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「彼女と彼女の猫(OVA)」

総合得点
64.2
感想・評価
225
棚に入れた
1095
ランキング
3839
★★★★☆ 3.3 (225)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.0
音楽
3.3
キャラ
3.3

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彼女と彼女の猫の感想・評価はどうでしたか?

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 1.5 音楽 : 2.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

僕も、それから多分、彼女も

新海誠監督がサラリーマン時代に作った自主制作アニメ。
5分弱という短尺で色々とあらは目立つものの、仕事をしながら個人で作成したにしては高すぎるクオリティの作品です。
完全に個人により作製された作品のため、大勢の人の手が入って作られ商業作品として一般向けに宣伝された劇場版作品とは異なり、より本来の新海誠の作品として純度の高いものになっています。
『君の名は』や『天気の子』などは、それはそれで名作ですが、本作はより、"新海誠"がわかりやすい作品かと思います。

女性と、彼女が飼っているチョビという名の白いネコのお話です。
といっても、女性が彼氏に振られてへこみ、そんな彼女の日常を、チョビがネコ目線で語るのみとなっています。
なお、チョビの声優も素人の新海誠自身が行っているため声は非常に聞き取りづらく、一方で効果音がでかいです。
チョビの声に音量をあわせると効果音が爆音で響き、効果音側にあわせると何を言っているのかほとんど聞き取れません。
自主制作アニメなので仕方ないポイントですね。

作品自体の雰囲気がとても良く、モノクロームな世界で、新海誠氏の非常に美麗な背景が映ります。
静止画であることが比較的多いのですが、静かな新海誠氏の独白が、世界観を作り上げてゆきます。
序盤まもなくチョビが登場します。
ただ、チョビの作画がすごい、「これは、ネコなのか?」と目を疑いました。
それまですごく綺麗な彼女の部屋の風景、雨に打たれるベランダ、彼女の後ろ髪が映っていたのに、主役のチョビの顔が (・ ω ・) こんなです。
シリアスな雰囲気なのにおもわずズコーとなりました。
猫以外は美術がすごいので、一見の価値ありと思いますが、なぜ猫だけこんなになってしまったのか。

投稿 : 2022/12/18
閲覧 : 101
サンキュー:

4

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

猫視点で短大女子を眺めるってほどでもないか

新海誠の原点ともいえる作品かな
久しぶりに見返してみたけど、キャラデザ可愛いな。
猫好きなら見てもええんちゃうか
親の離婚・再婚の葛藤、就職の葛藤がある彼女と耄碌してきた猫との関係を描いている
輪廻転生の感あり、猫飼っている身としては猫ちゃんの死について考えると涙出そう。


OP
硝子の瞳 美優(花澤香菜)
ED
ソナタ クラムボン
伊藤真澄さんの作曲・編曲か。良き。
花澤香菜さん好きだな。やはり。


以下あらすじ。
ある夏の一番暑い日、彼女と、彼女の飼い猫である“僕”の暮らしが始まった。彼女は、通っている短大の卒業を控え、就職活動に追われる毎日を送っている。いつも頑張っている彼女にとって、“僕”と過ごす時間は、互いにひと時の安らぎを感じられる、とても大切なものだった。しかし、家族のことや、友達のこと、将来のこと…いろいろなことがうまくいかず、彼女は次第に傷つき、立ち止まってしまいそうになる。それでも彼女は、背筋を伸ばし、今日も扉を開けて外の世界へと踏み出していく。そんな大好きな彼女のことを、“僕”はいつまでも見守っていたいと思っていた。オリジナル版第1話~第4話に、ロングバージョンのオープニングと新規カットを加えて一本化した特別編集版。

投稿 : 2022/11/10
閲覧 : 97
サンキュー:

4

ネタバレ

天地人Ⅱ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

私的アニメ感想簿61

ナレーション
「天地人を支える投稿エネルギーはあにこれ上では急激に消耗する。」
「投稿エネルギーが残り少なくなるとカラータイマーが点滅を始める。」
「そしてもしカラータイマーが消えてしまった時、天地人は二度と再び投稿する力を失ってしまうのである。」
「天地人がんばれ!残された時間はもうわずかなのだ!!」

という事で、今回は短い作品の感想を書きたいと思います(おいおい)
で、選んだのが、この
「彼女と彼女の猫」
なんですが、リアルな描写の中で、何故かネコの顔だけがいい加減という不思議な作品です。
おかげで、初めてネコの顔が映った時は笑ってしまいました。

新海監督がまだ日本ファルコム(おのれ、ファルコム・・・って、それはゴルゴム)に勤めていた時に製作した作品だそうですが、所どころに新海監督らしさが感じられます。
まあ、そこら辺の考察は、他の方々がやっておられるので、省略しますが
(誰だ、めんどくさいから書かないだけだろうって言ってるのは)
(ってオレか)
なんか、心の声が聞こえたような気もしますが(待て)きっと気のせいでしょう。
ネコから見た彼女の姿を描く事で、観てる我々は想像するしかないのですが、きっとそれぞれの体験を投影するんでしょうね・・・


夏が来て僕にもガールフレンドが出来た。

長官の娘のミミーだ(ん?)

ミミーは小さな小鳥に変身するのが上手くて甘えるのがとてもじょうずだ。

でも、僕はやっぱり長官の秘書みたいな大人っぽい女の人の方が好きだ。

by烈(って、これギャ○ンじゃね~か)

投稿 : 2022/06/16
閲覧 : 146
サンキュー:

5

ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

印象で記憶に残るアニメですかね。

 チョビとミミの関係がそのまま、彼女と彼氏の関係だった、ということなんでしょうね。結婚を迫ったら、捨てられた、ということですよね。多分。

 猫は色覚がないといわれていたので、白黒なんでしょうか。(最近は猫も色覚があると分かってきたそうです)。
 それでも猫は世界が好きだと言います。
 無邪気な猫の視点からみているので、辛い失恋も日常の1ページということでしょうか。

 意味よりも印象で記憶に残りそうなアニメでした。

投稿 : 2021/06/12
閲覧 : 190
サンキュー:

1

ネタバレ

にゃん^^ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

彼女と彼女の元カレの思い

絵がとってもきれい

たぶん演出がじょうずなんだって思うけど
止め絵を動かしてるところがほとんどで
光とか影をうまく使って動いてるみたいに見せてるってゆうのも
白黒ってゆうのもぜんぜん気にならなかった☆彡

声優は監督さんがお話しを読んでるだけ(たまに女の人の声が入る)で
効果音がガチャガチャうるさかったみたい
(自主製作だからしょうがないけど)


監督さんのコメントは
「1999年の初夏から初冬にかけて作成した、自主制作アニメーションです。生活していくことの漠然とした寂しさ、微かな痛み、ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を映像と音に託しました。」


にゃんは前にカラーのリメイクの方の感想書いたけど
前に見たリメイク(彼女と彼女の猫 -Everything Flows-)の感想が
「見てると生きてるのがイヤになってくるみたい」だったの


だって彼女が苦しい思いしててもそれを分かってくれるのは猫だけ。。
それもちゃんと分ってくれてなくって何となく。。

それで彼女は猫がいるからがんばってるけど
苦しまなくっちゃダメな世界ってぜんぜん変わってなくって
かわいそう。。

猫がいなかったら死んで楽になれるけど
それもできないでずーっと苦しまなくっちゃならない
ってゆうおはなしに見えたから。。



でも、今回ブリキ男さんとKarukozakaさんのレビュー読んで
猫は人間で猫は新海監督さんってゆうので
そうゆうおはなしじゃなかったんだなぁって分かったみたい^^


そう思ってこの白黒のおはなし見たら

「秒速5センチメートル」でフラれたカレが
オレといっしょにいたら彼女を分かってやれるのに。。
オレだったら彼女をフったりしないのに。。

ってグチグチ思いながら
今の彼女(ミミ)がいるのにいつまでも思いつづけてる
そんなおはなしに見えてきちゃった。。
そんなカレの気もちって何となく分かるけど

フラれて
「だれか助けて。。」って言っても誰も助けてくれなくって
「あてのない暗闇のなかを。。この世界はまわりつづける」
ってゆうのはきっと彼女と彼女のこと心配してる猫のことで

季節が変わって冬
彼女は分厚いコートを着て出てく。。
ってゆうのは彼女はまだ暗いままだって思う

これが季節が変わって春で。。
ってゆうんだったら彼女は明るくなったんだ♪って思うけど。。

ただ、「雪がふってる」ってゆうのは
イヤな世界が雪でかくされてくってゆうことかな?
それってイヤな思い出がだんだんうまってってゆうことかも?


それでさいごに「ぼくも。。それから彼女もたぶん。。
この世界のことが好きなんだと思う」って。。


たぶんカレって彼女がいるこの世界のことが好きだって思う
それにコメントで「生活していくことの微かな痛み」って言ってるけど
にゃんが彼女だったら好きな人にフラれちゃったままで
「この世界のことが好きだ」なんて思えないって思う。。

それに雪でかくれたイヤな世界だって
この世界ってまわりつづけてるからしばらくしたらまた出てくるし。。


にゃんはこの世界で生きてるってすごく苦しいって思うけど
監督さんって
「生活してるとなんとなくさびしくってちょっと痛い」って思ってるみたい
たぶんそう思ってる人だったら新開さんのおはなしが分かるのかも?

でも、にゃんはよく分からなくって
「たぶん、カレってそんな彼女の気もちが分からなかったから
やさしい彼女にフラれちゃったんじゃないのかな?」
って思ったけどちがうのかな?

投稿 : 2021/02/09
閲覧 : 411
サンキュー:

43

ASKA さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

新海誠監督作品視聴6作目。短編の日常描いたアニメーション

ほしのこえレンタルDVDに入っているもので視聴。
5分くらいの短編です。猫と人間の女の人の生活を切り取ったみたいなアニメーション。猫の視点で物語が進んでいく。背景美術がやはりリアルですごい。

投稿 : 2020/12/27
閲覧 : 238
サンキュー:

12

ネタバレ

ハルジオン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/11/16
閲覧 : 163
サンキュー:

0

ネタバレ

Jun さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人間は文句を言うがネコはただ事実を受け入れる

人間の生活は大変で、ネコに理解できるとは思わないし、まして僕を助けることなんかできない。ただ失敗しても、もっとがんばれなんて顔もしない。成功することが期待されているわけではないから。

ただ溢れ出た悲しみや喜びは確実に共有できる。そばにいてくれるだけで苦しみは確実に減る。僕が嬉しい時はなんか喜んでいるように見える。

最終話の最終パートだけは僕の感性とは合わない。

ネコ達は転生などしない。死んだらみんな天国にいるんだ。

投稿 : 2020/03/07
閲覧 : 210
サンキュー:

10

うぐいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

短編

短くて登場人物が少ないのに、彼女の背景が浮かび上がってくる。
「言の葉の庭」でも感じたが、花澤香菜はこの監督の作る雰囲気にとても合っている。

投稿 : 2020/01/23
閲覧 : 185
サンキュー:

2

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

僕と僕の彼女

静かなモノクロの世界

緻密な背景の中に、落書きのように描かれた
可愛く愛くるしい猫ちゃん。


…何かが、おかしいのだ。



女性らしくない殺風景な部屋、ベランダ。

散らかった服、日用品、パイプ椅子、電話機。



時おり映る『彼女』は
いつも何かを考えている様子で

何故だろう?
とても生々しく見える。

そして
『彼女』からは

温かさが、猫ちゃんへの愛が、
全く 感じられないのだ。

…空虚な密室の冷たさ 孤独だけが伝わってくる。



反して
部屋の外の世界は温かい。


ベンチでじゃれあう2匹の猫ちゃんは
自由で楽しげだ。



猫ちゃんは…どっちの世界が良いのかな?




冷たく、空虚な、モノクロの世界は、
辛い

だって、寂しいから 不安だから。



『彼女』は
『彼女』も


不安な ギリギリの場所から、

色とりどりの『外』に出る時がくるのかな。



なんて事を…考えずにはいられないのです。












おわり。

投稿 : 2019/10/03
閲覧 : 611

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

モノクロで描かれた短編アニメ

このアニメは、新海誠監督の初期作品の一つである。
内容を、一行で言い表すなら、一人暮らしの女性の日常を
一匹の猫(?)視点から描いた物語だ。

この頃から、作画にはとても気合が入っている。
特に水の描写が素晴らしい。
モノクロなのは、おそらく予算の都合上なのだろう。
予算があれば、全編カラーで作りたかった
のではないかと思った。
猫から発せられるセリフも、詩を連想させる。

声に関しては、仕方ない部分がある。
猫の声は、監督本人が行っているが
少し聞き取りづらい印象を受ける。
別の声優を起用したかったのかなと思われる。
それにしても、かなり眠気を誘われる声である。
まるで、催眠術や眠り粉をかけられている様な気分だ。
疲れているときに見ると、ぐっすり眠れそうだ。

全体を通した感想としては、文学的要素が強い印象を受ける。
視聴していて、パッと思いついたのが「吾輩は猫である」だ。
雰囲気がとても似ているような印象を受けたからだ。
私自身、「吾輩は猫である」を熟読していないため
それに関しては深くコメントできない。我ながら恥ずかしい。

この短編アニメには、新海氏の作風を象徴している点が
大きく分けて2つある。

1つ目は、唐突な自分語りをかなりの頻度で使用すること。この作品は、
新海氏が声を担当しているのも相まって、常に自分語りを聞かされる。
人によっては、かなりの拒絶反応が出るだろう。
一部の人が、新海氏の作品に苦手意識を持つのは、これに起因している
からだと考えられる。言い換えれば、自分語りをすんなりと
受け入れられるようになると、ほとんどの新海作品にのめり込むこと
が可能となる。この作品以外にも、何本か視聴したのが、
私にはこの作風とかなり相性が悪かったようだ。仕方ないね。

2つ目は、猫に精神的に依存していること。この頃の作画では猫らしさ
を余り感じられないものの、猫の特徴はしっかりと捉えている。
恐らく、猫に生まれ変わりたいという願望が非常に強いのだろう
猫に自分の魂を憑依させているのだ。これを利用し、自分の作家性を
アピールしているのが彼の狙いという訳だ。
ちなみに、猫の集会という短編アニメも、これと同じ手法を採用している。

新海氏が、猫好きと言われるのはこの考えから来ているの
ではないだろうか。まあ、猫は家庭で飼われているペットの中でも
特に人気の高い動物なので、視聴者が作品に感情移入しやすい
というメリットがある。そう考えると、理にかなった方法ではある。

個人的な意見だが、新海氏は作家として
活躍したかったのではないかと思った。
余計なお世話かもしれないが。
自主制作物の中では、クオリティの高い良作だと思う。

新海誠を理解するうえで、重要な作品の一つなので
はないかと感じた。
芸術性のあるアニメを求めている方には、相性がいいと思う。

※とある方との交流を通じ、気づきがあったので少し
編集しなおしました。

投稿 : 2018/05/16
閲覧 : 356
サンキュー:

17

徳寿丸 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

あっ、漏れてたわぁ

オリジナル短編アニメ。
さて、新海監督の作品です。独特の雰囲気かららしさが出てて5分程度の作品ですがこれから新海作品観ていこうと思ってる方なんかには気楽に観てもらいたいですね。


私のツボ:以外に何回も同じ人の所に生まれ変わってくるらしいよ。思いが強ければ・・・。

投稿 : 2018/02/24
閲覧 : 267
サンキュー:

6

ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

世界は色に溢れている

Sec.1[イントロダクション]
春の雨の匂いとはどんな匂いだろう、少し穏やかで、新緑の香りだろうか。
灰色の世界の、アスファルトに落ちていく雨。
彼等は熱を失い続けていた。

そんな中で、彼女と彼女の猫が出会う。

Sec.2[彼女の日常]
何気ない人の営みの中に、薄く塗られた水彩の色のように、
少しずつ熱を感じ始める。
彼女の薄い香水の匂いを好きだという猫の、近くにいながら伝えない密かな思い。
「重い」ドアを開けるときですら、そこに静けさと、彼女のかすかな匂いと生活の熱が感じられる。

Sec.3[彼の日常]
雨の匂いを残した、青々とした空の夏の日々に、彼女の猫は、
大人の女性が好きなんだと、少し背伸びをする、少し熱っぽい。
無邪気さのある振る舞いが、子供っぽい。
「ホントにきてね」と続けていうミミの、彼女の猫への思いが、
強さと、遠く届かない切なさの感情が、行き場のない熱を帯びている。

Sec.4[彼女の寂しさ]
「少し涼しくなった」そんな時期に
長い電話の後、泣いた彼女の心と彼女の猫の心から、急速に熱が失われていく。
長雨のような、彼女の泣く姿と、かすかな叫びに搾り出した熱を残して、静寂がやって来る。
彼女の猫には入り込めない彼女の寂しさ、交わらない熱。

Sec.5[彼女と彼女の猫]
冬の匂いを感じ始め、静寂が雪が降るような朝に、また彼女が家を出る。
同じ日常の風景のはずなのに、春に感じた熱とはまた違う、
少し温度を下げたような彼女の日常の熱。
世界は全て雪に覆いつくされ、静寂に包まれている。柔らかな雪が世界の熱を隠している。
彼女と彼女の猫の猫だけが確かな熱を帯びて、確かな存在を感じる。

この世界は時として、私達の熱を奪っていく。それでも、日常が帯びる熱も、彼女が帯びる熱だけを感じれるこの世界も、好きなんだと思う。


感想後記
「熱」「匂い」「日常」というキーワードが気になったのでその辺を中心に見て書いてみました。本当は「熱」=「色」と考えて、モノクロの世界で色が失われている状態から始まり、出会いから、日常に色が帯び始めていくようにも感じました。状況の差により、色、熱といった日常の物の物質感の差を感じたので、そのへんがとても美しいなと思いました。

投稿 : 2018/02/24
閲覧 : 306
サンキュー:

13

ネタバレ

天地人 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

続々私的アニメ感想簿65

ナレーション
「天地人を支える投稿エネルギーはあにこれ上では急激に消耗する。」
「投稿エネルギーが残り少なくなるとカラータイマーが点滅を始める。」
「そしてもしカラータイマーが消えてしまった時、天地人は二度と再び投稿する力を失ってしまうのである。」
「天地人がんばれ!残された時間はもうわずかなのだ!!」

という事で、今回は短い作品の感想(って、最近短い作品の感想ばかりじゃね~か)をさせていただきたいと思います(おいおい)
で、選んだのが、この
「彼女と彼女の猫」
なんですが、リアルな描写の中で、何故かネコの顔だけがいい加減という不思議な作品です。
おかげで、初めてネコの顔が映った時は笑ってしまいました。
新海監督がまだ日本ファルコム(おのれ、ファルコム・・・って、それはゴルゴム)に勤めていた時に製作した作品だそうですが、所どころに新海監督らしさが感じられます。
まあ、そこら辺の考察は、他の方々がやっておられるので、省略しますが
(誰だ、めんどくさいから書かないだけだろうって言ってるのは)
(ってオレか)
なんか、心の声が聞こえたような気もしますが(待て)きっと気のせいでしょう。
ネコから見た彼女の姿を描く事で、観てる我々は想像するしかないのですが、きっとそれぞれの体験を投影するんでしょうね・・・


夏が来て僕にもガールフレンドが出来た。

長官の娘のミミーだ(ん?)

ミミーは小さな小鳥に変身するのが上手くて甘えるのがとてもじょうずだ。

でも、僕はやっぱり長官の秘書みたいな大人っぽい女の人の方が好きだ。

by烈(って、これギャ○ンじゃね~か)

投稿 : 2018/02/23
閲覧 : 276
サンキュー:

15

ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

新海監督が2000年に自主制作した5分程度の短編アニメ

【あらすじ】
とある猫の独白。

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛★☆☆☆☆ 感動★☆☆☆☆
頭脳★☆☆☆☆ 深い★★★☆☆

【ジャンル】
短編、5分、純文学的

【こういう人におすすめ】
新海監督をもっと知りたいという人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
63.8点。現在あにこれでぷちブーム(?)5分の自主製作アニメとしては異様な高得点と注目度。

【個人的評価】
マイクと声優が近くて耳がぞわっと。まあでもな~んかイイ感じだよね~。

【他なんか書きたかったこと】
※お知らせ※
剣道部さんのレビューの「新海作品との対比ならヲリノコトリさん」という記述からお越しの方は、さらにいいレビューが上がりましたので『雀犬』さんのレビューへの移動をお願いしております。ご不便、ご迷惑をお掛け致しますが皆さんのご協力をよろしくお願いします。
 ……っていうか本格的にぷちブームに(笑)
{netabare}

 ネコっぽいゆるキャラの落書きしたの誰だ。

 と、ひとボケかましておいてですね。あとは真面目に書きますよ。

 これが処女作ではないみたいで、これより少し前、1999年に制作された「遠い世界 OTHER WORLDS」という短編が新海さんの処女作のようです。1分半の作品。まあ暇だったら探してみてください。

 これを見るとやっぱり、この監督はここから「秒速5センチメートル」に向かって進んでいって一つの完成に至り、さらにその先を私に見せてくれるはずだったと思うんですけどね。
 明らかに「言の葉の庭」→「星を追う子ども」→「君の名は」でどんどん道を逸れてますよね……。5センチで完成を見たのに、世間の評価が思ったほど伸びなくて、「どうせお前らハッピーエンドで魔法とかあったほうがいいんだろ!」みたいな感じになってるのかな?(笑)
 まあ「5センチ」以降どんどん名が売れてるからそれが正解なのか。それともこの作品から「君の名は」まですべての作品に脈々と流れる何かを私が感じ取れないだけなのか。


 さて、この作品の内容について。
 有体に、誰憚らず包み隠さず言ってしまえば、5分のはずが30分くらいの長さに感じてかなりダルかったです。ただガラス玉をなめているような何とも言えない涼やかさはあって……、でもそれガラス玉なんで、栄養も味もない感じでした。迂闊に呑み込んだらキケンな感じでした。
 5センチの要素はめちゃくちゃありました。あの玄関に立てかけられた傘のシーンって5センチにもなかったっけ?ちょっと確認する気ないですけど(おいw)。5センチとの圧倒的な違いはやっぱり作画で、この作品を5センチなみの作画にして1時間くらいの作品に掘り下げたら、たぶん私は5センチと同じように好きになったと思います。

 ラストでこのネコが、恋人の結婚と同時に捨てられ、ボロボロになりながらもアパートに戻ってくると、そこには恋人の影も形もない。そして翌朝、息絶えて独り言すら言えなくなったこのネコを、管理人が溜息と一緒に手際よく、燃えるゴミの袋に……みたいなとこまで描いてくれたら、かなり好きになってましたね。


 「彼は純文学を生み出したかったんだ」「そして純文学は現代のストーリーと比べて未熟なんだ」みたいなレビューを見かけて、その通りだなあと思いました。
 私は文学的な考察(聖書を引用してますとかいう知識系、この部分はこれを暗示してますとかいう比喩系)が苦手なので、このネコっぽいなにかが口元のぺちゃくちゃ音とともに語っていた内容の裏に隠された真実とかは全然わかりませんでした。

 ただ、「こいつはこう思ったんだな」と。

 「拾われた日はぼくも彼女も雨に濡れてたよ。……まあそれだけなんだけどさ」とか「ぼくは子供なガールフレンドに偉そうなことを言ったりしたもんさ……まあそれだけなんだけどね」とか「ぼくも彼女も、結局この世界が好きなんだよね……いやまあ、そう思ったって話だよ。うん」とか。
 
 「あの時に感じた"あれ"を誰かに伝えたかった」という非常に原始的で、子供じみていて、自分勝手で自己満足な承認欲求の解決を、意味深なだけの耳触りのいい言葉で塗りたくって、焦らして賺して私たちの前にぶら下げているだけのことなんですよね。

 と、エセ文学的に言えばこんな感じになりますが、私流の言葉で言うと「こういうセンチメンタルな気分のときあるよね!共感して!」みたいなことかなあ、と思いました。ひとつひとつの言葉は別に大した意味を持っていなくて、張り巡らされた思惑とか全然なくて、ただ「なんかこういうこと言われると変な感じしねえ?」みたいな。
 で、結局純文学ってそういうものなのかな、みたいな。

 で、のちの世の深読みする人が、それを得意げに誰かに押し付ける、と。

 だからこそ、「まあでもな~んかイイ感じだよね~」くらいの感想で私は深追いしないことにします。ただ、なんかこういうの見せられるとなんか心の奥が変な感じしますよねぇ。それだけですけどねぇ。
{/netabare}

投稿 : 2018/02/22
閲覧 : 564
サンキュー:

26

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

5分間のラブレター

【作品紹介】
『彼女と彼女の猫』は、新海監督がゲーム会社勤務時代の1999年に作った自主制作アニメーションです。
一人暮らしの女性に拾われた猫の視点から彼女の日常生活をモノトーンを描く5分弱の作品。
第12回DoGA CGアニメコンテスト、SKIPクリエイティブヒューマン大賞でグランプリ受賞。
現在は監督のHP「Oher Voice -遠い声-」で無料公開されています。

【感想】
わずか5分弱のショートアニメでありながら、新海監督らしさが十分に感じられるムービーです。
アニメというよりも映像詩といった方が良いかもしれません。

新海監督は一貫して男女の距離をテーマにした作品を作っています。
彼はあらゆる舞台装置を使って、画面に男女の距離間を映し出します。

過去作品を振り返ると、
「ほしのこえ」は宇宙という空間的な距離が最後には時間的な距離を生み出す物語です。
「秒速5センチメートル」もまた、距離と時間が二人を隔てていく物語であり、
「言の葉の庭」では年齢差で男女のすれ違いを演出しています。
そしてこの「彼女と彼女の猫」も例外ではありません。

猫には彼女が電話で誰と話しているのか分からないし、落ち込んでいる理由も分かりません。
逆に彼女は言葉が通じないからこそ、心を癒してくれる存在として仔猫を拾い愛でている。
猫と彼女の関係性は完全に一方通行なものです。
にもかかわらずアニメの中で、猫は「彼女が好きだ」とはっきり私たちに告げます。
そう、これはネコとニンゲンという種族の違いが決して埋まらない空白を作る男女の物語なのです。
何人かのレビュアーさんが指摘している通り、猫のチョビは人間の男性とそのまま置き換えられます。
本作は牡猫と女性の恋愛を描いているようで、実際には人と人の恋愛を描いています。
猫の顔がやや極端にデフォルメされていることと、彼女の顔が映し出されないことには意味があり、
キャラクターの匿名性により観客は<猫>と<彼女>に
自身の記憶の中の男女の姿をはめ込むことが容易になるのです。

さて、このアニメ「彼女と彼女の猫」は
新海さんが当時付き合っていた彼女のために作った作品であることをご存知でしょうか。
レビュータイトルの通り、「5分間のラブレター」とでも言いましょうか。

付き合っていたとしてもお互いのことを何でも知っているわけではない。
このアニメの猫と彼女みたいに、逢わない時は知らない世界があり、
それぞれの事情があり、同じ場所にいてもお互い違う風景を見ているのかもしれない。
男女の心の距離は曖昧で、近づいたり離れたり、不安な気持ちにさせる。
「飼われている」というシチュエーションは「捨てられる」という危うさを抱えています。
それでも、いやだからこそ気持ちが通じ合えたように思える瞬間に、
平坦でモノトーンの日常が鮮やかな色彩に包まれるように感じ、
僕はこの世界そのものを好きになってしまう。
後の作品、秒速5センチメートルで貴樹が「13年間生きてきたこと全てを分かちあえたように思えた」と語り
言の葉の庭でタカオが「今まで生きてきて今が一番幸せかもしれない」と語った感情です。
"この世界が好き"という台詞が重なり合うのは、<君が><あなた>が好きだと思える瞬間なのだと。
これが新海流の"I Love You."なのです。

あああああああああああああ甘い!甘すぎる!
まるでスニッカーズのように甘い!
世界よ爆発しろ!!

すいません少し興奮して声がデカくなりました。
まぁ、そういうことなんですよ!

※点数は付けにくいのでデフォルトのままにします。

投稿 : 2018/02/21
閲覧 : 413
サンキュー:

27

ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

隙間を縫って

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
新海監督の自主制作アニメ。

あにこれでプチブームですし、私も流行に乗っかろうかと。

ただ、ぶっちゃけ、書くことないw

私はすでに「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」の方は観ていて、同じようなもんだろうと思って、たくさんの方のレビューを読んでいました。が、実はほぼ違う作品だと知りました。時すでに遅しw 皆さんがそれぞれに素晴らしい視点でレビューを書いているので、もう書くことないです。

最近書かれたキャッチさんのレビューなら、「小説版との対比ならDknさん」の、「新海作品との対比ならヲリノコトリさん」の、「叙情的で詩的なものなら阿紫カービィさん」の、「主観的で人情味溢れるものならにゃんさん、しおさん」の、「純文学的視点でならKarukozakaさん」の、「人間視点から鋭い指摘があるものならブリキ男さん」の、「猫視点からならあおい ほしさん」の、「作画面ならfumiさん」の、「客観的且つ製作上に触れたものならワドルディ隊員さん」の、を、それぞれ読めば、多角的且つほぼ完璧に作品を理解できそうなので、そちらをオススメします!

ほら、書くことない(笑)

だから私は、ちょっとふざけて書きますw


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
高校生の時に、自転車で通学していたのだが、仲間内で流行っていたクソみたいな遊びがあった。それは、歩いている(主に大人の)女性の後ろ姿から、顔が「可愛い」か「可愛くないか」を予測し、抜き際に皆で後ろを振り返り、答え合わせをするという、失礼極まりない遊びだ。

そんな、ガキの、未熟さや身勝手さ、世間知らずさ、調子のってんじゃねーよ感を思い出すアニメだった。

この作品は、「猫が、猫なのか人の比喩なのか」で、かなり味わいが変わると思う。私は人の比喩である方に1票だが、どちらでもとれるように作られている。作中、1度も彼女の顔は描かれない。彼女の恋愛を示す直接的な表現もない(全て間接的)。だからこそ、色々を想像させる。極端に言えば、「全てがクソガキ男子高校生の夢想」の可能性すらある(もしも俺が猫なら~的な。おぇぇ~w)。

というのは、あまりにも突拍子もないが。

ただ、この作品に出てくる「彼女」も「猫」も「子猫」も、実に身勝手だ。みんながそれぞれに一方通行でしか物事を捉えていないようなチグハグさを感じる。

多分、彼(猫)は本当のバカで、彼女はそんなバカだから一時的に寄りかかれるバカで、子猫ちゃんもバカに誤魔化されているバカなんだ。

まあでも、それで良いんだろう。多分、新海さんが表現したいことも、その手の類いだ。

私自身は、芥川や川端が好きだが、奴らなんて人間的にはだいぶヤバイ。クソみたいと言っても良い。純粋と言っても良い。頭は良いけどバカだ。エゴイスティックだ。そして、眩しく愛しい。最近の道徳の教科書みたいな小説とはちと違う。

この作品と、「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」を比べると、この作品が「剥き出しの新海監督」で、後者は「色々大人になった新海監督」なのかもしれない。どちらが好みかは人それぞれだろう。まあ、「世間一般」は後者を好むわけだろうけど。

久々に自分に酔ったような作品を観て、面白かった反面、高校生の時の勘違いスター野郎(根拠もなく自分を無敵だと思っている自分、の意)に久々に再会したようで、こっ恥ずかしかった。

あの時の女性の皆さん、ごめんなさいm(._.)m 自分のニキビ面を鏡で見てから、人にあーだこーだ言えと、過去の自分を叱っておきますから許して下さい。、、、新海さんは今、自分でこの作品を観て、どんな気持ちになるのかな?
{/netabare}

投稿 : 2018/02/20
閲覧 : 597
サンキュー:

31

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

TV版ではなく自主制作版の方

新海誠氏による自主制作短編作品
新海氏らしさは良く出ていると思います。

投稿 : 2018/02/19
閲覧 : 225
サンキュー:

4

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

レビュアーの方々の賛否を分かつ評価に興味を引かれ、元々好きな新海氏の最初期の作品だし、この際、ちょいと見といてやろうってノリで見たら、これは久々に考察が要るなと思って、

長文になりますが、久々に真面目に考えます。



なるほどこれは、アニメらしいアニメでありながら、
アニメらしいアニメではない。
そういうアンビバレンツな世界観の上に意識的に描かれた世界だ。

自虐と自尊の振幅の中で自己撞着に浸る、太宰が道化てみせたら同級生からしらけた目を向けられて「わざと」の意で「ワザ」と徒名して呼ばれるような、そんなザラリとした感触が、一見綺麗な作画と可愛いキャラで偽装されたその底に潜んでいると見えた。


これは、
「私のことに好感をもってくれてもいいけど、
ホントの自分は汚れきっているんです」
とひけらかして、
「それでも世界が美しいと思いますか?」
と意地悪を泣きながら言っている、閉ざされた子供の声だ。

太宰が自らの血を絞るようにしてものした私小説群は、
まさしく反感と嫌悪のための増幅装置として機能していた。

文学の底の深さは、そういう、アニメがまだ追いつけないところに根を下ろしていること。

アニメは意図的にグロとか鬱とかで作劇しないと、
視聴者にとっては共感と快楽のための消費物でしかない。
その限界点を突破しようとする数多の試みはまだ成功したとは言い切れないが、
焦ることはない、というのが個人的な意見。
近代文学が大江という果実を手にするまで120年かかったことを考慮すれば、
表現芸術として意識的になったのがせいぜい30年前のことで、
まだまだ時間はあるのだから。

今回視聴に及んで、
背景に特化した美術家だと思っていた新海氏の、
意外なほどに強い作家性、もしくは、ありていに言ってしまえば
「作家への憧憬」に素手で触れてしまった感覚が面白かった。

彼は、「彼女の猫」に仮託して、自らを語ろうとしている。
もちろん、アニメという表現スタイルをとる以上、
そこまで読む必要はまったくないし、
作り手もそこを表出したい訳ではないし、
そもそもそんな見方自体、私の見当はずれかも知れない。

だが、猫の不自然性を考察していくと、
そこに潜在するのは作家=新海本人であり、
ただ「可愛い」と見られたくもあり、
そうではないところ=自分の別れた女を、
一人称で描くことは叶わないまでも、
なんとかそれに近いかたちで表現したかったのに、
どうしてもできなかった分を、
猫と、その猫の恋に託して描くことで、
物語の多義性を獲得したかったのだろうと考えられる。



つまり視聴してすぐに感じたのが、
これは純文学を志向してあがいた結果の作品なのだということ。
本来的には一人称の世界。

アニメでは、セカイ系というカテゴライズが以前に流行ったが、
今改めて考えなおしてみると、
純文では、福永や大江のごとき巨人を引き合いに出すまでもなく、
そもそもの成立過程から「私小説」という形で
セカイ系と合一の地平に連なる表現思想は現出しているのだ。

多分思春期の終わりごろから純文に毒されて来た当方には、
こういう世界観での解釈が大好物なのではあるが、
昨今のアニメの、多彩で整合性が高く、成熟した表現に馴染んだ方には、
生理的に合わないかも知れない。

ごくごく簡単に端折って言ってしまうと、
太宰ストとか春樹ストには容易に直感的に理解できる世界であり、
逆に純文読みでも、
谷崎や三島のような骨太な作家性に親和する読者には容認できないものだと思われる。



今まで、漠然と新海作品を見てきたが、
この作品を見てよくわかったのが、
この人は、本来、私小説作家なんだということ。
この人の作品では、いつも美術に目を奪われて、
作家性の本質に思い至るチャンスがなかった。

この人の知性の底の、剥き出しのエゴを見ることが出来て、
非常に面白かった。

投稿 : 2018/02/19
閲覧 : 455
サンキュー:

30

ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 1.5 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

ヒトの皮を被った人間と、ネコの皮を被った人間のお話

新海誠監督が1999年に作成した自主制作アニメ。

一人暮らしの大人の女性と、彼女に拾われた猫のお話です。

本編4分半くらい。

ねこたんのしっぽを1分間で合計5回も踏みつけておきながら、罪悪感ゼロ、涼やかな顔で日常生活を送る人々の姿を描いた「猫の集会」を撮った新海監督、若かりし日のその人が想像する猫視点とは一体如何なるものかと、半ば怖いもの見たさで視聴を敢行したブリキ男ですが…
{netabare}
開始1分から、「彼女は母親の様に優しく、恋人の様に美しかった」と、強烈なパンチを頂きました(泣)さらに追い討ちをかける様に「彼女は(中略)毎朝仕事に出かける」という、ネコによるモノローグが‥(汗)

1.「母親の様に優しく」は分かります。
2.「恋人の様に美しかった」もギリギリセーフ?
3. ですが「仕事に出かける」は完全にアウトです。

2についても、ネコが自身をヒトと錯覚しない限り、ヒトの容姿を美しいと捉える事は出来ないでしょうから、無理を感じますし、仕事については、古くから「猫に小判」と言うことわざがある様に、ねこさんがその概念の一端すら理解していない事は明白です。(「どこかに出かける」あるいは「狩りに出かける」なら分かりますが)

なればなぜ、新海監督がこの様な表現を用いたのかと、ざっと考えて見たところ、一つの答えを見出す事が出来ました。

これは、人と猫のお話ではなく、人と人のお話なのだと。

つまり"彼女"が拾った雄猫のチョビは、"彼女"が同棲している人間の少年か青年で、同じく雌猫のミミは、彼女が仕事をしている間に作ったチョビのガールフレンドという隠喩なのではなかろーかと(汗)

ネコがアパートの鉄のドアを開けて、一人で(一匹で)外に出かけて行くとは考えられませんが、ヒトならばそれも可能なので。(窓が開いていたのかも知れないけれど)

ある青年(少年)の、半年に渡るアヴァンチュールを、何故ねこさんを介して描く必要があったのか、わたしには理解に苦しみますが、それが新海クオリティと言うものなのでしょう。自分の描きたいものを描くためには、かわいくてキャッチーな動物の外見(そとみ)だけを掠め取る事も厭わず、、彼等への敬意など、どこ吹く風なのです。「猫の集会」で感じたものと同じ種類の気持ち悪さを感じました。

そして極めつけが
{netabare}
「この世界の事を好きなんだと思う」
{/netabare}
で終わるラスト。
{/netabare}
最新作「君の名は。」でも、主題歌をあざといタイミングで鳴らし、視聴者を条件反射的な似非感動の渦に巻き込まんとする陳腐な演出が見られましたが、この作品も同様。失敗して収拾の付かなくなった料理をカレーにしてしまう事で、子供騙し的に、おいしく食べさせてしまうよーな、新海流力技の原点を見た気がしました(汗)

人が誠意を尽くして他者に何かを伝えようとする時、不器用でも、不恰好でも、長ったらしくても、言葉足らずでも、誤魔化しの無い心から発せられた言葉には、それなりに力が宿るものです。

全くの私見ですが、新海作品からは、生(き)の味が感ぜられません。代わりに、言葉をこねくり回し、策を弄した挙句、何とな~く良さげな台詞を用いて視聴者を(安直と言う名の麻薬入りの)煙に巻いてしまう、打算的ないやらしさが見て取れるのです。

唯一の見所は、初夏から始まる移り変わる季節の、モノクロ映像ならではの素朴な描写の美しさなのですが、それも描きたいモノを描く為に、生き物の心や、言葉という魔法を、好き放題に弄ぶ制作者の傲慢さゆえに、どれも(正常に)色褪せて見えてしまうブリキ男なのでした。

投稿 : 2018/02/17
閲覧 : 500
サンキュー:

32

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 1.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

個人制作レベルでは、結構好きかも?

アニメーション制作:自主制作作品
1999年に製作された短編アニメーション作品。
監督は新海誠。

【概要/あらすじ】

新海誠が自ら吹き替えをする猫と飼い主の女性の5分弱と短い日常話。

【感想】

アニメっていうより新海誠・自作の詩の朗読に映像を付けた感じ。
勿論、新海さんは吹き替えの素人ですのでマイクが息の音を拾っちゃうのが宜しくない。

猫の視界をイメージした結果として白黒作画になっちゃっちゃったのかな?
猫の視界で検索すると人間の視界と比較してぼんやりとして、くすんだ色の世界。
実際の猫の目に映る世界は白黒じゃないですけどね。
予算の都合か?とレビューしてる人もいて、そのとおりかもしれない?
と思いつつも、作画は短いながらも良い。

話自体は平凡ながら、猫が故に見ていることしか出来ない愛しのご主人様のドラマとして、
短い時間にきちんとまとめて作ってある。
実のところ、監督がメジャーになってからの、
トレンディドラマのごとくに主題歌がくどくて装飾過剰っぽい映画より、
素朴さが気に入ったのは内緒である。

監督の猫の声さえ気にならなければ、これは良作だと思った。


短いですが、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2018/02/08
閲覧 : 330
サンキュー:

40

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新海猫は、神であると同時に恋人である人間の女性をどう見たのか?セカイは実に美しい。

1999年のアニメ映画 4分46秒

原作監督制作 新海誠

新海誠氏による自主製作アニメ。白黒作品。

まず、初めの雨のシーンが素晴らしい。
雨そのものを描かずに水面を描くことによって画面にはない全体像が浮かび上がる。
これがセカイ系アニメなのだと思う
新海監督の作風は1作目の最初の場面で決定的に完成している。

背景の作画は写真から写されたものだろうが、
庵野監督の電柱俯瞰のアイディアをさらに進めて背景が主役となる可能性を押し進めている。
 
物語は特に際立ったシーンはないが、
主人公である猫が人間を敬愛する部分は、
コードウィナースミスのSF連作集「人類補完機構」からの影響が感じられた。

子猫でありながら主役の猫を慕うヒロイン猫が可愛くて切ない。
そして神である人間の女性の失恋を主役の猫がどう見たのか。

答えはない。セカイ系の美しすぎる短編アニメ。

投稿 : 2018/01/03
閲覧 : 331
サンキュー:

30

ブラックテクノロジー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

新海誠作品

新海誠監督が自主制作したショートアニメ

早口で呟くようなセリフと大きめの効果音のギャップや猫の作画だけデフォルメが効いている点が5分に満たない本作の世界に厚みを持たせていて良かった

カット割りが秀逸

監督一人だけでの自主制作とは思えない程の高いクオリティ

投稿 : 2017/03/21
閲覧 : 207
サンキュー:

4

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

新海誠とは・・・が何となくわかる作品

猫役新海監督の声が淡々と響く。
何気ない日常を切り取ったモノトーン風景。
新海節がそこはかとなく感じられる。

雲間から差し込む陽光、雨粒の落下、空々しいひぐらしの声、規則だだしい電車音。
客観的な描写が雪のように積もる。
彼女の感情もまたしかり。
降り積る感情に日常と非日常が交錯する。

このアニメ、文学作品に似ている。
厳しい現実の中での愛おしい生活。
やっぱり、新海監督の感性は果てしなく鋭い。

投稿 : 2016/10/09
閲覧 : 316
サンキュー:

31

郷音 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

君に出会えた。

雪は全ての音を吸い込んで、
でも彼女の乗った電車の音だけは、
ぴんとたちあがった僕の耳にとどく。

新海誠監督の同人作品でありデビュー作。

全編モノクロなのは猫が見ている世界だからなのだろうか

それとも彼女の精神状態を表しているのか、それはわからないです

5分ほどと簡潔に終わりますが何度か見たくなる作品です。

(猫が何言ってるか聞き取れなかったわけではないですよほんとですよ)

現在ネットで見られます。

投稿 : 2016/09/02
閲覧 : 203
サンキュー:

7

ネタバレ

datteba さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

おなかすいたね

もう一つの彼女と彼女の猫にまとめて書いときます。

投稿 : 2016/07/20
閲覧 : 227
サンキュー:

1

もろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

猫の絵の適当さ

少し早口で猫の目線で話す白黒ショートアニメ。
ショートアニメのため、サクッと観れて良い。
雨の描写が好き。
背景や物がリアルなのに、猫の絵が適当な感じに書かれているギャップが面白い。

投稿 : 2016/05/15
閲覧 : 217
サンキュー:

4

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

一遍の詩。芸術性極まる短編アニメーションの名作

独自のスタイルで現代屈指の映像作家として知られる
新海監督のもっとも古い作品です
5分という短編でありますが、映像作品として非常に優れています
16年夏に最新作が劇場公開されますので
この作品の魅力についてお伝えしたいとおもいます

・新海誠監督について
作品の特徴は圧倒的といえる背景の美しさと、詩的な台詞によって
表現される美しい世界観です


・この作品の魅力について
①美術
一人住まいの女性の部屋が非常にリアルに描写されています
片付いた部屋でなく、だらしなさ加減、家具のセンスなどが
非常にリアルです。小物のレイアウトは緻密
台所のシンクの汚れた器や、カゴに詰め込まれた洗濯物等
表現にこだわりぬかれています

対象的に主人公である猫はディフルメされて表現されており
これは猫が現実世界と離れた存在であることを
実にうまく表現できているのではないでしょうか


②ストーリー進行
たった5分の物語であり、主人公は女性と猫のみ
視聴者は物語の内容を猫のひとりごとから知ることしかできません
女性が何を考えているかを猫フィルターを通してしか知りえない
この試みは非常におもしろいです


・タイトルで一遍の詩とした理由
主人公である猫のひとりごとで進行するストーリーですが
猫のひとりごとが詩的なもの言いという事
猫の朴訥とした声と作品のもつ雰囲気があわさると
非常に情緒があります

物語にリアリティを持たせる為に、あえて芝居がからない
素人の声で語り手をさせるあたりジブリチックですね


・さいごに
情緒ある雰囲気がお好きな方や、詩がお好きな方は楽しんで
いただけると思いますので
ぜひご覧いただきたいです

投稿 : 2016/04/27
閲覧 : 256

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

TV版より詰め込まれている感がある

少し早口なセリフと大きめの効果音が特徴。

彼女の顔が出ないところや電話の内容が分からないところが、かえって想像が広がっていい気がする。

投稿 : 2016/03/05
閲覧 : 254

azuman さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

猫から見る世界

新海誠監督の自主制作アニメ。
数分という短さのため、単独ではなく「ほしのこえ」に一緒に収録された。

『猫』視点で見る世界。
特に目立った・際立った部分はないが、新海誠作品らしさを感じれる作品。



2016年3月からは1話数分の短編アニメとしてリメイク版が放送される予定。
それを見てからこっちを見てみるのもありだと。

投稿 : 2016/02/13
閲覧 : 210
サンキュー:

3

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彼女と彼女の猫のストーリー・あらすじ

都会で一人暮らしをする彼女と、偶然彼女に拾われた一匹の猫の物語。ある日、彼女の留守電に彼からのメッセージが入る。

『彼女と彼女の猫 -Their standing points-』は、新海が日本ファルコムに勤めながら作った作品であり、完全に個人で制作された5分弱のモノクロアニメーション作品である。生活していくことの漠然とした寂しさ・微かな痛み・ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を映像と音に託した作品で、心の琴線に触れるそのプロット構成や、全編モノトーンながらも緻密に描かれた作画やカット割の良い演出などは、従来の自主制作アニメーションのクオリティーを遥かに超え、高く評価されている。また、音楽は天門が手がけており、これが新海のアニメーションの魅力を引き出すことに成功している。これらの画面描写や演出技法、天門との音楽性の一致などは、後の新海作品のまさに原点となっている。編集の違いにより、フルバージョン・3分バージョン・ダイジェスト版の3つのバージョンが存在する。後に制作・販売された『ほしのこえ』のDVD版に映像特典として収録された。(OVA『彼女と彼女の猫』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
OVA
放送時期
1999年10月1日

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