2015年度の小説原作おすすめアニメランキング 9

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2015年度の小説原作成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月07日の時点で一番の2015年度の小説原作おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.1 1 2015年度の小説原作アニメランキング1位
響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3122)
13861人が棚に入れました
高校1年生の春。
中学時代に吹奏楽部だった黄前久美子は、クラスメイトの加藤葉月、川島緑輝とともに吹奏楽部の見学に行く。
そこで久美子は、かつての同級生・高坂麗奈の姿を見かける。
葉月と緑輝は吹奏楽部への入部をきめたようだったが、まだ踏み切れない久美子。
思い出すのは、中学の吹奏楽コンクールでの麗奈との出来事だった。

吹奏楽部での活動を通して見つけていく、かけがえのないものたち。
これは、本気でぶつかる少女たちの、青春の物語。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、寿美菜子、早見沙織、茅原実里、石谷春貴、津田健次郎、小堀幸、藤村鼓乃美、山岡ゆり、日笠陽子、沼倉愛美、久川綾、櫻井孝宏
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

これぞ青春!

1話からつかみバッチリ!!
作画はさすがの京アニクオリティ。
監督も「ハルヒ」他ヒットメーカー石原立也さん。
シリーズ演出は、「けいおん」では監督の山田尚子さん。
そのためか、特に主要キャラの久美子、葉月、緑輝(さふぁいあ)の会話シーンは、けいおんっぽさがかなり出てます。
(女子高校生を女性ならでは視点で可愛く描くという意味で)

キャラたちの魅力に溢れ、安心して最後まで観れそうな予感。
無目標のほのぼの日常を描いていた「けいおん」と違い、
大会という具体的な目標があり、
それに向かい部員同士、お互いに切磋琢磨していく醍醐味がありそう。

★第1回「ようこそハイスクール」
{netabare}
北宇治高校入学ほやほやの主人公、黄前久美子は
中学では吹部のユーフォニアム奏者。
初めての教室で人懐っこいクラスメート、
加藤葉月や川島緑輝と早速仲良くなる。
そして、葉月と緑輝は吹部見学に誘うが久美子は乗り気でない。
なぜなら新入生歓迎の演奏聴いてあきらかな演奏レベルの低さに
入部する気など全くないから。

しかし、久美子は流されやすい性格のようで
見学を付き合わされた。
そこに、中学時代の吹部仲間、高坂麗奈が吹部の練習に現れる。

麗奈は、久美子など眼中にないのかあえて無視したのか不明ながら
久美子を全く見ようともしない。
そして見学すっ飛ばしていきなり入部。
プロローグ以外、高校生としての初登場時、
麗奈の台詞は、たった一言。
部長「見学ですか?」
麗奈「いえ、入部したいんですけど。」

中学最後のコンクールの結果発表の場で、
ちょっとしたわだかまりを作ってしまい、
麗奈には再会したくなかった久美子。
羊のような悲鳴を上げる。
まさかの同じ高校で再会するとは…。
よほど縁が濃いようでw

そして新任顧問の出番は今回は赴任前に神社でお参りする姿のみ。
ちょっとおっちょこちょいで変わった方のようにも見える。
実際はどんなキャラなのか、これからのお楽しみ。

と、まあ話のテンポはかなりゆっくり。
今回は主人公の入部も新顧問の着任もまだ。
じっくりキャラを描こうとしてるのがよくわかる初回でした。

最近のアニメのテンポに慣れてるとちょっと退屈する視聴者もいるかも。
アニメよりむしろドラマっぽい作りになってる。

久美子役の黒沢ともよさん、4月に19歳になりたてで
ちょうど今年高校を卒業したタイミングのフレッシュさ。
オンとオフ、つまりクラスメートと家族に対する態度の違いの
演技の使い分けがすごく上手い。
リアル女子高校生になってます。
演技というより地に近いのかもww
{/netabare}
★第2回「よろしくユーフォニアム」
{netabare}
2話の絵コンテと演出は石原監督自らのようで、
麗奈と久美子のコミュニケーションの噛み合わなさとか
葵先輩と久美子の絡みは山田さんの演出とは一味違う。

今回は、主人公の過去を引き摺る、ウジウジさがいただけないけど
副部長の明るさがいい感じに中和してくれて
全体的には地味目な印象でしたがいい感じにまとまってた。

大所帯の部活の中では、地味な存在の生徒ばかりのなかで
こういうキャラが一人くらいは居てくれると安心。

顧問の滝先生、まだ紳士にしかみえないけど
全国大会出場目標と決まり、次回から別人格降臨(鬼コーチ)か?
櫻井孝宏さんが演じてるということで間違いないでしょう。
(櫻井さんはサイコパスの槙島聖護とか怖い役もかなり嵌る)

普通の部活ものとして今後も楽しみです。

背景の美しさ、特に夕刻の川面の自然な流れ描写が素晴らしい。
京アニの並々ならぬこだわりを感じます。
{/netabare}
★第3回「はじめてアンサンブル」
{netabare}
<地に足の付いた演出、脚本>
地味だけど真面目に部活を描く流れにほっとしました。
ギスギスした姉妹。久美子は、過去に姉と何かあったのか?
麗奈のドヴォルザーク「新世界より」に込められた想いとは?
新キャラ、ユーフォ先輩の2年生の中川夏紀とは?
興味が尽きない。

<小さなことからこつこつと>
以上は、漫才師、西川きよしさんの座右の銘であり、ギャグネタでもありますが、
基本を疎かにするものは上には決して上がれない。
ごく当たり前なことでも忘れがち。
いいですね。このポイントを外さない感じ。

<私の時間を無駄にしないでいただきたい>
櫻井孝宏さん、グッジョブ(^^)b
顧問の存在がまた一段アップ。やはり一流の指導者らしい。
穏やかで常に冷静、だけどひたひたと目標に相応しい指導開始。
真綿で首を締めるかの如く部員を追い込み、部員の中から反発も芽生える。

やり手の片鱗をのぞかせてもらい彼に魅せられてきました。
これはとても重要なこと。頼り甲斐ある指導者いてこそ部活物の醍醐味がある。
彼をこれからどう活躍させるかでこの作品の評価が決まりそう。
この物語での最重要キーパーソンと言えましょう。

麗奈のトランペットの音色に反応する表情もいい。

<大所帯なるがゆえに>
過去の、上級生と下級生の対立ゆえに起きてしまった不協和音が
今の腑抜けた音楽性に繋がっていることが判明。
この物語でまず最初に乗り越えるべき最重要課題。
これ乗り越えなくして大会出場どころかまともな音楽すら生れない。

<小笠原晴香と田中あすか>
過去の部内対立の渦中にあった部長の小笠原晴香と副部長の田中あすか。
気弱で流されやすい部長に対し、
明るくサービス精神旺盛な副部長のほうが、人情の機微が解ってそうだし頼もしい。
これから顧問と上級生の間の溝が深まるのは確実。
部員と顧問の板挟みの中で、この二人はこれからどう考えどう行動していくのか。
新入部員はどう巻込まれるのか。

目が離せません。次回も楽しみです。
{/netabare}
★第4回「うたうよソルフェージュ」
{netabare}
<不毛なパーリー会議>
今回、会議のシーンでリーダーたちはどこかピントずれてると分る。
吹奏楽の目的が音楽で人に喜びと感動を与えるためでなく、
自己満足のイベント参加になっていた。
そのため、時間を浪費してやるべきことの積み重ねを忘れていたようだ。
だからいつの間にかお互いの発する音もまともに聴かなくなって
バラバラの合奏に甘んじるようになったんだろう。

<滝先生の指導>
会議終了時、タイミングよく滝先生登場。
練習時間を会議に充てる時間の浪費を指摘して、きっちり顧問としての義務を果たす。
走り込みによる基礎体力向上。部員に抗議する隙さえ与えず、やりたい放題。
さらに楽器ごとの個別指導により、時に厳しく、時に優しく、部員のレベルに応じ自在な指導。
部員の顧問への不満エネルギーを、個々の努力に向かわせる手腕が見事。
結果として一定のレベルのアンサンブルが生まれ、次のステップへ。

もとからやる気のある麗奈、入部時は大人しかったが自己主張復活。
顧問の指導に触れ、この先生となら高みに行けると本気スイッチ入ったようだ。

<皆さんが普段若さにかまけてドブに捨てている時間をかき集めれば、この程度の練習量は余裕でしょう>
一言多い滝先生、屈託のない笑顔で嫌味なことさらっと言ってのける。
もしかすると天然ボケの傾向あるかも。
日曜返上の練習メニューで、まずはサンフェスに向け練習開始。
真面目な部員の信頼は勝ち取ったようだが、さてどうなることやら。

今回、滝先生の指導で部員の多くが本当の音楽の喜びに目覚め始めたことが伝わりました。
オーバーな演出が少ない、こういう落ち着いた作品は安心して楽しめます。
{/netabare}
★第5回「ただいまフェスティバル」
{netabare}
<サンフェスのダークホース>
北宇治高吹奏楽部ににいい風吹いてきたとわかる回。
上達が早すぎるかなという気もするけど、もともと実力のあった部員が迷走してポイントずれてたのを、
滝先生が本来の道に戻したとして良しとしましょう。
練習シーンや部内の確執が延々続くのも飽きるし。

<初めて微笑む麗奈>
久美子の北宇治高に入学した動機が、中学時代の吹部仲間の入学が少ないだろうから、
と言ってたけど案外、麗奈も同じ動機だったりして。
意外と麗奈と久美子は気が合うのかも。

今回は特に、あすか先輩と麗奈が輝いてました。
他校も登場して観る側もいい気分転換になりました。
滝先生は優秀なだけでなく、道に迷ったり抜けたとこもあって人柄もいいようです。
初回の神社での初登場時にもその片鱗みせてましたけど。
そろそろ爽快感が欲しかったから気持ちのいい回でした。

とりあえず滝先生と部員の関係は良好なようなので
次回は、部員内の人間関係を掘り下げて描くのかな。
麗奈は謎の微笑みの奥で何考えてるんだろう。今回一番気になりました。
{/netabare}
★第6回「きらきらチューバ」
{netabare}
おおっ、今回はチューバ担当、葉月の回。
チューバ初心者の彼女が一所懸命に練習する姿で初心を取り戻す久美子やミドリが微笑ましい。
そして久美子は、仕返しできるほど麗奈と打ち解けてきたようだ。
さらに恋の予感のおまけつき。
青春だよなぁ。

<全国大会への足場固め>
以前は第一段階の京都府吹奏楽コンクールでは銅賞だったようで、
第二段階の関西大会にも進めず、三段階目にして最終目標の全国大会に
ほど遠かった北宇治高校吹奏楽部。

粘着イケメン悪魔の滝先生の意地悪の一言はツボを外さない。
全国大会へのスキルアップのために生徒をまた追い込む。
理詰めで隙がないし、サンフェスでの手応えもあったから生徒は反論できないんだね。

通常8月上旬に行われる吹奏楽コンクール京都府予選のための
先生作成の5月からの練習計画表を生徒に配布。
そして、最大55名の出場枠を
64名(DVDコメンタリー情報、小説版では81名(wiki情報))の部員から選抜するため
オーディション実施の宣言。

コンクール出場者をオーディションで選抜なんてごく当たり前と思うけど
生徒たちの驚きから察するに、今までは生徒主体の運営だったようで
在校生にとってはオーディション初体験のようだ。
滝先生の直前の指導者ってどんな顧問だったんだろう。
年功序列でコンクール出場者を決める方針を放任してたなら職務怠慢酷過ぎ。

オーディションとなれば当然、部内の空気が変わる。
こういう緊張感は上達するために大切でしょう。

部員は皆、本質的に真面目で、やれば出来る子たちばかりのようで
素直にオーディションに向けて自主練する姿はいいもんです。

<今回のあすか先輩>
ルビー川島とプラチナダイヤモンド川島の件はクスッと笑えたけど
今回はそれ以外は、微妙なコメディリリーフでした。
後輩思いで面倒見のいい先輩。
まあ、いろいろずれてる所もあっても彼女の個性は嫌いじゃないです。

<ちゅーばくん>
表情がエヴァの使徒っぽくマスコットとしてはなんとも微妙。
どちらかと言うとキモイ。
頭部の曲線が俯いた猫背のように見えるせいもあり、
久美子ちゃんが思わず日陰者のユーフォ愚痴ったもんだから、
中の乙女がくたびれた中年オヤジに思えちゃいました。
ミドリがハートマークで抱きついたのは違和感あってちょっと引いちまった。

<合奏してこそチューバが活きる>
チューバの個性とメンテナンスなどの描写は
よく知らない自分には新鮮でとても良かったです。

低音パートは、リズムと音楽の屋台骨を支える快感を味わえないと面白くもなんともない。
バンドのベースギターも合唱のバリトン&バスもそうなんですよね。

自分は現在、混声合唱でオケ付き大曲専門でテノール歌ってますが、
以前はア・カペラの小編成の合唱も経験あります。
フーガ(遁走曲)とかは別にして、主旋律は主にソプラノで、
内声にあたるアルト、テノールはハーモニーの構成音を主体にした
メロディアスでないパートなので必ずしも音楽的には面白くない。
しかし、最高音域ソプラノと最低音域バスの外声に挟まれて全体で合わさって
音楽としてのハモった時に得られる歓びは体験しないと解らない。

だから合奏でチューバの魅力を体感させる描写はとても共感して納得できました。
{/netabare}
★第7回「なきむしサクソフォン」
{netabare}
Aパートの滝先生の指導シーン、リアリティがあってかなり良いですね。
穏やかで冷静、かつ的確。無理強いはしなくても追い込み方が容赦ない。
そして、やる気のなかった部員までやる気させる指導者としてのカリスマ性も感じられる。
こういう所を丁寧に描いてくれてると短期間で上達する様を見せられてもあんまり違和感ないです。
この緊張感のある空気では、いい加減な気持ちの者は弾き飛ばされるのも無理がない。

<曇り後、雨>
今回は、ギャグのないシリアス回でした。
天気と部員の気持ちを上手くシンクロさせた演出が光ってました。
吹部の現状の気運に負けてテナーサックスの葵先輩、
受験という理由で吹部辞めちゃった。
不器用なんだね。
気持ち解らなくもないけど、ここまで続けてきたんだから
受験も吹部も両立させないと後悔の種を蒔いてしまう。
このまま不完全燃焼のままで辞めたら、今は受験で手一杯だけど
高校卒業後の同期の吹部仲間に再会した時に後ろめたさが残りそう。

<降り始めた雨は、しとしとと降り続く>
葵先輩の決断がきっかけで3年生の先輩たちのそれぞれの闇が見えてきた。
2年の夏紀先輩の台詞でいろいろ見えてきた吹部の黒歴史。
意外にも普段社交的なあすか先輩の闇が一番深そう。
どうやら、楽器に集中するためなら保身に徹し、
なんでも切り捨てられる非情さもあるようで。

<トランペットのスターたち>
いも娘、香織先輩が今回はシリアスの中の和み役として一番光ってました。
晴香部長へのフォローが絶妙。いい仲間に恵まれた晴香は運がいい。
今回一番美味しい所持って行きました。お芋も美味しそう(^.^)
そして、麗奈が帰りの電車でいつの間にか久美子と秀一の傍に座ってたのはちょっと笑えました。
麗奈さま、相変わらず掴み所ないお方なようで…。

来週の天気は?
次の曲は、恋の三角関係かな?
楽しみです。
{/netabare}
★第8回「おまつりトライアングル」
{netabare}
派手じゃないけどいい余韻が味わえた心に響く良回でした。
次回オーディションを描くと思われ、ややシリアス寄りになりそうな予感。
その前の箸休めとして実に見事です。

<まるで夢でも見ているような不思議な時間>
最後の久美子の台詞通り、まさに夢のような世界でした。

これは部活が主体のドラマなので、校外での描写は
西日の目立つ放課後から暗くなるまでの時間帯が舞台になることが多い。
今回は特にお祭りで、夜でもキャラは帰宅せず外出しているため
制作者は夕刻から夜にかけての光の変化の表現に拘っているのが汲み取れた。
自然光が織りなす光のイリュージョン。
そこにお祭りの華やいだ人工の光と山から臨む夜景が加わり
音楽も素晴らしく、現実から離れた夢のような美しさが際立ちました。

またそれらの光が反射するキャラの目の感情表現が上手い。
動揺、純真、悲しみなど、台詞以上にそれぞれのキャラの感情と個性が伝わる演出がいい。

<恋の行方も青春の1ページ>
葉月の恋、引き伸ばさずあっさり決着付けたのは好ましい。
恋の行方はちょっとビターな隠し味程度で済ませ、
今回の話の本当のメインは麗奈と久美子だったという意外性がいい。

<♥と♪>
今回、葉月に対しちょっとおせっかいだったミドリ。
でも全く嫌味ないし、むしろ好印象。
彼女の浴衣の柄のセンスに彼女のキャラがよく出てました。
サファイアと名付ける親の子供らしい感性で
一般からちょっとずれてる感じが微笑ましい。
彼女をそのまま幼くした妹のヤバい可愛さといい、
とても魅力的なキャラとしてクローズアップ。

<麗奈と久美子の初デュエット>
久美子に麗奈が初めて自分を赤裸々に語った。
今まで謎めいていたキャラの本音がようやく聞けて少し安心しました。
そして二人の絶妙な合奏に今後の二人の関係性が暗示されてて良かったです。

久美子は、ユーフォ持ち歩くのは秀一が相手では面倒くさがってても
麗奈となら山に担いで昇るのまで付き合わされてしまうところとか面白い。
久美子と秀一の今後の進展にも興味出てきました。
{/netabare}
★第9回「おねがいオーディション」
{netabare}
<ちょー、ちょー、ちょー、どうでもいい>
初回から6話までは、一番好きだったキャラはあすか先輩だったけど
始めの頃と印象がずいぶん変わってしまいました。
7話で意外にも自己中心のドライな本性が見えてきてから今回がダメ押しの描写。
私情でアンサンブルを乱すミドリをあっさり切り捨てた。
好感度急降下。

<私も頑張るから頑張って>
その代わり、8話でようやく本性が見えてきた麗奈が好感度かなりアップ。
彼女もドライなんだけど周りを引っ張れるカリスマ性を秘めてる気がする。
言葉少なめだけど目力が凄い。
ほっぺ、ムギュっとストレートにハートを直撃。
ウジウジ傾向にあった久美子を主人公らしい芯の入ったキャラに変えた。

<同期低音3人娘の友情アップ>
久美子、葉月、ミドリ、前回の恋の行方は成否以上に意義があった。
皆、お互いを思いやれる優しさがある。
結果としてお互いにより分かり合えたようで友情が深まった模様。
きっとすべてがいい思い出になるね。

<オーディション>
自分も合唱団の入団オーディションで似たような経験をしたことあり、
すごくキャラに共感できて一緒にドキドキしました。
明暗しっかり別れ、上級生も落とされシビアさがかなりリアル。
2年の夏紀先輩は来年リベンジのチャンスがあるからまだいいけど
ソロパートを麗奈に奪われた3年の香織先輩が一番気の毒でしたね。

次回、選抜メンバーと落選した部員との差別化の中、
吹部がどう描かれるのか楽しみです。
{/netabare}
★第10回「まっすぐトランペット」
{netabare}
<あんたがいなければコンクールに出れたのに>
人の心は複雑。
久美子は中学時代に実力で上級生を蹴落としてしまって
逆恨みを買ってしまったことがあった。
そのため今回オーディションに落ちたユーフォの夏妃先輩を気にする久美子。

呼び出しをくらい戦々恐々の久美子。
ところが先輩はいい人だった。
むしろ先輩はとても優しく久美子を気遣う。

久美子を励まし彼女の楽譜に書き込む夏妃。
夏妃「久美子ちゃんに最初に書きたかったんだよねー」
”絶対☆金賞☆!!v来年一緒に吹くぞ!!”

夏妃はオーディションをきっかけにやる気スイッチが入ったようだ。
自分より上手い仲間はライバルでもありいい目標ともなる。

夏妃「黄前ちゃんのおかげで少し上手くなれたような気がするよ」
久美子は感激のあまり泣いた。
今回のとてもいい話。
後半のドロドロ展開前の一服の清涼剤。

夏妃の初登場時の無気力さと180度違うキャラの意外性がいい。

<噂になってるんです。オーディションの時先生がひいきしたんじゃないかって!>
逆恨みは別なところで勃発。
トランペットソロを香織先輩から奪った麗奈を蹴落とすため
香織を信奉する優子は毒を周りに振り蒔いた。
麗奈と滝先生、父親同士の縁で旧知の間柄である事実を元に
えこひいき疑惑が勃発。
不信感が止まることなく吹部のアンサンブルが崩れた。

<ケチ付けるなら私より上手くなってからにしてください!>
麗奈の辞書には謙虚という言葉が欠落してる。
そしてそんな彼女を受け入れられるのは久美子だけ。
麗奈と久美子のやりとりの面白さは回を追うごとに爆増する。
久美子の前ではリラックスしてる麗奈はとても可愛い。

<意外な解決策>
しかし、この状況を打破する術もなくしばし静観の滝先生。
そんな中、資料をコピー中の滝先生の前に副顧問が現れる。
そこで解決のヒントとなる一言。
副顧問「音楽というのはいいですねー。嘘を付けない。いい音はいいと言わざるを得ない」
目の前のコピー機の液晶に表示された65枚という数字…64名の部員。
ハッとする先生。
問題解決の手段を、希望者のみ対象に
公開で再オーディションすることに見出す。

香織は一度はソロを諦めたものすっきりはしていない。
これは天からの救いか。
香織はこれに乗ることでこれに自身の想いにケリを付けようと決める。

すべての出来度が有機的に繋がり魅力あるドラマになってますね。
{/netabare}
★第11回「おかえりオーディション」
{netabare}
<香織と優子>
香織のソロに執拗に拘りたかった優子。
そこには香織の信者として、と共に
過去の吹部の黒歴史上の体験に要因があった。
香織2年、優子1年のコンクールの頃、トランペットは香織が一番うまかった。
しかし、実力もないのに3年生というだけでソロを任され
さらにはろくに練習もせず本番に臨んだ先輩がいた事実。

しかし麗奈の練習を聴けば香織との実力の差は多くの者にとっては明白。
想い極まった優子は麗奈に頭下げてまで
わざと負けてソロを譲ってもらおうとする。
いいことではないけど、この一途さは賞賛に値する。
不器用ながら憎めないキャラ。

香織も麗奈には敵わないのは薄々気付いてる。
不安のあまり同期のあすかに思わず感想を訊いてしまうシーンは真に迫る。

質問はぐらかし「決めるのは私じゃないんだから」と言うあすか。
まだまだ底の知れない今作一番の謎多きキャラ。
興味が尽きない。

<やっぱり久美子は性格悪い>
あすかと比べると、久美子はキャラとしても主人公としていまいちパッとしない。
進路相談時も糠に釘。主体的な言動が希薄。
周りを動かすことも出来ず、逆に周りに振り回されてばかり。
人の顔色を伺う日和見主義。

しかし、8話での麗奈と音楽で心と心を通わせて以来、
徐々に変化する様が小気味よい。

麗奈のソウルは彼女を変える。
まだぎこちなさはあれども自己変革の萌芽が光ってる。

そんな久美子をいじる麗奈。
優子に頭下げられ、ちょっと迷いがあったようだが
久美子のおかげで吹っ切れたようだ。
久美子と麗奈のお互いを支えあっていく関係性の描き方が絶妙だ。

<あなたがソロを吹きますか?>
麗奈vs香織の公開オーディションは
ノーカット完全版で視聴者にも公開された。

明らかに違う二人の音色。
音楽は楽譜に正確に出来るのは大前提。
優劣は表現力の差がものをいう。
百聞は一聴にしかず。

滝先生は、審判の拍手量で選ばせようとしたが
結局それぞれ身内の二人づつしか拍手なく同点引き分け。

演奏を聴く部員は皆、ソロに相応しいのは麗奈と判った様子。
ところが、麗奈には拍手出来ない。
ケチ付けたのは自分たちだから。

ここでさすが滝先生、出来る指導者はやることもスマート。
再オーディションを申し出た香織に判断を委ねる。
生徒を信頼してるからこそ出来る芸当。

結果、香織は自分から辞退。
やりきって自身が納得するためにオーディションの意義はあった。

ここでの優子の号泣には、大いに同情できた。

今回はトランペットの音色だけで迫真の勝負が描かれてて見事!
8話以降、毎回キャラに感情移入しまくってます。
全体的にBGMも控えめで分をわきまえててとてもいいです。
{/netabare}
★第12回「わたしのユーフォニアム」
{netabare}
最終回直前にて久美子の情熱が火を噴く。
(実際は鼻血だったけど)

暑さ極まる盛夏、迸る灼熱の想い、
滝先生の指導もコンクール直前に相応しくヒートアップ。
作画の拘りも今迄で一番熱い。
物語の厚みも8話以降どんどん増えてる。

青春ドラマに相応しい、
アツさ5倍の溶けそうなほどの12話。

<月に手を伸ばせ、久美子>
急遽、滝先生よりコンバスのパートを一部ユニゾンで
サポートするよう指示されたユーフォのあすかと久美子。
あすかは楽々クリアするが、久美子は苦戦。

<コンクール本番10日前>
秀一はトロンボーンの壁をひとつ超えた。
これに対し、一部吹かせてもらえない小節が出てしまった久美子。
どんなに一生懸命に練習しても届かないものがあった。
初めて中学時代の麗奈の悔し涙と同じ涙を流す。

「上手くなりたい」という想い。
言葉として前回から自然と発するようになっていた。
今、厳しい現実を突き付けられ魂の叫びとなった。

久美子が中学で吹奏楽を始めたのは姉がきっかけ。
しかし、大学の受験勉強のためあっさりトロンボーンを止めてしまった姉。

これは葵先輩とダブります。
姉との心の溝は、どうやらそのあたりに原因があったとわかる12話でもありました。

久美子が本当に脱皮するのは次回、最終回か?

最終回の期待値はMAXです。


余談ですが、DVD/BD第一巻スタッフコメンタリーによると

京アニの社員約100名の内、20名ほどの吹奏楽経験者がいて
いろいろダメ出ししてくれて随分と参考になったそうな。
因みに石原監督も山田尚子さんも吹奏楽はド素人で
今作のためにかなり勉強されたとか。

ただ、山田さんのお姉様は吹部経験あって
偶然にも主人公と同じユーフォ奏者だったそう。
あと、会社が資料用にトランペットとユーフォニウムを購入してくれたとか。

監督は職場で葉月のようにマウスピースの音出し練習して
周りから注目されてるけど、
まだ上手く吹けないとご本人が仰っておりました。
{/netabare}
★最終回「さよならコンクール」
{netabare}
見事です!
期待値MAXにも関わらずがっかりするところは微塵もなかった。
最後にオール5の満点確定!!

惹き込まれてあっと言う間の30分でした。

OPなしで静かに、淡々とコンクール当日の早朝のシーンから始まり
クライマックスの演奏シーンに向かう流れ。
そして、1話の久美子たちの中学時代と重なるコンクール結果発表。
緊張感と達成感の表現、すべてに文句の付けようがありません。

チューニング中に共鳴して揺れるペットボトルの水面。
埃舞う舞台上、照明による光のハレーション。
登場するのは美形キャラばかりですが、
そこ以外はすべてリアリスティック。
でもキャラたちも表情がとても細やかで迫真の描写。
麗奈のソロも初めて全体のアンサンブルの中で堪能できた。
そして麗奈のソロを隣で穏やかな表情で聴く香織がいい。
まるで実写映画のようでした。

そしてEDはなんと、OP曲のブラスアレンジバージョン。
過去のダイジェストシーンと相まって
ジーンと感動の余韻に浸れました。

<様々なグー・タッチ>
久美子と夏妃、久美子と秀一、
言葉なくてもそれぞれの思いが伝わる。
これは今までの丁寧なキャラ描写の賜物でしょう。

<皆さん、会場をあっと言わせる準備はできましたか?>
滝先生の演奏前のスピーチも最高。
一瞬にして部員たちのガチガチな心を解きほぐした。

「春、あなたたちは全国大会を目指すと決めました。
向上心を持ち、努力し、音楽を奏でてきたのはすべて皆さんです。
誇って下さい。私たちは北宇治高等学校吹奏楽部です!」

そして極めつきの一言。
「さあみなさん行きましょう、全国に。」

<伏線あり、二期期待せずにはいられない>
●気付いた伏線①
北宇治の演奏直前に観客席に着席した女性。

気になってネット漁ったら、
夏妃の同期のトランペットの傘木希美(かさき のぞみ)のようです。
吹部黒歴史の渦中、いい加減な吹部の方針にいたたまれず
辞めてしまった一人。
確認すると、7話の夏妃の回想シーンで
ちらっと登場する同じ髪型の部員が確かにいた。

滝先生による部の改善で、原作では吹部に復帰するらしい。
彼女をチラっとでも出した以上は続編ないと悲しい。

●気付いた伏線②
朝の教室で、一人ユーフォを手にするあすかのすぐ後に出た
最終話のサブタイトル「さよならコンクール」。
「さよなら」というのは、あすかに因んでいるのか???

演奏直前、舞台上暗転の中、あすかは久美子に語る。
いつもと別人のようにしんみりと、

「なんか、ちょっと寂しくない?
…あんなに楽しかった時間が終わっちゃうんだよ
…ずっとこのまま夏が続けばいいのに。」

さらには結果発表の時、関西大会出場ゲット出来たのにも関わらず
一瞬、一人だけ寂しそうに俯いたあすか。

えっ、あすかは秋には部を辞める?
実際はどうなんだー!?
あすか先輩は、さすがに1クールでは描ききれないキャラだった。
気になるので責任持って続編作ってもらいたいですね!!

<願いは口にしないと敵わない。絶対全国に行く!>
夏妃と葉月のハイタッチで久美子が吹けなかった部分の課題を
クリアしてたことを伝える演出がスマート。
久美子もすっかり逞しくなりました。

山田尚子さんが絵コンテ書かれたのは全13話中3話。
4話では監督と二人で書いてますが、
最終話は初回以来、久しぶりに全パート山田尚子さんが書かれたよう。
トリに相応しい。さすがです。
{/netabare}

<全話観終えて>
全体的に人間描写が見事。
表情も台詞も無駄がない。
物語もひとつの区切りまで無理なく辿り着けました。
それは自然の川の流れのよう。
時に淀み(7話、10話)あれどもいずれは大海原に辿り着く。
そう考えると、背景に川が頻繁に描かれたのも意味深い。

また、滝先生の描き方が素晴らしかった。
先生を信じてスパルタを乗り越えた生徒たちの達成感が
ご都合主義でない自然な結果として伝わりとても良かった。

作画の拘りもあり実写の青春映画を観た気分。

2クールあったらもっと細やかに描けたでしょう。
でも1クールでよくここまで描き切ったと思います。
結果的にEDの歌詞と画にもあった
「青春の価値」と「高揚感」をしっかり描くことに成功したと思う。

ぜひ二期を期待したい逸品です。

多くのキャラに魅力があればこそ。
最後の集合写真でグッときたは「SHIROBAKO」以来です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 88
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

実力のある者が、正当に評価される世界(※サントラCD紹介と余談を追記)

2015年、個人的最優秀作品。まだ半年残っていますが、私の中ではほぼ確定の状態です。

「京アニの本気」に応えるために、今回は「全身全霊」を注いでレビューを書きました。その分かなり長くなっていますが(当社比2倍)、ユーフォちゃんの魅力をいっぱい詰め込んだので、ぜひ最後まで楽しんでいただけたらと思います。

※一番下に、『サントラ紹介』と『余談』を追記しました。興味のある方は、ご覧ください。


◆この作品で伝えたかったこと◆

このユーフォちゃんが描きたかったこと、それは『吹奏楽の本当の魅力』です。

吹奏楽部といえば、学校の中でも文化部の花形。でも華やかに見えるその世界も、実は運動部のように暑くて辛くて苦しくて、想像以上に本気がいる。でも、だからこそ生まれる、心響き合うブラスバンドの音楽。そんな心おどる青春を、感動を、描きたかったのだと思います。

そのためにこの作品では、♪吹奏楽の演奏における3つのポイント♪を意識して、丁寧に作られていると思います。


♪1つ目、演奏者の心の重なり合い♪

けいおん!やTARI TARIを見ていただければわかるように、合奏や合唱において大切なのが、「演奏者同士の心と心の重なり合い」。たとえ技術は未熟でも、そこに同じ想いや絆があれば音楽はきらめき出す。しかし、5人くらいなら難しくもないと思いますが、それが50人60人ともなれば話は別です。

吹奏楽の特徴の一つに、その「人数の多さ」が挙げられると思います。

多くの部員がいるから、部活としてなかなかまとまらないし、問題が起こればすぐギクシャクした雰囲気になりやすい。このギスギスした感じが好きじゃない、みたいな意見も目にしますが(主に某まとめサイト)、この吹奏楽部の実情から目を背けてはいけないと思います。

心がギスギスしてるから、音もギスギスしてしまう。一度、不信感が吹いてしまったら、もう合奏なんてできやしない。でも、だからこそ、そんな心の不協和音を乗り越えたとき、最高の演奏ができる。最高の音楽が生まれる。

全国大会出場。この想いたちが本当の意味で重なり合ったとき、そこに奇跡が訪れる。

そんな視点でこのストーリーを楽しめたら、と思います。


♪2つ目、演奏者の演奏技術♪

じゃあ、演奏者同士の気持ちが重なり合いさえすれば、素晴らしい演奏ができるのかと言われると、もちろん、そういうわけではない。全国大会に出場するレベルの演奏をするには、たしかな技量が伴ってないといけない。

この「演奏技術の向上」という点に真摯に向き合って丁寧に描いているのが、この作品の二つ目の特徴です。仲良く楽しく、仲間との絆に重点を置いたけいおん!とは、対照的なスタンスです。

滝先生の熱血指導と「私たちも上手くなれる」という熱い気持ちに乗せられて、徐々に実力をつけていく部員たち。素人の私には、その指導方法がどれだけ効果的、現実的なものなのかはわかりませんが、吹奏楽部の練習の厳しさと苦しさは、十分に感じ取ることができました。

また、優れた演奏者になるための重要なポイントが、もう一つ。それがご存知、「特別」であるということ。

演奏において大切なのが、演奏技術と特別さ。これは「個性」という言葉にも置き換えることができると思いますが、仮に演奏技術がまったく同じだった場合、明暗を分けるのは、音に含まれる「見えない何か」。それは音の深みだったり、気高さだったり、やさしさだったり。それらを生み出すのが、演奏者の内面的魅力、つまり個性だと思います。

それを手にするためには、その他「大衆」といっしょではいけない。特別な存在にならなくてはならない。麗奈をはじめ、音楽的才能にあふれる一部の登場人物たちは、己の道を貫かんと努めます、振る舞います。

だから、第11話の{netabare}再オーディション。麗奈の態度に不満を漏らす声も聞こえてきますが(またまた某まとめサイト)、それは彼女が特別な存在になろうとしたため。決して、空気の読めない子だからではない。他の方のレビューにもありましたが、彼女には彼女なりの葛藤や不安があったんだと思います。{/netabare}


ところで、私の同僚にオーケストラの楽団に所属している後輩(元吹奏楽部、フルート演奏者)がいるのですが、彼女の話だと音楽家という人種には「変人」が多いそうです。

具体的な話は忘れてしまいましたが、彼女の楽団の「指揮者」の方が70代のおじいちゃんで、かなりの変人らしいです。でも、ものすごいオーラ(ONE PIECEでいう{netabare}「覇王色の覇気」{/netabare}のこと)をまとっているそうで。

この作品でも、音楽的才能にあふれている(であろう)人たちはみんな、どこか変わっているところがあります。{netabare}麗奈、あすか先輩、滝先生、そして久美子。{/netabare}

この文脈から考えると、麗奈と久美子の「百合関係」も理解できます。狂気とも、変態とも思える二人の発言や行動は、二人が特別な存在になり得る「変人」だからこそ。

このことは、{netabare}再オーディション演奏前の香織先輩と部長の会話と、麗奈と久美子の会話を比較してみれば、一目瞭然だと思います。まさに、「ふつうと異常」のコントラスト。まさか、あの会話が結果の伏線になっていたとは、なんてね。{/netabare}

もしかしたら、二人の関係がどんどん深まっていくことは、{netabare}「二人の演奏の成長」{/netabare}を意味しているのかもしれません。(まあそもそも私はあれが、あまり百合だとは思っていませんが。)

あと、もう一つ。この作品には吹奏楽部ということもあって多くのキャラが登場しますが、音楽的才能を持つ「特別な人」、一生懸命頑張っている「ふつうの人」、その他「大衆」というふうに描き分けられていると思います。だからキャラが立っていない人もいる、というのはあえてだと。まわりの意見や雰囲気に流されやすい大衆を描いているのも、あえてだと思います。

そんな中でも、一人ひとりのキャラを魅力的に描いているわけですから、「さすが京アニ!」クオリティーですね。


♪3つ目、指揮者の圧倒的個性と実力♪

部活動において、指導者は大切である。これは野球部やサッカー部などの運動部でも共通することだと思いますが、吹奏楽部の場合は尚更なんだと思います。

本来ならまとまることのない55人という大勢の人をまとめ上げ、一つの演奏に導かなければならない「指揮者」。そのためには、圧倒的個性と圧倒的実力が必要なんだと思います。

そして、「粘着イケメン悪魔」と陰で呼ばれる滝先生は、自らの指導方針を貫き通します。生徒の自主性を尊重しながらも、巧みな言葉で生徒たちをほのめかし、やる気を引き出すあの話術。音楽に対してぶれることのない信念と、それに基づく厳しい指導。

どこかのサイトで「あの指導は時代錯誤だ」みたいな意見を目にしましたが、現実はもっと厳しい。先ほどの指揮者のおじいちゃんは、ちゃんと演奏できないと、独り立たせて、10分でも20分でも、できるようになるまで演奏させるそうです。たとえ、途中で泣き出しても終わらない。それに比べたら、滝先生の{netabare}『もう一度聞きます。いつまでに出来るようになりますか?』{/netabare}なんて、かわいいものです。

またどこかで、滝先生の指導がぶれぶれだという意見も見ましたが、これは「若さゆえの迷い」から来るものだと思います。

そもそも「どこが?」と思ってしまったので具体的には指摘できませんが、個人的には{netabare}再オーディションを滝先生の方から提案したのは、よかったと思っています。部員たちの不満や不信感を受けて、悩みながらも滝先生が指導者として導き出した、現状を打開するための「答え」。その指導者としての姿勢を描きたかったんだと思います。{/netabare}

あと、{netabare}オーディションのそもそものやり方に疑問を感じている方もいられましたが、音楽にまっすぐな滝先生はあくまで「実力主義」。それは最初に宣言してますし、オーディション(審査)も副顧問の松本先生との二人(協議方式)で行われているわけだから、公平性は保たれていると思います。{/netabare}

また、{netabare}部員全員で審査する再オーディションのやり方も、ラスト香織先輩本人に意思確認を行ったのも、「自主性の尊重」を信条とする指導方針だからこそ。「音楽は嘘をつけない。」その想いを信じたんだと思います。{/netabare}


♪音で伝わる吹奏楽の魅力♪

さて、これまで♪吹奏楽の演奏における3つのポイント♪をご紹介してきましたが、やはりこの作品で特筆すべきは、その演奏シーンの圧巻とも言えるクオリティーでしょう。そして、特に私がすごいと思うのが、「音」による表現へのこだわりです。

私は音楽に詳しくもないですし(こだわりはありますが)、音感もいい方ではありませんが、十分に「音による演奏の違いと成長」を味わうことができました。第11話の{netabare}再オーディションの演奏の優劣{/netabare}も、ちゃんと聞き分けることができましたし、徐々に上手くなっていく吹奏楽部の演奏も、十分に理解することができました。まさに、「最高峰の音楽アニメ」と言える素晴らしさです。

また作画においても、その美しさはもちろんのこと、京アニが誇る圧倒的表現技術の高さで、細かく丁寧に描かれている演奏シーン。こちらもぜひご覧になって、その豊かさを感じていただければと思います。


京アニが持つ、すべての熱意と技術で描かれる、吹奏楽という音楽の魅力。

そして、次の曲が始まるのです。



◆大好きなシーンたちの紹介◆

第四回「うたうよソルフェージュ」

{netabare}それは、北宇治高校吹奏楽部が初めて行う合奏シーン。『海兵隊』の演奏を外で聞いていた男子生徒が、思わず行進を始めてしまった姿が印象的でした。それだけで、「いい演奏をしているんだな」と思わせる京アニの技術が素晴らしい。

そして、私の中でこの瞬間、ある「期待」は「確信」へと変わりました。

これから絶対、面白くなる!{/netabare}


第七回「なきむしサクソフォン」

{netabare}それは、香織先輩が部活を休んだ部長のお見舞いに行くシーン。この作品では、ちょくちょくこの二人が相談するシーンが描かれていますが、私も学生時代、合気道部に入っていたのでとても共感できました。上級生には上級生の、3年生には3年生の、悩みがあるんですよね。

そして、ここで投入「牛乳とさつまいも」。京アニはねえ、ここら辺が上手いと言うかあざといと言うか、さらっとキャラの魅力を高めてきます。(香織先輩、かわいい。)私も今度、牛乳とさつまいも試してみようかな。{/netabare}


第十二回「わたしのユーフォニアム」

{netabare}それは、久美子が「うまくなりたい」と叫び駆け出すあのシーン。この作品では新人、ベテランの違いなく声優さんたちの活躍が光っていますが、黒沢ともよさんの気持ちのこもった演技に思わず嗚咽が漏れました。

そして、「悔しくて、死にそう」という気持ちに初めて気づいた久美子の成長。それをやさしく見守る星空と、夜の街の美しさ。圧倒的な表現技術を誇る京アニだからこそ描くことができる、芸術的で感動的なシーンでした。{/netabare}


最終回「さよならコンクール」

{netabare}それは、京アニが持てるすべてをかけて奏でた最終回。正直、ここまで目を凝らして、画面を見つめ続けたアニメは他にありません。一つひとつの動きに想いが込められていて、目を離すことができませんでした。

また、緊迫感あふれる演奏前の待機時間。緊張をほぐそうと、「大丈夫かよ。」と耳元でささやく塚本と、照れながらもグータッチを差し出す久美子の二人。私はこの二人がくっつくことだけは望んでいなかったのですが、もう付き合ってもしょうがない。塚本お前、かっこいいよ。

そして、ラストの演奏シーン。音と作画の相乗効果で、気迫あふれる部員たちの演奏を、威風堂々、豊かで雄大な音のシンフォニーを、堪能することができました。その中で伝わってくるそれぞれの想いに、胸の高鳴りが収まりません。この作品に出会えて、心からよかったと思っています。京アニのみなさん、本当にありがとうございました。


ところで、{netabare}演奏開始直前に、会場のドアを開ける係の女性。モブのくせして、かわい過ぎじゃありませんか。{/netabare}

そして、私たちの曲は続くのです。{/netabare}



◆私が気づいた売れない理由◆

これまで、ユーフォちゃんの魅力を思うがままに書いてきましたが、みなさんのレビューにもあるように、世間ではBDの売り上げの伸びがあまりよくないようです。

ユーフォちゃんを愛して止まない私としては、悲しくて仕方がないのですが、ある時、とあることに気づきました。

それは、サムネの画像を変更しようと、ユーフォちゃんのお気に入りキャラを考えていた時のことです。はたして、私は誰が一番好きなんだろう。性格などの内面で考えると、香織先輩。外見的美しさなら、麗奈。でも総合的に考えると、やっぱり久美子なのかな。

しかし、どんなに考えても誰を選んでみても、「2014年、俺の嫁選手権」覇者であるSHIROBAKOの「絵麻たん」には、どうしても一歩及ばないように感じてしまう。

この時、私はある事実に気づきました。ユーフォちゃんは徹底的に吹奏楽の魅力を追求した、正真正銘の傑作音楽アニメ。しかしその反動で、「俗的な」アニメキャラとしての魅力が弱くなってしまったのでは、と。だから、{netabare}「絵麻たそペロペロ」、「あずにゃんペロペロ」といった楽しみ方がし辛いのでは、と。(私はしてませんよ){/netabare}


私にはこの作品を含めて、「心から出会えてよかった」と思っている神アニメが7つ(通称「七神」、詳細はプロフィールにて)あります。そして、この「ユーフォ」と「ちはやふる2」以外の5作品にはすべて、俺の嫁と呼ぶにふさわしい大好きなキャラが存在します。


♪愛して止まない俺の嫁たち♪

それは、{netabare}「SHIROBAKO」の絵麻たん、「TARI TARI」のさわ、「シュタゲ」のクリス、「けいおん!!」のあずにゃん、「クラナドAS」の渚、の5人です。それぞれが、それぞれの個性あふれる魅力を持っていると思います。

ちなみに、ユーフォちゃんの俺の嫁は結局、{netabare}香織先輩です。誰よりもやさしくて、誰よりも自分にまっすぐで、一生懸命な彼女が、とても魅力的でした。左目の下にある泣きぼくろも色っぽくて、うん、とってもかわいい。茅原実里さんの演技も素晴らしかったです。

(あれ。よくよく考えたら、香織先輩も他の5人と同じくらい魅力的だぞ。どうしよう。){/netabare}
{/netabare}


また、ちはやふるには俺の嫁がいなくて、競技カルタと日本の伝統文化である和歌の魅力を真摯に描いた作品なので、どことなくユーフォちゃんに似ています。でも、ちはやちゃんには、スポ根アニメ特有の胸がアツく熱くなる展開や、切なくて苦しいラブストーリーが詰まっていて、大衆の人でも取っ付きやすくなっていると思います。

それに対して、このユーフォちゃんの最大の魅力は、真剣に部活に取り組み、本気で全国出場を目指す暑くて苦しい「青春」と、その熱い想いたちが奏でる、心揺さぶる吹奏楽の「音楽」です。だから、部活動経験者や音楽に興味がある人でないと、その魅力を十分に理解するのは難しい。またアニメ感の薄い作品ですから、キャラものとして楽しむのも難しい。

批判を恐れずに言わせていただくと、この作品を楽しむためにはある程度、「肥えた目と耳」が必要なんだと思います。

この作品は音楽・作画・声優・キャラ・ストーリー。そのすべてが圧倒的で、七神の中でも随一のクオリティーだと思います。しかしその完成度の高さ故、皮肉なことに京アニが奏でる渾身の一撃も、大衆の胸には響かないのかもしれません。


実力のある者が、正当に評価される世界であってほしい。

心の底から、そう願います。



◆まとめ◆

いつにも増して長文で、偉そうなことを書いてしまい、失礼致しました。でも、実は私も、麗奈や久美子のように「特別になりたい」と思っています。

特別な京アニが描く、特別な作品、響け!ユーフォニアム。

たとえ世間が評価しなくとも、私の中では「七神」の頂点に君臨するであろう神アニメ。きっとこれから先、この作品を越える吹奏楽アニメは誕生しないでしょう。


一人でも多くの人がこの作品の魅力に出会って、少しでもその魅力が世界に伝わることを願っています。



◆最後に◆

今回のレビューを書くにあたって、多くの方のユーフォちゃんのレビューを拝見してきました。

「はい、おっしゃる通りです。」や「なるほど、そう感じたのか。」といった思いを積み重ねてきたからこそ、この度この作品への想いを書くことができたんだと思っています。


最後まで読んでいただき、そして素敵なレビューを書いていただき、本当にありがとうございました。



◇余談1◇

『おもいでミュージック』

{netabare}サントラCD「おもいでミュージック」の紹介を簡単にしたいと思います。

私はある方のおかげで、先週の日曜に無事ゲットできました。Disc 1がふつうのサントラ、Disc 2が劇中曲といった感じです。

♪お気に入り曲の紹介♪

Disc 2-12 「愛を見つけた場所」
まるで、二人の心が寄り添い合うかのような音のハーモニー。目をつぶれば浮かんでくる、あの景色。うん、二人の愛を感じます。

Disc 2-15 「三日月の舞(香織 トランペットソロVer.)
本編では聞くことができなかった香織先輩のソロ演奏。感無量です。でも、麗奈の方がコンクール的にはよかったのかな。ごめんね、香織先輩。

Disc 2-17 「DREAM SOLISTER(Wind Orchestra Ver.)
ラストに流れた、OPの吹奏楽バージョン。いや、映画のエンドロールを見ているかのような気分です。本当に、素晴らしい作品に出会えてよかったな、と思います。

劇中曲ばかりを紹介してしまいましたが、サントラの方も圧巻のクオリティー。Disc 1-1の「はじまりの旋律」を聴いてみて下さい。ああ、この作品はすべての音楽が素晴らしい作品なんだなと思えるはずです。そして、アニメが見たくなる。また、演奏における面白い制作秘話も必見です。

ユーフォファンの方は、一度聴いてみることを強くオススメします。{/netabare}


◇余談2◇

『京アニの最新スペクトル戦略?』

{netabare}こないだ医学部の友人に面白い話を聞いたので、ちょっと紹介したいと思います。一応、ユーフォちゃんの売り上げに関連する話です。

ただし、かなり暑くて長い文が続くので、部屋を涼しくして、アイスコーヒーでも飲みながら、興味のある方だけご覧ください。(①は医学、②は経営学?に関するちょっと小難しい話なので、飛ばしてもらってもOKです。)


① 抗菌スペクトルって何?

{netabare}※この①と次の②は、医学部に通う友人が大学の講義で聞いた内容に基づいています。又聞きなんで書いても問題ないと思いますが、それなりに信憑性はあると思います。あとは、私がちゃんと説明できるか、です。(ただし、ネット検索しても私はうまくヒットしませんでした。ご理解を)

医学の間では、「抗菌スペクトル」という考えがあるそうです。

そもそも「スペクトル」とは、光における虹のような色の帯のことで、一般的には、「ある組成のものを分化した成分を、一定量の大小によって並べたもの」。そして、「抗菌スペクトル」とは、「消毒剤や抗生物質が効力を及ぼす病原微生物の範囲とそれらの作用強度」を意味しています。

これだとちょっとわかり難いので、具体例をあげて考えていきましょう。

私は今、「ユーフォ病」にかかっています。その原因には、①麗奈がかわいい、②香織先輩がかわいい、③久美子がかわいい、④音楽が素晴らしい、の4つが考えられるのですが、その原因は「1つだけ」で、今は特定できていないと仮定します。

この時使用されるのが、スペクトル範囲が広く、作用強度の弱い物。これだと、①~④すべてに効力を及ぼすことができますが、その強度が弱いため、原因を完全には除去することができません。

これに対して、原因が②の香織先輩だと判明している場合。この場合は、②だけに効く、スペクトル範囲が狭く、作用強度の強い物が使われ、その原因を完全に除去することができます。つまり、私の「ユーフォ病」は完治します。(たぶん、ずっとしないと思いますが)

現在の医療現場では、上記のように病気の原因(病原微生物)が特定されている場合は、その病原菌「だけ」に強力に作用するスペクトル範囲の狭い薬が使用され、特定されていない場合は、スペクトル範囲の広い薬が使用されているそうです。
{/netabare}

② お菓子メーカーのスペクトル戦略

{netabare}この考え方を商品開発の場で応用しているのが、「お菓子業界」。

以前のお菓子業界では、「子どもから大人まで」楽しめる商品を販売していたそうですが、最近は特定の顧客層をターゲットにした商品の開発に力を入れているそうです。

わかりやすい例で言えば、「大人のお菓子シリーズ」。調べてみると、「大人の雪見だいふく」や「大人のたけのこの里」などの商品があるようで、そういえば、お店で大人向けのお菓子をよく目にするようになった気がします。

また、これをさらに進めて、現在では「外国人観光客」をターゲットにした商品開発が盛んなようです。日本を代表する「抹茶味」のお菓子をたくさん作って、空港免税店などで発売する。具体的には、「ポッキー和ごころ」や「アルフォートプレミアム宇治抹茶」など。(決して、商品の宣伝をしているわけではありませんよ)

そして、これらの商品を「インバウンドマーケティング」という手法(興味のある消費者に、自ら調べて見つけてもらうこと)を用いて、効果的に外国人観光客に販売しているそうです。そして見事、人気を博しているそうです。

つまり、先ほどの「スペクトル理論」から考えると、外国人観光客の好み(=抹茶)を的確に捉えて、外国人観光客「だけ」を対象とした商品を作ったことによって、高い満足感を生み出し、確実な売り上げを手に入れることに成功した、と言えると思います。

あと補足ですが、人間は「幸福感」と「不快感」の程度が同じだった場合、幸福感の方をより深く感じるようになっているそうです。つまり、「このアニメ、クソだったな」という気持ちよりも、「この作品に出会えて、心からよかったな」という喜びの方が、より強く心に残るそうです。(たしかに、そんな気がする)

だから、たとえ一部の顧客にしか支持されない商品になってしまったとしても、大丈夫だそうです。

先ほどの商品たちが日本人の口に合わなかったとしても、「私の好みじゃない」と流されるだけなので。(これに他の感情が混じると、話は別なんでしょうが。)それよりも一部のターゲットに強い高揚感を与え、固定ファンを着実に作ることが、重要であるということらしいです。
{/netabare}

③ 今回、京アニが狙ったもの

{netabare}この話を聞いて、私は「今回、京アニはそもそもターゲットをしぼって、ユーフォちゃんを作ったんじゃないの?」と考えるようになりました。

今、アニメ界で最も人気がある作品と言えばそう、「ラブライブ!」

正直、私はラブライブ!が好きではありませんし、あまり面白いとも思っていません。(特に2期)だから、ニュースとかで「ラブライバー」を見ると、「なんだかな~」という気持ちになります。

もちろん、ラブライブ!を好きな人全員が変人だとは思っていませんし(私の知っているラブライバー?の女の子たちはとてもいい子です)、映画も見ていないので作品の真価はなんとも言えません。

でも、大ヒットした主な要因は、話題性と大衆性。(あとは、見た目だけがかわいいキャラと、キャッチーな楽曲、きれいなライブシーン、押しメン制度、スクフェス、など。)だから、狙って「大人気作」にするのは難しかったと思いますし、いくら人気があってもあれじゃあ・・・というのが正直な感想です。

これは、アニメに限った話ではないと思います。「ドラマの視聴率」も「音楽CDの売り上げ」も、必ずしも「名作」だから高いわけではない。もちろん、人気が出るのにはそれなりの理由があるとは思いますが、基本的には、その当時「話題」になって流行っているものと、「大衆」が理解しやすい内容のものが、売れやすいんだと私は考えています。

つまり、売れるかどうかは「実力」ではなく、「運次第」ということです。(SHIROBAKOでも言ってた気がする)

そして、現代は年に100本以上のアニメが作られる「多作の時代」。また、アニメを見る年齢層の幅は年々広がり、作品の好みはバラける「価値観の多様化」も同時進行中。テレビ界や音楽界で生じた現象が、いよいよアニメ界にもやって来たという感じです。

そんな中、アニメを見ている「すべての人が共通に楽しめる作品」を作ることは、ほぼ不可能なんでしょう。

だから、先ほどのお菓子業界と同じように、「特別」な一部のファンだけに「深く」愛される作品に、今回、京アニが挑戦してきたのではないかと思うのです。(あくまで、個人的な意見です)

じゃあ、それが結果的にうまくいったのかは、まだなんとも言えません。

BDの売り上げの初動だけを見ればよくないですが、サントラCDの人気は上々のようです。(各地で購入できない状態があったみたいですし)

あとは、これから人気が出るように、我(々)が布教活動するしかないでしょう。作品としては文句なしの出来なのですから、それをちゃんと理解できる人たち(吹奏楽経験者など)に薦めていくことが、一番の近道なのかもしれません。(ちなみに、私は例のオーケストラの後輩に話をしてみようと思っています)

実力のある者が、正当に評価される世界であってほしい。

そもそも世の中全体がそうではないと思いますが、やっぱり大好きな作品ですし、2期を作って頂くためにも、精一杯応援したいと思います。
{/netabare}

④ これから、アニメ界はどうなるの?

{netabare}はい、完全な余談です。

先ほどの話からすると、やっぱり「名作」が必ずしも売れるわけではない。正当な評価を受けるわけでもない。

あくまで人気が出るのは、その時話題になって流行った作品。しかも、アニメを見ている層の中心は、中高生の10代から大学生くらいまでの20代なわけだから、大人の趣味と合わない所ももちろんある。

だから、彼らが好きなものを、大人の目からすると理解できない時もあるし、逆に大人が素晴らしいと思っているものを彼らがつまらないと感じてしまうこともある。私は日常的に彼らと接する仕事をしているので、このことを日々強く実感しています。「アニメの好みが、違うんだよ。」

そうなると、アニメ制作会社はどういった舵取りをするべきなんでしょうか。

今回の京アニみたいに、一部のターゲットにしぼった作品を作るのか。ラブライブ!のような、大衆性の高い作品を作るのか。

アニメ制作もあくまでビジネスでしょうから、採算の取れる道を選んで頂ければと思いますが、そのせいで「心から楽しめる作品」がなくなってしまったら、とても淋しいです。それこそ、「過去の名作」を見るだけになってしまう。

クールジャパンに代表されるように、人気が出てきたアニメ業界。その方向性もそうですが、その作業現場も過酷なようです。なんにせよ、頑張ってほしいと陰ながら応援しています。


それでは、我々アニメファンは。

まず、人それぞれ好みが違うわけですから、「自分が楽しいと思える作品」を、存分に楽しめればいいんだと思います。でも、楽しめる作品が多いことに越したことはありませんから、自分の世界観や感受性が豊かになるように努力する。

そのためには、多くの人と意見交換をすること。つまり、あにこれを活用すればいいんですね。素晴らしい。

また、「名作」が「名作」であることを、少しでも多くの人に知ってもらって、素晴らしい作品を作ってくれている制作会社を応援する。恩返しをしていく。

そのためには、レビューを書いて、その作品の魅力を発信していくこと。つまりこれも、あにこれを活用すればいいんですね。重ねて、素晴らしい。

このサイトを一方的に賛辞することを書いてしまいましたが、私はこういった気持ちで、あにこれ活動をしています。

みなさんにこの考えを押し付ける気は「まったく」ありませんが、私がこういった人間であることは、ちょっと紹介したいなと思いました。

みなさんが少しでも、多くの「大好きな作品」たちに出会えますように。


またバカみたいに長文を書いてしまいましたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 77
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Come on!Join us‼︎ & Bravo‼︎(余談3追記)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫

原作 - 武田綾乃
監督 - 石原立也
シリーズ構成・脚本 - 花田十輝
キャラクターデザイン - 池田晶子
シリーズ演出 - 山田尚子
美術監督 - 篠原睦雄
色彩設定 - 竹田明代
楽器設定 - 高橋博行
撮影監督 - 高尾一也
音響監督 - 鶴岡陽太
音楽 - 松田彬人
音楽制作協力 - 洗足学園音楽大学
演奏協力 - フレッシュマン・ウインド・アンサンブル
音楽監修 - 大和田雅洋
アニメーション制作 - 京都アニメーション
製作 - 「響け!」製作委員会
放送期間 - 2015年4月 - 6月
話数 - 全13話

(以上Wikipediaより引用)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫


京都アニメーションの新作「響け!ユーフォニアム」

京都アニメーションならではの美しくて繊細な作画と
その中で生き生きと動くキャラクター達。
吹奏楽の魅力溢れる楽器の質感と演奏描写。
ホール特有の臨場感と緊張感。
そして合奏で生まれるダイナミックな高揚感。

アニメ視聴歴の短い私がこの様な事を言うのは大変おこが
ましいのですが、長年に亘って培ってきた京都アニメーシ
ョンの技術がいかんなく発揮されている印象を受けました。

京都アニメーション製作と聞きますと必然とでも言うの
でしょうかやっぱりその作画力に注目しちゃいます。
何気ない街の信号機の押しボタン、音楽室の備品らしい
楽器の傷や黄昏時の公園の背景、夕日や水銀灯が反射し
キラキラと輝く水面。演奏する時の息遣いや指の動き。
何秒も映らないシーンに対してのこだわりと言うので
しょうか、本当に細やかな描画が凄いと思います。
そしてその様な素晴らしい背景の中でそれぞれのキャラ達
が豊かな表情で丁寧に動いています。

私、京都アニメーションの横顔の描き方、けいおんやたま
ラブのレビューでも書かせて頂きましたが大好きなんです。
額から鼻そして唇、顎のライン、つい吸い込まれる様な瞳の
美しさにこの作品でも心を奪われました。
第1話から制作サイドのこれでもかと言わんばかりの熱意が
伝わってくる作画。
まるで映画かと勘違いしてしまうくらいのレベルを維持
しつつ圧巻の最終話までいきます。
凄いです!
ここまで作画に関して書かせて頂きましたが、是非その
目で実際に堪能して下さい。

次にストーリーなのですがお話としては、とある高校の
吹奏楽部の成長物語をヒューマンドラマを交えながら
描いた、ある意味では部活物の王道的なお話です。
しかし高校生ならではの憂い、葛藤、喜び、そして少し
ばかりの恋心を吹奏楽部の成長と共に全く手抜きの無い
リアルな描写で描ききってます。
そのリアルさに何度も心が震え、学生時代の楽しくて熱く
て切ない記憶が蘇りました。
特に吹奏楽部に対しての描き方は吹部在籍者もしくは
経験者も納得の内容だと思います。
そして1クールという短い時間の中でも出来るだけの楽器
の紹介や演奏、お手入れの仕方、吹部内のパート・編成の
説明、全国コンクールまでの仕組みなどの解説もあります
ので吹奏楽未経験の方でも凄く楽しめるかなと思います。
アイキャッチで毎回違う楽器が登場するので、
あっ、これなんだろ?
って興味を持つのも楽しいかもしれませんね。
尺の都合上十分ではないかもしれませんが吹奏楽未経験者
の方でも楽しめる様な配慮がなされている点が凄く嬉しい
です。

どうしても吹部というのは女子率が高いのでキャッキャ
ウフフ、はたまた女子特有のギスギスした関係等想像
するかと思われますが、体育会系並みの練習のキツさや
辛さ、顧問の先生または部員同士の確執、そして音を奏で
る喜びや音楽を通して築かれていく信頼関係や友情等も描
かれていますので学生時代に何か部活に打ち込まれた
方など特に共感出来る部分も多いのではないでしょうか。

アニメのタイプには非現実的でリアルではありえない事を
私達に擬似体験させてくれる楽しさと現実的でリアルで
あり得る事を共感しながら楽しませてくれる作品がある
と思います。
しかしどちらも同じアニメの醍醐味。
この作品は後者の良さが詰まった素敵なシンフォニーです。
少しばかり女の子同士のファンタジーもありますけれど。

胸を熱くさせるセリフの1つ1つ。
葛藤、友情、愛情、情熱のこもったストーリーを盛り上げ
る声優さんの演技もまた素敵です。
メインキャラを務める声優さんは私的に余り存じ上げ無い
方が多かったのですがその周りを固めるベテラン(年齢は
若いですが実力派の方を含め)の声優さんの演技が光って
ます。
エンドロールでおおっ!この人出てたんだ!ってなるのも
楽しみです。

そんな作画、ストーリー、声優陣のバランスのとれた
作品を盛り上げてくれるのが
OPの「DREAM SOLISTER」、EDの「トゥッティ!」
どちらもブラスバンドを取り入れていて、この作品の楽し
さと音楽を奏でる、みんなで合奏する楽しさが凄く伝わる
素敵な曲だと思います。

特に最終話のEDは…これは内緒ですね。是非!

最近視聴したアニメの中で最初から終盤までここまでの
期待感と緊張感を維持したまま視聴したアニメはなかなか
ありません。
ストーリー的な面白さもありますが、人間関係、心情、
音の対比の表現が素晴らしいと思います。

ボキャブラリーの少ない私には多くは語れません。
是非視聴して下さい。
そして感じて下さい。

とここまでなるべくネタばれ無しで感想を述べてみました
けれど、

上手く伝わるかなぁ…ちょっと不安。

でも、私自身初の5点満点の作品となりました

「響け!ユーフォニアム」

音楽とは聴く者の心を打ち震わせ、繋ぎとめる
世界共通の言語。

しっかりと心に響きました。ガチです!


【主要登場人物・出演者】

黄前久美子 - (CV:黒沢ともよ)
加藤葉月 - (CV:朝井彩加)
川島緑輝 - (CV:豊田萌絵)
高坂麗奈 - (CV:安済知佳)
田中あすか - (CV:寿美菜子)
小笠原晴香 - (CV:早見沙織)
中世古香織 - (CV:茅原実里)
塚本秀一 - (CV:石谷春貴)
後藤卓也 - (CV:津田健次郎)
長瀬梨子 - (CV:小堀幸)
中川夏紀 - (CV:藤村鼓乃美)
吉川優子 - (CV:山岡ゆり)
斎藤 葵 - (CV:日笠陽子)
黄前麻美子 - (CV:沼倉愛美)
松本美知恵 - (CV:久川綾)
滝 昇 - (CV:櫻井孝宏)


【主題歌】

オープニングテーマ
「DREAM SOLISTER」(第2話 - 第12話)
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲・編曲 - 加藤裕介 / 歌 - TRUE

エンディングテーマ
「トゥッティ!」(第1話 - 第7話、第9話 - 第12話)
作詞・作曲 - ZAQ / 編曲 - 高田暁 / 歌 - 北宇治カルテット
[黄前久美子(黒沢ともよ)、加藤葉月(朝井彩加)、
川島緑輝(豊田萌絵)、高坂麗奈(安済知佳)]

メモリアルエンディングテーマ
{netabare}
「DREAM SOLISTER (Wind Orchestra Ver.)」
(第13話)
作曲- 加藤裕介 / 編曲 - 松田彬人
{/netabare}


【mio's café】
ここからはネタばれの感想となりますので未視聴の方は…
出来ればご遠慮ください。
それでもという方は…Come on!Join us‼︎

{netabare}
良かった、本当に良かったです。
最初はヒロインらしからぬどこかクールでちょっと
ネガティヴな主人公:黄前久美子ちゃんにこの子この先
どうなるんだろうって不安だったけど、見事に変わって
くれましたね。
周りに良き友人、先輩、先生に囲まれて葛藤しながらも
成長し、本当の自分の気持ちに気付いていく様は見事でし
た。
CV:黒沢ともよさんの演技も普段のクールでグタグタな
低音ボイスから気持ちが高揚した時のちょっと上擦った
感じの声まで凄くメリハリがあって素敵でした。
本当にリアルな女子高生らしさが出ていたと思います。

そんな久美子を序盤で支えたのが超ポジティブ思考の2人
のお友達。
加藤葉月ちゃんと川島緑輝(サファイア)ちゃんでした。
でもこの2人のポジティブさ微妙に違うんですよね。
そのあたりの細かい使い分けも凄く上手だったと思います。
葉月ちゃん演じるCV:朝井彩加さん、
緑ちゃん演じるCV:豊田萌絵さん。
多分初めて名前を見る方だったのですが凄くキャラの魅力
を引き出していて良かったと思います。

久美子と最初にお友達になった加藤葉月ちゃん。
序盤のチューバとの馴れ初めは笑っちゃいました。
こうだと決めたら突進するポジティブ要素の他に以外と
感受性が高くナイーブな感じ。
感動しやすく、お友達の為なら頑張れる女の子。
8話告白シーンでの後ろからのカメラアングルで瞬きする
所、橋の上での緑ちゃんと再開して涙が溢れ出すシーン。
切なかったですね。
逆に9話でヘコむ緑ちゃんを励ます姿が愛おしかったです。

そして川島緑輝ちゃん。
「命かけてます!」
「その言葉待ってました!」
なんと前向きなキャラなんでしょう。
あのちっちゃい体でコンバスってのも良いですね。
後ろは振り向かない前進あるのみの超ポジティブ思考。
事あるたびに久美子にハッパかけてくれます。
そんな緑ちゃんでもさすがに9話ではへこんじゃってちょっ
と心配しちゃった。
8話でのいきなり登場した妹の琥珀ちゃん。
「こりゃ、ヤバいね〜」
葉月ちゃんの言葉そのもの。かなりヤバかったです。

緑ちゃんが背中を押して葉月ちゃんがさりげなくフォロー
する。
タイプの違うポジティブキャラの魅せ方がとても印象に
残ります。

そんな2人に割って入るかの様に久美子の心を虜にした
高坂麗奈ちゃん(CV:安済知佳さん)。
凄いですね。
私の中で「高坂麗奈」という「戦場ヶ原ひたぎ様」に
勝るとも劣らないキャラが誕生しました。
第1話でのあの涙。
凄くわかるんです、あのダメ金の悔しさ。
吹奏楽は一人じゃないからこその悔しさ。
皆んなが1つにならなきゃ取れない代表の座、
だけど一つになっても取れない代表の座。
嬉しさも倍なら悔しさも倍だから…
麗奈の気持ち凄くわかるんです。
リアルですね。
(私が現役の時はダメ金という言葉が凄く嫌いでした。
あの評価方法自体今思い出しても酷だと思います。)

私がこの作品を見始めて凄く興味があったのが、いかに
して金に届くまでの吹部に育っていくのかという事と
第1話で訪れた久美子と麗奈の関係がいかに変わっていく
のかという事でした。
第5話が吹部としての大きなきな転換点、そして第8話が
久美子と麗奈の関係の大きな転換点だったと思います。
作画の美麗さに音楽が優しく重なり、私までなんだか
幻想的な夏の夜の夢を見ているようでした。
背後の夜景が透けて見える白いワンピース。
久美子の顔をなぞる麗奈の白くて細い指先。
「特別になる…」
ユーフォニアムとトランペットでの2重奏。
その曲名も

「愛を見つけた場所」…

背景、音楽、キャラのあまりの美しくしさに背筋が
ゾクゾク。
最後のEDまでドキドキしてました。
近年の京都アニメーションの中でも突出した出来だと
思います。
負い目を感じて後ろ向きだった久美子が麗奈の強くて
真っ直ぐな気持ちの虜になった第8話。
好きな人の為なら全てを敵に回しても構わないという覚悟
の第11話。
この2話に共通していた事が好きな人の為なら死をも厭わな
いという気持ち。
高校生にはちょっとオーバーとか百合展開とか思われる方
もいらっしゃるかと思いますが、私にはそう感じませんで
した。
憧れや人を尊び好きになる気持ちは男女の壁を越えたそう
いう物だから。
人生にそう何度もない出会いが高校生の久美子に訪れた
だけだと思います。

そして麗奈と同じ目線に立てた第12話への大きな導火線
だったと。

「悔しい…悔しくて、死にそう…」

第1話での麗奈と同じ言葉を発した久美子のシーンには
見ているこっちまで心が張り裂けそうでした。
自然と涙が溢れました。
久美子が駆け出すシーンからの作画は圧巻です。
この12話での作画に関してちょっと興味深いツイートが
ありましたので。
以前京都アニメーションでアニメーターとして活躍してま
した斎藤敦史さん(現在はフリーとしてSAO、アルドノア・
ゼロ、ガリレイドンナ等のメインアニメーターとして活躍
中)のツイートなんですが、ちょっと引用させて頂きます。

「ユーフォニアム12話、ちょろっとだけ観たけど
どうやったらこんなクオリティになるのか意味が
分からない。無理〜。
演出がどのぐらい手を入れてたのか気になる。」

凄いですね、プロで同業者しかも元京アニの方が見ても
この感想です。

やはり京都アニメーション、凄いです。

メインキャラとモブ的なキャラの区別がつかないくらい
それぞれのキャラが魅力を発揮するのも京都アニメーショ
ンの作品の特徴の一つ。
今回も沢山の魅力的なキャラがいましたね。
当初から私が注目していたのが
低音パートリーダー田中あすか先輩(CV:寿美菜子さん)
新任顧問の滝昇先生(CV:櫻井孝宏さん)
の2人でした。

最初はあすか先輩の弾けたキャラに魅了され(寿美菜子さん
の演技もまたぴったりです)ていたのですが、お話が進むに
つれて見え隠れする過去と影。
リーダーとしての資質を持ちながらみんなとは一線を画す
あすか先輩の本心というのがとても気になりました。

新任顧問として赴任してきた滝昇先生。
私的にはもう何と言っても櫻井孝宏さんの演技が大好きです。
櫻井さんの顔が滝先生になるくらい素敵でした。
クールで優しい仕草で語りかける言葉の中にある熱い
情熱。
時には残酷ともとれる指導方法をとりますが、大事な所
での言葉はさすがです。

色んな言葉がありましたが最終話でのチューニングルーム
からみんなを送り出す時の言葉は最高でした。

「では皆さん行きましょう、全国に」

これで頑張れないわけがありません。
演奏始まる前から私のアドレナリンが噴出しちゃいました。
吹奏楽に対する情熱と生徒への信頼が感じられる素敵な
先生です。
あんまり言うと麗奈に怒られますね。

でも最終話が終わってもあすか先輩と滝先生2人の中にある
過去というか事情みたいなのが一番引っかかりました。
2期あれば明らかになるといいな。

中世古香織先輩(CV:茅原実里さん)は何と言っても10.11
話での再オーディションのお話が胸に残りましたね。
周りをそして自分を納得させ気持ちよくコンクールに向か
えるように敢えての再オーディション。
最終話での麗奈のソロパートを聴くマリア様のような表情
が全てを物語っていました。

小笠原晴香先輩(CV:早見沙織さん)もいろんな葛藤があり
ましたけれど、お話が進むにつれての成長がとても良かった
です。早見沙織さんの独特の鼻にかかったような声が私的に
は高ポイントでした。

一人一人あげていくと大変なレビューになりそうなので
最後にこの人だけはというキャラを。
中川夏紀先輩(CV:藤村鼓乃美さん)です。
私的に最大のダークホースって言い方はおかしいかもしれ
ないけれど、お話が進むにつれて一番魅力的になりました。
ポニテ先輩最強です!
最初の頃はこの先輩なんだかなぁ〜って感じだったんです
けれど、自身の過去の辛い思い出や久美子のトラウマを
取り払い、再オーディションの時も関係修復の為に影で
支えていましたね。
優子ちゃんとの微妙な関係も凄く好きです。
屈託のない笑顔でコンクールに出場するみんなを支える
姿に癒されました。
最終話では感動する葉月ちゃんの肩にそっと手を回す
シーンに思わず涙。
やっぱポニテ先輩最強!そういえば最終話はポニテ祭りで
したね。
私も翌日、久しぶりにポニテしちゃいました。
影響されやすいタイプなので…

もうキャラ紹介だけのなんだかなレビューになっちゃい
そうですけど、それだけ魅力に溢れたキャラがいる作品
という事かな。

最初から最後まで右肩上がりで楽しめた当作品。
中でも特に好きだったのは第5話、第8話、第11話、
第12話、第13話でした。

私の視聴したアニメの最高評価は4.9というのが何作品か
あるのですがあと0.1点というのが今までの壁でした。
凄く面白かった、感動した、泣いたそれでも充分なんです
がこの作品を視聴してその0.1というのがわかりました。

「心が震える」

これが0.1点の答えでした。

最終話でこの答えが出るかどうか、緊張のスタートです。

コンクール当日の朝、いきなり画面から伝わる緊張感。
目覚ましより早く起きてる久美子がまずリアル過ぎま
した。
静かな朝だからこピリピリ張り詰めた空気感という
のが伝わります。
そしてお姉ちゃんとの微妙な感じ…
そんな空気を麗奈との肘の小突きあいで飛んでけぇ〜って
麗奈も緊張してるんでしょうね、ついほっこりほぐしてく
れました。
現在の私のアドレナリン充填率70%

淡々と準備が進みみんなの表情もどこか硬い…
そんな緊張をほぐすかのようにチーム「もなか」からの
プレゼント。
サブメンバーの屈託のない笑顔に癒されます。
またもやほっこり。
小笠原部長とあすか先輩の掛け声でいざ出陣!
それにしても滝先生のタキシード姿、滝シードでした。
かっこいい♡
私のアドレナリン充填率80%

会場に到着してますます高まる緊張感。
もう私までリアルで見ているかのような気持ちの高まり。
あのホール独特の匂いまで再生されました。

館内で流れるアナウンス、チューニングルームでの音合わ
せであたふたする様子、音に共鳴するペットボトルの水。
凄くリアル。
現在、私のアドレナリンの充填率90%

招集がかかりいよいよです。
そして滝先生の言葉

「では皆さん行きましょう、全国に」

先生と生徒の気持ちが一つになった瞬間でした。
私のアドレナリン充填率100% 一気に噴出…
心が震えました。
そうです、最後の0.1点がきたんです。
しかしこれは序章、「心の震え」第1波です。

緊張の演奏開始。もう合奏を楽しむよりも祈るような
気持ちです。
ライトに反射する細かいダスト。
引きと寄りのカメラワーク。
みんなの気持ちのこもった表情。
「全国に行くんだ」
セリフと共に映し出される久美子の表情。
獲物を狙う野獣のような表情に「心の震え」第2波が
来ました。
凄い、この子達…

譜面に書かれたメッセージ、
「絶対金賞‼︎来年一緒に吹くぞ‼︎」中川
「絶対絶対ゼッタイぜったい‼︎全国‼︎」加藤はづき
「久美子ちゃん。次は火星まで手を伸ばしましょう!
行きますよ‼︎」みどり
「全国、行こうね」麗奈
胸が熱くなります。

いよいよ麗奈のソロパート。あの伸びやかな演奏の始まり
私も緊張MAX…
でもその演奏を聴く香織先輩の表情に「心の震え」第3波が
来ました。
色々あったけど今彼女達は演奏を楽しんでるんだ。
充実しているんだ、良かった…

演奏も終盤、みんなの演奏にも力が入ります。
滝先生も渾身の指揮。
フィニッシュ。涙が溢れました…
みんな凄く良かった、本当に…

いよいよ各賞の発表。
この緊張感、凄いです。
湧き上がる歓声と悲鳴、凄いどこまでリアルなんでしょう
みんなの表情に「心の震え」第4波。

最大の関門、代表校発表。
そうですね、言葉は入りません。表情だけで充分です。
素敵な演出に「心の震え」第5波。

もう私、鼻水まで出てきちゃいました…
どうしてくれるんでしょうか…

言葉では言い尽くせない、感じて欲しい作品です。
素敵な演奏、素敵なドラマを見せてくれてありがとう。
彼女達と京都アニメーションに感謝しています。

最後の集合写真、
屈託のない笑顔の滝先生が印象的でした。

あっ最後に一つだけ、立派な音響設備があれば別ですが
最終話だけはヘッドホンかイヤホンで視聴して欲しいです。
是非‼︎



〜凄く余談〜吹奏楽コンクール〜
{netabare}
この作品を通じて吹奏楽に興味を持たれた方がいましたら
是非、近くの地区大会、支部大会等のコンクールに足を
運んで欲しいです。
7,8月に都道府県、8,9月に支部(関西、九州とか)、11月に
全国というスケジュールで毎年行われます。
日にちをずらして小、中、高、大、般という様にだいたい
行われますが、高校生以上の金を狙う方々の演奏の迫力や
美しさたるもの凄まじいものがあります。

そんな中で私が凄く思うのが小学生の部の演奏を聴いて
欲しい事です。
まだ吹奏楽を生で聴いた事が無いという方がいらっしゃい
ましたら、是非近くのホールに騙されたと思って足を運ん
で欲しいです。
小学生と侮る事なかれ、今の子供達のレベル凄いです。
どんなに小編成のバンドでも心に響くものがあります。
子供達の演奏する圧倒的な音楽を体で感じて欲しいです。
是非!

凄く余談でごめんなさい。
{/netabare}

〜凄く余談2〜リアルユーフォ二アム〜
{netabare}
ご存知の方も多いかと思いますが、昨年吹奏楽界に激震が
走りました。
何が激震なのかというと九州吹奏楽コンクールで長崎代表
の活水中・高等学校が全国コンクールの切符を手にしたん
です。
いゃ〜おめでたいではないですかぁ。
そうなんです。おめでたいんです。

ってそこではなくて、何が凄いかと言いますと、
この活水中・高等学校は九州ではほぼ無名、長崎県大会で
も好成績を残した実績も無く一昨年まで部員不足でコンク
ール出場すらままならない学校だったんです。

そんな学校に昨年の4月に革命が起きました。

九州を代表する吹奏楽の超名門校「精華女子高等学校」
を35年間指導されてきた藤重佳久先生が精華女子高等学校
の定年退職を期に長崎・活水学院の教授に就任。
大学での音楽講義、中・高等学校、大学の吹奏楽部の音楽
監督を兼任する事になりました。

音楽特に吹奏楽は指導者で大きく変わると言います。
私も実際にその様な学校はこれまで幾つも見てきています。

「わかりやすく楽しく、目標を共有する」という指導論を
軸に1980年頃からの創部間もない精華女子を指導し全日本
吹奏楽コンクールには過去19回出場、平成26年には8回
連続・通算10回目の金賞を獲得。マーチングに至っては出
場した15回全てにおいて金賞というまさに吹奏楽界のレジ
ェンド。

就任5カ月での全国出場。
地区大会1回戦負けの常連校がまさかの甲子園という感じで
しょうか?
もちろんこの5カ月の間色々な意識改革、厳しい練習があっ
たと思います。先生を慕って転校してきたり入学して来た
生徒もいるかもしれません。
私立の学校なので施設や楽器にお金をかけたかもしれませ
ん。

でも楽器がいいから、設備がいいから、いい生徒が集まる
からでいい音楽は奏でられないのが吹奏楽なんです。

無名の学校を短期間にここまで成長させハーモニーを作り
上げるのは並大抵の事では無いと思います。
これから毎年藤重先生の指導を受けたいという生徒が全国
から活水学院に殺到するかもしれませんね。

昨年の全日本吹奏楽コンクールは銅賞でしたが、精華女子
高等学校で一つの音楽を作り上げ、活水中・高等学校でまた
新たなる音楽を作り上げようとする藤重先生。

いつか九州吹奏楽コンクール鹿児島開催の時、新しい藤重
先生の音楽聴いてみたいです。
これから楽しみがです♬
{/netabare}

〜凄く余談3〜劇場版公開前に7回目の視聴〜
{netabare}
うん!
何回見てもこんなに心が熱くなれる作品、
やっぱりユーフォです。
何でだろう…
「DREAM SOLISTER」を聴いてるだけで胸が熱くなり
涙が溢れてくる…

やっぱり私にとっては最高の出逢い。

何回見ても感謝の言葉しかありません。

原作・武田綾乃さん、制作・京都アニメーションさん、
「響け!」製作委員会の方々。
制作に関わった数多くのスタッフ、キャストの皆さん。

劇場でまた北宇治吹部のみんなに逢えるのが楽しみです。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 199

61.7 2 2015年度の小説原作アニメランキング2位
乱歩奇譚 Game of Laplace(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (663)
3147人が棚に入れました
「その日、初めて退屈じゃなくなったーー」

とある中学校で起こった教師のバラバラ殺人事件。この学校に通う少年・コバヤシは、事件の捜査に訪れた天才探偵・アケチと出会う。
異常犯罪ばかりを捜査するアケチに対して興味を持ったコバヤシは、友人のハシバの心配をよそに、自ら「助手」を志願する。
次々と起こる奇怪な事件の中で、コバヤシは退屈な日常を捨て置いていくのだった。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、高橋李依、山下大輝、小西克幸、チョー、日笠陽子、子安武人、藤田咲、山口勝平
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

うつし世はゆめ、よるの夢もやっぱりゆめ

<全11話観終えて>
最終話は無難な出来で可もなく不可もなく。

全体としては、連続物としての盛り上がりに欠けたまま終わってしまいましたね。
乱歩物だったらあれもこれも入れなきゃ、とばかりいろいろ詰め込み過ぎです。
すべてが浅く詰めが甘く、明らかに物語の練り込みが足りないと思う。

毎回の感想も、パノラマ島綺譚で一気に作品に興味が無くなり、
9話以降は全く書く気もなくなりました。

公式HPの岸監督のインタビューによると、
「江戸川乱歩作品をオマージュしたオリジナルアニメ」の制作決定が昨年の11月で、そこから作品構築したそう。

異例の短期間で準備した作品の出来がここでの評価に明確に示されてしまった感があります。
(通常は、アルペジオなどのように2年ぐらいは掛けて作ることが多いらしい)

舞台演出っぽいアイデアは素晴らしかったし、
コバヤシなどのキャラ設定も始めの掴みはかなりよかった。
けど謎解きの醍醐味が全くと言っていいほど無い分、
話は浅いので凝ったそれらが逆にどんどん目障りに…。

次に肝心の主人公たちの描き込みも甘かった。
アケチとコバヤシの魅力はほとんど伝わらず。
おかげでコバヤシの変人さが話を追うごとに邪魔になり、全体の悪印象に拍車を掛けました。
ハシバももっと魅力あるキャラとして描くべきだったと思います。

キャラが見事に立って魅力的だったのは、影男と黒蜥蜴など犯罪者ばかりという皮肉。
敵が、正義の味方のはずの主人公たちより魅力あるなんて本末転倒もいいとこです。

アケチ、コバヤシ、ハシバ、カガミ、ナカムラ、影男、黒蜥蜴、ナミコシ。
これだけのキャラを輝かせるには2クールは必要と思われる。
1クールだけならもっと登場するキャラを減らし贅肉を落とすべきだったかと…。
{netabare}
<もし2クールあったら>
自分なりに考えた構成案ですが、例えば…

☆1クール目:影男、黒蜥蜴絡みのエピソード
1クール目は、話に余裕を持たせ謎解きの魅力をふんだんに。
ゆとりある分、アケチ側のキャラ達を丁寧に描く。
2クール目の伏線を配置しつつ、ついでにハナビシ先生やミナミのキャラにも深みを与える。
(特に先生のリストカット痕の謎が気になります。)
そして、1クール目のクライマックスは黒蜥蜴逮捕。

☆2クール目:怪人二十面相絡みのエピソード
アケチたちのキャラの魅力を1クール目でアピールした上での2クール目突入。
この時点では、黒蜥蜴がアケチに惚れこむのも納得。
獄中からでも部下を動かせるのが凄い。サポーターとして強い味方としての魅力発揮。
そして、1クール目の恩義で、影男もいざという時は必ず助けてくれる。
カガミの闇落ちも2クール目で。頼りになる警察側の人材はナカムラだけになり、
黒蜥蜴と影男の援助あってようやく勝機が得られるほどの強敵、二十面相の物語へ移行。


ナミコシの、数式実行による人心操作は漠然としていて説得力に欠けていました。
電子機器のプログラムのウイルス感染による機器乗っ取りみたいで
人間相手では不自然にしか思えない。

ナミコシはもっと1クール分丸々使うくらい丁寧に描いて欲しかったです。
そうすれば、ラスボスに相応しく、自然なカリスマ性高い強敵としてより輝いたでしょう。
結果、「サイコパス」のマキシマに負けないだけの魅力ある存在となり
もっと盛り上がる話になり得たと思います。
{/netabare}
もっと時間掛けて作り込めば、いい物語になったと思うので
いろいろと勿体ないという気持ちが強い作品でした。


以下は、視聴中のレビュー
------------------------------------
個人的にハズレがない作品ばかりなので
今最も注目している制作コンビの新作ということで期待値大で鑑賞。
さすがです。初回からかなり引き込まれました。
これは最後まで観ます。

そのコンビとは、
監督:岸誠二 & シリーズ構成、脚本:上江洲誠。

前クールでは「暗殺教室」でその手腕を遺憾なく発揮。
そう言えば、今作のコバヤシ少年の中性的なキャラは
暗殺教室の渚とキャラが被ります。
今作のキャラクター設定において
参考にしたことは間違いなさそう。

★第1話「人間椅子(前編)」
{netabare}
教室の床で目覚めたら目の前に
人間椅子と化したバラバラ死体があり
手には糸のこぎりを握りしめ
重要参考人になったコバヤシ少年。

しかし、全く動じないコバヤシ少年。
この時点で興味深々。

人間を解体して椅子のように並べるという
猟奇殺人事件ながら初回は、
実際の殺人シーンはないのでグロさはやや控えめ。

コバヤシ少年が認識するまでは
すべての人物が影にしか見えないとか、
演出もなかなか斬新。OPも見事。

舞台が現代で、なおかつ都心という設定ながら、
幻想的で不思議な独特の世界を醸し出してて面白い。
コバヤシ視点が重要とならば、
アケチとコバヤシはW主人公なのかな、といった初回の印象。

コバヤシ少年はcv高橋李依さん。
屈託のない彼を自然に演じていい感じです。
声優デビュー3年目で今作が出世作になりそうな予感。

ベテラン櫻井孝宏さんのアケチもいい。
携帯は持ってない。しかしノートパソコンは愛用。
パソコン持つ理由が、
「ないとシムシティが出来ないだろ」
ってちょっと可笑しかった。

チョーさんの刑事役もいい味出してる。

まずはコバヤシに課題を与えパートナーに値するか試すアケチ。

いろんな癖のある怪人たちは初回は未登場。
今期一番になるかも。これから楽しみです。
{/netabare}
★第2話「人間椅子(後編)」
{netabare}
2話でがっかりしたという意見には自分も同意。

思えば、2話でひとつの事件を解決する流れでは
推理物として期待するのは間違ってました。

初回の掴みの良さが逆に仇になりましたね。

今回は、感情移入出来るキャラが皆無。
アケチは活躍なく存在感が薄い。

コバヤシの有能さをアピールするに留まって
彼のキャラを受け入れられない視聴者にはキツイ回。

結果として推理ものとしての魅力もなし。

とは言え、

ニュース映像のネタ、
3分間クッキングのパロディで絡めた死体処理の解説、
女担任教師のハナビシ先生32歳をギャグ要員にする演出、
上江洲さんの脚本と岸監督のギャグセンスは結構好き。

そして、コバヤシというキャラは俄然気に入ってます。
どんな悲惨な状況も楽しめるスーパーポジティブな点がいい。
最後までこのままブレないでいて欲しい。

評価を少し下げて更新したけど
まだ評価爆下げするほどではないかな。

これは、江戸川乱歩の原作からキャラの名前と事件だけ借用した
オリジナルものとして認識したうえで観ないと
面白さは感じられないと思う。

ここでのアケチとコバヤシは、陰と陽の正反対のキャラが立っている。

これからの物語で、正反対のキャラクター同士の化学反応による
キャラの人間性の成長や変化、意外性ある展開が楽しめれば、
いいと思ってます。

というわけで、次回からコメディ路線の
バディものとして期待します。
{/netabare}
★第3話「影男」
{netabare}
コバヤシとアケチは、活躍らしい活躍もなく存在感が薄い。
ハシバはウザい存在以上になり得ないのも不満。
コバヤシの女装も賛否分かれるだろうし
毎回、救いのない陰惨な話ばかりなので
今回あたりでリタイアする視聴者が続出しても無理ないかな。

コバヤシとアケチになり代り、
変装の達人であり稀代の怪盗、
影男(CV子安武人)が今回の主人公。
影男にはかなり感情移入できたので、
個人的には、まあまあ。

彼だけは、いい味出てました。
魅力あるキャラなので、
出来ればまた再登場してもらいたいとさえ思えた。

今回、上江洲さんの脚本でないためかギャグ要素ほとんど皆無。
悲しくて暗い話では、ギャグが唯一の緩衝材。
ギャグが無いと後味の悪さだけが残って困る。
しかしその分、影男の内面がよく伝わったというメリットはあった。
{/netabare}
★第4話「怪人二十面相」
{netabare}
前回の事件の後日談的な要素があった今回。
脚本は前回と同じ、朱白あおいさん、という方。

アケチは、やる気になったおかげで
今回初めて主役らしくなった。

雰囲気は毎回とてもいいし、つまならくはない。
しかし前回の影男には同情できたけど
今回のメインキャラには、あまり同情できなかったなぁ。
シリーズ後半にもってきた方がいい話だったかもしれない。

3分間ショッキング、尺足りない中で無理矢理ねじ込んだ感があったね。
でもTV報道で
香ばしい発言で強制退場させられた女性コメンテーターの代わりに
ある物が置かれてたのはいいギャグだった。

そしてキャラ的には、
今回初登場の黒蜥蜴(くろとかげ)(CV日笠陽子)が濃すぎて
二十面相のインパクトが弱いのが残念。

日笠陽子さんと言えば、
「けいおん」の澪、「マジェプリ」のケイ、「IS」の箒といった
対人関係不器用生真面目系の、
一定の枠に嵌った役のイメージが個人的に強かったけど
最近は、今作の役や「純潔のマリア」のアルテミスのような
淫乱ぶっとび系のキャラもずい分と嵌るようになっちゃったようで新鮮です。

黒蜥蜴は面白そうなキャラなので今後の描き方に注目してます。
{/netabare}
★第5話「芋虫」
{netabare}
さしずめサイコパスなら
観た者誰もが色相濁り、犯罪係数が執行対象にまで一気に上昇してしまうお話。

<世の中の不条理が今回のテーマなのかな>
前回、現行犯で逮捕されたカガミの取調と回想シーンから
犯行に至る経緯を丁寧に描いた回。

カガミに同情してしまう。
カガミの妹トキコは天使なのに惨殺という理不尽な運命。
ああいう妹が、逆恨みで殺されたら、
カガミがダークサイドに陥るのも無理がない。

コバヤシも、いつもの余裕もなく始終絶句したまま。

<後味が今迄で一番悪かったが、最後、少しだけすっきり>
法に裁かれず、また再犯繰り返そうだった連続少女監禁誘拐魔のワタヌキも
別の被害者の親族により裁かれたのは因果応報。
二十面相模倣犯が絶えないのも納得。

最近は、強く逞しいキャラ役のイメージが強い豊口めぐみさんが
トキコ役とは意外だったけど違和感ないのはさすがでした。
{/netabare}
★第6話「地獄風景」
{netabare}
今回、意外な日常ギャグ回。
前回があまりに悲惨で救いようがない話だったのでガス抜き回か?

<サブタイが「地獄風景」からしてなんとも珍妙>
2話以来、久しぶりの上江洲脚本。
好き嫌いがはっきりと別れそう。

自分は、江戸川乱歩の世界に全く拘らないので、これはあり。

岸監督&上江洲脚本の、
シリアスとギャグが混在したような作品として思い出すのは
「蒼き鋼のアルペジオ」や「人類は衰退しました」とか。
遊び心一杯の、このコンビのギャグは好き。

<影男がコメディリリーフとして再登場>
捨て猫に、捨て子の赤ちゃん、階下の立て籠りテロ、黒蜥蜴による悪戯。
いろいろ詰め込んでもちゃんと話を成り立たせるのはさすが。

舞台のほとんどがアケチの部屋で、
そこにいないキャラは声のみ、というのが散漫な印象回避に効果的。

そして、台詞の応酬が絶妙なので楽しめた。
特に影男の軽妙な台詞と演技が良かった。
キャラの立て方が非常に上手いと思う。

しかし、次回から本来の重い話に戻りそう。
Cパートで、ヤバいフラグがこれ見よがしに立ったナカムラ刑事。
次回、どうなるんだろう?
{/netabare}
★第7,8話「パノラマ島綺譚(前後編)」
{netabare}
これは、かなり残念な出来。
謎解き重視でない以上、感情移入できるキャラが不在だと観ててつらい。
そして、伝えたいテーマがなんなのかわかりにくい。
観終わって虚しさしか残らなかった。

コバヤシの軽さが今回に関しては、話の調和を乱すだけになってたように思う。
女装は二番煎じなので新鮮味もないし、
やるなら前回のギャグ回とか箸休めのときだけのほうがいいのでは。
その点5話では、コバヤシの軽さを封印して、彼を空気化にすることで
カガミ兄妹に意識が集中、感情移入出来て上手いシナリオと思えた。

今回は、もとがゲームのシナリオライターで小説家、
そして最近アニメにも進出してきたような方のシナリオ。

脚本家チームは、物語構成上の意志の統一があまり上手くとれてないないのかな。
今作は全体的に、脚本家の個性がいたずらにぶつかり合って
作品の統一感が生まれない原因になってる気がする。
例えば6話Cパートのナカムラ刑事とカガミの会話は、
次のエピソードの伏線ともとれたが、今回の話ではあまり意味無いようだし。

あくまで個人的にそう感じるだけで実際はどうか分からないけど、
同時期、岸監督もシリーズ構成の上江洲さんも、アルペジオ劇場版の制作もしてるし、
上江洲さんはさらに、アルスラーン戦記にもシリーズ構成で参加してるので
両者とも忙しすぎた結果のしわ寄せがこの作品の出来に現れてるのかも。
どうもこれは、優先順位的に後回しで、監督不行届な気がしてならない。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

乱歩、奇譚・・・

【最終話まで見て を追加】

監督岸誠二。
シリーズ構成上江洲誠。
制作Lerche(ラルケ)。
あー、あの視聴者置いてきぼりなダンガンロンパ作った・・・
同じく学園推理モノみたいだけど大丈夫?

【1話見て もっと、視聴者を信用信頼してほしい。】
{netabare}学園推理モノなんだから、見てる方の頭を使わせてよ。
もっと信用信頼してよ。
ダンガンロンパと同じ轍を踏んでるぞ!
こういうのは丁寧とかそういうのとは違う!!
という話。

「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」
「うつし世~」は乱歩がサインを求められた時に書いてた言葉だそうな。

アバンタイトルにて、モノクロで、コバヤシ少年の日常が描かれる。
そこに、カラーで、舞う蝶が描かれる。
その合間に、上記言葉が挟まれる。
物語で、意味ありげに蝶が舞う=胡蝶の夢。
「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」
夢か 現(うつつ)か 幻か。
何が夢で 何が現実で 何が幻か。
冒頭数分で、コバヤシ少年のヤバさ危うさが「これでもか!」と描かれる。

で、物語の開幕早々
「その日、初めて退屈じゃなくなった」
いらない、このモノローグ。
蛇足の極み。
アバンでコバヤシ少年のヤバさ危うさは描ききってるじゃん。
しかも、その猟奇死体の周りには彼岸花が咲いてる。
そこに言葉まで付け足したら野暮ったいだけだって。
猟奇殺人の現場で、自分が容疑者とならざるを得ない状況に置かれたコバヤシ少年がどう思ってたのかは、物語を進めてく中で描けばいい。

挙句の果ての公式ツイッター(@rampokitan)。
こんなツイートがある。
まるっと引用させて貰うが、
  ”グレーのシルエットで描かれているキャラクター達。
   コバヤシは、彼らの言動に興味を持つ事で初めて、個人を認識し
   「見える」ようになるのです。各キャラクター達が見ている景色
   の表現の違いにも注目してご覧ください”
こんなの見てりゃ分かるっての。
見た途端「なんで人がグレーなの?」は誰もが抱く疑問。グレーじゃなくなる瞬間を見てれば誰でも分かること。
それに「先生の猟奇死体の周りに彼岸花が咲いてます」が全員視点な訳ないじゃん。
ワザワザ公式がツイッターで呟くようなことじゃない。
その割に、グレーの外れ方に面白みが無いし。
例えば、
先生のリスカ痕、警察手帳みたいな探偵証のマーク、
みたいなところのピンポイントでグレーが外れてから全体が見え出す、とかにしようよ。

なんか、もう、全然視聴者を信用してない感。
このくらいは読めるって。読ませてって。
視聴者を信用してないなら、こんな題材でアニメを作るなよ。
この題材で視聴者に考えさせる作りにしないってオカシイだろ。
あれか、ダンガンロンパで視聴者置いてきぼりにしたから、視聴者フォローしてるのか。
間違ってるよっ!

などと、色々書きましたが、1話、物語的には、良い掴みだったと思います。
コバヤシ少年が女の子っぽいのは、時代だから、しょうがないね。
アルスラーンEDで性別不詳になるのと一緒。{/netabare}

【2話見て やっぱ、そっちを期待しても無駄だったか】
{netabare}やっぱり、推理モノ、を期待しちゃダメだったか。
”先生に呼び出された”とかの提示が遅すぎるだろ。
この作品は
 狂気の男の娘、
 コバヤシ少年が、
 その狂気故に、
 凶行に及ぶ犯人の心理を読み解き、
 事件を解決していく姿を、
 愛でる番組です
って感じだね。

狂気を持つ故に、狂気の犯人の心理が読み解ける・・・
あぁ、あれか。
サイコパス。
アケチ監視官とコバヤシ少年執行官。
新人ハシバ監視官はコバヤシ少年執行官に影響受けて、どんどんサイコパスが濁っていくパターン。

もう、いっその事、狂い狂わされていく人間の怖さみたいなのを描いけてばいいのに。
一度でも、狂気に触れた人間が、どうしようもなく狂気に惹かれていく恐ろしさみたいなものを。
今回の犯人のホシノも、先生の狂気に触れて壊れたんだろ。
コバヤシ少年に先生と同じ狂気を感じて、舌舐めずりでもしながら涙ながらにイっちゃった眼でコバヤシ少年を見つめながら、
「先生が貴方を好きになった理由が分かった・・・」
の一言で締めて、
「やべー!
 コバヤシ少年、本人自身もヤバイけど、影響力もハンパねぇー!」
と感じさせる。
その上で、
台詞を言葉足らずにして、その一言に込められた人間の狂気を視聴者に読み解かせる、
みたいな話にすれば良いのになぁ。
どうせ、事件を推理させる気がないんだから、別方向で頭を使わせてよ。
ベラベラしゃべりすぎ。無駄な台詞が多すぎ。

あぁ、そう言えば、最後の椅子の骨、誰の?

最終的に、視聴者すらも狂気に陥れるほど、全員がコバヤシ少年の狂気に触れてヤバくなっていく物語を期待したい。{/netabare}

【3話見て どんな拗らせ方】
{netabare}外見女になれば良いだけなのに、何故か下着まで替えだす
コバヤシ少年
 VS
コバヤシ少年の下着を受け取り赤面する
ハシバ

家族を欲する結果、自分より弱い幼女に手を出すしか無かった
悪のエセロリコン
 VS
心より幼女が好きな
正義の真性ロリコン

どんだけ拗らせてんの・・・

妹と電話で話してる刑事さん。
あいつの動向如何で面白くなりそうだけど、今のままだと、ただの変態さん大集合。
変態王に俺はなる!コバヤシ少年{/netabare}

【9話まで見て 乱歩奇譚、ねぇ・・・】
{netabare}wikiの”怪人二十面相”より。
「人を傷つけたり殺したりする、残酷な振舞は、一度もしたことがありません。血が嫌いなのです」という物語の冒頭説明。
「僕は人殺しなんかしませんよ」と自ら公言。

こんな怪人二十面相がダークヒーローねぇ。

正義が手を出せない悪に鉄槌を下す悪。
悪を倒す悪の無限増殖。
悪を創り出した最大の悪たる自らを滅ぼす。
正義は悪がいるからこそ正義たりえる。
正義や悪の定義は一面性。

嫌いな話じゃないよ。こういうの。
でもね、乱歩の名を冠して、奇譚と銘打った作品で、こんな最近の流行りに乗ったダークヒーローネタみたいなのをやらなくてもいいじゃん。
こういうのは他がやればいいんだよ。
3話までで、エログロナンセンスに人間の俗っぽさや変な拗らせ方でいく、って方向示してるじゃん。
パノラマ島でも、あんなブラック企業問題とかやらなくていいんだよ。
  おっさん二人が等身大リアル体型エロフィギュア作りました。
  更衣室に仕掛けたカメラみたら、超地味で目立たないメガネ女がフィギュア
  そっくりな体型でした。
  おっさん二人は、こいつを俺らのモノにしたい、と手篭めにしました。
  メガネ女はショックで食べ物も喉に通らず痩せそうになりましたが
  「究極美を崩すんじゃねぇ!」
  とおっさん二人に殴られました。
  殴られた後、
  「おぉすまないー!究極美に傷をつけてしまったー!頼むから維持をしてくれー!」
  とおっさん二人に泣きつかれ、メガネ女は太ることも痩せることも許されませんでした。
  超地味で目立たないメガネ女は誰にも相談できず、おぞましい関係が続くのでした。
  メガネ女の体を元にフィギュアをブラッシュアップし、フィギュアは超等身大リアル体型
  エロフィギュアとなりました。
  おっさん二人は、この究極美を世間知知らしめたい、とパノラマ島を企画。
  大量に超リアル体型エロフィギュアを作りました。
  メガネ女は、さすがにそれには耐えられなくなり、おっさん二人を殺害。
  だが、今まで超地味で目立たず誰からも欲されなかった彼女は、こんなクソなおっさん共
  でも、自分を求めてくれたという快楽が忘れられず・・・
みたいなしょうもない話でいいんだよ。

推理させる気は無い。
猟奇に行くわけでもない。
俗っぽい欲を描くでもない。
なんで、”乱歩奇譚”なんだろうね・・・

といいつつ、ここまで見たから最後まで見るよ。
チョーさんの役割くらいしか興味ないけどね。{/netabare}

【最終話まで見て 折角の乱歩だし、推理してみよう】
{netabare}チョーさんの役割、なんもねー。
ミスリード誘引キャラか。

生まれてからずっとつまらなく、
周りの人間が影のように見えていたコバヤシ少年が、
暗黒星に飲まれて自らの命を最も効果的に使おうとするも、
ハシバにより救われて思いがけずに心が動き涙を流し、
自分の周囲くらいには他人に対して意識がいくようになり、
色づいた世界で、アケチ、ハシバと事件に臨むようになりました。

2話感想で
 全員がコバヤシ少年の狂気に触れてヤバくなっていく物語を期待したい
とか書きましたが、むしろ、コバヤシ少年のほうがちょっとマトモに寄っちゃいました。

でも、マトモになったことが良い事に感じないんだよね。
周りが見えるようになった分、周りの悪い部分に目がいくようになる。
一度、暗黒星に飲まれてる分、同じ道に行っちゃいそうだ。
ダークヒーロー怪人二十面相コバヤシ 対 巨大資本ハシバ。

なんだろうねぇ・・・
なんだったんだろうねぇ・・・

ハシバが
 4年の時にクラスで浮いてた自分に話しかけてきてくれて仲良くしてくれた。
 イヤミを言ってくる奴も論破してくれた。
 友だちが出来るってこういうことかと嬉しかった。
と、最後に語ってた。
コバヤシ少年。ハシバに話しかけた切っ掛けはなんなの?

コバヤシ少年、途中でハシバを影絵モブ化してたけど、影絵モブから戻るハシバ、みたいな演出なくて良かったの?

とか色々気になるなぁ・・・
この中途半端なモヤモヤ感は乱歩に通ずるものがあるなぁ。
とか、無理無理に乱歩に絡めてみた。



絡めたついでに。
この作品においての一番の疑問。
「なんで乱歩なのか。」
折角の乱歩だし、推理してみよう。

ずばり、
企画通すためにはしょうがなかった。

・ダークヒーローもの
・正義のための悪の拡散
・正義と悪のホモセクシャル
この辺をやりたくて企画をするも通らず。
流行りに乗り遅れた感があるし、サイコパスとかでも似たようなことやってるし。

そこでノイタミナ側から引っ張りだされてきて提案されたのが乱歩。
・没後50年ってことで、丁度良い題材
・アケチ、コバヤシ少年 対 怪人二十面相という誰もが知ってる対立軸がある
・キャッチーな題名として”乱歩”と付ける
・乱歩の作品から設定などを借りて物語を進め、徐々に本来やりたかったほうに軌道修正していく
これでやっと企画が通る。

通ったものの、自分達がやりたかったのは乱歩ではなくダークヒーローものなので、ささやかな抵抗として
”乱歩は原案”
”オ リ ジ ナ ル”
とOPで文字を入れる。

こんな感じでどうでしょうか。{/netabare}

【人間椅子 あらすじ】
図書館で乱歩短篇集を借りて読み終えた。
1、2話元ネタの「人間椅子」のあらすじ。

{netabare}物書きでいらっしゃる奥様へ

私はブッサイクな椅子職人です。
このまま椅子職人やっててもつまらんのです、ブサイクですし。
更には貧乏ですし。
で、ふと思いついちゃったんですね。
外人用ホテルに納品するでっかい一人がけソファーに、人間一人が入れるスペース作っちゃおう。
棚とかつくって、水とか食料を持ち込んじゃおう。
で、そこに忍び込んで、ホテルで泥棒稼業でもやってやろう、と。

ホテルのラウンジに設置されて準備完了です。
ところが、ぎっちょん。
中に人がいるとは露程にも思わず人が座ってくるんですが、その感触の心地よいこと。
座ってくる人の見た目なんか関係無いんですよ。見えませんし。
ソファーの皮越しの感触やほんのり香る臭いに、私、フル充電ですよ。
ロリ少女の座ってくる感覚ムッヒョー!
女、女ときて、芸術家のおっさんの座ってくる感覚ウッヒョー!
泥棒よりも、ソッチに夢中ですよ、えぇ。
ブッサイクな私は人との触れ合いなんか知りませんし。
でも・・・
外人じゃなくて、日本人の感覚も知りたいな・・・
そんなこんなしてたら、ソファー、ホテルの事情で売りに出されました。

で、どこに買われるのかと思ったら、お役人のお金持ちの家に買われました。
で、そこの奥さんの座ってくれる感覚ったら、もう。
奥さんが心地よく座ってくれるように、私、超頑張りました。
頑張ってたら、私、奥さんのことが好きになっちゃったんですね。

えぇ、お気付きだと思いますが、奥様、貴女が座ってた椅子に、私、入ってました。
たった一度でいい。
ひと目、貴女にお会いしとうございます。
このブサイクな椅子職人に御慈悲を。

っていう創作考えたんですが、いかがだったでしょうか。
題名は
「人間椅子」
です。
もし、奥様の心をちょっとでも動かせたのなら、それは、とっても嬉しいなって。{/netabare}

こうやって「人間椅子」読むと、乱歩の描く狂気には至ってないなぁ、アニメ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

beatle さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

乱歩に焼土下座で謝るべきレベルの産業廃棄物

一言先に言っておきますが、本作に乱歩要素は一切はありません。

固有名詞に江戸川乱歩の作品に登場した名詞が借用されているだけです。

本作には、一切の乱歩要素は含まれておりません。

本作は江戸川乱歩の名前で目を引こうとする視聴者獲得のために四苦八苦した製作者サイドの一つの愚劣なアイディアに過ぎません。


乱歩ファンから見れば非常に不愉快でした。これはもう塵芥に他なりません。

途中まで見てましたが、フジテレビらしい終盤のクソつまらない盛り上がりで冷めてそれっきりです。

カスです。時間返して欲しいです。フジテレビが地団駄を踏みながら幼少の子供のように視聴者獲得に向けてアクションをしているようです。

時間と金の無駄でしたね。良いのはオープニングぐらいでした。残りはゴミなので見るだけ時間の無駄です。責任者を問いただす必要がある。責任者はどこか。まぁ森見のおっさんの書いた脚本アニメも見てませんけどね。

もっとちゃんろしろよ。人生時間を浪費してしまった腹いせにこんなレビューを書かないといけないんだぞ。責任者は焼き土下座をする必要がある。




これ観て読書をしない青少年は、「うわー。こんなのが乱歩かよ。まじつまんねーなー。おもしろくなさすぎー」とか感じてしまう事があるかもしれない。それをとても危険に感じています。江戸川乱歩の本が売れなくなるかもしれない。もし売れなくなったら、これはもう、とどのつまり、迷惑千万行為に他なりません。




本物の江戸川乱歩は別物です。

先ず、僕は江戸川乱歩の凄さを知って頂きたい。この人がいなければ日本に探偵小説はここまで普及しなかったでしょう。ポプラ社の怪人二十面相シリーズが一体何千何万のキッズ達に夢と冒険とワクワクドキドキの心躍る世界を枕に眠っていったことでしょうか。この人の凄いところは、ちっちゃい子供達のためにワクワクドキドキの冒険探偵小説を書いたところにあると思います。

ちょっと知ってる奴は「グロテスク」だの「猟奇的エロス」だののたまっていますが、全然、全く、そんなことありません。


一回二回読んだだけで「ただインパクトが強かったから」「読後感に印象が残ったから」そんな理由で上記の言葉を言って世間風を吹かせているだけなのです。全くそんな事は無いのに、見当違いも甚だしい。そんな奴に限って好きな作品は?っていってもパッとしない理由ばっかりつけてくるから頭にくる。このへん笑い飛ばせない辺り、自分が信者なのだからなのでしょうけど。

江戸川乱歩はグロくもないし、エロくもない。これを先ずハッキリしておきたい。新潮文庫の「江戸川乱歩傑作選」に載っている「芋虫」は勘違いした左翼編集者のミスです。


江戸川乱歩の本は、基本的に後味を残さないんですよね。三ツ矢サイダーを飲み終わった感じに似て尾を引かない。たまに本人も「続・幻影城」で書いてるように「奇妙な味」というなんともいえない深い味わいを残す作品があるぐらいです。何作品か例を挙げたいですが、大いなるネタバレになってしまうので控えさせて頂きますが、「赤い部屋」「黄金仮面」「人間椅子」なんかがありますね。

今気付きましたが、確かに「人間椅子」の着想は実のところヤバイかもしれませんが、大丈夫です。グロテスクではありません。「奇妙な味」の部類ですね。しかし、普通に人生送ってる人間は「人間椅子」なんて事考えませんよね…。しかし、これもまた猟奇一辺倒ではな決してなく、むしろ探偵小説です。奇術的な意味も含めてクライムサスペンスといえるでしょう。このアイディアはちょっとやそっとじゃ浮かびませんね。流石にガチで洋書を読みまくって研究していた乱歩ならではでしょう。既存の作家で乱歩に太刀打ちできるのは筒井お爺ちゃんぐらいしかいないのではないでしょうか。こっちは超ド級のマジキチですが。

夢の対決。しかし、悪はどこまでいっても悪は悪。明智小五郎のキャラが出てくる冒険ものであります!「黄金仮面」昭和版「おそかりしシャーロック」多分乱歩本人の言っていた「奇妙な味」に最も通ずるところに近い作品なのではないでしょうか。駄作だと思いますが、読後感はまさに「奇妙な味」うーん。あ。これはアレですね。お勧めできないですね。消す時間が無駄なのでこのままにしといて次。

一番好きな作品、乱歩らしく、乱歩といえばコレ!!というのが「赤い部屋」という短編であります。気になった方は是非とも駅の小さい書店で新潮文庫の江戸川乱歩傑作選を探して読んで頂きたい。あまり読書ができない集中力があまり無いタイプの方でもさっくり立ち読み出来るレベルの作品ですし、短編です。冒頭から引きつける乱歩特有の序盤設定、ここに極まれり。本という道具の大前提に好奇心を刺激される事がありますが、この作品は読者の心臓を鷲摑みにして読み終わるまで離しません。読み終わった後の読後感はぱっと心臓から手が離れるのではなく、心臓を握り潰していた手が徐々に徐々にゆっくりと離れていく感覚なのでございます。呼吸を忘れるほどページをめくる手が止まらず、目は活字に釘付け。乱歩の真骨頂です!



ああ。そうです。アニメの話でしたね。観る価値は無いでしょう。むしろ忘れましょう。存在そのものを忘れましょう。女性の記憶力みたいな感じで忘却の彼方に追いやりましょう。そうすればきっと楽になれるのであります。

このアニメ観るなら他のを観るべきです。エロアニメでも結構です。そっちは一息抜けますが、こっちはイライラと唖然ボーゼンで目を逸らして人生で無駄な時間を使ってしまった事への後悔しかありませんからね。



つまり何が言いたいかっていうと、ちょっとでも期待した僕が間抜けだったって事です。中指をおっ立ててそのまま責任者の鼻にぶち込みたい気分になりました。三回ぐらい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

74.3 3 2015年度の小説原作アニメランキング3位
アルスラーン戦記(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (1088)
5926人が棚に入れました
東西を結ぶ陸路の中心地・エクバターナを王都に掲げ、各地からの人や物資、そして豊かな文化が集まる強国パルス。この国の王太子として生まれた少年・アルスラーンは、幸福のうちに国を引き継ぐはずだった。土煙が舞う平原に、パルスの誇る騎馬隊が葬り去られるその日までは……。パルスの豊かな領土を狙って、異教徒の国・ルシタニアが侵攻を開始。初めての直面する本物の戦いに、不安を隠しきれない"気弱な"王太子・アルスラーン。彼の不安が的中したかのように、戦場には不穏な空気が渦巻き始める。敵の策略にはまり、これまでにない脅威を感じるパルス軍と、混乱する戦況に翻弄されるアルスラーンの父王であるアンドラゴラス三世……。駆けつけた「戦士の中の戦士」の異名を持つ騎士・ダリューンとともに、次々と襲いかかる敵、そして過酷な運命へと立ち向かうアルスラーン。運命という名の嵐が吹き荒れるなか、彼は信頼できる仲間たちとともに"王太子"として最初の一歩を踏み出す!

声優・キャラクター
小林裕介、細谷佳正、浪川大輔、花江夏樹、KENN、坂本真綾、梶裕貴、菅生隆之、田中敦子、津田英三、大川透、安元洋貴、三宅健太、小西克幸、桜井敏治、子安武人、斎藤志郎
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

王道のお手本

<全25話観終えて>
全話通していつも地に足が着いた脚本で、
偉人伝の王道の、「王となる道程」が
ブレずにしっかりと描かれてましたね。
ラストシーンのオーケストラも雄大で素晴らしかった。

特に不満や中弛みを感じることもなく、
1話から最終25話まで童心に返って楽しめました。

大河ドラマのような展開だったと思います。
フィクションにありがちな刺激的な急展開などあまりなく、
ゆっくりと詰将棋を楽しむような感覚が心地好かったし、
あたかも実話を基にした伝記のようなリアリティを感じられた。

時折、ナルサスの絵画ネタとか、
ギーヴとファランギース、エラムとアルフリードとの絡みなど
真面目な戦記物なのに、クスッと笑えるシーンを
さりげなく挿入するセンスもいい感じ。

また、最初から最後まで素直に楽しめたのは、
原作やOVAにはノータッチで、
白紙の状態のまま完走したためかもしれません。


★最終話:第二十五章「汗血公路」感想
{netabare}
明らかな続編を前提とした構成。
いわゆる俺戦エンド。
でも制作の、続編に対するやる気と前向きさが伝わる
いい締めくくりでした。

2クール最後でも王都奪還までいきそうもないのは、
毎回の丁寧な話の運び具合から大方の察しがついていたので、
これはこれであり。

最終話なのに、ひとつの戦いの事後処理をひたすら丁寧に描いてました。

結果、王子の魅力がしっかり伝わった点を評価したい。

<玉座にはそれ自身の意志はない>
25話で一番印象的だったファランギースとエトワールの会話。

ファランギースが劇中、
アルスラーン王子の魅力を端的に表現してくれました。
坂本真綾さんの含蓄ある演技も素晴らしかった。

長台詞ですのでほんの一部だけ抜粋します。
エトワールは、アルスラーンについてファランギースに問う。

エトワール
「なぜ皆、あのような青二才の王太子に忠実に仕えておるのだ?」

ファランギース
「(前略)王太子殿下はいつも努力しておられる。
そのことが、仕える者の目には明らかなだけなのだ。」

この作品が好きになれたのも、ファランギースと同じ観点で
アルスラーンに惚れこめたからだったので、
このシーンはかなりグッときました。

学問、武芸、あらゆる精進努力怠らず、進歩すること、
これこそが聖人君子の基本中の基本。

夕刻の、川の辺のシチュエーションも象徴的。
淀みなき川の流れこそアルスラーンに相応しい
というメッセージともとれる。
流動なくば腐ってしまう水の如く、
指導者たる者、努力怠り成長が止まると、
欲にまみれて道を誤るのは世の常ということでしょう。

<エトワールの、不器用だけど健気な魅力が最終話で開花>
そして、1話から始まったアルスラーンと彼女の因縁も、
最終話で相応の決着があり、
この後も、さらなるドラマが生れそうな展開が好い。

続編があれば、ツンデレ展開まで期待できそうな雰囲気でした。
戦乱殺伐した中で咲く一輪の恋バナになるならなるで
それもあり、と微笑ましかった。

エトワールは、コミカライズ版とアニメ版の設定と、
小説原作版の設定がかなり違うようようですが、
とても愛すべきキャラでした。
彼女もこの戦乱を最後までぜひ生き延びて欲しいな。

そして一番気になったこと。
時折登場した、エルメスの背後の控える黒魔術系の魔法使い?の存在、
最後まで全く正体不明のままでしたので、続編は必ずあると信じたい。
{/netabare}

ヒルメスの闇はどこまでも深い。
アルスラーンたちは、その闇を討ち砕き、
王都を奪還し、奴隷制度を廃し、
希望に溢れる王政を実現することができるのか。

続編が生れることを切に願います。

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以下は、初投稿時のレビューです。(2015/08/10)
ネタバレがあるわけではないですが、長いのでタグで閉じます。
{netabare}
2015年の8月現在、放映中のTVアニメは10本以上視聴中ですが、
ワクワクして非常に次回が待ち遠しい作品は、これとGATEの2つのみ。

自分は基本的に、アニメ、ドラマ、映画は鑑賞する前に
監督や脚本家をチェックした上で作品を選びます。
どんなに原作が素晴らしくとも、
自分に合わない制作の映像作品はがっかりすることが多いので。

全366話もあった「BLEACH」で
監督を一貫して務めあげた阿部記之さんと
シリーズ構成を上江洲誠さん担当の今作。

開幕当初よりOVAも原作も知らずとも期待値大でした。

特に上江洲さんは、個人的に大好きなクリエイター。
放映済みの18話中、9話分の脚本も上江洲さんが自ら執筆されてます。

阿部監督、「BLEACH」は一部しか観ていませんし
「幽☆遊☆白書」(全112話)や「GTO」(全43話)など
他の阿部監督作に触れる機会もなく今迄、全くのノーマークでしたが、
今作の安定した面白さに大きく貢献してるのは間違いなさそうです。
ベテランの匠の味わいがあり流石。
4クール以上の作品を数多く務め上げた実績は伊達じゃない。
長丁場でもダレさせないコツをよくご存知な印象。
派手さはなくても、一本一本のまとめ方と話の盛り上げ方に
監督としてのセンスの良さを感じます。

18話まで視聴済みの現在、
期待を裏切らない面白さで右肩上がりが止まりません。

奇を衒うこともなき王道ストレートな偉人伝に素直に感服してます。

キャラ描写も丁寧。
状況変化に応じての裏切り、恭順、忠誠など
人の心の移り変わりもリアル。
敵役のヒルメスでさえも、回を追うごとに憎めなくなる。
主人公の王としての成長の描き方も上手い!

声優のキャスティングも絶妙。
特に、坂本真綾さん演じるファランギースと
浪川大輔さん演じるナルサスが大好きです。

荒川弘さんの作画に準拠したキャラデザも好みですし、
作画も全体的にレベル高いと思います。
カーペットなどの調度品。
職人芸を感じられる柱の色使い。
異国情緒たっぷりです。
城壁のウエザリングなども写実感あり。
空模様の描き方など、自然描写も丁寧。
この作品の世界に素直に入っていきやすい。

BGMもオーケストラの壮大さを上手く活用してて好き。

肝心の原作小説が未完ということで、どういった結末を迎えるのか。

期待と不安の両方の気持ちを抱きつつ最後まで見届けるつもりです。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

世界観チグハグ&シナリオ散漫な残念作2

これも、シナリオ等そこそこ頑張っているものの、世界観の不統一さが次第に目についてきて視聴意欲が削がれてしまった残念作。
作中の用語から、イスラム化する以前の古代ペルシャ・中央アジア・北部インド(現パキスタン)風の世界を舞台とする作品として構想されていることは明らかだけど、第9章「仮面の下」に至って唐突に{netabare}魔術の存在する世界{/netabare}と判明するなど、いろいろとチグハグ。
シナリオも最後まで焦点が定まらず、続編が制作されているけれど続けて見たいという気持ちがあまり起きない作品となりました。
原作者・田中芳樹氏のもう一つの代表作『銀河英雄伝説』の方は、長大すぎる点はマイナスながら作品内容自体は高く評価していただけに、残念でした。


◆制作情報
{netabare}
原作         田中芳樹(原作小説)、荒川弘(コミカライズ版)
監督         阿部記之
シリーズ構成     上江洲誠
キャラクターデザイン 小木曽伸吾、田澤湖、渡邊和夫
音楽         岩代太郎
アニメーション制作  ライデンフィルム、サンジゲン(CG制作){/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


================ アルスラーン戦記 (2015年4-9月) =================

 - - - OP「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」、ED「ラピスラズリ」 - - -
{netabare}
第1章 エクバターナの栄華 ☆ パルス暦317年、ルシタニア人捕虜と王子の出遭い、奴隷制度と狂信的宗教国家
第2章 十四歳、初陣 ★ パルス暦320年秋、アトロパテネ平原の戦(対ルシタニア軍)、大敗北
第3章 黒衣の騎士 ☆ 続き、ダリューン奮戦・王子逃亡、パルス軍壊滅・バフリーズ敗死(銀仮面卿)
第4章 厭世の軍師 ☆ 元書記官・隠者ナルサス卿、宮廷画家登用の約束
第5章 王都炎上~前編~ ★ ナルサスの用兵論、王都エクバタナ攻防戦、奴隷解放の扇動 
第6章 王都炎上~後編~ ★ 続き、奴隷叛乱、パルス暦320年12月王都陥落
第7章 美女たちと野獣たち ☆ タハミーネ王妃、ミスラ神殿女神官ファランギース
第8章 裏切りの英雄 ★ カーラーン追求戦、弔いの歌、正統の王ヒルメス
第9章 仮面の下 ☆ 王都潜入、ルシタニア国王イノケンティス7世、王子とエトワールの再会、銀仮面卿vs.ダリューン
第10章 カシャーン城塞の主 ★ カシャーン城主ホディールの思惑、討伐、奴隷解放と思惑違い
第11章 ペシャワールへの道 ★大司祭ボダーン直属・聖騎士団、ザンデvs.ダリューン
第12章 騎士の忠義 ☆ ゾット族長の娘アルフリード、銀仮面卿vs.ナルサス
第13章 王子二人 ★ 東方辺境ペシャワール城塞到着、鉄仮面卿vs.王子、守将バフマン死亡、シンドゥラ国軍侵攻{/netabare}

 - - - - - - - - - - - OP「渦と渦」、ED「One Light」 - - - - - - - - - - -
{netabare}
第14章 異国の王子 ★ 対ラジェンドラ第二王子軍戦、同盟締結、シンドゥラ侵攻開始
第15章 シンドゥラの黒豹 ★ パルス暦321年、ジャスワント助命、クジャラート城塞攻略
第16章 落日悲歌 ☆ 対ガーディビー第一王子戦(戦象部隊)
第17章 神前決闘 ☆ ダリューン卿vs.戦士バハーデゥル、シンドゥラ次期国王決定
第18章 ふたたび河をこえて × 国王交替、ラジェンドラの姦計失敗、3年間の不可侵条約
第19章 冬の終り ☆ ザーブル城攻略戦(銀仮面卿/万騎長サーム)、万騎長クバート、王太子アルスラーンの布告(ルシタニア追討令・奴隷制度廃止令)
第20章 騎士の素顔 ☆ 帰参者の思惑と不満、エトワールと王子の城内の再会、王子の決意
第21章 別れの詩 ☆ ギーヴ離脱、エクバタナ奪還作戦開始
第22章 出撃前夜 ☆ 続き
第23章 聖マヌエル城の攻防 ★ ルシタニア拠点聖マヌエル城、ザンドvs.ダリューン、エトワールの王子襲撃
第24章 決戦 ★ 続き、ダリューンvs.銀仮面、落城、投身者、バルカシオン伯爵自害 
第25章 汗血公路 ☆ 銀仮面とルシタニア王弟の盟約、エステル帰参、王太子軍王都へ ※挿入歌「天空に舞う鳥よ」{/netabare}
---------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)10、☆(並回)13、×(疑問回)1 ※個人評価 ☆ 3.6

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16
ネタバレ

徳寿丸 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

美しいよ・・・ホント美しい・・・

原作未読。
私は田中さん原作アニメ銀英伝、タイタニアも視聴しておりそれなりに好きな方です(原作は一切読んでませんが・・・)。銀英伝もアル戦記も綺麗すぎるんですよね、主人公が・・・。言い方悪いけど人間臭い汚い部分がまるでない。聖人君主(いや英雄だから美化は当然)過ぎるというか・・・(まぁ、多少あるけどね)。例えば中国の英雄とか欺瞞に塗れて平気で他人を貶めたりかつての家臣を殺したり人間臭さがプンプンするんだよな、確かに子供の頃は完全無欠のヒーローに憧れるけど大人になるとそんな奴逆に信用できん(笑)。それから私が田中作品で一番嫌いなのがナレーションで「後に〇〇会戦と呼ばれ〇〇の圧倒的勝利に導いたのであった」的な最初に結果言っちゃうパターン(全部ではないが・・・)。銀英伝もそうだけどハラハラドキドキが全くないんだよね。どうせうまくいくんでしょ?はいはいって見てしまう。この荒川版はどこまで原作に忠実なのかわかりませんが合戦とかキャラの登場や行動が???な部分が結構あります。ずっと違和感を感じてました(演出や脚本が下手なだけか?)。相手が都合よく罠にかかるのは田中さんの作品では常道ですが(笑)それとは違った変な所が散見されるんですよね。 {netabare}例えば人質に取られた場合一緒に走って逃げるなんてありえない(笑)。攻め込んできた反乱分子の王子側と手を結ぶ(現時点での正当側への交渉材料にするのが妥当)、信頼されてない王子が現王の前で突如乱心して下知した位で多くの兵が王子側につくわけがない、いわば国同士の盟約を簡単に破ってきた相手をあっさり許す(美徳とするにはあまりに軽率。自軍の軍規が乱れる元)。自領で作戦を立てる祭に地形はくまなく調べているはずなのにいきなり本陣に来る(こんな所に抜け道が的な台詞があったように思う。あるキャラがつけられたのかもしれないがそのキャラの方が後から出てくる)、城壁内側すぐ横の抜け穴がそのまま塞がれていない、総大将が乱戦必死の場内にほぼ先方で突入し、身辺警護もなしに城内をうろつく(危なくなると間一髪味方が助ける・・・この間一髪は結構あるんだよなぁ笑)等・・・。あとで後述しますが古い松竹映画版はこの辺うまくできてます(違和感が少ない)。{/netabare}
評価にね演出、脚本を追加した方がいいんじゃないかなぁ。前から言ってるけど作画と歌と声優さえ良ければ評価上がるんだから。逆にショートは評価できないし・・・。

私のツボ:普通になき先代王の嫡子と名乗って他国の兵借りて正々堂々攻め込んじゃ駄目なの?まぁアルスラーンの立場終了だけど。


劇場版+OVA版視聴済・・・評価3.8
上記の荒川版観てどうも腑に落ちないので昔の観てみました。まぁこちらは尺の関係もあって変更してる所もありますが戦のシーンなんかはこちらの方が納得できますよ。荒川版の説明不足というかそういった所を補完してくれます(普通逆じゃないの?)。 {netabare}例えば隣国の第2王子は何故攻め込んできたか、何故攻め込んできた第2王子と手を組む事にしたか、また戦もこちらの方が鮮やかな勝ち方の印象です。{/netabare}そして何より田中さんといえば主人公のキラキラ感!こっちのアルスラーンの方が断然輝いています!声優さんも往年の方々でこちらはこちらで私は好きですね。まぁ作画はどうにもならないですが私はこちらの方が田中さん作品ぽい気はします(笑)。まぁ荒川版は2期ありますし一応楽しみではあるんですよ。



風塵乱舞視聴済。
これやっぱ演出が悪いのかな?とにかく御都合すぎて笑える。こいつらみんなどこでもドア持ってんじゃないの?どっからでも都合良く現れる。正直バカバカしくなってきた。なんだろうな、とにかくリアリティなさすぎんだよな(戦争とか描いてるくせに)。何でも後付けでアルスラーン万歳だもんな。わからん、古い作品だけどどんだけ綺麗事なんだよって思うわ。こんな綺麗事軍団の行く末が楽しみですね(笑)。
うーん、原作読んでみないと何とも・・・制作会社がヘボな気がするけどね。やり直し(笑)。

追記:たまたま、時間があったので某本屋で荒川版のコミックを少し立ち読みしたんですが・・・これ制作側の構成や演出が稚拙というか端折り方が下手すぎでした。割と話の流れ的に重要な所アニメ端折ってる感じでした。やっぱやり直し(笑)。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

70.0 4 2015年度の小説原作アニメランキング4位
櫻子さんの足下には死体が埋まっている(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (934)
4970人が棚に入れました
北海道の旭川を舞台に、抜群の美貌とスタイルを持っているのに美しい骨を愛でるのが大好きなお嬢様の九条櫻子と、そんな彼女に振り回される平凡な高校生の館脇正太郎の2人が、骨にまつわる事件にかかわっていく物語。

声優・キャラクター
伊藤静、榎木淳弥、今村彩夏、磯辺万沙子、高橋広樹、石田彰、柿原徹也
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

氷菓のような評価をされたかった作品?

[文量→中盛り・内容→余談が本論系]

【総括】
リアル路線のミステリーアニメ。本格的なミステリーもの、推理ものと考えてしまうと、やや物足りないが、変な特殊能力とか使わないだけ、まともにおもえる。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
冒頭の、桜舞い散る学園やそこに流れる雰囲気は明らかに、ライトミステリーの名作「氷菓」を思わせる。

ただ、氷菓との決定的な違いは、「キラキラしていない」という点だろう。むしろ、推理面では氷菓よりも納得できる点が多く、ミステリー小説としては面白いのかもしれない。ただ、「キラキラ」していない。「ワクワク」しない。「ドキドキ」しない。

この作風なら、むしろ実写で連続ドラマ化し、火曜なんちゃらとか木曜なんちゃらで放送した方が良かったのでは? キャストによっては数字とれたと思う。タイトルにもインパクトあるし。

まあ、アニメは嗜好品だから、色んな種類があって良いし、それを好みに合わせて我々視聴者が選べば良いんだろうけど、個人的にはやっぱり、心が温かくなったり熱くなるものが好きだな。折角の現実逃避だからね。

最後まで視聴ができたのはただの一点、第1話で紹介された、「梶井の小説がどう生きてくるか」を見たかっただけである(まさか最終話で、はっきり言っちゃう&本当に死体が埋まっているとは思わなかったがw)。
{/netabare}

【余談~ 梶井基次郎 桜の樹の下には と本作の関連性(文学部的レビュー) ~】
{netabare}
この作品を語る上で、梶井基次郎の「桜の樹の下には」を念頭に置くことは避けられないだろう。

なんで、まずは「桜の樹の下には」を全文掲載します(青空文庫より)。少し長い詩ですが、興味があれば読んでみて下さい♪ 難解ですがね(汗)
{netabare}
桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!

これは信じていいことなんだよ。何故なぜって、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

どうして俺が毎晩家へ帰って来る道で、俺の部屋の数ある道具のうちの、選(より)に選ってちっぽけな薄っぺらいもの、安全剃刀の刃なんぞが、千里眼のように思い浮かんで来るのか――おまえはそれがわからないと言ったが――そして俺にもやはりそれがわからないのだが――それもこれもやっぱり同じようなことにちがいない。

いったいどんな樹の花でも、いわゆる真っ盛りという状態に達すると、あたりの空気のなかへ一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。それは、よく廻った独楽(こま)が完全な静止に澄むように、また、音楽の上手な演奏がきまってなにかの幻覚を伴うように、灼熱し生殖の幻覚させる後光のようなものだ。それは人の心を撲(う)たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさだ。

しかし、昨日、一昨日、俺の心をひどく陰気にしたものもそれなのだ。俺にはその美しさがなにか信じられないもののような気がした。俺は反対に不安になり、憂鬱になり、空虚な気持になった。しかし、俺はいまやっとわかった。

おまえ、この爛漫(らんまん)と咲き乱れている桜の樹の下へ、一つ一つ屍体が埋まっていると想像してみるがいい。何が俺をそんなに不安にしていたかがおまえには納得がいくだろう。

馬のような屍体、犬猫のような屍体、そして人間のような屍体、屍体はみな腐爛(ふらん)して蛆(うじ)が湧き、堪らなく臭い。それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている。桜の根は貪婪(どんらん)な蛸(たこ)のように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のような毛根を聚(あつ)めて、その液体を吸っている。

何があんな花弁を作り、何があんな蕊しべを作っているのか、俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるようだ。

――おまえは何をそう苦しそうな顔をしているのだ。美しい透視術じゃないか。俺はいまようやく瞳を据えて桜の花が見られるようになったのだ。昨日、一昨日、俺を不安がらせた神秘から自由になったのだ。

二三日前、俺は、ここの溪(たに)へ下りて、石の上を伝い歩きしていた。水のしぶきのなかからは、あちらからもこちらからも、薄羽かげろうがアフロディットのように生まれて来て、溪の空をめがけて舞い上がってゆくのが見えた。おまえも知っているとおり、彼らはそこで美しい結婚をするのだ。しばらく歩いていると、俺は変なものに出喰(でくわ)した。それは溪の水が乾いた磧(かわら)へ、小さい水溜を残している、その水のなかだった。思いがけない石油を流したような光彩が、一面に浮いているのだ。おまえはそれを何だったと思う。それは何万匹とも数の知れない、薄羽かげろうの屍体だったのだ。隙間なく水の面を被っている、彼らのかさなりあった翅(はね)が、光にちぢれて油のような光彩を流しているのだ。そこが、産卵を終わった彼らの墓場だったのだ。

俺はそれを見たとき、胸が衝かれるような気がした。墓場をあばいて屍体を嗜(この)む変質者のような残忍なよろこびを俺は味わった。

この溪間ではなにも俺をよろこばすものはない。鶯(うぐいす)や四十雀(しじゅうから)も、白い日光をさ青に煙らせている木の若芽も、ただそれだけでは、もうろうとした心象に過ぎない。俺には惨劇が必要なんだ。その平衡があって、はじめて俺の心象は明確になって来る。俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。俺の心に憂鬱が完成するときにばかり、俺の心は和なごんでくる。

――おまえは腋(わき)の下を拭ふいているね。冷汗が出るのか。それは俺も同じことだ。何もそれを不愉快がることはない。べたべたとまるで精液のようだと思ってごらん。それで俺達の憂鬱は完成するのだ。

ああ、桜の樹の下には屍体が埋まっている!

いったいどこから浮かんで来た空想かさっぱり見当のつかない屍体が、いまはまるで桜の樹と一つになって、どんなに頭を振っても離れてゆこうとはしない。

今こそ俺は、あの桜の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑のめそうな気がする。
{/netabare}

、、、梶井といえば、「檸檬」が代表作である夭逝の作家である。作家というより、詩人。私はむしろ内面的には女子だと思っている。

梶井は、武骨な外見とは裏腹に、とても繊細で移り気(感覚的)な人物だ。

梶井の友人として有名なのは川端康成。一方、梶井の作品と近い性質(デカタンス)を持つのは芥川龍之介である。私はこの二人を、「日本文学史上、最も優れた天才作家」だと思っている。現代ではNo.1の評価を受けている村上春樹ですら、裸足で逃げ出すほどの才能だ(と、勝手に思っている)。

川端、芥川の対比は面白い。これはウチのゼミの教授の受け売りだが、川端は「醜なるものに美を見い出す作家」であり、芥川は「美なるものに醜を見い出す作家」である。例えば川端は、遊女や孤児などをよく書いたが、いわゆる社会の中で低く見られている人々に対し、僅かながらの光や輝きを見ようとしている。一方芥川は、上流階級の女性や優しき人間を書きつつも、そこに必ず醜さを見いだしている(基本的に人間が嫌いなのだろう)。

梶井に関しては、この美意識が作品ごとに変わっている印象がある。その辺が感覚的な作家であるという評価に繋がっているのだろう。

梶井の代表作である「檸檬」に関しては、川端的な「醜なるものに美をみる」姿勢が見られるし、「桜の樹の下には」芥川的な「美なるものに醜をみる」姿勢が見られる。

梶井は、桜の木の下に死体が埋まっていることを「妄想」と認めている。しかし、この妄想が完成するまでは、爛漫と咲く桜に対して、「ひどく陰気な」心を抱いている。それは、自らが深刻な健康被害を被っていた故の、生命への畏れだろうか。それとも、完璧な美が存在するのなら、自らの文学が価値を失ってしまうということへの恐れだろうか。

おそらく梶井は、「純粋に、無邪気に、存在そのものが美しいもの」を無条件には信じられないのだろう。美しいものには、美しい為の理由がある。それを解き明かせないかぎり、梶井にとってその対象物は恐怖の対象(得たいの知れないもの)になるのだ。

日本人は桜が大好きだ。桜は美しい。皆が口を揃えて言う。にも関わらず、なぜ桜が美しいか、桜を好きなのかをはっきり説明できる人は少ない。

ピンク色だから? 散るから? 期間限定だから?

じゃあ、なぜピンク色だと美しいんだろう? 散るのはなぜ美しいのだ? と、なっていく。

無条件に皆に好かれる存在は、恐怖だ。

例えば、クラスメイトにそんな人はいなかっただろうか? 特別に何が秀でているわけではないのに、なぜだかみんなに好かれている存在。みんなが口を揃えて「あいつは良い奴だ」と言う奴は、なんだか不気味だ。でも、もしそいつに何らかの短所や欠陥を見つけられたら、そいつのことを本当の意味で好きになれないだろうか?

桜の木の下には、死体がある。桜は、死を吸っているから、生を謳歌できる。桜だって、完璧ではない。醜さを内包している。

そう妄想することで、梶井は初めて「あの桜の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒を飲めそうな気がする」のだ。

……頭が良すぎる人ってのは、花見ひとつするにも大変だねぇ(笑)

さて、櫻子さんの話である。櫻子さんは、死体(骨)が好きだ。しかし、死が好きなわけではない。むしろ、死を嫌悪している。櫻子さんにとっての死体とは、生の裏返しであり、生を語るものだ。

櫻子さんは、生を無条件には信じられない。死体を見て初めて、「あぁこの死体は生きていたのだな」と感じることができる。これは梶井が、桜の木の下に死体があることを妄想して初めて、「あぁ桜の花はきれいなのだな」と感じられる感覚に似ている。

梶井は深刻な健康被害を抱え、常に死を身近なものと感じていた。自らが死を内包しているからこそ、普通の人なら見逃してしまうような、身近な景色や出来事にも価値を見い出だすことができたのだ。だからこそ、「何の代償も払わないような、無邪気な、無条件な、美や生」には懐疑的だったのだろう。

櫻子さんも、(弟の)死を抱えていた。だからこそ、「ただそこにある生」を感覚的に素直には受け止められず、そんな生にも価値を見いだせない。一見すると冷たく、非人道的な人間のように描かれていた。でも、良く考えると可哀想な人間である。

やはり、頭が良すぎるというのは、大変だな。

もしくは、これは正太郎から見た櫻子さんへの感想なのかもしれない。櫻子さんの正体不明な美しさを説明するための比喩として、「死を吸っているから」としたのか? いや、正太郎はそんな考え方をする子じゃないな。ということはやはり、第三者的な視点で、櫻子さんの本質を言い表していると考える方が自然か。

正太郎は冒頭で、作品の舞台である旭川のことを、「時間が停滞している」「この街には過去の記録がひっそりと優しく息ずいている」と、評している。それは、櫻子さんが死体に抱く感覚と同じではないだろうか。

死を見ることで生を感じる。つまりはそういうアニメである。

この一点において、梶井の「桜の樹の下には」が有効に生かされている。が、多分その一点以外においては、関連性は見られない(ひょっとすると、タイトルのインパクトだけで流用し、小説の中身までちゃんと生かしていないのかもしれない)。まあ、文学部的なレビューの結論としてはそんなところかな。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 42
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

CVが石田さんだと警戒から入るよね…

なんか裏がありそう…みたいなw

そんな石田さんですが、彼の演じるキャラを特別好きになる私がいます(我愛羅も桂もカヲルくんも、各作品で一番好きなキャラだったりします…)。

この作品の石田さんキャラ、磯崎先生についてですが、案の定作中で一番好きでした。

そんな私が一番好きだった回は当然
第6話の「アサヒ・ブリッジ・イレギュラーズ」です。以下ネタバレあり
{netabare}
 あらすじ:夏祭りに来た鴻上(準レギュラーの女子高生)は友人(DQN(偏見))とはぐれた際、暗い表情で川面を見つめる黒衣の女が橋上にいることに気づく。女はそのまま立ち去るが、鴻上は中に遺書めいた言葉とダイヤモンドのリングを見つけて…。何としてでも自殺を思いとどまらせたい鴻上は、祭りの監督に来ていた磯崎先生(イケメン)や警官の内海を巻き込んで、女を探し始めるのだが…。

 この回は、鴻上と先生の対照的な意見と、先生の過去での出来事の伏線が見どころだと思います。

 磯崎先生の「自分の命を自由にできる権利を持つからこそ人間なんだと僕は思う。」だとか「自らの生と死を選択しその責任を持つ。少なくとも彼女にはその権利があると思う。彼女の選択を否定する権利はあるんだろうか?」という、どこか冷めたようなセリフに彼らしさが感じられます。
 私は先生のこういった発言は教師らしくないとは思いますが、非常に説得力があると思います。

 一方、鴻上の「嫌だ!死んでほしくない!って思うのは当然じゃないんですか!」という感情的なセリフに鴻上らしさがにじみ出ています。大事なおばあちゃんに先立たれた経験が彼女にこう言わせたでしょう。(この前に言った「先生は大切な人に急にいなくなられたことがありますか?残された人の気持ちがわかりますか?」というセリフについては、後ほど謝ることになります。)
 彼女の意見は先生のと比べて明らかに子供じみています。ただ、あながち間違っていない意見だと思います。なにしろ、磯崎先生だって自分の受け持つ生徒が「死」を選択したことによって酷く傷付いた過去を持っているのです…。
 この作品のいいところ?に、少年や鴻上ら子供達が、子供らしく描かれているところもあると思います。イライラする方も多いと思いますが、意見がまとまってなかったり、わがままだったり…。そのわがままさが、案外物語を動かす鍵になったり…

 今回も大人である磯崎先生が先に折れて、捜索を続行する流れとなります。
 このときの一連の会話がかなり好き!

鴻上:もういいです!私一人で探しますから!(泣きながら)

先生:待って(腕をつかんで)!鴻上が何と言おうと自分が間違ってるとは思わない。でもこのまま放りだしてトラブルにでも会われたら僕が管理責任を問われる。それはめんどくさい。 行こうか?

鴻上:一緒に探してくれるんですか?

先生:あぁ。だけど僕は彼女が見つかると思ってないし鴻上が見つけられるとも思ってない。

鴻上:私先生のこと大嫌いになりそう…

先生:いいよ。僕は自分以外好きじゃないし嫌われてもなんとも思わない。でも覚悟はした方がいい。見つからなくてもそれは鴻上の責任じゃない。だから絶対に自分を責めちゃ駄目だ。言いかい?君は自分以外の人の人生をしょい込もうとしてる。正しいことかもしれない。でもそれは本来とても覚悟のいることなんだ。その抜けない棘は君をずっと傷付けるだろう。その茨は弦を伸ばすだけで決して花は咲かない。痛いだけだ。それでも君は彼女を探すの?

鴻上:探します。今ここで諦めたら私は私を許せないだろうから。

先生:わかった。ただしあと1時間だけだ。それ以上は許可できない。

鴻上:一時間?

先生:ああ。だって、僕は花火が見たい。

鴻上:…最低(呆れたように笑いながら)。

 これを石田さんのイケボでやられるんですよ…惚れるでしょ!!
途中の自分を責めてはいけないって言う一連のセリフは、自分を責め続けている先生だからこそのセリフでしょうね…

 恋愛脳な私は、これをきっかけに、鴻上は先生に惚れたと思ってるんですが、皆さんはどうでしょう?
 鴻上の友人たち(リア充)が超絶バカっぽかった(偏見)故に、先生のスマートさが際立ちます。
 先生の方に気はないでしょうが…。

締めの会話
鴻上:綺麗ですね。(花火見ながら)
先生:何?僕が?
鴻上:最低。(笑いながら)

良いカップリング過ぎる(断定)
{/netabare}
 一番好きなのは磯崎先生ですが、櫻子さんとかヘクターも魅力的ですね。
 この作品は、OPも格好いいですし、EDも透き通ってて…好みです。

 総評として、好き嫌い分かれそうな作品ですが、個人的にはかなり好みでした。
 何の気なしに格好いいこと言うようなキャラが好きです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

本格探偵推理のシリーズものはキャラ萌えが重要ですが…うーん。

 原作は数巻、途中まで読んで放ってあると思います。推理小説好きなのでちょっと長いレビューです。謎とストーリーそのものはネタバレになるので一切触れていません。

 推理小説には社会問題を事件を通じて描く社会派と殺人事件の推理のプロセスに重点を置いた本格派の大きな2つの分類があります。詳しい分類の説明は他に譲るとして、本作は大きく分ければ本格派になると思います。
 
 本格派の特徴として、まず謎を探偵が推理によって解き明かすプロセスですね。フェアに謎と証拠が提示されて、読者側が推理しようと思えばきちんと犯人を当てられることにこだわります。

 本格派推理では、素人探偵が殺人事件の犯人を特定する、というストーリーが大きな魅力になります。一方、現代日本の科学捜査において本来探偵の出る幕などどこにもありません。ですので、素人探偵が事件に介入する舞台づくりに作家は腐心します。

 推理を読み慣れていない人には荒唐無稽感が強いと思います。なんで通報しないの?なんでそんなに事件に遭遇するのという不自然さが特にシリーズものにはあります。まあ、コナン君を見てればわかると思いますが。

 素人探偵ものの読書法として、警察の不在と不自然な探偵の介入の部分はスルーする、という作法が必要になります。

 親戚や親が警察官のエライさんとかの人間関係、法医学者や記者、弁護士等々の職業などでその舞台づくりをするケースとシチュエーションで事件に介入することもあります。
 場所で警察を遮断することもあります。クローズドサークル(雪の山荘や嵐の孤島)、旧家の遺産相続等で警察には秘密に…ですね。

 そして、推理のシリーズものの魅力として、探偵またはアシスタントへのキャラ萌えが必要です。アニメだとシリーズ全部が見られませんが、すべてがFになるの犀川と西之園、姑獲鳥の夏の中禅寺と関口などです。シリーズがかなり網羅されている氷菓なら折木と千反田などですね。
 これらは事件の雰囲気や謎、その推理のプロセスや舞台設定を楽しむことはもちろんですが、なんといってもキャラの活躍がシリーズの大きな魅力になっています。

 という前提条件で言うと、本作です。事件の関わりとして、骨格標本の研究者という設定、そして舞台は北海道の原野や広く古い建物などです。そこに櫻子さんの性格を付け加えることで、事件への介入の理屈と推理小説の雰囲気づくりという点では良いのではないでしょうか。

 骨というのは不吉で死のイメージがありますし、ゴシックホラー的な映像もなかなか良いと思います。そして真の犯人的な存在と骨にまつわる謎の解決というシリーズを通じてのテーマにもなっています。という点で、設定やキャラ作りという点においては良いと思います。

 ただ、です。キャラに萌えられないんですよね。櫻子さんの天才性に愛嬌がないんですよね。いわゆる弱点的なところが見えてこないので人間性が描写されない。設定に負けている感じが非常に強いです。デザインも普通の黒髪美人だし。で、アシスタント役である主人公との関係性に絆があるようで、ここが曖昧なんですよね。

 また、天才性についても骨から抜け出せていないので、謎ときの証拠が骨なんですよね。骨の知識以外がありません。もちろんキャラが良ければおぎなえるのですが、先ほども言ったように櫻子さんのキャラ自体の魅力が薄いです。ですので、謎解きを一緒にしようという気にもなりませんし、謎解きから得られるカタルシスが少ないです。

 ラノベ的な感じの原作からも、探偵としてのキャラ萌えと同時に感情移入するアシスタントの主人公との何かの関係性が必要かと思います。一応表現されていますが、うーん…弱いですね。なんかセリフだけです。共感できませんでした。

 ヒューマンドラマがあるのでその点ではいろいろあると思いますが、推理でやるなら推理としての出来の良さが前提です。その点でいえばハルチカと同じでかえってノイズになっている気がします。
(本格推理ではないですが、文学少女と良く比較してしまいます。あちらは荒唐無稽ですけど、ヒロインと主人公に萌えられました)

 以上の点から、初めは惹きつけられます。でも、後が続きません。要するに飽きます。そして一番のポイントになる10話、11話ですけど…うーん。これはまあ良く考えたんでしょうけど、モリアーティ登場でおしまい?なんか感情的にエモい12話で何かを補おうといしたんでしょうけど。


 総評。雰囲気はいい。不自然さも本格推理の範疇におさまっている。キャラ設定も悪くないです。でも、シリーズものとして、謎が単調な上にキャラに萌えられません。で、シリーズものの最後の手段、シリーズを通じた超強敵を出されても…うーん。
 

 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

66.1 5 2015年度の小説原作アニメランキング5位
すべてがFになる THE PERFECT INSIDER(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (803)
3508人が棚に入れました
森博嗣の『S&Mシリーズ』が原作。

映像化するのは、「エルフェンリート」の神戸守監督とA-1 Picturesのタッグ!


理系の女子大生の西之園萌絵と工学部建築学科准教授の犀川創平が難事件に挑むサイエンスミステリーとなる。

声優・キャラクター
加瀬康之、種﨑敦美、木戸衣吹
ネタバレ

カボチャはんたー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

F

作画がおやすみプンプンやソラニンでお馴染みの浅野いにお先生なので
すごい期待値です(´∀`)OPもEDもらしい曲で素晴らしいです☆ミ

1話 {netabare}

この物語のキーパーソンは真賀田四季
犀川先生とその教え子の西ノ園さんの恋路
色々が集約されFに帰結するんだろうな~

とりあえず犀川先生は優秀な人だけど
真賀田さんはそんな犀川先生でも及ばないほどの天才みたい

先生の目薬の指し方wwwwwwwwwww

大学の自室とファミレスで大体1話終わったような(笑)
{/netabare}

犀川 創平(さいかわ そうへい)
国立那古野大学建築学科の准教授。物事に対する興味の度合いが極端で、興味のないあことには一切関わろうとしない。恩師の娘で教え子の萌絵に好意を寄せられているが、本人はあまり気にする様子がない。抜群の頭脳を持つが浮世離れしたところがあり、ファッションには無頓着。タバコとコーヒーをこよなく愛し、スイカとあんこときなこが嫌い。

西之園 萌絵(にしのぞの もえ)
国立那古野大学工学部建築学科の1年生。誰もが振り返る美少女で、犀川に想いを寄せている。父親は犀川の恩師で、那古野大学元総長。おじは愛知県警部長で、おばは県知事婦人というスーパーお嬢様。優れた洞察力と観察力を持ち、驚異的な計算能力を有しているが、ときに思考が極端に飛躍するという特徴を持つ。好きなものは、車のエンジン音とミステリー小説。嫌いなものは乾燥椎茸。

2話{netabare}
結局ゼミの旅行先は島になったのね
西ノ園さんキャンプに執事もついてきます(沙*・ω・)ノ
あーついてはこないのか(沙*・ω・)
西ノ園さんお嬢様だなぁ(´∀`)
喜びの2乗3乗☆ミ

真賀田研究所は結構自由なところみたいだね
博士の引きこもりは隔離のせいみたいね
日間賀島は結構外界から剥離されてるのね

西ノ園さんお嬢様すぎるw(*´ω`*)w
ゼミ生キャラ濃いのが揃ってるなぁw

犀川先生は真賀田博士に夢中
西ノ園さんの恋路はなかなかだな
真賀田博士出かけてるみたい…?

真賀田研究所に用事があったわけじゃないのねw
先生もちょっと引いてるwww
デボラっていうサブシステムとかすげぇなw(沙*・ω・)w
最先端の研究所(´∀`)

真賀田博士に妹がいるのか
先生の安否を確認するために…
研究所で異変?

真賀田博士の人形?
怖いな~☆ミ
{/netabare}

真賀田 四季(まかた しき)
「人類のうちで最も神に近い」と言われる天才プログラマー。14歳の時に両親を殺した疑いで逮捕されたが、心神喪失状態であったことを認められて無罪になった。依頼、孤島・紀真賀島にある私立研究所で隔離された生活を送っている。

3話{netabare}
真賀田博士死亡?自殺?他殺?
両手両足がない?おっと謎が深まっていく…
電話もメールも通じない…おっとデボラが暴走
完全に遮断されちゃったみたいね

西ノ園さん先生の呼びかけに復活w
少し話しただけで相手の人となりを見抜くなんてね
さすが天才真賀田四季…死後数日

出入り口はひとつ…密室
所長が戻ってくるまで…あと30分
目薬シーンキタ━(゚∀゚)━!
この2人冷静だなぁ~

レッドマジック☆ミ
西ノ園のわくわく顔かわいい(*´`)
今日のシャツはパン(笑)

15年間の記録…ずっと出てこなかった記録
誰もエレベーターから出入りしてない
マリンバwwwww

ウエディングドレスの意味?
所長が到着するみたい(´∀`)
妹さんも到着…

犀川先生真賀田博士と話してみたかったのにな…

嫌いの反対は突き詰めると好きになるのかな
博士と西ノ園の対話…

所長まで殺された…
どんどん謎が深まっていくね…
{/netabare}

山根 幸宏(やまね ゆきひろ)
真賀田研究所の副署長。

4話{netabare}
西ノ園さんもさすがにパニックになるけど…
でも好奇心が勝ってるのかな?

博士の部屋に手がかりがないか探す…
寝室だけ鍵が…いたのはミチルというロボットだけが
部屋がきれいすぎる…?
腕もない?(ヾノ・∀・`)ナイナイダストシュート?
さて手がかりもなく閉じ込められてしまった☆ミ

真賀田四季は自殺?遺書?栗本しきお?
佐々木すま?真賀田博士には別人格があるみたい

西ノ園が言った…紫色?
博士の窓?どうして西ノ園と会った理由か?
犀川が気になってることは…すべてがFになるが気になってるみたい
西ノ園はウエディングドレスが気になってるみたい
人形が両親を殺した?
多重人格?7だけが孤独

真賀田四季が7…人形?操られる存在
多重人格って面白いね(沙*・ω・)

両親が死んだこと
そばにいた人のこと?
それが真賀田博士の知りたかったこと?
{/netabare}

弓木 富彦(ゆみき とみひこ)
真賀田研究所在住の医師。

水谷 主税(みずたに ちから)
真賀田研究所所員。研究創立時から在籍する数少ない所員の一人。

5話{netabare}
デリカシーのない質問…だけど繋がる紫色
優しさと愛情の違い…文字数が違う正解(笑)
人は何のために生きるのか?

所長は現場にいたのね
四季の両親殺害にも謎があるのね
きしお…亡くなった兄らしい
すま…アメリカで亡くなった家政婦さん
みちる…人形
四季は人格を作ることができるみたい

明日島に船が来るみたい
久しぶりにいい知らせ(´∀`)w

犯人はどうやって密室に入って出て行ったのか?
15年前の事件にこの殺しのキーが…
人形とは身体のこと?真賀田博士だけが7だった

人間には柵というものがある…
自由のために人を殺す…
モラルの価値観が違う…
四季さんは純粋
四季の人間性が豊か

おじさま=所長
四季とおじさまはそういう関係だった?

自由すぎると縛られるのが苦痛になるよな
{/netabare}

望月 俊樹(もちづき としき)
真賀田研究所の警備員。

長谷部 聡(はせべ さとし)
真賀田研究所の警備員。趣味はマリンバの演奏。

6話{netabare}
犀川先生はキャンプ場に戻るみたい
西ノ園は謎を解きたいみたい
でも帰るしかない…
あんなことがあって疲れました☆ミ

研究所のチームメイトはあんなにいるのね☆ミ
愛の告白したことになってる~
事件の真相はゼミ生にも
カレーライスってずるいよな(笑)
結局先生も気になってるのね(沙*・ω・)

あのメッセージは誰が書いたんだろう?ね?
出来すぎているメッセージ…
ノンアルコールで酔っ払ってる西ノ園さんwww

山根さんから犀川先生にお願い…(>人<;)
真賀田博士が死んだことを隠蔽する意向みたい
買収されることを否定する犀川…
今日のシャツはくじらwwwwwwww
西ノ園は将来酒乱wwwwww

西ノ園は真賀田博士が伝えたかったことが知りたい
だから残りたい…

犀川先生再び研究所に…
隠蔽を了承する代わりに調査をすることに

エレベーターが動いてる?
博士の部屋の本棚?全て15巻までしかない
15年…全てが15…15に…

四季さんやるーw
{/netabare}

新藤 清二(しんどう せいじ)
真賀田研究所の所長。四季のおじにあたる。ヘリコプターの操縦が趣味。

新藤 裕見子(しんどう ゆみこ)
新藤清二の妻。四季の幼少期を知る人物。お菓子作りが得意。

7話{netabare}
15巻までしかない謎?
博士テレビの修理とかもできるんだ!!
たこせんべいwwww

犀川先生探偵ポジションに…
水谷曰く犯人は人間業ではない
みきさんのバッグも消えたらしい

島田さんと犀川先生争い(沙*・ω・)
島田さん…そっちのけがあるみたい☆ミ
でもこの人メガネ取った方がいいw

四季博士開発のバーチャルゲームで遊ぶことに西ノ園さん
先生はみきさんと英語で会話(沙*・ω・)字幕プリーズ

西ノ園さんが見てる風景wwww
先生が生き生きしてる(笑)萌絵(笑)
おっと…四季さんと出会うことになるなんて
なんていうかルドラの秘宝思い出すわ

西ノ園の前に現れたみちる…
西ノ園さん目の前で…生き残ってしまったって…
大切な人を失ったのにどうやって生きてきたのか?
紫のドレスについた血は先生の…
犀川先生が支えてくれてたのかな?

この時には殺される覚悟をしていたのね四季
{/netabare}

島田 文子(しまだ あやこ)
真賀田研究所所員。プログラマ。

8話{netabare}
バーチャル世界の中で真賀田博士に会った…
この研究所にいる人なら誰でも参加できる…
新しい名前の登録…みちる
島田さんアピールw(沙*・ω・)w
西ノ園さん心の余裕がないみたい(笑)

みきさんは真賀田博士に似ているかと言われると似てるけど…
嘘のモラルの境界線…西ノ園さんの権力すげぇ~w
西ノ園さん忘れてた過去を思い出したみたい☆ミ

山根さんは最後の手段を…レッドマジックを止めるつもりみたい
トロイの木馬プログラムか…厄介だね
異常の原因はまだわかってないみたい…

先生随分ご機嫌♪
Fのことを考えるのが正しい道筋だと
レッドマジックついにストップ
真賀田博士なんで手袋を…?

完全になろうとする不完全さ…
犀川はたどり着いたのかな?
真相が少し見えたみたい

西ノ園が会ったのは真賀田博士じゃないみたい
ようやく外部と連絡がついたみたい

西ノ園は自分の力で真実に到達するつもりみたい
{/netabare}

真賀田 未来(まかた みらい)
四季の妹。アフリカの親戚のもとで暮らしている。

9話{netabare}
出た!!記者のお姉さんwww
大人はみんな甘い言葉で…
犀川先生は何もかも話すつもり…
もうどうしようもないね…

デボラも復旧したみたい☆
儀同さんとまさかの邂逅w
儀同さんと西ノ園さんは相性悪そうw

西ノ園さんのメンタルwwwwww
監視カメラのファイルは抜けていなかった…
つまり何の細工もなかった…

犯人が中に入った方法までわかってたのね
さすが先生…15年前は一人だったけれどあの部屋にはもう一人いた…
そういうことか…カボチャにもわかってきたぞ

真賀田さんの子供が犯人だけど…
入る方法はわかったけど出る方法が…
娘さんらしい…

犀川先生気づいたみたい☆ミ
時刻がずれてる…1分間のファイルがない
罵倒したいんだ(笑)(笑)(笑)
リセットによる停電で正確な時刻が届いたみたい
元々研究所の時刻がずれてたみたい

1分間のビデオ映像が消えている
犀川先生解いちゃったよ~(´∀`)

犯人の人間としてのプライドを刺激する
ついに犀川は真賀田博士とご対面
{/netabare}

儀同 世津子(ぎどう せつこ)
雑誌の記者。色白の美女。犀川があんこを嫌いなことを知っていたり、「創平君」と呼ぶなど、犀川とは親しい間柄。

10話{netabare}
真賀田博士ととっておきの場所で会うことに…
すごい光景の差異wwwwww尋問と対談wBとD
二人の人間を殺したのは…

まずはすべてがFになる
F=15
西ノ園が研究所で会ったのは博士の娘だった
16進法だと65535=FFFF、つまりは最大値
これが時限装置

四季はトロイの木馬?
正常な状態でウイルス的な働きを行う
全てはあらかじめ仕組まれていた

真賀田四季が真賀田博士を殺した理由
真実は…母親を殺した理由は?手足を斬った理由は?
西ノ園の質問によって両親を殺せなかった…
普通の女の子だった…

自由の定義…あらゆる柵から解き放たれて楽になりたかった
死んだのは娘だったのか…

犀川は博士に付き合うことに…
案外この二人は通じるものがあるのね
あなたは誰ですか?

もう真賀田四季は島から出て行ってしまったのね
真賀田みき=真賀田四季だったみたい
もう展開が頭良すぎてついていけないwww
{/netabare}

国枝 桃子(くにえだ ももこ)
国立那古野大学工学部建築学科で犀川の講座の助教。中性的な外見でストレートな発言から、学生からは怖がられている。

浜中 深志(はまなか ふかし)
国立那古野大学の学生。犀川研に所属。ゼミ旅行の幹事を任され、思いがけず真賀田研究所のある紀真賀島でキャンプすることに。

11話{netabare}
西ノ園あれからあんまし先生の部屋に行ってないみたい…
国枝さんここでいいこと言ってきたよw

犀川先生と真賀田博士突然の邂逅
場所変えて喫煙所wwww
真賀田博士は死ぬためにあれをしたみたい…
ほかの人に殺されたい願望があるみたい…

犀川と博士は似ているけど…違う…
つまり時に意味のないことが人を救うこともある…
今日のTシャツはなすwwwww

出た目薬シーンwwwwwwwwww
真賀田博士やり手だなぁ本当にwww
まるで勝てない相手(沙*・ω・)

愛情に決まった形などない…
西ノ園かわいいな(*´`)ノ
儀同さん妹wwwwwww

先生のTシャツはこれから西ノ園が担当することにw
干し椎茸騙されてたwwwwww

なんか小説読んでるみたいな気持ちになりました
最後までわからないこともあったけど
面白かったと思います(`・ω・´)
{/netabare}

諏訪野(すわの)
西之園家に長年仕える執事。萌絵の身の回りの世話をしている。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

酷評します

どんな結末で終わらせるのかなと思って期待し続けたけど、残念。

犀川がなんかもてているし、天才扱いされているけど、ただのニコチン中毒だし、天才的に事件を解決していない。見ていてイライラした。優しい一面もあるけど、基本的に気遣いできてないから優しいのか?

西之園も天才扱いされている感あるけど、ただ計算早いだけやん。恋のせいでポンコツなんか?

OP
talking 歌 KANA-BOON
ED
ナナヒツジ 歌 シナリオアート


事件の概要
{netabare}
犀川研究室の旅行で、愛知県にある妃真加島に向かった犀川創平と研究室の面々。犀川の恩師の娘である西之園萌絵も研究室の正式なメンバーではないが参加していた。妃真加島にはその所有者である真賀田家が設立した真賀田研究所があり、実は萌絵は愛知県知事夫人の叔母の縁故もあって研究所と多少の関わりがあった。
真賀田研究所には優秀な研究者が集い、彼らなりの論理・生活形態とそれを許容する環境の下で精力的に研究を進めている。その頂点に君臨するのが、真賀田四季博士。彼女は現存する最高の天才で、名実ともに研究所の活動の中心人物であったが、過去に犯した殺人によっても有名人物であり、研究所の一画に隔離されている存在でもあった。
研究所に訪れた犀川と萌絵は、研究所に勤める山根幸宏、水谷主税、島田文子、望月俊樹、長谷部聡と共に不可思議な死体を見る。死体は四季で、ウェディングドレスに身を包みP1ロボットに固定され手足が切断されていた。自殺が疑われたが、その場に現れた医師の弓永富彦は「遺体の状態から殺人である」との見解を示す。同時に、研究所独自のOSである“レッドマジック”や研究所のサブシステム・デボラは制御不能になり、メール・電話共に発信できないなど異常をきたしていた。その後、所長の進藤清二が四季の妹である真賀田未来を連れて研究所のヘリポートに到着し、進藤は警察に連絡すべく再び研究所を発つ。しかし、いくら待っても進藤が現れないことを訝しんだ犀川たちはヘリポートに向かい、停留していたヘリコプターの中から進藤の刺殺体を発見する。ヘリの無線は破壊されていたため警察への通報は不可能となった。
望月の提案により、犀川・弓永・望月・山根の4人は四季の部屋へ入室し、仕事部屋で発見したパソコンを起動させ、パソコン内のスケジュールカレンダーの中から「すべてがFになる」という一文を見つける。更に、<Read Me>という名のフォルダには四季と四季の中の別人格である栗本其志雄と佐々木栖麻とのやり取りが残されており、その中で交していた会話の通りにパソコンにはレッドマジックとコンパイラ以外残されていなかった。
その後も防犯カメラや、過去に四季の部屋に届いた荷物を調べても不審な点が見当たらず、不可解な点は解消されないままだった。翌日、この現状を打開するため、山根はOSをレッドマジックからUNIXに切り替えることを決断する。OSの切り替えは午前11時頃に行われ、切り替えが終わると外部への連絡手段も復活する。通報を受け、刑事の芝池や萌絵の叔父で愛知県警本部長の西之園捷輔をはじめとした総勢100人程度の捜査員が研究所に到着する。また、島田とのインタビューを約束していた女性誌記者の儀同世津子もやってくる。警察の捜査が進められて行く中、島田はシステム切り替え時より姿が見えなくなっていた山根を、山根の部屋のバスルームで発見する。山根は胸を刺され服を着たまま倒れていた。
犀川は防犯カメラに今日記録されたデータの中から、正午12時からの1分間だけデータが抜け落ちていることに気付き、犯人とレッドマジックの暴走原因も突き止める。レッドマジックにはタイムカウンターが付いており、稼働し始めたときからカウントダウンが始まり、16進法で使用可能な4乗の最大値65536より1つ小さい数で10進法で表した時の単精度型整数の最大値65535[注 2]、これを16進法に変換した時の値FFFFになるまでカウントされ、すべて桁がFになると黄色いドアを開かなくして既定の時刻で開くようにプログラムされていた。
やがてVRカート上に現れた四季は進藤と山根、そして進藤との間に身籠った名前のない娘の3人を殺害したことを認める。四季は部屋から出ることが無かったことから生まれた子供には名付けなかった。子供には15より大きな数字を教えず、人間は15年までしか生きられないことと、14歳になったら両親を殺すように言い聞かせていたが、娘がそれを実行しなかったため計画を変更して四季が娘を殺し、指紋を隠すために手足を切断する。死体をP1ロボットで部屋の外に出し、外で騒ぎになっている隙に部屋を抜け出して、所長室から「真賀田未来を連れて帰る」とメールを送った後、ヘリコプターの機内で進藤をナイフで刺す。その後、髪を短く切り真賀田未来を装っていた。所内では脱出方法を考える時間が確保され、プログラムリセットが行われないことと自身の死を隠すことは想定していたが、犀川と萌絵が関わってきたことが計算外の厄介な問題になり、更にはタイミング悪く山根がレッドマジックの仕組みに気付きOSを切り替えようとしたことで計画の妨げになることからやむを得ず殺害し、システムのリセット時刻を11時までに引き延ばす。リセット後、警察が到着する前に研究所を出て世津子と入れ替わる形で船に乗って妃真加島から脱した。
それからお盆の終わり頃の日曜日に犀川は大学の図書館で四季に出会う。四季と会話を交わした後、四季はその場に現れた男たちに連行された。
{/netabare}

第一章 白い面会
第二章 蒼色の邂逅
第三章 赤い魔法
第四章 虹色の過去
第五章 銀色の希望
第六章 真紅の決意
第七章 灰色の境界
第八章 紫色の夜明け
第九章 黄色の死角
第十章 紫苑色の真実
第十一章 無色の週末

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

空転するリアル

【2016/01/06追記】

一般的なアニメファンの美的感性を逆なでして、没入を押しとどめるようなキャラデザインやOP映像だ。

同期のアニメでも、いわゆるアニメ的文法を異化して新たな映像表現を展開するような作品は、ほかに2つほどある。

が、その内でも特に新房昭之作品がアニメ表現を「内部」から拡張するような印象を与えるものであるのに対し、実写ドラマや小劇場的な「外部」の雰囲気を感じさせることでアニメ的感性の異化を意図しているかのような本作の方向性は、視聴していて、なんというか、「しゃらくさい」印象を与えてくるものだ。

キャラデザインに加えて映像表現自体もアニメ特有の飛躍を排除したものだが、小劇場的にあえて美的に整っていないものを強調するような印象がわざとらしく感じられる結果、いわゆる萌えアニメが「オタク臭い」とすれば、本作には「サブカル臭い」臭気が漂っているようだ。

異常な環境で異常な犯罪が発生する本格ミステリーは、通常の意味でリアリティがあるとは言えない犯人や探偵が駆動する一種のゲーム空間に喩えられるが、ゲーム空間として形式化される作品世界は、写実的には描き出せない、現実的とは異なる特異な「リアル」を描出するために、敢えて選択されている人工的に整備された抽象的な空間と言える。

ある意味で非現実的なリアリティの無さを方法的に選択することで造り上げられなければならない「本格」空間に実写ドラマ的現実味を対置するのは、「リアリティ」というものに対する理解不足で、そのことが「サブカル臭」を感じさせるこれ見よがし感を生んでしまうと想像させる。

ただ、結果的にこの拒絶感は、映像や音声の全ての表現が伏線や仕掛けとなる本格ミステリー世界で、これらを「手掛かり」として、距離を置いて作品を観ることにつながる効果はあったようだ。


過去と連続しながら展開する不可解な密室殺人は、フェアに伏線や手掛かりも開示され、丁寧に論理的に解決される。
が、実写ドラマ的描写ですべてが映像化されているため、アニメ的な表現上の飛躍や独自性はなく、それこそ実写でやっても同じではないかという感じをもたらす。
特に「本格」の見せ場である、論理の飛躍と結合で真相へ到達する推理が、淡々と探偵のセリフで進行され、小説で文字を読んでいるのと大差ない印象しかない。

一般的な意味ではリアルでないと評されるだろう、登場人物が引き起こす怪事件の特異な「リアル」に拮抗させるために、敢えて現実的ではない形式性を選択する「本格ミステリー」というジャンルは、抽象化された「絵」で「リアル」を生み出そうとするアニメと親和性が高い筈だと思える。
が、セリフだけが上滑りするようなサブカル臭の拒絶感に阻まれ、{netabare}引きこもりを象徴する密室空間に重ねられた、自意識の球体に閉じ込められた自我という人間存在の呪縛とそこから脱出して世界に触れることの不可能性に、逃れようもなく強く引き寄せられている{/netabare}犯人や探偵の「リアル」に接近していくことができない。

実写的なものが現実感を与えるというのは単なる誤解で、本作では、映像作品という次元から小説に付属する挿絵という次元へ後退しているように感じる。
「アニメ的」に整ったキャラを用意すると、キャラ萌え的な視聴が構築性の高い「論理」へ到達することを妨げると判断したのかもしれないが、それはアニメ表現技術力の問題にすぎないだろう。
本作の目指す「リアリティ」は、「本格」の「世界」を膨らませるには有効ではなかったようだ。



それにしても「理系」ミステリと言われる本作だが、今一つ理系性が分らなかった。(原作は違うのだろうか?)

もともと知性に文理の区別があるのか疑問に思っているのだが、知は二つの登山口のある山のようなものではないだろうか。
どちらのルートであれ、真剣に取り組んで山の頂上へ近づくものからは、同じ山の頂上目指して2つのルートが伸びているのが眼下に見えるだろう。ルートに応じた登り方の技術が違うだけだということも。

麓付近でうろうろしているものだけが、「理系」だ「文系」だと入り口だけを見て、あちらには全く別の行き先があるようだと思考停止する。

頂上に立つほどのものであれば、理系的な論理の形式性にも、文系的な認識の根源の不透明性にも等しく敬意を払っているはずで、そうでなければ頂上に立てまい。

謎解きによって仮想的に頂上に立つことを仮構する「本格」ジャンルにおいて、どれほど意味のある分類なのだろうか。



【追記】
凡人には天才を理解することはできない、という事は無いだろう。凡人でも理解はできる。
本作の動機も、十分に理解可能だ。
ただ、「納得」や「実感」ができない、という事と区別がついていないだけだ。
本来は「実感」させる装置である筈の「本格」の非現実的「リアル」が、本作では機能不全に終わった、という事だろう。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

65.1 6 2015年度の小説原作アニメランキング6位
<harmony/>(アニメ映画)

2015年11月13日
★★★★☆ 3.7 (271)
1412人が棚に入れました
優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは?

声優・キャラクター
沢城みゆき、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

すばらしい新世界-Brave New World-

2015年11月27日記載
さっそくレビューを始めていきたいと思います。
今回は伊藤計劃『ハーモニー』の映画を観てきました。
私の個人的感想を徒然と書いていくので、よろしければご参考までにどうぞ。

まずは世界観説明から
2019年のアメリカ合衆国で暴動が起こりました。
それをきっかけとして全世界で戦争と未知のウィルスが蔓延
人類の多くが死に絶えたそれは「大災禍(ザ・メイルストロム)」という名前で後に語られ、その反動か、従来存在していた政府と言う概念は崩壊し、新たな統治機構「生府(ヴァイガメント)」の下で高度な医療経済社会が築かれる世界が誕生します。
そこに参加する人々自身が社会のために健康・幸福であれと願う世界が構築された、優しい牢獄の世界
これはそんな社会に反抗し続けた少女達の物語なのです…

さて、ここからは私の感想を書いていきたいと思います。
今回、正直言ってこのアニメはレビューを書こうかどうか大変迷いました。
伊藤計劃作品は全部レビューしていこうと、前回の『屍者の帝国』を観てから固く誓ったのですが、この作品を見てからはちょっと決心が揺らいだ位です(笑)
これは自分の個人的価値観のせいでもあるのですが…
まあ、その理由については下記の方で書いていきたいと思います。
なので、フォローも交えて説明していきますが、今回の『ハーモニー』のアニメ映画に好感を持てた方、百合というよりレズ描写、グロ描写が大好きな方、原作未読の方はもしかしたら納得できない部分も多々あるかもしれません。
なので、この先を閲覧するかどうかは自己判断でお願いします。





では、これより説明していきたいと思います。
大まかな理由として
1.理解する事と共感する事は違うという事
2.レズ描写の増加
3.小説から映画への転換と2に伴って起こる原作改変
この3つが挙げられます。

まず、1から
私は原作既読なのですが、正直に言って、原作を読んだ時は生命主義体制(ライフイズム)もミァハの思想も共感できるものではありませんでした。
何と言うか、ひどく極端なんですね…
生命を社会的公共財として捉える生府(ヴァイガメント)の理念も、ミァハの生命主義(ライフイズム)に対して行うテロ行為も客観的に見たらとても横暴なんですよ。
勝手な考えで人々を動かしているのはどっちも変わらないじゃんと最初に読んだ時は酷く冷めた目で感じていました。
なので、今回の映画で何か心が傾く要因となる物が出てくるか、少し期待して観に行ったんです。
観に行った結果として、私が揺り動かされる事はありませんでした。
むしろ、逆に横暴だと言う自分の考えがさらに強固になった次第です(笑)
うん、やっぱりどっちにも理解は出来るけど共感は出来ない。
しかし、この映画を見てどちらかに共感する人は必ず出てくると思います。
人間の考えは千差万別です。
むしろ当てはまらない自分みたいな奴が異端なのだと思います(笑)
なので、この映画を見てどう感じるか
生府(ヴァイガメント)の理念に共感できるか、はたまた、ミァハの理念に共感できるか、もしくはどちらの意見にも共感できないか自分の眼で見極めてほしい。
その為にもまだ観ていない方は是非、1度は映画館や後に出てくるであろうレンタルなどで観てほしいと私は思いました。

次は2について
単刀直入に言います、原作よりレズ描写が明らかに多いです。
原作では普通だった箇所もレズっぽくなってます。
また、新たに作ったのか、はたまた私が忘れているのか分かりませんが、自分の知らないレズシーンまでありました。
私は随分前に見た某アニメのおかげで、女同士の恋愛に対しては嫌悪感を覚えるまでのトラウマを抱えてしまったので、正直観ててつらかったです…
小説でも百合を1つの土台としてはいるものの、地の文と組み合わせて淡々と表現しているので、そこまで悪寒はしなかったのですが、映像化するとなると恐ろしいですね…改めてそう感じました(笑)
また、グロシーンも結構すごいです。
『屍者の帝国』よりも気持ち悪く感じました、精神的にきます、驚きます、血がドバドバ出ます。
これらが嫌いな人は少し覚悟して観た方がいいでしょう。
ああ、勿論大好きな方はどうぞ期待して観てください。

最後に3について
これがこの映画で1番納得できない部分でした。
1や2については主に私だけの個人的問題なのでいいのですが、この3だけは原作既読の方でも納得できない人は多いかと思います。
端的に説明していきましょう。
まず、説明セリフのオンパレードです。
未読の方はこの映画だけを観て理解できるのか、少し分かりませんね…
あまりにも喋っている場面が多いので、聞き逃すとストーリーが把握できなくなるかもしれないです。
映画として表現するにあたっての工夫があまり感じられないような気がしました。
ただ、小説をそのまま映像化しただけのような…
まあ、これは原作自体が説明の多い小説ですし、演出を吟味した結果なのだとしたらしょうがない事なのでしょう。
次に重要なシーンが結構抜かれています。
最初に上映した『屍者の帝国』も重要なシーンは抜かれていますし、映画では登場していない人物も数多くいました。
しかし、あの映画は再構成と言う形で未読の方にも分かりやすく伝わるよう工夫した結果、牧原亮太郎監督版『屍者の帝国』として生まれ変わったのです。
この点に関してはただ、素直に拍手を送りたいです。
さて、『ハーモニー』の映画はそれとは逆に原作を忠実に作りました。
ただ、その結果、フォローの回りきれていない部分があったように思います。
最初の物体は何なのか?
意識が消失すると言う細かい意味とは?
最後に登場した人物は一体誰なのか?
あんなにキャラクター達が喋っているのに、説明不足な点が多いですからね…
改めて、映画化するにあたっての難しさを感じたような気がします(笑)
まあ、しかし、やはり原作全てを映像化するのは不可能な事
2時間で収めるならば、所々カットしなければいけない箇所もあるかと思いますので、これもまた、しょうがない事でしょう。

しかし、これだけは言わせてください。
ラストシーンを変えたのは流石にどうでしょうか?
原作では霧慧トァンという1人の女性が御冷ミァハという女性の影をある種の執念で追い続け、最終的にはミァハからの独立、明確なトァンという1つの個へと至る物語でした。
しかし、この映画では最初から最後までトァンはミァハの事しか考えていません。
その結果、ミァハという自分に指針を与えてくれた親の如き存在から離れ、前に進んでいくトァンの成長というカタルシスがろくに感じられなかったのが心残りでした。
そして、最後に彼女はミァハに対して自分の答えを出す為にある行為をします。
その行為をした理由となる答えも原作とは変えられ、しかも原作の方が好きだったので、これもまたちょっと心残りでしたね…


以上を持ちまして、個人的感想を終了したいと思います。
ここまで長々とした駄文を読んでくださってありがとうございました。
今回は少し毒の強いレビューとなってしまったので、ちょっと残念です。
しかし、ここで1つ言っておきたいのですが…
この『ハーモニー』映画の全体的出来としては決して悪い訳ではありません。
上手く原作をまとめているなあと感じる部分もありましたし、改変でよかった箇所もありました。
恐らく、この作品は映画と小説、両方見て初めて完成する作品なのだと思います。

「事実は小説よりも奇なり」と言う言葉があります。
現実に起こる出来事は、作られた物語の中で起こる事よりも不思議で面白いものだという意味の諺です。
正直、私自身にとってみればあまり実感のない言葉でした。
その意味についても本当にそうだろうか?と首をかしげている普通の一般的な現代人です。
現実よりも小説の方が面白く感じる時もあるし、そんな考えに至るには、毎日、充実した日々を過ごすしかない。
だが、そんな幸福に溢れた生活などあり得ないと、その言葉を最初に学んだ時は斜に構えた眼で見ていました。
しかし、この映画を見てから、その諺の意味が少しだけ理解出来たような気がします。

よく考えてみると、この諺は決して現実と物語を分けてはいません。
物語は現実と断絶して存在している訳ではない。
確実にそれは読者にも何かしらの影響を与え、その結果、変わらない日常が変化していく人も中にはいます。
「影響」と言う言葉で片付けるにはあまりにも強い力
ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んで自殺者が急増するように
坂口安吾の『堕落論』を読んで若者が新たな価値観を植え付けられるように
物語に感化された御冷ミァハから影響を受けた霧慧トァンのように
そして、伊藤計劃という個人の作品に没入している私達のように……
その結果、彼らは、私達はどのような方向へ導かれていくのか?
それは誰にもわかりません、歴史もしくは観ている我々、傍観者が判断するしかない事でしょう。
ただ1つだけ言えるとするならば
その力こそが現実を面白くさせる1つの起爆剤になるのではないかという事

それはこの映画からも同じことが言えます。
あなたは『ハーモニー』を観て、どんな影響を受けるでしょうか?
もしくは何も感じずに終わるでしょうか?
しかとこの目で確かめる為にも、この映画1度は見るべきかと存じます……

ここまで読んでくださってありがとうございました!!

「フィクションには、本には、言葉には、人を殺す事のできる力が宿っているんだよ、すごいと思わない?」
伊藤計劃『ハーモニー』p.224,早川書房


2016年1月24日追記
いまから語るのは、
〈declaration:calculation〉
〈pls:敗残者の物語〉
〈pls:脱走者の物語〉
〈eql:つまりわたし〉
〈/declaration〉 [ハーモニー]
と言っても、この映画については1年前に概ね語り尽くしましたね…
今作の批評も、今思えば感情に任せて書いた文章でございます。
しかし、よく考えたらそのスタンスは現在の自分と未だに変わっていないというか、未だによく行っている事に書いていて気付きました。
自分の理性的であり合理的な部分を占める成長は、この先「闇」しかないのかもしれません(笑)

しかし、この『ハーモニー』と言う映画
観ていてつくづく考えてしまうのは、社会を構成していく難しさです(ディストピア小説なので当然と言えば、当然の話なんですが)
より良い社会に住みたいと思う事は万人において普遍的な共通性ですが、しかし、その社会的「善政」が万人に良い効果をもたらすとは限らない…
構成員である人々誰もが「善性」であれば、社会は幸せになるのか?
『ハーモニー』と言う作品はそんな問いにも深く言及しているようです(まあ、私が1番好きなキャラはキアンなんですけど(笑))
しかし、社会は無理でも世界なら…
2人ぼっちの世界なら…
-----------------------------------------
彼女が死んでいく間、私は誓った。
天国とまではいわないけれど、できるかぎりここを、この場所を良くしてみせるよ、と。
彼女はそれを聞くと、にっこり微笑んだ。
そうね、天国とはいわないけれど、天国の隅っこくらいまではたどり着きたいわね、と。
それが彼女の最後の言葉だった。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「フォックスの葬送」より
-----------------------------------------

さて、前作『屍者の帝国』から始まり、今作で分岐点を迎えた長いプロジェクトは来月の「終わりの始まり」を上映する事によって、遂に終焉を迎えます。
ここまで至る道は1年以上に亘った大変長い物でしたが、何、なんて事ありません。
人間の魂に及んだ解答が1年と少しで解明されたんです、こんなに短い物は無いでしょう…
しかも、どうやら深夜に『屍者の帝国』と『ハーモ二ー』が放送されるそうですね、こんなに嬉しい事は無いでしょう…
私も深夜放送で「終わりの始まり」に至るまでの雄姿をもう1度拝見し、それから最後の戦場、ジョン・ポールとの戦いへ臨みたいと思います。
そして、「伊藤計劃」の全てが揃ったその時はもう1度全体を観るとしましょう、読みましょう!!
「物語…それは死してなお、この世界にあり続ける技術」

-----------------------------------------
さあ、行進しよう、とぼくは穏やかに呼びかけた。
のろまも、せっかちも、思い思いに。
足並みなんてばらばらでかまわない。
のっぽも、ちびも、僕らは歩く。
丘を下って。
人の営み、生活の匂い
それを運ぶ涼やかな風の上方へと。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「The Indifference Engine」より
-----------------------------------------

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

クオリア論と哲学的ゾンビが題材なんですが映画だけ見ても伝わらないと思います

来週ついに虐殺器官が公開されるようなので
虐殺器官を見に行く前に<harmony/>を見ておこう
なんて考える人がいてもおかしくないので
それに「待った」をかける意味で書いておきます

この作品はProject Itoh3部作の第3作として公開される予定でした
しかし虐殺器官の制作会社であったマングローブが倒産した関係で
順番を前倒ししてこちらが先に公開されることとなりました

屍者の帝国は他の2作品とは関係ない作りとなっていますが
この<harmony/>は虐殺器官の事件が引き金となった「大災禍」
から数十年たった後の話となっており
「大災禍」という単語が当然知っているものとして出てきます

その意味が理解できなくてもそれほど困ることはないので
先にこちらを見ない方がいいというレベルではないのですが
虐殺器官を先に見ることができるのならば
本来予定されていた通りにその順番で見ることをお勧めします

私はこの作品の原作が伊藤計劃の最高傑作であると思っています
しかし同時に映像化にははっきり言って向いていない作品だと思っていました

伊藤計劃の持ち味と言えば細かすぎるほどのディテールです
綿密なディテールによって映像を伴わずにイメージを想起させ
近未来SFの世界の現実には存在しないガジェットを
リアリティを持った存在に昇華する天才でした

映像で伝えるのは大して難しいものでないところを
映像なしでイメージさせるところにそれが生かされているのであって
彼の筆記したものをそのまま映像化しても
単に情報過多なだけの印象で
その情報も画面の中で埋没してしまいました

原作を知っている人はある種の答え合わせをする楽しみがあるかもしれませんが
原作未読であれば物語の本筋から離れた要素は
おそらくほとんど頭に残ることなく進んでいくことでしょう
これはメディアの違いというやつで
小説であることに意義がある部分というのが強いです

屍者の帝国は原作通りであることよりも
映画として面白いことを優先し
<harmony/>の方は原作に忠実であることを優先した
という感じでしょうか?
残念ながら映像作品として面白いのは屍者の帝国の方だったと思います

そしてもう一つ残念なのが
小説全体を包み込むある種の叙述トリックが
まったく理解できるような状態になっていないという点

映画のオープニングとラストの映像は
小説を読んでいれば叙述トリック部分を映像的に表現するための
いわば苦肉の策だったことが読み取れますが
そうでなければ全く何が何だかわからないことでしょう
<harmony/>という題字の</>が示す意味を
映画だけを見て読み取るのは不可能です
結局その部分をうまく表現できなかったために
この作品自体何のために映像化したのか
いまいちよくわからないものになってしましました

このアニメはおすすめですか?と訊かれたら
私は迷わず原作を薦めます
原作を読んだうえでどんなふうに映像化されたのか気になる
そんな人だけにしか薦められない映画になってしまいました

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

映画だけ見た人は物語の意味が理解できないと思うので
ちょっとした解説を載せておきます
映画だけ見てわかるようにできていないので
わからなくて当然なんですけどね

屍者の帝国はスチームパンクな世界を舞台にしたゾンビ映画でしたが
実はこの<harmony/>もある意味でゾンビ映画なんです
{netabare}ただし、この映画に出てくるのは
一般にイメージされるブードゥー教のお化けではなく
哲学的ゾンビというものです

20世紀の終わりごろに流行った哲学論争に
クオリア論というものがあるのをご存知でしょうか?
残念ながら私にはクオリアをきれいに説明できる程の文才がないので
wikipedia先生に頼ることにします

{netabare}簡単に言えば、クオリアとは「感じ」のことである。「イチゴのあの赤い感じ」、「空のあの青々とした感じ」、「二日酔いで頭がズキズキ痛むあの感じ」、「面白い映画を見ている時のワクワクするあの感じ」といった、主観的に体験される様々な質のことである。

外部からの刺激(情報)を体の感覚器が捕え、それが神経細胞の活動電位として脳に伝達される。すると何らかの質感が経験される。例えば波長700ナノメートルの光(視覚刺激)を目を通じて脳が受け取ったとき、あなたは「赤さ」を感じる。このあなたが感じる「赤さ」がクオリアの一種である。

人が痛みを感じるとき、脳の神経細胞網を走るのは、「痛みの感触そのもの」ではなく電気信号である(活動電位)。脳が特定の状態になると痛みを感じるという対応関係があるだろうものの、痛みは電気信号や脳の状態とは別のものである。クオリアとは、ここで「痛みの感覚それ自体」にあたるものである。

クオリアは身近な概念でありながら、科学的にはうまく扱えるかどうかがはっきりしていない。この問題は説明のギャップ、「クオリア問題」または「意識のハードプロブレム」などと呼ばれている。現在のところ、クオリアとはどういうものなのか、科学的な「物質」とどういう関係にあるのかという基本的な点に関して、研究者らによる定説はない。現在のクオリアに関する議論は、この「クオリア問題」または「意識のハードプロブレム」を何らかの形で解決しよう、または解決できないにしても何らかの合意点ぐらいは見出そう、という方向で行われており、「これは擬似問題にすぎないのではないか」という立場から「クオリアの振る舞いを記述する新しい自然法則が存在するのではないか」という立場まで、様々な考え方が提出されている。

現在こうした議論は、哲学の側では心の哲学(心身問題や自由意志の問題などを扱う哲学の一分科)を中心に、古来からの哲学的テーマである心身問題を議論する際に中心的な役割を果たす概念として、展開・議論されている。

また科学の側では、神経科学、認知科学といった人間の心を扱う分野を中心にクオリアの問題が議論されている。ただし科学分野では形而上学的な議論を避けるために、意識や気づきの研究として扱われている。{/netabare}

いまいちよくわからないという人が多いと思います
それもそのはず
クオリアが存在するかどうか?
という最低限の段階ですら
偉い学者さんたちが大論争して結論が出ていないので
詳しく知りたい方はちゃんと自分で調べてみてください

このクオリアが存在するのかどうか?
という哲学論争の中で生まれたのが哲学的ゾンビという思考実験です
こちらもWikipediaから

{netabare}哲学的ゾンビ(Neurological Zombie)
脳の神経細胞の状態まで含む、すべての観測可能な物理的状態に関して、普通の人間と区別する事が出来ないゾンビ。

哲学的ゾンビという言葉は、心の哲学の分野における純粋な理論的なアイデアであって、単なる議論の道具であり、「外面的には普通の人間と全く同じように振る舞うが、その際に内面的な経験(意識やクオリア)を持たない人間」という形で定義された仮想の存在である。哲学的ゾンビが実際にいる、と信じている人は哲学者の中にもほとんどおらず「哲学的ゾンビは存在可能なのか」「なぜ我々は哲学的ゾンビではないのか」などが心の哲学の他の諸問題と絡めて議論される。

仮に“哲学的ゾンビが存在する”として、哲学的ゾンビとどれだけ長年付き添っても、普通の人間と区別することは誰にも出来ない。それは、普通の人間と全く同じように、笑いもするし、怒りもするし、熱心に哲学の議論をしさえする。物理的化学的電気的反応としては、普通の人間とまったく同じであり区別できない。もし区別できたならば、それは哲学的ゾンビではなく行動的ゾンビである。

しかし普通の人間と哲学的ゾンビの唯一の違いは、哲学的ゾンビにはその際に「楽しさ」の意識も、「怒り」の意識も、議論の厄介さに対する「苛々する」という意識も持つことがなく、“意識(クオリア)”というものが全くない、という点である。哲学的ゾンビにとっては、それらは物理的化学的電気的反応の集合体でしかない。{/netabare}

つまり哲学的ゾンビというものは
外からは普通の人間と全く変わりないように見え
実際の人間と変わらないように行動するが
クオリアを持っていない存在ということですね

もしもある日突然
世界中のあなた以外の全ての人が哲学的ゾンビになってしまったら
いったいどうなるでしょうか?

答えは簡単
何も変わりません
クオリアを持っているかどうかは外部からは判断がつかないのです

近年人工知能が発達し
2014年にはロシアのコンピュータがチューリングテストを突破しました
これはモニター越しに人工知能や人間と文字だけで会話し
応対していた相手が人間か人工知能か答えさせるテストで
30%以上の人に人間と会話していると錯覚させることに成功しました

哲学的ゾンビというのはこれの究極系と言っても良いでしょう
文字による会話だけではなく人間と同じ肉体を持ち
人間とまったく同じように行動します
感情は持っていませんが、感情表現はできます
あなたの隣にいる人が人間か哲学的ゾンビか
判定する方法はありません

話を物語に戻しましょう

ミァハの一族はチェチェンの奥地にある
外界から隔絶された陸の孤島の中でガラパゴス化し
クオリアを失い哲学的ゾンビとなった一族でした

ミァハがロシア兵に一族を虐殺されレイプされている際に
彼女の中に眠っていたクオリアが覚醒し
哲学的ゾンビから普通の人間へと変化しました

ミァハを調べた学者たちの手によって
脳のクオリアを司る部分が解明され
WatchMeを通じて全人類(一部の少数民族を除く)が
一斉に哲学的ゾンビに変わることになりました

というのが事件の全貌です

生府に所属する人々は
みな哲学的ゾンビへと変わってしまったわけですが
ではそれによって一体何が変化するか?

答えは先ほどと同じ
何も変わりません

生府に所属しない人々は
事件によって生府の人々に変化があったことにさえ気が付かず
クオリアの存在しない哲学的ゾンビと
今まで通りに接していくことでしょう

さてさて、我々が映画を楽しむように
哲学的ゾンビたちも類似品を楽しみます
いえ楽しんでいるように見えます
そんな彼らに人気の物語は
クオリアを持っていた最後の人間
霧慧トァンのWatchMeの記録を通じて
彼女の体験を疑似体験するプログラム
その名は<harmony/>

つまり自分たちが今まで見ていた映画は
哲学的ゾンビのための作品でした
というのがこの作品のオチなわけですね{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

感謝を捧げます――

多分もう4、5回は見てます。原作もその度に読み返している気がします。

一応時代設定としては「虐殺器官」の後の時代、なのですが、別に虐殺器官を知らなくても十分に楽しめます。なんなら虐殺器官要素が出てくるのは一瞬ですし、それも丁寧に説明されますので、知らない方でも安心して楽しめます

原作既読済みです。
ゼロ年代SFの歴史を変えたとまで言われる虐殺器官の作者である伊藤計劃先生の2作目、ということで注目もされていましたが、伊藤計劃先生の遺作(屍者の帝国の方を遺作と呼ぶのかは人によりますが)、ということでも注目を浴びた本作。読まないはずもなく。
「アイデンティティの自覚と喪失の発見の描写を具現的に表現しているのすっごいなぁ」と尊敬の眼差しを向けていたのを覚えています。

しかし、と言うべきなのか。
アニメ映画(本作)は小説とはかなり異なります。理由(私推測)はネタバレになるので言いません
起こっている事象は同じなのですが心情が違います。
これを是とするか非とするかで、伊藤計劃先生の真のファンか否かが決まってしまうのかもしれませんが、私は嫌いにはなれませんでした

原作の方が好きな方もいらっしゃるでしょうし、本作の方が好きな方もいらっしゃるでしょうし。見て見ないことには分からない、と言うしか無いです。

個人的には本作を含めて好きです。どちらが、という訳ではありません。が、本作は「完成」されている、と私は思います

主人公の声優はまさかの沢城みゆきさん。少し意外。しかし今となっては沢城みゆきさん以外に選択肢があったのか、と言うぐらいピッタリな役配分だったと思っています。首席は絶対榊原良子さんだと思ってました。榊原良子さんでした。ありがとうございます。開幕斧アツシさんで失神しかけました。声好きぃ

こっから大長文(当社比)です。原作既読前提で進めます
ストーリー
{netabare}
生命主義が基本概念となった社会の逃げ場としてエリートである螺旋監察官となった主人公(トァン)は上司に横領がバレ、日本に戻される。再開した友人(キァン)と食事をしていたが急に自殺。同時に6000人以上が自死を試みたという事件の捜査として心当たりのある場所へ行く。そこは13年前にキァンと3人で自殺を試みた主犯格兼イデオローグ(ミァハ)の家だった。母親から養子ということを聞き、キァンから献体に出されたということを聞いた主人公は父親(ヌァザ)の元教授(佐伯)のもとを訪れ意識について聞かされる。「1週間以内に殺人しなければ死ぬ」と宣言され、バグダッドの研究所の所長(ガブリエル)に意識操作の話を聞き、父親と接触する。その際主人公に接触してきた男(バシロフ)が父親を射殺し瀕死のバシロフを主人公が射殺。最後の手がかりを頼りにチェチェンへ向かい全ての元凶であるミァハと再開する。ミァハが元々意識を持っていなかったがロシア兵に犯され意識を持ったこと、人類を愛した故に人類を「救済」しようとしてること、世界に調和(ハーモニー)をもたらし意識を消そうとしてること、トァンならわかってくれること、全てを知った主人公はミァハを愛したが故にミァハを殺し、世界から意識が消えた。文字を映し出していた白いオブジェクトの前から学生が離れる。

なっが。いやごめんなさい。まじで好きなんです。どこも抜けない。原作とはちょこちょこ違いますが、原作とアニメを含めて愛してる。
なので、アニメ映画として、というより「Harmony/」というコンテンツを愛しています

原作との大きな相違点。感情が違う。
1番違うのは最後。小説では憎悪の感情が大きかったですが、本作では愛の感情が全てです。解釈、と呼べなくもないですが、これは個人的には監督が本作の主題を読み解き回答しようとした、だと思っています
意識や感情を無くそうとするミァハはトァンの感情によって殺されます。これが対比となり思想(感情)の矛盾や生命の意義の疑念を意味したりするのですが、恐らく監督はこの感情は憎悪であるべきでは無い、と考えたのでしょう。人を愛し人を慈しみ人を敬う社会を憎悪したミァハを殺すのは同じ憎悪でなく、同じ志を持つトァンという少女の愛であるべきだと。皮肉や風刺という意味も幾分かあるかもしれませんが、純粋に愛を知ったミァハの超個人的な傲慢な調和に対して、トァンの超個人的な傲慢な殺害がなんとも...美しいのです。もちろん復讐も個人的な欲です。が、「自分が愛した少女のままでいて欲しいから」という理由で愛した人を殺すのです。これ以上の傲慢があるでしょうか。
言語化しにくいです。
伊藤計劃先生は本作で「答えは出なかった」と言いました。答えのひとつとして本作は、監督は示したかったのではないでしょうか。

あとキァンの有無(というと大袈裟ですが)です。原作ではキァンとヌァザの復讐としてミァハに二発打ち込んでいます。しかし、正直2人でご飯すら食べた事のない友人を殺され、(生かしてくれた事を本気で感謝している友人であることには間違いないでしょうし、友人を殺したということに腹を立てるのは十分にわかるのですが、)脳内で何回も殺したいと思うほどですかね。私はどうにも「ミァハを止めたい」から行ったように思えるんですよね。

それにわざわざキァンだけをトァンの目の前で殺し、トァンを生かし「ここに来るならトァンだと思ったよ」と発言したのと、かつて同じ憎悪を共有してたのにも関わらずトァンの復讐の憎悪を予期・感じ取れなかったのとは辻褄が合わないような気がします。なのでトァンを生かし、何もかもを予期していたとしたら、ミァハもトァンに殺されたかったのではないかな、という私の推測。

これらを総合すると、ミァハはトァンに愛を持って殺されるために仕組んだのでは無いか、という私なりの解釈です。それをこの作品、監督、制作陣は映像化してくれました。伊藤計劃先生が許してくれるかどうか分かりませんが、私はHarmony/という作品は考えながら解釈を通してようやく「完成」すると思ってます。故に私は私の中の「完成品」をアニメ映画として見ることができて非常に嬉しいのです。

はい。これが終盤について。あとの違いはこの終盤への微調整と表現方法と尺関係ですかね

表現方法が当然ながらアニメと小説だと違います。
小説の方は感情を追体験できるテキスト、という感じで淡々としている印象ですが、アニメではその場面場面が鮮明に映像化されているため、出ている感情の印象が異なるというのが割と多々。キァンについて(は先程と繋がっていますが、 )キァンに対するイメージの過度な上昇を避けるために主人公が無感情、ヌァザの死やインターポールの殺害に対して感情を出しているようなカット、ガブリエルの口調が嫌味たらしく聞こえる、首席の激励時なにか後悔を感じる、などなど。
これこそ本当に解釈の域なので個人の持つ印象と違ったり同じだったりしますが、チリツモ。ちょくちょく違えば全然違うように受け取れるかも知れません。

恐らく表現方法の差ということでは本当のラスト。制服を着た学生が白いマシーンから離れるシーン。非常に神秘的かつ大胆なシーンですね。原作を読んでいれば、「なるほど。多分このマシーンはライブラリ的なものであり、ここは色々なデータが残っている場所なんだな」とわかるのでしょうが、これ初見じゃ絶対理解できないですよね。あと、まわりに全然人がいない、というのも意識がない人類の合理性が垣間見えて好きです。

映画見て「あれ!?キスしてたっけ!?」となって急いで原作確認したのは私だけじゃないはず。まぁラストが違うんでそりゃそうか、て感じですが。

ウーヴェが消されました。正確に言うと最初からいるのですが、原作の立場(ポジション)としては消されたと言って良いでしょう。泣きました。まぁ確かにラストを愛の話にするならウーヴェで共感性を得て人間意志を、自分自身を重視するひとつのきっかけとなるような場面は、いらないっちゃ要らないのかな。

公園でのジャングルジムの下り、結構世界観を説明するのに優秀なシーンだと思うんですけどね。なんか無慈悲に消されちゃった...
代わりに名刺が非常に重要視されましたね。まだプライベートが残ってた時代の自己を証明する手軽な社会的道具であった名刺。3人の思想を繋ぐ具体的象徴である名刺。ヌァザを殺したヴァシロフが持ち、愛用していた名刺。トァンとミァハの最後の出会いの合図となる名刺。世界観を説明するのには十分すぎる意味を持ってたような気がします。
名刺という一般的なものにここまで意味を持たせるのは素晴らしいというしかありません。
{/netabare}

お気に入りです。ですが、アニメ単体という訳ではなく、「ハーモニーというコンテンツ」がお気に入りなのであって原作未読者にいきなり本作(アニメ)をオススメしません。見るか迷っている方は是非原作を読んでから。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

57.6 7 2015年度の小説原作アニメランキング7位
ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン(Webアニメ)

2015年4月1日
★★★★☆ 3.3 (130)
529人が棚に入れました
ニンジャ殺すべし!
ニンジャ抗争で妻子を殺されたサラリマン、フジキド・ケンジ。
彼自身も死の淵にあったそのとき、謎のニンジャソウルが憑依。
一命をとりとめたフジキドは「ニンジャスレイヤー」――ニンジャを殺す者となり、復讐の戦いに身を投じる。
近未来都市ネオサイタマを舞台に、 ニンジャスレイヤーvsニンジャの死闘が始まった。
マッポーの世に救いは無いのか? 走れ、ニンジャスレイヤー、走れ!  
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

サツバツ! ネオンサイン煌々と輝くマッポーの世に舞う赤い影 ドーモ、ニンジャスレイヤーです。

アメリカ在住の※1ブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズの二人による合作小説「ニンジャスレイヤー」のアニメ化作品。


クリスマスの夜、謎のニンジャ抗争に巻き込まれ、妻と子供を失い、自らも死の淵をさまよった平凡な"サラリマン"フジキド・ケンジ。彼は正体不明のニンジャソウル「ナラク・ニンジャ」に憑依され地獄から蘇えった!! 復讐の戦鬼ニンジャスレイヤーとして!!

ニンジャを殺すニンジャ、すなわち"ニンジャスレイヤー"となったフジキドは怒りと悲しみをその身に宿し、血で血を洗うイクサの世界にその身を投じていくのだった!!

上のあらすじを読んでスポーンとかゴーストライダーみたいなアメリカンコミックスの定番ダークヒーローものを連想された方もいるかも知れませんが、本作の方向性は概ね左斜め上(笑)、シリアスと言うよりはシュール、殺伐と言うよりは荒唐無稽という言葉がぴったりで、加えて、エロやスプラッタ描写も随所に見られるので、雰囲気はどちらかと言うとZ級映画、あるいは視聴年齢制限ありの「※2ミュータント・タートルズ」という趣です。

原作ジャンルは「サイバーパンク・ニンジャ活劇小説」との事(笑)

そんなワケで、ニンジャを始め、ヤクザ、さらりまん、サイボーグ手術から電脳空間まで、サイバーパンク小説の金字塔「ニューロマンサー」ネタがそこかしこに盛り込まれています。奇妙な組み合わせではありますが、実の所、忍者とサイバーパンクの繋がりはかな~り古いものなのです。

物語の構成は至ってシンプル。ニンジャスレイヤーがソウカイヤニンジャと死闘を繰り広げるだけのバトルものの体裁をとっており、ドラマらしきものは無きにしも非ず(笑)

異色なのは女子高生ニンジャ、ヤモト=サンが主役となるお話。バトルパートは相変らずですが、こちらはややシリアス色が強く、涙を誘うシーンもちらほら。友情や師弟愛などがしめやかに描かれています。

作画については「天元突破グレンラガン」から脈々と続くTRIGGERらしいダイナミックな表現全開なシーン2に対して、格闘ゲームに出てきそうなキャラの立ち絵を紙人形劇みたいに動かしたり(お辞儀の時は斜め30度、倒れた時には90度傾けるとか)ズームしたりするだけのシーンが1くらい。過剰表現(これはお約束?)や執拗な焼き増しシーンの連発などのお遊びなんかもあったりして、のびのびと自由に制作されている様です(笑)

また、あくまでも古典TVゲームレベルですが、人体切断や血の表現がややきついので、苦手な人は注意されたし。周知の事かも知れませんが、ニンジャにとって飛び蹴りやチョップ、スリケン(手裏剣)等で首をはねる事などたやすい事なのです。何のフォローにもなっていない気もしますが、※3血の色は設定上、緑である事が多い様です。一応(汗)

90年代の残虐格闘ゲーム「モータルコンバット(米)」というのが家庭用に移植された際にも、わたしはこの緑の血というものを見た事があるのですが、生身の人間から得体の知れないヘドロの様なものが噴き出す図は、それはそれで別の意味でキモチワルイものがありました(汗)何となく本作との繋がりを感じずにはいられません。日本人のわたしには緑ならOKという※4CERO的なヨクワカラナイ感覚に対する皮肉の様にも見えてしまいました(汗)
{netabare}
皮肉と言えば、クローンマッポ(警官)とクローンヤクザが同じ工場で生産されている描写があったり、マッポがサラリマンを暴行するシーンがあったりと、けっこーやりたい放題。現在の純日本製アニメだったらまず実現不可能? いずれも「天才バカボン」の目玉のお巡りさんのピストル乱射並みに危険なシーンな気がします(笑)
{/netabare}
バトルとスプラッタでゴリ押しするアニメと思って、一度は切ってしまった作品でしたが、珍妙な言葉"※5ワザマエ"だけは頭から離れず、後に読んだ「紅殻のパンドラ(漫画版)」内でもこの言葉が積極的に引用されていたので(笑)それに後押しされる形で視聴再開に至った次第。

するとどうだろう‥ゴウランガ!! あれよあれよという間に、この奇妙奇天烈にして狂気渦巻くニンジャ世界に中毒めいた陶酔感を覚えていく様ではないか! これをサイオー・ホースと言わずして何と言おうか!

なお↑みたいな色々と間違った解説(CV:ゴブリンさん)が劇中にちょくちょく差し挟まれるんですが、その中に散見されるコジキ、ハイク、ミヤモトマサシ?等からの引用もほぼデタラメなので、笑って聞き流す事を推奨します(笑)

視聴に際しては※6ニンジャリアリティ・ショックへの気構えを忘れずに!

カラダニキヲツケテネ!

サヨナラッ!


※1~6
{netabare}
※1:作品理解の一助となるかも知れないので、2010年8月にTwitterにアップロードされた二人の原作者のインタビュー記事を引用。↓

「最初に生まれたのは言葉だった。ニンジャスレイヤー。ニンジャを殺す。知っての通り、ニンジャ達は日本という国を支配する半神のような存在。それを殺すなんて、なんたる反骨の精神か、とね。そこから全て始まった」byブラッドレー・ボンド

「私たちは物事をシンプルにしたかった。ネット化され監視の目が光り続け、政府や経済ではなく、大衆自身がIRCとBBSで自らの首に巻きつけようとする見えない首吊り縄を、カウンターする為である。社会は悩み進歩すべきだが、個々人がセプク(切腹)してはいけない。」byフィリップ・N・モーゼズ

始まりから間違ってる(笑)モーゼズ氏の方はまともな事を言っている様だけど‥。ボンド氏はニンジャ神話(古事記?)と北欧神話の類似性をいち早く指摘した事でも有名な人らしい。ニンジャ神話!?

※2:原作はアメコミ。正式にはティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ。怪しい液体を浴びて亀から亀人間へと変身した4人が、ネズミ忍者スプリンター先生と共に悪の組織の野望に立ち向かうアニメ。第一シリーズ(テレ東で放映されてたやつ)の悪役シュレッダーの台詞(日本語吹替版)のノリは本作とどことなく通ずる所がある様な無い様な‥スプリンター先生の掛け軸「アニメ道」とかも(笑)

※3:原作小説(Twitterで連載中)では、バイオ血液は体内では緑色だが空気に触れると赤く変色するという事になっている(汗)

※4:家庭用ゲームやパソコンゲームの表現規制、対象年齢表示を独断と偏見で定め、取り仕切っている非営利団体。詰るところ検閲みたいなもの。

※5:使用例は「お見事なワザマエです。」とか。腕前の誤植っぽい(笑)

※6:作中にて、ニンジャとの遭遇により引き起こされるパニック症状を指す語。失禁、失神、心停止などに見舞われる。アイエエエエ!!
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

見終わった感想(修正済)

ドーモ 注意事項デス。
1.原作(書籍版読んでいます)重篤な忍者ヘッズ(ニンジャスレイヤーファン)
2.ニンジャスレイヤーが好き過ぎて書きたかった。書いてしまった。
3.忍殺語が溢れいています。重点。いいね?

『ニンジャスレイヤー』は
ブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズの
アメリカ人コンビによる妻子を殺され忍者になった主人公の復讐劇をメインに
アクション、SFにボーイミーツガール、コメディホラー要素もある奥ゆかしい小説。
翻訳チームが翻訳後Twitterで連載して
物理書籍版(ダレン・シャンやハリポタ並に分厚い本。時として武器にも使用可能)や漫画が発売された。
2-3年前に兄に第一巻「ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上」を貸してもらい、
小説の文の7割がカタカナでクレイジーな世界観にハマった。
現在、第3部の連載が行われているが、私はキョート殺伐都市舞台の今第2部
「マグロアンドドラゴン」迄読んでいます。
仕事が落ち着いたら・・早く第3部も読みたい・・。

当時、書籍版の告知を見てアニメ化すると聞き、
「アイエエエエエ?ニンジャ・・アニメナンデ?」と
ニンジャリアリティショック(NRS)起こしている自分に混乱しました。
アニメ版で特にお気に入り回は
「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」
シルバーカラス=サンとヤモト=サンの切ない話と「少し明るい海」です。

OPはSouth Park Let's Fighting Loveを思い出すような映像とROCK。
最近になって上の方に英語歌詞の字幕があることに気づいた。
作画はアメリカのカートゥーンと90年代を混ぜた感じで時々FLASHっぽい。
まさにチャージマン研と鷹の爪混ぜたような感じ。
格ゲーのようにいきなりスライドして登場するのはずるい(笑)

動きがFLASHみたいだったり、あえて雑なところは
小説では首がサヨナラしたりグロが多いのであえての自主規制かもしれない。
古事記?にも書かれている通りにアイサツするシーンと
ニンジャスレイヤーの戦闘シーンは気合が入ってる模様。
爆発四散して「サヨナラ!」するシーンだけ声優の本気が見えた

実際そんな感じだけど、ヤモト=サンとナンシー=サンのカワイイヤッター!な姿が見れたので
それだけで私は幸せです。何も言うことないです。
だけど、一つ言うとしたら、実写パートはいらない。
翻訳チームの趣味だと思うけど、まさに哲学だと思う。

<補足>
アニメ版はついに最終回を迎え、2016年 春に地上波TVシリーズ
(スペシャル・エディシヨン版)放送が決定された。
原作ストックは山ほどあるし、大いに楽しみ。備えよう。
このアニメを観て「原作も見たくなりました」という
ニュービーはなかなかいないと思うけど、もし見るなら
Twitterでも連載されているし、物理書籍版もあるし
たくさんエピソードがあるけど、時系列バラバラなので好きなところから見て
内なるカラテの高まりを感じニンジャリアリティショックを受ければ良いと思います。(*´∀`*)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 47

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

日本語がさらに好きになる作品です

いい最終回でした(汗)

ラストのインガオホーの山焼き、一瞬でしたが最高のビジュアルでした。
ワッショイ!の連呼で殴り合うラオモトとフジキド、アツかった・・・

色使い・テキトウさを逆手に取った動きのバカっぽさ・80年代のニンジャ映画ブームの妙な盛り上がりを思い出させる台詞の数々、ほんとスバラシイです。何が面白いのかを言葉にするのは難しいですが楽しかったですw
因みに私は内容は全く頭に残ってません(汗)

/////////////////////////////////////////////////
25話観ました。総集編とサブタイトル付いてました。

私は原作読んでないですし、この作品自体が物語が記憶に残らない類の代物なので私の大きな勘違いかもしれませんが、

ぜんぜん総集編じゃねぇ(滝汗)

もうね、目に余るヒドサに拍車がかかってます。
真面目な人は既に脱落してるでしょうが、私的にはタマランです。
//////////////////////////////////////////////////
昨晩、15話をたまたま目にしてしまったわけですが。
どうも気になって仕事に身が入らないのです。
あの叫び、あの動き、あの色使い、あの言葉遣い・・・・
出会わなければ、こんな思いをすることも無かったものを。

という事で、結局続き見てます(汗)
癖になります。
/////////////////////////////////////
たまたまニコ動で目にしてしまいました。
イア゛ア゛ア゛ァ~イア゛ア゛ア゛ァァァ~ってなんか斬ってるし(汗)
耳に残ってしょうがないんすけど。
ダイナマイトの信管というか導火線目にも留まらぬ早さでブチブチむしってるし・・・
なんか観てはいけないもの観てしまったような気がします。

昔のピットファイターとか初代モータルコンバットを思い出しますね、コレw
すごく観たいけど、コレに人生の貴重な時間を使う事は何か間違ってる気がします(汗)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

61.3 8 2015年度の小説原作アニメランキング8位
少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50-(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (76)
401人が棚に入れました
小説『少年ハリウッド』の15年後の世界を舞台としている。

原宿にある劇場・ハリウッド東京で活動するアイドルユニット・少年ハリウッドの夢と成長を描くオリジナルストーリーの第2シーズン。

ライブ三昧の日々を送っていた少年ハリウッド。しかし、初代の頃のような大繁盛というわけではなかった。そんな中、控え室のメンバーはマイペースだった…。

声優・キャラクター
逢坂良太、柿原徹也、山下大輝、蒼井翔太、小野賢章、新田将司、浪川大輔、浅沼晋太郎、保志総一朗、鈴木裕斗、鳥海浩輔、阪口大助、岸尾だいすけ
ネタバレ

沙祈 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

少年ハリウッド

少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-の続き。
相変わらず面白い。23話から不穏な雰囲気だったけど最後は涙なしじゃ観られなかった。

15話はキャットが喋る!(字幕が出る)
19話はトミー出演の「渡り鳥のコップ」ドラマが観られる。
最終話は勿論ライブ回!
相変わらず女性キャラはあまり出ないけども22話でキラの初恋が!

3期やって欲しいアニメ。

各話感想↓
14話 永遠のど真ん中
{netabare}風邪まっきー。
埃ってどこから出るんだろう。
あれ、よ…4人。夢か。OPかと思った。
海苔人気。パリッといい音。
フクロウもミミズクも変わらない気がする。1期の途中までフクロウだと思ってたキャット。
厳しいシャチョウ。
自分の事をネットで検索するのをエゴサ!
まつ毛を挽回。
相変わらずテッシーがお母さんみたい。{/netabare}

15話 守り神が見たもの
{netabare}キャットが凄く可愛い冒頭。キャット字幕。
ほぼ満席だった。
若さだけでかろうじてアイドル。
キャットの昔の姿小さくてめちゃくちゃかわいい。
初代少年ハリウッド解散…。
テッシー…切ない。ゴッドが帰ってきた!
ライブ後の握手会。
みんなのスカウトシーン。
EDめちゃくちゃかわええ。何この愛らしい生物。
いつもコオロギ…ポケットにしのばせてって…ひぇぇー。

16話 本物の握手
{netabare}いつでもできる握手より偶然の握手…か。
原宿をうろつきながら、握手。
トイレだけはハリウッド東京に。アイドルはトイレ行かないもんね!
ファンのイメージと実像は違うのね。
もう高校三年生のカケルくん。アイドルが習い事…?
カケルのファンいい事言う。
シャチョウの握手こっわ!{/netabare}

17話 僕は君のアイドルだから
渡り鳥コップのドラマに出演。気にするトミー。
アイドルは薄情。
緊張トミー。表情が固い。
キラの謎のツボ。こんがらがーる。
イエローパンチを狙ってたキラ。カットされたキラのイエローパンチ。最後に出て来た。
トミー先輩!ごり押しだった先輩。
こんがらがーるのブームが過ぎたキラ。
キラの中におっさん説。
全員でこんがらがーる。{/netabare}

18話 サプライズケーキは想像外
{netabare}衣装着てるのにこぼすマッキー。
調子に乗るシュン。
シュンが反抗期。
春風ボイスって何だ。
ランさんって誰かと思ったら先輩だったか。
シュンの自己紹介が…。観てるこっちが恥ずかしい。
フォローができるようになったマッキー。かっこいい。
びっくりするサプライズ。
世界が開けたシュン。
みんなサングラス。{/netabare}

19話 渡り鳥コップSP ~水辺の警察学校番外編~
{netabare}渡り鳥コップの番組を観る3人。そして視聴者。
なんだかホラー…。
キャットに驚くマッキー。やっと2人到着。
360度…?トミーが間違えた?
もやもやする。
数年前のシリーズの犯人の逮捕…。{/netabare}

20話 僕たちの延命
{netabare}マッキーが何言ってるか分からない。シュン凄い。
マッキーだけ汚いロッカー。
また出待ち。
キラがスイッチ入ってる。
テッシーの偵察が…。
センター獲得キャンペーン中。
キャットのシュン好きを認めたマッキー。
慣れって怖い。
カケルくんセンター。OPでセンターだもんね。
表情細かい。
失って気付く事。{/netabare}

21話 神は自らの言葉で語るのか
{netabare}家族に愛されてるカケルくん。
キャットって何で逃げたりしないんだろう。
超絶ポジティブ解釈記者。
カケルくんファンレター多い。
ツインテキラママ。
ハードル高すぎ!
みんな仲間思い!
マッキー押しな妹。{/netabare}

22話 ファンシーメルシーブラックコーヒー
{netabare}冷蔵庫が壊れたキラ家。 
サンドイッチ屋のお姉さんを見つめるキラ。
ラップと輪ゴムが怖いシャチョウ。
サンドイッチ買いすぎ!マニアックなチョイス。エコ的な観点。
ゴボウ&バンバンジー人気ないのか。どんな味なんだろう。
察するマッキー。ストーキング マッキー&カケル。
必死なキラ。
うらやましいマッキー。急に冷静になるマッキー。そして盗撮。婚約指輪…。
いきなり告白するキラ。
涙もろいマッキー。瞬間移動。
ブラックコーヒーさん。{/netabare}

23話 正しさと正しさの狭間で
{netabare}シーマさん登場。買収!?
マッキーあほ。
冷房と暖房の話、難しいな。
最強アンテナ野郎。嬉しいのか。馬鹿にされてるような感じがするけども。
落差凄い。
初代も務めたイメージキャラ!
シーマさんの力添え。
みんなで話し合い。
貸し切り遊園地。
シャチョウ…行っちゃうの!?{/netabare}

24話 まわりっぱなしの、この世界で
{netabare}シロート君。態度悪い。シャベッター。
笑顔で毒を吐くみんな。
毒舌が人気なシロートくん。中の人などいない!
リュウでした。
シーマ社長。
籠城アイドル。キャットも締め出された。
シーマさん怖い。
停電。怖がりなシュン。
綺麗な客席。演奏なしの歌。雨音の拍手。
初代版のED。1人1人の絵が素敵。{/netabare}

25話 瞳を閉じる日が来ても
{netabare}OPなし…。
シャチョウ!
キャットの歌。なげーよ。
マッキーアイマスク。
ディナーショー。ちゃんとやるキラ。
モノマネ回。凄く面白い。設定が細かい。
キャットの声似てないよ、シュン。キラのモノマネ面白い。少年ハリウッドのモノマネ。いい紹介。
シャチョウとシーマが見ていた。試されていた。少年ハリウッド全員から託された。
テッシーも知らなかった。
目を瞑って歩く…なんか危ない。ツッコミ遅い。{/netabare}

26話 HOLLY STAGE FOR YOU
{netabare}初代と新生少年ハリウッドのサインの入った旗。
ライブ!動きが凄い。踊りのシーンのアニメーション何枚描かれたんだろう…。
地味にずれてる動きが凄い。
突然のサプライズ。新規カット多めで豪華。初ライブの映像。
涙声の歌。
本当に面白かった。笑いあり涙ありのアイドル物語。続きはまたいつの日か…。{/netabare}

2015/08/26 ニコ生15~20話上映会視聴 アンケート↓
とても良かった:98.8%/まぁまぁ良かった:0.6%/ふつうだった:0.4%/あまり良くなかった:0.2%/良くなかった:0.0%

2015/08/26 ニコ生21~26話上映会視聴 アンケート↓
とても良かった:98.1%/まぁまぁ良かった:0.6%/ふつうだった:0.4%/あまり良くなかった:0.0%/良くなかった:0.9%

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

サブタイトルが「-HOLLY STAGE FOR 50-」になりました^^

この作品は「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 49-」の分割2クールの後期に位置する作品です。
物語に繋がりがあるので、前期を未視聴の方はそちらからの視聴をお薦めします。

前期では、新生少年ハリウッドの5人組みが結成され、アイドルとしての階段を登り始めた・・・というところまで描かれていましたが、後期はその続きである程度認知度も上がり、ステージに足を運ぶお客さんが増えたところから始まります。

前期はアイドルである事が精一杯で周囲の状況が良く分かりませんでしたが、今期は彼らがアイドルとして自覚した言動を撮り始めると共に、彼らを取り巻く環境が少しずつ明るみになっていきます。
この様な状況の中で彼ら5人がアイドルとして高みを目指すために悩んだり、色んな生き方に触発されたり・・・と成長する様が描かれています。

彼らはまだ16〜19歳の少年です・・・
そんな彼らに対し社長はアイドル活動を通して人としての成長を促しています。
そんな社長の出した課題に対して真剣に向き合う彼ら・・・
何となく持っていたモノでも失くすと悔しいという事や、物怖じしない強い気持ちの必要性、そして仲間意識の大切さなどを知り、気付いていきます。
ネガティブな展開が殆ど無いため、ある意味安心して見ていられる作品だったと思います。

特に印象に残ったのは2つ・・・
最年少である佐伯希星の淡い想いに高校生らしさを・・・
物語の終盤に訪れた危機に対する皆んなの言動に少年ハリウッドの一員である事に対する誇りを感じました^^

前期は殆ど女性は出てきませんでしたが、今期は前期より出ていたと思います。
前期の潔さには関心しましたが、華があるとやっぱり違いますね^^;

前期のレビューでも記載しましたけれど、サブタイトルの「-HOLLY STAGE FOR 50-」前期の49から1つ数字が増えていますが、この理由はやっぱり分かりませんでした^^;
何故49という中途半端な数字から始まるんでしょうか???
全員の年の合計でもないし、持ち歌の曲数でも無いし・・・

それと最終話のエンドテロップも気になりました・・・
「その声は、きっと届く・・・OLLY STAGE FOR 51へと」

これは、続編の可能性があるという事だと思います。
その事実は嬉しいのですが、ここでもまた数字が1つだけ増えているんですよね^^;
原作読めば分かるのでしょうか・・・^^?

後半は1クール13話で前期と合わせると全26話の作品でした。
キャラデザが綺麗なのと、この作品のノリに慣れてきたのもあって男性ばかり登場する作品でしたが、抵抗無く視聴できたと思います。
原作は全1巻で終わっているようですが続編・・・あるのでしょうか?

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

ezo さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一見地味だけど斬新なアイドルアニメの名作

2014年夏に放送された「少年ハリウッド」の第2期。

1期では人気アイドルになるまでの成長物語を描いておりその過程の見せ方が丁寧かつ挑戦的で面白い作品だったのですが、2期でも相変わらず、むしろ2期の方がストーリーや演出に磨きがかかっていて面白かったです。

カケルのポエムが個人的にハマったのも大きかったと思います。

好き嫌いは当然あると思いますが、個人的にはアイドルアニメの中でトップクラスに面白い作品だと思っています。


今まで書いた感想

14話目感想
{netabare}
相変わらずキャラ同士のやり取りが面白い作品です。

1期の頃と比べると大分2代目少年ハリウッドにもファンが付いてきた感じですね。

ただ、この作品は人気アイドルになるまでの過程の描き方が面白い作品だったので、このまま普通のアイドルものになってしまうと少し微妙になってきてしまうかも・・・。

2クール目最初としての印象は悪くなかったのですがやはり今後次第といった感じです。{/netabare}

15話目感想
{netabare}
まさかのキャット(ミミズク)視点の話。

初代ハリウッドメンバーの解散やマッキー達がスカウトされた経緯などをキャット視点で振り返る特殊な回。

EDもキャット仕様だったりと斬新な作りで面白かったです。

一風変わった見せ方をしてくるのがこのアニメの面白いところですね。

次回にも期待。
{/netabare}

16話目感想
{netabare}
本物の握手とは何なのか。

アイドルとファンの距離感はどういったものであるべきなのか、握手を通してそのことについて考えさせられる良回でした。

ファンの子が言った、「握手できないくらいになってください、そしたら今日のこの握手がもっともっと宝物になるから」このセリフがとても印象に残りました。

カケルを含めた少ハリは大きな存在へと成長することが出来るのか今後の展開が楽しみです!{/netabare}

17話~25話感想
{netabare}
21話~25話の間は今まで以上に良い話が続き面白かったです。

その中でも個人的には21話のカケル回と23話の少ハリの今後について考える回がとても印象に残りました。{/netabare}

26話(最終話)感想
{netabare}
クリスマスライブ本番。

最終回だけあって今まで以上にダンスシーンの作画が素晴らしかったです。

終盤でのサプライズシーンも今までの少ハリを思い出される良い演出でした。

続編はあるのか分かりませんが余韻の残る良い最終回だったのでこれで完結でも良いかもしれませんね。

隠れた名作としてそっと評価されてほしい作品です。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

57.6 9 2015年度の小説原作アニメランキング9位
探偵チームKZ事件ノート(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (63)
353人が棚に入れました
友だちや家族、また成績に、なやみやコンプレックスを感じている
小学6年生の立花彩。

あるとき、塾で出会った超・個性的な男子4人と「探偵チームKZ(カッズ)」を組むことに!!

個性豊かな「探偵チームKZ」が、事件にまきこまれ、時にぶつかり合いながらも、それぞれの特技、専門知識を使い、協力して、事件を解決にみちびきます!


声優・キャラクター
巽悠衣子、斉藤壮馬、寺島拓篤、西山宏太朗、市来光弘

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「探偵チームKZ事件ノート」←毎回この台詞から始まる構成が何気に好きでした^^

この作品の原作は未読ですがNHKEテレで放送されること、キャラデザが好みだった事から視聴を決めた作品です。

ポンポン視聴する作品を増やしていくとどうなるかは理解しているつもりです・・・でも、一度気になっちゃうと視聴せずにはいられないんです^^;
そして第1話・・・私好みのキャラデザの登場人物が可愛らしく登場した時、「あぁ、視聴を決めて良かったな^^;」と心底思いました。

この物語の主人公は小学6年生の立花彩・・・引っ込み思案で周りの視線が気になって仕方ない彼女は、友達と呼べる人もなく、独りで過ごす時間の多い女の子です。
勉強や運動も決して他人よりできる訳ではありませんが、唯一国語が得意なのが彼女の取り柄になっていたようです。

「一芸に秀で、その芸で身をたてる」
はちょっと言い過ぎかもですが、国語の得意な彼女は塾で特殊クラスに入れることになったんです。
そして、そのクラスには「サッカーチームKZ」の4人のメンバーが在籍していたんです。
KZのメンバーといえば女の子の黄色い声が飛び交う超人気者です。
かかわり合ったら人の目が・・・
現状の自分の立ち位置を理解している彼女でしたが、KZのみんなはそんなの全くお構い無し・・・

そんなある日、KZのメンバーの一人である若竹の自転車が盗まれるというトラブルが発生するんです。
「絶対犯人を見つけてやる!」
それぞれ得意分野を持つKZに国語の得意な彩が加わり、「探偵チームKZ」の物語が動いていきます。

探偵とはいえ彼らは小学生・・・扱う事件も身の回りにおける些細な出来事なんですが、これが結構面白いんです。
時折小学生には無理なんじゃ・・・という設定も無いわけではありません。
でもそこはフィクションという枠の中でKZのメンバーが輝ければ問題無いと思います。

物語は大きく4つについて描かれています。
①消えた自転車は知っている
②卵ハンバーグは知っている
③裏庭は知っている
④バレンタインは知っている

どれも題材は身近ですが、タイトルから内容が想像できないところに面白さがあるのかもしれません。
そしてこの作品は謎解きと同時にチーム内のキャラを掘り下げています。
この掘り下げがあるから、チーム内での言動やつかず離れず・・・だけど自分の得意分野でしっかり事件を解決へと結び付けるお互いの役割で繋がっているのが分かります。

引っ込み思案だった彩ちゃん・・・探偵KZでの活動を通してどの様に変わっていくのかが見どころです^^

でも私の中で唯一分からない事があります。
何故16話という半端なタイミングで終わってしまったのでしょうか^^;?
1クール12〜13話なので、14話目の放送を知った時・・・嬉しかったんだけどな^^;
まさかそこからあっという間に終わってしまうなんて・・・

作品が放送されていたのは平日の夕方・・・小学生もたくさん視聴していると思います。
でも内容的に実際の小学生が真似できるモノではないから実害も無いと思いますし・・・
少しwikiを見てみたら原作のストックもまだありそうですし・・・

主題歌はダイアナガーネットさんの「難解!ミステリー」
楽曲を購入するまで歌い手がアメリカ人だったとは想いもよりませんでした。
日本語がとても上手でビックリでした。
これからの活躍に期待しています^^

全16話の作品でした。
この作品の様にお互いの長所を発揮しながら仲間と一緒に事件を解決していくスタイルは、正に一昔前の日本の仕事の仕方と重なります。
高度経済成長期に私達の先人達が編み出した業務スタイルですが、私達はだいぶかけ離れてしまいました。
現在、当時の日本の成長の秘密や法則を学んだ外国人が様々な著書を出版しており、今の私達が現状を打開するためにその著書で勉強しようとしている・・・なんて皮肉なモノです^^;
こんな堂々巡りをするなら、もっと先人の教えをもっと貫いていれば回り道すること無かったのに・・・と思ったりしています。
今の私達に足りないモノを教えてくれる・・・そんな作品だと思いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

buon さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

出しゃばっちゃダメ絶対

割とね、好きだった。
けど、来期忙しそうだから切ります。ガン○ムが2クールだし。

さて、この作品はある意味○ナンくんより悪影響を及ぼしそうな気がします。
もっと大人を頼りましょう。

内容は小中学校でちょこっとした出来事から芋釣り式で大きくなって、
「あ、あかん」って大変な感じなのにちびっ子(?)が解決してきます。

あやちんはまあまあかわええ、それはOK。
けどね、男、男共、
おまえら何やってんだよ!
もっと輝けよ!!
もっとキュンキュンさせてくれよ!!!
「えっ、そ、そんな、こんな気持ち、は・じ・め・て♪」って慄かせてよ!!!!
キャラデザも作画ももっと気合い入れろよ、もっと熱くなれよっ!!!!!

これ、原作の方が面白そう。
なんか小説かなんだかそれっぽいのらしいけど。

逆ハーレムのときは、男がもっとがんばりましょう、以上。

【2015/11/18】おーる3っていうか多分、未評価

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

ねるる さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.7

典型的な同性に嫌われるタイプな主人公

友達が出来ず浮いてる主人公が、人気者の男子達で結成されている探偵チームKZ(カッズ)に入り、身近に起こる事件を解決していくお話。雰囲気は〇研ゼミとかに入ってくる漫画みたいな感じ。今もあるのかな?

正直つまらないアニメだった。

とりあえず主人公が自分のことしか考えていないキャラなので不快でした。そしてそれを何故かチヤホヤする男友達という構図なので、絶対女子に嫌われるやつだと思いながら見ていました。特別いい所ないのに強気だし、全く魅力がない主人公でしたね。

事件も、中学生なのにどこでその情報手に入れてきてるの?みたいな事ばかりだし、結果倒産とか逮捕とかされる割に本人たちはケロッとしてて、なんだかなーと思ってました。

声優だけは豪華だけど、豪華でも全然見る価値ないアニメでした。久しぶりにこんなにつまらないアニメを見た。何もいいとこないです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1
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