バイオレンスで戦いなおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのバイオレンスで戦いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番のバイオレンスで戦いなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.1 1 バイオレンスで戦いなアニメランキング1位
TEXHNOLYZE テクノライズ(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (227)
1400人が棚に入れました
舞台は、絶望と暴力に支配され荒廃した都市・流9洲(ルクス)。老朽化したこの街は現在、外界からのネットワークから外されて孤立しており、街から他の都市へ行くことは困難だが、逆に行き場を失くした者達が流れ着く、吹き溜まりの場所と化していた。

ある日、この地に一人の男が外界から降りてきた。男の名は吉井。ある野望を遂行すべく降り立ったこの男を迎えるのは、生きる為に賭けボクシングで生計を立てる少年・櫟士、近い未来を見ることの出来る少女・蘭、街の声を聞くことの出来るオルガノの長・大西京呉、そして未来の義肢である「テクノライズ」の技術に魅せられクラースから降りてきた科学者・ドク。この男の来訪により、やがて流9洲は街全体を巻き込んだ事件へと発展していく。
ネタバレ

セレナーデ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「生」に執着する人間の醜さと美しさ、それによる滅びの謳歌を描いた怪作

ここのレビューを見てちょっと前から気になってた作品。
「地味な攻殻」という漠然とした先入観を持って、ここ最近時間を見つけてチビチビ消化してた。
{netabare}


「少なくとも、ルクスの人間は生きている」
このセリフに涙が出た。

それまでの本編を観てた時は、局所的なことばかり考えてた。
マフィアと機械義肢などの世界観のシナジーの意義、科学と宗教の対立を体現させたような
オルガノと連合の相関など、それらに一貫したテーマやメッセージを見出せずにいた。

でもそれらは全て、包括された「生」というテーマの基に描かれていたと分かった途端、
この作品の奥深さに驚嘆した。マフィアとして街を統括するヤクザの連中も、
反テクノライズ主義を唱える連合の連中も、ルクスの人間を戦わせようとする吉井も、
テクノライズすることに人類の進化や希望を見出す連中も、
ルクスに描かれていた人間は皆、各々の形で「生」に対し足掻きや執着をしていた。
それらに一貫して「生」のテーマが描かれていたからこそ、
ラストの街の滅びのフィナーレが美しく、
「少なくとも、ルクスの人間は生きている」、この言葉が強烈に響く。
様々な理不尽なルクスの世界を体験してきたイチセが言うからこそ、重さが違う。

仏教の世界では、殺人者より自殺者の方が罪深いという話を聞いたことがある。
実際に人前で「殺人より自殺の方が罪が重い」なんていうと糾弾されるから絶対言えないんだけど、
殺人をする人は、まだ生きることへの主張があり、生への放棄がない。しかし自殺者と言うのは
一見潔く見えるけど、生への放棄は仏教的には一番重い罪なんだという。らしい

本作のメッセージ性を汲めた途端なぜかこんな話を思い出した。
このアニメは残虐さと生の謳歌で蔓延している。
そして生きることをある意味諦めているような地上の連中より、
体を機械にしてまで争い、騙し騙され生きているルクスの連中の方が、よっぽど人間なのだと啓発する。

これが本作の本来のメッセージ性、テーマ性じゃないかもしれないんだけど、
例え図らずとも描かれていたその生に対する哲学や美しさに涙しちゃいましたね。

{/netabare}

哲学的で、考察的。
生に執着する人間の醜さと美しさをサイバーパンクと絡めた貴重な作品。



しかしやっぱ序盤はたるい。
地味で暗いが話のテンポ自体はあるし、ちゃんと話が進んでいるのは分かる。
が、いささかプロローグが長いというか、何を描きたいのかが分かりにくく、
序盤でテーマを把握するのは不可能。リアリティに徹してるわけじゃないからツッコミどころもあるし、
なにより世界観の説明不足が致命的。終盤まで明瞭にされない。

でも、その世界観が明瞭にされたとき、その作りこみと発想の凄まじさに感動すら覚える。
序盤の伏線とすら言えない「?」な部分も終盤で次々と理解できていく(見終わった後に
ネット上の資料で補完もしたんだけど)。

もし本作を観ようとしてる御仁がいれば、序盤は群像劇として観ることをおすすめします。
主人公だけ追ってると悶絶します。
あと「大局観的なモチベーション」が必要。1話1話に面白さを求めると絶対挫折する。
「いかに視聴者を切らせないか」という作り方をしている昨今のアニメに慣れすぎてると
このアニメの視聴は厳しいかもしれない。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

Jacks さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

青年が行き着く真の場所は...

今まで観てきた中で異色のアニメですね。ストーリーと設定が精巧に作り込まれていて、硬派な作風に仕上がっています。
マッドハウスが制作したことに良い意味で驚きを禁じ得ません。かなりインパクトがありますよ。
と言っても伝わりづらいと思うので、早速本作について解説しましょう。

時は近未来。「テクノライズ」と呼ばれる義肢の技術によって、人類は進化の一途を辿ります。
しかし、それを用いて新たな革命を掲げるオルガノを始めとした暴力的な団体によって、都市は壊滅寸前です。
そこに現れたのが本作の主役である「櫟士(いちせ)」。彼はある一件により右腕と左足を失ってしまいます。
テクノライズによって辛うじて生を取り戻した櫟士は、街の崩壊を止めるべく動き出すのが基本的なあらすじ。
ストーリーが難解かつ複雑なので、少しでも間違いがあったらご容赦を。

まず第1話で敬遠する人が多いでしょう。台詞がほとんどありませんからね。主人公でさえも喋りません。
第2話から少しずつ各個人の設定が明らかになり、台詞も格段に増えます。なので1話は実質チュートリアルと言って差し控えないです。
僕はシリアスな作品が大好物なので1話から余裕で入り込めました。ですが、出だしから雰囲気が非常に暗いので、よほどの理由がない限り続きを観ようとは思わないでしょう。
ですが諦めないでください。2クールアニメは徐々に話を展開することが多く、本作もその一部です。
巷では第7話から本番と言われているので、それまで我慢できるか。そこが肝心ですね。

本作を語る上で欠かせないのがキャラの心理描写。櫟士は勿論、ヒロインである「蘭(らん)」や他のメインキャラも謎だらけで、彼らの内情を理解するのに手間がかかります。
説明も一切ないので、キャラ同士の会話にちゃんとついてこれないと置いてけぼりです。考察の余地を与えるべく、あえて不親切な構成にしているのでしょう。
わけがわからないよとか、意味不明だとかと捉われても仕方ありませんね。従来のアニメとは明らかに一線を画した内容です。
その代わりに理解が深まれば、一気に面白くなります。それだけ本作には不思議な魅力があるのです。
事実、蘭の正体が解れば解るほど、テクノライズをめぐる争いがいかに醜悪で無駄なことか証明してくれます。

映像の美しさも目を見張る範囲内ですね。ダークな雰囲気と非常にマッチしています。
キャラデザが個性的です。特に目の形と服装。髪型は好みの問題かな。
作品の性質上、流血シーンやバイオレンスが結構多めで、それらの類が苦手な方は注意が必要です。
基本的には会話中心で話が進むので、ある程度の覚悟はしておいた方が良いでしょう。
OPとEDの作画は曲も相まって非常に印象的で奥深いです。僕はOPで櫟士と蘭が目と目を合わせるシーンが好きですね。「I'll be your guardian angel...」。
声優陣は一流揃いで、作品に引き込ませてくれます。櫟士の中の人は有名ではないですが、演技は上手いですよ。

前述の通り話が難解なため、面白く感じるのは後半ぐらいからですね。

僕はテクノライズと似たテーマのアニメを幾つか観てきました。例に漏れず当たりです。
本作も出来は良いのですが、いわゆる隠れた名作に部類されますね。非常に面白い作品です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

hottikiss3 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんていうアニメだ...

こんなアニメあり?って感じでした。

はじめに、今から見ようとする人へ

・とてもグロい。今まで見た中で一番グロかったかもってくらいグロいです。だからそこは要注意
・第一話、ほとんどセリフないです。何が起こってるかよくわからないと思います。主人公が誰か、くらいしかわからないのかも。そんで、最後まで見ても、話の内容がよく分からないと思います。
・最後は鬱っぽく終わるし、しかも何がどうなったのかよくわからないままの終わり方なので、余計鬱。
・いっき見しづらいアニメだと思う。最短でも4日はかかる。気持ち的に。
・かわいい女の子、イケメンキャラ、美しい画、なんかは全くない。目的が全然そこじゃないので、それ期待してる人は一話見るまでもなくまわれ右です。
・深くかんがえさせられる系です。話よくわからないけど考えさせられます。いろいろ。

物語は人間の終焉を描いたような作品
作画は、なんかリアリティー系で、私は好きです。主人公の瞳が私も大好きです。
声優...こんなにセリフ少ないアニメ前代未聞じゃないですか?
音楽、OPかっこいいです。歌じゃないけどかっこいい
キャラは、なんか悪役はとことん悪っぽく描かれてて話分かる系とかぶっ飛んでる系はいかにもそれらしく描かれてる気がします。それぞれ良いと思います。
大西さんが終始カッコよかった。このカッコいいの意味は話ちゃんと見た人しかわからないと思う。
そんでイチセは私はとても好きです。ああいうのが本来の人間なんだと思う。


そして。。。
セリフすっっっくなーー!!
びっくりする!!
あとイチセめっちゃ叫びますね。
オレンジの髪の女の子ランは神楽ちゃん(銀魂)に見えて仕方なかった。
ついでに言うと吉井は神楽のお父さんに見えた。ww

この物語は、世界の終焉を描いてると思った。
このまま科学技術進んでいって、平和ボケして
こんな感じで終わっていくのかな。と思った。
感じたことは、生きてるってどういうことだろう、という事
ただ椅子に座って仕事して
平和を害するもの、その危険性あるものすべてに蓋をして
自分は絶対安全なところにいる。ただ毎日生きてるだけ
っていうのは、生きてるって言うのかな?って。
それと、地下のルクスみたいな、人間争いまくって
権力争いとかして殺し合いしてる方が、生きてるって言えるのかも
争いはよくないっていうのが今の世の中で絶対的な思想だけど
それが続いて、永遠に続いて、それで本当に正常な思想だと言えるのか?
みたいな。
それと、私は義体についてはあんまり考えさせられなかった。
内容あんまし理解してないからなのかな。
ただ、自分の手足が今こんなに自由に動くのってすごいことなんだな、と思った。
今はあるからこれが普通だけどなくなったらそれはそれは苦しいんだろうなと思った。

見終わった後のこの現実との温度差がまた鬱感を大きくしてるのかも。
放心状態にさしてくれるアニメ。
評価もしづらい。縁がある人は見たらいいんじゃないかな。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

63.3 2 バイオレンスで戦いなアニメランキング2位
スピードグラファー(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (242)
1268人が棚に入れました
舞台は失われた10年の混乱から脱し、一部の富める者だけが我が世の春を謳歌する“快楽都市”と化した東京。 雑賀辰巳は、友人戸越清冶郎からセレブリティーのみが出入りできるとされる闇の社交場六本木倶楽部の潜入取材を依頼される。
潜入に成功した雑賀は、六本木倶楽部の深奥で行われる儀式の巫女、女神として崇められる謎の少女、天王洲神楽と出会う。雑賀は助けを求める神楽をつれ逃亡するが、六本木倶楽部支配人水天宮寵児が仕向ける欲望により特殊能力に目覚めた超人、ユーフォリアたちから執拗に追跡される。そして雑賀も神楽と接触したことにより、被写体の魂を吹き飛ばす写殺能力に目覚めていた。
自由を求める神楽のため、そして普通に写真を撮影する事の出来なくなってしまった自身を元に戻すため、彼らの孤独な逃避行が始まったのだった。

声優・キャラクター
高田裕司、真堂圭、本田貴子、森川智之、高島雅羅、優希比呂、津田健次郎、江川央生、広瀬正志

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

お金に対する復讐劇。主要キャラが魅力的です。

 水天宮という男のお金に対する復讐といえばいいのでしょうか。物語の中心は神楽でも雑賀でもなく、水天宮でした。

 冒頭は、ヒロインの普段の清楚さ、女神になったときの淫靡さの対比と、不遇な環境の謎で物語に引き込まれます。

 超大金持ちという存在をここまで発想豊かに描けたのは素晴らしいでしょう。女教師に金を持たせるところ、金の回収の話、一万円札のたばこ、ビルの構造等々が非常に独創的でかつ金持ちの冷酷さや人間の道徳の不確かさを上手に描いていました。

 その後、欲望を象徴したユーフォリアという能力、そしてグロテスクな性欲を満たす日本の政財界の秘密クラブなどの話が展開しながら進んでゆきます。
 ここがちょっと長いですが、ヒューマンドラマとしても、エピソードとしても、キャラたちの奇抜さも面白いです。ここで出てくるエピソードは被害者と加害者に見えて実は両方とも欲に塗れた結果となっており、テーマ性がちゃんとあります。

 キャラ造形は非常に魅力的です。それぞれの主要人物が少々極端な性格で行動やセリフは芝居じみていますが、歪んだ理由、背景が読み取れて、しかもストーリーの伏線になっているのでちゃんとヒューマンドラマになっています。

 何といっても水天宮という男が単なる悪役でなく、歪められた過去、妹の話や戦争の話などが語られます。彼にとって人の欲望というのは武器であり、それを使って最後はアンチヒーロー的な存在として、価値観を覆してくれます。

 ヒロイン神楽の未発達な肉体と大人に利用される様、そしてエロティックなシーンなどは、まあ、当時の日本のティーンの性事情などを反映していると思います。

 アニメは作画がちょっと残念な部分がありますが、妙にスタイリッシュで魅力があるんですよね。センス…なんでしょうか。キャラデザはテンプレ感もありますが、ヒロイン2人、神楽、銀座が美しいです。男だと辻堂が良かったですね。
 
 EDは前半と後半で雰囲気が違いますが、曲もいいですが非常に良い画でした。

 大人が中心になって物語が展開するアニメが少なくなる中、今見ると非常に新鮮で面白かったです。
 ただ、スマホさえあればいい時代、ミニマリストが持てはやされお金に対する執着が薄くなっている現在、本作が作成された2005年の時点で物心がついていない世代は、お金の価値観がずれすぎて理解できず共感できないかもしれません。





 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

フェチグロ?

2005年4月7日 - 9月29日TV放送。全24話。

このアニメの最大の評価ポイントはNikonF2フォトミックAS
作画では面影すら無い酷い有様ですが・・硬い・・堅牢だ・・


様々なフェティシズムに拘ったアニメ。
諸設定は笊というより破綻して細かい部分どころか
大雑把な流れで露骨に都合よく捩じ曲げられる感じ。
作画・・特に質感が酷い・・毛並みとか立体感という
様なデティールは手抜きと言ってよいほどひどい印象。

一応バルブ経済破綻?以降のパラレルな感じの現代風。
基本的には高尚なギャグ? 色んな意味でシュールな
作り?になっているような気がした。

このアニメのジャンルはハードコアサスペンスです。(wiki)
有るというが証明できなければ無いのか・・無い事を証明
出来なければ有るなのか??物語としては一応存在を証明
出来ないものを扱っているけど・・ミュータントSF的要素
が含まれているかな?程度でサスペンスという程緊張感の
有るシーンは殆ど無い・・映像などの演出が滑稽なせいで。

流れ的にはシナリオはサスペンス風に書かれている様ですが・・
サスペンスにハードコアが掛かっていると思われるけど・・
その定義が私には不明・・どんなジャンル? このアニメ
のような作品がハードコアサスペンスなの?という感じ。
ハードコアポルノ風サスペンスとも取れますが・・
フェチティシズムの描写+サスペンス・・グロかなぁ~
物語はただの恋愛絡みの憎愛劇だったりヒロイン視点だと
初恋物語風?な適当なお話ですけど・・

それにしても・・行動パターンがお粗末で破綻した描写
が多すぎて・・いちいち突っ込んでたら身が持ちません。
突っ込み損の~草臥れ損・・だと思うので・・勢いだけの
シュールなアニメで滑稽な描写を笑えた人は勝ちでOKかな。

14話のカリ城ネタは・・勘弁して・・
此れがオチで完なら やっちゃった・・で笑えたかもだけど?

折り返し以降は割りとオーソドックスな流れで普通の作品?
風変わりなバトルは相変わらずだけど・・それにしてもパロ
が可也多いですね・・使い方もタイミングもギャグですが・・

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

Mir先生 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

何故GONZOは最後まで頑張れないのか……

2005年のGONZO制作のタイトル。
しかしすぐに息切れを起こすGONZO作画は、本タイトルでもいかんなく発揮されており、
GONZOオリジナル=作画崩壊の構図を不動のものにした。

ストーリーもなかなかで、キャラクターも魅力があり、音楽もセンスが光る。
しかし作画崩壊……もったいないとしか言いようがない。

元々大人向けアニメとして作られ、OPもデュランデュランを使ったりしていて、
当時で考えて30代の男性をターゲットにしているのが分かる。
だとしたら、あとは徹底したクオリティの管理をしていき、
何年経っても記憶に残るタイトルにしないといけなかった。
結果「なんだかなあ」で終わってしまった。

これはセールス面においてもそうで、
通して150位以下、300位圏外ばかりになってしまった。
これでは投資ファンドをバックに付けていても経営は傾く。

ゴンゾは2009年に、経営不振を改善すべく、持株会社のGDHに吸収合併された。
これによって92年から続いていた制作スタジオゴンゾは事実上消滅したことになる。
いまの株式会社ゴンゾは、GDHが社名変更してブランド名を残しているに過ぎない。
当時はショッキングなニュースだった。

で、内容の方だけど、いわゆる超能力もの。
そしてマニア向け、登場人物は変態ばかりが出てきます。
可愛い変態じゃなく、金と欲にまみれた……的なものが多い。
ちょいグロ、ちょいエロ。血の描写もしっかり描かれています。
後半の物語の転換の仕方は面白かった。

第1話は、変態の役が上手すぎる子安さんが声を当てています。

EDテーマを歌うのは湯川潮音さん。
邦画「リンダリンダリンダ」にも出演していて、ステージ上で風来坊を歌っていた方です。

キャラクターデザインは本当に優れている。コザキユースケさん。
天王洲神楽、可愛い。

今の時代、旧作のBD化も頻繁に行われているが、このタイトルは難しそう。
やるなら作画を見直してからして欲しいところです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

62.8 3 バイオレンスで戦いなアニメランキング3位
SHORT PEACE(アニメ映画)

2013年7月20日
★★★★☆ 3.7 (90)
467人が棚に入れました
【火要鎮】18世紀、江戸の町。商家の娘お若と幼馴染の松吉。惹かれあう二人であったが、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる。そんな最中、お若の縁談の話が進み始めた。松吉への思いを忘れられない彼女の狂った情念からの行動は、大火事を引き起こし江戸の町を焼き尽くす。その大火の中で再びめぐり合う二人。巨大都市江戸の大火を舞台としたスペクタクル。【九十九】18世紀。嵐の夜、深い山中で男が道に迷っていた。そこで見つけた小さな祠。中に入るとその空間は突然別世界の部屋に変化する。そこに次々と現れたのは捨てられた傘や、着てもらえなくなった着物などのモノノケ達。男はその怨念を秘めた古い道具たちを丁寧に修理し、慰めてやる。【GAMBO】16世紀末。戦国時代末期。東北地方(最上領)の山中に天空より何かが落下した。直後、寒村に一匹の巨大な鬼のような化け物が現れ略奪の限りを尽くす。時を同じくして寒村に暮らす少女カオは白い熊と出会う。人の言葉を理解するその神秘的な熊にカオは救いを求めた。かくして鬼と白熊との激闘がはじまる。新機軸のバイオレンス作品たるべく、荒く力強い画面を3DCGの技術を活用し描き出す。【武器よさらば】近未来。東京。砂漠の中の廃墟と化した都市を訪れたパワードスーツで武装した5人からなる小隊は一台の戦車型無人兵器と遭遇戦となる。しかし、次第に歯車が狂い始め小隊は窮地に陥っていく。大友克洋の原作による伝説的な戦闘アクション漫画を、再構築し、リアリティと革新性のある描写をめざした。エキサイティングなアクション作品でありながらも、無常観の漂うテイストに仕上げた作品。

声優・キャラクター
春名風花、早見沙織、森田成一、山寺宏一、悠木碧、草尾毅、田村睦心、浪川大輔、二又一成、壇臣幸、牛山茂、大塚明夫、置鮎龍太郎

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

お兄ちゃんコレいっぺん大声で言ってみたかったのでこの際言わせてちょ!「世界よ!!これが日本のアニメーションだーーー!!!」

まずオイラは「ミヤザキハヤオ」「オシイマモル」「シンカイマコト」「ホソダマモル」が通じても「オオトモカツヒロ」が通じないっていう職場の後輩のその偏ったヲタク脳を叩き直してやりたい^^b










大友克洋監督以下、日本が誇るトップクリエイターが一同に集結した短編4本で構成される劇場作品
かつての『MEMORIES』を髣髴とさせるオムニバス形式ではありますが、主にCGと手描きアニメーションの融合を図った先端技術の映像もまた魅力の一つです
ってかもうほとんど作画とCGの境目はワカラン
間違いなくその分野では最先端


ちなみに今作のテーマは4本それぞれがなんらかのカタチで『日本の姿』を描いていること
つってもそれは最初の2本を作った後で決めた完璧なこじつけ(笑)
4本とも“特に深みのある作品ではない”ことを先に謝っておきましょうw
心温まるラストが印象的な【九十九】はともかくとして、他三本は「まあ見事に話の中身の無い作品が揃ったもの」で逆に大したもんですw
なんも考えず、“娯楽作品”としてご堪能頂くのがいいかと思います
アクション、ロマンス、スペクタクル、バイオレンス、SFメカ、女の子、そして笑いも・・・?w
そんなんで面白いかの?
オイラは暫し考えるのヤメたくなりました、モチロン良い意味で、こんなのを「衝撃的な作品」と呼ぶのでしょう


【オープニング】
森本晃司
Minilogue
春名風花


【九十九】
舞台は江戸時代ごろ
強面で大柄な男が一人、雨の降りしきる山中で道に迷ってしまう
男は見つけた小さな祠で雨宿りをすることにするが、祠の中には人々によってポイと捨てられた傘や流行から外れた絹織物に魂が宿りモノノケとなっていた
男を祟るかのように迫ってきたモノノケ達にしかし男は全く動じず、壊れた傘を修理してやったり、廃れた生地を仕立て直してやったり、『モノ達』の供養を淡々してやるのだが・・・

江戸時代の日本という視点と『付喪神』という日本人独自の感性から、エコが叫ばれる現代にも通ずる“リサイクル”というテーマを描く作品
説教臭い内容ではなく、むしろ主役の男の勢いの良さ、そして清々しいまでの潔さが軽快なテンポ感を生んでいます

森田修平
岸啓介
堀内博之
山寺宏一
悠木碧
草尾毅


【火要鎮】
「火事と喧嘩は江戸の花」と謳われた通り、江戸という町において最大のスペクタルといえば火災
商家に生まれながらも火事場に心奪われて親に勘当され、火消しとなった男、松吉
松吉と結ばれぬ恋に堕ちた幼馴染のお嬢様、若菜(お若)
お若の気持ちを無視した縁談の話が持ち上がる最中、悲しみの果てに狂気に駆られたお若はふとしたことで起きたボヤを見つめてある決意をする
やがてボヤの炎は大きくなっていき、二人の家と江戸の町を焼き尽くしていく
そして大火の中で再び運命の二人をめぐり合わせることになる・・・

大友克洋監督の最新作
『スチームボーイ』では“蒸気”を描いた監督でしたが、今作では迫り来る“業火”を描いております
4本の中で唯一ラブロマンスを扱った作品ではありますが、最も中途半端なストーリーテリングがなされている“最高に雑な話”でもありますw
今作のみシネスコサイズの作品なのですが上下の枠は黒帯ではなく、絵巻物をイメージした和柄の装丁になっているのが特徴
ラストシーンではこの装丁にもちょっとだけ目を向けていただきたいところ

大友克洋
小原秀一
久保田麻琴
橋本敬史
早見沙織
森田成一


【GAMBO】
戦国時代の出羽国(現在の山形、秋田に相当)
突如天から降ってきた“何か”から現れた鬼のような姿の怪物が山里の寒村で暴れだし、村の娘達をさらっていく
寒村で最後の娘となった少女、カオは人の言葉を理解する神秘的な白熊、「ガンボ」に鬼を退治してもらうよう祈る
少女の切なる願いを聞き取ったガンボは自ら鬼退治に向かい、鬼との死闘を繰り広げることに
目前に広がる圧倒的な暴力に恐れ慄くカオだったが、一部始終を見届けていた野武士の青年にガンボを差し向けた責任の重さを背負うよう「祈り続けろ」と諭される
そして二匹の戦いの行く末は・・・

この作品はもう単純明快、実に痛快、ようはプロレスがやりたかったらしいですw
極々ありがちな“昔話”のような舞台とあらすじ、しかし画面上に繰り広げられるのは圧倒的な暴力!血しぶき!肉が裂け、骨が砕ける轟音!
それ以外のナニモノでもありませんw
そう、今作のキャッチコピーは“ホントは怖い日本昔話”
コレに尽きるのではないかと?

安藤裕章
石井克人
貞本義行
七瀬光
田村睦心
浪川大輔


【武器よさらば】
富士山噴火と最終戦争で砂漠と化した東京を舞台に、大戦で失われた兵器たちを回収する任務に就く一個小隊
いつも通りに仕事をこなす彼等の前に、自律型歩行戦車「ゴンク」が立ちはだかる・・・

大友克洋の同名漫画に惚れ込んでいたカトキハジメが予ねてから映像化を懇願していたところ「カトキさんがやれば?」と大友から言われたのが出発点だとか
プロテクションスーツに身を包み、ビームライフルに電磁グレネード、UAVで武装した未来の兵士達の姿
数々のSF作品、戦争映画を踏襲した迫力の市街地戦
まさにオトコノコにとっては興奮と圧巻の連続
コレだけのために観に行っても良いのでは?そう感じすらさせてくれるラスト4本目、そしてこのプロジェクトの集大成と呼ぶに相応しいSFミリタリーアクションです!

カトキハジメ
田中達之
山根公利
堀内博之
小倉宏昌
森田修平
片山一良
佐藤順一
二又一成
檀臣幸
牛山茂
大塚明夫
置鮎龍太郎

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

beatle さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

時間有る人にオススメ!映画館でヴァッチグーな作品二回目

ブレイブストーリー、クレシン大人帝国、虹色ほたる、秒速(ry これらから学んだ事があった。DVDではなくスクリーンで観るべきアニメ映画が実在するという事だ。今回の行脚はまさに反省ノートのなせる有意義な実例として今後の人生の糧となる事だと思う。今後はDVDを観る度に、あっ・・・(察し なんてことを考えて人生を損してしまったなんて悔しくて興奮して眠れないなんて考えは生じないと思う。
百分足らずのこのオムニバス形式のショートフィルムはマスベネタを探すpixiv漁りの百分よりニコニコでゆっくり怖い話を聞く百分よりレッチリマイベストメドレーを流すよりも価値の有る時間だった。
賛否両論あるかもしれないけど、こういうオムニバス形式の並びは悪くないと思う。レイトショーで千円だったけど、コレ千円で観ちゃって良かったんスか?レベル。大友のは自分がやりたい事をただやっちゃってるみたいだったけど、他の三作品(+1作品)はエンターテイメントやってんだぜ?凄くね?みたいなノリが感じられてスッゴイこっちが嬉しくなってきてしまうレベル。昼飯ランチに千円使っちゃう人はちょっと節約して行って見よう。損なんてせずに、きっと嬉しくなっちゃうはずだ。っつーかボーナス出てんだからアニメファンはアニメ産業に貢献すべきですよね。(ノーボナサビ残な方こそ千円レイトやで!)
正直言って一回の視聴だけじゃ目まぐるしく変る展開を追うだけでいっぱいいっぱいになっちゃったからもう一回行こうと思う。ラストの大友作品のおかげで(せいで)視聴後は割りと軽い感じで映画館を後にできました。きっと多くの人もこんな印象を持つと思うので、誰にでも、時間の有る人にはオススメできます。

二回目

面白かった。三作目ガンボはまさに日本昔話みたいなノリで始まった瞬間に「本編ktkl」なんて考えました。乗り物に乗ってやってきた鬼のキャラクターデザインを改めてみてみると、手と足に鎖みたいなものがあります。これは宇宙船で輸送される極悪囚人の宇宙人みたいな感じなのかなぁなんて空想してしまいます。単純に宇宙船のパイロットだとは考えられない程、鬼の身体は醜く、描写に知性が感じられないのも根拠の一つです。まぁこれは空想なんだけどね。アクションも良いし、戦闘シーンでは、「頑張れガンボォォオ!」みたいなノリで応援しているのは観客もです。
一作目の九十九、これは映像美という意味で惹かれる作品でもありました。森の描写なんかみてると、ピクシブでトップ絵描きみたいなノリのすっごい良い感じの背景でした。エンドクレジットに個人っぽい人が会社に紛れて映し出されてたけど、個人でやったんでしょうか。良いですね、ラストカットはパソコンの壁紙にしたいレベルでした。
二作目の火要鐘(ひのようじんと呼ばせるらしい)最初のカットシーンで見事に酔いました。覚悟してても酔いました。アイディアは凄いと思うし、実際凄すぎて酔いまくったのだから、インパクト有で、座席シートをいつもより下げての推奨映画に当たります。にしても、江戸時代の、まさにまんま、そのまんまの生活風景やら情景を映して、「嗚呼、なるほどね。良いね」みたいなノリに誰もがなれるはずです。
四作目。これだけは二回目だとヤバカッタ。
一回目観に行った時は前の三作品が凄すぎて息切れ間近、MP0の状態だったので、楽しめなかったとのだと解りました。
ナニコレ、戦闘シーンの熱さがヤバイです。MMOやFPSの対戦シーン、大型ボスモンスター討伐のシーンをまるごとまんま、そのまんま動画にしてあります。しかも大友描写で。こういう熱いガチバトルシーンは洋画でしか観た経験が(スクリーンでは)無かったので、凄まじく新鮮味がありました。エヴァとかではなく、人間のガチ戦闘という意味です。パワードスーツ着てたけど。一回目観た時は「なんでこんな微妙なの大友がわざわざ作ったんだろう。技術と金と才能の無駄なんじゃないか」なんて思ってたけど、このパワードスーツを着けた人間のガチバトルシーンこそが、大友のやりたい事だったのだと感じて納得。さーせんした。やるじゃん、大友。
この映画、二回目でお腹いっぱいになりました。
最後に、オープニングムービーの女の子がコスチュームが変るシーンは何故かしら性欲が沸いてきました。ここまでの情念を呼び起こすとは、やりまする。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

日本を代表する監督4人による、"日本"をテーマとしたクオリティの高い大人向け劇場作品。

2013年劇場公開。短編4話構成。全68分。
日本"を共通テーマに、日本を代表する4人のクリエイターたちがそれぞれのセンスと技術を駆使し、時代は過去から未来まで、ジャンルも時代劇やアクション、SFと、多様な作品を制作している。

オープニングから不思議な空気感漂う作品。目を開けると別世界。未来的だけど原始的不思議な音楽と共に幕を開けます。

森田修平監督作品『九十九』
~あらすじ~
大雨の日に森で迷った旅人は、古びた祠で雨宿りをすることとなった。その祠は使われなくなった"物達"のモノノ怪の祠だった。

起承転結がハッキリしていて、短い中でも伝えたいテーマが分かりやすいし、和傘や着物、寄木細工、丁寧な手仕事、日本語遊び、そしてラストは富士山でしめる映像も"The日本"が詰め込まれていてとても魅力的。
山寺さんの渋い演技も良かったし、「流行り廃りもタンスの肥やし」というセリフも言葉遊びとエッジが効いててとても気に入りました。伝統的な日本を短編で知るならこの作品!って思うくらいに日本の心が詰まっていたと思います。良作でした。

大友克洋監督作品『火要鎮』
~あらすじ~
江戸を舞台とし、一人の女性の悲恋と江戸の町を覆い尽くそうとする大火事を描く。

物語の前半と後半とで雰囲気が変わる、短編の中に静と動がはっきりとある作品でした。1人の女性の内に秘める恋心、そして燃え上がり全てを覆い尽くす大火。
物語を盛り上げていく、迫力のある映像と音楽。切迫する気持ちが伝わってくる演出とセリフの間。短編ながらクオリティの高い作品でした。
江戸の伝統的な火消し文化についても知れるし、巻物のように始まる物語もお洒落で、こちらも伝統的な日本を知るのにぴったりなハイクオリティ作品。良作。

安藤裕章監督作品『GAMBO』
~あらすじ~
戦国時代、ある村に鬼が現れ略奪を繰り返していた。その村に住む少女は森の中で白い熊と出会う。

血みどろの取っ組み合いの戦いが描かれていて、ちょっと痛くて見るの辛かった。鬼のビジュアルも気持ち悪く怖いし、救いがないので苦しい。前半はカットが多くサクサク進み、後半の鬼と熊との戦いに重きを置いているようでした。死闘は迫力があったけど、痛い描写と生理的に受け付けない鬼のビジュアルだったので、もう見たくないです。

カトキハジメ監督作品『武器よさらば』
~あらすじ~
舞台は近未来の東京。武装した5人組の小隊は、ミサイル兵器回収のため、廃墟と化した都市へと潜入する。

他の3作とはガラリと雰囲気が変わり、オープニングから砂漠、そして近未来的な車と装備。登場人物の名前もお酒からとっているようだし、見た目も外国人的。
激しい戦闘を描いていますが、キャラの動きに応じたとても生々しいカメラワークで、揺れるし急に寄るしで、手に汗握る緊迫感がありました。和やかな感じで始まり、緊張感があり、一旦の平穏を用いてからのまたの緊張と、目を離せない構成なのも素晴らしかった。裸一貫で突っ込んでいくラストは、歴史が物語る日本人の戦い方を彷彿とさせられました。その様子からの富士山カットで終幕というのは、どこか哀愁があってある意味日本ぽかった。
他の作品と比べると日本らしさは少なめだったけど、映像にかなりリアルさがありました。しかしリアルな戦闘ものは苦手なので見るの辛かったです。

4作品見て、それぞれ全てクオリティ高く短編でもかなり楽しめました。アニメというよりは、映像芸術作品とでもいうような、リアリティあるレベルの高い作品が味わえます。大人向けなアニメーションが見たい方にはとってもオススメです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

56.1 4 バイオレンスで戦いなアニメランキング4位
トリアージX(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (295)
1593人が棚に入れました
法で裁けぬこの世の悪を悪性腫瘍として選択<トリアージ>し、闇に葬る秘密組織があった――。

その名も「ブラックラベル」。

17歳の高校生・三神嵐は、そのメンバーとして巨悪に立ち向かう。

この物語は、高校生にして処刑人である少年の、選択と覚悟と闘いの記録である。 

声優・キャラクター
赤羽根健治、近藤唯、佐藤亜美菜、緒乃冬華、浅野真澄、白石涼子、久川綾、黒田崇矢、嘉山未紗、安野希世乃、佐藤せつじ、星野貴紀、仲谷明香、野島健児、國立幸、三木眞一郎、大空直美、橘田いずみ、手塚秀彰、味里、野水伊織、幸田夢波

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

「トリアージX」このタイトルからもっと違う内容を想像していました^^;

トリアージって、一般には災害医療において、負傷者等の患者が同時発生的に多数発生した場合、傷病者の重症度と緊急度によって分別し、治療や搬送先の順位を決定すること。
平時では最大限の労力をもって救命処置された結果、救命し社会復帰し得るような傷病者も、人材・資材が相対的に著しく不足する状況では、全く処置されず結果的に死亡する場合もある・・・(wikiより)
というのが特徴なので、もっと違う内容の物語を勝手に想像していましたが、色々違っていましたね^^;

この物語は、法律で裁けない悪人を「悪性腫瘍」と位置付け、この世から切除する「ブラックラベル」という組織の一つである「アンプルワン」に所属する隊員達の日常が描かれています。

アンプルワンに所属する隊員は以下の通りです。
三神 嵐(CV:赤羽根健治さん):17歳の高校生。トリアージというタイトルは、彼の過去と密接な関係がありました。
木場 美琴(CV:近藤唯さん):三神より1学年上の先輩。学校では普段お嬢様ですが、もう一つの顔は三神とコンビを組みバイクで敵に特攻する、そんなお嬢様です^^;
梨田 織葉(CV:佐藤亜美菜さん):14歳のアイドル歌手なのですが、アンプルワンでは爆破処理担当という過激な女の子です^^
狭霧 友子(CV:大浦冬華さん):外科医である一方、日本刀を自在に操る近接戦闘者です。
剣 光姫(CV:浅野真澄さん):麻酔医で腕力も強く、青春に憧れる一面を持っていますが、狙撃、尾行、潜入なども得意なようです。
柩 小夜(CV:白石涼子さん):看護婦さんですが、素手で人間を屠れる程の怪力の持ち主なんだそうです。

文字の羅列のみでは伝わりませんが、この作品に登場する女性全員は美形で、殆どの女性が峰不二子ちゃん並のスタイルの持ち主で色っぽいんです(//∇//)
何を食べたらあんなに大きくなるのやら・・・^^;?
と思う一方で真逆の人もいるし・・・「適度」というカテゴリーは無いのでしょうか^^;?
個人的には適度が一番だと思いますけれど(//∇//)
需要が少ない・・・のかなぁ^^;?

悪人を排除することを外科手術と位置付けている事から、大きな意味では医療行為と同意なのでしょうが、やはりタイトルとのギャップは否めませんでしたね^^;
それでも、アンプルワンのメンバーは何故このような活動をしているのか・・・
それはそれぞれの過去の出来事と密接な関係があるのですが、その具体的な内容については是非本編をご覧下さい^^

オープニングテーマは、藏合紗恵子 featuring 流田Projectさんの「triage」
エンディングテーマは、山本和臣さんの「ソレーユ・モア」
どちらの曲もキーの低い曲なので、カラオケで1オクターブ下で歌うのは難しそうですがオリジナルのキーだときっと歌えなそうです^^;

1クール10話の作品なので尺の短さを感じましたが、物語として丁度良いところで10話を迎えたと思います。
と思えるのもラストのテロップに「See you next time!」という記載があったからなんですが^^;
具体的な続編情報は未だ発表されていないようなので、楽しみに待っていたいと思います^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24
ネタバレ

jethro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

原作からの切除要素の選択

まず最初に提言すると
原作は面白いです。

本アニメはオンエア開始当時既刊されていた
「トリアージX」原作マンガ第9巻までを基本網羅している
(2015年現在12巻までとアンソロジー版が発売されており現在も続行中である)
9巻は物語の第一ステージ終了的な、それなりにキリのいい終わり方をしており
ここをアニメの終着点にしたのは、ごく当たり前の判断だったと思う

先ほど「基本網羅」という言葉を使ったが、原作の内容はアニメに比べ濃く
「基本網羅」はしているが「完全網羅」ではない
そのため全11話(OVA1話含む)に収めさせるため、いくつかの省略要素が存在する
省略方法は一定のセオリーに則って行われている
つまり抑えるべきテーマに集中するということである
まず一つは主人公のアラシだ、彼の基本情報を欠く事はできない
そのため、サイドエピソードのように見えるユウコやミツキが関わった
過去のヒツギのエピソードはアラシの過去を知る上で重要な意味を持っているがゆえに
外せないものとなっている
そこで省略のためにガッツリ削ったのがミコトとオリハの過去話
彼女たちの過去の話が無いことによって
アラシとの関係性に違和感が生じてしまうミコトに至っては
アラシに対する思いやラブコメ的要素の部分が大きくカットされている
そのため2人の関係性は終始クールで甘えの無いものとして表現しなければならず
初回のシャワーシーンなど
少々現実離れした二人の関係性が紹介され戸惑った視聴者も多いのでは無いかと思う
{netabare}原作ではフロアに一つしか無いシャワー室なのでもともと男女共有しているものの
ミコトはオリハととともにシャワーをあびに来ており
なかなか来ないオリハに「さっさとシャワーあびちまえよ」と声をかけたところ
偶然にもアラシとはち合わせしてしまうという
ありがちなラブコメ的シチェーションとなっている {/netabare}
とはいえミコトは基本本作の事実上のヒロインなので、どんなにカットしても
ラブコメ的片鱗は残ってしまう、結果的に違和感はぬぐいきれず
本作の欠点要素になってしまっているのはとても残念だ

テレビで放送する以上、エンタテインメント要素は重要だ
しかしエンタテインメント要素とはなんだろう
主人公の主軸となる部分は残したにせよ、その次に重要視したのが
アクションとエロ・・・昨今の製作陣の基本的ミスはここにあるのではないか
アクションとエロは強靭な物語の上に存在するからこそ
至高のものとなりうるのでは無いだろうか?
別領域となるオリハの過去話はともかく、ミコトの要素に関しては
アクションやエロを削っても
導入すべきシチェーション、エピソードだったのではないか
この程度の選択ミスで、クソアニメ呼ばわりされ
ひいては、原作をも傷つける要因となってしまうのが非常に残念でならない

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

ぼくのかんがえたせいぎのみかた

校内では冴えない高校生が、「裏」では悪党を殺してまわる最強のガンマン。

誰でも一瞥して感じる通り、幼児性を窺わせる妄想的な設定だ。

本作を「必殺仕事人」と形容する人はいるようだが、「テロリスト」と表現する人は何故かいないように見える。

陰謀的な小集団が独自の価値基準で他者の選別と抹殺を正当化するのは、教科書通りのテロリズムそのものだ。
対象が「悪党」だから「テロ」とは違うと感じるようであれば、すでに作中の幼児性に感染しているのではないかと疑ってみた方がいいだろう。


オートバイと銃器を駆使して悪党の死刑を執行すると云えば、先行作として『ワイルド7』がすぐに連想される。肉感的な女性がアイキャッチとして導入されているところも。
あちらは国家テロルの実行部隊として超法規性を与えられた、国家機関の手先である「白色テロ」組織だが、与えられた超法規性を活用(悪用?)して国家権力への敵対を画策することもしばしばあった。

餌で手懐けられた飼い犬と人間を同一視して疑わない権力が、自分が許可した「力」によって破滅させられるという逆説が背景に込められていたのだが、本作では、人間を「腫瘍」と言い換えて人格を剥奪する主人公の属するテロ組織が、自分たちを相対化してみる視点はない。

敵をなぎ倒すアクションの爽快さを描きたいという欲求自体はありふれているし、悪いことでもない。
が、殺しても構わない程の「敵」という理由づけに、中学二年生以上であれば、もう少し捻った理屈付けを設定するだろう。

理由が倫理的なものである必要は全くないが、自分たちは法律を順守するつもりが欠片もないのに、「奴ら」を殺していい理由が「法律で裁けない」悪党だからだ、というのは、あまりといえばあまりに理屈がなさすぎる。
単に自分にとって許せない人間だから殺すと言えば済むものを、根拠をでっち上げて正当化しないと安心できない自堕落さが、テロリスト的とも子供じみているとも見える。

この独善的な幼児性がどこかで相対化されるのかと最後まで視聴したが、そのような視点はなかった。

主人公たちの秘密組織のアジト(?)が、何の疑問もなく、金銭的に非常に恵まれた清潔でリッチな施設としてイメージされることに、子供の欲望全開の無批判性が現れていて、うんざりさせられる。

背景はすべてカッコに入れて、アクションの描写自体を鑑賞できる人であれば楽しめるだろう。が、その数が多いとは思えない。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

66.6 5 バイオレンスで戦いなアニメランキング5位
冥王計画ゼオライマー(OVA)

1988年11月26日
★★★★☆ 3.7 (89)
316人が棚に入れました
大迫力のメカアクションと衝撃的なストーリーテリングで、数多のロボットアニメファンを魅了したOVA。秘密結社・鉄甲龍を率いる少女・幽羅帝は、配下の八卦衆に対し世界征服のための決起を表明した。しかしその前に立ち塞がるは、組織を離反した木原マサキが奪取した八卦ロボ・天のゼオライマー! 現在は普通の少年・秋津マサトによって操られているその機体が秘めた絶大なパワーは、次々に八卦衆の命を奪っていく。気弱なマサトが、ゼオライマー搭乗時に突如豹変するその冷酷さの正体とは? 原作となったのは18禁コミックで、時折挿入されるセクシャルな描写にその名残がある。とはいえ引用したのは部分的な設定のみであり、基本的にはアニメオリジナルといっていい作品となっている。

声優・キャラクター
関俊彦、本多知恵子、田中秀幸、荘真由美、鈴置洋孝、佐久間レイ、佐々木優子、勝生真沙子、玄田哲章、塩沢兼人、速水奨、辻村真人、政宗一成
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ややこしいよ!

 初見でした。全4話各30分のロボットもの。
 ロボットものなんですが、この作品の魅力はロボットよりも人物描写にあるように思えます。ストーリーもよく練られていますし、かなり堪能できました。その後の作品にかなり大きな影響を与えていることは間違いないでしょうね。影響を受けていそうな作品がいくつか浮かびました。想像したよりも平均評価が低くて少し残念です。

 私はロボット関連の知識は全くないので、その辺については言及しません。
 そもそも私がロボットものを見るときは、組織の相関図と人物の相関図がどう動いていくかしか見ていませんからね。この見方が常に正しいとは思いませんが、この作品に関して言えば正解だったように思えます。ロボット好きな方もそっちの方に目を向けてみると、違う視点で楽しめるかもしれません。

 この作品を一言でいうと、「ややこしい」です。陰謀系のストーリーなので、全体像が明らかになるのが後半になってから、というのもあるのですが、陰謀のネタの部分はその後の作品で流用されていたりするので、意外と何とかなると思います。それ以上にややこしいのが、首謀者のキャラクターですね。非常に読み難い。組織間の争いがあって、ロボット同士が戦って、人物描写もトリッキー、ということもあって、2時間作品にしては結構てんこ盛りだったように思えます。尺が短いというよりは、分厚いという印象を受けました。

 以下では、物語の骨子の部分とエンディングから入って、これを前提に個人の話に移っていこうと思います。全ての基礎はマサキにあり、です。以下ネタバレが過ぎるので要注意。


組織間の争い:{netabare}
 二つの組織が争っているように見えるのですが、この裏には常に第三勢力が見え隠れしています。この第三勢力の台頭が、エンディングにつながっていきます。エンディングを読み解くために、陰謀やロボットの要素を排除して、普遍化した全体像を掴んでおきます。

 世襲された王政に対し、軍事クーデターが起こって、さらに市民革命が勃興する。
 これだけですね。歴史的な流れと同一視で構いません。

 ユウラという人物。彼女は先代のもと、ゼオライマーに搭乗するはずだったわけです。つまり、軍事統帥権を持って後継するはずだった。それにもかかわらず、ゼオライマーの搭乗資格が備わっていないし、ゼオライマー自体も指揮下にいないわけです。軍事統帥権が毀損された状態で、女王に就いてしまいます。しかも、広く知られていたわけではないものの、種(たね)の不適格まで明らかになる始末。彼女には、女王たる資格が名実共に備わっていなかったわけです。これにより王政は弱体化していきます。

 これに対して反旗を翻したのがマサキという人物。彼は、女王の力を減退させた張本人なわけです。彼はゼオライマーを開発・管理し、パイロットも手中に収めています。軍事力しか持っていないものの、その軍事力に関してはハードもソフトも備わっている。この力を背景にして、王政に対してクーデターを起こします。そして、女王の近衛軍を蹂躙していきます。

 しかし、このクーデターにほころびが生じ始めます。協力者からの反発(イサオ)です。何とかこれを撃退するも、今度は「内部分裂」が生じます。取り込んでいたはずの弱きもの、第三勢力であるマサトの反乱によって、軍事政権は崩壊し、武装市民が戦場に現れます。
 マサキを取り込んだマサト(新マサト)は、ユウラのもとへと到達します。

 面白いのは、マサトもユウラもマサキであるということです。すべて同一人物を使って、上記のような疑似戦争が描かれているんです。
 つまり、<ユウラvsマサキvsマサト>の戦いは、<マサキ同士の戦い>である。こういう構造を持っているわけです。これを上記の例に当てはめると、<王政vs軍政vs市民>の戦いは、<人間同士の戦い>である、ということですね。
 無力なままのマサトでは、この戦争を終結させることは出来ませんでした。戦争を終結に導いたのは、ユウラでもマサキでもなく、武装した新マサトです。力無き者が力を得ることで、戦争を終結できると説明されています。その終結の方法とは?これがエンディングとテーマにつながります。
{/netabare}

エンディングとテーマ:{netabare}
 ユウラは新マサトに対して冥王決定戦を持ちかけます。「勝者こそが真の冥王」だと言っています。そして「全世界を破滅させるスイッチを入れる」ことを伝え、「止められるなら来るがいい」とまで言っています。破滅させたいだけなら宣言する必要はないわけですから、止めて欲しいわけです。

 それに対して新マサトは、「もう一人の僕(ユウラ)と決着を付け、たった一人の男(マサキ)の怨念を消さなければならない」と言っています。また、ゼオライマーの前で「お前が僕の宿命ならば、共に消えればいい」とも言っています。つまり、新マサトが消したいのはマサキ(ユウラと新マサト)であり、ゼオライマーなわけです。新マサトが消したいものに自分が入っているがポイントですね。

 そして、ユウラはスイッチを押し、その前に新マサトが現れます。このとき、新マサトが行ったのは、ユウラと新マサト、そしてゼオライマーの消滅を同時に達成できる手段、「自爆」なんだと思います。すべての発端であるテッコウリュウの本拠地を巻き込んで、終焉となります。

 世界は滅んだのか、というと滅んでいません。描写的にも地球の一部に大規模な爆発が起こっただけとして表現されています。ユウラの破滅スイッチによる効果が全世界に波及する前に、新マサトの自爆スイッチによる阻止が成立したんだと思います。そもそもユウラと新マサトの思惑は合致しています。二人とも世界を破滅させたいのではなく、マサキの遺産を無くしたいだけです。「勝者こそが真の冥王」なわけですけど、「自爆」によるマサキ同士の同士討ちですから、勝者なし、冥王なし、すなわち破滅なし、という終結なのでしょう。新マサトは確実に勝てる状況にあるんですが、勝者(冥王)になりたかったわけではない、ということです。


 で、テーマの話。前項で述べた例で言えば、市民が王政を打倒してハッピーエンド、というのが通常の流れだと思います。でもこの作品では、市民が王政もろとも自爆してしまったわけです。なぜ自爆しなければならなかったのか。それは、力無き市民ではなく、武装した市民だったからです。力無き市民というのは、マサトのことであって、新マサトのことではありません。市民であっても武装してたらダメなんだと、この作品は言っています。テーマって反戦力っぽいんですよね。例え出自が弱きものであっても、戦力を取り込んでしまったり、戦力自体を持ってはダメ、と描いているわけですから。
 ゼオライマーは、核を優に超える能力を持っています。こんな強大な戦力を描いておいて反戦力なの?と思ってしまったんですが、否定したかったからこその強大な戦力だったんでしょうね。戦争を悲惨に描かなければ、反戦は出てこない、というのと同じ論理です。
 ゼオライマーは、とことん強い存在でなければなりませんでした。ただ否定されるためにだけに。そんな悲しいロボットなんだと思います。
{/netabare}

マサキ①(ユウラ・マサト):{netabare}
 主人公はマサトなんですが、彼について考えていくと、最終的にはマサキという人物に行き着いてしまいます。一方、マサキを中心に考えていくと、マサト以外の人物もクリアに見えてくる。この作品は、マサキという人物が軸としてあるように思えます。彼はどういう人物だったのか。
 <ユウラvsマサキvsマサト>の戦いは、<マサキ同士の戦い>である。ここから始めます。

 ユウラ。彼女は、マサキのコピーの中で愛が一番強く描かれています。マサトとマサキで新マサキであるならば、彼女もユウラとマサキで新ユウラというべき存在であったはずです。新ユウラの中にマサキがいることを知っているルラーンは、彼女を「美しい」と言っています。

 マサキ。彼は、破壊衝動に駆られ、その願いを完遂するために、ゼオライマーと幾人かの人物を造った男です。これだけを見れば、悪の存在なんですが、必ずしも悪だけとは言い切れないところがあります。
 そもそも破壊衝動に疑問が残ります。単に世界を破滅するためならば、テッコウリュウの長になるユウラの破滅スイッチだけで足りたはずです。ユウラがゼオライマーに乗れば盤石です。でも彼は、マサトというもう一人の分身を用意してゲームを始めました。しかし、ユウラとマサトの行き着く先は、マサキの破壊で一致しています。自分の野望を止めるためにゲームを始めたのでは?そんな風にも勘ぐってしまいます。
 また、マサキは「愛」という言葉に拒絶反応を示しています。にもかかわらず、マサキが造ったゼオライマーのシステム(ミク)は人型です。しかも女性型。また、彼の分身であるマサトとユウラは「男と女」です。そして皮肉なことにも、彼らはいずれも「愛情」を知ることが出来ました。彼らがマサキの造ったものであることを踏まえると、「マサキは愛を求めていた」そんな風に写ります。

 マサトとミク。「僕が造ったみんながきれいで、なぜ僕だけがこんなに薄汚いんだ」これは、新マサトの中にいるマサキの言葉。「あなたの中にきれいなものがあったから、それを生んだのよ」がミクの返しです。「造った」に対し、「生んだ」と返す。これはミクの優しさなのか愛なのか。少なくともマサキが単なる悪であるのならば、ミクのこのセリフは出てこないはずです。


 <ユウラvsマサキvsマサト>の戦いは、<マサキ同士の戦い>である、と述べました。これを今度は縮小側のベクトルで見てみます。<マサキvsマサキvsマサキ>の戦いは、<マサキ内部の戦い>である、となります。つまり、人間の内部にある破壊衝動と愛情のせめぎ合いが、別のキャラクターを使って描かれているのだと思います。
 象徴的なのは新マサトの「ゼオライマーがある限りキハラマサトになる」というセリフです。これはマサキの「戦力がある限り破壊衝動を持つ」という自戒なのだと思います。作中のマサキは、その悪の部分を担ったキャラクターだというだけであって、マサキという「人間」自体は、悪が全てではなかったのだと思います。

 新マサトや新ユウラが愛情を知ったことや、ルラーンの「美しい」という言葉は、元来のマサトとユウラの影響によるものだというのは、否定できません。しかし、マサキを悪に固定してしまうと、なぜマサトが生まれたのか、なぜミクに人格を与えたのか、という主人公達の存在意義が薄れてしまうのです。
 マサトは「自分が誰なんだ」と自問しています。マサトとマサキの間で揺れるマサトの姿というのは、愛情と破壊衝動の間で揺れるマサキの姿に他なりません。マサキという「キャラクター」は破壊衝動を担ったものですが、マサキという「人間」には、破壊衝動と愛情が混濁していたんだと思います。
 マサトはマサキを受け入れました。その上で自爆という選択をしています。つまり、人間の中には、愛情以外にも破壊衝動があることを受け入れ、そのうえで破壊衝動に飲み込まれないように、戦力を放棄したんだと思います。つまり、この作品は、一人の人間の中にある愛情と破壊衝動を、複数の人物に分離させることで、擬似戦争を描いている、とも言えるのです。
{/netabare}

マサキ②(テッコウリュウ):{netabare}
 流石に長くなってきたので簡潔に。テッコウリュウもマサキが求めた「男女の愛」という視点から見てください。個人のコンプレックスではなく、「男女の理想像」からの乖離として描かれているのが分かると思います。
 第一話のタイハは、本音は充足していますが、建前(社会性)の部分で不足しています。
 第二話のアエンとタウは、サイガ(男)を断り女性二人での出撃です。
 第三話のリツは、一人で男性と女性の役割を担っています。
 第四話のロクウェルとギソウは片思い、サイガは偽りの愛です。

 これをベースにマサキ・マサト・ユウラの「男女の愛」の部分を掘り下げていくと、「ゼオライマーは男女が乗っているから強いんだ!」みたいに見えてくると思います。
 マサキは他人の愛を否定していましたが、マサトとユウラのカップリング、つまり自己愛を目指していたわけではなかったんだということも見えてきます。
 「ゼオライマーのパイロット」という概念が、「男女の理想像」を担っていて、それを具体化したマサトとミクは、理想から乖離していってしまったということも分かると思います。

 少なくとも、ストーリーの骨子も、キャラクターの解釈も、全てマサキを起点に始まり、マサキに帰着するというのを忘れずに。何度でも言いますが、<ユウラvsマサキvsマサト>の戦いは、<マサキ同士の戦い>ですよ!
{/netabare}

対象年齢等
 ロボットものとして見るなら、中高生の男子が中心かな。サラッと見ようとすれば見れてしまうのですが、考察しようとするとかなりの高難易度だと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

脳髄に直接叩きつけられる衝撃。神と悪魔の如き聖戦。

これは、イクサー1と同じくレモンピープルという雑誌に連載されていた漫画作品(原作者は違います)を平野俊弘(現:俊貴)監督が映像化したアニメです。

こちらもやはり美少女が出てくるし際どい性描写も出てくるのですが、イクサー1のような娯楽要素はなく、むしろ対極のような存在であります。


原作からの改変もなされ(原作読みました)、より『人の業』が感じられる哲学めいたストーリーですね。

敵味方入り乱れる人間関係。
どのキャラも自分の欲望や感情を包み隠さずぶつけ合う、対立の連続。どこまでもドロドロな人の闇が描かれています。

そして愛し憎み合う中で発覚する驚愕の真実・・・!
自分は自分なのか?どこまでが自分でどこまでが他人なのか?
設定の妙によって黒幕の存在意義がますます高まっています。
(これに似た設定を平野監督はロウランでも使ってましたが、ゼオライマーの秀逸さには敵いませんでしたね。)


このアニメで最も揺さぶられるのは『自我』の概念だと思います。
非現実的な設定なのに、登場人物の心情描写が生々しい現実感を帯びているせいで説得力があります。
ここでも幽羅帝(ゆうらてい)を演じる荘真由美さんの好演が素晴らしいです。今回は主人公のマサキを演じる関俊彦さんの鬼気迫る演技も鳥肌ものです!!



僕はスーパーロボット大戦というゲームはやったことがありませんが、どうやらゼオライマーはその性能から有名らしいですね。
スーパーロボット、と呼ぶにふさわしいと思います。ゼオライマーは本編では人の業を裁く神のごとき存在です。搭乗する人間によっては悪鬼に姿を変えます。
どんなときでもゼオライマーを見ているとその異様なオーラに呑まれてしまいます。怖いし、身震いさせられます。



最後までどうか見届けて下さい。最後の晴れやかな三人の表情にこそこのアニメの真髄があります。
時間の都合上話の繋がりに雑な部分があるのは残念でならないですが、とても感銘を受けたロボットアニメです。



すごーーくどうでもいいこと。
{netabare}
駅の改札で他の利用者がICカードで通ろうとして。
そしたら残高不足で『チャージしてください。』って引っ掛かってたんですよね。
そのとたん頭の中に『チャージなどさせるものか!!』ってマサキの声が浮かんできて(笑)
笑いをこらえるの大変でした。


それだけです。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

もうちょっと尺が長ければな~・・・。それにしてもゼオライマーが強い!強すぎる!!なんか無敵すぎて物語がどうでも良くなってくるw

他の皆さんがもう書いていますが、私も書かせていただきます。

「ぜオライマー強すぎだろ!!ww」

強いんだろうな~って見る前から思ってたんですが、想像を絶する強さだった。
その強さは力が強いとか、破壊力が凄いとかそんなんじゃなくて、他の敵ロボットと比較してぜオライマーが圧倒的に強いって話です。

初めから敵の中でもずば抜けて強いんだろうな~って思わせる雷のオムザックはあれだけ引っ張っておいて一瞬で敗退。
一応オムザックは核ミサイルなんぞ効きもしないほどの強さなんですけどね~w
それを一瞬で葬り去るゼオライマーはどんだけ~って話ですな。


まぁゼオライマーの強さも、やたらに技術が高いのも(人格をデータとして保存してそれを他の人物に転送するとか)設定としてそうするしかなかったと割り切るべきなんだろう。
昔の作品は意外に技術が高くて理解に困る^^;


実は、ここまでロボットにことに触れてきたが、この作品の主なポイントはロボットではない。
この作品は1987年に放送された「破邪巨星弾劾凰」の合体アクションの陽性な雰囲気とは違うロボットアニメを表現しようと制作された作品だ。

主人公の秋津まさとと木原マサキという第二の人格との葛藤、各ロボットを乗りこなすパイロット達のコンプレックスに焦点を当てて、戦うことの意味や宿命というものの卑劣さを表現している。

まぁ、表現しているつもりなんだが、結局のところゼオライマーが強すぎてキャラたちの葛藤が単純で簡単なものに見えてしまうのも確かだ。


そもそも全4話で構成されている為、物語が超急ピッチで進み視聴者を感動させる前に次の戦いへと引きずり込んでいく。
多分、この作品は尺が長ければなかなか良いデキになっていたと思う。

ついでながら言うと、ロボットのデザインや攻撃の仕方などはかなりカッコイイ。
ちょっと勿体無いな~と思わずにはいられないが、それも全4話では仕方が無い。

投稿 : 2024/06/01
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