泣けるで恋愛なアニメ映画ランキング 12

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の泣けるで恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月28日の時点で一番の泣けるで恋愛なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.6 1 泣けるで恋愛なアニメランキング1位
時をかける少女(アニメ映画)

2006年7月15日
★★★★☆ 4.0 (4030)
21138人が棚に入れました
東京の下町にある高校に通う女子高生・紺野真琴は、ある日踏切事故にあったのをきっかけに、時間を過去に遡ってやり直せるタイムリープ(時間跳躍)能力に目覚めてしまう。最初は戸惑いつつも、遅刻を回避したり、テスト問題を事前に知って満点を取ったりと、奔放に自分の能力を使う真琴。そんなある日、仲の良い2人の男友達との関係に、微妙な変化が訪れていく。

声優・キャラクター
仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵、谷村美月、垣内彩未、関戸優希
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

どうしようもなく、時は過ぎ去っていく

アニメーション製作:マッドハウス
監督:細田守、脚本:奥寺佐渡子、音楽:吉田潔
キャラクターデザイン:貞本 義行、原作: 筒井康隆

子供から大人になるとき、私たちは色々な痛みや哀しみを経験する。
そのことによって、私たちは屈託のない気持ちのままでは
いられなくなってしまう。
それは「良し悪し」ではなく、誰もがいつかは通る道だ。
ただ15歳のときに通る人がいれば、
40歳まで通らない人もいる。大人になるということは、
何か大きな洗礼が必要なのかもしれない。

『時をかける少女』は、真琴が子供から大人になる物語だ。
そういう視点で作品を見ると、テーマがより鮮明になる。
最初の真琴は、ただの子供だ。
とても明るく屈託のない性格が、多くの人から愛されている。
彼女は「今」の生活がとても気に入っていた。
「今」がずっとずっと続けばいいと思っていた。

{netabare} ある日、真琴は偶然に時間を戻す能力を身につける。
それによって夏休み前の楽しいひとときを繰り返せるようになる。
失敗してもやり直せる。考えなければならないことが起こったときは、
その問題が自分には起こらないようにしてしまう。
何が起こってもやり直せる世界は、とても居心地が良かった。 {/netabare}
しかし「今」という時を先延ばしにしたことで、
真琴の周りの環境は大きく変化していく。
多くの人の歴史が変わり、自分自身を含め、
たくさんの人が傷ついてしまう。
また、どれほど時間を戻しても取り戻せないものもある。
それは、いくつもの偶然が重なった瞬間だけに存在する、
人の気持ちだった。

未来は少しのことがきっかけで大きく変わってしまうこともある。
だからこそ、「今」という時間のなかで起こる出来事に、
真剣に向き合って考えることの大切さに真琴は気付く。

この作品はタイムリープの部分などで難点があるとは思う。
しかし、真琴の想いは、とても上手く表現できている。
誰かのために必死になって走る真琴の姿は魅力的だ。
そして奥華子の曲がシーンと絶妙に重なって、深く心に残った。
(2018年12月4日初投稿)

忘れられないシーン(2018年12月5日追記)
{netabare} 私はこの作品が大好きで何度もリピートしているのだが、
雀犬さんのレビューを読んで色々思い出したことがあったので、
少し追記したいと思う。

ひとつは、やはり坂道で転がっていくシーン。
ここは動きとともにとても印象的だ。
止め絵やスローモーションを効果的に使って、
転がってボロボロになっていく様子は衝撃的だった。
新海誠監督の『君の名は』にも同じようなシーンがあって、
観たとき、これは明らかに時かけのパクりだろうと思っていたら、
どこかのインタビューで監督が、あっさりと認めていた。
それほどインパクトのある良いシーンだった。

次にスクランブル交差点のシーン。
全てが止まったお互いの姿が見えない人込みのなかで、
真琴はこれからやりたいことについて、
千昭を探しながら会話を交わす状況がとてもせつない。
人込みのなかで、声だけが響くシチュエーションは
観ている者の心を動かすほどの哀しみを感じさせる。

また、奥華子の曲が流れる最後の跳躍のシーンも忘れられない。
時間を遡るなかで転校生としてクラスに来た千昭が喧嘩をしたこと、
仲良くなった功介と3人で雨の日にひとつの傘に入って
帰ったこと、千昭が真琴に告白をしたことなど、
これまでの色々なことを思い出していく。

そして、ラストの河原のシーン。
実写映画で使われるような望遠での固定カメラ。
煌めく川が流れ、車が左右にゆっくりと走っている。
真琴のそばを自転車が通り過ぎる。
どうしようもなく過ぎ去っていく時間のなかで、
ふたりが別離を迎えるシーンには心を揺さぶられた。
監督のこだわりがとてもよく分かる絵作りで、
これをやりたかったから、監督は作品を作ったのではないかと
思えてしまうほどの名シーンだ。
良い映画には、こういう心に刻まれるシーンが
たくさんあるものだと再認識させてくれた。 {/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 92

MKT さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

夏に見たい青春アニメ

この映画がきっかけで奥華子さんのガーネットに完全にハマりました(笑)

☆時をかける少女 / ガーネット
http://www.youtube.com/watch?v=b_Y4XXkJDW0

いやぁ なんとも言えない切ない余韻が残るエンディングでした。
まさに夏に見たい青春アニメという感じです。

タイムリープで過去に戻れるかぁ。
俺ならいつに戻るかな?
小学生からやり直したいなんて欲は言わないから、
去年の夏に戻りたいかなぁ・・・。

でも戻れないしなぁ。

過去になんて戻れないこそ、後悔の無いように人生楽しんで行こう!と改めに思い返すきっかけになりました☆

投稿 : 2024/04/27
♥ : 20

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

時を越えても良い作品なのですね!!

「時をかける少女」ってタイトルだけは昔から良く耳にしていたのですが、原田知世さんの映画を含
め、今までまったく見た事がありませんでした!!
アニメ化されてからも、観た記憶はなかったので、よし、観てみようと思って視聴を開始・・・・
(^・ω・^).....ンニュニュ?デジャブ!?
無機質で嫌な予感を感じさせる、商店街の機械仕掛けの音楽隊!!
・・・・・なんか知ってるよこれw
どうやら、ふとつけたテレビでちょうど放送されてた所をそのまま観たのだと思いますね♪
まったくもって覚えていなかったので、面白くなかったのかなぁ~などと考えながら見ることになっ
たのです♪
 
物語は、真琴(まこと)・千昭(ちあき)・功介(こうすけ)の仲良し3人組がいつものように野球をした
り、ごくごく普通の学校生活を送るはずだったのです。
でも、この日はちょっと不幸な1日だったのですね♪プリンを食べ損ねたり、家庭科で油に引火させ
たり・・・それだけでは終わらずに、帰り道に死を覚悟するような踏み切り事故に遭ったのです!!
その瞬間にタイムリープに目覚めた日でもあったのです♪
タイムリープを手にした日からの真琴の日常が劇的に変わって行くのですよ!!
 
■「時をかける少女」で外せないポイント♪\_(*゚▽゚)
・黒板に書かれた「time waits for no one」観終わった後でこの意味の重みを感じてくださいね♪
・真琴と千昭の関係に注目!!親友から恋心に変わるタイミングってどこだったのでしょうか?
 友達の友梨との会話なんかもヒントになりますね-(・0・。)
・魔女おばさんの言葉に注目!!「待ち合わせに遅れてきた人がいたら・・・」この言葉に真琴がとった
 行動とは・・・
・千昭の言葉「未来で待っている」に込められた想いとは・・・o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 その後、真琴が功介言った「実はやることが決まったんだ」に答えが見え隠れしますね♪
 
色々突っ込み所は満載でしたけど、人間観察が好きな人ならきっと楽しめたはずですよ♪
タイムトリープ後の世界で微妙に違っている人間模様をぜひ堪能してみてください、そして、真琴の
心理描写を絶妙に表現・演出している所も、全体を通して注目して欲しいですね♪
何気なくすごしている、何気ない時間って、良く考えたら取り戻せないのですよね(゚-゚*)(。。*)ウンウン
「時は金なり」って言う言葉がありますが、まさに、時間は貴重であり有効なものであるから、無駄
に費やしてはいけないよって、改めて時間の尊さを教えられたような気がするのです♪
そんな貴重な時間を割いても、観て損はない作品だと思いますよo(`⌒´*)oエッヘン!
 
最後に、主題歌:ガーネットの歌詞は真琴の気持ちが込められていて、観おわった後に改めて聞くと
改めてジーンとなれますよ♪歌詞が千秋の言った言葉のネタバレにもなっているからなのかもw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 42

80.6 2 泣けるで恋愛なアニメランキング2位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1070)
5191人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋は儚い人の夢

「夏目友人帳」の緑川ゆきが原作で、同作品のアニメスタッフによって作成された短編映画です。


恋は儚い人の夢。
蛍の様に光り、白銀の雪のように輝き、やがて……。


誰もが開始3分で「あっ……これは」と思うはず。
分かってるんですよ、分かってるのに30分後には泣いている私がいる。


蛍は裏表のない、明るくも利発な女の子。

ギンは雰囲気こそ神秘的なものがあります。
しかし、その行動は迷い、恋し、決断する、真っ直ぐな男。

ピュアなキャラによるピュアなラブストーリーです。


{netabare}気軽に触れられる{/netabare}男子生徒。
蛍から{netabare}のプレゼントのマフラーを身につける{/netabare}ギン。
二人が{netabare}会えない季節も{/netabare}どんどん距離が縮まっていく。
ちょっとしたシーンにも説得力がありますね。

夏のイメージが強い本作ですが、冬があるからこその夏。
それが夏の風物詩である「蛍」と冬のイメージがある「ギン」という名前に込められた意味なのかもしれません。


そしてラスト。
涙が止まらない。

{netabare}
お面越しのとてもとても美しいキス。
その後ギンは転びそうになった人間の男の子に触れてしまいます。

「来い、蛍。やっとお前に触れられる」

お面の向こうの蛍の顔はそれまでにないほどの笑顔でした。


……でもね、これは事故ではないんです。
何年も何十年もお祭りに参加しているギンが、うっかりミスをするとは思えない。

「何があっても、私に触らないでね」

この約束がある限り、ギンも蛍も直接お互いに触れることはできません。

そして、後の妖怪の言葉。

「ギンはやっと人に、触れたいと思ったんだね」

つまり、これはギンの意志だったわけです。

確固たる意志を持っていたわけではないのかもしれません。
しかし、ギンは、蛍との約束を破ることなく、罪悪感を残すこともせず願いを叶えたかった。

そのためにギンは事故を装い、{netabare}「人の手というチャンス」{/netabare}を掴んだのでしょう。
{/netabare}


わずか45分という短くシンプルなストーリー。
それでいながら洗練されていて、温かさ、切なさ、色んな感情が溢れてきます。

美しいお話で完成度が高く、今まで見たアニメ映画の中では一番。
本当に大好きな作品です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 140
ネタバレ

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

10年分の想いを、今ここに・・(ギン視点で観てみました)

ねえ、蛍。
俺はずっとここに居るよ?
何年、何十年たとうとも。
たとえ、君の瞳に写らない
そんな存在だとしても。

俺が過ごした、途方もない時間。
そんな中で、蛍と過ごした時間は ほんの一瞬だった。
でもね、俺にとってはその一瞬が大切で愛おしくて、仕方がなかった。

蛍は俺に、優しくて、温かい感情をたくさんくれたね。
でも、それは、切なくて、苦しくもあったんだよ?
蛍は気付いてないかもしれないけれど・・
まるで夏の夜に光る、ホタルのヒカリのような、
そんな儚くて脆い、だけど、強くて、美しい。
そんな日々だったね。

蛍は俺に「忘れないで」と言ったよね?
忘れる訳がない。忘れたくない。
でもね、蛍は忘れてしまってもいいんだよ?・・


蛍に出会ったのは、蛍がまだ小さい時だった。

{netabare}

~蝉の詩、笑い声・・~
鳥達の囀り、木々の揺れる音・・
そんな森達の雑談と共に聞こえた、泣き声。
それが蛍だった。
蛍は、俺を見ても少しもこわがらなかったよね。
むしろ、楽しそうに俺に触れようとして来た。
まだ小さい蛍には「消える」という意味さえ理解出来なかったんだろう。
でも、俺には それが素直に嬉しかったよ。
1人の存在として認められているようで。

~夕やけの茜色、帰り道、遠回り~
「何かデートみたいデスネー」「色気のないデートデスネー」
そんな他愛ない会話を繰り返したね。
手をひいてあげる事は出来なかったけれど、
その先から伝わるこの想いは、一体何なんだろう?
何だか、胸の奥が温かくなるような・・

別れる時、蛍は俺の名前を聞いた。
俺の名前は・・無言・・疑問と不安。
そんな時、風が俺の背中を押した気がした。

~約束は「また明日」~
明日も来ると走って行った、蛍。

「ギンだ」

翌日 本当に蛍はやって来た。
そして、約束の場所で、待っていた俺が居た。

~夏はただ、咲き誇り~
冷たい小川に、暑い夏の日差しが差し、キラキラしてる。
全てが美しく、夏が輝いていた。
それは、蛍が側に居るからなんだよ?
蛍と見る全てが、今までとはまるで、違って見えた。

~その命輝かせ~
俺はただ、生かされて、ただそこに存在しているだけだった。
何も意味をもたない、あやふやなモノ。
だけどね、今まで感じた事のない、自分の存在。
俺は自分というものをこんなにも感じる事が出来るんだ。
夏が待ち遠しい、蛍に会える事が、素直に嬉しい。
そう思えた。
そんな夏が何度も何度も訪れた。

ある夏の事だった。
蛍は俺を驚かせようとして、見事に木から落ちて来た。
俺は、そんな蛍を受け止める事が出来なかった。
自分の存在が無くなってしまう事を恐れたのか・・?
そんな気持ちとは裏腹に、蛍は安堵の顔を見せた・・
そして、大粒の涙を流した。
何故泣いてるのかは、分かってた。
涙は止め処なく流れ続ける。
でも、俺は その涙を拭ってあげる事も出来ず、ただ、その泣き顔を見続けた。

出会わなければ、こんな想いをさせなかった?・・
出会わなければ、こんな想いはしなかった?・・

~終わらない、お話のその先に気付いて~
蛍は毎年、会う度に、成長していく。
それは、普通の人間の子なら当たり前の事なのは分かっていた、、つもりだった。
少しづつ、目線が近くなって来る。
それを複雑に感じつつ、俺の感情に違う何かが芽生えはじめた。
いつか感じた想いとは、全く別物。

蛍に・・会いたい。
蛍に・・触れたい。

この胸を締め付ける感覚は・・

~カラス達遠ざかり、どこかへと飛んでゆく~
離れてる時間がこんなにも長く、辛く感じるなんて・・
今まで考えた事も無かったよ。
蛍は今何をして、何を見て、何を考えてる?
いつからか、俺の中は蛍でいっぱになっていた。
いつか、こんな気持ちが届く日が来るのだろうか?

真っ白な雪の上に散る椿が一際紅く見えた。
俺の心の中のように。
真っ白な心の中に、真っ赤に燃える感情が一つ・・
蛍がくれた温もりで、いつもの冬より、身体も心も温かかった。

~夏はただ駆け抜ける、宝物、しまうように~
ある夏、蛍は言った。
春も、秋も、冬も、俺の事を考えていた、
そして、もっと一緒に居たいと。
俺は、自分という存在の全てを打ち明けた。
打ち明けなければならないと思った。
俺は、蛍を幸せにはしてあげられないから、永久に・・
こんな俺の為に犠牲になる事なんてない、もうここには来なくていいよ?
俺はずっとこうして、だだ存在しているだけで、何も変わらない。
“決して忘れられない、かけがえのないモノが一つ増えた事以外は”
だけど、蛍から返って来た言葉は優しく、心が苦しくなった。
そして思った。もう、こんな夏を続けていてはいけないと・・

~いつまでもなつかしい、あの頃は黄金色~
いつか蛍と行きたいと思った、 「妖怪達の夏祭り」。
誘うのは、ちょっと照れ臭かったけど
蛍は喜んで、行きたい!っと言ってくれた。
そして、少し不安な言葉を口にする。
不安な事はないよ、だって蛍は、俺が守るよ?
そう言うと蛍は、少し頬を紅くして
「そういう事を言われると、飛びつきたくなってしまう」と言った。
・・「飛びつけばいい、本望だ」
もし、それで俺が消えても何の後悔もない、今なら全て受け止める事が出来る。

~何気ない毎日の片隅を照らしてる~
手を伸ばせば、届く距離。
一番近くに居るのに、一番遠い存在。
俺は、蛍を抱きしめたかった。
そして、その手に、その髪に、頬に、
一瞬でいい・・その温もりに触れたい。
もう、気持ちが抑えきれなくなっていた。

~夏はまた、やってくる約束を守るように~
祭はいつもの夏と同じようにやって来た。
でも、今年は隣に蛍が居る。
毎年思い描いていた光景。
「デートみたいデスネー」「デートなんデスネー」
10年前、初めて会った日に交わした会話。
10年越しの、始めてのデート。
やはり、あの日のように手はひいてあげられない。
でも、振りなら許されるよね?

息を吹きかけると回る風車。
金魚すくいをする子供は、尻尾を隠しきれてなくて。
偽物の綿あめが空に浮かび上がり、その空に花火が咲き誇る。
蛍はそんな光景に、ずっと笑顔だったね。
その笑顔を見て俺も笑った。

このまま時間が止まってしまえばいい・・。
そんな、叶わぬ願いをそっと胸にしまい込んだ。

楽しい時間は一瞬だった。
蛍と過ごした10年分の夏がそうだったように。
そして、俺は帰り道に全ての想いを蛍に伝えた。
こんな事を言っても困らせてしまう事は分かっていた。
だって2人は決して交わる事はないのだから。
そして、お面越しにくちづけをした。
これが蛍に触れられる精一杯。
蛍に捧げる、精一杯の気持ち。

蛍は今どんな顔をしてる・・?

そんな時、小さな子供が飛び出して転びそうになった。
俺は咄嗟にその腕をつかんだ。

・・刹那、指先から光を放つように消え始めた。
「あの子は、人の子だったのか・・」

もう、何もこわくはなかった。
ただ、願いは一つ。

「来い、蛍!やっとお前に触れられる」


ねぇ?蛍、覚えてる?
初めて会った日の事を。
笑いあった夏の日々を。
俺は忘れた事なんてなかったよ。
春も、秋も、冬も、会えない日々
ずっと蛍の事を考えていた。
蛍としたい事でいっぱいだった。
蛍とみたい物でいっぱいだった。
蛍と感じたい事でいっぱいだった。

でも、もうさよならなんだね。

蛍、こんな俺に気付いてくれてありがとう。
こんな俺を受け入れてくれてありがとう。

蛍の温もりを感じながら、最後に伝えたい事があった。




「好きだよ」



~夏はただ咲き誇り、その命輝かせ・・~






※~〇〇~
ED・おおたか静流『夏を見ていた』

{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 58
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

出逢ったのが彼女で良かった

『夏目友人帳』でおなじみのスタッフでおくる50分ほどのアニメ映画で、
なんともせつない、だけど心にやさしくしみるお話。

主な登場人物を公式サイトから抜粋すると


〔ギン〕
山神の森に住むキツネの面をかぶった少年。

〔竹川 蛍〕
6歳の時 森で迷子になったところをギンに助けられて以来、
彼に懐き、毎年の夏 彼のもとへ通うことになる少女。


ある夏、妖怪たちが住むと言われている山神の森で迷子になった蛍。
泣いているところを助けてもらったのが、ギンとの出会い。

それ以来の毎夏 森で逢うことを重ね、強く惹かれ合っていくのだが、
人でも妖怪でもないというギンには
「人に触れると消失してしまう」という掟のようなものがあり、
互いに触れ合えないまま蛍だけが高校生へと成長し、
やがてふたりは・・・というお話。

触れ合えないという大きな枷があるせいで、
手を繋ぐことも、抱きしめることもままならない関係。
蛍がまだ幼さの残る少女だった頃は面白おかしく描かれるのだけれど、
中学、高校へと成長していく彼女の、彼への想い方や、
お互いの向き合い方の変化、そしてなんとも初々しい二人の逢瀬など、
丁寧にきめ細やかに描かれていくので、
観ているこちらはもどかしくも切ない想いに駆られる。

このお話は詳しく書いたら野暮なのであまり書けないが、
{netabare}
ギンの正体の真相というか素性に加え、
胸が苦しくなるような出来事が起きた後の妖怪たちの言葉に、
{/netabare}
「あぁ・・・そういうことだったのか」と
山神様がかけた術の本当の意味がわかり、
こらえていた涙がどっとあふれてしまった。

雰囲気的には、『夏目友人帳』1期の8話「儚い光」や
3期の4話「幼き日々に」に近いテーマを感じた。

せつないけれど、悲しいのとは違う温かさ。
妖怪たちや山神の純粋でやさしい想いと、ギンへの愛情。
それらは、観る前に想像していた以上のもので。

また、これは2回以上観るとすぐに気づけるのだが、
蛍の選んだ道がわかる部分にも、ほっとできて。
とても良い後味と、しっとりした余韻に、
エンドロールがなくなってもなお、みつめ続けてしまうほどだった。

満天の星がきらめく夜空や、緑深い森に流れる木漏れ日のようなピアノ曲や
少しとぼけた感じのオルガンのメロディーも、
ふんわりとしたこの作品の空気感を盛り上げてくれる。

現実的に考えれば、少女がたった一人で森に行くというだけで
事件が起きそうな不安がよぎるし、ましてやギンなんて不審者扱いを受けそうな
今の世の中なのに、なんて平和なんだろう・・と。
観ていると・・・のどかでゆったりしていた時代が恋しくなる。

そして個人的に、ずっとずっと大切にしておきたい愛すべき作品の1つです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 81

87.0 3 泣けるで恋愛なアニメランキング3位
秒速5センチメートル(アニメ映画)

2007年3月3日
★★★★☆ 3.9 (3987)
18429人が棚に入れました
東京の小学生・遠野貴樹と篠原明里はお互いに対する「他人には分らない特別な想い」を抱えていた。しかし小学校卒業と同時に明里は栃木へ転校してしまい、それきり会うことが無くなってしまう。貴樹が中学に入学して半年が経過した夏のある日、栃木の明里から手紙が届く。それをきっかけに、文通を重ねるようになる2人。しかしその年の冬に、今度は貴樹が鹿児島へ転校することが決まった。鹿児島と栃木では絶望的に遠い。「もう二度と会えなくなるかもしれない…」そう思った貴樹は、明里に会いに行く決意をする。

声優・キャラクター
水橋研二、近藤好美、尾上綾華、花村怜美

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

綺麗です!芸術作品ですけど!?

私この作品勘違いしてました…短編三部作をショートストーリー3本と…q(T▽Tq)
それに途中気付いて、最初から見直しました(/ω\) ハジカシー
こんな間違えする人はいないと思いますが、主人公の少年・青年・社会人の頃の儚く切ない恋物語です♪
 
正直な感想ですが、あまりにも人に薦め辛い作品だなぁと思っちゃいました(A゚∇゚)ハテッ?
カテゴリー的にはアニメと言うよりも、芸術品っていう『作品』なのです。
観る人の聴覚・視覚を巧みな手法や演出や音響技術で、なんだか懐かしいような、身近でリアルな感覚にさせてくれましたのです♪
演出に所々サブリミナル効果が隠されているのです。鈍感な私には、一箇所しか見つけられませんでした♪
2度目の視聴の時にでも探してみてもらうと良いかも知れませんよ♪
もう一度いいますw芸術作品ですw耳を澄まして、音を感じ、リアルな映像でリアルと錯覚して、山崎まさよしの挿入歌で泣く!?ここが一番の泣き所かなぁw
 
ここまで色々書いてきたのですが…(*_ _)人ゴメンナサイ…物語が肌に合わず好きになれませんでした♪
一番盛り上がったのが青年時代で、その後は誰にも何も残らずに終わった感じです。
切ない系が好きな人には良いかもですね♪
 
ということなので♪何を期待するかで、評価が分かれる作品だと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 62
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なぜこんな終わり方をする・・・

この映画は三話構成の映画です。

貴方がまだこの映画を見ておられないのであれば、
そしてあなたが、映画で感動や愛情や喜びを得ることを期待されているのであれば、
三話目は見ないことを強くお勧めします。
そうすれば、見終わった後、夢を膨らませ、幸せな気分に浸ることができます。

絵はこの上なく美しく、音楽も大変すばらしい。
第二話までであれば、自信をもって多くの人に推薦できます。

第一話では、主人公の男の子や相手役の女の子の心に大いに共感しました。
二人とも純粋で、一生懸命で、相手のことを思いやっており、
とてもすがすがしく感じました。

第二話は、男の子に片思いをしている女の子の話です。
男の子は第一話に出てきた子です。
片思いの女の子がとてもけなげで、ちょっぴり切ないです。
男の子には好きな人がいるので、決して振り向いてはくれません。
男の子は、第一話に出てきた女の子のことをすごく大切にしています。
第二話を見終わった後、これから先の展開が楽しみになってきました。


映画とは、観客に感動や喜び、楽しさ、夢を与えてくれるものだと私は思っています。
疲れたときや落ち込んだ時には、映画から元気を与えてもらえます。
(他の理由で映画を見られる方、ごめんなさい)

自分勝手な主張で申し訳ありませんが、
監督さんには、元気を失くしたり生きる気力を失くすような映画を創っていただかないよう、お願いします。
{netabare}
2019/2/24追記
実は、第三話は、私自身も思い当たることがあるのでつらいです。

都会でコンピューター関係の仕事をするということは(他の仕事も大差ないと思いますが…)
自由な時間があまりなく、仕事以外は寝ているか食べているかが殆どです。
寝ているときも、夢の中でプログラム解析をついついしてしまいます。
そして障害の箇所に気づくと、汗びっしょりで急に目覚めます。

だから私的なことを考える余裕があまりありません。
ついつい身内に冷たくなります。
そして、少しずつ疎遠になる。

そんな現実があるにせよ、
私は空元気でも見せかけでもいいので、笑っていたい。
そうすることで相手の人が安心してくれるのなら、それが良いと思っています。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 90

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

貴樹様。女の手は一度握ったら、決して離してはダメなのでございます。

桜の花びらの落ちる速度は秒速5センチメートルだそうでございます。桜の花びらがヒラヒラと落ちるがごとく、この作品はワタクシの胸の中をヒラヒラと舞って掻き乱し、そして深い余韻と共に胸の奥底に積もっていきました。とても印象に残る、素敵な作品でございました。

お話は桜花抄(おうかしょう)、コスモナウト、秒速5センチメートルの3話構成となっております。それぞれが小学生時代~中学生時代、高校時代、そして社会人と3つの時代のエピソードを書いたものでございます。各話20~30分程度と短いお話となっておりますが、可能な限り続けて鑑賞されることをお勧めいたします。そうする事で、主人公の遠野貴樹様の胸中をより深く伺い知ることが出来るかと存じます。

ご覧になった皆様が口を揃えておっしゃいますが、ともかく作画が綺麗でございます。綺麗・・・いいえ。そんな一言で表現出来ない、別次元の感覚でございます。作画だけで物語を語ることが出来る。それ程までに素晴らしい出来であるとワタクシは感じました。必見でございます。

小学生時代~中学生時代のエピソードで有る桜花抄。こちらで篠原 明里様役を担当されている近藤 好美様の演技がともかく素晴らしかった。余り有名な方では無い様でございますが、切ない女心をせつせつと語るその口調。言葉に込められた思い・感情。一言一言が胸に刺さる様でございました。

本作は台詞の無い”間”の使い方が絶妙でございました。降りしきる雪の中で見つめ合う2人、夕暮れの道を並んで歩く2人、草原の中で佇む主人公etc・・・。台詞はなく、ただ風の音、虫の声だけが流れる・・・。
ナレーション等はございませんが、作品に感情移入すればする程、その”間”は自然と言葉を発して参ります。”声”では無いけれど、心に直接語りかけて来るかの様でございます。そして受け取る方によって、その言葉の内容は異なる物になるのでございましょう。

最終話の終わり方が説明不足と言う意見も耳にいたします。しかしでございます。ワタクシは言葉の無い、この”間”が全てを語ってくれていると思うのでございます。そしてその事が、あえて観る側で独自の物語を作ることを許してくれていると思うのでございます。それは中学生時代の初恋に重ねるのかも知れません。高校時代の片思い? それとも今愛しているあの人の事でございましょうか?
貴方にとって、この”間”はどんな言葉を語りかけてくれるのでしょうか? どんな物語を紡いでくれるのでしょうか?
本作では手紙、メールと言った手段がとても上手く使われており、印象的でございました。
最後に作中で登場いたします遠野貴樹様、澄田 花苗様のお二人にお手紙を書いてみたいと存じます。


前略 澄田 花苗様
結果的に貴方様の恋は叶いませんでしたが、その恋はとても美しい思い出を残してくれましたね。とても純粋で一途な恋。かけがえのない思い出。羨ましいぐらいに素敵な財産です。貴方様のその魅力に、いつか惹かれる男性が現れます。美しい思い出を持つ貴方は美しい。どうかご自分に自信を持って、明日を前向きに進んで下さい。心より応援いたします。
草々


拝啓 遠野 貴樹様
貴方様のその一途な思い、深く深くワタクシの胸に突き刺さりました。でもね、貴樹様。貴方様がそこまで愛した女性・・・。どんな事が有っても、その手を離すべきでは無かったとワタクシは思うのですよ。距離が何ですか?時間が何ですか?そんな物は本当に障壁ですか? 貴方の愛が本物ならば、どんな障壁であっても乗り越えて欲しかった。
貴樹様。女の手は一度握ったら、決して離してはダメなのでございますヨ。ワタクシからのささやかなアドバイスでございます。
敬具

投稿 : 2024/04/27
♥ : 53

91.1 4 泣けるで恋愛なアニメランキング4位
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ映画)

2020年9月18日
★★★★★ 4.4 (561)
2612人が棚に入れました
――あいしてるってなんですか?かつて自分に愛を教え、与えようとしてくれた、大切な人。会いたくても会えない。永遠に。手を離してしまった、大切な大切なあの人。代筆業に従事する彼女の名は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。人々に深い、深い傷を負わせた戦争が終結して数年が経った。世界が少しずつ平穏を取り戻し、新しい技術の開発によって生活は変わり、人々が前を向いて進んでいこうとしているとき。ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、大切な人への想いを抱えながら、その人がいない、この世界で生きていこうとしていた。そんなある日、一通の手紙が見つかる……。

声優・キャラクター
石川由依、浪川大輔
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

最後の手紙(2回目感想を追記)

下手な言葉を使うとネタバレしそうなので、ポスターのキャッチコピーを一部引用しました^^;

 TV版本編の初放送は2018年で初視聴も同時期でした。。

===劇場版:初見での感想===
 2020年9月19日(土)、劇場版本編を観覧。
 (★舞台挨拶ライブビューイング付き)

全国の劇場で舞台挨拶が見られるとのことで、
予定を繰り上げて、あわてて劇場に行きました。

でも、TV版本編を少しでも復習してから、行くべきでした。。
2年の月日は自分にはちょっと長かった。。
ヴァイオレットへの愛情は忘れようがない。
そんな変な自信を持っていましたが、いかんせん物語の詳細をとどめておけるほどの記憶力は、現在の自分には持ち合わせていない事を突き付けられました。。トホホ

いよいよ物語の主人公、ヴァイオレット本人のストーリーが幕を開けます・・

■{netabare}
 ヴァイオレットには幸せになってもらわないと・・
 ひょっとして、社長とくっつくのかなぁ・・

なんて思ってたら、

 まさかと思うけど、少佐の兄?

と思ってしまうような展開でした。。

でもその上を行く、まさか・・・
少佐が生きていたとは、ね。
TV版完走時は死んだと思ってたから、
外伝も感動したんだけど。。

途中辺りから、

 え。ひょっとして生きてる?

てな展開。
ぶっちゃけ、ダマされた、という思いもw

いや・・・でも・・
これで、よかった。

思えばTV版を観ている時、実は少佐は生きていたというストーリーを妄想していたんでした。ちょっと忘れてました。
ヴァイオレットが幸せになる道は、それしかないですよね。

でもでも・・
少佐の生存がわかるシーンの感動が薄いせいか、
その分、ラストに至るまで延ばす延ばすw

 なんだよ、少佐・・
 ナニ自虐的になってんだ、そういうキャラ?
 てめ、ヴァイオレットを泣かすんじゃねーw
 身元を引き受けた責任と、
 何より「愛してる」と言った責任、
 男ならキッチリとりやがれw

てな展開は、個人的にはストレス展開でした。
いやわかりますよ。
その後の感動のための前フリだろうってことは。

でも、それならそれなりの想いの爆発に共感したかった。。
少佐が走り出した時って、なんか自分的には動機づけが弱かったんですよね。。
ドア越しにしゃべった時以上の動機が感じられなかったというか。。
だから、ラストの感動シーンも、ちょっとモヤモヤして感情移入しきれなかった。

さすがに、ラストシーンは感動的でした。
ただ、あんな遠い岸からのあんな掠れたような声が聞こえるのか、とか
ヴァイオレットは義手重いはずなのに泳げるの、とか
細かいところが気になって、これまた感動ボルテージ上昇の阻害要因となってしまいました。。トホホ

躊躇なく海に飛び込んだヴァイオレット、男っぽい。
惚れ直しそうw

そんな彼女も、ようやく・・本当にようやく、たどり着いた少佐の胸では・・ただただ・・泣き崩れるしかなく・・


さて・・
ここで触れずにはおけませんね。
ツイッターにも出ています。
舞台挨拶での石立監督の言葉。

 ~{netabare}
  ヴァイオレットが書いた手紙には、
  セリフに出なかった一文がある。
  これが、少佐をヴァイオレットの元に
  駈け出させた。。

  というもの。

  なんでしょうね。。
  気になる。。
  「あいしてる」かな。
  でもそれはドア越しに言ってたような。

  てかこれ、セリフにしてくれれば
  もっともっと感動できただろうに。。
 {/netabare}~

にしても、ポスター、いい絵ですね♪
ネタバレしそうですがw

でも・・

ああ・・完結してしまった><
(ホントはこれをタイトルに書きたかった)

もっと引き延ばして何作か出してくれてから、こういう結末になるんだと思ってました・・
原作はどうなんでしょう・・

未来からヴァイオレットを過去の人物として振り返る作りは、個人的にはあまり好きとは言えず、どうせなら子孫も見せて欲しかったけど・・

エンドロール後の1ショットは、救われました。
これで、よしとしましょう。

過去だからお幸せに、と言えないのはもどかしい。

ならば・・

良かったね、ヴァイオレット。

{/netabare}■

そう、エンドロールは最後まで、観ないとですね♪

ちなみに劇場で配布された、入場者プレゼントは
~{netabare}「ヴァイオレット・エヴァーガーデン if」{/netabare}~でした。

あ、3種類の短編小説ランダム配布って公式に書いてた。。
急いては事を仕損じる。
ゆっくり読もう。。


===劇場版:二回目の感想===

京アニはご存知のとおり寄付金を受け取ってくれません。
感謝の心、支援の心を込めて、再度劇場へ行きました。
TV版を観直した後、今度は目線を変えて。

その目線とは、ヴァイオレットであり、ギルベルト。
初見ではどうしてもホッジンズ社長というか保護者目線になってしまいましたが、この物語は、二人の物語であり、その目線で観るのは必定かと。

~{netabare}
まずは、1期を再視聴したことで1期を思い出させるシーンがとても胸に響きました。手紙が空を舞うシーンとか主要エピソードとか。
特にアンのエピソードは一番涙を堪えるのが大変だったかも。

感激は初見ほどではありませんでしたが、ギルベルトの気持ちが何となく理解できました。
愛するが故、自分はヴァイオレットにふさわしくない、と。
これは初見でもわかってはいましたが、わかって1期を観なおすと、彼はヴァイオレットを預かり戦場に送ったことをとても後悔していて、結果ヴァイオレットの両腕を失わせ、たとえ自分が生き永らえたとしても、自分の愛を貫くことは資格がないと考えても仕方がないかもしれない、と思えました。
彼がヴァイオレットに会えないと言ったのも、会ってしまえばその信念も揺らぎかねないからで、つまりそれだけヴァイオレットを愛しているからに他なりません。

ヴァイオレット目線で観ると・・・
心からの願いが叶えられないと知り、本当に切なくつらい日々を過ごして。
それが会えるかも知れないとわかり、本当にうれしくて。
でもやはり会えないことになり、とても悲しくて。
それでも生きていてくれたことが、やはりうれしくて。
最後に追いかけてきてくれたことが、最高にうれしくて。
この目線で観るのはとても切ない・・・

むしろ、ラブコメ風に・・・
「このまま会えないまま、どっちか結婚して、その後に会うことになってたらどうするのよ!ギルベルトおおおー!!」
と罵ってあげても良かったのにww

でも、やはりこれは二人の愛のストーリー。
これで、良かった・・

最後に、手紙の一文の考察を。
~{netabare}
映画の冒頭では、sincerelyの文字が出ます。
意味は「心から」かと。

また本シリーズは物語の最後にタイトルが出ます。
本劇場版では「あいしてる」。
つまり・・・
『心から 愛しています』
これが、ヴァイオレットからの、愛する人への最後の手紙の、最後の一文だったのではないでしょうか。

振り返ってみると、ヴァイオレットはドア越しでは「愛してる」は言っていません。彼はその事実を知らず、ただ父親のように慕っているものと勘違いしていたのかも知れません。
だから、この一言が、彼をヴァイオレットの元へ駆け出させたのだと、私は思っています。
{/netabare}~

いつか、ネタ明かしがされる事を期待します。


蛇足ではありますが・・
病院で亡くなる男の子のシーン・・
音がデカ過ぎて感情移入の邪魔になる思いでした。
もっと静かな曲か、むしろセリフのみでも良かったかと。
{/netabare}~

はぁ・・切なくて息が詰まりそう。
この劇場版と、1期・Extra・外伝で無限ループに陥りそうです・・

 制作:京都アニメーション
 監督:石立太一
 脚本:吉田玲子

 2020/09/19 閉館直前のMOVIX利府にて初視聴。
 2020/10/05 同じ映画館にて二回目視聴。


■余談
劇場内で完全新作ARIAの予告編が流れてました・・脚本が同じく吉田さんかな?と思ったら・・

 総監督・脚本:佐藤順一
 監督:名取孝浩
 アニメーション制作:J.C.STAFF

ほへ・・
ストレスフリーの世界でホッとしたい・・
違う作品の話ですみません^^;

投稿 : 2024/04/27
♥ : 57

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

上映してくれてありがとう 感動を与えてくれてありがとう

この劇場版は、世界の多くの人たちが待ち望んでいました。
様々な困難にもめげずに、この劇場版を完成された監督、スタッフ、関係者の皆様、ありがとうございます。


この映画は現代と過去の二つで物語が進行します。

現代での物語の主人公は、デイジー・マグノリア。どこかで聞いたことのある名前が含まれていると思いませんか?
そうです。デイジーは、テレビアニメの第十話で登場したあの少女の孫娘。

お婆さんが亡くなった後、デイジーはおばあさんが最も大切にしていた宝物(ひいばあさんからの手紙)を知り、その手紙を代筆したヴァイオレットに興味を持ちます。
ヴァイオレットのことを調べるうちに、デイジーは彼女の不思議な魅力に魅かれていきます。
やがてデイジーはライデンに行き、愛してるを知るようになったヴァイオレットのその後の足跡をたどるのです。

それと同時に、過去の物語が始まります。もちろん主役はヴァイオレットです。
とても感動する内容です。涙が出てきます。
ぜひとも劇場へ足を運んでください。「見て良かった」と、きっと思いますよ。

デイジーの声の役を諸星すみれさんがやってられました。諸星すみれさんは第十話でもあの少女の声の役をされた方です。
それだけで私は感動しました。


科学技術が進歩し、今では電話やEメール、LINEで遠くの人と気軽に話せるようになりました。
でも、心がこもった話を私たちはしているでしょうか? 相手の気持ちに寄り添った話をしているでしょうか?
特にEメールやLINEは気軽に発信できるので、つい相手の心を傷つけたりすることがあります。

手紙は不便だからこそ、時間をかけて相手の心に寄り添う内容を書けるのかもしれません。
そして手紙は、受け取った人が宝物として大切に保存しておくことができます。

もちろん、EメールやLINEも保存が可能ですが、いつの間にか削除されることが多いような気がします。
大切なEメールやLINEは、特別な場所に格納して一生の宝物にしたいですね。


この映画は、本来は2020年1月に公開されるはずでした。
しかし、2019年7月に、不幸な出来事が発生し、多くの社員の方々が亡くなり、京都アニメーションは存続の危機に立たされました。
それでも京都アニメーションの方々の努力と沢山の人たちの支援により、2020年4月を目指して製作が続けられました。
すると今度は新型コロナウィルスの影響で、またしても製作が困難になり、上映が延期となりました。

でも、なんとしてでも完成させるという信念を持ち続けた京都アニメーションさんのたゆまぬ努力により、2020年9月、ようやく上映されることになったのです。

上映してくれてありがとう。感動を与えてくれてありがとう。
これが私の今の気持ちです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 75
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

心と時代の火傷が癒やされていく……(ドルビーシネマ版・体験談追記)

【ドルビーシネマ版・体験記】

先日、京都MOVIXにてドルビーシネマ版で再鑑賞。
(大河ドラマ史跡探訪の寄り道)

色域の広さ、コントラストの幅を最大化した映像。
128個の音源により実現したサウンドの360°空間移動による臨場感溢れる音響。
が特徴の映像規格。

嵐の後のエカルテ島の朝焼けは、よりグラデーションが美しく、
光源処理も眩しく鮮やかに。
ライデンの夜景と花火は、通常は同じ黒に見える暗闇の中に、
描き分けられた家屋や夜空の明度の違いがハッキリと伝わり、より味わい深く。
紅葉シーズンの京都に匹敵する絶景が巨大スクリーンいっぱいに広がり、
私も景色で泣いているのか、物語で泣いているのか分らない状態にw


鳥や虫の音、床が軋む音も含む多彩な足音。
など環境音も芸が細かい本作ですが、立体音響により一層リアルに。
今回は空気が流れる微かな音までシッカリ聞こえて驚愕しました。

音が繊細なだけじゃなく、単純に音を振動として人体に伝えるパワーも強く、
心臓の奥まで突き動かされるような音響で、
私は終始、心拍のリズムがおかしかったですw

主題歌「WILL」等も生オーケストラ演奏級の大迫力でした♪

何より恐れ入るのが、誤魔化しの効かないこの規格で
むしろ本領を発揮するだけの手間とコストを京アニがかけていたという事実。

ひょっとすると本作の映像ソフト化では
Ultra HDブルーレイ版の展開等もあるのかもしれません。

私も音響までは無理でも、再生プレイヤーくらいは検討してみましょうか……。



以下、2020.9.21初回投稿


【物語 4.5点】
シリーズ集大成となる本作。メインシナリオ自体は単純。

だが、このシンプルな愛の話が成就するまで
主人公ヴァイオレットや周囲の人々の揺れ動いて来た心の曲折を、
最後まで丹念に描き切ることで“【不変】で【普遍】の愛の物語”が花開く。

時系列前後、TVアニメ版エピソードの延長線導入など、
脇にトリッキーなプロットも組んで来るが、

彼女とその想いは時代を越えて確かに存在していたこと。
手紙じゃなきゃ伝えられない事もあるが、大切なのは想いを伝える意志。

といった王道を整備、補強する材料として的確にシナリオがチョイスされ機能している。


【作画 5.0点】
元々、心情を気象現象等に投影する背景美術、アニメーション表現を追求してきた本シリーズ。

いよいよヴァイオレットの感情も開花し猛威を振るう本作では、
天候描写等も、何もここまで作画カロリーMAXにしなくても良いのに
という位の極致に到達。


京都アニメーションはさらにえげつなくなって帰って来ました♪


手元の描写に、顔に出さない心情を吐露させる表現も目立った本作。
ヴァイオレットの義手も、序盤でネジを締め直して調節する描写が入り、
来る感情表現に向けて準備万端。

失われた後で補った偽りの手でも、手紙をタイプすることはできるし、
{netabare}指切りやサムズアップ{/netabare}だってできちゃうんです👍


何より成長したヴァイオレットの笑顔が本当に素敵です。


通常の泣きアニメでは、
外部から露骨に泣かせに来る涙腺攻撃だけ警戒していれば良いのですが、
本作の場合は、心情から背景まで一体となった
ハイレベルな表現に琴線を触れられた心の奥底から
溢れ出て来る感情により、涙腺が内部から崩壊させられる感じ。

ふとしたシーンの何気ない風景や表情にすら、グラッと来るから油断できません。
このパターンで涙腺決壊したら、
以降はずっと涙が氾濫しっぱなしになると思われます。

ファンの間ではハンカチより大型タオルの持参が推奨されていますが、
決して大げさではないと思います。
自身の涙腺耐久度等に応じて備えましょう。


【キャラ 4.5点】
すっかり喜怒哀楽が豊かになったヴァイオレット。
「あいしてる」や、ギャグも少しは分るようになった模様。
但しギャグセンスは『ターミネーター2』のT-800(演:シュワちゃん)レベルでしょうか?w
今後の成長を温かく見守りましょう♪

消息が気になる少佐については、{netabare}心を閉ざしてしまった青年として、
兄・ディートフリートとの関係も含めて掘り下げられる。
それにしても本作のディートフリート兄さんは汚名返上して、
さらに高性能なツンデレとして
ハートを全部持って行きそうな勢いを感じますw{/netabare}


人々との出会いがヴァイオレットの感情を育む。
シリーズのキャラ作りの基本線は本作でも踏襲され、
ヴァイオレットの背中に最後の一押し。

今回は新たな依頼主として{netabare}病気療養中の少年・ユリスが登場。
TVアニメ版のアンのエピソードの、死んでも想いが残る手紙という美談に対して、
生きているうちに想いを伝えなくても良いのか?{/netabare}
という反証材料を提供し、物語の洗練に寄与。


戦乱の時代に武器として傷つけ傷付いて来た少女を、
平和になった時代が恋する乙女として再生させた。

本作は世界が「あいしてる」を取り戻す物語でもあるのです。

【声優 4.5点】
ヴァイオレット役の石川 由依さんが感情を振り切った熱演をする傍ら。

ディートフリート役の木内 秀信さん。
それと{netabare} ギルベルト役の浪川 大輔さんに、ユリス役の水橋 かおりさん。{/netabare}
この辺りの男性役が、憎まれ口で本音を包み隠してしまう素直になれない男共を好演。


誰かさんは女の子を持ったら身が持たない。いや男の子も……。
などと愚痴っておりますがw

本作については、男の私から見ても、男の方が断然、面倒臭いですw


【音楽 4.5点】
足音だけで何種類あるんだろう?と感心させられる、
多彩かつ繊細な効果音、環境音は健在。


私は田舎で選択肢がありませんでしたが、
これから鑑賞される方は、音響にはこだわって欲しいと思います。


劇伴はEvan Call氏の続投。吹き荒れる感情の大嵐に寄り添うべく、
ドイツの映画音楽専用スタジオで収録した音源を提供する本気度。

主題歌はTRUE「WILL」こちらも作曲・Evan Call氏。
相変わらず壮大なオーケストラにも押し負けないパワフルなボーカルで、
作品のキーワードを押さえた歌詞を歌い上げる。
「帰ろ~うか♪ 帰~ろうよ♪」帰宅ソングの新定番が誕生♪
TRUEさんは他に{netabare}本シリーズのボーカルアルバムより
「未来のひとへ」がオーケストラVerでED曲に起用。{/netabare}

また、同じく{netabare}茅原 実里さんの「みちしるべ」もEvan Call氏の劇伴と、
歌詞にマッチしたクライマックスシーンと化学反応し輝きを放つ。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 61

87.8 5 泣けるで恋愛なアニメランキング5位
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(アニメ映画)

2019年6月15日
★★★★★ 4.1 (546)
2877人が棚に入れました
空と海が輝く街“藤沢"に暮らす梓川咲太は高校二年生。先輩で恋人の桜島麻衣と過ごす心躍る日常は、初恋の相手、牧ノ原翔子の出現により一変する。何故か翔子は「中学生」と「大人」がふたり存在しているのだ。やむなく翔子と一緒に住むことになった咲太は「大人翔子」に翻弄され、麻衣との関係がぎくしゃくしてしまう。そんな中、「中学生翔子」が重い病気を患っていることが判明し、咲太の傷跡が疼き始める――。

声優・キャラクター
石川界人、瀬戸麻沙美、水瀬いのり、東山奈央、種﨑敦美、内田真礼、久保ユリカ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

この映画無くして『青ブタ』は語れない_眠れない_トロイメライ_今作に携わった全ての人達に「ありがとう」「がんばったね」「大好き」を伝えたくて(おまけ追記)

まだ記憶にも新しい2018年秋期に全13話のテレビシリーズが放送された『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(以下、『青ブタ』)
テレビシリーズの中では紐解かれなかった主人公、梓川咲太の胸の傷の謎と咲太の初恋の相手、牧之原翔子の秘密を軸に描かれるシリーズの完結篇となる89分の劇場作品
「思春期症候群」と呼ばれる不可思議現象を発端に描かれるSF青春ドラマです
基本的にテレビシリーズ全話で張られていた全伏線の全回収でありつつ、尺の都合であらすじ等も全てカットした上で矢継ぎ早に展開が進んでいくのでテレビシリーズを最初から最後まで把握していないとさっぱり着いていけないと思います


3年前、小学4年生の牧之原翔子ちゃんは将来のスケジュールという学校の課題を書けずに思い悩んでいた…
実は翔子ちゃんは心臓移植を受けないと治らない病に侵されており、中学の卒業を待たずしてこの世を去る運命にあるのだという
3年後の12月8日、花楓の人格と記憶が元に戻る騒動が落ち着いた梓川家に来訪者が現れる
それは梓川咲太の初恋の人であり、咲太に心の支えが必要なここぞという時に現れる大人の姿をした牧之原翔子さんだった
無理矢理に梓川家に居候する翔子さんと、それを良しとしない現・彼女の桜島麻衣さんの間で火花が散る
そんな修羅場も落ち着かないまま、咲太は病院で中学生の姿の牧之原翔子ちゃんと出くわす
翔子ちゃんから幼い頃から入退院を繰り返している事や心臓移植に関する話を打ち明けてもらった咲太は、翔子ちゃんと翔子さんが同時に存在するのは翔子ちゃんの未来への不安が起こした「思春期症候群」の一種だとして解決策を模索する
やがて翔子さんは移植手術を成功させた未来からやってきた事、そしてその心臓は咲太の心臓である事が明かされていく
翔子ちゃんを救う為、咲太は自分の命を捧げるべきなのか困惑する…


テレビシリーズのレビュでも書きましたが、このシリーズは【ゼロ年代ヲタク文学の総決算】です
○○の“パクリ”と見下すことは簡単なのですが、その一言では片付けられない高尚な、ヲタク文学への愛とリスペクト、そしてSFへの昇華が込められてる作品だと思うのです
その上で今作では2010年前後に隆盛を極めた作品の要素も補完する方向にシフトしています
具体的にオイラが思い浮かべたのは『Angel Beats!』『CLANNAD』『STEINS;GATE』『アスラクライン』辺りです


また、主題に“生命の選択”や“人は何の為に生きていくのか”という普遍的な内容を孕んでいる為、今後新たに世に出てくるであろう無数の作品達と今作を比較してみるのも面白いと感じました
つい昨日も『響けユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』(「がんばったね」のくだりについて)や『ミュウツーの逆襲』や『トイストーリー4』や『ニノ国』(生命の選択や自己犠牲を美化するか否か)に絡めて『青ブタ』の方が上手く纏められてるのでは?とか、そんな話ばっかをぽ~か~さん達と話してましたw
アニメだと自己犠牲って美談として描かれがちですが、冷静に考えて17歳の少年が自分の命を捧げる、なんて事が良い話なわけがない
クライマックスまで観ていただければお解りの通り、今作は自己犠牲を否定する作品なんです


もちろん本編の全体の出来栄えがとにかく素晴らしい
ざっくり言って“お涙頂戴モノ”ですのでハッキリと苦手な人の方が多い内容だとは思います
でも面白くなかったらオイラだって計11回も劇場に足を運びませんからねw
人生で一番多くリピートした映画になりましたよ
テレビシリーズから順当に考えると今作は“翔子のお当番回”と考えたくなりますが、これまでもヒロイン達を救う為に必死になってきた咲太が、遂には翔子の為に自らの命を捧げなければいけない、とまでに追い詰められます
そしてこの絶体絶命の咲太の助けとなるのがテレビシリーズで咲太に助けられたヒロイン1人1人だというのがアツい
この辺のくだりは涙を誘う展開と熱量を感じる展開が交互に繰り返されて非常に滾るものがあります
そして広い意味で今作をもってしてシリーズ全体の“咲太の物語”に一区切りが着くことに気付くと思います
咲太を演じた石川界人さんは今作を持ってして完結とするのが一番幕引きに相応しいのでは?と、今後続篇があるとは思っていないようです


それにしてもこれほどの内容を89分に纏め上げた横谷さんの脚本力、それをテレビシリーズ終了から僅か5ヶ月弱で実現した増井監督率いるスタッフの手腕、そしてキャストによる渾身の演技、どれも大変素晴らしいです
先日、スタッフトークショーに参加してきましたが89分という尺は予算の都合上の絶対条件だったそうです、本当にお疲れ様でした
逆に濃密に内容が詰まったテンポ感こそ『青ブタ』だと思うのでこの選択は結果的に正解だと思いますb
最近、アニメ映画にタレントキャストは必要なのか?という話題を度々目にしますが、逆に考えればプロ声優の底力を感じる映画こそがこの『青ブタ』なんだとも思いますね
それにテレビシリーズからこんなにも早期に映画化の企画が為されたにも関わらず、キチンとした作品を完成させたことは本当に賞賛されるべきことだと感じます
完成が遅れて延期に次ぐ延期とか、そもそも企画された枠の中に納まらずお蔵入りとか、完成したものが極端に低クオリティ…とかいう作品も蔓延っているのが現代のアニメ業界の現実ですからね


唯一失敗と言える事を強いて挙げるのであれば、テレビシリーズ放送前から映画化が決まってたので作品人気の度合いが計り知れず、ファーストランの上映館が経ったの31館しか稼げなかった事でしょうか
おかげで連日満員、入場特典はおろかパンフすら瞬殺
あんなバズり方をするアニメ映画は至極久々です


ところで『青ブタ』の場合、テレビシリーズから一貫していた内容を短い尺に詰め込むことや、音を減らしてセリフを聴かせる、といった演出類が“映画だから”と奇をてらわずに実行されてるのが褒め称えたい
特にエンドロールでいつも通りのエンディングテーマ『不可思議のカルテ』で締め括るというのが感無量


オイラの一番お気に入りのシーケンスは12月31日の晩、ICUの前で寝てしまう咲太がこれまでの全ての出来事が走馬灯のように振り返えられていくフラッシュバックで時間が巻き戻る様を表現したカットですね
あの場面に合わせて作った、というfox capture planのBGMのピアノリバースがバッチリとハマっているのが気持ち良いです


正直いまは何の映画やアニメを観ても『青ブタ』との対比になってしまうwという我ながらメンドクサイ状態に陥っていますw
それほど今作を心の底から好きになれているのです
とにかくいま言いたいことを要約すると、今作に携わった全ての人達に
「ありがとう」
「がんばったね」
「大好き」
を伝えたい
これに尽きると思います


はなまる頂けましたかな?w


【おまけで追記】
双葉の髪型がポニーテールとナチュラルロングが日によって変わっていることに気付いた方もいると思います
何か法則があるのかと思い、テレビシリーズ含め"双葉の髪型のみ"を注視して鑑賞した結果を報告します
ずばり日付の末尾が奇数か偶数かで交代してることに気付きました!
…なんだそれだけかって?
基本的に日付の末尾が奇数だとナチュラルロング、偶数だとポニーテールになってました
これはテレビシリーズ8話で2人の双葉が融合した後の9月1日以降、両方の双葉がお互いを尊重し合っている、というメタファーなのでは?と受け取ってます
もちろん髪型以外の性格描写には変化は見受けられません
ちなみに映画劇中で咲太が「大人の梅ソーダ」を呑んだ際に一度リセットされ、奇数日がポニーテール、偶数日がナチュラルロングになってます
その後の大晦日から年明けに掛けて再リセットが起こり、ラストシークエンスの1月6日、つまり偶数日にはポニーテールに戻っています
何が言いたいのかって?
どっちも可愛いので両方交互に出て来てお得感凄い!制作スタッフGJ!って話がしたいだけですよw


【備忘録】
新宿バルト9で5回、川崎チネチッタLIVE ZOUNDで1回、川崎チネチッタ5番スクリーンで1回、ユナイテッドシネマアクアシティお台場で2回、EJアニメシアター新宿で2回、下北沢トリウッドで1回、立川シネマシティ シネマツーcスタ極上音響上映で1回
合計13回劇場で観て名実共に最も映画館でリピートしてる映画です
スタッフトークショーの増井監督、キャラデの田村さん、木田Pのサイン色紙持ってます

投稿 : 2024/04/27
♥ : 31
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

初日舞台挨拶にも行ってきました

~・~・~・~・~公開記念舞台挨拶に行ってきました~・~・~・~・~

第一希望の上映後舞台挨拶は落ちて
上映前舞台挨拶に行ってきました

上映前ということはつまり
これから見る人に向けたメッセージですから
原則ネタバレ無しということです

本当はネタバレありで面白い裏話をたくさん聞ける
上映後舞台挨拶の方が好きなのですが
まだ観ていない大多数の方にも
ネタバレなしでトークの内容をお伝えできる点は
いいかもしれませんね

原作は現在読んでいる途中で
まだ劇場版相当部分に辿り着いていませんが
映画の内容は原作の6巻と7巻にあたるようです
TVシリーズは
1巻バニーガール先輩
2巻プチデビル後輩
3巻ロジカルウィッチ
4巻シスコンアイドル
5巻おるすばん妹
までを中心に
最終話で6のエピソードを少し添える形で
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
という題名で放送していましたが

今回の劇場版は
6巻ゆめみる少女
7巻ハツコイ少女
の二つを
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
というタイトルでアニメ化しています

1~5巻がそれぞれ
麻衣、朋絵、理央、のどか、かえでの話なので
舞台挨拶に行くまではゆめみる少女という題名から
翔子がメインの話だと思っていました
しかし舞台挨拶でこれから見る人たちに向けて監督から出た言葉は
「TVシリーズはそれぞれの女の子達の話でしたが
劇場版は咲太の話です」
というもの
そして実際翔子が重要な役割を担って入るものの
咲太が自身に起きている思春期症候群を解決するため奔走する話であり
TVシリーズで少しずつ蒔いてきた伏線を
がっつり回収する構成になっています

したがってTV版見てないよ!という方は
これを観る前にTV版を見てくるか
原作小説を5巻まで読む必要があります

逆にTV版を観たのであれば
ぜひ劇場版もセットで見るべきだと思います
TV版とは独立したエピソードというよりは
TV版の完結編とでも言うべき作品なので
(原作はそこで完結せずにそのまま続いていますが)
これを見ることでTV版の評価も変わるんじゃないかと思います

一般公開前ということもあり
内容に関してのより突っ込んだ話は控えることにして
一般公開後に原作読了状態で
再び劇場に足を運ぶ予定なので
そのあとでまたレビューしようと思います

おまけ:舞台挨拶雑感(ネタバレ無し)

{netabare}監督:増井壮一

4日前まで今日が何曜日かもわからないような
忙しい生活を続けていた
ふらふらと入ったコンビニで
ちょうど青ブタコラボをやっていて
コラボ商品をぼんやり眺めながら思ったのは
「へぇ・・・青ブタ映画やるんだなぁ」

あんたがボロボロ二なりながら作ってるやつだよ!

梓川咲太役:石川界人

作品の見どころを聞かれて

「人間の限界を越えようと頑張ったけど
実際には全然できてなかった
あれは山寺宏一さんにしかできないやつだと思う」

簡単に説明するとテンションの違う二人の掛け合いを
一人芝居でこなさなきゃいけないシーンがあるんですね
実際には無理だったということなので
おそらく2度に分けて録ったのだと思います

彼は山ちゃんにしか無理と言っていましたが
君嘘フィナーレにおける朗読劇では花江夏樹が
公生と黒猫の一人芝居を見事に生で演じきっていましたよ?(・x・;

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

水瀬「アフレコがだいたい・・・2月くらいだったと思うんですけど」
瀬戸「あれ?3月じゃなかった」
石川「いや4月だったような気も・・・」
瀬戸「それはないよ!4月じゃ昨日じゃん!」

いや・・・昨日ではないと思うよ?
というかそこはそんなに掘り下げ必要かなw?

牧之原翔子役:水瀬いのり

事前情報の無いサプライズ登壇でした
水瀬「この後でみんながツィッターとかにあげて
私のファンが悔しがるやつですよ(にやにや)」
石川「でも、絶対欠かせない役だし、水瀬さんのイベントスケジュール確認して、サプライズ目当てでここにきてるファンもいるかもしれませんよ?」
水瀬「・・・」
司会「今日水瀬さんが来るのを予想してここに来た人っていますか?」
ぱらぱらと手が上がったのを見て、心の底から嫌そうに
水瀬「怖っ!!」

ファンにそういう態度とってるとまた換金所のババァって言われちゃうよw

思春期症候群の話になって
それぞれどんな思春期を送っていたかという質問になりました

監督:増井壮一

「高校の時は勉強とか全然してなかった
数学の二階建ての公式が覚えられなくて
こんなもの覚えて俺の将来に何の役に立つのか?
と先生に訊いたけど
『とにかく覚えろ!』しか言わないから
それ以来勉強するのをやめた」

まぁ勉強なんかしなくてもほかの手段で食べていけるなら
それはそれでいいと思いますねw

梓川咲太役:石川界人

石川「高校生くらいの頃は・・・周りに誰もいませんでしたね」
司会「それはぼっちというやつでは?」
石川「人の傷をえぐらないでください(悲)」
石川「まぁ・・・人間が嫌いでしたからね・・・」

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

瀬戸「高校に入って知り合いが全然いない環境になったのをきっかけに
いわゆる高校デビューってやつで
クールな一匹狼キャラになろうと思った
そういうのがカッコいいと思ってた
でも入ってすぐにクラスの子に話しかけられて
すぐ仲良くなって部活とかにも入って
全然そういう感じにならなかったw」
石川「( ゚д゚)<・・・」

一匹狼がカッコいいとか言い出した時は
石川君のフォローしてあげるのかな?
とか思ったんですが最終的には
石川君のぼっちぶりが際立つ方向にw

牧之原翔子役:水瀬いのり

水瀬「高校生くらいの頃は
大人のどこがえらいのか?
ちょっと30㎝くらい大きいだけで
なんでそんなに偉そうなのか?
オーデションに行っても
お前ら私を評価するとか何様のつもりだよ!?
って思ってました」
瀬戸「評価してもらうために自分からオーディションにきて
評価されたくないって矛盾してますねw」
水瀬「ほんとその通りですよね
まぁそれでたくさん炎上したりもしました・・・」
瀬戸「自分からほじくり返さないでいいからw」

どうやら炎上の件を多少は気にしている模様w
{/netabare}

~・~・~・~・~公開記念舞台挨拶にも行ってきました~・~・~・~・~

原作をしっかり読んだうえで初日舞台挨拶に行き
その翌日に3回目をあにこれメンバーといってきました

これでもかというくらいぎゅうぎゅうに詰め込んだ作品なので
原作からはいろいろ削られてる部分があったり
地の分の説明が無くなってわかりにくくなっているところがあったり
原作で補完してから見た方がより引き込まれる作品でした

実際初見のときより原作読んでから見た2回目の方が
一人一人の細かい心情まではっきりとわかって倍くらい泣けた
というか上映時間の半分くらい泣いてた気がします(つдT)

おまけ:舞台挨拶雑感(ネタバレ込み)

{netabare}司会(天津向)

どうも!司会のムカイオサムでーす

へー・・・天津の向って下の名前おさむだったんだね
とか思ってたら

梓川咲太役:石川界人

石川「どうも梓川咲太役の向井理です」
向「それさっきダダ滑りだったから!
  傷口に塩塗り込まないで!
  大体やったらバカウケだよって煽ったの君らでしょ!」
石川「いやー・・・面白かったですよね?」

観客に同意を求めるもまばらな拍手

向「義理の拍手すら最低限じゃん!」
瀬戸「そろそろ挨拶してもいいかしら?」
向・石川「…」

初日の映画のヒットの話になって

石川「僕いつもエゴサしてるんですけど・・・」
周りがみんなかわいそうな目で見るのを受けて
石川「エゴサ位したっていいだろぉぉぉ」
周り「・・・」
石川「エゴサして全部のツイート読むようにしてるんですけど
  #青ブタがトレンド入りして
  読んでも読んでも読み切れなくなってる
  嬉しい悲鳴」
水瀬「皆さんこれ終わった後タグ付けてつぶやけば
  もれなく石川さんに読んでもらえますよ!」

たぶん客層的にいのすけに読んでほしいオタクの方が多いと思うんだw

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

「初日舞台挨拶ももう4回目
朝から初日舞台挨拶してきましたが
ようやく初日なんだなぁって実感がわいてきました!」

いやもう夕方だよ!
これ最後の舞台挨拶だよ!
初日の上映終わっちゃうよ!

牧之原翔子役:水瀬いのり

「最初にタイトルを聞いたときに受けたイメージとは全然違ってすごく素敵な話だった
みんなが自分を犠牲にしてでも誰かを救いたいっていう
すごく優しい世界だった」

青ブタは本当にタイトルで損してる作品だと思う・・・

古賀 朋絵役:東山奈央

「キグルミの咲太はどういうつもりで飛び込んだのかすごく気になってます
結果的にはとってもいい結末を迎えたわけだけど
ああいう風になるって事前にはわからなかったわけじゃないですか
私の考えでは咲太はあの時代の咲太を助けて死んで
自分の心臓を翔子ちゃんにあげて
麻衣さん含めた全員を助けるつもりだったんじゃないか?
って思ってます」

なるほど・・・確かにあの結末は結果論で
最悪はねられた方の咲太に収束して
何一つ解決しない可能性もあったわけだなぁ

さすがインテリ声優目の付け所が違う!

双葉理央役:種﨑敦美

(見どころを聞かれて)
「全部が見どころ
見どころが思いつかないんじゃなくて
見どころしかないんです
私もう3回見てるんですけど
見るたびにどんどん序盤の何でもないようなシーンが好きになっていって
後半のいろんなシーンも含めて
全部が見どころだと思ってます」
・・・というようなことを
たどたどしく断片的に
あの独特の話し方でしゃべっていました
しかしそれだけ引っ張っても最後には
「踏切で最後に理央が小声で感情を吐き出すところ」
と無理やり見どころを吐かされていましたw{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 30
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

藤沢バタフライ・エフェクト

6月に本作を劇場鑑賞した帰り路……。

俺は長い間、自己責任論に蝕まれ、
自分がどうにか助かればそれで良いと言う人生を歩んで来たけれど、
このままじゃお前、いくらなんでも、もうダメだろう……。
との強烈な観念に襲われました。

寄付や募金なんて学校や職場の同調圧力に屈した時以外、
ほとんどろくに手を差し伸べてこなかった男が、
この映画をキッカケに俄に毎回少額ながらネットで寄付とかやり出している……。


本作の評価は?と聞かれれば、
劇場鑑賞後の時点だと、TVアニメ版からの流れを汲んだ良くできた続編映画。
原作未読組の私にとっては想定以上に内容の濃い展開が詰め込まれて、
一回観ただけだと、ちょっと理解が追い付かない&忙しいかも?……位の感想。

劇場鑑賞後の自分の心に起こった現象と作品との因果関係解明などの難題を前に、
長らく書きあぐねていた本作のレビューを年内投稿するため、
寒気強まる季節の威も借りて、先日、レンタル配信で再鑑賞しました。

二回目観て、限られた尺内に、複数の"思春期症候群”が絡まる複雑なシナリオを、
破綻なく成立させつつ、しっかりとキャラ総出演&見せ場あり。
相変わらず毒キツめの"青春ブタ野郎”ギャグ?(笑)も散りばめられた。

私の作品理解度も上昇し、素晴らしい続編映画に格上げされたものの、
やっぱり、TVアニメ版振り返りもOP主題歌も一切ないまま濃厚な本編に突入して行く、
事前予習必須のご新規さんお断り映画なんだよな……。
今年は単体の良作アニメ映画も豊富にある中で、
他の方に広く薦められるか?と言う観点からは優先順位は高くはならないよな……。
との感想は変わらず……。


けれど、私の人生に影響を与えた作品と言う意味では、
本作は今年ぶっちぎりのNo.1でした。

ほんの小さな心境の変化が世界に奇跡を起こすと信じることができた。
私の人生が切り替わるタイミングとかち合ったこと等を考慮しても、
本作のシナリオには、完成度に裏打ちされたパワーがあったのだと思います。


本シリーズの正ヒロイン・麻衣先輩は
TVアニメ版でもサブヒロイン回を経る度に"正妻力”が増していった印象ですが、
本劇場版のそれは極め付けと言って良いと思います。

レビュータイトルは2004年アメリカ映画『バタフライ・エフェクト』より。
「ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が起こる」
小さな差異が大きな変化をもたらすカオス理論「バタフライ効果」をシナリオに取り込んだ、
野心的なSFスリラー映画。

私は主人公&ヒロインらのピンチを『バタフライ・エフェクト』の鑑賞記憶とも重ね合わせて、
ドキドキしながら本作を観ていましたが、
それだけに咲太&麻衣先輩の決断の凄まじさが倍増した感じ。


『バタフライ・エフェクト』では最後……(※重大なネタバレ)
{netabare} 主人公青年はヒロインと幸せになろうと過去をいじると、誰かが不幸になると悟る。
だからヒロインと親密になる過去をなかったことにして、皆を守る決断をする。
そして過去を改変する手段を処分し、ヒロインとは赤の他人として生きていく……。
と言う、運命を変えるリスクの重たさを思い知らされる、
かなり哀しい"ハッピーエンド”でした。{/netabare}


対して本作では最後……(※重大なネタバレ)
{netabare} 咲太は、翔子ちゃんの過去の心境を変えることで、
中学時代の咲太と翔子さんが出会わない未来を選択する。
これは『青ブタ』がここまで紡いできた物語を、
丸ごとリセットしてやり直すことを意味する。

決断前の未来も、咲太と麻衣先輩が二人でいられる割とマシな未来であったはずですが、
これを捨てて改変すれば、咲太と麻衣先輩が全く出会わない未来すらあり得る。
しかも、過去を変えた記憶は手段も含めてせいぜい夢で残り香として見る程度。
気に入らない未来だったからって、やり直しはまず出来ない。

それでも彼らは再び出会い、世界を善意で満たして、
正真正銘のハッピーエンドを掴み取ってみせました。

運命を変えると言う大きなリスクを取ってでも
咲太との未来を信じて決断した麻衣先輩マジ半端ないです。{/netabare}


麻衣先輩どんだけ咲太との運命の赤い糸に自信持ってるんですか!?
今後、"青春ブタ野郎”の眼前にどんな美少女が現れても
麻衣先輩にはまるで勝てる気がしませんw


6月の鑑賞時、夏を前に12月のシナリオなんて季節的にチョット……(苦笑)
と思ったのも事実w
けれどBD/DVD発売&配信レンタル等が始まったこの冬ならば、
おうちで聖夜のムード取り込みも含めて、季節の効果も見込めるはず。

私にとっては2010年代でも指折りの年末クリスマス映画としても、
心に残る作品になりそうです♪

投稿 : 2024/04/27
♥ : 45

89.0 6 泣けるで恋愛なアニメランキング6位
劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ(アニメ映画)

2013年4月20日
★★★★★ 4.1 (2596)
13579人が棚に入れました
「狂気のマッドサイエンティスト」を自称し、いまだ厨二病をひきずる大学生・岡部倫太郎。秋葉原の片隅、「未来ガジェット研究所」で偶然、過去へと送信できるメール「Dメール」を発明してしまったことから、彼とその仲間たちは世界規模の大事件に巻き込まれることになる。

「シュタインズ・ゲート」は、タイムパラドックスにより引き起こされる悲劇と、それに立ち向かう仲間たちの絆を描く物語である。

声優・キャラクター
宮野真守、花澤香菜、関智一、今井麻美、後藤沙緒里、小林ゆう、桃井はるこ、田村ゆかり
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

紅莉栖祭り!ヽ(=´▽`=)ノ

SG世界線に到達してからちょうど1年後の8月。
α世界線とβ世界線を漂流していた記憶がフラッシュバックする岡部倫太郎。
SG世界線とα世界線・β世界線との記憶が混在した岡部倫太郎は突如SG世界線から消失する。


*映画のDVDが12月3日に決定~★^^
*それまで待てません・・・!
*当然初回限定盤買いまふ♪


■劇場版
{netabare}
映画版、すごい迫力でした。
さすがの宮野さん(*´∇`*)
そしてフラッシュバックするα・β世界線での惨劇も迫力大です。

そしてそして、フェイリス・ニャン・ニャンの{netabare}「見つめながらまぜまぜ」 {/netabare}の破壊力は超絶www


映画版は、くりすが大活躍でした。アニメ版では、岡部がタイムリープして世界線を漂流しましたが、今回は立場が逆で、くりすがタイムリープして世界を変えようとしています。くりす派の私としお腹一杯です^^


岡部を取り戻す方法は{netabare}2005年にタイムスリップして岡部のファーストキスをくりすが奪う{/netabare}ことでした。


{netabare}鳳凰院凶真の設定を教えたのが、くりすということ{/netabare}になったので、「過去を変えずに結果を変える」という条件は満たせたか難しいところですが、結果として {netabare} 岡部=鳳凰院凶真{/netabare}は変わらないのでOK?


今回、岡部を取り戻す方法を見つけるのはかなり難しかったですね。


というのもアニメ版と異なり、{netabare} 「Dメールを送って過去を変えた結果、世界線が変わり、その結果、まゆしーが死んでしまう」というような因果関係{/netabare}がなかったからですね^^;


とはいえ、岡部が消えてしまった原因は {netabare} 未来から来た鈴{/netabare}があっさりと教えてくれたので、岡部を取り戻す方法は、 {netabare}①岡部の混線した記憶を消すか、②SG世界線の強烈な記憶を上書くか{/netabare}に絞られて、劇中では後者の方法をとることになったみたいです。


最終的にとった行動は {netabare} 2005年にタイムスリップして岡部のファーストキスをくりすが奪う{/netabare}ことでしたが、これは{netabare}①ファーストキスを奪われた=強烈な記憶を植え付ける、とともに②SG世界線をα・β世界線と異なる世界線として岡部にきちんと認識させる{/netabare}ことにもなってるんですかね。

というのも、{netabare} くりすが2005年に来ている{/netabare}ことは、α・β世界線では起こりえないはずだからですね^^


色々考えながら劇場版楽しめました^^
まだ原作やってないので原作買おうかなぁ
{/netabare}

■DVD
やっと発売されましたDVD。初回限定盤を買いました~^^
{netabare}
劇場版はニヤニヤ展開が多いですね^^
そしてアニメ24話分を知っているとグッとくるシーンが多いです。
やっぱり「目を見ながらまぜまぜ」は名シーンです(笑)^^

ドラマCD「現存在のアポステリオリ」でのダルと鈴羽の会話シーンは思わずクスリとしてしまいました。

劇場版以外にもたっぷり楽しめる特典版です^^
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 162

ももくさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

この作品が批判される意味がわからない、本当にすばらしい作品です!!

レビューがあまり良くなかったので期待せずに観に行きましたが・・・

「すばらしい!」

観に行こうか悩んでいる人がいれば絶対に見たほうが良いと勧める!!!




ネタバレを避けたいので・・・ぼんやりと。

良い点は

◆物語がアニメ版同様きちんと練られている◆

アニメを見たときからストーリーが神だと思っていたので、その部分が劇場版でも劣っていなかったから良かった~!話の運び方もアニメと似てる気がするなー


悪い点は

◆説明が足りて無さ過ぎる◆

難しめの話なので私は理解するのに時間も説明ももっと必要だなぁ・・・。映画見て時間経ってから理解が徐々に追いついていくのは私が馬鹿だからなのか・・・??





笑いあり感動あり絶望あり(!)のシュタゲらしい作品。
とりあえず「すばらしい!」の一言に尽きる。
とある魔術のインなんとかさんの映画の100倍面白いw

もう一回観に行きたいなー。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 17

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

プロットはすごく良かったと思うのですけどぉ・・・

まず注意したいのが原作やテレビシリーズを知らない人が観ても1ミリの得にもならない仕様であることです
オカリンと共に壮絶なループの繰り返しを経てその先に待つシュタインズ・ゲート世界線へと辿り着いた者だけが観ることを許される映画だということをご承知下さい










2011年8月
Dメールやタイムリープマシンを巡る事件から1年、秋葉原の未来ガジェット研究所では帰国した牧瀬紅莉栖を迎えるパーティーが開かれていた
しかし事件の真相をただ一人記憶する特異点、「リーディングシュタイナー」の持ち主である岡部倫太郎は、1年前の壮絶な時間旅行の経験からなのか、かつて体験したいくつもの世界線の様子が突然フラッシュバックする異変に苦しんでいた
初めは妄想か白昼夢だと気を落ち着かせる岡部だが徐々に現実との区別がつかなくなっていき重症化してしまう
しかしそれは虚構などではなく並行するいくつもの世界線が見せた別の現実
それらが特異点である岡部に負荷となって集中し、「岡部のいない世界=r世界線」へと岡部を強烈に引き込もうとする力だった
リーディングシュタイナーの片鱗である「デジャヴ」という形で別の世界線での体験を記憶していた牧瀬紅莉栖はただ一人異変に気付き、封印されていたタイプリープマシンを完成させ岡部の消失を喰い止めるべく孤軍奮闘する・・・










と、プロットだけなぞるとすごくwktkモノの傑作
特にオカリンの人格形成にまつわる過去のターニングポイントに、実は某人物が関わっていたことが明かされるところなど良く考えたものです
ただ残念に、単に映画として雑だったと感じてます


前半はオカリンのモノローグで始まっておきながら、後半では主人公はすっかり紅莉栖へバトンタッチしてしまっており、のめり込み感を削いでいる
尺が90分もあった割りに肝心要のオカリンの過去への伏線の弱さ
オカリンと紅莉栖以外のラボメンの出番が少ないなど


ハッキリさせたいのですが、多くの方が心配なされている蛇足だったか?という点は否定しておきます
ただ結局シュタゲの面白さって伏線の回収、回収、また回収ってところだったじゃないですか?
2年近く待たされていることと劇場版であるということもあって期待値が高かっただけに、落胆する部分も多々あったというのが正直な気持ちです


ええ、ですがギャグパートはよかったですよw
それと紅莉栖と鈴羽のやりとりも聞き所


ファンなら必視、というほど大袈裟な言い方も出来ないのですが「完全新作オリジナルストーリー」と大見得切っただけあって先にも言った通りお話のプロットは悪くなかったです
でも先日ぱるたんに「花いろ、AURA、シュタゲ、観るならどれ?」と聞かれた時「花いろ観ろ」と即答してしまいましたw
暇なら是非全部観てあげて(爆

投稿 : 2024/04/27
♥ : 54

78.3 7 泣けるで恋愛なアニメランキング7位
心が叫びたがってるんだ。(アニメ映画)

2015年9月19日
★★★★☆ 4.0 (1197)
6262人が棚に入れました
監督 長井龍雪
脚本 岡田麿里
キャラクターデザイン 田中将賀
制作 A-1 Pictures
青春群像劇 第2弾 劇場版完全新作オリジナルアニメーション 

幼い頃、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。
そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。

声優・キャラクター
水瀬いのり、内山昂輝、雨宮天、細谷佳正、藤原啓治、吉田羊
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

始まりの言葉

言葉は誰かを傷つける。

このフレーズによって
すでに私たちは作品の世界に引き込まれている。

純粋で、ストレートであるがゆえに
傷つきやすい思春期の心の
その傷や痛みさえも美しく見せるものが青春だとすれば
青春という特権的な時間の中にのみ現れる
尖鋭化された、純粋な言葉へと
すでに定位はなされている。
言語一般に解消するのは誤りであると思う。

この作品で言葉は、テーマというよりはむしろ
もっと具体的な、マクロ的な機能を担って現れているようだ。
特に注目したいのは、ストーリーの展開の軸となる次の二つ、
「傷つける言葉」と「本当の言葉」。
これらを物語の展開に即して辿っていきたい。
そこには当然、この作品の主題も絡んでくるはずである。



{netabare}
「傷つける言葉」が現れるのは、物語の発端。
それが、ヒロインの成瀬順と田崎大樹とを結ぶ接点となる。

この二人は、反転させた相似図形のように
順は、メンタルな傷によるフィジカルな痛みを
田崎は、フィジカルな傷によるメンタルな痛みを抱えて
自分の殻に閉じこもって周囲から孤立している。

田崎は無神経かつ暴力的な言葉で順を傷つける。
その彼が、後輩の言葉で逆に傷つけられた時
「言葉は人を傷つける」ことを順が言語化する。
田崎にとってそれは、世界が一変するほどの衝撃だった。

田崎の「謝罪」から物語は動き出す。
彼の変化は、「傷つける言葉」を経験して
他者というものの存在を初めて意識したことによる。
はじめは拓実の苗字さえ知らなかった彼が
クラスの一人一人の個性に共感を示せるほど
今では周囲との関係の中に融和しているのである。

言葉を前景として展開されていく
この作品の中心主題とは、「関係の危機と回復」
そう捉えてよいのではないだろうか。
関係の危機に際して二人がとった対照的な態度が
このあとの展開の鍵となっているように思う。

順の場合、原因となった言葉を封印することで
不幸を回避しようとして、結果的に関係を遠ざける。
このネガティブな論法を、田崎はポジティブな行動で打ち破る。
彼は、言葉による関係の回復を証明してみせた。
それが彼の「謝罪」の意味である。

最初に田崎が殻を破り、関係の世界に踏み出した。
だから、本番直前に失踪という形でクラスの仲間を裏切り
順がふたたび関係の危機に陥った時、彼女のために
再起へのチャンスを懇願し、的確に方向性を示して
クラスの空気を一瞬で変えることができた。
田崎は先に進み、順が自分に追いつくのを待っている。



「本当の言葉」が現れるのは、物語の最終盤
順と坂上拓実との間に交わされる対話の中である。

拓実が失踪した順を探し当てた場所は
「すべての事のはじまり」の場所である
今は廃墟となった、山の上のお城(ラブホテル)だった。
不幸が繰り返された結果、原点に回帰して
すべての根源を断ち切りたいという無意識の願望が
おそらく順をここに誘ったのだろう。

二人の間に交わされる対話は、物語の最重要場面だが
短い時間の中に内面の動きが極度に凝縮されているため
観る側の解釈による補足がどうしても必要になる。
例えば、関係という補助線を引きつつ
二人の言葉を糸口に、経過を注視していくと
順と拓実との間で「本当の言葉」が交わされ、連鎖的に
二人の心に劇的な変化が生じてゆく過程が見えてくる。


まず、順から拓実へ。

無残な廃墟と化したホテルの部屋は
順の心の内部を象徴するものだろう。
童話風なステンドグラスの窓は、はじめは薄暗く
対話が進行するにつれて、徐々に明るい光が差し込んでくる。
宗教的な空間を想起させるこの場所で
彼女の魂の再生が行われることを暗示している。

絶望に駆られ、すべてを呪詛する順に
拓実は、「本当の言葉」を聞かせてくれ、とせまる。
順が怒りに任せて叩きつけた罵倒の言葉は
確かに「本当の言葉」だったかも知れないが
あっという間に種切れになった。
物語の少女とは違い、現実の彼女は
言葉で誰かを傷つけたことは一度もなかったからだ。

自分のおしゃべりが原因で家族が崩壊したという
あまりにも不幸な体験が再現しないよう
痛みを伴う強烈な自己暗示をかけて言葉を封印した。
その際、誰かを傷つけてしまうから、という
単純化した論理を用いて自分を戒めてきたのだろう。

その順を「傷つける言葉」へ誘導することで
意図せずして拓実が行ったことは
対話によって患者をトラウマの根源に導いていく
精神分析の治療法を想起させるものだ。
ただし、治癒は一方的なものではなく、相互的に進行する。
先に変化が生じたのは、拓実の方だった。


拓実から順へ。

順は、拓実の名前を繰り返して三度、呼んだ。
その時、思いがけず拓実の目から涙がこぼれ落ちた。
この呼びかけが、彼の心の一番奥深くにまで届いたのは
それが順の「本当の言葉」だったからだろう。

彼が順に打ち明けたのは、心に澱んだ虚しさだった。
自分には誰かに伝えたいことが失われてしまっている。
伝えたいことがない、という空虚感は
裏返せば、他者との関係の希薄さを意味している。
つまり、彼もまた順と同じように
心の殻に閉じこもってしまっていた。

伝えたいことで満ちあふれる順の心の躍動に触れ
何より、関係を諦めない順を通して
自分が渇望していたものを知ることができた。
本当の言葉を伝えることとは、言葉を介して相手を受け入れ
自らも相手に受け入れられようとする、関係への願いである。

いま、それが実現していた。
猛烈な勢いで罵倒されてもうれしかった。
名前を呼ばれた時には
空虚だった自分の存在が満たされる気がした。
そして彼の中に、伝えるべき本当の言葉が生まれた。
お前に会えてよかった、という感謝。
これが、ようやく拓実が伝えられた「本当の言葉」だった。


ふたたび、順から拓実へ。

拓実のストレートな心情の吐露が
すべての原点にまで遡って、順の中の固定観念を
転倒させることに成功する。

私のおかげ? 私のせいじゃなくて?

この時、順のトラウマの原因が、父親の言い放った
「お前のせいだ」という言葉だったことが明らかになり
自らにかけてきた、卵の呪縛から解き放たれる。
殻が破れた瞬間に見えてきたものはやはり
これまで育んできた仲間たちとの関係だった。
だから、彼女の中に感謝と後悔が自然に湧いてくる。
「みんな」が待っている場所へ行く。その決意とともに
物語は一気にフィナーレへと加速する。

その前にあと一つ、伝えなければならない
「本当の言葉」が順には残されていた。
それを伝え終えたあとの表情には、傷心よりもむしろ
自分に対して一つの決着をつけられた清々しさが勝っていて
順が生まれ変わったことを強く印象づける。
失恋は終わりではなく始まりとなった。
彼女は新しい世界へ踏み出していく。



フィナーレでは「言葉」は前景から退き
代わって「歌」が、順が踏み出した新しい「世界」の
メッセージを高らかに歌い上げる。

ここに、雀犬氏のレビューから一文を引用させて頂こう。

「この映画で最後に見せたかったものは
 自分の殻を破り外の世界に飛び出した成瀬順に対する
「新しい世界からの祝福」だと思われる。」

これは、ラストの田崎の告白に関してのご指摘だが
この卓見はフィナーレの全体にまで敷衍することができる。


思い返せば、ミュージカルの発端にあったものは
順がケータイで紡いだ物語と、拓実のピアノとの二つ。
そのいずれもが、閉ざされた内部に封印されてきた想いを
外の世界へ向けて解き放とうとするものだった。
それが周囲の多種多様な心を取り込んで、膨れ上がり
一つの作品にまで結晶する。

ラストの全員合唱のシーンにオーバーラップする
日常の片隅の、さりげない情景の数々。
日々繰り返される、何気ない
そしてかけがえのない「日常」の愛おしさ。
彼らの過ごしてきた日々が集約されている
誰もいない教室を写した一カットにはいつも胸を打たれる。

明らかにここには、「世界」の意味するものが
具体的なイメージとして重ねられている。それは
一人一人の内面の「小さな世界」を包みながら
同心円状に、クラス、学園、地域へと広がっていく
コミュニティと呼ばれる、古くて新しい私たちの「世界」だ。

集団のエネルギーの総和である、ミュージカル。
無数の関係の集積として成立する、コミュニティ。
アナロジーで結ばれたその二つの場が向かい合い
同一の空間を形成するのが、この作品のクライマックスである。
そして、物語の最大の焦点であった順と母の和解は
二人がそれぞれ、一方の場所からお互いを見出し
言葉を介さずに理解しあうという、象徴的な描き方がなされている。

個々人の葛藤が、共同性の中に止揚されるこの図式は
祝祭というものの本質的な機能に即している。したがってそれは
個と集団との対立のない、調和的な世界であって
甘さとして指摘できる部分だが、こうした批評的な掘り下げは
本作にはあまり似つかわしくないようにも思う。
「あの花」とは異なる、これがこの作品の独自性なのである。

青春のリアルな感触を伴った本作の魅力は
逆説的だが、一種のユートピア性にあるのではないだろうか。
同じ印象をかつて自分は、「耳をすませば」から受けた。
私たちの日常と隣り合った、いわば親密なユートピア。
アニメーションはこれを志向し、私たちもそれを憧憬する。
アニメがもたらす幸福感の源の一つが、確かにここにはある。
{/netabare}



言葉は誰かを傷つける。

そのことにまた傷つき、立ち止まり、それでもなお
「本当の言葉」を交わしあいながら、彼らは前へ進んでいく。

危機に瀕した関係を回復する「謝罪」も
相手を肯定し、関係を深化させる「感謝」も
新たな関係への願いである「告白」も
彼らの言葉は、ありったけの真情をこめた叫びのように
未知の可能性に向かって発せられる。

だから、青春の言葉はいつでも
「始まりの言葉」なのだ。


(初投稿 : 2020/08/02)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 23
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

この作品は、私の最高評価アニメ映画です。<地上波放送記念;少しだけ長めに修正>

すごい。
すごいとしかいいようがない。
話の途中から感動で涙がボロボロです。
その上ラストにさらに感動を。
さわやかな青春の鼓動に心を動かされまくりました。

{netabare}ヒロインは、幼少期のある言葉により傷つき言葉を失った順。
主人公拓実、元カノ菜月、野球部元エース大樹を含めた4人が地域交流会の委員へ。
彼らもまた、悩み傷ついた心を持っていたのです。
最初はギクシャクしますが、順の心からの行動によりうち解ける4人。
クラス全員を巻き込んでミュージカルの準備が進みます。
しかし、地域交流会前日のある事件により、順に変化が・・・{/netabare}

ホント言葉って怖い。
不用意に発した言葉は容易に人を傷つける。
でも、自分の溢れる気持ちを言葉に乗せれば、どんな心も溶かすことができる。
そして、奇跡だって・・・

一瞬も目を離せない119分間。
4人全員に感情移入して感動の嵐でした。
よって、私の最高評価の作品とさせていただきます。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 63
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

若く明るい歌声で雪崩は消えるのかもー

劇場版オリジナルアニメ


監督:長井龍雪、脚本:岡田麿里、キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀。そして制作はA-1 Picturesさん。
と『あのはな』メンバーが再結集し、秩父を舞台に青春群像劇を作りましたとの前情報が視聴動機になりますよね?自分もそうです。

きっかけは岡田麿里さん。『あのはな』地上波再放送中。2019年夏期『荒ぶる季節の乙女どもよ。』でシリーズ構成担当中。新作映画『空の青さを知る人よ』も控えてる。氏の作品の露出が多くなってる最中で手を出してみました。


『あのはな』よりは演出控えめで『あのはな』より秩父のスポットが出ていたんじゃないか、な作品。
聖地巡礼ならこっちのほうが捗りそうな気がします。
共通するのは高校生の青春群像劇。味付けは彼らのトラウマであります。
主要キャストは2019年現在も一線で活躍されているこの方々↓

成瀬順(CV水瀬いのり)、坂上拓実(CV内山昴輝)、仁藤菜月(CV雨宮天)、田崎 大樹(CV細谷佳正)

劇場版ならではの作画と安心できる声優さんで占められており手堅さのようなものを感じます。客寄せ用の本業俳優(女優)さんは主要な役どころながらセリフ少なめの安心配置という配慮も見受けられます。
大筋の脚本や演出も飛び道具が出てくるわけでもなく全体としては以下の通り手堅い組み立てでした。手堅いのは良いことです。

 1.主役のトラウマ提示
 2.克服のためのあれやこれや
 3.実はみんなも何かしら抱えてるからの
 4.カタルシス的なもの

もちろん目を引く演出{netabare}(冒頭とミュージカル){/netabare}はあります。が、シンプルに “ ほろ苦い青春もの ” が好みであれば手を出して損はないでしょう。
・・・と、私がごちゃごちゃ言うよりも制作陣のメンツ買いでよろしいんじゃないでしょうか?



あらすじは省略。
なにげない一言が取り返しのつかない事態を招き、それ以来心を閉ざす。言葉は相手を傷つけもするし救いもするという題材を上手く調理していることに異論はありません。
だがしかし、若干違和感も。

 {netabare}母親が離婚後に娘のフォローしとけば一発解決じゃない?
 少なくともこの子と二人で生きていくと決めたのならば。{/netabare}

違和感をあげつらって叩きたいわけではありません。時間はかかりましたが前向きな結末を用意しているため不問にしたいところ。
むしろ、{netabare}「そんなこと思ってないのに(順の母)」{/netabare}言葉というキーワードに視点を向けさせながらもう少し深みを持たせるための必要な設定だったと捉えてます。

・言わないで伝わらないこと
・言わなくても伝わること
・言っても伝わらないこと
・言ったから伝わること

想いを伝えることの難しさや素晴らしさを、そして人との関わりを諦めちゃあいかんよということを、若さゆえの青臭さを交えながら訴えてくるものがあるのであって、そのさじ加減が抜群に上手いです。
私からはそんな青臭さに良い意味で震えた印象的な箇所を何個かご紹介。


■青臭さ4コンボ ※ネタバレです

{netabare}◆田崎の変わり身

ついさっきまで真逆だったじゃん?の田崎くんであります。
考え変わったら即実行。謝ったらノーカン。大人であれば段階的措置を踏みそうなものをそうはしません。自分が根に持たないから相手もそうだろうと思ってる節があるところがむず痒く感じます。若さの表れですね。{/netabare}


{netabare}◆成瀬の逃亡

実際の私の話ですがバイトをばっくれたことがあります。責任の所在云々は非難もあるでしょう。
オーバーフローを起こしたがきんちょの行動なんて似たり寄ったりでは?と思いながら眺めてました。
他人との関係を自ら断ってコミュニケーション能力を磨く訓練を怠ってきた娘さんです。かつ幼い頃夢見た “ 王子様が迎えに来てお城に連れてってくれる ” が原点の娘さんでもあります。 それが儚くも砕け散った直後の行動。極めて狭い世界が全てだった高二の娘ならやりかねんと思った次第です。
しかも、前の晩の出来事もはっきりと言ってたわけではない。先走って落ち込むなんてこれまた若さの表れでしょう。{/netabare}


{netabare}◆普段スカしていざとなればアツい

地域ふれあい交流会(ふれ交)でミュージカルをやると決めた瞬間がよい。推進役はモブたちであります。
・係を押し付けといて言いたい放題言ってる罪悪感めいたものがちょっぴりある
 →後ろめたさがあるのでもっともらしい「やらない理由」を言いつらう
・あの成瀬順が表舞台に立つということに好奇心も見え隠れしている
 →提案に乗ることは善行なんじゃないかという潜在意識あり
そこを突破したモブくん(誰だっけ?)たちがエライ! 坂上たちだけだったら対立構図あるまま成し得なかったことをフォロワー役が背中を押すわけです。流れが出来てから一気に固まる勢いもこれまた若さの表れですわな。
予算をチラ見させて誘導する担任の“しまっちょ”城嶋 一基(CV 藤原啓治)も策士だなあと。大人はこういう役回りで良いのです。{/netabare}


{netabare}◆ついでに

順の告白も田崎の告白も菜月の告白(未遂)もタイプの違う勢い余って系告白でした。

・順:言わなきゃあたしダメになる、の視野狭窄な告白
・田崎:共有する時間が長かったからという理由での勘違い告白
・菜月:相手がフリーと安心しきってたのにからの焦りで告白(・・・めいたもの)

身にあたることばかりです(汗){/netabare}



ネームバリューで釣られ、その期待通りの手堅い面白さがあり、しかと描かれた若さに目を細める。清々しい余韻の残る素敵な119分でした。

乃木坂も悪くなかったんじゃないかなあ。。。



視聴時期:2019年9月

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2019.09.13 初稿
2020.03.18 タイトル修正
2021.08.14 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 81

68.8 8 泣けるで恋愛なアニメランキング8位
そらのおとしもの 時計じかけの哀女神[エンジェロイド](アニメ映画)

2011年6月25日
★★★★☆ 3.9 (521)
2692人が棚に入れました
「平和が一番」をモットーにする少年・桜井智樹は、空から落ちてきた未確認生物“イカロス”“ニンフ”“アストレア”と出会い、平穏な日常は大きく変化していった。そんな智樹の学園生活を、ひっそりと見守っていた一人の少女がいた。引っ込み思案で、恥ずかしがり屋の少女・風音日和。自分とは対照的に、元気に学園を賑わす智樹に対し、密かな憧れを持っていた彼女は、意を決して、智樹のいる“新大陸発見部”へと入部。メンバーたちと交流を深め、友情を育んでいく。そんな矢先、悲劇が日和を襲う。謎に包まれているイカロスたちの故郷“シナプス”からの脅威が襲いかかる!智樹とイカロスたちは、空美町を…そして、悲しい運命に囚われた日和を、救う事が出来るのだろうか。21世紀のアニメーションにセンセーションを巻き起こした「お祭り」「文化祭」「雪合戦」「空飛ぶパンツ」といった「そらのおとしもの」の名場面を、新ヒロイン・風音日和を加えて再構成。熱心なファンも「あのシーンに、実は日和がいた!」という、新鮮な驚きを味わうことができる。また、本作で新たにメインストーリーとして描かれるのが、日和の“新大陸発見部”入部後のエピソード。テレビでは決して明かされなかった“新大陸シナプスの謎”を軸に、大スクリーンならではの壮大なスペクタクルが完全新作映像で描かれる。

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

天使よ、救い給え

俺は、彼女の事を、忘れない。
初めて「好き」だと言ってくれた女の子の事を一生、忘れない。

◆この作品の内容は・・・
2期でわずかに登場した風音日和がこの劇場版でのメインキャラ。
前半は彼女視点での1期2期の総集編です。
後半からは日和中心のエピソードを展開、彼女は新大陸発見部に入部します。
しかしある悲劇が彼女に起こり、智樹達にシナプスからの脅威が迫ります(゚ロ゚;)エェッ!?

◆風音日和ってどんな子?・・・
幼馴染のそはら、イカロス・ニンフ・アストレアの3人のエンジェロイド。
このアニメにはそれぞれタイプの違うとっても可愛い女の子が登場しますが、この風音日和はごく普通の女の子。
主人公の智樹に対して純粋な恋を抱く清純な女の子です(´∀`)
智樹は彼女に対しても下劣な事をするのですが、日和が恥ずかしがりながらも健気に恋を抱く姿はイカロス達以上に可愛かったかもしれません♪
でも2期で伏線を張っていましたが、彼女には意外な秘密が・・・(゚Д゚≡゚Д゚)ナニナニ?

◆前半の総集編について・・・
普通に考えれば前半の総集編はいらなく、90分間を丸々メインストーリーで制作した方が面白かったと思います。
しかしわざわざ前半を総集編という形にしたのは、日和の視点での回想を描くことによって、日和の心境を視聴者に感じてもらい「日和も新大陸発見部の仲間なんだ」という強い感情移入をしてもらう為ではないでしょうか(・・*)ウーン
その他にも1期2期を見ていない人の為、また3期も制作決定された事ですし1期2期の内容を忘れかけてる人に思い出させてもらうといった狙いもあったのでは?と思います。

◆後半は・・・
相変わらずのおバカなノリは健在┐(´-`)┌ ヤレヤレ
それはそれで楽しいし、なにより日和が可愛い♪
またシリアスなシーンにもなるとその展開に見入ってしまいました。
2期で謎のままだった伏線も少し回収され、意外な事実も判明。
そしてさらに気になる謎を伏線として張っていたシーンもあったので3期が楽しみです♪

投稿 : 2024/04/27
♥ : 22
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

天使が想い募らせるラブストーリー

劇場版二作目ももうすぐなので、劇場版一作目である哀女神のレビューを。


今回のお話は今までのストーリーを補完するような形で、より深く根幹に迫っていく、ファンなら見逃せない一作です。


この映画は前半が新キャラ’風音日和(かざね ひより)’の視点で物語を振り返っていく総集編(公式では『エンジェル・ビジョン方式』と呼んでいる)となっており、
今までのアニメを見たことがない人でも話を理解できるように出来ています。

既視聴者も、日和が加わったことで新しい感覚でストーリーを見直すことができたのではないかと思います。


後半からはオリジナルストーリーに入り、日和が智樹達と深く交流していきます。

日和はイカロス以上に初々しく、そはら以上に世話焼きで、そして誰よりも優しい心を持っている。天使のようなヒロインを体現していました。

日和が皆と触れ合う中で友情や恋心に目覚めていく、その移り変わりが大変眩しくて美しくて、今まで以上に新鮮な気分でした。


しかし、その日和自身によって日常が一変しその平和が脅かされてしまう。

いつもエンジェロイド達はマスターによって悲しい争いを強いられ、苦しめられます。
そしてそれを絶対に救ってくれる智樹の存在は、彼女たちだけでなくこれを見ている視聴者にも希望を与えてくれると思います。


最後、智樹と日和のやり取りがこの物語を表しているメッセージとなっています。賛否両論ありそうな終わり方ですが、自分は希望のもてる『そらのおとしもの』が嬉しかったです。


作画は、前半の文化祭の一部CGに違和感があったくらいで他は綺麗だったと思います。特にアップでの表情や戦闘シーンの挙動は素晴らしかったです。

音楽は要所要所で流れる懐メロっぽいBGMが耳に残りました。日和というキャラと見事に合致していたと思います。

主題歌で一番好きなのは『SECOND』ですが、劇中歌として日和が歌う『クレヨン』やblue dropsのエンディングテーマ『そらとまぼろし』も素敵で、どれも聴き逃せません。

一番驚いたのは序盤で流れた『超☆愛合体!!エンジェロボ!!』を歌っていたのが、ベテラン歌手の宮内タカユキさんであったこと。

盛大な無駄遣いだと思います(笑) とてもかっこよかったです。


とても悲しくて切ない物語ですが、キチンと救いが示されている所がそらおとらしくて好きです。

これはある意味新機軸のラブストーリーであると思います。そういった側面からもっと評価されてもいいと思います。


以下個人的名シーン
{netabare}
・イカロスがシナプスから飛び去って、タイトルが現れるシーン
神々しさが画面と音楽から伝わってきました

・日和が新大陸発見部の部室へ勇気を出して向かうシーン
BGMも相まって日和の勇ましさが感じられてよかったです

・日和が智樹達とハングライダーを楽しむシーン
心の底から日和が楽しんでいる様子が声色と表情から伝わってきて、感動的です

・ニンフが一人で日和を止めようとしたとき、それを智樹が制止するシーン
「ダメだニンフ、お前が傷つく」って台詞が男前というか、凄みがあります。

・イカロスが日和と運命を共にしようとしたとき、日和を優しく抱きしめるシーン
ファミレスでの会話から繋がって、「大丈夫、一人きりにはさせないから・・・」の台詞がとても優しいです。

・日和が智樹に別れの言葉をつぶやくシーン
お互い言葉を交わしたわけではないけれど、気持ちは通じ合っている二人。日和の「あなたは覚えてないかもしれないけど私がこの町を好きになったのは、あなたのおかげでした」がジーンときました。


日和、もといゼータが時計仕掛けのエンジェロイドであり、時を止めてしまう力を持っている所にこの作品のテーマが見え隠れしていると思いました。「永遠に終わらない日常」「幻の日常」、これは悪夢でしょうか理想郷でしょうか。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 11

Takaさん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

俺は彼女のことを忘れない・・・一生忘れない。

1期、2期視聴済み

風音日和の話。

前半は、風音日和の視点から、過去TVシリーズ放映回を
ダイジェストで振り返り。(日和視点なので智樹さわやか)
この時間がかなり長い。

後半は、日和中心の日常話。
ラストシーンよかったなぁ。
前半のダイジェストをもう少し短くしてくれれば…

あと、ニンフがイカロスに言ったセリフが気になるな~
3期(劇場版)で回収されていることを願う。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 1

69.6 9 泣けるで恋愛なアニメランキング9位
劇場版「境界の彼方 I'LL BE HERE 」 未来篇(アニメ映画)

2015年4月25日
★★★★☆ 3.9 (479)
2914人が棚に入れました
最凶の妖夢「境界の彼方」を体内に宿し、半妖として生きてきた神原秋人。そして「境界の彼方」を、唯一倒すことが出来る呪われた血を持つ異界士、栗山未来。世界から嫌われた二人は出会うべくして出会い、次第に惹かれ合っていった。二人で生きる世界を選んだ秋人と未来。戦いも終わり、これからまた普通の日常が始まる、そう思っていたはずなのに…。「境界の彼方」から奇跡的に未来を取り戻すことができ、喜んだのも束の間、その代償なのか未来の記憶は瞬く間になくなってしまった。春になり、新学期を迎えても未来の記憶が戻ることはなかった…。進級し高校三年になった秋人は、未来の幸せを思い、未来を避けるようになっていた。秋人の思いも知らず、惹かれるままに秋人に近づく未来。そんな二人の前に未来を知る人影が。秋人の思いも空しく、未来は再び自分自信と向き合う戦いに赴くことになる。

声優・キャラクター
種田梨沙、KENN、茅原実里、鈴木達央、川澄綾子、松風雅也、渡辺明乃、進藤尚美、山岡ゆり、豊田萌絵

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【超展開過ぎて不愉快です(笑)でも10年くらい前の深夜アニメってこんなんばっかでしたよね?】

『境界の彼方』の直接的な続編であり完全新作の映画です
結論から言うと、総集編であった過去篇よりも評価を下げざるを得ません


テレビシリーズ(過去篇)のラストで境界の彼方に取り残されたと思われた栗山未来ちゃんでしたが奇跡的に元の世界へ帰還、しかし彼女は記憶を失っていたという超展開からの幕開け


呪われた血の事も忘れた未来を、秋人は普通の女の子に戻すチャンスと考えてあえて彼女と距離を置きます


しかし異界師ばかりを襲う謎の通り魔が出現
泉姉さんの失踪後に名瀬家の頭取に就任した博臣が対処に当たるが正体は掴めず、ついにその手は未来のところにまで及ぶ
呪われた血のことを薄々思い出す未来、そして自分のことを知っていた秋人に自分は何者なのかと問う
ココのくだりはテレビシリーズ第1話の告白とダブらせて演出してます
背景の桜吹雪と合わせて一番の見どころだと感じましたねb


大方が予想していたと思いますが、今回の黒幕には失踪した泉姉さんと藤真弥勒が絡んでいて、一応のこと秋人と未来の話に並行して名瀬家のお家騒動に決着が着きます
・・・のですが、ちょっとこの話ってば泉姉さんに対して甘すぎ;
あんだけの事しでかしといて・・・名瀬家どうなってんのよ?


美月が役立たずなのはまあ仕方ないとして、二ノ宮先生や彩華さんまでもザコ扱いとはいただけない
一番惜しいと思ったのは最初の特報やキーヴィジュアルで登場したパーカー姿の未来ちゃんが出なかったことですね
あれはキャラデの門脇さんが未来ちゃんのイメージをぶち壊すためにパーカーを着せたのに、本編はいつも通りカーディガンでした
記憶失くしたんだからそーゆー変化を演出してほしかったなぁ


結局のところ何がやりたかったのかってブラック羽川ならぬブラック未来を登場させること・・・ベタ過ぎてもう笑ってしまいますたわw
後半のアクションシーンも悲壮感優先の沁みったれたテンポで正直キレが足りない







いや、ごめんなさい(゜Д゜;)
そもそも『境界の彼方』ってベタベタを通り越したようなアニメでしたね;
セカイ系LOVE!そんな方にしかオススメは出来ませんが二人の物語の完結を生暖かい目で見守ってやって下さいm(__)m
ベタを否定してしまうと、





















投稿 : 2024/04/27
♥ : 15
ネタバレ

上杉達也 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

「不愉快です」 「お兄ちゃん」

最高によかったです。
シュタゲに並ぶ同率1位作品になってもうたかなw

{netabare}
「出だし付近の秋人の声」「美月の胸」「ラスト手前の流れ」この3点は、ちょいひっかかったかな、、、というのもありましたがw。。。

テレビの時から秋人はまあ、、、あれでしたしねw
まあ、中盤の藤真弥勒に被るので、そのへんやらかしてませんかね;;痛いとこです;;



作画
京アニ、、、個人的に別格なのでいわずもがなですが、
前半の未来が追いかけるシーンが一番印象に残ったかなと。あの映し方はよかったなぁ~w


音楽
主題歌やばいよすw
作品観る前に曲を聴くのはやめたほうがいいと思われます。
映画の予告?みたいんとこで、「CMいれるな」とだけ言いたいwww




前から大き目に残した泉の伏線の回収。
この作品の中で強めの伏線だと思っていましたが、それを布石に。
秋人自体を伏線状態にしていたと思わせるようなラストへの流れは圧巻でしたか。(まあ一言で伏線とはいってはいけない気もするが。

親どうしの画の被らせ方もいい形。

やっちゃん熱いよwww



「不愉快です」
少なめに使って、ラストを大きくする流れでしたか。。。
ラストが抜きにでたのでやばいですw


「お兄ちゃん」。。。使うとこよすぎw
観ながら、、、あれ?ここ絶対に使うでしょ。。。

「絶対クル、、、絶対クル、、、絶対クル、、、」、、、、、、、

「キターッ」

「やっぱりキタョーーッ」

私こんな感じでしたwww

8話?に続く最高の「お兄ちゃん」いただきましたwそしてありがとうwww


秋人はおいといたとしてwww
声優レベル高け~な感は抜群ですね。

期待をそのまま崩さず答えてくれる「不愉快です」と「お兄ちゃん」w



まだ、一回の視聴ですが、内容面は
ストーリーはシンプルに他を色々被らせることで複雑に魅せる形でしょうかね。心理描写もそのへんに当てにきてたのかなと。
いい意味で予想を外さない。


美月も押したい私としては、あだち充風な終わり方をしてほしかったな~と思いますwww
テレビの眼鏡終わりはありすぎたぜw
手をつなぐもはずさなかったですがね。


テレビの終わりで答えはでておりますがw
初めからストーリー全部考えてたのならこれやばかったですね。
{/netabare}


テレビ版何回みてるのかわからんぐらいみてるのであれですがw
境界の彼方を1つの作品としたら、私の中では1位です。はいw


後何回観に行こうかな~とw
映画館で涙をこらえるのがたいへんすぎた~wwwおうちで観たいですw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

劇場で過去は、見ない!

 知らないで見た六花改の例があったため、TVで放送されたことを殆ど上映するアニメは、劇場で見ないようにしてるです。TVならまだしもそれが劇場だったら・・・です。栗山さんに例えると不愉快です。

 TVでよい終わり方に見えた点が、変えられたようです。予告でも放送されているように栗山さんが記憶喪失になっていたです。

{netabare} 秋人は、栗山さんに辛い過去を思い出させないよう、自分に本心を隠すというのか?栗山さんを避けるですね。

 しかし黒い刺客や、前作で行方不明になったキャラに襲撃を受け、栗山さん記憶を引き出されちゃうです。TV後半の秋人が、今回は栗山さんみたいです。{/netabare}
 放送された「境界の彼方」最終回近くに例えるとその出来事が、違った感じで描かれて見えるです。

{netabare} 自分の本心を抑えてというのか苦悩する秋人、記憶を無くしそれを含め、自分の力に気づき苦悩してた栗山さんがいたです。

 美月はは相変わらずだけど、今回さらにいい感じかなぁです。博臣は名瀬家の当主しての自覚からか、成長が感じられたと思うです。

 で、彼らたちの協力もあって、{/netabare}改めて2人は、自分に向き合えたのか?真の終わり方を飾れたのでないでしょうかです。これでいいのだが。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 11

75.6 10 泣けるで恋愛なアニメランキング10位
君の膵臓をたべたい(アニメ映画)

2018年9月1日
★★★★☆ 3.8 (301)
1447人が棚に入れました
それは「僕」のクラスメイトである山内桜良 (やまうち さくら) が綴っていた、秘密の日記帳であり、彼女の余命が膵臓の病気により、もう長くはないことが記されていた。

「僕」はその本の中身を興味本位で覗いたことにより、身内以外で唯一桜良の病気を知る人物となる。

「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことにより、「僕」、桜良という正反対の性格の2人が、互いに自分の欠けている部分を持っているそれぞれに憧れを持ち、次第に心を通わせていきながら成長していく。そして「僕」は「人を認める人間に、人を愛する人間になること」を決意。桜良は恋人や友人を必要としない僕が初めて関わり合いを持ちたい人に選んでくれたことにより「初めて私自身として必要されている、初めて私が、たった一人の私であると思えた」と感じていく。

声優・キャラクター
高杉真宙、Lynn、藤井ゆきよ、内田雄馬、福島潤、田中敦子、三木眞一郎、和久井映見

fu+i さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

真実か挑戦

タイトルが気になって、実写は、見る気がしなかったがアニメなら、と思い観てきたんだが、よかった。

遺書のところ、少しもやっとしたが、人生哲学を知る良作だと思う 作中で桜良が言ってた通り、どこかしっくりこなかったところには、きっと、意味なんてないんだろう
あるいは、お互いの人生観の齟齬か、

「僕」に近い人生観だが、
なんか共感できないな… 入ってくる情報過多で、しばらく小説断ちしてたからかな?
いや、周囲に心配させないために空元気に振る舞い死への恐怖を皆無にしようとしてた時期があったので桜良に近い人生観かもしれない しかしまだ、それだけの処世術が身についていないのだが…
いやはや、それにしても、桜良のセリフは軽快だね!
えっと、死ぬときは、自然災害であっけなく死にたいものだね それが一番まわりを悲しませなくて、まわりも納得いくんじゃないかって(汗)

しかして、キミスイの鑑賞者は、「僕」と桜良、どっちにもなれたわけだ

友達でも恋人でもない、というのは、いわゆるソウルメイト的な何かだろう
ここのアニメ成分に「恋愛」入ってるけど、これは恋愛なのか、私には、人生の通過儀礼のようなものに感じたが…

投稿 : 2024/04/27
♥ : 12

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

あと少しで神作品だった、おしい作品!

原作、実写ともに既読の私が今作と比較した感想。
初見ではないので、最初から結末は既知の状態です。

■物語
実写板では少しアレンジが加えられており、そこに少し善し悪しが分かれた。
対して、今作は前作に忠実で特にいじったところは見受けられなかった。
実写版でもそうだったが、原作を既読者には物足りないと感じてしまう。
映画という形状仕方がないのだが、情報量がが少なく原作未読者は果たしてこの描写で伝わっているのか?と思うシーンがいくつかあった。
特に、出だしの何分間は読者をかえって混乱させるのではないか?と感じた。
しかし、全体的には概ね良かったと思う。
結末ではラストを知っていたのにも関わらず涙してしまった。
1つ疑問に思ったことは、「君の名は」を少し意識しすぎではということだ。
OPがあったこともそうだが、演出がとても似ていた。
そのせいか、この作品のオリジナル性が欠けたように感じた。

■作画、声優、キャラ
作画はとくに問題なし。
少し輪郭がぼやけたような作画だったが観る分には全く支障はないし、抵抗感も受ける人は少ないんじゃないだろうか。
実写版とは違い、アニメでしかできない描写があったが個人的にはいいと思った。
声優も特に棒読みなどなくキャラにあっていた。
ラストの迫力満点の演技だった。
キャラもよく、ヒロインの桜良はとても可愛かった。
主人公の「僕」も成長過程が見て取れた。

■音楽
先程もあげたが今作が「君の名は」に似ていると感じた音楽。
音楽はsumikaが担当しており、私が好きなアーティストということもあり凄くよかった。
特に、挿入歌の「秘密」が流れたシーンは鳥肌がたった。

■総評
普通に良作だと思う。
だが、原作既読者には物足りないかも。
でも、私みたいに涙もろいかキミスイが好きな人にはおすすめ。
まだ、原作、実写どちらも未読なら普通に楽しめると思う。
sumikaが好き人もいいかな。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 25
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

美しく、楽しく、せつない映画

全編とても美しい映画でした。
そして、楽しく、切ない映画です。
そしてクライマックスでは、涙腺が崩壊してしまいます。

物語は、根暗な主人公の志賀春樹が、山内桜良が書いた日記(共病文庫)を拾うところから始まります。
春樹は持ち主を調べるために日記の最初の部分を見てしまいます。
だが、そこには読んではいけないことが書いてありました。

日記の持ち主の山内桜良は、日記を読んだ春樹が平然としていることに驚くとともに興味を持ちました。
それ以降、桜良は春樹と仲良くなります。そして、春樹と沢山の思い出をつくります。 {netabare}  
限りある命を精一杯に謳歌するために… 
{/netabare}

春樹は、最初はいやいやながらも桜良と行動を共にします。
だが、いつの間にか桜良と一緒にいる時間を楽しむようになりました。

ヒロインの桜良がとっても明るく元気で、魅力的です。
{netabare}
彼女は、春樹ならば、病気のことを気にしないで話してくれる と、思っていました。
でも、それは間違いでした。
春樹も普通の高校生です。
いつの間にか彼は、桜良のことが好きになってしまいます。
根暗で人を愛することができなかった春樹が、桜良の影響で、いつの間にか人を愛することができるようになったのです。
{/netabare}

最後に春樹が桜良の母親の前で、「もう泣いても良いですか」といって号泣したとき、
思わず私も涙が出てきました。

とても美しく楽しく切ない映画です。
ぜひみてください。

最後に、
エンディングが始まっても、決して席を立たないでください。
エンディングの後で、もう少しだけ物語がありますので。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 51

78.3 11 泣けるで恋愛なアニメランキング11位
ジョゼと虎と魚たち(アニメ映画)

2020年12月25日
★★★★☆ 4.0 (183)
757人が棚に入れました
趣味の絵と本と想像の中で、自分の世界を生きるジョゼ。幼いころから車椅子の彼女は、ある日、危うく坂道で転げ落ちそうになったところを、大学生の恒夫に助けられる。海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れをいつかその目で見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる勤労学生。そんな恒夫にジョゼとふたりで暮らす祖母・チヅは、あるバイトを持ち掛ける。それはジョゼの注文を聞いて、彼女の相手をすること。しかしひねくれていて口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たり、恒夫もジョゼに我慢することなく真っすぐにぶつかっていく。そんな中で見え隠れするそれぞれの心の内と、縮まっていくふたりの心の距離。その触れ合いの中で、ジョゼは意を決して夢見ていた外の世界へ恒夫と共に飛び出すことを決めるが……。

声優・キャラクター
中川大志、清原果耶、宮本侑芽、興津和幸、Lynn
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

心のバリアを穿つ物

原作小説は未読。実写映画版も未見。サガンも未体験。
鑑賞時は予備知識ほぼゼロで挑みました。

【物語 4.5点】
繊細。

原作よりは明るい方向でのシナリオ改変。
ヒロイン・ジョゼの車椅子設定も障がい者の生き辛さより、
人間社会全体における生き辛さの表現の一つとして。

との事前情報は耳にしていて、
車椅子がぞんざいに扱われたりして興醒めしないだろうか?
などの懸念を私は抱いていましたが、他の方の好評を信じて行ってみたら杞憂でした。
ありがとうございました♪


原作刊行当時の昭和→現代の大阪が舞台となり、
バリアフリーや行政支援など身体・生活面の障壁撤廃策は充実したけど、
最低限の暮らしは保障されるのだから夢だの恋だの自己実現は諦めよ。
といった形で浮き彫りになった心の壁や、障がいの有無以前の人間としての甘えや諦め。
障がい者だけでなく健常者にもある諸々を乗り越えるには?
という主題が{netabare}恒夫のメキシコ留学やジョゼに絵の才能を与える{/netabare}など
突破口となり得る夢の追加設定も交えて、丁寧な描写で伝わって来ます。

(因みに本作では“障がい者”という言葉は一度も出て来ません。
“健常者”なら一回だけ強烈に繰り出されますが。)

新しい日常の一コマかな?と思しきダイジェストで披露された小ネタが、
後々、回収されるなど伏線芸も細かい。

普遍的な青春物として目を懲らして観る価値がある。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・ボンズ

実写とアニメの中間を追求。

背景美術もリアル志向ながら全部描いて圧が強くなりすぎないよう情報量を調整。
フォトリアルにありがちなしつこさが本作は少なく見易いです。

loundraw氏のイメージボードを下敷きにしたヤマ場の背景の美しさは圧巻。
月並みですが{netabare}ジョゼと恒夫の波打ち際{/netabare}は本当に綺麗です♪

鍵となる絵や絵本の素材提供には、プロの絵本作家を起用。
生き辛さや言い訳で、絶やしてはいけない夢や芸術があることを視覚的に証明。
{netabare}あの絵本の虎さん動物園以上の迫力w{/netabare}


人物作画も台詞に表れない、或いは言葉の裏に隠した心情を良く拾う。
最初に、恒夫がジョゼ宅に上がると決まった時、ジョゼの後ろ姿がピクッと反応した瞬間、
私はこれは!とガチ鑑賞モードに切り替わりました。いい“先制ジャブ”頂きましたw


【キャラ 4.5点】
ヒロインのジョゼ。嫉妬などの心情が明快な、どこにでもいる普通のツンデレですw
ジョゼは2020年アニメ映画、私の最萌キャラです。萌えましょうw

そんなジョゼと恒夫の間に、入って来るアニオリキャラの舞。
恒夫に伝えまいとする分り辛い恋心(まぁ、隼人や鑑賞者にはバレバレですがw)
ジョゼの障がい故であっても、舞の一般的な乙女心故であっても、
想いを堰き止める青春の心の壁は共通であることを強調する好材料となる。
{netabare}ジョゼVS舞の無差別級・修羅場舌戦お見事でした。二人は強敵(とも)ですw{/netabare}

アニオリキャラ・その2・隼人。
女好きのチャラ男でも、いざという時はやる典型。
{netabare}恒夫を呼吸させる{/netabare}好アシストはシビれました。

あと、祖母に存在感のあるアニメ映画に外れはないと思います。


【声優 4.5点】
ジョゼ&恒夫。メイン二人は俳優陣。

が、キャスティングもまた実写とアニメの中間領域の開拓精神から、
声優、俳優幅広く検討した結果。
ジョゼ役の清原 果耶さん起用にしても、
大阪府出身で方言をカバーしつつ、実写&アニメ両要素の演技ができる
という勝算があったから。

重要なのは“ちゃんとした声優”か否かではなく、
結局スタッフが熱意を持ってオーダーできるか否かだと改めて痛感する好例。


脇の声優陣も舞役の宮本 侑芽さんが
表情と一致しない台詞など台本の裏を読む好演。
花奈役のLynnさんもサガン好きの“同志”来館に色めき立つ積極的な図書館司書を熱演。


意外性はジョゼ宅に居座る野良猫・諭吉役の河西 健吾さん。
『3月のライオン』主演声優がホンマもんのニャーとなり、闖(ちん)入者・恒夫を威嚇w


【音楽 4.5点】
劇伴はEvan Call氏。恒夫のバイト先で流れるBGMなど
エレクトロポップ配合のオシャレな都会ムードもフォローするが、
やはり魅力的なのは弦楽を生かしたファンタジー風で、海中世界や空想をカバーした仕事。
真骨頂は、その作風でクライマックスを彩った心情曲。

四季の移り変わりも美しい本作ですが、
美術だけでなく環境音の貢献も聞き逃せません。

他には砂浜にめり込む車椅子のタイヤ音や、
古式な和風民家であるジョゼ宅の木珠のれんが擦れる音など、
マニアックな効果音もリアリティや生活感の向上を下支え。


ED主題歌&挿入歌はEve。
今回は二曲共、場面の劇伴ソングとして使用。
“ああこのまま立ち止まってしまったら 涙の味でさえ 知らないままだったな”
などジャストミートな歌詞で{netabare}辛いリハビリ生活{/netabare}も乗り越える。

要するに本作はEDの後まで立ってはいけない作品だと言うことです。


※初回投稿2021/1/7 1/20誤記修正。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 36

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

12月25日ロードショーってクリスマスに映画デート中のカップルを地獄に叩き落す気なのか!?と思いきやジョゼの可愛さに全大阪人が泣いた!?

1984年、つまり36年も前の田辺聖子の短篇小説が原作
2003年、つまり17年前にも犬童一心監督の手で実写映画が制作されました
『ノラガミ』のタムラコータロー監督、アニメは初となる桑村さや香の脚本、『たまゆら』や『リトバス』のハルコミンさんこと飯塚晴子のキャラデ総作監、別にアクションアニメじゃないけど(笑)ボンズ制作で98分


舞台は現代の大阪
大学で海洋生物学を専攻する22歳の学生、鈴川恒夫
趣味はダイビングで幻の魚と言われるクラリオンエンゼルを間近で観るという夢を持ち、メキシコ留学をする為のアルバイトと勉学に追われる日々を過ごしていた
ある夜の帰り道、坂道を猛スピードで暴走する車椅子に乗った女の子、山村クミ子を助ける
クミ子は先天性の下半身不随で祖母と二人暮らし
祖母はクミ子に対してやや過保護な面がありつつも、健常者社会の厳しさから孫を守っていた
金に困っていた恒夫はアルバイトを紹介する、という態で祖母からクミ子の世話を依頼される
クミ子は愛読するフランソワーズ・サガンの登場人物から「ジョゼ」と自分を呼ぶように恒夫に言った
ジョゼは不信感の拭えない恒夫に対しキツイ物言いで接し、無理難題な我侭ばかりを押し付ける
渋々とジョゼの我侭に付き合っていた恒夫だが、彼女が家の外にほとんど出た事が無く、そしてまた絵を描くのが趣味であるという事を知るとジョゼの“散歩”に積極的に付き添う様になっていき、次第にジョゼも恒夫に心を開き始めるのだった…


























原作や実写版を知らないまっさらな気持ちで観られる方にはストレートに“純愛映画”としてオススメします
原作や実写版はもっとエロティシズム溢れる内容でしてw
キャラの設定からして全然違うし、中盤以降は今作の完全オリジナルで全く別の作品と思っていただいて結構です


ですが、ややペシミズムの残る原作の終わり方や、恒夫とジョゼが道を分かつ事を決意する実写版のラストを知っていると、今作はハッピーエンドなのか!?バットエンドなのか!?というのがどうしても気になるところでしょう


ですがそんな論争は最早無意味であることを今作は教えてくれました


まず誤解しないで欲しいのですが、この映画のヒロインが車椅子生活者で舞台が現代、ということでハンディキャップのあるジョゼが可哀想…等という安い同情を求める映画では決してありません


そもそも原作、実写版共にハンデを背負ったジョゼと暮らすことは社会的には後ろめたい事、とネガティブに捉えているのですが、今やその価値観は遠く古臭い考え方であり2020年では到底通用しません


原作は社会から隔絶されたとしても自分達なりの幸せを見つければ良いというスローライフの賛歌であり、
実写版はハンデを背負ったジョゼを若者の恒夫が支えるという事の責任の重さを描いていて、
それぞれが別のテーマを扱っています


そして今作は前者どちらとも違い、ハンデのあるジョゼが外の世界に出て行く伸び代よりも、何不自由なく暮らしてきた健常者の方が遥かに心が折れやすいし脆い…という部分がテーマになっています


確かに序盤では道すがらでジョゼに冷たく当たる通行人が登場したりしますが、それはジョゼが車椅子だからではなくオドオドして佇んでいたからです
健常者だろう誰だろうと、突然すれ違い様に舌打ちされたり、逆ギレで捲くし立てられたら竦んでしまいます
ですので序盤のシークエンスはハンデを背負った辛さというより、社会の生き辛さそのものを描写する場面と捉えることが出来ます


根本的なテーマが違うので原作や実写版とは直接比較出来るものでは無いのです


特に大きな改変を感じる部分は登場人物が総じて清々しい人達として描かれているところですね
恒夫のバイト仲間が恒夫の夢を応援してくれてたり、ジョゼに理解者となってくれる友達が出来たりと、前述の通行人のくだりで社会の冷たさを描写しつつも、人間そのものの優しさが描かれている点は原作や実写版には無い部分です
特にジョゼのおばあちゃんはジョゼの存在に後ろめたさを感じていた原作や実写版のキャラから、ジョゼの成長を温かく見守るキャラに改変されていてだいぶ違います


そして恒夫は原作や実写版のモラトリアムを持て余す学生ではなく、夢の為に努力を続ける苦労人
結果として今作はジョゼやジョゼの背負ったハンデの話なのではなく、恒夫やジョゼが抱く“夢”をお互いで支え合う事の尊さが主軸になっているのです


ですからまあデートムービーではありますが老若男女問わずオススメしたい青春映画なのです、今作は


また逆に原作や実写版をリスペクトしてか、部分的に取り入れられた要素もあります
踏み切りの前で海に行きたいと言い出したジョゼが「おっぱい触ったゆうてクビにしたる」と恒夫を脅すくだりは原作や実写版では本当にジョゼにセクハラを働く迷惑人が登場した事へのオマージュでしょう
今作ではそこまでクズな人物は登場しませんので安心して観て下さいw


また原作や実写版との分岐点になるシークエンスが2回ほどあるのでこれらを知ってる僕にとっては、ココでこの映画終わってしまうのか!?っていうドキドキが味わえたのでそれもまた面白かったポイントです
新海誠作品を観すぎて『君の名は。』で「なんでもないや」が流れた瞬間、この映画ぁ…終わったぁ…と早合点したのを思い出しましたわw


さてだいぶ長くなってしまいましたが最後にコレだけは言いたい!
細かい御託は抜きにしても今作、“兎にも角にもジョゼが可愛い!!!”


オシャレな見た目に反して辛辣な口調のギャップ、外の世界にキラキラと目を輝かせるところ、大口を叩く割にコミュ障気味なところ、ややオーバーなリアクションなど、ジョゼのヒロインとしての魅力はかなり丁寧に描かれています
これを実写でやるとだいぶ大袈裟になってしまいますがアニメならではの魅力の伝え方が出来ている部分だと感じました
またリアリティのある可愛さ、現実社会を舞台にしているだけあってその距離感を縮める演出としてジョゼの髪型が劇中で5パターンも出てきます
髪型が変わるってアニメとしては逆に手間の掛かる事なので監督のコダワリが感じられました
特にボブカットになったジョゼはおばあちゃんの面影を感じられるようにと、ハルコミンさんのコダワリがあるようです


個人的には手作りのスケボーに乗ってるシークエンスが最高でしたw


あとまあコレはどうでもいい話なのですが、今は僕も右足の骨が折れて足を引き摺りながらのリハビリ生活中なので、ジョゼの「健常者にはわからん…」って台詞が刺さりました;

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

勇気という名の翼を胸に広げて未来へ飛び立とう

心温まる素晴らしい映画でした。
この映画を教えてくださったあにこれの皆さまに感謝します。

映画タイトルの『虎』は恐怖の象徴、『魚たち』は安らぎの象徴。

ジョゼは半身不随の歩けない女の子。
外に出るときはいつも車椅子。
しかし、彼女の祖母は「外は危ない」とジョゼに言い、なかなか外に出してもらえません。
それでも外に出たい。まだ見ぬ世界を見てみたいとジョゼは願っていました。
ジョゼの願いは、誰もが持っているごく普通の願いです。


主人公の鈴川恒夫(すずかわつねお)は大学生。
彼はクラリオンエンゼルの集団を海中で見ることを夢見ており、
そのためにメキシコ留学を目指し、勉強とアルバイトに明け暮れていました。

そんな二人が偶然にも出会います。
恒夫はジョゼの背中を押してくれます。まだ見ぬ世界を見せるためにフォローしてくれます。
砂浜のある海岸、公園の並木道、クレープ屋さん、図書館、…etc
誰もが普通に見ることができる光景ですが、ジョゼにとっては、どれもこれもが新鮮でした。

でも、ある出来事が起こり、それから…、今度は恒夫が夢を見失います。
ジョゼは恒夫を励ますために…あることをします。
それはとても心が暖まることでした。


ジョゼは障がい者です。
ですが障がい者だから特別ということではなく、
誰でも勇気をもって歩みださねばならないときがあります。
そんなときに友達が背中を押してくれたり励ましてくれたりすると、勇気がもらえます。

勇気という名の翼を胸に広げて未来へ飛び立ちましょう。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 40

63.5 12 泣けるで恋愛なアニメランキング12位
そらのおとしものFinal 永遠の私の鳥籠(アニメ映画)

2014年4月26日
★★★★☆ 3.5 (292)
2105人が棚に入れました
空から落ちてきた未確認生物《イカロス》は、空美町で「平和が一番」がモットーの少年、桜井智樹と共に暮らしていたが、いまだに智樹に笑顔を見せたことがなかった。
イカロスと同じく空に浮かぶ『新大陸』からやってきた未確認生物である《ニンフ》《アストレア》が、《マスター》の支配から解放されて自由に笑って生きている姿を見た智樹は、どうにかイカロスにも『普通の女の子』として自由に笑ってほしいと思うようになる。
戦略エンジェロイドとして作られ、感情をうまく表情に表せないイカロスが笑えないのは、主従の関係を結んでいることが原因であると考えた智樹だったが、突如あてがわれた自由に、イカロスは―――。

原作累計400万部を突破した大ヒットアニメシリーズが遂に完結!!感動に包まれた原作最終話にリンクした、ヒロイン《イカロス》の真実の物語。これが本当のそらおとフィナーレ!!

Yuyu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

原作読者向け

愛し方が分からず、主従関係をずっと望んでいたイカロス
主従関係を拒み、命令することを拒み続けた智樹

そんな二人がお互いを想い合って変化してる姿は切なかったです。

原作でも分からなかったことも、ハッキリと分かるようになっているところもあるので、普通に見てよかったと思いました。アニメではカオス(修道服の女の子)の扱いが原作と違うので、この形にしたのかな?

やっぱりアニメ作品で原作のカオスの話や表現は、やりたくてもできないのかも知れないですね。

アニメ派の人も原作17~19巻を見る前に読めば楽しめるかも知れません。
最低でも17と18巻を読めば何が起こっていたのか分かった状態で映画スタートって感じになるかと。

3期のアニメ自体がほとんどない中で、短い映画としてでも映像として見れたことは、いいことだと思うのですけどね。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

天使の想いと物語の帰結を目指した完結編?

まず初めに、他の自分のレビューでこの作品の期待度を勝手に上げてしまったことに対してお詫びをしたいと思います。申し訳ありませんでした・・・。
正直レビューは書きたくなかったのですが、期待を煽った責任もあるので一応書きます。
これは今まで以上に「詳しく知りたきゃ原作読め」と突き放した感じの作りでした。酷評になってしまうかもしれませんが、お許しください。


時系列は前作(時計仕掛けの哀女神)の後になります。そして原作の流れとは異なった分岐を進んで一応の収束を迎えます。

エンジェロイド達とすっかり打ち解けたかに見えた智樹。しかしイカロスはいまだに智樹に笑顔を見せた事はありません。

ニンフ達と相変わらず戯れている間も、どうすればイカロスを笑顔にできるか考え続ける智樹。

イカロスにとっての幸せとは、愛の形とは何なのか。その結論を導き出したのは意外にもイカロス自身でした。


今まで作中で幾度か匂わせられていたこの世界の残酷な真実に、智樹以上にイカロスが勇ましく立ち向かっていく姿には心打たれました。



・・・このように掻い摘んで見ていくと悪くは無いような気がするのですが、やはり多くの違和感が残りました。

ネタバレ+悪い部分を挙げているので、見たくない方は見なくていいです。
{netabare}
ギャグ要素が少ない上、ギクシャクした感じで非常にテンポが悪かったです。今までの勢いあるギャグはどこへ行ったのか不思議でした。

作画がさっぱりした感じになったのは良いのですが、今までと比べてしまうと淡泊すぎです。特に瞳の描き込み具合や色彩の豊かさは、クオリティの面で敵わないと思います。

それから音楽を挿入するタイミングが合ってないと感じる場面が多々ありました。
例として、挿入歌『ERASE』を流すタイミング。ギャグシーンを背景に流してはせっかくの曲が台無しです。
美香子(会長)のBGMも使うタイミングを間違えると会話が非常に阻害されますね。聞こえづらかったです。智樹を叱責するシーンですね。

あと今まで隙なしだと思っていた早見さんの声が、クライマックスの叫び声でちょっと残念に感じてしまいました。泣き声もそうですけど、どうもイカロスに聞こえないというか、なんだか冷めてしまいました。
{/netabare}



作画は大きく今までと変化していますね。淡い色使いとややあっさりとした顔つきで、原作準拠に近い形にはなっていると思います。

ただ所々挟まれる回想シーン(使い回し)の作画を見ると、やっぱり今までの方がいいなあ・・・と思ってしまったのも事実です。

音楽で特筆すべきなのは、何より主題歌・挿入歌です。主題歌『Always Smiling』および挿入歌『ERASE』は早見さん&吉田さん安定の良曲でした。

今回BGMについては場面の切り替わりが早く、あまり集中して聴くことができませんでした。

キャスト陣で一番活躍したのはもちろん早見さんでしょうが、個人的には保志さんの安定ぶりが嬉しかったです。



前作と大きくキャラデザを初めとして変更があったので不安を抱えながらも、それでも期待はしていました。

しかし総集編を抱えた前作以上の早足な展開と、完結を謳いながらもしこりを残す終わり方には、ある種の無念さとスタッフへの憐憫と角○への憎悪の感情が渦巻いていました。

とにかく言えることは、この映画はサントラと主題歌CDだけ買えばもう十分であることと、角○さんはこの先も阿漕な商売を続けていればいつかバチが当たりますということです。


その中でも良かったと思えたシーン
{netabare}
・社会の窓の裏に隠し持っていたシナプス製の「カード」を無理やり奪われそうになる智樹。チャックを開けられた瞬間全身から発光して、ニンフ達を異世界へといざなう。
→チャック丸出しで眩しく輝く智樹は非常にシュールで笑えました。ここが一番笑えたポイントです。

・突然始まるそはらとニンフとアストレア、そして爺ちゃんによる「トモキの社窓から」。降車する条件として智樹とのキスを提示され戸惑う三人。
→三人の反応の中でも、アストレアちゃんの「キスって何だろう・・あいつとしたら気持ちいいのかな」という反応が非常によろしかったです(笑)

・ついに謎だらけだった会長の正体が判明し、イカロスが智樹に猛アタックを仕掛ける。
→さらっと大事なことが判明したので驚きました。この映画一番の収穫でした。

・イカロスがついに愛を理解し、智樹にキスをして愛を伝える。
→このために今までイカロスは苦しんできたんだ、とカタルシスが得られました。それからシナプスに侵入する際のシーンが一期OPのイントロとシンクロしていたことも分かって、名シーンだと思いました。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 12

ナルセッチ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

角川にひたすら落胆と軽蔑(原作を読んで改めて怒りが・・・。)

原作のコミックを読んできました。
おかげでやっとFinalの本来の全体像がわかりました。

好き嫌いはあるにしてもちゃんと完結してました。
個人的にはとても良かったです。
普通にやっていれば特にひねりを入れなくても
無難な評価の映画ができたはず!

原作レイプどころの話ではなく、
「映画のできはどうてもいいから、Finalと名づければ
 最低限の観客動員ができるだろう」
と考えたとしか考えられない。

制作会社の運営等いろいろな事情があったのは
創造できるが一番許せないのは角川
日本を代表する大御所的企業ならプライドを持って
やれといいたい!


以下は以前の無いようです。
-----------------------------
多くの方のコメントにある通り、
シリーズのFinalを期待すると怨嗟の思いが湧く(怒)

単品の内容として(続編が続くと仮定すればだが)は
OP,ED共にシリアスなイメージで素晴らしいし、
開始直後のシーンと、
イカロスの訴え(涙)といい、
終盤の笑顔といい、
傑作と言えるレベルです。


各所で言われる通り予算の極端な不足が想像されますが、
アニメ版全部を見ても全くストーリーの繋がりがわかりません。
こんな滅茶苦茶な構成であれだけの品質を出せたのはスタッフさんの意地かも
しれませんね。
自分はスタッフには賛辞を贈りたいです。
ストーリー評価を3としているには悪いという意味では無く、
シリーズものとしては評価不能だからです。

今更の素人の戯言ですが、
クラナドの海外版のような出資募集をするような方法がもっと
積極的に使われてもいいかも。

無論知名度が違いすぎるのでうまくいくかはわかりませんが
そういう事を考えたくなる作品でした。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 6
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