2016年度の小説原作おすすめアニメランキング 8

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2016年度の小説原作成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月18日の時点で一番の2016年度の小説原作おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.5 1 2016年度の小説原作アニメランキング1位
響け!ユーフォニアム2(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (1585)
7106人が棚に入れました
吹奏楽コンクール京都府大会を突破した北宇治高校吹奏楽部は、強豪ひしめく関西大会に向けて練習を開始する。
臨時講師の先生も迎えて、レベルアップに勤しむ久美子たち。
しかし、そこへ昨年退部した傘木希美がやって来て……!?

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、寿美菜子、早見沙織、茅原実里、藤村鼓乃美、山岡ゆり、種﨑敦美、東山奈央、石谷春貴、津田健次郎、小堀幸、沼倉愛美、久川綾、中村悠一、桑島法子、櫻井孝宏
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

友だちのカタチ、姉妹のカタチ

製作:京都アニメーション、監督:石原立也、
演出:山田尚子、シリーズ構成:花田十輝、
作画監督:池田晶子、原作:武田綾乃

友だちや姉妹という言葉を使うと
誰もが一定の関係性を想像する。
しかし、当然のことながら、
それらは一つひとつが固有の形を持っている。
ユーフォ2は、全国大会を目指す吹奏楽部の練習を通して、
そんな女子同士の関係性を丁寧に描いている。

2期が始まる前に原作を読了していた私は、
OPにもいちいち感心させられた。
ホルン隊の団結や希美の寂しげな笑顔、
みぞれの「秘めた愛」を示すマーガレットの花、
久美子とあすかの距離、
どれもが物語をしっかり表現していて期待感が高まった。

2期のストーリーの中心は、吹奏楽というよりも
友だち、そして姉妹の関係性だ。
鎧塚みぞれと傘木希美の2人の関係が、
吹奏楽部全体の危機となって部内を揺るがす。
繊細で脆い女子の友情とお互いに対する温度差が
問題を複雑化させてしまう。
友だちに対する極度の依存状態という、特に女子にとってリアルな問題。
多かれ少なかれ、誰もが通過する普遍的なテーマだ。
これは、スピンオフ小説『立華高校マーチングバンドへようこそ』でも
執拗に描かれることから、作者の武田綾乃にとって、
とても身近で重要なテーマだったのだろう。

この友だちの関係が普通ではなく特殊だったかと
問われるなら、私は全くそうは思わない。
それが問題として顕在化するかどうかという部分にしか
特殊性はないと思う。
この問題は一筋縄では解決しないので、
映画として別の話として続きも作ったことは、
リアリティがあって、とても良かったと思う。
優子のような人物はなかなかいないだろうが、
その存在が物語を上手く締めてくれた。

その後、母子家庭である田中あすかの身に起こる母親との確執が
退部騒動へとつながり、再び吹奏楽部を揺るがす。
この話は、大学を中退すると言い出した姉の麻美子と
田中あすかの姿を久美子がだぶらせるところが
いちばんのポイントになる。私は原作小説を読んで、
問題点はこの部分をいかに上手く構成するかだと
思っていたが、全てが完璧といえるほど良い出来で、
とても感動的な話としてまとめられていた。

例えば、久美子が学校に行く前、麻美子の不在の部屋を
覗いて、学校に行って練習をする時に隣のあすかの
不在の椅子を映し出す。
「口を縫うよ」という麻美子の回想のセリフを
あすかも同じように口にする。
ふたりの存在を徹底的に対比させて、視聴者に刷り込んでいる。
こういうやり方は、とても上手かった。

小学生のとき、姉が吹奏楽をやめたことがきっかけで
距離が遠くなってしまった姉妹の関係性。
久美子は、あすかを通してかつての姉の姿を見る。
怒りや悲しみ、切なさ、寂しさの、ない交ぜになった感情、
ずっと抱えてきた姉に対する想い全てをあすかにぶつける。
{netabare}そして、全国大会終了後に姉の姿を追いかけて久美子は疾走する。{/netabare}

久美子役・黒沢ともよの渾身の演技が作品の質を
大きく上昇させている。{netabare}麻美子を思って
電車で泣くシーンと裏庭であすかを説得して、
涙を流す演技は特に素晴らしかった。{/netabare}
しかし、7話と8話では風邪を引いてしまい、
完全な鼻声となってしまっていたのは残念。
しかも風邪が治ったと思われる9話で、
『風邪ひきラプソディー』が収録されているのが皮肉だ。

それと1期と比較すると姉との関係性に無理がある。
原作には登場しておらず、実家にいない姉を
1期のアニメオリジナルで何度も登場させてしまったため、
2期での姉妹の距離感に矛盾が生じてしまっている。
これはアニメと原作発表のタイミングの
ズレがあるため仕方のないところか。

音楽の部分ではTV放映で『三日月の舞』を
フルで聴かせてくれたことには驚いた。
放映当時、ネット上で大きな話題となったことは忘れられない。
また『韃靼人の踊り』や『君は天然色』、『宝島』という
アニメオリジナルの選曲も良かった。
山田尚子が中心になって決めたようだ。
特に駅ビルコンサートは、
吹奏楽での定番といわれるT-SQUAREの『宝島』を選曲し、
とてもポップで楽し気な演奏を披露してくれた。
晴香の見せ場、バリトンサックスのソロは、
アドリブっぽいファンキーなノリで聴かせてくれる。

ただ、最も重要な『響けユーフォニアム』の曲が
個人的にはあまり響かなかった。
1期の『愛を見つけた場所』があまりにも鮮烈だったので、
それと同等のものを期待してしまったせいもある。
ユーフォソロの曲は、難しいことも分かるが、
できれば奥華子に作曲してもらいたかったのが正直なところだ。

しかし、続編としては、ほぼ完璧ともいえる作品。
原作の2冊を凝縮していることもあり、
全く無駄のない構成といえる。

青春の苦しみや喜び、儚さがここにはある。


1期終了後のことと原作とアニメのつながり
{netabare}1期の放映が終わってすぐに
私はBDとともに原作3冊をAMAZONで注文した。
そのときにはまだ2期の製作が決まってなかったし、
「響け!ロス」の状態を先延ばしにするためにも
とりあえず先の話が綴られた原作を読んでおきたかった。

アニメ化された原作『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』を読んで、
アニメとのあまりに大きな違いに驚かされ、
京アニスタッフの深い洞察力とプロの仕事に舌を巻いた。
つまり原作よりアニメの出来のほうが、遥かに良かったのだ。
そして、先の物語の世界へとページを繰った。
読み終えたときは複雑な気持ちになった。
もし、この2巻と3巻をアニメ化するなら、
面白く作るのは難しいのではないかと感じたからだ。

原作2巻目となる『北宇治高校のいちばん熱い夏』は、
それまでに出てこなかった鎧塚みぞれと傘木希美の
女性特有の関係性が中心になっていて、
あまりドラマチックな部分がないと思った。
3巻目の『北宇治高校吹奏楽部、最大の危機』は、
久美子とあすかの関係性にスポットが当てられ
綺麗に終結してはいた。
しかし、読後にはあまり関係がないと感じてしまった姉との話に
かなりページ数が割かれており、まとまりを感じなかった。
これはアニメ化をしても失敗する可能性が高いと思ってしまったのだ。
ところが、先述したように、アニメ化された作品を観て、
それが全くの杞憂だったのは嬉しい誤算だった。

後に知ったのだが、原作者の武田綾乃は
『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』を書き終えたときは、
続編を執筆することは考えておらず、
1冊で完結させたつもりだった。
編集部に提出した完成前の原稿では、
北宇治高校は関西大会の切符を
取ることができなかったという結末だった。
これはある意味、吹奏楽部経験者としては
当然の展開だったのかも知れない。
やる気のなかった吹奏楽部員たちが数カ月で関西大会へと
駒を進めるという流れは、リアリティがないと感じたのだろう。
しかし、調べてみると現実には顧問が変わった平凡な吹奏楽部が
いきなり躍進して全国大会で金賞を取るということも起こっている。
もちろん、元のレベルの問題も大きいだろうが、
高校の吹奏楽部においては、そういうことも起こり得るほど
指導者、指揮者の力量が結果に大きく作用する
ものだということを私も知った。
確率はゼロではないわけだ。
それなら、積み重ねを上手く描けば、それほど突拍子もない話には
ならないという判断が働き、今回の話につながったようだ。

そして、この話は2期の1話でしっかりとフォローされている。
「学校の吹奏楽は顧問ひとりで演奏が大きく変わると言いますが、
まさか関西大会とは」と副顧問の美知恵が言うと、
「ここに来ることになって、演奏を初めて聞いたときから
ポテンシャルがあることは気づいていました。(中略)
身近に手本があれば、あとは各個人がどう意識するかですので、
伸びしろはあったと思います」と告げる。
ここを上手く展開させられるかどうかというのも
続編ではひとつの見どころになったと言ってもいいだろう。
そして、個人的には合宿の10回通しや滝の細かいチェックを
執拗に入れることで、その問題はクリアしていると感じた。

ただ、難しかっただろうと予測できるのは、
吹奏楽部の関西大会以降を描いても
曲目やメンバーが同じで、そこから質を高めていくだけのことになり、
物語として表現することが少ないことだ。
原作の武田綾乃は、編集者との話し合いの結果、続編を執筆するために、
吹奏楽部全体の話だけではなく、もっと登場人物の心情や
関係性を描き、高校生ならではの悩みを中心にした
物語にするのなら続編が書けるという結論に達したようだ。
それで生まれたのが『北宇治高校のいちばん熱い夏』と
『北宇治高校吹奏楽部、最大の危機』だった。
これらの作品は、音楽を巧みに絡め、瑞々さを感じさせてくれた。{/netabare}
(2019年3月3日初投稿)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 100

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

奇跡は努力の先にあった!(祝:第2期総集編劇場版公開決定)

※他のレビューアーの方からの指摘のあった誤字を修正。(2018.11.24)

原作小説『響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部の一番熱い夏~』(第2巻)および『響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部最大の危機~』(第3巻)のアニメ化作品です。

先に『響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ!~』がアニメ化されており、本作はその続編にあたります。

なお、本作を2期目から観ても良くわからないと思いますので、1期目から観るかもしくはストーリー的には1期目の総集編となっている劇場版をご覧になってから本作を観ることをおすすめします。

たぶん1期目には2期目でキャスティングされるキャラクターたちがちゃんと画面に映っていて、例えば続けて一気見しても違和感なく観られると思うのですが、そのことこそが本作の「奇跡」といえます。

本作でメインキャラクターのひとりとなる2年生の鎧塚みぞれですが、1期目から合奏の場面でオーボエ奏者としてしばしば画面に登場しています。ですが、実は第2巻は1期目制作中には刊行されていなかったのです!

ではなぜ2巻の設定を踏まえたみぞれ先輩が1期目からいるのかというと、原作者の武田綾乃先生から、京アニは2巻のプロットや草稿を提供してもらいそれをアニメに反映したというのです!

傘木希美が1期目最終回で吹奏楽コンクール京都府大会の観客席に現れるのもそういう事情によるものです。

誰にも2期目を約束されていないうちから、本作はそういう努力をしてきたのです。OP「サウンドスケープ」の歌詞にある通り♪奇跡が努力の先にあるなら 限界は私が決める!♪という具合に本作は制作に取り組んで、それが報われたわけなのです!

演出に必要なら同じ曲を異なったイメージに聞こえるように何度も録音し、小説の記述に合うよう作曲し、楽器作監を立て、演奏に合うよう運指やブレスの作画をして、そうした努力の先に奇跡の作品が生まれたと思っています。

本作5話では作中での吹奏楽コンクール自由曲「三日月の舞」フル演奏で、一切の台詞無しに演奏描写のみを見せるという前代未聞レベルの超絶演出をやっていますが、それも1期目からの演奏描写の積み重ねがあって初めて成立可能なのだと思っています。

実に、大変な作品に出会えたと思っています。

2016.12.30追記:
そういえば本作品のもうひとつの奇跡は、こんな作品づくりをする音響監督(台詞/BGMとも)がTVアニメに関わっているってことでしょうか。

特に台詞は、ドラマや洋画の吹替えを連想します。今風のアニメにはあまり無い感じで凄く良い芝居でした!
(これが商業的に正解かは、わかりかねますが…。)

== ↓これにサンキュー下さった方もいるので置いときます。 ==
5話久美子がTV観てるシーンが凄い。(←放送終了まで自重とは書いたけど…)

「フルートの音に苦しむ」から真っ先に連想するのがキカイダーのギルの笛とは、なんというおっさん…。
原作小説既刊分すべて既読です。以下、放送終了まで自重(笑)。(評価も保留)

→ 2016.11.03追記
5話で久美子がテレビで強豪校の演奏を観ているシーンですが、なんと画面からの光で久美子の服の色が微妙に変化しているのです。

予告映像で気づいたのですが、なんというこだわり映像なんでしょう…。
(アホやろ、京アニ…(笑))

→ 2016.10.14追記
第2回「とまどいフルート」においてみんなプールに行ってて水着なのは、原作に沿ったものです。京アニがわざわざそういう演出にしたのではないので、原作未読の方は勘違いなさらぬようお願いします。

なお、明日香先輩と香織先輩の水着が黒白色違いのお揃いというのも原作の記述通りです。

「わざわざ水着回を入れる必要などない」という意見がネット上で散見されたため、念ため。

→2017.1.7追記
ちなみにプールのシーンですが、原作では水着の部長もいました。部長の水着はあすか先輩、香織先輩とお揃いではありません(笑)。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 131
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

第2期も文句なしの良い作品でした!

原作未読。
高校の吹奏楽部を舞台にした『青春群像劇』の第2期。
第1期を未視聴に方は、必ず第1期を先にご視聴下さい。

【第1期~第2期を通しての感想】
この作品の一番の魅力は『リアルさ』だと思う。

京アニだけに作画がリアルなのは言うまでもない。特に背景や演奏シーンなどは圧巻だ。
それだけではなく、登場人物や物語も、物凄くリアルに描かれている。

【主人公の久美子】
彼女は、最近のアニメにありがちな万能型の主人公ではない。
彼女は(誤解を招くかもしれないが)、あくまでも『ストーリーテラー』にすぎない。
事件の核心に触れ、我々視聴者に伝えてはくれるが、事件の解決に直接的な役割を果たす訳ではない。
そのせいで、彼女が事件の解決現場にいなかった{netabare}『あすか問題の解決編』があっさりと片付けられてしまい、本作のファンの間でも物議をかもしたほどだった。(この件については、後述します){/netabare}
しかし、逆にこういうところが実にリアルである。

【夏紀(ポニテ)先輩と優子(デカリボン)先輩】
第1期から良い人全開だったポニテ先輩。
第1期は困ったちゃんだったが、第2期に入って良い人指数急上昇のデカリボン先輩。
この二人は、いつも何だかんだと言い合いをしながら・・・。
実にいいコンビだ。

【サファイアとカトちゃん】
第1期は見せ場もあった二人だが、第2期は作品全体を和ませる、重要な息抜きシーン要員。
あと、吹奏楽や作中の小道具について分かりやすく説明してくれる役割も、自然な形で果たしていた。

【終始圧巻の神回・第5話】
三日月の舞のフルバージョンは演奏が明らかに1期よりレベルアップ。
作画・演出も、新しいカットと1期&劇場版と同じカメラ割のカット(微妙に違うような気がするので、きっと新しく作り直したのではないかと?)を織り交ぜるなど京アニのこだわりを感じられた。
{netabare}
カトちゃん、めっちゃ良い娘。
何か言い合いしているポニテ先輩とデカリボン先輩。「ケンカするほど何とやら」本当に微笑ましい光景。
熱いあすか先輩。これでみんなが燃えないはずがない!
2期に入って良い人指数急上昇中のデカリボン先輩にも、見せ場があった良かった。

演奏中のみぞれが表情豊かに、動く!動く!

麗奈のトランペットソロとみぞれのオーボエソロの間が、私の涙腺崩壊ポイント。
楽しかった思い出たちが涙を誘う。

全国が決まった時の希美先輩の表情が絶品。
Cパート最後の久美子とみぞれの会話で、ここまでの流れを綺麗に総括。
{/netabare}

【多くの人が理解に苦しんだ第10話】
あすか問題の解決編。私も視聴直後の感想は『理解できない!』でした。
{netabare}あれ?こんな解決法で良かったの?
『あすかが全国模試で30位以内』
あのヒステリママがそんな事で許しちゃうの?
わざわざ学校にまで乗り込んできて大騒ぎした、あのヒステリママが・・・。

「しばらく部活を休んだ結果、全国模試で30位以内になりました」では「大学進学を考えたら、部活を辞めることが正解」という結論しか導き出せない。これではむしろヒステリママの思うつぼでは?
むしろ『部活をつづけた状態で全国模試30位以内→その結果を盾に部活を続ける』展開の方が理解しやすい。
(いや、これでは『あすか問題』自体が発生しないのか(笑))

久美子が泣きじゃくりながらあすかに本音をぶつけたシーン・・・。
非常にいいシーンだと思いました。だけど・・・。
そもそも、久美子や部員たちの本当の想いなんて、あすかは誰よりも良く知っているでしょ!
それに、あすかの心を変えるのが目的ではなかったよね?
あすかの母親の心を変えることが、あすかが全国大会に出場するための『条件』だったよね?
いつの間にか、「久美子があすかの間違った考え方を正す」みたいな感じになってしまっている。
「母親から強要されている」あすかが、「母親を説得して復帰する」流れが正解でしょ?{/netabare}

しかし、第1期から愛し続けたこの作品。
『最終話目前につまづいている場合ではない!』と一念発起し、自分なりに1週間必死に考えて、自分なりの結論を導き出してから11話を視聴しました。
以下は、私自身のモヤモヤ感、解消のためのレビューです。原作未読組の独りよがりな自己解釈です。御容赦下さい。m(__)m
そもそも悪いのは、あすかとあすかママの最終決戦が全く描かれなかったせいなので・・・。
あと、飛ばしてもらっても結構です。(^^;)独り言みたいなモノなので・・・。
{netabare}
あすか問題が明らかになるのは第2期7話。あすかの母親が職員室を訪れたことにより発覚する。
しかし、第1期13話の演奏前のあすかのセリフ。
「ずっとこのまま夏が続けばいいのに・・・」
からも推測されるように、かなり前からあすか母娘の間では議論されていたと思われる。そして、母娘の間では『夏までは部活を続けて、秋になれば部活を辞めて受験に専念する』的な約束が交わされていたものと想像される。

ところが、関西大会も勝ち抜いて、全国大会出場が決まってしまった。
副部長としての責任感もあっただろう。
あすか自身も認めるように『欲が出て』しまったせいもあるだろう。
あすかはズルズルと部活を続けてしまう。
恐らく、母娘の間ではその後も話し合いが持たれたであろう。
しかしあすかは「今、副部長の私が抜けることは出来ない」的なことを言って、退部を拒み続けたのではないだろうか?
このままでは「らちが明かない」と考えた母親がとった行動が、あの『学校訪問』ではなかったのではないだろうか?

あすかは、最後の一瞬まで母親の説得を諦めていなかったと思いたい。

初めは簡単にできると思っていた母親の説得が、思いのほかてこずってしまう。
初めは部員たちに「大丈夫!」と明るく振舞っていたあすかも、徐々に余裕を失っていく。
そして、万が一母親の説得に失敗した時のことを考えて、夏紀に後を託したのではないだろうか?
そして部員達には変な期待を持たせないように、復帰を諦めた風に振舞っていたのではないだろうか?

あすかが探し求めていたのは母親を説得するのに必要な『盾と剣』。
『盾』は全国模試。
しかし、『剣』が見つからない。『剣』とは母親に反論を許さない『言葉』。

そして第2期10話の久美子とあすかが対峙する場面。
何度も見返しているうちに、私にはこのように見えた。
  久美子=仮想・あすか
  あすか=仮想・あすかの母親
(さあ、私を言い負かせてみなさい!)
前半。久美子の言葉に対し、理路整然と言い負かすあすか。
ここまでの展開は、直前の、かおりと晴香があすかの説得をしていた場面にも重なる、全く同じ展開だ。
しかし・・・。
「あすか先輩と本番に出たい!私が出たいんです!」
泣きじゃくりながら発した久美子のこの一言から形勢が逆転する。
「子供じみてて何が悪いんですか!」
あすかの反論が止まる。

あすかが久美子の頭を撫でるシーン。
あすかの表情はうかがえないが、顔は紅潮し、口元は緩んでいるように見える。
ストレートに見れば『久美子の気持ちが嬉しい』表情なんだろう。
しかし私には『剣が見つかった!これで母親を説得できる』という表情にも見えた。
あすかが見つけた、久美子から教えられた『剣』とは『自分の本当の気持ち』
理路整然とした大人ぶった言葉ではなく、子供じみた、だけど、自分の心の奥底にしまい込んだ本当の気持ち。
それは『父に演奏を聴いてもらいたい』という気持ち。
このあすかの想いにだけは、さすがの母親も反論できないだろう。

「この前の模試のことで話があるって・・・」
葵の言葉に、その場を走り去るあすか。
あすかは「全国模試30位以内」という『盾』も手にする。

『盾と剣』を手に入れたあすかは母親の説得に成功し、吹奏楽部に復帰を果たす。
{/netabare}
しかし、疑問も一つ残る。それは、あすかの母親はなぜ『駅ビルコンサート』だけは参加を認めたのか?
いや、違う!{netabare}あすかは母親の許しを得て参加したんじゃない!
母親の目を盗んで参加したんだ!
仕事か何かで母親が不在なのをいいことに・・・。{/netabare}

以上、長々と勝手な自己解釈を書き込んでしまい失礼しました。m(__)m

【最後に】
後に『名作』として語り継がれるであろう作品を、リアルタイムで視聴していることに、毎回、喜びを感じていました。

本気の京アニの恐ろしさ。皆さんもぜひご堪能下さい。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 152

73.5 2 2016年度の小説原作アニメランキング2位
舟を編む(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (667)
2930人が棚に入れました
三浦しをんさんの小説「舟を編む」が原作。

玄武書房に勤める馬締光也(まじめ・みつや)が、辞書編集部で新しい辞書「大渡海」を編集することになる……というストーリー。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる学者、徐々に辞書に愛情を持ち始める“チャラ男”など個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、神谷浩史、坂本真綾、金尾哲夫、麦人、榊原良子、斎藤千和、日笠陽子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

色盲の人に色という概念を伝えるにはどう説明したらいいと思いますか?

原作は三浦しをんさんの同名小説。2013年には実写映画化もされたそうです。

辞書の編纂者として抜擢された、生真面目かつ※1エキセントリックな印象の馬締光也(苗字はまじめと読む。そのままじゃないか‥!)と、その同僚で、いかにも世渡り上手な軽~い印象の西岡正志、二人青年を中心に描くお仕事の物語の様です。

耳に心地良い言葉と言うのは簡潔な表現である事が多いもの。アニメとか映画を見ている時に、台詞を聞き逃したり、見逃したりする時、そんな場面には必ずと言って良いほど、独白や会話の中に耳慣れない表現や珍しい単語が含まれるものです。

複雑に入り組んだ言葉の連なりにはそれを口にする人の個性や心情が如実に表れ、時として人物描写をより精彩のあるものとして際立たせますが、一方で不明瞭な表現と取られてしまう可能性を多分に含んでおり、視聴者にとっては優しく無い表現とも言えます。比べるべくもありませんが、それよりもずっと酷いのは、簡潔に表現出来る事柄を難解な言葉で表現するという行為で、これは不合理この上無く、またひどく滑稽なものです。

辞書を編纂するという行為は上記の真逆。言葉の持つ本来の意味、精髄をいかに簡潔な言葉で短くまとめるかに重点が置かれた作業と言えます。

誰が読んでも理解出来る文章を作るというのは簡単な様で難しいもので、誰々だったらどう解釈するのかな?とか、子供だったらどう思うのかな?とか‥、出来得る限り他者との隔てを無くす必要があります。自身を他者に投影するのではなく、他者を自身に投影しなければなりません。独り善がりの表現は禁物なのです。

ブリキ男は過去に知人から「※2色盲の人に色という概念を伝えるにはどう説明したらいいと思う?」と質問された事がありますが、難しい質問だなぁと思った後、ちょっと想像力を働かせて、色盲の人になったつもりで考えてみる事にしました。すると自然と視点は変わり、色という概念を形状や濃淡などの視覚的な認識の一種として広義に解釈する事によって、どうにか説明に至る事が出来たのです。皆さんは"色"をどういう言葉で説明しますか?

作中にて馬締さんが"右"という言葉に与えた定義、これも同様で、"箸を持つ手"や"心臓の無い方"では不十分。左利きの人にも、心臓が右にある人にも、万人に分かる"右"で無くてはなりません。彼の"右"に与えた明瞭な表現、お見事でした。本編にてご確認下され。
{netabare}
馬締さんの"右"の定義、良く考えたら宇宙空間とか他の天体上(系外惑星とか自転していない星とか)では通用しませんでした(汗)壁掛け時計を正面から見据えた時の3時(左なら9時)の方向という言葉で端的に表せますが、エレガントではないですね‥まぁ宇宙で"右"の項引く人なんて皆無でしょうが‥(笑)
{/netabare}
2話の感想とあれこれ
{netabare}
「大渡海」編纂の志、とても崇高なものですが‥優れた辞書があっても言葉の海をすいすいと渡れるのはその辞書を持っている人に限る‥。値段張りそうだし‥。今ではオンライン辞書もかなり役立つし、こういう辞書手に取る人は限られるのかも‥。タウンページの配布とか毎年いらないから、5~6年に1回でもいいから、税金使って各家庭に一冊ずつ国語辞典の配布して欲しいとか思ったりしました。

ちなみに私が今良く使っている国語辞典は「明鏡国語辞典[携帯版]」。2003年出版の定価3000円のやつですが、今だったら中古で何と200~300円程度で手に入る! 古いからってあなどれない、中々のスグレモノなのでオススメです。常にネットにアクセス出来る環境をもっていないので、割と重宝しています。

本はあれこれ読んでいるけど人付き合いの下手な私は、馬締さんに他人とは思えない様な親近感を抱きました。見守っていきたいと思います。
{/netabare}
3話の感想
{netabare}
どんな男だって、夜ベランダで突然女性と出くわしたらびっくりするだろうと思いますが、朝玄関先で会ってもあからさまにたじろぐとは、馬締さん、どういう学園生活を送っていたのだろう? ちょっと気になりました。何というか、好きな子にばったりと出くわした時の高校生並みの反応‥。

作中で描かれた様な一目惚れを推奨する描写は、私的には手放しでは賛同はしかねます。周囲の人達も馬締さんの恋愛に関して全肯定で、当然の様に応援するし‥。なんかサザエさんとか、ちびまる子ちゃんとか、大衆向けアニメで描かれがちな本質の良く見えない恋愛観を見ている様でした。‥本をたくさん読んでいる人って、人の事を良く観察する癖が付いたり、懐疑的になったりする事が多いから、もうちょっとユニークな価値観を持っているのでは? とか思いました‥。

松本先生の辞書編纂に対する姿勢。恋愛も含め、視野を広く持つ必要があるという意見には納得‥でも終幕のテロップの恋についての説明が微妙‥。

「人を好きになり、いつまでもそばにいたいと思う気もち」

"いつまでもそばにいたい"って、相手の事がある程度分かってくればそうなると思いますけど、知り合ったばかりの片思いの段階では、話したり、顔を合わせるのが恐かったり、逃げ出したい気持ちになる事だってあると思います。大雑把過ぎる印象を受けました。

わたしが恋の項を書くとしたら「主に異性に対して抱く病的な好意、または独占欲。」とします‥が、こんな冷たい言葉で綴られたら恋という文字が可愛そうですね(汗)
{/netabare}
4話の感想
{netabare}
今回は西岡さんの有能さが発揮されるお話。この人もまた馬締さんに負けじと劣らず仕事熱心な人でした。「大渡海」編纂中止を阻止すべく奔走します。初回の印象からはとても想像出来ない機転と行動力を見せてくれました。適材適所とは正にこの事。誰かに出来ない事を誰かがやる。そうやって上手いこと歯車が噛み合う様に、人間関係が絡み合ったら世の中もっと円滑に回るのに‥。理想的なチームの一端を見た様でした。

でも西岡さんのやった様な会社の利益に関わる独断専行をしたら、現実ではどうなるのだろう? 私には分かりません。作中の人物の台詞にある様に「ただでは済まない」事になったりして‥。

続く馬締さんと香具矢さんのデートのシーン、偶然と、半ば強引に引き合わされた二人ですが、言葉の分かる異性と会話出来るって事は嬉しい事ですよね‥。二人を応援したくなる周りの大人たちの気持ちも何となく分かってきました。(大人の癖に何を今更‥)

そしてお約束の最後のテロップ、今回は「漸進」でした。

「漸進」の「漸」の文字は水の流れを切って徐々に導き通す事を意味し、そこから「だんだん」とか「次第に」という意味に変わっていったそうです。

作中では「立ち止まらず、少しずつ進む事」とありますが、前回の「恋」に続いてかなり淡白な表現という印象‥。導き通すという所が欠けていますが流れる水のイメージは感じられるので無難な解釈なのかも知れません‥。

言葉の意味を端的に表現する事は辞書編纂において重要な事だとは思いますが、要約が過ぎて本質から外れた意味を持たせると、言葉の精度が落ちてしまう気がします。かと言って複雑過ぎると編纂者の主観が強くなってしまう‥馬締さんの様に活字に耽溺した者のみが持つ微妙なバランス感覚が必要な様です。

「鏡の国のアリス」に登場するハンプティ・ダンプティは、言葉に給料を払えば、その言葉に好きな意味を持たせる事が出来ると豪語していますが、そんな話も少しだけ思い出してしまいました。

※:エンディングの語釈は「三省堂国語辞典」を参考にしている様です。シンプルな語釈で有名な辞書だそう‥。わたしは持ってません(笑)
{/netabare}
5話の感想
{netabare}
馬締さんの恋文は試金石の様なものかも知れませんね。受け入れてくれる人がいれば運命の人、そうでなければ縁が無かったという事‥。自分を偽ればいつか必ず綻びが生まれて後々大変な事にならないとも限りませんので、意外と相手の心を確かめる懸命なやり方なのかも(笑)

揺蕩う(たゆたう)‥ゆらゆらとゆれる。説明これだけでいいんでしょうか? これじゃあ"ゆらめく"と同じ気がします(汗)
{/netabare}
6話の感想
{netabare}
一目惚れに近い感じの馬締さんもそうですが、恋文なのか何なのか分からなかったのに、伝わってきた真剣さだけで「好きです」って言ってしまえる香具矢さんにもちょっと軽薄な印象を受けてしまいました‥。現実ではそうやって付き合い始める人も多いかも知れませんが、ちょっとこの物語にそぐわない恋愛の描き方だった様に思います。お互いの事をまだ良く知っているわけでも無いのに、決断が早過ぎて思慮深さに欠ける印象を受けました。

共振‥前回に続いて他の語に簡単に置き換えられてしまう語釈でがっかり。共鳴と置き換えても差異が全く無い表現でした。言葉を扱う物語なのだからこういう細かいところにも気を使って欲しい気がします。
{/netabare}
7話の感想
{netabare}
大渡海の執筆依頼を受けていた小田先生の原稿が届くお話。

小田先生、伝えられた執筆容量を無視している上に、馬締さんにダメ出しされまくり‥。この人、名声とかはあるのかもしれないけれど能力は甚だ疑問でした。それに人に土下座させて喜ぶ人の精神構造って、小中学生とかのいじめっ子並みに幼い気がします。要はどっちが偉いかという事を確認して喜ぶおばか思考‥。視野が狭い人の様です。

元々商売としての意義は見出せない大渡海編纂なんだから、権威は無くとも若い人の中から優秀な人材を探すべきだった気がしないでもないです。最初から足手まといにしかならないこんな人に頼まなきゃいいのに‥とか思ってしまいました。でも現実ではコネとかで物事が進む事は良くあるので、ある意味リアルな描写なのかも知れません‥。

馬締さんと西岡さんコンビの「西行」修正シーンは、この作品ならではの面白さを見出せて大満足でした。文字の海の中で戯れる二人の姿は素敵なおもちゃを与えられて喜ぶ子供の様でした。

「遍歴する人、流れ者」という拡大解釈を追記するに至った動機については、西岡さんの「この意味を載せれば心強く思う人がいる」という情に偏った意見に依存しますが、客観性をそれほど無視した選択ではないとも思われたので好感が持てました。

ただ今回の山場、西岡さんの小田先生へ向けた止めの一言「地球のコアより固く、マグマより熱い」という大仰な表現については蛇足気味で、あまり心に響きませんでした。こういう"してやったり"な展開自体わたしは好きではありませんが、最後の台詞がバトルものにありそうな大見得なのでさらに残念。人物や作風にそぐわない気がしました。
{/netabare}
8話の感想
{netabare}
馬締さんと香具矢さんいつの間にか結婚してる(笑)というのは置いといて。

終幕近くのシーン、辞書編集部に新しく入ってきた岸部さんの"右"の説明が1話の馬締さんのものと同じだった点には作為的なものを感じました。性別の違いも経験の違いもあるし、あれこれ違っても良かろうと思われました‥。違った説明を考えるのが面倒なのと、それに続く西岡さんの「君、辞書向いてるよ」という台詞を言わせたかっただけの様に邪推してしまいました‥。

お約束の終幕の語釈について、今回は"編む"でしたが、「文章・歌などを集めて本にまとめる」との事。編むには当然他の意味もあるので、いくつかある語釈の内の一つだとして、それでもかなり雑な印象を受けました。

先ず文章と歌という語が並列に扱われているのがおかしいのと、用例もそれに合わせて「辞書を-」となっている所に強引さがあります。

"など"と入っているので文章という語と用例の辞書からは離れて、歌と並べて記すなら"物語"とし(他に"思想"とかもあるけれど‥)、文章という語は完成品を指す語なので後に置くのが適切かと思われます。二つ例を挙げると‥

「物語、歌などを集めて本にまとめる。」

「物語、歌などを文章にして本にまとめる。」

となりました。まぁ、いつもながら要約し過ぎな気もしますけれど(汗)
{/netabare}
9話の感想
{netabare}
前回に続き製本までの流れを描くお話。

西岡さんのいたずらは端的に馬締さんの性格を伝えようとした試みかも知れませんが、ラブレターのコピーを無断で読ませるって結構ヒドイ気が‥。西岡さんだからしょうがないんですが(笑)

松本先生の"言葉を大事にする"の説明シーン、内容そのものはなるほどと思わせるものでしたが、先の恋文の話の続きとしてみると、流れが間逆の方向に進んでいる様で若干の違和感がありました。馬締さんは例の恋文の中で言葉を大事にしていたのだろうかと‥。

後半、あけぼの製紙の宮本さんが岸辺さんをデートに誘うお話と予期せぬトラブルのお話がありましたが、ドラマ部分はやはり、毎度の取って付けた感があり馴染めませんでした。後者については編纂作業にPCを導入していれば回避出来たかも知れない問題なので、辞書編集部の頭の固さに閉口(汗)作業効率も格段に上がるでしょうに何故そうしないんでしょう‥理由は不明。

文章について、専門書など特定の読者層を想定して編まれた本と違って、辞書やこのレビューの様に、不特定の読者に向けた文章というのは平易な文体を心掛ける事は元より、多くの人にストレス無く読んでもらえるよう、専門用語、難解な表現は極力避けて綴られねばなりません。かと言って平た過ぎる文章には面白みが無いし、情報の詰まった文章というのは面白いもの。やはりバランスが肝要‥。

万人に理解されうる文章にする為には語彙を限定せねばならず、そうすると必然的に表現の幅が狭まり、大まかな意味は伝わっても精密さの欠ける曖昧な文章となってしまいます。逆に馬締さんの恋文の様に知力を総動員して綴った文章では理解が困難になる可能性が生じます。

言葉は生き物と作中にありましたが、その生き物を使って生き物である人間に意志を伝えるという難しさ、今もまたひしひしと感じるブリキ男なのでした。
{/netabare}
10話の感想
{netabare}
大渡海に"血潮"が抜けていたので再チェックというお話。

これまでのお話で既に語られた、未だに用例カードの集積をデータベースとして利用しているという設定にも驚きましたが、今回の24万語の手作業によるチェック作業もかなりきつそうでした。作業量もさる事ながらヒューマンエラーによる問題が次々と出そう‥。時代設定が現代であるという事も相まってPCを利用せずに行う人員を動員しての力技にはやはり前時代的な印象がありました。

日本では辞書などの手書きデータの電子化は80年代あたりから着々と進んでおり、1985年三修社によって発売された日本最初のCD-ROMコンテンツ「最新科学技術用語辞典」を皮切りに、翌々年1987年には「広辞苑第三版CD-ROM版」が発売されていたとの事。当時富士通のワープロ専用機(価格が200万円位もしたらしい)のソフトとして利用可能だったそうです。

現場の事など何も知らないわたしとしては、上記の流れからすると電子化作業は現在ではとっくに完了している様にも思えてしまいますが、実際の所はどうなんでしょう? 近い未来に紙媒体の印刷物自体が無くなる事など、まずあり得ませんが、作業効率の向上や生産コストの削減という観点からすれば、電子化は必然の成り行きとも言えるので、今回の様な時代錯誤とも言える非効率なやり方にはどうしても疑問を抱いてしまいました。

終幕の語釈については特に思う所が無いので今回もはしょります。
{/netabare}
11話の感想
{netabare}
後半の松本先生の死、「大渡海」初版刊行のお話はエピローグ扱いと受け取り、私は前半の松本先生の家の縁側のシーン、延いては荒木さんと真締さんが駅のホームで言葉を交わすシーンをこの作品の終幕と受け止めました。

松本先生の話によれば、日本では辞書編纂に公金が使われた例は皆無との事、それゆえ権威付けや支配の道具として使われる事も無いという‥。以前私はこのレビューで"タウンページの代わりに辞書を配って欲しい"と考え無しに綴ってしまった事がありましたが、いつもながらに浅知恵でした。

日本では一般的な書に関しては、人権侵害や著作権の侵害による出版の差し止めを除き、検閲が禁止されているため、法制度上の発禁は原則として存在しないというのが建前だそうですが、菊タブーだの鶴タブーだのという、いくつかの言論の禁忌に当たるものも確かに存在し、それらを避けなければならない暗黙の了解もある様です。報道についてはその傾向が特に顕著だそうな‥。責任の所在はマスコミ自体にあるそうですが、暴力的なものも含め様々な圧力が掛かる中で公正な記事を書くというのも難しい事なのだと推察されます。

言葉によって綴られる文章の内容については言うまでもありませんが、言葉そのものにまでその様な規制が掛かってしまうと、さらに窮屈この上ない社会になってしまいそうですね‥。松本先生の懸念はもっともな事だと思いました。

「大渡海」出版を待たずして逝ってしまった松本先生でしたが、生前に自分の仕事を引き継いでくれる荒木さん、真締さん、西岡さんを始めとする何人もの人たちと出会えた事は幸運であったと思います。「循環する命の営みほど我々にとって励みになるものはありません。」と話した松本先生は、辞書作りには完成が無い事を誰よりも深く理解してました。世には辞書編纂に限らず様々な未完成品が存在しますが、個人の死により永遠に未完となるものもあれば、引き継がれ完成に至るものもあります。松本先生は引継ぎ先を、命のバトンを渡すべき相手を見つけ、心安らかに息を引き取っていった事でしょう。結果よりも過程に意味があると常々考える私はそう信じます。

人の命もまた、廃れ編み直される辞書の如きに死に生まれ行くもの‥。定まった目的に向かって進む事も時として大事ですが、毎日を悔いなく過ごす様に努める人生の方にこそ真に尊いものがあると改めて教えられたブリキ男なのでした。
{/netabare}

主人公の馬締さんの声を演じるのはサイコパスの槙島聖護役でも有名な櫻井孝宏さん。西岡さん役は、こちらも言わずと知れた人気者、神谷浩史さん。それにしても馬締さんど~りで堂に入った話し方をする訳で‥紙の本とはよほど相性の良い方の様です(笑)朗読とかドラマCDとかの語りが好きな方なら櫻井孝宏さんの淡々とした言葉運びを耳に心地良く感じる事でしょう。

起伏のあるドラマを期待出来る様な作品では無いと思いますが、台詞そのものと落ち着いた作風に魅力を感じました。目に楽しいねこさん作画、丁寧なお料理描写も相まって、最後まで飽きずに視聴する事が出来そうです。

最後まで観終えて、一足飛びで目まぐるしく進む展開には戸惑いを覚える事もありましたが、辞書編纂というお仕事の一端、それに掛ける人々の情熱、真摯さの伝わってくる素晴らしいドラマだったと思います。

アニメのキャラについつい敬称を付けたがるわたしですが、それも極々自然な事と今更ながら確認出来たアニメでもありました。松本朋佑というキャラに対しては"松本先生"と言う呼び方以外は考え付きませんでしたもの‥。本作の落ち着きのある作風を根幹から支える、自ずと敬意を抱きたくなる好人物でした。


※1:奇人、変人と訳される事もあるあまり有り難く無い言葉? 女性名詞"不思議ちゃん"もこれに含まれるらしい。

※2:知人は白と黒しか知覚出来ない全色盲を指していた様でした。

※:"舟を編む"と言う言葉、ちょっと不思議な響きですが、編む様にして作られる舟は実在します。私が知っている限りではアリュート・インディアンの作る伝統的な船"バイダルカ"がそれに当たります。無数のパーツを何本もの紐でしっかりと結わえ付けて作られる、剛性、柔軟性を備えたカヌーで、"バイダルカには間接がある"とまで称されています。

アニメとは全然関係ないけれど、ケネス・ブラウアー著「宇宙船とカヌー」に詳しい描写がありますので、ご興味が湧いた方は是非ご一読を。素晴らしい書です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 56

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「言葉は、言葉を紡ぐ人の心は、自由であるべきです。」

三浦しをんによる小説を原作とするアニメ。

実写映画も話題になりましたよね。
(まだ観ていないので、今度観ようと思っています。)

いやー、期待以上に良い作品でした。

最終話は涙が止まらなくて困りました(´;ω;`)

全11話です。


● ストーリー
玄武書房辞書編集部は、
新しい辞書『大渡海(だいとかい)』を作る計画に乗り出していた。

辞書編集部の西岡正志(にしおか まさし)は、
頼りない営業部の馬締光也(まじめ みつや)に出逢った。

彼は、言葉のいろんな意味を瞬時に、真面目に考える青年だった。

馬締を辞書編集部に迎え、
いよいよ辞書作りが本格的に始まった。


辞書を作る、なんて全然知らない世界だから、
新しく知ることばかりでとても引き込まれました^^

地味な作業が多いけれど、
出来事の描き方がうまくて、ドラマのよう。

とても根気のいる作業でもあり、
実際作中では13年以上の時が流れます。

季節が何度も移り変わり…
たくさんの人が関わって情熱を傾け…

そしてようやく1冊の辞書が完成するのです。

特に、『大渡海』の監修を行っている松本先生の生き様が、
私には一番印象深く残りました。


≪ 辞書 ≫

辞書というのは、
言葉の世界への招待状だと思います。

人と人とが分かり合おうとする限り、
この世に言葉は溢れ続ける。

人が自分の想いを伝えることをあきらめない限り、
この世に新たな言葉が生まれ続ける。

人々が言葉の海に溺れてしまわないよう、
陰から支えてくれるのが、辞書の役目。

自分の知らない言葉と出会える無限の可能性が、
そこには隠れているのですね。


愛用していた電子辞書が壊れてしまってからは、
私も紙の辞書を愛用しています。

本でも漫画でもそうだけど、
紙に触れるのが好きなのです(*´ω`*)

電子辞書だと、
調べたい言葉の意味の正解を探すことだけに集中してしまいますが、

紙の辞書だと、
すべての意味がすぐに目に飛び込んでくるから、わかりやすい。

そしてちょっと視線をずらすと、
すぐそばに違う言葉がたくさん並んでいて、
「こんな言葉もあるんだ。」という新しい発見もある。

この作品を観れば、
きっと辞書に触れたくなること間違いなしですよ^^


≪ 言葉 ≫

毎回タイトルには
ひとつの言葉がつけられています。

その意味は、EDのイントロで紹介されるのですが、
それが素敵…!

なんと話や登場人物の心情を的確に表現した言葉なのか…!としびれる!

するすると、ゆったりと流れていくストーリーも心地よいですが、

何より言葉に惹きつけられる。言葉に魅せられる。
言葉の魅力におぼれてしまいます。


● 音楽
【 OP「潮風」/ 岡崎体育 】

OPはアップテンポで楽しい気分になる曲ですね♪

どちらかというと静かである作品の雰囲気とは正反対な気もしますが、
まったく違和感はありません。

むしろ好きです^^


【 ED「I&I」/ Leola 】

こちらはしっとりとしたラブソング。

作品の雰囲気から考えると、
この曲はぴったり♪

歌詞は香具矢(かぐや)さんの気持ちなのかしら…と
思うと、よりうっとり(*´ω`)


● まとめ
辞書作りに情熱を注ぐ人たちのお話。

穏やかで優しくて、
激しくてアツくて、
しんどくて終わりがなくて、
沈んでも沈んでも底が見えなくて。

言葉の海の魅力に魅せられました。

とても好きな作品となりました^^

投稿 : 2024/06/15
♥ : 41
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

舟を漕ぐ

原作:三浦しをん(小説:光文社文庫)
監督:黒柳トシマサ
構成:佐藤卓哉
(監督代表作品:苺ましまろ[構成も担当]、好きっていいなよ。[構成も担当]、STEINS;GATE [浜崎氏と共同]少女たちは荒野を目指す、他)
(シリーズ構成代表作品:Fate/stay night他)
アニメ制作:ZEXCS
・主要キャスト
馬締光也cv櫻井孝宏(主人公)
西岡正志cv神谷浩史(主人公の同僚)
林香具矢cv坂本真綾(ヒロイン)
(以下省略)

原作既読。
映画鑑賞済。

【2話までの感想】
本作品の原作は数々の松本清張や赤川次郎など著名作家の名作を送り出した「光文社文庫」から出版されている小説です。
また「光文社」といえば鉄腕アトムや鉄人28号などの不朽の名作漫画を多数連載していた『月刊少年』(1969年廃刊)の出版元しても有名ですね。

この作品は、実写映画からアニメ化という珍しい逆パターンでもありますけど、原作を途中まで読んだ限り小説としては面白いのですが、アニメという媒体に馴染むのかどうかは正直疑問ですし、映画がヒットしたから逆もまた然りというものでもありません。
アニメの素材としては難しいかなというのが率直な印象です。

しかし、ラノベではありますけど『物語シリーズ』のように映像化困難とさえ言われた作品も、演出の工夫しだいで予期せぬ名作となる場合もありますので1クール観ないで決めつけることも出来ません。

文学、小説のアニメ化は文学の世界特有の文彩などのレトリックを表現する演出には、脚本構成と映像と音響(声優演技含む)の重層的なコミュニケーションが求められ、レトリックの多くを既に視覚的に処理されているゲームや漫画原作よりも遥かに脚本や演出の難易度が高いゆえに敬遠される傾向にあること。
また、文学作品は読者が文字情報として読み取ったレトリックを読者の経験や感性に応じ脳内でイメージを組み立てる(簡単に言えば空想ですけど)特性上、情報量の多いテレビドラマやアニメなどの映像メディアよりも解釈の自由度もより大きくなります。
よって、制作スタッフが解釈した作品イメージと個々の読者が解釈した作品イメージとの乖離もまた生じやすくこのことは、アニメ制作スタッフの解釈が少数派であれば原作破壊だのと厳しい批判を浴びるリスク増加の要因ともなります。
このような文学作品特有の事情は、リスクを恐れ演出上の冒険が抑制される原因でもあり、原作素材は良くても面白みに欠ける作品が多くなる原因かと思います。

反面、成功した化物語のように演出の壁に果敢に挑んだ例も相応にあります。
分かりやすい例ですとP.A.WORKS制作の『Another』では「叙述トリック」という文学特有の表現手法をアニメで再現するために、脚本上のミスリード誘導のみならずクレジットの声優名義を変えたり、キャラデザと声色をスッピンとメイクで使い分ける手の込んだ演出がされていますけど、反面、文学的レトリックとアニメの相性の悪さはどうしても演出にしわ寄せが行くことが理解できる作品でもあります。

さて、今回シリーズ構成担当の佐藤氏は監督としてのキャリアが多く前述のとおり多くの有名作品を世に送り出しています。
また、本作品監督の黒柳氏は佐藤氏監督作品で、本作品と同じZEXCS制作の『好きっていいなよ。』の制作スタッフとして参加しており制作連携には問題がないと思います。
さらにキャストは「物語シリーズ」を演じた声優さんという布陣です。
{netabare}辞書を編纂するという地味な群像劇{/netabare}をエンターテイメントに昇華させる舞台装置と役者は揃いました。
今後は、どこまで原作のエキスを醸しつつ、アニメとして表現し、かつ、視聴者の共感を引き込める内容かを視聴して確認して行きたいと思います。

【総評】
視聴をしていてタイトルの通りになりました。
小説を読むのが面倒臭い方々向けの作品です。

漫画原作なら未だしも、既に映画化もされており、小説原作でドキュメンタリーチックな内容を、アニメという媒体を用いるメリットはないですね。
原作の内容自体が地味ですし、特段、鳥肌が立つような大きなイベントが発生する訳でもなく起伏は殆どありません。
アニメ化に当たっては余程演出に拘りを出さないと退屈な作品となるサンプルです。
アニメ業界は原作不況ですけど、アニメに馴染む馴染まない程度は判断して製作企画を考慮するべきでしょうし、馴染まないものをアニメ化するに当たっては、物語シリーズ最初の『化物語』のように視聴者に観てもらう演出の工夫を追及するべきでしょう。
なお、物語の3は原作をアニメとして表現する工夫を怠った演出のマイナス評価を加味しています。
原作だけであれば4.5、映画の方は4評価に相当します。

しかしながら、豪華キャストですし、原作小説は優れていますので、アニメ作品トータルとしての評価は低くても、視聴をして損であるとまでは言えませんで、声優さんの演技や広辞苑級の辞書編纂プロセスに興味があるのであれば視聴をお勧めします。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 39

76.9 3 2016年度の小説原作アニメランキング3位
ジョーカー・ゲーム(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (988)
5013人が棚に入れました
世界大戦の火種がくすぶる昭和初期を舞台に、帝国陸軍の“スパイマスター”結城中佐によって設立されたスパイ養成部門「D機関」の活躍が描かれている。

声優・キャラクター
堀内賢雄、下野紘、木村良平、細谷佳正、森川智之、梶裕貴、福山潤、中井和哉、櫻井孝宏、津田健次郎、関智一
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

映像もストーリーもよく練られたスパイもの<原作読了、追記あり>

本作は繊細な描写が魅力で小説や洋画(特に古い名作)のような印象の、スパイを主人公としたミステリー作品。
何回も視聴して想像や考察をしながらじっくり楽しむのが吉です。

アニメよりも実写向きと感じるような作りですし、エピソードごと時系列を入れ替えていたり、メインキャラクターを意図して見分けがつきにくくデザインしているなど、アニメとしては尖ったところもあります。

エンターテイメント的なアニメを好む人や、キャラクターの掘り下げを望む人には向かないかもしれませんが、シリアスなアニメや他の媒体の作品も好む人には逆に入りやすいのではないでしょうか。

【ビジュアル面】
キャラクター原案は三輪士郎さんで、キャラクターデザインの矢萩利幸さんがアニメの方向性に合わせてより地味なイメージに落とし込んでいます。
ことD機関のスパイ8名は全員目立たないモブ顔を設定するという方法を取りました。アニメキャラクターは一目で見分けがつくべき、という考え方からすれば思い切っていますが、機関員8名はスパイとして目立たず活動する作品なのでこれで正解だったと思います。

作画は安定感と美しさでリアリティを追求している点が最大の特長。動きもデフォルメが少なめ、色彩も暗めなので若干泥臭いイメージにもなっていて、そういう部分が好きですね。
安定した作画でキャラクターの仕草や表情が細かく、緊張感やリアルな雰囲気が途切れなかったことが一番素晴らしい点だと思います。

背景もやはりリアルで美しく、地に足の着いた映像作りがされていて、世界観をよく表現していました。


【キャラクターと声優】 {netabare}
大御所がいっぱいでしたw演技に関しては本当に素晴らしかったの一言です。

結城中佐はほんの僅かに人間味を見せることが実は少なくなく、長いスパイ活動を経てもその人間性を捨て去っていない点がかえって恐ろしいと同時に素晴らしいキャラクター。
堀内賢雄さんは感情を見せない語り口、時折見せるかすかな人間性、変装時の演じ分けなど最初から最後まで、本当に素晴らしかったです。個人的に賢雄さんはシリアスキャラがすごく好きなので嬉しかったです。

ゲストキャラクターではヴォルフ大佐と、その声を当てた銀河万丈さんがとても印象深いです。若い頃との演じ分けも好きですし、判断力に優れた面、冷徹な印象や威圧感、結城中佐に対する一種の執着などその人間性がとても感じられました。
{/netabare}


【ストーリー面】 {netabare}
オムニバス形式 で各話独立した物語として展開、八人の機関員にそれぞれスポットが当たる構成です。
あえて時系列を入れ替え最初(1,2話)と最後(12話)にキャラクターの人間性を描くタイプのエピソードを配置。3話がいきなり荒唐無稽なストーリーなのは気になるものの、話数が進むほど視聴者を引き込む作りになっており、おかげで右肩上がりに面白くなったと感じました。

そして最終話がいつも通りに始まりいつも通りに終わる、というのが実に本作らしい。そういう終わり方になるだろうとは思っていましたし、私自身それを期待していました。
スパイたちの人生にも活動にも終わりはなく、視聴者はそのいくつかの出来事を覗き見しただけと思っていましたし、時系列の入れ替えのおかげでそれが自然だと感じられました。

ラストの結城中佐の台詞は第1話最初の台詞と同じで、これが格好良かった!全体のまとまりも感じられて良かったです。
佐久間さんに対しては「これまでの考え方を捨てろ」、小田切さんに対しては「ここでの経験を忘れるな」という意味もありそうですね。
原作からは改変されているそうですが、スタッフが最後までアニメとしてより良い作品を作ろうとしたと思えて、なんとも粋で、正直燃えました。そういうアニメじゃないけどこれw
{/netabare}

【本作の2つの柱】 {netabare}
本作を1クールで展開する上での柱だと私が感じたのは「スパイの生き様」「虚構」の2つです。しかもその2つの要素は密接にリンクして、綺麗に全12話で起承転結にまとめられていました。

まず1、2話で佐久間が初めて機関員(スパイ)の「虚構」を認識します。佐久間は視聴者目線に立つ存在でもあります。
そして機関員は優秀なスパイで、その存在は「虚構」であり、影となって状況をコントロールするという、その仕事ぶりでスパイを語るという構造なのですね。
3話~7話で機関員たちが主役でないのは当然のことです。スパイの生き様は色々ですが、諜報戦から降りざるを得なくなった者だけが「虚構」を捨て去り(あるいは剥がされ)、初めて物語の主役になるわけです。
そういう意味では、軍人であることを捨て去れない風機関の人間はそもそも諜報戦に参加することすらできませんでした。

結城中佐は上に立つ人間ですし身体的ハンデが特徴になるので影にはなれませんが、逆に掴まれている情報を餌に「虚構」を構築することで状況をコントロールし、アーロンを引退に追い込んでいます。結城中佐の過去話かとおもいきや、10話の主役はアーロンさんなんですよね。
11話は三好が真木という「虚構」を被ったまま人生に幕を下ろす物語でもあり、同時に結城中佐の「虚構」が危うく崩れかける物語でもありました。ニアミスしたのがヴォルフ大佐だったら、一切偽装していない結城中佐は実体をつかまれていたでしょう。
そして、最終話では自己を捨てきれない小田切を描くことで、相対的に視聴者に機関員の「虚構」を再認識させているのです。(キャストの役名が「飛崎弘行(小田切)」になってることに今になって気がつきました。細かい!)

もともと虚構であるアニメーションでは、いかにリアリティを持たせるかが大切です。
本作は映像からはリアリティを追求しているように感じますが、実際は「虚構」を描く作品でした。本作中でキャラクターの語る偽情報すら映像が付いていたのは、視聴者を引っ掛けるフェイクだったのでしょう。原作ファンを引っ掛ける改変もあったようで、そう言われると原作がさらに気になりますw

実写ドラマでも面白いかも知れないと最初は思いましたが、人の手でゼロから創り上げられる虚構(アニメ)だからこそ、本作は魅力的なのかも。
{/netabare}


【雑感】 {netabare}
感情移入が出来ないとのめり込めない私が全話面白く見られたのは、一見淡白に見えても、ストーリー(ミステリー)の中に人情噺のような側面を必ず入れていたからだと思います。
ストーリーを引っ張るのは機関員ですが、他のキャラクターはきちんと人物描写されていて、仕草や表情も見逃せなくて毎回画面に釘付けになってました。

それから自分としては意外だったのが、三好の死がめっちゃショックだったこと。
原作ファンの方の書き込みを目にする機会があって、視聴前から知っていたのにズシンと来ました…普通なら嫌いなタイプのキャラクターなのに…
なんというか三好が、というより「人間の死」というもののあっけなさ、迷いも後悔も心の中に一切無いスパイの死に様が重かったですね。ドラマチックな演出が一切ないからこそ辛かったです…

考える頭脳があるのに日本軍人として生きると決意している佐久間、スパイとして秘密を保って死んだ三好、暗い時代に孤独と苦難の道を歩む機関員たち、それとはまた違う厳しい道を選択した小田切、誰にも見せない苦悩を抱えているであろう結城中佐。
キャラに感情移入するアニメじゃないのに私が嵌ったのは、彼らに想像の余地を残してくれているからです。
本作で何を見て何を考えるかは視聴者に委ねられています。そこがとても好きですね。
{/netabare}

本当にスタッフに恵まれた作品でした。
本作を見ているとわからないことも沢山ありましたが、本作の公式サイトには時系列表やコラム等があり、理解の助けになりました。かなり内容が充実していて頭が下がります。

振り返ると無駄な話はひとつもなかったと思いますし、繰り返し視聴するのが楽しい作品です。
こういう新作が定期的に出てくれると個人的にはとても嬉しいですね。(2016,6,27)


本日原作を読了しました。
キャリアのある作家さんだけあって読みやすく情報量も多く、描く要素も一貫していてとても面白かったです。時系列は原作もばらばらで、アニメだけではなかったんですねw
アニメ版が気に入った方には是非読んでみて欲しいです。

原作のひとつの特徴として、小説というビジュアルのない媒体だからこそ出来る登場人物の「無名性」があります。{netabare}登場するスパイ達は偽名しか付けられていませんし、スパイが主役となる物語は最後にその人物の"スパイとしての死"が示唆されることが殆どです。{/netabare}
アニメ版に私が感じた「虚構」は原作から引き継がれた重要な要素だったのですね。

アニメーションではビジュアルが絶対に必要ですから、やり方を間違えると本作の魅力を大きく損なう難しい要素だったんだなと読んでみて思いました。機関員のキャラクターデザインはとても良いバランスだったと思います。

物語としても、キャラクター数や情報量を減らしながらも物語の筋はきちんと通り、そのために原作を分解・再構築することを恐れないよく練られた作品でした。

動画配信サイトが再放送など行ってくれていることもあり、良い評価を受けているようで一ファンとしてとても嬉しく思います。
(2016.7.8追記)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 51

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ラストのセリフに痺れる

昭和初期の東京、横浜、
そして上海、倫敦で繰り広げられる、
歴史の闇に埋もれたスパイミステリー。

帝国陸軍内に創設されたD機関の暗躍。
歴史の舵取りはどこが握るのか!?
心の拠り所さえ、裏切り捨て去る、
それがスパイなのである。

スタイリッシュな映像美で魅せる、
美術や背景を見てるだけでも痺れる。
淫靡で雑多な上海や当時の伊勢丹、
ダットサン(初期の車)が最高ですね。
物語は結城中佐を軸に語られるオムニバス形式。
お勧めは「魔都」「ダブルジョーカー」です。

世界大戦の火種がくすぶる、
あの時代に興味のある方にぜひお勧め。
テーマや設定が重過ぎるように感じますが、
キャラも良く、音楽もセリフも粋な物語です。
各国の諜報機関も雰囲気持っていますね。
原作の評判も良いのでは試してみては。

最終話「XX」、
最後の結城中佐のセリフに痺れる。
見事な幕引である。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 63

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

趣の異なった『主人公最強系』?

原作未読。

ジャンルはスパイ&ミステリー系かな?
日本が世界大戦に参戦する直前頃、結城中佐の発案で作られたD機関と呼ばれるスパイ養成学校の8人の訓練生たちが活躍する話。

今まであまり見なかったジャンルなので、楽しさ半分、好奇心半分くらいで視聴開始。

まず、作画の綺麗さにビックリ。

OP、ED曲とも作品のイメージにぴったり。

登場人物の姿形に特徴が少ないため、誰が誰だか見分けにくいけど、表情が豊かな部分は高評価。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 59

67.6 4 2016年度の小説原作アニメランキング4位
ハルチカ ~ハルタとチカは青春する~(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (709)
3236人が棚に入れました
青春にはいつも、解き明かせないたくさんの謎が溢れてる!

「原作シリーズ累計55万部突破」初野晴の大人気・吹奏楽青春ミステリ<ハルチカ>シリーズ、待望のTVアニメ化!
原作はシリーズ累計55万部を突破した大人気・吹奏楽青春ミステリ<ハルチカ>シリーズ。廃部寸前の弱小吹奏楽部で、吹奏楽の甲子園と呼ばれる"普門館"を目指す、幼なじみ同士のチカとハルタ。
部員集めに翻弄する日々と、仲間たちと交わす友情、そして次々に現れる謎(ミステリ)。チカとハルタの奏でる音楽がいま、遠く高らかに鳴り響く!

声優・キャラクター
ブリドカットセーラ恵美、斉藤壮馬、花江夏樹、山下誠一郎、千菅春香、島﨑信長、瀬戸麻沙美、岡本信彦、山田悠希
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

スカートの下の白いひらひらって何?知っている人がいたら教えて!

気になって気になってアニメどころではありません。
ってことはないですけど。テヘ!

P.A.さん制作だから、作画がクリアーです。
しかし、瞳の描き方がくどい。
七色の瞳なんてちょっと気持ち悪いですね。

「ハルチカ」って言うくらいだから、ハルタとチカが主人公。
アニメ内容は後述することとして、チカの性格がピカイチ。
一言でいうと、人を惹きつける性格。
初対面でもフレンドリー、情にもろくて一本気。
穢れない心で飛び込んで来るので、あっという間に友達です。
この子の性格、好きだなあ。
是非知り合いになりたいです。

ちなみにハルタは推理探偵ポジションでややBLがかっています。
それも手伝って、男女が絡む学園ものでは珍しく恋愛は皆無です。

作品は、学園推理ものin吹奏楽部の様相。
もしかして、京アニの2作品を混ぜている?
ここは、混ぜるな危険!とだけ言っておきます。

以下は私的なことなので閉じます。

{netabare}舞台は静岡県市清水区。
清水にはあまり思い入れはないけど、静岡文化会館にはドッキリ。
ここで入学式や卒業式があったり、コンサートのバイトをしたり。
あっそうそうロビーこんなんだったっけとか、会館前の雰囲気が懐かしいじゃんとか。
入学式の時、会館3階から眺める桜があでやかなことあでやかなこと。
それもこれも約30年前のお話、青春時代を思い出し嬉しくなりました。
この他、静岡の街は私にとって思い出がいっぱい。
もっと、私の大好きな静岡舞台のアニメが観たいですね。{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 41
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ユーフォ以下の吹奏楽部を舞台に氷菓以下の謎解きをする。しかし、だからといって、つまらないアニメではないと思ふ。(レビュー最後に算数アリw)

【櫻子さんの足元には死体が埋まっている】【GOSICK】などが好きな方は合うかもしれません♪

どんなアニメかと問われれば、レビュータイトル通りです(笑)

《以下ネタバレ》
{netabare}
第1話
「響けユーフォニアム」系かと思ったら、「氷菓」系? てか、黒板の音符、「さよならドビュッシー(中山七里さんのミステリー小説)」まんまやん^_^; いきなり、普門館を目指す、って言っても、吹奏楽の知識が0の方にも通じるのかな? 個人的には、小見川さんの出る作品にほとんど外れなしなので、楽しみです♪

全話、視聴終了。

個人的に、P.A.WORKSさんは、京アニさんと双璧を成す、否、むしろ一番好きな制作会社さんですが、これは京アニさんに軍配ですね。(無彩限と比べると、辛勝かもw)

まず最初に思ったのは、「これ、吹奏楽部でやる必要あるか?」です。まあ、終盤に思い出したように吹奏楽をやってましたが(でも、県大会の描写くらい欲しかった)。

私の母校は吹部が強く(全国レベルで)、その吹部の友達から聞いた話ですが、

吹部あるある~♪
{netabare}
・練習の半分は(言い過ぎだけど)ミーティング(笑)
・楽器に名前をつける人がいる(主に外人名)。
・下手な運動部よりも体育会系な挨拶、礼儀。
・午前午後ぶっとうされる練習。
・編成によっては、希望しない楽器をやらなくてはいけない、葛藤。そしてそれを「違う楽器をやることで幅が広がる」と諭されること。
・オーディションのガチ感と、その後の人間関係の難しさ。
・はたから見るとユリすら感じる、同パートの先輩への敬愛(か、憎悪か恐怖)。
・顧問の影響力が異常にでかい。
・男子に発言権がない(カッコいい男子はすくないし、居たら居たで抜けがけできない)。
・楽器運搬がきつく、意外に腕力がある(この時だけ、男子がチヤホヤされる)。
{/netabare}
などです。「響けユーフォ」では、この辺を結構うまく押さえてた印象ですが、「ハルチカ」では、ほとんどなかったですね。

ミステリーと割りきっても、吹奏楽である必要はほぼなかったし。どうせなら(パクりですが)第1話の音符みたいに、音楽関連のミステリーが観たかったです。それに、謎解きも、あまりにもヒントが少なく、視聴者が考える間もなくハルタが謎をバンバン解いていくので、ミステリーの醍醐味である「謎解き→答え合わせの快感(や、一本とられた感)」がなかったです。草壁先生の謎解きスキルにいたっては、もう教師なんか辞めてFBIにでも就職したら? と思いました(笑)

んじゃ、キャラや、ラブコメか? と思っても、(悪くはないけど)秀でたものはなし。唯一、チカはウザイイ味w出してましたけど。もちろん、背景や楽器など、絵はきれいですね。
{/netabare}
さて、なんだかんだ酷評してますが、これはあくまで、「響けユーフォニアム」「氷菓」という名作が頭にあるから、ですかね。もし、上記の2作品を視聴していなかったとしたら……普通に、平均以上に楽しめる作品だと思うんです。私自身、少なくとも途中で切ろうとは思いませんでした。

あにこれでレビューを書く方は、かなりアニメ観てる方が多いから、(自分を含め)どうしても他作品と比べ、相対的に評価を下げるのはしょうがないけどね(^.^)

と、いうことで、作品単体としては、普通にそこそこ楽しいアニメですから、時間があるなら視聴をオススメしますよ♪

一番の好評価としては、OPが、大好きな「河合荘」を思わせる素敵なものだったことかな! {netabare}あと、花巻に来てくれたことかな、駅前だけだけど(笑){/netabare}

【蛇足】
第4話の500円玉の金額が気になったので、計算してみよう! 少なく見積もっての、概算だか。(私は文学部だったので、計算ミスがあったら指摘してほしい♪)
{netabare}
草壁先生の身長を180㎝とすると、画面上、縦に約4人分(720㎝)、横に約6人分(1080㎝)入るから、500円玉の全体の面積は777,600平方㎝。500円玉の面積は、5.5平方㎝(wiki調べ)。単純に割ると(円と四角形だから単純に割れないけど)、141,382枚の500円玉があることになるから、一面当たりの金額は70,691,000円。それが、登場人物(靴あり)の足首以上まで積まれている描写があるので、地上からの高さを10㎝とすると、500円玉の高さが1.8㎜(0.18㎝)だから、55枚重なっていることになる。ただ、隙間もあるだろうから、50枚にしよう。

結果、3,534,550,000円(約35億3455万円)。になりました。

計算、合ってるかな?(小学生レベルの公式しか使っていないから、馬鹿がバレたw)

ぱっと見、数億円かな? と思ったけど、意外と多かった(笑) ただまあ、完全に(相続税の)脱税ですから、税務署に追徴課税とられた後、(遺言に500円玉の表記がないので)親族で新たに取り分を決めるのかな? すると、甥っ子はさほど貰えないんじゃ? それとも、「家の一部」という解釈になるのかな? わかんないや。

誰か、法律か骨肉の争いに詳しい方、計算してみて下さい(笑){/netabare}

ちょっと、「空想科学読本」感を出してみました(笑)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 38
ネタバレ

伝説のししとう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

視聴者皆チカちゃん状態

今季の大本命。
某アニメと比較しないレビューにしたいと思います。

視聴前は、謎解き:吹奏楽=1:1だと思っていたので、こんなにミステリー要素の強い作品だとは思いませんでした。
ただそのストーリーが面白いかと言われると、残念ながらそうでもなかったです。
一番の問題は、ハルタが超人すぎることでしょう。とても高校生とは思えない知識量で、難事件をズバズバと解決していきます。視聴者に推理する余地を与えず、そのハルタの推理も??と思うところも多く、強引なところがありました。
謎についても、吹奏楽とはなんの関係もない謎が多すぎます。{netabare}ベトナム戦争だとか、学生運動だとか…学校内に絞ってほしかったです。{/netabare}まあでもそれがハルチカの特徴だと思うから、合わなかったってだけかな。

{netabare}最終話では銅賞で悔しがっているシーンがあり、チカちゃんに関しては涙を流していましたが、吹奏楽の描写がほとんどない以上、あまり感情移入できるものではありませんでした。マレンが部長だというオチは良かったと思います。{/netabare}
やはり謎解きか、吹奏楽か、一つに絞るべきでしょう。

まあP.A.だから期待しすぎたというのもあります。良くも悪くも、TARI×2の橋本監督らしいアニメでしたかね。評価はもう少し厳しくつけてもよかったのですが、チカちゃんが可愛かったのでこの評価とします(まあえるたそには遠く及ばないけれども)。
{netabare}ハルタのホモ設定については、ハルタとチカちゃんの間に恋愛が発生しないようにするためらしいので、不問とします。{/netabare}

作画はP.A.にしては悪い方だったでしょう。
良かったのはOPですね。今季ナンバーワンです。fhanaさんの高音が気持ちいい。

実写化するんですね…これといい氷菓といい…なんでそんなに実写化をしたがるのか、理解できませんね。
橋本環奈がチカちゃんって……笑うしかない。

二期来たら視聴しますが、P.A.が二期を作ったことは一度もないので、おそらく来ないでしょうね。
P.A.の次作はロボット物なんだよな〜正直期待できない。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 52

70.8 5 2016年度の小説原作アニメランキング5位
アルスラーン戦記 風塵乱舞(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (513)
2733人が棚に入れました
聖マヌエル城での戦いから一ヶ月。パルスでは未だ終わりの見えない戦乱が続いていた。ルシタニアの侵攻によって生じたパルス国内の隙を突き、ペシャワール城砦に攻め込む遊牧国家トゥラーンの軍勢。パルスの兵たちは懸命に持ちこたえているものの、圧倒的な数の敵を前に、もはやその命は風前の灯。しかしそのとき、一迅の黒い風が戦場を駆け抜け、トゥラーン兵たちを次々と切り伏せる。続いて響く、涼やかで力強い「ヤシャスィーン!」の声。アルスラーンとその仲間たちが、帰ってきたのだ。

声優・キャラクター
小林裕介、細谷佳正、浪川大輔、花江夏樹、KENN、坂本真綾、沼倉愛美、羽多野渉、内山夕実、梶裕貴、稲田徹、玄田哲章、斉藤壮馬、日野聡、茅野愛衣、櫻井孝宏、津田健次郎

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

えっ!もう終わり

原作未読 全8話

荒川弘版の漫画を原作としたアルスラーン戦記の続きです。1期から見ることをオススメします。

またまたアルスラーンに過酷なことが待っていました。

今回はどちらかといえばアルスラーンの参謀であるナルサスがメインでしたね。

敵と比べると役者が違う感じがしました。

次回に繋ぐ準備運動みたいな感じでしたね。

凄く良いところで終わりました。(早く続きが見たいです!)

OP 藍井エイルさん、EDはKalafinaさんが歌っています。どちらも良い曲ですが、藍井エイルさんの体調不良で活動を一時休止されるとのことで早く良くなることを祈っています。

最後に、1クールの残り4話で七つの大罪のオリジナルエピソードがあるみたいですね。この枠の次クールは鉄血のオルフェンズなので、来年是非どちらも続きを2クールは行ってくださいと切に願いしますw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

まぁ、全8話なので覚悟はしていましたが…

この作品は、アルスラーン戦記の続編に位置する作品です。物語に繋がりがあるので、前期を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

王都エクバターナを奪還するため、着々と力を付けてきたアルスラーン一行…
その破竹の勢いは増すばかりです。

ですが、その一方で不穏な空気の密度と混沌さも増してきたように思います。
牢に閉じ込められているアンドラゴラス…自らを正統なパルス国王であると主張を続ける銀仮面…

力を付けているのはアルスラーンだけではなく、黙って囚われ続けているアンドラゴラスではありません。
この作品ではずっと燻っていたこれらが一気に爆発して動き出す様が描かれています。

きっとそれぞれ自分の本分があるのだと思います。
それでもやはりアルスラーンに肩入れしながら視聴する事しかできませんでした。
優しさ溢れる判断には甘さがあるかもしれない…けれど、それは真っ当に立ち直る機会を与えてくれているから…

今のアルスラーン達には司法がありません。ですが、相手の事を深く考え裁量する姿を目の当たりにすると良い国王になるとしか思えませんし、そんなアルスラーンの人格だからみんながついてくるのだと思います。

アルスラーンの周りには。騎士以外に色んな人がいます。
身分や職業に拘ることなく分け隔て無いのも、彼の魅力に拍車をかけています。
しまいにはとんでも無い人までアルスラーンを訪ねにいくのですが、これは本編でのお楽しみ…
アルスラーンの人となりによるモノなのですが…個人的にはこういう展開は大好物です^^

一方、どうしても解せない事もあります。
物語の中でアルスラーンはアンドラゴラスから勅命を受けるのですが…何故あんな仕打ちの様な勅命を出さなければならなかったのでしょう…
エクバタール奪還に向け、アルスラーンの貢献度は決して小さくはありません。
それなのに…
その真意は今回も結局分からず終いでした。

王族の内紛でもめているのは、パルスだけではありません。
もめているのはルシタニアも一緒でした。

でも…人の欲って、何故こうも際限が無いのだろう…
そりゃ「無い」より「有る」方が良いものってたくさんありません。
けれど、ここで実際に争っているのは一般の人より遥かに良い暮らしをしていて、富も権力も十分過ぎるくらい持った人たちばかり…
きっと使え切れないくらいの富と権力を持っているにも関わらず、それでも欲しがってしまうのは何故なんでしょう…
人は富と権力を持てば持つほど卑しくなっていく生き物なんでしょうか…
こんな中だからこそ、アルスラーンの気高さが眩しく見えるのかもしれません。

オープニングテーマは、藍井エイルさんの「翼」
エンディングテーマは、Kalafinaさんの「blaze」
オープニングとエンディングとも平成の歌姫なんて何と贅沢なんでしょう…
もちろん、どちらの曲も文句なしに恰好良いです。
唯一気になるのは藍井エイルさんの体調でしょうか…
調子が良くないとの事でしたが…早く快方に向かう事を祈念しています。

全8話の作品でした。この変則話数を聴いた時から覚悟はしていましたが、
これから物語は最高潮を迎える…の直前で終わってしまうのは、やはり残念でなりません。
三つ巴の真っ向対決…無茶苦茶続きが気になって仕方ないです。
それに個人的にはエトワールの今後が気になります。
続編の制作…楽しみにしています。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 21

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

できれば早めに続きが観たいです

昨年の夏まで放送されていたアルスラーン戦記の2期。
前作は2クール作品でしたが今作は僅か8話で終了。ついこの前に始まったばかりという感覚のうちに最終回となりました。内容的には、当然ながら前作の続きから始まって、最後もまだまだこれからが楽しみというところで終わります。言ってみれば長い物語の途中から途中までの一部分なわけで、この2期の部分だけの感想を書くというのもなかなか難しいのですが、基本的な雰囲気は1期と変わっていないので、前作が好きだった人なら問題なく楽しめるのではないでしょうか。
キャラは、アルスラーン王子が物語最初のころに比べて、かなり「ひ弱さ」が薄れてきた印象。原作を読んでいないので「少年はやがて王となる」というお馴染みのナレーションが2期終了の時点よりどれくらい先のことなのかわかりませんが、王子の能力や人徳的にはもうすぐにでも立派な王になれそうな風格が感じられました。その他のキャラでは、個人的にはアルフリードが結構好きなキャラでした。(沼倉愛美の声が好みなのかも)
作画は、合戦シーンにもう少し迫力が欲しい気もしましたが、まあ許容範囲かなといった印象。音楽も悪くなかったです。
わざわざたった8話で2期を作っておいて、3期なしで中途半端に終わるとは思えないので、多分続きををやってくれるだろうと楽観はしていますが、できればあまり長く間を置かないで続きが観たいです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 20

57.5 6 2016年度の小説原作アニメランキング6位
バッテリー(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★☆☆ 3.0 (331)
1376人が棚に入れました
「原田巧」はピッチャーとして抜群の野球センスをもつ少年。
中学入学を期に移り住んだ山あいの街、新田市で、巧は自分の全力投球を受け止められるキャッチャー、「永倉豪」と出会う。
新田東中学校の野球部に入部した二人は、部員同士の軋轢や、教師たち大人の事情に翻弄され、時には互いに衝突しながら、ピッチャーとキャッチャー、二人一組の「バッテリー」として成長していく。

声優・キャラクター
内山昂輝、畠中祐、小野友樹、木村良平、梅原裕一郎、村瀬歩、石川界人、森嶋秀太、郷田ほづみ、斉藤壮馬、石井マーク、宝亀克寿、生田善子、西村知道、藤巻勇威、乃神亜衣子

木村天祐 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

作画声優はいいが、中身が残念野球アニメ

まずはじめに、酷かったですね。作画声優がいいのに、物語が残念なアニメでした。

何が面白くてこの作品を作ったのかわからないです。

主人公が中学生1年で他県から引っ越してきたんですが、それだけで結構複雑な環境なんです。
元々ガチの野球少年で才能があり努力もしてる子なんですが、親の都合で田舎に引っ越さなきゃならなくなったんです。主人公の相棒になるやつは、主人公の実力をいたく気にいる野球少年なんですが、医者の息子で親から期待されてたりします。また、主人公の実力が気に入らない先輩とかもいるんですね。
当然登場人物たちに主人公は翻弄されます。翻弄されるとは書いていますが、翻弄されている感はありません。淡白です。

本来作品は、良いことと悪いことが混ざって、視聴者はそれに一喜一憂するものなんですがそれがないです。
まず野球で勝つ描写はありません。何を言ってるのかわからないと思いますが、後で調べましたが、どうも野球は設定に過ぎず、心理描写が話の中心だったらしい作品なのです。要するに野球アニメじゃありません(←衝撃の事実)。

原作は未読なのでどういう作品だったのか全くわかりませんでした。とにかく主人公が嫌な目に遭う作品としか言えないと思います。あえて良いところを言うなら、リアルでしたね。親の都合で引っ越すとか、相棒の親の都合とか、野球部のイジメとか。

作画声優がいいだけに、なんでこの作品を作ったのか私をイライラさせてくれましたよ。そこは他作品にないところでしたね。最後に、「野球」、やってほしかったですね。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 1

ヤマザキ さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.7

小さなウソの積み重ねが大きな違和感に(「違和感&鼻につく傲慢感」を改題)

H28.9.24追記

つまんねぇつまんねぇと思いながら、責任を持って最後まで観終えましたよ。自分の責任感に思わず「自分で自分を褒めてあげたくなりました」(by有森裕子)。初回から最終回まで一貫して、さらには隅々までつまらないアニメでした。登場人物の誰一人にも共感できない、さらには設定そのものにすら違和感を感じました。

中学野球を題材にしたお話です。本来なら現実味にあふれる話になるはずです。なのに、違和感ありあり。途中からありえない設定を腹立たしくさえ感じるようになりました。もちろん、アニメはファンタジーでもあります。中には当然とんでもない設定からスタートするアニメもあります。でも、そうしたファンタジーよりもずっとトンデモ設定になってしまったように感じました。
その原因をいろいろと考えてみたのですが、それは小さな設定のウソや間違いが積み重なった結果だろうと思います。

例えば、

・登場する中学生が全て妙に大人ぶっていて、全然中学生感がないのはどうしたこと?
・中学校の野球部が監督等学校関係者を介さないで試合をするなんてありえないでしょ。それじゃただの果たし合いでしょ?
・普通中学3年生はせいぜい夏休みには引退するでしょ。卒業後の春休みに非公式の練習試合にユニフォームを着て、しかも背番号をつけて参加なんて普通ありえない。
・新田東中は秋から冬までの間、まったく練習試合をしないの?その間、このバッテリーはなにしてるの?
・途中のリンチシーン。あれはないでしょ?普段一緒に部活をやっている先輩なんだもの、声を聞けば誰だかわかりますよね?
・校長先生、お爺ちゃんに握手を求める前に普通は自分のこと、どこの誰なんだか名乗るでしょ?礼儀知らずだなぁ、校長先生のくせに。

などなど・・・。

おいおいおい、原作者か脚本家かしらないけれど、ちゃんと調べようよ。こうした微妙なずれの積み重なりが、この物語を変に現実味のない話にしてしまったような気がします。

物語のバランスも悪いですね。特に後半、横手二中の門脇と瑞垣が出て来てから、主役が変わっちゃったのかよ?状態。瑞垣が意味不明かつやたらと遠回しの理屈をペラペラしゃべり通して、それで門脇が怒って・・・、の繰り返し。おいおい、そもそも瑞垣と門脇はバッテリーじゃないんでしょうよ。主役の2人は、「バッテリー」のタイトルは、いったいどこへ行った?

瑞垣の屁理屈にも共感できないし、原田のこだわりにも共感できない。2人とも歪みすぎている。その歪みに歪んだ2人、デザインも似通っていて髪の毛の色くらいしか差異がない。もっとも、ペラペラしゃべるのが瑞垣で、圧倒的に言葉が足らないのが原田っていう違いはあるにはあるけれど・・・。

ついでに言えば原田のピッチャーとしてのすごさもわからなかったな。最後の方はコントロールも乱していたし。それをまた永倉が救うわけでもなく、バッテリーとしてなにも機能しないまま話が終わってしまった。原田の頭髪問題もけっきょくうやむやになって立ち消えしたしなぁ。伏線の回収なんて、いっさいしてないじゃん、というか、最初から回収する気あったの?

とにかくいろいろが穴だらけで観ていて困惑するしかない作品でした。こんなアニメをつくるんだったらそのうち3回分を、最後駆け足で終わってしまった「僕だけがいない街」に回してくれたら良かったのに、と心からそう思います。

最後にもう一つ怒りの一撃。

おい、瑞垣っ!「姫さん」言うのやめろっ、気持ち悪いっ!


===

H28.9.3追記

いや~、これはつまんないわ!ビックリするほどつまんないわ!未だかつてこんなにつまらないアニメがあったろうか?・・・いや、ない(反語)。

「いやいや、それは普通ありえないでしょ?」という微妙なところで現実離れしたストーリー。「えっ、その対応なに?」って思わせてばかりの共感できない性格のキャラクター群。作画も特別きれいなわけではなく、また、キャラデザもイマイチで、なかなか顔と名前が一致しない。

それでも原作は有名な作品だし、何かいいところないかと思ってここまで観てきたけれど、原作に沿っているはずのストーリーも含めて本当に何一ついいところを読み取れないアニメになっております。ここで視聴を断念するのが精神衛生上よろしいのかもしれませんが、ここまで来たら最後まで観て、その上で評価を下したいという、半ば意地というか反骨精神というか、そういったものが今の私を支えております。

・・・ああ、最後まで低評価のコメントをガマンできなかった。アタシってミ・ジュ・ク・・・←誰?。

===

原作未読です。

他のコメントにも書いてありますが、我が家には中学1年生の娘がいます。この春までランドセルを背負って小学校まで通っていました。話をしてみるとすぐ露呈しますが、まだまだガキです(たまにマセたことを言って「おおっ」って思いますが)。

で、確かこのアニメの主人公たちも中1ですよね。ほんの数日前までランドセル背負って小学校に行っていたんですよね。掃除の時間になるとホウキとぞうきんで野球をやっちゃう世代ですよね?道ばたに落ちているエ○本とかに心ときめいちゃう、そういう世代ですよね?(・・・偏見?)

ん~~~、大人っぽすぎません?彼ら。

なんかね、高校生か大学生くらいの感じがしちゃうんですよ。会話の落ち着き具合とか、中身とかも。

さらに言うと、主人公の傲慢さがすごく気になります。「すごいピッチャーだ」とは言われていますが、まだ試合はおろか、野球部の練習にも参加していないんですよね。せいぜいキャッチボールくらいしか彼の実力がわからない。そういう裏付けするものがないものだから、なんか「口だけ野郎」みたいな印象が、今の私の中で渦巻いております。

いい意味で裏切られることを期待して、もう少し視聴を続けてみます。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 26

ZORRRO さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

よっしゃ!これからや!→終わり

野球やってた子供の頃に小説が流行りましたが、
流行りに興味がなかったのでスルーしてました。

なので原作全く知りませんので比べようはないですけど、
何が始まるんかなあ(ワクワク)→まだかなあ(ワクワク)→そろそろかなあ(ワクワク)→終了
ぶっちゃけ何が起こったのかわかりませんでしたが、
野球アニメというより、人間・友情関係を描いています。
思春期なので難しい年頃ですが、イキリ主人公注意アニメなのでなおさら難しいです。


野球(スポーツ)モノといえばやはり、青春!目標!団結!恋愛!みたいなのが普通な流れですが、
そういった作品では全くないというのをわかった上で視聴してください。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 4

63.2 7 2016年度の小説原作アニメランキング7位
チア男子!!(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (187)
798人が棚に入れました
人を応援することで主役になれる、世界で唯一のスポーツがある。
チアリーディングに青春をかける、ちょっとワケアリだけど、キュートな男子大学生たちの物語、それが『チア男子!!』。
柔道でザセツした坂東晴希は、幼馴染の橋本一馬に誘われて、前代未聞の男子チアリーディングチーム「BREAKERS」を結成する。
集まってきたのは、理屈っぽい溝口、大食いのトン、お調子者の関西人・弦とイチロー、そしてチア経験者の美青年・翔という個性は揃い。
"壊したい”何かをもつ男たちの、新たなる挑戦が始まる...!"

声優・キャラクター
米内佑希、岡本信彦、小野友樹、杉田智和、林勇、桑野晃輔、小西克幸、安元洋貴、山谷祥生、畠中祐、村瀬歩、沢城千春、勝杏里、広瀬裕也、木島隆一、文曄星、木村隼人、弓原健史

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「Go! Fight! Win! Let's Go BREAKERS!!」

この作品の原作は未読です。男子だけのチアリーディングってダイナミックで恰好良いと思います。
ですがチームの華…という視点で見ると、どうしても女子から一歩見劣りしてしまう…
視聴前はそんな微妙な立ち位置であるこの作品を視聴するか迷いましたが、視聴を重ねるうちにハマってしまった作品です。

この物語の主人公は坂東 晴希…柔道一家で育った彼はこれまで柔道一直線で進んできましたが、どうしても勝ち進む事ができないうち、肩を壊してしまいました。
そんな時に幼馴染である橋本 一馬から男子だけのチアリーディングチームを作ろうと誘われ、物語が動いていきます。

柔道一家に生まれ、物心付いた時にはもう胴着を着て柔道をしていた…
これが柔道ではなく、楽器やスポーツでも同じ…所謂幼いころからの英才教育…
確かに小さい頃の方が物事の吸収力も高く、雑念も少なく、ただ親の言われた通りにノルマをこなしていく…

この英才教育が推奨できるかと問われると、正直良く分からないです…
少し前までは良い事とばかり思っていました。
自分の子供を絶対に一流のプロに育てるんだ…という明確な意志がある場合は別ですけれど、大概は親として子供の自信に繋がる一芸を身に付ければ将来何らかの役に立つ…と思って先行投資するんです。

でも人間って勝手な生き物で、先行投資をすればするほど見返りが欲しくなり、結果的に子供に過度な期待を背負わせる事になるんですよね…
一方、子供の方だって小さい頃は訳が分からずやってきて、親とベクトルが合っていればそのまま突っ走るだけですが、少しずつ成長して周りが見える様になったら、それよりもっとやりたい事ができるかもしれないんです。

だから柔道一家に生まれたから絶対に柔道の道に進まなければいけない、という事は決して無いと思います。ですが、これまでの規定路線から外れようとする事には悠木と膨大なパワーが必要になると思いますけれど…
だからこそ、晴希の勇気には賛同できましたし、素直に応援したいと思えるようになりました。

でも男子だけのチアリーディングって、見ている分には恰好良いと思いますが、実際にやるのは相当ハードルが高いように思いますし、何よりメンバーが集まるか、という不安もありました。
それに初期メンバーは素人ばかりでバック転はおろか倒立すらできないところからの出発なんです。
前途多難過ぎのスタートを切る訳ですが、物語の進展に伴いいつの間にかできるようになっていました。

私も小学生くらいの時にバック転をチャレンジした事がありますが、当時決してスポーツ音痴ではありませんけれど相当練習した記憶があります。
体格もこれまでのスポーツ経験もバラバラ…そんなメンバーが一斉に出来る様にはけっしてならないと思います。
陰で一生懸命練習していたのかもしれませんが、逆にそういう努力するシーンは皆無ではありませんでしたけれど、決して多くは無かったと思います。
そういう泥臭い部分って個人的には大切だと思っているので、団体競技における厳しさという視点にもう少し厚みがあっても良いと思いました。

それと、視聴前に華が無い…と思っていましたが、それは間違いでした。
BREAKERSのコーチは女性ですし、晴希の姉の晴子だって登場します。
それに女子チアリーディング部の酒井 千裕ちゃんというなかなか可愛い子も登場します。
まぁ、彼女にはオチがありましたけれど…

目標は全国チアリーディング選手権のファイナル出場…
寄せ集めで創立して未だ1年しか経っていないBREAKERS…
それに生きていれば、チア以外にも問題が出てくるのは至極当然…
そんな決して恵まれない状況の中で、彼らがどこまでの高みを目指せるのか、そしてチアリーヂングの意味とは…
気になる方は是非本編でご確認下さい。
完走して振り返ってみると熱い作品だったと思います。

オープニングテーマは、ラックライフさんの「初めの一歩」
エンディングテーマは、BREAKERSの「LIMIT BREAKERS」

1クール計12話の作品でした。作品のタイトルだけでは伝わらない要素をたくさん含んだ作品だったのではないでしょうか。
原作も全1巻で完結しているようなので、終わり方も悪くなかったと思います。
総じて楽しめた作品でした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 11
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

バク転とか、一回やってみたいよね(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
基本的には女子向けかもしれませんが、BLではありません。男子チアリーディングをテーマにした、青春群像劇、スポーツもの。一番近いのは、「ウォーターボーイズ」かな。

原作は小説。「桐島、部活やめるってよ」で有名な朝井リョウさんの第2作目。

OP、スゲェ好きです。「メロディ」「歌詞」「映像」が、ここまで気持ちよく噛み合うのもそうないので、マジでOPだけでも観てほしい。

アニメの内容知らなくても、絶対に楽しめるし、アニメも観てみようという気になる、良OPですよ♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
スポ根は好きです。だから、本作のような作風も好きです。

ただ、、、大学のサークルで、オール初心者。マイナーな男子チア。という状況の中で、カズ以外のメンバーが、なぜにここまで高いモチベーションを保っていけるのかが、腑に落ちなかった。

まあ、メガネとハルは、立ち上げから丁寧に描かれたので、多少は理解できる。トンが自分を変えたいというのも、まあなんとなく。ショウは経験者だからOK。イチローとゲンは、、、なんだろうな。

大学という自由な環境の中で、あそこまで生真面目に、全力で、物事に打ち込めるものなのかな? ウチらは体育会系の剣道部で、みんな高校までゴリゴリにやってきて、本気で全学(インカレ)に向かっていた集団だったけど、それでもあそこまでモチベーション高く練習に励んではいなかった(大学の部活で、高校よりストイックなのて、かなり一部だと思います)。

なんか、みんな真っ直ぐで気持ち良い奴ばかりで、若干気持ち悪い(苦笑)  むしろ、後期加入メンバーの方が、しっくりきたかな~。

これが男子高校生とかなら、あの汗臭さもストンと腑に落ちるんだけど、大学生なら、「風が強く吹いている」みたいなノリの方がしっくりきます。せっかく大学生なんだから、もっと酒を呑んでほしかった。それが、大学生設定の良さなのに。

だから、クリスマスパーティーみたいなノリは好きだった。ヒサシは、面倒くさい奴だった(笑)。

アニメ全体をみると、やや淡白な展開が続く。キャラ数が膨大なだけに、そこを深めた結果、ストーリーが薄くなったイメージ。

やっぱり、作画が問題かな。

チアリーディングというド派手、しかも男子の躍動感を描くにしては、動きが少なく、集団競技なのに、数人のカットや顔のアップなどが多く、全体の動きを魅せるカットはかなり少ない(あったとしてもカメラ引きすぎ)。

これに関しては予算と制作体制上、仕方がないのだろうけど、せめて最終回だけは、大人数の迫力ある演技を、フルで見たかったかな。競技の魅力は、言葉やストーリーではなく、動きで魅せるべきでしょ、アニメーションなのだから。

そこだけ不満だったので、☆を1つ下げたしたが、後は、悪くないアニメでした。実写化されましたが、確実に、アニメより実写の方が似合う作風でしたね。

ちなみにバク転は、挑戦したこともないです。高校、大学の頃なら、練習すれば出来たかもだけど、現役だから怪我したくなくて、剣道以外の運動は極力しないようにしてたし、今はもう、絶対に無理な自信があります(笑){/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
作画はなかなか綺麗だな。早稲田? まあ、原作者、早稲田だしな。部? サークルだよな。ポカリそのまんま? スポンサーかな?

2話目 ☆3
まあみんな、自分には「他の可能性がある」って思いがち、だが、基本的に、1つの競技を続ける方が良い。肩痛いのに、倒立?

3話目 ☆3
この、男だらけの銭湯シーンが、ギャグなしで入るから、誤解を抱かれるだろうね。この、可愛い系の男子とか。いくら芝生でも、マットなしはな~。

4話目 ☆3
皆がやたらにチアに向けて前向きなのが、ちょい気持ち悪いというか、出来すぎというか。

5話目 ☆4
まさかのトン彼女宣言から、EDの演技の流れは良かった。

6話目 ☆3
ここで、ショウのトラウマ。まあ、よくある流れというか、王道ですな。

7話目 ☆3
ヒサシ、こういうキャラは必要だよな。ストイックだな~。一生懸命な奴だけに、扱いが難しい。まあ、正論はいつも正しいけど、いつも正論を言うことが正しいとは限らないしね。

8話目 ☆3
ヒサシはな~。「真面目は長所だけど、クソ真面目は短所」なんだよな。ぬるま湯だとブロッコリーはおいしくゆで上がらないて、やたら上手いこと言うよな。陽明大に落ちて、早稲田? 大学チアで、男女混合で関東で強いのって、帝京か日体くらいだけど、早稲田受かるなら落ちるわけないし。モデルはないのかな? ヒサシのブロッコリーは、声優さんも良かったな。

9話目 ☆3
カズの家族。痴ほう症はきついよな。精神的にくる。

10話目 ☆3
あそこで怒鳴るのは素敵だったな。ショウにはお似合いだね。

11話目 ☆3
これは予想外の展開だな(笑) 良い展開だけど、怪我のリスクあるから、柔道やるのはどうだろう? チアの大会後なら、素敵なんだけど。

12話目 ☆

{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 12

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春王道部活アニメ、としては期待以上の出来

☆物語&感想☆

昨今所謂女性向けアニメが増加の一歩をたどる傾向にありますけど、
本作もなんとなくそっち系かな~くらいに思いつつ、取り敢えず観てみましたけど...
スイマセン、極めて真っ当な小説原作の青春王道部活アニメで、1クール作品ということを考えると、
なかなかうまく纏められていて、正直期待以上でした。。

男子チアリーディング、という世間ではまだあまり認知されてない競技を扱っており、
これは早稲田大学のチアリーディング部がモデルになってるようですが、
今後の競技の発展にも寄与するきっかけにもなるかも!?という意味では、
似たようなアニメが多いなか、アニメ化する意義は大いにあったんじゃないでしょうか。

物語の展開としては、王道中の王道で、特に目新しいことはないですが、
(男子チアリーディング自体への新鮮さはある)
この手の作品は最終目標に向かっていく過程を如何に丁寧に、起伏を付けて描けるか、がカギ。
その意味では1クールの尺で登場人物殆どにスポットを当てて、しっかりエピソードに絡んでおり、
笑いあり泣きあり、恋愛要素も少々、清々しい青春模様が堪能できる夏らしい作品になっていると思います。

惜しむらくは、総集編を挟まず最終話を2話くらい掛けて、他の部の演技なども描けていればもっと良かったんですがね。

☆声優☆

若手とベテラン人気声優がバランスよくキャスティング。
似たような声があまり被らないように、関西弁や中国人とか、
その辺りでも違いを作ろうという工夫は見て取れました。
そんななか、杉田氏はやっぱり存在感ありますね笑

☆キャラ☆

各キャラそれぞれの思い、悩み、抱えているものがきちんと描かれており、
それぞれが成長していく様が分かり易くて、良かったと思います。
中国人のキャラだけは微妙な気もしますが。。

☆作画☆

とにかく男ばかり出てくるので、似たようなキャラを避けるように、
バラエティに富むデザインになっていたと思います。

しかしながら、作画力という点ではもう少し頑張って欲しかったかな。
特に最終話のチアリーディングの場面はもっと躍動感溢れる作画で、
尺的にももう少し取って欲しかったかなとは思います。

☆音楽☆

OPのさわやかな曲調と歌詞が作品を象徴しており、これは良い選曲ですね。
作中のBGMは所々で80年代を思わせるような音使いで、これまた爽やか&清々しくて印象的でした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

58.0 8 2016年度の小説原作アニメランキング8位
霊剣山 星屑たちの宴(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (157)
822人が棚に入れました
落下した彗星によってもたらされる運命の子を選ぶために、長い歴史をもつ霊剣派一族は門下の入門試験を再開することに。そして、その試験に挑もうとする少年が主人公の王陸です。

試験が難題であるほど、奇抜な戦術や機転が利く洞察力を発揮して簡単に解いてしまう王陸の痛快さが高い支持を集めている物語は、シリアスとギャグがほどよいバランスで散りばめられています。

声優・キャラクター
代永翼、山口由里子、西田雅一、小林大紀、松田健一郎、江口菜子
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

【第1クール感想】三重苦の中国原作アニメ化作品

中国原作のwebコミックは未読。

外国の人気コンテンツが海洋を越え島国に乗り込む困難性を、
我々はこれまで幾度となく体験していますがw
本作もその苦しさを痛感するアニメ化作品でした。

本作がトンチを交えた古風な作りが、時代の壁を越える。
加えて中国の古典ネタや陰陽五行説を絡めたストーリーを日本人に伝える。
双子の困難性を抱えていると、私は一話感想にて吐露しました。

さらに視聴し続けると、
独自のネット文化圏であり、ネトゲ大国でもある中国のノリ。
という第三の困難性が露呈されて来ました。

ログイン、スキル獲得、イベントクリアといった、
ネットゲームの要素が、中国人独自の間合いで差し込まれますが、
それらで日本人の笑いのツボを突く翻訳力は、
残念ながら本作にはなかったようですw

さらには酔拳の如き独特のリズムで繰り出される下ネタw
おや……いつの間にか苦しみが四重にw


とまぁ、いち日本人にとっては崖をよじ登るが如き、
難行苦行を強いられた昇仙修行でしたがw
アニメから得られた物、心に残った物の多さに関しては、
個人的に豊作だった2016冬アニメの中でも、実は上位に位置します。

特に修行について。体系化された従来の霊剣派の修行カリキュラムとは違う
独自のアプローチで主人公の天才的な素質の開花を試みる。
その先に大局的な見地から末法の到来も意識しつつ、
昇仙の王道を模索していく……。
そこには医食同源な肉体形成、気脈を意識した強化法など、
中国5000年の積み重ねが感じられ、大変興味深く視聴させて頂きました。


修行ばっかりでつまらんwという感想もごもっともw
……ただ、幼少期より往年のジャンプ原作アニメ何かを観て来た私としては、
1クールほぼ丸々、修行に費やしてしまう、
本作の構成はどこか懐かしくもありました。

“三話切り”“一話切り”が横行する、
とかく早急な現世利益を求める本作の新興宗教の如き深夜アニメよりも、
夕方やニチアサタイム、或いはNHK教育の日中友好ナントカ記念なんかで、
まったりと長期放送した方が良かったのかもしれません。

……ただ、それだと今度はいらん下ネタがネックにwう~~む……(苦笑)


それでも私としては、何故か決まった二期目も是非、仙山に挑み続けたい作品。
二期目の霊剣山が待っている末法のクールに備えて、
独特な中華ギャグの応酬で凍り付かないように、
尊氏もせいぜい受け身の鍛錬に励みたいと思いますw



【1話感想】日本の末法思想からこの中国原作アニメの見所を探ってみる。

某動画サイトでいきなり酷評が炸裂したので救済の意味も込めてw

長くなるので折りたたみw

{netabare}
はっきり言って、低評価もやむなしだと思いますw
これを面白いと思える人というのは、
国語の漢文の授業で、矛盾や五十歩百歩などの故事成語の元ネタを読んで、
楽しいと思える感性の持ち主くらいw
恐らく日本人が10人見れば9人つまらないと答えるでしょうw

トンチの要素もあるので『一休さん』がイケる方はギリギリ挑戦できると思いますw
でも『一休さん』を楽しめるのは日本人としての文化教養の土台があり、
そこにトンチが乗るから反応できるのであって、
いきなり五行思想絡めて来られたら相当厳しいものがありますw
例えて言うならレ点を付けなきゃ解読できない『一休さん』って感じw
豊作の今期に敢えて、異国の仙山に昇る荒行を選ぶ必要もないとも感じますw

それでも引き続き仙人の道へ挑まんとする同士の存在を信じて、
敢えて個人的な注目点を語ると……。
私は本作の「末法思想」というワードに時めいています。

お釈迦様の教えが正しく伝わり、正しい修行と悟りが行われる時代(正法)
外見だけ教えをなぞって、中身のない修行が行われ悟れない時代(像法)
それを過ぎると教えが失われ、世が乱れる暗黒時代(末法)が訪れる……。

この末法思想は日本でも特に十一世紀に大流行。
この年が末法元年!とマヤやノストラダムスの如き大予言まで飛び出し、
人々はすがりつくように寺社の建立に走りました。

なぜこんな思想がはびこったかというと、
武士が跋扈する平安末期の社会不安だけでなく、
実際に教えを広める組織が、うわべだけのまやかし。
との人々の暗黙の了解、不信感があったと思われます。

実際、末法思想が流行った頃の僧共は、利権でずぶずぶだしw
そのくせお布施しない庶民には冷たいしw
女人禁制の山を指定して女は救われないとかのたまい、やな感じだしw
要求断ると僧兵が神輿担いで都に突入してくるしw

本作の仙人がいる世界における末法前夜の状況も恐らく類似した状況なのでしょう。
恐ろしく体系化され権威化し、多くの人が無批判に畏怖する仙人の組織、試練。
けれど教えの本質からはズレている。
そこを主人公がトンチをぶつけ暴いていく。
そんな展開を勝手に期待して見ています。

私としては今後も主人公に親鸞や日蓮といった、
日本の旧仏教をぶち壊して新時代を切り開いた、
“破戒僧"たちの姿も重ね合わせながら視聴を継続したいと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 28
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

タイトルなし、というタイトルにしたい

[文量→小盛り・内容→酷評系]

【総括】
中国のweb小説・漫画が原作のアニメ。内容的には、古代の中国や朝鮮半島の文化を下敷きにした世界観で、12歳の少年が試練を突破し、仙人を目指す話になるのかな?

【視聴断念(3話まで)】
{netabare}
どこがどう悪いとか、もっとこうして欲しかったとか、も、具体的には思い付けないレベルでした。レビュータイトルすら、思い付けませんでした(苦笑)

とりあえず、1話目視聴。

なんか、色々浅いかな? 宿屋で「お客さん、賢いねぇ」って、賢いか? 大根のくだりとかも、どっかで何回もみたな~という流れ。

3話で断念。はじめは水滸伝みたいなのを期待してたんだけど、ただの(つまらない)ギャグアニメなのかな?
{/netabare}

【余談 ~2期製作の背景~】
{netabare}
このアニメ、2期まで作られるということで、自分の評価とは違って人気あったんだな~と思ってたんだけど、Wikipediaを読んだところ、「東洋経済によると、テンセントコンピュータシステム(中国企業)が制作費の8-9割を単独で出資しており、製作当初から、日本で作られ、日本で放映された日本クオリティのアニメとして中国に逆輸入するという「使命」があったという。テンセントコンピュータシステムは、凱撒(カイザー)と二次利用に関するライセンスを1億元(約16億円)で供与しており、1期の出資も早い段階で回収されたため、二期制作が決定した」とあるので、なんだそういうことかと納得。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 14

Yuyu さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

中国系厨二病アニメ

中華の中学生が考えた中二病物語みたいな感じです

まず、フックや伏線がない。山なし落ちなし意味なしです
後、お国柄か知りませんが下ネタの言い回しがきっつい

何かを知りたいって気持がまったく起きない。ずっと中二病設定を喋っていた印象しかない

1クールかけて中二病設定をナレーションや登場人物から解説として延延と聞かされ、物語のほうも主人公は特にこれといった苦労もなく特別な素質を持ってたからそれなりに強くなりました。終わり

もうスートーリーっていうストーリーがないから中二病がきっつい日常形アニメのような、糞アニメです

投稿 : 2024/06/15
♥ : 4
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