SFで頭脳戦なおすすめアニメランキング 12

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのSFで頭脳戦な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月07日の時点で一番のSFで頭脳戦なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

87.2 1 SFで頭脳戦なアニメランキング1位
アルドノア・ゼロ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (2725)
14309人が棚に入れました
火星の騎士たちが空から降ってくる。鋼で作られた巨人を駆って。地球人類を職滅するために。監督・あおきえい、ストーリー・虚淵玄のタッグで制作されるオリジナルTVアニメ。

声優・キャラクター
花江夏樹、小野賢章、雨宮天、三澤紗千香、小松未可子、村田太志、加隈亜衣、山谷祥生、大原さやか、中井和哉、鳥海浩輔、茅野愛衣、嶋村侑、水瀬いのり、速水奨、大川透、櫻井孝宏、安元洋貴、河西健吾、斉藤壮馬、古川慎
ネタバレ

Etzali さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

戦争が、こうまで人を変えるなんて…

(2014.7/13 1話)
火星に人類が進出して幾年たったとある時代の地球。  

火星文明のテクノロジーを利用している点では「機動戦艦ナデシコ」と似た設定ですね。
{netabare}共存関係ではなく対立もしくは主従関係らしき火星との関係性と、学校でのロボット操縦技術の授業があるという事は自衛のために学生でも訓練せざる負えない状況なんでしょうか?

火星側としてはアルドノアテクノロジーをこれ以上、地球に渡したくはない。だから協調路線を謳う姫君を利用し、火星内部の犯行を地球側へと擦り付けアルドノアを守るという大義名分を掲げた戦争を行おうとしている。{/netabare}

これから、戦局がどう動いていくのか?まぁ原案が虚淵さん、監督・あおきさんの「Fate/Zero」コンビなので破滅的なシナリオになりそう…


(2014.7/24 2話)
{netabare}想定内の上での行動は慣れているが、想定外の事には対応できない。パニックになるか・呆然とするか・逃げ出すか、特に圧倒的な力の前では呆けるしかない。
ただ、これはもう交戦・戦闘状態なんかではなく単なる蹂躙だよ…・゚・(ノД`;)・゚・

神は1週間で世界を創ったとよく言いますが、ヴァース帝国は1週間で世界(地球)を滅ぼす事も可能だろうな。

それにしても、地球側の主人公・界塚伊奈帆の奇妙なまでの落ち着きっぷりは何だ!?ホントに高校生か?

アルドノアを全身に纏った戦い方には制限時間があるようなので、まだアルドノアに対抗できる可能性があるかも…{/netabare}


(2014.7/31 3話)
{netabare}火星カタフラクトと交戦する事を決意した伊奈帆たち学生。前回の戦闘で何かしらのヒントを得たようですが、技術力・戦力が天と地の差ほどあるヴァースにどう対抗するのか!?

それと、気になるのがヴァース側に居るスレイン(もう1人の主人公?)が伊奈帆たちと出会う事で戦局が大きく変わるのでしょうか?まぁ、今の所なかなか出番がないですが…

いよいよ戦闘が始まったが、まさか伊奈帆の予測がほぼ100%当たるとは…いくら不意を突いたと言っても出来すぎているだろうに^^;

少年たちが戦場で出会った彼女は、今度こそ地球とヴァースの架け橋となれるのか!?{/netabare}


(2014.8/5 4話)
{netabare}スレイン、アセイラム姫の為ならとことん堕ちていきそうな危うさがありますね。それと正反対の伊奈帆は、坦々としながらも耽々としている。

そのアセイラム姫は、ヴァース皇帝に今の現状が伝われば戦争は回避できると信じている。が、いつしかヴァースと地球という対立構造がヴァースvs地球vsヴァース内反乱軍の三つ巴の展開になる可能性だって秘めているはず。

それに、本当にそれだけで戦争が回避できたとしても死んだ者は帰ってはこないし、また憎しみも消えるわけではない。
「アルドノアがあるから、こんな事は…」と言った感じでアルドノア・ゼロ、文字通りアルドノアの無い世界へと変えていく展開になるんでしょうかね?

その為には伊奈帆たち地球側の戦力だけでは不可能。だからスレインと協力してヴァース(火星)の最先端のアルドノアテクノロジーを地球にリークして共に戦う事で世界を変えるキッカケを創る?


それにしても追撃してきた軌道騎士の機体、前回が防御重視だったのに対して今回は攻撃重視とか極端すぎる気が…
何とか伊奈帆の作戦と周りの協力を得て難を逃れたが、今後もそう上手くいくとは限らない。

ついにスレインが伊奈帆と会いまみえる時が!?でも、地球人を撃つ事を躊躇っていたスレインがどこまで非情になれるのか?見物ですね。(トリルラン卿の時は容赦なかったですけど^^;){/netabare}


(2014.8/12 5話)
{netabare}てっきりスレインは地球生まれの火星育ちだと思ってたんですが地球から火星へと不時着した所を見るとそうではないようです。
しかし、スレインは地球人なのにまだ優遇されている方。アセイラム姫の厚意だけでここまで違うのか。

火星騎士が地球を侵略する事に対して火星側のトップであるレイレガリア皇帝は、快く思っていない?
ともあれ火星騎士は皇帝を敬いつつも、どこか見下している感じがする…
また、トリルラン卿の一件からも火星騎士は互いに利害が一致しているから共闘しているだけであって、決してそれ以上のモノは無くあわよくば火星騎士自らがヴァースを統治しようとしている?

武勲を挙げて取り立ててもらうのと、自身の名誉の為に邁進するのは場合によっては紙一重なような気がするけれどもな。
火星騎士、なまじ騎士としての誇りが高い故にそれ以下であれば他人よりも自身を優先して行動する…そんなんで火星を担う者とは到底思えない。


「犯した罪は魂にこびり付いて、いつまでも付き纏う」

それは、『空の境界 第1章 俯瞰風景』で用いられた言葉を借りるなら「我々は背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道で罪を背負うべきだからだ」という事を体現して生きてきた・生きることになったマリト自身に対しての皮肉の言葉なのかも。

「巻き込まないで。」と言ったライエはこれ以上、戦争に関わりたくないと言う気持ちの表れではなくライエの心情とは異なったアセイラムの意思に巻き込まれたくないという、ある種の強い意志の表れなのかな。

戦いを避けられないと知った上での伊奈帆の行動と、争いは避けられるはずと思ったスレインとの行動ではどちらが正しいのか?
まだ分からないですが、きっとどちらも正しい行いだと思います。

アセイラム姫の暗殺を企てた黒幕の正体が判明したのは良いですが、どう対処していくのか?
また、トロイヤード伯爵の子爵であるスレインですが親子揃ってヴァースに利用されて幕を閉じる形になっていく!?{/netabare}


(2014.8/16 6話)
{netabare}ヴァース側の突然の侵略が行われて日も浅い中、正式に宣戦布告を地球側へと提示した。

ん~、ここまで一方的に好き勝手やっていて地球側のなす術がない訳ですが、トリルラン卿の強襲してきた時のような絶望感薄れてきている気がします^^; 
また、ヴァースと地球の架け橋となれずに戦争のキッカケを作らされてしまったアセイラム姫が今後ヴァースに帰還することはあるんでしょうか?

あるとするなら、ヴァース帝国内部の権力争いが激化(現皇帝レイレガリア容認派・火星騎士派(クーデター)・協調路線派(アセイラム擁護)に分裂)した時になる?あくまで予想ですが…

スレイン(アルドノア開発に貢献したトロイヤード博士の子爵)とアセイラム(アルドノアドライブの力を引き出す鍵となる皇帝の孫娘)が、アルドノアテクノロジーに触れる事でアルドノアの解析が進むとヴァースにとって何か不利益があったりして。

種子島レポートの一件ように事実と異なる史実が真実になろうとしていた事を思うと、1話で説明されていたヴァース建国の流れも本当なのか怪しくなってきます。

ヴァース側のカタフラクト、ずんぐりした形が多いですが今回はその形に合った性能でした。まさかのロケットパンチって、マジンガーZもびっくりの耐久性&ヴァルヴレイヴ4号機っぽさ!

それにしても、伊奈帆が練習機から乗り換えるのはいつになるのか!?{/netabare}


(2014.8/27 7話)
{netabare}ついに、スレインがヴァースを脱走した訳ですがアセイラムを救うにあたり何か心当たりがあるようでもない。
このままだと、上手く見つけられたとしても地球側にとってはヴァースに地球人が居るなんて思いもしないから助けられるか分からないんじゃ…

それでも、かつての自分を救ってくれたせめてもの恩返しのつもりでアセイラム姫を救出したい!という強い思いは伊奈帆たちに届くのか!?

スレインが逃亡の際に用いたスカイキャリアーは、各火星騎士のカタフラクトを運ぶ運搬機にしか過ぎない。
今後、伊奈帆と共にヴァースと戦うのなら伊奈帆もそうだがスレインもそれ相応の戦力が必要になってくる。それをどう確保するかは次回以降に期待するとして…

―――妄想①―――
{netabare}徹底的に地球人を排除しようとする火星騎士たちのやり方は、なまじアルドノアテクノロジーを発見・活用したせいなのかも。
かつてのレイレガリアが火星でアルドノアを発見した事で、「このまま地球にアルドノアを持ち帰っても別の誰かに利用されるだけ」と思い、そうなるぐらいならいっそ、自らの手で火星という新天地に国を造った方が得だと考えた。
だったら、ヴァース軍人(元・地球人)に地球人は敵対すべき存在なのだと教え込んでいても不思議ではない。{/netabare}
―――――――――

また少年たちが大切な者を失い・守ろうと戦い赴く中、一人かつてのトラウマ・残響に未だ囚われ続けている者はこのまま終わってしまうのだろうか。

「種子島」というワードは鞠戸だけでなくヴァースにも関係しているようだが…まさか15年前の出来事は、ヴァースが初めて地球に侵略したが不慮の事故(ヘブンズ・フォール)に遭った(本来なら、そこで地球侵略は完了していた?)。15年たった今あらたに地球を侵略(アセイラムを利用して口実を作った事で)しようとしてるのが公になるのを恐れているのか?

―――妄想②―――
{netabare}レイレガリアが地球との休戦を自らの意思で行った所を見ると、彼はまだ地球に未練がありあわよくば地球へ帰還したいと思っている?
15年前の火星カタフラクトはレイレガリア自身が操縦していて自分だけでも地球に帰還したいと思うがあまり単機(スカイキャリアー付)で降り立った所にヘブンズ・フォールが起き、何とか一命を取り留め火星へと帰還するも思うように意思は伝えられず、現状の傀儡政権が誕生した?{/netabare}
―――――――――

スレインの事をコウモリと呼んだ伊奈帆の真意は?

強者がいない所で弱者が幅を利かせるという意味に対しての隠喩!?
(スレイン自身、アセイラムの厚意が無ければ弱者だった。アセイラムが居なければ何もできない奴と思っているのでは?)(もしくはスレインを、ヴァースの下っ端だと思ってるとか…アセイラムがスカイキャリアーの役割を解説していたシーンがあり、それを戦闘を指揮していた伊奈帆が聞いていた可能性も。)

それと今回で最初で最後?となるのか、伊奈帆とスレインの共闘。


窮地に立たされたとはいえ、本来の姿を曝してしまったアセイラム姫は大丈夫なのか!?{/netabare}


(2014.9/3 8話)
{netabare}アルドノアを持つ戦艦デュカリオンをアセイラム姫が起動させたのは、神話に基づくデュカリオンがアセイラムそのもので地球側にとっては、まさに神の火なのだろう。
しかし、プロメテウスの子はデュカリオンなのだがレイレガリア皇帝にとってアセイラムは孫にあたる存在になる。という事はデュカリオンの艦長はアセイラムの父親だった?

スレインがいきなり拷問を受けている唐突なカットはインパクトを与える為なのか?その過程が描かれていないので分かりづらいですが、そこは視聴者にイマジネーションを膨らませるための演出だと思うと悪くない感じです。

スレインがアセイラムを利用される事を恐れた時に、伊奈帆が映ったのは後々、スレインがザーツバルム卿の洗脳を受け、アセイラムの理念(地球とヴァースの共存)を達成する為と言いくるまれ、アセイラムと伊奈帆に敵対する展開に!?

ザーツバルム卿のカタフラクト、GガンダムのマスターガンダムもしくはガンダムUCのバンシィに似てるwww 音楽を澤野さんが担当しているから何かしら関係あるんでしょうか?(UCの方)


鳥、それは人にとって時には希望を抱かせる存在であり(ライト兄弟しかり)、時に恐怖を思わせる存在(はるか昔の人々は鳥を未知の生物だと認識していた)。{/netabare}


(2014,9/7 9話)
{netabare}ついに、アセイラム姫の暗殺を企てたザーツバルム卿とスレインが対峙。 

今更ですが、OP映像の最後の所でアセイラム姫は誰に銃を向けているのでしょうかね?涙を流しているからには、伊奈帆かスレイン?

ライエはアセイラムに嫉妬しているのだろう。自身が火星から来た事を簡単に打ち明けてしまったり、またアセイラムの身分が皇族であるのに自分はそうではない。
さらにはライエが好きでもない地球に降り、ヴァースの為・自分が火星でより良い生活を送るために尽くしてきたのに同じ火星人に最愛の父を殺された心情としては、嫉妬どころではない憎悪すら芽生えても仕方がない。

「どうして私は、あなたように生きられないの…」と言ったのでしょうか?それができないなら、その原因を絶ってしまえ!と言わんばかりの表情。けれども、投げやりな感じは否めないです。


ところ変わって、ザーツバルム卿の妻が15年前の種子島に降下していたという事・戦艦デュカリオンの名を聞いた時のザーツバルム卿の表情から察するに、あのアルドノアのパイロットはザーツバルム卿の妻であるオルレインだった!?


アセイラムは本当に二度目の死を迎えたのか?そうだとしたら利用しようとしていた伊奈帆はどう動く!?
(まぁ、もともとライエは火星の人間な訳だからライエ自身にその事をはかせてヴァースとの取引材料にする?)
また、アセイラムに忠誠を誓っているスレインがとことん堕ちていく展開に!?{/netabare}


(2014.9/17 10話)
{netabare}前にも書いたと思いますが、伊奈帆は本当に高校生なのか!?人の死が間近に迫っている状況で慌てる様子やたじろぐ事もなく当然のようにやって退けてしまう精神力・場数の踏みの多さ?は、異常なように映って観える。
「学生は(人口呼吸を)真面目にやりません、冷やかすだけです。」と言ったマグヴァレッジ艦長の言葉に「命が係ってます。」と答えた伊奈帆にとって、死は他人より身近にあったもの?

伊奈帆の両親はヴァースへと何らかの理由で赴こうとして、ヘブンズ・フォールに巻き込まれ死亡した?

だから、伊奈帆は平然としてアセイラムの命を救う決断ができ、冷やかすどころか大真面目に事を行った。
(もしくは耶賀頼医師と血縁関係にある?まぁ、ただ単に容姿が似ているだけという理由なんですけど^^;)

ライエが銃口を向けている間、アセイラムはライエからは見えない位置に居るのにそれでもしゃべり続けていたシーンがありましたが、まるで伊奈帆に感情をぶつけているみたいになっていたのでもしかしたら伊奈帆は火星人だったりして…


何はともあれ、ようやく本部にたどり着いたデュカリオン。だけど、アセイラム姫がまた利用される感じになるのではないかと思うのは気のせいかな?


アセイラムの演説の際、ザーツバルム伯爵が憎しみに満ちた表情ではなく哀愁・憐みを思わせる表情だったのは意味深ですね。
スレイン、公式の画像を見る限りではニロケラスに搭乗するのかと思いましたが亡きクルーテオ卿のタルシスに乗る事に!?

タルシスの由来がカタルシスとするならば、スレインのアセイラムへの忠義が知らず知らずの内に苦となっていて、それを浄化する事で何らかの変化が訪れる?{/netabare}


(2014.9/24 11話)
{netabare}アセイラム姫の言葉に対して「戦争ですから…」と答えた伊奈帆の気持ちは、きっとアセイラム姫への好意を悟られない為なのだろう。
またアセイラムの本当の想いがヴァースへと届くことは無かった。ヴァース側に姫が正式に生きている事を知らせば、戦争を終わらせられるかもしれない…という地球の最後の希望を打ち砕く事で、地球の人々をさらなる絶望へ堕とす。そうなれば、今度こそ協調路線を謳うアセイラムの信頼は失われヴァースへの敵対心は積もる一方になる。
そうなる事を知った上でザーツバルム卿は、あくまで個人的な復讐の為に自国であるヴァースをも利用している?

だとしたらアセイラム姫は、死んでいても(地球側の暗殺という理由で)戦争の火種にされ、生きいても(地球の人々の想いを弄んだという事で)戦争激化へのキッカケをつくる事になっていくのなら死ぬよりも辛い想いだろうな…
彼女は戦争の為に生かされ戦争に殺される運命なのか!? 

そんなアセイラムには、まだ希望が残っていると思うんですけど…スレインや伊奈帆とかね。
でも、「もう軌道騎士の愚行を止める者はいないのですか。」って事はやっぱりアセイラムを救うのはスレインか?

前回、アルドノアドライブが停止したタルシスが出てきましたが、もしかしてアセイラムがアルドノアドライブを起動させ、その因子をスレインに与える事でアセイラムを守る騎士になったりして。

そのスレインの想いとアセイラムの想いはハッキリしてますが、伊奈帆の想い・信念だけがあまり描かれないのは何か意図があるんでしょうか!?{/netabare}


(2014.9/26 12話)
{netabare}満身創痍の中、ザーツバルム卿の揚陸城へと進攻する伊奈帆たち。戦火にありながらも相変わらず淡々としている伊奈帆は今まで幾度も戦争を体験してきたかのようなに話しているので伊奈帆は火星人ではなく未来から来た地球人?(ヘブンズ・フォールの際に、時空の歪みが起こりそれに乗ってやってきたとかwww)

所変われば品変わる。じゃないですが、いやぁ久しぶりに観ました!合体バンク!!やっぱり良いですね。もうホント、スーパーロボットアニメかと思いましたwww

スレイン、地球人でありながらヴァースで生活してきたがライエは火星人でありながら地球連合と共に行動している訳ですが、ライエは一度堕ちかけたが何とか踏みとどまった。という事はスレインは踏みとどまらずにアセイラムの為に堕ちつづける!?

そして堕ちた結果、軌道騎士が最上位の権力形態を造り(←間違い。5話でレイレガリア皇帝が休戦協定を出したのにも関わらずブラド卿が伊奈帆達と再戦していたので、皇帝が最上位の国家体制ではなさそう。)

アセイラム姫の理念である和平を、伊奈帆の言った「利益に見合わない数の人が死ねば戦争は終わる。」という言葉で実現しスレイン・トロイヤード皇帝となりヴァースを存続させながらもアセイラムの愛した地球を自らの手で統治して終わるとか?

ん?起動権を持たないスレインが何故アルドノアドライブ搭載型カタフラクト(火星カタフラクト)を起動できたのか?アルドノアの発見者であるレイレガリア皇帝の親族以外に起動権を与える事が出来る人物、それこそが火星カタフラクト開発に携わったトロイヤード博士。
と考えるとつじつまが合います。
(追記:1/24)
スレインがタルシスを起動できた事についてですが、5話で火星に降り立ったスレインを助ける為にアセイラムが人工呼吸みたいな事をしてますね。{/netabare}

いやはや、衝撃的な結末で幕が閉じられましたけどホントこれからどうなるんだろう!?
2015年1月まで待ちきれないですね!!

最後に1期のOP映像(アセイラムが涙を流しながら銃口を誰かに向けるシーン)は、第2クールでの結末を表しているのか?

投稿 : 2024/05/04
♥ : 42
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

願っても止まらぬ侵攻

地球人VS火星開拓移民の戦いを描いた物語。


喰種の掴みの良さを今期一番かもと褒めたが、
この作品も同等…それ以上かも知れない。

ごくごく平和な日常から始まり
嫌な予感が強くなるの皇女訪問、そして派手なミサイルテロ、
更には偏見と憎しみ渦巻く無慈悲な開戦へ…。
明から暗へと落としつつ自然と世界観を掴ませてくれました。
「説明」ではなく「体感」として世界観を感じさせる手腕が素晴らしい。

根底に陰謀もありそうな感じがする展開も
【予想】{netabare}(皇女殺害は火星側が仕掛けている感じ(生きていると思うけど)){/netabare}
実に私好みで今期見逃せない作品になりそうだ。
人間模様が絡んでくるのも間違いなさそうだし安心している。

ロボに関してはまだちゃんとは動いてないので何ともいえないが
ショッパくなければそう評価が落ちる事はないだろう。
2話以降も期待している。

※2話感想{netabare}
予想はしていたものの圧倒的な力を見せる火星勢力。
成す術なくやられていく軍人さんの姿が痛々しい。
見える未来は絶望!?気持ちだけじゃ勝てやしない。

テロは案の定火星側が黒幕。
皇女は生きていた様だけど悲しい事に歯車は動き出してしまった。

地球の命運はアセイラム皇女、スレイン、伊奈帆の三人が握っていて
皇女=平和への願いを持つもの
スレイン=戦う力を持つもの
伊奈帆=情報を読み取る目を持つもの
という感じで関わって来そうではあるけど、
それがどう繋がっていくのか先が読めず興味深い。
次回は伊奈帆の活躍がありそうだしじっくり観察してみたいと思う。

ロボット(カタフラクト)に関してはカッコイイ系ではないけど嫌いじゃない。
火星の兵器は衝撃を無効化するシールドが張られているみたいだけど
発達した転送技術の応用な気がする。
別の空間に飛んでいるのではないかな?…起助くんは助かっていて欲しい。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
相手をよく観察し研究し仲間と協力して見事撃破。
いつもクールな伊奈帆だけど「友達の分だ」という台詞にぞくっと来た。
心の奥は熱くてカッコイイじゃないか。
皇女の無事を知ったスレインも反逆。衛士としての行動がコチラも熱い。
三本の矢が揃うのは何時だろうか。

それと、ちょっとしたカタフラクトの挙動なんかにも拘りがあるようで
細かい所にもついつい目が行きます。
ストーリー以外の部分も観ていて楽しめています。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
火星人の慢心にも大分助けられている印象だけど伊奈帆達は良く戦っています。
新たな敵が新たなテクノロジーを引っ提げて脅威となり現れても
冷静に分析し戦術を駆使し対処する姿にはヒーローとしての才能が見えて惹かれるし、
ロボットなのに柔軟で正に柔よく剛を制すような戦いぶりが新鮮で楽しい。

心情の籠もった台詞や仕草なども多く見受けられ細やかな配慮も万全で隙がない
ここまで評価が上がる一方になっています。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
スレインの正義感が利用されレイレガリア陛下が本格開戦を決意。

本当に束の間過ぎる悲しい休戦でした。
もうちょっとちゃんと皇女の事を調べて欲しかったけど、
陛下は今回に限らず情報操作され野望ある将校に囲まれ
体も弱り傀儡化してるんでしょうね。
色々と想像は付くけど、この辺もう少し丁寧に描いて欲しい気も。
ここまで主に伊奈帆とスレインの視点で描いているので
火星側の描写不足は故意だと思うけど呆気なさ過ぎて少々モヤモヤしてしまう。
焦らされた分、後半に向け期待もあるけれどね。

一方、伊奈帆は「はいはい、対策済みですよ。」と言わんばかりにクールに撃退。
やられる火星人も間抜けなんだけどね。
区切りがついて次回から中盤に突入です。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
本格的な宣戦布告と女騎士様の襲撃。

悲しいけど不可避となった戦争。特に皇女様は辛いだろうね…。

伊奈帆と皇女の会話で火星の事が少し聞け得心行き前回までのモヤモヤが少し晴れた。
アルドノアの起動因子云々の話は今後の展開に大きく影響しそうです。
皇帝の血脈である皇女を通してアルドノアの力が
伊奈帆や地球側にも与えられる可能性が見え、それは希望へと繋がりそう。

そしてまたまた新手のカタフラクト登場!ロケットパンチにはロマン感じます!
敵が多彩で個性豊かなのは貸し与えられたアルドノアの力にも違いがあるからなのかな?
全部の技術を合わせたカタフラクト出てきたら終わりじゃん…とか思いつつも
多彩なバトルは観ていて新鮮で楽しめています。

毎回、理詰めで難局を乗り越えてきた伊奈帆が今回は「運」にも助けられる事に。
最後まで理屈で乗り切って欲しい気もしていましたので
少々都合よく感じてしまいましたが、いよいよ三人が揃い話として面白くなって来ました。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
いつもはその観察力で困難を切り抜けて来た伊奈帆ですが
今回は射撃能力で切り抜けた印象でちょっとやり過ぎた感があります。

加速ロケットに実弾当てるのは神技。
しかも角度変えてるって事は真正面では無い位置と思われます。
…コレ当たるんなら戦闘機はわざわざドックファイトなんかしない訳ですよ。
うーん。頭を使ってなんとか切り抜けるのが面白味なのに
腕まで立つとなると無双過ぎて主旨が違ってくる気がするけど…。
もう少し頭で打開した雰囲気にして欲しかったな。

ストーリーは前回の伊奈帆と皇女の会話の伏線を早くも回収し
運良く(?)アルドノアの技術で動く戦艦をGETし抗戦していきそうです。
(でもコレ動いてるんなら姫生きてるって気付く奴いそうなんだけどね)
「島の洞窟から大きな船が出る」バターンが王道過ぎてちょっと笑ってしまいましたが
今後更に激戦必至ですしスレインの方も気になりますし、盛り上がって来ましたね。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
スレインの忠義や信念は天晴れなのだけど、次から次へと困難が降り懸かり辛い。
アニメ版の山中鹿介みたいですねコレは…。
「姫を利用する奴は許さない」というスタンスなので
その可能性もある伊奈帆とも協力するとは限らず今後の展開が読み難く楽しみです。

姫の方は正体を明かしアルドノアの技術で動く戦艦で出航。
電波障害で通信出来ないというのはもどかしく緊張感のある絶妙な設定で
コチラもどう展開が転がるか判らず飽きさせないです。
(アルドノアの船なら通信出来んじゃね?とかチラッと思ったりもしましたが(笑))

改めてシナリオの作りに感心でき期待の広がる8話でした。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
鞠戸、ライエ、ザーツバルム。三者三様の心の闇の部分が露わになった回。
それぞれの心理が伝わり説得力もあった。

鞠戸さんは悲しい過去のトラウマ克服して欲しいけど
こればかりは自身で乗り越えるしかないよね。
正義感が強く他人を気遣う性格も災いしている感じです。
今までの危機的状況でも動けなかった訳だから相当重そう…妹さんが鍵かな。

ザーツバルムの背景も描かれそのクールな言動とは裏腹に
強烈な憎しみと復讐心がある事が判明。
アルドノア版シャアなのかとも感じましたが、やっている事は比べものにならない規模。
全てを理解し飲み込んだ上での侵攻や殺戮なのでしょうから途轍もない大物でした。
彼との主人公達三人とのそれぞれの対立はかなり興味深く作品を盛り上げてくれそうです。

ライエはトラウマから我を失いついに暴挙に。
緊張続きでしたから少し一息ついた所であの仇のカタフラクトをきっかけに
一気に思い出や感情が渦巻いてしまったのでしょう…。
目の前で肉親を失った少女なんですもんね。
皇女は死んではいないと思うけどドキリとさせられる展開で次回が気になります。
{/netabare}

※10,11話感想{netabare}
一命を取り留めた皇女。
和平を望むその声は届かず泥沼の戦へと舵が切られてゆく…。

1期のラストが迫っている気配を強く感じる戦いとなっています。
揚陸城がア・バオア・クーにも見えなくもないです。

それにしても地球側の戦力は相変わらず脆い。
襲撃を生きながらえた者が集まっているのならもうちょい善戦して
火星側とちゃんと「血戦」して欲しかったかな。ちょっと一方的過ぎる気がする。
一方の伊奈帆は覚醒して最早地球のエース。
ヒーローモノの作品なら良いんだけど
差がありすぎると戦争モノとしてはちょい冷めます。
まだ楽しくワクワクしながら観られてはいるけど
後半以降バランスに少々不満も出てしまいました。
{/netabare}

12話感想{netabare}
6話感想で全部の機能を持つカタフラクト出てきたら…なんて言ってたら
本当に出てきました。
しかし一度見ているし覚醒した伊奈帆は互角以上でした。…やはりスゴい奴になってる。

そして前半(1期)は衝撃のまま気になる幕引き。
伊奈帆と姫の安否は確定してないですが状況的には多分………。
スレインは銃を向ける相手を決めかねていたので後悔も生まれてしまっているでしょう。
「こうもり」と言う言葉が機体だけでなく、どっちつかずの彼をも指していた気もします。
今まで影が薄いなと思ってたスレインですが
どうやら後半の主人公として光が当たりそうです。
カタフラクトが動かせた事もあり血の因縁がまだ続くのかな?
後半開始が待ち遠しい。
{/netabare}

【総評】
まだ後半(2期)がありますが、ロボット戦争モノとしてかなり優秀な作品。
シナリオもしっかりと計算され、台詞回しや心情の描写にも細かい配慮が見られ抜群です。
個人的には伊奈帆の能力が頭脳や眼だけではとどまらぬ強さを見せていて
ヒーローになり過ぎていたのは戦争モノとして少々疑問なのですが、
人間味を内に秘めたクールな主人公というのは魅力的で楽しめました。

作画はカタフラクトのデザインに好き好きが出そうですが概ね優秀。
挙動も細かく描かれ、バトルも毎回どう対策を練るのか楽しめ飽きずに新鮮に見られます。
(ツッコミ所がないとは言えませんが)

色々と気になる所で終わっていますので続きが気になります。かなり気になります。
溜め録りしていて「気になるのやだよー!」って人は後半スタートに合わせて
観進めると良いと思います。
私も後半始まる前にもう一周じっくり観るつもりです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 73
ネタバレ

麦茶 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

【第5話】ダレカタスケテー!

【ダレカタスケテー!】(5話現在)(2014.11/5)

ア、アバンの姫様の格好は一体何があったんだ!?
ベビー○ールとかそれ系のランジェリーにしか見えないんだが。
しかも出てきて早々バキューム始めるしとんだビッt(ここから先は血で汚れて読めない)


さて、今回書いていくのは第5話「謁見の先で -Phantom of The Emperor-」

バース帝国内部のいざこざや、一部の思惑など、2人目の主人公であるスレイン側も物語として動き出しそうな傾向が伺える一話でしたね。起承転結で言うと「承」に差し掛かってるのかな?こないだまでずっと上官にべしべしされてただけだったスレインが、やっと本編に関わりそうで嬉しいです。

そんな中、実はやはり今回も戦闘シーンが気になってしまいまして・・・。

{netabare}主人公たちが戦艦で海を航行中、なんと空からこないだの火星カタフラクトが降ってきます。
甲板に乗り付けたアルギュレは、4話の雪辱を晴らすために、休戦を無視して単機突撃 「抜刀!」

これに対してもちろん地球軍は応戦します。以前の教訓を活かし、HE弾(榴弾)は使わずに、AP弾(徹甲弾)を使用。アルギュレを砲台の影に追いやっていきます。いいですね、ここは評価できます。

そこで、アルギュレは砲台を突き刺しぽいっと投げるワケなんですが、これに対して

な ん と 地 球 軍 は 敵 か ら 目 を 逸 ら し て

        体 ご と 砲 台 の 方 に 向 け 始 め ま し た 。

なんでさっきまでは爆発してた砲台があのときだけ都合良く形を維持できていたのかっていうのは置いといて、まあこんな醜態を晒した地球軍は案の定間合いを詰められ、艦橋を盾に取られてあっさり全滅させられてしまいます。

これを見た瞬間、残念ですが「あ~これはもうダメだな」ってなっちゃいましたw
今まで感じていた不安がここで爆発した形です。アルドノア・ゼロという作品で、私がこの先戦闘に期待することはまずなさそうですね。そもそも飛び道具を無粋だと嫌っているほど戦闘に対して拘りを見せ、「誇り」だとか「名誉」だとか言っていた火星騎士が、さも当然のように艦橋を盾にとったときはちょっと笑っちゃいましたw

このアニメの今までの傾向を見ていると、やはり一介の高校生であるはずの主人公が「火星軍との圧倒的性能差」に対して、戦術を駆使して打ち勝っていくところに凄みを持たせたいというのは伝わってくるのですが、いまいちその魅せ方にまで思考が辿り着いてない印象を受けます。

まず第一に、火星軍のアホさ、弱さが目立ちます。

これについては脚本家の方も気が付いているのか、今回もモブに対して無双させることで「強さ」を演出しようという試みは見受けられますね。しかし、このモブがまたこの上なく頭が悪くて弱いので、まったく効果を発揮できていないんです。言わばチャンバラ劇でカカシを斬り倒してドヤ顔している状態。本当は弱い敵を強く魅せるために、モブ兵士の命を本当の意味での「無駄」に犠牲にしているのがとても萎えます。

4話ではアホ丸出しで撃退されてますし、今回も前述した通りカカシを斬っているだけなので、こんな何も強い印象を受けない相手を主人公が倒したところで全く凄みも感じられません。そして、それを褒め称えているクルー達もみな滑稽に映るだけです。某アニメの「さすがお兄様!」に近いナニかを感じます。

やはり、味方が有能で初めて、その有能な味方が苦戦するほど敵が強くてやっと、それを倒したときに主人公の「凄さ」を視聴者に感じさせることができるワケであって、仲間含めて周りが皆頭悪くて、周りが皆弱くて、さらに敵までおたんこなすとあっては、何の感動もないんです。

この作品も良くある「大人が無能」なアニメなんですよね。

今回も、4話で懐に入られたら腕を抑えられるという自分の機体の欠点を証明されたにも関わらず、何も考えないで突っ込んできた相手のアホさと、水が弱点ということを知ってすらいなかった頭の悪さを突いた戦術で勝利してますし・・・。
そもそもあの機体って海に落ちたら上がってこれなさそうですよね。にも関わらず、飛行能力がある訳でもないアルギュレで単身船に乗り込んでくること自体おかしいんです。本当に火星軍アホです。「アルギュレのパイロットが脳筋だから・・・」じゃ済ませられません。なんで毎回相手の舐めプで勝つんですか。

さらに、今回の戦闘シーンでは描写ミス?のようなモノまで見受けられました。

主人公がリアクティブアーマー(爆発反応装甲)を使ってアルギュレと格闘戦をするところなのですが、主人公を斬ったとき、アルギュレは「腕を振りぬいて」ますよね?w
それを次のカットでは、振りぬいたハズの右腕を主人公が左腕で「内側から」抑えてるんです。最初は反応装甲の爆風で外側に吹き飛ばされたアルギュレの右腕を主人公が左腕でキャッチしたのかと思ったのですが、前シーンで振りぬいているのでそれはないんですよね。しかも左腕で斬ったときは吹き飛ばされてませんでしたし。

いったいどうやってああいう体制になったんだ・・・。{/netabare}


こんな感じで、戦闘シーンについては残念ながら文句しか出てきません。
安直に専用機を出して、性能で主人公に無双させないところは評価できますが、それを選ばなかった結果がこの有り様では元も子もありません。

それ以外はそこまで悪くはないんですけどね~。
ただ、ロボットアニメで戦闘シーンがダメっていうのもご無体な話ですけど・・・w

うぅ・・・切りたくないよ~・・・。ダレカタスケテー。



【雲行きが怪しくなってきた・・・】(4話現在)

今期の期待度ランキングでも上位に入ってくるであろうアニメ待望の4話。
個人的な感想としてはちょっと怪しくなってきちゃいました。

{netabare}前回のニロケラス戦も「あれ?」とひっかかる部分がけっこう多かったのですが、今回もな~んか突っ込みたくなる場面が目立ちました。最初はあんなバッサバッサと主人公側のモブロボを容赦なく薙ぎ倒していった火星カタフラクトが、何故か主人公を前にすると足踏み・・・ 終いには舐めプまでし出す始末で、案の定足元をすくわれて撃退されてしまう。{/netabare}

このアニメも、最近よくある主人公の凄さを演出するために、敵をわざと弱く、都合良く設定している感を否めません。他の要素は手放しで評価できるだけに、こういう違和感が残ってしまうのは少し残念ですね・・・。この分だと戦闘シーンを見るたびに萎えていきそうで、先を見るのがちょっと怖いです。

ただ、他の要素はホントに良い感じなので、これからも応援していきたいとは思っています。
{netabare}あれは特殊EDなのか新EDだったのか分かりませんが、まさかあの曲をEDで流してくるなんて!憎い演出ですよね~。最初は何の曲か分からなくて「ふ~ん」という感じだったのですが、サビに入った途端の鳥肌がもうヤバかったです。{/netabare}

色々文句は言ってますが、まだまだかなり期待しているアニメなので視聴は続けていきます。
これからのスレインの動向にも注目したいですね~。

【OPが最高】(1~3話現在)

おーしーりーをーそーだーてーよー

主題歌はKalafinaのheavenly blue。
OPはいいね。OPは1週間あいてボヤけた頭を瞬時にその世界へ引き込んでくれる。
リリンの生み出した文化の極みだよ。・・・そう感じないか?

やっぱりアニメの導入部分だけあって、OPでいい感じにテンションを上げてくれる作品ってちょっと嬉しくなっちゃいますよね。疾走感のあるムービーもそれを加速させてくれます。

それはさておき、今期かなり期待が高まってる作品がこの「アルドノア・ゼロ」。

監督は喰霊-零-や放浪息子、Fate/Zeroなどを手がけたあおきえい氏。制作A-1 picturesで、脚本には近年話題沸騰中の虚淵玄氏を招くという気合の入りよう。
そして、何より注目したいスタッフが、音楽を担当している澤野弘之氏。
もし「BGM・挿入歌がすごいランキング」を作ったら絶対上位に入るであろう機動戦士ガンダムUC、進撃の巨人、キルラキル、ギルクラ、それらすべてに携わっている方です。

そんな錚々たるメンバーで放送が開始されたワケですが、いざ視聴してみれば概ね期待通り、納得の中身でした。3DCGの使い方も良い感じで、モブロボットのデザインも最高に格好良い。話の流れ的に、主人公機を偶然見つけて無双!みたいなことにはならなそうなので、うまく戦略を練って落ち着いた戦いを魅せてくれそうな、硬派な雰囲気を漂わせる構成になってますね。
ちょっと設定や演出で気になる点はいくつかありますが、それを流してしまえる程の魅力は、この作品にあると思います。

超性能の専用機で主人公が派手に無双する系のアニメにも、確かに別ベクトルの魅力はあるので、そういう作品と比べてしまうとどうしても戦闘描写が少し地味で物足りなく見えてはしまいます。
それでもやはり、せっかく硬派な構成で物語を進めているのですから、その利点を活かし、このままの雰囲気は崩さずに最後まで貫き通して欲しいですね。

ともあれまだ始まったばかりなので、これから地球軍がどう反撃をしていくのか、主要人物がどう関わっていくのか、今後に期待しながら視聴を続けてみたいと思います。

ありがとうございました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

90.3 2 SFで頭脳戦なアニメランキング2位
攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★★ 4.3 (2327)
12347人が棚に入れました
「笑い男事件」が解決して半年…労働力不足を補うため国外から招かれた約300万人の招慰難民。日に日に存在感を増す招慰難民と、国家の孤立を謳うインディビジュアリストたちの対立は深まり、テロが頻発するようになった。その状況の中で「個別の11人」を名乗るテロリストがテロと自決を決行する。
だが「個別の11人」のその行為の背後には、あるからくりがあり、その仕掛けに踊らされていただけだった。それに気づいた公安9課は、その事件の黒幕へと迫っていく。
一方、自決した「個別の11人」の生き残りであるクゼは、招慰難民のカリスマ的指導者となり政府と対立を深めていく。そして素子(もとこ)はそのクゼとの間に奇妙な因縁を感じ始める…。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

低きに流れた水の中の魚は灼ける大地の事を何も知らない

攻殻機動隊S.A.C.の2期に当たる作品。前作の「笑い男事件」終結から凡そ2年後の世界が舞台。今回テーマの中核となるのはナショナリズムにテロリズム、難民問題、代理戦争など。前作と比べさらに政治色の強い作風になっています。

地道な捜査の積み重ねで積極的に「笑い男事件」の真相を追うミステリー色の強い1期に対し、2期では依頼を受けてから行動、事件が起きてから対応という受身の展開が目立ち、常に※1攻性である事を謳い文句にしている9課の本領が発揮される場面が少なくなってしまっています。情報戦における優位性を確保出来ずに敵に先手を打たれるなんて場面もしばしば。物語の運びからもやや鈍重な印象を受けます。

1期では表舞台に上がらなかった「※2内閣情報庁(内庁)」なる組織が9課のライバル的な位置付けとして登場した事がその大きな原因で、内庁は監視、工作活動により、9課の動きを牽制しつつ、自らの組織の謀略計画を進行させていきます。

さらにこの2GIGではクゼという強敵も9課の前に立ちはだかります。テロリストという括りの中にありながら、非常に人情深く頭の切れるキャラなので、彼もまた9課のみならず内庁をも翻弄する存在として物語の中で大きなウエイトを占めていく事になります。

踏まえ、本作2GIGは、公安9課と内庁、さらにクゼを交えた-三つ巴の化かし合い-頭脳戦の色合いの強い作品になっていると言えるのではないでしょうか?

※1~2
{netabare}
※1:作中では当たり前の様に使われている単語ですけど、あれこれ辞書を引いても該当するものは見つからず(汗)内攻性(表面に表れず内側に広がり攻める意)という言葉は存在するので、概ねその逆のニュアンス、単純に攻撃的、積極的という意味合いで捉えても問題ない言葉だと思います。

※2:現・内閣情報調査室、国家安全保障会議、国際情報統括官組織などを統合して作られた組織との事。国内外の諜報活動や情報操作等による謀略活動なども行なう上、国防に関しても発言力を持つという非常に力のある組織。米CIAみたいな感じです。人員数、組織力の面で9課を圧倒的に上回る。
{/netabare}

また本作では、個人の情報を丸ごと外部記憶装置に移し変えた時、そこにゴースト(魂)は宿るのか?あるいは人造物にゴーストは宿るのか?という疑問や、肉体(義体)がゴーストに与える影響等についてのお話もそこかしこに見られ、1期と比べ、より原作テーマへの接近が試みられている点にも大きな特徴があります。

人の体を一度分解して別の場所に再組成する転送装置というものが、古~い海外ドラマの「※3スタートレック」とか洋画「※4ザ・フライ」なんかでは登場しますが、ちょっとだけ冷静に考えてみると、いずれの例でも、装置に入った人は転送の際-肉体が分解された時点で-一度死んでいると解釈出来る点に非常な怖さがあります(汗)分解の過程を除けば、本作で描かれる人体情報の電脳ネットへのコピーも、これとほぼ同じ事をしていると言えます。

ではコピーされた人格って同じ人?別の人?という疑問についてはどうなのでしょう。近似として双子の例を取ってみると、遺伝情報は同じでも、ヒトの脳の取り得る量子状態は一瞬毎に10の13乗通り以上あるらしく、両者の個性の分岐は主にそれゆえに生じる現象だそうなので、オリジナルにとっては双子に等しいコピー人格も、このケースと同じく独立した別個の人格になると考えられる様です。

さらに電脳ネット内の人体情報を別々の場所にコピーした場合、当然の結果として、3つ子、4つ子に相当する異なった人格をそこに見出す事が出来るはず‥。

まとめると、わたし達の身体に宿す人格(本作で言う所のゴースト)とは膨大量の選択肢から脳が選び続けた積み重ね、迷路の様に無数に枝分かれした可能性の末端にしか観測されない、また凡そ、この宇宙に唯一つしか存在し得ない、かけがえの無い奇跡の様な帰結と評価する事が出来るのです。

なので、今この文章をお読みの皆さん! 皆さんの中に仮にコピー人間の方がいらっしゃったとしても、何ら恥じる事はありませんよ。あなたはあなた以外の何者でもないのですから。「私が死んでも代わりはいるもの…」とか暗~い台詞は当然無用です(笑)ご自身のゴーストには一定の誇りと責任を持って胸を張って生きましょう!

‥さてさて、もう一つの原作由来のテーマ、肉体と精神の不可分性についてに話を移すと、これは電脳ネット内に記録されたコピー人格が自身の肉体を錯覚する事さえ出来れば(義体を手に入れるか電脳ネット内にアバターを作るなどすれば)充分にクリアー出来る問題だと思います。肉体から脳へ、脳から肉体へというフィードバックが上手く働かないと精神の健康を害してしまうそうなので、これは必須の条件と言えます。意識はあるのに外界の事を何も認識出来ない、な~んて状態がずっと続いたら※5SAN値が下がりまくる事は容易に想像出来ますからね(笑)原作漫画にあたる「攻殻機動隊2」や派生作品の「紅殻のパンドラ」においても、そんな問題について触れられていますので、ご興味のおありになる方はぜひ手に取って読んでみて下され。

※3~5
{netabare}
※3:邦題「宇宙大作戦」。惑星連邦(訳によっては銀河連邦とも‥かな~り違う)なるものが設立された遠い未来の宇宙を舞台にしたテレビシリーズ。宇宙船エンタープライズ号の船長カークと、その仲間たちの活躍を描く惑星・宇宙探査アドベンチャー。戦記ものの性質も若干ある。派生作品多数。今年(2017年秋)には「スタートレック:ディスカバリー」という新シリーズも公開されるそうです。でも日本での知名度は何故か低め(汗)

※4:転送装置を使ったある実験中、その中に一匹のハエが紛れ込んでしまい大変な事に‥身の毛もよだつSFホラー映画。

※5:クトゥルフ神話TRPGにおけるパラメーターの一つ。プレイヤーの正気度を示す数値。SANは英語のSanity(正気さ)の略。0になると発狂し、ゲームオーバー扱いとなる。
{/netabare}

文学について、引用元は1期はD・J・サリンジャー、2期は三島由紀夫とされていますが、後者については引用許可を取るのが困難とみられ、また右翼による殴り込みの可能性も踏まえ、結局の所、架空の思想家パトリック・シルベストルにすげ替えられたという裏話があるそーです。なんてこった(汗)

確かに神山監督は現実の事件と自身の作品を深く結びつける傾向があり、関係者からの反感を買う種を闇雲にばら撒いている節があります(笑)ですが、これはあくまでもフィクション。モチーフとした事件と作中エピソードの顛末には何の関係もありません。アニメに自分の思想を代弁させる様な行為はあまり褒められたものではありませんが、神山監督はギリギリの線の所でその点をカモフラージュしつつ、あくまでも社会問題に目を向けさせる方向に視聴者を誘導している様にわたしには思えます。何と言いましょーか、綱渡りですね~(笑)

三島由紀夫の名を使えなかった事で、前作と比べリアリティが落ちたと言う意見を方々で目にしますが、この点については、わたしはかえってそれで良かったのではないかと思ってます。前作におけるサリンジャーの引用のくどさは、作為的なものが見え隠れする所為で、かえってリアリティを削っていた様に私的には思えましたし、サリンジャーも三島由紀夫も知らぬっていう人にとっては、はっきり言ってどっちでもいい事ですからね。事実、物語としてちゃんと成立している※6総集編ディスクでも、シルベストルに関する台詞は殆ど削られていましたし(笑)

士郎先生の漫画の良い所は、特定の政治思想などに肩入れする様な事はせず、率直に淡々と未来世界を夢想している所にありますが、それだけに、善と悪、敵味方の図式で描かれる事の多い、ある程度の単純さが要求される娯楽性重視のアニメ作品とは、もっと言えば、テーマを明確に提示したがるきらいのある神山監督の作風とは、若干ながら相性が悪いのかも知れませんね(汗)


キャラについて、2期において先ず目を引くのはやっぱりこの人! 怪人・合田一人(名は"かずんど"と読む。ユニークな顔とセットで覚えよう)。顔面の右半分と左半分の造形のギャップが著しい、有名どころで例えるなら※7あしゅら男爵みたいな風貌してます。1期には存在しなかった役どころにあり、序盤から登場する明確な敵役として強い印象を残します。自己顕示欲の強い自惚れ屋。あくどい事を嬉々として語るタイプのキャラなので、視聴者の憤りの矛先も9課の人たちと同じくこの人に向かうかも知れません。

そしてクゼ・ヒデオ。能面の様に動かない顔を持つ※8前身義体のテロリスト。頭脳明晰にして戦闘能力極めて高し、自らの思い描く革命を実行に移さんと信念のままに行動する人。弱者の味方で無駄な争いを好まぬ人格者でもあるという、正に完璧超人。中の人(小山力也さん)曰く「完璧すぎて真似出来ない」だそうな‥わたしもそー思います(笑)

また、9課の新メンバーとしてアズマ、矢野、プロト君が登場しますが、前者から数えて二人は出番少な目、影薄めの役回り。プロト君には結構見せ場が用意されてます。一応3人とも原作登場キャラで、アズマは押井監督の「イノセンス」にも登場。そっちでもこの人不遇な扱いですが(汗)原作漫画の攻殻機動隊1.5では出番多めだったりします。嗅覚素子が強化されていてワンコみたいに臭いで対象を追跡出来るという裏設定あり(笑)

※6~8
{netabare}
※6:新作映像、新規アフレコを追加して161分にまとめた再編集版「Individual Eleven」の事。シルベストルに関する台詞、個別エピソードの殆どをカット。スピード感重視の映画的編集になっており、テレビ版よりもサクサクと物語が進む印象で観やすかったです。

※7:元祖スーパーロボットアニメ「マジンガーZ」に登場する悪役。右半分は女性、左半分は男性という設定の人造人間。

※8:脳以外の全てを機械化している人の事を指す。作中では少佐とクゼの二人が前身義体。部分義体の人とは異なり、生体にかかる負荷を殆ど考慮しなくても良いので、その動作は高速かつパワフル。痛覚とかの遮断も出来るので体が損傷してもひるまない。
↓続き
片腕サイボーグって何だか強そうなイメージありますけど、重い物を持ち上げたり、思い切りパンチしたりすると接合部分の脱臼や疲労骨折のリスクが大きくなって、あまりよろしく無いらしい。原作1巻では"部分サイボーグは「人間の能力を補う」前身サイボーグは「人間以上を作る」"と説明されていました。そういう理由でこの二人(次いで義体化率が非常に高いバトーさんとか)は別格に強い。主人公補正とかではない(笑)
{netabare}後半のバトーさんVSクゼの一騎打ちシーンは本作のハイライトシーンの一つ。派手なシーンではありませんが緻密な描写が美しい!最優の義体使い同士の闘い、とくとご覧あれ!{/netabare}{/netabare}

構成について、続き物と一話完結のエピソードが明確に区別されていた1期と違い、大部分のエピソードが主軸となる「個別の11人事件」に関連する内容となっています。なので下に付記した分類は申し訳程度のものと考えて、素直に全話視聴した方が良い気がします。総集編を観て面白かったら、テレビ版を視聴というのもアリでしょう。

黒=一話完結 :1.2.3.6.8.10.13~15.17.18
白=クゼ関連 :5.11.12.16.19~21.23~26
灰=ゴーダ関連:4.7.9.22

全体的に緊迫感高め、アクションシーン多めの構成ですが、上でも述べた様に前作では深く切り込まなかったゴースト(魂)の所在についてのお話なんかも割と多めになっています。

他方で1期には辛うじてあった日常描写やお遊びシーンはさらに少なめです。でも本編終了後のお約束コーナー「タチコマな日々」は健在なのでご安心あれ。ちょこっとだけ笑かさしてもらえます(笑)

音楽について、前作に引き続き、菅野よう子さんの曲とOrigaさんの歌の相性が絶妙なオープニングテーマ「rise」が特に良いっ! 前作の「inner universe」は摩訶不思議な浮遊感が特徴的でしたが、今回の「rise」はドラマ、闘争を思わせる、流麗かつ勇ましい曲。2ndGIGの作風との親和性が感じられます。

作中音楽も全て素晴らしい。ですが最も印象に残ったのは、その名も「Go DA DA」という、オスマン軍楽の「ジェッディン・デデン」を改悪した様な曲。聴く度に"ヤなやつ出てきたな~"と感じてしまう程に強烈なテーマ。おかげで色々と刷り込まれてしまいました(笑)

完成まで長らくの時間を要してしまいましたが、学びつつ発見しつつ、ゴーストの囁きに導かれて、今回も楽しく書かせて頂きました。


再視聴を終えて(ネタバレ無しですが一応折り畳んでおきます)
{netabare}
小説や実写映画では既に御馴染みの、近年ではアニメ作品においても確立されつつあるスパイものというジャンルですが、今回の再視聴を通して、本作は後者の先駆けとして既に大きな仕事を果たしていたという印象が新たに加わりました。

フィクションの中で描かれるスパイと言えば、情報を盗み取るとか要人を暗殺するとか、かなり派手な仕事をするのが常で、華々しい表の面(変な表現だけど)だけを描く事がお約束となっていますが、反してこの職業の持つ地味で目立たない仕事、最も卑しい面が描かれる例は極めて稀です。

虚言の流布は現実の世界でもスパイの手によって頻繁に行なわれており、米ソ冷戦時代には特に苛烈に、またそれ以前もそれ以後も、手を変え品を変え巧妙さを増し、脈々と繰り返されてきたものであります。

活版印刷の発明以前から、プロパガンダ戦略は戦争においても、企業間競争などにおいても、大きな役割を占めていた様ですが、時代が進むにつれ、ラジオ、テレビ、ネットと情報の伝播の速さは爆発的な成長を遂げ、その重要性はますますの高まりを見せています。

近未来の世界を描く本作には、電脳ウィルスなるものが存在しますが、これもまたプロパガンダ戦略の一種と見て取る事が出来るのではないかとわたしは思います。

ネットワークを通して知らず知らずの内に人から人へと感染し、いつの間にかその行動を支配するという、ユーザーへの直接攻撃を目的としたコンピュータウィルスとも取れるこの技術は、一見怖ろしげなものの様に見えますが、ちょこっとだけ視点をずらせば、現代に生きる私たちもまた、既にテレビやネットなどを介して、感情や思考を意図ある何者かによって支配され続けている、そんな風には考えられないでしょうか?

一例をとってみると、テレビ人間とそうでない人の違いが挙げられます。テレビの中でも特にバラエティ番組の類を全くと言って良いほど見ないわたしは、テレビ大好きっ子みたいな人と話すと、その言葉遣い、ものの考え方に不安と言ってもいいほどの違和感を覚える事がちょくちょくあります。これは上の話で言えば、わたしがウィルスの感染源との接触を遮断した結果起きた必然であって、その良否はともかくとして、感染者と非感染者との間には無意識下のレベルで何らかの隔たりが生じてしまっている事を表します。感染源にはネット情報は勿論の事、紙媒体の本も当然含まれますので、わたしとて既に何らかのウィルスに感染してる可能性は充分にありますけど(笑)

洗脳は苦言によってではなく、甘言によって行なわれる所に、その正体の見つけ辛さがあります。良心に訴えかけるもの、同情を誘うものは、素朴な正義感を抱えているものにとっては格好のエサで、原油まみれの水鳥の映像や、一人の少女の証言が、戦争の正当性を高める為に利用されたという※9歴史的な事実さえもあります。

昨年話題になった「インターネット上で最も影響力がある25人」の一人に選ばれたある少女の発言にしても、わたしたちの殆どは、それが誰の意図または指示で行なわれたのかを知る術を持ちません。

総評として、大義名分の中に隠された嘘、人心操作のメカニズム、政治における光と闇の実態を、際どい所まで描き切った本作は、社会問題をテーマに据えた攻殻SACシリーズの中でも、最も危険な作品、屈指の名作と評価する事が出来るのではないでしょうか?


※9:湾岸戦争の事、アメリカ軍による自作自演と、難民を演じる様に指示されたクウェート駐米大使の娘によるプロパガンダがテレビなどで繰り返し報じられる。
{/netabare}

おまけ・用語解説など
{netabare}
映像カーテン:通電性のある特殊ガラスに微電流を流して電波や可視光を撹乱、遮断する技術。狙撃や盗聴に対して絶大な効果がある。

バイオロイド:クローン技術を用いて造られた人間。遺伝子操作によってネガティブな因子が取り除かれているおかげで物腰がとても柔らか。つまりいいヤツ。血が白いがロボではない。

スタンナックル:手袋型のスタンガン。義体化してる人にも有効。使用者にもビリッと来るらしい(笑

マテバ:イタリアの食品機器・銃器メーカーの名前。作中では主にトグサさんの使う回転式拳銃「マテバM-2008」が度々こう呼ばれる。発砲時のガス圧で次弾が自動装填されるオートマチック拳銃と比べ、単純構造ゆえに機械的トラブルが起こりにくい。装弾数が6発とやや少ないのが弱点。義体化を敢えてしないトグサさんのキャラと共に作中におけるアンチテーゼの一つになっている。と思う。

日本の奇跡:マイクロマシンによる放射能除去技術の事。人工物ではなく天然モノですが、1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリで放射線を養分化できる細菌が近年になって発見されたそうです。除去や無害化とは程遠い性質ですが、こういったものの研究が作中の日本の奇跡みたいな技術に繋がっていくのかも知れません。

マシンなんて言うと鉄やシリコンなどの無機物から作られているというイメージを持たれている方も多いかも知れませんが、有機物のものは勿論の事、近年では生物から採取した生体パーツをそのまま利用する、ちょっと大きめなセボットと呼ばれるマシンなんかもあるそうです。けっこう怖い(汗)実は本作で描かれるマイクロマシンの多くも有機物だったりします。

また作中では「マイクロマシン汚染」なんて言葉もありますが、自己増殖する様にプログラムされたマイクロマシンやナノマシンは天然のウィルス以上に危険なものになる可能性があるそうで、戦争やテロなどへの使用も懸念されているらしい。こちらはかなり怖い(汗)

米帝:アメリカの政策を非難する際に度々使われる「アメリカ帝国主義」を指す言葉ではなく、本作における第四次非核大戦後、3つに割れた国の内一つを指す。正式な表記はアメリカ帝国(American Empire)他二つはアメリカ合衆国と米露連合。

ポセイドン・インダストリアル:「日本の奇跡」の開発によって飛躍的な成長を遂げた巨大多国籍企業。マイクロマシンの他に、義体、兵器の開発・製造なども行なっている。米帝と強固な繋がりがあり、前日譚(パラレルワールド扱いですが)の「紅殻のパンドラ」では悪の秘密結社のイメージ、危険な組織として描かれる。前身である「大日本技研」の名は士郎先生の承諾の元ガレージキットメーカーの名前にもなっているそうです(笑)

デカトンケイル:ポセイドン・インダストリアルが管理するスーパーコンピューターのこと。データを基に仮想人格を構築、シュミレーションする事が出来る。名の由来は10倍を意味する"デカ"と100の手と50の頭を持つギリシャ神話の怪物(巨人)"ヘカトンケイル"の様です。

スプリング8:「播磨科学公園都市内に位置する大型放射光施設。電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設および各種付属施設から成る。」とwiki先生は言ってました(笑)作中ではある人物がプルトニウムの分析の為にここへ向かう描写がある。

招慰難民:世界大戦(攻殻の世界では2030年までに2度の世界大戦が起きているという事になっている)で発生したアジア難民の内、日本に受け入れられた人たちがこう呼ばれる。300万人程いる。国から仕事を与えられているものの、国内労働力が過多の為、国民からは税金の無駄遣いと非難されている。

ハブ電脳:ハブは漢字で書くと轂。轂(こしき)とは車輪の中心、自転車で言えば放射状に伸びるスポークの中心部を指す。作中では膨大数の電脳から生じる意識を繋ぎ止める特定の人物の電脳の事をハブ電脳と表現していた様です。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

手段のためには目的を選ばない男の末路

【総合評価☆☆☆☆☆】
 士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』の映像化作品には、押井守の劇場版2作、神山健治のテレビ版3作、黄瀬和哉の新シリーズ(『攻殻機動隊ARISE』+新劇場版)、ハリウッド実写版(未見)があるが、押井版第1作『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と神山版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』および本作は、いずれもアニメ芸術の到達点を示す偉大な傑作と言って良い。
 神山版第1作の設定を受け継いだ本作(『攻殻SAC2』と略す)では、国家の中枢で暗躍するゴーダの策謀と、これを未然に防ごうとする公安9課の活動が基本プロットとなる。前半では、個別エピソードのように思える話がいくつも挿入され、やや緩慢に話が進むが、後半になると、せせらぎが寄り集まって歴史の奔流となる様が描かれ、終盤8話は、息もつかせぬ怒濤の展開となる。
 日本には、『GUNSLINGER GIRL』『RIDEBACK』『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』『輪るピングドラム』『残響のテロル』など、テロリストを登場させた傑作アニメが少なくない。ハリウッド映画では、無差別テロリストは問答無用の悪党として容赦なく処断される。これに対して、日本アニメになると、「彼らはなぜテロに走るのか」「テロを防ぐためなら何をやっても許されるのか」といった問題に着目して深く掘り下げており、遥かに見応えがある。『攻殻SAC2』は、「国家権力によって捏造されるテロ」というアイデアをベースに、難民問題や軍産複合体などにも目を向けた社会派作品である。
 もっとも、扱う問題が大きすぎるため、一度で理解することは難しい。私も、初見の際には、英雄的なクゼに気をとられて途中からストーリーを十全に把握できなくなり、冒頭から何度も繰り返し見て、ようやく真価を感じ取れた。以下のレビューでは、再見しようという人のために、ネタバレ前提で作品の意味を解き明かしたい。

【社会的背景】
 舞台になるのは、第3次・第4次大戦の惨禍を経て、新技術による急速な復興を遂げつつある未来の日本。一時期、安価な労働力として大量のアジア系難民を受け入れたが、復興需要が一段落して労働力が過剰になり、難民を隔離・収容する全国数ヶ所の居住区はスラム化している。一方、国民の間には、難民が自分たちに失業をもたらす原因でありながら、彼らに税金が投入されることに対して不満が募り、反感が高まっていた。
 世界情勢に目を転じると、2度の大戦によってパワーバランスが大きく変わっている。もっとも、アメリカ(分裂した一方が「米帝」と呼ばれる軍事大国になる)と中国の冷戦が深刻化する状況は、2004年の制作時よりも現在の世界に似ている。
 こうした中で、{netabare}親米派の官房長官らが、難民問題という火薬庫にワザと火をつけ、米軍の協力の下、これを一気に鎮圧することで、民意をまとめ強権的な体制を作ろうと思い立つ(断片的なセリフから、そう推測される)。社会が混乱したとき、敵対勢力をでっち上げて力で押さえ込み、主導権奪取を画策するのは、権力者の常套手段である。
 ただし、『攻殻SAC2』で描かれるのは、政治家たちの生々しい実態ではない。「難民問題に火をつける」という1点に全力を傾注するゴーダの姿である。{/netabare}

【ゴーダは何をやろうとしたか】
 ゴーダは、内閣情報庁の要職にある立場を利用し、情報技術(IT)を駆使して社会的な状況を「プロデュース」する。
 彼の策略は、2つの方向で進められる。{netabare}1つは、コンピュータ・ウィルスを利用して難民排斥を扇動するテロリスト・グループ「個別の11人」を作り、彼らを英雄に祭り上げることで、国民の間にある反難民感情を増幅させること。記憶を改竄する技術(作品世界で開発済みとされる)を使って、「個別の11人」のメンバーに、自分たちは高邁な理想を胸にテロ活動をしていると錯覚させた。現代に置き換えるならば、SNSのフェイクニュースを利用した世論誘導といったところか。
 ここで重要なのは、記憶の改竄によって国民を直接扇動するのではなく、「個別の11人」という媒介者を利用した点である。直接的な扇動は、カラクリが露見したときに民意のベクトルを一挙に反転させる危険がある。しかし、まず媒介となる扇動者を作り上げ、彼らに対するシンパシーを広めておくと、より安定的かつ容易に民意をコントロールできる。ゴーダのやり口(と言うより、神山らによる脚本)は、実に考え抜かれている。
 もう1つの策略は、難民がプルトニウムを利用した核テロを画策中だと国民に思わせること。核に対する根源的な恐怖感が、反難民感情を掻き立てるからである。ロシアン・マフィアがプルトニウムを難民に売り渡すというシナリオを組み立て、手駒として利用できるクゼを動かした(らしい。はっきりとは描写されない)。日本政府側のゴーダがロシアからプルトニウムを調達するのは難しいので、廃墟となった新宿原発から抜き取ったものを利用した。
 2つの策略によって難民排斥の民意が固まり、アメリカの協力を得て一気にカタをつけるべく軍が動き出すところまでが、ゴーダの使命である。その先は、政治家が自分の思惑に沿って事を進める手筈だったのだろう。{/netabare}

【ゴータの人物像】
 『攻殻SAC2』で瞠目させられるのが、ゴーダという人間の姿である。{netabare}事故で顔面を大きく損傷したのに、あえて修復せず異形のままでいたのは、自分を特別な人間に見せかける自己演出なのだろう。事故前はごく平凡な顔立ちの官僚で、その顔貌の通り、与えられた仕事に素早く対処できる有能な官吏だったと想像される。難民問題に火をつけるための策略は、実に綿密に練り上げられており、本人は天才の技だと思っているようだが、官僚的な処理能力を発揮したに過ぎない。火をつけた後に何をするか具体的なビジョンは語られず、明確な目的を持たないままテロという手段を策謀しただけである。
 連合赤軍事件、オウム真理教事件、911全米同時多発テロなど、現実に起きた事件を調べると、テロ後に何がどうなるかについて、関与した者がきちんと考えていなかったことがわかる。本人は理想のために身を捧げるつもりなのに、その理想を実現する上でテロがどんな役割を果たすのか、理解できていたとは思えない。むしろ、最終的な目的よりも、テロそのものが持つ破壊の美学に陶酔していたように感じられる。
 こうした事情に目を向けたアニメ作家が、自身が全共闘世代で学園紛争の実態を目の当たりにした伊藤和典や押井守である。伊藤が脚本を書き押井が監督した『機動警察パトレイバー』シリーズには、テロという手段だけが共通するテロリストたちの互助会(!)や、軍事力で実権を掌握したのに何の要求も出されない「クーデターを偽装するテロ」が登場する(前者は旧OVA版『機動警察パトレイバー』第2話「ロングショット」、後者は劇場版『機動警察パトレイバー2 the Movie』)。
 押井の薫陶を受けた神山が、テレビ版『攻殻機動隊』シリーズを構想するに当たり、これらの作品を参考にしたことは間違いない。特にゴーダは、「手段のためには目的を選ばない」人間であることが強調される(アメリカが弱腰になったとき、中国と手を組むことも視野に入れていた)。
 こうしたゴーダの特性を象徴的に示すのが、パトリック・シルベストルの著書「初期革命評論集全10巻」に続くとされる、幻の第11巻「個別の11人」である。実は「個別の11人」という著作は実在せず、ネットで探し出して読もうとするとウィルスが発症するという仕掛けなのだが、ウィルスに操られている者は、これを読んで感銘を受けテロリストとして目覚めたという偽の記憶を植え付けられ、心の底から信じてしまう(この状況を描写した第12話「名も無き者へ」のシーンは、肌が粟立つほど恐ろしかった)。テロリストの理想が完全な虚構でしかないという設定は、ゴーダの無目的性を象徴的に表す。
 実は、脚本を執筆した神山は、当初、三島由紀夫の著作を引用しようと考えたようだ。しかし、理想が空っぽだという見解を示すのに、現実の作家を持ち出すのは明らかに不適当である。シルベストルという(現実世界から見ると)架空の思想家の(作品世界において)実在しない著作という二重の虚構性によって、目的がはっきりしないままテロが遂行されるという現実的な恐怖が際立ったわけであり、三島からシルベストルに変更したのは正解だった。
 ビジョンを欠いたまま手段に関して緻密な策略を練り上げ、それだけで自分は天才だと自惚れる小役人的なゴーダを、バトーは、次のような言葉で罵倒する(第22話「無人街」):「お前はやはり、二流だな。…(中略)…個人的な思いつきを他人に強要しているだけでは、人の心を打つことはできない。そこには、善意でも悪意でもいい、何かしら確固たる信念のようなものがない限り、天才とか英雄と呼ばれる存在にはなれない」{/netabare}

【反撃する公安9課】
{netabare} 『攻殻SAC2』の物語が始まったとき、すでにゴーダの策略は大半が完成していた。内閣情報庁の機能を利用してレールを敷き終えており、いくつかの不確定要素を除くと、後はシナリオ通りに事を運べば良い。
 反難民テロにおける犯人の不可解な行動などをきっかけに、公安9課の荒巻課長は、背後に何らかの謀略が蠢いていると気がつく。草薙素子ら9課のメンバーに調査を命じるものの、全体像がなかなか見えてこないまま、状況は悪化するばかりである。視聴者も、このジリジリするような経過に付き合わされ、少しずつ提示される断片的な情報に混乱させられる。人によっては、この部分が面白くないと感じるかもしれない。しかし、事態の深刻さ・巨大さを納得させるためにも、このジリジリ感が必要なのである。
 ゴーダの策略に対して完全に出遅れた公安9課だったが、情報を集めながら少しずつ体制を立て直し、ある出来事をきっかけに最終的な逆転劇へと突き進む。こうした序破急の展開は、終盤における圧倒的な迫力を生み出す。
 策略が崩壊するきっかけの一つは、難民が核テロを計画しているというデマにリアリティを付与するため、プルトニウムの実物を使ったことである。「ロシアの軍事施設か、原発の使用済み燃料か」といったプルトニウムの出所は、同位体組成を分析すれば突き止められる。草薙素子は、バトーを使ってゴーダの気をそらしている間にプルトニウムを横取りし、一気に形勢逆転を図る。
 さらに、シナリオから逸脱する2つの不確定要素が、ゴーダの策略を狂わせる。1つは、難民のリーダーとなるクゼで、ともすれば低きに流れがちな民衆を教導する宗教的英雄然とした姿を示す。もっとも、核武装して難民居住区を独立させるという発想は、おそらくウィルスに由来するものであり、武力行使を極力回避するという主張も難民に浸透していなかったので、登場シーンが多い割に、その役割はあまり大きくなかったようにも思われる。このことは、神山自身、承知の上なのだろう。クゼは、義体の仕様で口がほとんど動かせないが、これは、その英雄的風貌に視聴者が感化され過剰な思い入れをしないように、敢えて設定した欠陥かもしれない。
 クゼよりも重要なもう1つの不確定要素が、茅葺首相である。最初見たときには、彼女の立ち位置がよくわからず、終盤の急展開で少し混乱したが、再見して漸く、彼女こそが『攻殻SAC2』において決定的な役割を果たすキーパーソンだと気がついた。{/netabare}

【茅葺首相の役割とは】
{netabare} 日本初の女性首相となった茅葺は、選挙のために担ぎ出された人寄せパンダである。官房長官による裏工作のせいで充分な情報を入手できないため、優柔不断に見える行動しか取れず、内閣ではいいようにあしらわれている。しかし、こうした外見とは裏腹に、明確な信念に基づいて日本のために尽くそうとする、真面目でひたむきな政治家である。
 ラストのクライマックスで、彼女は、ある決断をする。それ以前に、彼女が親中派だと思わせる描写があり、米軍を利用した策謀をひっくり返すため、中国に頼るのではないかという疑念を視聴者に抱かせるのだが…。私は、決断の中身が何かわかったとき、胸が熱くなった。彼女は保守的な愛国者ではあっても、パワーポリティクスに与する権力志向の政治屋ではない。自分の理想を軍事大国に向かってはっきりと主張できる度量がある。
 『攻殻SAC2』では、茅葺首相が思うように事を運べず、官房長官の言いなりかと見える出来事がいくつも起きる。にもかかわらず、決して悪し様には描かれない。草薙素子が「課長の好みのタイプ」と茶化すシーンもあるが、荒巻は、その言葉を素直に肯定する。難しい決断が必要なときには座禅を組み、暗殺者に狙われても意志を揺るがせない彼女の姿は、若々しく美しい顔立ちと相まって、作者が理想を託したことを窺わせる。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

これぞ、公安9課

前作同様、一つの事件を中心に話が進行するが、今作は個別の11人事件が中心である。{netabare}難民独立を利用して難民を殺そうとしたゴーダと難民の心を掴み、全身義体で戦うクゼの戦いが要点の事件だったと思う。{/netabare}

{netabare}クゼの過去が明かされる話があったが、同時に素子の過去が明かされていたようだった。やっぱり子供の頃に2人は会っていて、最後の2人のやり取りがようやく会えた喜びが見えた気がした。{/netabare}

見終わった後は何とも言えない切なさが自分にはあった。謎に包まれている素子の過去?が見られるのも攻殻機動隊好きには嬉しいのではないだろうか?とは言っても、好きな人は絶対見ているだろうけど。それに、嬉しかったのは自分だけかも。

OPはOrigaのrise。やはり良曲。Origaが亡くなってから時間は経つけど、眼曲が残っていくのは嬉しい。

1. 第1話 再起動 REEMBODY
「個別の11人」と名乗る武装グループによって中国大使館が占拠された。密かに出動していた公安9課の面々は無期限待機命令の解除を待つ。総理は、犠牲者を出さず15分以内にテロリストを鎮圧することを条件に、突入を許可するが──。

2. 第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE
3大ネットワークJBNNの会長・片倉の専属パイロットを務めるギノ。欺瞞と不正に満ち溢れた世の中から、憧れの高級娼婦“ヒララ”を救い出したい。義憤に燃えるギノは、彼らに正義の鉄槌を下すべく行動を開始する!

3. 第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE
政財界の名士である田所会長のもとに、窃盗犯から予告状が届いた。9課は芽葺首相の命により、田所主催のパーティを警備することになる。だが、窃盗犯の正体は草薙だった! 9課の本当の狙いは何処にあるのか!!

4. 第4話 天敵 NATURAL ENEMY
合同演習中にAIヘリが暴走。誘われるように各地で無人のヘリが動き出し、集結し始めた。そして、対応を迫られる9課の前に忽然と現れた内閣情報庁の“ゴーダ”。彼の真意も図れぬまま、草薙らはタチコマで出撃するが──。

5. 第5話 動機ある者たち INDUCTANCE
「個別の11人」から茅葺首相に暗殺予告文が届いた。9課は警護につくが、参禅に乗じて暗殺は実行にうつされる。茅葺に迫る全身義体の男・クゼ。はたして草薙は阻止できるのか!

6. 第6話 潜在熱源 EXCAVATION
エネルギー省を脅迫していた男が、不可解な死を遂げた。トグサは彼の足跡をたどるべく、招慰難民居住区「東京」に向かう。だがそこでは、あるべきはずもないものが、地下最深部から呼び起こされようとしていた。

7. 第7話 狂想は亡国の調べ
新宿地下原発から燃料棒の海路移送計画が「個別の11人」に漏洩した。ゴーダの指揮のもと、9課は移送任務を請け負うが、経由する陸路は不穏な空気が漂う難民居住区だった。

8. 第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD
「個別の11人」容疑者カワシマの身柄確保に奔走する9課。だが、虚構であったとしても現実へと変換されれば、それは真となる──。彼は本当に「個別の11人」なのか、それとも別の目的を持った偽者なのか!?

9. 第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE
生きることに希望を見だせない人々がその身をやつす「自爆テロ」。そして、それを阻止するため奔走する9課。一方、単独で内閣情報庁に潜入した草薙は、そこでゴーダの仮想人格と対峙するが──。

10. 第10話 イカレルオトコ TRIAL
非番中にやむなく発砲してしまったトグサは、単なる証人から「不幸な事故」の引き金に仕立て上げられる。証言台に立つ彼の前で、理不尽な追求が9課にまでその矛先をのばそうとした時、事態は思わぬ展開を見せた!

11. 第11話 草迷宮 affection
虚実定まらぬ街で誘われた、記憶を預かるという『牢記物店』。草薙は、そこで主無き少年少女の義体とめぐり会う。物言わぬ彼らにかつて訪れた物語とは──。

12. 第12話 名も無き者へ SELECON
虚ろなる真に導き寄せられる「個別の11人」。そして、組み上がった因子を解き明かしはじめる9課。だが、さらなる具現を阻むべく行動を起こしたその時、すべてを暗転させる「刃」が抜かれた!!

13. 第13話 顔 MAKE UP
クゼの顔を追って、9課は造顔作家へとそのコマを進めた。だが、カメラの映し出したパズの凶行が、捜査の動きを鈍らせる。これも「クゼ」の仕業なのか、それとも──。

14. 第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE
米帝特使を迎え厳戒態勢が敷かれる中、待機中の隊員等はポーカーに興じていた。そこで、一人勝ちを続けていたサイトーは、左眼にまつわるポーカーフェイスを語りはじめるのだが──。

15. 第15話 機械たちの午後 PAT.
「この人どこかで見たことがあるんですよね…」研究所の爆破事故後の捜査中に、奇妙な既視感を感じるタチコマ。所在不明の有須田博士と、自分達の主体について疑問を持つ彼らとをつなげるものとは──。

16. 第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE
国連平和維持軍としての戦い、任務を終えてからの葛藤──。イシカワの持ち帰ったクゼの過去、それは9課にとっても草薙にとっても不可解なものであった。一方、国内情勢の悪化は日米安保締結に拍車をかけていた…。

17. 第17話 修好母子 RED DATA
クゼの足取りを追い台湾へ潜入した草薙は、そこで少年・チャイと出会う。行動を共にし始めた二人の関係は、時には友人、時には親子、そして時には恋人──わき起こる奇妙な感覚に母性を励起させ、彼女は行動を開始する!

18. 第18話 天使の詩 TRANS PARENT
当局が追っている正体不明のテロリストは『天使の羽根』と呼ばれていた。大規模な包囲網が街を覆う中、ある少女の存在がバトーの脳裏をよぎる。そして、彼女の秘密に突き当たったとき、天使は再び舞い降りた──。

19. 第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION
並列化した招慰難民達の行動は、自治区宣言へと拡大した。これに対し草薙は、クゼを確保すべくハブ電脳へとダイブする。だが、潜伏場所を急襲した9課を予想し得ない事態が待ち受けていた!

20. 第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG
北端、択捉──そこは、旧型の電脳都市にして混沌の坩堝。断片的な情報を元にクゼの目的を想定し9課は旧ロシアの原潜基地跡へと向かう。しかし、そこでは既に難民等とアームスーツが戦いを始めていた!

21. 第21話 敗走 EMBARRASSMENT
クゼと9課との間にある、わずかな動機の差。それは彼に包囲網を突破させ、出島へと辿りつかせる。だが人々の前に広がった光景は、第三者による意志の介在を予見させるのだった。

22. 第22話 無人街 REVERSAL PROCESS
「個別の11人」最期の場所である九州電波塔に、プルトニウム爆弾が仕掛けられた。解体処理のため無人と化し静寂につつまれる街中を、バトーは一人ゴーダのもとへと赴く。クゼが自決をしなかったその場所で、二人はなにを語ろうというのか──。

23. 第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW
戦わずとも勝負は決するはずだった招慰難民と自衛軍。しかし、水が低きに流れるように、人の心もまた易きに流れる。一発の銃声が状況を急変させ、事態は混迷の度を深めていく。

24. 第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER
制空権をおさえられ潰走する招慰難民達。ゴーダの策略がさらなる展開を見せる中、9課は出島へと突入する。一方で、クゼは人々をハブ電脳に繋ぎ止めるべく、次の手に出ようとしていた──。

25. 第25話 楽園の向こうへ THIS SIDE OF JUSTICE
クゼと邂逅を果たす草薙、そして茅葺の救出に成功する荒巻──事態は収束に向かうかと思われた。だが、タチコマが掴んだ情報は、9課の動きが未だにゴーダの予想の範疇を出ていないことを示していた。

26. 第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG
この終焉は、通過点の一つであり、又始まりでもあるのだろう。自らを賭して攻撃を阻止したタチコマ。革命の行く末を見極めることなく逝くクゼ。ゴーダとの因縁を精算する9課。そして──。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

90.2 3 SFで頭脳戦なアニメランキング3位
PSYCHO-PASS サイコパス(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (5576)
26362人が棚に入れました
人間の心理状態や性格的傾向を、即座に計測し数値化できるようになった世界。あらゆる感情、欲望、社会病質的心理傾向はすべて記録され、管理され、大衆は 「良き人生」 の指標として、その数値的な実現に躍起になっていた。人間の心の在り方、その個人の魂そのものを判定する基準として取り扱われるようになるこの計測値を人々は、
「サイコパス(Psycho-Pass)」の俗称で呼び慣わした。

声優・キャラクター
関智一、花澤香菜、野島健児、有本欽隆、石田彰、伊藤静、沢城みゆき、櫻井孝宏、日髙のり子
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

コーギトー・エルゴー・スム…全知全能の合図、しかし、それは絶望のイリュージョン…Vol.1

【レビュースタイル】
分類:考察
文章量:長文
専門性:高
難易度:高
閲覧留意点
※閲覧に際しては各分野に関する予備知識を必要とする。

【制作情報】
▼放送年:2012年(秋クール)
▼原作:オリジナル作品
▼ストーリー原案:虚淵玄(ニトロプラス)
▼アニメーション制作:Production I.G
{netabare} ▼話数:22話
▼総監督:本広克行
▼監督:塩谷直義
▼キャラクター原案:天野明
▼キャラクターデザイン:浅野恭司
▼脚本:虚淵玄、深見真、高羽彩
▼音楽関係
OP曲
「abnormalize」(#1〜#11)
作詞・作曲・編曲 TK / 凛として時雨
「Out of Control」(#12〜#22)
作詞・作曲・編曲・歌 Nothing's Carved In Stone
ED曲
「名前のない怪物」(#1〜#11)
作詞・作曲・編曲 ryo / EGOIST
「All Alone With You」(#12〜#22)
作詞・作曲・編曲 ryo / EGOIST
劇中曲「Trigger Finger!!!」(#12)
作詞 Shoko / 作曲・編曲 菅野祐悟 / 滝崎リナ
▼主要CAST
狡噛慎也(CV:関智一)
槙島聖護(CV:櫻井孝宏)
常守朱(CV:花澤香菜)
宜野座伸元(CV:野島健児 )
唐之杜志恩(CV:沢城みゆき)
雑賀譲二(CV:山路和弘)
他{/netabare}

1. 序
フランス革命以後近代ヨーロッパ、北米で生じたイデオロギー対立はフランス啓蒙が齎した「自然権」を巡る解釈や考え方の相違であると述べても過言ではない。
本作の核心である「シビュラシステム」を考察ないし哲学を進める上で「自然状態」「自然法」そしてかかるそれらから導かれた「自然権」の概念を領(し)っていることと、いないことで本作の厚みが根本的に変化する。
フランス革命の理論はモンテスキュー*1、ヴォルテール*2、ルソー*3など多くのフランス啓蒙哲学者が関与しているが、とりわけルソーはフランス啓蒙の始祖たる(人間理性の完全性を前提とした→ハイエク*4により否定された設計主義的合理主義)デカルト哲学の直系でもあり、特に国家の統治体制を説いたルソーの「社会契約説」は後年「あらゆるレボリューション」に欠かせないアイテムとなっている。

ルソー曰く「人間は生まれながらにして自由である。しかし、いたるところで鎖につながれている。自分こそが主人だと思っている人も、実は奴隷であることに変わりはない。どうしてこの変化が生じたのか私は知らない。何がそれを正当なものとし得るか、私はこの問題は解き得ると信じる。」*5

さて、初端から哲学を引用したが、このルソーの言説ほど本作の世界観を言い得て妙な文言はそうそう見つからない。
いや寧ろ、脚本(高羽、虚淵、深見)はルソー哲学をベースに本作の世界観が練られたのではないかと疑念するほど「自然状態」と「一般意思」の葛藤が描かれた本作の世界観はルソーが目指したユートピアに近いのではなかろうか。
本作が醸す世界は誰しもが「デストピア」と想像するであろうが、それはゲストとして第三者の立場で本作を俯瞰してのメタ感覚であることを認識する必要がある。
もし、未来の社会が「シビュラシステム」の支配下となっても、最適解で得られる幸福を享受する被支配層のほとんどは彼等に疑問を抱くことは無いであろう。
そう、中華人民共和国で実用化されつつある人民総監視社会「社会信用システム」のようにだ。

さて、ルソーを切り出したことで私のレビューを閲覧している諸氏は、本レビューがまたぞや政治思想に逸れることを懸念乃至は辟易したいることと思う。
また、学生時代に学習したことを思い出し懐かしさに耽る方もいると思う。

だが、勘違いをしてはいけない。

私がここで記述することは中江兆民*6らによってレトリックされたルソーの理想などではないし、世界を血に染める結果となったフランス啓蒙の死神的な所業を暴露することも一つの意思ではあるが、ここでのゴールではないので杞憂である。
また、マルクス思想やコミュニズムについては他のレビューでも触れているが、マルクスの政治哲学を成立させたフランス啓蒙を直接考察対象とするのは本レビューが最初であろう。

無論、保守主義者そして自由主義を尊ぶ者達にとって、破壊主義の始祖ともいえるルソー思想を育んだフランス啓蒙はマルクス主義以上に駆逐すべき存在、即ち人類の敵であることに異存は生じない。
だが、しかし、望むことなかれで生じた社会契約思想がデストピアの入口であっても、終末へと向かう道程は人類に課されたある種の”Fate”に導かれるならば、絶対倫理が支配する全体主義社会の到来は人類にとっては不可避なのかもしれない現実の脅威であるのだ。

フランス革命以後近代ヨーロッパ、北米大陸で生じたイデオロギー対立はフランス啓蒙が齎した「自然権」を巡る解釈や考え方の相違であると述べても過言ではない。
奇しくも本作レビューを推敲している間に鑑賞した『ガールズ&パンツァー 最終章 第2話』*7に於けるBC自由学園(フランスモデル)のマリーが語った{netabare}「今度革命が起きたらぶっ潰してやる!」{/netabare}の台詞、嗚呼水島努監督もフランス革命を否定している保守派の同士なのかと共感したことが、とても印象的だった。

さて、本作の核心である「シビュラシステム」を考察ないし哲学する上で「自然状態」「自然法」そして、かかるそれらから導かれた「自然権」の概念を領(し)っていることと、いないことで本作の厚みが根本的に変化する。

脚本家達が(おそらく視聴者の知的好奇心を翻弄する意図を含めて)仕組んだ文学、哲学の引用技法に翻弄されるだけでは、本作の深淵を覗くことはできないであろう。
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*1Charles-Louis de Montesquieu(1689- 1755)仏
*2Voltaire(1694 - 1778)仏
*3Jean-Jacques Rousseau(1712 - 1788)仏
*4Friedrich August von Hayek(1899 - 1992)墺
*5Rousseau『社会契約論』(1762)
*6中江兆民『民約訳解』仏学塾(1882)
*7 2019年6月公開


2.世界観の哲学的考察
私として愉快なことは、思想的言説でコミュニズムを批判する行為を批判する階層が「シビュラシステム」を「デストピア」と認識する矛盾であり、この事実で世に蔓延る知識のカオス、即ち価値相対を明確に認識することができたことだ。
私は個人の自由が制限された全体主義の社会に生きることは真っ平御免故に、コミュニズムに代表される全体主義を尊ぶ左翼思想(左翼思想の出自を考えれば全て全体主義ターミナルへ向かう運命にある。)の全てを批判しているのだ。

では、本作のテーマ構築に当たり、何がどのようなサンクションを果たしているのかオービットスペースを検証していこう。

※本項は閲覧者において憲法学、法学、政治学、哲学、科学哲学、心理学、精神医学、自然科学一般の予備知識があることを前提に記述しており、内容は極めて難解であることを御理解願う。


2-1自然法概説
さて、本題に入ろう。神託の巫女を名乗る「シビュラ」の核心とは一体何なのかについて考察を深めていく。
ここから、閲覧者諸氏が頭痛を起こすであろうことは考慮せず「自然法」を説明する。

「自然法」を多少なりとも理解できなければ「シビュラ」の核心を紐解く「自然状態」や「自然権」への到達はハードルが高過ぎるか無理であろう。
まず「自然法」という考え方は、彼等と文化的系譜を異にする我々日本人の思考体系ではイメージするのは、厳しいとの前提認識を肯定することが肝要である。

{netabare} 理解へ向けての第一ステップとして『創世記』を皮膚感覚として捉え、次のステップとしてキリスト教(聖書)、イスラム教(啓典)、ユダヤ教(タナハ)圏(以下、では無条件の摂理である「神は万能なり」を具体的にイメージできる感受性が求められる。
この神は偶像化以前に存在する「創造主」であり、創造主=神=Nature(自然)のマトリックスを形成する。
特に肝要なことは、キリスト教等圏における”Nature”と”Culture(人為の文化)”は日本語における対義関係ではなく”Nature∋Culture”となる、つまり「人為」は「自然」の要素に過ぎないということだ。
つまり、聖書、啓典、タナハを規範とする社会では「人」も神の被造物である要素であることから”Nature∋Culture”の受容を諸氏は法の正体を観念に捉えて承認することが第三のステップである。{/netabare}

さて、以上の説明から聡明な閲覧者諸氏にはピンと来られた方も居るだろう。
自然法とは天地創造より発生した「因」が現在に至るまでに生じる「果」を司る基軸であり、アニメファン向けに例えれば『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)*8における「円環の理」が「自然法」に近しい概念(厳密には等価ではない)であろう。
これでイメージが補完されたであろうか。

そう、「自然法」とは神の被造物、神が定めた世界の条理(法)そのものなのだ。
端的に言えば【神の法=自然法】である。

{netabare} ところが「自然法」は厄介なことに所謂成文法の体裁ではないことから、中世から近世にかけて実態化させるべく様々な解釈論が相次ぐこととなる。
彼等は「自然法」の存続を、実定法の背後に隠れて未だに発見されていない条文のことと思考するが、我が国の法学はあくまで解釈することこそが大切なのである。
この点が自然法から発展した西洋法哲学と、自然法の概念なく理屈の輸入で始まった、我が国の法学思想の決定的な相違点であり、法曹に限らず政治家も「統治」の原理原則や、立憲主義に於いて本来の意味を履き違えるような迷路に陥っている。

この点は後に考察する「社会契約論」で更に厳しく吟味する機会を設ける。

次に「シビュラ」の深淵を紐解くには「自然法」と項目タイトル「近代自然法」の違いについても諸氏は理解を深める必要がある。
そろそろ私の説明だけでは心許ないかもしれないなので、研究論文からも引用する。
「自然法思想はーー形而上学的想定や神学的背景を前提にした中世的自然法から世俗的で経験論的な近代的自然法へとヒューム*9らによって転換され、それはカント*10にも継承されている。
自然法思想は、古代スコラ哲学に起源を持ちーー近代には「神」の存在を必要としない世俗的な形態をとって現れた。
ダントレーヴ*11は近代自然法を、次の三つの特徴をもつとする。
(1)合理主義:自然法は信仰と切り乾された自足的な人間理性によって把接される
(2)個人主義:社会は自由な諸個人が結ぶ契約に由来する「社会契約説」
(3)急進主義:不正な政府に対して「抵抗権」が認められる
しかし、ダントレーヴはこのような近代自然法の理論は、実際には自然権の理論であったと指摘しカントまで自然法の伝統は中断したとするが、このような特徴を共有しない自然法思想の系譜も存在する。*12」

上記の(1)大陸合理論、(2)社会契約説、(3)自然権はこの後に項を設けて説明を展開していく。{/netabare}
-----------------------------------------------------------------------------------
*8本作の脚本は虚淵によるもの。虚淵の思想を彼のコンテクストを通しての読解から考察分析するうえに於いて、バッドエンド回避の為に彼が模索してきたテクストの遷移を評価する必要がある。まず、小説『Fate/Zero』(2006)以前と以後では大きな変化が生じている。このインバータの変革は長い時間をかけて臨界に達したものであるが、彼は常日頃からダークファンタジーを指向する動機として「人々の幸福には辟易するウソ臭さ」と嘯いてのだが、バッドエンドには必ずしも肯定的ではなく、その理念的なパラドックスから生じる葛藤(虚淵自身の言質を借りれば「バッドエンド症候群」であり、これが原因で絶筆も考えた経緯がある。)が、その後の虚淵ドクトリンの格率となる「救済」の発見へと繋がる。小説『Fate/Zero』に於ける「救済」とは「功利主義」(「功利主義」には方法論に於ける広義と狭義があり、ここでは前者を示す。)的な発想、つまり、一人の幸福よりも二人の幸福・・二人の幸福よりもn人の幸福と「功利主義」が掲げる幸福の数値目標的な発想に依拠して「救済」の意味を本作に落とし込もうとしたが挫折する。その答えは同作Vol.1のあとがきで彼が本音を綴っている。『PSYCHO-PASS』のコンセプトにも重要な影響を与えているので、文字数を気にせず「あとがき」を引用する。「物事というのは、まぁ総じて放っておけば悪い方向に転がっていく。どう転んだところで宇宙が覚めていくことは止められない。”理にかなった展開”だけを積み上げて構築された世界は、どうあってもエントロピーの支配から逃れられないのである。――故に、物語にハッピーエンドをもたらすという行為は、条理をねじ曲げ、黒を白と言い張って、宇宙の法則に逆行する途方もない力を要求されるのだ。」私は、このあとがきを読んで彼の教養の奥深さと、社会洞察の鋭さに深く敬意を払うに至ったのだ。おそらく彼はアカデミカルな政治哲学への造詣は深くはない。しかし、それでも私が仮説した目的について、彼が政治哲学を踏まえなくとも「円環の理」は「自然法」へと還元される事実を疎明するに足る傍証が豊富であるからである。Magica Quartetの一員である彼自身の「宇宙の法則に逆行する途方もない力」換言すれば宇宙とは神(GOD)であり法則は「自然法」であることを見事に看破し、これを創造するしかないことを明示的に承認しているのだ。功利主義での救済ストーリーが無理だと悟った彼は『魔法少女まどか☆マギカ』では功利主義的描写を抛棄し、鹿目まどかの自己犠牲を通して「利他主義」を救済の前面に押し出す。『PSYCHO-PASS』では『Fate/Zero』で寄り道をした「功利主義」への清算を図る意味でも「利他主義」だけではなく対義の反駁として「利己主義」との相克を描写し否定を深化させる必要があったのではないのだろうか。故に彼にとって過去の自身への皮肉をも「シビュラシステム」に投射しているのだ。
直接参考文献:山本賢一、奥村元気『Fate/Plus 虚淵玄 Lives 〜解析読本』河出書房新社(2014)『虚淵玄の思想: 「愛」と「救済」の不可能性という観点から 』紀尾井論叢(2017)虚淵玄、悠木碧、斎藤千和、田中ロミオ『ユリイカ2011年11月臨時増刊号 総特集=魔法少女まどか☆マギカ 魔法少女に花束を』青土社 (2011)斉藤環『キャラクター精神分析』筑摩書房(2011)虚淵玄 小説『Fate/Zero』TYPE-MOON 星海社(2006)
※虚淵氏を考察対象とした上記註釈は一時的にタグを外して公開しています。レビュー全文が追加され次第タグを掛けます。{netabare}
*9David Hume(1711 - 1776)英(スコットランド)
*10Immanuel Kant(1724 - 1804)独
*11Alexandre Passerin d'Entrèves(1902 - 1985)英
*12太子堂正称『ハイエクにおける自然と自然法の概念』經濟論叢 (2005){/netabare}


2-2神の束縛から理性の解放を目論んだ大陸合理論
2-1では近代自然法は大きく二つの系譜に分離したことを説明した。
一つはデカルト*13が提唱した【「大陸合理論」→フランス啓蒙】と二つ目はベーコン*14、ヒューム、ロック*15に代表される【「英国経験論」→スコットランド啓蒙の系譜と法の支配とに峻別される。】である。
ここでは「英国経験論」の存在については意識することに留め、この項では前者「大陸合理論」を中心に説明する。

{netabare} スコラ哲学で発達した自然法のアーキテクチャーはデカルトの登場で神の所有から人の所有へと変化した。
彼の格率とは、理性との対話を演繹する思弁的な導入こそが無謬の価値と認識し、世界を理解しようとする思想である。

デカルトは「人が神の子ならば我もまた神の一部」であるとして人の思弁や意思は神と同等であるとの唯我独尊な価値観から自身の哲学をボトムアップした。
つまり、人類は自らの理性のみの力で世界を解明し(自然法の理性解釈に依って)人類にとって理想的な世界を設計できるとする実態としては確実にデストピアに至る狂気の国家観も「神の存在証明」*16からすべてが始まったのである。
後に、ここから少数のプロテスタンティズム内の神学的な意味合いから哲学へと移行した「理神論」のイドラがドグマの表象を覆い「社会契約思想」へと繋がる足掛かりとなる。
具体的にはデカルトの存在論において二つの存在「思惟の存在、神、論」と「原因の存在、神、論」を見出し、この二つの存在、神、論の「二重化」によってデカルト哲学が特徴付けられているということだ。

そして、二つの存在は論理的にはパラドックスを生じる関係なのだが『方法序説』*17「我思う、ゆえに我あり」は後にカントらの批判に晒されるまでは形而上学のモデルとして当時のあらゆる哲学者の規範的ルールとされたのだ。
少し考えれば、観測される側と観測する側の答えが常時一致(理性万能的課題)すると思考する方がどうかしているのである。

デカルトにおいて「存在者を純粋な存在者という地位に送り返す存在様式」とは、「対象という様式において存在するという存在様式」である。
この対象は知性にとっての対象であり、対象が存在者となるのは思惟されたものである限りにおいてである。
そしてあらゆる「思惟されたもの」に対して「思惟するもの」は先立っていなければならない。

このような思惟するものとその対象との関係は、思惟するものが卓越した存在者であり、さらにその他の存在者より確実に実在することの根拠となる。
このような卓越した存在者は「我(ego)」と呼ばれる。
しかし思惟するものは同時に思惟されるものである。
なぜなら思惟するものは自らの思惟を自身にまで及ぼし、自らを一つの存在者として対象化するからであり、思惟はより本源的には自己思惟を意味する。
そして「我」という卓越した存在者がその他の存在者に先立つと同時にその存在を根拠づけるのであり、対して思惟するものと思惟されるものとの関係によって語られる存在様式は思惟するものの思惟する限りでの卓越的な実在を根拠づける。
こうした二つの根拠付けから思惟の存在、神、論は構成される。

ここで存在、論は存在者を思惟されたものである限りで存在者と見做し、神、論は思惟するものという卓越した存在者としての「我」を見出す。
つまり、思惟するものと思惟されるものの関係は量子論で言うところの重ね合わせの状態であるが、人が認識し得る巨視的な形式で実態化(認識)するには相互の存在条件を否定しなければならない。
しかし、このような致命的なパラドックスの存在がありながらも、当時は高名な学者すらも解釈に翻弄されながらデカルト哲学から更なる合理を追求した結果、唯物論に呑まれ人間性を喪失したジャコバン派*18による大量処刑と粛清を正当化する如く、後にとんでもない悲劇に至るのである。
(フランス人権宣言における「平等」の理念は身分に関係なく処刑の平等化と大量処刑の効率化を促しギロチンが普及する。ギロチンはフランス革命の象徴でもある。)
フランス啓蒙の極限とされる共産主義*19に至っては、神の奇跡を否定する「理神論」から神の存在を否定する理性至上の「無神論」*20へと政治的実行に至るまでに昇華した結果、更に何が起きたかはあらためて記すまでもなかろう。

フランス啓蒙の発達を契機に欧州全域で神と人間は同等とする「理性万能主義」*21が闊歩することとなるが、この思想を社会システムへ適用した場合は後に政治学において「設計主義的合理主義」*22と定義される。
フランス啓蒙が承認した理性万能に立脚した全体主義の嵐は、ロシア革命とボルシェヴィキ支配*23、スペイン内戦*24、ナチス政権*25、文化大革命*26、カンボジアポル・ポト政権*27、天安門事件*28ではジェノサイドや大量虐殺が不特定多数の理性者の名において実行されたことを忘れてはいけない。
(ナチスによるジェノサイドは独裁者ヒトラーの意思であるとの反駁もあろうが、民主的手続きでヒトラーを選択した当時のドイツ国民の意思がヒトラーを彼等の代理人としたことに留意すべきであり、民主主義の名を借りた社会契約に潜む危険性の事実証明でもある。)

ある意味、演繹の絶対的価値に囚われたデカルト哲学の誤謬を戒める目的ではないにせよ、フランス啓蒙の趨勢となった「神の存在証明」はローマ法王庁の逆鱗を買い、彼の著作はイタリア方面で禁書目録とされた。
故に、イタリアは血塗られたフランス啓蒙に大きな影響を受けることなく動乱の19-20世紀の欧州においてファシスト党*29が政権に就く1929年まで思想的な安寧を享受した。

次に、デカルトが提唱した理性主義に唯物論を融合させて「自然状態」を再定義したホッブズ*30の思想について。
-----------------------------------------------------------------------------------
*13René Descartes(1596 - 1650)仏
*14Francis Bacon(1561 - 1626)英(イングランド)
*15John Locke(1632 - 1704)英(イングランド)
*16Descartes『省察』(1641)
*17Descartes『方法序説』(1637)
*18フランス革命期の政治団体。彼等が行った恐怖政治は「テロリズム」の語源となり、また議長席から見て、国民公会の左側の席を国民会派の位置としたことから「左翼」の語源となる。
*19『資本論』1867の共著者フリードリヒ・エンゲルスはその著書『反デューリング論』(1877)で科学的社会主義(=共産主義)は英国古典経済学、ドイツ観念論、フランス啓蒙の合作であることを明示している。
*20Marx『ヘーゲル法哲学批判』(1843)
*21Kant『純粋理性批判』(1781、1787)
*22Hayek『自由の条件』(1960)
*23B.レーニンが率いた「ロシア社会民主労働党」左派、後の「ソ連共産党」の前身。
*24 1936年〜1939年スペインで生じた、共産主義とファシズム勢力の代理戦争。
*25 1932年11月の総選挙で第一党を維持した「国家社会主義ドイツ労働者党」の党首A.ヒトラーが1933年にヒンデンブルク大統領から首相に指名された。
*26 1966年〜1977年まで続いた毛沢東思想復権の社会運動。このときの思想締め付けが遠因となり後にソ連崩壊をトリガーとして文化人、学生を中心とした民主化を訴える天安門事件に至る。
*27カンボジア共産党中央委員会書記長で共産党ゲリラ組織の「クメールルージュ」を率い1976年に首相に就任した。パリ留学中にフランス革命に強い感銘を受け、フランス共産党で共産主義を学ぶ。統治は原始共産制を理想としたマルクス原理主義であり、知識人、政府関係者等の旧ブルジョア階級を徹底的に弾圧し、大量虐殺を行う非人道的かつ文化破壊等の過酷極まりない政策を実行した。
*28 1989年6月4日、天安門広場に籠城している一般市民に対し人民解放軍が戦車を投入し実弾発砲してデモを強制鎮圧した事件。多数の死傷と政治犯として多くの市民が逮捕された。事件の模様は全世界にライブ中継され世界中で中国批判が巻き起こった。
*29イタリアの政党1922年設立。党首はB.ムッソリーニ。
*30Thomas Hobbes(1588 - 1679)英(イングランド){/netabare}


2-3自然法と唯物論のメランコリー

2-3-1唯物論
{netabare} 「唯物論」とは「物質を意識に対して根源的であるとし,感覚,知覚,表象など一般に人間の意識を客観的存在の反映としてみる物質一元論的世界観。」*31
お分かり頂けたであろうか。
以前、他のレビューで「史的唯物論」を説明したが、これはL.フォイエルバッハ*32系譜の「唯物論」の一つの形態であるだけで、本来「唯物論」は哲学分野における幅広いコンテクストの一種であり、かつ、世界観の解釈であると理解すると良い。
英語では”Materialism”でありイデオロギーとして分類されている。
要は、実在社会(形而下)で起こるすべての現象は「因果律」に支配されていることから、必ずしも現実とは不等価である「形而上学」をすべて「因果律」で解き明かそうとする姿勢、態度のことだ。
本来、自然科学にしか適用されない因果律の状態を形而上学にも適用する妄想の産物と断言しても良い。
つまりポパー流に言わせれば、反証の可能性があろうがなかろうが現実から空想まですべてを因果律でこじつける態度である。*33
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(2019)における量子論設定の妄想は苦笑いで済むが、唯物論は政治思想として発達し、結果、大量虐殺を招いているのだから単なる哲学的妄想では済まされないのだ。

例えば、満天の星空を見て、感情では「とても綺麗だ!」と思うのだが、唯物論では「網膜が星の光を感知し視神経を通して脳でイメージを表現している。」と考える。そこに星空に対する情緒を認める姿勢はない。
上記のように「唯物論の世界観」では人間の心象は「因果律」の範囲外であり、人間の自由意志や感情をまったく認めないか、さもなければなんらかの法則性に従うものとみる。

「唯物論の世界観」においては人間もまた機械的な道具の一種と看做されるのだ。
「唯物論」は(弁証法を用いた場合、哲学における対峙概念は被対峙概念と等価となる。)あらゆる全体主義的思想を構成することからも、コミュニストやナチスが人間的、人道的な葛藤を抱くことなく、機械的に大量虐殺を実行し得た思想のカラクリ(狂気の発生)も御理解頂けたであろう。

シビュラ曰く「再確認しましょう。常守朱、あなたはシビュラシステムの無い世界を望みますか?そう、うなずこうとして躊躇してしまう。あなたが思い描く理想は、現時点で達成されている社会秩序を、否定できるほど。明瞭で、確固たるものでは無い。」
上記第20話*34における「シビュラ」と常守朱の会話を思い出して頂きたい。
なる程、常守朱の意識にある正義は「シビュラ」から見れば因果律が存在しないタダのセンチメンタル(特殊意思)に過ぎないのだ。
現にあるシステムは因果律により保証されている前提があるからこそ、常守朱としては心理的な抵抗はあろうとも、ロジック的な正しさは受け容れざるを得ないこの状況こそ「シビュラ」の発想が「唯物論」に依拠している事実として御理解頂けるであろう。{/netabare}

2-3-2自然状態
{netabare}さて、常守朱においては「シビュラ」の正しさは認めても自身の感情には割り切れない何かがある、この状態の部分が社会契約における「特殊意思」であるが、啓蒙の時代、この概念に至る前に「自然状態」なるモデル概念が近代自然法の解釈過程で生じた。
本作の背景設定では世界中で「法治国家」を維持しているのは日本だけだが、「法治」ではない状態として他の国の国民(市民)はホッブズがモデリングするところの闘争状態にある「自然状態」であり、人間の本質構造の規定に基づいて、万人がアトム的な存在において平等かつ自由であるような国家を創造することが闘争のない「法治国家」なのである。
それ故に、本源的な恐怖こそが、同じく人間の本性に根ざしている他者を支配しようとする欲求を押しとどめているとし、恐怖は懸念であり、疑惑、不信、用心といった精神活動へと発展して行くとしている。

ホッブズ曰く。
「もし恐怖 がなくなれば、人間たちは生来益々熱心に、交際することよりも支配することを望むだろう。したがって次のように言わなければならない。あらゆる大きく長続きする社会の本源は、人間が抱き合う相互的な好意よりも、彼らが抱き合う相互的な恐怖にある。 」Hobbes(1642)*35
「主権は全体に生命と運動をあたえる人工の魂であり、為政者たちやその他の司法や行政の役人たちは人工の関節である。ーー内乱のさいの悲惨で恐るべき災厄と、支配者のいない人々のあの無法状態と比べると(主権への服従という)人民におこりうる最大の不便さえも大したことではない。ーー人民が主権者の命令によって殺されることがありうるが、そのようにして死につく者は、その行為をする自由をもったのであり、自由を侵害されたのではない。」Hobbes(1651)*36

お分かり頂けるであろうか。
ここで引用を行うのは、テクストを解釈的に決めつけることを極力避ける意味で、諸氏に彼の思考を読解して頂きたい主旨故にである。
ホッブズが考えた「自然状態」とは「自然法」の枷せが外れた社会における人間の本性を意味する。
しかし、そのような状況下では社会は維持できない。
再度、ホッブズ曰く、
「社会状態の外には、各人の各人に対する戦争がつねに存在する人々が、彼ら
すべてを威圧しておく共通の権力なしに生活しているあいだは、彼らは戦争と呼ばれる状態にあり、そういう戦争は各人の各人に対する戦争である。
すなわち戦争は、たんに戦闘あるいは闘争行為にあるのではなく、戦闘によって
争おうという意志が十分に知られている一連の時間にある。」Hobbes(1651)*36
ホッブズが言う「戦争」とは実際の戦争ではなく、人間同士の闘争カオスのメタファーであるのだが、状態として自然状態にある人間は恐怖の中で互いに向き合っていことを「戦争」で表現しているのだ。

さて、故に、社会(統治)の永続性は「彼らが抱き合う相互的な恐怖にある。」。
「シビュラシステム」の支配下にある市民は執行対象とならぬよう、色相の濁りを常に気にしメンタルヘルスのメンテナンスに務めなければならない。これこそが一方の側面である「執行される者」の恐怖を模写しており、「臣民が主権者の命令によって殺されることがありうるが、そのようにして死につく者は、その行為をする自由をもったのであり、自由を侵害されたのではない。」Hobbes(1651)*36と執行する者はされる者の自由を守ったと考える奇妙な関係性(相互的な恐怖)である。{/netabare}

2-3-3シビュラシステムと唯物論の親和
{netabare} 本項の主題は「唯物論と自然状態」である。
「唯物論」とは如何なるものかは既に説明をしているが、人間はあくまで生物活動体であり、本来そこには各人の持つ個性が存在するが、これは一切抹消され、画一された物質的な存在と規定される。
つまり、唯物論が想定する社会に存する人間に個性の概念などはなく、皆同じ思考で同じ行動を行う「アトム(原子で構成された物体の意)的な人間」が抽象的に存在するのみである。
雑駁に述べれば、唯物論が土台の社会(社会主義や共産主義など)において人間は「モノ」と同列なのだ。
そして、人間のアトム化とは「無神論」を背理で具象していることに留意されるとともに、純粋な唯物論の世界に「神」は存在しない(してはいけない)のである。

再度ホッブズ曰く(括弧内は私の加筆)
「世界にすべて存在するものは物体であり、それは自然的物体、人工的物体、中間的存在である人間体に区分される【唯物】。人間は元来利己的動物【自然状態、特殊意思】であるから、合意的契約をもって社会の平安を図らねばならず【社会契約】 個人の上に絶対的権威、すなわち人工的物体の最高位である統治機構【一般意思】を必要とする。」Hobbes(1651)*36
そして、人間とは恐怖の枷(統治システム)がなければ好き放題なことを行う利己的な存在である故に、個人が持つ一切の自由と権利を放棄して主権に服従せよと説く。
さて、閲覧者諸氏はなぜかくもスムースに英仏間で思想の連携が行われているのか疑問に湧く方もいるだろう。
一つは、デカルトとホッブズが旧知の間柄であったことと、更に大きな理由として、当時の英国はイングランドであり、スコットランドやアイルランドは別の王国であったこと。
特に、宗教的には英国国教会とは独立しており、カトリックが多いスコットランドは大陸(フランス)との文化往来が盛んであり、フランス啓蒙がスコットランドの哲学者に影響を与え、英国経験論(スコットランド啓蒙)という独自の哲学に発展し、スコットランドのみならずイングランド全土へ二つの啓蒙思想の影響が伝播する。
字数に余力があれば「シビュラシステム」を掘り下げる意味で英国経験論にも言及すべきであろうが、それはまたの機会にする。

さて、ここまで読了してくれた聡明な閲覧者諸氏には「シビュラシステム」とは「PSYCHO-PASS」結果で生じる不安を担保に市民を統治する恐怖政治の一種であることにもうお気づきであろう。
「シビュラシステム」の統治下おいては犯罪係数の規定値が100未満の者のみ市民の権利が最大限保証される社会である。*37

唯物論では人間であるか否かまでも生物学的事実で規定するのだが「シビュラシステム」が認定する市民も、複雑なアルゴリズムで計算された数値で判断される。
なお、この計算内容、結果の真偽について、作品中では仮説演繹よりも帰納的事実を強調して視聴者に描写されていることに十分留意する必要があるのだが、かかるレトリックは、意図的に狡噛慎也、槙島聖護、常守朱意における「シビュラシステム」へ葛藤を最大限に引き出す驚愕のシナリオ構成と演出である。
よく比較される『攻殻機動隊』シリーズでは、ここまでマニアックな哲学的細工を施した演出は行われていない。

また、本作は、多くの哲学者、文筆家の言葉が引用されていることから「衒学」の疑念も湧くかもしれないが、脚本家達が哲学者や文学者の言葉を引用したのは、それをプロットに落とし込んで物語を成立させる絶対の自信と、単に台本をなぞるだけではなく、それられと整合した演出技法としても哲学をバインドしたことは映画『地獄の黙示録』、我が国の黒澤作品と並ぶものであり、アニメ離れをしたテクニック故に確実に知的好奇心を揺さぶるのだ。

端的に表現をすれば『攻殻機動隊』は哲学に対して素直でありリスペクトの対象としていることに対し、本作は哲学に対して捻くれており、哲学と遊んでいるのだ。勿論、後者の方が私流の褒め言葉である。

以下は蛇足であるが『劇場版 幼女戦記』(2019)においてターニャ(ターニャ・フォン・デグレチャフ)がコミュニストを忌み嫌っている描写がある。
これは、ターニャの前世の日本の社畜が所謂「新自由主義」の代表格としてよく取り上げられる「シカゴ学派」に心酔している設定において、資本主義と計画経済の二項対立を企図したのであろうが、ここまでの解説を熟読された熱心な諸氏は本作や『攻殻機動隊』と比して『幼女戦記』の政治哲学設定の希薄さを禁じ得ないであろう。
ターニャの思考様式は明確に「唯物論」であり「シカゴ学派」の格率に存在するものは「唯物論」とは対極に位置する「法の支配」と「プラグマティズム」、「批判的合理主義」である。
私としては、同作品において「シカゴ学派」や「大陸合理論」、「理神と無神の峻別」に対する理解と知見不足を曝け出しただけに思うし、原作者はアカデミカルに則り政治哲学を勉強すべきであろう。
これ以上の詳細は、同作のレビューで述べる。

本来、人が人であることの証は人同士の相互認識(印象)で成立するものだが、人格の数値データ化や、生物学的な定義のようにマテリアルな事実を杓子とする考え方、即ち唯物論の世界観は歴史的事実に鑑みても、コミュニズムに代表される全体主義左翼思想にしか適用されていないのだ。

故に唯物論から紐解かれる「シビュラシステム」の概念の一部はホッブズの図版にあったと仮説できるが、ここまで「理性(万能)主義」、「理神論」、「無神論」、「唯物論」、「自然法」、「自然状態」と説明を続けてきたが、これでようやく「シビュラシステム」の哲学的核心の半分に到達したか否かであろう。

次項「自然権」、「社会契約」、「デストピア」推論と考察。
以後、追記予定。
(仮題)
相対的応報刑論、目的刑論から「シビュラシステム」の推論と考察。
物語構成技法の検証。
作品各論。
-----------------------------------------------------------------------------------
*31『ブリタニカ国際大百科事典』 ブリタニカ・ジャパン(2018)
*32Ludwig Andreas Feuerbach(1804 - 1872)独
*33Popper『科学的発見の論理』(1934)
*34#20 「正義の在処」
*35Hobbes『市民論』(1642)
*36Hobbes『リヴァイアサン』(1651)
*37公式サイト{/netabare}

文字数制限の関係で本レビューは分割掲載とします。
ここまで乱筆乱文なレビューを閲覧していただき、深く謝辞を述べます。
To Be Continued

2019年6月30日初稿

投稿 : 2024/05/04
♥ : 57
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「分析官、鑑定結果は?」「哲学的中二病エンターティンメントかな笑」

※AKIRAをつい更新してしまったので、こっちも更新しておこう(長文注意)。
※第1シリーズ(オリジナル版)・新編集版・第2シリーズ・劇場版、全て併せた感想・レビューです。

◇劇場版の1時間23分付近(狡噛と傭兵隊長のダイアローグ(対話))

{netabare} ----------------------------------------
「国家が崩壊した世界では暴力の民間化が行われる。なぜなら組織された暴力の独占こそが国家の本質だからだ。暴力が拡散すると、それは政治以下的なものになる。社会的憤怒を源泉とした経済活動としての組織暴力だ。・・・ふん。」
「『地に呪われる者』か。ポスト・コロニアルかぶれの傭兵とは始末が・・・悪い。」
「ほう、腕だけでなく学もあるのか。ますます面白い。聞けばお仲間のゲリラどもは、随分とお前に心酔していたそうじゃないか。何か耳障りの良い思想でも吹き込んでやったのかぁ(笑)」
「知らないね。」
「だが、何だろうな。確かにお前と話していると不思議と気分が高揚してくる。ワーグナーの曲でも聴いているような。」
----------------------------------------{/netabare}

このシーンを観たとき、余りに愉快で、思わず声を立てて笑ってしまいました。
さっそく、『地に呪われる者』で検索すると、フランツ・ファノン著と出て来て、アルジェリア独立運動の指導者でポスト・コロニアル思想の先駆者とか(笑)。
それでついでに、「現代思想」なるものをさっと調べる際のマニュアル本として重宝している『現代思想入門』(2007年刊、PHP)のポスコロの項をチェックすると、たった1行だけマハトマ・ガンジーや魯迅と並んで、非西洋の思想家としてその名前が書いてあって、虚淵玄氏はこんなものまで読んでるのか!と、また愉しくなってしまいました。

本作は、このように哲学者・思想家・文学者の名前やその著作が、ワザとらしくも矢継ぎ早に出てきて(※ただし、冲方丁(うぶかたとう)氏がシナリオ原案を担当している第2シリーズはそうではありません)、まるで、これって「哲学的中二病」作品?といった感想さえ持ってしまうのですが、視聴し続けるうちに、それが次第に心地良くなっていくという、他に類例のない貴重な経験をさせていただきました。


◆それでも最初は、とっつきにくかった第1シリーズ

本作の第1シリーズ(オリジナル版)放送当時は、『まどマギ』の虚淵玄氏がシナリオ原案・脚本を担当する作品という事前情報に惹かれて、とりあえず第1話を視聴してみたのですが、責任主義・罪刑法定主義や応報刑論といった近代法の大原則を完全に逸脱する設定をいきなり見せつけられて、「何だこの狂った社会は?」と呆れてしまい、そのまま放置してしまいました。

ところがその後、本サイトなど各所で本作が話題になるは、新編集版さらに続編が作られ去年は劇場版も公開され興行収入8.5憶円のヒット作となるはで、これは一度は見とかないといけない作品だな、と思い直して、第1シリーズから劇場版まで一気観してみました。

これが、実に面白くって、とくに他作品では滅多に味わえない知的興奮を沢山味わえて、アニメの新しい魅力と可能性を、更にもう一つ発見できたような、そんな嬉しい気持ちになりました。

視聴した順番は、第1シリーズ(オリジナル版)→第2シリーズ→劇場版→新編集版で、その後さらに各作品をもう一周ないし二周したのですが、その中でも、上に書いた劇場版での狡噛と傭兵隊長のダイアローグ(対話)、そして、その後に見た新編集版の各話にある填島聖護のモノローグ(独白)および狡噛とのダイアローグが、特別に興味深く思えました。

多分、本シリーズは放送された順番のとおり、つまり、第1シリーズ(オリジナル版)→新編集版→第2シリーズ→劇場版、の順で視聴するのが一番楽しめるのでしょうね。

以下、各シリーズの各話の内容を簡易にまとめた後、本作でたくさん言及のある哲学者・文学者やその作品について一覧にまとめ、最後に填島および狡噛の印象的なセリフを引用しつつ、個人的な感想を長々と綴っていきます。
いけないな・・・自分も本当に楽しみ過ぎている・・・笑笑


◆シリーズ別評価

第1シリーズ ★★  4.7 
新編集版   ★★  4.8 
第2シリーズ ★   4.4 
劇場版    ★★  4.5 
-------------------------------
総合     ★★  4.7 


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


===== PSYCHO-PASS サイコパス (2012年10月-2013年3月) =====

- - - - OP 「abnormalize」、ED 「名前のない怪物」 - - - -
{netabare}
 《起》 公安局刑事課の職務が示される

第1話 犯罪係数 ★ 冒頭に填島vs.狡噛、常守朱監視官の初任務(廃棄区画人質事件)
第2話 成しうる者 ★ 監視官・執行官それぞれの職分
第3話 飼育の作法 ★ ドローン工場殺人事件
第4話 誰も知らないあなたの仮面 ★ 人気コミュ主殺人・乗っ取り事件、填島再登場(*1)
第5話 誰も知らないあなたの顔 ★★ 続き

 《承》 凶悪犯罪の黒幕の正体が次第に明かされていく

第6話 狂王子の帰還 ☆ 狡噛執行官の過去(標本事件)、全寮制女子学園猟奇殺人事件、犯罪の黒幕(填島)
第7話 紫蘭の花言葉 ☆ 続き、ユーストレス欠乏性
第8話 あとは、沈黙 × 続き、校内捜査~結末、※かなりの悪趣味さは×
第9話 楽園の果実 ★ 雑賀元教授(黒幕のプロファイリング)、宜野座監視官の事情
第10話 メトセラの遊戯 ★★ 狡噛執行官おびき出し、廃棄地下鉄構内ハンティング事件
第11話 聖者の晩餐 ★★ 続き、狡噛・填島の初対面、常守・填島の初対面、填島の問い(*2)、親友の殺害{/netabare}

- - - - OP 「Out of Control」、ED 「All Alone With You」 - - - -
{netabare}
 《転》 社会の繁栄を支えるシビュラシステムの正体が次第に明かされていく

第12話 Devil's crossroad ★ 六合塚執行官の過去、シビュラ打倒レジスタンス
第13話 深淵からの招待 ★ シビュラの恩寵(*3)、免罪体質者(藤間幸三郎、そして填島)、常守のメモリー・スクープ
第14話 甘い毒 × 群発ヘルメット暴徒事件、街路での女性撲殺シーンが酷すぎる
第15話 硫黄降る街 ★ 填島の陽動、厚生省NONAタワー襲撃
第16話 裁きの門 ★★★ 続き、狡噛vs.填島、常守の選択、シビュラ中枢への到達、縢秀(かがり)執行官殺害

 《結》 シビュラへの信頼が失われた後の各自の決断が試される

第17話 鉄の腸 ★★ シビュラの正体(禾生(かせい)局長vs.填島)、填島から狡噛へのメッセージ
第18話 水に書いた約束 ★ 刑事課に広がる疑念、常守の成長(cf.第1話)、狡噛「法の外」へ 
第19話 透明な影 ☆ 雑賀再登場、填島の次の狙い、宜野座の消耗
第20話 正義の在処 ★ シビュラの真実・迫られる決断(常守)、穀倉地帯バイオテロ計画
第21話 血の褒賞 ★ ウカノミタマ管理センター攻防戦、征陸(まさおか)執行官殉職
第22話 完璧な世界 ★ 続き、填島の最期、宜野座の選択、後輩(霜月)の着任(cf.第1話){/netabare}
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)4、★(良回)12、☆(並回)3、×(疑問回)2 ※個人評価 ★★ 4.7

※注釈
{netabare}(*1)填島の再登場シーンで、彼が両手に抱えているのは、有名なディストピア小説 George Orwell“Nineteen eighty-four”(ジョージ・オーウェル『1984年』)
(*2)「シビュラの神託のまま生きるか、自らの意思に従って生きるか」という問い。
(*3)禾生局長と宜野座監視官の会話「この安定した繁栄、最大多数の最大幸福が実現された現代の社会を、いったい何が支えているのかね?」「それは厚生省のシビュラシステムによるものかと」。{/netabare}

<視聴メモ>
{netabare}
・第1話視聴直後の感想として、フィクションとして面白かったのだけど、責任主義・罪刑法定主義を完全に逸脱する内容には開いた口が塞がりませんでした。
・第3話視聴直後の感想として、バトルの派手さは評価するけれど、特定人物の描写のキモさに少し閉口しました。
・第7~8話の、女子高生プラスティネーション(生体標本化)シーンの悪趣味さ・グロさも要注意。
・第14話の、女性撲殺シーンの悪趣味さも要注意。
・第16話で、ようやく第1話冒頭シーンにつながる。{/netabare}


===== PSYCHO-PASS サイコパス 新編集版 (2014年7-9月) =====

全11話 ※各話評価は割愛({netabare}オリジナル版の各話を2話ずつ組み合わせ、冒頭部等に少し新シーンを入れただけの内容の為{/netabare})


======= PSYCHO-PASS サイコパス 2 (2014年10-12月) ========
{netabare}
第1話 正義の天秤 <299/300> ★★ 公安局刑事課一係の新体制、二係酒々井(しすい)監視官の拉致
第2話 忍び寄る虚実 ★ 公安局への挑戦、鹿矛囲(かむい)からの問い掛け(WC?)
第3話 悪魔の証明 ☆ 公安局への挑戦(続き)
第4話 ヨブの救済 ★ 医療施設立て篭もり事件、青柳監視官殉職、※かなりのグロさ要注意×
第5話 禁じられない遊び ★★ 軍事ドローン施設捜査、ハングリーチキン事件
第6話 石を擲つ人々 ★★ ハングリーチキン事件(続き)、集団的サイコパス汚染、鹿矛囲との対面
第7話 見つからない子供たち ★★ 15年前の事故~成長復元ホロ、執刀医の告白(鹿矛囲の目的)
第8話 巫女の懐胎<AA> ★★ 続き、東金財団の秘密、鹿矛囲の正体はやや難あり×
第9話 全能者のパラドクス ★ 国交省役人晩餐事件、常守の祖母、※グロ注意
第10話 魂の基準 ★ 地下鉄立て篭もり事件、東金執行官の正体
第11話 WHAT COLOR? ★ 集合的サイコパスの受容{/netabare}
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)5、★(良回)5、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4

OP 「Enigmatic Feeling」
ED 「Fallen」


======= 劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス (2015年1月) =======

全1話 ★★ {netabare}東南アジア某国へのシビュラ輸出計画、狡噛との再会、俺たちの闘いはまだ続くEND{/netabare} ※約2時間

OP 「Who What Who What」
ED 「名前のない怪物」


◆本作に登場する書籍、言及される哲学者・作家一覧と、そこから見えてくるもの

《第1シリーズ(オリジナル版)に登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・第4話で、填島が手にもつ本は、ジョージ・オーウェル『1984年』
・第5話で、ルソー『人間不平等起源論』、寺山修司『さらば映画よ』(戯曲)
・第6話で、シェイクスピア『マクベス』、『タイタス・アンドロニカス』
・第7話で、キルケゴール
・第9話で、プラトン
・第11話で、デカルト
・第13話で、病室の狡噛が手に持つ本は、ジョセフ・コンラッド『闇の奥』。また病室の机に置いてある本は、スタンダール『赤と黒』
・第14話で、填島の読んでいた本は、岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』
・第15話で、ウィリアム・ギブソン、フィリップ・K.・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、ジョージ・オーウェル
・第16話で、パスカル、オルテガ
・第17話で、スウィフト『ガリバー旅行記』
・第19話で、M.ウェーバー、M.フーコー、J.ベンサム「パノプティコン」
・第21話で、ヨハネ福音書「一粒の麦」
・第22話の最終シーンで、狡噛が船室に残していく本は、M.プルースト『失われた時を求めて-第1巻-スワン家のほうへ』{/netabare}


《新編集版のみに登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・第2話で、クラウゼヴィッツ(プロイセンの軍人)
・第5話で、ミシェル・ヴィヴィオルカ(仏社会学者)
・第6話で、『ベーオウルフ』(古英語で書かれた英雄譚)
・第7話で、バートランド・ラッセル『幸福論』{/netabare}


《第2シリーズに登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・第8話で、J.ベンサムの考案したパノプティコン(一望監視施設)に言及あり(※但し、第1シリーズ第19話に既出)
→第2シリーズは、虚淵玄氏ではなく、冲方丁(うぶかたとう)氏がシナリオ原案を担当しているので、虚淵氏担当分のような哲学者や文学作品の「中二病」的なひけらかしがない。{/netabare}


《劇場版に登場する書籍、言及される人物等》
{netabare}
・M.プルースト『失われた時を求めて-第7章-見出された時』
・フランツ・ファノン『地に呪われたる者』{/netabare}


◇ジョージ・オーウェル『1984年』を下敷きとした作品世界

本作の裏の主人公でダーク・ヒーローである{netabare}填島聖護は、第1話冒頭に登場した後は、第4話ラストまでしばらく出てこない{/netabare}のですが、その彼が再登場するシーンで手に持っている書籍は、上記のとおり、ジョージ・オーウェル『1984年』の原書(1949年刊)でした。
この『1984年』という小説の世界では、“Big Brother is Watching You.”(大兄が貴方を見守って/監視している)というスローガンが街のあらゆる場所に掲示されていて、このBig Brotherという全能の官僚システムによる人々の生活の保護と監視が抱き合わせになった社会の様相と矛盾が描かれているのですが、本作のシビュラは、これに相当する存在として描かれています。
そして、そうした全能の官僚システムが人々の生活を全面的に保護/監視する高度な「福祉国家(welfare state)」が成立している『1984年』の世界では、「厚生省(welfare department)」の役割と権限が肥大化していて、本作(PSYCHO-PASS)の作品世界でも、それを参照してか、公安(局)が現在の日本のような「内閣府」所轄ではなく、「厚生省(厚生労働省)」に所属している設定になっています。
また、そのような全能の官僚システムは、その正当性に人々が一切疑念を持たないように、不都合な真実(とりわけ不都合な歴史的経緯)を徹底的に隠蔽しようとすることも『1984年』には描かれており、本作(PSYCHO-PASS)でも、システムに不都合だったり余分だったりする情報(とくに歴史的経緯に関する情報)は隠蔽されている設定になっています。

→この後、沢山の文学・哲学作品や文学者・哲学者の名前が本作に引用・言及されていくことになるのですが、以上の点から、本作の作品世界が、この『1984年』を下敷きとしていることは明らかなように私には見えました。


◇填島の(≒虚淵玄氏の)"教養ラインナップ"

割と雰囲気だけで選ばれているように見える文学作品は別として、本作に言及のある哲学作品・哲学者の選択は、私には以下のように分類できるように思えました。

(1) 「大きな物語」ないし「大理論」を提唱するもの
 プラトン(哲人政治を提唱)、デカルト(理性による世界の再構築)、
 ルソー(社会契約による国家と社会のリセット)、ベンサム(功利主義による社会の再設計)

(2) そうした「大きな物語」「大理論」が具現化した世界の様相を描くもの
 ジョージ・オーウェル『1984年』(※これは小説ですが)

(3) 「大きな物語」「大理論」の不可能性を提唱するもの
 フーコー(※パノプティコンに象徴される隠された権力構造を批判したポスト構造主義の思想家)、
 デリダ(※脱構築を唱えたポスト構造主義の思想家)

(4) 申し訳程度にデカルトなど提唱の「大きな物語」に反論しようとしたもの
 パスカル、オルテガ

→以上から見えてくる、填島の(つまり、シナリオ原案・脚本を担当した虚淵玄氏の)"教養ラインナップ"は、冷戦終結以前(1980年代末まで)のもの、そして、こうした哲学・思想の潮流の伝播がどうしても周回遅れになってしまう日本に当てはめても、せいぜい1990年代中頃までのもの、であるように私には見えて、個人的にかなり興味深く思いました。
→つまり、冷戦終結後~現在までの哲学・思想のメイン・ストリームとなっている、英米系の分析哲学・科学哲学や、旧新(ないし左右)のリベラリズムの哲学者・哲学書への言及が全く抜け落ちている、ということ。
→この点について、さらに後述します。


◆填島&狡噛の独白・対話、 本作のコア・コンセプト考察

◇新編集版第1話の冒頭(填島の独白)
{netabare}
「どこかの誰かが、愚かな人類どもといったとして、その人類には当然、自分自身も含まれている。
人間について知りたいと思ったら、人間を見ているだけではいけない。
人間が何を見ているのか?に、注目しなければ。
君たちは何を見ている?僕は、君たちを見ている。
信じられないかも知れないが、僕は君たちのことが好きだ。
昔からよくいうだろう?愛の反対は憎悪ではなく、無関心だ。
興味がないのなら、わざわざ殺したり痛めつけたりはしないんだ。
・・・
余計なことばかり考える。緊張しているのか?
相手を甘く見過ぎて、踏み込み過ぎた?
・・・
なんてね。(笑)」{/netabare}

(※コメント)
他人(あるいは自分)を観察するときは、その行為を見るだけでなく、内面の動きをも見る必要がある、ということでしょうか。
いずれにせよ、グッと引き込まれるセリフで、これがオリジナル版になかったのは個人的にはかなり惜しかった気がします(これがあれば放送当時早々に視聴を断念していなかったかも)。


◇新編集版第1話の中程(狡噛執行官の夢の中での独白)
{netabare}
「公安局監視官。シビュラの尖兵。厚生省のエリートコース。
この社会に適応できない人間が発生することも、システムはシステムに組み込んでいる。

重要なのは最大多数の最大幸福であり、全人口の幸福ではない。

治安が悪い地区をある程度放置するのは重要だ。
不可能を実現しようとすれば、必ず破綻する。
完全な社会は、完全な社会を諦めることによって成立する。
シビュラシステムとは、そういうものなんだろう。

しかし、だ。
あの事件、あいつの死は、明らかに異常だった。
シビュラシステム運営下には有り得ないタイプの犯罪。
そんなことが出来る奴が、どこに、どうやって?」{/netabare}

(※コメント)
これもオリジナル版にはなかったセリフ。「最大多数の最大幸福」はおなじみジェレミー・ベンサムの提唱した功利主義のスローガンですね。
なるほど、シビュラシステムはベンサム型の功利主義(結果重視タイプの功利主義=帰結主義)を具現化したもの、という建前なのですね。


◇新編集版第4話の冒頭(填島の独白)
{netabare}
「何を考えているのかは分からなくても、絵を描く動物は殺しにくくなる。
感情があるのではないか・・・直感的に僕たちはそう感じるはずだ。
表現することには、その位の価値がある。

近代に入って、社会は絶対的な価値観の追究を諦めた。
相対的な、偏差値的な世界観を中心に据えるようになった。
しかしそれは、絶対的なものは不要になったからではなく、酸っぱいブドウだとして切捨てにかかっただけに過ぎない。
手に入れにくいから、最初からなかったことにしよう、と。

そこに、シビュラシムテムが現れた。
システムは文化や芸術にも介入するようになった。
シビュラ認定芸術家、シビュラ推奨作品。
ブラックボックス化された独自の判定基準によって、発展に必要な苦悩と対立が減少してしまった。

表現することを侮るようなやり方は、やがて、社会に致命的な停滞を・・・もたらす。」{/netabare}

(※コメント)
これもオリジナル版にはなかったセリフ。
西洋思想の流れでいうと、中世まで信じられた“神”中心の絶対的価値観が崩れ、相対的な価値観を認めざるを得なくなった近代で、今度は、“神”に代わって“理性”を中心におくデカルト流の理性主義・設計主義(もし神の存在を証明できないのならば、人間が神に代わって、自らの理性を極限まで働かせることによって、理想的な社会を設計・構築することが出来る、とする思想)が登場し、ルソーやベンサムもその流れにつながるのですが、そうした理性主義・設計主義が具現化した世界を描いた代表的フィクションが、前述のジョージ・オーウェル『1984年』です。
そして本作に描かれたシビュラシステムも、そうした発想からの派生(シビュラ=『1984年』の Big Brother)に見えました。


◇新編集版第5話の中程(填島の独白)
{netabare}
「君なんだな、僕の犯罪に発生した現時点最大の摩擦は。
君の持つコンパスは正確か?
僕はこの世界において、限りなく罪と罰から遠い場所に立っている。
通常の手段で僕に追いつくことはできない。
そのためには君は、頭の中にとても正しいコンパスと地図を持ってなければいけない。

昔から、一人遊びが苦手だった。
僕はどんなときでも二項対立を欲しがった。
戦うこと、競うことを思い切り楽しんでから、脱構築主義者みたいに二項対立そのものをズラしていく作業が好きだ。

君は、どの程度なんだ?
時々、自分がどの程度なのか確かめたくなる。
自分の位置と自分の強さを試したくなる。

手伝ってくれるんだろ?公安局執行官。」{/netabare}

(※コメント)
これもオリジナル版にはなかったセリフ。
「脱構築」とは、明鏡国語辞典によると、「フランスの哲学者デリダの用語。形而上学を支配している二項対立的な発想を解体し、その仕組みの再構築を試みることによって新しい可能性を見出そうとする思考の方法。デコンストラクション。解体構築」という意味です。
これは、1960年代後半~80年代に主にフランスの哲学者たちによって喧伝された「ポスト構造主義」という哲学潮流のメイン・コンセプトなのですが、実は、こんなの(=形而上学の全面的否定・排撃)って、英米圏では1950-60年代から常識だったんですけどね(科学哲学・分析哲学の興隆)。
ただ、フランスや西ドイツといった欧州大陸の西側諸国や日本では、形而上学・・・というより「大きな物語」「大理論」の全面的否定は、なかなか受け容れられませんでした(何故なら、マルクス主義革命による人類の革新(という「大きな物語」)を夢見る人たちがアカデミズムの世界で長らく頑張っていたから)。
そして、そうした「大きな物語」「大理論」の思想的根拠がようやく崩されたのが、1970年代のフランス発のポスト構造主義の「脱構築」という思想コンセプトの提唱と普及であり、それが日本には1980年代に入ってようやく伝播してきたのでした(浅田彰『構造と力』・・・「哲学は終わった」という言葉が流行ったらしい)
でも、ポパー(反証可能性理論を提唱したオーストリア出身・イギリス帰化の科学哲学者、主著『開かれた社会とその敵』『ヒストリシズムの貧困』)やハイエク(自生的秩序論を提唱したオーストリア出身・イギリス帰化の経済学者・法哲学者、主著『自由の条件』『法と立法と自由』)やアーレント(英米の革命と仏露の革命の本質的差異を分析したドイツ出身・アメリカ帰化の政治学者、主著『革命について』『全体主義の起源』)の論説が早くから当たり前となっていた英米圏では、「何を今さら」という感じだったのだろうと思います。
上で既に指摘していますが、本作で開陳されているシナリオ原案・脚本担当者(虚淵玄氏)の"教養ラインナップ"が、実は「脱構築」すなわち「ポスト構造主義」まで(=つまり、日本で言うと、どれだけ遅く見ても1990年代中頃までのラインナップ)であることが、ここではっきり分かります。


◇新編集版第6話の冒頭(填島の独白)
{netabare}
「西部劇的、いや古典英雄譚的決闘と言うべきかな。
かび臭い地下の、例えるならディストピアのベオウルフ。
生まれる時代も場所も、すべて間違えて、それでも僕たちはここにやってきた。
僕たちは間違った社会に生まれた。
それでも、歩む道は間違えなかった。

勿体無い。
泉宮寺さんも、僕が思っていたよりずっと摩擦に対する対処能力が高い。
今から、あのふたりが突然仲良くなったりしないものか。
一度は殺しあったけど、はい、握手で仲直り、全部水に流しましょう、って。

拙いな。
少し楽しみ過ぎてる。
自分がやっていることが綱渡りだということ、忘れるべきじゃない。
ふふん。」{/netabare}

(※コメント)
ここで、ディストピア(dystopia、暗黒郷、ユートピア(理想郷)と正反対の地)という表現が登場します。
なお、ベオウルフは英国最古の英雄叙事詩の題名であり、その英雄の名です。
「僕たちは間違った社会に生まれた。それでも、歩む道は間違えなかった。」とあるので、この英雄たちには、狡噛執行官・泉宮寺氏のほかに、填島自身も含まれるのでしょうね。
本作の舞台が、ディストピア世界であり、本作が、そうしたディストピアに抵抗する英雄たちの物語であることが、ここで明言されたように私には見えました。

本作の裏の主人公{netabare}(填島聖護){/netabare}は、{netabare}潜在犯に犯罪手段を供与して実行犯に仕立て挙げたり、自らの手で何の怨恨もない一般市民を殺害してしまう、間違いなく最凶の悪人キャラ{/netabare}なのですが、その彼が、実は{netabare}マクロ的にはシビュラという暗黒のシステムに支配されたディストピア世界に反旗を翻した"英雄"である{/netabare}、という二重構造になっていますね。
そして、表の主人公{netabare}である公安局の二人(常守監視官と狡噛執行官){/netabare}も、{netabare}填島の犯罪を追及するうちに次第しだいに、自分たちが命がけで守っているシステムが、実は醜悪な「怪物」{/netabare}であることに気付いていくことになります。
→こういうのは、SF映画などにはよくある舞台設定なのかも知れませんが、システムを壊そうとする側と守る側の、どちらに「正義」あるいは「大義」が存在するのか判別し難い、という設定は、やはり私には凄く魅力的なものに見えました。


◇新編集版第8話の終盤(填島と狡噛の対話)
{netabare}
「正義は議論の種になるが、力は非常にはっきりしている。そのため、人は正義に力を与えることができなかった。」
「悪いが、俺は、誰かがパスカルを引用したら用心すべきだと、かなり前に学んでいる。」
「ふふぁふぁふぁ。そう来ると思ってたよ。オルテガだな。もしも君がパスカルを引用したら、やっぱり僕も同じ言葉を返しただろう。」
「貴様と意見があったところで、嬉しくはないな。」
「語り明かすのも楽しそうだが、あいにく、今僕は他の用件で忙しい。」
「知ったことか。」{/netabare}

(※コメント)
デカルト・ルソー・ベンサムといった理性主義・設計主義・リセット主義の哲学者に反論を“試みた”哲学者・思想家の選択として、妥当だと思いました。
→正直にいえば、反論を“試みた”に留まらず、それらをはっきり“論破”した、と英米圏で見なされている哲学者・思想家(つまり前述のポパーやハイエク等)に言及があれば尚良かったのですが、そこは虚淵氏のラインナップが少し古い、ということで仕方ないのでしょうね。


◆総評

本作は、「未来SFもの」「未来警察・犯罪もの」としても、十分以上に楽しめる良作と思いますが、個人的にはそれ以上に、“思想・哲学エンターティンメント”という、これまで自分がアニメのジャンルとしては考えもしなかった部分で、物凄く面白かったし、感嘆させられた作品となりました。
(小説やマンガでは、ある程度そういうジャンルの作品があることは知っていましたが)

※とくに、たまに見かける環境問題とか戦争とか核処理の問題などをテーマとして特定の“思想・哲学”を視聴者にステルス的に刷り込もう・制作者側の考えを一方的に視聴者に押しつけよう、とするタイプの作品ではなく、あくまで、“思想・哲学"を扱った"エンターティンメント作品”として、ちゃんと成立している点が、本当に素晴しいと思いました。

私の視聴済み作品の評価方法では、これまでずっと、

(1) 自分が、強く「感動」させられた作品については、評価点数4.6以上
(2) 面白かったけれども、強く「感動」するには至らなかった作品については、最高でも、評価点数4.5まで

としており、それに従えば、本作も (2) に該当することになりますが、本作については、「感動」には至らなくとも、このような作品が制作されたことへの「感嘆」が非常に大きく、他の「面白かった」作品との評価の区別を確り付けたい、という気持ちが強く湧いてしまったので、非感動系作品としては本作に限り、評価点数を4.7としました。

こんな感じの作品が、これからも制作されるのなら、本当に嬉しいのですが。


*(2018年1月26日) 誤字修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 73
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

じっくりスタートそして加速を続ける面白さ。

人の個性、感情などを完全に数値化した世界で
執行官(犯罪計数が高く犯人逮捕にのみ世間と関われる者)と
監視官(執行官を監視するもの)がチームとなって事件を解決していくストーリー。

ノイタミナ枠のなかでも大人っぽい渋い作品だと思います。
黒で統一された公安の衣装は渋カッコ良く、声優さんたちの演技も渋めです。

このアニメは猟奇殺人を扱ったり、犯人逮捕時に惨殺したりと怖い面もあり人を選びそうですが、世界設定や雰囲気に魅力がありますのでハマる人も多そうです。

主要キャラは物語が進むにつれ掘り下げていく形になっています。
主人公、新人監視官の常守朱が自身の立場に悩んだり葛藤しながらも職務を果たしていく姿を観ているうちに感情移入できました。
着任当初はあまり役に立っていなかった彼女でしたがちょっとずつですがチームに影響を与えていっている感じが見え隠れしてきましたし。(シビュラ判定で職業適正良かったのも間違いではなさそうです。)
今後、彼女が何を思いどう変わっていくのかも物語の鍵になりそうです。

槙島という黒幕の影がだんだん濃くなり、一本調子かと思えば衝撃を入れ込み、また機械や数値に頼っている世界設定とうまく絡めたストーリーは興味深く、だんだんと面白さが加速しております。

序盤でもう少しサブキャラメンバーを掘り下げてくれればもっと良かったんですけどねー。
六合塚さんなんて全然触れられてないですし…。

               <以上前半感想>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いよいよ後半再会です。今期は「考えるアニメ」が少ないので期待も大きいです。

相変わらずセンスのあるOP&EDは健在で一安心。
EDはシビュラから見たイメージですかね。

注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

さて、本題の内容ですが…
※12話感想{netabare}
ここで来ましたね六合塚さんの掘り下げ。
なるほど終わってみればいいタイミングです。
物語のテーマの琴線に触れる話が絡んでるんですね。

やはりシビュラも万能ではなく不安定要素が見え隠れします。
音楽や芸術等の数値化しにくい要素では特に。

また犯罪計数の数値の1,2の僅かな違いで
「バラライザ」で終わるか「リーサル」で終わるか結果に大きく影響するようです。

シビュラに不信感を持ち 力を求め闇へ向かう友人を止める事が出来なかった六合塚は
自身の立場や無力さを痛感し 執行官となり黒いスーツに袖を通す覚悟をします。
皮肉な事にこれもまた力を求めて…。
その真っ直ぐな決意のこもった眼差しの向こうには何が見えるのでしょうか。
友人の様に闇側に落ちていく存在は必ず食い止めるという意志や使命感も感じます。
前半、女学生に「大事な友達だったのね。」と慰めたシーンが印象深くなりました。
想いを知ると六合塚さんのスーツ姿が更にカッコイイ。ラスト少し感動しました。

また友人に対しても引金を引けた六合塚を見た狡噛の台詞が印象的です。
(六合塚の執行官適正を見抜いた)「シビュラの目に狂いは無かった」と。
これは暗に、
『六合塚に潜在犯の判定をしたシビュラの目にも狂いは無かったのか?』
という問いかけや皮肉が込められていた様に思います。
彼女は元々、潜在犯として扱うべき存在だったのでしょうか?

六合塚に魂を入れ、前半の問題点を踏襲し再認識させた秀逸な後半のスタートでした。
今後レジスタンスとの絡みもありそうです。
{/netabare}

※13話感想{netabare}
常守朱=サイコパスが平常を守りレッドゾーンに行かない
って感じの意味があったんですね。

前半のあの終わり方に心配しましたが、随分タフな一人前の刑事に成長していました。
深い悲しみや後悔があっても自分がやるべき事を見据え行動する姿が良いです。
計算高い槙島でも予想以上ではないでしょうか。

ドミネータで読み取れない免罪体質者がレアケースで出るようです。
シビュラ絶対のこの世界で公開できないですよねそりゃ。
槙島から見たらこんな世界は嘘でくだらなく見えるのかも。
だからと言って悪事を見過ごす訳にもいかないので、
公安のメンバーには頑張ってもらわないといけないです。
朱は免罪体質とは少し違うのかも知れませんが同じくサイコパスが濁らぬ槙島とは
反対の道を進みこの世界を受け入れ自立しています。
槙島vs狡噛だけでなく槙島と朱を対比させて観るのもありかもしれません。

アバンで宜野座さんの父が出てきそうと思っていたら、もう出ていたとは。
前半、征陸さんとのやり取りを注目不足だったかも知れないですが似てないですし
流石に予想つきませんでした。
奥さんや腕を失ういきさつ等の過去も少し気になります。

槙島と公安のお偉いの禾生さんとも繋がりがある様子。
宜野座と征陸の直後でしたのでつい親子かなと思ってしまいますが、
どうなんでしょうか次が気になります。
こちらにも槙島(maximum:最大の)「聖護」という名前遊びを感じますしね。

今更ですがやはりこのアニメ音の使い方が抜群ですね
上手く感情を揺さぶってくれます。
{/netabare}

※14話感想{netabare}
OPアニメがカッコ良くなってました。槙島を追いつめる公安メンバー。
狡噛はドミネータではなくリボルバー、みんなとも進む方向が逆なのが気になります。

サイコパスのコピーヘルメットが登場。
路上殺人する様も怖かったですが、傍観する様も怖い。
かなりのインパクトがありました槙島もおかしいですが世の中も狂ってます。
ただ全員が全員傍観者なのは行きすぎた演出な気もしました。
アバンで薬剤師さんも動揺していた様に、流石に中には驚く人が居るんじゃないかと…。
現代でも事件事故があると平然と写メ撮る人もいるので揶揄もあったのかな?
このヘルメットまだ多数あるようで今後が気になります。

槙島の読んでいた本は革命に関連した物でした。
このシビュラ任せの状態の世の中をひっくり返すには
強引で強烈な悪になる必要もあるのかも。
彼目線で作品を追えばダークヒーロー物としても楽しめるのかも知れません。
電話相手はチェグソンですかね、単なるハッカーとも思えないし、
レジスタンスと繋がってるのかな? 謎の男です。
{/netabare}

※15話感想{netabare}
前回の引きがありましたので予想はしていましたが、
例のヘルメットにより街は大混乱、サイコハザードが起きてしまいました。
誰もが急に人を信じられなくなる様は恐ろしい。
目を覆いたくなるシーンも結構ありました。

コレを煽るチェグソンのハッカー力も凄いです。
冷静ですし前回は路上撮影もしてたので彼も免罪体質でしょうかね。
この暴動が収まってもかなり社会へダメージがあると思いますが、
槙島には更なる計画がある様です。
槙島とチェグソン率いる外国人部隊はシビュラの中枢の厚生省ビル ノナタワーへ。
シビュラの秘密を暴き、その手から人々を解放する革命を起こそうとしている様です。
止められるのかは朱チームに掛かっています。
朱にもプロファイル力が培われてきていますね。
シビュラが人を支配してしまっているこの世界ではどちらが正しいかのか判りませんが、
手段は汚いので何とか槙島を抑えて欲しいです。
後半に来て更に内容もあってテンポも良くなっています。

シビュラの真相がとても気になります。
【予想:シビュラの真相(先入観を持ちたくない人は飛ばしてね)】
{netabare}
安定した人生の与える裏に何か目的が隠されているのでしょうか。

①<上流、特権階級の人々の安定>
可能性のある幼少から英才教育出来れば未来が開ける世界、
一度上に立った者の理想郷になっている。

②<政府による反体制思想の封じ込め>
気付かぬうちに人の可能性や考える事を奪い骨抜きにして家畜の様にコントロールしている。
政府だけでなく他国が関与している可能性も。

③<機械による人類の支配と保護>
SFが強いけどノナタワーは機械やアンドロイドの巣窟で世界は既に人類の手を放れている。
槙島さえ人間を観察し思想を学び知識を詰め込んだ世界一人間くさいアンドロイドとか。
…等が部分的や複合も含め思い浮かびます。

前半の泉宮寺のコメントや
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を引っ張り出したりとピースを集めると、
機械による人間や生物の保護の色は一層濃くなっている様に思います。
ですので個人的には③の可能性が高いと思います。
『機械が人間を飼っている』処まで行ってるんじゃないでしょうか。
槙島がアンドロイドなのか…までは微妙ですが。

【槙島アンドロイド・人造人間説】
自信があるわけではないですが当てずっぽうでもないです。
御堂、王陵、泉宮寺そして狡噛を興味深く冷静に観察し分析している点。
親兄弟、出自が不明ながら公安上層部に繋がりがある点。
槙島が犯人としての心理描写が全く無い点。
ドミネータが反応しない点。
丸腰で武器を持った数人を倒す戦闘力を持つ点。
血も涙も汗も感情すら表していない点。 等々。
この15話でも
洋菓子を紅茶につけ消化しやすくしている(?)点。
「生まれ育った街」と言いながら目や髪の色など日本人とは思えない点。
が引っかかっています。
(同じ髪の色の人がもう一人いますが!?)

点を結んでいくと「人間ではないのでは?」という疑問も湧いて来たわけです。
{/netabare}
ノナタワーに何があるのか、なぜデータを集約する必要があるのか…次回が楽しみです。

余談ですが今回パトカーのナンバープレートを見て気付いたことが。
「に01-01」=臭い追い。
彼らのコードネームもハウンドやシェパードですし言葉遊びがあるようです。
真相、真実を嗅ぎつけられるでしょうか。
{/netabare}

※16話感想{netabare}
予想以上の衝撃的な回でした。
槙島とチェグソンは二手に別れ最上階と地下へ。
それを追う朱たちも別れて探索する事に。
この時点で単身の縢に赤信号の予感がハンパなく、ドキドキしていました。

最上階組は第1話冒頭まで戻ってきました。
音楽も盛り上がってついつい興奮してしまいました。
狡噛もスゴいけど槙島も強いです。(汗かく槙島初めて見ました)
危ないところでしたが朱の一撃で無事逮捕へ。
仇を取りたい気持ちを抑え手錠をかけましたが、この判断が後々どうなるのでしょうか。

一方地下へ向かった縢。
チェグソンに吐露した言葉に彼の性格や気持ちがよく現れていました。
怪我を負いながらも三人を倒しチェの元に。 地下で二人は何を見たのでしょうか。
闇に葬られてしまったので正解はもう少し先になりそうです。
チェグソンは免罪体質ではなかった様です。
街ブラしてたのはハッキング能力あっての事ですかね。
縢の最期の表情が忘れられません。彼の無念を悔しさをいずれ晴らして欲しいです。
禾生さん…やはりあなたはそっち側の「物」だったんですね。
ドミネーターを無理やりエリミネーターにするなんて…。

それにしても展開が早い早い、縢は来週まで引くと思っていたんですけどね。

【予想:槙島&シビュラの真相(先入観を持ちたくない人は飛ばしてね)】
{netabare}
15話に続き予想して楽しもうと思います。ここから先は個人的な趣味です。

やはり禾生さんはアンドロイドでした。
こうなると上層部はすでに機械側に占められ人類はすでにコントロールされていそうです。

きっと縢たちは生産される機械人形の様なものを見てしまったんでしょう。
ノナタワーに全データが中継しているのは各アンドロイドで
処理分担や知識共有を行っているからではないでしょうか。
後は標本事件の様に機械が作った「おぞましく芸術的な作品」も考えられるんですが、
データや電力のことを考えると機械的なものなはずです。

まだ微妙な段階ですが槙島もアンドロイドや人造人間である可能性も上がったと思います。
そうだとすると彼がなぜ下界に出ているのか、なぜ人類解放をするのかが
大きな謎でコレまた予想しがいがあります。
人の可能性を試している所があるのがヒントでしょうか。
機械が人を作って実験してるかな。

【槙島アンドロイド・人造人間説】
<+要素>
関わりのある禾生さんがアンドロイドである
未だに血を見せていない
「毎日鍛えスパーリングロボさえ破壊する狡噛」以上の強さ
<-要素>
汗を見せ呼吸が荒くなった
朱の一撃で倒れまたその手応えに違和感がなさそう

禾生さんは機械による支配の観点からと槙島と髪の色が同じなので疑いましたが、
もう一点、共に名字に「木」が入っています。
まさかとは思いますが、木人的な意味合いがあるとすれば
公安にも「木」がついている人がいるので一応注視しようと思います。

あと、気になっているのは標本事件の藤間がどうなったのかです。
アンドロイドは免罪体質者を集めていた可能性もありますので。
免罪体質など居らず、彼も人ではない存在なのか?という疑いもありますが、
情報が少なくて考察できないです。
漢字も「草冠」と木には至らない微妙さがあります。

【槙島が人間だった事も考察】
アンドロイドが免罪体質者を集めていたり気にしているなら、
禾生さんが槙島を以前からチェックして知っていても不思議ではないのですが、
口振りからもう少し親密な気がします。
槙島やその親がアンドロイド研究関係者であったと仮定すると、
何かの犠牲になった事への復讐という線もあり得ますが、
感情で動かない人ですし言動も復讐っぽくないです。
そうなると結局「アンドロイドが産み出した人間」と考えてしまいます。
【アンドロイド】か【アンドロイド造人間】
の可能性が高いというのが今のところの見解です。
{/netabare}
{/netabare}

※17話感想{netabare}
後半に入ってから本当に引き込まれています。
30分がスグに過ぎてしまいました。

シビュラの正体が明かされました。
まさか藤間が禾生さんになっているとは…。
バラ撒いた伏線の裏をつく展開に予想は外れました。
免罪体質者を集めている感じはしましたが、こんな事になってたなんて。
あの光景、突飛に感じSFというよりファンタジーな気がしました。
説明は理解しているつもりですがそれでもまだ
犯罪計数への利用のされ方等にも納得できない部分もありますし全能感も強すぎます。

『共感や感情に流されず俯瞰で裁定できる者』の脳を200個使っていても
ドミネーター等の素早い判断に付いてこれるものでしょうか?
ノナタワーに送られるものって結局はデータ化された情報になってしまう
と思うので演算なら未来のスパコンの方が速い気がします。
『判断基準を作るために脳の知恵を利用する』のなら分かるんですが、
『全件を脳で判断する』のは無理があるように思います。
一応、脳の高速化うんぬんの説明もありましたが唐突なんでまだしっくり来てません。

また、前回ドミネーターを故意にエリミネーターかデコンポーザーに変えていて、
結局は保身のために感情に流されているので、槙島の言うように結局は恣意的な気がします。
勘違いもあるかも知れないですし、もう少し時間をおけば咀嚼できるかも知れませんが。

現代も一部の者が国を動かし多くの国民は歯車な面もあるので痛い所を突いてきます。
司法も裁判員制度は一応ありますがほぼ有識者に任せていますし、冤罪も起こってますし、
似た所はあるのかも知れません。
司法を究極的に効率化したらシビュラシステムの様になるのかも。
(脳だけにはならないと思うけど)

これからはシビュラVS槙島VS公安という構図になりそうです。
縢が消えた事への矛盾は公安メンバーは気付いています。
彼の汚名を晴らし真実に辿り着いて欲しいです。
辿り着いた先、既に社会そのものになった存在に何をどう戦えばいいんでしょうか?
結局彼らは何と戦うのでしょうか?
地下のモノを壊しても解決とは行かないので、そのあたりも見所として楽しみです。
槙島のしてきた事は許せないものがありますが、
彼がどう動くのかダークヒーローとしてどう活躍するのかも楽しみです。
{/netabare}

※18話感想{netabare}
14話で触れたOPアニメの示唆している意味が分かる回でした。

もう藤間ではない禾生さんというかシビュラ側はかなり強引になってきました。
どうしても槙島を手に入れたいんでしょう。
それには狡噛が邪魔で仕方ない様です。
ドミネーターからエリミネーターへの変換見せちゃって大丈夫なの?
他にも化けの皮が剥がれ出していて、公安のあり方自体揺らいでいます。

宜野座は苦しい立場で色々と策は練った様ですが通じませんでした。
今回一番悔しい思いをしたのは彼でしょう。
色々と抱え込んでいる苦労人です。

地味ではありましたが公安メンバーの思いが感じられてなかなか印象深かったです。
(六合塚さんのも欲しかったですが。)
直筆の手紙は思いが篭もってる気がします。
序盤の二人の関係から今に至るまでの積み重ねが胸にズシリと来ました。

あと、公安二係の逃亡した執行官の方も気になります。
なんか今回出てきた青柳さんと似てるんですけど。

狡噛も公安を離れ後戻りできない背水の陣でどう動くのか、
そして無事に逃げた槙島の次なる手は?
悲しい結末もチラリチラリと予感させていますが。
少し作画が気になりましたが、次回も楽しみです。
{/netabare}

※19話感想{netabare}
アクション無いので作画については前回ほど気にはなりませんでしたが初期と比べると…。

狡噛、宜野座、朱それぞれの視点と心を描いた回でした。

狡噛は雑賀さんの所でプロファイリング。
雑賀さん流石の洞察力で現代に生きていたらDAIGO以上です。
そんな人から自分が殺そうとしている槙島と似ている
と言われた狡噛はどんな気持ちになんでしょうか?
…でも私も物の捉え方とか似てると思います。

農業や非国際化の話が出ましたが脳の高速化の話に続き初耳設定で予想つかなかったです。
確かに最初の方で朱が朝食してたけども。
シビュラシステムは現代社会の延長上に感じますがこちらはどうなんでしょうかね。
今まで緻密な感じで積み重ねていたので少々荒っぽく、粗さも感じてしまいます。

物語としては槙島のもくろみが分かった狡噛がどうやって追いかけるのか楽しみですが、
槙島を殺すのが目的になっている現状だと虚しさもあります。

宜野座は相変わらずの苦労人ぶりです。監視官ってキツいですね。
ここ最近親父さんにも当たったり相談めいたりする描写も増えてます。
潜在犯に落ちる崖っぷちにありますが色々な面で報われて欲しい人物で応援したくなります。

朱はシビュラに目を付けられ真実を明かされ駒として取り込まれそうですが、
今まで『受け入れ自立する』彼女を見てきましたので
きっと彼女なりの答えは出せるだろうと思います。
シビュラ側に取り込まれているようでも対抗できる唯一の人物な気もしますから、
今後の言動が作品の肝になるように思うのでこれまた楽しみにしています。
結局は朱が主役なんですよね。
{/netabare}

※20話感想{netabare}
朱にシビュラの事実を告げる展開にドキドキし、心に響きました。
あのままドミネーターと会話するのでなく、現場に行かせることで臨場感・現実感が、
一気に押し寄せる感じがしましたし、
目線や涙の表現、回想も含めた演出など素晴らしかったです。

朱は本当にメンタル美人というかタフですね。
安定してリスクのない代わりに夢を追えない不条理な人生を押しつけ、
そして親友や同僚の死すら事務処理のように行うシビュラの正体が分かり、
許せない気持ちで一杯だったはずですが強い理性で押し寄せる感情を抑えきりました。
今やれるべき事を前向きに判断できるその姿はカッコ良かったです。

槙島は手段の為には人を殺すの何とも思ってないですね。
今回も野鳥程度の哀れみはあったのかも知れませんが。
家畜の様に飼われていた人間を野性に帰しても生きて行けない事は分かっていて、
それでも尚、野に放ちたい様です。
野生の中で生きるために必死になり考え行動してこその人生。
彼にとってはそれこそが『生きる』という事そのものなんでしょうけど。
まおゆうの演説とも本質は同じ所にあるなーなんて事を思っちゃいました。
朱もその辺りの事は理解できるところがある様てすが、
やはり色々と強引だし傲慢だしやり方がおかしいです。

シビュラと約束を取り付け狡噛の命を助けようとする朱は
一枚も二枚も皮が剥け成長して逞しくもありました。
悲しい結末ばかりが思い浮かんでいる中、なんとか狡噛を救ってほしいと思います。
救いのある展開になるのかは朱に掛かってきましたので頑張って!
シビュラが約束守るのか?というネガティブな心配もしてしまいますが…。
{/netabare}

※21話感想{netabare}
痛く辛い話で余り筆が進まない感じですが、征陸さんが壮絶に逝きました。
ここまで2クール真剣に観て来られた作品なのでメンバーにそれぞれ愛着が湧いてますから
辛い気持ちにはなります。
潰れた腕を気にしない事で宜野座の精神的なダメージの大きさも痛い程、
本当に痛い程伝わりました。
刑事である前に人であり、親であった征陸さん公安の中でも人間臭い良いキャラでした。

先週に続きココに来ての朱の行動力は凄いです。
彼女自身もシビュラの資格がありそうなので心配な最後もよぎります。
色々と犠牲者も出てしまいましたが少しでもよいラストとなるように願います。
そして来週は六合塚さんがやばい感じでドキドキです。
{/netabare}

※22話感想{netabare}
もう一週あるかと思ってましたが今回最終回でした。(^_^;)

ここに来て六合塚と唐之杜の関係に少しドキリとしてしまいました。

少し時間をおくと狡噛が殺人犯になってしまった虚しさもこみ上げてきました。
槙島の死を見た時には割とあっさりと受け止められ、悲しみは無かったのですが、
それ故に彼の孤立感や言葉の意味が今一度染みて来ました。

「法が人を守るんじゃない、人が法を守るんだ」当たり前の様で
自分で気付くとハッとします。
「法律やルールだから守りなさい!」と言ったことを幼い頃は押しつけられる事が多く、
疑問を持たずに納得したり反抗してみたりすることはあると思うけれど、
いつの日かみんなの為にルールがあるんだと気付く時ってあると思います。
法やルールって人間が育んできた大切な知恵の一つですからね。
完璧な法なんて有り得ないかも知れませんが、
ちょっとずつ繰り返し繰り返し良い方へ進んで行くのだと思います。

歴史の方も繰り返し巡りながらもちょっぴりずつ進んでいるようです。
宜野座も父の様に腕を失い執行官に落ちてしまいましたが、志は継いでいました。
心なしか生き生きとした印象も受けました。
朱も配属当時に受けた同じ言葉を新任監視官に与えていました。
一話の同じシーンと比べるとその成長に感慨深い物があります。

この新任監視官、未成年で異例の配属と言っていたので、
思い当たる人物は一人だけでしたがやはりあの女学生でした。
王稜事件で友達を失った後、彼女なりに悩み考え結論を出した事が推測できて心を打たれます。

最後に狡噛らしき人が映りましたが、読んでいたのは
『スワン家の方へ』でした『失われた時を求めて』という長編小説の一遍ですが、
紅茶にマドレーヌを浸した事をキッカケに昔を思い出すデジャブものなので意味深な感じです。
最終話にこうもデジャブ・繰り返しの要素を重ねてくるとは…。
ここに描くような世界が巡ってくるかもという暗示でしょうか?
繰り返し第二の槙島が現れる可能性を示唆しているのでしょうか?
温故知新、昔の人の考えを想いを巡らせろという事なんでしょうか?
色々と解釈ができますがこの作品ぽく言えば、
自分で思った答えに価値があるんでしょう。

また、槙島も紅茶にマドレーヌを浸して食していました。
この行為がなんだったのか気になっていたので合点が行き、少しスッキリしました。
槙島と狡噛、同じ様な感性を持ち同じ作品を同じ様に感じていたはずですが、
その道が重なっていたり大きく隔たったのは何に差があったからなんでしょうか。
槙島の一番の理解者が狡噛だったのはやはり皮肉めいています。
どこか別のタイミングで出会っていたらどうなっていたのかと思ってしまいます。

今後狡噛がどう生きていくのか興味が湧きます。
狡噛の性格ならのんびりとした余生を送るはずもなくシビュラの正体は追いそうですし、
レジスタンスや六合塚の友人リナ、2係の逃走執行官などなど
まだ残った伏線があるので続編はあるかも知れません。
新生1係の活躍のストーリーも観たい気はしますがとりあえずお別れです。

テーマがしっかりあって先が読めずかなり引き込まれ夢中になれた良い作品でした。
いずれ力でなく個人の自立によりシビュラが無くなる日が来ることを願います。

また、シビュラの様な管理される世界に、他人任せの人生にならない様に
利便性や楽な方に流されず考えながら生きていこう。
…という気になりましたのでメッセージとしても伝わったと思います。
{/netabare}

本当に楽しめて深みがあり考察のしがいがありました。
ここ最近、キャラの魅力で押し切るストーリー物が多かったので、この作品は貴重でした。
大人向けではありますが色々な人に勧めたくなる良い作品です。
観ていないのなら是非とも観ていただきたいです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 120

86.8 4 SFで頭脳戦なアニメランキング4位
東のエデン(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (4743)
23240人が棚に入れました
2010年、日本各地に10発のミサイルが落下するテロが発生するが、奇跡的に1人の犠牲者も出なかった。
それから3ヵ月後、アメリカへ卒業旅行に出かけていた大学生・森美咲はワシントンD.C.を訪れホワイトハウスの前でトラブルに巻き込まれる。そこに記憶喪失となった日本人青年・滝沢朗が現れ、森美は難を逃れる。意気投合した2人は一緒に日本へ帰国することとなるが、その日東京へ11発目のミサイルが打ち込まれる。
その時、滝沢の携帯電話にジェイスと名乗る女性からの謎のメッセージが入る。

声優・キャラクター
木村良平、早見沙織、江口拓也、川原元幸、齋藤彩夏、斉藤貴美子、田谷隼、白熊寛嗣、五十嵐麗、小川真司、玉川砂記子
ネタバレ

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ノブレス・オブリージュの導き。

※1、以降の文は、TV版と続編映画二作を総じて書かれたものとなる。
※2、以降の文は、本作から見られる社会学的描写について思考する。
※3、対人関係の考察には触れない。
※4、危機を仰いでいるつもりではない。

目次。
〈書くにあたって、序説らしきもの〉
・社会風刺について。
・空気について、前述。
〈ノブレス・オブリージュの導き〉    目次を作る程でもないのだが、
・ノブレス・オブリージュの描かれ方。    思考の整理の為の試みだ。
・何がセレソンを生んだのか。
・独裁という手段と日本病の行方。   
・空気はやがてどこへ流れ着くか。
・ミサイル攻撃に依る国家骨抜き作戦。
・セレソンNO.の9「日本中ニート化案」。
・そして日本に志士はいない。
・ノブレス・オブリージュの導き。(了)
・台詞集。

〈書くにあたって、序説らしきもの〉
・社会風刺について。
 アニメでの社会風刺らしき描写を程よく見かける。しかし、アニメーションの概念と、大方全ての構想はフィクションであるので、その中で風刺されるものへの影響力はないに等しい。勿論、作り手は鑑賞者側への影響力を求めていない。求めているのなら、非現実及び創作物で描くのは馬鹿であるし、もっと風刺するものへ直接的に関わっていくだろう。
 しかし、そのような作品では、製作者がとにかく自分の作品を面白くしようという浮動した幼稚な思考を基盤として作られ、よってやはり何事も中途半端に物語の幕が降りるものが多い。時にそんな作品の中には、社会を批判した作品であれば鑑賞者側も内容を考察して勝手に売れ行きも伸びるだろうという媚びが感じられるものもある。

 本作がその「媚び」に標準するか見当は明確にはわからない。神山健治という人物像、おそらく違うのだろう。とにかく、下記の文がまったくの私見となるのか、作者の意図を察していたのかは知りえないし、確かめようもない事なので、この度の拝見については適当に受け流して、適度に受け止めてくれたらそれでいい。まあ、その結論なるものについては後述し、結論を朧から明かしたように思える事々について今から書いていくことにする―――。

 匿名の富豪権力者Mr.OUTSIDEから一般人12人に、それぞれ100億の電子マネーがチャージされた携帯電話(ノブレス携帯)が渡され、彼らはその額で自由な権力の行使が容認されるようになり、そして「さあ、これで日本経済を救済してくれ。」と命令される。そして「任務放棄及び逃亡、長期に渡る成果がない、100億を個人の欲望に使用し続ける、国の救済を果たせぬまま残金が尽きる場合は、的確な死が齎される」と。彼ら12人は時の権力者となり、水面下でセレソンと呼称される。12人のセレソン達は特選(国への志がある者をOUTSIDEが選抜)された主権者として、それぞれの意志のもとに行動を開始する。「東のエデン」ではこのようなことが展開される。財産とその自由行使の権利を受け取り、これで日本経済を救え、もし救えずに費用が底を尽きたら死んでもらうよ。そして十二の言動が先にはあるのだ。
 「東のエデン」に社会風刺として視点を置くと(風刺でなくとも、社会学的な視点を据えると)、それは意外性に富み、知見に生まれる物語のプロセスが見えてくる。そして、本作は先ほどのあらすじのような物語の断片の叙述だけでは展開は止まらない。しかも、ダイナミックな思考の展開でもある。

・空気について、前述。
 たとえばひとつ、本作の基盤とは「日本の空気」であるが、惹句(キャッチコピー)にはまさに惹かれるものが私にはあった。
 「この国の”空気”に戦いを挑んだひとりの男の子と、彼を見守った女の子のたった11日間の物語。」 空気に縛られる。この原因は現代人の弱さであり、現実を見据える勇気の欠如であり、歴史的精神性であり、空気に縛られるという事が一種の日本の国民性と言っても過言でない。日本史を見ても、国民の空気感によって状況が悪く転じたような事が幾度もある。現代社会に於いても、現代学校教育に於いても、空気による束縛は何かをつくづく虚ろにさせ、少年少女の自立と調和を刻々と蔑ろにさせて行っている。「非行」と「空気」は深く関係する。やがては幾つかの思想を壊していくだろう。そして最後には、おそらくみんなして後悔するのだ。「なぜこうなった!」と虚無的な混濁した空に言葉を吐きながら。辺りの空気に流されているものだから、その流れがやがてどこに辿り着くのかがわからないのだ。せめて一度は流れから外れて、岸に登って流れを見つめてみないことには、誰も自分の行動に責任も取れないのだ。
 このような台詞があった。「不確かな情報や、自分にとって都合の良い噂で、簡単に自分の意見を変えてしまう、無責任な大多数。」しごく命令形のメッセージではない。現実問題を伝えているだけだ。この問題を考える中で生まれる「今自分は何をしたらいいか」という考えは、他人から教わるものではなく、自分なりに考えて出すものだ。訳も分からず他人の色に自分の色を同化させてしまう事が、その勇気のなさから人間関係に縛られ、やがて空気に縛られるという事でもあるのだ。「空気」について詳しくは後述する。
 作品への論点の題が「ニート脱出」となっているのを多く見て取るが、本当に合っているのだろうか。本作の主題要点は「空気」であり、その「空気」が今まさに崩落させようとしている日本社会を”セレソン各位がどう救済するか”という「救済手段の掛け合い」がメインであり、主人公(セレソンNO.9)の日本救済手段案の一つである「ニートによるストライキ(日本中ニート化案)」は副題である。日本中ニート化案についてもまた後述する。―――。

 少しずつ本題に入っていこう。
 たとえばひとつ。「その携帯電話には100億円の電子マネーがチャージしてある。それで日本を救え。成果を出せずに金を使い果たせば、それは死を意味する。」と匿名富豪権力者(Mr.OUTSIDE)から強制的に命じられたセレソンたちは、我が国を考えるようになる。今、日本はどういう状況で、今、自分は何が出来るか。時の権力者となった個人が出す、その思考の果ての結論が、現代日本を脱却する手立てとなるかもしれない。
 勿論、私は卓見が出るのを期待した。作者が考える、日本に生きる立場の違う12人のセレソンたちが出すそれぞれの「日本を救済する手段」。結局、それは面白いものだった。とても現実的なセレソン12人の結論だったと言っていい(いや、やはり少し物語としては残念か)。思ったのだが、作者は洞察力もあり、人間観察をしてきたに違いない。作者は「見たくないものを”見た”」。12人分の結論が、その中の核心を突く結論が、或いは作者自身の持論が、あまりにも現実的だからだ。
 この話はレビュー本題の「ノブレス・オブリージュの導き」に繋がるので、後述する。

〈ノブレス・オブリージュの導き〉

「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige優者の責務)」。
 「東のエデン」に於いて、なぜJuiz(ジュイス)はセレソンとの通話の最後にいつもこの言葉を、あたかも戒めるかのように、口にするのだろうか。その作者の意図は何であろうか。本作に於ける、この言葉の本質とは何であろうか。その本質は、やがて何処に直結していくのだろうか。
 ここからは、ノブレス・オブリージュの言葉の真意に、その真意の導くところに迫って行きたい。作者の意図の深みに嵌って行きたい。

・・ノブレス・オブリージュの描かれ方。

 まず、この言葉の本編での登場を説明しないといけない。
セレソンは、100億円の電子マネーがチャージされた携帯電話端末で、自由に、たとえそれが横暴だとしても、権力をチャージ残額の有効範囲内で揮える。その権力を行使する為の方法とは、セレソンがその専用携帯電話で人工知能Juiz(ジュイス。1人のセレソンに1人ずつ付くコンシエルジュ) との通話の中で申請することができる。セレソンが電話を掛け、Juizが電話に出て、セレソンが望み事をJuizに告げて、「受理されました。」とJuizがその望みを承諾し、通話が切れ、やがて望み事が行使される、という工程を経る。言葉はこの一工程の中で必ず登場する。依頼が承諾され、セレソンとの通話を切る時に、Juizが必ず添える台詞だ。
 「(依頼は)受理されました。”ノブレス・オブリージュ”。今後とも貴方が日本の救世主たらんことを。」
 作中、幾度もセレソンたちはJuizに望みを依頼し、その度に幾度も決まってJuizはこう言うのだ。この言葉が作中で多用される自体が、あるところでの世間に向けた作者の言論とも取れるが、鑑賞者側の人間がとやかく作品からメッセージを求め過ぎるのはあまり気に入らないので、そう勝手に捉えてしまう事には触れないでおこう。唯、上記「東のエデン」あらすじの様な事がもし実際に起こったとしたら、そこから物事が派生し拡散して行ったとしたら、現実問題でどうなるのか、それについては推考された現実描写力であることを否定できない(ここで言う現実描写力とは、作中の大まかな設定を指すのであって、内容ではない。内容は、やはり商業作品でもあるのだから、多少大袈裟に描かれている事は否めないし、どうしようもない。そうでなければ、この作品を映画化するなんて出来なかっただろう)。本作品には社会学的視野が根強くも行き渡っていて、その分野で本当はもっと褒められて良いほど、あらすじの初期設定や、派生される物語、セレソンの精神性などは、深く色濃く考えられている。それは作者の人間観察と社会学分野への幾つかの知識の賜物なのだろう。
 その色濃い思考の末の本作の設定の、深い位置のある描写のあるひとつが、作中の先刻説明した状況(セレソンとJuizとの会話)に於ける「ノブレス・オブリージュ」という言語の使い方なのである。
 今日、私はここに注目するのだ。

 では抽象的な説明から、具体的な説明に入って行きたい。
「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige優者の責務)」の意味を、簡単に紹介しているレビュアーを幾人か見た。その紹介はこうだ。「ノブレス・オブリージュとは、フランス語で一般的に、財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴う、ということだ」。
 この文だけを見ると、おそらくこの言葉を今まで知らなかった多くの人は、たとえば会社組織や学校組織を通じて考えるのではないだろうか。企業、会社組織内には位があるから、考えればこれだけでも浅くは理解ができる。平社員より部長の方がもちろん位は高いが、遵って部長の社会的な責任は大きく、時に重くなる。たとえば、大企業の社長は何かしらの不祥事の際には公に謝罪をするし、責任によって辞任する。高い地位の獲得には同時に責任が付属するのか、と。
 しかし、この思考展開だけでは本筋を辿れない。説明不足という事であり、本質がまるでわからない。なぜこの言葉がわざわざセレソンとJuizの会話に引っ付いているのかまるで理解し難い。
 上の説きを、歴史観を交えて押し広げて言い直すと、
「ノブレス・オブリージュとは、天下の事を自らの任務だと自覚し、その為には自己の利益をも犠牲に出来ると言う強き意識であり、責任感とも言える、エリート意識である」。

 史観を含めて説明する。
 元々、この言葉は広く貴族や皇族などの特権階級に対し使われる。たとえば、貴族は、自らが貴族であり続ける為には、その特権による自己の利益を、特権を持たない人民に提供しなくてはならない、というものだ。この例は、階級社会や貴族制度の理念が現代に息づいている英国の、上流階級に浸透している道理だ。イギリス人(キリスト教、ユダヤ教文化圏)が契約を大事にするというのは、必ずこの理念と通じている。長きに渡る歴史、その中の数々の反省から導き出された幾つもの理念、法。特権階級は、その特権を濫用してはならない。特権は、それを持たない人々への義務によって釣り合いが保たれる。上に立つ者は、それだけ社会の模範となるべき態度を取らねばならないという精神であり、不文の法である。この精神は「ノブレス・オブリージュ」の派生的なものだ。
―――。

・・何がセレソン(特級主権者)を生んだのか。

 さて、匿名富豪権力者に選ばれた12人の日本人は、100億とその自由行使の義務を与えられ、日本社会の中でセレソンという名の特異な時の権力者となった。では、それはどのような特権を持った権力者であろうか。その特権とは、自国を救済する為に100億円分の望みが叶う、というものである。 では、どのような権力者なのか。セレソンは自国を救う為、自国を考える。それは国民主権という立ち位置であり、国民主権に忠実なのを指示し、彼らは「主権者」という名を高めた存在であり、日本の救済を義務とする水面下の権力者なのだ。「特級主権者」と言っていいだろう。
※ 国民主権とは、国民が国家権力の厳選であるということ。自らが国をつくる(自らが国家である)という強い意識のことであるとも言えます。日本人の条件とは日本国籍を保持している人という意味に限りません。本質的には、前提として上の意識があり「私は日本人である」と名乗ってしまえば日本人だと言っていいでしょう。
 日本に於ける主権者とは、日本の国民主権を体得した人間のことです。
 彼等はまっとうな主権者たる主権者となったのです。

 ところで、我々日本人の多くが主権者を思い浮かべたところ、誰が(或はどのような機関が)脳裏に映るでしょうか。教科書には「日本国は民主主義国家であり、主権は国民にある」と書かれていたけれど、しかし国民と国家の間に隔たりが感じられる。国は政府とか何とかかんとかが動かしている、と思っている。自分が主権者という意識に、えぇーマジ?となる。無意識に避けている雰囲気が漂っている。
 そう。我々日本人にはパブリック=公共の概念が根付いていない。公共とは、誰かがやってくれるもの、と認識されている。自ら社会の中で合理的自立を成し得ず、この日本社会とは生まれた時から本来備わっているもの、そこに川があって山があってと同じようになくなることはないし、自分から関わらずとも自然の摂理のように普段から何かが処理、整備してくれるのだろうと思っている。このような民度の低い感性で、社会を営んでいるつもりでいるのである。
 例えば、民主主義とは元々あるものだからなくなることはない、としている。しかし、まるで人間の感受性と同じように、守ろうとしなければ失われてしまうのです。民主主義とは特に怠慢すれば容易く崩れる。資本主義すら怪しい。「日本(近代国家)に生まれてよかった」で完結するのではなく「日本に生まれたからこそ、相応の責務がある」と普通は考えなくてはならないのだ。
 明治以降、日本には「近代」の概念が輸入された。戦前には、その「近代」を更に乗り越えようとせん動き(ムーブメント)まで起こる。そして戦後、民主主義が導入されて日本は真の近代化を果たし、己自ら考え自立する近代的個人となる筈だった。
 戦後、我々は近代への努力に怠慢して来た。その結果が現代日本に刻々と現れんとしている。ハイパーインフレーションは止められるとは思えない。税率3%上がるだけでどんだけ騒いだことか。税率30%でも良いのに(これで半世紀ちょっと払い続けるのだ)。アベノミクスは失敗した。その経済政策についても我々は「月給を上げて欲しい」「政治家の給料を減らせばいいんだ」等としか言えなかった。政府は我々の愚民ぶりにつけ込んでいるのに。
 作中の言う「…自分からは何も行動を起こさないで、事態が外から好転することを夢想し、恨めし気にルサンチマンをかき鳴らし、ひ弱で役立たずのくせして権利だけは主張している…」by滝沢朗に肉まんをあげた元ニート。…である。
 選挙投票が”人気投票”になるのも、この田吾作文化から来ている。
 その怠慢に於ける知識と人間性の無知の中から、個人性が未熟で、物事を尊重しないコミュニケーションが生まれる。その社会関係に於ける相互作用が「空気」である。
 我々が「空気」を生み出さなければ、国に正常な作動が効いていたかも知れない。設定として、セレソンの生みの親とはMr.OUTSUDEではなく、我々なのだ。
 そして作中には、姿を現した日本の救世主セレソンに「任せて自らが自らを決定しない」騒ぎ立てる一部庶民の光景が描かれる。何とも、現実的である。

・・独裁という手段と日本病の行方。

 これが日本という国家レベルの国の抱える、難点である。
 セレソン各位は、日本を変えるには、この「空気感」をどう変えるか、と直結していることに気が付くのだ。
 そこで「リアリスト」ことセレソンNO.1物部は、「国民というのは、一億人のエゴイスト集団だ。」として、国民が気づかない内に自由を奪い、内務省を復活させる、云わば独断場に踏み切ろうとした。
 「ロマンチスト」ことセレソンNO.9滝沢も、「この国の王様になる」として独裁に踏み切ろうとする。((要請は「国王になる」だが、JUIZ(ジュイス、ノブレス携帯に応答しセレソンの要請を、物理法則的に可能な範囲で受理する優秀なコンシェルジュ) は「国王」を「総理大臣」と認識してしまう)) 
 さて、
1・独裁という手段の是非とは。
 独裁者でも、独裁の道理と社会秩序の倫理道徳を弁えた賢人なら別に国を任せても問題はないのです。これは常識。たとえ、デモクラシーが完璧に機能していても、悪政に、人民の生活水準が低いのならば、それは民主主義万歳!とは言難い。独裁制であっても、依って人民の生活が向上していくのなら、独裁イコール悪ではないのです。
 では、
2・なぜ、独裁か。
第一に、間に合わないのである。
 多くの人は疑問を抱くと思うが、一体何が間に合わないのか。独裁でもしなけりゃ治せない日本病とは具体的にどのようなものなのか。
 民主主義国家では国民が国家の厳選である、というのは先刻述べた通り。国を保つ、社会を営むとは、厳選された国民の人間性、知性に問われることとなる。”考える個人”でなければならない。この”考える個人”の社会性が国を形成します。
 ここから多くへ派生するのです。
 では、”考える個人”が欠如した場合、国の基盤に歪みが生じ、悪くて底が抜けます。基盤が頑丈で精巧なものであると、つみきは高く積みあげられますが、基盤が歪めばつみきは低くまでしか積めず、悪くて崩壊します。
 民主主義と取っても取れない表裏一体関係の資本主義ですが、勿論のことダメージ食らいます。
 「財政赤字」ニュースでよく聞きますね。国の歳入が歳出の半額しかないとかかんとか。国の借金は1000兆円を越したとかかんとか(国民一人当たり約800万円の借金)(ギリシャは借金30兆円で国債の暴落、経済破綻)。
 多くの人が、感覚的に茫漠とした不安を感じているのではないだろうか。昨今の選挙で無力感を抱いて更なる不安を。でも、今日も全く変わらぬ陽が昇っているので、考えないようにしようとしてしまっているのでは。国の借金だから、私の借金ではないと。
 歳入が歳出の半額しかない国が、やっていける筈はない。借金を借金して返済しているのですから。
 やがて数年(5年~8年と見積もられている)で日本国債の発行総額が金融資産を上回り、国債の消化は銀行や証券会社などの金融機関だけでは済まないことになる(銀行や証券会社に金を支払っているのは国民である)。国債とは、税収の不足を補う用途で発行される政府の借金です。国債は市場に出回り、国内の金融機関などに買われます。借金なので返済期間と利子がついて、国債が満期になれば政府は額面通りの日本銀行券と交換します(国債償還)。この国債償還を政府が国債所有者に対して(手元にお金がなくて)行えない場合、債務不履行(デフォルト)となります。既にデフォルトしていて可笑しくないのですが、平気な素振りを見せているのは不自然です。どうやら戦後の貯えを使い潰している説が真実かと。切り崩して生きているのですから、すぐ無くなります。それが、新たな天災等の異常時がない場合、あと数年で尽きるとのことです。あと、日本国は通貨「円」を持ち、「円」を発行する機関を持っているので(日銀)、お金を刷ることで国債を埋め合わせることが可能です。けれど、日本は税収の不足分と国債の借り換えを補う為に毎年約160兆円の国債を新規に発行し、この全額を日銀の通貨発行が引き受ければ、たちまち超悪性のインフレに陥ります。
→日本国債の価値が危うくなり、マーケットは国債を手放すでしょうが、買い手はつくはずないので価格が暴落。同じ事情から、新規発行の国債の金利が上昇する。すると発行済み国債が大きく下落。ここまで来ると相当に財界は騒ぎ立て、予算案は圧迫され、売りに売るのスパイラルに陥ります。銀行も負債に依って幾つか倒産し、その頃やっと国民も「空気」に依って騒ぎ出し、銀行から一斉に預金を引き出そうとします。国債の暴落によって銀行は引き出しにストップをかけると考えられます。国民の資産はふっとび、銀行の株価は下がり、企業への融資を止めることで倒産が連鎖的に相次ぎます。失業者に溢れかえり、公共機関が機能不全となります。イギリスの経済情報誌「エコノミスト」に書かれた通り、「国際社会の中で最も苦境な少子高齢化」が、ここに組み合わさることになります。経済は混乱し、多数の死者が出て、「円」、日本株は暴落します。ここで銀行が潰れて行きます。この輸入大国日本で物価が上昇し、ハイパーインフレを招きます。札束を抱えて路頭に迷います。円は瞬く間に国際社会から見放されるでしょう。公務員は大量に解雇され(ギリシャでは三分の二が解雇)、税率を引き上げ、国家規模のダイエットを始めます(セレソンNO.1物部と予見)。混乱に依って前例のない規模の死者(自殺者含む)が出ると思われます。
 経済破綻の文字を通り越していましたが、このように日本は東南アジアレベル、新興国(タイ、インドネシア)などと同程度の国家レベルまで落ち込むと予想されています。戦後から私達はもう一度やり直すのです。あの固定レート1ドル=360円の時代から。

 全ての行動に、当事者の責任が伴う。免れた責任は、必ず時を経て同形のまま再来する。
 当事者を我々日本人とするならば、近代国家としての努力を怠って来たツケが、今回って来たように思えます。

 現代の政治体制では手遅れと思われる。時間が掛かりすぎる。今から急いで踏ん張るとしても、税率を35%に上げて50年間こつこつ借金の返済に充てなくてはならない。自民党が無理やり強行すれば叶わないこともない(?)。国民は当然反対するだろう。先刻言ったように、他人に任せて愚痴を吐露する社会なのだから。
 ここで、独裁というセレソンの結論の意味がわかる。「なるほど、手っ取り早い」と。
 財政だけの話しではない。地球環境の保全についても、様々と例えられるだろう。勿論、有能な人物が独裁権を握ってこその話しだ。セレソンNO.9は力不足と思われる。
 国家規模で変革を求めるなら、国民の空気が充満する辺り、独裁の手段が手っ取り早いとなったのだろう。非現実的かも知れないが、ヒトラーに同じく、国民が愚かであればつけ込むことが出来るのだ。安倍総理もどこかの団体にファシストに任命されたと言うではないか。―――。

・・空気はやがてどこに流れ着くか。

 現代人はインターネット上に個人、或は匿名で全世界に向けて情報、意見主張を発信できるようになった。残念なことに、知識と合理性に欠けたコミュニケーションで、自分の意見を作らず他者の意見を垂れ流す主張が目に見えるようになったということである。
 先日のイスラム国の人質事件にもインターネット上では「自己責任」という意見が強く飛び交った。そんなところに行く、そいつが悪い、というのだ。今、多くの人が社会を知らぬままにプライドの先走る意見をさらけ出しているのだ。顔が見えないという心理的原因もあるかも知れない。2chは典型例である。
 国家とは、人民の生命や財産を守るためにある。国は人質解放に全力を尽くす。今回、尽くせていないが。イギリスやアメリカの対応は俊敏に変わった。これも、残念ながら民度の違いである。
 このように、無作為にがたついたプライドの先走る意見が蔓延することで、やがて日本社会の一部は社会性、連帯感を喪失し、インターネット・アノミーへと陥るだろう。無法状態である。猿並と言えば、猿に申し訳ないぐらいである。ここ5年の内に明確化して来るかも知れない。
 然も、(主に都会で)隣の住民がわからないという社会状況に加え、今後の更なる日本の低迷化。戦後、国を立ち上げられたのは隣人との気さくな仲、「always三丁目の夕陽」のような社会性あってこそだが、これでは社会を立て直す、或いは社会性を取り戻すこともいかんせん難しい。
 空気はやがて、インターネット上でアノミーを生む。インターネット上での無連帯感は、やがて現実問題として姿を現すだろう。―――。

・・ミサイル攻撃に依る国家骨抜き作戦。

 セレソンNO.1物部は、まず国民の自由を奪い、戦前「官庁の中の官庁」と呼ばれた内務省を復活させて、国家規模ダイエットを行い、有能な人材を選抜し再配置し、グローバル社会に通用する部門だけを有効に機能させる「小さくて小回りの効く国」、そして意思決定をアメリカに委ねない国家の自立を目指している。「一億総他人任せ」の空気をも解放すると言う。
 その為にまず現行国家を骨抜きにする手段として「60発のミサイル」の発射に踏み切る。
 国家緊急権が日本にはないに等しい。緊急時の対応が遅れる懸念が心配されている。しかも、日本は東京に心臓と脳を置いている為、山手線の内側を破壊させる程の威力のある爆弾を投下されれば、日本は機能不全に陥るどころか、文字通り崩落するだろう。
 「60発のミサイル」でなくとも、骨抜きにすることぐらい簡単であろうか。この国は危機に脆い。
 実際、これから現実に起こりうる事態である。戦争は五日間で終結するとの意見もあり、腑に落ちる次第だ。―――。

・・セレソンNO.9「日本中ニート化案」の説明。

 題の通り、「日本中がニート化すれば、上の連中も頭下げるってもんよ」という主張である。端的に言って、社会活動をストライキする事によって反抗する、ということ。
 現在進行形のニートがニートしていてもどうにもこうにもならないし、返って日本病が悪性になるだけだが、全国でニート化すればどうだろう。鉄道会社がニート化すれば列車は動かないし、税金払わないでいるのも有効だ。
 ここで「迷惑だから止めてくれ」と文句を言う人こそ、「迷惑」ぐらいにしか認識出来ない、我ら愚民なのである。
「テロは止めてくれ」こんな事を言う人も何もわかっちゃいない。テロは、言論を主張、議論に最善を尽くした後にやっと見えて来る反抗手段だ。明確な殺傷行為である。抵抗権とは見極めなければならない。端に会社を休むだけじゃないか。何がテロだ。
 「反抗ならデモで良いじゃん」という意見が聞こえてきそうだ。
 “デモとは、無意味な抵抗手法である。”というのが私の意見だ。なぜなら、多くの人がデモに関心を示していないからである。
かつて、デモが左翼思想やマルクス主義思想と結びついていた頃、デモ隊には同心円状に共感者、同調者が取り囲んでいた。デモが全体性民意を体現していたのである。だから政治家もマスコミも理解し応答した。しかし、現代のデモはムーブメントとしての内実が変容して来た。同調者はなく、孤島化しているのだ。しかも、デモの参加者(多くは右傾化した若者世代)はそこに自らの居場所を求めてしまっている現状である。同じ価値観を持つ者同士だけで寄り集まり、自己満足感に浸る。しかも、旅費と時間を使って集合し、叫び、解散する、この一連の流れがデモ参加者に達成感を与え、「空気」の”熱”を消費させている面もあるとのことだ。当然、政府もマスコミも呼応しない。今では、デモはパレードと呼称されるらしい。もう開き直って楽しむことが前提らしい。それでは遊び仲間は集まるが、社会への関心は集まらない。
 しかし、実際ストライキをやる人はどこにいるのだろう。誰もが利己的に自分の事情を気にするからだ。
 その例に、作中、日本救済のシンボルとしてセレソンNO.9を盛り立てる大衆のごく一部(ニート諸君)が描かれているではないか。彼らは前述の通りにNO.9に全てを任せっきりで、それは周囲の"空気"に冷ややかな視線を送られ、明らかに孤島化していたではないか(空港のシーンとか)。その孤島の中身も、誰かを象徴化し自らがそれに従属し、居場所と安心を(楽を)求める人々の集合体ではないか。思えば日本の天皇制と同調する話しだ。「空気の海」の中で「空気の島」が孤立化する状態である。どうにもならん。セレソンNO.9の考え至らず、である。―――。

・・そして日本に志士はいない。

では、「もう散々だ!」と思うので、話しを纏めに掛かりましょう。
 女子力がどうとかプリクラでキャーとか、新しいデパートがどうとかパチンコが覚醒だとか、そんな今にも時代が変わろうとしている。私たちがアニメを見ている間にも、刻々と躊躇いも労いもなく現実が押し寄せる。そういえば、地震予期作用とか火山活動とかがまた活発になってきているらしいし(周期がまた回って来たのだ)、地球温暖化(気候変動)も相当に不味い過酷な状況だ。
 バブル期も同様だったらしいが、今が幸せであれば、その後の不幸なんて見る気もしない。そんなのデマだろ、とか。お前が他人の幸福にひがんでいるだけだろ、とか。
 私たちは不幸が現前に正体を現すまで一切判断しようとしないのだ。

 私達は、偶々、古き良き時代に生きているだけなのだ。その終焉に猶予はない。
 そして日本に志士はいない。第二の維新は不可能か。

 では、生き残る人間は、どのような者か。
 ノブレス・オブリージュという概念を体得した人間。
 「我らが国家、社会の中枢である。」という強き意志を抱く者達である。
 まるで幕末の志士のようだ。
 元々「ノブレス・オブリージュ」とは、国を動かせる高位の主権者に向けられた概念だった。しかし、高い位の人しかこの意識を持ってはいけない理由はないし、全ての国民に主権のある今、寧ろ意識持って然るべきものである。 

・・ノブレス・オブリージュの導き。

 他者は自己ではない。他人の人生を生きてはいけないのだ。
 我々は立ち向かわなければならない。そして、立ち向かうとは付き従うことではないのだ。他者に頼り切ることは不自由である。自らの弱さに諦めることは限りなく不自由である。不自由とは、或いは自己逃避とは、現時点で楽な生き方かも知れない。けれど、後で更なる苦境が待っているだけだ。借金を借金して返していることと何ら変わらない。
 壁とは常に自分である。壁を模造するのも自分自身だ。己自身の力で対闘するしか手立てはない。
 人生とは辛い。しかし、最善を尽くしていれば辛くない。全ては、己を知るところから始まる。全てのノブレス・オブリージュの人も、誰もが最初、ここから始めるのだ。1人1人気が付いていかなくてはならない。全員でせーので気が付いた時には全てがとうに遅すぎる。

 明確であるべき目標が曖昧なら、歩き方も曖昧になる。未来はある程度予期できる。予想が立てられる。社会とは大きく人に影響を齎すのだから、自己の問題として自身で対策、処理を出来る範囲で行うべきだ。予想する仕事は学者などの専門家に任せてもいいだろう。今こそ啓発に耳を傾け、考える個人であるべきだ。

 日本を変える手段は教育にある。民度の向上こそ最も良き解決の糸口である。まず、エリート意識の普及である。点と点から、やがて枝分かれして途切れなければ連鎖的に広がっていくだろう。その意識の根拠として、この理念が挙がるだろう。それが此の国の未知なる標である。いつの日か新たなるJapanese democracyの開化に向かう、ノブレス・オブリージュの導きである。


・台詞集
{netabare}「この国には頭の良い連中が一杯いんのに、損な役回るやる奴がいないんだ」
「この国は、どの道一旦は誰かがなんとかしなきゃならないほど、可笑しなことになってんだからさ」

「全共闘時代、当確連がセクトの支持で成田闘争に参加すべく、彼方東を目指して掘ったトンネルです。弾劾世代が闘争ごっこ繰り広げたトンネルにピンチを救われるとは。焚きすべき世代の産物を使って敵を出し抜く、痛快な気分です。じゃが、こういったもんを私も積極的に受け継いでいけんかったんかもわからん。」

「国民というのは、一億人のエゴイスト集団だ。今や総理大臣など、ただの生贄に過ぎない。自由を手に入れ、不自由になった国民のストレスのはけ口というだけだ。」
「国民とは飽く迄、国家を構成するパーツの集まりに過ぎない。個人的な感情を注ぐ対象ではない。「1人1人は皆、何者かになりたいと思っている個人な訳でしょう。」「それが厄介なのさ。全員が何者かになるなど、そもそもありえないことだからね。」
「この国の人間は呆れるほどシニカルだ。」

「新聞を一部、譲って貰えないかね。」「良いっすよ。金はいいよ。一部だけ欲しいって人は、ほんとに新聞読みたい人だから。」「一部とは言え、売り物だろ。」「読まないのに取ってる人から貰うから大丈夫。唯、そういう奴程中々払わないんだけどね。」「たしかにな。時に小僧、なぜ今時に新聞配りなんかやっておる。」「金貰う練習の為、かな。へへっ。人って面白いもんで、金の払い方は五歳からでも知ってんのに、貰い方は大人でも知らなかったりするんだよね。そら、金使うほうが頭下げて貰うより気分良いから。お客様は神様です、なんつって、つい消費者最強を振りかざすけど、あれって本来は売る側の気持ちの話でしょ。」「そうだな。」「だけど、みんなが金を払う側になっちゃったら、一体誰がサービスするんだって話だよね。俺は、金は払うより貰うのが楽しいって社会の方が健全な気がするんだけどな。」

「嘗て、我々はこの国の為に、何かを成そうとがむしゃらにやってきた。だが今になって、あれは過ちだったと歴史の汚点のように言われる。しかし、我々とてあの時代には右も左もわからぬ新人だった。我々の築き上げて来たものが誤りなら、正解はどこにあったのか。しかもようやく何事かを成したと思った頃に、今度は世界のルールが大きく変わってしまった。この国が深みを増す前に、新しい考えが優位性を持って対抗してきた。年寄にそのことを受け入れろというのは酷な話だが、それでも奴らに権限を委譲し、責任を負わせてみろという訳か。日本人が愛して止まない坂本龍馬も白洲次郎も、実際には綺麗な立ち回り方を選んだが故に、その一張羅に土が付かなかったに過ぎん。だがこの国の本当の救世主は、日々をこつこつと生きた名も無き者たちであり、結果一敗地に塗れこの世を去った歴史の敗者たちだ。その事実を無意識に嫌うものを善しとする趨勢(すうせい)の中、NO.9はスケープゴート(生贄、身代わり)となり火中の栗を拾うという。面白い。今回のゲーム、これにて一旦の幕としよう。勝者は決した。」

「ノブレス・オブリージュ。今後も君たちがこの国の潜在的な救世主たらんことを、切に願う。」  {/netabare}



2013/8/2「noblesse oblige今後も貴方がこの国の救世主たらんことを。」投稿。
2014/8/10「ノブレス・オブリージュの導き。」改正。
2015/1/29                 加筆。投稿。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
ネタバレ

Pまん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

滝沢朗と名乗った男は、何故、自分の記憶を消したのか

視聴:2回(アニメ+映画×2)+総集編1回

皆のレビュー読んでたら、誰も書いてないんだもん。書いちゃった。

個人的な印象は、詰め込み過ぎ。
え、もちろん大好きですよ?
好きじゃなかったら、こんなレビュー書きませんって。

では、この物語のわりと本質的なトコロ、掘ってみますよー。

滝沢朗と名乗った男は、何故、自分の記憶を消したのか。
本編中に、登場人物の言葉で答えらしきものが提示されていますけど
まさか本気で信じたりは、してませんよね?

以下、アニメ+映画×2のネタバレを含みます。
ネタバレはアニメと映画で一応分けてますけど、鑑賞済の方のみどーぞ。


{netabare}
とはいえ、お楽しみは後の方にとっておきましょう。

まずは100億円。やっぱりみんな、コレ気になってるみたいですね。
ノブレス・オブリージュ。本作中では『持てる者の義務』ですね。
感覚的には、100億円=持てる者なんでしょう。
でも、この100億円、ホントはお金じゃないとボクは思うんだよね。
たぶん、ジュイスに働いてもらうためのポイント。ただの数字。
もちろんお金としても使えるんだけど。便利だからね、お金。

お金を使って何かするのではなく、目的のためにジュイスを使う。
コレが、アウトサイドが望んでいた本来の使い方じゃないかな。

次、ちょっとわかりにくいけど、ヒロインが牛丼かけられるトコ。
いらっとするシーンだけど、こんなことあるわけないと思ってる?
実際に社会に出ると、もっとひどい事を何度も目撃・経験できますよ。
それはさておき、ここで描いているのも、ノブレス・オブリージュ。
『位高ければ徳高きを要す』ですね。

せっかくなので、牛丼をかけさせた側の事も書いておきましょう。
たぶん、卒業旅行で面談を欠席したから嫌がらせしたのではありません。
重要なハズの面談を欠席する子がどんな子か、興味あったんですよね。
そして期待は裏切られた。2重の裏切り。描写が丁寧だなーと感じます。
牛丼をかけるよう指示する人、実行犯、『事件を期待する』女子社員。
まあ伏線のひとつですよね。こういう描き方は上手いなぁ。

次いきましょう。裸で登場。
まず、裸は持たざる者の象徴でしょう。ニート軍も裸ですからね。
『寒くないですか?』『寒いですよ』
思わず、ヒロインは帽子・マフラー・コートを貸します。

ココは推測ですが、冒頭、No9が裸で銃を構えたのはNo1の罠。
No9が自身の記憶を消した直後、罠情報を吹き込んだのでしょう。
お前はテロリストだったんだよ、ってね。
携帯で正気に戻ったのは、サポーターのおかげです。
正気に戻ったというより、もう一度記憶を消されたというのが真相かな。
ジュイスが『あのままフェードアウト』と言っていますから
自身の記憶消去から、しばらく時間が経過していると考えられます。
同じアパートの住人が、No9を見て気軽に挨拶をしているのも
テロリスト風に仕立てられたアジトに滞在していたことを示します。
『こりゃ絶対だれかにハメられてるな』とはNo9のセリフ。
丁寧な仕事、お疲れ様です。まー違ってるかもしれないけどね。

通行人がズボンを差し出すシーン。ココすごく好きです。
ヒロインはこう考えてます。『何でズボン貸すわけ?訳わかんないし』
当然です。たぶん日本では起きません。欧米だからじゃないかな。
欧米、おそらく富裕層におけるノブレス・オブリージュの意識の高さ
を感じさせるシーンなのだと思います。No9は頼む人を選んでますし。
咲さん、あなたがやった行為も、ノブレス・オブリージュですよ。

では、冒頭の記憶の消去について触れましょう。
No9は、何故、自分の記憶を消したのか。
作中では『助けた人と協力した人の双方から裏切られた』と語られます。

え、逃げたの?No9はそんな子じゃないよね。
落ち着いて考えてみましょう。何故、映画の記憶は消えてないのか。
映画の記憶が必要だったから?自分の記憶だけが不要だったから?
ボクは、こう考えます。
記憶を消す前のNo9は、客観的な感情を欲したのだと。
だから自身の感情は切り捨てた。記憶と共に。
自分の感情に惑わされないように。映画の記憶だけを頼りに。

アニメのラストで、王様になる時の決意。それと同じ動機です。
ループしてますよね。これが『上がり』なはずはありません。
{/netabare}


ここから先は、映画版を含むネタバレ。


{netabare}
さて、一気に飛んで、映画2の終盤。No1との会話シーン。
『愛が無い気がする』
コレ、字の通りに読んでもいいんだけど。
自身の感情を記憶と共に封じた事があるNo9の口から出た言葉です。
感情も、やっぱり必要だって意味ですよね。
誰かを生贄にしていたのでは楽園にたどり着けない。そういうことです。

次は、楽園についてです。
主人公は楽園へ行く方法を発見しました。
ここまでちゃんとついてきてたら、もうわかりますね。セリフを引用しましょう。
『上がりを決め込んでいるおっさんたちは、今すぐ、必死でためこんできた
ものを捨て、俺たちと一緒に、新たな楽園に旅立つ決意をしてほしい』
この言葉、あなたの胸には今、どんな風に響いていますか?
No1を否定したのですから、既得権益の再分配なんて話ではありませんよ。
残念ながら楽園は、1人の力では行けないんですよね。

映画のラスト。
アウトサイドは全員を勝者としたのに全員の記憶消去?明らかに変です。
騙されてはいけませんよ。記憶を消去されなかった者が勝者です。
え、2度目だから効かなかった?違いますよ。
アニメの冒頭とラスト+放送前、たぶん記憶は3回消えてますからね。

最後、シーンはちょっと戻るけど。
『払うより、もらう方が楽しい社会』
主人公のセリフですけど、うーん、わかりづらい表現ですよね。

『お前なんで働いてるの?』昔、会社の先輩が、ボクに聞いたんです。
当時はそんな事、真剣に考えたことなくて、親が借金抱えてたから
なんとなく『家を支えるため』って答えたんですけど
その先輩は『自分のため、お金のためだろ』って言うんですよ。
でも、ボクにはピンとこなかったんですよね。

コレ何年も考えてて、まだ答えは出てないけど、今ならこう答えます。
『誰かを幸せにするために働いている』ちょっと夢見すぎかな。
でもボクは、主人公のセリフって、そういうことだと思っています。


おまけ。
アウトサイドはサッカー好きだと作中で語られています。
各セレソンには番号が振ってありますよね。
12番のセレソンがサポーターなので選手ではありません。
では他のセレソンはどういうポジションになるんでしょう。
これだけで1本レビューが書けますね。本題から逸れるのでしないけど。

次は、そういう視点で見ると、また違った楽しさがあるかもしれませんね。

それでは。
皆様の心の奥に『ノブレス・オブリージュ』が根付く事を切に願います。
{/netabare}


ネタバレのネタバレ。やっぱり無粋かな。

{netabare}
何度も見たわけじゃないから確信はないけど、テーマは意識しました。
表テーマ『ノブレス・オブリージュ』
裏テーマ『ミスリード』
信じていいのは、登場人物自身の行動描写と、自身の発言だけ。
これを心がけると、ある程度わかりやすくなると思います。
こう考えたんじゃないかな?という発言は、裏があると思っていい。

No4の刺殺、No5の光が消える演出、No11のジョニー狩り
どれもミスリードを誘っています。

携帯の履歴は、必ずしも目的と一致しません。
たとえば『タンクローリー事故誘発』→『No9の足止め』など。

『豊洲をミサイル攻撃』→『飛行機撃墜』搭乗予定者を狙っていた。
このアニメでは、飛行機に偶然当たるなんてありえませんよ。必然です。
60発のミサイルの目的地が豊洲を含むのも、それを示唆しています。
No9さん、咲ちゃんと飛行機乗る前に携帯使わなくてよかったですね。

『記憶の消去』→携帯の履歴から、記憶の消去は咲に会う前日の昼。
アニメ冒頭の記憶消去シーンはNo9自身の依頼ではないという論拠。
また、迂闊な月曜日から日があるので絶望が直接の原因ではないと推測。
記憶を消した時点では、No9はこの日に帰国する予定だったハズ。
実際には帰国せず、翌朝、全裸でテロを実行しようとしていた。
自分から全裸になっているので、自分の意思でテロ行為に及んでいるが
履歴と行動の辻褄が合わないので、誰かの意思が働いた結果だと推測。
ジュイスを介さずに記憶を消せるのは、作中ではサポーターだけ。
No5の記憶消去は履歴に残ってませんからね。

それぞれのセレソンの行動原理もあわせて考えるとわかりやすいかな。
たとえば、No1は直接的・間接的問わず、他人にリタイヤを強いる。
ゲームを上がる方法は、1つではないからね。
目的が監視だけなら、わざわざアメリカまで足を運ばない。
No1は絶対何かしてる。ヒントは作中に描かれてるハズ。
ボクがココに目をつけたのは、No9が鉄砲を持つ必然性を考えたから。
伏線だらけなんだから、意味もなく鉄砲なんて持たせないよね。

あと作中の『ニート』は『幕末志士・浪人』をイメージしてるっぽい印象。
まー、あまり関係無いけど。
{/netabare}



更新履歴
2012/07/08 初期投稿
2012/07/09 ネタバレのネタバレ・更新履歴・視聴回数を追記

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

閉塞した国をそれぞれ別の方法で壊すため戦った2人の英雄

日本の社会問題に切り込んだメッセージ性の強い作品でいろいろ考えさせられる話です。
評価が分かれる作品ですが、それは仕方ないと思う。

この作品は視聴者がどういうスタンスで視聴するかによって評価が大きく変わるように思います。
何も考えずに雰囲気と勢いに流されて見れば雰囲気が良くて主人公の行動力とカリスマ性に突き動かされた勢いのあるとても面白い作品。
日本の社会問題を考えながら視聴すると、色々考えさせられるメッセージ性の強い作品。
でも純粋に物語を楽しむ視点でキャラクターの行動の妥当性やシナリオの整合性なんかを気にしだすと、荒唐無稽な雰囲気だけの駄作っていう評価になるのも無理はないかなと思います。

【日本の社会問題に切り込む本作品、空気と戦うとはどういうこと?】
{netabare}
「空気」と戦うとはどういうことなのか答えが明確に示されてなくて、作品を見て感じるよう委ねられているところは面白いと思う。

「世の中の悪を正す」「高齢者が安心して生活できるように」「性犯罪者を断罪する」それぞれ日本の問題を真剣に考えてなんとかしようと奔走しているのがわかります。
でもちょっと極端な考え方で、なんとかしないといけない問題点なんだけど、視点がとても狭くてそれだけを解決しても国は良くならないですよね。
これって、現実でも政治家でこういう主張する人がいるけど極端な主張はなかなか通らなくて実現しない。だからセレソンの力を使って実行しようとしているんだと思った。

この作品はまずそういった視野の狭い問題に向き合う人たちを描き、そういう問題もあるよねって思わせてから、後半でもっと視野が広い根源的な問題をなんとかしようとしてた滝沢や物部達をこの物語の中心人物として描いていました。

じゃあその根源的な問題ってなんなの?
これがこの作品のメインテーマ。

作中で咲ちゃんが就職先でいじめにあって、自分の悪いところは認めながらもその理不尽な出来事に涙を流す咲ちゃんを見て、無理しなくていい、耐えなくていい、俺がしょいこんでやる、と言って空気と戦うことを決意する滝沢。
なんとなく見ているとなんで?ってなる場面だけどとても重要なパーツだと私は思った。

これって、この国の腐っている部分をすごく端的に表現していると思ってて
私たちがこれが正しい、これは間違っているって思って行動を起こそうとしても、世の中がそれを許してくれなくてうまくいかないことってとても多いんですよね。
それは権力者による圧力だったり、周囲の人間の同調圧力だったり、社会全体からの「こうあるべき」の押しつけだったり、そこから外れることが悪とみなされる理不尽な世の中。出る杭が打たれる世の中。

そういった理不尽こそが戦うべき「空気」なんだと思う。

でもその空気と戦うことはとてもしんどくて、勝ち目のない戦いに挑んだ気骨のある若者はみんな挫折して気力を失ってしまう。
変えようとする意志、立ち上がる勇気を失っていく。そして漂う停滞感。

これこそが日本を蝕む不治の病であり、それなら壊してしまえと思ったのが物部で、壊すんじゃなくて一人一人が立ち上がる意思を持って戦わないといけないっていうのが滝沢だった。

ふたりは手段は違うけど、この閉塞した国をなんとかしないといけないと思ったのは一緒でした。
物部の出した答えは「少数のエリート官僚がすべて管理するコンパクトな国家」政治家や権力者が権益という名のパイを奪い合っている体制を壊さないとこの国はダメになると思ったんですね。

物部の仲間はエリート官僚うんぬんはともかく、日本を一度壊してリセットしないといけないっていう考え方は一緒で、だから協力していました。
その結果がミサイル発射事件、迂闊な月曜日事件でした。

物部たち強硬派チームはいちど日本を破壊して作り直すことを画策して、滝沢はそれを防ごうとした。
でも滝沢はただセレソンの力使って力づくで停めるんじゃなくて、ニート達を煽動して停めたんですね。
これが「空気と戦う」ということだと思う。
ニートって何もしない、役に立たないってイメージがあると思うんですが、そんな何もしない人代表であるニートを煽動して日本を救うために動かす。
一人一人が「日本を救いたい」という意思をもって考え、行動を起こす。

これが空気と戦うということだと思いました。

滝沢が全裸で逮捕されるという一見すると意味のない行動は、日本と同盟国なのにミサイルをなんとかしようともしなかったアメリカへの不満をストレートにぶつけようとした結果でした。
これは、日本国民が今現在アメリカに対して思っている漠然とした不安を代弁しているかのようで、「アメリカが守ってくれる」のは本当にそうなの?っていう疑問を滝沢を通じて投げかけているんだと思う。

実際アメリカは正義の味方ではなくて、アメリカのために日本を利用していて日本もアメリカを利用していて利害が一致するから同盟しているだけなのですが、アメリカの力のほうが強いから日本はいざというとき捨て駒にされてしまう危険がある。
でも私はそれを批難しているわけじゃなくて、どの国も自国が大事なのだからアメリカが日本を便利な道具としてみているのは当然だと思います。
ただ、日本人の中に「アメリカに任せれば大丈夫」と自国の生殺与奪権を他国にゆだねてしまっていることがいかに危険なのか、他人任せで立ち上がろうとしない、そんな無気力な国民を量産してしまった「この国の空気」に一石を投じることはとても意味のなることだと私は思うのです。

{/netabare}


【物語としてみると粗が目立つ微妙な作品に】
社会問題を取り上げた部分は良いけど、物語としてみると粗が多いんですよね。
特にセレソン関係の設定が、国を救うという壮大な目的に合致してなくて「国を救うのが目的」ということへの説得力が欲しい。
{netabare}
まずセレソンの人選がよくわからないこと。
一番おかしいのは、目的達成した人以外は消されるっていうこと。競わせるより協力させたほうがいいと思う。無能な人は始末される罰則はあっていいと思うけど。
この設定は国を救うという目的を掲げるなら、かなり不自然な懲罰だと思う。

実際、みんな自分のやり方で世の中のためになることをしようとはしていたけど、それは自分が感じる社会問題をなんとかしようとしているだけで、国を救うという視点に立っているセレソンはほとんどいなくて、主張が違う政治家の代理戦争をしているようにしかみえなかった。
対立させることで無駄なことに金を使うのは明らかで、誰かが達成すれば全員報酬があるけど一部私利私欲に走って奪う側に回るキャラがいるっていうくらいのほうが良かったかも。
この対立という構図は国を救うっていう目的がぼやけてバトルのほうに比重が傾いているのが、社会問題にメスを入れるっていうメッセージ性がストレートに伝わらない原因かなと思います。

それから、滝沢がアメリカで逮捕されようとしたり、記憶消したりするのはかなり疑問でした。彼が主張したいことはわかるけど、そんなことをしても意味はないと思う。

他にもキャラクターの行動には疑問に感じることも多くて、物語の完成度としては高いとは言えないと思います。
{/netabare}

そういう設定の問題はモヤモヤしましたけど、大金と権力を自由に使えるバトルというのはとても斬新で面白かったですね。

【キャラクター】
咲ちゃんがすごく可愛い。早見さんの声はやっぱりいいですね。
滝沢明は彼の活躍を通してメッセージを発信しているので当然ですが、主人公らしい主人公でとても良かったです。

【感想】
物語に引き込む力はすごくあると思う。すごく面白かった。
日本の社会問題に切り込んで、強い政治的なメッセージ性を持っているところは面白い部分で、見せ方が面白いと思った。

あとは物語としての精密さがあれば完璧で、この設定を生かすギミックをもう少し工夫すればもっといい作品になったのではないかと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24

92.1 5 SFで頭脳戦なアニメランキング5位
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5049)
21456人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

指先のその先にあるもの

1989年ヤングマガジン海賊版にて発表された漫画「※1攻殻機動隊」の世界観をベースに据えたSFアニメ。

近未来刑事物としての体を取りつつ、政治、経済、医療、テクノロジーへの問題提起など、多岐に渡るテーマを公安9課の活躍と共に描きます。

SFは現在から地続きの未来の世界を描く事を基調としているので(特に近未来ものは)すでに積み上げられてきた科学の基盤を踏まえなければならず、それゆえ制約が多いもの。科学考証に何らかの誤魔化しや綻びがあれば、それはすでにファンタジーの領分に片足を踏み入れたも同然で、SFとしての精度は低いものとなってしまいます。

本作の特筆すべき点の一つは、その様なあやふやさを可能な限り排除した※2設定の隙の無さであり、地に足の着いた説明可能なテクノロジーで形作られる、科学的矛盾を感じさせない世界観にあります。攻殻の世界における未来の技術、物語上で様々な事件を引き起こす発端となる電脳と電脳ネットについても当然合理的な説明がなされており、これらは現代のわたしたちの利用するPC(あるいはスマホなど)とインターネットの直系の子孫という事が出来ます。

テクノロジーとは広範に捉えれば"道具"という言葉で表す事が出来ますが、例えばあなたの指先の延長上にあるものが原始的で単純な構造のナイフなら見た目通りの、ずっと複雑になってピストルならもっと強力な(持ってる人まずいないと思うけど)さらに複雑になってクルマのハンドルとアクセルならかな~り危険な、でももしそれがネットに繋がったPCのマウスとかキーボードなら、先に挙げた3つ以上に大きな力と直結している事を私たちは肝に銘じねばなりません。殺傷能力は(多分)低いけれども、どこまでも届き、とてつもなく早い、弾丸は言葉、音、映像、ソフトウェアとか、それをこうして簡単に世界中に打ち出す事(アウトプット)が出来てしまう装置(端末)がコレ‥。

PCの魔術的でパワフルな働きは、控え目に評価しても古代人が夢見た神々の発明品の威力に匹敵すると言えます。そんなものを奴隷から王様まで(例えですよ)誰も彼もが持っているのがこの世界。攻殻の世界では脳を直接ネットに繋げちゃうんだから※3もっとスゴイ。神様たちも真っ青な実に怖ろしい世界じゃありませんか。

PCとインターネットによって、私たちの欲しいもの(物・情報)を収集する(インプット)量も格段に上がりましたが、そんな個人が負うには大き過ぎる力、多過ぎる情報をわたし達はどう租借しているのでしょう? ヒトの脳ミソがあらゆる情報を錯覚する事により、効率良く知識を蓄えられる様に進化してきたところに秘密がありそうです。私たちは自己を肯定してくれる情報を見つけやすく覚えやすく、逆に否定する情報を見逃しやすく忘れやすい性質を持っている様なのです。

アニメに話を戻すと、本作で描かれる「笑い男事件」の、それに付随して起きたSACという現象も、発端となった事件の情報が曖昧なものでも、それを受けた者達にとって解り易く受け入れやすい要素(義憤に満ちたスーパーハッカーの若者の姿)があれば、それを汲み取って、ヒーローという偶像に転化せしめてしまった一例で、言い換えれば乏しい情報の中から直感的に理解し易い要素だけを選び取った結果と言えます。作中で笑い男(仮)の残したシンプルでポップなマークが流行った理由もこれと同じですね‥。

不特定多数の人間の内にある思いが言葉や行動となって同時多発的に表面化してゆく様は、ある種宗教染みた連帯感の様にも見えますが、これと似た現象は私たちの身近でも割と当たり前の様に起きている気はします。

ニコ動やYoutubeとかで何らかの動画がアップされた時の視聴者の反応とか、SNSとかブログとかで起こりがちな炎上とか、学校なんかで頻発するいじめとかが、私の感じるそれで、沸点に達し得ず表層に現れない多くの声が同時多発的にあふれ出す現象、そんな中に私はSACとの類似を見ます。作中表現を見る限りSACにも引き金となる要素が必ずあり、模倣というよりは便乗あるいは衝動という形でリアクションが発生している所にも特徴があります。

群集心理の研究における※4創発規範説というものがこの様な現象の一部を良く説明していますが、加えて利権や名声へのしがらみが「笑い男事件」の真相を濁らせ、より複雑怪奇なものにしているという印象でした。人は見たいものだけ見ようとすると、複雑なものを単純に、あるいは単純なものを複雑に、コロッと作り変えてしまう事が出来る様です。そんな錯覚が生み出すトリックもまた、攻殻SACの面白さの一つと言えるのでは無いでしょうか?

※1~4
{netabare}
※1:公安9課の通称という事になっていますが、この語が本編で使われるのは1回?だけ(汗)イギリス陸軍の特殊部隊SASを参考に作られた組織という設定。でもこちらは警察とスパイ(内偵とか暗殺とかする)を足したみたいなもの。装備は軍隊並みですけど戦争屋ではない。

"攻殻"って妙な言葉ですが、原作によればタチコマの前身に当たる「やまとん1号」が攻撃型装甲外骨殻という名目のメカだったので、その略称を取って"攻殻"だそうです。それと"機動隊"を合わせて「攻殻機動隊」としたとか、他にも攻性の組織+殻=義体とかの説も‥。士郎正宗先生自身は元々「GHOST IN THE SHELL」の方を正式タイトルに据えていた様です。

※2:攻殻機動隊はそのルーツと言われるW・ギブスン氏のニューロマンサー(クローム襲撃)を始めとするサイバースペースものからの影響が絶大ですが、ギブスン氏の小説と比べると士郎先生の漫画(特に1巻)の方が説明はずっと丁寧な印象。義体の描写及び解説は取り分け精密で、SF好きにとっては垂涎を禁じえない内容となっています(笑)でも作者をして"ファンタジー"の他に"ニセ科学"や"猿マネ"なんかのレッテルが貼られている(汗
↓続き
SFやファンタジーと現代劇の決定的な違いは、置き換え可能な要素があるか無いかで、もしウルトラスーパーギガトン爆弾というのがあったとしても、水爆とそっくり置き換えられてしまえばそれはSFらしくないし、魔法の杖だって自動食器洗い機とか懐中電灯の代わりに使うんだったら、ファンタジーらしくないと言えます。科学は魔術と等しくなりうるので、ここら辺の線引きはとても難しく、また時代とともに変遷していくものですが、本質的には全く同じものの外見(そとみ)だけを代えてもあまり面白くはない気はします。でも攻殻も元を辿ればけっこう古い作品なので、今や非SF的刑事ドラマになりつつあるのかも?

※3:知識だけでなく感覚の共有とかも出来るので。電脳化にメリットがある事は確かですけど、便利なものには必ず代償がついて回るもので、情報や感覚の海に溺れて戻って来れなくなっちゃう人が現代よりも更に多くなりそうですし、そもそも脳にマイクロマシンを入れたり、首の後ろにインターフェース付けたり、生理的な嫌悪を踏み倒してまで電脳化を望む人がそれほどいるのかな? というのが今の目で見たわたしの感想でした。(タチコマに馬鹿にされそう‥)

電脳も義体も身体に何らかの障害を抱える人にとっては新たな選択肢を与える(ハンデを持つ事は必ずしもマイナスでは無いので、敢えて拒否する人もいると思う)技術ですが、五体満足な人にとっては生身の健康を維持する以上に心を縛る枷となる気がしないでもないです。定期のメンテナンスやら経年劣化による部品交換やら色々と面倒そうだし‥(汗)

※4:「群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化する(社会心理学者R・H・ターナーの著書からの抜粋)」とwikiでは説明されてました。スメルサーの集合行動論というのも合わせて読むと面白いかも知れません。こちらもネットに概要が落ちてます。
{/netabare}

原作漫画の色ではないテクノロジー+文学という組み合わせについて、わたしは割と好きなんですが、本作における引用が適切だったかと言えばまた別の話で、物語に一貫性を持たせる為とは言えサリンジャー由来の要素が多過ぎる気はしました。
{netabare}
学術的なものを含めた膨大量の書物を網羅しているであろうグレートな読書家のアオイ君が「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し過ぎている所がちょっと不自然だったり、所帯持ちで既に刑事としての実績もあるエリートのトグサさんまで※マーク・チャップマンを髣髴させる行動に走ったりと、びっくりなシーンも‥、特に後者、初見ではトグサさんゴーストハックでもかけられたのかな?とか誤解しちゃいましたよわたし(汗)

※:ライ麦畑の愛読者でジョン・レノンをピストルで殺害した人。読者の中でこんな人は極々稀だし、今更になって(15年以上も前だけど)こういうプロパガンダ的な脚本を挟むのはかな~り節操無いなと思いました。
{/netabare}
後に製作された、同じくSFアニメの「サイコパス」でも本からの引用が沢山ありましたが、あちらは量の割にせいぜいスパイス程度で、本で人を語らせるのでなく、ちゃんと人が本を語っている所にそつなさがあった様に思います。どちらにせよこれって中二病‥ではなくて、寓話を用いてSFというジャンルの影に隠れた人間的な要素をかいつまんで、あるいは租借して説明する一つの手法ではないかと思われます。遠い未来のお話であっても本のページを一枚噛ませると(笑)そこに現代の私たちと何ら変わる所の無い人間がいる事を実感出来るのです。ファッションや料理と同じく一種の舞台装置とも言えますね。

キャラデザについて、9課メンバーの面構えが濃過ぎる!というのは置いといて、現実にいる政治家の人とか、映画俳優の誰かさんをモデルにしたであろう個性的な風貌のキャラが目立ちます。アニメの作画(声優さんの演技含む)は、文章の文体に相当しますが、リアリティのある劇を見せるのであれば、端正な顔立ちのキャラだらけでは違和感が出てしまうと思うので、理にかなった描写になっていると思います。士郎先生の漫画にも出てくる内務大臣の顔ヂカラは特にスゴイ! 例外なのは没個性的な役回りのアンドロイドとか、アニメオリジナルキャラのアオイ君とか※5クルツコワさんとかフェムさんとか‥。後者から数えて二人は何となく萌えキャラっぽくて、ちょっとだけ別のアニメから引っ張ってきたよーな印象がありました(笑

よく話題になる少佐のコスチュームについては原作にも似た様なのがあるんですけど、TPOを守ってないとやっぱり浮いて見えてしまいます。初見では課長の執務室でのあの格好にはぎょっとさせられましたし、SACの現代寄りの世界観と調和しなかった所為もあって他の場面でも違和感ありありでした。慣れると無視出来る様にはなりますが、何とかならなかったのかなとは思います(二期以降では改善されている。)

音楽について、ORIGAさんの歌声の美しさが際立つOPの「inner universe」と、突入シーンでよく使われる「run rabbit junk」が特に印象に残りましたが、硬い世界を柔らかくするドラマチックなBGMたちも素敵でした。どんなジャンルの音楽も作れちゃう菅野よう子さんの才能はスペシャルですね。最高評価とさせて頂きました。

構成について、物語を縫う様にして現れては消える「笑い男」関連のお話が中心ですが、それとは直接関係の無い一話完結のお話も半分位あります。張り詰めた刑事ドラマの中にも人情味溢れるお話がちょくちょく顔を覗かせますので、やや長めの2クール全26話、立ち止まらずに進む事が出来るのでは無いでしょうか? わびさびが効いていてとても見やすいと思います。

サブタイ表示中の背景色で続き物と一話完結のいずれかが区別出来る様になっていますので、一周した人は※6どちらか一方だけを続けて視聴するというのも乙ではないかと‥。
(青=笑い男:4.5.6.9.11.20~26話 緑=1話完結:1.2.3.7.8.10.12~19話)

原作や派生作品の「RD潜脳調査室」や「紅殻のパンドラ」などでは重要テーマの一つとなっている※7人間と機械の距離が埋まる事によって変容する意識についてのお話はやや控えめで、前面に置かれた刑事ドラマの影に隠れた形でとてもコンパクトにまとめられています。作中でこの問題について人よりもむしろロボのタチコマに多くを語らせているのは、無邪気なタチコマを通した方が説明的でストレートな台詞を喋らせ易いからなんでしょうね。人に同じ役をやらせても楽しそうですけど、うざったらしくなる事間違い無し(笑)霊や階層構造(2期では※8上部構造という言葉で語られる)と言った抽象概念を織り交ぜて未来の世界が語られる原作1巻や2巻とはかなりの部分で異なっており、本作の放送と同時期に出版された純刑事物寄りの「攻殻機動隊1.5」に近い作風と感じました。

本編終了後のオマケコーナー「タチコマな日々」も短いながらもちょっと楽しい。SACの貴重な笑い所となっており、脳が疲れてゴーストの囁きが聴こえなくなった時の丁度良い箸休めとなっています(笑)


再視聴を終えて
{netabare}
原作から色々な要素を削ぎ落とした(必要な事だとは思うけれど)結果、概ね万人受けする娯楽作品として成功した本作ですが、反面、監督の神山健治氏が強調した社会正義というテーマが強過ぎて、登場人物達の価値観がやや画一的に見えてしまった印象は残りました。それと悪玉に相当する政治家や医療関係者、警察関係者と言ったエライ人たちの関心事が金と名声に集中しているのを見ると、こちらについては割とリアルな描写なのかも知れませんけど、古典的な悪人像を見る様で、情けなくて、せこくて、心底呆れちゃいました‥(汗)

一方影の主役、世の中のインチキを相手に回して孤独に戦うアオイ君ですが、こちらには明確なモデルがいて、一見してライ麦畑のホールデンそのものなんですが、力と行動力を備えている点に大きな違いがあり、青臭いと揶揄されそうな剥き出しの正義感を掲げながら、疲れ、葛藤しつつ、それを行使していく姿が危なっかしくも痛快です。欠点のある英雄未満なキャラなので、見ていてついつい応援したくなりました。エピローグで彼の被っていた赤帽に耳当てが無いのに気付いた少佐の台詞は意味深‥。新作に再登場するフラグになっていたりして。

神山監督によれば、正義のあり様について、アオイ君、トグサさん、荒巻課長と世代毎に区別しているそうですが、確かに、暴走気味で浮き沈みのあるアオイ君、私生活を守り自分の立ち位置で堅実に仕事をこなすトグサさん、鉄の信念に殉ずる常に攻性!な荒巻課長と、三者三様な感じではあります。ただアオイ君にしても9課の人達にしても、目的の為には手段を選ばず、才能や人脈を最大限に行使して、時として法の目さえも掻い潜って目的を遂げようとしている点で共通しています。法律は権力者にとって都合の良い様に作られている側面もありますので、それと戦う彼らがそうするのは当然といえば当然で、前提として彼らは法律=正義と置かず、せいぜいゲームで言う所のルール程度としか捉えておらず、バグを利用して近道出来るなら積極的に利用し、審判の目を欺けるのなら危険なラフプレーも辞さないというスタイルで悪に肉薄するのです。

正義の定義については右も左も知らぬ私が複雑な事をあれこれ書けませんが、少なくともその根源は宗教や道徳や法律という言葉で形式化されたものではなく、より古く、世代を経て研磨されてきたヒトの遺伝的性質に根ざしたものの様に思えます。ありていに言えば利他的精神なのですが、血縁関係にない他者や異種族である動植物をも擁護するヒトの行動は、あたかもそれら全てを自身の属する群れと見なしている様にも見えます。群れ全体の利益を優先する行動を仮に正義とすると、その対極にある利己的行動を悪と言える気もしないでもないですが、実際にはその両者のバランスの崩壊こそが悪となるケースが殆どでは無いでしょうか。混じり気の無い利他的精神も利己的精神もプログラムされたソフトウェアみたいなものにしか宿らないと思うので。

14話「全自動資本主義 ¥€$」でも上に関するお話がちょこっとだけありましたが、経済活動が社会ぐるみで推奨され、お金儲けによる自己肯定感が増すと、人は富そのものが目的になってもそれを許容し、どこからそれを得ているのかという事にさえ無関心になれる様です。為替の売買とか株取引なんかは特にその傾向が顕著で、投資は別として、投機でお金を回している人なんて殆どゲーム感覚だし、例外なく利己的ですものね‥。原作の荒巻"部長"の言葉にも「人の心はもろい…世の中の回転に呑まれて快楽中心になると利益効率追及機械やただの消費単位になってしまう」なんてのがありましたが、見たいもの(オカネや快楽)しか見えていないという点では、これもまた先に触れた錯覚の類と言えます(汗)

でもまぁ、作中の独善街道まっしぐらなアオイ君やフェムさんみたいに、腐った世の中に天誅!なんて事していたら(できないし)、まず身が持ちませんし、荒巻課長みたいな無私無欲の正義の人にも逆立ちしてもなれませんけど、フィクションと言えど、彼等の様な自己犠牲を厭わぬ人たちの行動を目の当たりにすると、大人の端くれとして、せめて自分の目の前にあるインチキ的なものに対しては、物申す事が出来る位の勇気と活力は常に備えておきたいものだなぁと思う凡夫なブリキ男なのでした。

総評として、綻びのない未来社会の映像化は警告や予言としてそれ自体に大きな価値が有り、作画もそれを表現するのに十二分な水準に達しており、脚本は実際に起きた事件や映画などからの引用が多くあるものの※9その作り込みは極めて濃密、今もって色褪せない魅力を持つ作品である事を確認させて頂きました。

押井監督の作品では省かれてしまっているフチコマ(タチコマ)の登場もとても嬉しい要素ですね。玉川紗己子さんが様々な声色を使い分けて情感豊かに演じられています。12話の「タチコマの家出 映画監督の夢」の前半と、15話の「機械たちの時間」はなんとタチコマ主役回。ロボ好き必見のお話になっています。全編を通してのわたしの泣き所って殆どタチコマ関連のシーンだったりして。
{/netabare}
更新に更新を重ね原形を損ねてしまった初見当時の記憶と今回の再視聴で得た記憶を並列化しつつ(笑)楽しく書かせて頂きました。


※5~9
{netabare}
※5:クルツコワさんは金髪隻眼の美人さんで工作員。漫画版「紅殻のパンドラ」ではまさかの萌えキャラ化を果たしており(笑)祖国の為に誠心誠意で(悪事を)がんばるポンコツ少女?として描かれています。フェムさんは泣きぼくろが可愛いおだんごヘアーの中華娘でヒットマン(汗

※6:笑い男事件だけを切り抜き、新作映像、新規アフレコを追加して158分にまとめた再編集版「The Laughing Man」なんてのもあります。むつかしい台詞を端折ってより見易くしている印象でした。チャットルームのお話が抜けているのは残念でした(汗

※7:人間がサイボーグ化、あるいはロボットが人間に近づく事によって起きる意識の変化について。前者に関してはW・ギブスン氏に先んじて石ノ森章太郎先生がサイボーグ009の「天使編」で初めて触れたのかも‥、でも現代の私たちってもうとっくにサイボーグ化してる気がします。PCやスマホ無しでは生活する事さえままならなかったり、外部記憶装置のデータが失われた時なんかはそれ相応の精神的なダメージを被ったり‥。PCは己が肉体を、その枠組みを超えて存在するという感覚をまざまざと見せ付けてくれる機械ですが、人は太古から認識出来るもの全てを外部記憶装置として利用しているきらいがあります。

後者のロボットの自我についてのお話は映画「メトロポリス」やアシモフ先生の小説、漫画「鉄腕アトム」「8マン」とかで有名ですけど、その起源はかな~り古い。鍛冶の神ヘパイストスが発明したとされる黄金の召使とか、クレタ島のタロスとか。人造人間のお話はもっと古い。近年ではAIの知能が人間に迫る勢いで成長を続けていますが、自我を持ったロボットは一体何を望むんでしょう? "I will destroy humans."とかはさらっと言われたくないですね(汗)

※8:三省堂の大辞林によると「政治的・法律的諸制度と、それに照応する社会の政治的・法律的・宗教的・道徳的・哲学的・芸術的意識形態をさす語」となっていましたが、攻殻で言う所のそれは幾重にも連なる階層構造の一部を指すのみで、上部構造と下部構造の2つに単純には分けられていない模様。古典的な"神が人の中に入る"という表現では、神が上部構造にいて、人が下部構造にいるという解釈になると思います。作中のハッカーがゴーストハックした人を操る様は、神話や伝説の中の神や悪魔が人に憑依してその心に干渉する様に良く似ています。

※9:脚本が悪いのか演出が悪いのか、1話の突入シーンの光学迷彩で隠れるタイミングとか、2話の「我々は攻殻機動隊だ」とか、9課なのに度々税金の無駄遣いをやらかしている所なんかはちょっとNGだと思いました。(でもそれが感情表現として有効になっている場面もちらほら。トグサさんの射撃訓練じゃないよ)
{/netabare}

付録・用語解説など
{netabare}
電脳:脳内にマイクロマシンを送り込みニューロンに取り付かせ、それで脳波を読み取りデータ化、首の後ろに取り付けたインターフェースとかで送受信する技術。これによって"人やデータ"と感覚や情報を共有出来る。

電通:電脳通信の略。電脳化したもの同士が有線や無線で通信を行なうこと。口の動かない会話シーンを作れるのでアニメーターさんもちょっと助かる(笑)

脳殻:脳と脊髄を収める接続端子付きの器。素材は軽くて丈夫な発砲素材とか頑丈なチタンとか。持ち運びしたり交換したり出来る(汗

義体:電気信号で動く機械の体。義手、義足、義眼などの総称。最近では増幅された脳波で動作する義手や義足、逆に電気信号を脳に送って機能する人工網膜や人工内耳なども実用化されており、義体化技術はかなりの部分で実現していると言えます。他方で施術を必要とせず、ヘッドギアやグローブの電極を通して情報の受け渡しを可能にする技術も開発されつつある様で、それで離れた場所にあるロボットを操作したり、ロボットのセンサーを通して触覚などの感覚を受信したりという事も可能だそうな。作中に登場する遠隔操作義体そのものですね。近い将来にも家にいながらにして(擬似)海外旅行とかが出来る様になったりして‥。味気ない?

光学迷彩:見えない様に見せる技術。実在するものの中には背景画像をカメラで撮影し、反対側(表側)のスクリーンに出力するか、プロジェクターで投影する方式、あるいは負の屈折率を持つメタマテリアル(人工物質)を通して光を迂回させて対象物の背景を見せる方式がある様です。現時点では前者は(可視光)光学迷彩、後者はレーダーに影を落とさない熱工学迷彩に近いかも知れません。耳がひじょーに良い猫耳アンドロイドとかには聴覚で見破られてしまう(笑)水や埃にもやや弱い。
↓続き
少佐の様な前身義体の人はともかくとして、トグサさんとか(ほぼ)生身の人間の体のどこにカメラとかプロジェクターが装備されてるの?という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、これについては押井監督の映画が公開された頃に販売されていた「ビジュアル解説ハンドブック INDEX2029(薄い本ですが内容は濃い)」という小冊子に"迷彩塗装"との記述がありましたのでマイクロマシンをスプレー塗布していると想像出来ます。眼球はコンタクトレンズとかで補えるかも知れませんが、髪の毛とかは大変そう。士郎先生に色々と訊いてみたい(笑)

アームスーツ:強化外骨格。日本ではパワードスーツという呼称が一般的。人型だけでなくクモ型のタチコマもこれに含まれる。

思考戦車:AIを搭載した戦車の事。本来はアームスーツであるタチコマがこう呼ばれる事もある。経験を積み成長する。

並列化:演算処理の方法ではなく、作中では個々の持つ情報を共有すると言う意味合いで使われる単語。タチコマの場合、一部ではなく、それぞれのAIが蓄積した情報全てを共有するので思考力が劇的にレベルアップする。

枝:作中「枝を張る」とか「枝が付く」とかいう表現がありますが、概ね盗聴する為の何かを残す、盗聴される痕跡を残すとかを意味している様です。

IRシステム:IRは赤外線を意味するInfraRedの略。公安が管理しているカメラによる監視システム。幹線道路、駅、空港などを中心に日本中至る所に設置されているらしい。さすがにトイレの中には無い。ディストピアSF御用達システム(汗

インターセプター:目で見た光景を第三者に送る技術。視神経に素子を取り付ける必要がある。

防壁:ファイヤーウォールの類。脳を焼き切る攻性防壁・侵入者を足止めする防壁迷路・逆襲回避の身替わり防壁とかがある。首に取り付けるU字型のデバイスが身替わり防壁。

S.A.C.:造語。スタンド・アローン・コンプレックスの略。説明はレビュー本文にて。

ゴースト:個人を特定する要素。魂という言葉に近いと思います。

他にも色々ありますが主なものを掲載。視聴時のストレス軽減目的の要約版とさせて頂きました。新作に備えてのおさらいも兼ねて。もっと詳しく知りたい人は「攻殻 用語」でぐぐってみると面白いかも‥。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 46
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

'70学生運動世代(ベトナム戦争世代)の思考が透けて見える有名シリーズ

※以下は、攻殻シリーズ(旧作)の一括レビューです。

2013年頃、あにこれに来て一寸驚いたのが、当時この作品が全作品ランキングで1位だったことで(※今は3位に下がっています)、今でも無批判にこの作品を「内容がある」とか「深い」とか言って褒めちぎる人が多いので、このシリーズのひとつの見方を簡単に提示しておきます。


◆アニメ有名シリーズと制作者(監督)の世代論

(1) ガンダムの富野氏は1941年11月生まれ、
(2) ジブリの宮崎駿氏も1941年1月生まれ

⇒つまり、ともに1960年の安保闘争当時、現役学生だった世代。

(3) これに対して、攻殻劇場版監督の押井守氏は1951年8月生まれ
→1970年の安保反対運動当時、現役学生だった世代で、ついでにいうと、1970年11月には三島由紀夫自決事件も起きている(※攻殻TVシリーズ第2期のモチーフにもなってますね←この世代の思考・行動パターンが「口では平和を唱えながら、やたら暴力的」みたいにチグハグになってしまった一つの原因か?)。
(4) なお、攻殻TVシリーズ監督の神山健治氏はもっと下の世代(1966年3月生まれ)ですが、押井氏に師事して頭角を現し、TVシリーズ第2期では同氏をストーリー・コンセプト担当に仰ぐなど同氏の影響が非常に強いと思われます。

⇒ということで、ガンダム・ジブリ作品が60年安保世代の発想だとしたら、攻殻シリーズは70年安保世代(全共闘世代、ベトナム戦争世代)の発想が色濃い作品と考えます。
(※とくに、TVシリーズ第2期を最後まで観ると強くそう感じます(※下記の各話感想を参照))

(5) ちなみに、エヴァンゲリオン・シリーズの庵野秀明氏は1960年5月生まれ
(6) また、マクロス・シリーズの河森正治氏は1960年2月生まれ
(7) さらに、「まどマギ」&物語シリーズの新房昭之氏は1961年9月生まれ

⇒押井氏から丁度10年後に学生時代をおくったこの世代(※シラケ世代?)の作品からは、見事に変な思想臭が消えていて、その分見易く親しみ易くなっています。

※この、どの世代の制作者(監督)の作品を好むかは、人それぞれですが、予備知識として上記を押さえておくと、作品の見え方がまた一味変わってくるかも知れません。


◆作品別評価(TVシリーズ、劇場版)

(1) TV第1期 ★ 4.1  「STAND ALONE COMPLEX」  (2002年10月-2003年11月)
(2) TV第2期 ☆ 3.7  「S.A.C. 2nd GIG」  (2004年1月-2005年1月)
(3) OVA    ☆ 3.5  「Solid State Society」 (2006年9月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.8   ※(1)~(3) 神山健治監督
              ※なお (2) のみ押井守ストーリーコンセプト


(4) 劇場版1 ☆ 3.7  「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年11月)
(5) 劇場版2 ☆ 3.7  「イノセンス」 (2004年3月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.7   ※(4)~(5) 押井守監督


◆制作情報(TVシリーズ第1-2期、OVA)
{netabare}
原作マンガ       士郎正宗
監督・シリーズ構成  神山健治
ストーリーコンセプト  押井守(2期のみ)
脚本           神山健治、藤咲淳一、櫻井圭記、佐藤大、菅正太郎、寺戸信寿(1期のみ)、松家雄一郎(2期のみ)
キャラクターデザイン 下村一(1期)、後藤隆幸・西尾鉄也(2期&OVA)
音楽           菅野よう子
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


◆視聴メモ(TVシリーズ)

(1) 第1期「STAND ALONE COMPLEX」
{netabare}
・第2話視聴終了時点
ん?これって安っぽいヒューマニズム系作品なの?
・第3話視聴終了時点
心身問題(mind-body problem)にチョイ掠り
・第10話視聴終了時点
「米帝」は巨悪だ!という前提が如何にも"ベトナム戦争世代"だなと・・・
・第15話視聴終了時点
再び「心身問題」・・・「自己言及のパラドックス」「チューリングマシン」「ゴースト」等それっぽいキーワードを小出ししてるけど内容自体は踏み込みが浅くて余り評価できない。
・第21話視聴終了時点
ここから山場の展開だが、「米帝」がBig Brother(G.オーウェル『1984年』の全能の支配機構)という設定が何とも・・・
・第25話視聴終了時点
「自由意志」が芽生えたタチコマが自己犠牲を払ってバトーさんを救い全滅しました・・・って、事態打開の方法が如何にも安直じゃありませんか?{/netabare}

(2) 第2期「S.A.C. 2nd GIG」
{netabare}
・第5話視聴終了時点
そこはかとなく漂う5.15事件へのシンパシーが微妙・・・
・第12話視聴終了時点
鹿児島・鹿屋の特攻隊出撃基地近くの戦没者慰霊塔を無造作に使っちゃってる点が×
・第23話視聴終了時点
親中派で米帝の軍産複合体の謀略に強い危機感を持ち国連査察に期待する首相って・・・いつの時代の感覚?
・第25話視聴終了時点
クゼの目的が「肉体を失った人々のゴーストを束ねた霊的上部構造の構築」って・・・これってオカルト話だったの?
・第26話視聴終了時点
シナイオライターは米中露等距離外交・国連協調路線が好きなんだね。{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002年10月-2003年11月) =======
{netabare}
第1話 公安9課 SECTION-9 ★ 西暦2030年、公安9課のロボット芸者鎮圧、脳殻入れ替え技術(スパイ亡命阻止)
第2話 暴走の証明 TESTATION ☆ 剣菱重工製戦車暴走
第3話 ささやかな反乱 ANDROID AND I  ★ カナダ大使子息とアンドロイドの恋人、心身問題(mind-body problem)
第4話 視覚素子は笑う INTERCEPTER ★ 笑い男事件(トグサ同期(特捜ヤマモト)の不審死、事件再発(警視総監殺害予告))
第5話 マネキドリは謡う DECOY ★ 続き(6年前の事件、ナナオ・A容疑者監視の顛末)
第6話 模倣者は踊る MEME ★ 続き(大堂警視総監連続襲撃事件、荒巻9課課長の挑戦状)
第7話 偶像崇拝 IDOLATER ☆ コピー・ゴースト技術(南米麻薬王・革命の英雄の来日)
第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS ☆ 医学生の悪質な臓器ビジネス
第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT! ★ 笑い男事件の続き(ネット座談会への素子潜入)
第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE × 連続猟奇殺人事件(バトーとマルコの因縁、米帝CIAの画策)
第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ ★ トグサの授産(電脳閉殻症患者隔離)施設内偵
第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM ☆ 特定タチコマ個体の冒険(少女との交流)、ゴーストの宿る箱
第13話 ≠テロリスト NOT EQUAL ☆ 東シナ海廃棄プラント潜入、「興国の旅団」リーダー確保
第14話 全自動資本主義 \?$ ☆ 大富豪・投資家横瀬氏保護任務 ※オチのない回
第15話 機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES ★★ 心身問題(※第3話参照)、タチコマの運用凍結
第16話 心の隙間 Ag2O ★ タチコマのラボ送り、バトーvs.元ボクシングチャンプ(ザイツェフ海上自衛軍格闘技指導員)
第17話 未完成ラヴロマンスの真相 ANGELS' SHARE ★ ロンドン銀行籠城事件(荒巻課長活躍回)
第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE ☆ 中国・金外務次官暗殺阻止任務(荒巻課長の戦友・故辻崎陸自調査部長のゴーストの復讐未遂)
第19話 偽装網に抱かれて CAPTIVATED ★ ロシア系北方マフィア「目隠しイワン」の未成年女性集団拉致事件、神崎元総理の感謝
第20話 消された薬 RE-VIEW ★ 電脳硬化症特効薬(村井ワクチン)接種者リスト紛失、トグサの「ひまわりの会」内偵、厚生省強制介入班の襲撃
第21話 置き去りの軌跡 ERASER ★★ 村井ワクチン不認可の真相、9課VS.介入班、今来栖殺害、笑い男の正体
第22話 疑獄 SCANDAL ★★ 新見厚生労働省医薬局長逮捕、荒巻課長&素子の危機、笑い男の依頼、義体換装
第23話 善悪の彼岸 EQUINOX ★ 瀬良野社長再誘拐、6年前の事件の真相、黒幕・薬島与党幹事長
第24話 孤城落日 ANNIHILATION ★ 荒巻&総理の直談判、軍特殊部隊(海坊主)の公安9課強襲、9課離散
第25話 硝煙弾雨 BARRAGE ★ タチコマの自由意思(バトー救援)、公安9課壊滅? ※ピンチの解消方法が安直×
第26話 公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX ☆ 3ヶ月後(薬島幹事長疑惑追及、9課メンバー再集合)、笑い男と荒巻の対面{/netabare} 
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★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)14、☆(並回)8、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「inner universe」
ED 「lithium flower」


========= 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004年1月-2005年1月) ============
{netabare}
第1話 再起動 REEMBODY ★ 個別の11人中国大使館籠城事件、反動保守の新政権(茅葺首相)、公安9課再建
第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE ☆ ギノ操縦士の妄想癖 ※「哀れなほど真実を知らないプロレタリア」って・・・
第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE ☆ 田所元経団連会長内偵、政財界大物秘密パーティ潜入
第4話 天敵 NATURAL ENEMY ☆ 内閣情報庁・合田補佐官の9課接触、暴走自衛隊ヘリ群鎮圧任務
第5話 動機ある者たち INDUCTANCE ★ 茅葺首相暗殺予告(仇∞士)、首相警護任務、革命の聖典『個別の11人』、クゼの首相襲撃・撃退
第6話 潜在熱源 EXCAVATION ☆ トグサのエネルギー省脅迫被疑者身元調査(旧首都・東京へ、大深度地下の秘密原発発見)
第7話 狂想は亡国の調べ Pu239 ☆ 「個別の11人」プルトニウム強奪阻止任務(合田の9課介入)
第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD ☆ 合田の経歴調査、「個別の11人」感染者のメディア露出、内庁の不可解な情報操作
第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE ★ 同時多発的無差別自爆テロ、招慰難民の犯行?、素子の内庁潜入、合田の野望(国家改造の英雄プロデュース)
第10話 イカレルオトコ TRIAL ☆ トグサの人命救助失敗と拘留、不毛な裁判
第11話 草迷宮 affection ★ 素子の過去(クゼとの出会い、全身義体化と折り紙の記憶)
第12話 名も無き者へ SELECON ★ 首相暗殺未遂犯の行動再開、ウィルス発症条件、「個別の11人」鹿児島終結・九州電波塔集団自決事件
第13話 顔 MAKE UP ☆ 自決事件報道の影響、パズの因縁の相手、未遂犯の氏名判明(クゼ・ヒデオ)
第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE ★ 隻眼スナイパー・サイトーの過去(メキシコでの素子etc.との死闘)
第15話 機械たちの午後 PAT ☆ タチコマ開発者(有須田博士)亡命阻止
第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE ☆ 難民の長崎流入問題と日米安保改訂問題、電脳世界のハブ形成、クゼの過去(新義州PKF)
第17話 修好母子 RED DATA ★ 素子の台湾渡航任務(難民達のカリスマ・クゼ)
第18話 天使の詩 TRANS PARENT ☆ 9課のベルリン渡航(「天使の羽」掃討任務、バトーの気迷い)
第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION ★ 出島の難民自治区宣言、合田暗躍、素子とクゼの電脳空間での接触、9課の出島襲撃・クゼ拿捕失敗(新人殉職)
第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG ★ 素子の沈鬱、択捉島・ロシアマフィア&クゼのプルトニウム取引への陸自介入、クゼvs.バトー
第21話 敗走 EMBARRASSMENT ★★ 続き、クゼ協力者の自爆・オスプレイ破壊(イシカワ負傷)、合田暗躍(クゼ長崎出島帰還)
第22話 無人街 REVERSAL PROCESS ★★ 九州の戒厳令発令、電波塔の爆弾解体処理・プルトニウム回収、バトーの合田問い詰め(個別の11人自決事件の真相、不確定要素の介在、殉教者の条件)
第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW ☆ 高倉官房長官・合田内庁補佐官の策動進行(茅葺首相の懸念、陸自の出島封鎖、出島事変発生(自衛軍vs.暴走難民))、素子のメッセージ(対クゼ) 
第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER ★ 茅葺首相拘束、陸自特殊部隊の出島突入・バトー隊との交戦、米帝原潜浮上(合田の最終目的判明・・・難民暴走を装った核爆弾投下・出島&難民一挙消滅)
第25話 楽園の向こうへTHIS SIDE OF JUSTICE × 素子とクゼの接触、トグサの茅葺首相救出 
第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG  × 素子のクゼへの協力、米帝原潜の核弾頭発射、タチコマの命令無視・自己犠牲、バトーの素子救出、高倉逮捕・合田射殺、クゼ死亡{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)10、☆(並回)12、×(疑問回)2 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「Rise」
ED 「living inside the shell」


=== 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS) (2006年9月) ===

全1話 ☆ 3.5 {netabare}ウィザード級ハッカー傀儡廻しvs.素子の抜けた9課&素子(単独行動) ※孤立老人の介護問題を絡めたサスペンス仕立ての話だが特に観るべき点なし{/netabare} ※約1時間49分

OP 「player」
ED 「date of rebirth」


///////////////////////////////////////////////////////////////

◆制作情報(劇場版1&2)
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(講談社『ヤングマガジン海賊版』1989年5月)
監督         押井守
脚本         伊藤和典
キャラクターデザイン 沖浦啓之
音楽         川井憲次
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


========= GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (1995年11月) ===========

全1話 ☆ 3.7 {netabare}素子との融合を望む"人形使い"との闘い ※何でここまで東南アジアの華人街っぽい背景が多用されるのか謎(これ、香港映画?と思うほど){/netabare} ※約1時間22分


===================== イノセンス (2004年3月) ===================

全1話 ☆ 3.7 {netabare}バトー&トグサ・コンビのガイノイド連続暴走事件調査 ※まるで未来の日本は香港にでもなったような設定が酷い{/netabare}  ※約1時間39分

投稿 : 2024/05/04
♥ : 27
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 120

82.0 6 SFで頭脳戦なアニメランキング6位
アルドノア・ゼロ(第2期)(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1688)
9726人が棚に入れました
西暦2016年、アセイラム姫暗殺事件から約1年半後。地球生まれでありながら火星騎士の地位を得たスレインは、専属の部下を従えて、地球軍との戦闘に参加していた。一方、新たな戦地へ赴くべく、修理を終えるデューカリオン。そこに続々と、かつてのクルーたちが戻って来る。

声優・キャラクター
花江夏樹、小野賢章、雨宮天、三澤紗千香、小松未可子、村田太志、加隈亜衣、大原さやか、中井和哉、鳥海浩輔、茅野愛衣、嶋村侑、水瀬いのり、大川透、平川大輔、夏川椎菜、興津和幸、千葉進歩、竹内良太、豊永利行、生天目仁美、三宅健太、木島隆一、逢坂良太
ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

なんだかんだで楽しめました

ヴァース皇帝レイレガリア・ヴァース・レイヴァース役、小川真司さんの冥福をお祈りして。
【最終話まで見て、を追加】

【13話を見て、アルドノア・ゼロ、分割の後期スタート。】
{netabare}分割モノの後期スタートは、「あぁ、あのアニメが帰って来た」と思わせなければならない。
アルドノア・ゼロは極短的に言ってしまうと
超傲慢で超慢心な火星の人が極端な方向に性能特化したカタフラクトに乗って襲撃してきて、それをイナホが超冷静な分析力と超大胆かつ超的確な行動力を以って撃沈する
という話だ。
そこに科学的用語や澤野BGM(時にヴォーカル入り)、あおきえい監督らしい演出をエッセンスとして加えて構成している。
後期1話としてその全てを詰め込んだ、見事な始まりだった。

最初っからの宇宙戦。スレイン操るタルシスの圧倒的戦闘力。
登場する前期主要メンバー達。
火星カタフラクトエリシウムのとんでも能力とその攻略法。そこにBGMとして流れるKeep on Keeping on。
OP無しにして、EDにOP曲を流し、映画よろしく黒背景のセンターに上からのスクロールでスタッフロールを出す前期1話と同じ構成。
そして、前期感想で書いた「なんで屈折を利用した話を書かないの?」の疑問を一気に晴らしてくれた種明かし。
うんうん。
完璧に「あぁ、あのアニメが帰って来た」と思わせてくれた。

ちょっと細かく
・死んでないのかいっ
これは当たり前。殺すわけが無い。どう辻褄を合わせてくるか、が見所。
結果としてはまあまあ。
イナホの片目が義眼化してた。前期でどう繋げるか予想したが、ちゃんと頭を撃ってたのね、スレイン。
玉に瑕は姫様の状態。配信された予告のサブタイトル「眠れる月の少女」で、姫様影武者で本物寝てるのか、とネタバレされるとは。

・地球側も情報を握りだしたのか
新登場機エリシウム。これと対峙したインコが
「エリシウム。搭乗者はヤーコイムで、アルドノアドライブの能力はエントロピーリデューサー・・・」
とつぶやくシーンが入っている。
19ヶ月の戦いの中で、地球側も色々と敵の情報を入手してるのか、と分かる場面。それを活用しているのがイナホだけ、って情けない状況なのは相変わらず。

・屈折、そして、レイリー散乱
前期感想に
レイリー散乱と屈折の話は、その後にちゃんと屈折を利用して敵を倒す云々みたいな伏線にしろよ
と書いたが、ちゃんとここで活かしてくるとは。
あそこでイナホが「違う」と呟く訳だが、周りはレイリー散乱と屈折の間違いとしか取らない。だが、イナホの違うは「アレは彼女とは違う」の違う。
こういう台詞の言い回しは好きだ。確かに「二人だけの秘密」だしね。
はてさて、ちょっとだけ考えてみよう。
あの演説の中にわざわざこの屈折話を盛り込んだ、ということは、姫に化けた新キャラのレムリナもスレインに同じ質問をして、同じく間違った答えを教わった、ということだ。
また、演説終了後にスレインが「堂々としたお言葉。軌道騎士達も感銘を受けたはず」とレムリナに声をかける。
ここから推測されるのは、火星の人から見れば、大量の空気に大量の水という地球にいれば当たり前に享受できるそれが、非常に希少で羨望なものだということ。
地球にいれば、空が青いのは当たり前で、水が青いのも当たり前。だから別に疑問を抱かない。
火星にいれば、その当たり前がない。だから空や水が青く見える現象に疑問を抱く。
無いものを欲する羨望は、何故自分達にそれはないのだという憎悪を生み出す。
争い事ってのは、得てしてそういうものなんかもね。

・レムリナ
新キャラレムリナ姫の登場で、主要3人の関係性に一加わり。
イナホ ←→ アセイラム ← スレイン ← レムリナ
になるんだろう。
ってことは、前期OPの最後に銃を向けていたアセイラム姫。
実は、あれはレムリナ姫で、
「貴方が私の物にならないならっ!」
みたいな感じでスレインに銃口向けてるシーンなのかなぁ、とか、思えてきたよ。{/netabare}

【14話を見て。対比も邂逅もベタだが良い。】
{netabare}運命の2人。
後期2話で描かれるのは、有りがちだが巧い対比と、その邂逅。そして、認識。

義眼となったイナホ。その義眼には情報を収集する能力がある。
その義眼能力を使ってのインコとの会話。イナホの心がアセイラムに向いているのはインコも頭では理解済み。
そして、出て行くインコの様子を見たライエから「あなた、本当はバカなのね」。

タルシス操縦者となったスレイン。出撃のために起動しようとするも動かない。
アルドノアドライブを起動するようにレムリナに頼むスレイン。スレインの心がアセイラムに向いていることにレムリナは嫉妬。身の上話を持ち出し、レムリナから口吻を貰いタルシス起動。
そして、その様子を見ていたハークライトから「感服しました」。

前期OPからイナホとスレインの対比描写はやられているが、こういう対比はベッタベタにやってくれたほうが、見ているコチラは心地良い。


そして、戦闘。宿命の2人の邂逅。互いを認識しあい、名前をつぶやきあう。

こういうライバル関係の描写もベタだが、ベッタベタにやってくれたほうが、見ているコチラは心地良い。


ちょいと細かく
・イナホの能力と義眼
上の感想でもちょいと触れたが、イナホの突出した能力は”超冷静な分析力と超大胆かつ超的確な行動力”だ。
そこに、義眼の超情報収集能力が加わり、スーパーイナホくんへのクラスアップした。
これもイナホの分析力があるから活かせているが、あんな大量の情報を普通の人が受け取ったらかえって大混乱をおこしそう。
だが、物語的には、このままだとイナホが突出しすぎるので、イナホが収集、分析したデータを的確に活用できるサポートメンバーがいりそう。そこで、イナホが来るまで学業トップでカタフラクトの操縦にも秀でるインコの出番になるのかな。

・アルドノアドライブの起動
タルシスのアルドノアドライブが停止し、スレインが出撃出来ない。
で、レムリナを口説き落として口吻を貰い、タルシスの起動をする。
この時にレムリナは「これで1回ね」みたいなことを言っている。
うーん・・・アルドノアドライブの起動条件がイマイチ掴みきれないなぁ。
テレビでいうところの、本体についてる主電源のオンオフを握ってるのが皇帝の血筋。
スレインが持っているのはリモコンについてる電源オンオフ、みたいな感じなのかな?

・風
13話から戦闘シーンで出てくる”風”という表現。
成層圏を越えたところでの戦闘なので、地球上で大気が動く風とは違う。
壊れた月の破片が微弱な重力場となって弾丸に干渉。弾道が乱気流に巻き込まれたように直進しないことから”風”と呼んでるのかな。
これも、大気が大量にある地球側ならではの表現。

・副艦長
モテない理由会話を艦長としてる彼女。
頼むからモテる行動をしないでくれ。
モテる行動した途端に死にそうだ。{/netabare}

【15話を見て、引き続きのベタな描き方。だが、良い】
{netabare}後期は1話から徹底的にベタな描き方をしている。それが巧く良さに繋がっている。
今回ベタに描かれたのはスレインの心情変化。
驚き、戸惑い、迷い、感謝、そして、決意。
アセイラム第一主義なスレインがやろうとしていることは極単純。
意識不明なアセイラムを確実に保護していくために、いかなる手段を使おうとも、自分が権力を握らなければならない。ということ。
だけど、基本的にスレインは良い子ちゃんな甘ちゃんなので、15話でもグラグラしっぱなし。

ザーツバルムの後釜狙ってたとはいえ、すんなりかつ突然に「息子にする」と言われて驚きと戸惑い。ハークライトに「夢に近づきましたね」と言われても「夢なんかない」と言っちゃう。自分の進もうとしている道が”夢”というような明るいものでは無いと分かっているから。

戦闘。
わざと軽ダメージを受けてザーツバルムを前面に出させる。
そこで、もう用無しとばかりに、イナホ対策に張っていた罠をザーツバルムに対して仕掛ける。
ここで取るスレインの行動は、無線を使って「姫に銃を向けた貴方を許すと思ったのか」という告白。これは、本当にザーツバルムを裏切って良いのか、殺して良いのかとグラグラする自分の心を落ち着かせ、迷いを断ち切り、自分を正当化するための行動。悪く言えば言い訳。昔の作品では、ガンダムでもシャアがガルマを裏切る時に「生まれの不幸を呪うがいい」って無線で話してましたな。
そして、「お父さん」。最大級の感謝の言葉。
婚約者を失い、スレインを養子にするってことは、結局、新しい人を無つけることはしなかったんだろう。そんなザーツバルムにとって、この時にかけられた「お父さん」は人生で初めてかけられた言葉だ。お父さん、という響きに感じる少しだけくすぐったいような心の動き。それを受けての「悪くない」。

戦闘後。
赤い爵位服をハークライトより受け取るスレイン。
これまでの丁寧語を捨て、「いくぞ、ハークライト」。
スレイン・トロイヤードを捨て、スレイン・ザーツバルム・トロイヤードとして新しく生きていく決意。
そして、ザーツバルムを暗殺までして選んだ、後戻りの出来ない茨の道を進む決意。


ここまで綺麗にベッタベタに描いてくれると心地良い。心地良すぎる。
罠にかけてからディオスクリアが爆散するまでスレインの眼をフレーム外にやりつづけ、やっと画面に入ってきたスレインの眼は爆散するディオスクリアを見つめながら揺れているって演出。これもベタだが良い。


それ以外で2点ほど難癖を
・イナホの義眼
眼は脳への直結器官、とは言ったもので、イナホの義眼は脳のお休み部分を使って分析レベルの深化をさせることが出来るそうな。
それは良いんだが、自問自答モードの時に
ピューイ、キュイ
とか、変な効果音を入れるの辞めて欲しい。クソ安っぽい。
・戦闘BGM
Keep on Keeping onを多様しすぎ。ここぞ、って場面にのみ使って欲しい。
折角の良曲がダレる。{/netabare}

【16話を見て、スレインの立ち位置確立】
{netabare}イナホのライバル位置としてはちょいと弱いなぁ、と思っていたスレイン。
主人公のライバルとして、その立ち位置を確立した回。

15話での決意を受けて、非常に良い顔になった。
ザーツバルム。自分が罠にはめて殺した父。その人の言葉を元に行動する彼。そんな彼が自嘲的に浮かべた笑み。

総力戦で堕ちなかったトライデント基地をたった一人で強襲。陥落。シャアザクやシナンジュを彷彿とさせるあの動き。

そして、イナホの「仕方ない」。
トライデント基地陥落の報を受けたイナホは、この強襲が弾薬他補給物資搬送のタイミングを狙われたと推測。ただ力任せに来るだけではなく、情報の収集分析の上に襲ってきたのだ、と。
強襲場面の映像を見て、それをしたのがタルシス、スレインだと確認したイナホ。
左目を押さえて、自問自答する。
 この強襲を予想できたのではないか。
 補給物資搬送のタイミングを狙われると推測出来たのではないか。
 いや、今までの火星のやり方から、こちら側の動きや暗号、情報操作を
 分析解読するようなやり方で来るとは思えなかった。
 このトライデント基地強襲を予想出来なくても「仕方がない」じゃないか。
そう。スレインはイナホを出し抜いたのである。

これで、イナホの対スレイン警戒レベルが一段階上がった。
ここからが本当のライバル対決の始まりである。


話変わって。
16話でもベタをやってくれた。
重力発生ボールをグルグル回してストーム野郎と化す火星カタフラクト。
見てる全員が思うはず。
「いや、頭上がガラ空きだろう・・・」
ベタな技にはベタな対処法。
地球人憎しタイプでは無い騎士さんらしく、降り立った時の表情の戸惑い加減もいい感じ。


話変わって2。
トラウマさん。19ヶ月の戦闘でトラウマは解消されたようだ。
ユキ姉が勧められたカルヴァドスを入れた大人なアップルティーをゴクゴクと飲み干すのに対して、トラウマさんはストレートでちょびっと口をつける。
この辺は前期1話で酒飲みながら教官やるトラウマさんと真面目に教官やるユキ姉シーンの対象として楽しい。
そして、最後、トラウマさんはトラウマ解消記念に祝杯。
アルコールに口を付けない話をアルコールを飲む話で終えるのは綺麗な流れ。
だから、もうちょい、トラウマさんがアルコールを飲むシーンは綺麗に書いて欲しかった。コップから口に流れていく液体が雑過ぎる。{/netabare}

【17話を見て、十人十色な「籠から出る」】
{netabare}繰り返しになるが、2期になってから、各話にそれぞれに主題を置いてそれをベタにやる、ってのが綺麗にやられている。
この話でやられたのは「籠から出る」。
「籠の中」は自由を奪われた状態。だが、安全が保障されている。
「籠の外」は自由を謳歌出来る状態。だが、危険に晒されている。
はたして、どちらが良いのか。

イナホ
ユキ姉という籠の中から飛び出す。惚れた女を救うために。
「セラムさん」は、お姫様云々は関係無い。一人の女性としての彼女を助けたいという思い。
「僕をかばって」は言い訳。好きだから、と言えないのは、らしさ。

スレイン
ザーツバルムの籠を破壊して独り立ち。牙を剥かせぬようにトライデント基地を単独攻略するも、地球人、という出自が彼に危険をもたらす。

アセイラム
スレインの籠の中。眠っているのか、眠らされているのか。

レムリナ
スレインの作ったアセイラムの影武者という籠の中。ただの操り人形ではなくヴァースの皇族として生きたいという思いが芽生え始めている。

ライエ
自分は火星人、という出自の籠に囚われっぱなし。
だが、ラストにイナホから「あの時の君とは違う」と言われ、籠のカギは開けられた。飛び出せるかどうかはライエ自身の問題。

マズゥールカ
物理的に囚人。イナホから伝えられた話を確認すべく、イナホのスパイとしての立場を受け入れる代わりに脱走。

マリルシャン
地球人憎し、の籠に囚われっぱなし。先を見れていない感半端ない。
バルークルスのほうは、まだ常識人っぽい。

トラウマさん・マグバレッジ
囚われた過去から脱し、新しい関係構築。


見てての疑問
・後継のスレイン
マリルシャンが難癖つけてきているが、ザーツバルムが死に、スレインが後継となった時に皇帝の信任を受けてないものだろうか?しかも、姫の近衛騎士という重責、それ無しに後継ってだけでなれるもんじゃないだろう。
・皇族の前での行動
アセイラムの前に来たマリルシャンとバルークルス。カタフラクトの格納庫でお出迎えだが、下に降りてこずに、カタフラクトの上に跪く。上から見下ろす形になるけどそれで良いの?
・決闘
次回に説明があるんだろうけど、負けた場合ってどうなるんだろうか。決闘、と言い出した時にバルークルスが異常な驚き方してたけど、負けた場合は死、爵位剥奪ほか、何でも相手の要求を飲む、とかなのか?


決闘、するかなぁ・・・パターンは3つくらいか。

1.レムリナが止める。が、スレインが受ける
スレインはザーツバルムから爵位を受け継いだ時に正式に近衛騎士として任命しているからお門違いも甚だしい。下れ、とマリルシャンを一喝するレムリナ。
このままだとマリルシャンの鬱憤も晴れないだろう。禍根を残さぬためにも、決闘を受けます。但し、これで終わりにしてくれ、とスレイン。
で、決闘。
2.スレインがキレる。レムリナが立会人になる。
マリルシャンの姫の御前での言動にキレるスレイン。マリルシャンと言い合いになるも、ハークライトとバルークルスに止められる。
レムリナが決闘を認め、その立会人となる。
で、決闘。
3.決闘しない
レムリナが、争ってる場合かバカども、と一喝。
スレイン、マリルシャン共々、禍根を残す

レムリナとしては、その正体を知るスレインと同等の立場になっての共同戦線を張るのが一番と理解しているはず。
まぁ、1だろうなぁ。



ダイエット話。ライエの「ダイエットしない」を受けてのインコの「あ゛あ゛~っ」は良い演技でした。やるねぇ、みかこし。{/netabare}

【18話を見て、物語のオチはここかな、と思ってました】
{netabare}前話17話まで見た時点でしてた、スレインがまともだとして、やろうとしてることの想像。
・アセイラムの保全
・最小与ダメにて、地球上の自然がいっぱいなところにヴァース帝国アセイラム領をつくり、なるべく有利な条件で地球側と和平交渉
・アセイラムが目覚めた時には平和になっており、興味津々な自然をアセイラムに渡せられる

このことから、オチを考える。
・政治に対する才能やその姿勢ではアセイラムより上なレムリナが、アセイラムの姿のまま、皇帝の座につく。側にはスレイン。
・アセイラムは傷ついたイナホと共に居たいと願う。山里外れた場所でイナホと身分を隠したアセイラムが隠居生活

うーむ。
ターンAと08小隊を混ぜたような終わり方するのかなぁ。
と、思っていた。


まさか、折り返しとなるであろう18話でここまで一気に話を進めてこようとは。
これで、オチが読みにくくなってきたなぁ・・・


青い薔薇の花言葉。不可能、ではなく、奇跡、のほうに転んだか。

スレインのアセイラムに対する思いは、一女性として、というより、女神に対する崇拝や敬虔に近い感じ。
レムリナが一女性として愛情をドンとぶつけてやれば、コロッと堕ちそうな気がしないでもない。

それに対してインコ・・・
綺麗にフラレちゃったのう・・・
本当に知りたいことは見えないんだ、とか言われたら、手も足も出ないねぇ・・・{/netabare}

【19話を見て、ここまでの積み重ねから、動き出した物語へ】
{netabare}スレインに一つの奇跡が訪れる。
アセイラムの目覚め。
だが、起きた奇跡は彼に様々な代償をもたらす。

レムリナとの関係
アセイラムに扮したレムリナとの婚約、権限委譲。
他に身寄りのないものとしての共感で絆を繋ぐ2人。
だが、レムリナの抱くアセイラムへの感情を危険視したスレインは、アセイラムが危険な状態になったと嘘をつき、アセイラムの身柄を保護する。
嘘は信頼関係を崩すカギ。それが、アセイラム関係、となれば、その大きさは計り知れず。

自身の心持ち
そもそも野心や闘争欲が弱いスレインにとって、その第一だったアセイラムの回復は、逆に心の支えを失ったも同然。
だが、そんな心とは関係なく、自らの手で動かした歯車は止まらずに、自らも動かされていく。その動きに翻弄されないように、全てを知るハークライトと共に戦略を立てていく。
そんなスレインが次に心の支えとするのは、打倒イナホ。
目覚めたアセイラムが鳥の映像を見ながら「あの方」と呼んだ男。奇跡の青いバラをアセイラムに手渡すこと無く、次の行動へと移っていく。

目覚めそのもの
目覚めずにいてくれれば、綺麗な鳥は籠の中に居続けてくれた。だが、目覚めた鳥は籠から出ることを望むかもしれない。


この回のスレインの表情が良い。
本来の自分と、歯車を回してしまった演じている自分。
この間でグラグラ揺れまくり。葛藤から壁にまで当たる始末。
イナホがカッチリしてる分、スレインは色々揺れている時こそ、らしいなぁ、と感じさせる。



複数の揚陸城、複数のカタフラクトによる同時侵攻。
イナホの「動き出したんだ、あいつが」。
16話で「仕方ないか」の言葉とともに、スレインへの警戒レベルを一段上げたことを受けての言葉。


取り敢えずは・・・撤退戦だろうなぁ・・・
マズゥールカのカタフラクトが地球側に接収されているとすると、これをイナホスペシャルに改造。
このくらいせんと、まともにやれば厳しいわなぁ、地球側。{/netabare}

【20話を見て、ハークライトが読めないなぁ】
{netabare}何度も書くが、本来のスレインは野心や闘争欲が弱い。
よって、権謀術数張り巡らせる、というのはあまり得意ではない。まして、人の心を利用して、となると尚更。
本当なら、スレインがやらなければならないことは、自分の後ろ盾であるレムリナを確実に自分のものとし、どんな事実があろうともスレインの為に身を差し出す覚悟、くらいまで彼女をタラシ込むということだ。
だが、アセイラムの目覚めにより、そちらへの傾倒が増している状態。
事実を知らないものの、スレインの心が離れつつあること感じるレムリナの不安はドンドン大きくなっている。
この状況を全て理解し、危惧している人間がいる。
側近、ハークライトだ。
だが、彼がスレインにそのことを諌言している風がない。
なんでだろか。

ハークライトが野心家の場合
揺れるレムリナをスレインから寝とり、マズゥールカ、バルークルスとともに反スレイン連盟結成。
事実を公表し、レムリナを正式にトップに据えて新火星帝国とする。

ハークライトがスレインの忠臣の場合
アセイラムが救命水槽にいないのは彼女が本当に死の間際にあり、スレインの態度が可怪しいのはそのことで動揺しているからだ、とレムリナに嘘をつく。
その上で、スレインに、レムリナの手綱が緩んでるのはマズい、と諌言。

どう転ぶか、読みにくいなぁ、ハークライト。


イナホ、眼、キツそうだな・・・
初めてインコに対して「何が?」と苛ついたような態度。
脳の過剰利用で感情コントロールが怪しくなってる?{/netabare}

【21話を見て、スレイン、どこまで腹をくくってるんだか】
{netabare}レムリナの懐柔に失敗したスレイン。アセイラム、レムリナ姉妹連合に反抗されました。
・・・どうにも腹のくくり方が弱いなぁ、スレイン。
火星騎士がスレインに忠誠を誓うその一端は
アルドノアドライブの起動停止権を握ってるから
で、起動停止能力が無いスレインは絶対にレムリナを墜とさなければならなかった。
が、失敗して身柄の拘束。
今からでも遅くない。スレイン。レムリナに泣きつけ。

スレインの計画告白
アセイラム姫は平和を望んでる。
敵がいるからいけない。
敵をなくせば平和になる。
今はその浄化作業中。この身を汚してでも美しい平和な世界を築いてみせる。
ザーツバルムの言葉を忘れたのか、スレイン。牙を見せれぬほどの力を見せつけて服従させ、その後にアルドノアドライブというアメを与えることで領地の統治をすれば必要最低限の与ダメで平和は築けるだろうに。
まぁ、この場合、結局アルドノアドライブの起動権を持つ人間が上に立つ社会はそのまま残る訳だけど。

火星騎士
同時に攻めろ、だけじゃダメだろ、スレイン。
どうにも火星は戦略家はいても戦術家がいない。通信網破壊とか戦略はたててくる割にねぇ。
連携とった上で、リーダー決めて、進軍撤退の状況判断をちゃんとさせないと。
味方がやられて「なにくそ、敵討だっ!」って、そりゃ負けるわ。

もっともっとスレインがゲスなら計画は順調に行ったのに。
どこまで腹をくくって計画に邁進出来ますやら。
腹のくくり方が弱まっていることをハークライトも感じているだろうに。


イナホとインコ、会話が噛み合わないなぁ・・・
インコが体を気遣って「また眼を使うの?」って聞いてるのに、
イナホは「処理能力上がってるから計算可能」って答えちゃう。
インコ、失意で下を向く。
その様子を見るライエ。
心の中ではイナホに対して「あなた、本当にバカなのね」なんだろうなぁ。

1期OP回収
してない気がする。OP見かえしてないけど、1期OPってアセイラム、涙流してなかったっけか。若しくは涙目か。
もう一度、アセイラムが銃を構える場面がありそうな。{/netabare}

【22話を見て、やっぱオチはここなのかな、とか思いながら】
{netabare}ここまで来ると、もう、流れのままに。

イナホの告白
気を失ったイナホくん。気を失った時の為に、義眼に状況対応機能をつけてたようです。
その状況対応機能くん。シレッとアセイラムに告白しちゃいました。
状況としては
「私が知らないうちに私じゃない私がスレインと婚約してました」
なアセイラムと似てて
「私が知らないうちに私じゃない私がセラムさんに告白してました」
というもの。
まぁ、イナホの場合は、告白したのが自分の脳であり、それも記憶に残ってるんでしょうが。
そして、アセイラムはそれをしっかりと受け止めました。
アセイラムはレムリナに「想い人はいないのか?」と聞かれて「私が思うのはヴァースとその住人」と答えてますが、目線を外して答えてます。嘘、とまでは言いませんが、偽りの答えですね。
このままイナホくん退場とはならないと思うので、2人でささやかな幸せを掴みとってほしいものです。

クランカイン
クルーテオの息子、クランカインが登場。忠義心は父のそのままに、物腰を柔らかにした感じ。また、父の愛機タルシスを他の人間が乗っている現状を快くは思ってはいないようです。「博士の息子はどんな方なんだろうねぇ」と言ってた割にはスレインに対しても好意的ではなさ気。
なんだかんだあって、アセイラムを救出しちゃいました。え、マズゥールカの役割は・・・?
地球側、というか、デューカリオンに逃げようとする姫様に彼はどんな行動をするんでしょうか。
なんといっても、彼の父クルーテオは、地球生まれのスレインのことを「犬が」「下賤が」とやってた張本人。地球側のデューカリオンに行くことを簡単に許すでしょうか?


うーん・・・。話のオチとしては、18話を見て、で書いたようなところで落ち着きそうな気がしてきた。やっぱ。{/netabare}

【23話を見て、肝っ玉姫様】
{netabare}皇帝一族として育てられてるから、いざとなった時の肝は座ってるなぁ、アセイラム。

アセイラム結婚宣言&停戦申し入れ
狙いはなんだろうね。
まずは、台詞のまんま、クランカインことクルーテオ伯爵の人脈。
クランカインがスレインを訪問しに来る時に、スレインとハークライトで
「なんとか取り込めないかなぁ。そうすりゃ親皇帝派を一気に飲み込めるのに」
とか話してたことだし、先代から引き継いだ親皇帝派の人脈は結構なものなんだろう。
これを行うことで、クルーテオ、マズゥールカ中心の親皇帝派はアセイラムに付く。
状況を確固たるものにするためにクルーテオ家との婚姻関係を築く。
また、スレイン旗下を快く思わないバルークルスなどの派閥もアセイラムに流れる。
それに、姫が車椅子から立ち上がったことにより
「地球帰りとはいえ、最近の姫様はいくらなんでも変わりすぎじゃね?」
と疑念を抱いていた火星騎士はスレインに対して不信感を抱くことになる。
これで、火星は 親皇帝派&反スレイン派 vs 何が何でも地球憎悪派 に2分される。
ヘタすれば、スレインの孤立を狙える。
次に戦局の混乱。
一方的とはいえ、地球側も停戦申し入れをガン無視って訳にはいかないだろう。
一時的にでも休戦状態をつくれる。

はてさて、姫様、どうするかなぁ。
台詞が気になるんだよね。
「クランカイン。貴方の地位と人脈の全てを、私に預けて頂きます」
なんで「預けて」なのか。

イナホの気持ちをイナホじゃないイナホから聞き、
変わってしまったと嘆いたスレインの気持ちも「姫様一途で何も変わらない」とエルデリッゾから聞き。
全てが丸く収まる、って訳にはいかんのだろうなぁ・・・


スレイン
このまま行くと、地球攻撃を続けるスレインと、それを阻止したいアセイラム陣営&地球陣営の連合軍という構図になる。
図らずも、共通の敵ができる事により、姫の望む地球と火星の協力関係が出来上がるわけだ。物語としては良くある展開だが、全てが計画通りじゃないところが、スレインらしい。
どう転んだところで、彼は平凡な一少年に過ぎないのだから。

イナホ
最終決戦仕様スレイプニール。
月でのスレインとマリルシャンの決闘を見て、タルシスは同時に多方向から攻められると捌き切れないと判断。
大量のワイヤーロープを装備して、同時展開。一つ引っかかれば、それを使って超接近戦。
みたいな判断なんだろう。
左目使いまくっての戦闘になるだろうから・・・{/netabare}

【最終話まで見て、総括しながら】
{netabare}イナホはユキねぇと。
スレインは孤独で囚われの身に。
アセイラムは和平のために地球訪問。
色々あったけれど、元に、ZEROに戻った話でした。
空を舞う3羽のウミネコ。こんな風に自由にはなれないんですね。


正直、後半は息切れ感あるなぁ、とは思ってた。

姫様関係
OPにも出てこない。1期にもその存在の欠片も示されない。
そんな、クルーテオ伯爵の息子がポッと出てきて姫様掻っ攫っちゃうという、このトンビに油揚げ展開。
そりゃ、姫様が結婚云々言ったら恋愛結婚ってわけにゃいかんだろうが、物語の中くらいはねぇ、こんなリアルに則したような展開にせんでも。姫様と一高校生、一敵軍兵士の恋愛を描いても良いじゃん、と。
王道とかベタとか言われてもいいじゃん。
マズゥールカが姫様助けてデューカリオンと合流。
イナホ、アセイラムと再会し感情爆発。
姫様、火星騎士に停戦呼びかけてスレイン孤立。
スレイン対イナホ。
みたいなガッツリ展開で良いじゃん、と。
で、前期OP思い出すわけですよ。
姫様、2筋の飛行機雲に手を伸ばすんだけど、手が届かず。姫様を貫くように平行にはしる飛行機雲。
あぁ、そうか。既に、ここで明示されてたわ。

人の描かれ方
主要キャラは良い。2期の主人公とも言えるスレインのグダグダ具合も良い。彼の徹し切れなさ、非道になれ無さは今まで散々書いてきたとおり。
が、サブがイマイチ。特に火星。
クランカインとマズゥールカ。キャラの住み分けが微妙。
バルークルス。ラストが?過ぎた。仲間思いなキャラだとは示されていたが、ラストで心中に付き合うような浪花節キャラだったか?



ラストまで100点でした、とか、
カタルシスを感じる、とか、
グッと感動する、とか、
そういうのは無いけど、まぁまぁ楽しめる作品でした。
最終話も、2回目見たら、納得でしたよ。

にしても、例えばアセイラムの最後の台詞
「美しい思い出です」
と共に頬を流す涙一筋、くらいのサービスはあっても良かったんじゃ、とかね。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24
ネタバレ

Etzali さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

「アセイラム姫の為なら、僕はどんな非難も受け入れる覚悟はできています」 byスレイン

(2015.1/15 13話)
遂に2クール目が始まりました!どれだけこの時を待ち望んだか!! {netabare}が、死んだと思っていたキャラがそうではなかったり(現実味に欠けるなぁ^^;)、新キャラのレムリナ姫(レムリナ・ヴァース・エンヴァース)はアセイラムの虚像なのかと勘ぐったり…

また、地球に降りたいという意思さえ感じるレムリナ姫。アセイラムがザーツバルム卿の言いなりにならなかったのを観ると、アセイラムの悲願をレムリナ姫が達成したいという想いがある!?

レムリナ姫が、「また、地球について教えてくださいます?」との問いはアセイラムの肉体と意思が別々にある事を意味していたりして…

ここで、レムリナ姫の名前について思った事を…最初、エンヴァース(en-vers)をアンヴァース(un-vers)と聞き間違えたのでun(アン)とen(エン)ではどう異なるのか調べてみました。
en:特定の状態にする エンヴァースだと、ヴァースのみの状態にする(ヴァース側の視点)
un:除去・解放、ある行為の逆 アンヴァースでは、ヴァースの解放もしくは除去(地球連合あるいは反ヴァース側からの視点)
という見方もできます。

そんな腹違いの姉妹ですが父親の存在がまったく描かれていないのも気になります。もしかして、ザーツバルム卿が…!?



また、ライエが「平和的解決に絶望したのかも…」と言っていましたが絶望したのではなく地球に居ては自身の声はかき消される事を知り、あくまで和平を実現する為ヴァースへと帰還したのかも。

敵のアルドノアの性能も前作と比べてチート過ぎないか?(ダンゴムシ、もとい二ロケラス以来の性能)伊奈帆が居たら弱点の糸口を見つけ出せるにしても、今のメンツじゃあね^^;
そんな状況の中、やっぱり生きてたのね。左目が義眼(一眼レフカメラでも入ってるのかな?www)になっているけど冷静な性格に、さらに拍車を掛けている印象です。(輸血が必要な状態だった。でも、誰の血を輸血したのかが気になりますね。)


まさか、起動因子を分け与えられていたなんて…そんな簡単に起動因子が他者に渡っていいものなのかは疑問に思いますね。

スレイン、「志が決まりました。」と言ったのはアセイラムを、どんな形であろう守る為であり、ザーツバルムに忠誠を誓ったわけではない。

所でスレインが火星で要職に就いたという事はアセイラムは、やはり死んだのか?
だとしたら、戦争に利用され続けた彼女の人生は悲惨そのもの。と思ったら、スレインのアセイラムへの忠義(溺愛)もここまで来ると異常。
未だ知らず知らずの内に、利用され続けているアセイラムの本当の想いはスレインには届かない…{/netabare}


(2015.1/22 14話)
{netabare}冒頭、「私、ここは大好き。だって、自分の足で歩けるんですもの。」と言ったセリフの後に、カタフラクトが多数映し出されたのには、やはりレムリナ姫はアセイラムの虚像である証拠。ヴァース繁栄の為に地球と交戦したがっているのだろうか。
もしくは、ヴァース皇族である自身の血を憎んでいる様子から地球側へと寝返る!?

OPヤバいです!!楽曲もさることながら何と言っても映像が良いですね。
特に、ポーカーフェイスである伊奈帆とアセイラムが向かい合っているシーンでの伊奈帆の表情が新鮮。その後のスレインに対してのアセイラムの涙の切なさ…

あと、レムリナ姫が出てくるシーンで舞い上がる花はクチナシかな?
文字通り、レムリナ姫はアルドノアの起動因子を宿しているから存在理由があるわけで自身からはヴァースへ何か口に出して言える状況ではない。そのクチナシの花言葉は優雅、皇族である(第2皇女)レムリナ姫にとっては皮肉でしかないでしょうね。

クチナシの花、モノ言わぬから優雅ではなくモノすら言えない儚さすら感じる優雅さはレムリナ姫そのもの。
レムリナ姫がアルドノアに起動因子を与える時、「ヴァースの血を引く者の名において…」と言っていましたが、アセイラムは「ヴァース第一皇女の名において…」だったような^^;

また、アセイラムが今までの姿からスレインと出会った頃の姿なったのと伊奈帆とスレインが手を伸ばしあうシーン、アセイラムはアルドノアを動かす起動因子を宿しているだけではなく、その生い立ちに何かしらの関連がある!?

伊奈帆の義眼、彼同様にハイスペック過ぎるだろ^^; 「韻子は分かりやすいな。って」いやいや、伊奈帆が分かりづら過ぎるだけ。
スレインが「アルドノアを持つ者が全てを握る。それこそが、問題の全て。」と言った。

私は1クール目のレビューで「アルドノアの無い世界へ変えていく展開に!?」と書きましたが、正しくは、アルドノアの力で世界を無に帰すという意味になるのでしょうか?

何か、皮肉ですね。伊奈帆がアセイラムによって起動因子を与えられたのに対して、スレインはアセイラムの事を想っているのに自身と似た境遇のレムリナ姫から起動因子を分け与えられるなんて…(1回限りではありますがレムリナ姫、結構強かだな^^;)

また、レムリナ姫が「そんなに、アルドノアが大事?」と言ったのは問題の根幹に気づいている上での発言か!?

相も変わらず、伊奈帆は天才<チートですね^^; スレインvs伊奈帆の戦闘、まるでニュータイプ同士の戦闘かと思いましたよ。

互いに互いを認識した両者ですがこれから、さらなる戦火へと突き進んでいくのか!?{/netabare}


(2015.1/29 15話)
{netabare}OPで涙したスレインの後ろ姿に写ったペンダントは、かつてスレインがアセイラムに無事に地球に降下できるように、とお守りとして渡したもの?だとしたら、それを今は伊奈帆が所持しているのをスレインが知った時が恐いです^^;

艦長と伊奈帆、会話しながらチェスとか器用ですねwww 
いやいや、「使っていない脳細胞にタスクを掛けて」それが脳の力を他の人より引き出せる事だとしたら…ヒトとしての領域を超えているだろ。

起動因子についてですが、それを持つ者の血液を輸血したとしてもアルドノアを起動できるわけではないという事は遺伝子が関係している!?
伊奈帆の遺伝子がヴァースと関わりがあるとするなら、伊奈帆の父親が鍵を握っていそう。また、アセイラムとレムリナの母親は腹違いなので、その点も含めると…

―――妄想―――――――――――――――――――――――――――――

{netabare}伊奈帆とアセイラムが兄妹(伊奈帆の父親とアセイラムの母親との子)でスレインとレムリナが義理の兄妹(スレインの父親とレムリナ姫の母親の子)とか!?
スレインの父親は科学者だった。スレインは、その後ろ盾を失う事で虐げられてきた(そうなる事を悟った上でスレインの父親はレムリナ姫の母親にスレインを養子に迎えるよう頼んだとしたら?)
もしくは、スレインの父親は伊奈帆の父親と同一人物!?(2人は兄弟か双子!?) だとするなら、2人の対峙は運命と言うにはあまりにも酷…{/netabare}

――――――――――――――――――――――――――――――――――


ハァ!?( ゚д゚) 何言ってんの!?ザーツバルム卿!? 
その真意は、スレインが12話(1クール最終話)で持ちかけた「取引」に関係しているからなのか?
もしくは、単に15年前に亡くなった妻・オルレインとの間に子供がいたらスレインぐらいの歳。そう思うと母性ならぬ父性が芽生えたのかも…

ハークライトが「また一歩、夢にお近づきになりましたね」と言ったのに対してスレインは「ぼくに夢なんてありませんよ…」と述べた。
けど、スレインの夢はアセイラムが安心して笑っていられる世界とするならアセイラムの夢は人類みんなが幸せに過ごせる世界(スレイン、伊奈帆たちが笑顔でいられる世界)。その想いのズレが、切なすぎますね。

14話で伊奈帆がスレインに対して「ウミネコにクラスチェンジか。」と言ったのはアセイラムと見た鳥がウミネコだったからなんですね。
また、カームが述べた北欧神話(オーディン)に関して、伊奈帆がオーディンとするならスレインはフェンリルになる。

ええええええええっ!? 思わず、「さよなら、お父さん…」には声を出さずにはいられませんでしたが、OP映像のラスボス感はどこへやら^^;
スレインの演説ですが12話のレビューで述べた、スレイン・トロイヤード皇帝への道が大きく前進しましたね。{/netabare}


(2015.2/5 16話)
{netabare}鞠戸大尉、トラウマを克服できたようで何よりです。伊奈帆たちが今回の戦争で変わったように…
カルヴァトスを飲む貝塚准尉(ユキ姉)とそれを断る鞠戸大尉のシーンが、大尉の成長を物語ってますね。
と思ったら、「無駄に古傷を思い出すんで…あの船にいると。」との言葉から未だ戦い続けている!?

また、ユキ姉は伊奈帆をこれ以上危険な目に合わせたくないと思ってるのだろう。それもそうでしょう、瀕死の重傷を負ってもなお最前線で戦い続ける事を選んだのは不安以外の何ものでもない。
所で何で伊奈帆なのに、ユキ姉は「なおくん」と呼んでいるのか?
まぁ、ユキ姉の事だから伊奈帆を稲穂に置き換えて穂(ほ)を別読みの穂(お)として呼んでいるだけかも^^;


初めてアセイラムとレムリナ姫の父親の名が明かされましたが、2代目皇帝ギルゼリアの犯した過ちが…浮気!?それは置いといてヘブンズ・フォールを引き起こしたのがギルゼリアなのは分かりましたが天災ではなく人災ならば何か事情がありそう…

ザーツバルム卿に、そんな特権{netabare}アセイラムの後見人{/netabare}があったなんて…
それを知った上でザーツバルムに取引を持ちかけていたとしたらスレイン、したたか者です。だがレムリナ姫はそれ以上に強かですね。(アセイラムの全てを乗っ取り、自身が第1皇女になる気か!?となると、アセイラムの暗殺を企てた真の黒幕は義理の妹であるレムリナ姫?)

マズゥールカ卿、軌道騎士にしては清らかな印象。まるで、かつてのスレインのよう…
今のスレインは狡猾さを兼ね備えたライオンとでも言うべきか。

そのマズゥールカ卿が「無意味だ、何故そんな事をする。その行為に何の価値がある!?」と言っていましたが、そっくりそのままヴァースにお返ししますよww
さらに、マズゥールカ卿を利用したマリルシャン卿・バルークルス卿の両人がザーツバルム卿亡きいま、クーデターを起こそうとしている!?(だとしたら6話で予想した事はあながち間違いではないのか?)


スレイン、爵位を得た事と実力も相まってヴァースでも徐々に認められつつあります。が、タルシスの回避運動を担っているハークライトは何か信念がありそう。(スレインの事を自身の野心の為に利用しているとか?)
伊奈帆の発した「仕方ないか…」という言葉の裏に、アナリティカル・エンジンの更なる性能が!?もしくは、アセイラムの事を想って今まで手加減してた?{/netabare}


(2015.2/14 17話)
{netabare}スレイン、爵位は得たものの軌道騎士内部での「地球人」という偏見までは払拭できずにいる。
そんな中、マズゥールカ卿が生け捕りにされている可能性が浮上。それを騎士たちはどうしても「地球人」のせいにして軌道騎士がヴァースを治める為に優位に立とうと画策している様子…
伊奈帆が「アセイラム姫を助けたい」ではなく「セラムさんを助けたい」と言ったのは、地球人としてのセラムに言い換える事で皇女としてではなく一人の人間として助け出してあげたいと言う気持ちの表れからか?

伊奈帆を想う親心なんでしょうけど、ユキ姉が思っている以上に伊奈帆は子どもから大人へと変わりつつあるのかも。
ですが、ユキ姉が伊奈帆を呼び止めようとした時の手の動きが、OPで伊奈帆がアセイラムに手を伸ばしたシーンと似ているのは何だか切ないですね。その想いは届かない…とでも表現しているようで^^;

また、スレインが1クール目で述べていた「アセイラム姫に忠誠を誓っていますか?」との言葉を伊奈帆が軌道騎士に対して問うたのはヴァース軌道騎士にアセイラムへの真の忠誠心を確かめると同時に、隙あらばヴァース内部からアセイラム救出に関する情報を得ようとしている?

それに、ライエは1クール目と違って地球連合とはすっかり馴染めている感じなのは良いですが未だ自己嫌悪(私が生まれてこなければ父はこんな事にはならなかったのにとでも言っているよう…)に陥っているのは父親を愛していたからなのだろう。

スレイン、マリルシャン卿に決闘を申し込まれた訳だがマリルシャン卿に負けるような事があってはせっかく得た爵位も水の泡…

もし万が一負けたとしたら!?
(逃げている内に伊奈帆が乗るデューカリオンに見つかり、そしてアセイラムの情報を聞き出そうと伊奈帆が出撃。そして伊奈帆がスレインとの通信でアセイラムの居場所を聞き出す、その見返りにスレインを追うカタフラクトを共闘で撃破するとか!?)

ヴァース内部でのクーデターが勃発しそう。ですが、このクーデターは協調派をも巻き込み帝政に終焉をもたらす革命となるのかも気になる所。
だとしたら、アセイラムにこれ以上危害が加わらない為に地球連合と共戦する展開になる?{/netabare}


(2015.2/19 18話)
{netabare}スレインが軌道騎士に対して今の自分(騎士)たちの状態を分からせたのは、今後スレインの思想に仇なす者がでてきた時に自分自身を擁護してくれる軌道騎士の存在(ザーツバルム卿の代わり)を得ようとしているのだろう。もしくは、スレインが不利な状況に追い込まれた時に身代わりとしての影武者が欲しいだけか?
また、アセイラムのように利用される者の心情を騎士たちに気づかせる事でアセイラムを37家紋の軌道騎士が認めるようになってくれればヴァースを統治・崩壊しやすくなると考えている?

スレイン、2度目の「僕に夢なんてありませんよ…」発言。それは夢で終わらせるつもりではない強い野心を隠す為。

伊奈帆、アルドノアドライブなんか無くてもアナリティカル・エンジンがあれば十分戦えますね^^;
今回の戦闘ですがハラハラさせられましたね。まさかユキ姉か鞠戸大尉、それか韻子が死ぬのでは…と思ってしまいました。
その、韻子の中では疑念が広がっていくばかり…伊奈帆とライエがヴァースに寝返るのではないか?また、伊奈帆はライエの事が好きなのか?とか

青いバラの花言葉、「奇跡」と「不可能」。遂に、スレインとマリルシャン卿の決闘が始まりましたがタルシスにはさらに隠された性能があると思いたいですね。
「儚い、儚い、儚いなぁぁぁぁ!」人の夢と書いて実現の可能性が難しいと解いた場合、スレイン死ぬ!?
スレインの死と同時に昏睡状態のアセイラムが目覚めるかと思いましたけど、そうなってもアセイラムかレムリナ姫のどちらかが殺されるだけか。

と思いきやスレインとレムリナ姫が{netabare}結婚だと{/netabare}…!?  
でも何かパフォーマンスっぽい気もしますけど^^; そんな折、アセイラムの容体に変化が…
この流れからいくと、アセイラムは伊奈帆とくっつきそう。

ヴァースと地球との戦争がスレイン率いる新たな国の建国により、戦火は激しさを増しそれぞれの思惑も交錯していく事に!?{/netabare}


(2015.2/26 19話)
{netabare}2クール目に入って何かと衝撃的な展開が多いですが、終盤になると主要キャラがバンバン死んでいくような感じも否めませんね。戦争モノだからしょうがない事なのかもしれませんが…

ともあれ、地球から無事にヴァースへと帰還したマズゥールカ卿。伊奈帆の思惑通り、スレインの目的を探れるのか?
そのスレインの目的の過程はザーツバルム卿が成そうとしていた事とそっくりなのにアセイラムを生きたまま利用するか・殺して権力を得るか、で軌道騎士の士気にここまでの影響が出るという事は「皇女」でありアルドノアの起動権を持つから。

だとしたら、レムリナ姫はアセイラムの為にスレインによって利用され最後は殺される!?
「もう、この手に掴めるものが力以外に無いのなら…」やはり、アセイラムの想いを受け継ぎ戦力・権力を持ってヴァースを統治するつもりなのか?

地球連合本部は、デューカリオンを遊撃隊とする事で敗戦した時の責任を全て押し付けようとしている雰囲気がありますね。けど相変わらずの戦力差があるわけで、いくら伊奈帆が居るからと言っても余裕があり過ぎな気もします^^;

スレインが涙を流せなかったのに対して、レムリナ姫が涙した対比の演出がそれぞれの抱える欲と葛藤を表しているようで…切ない
それに、本当の「クチナシ」はレムリナ姫でなくアセイラムになってしまった要因がスレイン自身にある事を自覚しているのか?
もしそうだとしたら、スレインの目的は達せられているんじゃ…

「恐ろしくもある」と述べたスレインの心情は、今のスレインをアセイラムが認めてくれるかどうか不安なんでしょう。拒絶されれば今までスレインがアセイラムの為に行ってきた事は全て無意味になってしまうから。

伊奈帆たちに襲い掛かるカタフラクトが今までの単機ではなく複数で挑んできましたが、この窮地を伊奈帆はどう切り抜けるのか!?{/netabare}


(2015.3/9 20話)
{netabare}火星カタフラクトは機体によってそれぞれ特性がありますが、光学迷彩や雷撃マダワカル(゜д゜)(._.) ゥンゥン。いや、分身とか( ゚д゚)!?
00ライザーもビックリの粒子放出量ですねwww 

所変わって、あの日のスレインの涙の叫びはアセイラムの力になりたいと常日頃から思っていただけに、植物状態の彼女の姿はスレインにとっては信じたくない事実であり、その事実を変える為に力を手に入れるという決意の涙なのかも…

またスレインが権力を得たように伊奈帆もアナリティカル・エンジンという力を手に入れていますが、それも無敵ではなく何かしらのリスクが伴う様子。徐々に記憶を蝕んでいくのか、それとも身体的なものか…
ともあれ、2人は何かを失いながらも守りたいモノがある。
スレインの火星騎士を用いた策略と伊奈帆たちの計略は、どちらが戦争を終わらせるキッカケを作る事が出来るのか!?
もしくは、戦争を終戦へと導くのはやはりアセイラムなのか?
そのアセイラムの記憶が戻った時、スレインはどのような行動にでるのか?
アセイラムの幸せを願う想いは変わらない。という事は、自身を責め続け最後には自ら命を絶つ!?{/netabare}


(2015.3/18 21話)
{netabare}火星騎士は今の今まで自らの慢心に溺れて伊奈帆に敗北してきましたが、ようやく勝利を手に掴む時が!?
それにスレインの大義・目的がハッキリしましたが、そんな事をして得た地球をアセイラムは喜ぶでしょうか?そうではないと彼自身が一番分かっている。
それにアセイラムの為を想って自分の意思で進んできた道が、結果として彼女を悲しませる事になってしまった。

また、地球連合のデューカリオンですが連合本部に良いように利用され戦況が危うくなったらデューカリオンを切り捨て全てをヴァースの責任とするつもりなのでしょうか?
だとしたら、ヴァースとの戦争を地球連合は終わらせる気がないのかと思ってしまうが…

分身が可能なカタフラクト、オルテュギアのコックピットは機体内部ではなく上空などの離れた所にある?そうじゃないと分身が撃破された時に出てくる分身体が動いているのが説明つかないかと^^;

遂に、アセイラムとレムリナ姫が対面!こりゃ、スレインはアセイラムかレムリナ姫のどちらかに撃たれそう…

伊奈帆のアナリティカル・エンジンの凄さは異常ですね!だが、今後ヴァースが更なる連携をとって戦闘を仕掛けてきた時に今回のように勝利する事ができるのか?

ここにきて新キャラのクランカイン・クルーテオ伯爵登場。亡き父クルーテオを殺害したザーツバルムの名をスレインが受け継いでいると知った時、クランカインはアセイラムとレムリナ姫を救いだしスレインを粛清する展開に!?{/netabare}


(2015.3/25 22話)
{netabare}スレイン、利用できるモノは何でも利用するといった感じですが、かつて伊奈帆とスレインが初めて対峙した時に伊奈帆が発した「利用されると困るのか?」という言葉を思い出しましたね。

レムリナ姫、「あなたが、あのまま眠っていれば全ては丸く収まっていた…」それでもスレインの意志は変わらないと思うけどな。
アセイラムが死んだら死んだで、何としてでも地球に報復してやる!とでも言わんばかりの復讐心で爵位を得ていただろうし。

復讐心といえば、父親を殺されたクランカインもといクルーテオ卿もスレインに対して内心穏やかではなさそうだが…
スレイン、地球に帝国を築く事に関して「それがアセイラム姫の望みでしたから」何故に過去形!? 本当にアセイラムの事を慕っているのなら「それがアセイラム姫の望みですから」で良いのでは?
そうでは無い所をみると、スレインもまたアセイラムを利用し自らの目的をアセイラムの目的とする事でスレイン自身の野心(かつてはアセイラムの為を想っての事だったが、いつしか自身の野望へと移り変わっていった)を隠そうとしている?

いやはや、アセイラムは戦争に利用され戦争で死んでいく運命という何ともいたたまれないですね^^;
ところでバルークルス卿、「超電磁ボビンに巻かれた超超電磁ワイヤー」ってコンバトラーですかwww

スレイン、伊奈帆との銃撃戦でカスるのではなく撃たれれば少しは緊張感があったと思います。
しかし、アセイラムが誰を想っているのかがハッキリしましたね。スレイン、泣くなよ…(ノД`)・゜・。

また、1期でアセイラムが「もう軌道騎士の愚行を止める者はいないのですか。」と言いましたがスレインではなかったのですね^^;
スレイン、とことん悪役・ラスボスっぽくなってきてますが最後はどういう結末を迎えるのか?

①スレインが死に、伊奈帆とアセイラムが生き残る
②伊奈帆が死にスレインとアセイラムが生き残る
③伊奈帆・スレイン共に死にアセイラムだけが生き残る
④伊奈帆・スレイン、アセイラム共々死ぬ
⑤上記の3人とも生き残る

個人的にはスレインはクランカインに殺され、伊奈帆はアナリティカル・エンジンの副作用により行動不能となりアセイラムだけが生き残り、ヴァースと地球の和平の実現に向けて新たなヴァースを築く事になるかと思ってます。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

止まらぬ侵攻再び!?

地球人VS火星開拓移民の戦いを描いた物語。
あれから19ヶ月後、再び戦争の足音が近づいて来る…。


1期は気になる所で幕切られましたので待ってましたの続編です。

※13話感想{netabare}
19ヶ月が経ち主人公達のあれからを紹介する2期のスタートとなりました。

まずはスレインですがパイロットとしての能力も上がり出世もし
火星側の主人公として立派な立ち位置を確立。
アルドノアの力はやはりアセイラム姫とのキスで覚醒したようです。
博士や血筋が絡んだりもするのかも?
などと色々と予見も頭を巡っていましたがシンプルな解答でした。
ただ姫の平和への願いを継承していない所を見ると他人への不信感が伺えます。
伊奈帆やザーツバルムに痛い目に遭わされている訳ですし、
もう自分しか信じられないのかも…もしかしたら自分すらも。
根っこの所で「愚かな人類は要らない」と言う気持ちがあるのかも知れません。
彼の言動が後半のシナリオのメインになって行きそうです。

そのスレインにかなりの銃弾を浴びせられたザーツバルムも健在。
これにはかなり驚きましたが悪役ながら好きなキャラでもあったので嬉しい驚きです。
皇家への憎しみが完全に払拭されたのかは分かりませんが
彼の性格上スレインを裏切る事は無さそうです。少なくとも借りを返すまでは。
誇りある彼の言動を今後も期待しています。
またザーツバルムの生存により姫や伊奈帆の無事にも期待できる見せ方になっていて
さりげなく上手い構成だなとも感心してしまいました。

そして1期では紛れもない主人公だった伊奈帆。
ラストの被弾シーンは何度見ても致命傷なので正直無理かなと思っていましたが
彼もアセイラム姫とキス(人工呼吸)を交わしていた為デューカリオンが再起動し
一命を取り留めました。
ただ、助かる可能性があるとしたら火星側の医療技術しかない…と思っていたので
地球の施設に緊急搬送出来たくらいで助かっちゃう(&後遺症もなく戦線復帰)のは
ご都合主義だなと感じてしまいます。
それでも緒戦から相変わらずの閃きと技能を見せ
左目に新たな輝きを宿した伊奈帆の活躍は楽しみではあります。

ラストは人が変わってしまったかの様なアセイラム姫。
開始直後の演説にはやはり違和感があり、替え玉か記憶障害による洗脳かな?
と思っていましたがレムリア登場で替え玉と判明。…って、レムリアって誰!?
姫って一人っ子では無かったのかな?
侍女が付いてるって事は正当な血筋っぽいけど正当なら替え玉の必要はないわけだし…。
この当たりの謎はスレインやザーツバルムのビジョンと重なって
大きな見所になりそうで楽しみです。
平和の鍵を握る眠り姫の目覚めは如何に!?

総じて期待感の高まる再スタートでしたが、
この1話で気になっていた主人公達の安否やキスによるアルドノア継承の手の内等を
早々にほとんど明かしています。
前期からのあれだけ強烈な引きなら、もう少し引っ張り謎深い仕掛けも出来たのでは?
(逆に言えば1期ラストはやりすぎで煽るための演出の意図だったのでは?)
と言う気もして、勿体無さや多少の不安も感じています。
しかし明かした事により更に深いシナリオになっていれば
称賛を越え絶賛に値しますので期待して続きを観たいと思います。
{/netabare}

※14話感想{netabare}
ヴァース皇帝に老いが見え後継者問題がゆっくりと首を擡げつつあるなか
地球と火星の宇宙での激突は必死の状況。
前哨戦となる小競り合いの中、伊奈帆とスレインは互いの存在を確認しあう。

前回謎だったレムリアの出自が判明。腹違い、どうやら妾の子。
自身の存在価値に不安も見えアセイラム姫が目覚めた時、
この嘘の代償が高く付きそうな予感がしてきました。

伊奈帆は機械の左目を獲得しアップグレード!
彼の長所が益々伸び、これなら無双にも説得力が出てきました。
この技術、スカウター形式にして一般兵にも普及できたら互角に戦えそうな気がしますが…。
クラスチェンジしたスレインとの戦いはやはり面白く、この先も期待大。
宇宙での戦闘シーンも迫力ある描き方が出来ています。

そのスレインはザーツバルムと革命の大志を共有し起つようですが
心の一番はやはりアセイラム姫の様な気がして、
これに関してはザーツバルムの方が純粋な感じはします。
二人の行く道が太く広がるのか、何処かでズレるのか、心の動きにも注視しています。
{/netabare}

※15話感想{netabare}
地球側、火星側それぞれの異邦人に差別がありながらの開戦。
ザーツバルムと絆を深めたかに思われたスレインであったが
その融和な表情の奥に隠されていた牙が光る。

前話で「心の動きにも注視」なんて悠長なこと言ってたらいきなりこの展開。
ザーツバルムは好きだったのでもう少し観たかったけど
想像を超える展開の早さで楽しませてくれます。
どうやら狙い通り爵位を継いだスレイン。
【予想】{netabare}更に登りレムリアと婚姻して皇子、行く行くは玉座も狙っているのかも。{/netabare}
「姫の平和への志を継いでいない」と思われましたが
立身出世すれば見えてくる世界もあるのかも知れません。
彼の本心が何処にあるのか探りながら観る必要がありそうです。

タルシスの能力はちょっとした未来予知。(その種は周囲スローモーション化かも知れませんが)
分析の鬼となった伊奈帆との先読みの頭脳戦も非常に楽しみです。
{/netabare}

※16話感想{netabare}
援軍の使命が一段落しデューカリオンは地球へ。
スレインは名実ともに爵位に見合う活躍を見せ、その存在を確固たる物にしつつある。

久々の鞠戸さん。
どうやら不安がありつつもカタフラクトを動かせる状態にはなった様ですね。
1期は活躍しそうでしない微妙な存在でしたが2期での覚醒を楽しみにしています。

微妙と言えば今回のマズゥールカ卿のカタフラクトもあの玉で派手な攻撃するのかと思えば
意外と地味…そしてちょうど上空に伊奈帆がいたのが運の尽きでした…。
(あの玉ランダムに回転させる工夫出来なかったのか!?…とツッコミつつ)
多分、鞠戸さん殺してないと思うので捕虜にしてますね。打開の鍵になるかな?

ユキ姉さんの複雑な気持ちも良く判ります。
…どんなに有名になろうとも地球の鍵となる人物になろうとも可愛い弟ですもんね。
こういうちょっとした描写もちょくちょく丁寧入れて気持ちを積み重ねて、
感情ゲージを貯めて最後の方に繋げていくこの雰囲気、やはり良作になりそうだなと感じます。
{/netabare}

※17話感想{netabare}
伊奈帆は捕虜にしていたマズゥールカ卿を心を理解し真実を告げ協力者とする。
スレインはレムリナの心を理解しきれずマリルシャン卿からの決闘を招くことになる。

伊奈帆の分析眼は人の領域越えてますからね…生けるウソ発見機ぶりがスゴい。(笑)
でも軍規違反の独断が過ぎているので内紛の種になりそう…。

スレインは傀儡としたレムリナの心を軽視してしまいました。
戦闘技能はクラスチェンジしましたがコミュニケーションは不器用のままです。
今回の決闘はとりあえず力でねじ伏せられると思うけど
籠の中の鳥だと気付いてしまった者の羽ばたきは止められないかも…こちらも内紛含みです。
{/netabare}

※18話感想{netabare}
地上では伊奈帆が戦場で、月ではスレインが決闘で非凡な才能を見せ勝利する…。

伊奈帆に関してはいつも通りという感じでしたが、
スレインは技能だけでなく戦術眼にも大分成長が見られ、
いずれ始まるこのハイレベルな二人の対決の時への期待が高まります。

そして、やはりの婚姻。
青い薔薇の『不可能』はアセイラム姫目覚めへの諦め…
諦めて道を唯独りで進む決意をしたように思えます。
でも『不可能』を覆す事こそが『奇跡』と呼ばれるもの。
彼女が目覚めた時、スレインは何処まで行ってしまうのでしょうか。
{/netabare}

※19話感想{netabare}
スレインの進行の手は止まらず。姫が目覚めても…。

一度回り出した重い歯車はスレイン自身でも姫でももう止めようがない様です。
火星騎士達は単独での功名を捨て団結しての地球進行を開始。
複数のカタフラクトの連携で更に激しい戦いとなり、慢心した地球側の苦戦は必至となりそうです。
この状況を知ったアセイラム姫の心情や
目覚めた姫の事を知ったレムリナ姫の存在意義への葛藤、
それら全てを背負ったスレインの胸中も気になるところです。
{/netabare}

※20話感想{netabare}
連携した火星騎士の活躍により戦いの形勢は火星が話に傾く。
そんな中、伊奈帆が解放したマズゥールカという埋伏の劇薬も効果を現す。

埋伏の毒というより回復薬かな…ついに記憶を戻したアセイラム姫。
レムリナ姫の方の心も悲鳴を上げちゃってますし…。

17話感想と被るけどスレインは人の心を軽視しちゃってます。
戦闘技術や戦術眼は伊奈帆に引けを取らないけど
孤軍奮闘しちゃってる分、仲間に囲まれた伊奈帆とはこの辺りが差になってるかな。
本人も覚悟しているだろうけど近々犯した罪への報いがやって来そうです。
{/netabare}

※21話感想{netabare}
伊奈帆達の活躍により連携する火星カタフラクト隊を撃破。
スレインは記憶を戻したアセイラム姫にも臆さず政治・軍事を掌握し続ける。

伊奈帆は流石の奮闘ぶりでしたがあの左目は負担も大きい様子。
どのくらいの負担なのか不明だけど結構重そうで
今後、戦局と自分の命を天秤に掛けながらの戦いになっていきそうです。

スレインは戦争のない統一世界へ向け強行している様子。
皇家を抑えて火星側を統率しまるでクーデターの様な状態。
次回はそこへ皇族派クルーテオ伯の子息が訪問するようなので波乱がありそうです。
{/netabare}

※22話感想{netabare}
ついに月及び近接揚陸城への攻撃が開始され、その陰でアセイラム姫暗殺部隊も動き出す。
その作戦を察知した伊奈帆は姫の救出に向かう…。

何か…地球側の巻き返し具合が凄まじい…もう本営攻撃かなんて思いつつ、
激化する戦闘の中、それぞれの思惑を抱えた者達がそれぞれの思考で動き出しました。
アセイラム姫は助かりそうな気配ですけど、レムリナ姫は何やらヤバそうな雰囲気が…
戦争も大詰めで次回がまた気になります。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 33

86.4 7 SFで頭脳戦なアニメランキング7位
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊-ゴーストインザシェル(アニメ映画)

1995年11月18日
★★★★★ 4.2 (1095)
6494人が棚に入れました
他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」が入国したとの情報を受け、公安9課は捜査を開始するが、人形使い本人の正体はつかむことが出来ない。そんな中、政府御用達である義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが突如稼動し、女性型の義体を一体作りだした。義体はひとりでに動き出して逃走するが、交通事故に遭い公安9課に運び込まれる。調べてみると、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳にはゴーストのようなものが宿っていた。

声優・キャラクター
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、家弓家正
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

造語を説明する気なし!

【あらすじ】
人間の身体を「義体」と呼ばれる機械に置き換えることができるようになり、脳とネットを直接接続できるようになった未来。中枢神経系以外のすべてを義体化した「少佐」と呼ばれる女性が「9課」と呼ばれる警察組織の暗部に身を置いていた。機械と人間、プログラムと意識、システムと思考の境界を問う押井守監督不朽の名作!

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛☆☆☆☆☆ 感動★☆☆☆☆
頭脳★★★★★ 深い★★★★★

【ジャンル】
SF

【こういう人におすすめ】
難しい話を読み解くのが趣味の人。SF好きな人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
83.7点。良作。

【個人的評価】
良作。いろいろ読み解くのに時間がかかるが「ゴースト」という単語はすごい。
『自分のお気に入り』

【他なんか書きたかったこと】
{netabare}  
 昔何度か見たことがあって、「まあわけわかんねえけど面白いなあ」くらいに思ってたんですが「Ghost in the shell」のハリウッド映画が予想外に素晴らしかったんでもう一回観たらめっちゃハマりました(笑) 攻殻機動隊自体にそれほど思い入れはなく、原作未読(たぶん読みにくいヤツだろうと思ってw)、30分アニメ版はなんか私が感じていた魅力だけピンポイントで取っ払って、悪くはないんですが、私にとっては特に魅力を感じないジャンルのアニメになっていたので途中断念しました(割と即断念なので勝手な思い込みかも)。押井作品じゃないアニメ映画版はどことなくアニメ版と同じ匂いがして、まだ手を付けていません。まあそのうちってことで。
 でもゴーストインザシェルとイノセンスだけは好きですねえ。

 作画もストーリーも好きなんですが、曲が最高です!作曲は川井憲次という方。アニメ・映画のサントラをいっぱい作ってる方で、いろんなメディア作品に曲が散らばってるみたいです。もっといっぱいないかなあ。川井憲次特集のアルバムとかないのかな。ちなみに神々の詩(あぱ~ あ な~あが~ ま~あぽ~~みたいな曲)はこの人とは関係ないっぽいです(笑)


 内容は難しいって感じる人が多いと思うんですが、ストーリーの流れとしては実は「難解」ではありません。アニメ内の世界としては自然な流れなのですが、「説明する気がない」だけです。まあ私はそれもアリだと思うんですが。
 つまり、登場人物がアニメとして見られることを意識していないというか、原作者の造語も彼らにとっては日常会話なので、いちいち意味を説明してくれません。「察しろ」っていう原作者の圧力を感じます。逆に言うと世界観が非常によく作りこまれているということで、ただシナリオライターもその世界にどっぷり入っちゃってて用語の解説を忘れてる、みたいな。思考力が表現力を超越しちゃってる、超天才な子供って感じ。
 余計なお世話かもしれませんがストーリーの流れは後で詳しく書こうと思います。



以下、開けば開くだけ長いので、この作品に興味ない人はたぶん開かないほうがいいです(笑) 特に一番下が長いですが、ストーリーちんぷんかんぷんだった人には一助になるかもしれません。
↓この作品の一番の魅力は「ゴースト」という造語!
{netabare}
 既存の言葉で近いのは、意識、記憶、自我、個性、魂、頭脳、IDといったところでしょうか。アニメ内の世界では「人間にあって義体にないもの」というのが本質的な定義だと推測します。
 つまりAという人間の「身体」を次々に「同等の機能を有する機械」に変えていき、隣に「用済みになった身体」を並べていくとして、手を変え、足を変え、心臓を変え皮膚を変え、頭以外のすべてを変えて、次は頭の外殻を変える。この状態が少佐の状態です。この時点では生身の部分として脳が残っています。隣には脳以外のAの身体が血まみれで置いてあります。
 この時に、それを見ていたあなたは「痛いですか?」とどっちに話しかけますか?
 おそらく現代の感覚から言っても、脳のある機械に向けて話しかけるでしょう。
 つまりAのゴーストはこの時点では「脳」にあります。
 では最後に、Aの脳も機械に置き換える。もちろん、Aの脳と同等の機能を有する機械です。そして完全に有機物から無機物に変換されたAが立ち上がり「あー、よく寝た」といかにも人間のように伸びをする。当然です。それは置換される前のAの体、頭、心と全く同等の機能を有しているからです。
 さて、それを見ていたあなたはどうするか。機械の電脳の中に完全にコピーされているAの人格を完全に無視して、バラバラのAの死体に向けて「ああ、死んでしまって可哀そうに」といいますか?目の前の機械が「いやいや、私生きてますよ」といったのに対して「お前はAじゃない!この鉄くず野郎!」というのですか?なんてかわいそうなことを。
 違いますよね。おそらく完全に機械になったAに「大丈夫か?」と声をかけ、機械が「大丈夫」と答えると、完全に納得はできなくても、ひとまず安心するでしょう。おそらく原作者はそれが正しいと思っているし、私も同意します。つまり、脳がなくなったこの時点でも、Aのゴーストは機械の側にあります。隣の「Aの肉体すべてからなる肉塊」は現代で言うところの切った爪や抜けた髪のようなものです。
 完全に機械になったAですが、Aの保険証はAのものとして使えるでしょうし、電脳によって思考するAは生身の時と同じ思考パターンを持ち、記憶を持ち、自分をAだと認識しています。Aが学校の自分のクラスに戻ってくれば、Aの席に座ることを誰も咎めないでしょう。

 このように「ある人間の生身部分をすべて消去しても、そこに同じように残ると考えられるものの総体」が「ゴースト」です。

 で、「これ」にゴーストっていう単語を当てはめたセンスがすごいですよね!
 だって、それってつまり幽霊の概念と同じですから。もしも知り合いの墓参りの時に背後に幽霊が出たら、あなたは怯えつつ墓(の下の遺骨)に向けて話しかけますか、背後に現れた幽霊に向けて話しかけますか?背後の幽霊ですよね。そしてその幽霊は生前の記憶を持ち、自分を自分と自覚し、同じ思考をして、(少なくとも認識できる人間に対しては)同じ権利を持つはずです。つまり幽霊は「ある人間の生身部分をすべて消去しても、そこに同じように残ると考えられるものの総体」なんです。
 まさに「それ」は「ゴースト」という単語に集約されます!すごい!
 っていう一行をやっと言えたわ(笑)

 この映画はこれを言葉にして説明してくれません(笑) ハリウッド版はわりと説明「しよう」としてくれてた気がします。

 で、少佐は「自分のゴースト」を「自分が保持できているか」ということをずっと考えています。彼女には生身の脳が残っていますが、「じゃあ私の脳がなかったとしたら?」とエレベーターでバトーに話しています。つまり私が先ほど出した例の、「生身をすべて消し去ってもゴーストは残る」という点に、確信を持てずにいるのです。
 もし自分の脳も機械であれば、いま私が考えていることもただの回路をめぐる電気信号なのではないか。その場合、私は私であるといえるのか。例えば9課を抜けるのならば、義体はすべて9課に返上しなくてはならない。もし私の脳までも義体なのであれば、私は、9課を抜けるときに私の肉体すべてを9課に返さなくてはならない。……それはつまり、私が9課の所有物であることを意味しないか?そして所有物なのであれば私は私のゴーストを持っていると言えないのでは。すべて機械なら私のオリジナルはとっくに死んでいることになるし、もし今の私の思考がAIなら、オリジナルすら存在しない。つまりそもそも私のゴーストなどないのでは……。
 みたいなことを少佐はずっと堂々巡りのように考えています。

 そして、そこに現れるのが「電子の海から発生した生命体」。
 つまりゴースト「のようなもの」が生身もなく、オリジナルもない単体で存在しているという事実に直面します。
 その後なんやかんやあって少佐は「生身をすべて消し去ってもゴーストは残る」ということに確信を得ます。もしくはその問を超越した存在となって、自我の安定を得ます。そして自分は死んだことにして、9課を去る。
 まあ有体に言うと「なんかどうでもよくなっちゃった♪旅にでも出よう!」みたいな感じになって終わります(おいコラw) {/netabare}
 


↓少佐の生身の脳髄は本当にあったのか
{netabare}  この点が個人的には最大の疑問で、バトーが劇中で「脳髄あるじゃねえか」みたいなこと言ってるにもかかわらずここを疑問に思っているということは、私は少佐の脳が義体であると予想しているわけです。
 それを明言しているシーンはありません。
 ただ、少佐がその可能性について思いを馳せていたというのが第一のポイント。
 第二は2501が少佐を選んだ理由が「私たちは似たもの同士の鏡像である」ということだった点。
 第三に、2501と少佐の融合が実際に成されたという点。
 第四に、首を切断された少佐の意識が消失 → バトーが(頭蓋を持ち帰り?)義体を作成 → 少佐復活♪ という流れ。
 第五に、「さて、どこへいこうかしらね。ネットは広大だわ」というラストの少佐のセリフ。
 第六に、冒頭の少佐(?)組み立てシーン。脳が機械製です。

 第一のポイントは説明いりませんね。つまり可能性の提示があったわけです。

 第二のポイント。2501と少佐が鏡像とはどういうことか。おそらく少佐が実像で、2501が虚像ということでしょう。これはつまりゴーストの有無だとわかります。そして同時に、陰陽や正負などのような「対極」ではなく「鏡像」であるということは、ゴーストの有無以外には違いがないということ。2501の対極というなら、完全な生身の人間で、しかし思考できない、しかしゴーストはあるという「深睡眠中の人間」のような存在が当てはまります。鏡像ということはつまり少佐からゴーストをとった存在が2501であり、逆説的に少佐はゴースト以外の生身を持たないことになる。ここで脳髄だけは生身だという設定が真実なら、2501の例えは「近いが外れている」ことになりちょっちカッコ悪い。

 第三のポイントは技術的に、そして物語の設定的に、「人間の脳とただのプログラムを統合できるのかな?むりじゃね?」と思った、というだけです。少佐の脳が義体なら、ネットのプログラムと融合することは特に問題にならないかなあ、と。

 第四のポイントも技術的な問題。脳髄の生存機能は頭蓋部の義体だけで完結できるんでしょうか。もし脳が義体なら機能停止してもほかの全身義体に接続して再起動すれば戻るかなあ、と。生身の脳だったら脳脊髄液や脳血流による栄養を頭蓋周囲の義体から補っていると思いますが、首チョンパされたらその栄養が供給されなくなって生身の脳が死なないかな?生体は死んだら再起動とかたぶん無理だから……みたいな。脳脊髄液や脳血流のサイクルが頭部で完結していれば機能維持可能と思われますが、ふつうは心臓のポンプ機能や腎臓のろ過機能のように胴体部分を含めてサイクルを形成するもんじゃないかなあと。はいはい深読み乙。まとめると、首チョンパから生き返ったから脳は義体だろ多分、ってこと。

 第五のポイントで少佐はネットへ旅立とうとしていますが、脳が生身だと結局本体が特定位置に存在するんで、「広いネットの海に消える」っていうラストにならないんじゃないかと。つまり凄腕のハッカーがネカフェの一室から世界中に自由にアクセスしていたとしても、隣のヤンキーに絡まれて殴られたら、とっさにアメリカペンタゴンに逃げ込む、とか出来ないわけで……。意味わかりますかね。わかりますか。よかったありがとう。つまり脳が生身だと最後まで”ある限界に制約し続け”られちゃうわけっすよ。少佐の体が完全に義体なら、別の義体にすべての情報(ゴースト)をロードすればいいわけですからラストは「どこにでもいて、どこにもいない」みたいな存在になれますよね。

 第六のポイントは「そういえば!」と思って見返したら発見しました。このシーンが過去シーンなら確定ですが、少佐の見た悪夢っていう解釈もあるから決定打ではないですね。

 以上6点から私は少佐の脳は義体である可能性が高いと考えます。押井守作品以外で少佐の脳が生身である証拠が提示されていたとしても、ゴーストインザシェル・イノセンスに限って言えばそうであると信じます。私が、そのほうがストーリーとして好きなんで。 {/netabare}



↓これだけは取り上げたい名台詞!
{netabare}  これ絶対ピックアップしたかった!
 わたしをある限界に制約し続け……とか少佐がかっこよく決めてるシーンもありますが、このセリフの前ではかすんでみえる!

「で、そっちに現れた人形使いは?どんな感じの奴です?」
「……人形みたいなやつだ」

 これ!
 かっこよすぎ!
 なにその返し!立川談志かお前は!
 何回観てもこのシーンでニヤニヤしちゃいます(笑)
 人形劇をしている人形師が天からの糸でつられていて天井の向こうに大きな人形師の顔が……みたいな。誰かを操っているという行為を誰かに操られていてその誰かがまた……みたいな。うん、何言ってんのかねわたしは。
{/netabare}





ストーリーの流れ(超ざっくり)
{netabare} とりあえずこのアニメの敷居を上げちゃってる、分かりにくい表面上のストーリーの流れを解説します。

第一の事件発生[技術者亡命未遂事件]→即解決
 ↓
神OP ~少佐の作り方~
 ↓
第二の事件発生[大佐黒幕ハッキング事件]→水辺のスタイリッシュ戦闘→「突入しろ」フェードアウト(解決)
 ↓
「奥さんも子供も本当はいないんだよ」
 ↓
少佐、休日に海に潜るの巻
 ↓
中盤BGM ~街でドッペルゲンガーを見て不安に~
 ↓
第三の事件発生[人形勝手に作られちゃった事件]→少佐、人形に興味津々
 ↓
黒幕は6課
 ↓
6課が人形を強奪→追う(同時にいろいろ調べる)→戦車が立ちはだかる→バトーがでかい銃で倒す
 ↓
少佐と2501が会話して融合
 ↓
第三の事件は闇に葬られて終了。少佐は消息不明に。
 ↓
ニュー少佐がネット世界に旅立つ
 ↓
終わり {/netabare}


ストーリーの流れ(まあまあガッツリ)
{netabare} 【冒頭の屋上~神曲OPまで】
{netabare}  第1の事件。技術者亡命事件。
 某国外交官によって技術者が亡命しかける。6課(表の警察)が現場に突入するが、外交官は治外法権と技術者の権利を主張して6課は手が出せない。その現場の窓の外から突然不審者が発砲。外交官を射殺し逃走する。警察として不審者に対応する6課。しかしこの不審者は実は主人公であり、9課(裏の警察)が外交官を暗殺することで事件を闇に葬った。6課は射撃し返しているが、実は心の中では不審者に感謝している。
 第1の事件はここで解決して終了。 {/netabare}

【神曲OP&少佐目覚め】
{netabare}  少佐組み立てシーン。このあとに少佐が目覚めるシーンがあるので、少佐の夢シーンのようにみえるが、おそらく現実の過去のシーン(これは筆者の予想)。 {/netabare}

【ヘリから偉そうな人降りてくる~白髭禿(荒巻、9課のトップ)との会話】
{netabare}  偉そうな人の話を要約すると
「昨日の暗殺マジ助かったわ。それはさておき、今うちの国で預かってるマレス大佐ってやつがいるんだけど、なんかそいつの本国が引き渡せって言ってんだよね。ぶっちゃけ引き渡しちゃっていいんだけど、薄情ものって思われんの嫌だから理由欲しいわ。てか明日その本国と話し合いだわ。まじ萎えるわ」
とのこと。だからどうしたって感じで会話だけで終了。昨日の一件とはまったく別の話。
{/netabare}

【金色短髪のひとの顔にハリ刺さってるシーンらへん】
{netabare}  もう第2の事件発生。事件は待っちゃくれない。
 外務大臣の通訳の脳がハッキングされていたことが判明。偉そうな人がまじ萎えていた会談をぶっ潰すためのハッキングだと予想された。もちろんハッキングした犯人を追うことにする9課。すでに逆探知していて、その場所に向かえとのこと。ハッカーを追跡する車は2台。すでに出発したバトー&石川カーと、これから出発する少佐&トグサカー。 {/netabare}

【少佐&トグサカー車内】
{netabare}  ハッカーの正体はすでに判明していて名前は「人形使い」。
 結構有名人。「あの有名な?」「そうそう。あんなことしたりこんなことしたりした人だよ」的な会話が続く。
 ここで「登場人物にとっては当たり前の理論だが、視聴者はちんぷんかんぷん」というこの映画特有のストーリー・会話展開が発生。略して「当たちん」。
 要約すると
「ハッカーは旧式の脳にハッキングした」
「どうせハッキングするなら新型のほうよかったんじゃね?ハッカーまじアホやん」
「新型はハッキングが難しいから、それにハッキングできるってことは誰かが裏で糸を引いていることになる」
「そうなったらマレス大佐が怪しかったね」
「ってことは、逆にマレス大佐が怪しいかもね」
「いや、その逆の逆かもよ」
「(´_ゝ`)」
みたいな。
 そのあとに襟足の長い運転手(トグサ)についての説明。彼は所轄から引き抜かれた感じで、割と生身で、9課のほかの人と結構ちがう感じで、使ってる銃はマテバでマテバはショボイ。 {/netabare}

【清掃員のシーン~(だいぶ飛んで)~ビルに囲まれた用水路での不可視の戦闘シーン】
{netabare}  ハッキング逆探知位置にいたのは清掃員。本人にハッキングの自覚はなかった様子。
 それに気づいた9課の人たちは清掃会社に問い合わせて清掃車を追う。
 しかし清掃会社が、警察から問い合わせがあったと清掃車に報告、清掃車逃走。
 逃げた先に怪しい男。人形使いか?と思わせる。
 そこから戦闘。市場で見失うが再発見。
 怪しい男は市場を切り抜け、警察を完全にまいたと安心する。
 が、実は透明になった少佐がすぐ近くに!
 戦闘!
 制圧!
 でも忘れないでね。今ハッキング事件の犯人を捜してます。マレス大佐っていう名前だけ出た人が怪しいです。
 少佐とバトーは途中でこの怪しい男も操られているだけだと気づきます。(なぜでしょうか。凄腕ハッカーにしては弱すぎるとかそんな感じかな。もしくはカン)
 ハッキングされるとゴーストが無くなって昔の記憶とか無くなる。 {/netabare}

【白髭禿とヘリ】
{netabare}  白髭禿はマレス大佐の家を見張っている。多分、緑に黄色のラインのポロシャツがマレス大佐。人形使い登場。やっぱりこの二人は繋がっていたのか!
 バトーと白髭の話はさっきの「怪しい男」についての情報。
「あいつの話によると、あいつは凄腕の殺し屋で、マレス大佐に10万ドルで雇われて例の"萎え会談"をぶっ潰そうとしてたらしいです」
「ふーん。まああいつのウソっしょ?」
「もち。ただのチンピラでしたわ。人形使いに操られてた系っすわ。で、おやっさん今マレス大佐の家っすよね?人形使い来ました?」
「来たわ。とりあえずマレスとか人形使いとかこのまま捕まえるわ」
 で、白髭「突入しろ」って言ってます。つまりここで第二の事件終了です。いやホントに。
 詳細がわかりませんがハッキング事件がこの「突入しろ」から次のシーンに行くまでに終了したことは間違いありません。
 おそらくマレス大佐は偉い人の望み通りハッキング依頼容疑でマジサイテーな奴って感じになって本国へ送られました。で、本国でおそらく晒し首になりました。人形使いもたぶん捕まったか、その場で射殺されたかです。とはいえ彼の本体はネットの海の中にあるので、実は逃げました。 {/netabare}

【疑似体験って……どういうことですか、らへん】
{netabare} 洗脳された清掃員に説明するシーン。
「あなたには奥さんも娘さんもいないんだ。すべて植え付けられた記憶なんだよ」
「まじ気分悪いっす。この記憶消せないんですか」
「ちょい無理っぽいです」
「うそーん」
 ここはわかりやすいんでそのままの解釈でいいです。まあここはシナリオライターの「主張」のひとつなんで、ちゃんと説明してくれてます。 {/netabare}

【少佐、休日に海に潜るの巻】
{netabare}  ここも主張シーンですが、一番深いトコの話になってるんで分かりにくいです。
 でもまあストーリーの流れとはあんまり関係ないんで飛ばします。
 ちなみにDVDだとめちゃくちゃ聞き取りにくい誰かわからない囁き声はこう言ってます。まあ誰って人形使いに決まってますが。
 
 「いまわれらかがみもてみるごとくみるところおぼろなり」
{/netabare}

【中盤の神曲シーン】
{netabare}  なんかいつまでも観てられますね。雨って好きだわ。
 人影の中に見える自分に似た人が、少佐の不安を煽る。「私は私だといえるのか」。 {/netabare}

【裸の奴が轢かれる ~ 9課のラボ ~ 9課の会議室】
{netabare}  バトーが宣言してから説明してくれてます。バトーまじいいやつ。
第3の事件発生。ロボット勝手に作られちゃった事件。
「9課御用達の義体製造会社の製造ラインが勝手に動いてロボットを作った。ロボットは逃げたけど車に轢かれて、通報があって、いま9課で調べてるとこ。しかもゴーストっぽいのが入ってるっぽい」
 このゴースト「らしき」っていうのが結構重要なポイントだったりします。これをゴーストとするかどうかがシナリオライターの問いであり、私もまだ答えが出ません。つまり、現代版で言うとSiriが「週休二日で8時間勤務にしてくれ」と言ったらどうするか、みたいなことですがまあその辺は置いといて。
 この事件に対して9課は「ロボットを窃盗するのが目的ではない」と考え、その会社自体を捜査、と同時にその会社と同じくらいのセキュリティのネットを封鎖して次の犯行を防止。少佐は新しいセキュリティを組む。
 そして同時に、少佐はこの「ゴーストっぽいのが入ってる義体」に深く興味を持ち、接続して(ダイブして)中にあるものを確かめたいと思っている。これ以降少佐にとっては9課の任務よりも「この義体にダイブすること」が優先されます。
 あとバトーと白髭の会話も結構深いですがスルーします。 {/netabare}

【外部の2人がやってくる】
{netabare}  6課の中村部長が医者を連れて白髭に面会に来ます。結構いきなりな感じです。
 9課のメンバーも「え、何しに来たん?」みたいな反応。
 トグサが降りた後、少佐とバトーの会話。ここが少佐にとっての核心シーン。会話で言ってることそのままなので、例によってスルーします。
 で、6課のおっさんと白髭対面。手短にいこうって言ってちゃんと実行してます。この6課のおっさんのセリフは全体的に筋が通ってるし、わかりやすくて好き。「あの勝手に作られた義体もらいます。あとは6課がやります。9課はお休みしてどうぞ」って言ってます。 {/netabare}

【トグサが駐車場でなんか調べてるシーン】
{netabare}  出ました!当たちん! 登場人物にとっては当たり前の理論だが、視聴者はちんぷんかんぷんな会話!

 ↓以下トグサの頭の中と行動
(あれ、車2台あるわ。二人で2台……?官僚2人がそれぞれ公用車を自分で運転してくるかな?)
(もしかして、2人以外にもだれか来たかも)
 不審に思い、映像を確認。何も映っていない。
(光学迷彩=透明になる装置かも)
 赤外モードでもう一度見る(おそらく赤外線サーモグラフィのこと。温度で透明な人間を見つけようとしている)
 しかし何も映らない。
(やっぱ違うか……あれ?)
 不審に思い、二人が通り過ぎてから自動ドアが閉まるまでの時間を確認。タイムラグが大きすぎることに気づく。
(やはり誰かほかにいるのでは)
 確信を得るために二台が止まっていた駐車場の感圧計を調べる。
 つまりメーターはその駐車場の枠線内のものの重さ。時間を進めると、最初ちょっと高くて、ゼロになる(前の車が止まってて、いなくなる)で、次に急激に上昇。2000くらいになる。ここから車の重さを差し引くと(下のメーターが総重量で上のメーターが車の重量かな?単位がt.だけどkgっぽい)人間の重量はざっと600kg。くらい。
 義体1+人間1で500kgを超えることはない(らしい。知らんがな)のでやはり車には2人のほかに誰か乗っていたことになる。
 (つまり6課の車でやってきて「光学迷彩」+「熱迷彩」の装備のある人間が9課に無断で内部に侵入している)
 という状況にトグサは気づき、少佐に報告。

 つまりここで第3の事件「ロボット勝手に作られちゃった事件」において、黒幕は6課である可能性が示唆される。 {/netabare}

【白人の腕シャキンシャキーン周辺 ~ 6課の侵入者が「人形使い」をさらう】
{netabare}  このシーン好き。というか6課の課長のセリフが理知的・平易・適切で好き。適切に2501の弁舌に振り回されてる。
9課「これ義体関連の事件なんでこっちの守備範囲だよね」
6課「いや、実はこいつは国際犯罪者の人形使いだから国際犯罪の6課が担当なんです」
白人「そーだ、そーだ」
9課「この義体に閉じ込めて、本体は暗殺した系?」
6課「そうです。いやはや、めでたしめでたし」
人形「嘘だ!」
9課「え、この人形起動してたん!?」
外野「なんか勝手に動いてるっす」
人形「おれ人間なんだ!助けてくれ9課!」
9課「え…?」
6課「お前はただのプログラムだから駄目!」←これ、うっかり口を滑らせている
人形「それ言っちゃったらあんたもプログラムっしょ。だいたいね……うんぬんかんぬん」
6課「いや、意味不明だし!お前犯罪者だし!」
人形「でもこの国死刑ないっしょ?おれ基本死なねえし」
9課「え、死なないってことは人形使いはAIだったの?」←混乱してたが理解し始める
人形「AIじゃねえし。故郷がネットってだけだし。生きてるし。あと名前は2501だし」
6課「(……マジこいつ殺すしかねえ)」

 で、侵入者(実は6課の人間)が発砲。2501を奪い逃走。発砲は人狙いじゃなくて、記録を壊そうとしたっぽいです。 {/netabare}

【待機していたトグサ、マテバの弱さをさらす ~ 昔のアニメにありがちな指令室で白髭禿が指示を出す】
{netabare}  侵入者(実は6課)が建物の壁を壊して外に出ると、事前の打ち合わせ通り逃走用の車が来る。
 そこに待ち構えていたトグサ登場!マテバを無駄撃ちする。
 逃げられてしまうかと思いきや、トグサが手配していたトラックが道を塞ぎ(あとでお礼言ってます)、その隙にナンバープレートに一発、発信器を打ち込んで褒められる(あとで2発やれって怒られてます)。
 6課の人が「いやあ、困ったことになりましたなあ。ちゃんと中身入りで捕まえてね」みたいな感じで侵入者とは関係ないですよアピールをしてから去っていきます。どうでもいいけど結局こいつら2台で帰ったのかな。運転手は?まあいいけど。

 ここで9課は第3の事件について大きな軌道修正を行う必要が生まれます。
1、侵入者を捕えて、6課とのつながりを証明する → バトー&トグサの担当
2、プロジェクト2501とかいろいろを調べる → 白髭禿の担当
3、2501を取り戻す → 少佐の担当(というより少佐は個人的な執着でこれを優先)
4、なぜ2501は9課を頼ったのか → 各自考える
5、なぜ6課は強引に2501を奪ったのか → 各自考える
 白髭禿は人形使いを破壊することを視野に入れているが、少佐は嫌がっている。
{/netabare}

【6課とトンネル ~ プロジェクト2501真相判明】
{netabare}  白人は2501のゴーストを認めているっぽい。てかまあ、彼が親みたいなもんだから。で、運転手どっからきた。車もう一台どうした。

[プロジェクト2501]
 外務省が技術者を集めたプロジェクトで、目的は犯罪用のAIの作成。そのAIはネット界から各国に潜入し、外務省に有利になるような様々な工作をするスパイとして作られた。白人がプロジェクトの主任。第一の事件で6課が追っていた亡命希望の技術者もこのプロジェクトの参加者。外務省と、国際問題に対応する6課は同一の利害関係で動いている。
 このプロジェクトが9課の知るところとなり外部に露見すると、当然外務省は各国から糾弾される。つまり「あの国の外務省マジないわー」みたいな感じになる。それを避けるために6課は事件を隠蔽しようとして、2501を強奪した。

 全部ジェバンニがやってくれました。あ、間違えた。イシカワがやってくれました。ずっと名前出てたイシカワはここで初登場。そしてそれ以降登場無し(笑) 次回作に期待してください。
{/netabare}

【バトー再登場 ~ あんなゴツイお姫様にエスコートいらんわ】
{netabare}  バトーが「逃走車が白いセダンと接触して2501を乗せ換えた、かも」と報告。つまり追う対象が2つ。
 当然少佐が2501のほう、トグバトーが逃走車を追うことに。
 逃走車確保。道を封鎖して動きを止め、侵入者2匹のうち1匹は即射殺。もう一匹がビビったところで確保。
 バトーは侵入者をトグサに任せてすぐさま愛しの少佐のほうへ向かう。 {/netabare}

【少佐 VS 四本足の戦車】
{netabare}  少佐は白いセダンを補足。教会っぽいところの真ん中に止まっている。
 少佐が近づくが、光学迷彩の何かを発見。それは4本足の戦車(物語世界の中では戦車といえばこれらしい)と思われたので、上空に待機している味方のヘリに天窓のガラスを割るように指示。降ってきたガラスによって戦車の光学迷彩解除、発砲も停止(そういうもんなんです。ガラス降ってきたらそらそうなりますわな ←テキトー)。
 「一人で戦車とやりあう気か?」はヘリパイロットではなくバトーのセリフ。
 それに対して少佐は「増援が来てから2501を確保してもダイブを許可してもらえない。私が一人で2501を取り返して本部に届ける前にダイブするしか、ダイブする方法はない」と、自分の行動に理由付けをしています。
 どんだけダイブしたいんだよって感じですが、それが今の彼女の生きる理由みたいなものなので。
 M23とUnitBじゃあ戦車には勝てない。でもたぶんマテバよりは上。この辺の用語の細かい説明など当然のように皆無。

 この戦車は間違いなく6課の指示で動いているんですが、なぜ2501を破壊しないで守ってるんですかね。
 最終的には頭打ち抜いて終わりなんで、この戦車でやっとけばよかったのに。まあできれば「回収」したかったんだろう。……戦車で守ってそのあとどう回収するんだ。ガシャコンガシャコン6課の課長の家まで持って帰るのか…?まあいいや。

 まあ戦闘。
 少佐が頭の上に乗ってフタ開けようとしたり(たぶんそれで装甲に隙間ができて、内部を破壊したら戦車が止まる)、戦車が光学的にも熱力学的にも感知できない少佐を心音で特定(ただし一定時間ロックオンしてないと無理みたい)してますが、この辺の説明もなし。1流のアニメ視聴者なら察せ!イエッサー!
 でも弾切れじゃなかったじゃん少佐!あと戦車は頭の上撃てるようにしとけ(笑)

 最終的には少佐は敗北しますが、すんでのところでバトーがオリジナルの超すごい銃を持ってきて戦車を破壊。なぜかこの銃の説明はある。
{/netabare}

【それ以降】
{netabare}  6課の増援のヘリが狙う中、少佐は2501にダイブ。
 少佐と2501が融合。
 ヘリが二人の頭を吹っ飛ばすが、少佐のほうは弾丸がバトーの手に当たって軌道が逸れ、頚部に当たって首が飛んでいく(スローで分かる)。
 少佐の薄れゆく意識の中、バトーが叫ぶ。
 おそらくこの後、バトーは少佐の頭を秘密裏に持ち帰り、闇ルートで入手した義体となんやかんやして少佐復活。
 「おれんとこ来ないか」というバトーに対して、少佐は「ちょい旅に出るわ」とつれない返事。
 俺たちの戦いはこれからだ!
 で終わる。
 ごめん最後(も)テキトーになった。 {/netabare}
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

久々の入隊!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2回目でした。85分くらいの近未来SF。
 原作の漫画やこの映画のアニメコミックは読む機会もあるのですが、映像作品として見たのは久々でした。テレビシリーズは未視聴です。

 この作品を傑作たらしめているのは、卓越した近未来の世界観の設定と、躍動的なアクションに加え、「人間と機械の二元論」を基礎とした普遍性にあると思います。イロモノではなく正統派のSFですね。
 被創造物を用意することで人間について考えるというのは、鉄腕アトムの頃から培われてきた、ある意味では古典的なテーマです。ただ、この作品では、「情報」や「ネット」というキーワードを使って、普遍的なテーマの現代化に成功しています。この作品で語られている内容は、今なお色あせていません。

 で、この作品をどうやって読んでいこうかと考えたときに、その大半は脚本によることになります。象徴物は、強いものが少数あるといった感じで、そこまで苦労することはないでしょう。
 困ってしまうのはむしろ脚本の方。非常に抽象的で、かつ宗教的な要素も入っていて、やや難解です。加えて、ちょっとテンポが速くて、十分な考察時間が与えられてないようにも思えます。とはいえ、このテンポの良さが会話の日常感を演出していたり、作品全体の緊迫感を醸していたりするのも事実なので、一概に悪いとも言い切れませんけどね。脚本自体は非常に良いものです。

 以下では、脚本をベースにして映画の内容について考察してみます。かなりのネタバレがありますので、先入観を嫌う未視聴の方はご注意ください。


機械と人間:{netabare}
 まずは、根幹を成す機械から人間への展開の仕方を見てみます。作品の基礎的な部分ですので、セオリー通りオープニングで語られています。亡命者の会話をバトーと素子が盗聴しているところです。
 ①?「バグのないプログラムは存在しないが、デバッグの不可能なプログラムもまた存在しない。違うか?」
 ②亡「そもそもあれは本当にバグなのか?本来プロジェクト2501に必要だったのは…」
 ③バ「お前の脳、ノイズが多いな」
 ④素「生理中なの」

 たったこれだけの会話ですが、非常に重厚な脚本になっています。
 ①では機械の話しかされていません。一方、②では機械を否定しています。ただ、機械でないものが何かという言及はされません。③では、「ノイズ」という機械表現が、「脳」という生物表現に乗せられ、生物側にズレ始めます。④で初めて生物のみの表現になります。
 機械から人間へ、とてもスムーズに展開しています。また、それぞれの要件も提示されています。機械はプログラムであり、人間には生理がある、ということです。卓越したセリフ回しだと思います。

 この要件付けは主題に直接関係します。少し先走りますが、人形使いは、自我らしきものを持ちました。しかし、重要なものが欠けているのです。彼の言葉を借ります。
 「私は自分を生命体だと言ったが、現状ではそれは不完全なものに過ぎない。」
 「なぜなら、私のシステムには、子孫を残して死を得るという基本プロセスが存在しないからだ。」
 彼は、システムでありながらも、生命体を自認しています。つまり、③までが充足されているのです。ですが、④の要素が欠落していました。彼は、(象徴としての)生理を欲していたのです。
{/netabare}

人間とゴースト:{netabare}
 人間がゴーストを持つものだということは、清掃車を追う車内で、トグサと素子により語られます。トグサにハッカーの黒幕の根拠を問われた、素子の返答から。
 ①素「根拠ですって?そう囁くのよ、私のゴーストが」
 ②素「ところでまだリボルバーを使ってるんだって?―略―」
 ③ト「俺はマテバが好きなの」
 ④素「援護される身としちゃ、好みより実効制圧力を問題にしたいわ」

 ①のセリフばかりが取り上げられますが、「ゴースト」があるだけでは人間の証明にはなりません。それが人間のものなのか、機械の模擬的なものなのか、分かりませんからね。ここで重要なのは、その先の会話との関連です。

 ①で素子は、「ゴースト」という非論理性にその根拠を頼っています。しかし、トグサが同様に「好き」という非論理性に根拠を求めると、「実効」という論理性をもって否定するのです。
 この会話が表しているのは、人間が内包している論理の矛盾です。「ゴースト」に加え、「論理矛盾」というプログラムで構築し得ないものを抱えているのが人間なのです。

 なお、論理矛盾はスキューバのシーンに展開します。このシーンは語るべきところが多いですが、最も重要なのは、海面に写る素子の二面性(人間と機械)と、それを突き破るというエンディングを示唆した描写です。
 論理矛盾は、その直後に出てくる「不安、孤独、闇、それから希望」という素子のセリフです。一つの事柄でも、相反する二つの方向性を見てしまうのが人間なのです。
 素子の表情、特に目は、とても機械っぽく見えるのですが、「生理」やここで挙げた二つの論理矛盾は、いずれも素子の口から出ています。人間の部分も強調されていましたね。

 ちなみに、素子が「生理」を言い訳にするのも変ですよね。素子は脳と脊髄以外は義体ですから「生理」はないはずです。本人も遺伝子を残せないと言っていましたし、嘘をついたのでしょう。偽証も人間特有なんて言われたりします。男を黙らせるための必殺の文句、といったところでしょうか。
{/netabare}

記憶と情報:{netabare}
 ちょっとシーンを遡って、清掃員の尋問シーンのあとのバトーのセリフ。
 ①バ「疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、そして幻なんだ」
 ②バ「どっちにせよ、ひとりの人間が一生のうちに触れる情報なんてわずかなもんさ」

 これはバトーの意見、というか一般人の代弁だと思います。素子はちょっと違います。スキューバから。
 ③素「自分が自分であるためには、驚くほど多くのものが必要なのよ。―情報の例示―」
 ④素「私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり、それら全てが私の一部であり、
    私という意識そのものを生み出し、そして同時に、私をある限界に制約し続ける」

 素子はバトーと異なり、個人を特定するためには、「わずかな」情報(記憶)ではなく「膨大な」情報が必要なんだと言っています。また、電脳がアクセスしたものは自己形成を助けるけど、アクセスという条件がついてしまうため限界があるんだと言っています。
 この辺も人形使いの会話に直結するのですが、その話に移る前に、この作品で重要な意味を持つ「コリントの信徒への手紙」を見ておきましょう。
{/netabare}

コリントの信徒への手紙と生命の樹:{netabare}
 この手紙は、スキューバのラストにある「今我ら鏡もて~」と、エンディングにある「童子のときは~」に引用されているやつです。新約聖書の内容になるのですが、私はキリスト教徒でも何でもないので、うまく説明できません。というわけで、手元にある訳本を頼りに該当箇所を超絶意訳します。キリスト教徒の方には反感を買いそうですが、どうか大目に見て下さい。★の部分が作品内での引用箇所です。

 「愛は大事だよ。愛は滅びないよ。知識は廃れるよ。私たちが持っている知識は一部(不完全)だよ」
 「不完全なものは、完全なものが出てくると廃れるよ。」
★「幼子のときは幼子レベルだよ。大人になると、そのときのことは忘れちゃうよ。」
★「今、私たちは鏡にぼんやり写ったものを見ているよ。いずれははっきり見えるよ。」
 「今、一部しか知らなくても、いずれははっきり知ることができるよ。」
 「信仰と希望と愛はいつでも変わず存在するよ。一番大事なのは愛だよ。」

 愛や信仰に関する部分は、この作品ではあまり出てこないので、とりあえず脇に外しておきます。知識のところを見てみると、不完全な状態と完全な状態があることが分かります。

 一部の情報が全てだと思っているバトーは幼子で、より多くの情報を得ようとしている素子は大人になりたい幼子、完全に近い情報を持っている人形使いが大人です。
 なぜ人形使いが素子を選んだのかというと、彼が(象徴としての)生理を欲していたことに加え、素子が大人(完全なもの)を目指していたからです。これが両者のシンパシーです。

 戦車との戦闘シーンでは、背景に生命の樹が出てきます。生命の樹に実るのは「知恵の実」で、それを食べると神に等しき存在になれるとされています。素子は、人形使いと融合し、膨大な情報(知識・知恵)を獲得しました。大人(完全なもの)になったのです。だから、融合に際して、天に神のようなもの(完全なもの)を見たのです。

 この辺りに関する人形使いのセリフを一応記載しておきます。
 ①素「私が私でいられる保証は?」
 ②人「その保証はない。人は絶えず変化するものだし、君が今の君自身であろうとする執着は、君を制約し続ける」

 「変化」は幼子が大人になること、「執着」は幼子が幼子であろうとすること(バトー)ですね。「わずかな機能に隷属していたが、制約を捨て、さらなる上部構にシフトするときだ」も同様の内容です。

 ちなみに、この作品には愛や信仰は出てきませんが、「希望」という単語はスキューバで出てきますよね。大人(完全なもの)になった素子が、子供の義体に収まっているのは、再度大人に成りうるという「希望」のような気がします。素子は完全なものになった、と書きましたが、正しくは真の完全なものに近づいた、というべきなのでしょう。
 子供(不完全)→大人(完全ぽいもの)→神(真に完全なもの)という段階付けがあるわけですから、大人になってもその先にはさらなる「変化」が待っているのです。
 別にいずれ神になる、と言いたいわけではないですよ。それは神への挑戦でしょうから。より大人になる、まだ成長できる、くらいのニュアンスです。
{/netabare}

改めてテーマについて:{netabare}
 この作品のレビューをいくつか拝見しましたが、やや「ゴースト」という単語に引っ張られ過ぎている方が多いように見受けられます。「ゴースト」は確かに重要なキーワードではあるのですが、あくまでも人間を構成する要素の一つに過ぎません。人間を構成しているのは、「ゴースト」だけでなく、(象徴としての)「生理」と「情報」も必要なのです。このうち、最も重要なのは「情報」です。

 「記憶」が改ざんされ、「ゴースト」が「義体」に宿り、「義体」のメンテナンスを信用に頼っている、というのがこの作品の世界です。「記憶」や「ゴースト」を持つことが人間であることの証明にはならず、バトーが言うように「疑い出せばキリがない」という状況なのです。
 こんな中で、「私は人間なのか」「この自我は本物か」ということを証明をするためには、どれほど多くの疑わしきことが出てきても、全てに追跡調査可能なほどの圧倒的な情報を獲得するしかないのです。

 素子は、「ゴースト」と(象徴としての)「生理」を有していましたが、「情報」に不足していました。自分を証明するための「情報」に不足していたから、悩んでいたのです。
 人形使いは、「ゴースト」と「情報」を有していましたが、「生理」を持ち得ませんでした。
 この両者が融合し、「新たなゴースト」と「生理」と「情報」を持った「何か」が誕生しました。この作品が言わんとしていることは、圧倒的な「情報」量がもたらす「自我の確定」と「人間の進化」なのです。
 全ての人間が人間であることを証明できない中で、人間であることを証明できてしまう「何か」が、果たして人間と言えるのかどうか、というのは分かりませんけどね。神に近づいたものですから。皮肉なものです。

 ていうか、素子はどうなっちゃうんですかね?エンディングのあとは、義体を捨ててネットの中に潜むんだと思うのですが、それってどんな存在なのでしょうか。ネットの中にある自我というのは、環境、みたいなもの??
{/netabare}

遺伝子と模倣子:{netabare}
 図らずもエンディングまで到達してしまって、これ以上何書くの?って状況なんですけど、補足を少々。
 補足したいのは、「希望」を誘引する「生理」についてです。

 気付いた方のいらっしゃるかもしれませんが、私がこのレビューで生理と言うときに、「生理」と(象徴としての)「生理」と使い分けてきました。前者は女性の肉体的な事象を述べたもので、後者は自分の情報を残す機能のような意味合いで使っていました。素子は「生理」はないけど、(象徴としての)「生理」はある、ということです。作品内での遺伝子と模倣子の関係に似ています。

 ①素「融合したとして、私が死ぬときは?遺伝子はもちろん、模倣子としても残れないのよ。」
 ②人「融合後の新しい君は、ことあるごとに私の変種をネットに流すだろう」
 ③人「人間が遺伝子を残すように。そして私も死を得る」

 模倣子というのは、ミームのことです。血族的なつながりに基づく遺伝情報の伝搬ではなく、脳から脳へとつながる文化情報の伝播です。
 例えば、私がレビューを書きます。誰かがそれを読みます。そして、私の解釈にその方の解釈を載せ、新たなレビューを書きます。新たなレビューは、私のレビューよりも進化したものです。このときの私のレビューが模倣子であり、新たなレビューが進化した模倣子です。この総体が文化であり、文化も進化する、ということです。

 なぜ素子が模倣子になれないと言ったのかは分かりません。誰しもが模倣子に成りうる気がします。発信者の自覚がないからかもしれません。ただ、人形使いは自覚の有無を問わず、「変種をネットに流す」ことができるのだと言っています。これは、「子を情報として拡散する」という、遺伝子でも模倣子でもない、それを融合させたような第三の伝播機能を表現しているように思えます。
 機械の男と人間の女から産まれた子供、そんな第三の存在がもたらす新たな伝播機能。それこそが、新たな「希望」なのかもしれません。
{/netabare}

どうでもいいこと:{netabare}
 私は、この作品を漫画版でごくごくたまに読むのですが、読むたびに、漫画版ナウシカを手に取ってしまうんです。漫画版ナウシカには、こんな一連のセリフがあります。
 「私たちの身体が人工で作り変えられていたとしても、私達の生命は私達のものだ。生命は生命の力で生きている」
 「生きることは変わることだ。王蟲も粘菌も草木も人間も変わっていくだろう。腐海も共に生きるだろう」
 「だがお前は変われない。組みこまれた予定があるだけだ。死を否定しているから……」

 人形使いが、なぜ生命体を自認したのか、なぜ変わることの必要性を素子に説いたのか、なぜ死を欲したのか。彼が抱えるストーリーは、ここに集約されるように思えます。
{/netabare}

 投稿前に読み返してみましたけど、冒頭で挙げた「肉体と魂の二元論」について、あまり触れてませんでしたね。この作品の基礎ではあるけど、主題はその先にあるので追記はしませんけどね。それにめんどくさ…じゃなくて、模倣子だから、これ。

対象年齢等:
 高校生くらいから楽しめるでしょう。どこまで理解できるかは一概には言えませんけどね。宗教が絡んでくるし、いつまで経っても「よく分からん」てなところもありますし。難しく考えずにとりあえず見ておきましょう、という必見レベルの作品です。
 「天使のたまご」もレビューを書いていますけど、押井作品にはキリスト教が必須?なんですかね?この2作品しか見てないから断定はできないですけど。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

windnaut さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

2週目メモ帳片手にタイム連打 映画館で理解できるような作品じゃない

「人形使い」を追う群像劇

すべてのセリフ(本当にすべてのセリフ)を記憶する必要がありその記憶が次のセリフの理解につながる、知識の積み重ねと達成感を味わえる作品。実をいうと攻殻はおしゃべりがうまい女性の方が男性より向いてる作品かもしれない。

あまりにもシビアな作品で薦めづらいがこれも私の中で5本指に入る神アニメ

以下シーンごとの記録と感想、ネタバレの塊:

起承転結、起の章(秘密会談参加者ゴーストハック事件)
{netabare}
シーン1:とあるビルで
{netabare}
{netabare}
内容(つかみ):亡国外交を建前に国の重要プログラマーを拉致するところを公安六課が制圧、外交官は免罪できる手形を持ってたので。プログラマー流出防止のため「公安九課」(草薙素子=少佐)が武力介入、外交官はその場で射殺。六課と九課の立場を少しながらあらわにした。そしてOPへ。
{/netabare}
感想:
ワクワク
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{/netabare}
シーン2:エレベーターの中
{netabare}
{netabare}
内容:六課の偉い人と九課のボス荒巻の会話。日本はつい最近政権交代があった「アベル共和国」の政府に援助金を続けるか断つかの立場にいるが。日本側はアベル共和国の新リーダーは先がないと判断。新政権は金も自力で手に入れたわけでもなく、援助金は歴史上日本が圧力をかけてたことの贖罪だと認識されてるので感謝もされないので日本の立場としては援助を切りたい。だがもう一つの問題はアベル共和国の元軍事部門のボス「マレス大佐」が日本に亡国してる件。そこでアベル共和国と日本は「秘密会談」を主催し、日本側の交渉目的としてはマレスを渡すことを条件に援助を切るか、マレスを渡さず援助を続けるか(絶対に選びたくない)の2択を迫ることだが。実際のところ日本はマレスを国外追放して援助も切りたい。だが世論的には正当な理由もなく表向きにマレスを追放できないところ。偉い人がエレベータを降りる際の一言‘亡国の件ありがとう 表向きの人(六課)は手を汚せないからね’
{/netabare}
感想:
ここ1分のシーンでさりげなく出てくるマレスというキーパーソンとアベル共和国。記憶が正しければ映画で登場するわけではないが。物語を理解する上で絶対に知っておかないといけないキーワード、事件の黒幕は目的を果たすためいろいろな事件を繰り出してくるが、自分がやってるとバレないためマレスの名を使い、一連の事件はマレスを中心に動いてるように公安に見せる。ちなみにここで六課は公安の表部隊、九課は裏部隊と説明された。
{netabare}
ね、メモ帳ないと無理でしょ。「マレス」と「アベル共和国」と「秘密会談」に気づかなかった人はこの時点でもう後の事件がなぜ起こってるのかわからなくなちゃうの。その人たちはここから起きる一連の事件に一貫性を見だせなく。公安九課が日常的になんとなーく起きてる事件解決してるように見えてしまうのがこの作品の怖い所。
{/netabare}
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
{/netabare}
シーン3:観察室
{netabare}
{netabare}
内容:公安は世界を跨いで活躍する悪名高いハッカー「人形使い」がすでにネット端末の隅々に介入していて秘密会談の妨害工作を仕掛けてくると疑い、参加者全員に網を張っていた。その頃、読み通り会談に参加するはずの通訳官が電話回線を通じて「ゴーストハック」されてしまった。使用されたウィルスは旧式のHA-3。バトーと石川が逆探知を通じて発信源を追ってるとのこと。少佐は合流命令を受けつつベッドに横たわる金髪で上品な成り立ちの通訳官、そしてモニターに映る彼女の脳スキャンを振り返って見ていた。
{/netabare}
感想:映像作品は小説などの活字と違って文字に頼らない表現ができるのって本当に素晴らしいなと思ったシーン。「ゴーストハック」って作中には説明されてないんだけど、モニターに映る脳スキャン、通訳官の頭に刺さった電極、取り出された脳殻。なんとなく「他人の脳にハックする」ことだとわかるし。ここの通訳官の容貌を覚えていたら次のシーンで強い違和感を覚えることになるだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
{/netabare}
シーン4:装甲車の中で
{netabare}
{netabare}
内容:少佐とトグサと装甲車での会話。人形使いは一度に複数のゴーストハックをすることからそのコードネームが付いたらしい。この事件に対して少佐の意見は人形使いが旧式ウィルスでハックした訳はマレスがスポンサーで疑いを避けたいから、だがマレスは人形遣いに利用されている一人にすぎない。それにトグサは「根拠もないんだし考えすぎじゃない?」と返答。少佐「そう囁くのよ、私のゴーストが」。そして少佐はトグサが愛用してるリボルバー拳銃「マテバ」に不満の意思、チームを組んでるから火力制圧がいいザツタバにしてほしいと。そしてほぼサイボーグ化されてない所帯持ちで本庁出身のトグサを九課に編入した理由に「組織も人も特殊化の果てにあるのは緩やかな死、それだけ」と挙げた
{/netabare}
感想:トグサ―!攻殻シリーズで大好きなキャラクター。鋭い観察力と電光石火のひらめきの持ち主でやさしい。マテバは殺傷能力ひくいから人を殺さず捕まえる警察時代の名残かな?このシーンは攻殻シリーズの名セリフがいっぱい出てきて大好き。
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{/netabare}
シーン5:ゴミ回収場
{netabare}
{netabare}
内容:ゴミ収集員の男が公衆電話を通して通訳官にゴーストハック。男は妻と離婚して娘に浮気を疑われているらしい。男はバーで出会ったプログラマーに離婚の話をしたら「障壁破り」を手に入れて他人のゴースト(脳)に侵入することが可能になった。それにポイントを変えながら侵入すればバレないことも教わっており。石川とバトーが逆探知で現場到着したのも男たちがゴミ収集を終え去っていった後のこと。途中すれ違っておりバトーがごみ捨ておじさんから男が公衆電話を利用してたことを知り、すぐさま清掃車を追うことに。
{/netabare}
感想:バトーすげぇ!なぜ気づくし、普通ドライブしてて清掃車なんて気にしないでしょ。ここで「シーン3:観察室」の伏線を回収してるんだけど。一つは公衆電話でもう一つはゴミ収集者と通訳官。この組み合わせはどう考えても釣り合わない。強烈な違和感に襲われた私でした。ゴーストハックで記憶を変えられてるんじゃない?―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
{/netabare}
シーン6:再び装甲車で
{netabare}
{netabare}
内容:少佐が収集員が実行犯だと知り清掃局のネットにアクセスしゴミ収集車のルートをゲット。バトーに次のポイントへ、石川に男の自宅へ先回りするようオーダー。一方男は同僚に自分の家庭の写真を見せようとしたが同僚から「他人の家族写真見る趣味はない」と拒否されてしまう。その頃清掃局から電話が入り自分が追われてることを知りポイントを一つ飛ばしてプログラマーに会うことに決定。少佐もそれを確認し次のポイントへ向かう。バトーは予定してたゴミ収集ポイントから疾風のごとく現場へ駆け向かうのであった。
{/netabare}
感想:クールに見えて実はドジっ子な少佐に吹いた(笑)バトーは「だからもぐれっつってんだ」で完全に夫気取り、和む。一方少佐はクールでそれを無視しオーダー出し続けて華麗に躱していったけど、こういうやり取りがあるとキャラが生きるなって思った。男の家庭写真でやっぱり本当に通訳官の家族か疑う自分。
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{/netabare}
シーン7:某公衆電話の前で
{netabare}
{netabare}
内容:電話ボックスの前にはグラサンかけたプログラマーが防壁破りを設置していた。
公安の存在を察知した彼は懐に隠したサブマシンガンを取り出し直ちに発砲、清掃車はタイヤの爆音とともに転倒、尾行していた装甲車もそれを追うように共倒れに。そしてグラサンは弾倉取り換え装甲車めがけてオート連射で固め打ち。装甲車は風穴開けられ満身創痍。まもなくして爆炎があたりの壁を真っ赤に照らした。そこにバトーが到着。とっさに脱出した少佐は引き続きバトーとともにグラサンを追跡。トグサは収集員2名を逮捕。
{/netabare}
感想:このグラサンがMatrixのMr. Smithの原型なんじゃないかと思う。少佐が上から回り込む前にちゃんと指令を出してたりと細かいところが圧倒的に多いから展開がスムーズなのが素晴らしい。会話が少なくて息抜きができる貴重なシーン。バトルシーンは休憩タイム。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
{/netabare}
シーン8:バトルシーン
{netabare}
{netabare}
内容:バトーはモニター一面の壁に浮かび上がる人影に向かって発砲。グラサンは正面対決を避け裏道に逃げ込む。裏道を抜けた後人山人海の中に微か響く衝突の音、淡く光る人影。バトーは声を上げ光学迷彩を着用するグラサンを川に追い込む。そこへ屋上で待ち伏せしていた少佐が揺れる小舟をサブマシンガンで狙い撃ち。水花四濺と共にグラサンが姿を現した。グラサンは少佐に向かって掃射のお返し。ひるんでる隙に、対岸の塞城に逃げ込んだ。水でぬれた光学迷彩はもう使い物にならないと判断。無口のままそれを脱ぎ捨て無機質の塞城を抜けるとグラサンは撒いたとしめて安堵の笑みを浮かべる。そして同じく光学迷彩を使用される少佐にぼこぼこにされるのであった。地面に接吻を強いられたグラサンは「吐くことはない」とプライドの咆哮。それにバトーは「自分の名前も知らねぇ野郎が、偉そうなことぬかすな!馬鹿!」と一喝。赤い血が流れる人形は哀れである。
{/netabare}
感想:市場のシーン作りこみすごい、バトーとグラサンだけでなく民間人の表情動きも描きこまれて滑らか。途中ミカンが降ってきたり、箱が崩れたり、鶏が跳んだり。逃げる人々、薙ぎ倒された人々。驚愕の声、恐怖の神色、こわばった顔、苦しみの表情。人中を駆ける疾走感。そして時間差で演出に深みを出すターレ。それらすべてが25秒に圧縮されていて。セル画書き込みの濃さから昔見た「マクロスプラス」のゴースト戦を思い出す。そして最後、バトーの言葉からグラサンは加害者でありゴーストハックをうけた哀れな被害者でもあることがわかる。

グラサンの声優さんには100点あげたい。少佐に関節外されたり顔面ワンツーパンチからの回し蹴りのコンボを食らって倒れるときの発音は日本のものではなく中国のもので。起き上がりはなまりを感じさせない程度の日本語。後で調べてみたんだけど松山鷹志さんってすごい数のアニメに出ていて驚いた。
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{/netabare}
シーン9:
{/netabare}
起承転結、承の章
起承転結、転の章
起承転結、結の章

工事中 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

78.3 8 SFで頭脳戦なアニメランキング8位
攻殻機動隊S.A.C. Solid State Society[ソリッドステートソサイエティ](OVA)

2006年9月1日
★★★★★ 4.2 (890)
5467人が棚に入れました
「個別の11人事件」後、草薙素子が公安9課を去って2年経った2034年。草薙が失踪したことにより組織の変革を余儀なくされた9課は、課員を大幅に増やし、捜査活動やその方針にも変化が見られる。そんな中、シアク共和国残党の特殊工作員によるテロ計画が判明。実質的リーダーとなったトグサ率いる9課は捜査を開始。ところが当の工作員達が次々と謎の自殺を遂げる。新浜国際空港では、9課の目の前で1人の工作員が「傀儡廻が来る!」と謎の言葉を残して自殺する。\\n一方、単独でテロ事件の捜査を行っていたバトーは草薙と再会する。草薙はバトーに「Solid State には近づくな」と謎の警告をする。捜査が進むにつれ、バトーは草薙が「傀儡廻」ではないかと疑い出す。
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ラストが不完全燃焼感。残りはGOOD!

2期の続きです。
約105分のOVA。

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス]」
http://www.anikore.jp/anime/475/

「攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG」
http://www.anikore.jp/anime/588/

「攻殻機動隊S.A.C. Solid State Society[ソリッドステートソサイエティ]」
http://www.anikore.jp/anime/1635/

1期レビュー → http://www.anikore.jp/review/646727/
2期レビュー → http://www.anikore.jp/review/667295/


2期からさらに2年が経過した2034年。
公安9課は、連続自殺、麻薬などの事件をひも解いていく。
その途中で現れる「傀儡廻(くぐつまわし)」というキーワード。
傀儡廻の正体にせまりつつ、少子高齢化や社会保障問題といったテーマにつながっていく。


ハラハラドキドキさせつつ、余韻が残るストーリーでした。
さすが攻殻機動隊。

実は最初に見たとき、すべて見る時間がありませんでした。
そこで、きりがいいところまでのぞき見しようと思ったんです。
それがそもそもの間違い。
53分まで止まりませんでした。
おかげで約束の時間に思いっきり遅れました。

……私が悪いですね、はい。


止まらない面白さ。
構成がうまく、アクションシーンも上質で、見ごたえが十分でした。
1期や2期と比べると、動き重視かもしれません。
{netabare}
突入のシーンはかっこよかったですね!
スーツ vs. タチコマ、心理戦も取り入れた良質なアクションでした。
{/netabare}


ただ、終わり方が少し強引だったかなと。
特別なことは何もしていないし、根本的な解決もできていません。
勝手に話が終わった印象があります。
{netabare}
傀儡廻の正体は推理できます。
素子(もとこ)が絡んだ集団的無意識の集合体なのでしょう。
個々の無意識が一つになることで、まるで意識を持っているかのように動くと。
しかし、決定的な証拠がありません。
そして、それがどうして最初の自殺の引き金になるのか。
すっきりしない点があります。
{/netabare}
また、自殺や麻薬といった話から、少子高齢化や社会保障というテーマにかわっています。
途中で論点をすりかえている気がするんですよね。
私の理解力がないだけかもしれませんが、一度見ただけでは疑問が残りました。
もう少し争点をはっきりさせて欲しかったです。


最後にひとこと。
作中にこんなセリフがあります。

「10の力で1つの事件を解決する組織」から「8の力で3つの事件を解決する組織」へ。

私もこの考え方には大賛成でした。
私は効率を求める合理主義者なんだなと実感しました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 42

hamasan さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ただの刑事アニメと化した作品

攻殻機動隊TVシリーズの三期目。

二期のときからその傾向はあったのだが、TVシリーズの攻殻機動隊はシーズンを重ねるにつれてテーマがサイバーパンクから現代社会へと近づいていき、今作ではついに高齢化を題材にした「貴腐老人」を中心に据えてしまった。
たしかに攻殻機動隊の難点である分かりづらさはどんどん解消されてはいるものの、多くのファンの観たい作品は「20年後の日本社会」ではなく「電脳化の進んだ近未来」なのであって、2030年代という時代設定に手を加えてみようというのはナンセンスにも程があると思う。

テーマがそういった風だから公安9課もまたやっていることはサイボーグが怪事件を追うだけのロボコップであり、アクションシーンもまたシリーズ最弱の雑魚兵士を蹴散らすだけの見ごたえのないシーンが続く。
作品としてのアイディアにもかなり乏しく、ラストシーンに象徴されるように、いまさら劇場版との差異を意識したような対比イメージに執心していて、すべてがシリーズのどこかで観たことのあるものばかり。

観始めたころはロボットみたいだと思っていたキャラクターもあまりに掘り下げてしまったせいかかなり腑抜けた性格になってしまっている。とくに草薙素子がその典型で、カッコ良かった頃の少佐はどこへ行ったのか、人形遣いと出会わなかった世界だとしてもこんなに薄弱な行動原理で失踪したり登場したりするとは思わなかった。(そもそも人形遣い出会っていないのだから失踪する理由がないのだ。久世は少佐と邂逅したといっても、わざわざ殺されたのだから)

TVシリーズでSFとして優れていたのは結局笑い男だけで、たとえこれ以上神山版を継続しても攻殻機動隊として得るものはもうなにも残っていない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2

Tuna560 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「願わくば、成長した彼らが将来、個のポテンシャルを上げて、我々が出せなかった答えを、見つけ出してくれることを祈るばかりだ。」 by トグサ

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の第3弾。
前作の『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』から2年後、トグサが組織を率い、メンバーも大幅に増員された新生公安9課による超ウィザード級ハッカー『傀儡廻(くぐつまわし)』の追跡を描く短編作品。

「個別の11人事件」後、草薙素子が公安9課を去って2年経った2034年。草薙が失踪したことにより組織の変革を余儀なくされた9課は、課員を大幅に増やし、トグサをリーダーに任命し、新体制の元で犯罪の抑止にあたっていた。バトーはこれになじまず、新入隊員の訓練教官を務める傍らで「個人的推論に則った捜査」として単独行動を取っていた。
そんな中、梵字の刺青を入れた男たちが相次いで不審な自殺を遂げる事件が発生。彼らはシアク共和国のカ・ルマ元将軍に忠誠を誓い、マイクロマシンによるテロを画策していた工作員であることが判明。それについてカ・ルマの嫡子であるカ・ゲル大佐が取り調べに応じたが、突如として国外逃亡を図り、人質を取って新浜国際空港に立てこもる。トグサ率いる9課はカ・ゲルを追い詰めるも、彼は突然「傀儡廻(くぐつまわし)が来る!」と叫び、トグサの目の前で拳銃自殺してしまう。この一部始終を、失踪したはずの草薙が離れた場所から監視していた。
立てこもり事件から数日後、単独で捜査を行っていたバトーは草薙と再会する。草薙はバトーに「Solid State には近づくな」と謎の警告をする。捜査が進むにつれ、バトーは草薙が「傀儡廻」ではないかと疑い出す。

2時間の短編といえ、全シリーズでも最も濃い内容だと思います。素子、バトー、トグサをメインに据え、3つの視点から一つの事件を描いています。心残りとしては、1クールアニメとして観たかったという所か。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

72.4 9 SFで頭脳戦なアニメランキング9位
モーレツ宇宙海賊[パイレーツ](TVアニメ動画)

2012年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (952)
4589人が棚に入れました
どこかの宇宙・海明星(うみのあけほし)に住む高校一年生の加藤茉莉香。茉莉香はある日、故人である父親が実はつい最近まで生きており、宇宙海賊船・弁天丸の船長であったことを知る。
弁天丸が海賊として活動を続けるのに必要な、私掠船免状の継承のためには直系の跡継である茉莉香が船長になるのが条件と告げられ、元・父親の船である弁天丸、そしてそのクルーとともに、女子高生兼宇宙海賊船船長としての生活を送ることになる。痛快スペースオペラ、華麗に登場!
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

さぁ!オッサンホイホイの時間だ!!

個人的に1話でドツボにキた。
ハーロックネタw爆笑。まさか21世紀に聞けるとは。
中身は70、80年代から散々読んで、観てきたもの。
始祖たるヤマト、銀英のパロ、ナデシコ、タイラーで大輪となった,おちゃらけたスペースオペラの風格。
肌が合う合わないでいったら15年ぶりに幼馴染にであったような・・・。いちいち涙が出てくる演出。
エヴァとかの大月Pまでいるwナデシコメンバーなんですね。納得です。
オカエリナサト

キャラ原案が変態絵師、あきまん
お布施はよくしてる。
∀ガンダム以前、カプコンの頃から愛してる。ストゼロくらいが好きだったな。
ユーストでエロいマミさんだか描いてBANくらったとか。
昔たまに書いてたデリヘルの感想がおもしろかった。


今年はコイツだけやっぱりひとつ抜けてるかな・・
売れはしないだろうけど・・
オンナのコが主人公ってだけで恋愛、ハーレム的なものを感じない。おっさんだって登場するし。きょうびのテンプレアニメと違うけど、90sはこれがテンプレw
まさに黄金期のアニメ、世代にはたまらないよね・・。

ZEROのあとにあのアバン、ナレーション、シュールだなぁ・・・。

ゼーガの音響さんらしく花澤チアキちゃんががなぜかかわいいのも見所。
ざーさんがこんなにかわいいわけがない。


くだらない感想{netabare}
途中からちょっと雰囲気が変わってくるのですが、
あえて原作を追い抜いたとか。
やるからには作者と協議の上だろうけど。

それ以降、海賊→オタクっていう暗喩な気がしてきたよ。
ネット社会でなまじ光の速さを超えてしまった(超えてないけど)我々への提言なのか。オトナになって離散してしまったオタクたちのことなのか・・。
それについてのメッセージだとするのであれば・・。

どこぞで読んだらストロングスタイル?プロレスだぁ?ww
オタクにはかわらないな。あたらずしも遠からず・・・
茉莉香がレスラーの娘で、後ついで、親父がガチもやってみないかと?wくだらねえww
UFCバリならいいけどガチでも空気読む試合はイヤよ・・。
てことは映画は関係なくて、2期はガチとエンタメどっちがいいか、ファンが決めてくれってことだね?
ガチにしたら個性がかけるな。
見世物だけど、たまに頭に血がのぼっちゃってガチっぽくなるのががプロレスの真髄。あと技の美しさ。
どこぞのアメプロくさく、親父とのくだらない抗争劇とかでもいいよ。


作品概要
最初は部活の話、で海賊になって仕事をする話、部活と海賊を合わせた話、ガチンコの宇宙海賊としてマジでやりあうラスト。

実際には3種の構成なのか。
原作未読ですが、海賊なるまでにものすごーーくかかると聞いております。
さすがにそれはイカンので、2クールとはいえなかなかのハイペースで進みます。正確には一気に時間が飛ぶんです。

必然的に主人公の成長物語はほぼシカト。第一話から海賊になって仕事して、そこまでは比較的丁寧には描いてありますが、理解できません。
形式的にやってみました感が・・。

結局茉莉香が海賊になる資格を持っていて、英才教育、エリート娘。天性の宇宙海賊なだけじゃんかと。それに納得するかどうかってだけ。まぁそれでいいんですこんな話。

むしろ隙間がたくさんあるのでOVAででも補完話がたくさんでたらたのしいな。


この作品のすげえなってとこ

キャラクター
とにかくこれ。あきまんがたぶんヤバイんだと思う。もっといえばキャスティング。
大量に登場するヨット部員だが、クラスの(この場合部活だが)書き分けできてるのは名作とはよくいったもの。
ビジュアル、ちょっとしたしぐさで誰がどんなやつか分かる。逆にメインを食わないように添え物程度にしてあるのでほっといても問題ない。
その程度の扱いなのだが無駄に豪華なキャスト。
声優さんや外見の特徴のみでできるだけ表現。
そのサジ加減が秀逸。

SF考証も同じく、セリフを少なく、作画からどれだけの情報を視聴者にわからせるかといことに徹底してる。



オッサンじゃないとわからない舞台演出
みんないってることですが、古今SFのパロオマージュなどなどで構成。
本家作品でツッコミ入れられてたようなことに対してさりげなく修正、フォローをするというか・・
これならあの演出が成立するよねという。
電子戦は独特ですが、宇宙船モノではってめずらしいだけ。
レーダーのエフェクト、対艦戦のインターフェイスとか心当たりはいっぱいあるでしょう。ナデシコパロもあるのがニヤリ・・。そこいらがわからないと説明がほとんどないので会話の意味が不明になるかと。
物語はあまり関係ないのですが・・。この作品独自の楽しさがわかりません。

そんなこんなでここまでオタク、オヤジ知識を必要とする作品・・・よく出せたなと。。
{/netabare}













以下リアルタイムな覚書
{netabare}

3話まで、
ひたすら舞台説明、こちらも宇宙旅行を強制させるチュートリアル。海賊になる前にしっかり勉強しろてね。
どうやら日本語が常用なのか?習字してるし、船のあのシステム・・。
練習艦のデザインもOPにでるお約束の弁天丸ブリッジとは違い、トップなどのSFオタで言われてきた円卓、証券取引所タイプ。
お約束程度にお色気をいれてるが健康的なだけでエロも萌えもない。女子高生をガキあつかい。オトナとしてまったくもって正論。
船外でロープつけないのも絡まってあぶないからだろうな・・。ガスガン的なものがあるんでしょう。
セイリングじゃない、一般の通常エンジンなら半日で太陽回って往復できるってのもさりげない。あの世界は巡航でもすさまじい速度ってことですね。
プラネテス以来の本格宇宙SFだった。
リアリティと世界観にこだわってそのままおちゃらけだけどハードスペースオペラなのか・・基礎は知ってるんだぞと示しといて独自設定とかでぶっ壊すのか・・・楽しみ。

4話
もうこれこのまま部活作品でいいんじゃねえの。十分作品が成立してる。本格的に弁天丸に乗っちゃったら、おしまいな気がしてきた・・。みんなで乗り込むのか?二束のわらじか。
そんなことより小見川千明さんが恋しいのだが、またでるよね?・・・。電子戦とか地味だなぁwwこれは売れねえww楽しすぎるんだけどw

5話
エピソード1的な一区切り。
丁寧に説明を重ねてきた世界設定がついに明らかになる。
これ、かなり見せ方もお話もすごくうまいと思う。
あそこまで電子戦を見せといて、視聴者も登場人物もそんな航行システムっておかしくね?って思ったらコンピューターが無くても手動で操艦できるにきまってるじゃんって。ですよね。そもそもオデット2世は元々スタンドアローンのシステムだったわけだし。ちゃんと前フリしてる。
そして部長の通信が伝説の台詞『バカめ』wwwおまえがなw
あの攻撃方法とかあの作品のあれやしな。SF愛してるんですね。
視聴者の疑問に一気に回答をだし作品のノリも示してくれた。風呂敷たたむのがすごく綺麗。
ついでに宇宙空間で制服なのにパンツは絶対に見せないという製作の勇気!!。
普通なら着座の際に慣性の法則に逆らえないでスカートがめくれるはずなんだが・・・。仕掛けがあるんでしょう・・。

6話
やはり学園モノのほうがいいなぁ・・。まだまだ部活アニメのがよかった。海賊になったらエンディグでwざーさんが転校してしまったのが残念。たまに海賊って感じを期待。
そんなことより当OPを披露したはじめてみたももクロが斜め上のユニットすぎて衝撃的だった。。。

~10話
完全に銀英バリのスペースオペラになってきたYO。
作戦も銀英じゃねーかYO。
ポーズのかっこよさとか余分な台詞のなさとかすげえぞこの作品。
たまらんわぁ・・俺らはオタクであってヲタクではないというのを再認識させてくれる。
セレニティってアレか、セラムンからか。
戸松っちゃんヘタクソだなぁww。
ざーさんも好きじゃないけど、チアキちゃんいいな・・なんか似合ってるしかわいいわ。
マミとの絡みもなかなかでしたが、ノリノリで営業やってるのがなんともかわいらしい。

14話
こんなこともあろうかと・・なチアキチャン。
某作品でいう声優さんのギャラとか下世話なこと考えるとこ絶対やると思ったがなんか出すのが早いw〆にするべきネタじゃない?
日笠部長、レズらしいのにマジかっけえよ。
じつはこれがラストエピソードってことはないよね?かなりの長編にすんのかな・・。もうすこしタメがほしかった激アツいネタっすね・・。

~16
弁天丸にヨット部を乗せることでついでにSF考証というか説明もしてくれちゃう、普段のクルーがどれくらいすごい奴らなのか・・ってな。
うまいな・・
~17話
ブッ!!っていう衝撃のガチレズ展開。ドン引きするレベルのキスがすげごいっす。完全に入ってる音にわざとしているのは、ノリノリのアドリブか、いやがらせかw
ピンチになったらとにかくワープってもういつからだ・・古典的なお約束で燃えますね。

19
開幕から座右の銘が全否定されました。
なんか台詞の雰囲気もかわったな・・。


24
ド王道なクライマックス、ハーロックにツッコミをいれるセリフ。ガンダムだと演出見て察しろというだなw。かっこいいからは真理。
途中から感じていたがやはり海賊=おたく、オタクのような気がする。


海賊会議・・・あれですねヨーホーヨーホーのパクリっすね。
ハーロックの船外操縦→ホログラム、サイボーグ化で実現。
意味はない、かっこいいからだって・・wわかってるね。


クオリティは一定しないが絵の動かし方は要所要所でうまい。作画→本来アニメでは絵をうごかすこと。
セリフの使い方、テンポはすばらしい。説明的になりがちだが最小限。画面よく観とけってことかな。
アニメというよりは完全にガチなSF、


売り上げがまぁまぁすごいとの結果が・・世の中捨てたモンじゃねえな。


OPについて
モヒカンになったドラえもんが弾いているようなイントロからはじまり、どう考えてもロマサガイトケン節、ドラクエ風(というかクラシック)のごとく拍子が代わり、しょっちゅう変調、サビは90s王道のアニソンメロディー。泣き?っていうの?変にオサレぶらずにそのまま上がり続けて限界まで突破するという・・。で〆はFFのクリスタルのテーマってか。

ジャンル的にはシンフォニックメタルっていうの?。よく知らないけど。
マーティがあらぶってるのはわかった。
久しぶりに聞いたアニソンの珍曲なのは間違いない。
おもしろいけど、とにかく詰め込みすぎで疲れる。しかし中毒性が・・。
『ポゥ』じゃねーよ。マイケルネタかよ。

ももクロがヘタクソとかいわれるが、こんなすごいメロデイー誰もこのままは歌えないよ・・。きれいに歌うとたぶんダサいぞ。
あくまでタイアップじゃなくてアニソンだし、イメージってもんもある。
あえてアイドルのヘタクソボーカルなのがいいんだと思うよ。
ヒャダインさんもプロなんだから考慮してるんじゃないかな。
こういうヘンテコな曲を弾くとピアノを習っていたときのドラクエ4の気球のトラウマスイッチガ・・・・

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 50

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ゆるゆる演劇部「パンチラレス」釣りアニメ

2012年1月から6月TV放送された。全26話。

「ミニスカ宇宙海賊」(ミニスカパイレーツ)を元にした作品。
※笹本祐一のSF小説・ライトノベル。イラストは松本規之。
2008年10月より朝日ノベルズから刊行されている。

放送中は3話程度で挫折。

あらすじ。

ミニスカートの船長服を纏った女子高校生が、免許を受けた
「合法的」な宇宙海賊の船長として舞台で活躍する物語。

海明星に住む高校1年生の加藤茉莉香は、ある日、死んだと
思っていた父親が最近まで生きており、宇宙海賊船・弁天丸
の船長だったと知らされる。

さらに、弁天丸が海賊として活動を続けるうえで欠かせない
私掠船免状の継承の為には、直系の継嗣である茉莉香が船長
になるのが条件と告げられた。

茉莉香は女子高生兼宇宙海賊船演劇の船長役としての生活を
送る事になるが・・コスプレを極める事ができるか?

感想。

5話くらい迄淡々と丁寧に?海賊になるまでの経緯を展開。
台詞が淡々と進行して熱気の類は感じない・・名前だけを
見ると声優は相当に人気や実力のある人が多い筈?なのに
あまり得意としない役柄にローテーションされてお互いに
殺し合ってる感じ。

総合的に台本片手に舞台劇を演じている高校生という感じ。
主人公の演技に合わせて実力者も低レベル演技に徹した。

人気実力ともに出演声優の10指にも入らない主人公声優は
流石に無理があったのではないか・・6話~1クール終り迄
色々な交戦状態やトラブルの盛上がる部分で周囲の熱演に
完全に浮いてしまって、熱演側が滑稽な雰囲気になってる。

どのキャラも人格が完成された状態で成長する描写は無い。
その為キャラに感情移入し難く"お遊戯"を視ている感じ。

1クールクライマックスは無駄に丁寧な序盤~後半を完全に
否定する簡素な手抜き描写で「ポカーン」・・の大団円??
それで勲章貰える大活躍??尺の使い方が滑稽だった。

私にはキャラ・キャラデザ・メカデザ・演技・音楽が微妙
過ぎて演出も低年齢向けでハマれなかった。
OP/EDを聴いた雰囲気そのもののやや微妙な雰囲気が好きな
人用の作品で面白みは無い。


原作は本格的スペースオペラ?アニメはスペースオペラ?
その言葉は同じでも意味は全く違う。

何処が海賊?服装です。

バトル?ほとんどナンセンスな馴れ合い結末。

例え主人公が悪い事をしても「正義」だから無敵の意味不明。

兎に角軽い・・軽薄。

SF作品ではない。女子高生の日常を成長なく淡々と描いた。
制服での学園。メイド服でのバイト。海賊服での演劇。
この3点が軸で多忙な主人公が世界の中心。

一生懸命周囲が主人公を盛り上げるが・・個性がなく・・
蛋白で魅力が全くない主人公が決断する事は全て正しい!
流石血族! 本人の努力シーンは皆無。

血筋が良くカリスマのある主人公が何でも「流石!」という
中心に描かれるだけの低年齢向けアニメ。

劇場版ができるほど人気?何故?と思ったら殆どの評価が
女子校生が出てくるがパンチラがなく予想外に良かった?
不快なシーンや不快な悪人が出てこない等・・ゆとり??

「面白みは無いけど」という前置きの上で好評化する・・
全く意味不明の謎の評価が多かった・・不思議・・・

面白く無いものは面白く無い。それでいいだろうに・・

あと・・宇宙船が出たらSFなのだろうか?SF風とは想う。
抑揚がない描写が長い事を「丁寧な描写」と言えるのかな?
べらべらそれっぽい用語を羅列すればSF?中身が濃い?

ドラマ性などドキドキもワクワクも爽快感もない。
後半は前半よりは、それなりに面白いと聞いて視聴を・・
続けては視たものの・・・女子校ノリだった・・軽い。

面白くないがパンチラ等萌えやエロ描写がないので良く?
女子高生萌えパートが増える後半が高評価ってなんぞ??

単に近年の深夜枠アニメに苦言を呈した人の苦肉の評価?
その割にミニスカートの足フェチカットが多いが何なの?

私には中途半端な萌え路線でエログロ排除したものの・・
捨てきれずに不自然な雰囲気に確りしたSF設定が浮いて・・
更に方向性がふらふらした中途半端な作品に感じた。

確かに不快な描写はない。
だが・・午前中の女児用ヒロインアニメより緩い描写で・・
何処が濃い? どれも行動の切欠が無責任で稚拙・・
何れも問題を大きくした要因という非は描かずに結果だけ
取り上げて正義の味方風・・相手が酷い奴だったので正義。
何処が丁寧なんだろう?日常生活gdgdパートを丁寧に描く。

宇宙のステルヴィアと同じ監督作品とは思えない。



白凰女学院の生徒

加藤茉莉香:小松未可子
白凰女学院高等部1年生。
学業成績も宇宙機の操縦シミュレーション成績も優秀。
初等部から無遅刻・無欠席だった。可也ポジティブ思考。
父の後を継いで宇宙海賊船「弁天丸」の船長に就任した。

チアキ・クリハラ:花澤香菜
白凰海森星分校から転校生。色白に黒髪で鳶色の眼。
茉莉香と同学年。クールで冷徹だが、天然ツンデレ。
海賊船バルバルーサ船長ケンジョー・クリハラの娘。

遠藤 マミ:小見川千明
茉莉香の同級生で友人。喫茶店ランプ館でのバイト仲間。
手芸部員で、茉莉香の船長服のカスタマイズを手掛けた。

グリューエル・セレニティ:戸松遥
セレニティ連合王国星王家の第7正統皇女。初登場時12歳。
弁天丸との接触を取り繕う為に白凰女学院中等部へ留学。
かなり行動的な性格で、茉莉香いわく「密航好きのお姫様」
ゴンザエモン加藤芳郎とは知り合い。可成りの切れ者。

グリュンヒルデ・セレニティ:金元寿子
セレニティ連合王国星王家の第8正統皇女。愛称「ヒルデ」
グリューエルの妹。凰女学院へ入学しヨット部に所属。

ジェニー・ドリトル:佐藤利奈
ヨット部部長の三年生。同性愛者で、リンとは恋人関係。
星間輸送の大手「ヒュー&ドリトル星間運輸)社長の令嬢。

リン・ランブレッタ:日笠陽子
ヨット部副部長の二年生(のち部長)通信・電子戦が得意。
同性愛者でジェニーと恋人関係。悪巧みや悪知恵が得意。

弁天丸

ミーサ・グランドウッド:伊藤静
弁天丸の実質的な副長。女医で茉莉香の相談役兼参謀。
臨時の保健医として白凰女学院高等部に潜入していた。
セクシーな出で立ちが多い。実年齢は不明でタブー。

ケイン・マクドゥガル:松風雅也
操舵手。茉莉香のクラス担任兼ヨット部顧問として潜入。
優男。豪華客船襲撃アトラクションでは剣劇等を演じる。
「パラベラム号」操舵手のシェインという双子の弟がいる。

百眼:藤原啓治
ブリッジだけに限らず弁天丸の情報の収集・分析担当。
男性。アポロキャップをかぶっている。

クーリエ:堀江由衣
電子戦担当。金髪お団子髪に瓶底眼鏡でドテラ姿の女性。
銀河帝国情報部員のナッシュとは昔馴染。お菓子好き。

シュニッツァー:三宅健太
戦闘指揮担当。真空中でも宇宙服不要の戦闘サイボーグ。
頭部に2本の角を生やし、口許に鋭い牙をのぞかせる。

ルカ:水原薫
航法士。右目に眼帯で黒マント姿の女性。占いが得意。
水晶玉を模した立体ディスプレイを持っている。

三代目:松岡禎丞
機関担当。頭に鉢巻を結び、作業衣を着ている男性。
弁天丸の安否に神経を使い、些細な物事に大騒ぎする。

セレニティ連合王国

ヨートフ・シフ・シドー斧アツシ
セレニティ正統王家の枢密院侍従長。長命種の老人。

ヒュー&ドリトル星間運輸関係者

ロバート・ドリトル:津田英三
ジェニーの伯父。ヒュー&ドリトル代表取締役。元軍高官。
ジェニーとは彼女の父親の代からの犬猿の仲である。

ジュナイ・クールフ:内匠靖明
ジェニーの婚約者。ロバートと親しい政治家の息子。

その他の登場人物

加藤 梨理香:甲斐田裕子
茉莉香の母。新奥浜空港に管制官として務めている。
海明星の星系軍関係者にも顔が利く。男の様な言葉遣い。

ゴンザエモン加藤芳郎:小山力也
弁天丸の先代船長。梨理香の夫で茉莉香の父。
茉莉香には死んだようなものと説明していた。

ショウ:安元洋貴
ハロルド・ロイド保険組合のエージェントで弁天丸担当。
ハイテンションでファンキーアフロでグラサン姿の怪人。

銀九龍:松山鷹志
新奥浜空港で中華レストランを営むコック長。
海賊達の間で伝わる「伝説の料理人」の5人の息子の一人。

ナレーション 小山力也

イズミ・ユノモト:内田真礼:2年生
オデット二世の操帆を担当。

アスタ・アルハンコ:安野希世乃:2年生
オデット二世の操帆を担当。銀

小林丸翔子: 野村香菜子:2年生
オデット二世の索敵・レーダー系を担当。

エイプリル・ランバート:巽悠衣子:2年生
火器管制を担当。

ベリンダ・パーシー:三森すずこ:2年生
オデット二世の操帆を担当。

原田真希:赤崎千夏:1年生
白凰海賊団航法を担当。

サーシャ・ステイプル:高森奈津美:1年生
白凰海賊団動力を担当。

リリィ・ベル:佐藤聡美:1年生
オデット二世の通信を担当。

ウルスラ・アブラモフ:西明日香:1年生
白凰海賊団レーダーを担当。

新入生(第13話以降の1年生)
アイ・ホシミヤ 茅野愛衣
ヤヨイ・ヨシトミ 南條愛乃
ナタリア・グレンノース 伊瀬茉莉也

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

白凰海賊団に入団希望しますd(❀╹◡╹)っ

■モーレツ♡宇宙海賊ってタイトルで甘く見てたら大火傷よ♥
原作は『ミニスカ宇宙海賊』っていうライトノベルで、その著者の笹本祐一さんは自身で「現役最古のラノベ作家」と言ってるようですねw
アニメ化発表から2年の月日を経て『モーレツ♡宇宙海賊』と改名して放送開始にこぎつけたみたいです o(^ー^)o☆パチパチパチ

ストーリーはと言うと、主人公の加藤茉莉香[marika]はごくごく普通の女子高生で喫茶店でバイトしながら楽しい学園ライフをすごしていたのですけど、突然なにやら怪しげな人たちがバイト先にご登場w
なんと宇宙海賊船・弁天丸の乗組員でしかも茉莉花のママである梨理香[ririka]の知り合いっていうじゃないですか(;・∀・)ハッ?
先代船長のゴンザエモンって誰?Σ(- -ノ)ノ エェ!?パパなの…食中毒で死亡ってw
ママは何者Σ(- -ノ)ノ エェ!? 伝説の女海賊!?∑(゚◇゚;) ゲッ
突然カミングアウトされた茉莉花に驚くべき提案が…
海賊船・弁天丸に乗りなさい! 工エエェェ(´д`)ェェエエ工
茉莉花の青春の学園生活はどうなっちゃうのでしょうねw


■モーレツ♡宇宙海賊に出逢った日の日記 φ( ̄∇ ̄o)
1話観た瞬間、こっこれは…面白いって思っちゃいました♪
宇宙海賊と高生生活の両立という奇抜な設定とか、制服にいかにもっていう海賊服のコラボレーションといったギャップが新鮮で面白かったです♪
設定は斬新なのですけど、その中身はどうやら「まともな宇宙モノ」って事なのでシリアスなアクションシーンなんかも期待できそうです♪
作画の方もクオリティが高くって、艦隊戦なんかかなりの迫力があるんじゃないかなぁって楽しみにしてます!

キャストの方もかなり豪華なんですけど、ヒロインで主人公役の茉莉花役に大抜擢されたのが小松未可子さんでしたね!
引っ張りだこの人気声優さんたちを押しのけてのキャスティングだけに、彼女の演技力にも注目したいところです♪

茉莉花を中心に、学園生活と海賊の2つの視点からキャラの友情や成長をみれそうなので、今後の展開を((o(´∀`)o))ワクワクしながら楽しみたいと思っています♪


■総評
「決断は自分で選んだベスト!!」って茉莉花も言ってましたけど、「モーレツ♡宇宙海賊」ってタイトルで判断しないで本当に良かったなって思いました♪
作品のタイトルを初めて見た時は、品の無さそうなタイトルだなって思っちゃったんですよねwヾ(´ε`*;)ゝ
それが1話観た時に、あっ!面白そう♪って思って第一印象は良かったんです!
ただ2クール作品なので、最後までこの期待に応えてくれるのかな?ってちょっと不安も抱きつつ視聴だったんですけどね(^ー^* )フフ♪
そんな不安もどこ吹く風って感じで、観るたびにo(^O^*=*^O^)o ワクワクさせてくれてグイグイ作品の魅力に惹きこまれていくのでした( ̄▽ ̄)=3 プハァー

まずσ( ̄∇ ̄*)アタシの目を釘付けにしたのは、優雅で秀麗な「オデットⅡ世」でした♪
宇宙空間でありながら「帆船」という設定がとっても新鮮で、マストを広げソーラーセイルに太陽光を受けて静かに航行する船体はとっても美しく、白凰女学院ヨット部らしい船体だったと思います(゚∇^d) グッ!!
また映像としての見せ方もとっても良かったですね♪
宇宙空間に限らず、遠近を意識した見せ方が秀逸で、地上と宇宙空間など適材適所でCGの使い方にも工夫が観られました!
オデットⅡ世は磨き上げられた汚れ一つない美しい船体なんですけど、弁天丸やバルバロッサ等の現役の海賊船は使い古された感じに仕上げていて、そういった細かい所にまで配慮されているところも好印象でした(*^^*)

女子高生と海賊というアンバランスな設定を見事に融合してしまったこの作品の世界観をつくり上げるために、キメ細かい設定がなされているのですけど、それが観ている視聴者にわかり辛くならないように心配りされているシナリオ構成は、2クールを無駄なく安定した面白さを見せてくれていた印象です(⌒^⌒*)b
各話の冒頭のナレーションは「ガンダム」とかでもお馴染みですけど、細かい設定や世界観を少しでも理解しやすくするためには有効ですし、作中での説明臭くなる部分をここで解消する役目もあるんでしょうね♪
また、この時代では砲撃戦や白兵戦の前に「電子線」がとっても重要であることも、白凰女学院ヨット部の演習のシーンで取り入れることでさり気なく指南してくれてましたね♪
ただヨット部のメンバーと弁天丸を関連付けるのにちょっと強引だったかなって思いましたけど(感染症で隔離ってねw)、それ以外は茉莉花を中心に個々の個性を生かしつつバランスよくキャラを動かしていた印象です(*^^*)

声優さんでは茉莉花役の小松未可子さんは自信の一生懸命な感じが相まってなのか「海賊船見習い」と言う微妙な立場を上手く演じていてとっても良かったと思います♪
また、茉莉花の親友で役を演じた小見川千明さんも演技にも関心しました☆彡
「花咲くいろは」でミンチ役を演じていた小見川さんだったんですか∑('◇'*)エェッ!?って驚いちゃいました!声優さんって♪⌒ヽ(*゚O゚)ノ スゴイッ!!!

そういえば、1話でミーサさんがこんな事言ってましたけどρ( ̄∇ ̄o)
「ホントだったら加藤船長もこんなことはしたくはなかったんだろうけど・・・」
この本当の意味はなんだったのでしょうね♪
原作を読んだことないのでわからないですけど、故・・・ゴンザエモン船長wと、「ブラスターリリカ」こと梨理香さんの思惑が不透明なままなので続きがあるのかな?
茉莉香が正式に船長になった姿も観てみたいですし、まだまだ弁天丸の活躍を観たいので続編を強く希望します八(^□^*) オネガイ!!


■MUSIC♫
OP曲『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』
 【作詞・作曲・編曲】前山田健一 【歌】ももいろクローバーZ
 ヒャダインこと前山田健一さんとももクロとのコラボはドラゴンクライシスのED曲「ミライボウル」以来かな?
 ももクロの元気な部分を前面に押し出したモーレツなナンバーですw
 
ED曲『LOST CHILD』
 【作曲・編曲】NARASAKI【歌】ももいろクローバーZ
 こちらも「ミライボール」の編曲を担当したNARASAKIさんの楽曲です♪
 荒削りさが癖になるももクロの魅力を惹き立てる軽快なエレクトロニカなナンバーですd(-_^)good!!

ED曲『Black Holy』(第9話、第12話、第16話)
ED曲『透明な夜空 〜瞬く星に包まれて〜』
ED曲『未來航路』
 【歌】小松未可子
 ももクロのあとに聴くとなんだかC=(^◇^ ; ホッ!としちゃう憂いがある小松さんの歌声♪
 楽曲はオーソドックスでキャッチーな構成となってるのでとっても聴きやすいです。☆⌒d(*^ー゚)b グッ!!
 個人的には『Black Holy』のようなBメロからサビにかけて盛り上がるアップテンポな曲がお気に入りです♪


2012.01.21・第一の手記
2012.10.07・第二の手記(追記:■総評、■MUSIC)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 69

89.1 10 SFで頭脳戦なアニメランキング10位
銀河英雄伝説(TVアニメ動画)

1990年春アニメ
★★★★★ 4.3 (945)
4043人が棚に入れました
西暦2801年を宇宙暦1年とした遥かな未来。宇宙に進出した人類は、専制政治を敷く銀河帝国と民主共和政を唱える自由惑星同盟の二大勢力に分かれ、 150年にもわたる断続的な戦争を続けていた。長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦700年代末、両陣営に2人の英雄が出現する。銀河帝国の貧乏貴族の家に生まれたラインハルトは、姉を皇帝に奪われた事をキッカケとして、銀河帝国を奪い取る野望を胸に軍人となり、出世していく。 一方、敵国である自由惑星同盟にあって、不本意ながら軍人になってしまい、不本意にも関わらず功績を立て続けるヤン・ウェンリー。 一見正反対の彼ら2人の登場により、人類の歴史が大きく展開し始める
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

銀英とあにこれとアニメ業界について

あにこれに参加して1ヶ月時点で書いたレビューを書き直しました。

この作品のレビューを書くのが目標だった。(2013/11)
{netabare}
◆一つのアニメとして

色々な要素を一つ一つ見て、トータルして完成度が高いのは攻殻。

ただ、銀英はアニメ作品というの枠の外。それをあえてアニメ作品
として評価するとしたら・・、

物語:98.0 作画:3.5 声優:72.0 音楽:4.0 キャラ:86.0

こういった馬鹿げた事になってしまう。

名作アニメ達が「3階建て、エレベーター、室内プール、シアター
ルーム、防音設備完備、トイレは各階に5つ」とかそんな規模なのに、

「万里の長城みたいなのを作りたいんだけど・・、一応設計図はある
んだ」と、そして出来てしまった。

つまりアニメ作品単体と比較するのではなく、アニメ業界全てと対比
すべきよーなもの。


◆世間一般でのイメージ

検索 富野由悠季VS田中芳樹
検索 銀河英雄伝説対ガンダム全作品

方向性が違うので、比較するような事では無い気がする。


◆対象年齢

ある程度水準が高めの大人にしか多分本当の価値は理解できない。

けど、中学~高校の若いうちに見た方が、色々な意味で有益な作品。
10人中7~8人位が分かる程度の内容にはなっています。


◆若いうちに見る意味

キャプテン翼は日本だけではなく海外のサッカー選手にまで大きな
影響を与えた訳ですが、

検索 キャプテン翼をこよなく愛する海外のサッカー選手
検索 キャプテン翼に影響をうけた海外のサッカー選手

それは単に面白いサッカー漫画であるという事で、サッカーを始め
るきっかけや精神面、モチベーション部分に良い影響があった。

キャプテン翼を読んだ、あるいは視聴した
⇒ドライブシュートが打てるようになった
⇒それが実際のサッカーでも役に立った
という事では無い訳です。

最近話題の黒子君のミスディレクションにしても、バスケで使える
かと言えば、使えない、無理がある。

銀英も基本的にはそういった性質、作品を見ただけで具体的な何か
が向上するという事ではなく、あくまでエンターテイメント。

しかし、サッカー作品ならサッカーに、バスケ作品ならバスケに、
同じ分野に関わらない限りはほぼ役に立たない多くの作品と違って、
銀英は普通の人生を送る上でも色々な面で良い影響がある。

多くの事に興味が持てるようになる、知識が吸収しやすくなる。

学生のうちは国語(現代文、古典)、政治(政治経済)、哲学(倫理)
歴史(日本史、世界史)、軍事(戦略、戦術)、権力や宗教、戦争の
本質、世の中の仕組み、魅力的な話し方、文章の書き方等。

自分は理系で学生の頃は興味無い分野は嫌々勉強していましたが、
この作品をもっと早く見てれば色々楽しめたはず、知識が身に付くの
も早いかっただろうな・・と、今でも思います。


ニュースを見ていてもビジネス書籍を読んでいても銀英の内容は頻繁
に思い出す「下手糞な言い方してるけど、結局銀英の~じゃん」的な。

イメージ出来るシーンがあると、面倒な話もすぐに理解出来る。

「マンガで分かる~」シリーズの本をジャンル問わず数百冊まとめて
読むよーな、そういった効果があります。

小説(原作)になると序章がキツめなので、まずはアニメから見るの
をオススメします。


◆物語

話の完成度は異次元。三国志クラス。とても個人の脳内から出て来た
話だとは思えない。

星界の紋章、まおゆう(原作の方)、コードギアス、狼と香辛料、カイジ
他福本作品、医龍(漫画だけ)、C - The Money~省略、一部ガンダム
作品(seed destiny等)、攻殻、十二国記、MONSTER、ヨルムンガンド、
デスノート、プラテネス。

全部足して萌えや恋愛、異能の力を抜くと、銀英っぽい話が出来る
かもしれない。


◆キャラ

やはり三国志クラス。

キャラ数を1/10にしても、やはり5.0を付けてしまうと思う。


◆作画

ある程度は我慢してください。

物語、声優、キャラで5.0以上を付けれない為、その分を盛って5.0に
しておきます。


◆声優

桁が違う。作品が出来た時期が非常に良かった。

検索 銀河声優伝説


◆音楽

OPとEDは我慢してください。これも盛ります。

戦闘時はクラッシック使っているので、多分不満は無いはず。


◆名言

名言だらけと言われてる作品と比べ、桁が「2つ」違う。

だから現在でもよくパクられるし、あのアニメのこの名言のネタ元は
ここだったのか・・が結構あると思います。

この銀英の原作者の田中芳樹が、どこからそのネタ持って来たのかを
調べる作業が自分の中で今もなお続いており、その為に読んだ書物が
100~200冊どころではない。だからこそ若い人に薦めたい。


◆戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属する

銀英で出て来る名言を1つだけ、その応用の仕方も含めて紹介。

現実でも通じる話で、普通の作品はこれ等の一部だけが扱われる
のですが、銀英だと全てが登場し、それ等の関係性が分かります。

 経済 > 政治 > 戦略 > 戦術

【経済】
お金とモノ、それ等の流れ、社会の生産活動の調整、あるいは生産
活動そのもの。個人ならば自分にお金が流れる仕組み(≒何の職
に就くのか、何の仕事をするのか?給与は?)、といった感じ。

【政治】
お金をどう使うか配分を決める、時にはその一定量を戦争に向ける
事もある。

個人ならお金と時間を何に向けるか?戦争に関しては「何を戦争と
捉えるか?」で変わって来ると思います。(一般的には受験や資格
試験、あとは恋愛系、異性に対してのアプローチとか)

【戦略】
どこと戦うか、何と戦うか、そもそも戦うか否かの決定。敵を分析
して戦闘前に有利な状況を作り出したり、計画を立てる。

誰でも知っているであろう「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
というのも、ここに関係してくる。勝てそうにないなら、避けたり
先延ばしにしたり。

【戦術】
戦う事にした、あるいは戦わざるを得なくなった。ではどう戦うか、
追撃は?撤退するタイミングは?という話。

個人で考えると「アニメの視聴」は政治面、戦略面での失敗の類。

アニメ好きで膨大な時間(時にはお金)を投入している方、自分も
同じですが、その時間を有効に使う方法はいくらでもあります。

撤退が嫌なら経済、政治、戦略面に良い影響を与える視聴の仕方を
考えると良いです。

【補給は大事】
銀英は補給を重点的に捉えていて、その事で「実際の戦争は・・」
と軍事オタクの方々によく突っ込まれている。

個人であれば食事や睡眠。精神が疲弊して来たら気分転換、休息、
英気を養う為に遊んでみたりと、そう考えると納得出来るはず。

田中さんがサボるのが好きなので「単に性格が出ているだけ」とも
考えられますけど。


◆話は分かりやすくする事

ある程度専門知識を持ってしまうと、インテリぶって自己満足で相手
の理解を無視して話を進める人が多く、

自身高校~大学の頃はそういった傾向があった訳ですが、この作品
見てからそれが無性に恥ずかしくなり、なるべく知識が無い人にでも
通じる言葉で話す事を心がけるようになりました。

自分より遥かに頭が良くて知識がある人が、分かりやすい面白い話、
つまり銀河英雄伝説を書いていた(アニメでやっていた)ので敗北感
で一杯に、チンケな見栄やプライドをへし折られた訳です。


専門的な事を誰にでも分かりやすく話すのは、自分1人が理解する
3倍の理解が必要ならしいですが、理解不足のお馬鹿に限ってあまり
一般的ではない用語を使い、難しく分かりにくく話す。

聞き慣れない用語を並べるだけ、具体例が出せない、イメージさせる
事が出来ない、簡単に言い換えられない ≒ よく分かっていない。


現実で歴史に「天才」として名を残している人の言葉で

シンプルさは究極の洗練である(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

とか。あとはアインシュタイン、

Everything should be as simple as it is,but not simpler

訳:できるだけシンプルに、ただしシンプル過ぎないように
  できるだけシンプルに、そしてシンプル過ぎないように とか。

銀英の原作者の田中芳樹は「一体何が凄いのか?」という事ですが、
アインシュタインの方の「名言のそのもの」みたいな人で、

情報の噛み砕き方、翻訳の仕方、そのバランス感覚が神憑っている。

この内容は簡単にした方が良い、これは比較した方が分かりやすい、
ここは具体例を出した方が良い、~な内容は直接だと不味いので笑い
に繋げてぼやかす、ここは直球で、ここは理解の妨げになるので全て
省略、これは大事なのでしつこく、みたいなセンス。


人間の脳みそは「大体の事は理解できるが、ちょっと分からない事が
がある位の情報」に出会った時一番活発に働く、心地良いと感じると
言われていますが、

知識が全く無い人にとってのそのレベルの内容を常にキープしている、

「少し難しい、分からない事もあるけど、大体理解出来る、頭に入る、
面白い、どんどん読める、どんど見れる」な感じ。


という事は「元々簡単なジャンルの情報」とか「元々興味がある人に
エンターテイメント性を抜きにして教えるだけ」だったら、出来る人
は結構いる訳ですが(池上○の学べるニュース!みたいな)、

本来一部専門の人しか扱わない情報の数々を大衆が見て楽しめる
レベルにまで落とし、娯楽作品として加工、それが流行るという事が
いかに不気味な事か。


各界で天才と言われている人も、所詮「食えそうな食材を(含めて)
料理している」訳でして、田中は本来食えないもの、彼以外は調理が
できないものを組み合わせて、一流の料理にしてしまった。

古めの漫画、アニメでたまにある「カレーを作ったら爆発した」の逆、

「食材とは思えないものから、見栄えが非常に良い料理が出来、それ
が非常に美味しい」というケース。

食材選択、分量の調整、味付け、料理の腕等で皆が争っている時に、
錬金術的なことをやらかした。


銀英より面白い作品、消費者ニーズに合っている(萌え、エロ、恋愛、
厨二、ゲーム系)作品は腐るほどありますが、銀英は人生で役に立つ
健康食品で構成されているので、いくら食べても大丈夫です。

似た事を冨樫作品(幽遊白書やHUNTERXHUNTER)のレビューにも
書きましたが、彼もまた錬金術士の1人でありながらも、メインで使用
するのは化学調味料たっぷりの有害物質。

非常に美味い、腕は超一流、しかし現実では何の役にも立たない。

2人ともサボり癖がある事で有名ですが、錬金術は膨大なエネルギー
が必要なのでしょう・・ね。そう思わないと、腹が立って仕方がない。


◆比喩を使う

普通の人は本読んだり会話した時に、その内容の1/10も記憶に残る事
がないらしいですが、だったら「少しでも伝わった方が良い」

大抵の場合、話は10のうち7~8位が伝われば十分で、10のうち7~8位
が正確ならばあまり問題は生じない。

そして7~8/10で良いなら例え話、比喩を使うのが手っ取り早く伝わり
やすい。

銀英には色々な比喩が出てきて、古いものや特殊なものも多いですが、
比喩というもの自体に興味が持てるようになると思います。

そもそも銀英という話自体大型の比喩みたいなもので、どの分野の事
も7~8/10程度の中身しか無いし、正確さもやはり7~8/10くらい。

だからこそ簡単で理解しやすい。


◆でも、より正確にしなければいけない話もある

主観なのか客観なのか、想像なのか事実なのか、自分の言葉なのか
誰かに聞いた言葉なのか、本音か建前か、絶対か多分か、

~らしい、おそらく~、~とも言える、~のような、~だと~が主張
している等。

より正確に伝える為に大雑把にまとめたり、別の言葉で言ってみたり、
自分のレビューでも結構あると思いますけど、主に銀英・・というか
田中芳樹の影響。という言い方自体が、田中の影響。


◆話は面白く、印象深く

ネットが一般に普及し、情報過多の時代なので、情報を選別しパッケ
ージングする(まとめる)技術は多くの人が向上している訳ですが、

その分「誰が」の部分、個性が薄れている、記憶にあまり残らない。

大半がテンプレ通りで、似たような情報を似たようにまとめている。

そんな中で「個」を出せるのは、非常に大きな武器になる、アニメの
レビューを書くのをやめても様々な場面で役に立ちます。


◆銀英の作者、田中芳樹の凄いところ

表現、創作を生業にする人の中で天才と呼ばれる方は結構いますが、
言葉の響き、使い回し、意味ありげなぼやけた表現で読者、視聴者を
惹きつける人ばかり(歴史に名を残している人含め)の中で、

そういったセンスを十二分に持ちながらも、基本的には「言葉の持つ
意味、内容の力」でダイレクトに惹く。

芸術家的な気取りがない、含みで盛る部分が無い、あっさりしている。


・名言や過去の偉人達と友達感覚

「権力、権威」を重視しない気持ちが「情報、過去の偉人達」にまで
及んでいて、必要以上に敬意を持っていない。

嫌いなもの、納得のいかないものはあっさり否定が出来る、ひねくれ
た解釈も出来る、だから普通組み合わない様々な情報と結び付いて、
通常の作品の数百倍になる量の数々の名言が生まれる。

いかなる名言、表現であろうとも一般的な情報と同等、一度原点部分、
意味の方に立ち返り、ストーリーの状況に応じてアレンジしあっさりと
再構築が出来る。

知識が凄いんじゃねーんです、知識も化け物染みてますが、その使い
方が凄いんです、色々な作品に出逢えば出会う程にその凄さが分かる。

最終的にはその部分を学んで欲しいです。そうすれば少ない知識でも
書ける事、話せる事の幅が何倍、何十倍にも広がると思います。
{/netabare}
アニメ視聴数が100未満、銀英を見た事が無い若い人に向けてのメッセージ的な。


あにこれの影響力とアニメ業界全体について
{netabare}
◆あにこれの影響力

運営している方々が優秀なお陰で「アニメ ○○」という検索ワード
でランキング、おすすめ、口コミ、評価等で1位や2位にあり、アニメ
業界の人間は意識せざるを得ない。

消費者からの評価、口コミというのは年々影響力が強くなっている為、
「ここでダメな評価をされにくい作品」を制作しなくてはならない。

少なくとも「どういったものが好まれるのか」の傾向はある程度掴む、
余程アホな企業じゃ無い限りは、その位の仕事はしているはず。

検索 今年のアニメのBD/DVDの初動売上をまとめたら凄いことになった

とは言うものの、ここの評価と売上には「あまり関係性は無い」ので、
そこまで重視はされない。


・業界への影響力を向上させるには

売れたアニメは片っ端から見て評価する人が増え、ここのランキング
が売上に近い形になれば、あにこれというサイト自体と、各レビュー
の影響力が増す訳ですが、

普通にレビューを書く分には、そんな事まで考える必要は無いと思う。

政党で言うと国会の議席数が20未満の野党、いくら騒いでも直接的な
効果はあまりない。

しかし、文章には、というよりも言論には数値とは別の力がある訳で、
優れた意見、主張、見解、分析、批評、論評は人から人へと伝搬する。

小さな点、たとえ1行レビューからだろうと、それが真に的を得ている
のであれば、爆発的に広がっていく。

たかだかレビューサイトの1つと言えども、アニメ業界の人々に「良い
作品を作ろうと思わせる力」「クソな作品を気分良く作らせない力」は
十分に有しているので、

そういった環境でレビューを書いているという事は覚えておくと良い
ような。「いくら文句を書いても無駄」とか、そんな事は無いです。


◆イノベーター理論(Innovator theory)

1、イノベーター(Innovators:革新者)
冒険的で新商品が出ると進んで採用する層。市場全体の2.5%を構成。

2、アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、自ら情報収集
を行い判断する人々の層。市場全体の13.5%を構成。

3、アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
新しい様式の採用には比較的慎重な人々の層。慎重派ではあるものの、
全体の平均より早くに新しいものを取り入れる。
市場全体の34.0%を構成

4、レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
新しい様式の採用には懐疑的な人々の層。周囲の大多数が使用して
いるという確証が得られてから同じ選択をする。
市場全体の34.0%を構成

5、ラガード(Laggards:遅滞者)
最も保守的な人々の層。流行や世の中の動きに関心が薄く、イノベー
ションが伝統化するまで採用しない。市場全体の16.0%を構成。
中には、最後まで不採用を貫く者もいる。


マーケティングの世界では有名な理論で、顧客を新製品やサービスの
購入態度で分類したものですが、「評価」というのも同様。

つまり「2.5%の人の行動(評価)が、97.5%の人の行動(評価)に影響
を与える」という事。

「積極的に新しいアニメを見て、自分で考え自分で評価しいてる」という人
は現在のあにこれでは非常に多く、

アニメは視聴だけならば無料という事もあって、イノベーターの割合は
他のジャンルより多いと思いますが、

それでも10%~20%位の人の行動(評価含む)が、80%~90%に影響
を与えていて、

レビュアーは大多数に影響を与える少数に属しているという事。

勿論、影響を与えると言っても一部(マイノリティを気取りたい人とか、
厨二病的な人)にはマイナスの影響だったりもしますが。


銀英だとハイドリッヒ・ラングが

「全体を100としてそのうち51を占めれば多数による支配を主張でき
 ます。ところが、その多数派もいくつもの派閥に別れています。

 即ち、その51のうち26を占めれば、100という全体を支配できます。
 多数支配などという共和制の建前が、如何に虚しいものであるか~」

という話をしていますが、そんな感じで考えても良いですし、あとは

パレートの法則:経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成
するうちの一部の要素が生み出しているという説(80:20の法則)

カオス理論のバタフライ効果:通常なら無視できると思われるような
極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となる現象

とか。

実際、どの程度の影響があるかはよく分からないですけど、レビュー
を書くという事は「大多数に影響を与える行為」な訳です。

レビューの内容に迷った時はその事を意識する。


読者に与える影響

他のレビュアーに与える影響

長期で考えて、あにこれに与える影響

更に長期で考えて、アニメ業界全体に与える影響


普段はろくな事を書いていないので、あまり他の方のレビューを紹介
したくないですが、今書いている事自体が

劣悪な衆愚アニメの決定版
http://www.anikore.jp/review/242462/

このレビューの内容が伝搬したものであり、それは書きながら不意に
思い出したのですが、あにこれの隅っこであろうと、誰かはこの事を
訴え続けていかなくてはならない。

銀英的に言うと、政治権力に対するジャーナリズム、そういった立場
にレビュアーはあるという事。

最近クソアニメばかり視聴し、あまり本気でレビューを書く気が起き
ない自分は、二度とこんな事を書くことは無いような気もする。

よって、これを読んでいる誰かが「頑張ってやらないとダメな事」な
訳です。頑張ってください☆

ペンは剣よりも強し。こいつは真理など滅多に存在しない人間社会
の中で、数少ない例外の一つだ。と、ヤン提督も仰っておられます。


◆マズローの欲求5段階説

ビジネス絡みだとたまに持ちだされる話ですが、長期間レビュアーを
していても、似たような欲求の変化が起きる。

自己実現欲求  : 自己の向上、活動をより充実したものにしたい
  ↑
尊重、承認欲求 : レビュアーとして尊重されたい、承認されたい
  ↑
所属、愛の欲求 : メッセージが欲しい、交流したい等
  ↑
安全の欲求 : 批難されたくない、叩かれたく無い
  ↑
生理的欲求 : 読まれたい、サンキューが欲しい

多分、こんな感じ。

欲求を外でも満たせるなら、最初の欲求以外の途中の段階をすっ飛
ばす事もあるでしょうし、必ずしも下から順にという事はないです。

「頑張ってやらないとダメ」とか書きましたが、欲求が最終段階に到達
した一部が勝手に考えて上手く書くと思うので、他に欲求があるうちは
特に意識する事は無いと思います。


◆アニメ業界の衰退

検索 アニメ業界、売上4年連続減、テレビ放送頼みからの脱却を模索
検索 5年ぶりに制作分数が増加、レポートから見るアニメ業界の現状

実際は低迷とか衰退とか言う程にひどい事は無いですが、予兆のような
ものは確実にある。

製品ライフサイクルでいう成熟期~衰退期の段階で

検索 【アニメとマーケティング分析3】今のアニメ産業の『ライフサイクル』について考察!

少し知識があると誰でも考えるよーな話。


銀英の 第40話 ユリアンの旅・人類の旅 から、一部の話を

~しかしながらその平和が続く中で、人類の上にいわゆる中世的停滞
の影が持ち掛かりました。

疲労と倦怠が希望と野心を抑え、消極が積極に、悲観が楽観に、退嬰
が進取に取って代わるようになって来たのです。

実際に科学技術による新たな発見や発明が後を絶ち、人類の生存圏の
拡張も再び頭打ちになっていったのです。

更に政治的にも民主共和政治が自浄力を失い、利権漁りと権力闘争に
のみ興味を示す衆愚政治と化していったのです。

社会的活力が失われ、社会生活や文化は廃退の一途を辿った、人々は
無気力化し老若男女を問わず麻薬や酒、性的乱交や、神秘主義に耽る
者が続出した。

あるいはスピードや暴力に刺激を求め、事故や犯罪が激増し、反比例
して検挙率は低下した。

生命を軽視し、モラルを嘲笑する傾向は深まる一方だった~


人類の未来の架空の歴史の話な訳ですが、開拓が一段落して頭打ちに
なると、大抵のものはグダグダになる。

創造的活力が失われ、アニメ業界、文化は廃退の一途を辿る、人々は
萌豚化し老若男女問わず萌えやエロ、ハーレム話に耽る者が・・

とか、そんな感じに。

進撃の巨人は良い作品だと思いますが、閉塞感の中でスピード、暴力
という点では「まさに衰退期の象徴そのもの」で、ちょっと危ない。


と言っても視聴側には大した被害は無い訳でして、一番悲惨なのは

検索 アニメ制作の現場で働く20代の平均年収110万円

採算ラインに届かないアニメが大量に制作された結果

アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki - 売上ライン一覧

その皺寄せが下っ端に来ている、というのはどこの世界でも同じ事。


◆あにこれは多分まだ成長期

登録者数の推移は知らないので、そういった点ではよく分からない訳
ですが、レビューの質は日々向上し、多様化している気がする。

各自がレビュアーであると同時に読者。そして技量に関係なく読者数
とその質が調整出来る、という点は上手く使えば非常に快適。

どうやって調整するかは書かないですが、察してくださいな事ですが、
単純に増やす事に躍起になった後は、レビュー内容についても色々と
考えると面白いと思います。

作品へのレビューは様々な点からのアプローチが可能で、ここで評価
基準になっている物語、作画、声優、音楽、キャラ以外からでも、


・見た時の状況

年齢が高い方の書く、当時の視聴状況についての話は面白いので好き
です。


・歴史的なアプローチ

ヤン提督の如く、歴史からの考察。歴史と言っても色々な歴史からの
アプローチが可能で、あにこれに長く居るとその歴史からでも色々と
書ける。


・売上からのアプローチ

ここの評価と売上は全く違うので、

検索 アニメDVD・BD売り上げまとめwiki

dvdbd.wiki.fc2.com と www38.atwiki.jp/uri-archive/? の2種類

検索 アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki

この2つはチェックしておくとレビューの幅が広がるかと。


・社会学的、工学的アプローチ

得意な人はやれば良いと思いますが、あにこれだと若干供給が多過ぎ
な気も。インテリな方々が多いんですよね、ここ。


・原作や声優、監督、スタッフ等からのアプローチ

レビューとしては王道ですけど、それだけに若干供給過多気味。


・笑いに繋げる

笑えるレビューが若干少ない気がする。Amazonの

アニマル ビッグフィギュア【親キリン】(等身大フィギュア)とか
対ライフル用防弾シールド

のレビューでも読んで、そういった方向性で突っ走るのも良いかと。


◆言葉は大事に使いなさい、ユリアン

言葉では伝わらないものが、確かにある。だけど、それは言葉を使い
尽くした人だけが言えることだ。

だから、言葉というやつは、心という海に浮かんだ氷山みたいなもの
じゃないかな。

海面から出ている部分はわずかだけど、それによって、海面下に存在
する大きなものを知覚したり感じとったりすることができる。

言葉を大事に使いなさい、ユリアン。

そうすればただ沈黙しているより、多くの事をより正確に伝えられる
のだからね。


◆ポプラン、シェーンコップ、ムライからの影響

自分の話になりますが・・

・ポプラン、シェーンコップからの影響

この2人私生活が酷い有様でも、年少者に対しては「まともぶった事を
言う事がある」訳で、最低限のモラルは有している。

ヤンや田中芳樹とかはどう頑張っても届きそうには無いものの、この
2人くらい・・には、なんとか、的な気持ちがある。


・ムライからの影響

あんなジジイは嫌いですけど、彼が第39話でユリアンに話していた事
はこれまで迷った時に何度も思い出す事になったし、現在ここまでの
内容を書いているのも、ムライからの影響が大きい。


~ 今だから言うが、私の任務はヤン提督の引き立て役だったのだ。

別に卑下したり不平を鳴らしている訳では無い。ヤン提督は指揮官と
しての資質と、参謀としての才能を両方兼備する珍しい人だ。

あの人に参謀が必要だとすれば、それは他人がどう考えているのかを
知って作戦の参考にする為さ。

だから、私としてはエル・ファシルの英雄に参謀として望まれた時、
自分の果たすべき役割は何かと考えて、すぐには結論を出せなかった。

それが出たのはイゼルローン陥落以後だ。で、私は役割を弁えて殊更
常識論を唱えたり、メルカッツ提督にも一線を引いて対応したりした
訳だ。

鼻持ちならなく見えた点もあろうが、分かってもらえるかな ~


要するに、自分が必要無いと感じた時も「できる事は何か?」を考え、
その役割に徹する、普通は積極的にやらない事をする、という事。

と言ってしまえばどこの誰でも言いそうな話ですが、たまたま自分に
はムライの言葉が強く残っていた。

あにこれに来た直後、自分よりアニメそのものに対しては知識豊富な
人が沢山いる、そんな状況何を書こうか迷った末に、あにこれ全体に
不足していたものを補う役割に徹しようと思った。

その為には、一部から憎まれようが嫌われようが知った事では無い。

という点についは、「あしたのジョー」からの影響もあり、ストレス解消
という意味での利害も一致したのですが・・。


私は役割を弁えて殊更変な視点でのレビューを書きまくったり、人気
作品にも一線を引いて対応したりした訳だ。

鼻持ちならなく見えた点もあろうが、分かってもらえるかな!


2013年夏に復帰した時、今度はレビュアーの質が向上しているという
点に目が行き「自分は何も書く必要なくね?」という状況に陥る。

「私が死んでも代わりはいるもの」じゃねーですけど、現代人特有の
「あれっ、自分いらなくね?」的な捻くれた感じ方は普通にする訳で、
そうすると途端にやる気が無くなる。そして休止。

冬に復帰した直後(つまり現在)もまた同じ事で悩み始めたのですが、
「あにこれがレビューサイトとして正常に機能している」という点では
特に問題は無いものの、

アニメ業界全体は? 萌えエロ産業で、問題だらけ。

レビュアー全体は? 自分と同じように休止する人は多い。

あにこれの細部は? 改善点を上げればキリが無い。

問題点は見えても、不満はあっても、自分にはなんとかする力が無い。

とはいえ、その事をレビューに書くことは出来る訳で、あとはそれを
読んだ力のあるレビュアー(将来的に力を身に付ける人を含め)達に
熱意は伝わる、そしてなんとかしようと活動するかもしれない。

ヤンは民主主義の芽を上手く残した、熱が冷めやすい自分は熱が急激
に上がった際に湧きでたここまでの思考をレビューに残す。

この行為の意義については、後世のアニメ好き達が判断する事さ!
{/netabare}
こちらはアニメ視聴数が100以上、投稿レビュー数もそれなりの人への話。
銀英の話を持ち出しているので、多少のネタバレを含みます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 88
ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

週刊 銀河英雄伝説 復刊!第20号

復刊のご挨拶
 年の瀬も押し迫ってまいりましたが、如何お過ごしでしょうか。
 さて、皆様への御約束通りここに「週刊 銀河英雄伝説」の復刊を宣言いたします!(一週遅れてしまいましたが)
 まだ折り返しにも到達しておりませんが、今後もより一層気を引き締めて刊行を続けていく所存であります。
 今後とも何卒ご愛顧のほどをお願い申し上げまして、挨拶に代えさせて頂きます。
       平成27年12月20日 ヤピゴスティーニ代表 やっぴー


休刊のお詫びと挨拶
 {netabare}いつも「週刊 銀河英雄伝説」を購読していただいてありがとうございます。
 そんな皆様にこんなお知らせをしなければならないことを残念に思います。
 詳細は私のプロフを参照していただくとして、今後の再開予定について述べさせていただきたいと思います。
 な、なんと!本年11月4日よりファミリー劇場において「銀河英雄伝説(本伝)」の再放送が始まるのでございます。
 月~木に各日2話ずつ放送するそうなので、おそらく、12月中には39話まで追いつくのではないかと推測されます。
 そういうわけですので、今年中には我が「週刊 銀河英雄伝説」を再開することができる見込みでございます。
 しばらくのお別れとなりますが、また会える日まで、皆さまご自愛なさいまして、健やかにお過ごしください。
                   ヤピゴスティーニ代表 やっぴー
{/netabare}

創刊の挨拶
 {netabare}この度は「週刊 銀河英雄伝説」創刊号をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
 本マガジンは、全55号を予定しております。
 各マガジンには2話分のレビューを掲載し、
 週に一度のペースで刊行する予定となっております。
 もはや改めてここで申し上げる必要などないと存じますが、
 銀河英雄伝説についてご紹介をさせていただきます。
 田中芳樹原作のスペースオペラをほぼ忠実にアニメ化した作品であり、
 全110話(本伝)に及ぶ大作であります。
 この大作を攻略するにあたり、
 どうすれば最後まで視聴することができるか?
 との視点で愚考を重ねた結果たどり着いたのが、
 週に2話のこのマガジン形式であります。
 55号と1年を超える長きにわたるお付き合いとなります。
 途中至らない点も多々あると思いますが、
 何卒広い心で見守っていただけるようお願い申し上げます。
                   ヤピゴスティーニ代表 やっぴー{/netabare}

 第一話「永遠の夜の中で」
 {netabare}実質的にアスターテ会戦前半。
 絵もキャラデザも古さは否めない。
 そこは目をつぶろう。
 それを言い出したら視聴できなくなる。
 そこで、私の銀河英雄伝説歴について語ろう。
 原作は5回は通読しているはず。
 アニメ版は何度か視聴を試みて断念している。
 もちろん魔術師ヤン・ウェンリー派であった。
 SFというよりは戦記物と捉えるべき作品であろう。
 私としても、三国志を読むのと似た感触で読んでいたような記憶がある。
 友人の中には「未来の話なのに帝国で専制君主制なんて・・・」と受け付けない人間もいた。
 専制君主制・・・いつ復活してもおかしくないと思いますがねw{/netabare}

 第二話「アスターテ会戦」
 {netabare}ヤン・ウェンリーの面目躍如。
 彼の出世の決定的な要因となる。
 敗戦ゆえに英雄が必要・・・とはいつの世も変わらぬもの。
 負けても大勝利の同盟政府には大衆衆愚政治の臭いがプンプンです。
 流石に全110話。
 話の進みが遅いです。
 ら、来週も頑張るぞ!{/netabare}

 第三話「第十三艦隊誕生」
 {netabare}自由惑星同盟の国歌・・・
 わざわざ作曲したんでしょうね。
 歌詞は何語だったんでしょう?
 それにしてもマーラー多用されてますね。
 憂国騎士団恐すぎw
 やる事も過激すぎ!
 女でも殴っちゃうんですか!
 第十三艦隊誕生っということで、
 イゼルローン要塞攻略前夜ってとこですかね。{/netabare}

 第四話「帝国の残照」
 {netabare}「ジーク、弟と仲良くしてやってね。」
 ジークフリード・キルヒアイスの運命はこの一言で決まってしまった。
 ラインハルトへの友情が偽りだとは言わない。
 しかし、髪を撫でられながら聞いたアンネローゼの言葉は、
 彼にとって、
 女神の神託にも等しいものであった。
 ラインハルトのシスコンぶりも尋常ではないが、
 キルヒアイスの一途さもこれまた尋常ではない。
 これは、もはや、愛をこえている?
 これは、もはや、信仰?{/netabare}

 第五話「カストロプ動乱」
 {netabare}古代ギリシャ風?
 古代ギリシャは西洋文明のいわば理想だが、
 現代のギリシャは完全にヨーロッパのお荷物・・・
 どうなる?EU。
 デフォルトしちゃうの?
 ・・・話が逸れた。
 キルヒアイスはローエングラム伯の腰巾着ではない。
 ということをラインハルトとアンネローゼ以外の人間に知らしめた一件。
 キルヒアイスの胸中がどうであれ、
 権力を持つ者は勝手な思惑を抱く。
 彼には他の選択肢はありえないのだが・・・{/netabare}

 第六話「薔薇の騎士」
 {netabare}帝国側(ラインハルト)と同盟側(ヤン)を交互に描く、
 というのがこの作品の基本的な流れなんだけど、
 ラインハルト → 堅苦しい
 ヤン     → 気楽
 って印象を受ける。
 これは中心人物のキャラクターに負うところが大きい。
 ヤンの気負わない性格、
 少なくとも気負っていないように見せかける態度が、
 なんとなしに温かみのある集団を形成しているように感じられる。
 それはそうと、
 いよいよイゼルローン要塞の攻略戦。
 戦(いくさ)と言っていいのかどうか・・・
 どんな素晴らしいハードもそれを扱う人間しだい・・・
 いつの世も変わらぬ真実ですね。{/netabare}

 第七話「イゼルローン攻略!」
 {netabare}イゼルローン要塞攻略戦の目的とは、
 自明のことかもしれないが、
 イゼルローン要塞を奪取することである。
 つまり、攻略戦後も要塞として機能するように占領することである。
 だから、シェーンコップは白兵戦に訴えてまで制圧する必要があった。
 もし、攻略戦の目的がイゼルローン要塞の破壊若しくは無力化であったならば、
 もっと手っ取り早い方法を採ることもできた(中枢施設の破壊など)。
 仮に、もし仮に、イゼルローン要塞を破壊していれば、
 その後の情勢はどうなったであろうか?
 ヤンは、同盟の政治家の野心を見誤った。
 味方の血を一滴も流さずにイゼルローンを攻略したことにより蔓延した高揚感、
 その力を過小評価していたのかもしれない。{/netabare}

 第八話「冷徹なる義眼」
 {netabare}ラインハルト陣営において影の部分を一身に背負う男オーベルシュタイン(影ならロイエンタールにもあるか・・・ならば、闇?)。
 ラインハルトとキルヒアイスが二人の内に秘めてきた野望、
 夢物語に過ぎなかったその野望が、
 いよいよ手の届くところまで近づいてきたその時に、
 野望の成就に必要な最後のピースとして陣営に加わった男、
 それがオーベルシュタイン。
 いや、必要性なら・・・不可欠ではなかった。
 おそらく、オーベルシュタインがいなくても野望は成就した。
 少し遠回りをし、少し余計に血が流れたかもしれないが。
 彼は、そこへの最短ルートを突き進むために必要なピースだったのだ。
 汚れ仕事をできる人間は必要である。
 だが、進んで汚れ仕事を作るような人間は必要なのだろうか?{/netabare}

 第九話「クロプシュトック事件」
 {netabare}陰謀渦巻く帝国の中枢と
 その中枢に巣くうモノ達による華やかな宴。
 華やかな宴は一瞬にして地獄絵図と化す。
 戦場で行われない戦い、
 それこそがラインハルトに立塞がる大きな壁なのかもしれない。{/netabare}

 第十話「ジェシカの戦い」
 {netabare}ヤン・・・ファーストクラスにぐらい乗せてもらえよ。
 ダンスができるとモテるというのは真説なのだろうか?
 甘酸っぱい思い出・・・
 もしかしたら・・・
 あるいは・・・
 違っていたかもしれない未来。
 その積み重ねが人生なのかもしれない。{/netabare}

 第十一話「女優退場」
 {netabare}愛憎と陰謀が複雑に絡み合う帝国の宮廷。
 人の心は移ろいやすい。
 ましてや皇帝の寵愛の行方など・・・
 一度口にした栄光の味は忘れがたく、
 それを一時の夢と諦めるには後味が強すぎる。
 さらば儚い夢よ・・・{/netabare}

 第十二話「帝国領進攻」
 {netabare}民主主義の自己矛盾。
 民主主義という崇高な理念も運用次第である。
 民主主義は万能の政治体制ではない。
 むしろ欠陥だらけの政治体制である。
 ほんの少し気を緩めれば、
 アテネ以来の衆愚政治へと堕する。
 信仰は神にのみ捧げればよい。
 人の手になる思想を信仰してはならない。
 思想は信仰の対象となった時から衰退への道をゆく。
 それは考え、疑い、検証し続けねばならないものである。
 所詮、人が作り出したものなのだから。{/netabare}

 第十三話「愁雨来たりなば・・・」
 {netabare}最も合理的・効率的な方法が最善手?
 それは、時として最も冷酷な策と成り得る。
 頭ではその合理性・効率性を認めながらも
 情のほうでは割り切れていない。
 ラインハルトの冷徹な理性の象徴がオーベルシュタインならば、
 ラインハルトの優しい心根の象徴がキルヒアイスなのかもしれない。
 机上では簡単に思える作戦も
 現地で実行にあたる者にとっては容易なものではない。
 それをそつなくやってのけたケスラーもまた有能な指揮官である。{/netabare}

 第十四話「辺境の解放」
 {netabare}解放軍・・・
 なんと甘美な響きであろうか。
 餓えの前にはどんな思想も理想も無力である。
 ラインハルト達がワイングラスを割るシーン、
 これが、あの有名な!
 えっ?
 白ワインなの?
 てっきり赤ワインだと思ってたよ・・・{/netabare}

 第十五話「アムリッツァ星域会戦」
 {netabare}大規模な艦隊戦・・・テンション上がるわ~。
 惜しくらむは平面的なところであろうか。
 せっかくの宇宙空間での艦隊戦なのだ、
 もう少し立体的に描かれてもいいのではないか。
 戦闘艇(ワルキューレ及びスパルタニアン)の動きは流石に立体的であったが。
 旗艦における戦術モニターも2次元で表現されており、
 ここも何とか3次元的な表現にできなかったものかと。{/netabare}

 第十六話「新たなる潮流」
 {netabare}画竜点睛を欠く・・・
 まさに最後の点を打つその瞬間を邪魔される。
 そんな思いであろう。
 オーベルシュタインはシステムに拘り過ぎる。
 如何にラインハルトと言えども一人の人間である。
 本当に腹を割って話せる相手、文字通り「腹心」も必要である。
 他の誰に、怒れるラインハルトを諌めることができようか。
 流れを速める歴史の潮流。
 その流れは何をどこへ運ぶのだろうか?{/netabare}

 第十七話「嵐の前」
 {netabare}おお!これが「3次元チェス」!!
 う~ん、2次元チェス盤が縦に3層になっている?
 上・中・下に駒がある・・・たぶんそれぞれの層間で移動可能なのかな?
 ヤンはつくづく戦略家だな。
 相手の意図、味方の対応、全て見通したうえで・・・何もできない。
 ヤンとキルヒアイスの邂逅!・・・邂逅ではなく、宿命?
 ああ、ラインハルトとヤンが味方同士であったなら・・・
 このような叙事詩は生まれなかった。{/netabare}

 第十八話「リップシュタットの密約」
 {netabare}ヒルダ登場。
 なんと理解のある父親・・・かつ、当主。
 ラインハルトの人となりを読み切ったうえでの率直な物言い?
 本当に大胆な女だ。
 そんなヒルダにラインハルトは人として興味を抱いた。
 電光石火の首都制圧劇。
 この内乱は、ラインハルトの栄達を速めただけであった。{/netabare}

 第十九話「ヤン艦隊出動」
 {netabare}完全にラインハルトの掌の上。
 完全にヤンの予見した通りに。 
 シェーンコップの扇動をのらりくらりと躱すヤン。
 ヤンは知っている。
 シェーンコップの指摘は正鵠を射ていることを。
 自分にはその全てを実現する能力が備わっていることを。
 ただ彼はそんなことを「やりたくない」のだ。
 社会の幸福と自分の幸福、
 選べるとしたらどちらを選べばいいだろう?{/netabare}

 第二十話「流血の宇宙」
 {netabare}メルカッツ提督も大変ですな。
 外の敵と戦う前に内の敵を黙らせないといけないとは。
 オフレッサー上級大将、個人の武力も侮れませんな。
 それ以上に侮れないのが、オーベルシュタイン。
 疑心暗鬼を煽らせたら天下一品。
 おそらく、オーベルシュタインのために割かれた一話であろう。
 彼の凄さは映像では伝わりにくい。{/netabare}

 第二十一話「ドーリア星域会戦、そして・・・」
 {netabare}指揮官の演説を対比させておいて、戦闘開始。
 ベートーベン交響曲7番第三楽章の軽妙なリズムに乗せて繰り広げられる艦隊戦。
 凝り固まった信念に殉じるための玉砕。
 無慈悲な理想は生贄の血を求め続ける。
 崩壊への坂を転げ始めた救国軍事会議。
 手懐けたいなら「パンとサーカス」を与え続けること、
 暴力で抑えたいなら徹底的に恐怖を植え付けること、
 どちらも出来ないのなら、
 こうなるしかない。{/netabare}

 第二十二話「勇気と忠誠」
 {netabare}ラインハルトに比肩する戦略眼・用兵術、
 ラインハルトを上回る平常心・包容力、
 ラインハルトに遠く及ばない野心と求心力、
 そんなキルヒアイスの全てが描画されるガルミッシュ攻略戦。
 
 手玉に取られるブラウンシュバイク公。
 もとより能力において遠く及ばないのは言うに及ばず、
 その能力不足を補うための人材、メルカッツを使いこなすこともできない。
 戦いの趨勢は決した。{/netabare}

 第二十三話「黄金樹は倒れた」
 {netabare}オーベルシュタインの策は・・・
 最も鮮やかで最も効果的な喧伝効果をもたらし・・・
 戦役の終結を早めることに貢献した・・・
 オーベルシュタインはラインハルトを試している。
 ラインハルトは自分が理想とする君主たりえるのか?
 無辜の人々の屍の上に帝国を築く覚悟があるのか?
 
 メルカッツの矜持・・・
 ゴールデンバウムに殉じる機会を失ったが、
 それがヤン・ウェンリーとの邂逅を生むというのなら・・・

 醜く死んだブラウンシュバイク、
 しかし、彼の部下の執念たるや・・・ {/netabare}

 第二十四話「誰がための勝利」
 {netabare}ヤン・ウェンリーの見事すぎる手腕。
 アルテミスの首飾りの有用性を完全否定するかのような破壊ぶり。
 これじゃ「アルテミスの首飾り」がどう凄いのか全然わからないよw
 それに引き替え、フレデリカへの不器用な振る舞い。
 上司と部下の一線を越えてやればいいのに・・・
 でも、そこがいいのか。
 
 イゼルローンを無力化する最善手、
 それに気づきながら、やはり、手を打てないヤン。
 彼はそれに対応できる立場にないのだから。 {/netabare}

 第二十五話「運命の前日」
 {netabare}上官と部下という形式を装った親友としての関係は終わってしまった。
 元親友という過去のある上官と部下の関係がこれから始まる。
 組織にNO.2は必要ない。
 必要がなければいいんだけどね・・・
 NO.2がいない組織・・・後継者候補が並び立つ組織・・・
 NO.1が倒れたらどうする?
 ああ、銃を預けたらアカンて・・・
 あの日のことを思い出したらアカンて・・・
 過ぎ去りし美しき思い出に浸ったらアカンて・・・
 ・・・ほら、運命がそこに。{/netabare}

 第二十六話「さらば、遠き日」
 {netabare}人一人の命は、200万の人民の命より重い。
 200万の人命を尊い犠牲と断じることが出来ても、
 キルヒアイス一人の死を受け入れることができない。
 それが、人の性(さが)である。
 
 見逃してはいけない。
 アンスバッハの凶弾に即座に対応できたのは唯二人、
 アンスバッハに向かっていったキルヒアイスと
 ラインハルトの盾になろうとしたオーベルシュタイン。
 水と油のような二人だが、
 ラインハルトの希少性を認識しているのも二人のみ。
 一人は親友として、女神にたてた宣誓を全うすべき存在として、
 一人は主君として、自身の理想を実現できる唯一絶対の存在として。

 キルヒアイスを失ってなお飛び続けねばならないラインハルト。
 誰のために、どこへ向かって飛ぼうというのか?{/netabare}

 第二十七話「初陣」
 {netabare}OP変更
 新体制となった帝国。
 ラインハルトの下着々と進む改革。
 相も変わらずの同盟。
 最前線から古参兵を引き抜き新兵を充てる体たらく。
 そんな中起きてしまった遭遇戦。
 どうにかこうにか味方の損害を最小限にとどめることができたアッテンボロー。
 唯一の明るいニュースはユリアン・ミンツの生還とその華々しい戦果。
 彼は知ることとなった、一兵卒として戦闘に参加したことによって。
 戦争の最前線で散る多くの命を。
 一隻の艦艇の損失は、数千の人命の損失であるということを。
 EDも変更。{/netabare}

 第二十八話「肖像」
 {netabare}明かされる疾風ウォルフの半生
 運命の女性との出会い
 ロイエンタールとの邂逅
 運命の女と結ばれるという幸福
 子宝に恵まれないという小さな小さな棘
 
 語られる金銀妖瞳ロイエンタールの過去
 親友にのみ伝えられた不幸な生い立ち
 それ故なのか繰り返される漁色行為
 
 暗躍するフェザーン
 再び動き出した銀河の歴史
 立止ること自らに許さないランハルトの下
 加速度的に増していく歴史の奔流が全てを押し流してゆく{/netabare}
 
 第二十九話「細い一本の糸」
 {netabare}地球教。
 フェザーン。
 同盟の首脳陣。
 ゴールデンバウムの残存勢力。
 それぞれの思惑が錯綜する銀河。
 
 ヤンとの出会い、
 日々の家事、 
 自分自身の昇進、
 ユリアンの充実した生活。
 束の間の安寧に身を委ねる銀河。{/netabare}

 第三十話「失われたもの」
 {netabare}失われて初めてわかる、
 そのものの質量。
 ラインハルトはあまりに苛烈に眩く煌めく。
 常人には見ることすらできない程に。
 彼を仰ぎ見ることができるのはほんの一握りの特別な目を持った者だけである。
 その輝きを優しく和らげることができたのは、
 キルヒアイスだけであった。
 ラインハルトは孤高の存在となった。
 オーベルシュタインが望んだように。
 だが、あまりに苛烈に光り輝くが故に、
 誰も近づけない存在になってしまった。
 オーベルシュタインのような盲いた人間を除いて。
 
 渇きを癒すため、
 冷えた心を暖めるため、
 彼は戦い続ける。{/netabare}

 第三十一話「査問会」
 {netabare}冴えわたるヤンの洞察力。
 あれだけの材料からかくも見事に見通すとは。
 あくまで可能性としての言及とはいえ、
 フェザーンの後ろいる闇の蠢動をさえ捉えるとは。
 しかし、悲しいかな。
 彼にはその可能性に備えるすべがない。
 
 査問会・・・
 時間の空費の絵巻物。
 ヤンよ、嘆くなかれ。
 もうすぐガイエスブルグ要塞が君を迎えに来るのだから。{/netabare}
 
 第三十二話「武器なき戦い」
 {netabare}出し損ねた辞表。
 もう出す機会のない辞表。
 
 沈みかけの船の上で繰り広げれる喜劇。
 あまりの滑稽さに悲壮感さえ漂う。
 この船は、もう修復不能な穴が開いている。
 誰もがうすうす感ずいている。
 でも、もう舞台から降りるには遅すぎる。
 船が沈むその時まで狂った喜劇の舞台は続く。{/netabare}

 第三十三話「要塞 対 要塞」
 {netabare}後手に回るイゼルローン。
 それでも持ちこたえるイゼルローン。
 対症療法は延命にはなるが根治は難しい。
 だが延命で良いのだ。
 ヤンという特効薬が届くまで生き長らえればいいのだ。
 
 やはり、ケンプは器ではなかった。
 疾風ウォルフや金銀妖瞳に比肩するほどの器ではなかった。
 彼は、功を焦り過ぎた。{/netabare}

 第三十四話「帰還」
 {netabare}戦略目的は・・・
 イゼルローン回廊の掌握であって、
 イゼルローン要塞の奪取ではない。
 そうであれば、採るべき手段は・・・ 
 二人の天才は最初からそのことを解っていた。
 
 ユリアンの軍事的才能の初めての開花。
 生まれ持っての才能と英才教育のなせる業か。
 
 ミューラーの演説にこそ指揮官の武人の責任感をみた!{/netabare}

 第三十五話「決意と野心と」
 {netabare}未だ、彼が心を許せるのはキルヒアイスのみ。
 死してなお、
 いや、
 死したからこそ、ラインハルトの拠るべき絶対的な指針となり得た。
 
 この世でラインハルト・フォン・ローエングラムを
 人ととして、一人の若者として心配しているのは、
 アンネローゼとヒルダのみ。
 アンネローゼがキルヒアイスの死と共に隠遁してしまった今、
 彼の傍で彼の為に動いてやれる人物はヒルダだけである。
 愛?
 広い意味での愛であろう。
 互いに互いの能力・見識に敬意を払い、
 得難い話し相手として尊敬し合っている。
 そんな関係を「愛」と呼んでいいなら、
 愛し合っているとさえ言っても良いであろう。
 
 ペンは剣よりも強し。
 時間のレンジを数百年・数千年の単位で捉えるならば、
 そうであろう。
 しかし、時間のレンジを数時間・数日の単位で捉えるならば、
 糞の役にも立たん!
 今ここにある困難を打破するには、
 剣を持たねばならないことも覚悟する必要がある。{/netabare}

 第三十六話「雷鳴」
 {netabare}蠢動する陰謀。
 放っておいても勝手に進む歴史の流れを
 無理に最短ルートへと流れを歪ます行為に過ぎない。
 しかし、歪もうが歪まなかろうが、水が低きに流れるは必定。
 必定の流れに堂々と乗るラインハルト。
 彼の前では小賢しい策など何の意味も持たぬ。

 ヒルダのラインハルトを思いやる心によって
 冷え固まった心をようやく融解させたアンネローゼ。
 彼女もまた、自分を責めていたのだ。{/netabare}

 第三十七話「幼帝誘拐」
 {netabare}オーベルシュタイン・・・
 細かいところまで調べ上げてある。
 次の次の次の打ち手まで考慮しているのだろう。
 信賞必罰は秩序維持の要であるが・・・
 起こるべくして起こった事件の責任を負わねばならないとは。
 敵だけではなく、味方の血をも流さずにはおかないそのやり方。
 ラインハルトが生き急ぐのはわかる。
 だが、オーベルシュタインはなぜそこまで性急なのか?
 なにが彼を駆り立てるのだろう?{/netabare}

 第三十八話「矢は放たれた」
 {netabare}相変わらず冴えわたるヤンの洞察。
 相変わらずヤンを焚き付けるシェーンコップ。
 守護神としてその存在を絶対視されるイゼルローン要塞。
 この要塞がある限り、領内に侵攻されることはない!
 との信仰の対象とさえなっている。
 ・・・本当にそうなのか?
 ヤンは気付いている。
 イゼルローン要塞を無力化する方法に。
 だが、それを阻止する手立てを持たないヤンにとっては、
 その暗澹たる未来図が実現されないことを望むよりほかはない。{/netabare}
 
 第三十九話「ひとつの旅立ち」
 {netabare}ヤンの薫陶を受けるユリアン。
 というよりユリアンに薫陶を与えることに喜びを見出すヤン。
 いや、ヤンだけではない。
 ポプランが、シェーンコップが、アッテンボローが、果てはムライまでがユリアンに薫陶を与えたがっている。
 ムライが言うように、これはユリアンの美質なのだろう。
 年長者から愛される資質、
 これも得難い資質のひとつである。{/netabare}

 第四十話「ユリアンの旅・人類の旅」
 {netabare}あ、あう・・・フロッピーはないやろ・・・
 衆愚政治・・・若き英雄・・・専制政治・・・恐怖政治・・・
 架空とはいえ「歴史は繰り返す」そのものである。
 人類は進化しない。
 進化するのはテクノロジーのみである。
 だから、人の営みは変わらない。
 トロイの木馬の神話の時代から何も変わりはしない。{/netabare}

 

 
 


 
 


 

 


 
 


 
 

 
 
 
 
  
 

 
 

 


 

 
 



 
 

 

 
  
 

  

  
 
 
  
 
 
 
 

 
 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 30
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

絶賛する程ではないが、一定の政治哲学的な考察内容を含む点は評価したい《英雄一代記》

これまで色々視聴してきた『機動戦士ガンダムシリーズ』は、確かに多彩な要素を含む《メカ系バトル&エンタメ作品》として大いに楽しめたのですが、その一方で、初代→Zや、SEED→SEED DESTINYといった同シリーズの中でも大作&有名作に顕著な傾向として、

①如何にも「戦争と平和」或いは「望ましい政治のあり方」といった政治的/思想的大問題を描き出す「ふり」をしつつも、
②実際のところは、そうしたテーマの分析に必要不可欠な緻密な論理的考察を積み重ねることなく、専ら感情論的・情緒的に戦争や政治に関わる人々の悲劇性を謳い上げる「戦争文学」「戦争叙事詩」的な内容に終始していること

に少しばかり失望して、もう少し「政治哲学」的な考察内容を含んだアニメ作品がないものか検討してみたところ、そうした分野での有名作として本作が目に留まったので、この機会に手を出してみました(※制作順に劇場版+本伝を完走。外伝は一部のみ視聴)。

※以下、本作と部分的に類似した内容をもつ大作『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』『コードギアスR1-2』にも言及つつ本作を考察していきます。

◆総評

本作は、視点の置き方により、次の3階層で楽しめる作品となっていると考えます。

(1) 頭脳バトルもの(ないし戦術・戦略もの)として
(2) 英雄一代記(※好敵手の外伝的内容を含む)として
(3) 政治体制や戦争と平和についての政治哲学的考究ものとして

◇まず、 (1) 頭脳バトルもの(戦術・戦略もの)として
{netabare}
戦闘シーンについて言うと本作って、敵味方双方の軍艦が直接砲撃を交わして雌雄を決する「大艦巨砲時代のバトル・スタイル」(つまり、日清戦争の黄海海戦・日露戦争の日本海海戦や、英独艦隊のユトランド沖海戦(WWI)、ライン演習作戦(WWII)当時のバトル・スタイル)なんですね。
その点では、ガンダム・シリーズその他の宇宙/地球圏バトルものの主流が、索敵活動ののち戦闘機・爆撃機なり機動兵器(Mobile Suits等のロボット)なりを出撃させて雌雄を決する「空母機動部隊同士のバトル・スタイル」(WWIIのThe Pacific Campaign(日米艦隊のいわゆる太平洋戦役)以降のバトル・スタイル)となっていること、との戦闘スタイルの違いが気になりました。
この点について、本作にも一定の見所はあったと思いますが、ガンダムシリーズなど他の有名作品に比べると、本作に格段に高く評価できるほどの要素はなかったと考えます。{/netabare}


◇次に、 (2) 英雄一代記(※好敵手の自由市民の外伝的内容をも含む)として
{netabare}
『コードギアス』の主人公ルルーシュは最愛の妹ナナリーの幸福のために戦うのですが、本作の主人公ラインハルトは最愛の姉を取り戻すために戦います(少なくとも序盤では)。
あるいは、『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』の英雄シャアは父ジオン・ダイクンから実権を奪ったザビ家への復讐を心に秘めて戦うのですが、本作のラインハルトも下級貴族である自分や姉を卑しむ皇族や上級貴族達への強い復讐心を秘めて戦います。
そうした強烈でネガティヴな感情を動機として果敢に行動する、いわゆる「ダークヒーロー」の「一代記」として、本作には『コードギアス』や『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』に匹敵する大きな魅力があると思いました。
それに加えて、『コードギアス』にはスザク、また『機動戦士ガンダム』にはアムロという、ダークヒーローの活躍を妨害する好敵手が存在したように、本作でも、ヤン・ウェンリーという、ラインハルトの野望を妨害する軍事的天才の活躍が描かれており、物語に厚みを加えている点も高く評価できると思いました。{/netabare}


◇最後に、 (3) 政治体制や戦争と平和についての政治哲学的考究ものとして
{netabare}
この点は、『機動戦士ガンダム』や『コードギアス』にはない、本作ならではの視点であり、本作を絶賛される方が多いのも、この点に反応してのことと考えます。
但し、本サイトで幾つかのレビューを拝読した限りでは、「本作の何が/どう凄いと思ったのか?」ということを明瞭に述べているものは皆無なように見受けられたので、その点について若干の考察を加えたいと思います。{/netabare}


◆本作の結末についての考察(重要)

本作の展開を簡潔に書き出すと

{netabare}(1) 専制君主政国家(銀河帝国)と、民主共和政国家(自由惑星同盟)の間に長期にわたる不毛な戦争が続いている。
(2) あるとき専制君主政国家の側にラインハルトという一代の英傑が現れて、皇帝位簒奪を狙うとともに、宇宙統一の野望を果たすべく民主共和政国家への攻勢を強める。
(3) これに対して民主共和政国家の側にはヤン・ウェンリーという天才軍師が現れてラインハルトの野望を妨害するが、民主共和政の宿痾であるデマゴギーの蔓延により自由惑星同盟は衆愚政治に堕落し、やがて崩壊して銀河帝国に併呑されてしまう。
(4) 宇宙を統一した銀河帝国では新皇帝ラインハルトの没後、体制の安定化のために専制君主政国家から立憲君主政国家への脱皮が図られる。{/netabare}

・・・ということで、本作は、アニメ作品に限らず、戦争もの/政治ドラマ仕立ての作品によくあるような「民主主義万歳!」「革命万歳!」「独裁者を倒せ!」etc.といった安直な内容にはなっておらず、逆に、

<1> デモクラシー(democracy、正確に訳すと「民主制」「民主政治」であり「民主主義」は誤訳)は、デマゴギーの蔓延によってモボクラシー(mobocracy、衆愚制・衆愚政治)に堕落する危険性を常に孕んでいること、
<2> 堕落した衆愚政治に支配された民主政国家は、英邁・有能な独裁者をいただく専制君主政国家に政治的・軍事的に劣後し敗北する結果を招きかねないこと、

を、長編アニメという作品媒体を通して、首尾一貫した構成の下に確りと描き出していることについては、やはり原作者/アニメ制作者はなかなかの見識をお持ちである、と素直に賞賛したと思います。

但し、本作に描かれたような展開と結末は、実は政治学(政治哲学を含む)をある程度真面目に学んだ者には常識に属するものであり、

[1] それをわざわざ、本伝110話+劇場版3作も掛けて描くほどのものではないように思われる上(※それだけの時間があれば、政治哲学の有名著作を何冊か読んだほうがマシだと個人的には思います)、
[2] アニメしか見ない層の場合は、せっかく本作を見終わっても「よく分からないけれど何やら政治に関して高級な薀蓄(うんちく)が色々と披露されているみたいで、とにかく凄かった」程度の感想しか残らないもの、と推測され、

・・・そういう意味で、本作を、「頭脳バトルもの+英雄一代記」 というエンタメ作品としての評価に加えて、「政治体制や戦争&平和の関係」についての政治哲学的作品として絶賛するには、個人的には足踏みしてしまう結果となりました


◆シリーズ別評価(外伝は除く)

(1) 劇場版 わが征くは星の大海 (1988年2月)  ★ 4.0
(2) 本伝  第1期 (1988年12月-1989年6月) ☆ 3.7
(3) 本伝  第2期 (1991年6月-1992年2月) ★ 4.0 
(4) 劇場版 黄金の翼 (1992年12月) ☆ 3.7
(5) 劇場版 新たなる戦いの序曲 (1993年12月) × 3.4 ※後半が本伝1-2話の使い回し
(6) 本伝  第3期 (1994年7月-1995年2月) ☆ 3.8
(7) 本伝  第4期 (1996年9月-1997年3月) ☆ 3.5
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本伝・劇場版を併せた総合評価       ☆ 3.8

※上記の理由のとおり、本作の作品テーマ自体はそれなりに評価するものの、その冗長さがマイナスとなって、全体評価は ☆ 3.8 と程々の点数に留めました。
(それでも『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』の平均点 ☆ 3.7 より少し上です)。


◆各話タイトル&評価(本伝+劇場版)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

{netabare}======= 劇場版 銀河英雄伝説 「わが征くは星の大海」 (1988年2月) =======

全1話 (60分) ★ 4.0 {netabare}惑星レグニツァの戦い、第4次ティアマト会戦 ※ラインハルト&ヤンの両者が印象的に描かれており導入編として中々の出来{/netabare}


====== 銀河英雄伝説 本伝 第1期 (全26話) (1988年12月-1989年6月) =====

{netabare}第1話 永遠の夜の中で ☆ アスターテ会戦開始、包囲殲滅か各個撃破か
第2話 アスターテ会戦 ☆ 続き、ジャン・ロベール少佐戦死、ヤン准将への電文
第3話 第十三艦隊誕生 ★ 自由惑星同盟の実情、憂国騎士団、ヤン少将昇進 
第4話 帝国の残照 ★ ラインハルト姉弟とキルヒアイスの出遭い(過去回想)
第5話 カストロプ動乱 ☆ ラインハルト元帥府、キルヒアイス中将昇進
第6話 薔薇の騎士 ☆
第7話 イゼルローン攻略! × ※展開が都合良すぎる
第8話 冷徹なる義眼 ★ ラインハルトの野心、策士オーベルシュタイン帰参
第9話 クロプシュトック事件 ☆ 銀河帝国の内情(ブラウンシュバイク公爵邸爆破事件) 
第10話 ジェシカの戦い ☆ 自由惑星同盟の内情(英雄ヤンを利用した選挙謀略)
第11話 女優退場 ☆ 銀河帝国の内情(皇帝の寵愛を巡る陰謀)
第12話 帝国領進攻 ☆ 自由惑星同盟の内情(選挙目当ての大規模軍事作戦決定)
第13話 愁雨来たりなば… ☆ 帝国軍の撤退・焦土作戦(オーベルシュタイン立案) 
第14話 辺境の解放 ★ 輸送艦隊全滅・同盟軍解放地での暴動発生 ※脚本は面白いが作画・演出は粗雑
第15話 アムリッツァ星域会戦 ☆ キルヒアイスの指揮の冴え、同盟軍派遣艦隊壊滅
第16話 新たなる潮流 ★ 同盟・帝国それぞれの政変 ※地球教大主教登場は唐突×
第17話 嵐の前 ☆ イゼルローン司令官ヤン、捕虜交換交渉、ヤン-キルヒアイス会談
第18話 リップシュタットの密約 ☆ 帝国内の不平貴族とライハルト派の対立、帝国内乱勃発 
第19話 ヤン艦隊出動 ☆ 同盟のクーデター(救国軍事会議、グリーンヒル大将) 
第20話 流血の宇宙(そら) ☆ オフレッサ上級大将の奮戦・釈放後殺害
第21話 ドーリア星域会戦、そして…  ☆ 救国軍事会議軍艦隊の大敗、同盟首都の民衆暴動
第22話 勇気と忠誠 ☆ ガルミッシュ要塞陥落、貴族連合の退勢
第23話 黄金樹(ゴールデンバウム)は倒れた ☆ 惑星ヴェスターランドの虐殺、貴族連合の崩壊
第24話 誰がための勝利 ☆ 自由惑星同盟の内乱終結
第25話 運命の前日 ★ ラインハルトを取り巻く軍人たちの心模様
第26話 さらば、遠き日 ★ キルヒアイス殉職、ラインハルトの政権掌握、覇者の覚悟{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)7、☆(並回)18、×(疑問回)1 個人評価 ☆ 3.7


====== 銀河英雄伝説 本伝 第2期 (全28話) (1991年6月-1992年2月) =====

{netabare}第27話 初陣 ☆ ユリアン出撃、フェザーン自治領の方針変更
第28話 肖像 ☆ 帝国軍の双璧ミッターマイヤー&ローエンタール両上級大将の素性
第29話 細い一本の糸 ☆ フェザーンの思惑と地球教
第30話 失われたもの ☆  同盟政府のヤン首都召還、フェザーンのシューマッハ他軍人招致
第31話 査問会 ★ ヤンの現状認識(ラインハルトとの共存可能性、フェザーン策動の影)、ガイエスブルグ要塞出現
第32話 武器なき戦い ★ ヤンへのイゼルローン防衛命令、ヤン帰還までの時間稼ぎ 
第33話 要塞対要塞 ★ イゼルローン要塞の危機、客将メルカッツ元帝国軍提督の参戦・戦線膠着
第34話 帰還 ★ イゼルローン守備艦隊&ヤン救援艦隊の挟撃作戦、帝国ケンプ艦隊壊滅
第35話 決意と野心と ☆ ※ライハルトが「マキャベズム」の権化となる危険の指摘 
第36話 雷鳴 ☆ フェザーンの策動とラインハルトの追及、アンネ・ローゼとヒルダの面
第37話 幼帝誘拐 ☆
第38話 矢は放たれた ☆ 幼帝のフェザーン経由の同盟亡命、同盟政府の政治宣伝、宣戦布告
第39話 ひとつの旅立ち ☆ ユリアンのファザーン自治領駐在武官任命 
第40話 ユリアンの旅・人類の旅 ☆ 帝国/同盟/フェザーンの成立事情 ※民主共和制から衆愚政治さらに独裁制の成立の説明もあるが内容イマイチ
第41話 作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』 ☆ 帝国軍の国民軍化・フェザーン回廊通過作戦
第42話 鎮魂曲(レクイエム)への招待 ☆ ユリアンのフェザーン到着、フェザーン内部の波乱の芽、陽動作戦開始
第43話 ギャラルホルンは鳴った ★ イゼルロール方面の戦い(ヤンvs.ロイエンタール)
第44話 フェザーン占領 ★ 帝国軍侵攻、ミッターマイヤーの綱紀厳正化、ライハンルト進駐
第45話 寒波至る ☆ 同盟政府・市民・諸組織の動揺、帝国軍の同盟支配宙域侵攻開始
第46話 ヤン提督の箱舟隊 ☆ イゼルローン要塞撤退作戦、ロイエンタールの要塞奪還
第47話 自由の宇宙(そら)を求めて ☆ ユリアンのフェザーン脱出
第48話 双頭の蛇〜ランテマリオの決戦〜 ★ ビュコックvs.ミッターマイヤー、同盟軍艦隊撤退・ヤン艦隊合流、ユリアン合流
第49話 闇が深くなるのは… ☆ ヤン元帥昇進と同盟政府・市民・報道からの戦勝圧力、唯一の勝機
第50話 連戦 ☆ 帝国軍補給線寸断作戦、ラインハルト本隊出撃
第51話 バーミリオンの死闘(前編) ★★ ヤン結婚申込、ヤンvs.ラインハルト直接対決 ※唐突なグロ描写は×
第52話 バーミリオンの死闘(後編) ★ 続き、ラインハルト旗艦包囲、ミュラー艦隊の救援
第53話 急転 ★ 同盟政府の停戦命令(帝国の双璧の同盟首都進駐・同盟政府降伏(バーラトの和約)・地球教徒暗躍)、ヤンの受諾、勝利を譲られたラインハルト
第54話 皇帝ばんざい!(ジーク・カイザー) ★ ヤンとラインハルトの対面、占領統治開始、皇帝即位{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)10、☆(並回)17、×(疑問回)0 個人評価 ★ 4.0


========= 劇場版 銀河英雄伝説 外伝 「黄金の翼」 (1992年12月) ========

全1話 (約60分) ☆ 3.7 {netabare}※ラインハルトの幼少期より16歳での駆逐艦司令官着任・第5次イゼルローン要塞攻防戦までを描く。ヤン・ウェンリ-も登場。{/netabare} 


====== 劇場版 銀河英雄伝説 「新たなる戦いの序曲」 (1993年12月) ======

全1話 (約90分) × 3.4 {netabare}※ラインハルト(20歳)のローエングラム伯綬爵からアスターテ会戦、さらに元帥昇進までを描く。なお後半は本伝1-2話と同じ話であり、その使い回しシーンが多い。{/netabare}


====== 銀河英雄伝説 本伝 第3期 (全32話) (1994年7月-1995年2月) =====

{netabare}第55話 儀式から再び幕は上がり… ☆ ライハルト即位祝典、ヤン結婚式、ユリアンの旅立ち
第56話 地球へ ☆ 宇宙史解説回(地球の宇宙開拓・圧制・シリウスの宇宙覇権・銀河連邦成立・地球の没落)
第57話 キュンメル事件  ★ 皇帝暗殺未遂(ハインリッヒ)、地球教徒取り調べ、地球征討軍派兵
第58話 訪問者 ☆ ユリアンの地球教団本部潜入 ※この辺りの展開はマンネリ気味
第59話 過去と現在と未来と ☆ 銀河帝国歴代皇帝の黒歴史、年金生活中のヤン監視
第60話 魔術師捕らわる ☆ メルカッツ艦隊の同盟軍廃棄艦隊接収、ヤン不当逮捕
第61話 歌劇(オペラ)への招待 ★ ローゼンリッター連隊の蜂起、ヤン救出
第62話 血の流水階段(カスケード) ☆ 帝国高等弁務官レンネンカンプ拿捕・自決、ヤン再び宇宙へ
第63話 聖地 ★ 帝国派遣艦隊ワーレン提督暗殺未遂、地球教団本部突撃、狂信者の群れ
第64話 休暇は終わりぬ ☆ 帝国閣僚間の不協和音、フェザーン遷都の布告
第65話 すべての旗に背いて ☆ 惑星エル・ファシルの同盟離脱、ヤンの合流逡巡
第66話 黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)の下に ★ 皇帝の倦怠、再始動(バーラトの和約破棄)
第67話 『神々の黄昏(ラグナロック)』ふたたび ★ 皇帝の同盟政府討伐宣言・ヤンへの帰参呼び掛け 
第68話 エル・ファシルへ ☆ 一部同盟艦隊のヤンへの譲渡、ヤンのエル・ファシル到着
第69話 イゼルローン再奪取作戦 ★ ヤンとユリアン再会、作戦準備、同盟軍残存艦隊出撃 
第70話 蕩児たちの帰宅  ★ 要塞守備隊撹乱作戦、ヤンの置き土産、要塞陥落 ※脚本が都合良過ぎな点は×
第71話 マル・アデッタ星域の会戦(前編) ☆ 同盟軍ビュコック艦隊vs.皇帝親征艦隊
第72話 マル・アデッタ星域の会戦(後編) ★★ 続き、同盟軍艦隊壊滅、ビュコック提督戦死
第73話 冬バラ園の勅令 ★ 同盟首都ハイネセン無条件降伏・皇帝の事後処理、自由惑星同盟消滅 
第74話 前途遼遠 ★★ シェーンコップ連隊長と娘(カリン)、フェザーンと地球教団の闇の関係 ※ヤンの「民主主義と専制政治」論開陳回  
第75話 雷動  ☆ ロイエンタール元帥弾劾・拘禁
第76話 祭りの前 ☆ ハイネセン火災、憂国騎士団検挙、ロイエンタール旧同盟領(ノイエラント)総督任命
第77話 風は回廊へ ☆ 帝国軍へのテロ暴発、イゼルローン要塞討伐艦隊接近
第78話 春の嵐 ☆ 元フェザーン領主ルビンスキー暗躍、ヤン暗殺計画
第79話 回廊の戦い(前編)〜常勝と不敗と〜 ★ ヤン艦隊vs.ビッテンフェルト&ファーレンハイト艦隊、ファーレンハイト戦死
第80話 回廊の戦い(中編)〜万華鏡(カレイドスコープ)〜 ★ ヤン艦隊vs.皇帝親征艦隊、シュタインメッツ戦死
第81話 回廊の戦い(後編)〜大親征の終幕〜 ☆ 帝国軍の物量戦、フィッシャー中将戦死、皇帝からの停戦・会談申し入れ
第82話 魔術師、還らず ★ 地球教団のヤン搭乗艦襲撃、ヤン提督殉職
第83話 祭りの後 ★ フレデリカとユリアンのヤンの役割継承、ムライ中将の離脱
第84話 失意の凱旋 ☆ エル・ファシル革命政府瓦解、ミュラー提督の弔問、帝国軍撤兵
第85話 遷都令 ☆ フェザーン正式遷都
第86話 八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ) ☆ ロイエンタール総督府開設(旧同盟)、イゼルローン共和政府樹立{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)12、☆(並回)18、×(疑問回)0 個人評価 ☆ 3.8


====== 銀河英雄伝説 本伝 第4期 (全24話) (1996年9月-1997年3月) =====

{netabare}第87話 嵐の予感 ☆ トリューニヒトのハイネセン参事官着任
第88話 辺境にて ☆ 革命的専制君主ラインハルト
第89話 夏の終わりのバラ ★ ヴェスターラント虐殺の心の傷、皇帝の伴侶
第90話 鳴動 ☆ 旧同盟首都ハイネセンの民衆暴動、ロイエンタール総督の心境、地球教団の狙い
第91話 発芽 ☆ ヒルダ再出仕、ラング-ルビンスキー謀議、皇帝ハイネセン行幸
第92話 ウルヴァシー事件 ☆ 中継惑星での皇帝暗殺未遂、ルッツ提督殉職
第93話 矜持にかけて ☆ 皇帝の不在、ロイエンタール総督の焦燥・決断
第94話 叛逆は英雄の特権 ☆ ミッターマイヤーへの出撃命令、ラング内務次官跳梁
第95話 双璧相撃つ!  ☆ ユリアンのロイエンタールの申し出拒絶
第96話 剣に生き… ☆ ミッターマイヤーvs.ロイエンタール、帝国艦隊のイゼルローン回廊通過
第97話 剣に斃れ ☆ グリルパルツァー離反・ロイエンタール艦隊撤退
第98話 終わりなき鎮魂曲(レクイエム)  ☆ ロイエンタール死亡、叛乱終結
第99話 未来への助走 ☆ ミッターマイヤー周辺の物語、皇帝のヒルダ求婚、幼帝誘拐犯逮捕 
第100話 皇妃ばんざい!(ホーフ・カイザーリン) ☆ 祝宴、地球教団の新たな策動
第101話 動乱への誘い ☆ 旧同盟諸星の食糧暴動発生、イゼルローン共和政府の方針決定
第102話 敢えて武器を手に ☆ イゼルローン要塞攻防戦(ユリアン軍司令官としての初陣)、ワーレン艦隊撤退
第103話 コズミック・モザイク ☆ オーベルシュタイン軍務尚書のハイネセン不穏勢力弾圧、武闘派三提督の不満
第104話 平和へ、流血経由 ☆ イゼルローン首脳へのハイネセン出頭勧告
第105話 昏迷の惑星 ★ 政治犯収容施設襲撃事件、ルビンスキー逮捕、皇帝ハイネセン到着
第106話 柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上 ★ 地球教団の皇妃襲撃、皇子生誕・命名
第107話 深紅の星路(クリムゾン・スターロード) ☆ 対イゼルローン戦中の皇帝不慮(病状進行)
第108話 美姫(ブリュンヒルト)は血を欲す ★ ユリアン隊の帝国旗艦突入、メルカッツ提督戦死、シェーンコップ隊長戦死、ユリアンと皇帝の対面・停戦 ※脚本に無理あり×
第109話 黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)に光なし ☆ ルビンスキー死亡・ハイネセン地下爆発、立憲政治の提案(ユリアンから皇帝へ)
第110話 夢、見果てたり ☆ 地球教団最後の襲撃、オーベルシュタイン殉職、皇帝薨去{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)4、☆(並回)20、×(疑問回)0 個人評価 ☆ 3.5{/netabare}


◆(既視聴者向け):本作からの拡張

もし本作を、「政治論」とくにその中の「デモクラシー」の考究ものとして捉えるならば、その重要な指摘のひとつは、

「デモクラシーの要諦は、正当な言論とデマゴギーの見極めである」、あるいは、
「政治の要諦とは、デマをデマとちゃんと見抜くことである」

・・・でしょう。

デマゴギーはいつの時代だって発生します。
古代ギリシアの直接民主制では、デマゴーグ(デマを撒き散らす者=デマゴゴス)はアゴラ(広場)でアジテーション(扇動演説)を繰り返す人、と相場が決まっていましたが、近代以降の間接民主制では、デマゴーグ達はその主戦場を新聞やTVといったマス媒体に移し換え、「権威」や「真実」の衣を偽装して人々を彼らの思う方向へ扇動しようと試みます。
その卑近な例が、2009年9月の一時的な政権交代に至るマスコミによる異常な政治的扇動であったと私は理解していますが、そのようなものに引っかかってしまった人たちが、今後再び同じ愚を犯さないと、私たちは果たして言い切れるでしょうか?

せっかく本作を視聴して何らかの感銘を受けた方ならば、本作について「深い」とか「考えさせられる」みたいな余り内容のない感想を持つだけで終わらずに、どうせなら、もう少し本格的に政治現象を読み解くための杖 -政治学とか政治哲学とか呼ばれているもの- にも手を伸ばして欲しいと思いました。

※そのための第一歩として、岩田温『逆説の政治哲学』(2011年刊)あたりを個人的に推しておきます。(必ずしも岩田氏の論説に全て同意する訳ではありませんが、本書自体は『ザ・フェデラリスト』、『フランス革命の省察』、『革命について』といった政治哲学の古典の秀逸なガイドブックになっているため。)

(2018.8.29 誤字訂正) 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 31

71.8 11 SFで頭脳戦なアニメランキング11位
ジパング(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (255)
1260人が棚に入れました
西暦200X年の6月。日米新ガイドラインの下で海上自衛隊の自衛艦隊が海外派遣でエクアドルへ向かう途中、その中の最新鋭イージス艦みらいがミッドウェー沖合で突如嵐に巻き込まれ落雷を受ける。
その直後からレーダーからの僚艦喪失や故障していないにも関わらず衛星通信が不能になったり、雪が降るなどの不可思議な現象に直面し、さらに戦艦大和以下大日本帝国海軍連合艦隊に遭遇。ミッドウェー海戦直前の1942年6月4日の太平洋上にタイムスリップした事に気づく。
そこで帝国海軍通信参謀、草加拓海少佐を救助し、彼に未来世界の情報を公開したことから、みらいは徐々に変化してゆく歴史の流れに巻き込まれてゆく…。

声優・キャラクター
稲田徹、東地宏樹、星野貴紀、うえだゆうじ、屋良有作
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

山本五十六といふ男

イージス艦がもしタイムスリップしてしまったら?
という架空戦記。
モーニングを読んでるので原作は既読。

アニメ版でとにかくすごいのが自衛隊監修らしく、描写がかなりちがうんです。セリフの言い回し、細かい兵装からww笑っちゃいます。操舵の方法もちゃんと自衛隊の法にのっとったものだとか。
零戦なんかもちゃんと私が好きな初期のグレーへ変更。かっこいい・・。ニワカでも知ってるようなことをなんで原作間違ってたんだろう・・いやまぁどうでもいいんですけど、そのミリオタくさいこだわりこそがアニメ版の要かなってw


ストーリーはタイムスリップものなのでどういう時間軸になるかってわかっちゃうと後は落とし前をつけるだけ。
原作よんでてても最初しか面白くなくて、あとはグダグダ・・。核兵器を大和に積み込んで『オワフ島沈没』でいいじゃんwって思っちゃう。鳥肌実的?w
『みらい』が横須賀へいくまでの序盤で終了。あとは原作読めな販売促進。続編作るには人気がないよね。


初期の部分を扱っているので山本五十六が出番多し。
このじいさま、とんでもない慧眼をお持ちだったようで、現在の空母主体の戦略をいち早く考えた人物といわれる。
なんせ開戦のはるか前から訓練してたんだから・・赤城の艦長だっけ?当時は艦載機って斥候だったらしいんですよ。
レーダーがありませんから。
でもそれで戦艦を沈められる時代がすぐに来ると・・
その予想は大いにあたり、大戦初期の雷撃の命中率は9割を超えたとか。本作で本人が語るとおり、パイロットが一番大事なんですかね。氏の細かい航空機の運用については賛否あるらしいので・・ジパング山本はそうなってるよと。


真珠湾奇襲を立案した人物とされながら、米国の在外武官だったため頭も柔らかかったそうで・・。
真珠湾の立案を無謀ととるか、それしか道がなかったかどうかはわかりません。
その成否わからぬ逸話の数々からさまざまなアニメでネタ元にされる男。大艦巨砲主義の否定、死んだ部下の名前と人数を全部メモしてるとかねw

ニワカ知識の限りでは
・軍縮会議で当時の主力戦力である戦艦以外に空母の廃止を求めた。
・米国との開戦は避けるべきとした(絶対に負けるから)
・三国同盟に絶対反対
太平洋戦争開戦をかたくなに反対していたのは確実らしく、命を狙われ続けたとかなんとか・・。だから大和なんぞに左遷してもらってるとか言うよね。内地にいたら謀殺される。
戦後の教育でネガなイメージを植えつけられた旧日本軍。
でもこんなじーさんがいたんですよってのは覚えておくべきかと思います。
日本が誇る英雄、名将と評されながら、時代の流れ、国家という大きな力に勝てず翻弄され散っていった、というのが現代の日本人の心にけっこうツボるようで。

映画観たくなってきました・・役所さんじゃなくて三船さんのやトラトラトラが。。


アニメ版で結構意識されてるのが現在の日本の状況。
自衛隊の思想もはっきりと打ち出している。これは自衛隊からの希望なんだろな。日本軍とどっちがいいって話じゃなくておかれた立場も仕事も全然ちがいますと。うちらは軍隊じゃねえよってね。

アニメ版追加のアバンを見る限りでも、戦争反対とか右翼ぶってるとかじゃなくて、なぜ戦争になったのか?というのを強調してる気がします。

本当にそうせざるを得ない時代だったのかどうかはご本人たちにきいてみないと分からないことですから。
ただ現在のように安穏といしてたらあっというまに植民地にされちまうぞってのは間違いなのかな・・。そういったことを知っておくべきだというメッセージを感じました。


エンターテイメントとしては架空戦記、タイムスリップものとしては『戦国自衛隊』が偉大すぎる。
『織田信長は俺だった』みたいな結末 あれには勝てん。
ジパングも山本五十六が俺だったでよかったんじゃ・・。{netabare}
近いエンディングだけどな・・・。マッカーサーが俺だ!だよね。。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16
ネタバレ

lZQnV50529 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

正直さが感じられた

 日本の最新鋭のイージス艦が1942年の太平洋のど真ん中にタイムスリップしてしまうお話で、総じて、単なるミリタリーもの、タイムスリップものと簡単に片付けられない真面目さ、正直さを感じた作品です。
 まず、{netabare}40機のドントレス(という戦闘機)と戦闘するシーンでは、技術的にはシースパローや主砲を使ってイージス艦が圧勝するはずなのに、ちょっとした心の緩みからハットン中佐の操縦によるドントレスの船舶への体当たりを許してしまうところなど、戦闘シーンは、リアルで正直だと思いました。イージス艦を圧勝にさせないところが感心しました。{/netabare}自衛隊は普段から十分演習をしているようですけど、実戦に出ればこんなもんかもしれません(自衛隊の人読んでいたらごめんなさい)。
 太平洋戦争末期の日本の都市への空襲や広島長崎における原爆で死んだ人の数はとても多いので、1942年を生きる人なら誰でも、もし未来を知れば、空襲や原爆を避けたいと思うもの。さらに、大日本帝国と敗戦後の日本のどちらも見てしまったために、そのどちらでもない新しい日本(ジパング)を作っていきたいと思う草加拓海の心の動きと行動はとてもよくわかる。他方で、自衛隊の理念をこの時代に入っても困難を伴いながら貫きたいという「みらい」クルーの気持ち、帝国海軍将校のあるものは「みらい」を活かそうと考え、またあるものは「みらい」を沈めてしまおうと考えており、それぞれの思惑もとてもよく描けています。
 これらの登場人物の気持ちをしっかり描きつつ、みなさんの思惑が絡んで新しいタペストリーが作り出されて、事態が進んでいくところがとても上手いと思いました。おそらく、こういう設定を設けて、現代と戦前の違いを浮き彫りにし、現代のいい点と問題点を探るというのがこのアニメの意図の一つのように思えます。圧巻なのは、最後の方に出てくる{netabare}米内光政の日本批判でしょう。米内は、日本が帝国主義など100年早い。日本国100年の計にとってこの戦争は勝ってはならない。日本はいま蜃気楼を見ている。敗戦という現実でしかその夢は覚めない。と当時の日本を強く批判し、「みらい」に、この横須賀のドックで鉄くずになって欲しいと要求します。米内光政という人物をここまで踏み込んで描いたところに作者の強い歴史観を感じます{/netabare}。ここは見ものです。
 また、過去へのタイムスリップというのは、物理学者ホーキングの発言からもわかるように、まず不可能だと言われています。このお話では過去へのタイムスリップが可能だとすると起こりうる矛盾の問題「母殺しのパラドックス」に近いお話を取り入れておりここにも正直さを感じました。すなわち、{netabare}「みらい」が横須賀に入港したとき、角松二佐は父の子供のころの様子を見に行こうとします。父の生家のあたりを見に行くと、なんと父は、海軍の車のよそ見運転のために轢かれて死亡しており、そのよそ見運転は、「みらい」が60年後から来た船でありそれが信じられないと軍人同士が運転中も雑談したことが原因だったというものです。因果的に「みらい」が1942年世界に現れたため角松二佐の父が死亡してしまったということになります。{/netabare}
 このアニメ、テーマからややとっつきにくい方もいると思いますが、淡々と正直に事象を描いていくところをもっと評価されてもいいと思います。
 
 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

hidehide さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

優柔不断 で 中途半端

優柔不断、中途半端、滑稽、チープ、曖昧、
そんな言葉が当てはまる、

何とくだらない作品か、と。

近年、
平気で領空、領海を侵犯される日本。
ミサイルが国土を飛び越える事を許している日本。
まさに、現代の弱腰精神の日本、日本人精神が、
イージス艦に乗艦している話しである。

正直、『0 か 100』なのではないのか、と。

それら一切に触れない、か、全てに関わるのか、
これはするが、あれはやらない、など、
決めきれない優柔不断さが見ていて苛立ちを覚える。

ゼロ戦から、その時代の人間を救助し、素性を明かし
現代の技術を見せつける。
コレをした事は、当時の帝国軍人を、
当時の人間の頭脳を軽視しているに外ならない。

当時の人間でも明晰な人間はいる訳で、
結末を知り、未来を知り、イージス艦の
武力を知ったら、利用しようと考えるのは当然である。
加えて、
彼らは、自衛官ではなく、紛れもなく軍人であり、
戦争を知っている、戦争をしている日本人なのである。

それに、
食料狙いだろうが、爆発しなかろうが、
ミサイルを発射した時点で、それは攻撃なのだ、と。
サジタリウスの矢? 米兵を馬鹿にしているのか、と。
たった1つの戦場を掻き回してどうするのか、と。

1人助けて歴史を歪め、一発発射して更に歪める…
もう、
『0』ではないのだ、と。戻れないのだ、と知り、
覚悟を決めるべきだったのではなかろうかと。

ましてや、爆発しないミサイルを敵地に残す…
何とマヌケな…
その命中精度に加え、分解、解析されたら、
その技術の高さゆえに
ただ、米軍の警戒を強め、無用な情報を与えただけである。
これも、
同じモノは作れないだろう、と、当時の人間を軽視している
証拠である。

20話〜敵機の大群に狙われるワケだが。
数機を撃墜するが、数機は威嚇にて見逃す…

『戦争中』なんですよ、と。
超戦時下、な訳で、敵は『殺しに』きてるんですよ、と。

何を寝ぼけているのか…何故、全機撃墜しない?
味方をことごとく攻撃されれば、
そりゃ、米兵にも特攻する機も出てきますよ。
だから、イージス艦はダメージを受け、犠牲も出る。
結果、十数機を逃した事により、
2000人の空母を攻撃しなければならないハメに…
優柔不断と曖昧さが招いた、当然の結末である。

…と、言い出したらキリがないのですが。

専守防衛…
それは、『先に手を出した方が負け』みたいな、
親が子供をしつける時の様な脆弱な言葉。
今の、現代の日本ならばそれが通用するだろう。
現に、『決して攻撃してこない』と判っているから、
領空、領海は侵され放題。
で、
出てくるのは言葉のみ…『遺憾の意を表明』である…

…が、本作。時は戦争の只中。

先に手を出されるのは当然である。
しかし、それが致命的だったら?
やり返す手段を奪われるものだったら?
やられたから、トマホーク、では遅いのでは?
トマホークを発射できないまでの損傷を負ったら?


絶対に遅れは取らない、負けるハズがない、と、
どこか、斜に構え、冷やかしの様に戦場を荒らす…
その中途半端で、優柔不断な、艦長以下、自衛官。

実際のイージス艦に、その様な人間が乗っていない事を
切に願うばかりである…

投稿 : 2024/05/04
♥ : 1

60.5 12 SFで頭脳戦なアニメランキング12位
タイタニア(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (102)
617人が棚に入れました
広大な宇宙に進出した人類は多数の星間国家を築いたが、その大半は実質的にタイタニア一族の支配下にあった。星暦446年、宇宙都市国家エウリヤはある権益を巡るトラブルからタイタニアの攻撃を受けるが、意外にもこれを撃退してしまう。この戦いを機にタイタニアの覇権を快く思わない人々が動き始め、さらにはタイタニアの内紛も絡んで銀河は激動の時代を迎えようとしていた。

声優・キャラクター
岸尾だいすけ、小西克幸、近藤隆、吉野裕行、武虎、名塚佳織、三宅健太、保志総一朗、矢作紗友里、皆川純子、堀内賢雄、大原崇、斧アツシ、神谷浩史、草尾毅、牧島有希、塩野アンリ、大川透、柚木涼香、潘恵子

りおんぱん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「なるようにしかならないのが、世の中だからさ」 

広大な宇宙に進出した人類は多数の星間国家を築いたが
その大半は実質的にタイタニア一族の支配下にあった
第8代無地藩王・アジュマーン・タイタニア
四公爵・アリアバート・タイタニア
四公爵・ジュスラン・タイタニア
四公爵・ザーリッシュ・タイタニア
四公爵・イドリス・タイタニア

宇宙都市国家エウリヤはある権益を巡るトラブルから
タイタニアの攻撃を受けるが撃退してしまう
この戦いを機にタイタニアの覇権を快く思わない人々が
ファン・ヒューリックを筆頭に動き始める

後に「大空位時代(ザマーナ・マサフィン)」と呼ばれる時を迎える


~感想~
原作・未読 全26話
知らない作品でしたがあに友さんのレビューで知り
興味がわき視聴開始

広大な宇宙の覇権を握るタイタニア一族と
タイタニアに抵抗する無名の青年ファン・ヒューリックとの戦いを
描いた長編小説
田中 芳樹さんは『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アルスラーン戦記』
などと有名な作家さんです
タイタニアは1988年 ~2015年と27年かかり完結


タイタニア側・反タイタニア勢力側と
相互の視点があり楽しめます

キャラは個性的でよかったのですが
ちょっと何かが物足りない

戦術は天才的なファン・ヒューリックが
序盤以外はまともな艦隊戦していなく
イマイチぱっとしないしなかったことが残念でした
もっと艦隊戦を取り入れるべきだと思います
最初の盛り上げだ艦隊戦がかすみます…
ファン・ヒューリックが逃げ回ってる印象のほうが強く残ります

四公爵のザーリッシュを倒し
ここからまた面白くなるところで終わってしまう
原作が未完なのでここでしめてしまうのもわかるが
消化不良を起こしてしまうので続編を大いに期待!

OP「あの宇宙(そら)を、征け」は…オペラでしょうか?
内容・雰囲気などからしてあってはいると思うけど
個人的に好みではありませんでした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

スペースオペラ入門編

スペースオペラ・・・と、呼んでいいのか。
宇宙を舞台にした、支配者側とそれに抵抗する人々の物語。
原作者が銀河英雄伝説のあの方ですから、どうしても比較しがちになりますが、あそこまで政治色は強くありませんし、戦術面でも結構ご都合主義です。
(銀英伝をご存知ない方の方が楽しめるかと思います)


支配者側、反体制側、ともにキャラクターの魅力はさすがです。
単純に支配側=悪という構図ではなく、体制的には善悪がはっきりしていません。支配する側にも責任と苦悩があり、内部抗争もあり、国家の主権は守らなければならないという立場もある。
嫌なキャラクターは居ますが、どちらの側に立っても感情移入できる世界が作られているので、宇宙を舞台に戦闘をする話ですが、ドンパチを見るのではなく「人物」を見る物語です。

原作が完結していないので、一応の区切りはつけてあるものの、終わり方は消化不良です。これから面白くなりそうなのに・・・ってところで終わってます。
(原作をご存知の方は、そんな事は覚悟のうえでしょうが)
ただ、その点を我慢すれば、全26話でダレることもなく楽しんで視聴できます。見所もいろいろあって普通に面白い。
キャラクター絵もいいですね。何より女性が可愛く描かれてます。


スペースオペラは、長くて難しくてちょっと・・・という方。
本作は「解り易いスペースオペラ」としては最適です。
いい意味で、原作をアニメらしく装飾して、視聴者の間口を広くしているのは、さすが安定感バツグンのNHKアニメ。
敬遠せず、ご視聴なさってみてください。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

Etzali さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

小さな勝利がもたらした大きな変化

1話~8話までは進行が遅かったので、あまり観る気がおきなかったんですが9話からタイタニアに少しずつ変化が訪れ始め16話から主人公がタイタニアを敵視し始めるのでそこからはサクッと観れました。

{netabare} 1話で主人公ヒューリックがひょんな事からタイタニア一族の四公爵であるアリアバート郷に勝利してしまった事から物語が始まりました。{netabare}
観る前はサムネにあるようにタイタニア四公爵の一人とヒューリックとの戦いを描いたものだと思っていたんですが、予想が外れました^^; 実際、ヒューリックとジュスラン公爵が合いまみえるのは物語の終盤からでした。

作品の内容としてはタイタニアは全宇宙の覇権を握っているが「ある勝利」をキッカケにタイタニア内部の権力闘争(大きな変化)にまで発展し、タイタニアはどうなっていくのか?と言った所です。ヒューリックを捕まえるにあたって起こる各国との政治的・戦闘における駆け引きも見ものだと思います。

個人的にはヒューリックとジュスランの駆け引きをもう少し観たかったのですが…(-_-;) また、最終話でもタイタニアは滅んではいないので続きが気になります。

最後に、「特殊化(Pax Tytania)の果てにあるのは、ゆるやかな死・・・それだけよ。(✧`≖ω≖´)キリッ」で締めたいと思います。 少佐は、やっぱ良いこと言うなぁ(#^.^#)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
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