変化していく、青春ストーリー。


爽子は、健気で、どんなことにも一生懸命で、とても魅力的な主人公です。
なかなかうまくいかないときは「頑張れ!!」と、応援してしまいます。
そして、何か一つがうまくいくと、ニヤニヤが止まりません。
ずーっとニヤニヤさせられる回もあるので、視聴中に顔を見られたら不審者扱いされます。

爽子を支える周囲の人たちもしっかり個性立てされています。
本当にみんなキラキラと輝いていますね……エフェクト付きで。
{netabare}
矢野さんは、怖さと優しさのギャップが素敵。
龍は、漢!!
吉田さんは、感情豊かで見ていて飽きません。
風早くんは、何でもできそうに見えながら、ドギマギしてて、男から見てもかわいらしいです。
くるみちゃんは、やったことは迷惑だったけど、気持ちを打ち明けたシーンで泣いてしまいました。
ピンは、ギャグキャラに見えて、何気にキーパーソンになってますよね。
{/netabare}


テーマは、「人に想いを伝えることの大切さ」。

誰もが、人付き合いで悩んだことがあると思います。
その悩みを、「友達とは何か」という根本的な部分から、階段を登るように一歩ずつ、丁寧に描いています。

「○○は今、××に対して、□□という気持ちを抱いているので、△△したい」
このように、想いを言葉として、キャラクター、そして、視聴者に伝えるのが、爽子の役目です。

それを異性に対して発展させたものが恋。
同じように、「恋とは何か」というベースから、一つ一つかみくだいて表現してくれています。

おかげで、登場人物の気持ちが手に取るように分かります。
だからこそ、応援したくなるし、うまくいっているとニヤニヤさせられる。
そして、登場人物がうれしいときやつらいときには、一緒に泣いてしまう。
そんなふうにして、感情移入ができるアニメです。


丁寧ですが、テンポを損なっていないのもポイント。
ほどよく大事な話、ほどよく日常的な話、とバランスがとれていて、とても見やすいです。

ストーリーも行き当たりばったりではなく、しっかりと計算されています。
そこに、視聴者の予想の外をいく、ロマンチックなサプライズのアクセント。
{netabare}
ラーメン屋の名前が「徹龍件」というのは、後に出てくる徹(とおる)のことを表していたんですね。
他にも携帯電話を持っていないという設定や、吉田さんとくるみちゃんが同じ学校だったことなどが、しっかりと後々の内容に生かされています。

パパから携帯、風早くんからストラップのプレゼントをもらったときは鳥肌が立ちました。
そして、「ちい」という呼び名が、笑顔になれるという意味があったと知ったときはもう;;
{/netabare}

悩んでいるときに見ると元気になれるアニメ。
キラキラな青春を感じさせてくれるアニメ。
青春=恋ではなく、友情を基本にしているのが良かったですね。

OP、EDも素晴らしいですし、BGMの使い方もグッド。
少女漫画原作ですが、男女関係なく楽しめる作品だと思います。

投稿 : 2022/10/01
♥ : 65

90.4 12 Production_I.Gアニメランキング12位
攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★★ 4.3 (2266)
12175人が棚に入れました
「笑い男事件」が解決して半年…労働力不足を補うため国外から招かれた約300万人の招慰難民。日に日に存在感を増す招慰難民と、国家の孤立を謳うインディビジュアリストたちの対立は深まり、テロが頻発するようになった。その状況