ジャズでヒューマンドラマなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのジャズでヒューマンドラマな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月05日の時点で一番のジャズでヒューマンドラマなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

92.2 1 ジャズでヒューマンドラマなアニメランキング1位
COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ(TVアニメ動画)

1998年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3197)
15400人が棚に入れました
時は2071年、いっこうに減らない犯罪者達を捕らえるために「バウンティー・ハンター制度」が生まれた。賞金稼ぎのスパイクとジェットの2人が乗るビバップ号は、太陽系全域にまで拡大した人類の生活圏の中で、火星周辺を中心に活動している自家用宇宙船である。だが捕らえ方が荒っぽいために、捕り物後に巻き込まれた一般人からの訴訟も多く賠償させられてばかり。飛び込んでくる賞金首の情報に選り好みするほどの余裕も無く、日々を行き当たりばったりに過ごしていた…。

声優・キャラクター
山寺宏一、石塚運昇、林原めぐみ、多田葵、高島雅羅、若本規夫

rFXEy91979 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

男の為のイケてるアニメ(時代重ねて重ねるほど、旨味増しまし間違いない)!

Session #1「アステロイド・ブルース Asteroid Blues」
余計な説明セリフはナシ、世界観もサラっと描写。貧乏賞金稼ぎ二人の金銭・食料問題等々、詰め込んだエピソードの何と無駄のない事か。加えて粋なスパイクや堅実派のジェットさん、如何わしい情報屋にボロなシップに寂れた美術。それらが醸す味わいがたまらないです。特に「古さ」が。
綺麗ばっかで泥臭さのないアニメだらけな昨今で、たまに「古さ」をオイシクできるアニメはやはり新鮮です。男も女もロマンチストで現実的でいつでも「死ねる」。ギリギリを生きるアウトローのカッコよさに魅せられます。
本気でアニメを愛したい人の「登竜門」の一本!是非!

Session #2「野良犬のストラット Stray Dog Strut」
インテリジェントなワンちゃん巡って、三者三様大暴れwまたも無駄が一切ない上、笑いたっぷり面白い!!あんなイカツイお尋ね者がワンちゃん一緒な時点で(笑)。しかもそこにトラック野郎(?)にスパイク絡んで、てんやわんや。オーソドックスシーンすら楽しくさせちゃうこのアニメは、やっぱり名作たる所以がちゃんと宿っておりました。
賞金獲得不明だけど、ビバップ号にワンちゃん乗車とこれってもしやレギュラーキャラ?だとしたらますますニヤニヤw
つまりメッチャ面白かった!!

Session #3「ホンキィ・トンク・ウィメン Honky Tonk Women」
香港チックな題名にギャンブルものの魅力付随。そんでもって遂に登場!不二子ちゃんキャラ、フェイ・バレンタイン!!やっぱ時代がどう変わろうと、魔性の女は魅力的だわw
今じゃギャンブルアニメって下火の印象しかないけど、そういう時にこの回見るとものすごい新鮮だよ。カジノ内部の裏取引に宇宙空間の騙し騙され。それを洒落たセンス使って、30分間堪能だから、ホントビバップスタッフってのはカッコいいを極めすぎてる。フェイの逃走もカッコいいし、アインもキュートで良い味してるし、このアニメであと何回悶絶されれば気が済むの!?
マジ今回もご馳走様です!!

Session #4「ゲイトウェイ・シャッフル Gateway Shuffle」
極悪ババアと最凶ウイルス。政府も絡んだ思惑に巻き込まれたメインキャラwマジ今回も大爆笑&大仰天でした。まさか助太刀したフェイが活躍できずに撤収とはねw
ホント毎回毎回と面白エピソード出まくりで、スタッフいつまでこの幸せな時間与えてくれるのよw正直昨今アニメでは味わえなかった満足感が!
ババアがウイルス壊れるか壊れないかでハラハラするのはベタだけど超サイコーで、笑いました。そりゃ笑うわ。
何といっても一笑いはワープ空間の大立ち回り。ミサイル防ぎに颯爽と駆け付けたスパイクの予想斜めなミサイル拡散。続けて美味しい頂戴と割り込んできたフェイちゃんがキメてくれると思いきや、またまたミサイル分裂・拡散。予想二度目の斜め自体に超焦ってビックらこいて、挙句ゲート封鎖通知で大慌ての大撤収。いやあ、ここは声でちゃうほど最高の場面だった。このシナリオ考えた人、ホント頭良すぎるよ!!
さてさて遂にフェイちゃんもビバップ号に乗船だし、今後はどんな大騒動が起こるのかな?ウッシッシですw

Session #5「堕天使たちのバラッド Ballad Of Fallen Angels」
ビターで甘みがどこにもないアダルトの為の回ですね。自称死人のスパイクに固執するビシャスの思い、今尚頭の片隅にまで残り続けるジュリアの気配…。ノワールものでのファム・ファタール(要は運命の女ですね。ちょっとカッコつけました)は男を滅ぼす魔性の女、ですけどジュリアは純な女と折半した女性ですね。男の抱く幻想だと自分は思ってしまいましたが(だってあれほどのいい女が男をずっと待ってるかな)、それでも脳裏に残り続ける気持ちはすっごく分かります。本気で惚れた女はやはり死ぬまで消えちゃあくれませんしね。
まああれほど強いビシャスがあっさり死ぬとは思わないけど、コイツはホントに質の悪いストレイドッグですね。だからこそ最終回が盛り上がったわけですが、彼も非常に哀しいですね。選んだ道とその末路が…。

Session #6「悪魔を憐れむ歌 Sympathy For The Devil」
永遠に死ねない身体は、どこかこう振り返ると吸血鬼を想起しますね。生き血を吸わなきゃ生きれない身とどこが似てると問われたら、劇中の彼のように誰かの命を狩り続ける。生を狩って自分の生を実感し死を刮目。アブノーマルが生きる糧と化してるところと答えますね。
王道を行ってるけど、哀愁を感じさせる王道ですごく好きです。終わりの鍵が始まりの中に隠されてたところもですし、それを黙って引き受けるスパイクもまた同じです。苦くてでも幸せなハッピーエンド。奥深いです。

Session #7「ヘヴィ・メタル・クイーン Heavy Metal Queen」
Session #8「ワルツ・フォー・ヴィーナス Waltz For Venus」
Session #9「ジャミング・ウィズ・エドワード Jamming With Edward」
Session #10「ガニメデ慕情 Ganymede Elegy」
Session #11「闇夜のヘヴィ・ロック Toys In The Attic」
Session #12「ジュピター・ジャズ(前編) Jupiter Jazz (PART 1)」
Session #13「ジュピター・ジャズ(後編) Jupiter Jazz (PART 2)」
Session #14「ボヘミアン・ラプソディ Bohemian Rhapsody」
Session #15「マイ・ファニー・ヴァレンタイン My Funny Valentine」
Session #16「ブラック・ドッグ・セレナーデ Black Dog Serenade」
Session #17「マッシュルーム・サンバ Mushroom Samba」
Session #18「スピーク・ライク・ア・チャイルド Speak Like a Child」
Session #19「ワイルド・ホーセス Wild Horses」
Session #20「道化師の鎮魂歌 Pierrot Le Fou」
Session #21「ブギ・ウギ・フンシェイ Boogie Woogie Feng Shui」
Session #22「カウボーイ・ファンク Cowboy Funk」
Session #23「ブレイン・スクラッチ Brain Scratch」
Session #24「ハード・ラック・ウーマン Hard Luck Woman」
Session #25「ザ・リアル・フォークブルース(前編) The Real Folk Blues (PART 1)」
Session #26「ザ・リアル・フォークブルース(後編) The Real Folk Blues (PART 2)」

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

俺TUEEEE!!ならぬ俺COOOOL!!な雰囲気アニメだけに、最後まで冷えたまま盛り上がらずに終わってしまった印象

宇宙を股にかける凄腕賞金稼ぎの青年スパイク。
彼の仕事ぶりや日々の生活ぶりには、どことなく心ここにあらずといった投げやりなけだるさが漂っていた。
彼の心の中にあるのはただひとつ、{netabare}昔所属していたチャイナ・マフィアで恋仲となった絶世の美女ジュリア{/netabare}のことだった。

・・・ということで、いつも醒めた目でタバコを燻(くゆ)らせるこの主人公が、とっても COOL!!(格好いい)・・・というのが本作の最大のセールスポイントだったのだろうと推測します。

但し、最近の本当に COOL としか言いようがない、何気ないシーンのひとつひとつが研ぎ澄まされた芸術作品のような造りの名作アニメ(例えば、PSYCHO-PASS)に比べると、いかんせん 1998年制作の本作は、脚本・作画・演出とも、どうしてもチープさが隠せないように私には見えてしまいました。


◆作品別評価

TV版       ☆ 並 3.5
劇場版(天国の扉) ★ 良 4.0
-------------------------------
総合       ☆ 並 3.6


※下記の各話評価のとおり、TV版は、★★(優秀回)以上が0、★(良回)6、☆(並回)16、×(疑問回)4、と全く盛り上がりに欠ける内容で、感動するシーンも心躍るシーンも無かったので、個人評価を、☆ 並 3.5 と低めに付けました。
※但し、その後に制作された劇場版『天国の扉』は、中盤以降そこそこ盛り上がったので、個人評価を、★ 良 4.0 としました。



◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


====== COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ - (1998年4月-6月) ======

{netabare}第1話 アステロイド・ブルース ☆ 非合法薬物窃盗犯(アシモフ)と身重妻
第2話 野良犬のストラット ☆ ペット窃盗犯(ハキム)とデータ犬(アイン)
第3話 ホンキィ・トンク・ウィメン ☆ フェイヴ・バレンタインと特殊チップ
第4話 ゲイトウェイ・シャッフル ★ ツィンクル・マリアと環境テロ集団 
第5話 堕天使たちのバラッド ★ ヴィシャスとの再会 ※第1話冒頭に繋がる 
第6話 悪魔を憐れむ歌 ☆ 不老少年(ウェン)
第7話 ヘヴィ・メタル・クイーン ☆ 伝説の賞金稼ぎの未亡人(VT) 
第8話 ワルツ・フォー・ヴィーナス ☆ ロコ&ステラ兄妹
第9話 ジャミング・ウィズ・エドワード ★ 地球の現状と凄腕ハッカー(ラディカル・エドワード)&AI
第10話 ガニメデ慕情 ☆ ジェットの元恋人(アリサ)と賞金首の情夫
第11話 闇夜のヘヴィ・ロック × 謎の宇宙生物の襲撃、オチがないのは×
第12話 ジュピター・ジャズ(前編) ☆ ヴィシャス再登場、グレン登場
第13話 ジュピター・ジャズ(後編) ☆ ジュリア-ヴィシャス-スパイクの因縁のチラ見せ回
第14話 ボヘミアン・ラプソディ × ヘックス老人(チェスマスター)の復讐計画 ※ただの茶番回
第15話 マイ・ファニー・ヴァレンタイン ☆ フェイの過去話、コールドスリープ
第16話 ブラック・ドッグ・セレナーデ ☆ ジェットの過去話、組織との因縁
第17話 マッシュルーム・サンバ ☆ 当て逃げ犯、不時着、違法キノコ
第18話 スピーク・ライク・ア・チャイルド ★ フェイの過去からのヴィデオ・メッセージ
第19話 ワイルド・ホーセス ☆ ソードフィッシュ号の危機、スペースシャトル
第20話 道化師の鎮魂歌 × マッド・ピエロとスパイクの死闘 ※脚本がお粗末
第21話 ブギ・ウギ・フンシェイ × 宇宙風水師パオの娘 ※この回も脚本がお粗末
第22話 カウボーイ・ファンク ☆ 連続爆破犯(テディー・ボマー)、賞金稼ぎ(アンディ) 
第23話 ブレイン・スクラッチ ☆ 新興宗教団体教祖Dr.ロンデスの正体
第24話 ハード・ラック・ウーマン ★ シンガポール、エドの父親、フェイに戻る記憶
第25話 ザ・リアル・フォークブルース(前編) ★ スパイクの無くしたもの、ジュリアの伝言、ヴィシャスの反逆
第26話 ザ・リアル・フォークブルース(後編) ☆ ジュリアの死、スパイクvs.ヴィシャス{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)6、☆(並回)16、×(疑問回)4 ※個人評価 ☆ 3.5


OP 「Tank!」
ED 「THE REAL FOLK BLUES」


==== COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ - 天国の扉 (2001年9月) ====

{netabare}全1話 ★ 不死の男(ヴィンセント)、ナノ・マシン兵器テロ ※第22-23話の間の出来事{/netabare}


(補記)

本作を視聴しながら思ったのですが、私はアニメ作品の評価方針として、
(1) 「その当時の作品としては凄い水準だった」とか「当時は凄く感動した」といった「思い入れ補正」をなるべく入れず、
(2) 現時点でのフラットな評価をしたい
・・・と考える傾向が強いようで、
本作のような、多くのファンのいるかっての「名作」であっても、現時点で「本当に感動できるか」「本当に心がワクワクするほど楽しめるか」という観点から、このような低めの個人評価となってしまうこともたまにあるようです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 35
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

20世紀の遺産を堪能する

OP『TANK!』。バラエティなどでよく使われててフレーズ耳に残ってるけど元ネタこれだったのね。


思えば20世紀のアニメーションなんですよね。
いまさらトライするのになにが動機づけになるのだろう。

よっぽどの有名タイトルか?
はたまた懐古趣味か?レトロ好きか?

クールで2桁をゆうに超える作品が投下されている今日この頃…
敢えていくには大義名分が欲しい私です。例によって地上波再放送。今回は関東ローカルTV埼玉さんの英断です。
めちゃくちゃかっこいい作品なのに合間のCMでは“餃子の満州”なんぞやってた2020年。

なお冒頭動機付けの“有名タイトルか?”“懐古趣味か?”“レトロ好きか?”
同時代を生きてはいましたが、なんせ当時はアニメを観てやしないのもあり懐古趣味のようなものはなく、こちらに限らずほぼほぼタイトルに魅かれてです。今回もそれ。


視聴前イメージだと“ややハードな雰囲気かっこいい系SF”ってのでしょうか。
観る前だと例えば“AKIRA(観た)”“攻殻機動隊(観てない)”“TIGER&BUNNY(観た)”あくまでジャケット判断。本作はこれらに近い雰囲気ありますね。あくまで見ためです(しつこい)。


 そして実際かっこいい


ややアップテンポでジャジーな劇伴に乗せて繰り広げられる賞金稼ぎの物語。一話完結型。全26話。完走して思った。

{netabare}意外と書くことが無い{/netabare}

伏線がどうとかキャラ掘り下げてどうとかがあるのかもしれないけどそんなんじゃない。見事な一話完結。引っ張っても前後編の2話セット止まり。リセットして次いってみよー!
恐らく最大の長所であり短所なんでしょう。

 {netabare}美学に極フリ{/netabare}

物語から受け取るメッセージは皆無。でもこれでいいんじゃなかろうか。スパイキーな仕上がりになってることを否定できる人はいないでしょう。
視聴感は『ルパン三世』に近いと思う。たまに人情話を挟んで普段はコミカル、ここ一番でやる時はやるみたいなやつ。
声優陣も豪華。

【賞金稼ぎな面々】
スパイク・スピーゲル(CV山寺宏一)
⇒主人公らしい主人公
ジェット・ブラック(CV石塚運昇)
 ⇒おっさんらしいおっさん
フェイ・ヴァレンタイン(CV林原めぐみ)
 ⇒ミステリアス成分抑えめな不二子ちゃん
エド(CV多田葵)
 ⇒ネジの弛んだスーパーハカー少女

今は大丈夫ですがもし当時に遡って視聴していたら、エヴァすら未見だった私にとってはらんま1/2のPちゃん(山寺さん)と女らんま(林原さん)のイメージが強かったためびっくらこいてたでしょう。運昇さん加えた三人のセリフ回しはとことん男前でした。


全てに高次元とは言いたくないですね。もちろん敬意を払ってのことです。
仕事柄チェーン展開してるコーヒー屋さんをよく利用します。一定のサービスレベルはどこも約束されていてお店ごとに差別化がある世の中には皆さんも慣れてるかと思います。
そこでふと個人経営店に迷い込んで思いの外良い時間、コーヒーもだし空間を満喫した感覚に似てるといえるかも。


思えば20世紀のアニメーションです。
ノウハウが蓄積されてきて予算さえあれば勝利の方程式を適用し得るのが21世紀になって早20年経過した今なんだと思います。
『エヴァンゲリオン』をアイコンに勃興してきた“大人も楽しめるアニメーション”時代の幕開けはこの頃でしょう。なんでもありな熱を感じますね。
だいたいおもちゃの売れないアニメを作るのなんておそらく出資者がいなかった頃合いじゃないですか。ゼロからイチを編み出したらもう遺産でしょう。


ここであらためて冒頭の“有名タイトルか?”“懐古趣味か?”“レトロ好きか?”
有名タイトルに吸い寄せられてみていくつか視聴し気づいたことは、この深夜アニメが本格化する黎明期作品の熱といいますか尖りっぷりといいますか。一昔二昔前ならではの魅力があることに確信持てましたよ。“レトロ好き”なる観点も“アリ”です。

 作りたいもの作ってたんだろうな~

がここにある。趣味が高じてる良作です。



※余談

■BE-BOPといえば?

{netabare}ハイスクールと反射的に答える私。{/netabare}

実際は1940年代チャーリー・パーカーあたりが提唱したジャズのいちスタイル。流行って廃れてそれでも現代で生き残ってるようです。
意味合いは“アウトロー”とか“自由な”とかのニュアンスが含まれてます。

お世辞にも優等生とはいえない主人公たち。そして月日が経っても「おもしれーじゃん」な作品にそのまま表れてますね。タイトルに偽りなし!

{netabare}どうでもいいこと思い出した。森田童子の曲中にチャーリー・パーカー登場してましたね。あのドラマもスパイキーだった。{/netabare}



{netabare}喫煙がかっこいいアニメなんて絶滅するんだろうな。吸い終わったのを踏んで火を消すシーンなんてごちゃごちゃ言われそう。時代は確実に流れてます。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~12月 地上波再放送   

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2020.11.29 初稿
2021.09.18 タイトル修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 49

66.8 2 ジャズでヒューマンドラマなアニメランキング2位
青の6号(OVA)

1998年10月25日
★★★★☆ 3.5 (184)
992人が棚に入れました
近未来。地球の人口は膨れ上がり、環境は劣悪を極めていた。世界各国は人類最後のフロンティア=「海」に希望を求め、新たな世界を築こうとしていた。そのために設立されたのが、会場及び海中の安全を守る超国家組織「青」。各国は協力して自国の潜水艦を「青」に派遣することになった。日本の自衛隊から「青」に送られた潜水艦も6号艦として「青」の任務に就くことになった。しかし、そんな折、海洋開発のリーダーでもある天才科学者ゾーンダイクが突然反旗を翻し、凶悪なテロで世界を恐怖に陥れる。海洋テロ結社を築き、人類殲滅を宣言したゾーンダイクの野望とは?ゾーンダイク率いるキメラ兵器たちと、それを阻止せんと立ち上がる「青」の潜水艦隊。人類の存亡を賭けた戦いの火蓋が、今、切って落とされた!
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

GONZOの名を世に知らしめた名作

観始める前はSF・艦隊と聞き、ハードボイルドで哲学要素があり、社会に問いかける攻殻機動隊のようなイメージを連想していたのですが、小難しい話はなく、抽象的な世界を徐々に明らかにしていき最後に大きなテーマを抱えて待ち構えている構成で見ごたえがありました。

映像に関しては、1998年の作品と言うことですが、デジタル制作なので映像が観やすく、絵柄も落ち着いた感じなので古さは全然感じませんでした。
それどころか、優秀なアニメーターさんたちが携わっていることもあり、話数が進むにつれてどんどん迫力のある映像になっています。
今見ても見ごたえのある映像になっているかと思います。


物語
前述したように、抽象的な世界から始まり徐々に情勢が明らかになっていくので1話はよくわかりません。
2話は状況説明が主となります。
丁寧に世界を構築したおかげで3話4話の惹き込みはすごいです。
難しい話になりそうだったのでメモを取りながら視聴していたのですがいつの間にかメモを取ることを忘れていましたw

1話BLUES
あらすじ
戦いに飽きて隠遁生活を送る身勝手な主人公速水は、戦艦"青の6号"の乗組員である紀之真弓を助け操舵手に復帰する。そして久々の出撃で人類の敵である半獣達の一人、赤い目のミーティオを助けたのだった。

タイトルBLUESは憂鬱な気持ちを歌で表現する突飛なメロディの曲です。
ということは、キャラが憂鬱な気分に浸っていたということでしょう。
まずはヒロインの紀之真弓。青の6号の命令で速水を探しに来ましたが、身勝手な彼の態度はさぞかし憂鬱になったことでしょう。
次に主人公の速水、戦いに飽きたというそぶりでしたが、出撃時には前へ出るなど、案外隠遁生活にも退屈していたのかもしれませんね。

もちろんEDや挿入歌のブルース?ジャズ?な音楽にも注目です。

2話PILOTS
あらすじ
{netabare}基地に戻った青の艦隊たち。そこで行われたミーティングにより切り札として核爆弾を使うことが提案される。
その後速水は基地内で敵につかまり獣人に改造されてしまった昔の仲間と遭遇する。敵への復讐心を強めた彼は命令を反し一人で出撃、あえなく撃沈される。{/netabare}

1話では殆ど良くわからなかった敵の全貌、見方の内情が分かります。
タイトルのPILOTS、複数形ですから意味は
操舵手、艦長、種火、案内棒辺りが入るかなあと思います。
タイトルが物語にしっかりと食い込んでいるのがすごいです。

3話HEARTS
{netabare}あらすじ
撃沈された小型機から脱出した彼を助けたのは、以前助けたミーティオだった。速水はミーティオや巨型の人工生物ムスカと接するうち、獣人を作り戦を始めたユング・ゾーンダイクの真意を確かめたくなる。

HEARTSの意図について
最初はミーティオの恋心だけかなあと思っていたのですが、観ているうちに紀之真弓の恋心と、ゾーンダイクの心の内と言う意味でも使われているかもしれません。

海と陸それぞれのヒロインと共の立場から観てきた速水はいったいどんな結論を出すのか楽しみです~
ミーティオは魚を加えて速水に差し出すシーンが可愛いですね

それから、速水が海では助けられてばかりだということを繰り返し言っていましたが、振り返ると結構助けたシーンも多いです。ここは共生というテーマにもつながっているのかもしれません
{/netabare}

4話MINASOKO
{netabare}あらすじ
青の艦隊はいよいよ切り札の使用に乗り込む。
しかし、切り札を使ってしまえば敵だけでなく見方も巻き込んでしまう。そこで戻った速水はユング・ゾーンダイクの元へ赴き、真意を確かめたうえで実行してほしいと青の6号の艦長に頼み込む。
見方の援助のおかげで無事ゾーンダイクの元へたどり着いた速水は争いでは何も解決しないと悟り、ゾーンダイクからも希望を託され、青の艦隊に停戦を求める。
そして、獣人側の指揮をとっていたベルグと話し合いをして敵側も収めたのだった。

MINASOKO
水底に沈んだ銃が哀愁を漂わせています。
そして敵は人間を憎んでもゾーンダイクが帰ることはないと悟り、落胆して海の中へ消えました。
悲嘆にくれるベルグと速水への恋心を抑えベルグと共に海へ戻ったミーティオちゃんが気がかりですね。
戦いは終わっても共存は実現していないテーマの深さが浮き彫りになりました。{/netabare}


作画
1話ずつ制作しているみたいなので、最初はOVA初のデジタルアニメで手探りという感じだった作画が、話数を追うごとにグレードアップしていくのが目に見えて面白いです。

中でも一番の成長を感じたのはエフェクトでした。

1話の爆発はゲームの一マスに生えた草みたいで面白い形をしていたのですが、2話3話とナチュラルになり、形も変えてきているので話毎に見比べるのが面白かったです。

水の描写はかなり綺麗でした。場所によってはCGを使われているところと、手書きにエフェクトをかけたところがあったのかな?
1話の廃ビルから見下ろした水の景色がとても綺麗でした。

動きはCG手書き共に良かったですね。
CGでは2話の小型船が水面を滑走するシーン、迫力がありました。
手書きでは、ベルグがはやみんに殴り掛かるシーン、迫力があります。
ゾーンダイクがシャツのボタンをはずすシーン
それからベルグが沈んだ後、はやみんが「イーストセブンからイリアンジャヤ、何人も手にかけてきた、だけど、だけど初めてだったんだ。明るいところで、正面から」フッと笑いながら震えるシーン、そんなはやみんを紀之真弓がそっと抱きしめるシーン芸が細かいです。

音楽
主題歌の「みなそこに眠れ」
ジャズ?ブルース?な独特なテンポと色気のあるウィスパーボイスがいい味を出しています。
戦闘BGMも基本的にこんな感じです。
ピンチなシーンでもアップテンポな曲が流れるので、やや緊迫感にかけますが、カウボーイビバップでも同じような使われ方をしていますし、そういうテイストが楽しめる方は同様に楽しめると思います。


正直こんなに楽しめる作品だとは思っていませんでした。
あにこれの評価も賛否両論ありましたし。
残念なところはなくはないけれど、それ以上に良さが詰まった作品だと思います。
不朽の名作との呼び声の高さは妥当ではないでしょうか。

全4話、1話辺り30分ほどのアニメですので、是非見てみて下さい。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

che さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Thou shalt love thy neighbour.

ワンコさんと良いアニメなのに酷評が多いよね、という話が出まして、
でも僕はこのアニメ好きなので、出来るだけ色々な人に観てもらおう思い、啓蒙も兼ねてちょっと書き直しました。
啓蒙出来る内容になってるかは別として、、、w

OVAだけあって、作画も内容も音楽もレベルが高かったと思います。
今時珍しくもないですが潜水艦等がCGで当時としてはかなり先駆け的だったような記憶があります。
作画も奇麗だし、音楽が特にアップテンポなJazzyな感じでcoolとても良かったです!

物語は、一人の狂気の学者が、南極の氷を溶かし始め、世界の大半が海に没してしまった地球が舞台です。
そこで人類は、謎の海洋知的生命体と生き残りをかけ争っているというのが概要です。
「青の6号」は主人公が乗り込む潜水艦の名前です。
潜水艦での海の中の戦闘なんですが、青の6号は最新鋭潜水艦で結構アクロバティックなマニューバを見せてくれるので面白かったです。
あと、海の中という特殊な空間での戦闘と言うのも僕は面白かったです。
テンポもよく、何より4話しかないのですぐに見れるしオススメですよ。

まあ、戦闘もいいけど、最後の科学者、ゾーンダイクだっけ?
の話は中々考えさせらる物があって僕は其れが有ったからこそこのアニメは面白いと言う評価になりました。
{netabare}
結局ゾーンダイクが南極の氷を溶かし出したのは、身勝手な理由なんですが、まあそれは置いておいて。
人類と戦いを繰り広げていた知的海洋生物(人間並みの知能だと思う)たちも彼ゾーンダイクに作られた存在なのですが、
彼らが人類と戦っていたのは結局ゾーンダイクの指示などでは無く、彼等の意志で彼等の父であるゾーンダイクのために戦っていたんですね。
ゾーンダイクは別にそんな事を望んではいないのですが、幼い彼等はそれが父のためなると思い戦いを始めた訳です。
最後にゾーンダイクの元に辿りついた、主人公2人との会話の中でこんな事を言っていました。

ゾ なぜ彼等(海洋生物)と戦う?

主 先に攻撃してきたのは彼等よ!

ゾ なぜ彼等と手を取り合おうとしない?

主 先に攻撃を仕掛けておいて、沢山の人を殺しておいてそんな事が出来るわけがない!

ゾ 彼等は幼いのだ、彼等は人類からみれば弟の様な存在だ、なぜ彼等を許し、手を取り合おうとしない?

こんな感じの内容だったと思います、すいませんハッキリとは覚えてないですがw
もちろん会話には続きがありますが、心に残ったのがこの辺りだったので、覚えていた感じです。

{/netabare}

アリエッティのレビューでも触れましたが、人類は他の種
とは本当に共存できない悲しい種だなと、このアニメを観た時初めて思いました。

彼等の先制攻撃で人類は確かに死んだかもしれませんが、それは人類の0.1%にも満たない数だと思います。
人類は彼らを許すことを考えなかったんでしょうか?
僕はそうではないと思うんですよ、きっと怖かったんだと思います、人類以外の正体不明の知的生命体が現れ攻撃してきた事、これがきっと人類にはどうしょうなく恐ろしかったんだと思います。
だから、反撃したんだと思います、そうやって死体の数と、憎しみが、比例し終わらない泥沼の戦争ってのが始まるんだと思います。

ある日の夜、一人歩いていると、UFOが下りてきて、宇宙人が下りてきました。
貴方の懐には、デザートイーグルがありますw
宇宙人にだってでっかい風穴が開くマグナムです。
貴方はその銃を抜かず、右手を差し出す事はできますか?
、、難しいですよね。
僕なら、いきなりぶっ放したりはしないと思いますが、銃は抜いてしまうと思います。
でも僕は、「右手を差し出す努力ができる人間」で有りたいと思います。

きっと人類に出来る限界は「その程度」だと思いませんか?
でも「その程度」できっと今より随分まっしな世界になると僕は思んですよね。
ま、そんな事を考えさせられたアニメでした。
さて皆さん、興味がでたかな?面白いアニメだから皆見てね~!


因にタイトルは「汝の隣人を愛せよ」という聖書からの引用です。
僕は無宗教ですが、イエスさんは偉大ですよね。
今より、もっと荒んだ時代にこんな言葉を人々に説いたんだから。

こんな人にオススメ

海の人
メカの人
人間の人
考える人
ダウントリム一杯に夢が一杯な人

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

1967年少年サンデー連載漫画が原作。

1967年~少年誌に連載されていた漫画を元にGONZOにより
1998年10月25日 - 2000年3月25日に全4話のOVA化された。
OVAとしては世界で初めてのフルデジタルアニメ。

航海の安全を守る組織「青」所属の潜水艦、「青の6号」と
国際テロ組織「マックス」との攻防を描く。海洋もの近未来SF。
原作は海洋冒険漫画となっている様ですがアニメを見る限り・・
マッドサイエンスもの・・冒険と言える部分が有るのか不明・・
作風が全く違うし製作時期が少し後になるけど冒険という意味
ではタイドライン・ブルーの方が良く出来ていると感じた。

原爆・生体兵器・人造生命体・・それらを絡めて人の醜さを
表現しつつ・・見境ない復讐と屁理屈・・そして復讐の連鎖。

なので・・大袈裟に派手に描いた割にはラストは・・へっ?・・
言いたいことは解っていたし 一応伝わるけど・・
4話で約2時間・・多少編集で削れば劇場版アニメ程度の時間?
でも・・そう考えるとエンターテイメント性に欠けている気が。
1967年に既に刊行されていた原作という部分にのみ素直に驚く。
この作者は凄いな・・海洋ものやSF絡みの著作が多いのかな。


全般には泥臭くアナクロな感じかな? 派手な3DCG等の戦闘
シーンなどはあるものの・・地味で盛り上がりに欠ける感じ。
そしてアメリカならそういう作品でもエンターテイメント性に
長けた面白い作品にしてしまうんだよね・・アニメぐらいは
頑張ってほしいな・・・日本のSFも・・

キャラデザはシリアスな作風を意識した作品の標準的デザイン
が8割以上 一部如何にも漫画的な個性の強いデザインも混在。
主人公は少し少年誌風でヒロイン他一部の女性キャラはアニメ
という感じのデフォルメ・・どうも3種類のデザインがあるよう。
ミュータントは実在する動物をベースに人造人間化された感じ。
眼が大きめのヒロインとか・・シリアスな作風だけに・・微妙
に感じた・・それほど大きいわけではなけど異質に感じた。

メカデザは如何にも近未来的な物が2タイプと生体兵器のような
物とで3種類あるようですが 世界観上違和感は感じない。
どの程度漫画のデザインを取り入れているのか不明ですが もし
このOVAが原作のデザインを重視したのなら漫画連載当時は相当
洗練されたデザインをしていたのかも?OVA作成時期のデザイン
なら・・それなりかな・・

声優は・・紀之真弓(ゆかな)が少し熱演気味のピーキーな印象で
他に数人聞き覚えのある声が居た・・ブライトとかひとみとか泥舟。
全般的に普通にキャラにあてはまってる感じでゆかなさんだけ極端。

作画は・・メカなどの3DCGとキャラとエフェクトで可成り違和感。
凄く拘って力が入っているのは解るけど・・癖の強い3Dとキャラ
の色彩や質感が融合していない・・エフェクトも凄くリアルを追求
したと感じさせ綺麗な仕上がりだけど・・同様に違和感が強い・・
カートゥーン処理ではなくリアルな質感などを追求した3Dだからか?
キャラなど如何にもアニメな色彩との折り合いがつきにくいのか・・
確かに凄いと感じさせる部分もあるけど・・あくまで単体として・・
作品全体としてみると・・何だかぎこちない動きが多い・・
1998年制作という部分ではそれなりに最先端でハイレベルなのかな。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

61.3 3 ジャズでヒューマンドラマなアニメランキング3位
バーテンダー(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (81)
414人が棚に入れました
城アラキ原作、集英社スーパージャンプに連載の人気コミックのテレビアニメ化!“神のグラス”と呼ばれる至高の一杯を作り出す天才バーテンダー・佐々倉溜。彼のBarを訪れる人々は、差し出される一杯のグラスに心を奪われてしまう。時にはそれは思い出を呼び覚まし、時には悲しみを癒し、時には沈んだ心に火を点ける…。

声優・キャラクター
水島大宙、藤村歩、家弓家正、矢島正明、森本レオ
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【第1作】青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている

【レビューNo.119】(初回登録:2024/4/14)
コミック原作で2006年作品。全11話。
今期第2作が始まり、第1作を復習したのでレビューしておこうかと。

(ストーリー)
主人公・佐々倉溜はバー「イーデンホール」のバーテンダー。
彼はバーテンダーのサービスとして
・楽しい記憶
・安らぎの時間
・魂の癒し
を提供している。
今宵も彼の「神のグラス」を求め、また一人「イーデンホール」の重い扉を開け
るのだった。

(評 価)
・青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている
 原作は「スーパージャンプ」等で連載されていたらしいのですが、個人的には
 青年誌を読んでいた頃の
 「かっこいい大人の男に憧れていた」
 あの感覚を思い出しましたね(笑)。
 作中で描かれているのは、確かに「大人の男の物語」なんですよね。
 例えば客として描かれているのは、仕事で悩みを抱えて、心がささくれ立って
 いている中間管理職だったり、落ち込んでいるサラリーマンだったりと。
 そんな彼らがバー「イーデンホール」で佐々倉と邂逅することで、魂が癒され
 明日への希望を見出していくという、非常に男性が共感しやすい創りになって
 いるという印象ですね。
 女性客も登場しますが、そこで展開されるのは
 ・その祖父と父の物語
 ・恋人・結婚・離婚等の男女の物語
 であったりと、やはり男性が物語の主軸になっているという感じですね。
 なので、「課長島耕作」等の青年誌愛読層には刺さりやすいのかなっと。

・「酒に付されていたエピソード」を絡めた秀逸なストーリー展開
 作中セリフからですが
 ・バーテンダーに一番必要な才能とは?
  {netabare}→ 人間に対する想像力
   → グラスの中で人間の物語を創る力{/netabare}
 ということで、佐々倉が鋭い観察眼で「客が求めている一杯」を読み解き、そ
 れを提供した意図を「酒に付されていたエピソード」と絡めて説いていくこと
 で客が救われるという構成になっています。
 そういう意味では各エピソードの主人公はあくまでも客であり、佐々倉はそん
 な彼らに寄り添う存在
 「バー(止まり木)・テンダー(優しい)→ 『優しい止まり木』」
 に過ぎません。
 そういう佐々倉の立ち位置がなんとも心地よい。
 またナレーションがあの「森本レオ」というのも、作品の魅力のひとつになっ
 ています。
 ただ「バーや酒のウンチク」や「佐々倉の『その一杯』の意図」といった説明
 ゼリフがかなり多いので、その辺は好みが分かれそう。
 (最終話は特にね・・・)

キャラデザや上司のどぎついパワハラ描写など、今観るとさすがに古いな感じる
部分はあります。
しかしそのキャラデザを始め、少し暗めの落ち着いたトーンだったり素材のよさ
を引き出す控えめなアニメ演出だったりと、本作は青年誌連載らしく「大人の男
の物語」がかっこよく描かれている作品なのかなっていう印象ですね。
客一人一人の人間ドラマも面白く描かれていると思いますし。
皆様もバー「イーデンホール」で「魂の癒し」をいかがでしょうか(笑)。

OP「バーテンダー/ナチュラル ハイ feat.椎名純平」
・昭和歌謡の男女の駆け引き的な歌詞をR&Bな曲に乗せてという少し不思議な感じ
ED「始まりのヒト/ナチュラル ハイ」
・しっとりと聴かせるバラードナンバー
 (ED映像では、作中に登場したカクテルを作る実写映像が使われています)
共に良曲なり。
あと劇中音楽はバーのBGMっぽくってこれも良かったかな。
  
(追 記)
とはいえ、本作はよくも悪くも「昭和世代が思い描く『かっこいい大人の男像』」
を描いているって感じがしますね。
第2作は(まだこれからですが)
・客の人間ドラマよりも佐々倉寄りに焦点を当てた構成にしているのかなあとい
 う印象
・それに加え、価値観等も令和にアップデートされたことも影響し、第1作のそう
 いう男臭さやかっこよさがかなり薄まった印象
尖った感じがなくなり、凡庸な作品になりそうだなっと。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

智慧ノ輪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

個人用メモ

【製作】
パルムスタジオ
【CV】
佐々倉 溜 - 水島大宙
来島 美和 - 藤村歩

葛原 隆一 - 家弓家正
東山 稔 - 矢島正明

ナレーション - 森本レオ

他、各話にゲスト有
{netabare}
※イーデン・ホールというBARを舞台に、バーテンダーや客のお酒にまつわるエピソードを描いたもの。
これを観たらお酒のうんちくが身につくかもしれない。飲みの席で話題に困ったときなんかに役立つ場合がある…かも。
バーテンダーが洗練された大人って感じでイケメンすぎだろw
物語の大部分が客の自分語りになってるんで、自分がバーテンダーになってるかの様に感じられる作りに。イケメン気分が味わえますよw

こんな落ち着いたBARがウチの近所にもあればなぁ。。。
おいらがよく行くトコはスポーツバーなんで雰囲気が真逆だったりします。
いや、スポーツバーみたく騒がしくて隣に座った初めて会った人と好きなスポーツでも語りながら飲む…ってのも大好きなんですがねw
{/netabare}
ここから先は、アニメを見てお酒に少し興味がわいたって人ぐらいしか見てもつまらないと思われます。
{netabare}
『簡単にできる、おすすめカクテル』

完全においらの好みですが、オススメのカクテルを紹介します。
アルコール度数低め、甘口、ビルドでできる(グラスに注いでステアーするだけのもの)…を条件にしてみました。
アルコール苦手な方でも飲みやすい物が多い&簡単につくれる物ばかりなので、気になったらお試しあれw

【ソコ・ジンジャー】

SOCO(サザンカンフォート)▼30~45ml
ジンジャーエール▼適量

※サザンカンフォート(SOCO)という果実とハーブのリキュールをジンジャーエールでアップするだけ。
ちなみにおいらはテキーラの味が凄く苦手なんで、罰ゲームでショットしなきゃいけない場合はSOCOで代用しちゃってますw
ショットで飲む場合はライムジュースを少し入れたら甘すぎなくていいかも。

【パッソア・パイン】

パッソア▼30~45ml
パインジュース(100%)▼適量

※パッソアという、パッションフルーツのリキュールにパインジュースを混ぜるだけ。
パッソアっていうお酒、出来が凄くよくて柑橘系のジュースだったら何を合わせても美味しいんです。
オレンジなんかも美味しいんだけど、個人的にはパインジュースが酸味と甘みのバランスがよくて一番飲みやすいと思います。

【カシス・オレンジ・ヨーグルト】

カシス・リキュール▼30ml
ヨーグリート▼20ml
オレンジジュース(100%)▼適量

※カシス・オレンジは定番なカクテルなんだけど、それにヨーグリートっていうヨーグルトのリキュールを入れたら更に飲みやすいカクテルに。
お酒っていうよりデザートみたいな感覚で飲めちゃいます。
女性向けかな?男性には少し甘すぎるかもしれないw

【チャイナ・ブルー】

ディタ(ライチ・リキュール)▼30ml
ブルーキュラソー▼10ml
グレープフルーツジュース(100%)▼適量

※ディタ・グレにブルーキュラソーで色づけしたカクテル。
最後にブルーキュラソーをグラスのふちからそっと入れる事で、比重の関係できれいなグラデーションになる為、見た目も楽しめる。
あ、グレープフルーツジュースはホワイトを使ってくださいねwピンクだと色も綺麗にならないし、比重の関係でグラデーションになりにくいんで。
お好みでトニックウォーターを入れるのも美味しいですよ。

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

一杯のカクテルが紡ぐヒューマンドラマ あなたには思い出の一杯がありますか?

☆感想&物語☆

漫画原作の全11話からなる1話完結オムニバス形式、2006年の作品。
「神のグラス」と呼ばれるカクテルを作る主人公のバーテンダー佐々倉 溜が、
バー「イーデンホール」を舞台に、訪れた客へ提供する一杯のカクテルを巡る物語。
原作は21巻まで出ているので、その中から尺的に纏められるものだけチョイスした、という感じでしょうか。

内容は完全に大人向けのヒューマンドラマですが、
一杯のカクテル、酒の持つ歴史や背景、込められた意味が、
人生の岐路に立ったそれぞれの登場人物に絶妙にリンクさせており、
非常に物語の作り方が上手いな~と思いますね。

酒に纏わるウンチクの説明が多く、それだけ聞いてても、
なるほど、そんな意味や歴史があるのか、と関心して観させてもらいましたが、
バーやバーテンダーという存在、職業への理解を深めるのにも役立つでしょう。

終始お洒落なBGMが途切れないので、
お酒が飲める人なら、是非一杯やりながらまったりと観るのも良いんではないでしょうかね。
憂いを帯びたエピソードは飲みながら観てると酒が進む笑

☆声優☆

この作品は後にドラマ化され、そちらを先に観ていたんですが、
完全にアニメより実写向きな作品ではあるものの、
やはり演技に関しては声優の方が渋くしっくり来ました。
ナレーションを担当された森本レオの語りがなんとも渋い。

☆キャラ☆

些細なお客の情報や話から提供する一杯の「神のグラス」を作る主人公が凄く粋で格好良い。
時間が短いので会話より説明が多いのは致し方ないところかもしれません。

☆作画☆

作画力が求められるような作品では無いものの、正直低予算な印象を受けます。
EDに実写で物語の中のカクテルを作るシーンは良かったです。

☆音楽☆

OPはちょっと昭和臭漂うデュエット曲で少々微妙ですが、
EDの方がしっとりと哀愁を帯びた、思い出の初恋を歌った曲で聴き応えあり。
まぁ作品との内容とはそんなにリンクしているとも思えませんが、
各話のEDへの入り、イントロがなかなか良いですね。

この作品で一番評価できるのは作中BGMですね。
ここだけはそれなりに予算を使って作られているように思います。
終始BGMが流れていますが、実際にバーに居るかのような極上の雰囲気が楽しめ、
やはりこれは漫画を読んでも味わえないところでしょう。


私事ながら、もうずいぶん長い間実際のバーには行ってませんが、
京都に住んでいた学生時代に友人と行った、とある雑居ビルのバーの事が今でも記憶に残っています。
当時付き合っていた彼女に振られ友人に自棄酒を付き合わせて、酔った勢いで入った友人行きつけの店。
自分は初めて連れて行ってもらった所でしたが、そこのバーテンダーに失恋してうなだれた状態で、
今の自分に合う一杯を作ってくれとムチャぶり笑
肝心のカクテルの名前が思い出せないんですが、
あの店のバーテンダーの人、良かったなぁ...まだあの店あるならまた行ってみたいなぁ。
そんなほろ苦い青春の1ページを思い出しながら、感慨深く観させてもらいました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

65.1 4 ジャズでヒューマンドラマなアニメランキング4位
ギャラリーフェイク(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (104)
612人が棚に入れました
表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と絡みながら、時に世界を駆け巡りながら、絵画、彫刻などを通じて「アートとは何か?」を問いかける。主人公の魅力は、単なる守銭奴ではなく、アートへの奉仕者として清濁併せ呑む点にあるほか、美術・芸術・骨董の多方面に渡る薀蓄的描写も、読者の好奇心をそそる。助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も気になるところであるほか、脇役・レギュラーキャラクターも多い。

また芸術に絡んで社会問題にも言及するなどしており、物語は美術方面の商業的な話題から推理サスペンス、コミカルな人間模様、陰惨な事件、時に憎み合い時に愛し合う人々の交流、文化財保護にまつわる制度面の問題など、多岐にわたる。

声優・キャラクター
森川智之、川澄綾子、ゆきのさつき、石坂浩二
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

神の左手悪魔の右手

ハンターのヨークシン編が好きな人、その中でも
クラピカ絡みの話よりゼパイルさんの目利き話やオークションが好きだった人
…そして特に旅団のコルトピファンなら観て損はない作品。


私は昔からお宝鑑定団の視聴者でしたので、この作品も非常に楽しめました。
ナレーションに石坂浩二氏が特別出演されていたのも合点がいきますね。


主人公、深田の画廊
「ギャラリーフェイク」
表向きは贋作を取り扱う専門店だが、裏では闇に出回る訳あり品やら真作を取引している。
まさにギャラリーフェイクなのです。
藤田は美術界の闇と深く繋がりながらも、なにより美術品の価値を尊重していますね。彼の美術に関する幅広い(広すぎるくらいの)知識と絵画の修復技術の巧みさ、なによりその審美眼は目を見張るものがあります。
彼の仕事ぶりを見れば
かの中島鑑定士も思わず「いい仕事してますねえ〜」と感嘆することでしょう。

この作品をわかりやすく例えると美味しんぼの美術品ver.といったところでしょうか。こっちの主人公のほうが断然かっこいいし、テーマとしても好きだけど。
毎回、テーマとして扱われる美術品とその持ち主の人生が描かれておりドラマ性が高いです。
トレジャーハンターの話はちょっと作品の色と違うだろ…と思ったけど、まあ うん…スパイスにはなっていたかな。
個人的にはトレジャーハンターみさえのほうがry


以下は特に好きだった話の感想

{netabare}

Myセレクション

1話
物語の説明を兼ねたオークション話。今回出品された
モネの「積みわら」
モネが長期に渡って描いた連作であり、季節や時の経過による
空気や光の変化が緻密に描かれていて高い評価を受けた作品。ギャラリーフェイクの世界でも他の作品は無事に保管されていることを願います。


7話 光と影
光の魔術師 レンブラントの作品にまつわる回。
もっとも有名な作品は「夜警」だろう。夜の暗がりを進む自警団が描かれている中で、まるでスポットライトが当たっているかのように光さす少女が印象的な絵画。依頼主は自分たちより謎の少女のほうが目立っていることに少しおこだったらしいけど(笑)

画家というと
生前は貧窮極まり、死後にその作品が高く評価されるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょうが
レンブラントは当代一の人気画家として名を博した。
一大ブームとなり、彼の工房も盛んに
→多くの弟子とともにたくさんの作品を世に送る。

しかし、技術が精巧に受け継がれたことや、作品の仕上げをレンブラントが行ったことなどから
作品の一群が真作かどうか。
作品を描いたのは本人か弟子か
非常にわかりづらいものとなり、それを調査するための組織まで設立された。

今回ある作品を調査しに訪れたレンブラント委員会。
委員会の博士は細かな部分に気を取られて弟子による作品と判断したが、藤田はその鑑定を覆し真作であることを証明する。

真作か贋作か?
それより大切なことがある
世間の風潮、常識や凝り固まった価値観に縛られない審美眼

美術は正誤ではない
本人の力量に勝るとも劣らないほどの美しい作品が世に多く存在している。それは素晴らしいことではないか。
と主張する藤田

ギャラリーフェイクを経営している真意が垣間見られるような発言だ。
本物か偽物か、有名か無名か。重要に思えるがそれは二次的なもの。


11話
ベトナムに向かった藤田と助手のサラ。
ベトナム戦争時に有名だった戦場カメラマン川口の愛用していたカメラを入手したという情報があったからだ。しかも、それを戦場で死んだはずの本人から譲り受けたというのだ…

長きに渡り 悲惨な戦場を見てきて心が疲弊してしまった川口は
カメラとカメラマンだった自分を捨て、新たな地で牧歌的な生活をしていた。
惨劇交じりの回想シーンを見ても彼がそうなってしまったのは無理ないと思えた。
写真を撮ることが苦痛になった彼が藤田たちと知り合い
一悶着起きたものの
最後には
かつてベトナム現地で見たような美しい瞬間に出会い
ハッとし、フィルターを構え、写真を撮る。気づけば彼の頬を伝う涙。
彼の日々は辛いことばかりではない、たしかに美しい時も存在していたのだ…!


13話 監獄のミケランジェロ
藤田の若き日の思い出。
かつて藤田が美大生だったころ、修行の一環として
刑務所に天井画を描くアシストをしたときの話。
青野武さん演じる監獄のミケランジェロ たつが良い味だしてる!
亡くなってしまった偉大な演者とこうやって思いもよらぬ再会ができるのは
映画やアニメを観ていて嬉しいことのひとつです。


14話パサージュを抜けて
パリを舞台に粋な話。
観たい作品のひとつであるクロワーゼもたしか舞台はパサージュだったはず。
耳すまを思い出すような
人形にまつわる淡い恋の話。
最後のあの演出は粋すぎる。



19 知念、危機一髪
国宝を発見し保護する「国宝Gメン」と呼ばれる文化庁の人間 知念。あるとき彼は東北の寺で見つけた仏像を愛ですぎて破損させてしまう。なんとか自分のミスを誤魔化そうと、尻ぬぐいの修復を頼まれた藤田。
仏像を積んだトラックが目的地に着くまでの間にこっそり忍び込み、仏像の修復を済ませねばならない、というHARDなミッション。
今までとテイストが違ってはらはらしたし、面白かった話。オーシャンズ11を思い出した。
トレジャーハンターが出てくるより、これくらいのアクションがちょうどいいと思う。



33話 絵金
藤田は脇役。美術品もほぼ脇役。だが、悪くない!ヤクザな男とそんな男に惚れた女のドラマ
遠き日の思い出もまたかけがえのない芸術である。

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「美術と蘊蓄」「ピカレスク」「一話完結」おすすめです

<2022/2/9 初投稿>
原作は1990年代にビッグコミックスピリッツで連載されてて、当時たぶん一通り読んでます
・・・と、ウィキ調べたら2016年からまた連載再開されてる!
マジですか?
読みたい!
というかあらためて全巻揃えたい!

作者の細野不二彦さんは「さすがの猿飛」「Gu-Guガンモ」などで1980年代から活躍する漫画家さん。
さらにいえば、美樹本晴彦、河野雅治、大野木寛といったマクロス組?と若い頃から仲良しグループだったのだそう。
そのグループの中でも画力の高さは際立っていたそうで、確かにこなれた絵柄は見やすく、かつ躍動感、存在感に溢れたものでした。
そういえば漫画版「クラッシャージョウ」もこの人だったような。

今回、CSでアニメ版の一挙放送やってたの見つけて、懐かしくて毎日一話ずつ、楽しみにしながら視聴しました。

本作は一話完結型の「美術と蘊蓄のピカレスク」

主人公・藤田玲司は表向きは贋作専門、裏では盗品なども扱うと言われる画廊「ギャラリーフェイク」を営む美術商。
実は元メトロポリタン美術館(MET)のキュレーター(学芸員)であり、
その美術品全般に渡る深い知識と正確な鑑定眼、そして極めて高い美術品の修復技術からMET時代は「プロフェッサー」の異名で呼ばれた伝説の存在。
とある事情でMETを追われてから「ギャラリーフェイク」を開き、その知識・スキルと幅広いコネクションで「怪しい商売」を営んでいます。
でも美術に対する熱い心は失ってないよ。
仕事では億単位の取引をしてるくせに、その素顔はボロアパートに住む、蟹好きで腰痛持ち運動不足の三十代後半のオールバックのおっさんである。
名前の元ネタはフランスで活躍した日本人画家・藤田嗣治なのだそう。
声は無職転生のルディのパパというイケボ

サラ・ハリファは藤田の助手兼ヒロイン。
アラブ系の超お金持ちで元王族。
とある件から藤田に惚れて、ギャラリーフェイクに「押しかけ助手」。
よくわかりやすくヤキモチを焼く。
ティーンのため藤田からは子供扱いされるも、なんだかんだで藤田に大切にされている。
美術品を見る眼は肥えていて、助手としても有能なんじゃないかと思うけどどうなんだろう?
声はセイバーとかのだめの人なので拗ねると可愛い

三田村小夜子館長はもう一人のヒロイン兼藤田のライバル役。
日本の私立美術館の館長でやはり海外の美術館でキュレーターの経験あり。
なので美術品の知識や鑑定眼はハイレベル。
真面目で勝ち気な美人さん。
藤田さんをたまにデレデレさせる役割も担う。
つまりサラからは恋敵に見える立ち位置。
でも本人が藤田のことをどう思ってるかは謎。
声はプラネテスの田名部愛とかフルメタのかなめの人。

レギュラーキャラは以上です。

一話完結で、毎話ゲストキャラも登場します。
お話はバリエーションに富んでいて。
渋みのあるものから、
ニヤッとするもの、
ニヤニヤするもの、
温かくなるもの、
ハラハラドキドキするもの、
日常っぽいものまでなんでもアリな感じ。

今回見た中で特に印象深いのは
13話「監獄のミケランジェロ」
16話「楊貴妃の香」
31話「孤高の青」
33話「神々の宝石」
37話「メトロポリタンの一夜」

毎話出てくる美術品の蘊蓄も楽しみでした。
本作始まった頃ってまだネットもなかったはずだけど、作者の細野先生と編集さんはよく調べるよなぁ。


藤田は極めて高い専門性を持ち、物語の中の立ち位置としては決して評論家に収まるのではなく「研究者」とか「職人」といった風情。
そう言ったところ含め本作には「マスターキートン」に近いものを感じてしまいます。

ちょっと外連味ありますが、大人が楽しめる楽しい作品。
美術の世界に少しでも興味あるならならおすすめできる。
隠れた良作だと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

美を知る者は孤独なり

徒党を組めばやがて馴れ合い腐りゆくまで。


<物語>
主人公の藤田玲司は元メトロポリタン美術館の学芸員、自身の審美眼や、他の美術館の学芸員、ブラックマーケットの人脈を駆使して有利に商売を進める画商です。
ということで、美術品に関する豆知識が得られるというのもこの作品の優れた点ですね。
元学芸員という主人公の遍歴も新しいですし、発想の勝利と言わざるを得ない。
話も基本的に一話完結で没頭してしまいます、絵画や彫刻だけに留まらず、ミステリークロックやからくり人形、植物標本など扱う品も多岐に渡り、時に善良なオーナー、時に悪徳美術商、特に冒険家と瞬時にスタンスを変える藤田から目を離せません。
中でも私個人としては、バーを舞台にしたミステリー回(25話)と佐伯祐三の顔のない自画像の回(28話)とウジェーヌ・ドラクロワのアートキャンサーの回(35話)が面白かったですね。

<作画>
原作は"ビックコミックスピリッツ"連載の細野不二彦さんの漫画、「美味しんぼ」とコラボなんかをしてたりします。
現在のトムス・エンタテインメントの前身である東京ムービーがアニメを制作していますね。
テレ東系列ということで結構広く放送していたはずなんですが、何故か放送時期は存在感を発揮してませんでしたね。
それこそ深夜ではなく夕方に放送した方が良かったかもしれません。

<声優>
藤田役の森川智之さん良い!すごく良い!
胡散臭さがぷんぷんしていてこれ以上に無いベストキャスティングです。
サラ役の川澄綾子さんも良いですね、褐色娘良い。
ライバル的立ち位置の三田村館長には雪野五月さん、予告の声も兼ねていて、そのどれもが楽しそうに思える語り口は見事でした。

<音楽>
EDの「だから、私は歌う」は良い曲ですね、ナチュラルハイの。
お洒落でセンスのある曲なんですけど、ナチュラルハイと検索するとアダルトメーカーが引っ掛かるのが玉に瑕です。

<キャラ>
藤田の言葉遣いや主要人物の構成は「ブラック・ジャック」に似ていて、細野さんも意識していると認めていますね。
比べるまでもないですが、どちらも分野に精通しているのが見て取れて、面白いですよね。
手塚さんが阪大医学部卒の経緯を創作に活かしてるのは伝わりますが、その点紺野さんは慶応経済学部卒ですから、趣味の範疇なのでしょうかね。
聞くところによれば、どこかしらの図書館で専門書として本作が扱われているようで、紺野さんの博識ぶりが伺えます。
さて、気になるのは藤田の年齢ですが、メットの学芸員であれば少なくとも大学院は出ていますよね。
プロフェッサー時代とアートディレクター時代合わせて40歳は超えているだろうと考えられますが、30代後半くらいの印象です。
それにしても、異色の経歴の主人公です。
他にも珍妙な肩書を持った魅力的なキャラクターが沢山出てきます。


こういった特定の分野に特化した作品は学ぶ点も多くて大好きです。
初めて本作に触れる人なら、知らない土地で隠れた名店を見つけた時のような感動が味わえると思います。
お勧めのアニメです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
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