サバイバルでシリアスなおすすめアニメランキング 14

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのサバイバルでシリアスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月27日の時点で一番のサバイバルでシリアスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.6 1 サバイバルでシリアスなアニメランキング1位
がっこうぐらし!(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (1928)
9588人が棚に入れました
学校に寝泊まりしちゃおうという学園生活部。シャベルを愛する(?)くるみ、皆をまとめるりーさん、おっとりした顧問のめぐ姉らに囲まれた丈槍ゆきの瞳に映る幸せな“日常”はしかし……!? 千葉サドル×海法紀光(ニトロプラス)の強力タッグが贈る注目作。

声優・キャラクター
水瀬いのり、小澤亜李、M・A・O、高橋李依、茅野愛衣

ゴードン1123 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

可能性へ

これだからアニメはやめられない。

この作品は本当にノーマークでした。
私はよく学園モノを観るのでその流れでこの作品へと出会いました。
キャラデザインはとても可愛らしいです。
作画も悪くありません。
すこし、設定に無理があるのはアニメです。しょうがありません。


この物語には萌系アニメにあるような無作為に出来事が起こるのではなく大きな入学から卒業までの間に起こる葛藤や出会いや別れがキチンとあります。そして未来への可能性を描いたとても良い作品だと思います。

しかし、はっきりいって驚きがとても多い。

あまり他人のコメントを見たりしながらこの作品を鑑賞することはおすすめしません。
ですが、自分では気づかなかった小さいトリックがとても多く隠されていると思います。

元気が出る作品ではありません。

ですが考えさせられる良いものだったと思います。


個人的には化物語の物語シリーズ、傾物語を思い出しました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人間はどんな状態でも家族になろうとする 幸せも演技の中にある

原作は「きららタイムフォワード」に現在も連載中の海法紀光原作のコミック。
アニメ版のシリーズ構成も務めている 
2015年 テレビ放送アニメ 全12話
監督 安藤正臣 構成 海法紀光 キャラデザ 飯塚晴子
制作 Lerche


コミックからアニメへのストーリー変更はメディアの大きな違いにより、不可避なものであり失敗例も多いが、
原作者であるということで非常にスムーズなものになったと思われる。
この作品はの概要は他の人が書いてある通り、ジョージロメロ系である。

今回はこの作品を別の角度から考察してみようと思う。
それは「疑似家族」というありようである。

大人がいない状態で複数の女児が暇を持て余すと。おままごとを始める場合が多い。
なり手が少ないのはパパ役だが、もし最後に参加したのがフリフリのお姫様風女児でも自然とパパ役に落ちつく。
このアニメでは、ほぼ同じ年齢の女子高生4人が学校で長期暮らすわけだけど。

丈槍ゆき 天真爛漫で明るい性格だが依存心が強く思い込みが激しい
恵飛寿沢胡桃 スポーツ少女 カラッとした性格で怖いもの知らずだが弱い面もある
若狭悠里 大人びた外観で家庭的ではあるが常に先を見てまとめ役となる ちょっと意地悪っぽい 勉強スポーツ共に出来る

ここで、胡桃がパパ、悠里がママ、ゆきが娘を演じる。
演じているのである。 
絶対の真理と思われた家族は単に一人一人が役割を演じていただけだという。
これがメッセージかどうかは知らないが、重要なテーマとなっている。
そして、あとから参加した直樹美紀。
レズ気味の少女でゲスな表現だと猫役 気の弱い少女だった。
空いたパーツは息子である。

この役割が最後に向かうにつれて重要性を増していき、それぞれのすべき事柄に集中することによって物語を進める。

この作品はロメロの神ともいうべき映画三部作に劣らない見事なものになった。
単なる模倣ではない、と言えるのは家族のありように切り込んだ設定だと思いました。

核家族時代には生まれながらに決まっていた役割も、多様化の現代では同性婚などの変化が起こり考えさせられました。

すべての人にお勧めできる傑作です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 37
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

何度も見返してしまう作品

この作品の全ては第1話にあると言っても過言ではないほどインパクトのある第1話でした。

引きずり込まれるように第2話を視聴。この作品の“方程式”が理解できたところで再度第1話を視聴。

「なるほど、上手く作られているなぁ・・・」
なんて思いながら再度第2話を視聴。

「んっ?方程式に従うと{netabare}今、生き残っているのは何人・・・?{/netabare}」
みたいな感じで、思わず何度も見返してしまった作品でした。

OPの背景がストーリーの展開に従って変わっていくなど、手が込んでいます。
行ったり来たりしながら、この作品を楽しんで戴ければ・・・。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 61

89.5 2 サバイバルでシリアスなアニメランキング2位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (975)
3809人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私たちは変わることができる、そして人生は続く

アニメーション制作:Lerche
監督:安藤正臣、シリーズ構成:海法紀光
キャラクターデザイン・メイン総作画監督:黒澤桂子、
音楽:横山克、信澤宣明、原作:篠原健太

子供たちだけで惑星キャンプが行われる時代。
ケアード・ハイスクールのB5班は、
無人の惑星で5日間過ごす野外学習に出かけた。
9人の少年少女たちは、惑星マクパで降ろされ、
楽しい日々を過ごすはずだった。
しかし、彼らの前に謎の球体が現れ、事態は急変する。

集英社のウェブコミック配信サイト『ジャンプ+』で
連載された作品。口コミなどで評判が広がり、
『マンガ大賞2019』の大賞を受賞した。
宇宙という舞台、子供たちだけの冒険、
陰謀がうごめく背景、9人全員が抱える事情、
惑星でのサバイバルなど、様々な要素のある
エンターテインメント作品となっている。

原作漫画は完結しているため、
1クール12話、しかも1話と12話を
1時間ずつを使う特別編にすることで、
5巻分を余すところなくアニメ化している。
{netabare}無料開放の漫画を少し読んでみると、
原作に忠実に作られているだけでなく、
宇宙空間に飛ばされたアリエスを
カナタが助けるシーンでは、全員が手をつないで
ふたりを救助するという改変も行っている。
(漫画では、このシーンは残されたワイヤーに
戻り、それを辿って帰還している。
1度ワイヤーを巻き取って、再度、別の誰かが
助けに行けばいいなどの意見もあるだろうが、
ここは全員で手をつなぐという行為に意味があったわけで、
良改変だったと個人的には思う){/netabare}

SFの部分では突っ込みどころが多く、
アニメが終了した後にSNSなどで大論争が巻き起こり、
作者が降臨する事態にまで陥った。
ある意味、SF要素のある人気作の宿命だ。
ただ、この作品はSFを見せようとするものでないことは
明らかで、批判する人の気持ちは分かるが、
そこについて深く突っ込み過ぎるのは違和感がある。
この作品において、SFのリアリティは枝葉の部分に過ぎない。

では、どこを重視しているかというと、
9人の子供たちが抱えている問題と、
その悩みを解消するために、仲間が相手のことを
思いやり、本当に大切なものを得ることについてだ。
9人の子供たちは、それぞれ幼少期から、
大きな喪失感を抱えながら生きてきた。
旅を続けるなかで、一人ひとりが体験してきた背景を
各々が理解しながら、解決していく構成になっている。
9人もいるキャラクター全員の過去について、
しっかり語っているため、彼らが失い続けてきたものに
思いを巡らせることができる。
だから、そこから彼らが何かを獲得する様子に
カタルシスを感じられるのだ。
それがこの作品の最大の見どころだろう。

舞台装置としては、孤島の閉鎖空間での
ミステリーと同様の形を取りながら、
それだけに止まらない群像劇として、
最初から最後までしっかりとまとめられている。
{netabare}特に11話『CONFESSION』での回想から
カナタの怒りにつながる流れは素晴らしい。
カナタ役・細谷佳正の演技は、抜群の説得力がある。
反重力シューズを履いてきて、
ワームホールを飛び越すという展開からの
決着の付け方も完璧だった。
この回は、夏クールの私が観た全話のなかでも
出色の出来だったと思う。{/netabare}

9人の少年少女たちは、数ヵ月の旅の間に、
自分の支えになる原点を獲得することができた。
アストラ号で過ごした日々は、
何事にも代えがたい時間として
今後の人生の支えになるに違いない。

引きこもりや親子断絶などが、
もはや当たり前になった現代において、
子供たちの心に響く物語に思える。
ここではないどこかに行けば変われるかもしれない。
行動すれば誰かとの出会いによって、
人生が動くかもしれない。
親から愛されない境遇にあったとしても、
生きていていいのだ。

そして、人は絶対に変わることができる。
(2019年10月19日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 93

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スケットダンスが好きなら更に楽しめる

あらゆる漫画を読み漁ってきた私の中で、ギャグ漫画家トップ3に入る篠原健太先生の作品です。

●SFじゃないという批判について
別にハードSFを謳っているわけではありませんし、むしろこれぞSFと言って良いと思っています。自分が子供のころにガンダムやドラえもんでSFに興味を持ったのと同じように、SFの門戸を広げてくれる素晴らしい作品ではないでしょうか。


●ギャグが面白くない説
スケットダンスでも同様の傾向があるので、そのうちスケダンのレビューで考察しようと思いますが、原作者のギャグは漫画でこそ栄えますが残念ながらアニメではあんまり面白くなりません。
なので、アニメを見てギャグが寒いと感じられた方は是非とも原作を読んでください。同じ内容なのにめちゃくちゃ面白いです。そしてスケダンを読んでから読むと更に面白いです。

原作には「アカツノチリゲムシ」などスケダンのファンにはたまらない小ネタがありますが、アニメでは出てこず、残念ではありました。
しかし、宇宙服のメーカー名が実は全てスケダンのクソゲーシリーズという、どうでも良いネタをちゃんと拾ってもらえたのは嬉しかったです。
「FALKEN」とか、めちゃスポーツメーカーとして自然なのが笑えます。「SMB」は「Special Mariko Broken(壊れちまった特別な真理子)」の略称。どう考えても宇宙服メーカーの名にはふさわしくないwww

ギャグといえば、原作コミックの巻末にある番外編四コマ漫画がめちゃくちゃ面白くて、四コマだけでも連載を続けて欲しいほどでした。
特に「紙ずもうレスリングトーナメント」の話が秀逸ですが、アニメではEDの一枚絵で紙ずもうチャンピオンのグレートロブスターが出てくるだけでした。


以上、ほぼ原作のギャグを褒めただけのレビューになってしまいましたが、SFミステリとしての完成度はアニメ史上でも類を見ないレベルだと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 35

〇ojima さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ボッスン(スケット・ダンス)の宇宙物語

原作既読でした。
なので物語もわかっていましたが知ってても楽しめる作品でした。
でも、内容を知らない方が格段に楽しめますので、是非ネタバレ情報なしで楽しんでください。この作品、一気見タイプです。

設定は未来の高校生8人と10歳1人の計9人で惑星に行ってキャンプをするようです。
主人公はカナタ・ホシジマ。
運動能力とサバイバル能力に長けています。
どうやら他の高校生達も能力に特徴があるようです。。。


原作者はジャンプでスケットダンスを連載していた篠原先生
本作品もスケットダンスのギャグセンスそのままです。
篠原先生は東日本大震災直後に応援メッセージを作成して被災者に元気を与えたことを記憶しております。
ボッスン、カナタ達が人助けをするのは篠原先生自身の当たり前の気持ちなのでしょうね。

元気を与えてくれる作品。おすすめです。

原作は全5巻と読み易い作品なのでアニメ視聴後に楽しんでください。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 72

67.6 3 サバイバルでシリアスなアニメランキング3位
DEVIL SURVIVOR 2 the ANIMATION(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (946)
5370人が棚に入れました
何が正義で、何が悪なのだろうか…?
突然訪れた極限状態の日本。
その背景には日本全土を絶望の淵に叩き落して行く"謎の侵略者"セプテントリオンの存在が!
これは人間への試練なのだろうか!? 残酷で壮絶な現実に翻弄される人々と
悪魔と契約し"謎の侵略者"と戦う力を得た個性豊かな"13人の悪魔使い"たち。
これはそんな極限状態に置かれた人々の"葛藤と選択"の物語。
世界の終末まで、あと7日。
その選択が未来を創る…。

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ちょっとエヴァっぽい?そこそこ面白かったです

1話感想

雰囲気がなんかオシャレな感じで良い♪
ペルソナとはちょっと違うがペルソナ4が好きだったので
やっぱり期待してまいます
監督も同じなので

作画も音楽も良かったし
キャラクターも好きだし
声優が豪華なんで今期で一番期待してるかもしれないです!

それにしてもいきなり白虎って強すぎじゃないか?w
これから他に何を出すんだろう?

2~13話

一気に全部見ましたw

まず最初に思ったのは主要キャラが
あっさり死んでいくなと思った

もうちょっとキャラ一人一人に対して
詳しく描いた方がいいかもと思った

後敵がちょっと使徒っぽい思った
展開がエヴァっぽい気がしたが
多分それはどっちも神話を
元にしているからだと思う

ただ最終話の
連続の悪魔合体は凄く好きだったが
今更悪魔合体かとも思ったw

音楽も良く好きだったが
ストーリーは原作とはかなり違うらしい

全体的には結構好きな雰囲気で
そこそこ面白かったんだが
どこか物足りない感じかな~

投稿 : 2024/04/27
♥ : 45

いかる さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

既視感はあるが、最高水準のエンターテイメント

まず、みなさんの評価が厳しすぎてびっくりしたのが最初です

これ、わたしもいろいろ日本のアニメ見てきましたが、
ここ20年で見た中では、上から数えて何番目かのハイレベルな作品でした

すべての完成度が高いです
ただしオリジナリティはありません
既視感があります。日本のコミック文化とアニメ文化が総体として作り上げた集合体ってイメージでしょうか。

わたし的には、すべての完成度の高さが嬉しかったです
後半のEDには心を動かされました
あのシンプルな演出、最初から最後までを作品として大事にする、
作り手たちの誠実さ・この作品にかける真剣さが伝わってきました

エピローグ部分もすばらしかったです

日本アニメを代表する作品として海外にもどんどん発信して欲しい。
日本人にすら知られずにレンタル屋の棚でホコリをかぶっててよい作品ではありませんよ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 2

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

One word to describe this Anime is「Let’s Survive.」 生きよう。

あらすじ

学生の間に密かに死に顔サイトの「ニカイア」っと言う携帯アプリが流行っていました。そのアプリに登録しますと、友達が死ぬ時の光景が見れるというアプリでした。

主人公の久世響希は友達の志島大地に「ニカイア」を登録する事をお勧めされ、登録しました。登録した瞬間にある事件が起きました。それはなんと・・・

私の感想。

前半少々微妙な感じでしたが、後半からおもしろさが ぐぐ~ん↑↑ っと上がり最終回は超展開でかなり楽しめました。本当に面白かったです。どういう風におもしろいかといいますと、今まで鬼ごっこを一人でやった事が無い人が始めて数十人と鬼ごっこをするくらい面白いです。

この作品のおもしろさは実に一つ! 時間をかけて我々視聴者を楽しませようとする所です。私が思うにこの作品は11話かけて最終回のおもしろさを100パーセントまで引き立てていると思います。そして、私はこの作品を生で見たのも最終回をもっとおもしろくした理由の一つです。それは何故かって? それは、 一話見た後一週間も来週の次の話までの一週間じっくり今後どうなるかを自分で考えたりする事が一番のおもしろさの調味料だと思います。最高です。

キャラクターデザインも最高でした。少々なれるのに時間がかかると思いますが、一度自分のイメージに当てはまると、最高で最高でしょうがないと思います。男性キャラクターは非常にかっこいいですし、女性キャラクターは魅力的でした。それは萌えだけでなく、美しい、可愛い、もあります。

Ssoulのワンポイントピックアップ!!
「このコーナーではこの作品のおもしろい所、注目してほしい所などをピックアップし、説明したいという事です。」

この作品は少々過激の表現やグロが目立つ所があります。ですので、グロが苦手な人はあまりお勧めできません。けれど、おもしろいので是非見て下さい。

オープニング

「Take Your Way」
かっこいいです。非常にかっこいいです。特に、はじめ方が超かっこいいです。

このオープニングの本当にすごい所はネタバレなんて完全に無視して、キャラクター説明と世界観の説明に専念している所です。
本当にネタバレだらけですが、完全にそんな事を無視して、キャラクター説明に専念しています。

そして、このオープニングがキャラクター説明が終わった瞬間に今までのあらすじをほぼ完璧に教えてくれます。これで、前の話を見忘れた人も話の内容が分かりますね!!

エンディング

「Be」
非常にかっこいい曲です。なんと言うか、他の作品のキャラクターでしたら、非常に地味なエンディングになるかとおもうのですが、この作品のキャラクターでしたら、非常にかっこいいのです。そして、はじめは幸せな一面をあらわして、そして、地獄のような破壊された世界を現すのはなんと言うか、天才の仕業ですか?

投稿 : 2024/04/27
♥ : 20

92.5 4 サバイバルでシリアスなアニメランキング4位
約束のネバーランド(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1116)
5359人が棚に入れました
母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。ここグレイス=フィールドハウスは親がいない子ども達が住むところ。至って平穏なこのハウスでささやかながらも幸せな毎日を送る三人の主人公エマ、ノーマン、レイ。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた…

声優・キャラクター
諸星すみれ、内田真礼、伊瀬茉莉也、甲斐田裕子、藤田奈央、植木慎英、Lynn、河野ひより、石上静香、茅野愛衣、日野まり、森優子、小澤亜李
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

原作既読組にとって、この手の作品は・・・?

原作既読。最終話まで視聴。

週刊少年ジャンプは40年近い愛読書です(笑)。
連載開始当初から、緊張感満載のこの作品はお気に入りの作品でした。
お気に入りの作品のアニメ化なので、本作も、とても注目していました。

【原作既読組にとって、この手の作品は?】
原作既読組は、当然、先々の展開を把握しています。
そんな状況の中で、この作品の一番の魅力である『緊張感』を楽しめるかどうか?
そこが、この作品の評価の分かれ目だと思います。
{netabare}
言うまでもなく、私も先々の展開を把握しています。
それでもハラハラドキドキが止まりません。

力のこもった作画。
巧みな演出。
映画のようなカメラワーク。
声優さんの熱演。

全てが上手くかみ合った本作は、『名作』に分類されるべき作品だと思います。{/netabare}

【正直、原作と比べるとかなり話が省略されているんだけどね・・・】
{netabare}全ては、大感動の11話~12話へ繋げるため。
ここから逆算して、必要最低限の物語を紡いでいったという印象です。

エピソードはもっとたくさんあるんだけど、あえて必要最小限のエピソードに絞った。
第2期に回せるエピソードは第2期に回す。

そんな制作陣の苦渋の選択が伝わってきます。{/netabare}

【食用児・・・って、凄い単語ですよね】
{netabare}この単語だけで、この物語の世界観が凝縮されている気がする。
エマをはじめ、子供たちの必死さが伝わってくる。
何かが狂った世の中であることが、ひしひしと伝わってくる。{/netabare}

【ところで、各話のタイトルの意味って分かりました?】
{netabare}各話のタイトル、例えば第1話なら『121045』。
これの意味って分かりました?
{netabare}あれって、『日・月・年』なんですよね。
『121045』=『2045年10月12日』という意味。{/netabare}
要するに、1話から9話までは20日余りしか時間が経過していませんが、9話と10話の間だけでも2か月以上に時間が流れていることが分かります。

この間、エマたちはママだけではなくレイの目も欺き続けたことに・・・。
だから、11~12話にかけて、レイは驚きっぱなしだったんですね。{/netabare}


第2期も期待しています。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 78
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

生きていくんだ それでいいんだ

それは田園 こちらは農園 ・・・ふっ

・・・あ、ちょっと待って、{netabare}いやっ、行かないで~、、、{/netabare}な全12話。


原作も未読であれば、ジャンプももう何年も読んでませんね。週刊少年ジャンプの人気連載作品ということで、子供とTV前で待機。
第1話を観終えて彼らは静かに去っていきました。お子様と一緒に視聴するにはご注意ください。我が家でR12指定となった “ほんとに少年向けなんかいな?” な世界観です。


いやぁ毎週面白かったですね。なにせ間髪入れずもう一周しましたから。
導入良し→つなぎも良し→締め最高、、、と1話1話退屈せず、連載継続中ながら12話の尺で綺麗にまとめたことも好感です。結末を知って価値に気づきがちな序盤~中盤を面白く仕上げてもらってほんとにありがとう。2018年冬期の作品群の中でもトップクラスの出来でありました。
続きのある物語に対し早々に2期が決まったことで、今後の楽しみが一つ増えた幸福感もあります。


幕明けの舞台はグレイスフィールド(GF)ハウスと呼ばれる孤児院から。ママ・イザベラのもとで上は11歳までの子供たち30余名が一緒に暮らしてました。
ロケーションは大草原の小さな家。孤児院と聞けばあしながおじさんや若草物語のようなものを事前には想像してました。違うんだけどね。
そこの子供たちのうちエマ(CV諸星すみれ)、ノーマン(CV内田真礼)、レイ(CV伊瀬茉莉也)の3人が物語の主役。・・・それと彼らのみならずハウスの子供たち全員が主役の物語だったのでは?と思えるお話。
6歳から12歳までの間に里子に出されるとママから聞かされている子供たち。うち一人コニーとのお別れの日。別れを済ませた後、ぬいぐるみを忘れてることに気づいたエマとノーマンがコニーに届けようと後を追って。。。

そこから物語は一転。第1話ラストから最終12話までノンストップな子供と大人の心理戦?サスペンス?スリラー?またはホラー?が展開されます。
詳しくは本編で。農園の意味は早々にわかりますので、そこからハラハラドキドキを楽しみましょう。私的今期(2019年冬)のベストでした。


以下、思ったことを五月雨に。※ネタバレ

■ホラーやスリラーではなく心理戦でした
猟奇的な世界観で色濃く印象的だったのは、エマら子供たちとママ・イザベラ(CV甲斐田裕子)、シスター・クローネ(CV藤田奈央)の大人らとの駆け引きです。この腹の探り合いに集中できたのは不要なホラー演出を削いだからなんじゃないかと思ってます。
{netabare}例えば、子供らが謀議している最中に物陰からニュッとママやシスターが登場するような演出は皆無でした。双方に企みを盗み聞きしたり直接知るような描写がありません。状況証拠や間接的な言動からの探り合いに絞ってました。{/netabare}
{netabare}ママもシスターも元はと言えばフルスコア。さらにトレーニングを積んで派遣され実地で鍛えられた猛者です。直接でなくてもなんでもお見通し、一筋縄ではいかないラスボス感を十二分に引き出す効果がありました。{/netabare}


■絶望からの分岐
絶望を知った後にどう分岐していったか?の対比が好きです。
{netabare}言うまでもなくエマ、シスター・クローネ、ママ・イザベラの3名です。
エマ:抗う人。もちろんそこは主人公。けっこう身も蓋もない世界なのにエライよこの子!
シスター:堪えられなかった人。躁鬱の躁。壊れてましたね。選ばざるをえなかった道もイバラの道。自分♂ですがシスターやママやってたら正気を保てる自信がありません。
ママ:受け入れた人。ってまんまですが、シスタークローネが壊れてた分余計に底の知れぬ深い絶望を受け入れたことがわかり、そのことが最終盤効いてきましたね。{/netabare}
{netabare}一周めはノーマン、レイ、エマの3人を中心に観てました。最終回を見届けて今度はエマ、クローネ、イザベラの3人に焦点をあてて。けっしてクローネはネタキャラではないのです。{/netabare}


■イザベラ
{netabare}マンドリンの少年(レスリー)の曲が印象的な本作。イザベラにとってどういった意味を持つのか?
第1話コニーを門まで送る時の鼻歌が初出。第10話ノーマンとの別離。第11話でレイが火をつけた時。せめてもの手向けなのかレスリーの記憶を留めておきたかったからなのか。
ハウスで過ごした記憶の欠片を手離してなかったことに意味があったんじゃなかろうかと思います。{/netabare}

{netabare}「絶望に苦しまずに済む一番の方法は諦めることよ。抗うから辛い。受け入れるの。楽になれるわ。簡単よ。」

{netabare}かつてのイザベラが現在のエマだっていうのが、これまた切ないのでした(語彙力)。頼れる仲間がいたかどうかの差なんです。{/netabare}{/netabare}


■声優さんの演技
あらためてやっぱり声優さん凄いな~と思いました。
ノーマン役の内田真礼さん。ギルダ役のLynnさん。演技の幅って無限に広がるんですね。
それと短いセリフに込められ感情の豊かさでしょうか。※特定シーンのため閉じます。

{netabare}・「うん」エマ
ノーマンと別れの際、絞り出した「うん」その数8回。その短い言葉一つ一つどれも違っていて、ないまぜの感情が伝わってきた名演です。{/netabare}

{netabare}・「いってらっしゃい 気をつけてね」イザベラ
絵と音の力ではないと思うんだよな~。憑き物が取れた嘘偽りない「私のかわいい子供たち」に聞こえました。ダメねこういうの(T_T){/netabare}



次が気になる展開、裏をかいてまたその裏をかいての緊張感の続く化かし合い。
その根底で「絶望」との向き合い方で道の別れた3人に強いメッセージ性も感じました。
OPEDも作品に合った良いチョイスですね。


{netabare}・識別番号は連番ってことはなさそう。意味はあるのか?
・2期は頭脳戦からサバイバルみたいになるんだろうね。趣きはだいぶ変わりそう。
・イザベラ処分されるんだろうな。
・てかノーマン{/netabare}

きちんと謎や伏線は残したまま2期へと繋がるわけですが、もやっとした感情は無く、終わり方含めなんともすっきりした全12話でした。


それにしても、、、
{netabare}ヒーロー願望というか、男は死にたがるというか諦めが早いというか自意識が強いというか。女性の胆力の強さをまざまざと見せつけられた気分になりました。{/netabare}



視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴

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2019.09.17追記
《配点を修正》 +0.1

その後他のレビュアーさんとのやりとりでもやっとしたとこが解消しました。あざまーす!
2期前提ではあるものの、そこへの繋ぎ方と一作品としてのまとまり具合に嫌みがないこと。他の作品とのバランスを考慮し加点しておきます。



2019.04.13 初稿
2019.09.17 追記/配点修正
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 83
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

幸せな一生

アニメーション製作:CloverWorks、監督:神戸守、
シリーズ構成・脚本:大野敏哉、
キャラクターデザイン、総作画監督:嶋田和晃
原作:白井カイウ、出水ぽすか

森の中に佇む、グレイス=フィールドハウスという孤児院。
そこでは12歳までの子供たちが楽しく暮らしていた。
周りとは隔絶された世界。
外部とつながっている場所には鉄製の大きな門。
そのほかは深い森に囲まれている。
優しいママのいるハウスは子供たちの楽園。
里親が見つかった子供たちは、
定期的にハウスから去っていくのだった。

タイトル名はよく考えられており、
ふたつの言葉を合わせたものだろう。
旧約聖書の創世記12章に記されている、
イスラエルの民に神が示した土地である「約束の地」。
そして『ピーターパン』で、
森林の奥地に住み、親のいない
年をとらなくなった子供のいる国「ネバーランド」。
物語のストーリーをイメージしやすくなっている。
「ネバーランド」というと、
マイケル・ジャクソンの邸宅も思い浮かび、
その内実を思うと、さらに印象深い。

主人公のエマ、ノーマン、レイの3人がいい。
ストーリーはもちろんだが、このキャラクターたちが
物語のなかにどんどん引き込んでくれる。
真っ直ぐな性格で頭が良く、運動神経に優れるエマ。
ずば抜けた頭脳を持ち、正しいことを知るノーマン。
冷静な判断力と鋭い観察眼、卓越した記憶力を持つレイ。
彼らの動きや考え方を見ているだけでも楽しい。
いわば、小学生のときのクラスにいた、
何かするたびに驚かされ、私たち凡人を
いつもワクワクさせてくれる同級生たちを想起させる。

3人が互いに想いをぶつけ合い、理解し、
不可能なことをやり遂げようとする。
そして、それぞれに対する複雑な感情を抱えたまま
自らが信じた道を選び取ろうとする。
この関係性の妙が、作品の最も優れている部分だ。

1話からの構成力も見事。
原作の良さはあるのだろうが、
アニメスタッフの力も大きいことが分かる。
大きな流れを1話目で理解させ、
そこから各話ごとに盛り上げていく展開力は出色だ。

良質なハリウッド映画を観ているような感覚。
時代を象徴するような物語も含め、完成度が高い。

幸せな一生とは、どのような人生なのか。
子供たちやママの一生を考えさせられる。

{netabare}最終回でのイザベラの描写が秀逸で、
この時点で物語は完結している。
後のことを描くことが蛇足にならないかのほうが不安だ。{/netabare}
ここまでで実写映画を作っても十分に成立するだろう。

※EDのCö shu Nie 「絶体絶命」がお気に入り。
ピアノの打ち込みとベースが抜群にカッコ良い。
(2019年4月19日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 97

63.0 5 サバイバルでシリアスなアニメランキング5位
COPPELION コッペリオン(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (770)
3787人が棚に入れました
西暦2036年、「コッペリオン」と呼ばれる遺伝子操作により生まれた3人の女子高生が無人の東京を歩いていた。彼女達は、お台場原子力発電所で起きたメルトダウンにより、死の街と化した東京から生存者を救援する自衛隊の特殊部隊だった。捜索をする彼女達に、突如銃声が鳴る。そして・・・残留放射能あふれる無人の廃墟であり、緑あふれる野生の王国でもある、異界と化した東京都内が主な舞台となっている。
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

天使と人形

原発のメルトダウンにより死都と化した東京。
クローン技術と遺伝子操作で生み出された、放射能への耐性を備える
「コッペリオン」と呼ばれる、JKたちの特殊部隊。
汚染下に取り残され、死と隣り合わせの極限状況を生きる人々との出会い・・・

こんな概要を聞かされれば、いかにもクールかつダークな
ディストピア風世界観が想像されるだろうし、あるいは
科学文明への懐疑をテーマにした社会派路線だって期待されるだろう。

ところが、いざ蓋を開けてみて現れたのは、
テーマ性がせいぜい1割で残り9割はエンタメ志向、
アクション・バトル主体の、異能も兵器も取り混ぜたサバイバル活劇。
しかも並行してめっぽう熱い、情味あふれるヒューマンドラマが展開される。
ストーリー、キャラクター、さらに作品全体を包む空気はどことなく懐かしい、
「昭和的」とでも呼べそうなもの。一言でいえば、すごく人間臭い。

素人目には充分過ぎるほどの内実が備わって見えるにもかかわらず、
本作の評価が顕著に低い理由はおそらく、期待外れ、ということではないだろうか。
つまり、題材から予期されるものと実際の内容との乖離。
とめどなく湧き上がる「何でこうなった?」感に応えるべく
以下、しばし小考に入るので、興味のある方のみどうぞ。


{netabare}
原作コミック4巻の巻頭に、作者のこんなコメントが載せられている。

「どんな最悪の情況でも道はきっとあるはず。
 コッペリオンのキャラクターに毎回はげまされながら描いてます。」

うん成程、作者本人がかなり熱い人なのだということがわかる。
キャラクターへの深い思い入れが先行する物語だと見れば
ほぼ納得がいくのだが、作者をこれだけ引っ張るキャラクターというものが
具体的にどんなものかは興味が湧くところ。

兵士、ロボット、産婆・・・やたらに多種多様なキャラが目白押しのなか、
頭抜けて凄いのは何といっても本作の主役、成瀬荊(いばら)。
のっけからCV戸松遥さんのなんちゃって関西弁に度肝を抜かれるが、
そんなの気にしてたら、このぶっ飛んだ激アツキャラにはついていかれない。
例えば、こんなセリフ。

「科学者なら胸張ってください! みんなが欲しがった、
 だから技術者が頑張ってその需要にこたえた、何も間違ってない。
 私は科学が好きです。だって、私のお母さんやもん。」

お母さんって・・・まさに昭和の科学観を地で行くオプティミズム。
彼女もまた「心優しい科学の子」、つまり鉄腕アトムの妹になるわけだ。
さらにこんなことも言う、

「この街であの事故がなければ、うちらはこの世に生まれてなかった。
 だから、こんな所でもうちらには縁のある土地なんです。
 もしかしたらここが私のふるさとなのかも・・・」

驚くことに、彼女は原発事故を自身の存在の根拠として受け容れ、
廃墟となった旧首都を、自らを世界と結びつけるよすがとしているようなのだ。
このセリフこそが多分、本作が選び取った独自の方向性を示すものなのだろう。



最先端の生命工学によって生み出されたコッペリオン。
ともに科学の精髄として、原子力技術ともパラレルな関係にあり、
しかもその存在が原発事故に直接由来しているという紛れもない事実。
ここから、彼女たちの葛藤と苦悩に焦点を当てた一つの心理劇が容易に構想できる。
ところが、作者が描きたかったのはそれとは別の方向性だったのだ。

生存者の救出という、唯一の存在理由となる任務にすべてを賭け、
救出を拒まれれば涙を流して懇願するほどの、異常な情熱を傾ける。
過酷なミッションを屈託もなく「修学旅行」と言ってのけ、
決して人間を憎まず、科学を告発せず、運命を呪わず、
ただ信じ、一切を受け容れてひたすら前に進もうとする荊の鬼気迫る姿。
背負わされた残酷な宿命とか、それへの抵抗とかを定石どおりに描くのが
むしろ平凡なものに思えてくるほどの、比類のないユニークな造型だ。

撤退作戦の捨て石にされた第一師団の兵士たちの怨念。
反逆のコッペリオン、小津姉妹を駆り立ててやまない人間への憎悪。
行く手に立ちはだかる、世界に対する絶望の念が荊の信念と激突する。
バトル展開の必然性は、絶望との闘いという本作の主題からの自然な帰結である。
そして、荊の執念が彼らの中に人間性の回復、あるいは覚醒を生じさせる結果、
救出というミッションは、心の「救済」へと変化していく。

人間によって造られ、使い捨てられるだけの「人形」であるはずだった
その彼女が、人間性の極致とも言うべきものを具現し、
あるいは人間をも凌駕する「天使」へと変容を遂げる。
そのアイロニーこそが、この物語のエッセンスなのではないだろうか。



終盤にかけ、コッペリオンたちの悲劇的な宿命が徐々に明かされてゆく。
それは「生命」への、「生きる」ということへの省察を私たちに促すものだ。

ラストで描かれる、「死」が支配する廃墟の中での新たな生命の誕生。
もちろん、本作が月並な感動エンドで終わるはずもなく、
そこにコッペリオンたちの悲劇が重ねあわされ、深い余韻が醸し出される。
以下のセリフは何かに抵触するらしくミュートされているが、別サイトから補った。

「コッペリオンの体細胞には抗放射線能力が備わっているのですが、
 生殖細胞にはそれが機能せずやむなく子宮に処置を施しました。つまり・・・
 あの子らは子供を産めないのです。」

コッペリオンたちから奪われているものは、実はそれだけではない。
ある日突然、全機能が停止して最期を迎えるという残酷な運命が彼らを待っている。
その突然死がいつ来るかは誰にも予測できない。
つまり彼らの未来は最初から与えられておらず、予め失われている。
だからこそ、荊のようにすべてをこの「今」に集約して生きるしかできないのだ。

「わたし、そういう難しいことがよく分からないんです。
 でも、分かっていることが一つあります。
 それは、今日も空がきれいやってことです。
 だから別に悲しくありません。」

夕空を仰ぎ見ながら荊が、実にさばさばとした調子で語った言葉だ。

今日も空を美しいと感じていられる―、ただそれだけのことが
世界の中にあること、生きていることの最もシンプルな感覚なのかも知れない。
そんなことを考えずにはいられない気持ちにさせられる。

あるいは逆に、ある人の死とは、その人が日々見ていた空と
ずっと慣れ親しんできたその人の周囲の世界が、すべて消え去ってしまうという
取り返しのつかない喪失を意味しているのだと、
そんな厳然たる事実に、あらためて気づかされるのだ。
{/netabare}


キャラクターの一人一人を愛情をこめて丁寧に描こうとする
作者の愛着が、ストーリー進行を停滞させてしまうという皮肉。
前半の4話までが第一部、後半が第二部と、
全13話が二部構成になっている本作の視聴では、
テンポが遅く、退屈に感じられる第一部を乗り切れるかが鍵になりそうだ。

個人的な評価として、キャラクターの他にもう一個の満点を作画、
とりわけ驚くべき創意に富んだ背景美術に贈りたい。
全編を通して舞台となる廃墟の景観を細密に、
さらにテクスチュア風の処理を加えて大胆に再現し、
画面には虹のグラデーションのような滲みやぼかしを用いて
ユニークな色彩処理を施すことにより、リアルでありながら同時に幻想的な
変質した異空間を見事に表現している。

荊たちのプロポーションのデフォルメも凄い。
異様に細長く引き伸ばされた、エル・グレコの宗教画の人物のような姿。
それも、背景を流れ続ける雲と、吹き続ける風の動きが映像に通わせる
野性味を帯びた生気の中で、まるで原野に揺らぎ立つ陽炎のように見え、
いつしかしっくりと風景に馴染んで来る。今もなおどこかで
彼女たちの「修学旅行」が続けられている、そんな気さえしてきそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

制作が発表されたのは2010年の秋。
放送開始は2013年10月。この間にあの大震災と事故とが発生している。
このあたりの経緯についてはよく知られているので詳述しないが、
本作の評価の低さに影響を与えていることは間違いないと思われる。
架空の「題材」であったものが、現実の「問題」に変換される、
つまり、現実がフィクションを追い抜いてしまうような事態が生じた時、
本作の内容があまりにも牧歌的なものに感じられるのは自然だろう。

目下のコロナ・パンデミックを引き合いに出すまでもなく、
現実感覚の変容によって、これまで以上にストーリーのリアリティーと
踏み込んだ強烈なメッセージ性とがフィクションに要求される時代になった。
世界についての私たちの常識のパラダイムが大きな転換を余儀なくされる、
そのような混沌の時代に、すでに私たちは足を踏み入れている。

(初投稿 : 2021/07/05)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

社会風刺が現実に・・・偶然の一致って時には恐ろしい事を肝に命じておきます。

この作品は、2010年9月にアニメ化決定が発表されました・・・でも、この時はまだ誰も知りませんでした・・・
2011年3月の東日本大震災によって、この作品の様な事が現実に起こるなんて・・・
原発問題は未だ沈静化はしていませんが、これまでの出来事を風化させないためにも個人的には放送されて良かった作品だと思います。

物語の舞台は、旧首都・・・ここは事故により高レベルの放射能が残留した街でもありました。
街はほぼ廃墟と化しているのですが、それでも僅かながらこの街に生存者が残っています。
この生存者を救出するため、コッペリオン・・・放射能に対して耐性を持つ人間が・・・遺伝子操作により生まれ、救出するためだけに訓練を積み重ねてきた陸上自衛隊の特殊舞台の一員が派遣され、物語が動いていきます。

成瀬 荊(なるせ いばら)、野村 タエ子、深作 葵(ふかさく あおい)は女子高生3人組です。
保険係としてこの地に赴き、救助活動を始めるのですが・・・残された人々にとってこの事故の傷はあまりにも大きすぎました・・・

この地に留まっていた人々・・・何故彼らが防護服無しでは外に出られないこの街に残留してきたのか・・・それにはちゃんと理由があったのです。
人によって理由は色々でしたが・・・そこには並々ならぬ決意で残留してきた事だけは間違いありません。そのような彼らにとって、コッペリオンはどういう存在に映るのでしょう・・・

ここでしか生きていけない人・・・ここでしか存在できない人には、コッペリオンの好意は届きません・・・
そう・・・好意は届かないのですが、彼女たちは行為でそれに応えようとします。
何故なら、それが彼女達コッペリオンの存在意義であり価値だからです・・・
遺伝子を操作され特殊な能力を身に付けて生まれてきて、訓練を積み重ねてきて・・・そして、一方的に時間という代償を払わされる・・・
違う生まれ方をしていたら、もっと違った楽しみもあったろうに・・・と思うと切ない気持ちで一杯です。
そんな彼女達から発せられたこの台詞は私の心の中に突き刺さりました・・・

「私にあなたを救わせて下さい・・・」

これまで人の手助けをする際、ここまでの気持ちをぶつけた事があっただろうか・・・私自身は残念ながら記憶にありません。
それを女子高生から発せられるなんて・・・思わず貰い泣きしてしまいました。
でも、心が折れそうになった時、そういう真っ直ぐな人が傍に居てくれたら・・・希望が持てるのかもしれません。特に、生命に直面する事だったら尚更だと思います。

物語は暗い話ばかりではありません・・・新しい希望を持てる展開もちゃんと待っています。
そして保険係以外のコッペリオンも登場して、話のスケールが徐々に大きくなっていきます。
でも、その希望を掴み取るまでは、幾つもの障害を乗り越える必要がありました・・・
信じられるモノは協力・・・信頼・・・勇気・・・という言葉と自分自身・・・それでも絶望的な状況の中でも仲間と共に歩む事を諦めなかったコッペリオンは、とても眩しい存在だったと思います。

オープニングテーマ「ANGEL」/歌:angela
エンディングテーマ「遠くまで」/歌:angela
この作品はOP、EDともangelaさんでしたが、どちらも印象に残る曲でした。
特にEDは、物静かなメロディで始まるのですが、ラスト・・・あれはきっと魂の叫びなのでしょう・・・心に響くメッセージだったと思います。

1クール13話の作品でしたが、毎週の視聴が楽しみで毎回胸を熱くしながら視聴した作品でした。
個人的にはもう少し視聴枠を増やして多くの人に視聴して貰った方が良かった作品だと思います。
そして、原作の方は未だ続きがあるようです。作画もCVの皆さんも代える事無く、このメンバーによる次期を期待しています。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 33

イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

☆放射能汚染された東京(旧首都)

テーマが深いですけど、なぜか遺伝子操作された
3人の女子高生という設定。

良かったのは荒廃した東京の美術が印象的だった
ことです。

前半部分はなかなか引き込まれたです。

結局、荊ちゃんがロケットランチャー
をステルスにぶち込んだり小津姉妹が登場して
とあるシリーズみたいな厨バトルな感じでした。


原作/井上智徳「週刊ヤングマガジン」講談社

アニメーション制作/GoHands

OP 「 ANGEL 」angela

放送期間2013.10-12(全13話)


主観的評価(B)




追記欄_
東日本大震災の影響で設定変更あり。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5

85.7 6 サバイバルでシリアスなアニメランキング6位
Dr.STONE(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (753)
3292人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚める。「石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がってやる!」。絶体絶命の状況で、千空は仲間を探し、世界を取り戻すことを決意する!

声優・キャラクター
小林裕介、古川慎、佐藤元、中村悠一、市ノ瀬加那、沼倉愛美、前野智昭、村瀬歩、上田麗奈、高橋花林、河西健吾、麦人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

はーすげー!へーすげー!の連続

原作未読


JUMP案件全24話。
謎の石化ビームで人類が活動を止め3,700年。いにしえの時を越えて石化が解けた一握りの人類が科学の途絶えた地球でその科学の知識を駆使して失地を回復していく物語。
主人公はどんだけ幅広く深く網羅してんのよ!なスーパー理系高校生の石神千空(CV小林裕介)。見た目は下仁田ネギを擬人化してオーケンのメイクをしたような感じ。ジャンプっぽいデザインです。そして同級生の高校生ら数名。

『戦国自衛隊』だと現代兵器を信長時代に持ち込んで大暴れとなりますがこちらは持ち込み不可。3,700年ほったらかしだとさすがに文明は絶えて石器時代以前の原始時代かのよう。
同期の『本好きの下剋上』のように現代の頭脳を持ったまま後進文明に乗り込んで「無ければ作ればいい」を試行錯誤するのに似てます。『JIN』も同系統でしょう。そしてさらに文明がないところからスタートするのが本作なわけですからこのテのものでは最難関ハードル。ちょっとワクワクします。

それと自分幼稚園の時でしょうか。世界名作劇場『ふしぎな島のフローネ』から漂ってきた匂いと同じものを感じます。OPもEDも覚えてます。木の上の家は憧れでした。
つまりあぁそういうことか。原体験からくる刷り込みがどうやら自分にはあるようです。
イキリ主人公が教育上どうかとは思われど、少年少女が“科学の面白さ”に触れる良い機会になるやも。


 {netabare}オイラ文系でラッキー?{/netabare}


化学ならびに物理の理系科目に不案内なため、アニメで描かれている試行錯誤の産物が乾いたスポンジに水が浸み込むようにすーっと入ってきます。

{netabare}パクチーとライムなんかでコーラ作れんの?マジでスゲー!{/netabare}

信じるかどうかは俺次第 キリッ なんす。

そして前半のOP「Good Morning World!」がすこぶる良い。なにが良いかって作品にばちっとハマる感覚。久しぶりです。ピストルさんっぽい声質もしっくりくる良曲です。


障害ももちろんありますよ。
文明を起こそうという主人公らを妨害するのは野生の肉食動物や自然の猛威だけかと思いきやそう簡単ではありません。
アンチ文明の敵対する勢力もわりと序盤から登場し、主人公らの前に立ちはだかります。まあバトル要素ですね。


 科学の試行錯誤+バトル要素


このバランスが崩れず2クール完走でした。原作が続いているので続編期待な感じでの終幕。
大袈裟でしょうが“人類の叡智”の触りを感じるのにちょうどよい良作です。ごちそうさまでした。



※オマケ

■“霊長類最強の男”獅子王司ってどうよ?

あらためてこうして見るとすごい名前ですね。さてこの方について
好きですか?嫌いですか?どんなキャラだと思いますか?
私はちょっと受けつけないですね。作者の術中にはまってるのかもしれません。

1.{netabare}動くゴールポスト

敵視する対象が最初は“我欲にまみれた汚い大人”。ピュアな若い連中のみ石化解除しようともちかけ、それを千空に拒否されることで対立の芽が生じました。描かれてませんが、「お前らが年くったらどうすんだ?」と疑問符が浮かびます。
それがいつの間にか“科学を信奉し文明を起こそうとする者”へと。考えが深化したとみるよりゴールポスト動いてんじゃんとみてます。でさっそく作中でツッコミが入りました。途中出会った集落の科学?青年クロムについて千空が言及「俺を殺しても次が出てくる」と。まさにその通りなんですよ。
そのため獅子王司の目指す未来は破綻が約束されてるようなもんです。{/netabare}

2.{netabare}ポル・ポトと変わらん

毛沢東と迷うところですがこっちかな。最初は知識階級だけだったのが順次粛清対象が拡大して…
力で押さえつけるしか方法がないので、この世界で肉体での戦闘力に秀でた司が首領ポジションにいるのがしっくりきます。原作未読の戯言ですが、司陣営でそのうち粛清が始まることでしょう。{/netabare}



■スイカ役の高橋花林さん

超個人的なつぶやきです。
この方1年前の迷作『ソラとウミのアイダ』で主役張られてた方です。すでに多くの方の記憶から消え去っているかもしれない作品ですね。
新人でおそらく初めてゲットした主役級の配役があれでと。そのことをもって高橋さんの今後を案じる旨をレビューで書く、という余計なお世話極まりないことをした記憶があります。
こうして、再会できたのはなによりです。ぜひ頑張ってください。



視聴時期:2019年7月~2019年12月 リアタイ  

------


2020.02.07 初稿
2020.07.19 修正
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 68
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

悠大で悠久な物語

<2019/12/22 追記>
全24話見終えました。

面白かったー!

科学の蘊蓄だけでなく、
文明がほぼ原始の世界というだけでなく、
現代に在る科学の凄みだけでなく、
逆転の発想で「今は過去からつながっていて、そして未来に続いていく」ことまでも実感できてしまう。

『悠大で悠久の物語』

ハリウッドが狙ってきそう 笑。

ここは無理があるんじゃないの?という部分ももちろんありますが、そこは架空のお話。
気にしないで見れたモン勝ちです。

二期があるとのことで今から楽しみです。

<2019/7/11 初投稿>
観始めなので評点はデフォルトの3.0です。

原作未読。
あにこれのあらすじ紹介だけで期待値上げてた作品ですが・・・面白いやんけ( ・∇・)

ざっくり言うとタイトルの通り
「ララーシュタインのような髪型した少年が科学でファンタジーに挑む」
と言う感じかな。

ララーシュタインってなに?と言う方は是非、画像検索してみてください。
ついでに言うとこのララーシュタインさんが登場する作品。
OP曲はグラムロックの名曲ですよ。

閑話休題

さて本作、ちょっと変わってる印象です。

普通、物語の分類で
ファンタジーと言えば「科学的裏付けの全くない空想」作品で。
SF(Science Fiction)と言えば「科学的裏付けがあったり、あるように思わせる空想」、 つまり科学と空想が入り混じった作品なのですが。

ところが本作はどちらとも言い切れない。
強いて言えば
「Science(科学) &(そして) Fantasy(空想)」
で「SF」かな

科学的裏付けが全く感じられない現象に対して
めちゃくちゃ地味な科学的考証の積み重ねで立ち向かう。
ScienceとFantasyの二つが融合せず、お行儀よく隣り合ってる印象です。

地味なウンチクも多い。
そう言うの好きな人にはぴたっとハマると思います。

例えば理系のアニオタの私とか( ・∇・)♪

自分は今期、「ヴィンランド・サガ」「炎炎ノ消防隊」「コップクラフト」と並んで注目しております。

<2019/7/15 追記>
2話目観ました。

炭酸カルシウムの4番目の使い道が意味ありげで気になるー笑。

そして新キャラ登場。
獅子王さん。
濃いですねぇ。
{netabare} 空飛んでる鳥を木の上から飛びかかって捕まえちゃったよ、この人 笑。
チート武力{/netabare} 担当だそうです。

さあこれで3人。
人間、3人集まると派閥が生まれるというような言葉がありますが、もしかしたらこれからはそんな展開なんでしょうか。

獅子王さんの発想は昨今の{netabare} 世代間の断絶{/netabare} のようなものを表してて面白いです。

でも、それを是としたら{netabare} ジャンプのような商業誌には載せられなくなってしまいます。
というわけで主役のララーシュタイン、もとい千空さんはかっこよく反発して、{/netabare} 引きへ・・・

でもですよ。
ちょっと思うんです。
もし{netabare} 獅子王さんの考え方に千空さんが同調して物語が進んだら・・・
結局、若い世代同士が新しい利権を奪い合って理想郷なんてできないってことがわかってEND{/netabare} とかSFっぽくてそれもありかなーなんて 笑。


ところで全く話は変わりますが。
他の方のレビュー拝見してて{netabare} 「石化してるのが表面だけならなんで中身の生物は何千年も生きてるの?」{/netabare} というような疑問を複数見かけました。

そこはファンタジー部分だから、と私は飲み込んでおります。
それ言い出したら、{netabare} 石化したら息できなくて数分で死ぬじゃん、という話だし。
仮に呼吸できたとしても水も食料もなければ一週間ももたないし。{/netabare}
そこら辺はファンタジーなんじゃないですかね。

<2019/9/3 追記>
9話まで観ました。

アニメでも映画でもドラマでもなんでもそうですが。

登場人物に対して「なんでそこ気がつかないの?」とツッコんでる自分いませんか?
それは俯瞰して見てる視聴者だからこそのツッコみな訳で。
物語を進める上での重要な部分ほど気がついてくれない。
それが物語の面白み。

ところが、たまにそういうのが極端に少ない作品もあります。
デスノートとかそうですよね。
登場人物が賢いので先の先、裏の裏まで読む。
ところがそれでも裏かかれちゃう。
で、そこが面白かったりする。

本作もデスノと同じ匂いがします。
千空さんはもとより、獅子王さんもかなり思慮深く用心深い。
お互いに裏の裏の裏を掻きあってもう痒いところもないくらい。

もしかしたらデスノの系譜と言える作品なのかもしれないですね。

デスノのようなイケメンいないので女性人気は覚束ない感じですが、理系男の私はハマってます。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 53
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

紡がれ、途絶え、繋がる

[2019/12/15 V1]
[2019/12/16 V2 追記・修正]

原作については、週刊少年漫画誌連載であるということ以外何も知らず。
こんな物語が、いま、少年漫画誌に掲載されていることに安堵を感じる。


最初の3話でいったんDropしていました。ですが、よく見る海外Reactorさんたちがこぞって応援していたのを見て視聴を再開しました。最近は本当にReaction動画を見るためにアニメを見る傾向が強くなっています。

6話以降は本当に楽しかった。23話は、どうしたのそれっていうくらい走った感じを受けましたが、それ以外はおおむねよいペースだったと思います。回の跨ぎ方が秀逸で、どうしても次の話が見たくなる構成になっていました。キャラデザは最初のころは違和感を感じていましたが、すぐに慣れました。後半に入って少々作画が荒れる場面もあった感じがしましたが、崩壊までは程遠く、十分な質が維持されていたと思います。

本当に楽しめました。


最初に数少ない難癖(?)からやっつけたいと考えます。

{netabare}
===スタート時点ですでに老害・司
{netabare}
正直、敵役としては魅力が薄いなぁ・・・・少年誌の悪いところがここに出たかな。

ま・・・僕自身も社会にでたての若い世代からは老害認定されていてもおかしくない程度には年取ってるんですがね。とはいえ「ケッ、あの老害が」と思う側でもあるわけですよ(強硬に主張する)。

以下、老害予備軍(候補生?)の悪あがき

{netabare}いろんな形で「老害」ってあらわれると思っています。そんななか、僕自身が気を付けようと心掛けていることがあります。それは「自分とは異なり、かつ、それを理解することも共感することもできない考え、思い、感じ方をする人が必ずいる」と考えることです。「いるかもしれない」ではなく、「必ずいる」です。同時に、自分自信が他の誰かにとっての「理解し得ないもの」だとも考えるようにしています(大事な一文忘れてた。。。)。

僕が見てきてしまった老害ライクな方々に共通していたのが「自分の視点・思考・嗜好がすべてであり、人間共通であると思い込んでいる」ように見えたからです。同じ我を通すでも、自分と違う視点を意識しながらのそれと、そうでないものとでは軋轢の大きさが段違いだ、と思っています。
{/netabare}

で、だ。司くんよ・・・・・きみの「気持ち」はわからんでもないがよ。
なにより君も年は取るんだろ?その時どうするの?
{/netabare}

===唆るのは勝手にしろ、だが、100憶パーセントはやめろ。
{netabare}
癖の強い千空の言い回しは、最初のころは面倒に思っていました。でも、慣れました。次の一点を除いて。

何かとの比較において100憶%はありうる。が、千空がいうそれは可能性や確率として絶対=全体であることを意味している。なので「100%」を超えることはない。千空ほどのものがなぜこんな言い方を・・・・。ま、後半に入るあたりではどうでもよくなっていましたがね。
{/netabare}

===ご都合・・・いや、いいよいいよ。
{netabare}
おそろしくご都合展開。だけどこれは仕方がないかな。
村民も復活人も、とんでもない奴らしかいない・・・いや、いいよいいよ、少年誌だし、楽しかったし。
3700年カウントし続けた(想い続けた)わけだが、脳はそんな長い間エネルギー補給なしで保てるものなのかな。それとも、これが「石化」の謎につながるのだろうか。ここがだるい言い訳にならないことを願う。
[追] っていうか、文字どうした。創始者たちもなぜ「文字」「読み書き」を早々に諦めた?まぁ、その場合は創始者の面子からして日本語って選択肢は消えるなぁ・・・妥当な線は英語かな。創始者の子供たちの主言語がいつ日本語に切り替わったのかも不確かだな({netabare}白夜が百物語の構想をしているシーンで「日本語で良い」「あなたの母国語を知りたい」的な話があることから、その時点で白夜たちが交わす言葉は英語もしくはロシア語だったはず。{/netabare})。ちょっと「言葉」「文字」に関するところが甘い感じはする。何か理由があるのかな。
{/netabare}

{/netabare}

まぁ、こんなところです。



以下、僕なりの推しポイント。

「一歩一歩問題解決へとくさびを打ち続ける、揺らがぬ信念」。

6話でコハクが千空に対して言った言葉です。
多分これを聞いた時点でこの作品を気に入っていたんだと思います。

===科学の1側面(だけ)を描いている。だからこその描かれ方。
{netabare}
さて、この物語ですが。。。口悪くいうならば千空による「コロンブスの航路確認」の連続です。もちろん、足りない設備、材料を補うための試行錯誤はあるのだと思います。しかし、基本的には科学史をたどる道程であり、石化前に得た科学知識に基づく再発見・再発明です。

科学を正しく知り、用いることは重要ですが、科学にはそれまでになかった知を紡ぎだす役割もあります。

学生時代に「巨人の肩の上」という言葉を教わりました。科学・研究に携わる者の心得(?)だそうです。曰く、巨人とは人類の積み上げてきた知識・技術の全体を指し、その肩の上に当代の科学・研究者がちょこんと座り(立つ?)今までより少し遠くを見渡しに行く。そしてその科学者もまた巨人の一部となっていく。これが人類200万年の知の発展をあらわすメタファーなのだそうです。

この物語の主人公である千空も、巨人の肩の上に乗って少し遠くを(あるいは、だいぶ遠くを)見渡しに行く、つまり、新たな知を紡ぎだす側に立つはずだった人物なのだと思います。残念ながら謎の石化によって、千空がその肩の上に乗るはずだった巨人が消えてしまい、千空自身が「起き上がる巨人そのもの」になってしまった。彼の死はそのまま人類の200万年の知が瓦解することを意味する状況の中で、彼はどう思って日々を過ごしたのか、少し気になります。一人の少年に押し付けるには、たとえそれがあんな人物だとしてもあまりに荷が重い。

あくまで僕の主観ですが、この点はきっと原作者も気を付けて描いているのだと思います。凄いのは「科学」「人類200万年」であって、千空自身がすごいものであると称賛されることはなかったと記憶しています。コハクが千空を褒めるのは、千空自身の判断、考え方や行動であって、千空と「科学」は別物として描かれているように感じました([追]{netabare}とはいえ、千空の考え方、判断の仕方こそが科学の賜物だともいえる。その点では千空=科学も成り立つ部分があります。{/netabare})。また、千空含め自らを「科学使い」(科学者ではなく)と称しているのもその表れなのでしょうか。

この描かれ方は、とてもよかったと思う。


これを踏まえて、あえて物語全体に難癖をつけるなら「科学」とともに「哲学」も巨人の根幹をなすものなんだよ、と言いたいです。

{/netabare}

===だからこそのクロム
{netabare}
途中から主役がすげ変わったのかと思うほどでした。

200万年の巨人が倒れたとしても、3700年の巨人の肩の上に乗るものがちゃんといる。この描写、というより構図に痺れました。彼がなしたものは、我々から見れば「コロンブスの新大陸発見」に等しいものですが、3700年の巨人の視点からなら間違いなくコロンブスの卵であり、発見だったのだと思います。当代の科学者であり、エンジニアであるクロムが中盤以降は本当に頼もしく見えました。

{/netabare}

===サポートキャラのサポート力の高さ
{netabare}
コハクはもっとヒロインヒロインしていくのかと思っていましたが、全然そんな感じではなかったですね。それが良かった。科学の応援者、千空の理解者として機能していたと思います。

スイカはお役に立ったんだよー。千空のお役にも、物語のお役にも立ったんだよー。

ゲンはお話を通して僕の中で大きく育ったキャラクターでした。現代科学・工学を見知っているが故に状況説明役として完璧な立ち回りができたと思います。彼自身の心の動き、行動もかっこよかった。彼がいることで、千空・クロムだけでは生み出せないドラマを引き出したし、千空の内面を代弁することもできたと思います。

カセキの爺様は、出オチレベルでキャラ設定が見えてしまいましたが(OPのおかげもある)、クラフトマンシップはいつも人の中にあるのだな、と素直に思ってしまいました。まぁ。。。舞台装置としては最重要キャラですけどね。この人いないと中盤過ぎてからの工作はもうどうにもならない。

親父の話は、、、とてもよかった。くそう、よかったよ。

{/netabare}

===いずれもよかった OP/ED x 2
{netabare}
特にOPが印象に残りました。

曲もですが、OP映像が前後半ともに凄くよかった。
構成としては、作中のキャラクター像が見て取れるカットと、作中のキーポイントとなるシーンでつながれていました。
クール開始時点で、キーポイントのシーンがあそこまで形になっている(転用元がOPかもしれないけど)制作工程のゆとりが、作品にも表れていたように思います。
最終話で、ようやくOP構成が全部明らかになったときはちょっとしびれました。

前半OPはただ不気味に描かれていたゲンが後半OPでは一転してかっこかわいらしくなっていたり、後半OPのクロムが千空と対等に描かれていたり、前後半間の変化も楽しめました。

カセキの爺さま、ばかかっこいい。

{/netabare}


2期、楽しみに待ちたいと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 50

83.2 7 サバイバルでシリアスなアニメランキング7位
ゴールデンカムイ(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (689)
3192人が棚に入れました
明治時代後期。「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争の英雄・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく北海道にいた。
そこにアイヌから奪われた莫大な埋蔵金という、一攫千金のチャンスが舞い込む。
埋蔵金は網走監獄に収監中の男によって隠匿され、24人の脱獄囚の身体に刻まれた刺青がその在り処を示す手がかりだという。
そんな折、ヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。
名をアシリパというその少女は、埋蔵金を奪った男に父親を殺されていた。
さらに杉元の動きに呼応するように、かねてより埋蔵金を狙って暗躍していた北の最強部隊・第七師団や刺青を背負う脱獄囚たちの動きも顕在化。
果たして、雄大な北の大地を舞台に巻き起こった一攫千金サバイバルの行方は……!?

声優・キャラクター
小林親弘、白石晴香、伊藤健太郎、大塚芳忠、津田健次郎、細谷佳正、中田譲治、乃村健次、菅生隆之
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

埋蔵金を巡る争いのなかでふれる、アイヌ文化と死生観

日露戦争で大激戦となった二〇三高地。
その戦いをくぐり抜けて生き残った杉元佐一は、
窮地に陥っても命を落とすことがなかったことから
「不死身の杉元」と呼ばれていた。
戦後、杉元は友人から目を患った妻の治療を託され、
費用を得るために北海道で砂金を探していた。
そのときに、アイヌの人々が北海道で集めた20貫もの砂金が奪われ、
ありかを示す地図が24名の囚人の体の刺青に記されていることを知る。
刺青が彫られた男を発見した杉元は、
アイヌの少女アシㇼパと出会い、行動を共にすることになる。

アニメーション製作:ジェノスタジオ、
監督:難波日登志、シリーズ構成:高木登、
キャラクターデザイン:大貫健一、
原作:野田サトル

北海道が舞台ということで、アイヌ文化が
バックボーンにある興味深い作品。
1話では、人間を食った熊は「悪い神」である
「ウェンカムイ」となり、それを狩っても、
アイヌの人々は毛皮も取らないし、
肉を食うこともないことをアシㇼパから聞かされる。
この話から、私は宮崎駿監督の『もののけ姫』を思い出した。
傷ついた猪の神が「たたり神」となってしまい、
人々や自然に害を与える存在へと変貌する。
それにふれた主人公は、村にいられなくなり、
旅に出るという話だった。

アイヌの信仰は独特だ。
カムイモシリ(神の国)で、動物は人間の姿をしていて、
こちらに来るときには、動物の皮と肉を持って遊びに来ているという。
だからアイヌの人々は、動物たちをある意味大切にして、
小熊を育てて大人になってから食べるときには、
盛大な祭り「イオマンテ」によって神を送り出す。
そうして、再びこちらの世界に来てくれるように促すのだ。
また、動物などの生き物だけでなく、
さまざまに役立つもの全てをカムイ
(アイヌ語で「神」の意)として扱う。
身の回りのものが神だから、いつも敬意を払い、
良い関係を築くという理屈だ。
信仰には「自分たちの生きる術」がある。

それを象徴するようなアシㇼパの話がある。
極寒の日に瀕死の傷を負って、
なおも懸命に生きようとする鹿を見て、
杉元は自身を重ね合わせ、殺すことをためらってしまう。
それを見たアシㇼパは鹿を狩ったあとに、
腹を割いて、そこに手を入れるように杉元に促す。

鹿の体温が移ってお前を生かす。
私たちや動物たちが肉を食べ、
残りは木や草や大地の命に置き換わる。
鹿が生き抜いた価値は消えたりしない。
そうアシㇼパは告げるのだ。
自然とともに生きるアイヌの人々の信心がよく分かる話だ。

自然を相手にして暮らす人々の考え方は、
死にざまにも大きな影響を与える。
6話で登場する熊撃ちのマタギ、二瓶鉄造の哲学はとても興味深い。

{netabare}自然のなかで生きる者にとって、そこには不文律の掟がある。
熊を狩って捌いているときに、それを横取りしようとした
3名の人間に対して、二瓶鉄造は殺人を犯してしまう。
自然の掟に従っても人間の掟では罪になる。
網走刑務所に収監されるが、山で死にたいため脱獄する。
彼にとっての理想的な最期は、獣との勝負の末に
体を食い荒らされて、それが糞となって大地にばらまかれ、
やがて山の一部になることだった。
私はこの話を観て、昔の常識だととても考えられないことだが、
現在では、それほど特殊ではないことに、
時代における価値観の大きな変化を感じた。

子供のころに観た今村昌平監督の映画『復讐するは我にあり』の
ラストで父親役の三國連太郎が息子の妻、倍賞美津子と一緒に
連続殺人犯の息子の遺灰を山頂から空に撒くシーンがある。
父親と分かり合えなかった息子、そして、その妻という
複雑な関係性があったわけだが、私は映画の内容よりも、
遺灰を空に撒くシーンに衝撃を受けた忘れられない作品だった。
つまり、墓に入れることはできない人間として、
せめて広大な空に撒いてやろうということだったのだ。
ところが、最近では散骨することは、一般的とは言わないまでも、
それほど変わったことではない見送り方になりつつある。
これは大ヒットを記録した作品『世界の中心で愛をさけぶ』の
影響が大きいとも言われているが、時代とともに
死者を悼むやり方も多様化していることを改めて感じさせた。

8話では、弟が猪に襲われて殺されるところを目撃した
辺見和雄という男が「死」への甘美な魅力に取り憑かれ、
自分を残酷に殺してくれる人を探すために
通り魔殺人をしながら旅をする話が描かれる。
人には誰しも「死」が訪れるわけだが、
「死」に向かって生きているなら、
人間の生は無意味だという考え方がある。
そして「死」が訪れるからこそ人間の「生」は
尊いのだということもできる。
ここでは、死の瞬間に輝くためだけに生き続ける、
倒錯した精神の男の末路を追っていく。
また、箱館戦争で生き残ったことになっている
新撰組の土方歳三も常に「死」を覚悟して
生き続ける男として描かれている。 {/netabare}

彼らの生き方は、一見するとただの狂人にしか
見えないのだが、自然のなかで生き抜く
アイヌの人々の哲学のなかだと、
むしろ真面目な生き方のように見えてくるのが面白い。

『ゴールデンカムイ』は、1クールの作品として考えると、
まだまだ序盤の状況のため評価が難しい。
ただ、アイヌ文化と死生観を考えさせてくれる、
深みのある物語として展開していきそうだ。

大地を彩る全てのものの生と死に意味はある。
(2018年7月28日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 80
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

生命の輝きに別角度から光をあててみました

2018.07.01記


原作未読

2018年春期の1クールものでは個人的にNo.1でした。
10月に2期放映が決定してるとのことも納得の面白さです。

日露戦争あとの北海道が舞台。ありそうでなかった場面設定が興味を引きます。それになんか骨太そうな印象も私好み。
第一話、熊との格闘シーンで先制パンチを食らい、帰還兵の悲しみを描いたハードボイルド路線か?と見せかけて、コメディありグルメあり。しかも物語の邪魔をしてなかったりする。なんじゃこりゃ、詰め込み過ぎでしょ?といい意味で。

戦友との約束を果たすためにまとまった金が必要な杉元がアイヌ埋蔵金を求めて奮闘する話。アイヌの娘アシりパさんと行動を共にする中で、アイヌの慣習やものの考え方など作品を通じて知ることができます。
その埋蔵金を狙っているのは杉元だけではなく、帝国陸軍の軍人たちだったり、函館戦争の生き残りだったり、複数勢力が絡みます。


【命のやりとり】


冒険、グロ、エロ、メシ、歴史、アイヌの文化、サバイバル、奇怪な登場人物たち、このアニメを構成する要素はいろいろあってエンタ-テインメント性の高い作品です。これら複数要素を含有し空中分解しないでまとまっているのは、演出の巧みさと合わせて、根っこの部分では生々しくてゲップが出るほど“生命のほとばしり”を感じられるという点で一致しているからです。
「生きろ」とか「命どぅ宝」とか「生命万歳」とか命は大事と言うのを悪く言うつもりはありませんが、そういったものにときおり感じるうさんくささみたいなものをこの作品からは感じません。
そのへん詳しくは後述するとして、ありきたりのヒューマニズムには寄らないアニメと思って観ると面白いと思います。
{netabare}2期ありき(最終回にて3か月後に続きやる!と発表)で、最終話が中途半端に切れちゃったのは残念です。今後の期待もありますが、物語の評価を下げております。{/netabare}


以下、思いついたことを徒然に。。。※ネタバレ含みます
{netabare}
■弱い奴は食われる
アシりパさん初対面でこれですからね。日露戦争の死線をくぐりぬけ「戦争で学んだのは殺されないことだ」と語る杉元ですから、根っこの部分で似た者同士だったのでしょう。豊富な知識を持つアシりパと戦闘に長けた杉元のコンビはバランスが良いし、二人とも勘が鋭いというかよく人間を観ている。これだけでも二人がぬるい人生を歩んでいないということがよくわかります。

■死に場所を無くした元新選組の面々
男が泣く理由として「死ぬべき時に死ねなかった」というのは充分なものです。100年生きると土方は嘯いてましたが、2期でどういう死に方をするのかは楽しみの一つです。死なんかもしれないけど。

■狩猟して食べるということ
クマ、シカ、リス、ウサギ、ウマ、あとなんか魚。狩猟して解体して調理するところまで見せる演出は新鮮でしたね。
ウチの親は解体を目の当たりにして牛とウナギが駄目になってたし、嫁は魚を三枚に下ろせない。生命をいただいている実感が乏しい時代にこのアプローチは素晴らしい。
だからこそ、感謝する意「ヒンナヒンナ」が活きた言葉となってきます。
{/netabare}


■軍人目線で観た時の杉元佐一
{netabare}※不死身の杉元って
まるで船坂弘軍曹だなと思ってたら同じこと考えてた人がいたみたい。
不死身の生命力と敢闘精神が語り継がれている昭和の軍人さんです。渋谷センター街入口にある大盛堂書店の創業者としても有名。本買う時はだいたいここで購入してます。
杉元以外でも史実をモデルとした人物が多数いる模様です。

※杉元の切り替えの見事さって
ギャグってたりほっこりしている中でも危機を察知したら一瞬で目つきが変わり戦闘モードに切り替わる描写が多用されています。これってもともとの日本の軍人さんの凄みなんです。温厚で優しく良く笑い平時はおおらかに構えていて、いざ有事となればスイッチが完全に切り替わる。史実本にはそのようなエピソードが多く書かれています。ゴールデンカムイでは旅順攻略に従軍した帰還兵が数多く登場しますが、軍人さんのイメージギャップが少ないことも魅力の一つとなってます。{/netabare}


エッセンスの部分は原作を踏襲しているでしょうし、原作既読組が物足りなく感じるというくらいなので、原作マンガも期待できますね。
この手の作品がウケるというのは日本もまだまだ捨てたものではないなと思う次第。最終的な物語の評価としては2期待ちとなりますが、導入部分としての1期も面白い、オススメの作品です。


以下、オマケ
注)これより以降の記載内容について、人によっては不快に思われるかもしれない政治・軍事的な内容を含んでおります。ネタバレ開く時はこれら承知の上で開帳してくださいね。



■切り替えについてもう一言(本編とは関係ないので暇な人向け)
{netabare}北海道繋がりということで占守島の戦いに触れておきます。
ポツダム宣言を受け入れると発表してからの昭和20年8月17日深夜、樺太最北端の占守島に突如ソ連軍が上陸を開始し武装解除済みだった日本軍と交戦した事案。敗走すればそのまま北海道が分割されていただろう局面で日本軍の奮戦により有利な条件で停戦合意に至ったという重要な戦いです。かって司馬遼太郎の上官でもあった戦車隊の池田末男大佐の猛烈な戦いっぷりや杉原千畝より多くのユダヤ人を救ったとされる樋口李一郎中将の戦闘継続の判断だったり、取り上げるべき人物も複数登場します。
長くなってしまうのでご興味あればご自身で調べていただければと思います。
その日は武装を解除しての残念会が催された日、つまりどんちゃん騒ぎしてしこたま酒をくらい、意識も戦闘終結後に内地へ復員してさて何やろうかなとでも考えてたりしながら就寝したタイミングでの敵襲来です。普通まともに戦えませんし、戦闘するという判断を下すのも難しい。しかし、満州でソ連軍がどういったものだったか現地も司令官も知っています。また戦闘意思なく降伏すればどうなるかも知っています。
短時間で武装を整え作戦を遂行し、結果として足止めに成功しました。闘う時は闘う。避けてなんとかなると言い切れない場合はリスク要因を徹底排除する。
この時点で白旗を揚げて降伏していれば?
日本人にとってはけっして面白い結末が用意されてなかったでしょう。

アニメに戻って…
杉元が殺気を見せて対峙しなければ?
同様の面白くない結末に至ってたでしょうね。{/netabare}

■アイヌの現在とやら(本編とは関係ないので暇な人向け)
{netabare}アイヌや琉球については日本人と区分けして分断を図ろうとする勢力が跋扈しており、現在のアイヌ協会は差別利権、補助金食いつぶし団体に。
DNA配列ないし森羅万象生きとし生けるものを神(カムイ)と捉える宗教観は日本人に属するものであり、一見独特に見える文化風習・言語も土台が同じところからその地域の風土により独自発展したものに過ぎないと私は考えてます。
私の物言いも解釈の一つ。独自の先住民か広義の日本人であるかの論争はあってしかるべき。
しかしながら協会に多数の外国人が入り込んでおり、アイヌの定義も不明確なまま、協会がアイヌと認定したらあなたはアイヌそして補助金みたいな出鱈目は正されるべきでしょう。彼らにとっては差別は未来永劫あって欲しいものなのです。
そういえば北海道に侵攻したソ連軍はこうも言ってました。
「アイヌを開放するよん」
占領(したい)地の統治政策、植民地政策の基本は『分断して統治せよ』、わかりやす過ぎます。{/netabare}



視聴時期:2018年4月~6月 リアタイ視聴

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2018.12.08追記

区切りの最終話の収まりがよければもっと高い点数をつけていたと思います。

命のやりとりを杓子定規にシリアスにしなければならないというのに以前から私自身は違和感があって、そこに、もともと生死は表裏一体、喜怒哀楽すべてを含んであっけらかんとした描写が本作で描かれていたことが新鮮でした。

-----
2021.10.16追記/配点修正 +0.2

うーん、、、なんだかんだ言わんこっちゃない展開↓
・2019年:「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」施行
・2020年7月12日:ウポポイ開業
・2020年:アイヌ団体、サケの漁業権求めて提訴



2018.07.01 初稿
2018.12.08 追記
2020.12.04 修正
2021.10.16 追記/配点修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 75

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ウサギと熊は食べたことあります…。というわけで、「まだまだこれから」ですが2期目も決まって一安心!

鹿ももちろん食べたことあります。リスは食べたことありません…。

……などという私個人のお話はどうでも良くて、2018年春クールの事前注目作品だった一つが本作。原作は2016年の「マンガ大賞」を受賞している有名作品です。

時代と場所の設定は日露戦争直後の北海道、主な登場人物は軍人やアイヌなどということで、マンガやアニメとしてはもちろん他媒体を考えてもそんなに多くはないかもしれないシチュエーションで物語は進みます。

物語のキーになるのはアイヌが残した膨大な金塊。この金を巡って戦友の妻を助けるために一部を充てようと思う者あり、これを残した父を探す手がかりとして金のありかを探そうとする者あり、クーデターの資金にしようと考えるものあり、といった具合で様々な登場人物が現れる群像劇的なお話になっています。

ただの宝探しというわけではなく、その金塊の在処を記した地図の残し方が異常なものだったために物語はおかしな方向に進んでゆきますが、2018年春に放送となった全12話ではストーリーの序盤しか語られることはありません。

物語のスタートが冬ということもあり随所で「雪山で野宿」的な描写があったり、アイヌの集落が出てきたりでアイヌの風俗や食文化に関する描写が多いです。

[以下、アニメとは直接関係のないお話]

ということで、レビュー冒頭では作中で食べていた動物で「私も食べました」的なものを挙げていたわけなのでした。

なお、熊肉に関しては缶詰が北海道のお土産として買えたりもしますし提供するジビエ料理店などもあったりするので、実際に食する機会を得るのは比較的容易な方です。

アイヌ料理ではないのですが、東京都内だと夢屋というフードチェーンがやっている「焼ジビエ 罠」というお店が鹿肉などを食べるにはそこそこお手軽です。五反田店だと、熊肉が入荷したりすることもあります。
http://yumemania.jp/tenpo/wana/

投稿 : 2024/04/27
♥ : 53

70.1 8 サバイバルでシリアスなアニメランキング8位
魔法少女育成計画(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (662)
2779人が棚に入れました
ソーシャルゲーム「魔法少女育成計画」には、何万人かに一人の割合で本物の魔法少女になれるという噂が存在していた。
幼い頃から魔法少女に憧れていた中学生、姫河小雪もゲームをプレイするひとり。
ある日、いつものようにゲームをプレイしていると、マスコットキャラクターのファヴが突然、小雪に語り掛け、本物の魔法少女に選ばれたことを告げる。

声優・キャラクター
東山奈央、沼倉愛美、佐倉綾音、内山夕実、花守ゆみり、井上喜久子、日笠陽子、水瀬いのり、松田利冴、松田颯水、西明日香、新井里美、早見沙織、小林ゆう、緒方恵美、日高里菜、間宮くるみ
ネタバレ

阿紫カービィ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

白と黒だから 美しい

タイトルに「魔法少女」とつく作品は数あれど…


この作品は かなり「異質」

かなりダウナーなので、注意して欲しい。


可愛く 妙な色気のある作画に
騙されてはいけないよ。

ジェンダーフリー 虐待 いじめ 個人至上主義の風刺 同性愛、 など

今身近な シリアスな問題 が隠されているなぁと
私は感じました。



ソーシャルゲーム「少女育成計画」のプレイヤーから選ばれた
年齢 性別 境遇の違う「魔法少女」達の物語。



素直に「魔法少女」になりたいと 憧れる人

ゲームをしていて、突然「魔法少女」に選ばれる人

自ら望んでいないのに「魔法少女」になる人



「魔法少女」の能力はそれぞれに違い、
初めは「世直し」の為に奮闘する魔法少女達。

「使い魔」の誘導で
徐々に 明らかになっていく「魔法少女」の存在の本当の意味…


魔法少女達の「殺し合い」の幕開け!



愛する人を護りたいが為に死んでいく人

自らの意思を 愛する人に託し 死んでいく人

愛する人を失い 目的(自分)も失い 絶望する人


反して
バトルに積極的に参加し策を練って殺す人

「殺す事」に快感を得てゆく人

「殺す事」に疑問を感じ 違う道を探す人

復讐の為に 苦悩しながらも「人殺し」を選ぶ人…


それぞれが 「想い」のために
一生懸命に考え、闘う姿を 現実的に描いているので

皆の気持ちが理解できて なんとも切ない。


「生」と「死」が震える
「生」があって「死」がある事を
思い知らされる。


最後に残るものは…



16(15)人の濃密な描写も 手抜かりなく
これは 名作。(相性が合えば)


『女』を知りたければこの作品を。O
『愛のかたち』を知りたければこの作品を。


「白と黒で、きっと、綺麗だから…」

なんでか解らないけど
心に刺さった この言葉。


不思議の国の真っ黒いバージョン こと
ハードゴア・アリス
暗い作中での 笑いと哀しみの存在 かなり好き

だって、顔面に斧がブスッって刺さってる姿が似合いすぎるんだもの!


「殺し」のシーン
苦手な人にはキツいでしょうね。

けど なかなかの完成度 {netabare}アへ顔良いよ!{/netabare}




魔法少女達のお衣装も可愛いよ

特に気になったのは…

スイム・スイムの
魅惑の白いスクール水着だな!


あと
クラムベリー役の 緒方恵美さんのセクボ…
良い!






運命に流されるのも気持ちいいけど

たとえ愛する人を失うとしても
失わないように、と

頑張る努力 は 美しい

投稿 : 2024/04/27
♥ : 29

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

繰り返される強制イベントを経て手にしたモノとは…?

この作品の原作は未読ですが、アニメ化が発表された時に話題になったのでタイトルくらいは知っていました。その後キャラデザが公開され、主人公を東山さんが演じる事…そして豪華な声優陣が次々発表されていったので、視聴を楽しみにしていました。

この物語の舞台で流行っているソーシャルゲームの一つに「魔法少女育成計画」というモノがありました。
そしてこのゲームには、数万人に一人を本物の魔法少女にするという都市伝説的な噂が飛び交っていたのです。
自分が魔法少女になる…現実ではそんな事有り得ないと思う人が大半を占めると思います。

大体いい年して「魔法少女になりたい」なんて考えるのは明らかに中二病…
だからもし本当に魔法少女に憧れていても口に出せない秘密になっている…と言う人もいるかと思います。
この物語の主人公の姫河小雪も魔法少女に憧れを抱く女の子でした。
でもある日…いつもと同じようにゲームをしていたら、語尾にやたらと「~ぽん」を付けて話すマスコットキャラのファヴが突然現れて小雪を魔法少女にしてしまうんです。

魔法少女になってみて色々と分かったことがありました。
この町にはたくさんの魔法少女がいるということ…
そして一人ひとり使える魔法が違う…ということです。
小雪ことスノーホワイトの魔法は「困っている人の声が聞こえる」というものでした。
こうしてスノーホワイトは「困っている人を助けるために魔法を使う…」という信条の下、育成計画に参画しながら物語が動いていきます。

こうして動き出したと思ったらいきなり強制イベントが発生したのですが、その内容を聞いた時、一瞬飲み込めませんでした。
だって、この状態を作り出したのは誰なの…?
そしてその張本人が言う台詞なの…?

でも一度動き出した強制イベントは誰にも止められません…
そしてこれは只のゲーム…ですがイベントで脱落した時に支払う対価は、きっとこれ以上のモノは無い位貴重なモノ…

明らかに常軌を逸しているとしか考えられません。
そんな中で発令された2回目の強制イベントは…人が堕落するには十分過ぎるくらい、甘い蜜の味がしたのです。

それぞれがしっかりと努力すれば摩擦なんて絶対に起きません。
それが出来ないのが人間の悲しい性なんですよね…
狙われるのは一番力の弱い人…そして狙いやすそうな人…

そして次の瞬間には強制イベントの目論見以上の出来事が目の前で繰り広げられるんです…
この辺りから視聴するのが苦しくなってきました。
魔法少女って何をするために生まれてきたの…?
スノーホワイトの様に困っている人を助けたり、悪い奴からみんなを守ったりするのが魔法使いの使命じゃないの…?

物語の中盤から本来の魔法少女の目的をはっきりと自覚出来ていた人って…どれだけいたんだろう…
どれだけ人の足を引っ張れば気が済むのだろう…
そして極めつけは現実に対する非情なまでの仕打ち…でしょうか?

大半の魔法少女は素直な子ばっかりだったと思います。
けれど、毒気に充てられて素直さが歪んでしまっていたり、素直に出来事を受け止める事ができず血迷ったり、挙句の果てには自分のやりたい事しか頭に無い大人が混じっていたり…
この混沌とした魔法少女の構成が本当の素直さを持つ魔法少女を見え辛くしているのが歯痒くて仕方ありませんでした。

そして中盤以降…ゲーム自体も、魔法少女を産んだ所期の目的を忘れたかのように迷走を始めます…
こうなると完全に収拾がつかなくなるのも時間の問題…
魔法少女の人数分以上の痛みが目の前を駆け抜けていったような気がします。

魔法少女育成計画がこんな風になってしまったのか…物語の終盤で明らかになるものの、本来の目的がもっと浸透していれば、最悪の事態を迎える前に打開策は絶対あったはず…と思うと悔しさを感じます。

スノーホワイト…もう何度涙を流したんだろう…どれだけ悲痛を叫び続けたんだろう…
我を忘れて怒るのも無理ありません。

それぞれに大切な日常があって…ほんの暇潰し程度の感覚で始めたゲームが全てを飲み込んで…
もっとしがみつかなきゃいけない理由だってあったのに…
大切な一言が未だ伝えられていないのに…
あの笑顔があったから頑張れたのに…
どうしてこの作品はこんなにも非情なの…?
この作品の展開が気になる方は、是非本編でご確認頂ければ…と思います。

オープニングテーマは、沼倉愛美さんの「叫べ」
エンディングテーマは、ナノさんの「DREAMCATCHER」
オープニングは恰好良くで大好きですが、カラオケで歌うには難易度の高い歌でした。

1クール全12話の作品でした。wikiをチラ見したところ、この作品は原作の1巻を基に関連する短編などを踏まえて再構成されたのだそうです。
そして原作は既刊11巻とか…
これだけ救いの無い展開が11巻あるうちのたった1巻分だけなんて…
この作品…一体どれだけの闇を抱えているんでしょう…
でも、もし続編が制作されたら絶対視聴したいと思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 31
ネタバレ

こた さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

たとえ絶望だけになったとしても

心だけはなくしてしまわないでほしい…。

原作未読。
何もかもが無力。まるで弄ばれるかのように、残酷な運命を背負わされ、仕向けられた先は血みどろな殺し合い。
惨殺などの生々しい描写がしっかり描かれていて、救いのなさを容赦なく見せつけられた。
{netabare}それでも唯一の救いは、救うことが出来なかった命を、主人公(スノーホワイト)が無駄にしていないっていうのが分かったこと。 {/netabare}想像を絶する悲しみは多く生まれたけれど、おかげで彼女は小さな一歩かもしれないが変わることが出来たのだから。皮肉なことだけど、これで良かったんだと思える終わりだったと思う。後にも繋がっていきそうな展開でもあったから、悲しみを超えて成長した主人公の活躍に期待したい。
期待度は低かったけど、観終わってみれば心に残る神作品だった。
主人公が何も変わらなければ、ただ胸糞の悪さだけが心に残った作品でもあったと思う。
魔法少女というのは、純粋無垢な普通の少女の憧れでなることが多い故、もっともいとも簡単に心を蝕まれてしまいやすい存在なのかもしれない。
{netabare}今回はお年頃の少女に限らず誰もが魔法少女の姿になり得たけれど、魔法少女としての道を選んだのは僅かだった…。生きるか死ぬかという状況に立たされて、それぞれがそれぞれの道を選んだだけともいえるけども。{/netabare}

追記:
自分は最終回あっての高評価なのですが、実際のところ最終回に関しての評判は芳しくないようですね(;'∀')

追追記:
OP・EDレンタルしてじっくり聴いてみたらハマりました(;'∀')沼倉愛美さんの歌う『叫べ』、ナノさんの『DREAMCATCHER』どちらもとてもいい曲です!音楽の評価上方修正いたしました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 39

63.6 9 サバイバルでシリアスなアニメランキング9位
GOD EATER(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (429)
2732人が棚に入れました
2071年、極東-此処は荒ぶる神々の領域。
2050年代初頭、突如出現した未知の生命体「オラクル細胞」は、
地球上のあらゆる対象を「捕喰」し始めた。
全てを喰らい、凶暴な生命体として多様に分化を遂げるその存在を、
いつしか人は、畏怖を持って「アラガミ」と呼んだ。
既存の兵器はアラガミの前に一切効果が無く、
都市文明は崩壊し、人類は徐々に生息圏を奪われていった。

そんな人類に一筋の光明がさす。
オラクル細胞を埋め込んだ生体兵器「神機」が開発され、
それを操る特殊部隊、通称「ゴッドイーター」が編成された。
荒ぶる神々に虐げられた世界で、「神を喰らうモノ」の明日なき戦いの幕があがる―。

声優・キャラクター
木島隆一、平田広明、中井和哉、大原さやか、阪口大助、坂本真綾

kuroko85 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

良く造り込まれています

予告では、全13話でしょうか。
ただ、一応この9話で1部終了となります。
中途半端感は否めないですが、
良く造り込んでいるので、制作が遅れたのでしょうか。
ただ、原画崩壊、ストーリーちぐはぐの
出来損ないが出来るくらいなら
よっぽどこちらの方が良いです。

まず、知っている方もおられると思いますが
この作品はゲーム原作です。
俗に言う【狩りゲー】で、【討鬼伝】と
ならんで有名なゲームですね。
(まあ、モンハンは別格)
既にゲームでは続編の【GOD EATER2】も出ています。
まず、【狩りゲー】にはあまりストーリーはないのですが、
モンハン以外の2作品はそこにストーリーを持たせた事に
評価が集まっています。
ただ、この作品は他の登場人物(ソーマやリンドウ、サクヤ)は
鮮やかなのに、主人公は無機的なんですよね。
それをこの作品では空木レンカという
オリジナルの主人公を作り、アニメにしたのですね。
しかみ、架空なのにこのアニメではしっかりと
人間味を持たせ、ストーリーをひっぱっていますね。

ちなみにあの0話はゲームに使われたムービーでした。
上記も話しましたが、ストーリーはそれなりにしっかりしている
ので、結構楽しみにしています。
ゲームでただ【狩る】だけの主人公が
どこまで個性を発揮してくれるか
後、個人的に名曲だと思っていた【OVER THE CLOUD】を
アニメ用の主題歌に使わなかったのは残念。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 6

朝霧麻衣 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

作画気合入ってるけど本編9話+特別編3話の構成...

原作のゲームは未プレイですが、評判を良く耳にしていたのでPVだけはアップされていた動画で見ていました。ゲーム的にはモンハンに近いのでしょうけどこのゲームを構成する世界観にとても魅力を感じました。

それからこのアニメはまだ完結していません。続編を製作中とのことです。

【あらすじ】
突然出現した「アラガミ」と呼ばれる生物によって人類は激減、唯一の対抗手段として「神機」と呼ばれる武器を手に数少ない人類の拠点を守っている。そんな神機使いの新入りとして一人の少年が入隊する。

【ストーリー】
新入りメンバーを主軸にして、ゲーム未プレイの人にもこの世界の仕組みについて分かりやすく解説してくれるので分かりやすかったです。本編よりも何年前の話かは分かりませんが、アラガミの誕生にまつわるエピソードも各所に織り交ぜられていて、このような世界になってしまった原因について少しずつ解明されていくようなシナリオに引き込まれました。

【作画】
とにかく、戦闘シーンはもちろん登場キャラの表情から基地の内装に至るまでとてもきれいでした。絵については素人なんで上手く言えませんが、今までのアニメに比べると影が多方向から当たるような描写なので、絵から得られる情報量が多く感じられます。加えて作画がとてつもなくキレイなので、要所要所で使われる止め絵から伝わってくる登場キャラの表情が印象的でした。こちらに訴えかけてくるように感じます。他にも、時間の経過を表現する上で、町を一望して昼夜と天気が変化していく実写映画で用いられるような表現も用いられていました。これら全ての表現を用いるために相当な時間と労力をかけたのだろうなと思いました。

【特別編について】
放送中に何度か差し込まれた総集編+作品に関する補足が成されています。これはこれで作品を楽しむ上で見ておいて損は無いと思います。ただ放送中に4回も入るとストーリー展開がテンポよくてもそう感じられない部分がありました(-_-;)

【キャラ】
神機を扱う「ゴッドイーター」と呼ばれる人達は個性的な方ばかりでした。それぞれに抱えてる過去についても少しずつ明かされていきます。詳しく分からない部分についてはこれから続編で出てくるのだと思います。(ゲームでプレイして確認してくださいだけは勘弁して欲しいw)

【まとめ】
このアニメを視聴してゴッドイーターの世界観にとても引き込まれました。詳しい部分が謎に包まれてばかりですが、そこが気になる所でもあります。続編に期待したいと思います(*^_^*)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 13

たにぐー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

スロはお気に入りw

ゴッドイーター様には大変お世話になっていたので、アニメ化されると聞いて、普段お世話になってるのに観ませんでしたじゃ罰があたると思い、観させていただきました。

いちお、全話観ましたが、、、正直言いますとあんまり内容覚えてないです。
自分、ちょっとリアタイじゃ観れなかったんでずっとPCで観てたんですけど、なかなか更新されない。
次の話まで間空くとき多かったので、その間に忘れてしまったって感じです。

まぁ、内容はともかく絵のクオリティは高かったと思いますし、なによりアリサちゃんの下乳も堪能できたので、それだけで良しとしときましょw

と言う訳なんで、ゴッドイーター様これからも末永くよろしくお願い致します(シ_ _)シ  ハハァーー

投稿 : 2024/04/27
♥ : 11

76.9 10 サバイバルでシリアスなアニメランキング10位
ケムリクサ(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (527)
1812人が棚に入れました
赤い霧に包まれた、荒廃した建造物に囲まれた人気の無い世界を舞台に3人の姉妹が生き抜く物語。物語の中心的人物でまとめ髪の特徴的なりん、猫耳でいつもおっとりしているお姉さんキャラのりつ、メイド調の服に身を包み天真爛漫なムードメーカーりな。謎多き世界でこの姉妹が目指すものは一体…

声優・キャラクター
小松未可子、清都ありさ、鷲見友美ジェナ、野島健児
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界の終末に「好き」を探すロードムービー

アニメーション製作:ヤオヨロズ、
原作・脚本・監督:たつき、
作画監督:伊佐佳久、美術監督:白木優子

赤い霧が漂う暗黒の空間。
廃墟と化した街並みはまるで世界の終末だ。
最初の舞台は長崎の軍艦島。
そこで、異形の化物である赤虫と戦い、
懸命に生きる3人の姉妹がいた。
彼女たちはまるで植物のように、
水を飲むことで生命を維持し、
道具としてケムリクサを駆使していた。

けものフレンズを指揮した、たつき監督が
かつてニコニコ動画に投稿した自主制作アニメを元に
再構築して完成させた作品。
降板したけものフレンズの続編と放映タイミングが重なり、
何かと作品以外の部分でも話題となった。
脚本、演出、監督を全てたつき氏が担当し、
CGを駆使して作り上げている。
制作はたつき監督が属するirodoriの
たつき、伊佐佳久、白水優子を中心に行われた。
キャラの動きや赤と黒をメインにした作画は、
少人数体制を思わせる粗い仕上がりだが、
世界観や巧みな脚本によって、それらの全てが
あまり気にならないように見せている。

私は未視聴なので分からないが、
世界観は、けものフレンズとの共通点があるようだ。
廃墟に囲まれた謎の世界で3人の姉妹が赤虫と戦い、
水を求めながら生きている。
そこに突然、わかばという男が現れる。
謎が解明されないまま、姉妹と男は
旅をすることになる。

スタートが軍艦島(長崎県)でスペースワールド(福岡県・閉園)、
道後温泉(愛媛県)、瀬戸大橋(香川県、岡山県)、
梅田駅(大阪府・泉の広場は撤去予定)、琵琶湖(滋賀県・沖島)、
黒部ダム(富山県)、富士山(静岡県)、
八王子(東京都・日清食品)、中野(東京都)、新宿(東京都)まで。
日本各地をロードムービーのように旅していく。
{netabare}そして、最後の赤い木との戦いは、
おそらく東京タワーだと思われる。{/netabare}
コラボしていた日清食品も登場。
実際に観ていて、道後温泉や黒部ダムは
分からなかったが、ほかは自分が旅でよく見ていた
場所ということもあって、驚かされることが多かった。
彼らの旅を観ながら、場所を特定する楽しさがある。
サイトでは詳細に比較しているものもあり、
かなり正確に廃墟として再現しているのが分かる。

10話までは少しずつ謎を小出しにしていくだけなので、
観続けるのがなかなか難しいかもしれないが、
11話でこれまでの様々なことが明らかになり、
最終回まで一気に畳みかける展開は見事。
{netabare}全ての出来事が、日本の街並みを再現した
巨大宇宙船のなかで起こっていたという
SFも興味深く、彼らがここにいた意味、輪廻転生、
想いを引き継ぐことを物語に上手く落とし込んでいる。
EDが登場人物の死や誕生の順番を表しているのも面白い。
EDの最終回には、りりとワカバが触れ合う描写もある。{/netabare}

{netabare}ラストで、りょうから語られるのは、
「全員が好きを手に入れられた」ということだった。
おそらく、感覚だけではなく、
りりの「好き」の感情も6つに分かれていて、
りんだけが、手に入れてなかったのだ。
この結末はりんの言葉を「アニメーションが」とするのが、
監督の純粋な想いなのかもしれない。{/netabare}
(2019年4月13日初投稿)

ちょっとした余談(2019年4月14日追記)
{netabare}監督はどこかのメッセージで、好きなことを
このアニメでやった、ということを書いていたが、
おそらく、登場するのは監督の好きなもの
ばかりなのだと想像する。
タイトルの煙草(ケムリクサ)、廃墟、
日本各地の観光地、長崎の路面電車、ルンバ。
そういえば、シロの仲間がたくさんいた
黒部ダムのガルベと呼ばれる遊覧船もそうなのだろう。
この作品は超テクノロジーの暴走によって、
世界が破壊されるという暗い話だが、
監督の「好き」が溢れていることを感じさせてくれた。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 84
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

SF好きなら一見の価値あるかも

<2019/7/26初投稿>
これ、原作あるのかな。

本放送時はスルー。
というのも「けものフレンズ」一通り見てピンとこなかったんですよ。
同じ監督さんで似たような絵柄だったから似たような話かと思って。

ちなみに「けもフレ2」は見てないので因縁ですか?は興味ないです。


そしてケムリクサ。

最近たまたまCS1-298で第2話やってて、なんとはなしに「ながら見」したら・・・

あらやだ!
面白いじゃないのよ( ̄∇ ̄)

そんで11話まで見て。
おお?と盛り上がり、最終回楽しみー♪とか思ってたら、またCS1-298で1話から放送始まったので1話見て

んで今日、最終回見て。

という変則な見方したんですが

やー面白い( ̄∇ ̄)

SFですね。

ネタバレすると{netabare}

貴重な地球の文明、文化をコピー保存するために宇宙人がやってきました。
その宇宙人さんは「クサ」と呼ばれる謎技術を使って
地球の文明である建造物や交通機関その他諸々を都市ごと、宇宙船内のある種、仮想空間的なところにせっせせっせとコピーしていきます。

そんなある日、その宇宙人さんは地球人の女の子を拾い・・・{/netabare}

というお話かな、たぶん。

10話までは上記のネタバレを隠していて、謎が謎を"淡々"と呼ぶという不思議な話の進み方をします。

この"淡々と"謎が増えていく展開にワクワクできるか、飽きちゃうかで賛否両論の作品なのかなーと。

私はワクワクしました。

「クサ」

「リンを始めとする人間を自称する謎の姉妹たち」

「とってつけたような廃墟の街並み」

「ワカバというお人好しの青年の地味な不思議さ」

「ロードムービーのようなのに旅の目的がよくわからない」

ここら辺に興味を持てたらハマると思います。

いずれにせよ見る人を選ぶ作品ですが、純粋なSF好きの人にはオススメしやすいかも。

見逃さなくてよかった、と思えた作品です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 46
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

1度見終わってからの2巡目視聴が断然面白い

最終話まで視聴。

【この作品の評価は大きく割れそうだなぁ】
{netabare}多くの謎を残したまま物語は進んでいき、ラスト2話で物語の根幹に関わる過去の出来事が”部分的に”明かされる。
要するに、世界観・物語に関する詳しい説明が本編中には無い。
ラスト2話の物語と、それまでの彼女たちの会話から推測するしかない。

世界観や物語について、好意的に推測出来れば高評価、出来なければ低評価になってしまう作品。{/netabare}

【個人的にはハマっちゃいましたね】
{netabare}結局、『ケムリクサとは何?』という問題は、最後まで残っちゃうんだけどね。

りん、りつ、りな姉妹の会話のテンポの良さはクセになる。
独特なキャラデザもクセになる。

そんな感じの作品。(どういう作品?)(笑){/netabare}

視聴前にネタバレしちゃうと、面白さが半減しちゃうので、訳の分からないレビューでゴメンなさい。

【最大の魅力は2巡目視聴が心地良いこと】
{netabare}自分なりに世界観を構築してから視聴する2巡目視聴は、とても心地良いです。
1巡目視聴の際は、意味不明だった出来事が理解できたり・・・。
自分の解釈とつじつまが合わないところは、再検討してみたりとか・・・。

2巡目視聴に耐えられることは、面白い作品の証拠だと思っています(笑)。{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 49

74.9 11 サバイバルでシリアスなアニメランキング11位
マスターキートン(TVアニメ動画)

1998年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (254)
1530人が棚に入れました
元SASのキートンがさまざまな難事件を鮮やかに解決していく推理サスペンス。原作=勝鹿北星、作画=浦沢直樹の人気同名マンガが原作。かつてイギリス陸軍特殊空挺部隊SASに所属していた平賀・キートン・太一は、現在は保険の調査員をしている。本当は考古学者をめざしており、考古学だけで食べていきたいのだが望みはかないそうにない。そんな太一は、保険の調査の仕事のほか、SASの要請や考古学の研究などで世界各地を飛び回り、数々のやっかいな事件に巻き込まれる。それらを太一はSASや考古学の研究で培った技術や知識、持ち前の機転で解決していく…。

声優・キャラクター
井上倫宏、桑島法子、永井一郎、菅原正志、辻親八、キートン山田
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一話完結の仕事人

普段は柔和で実は…「能ある鷹は爪を隠す」キートンさん。かっこよすぎです。
離婚して未練タラタラなくらいがバランス取れてていいんでしょうか。

携帯電話などなくポケベルもあったかどうかの時代。
今の時代だと「この日本人すご過ぎww」などとすぐSNSに乗っかっちゃって顔が割れてしまうんでしょうか。

台詞で必要なことは語ってくれるので、作業しながらの「ながら観」にも最適でした。
(かわいい女の子も出てこないので画面に目が釘付けにはならないしね)
かと言って、大切な締めの部分では言葉で多くを補い過ぎず…という大人な引きの良さもありました。
味わい深くもアッサリとした一話完結式なので、そこをもっと掘り下げて長く観たいのに物足りない‼、という感覚を残す話もありました。



〜好きだった話〜

{netabare}4話・爺さん回
この老いぼれ、実は…のパターンで、婆さん回もあった。

5話・屋根の下の巴里
「人はどんな時でも学べる」というストレートな勤勉メッセージ。

7話・チャーリー
幼馴染との邂逅。最後、どんな風に受け止めていたのか。
嫉妬とか尊敬とか、…?多くを語らないで、ママへの一言が印象に残る。

12話・御婦人たちの事件
イギリスが舞台だから、ミス・マープルみたいなおばあちゃんも登場。

13話・穏やかな死
テロリストの使用する爆弾を造り続けてきた男の、ある日の気づきとは。手に汗握るスリリングさと、チョコレートの甘さと。もっと早く気づけやと言いたい。

15話・長く暑い日
キートン vs 孟犬。もうちょっと続きどうなったのか(とくに、犬のその後!)観たかった。
若き日の覇気あるキートンお父さんが、かっこよい。

18話・フェイカーの誤算
「一流の仕事人は…」が口癖の詐欺師。なんかおかしい。キートンが対決するのと思いきや、「一流」のこだわりにより二転三転。
ちょっとうまいこと行き過ぎだけど、正直者がバカを見ない話でホッとする。

19話・空へ…
めんどくさい鬱屈少年の話。
「こんなにいい天気なのに学校なんてもったいない」と言えちゃう娘はいいなあ。
平賀家が息子でなく娘なのが、何となく家風が分かるような気がする。

20話・臆病者の島
爺さんかっこいい!回。動きのキレがね。

21話・アザミの紋章
歴史上の逸話から探る人物像。見てきたかのような、個人的記憶のような演出の切り替わり、とても見応えがあった。アニメ独自の演出なのか、原作からなのか知りたいところ。巻物が動く演出はアニメだからな、面白さかな。

22話・シャトー・ラジョンシュ1944
「だんなさまのお考えになる事は、だんなさまが生まれる前から、わかっております。」
忠誠心ですよ…おとっつぁん(誰)!!(T_T)
戦火の中で採りごろの実を採りに行くとか、ほんのちょっとだけ、その気持ち分かる…。たぶん私の中のソレはみみっちいけど

25話・砂漠のカーリマン
キートン賢くかっこよすぎ。
砂漠の過酷なサバイバル。
砂漠に行く前に原作もぜひ熟読しておきたいです。でも砂漠にとても行きたくないです。

26話・家族
かつての金メダリストが夢から目覚める…冒頭のシーンが絶妙に切ない。
26話、27話、28話は面白いけどちょっと似てるかな。ヨーロッパの内紛や分断を下敷きにしていて深みが感じられるぶん、え、深刻な内容なのにもう終わり?ってなる。

33話・背中の裏町
女の求める父の姿。あえて真実を突きつけないキートンはんに惚れてまうで…

34話・瑪瑙色の時間
大人の情けなさやふがいなさを見ている子供達。たぶん私も見られてる。
「俺はもう一度立ち上がろうと思う。自分を憐れんでいる時間なんか、ないんだ。」うむ。

…しかし「瑪瑙」のグリーンて結構、人工染色されてるような…

35話・五月の恋
婆さんかっこいい回。
ここだけミセス向け恋愛漫画みたいなムードだけども。キートンの娘さんステロタイプなお節介やきだけども。

38・39話・狩人の季節
キートンと上官の邂逅。器用貧乏なんだねキートンさん。
あー、見終わっちゃった…という寂しさが募ります。
もっと長く見せて欲しいと度々感じていたものが最後に2話連続になると?時の流れは余裕をもって感じますが、そんなに内容のボリュームアップはしないものですね。むしろこれまでの一話完結の簡潔な強さを感じました。まことに勝手な話ですが。 {/netabare}


原作は、原案やら原作者やらの表記について一悶着あったらしく、長らく再版されなかったらしいですね。
とても面白かったので読んでみたいです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 38

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

溢れる原作愛。音楽も最高。これぞオトナアニメ

超マニア人気作のアニメ化。原作もビデオも全巻もってても何度も見てしまう。
原作者とひと悶着あって最近まで漫画は買えなかった。
最近決着がつき愛蔵版?的な再販がはじまったのでぜひ。

お話としてはオムニバス形式。
元SAS、オックスフォード、卒?中退?なぞのままだった気がするが、の凄腕保険調査員、キートン山田(日英のハーフ)がその知能と技術をいかしさまざまな事件を解決しながら、ライフワークの考古学を極めんとする物語。
ガチンコで戦うパパ、サラリーマンの物語。
さまざまのお話があるのでカテゴリーはできない。

ついでにほかのサブキャラがメインの場合もある。
ちなみになぜマスターなのかはSASとしての技術が教官(マスター)クラスだから。
浦沢作品では正直パイナップルアーミーかこれしかない。

今となっては作画はお粗末かもしれませんが、当時はかなりのクオリティ。全盛期のマッドハウス製作。
150話くらいある原作すべてをアニメ化はさすがにできなかった。
しかし人気があったためか、相当な数の話をビデオ化の際にOVA化。後年、NHKで全話放送されました。
完全な大人向きです。ロマンに浸りたい方はぜひ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

浦沢作品では一番好き

<2019/5/26 初投稿>
原作既読。

主人公の平賀・キートン・太一さんは名前からわかる通りハーフで母が英国人、父が日本人。

さらに多様な経歴、極めて高い経験値とスペックの持ち主です。

ところが容姿はどーみてもコテコテの和風で、お人好しでうだつの上がらないおにいさん。
今は冴えない考古学の大学講師という謎キャラです 笑。


キートンの経歴をもう少し書くと・・・

ネタバレというほどでもないけど一応閉じておきます。
{netabare}
オックスフォード大を考古学専攻で卒業(中退だったかな?)

在学中に大学で出会った英国人女性と結婚、一女をもうけるも離婚。

で離婚のショックでなぜか英国陸軍・特殊空挺部隊(SAS)に入隊、そこで伝説級の活躍。
実績と特にサバイバル技術が高く評価されSASの教官まで務めます。
(SASは米国のデルタフォースみたいなもんらしいです。)

でもなんか違うと思ってSASを辞職(除隊)。{/netabare}

そして今は日本に住み普段は大学講師をやりながら、たまに娘に世話を焼かれたりしながら、考古学の発掘調査に勤しむ毎日。

しかし大学講師だけでは食えないキートンはイギリスの保険会社ロイズ(※)のオプ(調査員)もやってます。

なので日本と欧州を行ったり来たり。
飛行機代だけで足が出そう 笑

そんなキートンが保険事故の調査や発掘調査などでさまざまな事件や出来事に遭遇、
時に事件を解決し、
時に出会った人々と暖かく柔らかい交流があったり、
せつないやるせない思いをしたり、
とかそんな話。

(※)正確にはロイズは保険会社や保険引受人の組合組織で、特定の保険会社ではありません。ちなみにロイズは世界最古の保険を取り扱った組織とも言われ、保険会社だけではなく個人、つまりお金持ちが保険の引受人として取引できるようになってます。日本の保険の常識とはかなり異なった組織・制度です。
キートンは個人の保険引受人からの依頼で調査を行うこともあり、物語に厚みを加えています。


原作は浦沢直樹さんの漫画なのですが、浦沢作品の中では一番好きです。

他にはMOSTERやPLUTO、パイナップルARMYも好きですが、本作はパイナップルARMYにやや近い印象。


浦沢作品の特徴は登場人物の表情。
無言のシーンでもどんな感情なのかが一目でわかる画力は流石です。
キャラクターの書き分けも完璧。
日本人と欧米人がパッとみで区別つくキャラクターデザインって案外少ないと思うんですよね。

前述の通り欧州が舞台となることも多いのですが、その背景や会話、出てくる料理なども本当に自分がその国にいるような気分になれてしまいます。

基本1話完結のお話も、変な外連味はなく地味ですが、1話1話心に染み入る深みと温かみがあります。

いずれも高品質な短編の良作・佳作を何十本も積み重ねたような。


そんな原作をアニメでは丁寧に忠実に再現しています。

この「マスターキートン」
私は超有名作だと思ってたのですが、時間というのは情け容赦ないですね。

隠れた、というより時代に埋もれた名作だと思います。

今時のアニメとはかなり趣が異なりますが、「最近のアニメに少し食傷気味」「ストーリーのしっかりした物語を楽しみたい」という方にオススメしたい作品です。。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 39

69.5 12 サバイバルでシリアスなアニメランキング12位
魔法少女サイト(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (390)
1477人が棚に入れました
学校でクラスメイトからのいじめを受け、家では実の兄からの虐待に耐える日々を送る中学生の朝霧 彩(あさぎり あや)。いつも死ぬことばかり考えていた彼女は、ある日、不気味なWEBサイト「魔法少女サイト」と出会い、魔法の力を秘めた”ステッキ”を手に入れる。彩は魔法の力を手に入れたことで、同じくステッキを持つクラスメイトの奴村露乃(やつむら つゆの)、そして他の“魔法少女”とともに苛烈な運命に巻き込まれていく――。

声優・キャラクター
大野柚布子、茜屋日海夏、鈴木愛奈、芹澤優、山崎はるか、岡本信彦、鈴木達央、中尾隆聖、安里勇哉

sMYVP12210 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

名作アニメの予感 だったけど。。どうなった

原作しらずに1話チェック。
ズバリ イジメしかえしアニメ。と理解した。

視点はいじめられる側で、ヒロイン。かなりえぐい状況におかれているようす。
1話としてはがっちり視聴者とらえられたと思う。そのくらい見入ったし、今後に期待して視聴続けます。

★★視聴完了したので追記

6話くらいまでは、まあ最初の印象通りで展開したが、7話くらいから脱線というか、脚色が変わりだした。
魔法を使えるはずの女子たちがワラワラで始めるんだけど、なんか魔法描写が少ない。それもそのはず、魔法ステッキをほとんどの女子が敵さんに奪われていて魔法が使えない状態w なんだこれw

最後はまあ一応収まったな感があったけど、なんかだいぶ最初の印象から変わっちゃったなアニメでした。

おもしろくないことはないですよ OPはなかなか良曲。よく聞いてます。

あ、そういえば、ヒロインのしゃべり方、性格は大嫌いです、イライラする!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

ミサキ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

鬱アニメかな

何故か魔法少女ものが見たくなって『魔法少女育成計画』・『魔法少女サイト』・『魔法少女まどか☆マギカ』の順で視聴しました。
分かる人もいると思いますが、普通の魔法少女ものじゃなくて、癖のあるモノばかりです。
ここからは個別に書いていきます。


『魔法少女サイト』は最初はいじめが酷い。
全体的に暗い。次回予告の兄貴がうざい。
というアニメですw
正直言って精神があまり強くない人は見ない方がいいかも?
鬱アニメですね。
面白いですけどね。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3
ネタバレ

プクミン さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

次回予告が素敵過ぎる

主人公は学校でも家でもいじめ・虐待を受けている少女。
かなり追い詰められ、自殺を考える程に。
え?家では誰から虐待受けてるかって?そんなの言えないよぉ~。

そんなある日、ネットで魔法少女サイトというサイトからステッキを渡される。
ちなみにステッキと言っても、形は様々。
「どこがステッキだっ!!」と突っ込みたくなる形もあります。

{netabare}
主人公が手にしたステッキは、銃の形をしたもので、対象を自分のイメージしたところへ飛ばせる(自分を撃てば自分が瞬間移動する)。
主人公をいじめていた3人組の1人が、主人公を追って来たが、それをステッキで撃って殺害。

後日、いじめ組のリーダー格が、仲間をやったのは状況的に主人公以外いないと決め、復讐をしようとするが、別の魔法少女が魔法を使い時を止め、カッターでリーダー格の女の首を斬る(死にはしない)。

最初はこの二人が共に行動し、他の魔法少女を探す事になる。
その後、仲間が増えて行くが、お兄さんが魔法少女サイトの事を知り、それがどういうものか推理し、魔法少女からステッキを1つ借りる(というか奪う)。
さすがですわ!お兄様!

ちなみに魔法を使うと命を消耗する為、体のどこかから血を流したりする。
{/netabare}

ノリがダークなので人を選ぶ作品だと思いますが、かなり楽しめました。
途中で終わってしまったので、続きが気になりますが、2期があるかどうかは分かりません。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 10

61.3 13 サバイバルでシリアスなアニメランキング13位
テラフォーマーズ リベンジ(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (269)
1477人が棚に入れました
西暦2620年。火星生まれの致死率100%の病原体、エイリアンエンジンウィルスのワクチン製造のため、
異常な進化を遂げた人間大のゴキブリ、通称「テラフォーマー」のサンプルを確保するべく、膝丸燈らは火星へと降り立った。
想定外のアクシデント、テラフォーマー達の猛攻を受けながらも何とか生き延びた燈達であったが、任務遂行の裏で人類同士の争いが勃発する…。
火星を舞台にした極限のサバイバル、その第2ラウンドが今始まる!

声優・キャラクター
細谷佳正、木内秀信、伊藤静、石川界人、KENN、小野大輔、たかはし智秋、豊崎愛生、石塚運昇、赤羽根健治、奈良徹、小村哲生、大原さやか、小野友樹、高橋英則、藤原貴弘、ささきのぞみ、石田彰、杉田智和

赤羽 和人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ゴキブリ

テラフォーマーズ は二期めだから一期から見ないと分らないよー一期見てみてね~
一期もかなり面白かったけど二期も面白い

オープニングテーマ「荒涼たる新世界」聖飢魔II
             「PLANET / THE HELL」聖飢魔II
エンディングテーマ「Red Zone」Zwei
            「Strength」Fuki
            「Revolution」nao

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4

79.0 14 サバイバルでシリアスなアニメランキング14位
ゴールデンカムイ(第3期)(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (285)
1189人が棚に入れました
網走監獄で繰り広げられた激しい攻防戦の末に、離れ離れになってしまった「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女・アシ(リ)パ。アシ(リ)パは「脱獄王」の白石由竹とともに、キロランケと尾形百之助によって父の足跡が残る場所・樺太に連れ去られていた。アイヌの金塊を強奪した張本人である「のっぺら坊」が死んだ今、その秘密を解けるのは娘のアシ(リ)パのみ。キロランケの目的は、彼女を連れてかつての仲間である極東ロシアのパルチザンと合流することにあった。一方、第七師団の鶴見中尉と手を組んだ杉元と谷垣源次郎は、アシ(リ)パを捜索するための先遣隊に志願。月島軍曹と鯉登少尉を同行者として樺太を目指す。北海道よりさらに北に位置する極寒の地で、それぞれの旅路を進む杉元とアシ(リ)パを待ち受けるものとは!? 新たなサバイバルが幕を開ける!

声優・キャラクター
小林親弘、白石晴香、伊藤健太郎、大塚芳忠、中田譲治、津田健次郎、細谷佳正、乃村健次、菅生隆之、大原さやか、てらそままさき、能登麻美子、杉田智和、竹本英史、小西克幸
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

純粋なもの、穢れたもの

アニメーション制作:ジェノスタジオ、
監督:難波日登志、シリーズ構成:高木登、
キャラクターデザイン:大貫健一、
音楽:末廣健一郎、原作:野田サトル

アニメ2期視聴後に原作組になった。
アイヌ文化の奥深さ、実在の人物を参考にした
魅力的なキャラクター像、彼らの過去と心理の表現、
飯テロ、動物たちを含めたサバイバル。
明治維新後の北海道を舞台にすることで、
複合的な魅力が作品全体から湧き出てくる。
人間の本質を表現しようとする作風が見どころだ。

網走刑務所を襲撃後、思わぬ展開によって、
アシㇼパは、父・ウイルクとの邂逅が叶わなくなってしまう。
その上、最大の理解者である杉元とも離れ離れになった。
杉元が死亡したと思い込まされたアシㇼパは、
キロランケや尾形、白石らとともに
父の足跡を辿って樺太の地に向かう。
快復した杉元たちは鶴見中尉に協力する形で、
アシㇼパを追うことになる。

ロシアの伝統競技・スチェンカでの殴り合い、
イタチ科の猛獣・クズリとの戦い、
月島の過去と鶴見中尉の陰謀、
曲馬団・ヤマダ一座のハラキリショー、
キロランケを追う国境守備隊の狙撃手・ヴァシリとの攻防、
写真館を営む長谷川の正体とウイルク、キロランケ、ソフィアの因縁。
アシㇼパ一行とそれを追う杉元や谷垣たちを
交互に見せる形で過去も交錯していく。

尾形の腹違いの弟・勇作との記憶。
戦争における「罪」とは何か。

尾形の生きる原動力。それは子供時代から抱えていた
純粋なもの、無垢なものに対する憎しみだった。
無垢なものなど、この世にはない。
それを証明することだった。
一方、アシㇼパの父・ウイルクは狼に憧れ、
群れを守るためには仲間を殺すことさえ厭わない
純粋だが非常な生き方を選択していた。
{netabare}そんな考え方から、ウイルクは妻から
「狼に追い付く」という別名を与えられていたのだった。{/netabare}

刺青の暗号を解く答え――――
それは純粋な狼とともにあったのだ。

以前のレビューで、この作品は「純粋な生」の形を
表現していると書いた。
そして、今回はその「純粋さ」が多くの人々を
結果的に「殺す」ことになるという
戦時中の心理状態のリアリティに震えた。

確かに世界史を眺めているといつの時代にも
戦争での殺戮における大義名分がある。
兵士に対して「人殺しは正しい」ことを
刷り込まなければいけない。
そのときに必要なのは宗教などの
圧倒的な正義の象徴なのだ。
兵士に疑問を抱かせてはいけない。
自分は正しいことをやっているという
シンボリックなものが必要になる。
だから旗振り役の勇作は、女を知らない、
自分の手で殺人を犯してはいない、
無垢な存在でなければならない。
そういう者が大多数を「正義の殺戮」へと誘う。
「純粋なもの」が先頭に立つことで、
兵士たちの人殺しの罪悪感を取り払ってくれる。
世界史における何千年もの戦争の歴史が、
ほとんど宗教とともにあることを
思い起こさせてくれるような、とても納得できる話だった。

尾形は、弟とアシㇼパの存在を重ね合わせる。
そして無垢の者・アシㇼパに罪を背負わせることで、
自身のこれまでの「罪で穢れた人生」を総括しようとする。
しかし、杉元はそれを許さない。
{netabare}尾形を死地から生還させ、
アシㇼパを民族解放の呪縛から解き放とうとする。{/netabare}

漫画で読んでいたときは、樺太編にはそれほど心を
動かされなかったのだが、アニメで通して観ると、
緻密に計算された構成になっていることに気づく。
罪を背負ったまま生き延びた尾形は、
最後にどのような風景を目にするのだろうか。

刺青争奪戦は、いよいよ佳境を迎える。
(2021年1月17日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 43
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

時はめぐりまた冬が来て

原作追いつくの待って2年ぶりの3期 続き番号で#25~#36の全12話です。

1期冬。2期春夏。そして3期は再び冬での展開です。諸般の事情でアシリパさんら不在と男だらけ。女子限定の冬季キャンプが『ゆるキャン△』とするなら男だらけにすると『ゴールデンカムイ』に行きつく自然な流れとなるわけです(嘘)。

まったくもって私事ですがプライベートで唯一北海道を訪れたのは15年前。網走など本作ゆかりの地も行きましたよ。そしてトマムか富良野のホテルで破壊王の訃報を知りました。第1話のっけから奇縁を感じた立ち上がりです。{netabare}※谷垣の「時は来た それだけだ」です。{/netabare}

作品の基本評価は1期2期のレビューにて。作風が合うようでしたらこの3期も楽しめると思います。これで以上でレビューを締めちゃっていいくらい。


舞台は樺太。
産地明記の消費者法施行によりスーパーで“ロシア産”海産物を目にする機会も増えた近年。世が世であればこれが“日本産”だったエリアから届いた物語です。
クレジットが連続してるのもあって途中参加はNGかと。なにせ2年ぶり。なんで樺太?」は朧気ながら覚えているかどうかというところ。準備運動するなら#24をおさらい推奨です。敵味方・陣営がコロコロ入れ替わる目まぐるしい展開がいったん集約した重要回でした。


■振り返ろう24話 ※以下2期ネタバレ

いち早く樺太に渡ったグループ(キロランケ、尾形上等兵、アシリパ、白石)を追う杉元一派(杉元元一等卒、鯉登少尉、月島軍曹、谷垣一等卒、チカパシ)の図です。
鶴見中尉率いる第七師団は網走で事案処理。土方グループは南方へ行くといって今期は控えめ。
アシリパの様子からのっぺらぼうがウィルクであることを察したキロランケが尾形に合図を送り狙撃。鍵はアシリパの中にあるとの想定で遁走する最中にインカラマッをブスッと刺してたりもしました。
アシリパの涙で暗殺に踏み切ったキロランケって事実も少女の肩には重い。

「山で鹿を捕って脳みそを食べてチタタプしてヒンナヒンナしていてほしいんだよ俺は!!」

杉元のアシリパさんへの深い情も伝われば、汚れ仕事を背負う覚悟も同時に伝わってきます。不殺のくだりは後の尾形と義理弟との因縁とも繋がってきますよね。
証拠を残そうとキロランケのナイフを放さなかったインカラマッのウィルクへの思慕の情も重い。
サイドストーリーのどれもが骨太で本筋を支えています。そのウィルクが北海道に渡る前の若かりし頃に焦点があたる3期というわけですね。

アシリパ父ウィルクの足跡を辿り、金塊への鍵を紐解くこれまた重要な位置づけとなっております。


3期については後述の“ネタバレ所感”にて。
そういえば主題歌にTHE SIXTH LIEが返り咲いてますね。音が作品に合うので歓迎したいです。
ギャグもヒンナも人生模様も相変わらず楽しめる良シリーズ。まだまだお楽しみは続きそうです。



※ネタバレ所感

■え!?いまさら

澄んだ瞳は変態フラグ
{netabare}今回は岩息舞治(CV三宅健太):スチェンカで登場の格闘家ですね。{/netabare}

変態といえば
{netabare}そのもの自体が貴重でかつ撮影に静止が必要だった時代の写真の扱いからして、谷垣のあの雄々しさ全開写真の束って好事家の相当な熱意を感じざるを得ないと思うのは私だけ!?{/netabare}


■プレゼントフロム…

ときてLEMONと答えるあなたは相当なジャンプ通です。ちょっと違います。
空欄には“マチルダ”がイン。LEMONではなくてLEONのほうね。

{netabare}ゲイリー・オールドマンがキロちゃん、ジャン・レノが谷垣、ナタリー・ポートマンがインカラマッ。
例の#24が利いてきます。刺されてもナイフを放さなかったインカラマッの背景があって、彼女に惚れてる谷垣が取った行動だから成り立つ感動。愛ですよ、愛。{/netabare}


■情報将校のリアリズム

“北”がわかりやすいです。国力や軍隊弱めな国こそ情報戦に力を入れるわけであの頃の日本がそう。
すごい端折るとレーニンって人に「お前は共産主義を知らない」と説教した明石元次郎に代表されるようにけっこう我が国も頑張ってたんだぞというのがわかる描写がちらほら。

{netabare}サーカス一座の座長とか、それと若かりし頃の鶴見中尉とかね。きっちり草を仕込んでます。{/netabare}

スパイのお仕事はほぼヒューミント(対人工作)。自ずと人たらしが適任だとなるわけでございます。
特務機関第七師団のリアリズムでいえば、3期前段の鶴見中尉の判断でしょうか。樺太は陸に国境線のあるエリアで国境越えも見越していれば軍が動くのはまずい。自ずと少数精鋭という選択になります。金塊ゲットの大目的を果たすのに優先すべきはアシリパの確保なのに、そのために増員するみたいなのをしないことで作品に説得力が生まれます。
数多ある目的に向かって一直線、そしてそれを良しとするわかりやすさ重視作品を私は否定しません。けどね…ってやつです。リアリティとエンタメがほどよく同居してるのがこの作品の凄味ですね。

その文脈でいえば
{netabare}デカいロシア人に躊躇しない帝国陸軍のみなさんも説得力あったかしら。{/netabare}

実際のところ単純に白兵戦が強かったんですよ。それで情報戦も必死でやってた20世紀初頭です。ロシアの有名な格闘技“サンボ”だってソ連時代に開発されたもの。そら相手も対抗手段打ってきますよね。我が国だって強くあり続けるには日々精進しなきゃいけないんですけど今はどうなんですかね。身体デカいの出てきたらしっぽ巻いて逃げそうな21世紀です。


■(余談)革命勢力の非リアリズム

「未来を託すため…アシリパは山で潜伏し戦えるようゲリラとなって戦えるよう仕込んだ。私の娘はアイヌを導く存在となる…」

{netabare}史実では榎本武揚が結んだ明治初頭の千島樺太交換条約を機に、作中でいうところの樺太・北海道・千島とちりぢりになってるアイヌを統合して独立国家をという目論見でした。アイヌらとはまた違う角度から土方歳三も独立国家設立と似たようなこと言ってました。

先のリアリズムと対極にあると思えるのが、時期的に無いとおかしい共産勢力の影が微塵も感じられないことです。キロランケがタタール人だったとありますが、同じタタール人だったレーニンのオマージュだったりするのかしら。
視点が分散するのでエンタメと切り離してこのへん触れないのは正解だとは思うんです。ただアイヌ銘柄はとってもデリケート。そっち系の人たちが浸潤してることや赤い大地と噂の北海道全面協力のCMアピールを見るに、下手な革命礼賛メタとかやらないかちょっと心配です。

革命アイコンに祭り上げんとする思惑からアシリパさんを守りたいとする杉元を応援したいですね。{/netabare}


軽く悶々としたものの、さらに濃度が増した変態どもの男祭りに酔いしれることができた3期でした。
ストーリー的には…
{netabare}キロランケの終活。想い出巡りの旅で本筋進んだか進んでないんだかよくわからんとです。

IFストーリー:アシリパさんが地元でエタラと再会し「オオカミ。あ!そういや思いだした!」なんてのだったら情緒もへったくれもなかったはずなのでオーケーですな。{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ視聴

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2020.12.26 初稿
2021.10.16 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 47

ISSA さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

変態、樺太へ

原作の良さである、冒険&グルメ&歴史&魅力的なキャラ&笑い&変態…New追加で裸(ただし雄)w
五感を刺激するアニメの3期

2話まで視聴
今期数話見たアニメの中でも一番笑ったw
やっぱり変態と下ネタ飛び交うゴールデンカムイは強い。

1期&2期視聴した人ならご存じだけどゴールデンカムイの魅力はギャグだけで無い。

杉元はアシリパちゃんやついでに白石、と再び会えるのか…。
五感を刺激する、シリアスとギャグの乱高下アニメ3期も楽しめそうです。


視聴完了
多角的に面白さが続くので飽きないですね、作画は1期の頃と比べると良くなってる。
アシリッパちゃん相変わらず、酷い仕打ち&変顔のキャラだけどお笑い要員にならずヒロインで居続けられる不思議な魅力あるキャラになってきた感じ。

鶴見中将、土方歳三そして主人公の杉元…
それぞれの思惑が交差するなかで金塊争奪戦まだ続きそうで次のシリーズも楽しみです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 29
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