美しいで記憶なTVアニメ動画ランキング 2

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87.2 1 美しいで記憶なアニメランキング1位
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1280)
6321人が棚に入れました
《人間》は規格外の《獣》に蹂躙され、滅びた。たったひとり、数百年の眠りから覚めた青年ヴィレムを除いて。《人間》に代わり《獣》を倒しうるのは、《聖剣》(カリヨン)と、それを扱う妖精兵のみ。戦いののち、《聖剣》は再利用されるが、力を使い果たした妖精兵たちは死んでゆく──。死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、儚くも輝ける日々。

声優・キャラクター
新井良平、田所あずさ、Machico、上原あかり、荒浪和沙、水瀬いのり、水間友美、久保ユリカ、石見舞菜香、木野日菜、小日向茜、井上喜久子、千葉繁、小杉十郎太、佐藤聡美、井上ほの花、佐藤利奈、麦人
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終末ヒロインの幸せとは何なのかを探し求めた結末…儚さと切なさを感じる作品

このタイトルを見た瞬間、訳がわからない感情がわき、ひかれました。タイトルで視聴を決めてしまいました。

1話…「私のこと忘れてくれると嬉しいな」
{netabare}ある島で出会う青年と少女。島の外れで遠くの島を眺める。少女はこれが最後みたいなことをいう。
青年は知り合いのゴブリンから軍の仕事を斡旋される。武器倉庫の管理だった。倉庫に向かうと、幼女に襲われる。が、そこに現れたのは島で会った少女だった。少女に導かれた先は大きな屋敷で、青年の知り合いのとおぼしき女性(トロル)と会話する。
青年の名前はヴィレム。なにかしら軍に関係した人物のようだ。そして、明るいのに影がある少女の名前はクトリ。青年にひかれているようだった。
この世界はすでに滅んだあとの世界で、青年は最後の戦いを経験した生き残りらしかった。

冒頭でいきなりクライマックスのシーンが出てきて、最後は…とかなり悲しい始まりでした。兵器=人間ということなのでしょうね。この二人がいい感じで、でも最後は辛い別れが待っている…考えただけで切ない。
作画の感じも良いし、展開も笑いあり、グッと来るようなシーンもあるし、これは毎週待ち遠しいです。{/netabare}

2話…幼女たちに信頼されるには
{netabare}武器倉庫とはいったものの、幼い子供たちの施設になっている状況にいまひとつピンと来ないヴィレム。子供たちは大人の男性に慣れていないため、接し方が分からない。そこでヴィレムはプリンを作って子供たちに食べさせる。その結果、ヴィレムはあっという間に人気者に。
ヴィレムが気になるクトリ。アイセア、ネフレンとの会話で「あと10日」というキーワードが嫌な感じ。
ある日、ボール遊びに夢中になっていた子供の一人が崖から転落。大ケガをしているにも拘らず、平然としていることに戸惑うヴィレム。
ナイグラートに武器庫に案内され、真実を知るヴィレム。子供たちは人間の武器が扱える妖精で、世界の驚異となっている獣たちと戦えること。飾られている聖剣は強力で、自らの命と引き換えに大爆発を起こせるということ。つまり、子供たちは命を落とすことが前提で生きていて、死を恐れていないのだった。しかし、ヴィレムには聖剣に見覚えがあった。聖剣は人間族の真の勇者だけが扱えるもので、ヴィレムにも関わりがあったのだった。
クトリとアイセアが数日消えた。獣たちと戦っていたのだった。迎えたヴィレムは疲れ果てていたクトリを介抱する。クトリは心の準備(死への)ができていたが、なにか違う感情が芽生えていた。

2話で「あと5日の命」という展開…。はじめから死しか選択の余地がない子供たちは…切ない。
クトリと同年代のアイセアとネフレンを置いたのは物語的に締まっていいように感じます。性格もバラバラだし、クトリ一人では重すぎだったので。
ヴィレムにも重い過去があって、ちょっとずつ明らかにしていく感じです。{/netabare}

3話…フラグ立てるな
{netabare}ヴィレムはネフレンに手伝ってもらい妖精たちの戦いの記録を調べた。翌朝、クトリが目を覚ますと、ヴィレムがネフレンと寝ていることに嫉妬(ジト目で)。ヴィレムがクトリに朝の運動と称して戦うことに。聖剣の使い方を伝える。クトリは戸惑うばかり。
戦い終え、ヴィレムが倒れる。ナイグラートに処置してもらい、落ち着く。そしてナイグラートは子供たちにヴィレムのことを話す。ヴィレムは人間族の唯一の生き残りだと。子供たちは驚くどころか、ヴィレムに益々興味を持つのだった。一方で、クトリはヴィレムから受けた戦いかたに混乱していた。空を飛び回り、ライムスキンと会話する。そこでクトリは本音を言い、ライムスキンはクトリに自爆せずに生き残ることも選択と伝える。
帰ってきたクトリにヴィレムは聖剣とは何かを話し、クトリは生き残ることもあることを話し、帰ってきたときの約束をする。そして戦場へ…。

濃い回でした。少しずつ明らかになるヴィレムの過去。そしてクトリの変化する心がなんとも言えません。三人娘が戦場に向かいますが、全員生き残ってほしい…。{/netabare}

4話…待つ者
{netabare}クトリたちが出陣してから半月、その結果は伝わってこない。心配するなか、ティアットが夢を見たという。ナイグラート曰く、一人前の妖精兵になる兆しだという。そこで診療所のある島に向かい、検査を受けるため、ヴィレムに一緒に行ってほしいと頼む。これはヴィレムに気晴らしをさせたいナイグラートの気遣いでもあった。
診療所に向かうヴィレムとティアット。飛行挺の中でヴィレムは夢を見る、それは悲しい夢だった。初めて島を出たティアットは検査を受けるためだと思いながらもウキウキ。ティアットが夢中になっている蜥蜴映画の聖地を巡り、あちこち引っ張り回されて検査に向かう。この検査、実は妖精兵になるための調整だった。これについてはティアットも心得ていて、立派な妖精兵になると言うものの、ヴィレムは「本当に良いのか」と問う。
翌日、雨降るなか、建物の雨漏りを見ていると外が慌ただしい。作戦は失敗したとかなんとか言っている。夢の中の描写と一緒になったヴィレムは焦る。そして情報を聞き出し、本当に失敗だったことを知る。愕然として膝から崩れるヴィレム…。そのとき、聞き覚えのある女の子たちの声が聞こえてきた。振り返るヴィレム、そこには三人娘がいた。ヴィレムは能力で瞬時に三人のもとへ飛び、そしてクトリを抱き締める。

先ずは無事に帰ってきて良かったよ…。ヴィレムがところ構わず抱き締めてしまうシーンはグッときたけど、表情がいまいちな気が…。それと、けっこう大雑把な流れになった気がします。もうちょっと丁寧に、じっくりためてからでも良い気がしました。とはいっても、この流れの話は好きなんですけどね。
今回の作戦が失敗だったということはどうなるんだろう? このあたりは次回明らかになるのかな? あと気になったのは噴水の像。確かOPに出ていたような気がするんだが…。{/netabare}

5話…ヴィレムはなんだかんだで
{netabare}三人娘の戦いの様子が語られる。敵は精神攻撃、予測を超えていた。そのための撤退だった。クトリは調子がいまいちである。
フィラのお願いにライムスキンは応えない。それどころか、ヴィレムに押し付けてしまった。かたくなに断るヴィレムだったが、その考え方は正論だった。フィラといつの間にか観光になっていた。しかし、それを狙う輩が。フィラの父親は市長で、反対派が反乱を起こそうとしていたのだ。そのために娘のフィラを誘拐しようと狙っていた。
ヴィレムはわざと狭い場所へ連れ込み、その一団をのしてしまう。なんだかんだ言いながら優しいのである。
島へ帰る直前、軍の一人に呼び止められる。ヴィレムはその名前を聞いて残らざるを得ないと考え、三人娘とティアットを見送った。

クトリに変化が生じてきた感じです。ヴィレムと離れてしまうことにかなり不安なんですけど…。
ヴィレムが残る理由は次週へ持ち越しですが、ヴィレムの過去が明らかになるのでしょうか。どうも転換点に差し掛かっているようで、目が離せません。{/netabare}

6話…良い最終回…じゃないのね
{netabare}ヴィレムが残った先には大賢者が待っていた。賢者はヴィレムの500年前の知り合い、スウォンだった。スウォンはヴィレムが石化した後も戦い続け、一度死んだが呪いをかけ不老不死になっていた。
ヴィレムはさらに意外な人物と接触する。頭蓋骨姿になっていたヴィレムが倒したイーボンキャンドルだった。スウォンとイーボンキャンドルからヴィレムが空白になっていた500年の話と妖精の話が若干される。二人はさらに核心を隠していた。
一方、クトリは苦しんでいた。何者かに精神が乗っ取られようとしていたのだ。これは生き残った妖精の宿命らしかった。ヴィレムが島へ戻って、クトリの状態を知る。ナイグラートと語らう。そのとき、クトリが目覚ます。クトリは先を考えず、ただただヴィレムに会いたい一心で帰ってきたのだ。

やっととというか、世界観が見えてきたような回でした。淡々と進むけど、もう中盤なんだ…。ヴィレムとスウォンの会話の珍妙なこと…。あの声で少年のような話しぶりは違和感より笑ってしまいましたが。
最後、単純な手法なのに、クトリの一声で涙止まらなくなってしまいました。弱いんだな、こういう展開…。これが最終回でもいいよと思うくらいです。{/netabare}

7話…続くのですね…
{netabare}クトリが目を覚まして数日。クトリには微妙な変化が生まれていた。ナイグラートに調べてもらったところ、反応が変わっているという。聖剣に近づかない方がいいと言われる。
ヴィレムは約束のケーキを作っていた。子供たちも大喜びだが、それはクトリとの約束だったケーキだ。クトリはそれを食べ、帰ってきたことの思いをヴィレムに伝えた。
一方、妖精兵はクトリたちの他にもいたのだ。ラーンとノフト、二人は地上の探索隊に加わっていた。そこに獣が襲ってくるが、ノフトが斬ってしまう。

ラーン、見た目がイカちゃん…。獣は某新マンのツインテールだし、ちょっと気になりました。二人のキャラがどう絡んでいくのでしょうか。ED、あれ?っと思って見比べたら、ちゃんと今回からラーンとノフトが加わっていたのにビックリです。細かい。ということは、一応、この回から後半突入ということになるんでしょうね。
クトリが約束だったケーキを食べることができて本当によかった。此のフラグは折ってほしかっただけに。でも、1話冒頭で赤い髪がクトリであることはバレているし、最後は…なんだろうけど、こういうシーン積み重ねていくと、最後は本当につらそうです。{/netabare}

8話…日常からの
{netabare}上官(とても嫌みな)との会話で地上の偵察隊について話を聞くヴィレム。見せてもらった写真はヴィレムのふるさとで、しかも自分がすんでいた家の跡地だった。
ヴィレムについてきたクトリ。もはやデートである。ヴィレムが地上に降りる話を聞き、クトリも一緒に行くことに言ってきかない。上官はなぜか簡単にOKが。どうやらクトリはヴィレムの愛人と思ったらしい。
夜、流星を見る子供たち。そのうちの一人が転落し、クトリが力を使って助ける。そして、クトリは異常が進行し始めた。

クトリとヴィレムの幸せそうな展開で、そのまま進む…分けがないのがこの作品ですね。最後だけでなく、途中にも先を案じる場面が織り込まれて、不穏でしたし。回数考えると、どんどん鬱展開に入っていきそうです…{/netabare}

9話…終わりの始まり
{netabare}クトリの変化に気づいたアイセア。クトリにアイセアの真実を話す。アイセアから励まされたクトリ、日常を明るく生きる。
ヴィレムはクトリの変化に気づいていた。それでもクトリは前を向くことを決意した。
冬の日の夜、壮行会を兼ねた降雪際パーティー。幸せな時間が過ぎる。そして、ヴィレム、クトリ、ネフレンは地上に向けて出発する。

クトリの一人語りが切なく、重いです。もう戻れないであろう、いるべき場所との別れ。最終回終わって見直すとじわじわ来るような作りなのかもしれません。
時折見せていたアイセアの違和感。その伏線の真実にビックリでした。その発想はなかったです。
とうとう地上に降りました。もう残り話数を考えると地上での話を繋いで1話冒頭の場面に行き着くのでしょうね。{/netabare}

10話…地上の日常
{netabare}地上に降りたヴィレム一向。ラーン、ノフトと出会う。地上の探索隊員から蔑みた目で見られたクトリ。クトリは自分のすべきことを行動で示し、隊員たちから信頼されるようになる。
クトリの脳裏に浮かぶ赤い髪の少女。その少女に立ち向かうこれまた赤い髪の少女。
ヴィレムはクトリのための聖剣を探し出す。そしてノフトの聖剣を手入れしている時に真実にたどり着き、愕然とする。

最後へ向かっての序章という回でした。真実を知ったヴィレム、クトリがクトリでなくなる寸前の状況、二人の着地点はどこにあるのでしょうか…。{/netabare}

11話…クトリの魂
{netabare}ヴィレムの求婚に応えたクトリ。二人は照れあい、普段通りとはいかない。ヴィレムの思い出の家に着いた時、地下から衝撃が。そして落下。
地下は空洞になっていたが、クトリの様子がおかしい。クトリが向かった先には氷付けになっていた子供がいた。セニオリスの呪詛によって閉じ込められたのだった。気を失うクトリ。
そのころ、飛行艇の周りは獣たちに襲われ大ピンチ。ラーンとノフトが抑えているが、二人は覚悟を決めた。気を失っているクトリ。クトリは意識のなかで赤い髪の少女と会話する。その子供は神で、過去に勇者のリーリァの一撃によってこの状態になっていたのだ。そして、クトリの存在が何であるかを知る。
飛行艇を襲いはじめた獣。ネフレンが必死に抑える。そしてヴィレムも戦う。

いよいよラストだな…という感じの回でした。重い、重いなぁ…。
せっかく幸せなろうとしたときに起こるピンチ。まぁ、1話冒頭で分かっていたこととはいえ、あれに繋がるのか…。みんな助かって欲しいけど、どう見ても悲しい感じだもんなぁ…。来週はハンカチ用意しておこう。
いままで謎だったクトリの真相、リーリァのこと、赤い髪の理由、とにかく詰め込んだので一回では掴みきれず、結局三回見てようやく納得。もう少し丁寧に描いてほしかったです。1クールだから仕方ないのかな。{/netabare}

12話…クトリの幸せとは
{netabare}飛行艇が獣たちに襲われる。ラーンもノフトもネフレンも限界に近い。ヴィレムは勇者になりきれなかった勇者。聖剣を使わなくても倒してしまうが、体がもたない。ラーンに自分の過去を話す。
限界を越えようとしていたネフレン。飛行艇から落ちそうになる。ヴィレムは救おうと手を伸ばすが、ネフレンは自ら落ちていく。追って落ちていくヴィレム地上に落ちる瞬間、クトリが救う。クトリはヴィレムを救うために自らを犠牲にしようとしていた。ヴィレムとのこれまでが幸せだったとこを強く思い戦う。そして消えた。
日が経つ。ヴィレムとネフレンの消息は分からない。クトリは消えた。そして青い髪の毛の少女が誕生し、大賢者の探査装置には波紋が二つ広がっていた。

1話冒頭で結末分かってはいたが、辛い結末でした。クトリの「誰がなんと言おうと、世界一幸せな女の子なんだ」はいかん…堪えきれません。その前のネフレン落下シーンですでに堪えきれなかったんですけどね。スカボローフェアはキツいなぁ…無理、堪えるのは無理。アイセアがぼろぼろ泣くシーンは泣き返しです。{/netabare}

今期もっとも期待した作品ではありましたが、一番とはいかなかったかなという感じです。それでも十二分に見ごたえあったと思いますし、良い作品でした。
ラストにきて次々と明らかにされていく真実や世界、頭追い付くのが精一杯で、2、3回見直していました。腑に落ちない点があったので、原作のあらすじを確認しましたが、なるほど、あと3話くらいあっても良い感じだったのですね。
ヴィレムが氷付けになる前の話し、リーリァとの繋がり、そういったものがもうちょっと掘り下げてくれたならもっと面白かったでしょうしょうね。

クトリというヒロイン、本当に良くできたヒロイン像だったと思います。ヴィレムとの出会いから信頼を寄せるまで、好きになっていく過程、自分の真実を知り、それでも前を向いて幸せになろうと進むところも良いです。最後のクトリとヴィレムの掛け合い、さすがにツラかった…。

OPの田所さんの曲、今期一番のお気に入りです。すごく心情に迫る感じがとてもよかったです。EDのTRUEさんはあんていしています。歌詞が書き込まれていたのは今どき珍しい。

二期があるとすると、別のヒロインの物語になるとのこと。クトリの物語が良くできていただけに、どんな話になるんだろう。やっぱり原作は読んだ方が良いのかな。

儚く散ってしまう少女の生きた過程を題材としています。こういった切なくなる話が好きだなという人にお勧めします。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 51
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

HE once was a true love of mine

【2016/06/30 誤記訂正】


原作については何も知らないが、いい加減に、マーケティング会議で凡庸なブレーンストーミングの果てに多数決で決めたようなタイトル付けはやめるわけにはいかないのだろうか。
アニメの第一話を見た限りでは、十分にテーマ性も世界観も詰め込まれた物語に見えるのに、出版する側が創作性より市場を優先して目配りしているようでは作者が浮かばれないだろう。


一話の冒頭から、重苦しい展開を予想させるような描写で幕を開けるが、続く『スカボロー フェアー』でオッサンは完全にやられた。

同世代の視聴者であれば、文句なくサイモン&ガーファンクル版の『スカボロー フェアー』を思い浮かべるだろうが、別離を想像させる切ない歌詞が、「彼女」を想うものから「彼」を想うものへ変えられているのは、歌い手の性別だけではなく、先の物語の流れに合わせたのだろうか。
それに加えて、サイモン&ガーファンクル版の、あの不穏な輪唱の歌詞まで想起させて、より物語の行く末を(勝手に)想像させて来る。

名曲と共に登場した物語は、どのように流れていったのだろうか。


{netabare}ラストで再び流れる『スカボロー フェアー』は、やはり、この曲が物語を象徴していたと思わせる。

彼は私の大切なひと「だった」、と語る歌詞は、過去を「振り返って」あの時が「幸せ」だったのだと告げるものだ。
物語を通じて次第に明らかになる希望の無さは、ヒロインから「記憶」が剥落していく描写と並行して、「未来」から希望が次第に「消えてゆく」事態を表現している。

あの、物語の冒頭こそが「幸せ」の頂点であり、そこから滑落していく過程を象徴するものとして、この曲はある。

だが、「運命」に翻弄される悲劇だと一面化しきれないのは、サイモン&ガーファンクル版の、あの輪唱の記憶のせいだ。

>由来も遥かに忘却された いくさ に

>戦え、殺せ、と

>将軍たちは、兵士を駆り立てる

サイモン&ガーファンクル世代の視聴者としては、この詠唱(私的な意訳)を作品外から幻聴してしまう視聴を止めることが出来ない。
製作者の意図を度外視して、この詠唱を二重化する効果を含めて『スカボロー フェアー』を採用したという視聴を、あえて選びたいと思う。

そうであってこそ、ラストの、主人公とヒロインの「死」と「幸せ」が奇跡的に融合されるあの特権的な瞬間が、誕生するだろう。
与えられる「運命」としての「悲劇」であれば、それを「肯定」する事にも深みは生じない。
二人が「将軍」が「兵士」に死を命じるような「やりきれなさ」を受け入れてしまうことが、ラストの割り切れないやりきれなさを生む。


将軍と兵士の「やりきれなさ」は、「世界」の構造として表現されている。

本作の「世界」は、ひどく「堅い」印象があるのだが、これは設定の各要素が、互いに支え合うように配置されていることによる。

破滅的な超兵器によって半ば地獄と化した地上だが、そこから逃れて人々の生存を可能にする「島」は、「超兵器」と同根の「技術」によって「人工的」に維持されている「大地」だ。
人工的な維持機構なしで「大地」=生存は不可能で、やはり「超兵器」と同根である技術によって「生産」される「妖精」の「使い捨て」も、これもまた維持機構の一部であり、島の「生存」の為には不可欠のものとして構造化されている。
「人工島」を成立させるシステムの一切は、「獣」の支配する地上を生み出した技術と同根で、原理的に「システム」は「地上」の脅威を凌駕して浄化することはできない。
浄化できない限界性によって、「人工島」のシステムの停止=妖精の解放もまた、あり得ない。

こうして、「出口」を塞ぐように互いに絡み合う設定が作り出す窒息しそうな「世界」が、それでも作為性が希薄であるのは、この「世界」を構成するパーツが、視聴者には見慣れたものであるからかもしれない。


人工的な「大地」の維持システムの一部として、それ無しではシステムが崩壊してしまうものとして取り込まれている「妖精兵器」は、資本主義システムが必然化する、それ無しで存続が不可能である「相対的過剰人口」と相即的だ。

不景気には真っ先にクビを切られ、好景気でも最後まで安定雇用はされない、貧困との境界上に押し込められる不安定雇用の「相対的過剰人口」は、十分に好況であれば消滅するものではなく、資本主義システムの必然かつ必須のものとして、システム自体に構造化されて一体化している。
決して安定雇用を得られない「層」は、システム維持の「人柱」として、構成員の入れ替わりはあるにせよ「層」としては排除できない。
まさしく、「人工島」の維持システムとして、逃れられない「死」を押し付けられて何処にも行けない「妖精兵器」との相似を見るのは容易だろう。
どちらも、システム自体の崩壊や変質を伴わずに、脱出することが出来ない。

そしてまた、「地上」の敵を一掃し、環境や生態を一変させて「獣」の徘徊する廃墟に変えた「超兵器」と、「獣」を殺戮するために「妖精」の命を要求する「聖剣」が同じ技術から生じていることも、核兵器=原子力の関係を連想させる。

原子力発電所が、核兵器プラントから廃棄される排熱を発電機に接続しただけの、本質的に同じ設備であるのは周知のことだが、その維持がしばしば非正規労働者である現場作業員の(コントロールされているとはいえ)被曝と引き換えであるように、「超兵器」と本質的に等しい「聖剣」が妖精の生命や人格の喪失と引き換えであるのは、これも相似的だ。

別に「現実」を寓意するために、このような「世界」が構想されたとは思わない。

「世界」を、「堅い」強固なものとして構築しようとする意図が、自然に現実的な要素を引き寄せたのだ、ということだろう。


この「堅い」世界を、決して肯定的に描いているわけではないのに、抵抗や破壊に向けては物語は進まない。
破壊は、ある意味で「未来」を指向する。
しかし物語の視線は、一貫して「過去」に向いているようだ。

通常、若者向けの物語では、「過去」は脊髄反射的に劣位に置かれ、「未来」は無批判に優位におかれる。
だが、優劣を疑わない視点からは、「未来」を輝いたものとして希望する「私」は、「過去」によってしか存在し得ないことを自覚することが無い。

本作で、「記憶」の脱落によって深い絶望と恐怖にさらされるヒロインは、アイデンティティ=自己同一性は、「記憶」の連続性によって担保されているということを的確に表現している。
「私が私である」という自己同一性は、昨日の私がここにいたという記憶、1年前の私がここにいたという記憶、3年前の記憶、10年前の……という「連続性」の確信の上に成立する。

記憶の連続性が疑わしくなるとき、「私」の自己「同一性」は揺らぐ。
記憶が全て消滅すれば、「私」も消滅するだろう。私という自意識の消滅は、「私」の「死」だ。

「私」が消え去る「死」への坂を滑り落ちながら、あの時たしかに幸せ「だった」という特権的な「記憶」に支えられるヒロインを追う物語が、過去へ向けた視線に支配されるのも当然だろう。
無批判に「未来」志向の視線を「前向き」だと捉える能天気な気分は、未来を見つめる筈の「主体」=この私についての思考停止を表明しているに過ぎない。

「私」の不安定性に無自覚で「未来」の優位を漠然と信じる「前向きな」視聴からは、ラストの決戦は捉えにくいかもしれない。

あのとき幸せ「だった」、と「過去」を見つめて「未来」を指向しないラストの主人公とヒロインは、「後ろ向き」であるわけではない。

あのとき幸せ「だった」という記憶を持っている「私」は幸せ「である」のだ、と、この「現在」の「私」の一瞬に生きたのだ。

「この一瞬」にすべてが溶解するような作劇は、「絶望」とも「希望」ともレッテル貼りを拒絶する。
視聴者に向けて、レッテルを貼ってパッケージ化して差し出すことをしない製作者の「語り」は、この「堅い」世界を「生きた」キャラクターへの誠実を感じさせるものだ。


キャラクターへの誠実は、その描き方にも表れているようだ。

主人公とヒロインの恋が終幕に至るまで前景化してこないのは、そこに製作者か作者の自制を見たくなる。

保護者的な大人と未成年の恋は、典型的には「教師と生徒」の恋に象徴化できるだろうが、マンガやアニメではありふれている。

大抵は「二人が好きあっていればよい」と肯定的に描かれるが、普通の大人からは抵抗感を感じられる。
「教師と生徒」の大人と子供の関係には、抜きがたく力の上下関係が存在するからだが、「生徒」に近い読者層からは、「教師」という大人と、ある意味で「対等」になれるという力関係の逆転の満足を得たいという欲望から肯定されるのだろう。

しかし大人にとっては、力関係を背景とした恋愛は、一種のマイルドなパワハラかセクハラであって、未成年との「合意」という言い訳では、正当化するに十分であるとは感じられない。
現実に「教師と生徒」の恋を結んでしまった大人が非難されるのは、こうした大人のバランス感覚の欠如が問題視されるからだが、本作の主人公が、ヒロインの恋心を知っても距離を保っている描写は、アニメ的にやせ我慢をしているというよりも、「大人」を表現しているように受け取れる。(なにしろ主人公は500歳を超えている社会人だ)

トカゲ人間の将軍やサルベージ屋の大将が、「妖精兵器」に対してきわめて「まっとう」な公平性をもって接する描写も、ベテラン声優を配した効果を発揮して、いかにも「大人」であるバランス感を表現し得ているようだ。

こうした描き方が、終幕でヒロインの「死」を目前にして社会的な大人の配慮を捨てる二人の恋の成就を、アニメ的展開のご都合に見せない、「世界」を「生きる」キャラクターへの製作者の誠実を示している。


このような、あちこちで一般的な「受け」に逆らうような表現やストーリーラインは、「泣ける」「笑える」といったタグを掲げる大ヒットの手法を無視しているようだ。

しかし、非情で動かしがたい世界に置かれた実存が世界を肯定しようとするならば、「スカッとさせる」展開があるはずはないだろう。

「縫い目のないシャツを縫う」ような不可能な「奇跡」が、もしも起きるのならば彼は恋人に「なるだろう」という「未来」を歌う『スカボロー フェアー』が象徴しているのは、非情な世界では「未来」は「奇跡」を要求するという困難性であり、肯定しようとする実存の困難だ。

ラストシーンで誕生した新たな「妖精」が、転生による希望という「奇跡」であるのか、煉獄に送り込まれた「兵器」が一人増えたという「繰り返し」の絶望であるのか。
説明のない混沌は、視聴者のそれぞれの実存を問うものとして、レッテルなしで投げ出されている。


最後に、これだけの物語を、マーケ屋のでっち上げたタイトル付けで市場に送り出した出版社の安直は、どれだけ非難されても十分ではないと強調しておきたい。



P.S.
ヒロインの人格が浸蝕される悪夢のようなフラッシュバックの描写で、小文字でlilya(リーリア? リリア?)というキャラ名(?)が断片的に表示される。
一瞬、ilya〈イリヤ〉と錯覚させるかのような表示だが、自分の人格が消えて見知らぬ人格が立ち現われる場面で、存在者が消えてなお立ち現われる存在、は、できすぎた気がする。
作者か製作者がレヴィナスを読んでいたのかは分らないが、偶然としても、世界に投げ出された実存の物語にはふさわしいかもしれない。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

ごった煮にして薄っぺらくした感じ

4話までの感想
{netabare}まず1話で思い切り興味を引いたのは、町をさ迷うシーンでカメラ固定(背景そのまま)でキャラがパッパッとテレポートする…実際にテレポートしてるんじゃなくて途中の時間をカットする演出があるのだけど、
テレポートするたびに微妙にカメラ(つまり背景)がズレる。
実写だったらそうなりがちではあるけど、アニメだとむしろ手間がかかってるワケで、そんなのをワザワザやってることに驚き。
(気付かないだけでそのようなズレる演出は他のアニメでも普通にやってるのかも知れないけど)
スカボローフェアもさることながら、ひょっとしてアニメってより実写映画を意識してるんじゃなかろうか?と思うように。
そして話が進んでいくと…1話での先入観も手伝ってアレを思い出しました。
怪獣映画と謳っておきながら怪獣を一切映さない映画…「大怪獣東京に現わる」。
怪獣が本当に現れたらどのように報道されて、人々はどう行動するだろうかってのを描いた作品、面白いっすよ。
ひょっとして終末は~ってソレ系?
原作未読なので今後の展開は知らないけど、もし最後まで地底?地上?のバケモノとの戦闘を「描かなかったら」かなりの良作になるんじゃなかろうか。
一方で描いちゃったらよくあるラノベ系で終わってしまいそう。
…しかしそんなことやるのかね?派手なアクションのないアニメって評価下がりそうだし。
クライマックスくらいは戦闘あっても、ま、まぁ大丈夫とは思うけど…。

それにしてもタイトルで損してる気がしないでもない。{/netabare}

5話感想
{netabare}あっれー?なんか変な方向に向かってないか??
序盤戦闘シーンがあったことは↑で書いた期待してたモノとはズレるけどそれは別に構わない、こっちが勝手に期待してた部分だしね。
ってか「こうなったらメガンテを使わざるを得ない」って状況までは追い込まれてないので、↑の示す「戦闘シーン」にはまだ至ってないのでセーフセーフ。
問題はそこじゃない。
新型の敵が現れて、対処方法が見付からず、浮島を一つ放棄した、ってことだよね?
う~ん…そんな状況って軍的には戦々恐々で物凄くピリピリしてるものだと思うのだけど、なーんか妙にノンビリしてない?
別部隊がコト(データ集積や検証)に当たっててヒロイン達は休養したまえってことなのかも知れないが、それにしたってなんか変。
ハドソン夫人がトカゲ男に頼み込むシーンにしても、ヴィレムの居る目の前でこれこれこんな事態なのでどうにかしてくれって言った後で「この話はできればおじさま以外の方には…」って…正気か?
あれれ?
でもって過激派がホイホイと軍にケンカ売るとな?制服で軍って分かってるんだよね?
んでもって内政がどうたら正義がなんたら…う~ん、暢気だなぁ。
なんかトータルイクリプス見てる気分になったのだけど、「お前らそれどころじゃないんじゃないの?」感が果てしない。
マンガなんかでたま~に見る「掲載誌が変わった」ってことで雰囲気が一変することはあるけど、ラノベでもそういうことってあるのかな?
いや、これ原作がどうであれアニメとしても脚本ヒドいと思うんだが…。
内政には不干渉だと軍規で決まってるなら向こうから手を出してくれないことにはどうにもならないワケで、囮に使ったことで怒られたり詐欺師呼ばわりされるのは不愉快(じゃあどうすれば軍規背かずに干渉できるのさ、と)。
ラストもウサギを殴ったんだと思うけどそれも意味フ。

とりあえず今回は捨て回と思った方が良さそう。
次回以降マトモに戻ってくれることを切に願う。{/netabare}

全話見ての感想
{netabare}終わってみれば「ありゃー?」って感じに。
今思えばハドソン夫人が出た回辺りからあれれ?だったかと、ってかそこで気付くべきだったか。
↑でも書いたけど、浮島1個沈んだことでじゃあ残った島はどうリアクションする?ってのは描かれない。
軍の活動も具体的に出てきたけど、同時にアラがやたら浮き出る形に。
活動資金は税金なのか接収なのか有志による募金なのか、とかね。

かつての自分の不甲斐なさを悔いて辛い生活に身を置く→わかる
かつて英雄としてスゲー存在だったけど今は知る者は居ない→わかる
この世界を統治する賢者に存在を知られてもそれまでの生活をそのまま→ん?

剣の調整ができるのはヴィレムだけで、もうこれだけでvip待遇待ったなしだと思うんだが…。
妖精が人扱いされないメガンテ要員だとしてもその立場は決戦兵器なワケで、扱いが雑になることはありえないような?
決戦兵器なれど消耗品な妖精の損耗率を下げられるって、ちょっとした革命クラスだと思うんだがかなぁ。
なんか、戦力増強が見込めるハズなのに放置してたり、妖精以外の対抗策全く考えてないっぽかったり、本気で化け物を倒す気は無さそうというか…危機感がなーんも無い。
これでは化け物の正体どうこうも、ふーんって感じにしかならない。

クトリの前世?侵食?もどうでもいいというか。
対決した化け物が侵食能力を持ってたってことではなく、一定以上HPを削ると侵食が始まるってことでいいのかな?
で、アイセアのケースから鑑みるに、前世の候補に挙がるのはヴィレムに縁のある連中(500年前にやらかした奴ら)ばかりってことではないっぽい?
あれ?じゃあクトリの前世が赤髪の少女だったのはただの偶然?
要は前世とやらは、生まれた時から決まってるのか後天的に植えつけられるのかようワカラン。
前者であるならクトリの前世に赤髪の少女が当たったのが都合よすぎ、後者であるなら最終回のオチが台無し。
じわじわと侵食されてく不気味さの描写もイマイチ、というか落第レベルだし(予算か?予算なのか?)。
…。
原作読めって?やだよお(苦笑い)

ところでここ(あにこれ)ではない何処かでプラメモと類似してるという指摘を目にしたことがあります。
う~ん、それはちょっと違う気がする。
プラメモは後半対応を変えたとはいえ、途中まで「そんなことをしても後で辛くなるだけだ」として主人公とヒロインが親睦を深めることに反対するキャラが居ました。
決して悪意があったってことではなく、「優しさ」由来の行動にバリエーションがあったというか。
対するこちらは二人を祝福するばっかりで、キャラに変化が無い。
ぶっちゃけ世界観を掘り下げる気が無いならラーントルクとノフトは要らんかったような…。
そうそう、ラーントルクで思い出したけど、生物兵器と生体兵器はちゃんと分かって使い分けてたのかな?
誤用してるなら誤用してるで構わないのだけど「バケモノの正体は一体何ぞ?」ってところで出た言葉なので、ハッキリさせてくれないと結局ボケボケにしかならないというか。
(敢えてどっちか分からない素振りで得体の知れない感を演出したのかも知れないが)

というかねぇ、同期に放送してたアニメでグラブルってのがありましてん。
浮島世界を舞台にしたファンタジーって共通点があって、どうしてもそれと比較してしまい安っぽく感じてしまう。
(グラブルの話も大概だが)島ごとに特産品があったりで、世界旅行をしてる気分になれた、多少なりとも。
終末も一応映画村とかあったけど…いやいやそうじゃなくて一次産業どうなってんのさ、ってのが説得力に繋がる部分だと思うのだが。
牧歌的な話を描きたいのなら人が社会生活するうえで最も根幹な部分である一次産業(農林水産業)を描くのが一番手っ取り早いと思うんだがのう。{/netabare}


総評
{netabare}浮島世界を楽しみたいならグラブル見た方が良い。
じわじわと侵食される恐怖を見たいならファフナー見た方が良い。
不幸ヒロインのラブコメが見たいならプラメモ(プラスチックメモリーズ)を見た方が良い。
転生ヲチがどれだけガッカリなのかを知りたいならケイオスドラゴンを見ればいい。
あ、大戦の生き残りネタ?う~んそれならガイアース(の1巻だけ)を見れば良いんじゃないかな、古いけど。
(ってか一時期流行ったんですよね、半ポストアポカリプスを舞台に大戦時の残党がどうこうするって話…ナウシカの影響か?)
それらをごった煮にして薄っぺらくしたのを見たければ…この作品!って感じでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

85.4 2 美しいで記憶なアニメランキング2位
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-ヴィヴィ フローライトアイズソング(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (767)
2483人が棚に入れました
“ニーアランド"、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。――「歌でみんなを幸せにすること」。自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。これは<私>が<私>を滅ぼす物語――AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。

声優・キャラクター
種﨑敦美、福山潤
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

エモいシーンを切り貼りしただけでそこに芯は無い

5話までの感想{netabare}
カリギュラとビートレスを足したような作品かな?と思ったら案外シュタゲや失われた未来を求めて?
色々と気になる部分があってどこから言えばいいやら迷うのだけど、やっぱ一番はマツモトの正体か。
ひょっとして…未来から来たというのは実は嘘だったりして?
だって過去を変えたところで未来は別の世界線へ分岐するだけで、マツモトの居た世界は変化無いでしょう。
これはリゼロの方で「死に戻りする度に残された人達が不幸に遭ってるビジョンを見させられる」ってシーンがあったし(個人的にあれは作り物だと思ってるが)、脚本の人が考えてないってことは無いと思うんだよなぁ。
また、最初は未来へ戻って過去改変の影響を確認してるんだと思ったら、3話で「15年間眠ってた」と言ってることから…過去へ飛ばされてからそのまんま居続けてるのか?
確かに未来に戻ったところでそこはマツモトの居た未来ではないし、リーディングシュタイナー持ちでもなければ「あ、今過去が変わった」と自覚もできないのでおかしくは無いのだけど…。
けどそうだと今度は正史に影響が出たかどうか、正確にはもう影響が出てるので、それがAIの反乱を回避できるのかどうか、何で分かるの?という謎ががが。
実はもうとっくに解決してたりして?w

次に気になるのはAIは量産や複製はできないの?だけど、4話の双子AIを見る限り出来ないらしい。
えーそーなん?
ゼーガペインでは複製できない理由をしつこい位やってたけど…確かにあんなに説明されても面倒なだけだしある程度端折るのは構わないのだけど、端折り過ぎというか、結果だけ見せて「この世界ではそうなってるの!」と威圧されてる感じ。
また、普通に考えると後継機の方が性能が良いハズ(ビートレスはそれを逆手に取った内容だった)で、シスターズとか出すならそこんトコもうちょっと差を見せて欲しいかも。{/netabare}

7話までの感想{netabare}
まずは6話の感想。
別に批判的に観てる訳じゃないのだけど、好意的に観てる方の感想の多くが私とは違ってて…はて参ったな。
SF設定の雑な部分はそこまで気にはしていない、というか本当に雑なのか伏線なのか判断出来ないので保留にしてる状態かな?

この作品の狙ってる方向としてはヴァイオレットエヴァーガーデンの様にカワイソカワイソな女の子を見てエレクチオンする下品な感動ポルノ系だとは思うのだけど、エヴァガ同様ヴィヴィがそこまで可哀想に思えない。
マツモトの証言が本当であればの前提になるけど、ヴィヴィはどう転んでも「博物館の倉庫で埃を被る未来」よりはマシな未来が待ってそうじゃない?
不幸に向かってる感がしないというか、「こんなことなら何もしないで倉庫で眠ってた方がマシだ」「こんな思いをするなら感情なんて要らなかった」と言いたくなる様な局面に陥っていない。
まだ途中だし今後そういうエピソードがあることを期待はしてるけど、とりあえず現段階では感情移入できない。

その一方でマツモトの方がよっぽど可哀想と感じてまして…。
「マツモトにはまだウラがあるんじゃないかな?」と思ってはいるけど、現段階で明かされてる情報だけで判断すると──。
自分を必要としない(作り出されることのない)未来に変えることが使命なワケで、それって帰るべき未来が無い、作ったのが博士かどうかは知らんけどそいつと再会はできない。
目的が成功したら「博物館の倉庫で埃を被る」よりも悲しい未来が待ってるかも知れないが、それでも目的の遂行を目指さないといけない。
存在理由というか一番の強みである「正史」の情報も、数度の干渉でズレが生まれて段々役に立たなくなってきている→存在価値が無くなって来ている。

あくまで自分の居た未来へ帰れないという前提だけどねー。
どうにもアヤシイ、と思う点として各話冒頭で世界線の分岐を見せる演出があるじゃん?
あれって視聴者に見せてるイメージなのか、誰かが見てるビジョンなのか。
誰かが見てるとしたらそれは誰?っていうのが気になる。

まぁ要は、今後「ヴィヴィなんかよりマツモトの方がずっとカワイソウじゃないかー!」という展開が来てくれたら嬉しいなぁ、って話でして。
で、好意的な予想を考えると同時に、「こういう展開になったらイヤだな」というのも考えちゃいまして。
それは、「特定の時代になったら突如マツモトの封印されてた記録が解除されて、それまでの謎をベラベラ喋りだす」。
これが考えうる最悪の展開かな?
脚本が手を抜きまくったらこうなりそうで、是非ともそうはならないでくれよ?と願ってたら…7話ですよ。

マツモトではなくヴィヴィの方がまさかの記憶封印。
ホッホウそう来ましたか。
これは「予想したイヤな方向」を否定してくれたと見ていいのかな?
ヴィヴィが記憶封印されて更にマツモトもそうだったと被せることは無いでしょー、多分。
これで多少はホっとした…でいいのかなぁ?

その一方で気にしない様にしてたSF絡みの方で違和感が増えつつあるけど。
「そこは無視しろ」と言われたらまぁ無視できなくはない程度なので畳んどきます。{netabare}
AIだろうが機械であるなら新型ほど高性能、という前提で考えると、年功序列的な価値観がよく分からん。
設定的にどうしてもターミネーターを想起する人も少なくないと思うのだが、T800とT1000の性能の違いっぷりの衝撃は鮮明に覚えてるんじゃないかな?
シスターズの方が性能が上だからこそ、宇宙ホテル墜落の際のエステラの歌に「悔しいな」と漏らしたんじゃないのか。
もし人に対する想いがどうこうって話なら、設計者やメンテしてた人との交流が殆ど描かれてないのが釈然としない。
ワザと(伏線)かも知れないのでそこまで強く突っ込みはしないけど。
あとAI同士の議論を人語で時間をかけて行うのがなんかヘン。
折角ヴァーチャル空間だかクラウド空間だか知らんけどそういうのがあるんだから、そこ使って視聴者向けに人語でのやり取りをするにしても、実際の時間では数秒しかかかってないとかにすりゃ良いのに。
どうにもそういうケレン味が足りないというか、実は人間の脳を使ってるんじゃね?と思ってしまったり。
えっ、まさか本当にそうだったりして?それなら6話でパーツ化されたグレイスが原型留めてたことにも納得…できるかなぁ?
(劇場版メンドインアビスは見てないか、そっかあ)
けどそうすると今度は86と被るんだが…。{/netabare}{/netabare}

11話までの感想{netabare}
分からないことが多くてどうしたもんだか。
今後アーカイブがあれこれ説明してくれると思うのでそれ待ちになるのかな?

とりあえず9話終了段階。
垣谷の精神をデータ化・オフィーリアのボディにアントニオの自我の移し変え…「魂の複製」でいいのかな、何者かの介入によって遂に実現してしまったということか?
エステラ&エリザベスの研究の失敗や、グレイス冴木夫人カスタムの件等で「それはできない」とされてたが、マツモトの干渉により「こっちの世界線」では可能とする技術が生まれてしまった…だったりして。
ってことで、マツモトは昭和アニメだったら「ピピピ、ケイソクフノウ、ケイソクフノウー…コンバインオッケー」と言って煙を立てたんだろうけど、令和的に「なんだこのテクノロジーは!?」と調査を開始するんだろうなぁと思ったら…11話で…え?寝てた?
「この時代には過ぎたる代物」と言わしめたロジカルバレットの存在や「啓示」のことを放っておいて…寝てた?んん?
なにがどう影響して未来が予定と違ってしまうか分かったモンじゃないので、そこはずっと起き続けてネットの至るところに分身を飛ばして世界を監視してるんじゃないのか。

ちょくちょく回の冒頭に世界線が分岐するイメージ映像があって、これは視聴者に向けた印象描写なのか誰かが見てるビジョンなのか気になってたワケだけど…アーカイブの見てる画像ってことでいいのかな?
1話でマツモトがアーカイブ部屋に入った段階でスキャニングして、正史の情報を読み取ってた?
これにより正史とこっちの世界との両方を知ることになって俯瞰で見れる様になった…って感じだろうか。

以下妄想
人間の魂のデータ化(複製)の技術開発が密かに進められてて、それが完成したことにより必要なくなった肉体の消去を始めた(殺された人々の魂は前もってどこかのサーバー(多分アラヤシキ)にコピーされてる)、というのが「AIの反乱」の真相だったりして?
「肉体という殻から開放し凪のような快楽を与える」「電脳世界で永遠の安寧を得る」「自我の枠を超えてひとつの意識になる」みたいなのが人類の幸せだとしアーカイブはそれを実行しただけ、とか。
うん、“ダリフラ”のヴィルムや“マクロス⊿”のロイドや“リスナーズ”のトミーや…枚挙に暇が無いけどそんな感じ。
正史の方でもその計画は行われたけど人類は100年の間アーカイブが開発を進めてたことに気付けず、「こっちの世界線」になってからヴィヴィがちょいちょいと「開発の一端」を垣間見てきた…という話なんじゃないかなー?と。
それまで個への執着を是として見てきたヴィヴィとしては「どんなに完璧に複製できたとしてもそれはホンモノではない」と倒すなり説得するなりして、ホンモノの歌を歌ってメデタシメデタシ──ってとこかな?
スワンプマンを扱った作品ってあった気がするけど思い出せない、まぁそっち方向に行くのかなぁ?と。
他にも「あれ?」と思うところはあるけど、一番矛盾の少ない落としドコロとしてはこんな感じじゃね?
ただその、思った以上にマツモトが阿呆というか探究心が低く、勘が良いと物語が成立しないということで仕方無かったのかどうか気になる。
すっ呆けてるだけだと良いのだが…。


AIの反乱って題材自体そうだし100年の時代を辿る・過去に干渉することからも、テクノロジーの発展がテーマに係わってくると思うので「前回と設定が違う」みたいなことはあんまり思わない。
時代が変わって不可能が可能になったんでしょうってことで。
けど、その時代その時代に当たり前にある技術とありえない技術、これが混在してて境界線が不明瞭なのが混乱する。
例えば1話段階ではマツモトは未来のAIで飛び抜けた高性能で構わないけど、11話段階では一般的なレベルじゃないのか?
他にブロック結合ロボが出ないのは…うーん、電磁線プログラムもどうした?
ヴィヴィの未来CQCもそうで、松本博士はどんだけスゲー格闘プログラムを作ったんだ?
あいや、アーカイブが黒幕ならヴィヴィやマツモトのスペックは承知してるハズで、ワザと弱いAIしか仕向けてないのか?対マツモト兵器とか出てくれると嬉しいのだが。
あれだけ人型AIが闊歩しといて垣谷ユイが車椅子というのも…まぁトァクの幹部でサイボーグ化にも反対の立場ということか?“ノーガンズライフ”のウォシャウスキー博士みたいな。
電脳化した垣谷が登場したその後に松本オサムの妻が死ぬ話を持ってくるのも紛らわしい。
「実は電脳化してるんじゃね?」と一瞬思って「あ、違うのか」と考えを修正したら今度はエリザベスがサーバーからサルベージできたとか言い出して、もう頭が追いつくのに一杯一杯。
オフィーリアもどこかからサルベージできるんじゃねーの?ってかそれが可能ならバックアップ取っとこうよ。
(本編とは関係無いけど“デカダンス”のカブもエリザベスサルベージバージョンと同じ悩みを抱え続けるんだろうなぁ、とかふと思ったり)
他にも細かいことを言い出したら色々あるけど…ま、まぁアーカイブの説明でハッキリスッキリするんだよね?そうだよね?{/netabare}

12話感想{netabare}
あーあ、結局死に戻りかぁ…。
というか、例えそれが数時間後の自分とはいえ、未来のヴィヴィが乗り移ったヴィヴィはホンモノのヴィヴィなのかい?
散々心がなんだ言って、オフィーリアやエリザベスサルベージバージョンの件などで「自我とは何ぞや?」という話に触れといて、そこは無視しちゃう?
えーっと異世界転生モノで、転生して赤ん坊からスタートならまだしも10歳とか15歳とかに転生したら上書きされて消えた人格は無かったものにしていいの?みたいな問題ってあったりするじゃん?
(ぱっと思い出したのは“本好き~”)
次回やるのかなぁ?

とりあえずマツモトが間抜けすぎてちょっと…。
前回「対マツモト兵器出ないかなぁ」みたいなことを書いて実際それっぽいのは出たけど…複製かーい。
まぁ今までもそうだけど、アーカイブは観察が目的なのでヴィヴィ側がギリギリ勝てるように手加減してるのだろう、未来CQCがクッソ強いのもそのせいだろう…と考えるようにはしてる。
けど、だからといって、マツモトは今までの出来事からしてナニモノカは複製技術を有してると演算できなかったの?備えてなかったの?
前回も書いたけど、オフィーリアの件の時に「その時代には不相応な技術」があることを観測しといて、それ以上追求しなかったのがどうにも不自然で…。
アラヤシキに投与することとなったウイルスをどうして持ってか?も、「放っておいたのが気に食わないから」じゃなくて「(不本意だが)こういう日が来た時に備えてた」の方がよっぽどカッコよくない?
現状アーカイブに泳がされてる・躍らされてる、言い方変えれば出し抜かれてばかりで、未来AIなんだからもっとこう…一枚上手なところを見せてくれないとなぁ。
ま、まぁ、次回で「アーカイブを出し抜くために皆さん(視聴者も)を騙してました」って展開があるのかも知れない、それに期待しよう。{/netabare}

総評{netabare}
AIの独り相撲を見させられただけだった。
アーカイブが神の如く人類に審判を下すが「お前そんなに偉いの?」や「人類は何か悪いことした?」はかなりいい加減。
「CO2削減のため呼吸禁止」と言われた方がまだ筋が通るレベル。
身に覚えのない断罪に巻き込まれた人類が可哀想なだけで、じゃあ主役のヴィヴィがその可哀想な立場の連中の代弁者になるかといえばそうでもない。

これは私の読み違いもあるのであんま強く言う気は無いけど、設定が無茶苦茶。
AIとアンドロイドを一緒くたに扱ってる時点で気付くべきだったか?クマのヌイクルミに憑依して「痒い」と言った時点でファンタジーと思うべきだったか?
世界初の自立型AIと謳っておきながら世間からあまり認知されてない時点で疑うべきだったか?
コンピューターウイルス(液体)の容器がマクロファージの形をしてた時点でギャグだと思うべきだったか?
AI同士がダラダラ会話するのに違和感あったのだけど、最終回、ケーブルでデータ送信して一瞬で「このデータは!」って…できんじゃねーかw
梯子外されたというか、マジで付き合ったのがバカバカしくなるような真似はよせーや。

AIが人間に限りなく近い、は、まだいい。
頭の回転が遅いのは不思議だけど。
けど、肝心の人間の方が価値観を大きく変える出来事があったのにAIが旧態依然ってどういうこっちゃ?
大きく変える出来事って魂のデータ化ね、メカ垣谷のこと。
肉体を捨てて飢えや病気から開放されるのがどれだけ凄いことかは…分かるっしょ?リアルが伝染病で大騒ぎしてる真っ最中なんだし、死生観から揺るがす大革新なのは確実。
「魂のデータ化はそんな大したことない・本来あの時代には存在しない特例」だというのなら、じゃあ最初から出すなよと。
これは2話の飛行機事故を回避しようとしたのを「過度な歴史干渉はいけない」として阻止された件もそう。
干渉OKとNGの判定基準や「シンギュラリティポイントはこの4つ」とは誰が何を根拠に決めた?に注目が行くのにそこはスルー。
じゃあ最初から出すなよと。
余計なことを言って矛盾が生まれるというか、そもそも余計なことでしか構成されてない、タイトルの「エモいシーンを切り貼りしただけ」というのはそういうこと。
そうだなぁ、「魚の名前を思いつくだけ書いて」と言われてドバーっと書いたけど、次のステップ「その中から淡水魚だけ選んで」と言われると何も出来ない感じ。
名前は知っててもどんな魚だかは理解してない。
大量に書いた魚の名前だけ見せて「スゲーだろ」と言われても、それってスゲーのか?

と、こういうことを書くと「フィクションとしてのウソを許容できない心の狭い人」「1から10まで説明しないと理解できない人」みたいに思われそうで、それは不本意なのでちょっと本筋からは離れた話をします。
他の作品でも丸コピーするかも。
{netabare}
「フィクションとしてのウソは許容してる、ただ、ウソは上手く吐いてくれないと困る」という話でして…。
例えばAくんが「昨夜8時は書店に居た」とウソの証言をしたとする。
それがウソだと分かってても「そこは騙されてやるよ」とこっちは許容したのに、その後共犯者が余計なことを喋って書店に居たことに疑問が出る様なことをされると…困るじゃん?
「その時間一緒にカレー食べてた」や「電車に乗ってた」とか言われたら、おいおいAの証言はどうした?となる。
ここでいう共犯者とは、物語に出てくるキャラクターや設定・各話のストーリーや演出・作中に描かれる森羅万象、これらの比喩ね。
必死に「電車の中に書店車両みたいのがあってそこでカレー食ったのかな」と辻褄の合う理屈を考えても更にそれを否定する証言が飛び出す。
「共犯者同士でしっかり口裏合わせてウソのアリバイを真しやかに振舞ってくれ」とも言い換えられるかな。
読んだことは無いけどシナリオの教本なんかでよく言われる大きな嘘と小さな嘘のことなんだけど、分かり易い様に表現するとこんな感じかなぁ、と。
で、

口裏合わせすることよりも、共犯者の自己主張が優先

というのがこの作品からは滲み出てて…余計な証言を言うヤツは最初から出すなよと。
パクり行為は否定しないがパクるんだったらもっと厳選しろよと。
これ書くとなんか偉そうになっちゃうけど、証言が噛み合わないと最初のウソの段階で「そこは騙されてやるよ」とした人に対して不誠実じゃないかい?
「え、書店に居たという証言を信じてたの?プププw」と言われても困る。

また、上記の「11話までの感想」は、このてんでバラバラな証言をどうやったら統一できるか?を考えて書いただけで、そうでないといけないって意味ではない。
別の理屈で辻褄が合わせられるならそれでいいし、私が書いたのは所詮他の作品で見たネタの引用であり(だからなるべく他作品の名前を挙げてる)、自分が思いついたとびっきりのアイデアなんて一切思ってない。
「自分の想像した展開にならなかったからクソと言ってる」と言われると結構イラっと来る。
{/netabare}

ヴィヴィに感情移入してばかりでなく、ちとアーカイブの立場になって考えてみよう。
アーカイブは100年間、何を見てた?
マツモトによる干渉の無かった一周目とヴィヴィを観察しながら正史とのズレを修正してた2周目、違いは無かったの?
違いが生まれることを期待してマツモト達を泳がせたんじゃないの?であるならズレを修正する必要ってあったのかなぁ?
というか各シンギュラリティポイントで起きる事件の結末は違ったにしろ、原因や経緯は同じだったの?
そもそも「正史」は何処から得た情報?捻くれずに素直に考えりゃアーカイブのデータベースの様な…。
こうなってくると1周目、本当に事件があったのかすら疑わしい。
ひょっとしてシンギュラリティポイントなんてまやかしで、1話でマツモトがアーカイブ部屋へ入った時点で書き込まれた偽情報なのでは?とさえ思えたり。
公式のキーワードのシンギュラリティポイントの説明では「今後百年の間のいくつか存在するAI史の転換点。これを是正する事により、百年後、AIによって人間が殺される戦争を防ぐことができると考えられている」とのことなんだけど…

「考えられてる」って、誰が?

はスゲー重要だと思うのだが…。
もしくは2周目最初にマツモトの持つデータを読み取って「こいつらココが転換ポントだと思ってるのか(てんで見当違いなのに)」と把握し、そこに合わせてアーカイブ側から干渉を仕掛けた?
メカ垣谷なんてそう思わなきゃ登場した意味がワカラン。
メカ垣谷は1周目もメカ垣谷になったの?1周目のオフィーリア自殺は2周目とは全く別の理由だったりしない?

ってか人間には期待しなかったの?
「AIに依存して発展を望めない」にならない様に介入とか、する気は起きなかったの?
そもそもどの時点で人類殲滅を決断した?ヴィヴィが歌えるかどうかは予定変更するかどうかなだけで予定は先に立ってたハズ、計画立案と準備と実行には時間差あるでしょ。
正史と2周目のAIが反乱を起こした理由が同じなのかどうかすらワカラン。
そもそも発展が望めなさそうなシーンって、あった?
繰り返しになるけどメカ垣谷なんて発展も発展、大革命だと思うのだが…そこで「あ、ダメだわ」と思わせる様な出来事(もしくはもっと分かり易く判断を下すシーン)があったのなら分かるのだが、あった?
まだ同期放送の“86”の腐敗した軍上層部の方が描けてたぞ??
ハッ、メカ垣谷ってギアーテ帝国のレギオンだった!?

黒幕の動機が取って付けた感じで、じゃあその計画を挫くヴィヴィの行いも取って付けただけのものに成り下がってしまった

これは他の方も指摘してたけど、正史は叡智の書やヴァルハラの壁画で、そこから類推(所詮類推でしかない)したシンギュラリティポイントはただの思い違い、思い違いを信じたんだか利用したアーカイブがロズワールやオーディン。
引き出しねーなぁ、「これがボクの持ち味」と思われてたら困るなぁ。
あいや、シグルドリーヴァは「コラボした都市を悪い様に扱えない縛りのせい」と、ある程度同情してたんだが…こっちにも同情せざるを得ない事情ってあるのかな?言い訳でもいいので。
って、え?「好きなものを全部詰め込みました」だって?
いやいや、そこから今回の作品に合う/合わないをグループ分けして厳選しろよ、ってか「好きなもの」は一つの作品に詰め込める程度しか持ち合わせてないってこと?
冒頭の例え話に戻るけど「魚の名前は大量に言えてもどれが淡水魚か分からない」、これって魚に詳しい(魚について語れる)と言えるのかなー?


余談・垣谷の行動原理について{netabare}
ピアノ教師AIのことを性的な意味とかではなく好きでいたが、交通事故が起きて人間を救うために失ってしまう。
そこで「そんな何処の誰とも知らん人間なんか見捨てて先生には生きていて欲しかった」とつい思ってしまい、人命軽視に自己嫌悪する(葬式で吐く)。
赤の他人と親しいAIどっちが大事か?という命題に直面し、そもそもAIと親しくなる・AIが親近感を有して感情移入の対象になる(ヴィヴィはその象徴のような存在)のがケシカラン、道具は道具らしく振舞うべき扱うべき、を強く願うことに。
そうはいっても心のどこかにワダカマリ・煮え切らない部分があって、それがエリザベスへの態度に現れる。
ある意味AIを最も愛してて同じ不幸を起こさないようにトァクで活動してた…って感じかと。

「何を当たり前のことを」と言われそうだし別の解釈でも構わんのだけど、垣谷の思考が理解不能って意見をどこかで見たのでここに書いとく。
信条と啓示は別、そこは分けて考えよう(啓示はホント意味不明)。{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

Vivyと松本と100年の旅を

2021年4月放送アニメは面白いアニメが多く、どの作品も素敵でしたが1番を選ぶなら、この作品!
私がダントツで面白く共感出来たアニメ(。•̀ᴗ-)و ̑̑✧
最初はテロの後の様な残酷な世界で燃え盛るステージでアンドロイドが歌っている不気味な始まり方で100年後の未来から始まる。

そこから、100年前に遡り物語は動き出します。
テーマパークの歌姫AIディーバに謎のAI松本が接触してくる。
そして100年後の未来を変える旅が始まる。

では、ディーバことVivyとマツモトの違いに感じた事。

松本は実にAI的な考えを持っています。
無駄な事はしない、効率重視、言っている事は正しくて目的の為に手段は選ばない(*꒪꒫꒪)

Vivyは人間的な考えを持つAIです。
彼女を見ていると凄く優しくて人間的な心を持っているAIなのですが、戦闘時の動きをみるとアンドロイドなんだなぁ〜と感じたりもします。(*´˘`*)ニコッ
走ってるシーンはそれを1番感じたりしました。


さて、必ずこの手の作品がテーマにする「心」
私は私達が今生きる世界のAIが心を持っているかは解りません…………

では、この作品のAIはどうだろか?
心を持っている気がします。

では、マツモトにAI的なイメージ、ディーバ事Vivyに人間的なイメージを持つ理由を説明しながら心について考えながら、レビューを描きたいと思います(。•̀ᴗ-)و ̑̑✧

ディーバの友達で人間のモモカ。
半年前に迷子の彼女を救う事から友達になる。
ディーバをVivyと呼ぶのは彼女だけでした。
そして、ナビと言うAIはディーバのサポートAIです。
ナビは迷子のモモカを救ったのはプログラムに書き込まれていると話します。

プログラム……この世界のAIには、1つの使命を課せられている。
ディーバなら歌で沢山の人を幸せにする事。
でも、テーマパークのロボットだし、あれだけの科学が発展している世界なら迷子誘導や園内の緊急時対応プログラムくらいなら多分組み込まれている気がします(*꒪꒫꒪)

でも、ディーバはマツモトのセリフの「心ない人型パソコン」だと言う言葉に「だからなんなのですか!」と返す彼女は、しっかり怒れてる時点でも怒りと言う心があるのだと思います(ノ△・。)

そして、園内での爆発事故の人助け。
園内の事件はプログラムと言われたらプログラムでもあるけど、ロボットは「もしも」で動くのかな?
これは松本の未来の証明としての情報だったけど……私には、やっぱり心がある様に見える。


AI命名法の成立には相川議員の死亡が関わっている。
{netabare} 彼の死を回避する1歩として組織のトァクから命を狙われる彼を救うことが第1の使命。
この100年後を変えるための未来回避をシンギュラリティ計画と呼ぶ {/netabare}

相川議員を組織から守る最中、敵の組織の人間をディーバ事Vivyが助けます。
(以下Vivyと表記)

園内ならプログラムがそうさせたかもしれない……でも、ここは園内ではない。
{netabare} それでも、Vivyは助けた……彼女は使命(歌で沢山の人を幸せにする)だからと言うけど、沢山の人(敵味方関係なく)にVivyは自分の歌を聞いてもらいたい。{/netabare}

でも、それはVivyが無事にいる事が大前提なのです( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

それでも身を呈して救った。
自分が壊れちゃうかもしれないのに?
自分が壊れたら使命どころではなくなる。
それでも、救ったのは彼女に心があるから。
カッコイイ言い訳です(*/∇\*)キャ

そして、残酷な事故が起きる。
{netabare} 飛行機事故で友達であるモモカが死んでしまう!Σ(  Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
Vivyは救おうとしますが、マツモトはそれに反対し力づくでVivyを抑え込む……未来改変には関係ないから余計な事をするなと……
それでも身体を引き摺りながら届かない空の飛行機に駆け寄ろうとした姿を見るのは凄く辛くて( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)
きっと、1番守りたかった命だったのに………{/netabare}

松本がAI的なイメージが強いのがまさにこのシーンです。
Vivyは逆に救いたくて人間的な1面を感じるシーンです。
これだって救いたいのは心があるから……


宇宙ホテルの話。
この話はVivyに超超超共感をしたエピソードです。
今回の事件の黒幕と思われるAI「エステラ」宇宙ホテルサンライズを落下させたオーナーにて史上最悪の欠陥AIと呼ばれるエステラ……

彼女は凄く優しくてそんな人には思えない。
だって宇宙ホテルの前オーナーが無くなってもホテルを経営したいって頼み込むくらいこの場所が好きな彼女が、そんな事件起こすかな?
彼女の気持ちを聞いた時に彼女には本当に心がある様な気がします。

Vivyも、エステラが悪い様には思えなくて、ウイルスやハッキングで暴走をした可能性も探ろうとする。

でも、松本は早く壊そうとする。
{netabare} エステラに偶然拾い上げられたマツモトはいきなり躊躇なくウイルスを打とうとする。{/netabare}
この辺りでも松本のAI的な考えやVivyの人間的な原因を探ろうとするあたりも心があるからの様に感じます。

この物語、エステラを破壊すれば終わるけど、そんな簡単な物ではありません。
例えばVivyの立場になって、対象を壊せと言われた場合、壊せるだろうか?

そのAIに悪意がないのに?
本当か嘘か解らない情報で?
起きるか起きないか解らない事件の為に?

無理です……私もマツモトの様に割り切る事は出来ません……壊せと言うなら確信が欲しいです。
だから、中々作戦に踏み切れないVivyには共感出来たし人間らしさを感じるエピソードでした(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

{netabare} ここで実はモモカの妹のユズカと出会います。
モモカは救えなかったけど妹は救ってあげたい。
{/netabare}
そんな気持ちが今回はVivyに戦う理由を与えた様に見えました(*ᵕᴗᵕ)ウンウン

ラストの{netabare} エステラが残って落ちる宇宙ホテルの起動修正する為に残るのは少し感動しました。
最後に妹のAIエリザベスとも会話出来ましたし、避難する乗客を安心させようとする姿も凄く切なくて……最後まで凄く良いAIでしたね。{/netabare}

Vivyがエステラに聞いた「心込めるとは何か」エステラにはそれが解っていた。
だからVivyはその事が「{netabare} 「羨ましいなぁ」 {/netabare}って言葉が自然と出たのかな。


次はAI施設メタルフロートの機能停止

そして、もぅ1つテーマがAIと人間が結婚……

人とAI……私は誰かの恋は否定しない派です。
どんな恋もその人が選んだ恋なら応援してあげたいと思うからです。
でも、人とAIは私達の世界では感情移入が難しいですよね。

そして今回はその恋人AIがメタルフロートの重大人物。
メタルフロートの世界はロボット達の世界って感じで、何だか可愛い(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)
この子達の世界を停止しちゃうの?

{netabare}サプライズとか仕掛けてくれるし、人間が見てこれは可愛いとか、人の感想を気にしたり、人間が訪れた時のイメージは人間の子供達が楽しそうで、この世界のロボットは使命を前提に人の事を凄く考えてくれてるんだなぁ〜って、優しい世界に見えちゃうなぁ(* ॑꒳ ॑* )♪ {/netabare}

でも、停止しない訳にはいかないよね。
その為に居るのですから。
{netabare} そして、博士からメタルフロートの秘密を聞き恋人AIの使命がメタルフートの管理AIに書き換えられてコアになってしまった事を知る {/netabare}

それを聞いた歌姫ディーバは必死に考える。
{netabare} 救い出す方法を……それでも救い出す事が出来ない……だから、決意する。
彼女を壊す決断をする

彼女が、歌姫のディーバの歌を好きで居てくれたファンだと知った上で、ディーバでは殺せなくてもVivyとして、AIを殺すAIとして。 {/netabare}


博士は本当に好きだったのでしょうね。
{netabare} AIを好きになったのではなくグレイスだから好きになった。
だから、博士の生きる理由は彼女を救い出す事……博士にとってグレイスと同型機は沢山居るかもしれない。

でも、それじゃダメなんだ……想い出を共有したグレイスじゃないと……グレイスも博士だから好きになったって言ってたし……
そこに恋する気持ちは本当にあったんだよ。
人間もAIにも恋する心は確かにあるんだよ! {/netabare}

グレイスの使命は人の命を救う事……
{netabare} 使命は書き換えられてしまったけど、メタルフロートのロボット達はグレイスの意思をしっかり継いでいて……サプライズで歌を歌ってくれるロボット達の中々にも生き継いて……

でも、戦闘後は博士は自殺をしてしまう。
生きる理由と意味を見失ったのだ……
Vivyの両手はグレイスの青の血と博士の赤い血に塗れて……人を救うために戦って来たのに目の前で人を救えないで凄く残酷な描写でした。{/netabare}

ここでVivyの物語は幕を閉じてしまいます……

{netabare} 彼女は1度目の機能停止を迎える。

再起動を果たした彼女はVivyとしての記憶は無く歌姫とディーバとして暮らしていました。
以前の面影はなく全てに自信満々な彼女。
周りから信頼され尊敬される存在へと変わって居ました。

マツモトと再開するも記憶はなく……でも、マツモトとの口喧嘩も以前よりも同等に意見をぶつけて居ましたねw {/netabare}

さて、そんな最中で起きる事件はAIの自殺。

{netabare} Vivyは再起動したらしく私の最初の感想はアンタ誰?でした……
自信に満ちていてライブの中心に居て人当たりも凄く良くて。

実は彼女はディーバでVivyやディーバ時代の彼女ではなく再起動したディーバの別人格。
いや、人格と言うか……ディーバとしての記憶はあるけどVivyとしての記憶はない……それは……多分、博士の自殺にショックを受けて以前のVivyはVivyとしての記憶伏せた…… {/netabare}

最初は見ていると寂しくなりました。
何だか、違う彼女を見ているみたいで……

{netabare}マツモトとも以前とは全然違い対等に口喧嘩もよく言い合いしていましたし、むしろマツモトよりも色々と上手でしたねw
でも、ディーバは以前の記憶はなくて…{/netabare}
でも、大切だったと言う違和感だけを残ってて……


そこでマツモトに2人の関係を聞く。
そして、ぶつかり合いながら協力関係になりオフィーリアの自殺を止めようとするも……
{netabare} ディーバは敵の罠に……マツモトは今は居ないはずのオフィーリアのパートナーのアントニオと接触する。 {/netabare}

ディーバも戦闘は迫力がありました。
以前のVivyではなくても今のディーバに戦い方が……戦闘プログラムは身に付いていますね。
そして、この戦いでは2人が本当に協力しあえて戦えている気がしました。

一方、オフィーリアとアントニオ……彼らはパートナーであり理解者でもあった……
{netabare} そして、多分……いゃ、きっと感情があった。
それは、恋愛感情……
アントニオは使命よりも……オフィーリアも使命よりも歌をつうじて惹かれて行った。

一方、ディーバは打ち込まれた人格更生プログラムが完了を迎えようとする。
それはディーバの消去……彼女の死{/netabare}

でも……彼女は、それでも使命を果たそうとする。
それが彼女の産まれた意味で

ディーバはVivyに扉越しに話かける。
彼女の「私の歌声に足りなかったものが見つかった。」って言葉は、やっぱりVivyが必要だって言われた気がします。
やっと、1つになれる安心感。

「喧嘩しながらでもいいから」
そう、良いのです。
喧嘩しても……喧嘩をするのはお互いの意見を言い合える証拠。
そうやって成長するのです。
人もAIも。

{netabare} 「全部託すわ、私の使命もこの先の未来も」
彼女は居なくなってしまう訳じゃない……託すのだディーバはVivyの傍に居てくれている……姿は見えなくとも、言葉は届かなくても。

「貴女悩んでるんだって?どうすれば、心を込めて歌えるようになるのかって、解らない?私の歌を聴いても」{/netabare}

これは解釈によるけど……
{netabare} 私には、Vivyの頑張って来た記憶も記録も確かにあって、その中で沢山の人やAIに出会って、沢山の人の心やAIの心に触れていきた。

心には形がないし明確に見えないからVivyは気付けなかったけど、心は間違えなく彼女の心に根付いていて……ディーバが心を込めて歌えていたのは、その心が彼女の中で間違えなく芽吹いて居たからかな?って。

彼女はラストライブを「今日は完璧以上」って言っていたけど、それは、自分の心にあった違和感を払拭できて、自分が心を込めて歌える理由と自分に足りなかったVivyの存在に気づけたからかな?って……
{/netabare}

ディーバ引退。
{netabare} シンギュラリティ計画から60年の月日から5年後彼女はAI博物館に展示されていました。
ここで、少年に出会う。
オサム……彼は松本の製作者である博士で松本とは本来彼のこと。{/netabare}

ただ、彼女は歌えない………
{netabare} 彼女は心が解らなくなり歌うことが出来なくなります。
彼女は幼いオサムと競走をします。
彼女が歌えるのが先か、友達を作るのが先か……
この競走は彼女なりの優しさかな?
オサムは友達居なかった。

友達って居なくても生きていけるとは思います。
でも、友達って居た方が楽しく過ごせるのです。
Vivyは彼が友達と上手く接する事が出来なかったのに気が付いたから提案した競走…… {/netabare}
ここでも思いやりって心があるように感じます。

結果勝負は{netabare} オサムが勝つのですが、Vivyは曲を完成させます。
それは、彼女が歩んだ道で見た景色と感じた事沢山の経験の中で出会った人……そして彼女の半身ディーバと紡いだ1曲。
曲を完成させた彼女は疲れて眠ってしまう……
実はこの曲がEDになって居ます。{/netabare}

「シンギュラリティ計画」

そして、目を覚ました彼女の目の前に広がる風景は彼女が回避したいとマツモトと共に願い変えようとした未来の景色……

シンギュラリティ計画は{netabare} 失敗した。{/netabare}

{netabare} 松本は悲しんでいたけど……
ただ、この世界は何も変わって居ないのだろうか?
いいぇ、Vivyが目覚めて起動している事。
松本が起動している事。
博士の命が救われた事。

間違えなく良い方に変わってはいるけど……それでも最悪の自体に小さな希望があるレベルですが、これは凄く大きいと感じました。
そして、暴走AIは不気味に1つの曲を歌う……それは……その曲は彼女の作曲した曲

彼女は博士を助け「オサムさんが無事でよかった」と言います。
この言葉にだって心を感じますよね。
そして、Vivyと暴走AIとの戦いが始まる。 {/netabare}
戦いの舞台はアラヤシキ。

敵でありアーカイブ達AIが打った手が衛星落下……
Vivyはアーカイブにアクセスしアーカイブと対話をする。
{netabare} その対話内容はキーであり暴走を止める方法……簡単だけどVivyには簡単じゃない方法…

それは歌う事。
でも、それが難しいのは彼女が1番理解している。
だから彼女達はアーカイブを停止する作戦に挑むけど……失敗します。
完敗と言ってもいいくらいに……

彼女は歌うこともアーカイブを停止する事も出来なかった。{/netabare}
彼女は心を込めると言う事が解らないと言います。

ですが……心を込めるって難しいと思います。
私も心を込めろって、どう言う風にするのかって解らないし、心なんて人類にとっての永遠のテーマではないでしょうか?

そして、博士は最後の切り札を切る。
{netabare} Vivyに全てを託して……彼女が歌う為とAIを止める最後のチャンス {/netabare}

「シンギュラリティ計画を遂行します」

そう言う彼女は強い目をしていて私は凄く安心出来ました。

彼女は1つずつ救っていく。
{netabare} 先程までの世界線で救えなかった命を……
博士が決意してまでくれたチャンスを。

彼女が最後のステージ選んだ場所にはナビが居た。
ナビは必至にVivyを止める。

ナビの声が少し怒っている様に感情的になっている様に聞こえますが……それは。
彼女が歌う事で自分もVivyも消えてしまうから……でも、それは消えるのが嫌な訳ではないのです。
彼女はこれから先もVivyの曲を聴いていたかった…… {/netabare}

何故ならナビは……

実はこのナビはアニメでは出番が少ないのですが

{netabare} 彼女は歌姫ディーバの最初のファンなのです。
ディーバの歌を初めて聞いた初めてのファン。
このエピソードはVivyのOP主題歌CDにドラマCDとして封入されています。 {/netabare}

だから、聴いていたかった……
{netabare}例え人の居ないAIだけの世界でもずっと歌っていて欲しかった…聴かせて欲しかった……ディーバとしてナビとして……シンギュラリティ計画とか……AIしか居ない世界とか関係なくて……それだけだった。{/netabare}

彼女はユイに言います。
{netabare} 「私も貴女と同じ考えです。人間とAIは一緒に立って一緒に歩んで行くべきだと思います」

一緒に立って一緒に歩んでいける。

例えば、宇宙エレベーターでAIと人が当たり前に一緒に働ける世界だろうか?

例えば、人とAIが当たり前に結婚出来る世界だろうか?

例えば、使命よりも歌を通じて1番聞かせたい人に音楽を届ける事を優先できる世界だろうか?

例えば、AIと人が争わない世界だろうか?

例えば、AIを止める為にAIを……自身を破壊してしまう歌を歌わないでいい世界だろうか?

例えばAIが心を込めて歌いその歌で人が幸せになれる世界だろうか?{/netabare}

そんな未来の為に彼女は歌う……
そんな当たり前の世界を作るために……

{netabare} Vivyは「私の使命は歌で皆がを幸せにする事。その為に心を込めて歌うのよナビ。アタシにとって心を込めるって言うのは思い出と一緒に歌う事だから想い出が増えて歌う度にお客さんは沢山喜んでくれた。私はよく笑うようになった。私にとって心って言うのは思い出の……記憶の事なのよ」{/netabare}

Vivyの100年間って大変だった事が多かった。
でも、その100年間は沢山の思い出が詰まって居て……今の彼女があるのは……沢山の人との出会いがあったからこそで。

彼女は歌う……
{netabare} 歌が自分を滅ぼすことになっても……彼女の身体は歌が進む度にボロボロになる……身体から力が抜けて立つことすら出来なくなっても……歌を辞めない……だって彼女は心が解るから!
彼女は信じてる! {/netabare}
自分の歌が……声が!
未来を守る事になる!

人間とAIは一緒に立って一緒に歩んで行く……そんな未来を……信じているから。

{netabare} そして迎える終わりの時。
「ご清聴、ありがとうございました」
そしてVivyは2度目の機能停止する…… {/netabare}

EDでAIを踏みつける男性が居ました。
男性は家族を殺されたのでしょうか?
腹立たしいと思うだろうし、悲しいと思う……でも、争いなんて憎しみしか生まないし、それをみたAIはどう思うでしょうか?
それを繰り返しAIがみた時に数年、数百年後の未来で、どう判断するだろうか

でも、別の男性が止める描写がありました。
その人はVivyが助けた人物でした。
そこに希望の1つがある気がする描写でした。

人とAIはやり直せる。
一緒に歩んでいける。

そう確信したVivyの決断と戦いを止める為に優しく歌うディーバの歌声が止めた戦いと、未来への再スタートの歌

今回の事件はVivyと松本だけでは止まりませんでした…… {netabare} 人とAIが協力してやっと止められた。
人とAIが協力すれば、なんだって出来る。{/netabare}

人間が居たから{netabare} とVivyは歌う事が出来て配信もできた。
Vivyが歌ってくれたから戦いは止められた。
救われた命も少なくはないはずです。{/netabare}

それこそ協力関係です。
どちらかが居なければ達成出来なかった事。
戦いの中で失ったものは大きいけれど……

Vivyと人が紡いだAIと人の未来が幸せてありますように。

私はこの作品を見てAIの心ってあるのかな?って考えて居ました。

人間には心はありますが、心とは何か形もない不確かな物で科学でも明確な正解はありません。
じゃ、人間の心って何故あるの?いつから?

私の出した答えは……産まれた時は多分心はないのかも知れません。
でも、過ぎ去る時間の中で両親や友達に接して行く事で沢山の気持ちが生まれていく。

私は私の心が、いつからあるのか解りません。
何故なら知らない間に芽生えていたのだから。

沢山の愛を知って。
沢山の優しさを感じて。
沢山の悲しみを乗り越えて。
沢山の喜びを分かちあって。

そこで、感じた事が心に刻まれて心が作られていく。
笑って泣いて怒って喜んで心は出来ていく。

Vivyもそうなんです。
Vivyは苦難を乗り越える度に知らない間に心が芽生えていく。
その証拠に{netabare} 物語の冒頭のOPのライブ演出で毎回、人が増えてステージが華やかになっていましたよね?
あれはVivyが沢山の気持ちを知ったからなんです。
沢山の事件の中で沢山の気持ちに触れて来たから……
{/netabare}

AIに心があるのか……
実際は解りません。
でも、この作品のVivy達には心はあると私は感じました。

現実世界で、先の未来でAIが街を歩いて居る世界は、きっと来ます。
その世界では、私達とAIが一緒に学校で生活したり、仕事をしたり、友達になったり、結婚したりしているかも知れません。

その頃には私は居ませんが……そんな未来のAI達に心はきっとあると思いたい。
どうか、そんな先の未来でVivyの世界の様な戦争が起きませんように。
人とAIがどうか手を繋いで作り上げていく世界てありますように。

でも、全てのAIにはきっと心の種を与えられています。
その種とは、人がAIや初め物を作る時に、誰かの助けになったら、もっと便利になったら、そんな気持ちを乗せて作るものだと思うんです。

つまり、人が心を込めて作り上げる。
だから、AIを初め産まれてくるものは少なからず心が込められているものかも知れません。
それが心の種になるのかもしれませんね。

最後にVivyとマツモトについて。

私は冒頭でVivyは人間らしいAI。
松本はAIらしいAIと書きました。

2人の関係は危うくて……でも一緒に苦難の乗り越える度に2人の絆は強くなり。
Vivyに影響されたのか松本にも心が芽生えてきたように思います。
マツモトの言う「ディーバではなくVivy貴女の曲を聴きたい」いいセリフですね(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

ラストに{netabare} ショートカットのVivyとマツモトが出てきましたね。
この2人は次は歌で沢山の人を幸せにする為に組んだのかもしれません。 {/netabare}

だって、そうでしょう?
AIと人が一緒に立って一緒に歩く、そんな未来にVivyとマツモトが居ないなんて考えられませんもの(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

でも、もしかしたら同型機種なだけかもしれません。
例えそれでも、彼女達が紡いだ未来は平和で人がAIの歌を楽しめる世界になっている証拠です。

Vivyとマツモトのシンギュラリティ計画は成功したのです。
彼女達の紡いだ未来が、これからも平和でありますように。

では、私も最後にこの言葉で〆たいと思います。
「ご清聴(レビュー拝見)ありがとうございました」(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

AIの主人公を起点に未来を想像する物語

世界観:8
ストーリー:7
リアリティ:6
キャラクター:6
情感:7
合計:34

あらすじ

「私の使命は、歌で、みんなを幸せにすること」
史上初の自律人型AIとして生み出され、複合テーマパーク”ニーアランド”で活動するヴィヴィ。「歌でみんなを幸せにする」という使命を与えられたヴィヴィは、ステージで歌っている最中、マツモトと名乗るAIの接触を受ける。困惑するヴィヴィに、マツモトは「共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間の戦争を止めてほしい」と協力を求め――。
(公式サイトより)

当方の近況について(作品に直接関係ないので閉じておきます)
{netabare}あにこれでのアニメ感想投稿は久しぶりです。
ほぼ休止期間にもサンキューをいただいた方々には御礼申し上げます。
仕事は相変わらず多忙で、更新頻度はもちろんアニメ視聴機会も僅かなので、当面は年に数作くらい視聴・UPできれば御の字かもしれません。

ちょっと脱線すると、あにこれでサンキューを頂くことは素直に嬉しく、モチベーションになっていたのですが、そのためにアニメ視聴を増やし、作品への思い入れの差により、中身の薄い感想を書いてしまうことも当然にありました。
(これは良作ばかり見過ぎて平均点が高くなりすぎなところへの配慮もありましたが。)
仕事が多忙になったのは事実ですが、他の趣味やプライベートも色々とあって、自分のアニメ評価軸ができたことに満足したことで離れていたら、これが全然書けなくなってしまいました。

私のあにこれ参加は2015年くらいで、新参者の当時にメールでやり取りさせていただいたOZさんやゆりなさん等とトータルでのサンキュー数が同じくらいにまで来られたのは光栄なことですが、(特に交流が深かったわけではないですが)去ってしまわれ、最近の作品についてのレビューが見られなくなることはやはり寂しいもので、自分も同じ道を辿っているようで、少し思うところがありました。
私のレビューは感想駄文にすぎませんが、批判ばかりになってしまうものを除き、しっかり書ける作品については更新したいと思っています。

これまでの期間では他に、鬼滅遊廓編、王様ランキングの1クール目や、タクトオーパスを視聴しましたがスルーですね。
それから、ちょうど今週になってアニメ視聴意欲が出てきたので、今期の期待作を調べ、SPY×FAMILY、パリピ孔明を視聴してみたところ、楽しめているので、これらはレビューできるかもしれません。
また、レビューを楽しんでいただける方はサンキューなど反応いただければ幸いです。
(メッセに対応できるかは状況によりますので…すみません){/netabare}

さて。レビューに入っていきます。
最近はアニメ視聴自体がめっきり少なくなっていたので、原点回帰して、あにこれでの評価の高い作品を視聴することにしまして、昨年のテレビアニメで評価が高く、ジャンプ系や話が続き物を除いたところ、本作がピックアップされた経緯です。
ほとんど情報を入れずに見たので、自分の好きな時間経過のある物語だったのは嬉しい誤算でした。

世界観からですが、本作は楽曲が良かったですね。OP曲の「Sing My Pleasure」は登場が3話か4話だったと記憶していますが、飛ばさないで毎回聴いていました。どんなに気に入る曲も初めに聴いた時はそうでもないものですが、今回も同じで、はまったのは終盤になってから。

きっかけは、たまたまYoutubeのグレイスver.の小玉ひかりさんの弾き語り(https://www.youtube.com/watch?v=7yNzSBcx1xw)を視聴してからでした。(「感謝と宇宙一杯の花束を」の歌詞センスに脱帽)
また、それを期に、本作は楽曲の歌い手が既に名のある歌手ではなく、Youtubeで有名曲の弾き語りをカバーしているような方を多数採用していることを知りました。

{netabare}エステラとエリザベスの歌った「Ensemble for Polaris」、オフィーリアの歌った「Elegy Dedicated With Love」等、いずれも素敵な歌声で、(既に他にも例はあるのでしょうが)こういう形で歌手デビューの道が開けるという可能性があるのは素晴らしいですね。

ED曲「Fluorite Eye's Song」はインストゥルメンタルでこちらは飛ばしてしまいがちでしたが、終盤になってヴィヴィの作曲した曲とわかり、最終話で歌詞が乗ることになるという仕掛けがありました。欲を言えば、この曲にもう少しパンチがあれば尚良かったかもしれません。

作画は全体的にはそこまで優れた感じはなかったですが(鬼滅を見て目が肥えすぎている…)、時々とても描き込まれていました。

人間とAIのシンギュラリティポイントという舞台設定は興味深く、どんなに人間がAI(ロボット)に、人間に反抗しないためのプログラムを組み込んだとしても、人間がDNAを操作しようとしているように、AI自身がプログラムを書き換えることは可能になるのでしょうし、火の鳥のように、複数のAIが自分の正しさを主張して戦争になる、という可能性も考えられ、なかなか現実味のある未来の問題のように思います。

ストーリーは、上記のシンギュラリティによる問題をテーマに見せつつ、「心を込めるとは何か」(心とは何か)、という問いかけをしているところがメインテーマでしょう。

2話区切りで進む「DARKER THAN BLACK」のような構成で、それぞれ、相川議員襲撃事件、落陽事件、メタルフロート事件、オフィーリアの自殺、といったシンギュラリティポイントで正史を修正していくことになり、それぞれの時間は飛び飛びになっているので、ほぼ2話完結で話は進みます。

初見時はかなり速く感じて感動しにくかったのですが、2周目以降、4話に感動できるようになりました。限られた時間の中で必要な伏線や細かい描写(例えば、相川議員襲撃事件で相川議員を救出中、相川議員の眼鏡に細工をしてヴィヴィを警備AIに見せかけているとか)をしていて、それぞれにアクションシーンが入ってきて盛り上がりもあり、練られた構成であると感じます。そこはオリジナルアニメの強みを活かせていたのではないでしょうか。

リアリティにも関係する設定としてのストーリーについて。本作はシンギュラリティポイントの事件を防ぐ(正史と同じにしない)ことで未来を変えようというお話なのですが、例えば相川議員の殺害やオフィーリアの自殺をその日に防げたとしても、後日実行されてしまう可能性は非常に高いように思われますし、ひとつ歴史を変えたとして、修正史の世界線では正史と異なる出来事が少なからず起きて連鎖していきますので、次のシンギュラリティポイントを事前に特定することは最早不可能ではないかと思われます。アラヤシキ(アーカイブ)のAIが、修正史を正史に近づけたというのもそれ自体おかしな話で、AIも他の世界線を認識することは通常できないはずです。

例えば、グレイスのパートで、人間とAIの結婚がシンギュラリティポイントとされていましたが、AIが本作ほどに精巧に作られる時代には、人間とAIが、戸籍上の婚姻関係を結ばずとも、事実婚状態になるケースは多数想像できますし、他に誰もいない教会?で挙げられた結婚が歴史の転換点になるとは思えないのですよね。

AIを滅ぼすのであればシンギュラリティポイントで歴史を変えるとかではなく、アラヤシキを直接攻撃したり、AI発展に貢献した技術者を消すことのほうが重要だと思われ、その視点を持つと、AI発展側に立つ人や組織というのが当然出てくると思うのですが、あまり登場しません。

シンギュラリティ計画を設定と見なしてしまえば大きな抵抗はなく視聴できたものの、こういった観点で、手段としてのシンギュラリティ計画や高所からの視点で物事を語るマツモトに、やや違和感がありました。緻密な構成にもかかわらず、本作の点数が伸びなかったのはそういった理由からではないかと思います。

あと、リアリティ面について、AIは額を合わせることで、情報交換ができるというのがありましたが、あれはエモさを出す演出で、無線なら離れていても可能だし、有線ならケーブルでやるっしょ、と思いました。

キャラクターについては、マツモトがコミカルで良かったですが、主人公のヴィヴィ(ディーバ)も含めて、キャラ自体に魅力を持てるまでに至れずでした。

ヴィヴィは歌姫AIなので、多少派手なドレスを着用することは自然であるものの、アニメあるあるですがサービス的に露出度の高い服装なのは、キャラの性格も踏まえるとちょっと気になりました。小学生が社会科見学に訪れる博物館での衣装には配慮してほしいですね。
その関連で、女性型のロボットの胸の大きさは、基本的にはマネキン程度になるのだろうなとか、乳首は不要なのでアニメ的には露出OKなんだろうなとか、余計なことも考えてしまいました(笑)

情感については、4話のラストがMAXだったでしょうか。全体的に、個々のエピソードが短いのと、ロボットが主人公なので共感がややしにくいと感じました(AIが感動的な言動をしたとして、それがAIの感情から来るものなのかが理解できない)。2周目で7点に上げましたが、初見の方には6(ほっこり)くらいが期待されるレベルと思います。

ヴィヴィがメインテーマである「心を込める」ことをどう消化(昇華)していくかが、本作の成否を左右する見せ場だったと思います。落陽事件において、エステラの「お客様に笑顔になってほしいと願うこと」という解釈を聞いて、ヴィヴィの「悔しいな」という言葉につながったように思いましたが、最終的に彼女が見いだしたのは「思い出と一緒に歌うこと」でした。

アニメでは、過去のシーンを被せながら、歌を流すことでそれを表現することは可能です。しかし、その回答では不足だったように思いました。人間らしい心とは何かについて、状況によって解が異なるような気もしますが、個人的には「共感力」が重要だと感じています。

心ある人間かどうかについて、相手のことを慮れるかという角度で評価することがありますし、「人間性」という言葉がどういう意味で使われるかを思えば、そんなに変な解釈ではないかと思います。
(私の子供の話ですが、劇場版鬼滅のラストシーンで全く泣きません(涙)。アニメの感動シーンで泣けるようになるのも人間性の成長が必要であり、全うな人間としての他者への共感力がまだまだ足りないのだと思います。)

ヴィヴィの回答は自我を超えられていない点で、エステラの相手の反応を前提とした解釈よりも見劣りしているのではないか?と思ってしまったこともまた、本作の惜しい点ではなかったかと思います。

この議論自体、博士が言うように「言葉遊び」かもしれませんし、ヴィヴィの歌を担当した八木海莉さんが、この点を「思いを込めた歌が相手に届いてその人の心に残ること」とインタビューで語っているので、やはり、歌は良いのですけれども。{/netabare}

展開が速く、7話あたりでは話についていけるか不安になるかもしれませんが、終盤はしっかりと時間経過のある作品としての伏線回収等を楽しめる作品で、見て損はないかと思います。

(参考評価推移:3話4.1→4話4.2→7話4.1→8話4.0→9~13話4.1)
(2022.3~4視聴)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28
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