マッドハウスで戦いなおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのマッドハウスで戦いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月24日の時点で一番のマッドハウスで戦いなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.3 1 マッドハウスで戦いなアニメランキング1位
ノーゲーム・ノーライフ ゼロ(アニメ映画)

2017年7月15日
★★★★★ 4.1 (852)
5123人が棚に入れました
それは一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる
《盤上の世界(ディス・ボード)》が
創造されるはるか以前の出来事。
世界を統べる唯一神の座をめぐり、終わりの見えない大戦が続いていた時代。
天を裂き、地を割り、星さえも破壊し尽くさんとする凄惨な戦争は、
戦う力を持たない人間たちに理不尽な死を撒き散らしていた。
強大な力を持つ様々な種族に追いやられ、
存亡の危機に瀕する人間を率いる若きリーダーの名はリク。
一人でも多くの人間が明日を迎えるために心を砕き、
擦り減らす日々が続くある日、リクは打ち捨てられた森霊種(エルフ)の都で
機械仕掛けの少女・シュヴィと出会う。
機械には持ち得ぬ心に興味を持ってしまったことでエラーを起こしてしまい、
仲間たちから廃棄されてしまったシュヴィは、エラーを修正するため、
リクに《人間の心》を教えてほしいと頼むのだが……。
これは六千年以上もの昔に紡がれた
《最も新しい神話》へと至る《最も古き神話》。
記録にも記憶にも残らない、誰にも語られることのない物語が今、幕を開ける——。

声優・キャラクター
松岡禎丞、茅野愛衣、日笠陽子、田村ゆかり、井口裕香、能登麻美子、沢城みゆき、釘宮理恵
ネタバレ

みむう さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

みんなジブリール嫌いにならないであげてね(´・ω・`)

僕は小説でも読んで映画でも見ました。
{netabare}神が生まれる前のお話なので空白の二人が出てこないと聞いていたので「つまらないんじゃね?」と思いながら小説を読んでみるとあらビックリ
面白さがあるいつものノゲノラでした。そこにシュヴィとの別れのシーンで感動という要素が入りとても良い作品だなと思いました。
映画では声優さんが演じているのでより臨場感あふれるものに。大スクリーンで見るのと小説で読むのはまた違った面白さがありました。
あとシュヴィ倒したからってジブリールを嫌いにならないであげてね!
今はいいやつだから!{/netabare}
2期が来ることを期待します!

投稿 : 2024/05/18
♥ : 9

くまくまちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

涙が止まりません・・・

 映画館は苦手で、暗いとすぐ眠くなり、過去には気付いたら終わっていたなんてことも度々あり、行くかどうしようか悩んでいました。
 最初の20分間ぐらいは、睡魔との戦いです。2度ほど落ちかけましたが、主人公リクとオートマタの少女との出会いからは、眠気が飛んでしまいました。
 舞台挨拶で松岡さん達が「ネタバレできないけど、とにかく泣ける。スタッフ達は4回見ても泣き続け涙が止まらない。」と言っていました。ノーゲームには、楽しくコミカルなイメージしかなかったので、何を言っているのか、さっぱり分かりませんでした。ポスターの雰囲気ではなんとなく戦闘シーンとかあるんだろうなとは思っていましたが、とてもシリアスで切ない恋物語で純愛ストーリーでした。
 恥ずかしいから絶対に泣かないと決意して観ていましたが、後半は、とにかく涙が溢れ出て、ハンカチがビショビショになりました。隣の男性は鼻水垂らして泣いているし、隣の女性もすすり泣いているし、とにかく館内の皆が同じ気持ちを共有しているんだなとヒシヒシと感じられる素晴らしい時間でした。
 素敵な作品に出合えて感謝です。ヨガに行ったときに感じる、心洗われるような気分に浸れる秀作だと思います。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 24
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

私の「感動したら負け」クリード(信条)を易々とクリアされてしまった!

この劇場版を見るまでは、異世界ファンタジー/異世界召喚ものジャンルで一番出来の良い作品は、『ソードアート・オンライン』シリーズで、対抗馬は『Re:ゼロから始める異世界生活』、そして『ノーゲーム・ノーライフ』は3番手かな、と何となく思っていたのですが訂正します。

①キャラクター&世界観設定の練り込み具合
②シナリオ自体の面白さ&作品から受ける感動ないし感銘の度合い

・・・を総合して考えると、同ジャンルでは、劇場版までを含めた『ノーゲーム・ノーライフ』が№1と考えます。

なお、上記3シリーズはいずれも原作未完(※アニメももちろん未完)であり、今後の展開次第で私の個人的評価もまた変わってくると思いますが、現時点で制作・放送(ないし配信・上映)されたアニメ作品を視聴した限りでは、個人的には本シリーズの今後に一番のポテンシャルを感じました。
というのも・・・

◆《トンデモ異世界ファンタジー》の顔をした《想定外の感動作》

本作は榎宮祐氏のラノベが原作ですが、アニメ制作スタッフは本年(2018年)の話題作『宇宙よりも遠い場所』(略称『よりもい』)とほぼ同じ方々です(監督・シリーズ構成・アニメーション制作会社が同じ)。
以前レビューした通り、その『よりもい』は“感動する”作品と事前に何度も聞いており、それなりに期待して視聴を始めたのですが、途中から「あれ?これハズレだな・・・」と気づき始めて、結局そのまま視聴し終えてしまいました。

因みに、英語表現だと“楽しむ”は have fun もしくは enjoy と能動態ですが、“感動する”は be moved と受動態となるのが通例で、私の場合も、アニメ作品は確かに大いに「楽しみたい」(※能動態)のだけれども、「はい、ここ泣くところですよ」みたいな制作側の誘導に簡単に引っかかって「感動させられ」(※受動態)たくないな・・・という拘(こだわ)りが以前からずっとあります。

⇒個人的に、これを「感動したら負け」クリード(信条)と呼んでいます笑。

私がアニメを見るときに一番大切にしている信条で、この「感動の壁」を超えるシーンに思いがけず出くわしてしまうと、その作品の個人評価が ★★ 4.5 を超えてきて、私の「お気に入り」作品の座に昇る可能性が出てきます。
(※実際には、この後さらに、その感動が「一時的なもの」に過ぎないのか、それとも「今後も継続的に感動できるもの」なのか、という厳格審査を実行するので、結局 ★ 4.2~4.4 程度の個人評価に留まる作品が大半ですが)

・・・で、本作なのですが、TVシリーズの時の視聴経験から、「はっちゃけた面白さには十分期待できると思うけど、感動できるタイプの作品ではないだろう・・・」と、さほど期待せずに見始めたところ、全体の2/3くらいを見終えたところで、思いもかけない《こころの震え》を覚えてしまい、「え?こんな作品に感動しちゃっていいの?」とビックリして、見終えて直ぐに、それが果たして正当な感動なのか、更に数回繰り返し視聴して自分に問いただしてみました。

結論からいうと、やっぱり本作は、

<1> よくあるような、音楽や演出などの技巧を凝らして視聴者の一時的な感動を喚起するタイプの作品(=一過性の感動しかない作品)ではなくて、
<2> 一見フザケた装いにも拘わらず、視聴者の感動が一時的なものでは決してない(=繰り返し見てもやはり確りと感動出来るくらいに)緻密に計算された設定&シナリオを備えた作品である、

・・・と思いました。

※なお、この「感動」には、前作であるTVシリーズ『ノーゲーム・ノーライフ』(※但し時系列的には劇場版の6.000年前の話)の事前視聴が、絶対必要とはいわないまでも、やはりある方がずっと良いと思うので、以下、併せて同TVシリーズの各話も再評価します。

《まとめ》
とにかく本作については、前作となるTVシリーズの、とくに第2-3話で、主人公たちの悪フザケに閉口して視聴を打ち切ってしまう方が多く発生している感じですが、そのTVシリーズが急に面白くなるのが第6話(ジブリール回)で、そのあとは最終話まで休みなしに駆け抜ける痛快さをもった《面白作》、そしてこの劇場版までくれば、視聴前は思ってもみなかった心の震えに出遭える《感動作》と思うので、これから初めて本シリーズを見始められる方は、何とか我慢してこの劇場版迄たどり着いて欲しいです。


◆制作情報
{netabare}
原作ラノベ      榎宮祐(『MA文庫J』2012年4月-刊行中)
監督         いしづかあつこ
シリーズ構成     花田十輝
脚本         花田十輝、あおしまたかし、下山健人、榎宮祐
キャラクターデザイン 榎宮祐(原案)、大舘康二(TVシリーズ)、田﨑聡(劇場版)
音楽         SUPER SWEEP(TVシリーズ)、藤澤慶昌(劇場版)
アニメーション制作  MADHOUSE{/netabare}


◆作品別評価

(1) 『ノーゲーム・ノーライフ』(TVシリーズ)  ★ 4.4   (2014年) ※計12話
(2) 『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』(劇場版) ★★ 4.7  (2017年) ※約1時間45分(4~5話相当)
----------------------------------------------------------------------------
  総合                    ★★ 4.5         ※計16~17話相当


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= ノーゲーム・ノーライフ (2014年4-6月) ==============
{netabare}
第1話 素人《ビギナー》 ★ 対テト戦(チェス)
第2話 挑戦者《チャレンジャー》 ☆
第3話 熟練者《エキスパート》 ☆ 対クラミー戦1(チェス)
第4話 国王《グランドマスター》 ☆ 続き
第5話 駒並べ《ウィークスクエア》 ☆
第6話 一手《インタレスティング》 ★★ 対ジブリール戦(具象化しりとり)
第7話 死に手《サクリファイス》 ★ 希望の鍵
第8話 起死回生《フェイクエンド》 ★★ 種の駒、※特殊ED
第9話 解離法《スカイ・ウォーク》 ★ 対クラミー戦2(オセロ)
第10話 指向法《ブルー・ローズ》 ★★ 対いづな戦(テレビゲーム)
第11話 誘導法《キリング・ジャイアント》 ★★ 続き ※OP「おねがい☆すにゃいぱー」
第12話 収束法《ルール・ナンバー・10》 ★★ 続き、対巫女戦(コイン・トス){/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)5、★(良回)3、☆(並回)4、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4

OP 「This game」
ED 「オラシオン」


============= ノーゲーム・ノーライフ ゼロ (2017年7月) ===========

全1話 ★★ 4.7 {netabare}TVシリーズより6,000年前に星杯(スーニアスター)を巡る古き神々&15種族の戦争を終結させた人類(イマニティ)の少年(リク)と機械種族(エクスマキナ)の少女型個体(シュビ)の物語{/netabare} ※1時間45分

主題歌 「THERE IS A REASON」

投稿 : 2024/05/18
♥ : 29

79.1 2 マッドハウスで戦いなアニメランキング2位
天鏡のアルデラミン(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (899)
4996人が棚に入れました
隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国、カトヴァーナ帝国。その片隅で一人の青年が戦乱に巻き込まれようとしていた。名はイクタ・ソローク。戦争嫌いの怠け者で女好きという、およそ軍人とはかけ離れた人物だ。幼馴染であるヤトリシノ・イグセムとともに高等士官試験を受けた彼は、二次試験への送迎船で、看護学校出身のハローマ・ベッケル、旧軍閥名家のマシュー・テトジリチ、そしてヤトリと同じく忠義の御三家の一角、レミオン家のトルウェイ・レミオンと出会うこととなる。道中、彼らと賑やかな時間を過ごしていたその時、突如船が座礁する。総員退艦となり脱出する5人……だが、そこで一人の少女が船から海へ落ちる姿が目に入る。ためらわず、大荒れの海に飛び込むイクタ。そして、彼は少女の小さな手を握った。時に帝歴905年。それが後に常怠常勝の智将と呼ばれた男と、帝国最後の皇女と呼ばれた女の初めての邂逅。“約束された敗北"へと向かう、物語の発端である――。

声優・キャラクター
岡本信彦、種田梨沙、水瀬いのり、金本涼輔、間島淳司、千菅春香

ヒロウミ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

転生したら盾の幼女の孫だった件

「まるで将棋だな」。甘い戦術考察、ぶれる時代軸、有明の干潟のごとく浅いカガク、何も残らないファンタジー戦記。


優れた戦術、掌握術を会得しながらも嫌みったらしくしているためになかなか正当に能力を評価してもらえない主人公が不利な戦争をしまくりつつ結局俺の味方TUEEEE頼み。

私はアニメはフィクションで絵空事と重々承知してるしその空想を楽しむようにはしているし楽しみたいと願望もある。しかし物語の内容がいくつか破綻してしまえば多くが瓦解しつまらなく感じてしまうのも私で悪い癖だと思っている。単純にそして素直に「すげー!カッケー!」とだけ感じることができればどれだけ有意義な時間となるのだろうかと心底自身のアホさを残念に思う。

主人公は知略に秀で(風)て口もたち更には科学に対しても博学(風)の本当は善行大好きなキャラクター。それに腕のたつ忠実な味方もたくさん居て、中世後期から第一次世界大戦の科学技術をぐちゃぐちゃに混ぜ騎士道やら精霊を利用した異能やらまでこねくり回したもんだからトンカツ海鮮オイスターソースがけブイヨン茶漬け丼状態。それぞれに独立性と合わさった旨味があれば面白い作品なのだろうがそうではないと闇丼でしかない。

序盤の物語については破綻なく面白かったのだがクソゲーになるのは中盤以降。精霊の力を使う銃の射程は40mと非常に短いのに対して火薬を用い大きなエネルギーが必要となる大砲と裂薬弾の存在が科学技術のアンバランスを発生させる。銃の考察をする上で火薬、信管、薬莢や弾丸などの金属加工技術こそが非常に密接なものなのだが主人公を引き立たせるためのこじつけが酷い。ライフリングとバレル延長で得られるものは直進安定性でありそれが大きいエネルギーを産み出す物でもないし弾丸、薬莢の進化無しには有効射程は劇的に延びない。
技術力が「対等」であるという無茶苦茶な設定を押し付けてしまっている意味も分からない。というか不要でしょ。しかも気球が高価ってwww主人公の頻繁に言う「カガク」ってイミフー(笑)

山岳民族蜂起の物語も最初から他国の干渉ありきなのは世の常でありながらそれすら念頭に置かずゴリゴリ自慰的に進めていく戦闘。がけの上に足場がありながらそれを用いず行われるゲリラ戦、情報戦を頻繁にアピールするくせに敵情の不明瞭と把握不足。双方にライフルの脅威がありながら「竜虎相搏つ」演出欲しさに前線で参謀が平然とチャンバラする稚拙な最終話などなど、これこそカオス。主人公の大好きな目隠し将棋が酷すぎて戦術と呼べる戦術でも無いのは嫌味なしにネタでしかない。


ぐちゃぐちゃな主人公のいう「カガク」が無ければ少なくとも楽しめる要素はあるのだが闇丼状態の物語で拒否反応を起こしてしまった。浅はかで短絡的なこじつけするならば精霊技術の進化による戦争形態の変化とそれを他者より上手く使う主人公って構図のファンタジーでええやんけ・・・などと不粋な思念に囚われてしまった。
弾丸もさぁ、貫通するような形状じゃないしさぁ、ペイント弾もどれだけの進化が要るのか。アニメって砲弾が簡単に爆発するよねぇ、何でもかんでも爆発しないんだけどさぁ。主人公持ち上げるために他の軍関係者の脳ミソをすんごい持ち下げて主人公だけまともにしてもそれって誰が騙されるんだよぉ。
ブラックラグーンほど銃器の描写に重きもおかず3DCGもショボいしなんだかなぁなラノベ販促作品。原作準拠ならばまさにラノベらしい作品だし制作サイドも兵器や戦争などの掘り下げての描写はさらさらする気が無かったのだろう。

岡本先生って笑う演技って一方通行縛りでもしてるんですかね?
そんなこんなな作品でもお耳に優しい種田ボイスはたまらんのです。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 13

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

悪くないかな…。→ まともな戦記物で、面白い!(…ので原作買った。)

ライトノベル原作(電撃文庫刊)。既刊10巻なので不人気ではないはずですが、私は未読です。
→ 面白いので原作を買って読み始めました。現在既刊10巻すべて読了。(2016.10.1)

契約した精霊がパートナーとして各キャラについています。主人公のイクタは、同郷で名家の娘っぽいヤトリが仕官のために都へ上るにあたって、試験でヤトリを助けたり引き立て役になったりするために同行します。

途中で同じ試験を受けに行く人たちと一緒に乗った船が難破して…、ということで後は書きませんが、とりあえず主人公は軍師・参謀タイプです。

そういう設定で1話目から有能そうに見える主人公はなかなかいない気がしますが、イクタはちゃんと有能そうだったので視聴継続して完走しました。

かなりちゃんとした戦記ものです。

本作は主人公のイクタ以外の、「騎士団」を始めとする周辺キャラが魅力的です。原作では敵方も魅力的ですが、アニメ化範囲では顔見せ程度の感じで「続きが知りたければ原作で」になってしまいますね。

…作画は、崩れというよりは動きの点でちょいちょいダメっぽいですが(笑)。
2016.07.30追記: 力の入れ処をわかっているようです。これは大丈夫そう。

全13話で原作3巻まで+後の巻からの幼少期回想エピソードを消化しました。

原作はかなり長い話になりそうで、アニメ化部分はいわばプロローグみたいなものです。

2017.12.12追記:
原作は13巻に到達。もうすぐ終わるっぽいあとがきでした。そういえば原作ではわりと重要人物である気がするトリスナイ(カトヴァーナ帝国宰相)って、アニメではキャスティングされていないどころか、ロクに名前も出てこないですね…。

続編が作られれば登場するとは思うんですけど、まあアニメ化された範囲では名前は出ていても事実上出番はなかったですからね…。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 58
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

内容の詰まった戦記物でキャラクターを見るのも楽しい

2016年夏アニメ。ライトノベル原作、全13話の戦記物です。
原作は2巻途中まで読了。ペースとしては原作3巻までのアニメ化のようですね。
原作より全体的に地味な印象に作られたアニメというのも珍しいかも。

キャラ物と戦記物のバランスの良さが良いですね。これは原作の良さでもあり、きちんとアニメにも反映されていると思います。
原作からのカットや短縮が沢山あるだろうと思っていたのですが、原作の内容もかなり詰まっているのであまりカットしていませんね。全13話でストーリーをキリの良い所まで進めるためにどうしても詰め込み気味になってしまった印象。
カトヴァーナ帝国の斜陽ぶりがわかりにくくなっていることと精霊の活躍が少なくなっていること、軍事関係のシーンが少なめになっているのも勿体無い点ですが、原作の進み具合からしてここしか切りようがなかったと思われます。
必要な情報を言葉での説明に頼らない(あるいは尺のために削らざるを得ない)ため、繰り返し視聴する人向きだと思います。

キャラクターは全体的に個性がわかりやすくイクタ以外のメインキャラクターが皆常識的なので、かなり見やすいと思います。人間関係もさっぱりしていてとても印象がいいです。
イクタは女たらしだったりと癖のある性格で、何話か進まないと良い所がはっきりと出てこないので苦手な人は苦手だったようですが、私はとても好きですね。{netabare}「人材の適材適所」という考えがイクタ本人にあるため、汚れ役を引き受けることが多くて痛々しいシーンもあるのですが、そこが良いバランスになっています。{/netabare}

キャラクターの配置も上手で、完璧系キャラと成長型キャラの両方が味方におり、それぞれに抱える問題・はっきりした美点欠点が設定されているため、誰にも感情移入できるし、好みのキャラクターは見つけやすいと思われます。

精霊も可愛くて好きですね!
見た目はちょっと癖がありますが動きや仕草が可愛らしく、主人に対する献身が健気ですし、物語に必要な存在として大切に描写されマスコット然としていないのが好印象です。……ねじまき要素は原作でも大分後にならないと出てこないという話。それはちょっと残念です。

キャラクターデザインに原作イラストよりずっと地味な絵柄を選択したのはチャレンジだったと思います。
でも堅実な世界観を作るという明確な意図が感じられて面白いですし、それぞれ良し悪しはありますが、個人的にはマシューのキャラクターがしっかり嵌っているのはアニメ版の絵柄だと思います。

戦闘シーンに作画全力投球というのが徹底していて素晴らしいです。接近戦に力が入るのは勿論ですが、長距離狙撃のシーンも本当に丁寧な作画ですし。
他の部分も常にきちんとしていて、コンテ演出も常に安定していて映像面で違和感は全くありませんでした。

OPは絵と歌詞の意味が物語が進むにつれ分かって行く作りで、最後まで見るととても感慨深かったです。じわじわ嵌って行きました。

{netabare}
第5話で子ども時代のイクタのヤトリに対する「君がいないと僕怪物に食べられちゃう」の台詞が色々想像させられますね…怪物とは狼の群れなのか、他の何かなのか。
むしろ人間を襲撃したものの返り討ちにあい、群れを崩壊させられた狼達のほうが喰われた側という描写なのが意味深です。
狼たちも幼少のイクタとヤトリも、戦った理由は生き残るため。弱肉強食ならぬ弱肉弱食とでもいうべき構図がやりきれない。
(※「弱肉弱食」という言葉は何年も前にどなたかのブログで見かけました。ブロガーさんのことも内容のことも今ではうろ覚えなのですが、酷く象徴的なこの言葉が忘れられません。)

人間もまた、正常な感性を持ち泥を被ってでも誰かを守ろうとする人(リカン中将、トァック少佐、カンナ、デインクーン)ほど腐った国に、あるいは周囲の大きな意思に喰われ飲み込まれていきました。
主人公であるイクタでさえ相手を納得させる言葉を用意することで自分の意志に他人を巻き込んでいくのですが、そこに理性と誠意があるからやりきれないものにはならずに済む。
他者と関わり合いながら生きていく上で人は「喰らわずにいられない存在」なのかも知れませんが、喰うか喰われるかの関係にならずに済む方法も、イクタの生き方によって明示されているのが良いなと思います。

第9話「ささやかな面目の行方」での食堂のシーンは正直その時は笑って見ていたんですが、「戦士」「勇者」にさらには「騎士」と次話で「ケダモノ」という言葉が飛び出したことで、人間のサガと理性、第5話で示された喰うものと喰われるもの、第8話「いつか、三度目に」から繋がる守りたいものと守れないもの、と明確にテーマ性が纏まっていく興味深い構成になっていると感じました。
……まさか伏線なんて思わなかったよ、あの猥談シーンw 考えてみれば尺がカツカツなんだから無意味なシーン入れるわけ無いですねw

「戦士」と「勇者」を飾らない自分だとすれば、「騎士」は他者にいかに誠実に向き合うかという理想を自分自身に課す在り方なのではないかと思います。
そして「ケダモノ」は自分のために他者を食い荒らすことに抵抗感を持たない存在。それは仔のために人間を襲った狼にさえ劣る在り方です。

シャミーユが願う国の在り方は、国を人に見立てるならば「騎士」に近いものなのでしょうね。しかし、シャミーユは自身の目的のためにイクタを喰らい飲み込もうとしています。敗戦国の軍事最高責任者なんて、正しく“すり減らされて捨てられる英雄”であるのは間違いないのですから。
イクタにとっては大事な存在(ヤトリ)を喰われないために逃げ出すか、人を喰らうばかりでない国を作るかという二択になるわけですが、どちらにせよ、仲間や身近な人が喰らわれる可能性は非常に高い酷な選択です。

イクタとヤトリの信頼関係を象徴する演出として二人の背中合わせの構図が一貫して強調されてきましたが、向かい合うシャミーユとイクタは全く正反対の関係性なのですよね。喰うか喰われるかという緊張状態にさえ見えてしまう。
第1話からずっと見て来たこのOP、本当によく出来ているなと思います。
{/netabare}

他の人の感想にもあるとおり、先がすごく気になる作品になってしまいましたが、本作単品でも十分に楽しめるようにはなっています。
色んな理由で1クールでの構成が難しい作品だったと思われますが、ヤスカワショウゴさんのシリーズ構成凄く良かったです。
物語の入り口という形にはなってしまいますが、気になる人にはオススメします。(2016.11.17)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 20

69.1 3 マッドハウスで戦いなアニメランキング3位
TEXHNOLYZE テクノライズ(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (227)
1400人が棚に入れました
舞台は、絶望と暴力に支配され荒廃した都市・流9洲(ルクス)。老朽化したこの街は現在、外界からのネットワークから外されて孤立しており、街から他の都市へ行くことは困難だが、逆に行き場を失くした者達が流れ着く、吹き溜まりの場所と化していた。

ある日、この地に一人の男が外界から降りてきた。男の名は吉井。ある野望を遂行すべく降り立ったこの男を迎えるのは、生きる為に賭けボクシングで生計を立てる少年・櫟士、近い未来を見ることの出来る少女・蘭、街の声を聞くことの出来るオルガノの長・大西京呉、そして未来の義肢である「テクノライズ」の技術に魅せられクラースから降りてきた科学者・ドク。この男の来訪により、やがて流9洲は街全体を巻き込んだ事件へと発展していく。
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

中盤まで恐ろしく退屈で、終盤は胸糞悪くなる・・・全くもってお勧めできない作品!

本作が好きな人は余程のマゾなのか?(失礼!)

私は根性で完走しましたが、かなりの苦行でした。
そして見終わって、「途中で投げださないで頑張って良かった。」という報われ感が全然ないところが・・・また何とも。

変わったアニメが見たい人にはお勧めできる作品なのかも?(これ以上の感想は出てきません・・・)


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


=========== TEXHNOLYZE テクノライズ (2003年4-9月) ============

{netabare}ROGUE 01 STRANGER (部外者) ☆ ※初見では何が何やらサッパリ分からない・・・
ROGUE 02 FORFEITURE (喪失) ☆ ※同上
ROGUE 03 TEXHNOPHILE (ハイテクマニア) ★ ※「テクノライズ(義体化する)」という特殊技術
ROGUE 04 SYNAPSE (神経細胞の連接部) ☆ テクノライズ技術の解説回
ROGUE 05 LOITER (彷徨い歩き) ☆
ROGUE 06 REPETITION (反復、模写) ★
ROGUE 07 PLOT (策謀) ☆
ROGUE 08 CRUCIBLE (坩堝、激しい試練) ★ 市街での抗争勃発
ROGUE 09 WIGGLE (体の揺れ) ☆ 
ROGUE 10 CONCLUSION (結論) ★ 吉井の死 ※初めて少し面白いと思い始める
ROGUE 11 VAGRANT (ルンペン) ☆
ROGUE 12 PRECOGNITION (認識) ☆
ROGUE 13 VISTA (展望) ★ もの見(ラン)の予言
ROGUE 14 REJECTION (拒絶) ☆
ROGUE 15 SHAPES (形状) ☆
ROGUE 16 STRAIN (圧力、旋律) ★ シェイプスの侵攻  
ROGUE 17 DEPENDENCE (依存) × シェイプスの秘密 ※単に悪趣味の話だったとは
ROGUE 18 THRONE (玉座) × 三長老惨殺 ※悪趣味さを見せ付ける作品?
ROGUE 19 HEAVENWARD (天国の方へ) ☆ 地上の世界 ※だからどうしたの?という感じ
ROGUE 20 HADES (ハデス(冥府の王)) ☆ 
ROGUE 21 ENCEPHALOPATHY (脳疾患) × ※もうどうでもいい話になってしまっている
ROGUE 22 MYTH (神話) × ※同上 ※ED 「WALKING THROUGH THE EMPTY AGE」{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)6、☆(並回)12、×(疑問回)4 ※個人評価 × 3.1


OP 「GUARDIAN ANGEL (XAVIER'S EDIT)」
ED 「月の詩」

投稿 : 2024/05/18
♥ : 17

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

未来は残酷で美しい、戦慄のSFカルトアニメ

舞台は、絶望と暴力に支配され荒廃した都市「ルクス」。
ヤクザ組織「オルガノ」、オルガノに対立する労働者連合「救民連合」、ギャング集団「ラカン」
様々な組織が入り乱れる混沌とした世界で、巻き起こる抗争を描いたSFカルトアニメ
もちろんただの抗争を描いているわけではなく、何者かの陰謀や謎が付きまといます

このアニメは終始退廃的かつ陰鬱で非常に難解なので、決しておすすめはできないですw

中盤までは「ヤクザの抗争を描いたVシネマ」みたいな内容ですので、
凄まじくバイオレンスな描写も多いです
そして痛快さ・爽快さの欠片もないので、単純に娯楽性を見いだすのは厳しいです。
特に意味不明な1話で90%ぐらいの人がリタイアするんじゃないかな?w
まぁそんな感じなので・・・それでも見てみたい人は挑戦してみてください

どこが難解なのか?というと情報の提示の仕方が、視聴者にあまりにも不親切すぎるところですね。
普通にぼんやり見てたら、間違いなく理解不能な状態に陥るでしょう。
なので、多少ネタバレ覚悟でwikiもしくは公式サイトで調べてから見るか、調べつつ見ることをおすすめします

とりあえず基本設定である「テクノライズ」についてだけ説明すると・・・・
テクノライズとは損失した人体の一部を補う、未来の義肢のことです
そのテクノライズの人間にもたらす影響が、この作品の大きなテーマになってきます。
後半になるにつれ、事態が大きくなってくるので徐々に分かってくるでしょう。
人間が「テクノライズすることによる功罪とその意味」を直接的に描いています

他にも重要な設定は多々あるのですが・・・興味があれば自分で調べてくださいw
設定や世界観がぼんやり分かってきたら、中盤から目まぐるしく事態が動くので面白さが増してくる
ただ終盤はもう想像を絶するカオスです。プラス超絶鬱展開・・・

『serial experiments lain』(脚本家が同じ)と双璧をなす難解作品ですが
個人的にはストーリー性・世界観・設定全てにおいてテクノライズの方が断然面白かったです
SF設定も、殺伐とした世界観・独特の演出も素晴らしい
今まで色々アニメを見てきましたが、色んな意味で一番衝撃的な作品です。

こんなハードなアニメには、もはやお目にかかれないででしょうね。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 20

カカオ副担任 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

慈悲を全く感じい取れない苦味100%のブラックコーヒー

鬱の極致に君臨する後味が悪すぎる良作でした

OPが個人的に大好きだったため視聴をすることに
鬱が好きな私にとって、とても好きな作品でした。
これをHUNTER×HUNTERやワンパンマンを発表したMAD HOUSEが作ってたなんて意外です。視聴者受けなんてあまりなさそうな作品でしたので。

舞台は近未来の世界です。
賭けボクシングで日々生き凌いでいる櫟士(いちせ)がとあることで手足それぞれ一本ずつ切断されてしまいます。それでも生き耐える櫟士が美人医師のドクとであってから物語が少しずつ動き出し、加速していきます。

一話目から鬱の香りが匂ってきます。ここまで暗いのはlainくらいかな。
暴力やエロも気持ち悪さも容赦なく個人的に面白かったです。今発表したら規制されるのは間違いないですね。よくアニメ化できたものです。

本作の世界観を理解するためには、なかなかの時間を使うと思います。
私は下のサイトを見ながら設定を確認し、視聴しながら物語を理解していきました。ぜひ参考にしてみてください。
1話~10話の解説→http://texhnolyzed.blog.fc2.com/archives.html
作品用語集→https://www.fujitv.co.jp/b_hp/texhno/word.html

ここまで暗く重苦し雰囲気は今では中々類を見ない貴重な作品です。
後味が悪いので見終わったらすぐに心を癒すことを強くオススメします。
鬱作品は気分が良くならないのについつい見てしまうのはとても魅力的です。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 5

62.6 4 マッドハウスで戦いなアニメランキング4位
ライドバック RIDE BACK(TVアニメ動画)

2009年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (197)
1035人が棚に入れました
国連の解体や東京大震災などを経て、学生達による反政府運動が再び活発になっている2020年の日本。学生運動の一拠点でもある武蔵野文芸大学に、一人の少女が入学してきた。彼女の名は尾形琳。類い稀なる舞踊の才能を持つ琳は、入学初日に人型二輪車ロボット・ライドバックと出会う。それが、世界を変革するきっかけだとは、誰一人知る由もなかった…。

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ロボットアニメへのなり損ない

キャラの絵柄は地道。雰囲気もちょっと大人しい。
ぱっと見、ロボットものだと思われがちですが、実際に視聴してみるとロボットアニメのカテゴリーには微妙に入らないのが理解できます。
オートバイに手足が生えたような車両「RIDE BACK」(ライドバック)。
ひとりの少女が、このメカと出会い、天才的なライダーとしての才能を開化させていくお話。

・・・・だけじゃあない作品でした。


作品タイトルにもなっているライドバックは、基本的にはオートバイの進化系のようなもの。手が出ていたり人型に変形するのは、姿勢制御や移動する場所を選ばないためのバリエーションのような役割です。人間が搭乗し、移動する乗り物であることに変わりはありません。
怪我でバレエダンサーとしての夢敗れた主人公が、偶然このライドバッグに乗って新たな喜びを見つけ、バレエで培ったセンスを活かしたライドで一流に上り詰めていく・・・という、話だと思いました。最初の方は。
颯爽とスカートを翻しながら華麗に踊るような主人公のライディングが素敵です。


ただ、中盤からは、政治やテロやらが絡んできて、ライドバッグ=兵器、のような扱いになってしまいます。
そういう路線、つまりライドバッグをロボットアニメのロボット的な扱いにして、アクションバトルをやるならソレはソレで良かったんですが、いまひとつそういう方向にも突き抜けていない。半端なポジションで納まってしまい魅力半減でした。
こういうメカなら、アクションはカーチェイスやアクロバットで充分でしょうに、普通。
鉄砲撃ったり殴ったりするシーンが多くて「何か違う」って印象でした。

また、不必要に世界を支配する組織がどうのこうのと、大きな風呂敷を広げるもんだから、暗くて血生臭いストーリーになってきます。
レースやメカアクションものの肝であるスカッとする要素が、そのやたらと重苦しい雰囲気ために台無し。爽快感に欠ける展開と進行でした。
そもそも設定に無理がありすぎるんです。
世界情勢を変えるくらいの新機軸って・・・これが? ( ̄△ ̄)


素直に「少女が特殊な愛機とレースする」作品だったら面白かったとおもうんですが、個人的には。
いいギミックなのに、素材の調理方法を間違ったようで残念。
ほんと勿体無い。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 22

QMA@MADLAX さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

初っ端からの原作レイプ

ライドバックの3Dモデリング、挙動は完璧。
ストーリーの原作レイプっぷりが残念。
無理に原作展開をねじ込んで意味不明になったシーンも。

このアニメを語る上での特筆すべき点は神OP。
I'veで歌詩はMELL、作編曲は言わずと知れた高瀬一矢。マジで神曲。
それと超絶豪華な声優陣。挙げたらキリが無いです。

機会があればOP目当てで見る価値はある…かも知れない。(空気すぎて機会はほぼ無いでしょうが)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 1
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「答えのない問い」を突きつける予言的な傑作

(2022年9月、末尾に【小論】を付け加えました)

【総合評価☆☆☆☆☆】
 傑作であるにもかかわらず、知名度が低いアニメの代表だろう。
 基本的なプロットは、テロリストと政治権力の相克を巡って展開されるが、何と言っても、テロ撲滅という大義名分の下に導入された自律型ロボット兵器(実質的な殺人マシン)が興味深い。
 プレデターに始まる軍用の無人ドローンは、テロリスト暗殺の兵器としてアフガニスタンやイラクで実際に使用されたが、遠隔操縦で人殺しの指示を出すオペレータに多大な精神的ストレスを与えることが問題となった。そこで、個人識別のためのAIを搭載し、自力で標的を探し出して暗殺を遂行する自律型殺人マシンの開発が、アメリカを中心に進められている。人道的観点から国際法によって禁止しようとする動きもあるが、実現していない。
 本作に登場するのは、ライドバックと呼ばれるオートバイに手が付いたような機械。もともとは人間が跨がって操縦する乗り物だったが、プレデターを思わせる新型ライドバックは、無人でもAI制御で攻撃ができるように改良されている。物語のクライマックスでは、クラシックバレエで鍛えた運動神経でライドバックを操るヒロインが、人間としての尊厳を懸けて、暴走する無人ライドバックの群れに立ち向かう。

【小論】「答えのない問い」を突きつける予言的な傑作
 きっかけは、10年ほど前に大陸の片隅で始まった小さな戦争だった…。国際的なパワーバランスが崩壊し秩序が一変した社会情勢を背景に、錯綜した状況に翻弄される少女・尾形琳の姿を描くアニメ。2009年制作とは信じられないほど予言的である。ちなみに、琳のテーマとして作中で何度も繰り返される旋律は、ムソルグスキー作曲「キエフの大門」。
 政治的に微妙な問題を扱っている上、残酷なシーンもあり、子供向きではない。だが、世界秩序について考えようとする大人の視聴者には、多くの示唆を与えてくれる傑作である。

【作品の舞台】
 作品の舞台となるのは、局地戦での核兵器使用をきっかけに、国際情勢が大きく揺れ動いた世界。一時は核を保有する超大国が主導的だったが、新たに開発された分散型兵器によって基地が制圧され核兵器が事実上無力化されると、強大な軍事力に頼ってきた世界の秩序が一変する。日本は核の傘を失った上、続いて起きた巨大地震の打撃で社会が混乱、頻発するテロを抑えきれなくなったため、もともと海外のレジスタンス部隊だったGGPを治安維持の目的で駐留させる。
 本アニメの設定によると、核兵器を無力化したのは、ライドバックと呼ばれる「オートバイに手が付いたような」ロボットとされる。ただし、これはアニメ的な視覚効果を狙った便宜的設定と考えた方が良いだろう。近未来の戦争が、巨大な破壊力を持つ大型兵器ではなく、サイバー攻撃による敵兵器の無力化や、多数の自律型ドローンによる分散攻撃(ガメラに小型レギオンが取り付くような)をメインとすることは、多くの軍事専門家が指摘する通り。AIによる顔認識機能を使って人間が操作しなくても要人を暗殺できるドローンも、2020年頃に実用化されたらしい(アニメ後半で登場する無人ライドバックは、このドローンの地上走行版と言える)。ライドバックは、安価で大量生産可能な民生品でありながら、容易に兵器に転用できるPCやドローンなどのアレゴリーである。
 GGPは「Global Government Plan」の略称で、超大国主導の国際政治を再編することが本来の目的だが、日本に駐留するのは、司令官ロマノフに率いられた事実上の軍隊。警察を傘下に置き政府に無断で緊急事態宣言を発令するなど、強権的な体制作りを進める。当然の結果として反GGP運動が盛り上がる中、GGPとBMA(反GGPを掲げるテロ組織)は、ともに軍用ライドバックを導入し武力対決に踏み切る。

【脚本の素晴らしさ】
 物語は、GGP対BMAの争いを軸にしながら、その周辺の動きを含めて多面的な展開を見せる。GGPとBMAいずれにも主流派・反主流派があり、複雑な内部抗争が陰に陽に進行する。驚くべきは、こうした策動をきちんと描ききった脚本の妙。ストーリーに直接関わる主要人物だけで1ダースを超えるのに、各人が従う指導原理が明確に叙述され、それぞれの行動方針に納得がいく。
 私が好きなのは、GGPで副官的な立場にある女性士官の描写。ふだんは感情を見せず実務的なのに、ロマノフが退席すると、書類をさっさと片付けながら自分でパラパラめくり、不敵な笑みを浮かべる。{netabare}この女性が陰で何かしていることを匂わせ、終盤における急展開の伏線となる。{/netabare}登場人物の多くがただの賑やかしにすぎない水増しアニメとは一線を画する、本格的な群像劇と言って良い。
 全体の中心にいるのが、ヒロインの琳。彼女は、震災で早世した天才バレリーナの娘として過度の期待にさらされ悩んでいたが、舞台上での怪我を契機に、バレエからきっぱり引退。何の目標もなく進学した大学で、スポーツとしてのライドバック競技に出会い、バレエで鍛えた身体能力を生かして好成績を収める。そのまま楽しい学園生活を送れるかと思いきや、親友をテロから救うためにライドバックを超絶技巧で乗りこなす映像がテレビで放映され、運命が一転。GGPとBMA双方から目を付けられ、両者の狭間で翻弄され続ける。
 琳は、もともとモラトリアム型で社会問題に関心がなく、バレエという閉ざされた世界で生きてきた。そのせいでGGPやBMAについての知識が乏しく、しばしば優柔不断に思える言動を示す。しかし、そのことが逆に、2つの勢力を善と悪に分ける教条的な解釈をいましめ、人間らしい生き方の何たるかを教えてくれる。このような描写を正しく読み解くことができれば、最終局面で彼女がある選択を行う理由がはっきりとわかるだろう。
 興味深いことに、こうした琳の姿は原作漫画と大きく異なっており、アニメ独自のものである。脚色を行ったライターの貢献か、監督が作品の方向性を指示したのか、具体的な経緯はわからない。

【高度な演出テクニック】
 アニメ『RIDEBACK』最大の眼目は、練り上げられた脚本を完璧に映像化した演出テクニックだろう。新人監督・高橋敦史の力量には端倪すべからざるものがある。
 例えば、何度も挿入されるテレビの報道番組。第5話では、テロ騒動から脱出するライドバックの映像を紹介しながら、いかにも聡明そうな解説者が、乗っているのが二人連れの女性であり、民間人が軍の包囲網を突破したことを、驚きを押し殺した口調で指摘する。時間軸に沿って繰り広げられるアクションを堪能してきた視聴者は、その瞬間、自分たちの目にした光景が、客観的にはどう認識されるかを察知する。このように視聴者の理解を映像でコントロールするのは、きわめて高度な技術を要するのだが、高橋は、いともやすやすと実行している。
 アクションシーンも素晴らしい。ライドバックは、近未来の乗り物であるにもかかわらず、エンジンを吹かす音やタイヤの軋みがオートバイそっくりで、妙に生々しい。これは、SFの世界に視聴者の知悉する現実を適度に混ぜることで、リアリティを増す手法である。よくよく目を凝らすと、走行中に車輪の位置が変わったり、かなりの高さから無事に着地したりと、工学的に無理のある動きも散見するが、エンジンやタイヤのリアルさが際だっているので、あまり気にならない。近未来的な操作パネルと旧式のハンドルやペダルが混在する外観も、印象的な音響と相まって臨場感を増幅する。
 人間が搭乗する二足歩行型巨大ロボットは、技術上の障害が多く高速走行は困難である。ロボットアニメでは、(『コードギアス 反逆のルルーシュ』のように)脚部に車輪を取り付けたり、(『新世紀エヴァンゲリオン』のように)あえて人工物には不可能な動作をさせて逆に非現実感を強調したりすることで、表現上の問題を回避する。『RIDEBACK』は、オートバイ型変形ロボットという独自の解決法を提示した訳である。オートバイのようにスピーディに動き回って視聴者に高揚感を味わわせた後、変形して人型に近い形態になる(こうした工夫は、オープニングアニメで集約的に表現されている)。
 ロボット同士のバトルもある。特に、第6話と第11話の終わり近く、琳が軍用ライドバックと闘うシーンの迫力は凄まじい。どちらも数秒で終わる一瞬の闘いなので、子供には物足りないだろうが、状況を把握できる大人は、息を殺して画面を見つめ、終わった後はしばし呆然としてしまう。

【作品に込められたメッセージ】
 アニメは、最終回でストーリーラインが分裂したように見える。{netabare}GGPとBMAの対立は、陰で暗躍していた勢力が事態を収める。一方、琳は独自の行動に出て、自律型殺人ライドバックを、バレエを思わせる華麗な動きで破壊していく。{/netabare}このラストは、ハッピーエンドのようで、どこか煮え切らなさを感じさせる。
 ある意味、それは当然のことである。世界秩序が一変したのに、すべてがあっさり解決するはずがない。「こんな解決法もありますよ」と提示するにとどめたと考えるべきだろう。
 力に頼る秩序は意外なほど脆く、簡単に壊れてしまう。現代人は、その危険性を至る所で目にしているはずだ。では、どうすれば良いのか。答えはない。しかし、アニメの中で琳は、答えがないなりに、決して踏み越えてはいけない一線、揺るがしてはならない原則があることを示す。それは、「命を守る」ということだ。時に力への憧れに身を任せそうになりながらも、彼女がこの原則を失念することはない。
 琳は、大切な家族や友人を助けようとするとき以外、他人に暴力を振るわない。第6話で弟を守るために警官を負傷させてしまうと、その警官が夢に現れ彼女を責めさいなむ。それほど、命を守るという原則を重んじているのだ。BMAのリーダー・キーファが、抜群の技量を持ちながら優柔不断で行動を起こそうとしない琳をなじったとき、彼女はこう答える。

 「人の命をなんとも思わない人たちと一緒にいるだけで、吐き気がします」

 素朴で情緒的だが、人間らしく力強い答えである。

【どうでも良いことですが】
 琳は、幼い頃から短いチュチュを穿いてクラシックバレエを踊ってきたので、パンツが見えても恥ずかしくないのだろう……多分。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 3

75.9 5 マッドハウスで戦いなアニメランキング5位
Gungrave ガングレイヴ(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (429)
3159人が棚に入れました
権力への野心に心奪われた親友、ハリーの暴走を止めようとするも裏切りの銃弾に倒れたブランドン。皮肉にもハリーの勧めていた秘密研究により巨大な二挺拳銃と、武器を満載した棺桶を携えた人間兵器“ビヨンド・ザ・グレイヴ”として甦る。そしてまたハリーの暴走を止めるべく組織へ、そして親友へ一人戦いを挑む。

声優・キャラクター
関智一、浜田賢二、磯部勉、佐久間紅美、茶風林、子安武人、大友龍三郎、立木文彦、井上喜久子

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

お前を撃つなんて、出来ないよ

うおおおおおおおおおおおお(雄叫び
熱い!熱すぎる!ハードボイルド!!!
男の友情、これより熱く厚いものなんて存在しないでしょう
ガンアクションが売りのゲーム原作でありますが、
むしろゲームの設定が足枷になってるような(ry
隠れた名作、見た後はオサレアニメ症候群に罹るも致し方なし


ストーリー重視型アニメです
構成がなかなか挑戦的な組立になっており
1話が視聴者をその世界に突如としてほっぽりだしたかの如く、何の説明もなくストーリーが始まります
その後、2話からは過去編が、そして17話になると、1話の時系列に戻ってきて、一気に最終章へと駆け上がります
1話の視聴者放置プレイを食らって切ってしまう人は人数いたと思われますが、大いに勿体ない
全体を通しての盛り上がりを演出する一つのファクターであり、事実過去編の中でほどけていく1話との繋がり、それからの展開も含め、満足のいく出来となってます
そして最終回、回想に入ってのあの締め方、もう最高です
ブランドン・・・ハリー・・・

制作はマッドハウス、シリーズ構成は黒田洋介氏
作画は崩れ気味です、映像自体が暗くて見にくいというのもありますが
チンピラ時分、ミレニオン下っ端時分、メガネスーツ時分、そしてスペリオール時分、様々な人物たちとの関わりの中で繰り広げられる時には熾烈な、時には心温まる人間模様
一切シリアス調、迫力ある演出は流石マッドハウス制作とも言うべきでしょうか、巧いものです

声優はハリーの声変わりすぎだろ、とは思いますが
まぁ物語を見れば納得するような、しないような
あとは文治さんスかね、立木文彦をして関智をアニキと呼ぶ作品はこれ以外ないでしょう
ボブコプター役の茶風林さんのビチクソォォォォッや
バラッドバードリー役の子安さんのヨクモデースや
色々すごい台詞がありましたね・・・

音楽について言及するならば、やっぱオサレ走り(ry
ED「茜色が燃えるとき/Scoobie Do」でしょうね、あのオサレ走り(ry
いまに!
OPもかっこいいです、歌はありませんが

ウィッジとゲーリーは良い奴らでした・・・


実写映画化が決定したわけですが、どうなるんでしょう・・・
確かに映像的に映えそうな部分は多々ありますが
実写か・・・

投稿 : 2024/05/18
♥ : 17

ルル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

レジェンド作品

ゲームを元に制作された作品。ゲームは未プレイ。


『スラム街でうだつが上がらないチンピラ生活を送る「無口で不器用なブランドン・ヒート」と「野心家のハリー・マクドゥエル」の親友の2人。喧嘩に明け暮れ自堕落な生活が続いていたある日こと、街に巨大マフォア組織「ミレニオン」のボス、通称「ビッグ・ダディ」が偶然訪れたことをきっかけに2人は「ミレニオン」に加わることになる。こうして名実共にマフォアの一員となった2人は、やがて組織の中で頭角を現し始め上へ上へと出世階段を昇り詰めていく。だが、2人は気づかなかった。固い友情の絆で結ばれていたはずの2人の間に、徐々に不穏な空気が漂い始めていた事を・・そして・・』という全26話の物語。 制作は、「マッドハウス」で、キャラクターデザインと原作は、「血界戦線」の「内藤泰弘さん」です。


実話、私はずっと前からこの作品が名作である事を知っていたんですよ。他の方のレビューも恐ろしいほど軒並み高評価ですしね。ただ、何せ26話もあるので時間が無くて指をくわえて放置していました。しかし今回は思い切って観てみました。で、観終えた率直な感想なんですけど、名作の名にふさわしい名作でしたね。途中からはアニメを観ているという感じが段々と無くなってきて、コッポラやタランティーノやリュック・ベッソンのクライム映画を観ているような感覚になりましたよ。観始めたら止まらない状態になってしまい、「あと1話だけ観てから寝る、あと1話だけ観てから絶対に寝る」の連続。こうして自分に負け続けた結果、とどのつまりの朝の5時。寝不足で死にそうになりましたよ。アホですよね~私は(笑)


この作品は、ざっくり大きく分けて「過去篇」と「現在篇」の2つで構成されています。「過去篇」は2話~16話で、「現在篇」は残り全話です。あっ それから、第1話はとりあえず意味が分からないと思いますが、そこで切らずに我慢して2話を観てみて下さいね。2話からはいよいよ過去篇が始まりますので。そこからが本番なんです。マフォア組織に加わったブランドンとハリーがどんどん成り上がっていく姿は必見ですので心して下さいな兄貴。特に14話は神回ですぜ。


この作品は、2003年~2004年に放送されたのですが、キャラクターデザインにそれほど古さを感じませんでした。


声優陣が重鎮ばかりでキャラの魅力アップに華を添えてくれていました。中には亡くなられた声優さんもいます。私が個人的に好きなのは、哀愁を感じさせる渋い声「ビッグ・ダディ」役の「家弓 家正(かゆみ いえまさ)さん」と、イケボな低音でジンジン響いてくる、ヘッドホンで聴いているとやばい「ベア・ウォーケン」役の「大友 龍三郎さん」ですね。特にウォーケンは良かったなぁ~。ナイスミドルの魅力というやつです(*´⊥`*)ポッ


人を狂わせるものと言えば金・権力・女(男)など、大抵相場は決まっていますが、25話と最終話では何かを犠牲にしてそれら全てを手に入れた者の悲哀が描かれていました。見所満載ですよ。また、過去と現実が入り乱れる演出も見応えがありました。ちなみに私は最終話でブランドンに泣かされちゃいましたよ。つまり見事ブランドンに心を撃ち抜かれたわけです....。←カリオストロ風オチのパクリとか言う突っ込みは一切受け付けません。(笑)


注)徹夜でアニメを観るのはやめた方がいいです。これはホントの話。人に気付かれるくらいのクマを目の下に作る事になります。おまけに何者にもなれません。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 38

waku さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

親友と呼べる存在

このアニメをみて、俺には親友はいないと思ってしまう
それほど大切な存在恋人どころか家族以上

見どころは【友情】これ以外ないでしょう

簡単なあらすじを話すと
ブランドン(主人公)とハリー(主人公)が犯罪が横行する町で生まれ育って
盗みも殺人もあらゆる犯罪が日常化する町である日友達の1人が殺される

守るための力を欲するブランドンとすべてを奪え、与える力を欲したハリー二人はミレニオンというマフィア組織に入り一緒に駆け上がろうと約束する

ミレニオンそこでは仲間をファミリーと呼び そこにはただ一つ鉄の掟があった  それは【裏切らない】唯一にして絶対、裏切れば死

この【裏切らない】も一つのテーマとして作中に何度も登場します。

【守ることは、裏切らないこと】と思うブランドンと
【裏切れば死を与える】と思うハリー

同じ目的なのに考え方の違う二人も見どころ

1話は見ずに2話からみてもいいと思います
全26話 前半は過去編 後半は現代編

少々長いかと思いますが全部が最終話に繋がっていてそれを見た後
あなたの今までみた友情系アニメのベスト3入りにはなると思います

この二人の主人公だけではなくいろんな人との繋がりも全部見逃さず最高の最終話をご覧ください

長文になったがこれでも足りない!!って思うくらい言いたい!!

投稿 : 2024/05/18
♥ : 11

62.9 6 マッドハウスで戦いなアニメランキング6位
WXIII 機動警察パトレイバー(アニメ映画)

2002年3月30日
★★★★☆ 3.5 (123)
491人が棚に入れました
東京湾沿岸で、レイバーを狙った奇妙な破壊活動が続く。その捜査の途中、湾岸に浮かぶ備蓄基地で人間を食い殺す“怪物”に遭遇。この怪物がレイバー連続襲撃事件の犯人なのか…。

声優・キャラクター
綿引勝彦、平田広明、田中敦子、穂積隆信、拡森信吾、森田順平、池田勝、冨永みーな、古川登志夫、池水通洋、二又一成、郷里大輔、大林隆介

ジョニー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

パトレイバーとは別

私はパトレイバーを観た事ありませんが(というより観る気がない?)、この作品はとても面白かったです。
正直、本編で登場するキャラクターはほとんど出てこず、主人公もパトレイバーとは無縁の普通の刑事さんです。
そんな作品をパトレイバーとして上映したのですから、元々のパトレイバーファンとしては納得できる人も少ないのは当然ですが、まったくゼロの状態から観る事が出来た私としては、未だに印象深い作品として残っています。

本編の笑える雰囲気は一切無く、終始シリアスな雰囲気で物語が展開されていきます。
クオリティは劇場版という事を考えても非常にレベルが高く、派手なアクションは少なくとも人狼や攻殻機動隊並みの水準と言ってもいいです。(キャラデザも同じく)
先に述べた通り、終始シリアスな雰囲気という事で結末は、何とも言えない悲壮感のある終わり方です。
これについては人それぞれ持つ感想も異なると思いますが、私は『これは、これで正解なんだろう』という感想で、ちゃんと納得できましたね。。
タイトルのWXⅢなんですが、これはウェポン13と読み、これがこの作品で起こる怪奇な事件の最大のキーポイントとなり、物語を大きくけん引していきます。
言ってしまうと、その事件というのは殺人事件のようなもので次々と人が死にます。
なので一部グロいシーンもありますが、それもこーいったシリアスな作品の良さでもあるので、それも覚悟の上でご覧ください。
個人的にとてもお気に入りの作品なので是非観てほしいです。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 1

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

パトレイバーと思って見なければ・・・?

パトレイバー1と2の押井パトレイバーの人気には全く及ばない本作ですが
映画としてみれば、実は一番出来が良かったりします
終始シリアスでリアリティに溢れた展開。
脚本、演出、作画どれをとってもハイレベルで
パトレイバーの世界観を緻密に表現出来ている良作です

しかし、パトレイバーのメインキャラがほとんど出てこないし
完全にパトレイバーと名付ける意味がない作品w
それにハリウッドのモンスター映画とかなり似た内容になっているし、
(それらの駄作に比べればかなりクオリティは高い方だけど)
テーマ性自体も従来のモンスター映画とさほど変わらない。
娯楽作品としても中途半端な出来なので
映画マニアぐらいにしか受けない作品なんじゃないでしょうかw

パトレイバーのOVAだったかTV版だったか忘れましたが
一応原型となるモンスターものの話はありますけどね

良い映画だけど、オリジナリティがもうちょいあれば良かったんだけど
リアリティを追求しすぎて凡庸な内容になってしまった感がある。
嫌いじゃないけど、もうひとひねり無いと受けないよね・・・

投稿 : 2024/05/18
♥ : 7

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

世界観が共通のスピンオフの別作品。

2002年3月30日公開。W/XⅢウェイステッドサーティーン。
漫画版の「廃棄物13号」をモチーフにした作品。

特車二課の面々は脇役となり、事件を追う刑事達が主人公。

ある日、東京湾に輸送機が墜落する。その後湾岸の各所で
何者かによってレイバーが襲撃される事件が連続して発生。

警視庁城南署の刑事、久住と秦は聞き込み捜査を進めるが、
墜落した輸送機周辺の不審な点を突き止めようと動く・・

その後、車に乗ったカップルの惨殺死体が発見される等を
切欠に大きな事件に発展していくという物語。(wiki抜粋)

廃棄物13号(WXIII)とは・・何なのか・・


このシリーズでは、人が死ぬ描写を排除する傾向にあり、
惨殺死体云々の描写がある可也異色の作風になっている。

メインキャストは完全オリジナルの地味な新キャラ。

シリーズのメインキャラ数名が「ゲスト」として出ている。
全くの別作品と感じた・・刑事モノの完全なスピンオフ。

本当に「申し訳程度」にパトレイバーが登場する。


非常に地味で華がなく、泥臭い感じの刑事物で、テンポ
も悪くキャラに個性や魅力を感じ難い・・

悪い意味で日本的な芸術作品風の演出が目立つ・・台詞
と音楽と背景音や効果音のバランスにも可也疑問がある。
故意に狙った演出にも感じるけど・・台詞だけ異常に
小さい。急に音が大きくなる。描写に抑揚がない分を
音声のピーキーな振り分けで煽って誤魔化してる感じ。


公開時のコピー「この作品はパトレイバー3ではない。」
「第三のパトレイバーである」?いや・・可笑しいでしょ?
パトレイバーじゃない・・機動警察でもない?
WXIII 機動警察パトレイバー?タイトルは釣りに近い。

WXIII 機動警察パトレイバー番外編・・又は・・

「ウェイステッドサーティーン」番宣の謳い文句に
「機動警察パトレイバー・スピンオフ作品」とするべき。


担当刑事が警視庁警備部内の特機部隊とは別の警備部の
刑事にしないと・・駄目でしょ・・警備部の捜査班とか。
所謂派手な特車ではなく、同じ警備部の地味な部署風に
するとか素人でも思うでしょ・・連載モノじゃなく単発
の劇場版映画なんだから・・

機動警察パトレイバーってタイトル入れちゃうなら・・
シリーズのサブキャラを主人公にしないと無理だろ・・

作品自体は前述道理で退屈だけど、そう悪くはない。
演出をハリウッド風にすれば一般の人は喜ぶだろう・・

台詞的にはレイバーの技術に関する台詞なども多数ある。
青島も他のどのサブキャストも出ない「踊る大捜査線」と
同様の「科捜研の女」を合せて、リアル追求で現職刑事を
主役に据えた感じのリアルドラマ仕立ての作品。


韓国映画「グエムル-漢江の怪物-」は本作と類似点が非常
に多く、盗作疑惑が指摘されたらしい。(wiki参照)


久住 武史(綿引勝彦)本作オリジナルのキャラクター。
警視庁城南警察署に勤務する中年の刑事。

秦 真一郎(平田広明)本作オリジナルのキャラクター。
久住と同じ城南署捜査課の刑事でペアを組んでいる。

岬 冴子(田中敦子)ニシワキセルを発見した西脇博士の娘。

岬 一美(鈴木里彩)冴子の娘。小児性の癌で闘病中。

栗栖 敏郎(穂積隆信)東都生物医学研究所の所長。

宮ノ森 静夫(拡森信吾)岬冴子の同僚研究員。

石原 悟郎(森田順平)自衛隊の一佐、

後藤 喜一(大林隆介)警視庁特車二課第二小隊隊長。

ディレクター(Paul Lucas)大柄で髭を蓄えた外国人。

同時上映は下記のうちのどれかⅠ作品。
第1話 吼えろ リボルバーカノン!
第2話 あヽ栄光の98式AV!
第3話 特車二課の秘密!

投稿 : 2024/05/18
♥ : 1

69.2 7 マッドハウスで戦いなアニメランキング7位
ロードス島戦記(OVA)

1990年6月1日
★★★★☆ 3.8 (135)
683人が棚に入れました
暗黒皇帝ベルドに率いられたマーモ帝国軍と「至高神ファリス」を奉じる神聖王国ヴァリスを中心とする国々との戦い(英雄戦争)を背景として進む。アラニア王国出身の若き戦士パーンは、亡き父と同じ騎士になる夢を求めて仲間と共に冒険の旅を続けるうちに、英雄戦争の狭間で暗躍する「灰色の魔女」カーラの陰謀に巻き込まれ、「大いなる破壊」を回避するため「光と闇の均等」を説くカーラの言葉に戸惑いつつも誘いを断ってフィアンナ姫を救出し、自らの進むべき道を求めヴァリス王国に向かう。そしてマーモ帝国とヴァリス王国の緊張が高まる中、カーラの考えがロードス島の平和と相容れないものであると悟ったパーンらは、六英雄の一人である大賢者ウォートに助力を求め、遂にカーラの居場所を突き止め魔女に挑む。

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

日本のファンタジーを語る上では外せない作品

自分の人生に最も影響を与えた本です。アニメ、漫画、ラノベ、全てを通して、自分的No.1は、ロードス島戦記の原作です。

人生で初めて読んだラノベ。学校に持ってく本を探していたら、たまたま本屋で安く束売りされてたんで買っただけ。それがまさか、こんな歴史的な名作だったとは(偶然の出会いに感謝)。

エルフは高慢ちきで耳が長く、動きが素早い。なかなか子孫ができない。ドワーフは大酒のみで力が強いが、手先が器用で装飾品などを作るのに適している。

そんな、ファンタジーの「当たり前」を、日本で初めて紹介したのが、このロードス島戦記。(世界初ではない)

日本の国産ファンタジーとしては、シリーズ累計1000万部を超え、「ドラクエ」「FF」と並び、草分け的な作品です。

(TRPG版は)ラノベの老舗、角川スニーカー文庫の初作品でもあります。

まあ、とにかく、偉大な作品ということです。

さて、アニメですが、原作ファンからすると、やっぱり不満は残ります。(尺が限られてるからしょうがないけど)色々カットしてるし。作画と音楽は素晴らしい。作画は、今見れば古くさいですが、同時期の作品の中では高クオリティー。音楽は、いずれも透明感があり、幻想的で、ロードスの世界観をよく現しています。初めてサントラ買っちゃいましたし♪

とにもかくにも、原作小説を読んでほしい。それだけですな。正統ファンタジーとはこうあるべき、という教科書みたいな作品です。

初代ヒロインのディードリットは、歴史上一番可愛いエルフです! それだけでも、観る価値はある(笑)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 32

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

国産ファンタジー路線の元祖的作品ですが

 雑誌コンプティークのテーブルトークRPGのリプレイ記事から生まれた作品ですね。PCゲーム誌なのに袋とじが付いてるという謎雑誌でしたw
私もそのリプレイ記事が面白くて読んでましたけど、別にストーリーがどうのって代物では無い訳です。ゲームのリプレイ記事ですからね~。
テーブルトークRPGって、こういうモノなんだという紹介として面白かったんです。当時はそういうもの扱ってる雑誌と言うとHJ社のタクティクス誌が有りましたが、ちょっとコアな非電源なゲーム好き向けの専門誌でしたから。
 そのリプレイのキャラ使って小説化されたのがコレですが、正直私は序盤しか楽しめなかったです。カーラがウッドチャックに乗り移るとこ迄。

 この作品って、それまでの西洋のファンタジー物の基礎知識、神話や言い伝えと言う物を熟知した原作者が生真面目に日本風にアレンジした日本人への正統派ファンタジーへの誘い的な作品だったと思うんですよね。当時の私ら世代はそういうモノに飢えてた世代ですから、ロードス島戦記と言う小説もアニメも"新しいもの"だったんですよね。
(もちろんガチのヲタは当時でも知ってたでしょうが)
竜が吐くものは炎じゃなくてブレスなんですよ。赤いドラゴンは他のドラゴンに比べて知能は低いんですよ。そういうファンタジーの基本すら私達普通の人達にゃ「へ~ほ~なるほど~!」って時代だから、この作品の価値は高かったんではないかなと。
ファンタジー物と言う言葉を免罪符にして好き勝手に都合よくアレンジした作品では無いが故、多分今見るとさほど面白くない。西洋の古典ファンタジーこそ正とする生真面目な作品ですので、今の若い方は見てもさほど面白くないと思います。
でも、当時間違いなく価値のあった作品であった事は疑いようも無い事実ですので、日本製ファンタジー物アニメの過去の検証という視点で参考に見られるのは宜しいんじゃないかと。



因みに私は同じ当時のコンプティークからの作品なら「ラプラスの魔」の方が俄然面白いと思いますが、アレはアニメにすらならなかったですね。残念(汗)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 7

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

アニメの角川の原点

ものすっごい制作費を投じて豪華スタッフで作った逸品。
角川スニーカー、角川アニメといえばロードスである。
あとガンダムが朝日から移籍してきたんだよね。
スニーカー文庫はこの2作品のイメージ。

OVA全盛期で高い値段で出しても儲けが出た時代、作品の人気がものすごかった。
原作の発表は85年とずいぶんと昔になる。
指輪物語、D&Dをリスペクトしており、
日本だけでなく世界中のファンタジー、RPGのテンプレートになったんで有名な作品です。エルフの耳がああなったのはディードリットのせい。

肝心のアニメですが絵はきれい、話もそのままなんですが、
ケツから勧善懲悪にされてしまっているのが非常に腹立たしい。
ガンダムも角川だし好きだし、それに習ってか原作は勧善懲悪ではない。
ネタ元の指輪物語との最大の違いなんです。
暗黒神と邪神、がいても、その名は善側からの呼び名。本当に司るは自由の神と破壊の神。悪とは、邪悪とはなんなのかというのが大きなテーマのひとつ。破壊は創造の母であり、私欲は人間の生きる原動力ではないか?律されず自由に生きるのは人として当たり前の行動ではないか?という問いが読者に投げかけられます。
そこだけが非常に気に食わない作品です。
作者のほうからネタバラシしてあったそうですが・・
実際に水野さんも苦言を呈しています。なにテーマ変えてんだと。
まぁ作者が遅筆なのもいけないww。
原因は当時『完結してないから』なんですw
あの頃はみんな遅かったけどクオリティは良かった。
いまは消費ペースはやいから大変だね・・・。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 12
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