漫画原作で革命なTVアニメ動画ランキング 7

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の漫画原作で革命な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月23日の時点で一番の漫画原作で革命なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

83.4 1 漫画原作で革命なアニメランキング1位
アカメが斬る!(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2057)
11328人が棚に入れました
帝都の悪を斬る非情の殺し屋集団ナイトレイド。
その一員である黒髪赤目の少女アカメ。彼らと出会った少年タツミは、ナイトレイドの一員として、帝都の悪に立ち向かうことを決意する……。 「つよきす」「真剣で私に恋しなさい!」などの大ヒットゲームクリエイター・タカヒロによるダークアクションファンタジー!!

声優・キャラクター
雨宮天、斉藤壮馬、田村ゆかり、浅川悠、能登麻美子、松岡禎丞、小西克幸、水野理紗、明坂聡美、花澤香菜、細谷佳正、大橋彩香、成田剣、竹本英史、間島淳司、中田譲治、生天目仁美、勝杏里、名塚佳織、浅沼晋太郎、木村良平
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルなし

帝都の悪人に私刑を行う暗殺集団ナイトレイド

1話目から、主人公タツミの友人が、{netabare}拷問され死亡{/netabare}というショッキングな展開でしたが、帝都ってホント無法地帯です。。。

アカメって1週間フレンズの藤宮さんの中の人だったんですね^^
声が全然違っていたので、気づかなかったです。

■第9話
{netabare}
エスデス陣営が主人公ちっくな立ち位置に
なりましたね~

あけこファンにとっては満足な内容です^^

そしてアカメは今回も斬らない(笑)
{/netabare}

■第10話
{netabare}
エスデスが正ヒロインでよくね?みたいな回でした^^
あけこさん、いい役げとですね~♪
{/netabare}

■第17話
{netabare}
今回よかったぁ
いままで育てたキャラを豪快に!
チェルシーにはもっと活躍してほしかったけど
いい引き際だったかも?!
{/netabare}

■第24話
{netabare}
途中から原作と異なるアニメオリジナル!
このエンドはいいですね!
最後はエスデスも。。。

良いキャラたちをここまで豪快に退場させていったのは
圧巻でした。とても面白かったですね^^
{/netabare}

投稿 : 2024/05/18
♥ : 107
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

『アカメガ斬る!』の主人公はアカメ?

コメディとバトルの緩急が効いていて、面白い作品でした。

{netabare}敵だけではなく味方も次々と殺されていく斬新なストーリー。

それにしても、最終回直前に【ネタバレ要注意!】{netabare}【重度のネタバレです!未視聴の方は見ない方が良いですよ!】{netabare}ここまでの物語の主人公だったタツミが死んじゃう{/netabare}{/netabare}とは驚きでした!
{/netabare}
斬新だ・・・。斬新すぎる・・・。

作品の性質上、軽めのグロが含まれますが、さほど恐れる程ではないかと・・・。

そういえば、終盤、アニメが原作を追い越してしまい、アニメのエンディングと原作のエンディングが微妙に違うらしい・・・。
いろいろな意味で斬新だ・・・。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 70

ゆりなさま さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あっという間の涙の2クール

もともと個人的に特に期待してなかった作品で
友達に結構おもしろいから観てみなよ〜
って言われて観始めました。

そしたらびっくり!
なにこれ!おもしろいじゃん!って期待してなかった分
火がつきましたヾ(●´□`●)ノ

腐った国を治すために作られた反乱軍の殺し屋の
お話なのでバトルシーンははっきりとグロく描かれてます。
血とか死体とか大量なので苦手な人注意です。
笑えるシーンもあります。純粋に笑えておもしろかった。
ストーリーもテンポ良かったと思います。

ただ、すごく私は涙でました。辛かった。
好きなキャラや後に好きになったキャラ、
そうでないキャラも
どんどん死んでいきます。
ただ簡単に死ぬのではないので楽しかった思い出の回想シーンとか一緒に流れて
すごく悲しい場面がたくさんありました><。

終盤はこのキャラ死亡フラグー!!なんてわかっちゃう様に思考が
慣れてしまいましたが
毎回の様にうるうるしてました。

ただまさかこのキャラも死んじゃうとは・・ってちょっと予想してなかった
キャラがいました。

最終回はとても悲しかったです。
あの頃はみんなで楽しかったなって勝手に回想しました。
結論。悲しいお話だけど作品自体はすごくおもしろかったです。
キャラ達に拍手!そんな風に思いました。


読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∪`*)ノ"

投稿 : 2024/05/18
♥ : 97

88.7 2 漫画原作で革命なアニメランキング2位
進撃の巨人 Season3 Part.2(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★★ 4.1 (700)
3463人が棚に入れました
人類が永きに亘って壁の中に隠してきた、大いなる秘密――。 その真実に一歩近づいた調査兵団だったが、時の王政により反逆者の汚名を着せられてしまう。 しかし、人類はただ飼われるだけの家畜ではなかった。 真実を追い求めるエルヴィン・スミスの執念は兵団のトップを動かし、遂に現体制に対するク ーデターが勃発する。民衆を欺き続けた偽りの王は退き、真の王家の血を引くヒストリア・レ イスが即位。自ら巨人を討ち果たした勇敢な女王のもと、人類は新たな時代を迎えようとして いた。 エレン・イェーガーが得た硬質化の能力と、そこから誕生した対巨人兵器。 着々と反抗の準備を進める人類は、悲願のウォール・マリア奪還作戦を決行する。 人類と巨人、互いの生き残りを賭けた究極の戦い。 その先にエレンは、人類は、はたして何を手にするのだろうか?

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、小林ゆう、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、橋詰知久、朴璐美、小野大輔、神谷浩史、子安武人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

俺たちの進撃よ お帰りなさいませ!

この絶望と高揚

つくづくこの作品は極限下の人間描写が素晴らしい。

進撃の巨人3期Part2は全10話。継続No.ですのでクレジットは#50~#59ということになります。極めて濃厚あっという間の10話でした。今クール(2019年春期)ひいては今年上半期の最優良物件と感じる自分はこうも思ってます。


 “途中で断念したみんな!戻っておいでよ!”


1期#01~#25、2期#26~#37、3期Part1#38~#49、そしてPart2とこれまで間隔を空けながらも足掛け5年は続いている長編物語は未だ道半ばにあります。
Finalと銘打たれたシリーズが2020年放送予定とのことでクール数不明ながらクレジット#70を超える大作として幕を下ろすのでしょう。

本作の良さはこれだけ長く続いているのに物語の整合性が保たれているところにあります。
私は原作組でもありますが、アニオリ入れても本筋から逸れることがない。その本筋は一本の線で筋が通っている。ブレがありません。
1期で提示されたのは未知なる巨人の圧倒的な力に抗う人類の意思でした。2期で巨人は見えない恐怖から見える恐怖に変わり、3期ではPart1&2を通じてこの世界の仕組みに踏み込んでいきます。
2期あたりから、外形的な巨人の恐怖が変わったことを面白くないとみる層が一定数いたのも事実でした。あまりこういうことは言わないのですがもったいないことをしてると思われます。出戻ってここまで辿りつけば報われる3期Part2と言えましょう。

やや説明的な3期Part1を踊り場にして、3期Part2では1期さながらの対巨人バトルが復活。これまでの物語の積み重ねによって闘う意味に極めて重たい理由が課せられた上での死闘が繰り広げられることになります。
さらにこれまでのあの場面に出てきたアレ。この場面でのあのセリフ。綺麗に伏線の回収がなされていきます。そしてFinalに向けての新たな謎撒き。ここまでくると、未回収の謎にもきっと答えを出してくれるのだろうとの信頼をこの作品に寄せることができてます。だからこそあらためて言いたい。


“途中で断念したみんな!戻っておいでよ!”


RevoさんもOPに返り咲きましたし。正直なところ曲単体での魅力は乏しいといいますかあんまりお上手ではない方ですよね。それでも進撃の物語にはしっくり馴染むのです。名曲「紅蓮の弓矢」を転調アレンジした「憧憬と屍の道」って、虎舞竜「ロード第二章」との既視感がハンパありません。
・・・褒めてんだか貶してんだか、こちらの曲は今から加速してくぞ!ついてこいよ!を宣誓する凱歌のように私は捉えておりました。


さて、全く未経験な諸氏向けにはどうか?
59話終わってなお続きが気になる物語です。長丁場は承知の上、Finalシリーズを共に楽しむために予習を済ませておきませんか?と推薦しておきたいところです。



■野球は巨人 対する阪神は新劇いや進撃
こんな危険球は嫌だ!の声が聞こえてきそうです。
※纏められなかったがこのエモさだけは残しておきたい!的な以下。

{netabare}#50~#55までの獣の巨人戦を軸とした戦闘描写は特濃レベルでした。ここまで6話分。辞書に無駄回という語が載っておりません。{/netabare}

観ていて苦しくなります。民族殲滅を目的とした強大な相手に対してどう対処すればよいというのでしょうか?
話せばわかるが通じない相手に非力な側ができることには限りがあり、“家畜の安寧”を甘受しようとも先細っていくのは避けられません。

{netabare}#54と前後の回は本作のピーク。

1.エルヴィン・スミスの諦観
「そして私は真っ先に死ぬ。地下室に何があるのか…知ることもなくな…」
これまで頼れる団長、超絶リアリストだったエルヴィンも事ここに至りて感情のある人間だったという事実に驚く。一呼吸置いてそりゃ人間だもんなの納得感に落ち着く。
「俺は選ぶぞ。夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け。獣の巨人は俺が仕留める」
#53はエルヴィンとリヴァイのやりとりだけで通常なら神回相当。

2.リヴァイの誓い
「待てよ…俺はあいつに誓ったんだ…必ずお前を殺すと…」「誓った!」
獣の巨人を仕留めにかかるリヴァイは作画の凄さも相まり冗談抜きで震えがきた。そして何回も観た。
死んでくれ!と自分が言った盟友との約束。死者(この時点では仮だが)との約束は限りなく重い。

3.アルミンの嘘
「エレン…わかってるよね?一緒に海に行くって約束しただろ。僕がエレンに嘘ついたことあった?だから何があっても僕の作戦守ってくれよ!」
「クソ…わかってたハズなのに…」
「わかってた…お前が誰よりも…勇敢なことぐらい…」
大人達から一転エレンサイド。ここまでしないと突破できない絶望的な状況というのがやるせない。エレンも泣き叫ぶでなく静かに咀嚼する。
#54は鋼、超大型、獣と無理ゲー級の負け戦からの大逆転ながらカタルシスはなし。これ凄いことです。

4.そして選択
リヴァイはアルミンを選んだのではなく、エルヴィンを選べなかったのだと思う。
壁の外。地下室に行きたいエルヴィンと海を見たいアルミンとが描く夢は一緒。諦めさせた夢を掘り起しもう一度地獄を見せることは出来なかったのだろう。団長R.I.P(T_T)
何を選ぼうがどれを選ぼうが地獄という世界は残酷この上ない。きっとこの後、“ここに団長がいれば”という展開が予想され、逆でも“ここにアルミンがいれば”となるのは必定な展開が透けて見える。
なにも時間をかけた選択ばかりを指さない。
・獣を足止めして生存者がいないかと逡巡したリヴァイ
・ライナーの取り扱いを巡るジャンとハンジの躊躇
瞬時に最適解が求められる戦場の非情さがものの見事に表現されているのだ。たまらん。

「アルミン、またな…」
リヴァイが団長を選ぶかという時にアルミンを前にしてのコニー。自身の死をも見越した別離の声掛けなんだよね。
#55 気持ち良さがまるでないが目の離せない展開が続きます。{/netabare}

ここまでお涙ちょうだいはないのですが泣けます。



視点を変えて、、、
こんな事態に陥る前に何ができたでしょうか?味方の損失を抑えるために何が必要だったのか? 諸々端折ると、正確な情報(インテリジェンス)が手元にあればということになるんだと思います。

{netabare}ミクロでならライナー達の潜伏位置や作戦内容。いくらこちらが弱くてもこれさえあれば何とかなりますし有能な指揮官なら次善策プランBプランCくらい練るでしょう。
マクロでなら巨人の正体。単に弱点突破の戦術のみならず、そこに係る利害関係者の思惑や力関係までも包括する情報を指します。{/netabare}

極地戦闘だろうが、国防外交だろうが情報をおざなりにして生き残った組織・国家は古今東西あるんでしょうか?答えは否。
戦争を起こさないために、有事に被害を最小限に食い止めるためにインテリジェンスを強化しないといけないのです。ここ無くして交渉もへったくれもありません。
アホが運用したら危険だ。その通りです。ただし仕組みが無ければやられ放題。仕組みを作った上でさっきのリヴァイの1000分の1程度の負担で糞の中からまだマシな者を選ぶ。我々だって当事者なのです。・・・あ、脱線してもうた。


「僕たちは圧倒的に情報が足りない」
アルミンが再三再四指摘していたことは本質を捉えているのです。


本作3期Part.2の後半は、足りない情報が埋められていく話。納得性のある超展開が待ち受けていることでしょう。
そして、来たるFinalシリーズでお会いしましょう。



視聴時期:2019年4月~6月 地上波リアタイ

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2019.07.10 初稿
2020.01.31 修正
2022.02.27 修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 71
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

壁を超えた先の遥かなる夢

アニメーション制作:WIT STUDIO
総監督:荒木哲郎、監督:肥塚正史、
シリーズ構成:小林靖子、キャラクターデザイン:浅野恭司、
音楽:澤野弘之、原作:諫山創

人類の歴史とともに生まれた壁に囲まれた城郭都市。
エジプト文明や古代ローマの時代から
外敵の侵入を防ぐための「壁」は、建設されていた。
エルサレムの旧市街やクロアチアのドブロヴニクには、
現在でも城郭都市が残っている。
そんな歴史を『巨人』が跋扈する架空の世界に置き換え、
見事なエンターテインメントとして成立させた作品。
いよいよクライマックスを迎え、
多くの謎が明らかになっていくPart.3だ。

シリーズは2010年代を代表する大ヒット作だが、
個人的には評価が乱高下していた。
異質な世界観は面白いのだが、
観ていると、作者の都合の良いように
ストーリーが展開しているように
より強く感じさせられてしまったからだ。
その違和感から冷めた目で見てしまう。
{netabare}特に女型の巨人が生き残る展開から
付いていけなくなり、興味がなくなってしまった。{/netabare}
それは、犠牲者が出るからということではなく、
人間の生きているストーリーとして
リアリティを感じられなくなってしまったからだった。

ところが、Part.3に入って、
様々なことが明らかになるにつれ、
Part.1と2の話が全て伏線としてつながっていく。
死んだ登場人物たちが意味のある存在として
物語のなかで浮かび上がってくるように感じる。
それによって、深く物語に没入することができた。
多くの事象がクライマックスに向けて収斂していく。
リヴァイを筆頭にエルヴィンや主役の3人の
キャラクター造形もいい。原作者が最初から
ほとんどの設定を決めて書いているだけに、
キャラの一人ひとりが、よりくっきりと
リアルな姿形で象られている。
主要人物の過去が語られることで、
それぞれの信念を追体験できるのが、
大きな魅力となっている。

同時にPart.3には、大きな柱がある。
それは全員が巨人たちによって支配された世界からの
脱却を求めているとともに、
各々が叶えたいと思っている夢が表出することだった。

アルミンの夢は、築いた壁の向こう側にある
遥かなる海を見ること。
未知の世界に対する憧れ。
またエルヴィン・スミスは、
世界を覆う未知の謎を知るためだけに、
全てを捨てて本心を隠し続け、偽りの世界に生きていた。
{netabare}そして、遥かなる夢を未来に見る者と、
全てを偽り続けながら真実に近づこうとする者との間で
命の選択が行われる。{/netabare}

本当に大切なものを守るために、
人は自分勝手になってはいけないのか。
戦時中の心情は、単純なものではないだろうが、
それでも利己的な物語のほうが好感を抱く。
大義で動くよりも、もっと個人的なことで
最終的には動いてしまうほうが
人間らしいと思ってしまうのは私だけだろうか。

ふたつの夢が交錯し、一方は潰えてしまう究極の物語。
SEASON3の最大の見せ場だ。

そしてもうひとつファイナルに向けて
示された大きな夢がある。
それは「進撃」を続けなければならない
人の使命とでも言うべきもの。
57話から59話で語られるエレンの父・
グリシャ・イェーガーの物語。
私はこの物語で、アルベールビル・オリンピックの
原田雅彦を思い出した。

スキージャンプ団体戦の決勝で原田は勝利を目前にした
最後のジャンプで大きな失敗をしてしまい、
日本は銀メダルに終わってしまう。
ジャンプが終わった後に頭を抱えて
うずくまる原田の姿は忘れられない。
日本中が落胆した日だった。
しかし、それ以上に脳裏に焼き付いているのは、
帰国した直後のインタビューだった。
そのときに原田は「私はこのことを背負って、
ずっと生きていきます」と覚悟を語ったのだ。
私は子供ながらに、凄い人だと思った。
帰国直後に、彼は全てを受け止めて前に進もうとしていたのだ。
後に長野オリンピックで、その覚悟を改めて示すことになる。

今回のラスト3話でクルーガーが巨人を託す相手として
グリシャを選んだ理由----
{netabare}それは妹を連れて壁外に出たことが原因で、
妹を殺されたからだった。
人は失敗を犯した日の後も生き続けなければならない。
クルーガーが初めて同胞を巨人にして崖から突き落とした日を
絶対に忘れていないことと同じだった。{/netabare}
何かをやり遂げるには、全てを受け止めて、
過ちの日からも進み続けなければいけない。
そんな強い意志が必要なのだ。

歴史は繰り返すと言われる。
しかし、過去を忘れ去ってしまい、
負の歴史を繰り返してはならない。
そのためには「痛み」が継承されるべきなのだ。
ラストに向けて人類の夢は、
どのような形で示されていくのだろうか。
(2020年2月15日初投稿)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 57
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

いつかの少年

原作、諫山創。

進撃史上、最も濃密な全10話、

悲願であるウォールマリア奪還作戦、
エレンの故郷、亡き家族との思い出の場所。
物語の鍵を握るエレン家、地下室の手記、
壁の外を夢見た勇敢なる少年が帰還する時、
物語は悲劇性を帯び壮大な歴史が開示される。

それぞれの思惑が強度を増し炸裂する。
{netabare}ライナー・ベルトルトとの因縁の対決、
アルミンの知恵、ミサカの葛藤、団長の戦略、
そして兵士長リヴァイと獣の巨人の頂上決戦。{/netabare}
心臓を捧げ、疾走する立体機動装置、
シリーズ屈指のエピソードが数多く描かれる。

多大な犠牲のもと選択を余儀なくされる兵士たち。
それは「正義」の遂行であろうか!?
原作でも物議をかもしたリヴァイの決断。
人類生存のわずかな望みと私情の狭間で、
それぞれが葛藤し、それぞれの「死」を問うこと。
大きな決断が、物語を駆動させていく。

メルヴィルの描く「白鯨」のように、
形而上学的・神話的悪魔であった巨人の存在が、
ここに来て、身近な存在へと移行し、
{netabare}民族・宗教を含む文化圏の闘争が始まる。{/netabare}

世界の一切は、やがて移ろい、
私たち自身も遠からず過ぎ行くことだろう。

美しい海が見たい、泣けてくる。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 71

85.6 3 漫画原作で革命なアニメランキング3位
進撃の巨人 Season3(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (782)
3937人が棚に入れました
百年の長きに渡り人類と外の世界を隔ててきた壁。その壁の向こうには見たことのない世界が広がっているという。炎の水、氷の大地、砂の雪原……。本の中に書かれた言葉は、少年の探究心をかき立てるものばかりだった。やがて時が過ぎ、壁が巨人によって壊された現在、人類は一歩ずつ世界の真実へと近づこうとしている。巨人の正体は何なのか? 何故、壁の中に巨人が埋まっていたのか? 巨人化したエレン・イェーガーが持つ「座標」の力とは? そして、ヒストリア・レイスはこの世界の何を知るのか? エレンら104期兵を加え、新たな体制となったリヴァイ班。行動を開始した彼らの前に、最強最悪の敵が立ち塞がる。

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、小林ゆう、三上枝織、藤田咲、細谷佳正、橋詰知久、谷山紀章、嶋村侑、津田健次郎、朴璐美、小野大輔、神谷浩史、子安武人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

リヴァイよ、今夜もありがとう

2018.10.17記


原作既読。


初見時TV版1期2期を観てません。3期放送に先立ち下記劇場版のTV放送をおさえた上で参戦しました。

・劇場版 前編〜紅蓮の弓矢〜 / 後編〜自由の翼〜
・劇場版 Season2〜覚醒の咆哮〜


そうですね。いつしか観ようTV版!(※注:その後視聴済)


そしてTV版のおさらい~wikiより~

・第1期:全25話 + OAD5話
・第2期:全12話

第3期は分割2クールのようでいったん1クールめ12話分のレビューとなります(2018年10月時点)。物語の表現上は“第38話~49話”の扱いとのこと。
放送局は天下のN○Kに移り、ほぼ全国同時放送となりました。人気作の続編として期待と不安入り混じる下馬評だったかと思います。


ぱっと見

 “内戦(仮)”


2期までに綴られたであろう巨人VS人類の構図が変わり、壁内の人間同士の争いに焦点を絞り物語が展開します。そしてこれまでの謎が次々と明かされていくことになり目が離せないです。
ニック司祭殺害に端を発し、{netabare}ウォール・マリア奪還作戦手前までと{/netabare}区切りのいいとこまでやって1クール終了です。
原作通りでもあるし、人間VS人間の萌芽は2期までに描かれていた(たぶん)ため驚きの展開というわけではなかったと思います。

冒頭述べたようにTV版未視聴なので、前期・前々期との比較はできませんが、市外戦闘の作画は凄まじかったと思います。
草原など奥行きのある背景でデカブツを相手にするよりも目まぐるしく絵が変わる市外戦は作品通じての見どころになりますね。

それと、全話通してリヴァイ兵長が出演します。録画した回を観る度に兵長の雄姿を拝めるのは眼福でした。さらにはリヴァイの生い立ち含めた過去話に踏み込むのでファン必須でしょう。


バトルもありながら政治重視の様相を呈する展開には、これまでと趣きが変わる分戸惑うかもしれませんが、原作がそうなのでほんとに好き好きということになるかと思います。
これまでOPを担当していたLinked HorizonからYOSHIKI&HYDE組にバトンタッチして、そこにN○K色を感じなくもない今日この頃ですが、結局のところOP画像のミカサの笑顔はいったいいつ拝めるのだろうと願いつつ、人間同士の抗争(正確には権力闘争)に突っ込んでいく3期前半パートとなりました。

{netabare}49話でミカサが「これが終わったらあの頃のように…」的なことをつぶやきます。ほんとそうですね。{/netabare}


2019年4月再開予定の放映も視聴予定のため、そちら含めて完走したらあらためてレビューも纏めたいと思います。いったん「観終わった」にしときます。



【閑話休題】藤井聡教授の見立て
今から7~8年前くらいだったでしょうか。氏のインタビュー映像かなんかで、氏の息子の薦めで漫画版を読んだ時の印象について言及があり、それがなかなか面白かったので紹介しておきます。
ちなみに私が原作を手に取ったのはこの藤井教授に触発されたのがきっかけ。。
※アニメ関係ないので畳みます

{netabare}曰く、この壁の中の人類ってまんま今の日本人のこと指してんじゃん、と。

『壁の中なら安全』壁は未来永劫自分たちを守ってくれると固く信じている
『壁の外は知りません』外界の動向をきちんとウォッチすることを放棄
『上記2つを破るものは制裁』現状維持しようしようと躍起になる勢力がある

こんな主旨だったかと思います。
上記3点はすなわち“欺瞞”ということで、いったん壁破られたらどうなん?を描いたのがアニメ1期ということになります。いましたね、昼から飲んだくれてる憲兵団が。そして既得権力として上記3つを堅持しようとする王政府(偽)が。そして壁破られて右往左往する人類が。

劇中では、外の世界に興味津々のアルミンと触発されたエレン。ならびに外を知らずして人類に未来無し!の調査兵団、という組み合わせでした。
外の世界を知り、その上でしっかりと準備し、外敵が来たら駆逐する、といった当たり前のことを作品を通じて訴えており、そこが琴線に触れたんじゃないか、との氏の見立てです。

だからヒットしたかどうかというのは違うと思いますがね。{/netabare}

{netabare}で、今回は内戦(仮)です。巨人には元々人類だったやつもいるよ、からの3期の展開です。
物語として、巨人VS人類から人間VS人間にシフトして戸惑う部分も多いかもしれない本作ですが、一般論として、外敵と対峙する際に内なる敵を抱えたままだとほぼ勝利を収めることは難しいのが世の常。
そんな事情があったかどうかは露ぞ知らぬところではあるものの、壁の中での争いに物語がシフトしたのはある意味当然なのかもしれません。{/netabare}



視聴時期:2018年7月~9月 地上波リアタイ

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2019.04.09追記

その後、TV版1期2期を視聴済。劇場版のみでもすんなり入れたのは事実なのですが、もう一度3期前半をおさらいしてみると、ライナーのくだりとかTV版を抑えておいたほうが良いように思えました。少しばかり後悔してます。

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2020.01.31
《配点を修正》+0.1



2018.10.17 初稿
2019.04.09 追記
2020.01.31 配点修正
2022.02.27 修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 64

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

選択できるから自由なのだ

進撃の巨人の3期。
あらすじはネタバレになるため、あにこれのものにおまかせします。

クオリティの高さにびっくり仰天した1期。
それ以来、安定のクオリティを保っています。


今回は、人間と巨人の直接的な戦いは控えめです。

壁内はどのような成り立ちなのか。
巨人とは何か。
そして渦巻く陰謀や策略。

人と人とのやり取りが多いです。
迫力のあるジェットコースターアクションアニメとして見ている人にとっては退屈でしょう。

逆に、世界観や謎に重きを置いている人にとっては、わくわくする内容だと思います。


この作品の優れている点は、話の繋がりの巧みさです。

常にふたつ以上のシナリオが並行して進行しています。
ひとつのシナリオが解決しても、話に空白ができることがありません。

A----------->B----------->C----------->D

という直列つなぎのストーリーではなく、

A--------+
       |
   B------+----+
   |        |
   |   C---------+----+
   |             |
D-----+--------------------+

というように、どこが解決しても、未解決な部分が残る構成になっています。

そのため、「いいところで切って話を繋ぐ」という、
俗にいう「クリフハンガー」に頼らずに話が展開できます。


気になったのは、キャラクターに役割を負わせすぎな点です。
モブだと思ってた登場人物が「実は○○だった」というパターンがあまりに多いです。

程よい量なら「ここまで考えていたのか!」となります。
しかし、量が量だけに「ちょっと偶然が重なりすぎじゃね?」と感じる部分もありました。


テーマは「選択」。
誰しもが選択を迫られ、正しいかどうかもわからないまま責任を負うことになります。
しかし、選択できるこその自由です。

「マブラヴオルタネイティヴ」というゲームがあります。
これは作者が強く影響を受けたと言っている作品です。
「Alternative」は「選択肢」「二者択一」はといった意味。
それが「選択」というテーマのヒントになったのかもしれません。

もしかしたら、多くの選択が話を作り上げるという意味で、
1本道に感じさせないような工夫をしているのかも。

ストーリーだけではなく、テーマをしっかり決めているのはとても良いと思います。



原作では文字情報が多くごちゃごちゃした印象がありました。
しかし、アニメでは内容がすんなり入ってきました。
原作どおりですが、見せ方がうまいのだと思います。

この先さらに複雑になりますが、続きのアニメ化にも期待が持てそうです。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 49
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

移民の歌

原作、諫山創。

進撃に寄せて雑記あれこれ。

初めて手にした原作に衝撃を受けて以来、
時代を象徴する作品との評価は揺るぎませんが、
私はここまで、2度挫けています。
そしてその度毎に、懺悔をすることになる。

1つ、{netabare}エレンが巨人化したこと。
これにより進撃が持つ至高性が失われた。
得体の知れない未知への恐怖、拒絶、違和感、
そして生理的な不快が、身内に巨人を創ることで、
希薄化されるだろう悪手であると感じ失望した。{/netabare}

2つ、この3期で描かれた政治劇。
この世界の真相に興味は尽きませんが、
戦闘の迫力・緊迫感ある描写は影を薄める。

しかし物語は最高の盛り上がりを見せ始める。

ヒストリア・リヴァイの過去と、
{netabare}フリッツ王政の打倒とレイス領地下礼拝堂。
オルブト区防衛戦から新体制へと。{/netabare}

無限とも思える悲劇の反復、喪失し続ける日常、
勇敢な死者に意味を与えるのは生きている者たちだ。
世界はまだ終わっていないのだから。

F・Jシャフナー監督の傑作映画、
幼き日に再放送で見たあの衝撃を思い出す。

進撃は新世紀の「猿の惑星」になった。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 52

72.2 4 漫画原作で革命なアニメランキング4位
憂国のモリアーティ(2クール目)(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (163)
748人が棚に入れました
「憂国のモリアーティ」は、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案とし、集英社「ジャンプSQ.」にて連載中の⼈気漫画(構成・竹内良輔、漫画・三好輝)。シャーロック・ホームズの宿敵・モリアーティを主人公にした、犯罪による革命の物語だ。コミックスは2021年1月時点で1~13巻まで発売、累計発⾏部数は400万部を突破している。2020年10月から12月までTVアニメ1クール目が放送され、2021年4月より2クール目が放送予定。

声優・キャラクター
斉藤壮馬、佐藤拓也、小林千晃、日野聡、上村祐翔、古川慎、小野友樹、安元洋貴
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

前半に立てた仮説と検証

分割2クールの後半

原典のホームズVSモリアーティの対立構図を踏まえ、適度に煽りながら後半お楽しみに!と良い引きだった前半最終回。たぶん多くの人がそのまま後半に流れていることが予想される期待の作品です。

結果、

 うまいこというね~ …止まり

“唸る”と“うまいね~”の違いってあると思うのです。後者はなんかうまくまとめたでしょ?って向こうに若干ドヤが入ってる感じ。心に余裕ない時に観るとイラっとくるかもわかりません。
結論ではなく途中途中で「ちゃんとしたごしらえしてたら輝きそうなのに」と思えるネタがいくつか。

{netabare}切り裂きジャック キターとか
ジェームスボンド キターとか
フランス革命をイギリスが仕掛けたとか …あ、これパーマストンならやりかねんな{/netabare}

命題は階級制度へのアンチテーゼ。その処方箋にモリアーティの選択した手段が“犯罪”でした。
さてその階級制度打破についてなにかしら答えが出たがどうかは観てのお楽しみですけど、全くの広げっぱなしでノー回収ということはなかったので安心してください。

少しレビューらしいことも書いときます。
ホームズVSモリアーティでのスリリングな知恵比べに手を汗握った前半1クール。ここがそのまま続いて深化していくかと思いきやそうはなりません。“実はアプローチが違うだけで似た者同士な二人”な共闘関係と取れる描写が増えていきます。
いったん提示されてた視点の変更を余儀なくされるわけでして、スムーズに移行できるような手を打ってほしかったと思います。ここが弱い。説明不足ということです。

なので冒頭に触れたように、うまいこと言ってるように見えるだけの納得感に欠ける結果に。とはいえつまんないとは違うんだよなぁ。



※ネタバレ所感


■前半でたてた仮説についての検証(っぽいもの)

元ネタは前半クールのレビューに書いてます。
社会構造を改善ではなく破壊(革命)によって現状変更を試みる場合、ろくな未来は待ってないだろうよ、ということです。モリアーティ一味がそのうち手段が目的化して労働階級の人間にも手をかけることになるだろうとも予想しました。

{netabare}見落としてるかもわからんけど、労働階級には手を出して無かった気がする。予想外しました。
ろくな未来が待ってないことは私じゃなくても予想するに易いですけどこれも外してると思います。
なんか収まるところにいい感じで収まってましたね。なーんだ、つまんねーの、ちっ…{/netabare}

それでも期待のあの人はしっかりやらかしてくれてました、なコレ↓
{netabare}火をつけちゃだめよね。
予想というか行く末を気にしていた登場人物の一人モリアーティ家の長兄。ガチの貴族で善意の思考停止マン。大英帝国の近衛文麿/西園寺公一と言えるあの人は案の定ダメンズでした。火を放ったのはコイツです。多くの守るべき労働者階級を危険に晒すというところまで文麿仕様というのに強い説得力がありました。

さらに ※最終回のネタバレあるのでさらに隠しときます。
{netabare}手を取り合ってバケツリレーってのがお花畑全開です。
違う階級同士手を取り合っての美談扱いということですけどまさにこれが茶番。火付けは物理的破壊行為となりますが国民生活の破壊という意味でのメタファーになってます。ほら、経済を回らなくする/社会不安を煽る/その他国民を困窮させる行為全般とかね。そうすると現体制に不安が溜まって革命が起こるって寸法ですが、はた迷惑な話ですし、それまで破壊しかしてこなかった連中が疲弊した国民を統治するなんてできるわけありません。断言してもいいです。
アニメのように物理的な破壊なら傷は浅いかもしれません。ただしやっちゃだめよね。門を開けない貴族に文句言う前にお前らが火をつけなきゃいい話だろってのを忘れてます。

 ・民が困窮すればワンチャンあると本気で思っている輩 
 ・そうやって実際に放火して罪をなすりつける輩

現実でもよくあることなので騙されないようにと自戒する機会を与えてくれた佳作です。{/netabare}{/netabare}


追伸
壮馬さんのキャッチミーイフユーキャンの発音がなんかこそばゆい



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

-----

2021.07.07 初稿
2022.06.02 修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 31
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

おいおい、終盤、急いだなぁ(笑)

第1期から第2期(本作)の中盤まではかなり面白いのに、終盤「うん?」ってなっちゃう作品。

犯罪卿の誕生から、シャーロック・ホームズの登場。
そして、ジェームス・ボンド、切り裂きジャックまで・・・。

ところが、物語は突然終幕を迎えます。

う~ん?

そう、終盤が急ぎ過ぎなんですよね。
{netabare}「社会を変える」という当初の目的を果たした風で終わっちゃう。{/netabare}

そこまでの密度が濃かっただけに、終盤の性急な感じが残念な作品でした。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 22
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

僕にとっての盛りあがりって(1クール目)

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
いや、ダジャレですけど(笑)

2期も悪くはないけれど、やっぱり1期の方が面白かったなと。

ていうか、圧倒的に尺不足ですね。三期か劇場版があったら、もっともっと面白くなっただろうに、勿体無さ過ぎる。逆に、原作読みたくなっちゃうパターンですね(笑)

レビューでは、本作を見て物足りなく感じたことを。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
1話1話は結構面白く、特に、子供時代の裁判の話と、清廉潔白な議員を殺人犯に仕立て上げる話は刺激的だった。ジェームズ・ボンドのチート能力は、本作をファンタジー側に寄せすぎ、微妙だった。

本作を1期に比べて低評価をつけたのは、「性急」ということだ。

本作の見処は、モリアーティが犯罪卿として引き起こした犯罪が、どのようにイギリスを変えていくかというところだったが、そこが全然腑に落ちなかった。

最後に、モリアーティは「準備は整った」、ホームズが「全部繋がっていた」と言っていたから、そうなんだろうけど、そんな描写、あったっけ?

バラバラだった事件が繋がり、1つの結末に向かっていくことを期待していたのに、実際に描かれたのは、犯罪卿チームの格好よさや、ホームズとモリアーティの友情、刺激的な事件がメインで。

それはそれでエンタメとしては面白かったけど、本格ミステリーを期待したこちらとしては、やや肩透かし。

おそらく、この辺は原作ならちゃんと丁寧に描かれているのだろうなとは感じた。

最後も、キレイなラストではあったけれど、本作の場合、せめて生死が不明くらいの曖昧な感じの方が似合っていたと思う。

事件がイギリスを徐々に変えていく様。自身の悪事に耐えられず、徐々に死を望むようになるモリアーティの苦悩。正反対の立場で奇妙な友情を徐々に深めていくモリアーティとホームズ。

やっぱり全てが尺不足だった。好きな作品だっただけに、残念感が残った2期だった。原作買おうかな(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
なんか、新キャラ。兄貴か。その男装を見抜けないホームズじゃないだろ。

2話目 ☆3
フランス革命をイギリスが主導。そりゃ大事件だよな。

3話目 ☆4
犯罪卿チーム、格好良いよな。そこでジェームズボンドかい。

4話目 ☆4
ボンド、恐えよ(笑) ジャック・ザ・リッパーも仲間に(笑) なんか、エンタメ強くなってきたな。

5話目 ☆3
その狙撃の腕前は、やりすぎじゃないかな汗

6話目 ☆3
なんか、チート過ぎるんだよね、ボンドも。

7話目 ☆4
過去回想ね。孤児院から騙し取るとかね。随分公正な裁判だな。

8話目 ☆3
劇場型選挙。目的が達成できれば、手段や誰がやるかは問わないと。清廉潔白。

9話目 ☆4
心折れるか、復讐に向かうか。本質的な悪。議員に殺人を起こさせるまでの犯罪。理性で踏みとどまり、衝動的に殺人を犯す。死ぬことまで覚悟させるか。

10話目 ☆3
久々にホームズサイド。なんか、本筋から外れているよな。

11話目 ☆3
なかなか刺激的だが、ちょっと急ぎすぎの展開。この流れは、(あれば)三期で良かった気がする。

12話目 ☆3
この展開で、もう死にたいってのは、なかなかに斬新。キレイに終わったけど、う~ん。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/18
♥ : 17

64.4 5 漫画原作で革命なアニメランキング5位
BLACK CAT ブラックキャット(TVアニメ動画)

2005年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (293)
2177人が棚に入れました
「秘密結社クロノス」に暗殺者としての優れた才能を認められ、クロノスの精鋭部隊ナンバーズ特例の13人目として採用された、トレイン=ハートネットは、抹殺者(イレイザー)として暗躍し、裏の世界では、通称「ブラック・キャット」と呼ばれていた。

ある日、彼は掃除屋のミナツキ=サヤと出会い、彼女の影響から組織の暗殺者を辞めて、掃除屋として生活しようとする。しかし、それを快しとしないクロノスでの相棒・クリード=ディスケンスにより、サヤを殺されたトレインは掃除屋として、クリード率いる狂気の革命集団「星の使徒」との壮絶な戦いに身を投じていく。

ぱるうらら さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

自由気ままに生きる野良猫。

『BLACK CAT』は漫画原作、2クール(全24話)のファンタジーアクションアニメです。


この作品は少年ジャンプで連載されていた漫画であるが故に、やはり物語において少年漫画らしさ(友情、努力、勝利)を感じました。余計な恋愛感情云々もありません。
何者にも囚われずに自由奔放に生きようとする主人公やその仲間達、そしてその他の登場人物たちが自分は一体何がしたいのか、何のために戦うのか等々を基礎に、その登場人物たちが戦いを繰り広げていきます。
小難しい事を言いましたが、要はアクションアニメであり、特に重厚な設定があるわけでもないので、ちょっとした人間ドラマやアクションシーンを頭を使わずに視聴出来ます。けれども、脈絡が無かったり話が一気に飛んだりする所が有るので注意。

序盤のアクションシーンは銃が主に活躍しますが、後半からは銃以外の戦闘も増えてゆくので完全なガンアクションかは微妙なところです。それでも、割りと激しいアクションシーンが殆んどを占めているのでそういうのを求めているお方には良いかもしれません。
そのアクションシーンで私が若干気になった事は、走っている場面の人の動きが忙しない所でしょうか。何だか見ていて疲れます…。

問題点もいくつかありましたが、2クールなのにも拘らず最後まで特に飽きる事無く、また、第20話から始まるアニメオリジナル回(クライマックスパート)も締めとしてはなかなかの出来であった思います。しかし、熱が入り過ぎて空回りしていた感が無くもない…。でもジャンプらしさが滲み出ていてそれはそれで良かったのかなとは思います。


また、作者が矢吹健太朗さんであるため、『BLACK CAT』の次の作品『To LOVEる』に出てきたキャラクターの元となったキャラがちょいちょい出て来るので、この作品を未視聴の御方ははそこを楽しむのも良いかもしれません。


原作読者はこのアニメ版に違和感を感じる人が多いかもしれませんが、私はストーリーを殆んど覚えていませんでしたので結構楽しむ事が出来ました。そして、私はこの作品を見ていてジャンプ作品の強みは万人受けされ易い点ではないかとも感じました。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 14

ロロ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

クロネコさん

全23話(マンガ原作)
題名は聞いたことあったので見てみたアニメです
物語は悲しい過去のある主人公が暗殺を仕事にしていくところから始まります
銃撃戦がたくさん出てきますが、近距離戦も銃を使ってます(最近もこんなアニメあったなぁw)
賞金稼ぎの物語というところでは、カーボーイビバップのようです

話の世界観と戦いがかっこよかったため、それから主人公が結構強い設定も好きだったので見だしたんですが、後半からありきたりに感じました
実は最後まで見てませんwラスト1、2話くらいでもう先が見えてきて、見る時間がもったいなく感じ断念しました


内容を知っていて最後まで見るべきだと思われる方、ロロまでメッセくださいww

投稿 : 2024/05/18
♥ : 4

十夜キリ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

作画が糞すぎて声優がいかされない

かの有名な矢吹大先生が作った名作にも関わらず、本編が原作と比べて糞すぎて改悪されています。それだけにとどまらず、この作画が世界観をぶち壊していて、不快感きわまりないです。トレインの声が糞すぎ。クリードさんもせっかく三木さんがやってるのに原作の様な冷酷で狂気なイメージが全くなくなり、糞です。絶世の美女であるセフィ姐も作画崩壊により声優さんの演技がおかしな方向に行っています。薄っぺらいとは言われてたものの、何故、原作通りにしなかったのか理解に苦しむ出来です。原作通りにしなかったため、物語の展開がテンポ悪いくせに、端折りすぎて何もかもがとにかく糞です。原作ファンにとっては非常に不満な出来。がっかりです。リメイクしてください、GONZOじゃない所で。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 1

60.2 6 漫画原作で革命なアニメランキング6位
ヤング ブラック・ジャック(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (287)
1343人が棚に入れました
医療漫画の金字塔、手塚治虫の『ブラック・ジャック』。
その主人公である奇跡の腕を持つ天才外科医ブラック・ジャックはなぜ無免許で法外な金額を要求する闇医者となったのか……!?

ある日、列車とバスの衝突事故によるケガ人が多数搬出され、医学生・間黒男は手伝いを要請される。
1960年代、学生運動・ベトナム戦争等激動の時代を背景に若かりし頃のブラック・ジャックの知られざる過去を描き出す。



声優・キャラクター
梅原裕一郎、遊佐浩二、伊藤静、諏訪部順一、大塚明夫
ネタバレ

血風連あにこれ支部 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

やがて俺は間黒男という名を捨て、ブラックジャックになった。

ブラックジャックの前日談で、医大に在籍していた頃の話。まだ医師免許は持ってないらしい。
筋肉描写がちょっと露骨だと思いますけど、まだ闇医者になっていない若い頃のブラックジャックというのが、新鮮味あっていいとおもいます。

1話感想。
{netabare}ペーペーの医学生で初の手術なのに高医療費ふっかけるとか既に闇医者の風格は十分と言ったところですか。うーん、流石ですね。
子供の命を値切るのか、という言葉は重みがあってとても良かったと思います。{/netabare}

2話。
{netabare}生体肝移植、決断前に引き戻す藪さんの語り好きっすねー。
今回の話は悪く言えば荒唐無稽ですけど、原作のブラックジャックもある程度粗い話もあったと思うので、殊更そこをあげつらう気はありません。
時系列を今の時代に戻した時、藪さんはどういう立ち位置になってるんだろうとかちょっと気になりました。{/netabare}

4話。
{netabare}銃弾の飛び交う戦場の中、失われていく命を前に手術を行う医者としての姿は流石だなと思いました。
リアルに考えれば撃たれて終わりだろうとか先に退避しろとかそういう考えを挟む余地すらなかったです。{/netabare}

5話。
{netabare}今回も内容はすごく素晴らしいのに腐向け臭がどうしようもないのは否定できないな。
円盤売るために腐向けっぽい作りにするのは間違ってないから、NO!を声を上げるような事はしないんだけどさ。
やっぱり本当の事を言うと苦手だな、この作画とこのキャラデザ。
5話なんて女への拷問よりBJに対する拷問の方がはるかにエロかったのはいかがなものか。もはや狙っているとしか思えんww
原作あってこその作品なんだから、個人的にはもう少し作画に手塚リスペクト感を残して欲しかったですね。{/netabare}

6話。
{netabare}「だがしかし、君は医師免許を持っていないだろう」「それがどうした!」には笑いました。
戦場という究極の暴力に対して、燃える火の中でも救いの意志を曲げない彼らの強さには感服です。
医療アニメだけどあまりにも熱すぎる。熱血アニメと間違ってしまいそうですね。
ベトナム編終了。軍医の正体は原作でお馴染みの{netabare}ドクターキリコ{/netabare}でした。
原作ではすっかり荒んでいて別人としか思えないけど、若い頃はやはり有能だったんでしょうな。
BJもそうだけど、どういう心変りがあったのかすごく気になりますねえ。{/netabare}

11話は良かったです。
{netabare}どろろは読んだ事ないんですが、陰惨な話だとは聞いてます。
百鬼丸豹変は元ネタに引きずられただけでなく、医師会の策略に踊らされて事件に巻き込まれたって事で、ある程度納得できました。
まあ、事故の原因が百鬼丸のヤケクソだったり彼だけが生き残っていたりとちとご都合主義が過ぎるとは思いますが。
こうした話が、間黒男が医学界を去る動機のひとつになっていると考えると、作品の趣旨に合致した良いエピソードだと思います。(まあ、この話だけでは理由としては全然足りないと思いますけど){/netabare}

総評としては、全体的に荒い部分は多いし、作画に手塚リスペクト感が感じられなかったり、所々BL臭がきつかったりと薦めにくい作品ではあります。
純粋な医療物とは言い辛く、ホラー要素とか学生運動などの政治臭まで漂っていたりもしますしね。
それと、1クールだけではやはり間黒男が医学界から離れてブラックジャックになるまでの過程を描ききるのは流石に無理があったかと感じました。
そのため、完成度が高いとは思えないけど、大雑把ながら見ごたえのある内容だと思います。
ブラックジャックが好きで、この絵柄に抵抗がないならお薦めできる話だと思います。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 10

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

禁忌の螺旋

女性向けを強く意識したような主人公のビジュアルだが、『 ブラック・ジャック 』 『 1968年 』 そして 『 手塚キャラ 』 のスターシステムとくれば、これはむしろオッサン・ホイホイと言っていいだろう。
加えて、シリーズ構成の高橋良輔による仕掛けだろうか、次回予告のナレーションが 『 ボトムズ 』 を彷彿とさせるときては、オッサンはまんまとホイホイの中だ。(いや、この格好よさは若い世代でも通じるだろうと信じる)


若い医学生が、いかにして1973年に登場した医師、ブラック・ジャックとなったのかを描く本作は、1968年という特定の年代を舞台とする。

背景に点描される学生運動や、ベトナム戦争と反ベトナム戦争運動、黒人公民権運動は、後にウォーラーステインが68年世界革命と呼んだ、この当時に世界的に起こった革命運動のそれぞれ一部をなしているものだが、製作者は、何らかの論評を加えて描写しようとはしない。

批判ありきで事実を都合よく捻じ曲げて解釈する小熊英二の『1968』や、後知恵で主人公に先見性がある様に見せかけて特権化する『学生 島耕作』のように作為して歪曲した描写を与えて主題化することなく、その視線は、あくまで背景として扱うかのように、冷静な距離感を保っているように見える。

冒頭の、学生運動に関心を持たない描写と共に、主人公は、各種の世界革命の現場において、ひたすらに自分の「医者になりたい」=患者を救いたいという欲望にしか関心がないように描かれている。
が、革命と呼ばれるほど社会を大きく揺さぶった世界的な運動が、時代性を示す只の記号として、物語に関係しない背景に使われているだけだという事があり得るのだろうか。


世界革命と言われるほどの運動の画期性は、国家に対し「自由」を要求した点にある。

自由の要求というと手垢がついてありふれた印象を持たれるかもしれないが、「ありふれて」感じられるのは、この時にあまりにも深く社会を揺さぶったために、これが広く一般化されて浸透した結果だ。
「自由」の要求は常識的な当たり前のことであるはずだと、この革命の衝撃によって、一気に社会に認識を変更させることになる。
政治的な自由=リバティではなく、「自由」=フリーダムをよこせという要求はこの時まで「一般的」ではなかったし、この後手垢がついて感じられるほど繰り返されているのは、未だに国家は「自由」を与えることに抵抗しているせいだ。

それほどに大きな「世界革命」の衝撃だが、目の前で死にゆく患者の「命」の重さに比べれば、主人公の関心を少しでもひきつけるものではない。
かのように見える。

が、本当にそうだろうか。



作中で、実に頻繁に、医学生である主人公は医師免許取得の危機に直面する。

患者の命を救いたいという強い動機に駆動される主人公にとって、医師になれない=患者を治療できない事は自らの生の意味の喪失にもつながる重大事で、眼前の「命」を救う事と医師免許の資格を失う事との間で、激しく葛藤を繰り返すことになる。


ところで、免許とは「許可される」ことだ。

例えば自動車の運転において、自動車を運転する「能力がある」ことと、運転を「許可される」こととの間に直接の関係はない。
能力を証明すれば運転できると漠然と思いがちだが、レース場で競技する小中学生のライダーはオートバイを運転する「能力がある」が、運転を許可する「免許」は与えられない。
何かの理由で免許証が失効した人も、「能力はある」が運転は「許可」されない。
逆に、所定の手続きを納めれば、事実上運転「能力」を失っている人でも、「免許」は保持したままでいることもありうる。

何によって「許可」されているのだろう。
国家だ。
能力があるから運転してもよいのではない。「国家が許す」から運転しても「よい」

だが、「許可」は、その前提として「禁止」がまず無ければ存在の理由がない。
言い方を変えれば、自動車の運転は、「能力」の有無とは無関係に、国家によって本質的には全面的に「禁止」されている。
国家のさだめた条件を満たすことによって、例外的に禁止を「解かれて」運転をしても良いという「お許し」が与えられる。文字通りの「免許」だ。

国家にとっては「禁止」が自然状態で、免許=「許可」を与えることは、いかに免許取得者が多くとも、原理的に例外的事態だ。


「医師免許」も全く同じだ。

患者を救う能力の有無は一切関係なく、医療行為は全面的に、まず前提として「禁止」されている。
医師「免許」所持者という例外を除いて。
国家による「禁止」が、例外としての医師=「医学界」に権威と利権を生じさせている。

免許が無いことによって患者の生命を救うことに葛藤を演じる主人公だが、葛藤を強制している根源は、国家による「禁止」だ。
「患者を救えない」という恐怖は、国家の禁止によって、「医師免許が取れない」=「医者になれない」恐怖に、倒錯的に多重化されていることも明らかだろう。

禁止には、さまざまに正当化する理由はあるに違いない。
「禁止」があるからこそ、九割九分まで状況は有効に処理されるのだと国家は言うだろう。が、それは残り「一分」をあらかじめ切り捨てていることの裏返しだ。

作中のドラマで描かれるような特殊例外的な状況は何時でも生じうる。
いや、「命」という代替不可能なものに対し、「いまここ」で行われようとする医療行為の現場は、常に固有の特殊な状況であると言えるだろう。
はたして「生命」を前に、全面的に「禁止」という柵をめぐらせる力を国家が一元化に握りしめることは、自明で不動の自然状態と看做せるのか。

「命」が消えようとする「いまここ」で、治療行動を起こす「自由」を縛るものについて考えざるを得ない主人公の葛藤は、国家に敵対する世界革命の「自由」の要求と、このように至近距離で強力に共鳴し合っている。

世界革命の一部たる学生運動も、主人公の無関心とは裏腹に、このような主人公の抱える葛藤と深く結びついているものだ。

この葛藤を歪みなく見せるため、世界革命は殊更に冷静な視線で描かれる必要があったのだろう。



「患者を救う」=医者になる=医師免許という連鎖の中で、最後の項だけが「能力」という事実性と本質的な関係が無いが、国家によるこの強制された結合を主人公はどう解決するのか、のちに登場する「ブラック・ジャック」という「医師」を知る我々にはもう明らかだ。

しかし、内面で国家を無化することで一旦は治療行為の「自由」を手中にしたかに見える「ブラック・ジャック」だが、70年代を通じて、国家とは別次元の「倫理」の問題として、またしても治療行為の是非という難問に何度も直面することになる。

ある種の歴史性ともいえる螺旋構造は、世界革命が位相を変えながら只今現在も問題を投げかけ闘争を続けているように、位相を変え『 ブラック・ジャック 』という「未来」へ接続する本作の必然とも言えるかもしれない。

この現在へと続くだろう歴史性への意識が、安易に論評することなく、現在への道程として革命を描く冷静な視線を担保しているのだろう。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 4

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「なぜ彼はブラック・ジャックに・・・?」その答えの一端が描かれている作品です。

この作品の原作は未読です。手塚治虫先生原作の「ブラック・ジャック」は遥か遠い昔に見た記憶がありますが、キャラの存在は今でもくっきりと脳裏に焼き付いています。
顔の傷跡・・・無免許ですが神業的テクニックを持つ天才外科医と、当時幼かった私には色々と衝撃的な作品だったんだと思います。

この物語は、ブラック・ジャックの若かりし頃・・・ちょうど大学の研修医だった頃を中心として描かれています。

その研修医の名は間 黒男(はざま くろお)・・・彼は自分の命を救ってくれた本間先生に憧れ、医師を目指して勉強していました。
時は1960年代後半・・・日本では東大紛争・・・世界ではベトナム戦争が勃発している最中の事です。

東大紛争って・・・当時研修医の待遇改善など医学部に関連した争いだったんですね^^
私が生まれた頃にはこの様な学生運動は殆ど下火となっていましたが、当時は活発だったみたいですね^^;
「日本の学生運動」でwiki先生に聞いてみると、「学生運動に参加した著名人」が記載されているのですが、今日本や世界のあらゆる分野の最先端で活躍されている方の名前をお見かけする事ができます。
すみません・・・少し話が逸れてしまいました^^;

間な別に学生運動に参加していた訳ではなく、研修医として真面目に勉強に打ち込んでいました。
その熱意・・・自らの技術を少しでも高めようとする姿勢はとても立派なモノです。
そして何より医師にとって一番大切な「目の前の患者を何としても助けたい」という気持ちが半端なく強いんです。正義感の塊・・・とでも言うのでしょうか^^?

この患者を助けたいという気持ちは決して揺らぐことはありませんでした。
それは物語の舞台が日本からベトナム戦争の最前線で銃弾が激しく行き来する中に変わっても・・・
私自身、幸いにも戦争は対岸の火事でこれまで体験した事が無いので、実際の苦しみは想像する事しかできません。
でも、この作品では戦争の顛末・・・攻守ともにボロボロになって・・・決して消えない深い傷を心に負って・・・いまでもたくさんの方が後遺症に苦しんでいます。
戦地では今現在でも地雷と不発弾の除去を行っているとか・・・
一つ間違えば簡単に命を失ってしまうような場所で、たった一つの命を守るために全力を尽くす医師たち・・・
時間も設備も・・・手術室すらない場所でも彼らは患者を救うのを決して諦めません。

間が行っているのは車の無免許運転と同じ・・・決して許されるモノではありません。
ですが、彼の行いで救われた命がある・・・というのも事実です。
「何が正しいのか?」という視点では時と場合によっては見誤るような気がします。
「人間として・・・一個人としてどうすべきなのか」
この先この様な場面に直面する事があるかもしれません・・・
できる事なら・・・その時は判断を間違えたく無いですね^^;

そして間が日本に帰国し直面するのは、大学内の権力争いとそれに巻き込まれた人達でした。
これはとても切ない物語・・・
医者を目指す人は「困っている患者さんを助けてあげたい」という気持ちからだと思うのですが、どうして権力を欲しがるのだろう・・・
権力が無かったら人は救えないの・・・?
だったら医療界で人を救える人ってほんのひと握りしかいないと思います。

そして、権力に固執する人が複数いるなら、固執した者同士で優劣を決めればいい・・・
数を力にするために、周りのそんな事に拘りのない人を巻き込んではいけないと思います・・・
そこで傷つくのはいつだって巻き込まれる人ばかりなのに・・・

全てを失って・・・一旦は飲み込もうとします。
失った分を努力と情熱でカバーしようと懸命にあがくんです・・・
それは困っている患者さんを助けたい一心から・・・
その姿を見たら誰だって手を差し伸べたくなると思います。
でも、そういう努力を決して良く思わない人っているんですよね・・・
更なる波乱を含んだこの展開の続きは・・・本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、UMI☆KUUNさんの「I am Just Feeling Alive」
エンディングテーマは、焚吐さんの「オールカテゴライズ」

1クール12話の作品でした。
懐かしい往年のキャラの若かりし頃の物語・・・しっかり堪能させて貰いました^^

投稿 : 2024/05/18
♥ : 16

62.6 7 漫画原作で革命なアニメランキング7位
ライドバック RIDE BACK(TVアニメ動画)

2009年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (197)
1035人が棚に入れました
国連の解体や東京大震災などを経て、学生達による反政府運動が再び活発になっている2020年の日本。学生運動の一拠点でもある武蔵野文芸大学に、一人の少女が入学してきた。彼女の名は尾形琳。類い稀なる舞踊の才能を持つ琳は、入学初日に人型二輪車ロボット・ライドバックと出会う。それが、世界を変革するきっかけだとは、誰一人知る由もなかった…。

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ロボットアニメへのなり損ない

キャラの絵柄は地道。雰囲気もちょっと大人しい。
ぱっと見、ロボットものだと思われがちですが、実際に視聴してみるとロボットアニメのカテゴリーには微妙に入らないのが理解できます。
オートバイに手足が生えたような車両「RIDE BACK」(ライドバック)。
ひとりの少女が、このメカと出会い、天才的なライダーとしての才能を開化させていくお話。

・・・・だけじゃあない作品でした。


作品タイトルにもなっているライドバックは、基本的にはオートバイの進化系のようなもの。手が出ていたり人型に変形するのは、姿勢制御や移動する場所を選ばないためのバリエーションのような役割です。人間が搭乗し、移動する乗り物であることに変わりはありません。
怪我でバレエダンサーとしての夢敗れた主人公が、偶然このライドバッグに乗って新たな喜びを見つけ、バレエで培ったセンスを活かしたライドで一流に上り詰めていく・・・という、話だと思いました。最初の方は。
颯爽とスカートを翻しながら華麗に踊るような主人公のライディングが素敵です。


ただ、中盤からは、政治やテロやらが絡んできて、ライドバッグ=兵器、のような扱いになってしまいます。
そういう路線、つまりライドバッグをロボットアニメのロボット的な扱いにして、アクションバトルをやるならソレはソレで良かったんですが、いまひとつそういう方向にも突き抜けていない。半端なポジションで納まってしまい魅力半減でした。
こういうメカなら、アクションはカーチェイスやアクロバットで充分でしょうに、普通。
鉄砲撃ったり殴ったりするシーンが多くて「何か違う」って印象でした。

また、不必要に世界を支配する組織がどうのこうのと、大きな風呂敷を広げるもんだから、暗くて血生臭いストーリーになってきます。
レースやメカアクションものの肝であるスカッとする要素が、そのやたらと重苦しい雰囲気ために台無し。爽快感に欠ける展開と進行でした。
そもそも設定に無理がありすぎるんです。
世界情勢を変えるくらいの新機軸って・・・これが? ( ̄△ ̄)


素直に「少女が特殊な愛機とレースする」作品だったら面白かったとおもうんですが、個人的には。
いいギミックなのに、素材の調理方法を間違ったようで残念。
ほんと勿体無い。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 22

QMA@MADLAX さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

初っ端からの原作レイプ

ライドバックの3Dモデリング、挙動は完璧。
ストーリーの原作レイプっぷりが残念。
無理に原作展開をねじ込んで意味不明になったシーンも。

このアニメを語る上での特筆すべき点は神OP。
I'veで歌詩はMELL、作編曲は言わずと知れた高瀬一矢。マジで神曲。
それと超絶豪華な声優陣。挙げたらキリが無いです。

機会があればOP目当てで見る価値はある…かも知れない。(空気すぎて機会はほぼ無いでしょうが)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 1
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「答えのない問い」を突きつける予言的な傑作

(2022年9月、末尾に【小論】を付け加えました)

【総合評価☆☆☆☆☆】
 傑作であるにもかかわらず、知名度が低いアニメの代表だろう。
 基本的なプロットは、テロリストと政治権力の相克を巡って展開されるが、何と言っても、テロ撲滅という大義名分の下に導入された自律型ロボット兵器(実質的な殺人マシン)が興味深い。
 プレデターに始まる軍用の無人ドローンは、テロリスト暗殺の兵器としてアフガニスタンやイラクで実際に使用されたが、遠隔操縦で人殺しの指示を出すオペレータに多大な精神的ストレスを与えることが問題となった。そこで、個人識別のためのAIを搭載し、自力で標的を探し出して暗殺を遂行する自律型殺人マシンの開発が、アメリカを中心に進められている。人道的観点から国際法によって禁止しようとする動きもあるが、実現していない。
 本作に登場するのは、ライドバックと呼ばれるオートバイに手が付いたような機械。もともとは人間が跨がって操縦する乗り物だったが、プレデターを思わせる新型ライドバックは、無人でもAI制御で攻撃ができるように改良されている。物語のクライマックスでは、クラシックバレエで鍛えた運動神経でライドバックを操るヒロインが、人間としての尊厳を懸けて、暴走する無人ライドバックの群れに立ち向かう。

【小論】「答えのない問い」を突きつける予言的な傑作
 きっかけは、10年ほど前に大陸の片隅で始まった小さな戦争だった…。国際的なパワーバランスが崩壊し秩序が一変した社会情勢を背景に、錯綜した状況に翻弄される少女・尾形琳の姿を描くアニメ。2009年制作とは信じられないほど予言的である。ちなみに、琳のテーマとして作中で何度も繰り返される旋律は、ムソルグスキー作曲「キエフの大門」。
 政治的に微妙な問題を扱っている上、残酷なシーンもあり、子供向きではない。だが、世界秩序について考えようとする大人の視聴者には、多くの示唆を与えてくれる傑作である。

【作品の舞台】
 作品の舞台となるのは、局地戦での核兵器使用をきっかけに、国際情勢が大きく揺れ動いた世界。一時は核を保有する超大国が主導的だったが、新たに開発された分散型兵器によって基地が制圧され核兵器が事実上無力化されると、強大な軍事力に頼ってきた世界の秩序が一変する。日本は核の傘を失った上、続いて起きた巨大地震の打撃で社会が混乱、頻発するテロを抑えきれなくなったため、もともと海外のレジスタンス部隊だったGGPを治安維持の目的で駐留させる。
 本アニメの設定によると、核兵器を無力化したのは、ライドバックと呼ばれる「オートバイに手が付いたような」ロボットとされる。ただし、これはアニメ的な視覚効果を狙った便宜的設定と考えた方が良いだろう。近未来の戦争が、巨大な破壊力を持つ大型兵器ではなく、サイバー攻撃による敵兵器の無力化や、多数の自律型ドローンによる分散攻撃(ガメラに小型レギオンが取り付くような)をメインとすることは、多くの軍事専門家が指摘する通り。AIによる顔認識機能を使って人間が操作しなくても要人を暗殺できるドローンも、2020年頃に実用化されたらしい(アニメ後半で登場する無人ライドバックは、このドローンの地上走行版と言える)。ライドバックは、安価で大量生産可能な民生品でありながら、容易に兵器に転用できるPCやドローンなどのアレゴリーである。
 GGPは「Global Government Plan」の略称で、超大国主導の国際政治を再編することが本来の目的だが、日本に駐留するのは、司令官ロマノフに率いられた事実上の軍隊。警察を傘下に置き政府に無断で緊急事態宣言を発令するなど、強権的な体制作りを進める。当然の結果として反GGP運動が盛り上がる中、GGPとBMA(反GGPを掲げるテロ組織)は、ともに軍用ライドバックを導入し武力対決に踏み切る。

【脚本の素晴らしさ】
 物語は、GGP対BMAの争いを軸にしながら、その周辺の動きを含めて多面的な展開を見せる。GGPとBMAいずれにも主流派・反主流派があり、複雑な内部抗争が陰に陽に進行する。驚くべきは、こうした策動をきちんと描ききった脚本の妙。ストーリーに直接関わる主要人物だけで1ダースを超えるのに、各人が従う指導原理が明確に叙述され、それぞれの行動方針に納得がいく。
 私が好きなのは、GGPで副官的な立場にある女性士官の描写。ふだんは感情を見せず実務的なのに、ロマノフが退席すると、書類をさっさと片付けながら自分でパラパラめくり、不敵な笑みを浮かべる。{netabare}この女性が陰で何かしていることを匂わせ、終盤における急展開の伏線となる。{/netabare}登場人物の多くがただの賑やかしにすぎない水増しアニメとは一線を画する、本格的な群像劇と言って良い。
 全体の中心にいるのが、ヒロインの琳。彼女は、震災で早世した天才バレリーナの娘として過度の期待にさらされ悩んでいたが、舞台上での怪我を契機に、バレエからきっぱり引退。何の目標もなく進学した大学で、スポーツとしてのライドバック競技に出会い、バレエで鍛えた身体能力を生かして好成績を収める。そのまま楽しい学園生活を送れるかと思いきや、親友をテロから救うためにライドバックを超絶技巧で乗りこなす映像がテレビで放映され、運命が一転。GGPとBMA双方から目を付けられ、両者の狭間で翻弄され続ける。
 琳は、もともとモラトリアム型で社会問題に関心がなく、バレエという閉ざされた世界で生きてきた。そのせいでGGPやBMAについての知識が乏しく、しばしば優柔不断に思える言動を示す。しかし、そのことが逆に、2つの勢力を善と悪に分ける教条的な解釈をいましめ、人間らしい生き方の何たるかを教えてくれる。このような描写を正しく読み解くことができれば、最終局面で彼女がある選択を行う理由がはっきりとわかるだろう。
 興味深いことに、こうした琳の姿は原作漫画と大きく異なっており、アニメ独自のものである。脚色を行ったライターの貢献か、監督が作品の方向性を指示したのか、具体的な経緯はわからない。

【高度な演出テクニック】
 アニメ『RIDEBACK』最大の眼目は、練り上げられた脚本を完璧に映像化した演出テクニックだろう。新人監督・高橋敦史の力量には端倪すべからざるものがある。
 例えば、何度も挿入されるテレビの報道番組。第5話では、テロ騒動から脱出するライドバックの映像を紹介しながら、いかにも聡明そうな解説者が、乗っているのが二人連れの女性であり、民間人が軍の包囲網を突破したことを、驚きを押し殺した口調で指摘する。時間軸に沿って繰り広げられるアクションを堪能してきた視聴者は、その瞬間、自分たちの目にした光景が、客観的にはどう認識されるかを察知する。このように視聴者の理解を映像でコントロールするのは、きわめて高度な技術を要するのだが、高橋は、いともやすやすと実行している。
 アクションシーンも素晴らしい。ライドバックは、近未来の乗り物であるにもかかわらず、エンジンを吹かす音やタイヤの軋みがオートバイそっくりで、妙に生々しい。これは、SFの世界に視聴者の知悉する現実を適度に混ぜることで、リアリティを増す手法である。よくよく目を凝らすと、走行中に車輪の位置が変わったり、かなりの高さから無事に着地したりと、工学的に無理のある動きも散見するが、エンジンやタイヤのリアルさが際だっているので、あまり気にならない。近未来的な操作パネルと旧式のハンドルやペダルが混在する外観も、印象的な音響と相まって臨場感を増幅する。
 人間が搭乗する二足歩行型巨大ロボットは、技術上の障害が多く高速走行は困難である。ロボットアニメでは、(『コードギアス 反逆のルルーシュ』のように)脚部に車輪を取り付けたり、(『新世紀エヴァンゲリオン』のように)あえて人工物には不可能な動作をさせて逆に非現実感を強調したりすることで、表現上の問題を回避する。『RIDEBACK』は、オートバイ型変形ロボットという独自の解決法を提示した訳である。オートバイのようにスピーディに動き回って視聴者に高揚感を味わわせた後、変形して人型に近い形態になる(こうした工夫は、オープニングアニメで集約的に表現されている)。
 ロボット同士のバトルもある。特に、第6話と第11話の終わり近く、琳が軍用ライドバックと闘うシーンの迫力は凄まじい。どちらも数秒で終わる一瞬の闘いなので、子供には物足りないだろうが、状況を把握できる大人は、息を殺して画面を見つめ、終わった後はしばし呆然としてしまう。

【作品に込められたメッセージ】
 アニメは、最終回でストーリーラインが分裂したように見える。{netabare}GGPとBMAの対立は、陰で暗躍していた勢力が事態を収める。一方、琳は独自の行動に出て、自律型殺人ライドバックを、バレエを思わせる華麗な動きで破壊していく。{/netabare}このラストは、ハッピーエンドのようで、どこか煮え切らなさを感じさせる。
 ある意味、それは当然のことである。世界秩序が一変したのに、すべてがあっさり解決するはずがない。「こんな解決法もありますよ」と提示するにとどめたと考えるべきだろう。
 力に頼る秩序は意外なほど脆く、簡単に壊れてしまう。現代人は、その危険性を至る所で目にしているはずだ。では、どうすれば良いのか。答えはない。しかし、アニメの中で琳は、答えがないなりに、決して踏み越えてはいけない一線、揺るがしてはならない原則があることを示す。それは、「命を守る」ということだ。時に力への憧れに身を任せそうになりながらも、彼女がこの原則を失念することはない。
 琳は、大切な家族や友人を助けようとするとき以外、他人に暴力を振るわない。第6話で弟を守るために警官を負傷させてしまうと、その警官が夢に現れ彼女を責めさいなむ。それほど、命を守るという原則を重んじているのだ。BMAのリーダー・キーファが、抜群の技量を持ちながら優柔不断で行動を起こそうとしない琳をなじったとき、彼女はこう答える。

 「人の命をなんとも思わない人たちと一緒にいるだけで、吐き気がします」

 素朴で情緒的だが、人間らしく力強い答えである。

【どうでも良いことですが】
 琳は、幼い頃から短いチュチュを穿いてクラシックバレエを踊ってきたので、パンツが見えても恥ずかしくないのだろう……多分。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 3
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