約束で学園なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の約束で学園な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月06日の時点で一番の約束で学園なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.1 1 約束で学園なアニメランキング1位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2502)
11428人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 134
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

アニメを伝道する好機

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:8
キャラクター:7
情感:7
合計:38

1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。
(シネマトゥデイより)

最近話題として何回か出てきたので、折角なので劇場に足を運ぶことに。そう決めてから、京アニの「聲の形」も上映中であることに気付いて、1日2本の豪華スケジュールを組みました。映画は、昔はよく観に行っていましたが、1日2本観たことは初めてのことです。

「君の名は。」は、午前中の回が満席だったので、「聲の形」→「君の名は。」の順で視聴しました。新海誠監督作品は「秒速~」と「言の葉の庭」を視聴済ですが、どちらも良作となる4点にぎりぎり届かない程度の評価をしてきたところ今回は評判が良く、京アニは「けいおん!!(二期)」で評価を上げたところでしたので、この2作は接戦になるかなと思っていましたが、本作は期待をさらに上回りました(劇場版の尺では過去最高点です)。

作画と楽曲はこれまでの作品の通り素晴らしい上で、映画の尺に合うだけの充実した設定とストーリーになっています。
入れ替わりネタはココロコネクトで経験済ですが、前半に和みの要素としてよいエピソードでした。やはり男は悪いと思っても揉みますね(笑)
入れ替わりが終わってからが本編という感じ。物語の展開がどうなっていくか、最後まで集中して視聴できました。

良作アニメは「時間」を効果的に利用しているものが多いです。タイムリープする必要があるわけではないですが、経年による物語の厚みは基本です。人間は、時間を遡ることができず、過去を振り返ったり後悔したり、そして遅かれ早かれ死ぬ、はかない存在であることの裏返しなのでしょうね。{netabare}この作品でも3年のズレが良い味を出していました。瀧が三葉に出会う前に、三葉が瀧に会いに行くシーンがありましたが、ああいう伏線は好きです(最初どのように描かれていたかは1周だけではよく思い出せないのですが)。

この作品ではさらに、入れ替わりが「夢」であって、その記憶がなくなっていく、という表現をしていたのも特徴的でした。夢を思い出したいのに思い出せない、あの感覚を、大事な人の記憶と結びつけたのはとても切なくて巧みでした。携帯の日記の消え方はちょっと変でしたけどね。{/netabare}

そうそう、リアリティ面では、細かいことを言えば上記のようなものがいくつかあったと思いますが、{netabare}名前の記憶が消えていくように{/netabare}終わる頃にはほとんど忘れてしまいました。それくらい浸れる作品ということかと思います。

興行成績でも今後どれくらいの数字を出せるかも期待大ですが、新海誠監督の代表作と言えるものになったことは間違いないでしょう。

{netabare}最後の二人が出会えるのかというところは「秒速」が繰り返されないかとヒヤヒヤしました。私は心の中で思い切り「よくやった!」と叫びました(笑)。ハッピーエンドが、良い余韻を呼んでいます。{/netabare}

そのほか、「言の葉の庭」の先生が登場していたり、彗星(星)を扱ったところなどにも、過去作品とのつながりも感じられ、新海誠監督の集大成になったのではないかと思います。もちろん、今後も今作を超える作品を目指していただきたいですね。

ヒロインの三葉の名前は、凪のあすから2クールED「三つ葉の結びめ」の影響もあったようです(前向きになれる、自分もとても好きな曲です)。
色々なところでつながっていると感じられることも自分のアニメ道の進歩ですね。

この作品でアニメに興味を持つ方も多いと思います。クールジャパンの代名詞のひとつがアニメだということは多くの方が知っているでしょうが、他にも「君の名は。」クラスの作品があることを、機会があれば伝えていきたいですし、あにこれの方々もそうしたら良いんじゃないかと思いました。(自分が初心者だという方には、私の棚でも見ていってください)

もう1回くらい劇場で観たいと思える作品です。劇場で観ておくことをおすすめしたいアニメ映画です。

(2016.9劇場で鑑賞)

追記(2016.9.20)
{netabare}余韻に浸り、あれこれ考えています。設定について補足したいと思います。まずは、入れ替わりが本人たちにとっては「夢」として感じるものであること(遠くにいる男女が出会う物語を考えつつ、古今和歌集の小野小町の和歌から着想を得たというのもイイですね)。朝起きて自分の人格に戻っていて、相手側の人格に入った記憶は消えているので、当初は訳が分からなくなり、周囲の言動などから、現実として入れ替わっていることを認めざるをえなくなるという流れでした。結果的には素晴らしく機能しているのですが、観客としては、別人格の2人がしっかり自分の意思を持って行動しているのを見ているので、忘れてしまうことに違和感を覚えます。ここを、注意深く見ていくには、1周では心もとないですかね(私も序盤は見落としがある気がします)。

それから、時間描写に特殊性のある作品でもあるかと思います。携帯電話の日記が消えてしまう部分はマイナスとして取り上げさせてもらいましたが、過去改変の可能性を示唆した表現でもあるのかなと思いました。つまり、我々が1本だと思っている時間軸は実は1本ではなく、交差することもあるけれども、その時は我々の記憶や記録物までもが改変されていて、我々に認識できないだけなのではないか、ということです。

また、通常、時間軸は1本であり、パラレルワールドを扱った作品は世界線が平行に並んでいるというもので、別の世界線に移動しても同じ時間というのが一般的ですが、この作品では別の世界線(と言ってよいのかも確信を持てませんが、多分そうかと)が3年ずれています。これは斬新ですよね。光速に近づくほど時間の流れは遅くなるという相対性理論もありますし、時間の経過は常に一定ではないとすれば、時間の流れが世界線ごとに異なっているというのもありじゃないかと思いました。{/netabare}

追記(2016.9.21)
{netabare}RADの主題歌を購入。その中の夢灯篭に「5次元にからかわれて」という歌詞があるのを見て、個人的にはパラレルワールドを描いた作品であると認識してみる。

(参考)私的次元の数え方
0次元…大きさのない点
1次元…太さのない線
2次元…厚みのない平面
3次元…静止した空間(これを0次元に戻して以降を想像する)
4次元…時間軸のある空間(1次元的な線としての時空=我々の認識する世界)
5次元…複数の時間軸のある空間(2次元的な平面としての時空=パラレルワールド)
{/netabare}

追記(2016.9.23)
{netabare}上記から、私は本作はタイムリープものではなく、時間の経過がズレたパラレルワールドの交錯した世界の物語と考えてみました。

①瀧のいる世界線と、三葉のいる世界線(瀧の世界線の3年前)がムスビの力によって重なってしまい、互いに心と体の入れ替わりが生じた。

②しかし、三葉のいる世界線において三葉が死に、入れ替わりは終わった。ムスビの力がなくなり、存在しないはずの三葉とのやりとりは過去改変により消失する。このため瀧の携帯電話の日記も消えた。

③三葉の「半分」である口噛み酒を飲むことでムスビの力が復活。三葉のまだ生きている世界線とつながり、再度入れ替わりが生じた。

④危機回避の努力の結果、三葉たちが助かり、その世界線と繋がった影響で瀧のいる世界線の過去が改変され、三葉が生きている世界になった。
という感じでしょうか。

小説版は1日で読み終わりまして、文章で読むと正直そんなに凄い作品とは思えなかったのですよね(本当に、映画の内容をそのまま文章にしたという感じのものですが、情感の起伏があまり湧かないのです)。
最高峰の作画と、疾走感や情感の溢れるRADの楽曲と、綺麗にはまった声優と、後半超展開となるストーリーと、感情をストレートに紡いだ心情描写と、夢のはかなさを活かした設定とが高度に融合した、アニメがベストの作品なのだと思います。

本日、9月22日までの28日間で興行収入100億円突破とのニュースがありました。祝!
もう一度見たくなってしまう、高揚感の余韻が強い作品です。
{/netabare}

追記(2016.10.10)
{netabare}最近週末まで多忙となり2回目をまだ観に行けていませんが、多数のレビューを見ていた中で一番良かったものをご紹介。
http://blog.kanjutsu.net/entry/2016/09/09/115947

作家性を捨ててエンタメに振れた、プロデュースの力によるもの、斜に構えた意見も多々見受けられますが、表面的な受けも狙いつつも底辺の深みに魅力がある作品だからこそ、何度も足を運ぶ方がいるのだと思います。
{/netabare}

<2019.1追記>
世界観の配点を1点減点しました(作画によるボーナス点を与えていましたが、他作品との平仄の観点から削除しました)。

(2017.2、2018.4、2019.1評価調整)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 102

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

空前の大ヒットも頷ける完成度を差し置いて劇場で笑い転げるヲタクとはオイラのこと~ぼくらタイムフライヤー_時を駆け上がるクライマー~IMAX観ました

新海誠監督が手掛けた5本目の長篇作品


東京の大都会に住む男子高校生、立花瀧
山深い田舎町に住む女子高校生、宮水三葉
1200年振りに地球を訪れるという巨大彗星の到来を一ヵ月後に控えたある日、瀧が目覚めるとそこには見知らぬ自分と知らない天井、見知らぬ家族と知らない町があった
同じように三葉もまた、想像すら出来ていなかった大都会で朝を迎える
ただ一つ確かなことは、自分の身体が見知らぬ異性のものだということだけ
瀧と三葉は全く原因がわからぬまま不定期にお互いの身体と心が入れ替わってしまうことに気付いた
お互いの生活に干渉しないよう、日記で連絡を取り合うことにした二人
田舎育ちの三葉は憧れの都会に想いを馳せ、自由気ままに過ごす
一方の瀧も他人のそれも異性の身体だということを忘れ好き勝手してしまう
周りからはまるで人が変わったようだ(笑)と思われ少しずつ人間関係に変化も起きる
瀧が好意を抱く先輩との仲を、三葉が瀧に変わって取り持ったことで瀧には良い事尽くめの大団円かに思えたが、次の日の三葉はある決心をしていた
そして彗星到来の10月4日、瀧は記憶から消えていた重大な事実に気付く・・・


『言の葉の庭』が全国東宝系で大きく展開し成功を収めたことから、遂に全国約300館での上映となった新海誠監督にとって最大の大作となった今作
キャラデザはZ会のCMでタッグを組んだ田中将賀
作画監督は元ジブリの安藤雅司
音楽は挿入歌から劇伴に至るまでオイラが中高生の頃に(ごく一部ではあるがw)一世を風靡したバンド、RADWIMPSが担当


声優陣には瀧役に声優経験豊富な若手演技派、神木柳之介
三葉役には『舞妓はレディ』の上白石萌音
その脇を固めるのは長澤まさみ、市原悦子といった豪華俳優
さらに悠木碧、島崎信長、石川界人といった豪華声優
そして『I LOVE スヌーピー』でいい芝居をしてくれた谷花音、とキャスティングにもかなり力が入っているのがわかりますね
身体が入れ替わった時の芝居は聴きどころですb


単純に少しアニメに詳しい人なら、将賀さんのキャラデを見て『あの花。』の絵だ!観に行こう!という気持ちになってくれるでしょうし、本編が始まるとすぐ「夢灯篭」という楽曲に合わせてOPアニメみたいなのも流れる
オイラは初見観た時このOPが「めちゃくちゃダセェ!」と思ってしまったのですがwやはり深夜アニメなどに慣れ親しんだ世代にとっては心を掴む取っ掛かりになっているのでしょう
ああ、ちなみに今は「夢灯篭」もOPも好きですよ?w


そして序盤はそれこそ深夜のラノベアニメのラブコメタッチで物語が進む
キャラの表情もコロコロ変わり、身振り手振りの作画も非常に丁寧
中身が入れ替わった男女の微妙な違いを作画で表現する、言葉にすれば簡単ですがこれを見事にやってのけた作画陣には最大級の賛辞を贈りたい
ジブリが崩壊し、『攻殻機動隊ARISE』と『アニメ(ーター)見本市』が完結した等、作画スタッフの足並みが綺麗に揃ったのが大きかったでしょう
尚且つ、新海作品お得意の美しい光と色と街並みが、このアリエナイ話にリアリティと説得力を醸し出す
制作中は当然完成していなかったバスタ新宿がちゃんと描かれてるのも凄い


後半はミスリードで張ったミステリアスな伏線をスペクタクルと共に回収しつつ、所謂新海節が炸裂する内容なのですが、まあとにかくメジャーかマイナーかで言えばメジャー路線な作品に作ったことです
今日までの大ヒットがソレを裏付けてますね、明らかにこれまで新海のシの字も知らんかった人たちが劇場を訪れているのです
実際オイラが鑑賞オフ会を開いたら半分の参加者は新海作品初体験でした
こうなると昔からのファンは遂に資本主義の犬となったか新海よーとかワケのワカランことを言い出す輩が湧いてくるもんです
まあ、言いたい事はわからんでもない


ただオイラはこう考える
【新海ファンこそ、この映画は10倍楽しく見れる】


そう、今作が初見でもなんも問題無い
でも今作、新海誠がこれまで積み上げてきたものがほぼ全て詰め込まれたいわば集大成なのです


『彼女と彼女の猫』から続くゆっくりとしたモノローグでの幕開け
『ほしのこえ』では恋人達が時間差で引き裂かれていく様を描いていました
『雲の向こう約束の場所』では田舎町と都会に分かれて物語が交錯していましたね
これを同時並行させたのが『クロスロード』
「何も無い」という田舎風景を印象付ける画作りは相変わらず上手い、これは『桜花抄』
2時間に1本しかない電車はまさに『星を追う子ども』
朝食と通学風景から始まるのもそう
真っ二つに裂ける彗星は『コスモナウト』のH2Aロケットの発射ですね、意味合いは逆だけど
挿入歌に合わせて映像を積み上げていくのは『秒速5センチメートル』や『クロスロード』で魅せた技
コミカルなタッチで進む前半は『猫の集会』のお茶目な演出を思い出しました
東京、特に都会の象徴として新宿を描きたがるのは『言の葉の庭』が顕著
同じく、途中での雨描写は秀逸でした
主役二人の生活感の違いを描写する様子は『大成建設』や『だれかのまなざし』の経験が大いに生きてるでしょう
いやしかし瀧くんが面接を受けてるのが大成建設だったのには笑いましたね
宮水神社のご神体がある湿原を見下ろす描写は、さしずめ地下世界アガルタのフィニス・テラですね
瀧くんのお父さんが井上和彦だったのでもしやおまえは森崎なのか?
そもそもファンタジーかSFかと思えば途中からロードムービーになってしまう辺りはまさに『星を追う子ども』のソレ
『ほしのこえ』で膝を抱えるミカコ然り、『雲の向こう、約束の場所』で足の指にてんとう虫がとまるサユリ然り、靴の型取りに足を差し出すユキノ然り、美女の足に拘る新海作品、今作では東京で歩きつかれた三葉に注目したい
思えば新海映画とはずっと男女のすれ違いを描いてきましたが、今作は「顔も名前も身体も私生活すらも知り尽くした二人がまるで会えない」という究極的なすれ違いをしてるのが面白い


ほんとそう、新海映画を知れば知るほどこの作品にのめり込んでいけるのは間違いないでしょう

“花澤香菜が演じる古文の先生”が恐らく別の世界線なんでしょうが「ユキちゃん」という名前だった時、周りが静まり返っている劇場でオイラは一人笑ってましたさーせんw
良い映画か否かという以前に、ある種のネタ映画として最初から最後まで笑いながら(時に笑い泣きしながら)観れましたねb


まあ強いて言うならラストシークエンスはちょっと引っ張りすぎたようにも思いますが、「なんでもないや」という楽曲の持つエピックなキックのリフレインとウィスパーボイスのボーカルに思わず感極まってしまう
なにより『秒速』を知っているとあのすれ違い方は辛いものを思い出させる(笑)
そう、この厨二病全開な内容に対して厨二病をこじらせてしまったバンドの日本代表とも言うべきRADWIMPSの音楽が見事に調和してるのが今作の評価を押し上げてるポイントでもあります
まさにクサイ内容にはクサイ音楽
『ここさけ』でも言いましたが単体では正直目も当てられないような詩の主題歌が、割とすんなり入ってきてしまうまさに映像マジックですねこりゃ


今作を受け入れられない人、良い意味で厨二病を卒業出来たんだと思います
誇らしく思ってください
オイラ?は、駄目ですね
この映画を面白いと思ってしまったのでアラサーになっても心はまだティーンエイジャーのようです(笑)

























~TOHOシネマズ新宿のIMAXデジタル版観ました~
IMAXというのは実にビル三階分ほどの高さと20メートル以上の横幅を持つスクリーンに二台の映写機で投影する現代における最大級規格の映像フィルムです
人間の視覚を上回る大きさのため観る、というより観回す感じになります
さらに劇場によっては12.1chの音響システムもそなえており音の迫力も通常の規格とは異なります


そもそも普通の規格で作られた作品をIMAXにするってことは拡大して引き伸ばす、ってことですからオイラは最初この『君の名は。IMAX版』は反対の立場でした
それにアニメって視覚的情報量が実写より多いので単純に疲れそう、だとも思いましたし


しかし実際鑑賞してみると新海作品特有の美麗背景が大きく引き伸ばされてるにも関わらず全く精細さを欠いてないんですよ
むしろ画面の中に描かれる糸守町や新宿の風景に吸い込まれていくようでした
だから鑑賞、というよりはむしろ体感、に近い感じでした


音響の方ですが意図的に音圧を上げてるようでしたがどちらかと言うと山びことかそういった反響音がクリアに聴こえるようになったという印象です
挿入歌がやたらデカイ音で、それもどっか独立した別chから出てるっぽくてやたら大きく感じたのですが、肝心の挿入歌より手前にいるはずのセリフが少々聴き取り辛くなった気がしましたので、これはちょっと好み分かれそうです


初見の方にはあんまりオススメしません
先にも言ったとおり、情報量に加え目で追う作業が加わるのでストーリーに集中し辛くなります
ただリピーターには一見の価値があることでしょう
アニメにIMAX不要、と言いたいところですが新海作品のIMAX化に関しては歓迎できますねb

投稿 : 2024/06/01
♥ : 42

87.5 2 約束で学園なアニメランキング2位
劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~(アニメ映画)

2019年4月19日
★★★★★ 4.3 (408)
1883人が棚に入れました
昨年度の全日本吹奏楽コンクールに出場を果たした北宇治高校吹奏楽部。2年生の黄前久美子は3年生の加部友恵と、4月から新しく入った1年生の指導にあたることになる。全国大会出場校ともあって、多くの1年生が入部するなか、低音パートへやって来たのは4名。一見すると何の問題もなさそうな久石奏。周囲と馴染もうとしない鈴木美玲。そんな美玲と仲良くしたい鈴木さつき。自身のことを語ろうとしない月永求。サンライズフェスティバル、オーディション、そしてコンクール。「全国大会金賞」を目標に掲げる吹奏楽部だけど、問題が次々と勃発して……!?北宇治高校吹奏楽部、波乱の日々がスタート!

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、石谷春貴、藤村鼓乃美、山岡ゆり、津田健次郎、小堀幸、雨宮天、七瀬彩夏、久野美咲、土屋神葉、寿美菜子、櫻井孝宏

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

群像劇としての厚みを出す為に台詞は一言もいらないということを学びました【LIVE ZOUND&イオン幕張ULTIRA感想追記】

※以下の本文では2018年の映画『リズと青い鳥』の略称を“映画『リズ』”、劇中に登場する楽曲「リズと青い鳥」の略称を“「リズ」”、劇中劇としての童話「リズと青い鳥」の登場人物は“リズ”と表記しています


2015年の第1期テレビシリーズ、
2016年の劇場版総集編『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』と第2期テレビシリーズ、
2017年の劇場版第2作『届けたいメロディ』、
2018年の映画『リズと青い鳥』、
それらに続く『響け!ユーフォニアム』シリーズの完全新作長篇映画


結論から先に言ってしまうと、【『届けたいメロディ』と『リズと青い鳥』は本作やテレビシリーズとはパラレルワールド】と割り切ってください
本作の世界観は【テレビシリーズ第2期の続き】になりますので特に映画『リズ』との整合性は一致しません
メインスタッフはテレビシリーズでお馴染み、石原立也監督、花田十輝脚本、池田昌子キャラデザ、音楽は松田彬人、京都アニメーション制作


昨年度、全国大会出場を果たすも銅賞に終わった北宇治高校吹奏楽部
ユーフォニアム奏者の黄前久美子は同級生でトロンボーン奏者の塚本秀一の告白を受けて付き合いだす
久美子達は2年生となり、新たな体制となった吹奏楽部で改めて全国大会金賞を目指すことに
昨年度の全国大会出場と、顧問の滝昇先生の人気も相まって新入部希望者は潤沢
低音パートにも4人の1年生が入ってきた
しかし新入生でチューバ担当の鈴木美玲は卓越した演奏技術を持っているものの協調性が無く、同じ低音パート部員達にも馴染めていない
さらに久美子の直接の後輩に当たるユーフォニアム担当の1年生、久石奏もまた社交的な表の顔とは裏腹に部活動そのものに含むところを持っているよう
1年生の指導員を兼任する久美子は1年生の抱える問題を「めんどくさいな~」と口にしながらも積極的に支えていくことになる…


『リズと青い鳥』を除けば『ユーフォ』シリーズにとっては初の完全新作の長篇
劇中ではかなり長い年月の多岐に渡る出来事を合間合間を区切りながら描いており、非常に濃厚な内容の映画と言えるでしょう
具体的には起承転結が3回以上繰り返すと思っていただいて結構です


これまでのシリーズを踏まえた作品なので、最低でも総集編映画である『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』と『届けたいメロディ』の2作はご覧になってから今作をご鑑賞いただくことをオススメします
と、言うのも今作の久美子はとても主人公らしい牽引力を持った人物として描かれますが、それは久美子が1年生の時に“アレだけ色々な事件を経験してきた”からなのです
特に印象的な部分で一人になった久美子が「響け!ユーフォニアム」という楽曲を演奏してあすか先輩のことを思い出したり、吹奏楽の原初的体験である姉との思い出を振り返ったりするシークエンスは、そのシークエンスが持つ久美子の心理描写をセリフや表情だけでは読み取れない形にした高尚な演出になっていると感じることでしょう


また劇中でコンクールの自由曲として選ばれる「リズと青い鳥」という童話をモチーフにした組曲が持つ物語性については、映画『リズと青い鳥』の中で詳しく描かれているので興味があればそちらも是非どうぞ
ただし先述の通り映画『リズ』はパラレルワールドであり、今作と整合性は一致しません
具体的には映画『リズ』劇中の傘木希美だと、ソリストになるだけの実力に及んでいないこも
映画『リズ』劇中で本来はオーボエとフルートが掛け合いをするパートを、(遊び半分だと思うが)久美子と麗奈が練習していたシークエンスが今作には存在しないこと
今作の鎧塚みぞれの性格が明るめに描写されているのでシリーズでは比較的に最も好転的なみぞれが描かれた『テレビ第2期』或いは描写が無かっただけで可能性としては存在する『届けたいメロディ』の世界観の続きと考えるのが自然なこと
この3点から映画『リズ』はパラレルワールドだと推測が出来ます


さて、「リズ」という楽曲を踏まえた上でクライマックスの演奏シークエンスまでに描かれる“群像劇としての『ユーフォ』”について話したいと思います
よくオイラは群像劇が好きだという話をするんですが、『ユーフォ』って登場人物が多い割りにスポットが当たるキャラが非常に搾られていて、ソレはソレでまとまっているという肯定的な観方も出来るんですが、登場人物は多ければ多いほど物語に厚みが欲しい派なんです、オイラは
そういう意味で『ユーフォ』は諸手を挙げて絶賛出来る作品では無かったのですが今作で少し考え方が変わりましたね
と、いうのも劇中では度々にみぞれと希美という2人が見切れるカットがあり、この2人がメインストーリーライン上はともかく、北宇治高校吹奏楽部の、特に「リズ」という楽曲に関しては欠かすことの出来ない重要な人物であることが多くを語らずに表現されているのです
「リズ」の第3楽章が始まるとオーボエとフルートがそれぞれ青い鳥とリズを表現する掛け合いパートがあり、それがこの楽曲において最も印象的なフレーズとして幾度か登場します
そこでこの掛け合いを演奏するのがみぞれと希美というわけ
ですがこの超重要人物2人、なんと台詞が一切として無いんですよね
声優もクレジットされてないのでガヤ等も含めて台詞ゼロは間違いなさそうです
この2人の関係性についてはテレビ第2期、或いは映画『リズ』で散々語られているので今更何か付け加えたところでメインのストーリーラインが散ってしまう恐れもあり、あえてモブの一部として扱っているということなのでしょう
そうまでしてもみぞれと希美を登場させているのは、この2人の存在こそが「リズ」という楽曲の物語性を引き立てているのだと、クライマックスで気付かせる為なんですね
台詞の無い登場人物から物語の厚みを感じるとは…いやはや恐れ入りました
思わず演奏シークエンス中に泣いてしまいましたからね;;


メインのストーリーライン上かかすことの出来ない人物として新1年生も加わり、物語は新しい局面を迎えます
特に鈴木美玲は卓越した演奏技術を持ちつつも孤立しがちな高坂麗奈と似た様な側面を持ちつつも、実際は麗奈ほど孤独を愛しているワケではない“弱い麗奈”とも言える存在であること
そして久石奏もまた、他人との距離感を計ることが得意ながら性根が捻じ曲がった“歪んでしまった久美子”と言える存在であることなど、久美子達2年生世代との対比になるキャラとして設定されてるのが面白い


原作では3年生になった久美子達の物語がいよいよ始まったようですが、3年生篇のアニメ化は正直難しいかもしれませんね…
今作では1年生指導員になったことでまるで悟りを開いたかのような落ち着いた様子で物事に対処する達観した態度の久美子が徐々に見受けられるようになっていきます
でもそれってつまり久美子にその任を指名した、恐らく吉川優子部長と中川夏紀副部長の才なんだと思うんですよ
久美子世代が入学する前に部の雰囲気を険悪にしてしまったのは優子世代ですし、麗奈と香織先輩のソロ争いに物申したのも優子自身、今作で奏ちゃんが途中憤慨するキッカケは夏紀ですし、映画『リズ』の主役は言うまでも無く優子世代
これまでの北宇治の事件には、常にその中核に優子世代がいたわけです
実は物語上の最大のキーパーソンは優子世代だったということになりませんか?
“なかよしがわ”と“のぞみぞれ”がいなくなった北宇治はあんま観たくない…;
というのがオイラの本音ですね


(とか言ってる間に3年生篇のアニメ化が決定しました、オイラが言いたいことは上記の通りなのであとは原作がめちゃくちゃ面白い、とかそういった不確定要素に期待しています)


ところで早見沙織に二言しか喋らせないアニメってなんだよwww


本日、2019/6/5までに4回ほどリピートしましたが4回目に数多くの『ユーフォ』ファンが“最高”と賛辞を贈る川崎チネチッタの8番スクリーン、通称“LIVE ZOUND”が今週で上映終了とのことで初めて足を運んでみました
いや~、本当に最高です!
関東近郊で『ユーフォ』を観る上でこのLIVE ZOUNDを超える劇場は存在しないと断言できます
剥き出しのウーファー2基にフロント左右に吊り下げられたラインアレイスピーカー、と仕様自体は立川シネマツーaスタに似ています
が、箱が正方形の為、音の定位が非常にハッキリしています
環境音、つまり川のせせらぎや人混みの喧騒などに広がりが感じられますし、演奏シークエンスではドコで何の楽器が鳴っているのか、一音一音がよ~く聴こえます
低音や高温が中音にかき消されて無いんですね
序盤の「それが私の生きる道」で左手に夏紀先輩のエレキ、右手に緑輝のベースがいるのが瞬時にわかりますし、クライマックスの「リズと青い鳥」に至っては、もはやこの劇場でなければ100%の音を聞き分けるのは難しいのでは?とすら感じます
セリフ類の音量も確実に上がっているのに、不自然な圧力や歪みは感じられませんので他の上映より数段セリフが聴き取り易いと思います
メインのキャラにセリフが被ってしまっているバックのモブが、何を言ってるのかが明白に解ります
唯一、このLIVE ZOUNDについて注意が必要な点ですが、後ろの席ほど傾斜が付いていて観易く聴き易くはなっているものの、最前列になるとスクリーン位置やスピーカー位置が高いこともあってかなり観上げることになってしまう点です
最前列ではLIVE ZOUNDの真価を体感することは出来ないと思って頂いて結構でしょう


イオンシネマ幕張新都心にてセカンドラン上映が決定し、イオン幕張が誇る8番スクリーンULTIRAで鑑賞してきました
正直音の定位はまぁまぁですかね
音の定位に関しては川崎チネチッタ>幕張≧新宿ピカデリー≧その他という感じです
低音は重く響くまさに重低音という感じですが歪んだ印象は無くクリアです
でも肝心の大型スクリーンが3Dに対応する為にシルバースクリーンなんですよね…『幼女戦記』の時にも同じことを書きましたシルバースクリーンだと色調が暗めになる上に霞が掛かったような靄が掛かった様な映像になります
これはちょっと僕の好みから外れる、というのが結論です

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

響け。。奏(かなで)の心と、全国大会の空に!

 
はあ・・遂に視聴できた・・
劇場版外伝の『リズと青い鳥』を視聴後、配信まで待てず、いつか観なきゃと思っていましたが・・
↓↓ネタバレじゃないけど作品に関係ないので畳んでおきます↓↓
~{netabare}
2020年某月某日。
まとまった自由な時間がとれることになり、5本で安くなるTSUTAYAレンタルで映画を観よう!と、思い立ちました。
でも・・

とあるキャッチユーザのレビューを拝見して、まさかとは思ってたけど・・そのまさか。
最寄りのTSUTAYA泉古内店に置いてないじゃん・・・orz

となり街の蔦屋書店仙台泉店まで行ってもいいんだけど、ある確証はないし、泉古内店にこの後探しに来る人もいるかも知れないし・・と思い、店内の専用端末で取り寄せしました。多分取り寄せたらその店に置くんだと思うし・・

で、今になってサイト検索してみたら、蔦屋書店仙台泉店にも取り扱いなし・・ちょっとちょっとTSUTAYAさん!京アニなめとんのw

自分みたいに探して諦めてる人って結構いるんじゃないかな。
なんだかなーだよ・・
やはりここは取り寄せて正解ですよね。

ちなみに、この日レンタルした5本は・・
■冴えない彼女の育て方 fine
■青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
■劇場版 メイドインアビス-深き魂の黎明-
■この世界の(さらにいくつもの)片隅に
■サイコパス3 FIRST INSPECTOR
 (ユーフォがなかったために急遽選定。
  後にアマプラで配信されてることが判明w)
{/netabare}~

さ、いよいよ黄前ちゃんや麗奈との再会です・・

■エピソード
おっとおおーっ!
のっけからそうきますか!ww
~{netabare}
いきなりの、告白シーン・・
久美子の困り顔いただきました(^^)/

で、久美子もOKしたみたいですねw

ユーフォって百合要素あるし恋愛エピソードないのかと思ってたのでびっくり。でも、たまこまーけっとの例もあるし、大歓迎ですよー ^^

まずは新入生の勧誘ですね。
またもやエレキギターやドラムの演奏が・・
吹部って軽音楽もやるんですね。

うへぇ・・1年めんどくせぇw
今回は彼女らが引っ掻き回してくれそうですね ^^;

劇場版『リズと青い鳥』のヒロイン、みぞれと希美は・・
ちゃんといたw

顧問の滝が選択した自由曲は・・リズと青い鳥!
やっぱそうこなくちゃね ^^

今回は吹奏楽部の生々しいドロドロも健在(?)で、本当に部活青春してました。

恋バナの展開も楽しみでした。
ひょっとして、『ちはやふる』的な展開も!?なんて期待してたんですが。
花火大会のあと、恋人関係解消って・・・・
それほど吹奏楽に打ち込みたいってことね。
さすが。この作品は一味ちがうw

コンクール会場にあすか登場。
ちょっと鳥肌が立って、ジワっときた。
魔法のチケットってなんだったのw

この作品のために書き下ろされたという楽曲『リズと青い鳥』。
演奏シーンはヘッドホン推奨です。
衣擦れの音や繊細なハープの音、全体の強弱がよく聞こえます ^^
演奏シーンは凄かった・・・
特にみぞれの演奏シーン、ジーンと来ました (;_;

なのに・・なのに。
みぞれもいるのに、麗奈もいるのに・・
『リズと青い鳥』を最高の演奏をしたのに、金賞なのに・・
全国大会行けないんですか・・
いまの今まで、金賞=優勝だと思ってました。
金賞は何校もあるんですね。
より優秀な高校が多かったってことか。

観直してみれば、演奏終わりのシーンの演出が抑え気味だったかな。
ちょっと力強さが足りないというか。

そして、そういえば、劇場版『リズと青い鳥』はこの話の並列進行なんですね・・

帰りのバスににて・・
奏:
 頑張るってナンですか。
 だからいやだったんです。
 結局ナンにもならなかったじゃないですか。
 あんなに練習して、ケンカみたいなこともして、
 夏休みなのに毎日学校来て。
 バカみたいです、こんなの。

ナンにもならなくはないよ。
でもその価値に気付くのはもう少し後かな。

あの黄前ちゃんも、遂に三年に。そして部長!
みぞれは卒業かぁ・・
でも・・この悔しさを胸に、今度こそ・・・
{/netabare}~

期待に違わぬ絵と音楽の美しさでした。
これまであまり触れられることのなかった、久美子と秀一の関係も気になりました。
やはり1年の新入部員がいい具合にかき混ぜてくれました・・

そして・・これぞ青春! ^^;


■キャラ/キャスト
新キャラ中心に・・
~{netabare}
久石 奏(ひさいし かなで): 雨宮天
1年生。ユーフォニアム担当。
遂に天ちゃんも、京アニに。
七つの大罪から注目してます。
今回、可愛いけどカワイクない、
クセのある個性的なキャラで、
しっかりイライラさせて頂きましたw
これからのキャラなので大いに期待してます ^^

鈴木 さつき(すずき さつき):久野美咲
1年生。ツインテール。チューバ担当。
ええと、どっかで聴いた声。
無彩限のファントム・ワールド(熊枕久瑠美)、
3月のライオン(ヒロインの妹、モモ)、
む、七つの大罪(ホーク)これだ・・

鈴木 美玲(すずき みれい):七瀬彩夏
1年生。高身長でチューバ担当。
cv七瀬さんは・・
慎重勇者(フラーラ)、
お!サクラクエストのヒロイン(木春由乃)、
と、まちカドまぞくの猫(メタ子)・・
今回はおとなしいキャラでしたね。

黄前ちゃん:黒沢ともよ
声優さんの中でも個性的な
セリフの言い回しですね。
声を聴くのは『宝石の国』以来かな・・
第十二回声優アワード主演女優賞受賞の
貫禄すら感じるのは気のせいでしょうか。

麗奈:安済知佳
黒髪ロングなので作中キャラでは最もタイプかな。
安済さんは・・
灰と幻想のグリムガル(メリイ)、
クズの本懐(安楽岡花火)、
サクラクエスト(緑川真希)、
刻刻(佑河樹里)、
ハクメイとミコチ(セン)、
荒ぶる季節の乙女どもよ。(菅原新菜)・・
メインも多いですね ^^

加藤 葉月(かとう はづき):朝井彩加
2年生。チューバ担当。ちょい刺さるキャラw
浅井さんは・・
え。カリメロ(カリメロ)!
スクスト(降神陽奈)・・
お世話になってます。
元気なキャラが多いですね ^^

小笠原 晴香(おがさわら はるか):早見沙織
コンサート会場に来てくれました。
早見さんもマジ天使w
{/netabare}~

水着シーン・・
宇治って泳げる川があるんでしょうか・・
これ、公園かな?
私、気になりますw

エンドロールに山田尚子さんの名前を発見・・
そういえば公開は事件前でしたね。

 原作:宝島社文庫の小説
 制作:京都アニメーション
 公開:2019年4月
 視聴:2020年11月DVDレンタル

ED後も忘れず観てください ^^
3期が待ち遠しいです。
 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 35
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

響け!久美子

待ちに待ったテレビドラマの続編。
2年生になった主人公・黄前久美子を中心に、北宇治高校吹奏楽部の新年度の1年間が描かれます。

私は原作未読で、昨年鑑賞した映画「リズと青い鳥」以外、テレビドラマ以降のストーリー情報は一切入れず本作を鑑賞しました。

その上で、テレビアニメ版のファンの1人として素直に満足できたのは、映画の100分間という限られた尺の中で「期待していたモノ」を全て見せきってくれたこと。

「愛着あるキャラ達の個性的で愛嬌に溢れた数々の描写。」
「新しい部員達も含めて描かれる葛藤と熱い思い。」
「主人公・久美子の更なる成長。」
「物語中に組み込まれる心地好さと高揚感のある数々の演奏シーン。」

テレビドラマ(特に1期)で感じたハラハラ、ワクワクの「響け!ユーフォニアム」の魅力がギシギシに詰まっています。

そして更に今回の映画で加わった強い見応え感覚はニヤニヤです♪
同じ京都アニメーション制作の「たまこラブストーリー」のような恋のエッセンスが盛り込まれているのですが、作品の部活物としての熱い雰囲気を損ねる事なく本題のテーマにしっかりマッチした二人の爽やかな進展は、テレビドラマになかった味わいを絶妙に添えています。
本映画の脚本構成の中でもっとも個人的に秀一・・もとい、秀逸に感じました。(オッサンなんでお許しを^^;)

とまあ、映画としては満足するべきなんですが、2クールかけたテレビドラマに比べると、心情描写の時間が少なくキャラクターの掘り下げも不足しているため、テレビ版2期で感じた深みのある感動や余韻は得れたとは言いがたい・・・
欲を言えば、これだけ魅力的な部員達個々のドラマ要素があるのだから、もっと尺をとったコンテで登場人物の一人一人にじっくり感情移入して悲しみや喜びを味わいたかったです。
(テレビのクール放送が無理なら、映画を前後編の2本立てにすれば、本作を観る私のようなファンは必ず2本とも観るから興収も稼げたと思うのだが・・勝手な素人勘定かな・・・制作サイドはプロ集団。この美味しい題材をもっと上手く調理出来るのを承知の上で1本の映画に詰め込んだのは業界の大人の事情なのか?3期に繋げる為の戦略であって欲しい・・)

以下グダグダとネタバレ感想です
{netabare}
「好きなんだけど・・お前を!」
秀一の告白から始まる物語の開幕シーンは自分的にはややサプライズでしたが、それに合わせたオープニングの選曲はジャスト「いい感じ~♪」
交際に絡む反応には久美子らしさが出ててニヤニヤしまくりでした。
中学生でもさっさとキスをする恋愛物が多い中、「そういうことはしない・・」って、お前ら真面目かよっ!
ツッコミながらもラインのやり取りを見て清々しく感じます。
そんな二人のコンクールを前にしての一旦の決断にも純粋なひた向きさが伝わり胸が熱くなりました。
(父親的に将来の二人の結婚を認めます^^)

めんどくさい1年生筆頭、久石奏。

CV雨宮天さんの巧みにキャラの表裏さを感じさせる好演は魅力を引き出してました。
久美子役の黒沢ともよさんとの熱演、雨中での二人の本音をさらけ出した掛け合いは本作一番のエキサイティングなシーン。
「ボケっとした顔・・鏡貸しましょうか。」の奏の毒舌には久美子に悪いがニヤっとも。
相変わらずの熱い久美子節は冷めていた奏の心に火を着けます。
そうして受け継いだ熱い思いを感じさせる「悔しくて死にそうです!」は見事な締めでした。

不憫すぎる~加トちゃん葉月。

後輩の美玲にキツイ態度をとられ、挙げ句今年もオーディション落選。それでも「ゴメンねー」「やったじゃん」常に優しく振る舞います。
描写は少なかったけど、陽気さの影で1年の時から大きなチューバを背負い必死に練習してきた姿が偲ばれ健気さに泣けました。
さつきがなついてくれるのと、サンフェスで演奏する勇姿を映してくれたのがせめてもの救いですが、この娘をコンクールの舞台に立たすためにも続編切望です~

チョッと丸くなった?「特別」麗奈。

再び大吉山のシチュエーションでトランペットの音色と魅惑的な姿にご馳走さま♪
プロ奏者を目指すと言った彼女は、まだなりたい物を見つけていない久美子の良きナビゲーターであり相談友達ですね。
この娘も続編で先生へのLOVEを捧げる演奏をぜひ見届けたい~

「ハイっちゅーもーく!」の優子部長。

前年の晴香部長より貫禄があり堂々の部長ぶりでしたが、コンクールの結果に崩れ落ちる後ろ姿が切ない~~直後の、落ち込む部員達の前での発言は立派でした。
夏紀副部長との絡みと「マジ、エンジェルー♪」が聞けたのが幸いです。


やっぱり凄い!コンクールの演奏シーン

自由曲「リズと青い鳥」のフル演奏。今回も全奏者と楽器を映しだす圧巻の作画です。(風の音を出してた回転ドラムみたいのも楽器?)
みぞれのオーボエが際立つ楽曲は、その音色もさることながら彼女を一周するカメラアングルも巧みでシビれました。
素人の耳には前年の「三日月の舞」と遜色なく聞こえ、むしろ荘厳さを感じるくらい。
しかし全国大会の切符をつかんだのは昨年の北宇治のお株を奪ったかのような、新任ゲンちゃん先生(月永求の親戚?)の龍聖学園。
結果は次年度の展開を考えれば正直予想どおりでしたが、発表の瞬間はドキドキし北宇治の部員達と共に落胆しました~( ´△`)


最後に、押しも押されぬ北宇治高校吹奏楽部の顔に

かつて「ユーフォっぽい」と評された久美子。
ユーフォニアムの楽器紹介を見ると、
低音から高音まで色んなパートに顔を出し、メロディから伴奏までこなす何でも屋。
金管楽器から木管楽器まで幅広く音を合わす事が出来る。
とありました。(知名度が低く影が薄いとも^^;)
作品で映し出される彼女の成長は、まさにその楽器を体現していくかのようです。
テレビドラマでは色んなやっかい事に顔を出しては解決に奔走。
映画では気難しい後輩達を懐柔し、辛い先輩に寄り添う事で色んな人と馴染む術を身に付けます。
劇中、奏に指摘されて見せた本心、演奏を「上手くなりたい」の邪魔になるとわかりながら上手く立ち回ってでも皆と合わそうとする自分の事も認めようとする思いは、久美子自身がユーフォニアムのようでありたいと願っているのかも知れません。
そんな彼女が部長として率いる北宇治高校吹奏楽部の頂点への挑戦と、その先に待つ歓喜の光景が今から待ち遠しいです。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 39
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