2019年度のProduction_I.Gおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2019年度のProduction_I.G成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番の2019年度のProduction_I.Gおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.0 1 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング1位
PSYCHO-PASS サイコパス 3(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (441)
2205人が棚に入れました
「正義」は、新たな世界を切り開く。 魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。シビュラシステムの導入後、日本は海外との交流を断ち、長らく事実上の鎖国状態にあった。2120年、開国政策により変革の刻が迫ろうとしている。変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫、諏訪部順一、名塚佳織、沢城みゆき、佐倉綾音、日髙のり子、宮野真守、中博史、田中敦子、日笠陽子、森川智之、堀内賢雄、矢作紗友里、関智一、野島健児、東地宏樹、伊藤静、本田貴子、花澤香菜

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「正義」は新たな世界を切り開く。

ノイタミナで放送されたこの作品もいよいよ3期…
ですが、この作品を視聴する前に2015年に上映された「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」と、2019年に上映された劇場版三部作『PSYCHO-PASS サイコパス | SS (Sinners of the System)』の視聴をお勧めします。
本作との直接的な繋がりは薄いのですが、登場人物や状況設定に繋がりがあるので…

そしてこのPSYCHO-PASSといえば、香菜ちゃん演じる主人公常守朱の活躍が楽しみな作品でもあるのですが、今回の主人公は梶さん演じる慎導灼(しんどう あらた)と、中村悠一さん演じる炯・ミハイル・イグナトフの二人という設定になっています。

常守朱が全く登場しない訳ではありません。
ですが、これまでとはだいぶ立場の違う形で登場することになるのですが、その真相は3期を完走しても未だ闇の中…
シビュラシステムの抱える闇の深さを物語っている気がしてなりません。


魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。
変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、
犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。
2012年にスタートしたオリジナルTVアニメーション作品『PSYCHO-PASS サイコパス』の
第三期シリーズとなる本作は、ふたりの新人監視官の物語。
慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、厚生省公安局の刑事となり、変わりゆく世界で真実を求めていく。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

本作品を視聴して思ったこと…
1期から比べると、犯罪の狡猾さと裏で糸を引く巨大な組織の存在を感じずにはいられません。
元々、人間の魂を数値化して数値が悪化しないよう管理しているのがシビュラシステム…
大概の人はその大枠の中に納まっているのですが、様々な事情により著しく数値の悪化した犯罪者を執行するのがドミネーターであり、公安局の仕事だった筈です。

1期は、それぞれの事件に関連性が無く各個撃破すれば良かっただけなのに…
3期にもなると、繋がりしか見えなくなるのですから不思議なモノです。

そういえば、今期から耳慣れない単語がちょくちょく出てきました。
コングレスマン、インスペクター、そしてビフロスト…
目にすることもゼロではありません…寧ろ毎回必ず登場していましたっけ…
それにも関わらず、彼らが何をしようとしているかがさっぱり分からないんです。
分かるのは、良からぬことをしていることだけ…

一方、今回の主人公の2人は同じチームで動くことが多いのですが慎導灼の監視官への推薦者は常守朱で、炯・ミハイル・イグナトフの推薦者は、あやねる演じる霜月美佳なんだそうです。
常守朱と霜月美佳の関係も今となっては懐かしい限りです。
3期では霜月美佳は公安局刑事課課長、統括監視官にまで出世しているんです。

まだ分からない事だらけです…
常守朱の立場は変わってしまったようにも見えるけれど、そうじゃない一面が垣間見えたり、霜月課長も常守のことを「先輩」と慕っているようですし…
もう、一体これまでに何があったの…?
すっごいモヤモヤするんですけど。

モヤモヤすると言えば…
今回登場する組織は公安局刑事課だけじゃないんです。
花城フレデリカ率いる外務省海外調整局行動課も暗躍するんです。
これだけなら別になんてこと無いのですが、構成メンバーを見るとモヤモヤします。
・狡噛慎也
・宜野座伸元
・須郷徹平

狡噛は、劇場版三部作の内容を踏まえれば妥当だとは思いますが、後の二人はいつの間にか行動課に行っちゃったの!?
前にお断りするところを見た記憶まであるんですけど…
しかも、3人とも元・厚生省公安局刑事課一係の執行官ってどういうこと!?
花城フレデリカさん、ヘッドハンティングし過ぎなんじゃ…
って思いたくもなりますよね。

狡噛といえば、物語の終盤で炯・ミハイル・イグナトフに言い放った一言は意味深でしたね。
物語の今後の布石になる前に、自身の本分に従って留まって欲しいと思ってやみません。

彼らが刑事課にいてくれたら一体どれだけの戦力になるのか…ってことは、きっと考えちゃダメなんでしょうね。

オープニングテーマは、Who-ya Extendedさんの「Q-vism」
エンディングテーマは、Cö shu Nieさんの「bullet」
どちらの曲も好きですが、個人的にはエンディングの方が好みでした。

1話1時間構成で全8話の物語でした。
全8話とだけ聞くと短いと思いますが、普通のアニメの尺換算だと全16話分ですからね。
それに、アニメーション制作はProduction I.Gさんなので、終始安定したクオリティでしたし…
今回は中途半端なところで物語が終わってしまいましたが、公式HPでは2020年春に「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」が上映される予定ですし…
春と言ったら、もうあっという間じゃありませんか。
上映を楽しみに待っています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

他アニメと比較するべきか、シリーズで比較するべきか

個人的な意見でシリーズで比較するならば
1>2>3≒case2>case1と3>映画1

と言った感じで、今回の作品に関しても言えるのは2と同じようにやれることが少なくなってきた結果なのかな、と感じた。
サイコパスという土台を踏襲した上での物語を形作る為のコングレスマン等新設定を持ち出し、様々な試みをしているのに関わらず、人々が魅了された1での演出はもう二度と復活させる事は出来ない。

あのムーブを形作るには全員復活させるか、キャラクターを一新させて同じような話を作るしかないのだが、それも不可能に近い。
限りなく人々が好むであろう展開をこのサイコパスという土台で一度取り行ってしまった以上、土台を変えるか別の形でそれを探すしかないのだが、やはり1程の衝撃を受けるには流石に至ることは無い。
事実外務省としてキャラクターの保護をしている時点で下手すると破綻する事も重々承知の上だろうし、ファンも暴走しかねない。

ただ、内容をシリーズから切り離して考えれば全然面白いとしか言いようがない。
俺は基本的にはアニメ見るの嫌いだし、好きな今回のサイコパスシリーズですら程よく流し見状態だった為、客観的に意見を述べやすいと思うのだが、他シリーズでこのレベルまで面白いアニメってあんまりないと思われる。
いくら暇つぶしになれど、アニメ自体を余り好まない人が率先して続きを見ようと思うかどうかに至ってをクリアしている時点で俺としてはなんら問題は無い。
総合評価は圧倒的Aと考えている。

少なくとも俺は映画一作目より面白かったし(あれは好きな人には申し訳ないが、点数あまあまな俺でも途中で見るの辞めようか迷ったレベル)、今後もまだ期待ができるような展開が望めるので、話題作になるようなものでなくとも鉄板で及第点である。

正直量産されている変なアニメより先も見る気になれば、時間を損した気分にならないと思うのだが、そこは人の好みなので強くは論じない。
としても、冒頭で述べた様にやる事がもう本当にない。
こーしたらいい、あーしたらいい。シビュラを倒したり、誰誰が生きていてどーのとか広がる妄想はいくらでもあるのだが、凡そそれを映像化して万人が首を縦に振るかと言うと、昨今の刃牙のようにかなり爆弾な物語になりかねない為、絶対に適うことは無い。今回の3が妥当としか言いようがない。
つまりサイコパスシリーズは3期伏線回収後で切り上げてもいいのかもしれない。

その点に於いては2で霜月をしっかりとぶち殺して、1のラストの様にシビュラに抗い続けて見せる!で切り上げるのが一番手っ取り早かった。
続編を出すに至り、霜月の存在がどうしても必要になる為、caseシリーズから霜月のイメージをガン上げして、ツンデレ可愛いキャラになってしまったが、2でやっちまった事についてが足かせな気がする。
そのせいでなお綺麗な終わりを目指すことが非常に難しい、これは狡噛を復活させた事についても大きな問題なのだが、ファンサービスとしてここはあきらめざるを得ない…。英断だと思う。
ここで言う足かせとは、

アニメや映画を好む人の9割以上が公正世界仮説をベースに自身の感情のカタルシスとしてその娯楽を楽しむ傾向にあると俺は考えているが、その上で敵と味方にどちらも同じ業と同じ条件を架すことにより、なお面白い劇が完成する訳だ。

槙島にはこういう業とこういう正当性がある。だから結末としてこうなった。
狡噛にはこういう業とこういう正当性がある。だから結末としてこうなった。

不慮の事故やキャスト同士のやり取り中での退出者以外は業と正当性により、凡そのその後の人生が作中で決まっていく訳だが、小悪党としてのキャストを全うした霜月をそのままにしたお陰で、かなりアンバランスな存在として成り立ってしまっている。
1,2,3期、全てで好き勝手性格や境遇弄られている霜月美佳の扱いは流石に酷過ぎないだろうか。
(※1、ちょっと達観した女学生。 2、自己承認欲求の為に周りを下げようとしたり、自己保身の為に知人を売りさばいたりするクソレズ。味方殺し。 3、規律とかに厳しいけどいざという時に助けてくれる頼りになるツンデレ。宜野座の嫁)

考察者よろしく、適当なあるある解釈をすればある意味それは彼女は「駒」としての意味を持つのかもしれない。

何れにしても霜月美佳の存在を何とかしない限り、凡そ本物の最終回という最後のステップにすら移行出来ない気もするので、俺としては早く彼女を救ってほしい。

最後に、
俺の大好きな禾生さんを引っ込める意味が余りわからないのですが…。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

前半は面白いが、犯罪係数=常森が扱えなくなったシリーズの残滓。

 本作の記憶があまりにも薄いので、見始めたら前半は相当面白かったです。ただ、後半の出来が今一つなのと尻切れトンボだったので記憶から抹消していたのでしょう。

 映画があるみたいなので今後はどうか知りませんが現時点で、常森、狡噛そしてシビュラシステムが完全に機能していません。世界観としてシビュラシステムはありますが、多分犯罪係数では話が作れなくなったのでしょう。これは1期から思っていましたが、シビュラシステム、犯罪係数、免罪体質が描けているようで表面を擦って言葉遊びをしているだけで、奥深さがないと思っていました。

 ですので、本作では選挙、移民、分断を扱うこと、サイコメトラーとビフロストという新たな対立軸をいれないと話が作れなかったのでしょう。別に「攻殻機動隊」でやってもいいし、まったく新しい話でもいい気がしますが、ガンダムと一緒でシリーズでやることが優先なんでしょう。

 脚本家の冲方氏はシビュラシステム、常森、犯罪係数、免罪体質では物語が描けなかったのでは?と思います。今回の話に関して言えば、シビュラがAIでバックドアとしてビフロストという話でも成立します。
 おそらく常森、狡噛を出すことでサイコパスであるという風に見せたかったのでしょう。特に狡噛はなんの機能も現時点では果たしていません。それは霜月も一緒で、霜月である必要はありません。
 ただ、霜月が可愛すぎて面白過ぎて清涼剤になっていたのは上手かったと思います。

 で、本作は前半はかなり面白いです。選挙のところです。ここは2人の新主役の能力や世界観を説明しつつ、カリナという魅力的なアイドル政治家を出すことで、エンタメとしては面白かったと思います。

 ただ、やっぱりいつも通り面白いだけ、な気はしますが。芸能人政治家やプロレスラー政治家を入れたり、AIを絡めたりしていますが、テーマ的に言えばだからどうした?です。
 移民の売春婦、貧困、祖国の戦争、隔離政策等々アップトウデートな話題ではありますが、じゃあ、そこに主義主張や問題提起が描けていたかと言えば、そうでもありません。テーマと深さがあるように錯覚させているだけです。

 正直言えば似たような話では「リコリスリコイル」の方が、まだ命と使命とは?公権力による正義の執行とは?のようなテーマがあったと思います。

 要するに灼と炯のパーソナルな謎と、ビフロストという秘密の凄いシステムが裏にあるんだぞ、という話です。ですけど、ビフロストの組織の説明はありましたが、何を基準に何をしているのかの説明がありません。また、常森がもったいぶって時々登場するだけです。

 ですので、テーマの持ちようがありません。感じられるのは、正義とは何かを言いたいだろ?です。ですが、正義に答えはない、それぞれに正義があるというのは機動戦士ガンダムや宇宙戦艦ヤマトで既に結論が出ている話です。あるいは正義は数字じゃ測れないにしても出涸らしです。

 で、後半に入っては、もうキャラがゴチャゴチャして名前と顔がわけわからなくなる、男のキャラは見分けがつかないし、最終回なんかセリフで説明しちゃってるしで、なんじゃこりゃあ?です。
 主役2人の対立も、なんか、今までの信頼は何だったの?演技?と思っていましたが、本気だったみたいだし。灼と炯の2人の監視官の適正ありって、結局何が適正だったんでしょう?

 あと、ふと思ったのが、犯罪係数云々って暴力犯ならわかるのですが、知能犯だとどうなのよ?と思わなくはないです。それでもやっぱり殺しちゃうんでしょうか?

 作画はすごいと思います。音楽はまあサスペンスものだよね、という音楽です。OPは可もなく不可もなくよりもちょっといいかなくらいです。

 サイコパスシリーズである必要性がなく、常森を出せなかったこと、尻切れトンボ、後半急速につまらなくなるのは大きな減点要素です。
 前半はエンタメとしては面白かったし、霜月とカリナが可愛いのでちょっと加点しますが、世界観・テーマ性ははっきり駄目です。

 ストーリー、キャラは3.5と言いたいですが、霜月加点でキャラは4です。作画で点数はあがりますが、主観的には前半80点、後半50点、平均65点しかも尻切れトンボなので55点かなあ。

 映画も無料になってるみたいなので、見てみます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

66.3 2 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング2位
歌舞伎町シャーロック(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (213)
752人が棚に入れました
新宿區イーストサイド・・・・・・混沌を極めたその街の中心には、ネオン瞬く歌舞伎町が広がっていた。光が強けりゃ影も濃い。悪人どもの潜む暗がりの、そのまた奥に探偵長屋の明かりが灯る。ハドソン夫人の営むその長屋は、なくて七癖、曲者ぞろい。野心満々のケッペキ探偵に、男を化かす姉妹探偵。はたまた刑事くずれのオッサン探偵がいるかと思えば、ヤクザを破門されたアンチャン探偵・・・・・・そして真打は、落語をこよなく愛する天才探偵シャーロック・ホームズ。切り裂きジャックによる猟奇殺人が起きたその夜、舞台の幕は上がった。探偵どもの化かし合いを横糸に、シャーロック、ワトソン、モリアーティ、三つどもえの友情を縦糸に・・・・・・ミステリー? いやさコメディ?なんともはや、判別不能ドラマのはじまりはじまり~。

声優・キャラクター
小西克幸、中村悠一、山下誠一郎、斉藤壮馬、東山奈央、東内マリ子、青山穣、橘龍丸、諏訪部順一

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

探偵どもの謎解き合戦、開幕! 変人づくしのコメディミステリー

この作品はオリジナルだったみたいですね。
アニメーション制作はProduction I.Gさんなのでクオリティも抜群…
しかも奈央ぼう、坂本真綾さんが出演されるとなると視聴しない訳にはいきません。


新宿區イーストサイド…混沌を極めたその街の中心には、
ネオンが瞬く歌舞伎町が広がっていた。

光が強けりゃ影も濃い。
悪人どもの潜む暗がりのそのまた奥に探偵長屋の明かりが灯る。

ハドソン夫人の営むその長屋は、なくて七癖、曲者ぞろい。
野心満々のケッペキ探偵に、男を化かす姉妹探偵。
はたまた刑事くずれのオッサン探偵がいるかと思えば、
ヤクザを破門されたアンチャン探偵…
そして真打は、落語をこよなく愛する天才探偵シャーロック・ホームズ。

切り裂きジャックによる猟奇殺人が起きたその夜、舞台の幕は上がった。
探偵どもの化かし合いを横糸に、シャーロック、ワトソン、モリアーティ、
三つどもえの友情を縦糸に…
ミステリー? いやさコメディ?
なんともはや、判別不能ドラマのはじまりはじまり~。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

この作品…諏訪部順一さん演じるハドソン夫人を好きになれるか否かで視聴の良し悪しが決まるのでは(笑)?
何故夫人なんだろ…見た目はとても夫人には見えませんけどね^^;

物語の流れとしては、だいたい以下のような感じです。
・「BARパイプキャット」に探偵の依頼が転がり込んでくる
・事件の難易度に応じて「S級特盛」や「A級」などの賞金ランクが設定される
・事件への参加は自由で、一番最初に依頼を達成した人が報酬を貰える

物語は、ウエストサイドにある大学病院の法医解剖医であるワトソンが、近頃周囲で不穏な出来事が起きるようになり、その捜査を依頼すべくイーストサイドに渡ってきたところから始まります。
正直言ってこの設定はすっかり忘れていました^^;
そう、ワトソンはシャーロックに捜査を依頼しにきたんです。
それがいつの間にかすっかりうやむやになって、気が付いたらシャーロックのサポート役の座に居座って…物語が動いていきます。

細かい事件はちょいちょい入りますが、物語の大きな幹は2つ…
INTRODUCTIONに記載してあった「切り裂きジャック」事件と、その事件に纏わるその後の顛末を描いた物語です。

切り裂きジャックの事件は相当悪質で、決して許されない行為を犯していました。
そう、ジャッキはただ人を殺すだけじゃな飽き足りず、殺した人間の尊厳までをも平気で奪い続けてきたんです。
どうしてそこまで人間は歪むことができるんだろう…
そう思える事件だったのですが、個人的にはその後の顛末の方が辛かったかな。

全く想像しない方向に物語が流れていくんです。
そして一度走り出した暴走列車を再び止める術は、もう列車を壊す以外の選択肢はありませんでした。
きっと、ここに辿り着く前に立ち止まれるタイミングはあったんだと思います。
もしかすると、サインだって出ていたのかもしれません。
でも、それらに気付くことができなかった…

本当は同じ…
同じであることが嬉しかった…
それなのに少しずつ変わってしまったら、違和感だけじゃなく、孤独、焦燥、といった感情が渦巻いてもおかしくありません。
そうして気付いたら二度と戻れないなれの果て…
そう思うとこの顛末はあまりにも寂し過ぎます…
せめて香菜ちゃん演じるアレクサンドラが居てくれさえしたら、本当に世界が変わっていたんじゃないかと思うと悔しくて堪りません。
自分の存在理由を知らないのは自分だけ…
自分は自分の知ってることしか知らない…
本当はもっと違う自分だってちゃんとあるのに…
こんなことを如実に感じさせる物語だったと思います。

オープニングテーマは、EGO-WRAPPIN'さんの「CAPTURE」
エンディングテーマは、ロザリーナさんの「百億光年」と、石﨑ひゅーいさんの「パレード」
相変わらずロザリーナさんの楽曲が格好良い…
この楽曲も発売後に即ゲットしちゃいましたよ^^

2クール全24話の物語でした。
事件と落語の組み合わせ…
一見すると違和感しか感じませんが、中々良い味が出ていたのではないでしょうか。
特にラストの落語は、人を思う気持ちが言葉一つ一つに込められていて胸が熱くなりました。
2クールで見応えもありましたし、私はしっかり堪能させて貰いました^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

オチと推理とエクスカリバー

シャーロック・ホームズは、最もパロディ化、パスティーシュ化された探偵かもしれない。

本作の放送と同期に、同じく『シャーロック』を冠する実写ドラマが放送されているが、競作関係などはないものの、どちらの「シャーロック」も奇人変人である設定は共通しているようだ。
ドイルのホームズ連作の、本格探偵小説が「本格」としてジャンル的に確立する前のプロトタイプ的な性格が、ホームズがキャラクター的な強烈な特徴を持つところに現れているのだろう。

あまたのパスティーシュも、若いころのホームズ、異世界に紛れ込んだホームズはもとより、ホームズの姪っ子や、精神を病んだ夏目漱石が自分をホームズと妄想している、などなど、キャラクター性を強調したものが多い。

その中にあって、本作の歌舞伎町に住む落語家もどきの「シャーロック」も、奇抜さで負けてはいない。
いや、あの髭面の「ハドソン夫人」には勝てないかもしれないが。


シャーロック・ホームズが強力で特異な性格設定を持つのは、一種の文化英雄という性質が要請するからだろう。

「勇者」が聖剣で竜を倒して「世界」を恢復させるように、垂れ込める「謎」を吹き払い「世界」に秩序を回復する「英雄」としての探偵。

歴戦の武勇伝を持つ勇者が特権的な武器として「聖剣」を手にするように、「謎」を切り払う探偵の特権的な武器として与えられるのが、頭脳=論理=「推理」だ。
特異な頭脳=発想の象徴として、特異な性格が要請される。


ところで、別作品の感想で、探偵小説の探偵の推理は論理的な唯一の真理とは限らない、といった意味のことを書きこんだことがある。

エクスカリバーが竜を斃せるのは、数々の「伝説」によって「聖剣」である特権性を保証されるからだ。
探偵の推理=「論理」もまた、「伝説」に類比的な特権性の「保証」が付与される。

オーギュスト・デュパンであれば「アナリシス」、ファイロ・ヴァンスなら心理学的必然、エラリィ・クイーンなら因数分解的数学性、などなど。
ホームズならば、実験科学的な自然科学の論理性、という事になる。

これら「論理」の特権性の「保証」要素は、しかし推理が導く「真相」の論理的正しさを保証するものではない。

「聖剣」にまつわる「伝説」が、その物語内で聖剣の威力を保証するための装置であって、物語外では意味がないのと同様に、実験科学の論理性も、物語内で「論理」の特権性を保証するだけの装置に過ぎない。
デュパンのアナリシスもヴァンスの心理学もエラリィの「数学的」論理も、物語外では何の論理性も保証しはしない。

物語内での探偵の推理が「真相」となるためには、「物語世界内で」の論理性=説得力だけが問題なのだ。
物語内の作中人物全員が「唯一の真相」を導いた「論理的」な推理だと納得しさえすればいい。
そう、これが物語内で最後にたどり着いた「真実」であると、最後に締めくくる「オチ」だと納得しさえすれば。



落語で「真相」の「推理」を語る本作の設定は、「探偵小説的」論理性を巧妙に反映している。

一見は荒唐無稽な「推理落語」だが、語られた物語を象徴し、まとめ上げ、引き受けて、幕を閉じるものとしての落語の「オチ」の一言は、探偵小説の「論理的」推理と全く同型的な役割を果たすものだ。

しかし、それは、どんなデタラメでもおどけて語れば良いという事にはならない。
論理=筋が通っているでも、地口のように連想的な関係性でも、なんでもよい。それまで語られた物語をまとめ上げて「オチ」が付いたと観客に直観させなければ、オチとして機能しない。

落語の『あたま山』のオチは、論理的にはおかしい、不条理でシュールなものだが、練達の噺家が語ることによって、観客に「オチ」を直観させて笑いに巻き込む。

不出来な噺であれば、観客は白けてブーイングが起きるだろう。
不出来な探偵小説が、作者と作中人物だけが納得する「推理」で、読者を説得できずに怒らせるように。

はたして本作の「落語推理」は切れ味良い「聖剣」のような「オチ」をつけられただろうか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

1クールでCOOLにまとめる方が良かった気がする。

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
アニオリの推理モノ。しかも、連続2クールという力の入れ具合。

映像など、クオリティはしっかりしていたと思う。

でも、肝心の推理(トリック)がな~。面白くない。

本作はかなりライトな作風だが、トリックまでライトにして、どうする? 91DAYSの脚本を務めた岸本さんがシリーズ構成だから期待はしてたんすけどね。

あと、本作には、ホモホモしい要素もあるので、そこが苦手なら、しんどいかもしれません。


《以下ネタバレ》

【視聴断念(4話まで)】
{netabare}
総括にも書いたけど、とにかく推理が面白くない。

まず、1話目でビックリしたのが、推理のキモに「におい」を使ったこと。

いやいや、視聴者に考えさせる気がないやん。まあ、「世界初、においがするアニメ」を開発したなら別として(苦笑)

他の事件もそうだけど、多くの情報が後出しで、「実はこうでした」だから、興が削がれる。本来、推理モノって、視聴者にもキチンとヒントを出し、推理をさせた上で、その上をいく謎解きをやられちまう、快感。1本取られた感。

それが推理アニメでないの?

まあ、エンタメ的には悪くないので、1クールだったら付き合っても良かったけど、2クール付き合う気にはなれないな~。落語の演出も、わりとどうでも良かった。
{/netabare}


【1話ごとの感想】
1話目「はじめまして探偵諸君」☆3
{netabare}
アニオリらしいメチャクチャさというのは、好印象。ミステリーの深さとしては、まだ感じない。爪とか身長とか、証拠をもっとちゃんと見せてくれないと、追い付けなくて当然。臭いとか、アニメだと反則。本格推理ではなく、エンタメ推理だな、こりゃ。

おそらく、かなりの量の「推理モノパロディ」が混ざっているのだろうが、推理小説はほぼ読まないので、全くワカラン。

《今後の展望》
歌舞伎町の裏のボスとか出てきそうだな。
{/netabare}

2話目「泣きぼくろ見つめ隊はいかが」☆3
{netabare}
歌舞伎町、こえぇな(笑) 花に興味ないバイトだっていてもおかしくないし、コブラとキタがライバルで、質屋をマネーロンダリングに使っていることは、後だしだよな。どっかで伏線として出しとかないとね。

《今後の展望》
てか、この作風(1話完結)で2クール? ダレそうだけど。1クールでCOOLに終わってた方が、良かった、ということにならなけりゃ良いけど。2クールで面白味が増すとしたら、縦軸となるストーリーがちゃんとしてるか、序盤に出てきたサブキャラ(例えば今回の花屋の人)達が、後半の事件にもからんでくるかだな。
{/netabare}

3話目「エース・京極冬人の夢は」☆2
{netabare}
完全に永ちゃんだな。ナイフだと警察は言ってない。いやいや、なんの推理にもなってないな。いくら黒焦げでも、歯形とかDNAとか、いくらでも特定出来るんじゃかいか? 大したことないミステリーに、すでに飽きてきた。

《今後の展望》
制作会社が、永ちゃんに怒られる(笑)
{/netabare}

4話目「お湯は基本熱め」☆2
{netabare}
この銭湯に、桃太郎は来ていない、、、だと!? そんなん、バカでも分かる推理(苦笑) この、落語風の謎解きもつまんないし。面白かったの、金隠しだけじゃ?

《今後の展望》
1クールならまだしも、2クールも付き合える自信がないので、自分はここで途中断念します。けどまあ、映像等のクオリティは低くないので、楽しみにしている視聴者のためにも、維持してほしいっすね。
{/netabare}

監督 吉村愛(やはり俺の青春ラブコメはまちっている・アオハライド・チア男子)

シリーズ構成 岸本卓(うさぎドロップ・銀の匙・ハイキュー!!・僕だけがいない街・ジョーカーゲーム・91DAYS・フルーツバスケット)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

76.4 3 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング3位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」(アニメ映画)

2019年2月15日
★★★★☆ 3.9 (173)
1189人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
東地宏樹、有本欽隆、浅野真澄、てらそままさき、大原さやか、関智一、野島健児、石田彰、伊藤静、沢城みゆき、本田貴子、花澤香菜、佐倉綾音

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

亡き者達へ捧ぐ【鎮魂歌】All Alone With You

2012年秋冬期の第1期TVシリーズ、2014年秋期の第2期TVシリーズ、2015年の劇場版長篇に続く劇場版3部作『サイコパスSS』の2作目です


人の精神を数値化出来ることから警察が廃止され、厚生省公安局が治安維持と法務の執行を取り仕切る未来の日本が舞台のSFサスペンス


実写映画監督の本広克行、脚本家の虚淵玄も関わっていたシリーズですが、この3部作では最初期からアニメーションディレクターとして携わっていた塩谷直義が自らストーリー原案を組み立てて単独で監督
さらにノベライズ版を手掛けた吉上亮と深見真が脚本を担当しています
本来なら1作目からレビュを書くところですがこの2作目が特に素晴らしかったので先んじて書きたいと思いました

























2116年、SEAUnシャンバラフロートでの事件から2ヵ月後の公安局に、外務省から花城フレデリカという女性が刑事課一係に監視官補佐として出向してきたことが事の始まり
彼女の真の目的は元国防省、国境防衛システム海軍のドローンパイロットであった須郷徹平を外務省にスカウトすることであったのだ
須郷は国防省時代にサイコパスを悪化させるきっかけとなった事件を思い出す…
時は遡り2112年、常守朱監視官就任の数ヶ月前
須郷の所属する部隊はSEAUnへの介入を始めた日本政府と国防省の極秘任務「フットスタンプ作戦」を遂行するが作戦は失敗
ドローンパイロットの須郷たちを残し地上部隊は全滅
その中には尊敬する部隊長であった大友逸樹の姿もあった
しかしその後、フットスタンプ作戦関係者を襲撃する軍事ドローンによるテロが発生
容疑者に挙がったのは死んだはずの大友逸樹
須郷も容疑者として公安の監視下に置かれた
そんな須郷の前に現れた公安というのが、当時刑事課一係の執行官だった“とっつぁん”こと柾陸智己だったのだ…


























今作の第一印象は、色相診断の結果が全てにおいて優先される世界観で、そもそも軍人という職業が成り立つのか?というシリーズへの疑問を投げかけた意欲作だと思いました
理不尽な作戦を強いられる前線の特殊部隊の悲惨さと上層部との軋轢
とかく非情な結末が待ち構えている中で突き進む須郷の心情が軍事冒険小説のような体で彼が得意とするドローン技術の描写と共に描かれ、SFとしてもミリタリーサスペンスとしても楽しめる作品に仕上がっております
この『SS』3部作全てに共通してることでもありますが、画面のクオリティもこれまでのシリーズが嘘のようにハイレベルにまとまっているのも素晴らしい


お話の結論から言って、軍人という職業が成り立っているのはやっぱりちょっとおかしいというか、それは『劇場版』のシャンバラフロート事件を観ても矛盾してるのは明らかです


ですがそんなツッコミどころを他所に、もう一方でハードボイルドな刑事ドラマとしての魅力が今作を支えていることに目を向けたいと思います


物語は終始須郷の目線で語られますが、須郷から観た“刑事という生き方とその正義”を貫いたとっつぁんはこれ以上に無くカッコイイ男、として映ります


まだとっつぁんと宜野座が和解する前ともあり、宜野座との確執の深さや初めて登場する柾陸の元妻=宜野座の母との距離感のある関係も明かされ、とっつぁんの公私が今作の中で共に語られるというのがキャラに深みを与えています
この妻子を支えるとっつぁんの姿は、事件の中心となってしまったが須郷の良き先輩でもあった大友とある意味オーバーラップしつつ、裏表一体の関係になっているのも面白い


何よりもとっつぁんや、さらに今作に登場し大活躍をする青柳璃彩監視官、縢秀星執行官という人々が後々の事件で【全員殉職してしまっている】という事実が今作に漂う哀愁に拍車をかけてます


思えば『サイコパス』というシリーズは幾度となく希望を打ち砕いてきました
本当は死ぬべきではなかったはずの人々の生命が軽々しく奪われていってしまったことへの虚しさ
そんな彼等の在りし日に、いまいちど思いを馳せさせてくれるのが今作なんだと想うのです


そして何より、とっつぁんを演じた有本欽隆さん自身がもはや帰らぬ人となってしまっているのがやるせない…


エンドロールではEGOISTの「All Alone With You」を中野雅之が手掛けたReMixが流れるのですが、これがオイラには“逝ってしまった者達へのレクイエム”の様に聴こえてなりませんでした…


興行終了間際に立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上音響上映「TOTTSUAUND」も堪能してきました
SEAUnでの戦闘シークエンスはもはや極爆を超えたとも言える凄まじい音圧の破裂音が連続
とっつぁん最大の見せ場となる、軍人相手に怯むことなく啖呵を切って迫るシークエンスの迫力も他の劇場にも増して最高でした
上映終了後には岩浪音響監督自らが名付けたTOTTSUAUNDという名前と、今作が有本さんの遺作となっていることを合わせた追悼メッセージが画面に映され、最後の最後で涙してしまいました

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

刑事の勘は永遠に……

『PSYCHO-PASS(サイコパス)』の新作・劇場版三部作の二作目の舞台も日本。
但し、メインの時代はTVアニメ1期の少し前の過去。
本作で起きる事件もまた、霞ヶ関のタテワリが障壁になる難事件ですが、
この当時はまだ“伝説の刑事”で、公安局の“猛犬”征陸(まさおか)智己<執行官>が健在。
シビュラの権限が規制される、他省庁の“聖域”にあっても、
征陸の事件への執念は潰えず、その牙は一度食らい付いたら離れません。

ついでに征陸の息子・宜野座<監察官>もこの頃は絶賛反抗期中w
宜野座は家名の通り、{netabare}沖縄が実家。
沖縄絡みの捜査からの脱線が炎の険悪親子関係に油を注ぐことにw{/netabare}
久々に熱い?親子喧嘩もスクリーンにぶちまけられて感無量ですw

征陸や事件の関係者を通じて、組織の中でも折れない個人の信念を感じたシナリオでした。
例えば征陸<執行官>はTVアニメ1期でも、
シビュラが捜査、執行全般を指示する時代になっても尚、
刑事の勘を前面に押し出した、昔気質のデカを貫き通していましたが、
本作でも、その生き様に再会できて熱かったです。

加えて、そんな個人の信念の継承も確かに感じられました。
各省庁の秘密主義が招いた事件は、相変わらず組織が個人を圧殺する後味の悪い物でしたが、
刑事の勘は、先の第一部にて<執行官>に受け継がれていましたし、
本作では、そんな胸糞な事件が続く中でも、たまに感じられると言う
刑事の正義や信念を引き継ぐ意志もありました。


一方で<シビュラシステム>については、今回もまた、
{netabare}硬軟織り交ぜて対立省庁を屈服させる狡猾さが際立ちました。
事件を通じて、クーデターの危険性が最も高い軍隊に対し、暗部と言う首根っこを抑える。
その上で生かさぬよう殺さぬよう、使える武力だけ残して、
貸しも作って<シビュラ>に抗えない体勢に持って行く。

タテワリが壊される様なんかも、通常は規制緩和など革新的でポジティブなイメージですが、
本シリーズのタテワリ打破は、三部作通じて、
霞ヶ関支配の地歩を固めて行くであろう、<シビュラ>の着実さが目立ち薄気味悪いですw{/netabare}


うん……やっぱりシビュラくん、性格悪いわ~w


付記:第二部公開を控えた今月に入って、
征陸智己<執行官>役の有本欽隆氏・食道がんで死去の訃報が飛び込んで来ました。

<シビュラ・システム>の伸長により“伝説の刑事”から
<潜在犯>として公安局の“猟犬”に落されても尚、
自身の矜持を捨てずに、泥臭く食い付いていく征陸の生き様は、
システムに疎外されても消えない人間性を語る上で重要な要素でした。

それを人間味溢れる演技で再現した欽隆さんの声は地味ながら作品に欠かせない物でした。

元々、本作は、{netabare} 生前の征陸を悼む視点{/netabare}もあった上に、
さらに“弔辞”コメントも相次いだという舞台挨拶のニュース等も含めて、
中の人の追悼ムードも加わり、
より故人の遺志というテーマを意識させられた劇場鑑賞となりました。

ご冥福をお祈り致します。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「フットスタンプ作戦」…あそこで、本当はいったいなにがあったんですか!

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第2弾です。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「過去」に位置付けられる作品となります。


常守朱が公安局刑事課一係に配属される前の2112年夏、沖縄。
国防軍第15東郷任務部隊に所属する須藤徹平は、優秀なパイロットとして軍事作戦に参加していた。
三ヶ月後、無人の武装ドローンが東京・国防省を攻撃する事件が発生する。
事件調査のため、国防軍基地を訪れた刑事課一係執行官・征陸智己は、須郷とともに事件の真相に迫る。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

今回の物語の主役は、執行官の須藤徹平さん…
正確に言うと、執行官になる前の軍人だった頃の須藤徹平です。
恥ずかしながら私の記憶から完全に抜け落ちていたキャラでした。

このシリーズは、これまで主人公が次々と事件を解決していくスタイルが主流でしたが、今回の物語は一味違っていました。
確かに事件は発生するのですが、事件を解決するのはあくまで公安局の仕事…
それじゃ須藤徹平はというと…完全に巻き込まれた感じでしたね。

でも、こういう目線も大切だと思います。
何故なら、私たちが何かの事件に関わるなら圧倒的に第3者で巻き込まれる確率が最も高いでしょうから…
生きていて、何度も事件の第一人者には成り得ませんしね。

でも、周囲を巻き込む力…というより、抑え込む力のが物凄く強い事件だと思いました。
最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にしますし、職場にも浸透し始めています。
それから比べると、今回登場した国防軍は明らかに逆行していました。
もちろん、機密事項の漏洩はどこの部署においても絶対禁則事項です。
ですが、職場の風通しという意味では、現代社会と随分なギャップを感じました。
今より未来の世界の出来事なのに…

レビューのタイトルで用いた「フットスタンプ作戦」は、本作品の中で素性が明らかになるのですが、思っていた以上に残酷で、悲しみしか生まない作戦だったのではないでしょうか。
諸悪の根源は、作戦の指揮者にほかなりません。
ですが、例え何も知らなかったとしても、自分が加担していたことを後から知らされたらどうでしょう…
何もかも開き直れる訳なんて…ありませんよね。
だから、潜在犯に認定されるのは、直接犯罪に手を染める以外にも多種多様なケースが存在するのだと思います。

本作では、シビュラシステムにはあまり触れられませんでした。
これまでは、全ての犯罪はシビュラシステムに直結していたので違和感ありませんでしたが、システムに関係無いところでも、事件って起こるんですね。

主題歌はCase.1と変わらず、エンディングテーマは、1期後半のエンディングが使用されていました。
もちろん、Case.1同様リミックスバージョンです。

上映時間が約60分の作品でした。
Case.1とコメントが重複しますが、兎に角物語の濃厚さが半端ありません。
「正義と信念の感じられる仕事」という台詞を耳にしました。
自分も「かくありたい」と思える台詞でした。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

74.0 4 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング4位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」(アニメ映画)

2019年1月25日
★★★★☆ 3.8 (173)
986人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
野島健児、佐倉綾音、弓場沙織、平井祥恵、岡寛恵、小山力也、斉藤貴美子、多田野曜平、中川慶一、花澤香菜、東地宏樹、櫻井孝宏、伊藤静、沢城みゆき
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

青森のサンクチュアリ

『PSYCHO-PASS(サイコパス)』の新作・劇場版三部作の一作目の舞台は日本。
青森の<潜在犯>隔離施設“サンクチュアリ”から脱走した女に関する公安局の捜査に、
不自然な横槍が入ったことをキッカケに、公安局屈指の女<監視官>二人とその一味らが、
青森と東京、前衛と後衛、二手に分かれて喰ってかかる、やや刑事ドラマ色の強いシナリオ。

自動運転が絡んだ事件の発端。行動予測がすっかりスタンダード化した捜査。
あとは{netabare}旧優生保護法絡みの裁判でも問われた、
社会が不適合とみなした人間から出産、育児の権利を剥脱した件とか。{/netabare}
日々アップロードされ続ける社会に対する懸念もふんだんに盛り込みながら、
社会正義の在り方を問いかける構成にはらしさは出ていたと思います。

ただ、尺不足は感じます。
青森を聖域たらしめた根拠となった<潜在犯>更生のアプローチ。
即ち{netabare} 集団心理を活用した個の圧殺による<犯罪係数>低位安定を土台とした“ユートピア”実現。{/netabare}
に関しては特に心理描写の欠落による説得力不足を感じました。

これは1クールに枠が短縮されたTVアニメ2期以来、ずっと感じていることですが、
最近の本シリーズは、着眼点は面白いのですが、
個々の要素の掘り下げはやや物足りない印象が続いています。
『PSYCHO-PASS』は1期みたいにシステムの弊害や穴を突いた犯罪を描き
テーマを投げかけた上でさらに、
社会の変容が個人の価値観や芸術活動に及ぼす影響までえぐり出してこそ価値がある。
と私は思っているので、今回のネタも例えばTVアニメ3期2クール相当の枠内で、
“楽園”で暮らす<潜在犯>の生活感も含めて、
じっくり、ネットリ表現して欲しかったと言うのが正直な所です。

それでも劇場版ならではのSFバトルシーンなど見所はありました。
この第一部では、先輩<監察官>を差し置いて、
公安局のエース(自称)である霜月美佳<監察官>が捜査の前線・青森で活躍しちゃいます♪
正義の名の下に猪突猛進しそうになる、じゃじゃ馬ぶりは相変わらずw
まったく<監察官>と宜野座<執行官>どっちが“猟犬”だか分らなくなりますw

そんな中でも事件を通じて抑える所は抑える。美佳の成長は感じられました。
宜野座<執行官>がこぼした{netabare}「人うまく使えるようになったじゃねぇか」{/netabare}とのひとり言は、
美佳に対する賛辞だと私は理解しています。
但し本人には決して言いません。だって煽てると調子に乗っちゃいますからねw
この辺りは流石に“忠犬”宜野座さん。<監察官>の扱い方をよく心得ていますw

また今回の<シビュラシステム>に関しては、
治安を託し得るか?という論点に加え、政治を託し得るか?という点も強く意識させられました。
何せ毒をもって毒を制するシビュラ君は性格悪いですからw
高度な政治的判断とか任せて良いのか逡巡してしまいます。

特に今回エグいと思ったのはラストにて、やや重大なネタバレになりますが、
{netabare}美佳が<シビュラシステム>に対して事件関係者の人生保証と言う個人の幸福と引き換えに、
システムの欠陥やスキャンダルの暴露を断念した幕引き。
一見、提案したのは美佳だけど、私はこれ絶対<シビュラ>は最初から美佳たちが、
個人への情に価値を置くことを分っていて仕組んだだろうと言う疑念を持っています。

<シビュラ>はシステムのガンになりつつあった青森の<サンクチュアリ>を、
自らの手は直接汚さず、しかもイメージダウン等、切除のダメージは最小限にして、
<潜在犯>をゴミ呼ばわりしていた管理者もろとも、大掃除した。

結局、今回もまた<シビュラ>の掌の上で踊らされていたと私は解釈しています。{/netabare}

うん……やっぱりシビュラ君、性格悪いわ~w

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ここで引き下がったら公安局刑事課のエース、霜月美佳の名が廃るっ…

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第1弾です。
3つの物語の舞台は、約100年後の日本とアジア…その現在、過去、未来に起きる事件が語られるんだそうです。
これまでは、主人公である常守朱を主体として物語が構成されてきましたが、本作の主人公は、何とあやねる演じる霜月美佳監視官なんです。
「格好良い」あやねるボイスを満喫できる作品でした。


2117年冬、公安局ビルに一台の墓相車両が突入する事件が発生。
その運転手は青森にある潜在犯隔離施設<サンクチュアリ>の心理カウンセラー・夜坂泉だった。
しかし取調べ直前に夜坂の即時送還が決定する。
監視官の霜月美佳は、執行官・宜野座伸元らとともに夜坂送還のため青森へ向かう。
そこで待っていたのは、<偽りの楽園>だった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

上映時間が約1時間の作品なのですが、物語の濃厚さが半端無い上、兎にも角にもあやねるボイスが満載なんです。
もう、霜月美佳監視官があやねるにしか見えませんでしたよ^^;

これまで、何か事件が起きると、常守監視官が我先にと現場に急行していましたが、先輩監視官…だからでしょうか。
青森まで送還する役目を霜月監視官に一任するんです。

責任ある仕事を任されるとやっぱり嬉しいですよね^^
あやねるも…いえ、霜月監視官も喜びの表情全開で任務に向かいましたっけ。

サンキュチュアリって「聖域」や「自然保護区」などを意味する言葉です。
ですが、青森の施設は聖域などとは程遠い場所であるのが徐々に感じられるんです。
最初に感じるのは、公安に対する言動の違和感…
ですが、この違和感が途中から激しさを増していくんですよね。
そしてその違和感は「気持ち悪い」と感じるレベルにまで跳ね上がる…

人間は間違える生き物です。
だから人間には他の動物と比べ物にならないくらい修正力が高いから、ここまで進化してこれたんだと思います。
ですが、サンクチュアリでは自分たちに不都合なことは、全て悪になっちゃうんです。
そして悪を見つけたら全力で排除しようとする…
それは、明らかに正しいことを言っていても捻じ曲げてしか伝わらないんです。
それが「気持ち悪い」と思える所以でした。

だからこそ公安の活躍が光っていたんだと思います。
何度もピンチがみんなに襲い掛かります。
でも霜月監視官の不撓不屈の闘志が、みんなの切れそうな糸を繋いでいくんです。
こういう役を演じるあやねるの声質…堪らなく格好良いんですけど!

主題歌は、1期オープニングだった「abnormalize」
エンディングは、2期エンディングだった「Fallen」
どちらもリミックスバージョンになっていました。

このシリーズのファンの方や、あやねるボイスを堪能されたい方にはお勧めの一作なのではないでしょうか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13

アニメ記録用垢 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

霜月美佳とは

霜月美佳という人物(キャラクター)を深堀した作品
今までの彼女の成り立ちと今作、そして今後どうなっていくのかの予想をしようと思う


初登場時(一期)で高校生だった彼女
誰かの意見や考えに左右されず、自分の価値観や感性を大事にし、そして行動していた
これは王陵瑠華子に対する、彼女の反応、そして発言から見て取れる
学園の全生徒(登場した生徒)の誰もが王陵瑠華子に対して、尊敬と憧憬の眼差しを向けていたのに対し
彼女は「どこか違う次元を見てるような眼が怖い」と言い切り、冷ややかな反抗的態度を王陵瑠華子に向けた

この段階では自分の価値観や感性は大事にしているが、二期で顕著に表れる行き過ぎた〝正義感〟は見て取れない
恐らくは、もとい確実に親友の河原崎加賀美を実質、自身の発言――「王陵さんに相談に行けば」――によって殺してしまい
そこから犯罪者(潜在犯も含め)を嫌悪し、忌み嫌う様になったと推測される

彼女の一期での登場は、公安局に配属になった際の、霜月美佳というキャラクターの視点や価値観、特性を説明する為だったと言える


二期では、新任監視官として霜月美佳は登場した
シビュラシステムの在り方に疑問を抱き、潜在犯にも〝平等に接する〟常守朱と対象的に
シビュラシステムに心酔し、過去の経緯から潜在犯も〝ゴミ屑〟かの様な態度と発言をする霜月美佳
 
作中で強がりな面を見せる霜月だが、自身は常に〝正義〟であるを取り繕う為なら躊躇なく責任転嫁をして逃れようとする弱い部分が表に出たり
自身の命の保全の為なら、常守朱の祖母(常守葵)の所在を東金朔夜にリークし
結果殺してしまう――実質殺しておいて六合塚弥生に「同感です」と発言したり――など
視聴者からトコトン嫌われる描写をされる(担当声優曰く、監督の意向だったらしい)
 

そんな霜月美佳だが今作『Sinners of the System Case.1 罪と罰』の物語の中で
シビュラシステムが真の正義ではないということを理解したのか、最後シビュラシステムを問い詰める様な発言と行動をするなど
本来の彼女が持っていたであろう本質――偽りのない正義感――が現れる


二期ではただのヒール役にされていただけの彼女だったが
今後はシビュラシステムを〝正義〟と認識せず、常守朱の様に自身で考え行動する様になっていくと思われる
これからの成長と変化が楽しみだ

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

67.2 5 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング5位
ULTRAMAN(Webアニメ)

2019年4月1日
★★★★☆ 3.4 (107)
370人が棚に入れました
かつてこの世界には〈光の巨人〉と呼ばれる存在がいた。やがて〈光の巨人〉はその役目を終え、遠い宇宙にある自らの故郷へと帰還し、同化していた地球人はそれまでの記憶を失うことで自らの在るべき場所へと戻っていった。ウルトラマンの存在は過去のモノとなり、科学特捜隊日本支部もその役割を終えて、光の巨人記念館へとその姿を変えていた。早田進次郎は多感な思春期を過ごす高校生。だが彼は、自分が驚異的な跳躍力や頑丈な肉体といった人間離れした“普通"ではない力を持っていることを自覚していた。そんなある日、進次郎は父・早田進が、かつてウルトラマンであったことを知る。そしてウルトラマン無き地球に暗躍する宇宙人たちの存在も。進次郎は、秘匿組織として健在する科学特捜隊の井手によって開発されたウルトラマンスーツを着用できる数少ない適合者だった。「単刀直入に言おう――キミにウルトラマンになってもらいたい」

声優・キャラクター
木村良平、江口拓也、潘めぐみ、田中秀幸、諸星すみれ、魚建、牛山茂、竹内良太、花輪英司、関戸博一、津田健次郎、白石稔、曽世海司
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

和洋折衷ウルトラマン

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルはアクション。3Dアニメです。

私は、高評価。でも多分、それは私に「ウルトラマンに対する特別な思い入れ」がないからだと思います。

このアニメ、「ウルトラマンが好き」な人は戸惑うかもしれません。その辺を、レビューに書きたいと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「これはウルトラマンなのだろうか?」という疑問を、私は一切抱きませんでした。なぜなら、そもそもウルトラマンをちゃんと観たことがないからです(何回かは観たことあるよ、名前は知識として知ってるよ、レベル)。

だから私には、「普通に格好良いアクションアニメ」でしかなくて、別に「ウルトラマン」という冠は必要ありませんでした。

「ウルトラマン」というよりは、「アメリカのヒーロー」や、「平成の仮面ライダー」に近いような作風。だから、「和洋折衷ウルトラマン」にしました。

本作の良さとしては、まずアクションの格好よさ。なんか、プロレスみたいだなと思いました。

プロレスの必殺技の中には、「それって効くの?」と思うものが散見されるが、「客はちゃんと盛り上がる」。それは、「粋」という感覚に近く、「効かないとか避けられる」なんて言うのは、「無粋」。

本作も、空手やカンフーアクションのような実用的な動きの中に、いきなり「ウルトラマンらしい攻撃」が入るのが、なんか「ダサ格好良い」。そこは、3Dによる独特のカメラアングルや動きが良い働きをしていて、「ダサ」「格好良い」にしていたと思います。

次の良さとして、ストーリーの面白さ。縦軸として貫くのは、「主人公がヒーローであることを悩み、受け入れるまで」を描くということで、なんか「仮面ライダーっぽい?」と思いました。そこに横軸として、「主人公とアイドルの恋愛」や「星団評議会の暗躍」などがある構成。

特に、「星団評議会の暗躍」は面白くて、誰が黒幕なのか、味方なのかをワクワクしながら観られました。ここは、今後は縦軸になるでしょうし。 

と、私が誉めている部分は、多分、ウルトラマンファンからすると、「邪道」なのでしょう。

プロレス的なアクションは、「ウルトラマンを茶化してる」とも受け取れるし、複雑な世界観は、「爽快さの打ち消し」になるのかもしれない。そもそも、巨大化しないウルトラマンは、もはやウルトラマンじゃないという怒りもあるかもしれません。

私も、もし自分が好きな「ロードス島戦記=キャラがロボットに乗ってモンスターと戦う」とか「ガンダム=モビルスーツ同士でラブコメ」とかやられたら、「ふざけんなよ」「俺の思い出汚すなや」って思うでしょうしね。

賛否両論ある本作。どちらの評価にするかは、やっぱり、観て自分で判断するしかないように思います。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ウルトラマンのその後として、しっかり面白い。オッサンが格好良いアニメは、良い。

2話目 ☆4
バトル、急に地味になったけど(苦笑) 地面に投げても効かねえだろ。なんかちょっと、ハリウッドだな。変身のところは日本っぽい。トータルて、面白い(笑)

3話目 ☆3
なんか、ヒーロー願望で戦う、某大介を思い出すな(笑) グロのギリギリラインでちゃんと止めてるあたりが偉い。

4話目 ☆4
なんか、やたらプロレス技が目立つ。オスプレイみたいな戦い方だな(笑) 迫力のバトルを満喫。

5話目 ☆3
異星人街。セブンが意外と好意的? 民族差別をするタイプではないのかな。ジャック。帰ってきたウルトラマン?

6話目 ☆4
セブン、強いな。彼は、ただの人間なの?

7話目 ☆3
バトルは流石に格好良いわ。ヒーロー願望か。

8話目 ☆4
なんか、随分とひねくれた話になってきたけど、かなり面白いな。

9話目 ☆4
エース登場。さらに状況が混迷してきたな。

10話目 ☆4
エース。天才技士。本当に、色んな人の思惑が複雑に絡んでる。

11話目 ☆3
なんか、ややコメディタッチ。めっちゃ簡単にバレてるw これはセブンに殺される案件(笑)

12話目 ☆4
星団協議会、ゼットン。誰が敵で誰が味方か。

13話目☆
セブン強い。エース熱い。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

このCGに魅力を感じないので辛い…話は前半は面白いです。

 まずCGです。IGはどうしちゃったんでしょう?なぜ、この方向でいいと思ってしまったのが分かりません。新しい「攻殻機動隊」もそうでしたね。「ガメラ」とか「ヤキトリ」とかもこういうテイストなので、ネトフリ仕様?なんでしょうか?
 SOLA DIGITAL ARTSというところが共同制作でこっちがCGなのかな?まあ、ただIGということで話を進めます。

 こういう作品って結果的に日本でもアメリカや中国でもあまり話題になってない気がするのですが。アメリカの3DCGって「トイストーリー」とか「ミニオンズ」とか「モンスターズインク」とか結局「デザイン化されたキャラ」なんですよね。それかアナ雪みたいな従来の2Dアニメを立体化した感じといえばいいのでしょうか。

「シドニアの騎士」というかMMDというか、なんかそっから進化した(いや進化が感じられない)みたいな3DCGっていつまで使うんでしょう?これは不気味の谷でもあるし、安っぽくもあるし、手塚的な記号にもなってないし…正直なんでこの系統にこだわるんでしょうか。「楽園追放」がそう言えばこの系統かな?あれが結局一番見やすかったりして。

 結局ヒットした「鬼滅の刃」も「ワンピース」も2次元アニメだったし「スーパーマリオ」は「デザインキャラ」系統です。今、やっているちょっと人気のTV作品…例えば「フリーレン」「陰実」「薬屋」辺りと比べて、どっちが魅力かとか考えないんでしょうか?

 このネトフリが推しているのかIGの技術なのかどうも本作のような3DCGは好きになりません。「PLUTO」みたいなの作れるならそっちで行って欲しいなあ。「PLUTO」の話は評価してませんが、画面は最高でした。

 それと演技ですね、CGの。変身後のウルトラマン等は、人間のCGよりはカッコ良くて見られるんですけど、動きというか演技がカリカチュアライズされすぎたハリウッド映画の役者を物まね芸人が大げさに真似ているような動きです。共感性羞恥が発動するレベルで、ひどいです。

 で、本作のストーリーです。面白いです。初めのうちは。ウルトラマンが去った後に残された地球の話です。メンインブラックの黒メガネをウルトラマンがやっていて且つシリアス版という感じです。アイドルが絡むのでちょっと雰囲気とか世界観は「鉄腕バーディー」も思い出しました。

 アイドルとの絡みがご都合主義だったりしますが、ウルトラマンとは?という定義の問題とか、スペシウム光線の設定とか、ウルトラマンだった早田隊員の呪いと血の話、連続殺人犯、懐かしの怪獣○○○○の立ち位置などで、かなりドキドキワクワクする話でした…途中までは。

 ただアイデンティティ問題とか正義の問題とか、言葉ではなぞっているんですけど、なんか軽いんですよね。SF的なメカの設定も結局なんなのか謎の提示もないまま未来メカで来ちゃったし。セブンとかエースもいいんですけど簡単に登場させすぎて軽ーい感じだし性格造形がありきたりというか…

 CGに拒否感が無ければ、前半はかなり面白いと思います。ただ、後半はほぼドンパチです。
 2期以降で主人公のアイデンティティ問題をやるのかどうかと、アイドルちゃんと恋愛しちゃうのかどうか、は気になりますけど…どうしようかなあという感じです。

 まあ、せっかくネトフリ加入期間なのでこの後、23年の作品の3期まではチェックしたい気もします。が、画面が辛い。2Dアニメ好きにはハードルが高すぎる…

 ストーリーは前半評価で3.5(前半4、後半2.5の辛うじて四捨五入)。ビックネームのウルトラマンの名前を借りてますが、その名前を使った導入は面白いのでいいと思います。
 キャラは…うーん、アイデアはいいです。アイドルの出番が無理やり感はありますが唯一魅力があるキャラとも言えます。4かなあ。
 作画は評価できません、1と言いたいですけど最後まで見た作品なので1.5にします。
 声優と音楽は正直CGが気になりすぎて楽しめません。評価なしの3で。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

俺たちが、ウルトラマンだ

この作品は、あのウルトラマンのフル3DCGアニメです。
グリッドマンがアニメ化された時も驚きましたが、これにはホントにビックリです。
円谷プロの看板作品でこれまで特撮にこだわってきたウルトラマンが、アニメ化されたのですから…

でもウルトラマンの設定が大きく異なっていました。
まず、今回登場するウルトラマンはM78星雲光の国から来る訳ではありません。
物語の舞台は、ウルトラマンが異星人の侵略から地球を守り、使命を終えて地球を去ってから40年後の世界…
そして40年の年月をかけて人類は繁栄の時代を築き上げてきました。

ですが、それは表向きの平和でしかなかったのです。

かつてウルトラマンと同化していた科学特捜隊の早田進は還暦を迎え、今では一人の息子を持つおじいちゃん…
早田進の一人息子である早田進次郎は、生まれながらに特殊な力を秘めていました。
進次郎が高校生になった頃…これまでの平和を揺るがす一大事が起きたのです。

考えてみると、その事件が全てのきっかけでした。
突然謎の敵に襲われた進次郎を助けたのは父である早田進…
早田進は自分がウルトラマンだと告白し、ウルトラマンスーツを纏って進次郎を守ろうとします。
ですが、還暦を過ぎた人間がウルトラマン本来の力を引き出せるはずもなく、あっという間に劣勢に…
父親が傷付いていくのを目の当たりにして、子どもの心が動かないはずがありません。
進次郎もウルトラマンスーツを身に纏い、何とか謎の敵を撤退させることに成功するのですが…

これがこの物語の序章…
進次郎は進に代わる「新たなウルトラマン」になることを要請されるのでした。
これまで秘密裡にしてきた異星人の襲撃から地球を守るため…
こうして進次郎の物語が動いていきます。

生まれながらに秘めた特殊な力…
このフレーズだけ見ると魅惑の塊のようです。
だって、誰もが一度憧れた能力なんですから…

一睡もしなくても疲れを知らない身体…
自宅と行きたい場所とを瞬間的に繋いでくれる能力…
一度覚えたら絶対に忘れない記憶…
こんな能力があったら良かったのに…なんて考えたり?

でも、自分の能力に見合った責任や使命が課せられるのも世の常ですが、進次郎に任せるのは時期尚早だったのかもしれません。
そもそも自分の能力に見合った責任や使命って、高校生に理解できるかと考えると正直難しいと思います。
だって、その頃って自分の事だけで精一杯だから…

能力が高いからウルトラマンを要請される
ウルトラマンは正義の見方だから、悪い敵から地球や人々を守らなくちゃいけない
正義の味方は守るのが当たり前…
そこに落ち度があったら徹底的に責められる…
正義の味方に自ら志願した訳じゃないにも関わらずです。

だから、この作品は進次郎の成長を見守る物語…
彼の正義の貫き方…悪くなかったと思います。

進次郎の事が気になる女の子…すみれちゃん演じる人気急上昇中のアイドル 佐山レナの存在は大きかったです。
地球外生命体とは全く無縁の彼女が、どうして進次郎と知り合い騒動に巻き込まれていくのか…
彼女の出生に関する時期的な矛盾はありましたが、すみれちゃんの熱演に圧倒され気付いたのは後からでした。
物語が面白ければ、結果オーライという事なんでしょう。

現代に蘇ったウルトラマン…フル3DCGの旨味を全てつぎ込んで作られた作品は、往年の名作とはまた違ったテイストが感じられました。
ウルトラマンスーツを身に纏った彼らの格好良さは半端ありませんでしたよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、OLDCODEXさんの「Sight Over The Battle」

クール全13話の物語でした。
毎週の視聴が溜まっていますが、面白くて思わず一気見しちゃいました。
物語としても中途半端なところで終わっているので、続編制作前提なんだろうなぁ…なんて考えています。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19

75.4 6 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング6位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に」(アニメ映画)

2019年3月8日
★★★★☆ 3.9 (156)
952人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
関智一、諸星すみれ、本田貴子、志村知幸、磯部勉、高木渉、鶴岡聡
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終わりなき自分探しと居場所探しの果てに……

少し前、世界を旅すれば人生の指針も自分も発見できると言う、
旅万能論に基づいた自分探しの旅がもてはやされた時代がありました。

実際には、サッカー選手が世界を旅して改めてサッカーに関わりたいと思い直す。
くらいの心のリフレッシュ効果があれば良い方で、
旅先で人生前後不覚になり“沈没”するリスクまであると言うのに。
俺は旅で夢を見つけたと自身の半生を伝説化する経営者など、
旅が美化される風潮に私はある種の気色悪さを感じたものでした。


このような捻くれ根性で、本作を劇場鑑賞した私にとって、
狡噛慎也が長い放浪の旅の果てに辿り着いた、
ヒマラヤを望む「チベット=ヒマラヤ同盟王国」
その絶景はシャンバラさながらの理想郷の姿をしながら、
内実は、麓の都市文明同様……いやそれ以上に矛盾を抱えたディストピアそのもの。

因みに現実のヒマラヤ山麓も、麻薬問題、貧困による児童人身売買が横行。
“幸福度世界ナンバーワン”の触れ込みで度々来日してくる某王国も、
足下では内紛の火種を抱えているのです。

この世の果てとも言うべき、“世界の屋根”に至っても尚、
人は、狡噛もまた、己が背負う過去や宿命から解放されることはない。
作品内世界、リアル世界共に、乖離しがちな理想と現実に
私は苦虫を嚙み潰しながら、
復讐に囚われた少女と向き合う狡噛の姿を見ていて、
もう旅もそろそろ終わりで良いのでは?と何度も語りかけたくなりました。

さらに極めつけだったのは黒幕の所業。
(※重大なネタバレ有)
{netabare}傭兵ガルシアに至っては、平和維持活動による世界平和という理想郷を演出するため、
鎮圧すべき紛争を自作自演して、己の存在意義をでっち上げるマッチポンプぶりを披露。
過去の自分の理想像に囚われ、シャンバラを汚す人間の姿はどこまでも哀しいです。{/netabare}

よって……(※ラストの重大なネタバレ有)
{netabare}日本帰国の決断に至った狡噛の心情は筋が通っていると感じました。
狡噛が行った復讐とそれにより生じた諸々の葛藤のモヤモヤを晴す
万能薬は世界の何処にもなくて、
やはり、狡噛自身が、発端となった日本で解決する以外にないのだと納得しました。{/netabare}

結局、己の運命を決めるのは、旅先の壮大な自然風景ではなく、
自分自身の心の風景次第。
私の中の旅万能論への懐疑が一層、強まる(苦笑)
苦味が利いた有意義な映画鑑賞となりました。



主人公らを一新して迎えるTVアニメ3期は、本劇場三部作でも描かれた
シビュラが社会を統制するシステムとしての地歩を固めるため、
繰り広げて来た、霞ヶ関内での暗闘が引き続き背景になるものと思われます。

これまで厚労省のシビュラVS他省庁については、
本三部作第二部では、{netabare} 国防省{/netabare}の威信を失墜させる陰謀が明らかとなり、
TVアニメ2期では、{netabare}「パノプティコン」で社会基盤の座を争う経済省{/netabare}の野望粉砕の過去が明かされ、
他にも、政官の中枢にまでシステム末端を食い込ませる策士ぶりを見せています。

そして、今回、前作劇場版&本三部作を通じて次なるライバルとして
{netabare}外務省{/netabare}の暗躍が強調されました。
旧世紀、伏魔殿と恐れられた難敵。シビュラも相手にとって不足はないでしょうw
伏魔殿の手先たるフレデリカさんも金髪美人だし、巨乳だし、
スナイパーだし、雑賀流・心理学の使い手みたいだし、
何より“棄民”とかシビュラの痛~い所をネチネチと突いてくるし、
排除するにも一筋縄ではいかないでしょう。


ただ、本劇場三部作は2期、劇場版1作目と3期をつなぐ上で事前に予習必須なのか?
と言うと何とも微妙なところと思っていて。

3期を視聴していて、例えば、新主人公コンビの脇に回された旧作メンバー等を見ていて、
おや?こんな人間関係あったっけ?と気になった時なんかに、
或いは、黒幕が過去何をしていたのか知りたくなった時なんかに、
フラリと本三部作に舞い戻る感じでも遅くはないのかなと私は思っています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

わたしの、先生になってもらえませんか

この作品が、2019年に上映された劇場版アニメ三部作のラストになります。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「未来」に位置付けられる作品となります。


2116年に起きた東南アジア連合・SEAUnでの事件後、狡噛慎也は放浪の旅を続けていた。
南アジアの小国で、狡噛は武装ゲリラに襲われている難民を乗せたバスを救う。
その中には、テンジンと名乗るひとりの少女がいた。
かたき討ちのために戦い方を学びたいと狡噛に懇願するテンジン。
出口のない世界の緑辺で、復讐を望む少女と復讐を終えた男が見届ける、
この世界の様相とは…。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

作り手の粋な計らいを感じます。
まさか、2015年に公開された劇場版の後日談と、こんな形で出会えるとは予想だにしていなかったので…。
そっか、ここで狡噛が出てくるのか…
劇場版のラストシーン…あんな形で狡噛をばっさり切り捨てるなんて、奥歯に何かが挟まっていた感じはあったんですよね。
この計らいも計算されたモノだとは思いますが、頭の中で点と点が繋がる瞬間はやっぱり嬉しいです。

でも、点と点が繋がるのは狡噛の件だけじゃないんです。
第2作「Case.2『First Guardian』」でチラッと登場した方も本作ではキーパーソンになっていました。

しかし狡噛さん…
どうして自分の居場所を無くす…未来の可能性を削る生き方しか出来ないんでしょう。
狡噛の選択は概ね間違ってはいないと思うんです。

そりゃ、過去に超えてはいけない一線を超えたことはありました。
それが原因で日本から脱出せざるを得なかったことも理解しているつもりです。

ですが、SEAUnの事件の時…折角繋がることのできた旧知の仲間との接点まで
切り捨てる必要は無かったんじゃないかと個人的には思っています。

放浪の旅…吟遊詩人みたいで聞こえは格好良いかもしれませんが、特定の居場所を持たず、衣食住がままならなず、加えて狡噛の目指す先は何時だって戦場なのですから、命の保証だって無いんです。

確かに、狡噛が放浪の旅を続けていなければ、目の前で親を惨殺され復讐を誓ったテンジンとの出会いは無かったかもしれません。
ですが、彼がそこまで自分を徹底的に推し殺さなければいかねい業を背負っているとも思えないんです。
あくまで個人的意見ですけれど…

「あなたには救える人がいる…やることがある…」
物語の中で流れてきたこの台詞が耳に残っています。
この一言が狡噛自身の救いになったのではないかと思っています。
だって、物語の中で彼は物凄く大きな決断をするのですから…

一連の出来事の中狡噛が何を拾うのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングアニメは、3部作に合わせて全て刷新されていました。
主題歌はCase.1と変わらずですが、エンディングはリミックスされた「名前のない怪物」でした。
「名前のない怪物」って、原曲のクオリティが鬼懸かっているんですね。
だから、どの様な形に編曲されても格好良さが失われない、というのが分かりました。

アニメーション制作はProduction I.Gさんなので、クオリティは折り紙付きです。
3期視聴を待ってでも先に視聴する価値のある劇場版だったと思います。
これでようやく…待ち望んでいた3期が視聴できます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

うにゃ@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

悪霊は過去からやってくる

劇場版3部作 Sinners of the System
なので3部纏めて評価。

1部
霜月と執行官になった宜野座の話。常守は裏方。
霜月が特にシビュラ信者な所は霜月らしくてよい作品。
縦割り行政で厚生省が手出しできない経済省の潜在犯隔離施設〈サンクチュアリ〉の潜入捜査話。
精神的にもアクション的にも宜野座が素晴らしい。

2部
過去編で宜野座の親父、征陸さんと2期で執行官、3期で外務省行動課の須郷がメイン。キャラの関係性等1期を思い出しながら視聴しなくてはならない。
懐かしいだけでなく、展開もスピーディーで、親父共のハードボイルド。フレデリカが須郷を外務省にスカウトするが断る所に執行官になった征陸さんへの想いの回想話。
正義とは何か、征陸さんの刑事魂を熱く伝える作品。
ただ、国防とシビラシステムとの関係性等興味深いが、結局フットスタンプ作戦は、西安のに対抗する軍閥組織殲滅もいまいち何だったのか、何のためにしたのかわからなかった。

3部
劇場版の後、放浪の旅をしてる狡噛をフレデリカが外務省にスカウトする話。復讐を果たしたいテンジンに狡噛が復讐の無意味さを伝えようとする作品。
短い時間の中でのシビラシステムの外の世界、海外の軍事紛争地域の話の魅せ方はわかりやすい。
狡噛とテンジン・狡噛とフレデリカとのやりとりから、日本に帰国するまでのきっかけ、というか経緯はよく練りこまれている。

3部とも劇場版なので当然なのかもだが、1話1話60分程度なのでわりと時間はタイトなのによく作りこまれ、奥の深い作品。

100点中85点

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1
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